diff --git "a/our_regional_cuisines_jpn.csv" "b/our_regional_cuisines_jpn.csv" new file mode 100644--- /dev/null +++ "b/our_regional_cuisines_jpn.csv" @@ -0,0 +1,61314 @@ +text +"# 豚丼 北海道 + +**郷土料理名**: 豚丼 + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +十勝地方 + +## 主な使用食材 +豚肉、米、ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +明治時代末ごろから十勝地方では養豚業がはじまり、豚肉が食べ親しまれてきた。養豚業が盛んであった十勝地方の帯広市が「豚丼」発祥の地といわれている。厚切りの豚肉を砂糖醤油で味付けしたタレでからめ、ごはんの上にのせた「豚丼」は帯広市の名物料理となっている。昭和初期に帯広市内の食堂で、炭火焼きした豚肉にうなぎの蒲焼き風のタレを使用した丼をつくったのが「豚丼」の発祥といわれている。当初は、農家や開拓者が汗を流し働く姿を見て、スタミナ料理を提供したいと思い、食材にうなぎを使おうと考えたものの、うなぎは高価で手に入りにくかった。そこで目を付けたのが、豚肉だった。当時は、十勝地方では養豚業が盛んにおこなわれていたこともあって、豚肉は身近で手に入りやすかったという。こうして帯広の地で誕生した「豚丼」は、いまでは全国でも知られるほど有名となった。 + +## 食習の機会や時季 +地元では家庭料理としても食卓に並び、1年を通して幅広い世代に食べられている。十勝地方の飲食店でも広く提供されている。 + +## 飲食方法 +主に豚肉はロースやバラ肉を使う。フライパンで豚肉を焼いた後、砂糖醤油のタレをからめていく。トッピングの具材は白髪ねぎが多いが、グリンピースなどをのせる場合がある。薬味以外の余計な具材が入っておらずいたってシンプルな料理。炭火で焼くとより一層香ばしくいただける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 豚肉(ロース): 150g +- 長ねぎ: 1/4本 +- 【十勝豚丼のタレ】 醤油: 大さじ2 +- 【十勝豚丼のタレ】 砂糖: 大さじ1 +- 【十勝豚丼のタレ】 みりん: 大さじ1/2 +- 米(炊きあがったもの): 200g + +## 作り方 +1. 長ねぎを適当な長さに切り、表面に切り込みを入れたら、中の芯をとる。表面を開いて繊維に沿って千切りにし、トッピング用の白髪ねぎをつくる。 +2. 豚肉は肉が丸まらないように、4~5ヶ所ほど筋切りをする。 +3. フライパンに油を入れて熱し、肉を並べて焼く。脂身の周りが透明になってきたらひっくり返す。ひっくり返して8割ほど焼けたら、一度フライパンから取り出す。 +4. 肉を取り出したフライパンに分量のタレを入れ、少し煮詰める。 +5. 少しとろみが出てきたら、肉を再度フライパンに戻し、ひっくり返しながらタレを絡めていく。 +6. 肉にしっかり火が通って、照りが出てきたら取り出し、ごはんの上にのせる。フライパンに残った汁を回しかける。最後に白髪ねぎをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 北海道のタレ屋ソラチ + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_23_1.jpg)" +"# 鮭のチャンチャン焼き 北海道 + +**郷土料理名**: 鮭のチャンチャン焼き + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +石狩地方 + +## 主な使用食材 +サケ、キャベツ、たまねぎ、人参、ピーマン、もやし、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +「鮭のチャンチャン焼き」は、秋から冬にかけてとれるサケと旬の野菜を蒸し焼きにして味噌で味付けした料理。石狩地方の漁師町が発祥といわれているが、いまでは全国的にも有名となり、平成19年(2007年)には「石狩鍋」、「ジンギスカン」とともに、「農山漁村の郷土料理百選(農林水産省主催)」に選ばれている。「チャンチャン焼き」の名前の由来は諸説あり、“ちゃっちゃとくつくれるから”、“お父ちゃんがつくるから”、“焼くときに鉄板とヘラがチャンチャンという音を立てるから”、など、さまざまな由来が伝えられている。石狩市では、昭和初期ごろに船上で漁師たちが釣ったサケをドラム缶からつくった鉄板で焼いて食べたのが発祥と伝わっている。北海道のサケの歴史は古く、その昔、アイヌの人々が貴重な食料源として捕獲していた。いまでもサケの漁獲量は国内トップを誇り、北海道ではサケを使った郷土料理が多く存在する。 + +## 食習の機会や時季 +主にサケのとれる秋から冬にかけての時期に一般家庭で調理されるが、現在は1年を通して親しまれている。手軽につくれる上、一品で豪華な食卓となり、さらには栄養のある野菜も一緒に食べれることから、幅広い世代から人気がある料理である。 + +## 飲食方法 +サケと季節の野菜にバターをのせて一緒に蒸し焼きにし、味噌と砂糖、みりん、酒で味付けする。本来の「チャンチャン焼き」は3枚におろしたサケを使用するが、家庭では手軽につくれるように切り身のサケを使っても良い。調理方法は、鉄板で焼くスタイルが伝統的な方法であるが、現在はホットプレートやフライパンなどで調理される方が一般的である。ホイル焼きにされることも多く、若い世代では、最後にマヨネーズをかけるのを好む人も多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 生サケ: 50g(お好みで増減する) +- 塩: 少々 +- こしょう: 少々 +- 【A】 味噌: 大さじ01月02日 +- 【A】 砂糖: 少々 +- 【A】 みりん: 少々 +- 【A】 清酒: 少々 +- キャベツ: 30g +- たまねぎ: 15g +- 人参: 3g +- しめじ: 10g +- ピーマン: 5g +- バター: 2g + +## 作り方 +1. サケは塩、こしょうを振っておく。 +2. キャベツはざく切り、たまねぎはスライスしておく。人参は千切り、ピーマンも少し太めの千切りにする。しめじは石突きをとり、ほぐしておく。 +3. アルミホイルにキャベツ、たまねぎ、しめじ、人参、ピーマンをのせ、その上にサケをのせ、Aのソースをぬる。上にバターをのせて、ホイルを閉じる。 +4. フライパンに水を入れ、3を入れて蒸し焼きにする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 北海道文教大学 山際睦子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_9_1.jpg)" +"# いももち/いもだんご 北海道 + +**郷土料理名**: いももち/いもだんご + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +道内全域 + +## 主な使用食材 +じゃがいも、片栗粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「いももち」は、北海道を代表する農産物のじゃがいもを使い、家庭で手軽につくれる郷土料理として浸透している。地域によっては、「いもだんご」とも呼ばれている。北海道以外にも岐阜県、高知県、和歌山県などにも「いももち」が存在するが、地域によって使用する芋の種類やつくり方は異なる。「いももち」の発祥は、まだ稲作の生産技術が発達していない時代に餅をつくる際、もち米の代わりに当時豊富に生産されていたじゃがいもを使ったことがはじまりといわれている。じゃがいも以外にも、かぼちゃを使うこともあり、いまでも「かぼちゃもち」として伝わっている。明治の開拓時代、「いももち」は開拓者たちの貴重なエネルギー源として重宝された。その調理の手軽さから庶民的な料理として広まっていった。戦時中や戦後の食糧難の時代にも食べられ、現在は北海道の定番おやつとして、大人から子どもまで広い世代に親しまれる。 + +## 食習の機会や時季 +じゃがいもは通年手に入るため、1年を通してよく食べられている。子どものおやつとしてもつくられ、現在でも幅広い年齢層からの人気が高い。 + +## 飲食方法 +つくり方はいたってシンプル。蒸したじゃがいもをつぶして、まんじゅう状にととのえたら、あとは焦げ目が付くまで焼くだけ。主に片栗粉だけを使用するが、片栗粉に小麦粉を適量加えることで口当たりがなめらかになる。じゃがいもの品種は、男爵いもでつくられることが多いが、ほかの品種のじゃがいもでも美味しくつくることができる。食べる際は、バターをのせたり、甘辛く味付けしたごまダレにつけたりと、地域や家庭によってさまざま。また調理法も、チーズを中に入れて焼いたり、揚げたり、汁物にいれたりなど、さまざまなアレンジがある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- じゃがいも: 800g +- 砂糖: 適量 +- 醤油: 適量 +- バター: 適量 +- エゴマ: 適量 +- 白ごま: 適量 +- 塩: 少々 +- 片栗粉: 少々 + +## 作り方 +1. じゃがいもをゆで、冷めてからすり鉢に入れ、餅のように粘りが出るまでする。 (片栗粉を入れる場合、じゃがいもは熱いうちにつぶす) +2. 1をかたち良く丸め、熱したフライパンにバターを敷いて焼く。 +3. エゴマ、ごまををすって、砂糖、醤油を加えタレをつくる。 +4. タレをそえる。好みでバターをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 光塩学園調理製菓専門学校 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_8_1.jpg)" +"# ニシン漬け 北海道 + +**郷土料理名**: ニシン漬け + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +留萌地方 + +## 主な使用食材 +ニシン、大根、キャベツ、人参、赤唐辛子 + +## 歴史・由来・関連行事 +「ニシン漬け」は、北海道のニシン産業の歴史を伝える郷土料理である。江戸時代後期から明治時代にかけて、北海道の特に日本海側ではニシン漁業が隆盛を極めた。春になると、ニシンの大群が産卵のため沿岸に押し寄せると海が真っ白に染まる「群来(くき)」がみられるほどであった。ニシンの漁獲量は明治時代にピークを迎え、一時期、100万トン近くの水揚げ量があったが、昭和30年代ごろから、群来は急激に減り、ニシンはほとんどとれなくなった。現在は、厚岸湖(あっけしこ)などの湖沼とその周辺に定着しているニシンをとることが多いが、その漁獲量は全盛期には到底およばない。「ニシン漬け」は、ニシン漁が隆盛を極めた時代から家庭でつくられていた郷土料理。当時は寒い冬を越すための食糧を貯蔵することが重要であったため、その一つの保存方法として漬物が用いられていた。冬が訪れる前に干物に加工した身欠ニシンと野菜を一緒に漬け込んだものが「ニシン漬け」として定着したといわれている。ニシンの漁獲量こそ減少してしまったが、現在でも北海道の冬の家庭料理として根づいている。 + +## 食習の機会や時季 +春にとれたニシンを干物の身欠きニシンにして保存し、晩秋のころに野菜と一緒に漬け込んだ「ニシン漬け」にして冬に食べていた。ニシンが豊漁だったころは、どこの家庭でもよくつくっていた。 + +## 飲食方法 +身欠きニシンを1日から2日、木灰を溶かした水か、米のとぎ汁につけておく。そのあと、十分に水洗いして、うろこを落とし、4~5cmほどの長さに切ったら、キャベツ、大根、人参などと一緒に、米麹と塩で漬け込む。塩分はそれほど強くなく、米麹を使い長期間漬け込むことで発酵が進み、まろやかな味になるとともにニシンの風味と香りが増します。大根はしなやかになるまで干したものを使用し、キャベツはざく切り、人参は千切りにして加える。ピーマンを千切りにして加える家庭もある。漬物容器に米麹と塩、身欠きニシン、野菜を交互に重ねて漬け込み、重石をかける。具材をはじめから混ぜ合わせて漬け込んでも良い。温かい場所に置くと味が変わるのが早いため、昔は屋外に置いて保存していた。氷点下となる冬を迎え、野菜の水分が凍ることで、シャリシャリとした食感を楽しめる。現在は冷蔵庫などで保存する家庭が多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (漬物容器1つ分) +- 大根: 2.5kg +- キャベツ: 2.5kg +- 麹: 0.2kg +- 身欠きニシン: 0.25kg +- 人参: 0.2kg +- しょうが: 40~50g +- 赤唐辛子: 2~3本 +- 塩: 重量の3% +- 重石: 適量 + +## 作り方 +1. 干した大根は乱切り、キャベツはざく切り、人参としょうがは千切りにする。赤唐辛子は種をとり、小口切りにする。 +2. 身欠きニシンは、米のとぎ汁に一晩漬け、うろこをとり、4~5cmの大きさに切る。 +3. 麹はぬるま湯につけておく。 +4. 漬物樽(漬物の器)に材料全てを入れ、塩を振り入れ、混ぜ合わせる。表面を平らにし、重石をのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 北海道文教大学 山際 睦子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_5_1.jpg)" +"# 石狩鍋 北海道 + +**郷土料理名**: 石狩鍋 + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +石狩地方 + +## 主な使用食材 +サケ、キャベツ、大根、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +「石狩鍋」は、北海道を代表する郷土料理である。その名の通り、サケで有名な石狩川の河口にある石狩町から生まれた漁師料理とされる。石狩地方では、江戸時代からサケ漁が盛んにおこなわれていた。大漁を祝う際、漁師たちはとれたてのサケのぶつ切りやあらをそのまま味噌汁が入った鍋に入れ、ご褒美として食べていたといわれている。昭和20年代ごろには、石狩市のサケの地びき網漁が“北海道の水産業の象徴”として注目されると、その漁見たさに多くの観光客が集まった。地びき網漁は網を海に入れてから引き上げるまで時間があるため、その時間を待つ観光客に「石狩鍋」を振る舞ったところ、美味しいと評判になり、全国的に知られるようになったといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +寒い冬に身体を温める冬の定番鍋料理。身体が温まるように味噌が使用されており、大鍋でぐつぐつと煮て、熱いまま食べるのが好まれる。もともとは漁師の料理だったが、現在は家庭料理としても定番となっている。観光客にも人気があり、石狩地方では、「石狩鍋」が有名な店がいくつか存在する。 + +## 飲食方法 +「石狩鍋」は、ぶつ切りしたサケの身とあらを野菜と一緒に昆布のだし汁の中に入れて味噌で味をととのえ、最後にアクセントに山椒を振りかけると美味しくいただける鍋料理。野菜は、たまねぎやキャベツ、長ねぎ、大根、しいたけ、豆腐などの具材を入れることが多いが、その家庭によってさまざま。最後にいくらを乗せて贅沢に味わったり、バターで風味を出す家庭もある。焼くと失われてしまうサケ皮のコラーゲンも「石狩鍋」にはたっぷりと含まれており、美容にも良いことで知られている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- サケ: 400g +- 白子: 少々 +- 筋子: 少々 +- 豆腐: 1丁 +- こんにゃく: 1枚 +- 大根: 150g +- 人参: 100g +- しいたけ: 4枚 +- ごぼう: 50g +- 長ねぎ: 3本 +- ほうれん草: 100g +- 白菜: 4枚 +- さやいんげん: 50g +- 出汁昆布: 30gのもの3枚 +- 昆布だし汁: 適量 +- 【合わせ味噌】 味噌: 100g +- 【合わせ味噌】 みりん: 大さじ2 +- 【合わせ味噌】 砂糖: 少々 +- 塩: 少々 +- 粉山椒: 少々 + +## 作り方 +1. サケはぶつ切りにし、白子は適当な大きさに切り、筋子は皮から取り出し、バラ子にする。 +2. 豆腐は角切り、こんにゃくは一口大にちぎり、大根、人参、しいたけは半月またはいちょう切り、ごぼうはささがきにし、ねぎは斜め切りにする。 +3. 白菜とほうれん草はゆで、ほうれん草を芯にして白菜で巻き、3~4ヶ所を細く切った昆布で結び、2~3cmくらいに切る。さやいんげんは筋をとって手で折り、青ゆでにする。 +4. 鉄鍋または土鍋に昆布を敷き、中央に合わせ味噌(味噌、みりん、砂糖、塩を混ぜてあたっておく)をおき、周りにサケや白子、筋子、豆腐、こんにゃく、野菜などを並べて入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「北海道の味」(南部 あき子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_2_1.jpg)" +"# いかめし 北海道 + +**郷土料理名**: いかめし + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +道南地域 + +## 主な使用食材 +イカ、もち米、うるち米 + +## 歴史・由来・関連行事 +函館地方や渡島(おしま)地方の有名な郷土料理。「いかめし」は、第二次世界大戦中、食料統制における米不足が深刻化されるなか、函館本線森駅の駅弁として考案されたのがはじまりといわれている。「少しでも米を節約できる料理」と使った食材は、当時、道南地域で大量に水揚げされていたこともあって手に入りやすいイカだった。イカに米を詰め込んで炊き上げた「いかめし」は、手軽に食べられるうえに、お腹にたまり美味しいと評判を呼び、いまでも列車が到着するたびに多くの人たちが購入する人気駅弁となった。 + +## 食習の機会や時季 +「いかめし」は、一般家庭でも比較的手軽に調理することができ、1年を通して、楽しむことができる。おかずにもおやつにも、酒の肴としてもよく合い、子どもから大人まで幅広い世代に好まれている。 + +## 飲食方法 +ゲソと呼ばれるイカの足部分を外し、内臓を取り出しきれいに洗った胴体に、もち米やうるち米を詰めて楊枝で留め、醤油、砂糖、塩、酒を加え、鍋でじっくりと炊き込む。イカの旨味と甘辛い味付けのタレが染みこんだごはんが炊き上がる。炊き込む際、もち米を入れすぎると破裂してしまうので注意が必要。破裂防止のためにあらかじめイカの胴体に楊枝で数カ所を穴をあけておいた方が良い。米とともに中に詰める具材としては、細かく刻んだゲソやたけのこ、しいたけ、グリーンピースなどを入れても美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- イカ: 4~8杯 +- もち米: 1カップ +- 紅しょうが: 少々 +- だし汁: 適量 +- 酒: 大さじ2 +- 砂糖: 大さじ1 +- 醤油: 大さじ4 +- 塩: 少々 +- 爪楊枝: 4~8本 + +## 作り方 +1. イカは内臓と足を���って皮をむき、熱湯をかけておく。足は5mmくらいに切って薄味で煮る。 +2. もち米は一晩水につけてから水気を切り、イカの足を混ぜてイカの胴に詰め、端を爪楊枝で止める。 +3. 鍋に酒を入れて2を並べ、だし汁をひたひたになるまで注ぎ、30分くらい煮てからみりん、砂糖、醤油、塩を加え、弱火でゆっくりと煮上げる。 +4. 大きいイカの場合は2cmくらいの輪切りにし、小さいイカの場合は切らずに姿のまま器に盛り、紅しょうがの薄切りをそえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「北海道の味」(南部 あき子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_27_1.jpg)" +"# ラーメン 北海道 + +**郷土料理名**: ラーメン + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +道内全域 + +## 主な使用食材 +中華そば、長ねぎ、メンマ、チャーシュー + +## 歴史・由来・関連行事 +明治17年(1884年)、函館市で店を構える洋食店で提供された「南京そば」というメニューが「日本ではじめてのラーメン」だったという説があるが、詳しい資料などが残っておらず、定かではない。戦後になると、気温の低い北海道では「ラーメン」が食生活のなかに急速に浸透していく。札幌の「味噌ラーメン」、函館の「塩ラーメン」、旭川の「醤油ラーメン」など、地域ごとの風土に合わせた特徴のあるご当地ラーメンが生まれた。その後も道内ではラーメン店舗が増え、各店舗が味を競い合い独自の進化を遂げてきた。北海道の「ラーメン」は、油分が多い濃厚な豚骨をベースにすることが多いが、これには、アイヌの人たちが昔から食していた白濁の豚骨スープが受け継がれているという説がある。麺に関しては、自家製麺より製麺所でつくった麺を使用している店舗が多い。そのため店舗と製麺所の関係は深く、店舗が使う麺をつくっている製麺所から暖簾が贈られるという独特の習慣もある。 + +## 食習の機会や時季 +道内にはラーメン店が数多くあり、季節を問わず、1年を通して食されている。 + +## 飲食方法 +具材は、ねぎ、メンマ、チャーシューといったオーソドックなものが多いが、観光客からは、北海道の特産品を使った味噌バタ―ラーメンや海鮮ラーメンの人気も高い。また、各地域の風土に合わせたつくり方にこだわりがある。寒さの厳しい旭川市のラーメンはスープを香味油(焦がしラードなど)で覆うことで、スープが冷めにくくなり最後まで熱々のラーメンを食べることができる工夫がこらされている。一方、函館では、脂分が少ない豚骨の清湯スープが使われ、さっぱりとした味わい。また、釧路の「ラーメン」には細い縮れ麺が使われる。これは北洋漁業が盛んだったころ、忙しい漁師たちに素早く食事を提供するためゆで時間を短縮しようとしたからといわれている。そのほか、利尻島の「昆布ラーメン」、室蘭の「カレーラーメン」など、地域ごとの「ラーメン」を楽しむことができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 中華そば: 4玉 +- 豚肉(塊): 100g +- シナチク: 100g +- もやし: 200g +- たまねぎ: 1個 +- ピーマン: 1個 +- 白菜: 2枚 +- 卵: 1個 +- 長ねぎ: 1/2本 +- ラード: 大さじ3 +- スープ(豚骨でとったもの): 8カップ +- みりん: 大さじ3 +- 砂糖: 大さじ2 +- 塩: 小さじ2 +- 醤油: 大さじ5 +- こしょう: 少々 +- にんにく: 少々 +- サラダオイル: 少々 + +## 作り方 +1. 豚肉の塊のまま、みりん大さじ1、醤油大さじ2、にんにくの入ったつけ汁にしばらくつけてから、サラダオイルで焼き、つけ汁をかけながら焼きあげ、薄切りにしてチャーシューをつくる。 +2. シナチクはラードで炒め、砂糖、醤油各大さじ1杯で調味し、もやしはひげと黒い皮をとり、たまねぎ、ピーマンは千切り、白菜は短冊切り、卵はかたゆでにして輪切りにする。 +3. 鍋にラードを熱して野菜を炒め、スープをそそぎ、みりん大さじ2、醤油大さじ3、砂糖、塩、こしょうで味をととのえる。 +4. 鍋にたっぷりの湯を沸かし、中華そばをほぐし入れ、沸騰したらさし水を加え、ゆですぎないようにゆでて、丼に盛り、3の熱いスープをそそぎ、チャーシューと卵をおき、ねぎの小口切りを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「北海道の味」(南部 あき子氏 ) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_26_1.jpg)" +"# 赤飯 北海道 + +**郷土料理名**: 赤飯 + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +道内全域 + +## 主な使用食材 +うるち米、もち米、甘納豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +全国でもハレの日によく食べられる「赤飯」。北海道では甘納豆を入れた「赤飯」を食べる、独特の食文化がある。北海道以外の地域では小豆を入れて炊き、ごま塩で味付けされるため甘みはないが、甘納豆を使う北海道の「赤飯」は甘い。甘納豆の「赤飯」は、由来は諸説あるが、昭和20年代後半ごろに、札幌にある学校法人光塩学園の創設者で初代学長の南部明子先生により「忙しいお母さんが手軽につくることができるように」と考案されたといわれている。自身も働く母であったため、「手間のかかる小豆の赤飯を炊くのは大変だが、子どもたちが喜ぶものを食べさせてあげたい」という想いから、米を炊いて甘納豆を混ぜ、食紅で色をつけるだけという簡単な調理法を確立した。北海道の郷土料理の第一人者でもある南部先生は、全道各地で講演をおこなっていた。その際に、地方のお母さんたちに甘納豆を使った「赤飯」のつくり方を教えたところ、子どもたちが大喜びし、またたく間に人気を博したという。その後、新聞やラジオなどのメディアで紹介されるようになり、一気に道内に広まっていった。 + +## 食習の機会や時季 +通年手に入るもち米とうるち米、甘納豆を使用するため、1年を通して食される。手軽につくれるため、家庭で調理されることが多く、学校給食にも出されることがある。全国の慣習同様、ハレの日の料理としても食べられ、甘いご飯ではあるが、おかずと一緒に食されることが多い。 + +## 飲食方法 +もち米とうるち米を混ぜて食紅でほんのり色を付けて炊き、炊き上がった赤飯に甘納豆を混ぜる。そうすると、炊きたての「赤飯」の熱で甘納豆のまわりが少し溶け、その部分が特に甘くなる。考案者の南部先生のレシピでは、もち米とうるち米を1:1の割合で混ぜるが、その割合は好みが分かれる。また、各家庭によって独自のアレンジを加えられることも多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- うるち米: 1.5カップ +- もち米: 1.5カップ +- 水: 3カップ +- 甘納豆: 100g +- 塩: 小さじ2/3 +- 紅しょうが: 30g +- 【ごま塩用】 黒ごま: 大さじ1/2 +- 【ごま塩用】 塩: 大さじ2 +- 食紅: 少々 + +## 作り方 +1. うるち米、もち米は混ぜて洗い、30分くらい水につけて水切りをする。甘納豆は手早く洗って水切りをする。もち米は水に長くつけすぎると柔らかくなるので注意。 +2. 鍋に水を入れて火にかけ、塩と食紅を混ぜ、米を加えて沸騰したら中火で5分、その後弱火で10分炊き、火を止めて蒸らす時に甘納豆を入れる。 +3. 炊き込み赤飯を器に盛り、黒ごまと塩を混ぜたごま塩を振り、薄切りの紅しょうがをそえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「北海道の味」(南部 あき子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_25_1.jpg)" +"# 昆布巻き 北海道 + +**郷土料理名**: 昆布巻き + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +日高地方 + +## 主な使用食材 +昆布、サケ、ニシン、かんぴょう + +## 歴史・由来・関連行事 +全国トップクラスの昆布の生産量を誇る北海道では、サケやニシンなどの魚を昆布で巻いた「昆布巻き」が根づいている。「昆布巻き」には、日高地方でとれる繊維質が少なく柔らかい日高昆布を使用することが多い。現在では全国でもつくられており、正月のおせち料理で食されることが多い。北海道は全国の生産量の90%を占める日本を代表する昆布の生産地。昆布の歴史は古く、延暦16年(797年)の『続日本記』のなかで、既に昆布の記述があるほど。鎌倉時代には松前地域と本州の間を昆布を運ぶ交易船が行き交うようになり、室町時代に入ると、越前国(現福井県)の敦賀まで昆布が運ばれ、京都・大阪へと渡った。その後、江戸時代に昆布漁が盛んになると、消費量も増え、日本海まわりの関西航路「北前船」の主要な輸送物となった。そして同時期に漁獲量が高かったニシンや、北海道の名産であるサケと合わせた「昆布巻き」がつくられ、北海道の郷土料理となった。 + +## 食習の機会や時季 +��布は、「よろこぶ」との語呂合わせから縁起を担ぎ、正月によく食べられる。また、「養老昆布(よろこぶ)」と書いて不老長寿の願いが込められたり、「子生(こぶ)」という当て字をすることで、子孫繁栄の意味が込められることもあり、ハレの日の料理の食材としてよく使われる。ニシンもまた縁起の良い食べ物とされることから、おせち料理にはニシンの「昆布巻き」が入っていることが多い。ニシンはかつて、北海道の厳しい冬の保存食として命を繋いでくれる親のように大切なものだったため、語呂合わせで「二親(にしん)」とも書き、子宝成就や子孫繁栄の願いも込められている。また、干物に加工した身欠きニシンを使った「昆布巻き」は、伝統的に冬の保存食としても重宝されてきた。 + +## 飲食方法 +昆布とかんぴょうを水で戻し、魚を昆布で巻いてから、かんぴょうで縛り、砂糖、醤油、酒で煮る。昆布で巻く魚は主にサケやニシンだが、地域や家庭によっては、シシャモやチカの素焼きなどさまざま。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 身欠きニシン: 3本 +- 煮昆布: 50g +- かんぴょう: 2本 +- みりん: 1/4カップ +- 砂糖: 1・1/2カップ +- 醤油: 1/2~2/3カップ +- 酢: 大さじ1/2 +- 塩: 小さじ1/6 +- 米のとぎ汁: 適量 + +## 作り方 +1. 昆布はフキンで拭いて15cmくらいに切り、身欠きニシンは米のとぎ汁に一晩つけてからきれいに洗い、昆布の幅に合わせて切る。 +2. 昆布の上にニシンをおき、くるりと巻き、洗ったかんぴょうで結んでおく。 +3. 鍋に昆布巻きを平らに並べ、水をたっぷり注ぎ、数時間煮た後、砂糖、みりん、醤油、酢を入れて味が染みるまで煮こむ。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「北海道の味」(南部 あき子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_24_1.jpg)" +"# 美唄のとりめし 北海道 + +**郷土料理名**: 美唄のとりめし + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +美唄市 + +## 主な使用食材 +鶏肉、米、たまねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +美唄市の郷土料理としていまも家庭で親しまれている「美唄のとりめし」。その発祥は北海道の開拓が本格的に推進された明治時代にあるといわれている。当時、現在の美唄市中村地区に入植した農場主の中村豊次郎が、稲作が軌道にのるまでの期間、小作人たちの家計と健康を気遣い、つがいの鶏を与え養鶏を奨励した。その後、米がとれるようになると、客をもてなすために飼っている鶏をつぶし、米と一緒に炊き込んだ「とりめし」で振る舞ったといわれている。現在も、中村地区では伝統を受け継ぎ、地元の女性たちが昔ながらの「とりめし」をつくっており、「中村のとりめし」とも呼ばれている。 + +## 食習の機会や時季 +昔は、鶏も米も貴重な食材であったため、遠方から訪れる客のおもてなし料理として振る舞っていた。また、祭りや正月などのハレの日にもごちそうとして食べられていた。現在は、1年を通して食べられている。 + +## 飲食方法 +使う主な食材は、米に炒めた鶏肉とモツのみ。調味料も醤油、砂糖、酒だけで味付けをして、炊き上げるシンプルな料理。シンプルな料理だからこそ鶏の出汁の旨味が広がり、香りや風味も強い。どの家庭も使う食材はほとんど一緒だが、味付けは家庭ごとのレシピがある。地域によっては、ラーメンと一緒に食べるという風習もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 () +- 精白米: 90g +- 醤油: 3g +- みりん: 1g +- 酒: 1g +- バター: 2g +- 水分: 適量 +- 鶏もも肉: 20g +- 鶏むね肉: 20g +- 酒: 1g +- みりん: 2g +- 砂糖: 2g +- 醤油: 4g +- 塩: 0.3g +- たまねぎ: 50g +- 油: 1g + +## 作り方 +1. 油で鶏もも肉、鶏むね肉を炒め、調味料で味付けし、たまねぎを加えてサッと煮る。 たまねぎは、シャキシャキ感を残すようにする。 +2. ざるにあけ、具と汁に分ける。 +3. 炊飯器に煮汁とバターと米を入れ炊き上げる。 +4. 炊きあがったごはんに具を混ぜて仕上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 美唄物産観光協会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_22_1.jpg)" +"# 美唄やきとり 北海道 + +**郷土料理名**: 美唄やきとり + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +美唄市 + +## 主な使用食材 +鶏肉、レバー、ハツ、砂肝���内卵、たまねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +札幌市と旭川市の中間に位置する美唄市。西部地域は石狩平野に属する低地帯であり、道内有数の穀倉地帯として有名である。また東部地域は、夕張山地に続く山岳兵陵地帯であり、かつては全国でも有数の炭坑の町として栄え、多くの炭坑労働者で賑わっていた。当時の炭坑労働者が好んで食べていたといわれるのが「美唄やきとり」である。いまも「美唄やきとり」は地元のソウルフードとして、子どもから大人まで幅広い世代に食べられている。発祥は昭和30年(1950年前半)ごろ、美唄市内でやきとり屋台を営んでいた三船福太郎が考案したといわれている。当時、やきとり店では、精肉以外の内臓や皮を廃棄していたが、それを見て、もったいないと思った三船福太郎は内臓を使った「モツ串」を売り出した。「モツ串」は炭坑労働者をはじめとした地元の人から人気を博し、それが「美唄やきとり」として広まっていったといわれている。いまでも「美唄やきとり」は、鶏の頭から皮、内卵、内臓などのさまざまな部位とたまねぎを一つの串に刺して焼いた「モツ串」のことをさす。「美唄やきとり」では、長ねぎではなくたまねぎを使用するのも特徴。その理由としては、農業が盛んな美唄市周辺はたまねぎの産地としても有名であり、長ねぎよりも比較的安価に質の良いたまねぎが手に入るからである。 + +## 食習の機会や時季 +明治の開拓時代、各家庭で大切に育てた鶏を特別なハレの日に余すところなくいただいたという。いまでも居酒屋や専門店などで提供されるが、パーティー、冠婚葬祭のときにも食べられ、店で大量に注文し、持ち帰りする人も多い。 + +## 飲食方法 +モツを使った「美唄やきとり」は、味付けは塩こしょうで長ねぎではなく、たまねぎを使う点が特徴である。串元には皮を使い、最後にはモモ肉を刺すのが、一般的。焼くと甘みが増すたまねぎと鶏のモツの相性が良く、旨味を引き出してくれる。地元では、食事のしめにはかけそばを注文し、その中に「美唄やきとり」を入れて楽しむのが美唄流といわれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4本分) +- 【A】 鶏皮: 50g +- 【A】 たまねぎ: 1/2個 +- 【A】 鶏レバー・砂肝: 各50g +- 【A】 鶏もも肉: 100g +- サラダ油: 適量 +- 日本酒: 大さじ2 +- 塩: 少々 +- こしょう: 少々 + +## 作り方 +1. Aは小さめのひと口大に切る。 +2. 鶏皮、たまねぎ、レバー、砂肝、たまねぎ、鶏もも肉の順に串に刺す。 +3. フライパンでサラダ油を熱して2を入れ、中火で表裏返しながら火が通るまで焼く。 +4. 酒を入れ、汁気がなくなったら塩、こしょうを振る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 美唄物産観光協会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_21_1.jpg)" +"# 室蘭やきとり 北海道 + +**郷土料理名**: 室蘭やきとり + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +室蘭市 + +## 主な使用食材 +豚肉、たまねぎ、洋辛子 + +## 歴史・由来・関連行事 +「室蘭やきとり」は、その名の通り、北海道室蘭市で考案された「やきとり」である。「やきとり」という名がついているが、実際には鶏肉ではなく豚肉が使用され、たまねぎと豚肉を交互に串に刺した串焼き料理である。甘みのあるタレと洋辛子を付けて食べる。昭和12年(1937年)、日中戦争が起きると食料増産のために農家が豚を飼うようになり、昭和14年(1939年)には、豚の皮で軍靴をつくるために全国で養豚が奨励された。そうしたなか、室蘭市では豚の肉と皮以外は市内で消費して良いこととし、地元の屋台で豚のモツが多く取り扱われるようになったといわれている。その後、いまの「室蘭やきとり」のかたちとなる豚肉とたまねぎ、洋辛子という組み合わせが定着してきた。当時、製鉄所で栄える室蘭市輪西町周辺では、豚肉の串焼きを提供する多くの屋台が存在した。「室蘭やきとり」の元祖といわれる「鳥よし」も昭和12年(1937年)に輪西町で店を構えた。「室蘭やきとり」では、長ねぎではなくたまねぎを使用するのも特徴。その理由としては、北海道を産地とするたまねぎの方が長ねぎよりも安価に手に入り、また豚肉との相性が良いため定着してきた。 + +## 食習の機会や時季 +時期を問わ���、通年食べられている。居酒屋や専門店で食べることが多く、家庭ではほとんどつくられない。地元では、親戚や友人など大人数が集まるときに、専門店からテイクアウトしてきた「室蘭やきとり」をメインにして食卓を囲むこともある。 + +## 飲食方法 +使われる豚肉はバラ肉ではなく肩ロースを使用する店がほとんど。室蘭市をはじめ、道南地域では一般的に「やきとり」とメニューに書かれている場合、豚肉とたまねぎの組み合わせとなる。最近では鶏肉を使ったやきとりと区別するため、豚肉の串焼きは「豚精」や「豚精肉」、鶏肉の串焼きは「鶏精」や「鶏精肉」と表記する店も多い。つくり方は店によって異なるが、一口大の豚肩ロースとくし切りにしたたまねぎを交互に串に刺したスタイルが基本。各店独自のつけダレで味付けをし、器にそえられた洋辛子をつけて食べる。店によっては塩味を選ぶこともできる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1本分) +- 豚肉(肩ロースまたはバラ肉): 35g~38g +- たまねぎ: 3g~5g +- 洋辛子: 約5g +- タレ(醤油、砂糖、長ねぎ、鶏ガラ、小麦粉など): 2~3g + +## 作り方 +1. ブロックの肩ロースを切る。 +2. 豚肉、たまねぎを串刺し、炭で焼く(1つの串に2つ、肉・たまねぎ・肉・たまねぎ・肉、一番下にはたまねぎは無い)。 +3. タレ壺に串を付ける。 +4. 再度炭で焼く。 +5. お皿に盛り付け、洋辛子を付けて完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 伊勢広 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_20_1.jpg)" +"# 鯨汁 北海道 + +**郷土料理名**: 鯨汁 + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +道南地域 + +## 主な使用食材 +塩くじら、こんにゃく、大根、豆腐 + +## 歴史・由来・関連行事 +「鯨汁」は道南地域の正月料理で欠かせない料理。正月が近づくと、大鍋に塩くじらと野菜を煮こんでつくり、正月の三が日に食べる習いがある。何度も温め直して食べるため、一緒に入れる野菜は煮崩れしない食材が使われる。一部の地域では「くじな汁」とも呼ばれている。江戸後期から明治時代にかけてニシン漁が盛んにおこなわれていた時代、道南地域では、“ニシンを岸に追い込んでくれる”くじらは、縁起の良い動物として崇められていた。初春からはじまるニシン漁の豊漁を祈願するため、正月に食べられてきたとされている。また、巨大なくじらの姿にあやかって、大物になるようにと縁起を担いで、年越しや正月に食べる地域もある。北海道では、タンパク源となるくじらは貴重な食材であり、厳しい冬を乗り切るために塩蔵した塩くじらをつくり保存食としていた。「鯨汁」で使われる食材は塩くじらを使う。また、一緒に煮こむ食材も晩秋の季節に収穫した越冬野菜や塩漬けにした山菜といった保存食でつくられていた。栄養価の高い「鯨汁」は、極寒の北海道の冬を乗り切るためには欠かせない料理でもあった。 + +## 食習の機会や時季 +いまでも道南地域を中心に正月が近づくと「鯨汁」を家庭でつくる。道内のスーパーマーケットなどでは年末ごろになると、塩くじらが多く販売される。 + +## 飲食方法 +塩くじらの脂身を豆腐と山菜や大根、ねぎ、しいたけ、里芋などの野菜と合わせて醤油味で煮こむ。家庭によっては、塩味や味噌味でつくる場合もあるが、基本的な味付けは醤油味が一般的である。くじらから出てくる旨味と野菜から染み出た甘みの相性がよい。昔は、晩秋に保存しておいた野菜や瓶詰めにしたたけのこ、塩漬けにしたふきやわらびなどの山菜を調理前に塩抜きして入れてつくっていたが、冷凍技術が発達したいまでは、使う野菜は家庭によってさまざま。大鍋で大量につくり、食べる度に温め直すことで具材に味が染み込み美味しく食べられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- くじらの脂身(塩漬け): 200g +- 豆腐: 1丁 +- 大根: 300g +- 人参: 50g +- わらび: 100g +- ふき: 50g +- ごぼう: 1/2本 +- 長ねぎ: 1/2本 +- しいたけ: 2枚 +- だし汁: 6カップ +- 酒: 大さじ1 +- 醤油: 大さじ2 +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. くじらの脂身は薄切りにし、水にさらしてから10分くらいゆでる。 +2. 大根、人参は短冊切り、わらび、ふきは3cmくらいに切り、ごぼうはささがきに、しいたけは千切りにする。 +3. 鍋にだし汁と2の野菜を入れて火にかけ、野菜が柔らかくなったらくじらを加え、酒、醤油、塩で調味し、一口大に切った豆腐を加え、おろしぎわに小口切りにしたねぎを入れる。※好みにより味噌仕立てにしても良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「北海道の味」(南部 あき子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_19_1.jpg)" +"# ルイベ 北海道 + +**郷土料理名**: ルイベ + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +石狩市、函館市、釧路市など沿岸部を中心とした複数地域 + +## 主な使用食材 +サケ、マス + +## 歴史・由来・関連行事 +「ルイベ」はサケやマスなどの魚を冷凍させてから、解凍させないまま刺身にして食べる郷土料理。口に入れた時の凍った食感と口のなかで次第に溶けていく味わいが特徴。「ルイベ」はアイヌ民族発祥の料理といわれている。北海道のサケの漁獲の歴史は古く、アイヌの人々は貴重なタンパク源としてサケを捕獲していた。寒さが厳しい冬に備え、サケを雪に埋めて凍らせて保存しておき、凍ったまま薄く切り分けて食べていたことが「ルイベ」の発祥といわれている。また、サケの身に潜むアニサキスなどの寄生虫は凍らせることによって死滅するため、寄生虫対策としても有効であった。名前の由来も、アイヌ語の“溶ける”を意味する「ル」と“食料”を意味する“イペ”を合わせた「ルイペ」が語源といわれている。「ルイベ 」は一般的にサケやマスを使用するが、ヒメマス・イカなどの魚介類の食品を凍ったまま、薄切りにして食べる方法を「ルイベ」と呼ぶこともある。 + +## 食習の機会や時季 +もともとは、アイヌ民族が冬の寒さを利用してつくった保存食であり、晩秋から初冬にかけてとれたサケを冷凍保存し、寒い冬の時期の保存食として食べていたといわれる。近年では全国的にも広く知られ、冷凍技術が発達した現在では北海道だけでなく、全国でも1年を通して食べられている。 + +## 飲食方法 +凍らせて食べる「ルイベ」は、生の刺身とは違う独特の食感と口のなかで溶けていく味わいが楽しめる。刺身同様にわさび醤油をつけて食べるのが一般的だが、レモンを絞ったり大根おろしなどで食べても美味しい。地域や家庭によっては、軽くあぶって食べたり、塩を振って食べたりするなど、食べ方はさまざまま。近年では、醤油などの調味料にいくらと生サケを漬けてから冷凍させた「ルイベ漬け」やサラダや和え物、パスタなどの料理にも「ルイベ」が使われることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- サケ: 300g +- 山わさび: 適量 +- 醤油: 適量 + +## 作り方 +1. 新鮮なサケを洗って、冷凍庫に入れ凍らせておく。 +2. サケの皮をむき、身を削るように切って器に盛り、下ろした山わさびをそえ、醤油をつけて、溶けないうちにいただく。好みにより、レモンやおろし大根、しょうがをそえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「北海道の味」(南部 あき子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_18_1.jpg)" +"# ニシン蕎麦 北海道 + +**郷土料理名**: ニシン蕎麦 + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +道内全域 + +## 主な使用食材 +ニシン、そば + +## 歴史・由来・関連行事 +「ニシン蕎麦」は、ニシンの干物「身欠きニシン」を甘露煮にし、そばにのせた北海道の郷土料理。「ニシン蕎麦」といえば京都が有名だが、北海道でも昔から食べられてきた。京都の「ニシン蕎麦」は昆布と薄口醤油を使用した薄い味付けをする一方、北海道では濃口の味付けをするため、汁がほのかに甘いのが特徴。江戸時代後期から明治ごろにかけて北海道沿岸部ではニシン漁が盛んだった。春になると、ニシンの大群が産卵のため沿岸に押し寄せると海が真っ白に染まる「群来(くき)」がみられた。冷凍技術が発達していなかった江戸時代、大量にとれたニシンは日持ちするよう干物に加工した身欠ニシンとして保存するようになった。タンパク源となる身欠ニシンは全国的にも貴重な保存食となり、北前船にのせて北海道から本州まで輸送されていた。そうして、京都をはじめとした各地に身欠ニシンは大量に運ばれ、北海道以外でもニシン料理が進化していった。明治時代、ニシンの漁獲量はピークを迎えたが、昭和30年代ごろから、群来は急激に減り、ニシンはほとんどとれなくなった。しかし、全盛期の頃の名残から、現在でも北海道や京都など全国各地に「ニシン蕎麦」をはじめとした身欠きニシンを使用したニシン料理が存在している。「ニシン蕎麦」は、京都が発祥といわれるが、北海道の「ニシン蕎麦」のルーツは、江差町でニシン漁が栄えたころの網元「横山家」に伝わるレシピだといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +身欠きニシンを使って1年を通し、手軽に食べられる。古くから庶民の味として広く親しまれ、道内では「ニシン蕎麦」を名物料理として提供する料理店が多く存在する。また、家庭でつくられることもある。 + +## 飲食方法 +最初にニシンの干物である身欠きニシンを下ゆでしたあと、醤油、酒、砂糖でしっかりと煮こんで甘露煮にする。家庭でつくる場合には、戻す手間のかからない市販のソフトタイプの身欠きニシンを使用すると調理しやすい。そばの上に濃口醤油でつくった出汁を注ぎ、身欠きニシンの甘露煮をのせれば「ニシン蕎麦」となる。そばと温かいそばと合わせた「ニシン蕎麦」と、冷たいそばにニシンをのせる「冷やしニシン蕎麦」がある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- そば: 2人分 +- 身欠きニシン: 2枚 +- 水: カップ1/2 +- 醤油: 大さじ1 1/2 +- てんさい糖: 大さじ1 +- 酒: 大さじ1 +- しょうが: 1片 +- 【そばつゆ】 水: カップ4 +- 【そばつゆ】 醤油: 大さじ4 +- 【そばつゆ】 みりん: 大さじ4 +- 【そばつゆ】 カツオ節: ひとつかみ +- とろろ昆布: 2つまみ +- 長ねぎ: 1/2本 + +## 作り方 +1. ニシンは半分に切り、鍋に分量の水と調味料、しょうがの千切りを入れて煮ておく。長ねぎは斜め千切りにする。 +2. そばつゆは鍋に分量の水と醤油、みりん、カツオ節を入れて火にかける。1~2分クツクツさせて火を止め、カツオ節が沈んだらざるでこす。 +3. ゆでたそばをそばつゆの入った器に入れてほぐし、ニシンをのせ、長ねぎと、とろろ昆布をあしらう。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「私たちが食べ伝えたい北海道郷土料理」(星澤 幸子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_17_1.jpg)" +"# ザンギ 北海道 + +**郷土料理名**: ザンギ + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +道内全域 + +## 主な使用食材 +鶏肉、醤油、小麦粉、しょうが、にんにく + +## 歴史・由来・関連行事 +北海道では鶏の唐揚げのことを「ザンギ」と呼ぶ。「ザンギ」は一般的な鶏の唐揚と比べ味付けが濃いのが特徴。揚げる前に鶏肉を醤油ベースの甘辛いタレに漬けこんでつくられる。骨付き「ザンギ」と骨なし「ザンギ」の2種類あるが、道内では骨なし「ザンギ」を取り扱う店舗の方が多い。「ザンギ」は、昭和30年ごろに釧路市の末広歓楽街に店を構えていた鶏料理店が、鶏一羽をぶつ切りにして唐揚げにしたのがはじまりといわれている。名前の由来は、店主が中国料理の鶏の唐揚げ「炸鶏(ザーチー/ザーギー)」に運が付くようにと、文字の間に「ン」を加えて「ザ『ン』ギ」と呼ばれるようになったという説がある。いまでは、鶏肉の唐揚げ以外にも、「タコザンギ」や「サケザンギ」など食材に衣を付けて揚げたものを「~ザンギ」と名称をつけて呼んでいる。 + +## 食習の機会や時季 +「ザンギ」は家庭のおかずの定番として、1年を通してつくられている。また、祝いの席などの行事には必ず食卓に並ぶ人気の一品でもある。親戚や友人が集まる時から、子どもの運動会や遠足、日々の弁当まで、あらゆる場面で食べられている。 + +## 飲食方法 +最初に鶏肉を醤油、卵、酒、しょうが、にんにくなどに漬けておき、濃いめの下味をつける。表面がきつね色になるまでしっかりと揚げる。揚げた鶏肉をさらにタレにつけて食べることもあり、タレも各家庭や店によってさまざま。ごはんの上にのせて「ザンギ丼」として食べることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鶏もも肉: 1枚 +- 酒: 大さじ2 +- 醤油: 大さじ2 +- こしょう: 少々 +- しょうが: 1片 +- にんにく: 1片 +- 小麦粉: 少々 +- 揚げ油: 適量 + +## 作り方 +1. 鶏もも肉は一口大に切る。 +2. ポリ袋に鶏もも���と調味料を入れ、口を閉じてよくもみ、1時間~半日ほどおく。 +3. 別のポリ袋に小麦粉を入れ、一度に揚げられる量の鶏もも肉を入れて、空気を入れて膨らませ、小麦粉をむらなく、薄くまぶす。 +4. 中温の油に入れ、表面がカリッとなって油の音が静かになるまでゆっくり揚げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「私たちが食べ伝えたい北海道郷土料理」(星澤 幸子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_16_1.jpg)" +"# ししゃもの甘露煮 北海道 + +**郷土料理名**: ししゃもの甘露煮 + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +胆振・日高・釧路・十勝地方 + +## 主な使用食材 +シシャモ + +## 歴史・由来・関連行事 +「ししゃもの甘露煮」は、北海道を代表する魚の一つシシャモを使った郷土料理。シシャモの調理方法は幅広く「ししゃもの甘露煮」をはじめ、オイル漬けや、酢漬け、昆布巻などの郷土料理がいまも根づいている。シシャモは、太平洋岸の限られた河川にしか生息していない日本固有の貴重な北海道の特産種。近年、全国で流通する多くのシシャモのほとんどは、大西洋で漁獲された輸入の「カラフトシシャモ」であり、本来のシシャモと呼ばれる北海道産はごくわずかしか流通していない。シシャモは川で生まれて、海で育つ回遊魚。10月中旬から11月の晩秋にかけて群れで河川に溯上し、川底で産卵する。特に卵を持った雌の子持ちシシャモは美味であり、ごはんのおかずにも、酒の肴としてもよく合う。アイヌの人たちにとって、冬を越す貴重な食材としてシシャモやサケなどの魚は重宝されていた。シシャモは漢字で「柳葉魚」と書くが、その由来は、アイヌの神様により柳の葉からつくられたという逸話に基づいている。 + +## 食習の機会や時季 +シシャモがとれる鵡川町(むかわちょう)では、「ししゃものすだれ干し」が晩秋から初冬にかけての風物詩になっている。秋の産卵時期になるとよく家庭でも食べられていたが、現在ではシシャモの漁獲量が減少し、高価な食材となったため、全国的にはカラフトシシャモを使った「ししゃもの甘露煮」が多く流通している。 + +## 飲食方法 +シシャモを素焼きにし、鍋にシシャモを入れて10分ほど煮てから、砂糖、みりん、醤油を加え、煮汁がなくなるまで煮こむ。好みで、根しょうがの千切りを入れても美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- シシャモ: 400g +- 酒: 1/2カップ +- 砂糖: 大さじ5 +- みりん: 大さじ3 +- 水: 1カップ +- 醤油: 1/3カップ + +## 作り方 +1. シシャモは洗って陰干しにして、素焼きにする。 +2. 鍋に酒を入れて火にかけ、水を加えシシャモを入れて10分くらい煮てから、砂糖、みりん、醤油で調味し、味が染み、煮汁がなくなるまでゆっくり煮こむ。好みにより、根しょうがの千切りを入れても良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「北海道の味」(南部 あき子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_15_1.jpg)" +"# カスベの煮付け 北海道 + +**郷土料理名**: カスベの煮付け + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +沿岸部など複数地域 + +## 主な使用食材 +カスベ、しょうが + +## 歴史・由来・関連行事 +「カスベの煮付け」は、家庭で頻繁につくられている冬の郷土料理。「カスベ」は、北海道の方言で「エイ」という意味を持つ。軟骨魚類に属するカスベの骨は柔らかいため、身から骨まで残すところなく全て食べることができる。コラーゲンが多く含まれていることから、最近は美容食としても注目されている。名前の由来は諸説ある。調理法が確立していない昔、体内でアンモニア臭を発生するカスベは、臭みが強く敬遠されていたといわれ、そのことから「煮ても焼いても食べれない“かす”にしかならない魚」ということから名付けられたという説がある。また、ほかにも、アイヌ語の「カシュムベ/カシュペ」から来ているという説などがある。アイヌ民族は昔から干した「カスベ」などの魚をたたいて、ゆでた野草と一緒に食べていたという。しかし近年まで、臭みがあることから食用として重宝されておらず、肥料などに使用されていたという歴史もある。いまでは臭みを取り、美味しく調理をする方法���確立したことで、食用として好まれるようになった。北海道でよく食べられるのは、背中に大きな目玉のような模様のある「メガネカスベ」という種類。日本海側北部の宗谷、留萌(るもい)地方に多く分布し、この付近では「マカスベ」という別名もある。また、ほかにも北海道では「アイヌカスベ」と呼ばれる「水カスベ(ソコガンギエイ)」も食べられることがある。 + +## 食習の機会や時季 +北海道でよく食される「メガネカスベ」は冬が旬。冬になると「カスベ」がスーパーマーケットに並ぶ。安価で手軽に調理が可能とあって、一般家庭では、冬の食卓のおかずとして出されることが多い。酒の肴としても人気が高い。 + +## 飲食方法 +つくり方は、「カスベ」をぶつ切りにし、砂糖、醤油、酒、みりんで煮る。よく煮れば骨まで食べられる。冷めるとコラーゲンがかたまり、煮こごりになるので、そのまま木の芽をそえて皿に盛って食べても美味しい。「カスベ」は日が経つと、臭みが出てしまうため、鮮度が命といわれている。煮付けで調理する際は、しょうがと一緒に煮ると、臭みがでにくい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- カスベ: 2切れ(約200g) +- 大根: 100g +- しょうが: 1片 +- 細切り昆布: ひとつまみ +- 水: 1カップ +- 醤油・酒: 各大さじ1杯 +- てんさい糖: 大さじ1杯 + +## 作り方 +1. 大根は皮をこすり洗いして5mm角の拍子切りにし、しょうがは千切りにする。 +2. 鍋に分量の水と調味料、しょうが、昆布を入れて火にかけ、沸騰したらカスベを入れて大根をのせる。落し蓋をして中火で15分煮る。 +3. 大根を煮汁に浸してそのまま冷まし、味を馴染ませる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 星澤クッキングスタジオ 主宰 星澤 幸子氏(クッキングキャスター) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_14_1.jpg)" +"# トキシラズ/トキ鮭の焼漬け 北海道 + +**郷土料理名**: トキシラズ/トキ鮭の焼漬け + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +道内全域 + +## 主な使用食材 +トキシラズ + +## 歴史・由来・関連行事 +秋から初冬ごろにかけて、産卵のために北海道沿岸に遡上してくるサケを「秋サケ」と呼ぶが、春から夏にかけての季節外れの時期に遡上してきたシロザケのことを「トキシラズ」いう。漢字では「時不知」または「時鮭」と書き、時期を知らずにとれる魚という意味で名が付けられている。秋にとれる一般的な秋サケと違うのは、その生まれた地。秋サケが北海道の川で生まれるのに対し、トキシラズはロシア北部のアムール川で生まれ、回遊している際に北海道の沿岸で漁獲される。若い状態で漁獲されるトキシラズは、産卵の準備がまだ整っていないため、脂や栄養が卵や白子ではなく全身にのっていることから、格別に美味しいといわれている。脂のりが非常に良く、身質が柔らかいトキシラズは貴重なサケであり、全国的にも人気が高い。「トキシラズの焼漬け」は、トキシラズを使用した代表的な北海道の郷土料理の一つ。昔から家庭ではごちそうとして振る舞われていた。6月におこなわれる札幌祭(現・北海道神宮祭)の際、家庭では「トキシラズの焼漬け」や「赤飯」をつくり、食べていた。 + +## 食習の機会や時季 +6月ごろに出回る脂ののった「トキシラズ」はこの季節のごちそう。高級品として販売されているが、地元では、スーパーマーケットなどでも手に入れることができるので、春から夏にかけて一般家庭の食卓に上がることも多い。 + +## 飲食方法 +フライパンやグリルでさっと焼いた「トキシラズ」を、醤油、みりん、酒を混ぜた調味液に漬ける。半日程度漬ければ食べられるが、一晩ほど漬けた方が味が染みこんで美味しいといわれている。ごはんにも良く合い、夕食のおかずとして子どもにも人気がある。また、大人からも酒の肴としても好まれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- トキシラズ: 4切れ +- 付け合わせ野菜: 適量 +- 醤油: 大さじ3 +- 酒: 大さじ2 + +## 作り方 +1. ポリ袋に調味料を合わせてサケを入れ、密封するように口を閉じて半日ほど漬け込む。 +2. サケをグリルで焼く。途中何度か漬け汁をハケで塗りながら照りよく仕上げ、季節の野菜をそえていただく�� + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「私たちが食べ伝えたい北海道郷土料理」(星澤 幸子氏 ) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_13_1.jpg)" +"# いくらの醤油漬け 北海道 + +**郷土料理名**: いくらの醤油漬け + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +道内全域 + +## 主な使用食材 +筋子、醤油、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +北海道を代表する海産物のいくらは、全国でも広く知られ、子どもから大人まで幅広い世代から絶大な人気を誇る。サケ漁が最盛期を迎える9月から10月ごろになると、スーパーマーケットにはサケの卵の筋子が並び、多くの家庭でいくらづくりがおこなわれる。いくらづくりの味付けには、主に塩漬けと醤油漬けがあるが、家庭では塩漬けより醤油漬けの方がよくつくられる。昔は、日本で筋子が多く食べられていた。筋子を塩漬けにした現在のいくらのような食べ方もしていたといわれるが、筋子といくらを区別する名称はなかった。いくらの名前の由来は、明治時代にいくらの語源となるロシアから伝わったとされる。しかし、その由来の説は、日露戦争の際に捕虜となったロシア人から伝わったとする説や、北洋での漁業が盛んになった際のロシアとの交流から伝わったとされる説など諸説存在している。いくらが食用として日本に広く知られるようになったのは、大正時代からとされている。 + +## 食習の機会や時季 +秋の北海道の味覚を味わえる贅沢な家庭の味。晩秋につくった「いくらの醤油漬け」を密封してしっかり冷凍しておけば、正月まで食べることができる。 + +## 飲食方法 +生筋子を塩水の中でほぐし、薄皮を除き、醤油と酒を好みに応じて分量を調節し混ぜ合わせる。その後、冷蔵庫で一晩ほど漬けておき、味を馴染ませる。使う調味料は家庭によってはさまざま。醤油のみでいくらを漬ける家庭も少なくないが、酒やみりんの代わりにカツオ出汁や昆布出汁を使う家庭もある。温かいごはんにかけて「いくら丼」にしたり、手巻きずしの具や酒の肴にも最適。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- サケの卵(生筋子): 1/2腹 +- 酒: 1/2カップ +- 醤油: 1/3カップ + +## 作り方 +1. 鮮度の良いサケの卵(生筋子)を塩水で洗い、ぬるま湯の中でほぐしバラ子にしておき、にごりがなくなるまで流水の中で洗って、酒、醤油を混ぜた中に一晩くらい漬け込んでおく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「北海道の味」(南部 あき子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_12_1.jpg)" +"# たちの味噌汁/スケソウダラの白子の味噌汁 北海道 + +**郷土料理名**: たちの味噌汁/スケソウダラの白子の味噌汁 + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +道内全域 + +## 主な使用食材 +マダラまたはスケソウダラの白子、長ねぎ、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +北海道では、タラの白子のことを「たち」と呼び、マダラの白子を「真だち」、スケソウダラの白子を「すけだち」と呼び区別する。その白子を丸ごと入れた味噌汁が「たちの味噌汁」。北海道では冬の定番料理となっている。「鱈(タラ)」は、魚偏に雪と書くことからもわかるように、雪が降る寒い季節に旬を迎える魚。なかでも1月ごろから2月ごろが最も味が良いとされる。タラは、既に室町時代から江戸や京都など各地で食べられていたといわれている。当時は、腐敗を防ぐため、腹を切らずに口から内臓を取り出し、そこに塩を入れて運んだため、「腹を切らない(切腹を想像しない食べ物)」ということで武士に喜ばれたという。冷水性魚類に属するマダラの生息水温は2℃から4℃と低い。そのため、海水温が低い北海道周辺に多く分布しており、北海道は全国トップの漁獲量を誇る。また、夏から秋にかけて餌を探すために回遊するスケソウダラは道内ほぼ全域で漁獲される。 + +## 食習の機会や時季 +タラが旬の冬に家庭料理として食べられることが多い。マダラの白子である「真だち」は高級品として取引きされている。スケソウダラの白子である「すけだち」は晩秋のごろからスーパーマーケットなどの店頭に並び、手ごろな価格で手に入れることができる。 + +## 飲食方法 +生の「たち」を昆布出汁に入れ、味噌を溶かす���ンプルな料理。手軽に美味しくできるので、北海道民にとっては馴染み深い冬の家庭料理。「たち」と長ねぎのみを使用した味噌汁が最もシンプルだが、大根、人参、白菜、たまねぎ、豆腐など、具だくさんにしても美味しく味わえる。季節によって、入れる具材を変えている家庭が多い。煮すぎないように注意が必要で、臭みを取るためにしっかりと塩で洗ったらさっと湯がくのがコツ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- たち: 50g +- 長ねぎ(斜め小口切り): 10g +- 白味噌: 5g +- 赤味噌: 4g +- 【だし汁】 水: 140cc +- 【だし汁】 出汁昆布: 1g +- 【だし汁】 カツオ節: 2g + +## 作り方 +1. 昆布とカツオ節でだし汁をつくる。 +2. 1のだし汁を鍋に入れ煮たて、たちを入れて熱を通す。たちが煮えたら、長ねぎを加えて火を止める。 +3. 2に溶いておいた白味噌、赤味噌を入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 北海道文教大学 山際 睦子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_11_1.jpg)" +"# べこ餅 北海道 + +**郷土料理名**: べこ餅 + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +道内全域 + +## 主な使用食材 +白玉粉もしくは上新粉、片栗粉、砂糖、黒砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +北海道民に昔から親しまれてきた「べこ餅」は、主に白と黒の2色が配された木の葉形の模様が特徴的な郷土菓子。北海道では端午の節句の際によく食べられている。青森県にも材料は同じだが、形や模様が異なる「べこ餅」という名の郷土菓子が存在する。白と黒の2色、木の葉形が「べこ餅」の定番ではあるが、いまでは道南地域を中心にさまざまな色やかたちの「べこ餅」がある。黒糖だけを黒単色の「べこ餅」や人工着色で彩色された色あざやかな「べこ餅」、よもぎを混ぜた緑色の「べこ餅」など。かたちも木の葉形ではなく、花形、丸形などの「べこ餅」も存在する。発祥については諸説ある。山形県の郷土菓子の「くじら餅」が、北海道で独自に進化して、独特の木の葉型になったといわれている説があるが、定かではない。現在も道南地域の一部では「べこ餅」を「くじら餅」と呼んでいる地域がある。名前の由来も、白と黒の配色がホルスタインの色を連想させることから牛を意味する“べこ”を用いたという説、黒糖を混ぜた部分が“べっこう”の色合いに近いことから“べっこう餅”となったという説、”米粉(べいこ)”と砂糖を主な原材料としてつくっていたことから“べいこ餅”と呼ばれていた説など、諸説ある。 + +## 食習の機会や時季 +道南地域を中心に主に5月の端午の端午の節句の際に食べられることが多い。他にも正月や彼岸、冠婚葬祭などハレの日の際にも食べられいる。以前は、「べこ餅」をつくる木型を持っている家庭も多く、手づくりしていた。いまではスーパーマーケットなどで1年を通して販売されていることから、ハレの日以外にも食べられる。子どもにも人気の郷土菓子である。 + +## 飲食方法 +上新粉と砂糖を混ぜ合わせた生地のかたちを整え、蒸してつくる。白色の生地は白砂糖、黒色の生地は黒砂糖を混ぜ合わせてつくる。よもぎを入れて緑色の生地をつくる場合もある。一般的な「べこ餅」は木型を使い木の葉形につくられるが、木型を使わずに木の葉形をつくったり、花形に整えたりと、家庭や店舗によってさまざま。多くつくりすぎたときは、冷凍庫で保存すれば日持ちする。もっちりとした柔らかい食感とほどよい甘さが美味しく、子どもだけでなく、大人からも懐かしい味として親しまれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- [白色の生地]白玉粉: 70g +- [白色の生地]上新粉: 30g +- [白色の生地]熱湯: 大さじ4 +- [白色の生地]上白糖: 50g +- [白色の生地]塩: 少々 +- [茶色の生地]白玉粉: 70g +- [茶色の生地]上新粉: 30g +- [茶色の生地]熱湯: 大さじ4 +- [茶色の生地]黒砂糖: 50g +- [茶色の生地]塩: 少々 + +## 作り方 +1. 上新粉と白玉粉は合わせておく。 +2. 白色の生地をつくる。上白糖に塩と熱湯を入れて溶かし、合わせておいた粉半分を加えて練る。かたい場合は手で濡らす程度の水を加えてきめ細かくなるように調節する。茶色の生地は黒砂糖を熱湯で溶かし、塩も加えて、合わせておいた残りの粉に練り込み、2色の生地を合わせて1本の棒状にし、8等分にして木の葉形にかたちをつくる。(葉脈はナイフの背でつくる) +3. 蒸し器にキッチンペーパーを敷き、2を並べて蓋をして20分ほど蒸す。取り出してから、うちわであおいでツヤを出す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「私たちが食べ伝えたい北海道郷土料理」(星澤 幸子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_10_1.jpg)" +"# 飯寿司 北海道 + +**郷土料理名**: 飯寿司 + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +道内全域 + +## 主な使用食材 +ニシン、ホッケ、サケ、米、キャベツ、人参、大根、しょうが + +## 歴史・由来・関連行事 +「飯寿司」は、魚と野菜を米麹に漬けて、乳酸発酵させたすし。低温発酵によってつくられる「飯寿司」は、主に北海道から東北地方の気温が低い、沿岸部の地域に伝わる郷土料理。初雪が降るころに、漁師の家でつくられていたものが発祥とされ、地域によってつくり方が微妙に異なるのも特徴の一つ。「飯寿司」にはホッケやサケ、ハタハタ、ニシン、サンマなど北海道でとれるさまざまな魚が用いられる。特にホッケは価格も手ごろで、ほぼ1年を通して安定してとれるためため、北海道民に馴染まれている。北海道沿岸では、餌を食べに集まる春ごろと、産卵のために集まる秋ごろに多くのホッケが漁獲される。 + +## 食習の機会や時季 +低温発酵でつくられる「飯寿司」は、晩秋から寒さが残る初冬ごろにかけて漬け込まれ、冬の伝統的な保存食として地域に根づいている。かつてはどの家庭でも漬け込んでおり、晩秋に漬けた「飯寿司」を正月ごろに食べることが多かった。また、家族や親戚の集まるハレの日のに供される機会も多い。 + +## 飲食方法 +かために炊いて冷ました米と、新鮮な魚、野菜類、麹を混ぜて樽に入れ、重石をのせて漬け込み、発酵させる。捌いて塩漬けにした生魚を水で塩抜きをするが、この塩抜きの加減が味を決めるといって良いほどに大事な作業とされる。塩を抜きすぎると、味も無く保存も効かないが、足りすぎてもできあがりが塩辛くなりすぎてしまう。ほかの「なれずし」に比べると低温で漬ける期間が短いため、匂いはおだやかである。米の甘みと乳酸の酸っぱさのバランスが良く、食事としても、酒の肴としても好まれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1樽分) +- ハタハタ(小): 0.6kg +- 大根: 0.25kg +- 人参: 25g +- しょうが: 10g +- 麹: 5g +- ごはん: 20g +- 塩: 10g +- 砂糖: 少々 +- 酒: 20cc +- 酢: 120cc +- 笹の葉: 適量 + +## 作り方 +1. ハタハタは頭をとり、水を何度も取り替えてきれいに洗う。5~6倍に薄めた酢で1日漬け、ざるに上げて水気をとる。 +2. 大根、人参、しょうがを千切りにする。 +3. 樽をきれいに洗い、酒を内側に振っておく。 +4. 樽の内側に笹の葉を敷き詰めて、大根、人参を入れ、塩、砂糖を振り入れ、ハタハタを並べ入れ、しょうが、麹、ごはんを入れる。隙間がないように繰り返す。 +5. 4に重石をし、冷暗所で寝かし、漬かったころに水を切る。※この量の倍で、40日くらい漬けておく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 北海道文教大学 山際 睦子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_7_1.jpg)" +"# 松前漬 北海道 + +**郷土料理名**: 松前漬 + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +道南地域、松前町周辺 + +## 主な使用食材 +数の子、スルメ、昆布、人参 + +## 歴史・由来・関連行事 +「松前漬」は、乾燥させたスルメイカと昆布を細切りにし、醤油、酒、みりん、砂糖などで漬け込んだ保存食で北海道の郷土料理。かつては、塩で漬け込んでいたが、味覚の好みの変化もあって、現在は醤油をベースにした味付けが多くつくられるようになっている。「松前漬」はその名の通り、松前藩が発祥といわれ、地元でとれた食材を使ってつくられていた。その後、漁師のお母さんたちが、冬の料理としてつくり、広まったとされている。ニシン漁が栄えた江戸時代後期から明治時代、大量にとれたニシンの卵の数の子を使い、スルメイカと昆布を合わせてつくられていた。しかし、現在は数の子の価格も上がり、昔に比べ使う数の子の分量は減ってきた。一方、昭���になりニシン漁が衰退していくなか、松前町では、スルメイカ漁が本格的におこなわれるようになった。現在では、隣接する福島町と合わせ全国有数のスルメイカの生産地となっている。そのため、「松前漬」ではスルメイカと昆布が多く使われるようになってきた。 + +## 食習の機会や時季 +「松前漬」は冬の保存食として親しまれてきた。いまでも冬の定番料理として定着している。正月料理として出されることも多い。 + +## 飲食方法 +スルメイカ、昆布、人参を細切りにして砂糖、酒、醤油を混ぜて、重石で漬け込む。大根やかぶ、唐辛子や柚子の皮などを加えるつくり方もある。ごはんのおかずとしても相性が良いが、酒の肴としても好まれている。味付けは店舗によってさままざま。塩味のものや山菜が入ったものなど、工夫がされており、味の違いを楽しむこともできる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- スルメイカ: 1枚 +- 昆布: 60cm +- 数の子: 2~3本 +- 柚子: 少々 +- 醤油: 1カップ +- みりん: 大さじ3~5 +- 酒: 大さじ3~5 +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. スルメイカ、昆布は千切り、数の子は塩出しをして薄皮をむいて細かくほぐす。 +2. 容器に醤油、みりん、酒、塩を少々入れて、1を1週間くらい漬け込む。 +3. 器に松前漬を盛り、柚子のみじん切りをそえる。 +4. 好みにより大根またはかぶの千切りを加えても良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「北海道の味」(南部 あき子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_6_1.jpg)" +"# てっぽう汁 北海道 + +**郷土料理名**: てっぽう汁 + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +道東地域(主に根室地方) + +## 主な使用食材 +カニ、長ねぎ、豆腐、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +北海道の特に道東地域では、カニを入れた味噌汁のことを「てっぽう汁」と呼ぶ。「てっぽう汁」は、古くから根室地方の漁師料理として食べられてきた。その名の由来は、箸でカニの足をつついて食べる様子が鉄砲に弾を詰める仕草に似ていることから「てっぽう汁」と名付けられたといわれている。「てっぽう汁」で使われる食材で特に有名なのが、根室地方で水揚げされる花咲ガニである(花咲ガニはカニという名が付いているが、正確にはヤドカリの仲間に分類される。タラバガニの近縁種)。昨今では、花咲ガニの漁獲量は減少し、収穫時期も6月から9月と3ヶ月しかないため、貴重な食材となっている。生の花咲ガニは色の濃い茶褐色であるが、ゆで上げると花が咲いたような朱色に変わることから、花咲ガニと名付けられたという説もある。甲羅全体にあるトゲも特徴の一つである。 + +## 食習の機会や時季 +道東地域では、花咲ガニのとれる夏から秋にかけて「てっぽう汁」は食べられてきた。現在は冷凍したカニや、ほかの地域では冬にとれるカニを使用して「てっぽう汁」をつくることもあるため、年間を通じて食べられている。 + +## 飲食方法 +「てっぽう汁」に使う食材は花咲ガ二がよく知られているが、毛ガニ、タラバガニ、ズワイガニなどの北海道でとれるほかのカニを使うこともよくある。つくり方は、カニと好みの野菜を昆布出汁で煮こみ、味噌で味付けして、最後に豆腐と長ねぎを入れるだけのシンプルな料理。カニから出てくる出汁によって旨味のある美味しい「てっぽう汁」ができあがる。調理が手軽な上に美味しく食べられるため、家庭料理としても人気がある。使う野菜は家庭によって長ねぎや大根などが用いられることがあるが、野菜を入れずにカニ本来の出汁と旨味を味わうこともある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 花咲ガニの脚(または毛ガニ): 4本 +- 水: 4カップ +- 昆布: 10cm +- 長ねぎ: 1本 +- 酒: 大さじ1 +- 味噌: 大さじ4 + +## 作り方 +1. 鍋に分量の水と短冊に切った昆布を入れてしばらくおく。 +2. カニの足に食べやすいように包丁を入れる。長ねぎの白い部分は斜めに薄切り、青い部分は小口切りにする。 +3. 鍋にカニと長ねぎの白い部分を入れ、沸騰したらすぐに酒を入れて、さらに味噌を溶き入れる。器に盛って長ねぎの青い部分をあしらう。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「私たちが食べ伝えたい北海道郷土料理」(星澤 幸子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_4_1.jpg)" +"# 三平汁 北海道 + +**郷土料理名**: 三平汁 + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +道内全域 + +## 主な使用食材 +サケ、タラ、ニシン、じゃがいも、大根 + +## 歴史・由来・関連行事 +「三平汁」は、塩漬けにしたサケやニシンなどの魚と人参や大根などの野菜を一緒に煮込んだ郷土料理。「三平汁」という名前の由来は、諸説ある。松前藩の藩主が狩りに出た際に、斉藤三平という漁師の家であり合わせのもので煮こんだ汁を食べて、大変気に入ったため「三平汁」という名がついた説や、有田焼の三平皿という深皿に盛ることが由来とされる説など、存在する。200年以上も前から食べられていたといわれ、江戸時代後期の見聞録「東遊記(とうゆうき)」の中に「三平汁」の記録が残っている。「三平汁」は、塩漬けにして保存された生魚を魚を野菜とともに煮こみ、その魚の塩分だけで味を付ける。同じサケを食材とする「石狩鍋」と一緒にされることがあるが、味噌仕立てで生サケを使う「石狩鍋」とは異なり、「三平汁」は主に塩漬けされたサケを使うことが特徴。使う魚や味付けは地域によってさまざま。道央地域や道東地域では塩ザケを使うが、道北地域では塩ダラも使用されることもある。檜山地方では、主に塩で味付けしたスケソウダラを使う「塩三平」と味噌で味付けした塩ザケを使う「味噌三平」がある。 + +## 食習の機会や時季 +寒い冬の時期に食べられることが多く、身体を芯から温めてくれる。家庭で食されることが多く、北海道の冬の定番料理となっている。 + +## 飲食方法 +昆布で出汁をとった後に、魚の塩引きや糠漬けを野菜と一緒に煮る。使う魚は、サケ、タラ、ニシンなど、野菜は人参や大根、長ねぎ、じゃがいもなどがよく使われる。魚の頭や骨なども一緒に煮込むことで、より一層旨味が増す。家庭によって入れる具材はさまざま。味付けも味噌、醤油、酒粕などさまざまある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- サケのあら: 適量(半尾分) +- じゃがいも: 160g +- 大根: 80g +- 人参: 30g +- さやいんげん: 30g +- 長ねぎ: 30g +- ごぼう: 30g +- こんにゃく: 60g +- 昆布だし汁: 3カップ +- みりん: 小さじ1 +- 塩: 少々 +- 七味唐辛子: 少々 +- 酒: 小さじ1 + +## 作り方 +1. サケは塩だしをして、3cmくらいのぶつ切りにする。 +2. じゃがいもは乱切り、大根と人参はいちょう切り、ごぼうはささがきにし、こんにゃくは一口大にちぎっておく。 +3. 鍋に昆布だし汁と野菜、こんにゃくを入れて柔らかく煮、サケを加え、少々煮てからみりん、塩で調味し、おろしぎわに2cmくらいに切ったねぎを加える。 +4. 三平皿に盛り、七味唐辛子をそえる。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_3_1.jpg)" +"# ジンギスカン/成吉思汗 北海道 + +**郷土料理名**: ジンギスカン/成吉思汗 + +**都道府県**: 北海道 + +## 主な伝承地域 +道内全域 + +## 主な使用食材 +羊肉、たまねぎ、もやし、ピーマン、とうもろこし + +## 歴史・由来・関連行事 +大正時代、第一次世界大戦の勃発により、羊毛の輸入が困難になると、国策として、綿羊飼育が奨励された。当時、北海道でも綿羊飼育が盛んとなり、このころから羊肉が食べられるようになったといわれている。第二次世界大戦後、衣料資源の不足によって、日本全国各地で羊毛需要がさらに高まるが、次第に輸入羊毛や化学繊維が国産羊毛に普及すると、北海道内では綿洋飼育から羊肉用の飼育へと変わっていった。「ジンギスカン」は当時の羊肉消費拡大のために根づいた料理といわれている。「ジンギスカン」の発祥は諸説あるが、昭和のはじめごろ、羊肉を食べる習慣のなかった日本人向けに中国料理の「コウヤンロウ/カオヤンロウ(羊の焼肉)」を参考に考案されたなど、いわれている。いまでは全国的にも有名となり、平成19年(2007年)には「石狩鍋」、「鮭のチャンチャン焼き」とともに、「農山漁村の郷土料理百選(農林水産省主催)」に選ばれている。 + +## 食習の機会や時季 +戦後しばらくして、一般家庭まで広がったとされ、現在では、1年を通して各家庭の食卓にも並ぶことが多い。春には花見、���にはバーベキューなど、家族や友人などで集まる際、屋外でジンギスカンパーティーをすることもある。 + +## 飲食方法 +羊肉には独特の臭みがあるため、食べ方は生のまま羊肉を焼いてタレにつけて食べる「ジンギスカン」と、あらかじめ醤油ベースなどの特製タレに付け込まれた羊肉を焼く、味付きの「ジンギスカン」の2種類がある。北海道の家庭では、「ジンギスカン用の鍋」を持っていることが多い。ジンギスカン鍋は中央が盛り上がり、焼く部分に溝がある。その形状から、羊肉の肉汁がまわりの野菜に流れ落ちることで味が染み込み、美味しくいただける。一緒に焼く野菜は家庭によってさまざまである。羊肉は、生後1年未満の子羊の「ラム」と生後2年以上の「マトン」のどちらも食される。「ラム」は、臭みが少ないのが特徴であり、「マトン」は多少クセはあるが、脂が乗っていてしっかりとした味が特徴である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 羊肉: 400~600g +- たまねぎ: 2個 +- なす: 2個 +- かぼちゃ: 150g +- じゃがいも: 2個 +- ピーマン: 2個 +- とうもろこし: 1本 +- もやし: 200g +- 【タレ】 酒: 大さじ2 +- 【タレ】 醤油: 大さじ3 +- 【タレ】 酢: 大さじ2 +- 【タレ】 塩: 少々 +- 【タレ】 砂糖: 小さじ1 +- 【タレ】 にんにく: 1片 +- 【タレ】 根しょうが: 20g +- 【タレ】 七味唐辛子: 少々 +- 【タレ】 りんご: 1/2個 +- 【タレ】 梨: 1/2個 +- 【タレ】 白ごま: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 羊肉は薄切りを用意し、8~10cmに切る。 +2. たまねぎは半月切り、なすは斜め切り、かぼちゃ、ピーマンはくし型に切り、じゃがいもは薄切り、とうもろこしはゆでて4等分に切り、もやしはひげと黒い皮をとっておく。 +3. タレは酒と醤油、酢、塩、砂糖をよく混ぜ合わせて、にんにく、根しょうが、りんご、梨などをすり下ろして加え、切り白ごまを入れてよく混ぜ合わせる。 +4. 鍋を火にかけ、羊肉の脂をよくまわし、羊肉と野菜を焼きながら、3のタレをつけていただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「北海道の味」(南部 あき子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_1_1.jpg)" +"# けいらん 青森県 + +**郷土料理名**: けいらん + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +下北地方 + +## 主な使用食材 +もち米粉、こしあん + +## 歴史・由来・関連行事 +秋が深まり稲刈りが終わり、農作業が一段落する11月には「秋仕舞い」の風習がある。隣近所や親戚らを招いて、米づくりが無事に終わったことを祝い、一年の農作業を労ってごちそうを振る舞う。「けいらん」は、秋仕舞いのごちそうの中でも人気のある料理である。椀の蓋を開けると白い卵形の団子が二つ浮かんでいる薄味のすまし汁で、団子が鶏の卵のように見えることから「けいらん」の名がついた。秋仕舞いの夜の酒盛りの際には一回り大きくつくった「けいらん」を茶碗一杯に盛り、にぎやかに食べるならわしもある。元は京都の料理で上方文化の伝承とともに旧南部藩に伝来したといわれ、現在では青森県下北地方、岩手県、秋田県の一部に伝わり、地域によってつくり方や味が異なる。 + +## 食習の機会や時季 +もともとは秋仕舞いのごちそうとして振る舞われていたが、最近では冠婚葬祭に欠かせない料理として親しまれている。通常は白い団子だが、慶事には紅白に色付けしたもの、弔事にはうずらの卵ほどの小振りで青や緑に色付けしたものが振る舞われる。あんこの甘さと醤油味のだし汁の旨味が調和した上品で優雅な味わいが万人に喜ばれる。 + +## 飲食方法 +もち米粉を熱湯で湿らせてから水を加え、耳たぶくらいの硬さにこねるが、この湯加減で良し悪しが決まるといわれる。こねた餅であんこをくるみ、卵型に丸めてたっぷりの湯でかたちを壊さないようにゆでる。ゆでずに蒸す場合もある。熱いうちに手で水をかけ、かたちをととのえながら卵のような艶を出す。椀に2個ずつ盛り、しいたけや昆布で出汁をとった汁を注いで三つ葉などを飾り食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20人分) +- もち米粉: 195g +- ぬるま湯: 150ml +- こしあん: 160g (小豆:砂糖=1:1、塩少々) +- 三つ葉: 適量 +- だし汁: 適量(干ししいたけ、だし昆布、醤油) + +## 作り方 +1. もち米粉にぬるま湯を少しずつ入れて、耳たぶより少し固めにこね、40gずつに分ける。 +2. こしあんを20gずつに分け、1の生地で包み、鶏卵のかたちにととのえる。 +3. しいたけ、昆布でだし汁をとり、しいたけはとりだして千切りにする。 +4. だし汁に醤油と千切りのしいたけを入れる。 +5. 三つ葉はゆでて、軽く茎を結んでおく。 +6. あんこを包んだ餅はゆでて、表面が透き通ってきたらとりだし、熱いうちに冷たい水を手でまわしかけ、形をととのえながら餅の表面に艶を出す。 +7. お椀に餅2個とだし汁、三つ葉、しいたけを入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「食の文化伝承ガイドブック」(青森県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_1_1.jpg)" +"# けの汁 青森県 + +**郷土料理名**: けの汁 + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +津軽地方 + +## 主な使用食材 +大根、人参、ごぼう、わらび、ふき、油揚げ、凍み豆腐、大豆、昆布、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +津軽地方の代表的な郷土料理。由来については津軽の方言で「粥(かゆ)」を「け」と呼ぶことから「かゆの汁」とされるなど、諸説ある。 米が貴重だった時代に刻んだ具材を米に見立てて食べたという。約400年前の津軽藩祖・為信の時代から受け継がれたとの説もある。もともとは小正月の料理で、正月に家族の世話や来客対応に追われた嫁が小正月に里帰りする際、男衆のためにつくりおきしたもの。栄養豊富な保存食として、凍りついた汁を崩し温めなおして何日も食べたという。 + +## 食習の機会や時季 +小正月に一年の無病息災を願っていただく精進料理で「津軽の七草がゆ」とも呼ばれる。家庭の女性が小正月にくつろぐためにつくりおきする保存食でもある。旧暦の正月16日の朝、仏前に供えて拝んだ後、家族そろって食べる。大鍋に大量につくり、4日も5日も温めなおして食べる習慣がある。家庭ごとに食材やつくり方が異なる「おふくろの味」で、地元では女性が集まれば「けの汁談義」がはじまるほどである。 + +## 飲食方法 +大量の根菜や山菜、きのこを細かいさいの目に刻むところから、調理がはじまる。昔は木桶や馬の飼料桶などに山盛りに刻んだ。大鍋にイワシの焼き干しと焼き昆布を入れ、材料と水を加えて煮上げる。大豆をすりつぶした「ずんだ」が入るのも特徴的だ。保存がきいて温めなおすほど具材のエキスがしみこんで味わい深くなるので、大鍋から小鍋に分けて温め数日かけて食べるのがならわしである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 大根: 2kg(2本) +- 人参: 600g(見た目で大根の1/3量になるくらい) +- ごぼう: 350g(見た目で大根の1/4量になるくらい) +- わらび: 500g(見た目で大根の1/3量になるくらい) +- ふき: 600g(見た目で大根の1/3量になるくらい) +- 油揚げ: 150g(見た目で大根の1/3量になるくらい) +- 凍み豆腐: 800g(見た目で大根の1/3量になるくらい) +- 大豆(水煮または蒸し): 600g(見た目で大根の1/3量になるくらい) +- 昆布(だし用): 2本 +- 昆布(具用): 1本 +- 赤味噌: 400g + +## 作り方 +1. 鉄鍋にだし用の昆布と水を入れて一晩おき、だしをとる。水の量は全材料がひたひたにかくれるくらいの量とする。 +2. わらびを水から煮てそのまま冷ます。ふきは水にさらし、塩抜きしておく。 +3. 具用の昆布は火にあぶって焼き、手で砕く。凍み豆腐は、常温で解凍しておく。 +4. 大豆はすり鉢で、細かくすりつぶし、ずんだをつくる。 +5. ごぼうはささがきにして、わらびは、2cm程度の長さに切る。大根、人参、凍み豆腐、ふきはさいの目に、油揚げは細かく切る。 +6. だし昆布をとりだし、だし汁の入った鉄鍋に大根、人参、ごぼうを入れて、火にかけ、じっくりと水から煮る。火が通ったら、ふき、凍み豆腐を入れ、へらで混ぜる。 +7. 煮立ったら4のずんだを入れてひと混ぜし、さらに煮こむ。味噌を溶き入れ、わらびと油揚げと具用の昆布を入れて煮込む。 +8. ※混ぜるときは具の煮崩れを防ぐためにへらで混ぜる。※温めなおして何回かに分けて食べるため、多くつくる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「食の文化伝承ガイドブック」(青森県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_39_1.jpg)" +"# ���んべい汁 青森県 + +**郷土料理名**: せんべい汁 + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +八戸市 + +## 主な使用食材 +せんべい、ねぎ、鶏肉、糸こんにゃく、板麩、ごぼう、凍み豆腐、人参、きのこ + +## 歴史・由来・関連行事 +南部せんべいは旧南部藩の領地だった青森県南東部から岩手県北部にかけての伝統食品で、小麦粉に塩と水を混ぜ鉄製の型で丸く焼いたもの。戦前、農家の多くは鉄製の型を持っており、せんべいは冷害が多く米がよく取れなかった地域の貴重な保存食だった。これを味噌汁や鍋に入れて煮たものが「せんべい汁」だ。起源は諸説あるが、戦前に川で捕れたウグイを使ったあら汁にせんべいを入れて煮たのがきっかけという。この料理は地元で受け継がれたが「せんべい汁」という呼び名が定着したのは平成になってから。家庭でだけ食べる地味な料理と思われていたものを観光客向けの名物にしようと、八戸市の観光団体がPRに乗り出したのだ。現在では全国にその名を知られる地域おこしの立役者となった。 + +## 食習の機会や時季 +古くは各家庭でせんべいを焼いていたが、戦時中に軍需物資として鉄鍋を供出したことから農家はせんべいをつくらなくなった。戦後、製造業者が汁を吸っても煮崩れせずモチモチした食感のせんべいを開発し、汁用として販売をはじめた。現在では家庭の味噌汁や鍋物で寒い時期に食べるほか、飲食店やイベントで観光客向けにもメジャーな料理として親しまれている。 + +## 飲食方法 +鶏だし醤油味の鍋に野菜、糸こんにゃくなどを入れ、せんべいを割り入れて煮込んで食べるのがもっとも一般的。お好みでしめじなどのきのこを入れても美味しい。その他、港町らしくタラや焼きサバの塩味仕立て(家庭では手軽にサバ水煮缶を使うことも)、名物である馬肉を使った味噌味の桜鍋など、バリエーションは豊富である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- せんべい: 8枚 +- ねぎ: 1と1/2本 +- 鶏むね肉: 200g +- 鶏もも肉: 200g +- 糸こんにゃく: 160g +- 板麩: 10g +- ごぼう: 1/2本 +- 凍み豆腐: 1枚 +- 人参: 中1/2本 +- 【調味料A】醤油: 80ml +- 【調味料A】酒: 40ml +- 【調味料A】白味噌: 20g +- 【調味料A】塩: 少々 + +## 作り方 +1. 肉を表面の色が変わるまで焼く。 +2. お湯2Lに1とごぼうを入れ、弱火で煮る。 +3. 2に糸こんにゃくを入れたら強火にして表面のアクをとる。(このとき、油を取らないようにする。) +4. 3に凍み豆腐と人参を入れてさらに煮る。 +5. 板麩を加え、材料にすべて火が通ったら、調味料Aを入れ味をととのえる。 +6. 最後にねぎを放ちせんべいを食べる分だけ入れる。 +7. ※あらかじめ、鶏肉は一口大のぶつ切りにしておく、ごぼう、人参はささがき、糸こんにゃくは3~4cmの長さに切っておく、ねぎはななめ切り、凍み豆腐はもどして短冊切り、板麩はもどして一口大に切っておく。※しめじなどのきのこ類をお好みで加える。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「食の文化伝承ガイドブック」(青森県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_3_1.jpg)" +"# 貝焼き味噌 青森県 + +**郷土料理名**: 貝焼き味噌 + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +下北地方、津軽地方 + +## 主な使用食材 +卵、カツオ節、焼き干し、板麩、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +古くからホタテ産地として知られた津軽湾周辺では、江戸時代からすでに「貝焼き味噌」を食べていたといわれる。網で海底をさらうと5から10年物の天然ホタテが獲れた時代で、直径20cmほどもある大きな貝殻を鍋代わりにして、イワシやサバの切り身と自家製の味噌をのせて焼いた素朴な漁師料理だった。後に庶民が卵を入手できるようになり、溶き卵を流しこんで一緒に全体をとじたが、当時は栄養をつけるために病人や妊産婦だけが口にできる特別な味だったという。津軽出身の太宰治は著書「津軽」の中で「貝焼き味噌」への憧れを綴っている。 + +## 食習の機会や時季 +養殖ホタテが主流となった現在では、漁民の生活が安定した半面、「貝焼き味噌」に適した大ぶりの貝殻が手に入りづらくなった。そのため漁師の家では大きな天然ホタテの殻を大事にしまっておき、貝焼き味噌専用にすることもある。地元では「かやぎみそ」と呼ばれることもある。 + +## 飲食方法 +ホタテの貝殻を鍋のように使い、出汁に味噌を溶き入れ、煮立ったところで具材を入れ、最後に卵でとじて食べる。津軽地方ではシンプルに卵と味噌で食べる。海の幸が豊富な下北地方では、「味噌貝焼き」と呼ばれふのりや海苔などの海藻、ウニ、イカ、ホタテなどがたっぷり入って提供されることが多い。火であぶられた熱々の貝からは芳醇な磯の香りが立ち、そのうえでぐつぐつと煮立つ卵、少し焦げて香ばしい味噌の風味が相まって、最高のごちそうである。地酒との相性もいいが、家庭では熱々のごはんの上にのせて食べることも多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 卵: 1個 +- カツオ節: 5g(削り節2g) +- 焼き干し: 2本 +- 板麩: 1/8枚 +- 手づくり赤味噌: 15g +- ねぎ: 少々 + +## 作り方 +1. 板麩は水に入れてもどし、7~8mm細さに切り、ねぎは小口切りに切る。カツオ節は削っておく。卵はよくときほぐしておく。 +2. 貝に水を100ml入れ、焼き干しを入れて、くどこ(七輪)の上にのせて出汁をとる。 +3. 出汁の香りがしてきたら、焼き干しを取り出し、カツオ節を入れる。 +4. カツオ節が沈んだら、味噌を入れて溶かす。味噌の量は好みで加減する。 +5. 板麩を入れて沸騰したら溶き卵を入れ、卵が固まったらねぎを加え火からおろす。 +6. ※昭和40年(1965年)当時は、各家庭で削ったカツオ節を5g程度入れていたようであるが、現在は市販の削り節が定着しており、2~3g程度入れている。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「食の文化伝承ガイドブック」(青森県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_4_1.jpg)" +"# 鱈のじゃっぱ汁 青森県 + +**郷土料理名**: 鱈のじゃっぱ汁 + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +津軽地方 + +## 主な使用食材 +タラ、大根、人参、ねぎ、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +「じゃっぱ」は津軽の方言で雑把(ざっぱ)、つまり「捨てるもの」という意味。普通は食べずに捨てる魚の頭や骨、皮、内臓などいわゆる「アラ」をさし、これらを丸ごと使ってつくる汁を「じゃっぱ汁」と呼ぶ。津軽地方の正月にタラは欠かせない「年取り魚」で、地元では「鱈正月」という言葉すらある。昔は大きなタラを丸ごと一尾買い、雪道を引きずって帰るのが年の瀬の風物詩であった。魚をおろして身を取った後の「アラ」を、大根や人参、ねぎなどとともに煮こんだ汁で冷え切った体を温めたのだ。豪快で手間がかからず、栄養満点でとびきり美味しい真冬の家庭料理だった。 + +## 食習の機会や時季 +正月料理の一つ。厳しい冬の時期に獲れるタラは「寒ダラ」と呼ばれ、もっとも脂がのっている。大漁のときは、浜で待つ女たちがお祝いに「じゃっぱ汁」をつくるのが昔ながらの光景だった。浜でタラをさばき、自家製の味噌を使って納屋で料理する。体の芯から温まる汁は、真冬の極寒の漁から戻る男たちにとって最高のごちそうだった。現在も冬の浜料理として定着し、家庭でも食べられている。 + +## 飲食方法 +タラの頭を縦二つに割り、中骨も食べやすい大きさに切り、内臓はよく洗う。できるだけ大きな鍋にたくさんつくるのが美味しさのコツだ。大根とねぎは必ず入るが、その他の野菜や豆腐などの具材は家庭によって異なる。煮えたら最後に肝を溶かし入れることで、濃厚なうま味がコクとしてプラスされる。新鮮な白子が入れば最高に美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 出汁昆布: 1本 +- タラのじゃっぱ: 1~1.5kg +- 大根: 1本 +- 人参: 1本 +- 味噌: 適量 +- 酒: 1/2カップ(100ml) +- ねぎ: 2本 +- 水: 約2L + +## 作り方 +1. 鍋に水を約2L入れ、出汁昆布を浸して1晩浸けておく。 +2. 鍋を火にかけ、沸騰したら出汁昆布を取り除き、大根を1cm厚さのいちょう切りにして鍋に入れて煮る。 +3. 大根が煮えたら味噌を入れる。 +4. 薄塩の水でじゃっぱをさっと洗ってざるに上げ、水切りをする。 +5. じゃっぱを入れて煮る。アクが浮いてきたら取り除きながら20分位煮る。 +6. 酒を入れて味をととのえ、ねぎをななめ切りにして入れる。 +7. ねぎに火が通ったら火を止める。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「食の文化伝承ガイドブック」(青森県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_5_1.jpg)" +"# べこもち 青森県 + +**郷土料理名**: べこもち + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +下北地方 + +## 主な使用食材 +もち米粉、うるち米粉、砂糖、インスタントコーヒー、茶、食紅 + +## 歴史・由来・関連行事 +端午の節句のハレ食として受け継がれ、現在はおやつとしても食べられている。べこもちの原型は、うるち米粉ともち米粉に水と砂糖を加えて蒸した「くじらもち」という菓子で、もともとは江戸時代に北前船によって伝わったとされる。北海道と青森県では端午の節句に柏餅ではなくくじらもちを食べていた。稲作が発達しなかった下北地方で米は貴重品で、餅はハレ食だった。1960年代ごろから、大間町を中心に花模様入りのくじらもちが発展し、やがて美しい色彩と柄の「べこもち」として生まれ変わった。名前の由来は「つくる過程で牛の背中のようにまとめる」「黒砂糖と白砂糖の組み合わせが牛のまだら模様に似ている」など諸説ある。最近では色の数が増え、柄も動物やアニメキャラクターなど複雑なものに進化している。 + +## 食習の機会や時季 +6月5日の月遅れの端午の節句になると、笹でくるんだべこもちを神棚に供え、その後子どもたちに振る舞われる。原型のくじらもちは「くじらのように大物になるように」と願いが込められていたという。昔は、草を束ねた「たばね模様」や渦巻模様などシンプルな柄だったものが、現在は自然の食品の色を使って花や動物など芸術性を高めた模様がつくられている。 + +## 飲食方法 +もち米粉とうるち米粉に砂糖を加えてこねた生地を小分けしてそれぞれ着色し、棒状や板状に整えて組み合わせ、かまぼこのような形に整え、蒸してつくる。金太郎飴のように、どこで切っても断面に美しい模様が現れる。食べる時はスライスして蒸すのが一般的だが、焼いても美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (30人分) +- もち米粉: 750g +- うるち米粉: 750g +- 砂糖: 500g +- 塩: 大さじ1/2 +- 熱湯: 1.5カップ +- ぬるま湯: 1~1.5カップ +- 茶(インスタントコーヒー): 適宜 + +## 作り方 +1. もち米粉、うるちもち米粉、白砂糖、塩を混ぜ合わせ、熱湯を回しかけしながら全体に湿り気を与える。 +2. 1にぬるま湯を少しずつ加え、粉をまとめながら、耳たぶ位の固さになるまでこねていく。こねたもちの1/3強はインスタントコーヒーで着色し、5等分して丸める。 +3. 2の残りの白の生地は6等分する。うち5つで2の茶の玉を包み込んで丸め、上下から押して少し平らにする。同じものを5個つくり、5段に重ねて真ん中を上から押す。 +4. 3の1つで2の玉1つを包み込んで丸め、上下から押して少し平らにする。同じものを5個つくり、5段に重ねて真ん中を上から押す。 +5. 4の中心部を2か所切り、全ての切り口を押してすぼめる。 +6. 3の残りの生地でかまぼこ形の台を2個つくり、そのうちの1個に5の生地の中央部を真ん中にして並べる。この時、5の真ん中の細長い生地は切り口を上に向けておく。最後に残りのかまぼこ形の台をかぶせて「たばね」の模様にする。 +7. 6をかまぼこ型に整えながら30cm位までのばす。 +8. 7を1cm幅に切り、蒸し器で約10~15分蒸す。つくりたては、蒸しあがっているので柔らかく甘みがあり、そのまま食べられる。冷めて固くなった餅は、オーブントースターなどで焼いて食べると香ばしくて美味しい。また電子レンジで温めたり、もう一度蒸してもよい。蒸しあがって熱いうちに冷凍すると、解凍したとき柔らかくもどり、そのまま食べられる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「食の文化伝承ガイドブック」(青森県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_6_1.jpg)" +"# 豆しとぎ 青森県 + +**郷土料理名**: 豆しとぎ + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +南部地方 + +## 主な使用食材 +青大豆、合わせ粉(うるち米粉:もち粉)、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +煮て潰した青大豆に米粉と砂糖を入れて練った生菓子。「しとぎ」は米をつぶして粉にしてつくったもので、現在の餅の原型とも言われ、全国で神前のお供え物とされていた。南部地方ではしばしば冷害に見舞われ、米が貴重だったため大豆を加えてつくられるよう��なり「豆しとぎ」とよばれるようになった。どの家庭も味噌を仕込むために大豆の作付けは多かった。ハレの日に山の神や農神へお供えして、健康と豊作を祈り、その後蒸したり焼いたりして食べる。 + +## 食習の機会や時季 +青森県では12月に入ると「神様の年取り」の行事が続く。3日に稲荷様、5日にえびす様、7日に天王様、9日に大黒様、12日に山の神様といった具合に連日のように神祭りを行う習慣があった。南部地方では、このときの主にお供え物にするのが「豆しとぎ」で、一日ずつ神を祀りながら一年のご加護に感謝し、新しい年の平安を祈った。 + +## 飲食方法 +煮て潰した青大豆と米の粉を混ぜ、砂糖と塩を一つまみ入れてぬるま湯でこね、かまぼこ状にまとめる。1cmほどの厚さに切り、そのまま食べればほろりとした食感、焼き目がつくくらい焼くと香ばしく甘みが増し、少しもちっとした食感になる。大豆の品種によってできあがりの色合いや甘みが異なる。多くの場合は青大豆を使い、明るい青緑色と米粉の白が混ざり合った上品で爽やかな見た目に仕上げる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (50人分) +- ふやかした青大豆: 6カップ +- 合わせ粉: 1kg(うるち米粉5:もち粉5) +- 砂糖: 2カップ +- 水: 3カップ +- 塩: 40g + +## 作り方 +1. 青大豆は一晩たっぷりの水につけふやかした豆を固めにゆで、冷ましておく。 +2. 1の青大豆、砂糖、水、塩をミキサーにかける。(粒子が残る程度に) +3. 合わせ粉に2の青大豆を入れ、よくこねる。 +4. かまぼこ型、または円柱状にかたちをととのえ、1cm程の厚さに切る。 +5. ※そのまま食べても良いが、焼いて食べると香ばしくて美味しい。ごまを入れると風味が増し、豆の青臭さが苦手な人、若い人にも好まれる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「食の文化伝承ガイドブック」(青森県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_7_1.jpg)" +"# いちご煮 青森県 + +**郷土料理名**: いちご煮 + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +南部地方 + +## 主な使用食材 +生ウニ、アワビ、青じそ、ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +八戸市や階上町などの太平洋沿岸に伝わる郷土料理で、ウニとアワビの吸い物という高級食材ばかりを使った贅沢な料理。その昔、漁師らが潜って捕ったウニやアワビを浜で豪快に煮たのがはじまりという。大正時代に料亭の料理として、お椀に美しく盛り付けて供されるようになった。「いちご煮」の名前は、椀に盛り付けたとき、アワビなどのエキスによって乳白色に濁った汁に浮かぶ黄金色のウニがまるで、朝露にかすむ野いちごのように見えたことから付けられた。風流でしゃれた名前が人気となり、現代では結婚式などの祝い事に欠かせない料理として大切に受け継がれている。 + +## 食習の機会や時季 +「青じその出る頃にウニが美味しくなる」といわれるように、ウニは7月ごろが旬である。見た目に上品で高級感もあり、地元ではハレ食の吸い物として、お盆や正月、祝い事などに必ずつくられる。シンプルなだけに素材の質と鮮度が決め手であり、特に良質なウニが獲れる地元ならではの味。他では食べられないと、わざわざ足を運ぶ人も多い。 + +## 飲食方法 +素材の味を存分に生かすつくり方が正統派。新鮮なウニとアワビを水かカツオ節のだしでさっと煮て、少量の醬油で味をととのえ、青じその千切りをのせるだけのシンプルな料理。舌の上でとろけるウニ、コリッとした食感のアワビ、深みのある潮の香りに青じそのアクセントがたまらない逸品だ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (約5人分) +- 生ウニ: 200g +- アワビ: 大1 +- 青しそ: 5枚 +- ねぎ: 1/2本 +- 塩: 少々 +- 酒: 少々 +- 醤油: 少々 + +## 作り方 +1. アワビは殻からはずし、うろを除いて、薄く切る。 +2. しらがねぎを水にはなしておく。 +3. 青じそは細かくきざんでおく。 +4. 鍋に水を入れ、沸騰したら調味料で味付けし、ウニ、アワビを入れ沸騰したら火を止め、味をととのえる。 +5. お椀に適量入れ、水を切ったしらがねぎと青じそをのせる。 +6. ※煮すぎると身が固くなるので、あまり煮ないようにする。※醤油は香り程度にする。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「食の文化伝承ガイドブック」(青���県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_8_1.jpg)" +"# きんかもち 青森県 + +**郷土料理名**: きんかもち + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +南部地方 + +## 主な使用食材 +小麦粉、くるみ、味噌、黒砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +古来やませによる稲作の冷害に悩まされた南部地方では、小麦、あわ、ひえ、蕎麦などの雑穀文化が発展した。黒砂糖とくるみ、味噌でつくった餡を小麦粉の皮で包み、半月状にととのえてゆでた「きんかもち」は、そのような環境で生まれた変わり種の郷土料理。黒砂糖が大変高価で贅沢品であったことから「金貨餅」と名付けられたと伝わる。100年以上昔から各家庭でつくられ、送り盆に仏壇に供えたり、農神様への年取りに供えたりした。半月型が農作業時にかぶる「ばほり笠(編み笠)」に似ていることから「ばほりもち」、かますという穀物保存用の袋に似ていることから「かますもち」、同じくかたちが似ていることから「みみっこもち」「かい(貝)こもち」などの呼び名もある。 + +## 食習の機会や時季 +盆や年取りのお供えには欠かせない。農作業の合間のおやつとしても親しまれたが、高価な黒砂糖と、殻をむくのに非常に手間のかかるくるみを使うことから、主に特別な日の行事食であったと考えられる。昔は祖母から母へ、娘へと伝わり餡の味も家庭ごとに個性があったが、現在は手づくりする家庭が減少している。 + +## 飲食方法 +そのままかぶりつくように食べるが、中に入った餡が「たれ」のように熱いため、はじめて食べる人は注意が必要。子どもたちが、とろりとはみだした真っ黒の餡を手や服につけてしまうのが、定番の風景だ。くるみの歯ごたえと黒砂糖のコクのある風味、味噌で甘じょっぱく仕上げた餡が食べ飽きない。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (約10個分) +- 【生地】小麦粉: 300g +- 【生地】塩: 小さじ1/3 +- 【生地】熱湯: 約400ml +- 【あん】くるみ: 50g(粗みじん切り) +- 【あん】味噌(自家製): 17g +- 【あん】黒砂糖: 100g + +## 作り方 +1. 小麦粉に塩を入れふるいにかける。 +2. 1に熱湯を入れ耳たぶ位になるまでこねる。 +3. 生地を90g程度に分ける。 +4. 3の生地に小麦粉をまぶすとともに丸くし、真ん中をくぼませ、味噌を薄く塗り、くるみ、黒砂糖を小さじ1杯弱それぞれ入れて生地で包む。包むときは、半月形にする。 +5. 熱湯の中に入れて煮る。浮き上がってから3~5分経過したら湯から取り出し、水の中に入れて軽く洗う。(水の中で洗うことで、生地に照りが出る) + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「食の文化伝承ガイドブック」(青森県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_9_1.jpg)" +"# たらの子和え 青森県 + +**郷土料理名**: たらの子和え + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +津軽地方 + +## 主な使用食材 +タラコ、人参、高野豆腐、ねぎ、糸こんにゃく、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +昔から青森県の正月にタラは欠かせない。昭和20年頃までは、年の瀬に大きなタラのエラに縄を通して雪道を引きずって持ち帰るのが風物詩だった。冬場の貴重な食材として捨てるところのない魚であり、身をとった後の頭や中骨、ヒレ、内臓などは「じゃっぱ汁」にして味わい、子は「子和え」にする他、甘塩にして保存した。「たらの子和え」は、下味をつけて煮た大根や凍み豆腐、人参、糸こんにゃくなどをほぐしたタラの子と煎って和えたもの。塩や醤油、味噌など家庭によって味付けはさまざま。正月や祝い事の席に出す場合は、そのあざやかなオレンジ色が縁起物として重宝される人参が欠かせない。 + +## 食習の機会や時季 +正月料理の一品とされるが、冬の時期に日常的に食べる家庭料理。魚へんに雪と書く字の通り、タラは冬が旬。極寒の時期に産卵期を迎えるため脂がのる上、大きなタラコがとれる。マダラの子はサイズが大きく日持ちもしないため、多くが地元で消費される。 + +## 飲食方法 +人参、大根、凍み豆腐、糸こんにゃくなどバラエティ豊かな具材と和えるが、手軽に人参だけなど1種類の野菜と和えることも多い。いずれも野菜とタラの子の素材の味を生かしたシンプルかつ豊かな風味が持ち味。常備菜として数日間食���ることができ、熱々をごはんの上にのせたり、一晩おいて味がなじんだもので一献傾けたりと、世代を問わず愛される味である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 人参: 3本(約500g) +- タラコ(真ダラ): 300g(もしくは 塩タラコ(スケトウダラ)150g) +- 高野豆腐: 2枚 +- ねぎ: 1/2本 +- 糸こんにゃく: 1袋 +- 酒: 1/2カップ +- サラダ油: 大さじ1 +- タラコの下漬け用塩: 1つかみ + +## 作り方 +1. 【タラコの下漬け 手順】タラコ(真ダラ)は、1つかみの塩をふり2日位おく。(タラコが固く締まる)※タラコ(真ダラ)は入手が難しい場合は、塩タラコ(スケトウダラ)を利用してもよい。 +2. 糸こんにゃくは熱湯にさっととおして、3cm位に切る。 +3. 高野豆腐をもどし、3cmくらいの千切りにする。 +4. ねぎは小口切りにする。 +5. 人参はおろし金(千切り用)にかける。 +6. 鍋にサラダ油をしき、タラコを弱火でよくほぐし、酒を加える。糸こんにゃくと人参を加えて炒め、高野豆腐を入れる。水分がなくなるまで炒める。 +7. 火を止めてねぎを加え、混ぜる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「食の文化伝承ガイドブック」(青森県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_10_1.jpg)" +"# なすの赤しそ巻き 青森県 + +**郷土料理名**: なすの赤しそ巻き + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +津軽地方 + +## 主な使用食材 +なす、しその葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +津軽地方の夏の日常食。夏場に大量に採れるなすとしその葉を組み合わせ、昔から家庭ごとに伝承されてきた。なすを棒状に切って味噌を付けて、しその葉で巻いて焼くごくシンプルな料理。赤しそでつくられることが多いが、青じそ(大葉)でつくる場合もある。普段の食卓に並ぶおかずであり、特に行事食としてつくられるものではない。 + +## 食習の機会や時季 +夏場、なすとしその葉が旬になり出回るようになると、各家庭で日常のおかずとしてつくられる。多めにつくり、出来立てを食べるだけでなく、残ったものを冷蔵庫で一晩保存して、次の日に冷やしたまま食べても、なすにしその葉と味噌だれが良くなじんでおいしくなる。食欲のない夏場に、食欲をそそる貴重な一品である。 + +## 飲食方法 +簡単にできて高価な材料を使わないので、家庭料理として重宝される。味が濃く、ご飯のおかずにも酒のつまみにも合う。特に家庭ごとに味噌だれの味が異なるのが特徴。なすをざくざくと切り、簡単にくるっと巻くとざっくばらんな家庭料理だが、美しく拍子木切りにし、大ぶりのしその葉で丁寧にくるんで調理すれば、おもてなしにも活用できる。赤しそと青しそを交互に並べると一層映える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (16個分) +- なす: 2個 +- しその葉: 16枚 +- 味噌: 大さじ4 +- 砂糖: 大さじ1 +- 酒: 大さじ1 +- 油: 少々 + +## 作り方 +1. なすを縦に8等分にする。 +2. 調味料を混ぜ合わせておく。 +3. なすに2を付けてしその葉1枚に巻く。 +4. フライパンに油をしき、両面を焼く。 +5. ※なすに火が通りにくいときは、少量の水を加え蓋をして蒸し焼きにする。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「食の文化伝承ガイドブック」(青森県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_11_1.jpg)" +"# 煮あえっこ 青森県 + +**郷土料理名**: 煮あえっこ + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +下北地方 + +## 主な使用食材 +大根、人参、わらび、ごぼう、油揚げ、豆腐 + +## 歴史・由来・関連行事 +「煮あえっこ」は下北地方の郷土料理。やませの影響で冷害被害が多く稲作が難しかった下北地方では、食糧確保のためのさまざまな工夫が発達した。野菜は大根、人参、ごぼうなどの根ものがほとんどで、山菜は塩蔵や乾燥で保存食にした。そのような食材を活用し、秋大根の収穫がはじまるとこぞってつくられたのが「煮あえっこ」である。日常的にも食卓にのぼるが、冠婚葬祭など人の集まる機会には必ずたくさんつくって振る舞われた。「にえっこ」と呼ばれることもある。 + +## 食習の機会や時季 +旬の時期に収穫し、塩漬けや乾燥で保存したわらびやぜんまいを使うのが特徴。現代は収穫後ゆでて冷凍しておくことが多い。秋から冬の家庭料理として、冠婚葬��のおもてなしとして、また小正月に精進料理として大量につくりおきし、女性が休みをとる習慣もあった。寒い時期には地元で採れる岩のりを入れることもあり、一段と豪華なごちそうになる。 + +## 飲食方法 +野菜を細長く切って油で炒め、水きりした豆腐を崩しながら加えてさらに炒める。調味料を加え、汁気がなくなるまで煮る。最後にのりや、収穫期には岩のりを加えることもある。塩蔵したわらびを時間をかけて水でもどす、炒める前に大根を下ゆでするなど、素朴ながら手の込んだおもてなし料理である。気温の低い時期のものなので、そのまま保存し数日かけて食べられることも多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分※大きな鍋に大量に煮て、2~3日間食べる量。) +- 大根: 1本 +- 人参: 小1本 +- わらび: 180g +- ごぼう: 1本 +- 油揚げ: 3枚 +- 豆腐: 1丁 +- 醤油: 大さじ4 +- みりん: 大さじ2 +- 塩: ひとつまみ +- 酒: 大さじ2 +- サラダ油: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 材料は全て千切りにする。 +2. 大根はさっとゆでてしぼっておく。(辛み・くさみ取りのため)豆腐は、水を切っておく。 +3. 豆腐を油で炒り、人参、ごぼうを加え炒める。その後わらび、油揚げの順に加え、しんなりするまで炒める。 +4. 全体に煮えたら、大根を加え、醤油、みりん、塩、酒で味付けし、一煮立ちさせるとできあがる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「食の文化伝承ガイドブック」(青森県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_12_1.jpg)" +"# ねりこみ 青森県 + +**郷土料理名**: ねりこみ + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +津軽地方 + +## 主な使用食材 +さつまいも、干ししいたけ、人参、こんにゃく、金時豆、油揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +その昔、弘前禅林三十三カ寺の和尚が托鉢(たくはつ)をして集めた野菜を「くず寄せ」にしてつくりはじめた精進料理がルーツといわれる。色とりどりの野菜が輝くように美しくしつらえられ、目にも美味しい料理である。野菜の煮物に葛を加え、練りこむようにしてつくることからこの名がつけられた。砂糖をたくさん使い、甘く美味しく仕立てるのが特徴で、日常食ではなく正月のお膳につけたり冠婚葬祭の際のおもてなし料理として使われた。おかずとしての側面を持ちながら、現代でいうスイーツのような意味合いを持たせたとも考えられる。 + +## 食習の機会や時季 +弘前地方では昔から慶弔のときには、必ず「ねりこみ」を食べる習わしがある。「こくしょ」「のっぺい」などと似た料理で、季節の野菜類にこんにゃくを入れること、煮汁をたっぶりさせて片栗粉でとろりとさせるのが特徴だ。寒い地方なので冷めにくいようにとろみをつけたといわれる。季節によって旬の野菜を主とし、初夏はえんどう豆、秋は里芋、冬はいんげん豆が中心の「ねりこみ」をつくる。大切なおもてなしの際には、栗やイクラを入れて豪華に仕立てることもある。 + +## 飲食方法 +材料を角がつくかたちに切りだし汁で煮て、砂糖と塩で味をつけ水溶き片栗粉でまとめる。風味づけに少量の醤油を加えることもある。甘みが強いので、口休めとしてお膳に添えられることが多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 干ししいたけ: 15g +- 人参: 100g +- 角こんにゃく: 200g +- さつまいも: 240g +- 金時豆(缶詰): 25g +- だし汁: 適量 +- 油揚げ: 40g +- 片栗粉: 20g +- 【調味料A】砂糖: 50g +- 【調味料A】酒: 40ml +- 【調味料A】みりん: 40ml +- 【調味料A】塩: 4g + +## 作り方 +1. こんにゃくは乱切りにし、下ゆでする。さつまいもは大きめの乱切りにし、水にさらす。人参は小さめの乱切り、油揚げは細切りにする。 +2. 鍋にだし汁を入れ、人参、こんにゃく、さつまいもを煮る。 +3. 2が柔らかくなったら、油揚げを加え、調味料Aで味付けをし、水溶き片栗粉でとろみをつけ、金時豆を加える。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 青森県食生活改善推進員連絡協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_13_1.jpg)" +"# ひっつみ 青森県 + +**郷土料理名**: ひっつみ + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +南部地方 + +## 主な使用食材 +小麦粉、鶏肉、人参、ごぼう、ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +旧南部藩の���地だった青森県南東部から岩手県北中部にかけて伝わる郷土料理。寒冷で古くは米づくりに向かなかったため畑作地帯が広がる南部地方では、雑穀や小麦粉、そば粉を使った料理が古くから伝わった。一説には平安時代から「ひっつみ」がつくられたともいわれている。主食にもおかずにもなる具だくさんの汁物として親しまれ、戦中戦後の食糧難の時だけでなく現代まで手軽に食べられている。 + +## 食習の機会や時季 +南部地方では古くから小麦が生産され、こねた小麦粉をつかんで引っ張り、小さくちぎって鍋に入れるところから「ひっつみ」と呼ばれるようになったといわれている。具や出汁は地域性や季節、家庭ごとに異なりバリエーションに富む。沿岸部ではカニや魚介、山間部では鶏肉を多く使い、季節の野菜をたっぷり入れる。同じ粉を使う料理でも麺のように伸ばして切る必要がなく、こねてつまむだけの手軽さなため、家庭で普及し長く親しまれている。 + +## 飲食方法 +粉を練って寝かせ、生地がのびるのを待つのがコツで、これがシコシコとした独特の食感を生み出す。昔は昼休みにこねて寝かせ、夕食のために準備をしたという。生地をちぎって鍋に入れ浮き上がったところを、具材と汁とともにすくって食べるのがもっとも美味しい。カニを大きく割って鍋に入れて煮込んで出汁をとり「ひっつみ」を入れたものは、沿岸部ならではの特別なごちそうだ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (大丼7~8杯分) +- 小麦粉(強力粉): 500g +- 水: 2カップ弱 +- 鶏肉: 200~250g +- 人参: 中1本 +- ごぼう: 中1本 +- ねぎ: 3本 +- 酒: 少々 +- 醤油: 適量 +- だし汁: 10カップ +- ※その他、しいたけや季節の山菜、野菜、きのこなど入れる。: 適量 + +## 作り方 +1. 小麦粉に2カップ弱の水をまんべんなく入れ、耳たぶより少し柔らかい程度にこねる。 +2. 1にぬれフキンをかけ、1時間~半日位ねかせておく。 +3. 鶏肉は、一口位の大きさに切る。人参、ごぼうはささがきにする。 +4. 鍋にだし汁、鶏肉、人参、ごぼうを入れ、煮立てて出汁をとる。 +5. 2のひっつみを左手に持ち、両方の指で薄くのばしてひきちぎり、煮立った出汁の中に一枚ずつ広げて入れる。 +6. 最後に、醤油、酒で味付けをして、斜め切りのねぎをパッとはなして火を止める。 +7. ※よくこねれば、よくのび、汁がとろまない。こねって(こねて)一晩おくと、さらによくのびる。ひっつみを食べるときは、昼休みにこね、寝かせておいて、夕食時につくるようにすると良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「食の文化伝承ガイドブック」(青森県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_14_1.jpg)" +"# 干し餅 青森県 + +**郷土料理名**: 干し餅 + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +津軽地方 + +## 主な使用食材 +もち米、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +昔から寒くて湿気の少ない気候を生かして極寒期につくられる保存食で、「凍り餅」ともよばれる。津軽地方でつくられるが、中でも五所川原市が盛んで有名。かつては家々の軒先に吊るされたのれんのような凍り餅が真冬の風物詩だった。通常より相取り水を多く加えてついた餅を切り、わらで長く編んで、寒い日に一度水にくぐらせて屋外に吊るして凍らせ、さらに風干しにしてつくる。全体で二ヵ月ほど要し大変手間のかかる作業である。昔は年中行事に組み入れられるほど地域総出でつくられたもので、一年でもっとも寒い2月ごろにつくると美味しくなる。 + +## 食習の機会や時季 +保存がきき腹持ちがよい上にエネルギー源が豊富なので、春から夏の農繁期に田畑で食べる軽食として重宝された。そのまま食べることができ、ほのかに甘いので子どものおやつにも人気があった。上出来の干し餅は手で簡単に割れ、口に入れるとサクサク、ほろほろとした独特の食感がある。 + +## 飲食方法 +古くは各家庭に「干し餅奉行」がいて、天候をにらみながらタイミングを計って干し餅づくりをしたという。ごまや煎り大豆、しその葉、かぼちゃ、クルミ、紅しょうが、落花生などの具を入れたり、着色したりしてバリエーションをつけることもある。そのまま食べる他、軽くあぶれば米の甘みが感じられる。焼いたバターやバター醤油を���けたり、油で揚げれば、また違う味わいで美味である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (42個分(一づら14個×3)) +- もち米: 4.5kg (3升) +- 砂糖: 300g +- 塩: 20g +- 水: 1440ml +- ごま: 小皿一杯 + +## 作り方 +1. もち米は洗い、一昼夜水に浸ける。 +2. 1の米をざるにあげ、水を十分に切ったら、せいろに入れて蒸す。 +3. 蒸しあがったら、餅つき機に入れてつく。途中で塩と水を入れる。ただし水は数回に分けて入れる。 +4. 十分餅がつけてからごまと砂糖を徐々に入れ更によくつく。 +5. 育苗用の箱にビニールを敷き、餅を流す。表面もビニールで覆う。 +6. ついてから二日目になったらビニールをはがし上下を逆にする。 +7. 三日目には餅を切る。(10cm×6cm) +8. 夜、冷え込みそうな日を見計らって切った餅を編む。ビニールのひもで7個を編み1本にする。それをもう1本と結びあわせ一づらにする。 +9. 餅を編んだら箱に入れ、35度位のぬるま湯を入れる。触ってみて柔らかくなる程度までおく。(お湯を換えないで約2時間) +10. 餅を箱から取り出し、竿にかけ外に出し、冷気にあてる。まだ柔らかいうちに取り出して冷気にあてると、堅い餅に仕上がる。(朝になると餅が真っ白になっている。) +11. 再度凍らせるために、冷え込みそうな日の夕方、10の餅を40度位のお湯に浸け、また竿に掛けて干す。一度に餅を多くいれると餅がくっつく他、急激に温度低下するので、餅を一づらずつお湯に入れるとよい。お湯に長くいれると餅が柔らかくなり過ぎるので注意する。 +12. 最低、一ヶ月位は干し十分乾燥させる。 +13. ※風が少しあるようなところが最適であるが、風が強過ぎると餅が割れてしまう。※干し餅は大寒の頃からつくり始める。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「食の文化伝承ガイドブック」(青森県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_15_1.jpg)" +"# ミズとホヤの水物 青森県 + +**郷土料理名**: ミズとホヤの水物 + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +津軽地方 + +## 主な使用食材 +ミズ、ホヤ + +## 歴史・由来・関連行事 +津軽地方の短い夏に、貴重な旬を味わう郷土料理で「ホヤミズ」ともよばれる。地元には「ホヤといったらミズ」という合言葉もあるほどこの二つは相性がよく、夏の食の代名詞的存在だ。ホヤとミズに、昆布だしを注いでさっと合わせるシンプルな料理だが、鮮度が命のホヤを美味しく食べるには地元へ出向くしかない。ホヤ独特の少しクセのある香りとクニュっとした食感に、ミズの爽やかさとシャキシャキ感、すべてをうまくまとめる昆布出汁の味わいが相乗効果を呼び、絶品である。 + +## 食習の機会や時季 +夏には欠かせない家庭料理。苦味、塩味、甘味、酸味、旨味の「五味」すべてを持つというわれる濃厚なホヤの味わいに、青々とした爽やかさのミズが合わさる、大人の味。郷土料理として大々的に宣伝されないが、どの家庭でも気軽につくって食べるお惣菜である。青森県では天然ホヤの水揚げが多く、伝統的な「潜り漁」がおこなわれている。天然物はえぐみが少なく甘みが強いといわれ、疲労回復に効果的とされるグリコーゲンが豊富である。 + +## 飲食方法 +ホヤは、オレンジ色でなんとも不思議な形をした握りこぶし大の食材で、その見た目から「海のパイナップル」ともよばれる。むき方にコツがあり、イボのあるこの外皮部分に包丁を入れて中の水を出し、うす黄色の身をとりだして食べる。流れ出た汁も香りが良いので捨てずに用いる。ミズは東北地方に多くみられる山菜で、春から秋口まで採れる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- ミズ(うわばみ草): 1把 +- ホヤ: 5個 +- 【だし汁】出汁昆布: 3cm +- 【だし汁】水: 600ml +- 【だし汁】塩: 大さじ1 + +## 作り方 +1. ミズは葉をとり、皮を剥きながら3~4cm位の食べやすい大きさに折り洗っておく。鍋に湯を沸かし、塩をひとつまみ入れてミズをゆでる。色が鮮やかな緑色になったら冷たい水に戻す。その後、水切りしておく。 +2. ホヤは皮と汁を除き、内臓を取り、塩もみした後水洗いし、食べやすい大きさに切っておく。 +3. 昆布は3~4cmの千切りにする。 +4. 昆布を入れてだし汁をつくり、塩味をつけ冷ましておく。 +5. 1と2を合わせた���のに3を加えて小鉢に盛り、4のだし汁を注ぎ入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「食の文化伝承ガイドブック」(青森県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_16_1.jpg)" +"# 鮭の飯ずし 青森県 + +**郷土料理名**: 鮭の飯ずし + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +津軽地方 + +## 主な使用食材 +塩サケ、たけのこ、もち米 + +## 歴史・由来・関連行事 +冬の間雪に閉ざされる津軽地方は、作物や魚介をとれる時期にできるだけとって、干したり塩漬けしたりと工夫して保存した。米は主食としてだけでなく、糠や麹などさまざまな形で暮らしに活用した。もち米の発酵する力を借りて魚や野菜の保存食としてつくられた「飯ずし」もその一つ。紅サケの飯ずしはその中でも色鮮やかで縁起物とされたが、サケが貴重品だったため限られた家でしかつくられなかった特別なごちそうである。 + +## 食習の機会や時季 +もともと、「飯ずし」は酢を使わず、麹ともち米を合わせたものに漬けこみ涼しい場所で発酵させることで、乳酸菌の活動を促し旨味を引き出した料理。笹の葉を敷くことで防腐作用もあった。しかし近年、温暖化により気温が下がりづらく麹を使った長期間での低温発酵が困難になったため、発酵を早める酢を使うことが主流になっている。年越し・正月料理や大人数をもてなす際につくる場合は、根曲がりだけも一緒に漬けこむ。紅サケの紅色と、根曲がりだけやごはんの白色とで「紅白」を表し、縁起が良いとされる。紅サケではなくサメやホッケでつくることもある。 + +## 飲食方法 +酢締めにした塩サケ、根曲がりだけ、柔らかめに炊いたもち米を交互に幾重にも敷き詰め、最後にご飯、笹の葉で蓋をするように覆う。蓋をして重石をかけ、数日かけて馴れさせる。米の甘みと乳酸の酸味がなんともいえない芳醇な風味を醸し出す。昔ながらの麹仕込みは、さらに奥深い味わいを楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (一斗樽の半分量) +- 塩サケ(中位のもの): 半身(甘塩タイプ、ない場合はマスでもよい) +- たけのこ(根曲がりたけ等をビン詰めにしたもの): 1瓶(900ml入り) +- もち米: 3カップ +- 5倍酢: 7カップ +- 人参: 5cm程度(千切りにしたもの) +- しょうが: 1/2パック(千切りにしたもの) +- 【調味料A】唐辛子: 2本(種をとり輪切りにしたもの) +- 【調味料A】みりん: 大さじ3 +- 【調味料A】酒: 大さじ2 +- 【調味料A】5倍酢を5倍に薄めたもの: 大さじ3 +- 【調味料A】塩: 小さじ2 +- 笹の葉: 適宜(塩を2つまみ入れた熱湯にくぐらせ、ラップで包んで冷凍保存しておいたもの) +- 重石: 1つ(6kg) +- すし用樽(無いときは底が平らな容器): ※塩サケを詰めやすいようにビニール袋の口を開いて敷いておく + +## 作り方 +1. 皮つきのまま切り身にしたサケ(70~80g)を、5倍酢の薄めたもの(酢:水=1:4)に半日漬けておく。(酢漬けことでサケの塩が抜ける)夏場は冷蔵庫で漬けておく。 +2. たけのこは、少々しょっぱいと感じる程度に塩を入れた熱湯にくぐらせておき、冷蔵庫で冷やしておく。 +3. もち米は柔らかめに炊き、ごはんにする。 +4. 炊きあがったごはんが熱いうちに、調味料Aと人参・しょうがを各半分ずつ混ぜあわせて冷ましておく。 +5. 樽の中にビニール袋を入れ、以下の(1)~(3)の順序で材料を何重にも重ねていく。途中、材料間の空間ができないように、上から押すと良い。(1)皮を上にして、あまり隙間が空かないようにサケを敷き詰める。(2)たけのこは1本のまま先端(細い部分)を中心に向けて敷き詰める。(3)残った人参、しょうが少々と、4のごはんをのせる。(敷き詰めなくてもいい) +6. 最後にごはんを敷き詰め、笹の葉で蓋をするようにして覆う。 +7. ビニール袋の口を閉じ蓋をし、重石を乗せる。夏場は冷蔵庫で保存する。 +8. 次の日でも食べれるが、漬けてから2日ほどたったものが最も美味しい。 +9. 夏場は、酢と塩を少々多めにすると良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「食の文化伝承ガイドブック」(青森県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_17_1.jpg)" +"# イカメンチ 青森県 + +**郷土料理名**: イカメンチ + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +津軽地方 + +## 主な使用食材 +イカ、キャベツ、人参、たまねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +津軽地方に伝わる家庭料理で、イカを刺身にしたときに残る「ゲソ」を叩いてミンチにし、たまねぎや人参といった野菜とともに小麦粉でまとめて揚げたのがはじまりという。諸説あるが、終戦直後の食糧難の時代に、貴重なイカを残すところなく食べられるよう、また野菜くずを美味しく食べるために工夫されたといわれる。イカの旨味とプチプチした食感に野菜の甘み、油で揚げた香ばしさが相まって、今でも子どもから大人まで大人気のソウルフードとなっている。 + +## 食習の機会や時季 +基本的に家庭の日常料理で、家庭ごとにつくり方があり揚げずに油で焼くこともある。市場やスーパーマーケットの総菜コーナーでも定番の商品で、価格も安い。ファストフードのような気軽な食べ物で、具材や生地のアレンジも自由である。ご当地グルメとして提供する店舗も多く、ご飯にのせた「イカメンチ丼」やバンズに挟んだ「イカメンチバーガー」も登場している。 + +## 飲食方法 +下処理を済ませたイカを、胴体、エンペラ、ゲソすべてみじん切りにするが、フードプロセッサーなどで細かくするとふわっとした食感に、粗く刻めばイカの存在感がしっかり残る。これを刻んだ野菜と合わせ、小麦粉を混ぜてまとめる。溶き卵を入れる家庭もある。紅しょうがや枝豆を加えてアクセントにしたり、豆腐や長芋を混ぜてふわふわな食感を出したり、カレー風味にしたりと、アレンジも多様。旨味がじゅわっとあふれ出す揚げたてが美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- イカ: 2ハイ(260g) +- キャベツ: 40g +- 人参: 30g +- たまねぎ: 100g +- 揚げ油: 適量 +- しし唐辛子: 10本 +- 【調味料A】塩: 小さじ1 +- 【調味料A】こしょう: 少々 +- 【調味料A】小麦粉: 大さじ3~4 + +## 作り方 +1. イカは胴と足を外し、内臓をとって処理する。胴をいくつかに刻んでから、フードプロセッサーにかけ、形が残る程度に刻む。足は包丁でたたき、みじん切りにする。 +2. 人参はみじん切りにし、電子レンジで1分加熱する。 +3. キャベツは大きめのみじん切り。(5mm角) +4. 1~3を混ぜ合わせ、塩こしょうで味付けをし、つなぎに小麦粉を混ぜてかたさを調節する。ボウルの中で等分し、手に油をつけて10個にかたちづくる。 +5. しし唐辛子を揚げる。次に、5を揚げ、表面に焼き色がつき、カリっとしてくればOK。 +6. 盛り付けてできあがり。 +7. ※本来はイカの足だけでつくる。イカの足と季節の野菜は何でもOK。食感を残して大きめのみじん切りにして混ぜると美味しい。子どもにはチーズを入れても美味しい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 柴田学園大学短期大学部 北山 育子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_18_1.jpg)" +"# いなりずし 青森県 + +**郷土料理名**: いなりずし + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +津軽地方 + +## 主な使用食材 +もち米、紅しょうが、いなり揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +津軽平野は、雪国の中では比較的気候が温和で、縄文晩期から稲作がおこなわれていたといわれ米文化が発展した。歴代の津軽藩主も新田開発に力を入れたため生産量も多かった。一般的にいなりずしといえば、甘辛く煮た油揚げの中に酢飯やおこわを詰めた料理だが、青森県・津軽地方の「いなりずし」はかなり独特である。もっとも特徴的な点は、酢飯がピンク色。これは紅しょうがを刻んで混ぜ込んでいるからで、食紅を加えてさらに赤くすることもある。ごはんはもち米100%で(うるち米を混ぜることもある)、味付けはざらめをたっぷり使うためかなり甘く、もっちりしておはぎのような印象でもある。赤い色は縁起の良さを示し、甘くするのはおもてなしの心を表す。昔、砂糖が貴重で高価だった頃に、人が集まったりハレの席に出したりする時はふんだんに砂糖を使って甘く仕上げた食習慣が今に残っていると考えられる。 + +## 食習の機会や時季 +昔から冠婚葬祭などのおもてなしによく出される料理。地域の運動会や花見、神楽がおこなわれる際などのお弁当にも入る。ごはんにくるみを混ぜることもある。片手で食べやすいため、屋外の集まりに重宝された。津軽地方の人にとって「いなりずし」とは赤くて甘い食べ物である。 + +## 飲食方法 +昔の家庭では前日に、袋状にした油揚げを醤油と砂糖で煮付け、一晩おいておく。当日、もち米を水を多めにゆるく炊き、刻んだ紅しょうがとたっぷりの砂糖を加えて味をつけ、油揚げに詰める。地域外の人にとっては驚きの甘さだが、甘辛い油揚げと紅しょうが入りの甘い酢飯が意外にマッチする。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10個分) +- もち米: 約2合(300g) +- 水: 400ml +- 紅しょうが: 50g +- いなり揚げ: 5枚 +- 【調味料A】酢: 大さじ2 +- 【調味料A】砂糖: 40g +- 【調味料B】水: 1カップ +- 【調味料B】砂糖: 30g +- 【調味料B】醤油: 大さじ1と1/2 + +## 作り方 +1. もち米は洗い、水に一晩浸けておく。 +2. 調味料Aの酢と砂糖を混ぜてとかしておく。 +3. 紅しょうがは荒いみじん切りにしておく。 +4. いなり揚げは、箸でおさえ、二つに切って袋状にしてから油ぬきをする。(湯をかける) +5. 鍋に調味料Bと、4のいなり揚げを入れて、やや強火位の火にかける。焦がさないように汁気がなくなるまで煮て、冷ましておく。 +6. もち米は少しやわらかめに炊く。炊きあがったら、用意しておいた調味料Aの合わせ酢、紅しょうがを入れてかき混ぜ、蓋をして少し蒸らす。 +7. 6を10等分し、5のいなり揚げにつめる。(角までしっかりつめる) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 柴田学園大学短期大学部 北山 育子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_19_1.jpg)" +"# かっけ 青森県 + +**郷土料理名**: かっけ + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +南部地方 + +## 主な使用食材 +そば粉、大根、豆腐、にんにく、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +寒冷で、江戸時代には数年間に及ぶ大飢饉にたびたび見舞われた南部地方で、人々は雑穀を工夫して食べる知恵を発展させた。「かっけ」はそば粉に少しの塩を入れ水でこねて生地を薄くのばし、三角形に切ったものをゆでて、にんにく味噌をつけて食べる料理。「かっけ」とはこの地方の言葉で「かけら」「端っこ」を意味する。昔、南部藩の殿様がこの地でそばを食べたところ大変美味しく「このようにうまいものを庶民は食べてはならぬ」とご法度にしたため、人々はそばをつくるときに出る切れ端を三角に切って練り味噌をつけて食べたのがはじまりという。他に、「かぁけぇ」(どうぞ召し上がってください)というもてなしの言葉を語源とする説もある。三戸町、田子町、南部町あたりでは「つつけ」と呼ぶ。小麦粉でつくるものを「むぎかっけ」と呼び、それに対してそば粉のものを「そばかっけ」ということもある。 + +## 食習の機会や時季 +南部地方では日常的によく食べられている家庭料理。かっけにつけるにんにく味噌が肝心で、家庭によって味が異なる。ちなみに南部地方にある田子町はにんにくの一大産地である。ねぎ味噌やごま味噌、くるみ味噌をつけて食べることもある。 + +## 飲食方法 +出汁を入れた鍋に野菜や豆腐などを入れ、煮えたところで「かっけ」を加え火が通ったら引き上げて、にんにく味噌をつけて食べる。そばかっけは上品な味わい、むぎかっけはつるんとした喉越しが好まれる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- そば粉: 1kg +- 塩: 大さじ1 +- 水: 3カップ +- 大根: 1/2本 +- 豆腐: 1丁 +- にんにく: 1片 +- 味噌: 大さじ3 +- だし汁(昆布、干ししいたけ): 適量 + +## 作り方 +1. そば粉と塩を混ぜて、水でこねる。 +2. 1をめん棒で3mmほどの厚さにのばす。 +3. 生地をめん棒に巻きつけたまま、中央部に包丁を入れて生地を開く。 +4. 開いた生地の中央部をさらに切り、重ねて端から三角形に切っていく。 +5. 鍋に昆布と干ししいたけを入れてだしをつくる。 +6. 大根は輪切りにし、一度下ゆでしたものを5に入れる。 +7. すり鉢に味噌とにんにくを入れてよくすり、にんにく味噌をつくる。 +8. 5に4、6を入れて煮る。 +9. 7の味噌を付けて食べる。 +10. ※かっけの厚さは、そばはっと(そば)と同じ位にのばす。(厚いとうま味がしみにくい)鍋に入れるときは、少量ずつ入れないとお互いにくっつきやすい。大根は必ず下ゆでする。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「食の文化伝承ガイドブック」(青森県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_20_1.jpg)" +"# がっぱらもち 青森県 + +**郷土料理名**: がっぱらもち + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +津軽地方 + +## 主な使用食材 +ごはん、小麦粉、黒砂糖、黒ごま + +## 歴史・由来・関連行事 +昔、家庭でアイロンがけをする際、パリッとさせるために布に塗ったのが「米糊」で、水に浸した米をすりつぶしてつくっていた。この時うまくすりつぶせずに米のかすが残ったものを「糊かす」と呼び、これを無駄にしないよう黒砂糖をまぜて生地にし、フライパンで香ばしく焼いておやつにした。材料を焼き鍋に「がぱっ」と一気に移して焼くことから「がっぱらもち」と呼ばれるという。青森県の中では比較的暖かい気候に恵まれ、稲作が盛んだった津軽地方らしく、また食べ物を粗末にしない文化が生み出した郷土のおやつである。「のりかす餅」とも呼ばれる。 + +## 食習の機会や時季 +子どものために、おばあちゃんが家庭でつくるおやつ。もちもちした食感で、たっぷり入ったごまがアクセントになっている。 + +## 飲食方法 +もともとは水で浸した米をすりつぶしてつくったものだが、現在では米粉や冷ごはんを使って手軽につくることが多い。砂糖と塩、黒ごまを混ぜて水を加えてのばし、油をひいたフライパンいっぱいに流し入れ、両面を焼く。小豆や金時豆、くるみなどを入れるアレンジもできる。厚みのある円形をピザのように放射状に切り分ける。道の駅や物産館などでは1切れずつ包んで販売されているが、地域外の人には珍しいおやつである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (フライパン1つ分※8~10人分) +- ごはん: 300g +- 小麦粉: 50g +- 黒粉砂糖: 100g +- 水: 100ml +- 黒ごま: 小さじ2 +- 塩: ひとつまみ +- サラダ油: 少々 + +## 作り方 +1. すり鉢でごはんを軽くつぶす。 +2. 軽くつぶしたごはんに、小麦粉、黒粉砂糖、水、黒ごま、塩を入れ、更に混ぜ合わせながらごはんをつぶす。 +3. 熱くなったフライパンにサラダ油を少々入れ、万遍になじませてから2で混ぜ合わせつぶしたごはんを入れ、かたちをととのえる。 +4. 弱火でゆっくり両面に焦げ目が付くまで焼く。 +5. 放射状に8~10等分に切り分ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 青森県食生活改善推進員連絡協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_21_1.jpg)" +"# ごまご飯 青森県 + +**郷土料理名**: ごまご飯 + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +津軽地方 + +## 主な使用食材 +もち米、黒ごま + +## 歴史・由来・関連行事 +江戸時代のはじめから大規模に新田開発がなされ、多彩な米料理が発達した津軽地方では、いろいろな具を入れて醤油味にしたごはんのことを「色飯」や「色ごはん」と呼んだ。「ごまご飯」「ごままま」もその一つだ。真っ黒な色になることから、仏事や精進日といった「ケの日」につくって仏壇に供えた。一方で、砂糖を加えて甘くつくり、田植えや神社の祭りなどの際に赤飯の代わりにつくる地域もある。ごまだけのものは「ごままま」、栗入りの豪勢なものを「栗入りごままま」と呼んだ。 + +## 食習の機会や時季 +仏事や祭事に振る舞われることが多い。また昔の田植えは大勢の人を集めて二日、三日がかりでおこなっていたが、前日から女性たちが寝ずに、ごまままや赤飯をつくったものだった。おにぎりにして田んぼへ持って行き、作業の合間に食べた。また砂糖は大変な貴重品で、おもてなしのために借金してまで買うといわれ、特別な席にはたっぷりの砂糖で甘くしたごまままが振る舞われた。また旧暦9月9日の重陽の節句には酒の盃に菊の一枝を乗せて神棚に捧げる習慣があり、このとき栗入りのごまご飯も一緒に供えたという。 + +## 飲食方法 +津軽地方の色飯は種類が豊富で「ごまご飯」の他にも、たけのこ飯、小豆飯、黒豆飯、赤飯などがあった。もち米だけでつくったり、もち米とうるち米を混ぜてつくったりする。「ごまご飯」は、よく炒ってすった黒ごまを米に混ぜて炊きこむ。すり鉢にごまが残らないよう水を回し、炊き水に加えた。湯気にのってあがる香ばしいごまの香りと旨味がごちそうで、昔から子どもたちの大好物である。 + +## ���存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6人分) +- もち米: 3カップ +- 黒ごま: 30g +- 砂糖: 40g +- 栗または枝豆: 適量 +- 醤油: 大さじ2と1/2 +- 【打ち水用】水: 300ml + +## 作り方 +1. もち米はといで前の晩から、水に浸しておき、朝、ざるをあげて水を切る。 +2. 黒ごまはから炒りし、すり鉢で荒くする。 +3. 調味料(酒、醤油、砂糖、塩)を混ぜ合わせる。打ち水用として水300mlに砂糖、醤油を混ぜておく。 +4. 沸騰した蒸し器に水でぬらした蒸し布をしき、米を入れて強火で20分蒸す。 +5. 4をボールにあけ、ごまと3の打ち水を加えてよく混ぜる。 +6. 更に15分蒸す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 柴田学園大学短期大学部 北山 育子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_22_1.jpg)" +"# じゅね餅 青森県 + +**郷土料理名**: じゅね餅 + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +南部地方 + +## 主な使用食材 +かんなかけいもの粉、えごま(じゅね) + +## 歴史・由来・関連行事 +古来、冷害や飢饉に見舞われることの多かった南部地方では、米以外の雑穀で食文化を発展させてきた。「じゅね」とはえごまのことで、「じゅね餅」はえごまの実を炒って丁寧にすり、味噌と砂糖と混ぜ合わせてたれをつくり、薄く切った餅に絡ませてつくる。また、道の駅等では小麦粉やそば粉でつくった串餅にたれを塗ってこんがりと焼いた「じゅね餅」も見かける。家庭でおばあちゃんがじゅね味噌と串餅をつくり、子どもたちが囲炉裏やストーブで思い思いに焼いて食べるのが秋から冬の風物詩だった。 + +## 食習の機会や時季 +昔、米の乏しいこの地域では夕食に粉のこねものや打ちものを主食にしていたため、はっとうやひっつみと並ぶ夕食の主役でもあった。どの家でも手づくりしていた味噌を使い、えごまをすって混ぜ合わせて食べた。質素ながらこどもたちの腹を満たす家庭で食べるふだんのおやつであった。 + +## 飲食方法 +小麦粉でつくる「むぎもち」と、そば粉でつくる「そばもち」があり、それぞれ食感や風味が異なる。じゅね味噌にゆでた餅を絡ませて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- かんなかけいもの粉(自家製でん粉): 450g +- 熱湯: 1~1.5カップ +- ぬるま湯: 少々 +- 塩: 少々 +- えごま(じゅね): 200g +- 砂糖: 60g +- 味噌: 大さじ1強 + +## 作り方 +1. いもの粉に塩少々を混ぜ、熱湯を1カップかけて手早くまとめる。 +2. まとまり具合をみながらぬるま湯を加え、耳たぶくらいの固さにこねあげる。 +3. まな板の上で2の生地を直径3~4cmの棒状にのばし、2~3mmの薄切りにする。 +4. えごまをから炒りし、すり鉢で軽くすり、皮をよくのばす。これに砂糖、味噌を加えながらよくする。固いときには湯少々を加える。 +5. 沸騰した湯に3を入れてゆでる。ゆであがったものは4で和えて、熱いうちに食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「食の文化伝承ガイドブック」(青森県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_23_1.jpg)" +"# しょうが味噌おでん 青森県 + +**郷土料理名**: しょうが味噌おでん + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +青森市 + +## 主な使用食材 +大根、こんにゃく、さつま揚げ、卵、ちくわ、味噌、しょうが + +## 歴史・由来・関連行事 +青森市周辺では、おでんをすりおろしたしょうが入りの味噌だれで食べるのが普通である。この食べ方が生まれたのは戦後の闇市の屋台で、当時、極寒の真冬に北海道・函館へわたる青函連絡船に乗るお客さんの体を少しでも温めようと、屋台のおかみさんがおでんにしょうが入り味噌をかけて出したのがはじまりという。もともと味噌文化が根付いていた青森ならではの味だ。また具にも特徴があり、陸奥湾名産のツブ貝や、根曲がりだけ(たけのこ)、薄くて大きなさつま揚げ「大角天」、通常より大ぶりな「ぼたん焼きちくわ」など、他では見られないものが入る。 + +## 食習の機会や時季 +寒い冬に体を温める食べ物というイメージだが、寒冷地ゆえに年中提供されることが多い。初夏は根曲がりだけの旬でもあるし、真夏は冷やしおでんを出す店もある。屋台や郷土料理店の他、青森ではコンビニのおでんにもカラシの代わりにしょうが味噌をつけてくれるほど一般に普及している + +## 飲食方法 +味を決めるのはしょうが味噌だれである。煮切った酒に津軽味噌(赤味噌)とみりん、だし汁を混ぜて煮立て、最後に生のしょうがをおろして混ぜ合わせる。好みで砂糖を加えることもあり、また白味噌を使う場合もある。家庭や店によって個性がさまざまだ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 水: 5カップ(1000ml) +- 昆布: 20g +- 醤油: 大さじ2 +- 酒: 大さじ2 +- 大根: 500g +- こんにゃく: 250g +- さつま揚げ: 200g +- 卵: 5個 +- ちくわ: 5本 +- 【しょうが味噌】赤味噌: 大さじ4 +- 【しょうが味噌】中ざら糖: 大さじ3 +- 【しょうが味噌】水: 150ml +- 【しょうが味噌】すりおろししょうが: 25g + +## 作り方 +1. 土鍋に水と昆布を入れて30分程おき、火をつけ沸騰直前に昆布を引き上げてだしをとる。大根は1.5cm厚さの輪切りにして、柔らかくなるまでゆでる 。(目安15~20分) +2. こんにゃくは8mm厚さに切り、竹串を縫うように刺す。 +3. さつま揚げは縦半分に切り、竹串を縫うように刺す。 +4. 卵はゆでて(水に卵を入れて、沸騰後10分)、殻をむく。ちくわは斜めに半分に切る。 +5. 鍋にお湯を沸かして2のこんにゃくを入れて、沸騰してから5分下ゆでをする。 +6. 5のお湯に3のさつま揚げと4のちくわを入れて、油抜きをする。 +7. 1のだし汁に醤油と酒で味付けをし、準備が出来た食材を入れて弱火で煮込む。(30~40分)しょうがをすりおろしておく。 +8. 小鍋に味噌・中ざら糖・水を入れて弱火にかけ、少しとろみがついたら火からおろす。粗熱がとれたら7のしょうがを混ぜて完成。おでんにしょうが味噌をかけていただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 柴田学園大学短期大学部 北山 育子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_24_1.jpg)" +"# すしこ 青森県 + +**郷土料理名**: すしこ + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +津軽地方 + +## 主な使用食材 +もち米、きゅうり、しその葉、紫キャベツ、酢 + +## 歴史・由来・関連行事 +津軽地方の中でも主に日本海側の西北地域で特にに食べられてきた郷土料理。もち米を蒸し、赤しそやキャベツ、きゅうりの古漬けなどと合わせて乳酸発酵させた、いわば「ごはんの漬物」ともいうべき非常に珍しくユニークな料理である。津軽地方の西北地域は、江戸時代に大規模に開墾された米どころで、どの家庭でも一斗樽に漬け込み、冬の間の保存食としてごはんのおかずにしたという。また、体力が必要な農作業時に田んぼへ持っていき、合間に食べては体力回復の足しにした。「赤めし」とも呼ばれる。 + +## 食習の機会や時季 +もち米は腹持ちが良く、力もつくとされ、田んぼへ持参して農作業の合間に食べることが多かった。冬には一斗樽に漬けこんでつくり、野菜の少ない季節の保存食として家庭で重宝された。長く漬けこむことで乳酸発酵が進み、酸味が増して美味しくなるうえに栄養価も上がるため、貴重なおかずだった。雪に閉ざされる津軽地方の冬を過ごす知恵である。ちなみに魚などに塩をまぶし、ごはんや麹と漬けこんで乳酸発酵させる郷土料理は「飯ずし」とよぶ。 + +## 飲食方法 +津軽地方の西北地域の人はもち米を漬けた「すしこ」を、ごはんのおかずにして食べるユニークな風習がある。現代では女性を中心に暑さで食欲のなくなる夏場に好んで食べられるが、もともとは冬の保存食だった。蒸したもち米と、塩でもんだ野菜や古漬けを混ぜたら重石をして寝かせるが、数日経つと発酵が進みドロリとした食感に変化する。人によって好みの食感がある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (18L漬物たる1個分※つくりやすい分量) +- もち米: 1.5kg(1升) +- きゅうり: 5kg +- 塩: 250g +- 赤しその葉: 300g +- 紫キャベツ: 1.5kg +- 赤唐辛子: 1本 +- 塩(アク抜き用): 100g +- 5倍酢: 100ml +- 白砂糖: 少々 + +## 作り方 +1. きゅうりは長期漬けのようにして5%の塩で10日程度漬けておく。 +2. 塩分を抜くため1日水に漬け、少し塩気が残っているうちに刻んで一晩重石をして水気を切る。 +3. 赤しその葉と紫キャベツは、それぞれ別に塩もみしてアク抜きをし、水洗いしてから水気を切る。酢と砂糖を入れてさらにもむ。 +4. もち米は固めに炊いておく。 +5. 冷ましたもちごはんに3から出た紫��ャベツの汁を入れ、むらなくほぐす。赤唐辛子は、細かく刻んで入れる。最後に紫キャベツ、きゅうり、しその葉の順に入れ、合わせて漬けこむ。一晩で食べられる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「食の文化伝承ガイドブック」(青森県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_25_1.jpg)" +"# 赤かぶの千枚漬け 青森県 + +**郷土料理名**: 赤かぶの千枚漬け + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +津軽地方 + +## 主な使用食材 +赤かぶ、塩、砂糖(ザラメ)、5倍酢、昆布 + +## 歴史・由来・関連行事 +津軽地方の伝統的な漬物。雪が降る直前に収穫された赤かぶを、出汁昆布、酢、ザラメで漬けた甘酸っぱい味わいが特徴だ。津軽で古くから栽培される赤かぶは、肉質が柔らかく漬物に最適な品種。皮も果肉も赤く、酢を加えることで赤い色素が美しく発色し、単調になりがちな冬の間の食卓を明るく彩る。雪に包まれる津軽地方では、冬の野菜不足を補うおかずとして欠かせず、秋の終わりに大量につくって春先まで大切に食べられた。 + +## 食習の機会や時季 +赤かぶの収穫期は晩秋。昔は大きな樽にたくさん漬け込み、日常食として冬の間毎日のように食べた。厳寒期にじっくり漬けこまれた赤かぶは、えぐみや辛みがうま味にかわり角がとれたまろやかな味わいに変化する。普段のご飯のおかずの他、酒のつまみにも最適。近年、産地では雪の下で貯蔵し甘みを増した赤かぶも出回り人気がある。 + +## 飲食方法 +赤かぶを薄いいちょう切りにし、塩をもみこんで重石をする。出てきた水を切り、ザラメと昆布、酢で本漬けする。酢を加えることで独特の美しい赤色が出る。急いで取り出すと辛みが残り、じっくり漬けこむことでまろやかな味わいが生まれる。ごく薄く切ればしなしなと優しい食感、厚めなら少し歯ごたえが残り、それぞれに良さがある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (18Lの漬物樽1個分) +- 赤かぶ: 10kg +- 塩: 300g +- 砂糖(ザラメ): 800g +- 5倍酢: 160ml +- 昆布: 15cm位の長さ + +## 作り方 +1. 赤かぶを、2~3mmの厚さに薄く切る。 +2. 切った赤かぶは漬け樽に入れて、3%の塩で1週間漬ける。(重石は赤かぶの重量の2倍の重さ) +3. 赤かぶを樽からとりだし、別の漬け樽でザラメと5倍酢、さっと焼いて1cmくらいの角切りにした昆布を入れて漬けこむ。(重石は赤かぶの重量の1/5位の重さ) +4. 1週間位で食べ頃となる。 +5. ※重石の加減に注意する。下漬けはびっしり、本漬けはやんわりと重石をする。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「食の文化伝承ガイドブック」(青森県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_27_1.jpg)" +"# キャベツとマスの漬物 青森県 + +**郷土料理名**: キャベツとマスの漬物 + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +津軽地方 + +## 主な使用食材 +キャベツ、塩、マス、酢、人参、赤唐辛子、生しょうが、甘酒 + +## 歴史・由来・関連行事 +津軽地方の中でも内陸部の中南津軽は、昔は新鮮な海産物が入手しにくく特に魚類は貴重であった。また、冬は寒さが厳しく4か月程の長い期間の豪雪に耐える生活のため、漬物が大切な野菜の給源となり、各家々で工夫された多彩な漬物がつくられていた。漬物に使われる塩マスは保存がきき白いご飯によく合うため日常的によく食された。その身は焼き物に、残ったアラは漬物や汁物(白煮(しらに)といい、じゃがいも、ねぎと一緒に煮た塩味の汁物)にして食べられた。マスのアラも大切なたんぱく源であり、旨味のある魚とキャベツが組み合わさり、さっぱりとした味となる。食べられるところは大切に余すところなく利用する始末の料理であり、生活の知恵が生きている津軽独特の漬物である。 + +## 食習の機会や時季 +家庭で食べる日常食であり、塩マスを食べた時によくつくられた。特に秋のキャベツの出回りの時期につくると美味しい。お客様用につくる時は、アラだけでなく身も加えてつくると喜ばれる。ごはんだけでなく酒の肴として昔から親しまれてきた漬物である。 + +## 飲食方法 +津軽地方には漬物の種類が多く、魚類の入った漬物として「イカとキャベツの漬物」「大根とさけのはさみ漬け」「大根のニシン漬け」などである。これらは魚類の旨味が野菜に移り、野菜だけの漬物とはまた違った美味しさがある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (18Lの漬物樽1個分) +- キャベツ: 5kg +- 塩: 100g +- マス: 1尾 +- 人参: 小1本 +- 赤唐辛子: 2本 +- 生しょうが: 1かけ +- 甘酒: 100ml +- 酢: 2カップ + +## 作り方 +1. キャベツを2%の塩で2日位下漬けする。 +2. マスを食べやすい大きさに切って酢2カップ、酒100ccに1日浸けて生ぐさみをとる。 +3. 人参は千切りにし熱湯をかけて冷ます。 +4. 赤唐辛子は種を取り、輪切りにする。 +5. 生しょうがは千切りにする。 +6. 材料を全部混ぜ、重石をして漬ける。 +7. 4~5日後に食べ頃となる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「津軽の味っこ2(2は、正確にはローマ数字大文字の2)」 (弘前地区生活改善グループ連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_00_1.jpg)" +"# 鮫のすくめ 青森県 + +**郷土料理名**: 鮫のすくめ + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +津軽地方 + +## 主な使用食材 +サメ、大根またはキャベツ、ねぎ、酢、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +「すくめ」の語源は「酢で包む」。津軽地方で「すぐめ」と発音する。津軽地方では縄文時代の遺跡調査からサメを食べていたことが分かっており、地元の食文化とサメは切っても切れない関係である。特にアブラツノザメは県内のサメ漁獲高の9割を超え、今でも鮮魚店の店頭には切り身や頭が普通に見られる。「鮫のすくめ」は、湯がいたサメの頭の身をほぐし、熱々の状態で大根またはキャベツとともに酢味噌で和える料理で、食糧が貴重だった時代に、サメを残すところなく食べるために考案されたといわれている。お正月料理としても欠かせない一品であり、地域によって大根おろしと和える場合もある。すくめの他、サメは飯すしや刺身、お吸い物、なます、煮付けなどさまざまな調理法で食べられてきた。 + +## 食習の機会や時季 +主に正月料理として食べられている。サメの淡白な味わいが酢味噌によく合い、大根またはキャベツのさっぱりと甘い風味とも相性抜群。サメは臭みの強い魚と考えられがちだが、漁獲後すぐに処理したものはほとんど臭いがなく、現在でも津軽地方ではスーパーマーケットや鮮魚店で販売され家庭になじみがある。 + +## 飲食方法 +本来はサメの頭の部分を使う料理。頭をゆでて熱いうちに身をほぐし、軟骨も含めて食べられる部分を取り出して、酢味噌で味付けをする。淡白なサメの身と、大根またはキャベツの爽やかな甘み、軟骨のコリコリした食感が美味しい、他では味わえない珍味である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- サメ: 300g +- 大根: 1本程度 +- ねぎ: 少々 +- 【調味料A】酢: 大さじ3 +- 【調味料A】味噌: 大さじ2 +- 【調味料A】砂糖: 小さじ2 +- 【調味料A】塩: 小さじ1 + +## 作り方 +1. サメをゆで、ざるにあげる。 +2. 熱いうちにほぐして、保存容器に入れて、ぎっしりと敷き詰めて、一晩おく。 +3. あらかじめ調味料Aを合わせておく。 +4. 大根をおろし金ですりおろし、軽くしぼったら3の調味料Aと合わせる。 +5. 2を一口大に切り、おろし大根と身がくずれないように混ぜ合わせる。 +6. 器に盛ってから、小口切りにしたねぎをのせる。(混ぜても良い) +7. ※サメをゆでて、酢を使っているので2、3日は保存できる。正月中は、なくなるまで毎日食べたものである。大根のかわりにキャベツを使うこともある。 +8. ※昭和40年代当時の調理法:皮付きのサメを使う場合、サメの頭の部分をそのままさっとゆでて、皮についている砂をとる。お湯を取り替えて、もう一度しっかりゆでる。ざるにあげて、温かいうちに身だけをとる。以下は同じ。身は焼き物、揚げ物などに使用していた。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「食の文化伝承ガイドブック」(青森県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_28_1.jpg)" +"# くじら汁 青森県 + +**郷土料理名**: くじら汁 + +**都道府県**: 青森県 + +## 主な伝承地域 +下北半島、八戸市 + +## 主な使用食材 +クジラの塩漬け(脂身)、人参、ごぼう、寒大根、凍み豆腐、じゃがいも、高菜の塩漬け、味噌、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +かつて八戸市に捕鯨基地があったことから���近隣ではクジラの食文化が発達した。「鯨一匹七浦うるおう」といわわれるほど、クジラは地元に利益をもたらすありがたい食べ物だった。部位によって味わいは異なるが、「くじら汁」に使うのは「白身」と呼ばれる背の本皮部分。脂肪分のかたまりなので、繰り返し湯通ししたり、から炒りしたりして余分な脂を落としてから調理する。正月の祝い料理でも出され、巨大なクジラにあやかって「新年は大きな獲物にありつけるように」「大物になれるように」との願いが込められている。 + +## 食習の機会や時季 +年取りや正月の祝い料理。焼いた角餅を入れて雑煮にすることもある。現代でも年末の市場やスーパーマーケットなどではくじら汁用の塩漬けにされた身が並ぶ。数種類の野菜や豆腐を入れて大鍋につくり、正月から数日にわたって食べる。クジラから出汁が出て、日を経るごとに美味しくなるものだった。 + +## 飲食方法 +クジラの本皮(脂身)を湯通しやから炒りをして余分な脂を落とすのが大事である。これをしっかりするとまったく脂っこさがなく、コリコリとした食感になる。また凝縮した旨味が出汁となり、汁全体を美味しくする。具だくさんで、大根、人参、ごぼうなどの根菜に、じゃがいもが入るのが特徴的だ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- クジラの塩漬け(脂身): 100g +- 人参: 150g +- ごぼう: 100g +- 寒大根: 約10個 +- 凍み豆腐: 約3枚 +- じゃがいも: 大5個 +- 高菜の塩漬け(又はねぎ): 適量 +- 味噌: 適量 +- 醤油: 適量 + +## 作り方 +1. 人参、ごぼうはささがきにし、ごぼうは水にさらす。じゃがいもは、乱切りにする。 +2. 寒大根、凍み豆腐は熱湯でもどし、よくすすぐ。凍み豆腐は3mm位の厚さに切る。 +3. クジラの塩漬けは1.5mm位の拍子切り、または短冊切りにし、さっと水洗いをして塩を流す。 +4. 大きめの鍋を温め、3のクジラを入れ、から煎りして油を出す。 +5. 人参、ごぼう、じゃがいも、寒大根の順に炒め、寒大根がしんなりしたら水を入れる。 +6. じゃがいもが煮えたら味噌を入れ、凍み豆腐を加えて味を浸み込ませる。 +7. 刻んだ高菜漬けやねぎを加え、好みによっては醤油を少し加えて味をととのえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「食の文化伝承ガイドブック」(青森県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_29_1.jpg)" +"# ひっつみ/ひっつみ汁 岩手県 + +**郷土料理名**: ひっつみ/ひっつみ汁 + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +県央地域を中心に県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、根菜など季節の野菜、地域によって川魚や川ガニ、鶏肉、きのこなど + +## 歴史・由来・関連行事 +県央地域は北上川流域で平坦な土地が多く、古くから水田地帯がひらけており米の生産規模は大きかった。しかし寒さが厳しく冷害で米がとれない年もあったため、食生活を安定させるために大麦、小麦、そばの生産も行われていた。そのため米粉、小麦粉、そば粉などを活用する料理が多く、粉に水を入れてこねて作る料理である「しとねもの」文化が発達した。「ひっつみ」はその代表的な料理のひとつであり、米が不作な年に主食の替わりとして多く食された。水でこねた小麦粉を薄くのばした生地を手でちぎって煮ることから、「ひっつみ」は「手でちぎる」の方言「ひっつまむ」が転じたと言われている。地域によって「とってなげ」、「はっと」、「きりばっと」とも呼ばれる。具や出汁は地域や家庭によって様々で、地方によって地鶏やキノコ、川ガニ、川魚、モクズガニを入れることもある。 + +## 食習の機会や時季 +季節を問わず年間通して食されるが、温かく寒い冬に喜ばれる。家庭料理として夕食に食べたり、農作業の手伝いを頼んだりして人が集まったときにも作られていた。現在でも人が集まる地域行事で振る舞われている。 + +## 飲食方法 +小麦粉に水を加えてこねたものを、ひっぱって薄くのばしたものを手でちぎり、鶏肉、ごぼう、にんじん、きのこなどを入れた出汁に入れて煮込む。しっかりこねて寝かせることで、薄くコシのある生地になる。中に入れる具は地域や季節により異なり、三陸沿岸地域ではサンマなどの海産物、内陸部では川ガニ、川魚、また松茸の産地で��ある岩泉町では松茸を入れることもある。味付けは醤油の場合が多いが、それも地域や家庭によって異なる。「小豆ひっつみ」や「ずんだひっつみ」など、甘くして食すものもある。近年ではカレー味や洋風、中華風などさまざまな味が楽しまれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 南部小麦粉(お好みの小麦粉): 250g +- 水: 150cc +- 南部かしわもも肉(お好みの鶏もも肉): 200g +- 大根: 10cm +- にんじん: 5cm +- ごぼう: 1/2本 +- しいたけ: 6個 +- 長ねぎ: 1/2本 +- だし汁: 6カップ +- 酒: 大さじ1 +- 塩: 小さじ1/2 +- しょうゆ: 大さじ3 + +## 作り方 +1. ボウルに小麦粉をふるって入れ、くぼみを作り、水を入れる。初めに箸で混ぜ合わせてから、手で耳たぶ程度の硬さにこね、ラップをして冷蔵庫で1~2時間寝かせておく。 +2. 大根とにんじんは短冊切りにし、ごぼうはささがきにし水に1分程さらしてアクを抜く。しいたけは軸をとって薄切りにする。 +3. 鍋にだし汁を入れ、鶏肉をひと口大に切って加える。ひと煮立ちしたらアクをとり、大根、にんじん、ごぼうを入れる。 +4. 3に1を薄くのばして入れ、しいたけを加えて塩、しょうゆ、酒で調味する。生地をのばす際は、左手に生地を持ち、右手で生地を引っ張りながら薄くのばし、食べやすい大きさにちぎる。(5cm四方弱の大きさが目安) +5. ひと煮立ちしたら、斜め薄切りにしたねぎを加えて火を止める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 郷土料理研究家 梅津 末子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_1_1.jpg)" +"# きりせんしょ 岩手県 + +**郷土料理名**: きりせんしょ + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +県央地域(盛岡市、花巻市、紫波町、遠野市など) + +## 主な使用食材 +米粉、くるみ、ゴマ、砂糖、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +「きりせんしょ」の名前の由来は、昔は山椒を刻んで浸した汁で粉を練ったことから「きりさんしょう」と呼ばれ、それが転じて「きりせんしょ」となったという説があるが、昭和初期にはすでに山椒は全く使われなくなった。県央部の水田地帯を中心に昔から食されており、行事食として大切にされてきた。祝い事(特に桃の節句)で仏壇やひな壇に供えられ、昔は桃の節句のときに、女の子と母親が一緒に作ることも多かった。また、この地域では、昼食と夕食の間のおやつのことを「こびり(小昼)」と言い、農作業の合間に腹持ちのよい米粉、小麦粉、雑穀、豆類などの食材で作られたおやつがよく食べられていた。「きりせんしょ」もそのひとつ。盛岡市、花巻市、紫波町、遠野市などで作られており、それぞれ地域により作り方が異なるが、米粉、くるみ、ゴマを使い、味つけが砂糖と醤油であることは共通している。砂糖は黒砂糖を使うことも多い。素朴な味が特徴。 + +## 食習の機会や時季 +祝い事(特に3月3日の桃の節句)で仏壇やひな壇に供えたり、農作業の合間のおやつ(小昼)として食されたりするほか、結婚式で振る舞われることもある。 + +## 飲食方法 +地域や家庭により細かい作り方や味つけの仕方、形状に違いがみられるが、米粉を蒸すこと、くるみとゴマを入れること、醤油、砂糖などで味をつけることは共通している。形状は、箸で模様をつけた小判形や木の葉形、また木型を使って花や舟の形にしたものなどいくつかのバリエーションがある。その中でも特に遠野市では、生地でくるみと黒砂糖を包んでと蜜入りにすることや、黒砂糖と醤油で味をつけたとろみのあるあんをからませるという特徴がある。きりせんしょの型がない時は、俵形の状態のものを手の平で押しつぶし、スプーンの柄の部分で模様をつけるとよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (24個分) +- うるち粉: 500g +- 水: 600cc +- 醤油: 30cc +- 砂糖: 200g +- 塩: 小さじ2 +- 刻みくるみ: 大さじ3 +- ゴマ: 大さじ1~2 +- 黒砂糖: 50g +- 片栗粉: 適宜 + +## 作り方 +1. 大きめの鍋に、水・醤油・砂糖・塩を入れて火にかけしっかり沸騰させる。 +2. 1にうるち粉を入れてすぐに火を止め、へらで粉っぽさがなくなるまで混ぜ合わせる。 +3. 2にゴマを入れて、手でよくこねる(100回程度)。こねるのは、熱いうちでもよいが、濡れ布巾をかけ生地を冷ましてからこねると���くりやすく、こしがでる。 +4. こねたものは、ちぎりやすいよう棒状にのばし24等分にしてだんご状に丸める。 +5. だんごの真ん中に親指で穴をあけ、黒砂糖とくるみを入れて穴を閉じ、おにぎりを握るように俵形にする。きりせんしょの型に入れて形をつくり、上にくるみを乗せる。このとき手にくっつきやすいときは片栗粉を使う。 +6. 蒸し器にかけて中火で約10分蒸す。蒸しあがったら火を止め、すぐにきりせんしょの上から水(分量外)をかけると、生地が締まりつやが出る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岩手県食の匠細川玲子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_2_1.jpg)" +"# まめぶ汁 岩手県 + +**郷土料理名**: まめぶ汁 + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +久慈市山形町 + +## 主な使用食材 +小麦粉、くるみ、にんじん、ごぼうなど身近な野菜、焼き豆腐、かんぴょう、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +「まめぶ汁」とは煮干しや昆布だしが利いた醤油系の汁に、身近な野菜や焼き豆腐などの具と、くるみの入った小麦粉の団子「まめぶ」を入れて煮込んだ久慈市山形町(旧山形村)の郷土料理。 凶作が続いた江戸時代に、「ハレの食事」の麺類に代わる代用食として、小麦粉にくるみの実を包んだ団子を食べていたのではないかと言われる。名前の由来は、「豆粒大である」ことや「まり麩(ふ)に似ている」からという説や、「忠実忠実(まめまめ)しく健康で達者に暮らすという願いを込めてつけられた」という説がある。地域や家庭により入れる野菜などは異なるが、煮干しと昆布でだしをとること、醤油味であること、団子にくるみを入れることは共通している。団子に黒砂糖を入れることもあり、汁の塩気と黒砂糖の甘みが同時に楽しめる独自の味である。 + +## 食習の機会や時季 +冠婚葬祭やお正月などの行事食として主に家庭で食される。慶事の際は団子を大きくし、弔事の際は小さくするともいわれる。現在でも冬になると家庭で食されている。 + +## 飲食方法 +煮干しや昆布でとっただしに、野菜や焼き豆腐、かんぴょうなどの具と、くるみを入れた小麦粉でつくった団子を入れて煮込む。地域により、団子の中身がくるみと黒砂糖、またはくるみだけであったり、汁にとろみがあったりと違いがある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 小麦粉: 200g +- むきくるみ: 30g +- にんじん: 70g +- ごぼう: 80g +- 焼き豆腐: 150g +- 油あげ: 40g +- かんぴょう: 10g +- 干ししめじ: 15g +- 醬油: 45cc +- だし昆布: 15cm +- 煮干し: 5~6本 +- 片栗粉: 少々 +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 適量の水に昆布と煮干しを入れ、だし汁をつくる。 +2. にんじん、ごぼうはいちょう切り、油あげは千切り、焼き豆腐はひし形切り、かんぴょうは1.5cmの長さに切る。干ししめじは水でもどしておく。 +3. 小麦粉に少々塩を入れ、水でこね親指大くらいの大きさに分け、むきくるみを入れて中身が出ないように丸くする(丸くしたまめぶは、くっつかないように片栗粉をまぶしておく)。 +4. 鍋に1のだし汁と2の野菜を入れ火にかけ、野菜に火が通ったら、醬油、塩で味を調えて、3のまめぶを入れて煮る。まめぶが浮いてきたら、再度味を調えてできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岩手県食の匠山形町生活改善協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_3_1.jpg)" +"# がんづき 岩手県 + +**郷土料理名**: がんづき + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +県南地域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、砂糖、重曹、酢、くるみ、ゴマ + +## 歴史・由来・関連行事 +「がんづき」は県南地域を中心に県全域で食べられているお菓子。名前の由来は、丸い形とその上にM字に乗せられたゴマが、満月に向かって飛んでいる雁のようであることからと言われている。 小麦粉、砂糖、卵に重曹、酢を加えて蒸すことで膨らませる郷土菓子で、ゴマやくるみが入っており、もっちりした食感が素朴な味わい。腹持ちが良く、昔から農作業の合間の間食である小昼(こびり)や、日常的なおやつとして食されてきた。黒砂糖を使用する茶色っぽい見た目のものは「黒がんづき」、白砂糖を使用するものは「白がんづき」と呼ばれる。岩手県以外に、宮城県の郷土菓子でもある。 + +## 食習の機会や時季 +日常的なおやつや、農作業時の間食である小昼(こびり)として食される。 + +## 飲食方法 +小麦粉に卵、重曹、砂糖を入れて混ぜたものに、くるみやゴマを乗せて蒸す。黒砂糖を使用する茶色っぽい見た目の「黒がんづき」と、白砂糖と牛乳を入れる白い「白がんづき」がある。地域や家庭により、ゆでた菜花を細かくしたものや、すりおろしたにんじんを入れるものもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4~8切分) +- 【A】小麦粉: 200g +- 【A】重曹: 小さじ1弱 +- 【A】ベーキングパウダー: 小さじ1弱 +- 【B】黒砂糖: 150g +- 【B】水: 200cc +- くるみ: 20g +- 黒ごま: 適宜 + +## 作り方 +1. 【B】を煮溶かして冷ましておく。 +2. 【A】をふるっておく。 +3. 1が冷めたら2を加えて混ぜ合わせる。ダマにならないよう、さっくり混ぜる。 +4. 蒸し器にぬれ布巾を敷き、丸い流し缶に3を入れて刻んだくるみを散らし、黒ごまをふりかけ、十分に熱してある蒸し器に入れ、強火で30分程度蒸す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 郷土料理研究家 梅津 末子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_4_1.jpg)" +"# すき昆布の煮物 岩手県 + +**郷土料理名**: すき昆布の煮物 + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +三陸沿岸部 + +## 主な使用食材 +すき昆布、にんじん、油揚げ、干ししいたけ、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +「すき昆布」とは、三陸沿岸でとれた若い昆布をボイルして細くカットし、板状にして乾燥させたものである。昭和44年頃、沿岸部の普代村で昆布の養殖とすき昆布加工が始まり、保存食として県全体に広まった。普代のすき昆布は、間引きをしない若い昆布を使用しているため、やわらかな歯ごたえがある。「すき昆布の煮物」は、すき昆布に干ししいたけやにんじん等を組み合わせて煮たもの。小女子、身欠きにしん、ほたて等の海産物と組み合わせるなど、各家庭の味が作り出されている。生産地である普代村の郷土料理でもあるが、県内全域で日常的に家庭料理として食されており、ひろく地域に根付いている。 + +## 食習の機会や時季 +乾燥させた「すき昆布」はスーパーなどで季節を問わず販売されているため、家庭でも日常的に食されている。近年では春に新物の生すき昆布が流通するようになり、旬の食材としても扱われるようになってきた。 + +## 飲食方法 +すき昆布を水で戻し、細く切ったにんじん、干ししいたけなどと一緒に醤油味で煮る。家庭により具は異なり、小女子、身欠きにしん、ほたて、さばの焼き干しなどの海産物や、さつま揚げやちくわなどの加工品と合わせることもある。すき昆布は一度加熱してあり水で戻しただけで食べられるため、サラダなどにも用いられる。すき昆布の煮物はできあがってすぐより、冷めるまでおくと昆布に味がしみこむ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 普代産すき昆布: 1枚(40g)水で戻して約700g +- 干ししいたけ: 中4枚(20g) +- にんじん: 80g +- さばの焼き干し: 半身分(100g) +- 油あげ: 小2枚 +- 梅干し: 5個 +- 水: 1,800cc +- 醤油: 大さじ8 +- みりん: 大さじ4 +- 酒: 大さじ5 + +## 作り方 +1. すき昆布は水でさっと洗い、たっぷりの水に20分くらいつけてもどし、よくほぐしてからザルにあげて水気をきる。 +2. 干ししいたけは水でさっと洗い、ぬるま湯に30分くらい浸けてもどし、いしづきをとり、薄めの千切りにする。 +3. にんじんは千切りにする。さばの焼き干しは、骨や皮を除き、荒くほぐしておく。油あげは熱湯をくぐらせて油抜きして、横半分に切り千切りにする。 +4. 銅鍋に水を入れ、すき昆布と干ししいたけを入れてふたをして強火にかけ、煮立ってきたら中火にして時々かき混ぜながら、昆布にちょっと歯ごたえが残るくらいまで約10分煮る。 +5. 4.に、にんじんを入れてひと煮立ちさせ、酒、みりん、醤油を加える。再び煮立ってきたら、さばの焼き干と油あげ、梅干しを加えてふたをし、中火で時々かき混ぜながら10分くらい煮る。煮えたら、梅干しの種を取り除く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岩手県食の匠日蔭茂井ソノ氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_5_1.jpg)" +"# 伝統餅料理 岩手県 + +**郷土料理名**: 伝統餅料理 + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +一関市を中心とした県南地域 + +## 主な使用食材 +餅、小豆、ごま、くるみ、あんこ、ずんだ、納豆など様々 + +## 歴史・由来・関連行事 +県南地域は比較的温暖な気候で古くから米の生産が中心であり、米が安定して栽培されていた。江戸時代、一関や平泉一帯を治めていた仙台藩の命により、毎月1日と15日に餅をついて神仏に供え、平安息災を祈るようになり、それが習慣となっていった。一関市では、「餅暦」によって季節の節目や行事ごとに年間60回以上も餅を食べる風習がある。また、武家では、冠婚葬祭時に「餅本膳」と呼ばれる儀礼食が食べられていた。祝儀にも、不祝儀にも「餅本膳」を食す伝統は一関地方ならでは。 「餅本膳」の席では、「おとり餅役」と呼ばれる仕切り役が口上を述べながら進行する。食べ方にも作法や決まりがあり、礼儀作法の「小笠原流」と、料理の家元「四条流」の流れをくんだものといわれている。 「餅本膳」の中には「雑煮」をはじめ「ずんだ」「じゅうね」などの食材を餅に絡めて食べる料理などがある。 + +## 食習の機会や時季 +「餅暦」により、正月、節句、彼岸、盆、などの季節の節目や行事に合わせ、年間60回以上の食習の機会がある。また、お客様をもてなすときや、冠婚葬祭時などことあるごとに餅が食される。 + +## 飲食方法 +納豆、ごま、山菜、くるみ、キノコ、枝豆、沼エビ、ドジョウ、ホヤ、イカなどさまざまな食材が使われる。また汁に入れるものや、絡めるものなどあり、現在約300通りの食べ方がある。近年はチーズ、カレー、トマトなど洋風の食材も使われている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (伝統餅料理の参考レシピ) +- 【あんこ餅】小豆、砂糖、塩: 適量 +- 【えび餅】沼えび、酒、しょうゆ少々、油: 適量 +- 【ずんだ餅】ゆでた枝豆、砂糖、塩、しょうゆ: 適量 +- 【しょうが餅】干ししいたけ、にんじん、根しょうが、砂糖、しょうゆ、酒: 適量 +- 【ふすべ餅】: 適量 +- 鶏ひき肉(赤身): 20g +- ごぼう: 200g +- しょうゆ: 大さじ3 +- 酒: 大さじ2 +- 油: 少々 +- だし汁: 180~250cc +- とうがらし: 1本 +- 【くるみ餅】くるみ、砂糖、塩: 適量 +- 【じゅうね餅】じゅうね(えごま)、砂糖、しょうゆ、塩: 適量 +- 【納豆餅】納豆、ねぎ、しょうゆまたは塩: 適量 +- 【雑煮餅】だいこん、にんじん、ごぼう(細いささがき)、かまぼこ(不祝儀、油揚げ)、せり、季節の野菜(みつば、きぬさや、ほうれんそう)等: 適量 + +## 作り方 +1. 【あんこ餅】小豆は煮てつぶし、砂糖、塩で調味し、つきたての餅をちぎってあんをからめる。 +2. 【えび餅】えびは洗って水気をきり、油で炒めしょうゆと酒で味をつけ、つきたての餅をちぎり和える。 +3. 【ずんだ餅】ゆでた枝豆をすり鉢に入れてすりつぶし、砂糖、塩で味を調える。 +4. 【しょうが餅】しいたけ、にんじんをだし汁で煮て調味し、片栗粉を入れてとろみをつける。しょうがのしぼり汁を加える。 +5. 【ふすべ餅】ごぼうは皮つきのまますりおろし、油で炒めて水をさし、鶏ひき肉を加えてごぼうになじませるようにしてかき混ぜる。しょうゆと酒で味をつけ、最後にとうがらしを加え、つきたての餅をちぎって入れる。※好みによってふすべを柔らかくする時にはだし汁を多くする。 +6. 【くるみ餅】くるみをよくすり、調理する。※時には水気をきった豆腐を入れる。 +7. 【じゅうね餅】じゅうね(えごま)はフライパンでいってから、すり鉢でする。水を加え砂糖、しょうゆ、塩で調味し、つきたての餅をちぎり、すったじゅうねで和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岩手県食の匠花泉出前餅つきグループ + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_6_1.jpg)" +"# 柳ばっと 岩手県 + +**郷土料理名**: 柳ばっと + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +県北地域 + +## 主な使用食材 +そば粉、木綿豆腐、にんじん、大根、ごぼう、しめじ + +## 歴史・由来・関連行事 +岩手県北部は冷涼な気候で米が育ちにくいため、厳しい環境でも育つヒエやアワ、そばなど雑穀の生産を続けてきた。そのため雑穀を使った料理が多く生まれることとなり、そば粉を使った「柳ばっと���はその一つ。江戸時代に当地を治めていた南部藩は、細切りの蕎麦は切るのに手間がかかり贅沢であるとして、農民が細切りのそばを食すことを禁止していた時期があった。人々はそば粉で柳の形の団子を作り「これはそばではない、柳ばっとである」と言ってそばを食し続けた。料理名の「柳ばっと」の「柳」は食材の形から、「ばっと」は、禁を犯した「法度」からきていると言われる。食材が柳を模しているのは、柳は春先に一番早く芽吹き、秋には一番遅く枯れるため、元気で長生きするようにという長寿の願いを込めていると言われる。地域によって柳ばっとう、柳葉、柳だんご、すりだんごなどとも呼ばれている。もちもちと歯ごたえのある食感だ。 + +## 食習の機会や時季 +冬の栄養源として、また体が温まる食べ物として食される。細切りのそばを打つより簡単なため、夕食が足りない時などに気軽に作って食べられたという。 + +## 飲食方法 +そば粉をこねたものを、真ん中が膨らんだ柳の葉の形にし、大根、にんじんなどの野菜やきのこをたっぷり入れたしょうゆ味やみそ味の汁で煮る。現在は鶏肉も入れるようになり、若い人にも人気の料理となっている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- そば粉: 150g +- 木綿豆腐: 100g +- ぬるま湯: 25cc +- にんじん: 40g +- ごぼう: 40g +- 大根: 50g +- しめじ: 40g +- 凍み豆腐: 1枚 +- 高菜漬け: 30g +- 煮干し: 30g +- 水: 1,600cc +- みそ: 50g + +## 作り方 +1. ボウルにそば粉、砕いた木綿豆腐、ぬるま湯を入れてこねる。耳たぶくらいの硬さになるよう、ぬるま湯の量を加減する。 +2. 1をまな板にのせて、直径1cm程度の長い棒状に伸ばしてから、5cmくらいにちぎり、両手で薄くつぶして柳の葉の形にする。 +3. 水に煮干しを入れてから火にかけて、だしをとる。 +4. にんじん、ごぼう、大根は短冊切り、凍み豆腐は水にもどし短冊切り、高菜漬けは塩抜きしてから3cmくらいに切る。 +5. 3のだし汁ににんじん、ごぼう、大根、しめじを入れて煮る。野菜が煮えたらみそを半分入れる。沸騰してきたら、2の柳ばっとを入れて煮立たせ、最後に残りのみそを入れて味を調える。 +6. 火を止めて、凍み豆腐と高菜漬けを入れてできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岩手県食の匠久保田ミサホ氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_7_1.jpg)" +"# 豆しとぎ 岩手県 + +**郷土料理名**: 豆しとぎ + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +県北地域 + +## 主な使用食材 +青大豆、米粉、砂糖、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +「豆しとぎ」は煮てつぶした青大豆に米粉と砂糖を入れて練った生菓子で、「しとぎ」は「すりつぶす」という意味で、通常は米粉で作られるお供え料理のことをいう。「豆しとぎ」はそれを豆で代用したもの。「豆すっとぎ」ともいう。岩手県北部は東からの冷風である「やませ」によって寒さが厳しく、かつては水田が少なく米が貴重だった。そのため豆やそば、雑穀なども栽培され、主食を補うものとしてよく食された。「豆しとぎ」についても、米粉を青大豆でかさ増しをしたものと考えられる。青大豆は、大豆が色づくまえの枝豆とは異なり、成熟しても皮や中身は青いままである。「豆しとぎ」は大豆が収穫される秋から冬にかけて各家庭で作られることが多かったが、特に大黒様(旧暦12月9日)や山の神様の年取り(12月12日)にお供えする習慣があった。また、春先にはうぐいすを呼ぶということで作られていた。現在でも一年の農作業をねぎらい収穫に感謝する「庭じまい(秋じまい)」という農家の行事などで作られている。 + +## 食習の機会や時季 +古くは旧暦12月に大黒様や山の神様、馬の神様にお供えしたり、春先にうぐいすを呼ぶものとして作られたりした。現在は大豆が収穫される秋から冬に主に作られ、「庭じまい(秋じまい)」という農家の行事で食される。現在も一部の家庭ではお供えする習慣が残っている。 + +## 飲食方法 +青大豆を水で戻し、ひとつまみの塩を加えてゆで、しっかり冷ます。それをすりつぶしたものに、米粉、砂糖、塩を混ぜてこね、棒状にまとめたものを切る。素材の甘さが生きるように、砂糖は控えめにする。黒豆など、青大豆以外の豆でも作られる。 時間がたって風味が落ちたものは、軽くあぶったり、フライパンやオーブントースターで焼いてもおいしい。冷凍保存が可能。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 青大豆: 200g +- 黒大豆: 50g +- うるち粉(生粉): 380g +- 砂糖: 180g +- 塩: 3g +- 水: 1,500cc + +## 作り方 +1. 大豆はきれいに洗い、一昼夜水に浸けておく(夏場は12時間)。 +2. 水を火にかけて沸騰したら、塩をひとつまみ入れ、1の大豆を入れて強火で煮る。 +3. 湯が煮立って大豆が動き出したら、アクを取りながら7分くらい強火で煮る(夏場は15分くらい)。豆の硬さをみて、大豆のゴツゴツ感がなくなったら、素早くザルにあけ湯をきる。 +4. 水を入れたボウルに、3の大豆を入れたザルを浸けながら5秒ほど流水で洗う。 +5. 4のザルを水から上げて、水をきり、人肌になるまで冷ます。 +6. ボウルにうるち粉と砂糖と塩を入れて混ぜておく。 +7. 冷ました大豆を豆すり機でつぶし、6のボウルに入れ、手でよく混ぜる。 +8. 7をもう一度豆すり機にかける。 +9. 8を耳たぶよりやや硬めで、しっとりなるまでこねる。 +10. 300gずつに分け、直径5cm長さ20cmの棒状にまとめ、好みの長さに切り分ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岩手県食の匠斎藤みつ子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_8_1.jpg)" +"# 果報だんご 岩手県 + +**郷土料理名**: 果報だんご + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +県南地域 + +## 主な使用食材 +うるち米粉、もち米粉、萩の木片、米、小豆、砂糖、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +12月24日(旧暦11月24日)の「大師講」という民間行事の日に供える菓子。その昔、弘法大師が貧しい農家に泊まった際、家人が団子を作ってお出ししたところ、中に藁が入っていた。弘法大師はそれに怒ることなく、人への優しさやもてなしの心を説き、その後貧しい農家は毎年豊作になったという言い伝えがある。それにちなんで作られるようになった「果報団子」は、 団子のいくつかに「果報」に見立てた萩の枝の木片を入れ、萩の木で作った杖と箸と一緒に神棚に供える。果報に見立てた木片が入った団子に当たると「果報を授かる=幸運を呼ぶ」と信じられ、その果報を神棚に供えると、翌朝にはお金に変わるという言い伝えから、子供にとって楽しみな行事料理だった。小豆はハレの日に食べる食材であるとともに、冬場の栄養食としても重宝された。 + +## 食習の機会や時季 +12月24日(旧暦11月24日)の「大師講」の日に供えて食する。現在は子供会で子供と一緒に作って食し、「果報を当てる」という、遊びの要素のある行事として楽しむこともある。 + +## 飲食方法 +米粉で作った団子を、小豆と米で作ったかゆに入れて食す。団子の一部には、果報に見立てた萩の木片を入れる。まただいこん、にんじん、ごぼう、干ししいたけ、鶏肉、みつばなどの具が入ったしょうゆ味の汁に団子を入れる作り方もある。地域によっては団子ではなく餅の場合もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分、だんご64個分) +- 【だんご】: 適量 +- うるち米粉: 320g +- 熱めの湯: 200cc +- 【汁だんご】: 適量 +- だし汁: 800cc +- 水: 1,000cc +- 昆布: 20cm +- かつお節: 20g +- だいこん: 100g +- にんじん: 30g +- ごぼう: 20g +- 鶏肉: 80g +- みつば: 20g +- 干ししいたけ: 3枚 +- しょうゆ: 大さじ1.5~2 +- 酒: 大さじ1 +- 塩: 小さじ1/3 +- 萩の枝: 適宜 +- 【あずきだんご】: 適量 +- 小豆: 150g +- 砂糖: 150g +- 塩: 少々 +- 水: 600~700cc程度 + +## 作り方 +1. 【だんご】うるち米粉に熱めの湯を少しずつ加えながら、耳たぶくらいのやわらかさにこね、64個に丸めながら数個に萩の枝を入れ、外観で分からないようきれいに仕上げる。それをゆで、浮いてきたら冷水に取りザルにあけ水きりする。 +2. 【汁だんごのだし】鍋に水と昆布を入れ、火にかけ、沸騰直前に昆布を引き上げる。 +3. 中火に弱めて、かつお節を入れ、沸騰寸前に手早く火からおろし、かつお節が鍋底に沈むのを待つ。 +4. ザルにクッキングペーパーまたはさらしを乗せて3をこす。 +5. 【汁だんご】だいこん、にんじんはいちょう切り、ごぼうはささがきにする。干ししいたけは水戻しして千切りにする。みつばは3cmに切る。鶏肉は食べやすい大きさに切り、湯通しする。 +6. だし汁にだいこん、にんじん、しいたけを入れ煮る。煮立ったらごぼうと鶏肉を入れ、具が煮えたらしょうゆ、酒、塩で味付する。 +7. だんごを入れ、ひと煮立ちさせたら火を止め、盛りつけ、みつばを添える。 +8. 【あずきだんごの粒あん】小豆を洗い、鍋に入れ、小豆がかぶるくらいの水を入れ、沸騰したらゆで汁を捨てる。再び鍋に水を入れ、沸騰させ、ゆで汁を捨てる。 +9. 鍋に水と小豆を入れ、沸騰したら火を弱めやわらかくなるまで煮る。 +10. 9に砂糖を2~3回に分けて入れ、焦がさないように煮つめる。煮つまり水が無くなってきたら塩を加え、火を止める。 +11. 【小豆だんご】鍋にあんを入れて火にかけ、湯を加えながら好みの濃さに溶く。 +12. だんごを入れ、沸騰したら火を止める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岩手県食の匠立木睦子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_9_1.jpg)" +"# 煮しめ 岩手県 + +**郷土料理名**: 煮しめ + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +焼き豆腐、にんじん、しいたけ、昆布、山菜、身欠きにしんなど + +## 歴史・由来・関連行事 +煮しめは県内全域において、冠婚葬祭、正月、盆など人が集まる際に作る習わしがある。主な具材としては、煮崩れしないように焼き目をつけた豆腐や、にんじん、こんにゃく、ふき、しいたけ、ぜんまいやわらびなどの山菜、身欠きにしんなどを入れる場合が多い。身欠きにしんは江戸時代、北前船により運ばれ、内陸部の貴重なたんぱく源として重宝された。煮しめの具材は地域によって異なり、奥羽山系・北上山系地域では塩蔵や乾燥させた山菜、凍み大根や凍み豆腐(高野豆腐)など保存食がふんだんに用いられる。特にぜんまいは山菜の中でも最高のものとされ、ぜんまいを切らずに煮る「ぜんまいの一本煮」も大事な行事の際に作られた。また、沿岸部ではソイやドンコ、アイナメ、ハモ(アナゴ)、鮭などの干し魚が入ることもある。 + +## 食習の機会や時季 +冠婚葬祭、正月、盆、端午の節句など人が集まる際に作られる。お重に詰めて持ち寄り料理として使われることも多い。現在では運動会などの行事や、作り置きのおかずとして「煮しめ」を活用している人もいる。 + +## 飲食方法 +焼き豆腐、にんじん、こんにゃく、山菜などをしょうゆとだしで煮る。地域や家庭によって具材や切り方が異なり、内陸部では身欠きにしん、レンコン、マイタケ、春に収穫して塩蔵保存したヒメタケなどを入れることがある。沿岸部ではソイやドンコ、アイナメ、ハモ(アナゴ)、鮭などを「煮しめ魚」として干して保存したものを用いたり、出荷できないアワビを入れたりすることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 乾燥ぜんまい(または干しわらび): 30g +- 塩蔵うど: 5~6本 +- 凍み大根: 50~70g +- 凍み豆腐(高野豆腐): 5個 +- にんじん: 1本 +- 身欠きにしん: 10本 +- 生しいたけ: 10枚 +- 早煮昆布: 20g +- こんにゃく: 1枚 +- だし昆布: 15g +- かつお節: 10g +- しょうゆ: 150cc +- みりん: 100cc +- 酒: 100cc +- 砂糖: 25g +- 塩: 適量 + +## 作り方 +1. 【乾燥ぜんまい・前処理】収穫したぜんまいを沸騰している湯に入れ、途中でひっくり返し、再び沸騰してきたら湯から取り出す。ムシロに広げて表裏をひっくり返しながら天日で干す。もんでも裂けくなったら、乾かしながら手で何度も繰り返してもみ、完全に乾かす。 +2. ぬるま湯に15分間浸し、手でもみほぐす。湯を取り替えながら、これを3回繰り返すと、ふっくらと戻る。 +3. ぜんまいを鍋に移し、火にかける。ひと煮立ちしたら鍋を火から下ろして、一晩おく。 +4. 根を揃えてぜんまいで束ね、根元を1cm切る。 +5. 【塩蔵うど・前処理】収穫したうどは、葉を取って塩漬けする(塩はうどの重量の30%)。7月下旬ごろには漬け直しをすると長期間保存できる。 +6. 銅鍋に水と塩蔵うどを入れて火にかける。 +7. 沸騰したら火を止めて、10~15分間置く。 +8. うどの色が鮮やかになったら、差し水をして、一晩置く。 +9. 水を取り替え、塩分が抜けたら、5cm幅に切る。 +10. 【凍み大根・前処理】土中で貯蔵しておいた大根を、寒の時期に皮をむいて、縦に半分に切る。ひもを通して軒下につるし、1ヵ月以上は寒風にさらす。できあがった凍み大根を長期間保存する場合には、冷凍保存とする。 +11. ぬるま湯に10分間浸し、手でもみながら戻し、水気を絞って、長さを5cm、縦に2~3等分に切る。 +12. 【身欠きにしん・前処理】米のとぎ汁に30分間浸けておく。 +13. 頭を落とし、1本を半分に切る。 +14. 【作り方】高野豆腐はぬるま湯で戻し、半分に切る。にんじんは大きめの乱切り、しいたけは軸を切り落とす。こんにゃくは10等分とし、真ん中に切れ目を入れて結ぶ。早煮昆布はさっと洗い、しんなりしたら結ぶ(10個)。 +15. 1,000ccの水でだし昆布とかつお節でだしを取り、塩以外の調味料を入れる。 +16. 身欠きにしんを入れて中火で5分間煮て、いったん取り出す。 +17. ぜんまい、うど、凍みだいこん、高野豆腐、生しいたけを入れて強火にし、煮立ったところでにんじんを入れて中火にする。 +18. 中火で20分ほど煮込み、にんじんがやわらかくなったら、塩で味を調え、身欠きにしんを戻し入れて5分ほど煮る。 +19. 火を止めて、そのまま味をなじませる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岩手県食の匠佐々木美代子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_10_1.jpg)" +"# お茶もち 岩手県 + +**郷土料理名**: お茶もち + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +県央地域、盛岡市 + +## 主な使用食材 +うるち米粉、くるみ、しょうゆ、みりん + +## 歴史・由来・関連行事 +県央地域は北上川流域で平坦な土地が多く、古くから水田地帯がひらけており、米の生産規模は比較的大きかった。しかし冷害で米がとれない年もあったため、食生活を安定させるために大麦、小麦、そばの生産も行われ、米やそれらを粉にして使う文化が発達したと言われている。「お茶もち」は、うるち米の粉で作った団子を2~3個串に刺して薄くつぶし、くるみだれ(しょうゆまたはみそ味)で味付けしたものを焼いた餅菓子で、昔は囲炉裏で両面をあぶって焦げ目をつけ熱いうちに食した。農家の小昼や子供のおやつとして長く市民に愛されている。名前の由来は、形が軍配うちわに似ていることから「うちわ餅」と呼んだものが、なまったと言われている。また、盛岡市内では、米の粉に水を加えながら練ってつくる餅菓子類を総じて「べんじぇもの」と呼ぶ。江戸時代、盛岡の中心部を流れる北上川は舟運の中心であり、北上川を上って都から物資を運んできた船を「弁財船」と呼んだ。その「弁財船」によって運ばれてきた上方からの華やかな品物は「弁財物」と呼ばれ、盛岡弁になまって「べんじぇもの」となり、餅菓子類の名前として残っている。 + +## 食習の機会や時季 +農作業の合間の小昼(休憩)や盆・彼岸をはじめ、子供のおやつとして食された。現在も子供から大人まで、おやつやちょっとした手土産として、日常的に食している。 + +## 飲食方法 +うるち米粉にお湯を入れてこね、平らな団子状に伸ばす。それを2~3個串に刺したものを蒸し、くるみだれをつけて焼いて食べる。くるみだれにはしょうゆ味のものとみそ味のものがある。くるみだれを塗る前の状態であれば、冷凍が可能。岩手県ではくるみは食生活に深く根付いており、「おいしい味」のことを「くるみあじ(くるびあじ)」と表現することもあるほど県民にとって特別なもの。「お茶もち」はそのくるみとしょうゆというシンプルな味付けを楽しめるお菓子である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10個分) +- うるち米粉: 400g +- 熱湯: 500ml +- 割り箸: 5膳 +- 【くるみだれ】くるみ: 60g +- 【くるみだれ】砂糖: 大さじ6 +- 【くるみだれ】しょうゆ: 50ml + +## 作り方 +1. うるち米粉を鍋に入れ、中火にかけてへらでかき混ぜながら、人肌くらいになるまで温める。 +2. うるち米粉をボウルに移し、熱湯を少しずつ回しながら加え、箸でかき混ぜる。全体的に大小の塊ができてきたら、手に打ち粉を取りながら手のひらで耳たぶくらいの硬さになるまでよくこねる。 +3. 生地をいくつかに分けてうちわであおぎ、冷めたら全部まとめ、再度しっかりとこね直す(10分間)。 +4. 生地をピンポン玉くらいの小さめの団子が30個できるように分けて丸め、あらかじめ割っておいた割り箸に細い方から3個ずつ刺す。一���上の団子は、割り箸の先が出ないようにする。 +5. 打ち粉をしたまな板の上で、手のひらで団子を押しつぶして平らにする。両面とも押して薄くするが、割り箸の部分をあまり薄くすると後で割れるので注意する。 +6. 蒸気の上がった蒸し器に、濡れ布巾かクッキングシートを敷き、5を重ならないように並べて、8分程度蒸す。 +7. 蒸している間に、すり鉢でくるみをすり、分量の砂糖、しょうゆを入れて混ぜ合わせ、くるみだれを作る。くるみは、粒が少々残っていた方が、食感が良い。 +8. 6が蒸し上がったら、くっつかないようにクッキングシートを敷いたバット等の上に置き、乾かないようにラップをかけておく。 +9. 8を炭火またはガスで、両面に焦げ目がつく程度焼き、くるみだれを両面に塗ってできあがり。できあがり直後は少ししょっぱく感じるが、時間がたつと味がなじんでくる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岩手県食の匠八幡るり子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_11_1.jpg)" +"# 氷頭なます 岩手県 + +**郷土料理名**: 氷頭なます + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +三陸沿岸地域、県央地域 + +## 主な使用食材 +鮭の頭、大根、にんじん、酢、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +岩手県は、秋鮭の水揚げが本州トップクラス。特に津軽石川は宮古湾最奥部に注ぐ清流で、鮭の遡上する川として有名である。この地域で獲られる鮭の雄は、11月中旬~1月下旬に産卵の時期が近づくと口先が曲がり、「南部鼻曲がり鮭」と呼ばれる。江戸時代には南部藩の重要な財源で、昔から県民に親しまれており、現在は「県の魚」に制定されている。「氷頭」は鮭の頭の軟骨のことで、平安時代前期に朝廷から出版された「延喜式」(926年)の中にも、氷頭が朝廷へ奉納されたという記述があるほど、古くから食されているものである。「氷頭なます」は氷頭をなますにしたもので、正月料理に欠かせない酢のものである。一匹からわずかしかとれない貴重なもので、珍味として珍重されている。鮭はエラ以外のすべてを食べることができる魚であり、鮭が豊富だった頃には丸ごと一匹購入し、各家庭でそれぞれの部位を使った料理をしていた。その食べ方の中でも「氷頭なます」は、海からの恵みを余すところなく食し、自然への敬意を感じ取ることができる一品。生鮭だけでなく、新巻鮭や塩鮭の頭も塩抜きして使うことができる。こりこりとした歯ごたえが特徴だ。 + +## 食習の機会や時季 +正月料理の一品として食される。鮭が獲れる時期には酒の肴として楽しまれたり、また、いくらを乗せておもてなし料理にされたりすることもある。 + +## 飲食方法 +生鮭の頭の氷頭(軟骨)部分のみを薄くスライスし、塩をふってしばらく置いたものを酢でしめ、大根やにんじんのなますと合わせる。三陸沿岸地域では鮭のはらこ(いくら)を乗せる場合もあり、より華やかになる。氷頭を取ったあとの頭も、大豆や昆布と煮たり、なますやあら汁にしたりして食べられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 生鮭の頭: 2匹 +- 酢: 大さじ2 +- 大根: 100g +- にんじん: 30g +- 酢: 大さじ2 +- 砂糖: 大さじ1/2 +- 塩: 小さじ2/3 + +## 作り方 +1. 生鮭の頭の鼻先をきれいに水洗いし、皮のついたまま包丁でそぎ落とす。 +2. 1を薄くスライスして、塩(分量外)でもみ、水洗いした後、酢に浸しておく。 +3. 大根とにんじんは千切りにして塩水につけてしんなりとさせる。 +4. 3を絞って水気をきり、2の氷頭と合わせて酢・砂糖・塩で和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「食べよういわて郷土食と食の匠の技」(三浦紘子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_12_1.jpg)" +"# いもの子汁 岩手県 + +**郷土料理名**: いもの子汁 + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +北上川流域 + +## 主な使用食材 +さといも、鶏肉、木綿豆腐、大根、にんじん、ごぼう、だし、しょうゆ + +## 歴史・由来・関連行事 +北上川流域はさといもの生産に向いた土壌で、昔からさといもが多く作られている。さといもの歴史は古く、縄文時代に米よりも早く日本に入ってきたと考えられている。古くは万葉集にも記載があり、十五夜や正月に餅ではなく、さと���もを供える文化が各地に点在している。「いもの子汁」は秋に旬を迎えるさといもを、にんじん、大根、ごぼう、きのこ、こんにゃく、豆腐、鶏肉等をひと口大の大きさに切ったものを煮込んだ汁物の料理。一杯で多彩な食材が食べられるので、たんぱく質やビタミン類、食物繊維など、幅広く栄養を摂ることができる。昔は稲刈り後など農作業が一段落した時や人が集まる時のごちそうとして、また、身体を温める料理として振る舞われた。現在は、北上川の川岸にグループで集まり、いもの子汁を食すのが秋の風物詩となっており「芋煮会」「いもの子会」と呼ばれる。 + +## 食習の機会や時季 +秋口から晩秋にかけて、さといもの収穫時期に食される。家庭の食卓にも日常的に並ぶ、人気のメニュー。 人が集まる席やお祭りで作ることもあれば、「いもの子汁」を食すために集まることもある。 + +## 飲食方法 +地元のさといも、大根、にんじん、ごぼう、木綿豆腐、鶏肉などを煮込み、しょうゆで味をつける。豚肉や味噌を入れる地域もある。岩手にはねっとりやわらかい舌ざわりが特徴の「二子さといも」と、ホクホクした食感の「津志田芋」、特徴の異なる二つの有名なブランドいもがあり、それぞれ人気がある。「二子さといも」の産地である北上市二子地区では、さといもの味をしっかり味わえるようにするために、皮はこそぐようにむき、さといも以外の根菜を入れずに「いもの子汁」を作る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- さといも: 1kg +- つきこんにゃく: 250g +- 鶏肉: 150g +- 豆腐: 200g +- しめじ: 100g +- ねぎ: 150g +- 鶏がらスープ(鶏がら1羽、水2,500cc、ねぎ、根しょうが): 1,000cc +- 水: 1,500cc +- 酒: 25cc +- しょうゆ: 200cc +- 塩: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 鶏がらは水でよく洗い、鍋に入れ、水とねぎ(緑の葉の部分)や根しょうがの薄切りを入れて火にかけ、途中でアクをとりながら、静かに30分程度煮出す。 +2. さといもは洗って土を落とし、皮を包丁でこそげ落とし、大きめに切り、塩水に浸ける。 +3. 鶏肉は皮をとって3cmくらいに切る。 +4. 豆腐は、3cm角くらいの大きさに切り、しめじは小房に分け、ねぎは斜め薄切りにする。 +5. 鍋に、1の鶏がらスープと水を入れて煮立て、そこへさといも、こんにゃく、鶏肉としょうゆを大さじ2入れて煮る。 +6. さといもがやわらかくなったら、酒、しょうゆ、塩で調味し、豆腐とねぎを入れてひと煮立ちさせてできあがり。※鶏がらスープはたくさんできるので、残りはいろいろ料理に活用する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岩手県食の匠ふたごいものこ母ちゃんの会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_13_1.jpg)" +"# へっちょこだんご/うきうきだんご 岩手県 + +**郷土料理名**: へっちょこだんご/うきうきだんご + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +県北地域 + +## 主な使用食材 +たかきび粉、もちあわ粉、いなきび粉、小豆、砂糖、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +岩手県北部は冷涼な気候で米が育ちにくいため、厳しい環境でも育つヒエやアワ、そばなど雑穀の生産を昔から続けてきた。そのため雑穀を使った料理が多く生まれた。「へっちょこだんご」は雑穀のたかきび粉、もちあわ粉、いなきび粉などを使い、それぞれ丸めてだんごの中央をへこませ、煮立った甘い小豆汁に入れたもの。たかきび粉には少し苦みがあり、甘い小豆汁によく合う。へこませることで小豆汁がしみこみやすくなる。「へっちょこ」の名前の由来は、1年間農作業で「へっちょ(苦労)」したことをねぎらう意味。また、へこんだ形が人間のへそに似ているからとも言われる。煮えるとだんごが浮いてくることから、「うきうきだんご」と呼ばれることもある。 収穫の終わった庭仕舞い(秋仕舞い)の時の行事食として食されたり、神様にお供えされたりした。 + +## 食習の機会や時季 +収穫の終わった庭仕舞い(秋仕舞い)のあとに、苦労をねぎらう行事食として食されたり、神様にお供えされたりした。少し特別なおやつとして、人をもてなす際にも作られる。 + +## 飲食方法 +たかきび粉、もちあわ粉、いなきび粉を、それぞれ熱湯を入れてこねて団子状にし、真ん中をへこませる。水で戻して煮���小豆汁に団子を入れて煮る。浮き上がってきたら出来上がり。小豆汁ではなく、大根・にんじん・しいたけなどを入れ、味噌や醤油で味をつけた汁に団子を入れる、「へっちょこだんご汁」もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6人分) +- 【小豆汁】: 適量 +- 小豆: 1カップ +- 水: 800cc +- 砂糖: 100g +- 塩: 小さじ1/2 +- 【だんご】: 適量 +- たかきび粉: 1カップ +- 熱湯: 50cc +- もちあわ粉: 1/2カップ +- 熱湯: 35cc +- いなきび粉: 1/2カップ +- 熱湯: 26cc +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 【小豆汁】小豆は一晩水に浸けたっぷりの水でやわらかく煮る。 +2. 煮えた小豆はこしあんにして、砂糖、塩少々を加え小豆汁をつくる(つぶあんでもよい)。 +3. 【だんご】たかきび粉に塩をひとつまみ入れ、熱湯を加えて混ぜ、耳たぶくらいの硬さにこねる。 +4. こね上がったら2cmぐらいの球状に丸め、まん中を人さし指で押し、おへそみたいなくぼみをつける。 +5. もちあわ粉、いなきび粉も1と同様にこねて球状にし、くぼみをつける。 +6. 煮立っている小豆汁にだんごを入れ、だんごが浮き上がってきたらできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岩手県食の匠高村民子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_14_1.jpg)" +"# かまもち 岩手県 + +**郷土料理名**: かまもち + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、黒砂糖、味噌、くるみ + +## 歴史・由来・関連行事 +岩手県は寒冷な気候であり、ときには冷害で米だけでは食生活が安定しないこともあったため、古くから小麦、そばをはじめ、あわやきびなどの雑穀を生産していた。そのため小麦粉や雑穀粉を利用した食文化が発達した。「かまもち」もその一つである。「かまもち」は味噌、黒砂糖、くるみを混ぜたあんを小麦粉を練った生地で包んだものであり、半月状の形が特徴。身近な食材で気軽に作れるため、よく食されてきた。「かまもち」の名前の由来は、草を刈る鎌に形が似ているからとも、「かます」(わらを編んだむしろを袋状にしたもの)に形が似ているからとも言われる。地域により呼び名が異なり、県北・県央地域では「かまもち」「かまやき」、県南地域では「煮あげもち」、沿岸北部では「ひゅうず」、沿岸南部では「かまだんご」と呼ばれることが多い。「ひゅうず」は、火打石に形が似ていることが由来になっていると思われる。農作業の合間の小昼(休憩)に気軽に食べられるものとして、また人が集まるときのおやつとして広い年代に愛されている。砂糖が貴重だった時代には、砂糖を入れず味噌とくるみだけを入れた。 + +## 食習の機会や時季 +農作業の合間の小昼(休憩)や人が集まる行事、また普段の手軽なおやつとして食された。宮古市刈屋地区中里(旧新里村)で食べられている「花ひゅうず」は、花びらのように縁にひだを寄せたもので、この地区では盆と正月に甘酒と「花ひゅうず」を供える風習がある。 + +## 飲食方法 +小麦粉を熱湯でこね、平らにのばす。その上に黒砂糖、味噌、くるみを練り合わせたものを乗せ、二つに折って閉じたものを熱湯でゆでる。時間がたって硬くなったものはストーブで焼いて食すこともある。味噌あんのかわりに、ごまあん、きなこあんを入れる家庭もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (12個分) +- 【生地】: 適量 +- 小麦粉: 320g +- もち粉: 80g +- 塩: 3g +- 熱湯: 320ml +- 【あん】: 適量 +- 黒砂糖: 50g +- 味噌: 20g +- くるみ: 40g +- すりごま(白): 小さじ1/2 +- 【手粉】: 適量 +- 小麦粉: 適宜 + +## 作り方 +1. くるみは2~3mmの大きさに細かく刻んでおく。 +2. 黒砂糖と味噌をボウルに入れ、すりこぎなどで砕きながら混ぜる。 +3. 2黒砂糖と味噌のあんにくるみとすりごまを混ぜる。 +4. 3あんを12等分にし、手で丸めてからやや平らに形を作っておく。 +5. 小麦粉ともち粉と塩を混ぜ、ふるいにかけておく。 +6. 5の粉をボウルに入れ、熱湯を回しかけ、箸で混ぜる。だまがなくなり、生地の表面が滑らかになり、耳たぶくらいの硬さになるまでよくしとねる(こねる)。 +7. 6生地を12等分し、1個ずつ丸めておく。 +8. 7生地を円形で底の平らなカップなどで押して平らに伸ばし、生地の上に4を乗せ、二つ折りにし半��状に包む。端から内側のあんが出ないようしっかり閉じる。(小麦粉を水でといたものを塗って閉じるとよい +9. 湯を沸かした鍋に8を入れて、ゆでる。平らに浮き上がったら、網じゃくし等で鍋から取り出し、冷水にさらした後、ぬれぶきんの上に置いて少し乾かす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岩手県食の匠佐藤ミキ子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_15_1.jpg)" +"# そばかっけ 岩手県 + +**郷土料理名**: そばかっけ + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +県北地域 + +## 主な使用食材 +そば粉、小麦粉、くるみ、しょうゆ、みりん + +## 歴史・由来・関連行事 +岩手県北部は東からの冷風である「やませ」の影響もあり寒さが厳しく、かつては水田が少なく米が貴重だった。それを補うため古くから小麦、そば、雑穀などの生産が盛んであり、それらを粉にしたものを使う文化が発達した。「そばかっけ」は南部藩がこの地を治めていた時代から伝承される料理である。そば粉をこねて平らに伸ばしたものを小さく三角形に切り、それをだいこんや豆腐などと一緒に煮て、にんにく味噌をつけて食べる。来客など特別な日の、体の温まるもてなし料理として親しまれてきた。かつては「かっけ」と言えばそば粉で作る黒い「そばかっけ」だったが、近年では小麦粉で作る白い「麦かっけ」のつるりとした食感も好まれている。 「かっけ」の由来は、そばを打つ際にできる切れ端=「かけら」のことであるとか、この地方の方言である「さぁ食べてください」と言う意味の「かぁ、けぇ」からであるとも伝えられている。 + +## 食習の機会や時季 +来客など特別な日の、体の温まるもてなし料理として家庭で作られ、親しまれてきた。 + +## 飲食方法 +そば粉を切りそばよりやわらかめにこね、薄くのばしたものを三角形に切る。だいこん、豆腐、しいたけを入れただしにかっけを入れて軽くゆで、にんにく味噌をつけて食す。卓上コンロでゆでながらしゃぶしゃぶのように食しても良い。くるみ味噌をつけることもある。近年は揚げて塩コショウをしておつまみにしたり、焼いてピザにしたりするなど新たなアレンジの研究がされている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3人分) +- 【そばかっけ】: 適量 +- そば粉: 240g +- 小麦粉: 60g +- そば粉(打ち粉用): 適宜 +- 水: 130~150ml +- 【鍋】: 適量 +- だし昆布: 3g +- 豆腐: 300g +- だいこん: 200g +- 【にんにく味噌】: 適量 +- 味噌: 100g +- 酒: 小さじ2 +- 砂糖: 小さじ2 +- すりおろしにんにく: 25g + +## 作り方 +1. ふるいを通したそば粉と小麦粉をこね鉢に入れて混ぜ、渦巻き状に作った溝に水を少しずつ入れる。 +2. 水を均一に馴染ませるために空気を入れるように混ぜて、徐々にぽろぽろの状態にする。 +3. 生地をまとめ、表面にひびが入らなくなるまで15分程度こねる。 +4. 打ち棒を転がしながら、1辺が30cm程度になるまで四角く伸ばす。 +5. 「打ち棒に生地を巻く→広げる→伸ばす」ことを繰り返し、正方形になるよう整えながら、厚さ1mmになるまで伸ばす。 +6. 打ち粉をしながら横半分に切って重ね、縦半分に切って重ねる。さらに縦半分に切って重ね三角形になるよう切る。 +7. 土鍋に水と昆布を入れ、沸騰したら昆布を取り出し、下ゆでしただいこん、かっけ、豆腐を入れ、かっけが浮き上がってきたら、器に盛ってにんにく味噌を付けて食す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岩手県食の匠柳下アイ子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_16_1.jpg)" +"# ひなまんじゅう 岩手県 + +**郷土料理名**: ひなまんじゅう + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +県央地域 + +## 主な使用食材 +うるち粉、もち粉、砂糖、こしあん、片栗粉、食紅 + +## 歴史・由来・関連行事 +県央地域は北上川流域で平坦な土地が多く、米、小麦、大麦、そばなどの栽培が盛んであったため、それらの粉を使った多様な料理が発達した。「ひなまんじゅう」は「はなまんじゅう」「花だんご」などとも呼ばれ、米粉でこねてあんを入れたまんじゅうを花、桃、木の葉、うさぎなどの形にしたもの。3月3日の桃の節句には「きりせんしょ」と共に供える。また地域によっては法事や彼岸の時にも供えられた。花巻市大迫町はかつて三陸と盛岡を結ぶ街道の宿場町として栄え、江戸時代から代々受け継がれた貴重なひな人形が数多く残されている。そして桃の節句には、子供達が「おひなさん、おみせってくなんせ」と言いながら家々のひな人形を見て歩き、「ひなまんじゅう」をもらうのが風習となっていた。当時は子供や親戚に配るため、各家庭でひなまんじゅうを数多く作っていた。 + +## 食習の機会や時季 +3月3日の桃の節句(ひな祭り)でお供えする。地域により法事や彼岸の時にも供えられる。 + +## 飲食方法 +うるち粉ともち粉で作った生地に食紅等で色をつけ、中に小豆あんを入れる。木型や竹串、はし、はさみ等を使って花や柿や桃などの果物、うさぎ等の形に整える。形の種類は30以上存在すると思われ、今でも木型が販売されている。現在は昔に比べて大きさが小ぶりになっている。できたてより少し時間がたったほうが、生地が落ち着き、味がなじむ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (15個分) +- うるち粉: 300g +- もち粉: 200g +- こしあん: 300g +- 熱湯: 400~500ml +- 砂糖: 大さじ2 +- 食紅: 適宜 +- 片栗粉(手粉用): 適量 + +## 作り方 +1. 【白生地】うるち粉、もち粉をふるいにかける。 +2. 1の粉をボウルに入れ、400mlの熱湯を少しずつ注ぎ、粉っぽさがなくなるまで箸でかき混ぜる。 +3. 内側に折り込むようにしながら手で生地をまとめる。必要に応じて、耳たぶくらいのやわらかさになるまで、残りの熱湯を少しずつ加える。 +4. 3を二等分に分け、蒸気の上がった蒸し器に蒸し布を敷き、生地を並べ、ふたをして25分蒸す。 +5. ボウルに水をはり、4の生地を入れ、表面を洗いぬめりを取る。 +6. 乾いたボウルに5の生地、砂糖を加え、はじめは熱いので手水をつけながら、弾力が出るまでしっかりこねる。 +7. 【大福】白生地40g程度(作る形により調整する)を円盤状に伸ばし、あん20g程度を包み丸める。 +8. 好きな形に成形する。 +9. 【例1:柿】だいだい色の食紅を少量の水に溶かし、つまようじの先で白生地40g程度につける。 +10. 9を色が均一になるまでこねて円盤状に伸ばし、あん20g程度を包み、柿の形に整える。 +11. 9と同様に少量の緑色の生地を作って伸ばし、型などを使って葉を作る。 +12. 10に、3を箸などで押し込み固定する。 +13. 【例2:花】木型に片栗粉をふり、8を木型に入れ成型する。 +14. 花の中心部に色づけした生地を飾り、箸などで押し込み固定する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岩手県食の匠小原雍子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_17_1.jpg)" +"# さんまのすり身汁 岩手県 + +**郷土料理名**: さんまのすり身汁 + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +三陸沿岸地域 + +## 主な使用食材 +さんま、大根、にんじん、豆腐、ねぎ、卵、味噌、しょうゆ + +## 歴史・由来・関連行事 +岩手県は、さんまの海面漁業の漁獲量が本州1位だ(農林水産省「令和2年漁業・養殖業生産統計」)。以前は、すり身はイワシで作り、サンマは塩焼きや塩炊きにして食べていたが、60年ほど前からさんまの漁獲量が増え、さんまをすり身にして汁物としても食するようになった。しかし近年は水揚げ量が減少傾向である。 「さんまのすり身汁」は新鮮なさんまのすり身を団子にして入れた汁もの料理。すり身に練りこんだ調味料とさんまの旨味が汁に溶け込んだ素朴な味わいである。 さんまをすり鉢でよくすることが、ふわっとした美味しいすり身にするコツ。三陸沿岸部では、さんまが出回る時期の定番家庭料理として広く愛されている。 + +## 食習の機会や時季 +さんまが漁獲される時期に、各家庭で作られる定番料理である。鮮魚店やスーパーですり身が販売されており、手軽に作ることができる。 + +## 飲食方法 +おろしたさんまをすり鉢ですり、味噌、卵、塩、しょうゆ、酒で味付けする。沸騰させた鍋で団子状にしたすり身を煮た後、大根、にんじん、ねぎ、豆腐を入れて柔らかくなるまで煮る。味付けは味噌の場合と、しょうゆの場合がある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4~8人分) +- さんま大2尾: 200g +- だいこん: 250g +- にんじん: 40g +- ねぎ: 30g +- 豆腐: 200g +- みそ: 50g +- 卵: 1個 +- 塩: 小さじ1/2 +- しょうゆ: 大さじ1 +- 酒: 大さじ2 +- ���: 1,800cc + +## 作り方 +1. さんまは皮をとり、三枚におろし、身の部分を細かくたたいてからすり鉢で粘りが出るまで、よくする。 +2. よくすったら、みそ、卵、塩、しょうゆ、酒を入れて、良くなじむようにさらにすり混ぜる。 +3. だいこん、にんじんは乱切り、ねぎは斜め切りに、豆腐は厚めの一口大に切る。 +4. 水を沸騰させた鍋に、2を20~30g程度のだんごにして入れる。すり身をだんごにするときは、スプーン等ですくうとつくりやすい。 +5. 15分程度煮て、すり身に練りこんだ調味料やさんまの旨みが溶け出してきたら、だいこんとにんじんを入れ軟らかくなったら、豆腐とねぎを入れて、ひと煮立ちしたら出来上がり。汁が薄かったら、みそをしょうゆでといて味を調える。 +6. 好みで、薬味にこうじなんばんを入れると生臭みが消え、辛みがあっておいしい。(こうじなんばんは、こうじ1:しょうゆ1:とうがらし1/2の割合でよく混ぜ、3か月以上ねかせてつくる)。※分量について:三陸地方では家族が少なくても、すり身汁は水1,800cc、サンマ2尾の分量でつくる(ことが多い)。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岩手県食の匠大船渡市田中ハル子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_18_1.jpg)" +"# うこぎのほろほろ 岩手県 + +**郷土料理名**: うこぎのほろほろ + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +県央地域 + +## 主な使用食材 +うこぎ、味噌漬け大根、くるみ + +## 歴史・由来・関連行事 +「うこぎ」はたらの芽、うどと同じウコギ科の落葉低木で、樹高は2~7m。短枝が多く、4~7mmの細いとげがある。山野に自生しているが、岩手県や山形県では、古くから食用を兼ねた垣根として利用されている。春に伸びてきた新芽を収穫し、食用にする。日本に「うこぎ」が入ってきたのはかなり古く、日本最古の本草書「本草和名」(918年)にも記載がある。主に救荒食品として活用された歴史があるが、実は栄養価が高く、ポリフェノールや食物繊維、カルシウム、ビタミンC、などを豊富に含んでおり、近年では抗酸化作用や血糖値低下作用、コレステロール低下作用、腸内環境改善などの効果があることがわかってきている。「うこぎのほろほろ」は、「うこぎ」をゆでて刻み、味噌漬けの大根やくるみを細かくしたものを混ぜてふりかけのようにしたもの。「ほろほろ」という名前の由来は、かつて南部藩の武士が食べようとしたら箸からほろほろとこぼれ落ちてしまったからと言われる。現在でも盛岡周辺では生垣や畑の端に「うこぎ」が植えられている。 + +## 食習の機会や時季 +春、うこぎの芽が出る時期に食される。冬の間に不足していた栄養素を補う意味もある。昔は凶作のときの救荒食品として活用されていた。 + +## 飲食方法 +うこぎをゆで、水をしっかり切って刻む。味噌漬け大根、くるみも細かく刻んで混ぜる。味噌漬け大根の替わりに焼き味噌を入れることもある。作る際にうこぎが多ければ淡白な味に、みそ漬け大根が多ければ長持ちし、くるみが多ければコクがでる。ご飯に乗せたり、パンに挟んだりして食べても良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- うこぎ: 15g +- 味噌漬け大根: 10g +- くるみ: 20g +- 塩: 適宜 +- しょうゆ: 適宜 + +## 作り方 +1. うこぎは塩(分量外)を入れた湯で硬めにゆで、色止めのため冷水にとってよく冷まし、固く絞って水気をきり細かく刻む。 +2. 味噌漬け大根、くるみも細かく刻み、1とよく混ぜ合わせる。好みの味になるように、塩、しょうゆで味付けする(白ゴマやにんじん、赤なんばんを刻んだものを混ぜ合わせてもよい)。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「食べよういわて郷土食と食の匠の技」(中村町子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_19_1.jpg)" +"# 小豆ばっとう 岩手県 + +**郷土料理名**: 小豆ばっとう + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +三陸沿岸地域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、小豆、ざらめ + +## 歴史・由来・関連行事 +「小豆ばっとう」は、甘みをつけた小豆汁に幅広で短めのうどんを入れて煮込んだ料理であり、主に三陸沿岸地域で食される。「ばっとう」の名前の由来は「ほうとう」がなまったものと言われる。 建前(上棟式)や庭じまい(秋じまい)などお祝いの時のごちそうとして、また農作業時のおやつ、冬に人が集まるときに振る舞うことが多い。その際はどんぶりに盛り分け、吸い物と漬物、酢の物等と組み合わせて食べる。三陸沿岸地域では、8月7日(盆の七日目としている地域もある)の「七日日(なのかび)」に「7回水浴びをし7回小豆ばっとうを食べると、その年は無病息災で過ごせる」という風習があり、夏の風物詩となっている。 + +## 食習の機会や時季 +農作業時のおやつとして、また庭じまい(秋じまい)など祝いの席や人が集まるときに食すことが多い。お盆の7日目に食す風習のある地域もある。 + +## 飲食方法 +小麦粉をこねて寝かせ、幅広のうどん状に切る。甘みのある小豆汁を作り、先に煮たものを小豆汁に合わせ。小豆汁の中に直接入れて煮ることもあり、その場合は汁にとろみが出る。近年では小豆ばっとうとソフトクリームを合わせたような新しいアレンジメニューも販売されている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 小豆: 150g +- ざらめ: 120g +- 塩: 少々 +- 小麦粉(ナンブコムギ): 150g +- ぬるま湯(55℃ぐらい、粉の状態によって水分量を加減する): 50~60cc + +## 作り方 +1. 小豆は水洗いし、鍋に入れ、水から煮る。少し煮立ったら水を捨て、水洗いしアクを取る。 +2. 再度、小豆の3倍の水を入れ煮立たせ、静かにやわらかくなるまで煮る(圧力釜で煮てもよい)。 +3. やわらかく煮えたら、水200cc(分量外)を入れ、煮立たせる。ざらめと塩を入れる。 +4. 小麦粉をボウルに入れ、ぬるま湯(55℃ぐらい)の湯を少しずつ、加減を見ながら入れ、耳たぶ程度の硬さにこねる。 +5. ラップに包み30分ぐらい寝かせておく。 +6. のし板に打ち粉をふり、5を麺棒で3mmくらいの厚さに伸ばす。 +7. 6を長さ8cm、幅8mmに切る(その際、打ち粉を使ってくっつかないようにする)。 +8. 鍋にたっぷりの湯を沸かし、沸騰したら7を入れ、浮き上がったら1~2分おき、水に取り洗う。 +9. 3に入れて、ひと煮立ちさせてできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岩手県食の匠松田ひろ子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_20_1.jpg)" +"# 豆腐田楽 岩手県 + +**郷土料理名**: 豆腐田楽 + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +県北地域 + +## 主な使用食材 +豆腐、味噌、にんにく、酒 + +## 歴史・由来・関連行事 +県北地域は冷涼な気候で米が育ちにくいため、厳しい気候でもよく育つ大豆を生産してきた。栄養に優れた豆腐は「畑の肉」とも呼ばれ、重宝された。昔は家庭で豆腐を手作りする習慣があり、大量に作った豆腐は近所でやりとりするなど食べる機会が多く、手作り豆腐文化が根付いている。手作り豆腐は煮物、汁物、白和え、鍋など様々に調理し、冬には凍り豆腐にして春まで食べつないだとされる。現在でも、岩手県は一世帯当たりの豆腐消費量が多く、豆腐をよく食する地域である。「豆腐田楽」は、硬めに作られた木綿豆腐を長方形に切り、竹串に刺して炭火であぶり、主ににんにく味噌を付けて食べるもの。焦げ目の香ばしさとにんにくの香りが楽しめる。串は、はじぎ(ミツバウツギ)の枝で作ることが多い。味噌に入れるものは季節により変化し、にんにくは主に冬。春はばっけ(ふきのとう)、初夏には山椒の葉などを入れて食される。 + +## 食習の機会や時季 +行事の際にはごちそうとして豆腐が手作りされ、煮しめなどとともに「豆腐田楽」が作られていた。また、12月の「大黒様の年越し」と呼ばれる行事には、数多くの大豆料理を供える風習があり、「豆腐田楽」はその献立の一つだったと言われている。お花見の時期に山椒入りの味噌を使った豆腐田楽を「木の芽田楽」と称して提供する店もある。 + +## 飲食方法 +硬めに作られた木綿豆腐を長方形に切り、竹串に刺して炭火であぶり、にんにく味噌を付けて食べる。味噌はにんにくのほかにも、ばっけ(ふきのとう)を入れたり、山椒を入れたりする。大根おろしを一緒に食べると消化に良いとされる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (100枚分) +- 豆腐: 適量 +- 味噌: 500g +- にんにく: 大玉2個 +- 酒: 90cc + +## 作り方 +1. 少し硬めに作った豆腐を長方形に切り串に刺す。 +2. にんにくは皮をむいてすりおろし、味噌、酒などを加えて、よく練り上げる。 +3. 1の豆腐を炭火で焼き、両面をよく焼いたら2のにんにく味噌をつけて焼く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岩手県食の匠はしかみ桂水会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_21_1.jpg)" +"# うす焼き 岩手県 + +**郷土料理名**: うす焼き + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +盛岡市 + +## 主な使用食材 +小麦粉、紅しょうが、ねぎ、桜えび、海苔、ねぎ、天かす + +## 歴史・由来・関連行事 +小麦粉を水で溶いたものを薄くのばし、ねぎ、紅しょうが、桜えび、天かす、海苔などを乗せて焼いたものに、最後に表面にしょうゆを塗る。くるくると巻いて提供されることもある。もちもちとした食感で、桜えびの風味と紅生姜のアクセントが効いている。八幡宮のお祭りや初詣の際に屋台で販売され、特に佐々木のうす焼きが有名。八幡通りでは複数の屋台があり、テンポよく焼く姿も含め、お祭りでの風物詩となっている。それ以外で常時販売している店舗は少なく、市内の狭い範囲で親しまれていため、県内でも盛岡市以外ではあまり知られていない。 + +## 食習の機会や時季 +八幡宮のお祭りや、初詣の際に屋台で販売される。お祭りのときの風物詩として愛されている。 + +## 飲食方法 +小麦粉を水で溶いたものを丸く薄くのばし、ねぎ、紅ショウガ、桜えび、天かす、海苔などを乗せて焼く。表面にしょうゆを塗る。通常は業務用の鉄板で作るが、家で作る場合はフライパンやホットプレートでもよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2枚分) +- 薄力小麦粉: 100g +- 水: 150ml +- 卵: 1個 +- やまいも(やまいも粉でも良い): 小さじ1/2弱 +- 鰹節、ねぎ、紅生姜、海苔、醤油: 各適量 + +## 作り方 +1. 薄力小麦粉、水、卵、やまいもをボウルで混ぜ合わせ、生地を作る。 +2. 熱したホットプレート等に生地を薄く丸く伸ばす。 +3. 伸ばした生地の上に鰹節、ねぎ、紅生姜、海苔を適量乗せる。(お好みで天かす、干しエビを乗せても良い) +4. 生地を3の上に少量かける。 +5. 裏面が焼けたらひっくり返し、両面が焼けたら皿に移す。 +6. 刷毛等でお好みの量の醤油を塗る。(完成したものをくるくると巻くと食べやすい。) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 味の味橋屋 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_22_1.jpg)" +"# どんこ汁 岩手県 + +**郷土料理名**: どんこ汁 + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +三陸沿岸地域 + +## 主な使用食材 +どんこ、大根、人参、豆腐、じゃがいも、ねぎ、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +「どんこ」とは三陸沿岸でよく獲れるエゾイソアイナメ、チゴダラのこと。どんこは冬になると身が締まり、肝にも脂が乗る。身はクセがない白身で上品な味わいで、一般的に味噌汁や鍋物の具として好まれる。濃厚で脂肪分のある肝を使うのもポイント。白身で淡泊な味は産後の肥立ちに良いとされ、体力回復の料理として食されてきた。また「大きな口からたくさん入って、小さな尻から出ていきにくい」として、お金が貯まる縁起魚ともいわれ、陰暦10月20日の恵比寿講に尾頭付きのどんこ汁を神前に供え豊漁を祈願した。気仙地方では現在もこの習慣が続いている。秋仕舞い(庭仕舞い)の際に食べられる地域もある。どんこは汁物以外にも、たたき、なます、塩焼き、干物、田楽などの方法でも食される。 + +## 食習の機会や時季 +陰暦10月20日の恵比寿講の際に、尾頭付きのどんこ汁を神前に供えた。また秋仕舞い(庭仕舞い)の際に食べる地域もある。現在も、冬の味覚として家庭で食されている。 + +## 飲食方法 +大根、人参、じゃがいもを大きめに切って煮た後、ぶつ切りにしたどんこの切り身と肝臓を入れて静かに煮込み、豆腐を入れ味噌で調味し最後にねぎを加える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- どんこ: 2尾 +- 大根: 80g +- 人参: 60g +- ごぼう: 少々 +- じゃがいも: 2個 +- 豆腐: 1丁 +- ねぎ: 1本 +- 味噌: 適量 + +## 作り方 +1. 大根、人参はいちょう切り、ごぼうは大きめのささがきにし、じゃがいもは薄めに切る。豆腐は大きめの角切り、ねぎは斜め切りにしておく。 +2. どんこは薄い塩水(分量外)で洗ってぬめりを取る。このときにウロコのほとんどは取れるが、ウロコが残っていれば取り除く。腹を割いて内臓を取り出し、ぶつ切りにして塩少々(分量外)をふっておく。新鮮などんこを使う場合には、肝臓も捨てないで取っておく。 +3. 野菜類を煮る。野菜類が七割方煮えたら、どんこのぶつ切りと肝臓を入れて静かに煮込む。 +4. 豆腐を加える。 +5. 味噌を入れて味を調え、ねぎを加えてできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岩手県食の匠佐々木典子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_23_1.jpg)" +"# けんちん汁 岩手県 + +**郷土料理名**: けんちん汁 + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +県北地域 + +## 主な使用食材 +にんじん、大根、ごぼう、こんにゃく、きのこ、山菜、豆腐、ねぎ、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +「けんちん汁」は、小さく切ったにんじん、大根、ごぼうなどの野菜と豆腐を油で炒め、醤油で味付けした汁物。「けんちん汁」はもともと発祥とされる神奈川県をはじめ、岩手県、大分県、茨城県などいくつかの県で郷土料理として食されているが、具材はそれぞれ異なる。岩手県では肉は入れず、豆腐を油でよく炒めてそぼろ状にするのが特徴。そのため、「けんちん汁」に入れる豆腐は、硬めの手作り豆腐を使う家庭が多かった。現在はいつでも食べられる料理であるが、昔は庭仕舞い(秋仕舞い)や、お正月に食されることが多く、特に1月の小正月(女正月)の期間中には、女性を休ませられるように大量に作り、それを温めなおして食べたと言われる。一晩置いて温めなおすと味がしみてまたおいしい。気仙地方では地元でとれた椿油をふんだんに使い、香りよく仕上げる特徴がある。 + +## 食習の機会や時季 +庭仕舞い(秋仕舞い)や、お正月によく食された。特に1月の小正月(女正月)の期間中には、女性を休ませられるように大量に作り、温めなおしながら食べた。 + +## 飲食方法 +にんじん、大根、ごぼう、こんにゃく、きのこ、山菜などを小さく切ったものと豆腐を炒める。だし汁で煮てしょうゆで味をつけ、ねぎを散らす。炒めてから煮るのがポイント。豆腐は硬めの豆腐を使うとよい。温めなおすと味がしみておいしい。焼きもちを中に入れて具だくさんなお雑煮にして食べることもある。山菜は、冬は長期保存してあるものを使う。わらびを戻すときは銅鍋を使うと色がきれいに出る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6人分) +- だいこん: 150g +- にんじん: 50g +- ごぼう: 50g +- 木綿豆腐: 2丁(600g) +- 油揚げ: 2枚(20g) +- 角こんにゃく: 50g +- 戻したぜんまい(乾燥ぜんまい30g): 200g +- わらび(塩蔵): 100g +- ふき(塩蔵): 100g +- 姫竹(水煮): 50g +- ねぎ: 20g +- サラダ油: 大さじ8 +- だし汁(水1,500ml、昆布20g、煮干し20g、かつお節20g): 1,100ml +- 薄口しょうゆ: 大さじ7 +- 酒: 大さじ2 +- みりん: 大さじ2 +- 塩: 2つまみ + +## 作り方 +1. 【山菜の下処理・乾燥ぜんまい】乾燥ぜんまいをぬるま湯に入れ、30分くらい浸す。 +2. 鍋に移し火にかける。沸騰したら火から下ろして水を変替え、1日半~3日くらいに浸し、ふっくらするまで戻す。水が赤くなるので、戻した水が赤くならなくなるまで4~5回水を取り替える。 +3. 【山菜の下処理・塩蔵わらび(ふき)】鍋に水と塩蔵わらび(ふき)を入れて火にかける。 +4. 沸騰したら火から下ろし、3日くらい流水にさらして塩を抜く。※山菜を漬ける際の塩の量により、流水にさらす時間が変わる。 +5. 【けんちん汁を作る】だし汁をとる。鍋に水と昆布を入れ、1時間以上つけておく。そこに煮干しを加えて中火で20分ほど煮だし、さらにかつお節を加え沸騰直前に火を止めてこす。 +6. 木綿豆腐は水をきっておく。 +7. だいこん、にんじんは皮をむき、2~3mm厚さのいちょう切りにし、だいこんは下ゆでする。ごぼうは包丁で皮をこそげてささがきにし、水にさらしてあくを抜く。ぜんまい、わらび、ふき、姫竹は5mm~1cm幅の小口切りにする。角こんにゃくは1cm角のさいの目に切る。油揚げは、熱湯をかけて油抜きし、1cm角のさいの目に切る。 +8. 鍋に油を熱して、手で粗くつぶした豆腐を入れ、中火で5~10分ほど炒る。豆腐が崩れ、白く濁った水がうっすら残るくらい���で炒ったら、7.の材料を全て入れてさらに炒める。 +9. 8にだし汁を入れ、ひと煮立ちしたら、しょうゆ大さじ6と酒、みりん、塩を入れ、中火で30分ほど煮込む。味を見ながら残りのしょうゆで調整し、刻んだねぎを入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岩手県食の匠薄衣ハル子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_24_1.jpg)" +"# みずたたき(とろろ) 岩手県 + +**郷土料理名**: みずたたき(とろろ) + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +奥羽山系・北上山系地域 + +## 主な使用食材 +みず、味噌、みりん、醤油、砂糖、のり、ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +秋田県との境にある奥羽山系は寒さが厳しく雪が多い地域であるが、豊かな山の幸にめぐまれており、春は山菜、秋はきのこ、また川魚などを活かした郷土料理が多く存在する。「みず」はイラクサ科ウワバミソウ属の植物で、山地の水のきれいな沢沿いなどに群生する山菜である。葉の色は濃い緑色で、茎は根元にいくほど赤みがある。秋には葉の根元に「むかご」という小豆のようなこぶができ、それも食べることができる。「みず」は正式名を「ウワバミソウ」といい、名前の由来は、ウワバミ=大蛇がいそうな湿地に生えているからと言われている。「みずたたき」は、根元の赤い部分をたたいたり刻んだりしたものに味噌、しょうゆなどで味をつけたもの。すり鉢ですったものは「みずとろろ」とも言う。茎は水分が多くて柔らかく、独特のぬめりとしゃきしゃきした食感が特徴。味にくせがないのでさまざまに調理でき、料理の幅がひろい。「みず」は刻んだりたたいたりすりつぶすことで粘りやとろみが出るが、茎が赤く色づくほどその粘りは強くなる。5月から10月まで長い期間収穫することができるので重宝する山菜であるが、特に春から夏がおいしい季節である。地元では6月のやわらかい時期に収穫したものを、さっと湯通しするか「みずたたき(とろろ)」にしてから冷凍保存しておくこともある。 + +## 食習の機会や時季 +「みず」は5月から10月の長い期間収穫することができるが、特に春から夏がおいしい。地元では6月のやわらかい時期に収穫したものを冷凍保存し、他の時期に食す人もいる。 + +## 飲食方法 +みずの根の赤い部分の皮をむき、棒でたたいてから包丁で粘りが出るまで刻む。味噌、みりん、醤油、砂糖を混ぜたもので和え、のりとねぎを刻んで乗せる。すり鉢ですったものは「みずとろろ」という。「みず」はほかにもおひたし、汁の具、和え物、浅漬け、煮物、炒め物などにも使われる。また、「みず」の実は漬物にされる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- みずの赤い根元部分: 200g +- 味噌: 50g +- 砂糖: 小さじ1 +- みりん: 少々 +- 醤油: 小さじ1 +- 刻みのり: 1枚分 +- さらしねぎ: 30g + +## 作り方 +1. みずの根元の赤い部分(根から5cmくらい)を使う。茎から赤い根元部分を折りながら皮をむき、細かい根を取り、きれいに洗う。皮は多少残っていてもよい。 +2. みずをまな板の上にのせ、めん棒でたたく。この時、みずを厚めのポリ袋に入れてたたくと飛び散らず調理しやすい。 +3. たたいたみずをさらに包丁でとろみが出るまで細かく刻む。 +4. 味噌をすり鉢ですり、砂糖、みりん、醤油を加えて味を調え、そこに刻んだみずを入れて和える。調味料は好みで加減する。 +5. 4を器に盛り、上に刻みのりとさらしねぎを乗せてできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岩手県食の匠照井スミ氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_25_1.jpg)" +"# 天然ほやの酢の物 岩手県 + +**郷土料理名**: 天然ほやの酢の物 + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +三陸沿岸地域 + +## 主な使用食材 +ほや、きゅうり、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +ほやは、「海のパイナップル」と呼ばれ、甘味、酸味、塩味、うま味、苦味の五味すべてを持つ食材として知られている。タウリンやグリコーゲンのほか、亜鉛、ビタミンEやビタミンB12など栄養素も豊富である。鮮度が落ちると臭みやえぐみが出てくるのも特徴。成長するまでに3~4年かかる。旬は夏だが、12月から1月の産卵を迎えたほやもまた美味。岩手県はほやの養殖もおこなっ���いるが、天然物は水深20メートルから30メートルの海底に生息しており、特殊な潜水技術が必要になる。三陸沿岸北部の洋野町(旧種市町)には100年以上前に生まれた「南部潜り」という潜水技術があり、天然もののほやは、南部潜りのダイバーがひとつひとつ海底から採取することから、非常に貴重なものとされるのである。 + +## 食習の機会や時季 +おもに5月から8月頃、ほやが獲れる時期に食される。 + +## 飲食方法 +ホヤの殻と内臓を取り除いたものを食べやすい大きさに切り、きゅうりや塩とともに二杯酢で和える。ほやは独特の風味があるため、一般的に酢の物が好まれる。天然物は一段と風味がよく、素焼きや、炊き込みご飯にしても美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- ほや(殻つき): 2個 +- きゅうり: 1本 +- 二杯酢: 適量 +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. ほやは殻からはずし、内臓を取り除き食べやすい大きさに切る。 +2. きゅうりは板ずりをして小口切りにしさっと塩を振っておく。 +3. 器に1と2を盛り二杯酢をかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 郷土料理研究家 梅津 末子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_26_1.jpg)" +"# くるみ豆腐 岩手県 + +**郷土料理名**: くるみ豆腐 + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +奥州市江刺地方 + +## 主な使用食材 +くるみ、砂糖、くず粉、味噌、しょうが汁、酒 + +## 歴史・由来・関連行事 +「くるみ豆腐」は、すったくるみをこしたものに、水、砂糖を入れてくず粉で固めたもの。岩手県奥州市江刺地方特有の料理で、お盆や法事などの際に、精進料理として刺身のかわりに作られてきた。大根の千切りを添え、たれは、砂糖を入れた甘めの味噌にしょうが汁を加えたものが一般的である。たれをかけずにお茶うけにすることもある。ごま豆腐のごまをくるみに置き換えたとも言える料理であるが、くるみの渋皮を取るなど、ごま豆腐よりも手間暇がかかる。くるみは地元でとれる鬼ぐるみを使用する。鬼ぐるみは海外産のくるみに比べ、えぐみや渋みのもととなるタンニンや油分が少なく、あっさりとしているのが特徴である。岩手県ではくるみは食生活に深く根付いており、「おいしい味」のことを「くるみあじ(くるびあじ)」と表現することもある。 + +## 食習の機会や時季 +お盆や法事の際の精進料理として、刺身のかわりに食される。現在は家庭で手作りすることは少なくなったが、奥州市江刺地方では現在も食されている。 + +## 飲食方法 +すったくるみに水を入れ、こす。そこに砂糖とくず粉を入れ火にかけ、固まるまで練りあげる。四角い容器に入れて常温で冷ます。味噌、砂糖、しょうが汁、酒、水を混ぜ合わせたたれをかける。お茶うけとして、たれをかけずにそのまま食すこともある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- むきくるみ: 100g +- 吉野くず: 100g +- 砂糖: 100g +- 塩: 小さじ1/2 +- 水: 900cc(冬は1,000cc) +- 【たれ】: 適量 +- 味噌: 100g +- 砂糖: 大さじ1 +- しょうが絞り汁: 大さじ1~2 +- 酒: 大さじ1 +- 水: 適宜 + +## 作り方 +1. くるみはすり鉢でつぶつぶがなくなるまでよくすり、水を加えてさらにすり、裏ごしする。 +2. 鍋に1と吉野くず、砂糖を入れてかき混ぜ、吉野くずがとけたら火にかける。 +3. 中火で10分程度休まずへらでかき混ぜ、全体がとろりと固まってきたら火を弱め、そのままつやが出るまで練り続ける(20分程度)。火を止める2~3分前に塩を加えて練り上げる。 +4. 水でぬらした流し箱に入れ、冷やす。常温で4~5時間で固まる。流し箱から出し、刺し身の形に切り、だいこんの千切りをつまにして盛りつける。 +5. たれは、分量の味噌をよくすり、砂糖、しょうが絞り汁、酒を加えてよく混ぜ、さらに水を加えてソースの固さに伸ばし、器に盛ってくるみ豆腐に添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岩手県食の匠佐々木エイコ氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_27_1.jpg)" +"# しだみだんご 岩手県 + +**郷土料理名**: しだみだんご + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +県北地域、奥羽山系・北上山系地域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、しだみあん、黒砂糖、砂糖、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +���しだみ」とはどんぐりのことで、「しだみだんご」は「しだみ」に砂糖を加えてだんご状にしたものや、これをあんにして、小麦粉を練った生地で包んだものがある。県北地域や奥羽・北上山系地域では、夏に太平洋から吹く冷たい風(やませ)の影響で凶作になることが多かった。そのため凶作時も実る「しだみ」は、乾燥保存できる備蓄食料として重宝された。味がよく栄養があり、カロリー、たんぱく質、脂質、炭水化物は白米と同じくらい含まれる。戦後、農耕技術の発達により救荒食としてのしだみの役割は終わったが、近年の自然食ブームの影響で再び注目されるようになった。しだみは9月から10月にかけて拾ったものを、衛生管理を目的にすぐにゆでて、その後乾燥させる。食べる前には木灰や重曹でアク抜きや渋抜きが必要で、非常に手間のかかる食べ物である。 + +## 食習の機会や時季 +凶作のときの救荒食や冬の日常食として各家庭で食されたため、特に行事食としての習慣はない。 + +## 飲食方法 +皮を取りアクや渋みを抜きながら煮た「しだみ」をつぶしたものに砂糖を加え、だんご状に成形し、好みできな粉をつけて食べる。また、小麦粉を熱湯で練った生地で「しだみあん」を包み、蒸しあげたものがある。小麦粉を熱湯で練った生地で「しだみあん」を包み、蒸す。「しだみ」を使ったほかの料理としては、「しだみ」の粉を米粉、小麦粉、青豆などと混ぜて作る「しだみ餅」や、煮た「しだみ」をつぶして、きな粉と砂糖を加えて練る「しだみすっとぎ」などもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6人分) +- 【だんご】: 適量 +- どんぐり: 約85個 +- …または【乾燥しだみ】(どんぐりから殻とごみを取り除いたもの): 100g +- …またはアク灰汁抜きしだみ(作り方【灰汁抜き】でできるもの): 200g +- 砂糖: 25g +- 塩: 1g +- きな粉: 10g(好みで調整する) +- 【灰汁水】: 適量 +- ナラの木灰: 700g +- 熱湯: 1,000cc + +## 作り方 +1. 【乾燥しだみ】生のしだみを水から煮て、沸騰したらザルに上げて広げ、殻が割れるくらいカラカラになるまで干す(2週間程度、天日干し)。 +2. 殻を割って中身を取り出す(密封で長期保存可能)。 +3. 【灰汁水づくり】布を敷いたザルにナラの木灰を入れ、大きめの容器にのせる。 +4. 熱湯1,000㏄を注ぎ、静置し、上澄みをすくって集める。濁ったら再び静置し、上澄みをすくう。(2日程度かかる) +5. 【灰汁抜き】鍋に乾燥しだみとたっぷりの水を入れて火にかけ、沸騰したら弱火にし、1時間程度ことこと(しだみが踊らない程度)煮る。 +6. 水を替えて再び煮る。これを10回程度繰り返す。10回のうち、3回目はたっぷりの灰汁水で煮る。 +7. 味を見ながら灰汁が抜けるまで煮て、お湯を捨てる。 +8. 【しだみだんご】灰汁抜きしたしだみを弱火にかけ、砂糖と塩を加える。 +9. 水分がなくなったら火を止め、粗熱が取れたらミキサーにかける(ミキサーがない場合はヘラやすりこぎなどでつぶしても良い)。 +10. 6等分にして1個40g弱の団子状に形を整える。 +11. 好みで、きな粉をつけていただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岩手県食の匠  長坂成子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_28_1.jpg)" +"# くるみ雑煮 岩手県 + +**郷土料理名**: くるみ雑煮 + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +三陸沿岸北部地域 + +## 主な使用食材 +にんじん、大根、ごぼう、しいたけ、焼き豆腐、しょうゆ、もち、くるみ、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +「くるみ雑煮」は「くるみ餅」とも言われ、三陸沿岸の宮古地方で元日の朝に食べられる代表的な料理である。正月だけでなく、結婚式のお祝いや不祝儀の膳、特別なおもてなしの際の最高のごちそうとしてふるまわれる。大根、にんじん、ごぼう、鮭、凍り豆腐などを入れたしょうゆ味のだし汁にもちを焼いたものを入れ、もちを食べる時はそのまま汁わんから食べたり、別の器に入れた「くるみだれ」をからめて食べたりして、2種類の味を楽しむのが特徴。沿岸部では冷害により米が育ちにくかったため、貴重なもちを大切に味わおうとして生まれた食べ方と考えられる。家庭により、具にいくらやあわびなど海産物を入れることもある。くるみは地元でとれる鬼ぐるみを使用。鬼ぐるみは海外産のくるみに比べ、タンニンや油分が少なく、あっさりとしているのが特徴で、この鬼ぐるみを丁寧にすってねっとりするまでのばし「くるみだれ」を作る。岩手県ではくるみは食生活に深く根付いており、「おいしい味」のことを「くるみあじ(くるびあじ)」と表現することもある。 + +## 食習の機会や時季 +正月をはじめ、結婚式のお祝いや不祝儀、特別なおもてなしの際のごちそうとしてふるまわれた。現在はお正月の雑煮として食されるが、その他の機会は減っている。 + +## 飲食方法 +大根、にんじん、ごぼう、しいたけ、こんにゃく、ちくわを千切りにし、焼き豆腐とともにしょうゆで味付けしただしで煮る。焼いた角もちをそこに入れる。くるみをすって砂糖と塩を混ぜたくるみだれを別皿に用意し、もちを付けて食べる。家庭により、いくらやあわびなどの海産物を入れることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 【雑煮】: 適量 +- 大根: 120g +- にんじん: 20g +- ごぼう: 40g +- 生しいたけ(小2枚): 40g +- 焼き豆腐: 100g +- こんにゃく: 100g +- ちくわ: 40g +- みつば(またはせり): 少々 +- だし汁(煮干しと昆布): 800cc +- しょうゆ: 小さじ4 +- 塩: 小さじ2 +- 酒: 少々 +- 角もち: 12切れ +- 【くるみだれ】: 適量 +- むきぐるみ: 80~100g +- 砂糖: 大さじ3~4 +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 大根、にんじん、ごぼう、生しいたけ、こんにゃく、ちくわを千切りにする。焼き豆腐は厚さを半分にし、切り口を焼いて、両面に焼き目を入れてから細く切る。みつばは、2cmぐらいに切る。 +2. だし汁に、みつば以外の材料1を入れて煮る。しょうゆ・塩・酒で調味して、最後にみつばを添える。 +3. 角もちは、粉をふきとってから焼き、あたためた2の中に入れてやわらかくする。 +4. くるみはよくすって、砂糖、塩で味付けをし、とろっとなるまですり伸ばす(雑煮の汁または水でのばす)。 +5. 器にやわらかくなった雑煮もちを盛り、別の器にくるみだれを盛って添える。 +6. もちは、くるみだれをつけながら食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「食べよういわて郷土食と食の匠の技」(藤原祥子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_29_1.jpg)" +"# ぬっぺい汁/八杯汁 岩手県 + +**郷土料理名**: ぬっぺい汁/八杯汁 + +**都道府県**: 岩手県 + +## 主な伝承地域 +県全域 + +## 主な使用食材 +豆腐、干ししいたけ、ねぎ、しょうゆ、塩、長芋、片栗粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「八杯汁」は、豆腐、干ししいたけ、ねぎを醤油味の汁に入れ、片栗粉でとろみをつける料理である。古くから冠婚葬祭や法事の時の精進料理として食されていた。名前の由来は「一丁の豆腐で八杯分できるから」とも「美味しくて八杯(たくさん)おかわりしてしまうから」とも言われている。豆腐が主役ともいえるシンプルな料理。県央地域では「八杯豆腐」とも呼ばれる。片栗粉ではなくすりおろした長芋をかけてとろみをつけたものが「ぬっぺい汁」と呼ばれる。 また、宮崎県、福島県、青森県、山形県、愛知県などにも「八杯汁」があり、地方によってはすりおろしたしょうがを加えるところもある。 + +## 食習の機会や時季 +冠婚葬祭や法事の際に、精進料理のひとつとして年間を通して食される。また普段の料理としても、豆腐を中心としたお吸い物として食される。 + +## 飲食方法 +豆腐、干ししいたけを細切りにする。干ししいたけを入れてしょうゆで味付けをした汁に豆腐を入れ、煮立たせる。水溶き片栗粉でとろみをつけ、仕上げに小口切りにしたねぎを入れる。片栗粉ではなく、すりおろした長芋でとろみをつけると「ぬっぺい汁」になる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 豆腐: 1/2丁 +- 長芋: 300g +- 干ししいたけ: 3枚 +- 大根: 150g +- 水: カップ3 +- だし昆布: 少々 +- しょうゆ: 大さじ1 +- 塩: 小さじ1/2強 +- のり: 少々 +- ねぎ: 少々 + +## 作り方 +1. 豆腐は5mm角、4cm長さの拍子木に切る。干ししいたけはもどして薄切りにする。 +2. 鍋に干ししいたけの戻し汁の一部と3カップの水を合わせて昆布を入れて火にかけ、沸騰直前に昆布を取り出す。これにしいたけを入れてだし汁にする。 +3. 長芋はすりおろし、大���おろしの汁を加えて混ぜ合わせる。ネギとのりはせん切りにする。 +4. だし汁にしょうゆ、塩を加えて調味し、豆腐を入れ、ひと煮立ちさせる。熱いところを椀に盛り、その上に長芋を玉杓子で一杯かけ、上にのりとネギを盛る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 元岩手大学教授 及川桂子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_30_1.jpg)" +"# おくずかけ 宮城県 + +**郷土料理名**: おくずかけ + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +県南地域 + +## 主な使用食材 +里芋、人参、ごぼう、しいたけなどの野菜、油揚げ、豆腐、うーめん(白石温麺)、糸こんにゃく + +## 歴史・由来・関連行事 +県南地域を中心に、春と秋の彼岸やお盆の時期に食べる精進料理。法事で集まった人たちへのおもてなしの側面もある。仏前へのお供え、家庭料理として食べられている。数種類の野菜、豆腐や油揚げ、豆麩をしいたけのもどし汁で煮込み、そこに白石温麺を加えてくず粉でとろみをつけたもの。現代ではくず粉の代わりに片栗粉でとろみをつけることが多い。県南の白石市の名産品でもある白石温麺は、そうめんよりも少し太い麺で、加工時に油を使わないので、消化に良いとされている。具材となる野菜は、その時期に採れるものが主ではあるものの、家庭によっても変わる。いずれにせよ出汁の利いた優しい味わいで、子どもからお年寄りまで幅広い年齢層に好まれる。県北地域に行くと、「おくずがけ」とよく似た「すっぽこ」「のっぺい汁」と呼ばれるものがある。つくり方はほとんど同じだが、日常的に食すか、特別な時に食すかの違いがあるといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +県南地域では、春と秋の彼岸やお盆の時期に食べる精進料理。県北の「すっぽこ」は、法事で裏方を務めた人へのねぎらいのためにふるまわれ、「のっぺい汁」は日常的に食される郷土料理である。仙南の白石市を中心に、観光客向けに通年食べられる飲食店もある。 + +## 飲食方法 +一人前ずつ、汁椀や丼に盛り付けて食べる。本来は精進料理なので肉や魚は使用しないが、家庭によっては鶏肉や豚肉を入れることも。また、白石温麺の代わりにうどんを使用する家庭もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 里芋(またはじゃがいも): 100g +- 人参: 50g +- ごぼう: 40g +- ささぎ: 10本 +- 油揚げ: 1枚 +- 干ししいたけ: 5枚 +- 糸こんにゃく: 1/2把 +- 豆腐: 1/2丁 +- 豆麩: 適宜 +- うーめん: 1把(100g) +- 三つ葉: 適宜 +- 【調味料A】醤油: 大さじ2 +- 【調味料A】塩: 小さじ1/2 +- 【水溶き片栗粉】片栗粉: 大さ じ1 +- 【水溶き片栗粉】水: 大さじ2 +- だし汁(干ししいたけのもどし汁と水): 4カップ +- ※ほかに油麩、なす、みょうがなどを 入れてもよい: 適量 + +## 作り方 +1. うーめんは二つに折ってゆでておく。 +2. 里芋、人参、ごぼうはいちょう切りにする。ささぎは三等分ぐらいに折る。豆腐と油揚げはさいの目切り、干ししいたけは水でもどして軸を除き細く切る。三つ葉は2cm長さに切っておく。糸こんにゃくは熱湯でゆがき5cmの長さに切る。豆麩は水でもどしてしぼっておく。 +3. 鍋にだし汁、野菜を入れてやわらかく煮る。油揚げ、豆腐、糸こんにゃく、豆麩を加えて調味料Aで調味する。吸い物よりもやや濃いめにつくる。 +4. 鍋にうーめんと水溶き片栗粉を加えて、とろみがついたら火を止める。椀に盛り、三つ葉を添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ごっつぉうさん-伝えたい宮城の郷土食」(みやぎの食を伝える会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_1_1.jpg)" +"# 仙台雑煮 宮城県 + +**郷土料理名**: 仙台雑煮 + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +仙台地区および県内各地 + +## 主な使用食材 +焼きハゼ、大根、人参、はらこ、せり、ごぼう、ずいき、凍み豆腐、餅 + +## 歴史・由来・関連行事 +江戸時代末期から食されている仙台雑煮。椀からはみ出すほどに大きな焼きハゼとハラコ(イクラ)、仙台せり、おひきなの彩りが美しいハレの日の食事。大根、人参、ごぼうを細切りにしてさっと湯通しした「おひきな」は、一食分に分けて外気にさらして凍らせる。こうすることで、より味が沁みやすくなる(温暖化の近年では��冷凍庫で凍らせるのが主流)。出汁には、かつて松島湾で大量にとれたハゼを焼いて干したものを使用。この焼きハゼは、数匹が藁で連になって売られている。昔は焼きハゼ小屋がいくつもあったが、近年の不漁によって激減。そのため、焼きハゼは年々高価になっている。また、阿武隈川に遡上してきたサケからとれたハラコも目を引くが、こちらも近年価格が向上し、全体的に見て仙台雑煮は高級になっていく一方である。ちなみに、伊達政宗公の食していた雑煮はこの仙台雑煮ではなく、干しアワビに干しナマコ、ニシンの出汁の雑煮だったと記録されている。 + +## 食習の機会や時季 +年末の28日から30日にかけて大根、人参、ごぼうで「おひきな」をつくり、冷凍する。焼きハゼは大みそかから水につけて出汁を取る家庭もあれば、元旦当日に煮だす家庭もある。出汁がとれたら焼きハゼをとりだし、ずいき、おひきなを入れ、醤油など各家庭の味付けでととのえる。焼きハゼ、ハラコ、仙台せりなどで彩れば完成。仙台市街地周辺では正月三が日はこの雑煮を食べるのが一般的である。 + +## 飲食方法 +一人前ずつ椀に盛り付けて食べる。餅が見えなくなるほどの具材で覆うのが一般的。ハゼは背骨をとって食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 焼きハゼ: 4尾 +- 大根: 600g +- 人参: 100g +- ごぼう: 100g +- ずいき: 2本 +- 凍み豆腐: 2枚 +- 板かまぼこ(紅白): 厚さ5mmのもの各4枚 +- いくら: 40g +- せり: 30g +- 水: 4カップ +- 餅: 2~3切れ(1人あたり) +- 【調味料A】醤油: 大さじ2 +- 【調味料A】塩: 小さじ1/2 +- 【調味料A】酒: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 大根、人参、ごぼうは千切りにし、ゆでて凍らせる(ひき菜)。年末のうちにつくっておく。 +2. 凍み豆腐は湯でもどして短冊切り、ずいきももどして2cmの長さに切る。せりは3cm長さに切り、紅白板かまぼこは板から外し5mm厚さに切る。 +3. 分量の水に焼きハゼを入れて、15分ほど煮てだしをとり、調味料Aを入れて調味した後にハゼをバットにあげておく。 +4. 3に凍み豆腐、ずいきを入れ、煮立ったらひき菜を加えて味がしみる程度に煮る。焼いた餅(またはつきたての餅)を入れ、火を止める。 +5. お椀にひき菜を敷き、餅をのせ、ハゼ、板かまぼこ、いくら、せりを飾り、最後に汁をたっぷりかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ごっつぉうさん-伝えたい宮城の郷土食」(みやぎの食を伝える会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_2_1.jpg)" +"# はらこ飯 宮城県 + +**郷土料理名**: はらこ飯 + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +亘理町 + +## 主な使用食材 +サケ(身、いくら)、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +宮城県には北上川、鳴瀬川、阿武隈川をはじめとする大小さまざまな河川があり、毎年秋になるとサケが産卵のために遡上する。そのため、白サケ類の漁獲量は全国トップクラス。100年以上も前から人工ふ化放流事業を行うなど、サケを守り育ててきた歴史がある。現在も県内に20ヶ所のふ化場があり、増殖と資源保護の努力が続けられている。そんな宮城で、サケを使った郷土料理として最も有名なのが「はらこ飯」。これは、伊達政宗公が荒浜の運河工事を視察した折に、領民から献上されたことでも有名だ。「はらこ」とはこの地方でいくらを指す言葉で、サケの腹にいる子「腹子」からそう呼ばれるようになったという。政宗公に献上する以前から、阿武隈川に遡上してくるサケを地引網で獲っていた地元の”漁師飯”として食されていた。各家庭によって味付けが異なるため、亘理では「うちのが一番」が合言葉になっている。現代では煮上げたサケ、サケの煮汁で炊いた米、煮汁にくぐらせたいくらをそれぞれ盛り付けるが、昔はすべてを混ぜ合わせた「混ぜご飯」だったという。現在つくられているはらこ飯とは違ってシンプルな見た目だが、荒浜婦人会では、この元祖の味を伝承するべくさまざまな活動を行っている。 + +## 食習の機会や時季 +サケが遡上してくる秋。9月から11月まで。この時期は、ご当地である亘理はもちろん、宮城県内の多くの飲食店で「はらこ飯」が提供されている。また秋祭りにはサケのアラ汁と共に地域の方々やお客に供される。 + +## 飲��方法 +丼、もしくは大き目の茶わんに炊き込みご飯をのせ、ほぐしたサケの身、煮汁にくぐらせたいくら、彩りに三つ葉を添える。汁物や漬物とともに提供されることが多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 3カップ +- サケの煮汁と水: 3と2/3カップ +- サケ: 240g +- はらこ: 80g +- 【調味料A】醤油: 大さじ3 +- 【調味料A】酒: 大さじ2 +- 【調味料A】砂糖: 大さじ1 +- 【調味料B】醤油: 小さじ1 +- 【調味料B】みりん: 小さじ1 + +## 作り方 +1. サケは皮や骨を除き、そぎ切りにする。尾の方からそぎ切りにすると煮崩れしにくい。鍋に調味料Aを煮立て、サケの身を入れ、くっつかないように箸で身をほぐして煮る。煮えたら身をすくい上げて平たい器に広げ、煮汁と分けておく。 +2. はらこは水洗いし、50~60度の湯の中で静かにほぐしザルにとって水けをきる。1の煮汁に入れて火にかけ、軽くかき混ぜ、煮立ち始めたらざるに上げて汁をきり、調味料Bに漬ける。煮汁は炊飯に用いる。煮汁に通すことではらこの生臭みが消える。ただし、煮過ぎると硬くなるので注意する。 +3. 米は洗ってざるに上げて30分おく。米に2の煮汁と水を入れて炊く。 +4. ご飯を器に平らに盛り、その上に鮭の身をのせ、はらこを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ごっつぉうさん-伝えたい宮城の郷土食」(みやぎの食を伝える会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_3_1.jpg)" +"# ずんだ餅 宮城県 + +**郷土料理名**: ずんだ餅 + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +県全域 + +## 主な使用食材 +もち米、枝豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +宮城県では餅を食べる機会が多く、正月、婚礼、法事、葬儀などの年中行事には欠かさず餅が食べられているという。昔は家庭で餅がつくられてきたが、近年は出来上がった餅を購入する人が多くなってきている。餅がよく食べられるためか、種類も豊富である。どじょうを使ったふすべ餅、くるみを使ったくるみ餅、他にもごま餅や、納豆餅、ずんだ餅などがある。ごま餅やくるみ餅、ずんだ餅は来客用として出されることが多い。その中でもずんだ餅は宮城県を代表する郷土料理の一つである。ずんだ餅という名前にも諸説あり、甚太という農夫が創作したという説、伊達政宗公が陣太刀の柄で枝豆を砕いた説…とさまざまである。江戸末期にはこの和え衣がずんだとして定着していったということで、すでに枝豆が利用されていたという。また、豆を打つ音「ずんだ(豆ん打)」を表したとの説もある。ずんだはつくるのに手間がかかるため、かつては子どもたちがさやから豆を取り出す作業をおこなうなど、家族総出でつくっていたという。緑色の鮮やかなずんだ餡は、砂糖や塩で味付けされるが、餅にからめるときは砂糖のみで味付けをされることが多い。 + +## 食習の機会や時季 +正月、婚礼、法事、葬儀などの行事には、餅を食べる習慣がある。 + +## 飲食方法 +つきたての餅に絡めて食べる。串にささった団子にずんだ餡をのせたものも人気。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 枝豆(さや付き): 600g +- 水: 適宜 +- 餅: 適宜 +- 【調味料A】砂糖: 60g +- 【調味料A】塩: ひとつまみ + +## 作り方 +1. 枝豆を水洗いし、塩を多めに振っておく。鍋にたっぷりの湯を沸騰させて、豆をゆでる。少し軟らかめにゆで、さやから豆を取り出し、薄皮をむいて、まな板で粗く刻んでから、すり鉢でよくすりつぶす。 +2. 1に調味料Aを加えて、調味し、餅をからめやすいかたさに水で伸ばす。 +3. つきたての餅を絡める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ごっつぉうさん-伝えたい宮城の郷土食」(みやぎの食を伝える会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_4_1.jpg)" +"# はっと汁 宮城県 + +**郷土料理名**: はっと汁 + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +県北地域(栗原、仙北・大崎耕土、北上丘陵、三陸沿岸地域) + +## 主な使用食材 +小麦粉、大根、人参、ごぼう、干ししいたけ + +## 歴史・由来・関連行事 +はっとは、県北一帯で食べられている、小麦粉を使用した郷土料理。小麦粉に水を加え、耳たぶ程度のかたさになるまでよく練り、適当な時間寝かせ、指で薄く伸ばしてゆでる。かつては向こうが透けるほど薄く伸ばすのが女性の得意技であった。登米地方、栗原地方では「はっと」や「はっとう」、玉造地方では「つめいり」「つみれ」、そのほかの地域では「ひっつみ」などと呼ばれている。食べ方は餅のように多様で、汁物にした「はっと汁」のほか、あんこやずんだ餡などと和えることもある。その歴史は古く、400年前の藩政時代にさかのぼる。伊達藩でも有数の米どころだった登米地方では、「買米制」によって年貢を納めた後の米も藩に献上していたため、農民は満足に米を食べることができずにいた。知恵を絞った農民たちは、麦飯のほか、畑でつくった小麦を粉にし練ってゆであげ「はっと」として食べていた。当初「はっと」は米の代用食であったものの、長年の工夫でより美味しい食べ物となり、好んで食されるようになった。ところが、登米地方を治めていた領主は、農民が米づくりを疎かにするのではと心配し、この料理をハレの日以外に食べることを禁止「法度」するようになり、それ以来「はっと」と呼ばれるようになったともいわれている。「はっと汁」の出汁や具材は、登米地方の中でも地域や家庭によりさまざまである。出汁はカツオ節、煮干し、具材は季節の野菜やきのこ類、鶏、豚など、代々母から子へ受け継がれる家庭の味となっている。現代でも、四季を通じて地域の行事には「はっと汁」がふるまわれる。 + +## 食習の機会や時季 +四季を通じて、行事があると食される。また、家庭料理としても通年食されている。 + +## 飲食方法 +出汁の中に季節の野菜や肉を入れ、耳たぶほどのかたさに練った小麦粉を薄くのばして入れ、醤油などで味付けをする。大鍋でつくって行事でふるまわれることも。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 小麦粉: 160g +- 水: 80~10ml +- 大根: 150g +- 人参: 50g +- ごぼう: 50g +- 干ししいたけ: 2~3枚 +- ねぎ: 1本 +- 煮干し: 4~5匹 +- だし汁(煮干しのだし汁としいたけのもどし汁): 4カップ +- 【調味料A】醤油: 大さじ2と1/2 +- 【調味料A】酒: 大さじ2 + +## 作り方 +1. ふるいにかけた小麦粉に少しずつ水を入れてかきまぜ、耳たぶより少し軟らかめにこねる。水は小麦粉の質や季節によって加減する。(夏は少なめ) +2. ぬれフキンをかけて2時間ねかせる。 +3. 鍋にたっぷりの湯を沸かし、手を濡らして2を一握り左手にとり、両手の親指と人差し指で3~4cm大にできるだけ薄くのばし、ちぎって鍋に入れる。浮いてきたらすくってザルに取り水けをきる。 +4. 大根、人参は短冊切り、ごぼうはささがきにする。干ししいたけは水でもどし千切りにする。ねぎは斜めうす切りにする。 +5. だし汁(煮干しだし汁と干ししいたけのもどし汁)4カップを鍋に入れて煮立て、ごぼう、しいたけ、大根、人参の順に入れて煮る。調味料Aで調味する。 +6. 5に3を入れ、最後にねぎを入れひと煮立ちしたら火を止め、椀に盛る。 +7. ※せりを入れる場合は3cmくらいの長さに切る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ごっつぉうさん-伝えたい宮城の郷土食」(みやぎの食を伝える会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_5_1.jpg)" +"# ナメタガレイの煮つけ 宮城県 + +**郷土料理名**: ナメタガレイの煮つけ + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +仙台市 + +## 主な使用食材 +ナメタガレイ + +## 歴史・由来・関連行事 +ほかの地域では「ババガレイ」「インドガレイ」と呼ばれているナメタガレイ。ぬめりが多いことから「滑多鰈(ナメタガレイ)」と呼ばれるようになったという。ほかのカレイに比べ大きいのが特徴で、「マガレイ」は1尾300g前後なのに比べ、ナメタガレイは冬の時期には1尾600g前後と、ほぼ倍くらいの大きさにまで成長する。身も厚く食べごたえのある魚で、冬は子持ちが増えることから「子孫繁栄」の縁起を、さらに卵が黄金色をしていることから商売繁盛の縁起をかついで年取り魚となったともいわれている。ナメタガレイは低カロリーで消化もよく、胃の調子が悪い時の体力回復にも効果的。何かと食べ過ぎたり疲労がたまる年末年始に食すには、最適の魚といえる。ナメタガレイが大みそかに食べられるようになったのは、実は最近のこと。江戸時代から戦前にかけては、仙台の正月の魚は「タラ」であった。このことは、正月の城下に「タラ」が出回らないことを心配した伊達政宗公が家臣に漁師が獲った「タラ」が出荷されない理由を調べるよう指示した手紙(「仙台市史」参考)や、戦前、仙台の年中行事に関して「正月にはタラ汁が欠かせない」と記載された文献(仙台城下「町人列伝」参考)等から見て取れる。現在では、正月に「タラ」を食べる習慣はほとんど残っていない。 + +## 食習の機会や時季 +大みそかから正月にかけて、煮つけにしたナメタガレイを食す。 + +## 飲食方法 +ナメタガレイは個体が大きいものが多いので、切り身にして煮つけるのが一般的。付け合わせにわかめなどを添える。また、細切りにしたしょうがを添えることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ナメタガレイ: 4切 +- 生わかめ: 30g +- ねぎ: 1本 +- しょうが: 30g +- 【調味料A】水: 1カップ +- 【調味料A】酒: 1/2カップ +- 【調味料A】砂糖: 大さじ1 +- 【調味料A】みりん: 大さじ3 +- 【調味料A】醤油: 大さじ3 + +## 作り方 +1. 【下準備】カレイはうろことぬめりをていねいにとり、頭を切り落として内臓をとり除き水でよく洗う。ナメタガレイは大きいので、筒切りにする。しょうがはうす切りにする。 +2. 平鍋に水、調味料A、しょうがを入れ、煮立てたところに、カレイの切り身が重ならないように並べて入れる。 +3. 全部入れ終わったら、煮汁を全体にすくってかける。 +4. ぬらした落としぶたをして、煮汁が半分になるまで中火で煮る。 +5. 途中で鍋を傾けて煮汁をすくっては全体にかける。 +6. これを2~3回繰り返し味を含ませて煮る。 +7. 3cmに切ったねぎ、わかめなどを魚の残り汁で煮て前盛りに添えるのも良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「東北・北海道の郷土料理」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_6_1.jpg)" +"# ふすべ餅 宮城県 + +**郷土料理名**: ふすべ餅 + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +栗原市 + +## 主な使用食材 +焼きドジョウ粉(ドジョウ)、ごぼう、餅、大根 + +## 歴史・由来・関連行事 +米どころである宮城県では、昔から正月、婚礼、法事、葬儀などの年中行事には欠かさず餅が食べられている。また、彼岸や盆、農作業がひと段落したときなど、餅をハレの日の食として食べる習慣があった。その宮城の餅文化と海から遠い内陸の栗原市ならではの食文化が結びついたのが、この「ふすべ餅」である。海から離れた内陸部の栗原市一帯では、歴史的にフナや沼エビ、ドジョウ、タニシなどが貴重なたんぱく源となってきた。ドジョウは生でも食すが、冬の前に獲ったものはしばらく真水で泥を吐かせ、串刺しにしてこんがりと素焼きにする。それをベンケイに刺し、囲炉裏の上で乾燥させる。煙でいぶすことを「ふすべる」といい、それがこの「ふすべ餅」の由来となっている。ふすべたドジョウは包丁で刻んで粉状にし、すりおろしたごぼうと大根に混ぜて油で炒め、水を加えて煮る。そこに醤油と唐辛子を加えてピリ辛に仕上げたものに餅を絡めれば出来上がり。唐辛子のきいたこの郷土料理は、寒い季節には体を温め、暑い夏は食欲増進にと重宝されてきた。ドジョウが手に入らない時には、鶏ひき肉や煮干しの粉末で代用することもある。 + +## 食習の機会や時季 +年間行事のほか、彼岸や盆、農作業の節目などのハレの日に食されることが多い。しかしながら栗原市内のスーパーマーケットや道の駅では、通年購入、食べることができる。 + +## 飲食方法 +粉状のドジョウとすりおろした大根、ごぼうに水を加えて加熱し、醤油と唐辛子を加える。この中につきたての餅を和える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4~5人分) +- 焼きドジョウ粉: 20g +- 大根: 300g +- ごぼう: 150g +- 赤唐辛子: 少々 +- 水: 4カップ +- サラダ油: 大さじ1 +- 【調味料A】醤油: 大さじ3 +- 【調味料A】酒: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 大根、ごぼうはすりおろす。 +2. 焼きドジョウは細かく刻み、すり鉢ですって粉状にする。唐辛子は縦に裂いて種をとる。(長いままで良い) +3. 鍋に油を熱して、おろしたごぼうを炒め、次に大根おろしと唐辛子、粉末ドジョウを加えて、水を入れる。(大根から出る水分を見て���減する) +4. 3に調味料Aを入れて、弱火で1時間ぐらい煮る。アクは丁寧にとる。 +5. 器につきたての餅を盛り、4をかけて熱いうちに食べる。 +6. ※この材料は栗駒地方に多く、大根おろしを入れないでごぼうだけ、また焼きドジョウではなく、鶏のひき肉を使うところもある。また醤油の代わりに味噌で味をつけることもある。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ごっつぉうさん-伝えたい宮城の郷土食」(みやぎの食を伝える会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_7_1.jpg)" +"# ホヤの酢の物 宮城県 + +**郷土料理名**: ホヤの酢の物 + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +宮城県沿岸部 + +## 主な使用食材 +ホヤ、きゅうり、みょうが、青しそ + +## 歴史・由来・関連行事 +三陸の沿岸部で養殖されているホヤ。養殖されているのはマボヤが中心で、カキの殻をロープにつけて下げ、ホヤの胞子をつける。それを間引きしながら3年ほど海の中で育て、水揚げをする。ホヤの生産量の8割を担っているのが、宮城県である。ホヤは、「海のパイナップル」と呼ばれ、甘味、酸味、塩味、うま味、苦味などの五味すべてを持つ食材としても知られている。さまざまな生理機能効果が認められているタウリンやグリコーゲンのほか、亜鉛、ビタミンEやビタミンB12など栄養素も豊富である。県では初夏になると、水揚げされたばかりのホヤが殻付き、殻をむいたむき身などの状態で市場やスーパーマーケットに並ぶ。地元の人たちは、刺身、酢の物などのほか、炙ったり、天ぷらなどにして食す。ホヤは鮮度が重要で、時間が経つと独特のにおいが出てしまうため、産地から離れた地域に暮らす人の中には苦手意識を持つ人も少なくない。しかしながら、新鮮なホヤは潮の香りと五味をしっかりと感じることができるため、産地で食べることが推奨される。 + +## 食習の機会や時季 +初夏から盛夏にかけてが旬で、時期になると殻付き、むき身のホヤが市場やスーパーマーケットに並び、各家庭で食されている。飲食店でも季節の味として刺身や酢の物、そのほかのアレンジ料理が提供されている。また、ホヤの専門店も仙台市内に数店舗あり、地元客はもちろん観光客にも人気となっている。生もの以外にも、冷凍ものや蒸したものなども流通しているので、宮城では通年食されている。 + +## 飲食方法 +殻付きのホヤは、給排水する口を切り落とし、そこから包丁を入れて殻をむく。身を取り出したらワタを取って、水洗いする。旬の時期には生で刺身、酢の物、和え物で好んで食べられている。また、炙りや天ぷら、炊き込みご飯やパスタなどにもアレンジされている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ホヤ: 120g(むき身) +- きゅうり: 100g(1本) +- 塩: 1g(きゅうりの1%) +- しょうが: 10g +- みょうが: 1個 +- 青しそ: 2g(2枚) +- 【調味料A】醤油: 大さじ1と1/2 +- 【調味料A】酢: 大さじ3 +- 【調味料A】みりん: 小さじ2 + +## 作り方 +1. ホヤは内臓を落としよく水洗いした後、1cm幅に切る。きゅうり1本を蛇腹切りにし8等分して塩を振ってしんなりしたら水けをしぼる。しょうが、みょうが、青しそは千切りにする。千切りにした青しそは水にさらしてアクを除き、水けをきっておく。 +2. 醤油、酢、みりんを混ぜ、合わせ調味料をつくる。 +3. ホヤを調味料Aの1/3量であえ、下味を付ける。 +4. 器にきゅうりとホヤを盛り、残りの調味料Aをかける。 +5. 天盛りにしょうが、みょうが、青しそをのせる。 +6. 鮮度が落ちるとホヤ独特のにおいが出るので、鮮度のよいものを使用する。ホヤは大きいものであればむき身は30g程度である。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 仙台白百合女子大学 高澤 まき子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_8_1.jpg)" +"# エビ餅 宮城県 + +**郷土料理名**: エビ餅 + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +栗原市ほか県北地域 + +## 主な使用食材 +餅、桜エビ + +## 歴史・由来・関連行事 +宮城県は餅料理が豊かで50種類以上あるといわれる。正月、婚礼、法事、葬儀などの年中行事にはもちろん、農作業の区切りなどでも食されている。かつては家庭で餅がつくられてきたが、近年は出来上がった餅を購入する人が多くなってきている。特に県北は種類に富み、小豆餅、汁餅、おろし餅、しょうが餅、エビ餅、納豆餅など、一度に5、6種類の餅が食卓に並ぶこともある。中でもエビ餅は、紅白の見た目が美しく、正月来客時のご馳走としてふるまわれる。栗原は宮城県内の内陸部に位置する田園地帯で、田んぼの用水路や沼などで獲れる沼エビやドジョウが大切なたんぱく源となっていた。その貴重なたんぱく源である沼エビを使用した「エビ餅」、ドジョウを使った「ふすべ餅」は、栗原ではハレの日の食事であった。「エビ餅」は、沼で獲った沼エビを醤油と酒で調味し、つきたての餅と絡めるシンプルな調理方法ではあるが、沼エビの姿がそのままに餅に絡まっているので、初見の人にはインパクトが大きい。沼エビは、餅料理のほかにも、おひたしにかけたり、大根おろしと一緒に食べる。 + +## 食習の機会や時季 +伝統的には、正月や来客時などのふるまいとして。また、農作業の区切りなどに食されてきたが、スーパーマーケットや道の駅でも販売されていて気軽に購入できることから、日常食としても用いられている。 + +## 飲食方法 +つきたての餅に、酒と醤油で調理した沼エビを絡めて食べる。「エビ餅」だけでなく、ほかの餅料理と一緒に提供されることが多い。家庭によっては、エビのひげを取り除いたものを用いるところもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6人分) +- つきたて餅: 12切 +- 桜蒸しエビ: 100g +- 醤油: 大さじ2弱 +- 酒: 小さじ2 + +## 作り方 +1. 桜蒸しエビは湯通しし、醤油と酒で味付けする。 +2. つきたての餅を手の平にとり、手で丸くかたちをととのえながら、親指と人さし指を、ギュッとしめて一口大ににぎり切る。 +3. すぐ、餅を1のエビの中に入れて絡める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ごっつぉうさん-伝えたい宮城の郷土食」(みやぎの食を伝える会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_9_1.jpg)" +"# 笹かまぼこの磯部揚げ 宮城県 + +**郷土料理名**: 笹かまぼこの磯部揚げ + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +宮城県内全域 + +## 主な使用食材 +笹かまぼこ、青のり + +## 歴史・由来・関連行事 +豊かな漁場を持つ宮城県では、気仙沼や石巻、塩竈、閖上といった漁港がある、明治の中頃からヒラメやスズキ、タイなどの魚が大量に獲れるようになったものの、今ほど輸送方法も発達していない時代にあっての保存方法として生まれたのが、「焼きかまぼこ」だった。それまでは各家庭で白身魚をすり身にして、手のひらでかたどって竹串に刺して焼いていたものが、加工品として出回るようになった。当時は「手のひらかまぼこ」や「ベロかまぼこ」などの呼び名もあったが、旧仙台藩主伊達家の家紋「竹に雀」の笹にちなみ「笹かまぼこ」と呼ぶようになり、昭和に入って「笹かまぼこ」に統一された。その後、ヒラメなどの漁獲量が激減したため、現在ではその代用品としてスケソウダラなどの白身魚が原料となっている。漁船内で活きのよいところをすり身にし急速冷凍したものが主流となっている。淡泊な味わいで、良質のたんぱく質を含み、しかもカロリーが低いことからヘルシーな食材としても人気が高まっている。近年では、包装技術の向上や輸送速度の向上もあり、笹かまぼこは宮城県を代表する名産品、土産品として多くの人に好まれている。県内に大小合わせて40軒以上もあるメーカーは、各々アイデアをしぼった商品を多数販売している。そのまま食べるほか、かき揚げ、おでん、天ぷらなどのアレンジメニューで食されることもある。 + +## 食習の機会や時季 +日常的に子どものおやつや酒のつまみとして家庭で食される。天ぷらやおでん、サラダなどにして食卓に上ることもある。また、郷土料理をふるまう居酒屋でも提供されている。 + +## 飲食方法 +薄力粉に鶏卵、青のり、水を加えて衣をつくり、笹かまぼこをくぐらせて揚げる。アツアツでも、冷めてもおいしく食べることができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 笹かまぼこ: 5枚(1枚30g) +- 食塩: 少々 +- 薄力粉: 20g +- 青のり: 1.5g +- 鶏卵: 7g +- 水: 大さじ1弱(14g) +- 揚げ油: 適量 + +## 作り方 +1. ボウルに、食塩、薄���粉、青のり、鶏卵、水を粉っぽさが残る程度に軽く混ぜ衣液をつくる。 +2. 笹かまぼこを入れ、全体に1の衣液をつける。 +3. 鍋に揚げ油を注ぎ、180℃で2分ほど揚げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 宮城県教育委員会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_10_1.jpg)" +"# どんこ汁 宮城県 + +**郷土料理名**: どんこ汁 + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +宮城県内全域 + +## 主な使用食材 +ドンコ、大根、豆腐、ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +ドンコは、エゾイソアイナメ、チゴダラの別名で、秋から冬にかけて旬を迎える魚である。宮城県内では主に石巻港と気仙沼港で水揚げされ、漁獲量は年々減っている。口が大きく腹が膨れ、尾にかけて細くなることから、「大きな口からたくさん入って、小さな尻から出ていきにくい」として、お金が貯まる縁起魚ともいわれている。それゆえ、気仙沼地方では大漁、商売繁盛を祈願してえびす講の日に神棚につるし、それを汁にして食べる風習がある。ドンコは冬になると身が締まり、肝も脂がのって一段と美味しくなり、身と骨が柔らかであるのが特徴。白身で身にも皮にもクセがなく、タラのような上品な味わいがある。身よりも肝のほうが好まれる傾向にあり、三陸地方では古くからなめろう、丸焼き、から揚げ、鍋や汁物にして食されてきたが、いずれの料理にも肝は濃厚な風味を与えてくれる。「どんこ汁」は、味噌と相性の良いドンコをたっぷりと用いた冬の味覚。体を芯から温める郷土料理として、沿岸部を中心によく食されている。つくり方は各家庭によってさまざまだが、大根、人参などの野菜、豆腐と一緒に調理されることが多い。 + +## 食習の機会や時季 +秋から冬にかけて旬を迎えるので、この時期は宮城県内のスーパーマーケットでも販売される。「どんこ汁」は、家庭料理として食べることが多い。また、冬場に県外からの客人をもてなすときの汁物として提供されることもある。 + +## 飲食方法 +ドンコを丸ごと購入した場合は、鱗(うろこ)をとって腹を裂き、内臓をとりだす。切り身の場合はそのままで、味噌汁をつくる要領で調理する。大根やニンジン、ごぼうなどの野菜と合わせ、椀に盛り付けて提供する。薬味として七味や柚子胡椒を合わせることも。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ドンコ: 1~2尾(800g) +- 大根: 200g +- 豆腐: 200g +- ねぎ: 1本 +- 水: 5カップ +- 仙台味噌: 70g + +## 作り方 +1. 大根はいちょう切り、ねぎはななめ切り、豆腐は大きめに切っておく。 +2. ドンコはうろこと内臓をとり、頭ごと三つか四つにぶつ切りにする。肝は内臓からはずして大きめに切る。 +3. 鍋に水とドンコの身、肝、大根を入れ、アクをすくいながら10分位煮る。 +4. 大根が煮えたら味噌を溶いて調味し、豆腐とねぎを入れて、火を止め椀に盛る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ごっつぉうさん-伝えたい宮城の郷土食」(みやぎの食を伝える会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_11_1.jpg)" +"# みょうがの葉焼き 宮城県 + +**郷土料理名**: みょうがの葉焼き + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +宮城県北部 + +## 主な使用食材 +みょうがの葉、小麦粉、味噌、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +みょうがは本州から沖縄まで自生する多年草で、しょうがの仲間。花も茎も香味野菜として古くから親しまれているが、食用に栽培しているのは日本だけだといわれている。うどんやそばの薬味、きゅうりやなすなどと一緒に浅漬けにするなど、用途はさまざまである。宮城県では、みょうがの葉が大きくなるころ、農作業の休憩時に子どもたちのおやつとして食べられていたのが「みょうがの葉焼き」である。小麦粉やもち米粉と砂糖、味噌を練ったものをみょうがの葉に包んで焼き、食べるときには葉をはがして食べる。みょうがの葉の香りが移り、風味豊かなおやつとなる。また、農作業の休憩時以外にも、ご先祖を迎えるお盆の8月13日につくって供え、迎え火でご先祖を迎えたらおさがりを食べる風習がある。みょうがの葉の香りがさわやかで素朴な甘さがあり、菓子類があまりなかった時代に、おやつとしてよく食べられた。 + +## 食習の機会や時季 +みょうがの葉が大きくなる夏ごろ。農作業の合間におやつとして食べられている。また、8月13日につくって仏壇に供え、迎え火でご先祖を迎えたらそのおさがりを食べる風習も残っている。 + +## 飲食方法 +小麦粉やもち米粉と砂糖、味噌を混ぜ、みょうがの葉に包んで焼く。食べるときにはみょうがの葉をはがして食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (12個分) +- 小麦粉: 2カップ +- 砂糖: 大さじ2 +- 味噌: 大さじ2 +- 水: 1カップ +- みょうがの葉: 12枚 + +## 作り方 +1. ボウルに小麦粉と砂糖を入れてよく混ぜる。水と味噌を加えてさらによく混ぜ、葉に包みやすい固さにする。 +2. みょうがの葉を広げ、その上に1を梅干し位の大きさにのせて、二つ折りにして少量の油を引いたフライパンで両面を十分に弱火で焼く。 +3. ※昔は渡し金の上に並べて囲炉裏の火で焼いた。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ごっつぉうさん-伝えたい宮城の郷土食」(みやぎの食を伝える会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_12_1.jpg)" +"# あざら 宮城県 + +**郷土料理名**: あざら + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +気仙沼市 + +## 主な使用食材 +白菜漬け、メヌケ(身とアラ)、酒粕 + +## 歴史・由来・関連行事 +宮城県気仙沼市では新鮮な魚がよくとれる。メヌケは特に冬になると脂がのり旬を迎える。そのメヌケのあらを使用したあざらは昔から庶民の食べ物として親しまれてきた。白菜漬けは、長期漬けこむことで発酵が進み、白菜の酸味が増した古漬けになる。この白菜の古漬けと新鮮なメヌケを酒粕で煮こむことでうま味が凝縮された料理になるという。尚、今日メヌケの漁獲量が減り値段が高騰しているためか、最近のあざらには大衆魚である赤魚を使用することが多いという。赤魚はうま味のある出汁がよく出ること、脂がのっていることなどメヌケと同様に美味しい魚といえる。 + +## 食習の機会や時季 +冬から白菜を長期漬けこむため、主に春に食べられることが多い。あざらは冷めてもおいしく、翌日になって煮返すとさらに美味しくなり、一度炊くと2~3日は食べていた。 + +## 飲食方法 +白菜の古漬けを食べやすい大きさに切り、下ゆでをする。その後、塩気を残しながら水洗いをする。メヌケのあらと水を鍋に入れ、煮え立ったら白菜の古漬けを加える。塩と醤油で味付けをし、酒粕を加え弱火で煮こむ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 白菜漬け: 400g +- メヌケ(身とアラ): 400~500g +- 水: 5カップ +- 酒粕: 150g +- 味噌: 大さじ3~4 + +## 作り方 +1. メヌケのあらはぶつ切りにして鍋に入れる。 +2. 白菜漬けは洗わないで3cm長さに切り、鍋に入れて水を加えかために煮る。煮汁を切って水を取り替えながらさらし、塩分がやや残る程度に塩抜きする。 +3. 鍋にメヌケのあらと水を入れて強火にかけ、沸騰したら中火にして、アクをとりのぞきながら約20分煮る。2の白菜漬けを加えて再沸騰したらみそを入れる。 +4. おろし際に酒粕を煮汁で溶いて入れ、ひと煮立ちしたら火を止める。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「ごっつぉうさん-伝えたい宮城の郷土食」(みやぎの食を伝える会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_13_1.jpg)" +"# 油麩丼 宮城県 + +**郷土料理名**: 油麩丼 + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +登米市 + +## 主な使用食材 +油麩 + +## 歴史・由来・関連行事 +お盆になると豆腐店は精進料理に使用する油揚げ、豆腐づくりに精を出した。しかしながら今のような冷蔵技術がなかった時代は、油揚げも豆腐もすぐに傷んでしまうのが大きな課題だった。そんな中、明治の末期に登米の豆腐店が考案したのが油麩だった。小麦粉と水を合わせて練り、それを水ででんぷんを洗い流すとグルテンが残る。麩は生麩と焼き麩、油麩があるが、生麩はグルテンにもち米粉を合わせて蒸したもの、焼き麩はグルテンに小麦粉を合わせて焼いたもの。油麩は、焼き麩と同じくグルテンに小麦粉を加えたもので、棒状にしたものを油で揚げる。油で揚げているので香ばしく、歯ごたえもあるので、ベジタリアン料理やマクロビ食としても重宝されている。登米地方だけで生産されていたが、全国��にその美味しさが広まると、登米以外でも大量に生産されるようになった。油麩丼はその油麩を使った代表的な料理で、地元の旅館のおかみが考案したメニュー。かつ丼のかつの代わりに油麩を使用するもので、油麩の風味が存分に生かされている。「B-1グランプリ」にも参加したことで、全国的にも知られている。 + +## 食習の機会や時季 +もともとは夏の食材だった油麩だが、今や通年食べられている。肉が苦手な人やベジタリアン、マクロビオティックなどの食生活を送っている人には肉の代用品として好まれている。 + +## 飲食方法 +かつ丼をつくるときと同じ要領で、鍋にだし汁、醤油などの調味料を入れて煮汁をつくり、油麩を入れて卵でとじる。それを丼に盛り付けたご飯の上にのせて食べる。三つ葉などを彩りに加えると、見た目も美しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 油麩: 1本(1人1cm位の輪切りにしたものを約5枚) +- 長ねぎ: 1本 +- 卵: 4個 +- だし汁: 360ml +- 醤油: 60ml +- みりん: 80ml +- 三つ葉もしくは甘酢しょうが: 適量 +- ごはん: 適量 + +## 作り方 +1. 油麩は1cmの輪切り、長ねぎは斜めうす切りにする。 +2. 鍋にだし汁、醤油・みりん、油麩を入れて火にかけ、油麩は両面返しながら煮る。(外側がしっかり揚っている油麩は火にかける前に加える) +3. 油麸に煮汁がしみ込んだら、長ねぎを加える。長ねぎがしんなりしたら溶き卵を回し入れて半熟程度に火を通す。 +4. 丼に盛ったごはんの上に3をのせて、好みで三つ葉もしくは甘酢しょうがをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 仙台白百合女子大学 高澤 まき子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_14_1.jpg)" +"# いちじくの甘露煮 宮城県 + +**郷土料理名**: いちじくの甘露煮 + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +宮城県内 + +## 主な使用食材 +いちじく、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +いちじくは、紀元前からある果物で、日本には「中国を経て長崎に伝来した」と言う説があり、また薬用として用いられていたそうである。明治時代にアメリカから桝井氏が導入し現在約8割が「桝井ドーフィン」の品種が販売されているそうである。ぷちぷちとした食感と甘みが好まれ、世界中で食されている。欧米や中東ではドライフルーツに加工されることも多い。「不老不死の果物」ともいわれるほど栄養価が高く、食物繊維や塩分を輩出する効能があるカリウム、骨の形成に必要なカルシウム、貧血予防には欠かせない鉄分を多く含む。宮城県での旬の時期は9月から10月にかけてで、主な産地は県南地区である。主に加工用の青いいちじく「ブルンスウィック」が栽培されており、この種を栽培しているのは、宮城県と福島県、山形県、秋田県の一部でのみである。全国的には完熟したいちじくを生で食したり、料理に使用したりするが、宮城県では加工用が主に栽培されていることからも分かるように、甘露煮にするのが一般的である。各家庭でつくられる甘露煮は、水と砂糖とレモン汁だけでコトコト煮詰めた、シンプルなもの。かつてはたくさんつくって瓶詰などにして、ご近所や友人にふるまうことも多かった。 + +## 食習の機会や時季 +9月から10月にかけて、八百屋やスーパーマーケット、道の駅などでは加工用の青いいちじくが販売される。各家庭で甘露煮に加工される。 + +## 飲食方法 +水、砂糖、レモン汁だけでコトコトを煮込み、冷ましたものを瓶詰などにして冷蔵保存する。そのままで食べたり、ヨーグルトなどのトッピング、紅茶に入れるなどのアレンジも家庭によってさまざま。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (500ml容量の保存びん1本分) +- いちじく: 500g(過熟しないもの) +- 砂糖: 300g +- レモン果汁: 1/2個 + +## 作り方 +1. いちじくは洗って軸のところをきれいに切りとり、アクをとるために熱湯で1~2分ゆでて、ざるにとり水けをきる。(この時薄く皮をむいても良い。) +2. 鍋にいちじくと砂糖を入れ火にかけ、砂糖が溶けたら弱火にして、好みのかたさになるまで煮詰める。 +3. 最後にレモン果汁を加える。※好みで赤ワインを1/2カップを加えても良い。※過熱すると実が割れ煮くずれする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ごっつぉうさん2(2は、正しくはローマ数字の2)-伝えたい宮城の手づくり加工」(みやぎの食を伝える会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_15_1.jpg)" +"# いわなの塩焼き 宮城県 + +**郷土料理名**: いわなの塩焼き + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +栗原市ほか + +## 主な使用食材 +イワナ + +## 歴史・由来・関連行事 +イワナは清らかな水が流れる源流地帯の上流域にのみ生息する魚。なかなか釣ることが難しいこのイワナを、日本で初めて養殖したのが宮城県である。清らかな水で育てられた養殖イワナは臭みがまったくなく、甘味のある身が特長となっている。皮も柔らかく、シンプルに塩焼きにして食べるのが王道。古くから庶民の味として親しまれている。また、宮城県では生食用イワナの開発を始め、2013年、水産技術総合センター内水面水産試験場では、宮城県固有の原種イワナを使った「伊達いわな」の開発に成功。現在、イワナ養殖発祥の地である栗原市をはじめ、大和町や白石市などでも「伊達いわな」を養殖している。「伊達いわな」は卵を持たないように改良され、産卵期の成長停滞や身質低下が起こらない。そのため、2~3年で体長約50cm、体重約1kgの大型に成長する。厳しいブランド管理指針で管理されており、800g以上に育った大型のイワナだけが「伊達いわな」と名乗ることができる。生食用の出荷を目的に開発された「伊達いわな」は、生産環境やエサを厳重管理されており、川魚特有のクセがない。そのため、刺身などの生食用のほか、高品質な白身で身幅も広いことから、和洋中問わず幅広い料理に使用されている。 + +## 食習の機会や時季 +天然のイワナは産卵期を前に栄養をつける夏季が一番脂がのって美味しい時期といわれている。養殖物は安定して手に入るので、通年食べることができる。 + +## 飲食方法 +イワナは腹を裂いてワタやエラを取り出してきれいにし、串刺しにして塩を振りったら炭火でじっくり焼く。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1匹あたり) +- イワナ: 1匹 +- 塩: 約3g +- 竹串: 長さ40cm位 + +## 作り方 +1. 内臓を取った25cmほどのイワナを串に刺す。 +2. 塩(約3g)をつまみ、30cm位の高さから両面に振る。(尻尾にも) +3. 炭火で焼く。熱いうちに串を回しておくとはずしやすい。 +4. 串を抜いて器にイワナを盛り、はじかみなどを添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 鈴木 正文氏(栗原市在住/イワナ焼き歴約15年) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_16_1.jpg)" +"# 柿なます 宮城県 + +**郷土料理名**: 柿なます + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +宮城県南部 + +## 主な使用食材 +干し柿、大根、人参 + +## 歴史・由来・関連行事 +昔から「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるように、柿にはビタミンA、C、葉酸、カリウムなど、栄養素が豊富に含まれ特にビタミンCはレモンの2倍以上も含まれているといわれている。その柿を干し柿にすると、糖分のほか、ビタミンAや葉酸などが濃縮される。宮城県は、南部の丸森町や白石市を中心に、秋から冬にかけて上質の干し柿がつくられている。その干し柿は「ころ柿」と呼ばれ、蜂屋柿(はちやがき)という品種の渋柿の皮をむいて、へたの部分をひもにつるし、寒風にさらしてつくる。厳しい寒さにさらされて、甘みを蓄えた「ころ柿」を正月料理に取り入れたのが「柿なます」である。正月のおせちに欠かせないなますは、大根に人参をとり合わせた紅白なますが一般的である。その紅白なますに干し柿を入れたものが、宮城県で食べられている「柿なます」である。大根にはビタミンCのほかに、消化を助けるジアスターゼが豊富に含まれており、しゃきっとした歯ざわり、さっぱりした食感は、餅を食べる正月料理に欠かせないものとなっている。 + +## 食習の機会や時季 +人参と干し柿の紅、大根の白の紅白色がめでたいとされ、正月料理のひとつとして、各家庭で食されている。 + +## 飲食方法 +人参と大根のなますが定番ではあるが、これに干し柿を入れると自然な甘味が加わり、子どもたちでも食べやすい一品となる。細切りの大根と人参に軽く塩をふってしんなりさせ、酢や砂糖で味をととのえ��。冷蔵庫にしばらく保存して味をなじませ、干し柿を加える。地ものの柚子を加えることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4~5人分) +- 大根: 300g +- 人参: 50g +- 干し柿: 1~2個 +- 【調味料A】塩: 少々 +- 【調味料A】酢: 大さじ2 +- 【調味料A】砂糖: 大さじ1と1/2 + +## 作り方 +1. 大根は皮をむき、薄い輪切りにしてから細い千切りにする。人参は長さ4cmの千切りにする。 +2. 1に軽く塩を振ってしんなりさせ、水けをさっとしぼる。 +3. 柿は水洗いして水けを拭きとり、種をとって千切りにする。2と柿を一緒にして調味料Aであえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ごっつぉうさん-伝えたい宮城の郷土食」(みやぎの食を伝える会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_17_1.jpg)" +"# がんづき 宮城県 + +**郷土料理名**: がんづき + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +宮城県全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、卵、砂糖、重曹、酢 + +## 歴史・由来・関連行事 +雁(がん)の肉に似ていることからその名がついたといわれる「がんづき」は、宮城県民にとってはおなじみのおやつ。小麦粉、ベーキングパウダー、黒砂糖、水だけでつくるシンプルな蒸しパンである。ふんわりしつつも、しっかりした食べ応えがあるのが特徴で、手づくり感覚あふれる素朴な郷土菓子となっている。日常の気取らないおやつや軽食のほか、農作業の合間には小腹を満たすために食された。また、子どもたちのおやつとしてもよく食された。黒砂糖噌を使用するため、茶色系の蒸しパンで、「黒がん」と称されている。地域によっては小麦粉と黒砂糖、卵などを主原料に、重曹、酢を加え、クルミやゴマ、醤油、味噌などをいれ蒸し上げてつくる地域もある。この色の濃いふわふわした「黒がんづき」に対して、白砂糖を用いて牛乳を加えてつくる、ういろうのようなの「白がんづき・白がん」がある。宮城県だけでなく、岩手県でも同じようにおやつとして食べられている。 + +## 食習の機会や時季 +日常的なおやつとして家庭でつくられる。また、農作業中の軽食としても重宝されてきた。ローカルのスーパーマーケットなどでは、ラップに包まれて販売されている。 + +## 飲食方法 +黒砂糖液に小麦粉を加えて練り、蒸し器で十分蒸す。食べやすい大きさに切り分けて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (21cmパウンド型1個分) +- 小麦粉: 200g +- ベーキングパウダー: 大さじ1 +- 黒砂糖: 100g +- 水: 180ml +- ごままたはクルミ: 適宜 + +## 作り方 +1. 小麦粉とペーキングパウダーを合わせてふるっておく。黒砂糖は細かく砕き、水を加えて加熱して溶かしておく。 +2. ボウルに、黒砂糖液を入れふるった粉を加えて混ぜ合わせる。 +3. 容器に流し入れ、適量のごままたはくるみをのせる。 +4. 蒸し器で30~40分位蒸す。竹串で刺して何もついてこなければ蒸し上がり。冷めたら食べやすい大きさに切る。上手に蒸しあげるコツは、蒸し器の上蓋との間にフキンなどをかませると、蒸気で漏れず、がんづきの上部がきれいにできあがる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「ごっつおうさんB.-伝えたい宮城の手作り加工」(ふるさと食だより宮城西部地区) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_18_1.jpg)" +"# きしゃず炒り 宮城県 + +**郷土料理名**: きしゃず炒り + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +宮城県全域 + +## 主な使用食材 +きらず、人参、ごぼう、干ししいたけ + +## 歴史・由来・関連行事 +きらず炒り、きしゃず炒りともいわれる伝統の郷土料理。きらずとは、豆腐をつくったときの搾りかすであるおからの別称。その見た目から「雪花菜」と言う字があてられ「きらず」となったともいわれている。また、おからは切らずとも使える食材であることから「きらず」といわれたという説もある。きらずはたんぱく質、カルシウム、カリウム、食物繊維に富んでいる。食物繊維量は、100g中11.5gも含有し、ごぼうが持つ食物繊維の約2倍に当たる。また、きらずの食物繊維は、「セルロース」という水に溶けないタイプのもので、腸のぜん動運動を促すといわれている。便秘の解消にもなることから、大腸ガンの予防やダイエットにも効果があるといわれ、ヘルシーな食材として大きな注目を集めている。きらず炒りは、この「きらず」を野菜、きのこ類と一緒に炒ったもの。野菜だけでなく、肉類や魚介類を入れてつくることもある。地方によっては「卯の花」と呼ばれている。 + +## 食習の機会や時季 +日常的な食卓に上るおかず。通年食されている。 + +## 飲食方法 +きらずに、人参やごぼう、ねぎなどの野菜を刻んだものを加え、だし汁、醤油などの調味料を加えて汁気がなくなるまで炒める。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- きらず: 400g +- 人参: 200g +- ごぼう: 200g +- 干ししいたけ: 4枚 +- ねぎ: 1本 +- 油: 大さじ2 +- だし汁(煮干しや魚の煮汁など): 1と1/2カップ +- 【調味料A】砂糖: 大さじ2 +- 【調味料A】塩: 小さじ2 +- 【調味料A】醤油: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 干ししいたけは水でもどしてから軸を取って細切り、人参は千切りにする。ごぼうは皮をこそげて小さめのささがきにし、水に浸してアクを抜く。ねぎは小口切りにする。 +2. 鍋に油を熱し、ねぎ以外の野菜をいため、調味料Aとだし汁を入れて煮立ってきたらきらずを入れる。 +3. 全体をよく混ぜながら汁気がなくなるまでいためる。最後にねぎを加えて混ぜ、火を止める。 +4. ※しっとり仕上げたい時はだし汁を多めにする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ごっつぉうさん-伝えたい宮城の郷土食」(みやぎの食を伝える会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_19_1.jpg)" +"# 呉汁 宮城県 + +**郷土料理名**: 呉汁 + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +宮城県内 + +## 主な使用食材 +大豆、里芋、大根、人参、油揚げ、ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +大豆は「畑の肉」と称され、必須アミノ酸がバランスよく含まれた良質なタンパク質を豊富に含んでいる。また、ビタミン類やミネラル、イソフラボン、サポニン、食物繊維などの栄養素や機能性成分が小さい粒の中にぎっしりと入っており、古来から日本人の生活を支えてきた食材である。宮城県は大豆の栽培面積が北海道についで第2位の産地である。県内ではミヤギシロメをはじめタンレイ、タチナガハなどが栽培されている。農家が生産した大豆は、味噌や納豆、豆腐などに加工されてきた。大豆を使用した郷土料理は、日本全国にあるが、その中でも好んで食べられているのが、「呉汁」である。大豆を水に浸し、すりつぶしたものを「呉(ご)」または「醐」という。呉汁は、その呉をみそ汁に入れたものを指す。収穫された大豆は秋から冬にかけて出回り、大豆といろいろな野菜の入った呉汁は、栄養価の高い料理だ。また、体が温まることからも、冬場の郷土料理として日本各地で昔から親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +秋から冬にかけての大豆の収穫時期、そして体が温まることから冬場に食されることが多い。日常的な家庭料理として食卓に上る。 + +## 飲食方法 +大豆は一昼夜水に浸してふやかしておき、それをすり鉢やフードプロセッサーを使ってすりつぶし「呉」をつくる。野菜たっぷりの味噌汁の中に「呉」を入れ、個々の椀に盛り付ける。食事の際の汁物の位置づけである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大豆: 1/2カップ +- 里芋: 100g +- 大根: 100g +- 人参: 50g +- 油揚げ: 1枚 +- ねぎ: 1本 +- 味噌: 大さじ3 +- だし汁: 4カップ + +## 作り方 +1. 大豆を一昼夜、水に浸しておく。水けをきってまな板の上で粗く刻んですり鉢に移し、少量の水を加えてよくすりつぶす。 +2. 里芋、大根、人参は同じ大きさのいちょう切り、油揚げは細切りにする。 +3. 鍋にだし汁と2の野菜、油揚げを入れて、軟らかく煮る。 +4. 軟らかく煮えたら、味噌と1を入れ、火を弱めて、煮こぼれに注意しながら2~3分煮て、小口切りにしたねぎを入れて火を止める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ごっつぉうさん-伝えたい宮城の郷土食」(みやぎの食を伝える会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_20_1.jpg)" +"# サンマのきがき 宮城県 + +**郷土料理名**: サンマのきがき + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +気仙沼などの港町 + +## 主な使用食材 +サンマ、大根、ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +気仙沼の本吉地方では、昔か���カツオの魚群が沿岸近くまで回遊し、大量に水揚げされていた。大抵は塩蔵ガツオとして流通していたが、その塩蔵カツオの漬け汁を「きがき」と呼んだ。この漬け汁を樽に入れて調味料として売り歩いていた業者がおり、それで大根などを煮るととても美味しいと評判になった。「きがき」は秋田のしょつるやタイのナンプラーと同じ魚醤の一種で、当時は画期的な調味料だった。その後、イカの塩辛や塩漬けの魚をだしに大根を煮たものを「きがき」と呼ぶようになり、サンマなどの鮮魚も煮るようになった。かつては家庭の調味料といえば、自家製の味噌と塩、酢くらいだったので祝い事があれば、味噌を漉した「みそだれ」を醤油の代用品としていた。明治時代になると、醤油は地方でも販売されるようになり、醸造業も発達した。しかしながら醤油は高価なためもっぱら祝い事や来客用だったという。現代では、魚醤ではなく醤油でサンマを煮つける。 + +## 食習の機会や時季 +サンマが水揚げされる秋に気仙沼などの沿岸部で食される家庭料理。おかずの一品、酒のアテ(肴)として好まれている。 + +## 飲食方法 +サンマは頭と鱗を落として、腹を裂いて内臓を取り出す。せんつきでおろした大根を汁ごと入れてサンマを煮込み、火が通ったら身をほぐして背骨を取り出す。醤油を加えてひと煮立ちさせ、ねぎを添える。器に盛り付け、提供する。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- サンマ: 3尾 +- 大根: 400g +- 長ねぎ: 1本 +- 醤油: 大さじ2と1/2 + +## 作り方 +1. サンマは頭をおとして内臓を取り出し、水洗いする。 +2. 大根は皮をむき、せんつきでおろし、汁ごと鍋に入れ、サンマを上に並べ火にかける。 +3. サンマが煮えたら、尾の方から手でしごいて骨から身をはずしてさっと混ぜる。醤油を振りかけて、大根が軟らかくなるまで煮る。おろし際に斜め切りねぎを加えて、火を止める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ごっつぉうさん-伝えたい宮城の郷土食」(みやぎの食を伝える会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_21_1.jpg)" +"# サンマのすり身汁 宮城県 + +**郷土料理名**: サンマのすり身汁 + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +宮城県 + +## 主な使用食材 +サンマ、大根、ねぎ、豆腐 + +## 歴史・由来・関連行事 +サンマは、金華山沖を代表する魚で、古くから秋の味覚として親しまれてきた。サンマは南の海で生まれて北上し、北の海でえさを食べて産卵のために南下する。北は千島列島から南は沖縄周辺まで南北に移動し、成長する。サンマの漁期は8月から北海道で始まり、金華山沖では10月から11月に最盛期を迎える。サンマやサバなどの青魚に含まれる魚油中の脂肪酸に多く含まれるIPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は動脈硬化を抑え、心筋梗塞や脳梗塞などの生活習慣病を予防する食品としても注目されている。庶民の秋の味覚として親しまれているサンマだが、近年は不漁が続き、価格は上がる一方である。地元では新鮮なものは刺身やすしのネタとして生食される。定番は塩をふったシンプルな塩焼きで、大根おろしを添えて出す。また、すり身もよく食されていて、自分でたたいてすり身にするほか、県内のスーパーマーケットや鮮魚店では秋になるとすり身として販売する。大根や白菜などと一緒に汁物に仕立てたものが「サンマのすり身汁」で、家庭や飲食店、イベントなどでも提供される。 + +## 食習の機会や時季 +サンマの旬である秋になると、スーパーマーケットや鮮魚店でサンマのすり身が売られるようになる。それを丸めてつみれにし、秋野菜と一緒に汁ものにして食す。家庭や飲食店で食べることができる。また、毎年気仙沼や女川などの港町でおこなわれる秋のイベント「サンマ炭火焼お振る舞い」として提供されてる。 + +## 飲食方法 +サンマのすり身をまるめたものと野菜を煮て食べる。石巻地域では「サンマのすり身汁」の中に松葉になぞらえた大根のひき菜を加えていることから「松葉汁」と称して郷土料理になっている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- サンマ: 3尾 +- 豆腐: 200g +- ねぎ: 1/2本 +- 大根: 150g +- 味噌: 大さじ3 +- 水: 4カップ +- 【調味��A】味噌: 大さじ1 +- 【調味料A】おろししょうが: 小さじ1 +- 【調味料A】片栗粉: 大さじ1 + +## 作り方 +1. サンマは頭と内臓をとりだし、水洗いして3枚におろす。ハラスや小骨を除き、包丁のみねでたたいてから調味料Aを加えて、さらにたたいてすり身にする。 +2. 大根は短冊切り、豆腐は大きめに切る。ねぎは斜め切りにする。 +3. 鍋に水と大根を入れて煮る。大根が煮えたらすり身を大きいさじですくって入れ、浮き上がってきたら味噌で味をととのえ、豆腐、ねぎを入れて火を止める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ごっつぉうさん-伝えたい宮城の郷土食」(みやぎの食を伝える会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_22_1.jpg)" +"# しそ巻き 宮城県 + +**郷土料理名**: しそ巻き + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +宮城県 + +## 主な使用食材 +青しそ、味噌、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +しそは、縄文遺跡からも種の化石が出土するほど、古くから日本人に食されてきた食材である。赤しそ、青しそがあり、赤しそは梅干しやきゅうりなどと一緒に漬けこまれる。青しそは「大葉」とも呼ばれ、刺身のつまや香味野菜として重宝されている。栄養価としては、食物繊維、ビタミンB群、ビタミンC、カリウムやカルシウムなどのミネラルも多く含んでいる。宮城県は、藩政時代に伊達政宗公が城内に「御塩噌蔵」をつくって「仙台味噌」の製造を推奨し、現代にいたるまで仙台味噌は宮城県を代表する名産品となっている。その仙台味噌にごまやくるみを入れて練ったものを青しそで包んで揚げたものが「しそ巻」である。その始まりは伊達政宗公である、鳴子で湯治客のためにつくられたという説もある。もともとはおかずとして食されていたそうだが、砂糖などを加えたことでお茶うけや子どものおやつなどとして広まっていった。また、弁当のおかずとしても一般的である。宮城県ではスーパーマーケットや道の駅などでも通年販売され、多くの人に愛されている。宮城県だけでなく、岩手県や山形県などでも「しそ巻」は庶民のおやつとして好まれている。 + +## 食習の機会や時季 +通年。お茶うけやおやつ、ご飯や弁当のおかずとして食される。日本酒のアテとしても好まれる。 + +## 飲食方法 +味噌に砂糖、くるみ、ごま、唐辛子などを合わせて練り、水分を切ったしそで巻いて楊枝を指す。油でカラッと揚げて水分を飛ばしたら、しっかり油をきる。揚げたてはパリパリとした食感が楽しめる。その後、冷蔵庫などで保管すれば1週間ほど保存が可能。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (約100串分) +- 青しその葉(ちりめんじそ): 400~500枚 +- 【材料A】赤味噌: 500g +- 【材料A】砂糖: 250~500g +- 【材料A】薄力粉: 250g +- 【材料A】むきぐるみ: 150g +- 【材料A】白ごま: 25g +- 【材料A】七味唐辛子: 6g + +## 作り方 +1. 青しその葉は洗って水を切り、葉柄を取って1枚ずつ布巾で水気を拭いておく。 +2. むきぐるみは粗く刻んでおく。 +3. 材料Aを厚手の鍋に入れてよく混ぜ合わせ、材料が全体になじんだら火にかける。鍋底を木べらでこすりながら焦げないように注意し、練り味噌をつくる。この時、水を100mlほど加えると練りやすい。やや柔らか目の状態で火を止めて冷ます。 +4. 練り味噌が冷めたら適量を取り、棒状にまとめておく。 +5. 青しその葉の表を下にして、葉柄側に4をのせ、葉先に向けてくるくる巻いて3~4本ずつつま楊枝に刺す。 +6. 170度に熱した油に入れ、一度裏返して揚げる。 +7. 十分に油を切り、冷暗所で保存する。冷凍すると長期保存ができる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ごっつぉうさん2(2は、正しくはローマ数字の2)-伝えたい宮城の郷土食」(みやぎの食を伝える会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_23_1.jpg)" +"# 仙台白菜の漬物 宮城県 + +**郷土料理名**: 仙台白菜の漬物 + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +宮城県 + +## 主な使用食材 +白菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +日本で白菜が栽培されるようになったのは明治時代からで、宮城県では日清・日露戦争の凱旋の際に中国から種子を持ち帰った。大正時代に入ると、日本の白菜の原型のひとつといわれる「松島白菜」が誕生��さらに「松島白菜」をもとに「松島純二号」や「松島新二号」などが育成され、宮城県は白菜出荷量日本一を誇る大産地となった。松島系の白菜は中身が白く柔らくて甘みが強く、「仙台白菜」という名でブランド化し、全国に流通した。しかし、戦後の新しい品種への移行が進み、葉が柔らかく輸送中に傷つきやすい伝統野菜「仙台白菜」の栽培は減少していった。2011年、東日本大震災による津波で沿岸部の農地は大きなダメージを受けた。塩害の影響が営農再開へ向けて問題となる中、JA全農みやぎが中心となって塩害に比較的強い「仙台白菜」の生産を復活、振興し、消費までの一体的な取り組みをはじめた。仙台白菜は柔らかく、うま味成分であるアミノ酸を多く含むので、漬物にしたときにつかりやすく、適度な歯ごたえを保ち、漬け込むほどに味がよくなり、おいしさが長持ちするという特徴がある。かつてはこの仙台白菜の漬物が何よりのおかずとしてよく食されていた。 + +## 食習の機会や時季 +ご飯のおかずや、お茶うけとして食される。家庭や飲食店など、幅広いシーンで利用されている。 + +## 飲食方法 +霜が降りる11月中旬に旬を迎える白菜を、収穫後にしばらくおいてしんなりさせたら、塩をふって漬けこむ。食べやすい大きさにカットしてそのまま食べるほか、古漬けになって酸味が増したものはごま油と一緒に炒めるなどしてアレンジされる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1樽分) +- 白菜: 10kg +- 塩(4~5%): 400~500g +- 唐辛子: 5~6本 +- 好みで柚子の皮や昆布の細切り: 適宜 +- 重石: 20kg位 + +## 作り方 +1. 白菜は収穫後しばらくおいて、しんなりしたら洗って、株元に切り目を入れ、手で2つに割る。 +2. 桶に白菜の切り口を上にしてすき間なくきっちり並べて入れる。根元に多めに塩を振り、唐辛子も入れて、これを繰り返し、重石を載せ、1~2日漬ける。 +3. 2~3日で水が上がってきたら一度全部取り出し、上にあった白菜が下になるように上下入れ替えて漬け返す。重石は半分くらいにし、漬け汁はヒタヒタ程度にもどす。 +4. 小さく切った柚子の皮や昆布は漬け返しの時に入れる。2週間後くらいが食べ頃である。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ごっつぉうさん2(2は正しくはローマ数字の2)ー伝えたい宮城の手づくり加工」(みやぎの食を伝える会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_24_1.jpg)" +"# たけのこご飯 宮城県 + +**郷土料理名**: たけのこご飯 + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +たけのこ、米、人参、油揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +たけのこは、和食に欠かせない食材で、「古事記」にも記されているほど、古くから食べられていたという記録がある。 現在流通しているたけのこは、主に孟宗竹と呼ばれる中国原産のもので、皮には茶色の毛が生えていて大型で肉厚、身は白く柔らかい。えぐみは少ない方で、甘みを含んだ独特のうま味と歯ごたえがあるのが特徴である。栄養素としては、塩分を輩出するカリウムや亜鉛などのミネラル、食物繊維を多く含み、またグルタミン酸などのうま味成分も豊富である。低カロリーであることから、ダイエット食品としても注目を集めている。宮城県内では4月ごろから各地で孟宗竹が顔を出す。主な産地は丸森町や名取市で、ここでは商業用の出荷はもちろん、たけのこ掘り体験などもおこなわれている。たけのこは県内どこでも収穫され、雨上がりには食べきれないほど獲れるので、農家では田植えの時や行楽でたけのこご飯や煮しめ、味噌和えや味噌汁として食卓に上る。5月下旬になると、孟宗竹にかわってから竹などが収穫される。たけのこご飯は、たけのこのアレンジメニューとしては最も一般的であり、宮城県だけでなく日本全国で食されている。 + +## 食習の機会や時季 +4月から5月半ばにかけて地元のたけのこが市場に出回る。たけのこご飯は春を感じさせる日常のご飯として、また行楽弁当の主食としても親しまれている。地上に頭を出す前に掘り出したたけのこは、やわらかく生でも食べることができる。姫皮は和え物に、穂先は和え物や若竹汁等の吸い物に、根元の硬いところは煮物や揚げ物に用いられる���たけのこご飯にはどの部位でも使用するが、根元は繊維に直角に切って使用する。 + +## 飲食方法 +下処理したたけのこと人参やしいたけ、山菜などを加えて炊きこみご飯にする。ひとりずつの茶碗に盛り付けて食す。野菜だけでなく、鶏肉なども一緒に炊きこむこともある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ゆでたけのこ: 150g +- 米: 3カップ +- 水(煮汁と水): 3と1/2カップ +- 油揚げ: 1枚 +- 人参: 60g +- 木の芽: 少々 +- 【調味料A】醤油: 大さじ3 +- 【調味料A】砂糖: 大さじ1 +- 【調味料A】酒: 大さじ1と1/2 +- 【茹で用】米ぬかまたは米のとぎ汁: 適量 +- 【茹で用】唐辛子: 適量 + +## 作り方 +1. 【たけのこのゆで方 手順1】たけのこはなるべく太くてずんぐりした、新鮮なものを選ぶ。皮を付けたまま、根元の硬い部分をそぐように切り落とし、先端の部分は4、5cmのところを斜めに切り落とす。 +2. 【たけのこのゆで方 手順2】身まで切り込まないように注意し、縦に1本、包丁目を入れる。 +3. 【たけのこのゆで方 手順3】たっぷりのゆで汁に、米ぬかか米のとぎ汁と半分に切った唐辛子、たけのこを入れ、落としぶたをして火にかける。沸騰して50分~1時間で軟らかくゆであがる。根元に竹串を刺してすんなり刺さればよい。火を止めそのまま冷ます。 +4. 【たけのこのゆで方 手順4】すっかり冷めたら、切れ目を入れておいたところに指を入れ、一気に皮をむき、水洗いする。すぐに使わない場合は、必ず水に浸けておく。 +5. 【たけのこご飯のつくり方 手順1】米は洗って、ざるに上げて水気をきっておく。 +6. 【たけのこご飯のつくり方 手順2】たけのこ、人参、油揚げは小さめの短冊切りにし、調味料Aの中に10分間浸けて、下味をつける。 +7. 【たけのこご飯のつくり方 手順3】釜に米を入れ水積もりをする。「たけのこご飯のつくり方 手順2」を汁ごと加えて炊く。 +8. 【たけのこご飯のつくり方 手順4】炊き上がったら、上下を混ぜて器に盛り、木の芽を散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ごっつぉうさん-伝えたい宮城の郷土食」(みやぎの食を伝える会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_25_1.jpg)" +"# なす炒り 宮城県 + +**郷土料理名**: なす炒り + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +宮城県 + +## 主な使用食材 +なす、油麩 + +## 歴史・由来・関連行事 +なすの旬は夏から秋であり、地域によって育てられている種類もまったく異なる。宮城県でなすの栽培がはじまったのは、伊達政宗公の時代、1590年ごろではないかといわれている。伊達家家臣の一人が博多から持ち帰ったなすが、長い年月をかけて東北の気候になじみ、独特のかたちになったと考えらている。それが「仙台長なす」で、漬物にしたり、炒め物にしたりと様々な料理に用いられている。なすは、水分を多く含む野菜で、栄養価としては皮の部分に含まれるナスニンと呼ばれるポリフェノールの一種があげられる。アントシアン系の色素であるナスニンには強い抗酸化力があり、ガンや生活習慣病のもとになる活性酸素を抑える力が強いといわれている。また、コレステロールの吸収を抑える作用もあるという。こうした栄養価の高いなすを、皮ごと調理したものが「なす炒り」である。油麩もしくは油揚げと一緒に醤油で炒めたシンプルな料理で、宮城では昔から常備菜としてつくられてきた。醤油を加えて炒めるだけでなく、砂糖やみりんを加えたり、味噌と一緒に炒めたり、くるみを加えたり…と、家庭によって調理方法は異なる。 + +## 食習の機会や時季 +なすが旬を迎える夏から秋にかけてよく食されている。しかし、現代ではなすは通年流通していることから、年中食卓に上る常備菜である。仙台のなす炒りは、細切りしたなすを油で炒め、醤油と酒で調味したシンプルな料理で青しそを加えることもあり、食欲をそそる料理である。 + +## 飲食方法 +なす炒りは全国で食されている郷土料理だが、宮城県では切ったなすと油麩を炒めて醤油で味付けをし、最後に片栗粉でとろみをつけるのが一般的である。地域によっては、みょうがやしそと一緒に炒めることもある。多めにつくって冷蔵庫で保存し、副菜として提供されることが多い。 + +## 保存・継承の���組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- なす: 8個(300g程度) +- 油麩: 1/2本 +- サラダ油: 大さじ2 +- だし汁: 大さじ3 +- 醤油: 大さじ2と01月02日 +- みりん: 大さじ2 +- 酒: 大さじ1 +- 片栗粉: 小さじ2 +- 水: 小さじ2 +- 唐辛子(粉): 少々 + +## 作り方 +1. なすは細切りにし、水にさらしてアクを抜く。 +2. 油麩は1cm幅に切る。(油麩のかわりに、油揚げを千切りにして加えてもよい。またたまねぎの細切りや、青じそを加えても良い。) +3. 鍋にサラダ油を熱し、1と2を入れて炒める。 +4. 3がしんなりしてきたら、だし汁、醤油、みりん、酒を加え、最後に水溶き片栗粉でとろみをつける。 +5. 好みで唐辛子をふる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「なかだ旬菜記」(中田町)、「私の味あなたの味ー伝えたいいしこしの味レシピ集ー」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_26_1.jpg)" +"# ばっけ味噌 宮城県 + +**郷土料理名**: ばっけ味噌 + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +宮城県 + +## 主な使用食材 +ふきのとう、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +江戸時代、「味噌を用いず木葉、草根を食えばその毒にあたる」という教えが広がり、木の葉や草の根を食べるときには味噌が用いられるようになった。次第に生味噌から一緒に練り込んだ練り味噌に発展していったと考えられている。それゆえ、季節ごとの食材を用いた練り味噌が今に伝えられている。その季節の練り味噌の中で、宮城県でよく食されている味噌が「ばっけみそ」である。「ばっけ」とはふきのとうを指す宮城の方言。地面につぼみが出て花が咲くことから「お化け」が「ばっけ」になったという説がある。このばっけは、春を告げ、冬の間の体毒を輩出するとしてよく好んで食される山菜である。花が咲いてしまうと苦味も強く不味くなるので、花が咲く前のやわらかい蕾を摘みとって用いる。栄養価としては、カリウムを多く含み、塩分を排泄し、むくみを軽減させたり、血圧を下げる効果があるといわれている。また、苦味成分はアルカノイドとケンフェールで、これらは肝機能を強化し、新陳代謝を促進したり、活性酸素などの発ガン物質を抑制する効果があるといわれている。天ぷらやおひたし、和え物などで調理されるほか、宮城では味噌と練る「ばっけみそ」がよくつくられる。 + +## 食習の機会や時季 +ふきのとうが出てくる春先になると、各家庭でつくられる。家庭によっては1年分をつくって冷凍保存し、年中食卓に上がる。 + +## 飲食方法 +アク抜きをしたふきのとうをゆでて刻み、くるみや味噌と合わせる。出来上がったものは瓶詰などの保存容器に入れ、冷蔵庫で保存。温かいごはんの上にのせたり、おにぎりの具や、弁当のごはんに添えたりするほか、焼いた肉や魚、豆腐に添えられたり…と、日常的によく食されている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (200cc保存びん1本分) +- ばっけ(ふきのとう): 100g +- むきくるみ: 60g +- 味噌: 200g +- 【調味料A】砂糖: 100g +- 【調味料A】酒: 大さじ2 + +## 作り方 +1. ばっけは洗ってからさっとゆで、水にさらしてアクを抜く。水気をしぼり粗く刻む。 +2. すり鉢でくるみをすり、味噌とばっけも入れてする。さらに調味料Aを加えてすり混ぜる。 +3. 鍋に2を入れて火にかけ、弱火で練る。軟らかめのうちに火を止める。 +4. ※ばっけを生のまま細かく刻み、味噌、砂糖、酢を加えると一層香りが強くなる。ばっけを軟らかくゆですぎると風味が失われる。ばっけの茎も利用できるが、かための場合はポリ袋に入れて叩きつぶすと軟らかくなる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ごっつぉうさん2(2は、正しくはローマ数字の2)-伝えたい宮城の手づくり加工」(みやぎの食を伝える会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_27_1.jpg)" +"# へそ大根のにしめ 宮城県 + +**郷土料理名**: へそ大根のにしめ + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +宮城県南地域 + +## 主な使用食材 +へそ大根、人参、里芋、干ししいたけ、結び昆布、凍み豆腐 + +## 歴史・由来・関連行事 +寒さが厳しい東北地方では、古くから寒風に野菜や魚をさらして保存食をつくる習慣があった。へそ大根もそうした保存食の一つで、県南の丸森町でつくられ���いる。標高300メートルを超える高地でつくられた美味しい大根の皮をむいて輪切りにし、ゆでてから真ん中に串やわらを通し、冬の寒さを利用して約一か月軒下に干す。夜に凍って昼間に融けることを繰り返すことで、飴色の「へそ大根」ができあがる。串に刺した後の穴が「まるでおへそに見える」ことから「へそ大根」もしくは「ばばべそ」と呼ばれている。十分に干したものは、翌年の夏まで保存することができ、季節の野菜と一緒に煮しめにするのが定番の調理法である。調理する際には軽く洗ってからぬるま湯につけて戻し、好みのかたさになったらさまざまな具材とともに煮しめにする。天日干しされることでビタミンB群やカリウム、カルシウムなどのミネラル、食物繊維などの栄養価が高まることが知られており、生の大根より高い。 + +## 食習の機会や時季 +冬のはじまりに旬を迎えた大根を収穫し、皮をむいて輪切りにして大きな鍋でゆでる。ゆであがった大根は真ん中に串やわらを通し、寒さを利用して軒下に干す。一か月の間、夜に凍って昼に融けることを繰り返して出来上がったへそ大根は、翌夏まで保存が可能。ゆえに、冬から夏にかけて煮しめなどの料理で食卓に上がる。 + +## 飲食方法 +調理前には軽く水洗いしてぬるま湯でもどし、好みのかたさになったらさまざまな野菜と一緒に煮しめる。近年では、へそ大根をスープの具材にしたり、もどしたものに肉を挟んであげる「はさみ揚げ」などのアレンジレシピも紹介されている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- へそ大根: 8個 +- 人参: 100g(小1本) +- 里芋: 4個 +- 干ししいたけ: 4枚 +- こんにゃく: 100g(1/2丁) +- 凍み豆腐: 4枚 +- 結び昆布(長さ15cm): 8個 +- みりん: 大さじ2 +- 醤油: 大さじ3 +- 砂糖: 大さじ1 +- 笹かまぼこ: 4枚 +- だし汁(かつおぶしまたは煮干しと干ししいたけのもどし汁も含む): 3カップ + +## 作り方 +1. へそ大根は、一晩水につけてもどし軽くしぼる。 +2. 凍み豆腐はぬるま湯につけてもどし軽く絞り、大きいものは三角に二つに切る。 +3. 人参は皮をむき、斜め切りにする。里芋は皮をむき、大きいものは斜めに二つに切る。こんにゃくは塩をつけてもみ、水洗いした後、手綱こんにゃくか三角に切りゆがく。 +4. 干ししいたけは水に浸けてもどし軸を除く。つけ汁はだし汁として用いる。 +5. 結び昆布は、早煮昆布をさっと洗い2~3センチ幅に切って、軽く結ぶ。 +6. 笹かまぼこは、1枚を斜めに二つに切る。 +7. 鍋にすべての材料、だし汁、調味料を入れて火にかけ、沸騰したら弱火にして汁気がなくなるまで煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 仙台白百合女子大学 高澤 まき子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_28_1.jpg)" +"# ほっきめし 宮城県 + +**郷土料理名**: ほっきめし + +**都道府県**: 宮城県 + +## 主な伝承地域 +宮城県 + +## 主な使用食材 +ホッキ貝、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +ホッキ貝(北寄貝)は、正式名をウバガイという大型の二枚貝で、その大きさと美味しさから「貝の王様」と呼ばれている。ホッキ貝にはビタミンB12が豊富に含まれており、その含有量は魚介類の中ではトップクラスを誇る。ビタミンB12は赤血球中のヘモグロビン生成を助けるほか、脳から神経伝達を正常に保つ働きがある。また、タウリンも豊富で、コレステロールを減らす、心臓や肝臓の機能を高める、視力の回復、インスリン分泌促進、高血圧の予防などが期待されている。旬は冬から春である。国内での生産量は北海道が最も多いが、山元町の磯浜漁港は、古くから県内一の水揚げを誇っている。山元町では漁協の資源管理によって捕獲できるサイズを9.5センチ以上と決めており、大ぶりなホッキ貝は高級寿司ネタとして珍重されるほか、旨みたっぷりの「ほっき飯」が郷土料理として食べられている。「ほっき飯」は生のホッキ貝を醤油ベースのタレで煮て、その煮汁で炊き込んだご飯の上にのせたもの。ホッキ漁が盛んな山元町ならではの家庭料理の一つ。この家庭料理は次第にご当地グルメとして飲食店でメニューに載るようになっており、今では町を代表する郷土料理の一つとなっている。 + +## 食習の機会や時季 +12月から5月ごろまでの���の季節に食される。この時期には県南の山元町や亘理町のほか、仙台市内の飲食店などでも提供される。また、スーパーマーケットや鮮魚店でもむき身が売られるようになるので、家庭でも簡単につくれることから、季節に一度は食卓に上ることが多い。 + +## 飲食方法 +剥いたホッキ貝を醤油ベースのタレで煮こみ、その煮汁で米を炊く。炊きあがった米を個々の茶碗や丼に盛り、調理したホッキ貝をのせて提供する。彩りで三つ葉をのせることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4~6人分) +- 米: 3合 +- ホッキ貝: 4~6個 +- 【調味液】ゆで汁と水: 5カップ +- 【調味液】酒: 大さじ6 +- 【調味液】醤油: 大さじ3 +- 【調味液】塩: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 米は洗ってざるに上げて水けをきり30分位おく。 +2. ホッキ貝は殻からはずし、身と貝柱、ヒモに分ける。身は2枚に切り開いてキモを取り除く。貝柱、ヒモは3cm位に切る。 +3. 鍋に湯を沸かし、2のホッキ貝の身と貝柱、ヒモを別々にゆがく。あざやかな桃色になったら素早く引き上げ、そぎ切りにする。ゆで汁に砂などが混じっていることがあるので、晒などのフキンで濾す。 +4. 3のゆで汁と水を合わせて5カップにし、分量の酒、醤油、塩を加えて調味液をつくり、ひと煮立ちさせて冷ます。 +5. 3のホッキ貝の身と貝柱、ヒモをバットなどに並べて4の調味液をひたひたにはる。 +6. 炊飯器に米と5の残りの調味液を入れて炊き(足りないときは水で調整して3合の目盛にあわせる)、炊上ったら5の貝柱、ヒモを入れてさっくりと混ぜる。 +7. 器にごはんを盛り、5の身を散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : みやぎの食を伝える会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_29_1.jpg)" +"# いぶりがっこ 秋田県 + +**郷土料理名**: いぶりがっこ + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +県内陸南部 + +## 主な使用食材 +大根、米ぬか、塩、砂糖(ザラメ) + +## 歴史・由来・関連行事 +秋田の代表的な燻製干しのたくあん漬け。今では県内全域で作られているが、かつては県内陸部の農家で作られていた郷土料理である。 冬の訪れの早い秋田、特に県内陸南部は、晩秋から冬にかけて日本海の湿気を帯びた西風が奥羽山脈に阻まれることで、降雨と降雪が多くなり、日照時間が短く気温も下がる。たくあん作りのための天日干し大根が十分乾燥しないまま氷点下になる雪深い環境のため、家の囲炉裏の上で大根を干していた。囲炉裏火の熱と煙で干すことにより、大根の保存性を高め、さらに米ぬかと塩などで漬け込んで水分を取り除くことで、冬を越して食べることができた。また、冬季の気温で発酵がゆっくり進み、大根に付いた燻製の香りと漬け材料が良い塩梅で融和し、独特のうま味と風味を醸し出す。この囲炉裏干しのたくあん漬けが「いぶりがっこ」の原型であり、その起源は室町時代ともいわれ、この地域のほぼ全戸で作られ、独特の風味とともに秋田の豪雪地の冬越しの食卓を支えた。〈いぶり〉とは〈いぶした〉という意味で、〈がっこ〉とは秋田で〈漬け物〉を意味する方言である。 + +## 食習の機会や時季 +収穫したての大根や人参等の根菜を降雪の時期が訪れる前に仕込みはじめる。長期間雪に閉ざされる地域の生活と健康を支えるためになくてはならない、雪深い秋田の風土が生み出した知恵の産物といえる。 + +## 飲食方法 +大根を冷水で洗い、まんべんなく燻製させるために太いものから順に、大根を手作業で縄編みする。ナラや桜など広葉樹の原木を燃やした煙で2~5日間いぶす。米ぬか、塩、砂糖(ザラメ)などを振りかけて漬け込み、2ヵ月以上発酵熟成させる。樽から出して表面の米ぬかを冷水でさっと洗い落とし、薄く切って器に盛り付ける。ご飯のお供はもとより、酒の肴、お茶うけとしても食べる。また、家々に伝わる味があり、もてなしの一品として来客を楽しませたり、近所の仲間たちとその年のいぶりがっこの出来映えを褒めあったりする。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量)※行事食用の分量とレシピ。) +- いぶした大根: 12kg +- いぶした人参(あれば山内にんじんで): お好みで +- 【つけもと】くず米のふかし: 1.5kg +- 【つけもと】米ぬか: 1.5kg +- 【つけもと】塩: 1.5kg +- 【つけもと】砂糖(ザラメ): 1kg +- 【つけもと】ウコン粉(または紅花粉): 少々 + +## 作り方 +1. 土を落としてひげ根も取りきれいに洗った大根(人参)を、紐で10本程度編み込む。大根(人参)をいぶし小屋に吊り下げ、昼夜火の勢いに気を配りながら4~5日いぶす。 +2. いぶし終えてきれいな飴色に変わった大根(人参)のススやほこりを洗い流す。 +3. 【つけもと】をすべて混ぜ合わせ、大きな樽に大根を隙間なく並べ1段ごとにつけもとを振りかけて漬け込む。 +4. 漬け込んでから50~60日ほど経つと味が染み込み、色艶が出ておいしく食べられる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_1_1.jpg)" +"# ハタハタ寿し 秋田県 + +**郷土料理名**: ハタハタ寿し + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +沿岸中心に県内全域 + +## 主な使用食材 +ハタハタ、米、麹、にんじん、ふのり + +## 歴史・由来・関連行事 +ハタハタは元来深海に住む魚で、海が荒れて雷鳴がとどろくような時に、産卵期の一時期のみ大群で近海に現れることから、雷光の古語である「霹靂神(はたはたがみ)」の名をとってこう呼ばれるようになった。別名カミナリウオともいう。ハタハタは民謡「秋田音頭」にも唄われ、「ハタハタなしでは正月を迎えられない」と言われるほど、県民生活に深く根づいている魚。昔は年間1万トンを超える漁獲量を誇っていたが、乱獲や日本海の水温の変化などが原因で漁獲量が減った現在では、高級魚として扱われている。米どころ秋田らしく、米飯と麹をふんだんに使って作られるハタハタ寿しは、ハタハタ料理の中でも秋田の食文化には欠かせない。地域によって作り方に少し違いがあり、ハタハタをすぐに塩漬けする方法は昔から伝わる作り方。水にしばらく漬けてぬめりと血を除いてから処理する方法は麹の甘みがほどよくのって臭みのないすっきりとした味のハタハタ寿しになる。その風土に合った作り方が今日まで受け継がれている。 + +## 食習の機会や時季 +ハタハタの頭、えら、内臓を取りのぞいて漬けた一匹ずしは大みそかや正月のお供え用として、一口サイズの切り身にして漬けた切りずしは正月料理に欠かせない一品。 + +## 飲食方法 +洗って一口大サイズに切ったハタハタを、調味料を加えた酢水に3日間漬け込む。 桶に笹、麴ご飯、ハタハタ、にんじん、ふのり、ゆず、の順に重ね冷蔵室で発酵させる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量)※行事食用の分量とレシピ。) +- ハタハタ: 10kg +- 【下漬け】食酢: 500cc +- 【下漬け】塩: 100cc +- 【下漬け】ゆず、生姜: 好みで +- 米(炊いておく): 1.5kg +- 【本漬け】麹: 400g +- 【本漬け】塩: 110g +- 【本漬け】酒: 1合 +- 【本漬け】みりん: 1合 +- 【本漬け】笹の葉: 70枚(10枚×7段) +- 【本漬け】人参: 4本 +- 【本漬け】南蛮: 10本 +- 【本漬け】ふのり: 1袋(15g) + +## 作り方 +1. 【下ごしらえ】ハタハタの頭、内臓、尾を取り除く。 +2. 塩(分量外)でぬめりを取りながら冷水で洗う。 +3. たっぷりの冷水に浸して三昼夜血抜きする。水は朝夕の2回交換する。 +4. 血抜きしたハタハタを2~3等分に切り、さらに一昼夜冷水に浸す。 +5. 水からザルあげして、【下漬け】の食酢と塩を入れ軽めの重し(2kg位)をして1昼夜漬け込む。好みでゆず、生姜も一緒に漬け込む。 +6. 【本漬け】の漬け込む材料を準備する。 +7. 炊いた米の粗熱をとり、【本漬け】の麹を混ぜて暖かいところで2~3時間保温する。 +8. 桶に笹の葉をまんべんなく敷き、【本漬け】の塩、酒、みりんとあわせた7.を敷き、ハタハタを平らに敷く。 +9. 8.を交互に積み最後に笹の葉で覆い、重し(5~6kg)をして2日間ほど置く。 +10. 水が上がってきたら、25~30kgまで重しを追加する。 +11. 3週間ぐらい涼しいところで発酵させる。 +12. 試食して熟成したところで、桶の中の上がった水を捨て、ペーパータオルで水気をすっかりとって、200gに小分けして冷蔵庫で保存する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_2_1.jpg)" +"# 笹巻き 秋田県 + +**郷土料理名**: 笹巻き + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +もち米、笹の葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +もち米を笹の葉で巻いて、イ草で結んで蒸し上げたもの。県内各地でつくられる伝統食で、全国的には「ちまき」と呼ばれ、竹の皮などで巻く地域もある。笹で巻いたものは、秋田のほか、新潟や山形、福島の会津地方でも見られる。クマザサは古くから民間薬として利用され、万病に効くとして重宝されてきた。笹の葉には抗菌性や防腐性があると言われ、昔から保存食や携帯食の包装に使われていた。もち米はうるち米に比べると収穫量も少なく高級品のため、昔からお祝いの席のごちそうとして用いられることが多かった。「笹巻き」は豊かな米どころならではの、少し贅沢なハレの食文化と言えよう。秋田県ではかつては端午の節句やさなぶり(田植えを終えた祝い)の行事食だった。田植えがすべて女性たちの手によるものだった時代に、農家の娘たちは「さなぶり休み」として実家に里帰りする習わしがあり、嫁家からの手土産として笹巻きを持たせていた。 + +## 食習の機会や時季 +端午の節句や田植え後のさなぶりで作られる行事食。秋田の初夏の味覚。 + +## 飲食方法 +笹の葉をほどいて、砂糖を混ぜたきな粉をかけて食べるのが一般的。笹の巻き方は地域によって様々で、3枚使うと長(なが)巻き、2枚使うと短(みじか)巻きなどと呼ばれる。三種町では大きな笹1枚で小ぶりな三角、由利本荘市では細長い三角、仙北市ではぺたんこの三角など、形にも地域性がある。笹の葉は保存食としての役割はもちろん、笹のさわやかな香りを楽しむことができるのも特徴だ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (35~40個分)※行事食用の分量とレシピ。) +- もち米: 1.5kg +- 笹の葉: 150枚(3枚巻き) +- イ草: 適宜 +- 重曹: 少々 + +## 作り方 +1. 【下準備】笹の葉は洗って水気を拭き、先と茎を切り落としておく。もち米は洗ってザルにあげて、15分くらいおく。 +2. 根元を右に葉の表を見る。右の根本から内側にくるりと巻き込み、三角の筒を作る。 +3. 先から米がこぼれないようにしっかりとじる。 +4. 2枚重ねた笹の裏から、3の上部に置く。 +5. 茎になる部分を上に残してくるりと巻き込む。 +6. (5)にもち米を40g前後入れる。 +7. 手前の笹を折り、向こう側からふたを倒し、しっかりと折る。 +8. 形を整え、イ草で封をし、巻き次第、水(分量外)を張ったボールに入れ、そのまま2時間くらい浸す。 +9. 沸騰した湯(分量外)に重曹を少々入れ、(8)を入れ30分煮て冷水にとり、それを絞った布(タオル等)に包み、ゆっくり冷ます。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_3_1.jpg)" +"# だまこ鍋 秋田県 + +**郷土料理名**: だまこ鍋 + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +秋田市、男鹿、南秋、能代山本地区までの沿岸北部 + +## 主な使用食材 +ご飯、比内地鶏、ネギ、セリ、マイタケ、ゴボウ + +## 歴史・由来・関連行事 +鶏ガラベースの汁に鶏肉や野菜、すり鉢で突いたご飯を団子にしたものが入った、秋田の冬には欠かせない、家庭で作られている郷土料理。八郎潟周辺の南秋地方が発祥の地といわれている。だまこ鍋は元々、八郎潟の幸であるワカサギ、フナやシラウオなどを焼いたものを入れて、味噌で味を付けた「つけご」という食べ方があったが、八郎潟が干拓されて漁獲量の激減により魚離れが進んだため、魚の代わりに鶏のガラと肉が使われるようになった。秋田では、子どもの遊び道具「お手玉」を「だまこ」と言い、炊きたてのご飯をすり鉢に入れ、すりこぎでほどよくつぶして手のひらで丸めたものがだまことなる。いわば、ごはんの団子であり、お手玉の形に似ていることから「だまこ」の名が付いたとされている。また、だまこがあまりにもおいしくて子どもたちが夢中になって食べることから、「黙って食べる子」が「だまっこ」と呼ばれるようになったという説もある。 + +## 食習の機会や時季 +秋田県には「庭あらい」といって、収穫したばかりの新米を炊き、つぶして団子をこしらえ、だまこを食べる風習がある。また、冬になると、子どもたちとだまこを作る家庭もある。 + +## 飲食方法 +少々かために炊いた米をスリコギで粘り気が出るまで5割ほど突き、熱いうちに団子を作る。比内地鶏のだし汁に醤油や味噌などで味を付け、地鶏やネギ、セリ、マイタケ、ゴボウと一緒に煮る。団子は丸めるときに軽く塩をつけたり、丸めてから網の上で少し焼いてから食すなど地域でやや違いがある。スープのベースも具材も大館市発祥のきりたんぽと同様だが、だまこは串がいらないのと、基本は焼かないのが特徴。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- うるち米: 750g(5合) +- 塩水: 適量 +- 鶏肉(推奨:もも肉): 500~600g +- ごぼう: 1本 +- セリ: 2束 +- ネギ: 2本 +- きのこ(まいたけ、しいたけなど): 200~300g +- 糸こんにゃく: 2玉 +- 【スープ】かつお出汁: 900cc +- 【スープ】鶏ガラ出汁: 900cc +- 【鶏ガラ出汁】鶏ガラ: 1羽 +- 【鶏ガラ出汁】水: 900cc +- 醤油: 120cc +- 味噌: 大さじ1・1/2 +- みりん: 60cc + +## 作り方 +1. 米は心持ち固めに炊き、熱いうちにすり鉢でよくつぶし、ピンポン球の大きさに丸め、塩水にサッと入れる。(煮くずれしないように注意して丸めること)。 +2. だし汁に、醤油、味噌、みりんを入れてスープを作り、一口大に切った鶏肉と糸こんにゃく、一口大に割いたまいたけ、半分に切ったしいたけと、ささがきしたごぼうを入れ煮る。鶏肉がしっかり煮えたら、1のだまこ、斜め切りしたネギ、4~5cmに切ったセリを入れて、ひと煮立ちしたら出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_4_1.jpg)" +"# 納豆汁 秋田県 + +**郷土料理名**: 納豆汁 + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +県南地域内陸部、由利本荘市中直根地域 + +## 主な使用食材 +納豆、里芋、油揚げ、きのこ、わらび、豆腐 + +## 歴史・由来・関連行事 +納豆汁はていねいにすり潰した納豆を混ぜた味噌汁で、秋田県南地域に伝わる郷土料理。全国各地に納豆発祥の地があるが、現在の横手市もそのひとつである。同地が舞台となった後三年の役(1083~1087年)のころ、物資の供給に苦しむ源義家側に農民が兵糧としてわらで包んだ煮豆を届けた際、数日経った煮豆が変色し独特な香りで糸を引く豆に変化してしまい、試しに食してみたところおいしかったことから、農民たちが納豆として作るようになったといわれている。また、この言い伝えから横手市・金沢公園に記念碑が建てられた。具のメインとなるきのこや山菜は、春や秋に採ったものを塩蔵しておき、納豆汁を作るときに塩抜きして使用する。手間がかかるため、冠婚葬祭などハレの日の料理として定着した。味噌汁にすり潰した納豆が入ることで、独特のコクが生まれ、まろやかな味になる納豆汁は、県南地域の内陸部では老若男女問わず人気があり、多くの人がこれを食べることを冬の楽しみにしている。 + +## 食習の機会や時季 +正月といえば雑煮だが、秋田県南地域の内陸部では納豆汁が定番。大きな鍋で作り、三が日の間温め直して食べる習慣が残っている。秋田の冬は寒さが厳しく、野菜不足を補うために納豆を入れて汁にして食べるとも伝えられる。 + +## 飲食方法 +煮干しでとっただし汁で里芋と油揚げを煮て、きのこ・わらび・豆腐を加え味噌で味を整える。すりつぶした納豆を加え、ネギとからし菜をのせる。具は保存がきく山菜が多く入れられる。すべての食材からの旨味が、発酵食品の王様ともいえる納豆と味噌とよく絡み合う。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 納豆: 150g +- 味噌: 120g +- 煮干し: 5~6本 +- 水: 1200cc +- 里芋: 中3~5個 +- 豆腐: 1/2丁 +- 山菜の塩出ししたもの(わらび、サク): 100g +- きのこ(なめこ、サワモダシ): 100g +- ぜんまい(もどしたもの): 50g +- ネギ: 1本 +- 油揚げ: 2枚 +- からし菜(塩漬けしたもの): 50g + +## 作り方 +1. 里芋は皮をむき小さめに切る。わらびやサク、きのこ、ぜんまいは2cm長さに切る。 +2. 豆腐はさいの目切り、油揚げは1cm長さにする。 +3. ネギ、からし菜は細か��刻んでおく。 +4. 水と煮干しでだしを取り、汁に1を加え、煮えたら2を入れる。 +5. 納豆をすり鉢ですりつぶし、4の汁を少しずつ加えて溶き混ぜる。 +6. 4に味噌を入れてひと煮立ちしたら、5の納豆の溶き汁を加える(煮立てないようにする)。 +7. お椀に盛り、3のネギとからし菜を上にのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_5_1.jpg)" +"# きりたんぽ鍋 秋田県 + +**郷土料理名**: きりたんぽ鍋 + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +大館市、鹿角市 + +## 主な使用食材 +お米、鶏、ゴボウ、長ネギ、セリ + +## 歴史・由来・関連行事 +きりたんぽ鍋は鶏ガラと調味料で作った汁に炊いたご飯をすり潰したものと野菜を入れた鍋料理。大館・鹿角地方が発祥の地で、炭焼きや伐採のために山籠りをした人々が、残り飯をつぶして棒に刺して焼いて食べていたものを鳥鍋に入れたことが始まりと伝えられる。重要な具材であった比内鶏が、秋田県産種の鶏として国の天然記念物に認定され食べられなくなった時期があったが、当時の比内町の町長の声がけで「比内地鶏」が誕生し、再び家庭の味として復活した。比内地鶏は元来のキジや山鳩に肉の組織が似ていて脂がきめ細かく、「たんぽ」との相性は抜群である。串に刺し焼いたご飯ががまの穂に似ており、短い穂の意味である「短穂」から「たんぽ」と呼ばれるようになったとされる。「きりたんぽ」とは、この「たんぽ」が鍋に入る長さに「切った」ものである。 + +## 食習の機会や時季 +新米が収穫される時期に作られることが多く、秋田県の北部では毎年新米の収穫が終わると、収穫の労をねぎらって「きりたんぽ鍋」を囲む。大館市では各家庭で代々受け継がれてきた料理であるが、客をもてなすために欠かせない料理でもあり、冠婚葬祭の際にはよくふるまわれる。 + +## 飲食方法 +少しかために炊いたお米で「たんぽ」を作り、鶏やゴボウなどの材料の下準備をする。鶏ガラを水から煮込んでダシをとっておく。ダシに材料を入れ、煮えたら醤油で味付けをする。化学調味料は使用せず、お好みにより日本酒や塩などを足す。手頃な大きさに切ったたんぽを入れ、2~3分さらに煮込み、長ネギを入れ、最後にセリを入れる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- きりたんぽ: 10本 +- 水: 1000cc +- 比内地鶏: 200g +- 比内地鶏ガラ: 1羽分 +- まいたけ: 100g +- 糸こんにゃく(食べやすい長さ): 1袋 +- 長ネギ(斜め切り): 3本分 +- ゴボウ(ささがき): 120g +- セリ(4~5cm切り): 150g +- 醤油: 80~100g +- 酒: 30cc +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 鍋に水と鶏ガラを入れてしばらく煮出し、時々アクをすくい取りながらダシを取る。 +2. 1のガラを取り出して、鶏肉とゴボウを入れて再びアクを取りながら煮る。 +3. 2が煮えたら糸こんにゃく、まいたけを入れ、煮えたら、醤油、酒、塩を加えて好みの味にする。 +4. 3の鍋に2つ切りにしたきりたんぽを並べ入れ、長ネギとセリをのせてひと煮立ちしたら出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_6_1.jpg)" +"# いものこ汁 秋田県 + +**郷土料理名**: いものこ汁 + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +県南地域 + +## 主な使用食材 +里芋、鶏肉、糸こんにゃく、きのこ、せり + +## 歴史・由来・関連行事 +いものこ汁とは、里芋を用いて作られる汁料理で、鍋料理としても食される。岩手や秋田の郷土料理として知られており、また東北地方をはじめとする各地で食されている。秋田県では里芋の親芋につく子芋や孫芋を「いものこ」と呼び、このいものこを主役に、鶏肉、きのこや山菜など秋の味覚をふんだんに入れた鍋を「いものこ汁」という。横手市山内地域で栽培されている里芋は、この地域特有の土壌と気候の下で作られ、柔らかな歯ごたえと独特の粘りが特徴。里芋栽培の歴史は古く、270年ほど前の享保年間に、宮城県仙台地方から種子を取り寄せ、「大芋」と称して栽培したのが始まりと伝えられる。県南地方においては、県北のきりたんぽ鍋と対比される秋の代表的な郷土料理となっている。 + +## 食習の機会や時季 +きのこが豊富にとれる秋にさまざまな野菜とともに味噌や醤油で味をつけ、収穫のお祝いなどで作られる。横手市鶴ヶ池公園では、毎年いものこ汁を食べながら、よさこい踊りや神輿、伝統芸能など様々なイベントを楽しめる秋の風物詩「いものこまつり」が開催されている。 + +## 飲食方法 +里芋の皮をむき、丸のまま水で煮る。半煮えの状態で鶏肉を入れ、柔らかくなるまでさらに煮て、きのこと糸こんにゃくを加えて味噌で味をつける。食べる直前にせりを入れる。せりは根っこまで使うと葉とはまた違う食感が楽しめる。平鹿地域では味噌味と醤油味の二通りがある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 里芋: 10個 +- 鶏肉: 150g +- 鶏ガラ: 1羽分 +- 糸こんにゃく: 1袋 +- きのこ(サワモダシ、まいたけ、なめこなど): 200g +- セリ: 1/4束 +- 味噌: 75g +- 水: 800cc + +## 作り方 +1. 里芋は皮をむき、切らずに丸ごと、分量の水で煮る。半煮えになったら鶏肉、鶏ガラを入れて、柔らかくなるまで煮る。 +2. 糸こんにゃくは湯通ししておく。 +3. 1に食べやすい大きさに切ったきのこと糸こんにゃくを入れ、味噌で味をつける。 +4. セリは3cm長さに切り、食べる直前に入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_7_1.jpg)" +"# 柿漬け 秋田県 + +**郷土料理名**: 柿漬け + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +県南地域 + +## 主な使用食材 +大根、柿 + +## 歴史・由来・関連行事 +「柿漬け」とはたっぷりの大根と渋柿を塩と砂糖で漬けた漬け物。発酵文化が根づいてきた秋田県では「いぶりがっこ」や「なた漬け」など様々な漬物が伝承されてきたが、柿漬けもそのひとつ。秋田県仙北市角館町の各家庭の庭で栽培している「雲然柿(くもしかりがき)」と呼ばれる渋柿を使用して作られる。雲然柿は渋抜きして食べることもできるが、大正時代の終わり頃より、県内ではひらたけ柿や横手柿が生食として流通・浸透していったため、雲然柿は干し柿や漬け物用に使用するようになっていったと伝えられる。昔は秋の稲作作業が終わると、この雲然柿を収穫して柿漬けを仕込むのが風習だった。大根に劣らないくらいの大量の柿を入れて作るのがおいしさの秘訣。パリパリとした食感の大根に柿のうま味成分が染み込み、ほどよい塩加減と甘さが特徴で、今でも角館地域で愛されている漬け物である。 + +## 食習の機会や時季 +正月料理として食されてきた。来客時には花形に包丁を入れて出すのが風習。 + +## 飲食方法 +大樽に大根と柿を塩、砂糖とともに漬け込み、1ヵ月ほど置いて取り出し、食べやすい大きさに切って食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- 大根: 40kg +- 塩: 1.5kg +- 砂糖: 2kg +- 柿(雲然柿などの渋柿): 22kg + +## 作り方 +1. 大根に分量の塩をすり込み樽に漬ける。 +2. 1に重石をして2日くらいしたら上下を交換し、さらに1週間くらい下漬けをする。 +3. 2の大根はザルにあげ、下漬けの漬け汁はとっておく。 +4. 柿はヘタを取り、皮のまま槌などでよくつぶす。 +5. つぶした柿と砂糖を合わせて、大根、柿の順に漬けて、あらかじめとっておいた3の漬け汁を上からかけて重石をする。 +6. 1ヵ月くらいで食べられるようになる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_8_1.jpg)" +"# なた漬け 秋田県 + +**郷土料理名**: なた漬け + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +大根、甘酒 + +## 歴史・由来・関連行事 +「なた漬け」は大根をなたで切って甘酒に漬けた漬け物。秋田三代名物がっこ(漬け物)には、いぶりがっこ、外干し、生漬けがある。生漬けには〈柿漬け〉と〈なた漬け〉があり、生大根を刃の厚い枝打ち用のなたでざっくりと乱切りにすることから「なた漬け」と呼ばれる。秋田県は天然秋田杉をはじめ山林資源が豊富なため林業がさかんで、多くの家庭になたがあった。なた���切ることで切り口がザラザラとささくれ立つため、厚切りなのに大根の内部まで味がよくしみ込む。また、ザクザクとした歯ざわりの良さはそのままに麹の自然な甘みが特徴である。毎日の食事、弁当、酒の肴に何はなくともまず「がっこ」、がっこで茶を飲む「がっこ茶っこ」という言葉があるほど、秋田の人々には欠かせない「がっこ」のひとつ。 + +## 食習の機会や時季 +厳寒期に食するがっこのひとつ。食事やお茶うけに、日常食として欠かせない。 + +## 飲食方法 +皮をむいてなたで適当な大きさに切った大根をざるにあげ、熱湯をかけたあと1~2時間ほど塩で下漬けし、水気を切り、甘酒・砂糖を加えて1週間ほど漬け込む。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- 大根: 2kg +- 塩: 40g +- 砂糖: 60g +- 甘酒(できたもの): 400cc +- 赤とうがらし: 小1本 + +## 作り方 +1. 大根の皮をむき、なたでそぐように食べやすい大きさの乱切りにする。 +2. 切った大根をザルに入れ、ざっと熱湯をかけ、桶に移して塩をふってよく混ぜる。 +3. 1~2日下漬けする。 +4. 桶に溜まった水を切った後、砂糖と甘酒を加える。 +5. 赤とうがらしを散らす。 +6. よく混ぜる。 +7. 再び重しで漬け込む。 +8. 1週間くらいで食べ頃になる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_9_1.jpg)" +"# てんこ小豆の赤飯 秋田県 + +**郷土料理名**: てんこ小豆の赤飯 + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +にかほ市、横手平鹿地域、湯沢雄勝地域 + +## 主な使用食材 +もち米、てんこ小豆、砂糖、酒 + +## 歴史・由来・関連行事 +秋田の赤飯。日本の赤飯文化には地域性や食文化の特徴があり、おめでたい日やお祝い事には欠かせない料理。赤飯の由来は、赤に近い色だった米の原種である古代米(赤米)を神にお供えした名残や、赤が邪気を払うためとも言われている。江戸時代前までは、古代米を食するのが一般的だったが、技術の発展による品種改良で、現在の米に変わってきた。しかし、赤い色のご飯を神様にお供えして食べる風習は根強く残っていたため、江戸時代中期の頃、白い米を小豆で色づけしたものが赤飯として広まった。秋田には「てんこ小豆(黒ささげ)」と呼ばれて親しまれている小豆があり、赤飯にはこれが使われる。また、一般的な赤飯と違って砂糖が入るのも特徴。てんこ小豆は一般的な小豆より色がよく出ることや、おめでたい赤飯に胴割れした小豆が入るのは縁起が悪いと嫌って、皮がしっかりとしていて割れにくい黒ささげを使った。てんこ小豆で炊いた少し紫がかったお赤飯の色は、秋田ならでは。盆正月、冠婚葬祭には必ず赤飯が作られ、また、天寿を全うした方の大往生を祝う不祝儀の際は「黒飯」と呼んで食べる風習がある。 + +## 食習の機会や時季 +お祝い事や仏事などで受け継がれてきた。また、11月23日の新嘗祭に五穀豊穣を祝って奉納してきたことから、今でも豊穣のお祝いに食されている。 + +## 飲食方法 +もち米を洗って一晩水に浸してザルにあげる。てんこ小豆は十分に水を入れて煮、途中2度ほど差し水をしてしわをのばす。もち米と煮たてんこ小豆を大きめの容器に移し、30分煮汁で浸したあと水気を切り、蒸し器で蒸す。水気を切ったてんこ小豆の汁は捨てないでとっておく。蒸しあがったらボールなどに移し、塩・砂糖・酒とてんこ小豆の汁を合わせ混ぜ、再度20分ほど蒸す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- もち米: 1.5kg +- てんこ小豆: 80g +- 塩: ひとつまみ +- 砂糖(好みで加減する): 40g +- 酒: 30cc + +## 作り方 +1. もち米は洗って一晩水に浸してザルに上げる。 +2. てんこ小豆は十分に水を入れて煮る。途中2度ほど差し水をしてしわをのばす。 +3. 1のもち米を大きめの容器に移し、2を汁ごと入れ、30分位浸してから水気を切り、蒸し器で蒸す。水気を切ったてんこ小豆の汁は捨てないでとっておく。 +4. 3が40分位たって蒸し上がってきたら、ボールなどに移し、塩、砂糖、酒ととっておいたてんこ小豆の汁300ccを合わせて混ぜる。砂糖は好みで加減するが、全く入れなくてもよい。 +5. 4をもう一度20分位蒸したら出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_10_1.jpg)" +"# 卵寒天 秋田県 + +**郷土料理名**: 卵寒天 + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +寒天 + +## 歴史・由来・関連行事 +「卵寒天」は寒天液に、溶き卵と砂糖を混ぜてかためた料理。寒天の原料は海藻の天草。これを溶かしてろ過し、凝固させたものを屋外に干す。厳寒の夜半の凍結と日中の陽光の乾燥を繰り返し、自然乾燥させたものが棒寒天である。寒天は、ゼラチンやアガーよりも弾力があってしっかりかたまるのが特徴。乾物として長期保存がきくため、冬が長い秋田では保存食として重宝されてきた。秋田では県南地方を中心に、人の集まりなどで必ず出され、昔からお茶菓子として親しまれてきたと伝えられている。冠婚葬祭で「取り回し」と称して手作り料理が振る舞われるが、寒天は人数に合わせて切り分けることができ、また折詰めにして持ち帰れる便利さもあることから「取り回し」の料理として出される。寒天料理の中で特に有名なのがこの「卵寒天」だが、調理法はさまざまで、溶き卵をかためるもの、溶きたま汁をかためるもの、そして茹で卵を崩してかためるものがある。卵を使った寒天料理でもうひとつ欠かせないのが、砂糖と寒天を溶かした液に牛乳と卵を混ぜてかためた「雷寒天」である。秋田県南部に伝わるレシピで、昔はこれを上手に作ると“良い嫁”と言われていた。 + +## 食習の機会や時季 +県南地方を中心に、昔から盆・正月・冠婚葬祭など人寄せがあると寒天料理が出される。お茶請けはもちろん、運動会のお弁当の箸休めから客人のおもてなしまで、幅広い場面で食されるほど日常的な食べ物。スーパーでは常時20種類ほどの寒天が並び、初夏にはじゅんさいの寒天、秋にはさつまいも寒天というように旬を楽しむ料理としても親しまれている。 + +## 飲食方法 +寒天と水を鍋に入れて火にかけ、寒天が溶けてきたら砂糖と溶き卵を入れ、型に流して冷蔵する。しっかりかたまったら、食べやすい大きさに切り分ける。日持ちもするため、冬の食材が不足することに対する工夫のひとつでもある。また、きゅうりやにんじん、玉ねぎの具材をマヨネーズでかためた「サラダ寒天」、甘辛い煮汁でかためた「しいたけ寒天」といったお惣菜寒天から、「くるみ寒天」「りんご寒天」といったスイーツ寒天までバリエーションが豊富。様々な寒天が県全域で食べられている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 棒寒天: 2本 +- 卵(Mサイズ): 5個 +- 砂糖: 250g +- 塩: 少々 +- 水: 1,000cc + +## 作り方 +1. 鍋に1,000ccの水を入れ、棒寒天を入れて溶かす。 +2. 卵はボウルに入れて割りほぐしておく。 +3. 1を火にかけ、沸騰前に砂糖と塩を入れ、砂糖が溶けたら2を入れ、かき混ぜた後、少々冷ましてから寒天の型に流す。 +4. 常温で1時間くらい固める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_11_1.jpg)" +"# 豆腐カステラ 秋田県 + +**郷土料理名**: 豆腐カステラ + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +大仙市、横手市 + +## 主な使用食材 +豆腐、砂糖、卵、片栗粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「豆腐カステラ」は豆腐を搾って水分を切った状態で砂糖や卵などを混ぜてカステラ状に焼いた菓子。秋田の県南地域に伝わる豆腐料理で、冠婚葬祭の口取り、おやつやお茶請けとして食べられてきた。通常のカステラは長崎が有名だが、元々ポルトガルより伝わった南蛮菓子を土台にして日本独自の製法で作り、発展した。江戸時代、日本海交易が盛んだった秋田県は、大阪や北陸から最新の文化が伝わりやすい環境にあった。だが、材料の砂糖や卵が庶民にとっては高価であったため、ハレの日に食していた貴重な豆腐を使って作ったことが豆腐カステラの始まりと伝えられている。豆腐の風味を残したしっとりとした独特の食感が特徴。 + +## 食習の機会や時季 +戦後、カステラの材料である卵、砂糖、小麦粉、そして大豆(豆腐)の材料はどれも高価だったこともあり、正月や田植え、冠婚葬祭など特別な日に食されていた。 + +## 飲食方法 +温めた袋に豆腐を入れ絞り裏ごしし、砂糖・卵白・片栗粉・塩を入れ滑らかになるまで練りあげ、カステラ鍋と呼ばれる調理器具に入れて上下を焼く。おやつやお茶請けが一般的だが、秋田ではおつまみとしても親しまれており、刺身のようにわさび醤油をつけて食べることもある。砂糖をたっぷり入れて焼き上げているので、豆腐が入っていても割と日持ちがよい。現在は、くるみ入りやレーズン入りなど、様々なバリエーションが生まれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- 豆腐: 5丁 +- 砂糖: 500g +- 卵白: 2個分 +- 片栗粉: 1/2カップ +- 塩: 小1 + +## 作り方 +1. 豆腐は一昼夜流水に浸し、にがり分を抜く(白くする)。 +2. 1を鍋に入れ、水から沸騰寸前まで温めて、袋に入れて搾り(袋に少し水分を感じるくらい、搾りすぎないこと)、これを裏ごしする。 +3. 裏ごしした豆腐に砂糖、卵の白身だけを入れ、片栗粉、塩を入れ滑らかになるまで練る。 +4. これをカステラ鍋(厚手の蓋付き鍋でも可)に入れ、弱火で30分、ひっくり返して15分ゆっくりと焼く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_12_1.jpg)" +"# あさづけ 秋田県 + +**郷土料理名**: あさづけ + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +うるち米、砂糖、酢、きゅうり、かぶ、季節の果物 + +## 歴史・由来・関連行事 +「あさづけ」は米を煮て、野菜や果物を砂糖と酢で味付けした料理。一般に認知されている「浅漬け」とは全く別もので、米を使った甘酸っぱいデザートのような位置づけとされる。夏には秋田県内各地でこの涼しい酢の物が食されている。米を精製した時に出る砕け米を秋田では「こざき」といい、これを煮て練って作ったものであることから「こざき練り」、また酢を使って味付けるため「粉なます」など、地域によって呼び方が異なる。秋田では昔から二番米も余すことなく麹米や漬物床などに利用してきたが、このあさづけもそのひとつとされている。また、秋田では昔、田植えは女性の仕事だったため、ひと仕事終えた後に食べる甘みと酸味が絶妙なあさづけは、心身に染み渡り、疲れた体を癒やしてくれるごちそうだった。市場に出せないお米を上手に利用したこの料理はまさに農家の知恵がつまった伝統食である。地域によって入れる具材はさまざまで、きゅうりやパイナップル、みかんなど季節の食材を入れて各家庭で親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +米の白に色とりどりの野菜と果物が入り、色彩が美しいことから、祝儀、不祝儀の取り回し料理としても使われてきたが、来客時のお茶請けや女性たちの集まりの一品料理としても人気がある。こどものおやつの定番でもあり、食卓に添えて箸休めに食べたりもする。 + +## 飲食方法 +米を洗い3時間以上水に浸したあと水切りをし、ミキサーに入れ水を加え、米粒が少し残るくらいまですりつぶし鍋に移す。水と砂糖、塩を加えて中火にかけ、ゆっくりヘラでかき混ぜながら練る。鍋のまわりがふつふつと煮立ち透き通ってきたら火を止め、酢を少しずつ加え荒熱をとる。冷めたらかぶやきゅうりなどの具材をまぜて器に盛り、上に季節の果物や缶詰をのせる。現在は手間をはぶくために、上新粉を使って作る家庭も多くみられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- うるち米: 150g(1合) +- 砂糖: 250g +- 塩: 少々 +- 水: 1,200cc +- 酢: 80cc +- きゅうり: 1本 +- カブ(皮の剥いた状態): 100g +- 季節の果物: 少々 + +## 作り方 +1. 米を洗い、3時間以上水に浸す。 +2. きゅうりは塩でもみ、薄く輪切りにする。カブは皮を剥いて丸ごと軽くゆでて、薄くいちょう切りにする。 +3. 果物は洗って水気を切っておく。大きい物は適当な大きさに切っておく。 +4. すり鉢に水切りをした米を入れてすりつぶし、米粒が少し残る位まですりつぶす。(※ミキサー使用の場合は水400ccを入れてすりつぶす) +5. 4を鍋に入れ、水1,200ccを入れて(��ミキサーの場合は残りの水800ccを入れて)中火で練る。さらに砂糖、塩を加え、ゆっくりヘラでかき混ぜながら練る。 +6. 周りがぶつぶつと煮立ち、透き通ってきたら火を止め、酢を少しずつ加え粗熱をとる。 +7. 冷めたらカブ、きゅうり等の具を混ぜ、器に盛り、上から彩りよく季節の果物や缶詰をのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_13_1.jpg)" +"# 鱈の子炒り 秋田県 + +**郷土料理名**: 鱈の子炒り + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +日本海沿岸地域 + +## 主な使用食材 +生鱈子、糸こんにゃく、ネギ + +## 歴史・由来・関連行事 +鱈は欠かすことのできない秋田県の冬の味覚の魚。一般的にタラコと言えばスケトウダラの卵を指すが、秋田県では真鱈の卵のことをタラコと呼んでいる。「鱈の子炒り」とは、真鱈の卵を糸こんにゃく、ネギと共に炒りつけた料理で、真鱈の卵はスケトウダラのそれと比べると、卵粒が粗いが味がいいのが特徴だ。秋田県内では昔から冬の期間には「鱈汁」で知られるように真鱈を余すことなく食す風習があるため、生鱈子も冬の食材として重宝されてきた。秋田県のほか、真鱈が獲れる山形県でも「鱈の子炒り」、青森県では「子和え」などと称して、鱈の子を食す文化が残っている。特に秋田では鱈の子炒りは子宝を願う縁起物として、お正月には欠かせない料理とされてきた。地域によって、ごぼうやにんじんなどの根菜類やちくわなどの練り物も一緒に炒りつけるが、真鱈の産地である由利地域では、シンプルに糸こんにゃくとネギのみで生鱈子をふんだんに使用して鱈子の風味を味わう。 + +## 食習の機会や時季 +おせち料理の一品として、正月のご馳走に食される。また鱈は極寒の時期が旬で産卵期でもあるため、冬の間、各家庭で常備菜として作られており、ご飯のお供や酒の肴としても食される。 + +## 飲食方法 +鍋に醤油・砂糖・酒・みりん・水を入れて火にかけて煮立たせ、糸こんにゃくを入れる。味をみながら塩を少しずつ加えて再度煮立ったら鱈子を絞り出すように入れ、煮詰める。余りの皮は切って入れてもよい。盛り付けたら白髪ネギを散らす。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 生鱈子: 600g +- 糸こんにゃく: 1.2kg +- ネギ: 適量 +- 【調味料A】醤油: 100cc +- 【調味料A】酒: 150cc +- 【調味料A】みりん: 30cc +- 【調味料A】砂糖: 20~25g +- 塩: 少々 +- 水: 200cc + +## 作り方 +1. 鍋に水と【調味料A】を入れて火にかける。 +2. 煮立ったら糸こんにゃく、味をみながら塩を加える。 +3. 煮立ったら、鱈子を絞り出すように入れる。皮が入ってもアクセントになる。 +4. 全体的に味を調え、煮詰めていく。 +5. 皿に盛り付け、白髪ネギを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_14_1.jpg)" +"# かまぶく 秋田県 + +**郷土料理名**: かまぶく + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +県北地方 + +## 主な使用食材 +じゃがいも、餅粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「かまぶく」とはゆでてつぶしたじゃがいもに餅粉と砂糖を加えて、かまぼこ状に成型した菓子。日本において巻物料理、たとえば伊達巻や太巻きなどは広くハレの日に食されてきたが、秋田県ではこのかまぶくをかまぼこに見立てて、お祝い事や祭りに欠かせない口取り菓子の一品として作られてきた。昔は秋田県の内陸の山間部では魚が手に入りにくかったため、身近な食材に工夫を凝らしてあみ出したと伝えられている。三種町上岩川地域では「かまぼこ」がなまって「かまぶく」、大館市山館地域では冬の農閑期に作って親戚などにあげていたことから「あげもの」と呼ばれている。通常のかまぼこと違い、魚のすり身は一切用いず、裏ごししたじゃがいもと餅粉、そして砂糖、塩を混ぜ合わせるのが特徴。うるち米やもち米のいり粉(乾燥させて粉末状にしたもの)、うるち粉を使う地域もある。また、家庭によって、小豆、かぼちゃ、くるみやごまなど好きな材料を混ぜ合わせて作る。この色づいた生地��じゃがいものみの生地を重ねて巻くことで、見た目にも華やかなかまぶくに仕上がる。素材そのものの風味を生かした素朴な甘みで、もちもちしており腹持ちが良い。手間がかかることから、現在は作り手が減少してなかなか味わうことができなくなった貴重な菓子である。 + +## 食習の機会や時季 +主にお正月や冠婚葬祭だが、運動会など行事食にも食す風習がある。 + +## 飲食方法 +巻きすでかまぼこ状に成型して1時間半ほど蒸し上げ、十分に冷ましてから好みの厚さに切って食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- 【白い生地】じゃがいも: 1.5kg +- 【白い生地】白砂糖: 1kg +- 【白い生地】餅米粉: 800g +- 【白い生地】うるち米粉: 600g +- 【白い生地】塩: 小さじ2 +- 【小豆の生地】じゃがいも: 250g +- 【小豆の生地】白砂糖: 1kg +- 【小豆の生地】餅米粉: 500g +- 【小豆の生地】練りあん: 500g +- 【小豆の生地】塩: 少々 + +## 作り方 +1. 「白い生地」をつくる。じゃがいもはゆでてから皮をむき、さらにつぶして、白砂糖、塩を入れて混ぜる。これに餅米粉とうるち米粉を入れ、手で混ぜ合わせる。 +2. 「小豆の生地」をつくる。じゃがいも、白砂糖、塩を混ぜ合わせ、さらに練りあんを加えて混ぜ、最後に餅米粉を入れ、手で混ぜ合わせる。 +3. 1の白い生地を棒状にしてから薄くのばす。2の小豆の生地も同様にのばし、白い生地に重ねて渦巻き模様に巻いていく。 +4. 蒸し器で1時間半くらい蒸し、冷めてから切り分ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_15_1.jpg)" +"# じゅんさい鍋 秋田県 + +**郷土料理名**: じゅんさい鍋 + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +県北西部 + +## 主な使用食材 +じゅんさい、鶏、ごぼう、ネギ、セリ、きのこ、豆腐、糸こんにゃく + +## 歴史・由来・関連行事 +「じゅんさい鍋」とは鶏肉やごぼうなどの具材とともにたっぷりのじゅんさいを入れた鍋料理。つるりとしたのどごしとぷりっとした食感が特徴のじゅんさいは、鶏肉との相性が大変よく、たっぷり入れて食べるのが産地ならでは。じゅんさいは淡水の沼や池に生育しており、水面に丸い葉を浮かべるスイレン科の水草の一種。春から夏にかけて鮮やかな緑の葉を伸ばし、茎から出てくるゼリー状の新芽を食す。日本では昔は各地に自生しており、秋田県においては、三種町にある角助沼に自生していた。沼に縄のように細長く生えていることから、ヌナワ(沼縄)と呼ばれ食されてきたが、環境の変化により現在は自生している地域も減少してしまった。地域の人たちにとって大切な食材であるじゅんさいを絶やしてはいけないとのことから、じゅんさい沼の開墾整備が始まり、現在三種町は日本有数のじゅんさいの産地となっている。いまでも箱舟に乗ってひとつひとつ丁寧に手摘みする作業を行っており、三種町の夏の風物詩となっている。 + +## 食習の機会や時季 +じゅんさいの収穫期である5~8月。秋田では「夏の鍋」として親しまれている。 + +## 飲食方法 +鍋に鶏ガラでとっただし汁、地鶏、ごぼう、セリなどを入れて煮立て、すべてに火が通ったら最後にじゅんさいを入れて食す。じゅんさいには火を通しすぎないのがおいしく食べるポイント。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- じゅんさい: お好みの量 +- 地鶏: 300g +- 鶏ガラ: 1羽分 +- セリ: 150g +- ネギ: 3本 +- ごぼう(ささがき): 150g +- 旬のきのこ類: 200g +- 糸こんにゃく: 200g +- 豆腐: 半丁 +- 醤油: 60cc +- 酒: 少々 + +## 作り方 +1. 鶏ガラで多めにスープを作っておく(約800cc)。 +2. 1のスープを鍋に入れて沸騰したら、一口大に切った鶏肉とごぼうを入れ、火が通るまで煮る。 +3. 火が通ったらアクをすくい、醤油を入れ、隠し味に酒を入れる。 +4. 糸こんにゃく、きのこ類を2~3分くらい煮てから、ネギ、セリ、豆腐を入れる。 +5. 最後にじゅんさいを自分の食べる分だけを鍋に入れ、色が緑になったら具と一緒に器に盛る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_16_1.jpg)" +"# 鱈汁 秋田県 + +**郷土料理名**: 鱈汁 + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +にかほ市 + +## 主な使用食材 +鱈、ネギ + +## 歴史・由来・関連行事 +「鱈汁」は鱈とネギを味噌ベースの汁で煮た鍋料理。秋田県では「鱈」といえば、「ハタハタ」と同様冬を代表する魚で、2月前後に産卵のため浅瀬に上がってくるため冬が旬となる。にかほ市金浦山神社で毎年立春の2月4日に行われる鱈祭り「掛魚(かけよ)祭り」が有名で、金浦漁港から金浦山神社までの約2キロの道のりを、鱈を荒縄で棒に吊るして担いでいく様は全国的にも珍しく、奇祭と呼ばれている。掛魚祭りは、海の安全や豊漁を願って、漁師が氏神様や恵比寿様に大鱈をお供えする神事で、元禄年間以来300年以上続く伝統行事。鱈の最盛期である1月下旬~2月のもっともおいしい時期の寒鱈を、身だけでなくアラや肝、白子などすべてを入れて楽しむ「鱈汁」は秋田の冬の定番料理である。 + +## 食習の機会や時季 +鱈漁がもっとも盛んで、白子が成熟してくる1~3月に食べられている。また立春前後には各地域でそれぞれ鱈祭りが催され、鱈汁をみんなで楽しむ風習がある。 + +## 飲食方法 +基本的には、具は鱈とネギだけで、味噌と酒のシンプルな味付けで食す。一匹まるごと入れることで濃厚なだしが出るため、鱈のおいしさをそのまま味わうことができる。鱈の身は低脂肪で高タンパク、ビタミンやミネラルも豊富。だだみ(白子)は余ると、湯通ししてしょうが醤油などで食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- 鱈: 半身(3.5kg程度) +- ネギ: 1~2本 +- 味噌: 200g +- 水: 2リットル + +## 作り方 +1. 鱈をおろし、頭、身、アラ、肝、鱈子、だだみ(白子)に分け、塩水(分量外)で洗う。 +2. 鍋に水を入れ沸かし、沸騰したら肝、アラ、頭の順に入れ、酒を加える。 +3. アクを取り、火を弱めて溶いた味噌を入れる。 +4. 白子を入れ、煮立ったら薄く斜め切りにしたネギ、好みで豆腐を入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_17_1.jpg)" +"# とんぶりの長芋和え 秋田県 + +**郷土料理名**: とんぶりの長芋和え + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +とんぶり、長芋 + +## 歴史・由来・関連行事 +「とんぶり」は、アカザ科のコキア(ホウキギ)に実る1~2mmほどの緑色をした実の外皮を剥いて乾燥させたもので、魚卵のようなプチプチとした食感から、「畑のキャビア」として知られている。秋田で昔から食されている唐(中国)由来のぶりこ(ハタハタ)の卵に似ていることから、呼称「唐ぶりこ」がなまって「とんぶり」と呼ばれるようになったといわれている。日本国内唯一の生産地である大館市では、江戸時代からとんぶりを食用する習慣があったと伝えられ、その特種技法が現代まで継承され全国へ流通するようになった。昭和36(1961)年に秋田県で開催された国民体育大会の際、当時の皇后陛下の目に留まったことがきっかけで広く知られるようになった。10月から春が旬のとんぶりは乾燥させてボイルしたのち皮を剥き、薄い皮を剥くために複数回のもみ洗い、異物を取り除く作業と大変な手間を要する。その技法は現在まで大館地域で大切に受け継がれて今日に至る。クセがなく淡白な味わいで、プチプチとした食感が特徴。ビタミンやミネラルもバランスよく含まれており、栄養価の高い食材である。 + +## 食習の機会や時季 +旬の時期以外でも、真空パックや瓶詰めで販売されているため、食卓の一品や酒の肴として、年間を通して日常で食されている。 + +## 飲食方法 +千切りにした長芋と軽くすすいだとんぶりを和えて好みで醤油をたらして食する。秋田県民にとって身近な食材であるとんぶりはそのほか、ツナやきゅうりと和えたり、ご飯や豆腐にのせたり、おにぎりに混ぜたりと、実に幅広く食されている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- とんぶり: 35g +- 長芋(皮をむいた状態): 35g +- 醤油: 適量 + +## 作り方 +1. 長芋を千切りにする。 +2. 器に長芋を盛り、とんぶりをそえ���。 +3. 好み量の醤油をかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : あきた農業協同組合 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_18_1.jpg)" +"# なすの花ずし 秋田県 + +**郷土料理名**: なすの花ずし + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +県南地域 + +## 主な使用食材 +なす、餅米、赤とうがらし + +## 歴史・由来・関連行事 +「なすの花ずし」は輪切りにした大ぶりのなすを漬けて中に餅米、菊の花、南蛮(赤とうがらし)を重ねた漬け物。米を使用するため、「すし」と呼ばれる。地域によって「花っこ」「なすっこ」などと呼ばれることもある。秋田では数多くの漬け物が存在するが、その中でも「なすの花ずし」は正月には欠かせない一品。なすの紫色、菊の花の黄色、赤とうがらしの赤色のコントラストが美しく、見た目も華やかでまさに祝い事にぴったり。秋田の漬け物の芸術品と言われている。横手市では大正の終わりから昭和の初め頃から、丸みを帯びた巾着型の「新処なす」の栽培が盛んで、なすの収穫時期になると塩蔵して、菊が咲く晩秋に漬けて正月に食されてきた。雪深い期間が長い秋田では独自の貯蔵技術が発達してきたが、長期保存が可能ななすの花ずしもその一つに挙げられる。本来は保存食のため塩味を強くしてしっかり漬けられているが、最近では食べやすくするために即席漬けした花ずしが作られることが多くなっている。塩味とともに餅米ならではの麹の甘みがあいまって、さらに菊の香りの爽やかさが特徴で、冬には欠かせない漬け物の一つである。 + +## 食習の機会や時季 +いぶりがっこと並んで秋田では欠かせない漬け物の一つで、正月料理や祝い事に食される。昔から各家庭で作られ続けている。 + +## 飲食方法 +餅米を炊いて粗熱をとり、そこへ砂糖と塩を混ぜ、完全に冷めたら酒を加えてさらにかき混ぜる。なすは1個ずつみょうばんをまぶし、へたと尻を切って二等分にする。桶に切り口を上下にして並べ、餅米をかけその上に菊と赤とうがらしの小口切りを重ねて置き、上部を笹の葉で覆う。これを繰り返したあと3~4日ねかせる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- なす: 1kg +- 塩: 60g +- みょうばん: 小さじ1 +- 食用菊: 100g +- 赤とうがらし: 4~5本 +- 餅米: 150g(1合) +- 砂糖: 150~200g +- 酒: 50cc +- 笹の葉: 適量 + +## 作り方 +1. 餅米を洗って、30分くらい水に浸して炊飯器で普通に炊く。 +2. 炊きあがった餅米の粗熱をとり、容器に入れて砂糖、塩を混ぜる。餅米が完全に冷めたら酒を加えてかき混ぜる。 +3. なすは1個ずつみょうばんをまぶした後、へたと尻を切ってから2等分にする。 +4. 桶に切ったなすの切り口を上下にして並べ、2をかけてその上に食用菊と赤とうがらしの小口切りを重ねて上部を笹の葉で覆う。 +5. 4を繰り返す。3~4日で食べ頃になる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_19_1.jpg)" +"# 鯉の甘煮 秋田県 + +**郷土料理名**: 鯉の甘煮 + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +内陸地方 + +## 主な使用食材 +鯉、醤油、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +「鯉の甘煮」は、血抜きした鯉を輪切りにして甘辛くじっくりと煮付けた料理。秋田県以外では、山形県、茨城県、長野県などでも食されていることが知られている。鯉は昔から貴重なタンパク源として重宝されており、秋田県内陸地方ではお正月、お祭りや結婚式などハレの日のごちそうとして食されてきた。秋田の清水で育った鯉は泥臭さや生臭さが少なく、時間をかけて甘辛くやわらかく煮付けられた甘煮は秋田県民のあいだで愛される。上品な身、歯ごたえのある皮、弾力のある卵などそれぞれの部位に独特のうまみを持っているのが特徴。県の内陸地方では普段から淡水の鯉を甘煮だけでなく、たたきや鯉こく(味噌汁)で食べる風習があるが、地域によっては甘煮をおせち料理の一品として必ず入れている。お嫁さんを迎える家では「来い」と「鯉」をかけてご祝儀でよく出されていた。 + +## 食習の機会や時季 +正月料理、結婚式などハレの日 + +## 飲食方法 +酒・砂糖・醤油を鍋で沸騰させる。鯉を入れて最初は強火でその後弱火で汁がなくなるまで煮る。鯉は新鮮なうちに調理するのが鉄則。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 鯉: 5匹 +- 酒: 500cc +- 砂糖: 220g +- 醤油(好みで加減する): 400cc + +## 作り方 +1. 鯉は輪切りにし、流水で血を洗い流す。 +2. 鍋に酒、砂糖、醤油を入れて沸騰させる。 +3. 沸騰してきたら、鯉を入れて最初は強火で煮て、その後弱火にして汁がなくなるまで時間をかけて煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_20_1.jpg)" +"# おやき 秋田県 + +**郷土料理名**: おやき + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +全域 + +## 主な使用食材 +餅米、あんこ + +## 歴史・由来・関連行事 +「おやき」は餅米で作った皮であんこを包んでほんのり焼いた伝統菓子。おやきといえば小麦粉とそば粉の皮に野沢菜やなすが入った信州おやきが有名だが、秋田県のおやきは餅米や餅粉で作られ、中身はあんこなのが特徴。毎年12月12日に山の神に供えてきたとも伝えられ、県南地域では今でもこの時期におやきを焼いて食べるのが習わしとなっている。また大仙市の一部地域ではおやきに体の悪い部分をゆだねて焦げたおやきを川に流し、無病息災を願う風習が残っている。五城目町で500年以上もの歴史ある朝市の名物としても有名で、身近なおやつとして昔から親しまれてきた。素材そのものの風味を生かすことにこだわっており、無添加で優しい甘さが特徴。餅米にはかぼちゃやよもぎといった具材を練り合わせて色づけるなど、各家庭で様々に調理されてきた。 + +## 食習の機会や時季 +おやつとしてはもちろん、祝い事でも食べられている。春彼岸の中日にお墓に供える地域もある。 + +## 飲食方法 +餅粉に熱湯を少しずつ加えながら耳たぶくらいのかたさになるまで練り、あんこを入れ丸く形を作る。ホットプレートに油を引いて焼きあげる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (30個分)※行事食用の分量とレシピ。) +- 餅米粉: 900g +- 小麦粉: 200g +- あん: 30g×30個 +- 熱湯: 約200cc +- 取り粉(餅米粉): 適量 + +## 作り方 +1. 餅米は洗い、室内で2日くらい干し、粉にする。 +2. 餅米粉と小麦粉を熱湯で手早くかき混ぜる。 +3. 2を丁寧にへらでかき混ぜながら、耳たぶより少し柔らかめにこねる。 +4. 平らな容器に取り粉を敷いて、へらでポタポタと3を落とす。 +5. 4であんを包み、形を整える。あんを包む側には粉をあまりつけない。 +6. 熱したホットプレートに食用油(分量外)を薄く敷き、蓋をして5の両面を焼く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_21_1.jpg)" +"# しょっつる鍋 秋田県 + +**郷土料理名**: しょっつる鍋 + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +沿岸中心に県内全域 + +## 主な使用食材 +ハタハタ、しょっつる、ネギ、豆腐、白菜、セリ、水菜、きのこ + +## 歴史・由来・関連行事 +「しょっつる鍋」とは秋田に伝わる魚醤・塩魚汁(しょっつる)を出汁に、ハタハタを入れた鍋料理。11~12月に旬を迎え、秋田沖が日本で最も獲れる漁場でもあることから、秋田の冬のなじみの鍋とされる。魚を塩漬けにし1年以上魚が溶けるまで寝かせたものをこして、うまみ成分を取り出した魚醤を「しょっつる」といい、主にハタハタを用いて作られる。醤油が高級品であった時代に醤油の代わりの調味料として編み出された秋田県の伝統的な調味料である。ハタハタは通常は水深500メートルの深海に住む魚で、海が荒れて雷鳴がとどろくような時に、産卵期の一時期のみ大群で近海に現れることから、雷光の古語である「霹靂神(ハタハタがみ)」の名からこう呼ばれるようになった。別名カミナリウオ。上品な味わいのハタハタの身とプチプチとした魚卵「ブリコ」に、あっさりとしたスープとしょっつる独特の風味は相性抜群で、まろやかなコクがある。具材は豆腐、ネギ、白菜などを入れるが、発祥地の男鹿ではシンプルにハタハタだけの汁を食べる。 + +## 食習の機会や時季 +ハタハタが獲れる11~12��をはじめ、冬の期間。 + +## 飲食方法 +昆布で出汁をとり、味噌、みりん、酒、しょっつるで味を調え、頭、尾、内臓を取り除いたハタハタと野菜を入れて煮たあと、ふたをして蒸らしてから食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4~5人分) +- ハタハタ: 10匹 +- 水: 1000cc +- 乾燥昆布: 15cm +- 【調味料A】味噌: 大さじ1・1/2 +- 【調味料A】酒: 大さじ2 +- 【調味料A】みりん: 大さじ2 +- しょっつる: 大さじ4 +- ネギ、豆腐、白菜、セリ、水菜、きのこなど: お好みで適量 + +## 作り方 +1. 鍋に水と昆布を入れておく。 +2. ハタハタは頭、尾、内臓を取り除き、洗って水切りしておく。 +3. 野菜、豆腐などは食べやすい大きさに切っておく。 +4. 鍋を火にかけ、煮立ったら【調味料A】としょっつるで好みの味をつけ、2と3を入れる。 +5. ひと煮立ちしたらふたをして蒸らして出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_23_1.jpg)" +"# とろろまんま 秋田県 + +**郷土料理名**: とろろまんま + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +県北地域、県南地域、中央地区由利本荘市 + +## 主な使用食材 +やまのいも、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +「とろろまんま」はすり鉢ですりおろした「やまのいも」に濃いめの味噌汁を入れてのばした料理。長芋よりもコシのあるやまのいもで作るのが秋田流。やまのいもは通常「つくねいも」として流通しており、げんこつの固まりのような丸くて黒い外見と、水分が少なく白く粘りの強い中身が特徴だ。米どころ秋田では、稲作との作業競合のないやまのいもは栽培しやすかったこともあり、特に大館市で生産を伸ばしてきた。昔から精のつく栄養価の高い食べ物として珍重されてきたとろろは、魔除けの力があると信じられ、正月元旦に必ず食べる風習がある。地域によっては、2日もしくは3日の朝という地域もある。由利地域では家の門の間にとろろを直線に撒き、無病息災を願うという風習、大仙地区では「とろろ汁」として元旦に神棚にお供えするという風習がある。また、ご祝儀の次の日は家庭が円満になるようにとろろめしを食べるという地域もあり、とろろは縁起のいいものとされている。 + +## 食習の機会や時季 +お正月の三が日および、ご祝儀の翌日。 + +## 飲食方法 +鍋に水と煮干し、根昆布を入れてしっかりと浸す。火にかけてかつお節も加えてだし汁を作り、そこへ味噌を足していく。すり鉢ですりおろしたやまのいもにだし汁を足していく。炊きたてのごはんにかけて、好みでネギを散らして食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- 長芋またはやまのいも: 500g +- 煮干し: 10本 +- 根昆布: 5本 +- かつお節: 1/2袋 +- 味噌: 230g + +## 作り方 +1. 煮干し、根昆布は前日から鍋に入れ、水約1800cc(分量外)と合わせて浸しておく。 +2. いもはきれいに皮を剥いて、すり鉢ですりおろす。 +3. 1を煮立て、沸騰したらかつお節を入れ、2~3分でかつお節、昆布、煮干しを取り出して味噌を入れ、濃いめの味噌汁を作り、冷ましておく。 +4. 2に3を少しずつかき混ぜながら入れ、とろみの状態や味をみて、のばせば出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_24_1.jpg)" +"# きゃのっこ汁/けの汁 秋田県 + +**郷土料理名**: きゃのっこ汁/けの汁 + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +県央から県北地域、一部県南地域 + +## 主な使用食材 +大根、にんじん、さつまいも、山芋 + +## 歴史・由来・関連行事 +「きゃのっこ汁」は細かく刻んだ野菜や山菜、金時豆などを出汁と味噌で味つけた汁料理。秋田県や青森県などの東北地域において、年末年始のさまざまな行事を終え、ようやくほっとする1月15日からの小正月に、無病息災を願い食されてきた行事食。昔は、正月に何回も台所に立たなくてもいいようにきゃのっこ汁を大鍋で作り、温め直して何日もかけて食べていた栄養満点の郷土食である。きゃのっこ汁は、青森県津軽地方の郷土料理「粥の汁(けの汁)」を秋田北部���も食すようになったとも伝えられ、鹿角市では「けの汁」や「きゃの汁」、男鹿市では「けの汁」や「けのこ」と呼ばれている。ちなみに北部沿岸の三種町、中央部八郎潟町では「きゃのこ」。青豆粉をベースに作った焼きずんだを入れるのは、秋田県ならではの特徴。 + +## 食習の機会や時季 +小正月(旧正月) + +## 飲食方法 +具材はすべてけんちん汁よりも細かく刻み、大鍋に出汁と具材を入れて煮込んで、味噌で味を調える。最後に焼きずんだを入れていただく。各家庭によって、入れる具材や味付けに多少の違いはあるが、基本的には大鍋で作り、食べる分を取り分けて温め直して数日間かけて食する。日が経つほどに具材に味がしみて、食べるごとに味わい深くなっていく。また、たくさんの具材を大量にサイコロ切りするのは結構な手間のため、現在では水煮や缶詰にされた具材がスーパーで常時販売されている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- 大根: 1kg +- にんじん: 200g +- さつまいも: 400g +- 山芋: 500g +- ふき(塩抜きしたもの): 150g +- わらび(塩抜きしたもの): 150g +- 竹の子: 200g +- 焼き豆腐: 200g +- 油揚げ: 4枚 +- しいたけ: 4~5枚 +- 金時豆: 80g +- ゆり根: 100g +- ぜんまい(戻したもの): 150g +- 栗の甘露煮: 200g +- じゃがいも: 1kg +- 【A】かつお節: 少々 +- 【A】昆布: 少々 +- 【A】煮干し: 少々 +- 塩: 少々 +- 味噌: 適量 +- 焼ずんだ: 適量 +- 【B】青豆粉: 500g +- 【B】餅米粉: 100g +- 【B】塩: 少々 + +## 作り方 +1. 【A】のかつお節、昆布、煮干しでだし汁を作っておく。 +2. 大根はサイコロ切りにし、柔らかくなるまでゆでる。 +3. さつまいもはやや大きめに切り、金時豆は柔らかく煮ておく。 +4. 他の材料(ゆり根と焼きずんだ以外)もサイコロの大きさに切り、大鍋に入れ、だし汁で煮る。 +5. 4がだいたい煮えたら、大根、さつまいもを入れ、味噌を入れとろ火でゆっくり煮込んで味をつける(中火)。 +6. 最後に焼ずんだとゆり根を入れる。 +7. 【焼きずんだ】【B】の青豆粉、餅米粉、塩を合わせて水を入れ、よくこねる。これを小判型に丸めて焼きずんだを作る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_25_1.jpg)" +"# 干し餅 秋田県 + +**郷土料理名**: 干し餅 + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +県全域 + +## 主な使用食材 +餅米、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +「干し餅」とは、ついた餅を切って吊るし編みにして、多量の水分を含ませて寒さらしにして作られる米菓子。干し餅は秋田県のほか、青森県や長野県などの寒冷地の農村で昔から作られてきた伝統的な保存食。特に米どころ秋田では代表的な米菓子で、冬の寒波を利用して作るため別名凍り餅とも呼ばれる。寒さの厳しい時期に冷凍乾燥させる「寒締め」の時期を見誤ると、餅に亀裂が入って失敗してしまうため、天候と毎日向き合って作業する農家ならではの菓子と言えよう。腹持ちがよくエネルギー量が高いため、子どものおやつのほか、田植えの休憩時などでも食されてきた。野菜と砂糖の甘みが米のうま味を引き出し、さくさくとした歯ごたえと素朴な味わいが特徴。中でも北秋田地方の干し餅は、水分をたくさん入れて作るため、できあがりがさくさくとして、柔らかい。 + +## 食習の機会や時季 +腹持ちがよく、夏まで保存がきくため、主に農繁期の軽食として食される。 + +## 飲食方法 +ついた餅を伸ばして切ったあと、吊るし編みにして大量の水に浸して寒さらしにする。そのあと、室内で干してできあがり。そのままで食べるほか、通常の餅と同じように汁物に入れたり焼いて食べたりもする。油で揚げるのもおいしい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- 餅米: 1.5kg(1升) +- 砂糖: 300g +- 塩: 少々 +- 【具材A】しそ(塩づけ): 30g +- 【具材A】小豆(煮たもの): 100g +- 【具材A】かぼちゃ(煮たもの): 100g +- 【具材A】炒りごま: 20g + +## 作り方 +1. 餅米を一昼夜水に浸ける。 +2. 1を蒸す。 +3. 餅つき機などで餅を20分くらいつくが、この間餅を柔らかくするため、約250ccの打ち水(分量外)をしながら搗く。 +4. 砂糖、塩、【具材A】を入れて、さらに10分位つく。 +5. ついた餅を、打ち粉をしたのし板またはダシに、2cmくらいに伸ばし、形を整えながら包丁で切りやすいかたさになるまで1日置く(のし板やダシがないときは、四角い箱にビニールを敷き、その上に餅を伸ばして入れてもよい)。 +6. 5をマッチ箱くらいの大きさに切り、スゲやワラで編み、組み餅を作る。 +7. 寒波を見極めながら、6を水またはぬるま湯(分量外)に8時間くらい浸けて、氷点下の外気温の中で2~3日干す(外気で凍らせること。日にあてないようにすること)。 +8. 7を風除室など室内の風のあたらない涼しい所に入れ、陰干しにして20日余り乾燥を続ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_26_1.jpg)" +"# なすのこうじ漬け 秋田県 + +**郷土料理名**: なすのこうじ漬け + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +県南地域 + +## 主な使用食材 +なす、麹、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +「なすのこうじ漬け」とは、なすを米とこうじを使って漬け込んだ漬物。主に県南地域で漬けられている。昔は7~10月のなすの収穫時期に、新米で出た二番米を贅沢に使用して、冬支度のひとつとして各家庭で作られていた。秋田県には伝統野菜が数多く存在し、なすの種類も多い。巾着型が特徴の横手市の「新処(あらどころ)なす」が「花ずし」として重宝されているのが有名だが、その他、さまざまな改良品種に押されながらも現在も在来種のなす栽培をしている湯沢市の「関口なす」、大仙市の「仙北丸なす」がある。ともに皮の紺色が鮮やかでパリッとしており、中が締まっているのが特徴。果肉も果皮もしっかりしているため、塩蔵しても果肉が水分を含みにくく、長期保存用の「なすのこうじ漬け」に重宝されている。 + +## 食習の機会や時季 +7~10月に収穫したなすを、秋から仕込んで保存食として冬の間、各家庭の食卓で食される。 + +## 飲食方法 +干して表面を乾かしたなすを、塩、ザラメ、焼酎とともに蒸し米とこうじをたっぷり使って大きな漬物樽に漬け込む。1カ月ほど漬けたのち、食事のお供として食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量)※行事食用の分量とレシピ。) +- なす: 6kg(1粒70~80g) +- 二番米: 1.5kg +- 【調味料A】こうじ: 1.5kg +- 【調味料A】塩(冷蔵庫に入れる場合): 900g +- 【調味料A】ザラメ: 1~1.5kg +- 【調味料A】焼酎: 200cc +- ミョウバン: 少々 +- 赤とうがらし(小口切り): 7~8本 +- 笹の葉: 適量 + +## 作り方 +1. 朝穫りしたなすにミョウバンをまぶし、新聞紙に広げて3時間から半日陰干しにして、表裏ともよく乾かす。 +2. ザルに広げ余分なミョウバンを洗い流す(皮が柔らかく仕上がる)。 +3. 二番米を洗い、約1時間水に浸し、水切りをよくして蒸す(ふかす)。 +4. 【調味料A】と3を全部混ぜる。 +5. ビニール袋を敷いた桶に4となすを交互に入れる。段ごとに赤とうがらしを入れ笹の葉をかぶせる。 +6. 重石は2倍以上、水があがったら重石を減らす。1カ月後頃から食べ頃になる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_27_1.jpg)" +"# 三杯みそ 秋田県 + +**郷土料理名**: 三杯みそ + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +県南地域 + +## 主な使用食材 +小豆、餅米粉、うるち米粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「三杯みそ」とは餅米粉、うるち米粉、小豆を合わせて作った餅料理。それぞれの材料を茶碗で一杯ずつ入れて作られていたことから、この名がついたとされる。材料に味噌は使われていないが、材料を合わせたときの様子が味噌のようだったから、また、かつては味噌を使っていたから、とも伝えられる。元々は大曲地方に味噌や砂糖醤油で味付けされた「花みそ」と呼ばれて食されてきた郷土菓子があり、江戸時代、凶作のとき、ワラビの根から採れるでん粉を使って作られた「ネバナみそ」が起源とされる。その後、農家で収穫される米が原料の主体となり、「三杯みそ」「花みそ」という呼び名に変化した。また、横手地域では類似の��理「三杯餅」が存在する。素材そのものの甘みと、ねっとりとした食感の小豆あんが特徴。県南地域では集まりの際の重箱料理としてよく作られてきた。家庭によって、小豆だけでなく、かぼちゃ、クルミやごまを入れた三杯みそも作られてきた。 + +## 食習の機会や時季 +親戚一同が集う時、農繁期の休憩時に食べられてきた。 + +## 飲食方法 +砂糖とザラメを溶かした中にこしあんを入れてよくこね、さらに餅米粉、うるち米粉を加えてよくこねて蒸しあげて冷ましたものを、食べやすい大きさに切って食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量)※行事食用の分量とレシピ。) +- 小豆(こしあん): 2kg +- 砂糖: 1kg +- ザラメ: 1kg +- 水: 2カップ +- 餅米粉: 5カップ +- うるち米粉: 3カップ +- 小麦粉(好みで使用): 2カップ + +## 作り方 +1. 鍋に水、砂糖、ザラメを入れ、沸騰したらこしあんを入れ、1時間くらい練る。 +2. 餅米粉、うるち米粉、小麦粉は全部一緒にふるいにかけてよくふっておく。 +3. 1が冷めきってから2をよく混ぜてこねる。蒸気の上がった蒸し器に布をしいて30分蒸す。 +4. 好みの大きさにわけ、巻きすで形を整える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『あきた郷味風土記』(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_28_1.jpg)" +"# 赤漬け/赤ずし 秋田県 + +**郷土料理名**: 赤漬け/赤ずし + +**都道府県**: 秋田県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +餅米、赤じそ + +## 歴史・由来・関連行事 +「赤漬け/赤ずし」とは炊いた餅米を塩で揉んだ赤じそと酢で漬け込んで発酵させた料理。赤漬けの別名「けいとまま」は赤色が鶏頭(けいとう)の赤い花を連想させ、「まま」はご飯のことを示す。県北地方ではお盆の時期に精霊棚や墓に蓮の葉にのせてお供えしたのち、お客様にふるまうお盆料理として欠かすことのできない行事食である。色づけに使用する材料は梅酢、赤じその葉、やまぶどうの実や「こはぜ」と呼ばれるなつはぜの実など、地域によって様々。毎年各家庭で1升の餅米を炊いて、大樽で仕込まれてきた。鮮やかな天然の赤色が大変美しく、疲労を回復させたり消化を促進したり発酵食品として万能で、盛夏を乗り切るためには必要不可欠だった。さっぱりとさわやかな風味で、食欲の落ちる夏にも食べやすいのが特徴。大仙市とその周辺地域では梅漬けの汁や梅酢を使用し、みょうがの葉、輪切りにしたきゅうりの漬物、赤じその葉、塩を振り入れ、餅米と重ねて漬け込む昔からの製法が今でも主流となっている。 + +## 食習の機会や時季 +お盆時期、夏の農作業の休憩時、夏のハレの日 + +## 飲食方法 +炊きあがった餅米に、塩で揉んだ赤じその葉を混ぜ、樽で漬け込み押して軽く発酵させたのち食す。好みで砂糖や醤油をかける場合もある。また、酒の肴としても食される。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (25人分) +- 餅米: 5合 +- 赤じそ: 1束 +- 【甘酢】酢: 1合 +- 【甘酢】砂糖: 150cc +- 塩: 適量 + +## 作り方 +1. 餅米は研いで、米と水(分量外)は同量で、30分くらいおいてから炊く。 +2. 赤じそはよく洗い、葉だけ取り、分量外の強塩(全体が白くなるまで塩を振る)でよく揉み、1度洗い、もう1回塩少々で揉んで色出しをしておく。 +3. 1のご飯に合わせておいた甘酢を混ぜる。 +4. 赤じその色も少々入れる。 +5. 絞った赤じそを混ぜる。 +6. 樽に収めて、軽い重石をして、2日くらい常温に置いてから食す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 能代市役所 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_29_1.jpg)" +"# 食用ぎくのおひたし 山形県 + +**郷土料理名**: 食用ぎくのおひたし + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +食用ぎく、酢、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +食用ぎく(刺身などのつま用の小ぎくを除く)の生産が盛んな山形県には菊を使った郷土料理が少なくない。菊の花びらを食べる習慣は、江戸時代以降に普及したとされていて、有名な歌人・松尾芭蕉も愛したといわれる食材。山形県には現在でも食用ぎくを食べる文化がしっかりと残っており、「食用ぎくのおひたし」はその代表格である。山形県��の食用ぎくのなかでも特に香り高く、美味とされているのが、紫色をした「もってのほか」という晩生の品種。正式名称は「延命楽」だが、”天皇家の家紋を食べるとはもってのほか”とか、”もってのほかおいしい”ということからそう呼ばれているという説がある。「もってのほか」の美味しさは独特のしゃきしゃきとした歯ごたえにある。それは菊の1枚ごとの花びらのかたちによるところが大きく、シート状ではなく、筒状の花弁になっているためである。また現在、山形県ではさまざまな品種の食用ぎくが栽培されており、おひたしのほか、酢の物、てんぷらなどにして食べる。 + +## 食習の機会や時季 +旬は秋から冬のはじめにかけてだが、現在は品種改良が進みさまざまな品種があるため5月から1月に収穫できる。もってのほかは、10月下旬から11月上旬ごろが収穫時期となる。9月9日の重陽の節句(菊の節句)の時には「寿」の黄色い菊が出回る。 + +## 飲食方法 +食べるのは花びらのみ。きくは洗ってガクから花弁を散らし、沸騰したお湯に酢を少量入れてゆでる。もってのほかにはアントシアニンが含まれているので、きれいに発色する。その後はざるにとって、冷水にさらし水気を切り醤油、だし入り醤油などをかけて食べる。独特のしゃきしゃきとした歯ごたえとほろ苦い味わいを好む県民は多い。また、食用ぎくの彩りを活かし、ほうれん草と混ぜたり、味付けしたなめこや山菜などとおろし和えにして食べたりもする。きくは、くるみと味の相性が良く、くるみを天盛りしたり、さらにひと手間かけて「くるみ和え」にするとコクがでて美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 食用ぎく: 100g +- ゆでるための酢: 20cc +- 醤油: (お好みで) +- くるみ: (お好みで) + +## 作り方 +1. 食用ぎくは洗って、ガクから花弁を外すように散らす。 +2. ゆで鍋を準備し、お湯が沸騰したら酢を入れ、1のきくをゆでる。きくが軽いために浮いてしまうので、菜箸を使い上のものを下に返してやると良い。 +3. ざるにあけ、冷水にさらして水気を絞る。器に盛りつけ、醤油をかける。お好みで、刻んだクルミをかけ、天盛にする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山形県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_21_1.jpg)" +"# だし 山形県 + +**郷土料理名**: だし + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +村山地域、置賜地域 + +## 主な使用食材 +なす、きゅうり、みょうが、青じそ、しょうゆ + +## 歴史・由来・関連行事 +野菜を生のまま手軽に食べられる夏の山形県の定番料理。山々に囲まれ夏は高温多湿で非常に暑さが厳しい村山地域を中心に食べられてきたといわれており、現在でも地元の人々の生活に定着している一品。暑さで食欲がなくなる時期に、きゅうりやなすなど水分を多く含む夏野菜と青じそやみょうがなどの香味野菜を刻んで和え、味付けしたのが「だし」。昔から農繁期のスピード料理としても親しまれてきた。「だし」という名前の由来は、出汁のようにほかの食材を引き立てる事から「だし」となった説や、包丁で野菜を細かく切り“出す”ことから「だし」となった説、また、野菜を刻んで味付けしただけで手早く食卓に“出す”ことから「だし」となったなど、諸説ある。「だし」のレシピは“100軒の家があれば100種類の味”があるといわれていて、非常に多彩なのが面白いところ。基本の具材はなす、きゅうりだが、そこに青じそやみょうが、ねぎを入れたり、玉ねぎを加える家庭もある。また山芋やオクラ、納豆昆布(刻み昆布)などを混ぜてねばりを出すことも。調味料は醤油が基本だが、めんつゆや出汁入り醤油を使ったりもする。 + +## 食習の機会や時季 +夏の定番料理。日常的に食べられている。食卓では大きめの容器に盛られて出されることが多く、各々が好きな量を取ってごはんの上にのせて食べるのが一般的。 + +## 飲食方法 +新鮮な夏野菜を細かく刻んでつくった「だし」は、ごはんにのせるほか、冷奴にのせたり、そうめんやそばのつゆに薬味として入れたりと、食べ方は多種多様である。飲食店では「だしパスタ」や「だしピザ」、カルパッチョに「だし」をのせるなどアレンジメニューを提供するところも珍しくない。子ども向けにはとうもろこしや枝豆を入れると好評である。酒の肴にそのまま食べることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- なす: 小2個 +- きゅうり: 1本 +- みょうが: 2本 +- しょうが(お好みで): 1かけ +- 青じそ: 4枚 +- ねぎ: 1/2本 +- 青ナンバン(お好みで): 2本 +- カツオ節: 適量 +- だし醤油: 適量 + +## 作り方 +1. 野菜を全部みじん切りにして、一度水に入れてアクを抜き、水分を切る。*野菜はすべて水につけてアク抜きせずともよい(なすや青じそなどアクが気になるものだけで) +2. 1を器に盛り、カツオ節をかけ、だし醤油をかける。※油揚げや、豆腐、オクラなどを入れても良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまがた郷土料理探訪」(編集:山形県グリーン・ツーリズム推進協議会、監修:古田 久子 氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_8_1.jpg)" +"# 納豆汁 山形県 + +**郷土料理名**: 納豆汁 + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +納豆、豆腐、油揚げ、山菜、いもがら(からとり芋の茎を干したもの)、こんにゃく、キノコ、ねぎ、せり、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +山形県では、食材が不足する冬を乗り越えるための保存食として、納豆を自家製するのが珍しくなかった。煮た大豆をわらでつくった筒に詰め、こたつの脇などの温かいところに一晩から二晩おいて納豆をつくっていた。大江町村山地域では、糸の引かない納豆は「納豆汁」に仕立てたという。「納豆汁」は、山形県で古くから親しまれている冬の家庭料理。納豆をすり鉢で粒が見えなくなるまでよくすりつぶしてとろみをつけ、汁に馴染ませるのが特徴。からとり芋の茎を干してつくる「いもがら」は、「納豆汁」に欠かせない食材。干物や塩蔵品などの保存食とともに、豆腐や油揚げなどもたっぷり入った貴重なタンパク源だった。また、村山地域では七草の時期に、最上地域では正月に、庄内地域では「大黒様のお歳夜(おとしや)」などに食べられることもある。 + +## 食習の機会や時季 +「納豆汁」は納豆のとろみで冷めにくく、寒い冬に、体を温める汁物として各家庭でつくり、食べられてきた。雪深い地域では早春に七草を揃えることができないため、七草の時期には、干物や保存食を利用してつくったこの「納豆汁」を食べて、1年間の無病息災を祈る習慣がある。また、最上地域では元旦や1月3日に、庄内地域では12月9日の大黒様が妻を迎える夜とされている「大黒様のお歳夜」や大晦日に食べることもある。「大黒様のお歳夜」では、ほかに豆炒りや米炒り、まっか大根(二股になった大根)を供えるとともに、豆と大根を使った料理を並べて豊作と子孫繁栄を祝う。 + +## 飲食方法 +すりつぶす納豆の粗さは家庭によって異なるが、一見して納豆が入っていないくらいていねいにつぶすことが多い。すりつぶすことで、汁に馴染みやすく、口当たりがなめらかになる。また、かき回しすぎると粘りが出て滑りやすくなり、すりつぶすのが難しくなるため、豆一つ一つをつぶすようにするのが調理のコツ。いもがらはお湯で戻して、水でアク抜きをしてから使う。すりつぶした納豆を入れる際は、すり鉢で味噌と合わせ、汁でのばして加えることで、混ぜやすくなる。味噌や納豆を加えたらあまり煮過ぎないほうが良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 納豆: 200g +- 豆腐: 1/5丁(80g) +- いもがら: 8g +- 油揚げ: 2枚 +- こんにゃく: 1/5枚(50g) +- きのこ: 適宜 +- 山菜: 適宜 +- だし汁: 5カップ +- 味噌: 大さじ5 +- ねぎ: 10cm +- せり: 少々 +- *好みで、ゴボウ・人参・里芋など用いる。: 適量 + +## 作り方 +1. 納豆はすり鉢でよくすりつぶする。 +2. いもがらはぬるま湯で戻し、水気を絞り、1cm角に切る。油揚げは熱湯をかけて油抜きし、こんにゃくはさっとゆでる。豆腐、油揚げ、こんにゃくを1cmのさいの目切りにする。 +3. きのこは塩蔵ものは塩出しする。山菜も同様にし、食べやすい大きさにする。 +4. だし汁でいもがらを煮、柔らかくなったらこんにゃく、油揚げ、山菜などの具を入れる。 +5. 最後に豆腐を入れ、味噌で味付けをする。味噌味はほんの少し濃いめにする。 +6. 火を止め、すりつぶした納豆を溶かし入れる。 +7. 煮立てないように火にかけ、沸騰直前に火を止める。 +8. 刻みねぎ、せりをそえて、熱々を食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山形県レシピ画像提供元 : やまがたの広報写真ライブラリー + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_3_1.jpg)" +"# どんがら汁/寒鱈汁 山形県 + +**郷土料理名**: どんがら汁/寒鱈汁 + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +庄内地域 + +## 主な使用食材 +寒ダラ(内臓もすべて)、味噌、ねぎ、岩のり + +## 歴史・由来・関連行事 +マダラは、日本海の荒波の中で産卵期を迎える魚であり、庄内地域の冬の味覚として親しまれている。「鱈」は魚偏に雪と書くことからもわかるように、雪が降る季節に旬を迎える魚。とくに庄内地域では、二十四節気の寒の季節(1月上旬から2月上旬ごろ)にとれるマダラを“寒ダラ”と呼び、この時期、産卵のために集まってきた寒ダラを底びき網で漁獲する寒鱈漁が盛んになる。新鮮なものは刺身や昆布じめにして食べるほか、味噌漬けや粕漬けも定番である。白子はトロリとした食感が特徴であり、近年では新鮮なものは、すしネタにも使われる。「どんがら汁」は、寒ダラを使った冬の郷土料理。もともとは漁師が浜で食べていた漁師料理といわれている。寒ダラの頭から尻尾まですべて余すことなく使うのが特徴。“どんがら”は、あらを指す言葉。「どんがら汁」は、寒ダラのあらを煮るあら汁なのでこの名前がついた。「寒鱈汁」の別名もある。毎年1月には寒ダラを食べる「寒鱈まつり」が庄内地域の酒田市や鶴岡市を中心におこなわれ、「どんがら汁」が振る舞われる。 + +## 食習の機会や時季 +庄内地域の冬の定番料理として根づいている。1月中旬から2月にかけて家庭料理として食べられるほか、旅館や料理店で冬の名物メニューとして提供される。また各地で開かれる「寒鱈まつり」でも食べることができる。 + +## 飲食方法 +寒ダラは捨てるところがない魚といわれており、「どんがら汁」も身を骨ごとぶつ切りにして、内臓もすべて鍋に入れて煮こむ。味の決め手は肝や白子の部分で、最も脂ののった「あぶらわた(肝)」を味噌ベースのスープに溶いたり、一口大に切って煮こんだりしてコクのある味わいに仕上げる。”どんがら”の風味を味わうため、本来はねぎは入れず、岩のりのみをそえるという。産卵期のマダラは卵や白子でお腹が丸くふくれていて、なかでも4kg以上のものが美味しいとされている。美味しいマダラは、目が輝いていてエラが濃い赤色をしていること、外見に艶があり黒く光沢があるものを選ぶと良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- マダラ: (内臓も含む)1kg +- ねぎ: 1/2本 +- 水: 6カップ +- 味噌: 大さじ6 +- 岩のり: 適宜 +- 酒: 60cc +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. マダラは頭を落とし、内臓を取り出してから、骨ごとぶつ切りにする。 +2. 内臓を適当な大きさに切る。 +3. 鍋に湯をわかし、酒、塩を加え、まずマダラのぶつ切りを入れ、しばらくしてから内臓を入れて煮こむ。 +4. 時々アクをすくいながら煮こみ、9分通り火が通ったら味噌を入れ、最後にねぎを入れる。 +5. 椀に盛り、岩のりをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまがた郷土料理探訪」(編集:山形県グリーン・ツーリズム推進協議会、監修:古田 久子 氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_2_1.jpg)" +"# 芋煮 山形県 + +**郷土料理名**: 芋煮 + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +里芋、牛肉、こんにゃく、ねぎ、(きのこ類、ささがきごぼうなどを入れる場合もあり) + +## 歴史・由来・関連行事 +「芋煮」の発祥は古く、1600年代半ばともいわれている。当時、最上川舟運の終点だったといわれる中山町長崎付近は、上方から酒田経由で運ばれてきた荷物の引取がおこなわれる場所だった。しかし、当時は舟が到着したことを知らせる通信手段がなかったため、舟の船頭たちは荷受人が現れるまで何日も待たされることがあり、退屈をしのぐために河原で鍋を囲んで宴を開いていたという。船着場の近くに里芋の名産地・小塩集落があったため、手��入れた里芋と積み荷の棒ダラなどを鍋で煮て食べていたそう。それが現在の「芋煮」のルーツとされる。牛肉を使うようになったのは、昭和のはじめごろからといわれる。「芋煮」は地域によって味付けや具材の種類が異なる。特に、日本海に面した庄内地域の「芋煮」は特徴があり、内陸部の「芋煮」の風習が庄内地域に伝わった際、養豚業が盛んな地域のため、肉は豚肉、味付けは豚肉に合う味噌味に定着したのではないかといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +「芋煮」は里芋の収穫期の秋から冬によく食べられている郷土料理の一つ。「芋煮会」といって河原に鍋や材料を持込み、家族や友人などと一緒につくったり、運動会や地域行事の後などに野外でつくったりするほか、各家庭でもつくり食べられている。山形県では、「芋煮会」は新年会や忘年会と並ぶ年間行事の一つであり、「芋煮」は県民の団らんに欠かせない郷土料理である。この時期になるとスーパーマーケットやコンビニエンスストアでも「芋煮」に使う食材が販売されており、芋煮会用の鍋や薪やゴザがセットになったレンタルも当たり前となっている。 + +## 飲食方法 +基本の具材は里芋、牛肉、こんにゃく、ねぎだが、地域や家庭によって味付けや具材の種類に違いがあるのも「芋煮」の面白いところ。大きく違うのは日本海側の庄内地域で、具は牛肉の代わりに豚肉を用い、その他具材は厚揚げ、こんにゃく、ねぎなどを用いる。味付けは豚肉に合うように味噌仕立てというのが定番。そのほかの内陸部は牛肉を使った醤油味の「芋煮」だが、最上地域では、豊富にとれる山菜やきのこを入れたり、置賜地域では大きめに切った木綿豆腐を入れ、隠し味に味噌を使うところもある。近年、具材が少なくなった鍋にうどんを投入し、シメとして味わうことも定着しており、最近ではカレールウを加える食べ方もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (丼または大きな椀で4~5人分) +- <内陸地域の「芋煮」>: 適量 +- 里芋(皮つき): 500g +- 板こんにゃく: 1/2枚 +- 牛肉(バラ肉、切り落とし肉など脂身の多い部位が好ましい): 150g +- 長ねぎ: 1本 +- 醤油: 大さじ4 +- 砂糖: 大さじ1・1/2 +- 清酒(日本酒): 大さじ3 +- 水: 800cc + +## 作り方 +1. 里芋は皮を剥いて大きめの一口大に切る。 +2. 牛肉は4cmくらいに切り、ねぎは大きめの斜め切りにする。 +3. 板こんにゃくは手で一口大にちぎる。精粉でつくられているこんにゃくの場合はゆでこぼしの操作は無くても良い。生芋こんにゃくを使用する場合は、ゆでこぼし操作が必要。 +4. 鍋に分量の水と里芋とこんにゃくを入れて火にかけ、軽く沸騰してきたら醤油大さじ1を加えて、煮る。 +5. 里芋が柔らかくなったら、牛肉と残りの調味料(醤油大さじ3、砂糖、日本酒)を入れ、アクをすくいながら煮る。 +6. ねぎを加え、くたくたになるまで煮こみ、味を染みこませる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山形県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_1_1.jpg)" +"# しょうゆの実 山形県 + +**郷土料理名**: しょうゆの実 + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +庄内地域 + +## 主な使用食材 +大豆、小麦、米、種麹、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +「しょうゆの実」は、大豆、小麦(押し麦を使用する場合もあり)、米に種麹を混ぜてつくった「しょうゆの実麹」に、塩水を加えて寝かせ、かき混ぜながら発酵させた万能調味料。塩水の代わりに醤油と酒を加えるつくり方もあり、この方法だと1週間から10日くらいで食べられるようになる。庄内地域では、既に江戸時代から食べられていたとされる。味わいは麹の量によって甘みがあったり、塩っ気が強かったりとつくり手によって個性が出る。地域によっては「あまびしょ」や「あまぴちょ」などとも呼ばれる。 + +## 食習の機会や時季 +昔は、主に7月末ごろに仕込んで8月末ごろから食べはじめられていたが、いまではさまざまな料理に使うこともでき、保存食としても重宝することから通年食べられている。稲刈り後につくると日持ちが良いなどともいわれる。現在でも地元では食堂や家庭で当たり前のように食べられる郷土料理である。 + +## 飲食方法 +ごはんの上にのせて食べるほか、���奴や大根おろしに合わせたり、焼き肉のタレとして使ったり、きゅうりと合わせてもろきゅうにしたり、調理のレパートリーは豊富。オリーブ油とこしょう、ワインビネガーを合わせてドレッシングにしたり、野菜やお肉を直接漬けこんで味付けに使うのもおすすめ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 () +- 大豆: 2・1/2合 +- 小麦: 5合 +- 米: 5合 +- 種麹: 大さじ1/2 +- 塩: 1・1/2合 +- 水: 7・1/2合 + +## 作り方 +1. 大豆はきつね色に空炒りする。(あまり炒りすぎない。)石うすで2つ割りにし皮は取り除く。またはネットに入れ石の上で金づちで軽くたたいて割る。 +2. 小麦は10~12時間浸水する。(指でつぶれるくらいが良い。)米は一晩浸水する。 +3. 小麦と米を混ぜてややかために蒸す。(あまり柔らかくならないようにする。)大豆はひたひたのお湯で湿らせておく。 +4. 3の小麦と米の上に大豆をのせて蒸し、5分ほどしたら火を止める。(大豆から蒸気が通るまで) +5. 4を白い布に広げ、へらでかき混ぜながら40℃くらいまで冷まし、素早く種麹を混ぜる。これを毛布で包み、段ボールや木の箱などに入れ一昼夜置く。温度が35℃くらいになったら包んでいるものを少しずつはがし、温度が上がらないようにする。約二昼夜でしょうゆの実麹ができあがる(できあがりの色は黄色味が良い)。 +6. 熱湯に塩を加えて溶かし、人肌くらいに冷ます。容器に5のしょうゆの実麹と一緒に入れて混ぜ合わせ、寝かせる。仕込んでから1ヶ月ほどで食べられる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山形県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_29_1.jpg)" +"# うどと凍み大根のどんころ煮 山形県 + +**郷土料理名**: うどと凍み大根のどんころ煮 + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +最上地域 + +## 主な使用食材 +うど、凍み大根、身欠きニシン、さつま揚げ、醤油、酒、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +「凍み大根」や「凍み餅」などは、東北地方でよく見られる保存食の製法で、雪国ならではの寒さを利用してつくられる。「凍み大根」を仕込むのは寒さが最も厳しくなる1月。大根は皮を剥き、輪切りか20cmくらいに切って縦長に割ったものに穴を開けてからゆでて、アクを抜くために水にさらしてから雪の上に並べて凍らせる。そのあと、軒先につるして乾燥させ、3月ごろになるとようやく完成。手間のかかる作業だが、こうすることで大根の味わいがぎゅっと濃縮されて保存性も増す。「うどと凍み大根のどんころ煮」は、春に芽吹く旬の山菜のうどと凍み大根とを合わせた料理。”どんころ”というのは丸太のことで、うどを切ったときの断面が丸太に似ていることからこう呼ばれるようになったとされる。また、「うどと凍み大根のどんころ煮」の材料となる身欠きニシンは、ニシンの干物のことで、「どんころ煮」は海の幸と山の幸が調和する郷土料理。この身欠きニシンにも歴史があり、古くは江戸時代、北海道から関西へ物資を運ぶ商船「北前船」によってもたらされたといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +うどは、独特の香りとほどよい苦みが特徴で、油との相性が良く、煮物や炒め物、天ぷらなどにも使う。「うどと凍み大根のどんころ煮」は、うどが芽吹く早春に食べられる郷土料理で、飲食店で提供されるというよりは、家庭料理として食べることが多い。うど以外にもわらびやふきのとうなど、山形県では山菜が日常的な食材として広く浸透している。 + +## 飲食方法 +うどは食べやすい大きさに切ってから、水にさらしてアクを抜き、凍み大根はお湯で戻しておくのが美味しく食べるポイント。身欠きニシンと一緒に調味料を加えてじっくり煮こめば、凍み大根に味がしっかり染みわたり美味しく仕上がる。「凍み大根」やニシンがくずれないように注意しながら煮ると良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- うど: 250g +- 身欠きニシン(乾物): 120g +- 凍み大根: 1本(15cmほど) +- さつま揚げ: 100g +- 醤油: 大さじ2 1/2 +- 酒: 大さじ2 1/2 +- 砂糖: 大さじ1 + +## 作り方 +1. うどはきれいに洗い、4cmほどの長さに切り、水にさらしてアクを抜く。 +2. 身欠きニシンは水洗いし、5cmほどの長さに切る。さつま揚げは食べやすい大きさに切る。 +3. 凍み大根はぬるま湯で戻し、食べやすい大きさに切って柔らかくなるまでゆでる。 +4. うど、身欠きニシン、さつま揚げ、凍み大根を鍋に入れ、ひたひたの水を加えて強火で煮る。 +5. 煮立ってきたら、分量の調味料を入れ、火を弱め汁がなくなるまでゆっくり煮こむ。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山形県食生活改善推進協議会会長沼澤 紀美子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_28_1.jpg)" +"# わらびたたき 山形県 + +**郷土料理名**: わらびたたき + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +県北部 + +## 主な使用食材 +わらび、味噌など + +## 歴史・由来・関連行事 +日本一の生産量を誇る山形県産のわらびは、ぬめり成分が強くて柔らかく、良質なわらびとして首都圏でも好評である。わらびは、一般的にはアクを抜いてから、たたきやおひたし、煮物、みそ汁などにして食べられている。「わらびたたき」の「たたき」は、まな板の上にのせたわらびを包丁で切るように叩くことで、わらびの繊維を断ち切り細かくする調理方法のこと。昔は、わらびの時期になると、どこの家庭からも”トントン、トントン”とわらびを叩く音が聞こえてきたといわれる。トロトロとした食感と一緒に合わせる山椒の葉や味噌の風味が格別で、春の味として定着している郷土料理である。ほかにも、豊かな自然にはぐくまれた山里の恵みである山菜を上手にアク抜きして美味しく食べる調理法は山形県にたくさん残っており、それは先人の知恵が生み出したものだといえる。 + +## 食習の機会や時季 +長い冬が終わり桜が咲きはじめるころ、野山でわらびをはじめとした山菜が芽吹きはじめる。わらびは例年、5月から7月にかけて収穫されるが、この「わらびたたき」は、春の訪れとともに食べられる。 + +## 飲食方法 +わらびは調理前にアク抜きしておく。アク抜きしたわらびは、穂先をとり、を柔らかくなるまでゆでたら、まな板にのせて包丁で切るように叩いてわらびの繊維を断ち切る。細かくなったら、焼いて風味を出した味噌やすり鉢ですりつぶした山椒の葉などを加え、さらに叩く。わらびやそのほかの具が、トロトロになるまで叩いたら完成。盛り付けの際、おろししょうがやカツオ節をかけても良い。熱々のごはんの上にのせて食べるか、そばやそうめんにかけても美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- アク抜きわらび: 200g +- 山椒の葉: 少々(お好みで) +- 味噌: 大さじ2強 +- 砂糖: 大さじ2(お好みで) + +## 作り方 +1. 山椒の葉を枝から外し、すり鉢でよくする。 +2. 1に味噌を入れ、さらによくする。(好みで砂糖を入れても良い) +3. アクを抜いたわらびは、穂先と根元のかたい部分をとり、まな板の上ですりこぎで叩く。とろろ状になったところを包丁で細かく刻むようにして切る。 +4. 3に2をのせて、トロトロになるまでさらに包丁でトントンと叩く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山形県食生活改善推進協議会会長沼澤 紀美子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_27_1.jpg)" +"# 塩引きずし 山形県 + +**郷土料理名**: 塩引きずし + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +米沢市 + +## 主な使用食材 +サケ、すし飯 + +## 歴史・由来・関連行事 +ハレの日の郷土料理として伝承されている「塩引きずし」は米沢市の発祥。サケを塩漬けにしたものを使った押しずしで、昔は鮮魚が手に入らなかった内陸の米沢市でもつくることができたたすし。サケの赤色とすし飯の白色が紅白の彩りになることから、結婚式など祝いの席に出される料理としてつくられた。米沢市周辺は、山に囲まれた盆地ということもあり、輸送機関が発達していない時代は、鮮度の良い海産物を食べる機会がめったになっかた。魚といえばコイや川魚などの淡水魚か、棒ダラや身欠きニシン、そして塩引きザケなどの加工品がほとんどであったが、ごちそうには変わりなかった。一般的には魚を塩漬けしたものを塩引きというが、米沢市で塩引きというと、サケの塩漬けを指す。塩引きザケは昔から馴染みのある食材であり、年末年始には魚屋の店先に1尾の「新巻鮭(白サケの塩引き)」が何本もつるされ贈答に使われたものだが��最近は減っている。昭和初期のころはこの「新巻鮭」と色のきれいな「本紅鮭」をすし用に使っていたが、「本紅鮭」は非常に高価だったため、一般的には「新巻鮭」を用いていた。近年でも油と塩気の丁度良い国産の「本紅鮭」が手に入りにくくなり、油分の多い外国産のものも用いるようになっている。昔は一個ずつ押しずしにする木枠を使っていたが、現在は大きな型を使って押し抜いたものを切ることもある。昔ながらの木枠は、地元でもほとんど残っていないという。 + +## 食習の機会や時季 +「塩引きずし」は、紅白の色合いがおめでたいということで祝いの席には必ず準備した料理であり、現在でも、ハレの席には出されることが多い。また、すし屋や郷土料理を出す店などでも注文するとつくってくれるところがあり、いつでも食べられる。 + +## 飲食方法 +塩引きザケは塩辛いので2mm程度に薄くスライスし、すし飯(酢飯)と一緒に木枠に入れて押しずしにして仕上げる。サケに塩が効いているので、醤油などは付けずにそのまま食べる。日本酒との相性も良い。家庭でつくるときは塩ザケを薄く切る工程が大変なので、一旦凍らせたあと、半解凍状態のときに切ると良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6人分) +- 米: 2合 +- 水: 400cc +- 出汁昆布: 5g +- 塩紅ザケ: 2mm厚さに薄く切ったもの(3cm×4cm)20枚程度※型に合わせて準備する +- 【合わせ酢】 酢: 大さじ3 +- 【合わせ酢】 砂糖: 大さじ1 +- 【合わせ酢】 塩: 小さじ1/2 + +## 作り方 +1. 米を洗い、ざるにあけて水分を切り、30分おいてから出汁昆布を入れて炊く。 +2. 炊き上がったら、飯台に取り出し、温かいうちに合わせ酢を全体に振りかけて味を馴染ませる。すし飯に艶を出すために、うちわであおぎながら混ぜ合わせる。人肌程度の温かさが残るよう注意し、冷ましすぎないようにする。 +3. 塩紅ザケ(本紅ザケ)は切りやすくするために一度凍らせ、半解凍の状態で2mm程度に薄く切る。(ていねいにするときはもう一度塩を振り、身を引き締めてから凍らせて用いる) +4. 押し型にすし飯を入れて押し、3をのせてからもう一度押し抜く。大きい型を用いる場合は、押し型を逆さにして、底に塩引きサケを敷く。その上にすし飯を詰めて、もう一方の型を載せ、形が落ち着くまで、しばらく時間をおいて型から抜き、食べやすい大きさに切る。(ラップを用いると抜きやすい) + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 山形県立米沢栄養大学齋藤 寛子 氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_26_1.jpg)" +"# くきたち干しの煮物 山形県 + +**郷土料理名**: くきたち干しの煮物 + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +米沢市(置賜地域・村山地域) + +## 主な使用食材 +くきたち干し、人参、打ち豆、糸こんにゃく、油揚げ、醤油、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +「くきたち干しの煮物」はアブラナ科の野菜「くきたち」を使った郷土料理。くきたちは生命力が強く、芯を摘んだあとも側枝(そくし)がのびてくるため、次々と収穫することができる。春にとれたくきたちをゆでて、4日から5日天日干しにすることで干物が完成し、これを「くきたち干し」という。干すときに少しだけ揉んでおくことが美味しいくきたち干しをつくるコツ。これをあみ袋などに入れて保管しておき、昔は葉物野菜がとれなくなる冬の間の食糧として蓄えておいたが、現在も美味しい食材として食べられている。くきたちと呼ばれる野菜には葉の形状が違うものもあるが、どれもアブラナ科の野菜を指し、同じ名前で呼ぶ。どの葉のタイプでもくきたち干しにすることが出来る。 + +## 食習の機会や時季 +煮物にして食べるのは冬が多いが、材料になるくきたちの収穫自体は春におこなわれる。直売所では、くきたちやくきたち干しが販売される。ひと昔前は、くきたちの収穫を終えるころ、冬に備えてくきたち干しをつくるのが農家の習慣だったという。現在でも家庭菜園などでくきたちを育てている人は珍しくない。 + +## 飲食方法 +鍋にくきたち干しとたっぷりの水を入れて火にかけ、沸騰したら火を止めそのまま一晩浸けてもどしておく。3cmほどに切ったら、刻んだ油揚げやこんにゃくなどと炒めて、炒り煮にする。��上げにごま油を入れると、風味が増して美味である。基本的に、ごはんのおかずとして食べる。一緒に煮る具材に特に決まりはなく、旬の野菜などと組み合わせても良い。乾物や干物の料理には一緒に打ち豆を使うことが多い。大豆を濡れたフキンで包み少し湿らせた後、木づちで一つ一つつぶしたもので、通常の大豆のように一晩水につけて戻さなくても、そのまま料理に使える優れた食材である。一緒に煮ることで、大豆の旨味も染み出てくるため、くきたち干しやひょう干しを煮るときは使うことが多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 干しくきたち: 20g(戻すと150g位) +- 打ち豆: 20g +- 油揚げ: 1枚 +- 糸こんにゃく: 80g +- 人参: 40g +- 醤油: 大さじ1 1/2 +- みりん: 小さじ1 +- 油: 大さじ1 1/2 +- ごま油: 小さじ1 +- 煮干し: 5g(お好みで) +- 水: (ひたひた程度の分量) + +## 作り方 +1. くきたち干しを洗って鍋に入れ、たっぷりの水を入れて火にかけ、沸騰させる。湯が冷めて、手が入れられる位の温度になったら、ほぐしながら軽く揉んで、そのまま一晩つけて戻す。 +2. 1で戻したくきたちを洗い、3cmくらいに切り、水気を絞る。打ち豆は少量の水に漬けておく。 +3. 油揚げは熱湯をかけて油抜きし千切りにする。糸こんにゃくはさっとゆがいても適当な長さに切る。人参は3cm長さの千切りにする。煮干しは頭と内臓を取り、半分に割いておく。 +4. 鍋に油を熱し、くきたちと人参、糸こんにゃくを炒める。ひたひたに水を入れ、打ち豆、油揚げ、煮干しを入れて、火にかける。くきたち、人参が柔らかくなったら、調味料を入れ、火を弱めて、水分がなくなるまで含め煮にする。 +5. 最後にごま油を回し入れ、味をととのえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山形県立米沢栄養大学齋藤 寛子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_25_1.jpg)" +"# 玉こんにゃく 山形県 + +**郷土料理名**: 玉こんにゃく + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +県全域 + +## 主な使用食材 +玉こんにゃく、醤油、スルメの出汁 + +## 歴史・由来・関連行事 +「玉こんにゃく」は”玉こん※”の愛称で親しまれている山形県民のソウルフードである。その名のとおり、3cm程度の球状のこんにゃくで、観光地や催事場などで串に刺した状態で販売されている。板こんにゃくや糸こんにゃくは全国的に普及しているが、「玉こんにゃく」は山形県ならではの食文化である。「玉こんにゃく」の発祥は、昭和元年(1926年)に創業した「千歳山」のふもとにあるこんにゃく専門店「千歳山こんにゃく」だといいわれている。こんにゃくと縁が深いのが、山形市にある「宝珠山立石寺(ほうじゅさん りっしゃくじ)」、通称「山寺」である。平安時代に創設された寺院で、開山した慈覚大師(円仁和尚)が中国から持ち帰ったこんにゃくを寺の精進料理に使いはじめ、それが周辺住民にも普及。やがて、県内一帯にこんにゃくが広がっていったと伝わる。現在、山寺の周辺の飲食店や出店では「玉こんにゃく」を販売。寺の本殿に行くためには、1015段ある階段を登らないといけないため、その前に食べる「力こんにゃく」として観光客から人気を集めている。※「玉こん」は株式会社平野屋の登録商標となっている。 + +## 食習の機会や時季 +基本的には祭りや観光地、花見、イベントなど販売されており、ファストフード感覚で食べることが多い。スーパーマーケットや商店には味付け前の「玉こんにゃく」が大袋入りや小袋サイズなどさまざま売られており、一般家庭でもつくられている。1年中食べられているが、寒い時期のほうが温かい「玉こんにゃく」をより美味しく感じることができる。 + +## 飲食方法 +水を使わず醤油だけで煮るのが最もポピュラーである。練り辛子をつけて食べることが多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4本分) +- 玉こんにゃく: 20個 +- 醤油: 大さじ3 +- スルメイカ: 適量 +- 練り辛子: 適量 +- 串: 4本 + +## 作り方 +1. 鍋で玉こんにゃくを軽くから炒りする。 +2. 醤油と裂いたスルメイカを入れ、炒りつける。 +3. 串に刺し、お好みで辛子を付けて食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山形県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_24_1.jpg)" +"# 卵寒天/醤油寒天 山形県 + +**郷土料理名**: 卵寒天/醤油寒天 + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +庄内地域 + +## 主な使用食材 +寒天、卵、醤油、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +山形県では、寒天を用いた料理は昔から食べられており、お茶うけとしても振る舞われる。庄内地域では甘いデザートとしての寒天が主流で、なかでも人気があるのが「卵寒天」。甘い醤油味で祭りや正月などの祝い事のときにつくられる。食生活に根づいている寒天と、当時貴重品だった卵が結びつき、行事食として親しまれてきたといわれている。ゆで卵やかき卵が入ることもあり、味付けは醤油と砂糖で甘じょっぱいのが特徴。また県内には、庄内地域と同様に甘じょっぱい「卵寒天」やくるみを刻んで砂糖と醤油で味を付けた「くるみ寒天」、さらに置賜地域では野菜を入れた寒天があるほか、練り辛子を混ぜこんだ「からし寒天」など、多くの寒天料理がある。「からし寒天」は仏事献立の一品として取り扱われる。 + +## 食習の機会や時季 +同じ県内でも寒天料理に対する認識は異なり、庄内地域においては「卵寒天」は祭りや正月などのハレの日に食べるお菓子のような存在。5月に開催される「酒田まつり」の行事食として、「鱒のあんかけ」や「孟宗汁(もうそうじる)」と同様親しまれている料理。本来はハレの日に食べるのが一般的ではあるが、スーパーマーケットの総菜コーナーなどに日常的に売られている。 + +## 飲食方法 +鍋に寒天と水を入れて火にかけ、寒天が溶けたら砂糖や醤油、溶き卵を入れ、容器に移して冷蔵する。よくかたまったら、食べやすい大きさにカットして、そのまま食べる。溶き卵のほか、刻んだゆで卵を使うケースもある。おやつとしてつくるか、おかずとしてつくるかで、味つけも微妙に異なり、家々でレシピが異なる。また、仕上がりのかたさも好みが分かれる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- *レシピは卵寒天: 適量 +- 棒寒天: 1本約7g(粉寒天なら3g) +- 水: 500cc +- 卵: 1個 +- 醤油: 小さじ1 +- みりん: 小さじ1 +- 砂糖: 小さじ1/2 +- 塩: 小さじ1/2 + +## 作り方 +1. 棒寒天はたっぷりの水に30分以上浸して膨潤させ、小さくちぎっておく。水と小さくちぎった寒天を入れ、木べらで混ぜながら中火にかける。 沸騰したら火を弱め1~2分さらに過熱ししっかりと煮溶かす。 +2. 寒天液に調味料を入れ、その中に、溶いた卵を細く手早く回し入れる。 +3. 水で濡らした容器に2を入れ、冷やしかためれば出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「食の都庄内」ブランド戦略会議、「おきたま伝承料理集 つなぐ」他 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_23_1.jpg)" +"# 鱒のあんかけ 山形県 + +**郷土料理名**: 鱒のあんかけ + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +庄内地域 + +## 主な使用食材 +鱒、ニラ、しょうが、塩、砂糖、くず粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「鱒のあんかけ」は、庄内地域を代表する春の料理。マスのなかでも最も美味とされるサクラマスを使う。稚魚のときに縄張り争いをして負けたものは海へ下り「サクラマス」に、勝ったものは川にとどまりそこで「ヤマメ」に成長する。秋の産卵に備え栄養を蓄えたサクラマスが川を遡上する時期がちょうど桜の咲く時期のため、「サクラマス」と呼ばれるようになったという説もある。「サクラマス」は、山形県を代表する魚介の一つであり、平成4年(1992年)に県魚に指定されている。「鱒のあんかけ」が食べられるようになったのは、江戸時代にまでさかのぼる。北海道から大阪を北前船という商船が往来していた影響で、西日本の文化の“あんかけ料理”が庄内地域にも伝えられたといわれている。祝い事などのハレの日に食べる料理としても現在も定着している。「鱒のあんかけ」のあんかけには、当時大変貴重だった砂糖やくず粉が使われており、客人をもてなすためのごちそうだったことが伺える。 + +## 食習の機会や時季 +春のごちそうとして定着している「鱒のあんかけ」は、マスの焼き物や孟宗(もうそう)の煮物などと同じようにどの家庭でもつくられる。特に5月におこなわれる「酒田まつり」や「鶴岡天神���」には欠かせない料理。現在では仕出し屋に頼んで「鱒のあんかけ」を食べる家庭も少なくない。その際は、家族や親戚に振る舞われる。 + +## 飲食方法 +ゆでたサクラマスの身にニラをそえて、あんをかける。仕上げに別で用意したしょうがを上にのせる。京都府のあんかけと違い、冷たくて甘いあんかけを使用する。家庭や飲食店によっては、輪切りにしたゆで卵やそうめんがそえられることもある。また、仕出し料理や祝い善の一品として食べられている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4~5人分) +- サクラマス: 300g +- ニラ: 100g +- しょうが: 30g +- 塩: 少々 +- あんかけのあん: 適量 +- [あんの材料]片栗粉: 大さじ3 +- [あんの材料]砂糖: 大さじ6~7 +- [あんの材料]酒: 大さじ3 +- [あんの材料]醤油: 大さじ3 +- [あんの材料]水: 1 1/3カップ + +## 作り方 +1. マスを三枚におろして塩を振り、蒸気の上がった蒸し器で蒸す。 +2. ニラはゆでて、5cmに切りそろえる。 +3. あんを練る。※あんの作り方:[手順1]鍋に酒を入れて沸騰させた後、水、醤油、砂糖を入れて煮溶かす。[手順2]火を止め、水で溶いた片栗粉を木べらで時計回りに混ぜながら少しずつ入れる。[手順3]再び鍋を中火にかけ、焦げないように注意しながらあんが透明になり艶が出るまでよく練る。[手順4]火から下ろし、冷めるまでよく練る。 +4. 器にマスとニラを盛り合わせて、あんをかけ、おろししょうがをそえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : つるおかおうち御膳 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_22_1.jpg)" +"# おかひじきのからし和え 山形県 + +**郷土料理名**: おかひじきのからし和え + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +村山地域、置賜地域 + +## 主な使用食材 +おかひじき、辛子、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +「おかひじきのからし和え」で使われる「おかひじき」は、もともと海岸に自生する野草で、見た目が海藻のひじきに似ていることからこの名前で呼ばれるようになったといわれる。山形県では海沿いの庄内地域に自生していたおかひじきの種が最上川を船で渡って砂地質である米沢藩領の砂塚村(現南陽市)に伝わり、そこで栽培がはじまったといわれている。『本草図譜』(1828年)には、「“をかみる”の項に“をかひしき“羽州米沢」とあり、江戸時代からの産地であることが分かる。そのため南陽市はおかひじき発祥の地とされていて、現在でも地元が誇る伝統野菜として盛んに生産されている。野生種ということもあり生命力が強く、土壌が合えばたくさんの収量を見込める。一度摘んでもすぐに葉が芽吹くため、手入れ次第では何度も収穫できた。 + +## 食習の機会や時季 +近年はハウス栽培もしているので通年手に入る食材になったが、出荷が本格化するのは3月下旬ごろ。露地物の旬は6月以降の夏場になる。置賜地域では、ハウス栽培やトンネル栽培が主流。収穫して、その都度種を播くことで、年に5回ほど収穫できるという。スーパーマーケットや直売所に出荷されるため、一般家庭でも調達しやすい。 + +## 飲食方法 +おかひじきのシャキシャキとした食感と美味しさが一番引き立つのが「からし和え」だが、ほかの食べ方としては、ドレッシングをかけてサラダにしたり、マヨネーズで和えても美味しい。また、卵焼きに入れたり、味噌汁の具にしたり、細かく刻んで「だし」に入れることもある。おかひじきはカルシウム、カリウム、鉄、マグネシウム、ビタミンCなどを含み、ビタミンAが豊富。栄養素も申し分ない。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- おかひじき: 50g +- 醤油: 小さじ1 +- 和辛子: 少々 + +## 作り方 +1. おかひじきの根元約1cmくらいを切り取る。熱湯で約20~30秒ゆでたら水にさらし、ざるに上げてよく水気を切る。 +2. ボウルに醤油(小さじ1)、和辛子を少々を混ぜておく。 +3. 1を2に入れてからめ、器に盛る。辛子を天盛りにしても良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまがた郷土料理探訪」(編集:山形県グリーン・ツーリズム推進協議会、監修:古田 久子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_20_1.jpg)" +"# からかい煮 山形県 + +**郷土料理名**: からかい煮 + +**都道府県**: 山��県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +からかい、醤油、砂糖、みりん、酒 + +## 歴史・由来・関連行事 +「からかい」とは北海道でとれるエイ(カスベ)のヒレで軟骨部分を乾燥させた乾物のこと。昔は海が遠い内陸部で魚といえば「塩引き鮭」や「棒ダラ」、「からかい」などの干し魚だった。もともとは北海道から伝わったもので、「十把一絡げ(じゅっぱひとからげ)」の「からげ」という品目名称だったが、名称を「からかい」と変えて山形県に根づいたとされている。庄内地域では、「からげ」の名称が残っている。内陸部では祝い事や祭りで食べる特別な料理として大切にされている。 + +## 食習の機会や時季 +正月やお盆、祭りなどのときに「赤飯」と並ぶくらい大事なハレの日の伝統の行事食。冷めても美味しく日持ちがするので、お茶うけに出す家庭もあるという。 + +## 飲食方法 +「からかい」は、水で2日から3日かけてゆっくりと戻し、骨が柔らかくなるまでじっくりと煮込むことで柔らかく、プルプルとしたコラーゲンとコリコリとした食感の軟骨が楽しめる。ゼラチン質が多いので煮汁が冷めると「にこごり」ができ、ごはんとの相性が良い。「からかい」は大きいまま水戻ししたほうが旨味が逃げずに味が良い。ただし、大きいものを家庭で戻すのは難しいため、年末には魚屋などが水戻しをおこない、パック詰めして煮るだけの状態にして出すこともある(関連画像参照)。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- からかい: 200g +- 酒: 50g +- みりん: 大さじ1 +- 醤油: 大さじ2 +- 砂糖: 大さじ2 + +## 作り方 +1. からかいは一口大に切り、一晩水に浸しておく。 +2. 水を変え、ひたひたの水煮にして、柔らかくなるまで煮る。 +3. 調味料を入れ、落とし蓋をして、味が良く染みるまで煮詰める。※冷めたものをもう一度煮返すと、さらに味が染みて美味しい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまがた郷土料理探訪」(編集:山形県グリーン・ツーリズム推進協議会、監修:古田 久子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_19_1.jpg)" +"# ハタハタの湯上げ 山形県 + +**郷土料理名**: ハタハタの湯上げ + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +庄内地域 + +## 主な使用食材 +ハタハタ、ねぎ、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +ハタハタはうろこのない淡白な味わいの魚で、庄内地域の秋の味覚として親しまれている。ハタハタは12月ごろから産卵のために庄内浜にやってくるので、釣り人が酒田北港などに集まる光景が一つの冬の風物詩になっている。昭和の終わりごろから平成にかけて、ハタハタの漁獲量は激減してしまったが、山形県の漁業者が協力して漁獲規制と資源の管理をおこなったため、現在は復活したという経緯がある。海が荒れて雷鳴がとどろく時に大群で浅瀬に押し寄せるので”雷魚”という別名もある。「ハタハタの湯揚上げ」は、鍋でゆでたハタハタに醤油などをかけて食べるシンプルな料理。さっぱりとしており、ハタハタ料理の定番になっている。ほかにも、煮付けや干物、揚げ物などハタハタ料理のバリエーションは多種多様。ハタハタは庄内地域の伝統行事とも深く関わっており、12月9日に行われる行事「大黒様のお歳夜(としや)」では、ハタハタを「味噌田楽」にして食べる風習が残っている。 + +## 食習の機会や時季 +近年は年間を通して水揚げされるというハタハタだが、6月と7月にとれるものは身を楽しみ、10月と11月にとれるものはブリコや白子を楽しめるといわれている。特に「ハタハタの湯上げ」はシンプルな料理なので旬のハタハタを使うと素材の味をダイレクトに楽しめる。 + +## 飲食方法 +鍋に水を入れ煮立ったら、ハタハタを入れてゆでる。身が割れてきたタイミングで器にとって、大根おろしと醤油で食べる。しょうがをそえても美味しい。うろこがないため、洗ってそのまま調理できるのがハタハタの良いところ。盛り付けの際は、本来オスとメスを1匹ずつ盛り付けるという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ハタハタ: 8尾 +- 大根おろし: 適量 +- しょうが: 適量 + +## 作り方 +1. ハタハタの頭、内臓、尾を取り除く。 +2. たっぷりの湯でゆでる。 +3. ��骨が、頭と尾の両方から飛び出し骨離れが良くなったら(約10分)一匹ずつていねいにすくい上げ、さっと冷水にくぐらせる。 +4. 中骨を抜いて盛り付ける。 +5. 大根おろしをそえて食べる。好みでしょうがも良い。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 旅館 坂本屋 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_18_1.jpg)" +"# 青菜漬 山形県 + +**郷土料理名**: 青菜漬 + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +山形青菜、塩、醤油、砂糖、酒、焼酎 + +## 歴史・由来・関連行事 +多様な漬物文化が残る山形県。「青菜漬」は高菜の一種「山形青菜」を使った漬物で、「おみ漬」とともに山形県を代表する漬物の一つである。青菜は明治37年(1904年)に中国の重慶から入ってきたといわれる品種で、山形県では明治41年(1908年)奈良県から種子を入れ、農事試験場で試作。その結果従来の漬け菜としていた体菜、山東菜、芭蕉菜などよりも品質が優れていることが判明し、山形青菜の栽培を開始した(『北国の野菜風土誌』青葉高)。大正初期から採種できるようになり、昭和に入り、栽培地域が村山地域から県内一円に広がった。山形青菜は、1株500g、丈が70cmから80cmと大きく幅広い葉と肉厚の茎が特徴。シャキシャキした歯ざわりと独特の辛味を持つ。「青菜漬」は主に、冬の間の保存食として発展した食べ方で、山形青菜を軽く天日干しして、塩で漬け込んでから一度ていねいに水洗いし、醤油、昆布、カツオ節などでつくる漬けダレで本漬けにする。収穫は10月下旬から11月中旬ごろで収穫後一度天日干しにするため、家庭の庭先などで山形青菜を干してある風景や漬物を仕込む風景は、初冬の風物詩にもなっている。 + +## 食習の機会や時季 +山形青菜の収穫は10月下旬から11月中旬ごろ。「青菜漬」は、山形のふるさとの味として、家庭により秘伝の味で受け継がれており、昔は大きな漬物桶にたくさん漬け込み、春先まで食べられていた。正月の席にも欠かせない料理。いまでも山形青菜を栽培している家庭では「青菜漬」をつくっているが、一般家庭では、スーパーマーケットなどで購入することが多い。 + +## 飲食方法 +青菜漬は、なんといっても独特の辛味とシャキッとした歯ざわりが特徴で、炊き立ての白いごはんに合わせればいくらでも食べられ、お茶うけとしても親しまれている。庄内地域には、味噌を塗った丸いおにぎりに「青菜漬」を巻いて、焼き網で軽く焦げ目がつく程度に焼いた「弁慶めし」という郷土料理もある。また、春先にべっこう色になり少々酸味を帯びた「青菜漬」は、炒め煮にして食べるところもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (漬物容器1つ分) +- [下漬け] 青菜: 1kg +- [下漬け] 塩: 40g(青菜の4%程度) +- [下漬け] 呼び水(差し水): 適量 +- [下漬け] 重石: 青菜の重量の2倍以上 +- [本漬け] 醤油: 30ml +- [本漬け] 砂糖: 40g +- [本漬け] 酒: 30ml +- [本漬け] 焼酎: 30ml + +## 作り方 +1. [下漬け] 青菜は洗った後、しんなりするまで乾燥させる(1~2日天日に干して少ししんなりさせる)。 +2. [下漬け] 漬物桶に株のままの青菜を並べ、分量の塩を振りながら段々に漬けこみ、押し蓋をして重石をのせる。 +3. [下漬け] 早く水が上がるよう呼び水を加えて3日ほど漬ける。*呼び水は、量が多くなると塩分濃度が下がるので塩加減の調節が必要。 +4. [本漬け] 下漬けした青菜を洗い、しっかり水気を切る。 +5. [本漬け] 本漬け用の調味料(焼酎以外)を加熱し、沸騰寸前で火を止め冷ます。 +6. [本漬け] 漬物桶に水を切った青菜を隙間のないように並べ5の汁を入れる。この工程を繰り返し、最後に焼酎を加え、押し蓋をし、重石をして1週間ほど漬けこむ。(漬物桶は寒いところに置く。) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山形県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_17_1.jpg)" +"# おみ漬 山形県 + +**郷土料理名**: おみ漬 + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +村山地域、最上地域、置賜地域 + +## 主な使用食材 +山形青菜、大根、人参、きくいも、紫蘇の実(塩漬け)、醤油、ざらめ + +## 歴史・由来・関連行事 +多様な漬物文化が残る山形県。「おみ漬」は高菜の一種「山形青菜(せいさい)」��使った漬物で、「青菜漬」とともに山形県を代表する漬物の一つである。青菜は明治37年(1904年)に中国の重慶から入ってきたといわれる品種で、山形県では明治41年(1908年)奈良県から種子を入れ、農事試験場で試作。その結果従来の漬け菜としていた体菜、山東菜、芭蕉菜などよりも品質が優れていることが判明し、山形青菜の栽培を開始した(『北国の野菜風土誌』青葉高)。大正初期から採種できるようになり、昭和に入り、栽培地域が村山地域から県内一円に広がった。山形青菜は一株が500g程度、丈が70cmから80cmにもなり、大きい野菜。「青菜漬」は肉厚の茎の部分を珍重して食べることが多く、葉先は捨ててしまうこともあったため、もったいないと近江出身の商人が刻んで漬物にしたことから、「近江漬」が転化して「おみ漬」になったといわれている(ほかにも名前の由来は、刻んだ野菜を揉んで漬けることから「もみ漬」が「おみ漬」になったという説など諸説ある)。このように「おみ漬」は、余った野菜をすべて使い切るための知恵として発展してきた料理ともいわれており、使う野菜の種類に限りはなく、「山形青菜」に限らず余った野菜をなんでも細かく刻んで漬けていた。 + +## 食習の機会や時季 +山形青菜が収穫されるのは10月下旬から11月中旬にかけて。大きいもので、一株の丈が70cmから80cmにもなる。「おみ漬」は、正月の席でも食べられている。山形青菜のシーズンを迎えると、わりと手軽につくれる「おみ漬」をつくる家庭も少なくない。 + +## 飲食方法 +山形青菜を中心に、大根、人参などの旬の野菜を一緒に刻んで、しばらく塩漬けにしてから食べる。ごはんと一緒に食べるのはもちろん、おにぎりの具やお茶漬け、チャーハンの具などさまざまな用途に活用できる常備菜といえる。近ごろは、山形青菜の間引き菜を使ってつくられることもあり、山形を代表する冬の漬物「青菜漬」が出回る前に食べられたりもする。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4.5Lの漬物容器1つ分) +- 青菜: 1kg +- 大根: 200g +- 人参: 80g +- きくいも: 150g +- しその実(塩漬け): 100g +- 塩: 45g(材料の3%) +- 黄菊(食用菊): 20g(お好みで) +- しょうが: 30g(お好みで) +- 【A】 醤油: 50g(大さじ3強) +- 【A】 ザラメ: 10g +- 【A】 みりん: 35g + +## 作り方 +1. 青菜は洗って、幅の広い部分は縦半分にし、7mm幅に細く切る。大根、人参は皮を剥き、いちょう切りにし、きくいもは良く洗って皮つきのままいちょう切りにする。 +2. 切った野菜に塩をまぶして全体をよく混ぜ、重量の2倍程度の重石をして一晩漬ける。しその実は水にさらして軽く塩抜きしておく。 +3. 翌日、出てきた青汁を捨て、水できれいに洗い、絞ってしっかりと水気をきる。 +4. 黄菊は花弁をガクから外し、熱湯に酢を少々入れてさっとゆでて、水にとり水気を切る。しょうがは皮を剥き、千切りにする。 +5. Aを鍋に入れて一度煮立てて、冷ます。 +6. 下漬けして洗った野菜としその実、黄菊、しょうがを合わせ、5の調味液を全体にかけて混ぜ合わせる。軽い重石をして、材料が漬け汁に浸るようにする。(水分が出て浸っていれば、重石を外して蓋だけで良い) +7. 2~3日したら食べられるようになる。塩分がきつくないので、冷蔵庫で保存し、2週間くらいで食べきると良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山形県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_16_1.jpg)" +"# 雪菜のふすべ漬け 山形県 + +**郷土料理名**: 雪菜のふすべ漬け + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +置賜地域 + +## 主な使用食材 +雪菜、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +「雪菜のふすべ漬け」は、置賜地域のブランド野菜「山形おきたま伝統野菜」の一つ「雪菜」を使った漬物。“さっと湯通しする”という方言の“ふすべ(る)”から、その名が付いた。雪菜は全国でも珍しい雪の中で育つ軟白野菜で、雪国での生鮮野菜の確保のために上杉鷹山公が栽培を奨励したと伝わっている。越後から伝えられた長岡菜との自然交雑から選抜育成したものといわれ、雪深い地だからこそ、つくることのできる野菜である。以前は「かぶのとう」という名前で呼ばれていたが、改良を加え栽培を奨励したことをきっかけに��和5年(1930年)に雪菜という名前が付いた。現在雪菜は米沢市のなかでも上長井地区(笹野、古志田、遠山)で栽培されている。雪菜は雪のなかで成長した「とう(花茎)」を食べる野菜。その育て方は8月下旬から9月上旬に播種し、11月上旬に草丈60cmから80cmに生長したものを根っこごと収穫。雪菜は凍害に弱いので、12株から13株ほどをひとまとめにしてわらで括り、寄せ集めた周りを稲わらと土で囲い(「床寄せ」という作業)、雪で覆われるのを待つ。降り積もった雪の中は温度と湿度が保たれ、自らの葉を栄養とし、とう(花茎)を伸ばす。食材となる量は床寄せ時の20%から25%位になる。 + +## 食習の機会や時季 +雪菜は冬の寒さのなかで育つ野菜。置賜地域の米沢市周辺では、寒い冬が訪れる正月ごろから食卓に並び、作付けや積雪の状況によっては3月中旬ごろまで市場に出回る。サラダなどにも使うが、「ふすべ漬け」にするのが最も美味しい食べ方。 + +## 飲食方法 +「ふすべ(る)」というのは“さっと湯通しする”という方言。生の雪菜は少し苦味があるが、熱湯をかけることで独特の辛味を引き出すことができる。材料は雪菜と塩だけのシンプルなものだが、湯通しの加減には、コツが要る。3秒から5秒ほど熱湯に浸すことを3回繰り返したら、冷水で粗熱をとった後、塩を加えて厚手のポリ袋などで密封して3日置いておく。1日から2日ではまだ辛味は出ず、3日寝かせることで辛味成分が出てくるという。この独特の辛味成分をイソチオシアネートという。揮発性のため、空気に触れ続けると消えてしまうので、密封の状態から取り出して盛り付けたら早めに食べるのが良い。ごはんのおかずや酒の肴などに合わせる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 () +- 雪菜: 400g +- 塩: 8g(雪菜の2%) + +## 作り方 +1. 雪菜はきれいに洗い、青い部分や傷んだところを外し、3cmの長さに切る。根本の太い部分は食べやすいように太さを縦に割る。 +2. 広口の鍋と、それに入るサイズのざる、ざると同じ大きさのボウルを準備する。鍋にたっぷりのお湯を沸かし、ボウルには冷水を準備する。 +3. 切った雪菜をざるに入れ、ざるのまま3秒間熱湯につけて、すぐに引き上げる。量が多い時は秒数を少し長くする。熱湯の鍋は火をつけたままこの作業をおこなう。 +4. お湯を切ってざるを動かしながら上下を入れ替え、再度同じようにざるに入れたまま3秒間熱湯につけて、すぐに引き上げる。また、上下を返し、もう一度熱湯につけ、引き上げる作業をする(全部で3回)。歯ざわりが大切なので、少し硬さが残る、おひたしになる手前の状態にすることがポイント。 +5. 全体を均一の硬さにするため、手順4の雪菜の入ったざるに蓋をかぶせ、余熱で1分半蒸らす。 +6. すぐにボウルの冷水につけて冷やし、水を換えて、流水のもとでしっかりと冷やして、最後に水気を切る。 +7. ふすべた雪菜に塩をまぶし、全体を混ぜ合わせる。 +8. 漬物器に入れ、雪菜の2倍の重さの重しをし、辛味が抜けないように口を厚手のポリフィルムで覆い密封する。漬物器がないときは、できるだけ厚手のポリ袋を準備して雪菜を入れしっかりと口を閉じ、重しをする。(水が出るので2重にしておくとよい)水が上がったら、重しを半分にし、冷蔵庫など涼しいところに置く。 +9. 漬けて3日目が辛味が出て食べごろになる。時間が経つと辛味が飛んでしまうので1週間で食べきると良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山形県立米沢栄養大学齋藤 寛子 氏、米沢市上長井雪菜生産組合 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_15_1.jpg)" +"# あけびの味噌詰め焼き/あけびの油焼き 山形県 + +**郷土料理名**: あけびの味噌詰め焼き/あけびの油焼き + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +あけび、まいたけ、しめじ、味噌、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +あけびは、山形県民にとって欠かすことのできない郷土の味覚として根づいており、春には新芽、秋は果実を食用に。つるはつる細工などに活用される。山形県であけびの栽培が盛んになったのは、1970年代から1980年代あたりから。天童市で採取されたあけびが関東で好評を博し、本格的な栽培がはじまった���村山地域や置賜地域が主産地になっており、県全体の生産量は全国トップレベルを誇る。薄紫色、ピンク色など種類や系統によって見た目も若干異なり、食卓に彩りをそえる役割もある。全国的には種のまわりの白い部分を食べるのが一般的だが、山形県では皮の部分を食べるという全国的にも珍しい食文化がある。味わいはほろ苦く「あけびの味噌詰め焼き」のほか、煮物、和え物、天ぷら、ぬた和えなど、さまざまな料理に調理して食される。 + +## 食習の機会や時季 +あけびの季節は8月中旬から10月中旬。内陸部の家庭では旬の食材として、シーズンの間に一度か二度はあけび料理が食卓にあがるという。地元の人にとってあけびはわざわざスーパーマーケットで買う食材というよりも、裏山に自生しているものをとってきたり、庭先で育てていたり、ご近所からおすそ分けしてもらったりするものという感覚。あけびの皮は天日に干して保存しておき、煮物などにも利用される。あけびは捨てるところのない万能果物といわれていて、ひと昔前は、種子から油をとっていた時代もあった。 + +## 飲食方法 +調理前に、あけびの種を取りのぞき、フキンで水気を拭き取っておく。ひき肉や舞茸を味噌や砂糖で煎り煮して、それをあけびの皮に詰めたらタコ糸などで結んで、ていねいに焼いてから食べる。あけびの皮はほろ苦い風味があるが、味噌と合わせることで食べやすくなる。皮の部分はナスのように味がよく染みて、炒めものや煮物にすると噛み締めた時に味が染み出して美味である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 () +- あけび: 4個 +- まいたけ: 50g +- しめじ: 50g +- みょうが: 5個 +- 味噌: 大さじ1 1/2 +- 砂糖: 小さじ2 +- 油(炒め用): 大さじ1 1/3 +- 油(焼き用): 大さじ2 +- たこ糸: 適量 + +## 作り方 +1. あけびはスプーンなどで中の種を取り除き、皮のみを使う。口が閉じているものは中心の筋目に沿って割り開く。あけびの皮をきれいに洗って、水気を切る。 +2. きのこを洗って水気を切り、細かく裂く。みょうがは千切りにする。 +3. 鍋に炒め用の油をひき、きのこ類を炒め、しんなりしたらみょうがを加えてさっと火を通し、味噌と砂糖を加えて煎り煮にし、水分を飛ばす。 +4. 3の具が冷めたら、あけびの皮に詰めてたこ糸で口を閉じるように結ぶ。 +5. フライパンに油を熱し、あけびを入れて蓋をし、時々返しながら焼き上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山形県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_14_1.jpg)" +"# うこぎの切り和え 山形県 + +**郷土料理名**: うこぎの切り和え + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +置賜地域、米沢市 + +## 主な使用食材 +うこぎ、味噌、カツオ節 + +## 歴史・由来・関連行事 +うこぎを細かく切って味噌と和える「切り和え」は、うこぎの垣根が最も多い置賜地域でよくおこなわれてきた調理方法。米沢藩9代藩主・上杉鷹山公がうこぎを家の垣根として植えることを推奨したとされていて、トゲのある枝がバラ線の役目をもち防犯になるうえ、春から初夏にかけて新芽が芽吹くと摘んだあとも次々と芽吹いて秋まで食べられる食材としても重宝された。また、平安時代から漢方の強壮剤としても利用されていたといわれており、滋養のある食材として知られていた。米沢市を中心とした置賜地域で食べられているのは「ひめうこぎ」という品種がほとんどで、トゲも少なく葉も柔らかい。うこぎには、独特の風味とほろ苦さがあり、「うこぎの切り和え」のほか、「うこぎご飯」や「うこぎの天ぷら」、「うこぎのおひたし」などがつくられ、食卓に春の訪れを告げる食材である。 + +## 食習の機会や時季 +うこぎが最も美味しい時期は、春の芽吹いた柔らかい時期(5月ごろ)だが、生長がはやく、刈り取るとまたそこから新芽が出てくるので秋まで食べることができる。地元では、隣近所の垣根から食べる分だけ、摘ませてもらうこともある。 + +## 飲食方法 +うこぎが持つほろ苦く、清涼感のある独特の風味は、多くの人を魅了している。うこぎの味を地元の方言で「きどい」と表現している。うこぎはゆでて、水にさらしておくとアクがぬけて美味しく食べられる。ゆでたうこぎに焼き味噌をのせ、���かく刻んだものを食べる。ふりかけのようにごはんにかけたり、単品で小鉢に盛り、酒の肴としても食べられている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- うこぎ: 50g +- 味噌: 15g +- カツオ節: 5g + +## 作り方 +1. 鍋にお湯を沸かして、うこぎをゆで、色が悪くならないようにすぐに冷水にとる。 +2. 味噌にカツオ節を混ぜてよく練り、薄く木べらに張り付ける。焦げないように気を付けながら味噌の表面をあぶり、香ばしさを出し、木べらから外す。 +3. ゆでてしっかりと水気を切ったうこぎをまな板に置き、その上に焼き味噌を置く。端のほうから包丁で細かく刻んでいき、切りながらうこぎと味噌を混ぜていく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山形県立米沢栄養大学齋藤 寛子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_13_1.jpg)" +"# 鯉のうま煮 山形県 + +**郷土料理名**: 鯉のうま煮 + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +置賜地域、米沢市 + +## 主な使用食材 +コイ、醤油、みりん、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +「鯉のうま煮」は、コイを輪切りにし、砂糖・醤油・酒で煮た郷土料理。コイはかつて内陸農村部で貴重なタンパク源として食べられていた食材。1802年、米沢藩9代目藩主・上杉鷹山公が、内陸で水産資源が乏しい米沢の地で滋養のある食材を確保するために、コイの養殖を進めるように提案したことがはじまりとされている。家の排水口近くに池(せせなと呼びコイを飼う場所とした)をつくらせ、流れてくる米のとぎ汁、残飯やまゆみ(蚕のさなぎ)をえさとしてコイを育てた。コイは高級品だったため、庶民はもっぱらハレの日にコイ料理を食べるのが一般的だった。コイの養殖は、置賜地域を中心に盛んになり、大正から昭和にかけて発達した。当地のコイの養殖方法は、きれいな湧き水を用いたり、地下水で畜養することで泥を吐かせるなどの方法が取られた。米沢市周辺で養殖されたコイは、厳しい冬の寒さによって身も引き締まっていて質が良いといわれ、「米沢鯉」というブランド名で、米沢牛、館山りんごと並ぶ地域の名産品となっている。しかし、近年は生産者が減少傾向にあるという。「鯉のうま煮」がよく食べられるようになったのは、砂糖が入手しやすくなった日露戦争後と伝わる。ほか、味噌で煮こんだ「鯉こく」や切り身を冷水にくぐらせた「鯉のあらい」にしても食べられている。 + +## 食習の機会や時季 +現代では、主に年輩の方が食べるイメージがあるが、山形県では、正月やお盆、結婚式などの祝いの席に並ぶ一品として伝えられている。コイは「来い、こい」と迎え入れられる喜びを意味しており、滝のぼりに代表されるように上昇を意味することなどから縁起の良い食材とされている。新鮮な海の幸が得やすい庄内地域よりは内陸部で食べられている傾向がある。かつては「鯉のうま煮」を手づくりをする家庭も多かったが、近年では手軽にスーパーマーケットなどで買う人も多い。 + +## 飲食方法 +砂糖、酒、醤油などで甘辛く煮て食べる。鯉は新鮮なうちに料理するのが原則。胆のうをのぞいたすべての部分が食べられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 筒切りしたコイ: 5切れ(1切れ約200g) +- 水: 800mL +- 酒: 350mL +- 砂糖(赤ザラメ): 300g +- 醤油: 150~200mL +- 水あめ: 50g + +## 作り方 +1. コイを捌くときは、肝をつぶさないように取り除く。つぶしてしまうと身全体が苦くなってしまうので注意が必要。鍋にコイを入れ、ひたひたになるまで酒を入れる。次に水をコイの1~2cm上まで加える。 +2. 鍋に水と1/3の分量の調味料を入れ、コイの切り身を入れて煮る。 +3. アクを取り、30分おきに調味料を1/3ずつ入れ、全体で1時間半煮る。 +4. 水気がなくなり、身の表面にきれいな照りが出てきたらできあがり。一晩置いて、味を含ませ、また火を入れて煮付ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山形県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_12_1.jpg)" +"# ひょう干しの煮物/ひょう干し煮 山形県 + +**郷土料理名**: ひょう干しの煮物/ひょう干し煮 + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +村山地域、置賜地域 + +## 主な使用食材 +ひょう干し、糸こんにゃく、人参、油揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +山形県は全域が豪雪地帯に指定され、流通の悪かった時代には冬場の食糧を確保することが生きる上で必須であった。そのため、雪に覆われる冬に備え、春から秋にかけて豊富にとれる山菜や野菜などの食糧を干物にしたり、塩漬けにして塩蔵品にする保存食の文化が根づいてきた。置賜地域や村山地域に伝わる保存食の一つに「ひょう干し」がある。「ひょう干し」とは、夏に摘んだひょうをゆでて、天日干しにしたもの。ひょうは「すべりひゆ」の別名で、江戸後期に上杉鷹山公が家臣に命じて刊行した救荒書『かてもの』にも「すめりひやう」と記載されている。初夏から初秋にかけて、畑の隅などに生える野草である。生命力の強い植物で、夏の強い日差しにも負けずに繁殖する。ひょうは、夏に摘みたてをゆでて辛子醤油で食べたりするほか、天日干しにしたひょう干しは、煮物によく利用される。 + +## 食習の機会や時季 +正月料理として欠かせない「ひょう干しの煮物」。ひょう干しは、年始を迎えたとき「今年も“ひょっと”していいことがありますように」という願いを込めて、縁起を担ぎながら食べられる。つぼみを持つ前が美味しいとされており、米沢市周辺では土用の丑の日の早朝に収穫する風習が残っている。 + +## 飲食方法 +ひょうは干物にすることで軽い歯ごたえが出て、生の酸味のある味とは異なる独特の風味を楽しめるようになる。調理する前に「ひょう干し」を柔らかく戻すことが美味しくつくるポイントである。こんにゃくや油揚げ、打ち豆などと一緒に炒め煮にして食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- ひょう干し: 30g +- 糸こんにゃく: 100g +- 人参: 50g +- 油揚げ: 30g +- 油: 小さじ2 +- 醤油: 大さじ1 +- 砂糖: 小さじ2 +- 酒: 小さじ1 +- みりん: 小さじ1 + +## 作り方 +1. ひょうは洗って、水から火にかけ、煮立ったら火を止め、一晩そのままつけておく。 +2. 翌日、水を2~3回取りかえる。 +3. 糸こんにゃくは食べやすい長さに切り、下ゆでする。人参は千切りにし、油揚げは湯をかけ油抜きし短冊に切る。 +4. 2.のひょうは3~4cmの長さに切る。 +5. 油で材料を炒め、調味料を入れてひたひたの水を加え、汁がなくなるまで炒める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山形県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_11_1.jpg)" +"# くじら餅 山形県 + +**郷土料理名**: くじら餅 + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +最上地域・村山地域 + +## 主な使用食材 +米粉、砂糖、くるみ + +## 歴史・由来・関連行事 +「くじら餅」という名前だが、材料にくじらの肉を使っているわけではない。その名の由来は諸説ある。保存が効くことから”久しく持つ良い餅”だといわれ「久持餅(くじらもち)」という名が付いたという説や、昔は現在のものよりサイズが大きく、その大きさをくじらに例えた説、見た目がくじらの皮付きの脂身を塩漬けにした塩くじらに似ていたからという説など、多くの説が存在する。起源にもいくつかの説があり、いまから300年ほど前の江戸時代に、新庄藩の第3代藩主・戸沢正庸(とざわまさつね)の時代に兵糧食としてつくられていたという説が有力なため、最上地域の新庄市が発祥ではないかといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +旧暦の桃の節句(4月3日)に雛菓子と一緒に「くじら餅」をお供えする風習があり、大皿に盛り付けて、雛壇の前にお供えする。地元の人はこれを食べながら春の訪れを祝う。昔は各家庭で手づくりするのが当たり前で、隣近所同士でお互いの「くじら餅」を食べ比べするのが一つの楽しみだった。特に発祥地とされる新庄市周辺は、「くじら餅」づくりの腕自慢の人が揃っていたという。多くつくる家では、半表俵(約30kg)分の米を使うところもあったという。昔は、自家産米を地元の製粉屋で粉に挽いてもらって使っていたそうで、桃の節句に間に合わせるには、春彼岸から準備をする必要があったのだとか。いまでも、農村部を中心に「くじら餅」は手づくりされている。 + +## 飲食方法 +基本的なつくり方は現在でも変わらず、主原材料は米粉、砂糖、くるみ。味付けは地域や家庭によって、白砂糖、黒砂糖、醤油���味噌、あんこ入りなどさまざまである。柔らかいうちはそのまま美味しく食べられるが、そのまま放置しているとかたくなってしまうため、保存する時はラップに包んでおくと良い。冷凍保存しておけば、好きな時に解凍して手軽に食べることができる。かたくなった場合は1cm幅に切り、フライパンやオーブントースターで焼いて食べるのがおすすめ。香ばしい風味が楽しめて美味である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1L牛乳パック4~5本分) +- もち米粉: 10カップ +- うるち米粉: 2カップ +- むきぐるみ: 100g +- 【A】 塩: 小さじ1 +- 【A】 黒砂糖: 600g +- 【A】 水: 5~6カップ + +## 作り方 +1. Aを火にかけ黒砂糖を溶かし、粗熱を取る。 +2. もち米粉とうるち米粉はよく混ぜておく。1に少しずつ米粉を入れながら、よくかき混ぜる。(木べらですくうとトロトロ流れるくらいが目安) +3. 2に濡れフキンをかけ一晩寝かせておく。(蒸す前に、もう一度木べらでたねをすくい、かたいようであれば水を加え、トロトロ流れるくらいになるよう調整する) +4. くじら餅の型(牛乳パック代用可)に濡らして水気を絞ったフキンを敷き、くるみをぱらぱらのせる。(牛乳パックで型をつくる際は、底に穴をあける) +5. 4に3のたねを流し入れ、十分蒸気のあがった蒸し器に入れて40分~1時間強火で蒸す。(くじら餅専用の流し型は高さがあり大きいため、蒸し時間には2時間ほどを要する) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山形県食生活改善推進協議会会長沼澤 紀美子 氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_10_1.jpg)" +"# 笹巻き 山形県 + +**郷土料理名**: 笹巻き + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +もち米、笹の葉、きなこ、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +「笹巻き」は、浸水後に水切りしたもち米を笹の葉で巻き、結びひもをかけた後、熱湯でゆで上げた食べ物。ほかの県では「ちまき」とも呼ばれる。笹の葉には防腐性や抗菌性があるといわれていて、昔から保存食や携帯食の包装によく使われる材料だった。山形県では、年越しや正月のほか、祭りや祝い事など、年間を通してよく餅をついて食べる。こうした餅文化は米どころであればそう珍しくはないが、もち米を粒のまま使用する「笹巻き」や、鶴岡市の南部でつくられているような灰汁水で煮る「笹巻き」は珍しい郷土食として知られている。灰汁水で煮る「笹巻き」は、戊辰戦争をきっかけに保存食として伝わったという説がある。「笹巻き」は、特に5月5日の端午の節句に供えられ、子どもの健康と元気な成長を願い、「柏餅」などとともに各家庭で食べられてきた。 + +## 食習の機会や時季 +「笹巻き」は、端午の節句で食べる行事食。また、庄内地域の中央に位置する庄内町余目地区では、正月、七つ祝い(人日の節句)のために笹の葉を50枚近く使った大きな「笹巻き」をつくり、集落の一軒一軒にお祝いとして配っていくという風習がある。昔は、雪の多い山形県では上巳の節句、端午の節句をひと月遅れで祝うことが多かった。5月末から6月ごろになると笹の葉が大きくなり、笹巻きをつくるのにちょうど良い大きさになった。現在は月遅れで祝うことは少なく、笹の葉はゆでて冷凍にしておくことで、1年中使える。いまでは、家庭で「笹巻き」つくることは少なくなったが、スーパーマーケットや直売所等で購入して食べる家庭も増えている。 + +## 飲食方法 +笹の葉をほどいて、きなこ砂糖をかけて食べる。なかには、そこに塩を加えたり、砂糖ではなくきなこと黒蜜を合わせたりする地域もある。灰汁水で煮た笹巻きには黒蜜ときなこをかけて食べることが多い。「笹巻き」は飲食方法だけでなく、笹の葉の巻き方や結びひものかけ方、煮る時間などレシピに地域性があり、どれも少しずつ違っている。たとえば、笹の葉は三角に巻くのが主流だが、最上地域では円すい型、置賜地域ではげんこつ型に巻かれることもある。笹を結う材料は「いぐさ」、「すげ」、「みご」など手に入る材料を使う。笹の葉で巻いたもち米を熱湯で煮る調理方法が広く浸透しているが、鶴岡市南部では灰汁水の上澄みで煮る調理方法が定着している。灰汁水のつくり方はナラやブナ、桜の木などを焼いてできた木灰100gを水900mLに入れ、火にかけ、沸騰させて、上澄み液をとる。灰汁水の上澄みで煮るともち米に含まれるフラボノイド色素がアルカリで黄変し、米粒は軟化してぷるんとした食感に変化し、口当たりはお湯で煮るタイプの「笹巻き」とは異なる。下準備の段階から、もち米を灰汁水に浸けていたり、煮る時間に差があったりと地域内でもレシピは多彩。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (15個分) +- もち米: 460g(3合) +- 笹の葉: 30枚 +- いぐさ・みご・すげ等: 15本 +- きなこ: 適量 +- 黒糖: 適量 +- [灰汁水で煮る場合]もち米: 480g(3カップ) +- [灰汁水で煮る場合]灰汁(重曹でも代用可): 適量 +- [灰汁水で煮る場合]笹の葉: 30枚 +- [灰汁水で煮る場合]重曹: 少々 +- [灰汁水で煮る場合]いぐさ・みご・すげ等: 15本 +- [灰汁水で煮る場合]きなこ: 適量 +- [灰汁水で煮る場合]黒糖: 適量 + +## 作り方 +1. もち米は研いで一晩水に浸し、ざるに上げ、水気を切る。 +2. 笹の葉は山や河原から大きめのものを選んでとってくる。洗って鍋に入れ、たっぷりの水を入れ、落し蓋をして1時間程度火にかけて煮る。(冷凍にしていたものや、前年に採取し乾燥して保存していたものは熱湯に浸けて戻し、そのまま冷やしてから1枚ずつ洗って水気を切って使用する。)結ぶ紐にするいぐさ(すげ・みご)も一緒に煮て柔らかくする。 +3. 笹の葉1枚を円すい状に丸め、大さじ山もり1杯または盃1杯分のもち米を入れる。(笹の葉の大きさに合わせて量を加減する。) +4. 3にもう1枚の笹の葉でふたをするように折りたたみ、端は折り三角形にかたちづくり、いぐさを三角の角に引っ掛けて、ほどけないように縛る。笹の形や紐の結び方は地域によってさまざまある。 +5. 4を大鍋に入れて、たっぷりの水を入れ、1時間ほど火にかけて煮る。【灰汁水で煮る場合】ナラやブナ、桜の木などを焼いてできた木灰100gをさらし布袋に入れ、水900mLと一緒に火にかけ、10分程度沸騰させ煮汁を一昼夜静置して、上澄み液をとる。もち米をこの灰汁水に一晩浸漬して上記と同じ要領で笹に包み、煮る時間は2~3時間と長く煮る。重曹を用いてもよい。 +6. 火を止めて、そのまま冷ましてから取り出す。笹の葉をほどいて、きなこに砂糖を混ぜたものをつけて食べる。または黒糖を少量の水で溶き、黒蜜をかけて食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山形県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_9_1.jpg)" +"# 遠山かぶの粕汁 山形県 + +**郷土料理名**: 遠山かぶの粕汁 + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +米沢市 + +## 主な使用食材 +遠山かぶ、打ち豆、各種野菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +「遠山かぶ」は、米沢市を発祥とする山形県の伝統野菜。その名前は米沢市遠山地区に由来しており、慶長5年(1600年)に上杉家が米沢市にやってきた時に持参した野菜。1800年ごろに上杉鷹山公が地元の産業を盛り上げるための策の一つとして、「だいこんは東の梓山(ずさやま)に、かぶは西山につくり、秋かぶは遠山に」とお触れを出しことから遠山で栽培がはじまった。「藤沢かぶ」や「最上かぶ」など、県内には在来のかぶが数種あるが、白くて丸い品種は遠山かぶのみ。一般のかぶよりも風味と甘みが強く、肉質がかたいので煮崩れしにくいという特徴がある。一時は衰退の危機にさらされるも、この味を守りたいという有志が集まり、最後の種を持つただ一人の生産者を見つけ出したというエピソードがある。現在でも遠山かぶは「山形おきたま伝統野菜」の一つとして認定され、地元の生産組合がその種を守ろうと生産と普及に取り組んでいる。「遠山かぶの粕汁」は、遠山かぶと雪深い米沢市ならではの食材である「打ち豆」が入った汁物であり、酒粕が入っているため、まろやかで身体もあたたまる。打ち豆は、さっと水に浸した大豆を木づちで打って平たくしたもの。乾燥させた豆は長期保存することができるが、火が通りにくいため平たくして調理しやすくしている。ちなみに、同じく米沢市の伝統野菜の雪菜(ゆきな)は、遠山かぶと長岡菜などとの交配種の花茎といわれ、そのためいまでも年配者は雪菜のことを「かぶのとう」と呼ぶ。 + +## 食���の機会や時季 +遠山かぶの収穫期は10月末から11月初旬で、「遠山かぶの粕汁」は寒い冬に食べるのが定番。ひと昔前、大豆の収穫時期になると家々の軒先で打ち豆をつくるのが習慣だったという。 + +## 飲食方法 +遠山かぶと打ち豆を味噌汁仕立てにして、仕上げに酒粕を加えていただく。酒粕の量は、好みによって調整すると良い。遠山かぶは実がかたい品種なので、冬も保存が可能である一方、そのかたさゆえに包丁できれいに切るのは難しい。そのため、包丁の角を使って、ひっかくようにして小さくするが、それを地元では“ぶっかく”という。通常のかぶと異なり、加熱にも時間がかかり、味も染みないため、前日の晩につくっておき、翌朝あたため直して、少し煮崩れる状態が一番美味しいという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 遠山かぶ: 400g(3個) +- 遠山かぶの葉: 少々 +- 油揚げ: 60g(2枚) +- 打ち豆: 20g +- だし汁(水でも良い): 600~1000cc +- 味噌: 40g +- 酒粕: 120g(子どもがいる時は加減する) +- みりん: 大さじ3 + +## 作り方 +1. 遠山かぶは皮をむき、包丁で一口大に「ぶっかく(包丁でかきとるようにすること)」。※「ぶっかく」と味が染み込みやすくなる。 +2. かぶの葉は芯の柔らかい部分を3cmくらいに切る。 +3. だし汁(または水)で、遠山かぶが柔らかくなるまで煮る。 +4. 油抜きした油揚げを短冊切りにする。 +5. 3に油揚げと打ち豆を入れ、打ち豆も柔らかくなったら味噌、酒粕、みりんを入れる。 +6. 2のかぶの葉を入れて、ひと煮立ちさせる。いったん冷めてから温め直すと、味が染み込んで美味しい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山形県立米沢栄養大学齋藤 寛子 氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_7_1.jpg)" +"# 塩くじら汁 山形県 + +**郷土料理名**: 塩くじら汁 + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +新じゃがいも、塩くじら、旬の野菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +「塩くじら汁」は、内陸の暑い夏を乗り切るための伝統のスタミナ料理。かつては保存もできて、山間の地域における動物性のタンパク源として重宝した塩くじらと夏野菜を一緒に煮て食べ、暑い夏に備えようと生まれた料理だといわれている。塩くじらとは、くじらの皮付きの脂身を塩漬けにしたもの。食材に使う野菜は地域で夏にとれる新じゃがいもやなす、さやいんげんなど、美味しい旬の野菜を使用する。村山地域では「いるか汁」とも呼ばれている。村山地域の大江町では、夏休み中に町内の子ども会の集まりがあると、よく「いるか汁(塩くじら汁)」をつくったという。お母さんたちがそれぞれの家でつくった野菜や家にある食材を持ち寄り、大鍋で煮て振る舞った。材料は、塩くじらと新じゃがは必ず入る。またほかにも、夏になり背丈が大きくなっても皮を剥けば柔らかく食べることができる山菜の青みず(青みず菜)と夏の暑い時期に畑に生えて大きくなった多年草のなつ菜(ふだんそう)も必ず入れるという。最上地域では、「塩くじら汁」に入れる山菜の「みず」を味がよく浸み込むようにと手でもぎちぎって使うことから、「もんぎりみず汁(もぎりみず汁)」と呼ばれる。 + +## 食習の機会や時季 +7月から9月の暑い時期に食べる。いまでも家庭で食べられている夏の定番料理の一つ。しばらくして、里芋がとれる秋が近づくと、「塩くじら汁」に代わり、「芋煮(いもこ汁)」をつくる家庭が増える。 + +## 飲食方法 +塩くじらは調理前に表面の塩を水で洗い流し、10分から30分ほど水に浸して塩分を抜いておく。それから熱湯で脂を落とし、短冊切りにするとクセのない美味しい仕上がりになる。塩くじらは、煮すぎるとかたくなってしまうため調理には注意が必要である。鍋に投入するタイミングは、各種野菜が柔らかくなったころ。塩くじらの塩加減を見て、全体の味をととのえるのが美味しく食べるポイントだ。昔は、塩くじらのまわりについている塩も利用したが、現在はゆでこぼしをして、雑味や表面の酸化した脂を流すと同時に、臭みをとる作業をおこなうため、塩味を補う必要がある。味噌が臭みを消してくれるため、味付けは味噌が多いが、好みで塩味または醤油味���も良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4~5人分) +- 塩くじら: 100g +- じゃがいも: 中2個 +- 人参: 1/2本 +- なす: 2本 +- 玉ねぎ: 中1/2個 +- さやいんげん: 10本 +- 長ねぎ: 1本 +- 水: 800mL +- 味噌: 大さじ1と1/2 +- [村山地域]青みず菜・なつ菜: 適宜 + +## 作り方 +1. 塩くじらは表面の塩を水で洗い大きめの短冊切りにして、ぬるま湯でさっとゆがく(熱湯だと身がかたくなる)。 +2. じゃがいもは皮を剥いて適当な大きさの乱切りにし、水につけてアクを抜く。 +3. 人参も皮を剥いて乱切りにする。 +4. なすも皮を剥いて、適当な大きさに切って水につけてアクを抜く。 +5. 玉ねぎは1cm幅のくし形に切り、長ねぎは斜め切りにする。さやいんげんは筋をとり、3cm長さに切る。 +6. 鍋にじゃがいもと人参、水を入れて火にかけ、ひと煮立ちしたら1の塩くじらとなす、玉ねぎ、さやいんげんを加えて、アクを取りながら、野菜が柔らかくなるまで煮る。 +7. 塩くじらから出る塩味を見ながら味噌で味をととのえる。 +8. 長ねぎを加えて、ひと煮立ちしたらできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山形県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_6_1.jpg)" +"# 冷や汁 山形県 + +**郷土料理名**: 冷や汁 + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +置賜地域、米沢市 + +## 主な使用食材 +季節の野菜、凍みこんにゃく、打ち豆、干し貝柱、干ししいたけ + +## 歴史・由来・関連行事 +「冷や汁」という名前から汁物を想像するが、季節の野菜と冷たいだし汁(浸し汁)を合わせて仕上げるおひたし料理。「冷や汁」は”上杉の城下町”として知られる米沢市の郷土料理。その由来は諸説あり、上杉謙信公の陣中料理(戦国時代、戦争中に野外で食べる食糧として用意されたもの)として、合戦の出陣式で配下の武将たちに振る舞われたという説や、上杉鷹山公が励行する“一汁一菜”の食習慣のなかで生まれたという説などがある。「冷や汁」は大鉢に盛り、そこから各自用の小鉢に盛り分けるのが、本来の供し方。昭和初期の饗応の席では、大鉢に盛られた「冷や汁」と「つぶつぶ煮」が宴席の下座で専用の膳にのり、これらはいくらお代わりしても良いものとされていた。給仕する側は、客が少しでも箸をつけたら、すぐに盛り足すのが気配りとされていたという。 + +## 食習の機会や時季 +年間を通して食べられており、四季折々の野菜を使う。春にはキャベツや菜の花、秋は菊などを使い、冬には、米沢市の伝統野菜「雪菜」も使う。雪菜は、上杉鷹山公が冬の生鮮野菜を確保するために栽培を推奨したといわれている。雪菜を入れると、シャキシャキした歯ごたえとツンとした風味が加わり、いっそう美味しくなる。雪菜は別名「かぶのとう」といい、伝統野菜の遠山かぶの花茎を食していたといわれ、その後、長岡菜などとの自然交雑から選抜されたもの。雪菜は雪が降り積もる前に収穫され、稲わらと土で覆って雪の下で寝かせ、とう(花の茎)の部分を成長させた雪国ならではの伝統野菜。 + +## 飲食方法 +だし汁に干し貝柱の戻し汁を用い、凍みこん(凍みこんにゃく)、干ししいたけを使うのが美味しさのポイント。打ち豆を入れる家庭もある。使う野菜に決まりがないため、各家庭でさまざまなレシピが存在する。おひたしにした野菜にだし汁をかけて食べるレシピもある。季節の野菜は1種類のこともあれば、数種類取り合わせることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4~5人分) +- [具]ほうれん草: 100g +- [具]人参: 20g +- [具]キャベツ: 100g +- [具]雪菜: 100g +- [具]豆もやし: 50g +- [浸し汁]干し貝柱: 3個(8g) +- [浸し汁]干ししいたけ: 2枚 +- [浸し汁]凍みこんにゃく: 1枚 +- [浸し汁]だし汁(貝柱の戻し汁): 330mL +- [浸し汁]醤油: 50mL +- [浸し汁]みりん: 50mL + +## 作り方 +1. [浸し汁を作る(1)]干し貝柱は前日の晩から水に浸し(浸し汁は出汁として用いる)、柔らかく戻ったらほぐす。干ししいたけは水で戻し、薄切りにする。 +2. [浸し汁を作る(2)]凍みこんにゃくは水で戻し、水が白く濁らなくなるまで、水を換えながら拝み洗いをする。水気を絞り、縦に半分に切り、7~8mm幅の短冊切りにする。 +3. [浸し汁を作る(3)]1の貝柱���戻し汁330mL(足りない場合は水を足す)と分量の醤油・みりんを鍋に入れ、1の貝柱と干し椎茸、2の凍みこんにゃくも鍋に入れて火にかける。軽く沸騰する程度の火加減にし、5分間煮て味を馴染ませ、火から下して冷ましておく。 +4. [具を準備する(1)]ほうれん草はゆでて3cm長さに切る。キャベツもゆでて3cm長さの短冊切りにする。豆もやしはひげ根を取り、ゆでて3cm長さに切る。人参は3cm長さの千切りにし、さっとゆでる。 +5. [具を準備する(2)]雪菜は根本から外してよく洗い、3cm長さに切り、さっと湯通しする程度に加熱し、そのまま冷ます。 +6. 浸し汁が冷めたら、野菜と合わせて和え、1時間~1晩、冷所に置いて味を馴染ませる。盛り付けは具だけではなく、たっぷりの浸し汁とともに出す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山形県立米沢栄養大学齋藤 寛子 氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_5_1.jpg)" +"# 孟宗汁 山形県 + +**郷土料理名**: 孟宗汁 + +**都道府県**: 山形県 + +## 主な伝承地域 +庄内地域 + +## 主な使用食材 +孟宗筍、厚揚げ、しいたけ、酒粕、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +「孟宗汁」は、孟宗(孟宗筍)という孟宗竹のたけのこを使った郷土料理。孟宗の旬は九州からはじまって季節とともに北上し、最北端の産地とされる鶴岡市で5月中旬にピークを迎える。鶴岡市の温泉地・湯田川温泉周辺には孟宗竹の群雄地があり、孟宗の産地として有名である。しっとりと水分を含んだ粘土質の赤土の土壌が良質な孟宗を育てるといわれており、湯田川で収穫される孟宗は「湯田川孟宗」として全国的に知られている。鶴岡市で孟宗が広がった由来には諸説あるが、修験者が北海道からの商船・北前船で京都から孟宗を持ち帰り、寺社に植えたのがはじまりともいわれる。湯田川温泉では4月下旬から6月初旬に「孟宗まつり」を開催。「孟宗汁」をはじめとする孟宗料理や孟宗朝市、孟宗収穫体験などが楽しめるとあって県内外から多くの人が訪れる。そのほか、5月におこなわれる「酒田まつり」や「鶴岡天神まつり」でも、「孟宗汁」は、ごちそうとして親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +「孟宗汁」は鶴岡市に初夏を告げる料理で、鶴岡市出身の直木賞作家・藤沢周平も「毎年5月になると思い出す季節の味」と語っている。孟宗の収穫のピークは5月中旬で、特に掘りたての孟宗でつくる「孟宗汁」は絶品。鶴岡市では孟宗が店先に並びはじめると、街中に「孟宗汁」の香りが漂ってくるほど誰もが知っている家庭料理。 + +## 飲食方法 +孟宗は収穫した直後からえぐみ成分が急激に増加するので、新鮮であればあるほど味が良い。そのため、特に朝採りのものが重宝され、シーズン中は朝から朝採り孟宗を買い求める人々が行列をつくるほど。酒粕を使用し、具には厚揚げとしいたけ、豚肉など。庄内地域では、「厚揚げ」のことを「油揚げ(あぶらげ)」といい、通常の「油揚げ」のことは「うすあげ」と呼ぶ。「孟宗汁」では厚揚げを用いることが特徴。庄内地域では家庭料理として根づいている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (お鍋1つ分) +- 孟宗筍: 約1.5kg +- 厚揚げ: 1枚 +- しいたけ: 6枚 +- 酒粕: 140g +- 味噌: 150g +- 黒砂糖: 小さじ1(お好みで) +- 水: 2000cc + +## 作り方 +1. 孟宗筍は皮を剥き水洗いする。下のかたい部分は1cmの厚さに切り、上の柔らかい部分は3~5cmの乱切りにする。 +2. 厚揚げは油抜きし、2cm角の斜め切りにし、しいたけは適当な大きさに切る。 +3. 酒粕と味噌は少量の水を加えてのばしておく。 +4. 孟宗筍をひたひた程度の水に入れ、黒砂糖を振って煮る。 +5. 十分煮立ってから、油揚げ、しいたけを入れ、孟宗筍に火を通す。 +6. 3で伸ばしておいた酒粕、味噌を入れ、弱火でひと煮立ちしたらできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : つるおかおうち御膳 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_4_1.jpg)" +"# いかにんじん 福島県 + +**郷土料理名**: いかにんじん + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +福島市 + +## 主な使用食材 +いか、にんじん + +## 歴史・由来・関連行事 +いかにんじんは、するめいかとにんじんを細切りにし、醤油とざらめ、またはみりんの甘辛いたれに漬けたおかず。にんじんとするめの食感と甘味のあるつけだれがクセになり、ご飯が良く進む一品だ。100年以上前から食べられていて、家庭によって味付けが異なる。スナック菓子の味に採用されたり、かき揚げや炊き込みご飯などのアレンジ料理が展開されたりと、さまざまな形で愛されている。北海道の郷土料理である「松前漬」とよく似ていると言われるが、松前漬には昆布が入っており、いかにんじんには入っていないという違いがある。しかし、松前漬がいかにんじんのルーツ、あるいはその逆であるという説もあり、二つの料理にはつながりがあると考えられることが多い。 + +## 食習の機会や時季 +現在は通年、一般的な惣菜として食べられているが、もともとは冬に保存食として作られていた。つけだれに数日漬けて出来上がるいかにんじんは、長持ちするため、雪が多く冬に作物を収穫しにくい福島で重宝されていたという。また、正月に欠かせない郷土料理としても親しまれている。ご飯のおかずとしてはもちろんのこと、酒のつまみとしても好まれている。 + +## 飲食方法 +細切りにしたするめいかとにんじんを、ざらめ(あるいはみりん)、酒、醤油を煮たてた調味液に漬ける。半日ほど置いたら完成だが、数日漬けこむとより味が染み込む。地域によっては仕上げにいりごまをかけることもあり、ごまの風味がプラスされ、さらにおいしく食べられるのだという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- するめいか: 大1枚 +- にんじん: 1本 +- 【A】ざらめ: 大さじ2 +- 【A】酒: 200cc +- 【A】醤油: 65cc + +## 作り方 +1. するめいかは縦に3等分してから細かく千切りにする。 +2. にんじんはするめいかと同じくらいの長さにして千切りにする。 +3. 【A】は全部合わせて、ざらめが溶けるまで沸騰させ、冷やす。 +4. 器にするめいかとにんじんを混ぜ合わせて入れ、3を入れて、ザックリと和えてからそのまま漬け込む。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_1_1.jpg)" +"# こづゆ 福島県 + +**郷土料理名**: こづゆ + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +南会津をのぞいた会津地方 + +## 主な使用食材 +貝柱、きくらげ、里芋、糸こん、干し椎茸、白玉麩(まめふ)、にんじん、わらび等 + +## 歴史・由来・関連行事 +福島県には、会津塗と言われる赤い漆塗りの器がある。この会津塗のなかでも、浅めに作られた「手塩皿」に、貝柱のだしで煮込んだきくらげ、わらび、里芋など、豊富な具材を盛りつけた郷土料理が、「こづゆ」である。「こじゅうのつゆ」がなまって、こづゆという名前になったと言われている。こづゆ自体は100年以上前から食べられており、昔は「一の重」「二の重」あるいは「一の露」「二の露」と二つのお椀に分けて供されていたが、昭和60年代頃からは一つのお椀で「こづゆ」として提供されるようになった。なお、こづゆに似た郷土料理としては、郡山市の「つゆじゅう」と呼ばれる汁物がある。豆麩以外の具材はほとんど同じで、福島の食材をふんだんに使用している。 + +## 食習の機会や時季 +冠婚葬祭の際に、「手塩皿」に盛りつけて供されることが一般的。中でも婚礼時には欠かせない一品となっており、宴会の最中にふるまわれる。こづゆは酒の肴として楽しまれていたため、何杯でもおかわりしてよいとされていた。そのほか、祝い事や祭りの際など、来客をもてなすときに出す料理として、長い間受け継がれてきている。ちなみに具材は7または9種類にすると、奇数で縁起が良いとされている。 + +## 飲食方法 +各材料を下ごしらえして食べやすい大きさに切り、干ししいたけや貝柱のだしで煮込み、醤油や塩で味を調える。具材は、貝柱などの海の幸とわらびや里芋などの山の幸の両方がバランスよく入っているのが特徴。昔は卵焼きを入れる家庭もあったという。切り方や材料、味つけも各家庭により異なっており、それぞれに個性豊かなこづゆが作られている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 貝柱: 2個 +- きくらげ: 8枚 +- 糸こん: 1/4玉 +- 干し椎茸: 1枚 +- 白玉麩(まめふ): 大さじ4杯 +- 人参: 1/4本 +- 青み茹でわらび: 少々 +- 花かつお���し汁: 4カップ +- 醤油: 大さじ1から2杯 +- 酒: 少々 +- その他家々によって用いられる材料(銀杏・ちくわ・大根・根曲がりだけタケノコ・ナルトなど): お好みで + +## 作り方 +1. 【下ごしらえ】貝柱は、1カップの水に一晩浸してからほぐしておく。きくらげは戻して、ひと口大にちぎる。里芋は銀杏切りにし、下茹でしてぬめりをとる。糸こんは1cmの長さに切って茹でておく。干し椎茸は戻して石づきをとり、さいの目に切る。(汁は漉しておく)白玉麩(まめふ)は水で戻して水切りをしておく。人参は銀杏切りにする。わらびは2cm長さに切る。 +2. 鍋に貝柱と戻し汁、椎茸と戻し汁、だし汁を入れて沸騰させる。 +3. 2に人参、きくらげ、糸こんを入れて、人参がやわらかくなったら、里芋を入れてやわらかくなるまで煮る。 +4. 3に醤油、酒で味付けをする。 +5. 最後に白玉麩(まめふ)を入れて、ひと煮立ちさせて完成。 +6. いただく時に季節の茹でた青物(ほうれん草やきぬさや)や、わらびをのせる。(椎茸を入れすぎないように、貝柱の味を楽しむ) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_2_1.jpg)" +"# にしんの山椒漬け 福島県 + +**郷土料理名**: にしんの山椒漬け + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +会津地方全域 + +## 主な使用食材 +みがきにしん、山椒の葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +福島に生魚の流通がほとんどなかった江戸時代、北海道で獲れたにしんを乾燥させて「みがきにしん」にし、道外に流通させるようになった。これが会津地方に運ばれるようになり、保存がきく、たんぱく源になるという理由から重宝されるようになったという。特に福島は冬が長く、作物のとれない時期が長いために保存のきく食べ物が好まれていた。みがきにしんは馴染み深い食材となり、「にしんの酢漬け」などの郷土料理が作られるようになった。みがきにしんに山椒の葉をかぶせ、醤油や酢、酒で味付けをする「にしんの山椒漬け」もまた、みがきにしんを使った料理の一つ。会津若松周辺でよく食べられており、「にしん鉢」と呼ばれる山椒漬け専用の器があるほど慣れ親しまれている。みがきにしんの大きさに合わせた長方形の器で、会津本郷焼きで作られているという。 + +## 食習の機会や時季 +よく食べられるのは山椒が採れる春から初夏の時期。また、みがきにしんは硬い「本乾」と少しやわらかい「半乾」の二種類があるが、昔は保存性が高くうまみが凝縮されているという観点から、本乾を使用することが多かったという。みがきにしんは臭みがあるため、さわやかな山椒を合わせることによって臭みを消し、風味豊かに仕上げることもこの料理の目的とされていた。 + +## 飲食方法 +にしん鉢に山椒の葉を敷いて、その上にタワシでしっかりと洗い、頭を取ったにしんをぎっしりと並べる。さらに、山椒の葉、にしんの順に重ねていき、山椒の葉をかぶせてから酢、酒、醤油を入れてふたをし、重石をする。数日から一週間置くと味がしっかりと染み込む。ちなみに、みがきにしんは米のとぎ汁で戻すと臭みが取れておいしく仕上がる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- みがきにしん: 20本 +- 山椒の葉: 手のひら1杯 +- 酢: 1カップ +- 酒: 1カップ +- 醤油: 1カップ + +## 作り方 +1. 【下ごしらえ】にしんは、タワシでよく洗い、水分をふきとり頭をとる。 +2. 【下ごしらえ】山椒の葉は枝からはずしておく。 +3. にしん鉢に山椒の葉を敷き、その上ににしんをぎっしりと並べ、さらに山椒、にしんと重ねていき、最後は山椒の葉で覆う。 +4. 3の上から合わせた酢・酒・醤油を注ぎ入れて押しぶたをし、重石をのせておく。 +5. 2~3日過ぎれば、食べることができる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_3_1.jpg)" +"# サンマのポーポー焼き 福島県 + +**郷土料理名**: サンマのポーポー焼き + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +いわき市 + +## 主な使用食材 +サンマ + +## 歴史・由来・関連行事 +いわき市には「いわき七浜」と呼ばれる七つの浜があり、その周辺には多くの漁港がある。一年中多様な魚介が水揚げさ��ているが、特に秋に盛んに漁を行っているのが、サンマである。サンマを使った郷土料理も多く作られており、みりん干しや焼き魚、南蛮漬けなどいろいろな料理があるが、中でもよく食べられているのが「ポーポー焼き」。さんまをミンチにして、ハンバーグのように丸めて焼く料理。サンマを炭で焼くときにサンマの油で火がポーポーと燃えあがることからこの名が付いたとも言われている。 + +## 食習の機会や時季 +もともとは漁師が船の上で食べる料理として親しまれていた。秋の時期は新鮮なサンマが獲れるため、これを新鮮なうちに船内でたたき、調理する。 + +## 飲食方法 +下処理したサンマを包丁でたたき、味噌、生姜、みじん切りにしたねぎ、片栗粉を加えて丸める。オーブンかフライパンで焦げ目がつくまで焼き上げたら完成。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- サンマ: 2匹 +- 生姜: 1かけ +- ねぎ: 1本 +- 片栗粉: 大さじ1 +- 味噌: 大さじ2 +- 油: 適量 + +## 作り方 +1. ねぎと生姜はみじん切りにする。 +2. サンマは、頭と内臓を取り除いてから、皮を剥ぎ、骨を取り除く。 +3. まな板の上にサンマをのせて、包丁でたたく。 +4. たたいたサンマに、みじん切りしたねぎと生姜と味噌、片栗粉を 混ぜ合わせて、ハンバーグのように丸める。 +5. フライパンに油を引き、はじめは強火で両面に焼き色がついたら中火にして、中まで火が通るように焼く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_4_1.jpg)" +"# ほっきめし 福島県 + +**郷土料理名**: ほっきめし + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +相馬市 + +## 主な使用食材 +ごはん、ほっき貝 + +## 歴史・由来・関連行事 +相馬市は古くから米の生産が盛んに行われてきた。現在もコシヒカリやひとめぼれなどの品種が作られており、市内の農作物の中で出荷額が最も多いと言われている(相馬市ホームページより)。また、福島県唯一の潟湖・松川浦を中心にほっき貝がよく獲れる。相馬・双葉沖では、明治時代の頃からほっき貝の漁が行われており、長い間ほっき貝の名産地として知られてきた。相馬・双葉沖のミネラル豊富な海水はほっき貝の成長に影響をもたらし、比較的大きくて甘味とやわらかな食感があるほっき貝を獲ることができるのだという。この二つの特産品を合わせて作られた郷土料理が、「ほっきめし」。ごはんがほっき貝のだしを吸いこみ、うまみたっぷりに仕上がる。 + +## 食習の機会や時季 +ほっき貝の料理がよく食べられる時期は6~11月頃。飲食店や宿泊施設、家庭などで広く提供される。もともとは忙しい漁師たちが船内で食べる漁師飯としても親しまれていたが、徐々に陸の上でも食べられるようになった。 + +## 飲食方法 +鍋に水、醤油、砂糖、酒、塩を入れて沸かし、ほっき貝を煮る。いったん貝を取り出して米を入れて炊き、蒸らす際にほっき貝を入れて混ぜ合わせる。仕上げに、しその葉を散らして完成。ほっき貝を加える際に千切りにした針生姜を添えると、貝の臭みが軽減され、さわやかな口当たりに。また、ほっき貝だけでなく、にんじんやひじきなどを加えることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 白米: カップ3杯 +- ほっき貝: 4~8個 +- 水: カップ3杯(ごはんを炊く要領で) +- 醤油: 大さじ4杯 +- 塩・砂糖: 少々 +- 酒: カップ1/3杯 + +## 作り方 +1. 米は研いで水切りをしておく。 +2. ほっき貝は殻から取り出して切り開き、わたをとって塩水で振り洗いし、4~6切れに切る。 +3. 水と調味液を合わせて沸騰させ、その中にほっき貝を入れ、赤くなったら火を止め、貝を取り出しておく。 +4. 3の汁と米を入れて炊く。 +5. ごはんを蒸らす時に取り出したほっき貝を入れる。※針生姜の千切りしたものを添えると生臭みが消える。お好みでしその葉(分量外)を散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_5_1.jpg)" +"# 鯉の甘露煮 福島県 + +**郷土料理名**: 鯉の甘露煮 + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +会津地方 + +## 主な使用食材 +鯉 + +## 歴史・由来・関連行事 +福島県の郡山市では鯉の生産が盛ん。明治になると猪苗代湖から引水し、溜池をつくり、各地の士族が貯水池で鯉の養殖を始め、生産量が増えていった。また、養蚕が盛んであったことから、鯉のエサである「蚕のさなぎ」が手に入りやすかったこともまた、生産増加の理由の一つとなっている。猪苗代湖の清流で育った鯉は臭みが少なく、山形や秋田、長野など県外への出荷も多い。唐揚げやあんかけなどさまざまな料理に使用される中でも、「鯉の甘露煮」はたっぷりの砂糖と水あめ、醤油や酒を使い、甘辛く煮込むため、鯉の臭みなどを感じさせず、うま味が詰まった一品に仕上がっている。 + +## 食習の機会や時季 +もともとはハレの日の食事として楽しまれていたが、現在は通年食べられ、飲食店や宿泊施設などでも提供されている。 + +## 飲食方法 +下処理をしてぶつ切りにした鯉を水、醤油、酒、砂糖、水あめなどを煮たてた鍋に入れ、数時間アクを取りながら煮込む。その後、一度火を止めて冷ましつつ、煮汁をかけながらしっかりと鯉に煮汁を含ませるのがポイント。一晩おいてから翌日温め直して食べると、さらに味が染み込んでおいしい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20~25人分)※飲食店用の参考レシピ) +- 鯉: 4~5匹(20切れ~25切れ) +- 【タレ】酒: 1合 +- 【タレ】しょうゆ: 1.5合~1.6合 +- 【タレ】水: 1升 +- 【タレ】ざらめ糖: 650g + +## 作り方 +1. 鯉の下処理を行う。生きた鯉の頭を包丁でたたき気絶させた後、エラから包丁を入れて頭を落とす。手で苦玉(胆嚢)をとりのぞく。包丁で5切れに筒切りで卸す。 +2. 圧力窯に、1と材料【タレ】を入れる。鯉は鍋底の熱で焦げ目がつかぬよう、竹かごに入れておく。 +3. 1時間40分~1時間50分煮る。(鍋で煮る場合ははじめ強火、沸騰したら弱火で5時間~6時間煮る。 +4. 3から鯉を取り出し、残ったタレを20分程弱火で煮詰める。 +5. 鯉にタレをかけて出来上がり。お好みで木の芽や粉山椒を散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 正月荘(福島県郡山市) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_6_1.jpg)" +"# キャベツ餅 福島県 + +**郷土料理名**: キャベツ餅 + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +郡山市 + +## 主な使用食材 +キャベツ、餅 + +## 歴史・由来・関連行事 +キャベツ餅は郡山市の逢瀬地区で80年以上前から食べられている郷土料理である。米やキャベツを育てている農家が自給自足を行う中で生み出したといわれている。炒めたキャベツとつきたての餅を絡める食感のコントラストが楽しい一品で、近年はキャベツ餅とチーズを合わせて春巻にしたり、餅の代わりに白玉団子を加えたりするなど、アレンジ料理も生まれ親しまれている。郡山市の逢瀬地区では、80年以上前から「キャベツ餅」と呼ばれる土料理が食べられている。炒めたキャベツとつきたての餅を絡める。キャベツのシャキシャキとした食感とやわらかい餅のコントラストが楽しい一品。シンプルな料理ではあるが、近年はキャベツ餅とチーズを合わせて春巻にしたり、餅の代わりに白玉団子を加えたりするなど、アレンジ料理も楽しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +米やキャベツを飽きずに食べるためのアイデア料理であるため、一年を通して食べられている。米やキャベツを育てている農家が、自給自足をする中で生み出した料理だと言われている。大量に出来た米やキャベツを飽きずに上手に食べるためのアイデア料理だ。 + +## 飲食方法 +キャベツを炒めて醤油、だし、みりんなどで味付けし、つきたての餅を絡める。味付けや調理の仕方は各家庭によって少しずつ異なるほか、キャベツは季節によって甘さや食感が変わるため、調理する時期によって味わいが変化するのも特徴の一つ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 切り餅(角餅): 4個 +- キャベツ(Mサイズ): 1/2個 +- 炒め油: 大さじ1/2 +- 【A】酒: 大さじ1/2 +- 【A】みりん: 大さじ1/2 +- 【A】水: 125cc +- 【B】醤油: 15cc +- 【B】昆布つゆ: 30cc + +## 作り方 +1. 切り餅は沸騰したお湯で2分程ゆで、お好みのやわらかさにしておく。キャベツはザク切りにする。 +2. 熱した鍋に炒め油を入れ、キャベツをサッと炒める。 +3. 【A】を2に入れて、キャベツを好みのやわらかさにする��� +4. キャベツがしんなりしたら、事前に混ぜ合わせておいた【B】の調味料を入れ、味を調える。 +5. 1の餅を入れてからめる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : おうせ茶屋 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_7_1.jpg)" +"# ざくざく 福島県 + +**郷土料理名**: ざくざく + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +二本松市 + +## 主な使用食材 +里芋、にんじん、ごぼう、こんにゃく、だいこん、干ししいたけ、鶏肉など + +## 歴史・由来・関連行事 +「ざくざく」は「ざくざく煮」「ざくざく汁」とも呼ばれ、江戸時代頃から親しまれている郷土料理の一つである。『俳諧製法の事』によれば、ざくざくは「菜を細かく切ったもの」を指すとされていたが、その後食材をざくざくと角切りにした汁物という認識に変化していったとされる。ちなみに、福島県内には、ざくざくに煮た郷土料理として会津若松で食べられている「こづゆ」がある。ざくざくはだしに煮干し、こづゆは貝柱を使うなどいくつか違いはあるものの、共通する部分も多い。さらにこづゆのことを「ざくざく」と呼び、同じものと認識している地域もある。いずれにしても、複数の地域の食文化が交じり合った味わい深い郷土料理である。 + +## 食習の機会や時季 +冠婚葬祭や市日、初午、大みそかなどに供される。旧東和町で行われる「木幡の幡祭り」などの行事の際や、10月第一土・日・月に行われる二本松の提灯祭りでもふるまわれるのだという。ちなみに、材料は慶事に奇数、弔事には偶数にするという決まりがある。 + +## 飲食方法 +里芋やにんじん、ごぼう、こんにゃく、だいこん、干ししいたけなどの具材を角切りにし、だし汁で煮て、醤油で味を調える。だしにはかつおや塩鱈、田作り、するめ、にしんなどさまざまなものが使われ、各家庭で味わいが異なる。また、地方によっては具材を短冊切りやいちょう切りにすることも。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 里芋: 4個 +- にんじん: 1/2本 +- ごぼう: 1/3本 +- こんにゃく: 1/3枚 +- だいこん: 1/5本 +- 干ししいたけ: 4枚 +- 昆布: 10cm位 +- 煮干し: 5、6匹 +- はなかつおのだし汁: 6カップ +- 醤油: 大さじ2~3杯 + +## 作り方 +1. 材料はすべて1cmの角切りにする。しいたけはもどしてから切る。里芋は、下茹でをしてぬめりをとる。 +2. 深鍋に、だし汁と里芋を除いた材料を全部入れて柔らかく煮る。 +3. 次に里芋を入れて柔らかくなったら醤油で味を調えて出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_8_1.jpg)" +"# みそかんぷら 福島県 + +**郷土料理名**: みそかんぷら + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +古殿町 + +## 主な使用食材 +馬鈴薯 + +## 歴史・由来・関連行事 +古殿町など福島の一部の地域では馬鈴薯のことを「かんぷら」と呼び、主食として食べる文化が根づいている。由来は馬鈴薯のオランダ語「アールダップル」が訛ってかんぷらへと変化したのではないか、と言われており、主な産地は郡山市や南相馬市、いわき市などが挙げられる。このかんぷらを皮のまま味噌や砂糖、みりんなどと炒めて作るのが、「みそかんぷら」。馬鈴薯を生産している農家で、出荷できないほど小さな芋を家庭で食べるために考案されたアイデア料理だ。甘い味噌の味付けはおやつにぴったりで、大人から子どもまで楽しめる一品となっている。このほかかんぷらを使った郷土料理は、かんぷらをつぶして丸め、味噌と和える「かんぷらぼた餅」などが挙げられる。 + +## 食習の機会や時季 +7月下旬は馬鈴薯の収穫時期で、これ以降の時期にみそかんぷらがよく食べられていた。農作物として出荷する商品だけでなく、出荷できない小芋がたくさんとれるため、これを利用してみそかんぷらを作るのが一般的。ちなみに、馬鈴薯自体は食糧が不足していた時代、米の代わりに主食として親しまれていた。また、保存がきくため、農作物の収穫が少ない時期の冬期間に残った馬鈴薯でみそかんぷらが食されてきた。 + +## 飲食方法 +皮をつけたままよく洗った馬鈴薯をゆで、油で皮がしんなりするまで炒めてから、水を加えてやわらかくなるまで煮込み、水気がな���なったら砂糖と味噌を加えて炒め煮にする。仕上げに刻んだ青じそを加えてもおいしい。また、馬鈴薯は油で揚げてやわらかくしてから味噌と砂糖、みりんで味付けするという作り方もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 小粒の馬鈴薯: 10~12個 +- 油: 大さじ3杯 +- 砂糖: 大さじ2杯 +- 味噌: 大さじ3杯 +- みりん: 大さじ2杯 + +## 作り方 +1. 【下ごしらえ】馬鈴薯は、タワシできれいに洗う。 +2. 鍋に油を入れ馬鈴薯を皮がしんなりするまで炒める。 +3. 2の中にひたひたの水をいれて蓋をし、中火にして柔らかくなるまで煮る。(この時、ほとんど水気をなくす) +4. やわらかくなった馬鈴薯に、砂糖、みりんと味噌を入れてからめるように仕上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_9_1.jpg)" +"# 大根もち 福島県 + +**郷土料理名**: 大根もち + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +郡山市 + +## 主な使用食材 +赤筋大根、米粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +福島県では長年にわたり、さまざまな野菜が栽培されてきた。全国的に生産されている野菜もあれば県独自のブランド野菜も多く、これらは伝統野菜として受け継がれ続けている。そのうちの一つとして知られる「会津赤筋大根」は、皮の部分に赤い筋が入っていることから、その名が付いたと言われている。肉厚でしっかりと煮込んでも煮崩れないのが特徴で、漬物としても好まれているが、近年よく食べられるようになったのが、「大根もち」である。赤筋大根をすりおろして、ネギやアミ、米粉と混ぜ合わせて焼き上げる、お好み焼きのような料理。赤筋大根の風味をしっかりと味わえる一品である。 + +## 食習の機会や時季 +赤筋大根の旬は11月上旬から2月中旬となっており、この時期に大根もちを含む赤筋大根を使った郷土料理がよく食べられる。 + +## 飲食方法 +大根の皮をむいて大根おろしを作り、刻んだネギやアミ、米粉、塩とともに混ぜ合わせる。生地をスプーンで丸めてフライパンで焼いたら完成。酢醤油をかけて食べる。アミのほかに、サクラエビやしらす干しを使うことも。また、大根をおろすときは鬼おろしにすると、風味がしっかりと残っておいしい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (約15枚分) +- 会津伝統野菜赤筋大根: 1本 +- ネギ: 1本 +- アミ(もしくは干しサクラエビ): 大さじ2 +- 米粉: 100g +- 塩: 少々 +- ごま油: 適量 +- 米酢: 大さじ1 +- 醤油: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 大根の皮をむき、鬼おろしまたは大根おろしを作る +2. 刻んだネギ、アミとおろした大根を混ぜる +3. さらに米粉と塩少々をいれて混ぜる +4. フライパンにごま油を少し多めに入れ、中火に熱したところにスプーンで4枚並べる。 +5. 小分けにし並べ終えたらフタをして弱火で4~5分。裏に返して中火で更に4~5分。*焼き時間はお好みで調節する +6. 米酢と醤油を混ぜたたれを添えて出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 福島県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_10_1.jpg)" +"# つゆ煮しめ 福島県 + +**郷土料理名**: つゆ煮しめ + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +南会津町 + +## 主な使用食材 +みがきにしん、つと豆腐、里芋、にんじん、昆布 + +## 歴史・由来・関連行事 +つゆ煮しめはだし汁に野菜やにしん、豆腐などを入れて煮込み、醤油や砂糖で味付けしたもの。地域によっては「つゆじ」「ことじ」などとも呼ばれている、南会津周辺の郷土料理の一つである。大きな特徴としては、「つと豆腐」という豆腐を使うことが挙げられる。つと豆腐とはわらで包んだ豆腐を指し、もともとは冷蔵庫のない時代に長く保存できるようにと作られたもの。「つと」とは、「わらで包んだもの」という意味で、豆腐を持ち運ぶときにつとで包んで持ち運んでいたが、あるときつとに包んだまま豆腐を煮込んだことをきっかけに、「つと豆腐」ができあがったと言われている。南会津では現在も、つと豆腐が販売されている。 + +## 食習の機会や時季 +冠婚葬祭やお祭りの際に供され、酒の肴として楽しまれている。南会津町のご馳走として知られ、現在もお祭りやイベントで振る舞われている。 + +## 飲食方法 +だし汁につと豆腐、みがきにしん、にんじん、里芋、昆布を入れて煮込み、砂糖、醤油、酒で味を調える。つと豆腐を使わないときは、木綿豆腐を四等分し、巻きすを巻いてから塩水で煮込んでおくと良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- みがきにしん: 4本 +- 木綿豆腐: 1丁 +- 里芋: 8個 +- にんじん: 1本 +- 昆布: 1枚 +- 砂糖・醤油・酒: 適量 +- だし汁: 4~5カップ + +## 作り方 +1. 【下ごしらえ】木綿豆腐は4等分し、巻きすを巻いて、なべにたっぷりの塩水(2~3%)で30分くらいコトコトと煮る。(つと豆腐を使用するときは不要) +2. 【下ごしらえ】里芋は2つのななめ切りにし、面取りをして下ゆでし、ぬめりをとる。 +3. 【下ごしらえ】にんじんは大きめのななめ切りにし、面取りをしておく。 +4. 【下ごしらえ】みがきにしんは、米のとぎ汁に2時間以上浸してから3つに切る。 +5. 【下ごしらえ】昆布はもどしてから4つに結んで切り分ける。 +6. 下ごしらえした豆腐は、4つのななめ切りにする。 +7. 平らな鍋にだし汁を入れ、それぞれの材料を区分けして入れ、煮含める。 +8. 材料がやわらかくなったら、調味料で味を調える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_11_1.jpg)" +"# はらこ飯 福島県 + +**郷土料理名**: はらこ飯 + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +相馬市、南相馬市、浪江町 + +## 主な使用食材 +はらこ、ご飯 + +## 歴史・由来・関連行事 +松川浦や浜通りの河川では、秋になると新鮮な鮭を獲ることができる。中でも請戸川は、福島で最初に鮭の人工ふ化を取り入れた場所としても有名で、以前は毎年鮭の捕獲を行う時期に鮭祭りを開催していたほど。最盛期には1日1,000尾から3,000尾の水揚げがあった(浪江町ホームページより)と言われ、鮭漁の名所として知られている。鮭が多く獲れる時期には鮭料理が多く振る舞われ、郷土料理にも鮭が使われている。鮭の卵であるいくらを「はらこ」と呼び、はらこをたっぷりとご飯にのせて食べるのが、「はらこ飯」。新鮮な鮭から袋ごとはらこを取り出し、薄皮を丁寧に取り除いたあとに鮭と醤油に漬けて作る。 + +## 食習の機会や時季 +9月の下旬から11月まで、鮭は産卵のために遡上し、鮭の捕獲が始まる。かつて実施されていた川幅ほどの大きな網による地曳網漁は圧巻で、これを見るために遠方から観光客も訪れていたほど。漁を行っている間は、近隣の食堂で獲れたての鮭を使った料理が振る舞われ、はらこ飯を食べることができた。 + +## 飲食方法 +鮭からはらこを取り出し、下ごしらえをして酒と醤油に漬けておく。これを炊き上がったご飯にたっぷりとのせて食べる。家庭で作る際は多めに作って冷蔵庫に保管しておき、何度かに分けて食べることもあるという。また、福島では、鮭の切り身やこんにゃく、里芋、ねぎをだし汁で煮込み、味噌で味付けた「紅葉汁」と一緒に食べることが一般的。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: カップ3杯 +- はらこ: カップ1杯 +- 塩: 少々 +- 酒: カップ1/3杯 +- 醤油: カップ1/2杯 + +## 作り方 +1. 【下ごしらえ】雌の鮭から袋ごといくら(卵)を取り出し、ボウルにやや熱めの湯と塩ひとつかみ入れた中でいくらを袋から取り出し、薄皮を取り除く。 +2. 【下ごしらえ】その後、ざるにあけてから数回水洗いをして薄皮を完全に取り除き、酒を振りかけて30分おく。 +3. 一腹で酒、醤油に漬け込んでおく。 冷蔵庫に入れておくといつでも食べられる。 +4. 炊きあがったご飯の上にのせて食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_12_1.jpg)" +"# 豆数の子 福島県 + +**郷土料理名**: 豆数の子 + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +郡山市、いわき市、福島市 + +## 主な使用食材 +ひやし豆、数の子 + +## 歴史・由来・関連行事 +福島県では大豆が多く生産されており、「おおすず」や「ふくいぶき」「里のほほえみ」など多様な品種が栽培されている。生産された大豆は納豆や豆腐、味噌、醤油などの加工品はもちろんのこと、郷土料理にも使われている。大豆を使った郷土料理の一つとして、大豆の一種「ひやし豆」を、醤油漬けにした数の子と合わせて作る「豆数の子」がある。ひやし豆は青大豆の一種で、ほかの大豆に比べて平たく、黄色みを帯びているのが特徴。ひやし豆と数の子の食感が心地よい、行事食となっている。ちなみに一部の地域では青大豆をだしで煮る「浸し豆」を「ひやし豆」と呼ぶこともあるが、豆数の子とは別の料理を指す。 + +## 食習の機会や時季 +豆数の子は基本的に、正月に供される郷土料理として親しまれ、福島県内で作られるおせちに含まれている。ひやし豆自体は、もともと一部の地域で保存のきく食材、気軽に食べられるおやつとして親しまれていた。 + +## 飲食方法 +ひやし豆と数の子はそれぞれ別々に調理する。ひやし豆はひと晩水に浸しておき、その後茹でる。数の子は薄い塩水に数日浸してから酒と醤油に漬けておく。食べる際にこの二つを和えて完成。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (あおばた大豆で作る豆数の子※作りやすい分量) +- あおばた大豆(青大豆): 300g +- 水: 1000ml +- 塩漬け数の子: 100~150g +- 水: 適量 +- かつおだし: 1カップ +- めんつゆ: 適量 +- 塩: 適量 + +## 作り方 +1. あおばた大豆と水を鍋に入れ、ひと晩浸す。 +2. 1の水を替えずにアクを取りながら20分程度茹で、ザルにあげて冷ます。 +3. 塩漬け数の子は、ボウルの中でひたひたの水に浸して塩抜きをし、皮をむいて一口大に切る。残りの水はとっておく。 +4. 3の水にかつおだしを混ぜ、めんつゆと塩で味を調える。 +5. 4に2と3の数の子を加え、冷蔵庫でしばらく味をなじませたら完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 福島県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_13_1.jpg)" +"# 三五八漬け 福島県 + +**郷土料理名**: 三五八漬け + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +二本松市 + +## 主な使用食材 +きゅうり、なす、にんじん、かぶなど + +## 歴史・由来・関連行事 +田畑が多く新鮮な野菜がたくさん採れる二本松市周辺のエリアでは、野菜を使った郷土料理が根づいている。「三五八漬け」は、ご飯とこうじ、塩を混ぜた「三・五・八」の素に野菜を漬ける漬物。江戸時代からあるこうじ食品の一種であり、野菜を余すことなく使い切れるうえに、健康にも良いために、長く愛され続けている。塩が三、こうじが五、米が八の割合で作られることからこの名が付いたとされているが、実際の割合は1:1:1だったという説もあるという。保存がきくため、忙しい田植えの時期のおかずとして重宝されていた。近年では野菜だけでなく、肉や魚介を漬けて楽しむ人も増えている。 + +## 食習の機会や時季 +冬の間に作っておいた三・五・八の素に、夏に採れたきゅうりやなすなどの野菜を漬けて作り置きすることが一般的。これを春先や田植えの忙しい時期におかずとして食べていた。現在は商品化されていることもあり、通年食べることが可能となっている。 + +## 飲食方法 +冷めたご飯かもち米にこうじ、塩を加えて混ぜ合わせ、一カ月ほど置き、三・五・八を作る。この三・五・八を野菜にまぶし、ビニール袋などに入れて一晩ほど漬ける。漬物桶で作るときは、軽い重石をのせておくとよく漬かる。現在は塩の割合を減らし、健康に配慮したレシピで作ることが増えているという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 【三五八の素】ご飯: 2カップ +- 【三五八の素】こうじ: 1カップ +- 【三五八の素】塩: 1/2カップ +- 【漬け野菜】きゅうり・にんじん・なす・かぶなど: 適量 + +## 作り方 +1. 【下ごしらえ】ご飯を普通に炊き、人肌に冷めた所にこうじを入れてよくほぐし混ぜ、塩を入れてさらに混ぜあわせてから瓶などに入れて保存する。一カ月以上過ぎてから用いる。 +2. きゅうりやなすの夏野菜などに三五八をまぶして、ビニール袋などに入れ一晩置いて翌日食べる。また漬物桶などを使用する時は、軽い重石程度でよく漬かる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_14_1.jpg)" +"# あんこうのとも和え 福島県 + +**郷土料理名**: あんこうのとも和え + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +相馬市 + +## 主な使用食材 +あんこう + +## 歴史・由来・関連行事 +冬に��を迎えるあんこう。捨てるところがない魚とも言われ、身だけでなく肝などもよく食べられている。福島ではあんこうがよく獲れ、特にいわき市や相馬市があんこうの水揚げ場所として知られている。このあんこうを使った郷土料理で、相馬市でよく食べられているのが「あんこうのとも和え」。ゆでたあんこうを、あんこうの肝と味噌、砂糖を炒めたものに和えて作る。漁村周辺ではあんこうが手に入りやすいために、あんこうのみで作るが、地域によってはかさ増しのために切り干し大根をたっぷりと入れて作ることもあったとされている。ちなみにいわき市ではとも和えのほか、あんこう鍋なども親しまれている。いずれもあんこうを肝まで堪能できる、代表的な郷土料理と言えるだろう。 + +## 食習の機会や時季 +昔は5月の田植えの時期に食べられていたと言われている。田植えが終わった際に、あんこうのとも和えを作り、手伝ってくれた人たちにご馳走として振る舞い、労っていた。冬の旬の時期に比べると比較的肝が小さくはなるが、5月でもおいしく食べられるという。現在は主にあんこうがよく獲れる冬の時期のほか、商品化されているものは通年食べられている。ご飯のおかずや酒の肴として食べるのが一般的。 + +## 飲食方法 +あんきもをフライパンで軽く炒め、味噌と砂糖を加えて練っておく。これに一口大に切ってゆでたあんこう、切り干し大根、わかめを混ぜ合わせて完成。あんこうはゆでた後、水に浸けずにそのまま冷ますのがポイント。また、炒めすぎると硬く仕上がってしまうため、自然に水分を飛ばしながらさっと作ることがポイントになる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- あんきも(あんこうの肝臓): 卵大くらい +- あんこうの肉: 手のひら1つ分 +- 味噌: 大さじ4杯 +- 砂糖: 大さじ1杯 +- 切り干し大根: ひとつかみ(戻した量が手のひらで1つ位) +- 塩わかめ: 適量 +- 酒: 少々 + +## 作り方 +1. 【下ごしらえ】あんこうの肉は一口大に切り、ゆでる。 +2. 【下ごしらえ】切り干し大根は水で戻してから、2センチくらいの長さに切ってしぼっておく。 +3. 【下ごしらえ】わかめは塩だしして適当な大きさに切り、ざるに入れて水切りする。 +4. フライパンにあんきもを入れて軽く炒めてほぐし、味噌と砂糖を入れ練るように1~2分炒める。 +5. 4の中に切り干し大根、あんこうの肉、わかめを入れて炒り、混ぜ合わせると出来上がり。*練るときに少し硬めの時は、酒で伸ばして炒り煮すると良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_15_1.jpg)" +"# あんぽ柿のなます 福島県 + +**郷土料理名**: あんぽ柿のなます + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +伊達市、福島市 + +## 主な使用食材 +あんぽ柿、大根、にんじん + +## 歴史・由来・関連行事 +福島県で柿が食べられるようになったのは、江戸時代頃からと言われている。梁川町(現伊達市)に住んでいた七右衛門という人物が、柿の木を植えたのが始まりとされている。ちなみにあんぽ柿は、柿の皮をむいてから天日干しにするため、「天干し(あまほし)柿」と呼ぶようになり、その後これがなまって、「あんぽ柿」となった。福島の特産物として親しまれており、なます以外にも、天ぷらや羊羹、和え物、焼酎漬けなどさまざまな料理に使用されている。その中の一つである「あんぽ柿のなます」は、一般的に祝いの席の料理として知られるなますに、せん切りのあんぽ柿を取り入れたアレンジ料理。さわやかな酸味とあんぽ柿の甘味、うま味がぴったりと合う一品となっている。 + +## 食習の機会や時季 +あんぽ柿はもともと、砂糖が貴重とされていた頃に、甘いお菓子の代わりとして親しまれていた。その後、郷土料理に多く使われるようになったとされている。また、「なます」は本来、生魚と大根、にんじん、酢を合わせて作り、祝いの席で食べる料理。福島らしい食材であるあんぽ柿を使ったなますもまた、正月や祝い事の際に供される。 + +## 飲食方法 +あんぽ柿、大根、にんじんをせん切りにし、大根とにんじんに塩をふって水気を抜いた後、酢と砂糖で和える。あんぽ柿にはたんぱく質やカルシウム、ビ���ミンA、食物繊維などが豊富に含まれており、自然由来の健康食品として慣れ親しまれており、あんぽ柿のなますは栄養たっぷりの郷土料理と言える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 干し柿: 2個 +- 大根: 1/5本 +- にんじん: 1/2本 +- 塩: 少々 +- 砂糖: 大さじ2杯 +- 酢: 大さじ3杯 + +## 作り方 +1. 【下ごしらえ】干し柿は千切りにする。 +2. 【下ごしらえ】大根、にんじんは千切りにし、塩をまぶしてしんなりさせておく。 +3. 千切りにした大根とにんじんは、きつくしぼる。 +4. 干し柿と3を砂糖・酢で和えて、出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_16_1.jpg)" +"# おひら 福島県 + +**郷土料理名**: おひら + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +只見町 + +## 主な使用食材 +豆腐、ハヤ、まいたけ、昆布、ごぼう + +## 歴史・由来・関連行事 +海藻にまいたけ、川魚のハヤと、海と山、川の恵みがバランスよく取り入れられた煮物。平たいお椀に盛りつけて提供されることから「おひら」という名が付いた。産卵期で腹の色が赤くなった「赤腹」と呼ばれるハヤを焼き干しにして使う。うまみがだしにしっかりと出て、味わい深い。いわき市周辺では里芋や八つ頭、ごぼう、にんじん、こんにゃく、凍み豆腐などを煮物にした「おしら」という郷土料理がある。「おひら」が訛っておしらになったと言われており、おひら同様に平たいお椀に盛りつけられていることからこの名が付いたと言われているが、只見町で食べられるおひらとは内容が異なっている。 + +## 食習の機会や時季 +お祝い事の際に食べられる料理として知られている。特に、大晦日に作られ、正月に食べることが一般的。積雪量の多い只見町では、冬に新鮮な農作物を収穫することが難しく、長期保存のきく食材を重宝していた。おひらは、そんな保存できる食材を有効に使ったご馳走と言える。 + +## 飲食方法 +鍋に焼き干しにしたハヤとたっぷりの水を入れて煮てだしを取ってから、いったん取り出す。その後、昆布やごぼう、まいたけなどの具材を加えて煮込んで焼き干しを戻し、醤油で味を調える。盛り付けの順番にもルールがあり、一番下に山芋やごぼう、その上にまいたけや昆布、厚揚げなど、最後にハヤを乗せる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 豆腐を水切りして揚げたもの(揚げ豆腐): 4枚 +- ハヤの焼き干し: 4匹 +- まいたけ(秋以外は塩漬けしたもの): 4本 +- 山芋: 1本 +- 昆布: 1枚 +- ごぼう: 1本 +- 酒・醤油: 各大さじ4~5杯 + +## 作り方 +1. 【下ごしらえ】昆布はもどしてから4つに結び切り分ける。 +2. 【下ごしらえ】山芋はひげ根を火あぶりして取り除き、斜めの大切りにする。 +3. 【下ごしらえ】ごぼうは皮をむき3cm程度のななめ切りにする。 +4. 【下ごしらえ】まいたけは4つに小分けする。 +5. 【下ごしらえ】揚げ豆腐はさっと湯通しする。 +6. 大なべに材料の5,6倍の水を入れて(昆布のもどし汁も含む)焼き干しを入れて中火でコトコトと30分程度煮てから焼き干しを静かに取り出す。 +7. 6の中に昆布、ごぼう、まいたけを入れて八分どおりやわらかくなったら揚げ豆腐、山芋を入れ、山芋が八分どおりやわらかくなったら焼き干しを入れて酒、醤油を入れて煮含める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_17_1.jpg)" +"# 鯉のあらい 福島県 + +**郷土料理名**: 鯉のあらい + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +郡山市 + +## 主な使用食材 +鯉 + +## 歴史・由来・関連行事 +郡山で鯉の養殖が始まったのは明治時代。江戸時代、雨量が少ない地域であったために水源を確保するために、市内に溜め池を作り始めたが、明治に入って安積疏水(あさかそすい)が完成し、使われなかった溜め池を活用してコイの養殖を行うようになったという。郡山で養殖されている鯉は猪苗代湖の豊富なミネラルの中で育ち、臭みが少なくみずみずしいのが特徴。脂のりも良いため、甘露煮など多様な料理に活用されている。 新鮮な鯉をそのまま食べる「鯉のあらい」は、福島県の代表的な鯉料理の一つ。みずみずしい郡山の鯉だからこそ加熱せずにおいしく食べられる。 + +## 食習の機会や時季 +昭和の頃は鯉のあらいを含む鯉料理はハレの日のごちそうとして親しまれていた。冠婚葬祭や正月のおせち、来客時のもてなし料理として供されていたという。現在は通年食べられているが、特に冬場に出荷が盛んになる。 + +## 飲食方法 +鯉は小骨が多く、さばくのが難しいため、鯉のあらいは鮮魚店などで購入するのが一般的。からし酢味噌につけて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鯉: 1匹(60切分) +- しょうが醤油: 適量 +- 辛子酢味噌: 適量 +- ポン酢: 適量 + +## 作り方 +1. 鯉を三枚におろし、皮をはぐ。厚めの薄造りにする。厚さはふぐの刺身の倍ほどが目安。 +2. サッと湯洗いする。温度は42℃が目安。 +3. 氷水でしめる。しめることで身がはぜ、食感よく仕上がる。 +4. 辛子酢味噌につけて食す。若鯉の場合はしょうが醤油や、しゃぶしゃぶの要領でサッと湯にくぐらせ、ポン酢で食してもおいしい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 正月荘(福島県郡山市) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_18_1.jpg)" +"# 凍豆腐の卵とじ 福島県 + +**郷土料理名**: 凍豆腐の卵とじ + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +福島市 + +## 主な使用食材 +凍豆腐、卵、信夫菜(小松菜) + +## 歴史・由来・関連行事 +豆腐を凍らせてから戻し、乾燥させて作る「凍豆腐」は、寒い地域特有の郷土料理。寒風に2週間ほどさらして、水分を抜いていく。阿武隈川が流れ、阿武隈高地の山々に囲まれている福島は、冬は特に寒く、強い風が吹くエリア。北西からやって来る強い季節風「吾妻おろし」も吹くため、「凍み」の食文化が根づいていったと言われている。特に福島市の南部で親しまれている。凍豆腐は煮物や和え物、汁物、雑煮などさまざまな料理に活用されているが、そのうちの一つに卵とじがある。凍豆腐を、福島で生産されている「信夫菜(しのぶな)」と呼ばれる葉物野菜とともに炒め、卵でとじる。 + +## 食習の機会や時季 +昔は冬の時期に、薄切りにした豆腐をわらで包み、「吾妻おろし」の寒風に数週間さらして凍豆腐を作っていた。作り始めるのは、作物の収穫を終え、農作業が一段落する11月頃。現在はわらを使わず、巻きすで包んで作っているところもあるという。大正時代から続く伝統的な製法と言える。 + +## 飲食方法 +凍豆腐を水で戻し、短冊切りにしてから使用する。凍豆腐と数センチ長に切った信夫菜を炒め、醤油、砂糖、だし汁で煮込んでから、溶き卵を入れてさっとかき混ぜる。煮込む際には弱火にして、汁気がなくなるまでじっくり煮るのがポイント。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 凍豆腐: 4枚 +- 信夫菜(小松菜): 4株 +- 卵: 2個 +- 油: 大さじ1杯 +- 砂糖: 適量 +- 醤油: 適量 +- だし汁: 1カップ + +## 作り方 +1. 【下ごしらえ】凍豆腐は水につけて戻してから半分にし、短冊切りにする。 +2. 【下ごしらえ】信夫菜はさっと茹でて、2~3cmに切る。 +3. 【下ごしらえ】卵は溶きほぐしておく。 +4. 鍋に油を入れて熱し、凍み豆腐と信夫菜を入れて炒める。 +5. 調味料とだし汁を入れて、弱火で汁気がなくなるまで煮る。 +6. 溶き卵を入れて、さっくりとかきまぜ、卵に火が通ったら出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_19_1.jpg)" +"# じゅうねんぼたもち 福島県 + +**郷土料理名**: じゅうねんぼたもち + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +福島市、いわき市 + +## 主な使用食材 +じゅうねん(えごま)、もち米 + +## 歴史・由来・関連行事 +福島県はえごまの名産地。その歴史は明治時代よりも前と言われ、長く栽培が行われてきた。えごまは県内で「じゅうねん」と呼ばれており、えごまを食べると十年長生きすると言われるほど栄養価が高いことや、収穫した種子が十年経っても蒔けば芽を出すことから、この名が付いたとされている。福島県では健康食品として親しまれており、じゅうねんを使った郷土料理が多く存在する。中でも代表的な料理が「じゅうねんぼたもち」。もち米を食べやすい大きさに丸めて、煎って砂糖で味付けしたじゅうねんを絡��る。通常あんこやきなこで包むぼたもちを、じゅうねんで作るところが、特徴となっている。煎ったじゅうねんは香り高く、風味豊かに仕上がる。 + +## 食習の機会や時季 +じゅうねん自体は5~6月頃に種まきを行って栽培するが、収穫した後に乾燥させて保存するため、通年食べられる。ちなみにいわき市内では「白蛇のたたり」という民話があり、その中で「胡麻は作らないために、じゅうねんの栽培が盛んになった」という内容が言い伝えられている。また、標高の高い山間部では胡麻の栽培が難しく、代わりにじゅうねんが多く栽培されるようになったとも考えられている。県民にとってなじみ深いじゅうねんを使ったぼたもちは、また、おやつや来客時のもてなしとして供されている。 + +## 飲食方法 +じゅうねんには白種と黒種があるが、じゅうねんぼたもちでは黒種を使う。じゅうねんはフライパンで軽く煎ってからすり鉢ですり、塩と砂糖で味を付ける。じゅうねんが焦げないようにフライパンを動かしながら加熱し、2粒ほどがぷちぷちと跳ね始めたら火を止めるのがポイント。また、すり鉢でする際は、30分ほど粘りが出るまでしっかりとすり込むと、もち米からはがれにくくなる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (参考レシピ) +- じゅうねん: 適量 +- 砂糖: 適量 +- 塩: 適量 +- もち米: 適量 +- うるち米: 適量 + +## 作り方 +1. じゅうねんをフライパンで煎り(2粒くらい弾けるまで)すり鉢で粘りが出るまですり、じゅうねんと同量の砂糖と塩少々と合わせる。 +2. もち米9:うるち米1の割合で炊いたら、ご飯を赤ちゃんのこぶし大に丸め、1を押すように絡める※胡麻のように転がすだけでは絡まないため。 +3. 少し置くと砂糖が溶け、じゅうねんがこぼれ落ちてくるので、再度1を絡める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : いわき市 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_20_1.jpg)" +"# しんごろう 福島県 + +**郷土料理名**: しんごろう + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +下郷町、南会津町 + +## 主な使用食材 +白米、じゅうねんみそ + +## 歴史・由来・関連行事 +福島県で多く栽培されているえごま。県内では「じゅうねん」と呼ばれ、さまざまな郷土料理にも使われている。このじゅうねんをすりつぶし、味噌や酒、砂糖、みりんなどを加えて「じゅうねんみそ」を作り、つぶしたご飯にぬって焼き上げたのが「しんごろう」である。しんごろうという一風変わった名前は、とある若者の名前から来ているという。昔正月に餅を食べられなかったしんごろうが、餅の代わりにご飯をつぶして丸め、「じゅうねんみそ」をつけて焼いたところおいしく出来上がり、彼の母も喜んだことからこの名がついたとされている。県内では特に下郷町や南会津町で食べられている、シンプルでありながら優しい味わいの郷土料理。 + +## 食習の機会や時季 +通年食べられている料理ではあるが、中でも新米ができた際の収穫のお祝いとして供されることが多い。また、しんごろうとともによく食べられているのが、鯨汁。塩漬けにした鯨の脂身を煮込んだ汁物料理で、収穫後にやってくる冬に備えて栄養を体に取り入れる目的で食べられていたとされる。 + +## 飲食方法 +ご飯をすり潰して卵くらいのサイズに丸め、串に刺して囲炉裏で焼く。両面に焼き目がついたらじゅうねんみそをぬってさらに焼き、焦げ目がつく程度に仕上げる。白米以外にも、うるち米を使うこともある。また、じゅうねんみそを作る際に使う材料はじゅうねん、味噌、砂糖、みりん、酒など。材料はどのエリアでも比較的同じだが、配分は各家庭や飲食店によって異なり、味わいに個性が出る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 白米: 4カップ +- 【じゅうねんみそ】えごま: 1カップ +- 【じゅうねんみそ】砂糖: 1カップ +- 【じゅうねんみそ】味噌: 1/2カップ +- 【じゅうねんみそ】酒: 大さじ3杯 +- 串: 16本 + +## 作り方 +1. 【下ごしらえ】米は普通の水加減で炊く。 +2. 【下ごしらえ】フライパンにえごまを入れ、弱火でゆすりながら空炒りし、パチパチと5~6粒はじけたら火を止める。 +3. ご飯はすりこぎで半分くらいついてから、卵大の大きさに丸めて串に刺す。 +4. 炒��たえごまをよくすりつぶしてから、砂糖・味噌・酒を混ぜ、じゅうねんみそを作る。 +5. 囲炉裏に3を刺し両面を焼く。焦げ目をつけてからじゅうねんみそをつけてさらに焼き、少し焦げ目がついてからいただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_21_1.jpg)" +"# 鯉こく 福島県 + +**郷土料理名**: 鯉こく + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +郡山市 + +## 主な使用食材 +鯉、味噌、きくらげ、豆腐 + +## 歴史・由来・関連行事 +鯉の生産がさかんな福島県郡山市。生産だけでなく、鯉食文化を守るために「鯉に恋する郡山プロジェクト」を立ち上げるなど、鯉食の認知拡大、定着に力を入れている。猪苗代湖のミネラルたっぷりな水の中で育った郡山の鯉は、臭みがなく、みずみずしく、脂乗りも良いため、和食から洋食までさまざまな料理で使われている。そんな鯉を使った代表的な郷土料理の一つに「鯉こく」がある。鯉こくは、切身の鯉と豆腐、ネギなどを煮込み、味噌で味付けした味噌汁のような存在。だしに鯉のうまみが染み込み、身も心も温まる一品となっている。 + +## 食習の機会や時季 +中国の現存最古の薬物書「神農本草経」によれば、鯉はその昔、医薬品として扱われており、人びとの健康維持に役立つ食材として親しまれていた。また、現在も血流改善や糖尿病の食事療法にも効果が期待できるとされている。そんな栄養たっぷりの鯉を使った料理の中でも、鯉こくは特に、出産後に母乳がよく出るように願いを込めて、栄養食として作られることが多いという。 + +## 飲食方法 +鍋に湯を沸かし、下ごしらえした鯉、きくらげ、豆腐を入れて煮込み、水で溶いた味噌で味を調える。食べる際にしょうがのおろし汁を入れると風味が豊かになる。具材としては鯉の切り身を使うが、頭を入れて作ると鯉のだしがより出ておいしい。また、仕上げに七味唐辛子や粉山椒をふりかけることも。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鯉: 1匹(5~6切れ) +- 味噌: 大さじ5~6杯 +- きくらげ: 適量 +- 豆腐: 1/6丁 +- しょうが: 少々 + +## 作り方 +1. 【下ごしらえ】鯉は、肝をとり5~6切れの輪切りにする。 +2. 【下ごしらえ】輪切りにした鯉は、沸騰したお湯にくぐらせる。 +3. 【下ごしらえ】きくらげは、もどしてちぎる。 +4. 【下ごしらえ】豆腐はさいの目切りにする。 +5. 【下ごしらえ】しょうがはすりおろす。 +6. なべに1Lの水をいれて、沸騰してから下ごしらえした鯉を入れて煮る。 +7. きくらげ、豆腐を入れて火を弱め、水溶きした味噌を入れて味をととのえる。 +8. いただく時にしょうがのおろし汁をいれるといっそうおいしくいただける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_22_1.jpg)" +"# 馬刺し 福島県 + +**郷土料理名**: 馬刺し + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +会津若松市、会津坂下町 + +## 主な使用食材 +馬肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +福島に馬肉食が広まったのは、戊辰戦争の頃。県内に運ばれてきた負傷者に馬肉を食べさせたことが始まりとされている。その後馬肉は貴重なたんぱく源として会津若松で親しまれるようになり、豚肉や鶏肉のように家庭で一般的に食べられる食材となった。当初は加熱するのが当たり前であったが、会津若松を訪れた人気プロレスラーが生食したことをきっかけに、「馬刺し」を食べる文化が広まっていったという。今となっては「馬刺し」は会津若松の立派な郷土料理の一つ。ほかのエリアと違い、人気プロレスラーが持ち込んだことから根づいた「からし味噌」をつけて食べるのが特徴。 + +## 食習の機会や時季 +もともと会津若松は内陸部であり、新鮮な生魚が入りにくかった。そんな中、内陸部でも入手できる馬刺しは、魚の刺身の代わりとも言え、会津若松では「刺身」と言えば、魚でなく馬刺しを指すと言われるほど。 + +## 飲食方法 +会津若松市内の肉屋で、新鮮な馬肉が販売されている。しょうゆとからし味噌をつけて食べるのが一般的。また、会津若松の馬肉には赤身の脂肪分「さし」が入っていないことも特徴の一つとなっている。基本的には家庭���で食べるものであり、外食で馬肉を楽しむケースは少ないのだという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (馬刺しの旨辛味噌のレシピ 4人分) +- 米味噌: 大3 +- 酒: 大3 +- みりん: 大3 +- 水あめ: 大3 +- しょうゆ: 少々 +- 塩: 少々 +- 唐辛子: 大2 +- コチュジャン: 大2 +- 会津(オタネ)人参粉末: 大1 +- にんにく: 2片 + +## 作り方 +1. にんにくをできるだけ細かくみじん切りにする。 +2. 鍋に酒・みりんを入れ沸騰させアルコールを飛ばす。 +3. 2に米味噌・水あめ・しょうゆ・唐辛子・コチュジャン・にんにくを入れ中火でお好みのかたさになるまで練る。 +4. 塩で味を調える。 +5. 火を止め会津(オタネ)人参の粉末を加え練り合わせる。好みの馬刺しと和えて食す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 株式会社 鶴我 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_23_1.jpg)" +"# 打ち豆と切り昆布の煮物 福島県 + +**郷土料理名**: 打ち豆と切り昆布の煮物 + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +会津若松市 + +## 主な使用食材 +大根、油揚げ、打ち豆、にんじん、昆布 + +## 歴史・由来・関連行事 +「打ち豆と切り昆布の煮物」は、打ち豆、切り昆布などの長期保存のきく食材をうまく使った郷土料理。福島の冬は積雪が多く、新鮮な野菜を収穫することが難しい。そのため、寒さと乾燥した気候を利用し、干し野菜などの長持ちする食品を作ることがある。例えば、打ち豆は青大豆をつぶし、乾燥させた豆のこと。冬の貴重なたんぱく源としてよく食べられていた。また、切り昆布は細かく切った昆布で、こちらも長く保存ができるほか、ミネラルが豊富な食材。これらを組み合わせた打ち豆と切り昆布の煮物は、冬の時期でもおいしく食べられるおかずとして根付いている。 + +## 食習の機会や時季 +昔はお盆や法事、結婚式など、行事の際に振る舞われていた。近年では食卓に並ぶ一般的なおかずとして親しまれている。 + +## 飲食方法 +鍋に大根や油揚げ、にんじん、打ち豆、昆布などの具材を入れて炒めてから水を加え、煮込む。砂糖、醤油で味を調え、汁けがなくなるまで煮詰めたら完成。会津産の菜種油で炒め、香り高く仕上げるのがコツ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 打ち豆: 1/2カップ +- 切り昆布: 1玉(30~50g) +- にんじん: 1/2本 +- 油揚げ: 2枚 +- こんにゃく: 1/4枚 +- 菜種油: 大さじ2 +- 砂糖: 大さじ2 +- 酒・みりん: 各大さじ1~2 +- 醤油: 大さじ3 + +## 作り方 +1. 切り昆布は水に浸してもどして、適当な大きさに切る。 +2. にんじんは3センチ長さの千切りにする。油揚げは縦半分に切ってから荒千切りにする。こんにゃくはにんじんと同じくらいの大きさに切る。打ち豆はさっと水洗いをしておく。 +3. 鍋に油を引き、材料を全部入れてざっくり炒め、ひたひたの水を入れ沸騰したら調味料を入れて水気がなくなるまで煮詰める。 +4. ※打ち豆の作り方  乾燥大豆を5分間水に浸して水切りをし、乾いたタオルか新聞紙に広げて一晩放置。翌日、かなづちで一粒ずつ、打ちつぶす。味噌汁・煮物・天ぷら・甘辛炒め煮・酢の物等に使う。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_24_1.jpg)" +"# ぼうたら煮 福島県 + +**郷土料理名**: ぼうたら煮 + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +会津若松市 + +## 主な使用食材 +棒鱈 + +## 歴史・由来・関連行事 +その昔、内陸にある会津若松は、新鮮な魚介を手に入れることが難しかった。そのため、にしんや棒鱈、貝柱など、乾燥させて長く保存できるように加工した海産物がよく食べられていた。また、寒い冬の時期が長いこともあり、鱈を干物にした棒鱈をたんぱく源として重宝していたという。この棒鱈を何日もかけてじっくりと煮込み、甘辛く、骨までやわらかい煮物に仕上げた郷土料理が「ぼうたら煮」。かちかちに硬くなった棒鱈は戻すのにも時間がかかり、長い場合は一週間ほどかかることも。また煮込むのにも数日かかるため、手間暇をかけて作る特別な日の一品となっている。 + +## 食習の機会や時季 +冬になると店先などに棒鱈がつるされ、会津若松の風物詩として慣れ親しまれていた。正月に、おせちの一品として供されるこ��が多いほか、祭りごとや祝いごとの際にも振る舞われている。 + +## 飲食方法 +棒鱈は数日水に浸してから、さらに何度か煮て、一週間ほどかけてもどす。その後食べやすい大きさに切り、鍋に醤油、砂糖、水、酒とともに入れて、5時間ほど煮込むのを数回繰り返す。長期間に及ぶ調理だが、この過程を経ることで硬い棒鱈がやわらかくなり、うまみをたっぷりと吸っておいしくなる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 棒鱈(本鱈): 1/2匹分(5、6切れに切る) +- 水: 2ℓ位 +- 酒: 2カップ +- 醤油: 1カップ +- ざらめ: 2カップ + +## 作り方 +1. 【下ごしらえ】かちんかちんの棒鱈は1週間程度、たっぷりの水に浸してやわらかくもどしてから適当な大きさに切る。 +2. 下ごしらえした棒鱈を鍋に入れて水、ざらめ、醤油、酒を入れてことことと弱火で5時間くらい煮込んで火を止め冷ます。 +3. 次の日、またコトコトと5時間くらい煮込み冷ます。 +4. この動作を3、4回繰り返し、やわらかく煮詰めていく。あせらないでじっくり時間をかけて煮込む。おせち料理とするときには、12月15日あたりから水さらしを開始する。 +5. 棒鱈の昆布巻きもおいしい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_25_1.jpg)" +"# はっとう 福島県 + +**郷土料理名**: はっとう + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +檜枝岐村、南会津地方 + +## 主な使用食材 +そば粉、もち米粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +そば粉と米粉、またはもち米粉を練ってのばし、ひし形に切ってゆでる「はっとう」。江戸時代、米やそばなどを食べ過ぎないよう、粉食を禁止する動きがあった。この際に本来なら「ご法度」であるそば粉や米粉を使って調理し、こっそりと食べていたことから「はっとう」と言われるようになったとされている。あるいはその昔、地方を治める殿様に出したところ、あまりのおいしさに「平民(村民)が食べるのは御法度」と言われたことから「はっとう」になったとする説もある。近年は、ひし形に切ったものを「ひしはっとう」、おからを加えたものを「おかはっとう」と呼ぶなど、バリエーションも豊かになっている。 + +## 食習の機会や時季 +田植えが終わったお祝いをする「さなぶり」の日や屋根葺き替えが終わった際など、作業が一段落したときに食べる。また、檜枝岐に調査にやってきた役人がはっとうを食べた際、そのあまりのおいしさに「贅沢品だからハレの日にのみ食べることを許す」と言い渡したことから、祭りの日やお祝い事の際のみに食べられるようになったと言われている。 + +## 飲食方法 +もち米粉とそば粉を半々ずつ合わせて熱湯で溶き、こねて耳たぶほどの硬さにする。その後麺棒で1cmほどの厚さに伸ばし、菱形に切ってゆでる。塩と砂糖で味付けしたじゅうねん(えごま)をまぶして食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- そば粉: 1カップ +- 米粉: 1カップ +- 熱湯: 約2カップ +- 【じゅうねんみそ】えごま: 1カップ +- 【じゅうねんみそ】砂糖: 1カップ +- 【じゅうねんみそ】味噌: 1/2カップ +- 【じゅうねんみそ】酒: 少々 + +## 作り方 +1. 【下ごしらえ】じゅうねんみそを作っておく。 +2. 【下ごしらえ】フライパンにえごまを入れて、えごまが5~6粒パチパチとはじけるまで、ゆすりながら炒める。 +3. 【下ごしらえ】すり鉢にえごまを入れてすりつぶし、砂糖・味噌を入れてさらによくすり、酒を入れてとろみをつける。 +4. そば粉と米粉(だんご粉)をあわせた中に熱湯を入れて、耳たぶくらいの硬さにする。 +5. 麺棒で、3~5mm位の厚さに伸ばしてからひし形に切る。 +6. 沸騰している湯の中に入れて浮いてきたら取り出して水切りする。 +7. 6にじゅうねんみそをつけていただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_26_1.jpg)" +"# えご 福島県 + +**郷土料理名**: えご + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +西会津町、喜多方市 + +## 主な使用食材 +えご + +## 歴史・由来・関連行事 +「えご」とは「エゴ草」と呼ばれる海藻を煮て溶かし、四角く固めた料理のこと。寒天やゼリーのような食感がくせになる���品で、からし醤油などをつけて食べる。主に日本海側で食べられている郷土料理で、福島には江戸時代後期に新潟から酒の肴として持ち込まれ、宿場町であったために根づいて伝承されていったと言われている。現在は西会津のほか、阿賀川、只見川流域でよく食べられているという。作られるようになったのは明治時代頃。新潟からやってきた行商がえごを売り歩くこともあったとされている。ちなみに地元ではえごをなまって「いご」と呼ぶこともある。 + +## 食習の機会や時季 +冠婚葬祭や盆、正月など、行事で人が集まる際に供される。季節としては年間を通して、お盆のお供え物でも特に、仏事では必ずといっていいほど、精進料理のごちそうとして使われ、余ったものは味噌漬けにされていた。 + +## 飲食方法 +えごを水に浸し、きれいにしてから、鍋に水とともに入れて溶けるまで30分ほど煮込み、その後バットに流し込んで冷蔵庫で固める。食べるときには好みの形に切り分けるが、切り方によって食感が微妙に変化するという。からし醤油やしょうが醤油、酢醤油をつけて食べたり、味噌漬けにしたりすることも。また、地域によっては砂糖をかけておやつにすることもあるのだという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- えご: 20~30g +- からし: 適量 +- 醤油: 適量 + +## 作り方 +1. 【下ごしらえ】えごは水洗いし、よくごみを取り除き、10~20分水に浸しておく。冬は「寒ざらし」といって夜、雪の上にさらしておくと白くできあがる。 +2. えごを鍋に入れて十分かぶる程度の水を入れ、えごが溶けるまで20~30分中火にして、ゆっくりとヘラでかき混ぜる(溶けないようなときは、酢を大さじ1杯入れる)。 +3. ブツブツとはねるようになり、ヘラですじを入れてどろっとするようになったら火からはずす。 +4. 四角いバットに流し入れ固める。寒天と同類なので夏は2時間くらい、冬1時間くらいで固まる。 +5. 好みの形に切り分けて、からし醤油で食べる。残ったときには味噌漬けにして、翌日食べるとまた違った味を楽しむことができる。また、地域によっては、砂糖などをかけて甘いおやつとして食べるところもある。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_27_1.jpg)" +"# じゅうねん冷やだれ 福島県 + +**郷土料理名**: じゅうねん冷やだれ + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +鮫川村 + +## 主な使用食材 +うどん、えごま + +## 歴史・由来・関連行事 +福島ではえごまが盛んに生産されており、えごまを使った郷土料理がよく食べられている。「じゅうねん」とはえごまのことで、えごまの種が十年もの長い間保存できることに由来していると言われている。また、体内の中性脂肪や悪玉コレステロールを抑える効果が期待されており、健康食品としても親しまれている。じゅうねんを使った料理はさまざまにあるが、夏に良く食べられているのは、「じゅうねん冷やだれ」。すりおろしたじゅうねん、味噌、砂糖、醤油などを合わせたたれに、冷やしうどんをつけていただく一品だ。近年はじゅうねんの代わりにごまやクルミを使ったアレンジ料理なども食べられている。 + +## 食習の機会や時季 +鮫川村では夏になるとえごま畑が広がり、たくさんのえごまを収穫できる。これをたっぷりと使った漬け汁を、冷たいうどんと合わせてさっぱりといただく。ねぎやみょうが、紫蘇の葉などの香り豊かな薬味を用意することが一般的。 + +## 飲食方法 +すりつぶしたじゅうねん(えごま)と砂糖、味噌、醤油を加えて混ぜ合わせ、水で薄めて好みのつけだれを作る。その後茹でて冷やしたうどんをつけて食べる。じゅうねんはしっかりと炒り、油が出るまですり潰すのがポイント。また、たれに花かつおを入れると風味豊かになり、よりおいしく仕上がる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- うどん: 4玉 +- 【薬味】ねぎ: 1/2本 +- 【薬味】みょうが: 2個 +- 【薬味】しその葉: 4枚 +- 【じゅうんねんだれ】えごま: 1/2カップ +- 【じゅうんねんだれ】醤油: 大さじ2杯 +- 【じゅうんねんだれ】味噌: 大さじ1杯 +- 【じゅうんねんだれ】砂糖: 大さじ1杯 +- 水: 2カップ +- 花かつお: 1カップ + +## 作り方 +1. 【下ごしらえ】薬味のねぎ、みょうが、しその葉は生で食べやすい大きさに切る。 +2. 【下ごしらえ】花かつおは、フライパンで乾煎りする。 +3. 【下ごしらえ】えごまは、熱したフライパンで5、6粒はじけるまで炒る。 +4. 炒ったえごまは、すり鉢で油が出るまでよくする。 +5. 砂糖、味噌、醤油を入れてさらにすって滑らかにしてから水を少しずつ注ぎ入れる。食べる時まで冷やしておく。 +6. 茹でたうどんも冷たくして、食べる時に花かつおをたれの中に入れて食べるとよりいっそうおいしく食べることが出来る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_28_1.jpg)" +"# こんにゃくの白和え 福島県 + +**郷土料理名**: こんにゃくの白和え + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +塙町、棚倉町 + +## 主な使用食材 +こんにゃく、豆腐、にんじん + +## 歴史・由来・関連行事 +塙町はこんにゃくの産地として知られており、こんにゃくの製法を町に広めた藤衛門という人物を祭った「藤衛門まつり」を開催している。江戸時代から生産が行われ、昭和30年頃にはより盛んになっていったと言われている。現在は最盛期に比べると生産量は落ち着いているものの、こんにゃくの製粉工場も多く、特産物として慣れ親しまれている。こんにゃくを使った料理としては、さしみこんにゃくなども有名だが、よく家庭で作られているのが「こんにゃくの白和え」。しっかりと水気を切って味付けした豆腐とこんにゃくを和えて作る。 + +## 食習の機会や時季 +昔は冠婚葬祭や人が集まる際に作る料理とされていた。現在は通年食べられる料理だが、季節によって入れる具材は異なり、そのときどきの旬を楽しめるようになっている。ちなみに、昭和30年頃までは特に盛んにこんにゃくが作られており、10月下旬から11月頃までこんにゃく玉掘りが行われていたほどだったという。 + +## 飲食方法 +短冊切りにしたこんにゃく、にんじんを醤油や砂糖で煮て水を切っておく。水気を切って砂糖と塩で味つけした豆腐と和える。砂糖がきいて甘いおかずとなっている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- にんじん: 1本 +- こんにゃく: 1枚 +- 砂糖・醤油: 少々 +- 木綿豆腐: 1丁 +- 砂糖: 大さじ4~5杯 +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 【下ごしらえ】こんにゃくは3cmの短冊切りして下茹でしてから、同様に切ったにんじんと一緒に少々の砂糖、醤油で煮て、水切りしておく。 +2. 【下ごしらえ】木綿豆腐は1時間位水切りしておく。 +3. すり鉢に豆腐をくずして入れ、なめらかになるまでよくすり、砂糖・塩で味付けする。 +4. 下煮したこんにゃくと人参を3の中に入れ、和えると出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_29_1.jpg)" +"# どんこ汁 福島県 + +**郷土料理名**: どんこ汁 + +**都道府県**: 福島県 + +## 主な伝承地域 +相馬市 + +## 主な使用食材 +どんこ、大根、白菜、にんじん、ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +「どんこ」は北海道の函館周辺から福島県浜通り地方の沿岸に生息している魚。正式名称は「エゾイソアイナメ」といい、価格帯が手頃でおいしいことから、県内の家庭でよく活用されている。たたきや焼き物など、各地域でさまざまな料理が根づいているが、相馬市で主に食べられているのが「どんこ汁」。どんこを野菜とともに煮込んだ汁料理で、身と肝を使って作り、どんこのうまみを凝縮した味わいとなっている。ちなみにどんこは鮮度が落ちるのが早く、刺身で食べられるのは主に現地のみなのだという。 + +## 食習の機会や時季 +夏から秋にかけて、どんこ釣りの時期がやってくる。数メートルの浅場にまでやってくるので、どんこ釣りを楽しみにしている人も多い。また、秋から冬にかけて釣れるどんこは肝が入っており、この時期が旬と言われている。 + +## 飲食方法 +鍋に大根、にんじん、白菜を入れて煮込み、下処理したどんこを加えてさらに煮込んで、最後に味噌を溶いて味つけする。仕上げにねぎを入れてひと煮立ちさせたら完成。どんこのうまみが染み渡る一品。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- どんこ: 1匹 +- 大根: 1/2本 +- 白菜: 葉2~3枚 +- にんじん: 1本 +- ねぎ: 1本 +- 味噌: 大さじ3~4杯 +- 水: カップ6~7杯 + +## 作り方 +1. 【下ごしらえ】どんこはうろこを取り、腹を切り内臓を取り出して洗ってから、水分をとってぶつ切りにする。 +2. 【下ごしらえ】ねぎは2センチ位のぶつ切りにする。 +3. 【下ごしらえ】その他の野菜は短冊切りにする。 +4. 鍋に水を入れて大根、にんじん、白菜の順で入れやわらかく煮る。 +5. 4の中にどんこを入れてさらに煮る。 +6. 水溶きした味噌を静かに入れて味を調え、さらにねぎを入れてひと煮立ちしたら出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平出美穂子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukushima_30_1.jpg)" +"# しもつかれ/すみつかれ 茨城県 + +**郷土料理名**: しもつかれ/すみつかれ + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +西部地域 + +## 主な使用食材 +サケ、大豆、大根、油揚げ、人参、酒粕 + +## 歴史・由来・関連行事 +「しもつかれ」は、正月の残りのサケの頭に、節分でまいた豆の残り、そして根菜などを酒粕で煮こんだ西部地域に伝わる郷土料理である。正月からの残り物を大事に使い、また、冬場の栄養摂取や保存性に優れた先人の知恵がつまった料理といえる。地域によっては「すみつかれ」とも呼ばれている。「しもつかれ」は、栃木県や埼玉県、千葉県の一部でもつくられている。鎌倉時代に書かれた「宇治拾遺物語(うじしゅういものがたり)」などの説話にも記述されているなど、歴史は非常に古いため、その名の由来については諸説ある。「下野国(しもつけのくに:現栃木県)の家例としてつくる料理」から「しもつかれ」と呼ばれたという説や、つくり方の「酢み漬け」から「すみつかれ」と呼ばれたという説などがある。大鍋で大量につくるからこそ味が出る料理といわれ、家庭ごとの味がある。そのため、余った「しもつかれ」は近所に配るのが習わしで、7軒分の「しもつかれ」を食べると病気をしないという言い伝えがあった。 + +## 食習の機会や時季 +初午(はつうま:2月最初の午の日)の日に、よくつくられている料理で、昔はこの日以外につくることは忌み嫌われていたという。初午の日につくった「しもつかれ」を新しい藁苞(わらづと)に入れ、「赤飯」と一緒にお稲荷さんに供える。そして火の用心、家内安全を祈る風習があった。サケの頭は悪いものを追い払うとされ、節分の豆も“魔滅(魔を滅する)”を意味することから、「しもつかれ」は縁起物として食べられていた。 + +## 飲食方法 +「鬼おろし」と呼ばれる竹製の鋭利な刃がついたおろし器で粗くすり下ろした大根と人参、短冊切りにした油揚げを、大豆およびサケの頭とともに、酒粕、だし汁で煮こんでいく。鬼おろしは、竹製のため素材に熱が伝わりづらく、さらに一般的な大根おろしよりも粗くおろされていくため、野菜の余分な水分が出ず、食べるときにしっかり食感を感じることができる。サケの頭がない場合は、サケの切り身でも良い。食べ方もさまざまで、ごはんにかけたり、茶請けとして食べるところもある。また酒の肴として、こたつに入りながら凍った「しもつかれ」を熱燗と一緒に楽しむ地域もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根: 1・1/2本 +- サケの頭: 1尾 +- 人参: 小1本 +- 大豆: 1カップ +- 油揚げ: 1枚 +- 酒粕: 1/4袋 +- だし汁: 1カップ +- 醤油: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 大根、人参は鬼おろしですり下ろし、油揚げは短冊切りにする。 大根をすり下ろす際は、普通のおろし金では柔らかくなりすぎてしまうので、鬼おろしを使う。 +2. 鍋に1と皮をとった炒り大豆と骨ごと食べやすく切ったサケの頭を入れ、くずした酒粕とだし汁、醤油を混ぜ、弱火で味が染み込むまで煮こむ。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 中川学園調理技術専門学校中川 一恵氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_26_1.jpg)" +"# わかさぎとれんこんの酢漬け 茨城県 + +**郷土料理名**: わかさぎとれんこんの酢漬け + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +ワカサギ、れんこん、酢、人参、玉ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +「わかさぎとれんこ��の酢漬け」は、国内第2位の湖面積を誇る霞ヶ浦の特産品である、ワカサギとれんこんを使った郷土料理である。豊富な水と肥沃な湿地帯に恵まれた霞ヶ浦周辺では、古くかられんこんの栽培がはじまり、いまでは国内生産量日本一の産地として知られている。れんこんは、1年を通して出荷されるが、夏に収穫するものはシャキシャキとみずみずしく、冬に収穫するものはもっちりとした食感になり、収穫時期によって違った味わいが楽しめる。また、霞ヶ浦で古くからおこなわれてきたワカサギ漁は、昭和40年代はじめごろまでは、霞ヶ浦独特の漁法である帆びき船を使った帆びき漁でおこなわれていた。真っ白な巨大な帆が特徴的で、風力を利用してひき網を引きながら漁をおこなう。白い帆を広げた何十隻もの帆引き船が湖上に浮かぶ様は、霞ヶ浦の名物であったという。しかし、風がない時は漁ができないことと、帆が非常に大きいため、突風に煽られたときに転覆する危険性も高かったことから、現在では、機械トロール船による漁になっている。近年は、乱獲気味のため収穫量が減ってきているという課題がある。ワカサギは骨が柔らかく、丸ごと食べられるため、手軽に調理ができることから多くの人に親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +ワカサギ漁は、7月下旬から12月下旬までの間でおこなわれる。この時期にとれたワカサギはすぐに地元の加工業者に水揚げされ、鮮魚として市場に出荷される。れんこんも夏から冬にかけて収穫されるため、この時期に「わかさぎとれんこんの酢漬け」をつくることが多い。酢を使って味付けをすることで日持ちがするため、いまでも日常的に食べられている。 + +## 飲食方法 +ワカサギはうろこをとり、塩水で洗って水気を切ったら、片栗粉をまぶして油で揚げる。れんこんは薄切りにし、揚げたてのワカサギとともに甘酢に漬け込む。しばらく寝かし、味が馴染んだら食べる。甘酢は、柚子の皮などを入れることで爽やかな風味を楽しめる。現在は、南蛮酢(甘酢、醤油、唐辛子)を使って「南蛮漬け」として食べられることも多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ワカサギ: 250g +- れんこん: 長さ2cmくらい +- 人参: 中1本 +- 玉ねぎ: 中1個 +- きゅうり: 長さ2cmくらい +- 柚子: 1/4個 +- 唐辛子: 1本 +- 【A】 酢: 500cc +- 【A】 砂糖: 大さじ3 +- 【A】 酒: 100cc +- 【A】 塩: 少々 +- 片栗粉: 少々 +- サラダ油: 適宜 + +## 作り方 +1. ワカサギはうろこを取り、塩水で洗って水気をふき取り、片栗粉をまぶして熱した油で揚げる。野菜は薄切りにする。 +2. Aで漬け汁をつくり、柚子の皮のみじん切り、唐辛子の輪切りを合わせて漬け込む。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「いばらきの味ー郷土料理献立集食・彩・百・景」(協力/茨城県食生活改善推進員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_17_1.jpg)" +"# がりがりなます 茨城県 + +**郷土料理名**: がりがりなます + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +大根、酢漬けの魚 + +## 歴史・由来・関連行事 +茨城県は、1年を通じて温暖な気候と豊かな水質を活かして、古来より農業が営まれ、さまざまな野菜が収穫されてきた“農業県”である。また一方で、県の沖合は、親潮と黒潮が交差する豊かな漁場で、季節ごとにさまざまな魚介が水揚げされる“漁業県”という一面も持つ。食材に恵まれる茨城県でつくられる郷土料理の「がりがりなます」も、こうした茨城県の旬の山の幸、海の幸を使いつくられる。「がりがりなます」は一般的ななますと同様に魚介類や野菜などを細かく切ったものに、酢を基本とした調味料で和えた料理であるが、その特徴は調理器具にある。「がりがりなます」の名の通り、大根を「鬼おろし」という器具を使用して、“ガリガリ”と粗くすりおろしていく。「鬼おろし」とは、竹製の鋭利な刃がついたおろし器のこと。その歯が鬼の歯を連想させることからその名がついた。「がりがりなます」が食べられている地域では、鬼おろしを保有している家庭も少なくない。竹製のため素材に熱が伝わりづらく、さらには一般的な大根おろしよりも粗くおろされていくため、素材の水分や食��を残しておろすことができる。「がりがりなます」は、県内全域で食べられているが、茨城県南部、水田地帯ではハレの日によく食べられている。 + +## 食習の機会や時季 +正月などのハレの日、また人の集まる際に決まって振る舞われる。日常的な家庭料理として食べることもある。 + +## 飲食方法 +「がりがりなます」は鬼おろしで大根を粗くすりおろすため、食べた時の食感が特徴である。また、昔はボラや小フナを入れてつくることも多かったという。小骨など気になる場合はコイやタコを使用してつくられることもある。つくりたてを食べると素材の味を楽しめるが、味が馴染んでからも美味しくいただける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根: 300g +- 酢漬けの魚: 100g +- 【A】 酢: 大さじ2 +- 【A】 砂糖: 大さじ2 +- 【A】 味噌: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 大根は、竹製の荒いおろし器(鬼おろし)でガリガリとおろし、薄く塩を振っておく。 +2. 小さめの酢漬けの魚を用意し、こけら、頭、腹わたをとり、5mmくらいの筒切りにし、塩と酢でしめておく。 +3. 大根、魚は軽く水気を絞って、Aで和える。 +4. 3を盛り付けるときに、薄く輪切りにしたねぎをのせてできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「いばらきの味ー郷土料理献立集食・彩・百・景」(協力/茨城県食生活改善推進員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_10_1.jpg)" +"# つけけんちん 茨城県 + +**郷土料理名**: つけけんちん + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +そば、里芋、大根、人参、こんにゃく、豆腐、生しいたけ + +## 歴史・由来・関連行事 +茨城県は、朝晩の寒暖差が大きく、水捌けの良い傾斜地が多いことから、江戸時代からそば栽培が盛んであった。現在でも、北海道、長野県、栃木県に次ぐ収穫量を誇り、関東のそばどころとしても知られている。昭和53年(1978年)から、そばブランド品種の育成に取り組み、「常陸秋そば」として味・香りともに品質の高いブランド品種が誕生した。その香りの良さは評判となり、首都圏のそばの名店でも使用されているほど、県外にもファンが多い。根菜類がよくとれる茨城県では「けんちん汁」もよくつくられたため、「けんちん汁」にそばをつけて食べるのが風習になった。江戸時代の後期にはすでに「つけけんちん」が食べられていたといわれている。旧暦の新年(現在の節分の時期)にそばを食べる「つけけんちん」の風習は水戸藩から広がったといわれている。いまも、北部地域を中心に茨城県全域で食べられており、地域に深く根づいている郷土料理である。 + +## 食習の機会や時季 +農作物の収穫の大半が済む11月も半ばになると、祭りのためのごちそうの一つとして、よく「つけけんちん」や「けんちんそば」をつくった。いまでは1年中食べることができるが、特に新そばが出る秋から冬は、寒さが厳しくなることもあり、よく食べられる。いまでも県内の飲食店や各家庭でも広く食べられている。「けんちん汁」の具材は、季節によって旬の食材を使用するなど、家庭ごとに特徴がある。 + +## 飲食方法 +里芋、大根、ごぼう、こんにゃく、ねぎ、人参などを炒め、味噌と醤油、みりんで味付けをした温かい「けんちん汁」に、ざるそばを別にそえていただく。太めのそばを使うのが特徴である。なお、「けんちん汁」にそばを入れて食べる場合は、「けんちんそば」と呼ばれる。他県でも「けんちんそば」は食べられているが、「つけけんちん」はこの地域独特の食べ方である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ごぼう: 40g +- 大根: 100g +- 人参: 40g +- 里芋: 4ケ +- こんにゃく: 1/3枚 +- 豆腐: 1/2丁 +- 生しいたけ: 3個 +- 芋がら(乾): 5g +- だし汁: 6カップ +- 赤味噌: 大さじ3 +- サラダ油: 大さじ2 +- そば: 4人分 + +## 作り方 +1. ごぼうをささがきにして、水にさらして、アクを抜いておき、大根、人参はいちょう切り、生しいたけは千切りにする。 +2. 里芋は輪切りにし、こんにゃくは一口大にちぎり、芋がらは水に戻して1cmくらいの小口切りにする。 +3. 豆腐は1cm角のさいの目に切る。 +4. 1、2を油で炒め、全体がしんなりしたら、だし汁を加えてじっくりと���る。 +5. 材料が煮え上がったら、赤味噌、豆腐を加え、ひと煮立ちさせる。 +6. そばをゆで、水でしめたら、けんちん汁と一緒に供す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「いばらきの味ー郷土料理献立集食・彩・百・景」(協力/茨城県食生活改善推進員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_2_1.jpg)" +"# 煮合い 茨城県 + +**郷土料理名**: 煮合い + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +県央地域 + +## 主な使用食材 +れんこん、ごぼう、人参、しらたき、干ししいたけ、油揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +茨城県は全国トップクラスの耕地面積を有し、れんこんやごぼう、ねぎなど、1年を通して、多くの野菜が収穫される。特に、霞ヶ浦の湖畔でのれんこん栽培は盛んであり、れんこんの作付面積・生産量ともに日本一。こうした野菜王国の茨城県では地元でとれる野菜を活用した郷土料理がいまも根づき、その一つが「煮合い」である。「煮合い」は、水戸市の東部に位置する下市地方の郷土料理。歴史は古く、れんこんやごぼうなど、茨城県の特産品である食材でつくられる。名前の由来は諸説あるが、「煮て和える」ことから「煮合い」と呼ばれるようになったといわれている。「子安講(こやすこう:毎月19日に安産祈願のために子安神をまつる講)」などの多い地域で、その際のおもてなし料理として振る舞われていた。「煮合い」は、スーパーマーケットなどで売っているのではなく、主に家庭でつくられる料理。調理方法はいたってシンプルだが、家庭によって具材や味付けの違いがあらわれる。 + +## 食習の機会や時季 +ごぼうやれんこんなど、地元で手に入りやすい食材を多く使用してつくられる。もともとは水戸市周辺の正月や祝いの席など人の集まるハレの日には欠かせない郷土料理として食べられていた。酢を使って味付けをすることで日持ちがするため、日常的に食べられている。冠婚葬祭の際も提供され、仏事の時は人参を入れずに白い料理に仕上げる。 + +## 飲食方法 +いちょう切りにしたれんこんと千切りにした人参、ごぼう、油揚げなどを炒め、火が通ったらだし汁、醤油などで味付けし、最後に酢を回しかけて煮る。調味料と野菜の水分だけで煮上げるのが特徴。出汁の旨味と酢のさっぱりとした味わいが良く、好みで白ごまをふりかけて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ごぼう: 200g +- 人参: 100g +- れんこん: 100g +- 干ししいたけ: 5枚 +- しらたき: 1玉 +- 油揚げ: 1枚 +- 油: 大さじ3 +- 【A】 醤油: 大さじ4 +- 【A】 砂糖: 大さじ1 1/2 +- 【A】 酢: 大さじ2 +- だし汁: 1/2カップ +- 白ごま: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 干ししいたけを水に戻して細く切る。 +2. れんこんは、太いものは4つ割り、細いものは半分に切り、薄切りにする。 +3. ごぼう、人参はマッチ棒くらいに切る。 +4. 油揚げは湯通しして細切り、しらたきは塩を加えた熱湯に通す。 +5. 鍋に油を入れ、ごぼう、人参、れんこん、油揚げ、しらたき、しいたけの順に炒め、だし汁、Aを加え煮こむ。 +6. ごぼうがしんなりしてきたら、酢を加えよく混ぜ、しっかりふたをして火を止め蒸らす。 +7. 翌日までこのままにしておき、他の器に移し、白ごまを振りかけて供す。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 中川学園調理技術専門学校中川 一恵氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_1_1.jpg)" +"# 紫錦梅 茨城県 + +**郷土料理名**: 紫錦梅 + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +水戸市 + +## 主な使用食材 +梅、赤しそ、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +日本三名園の一つである、水戸の偕楽園は約100品種3000本の梅が植えられ、梅の名所として有名である。この偕楽園をつくったのが、水戸藩徳川家9代藩主、徳川斉昭(とくがわ なりあき)。斉昭公が梅の木をたくさん植樹したのには理由があり、一つは、梅が春の訪れを告げる花として人々を前向きな気持ちにさせるというもの。そして、梅の実の酸味は、喉の乾きと疲れを癒してくれるため、軍事用の食料として最適だったということから、梅の木が数多く植えられることとなった。偕楽園で実った梅を余すことなく有効活用しようと斉昭公が考案したのが「紫錦梅」である。傷がないきれいな梅は梅干しにしたり、梅酒に使うが、傷があったり、見た目が悪い梅を木槌などでたたき割って種を除き、身だけをしそと漬けたものが「紫錦梅」である。別称で「梅びしお」とも呼ばれる。茨城県では、偕楽園のほかにも、同じ水戸市内にある弘道館や、筑波山など梅の名所が多かったが、実は食用梅は県内であまり流通していなかった。しかし近年になって、茨城県産のブランド梅・常陸乃梅が普及しつつあり、食の面でも梅が名産となっている。 + +## 食習の機会や時季 +梅の実は6月中旬から下旬に収穫するが、保存食であるため年間を通して食べられる。 + +## 飲食方法 +少しかたさが残っている梅を木槌で叩いて種をのぞく。梅の重さの10%から15%程度の塩を振り入れてよく混ぜておく。赤しそを梅の目方の10%程度用意し、洗って汚れをとり塩をまぶして半日ほど寝かせる。すると黒いアクが出てくるので、それをとってから梅に加える。しばらくすると、赤紫蘇の色が梅にも移り、きれいに発色するので、塩が馴染んだら食べどきである。白米やおかゆのお供にしたり、おにぎりの具材にしたりと活用の幅は広い。また、夏はたたききゅうりに和えると、食欲が低下する時期でもさっぱりと食べられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 梅: 10個 +- 塩: 種を除いた果肉の重量の10~15% +- 赤じそ: 種を除いた果肉の重量の10% +- 赤じそアク出し用の塩: 赤じその重量の10% + +## 作り方 +1. 梅は水で洗ってざるに上げ、一つずつ水気をていねいに拭き、厚手のビニール袋に入れる。かたい台の上ですりこ木でたたいて実を割る。 +2. 数回に分けてたたき割り、実をたくさんとって種を除く。柔らかく熟した実なら手で割れる。 +3. 種を除いた果肉の重量をはかり、その10~15%の塩を用意する。常温なら15%、冷蔵庫で保存ができれば10%の塩でも良い。塩は精製塩でも、自然塩でも好みで。 +4. 保存瓶はきれいに洗って煮沸消毒し、水気を完全に乾かす。ふたが金属のものは腐食しやすいので、なるべく避ける。梅を入れて塩を加える。 +5. 瓶を振って全体に塩が行き渡るようにする。4~5日は朝夕瓶を振って塩を全体に回し、赤じそが出回るまで冷暗所に保存する。赤じそがすでにあればすぐに6に進む。 +6. 赤じそは分量の塩を2回に分けて振り、ギュッギュッと塩もみし、そのつどアクを絞る。水気をしっかりと絞ったらほぐして保存瓶に加える。 +7. 瓶を振って赤じそを全体に回す。梅酢が上がっていればすぐにきれいな赤紫色に色が出るが、梅を入れてすぐなら全体に散らして冷暗所に保存する。 +8. 全体にきれいな色になるまで、毎日1回ほど取り出して瓶を振り、赤じその色を全体に行き渡らせる。10%の塩分なら必ず冷蔵庫に入れ、それ以外も冷暗所で保存する。 +9. 全体に滑らかになって暑さを越した頃から塩が馴れて美味しくなる。それまでは冷蔵庫か冷暗所で保存する。滑らかにしたい時は、2でフードプロセッサーにかけてから漬けると良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中川学園調理技術専門学校 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_30_1.jpg)" +"# たがね餅 茨城県 + +**郷土料理名**: たがね餅 + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +南部地域、鹿行地方 + +## 主な使用食材 +もち米、うるち米 + +## 歴史・由来・関連行事 +いまでも田園風景が広がり、全国屈指の米どころとしても名高い茨城県。年間を通じて温暖な気候と豊かな水質を活かして、茨城県は古くから稲作が盛んにおこなわれてきた。また、米どころの茨城県では、長年もち米の栽培もおこなわれてきた。もち米は、餅料理だけでなく、赤飯やおこわなどにも使われ、正月などのハレの日によく食べられている。そうした茨城県で親しまれる餅料理の一つが「たがね餅」である。 “たがね”は、生米を浸水してついてかためた""しとぎ”の古語といわれている。「たがね餅」は、茨城県南部を中心に、広く茨城県内で食べられている郷土料理である。茨城県南部の地域では、国内第2位の湖面積を誇る霞ヶ浦と利根川に囲まれた穀倉地帯であるため、豊富に取れるもち米やうるち米を使った「たがね餅」をはじめとした、さまざまな餅がつくられるようになったといわれている。「たがね餅」は、もち米と、普段からごはんとして食べている「うるち米」を混ぜあわせてつくられる。かたちは、なまこのような楕円形で平たく、焼いたり、揚げたりして食べられる。「たがね餅」の中には、豆や青のりなどを入れるなどして、家庭によって、さまざまな工夫をこらした「たがね餅」をつくっていた。石岡市やかすみがうら市では、伝統的に青のりを入れてつくっている。県北地域の大子では、大豆と白ごまを入れ、鹿行地域の鉾田市では、しその実を入れる。県内各地でそれぞれの「たがね餅」があったようである。 + +## 食習の機会や時季 +他の餅と同様に、1年のなかで、正月にもっとも食べられるほか、石岡市では菓子店でも販売されていて、日常的にも食されている。いまでもお正月が近づくと、スーパーマーケットや道の駅の店頭に多く並ぶ。 + +## 飲食方法 +洗って一晩水につけたもち米と、1時間水につけたうるち米を合わせて蒸し器で1時間蒸す。その後、餅つき機でつきながら青のり、塩、白ごまなどを混ぜ、なまこ型に整える。固くなりすぎないうちに1cmほどの厚さに切り焼いて食べる。食べると、お米つぶと豆の食感があり、歯応えがある。また海苔の風味も楽しめる。醤油をかけてシンプルに食べることが多いが、お雑煮の中に入れることもある。薄く切った「たがね餅」は揚げて、お煎餅のようにして食べることもできる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分(1.5kgのなまこ餅1本分) +- もち米: 3.5合 +- うるち米: 1.5合 +- 塩: 小さじ2(10g) +- 青のり: 大さじ3・1/3(10g) +- 白ごま: 大さじ2強(20g) +- 打ち粉(片栗粉): 適量 + +## 作り方 +1. もち米は洗って一晩、うるち米は洗って1時間週間水につける。 +2. 1を合わせて水を切り、蒸し器で1時間蒸す。 +3. 餅つき機でつきながら、塩、青のり、白ごまを混ぜる。 +4. なまこ型にととのえ、打ち粉をまぶす。 +5. 1時間ほどおいてかたくならないうちに1cmほどの厚さに切っておく。かたくなったら焼いて食べる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 常磐大学教授荒田 玲子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_29_1.jpg)" +"# 干しいも 茨城県 + +**郷土料理名**: 干しいも + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +さつまいも + +## 歴史・由来・関連行事 +老若男女から親しまれているさつまいもの加工品である「干しいも」。茨城県は、全国の「干しいも」の生産量のトップを誇る。そのうちの大部分を生産しているのが、ひたちなか市、東海村、那珂市である。「干しいも」の発祥の地は静岡県で、遭難した薩摩(現・鹿児島県)の船を大澤権右衛門(おおさわごんえもん)が助けたことをきっかけに、静岡県にさつまいもがもたらされたのがきっかけだといわれる。静岡県でさつまいも栽培が広がる中で、栗林庄蔵という者が、さつまいもを煮て包丁で薄く切ったものを干す煮切り干し法という手法を考えつき、これが「干しいも」のはじまりとなったといわれている。いつでも食べれられる、保存がきくといった利便の良さから、一気に関東まで広まっていったといわれる。その後、静岡県沖で遭難した照沼勘太郎が、静岡県で目にした「干しいも」を茨城県でつくりはじめた。そして、那珂湊市(現ひたちなか市)でせんべい屋を営んでいた湯浅藤七や小池吉兵衛が「干しいも」の製造・販売をはじめたことによって、一気に生産量が増えたといわれている。阿字ヶ浦(あじがうら)の堀出神社には、「干しいも」を広めた人物として、吉兵衛の胸像がある。戦争をきっかけにさつまいもが主食にとってかわったことで、一時期「干しいも」の生産は実質ストップしたが、戦後、県の推奨もあり「干しいも」生産が復活した。 + +## 食習の機会や時季 +海から吹く強い風を利用して干す作業がおこなわれるため、主な出荷時期は11月から3月中旬までが一般的。ただし、保存食であるため、1年を通じて食べられている。工程がシンプルなことから、家庭でもよくつくられ、軒先にさつまいもを干している様は、冬の風物詩であった。いまでは小腹が空いたときの間食や子どものおやつなどに親しまれている。 + +## 飲食方法 +さつまいもを蒸し��、薄く切ったら、外に干して乾燥させる。水分が抜けて干からびてきたら食べどきである。素朴な甘さとほっくりとした食感は子どもたちからも好まれる。そのまま食べても満足感を得られるが、かき揚げにしたり、パウンドケーキやシフォンケーキの生地の中に入れたりするなど、アレンジも豊富である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 () +- さつまいも: 適量(3本:750g) + +## 作り方 +1. さつまいもは、皮付きのまま柔らかくなるまで蒸す。 +2. 1のさつまいもの皮を熱いうちにむく。皮はアクのある部分を取り除くため厚くむく。さつまいもの上下もアクが残るため厚めに切る。 +3. さつまいもを縦に1cm幅に切る。さつまいもが柔らかいうちに繊維に沿ってピアノ線または釣り糸(絹糸でも可)を使うときれいにカットできる。 +4. ざるに重ならないように並べる。風通しの良いところで、1週間天日に干す。ざるからはがれるようになったら、裏返して両面を干す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 茨城キリスト教大学生活科学部食物健康科学科教授 渡辺 敦子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_28_1.jpg)" +"# すだれ麩のごま酢和え 茨城県 + +**郷土料理名**: すだれ麩のごま酢和え + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +結城市 + +## 主な使用食材 +すだれ麩、白ごま、酢、砂糖、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +「すだれ麩のごま酢和え」は、茨城県結城市でつくられている郷土料理である。結城市がある西部地域は、1年を通じて晴天の日が多く、また利根川や鬼怒川の恩恵を受け、古くから農耕が盛んであり、米や麦、大豆、そばなどさまざまな食材がつくられている。結城城があった北部は、城下町として栄え、寺院なども多く建てられた。そこで食べられる精進料理に使われた食材の一つが、すだれ麩である。小麦の保存も兼ねてつくられたといい、江戸時代後期にはすでに食べられており、当時の貴重な食材であったという。他の県にもすだれ麩はあるが、結城市のすだれ麩は、小麦粉から取り出したグルテンに、再び小麦粉を加えてよく練ったものを薄くのばして全体に塩をまぶす。それをゆでた後、竹でつくったすだれに広げて天日干しにする。保存性が高い麩としては焼き麩があるが、結城市のすだれ麩は、生麩に塩をまぶし、加熱して乾燥させることでより高い保存性を実現している。全て手づくりでつくられており、現在でもその生産量は限られたものであることから、結城市のみで食べられている。「すだれ麩のごま酢和え」のほか、煮物やお吸い物などにも使われる。 + +## 食習の機会や時季 +すだれ麩は、非常に手間ひまをかけてつくられることから、貴重な食材とされ、冠婚葬祭など特別な日に食べられた。最近では、お盆の時期など、家族が一堂に集まる時にも食べられている + +## 飲食方法 +一晩中水につけて戻したすだれ麩を、1cm幅に切り、すりごま、酢、醤油を混ぜ合わせて食べる。すだれ麩は塩が多くついているので、水で戻す際に、しっかり塩も落とすことが重要である。現代風のアレンジとして、わかめやきゅうりを加えて食べる家庭も多い。つくる工程で塩をまぶすことでグルテンの強度が高まっているので、通常の生麩よりも、よりしっかりした歯応えを感じることができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- すだれ麩: 2枚 +- 白ごま: 大さじ3 +- 【A】 酢: 大さじ3 +- 【A】 砂糖: 大さじ2 +- 【A】 醤油: 大さじ1 +- 紅しょうが: 少々 + +## 作り方 +1. すだれ麩は一晩水につけて戻し、1cm幅に切る。 +2. ごまは炒ってすり鉢で半ずりにし、Aを加えて、さらにすり混ぜる。 +3. 水気を切った1を2で和え、紅しょうがをそえる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 中川学園調理技術専門学校 中川 一恵氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_27_1.jpg)" +"# こも豆腐 茨城県 + +**郷土料理名**: こも豆腐 + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +豆腐 + +## 歴史・由来・関連行事 +1年を通じて温暖な気候と豊かな水質を活かして、古来より農業が営まれてきた茨城県。れんこんやピーマン、ごぼうなどの農作物が有名だが、茨城県を代表する納豆の原料とな��大豆の栽培も地元でおこなわれている。小粒の大豆は納豆に加工され、大粒の大豆は豆腐に加工される。そうした大豆をつかった茨城県の郷土料理の一つに「こも豆腐」がある。「こも豆腐」とは、豆腐を納豆のように藁苞(わらづと)で包み、塩ゆでしたもので「つと豆腐」とも呼ばれる。茨城県のほかにも、福島県や群馬県、岐阜県などの一部の地域でつくられている。豆腐は今から2000年前、漢の時代に中国で誕生し、その後、奈良時代に遣唐使を通して日本にもたらされたと言われている。お寺の精進料理に重宝されたものがやがて庶民の間に広まり、江戸の頃にはすでに豆腐屋が繁盛していたという。肉が簡単に手に入れられなかった時代は、豆腐はたんぱく質を得られる大切な食材だった。しかしあまり日持ちがしないことから、村のみんなでわらを持ち寄り、そこに豆腐をつめて大鍋で塩ゆでしてつくるという、庶民の支え合いから生まれた料理だと言われている。 + +## 食習の機会や時季 +県央地域では、冠婚葬祭の時の料理として親しまれてきた。しかし、近年は藁苞が手に入れにくいため、家庭でつくる機会が減っている。 + +## 飲食方法 +水切りをした豆腐をほぐしながら藁苞につめ、わらで巻きながらかたちを整える。塩を入れた熱湯の中に豆腐をつめた藁苞を入れてしっかりゆでる。塩ゆですることで豆腐がしまっていくので、かたくなったら取り出して冷まし、藁苞から外す。最後にだし汁でゆっくり煮含め、一晩ほど寝かしてから食べる。食べる際は、醤油や酢味噌につけて食べるのが一般的である。藁苞から豆腐を取り外すと、わらの跡が美しい模様をつくり出す上に、ほんのりとわらの香りや色が豆腐に移り、それが「こも豆腐」ならではの素朴な味わいにつながる。また、豆腐を藁苞につめる際に、枝豆や小豆、刻んだ人参などを入れると切った時の断面があざやかになる。ほかにも味が染みやすいという性質から、オイル漬けにしたり、肉豆腐に入れたりとさまざまなアレンジが楽しまれている。藁苞が無い一般家庭でつくる際には、巻きす等を利用しつくることもある。巻きすを利用する場合は最初に豆腐をゆでて、かたくなったものを巻いてそのまま味を含ませつくる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 豆腐: 4丁 +- 【A(1本2人分)】 醤油: 1カップ +- 【A】 みりん: 1/2カップ +- 【A】 砂糖: 1カップ +- 【A】 酒: 1/2カップ +- 【A】 水: 2カップ +- わら: 適量 + +## 作り方 +1. わらをきれいにして、藁苞をつくる。 +2. 豆腐は湯通しし、ざるにあけ冷めないうちにくだく。 +3. くだいた豆腐を藁苞に入れ、たこ糸でしっかりしばり30分ほどおく。 +4. 調味料Aを鍋に入れ、煮立ったら藁苞から出した豆腐を入れ、味が染みるまで煮る。 +5. 食べやすい大きさに切る。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 中川学園調理技術専門学校 中川 一恵氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_25_1.jpg)" +"# 五目いなりずし 茨城県 + +**郷土料理名**: 五目いなりずし + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +油揚げ、米、人参、ごぼう、しいたけ + +## 歴史・由来・関連行事 +茨城県では、1年を通じて温暖な気候と豊かな水質を活かして、古来より農業が営まれてきた。白菜、れんこん、ピーマンなど、全国トップクラスの産出額を誇るものも数多く、野菜から肉にいたるまで実にさまざまな食材がつくられている、まさに“農業県”である。地元でとれる農産物を使った郷土料理として「五目いなりずし」も長年親しまれている。特に笠間市では、日本三大稲荷の一つとしてあげられる笠間稲荷神社が鎮座していることから、古くから市民や参詣客に「五目いなりずし」を振る舞ってきた。現在もまちをあげて盛り上げている。「笠間いなりずし」の特徴は、”五目”といって想起する、人参やごぼう、しいたけといった具材に加え、地場産のそばやくるみ、舞茸など、幅広い食材を使うことで知られる。色とりどりの具材がのったいなりずしは、とても華やかである。 + +## 食習の機会や時季 +年間を通して、さまざまなシチュエーションで食べられている。大人はもちろん、子どもにも人気の料理である。 + +## 飲���方法 +油揚げは油抜きし、砂糖、みりん、醤油などの合わせ調味料で煮立たせ、味を馴染ませる。人参やごぼう、しいたけといった具材は食べやすく千切りなどにして炒め、味をつけたら、ごはんに入れて均一に混ぜる。油揚げの中に具材を混ぜ込んだごはんをしっかり詰め、口の部分を上にして中身が見えるようにお皿などに並べていただく。アレンジは非常に豊富で、米を炊く際にもち米を少し混ぜておこわのようにしたり、夏は枝豆、冬はぎんなんなどを入れて、季節感を味わうのも楽しい。また、茨城県は全国のそば職人から高い評価を得ているブランド品種、「常陸秋そば」の産地でもあることから、そばを使ったアレンジも人気である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 油揚げ: 200g +- 【A】 砂糖: 大さじ3 +- 【A】 みりん: 小さじ1 +- 【A】 醤油: 小さじ3 +- 【A】 だし汁: 2カップ +- まいたけ: 80g +- しいたけ: 80g +- 人参: 80g +- ごぼう: 80g +- 枝豆: 80g +- さやいんげん: 40g +- 糸こんにゃく: 80g +- 油: 大さじ1 +- 【B】 醤油: 大さじ2 +- 【B】 砂糖: 大さじ1 +- 【B】 酒: 大さじ2 +- 米: 320g + +## 作り方 +1. 油揚げは1枚を2つに切り開き、湯通しして油抜きをし、Aの調味料で煮含める。 +2. 人参、ごぼうはささがきにし、ごぼうは水につけてアクを抜く。糸こんにゃくは3~4cm長さに、しいたけは千切りにする。 +3. 鍋に油を熱し、2の材料を入れて炒め、さらに手で割いたまいたけを加え、Bの調味料で味付ける。 +4. 普通に炊いたご飯に3を入れ、均一にまぜる。 +5. さやいんげんはゆでて千切りに。1の油揚げの中に4を入れてきっちり詰め、油揚げの縁をたたんでかたちを整え、白ごまと千切りのさやいんげんをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「いばらきの味ー郷土料理献立集食・彩・百・景」(協力/茨城県食生活改善推進員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_24_1.jpg)" +"# 小倉れんこん 茨城県 + +**郷土料理名**: 小倉れんこん + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +茨城全域、霞ヶ浦周辺地域 + +## 主な使用食材 +れんこん、小豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +茨城県のれんこんは、出荷量および作付面積ともに全国一位で、国内50%以上のシェアを誇る。霞ヶ浦周辺は、豊富な水と肥沃な湿地帯に恵まれ、れんこん栽培が盛んにおこなわれている。霞ヶ浦のれんこんの収穫期は、7月から3月頃。この時期になるとれんこんの育成を止めるために、蓮の茎や葉を全て切り倒す。こうすることで、地下に眠るれんこんは、じっくりでんぷん質をため込んでいく。長く泥の中にいることででんぷん質が増えるので、夏のれんこんはシャキシャキとした食感になり、冬のれんこんはほっくりとした味わいになる。また小豆も茨城県でとれるため、地元でとれる食材でつくれることから、「小倉れんこん」も長く家庭でつくられてきた。他の地域でも「小豆れんこん」もしくは「れんこんの小豆煮」と呼ばれる郷土料理が存在するが、茨城県は、小豆と一緒に煮込み、“紫峰色(しほういろ)”にするのがポイントである。“紫峰(しほう)”とは、茨城県の名峰・筑波山の別称で、朝夕に陽を受けて山肌が赤く染まることから紫峰(しほう)の山と呼ばれるようになった。 + +## 食習の機会や時季 +穴があるれんこんは""先が見通せる”縁起物の食材として知られ、また小豆もその赤い色が邪気を払うとして、正月や慶事の席に欠かせないものだった。そのため、「小倉れんこん」もお正月に欠かせない料理として、食卓に上がる。 + +## 飲食方法 +皮をむいて5cmくらいの輪切りにしたれんこんの穴に小豆を詰め込んで鍋に入れる。れんこんがかぶるくらいに水を入れ、ゆっくり弱火で2時間から3時間煮こむ。れんこんと小豆が柔らかくなってきたら砂糖と塩を入れて味付けをし、ゆっくり冷まして味を馴染ませてから食べる。この時食べやすく、1cmくらいの厚さにカットすると良い。小豆の缶詰などでつくると、“紫峰色(しほういろ)”にならないため、小豆は豆の状態から一緒に煮こんでいくことがポイントである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- れんこん: 200g +- 小豆: 25g +- 砂糖: 100g +- 塩: 小さじ1/4 + +## 作り方 +1. れんこんは皮をむいて5cmくらいの輪切りにする。 +2. 鍋にれんこんの穴を上に向けてきっちり並べる。 +3. 小豆はきれいに洗う。れんこんの穴に小豆を詰める。詰めすぎるとれんこんが割れてしまうので注意する。 +4. れんこんがかぶるくらいに水を入れ、れんこんと小豆が柔らかくなるまで弱火でゆっくり煮る。水が少なくなったら水を足し、2~3時間煮る。強火で煮ると、小豆がれんこんの穴から飛び出してしまうので、弱火でゆっくり煮る。 +5. れんこんと小豆が柔らかくなったら砂糖と塩を入れて味付けをする。 +6. ゆっくり冷まして1cmくらいの輪切りにする。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 中川学園調理技術専門学校 中川 一恵氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_23_1.jpg)" +"# かぼちゃのいとこ煮 茨城県 + +**郷土料理名**: かぼちゃのいとこ煮 + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +かぼちゃ、小豆、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +茨城県は、市場でも評価の高い「江戸崎かぼちゃ」をはじめ、「那珂かぼちゃ」や「みやこかぼちゃ」などの品質の高いかぼちゃを育てるかぼちゃの生産地である。かぼちゃの生産量も国内トップクラスを誇り、冬至の時期になると、かぼちゃ料理がよく食べられていた。そうしたかぼちゃ料理のなかでよく食べられていたのが「かぼちゃの煮物」である。小豆と一緒に煮る「かぼちゃのいとこ煮」は冬至の定番料理として根づいてきた。”いとこ煮”とは、主に野菜や豆類でつくる煮物のことである。正月やお盆、その他祝いの席でお供えした野菜や豆を、行事の後に煮て食べたことがはじまりだといわれている。その名の由来は諸説あり、“野菜別にめいめいに煮る”から”姪々”とかけ、姪同士はいとこであるからという説。また、“野菜を追々煮る”から“甥々”で甥同士はいとこであるからという説。そして、野菜や豆は畑でとれるもので、いとこのようなものだからという説がある。かぼちゃは保存がきくため、あまり食糧がとれない時代の貴重な栄養源となっていた。冬至の日にかぼちゃを食べるのは諸説あるが、野菜の収穫が少なくなる厳寒期を健康に乗り越えられるように願いを込めて、保存していた栄養価の高いかぼちゃを食べる習慣がいまに伝わるといわれている。また、小豆も保存がきき栄養価が高いことから、「かぼちゃのいとこ煮」は、風邪をひかずに冬を乗りきるための郷土料理として親しまれてきた。さらに小豆の赤は邪気を払うといわれ、縁起の良いかぼちゃと小豆でつくる「かぼちゃのいとこ煮」が食べられるようになったと考えられる。 + +## 食習の機会や時季 +かぼちゃの収穫時期は夏だが、長期保存ができるため収穫後は保存し、寒さの厳しい冬に栄養不足を補うために食べていた。なかでも日照時間が最も短い冬至は、体が弱まる時期となるため、栄養価の高いかぼちゃと小豆を煮た「かぼちゃのいとこ煮」を食べる習慣が根づいた。 + +## 飲食方法 +小豆を一晩水につけておき、柔らかくなるまで煮る。また、かぼちゃも5cm角くらいの大きさに切り、醤油、砂糖、塩などの合わせ調味料で煮ていく。途中で小豆を加えて馴染ませてからいただく。手軽なアレンジとして、小豆の甘納豆を使うと調理時間を短縮できる。この場合は、砂糖をひかえると良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- かぼちゃ: 600g +- 小豆: 50g +- 【A】 醤油: 大さじ1 +- 【A】 塩: 小さじ1 +- 【A】 砂糖: 大さじ2 +- 【A】 酒: 1/3カップ +- 【A】 水: 1カップ + +## 作り方 +1. 小豆を一晩水につけておき、柔らかくなるまで煮る。 +2. かぼちゃを5cm角くらいに切り、鍋にAを入れ中火で煮る。途中で1を加える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「いばらきの味ー郷土料理献立集食・彩・百・景」(協力/茨城県食生活改善推進員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_22_1.jpg)" +"# はまぐりごはん 茨城県 + +**郷土料理名**: はまぐりごはん + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +ハマグリ、しいたけ、人参 + +## 歴史・由来・関連行事 +茨城県大洗岬から千葉県犬吠埼にいたる海域の鹿島灘は、親潮と黒潮がぶつかる��目であるため、豊富な海の幸に恵まれる。鹿島灘の砂地が続く沿岸部では春ごろになると、産卵前の大ぶりなハマグリがとれる。時に10cmを超えるハマグリがとれ、市場では「鹿島灘はまぐり」の名で高値で取引されている。「鹿島灘はまぐり」は、和名を「チョウセンハマグリ」というが、その名前から輸入品と間違われやすく、平成7年(1995年)から「鹿島灘はまぐり」と名付け、県をあげてブランド化している。現在、国内で流通しているハマグリの多くは輸入品で、国産ものはわずか10%ほどと希少な食材となってきたが、そのうちの半数以上が鹿島灘産である。そうした希少な「鹿島灘はまぐり」を守るため、大洗町・鹿島灘・はさきの3漁協では、輪番制で計画的に漁をおこなうなどの管理を徹底するなどの保存活動がおこなわれている。いまでこそ希少となったハマグリではあるが、昔は大洗や鹿行(ろっこう)地域の沿岸部でよくとられていため、茨城県では身近な食材であった。とれたハマグリを新鮮なまま刺身や網焼きで味わうものから、味噌汁に入れたり、酒蒸しにするなど、さまざまな調理方法で親しまれてきた。「はまぐりごはん」もはまぐり料理の定番料理として、家庭でもよく食べられてきた。 + +## 食習の機会や時季 +ハマグリの旬は春だといわれるが、「鹿島灘はまぐり」は、6月から7月頃がちょうど産卵前の時期となるため身が肥え、旨味も濃くなるという。ハマグリの貝殻は、大きさやちょうつがいのかたちが違うため、一度外すと他の殻と決して合わないことから、結婚式や雛祭り、お正月など、おめでたいハレの席で振る舞われてきた。また、ハマグリがたくさんとれていた頃は、時期に関わらず、家庭ごとの味付けで「はまぐりごはん」がよくつくられていた。 + +## 飲食方法 +ハマグリを食べやすい大きさに切り、千切りにした人参、しいたけとともに油で手早く炒め味付けをする。炒めすぎると身がかたくなりすぎてしまうので注意が必要。米に炒めた時に残った煮汁と水を入れて炊き上げ、最後に具を混ぜ込んでいただく。各家庭によって味付けや、入れる具材が異なる。ハマグリのぷりぷりとした食感と、旨味を存分に味わえる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 3カップ +- ハマグリのむき身: 300g +- 生しいたけ: 7枚 +- 人参: 50g +- 醤油: 大さじ3 +- 砂糖: 大さじ1 +- 酒: 大さじ3 +- だし汁: 3/4カップ +- サラダ油: 大さじ1 +- 三つ葉: 少々 + +## 作り方 +1. ハマグリは食べやすい大きさに切り、人参、しいたけは千切りにする。材料を油で炒め、味付けをする。具と煮汁は分けておく。 +2. 米に水と煮汁を加えてごはんを炊き、炊き上がったごはんに具をのせ、10分くらい蒸らして混ぜる。 +3. 彩りとして三つ葉を散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「いばらきの味ー郷土料理献立集 食・彩・百・景」(協力/茨城県食生活改善推進員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_21_1.jpg)" +"# いわしの卯の花漬け 茨城県 + +**郷土料理名**: いわしの卯の花漬け + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +北部地域 + +## 主な使用食材 +イワシ、おから、柚子 + +## 歴史・由来・関連行事 +全国屈指の“農業県”として名高い茨城県だが、その一方で、“漁業県”という一面も持つ。県の沖合は、親潮と黒潮が交差する豊かな漁場で、季節ごとにさまざまな魚介類が水揚げされる。北茨城市の大津漁港・平潟漁港では、サバやイワシなどが多くとれ、大津漁港は県内随一の施網漁港として年間数万トンの漁獲量を誇るほど。水揚げされたサバやイワシは新鮮なうちに刺身や焼いて食べるほかに、丸干しや缶詰などの加工品にもされ、いまでは海外にも多く輸出されるほどである。そうした海の幸に恵まれた茨城県で、長く親しまれている郷土料理の一つが「いわしの卯の花漬け」である。「いわしの卯の花漬け」の「卯の花」とはおからを指す。豊富にとれる新鮮なイワシを長く味わえるよう、時間をかけてしっかり酢と合わせたおからに漬けることで長持ちするため、地元では保存食としても重宝されてきた。 + +## 食習の機会や時季 +「いわしの卯の花漬け」はおせち料理としても食べられていたため、各��庭では11月くらいからとれるマイワシを使ってつくっていた。おせち以外にも日常の保存食として食されてきた。 + +## 飲食方法 +新鮮なイワシの頭と内臓、骨を取り出して水洗いをしたら、塩を振って数時間寝かす。その後、水で塩気をとり、10時間以上酢につける。10時間漬けたら、砂糖を加えた酢に、さらに10時間漬ける。しっかり酢漬けすることで保存力が高まる。一方、おからも酢と砂糖を入れて炒った後、冷まして味を馴染ませておく。最後に、酢を切ったイワシとおから、柚子の皮、赤唐辛子、ごま、塩を混ぜていただく。お酒の肴にも、ごはんのおともにも合う料理。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 背黒イワシ: 9尾 +- 塩: 100g +- 酢(A): 100cc +- 卯の花: 100g +- 人参の千切り: 30g +- 砂糖: 大さじ3 +- 酢(B): 大さじ3 +- 柚子: 1/2個 +- 鷹の爪: 少々 + +## 作り方 +1. イワシはよく洗い、手開きで中骨と腹骨を取り除く。水気をふき取り、塩をまぶして30分程度漬ける。酢を二つに分け、片方で塩漬けのイワシを洗う。バットを用意し、イワシを並べて残りの酢をひたひたに注ぎ、30分以上漬け込む。 +2. 鍋に卯の花、砂糖、酢、鷹の爪、人参の千切りを入れて、水気がなくなるまで乾煎りし、柚子の千切りを混ぜ完全に冷ます。残りの柚子の果汁は絞って卯の花に混ぜる。 +3. 2のイワシを開いて酢を拭き取り、卯の花を挟んで軽く握り、かたちをととのえる。皮の方にも卯の花をまぶしつける。 +4. 器に盛る。※このレシピは保存が効かないため、早めに食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「いばらきの味ー郷土料理献立集食・彩・百・景」(協力/茨城県食生活改善推進員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_20_1.jpg)" +"# うなぎの帆引き煮 茨城県 + +**郷土料理名**: うなぎの帆引き煮 + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +利根川、霞ヶ浦周辺 + +## 主な使用食材 +うなぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +国内第2位の広さを誇る霞ヶ浦は、海との交流もあり、プランクトンが豊富なことなどから、ワカサギやシラウオ、うなぎ、フナなど、さまざまな淡水魚に恵まれた。天然のうなぎも例にもれず、霞ヶ浦や利根川流域でよくとれ、うなぎの名産地として知られている。龍ヶ崎市の牛久沼は、うな丼発祥の地ともいわれ、いまでもうなぎ料理の老舗店舗が軒を連ねる「うなぎ街道」と呼ばれる地がある。うなぎといえば贅沢な食材であるが、かつてはこの地域ではよくうなぎが取れたため、茨城県ではうなぎ料理は一般的によく食べられたという。このとき余ったうなぎを冷凍しておき、急な来客などがあったときに凍ったままのうなぎを手早く、豪勢な料理にできるようにと考えられたのが「うなぎの帆引き煮」である。「うなぎの帆引き煮」の“帆引き”とは、霞ヶ浦で漁業をおこなっていた巨大で真っ白な帆が特徴的な“帆引き船”を指す。平成30年(2018年)3月には霞ヶ浦の帆引き網漁の技術が国選択無形民俗文化財に選定されている。帆引き船は、風力を利用してひき網を引きながら漁をおこなう。白い帆を広げた何十隻もの帆引き船が湖上に浮かぶ様は、霞ヶ浦の名物であったという。しかし、風がない時は漁ができないことと、帆が非常に大きいため、突風に煽られたときに転覆する危険性も高かったことから、現在では、機械トロール船による漁になっている。その巨大で真っ白な帆が特徴的な帆引き船を模した笹の葉をあしらったため「うなぎの帆引き煮」と呼ばれるようになった。現在、帆引き船は、春から秋にかけて観光用に運用されている。 + +## 食習の機会や時季 +急な来客があるときや、おもてなしの席などでつくられた。天然のうなぎは、6月から10月ごろまでが旬といわれている。霞ヶ浦のうなぎは川を下らず、海に出ない珍しいうなぎである。 + +## 飲食方法 +鍋に酒を入れ、煮立ったところにうなぎを入れ、ひと煮立ちさせたら醤油、砂糖を入れてふっくらと仕上げる。煮汁が煮つまってきたら、うなぎを取り出してさらに煮つめ、煮汁をうなぎにかけていただく。多めの酒で煮ると、よりふっくらと仕上がる。大きめの笹を用意し、帆引き船に見立てて飾ってから食べる。ごはんにのせてうな丼として食べても良い。また、山椒などの薬味を加えて食べることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- うなぎ: 480g(小4匹白焼きのもの) +- 醤油: 80ml +- 砂糖: 80g +- 酒: 300ml + +## 作り方 +1. 鍋に分量の酒を入れて、少し煮立ってきたところにうなぎを入れ、ひと煮立ちさせたら砂糖、醤油を入れ、ふっくら煮上げる。 +2. 汁が半分ほどになったらうなぎを取り出し、残った煮汁を煮つめて取り出したうなぎにかける。 +3. ごはんにのせてうな丼、またはうなぎを皿に盛って煮つめた汁をかけても良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「いばらきの味ー郷土料理献立集 食・彩・百・景」(協力/茨城県食生活改善推進員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_19_1.jpg)" +"# ごさい漬け 茨城県 + +**郷土料理名**: ごさい漬け + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +鹿行地域、鹿島・鉾田 + +## 主な使用食材 +サンマ、大根 + +## 歴史・由来・関連行事 +茨城県大洗から千葉県犬吠埼の間で広がる鹿島灘は、親潮と黒潮がぶつかる好漁場である。戦前戦後の昭和時代は、秋になるとイワシが大量に獲れ、家々に配られた。たくさん取れるイワシを11月ごろから塩漬けにし、発酵してきたところで大根と一緒に漬け込んだ。「ごさい漬け」は冬の郷土料理として長く愛されており、庶民の重要なタンパク源でもあった。その名の由来は、鉾田の文化第35号(石崎勝三郎著・「ごさい漬け」の語源に関する一考察と製法)に記載があり、ごさい漬けに向く脂肪分の少ない小型のいわしを「こさい」と呼び、それが「ごさい」に変化したとある。他にも、後妻が漬けるから「後妻漬け」、5つの食材(五彩)を使っているから「五彩漬け」と諸説ある。かつては家庭ごとの味があり、盛んにつくられていたが、近年では、その手間の多さや温暖化で昔ながらの製法ではできない等の理由から、ごさい漬けを作る家庭も減ってきている。また、いわしの水揚げの減少と、形が崩れて見栄えが悪くなることから、現在はサンマで作られるようになった。 + +## 食習の機会や時季 +以前は、イワシが利用されており、特に背黒イワシでつくったものが美味しいとされていた。イワシの水揚げの減少とともに、サンマが利用されるようになり、新鮮なサンマがあがる11月下旬から2月くらいまで、冬の保存食・発酵食品として食べられている。 + +## 飲食方法 +サンマの頭と腹わたをとり、腹を何度も流水中で洗い、しっかり血と脂を洗い流したら、4等分から5等分にぶつ切りにする。2週間から1ヶ月、塩をまぶして樽に漬け込み、その後、そのサンマを再び水で洗い、血と脂を流す。一口大の半月切りにした大根とサンマ、赤唐辛子、柚子の果汁と皮、塩の順に繰り返し入れて漬ける。冷暗所もしくは冷蔵庫で保存をし、途中水をとり除きながら、2週間後に食べられるようになる。そのままでも食べられるが、完成した「ごさい漬け」を一度水で洗って塩気を抜き、醤油を少量たらして食べるのも好まれているという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10Lの樽1つ分) +- サンマ: 20尾 +- 塩: 50g +- 追加塩: 30~40g +- 大根: 10本 +- 人参: 2本 +- ゆずの皮: 3個分 +- 唐辛子: 5本 + +## 作り方 +1. サンマの頭と内臓を取り、血合いを流水中でしっかり洗う。 +2. サンマは切らずにそのまま、まんべんなく塩をして、2~3週間漬ける。 (ぶつ切りにしてから漬ける方法もあるが、丸のまま塩漬けにした方が仕上がりの形がきれいになる。気温が高い場合、または室内で漬け込む場合は、冷蔵庫で保存し、発酵を待つ) +3. 適度に漬かったら、水を何度も取り換えながらよく洗った後、5つ位にぶつ切りし、追加塩をまんべんなくふる。 +4. 大根は乱切り、人参は厚めの短冊、唐辛子は輪切り、ゆずの皮は線切りに切る。 +5. (ア)大根と人参、(イ)魚 、(ウ)ゆずの皮と唐辛子 の順に交互に重ねて樽に入れ、重石をのせて漬ける。約2週間漬けると出来上がる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 常磐大学 教授 荒田 玲子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_18_3.jpg)" +"# 鯉の唐揚げ 茨城県 + +**郷土料理名**: 鯉の唐揚げ + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +南部地域���霞ヶ浦・行方市・土浦市 + +## 主な使用食材 +コイ + +## 歴史・由来・関連行事 +国内第2位の湖面積を誇る霞ヶ浦では、主に北浦において、昭和40年頃(1960年後半)からコイの養殖を開始し、現在では養殖生産量は全国トップクラスである。古くからコイはタイと並ぶ高級魚として知られ、奈良時代、平安時代には皇族や貴族の間で好まれた。その後は、庶民の間にも浸透し、さまざまなコイ料理が親しまれてきた。コイは”龍門の滝”をのぼると龍になるという言い伝えがあり、立身出世のたとえに使われる縁起物である。また滋養に富む魚であるため、結納などの祝いの席や妊婦に食べさせる風習があった。霞ヶ浦におけるコイの養殖は、1年から3年かけて育て上げる。1年目のコイは小骨が口に当たりづらいため、「鯉のあらい」という刺身料理に使われることが多い。また、2歳から3歳のメスは卵を持っているので、「鯉の甘露煮」といった料理に向いている。色々なサイズのコイを手に入れることができるからこそ、その他にも「鯉こく」や「鯉のうま煮」などのコイ料理が浸透していったと考えられる。現在、子どもから大人まで人気があるコイ料理の一つが「鯉の唐揚げ」である。 + +## 食習の機会や時季 +養殖は特に旬がないため、1年を通して食べられている。「鯉の唐揚げ」は、揚げることで骨までそのまま食べられるので、子どもたちにも人気である。学校の給食メニューにも取り入れられている。 + +## 飲食方法 +コイの切り身に片栗粉をまぶし、油で揚げる。家庭や店舗によってつくり方はさまざまで、コイに簡単に味付けをして唐揚げにしたり、揚げた後、タレにくぐらせて食べる。コイ料理で重要なのは、生臭さをしっかりとること。何度も水を取り替えながら洗うことで生臭さが消える。この時、お湯を使ってしまうと風味を変えてしまうので、必ず水でおこなうことが大切である。また、コイを捌くところからはじめる場合は、鮮度が重要なので生きたコイを使うこと。そして、内臓を傷つけないようにすることがポイントである。胆汁や未消化の餌が身についてしまうと、臭みが染みついたり、変色してしまうため、細心の注意を払っておこなう必要がある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3~4人分) +- コイの切り身: 200g +- 片栗粉: 大さじ1・1/2 +- 揚げ油: 適宜 +- 【たれ】 醤油: 45ml +- 【たれ】 酢: 40ml +- 【たれ】 砂糖: 45g +- 【たれ】 ごま油: 小さじ1 +- 【たれ】 しょうが(すりおろし): 10g +- 【たれ】 一味: 小さじ1/5 +- 長ねぎ: 20g + +## 作り方 +1. うろこと共に皮をはがした後、コイを三枚におろす。 +2. 小骨まで食べられるように、肉に入っている小骨を切るように包丁を入れて、薄切りにする。 +3. 片栗粉をつけて揚げる。 +4. たれを鍋に合わせて、温め、その中に揚げたてのコイをくぐらす。 +5. 白髪ねぎをそえて供する。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 常磐大学 教授 荒田 玲子氏、茨城をたべようhttps://www.ibaraki-shokusai.net/season/fish/koi_kakouhin/ + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_16_1.jpg)" +"# 海藻よせ 茨城県 + +**郷土料理名**: 海藻よせ + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +鹿嶋市、行方市 + +## 主な使用食材 +海藻、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +「海藻よせ」は、茨城県鹿嶋から千葉県・銚子に至る鹿島灘沿岸で食べられている郷土料理である。鹿島灘は、親潮と黒潮がぶつかる潮目であるため、さまざまな海の幸に恵まれている。日本一の水揚げ量を誇る銚子港では、魚のほかにも海藻も豊富にとれる。その中の一つが、「海藻よせ」のメイン食材となる、コトジツノマタやツノマタである。コトジツノマタは、潮間帯の岩上に付着する、高さ20cm程度の海藻である。規則正しく、二又に分枝しながら成長していく。その枝のかたちが琴の弦を支える琴柱に似ていることから、この名がついたといわれる。火にかけるととろみが出て、冷ますと凝固する特性を生かし、古くは石けんや接着剤として使われていたという。年末になると、銚子から商人が正月用にコトジツノマタを売りにきたことから、おせち料理に「海藻よせ」がつくられるようになった。 + +## 食習の機会や時季 +南東部の鹿行(ろっこう)地域(鹿島郡の「鹿」と行方郡の「行」が名前の由来)では、正月に欠かせない料理である。さっぱりとした味わいなので、味が濃い調理が多いおせち料理の箸休めとして重宝されている。 + +## 飲食方法 +コトジツノマタをしっかり洗って汚れを落とした後、沸騰したお湯に入れ、とろみが出るまで煮る。とろみが出てきたら、型に流し、冷やしてかたまったら食べやすい大きさにカットしていただく。磯の香りを存分に楽しめるさっぱりとした味わいなので、醤油に加えて、カツオ節やねぎ、唐辛子をのせて食べる。また、「海藻よせ」のアレンジとして、細かく刻んだ人参やごぼうを一緒にかためることで、食べた時の風味や食感の違いを楽しむこともできる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 海藻: 正味400g +- 水: 300cc +- 醤油: 80g + +## 作り方 +1. 海藻は石など、ゴミのあるものはきれいに取り除き洗って、分量の水に一晩つけておく。 +2. 鍋に入れ、火にかけてとろりとなるまで煮る。 +3. 流し箱に流し、冷やしてかためる。 +4. 適当な大きさに切って、醤油、または好みで七味・わさび・しょうが醤油で食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「いばらきの味ー郷土料理献立集食・彩・百・景」(協力/茨城県食生活改善推進員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_15_1.jpg)" +"# 赤餅 茨城県 + +**郷土料理名**: 赤餅 + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +金砂郷地区ほか + +## 主な使用食材 +もろこし粉、きなこ、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +「赤餅」は、赤もろこしの粉でつくる、赤色をした餅のことである。鎌倉時代ごろ、阿弥陀寺中興開基安養上人が、「赤餅」の原料であるもろこしの種を生国である現在の群馬県より坂東市長須の地に持ち帰り伝えられたといわれている。利根川が大雨により洪水になると川に面したほとんどの作物が水害により不作になってしまうなか、身の丈が高いもろこしだけは水害を避けられた。米が現在のようにあまりとれていなかったため、もろこしでつくった「赤餅」が食べられるようになったと考えられる。もろこしは、イネ科の1年草で、夏になると穂がなり、秋の収穫の時期になると、赤紫色に変化する栄養価の高い穀物。これを粉にしてつくったのが「赤餅」で、もろこし粉がないとつくることができない。稲や小麦が育ちにくい地域でも育てられることから、利根川、那珂川(なかがわ)、久慈川流域の農村地帯など、よく水害が起こる地域で栽培されていた。しかし、現在では土地改良により水田がつくられるようになり、つくる人が限られ、安定してもろこし粉を手に入れることが難しくなっている。いまよりも天候などに左右され米が満足につくれなかった時代に、「赤餅」はお腹をふくらませるための主食代わりに食べられていたほか、農作業の合間のおやつとしても親しまれていた。 + +## 食習の機会や時季 +昔は、もろこしが収穫できる秋によくつくられていて主食代わりに重宝されていたといわれるが、現在では、もろこし粉が希少なため、食べる機会が少ない。 + +## 飲食方法 +もろこしの粉をお湯でよく混ぜ合わせたら、直径5cm、厚さ1cm程度のだんごをつくり、沸騰させたお湯の中に入れてゆでる。この時、火が通りやすいよう、中央をへこますと良い。赤の発色が良くなっただんごが浮いてきたら、すくい上げ、あんこやきなこなどをまぶしていただく。もろこし粉でつくる餅は冷めるとかたくなってしまうので、温かいうちに食べた方が良い。かたくなってしまった場合は、再度ゆでて柔らかくしてから食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- もろこし粉: 300g +- 湯: 320ml +- きなこ: 6g +- 砂糖: 2g + +## 作り方 +1. ボールに粉を入れ、湯を加えながら混ぜ、耳たぶくらいの柔らかさになったら丸めてかたちをつくる。 +2. 沸騰した湯の中に丸めただんごを入れ、浮いてきたら取り出し、熱いうちに盛り付けてきなこをかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「いばらきの味ー郷土料理献立集 食・彩・百・景」(協力/茨城県食生活改善推進員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_14_1.jpg)" +"# みつめのぼたもち 茨城県 + +**郷土料理名**: みつめのぼたもち + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +もち米、うるち米、あんこ + +## 歴史・由来・関連行事 +「みつめのぼたもち」とは、第1子の赤ちゃんが生まれて3日後に食べる大きなぼたもちのことをいう。かつて、食糧を満足に得ることが難しかった時代、子育てのために栄養が必要な出産直後の母親のために、栄養豊富なもち米や小豆を使った大きなぼたもちを食べさせたことがはじまりだという説がある。滋養食代わりにしっかり食べ、出産の疲労回復や母乳がよく出ますようにという想いが込められているほか、親戚や近所に赤ちゃんが生まれたことを知らせる意味もあり、重箱に詰めたものを挨拶しながら配って回る習わしがあったといわれている。江戸時代には多くの地域でこの風習があったとされるが、現在では茨城県(鹿嶋市、神栖市、水戸市など)のほか、千葉県(銚子市、市原市など)や神奈川県、愛知県などの一部の地域に限られている。最近では家庭ではつくらなくなり、和菓子店などで購入したり、注文することが多い。 + +## 食習の機会や時季 +赤ちゃんが生まれて3日目に、夫側の両親が用意をして振る舞うのが一般的だが、本人たちや母親側の両親が用意することもある。なお、「みつめのぼたもち」を食べたり、親戚などに配るのは、第1子が生まれた時だけである。第2子以降はおこなわない。 + +## 飲食方法 +もち米、うるち米を炊き上げて蒸らした後、重箱につぶさず、丸めず、そのまま敷き詰め、上からあんこをのせる。食べるときは、食べやすい大きさにカットする。重箱に入れず、一般的なサイズよりも大きなぼたもちを3つ用意することもある。「みつめのぼたもち」は、とにかく“大きい”ことが重要である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- もち米: 300g +- うるち米: 100g +- あん: 300g +- 水: 660cc +- 黒ごま(または白ごま): 20g + +## 作り方 +1. 米をとぎ上げ、15分くらい置いたのち、火にかける(20分ほど)。火を止めたら15分蒸らす。 +2. 重箱等に詰め、あんをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「いばらきの味ー郷土料理献立集食・彩・百・景」(協力/茨城県食生活改善推進員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_13_1.jpg)" +"# そぼろ納豆/しょぼろ納豆 茨城県 + +**郷土料理名**: そぼろ納豆/しょぼろ納豆 + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +県央地域 + +## 主な使用食材 +納豆、割り干し大根、醤油、みりん、酒 + +## 歴史・由来・関連行事 +水戸市では、江戸時代、台風が来る前に収穫できる早生小粒の大豆を美味しく食べる工夫として、納豆づくりが盛んになった。「しょぼろ」とは、「そぼろ」の方言である。秋に収穫した大豆で納豆をつくり、近所やお寺等に配る際、余った納豆を長い間食べられるように工夫をこらした。納豆と割り干し(切り干し)大根を合わせて、塩や醤油などに漬けこんだ水戸市の伝統的な料理である。割り干し大根は、 3日間天日と寒風にさらし、最後の夜に夜風で凍らせる。歯ごたえが良いのが特徴。納豆といえば、いわずと知れた水戸市の名産である。平安時代の武将・源義家が水戸市に赴いたとき、わらで包んだ煮豆を食べたところ、非常に気に入った。以降、将軍へ献上されるとともに、大豆とわらという庶民でも手に入れやすい材料だったことから、農民の間に一気に広まり、現代にいたる。水戸市では、那珂川(なかがわ)の氾濫などに備え、水害に強い小粒大豆が栽培されていることから、水戸市の納豆といえば、小粒が特徴である。茨城県では現在でも家庭で納豆をつくる人がいる。手づくりの納豆は、匂いも強く、味もインパクトがあり、個性が強い。よって、市販の納豆に食べ慣れている人は、その味の濃さにびっくりするという。納豆と非常に馴染みが深い水戸市を中心とする県央地域では、ほかでは見られない、納豆を使った伝統食が存在する。それが、刻んだ割り干し大根を納豆と混ぜ合わせる「しょぼろ(そぼろ)納豆」である。茨城県では、大根も多く収穫されるため、各家庭で寒干し(切干)大根を保存食としてつくっていた。 糸引きが良くない納豆ができた際に��寒干し(切干)大根を混ぜて塩漬けにしていた。つくる手順も簡単なことから、いまでもごく一般的につくられている。納豆に割り干し大根を混ぜるだけでなく、醤油、みりんなどで煮詰めることで、納豆を日持ちするようにした保存食ともいえる。 + +## 食習の機会や時季 +現在でも、各家庭でつくられている。納豆と割り干し大根という高栄養価の食材を使っていることから、県央地域を中心に、日常的に親しまれている。 + +## 飲食方法 +割り干し大根を水で戻した後、食べやすい大きさに切り、納豆と合わせた後、納豆のたれ(もしくは、醤油)と一緒に和え、1ヶ月ほど経ってしっかり味が染み込んでからいただく。塩気が濃いため、ごはんのおともに食べられるほか、お茶漬けの具や酒の肴としても食べられている。納豆のほくっとした食感と、割り干し大根のシャキシャキした食感の対比も楽しめる料理である。また、最近では、さまざまなアレンジも楽しまれているという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 水戸納豆: 150g +- 割り干し大根: 300g +- 塩: 小さじ2 +- 醤油または納豆のタレ: 適量 + +## 作り方 +1. 割り干し大根をさっと水洗いした後にしっかり水を切り、平ざるで少し乾燥させる。塩の半量をかけ、よく馴染ませる。 +2. 納豆に残りの塩を入れて、白い泡が出るまで力強く混ぜ、 1の割り干し大根を加え、さらによく混ぜ合わせる。 +3. 2に醤油または納豆のタレを少々入れて、味をととのえて、冷蔵庫で保存する。味が馴染んできたら食べ頃である。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 茨城大学 准教授 石島 恵美子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_12_1.jpg)" +"# 柚子大根 茨城県 + +**郷土料理名**: 柚子大根 + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +北部地域 + +## 主な使用食材 +大根、柚子、酢、昆布 + +## 歴史・由来・関連行事 +ピーマンやれんこん、ごぼうなど、収穫量全国1位の食材を多く抱える国内屈指の“農業県”茨城県では、実は柚子もよくつくられている。温暖な気候を好む柚子は、主に高知県や徳島県といった四国地方に産地が集中しているが、関東圏では埼玉県や茨城県などで栽培されている。8月から10月くらいは緑の柚子が出回り、気温が下がってくると黄色の柚子が店頭に並ぶ。「柚子大根」は茨城のほか、関東の幅広いエリアで食べられている冬の郷土料理である。大根は輪切りにした後に天日干しをするが、昔は冬になると各家庭の軒先に大根をつるしている風景がよく見かけられた。 + +## 食習の機会や時季 +北部地域では、正月のおせち料理の中の定番の一品として食べられている。酢でさっぱりと食べられることから、箸休めとして日常の献立に取り入れる家庭も多い。 + +## 飲食方法 +大根を2mmから3mmくらいの厚さの輪切りにし、2日くらい天日で干す。干すことで大根がしまり、小さくなるので、はじめに大きめの大根を選んでおくと良い。水で戻した大根で、千切りにした柚子を巻き、3mm程度の幅に切った昆布で結ぶ。最後に合わせ酢をかけ、2日程度寝かして味を馴染ませてからいただく。輪切りにした大根を天日干しにせず、少し塩もみして水分を抜いてつくる方法もある。酢につけることで保存が効くため、つくり置きもできる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 大根: 小1本 +- 柚子: 4個 +- 【合わせ酢】 酢: 150cc +- 【合わせ酢】 水: 100cc +- 【合わせ酢】 砂糖: 120g +- 【合わせ酢】 塩: 大さじ31/2 +- 昆布: 20g + +## 作り方 +1. 大根は2~3mmの輪切りにして、2日くらい天日で干す(巻く直前に水洗いをする)。 +2. 柚子も大根同様の厚さに切る。 +3. 1、2をこぶ巻きの方法で巻き、昆布を3mmくらいの幅で切ったもので結んでかたちを整える。 +4. 合わせ酢を火にかけ、砂糖が溶けてから熱いうちに3にかける。2日後くらいから食べられる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中川学園調理技術専門学校 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_11_1.jpg)" +"# ピーナッツ味噌/落花生味噌 茨城県 + +**郷土料理名**: ピーナッツ味噌/落花生味噌 + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +落花生、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +落花生は、別名「南���豆」とも呼ばれ、日本には江戸時代ごろ伝わったといわれているが、本格的に栽培がはじまったのは明治以降で、豆類のなかでは比較的新しい部類に入る。茨城県産のほか千葉県産が有名であるが、この両県で全国のほとんどの生産量を占めている。一般的には、煎ったりゆでたりしてそのまま食べることが多い。「ピーナッツ味噌」は、落花生が多くとれる茨城県で古くから伝わる郷土料理。市場に出回らない規格外の落花生の活用方法として農家の人たちが考案したといわれている。いまでも家庭では、食べきれないほどの量の落花生が手に入ったときには、好みの味付けで「ピーナッツ味噌」をつくり、常備菜としている家庭も少なくないという。また、学校給食で提供されたり、スーパーマーケットなどでも販売され、茨城県では親しみのある料理。 + +## 食習の機会や時季 +一般的に落花生の旬の時期は9月下旬頃から10月にかけてといわれているが、落花生を加工してつくられる「ピーナッツ味噌」は長持ちするため、通年食べることができる。家庭でもつくられており、それぞれの家庭ごとに好みの味噌を使うため、味もさまざまである。 + +## 飲食方法 +ごはんに乗せたり、お茶うけとしてや、そのまま酒のつまみとしても食べられている。食べ方によって、味噌や砂糖などの調味料の量を変えて楽しめる。甘さが苦手な場合は、砂糖などを入れず、みりんで味噌をのばして調整すると塩味が強くなり、美味しくいただける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 落花生: 1/2カップ +- ごま油: 大さじ1 +- 砂糖: 40g +- みりん: 大さじ1 +- 酒: 大さじ1 +- 赤味噌: 50g +- 白ごま: 大さじ1 + +## 作り方 +1. ごま油を熱し、生の落花生をこがさないように炒める。 +2. 1に砂糖とみりん、酒を入れて、砂糖を溶けるまでこがさないようにかき混ぜる。 +3. 砂糖が溶けたら、味噌を入れてなめらかになるまで3~4分練って火を止め白ごまを入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「いばらきの味ー郷土料理献立集食・彩・百・景」(協力/茨城県食生活改善推進員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_9_1.jpg)" +"# いもがらの炒め煮/いもがらの五目煮 茨城県 + +**郷土料理名**: いもがらの炒め煮/いもがらの五目煮 + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +いもがら、れんこん、人参、油揚げ、こんにゃく + +## 歴史・由来・関連行事 +いもがらは、里芋などの葉柄の芋茎と呼ばれる部分を乾燥させたもの。呼び名は各県によってさまざまあり、芋茎のことをずいきと呼ぶことから、「ほしずいき」と呼ばれたり、または「割菜(わりな)」とも呼ぶ地域もある。いもがらは乾燥もののため、保存食としてつくられており、通年の常備菜にも活用されていた。茨城県は、1年を通じて温暖な気候と豊かな水質を活かして、古来より農業が営まれ、昔からさまざまな野菜が収穫されてきた。そうしたなか、豊富にとれる野菜を飽きずに美味しく食べるため、多くの料理のバリエーションや「いもがら」や「凍みこんにゃく」、「干しいも」などの長持ちさせるための保存食が多くある。「いもがら」は料理に使うときには水で戻してから使う。「いもがらの炒め煮」や「けんちんそば」など、さまざまの料理で使われている。 + +## 食習の機会や時季 +常備菜として1年中通して食べられているが、「いもがらの炒め煮」は正月や祝い事などの人の集まるハレの時にも食卓に並ぶ定番料理。また、北部地域では冬の時期になると「けんちんそば」を食べる機会が増え、いもがらは「けんちんそば」の具材として多く使われている。 + +## 飲食方法 +乾燥したいもがらは水で戻すとふっくらとした食感になり味が良く染み、煮物やきんぴら、酢の物などに良く合う。人参、れんこん、こんにゃく、油揚げと合わせて、たっぷりの煮汁で時間をかけて煮ることで、材料に味が染み込み美味しくいただける。いもがらは味はないが、煮物や味噌汁などに入れることによって味が染みこみ美味しくなるので、さまざまな料理に合わせることができる。また、食物繊維が豊富で、食べるとシャキシャキとした歯ごたえが楽しめる。 + +## 保存・継承��取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- いもがら: 50g +- れんこん: 120g +- 人参: 100g +- 油揚げ: 1枚 +- こんにゃく: 1本 +- 水: 150cc +- 【A】 砂糖: 大さじ2 +- 【A】 醤油: 大さじ2・1/2 +- 【A】 酒: 大さじ2 +- 【A】 みりん: 大さじ1 +- 油: 大さじ2 + +## 作り方 +1. いもがらは水で洗い、30分くらい水につけておく。 +2. れんこん、人参はいちょう切りにする。 +3. 油揚げ、こんにゃくは短冊切り、湯通しをしておく。 +4. 鍋に油を熱し、1、2、3を炒め、水を加える。 +5. Aを入れ、煮汁がなくなるまで煮含めてできあがり。 れんこんの歯ざわりを良くするために、煮こむ時ふたをしないで煮ると良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「いばらきの味ー郷土料理献立集 食・彩・百・景」(協力/茨城県食生活改善推進員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_8_1.jpg)" +"# れんこんのきんぴら 茨城県 + +**郷土料理名**: れんこんのきんぴら + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +れんこん、ごぼう、人参など + +## 歴史・由来・関連行事 +国内第2位の湖面積を有する霞ヶ浦の湖畔ではれんこん栽培が盛んであり、国内生産量日本一を誇る県の特産品の一つにもなっている。この特産品であるれんこんをはじめ、ごぼうや人参などの地元でとれる食材を使った「きんぴら」は、茨城県の郷土料理として、いまも家庭で親しまれている。「きんぴら」は、家庭料理の惣菜の一つとして全国的に広く知られており、千切りしたごぼうやれんこん、人参などの根菜類をみりんや醤油などを使用して甘辛く炒めたもの。地元で多くつくられる野菜を使っていることから、昔から日常的につくる常備食として好まれている。他にも大根の「きんぴら」など、地域によって使用する食材はさまざまである。豊富な水と肥沃な湿地帯に恵まれた霞ヶ浦周辺では、1970年くらいかられんこんの栽培が始まり、いまでは国内シェア50%という、日本一のれんこんの産地として知られている。1年を通して出荷されるが、夏に収穫するものはシャキシャキとみずみずしく、冬に収穫するものはもっちりとした食感になり、収穫時期によって違った味わいが楽しめる。 + +## 食習の機会や時季 +一般家庭や給食でも提供されており、日常的に食べられている。また冠婚葬祭の食事の際にも提供され、さまざまな食の機会で登場する料理。地域によって使用する食材が異なり、筑西地域では葉たまねぎなどを使用してつくられることもあるという。 + +## 飲食方法 +ごぼう、人参、大根、れんこんなどの野菜を千切りではなく、太めに切るのが茨城県の特徴である。常備菜としてつくることが多いため味付けは濃いめにするが、つくるときにふたをせずにさっと仕上げるとシャキシャキとした食感を楽しめる。できたては食材の味を楽しむことができるが、味が馴染んでも美味しくいただける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- れんこん: 200g +- 油: 大さじ1/2 +- 鷹の爪: 1本 +- 【A】 酒: 大さじ1 +- 【A】 醤油: 大さじ1 +- 【A】 砂糖: 大さじ1 + +## 作り方 +1. れんこんは皮をむいて酢水(水3カップに対し、酢大さじ2の割合)につけアクを抜き、短冊に切る。 +2. 鷹の爪は、種をとり輪切りにする。 +3. 鍋に油を熱し、鷹の爪、れんこんを炒め、Aを加えできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「いばらきの味ー郷土料理献立集 食・彩・百・景」(協力/茨城県食生活改善推進員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_7_1.jpg)" +"# 手作りさしみこんにゃく 茨城県 + +**郷土料理名**: 手作りさしみこんにゃく + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +北部地域 + +## 主な使用食材 +こんにゃく + +## 歴史・由来・関連行事 +茨城県の奥久慈地方は、古くからこんにゃく栽培が盛んで、こんにゃく発祥の地といわれている。これは、水戸藩の中島藤右衛門がこんにゃく芋を粉末にする方法を考案したことに由来しており、生芋を薄く輪切りにして串に刺して乾燥させ砕くことによって、貯蔵や遠方への持ち運びがしやすくなったため、当地方のこんにゃく栽培が飛躍的に増加した。江戸時代には水戸藩の専売品として藩の財政を支えるまでになった。そのため特産品としていまでも栽培が盛んであり、大子町には、中島藤右衛門を祀った「蒟蒻神社」もある。こんにゃくの食べ方はさまざまあり、家庭では「さしみこんにゃく」をはじめ、「煮しめ」や「肉じゃが」などの料理にして食べられるている。「こんにゃくの田楽」も地元民からは親しまれており、柚子味噌を付けるのが特徴である。 + +## 食習の機会や時季 +奥久慈地方ではこんにゃく芋の栽培が盛んなため、各家庭では収穫したこんにゃく芋を室(むろ)に保存していた。新年を迎えると室から取り出したこんにゃく芋を使って「さしみこんにゃく」を手づくりしていた。正月や祭りなどのハレの日の行事ごとや、お茶うけとして客人をもてなす際にも「さしみこんにゃく」は振る舞われていた。 + +## 飲食方法 +こんにゃく芋の精粉からつくるためアクが少なく、生のまま刺身にして食べることができる。薄くスライスして、わさび、しょうが、柚子、青ねぎなどの薬味をそえ、だし割り醤油を付けて、こんにゃくの食感と合わせて楽しむ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- こんにゃく粉: 20g +- 水: 800g +- 食用石灰: 小さじ1/5 +- 薬味(わさび、しょうが、柚子など): 適量 +- だし割り醤油(だし汁 大さじ1 / 醤油 大さじ2/3): 適量 + +## 作り方 +1. 分量の水に、こんにゃく粉を入れ、泡立て器で糊状になるまでかき混ぜる。その状態で、夏は3時間、冬は4時間放置する。 +2. 分量の石灰を80ccの水にといて、1に2回に分けて手早くよく混ぜる。 +3. かたちを整え、煮立ったたっぷりの湯に入れ、30分くらいゆでた後に冷水にさらす。 +4. 薄くスライスし、薬味をそえ、だし割り醤油でいただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「いばらきの味ー郷土料理献立集 食・彩・百・景」(協力/茨城県食生活改善推進員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_6_1.jpg)" +"# 凍みこんにゃく 茨城県 + +**郷土料理名**: 凍みこんにゃく + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +北部地域 + +## 主な使用食材 +こんにゃく + +## 歴史・由来・関連行事 +茨城県北部の奥久慈群地方は、古くからこんにゃく栽培が盛んな地域であり、江戸時代には水戸藩の専売品として、藩の財政を支えてきた歴史をもつ。「凍みこんにゃく」は、そうした茨城県北部の農閑期の副業としてつくられてきた。江戸時代に、天下野町(旧・久慈郡天下野村)出身の北方探検家、木村謙次が丹波から製法を持ち帰ってきたと伝えられている。「凍みこんにゃく」は茨城県の自然環境がつくる寒暖差をいかした方法で製造される。12月中旬から2月頃までの厳冬期の畑にわらを敷き詰めて、こんにゃく芋からつくったこんにゃくを並べ、水をかけてから、夜間にかけて凍らせていく。そして、昼間の日光でゆっくりと解凍させることを20日間ほど繰り返すことで、こんにゃくの水分が抜けスポンジ状になり、「凍みこんにゃく」となる。完成まで1カ月を要し、手間暇かけてつくられる「凍みこんにゃく」だが、昭和30年代の後半(1960年ごろ)から生産者が激減しており、現在は茨城県北部のみで生産されている希少な食材である。 + +## 食習の機会や時季 +茨城県の冬の風物詩として知られる「凍みこんにゃく」。乾燥状態を保てば長く食べることができる優れた保存食であるため重宝されてきた。各家庭でさまざまな調理方法で楽しまれてきたが、一般的には「煮しめ」という調理法が親しまれてきた。 + +## 飲食方法 +「凍みこんにゃく」をそのまま15分ほど水に浸したあと、お湯で10分ほど煮てアクを抜いて下処理をし、煮物や鍋などに入れる。味や香りがないためどんな料理にでも合い、料理の旨味や出汁がよく染み込んだ「凍みこんにゃく」独特の食感を楽しむことができる。地元でつくられる一般的な料理が、醤油、酒、みりん、砂糖で味付けをする「煮しめ」である。近年は、ほかにも煮しめた凍みこんにゃくを唐揚げや天ぷら、フライやグラタン、きんぴらにしたり、味付けしていないものをお吸い物の具、卵とじにするなど、さまざまな調理法が考案されている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- *レシピは「凍みこんにゃくの煮しめ」: 適量 +- 凍みこんにゃく: 5枚 +- 砂糖: 大さじ3 +- 醤油: 大さじ3 +- 水: 100cc +- 酒: 大さじ2 +- みりん: 大さじ1 + +## 作り方 +1. [下ごしらえ] ボールに水を入れて「凍みこんにゃく」を約15分ほど浸し、柔らかくなってから軽くもみながら2~3回水を取りかえながらアク抜きをする。 +2. 下ごしらえでアク抜きした「凍みこんにゃく」を軽くしぼって、沸騰したお湯に入れて約15分ほどゆで、しぼって水分を切る。 +3. 砂糖、醤油、水、酒、みりんを煮立たせ、煮立ったところに2の「凍みこんにゃく」を加えて煮る。 +4. 汁が少し残っているうちに火を止め、冷まして「凍みこんにゃく」を軽くしぼる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 茨城キリスト教大学生活科学部食物健康科学科教授渡辺 敦子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_5_1.jpg)" +"# あんこうの共酢 茨城県 + +**郷土料理名**: あんこうの共酢 + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +北部地域 + +## 主な使用食材 +アンコウ、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +ゆでたアンコウを肝入りの酢味噌につけて食べる郷土料理。アンコウは茨城県の地場産品で、質の良い常磐ものとしての評価も高い。江戸時代には水戸藩からの献上品とされるなど、茨城県沖合いでは昔からアンコウ漁が盛んにおこなわれてきた。アンコウ料理は他県でも食べられるが、共酢につけて食べる「あんこうの共酢」は茨城県特有のものである。茨城県では、アンコウを使った料理が多彩。観光客から人気のある「どぶ汁」は、水を使わず、大根などの野菜や味噌でつくり,アンコウの肝が溶け出して汁がどぶのように濁ることからこの名が付いたという説もある。一般家庭では「あんこう汁」や「あんこう鍋」としての利用が多い。また、アンコウの肝は江戸時代には五大珍味「三鳥二魚」(ひばり、ばん、鶴、アンコウ、タイ)に数えられており、いずれも冬の郷土料理として広く知られている。 + +## 食習の機会や時季 +アンコウは、「西のフグ 東のアンコウ」と並び称される茨城県を代表する冬の味覚である。主に水揚げがおこなわれる11月から3月に食べられるが、12月から2月にかけてが特に肝が肥大するため味が良いとされている。「あんこうの共酢」は、北部地域で馴染みの深い食べ方で酒の肴として親しまれている。アンコウは骨やあご、眼球以外は余すところなく食べることができるが、皮にぬめりが多いため、つるして回しながら捌く方が速く、つるし切りが一般的である。北茨城市では水揚げの時期になると吊るし切りの観覧イベントなども開かれている。 + +## 飲食方法 +アンコウの7つ道具といわれる部位(身、ヒレ、皮、肝臓、エラ、胃袋、卵巣)をゆでて、酢味噌とアンコウの肝を練り合わせたタレをつけて食べる。さまざまな部位があるため食感を楽しめる。付け合わせとしてわかめをそえることが多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- アンコウ(下ごしらえしたもの): 200g +- 味噌: 大さじ2・01月03日 +- 砂糖: 40g +- 酢: 少々 +- わかめ: 40g + +## 作り方 +1. 下ごしらえとして、アンコウは、塩水でよく洗い、台所近くの大きな木の枝に下唇をつり下げ、口から大量の水を注ぎ、安定させてからおろす(つるし切り)。あとは、アンコウの7つ道具と呼ばれる各部分(皮、肉、卵巣、胃袋、エラ、ヒレ、肝)に捌き終えたら、熱湯でゆでて、いろいろな料理に使う。 +2. アンコウの肝を炒りつけて、脂を出し、すり鉢に入れてよくすりつぶす。 +3. 味噌、砂糖、酢を入れて共酢をつくる。 +4. 下ごしらえしたアンコウを食べやすい大きさに切り、器に盛り、わかめをそえる。共酢をつけていただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「いばらきの味ー郷土料理献立集 食・彩・百・景」(協力/茨城県食生活改善推進員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_4_1.jpg)" +"# パイタ焼き 茨城県 + +**郷土料理名**: パイタ焼き + +**都道府県**: 茨城県 + +## 主な伝承地域 +ひたちなか市 + +## 主な使用食材 +イワシ、ねぎ、しょうが、味噌、卵、つなぎに小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +サンマやイワシを叩いて味噌とねぎを入れて焼いた漁師料理である。「パイタ」とは、舟を漕ぐ櫂(かい)のことで、船が手漕ぎだった時代に、船乗りが櫂(かい)の平らな部分で叩いて焼いたことから、カイイタ(櫂の板)が訛ってパイタと呼ばれるようになったといわれている。千葉県では、アジを叩いて薬味と混ぜ合わせてつくる「なめろう」や「さんが焼き」があるが、同様に他県でも「パイタ焼き」のように魚を叩いて味をつける郷土料理が存在する。茨城県では、サンマやイワシの漁獲量が多いため、原料として使われているという。特に、那珂湊(なかみなと)では、サンマの漁獲量が多いことから、地域の家庭料理として広く親しまれている。現在は、サンマは漁獲量が減って高額なため,イワシでつくることも多くなっている。 + +## 食習の機会や時季 +「パイタ焼き」は、漁師料理がルーツであるが、一般家庭にも広く普及しており日常的に食べられている。主な材料がイワシやサンマであるため、それぞれの魚が旬を迎える時期によく食べられる。 + +## 飲食方法 +サンマやイワシなどの魚を捌いて叩き、ねぎ、しょうがなどの薬味と味噌や卵を混ぜあわせて、楕円形のかたち(あまりかたちにとらわれないのが昔ながらのつくり方)にしてフライパンで焼いて食べる。魚を三枚におろして皮を剥ぎ、内臓を取り出した際にきれいに洗って血を落としておくと、生臭さが出づらくなる。また、焼く際に薄めにのばして焼くと火が通る前にパサつかずに美味しくいただける。味付けは味噌でしており、薬味としてねぎ、しょうがといった食材を加える。しっかり味がついているのでそのままで食べられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- イワシ: 8尾 +- しょうがのみじん切り: 50g +- 味噌: 10g +- ねぎ: 20g +- 卵: 1個 +- 油: 大さじ1 + +## 作り方 +1. イワシを手で開き、塩水で洗い骨を取る。 +2. イワシは包丁で叩き、しょうがはみじん切り、ねぎは小口切りにし、味噌・卵を混ぜ、てのひらにのせ、薄くして焼く。 +3. 付け合わせに、サラダ菜・トマト・レモン・小吹芋をそえる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 中川学園調理技術専門学校 中川 一恵氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_3_1.jpg)" +"# しもつかれ/シモツカレ 栃木県 + +**郷土料理名**: しもつかれ/シモツカレ + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +栃木県全域 + +## 主な使用食材 +だいこん、大豆、塩引き鮭の頭、酒粕、ニンジン、油揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +栃木県を代表する郷土料理のひとつ。正月に食べた塩引き鮭の頭や、節分に煎った福豆の残りの大豆などの残り物を使った、先人たちの知恵が詰まった一品である。かつては旧暦2月初午(はつうま)の時に稲荷神社に供えるものとして作られ、その時期以外には作らないという禁忌が設けられていた。初午の頃は、野菜の端境期であり食材の調達が難しかった。残り物で作るしもつかれは、本来神様への供え物にはふさわしいものではない。そのため、普段は作らず神様への供物=「変わりもの」とすることで、稲荷神社への供物と昇華させたと考えられる。食材は地域によって様々である。栃木県央地帯から茨城県の鬼怒川下流域では、だいこん、大豆、塩引き鮭の頭、酒粕、ニンジン、油揚げを基本材料とする。埼玉県東部や千葉県北部、福島県南奥会津、但馬では、だいこん・大豆だけであり、その他、だいこん・大豆・塩引き鮭の頭の組合せや、だいこん・大豆・塩引き鮭の頭・酒粕のタイプもある。酒粕が用いられるようになったのは、造り酒屋が出現し、酒粕が流通するようになった江戸時代中期の頃といわれる。 + +## 食習の機会や時季 +2月初午の前日に作り、初午に供え食していたものだったが、近年はそれに限らず、冬になると家庭で作られる。「七軒のしもつかれを食べると病気にならない」とまで言われ、だいこんに含まれるジアスターゼをはじめ、大豆のたんぱく質、塩引き鮭の頭のカルシウム、酒粕の糖分など、栄養価の高い食べ物で、日常のご飯のお供として親しまれている。 + +## 飲食方法 +塩引き鮭の頭はよく洗い1度ゆでこぼし臭みを取る。圧力鍋で鮭の頭を煮たあと、厚手の鍋に材料を入れて1時間ほど煮込んでいく。味がなじんだら酒粕を入れ調味料で味を整える。鮭の塩加減に���り加える醤油、塩は加減し、塩鮭の頭は焼いて使用してもよい。また、煎り大豆の替わりにゆで大豆を用いるのもよい。温かい赤飯と一緒に食べると、ほどよい塩味と冷たさがよく合って、冷たいしもつかれは臭いも少ない。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 【具材】だいこん: 1kg +- 【具材】にんじん: 150g +- 【具材】いり大豆: 40g +- 【具材】油揚げ: 1枚 +- 【具材】塩(引き)鮭の頭: 小1個 +- 酢: 大さじ1 +- 水: 1カップ +- 【調味料】酒粕: 50g~75g +- 【調味料】醤油: 適量 +- 【調味料】塩: 適量 +- 【調味料】砂糖: お好みで + +## 作り方 +1. 塩鮭の頭はよく洗い、2cm程度の角切りにし、1回ゆでこぼして臭みをとる。 +2. 圧力鍋に1の頭、酢、水を入れ、中火で20分程度煮る(加熱する)。火を止め、自然冷却で圧力を抜く。 +3. だいこん、にんじんは鬼おろしでおろす。 +4. いり大豆は布巾に包んでもみ、皮を除く。 +5. 油揚げは、薄く焦げ目がつくくらいに焼き、縦半分に切ってから細切りにする。 +6. 酒粕は小さくちぎり、熱湯に浸し軟らかくする。 +7. 厚手の鍋に、2、3、4、5の材料を全部入れ、はじめは強火から中火にかけ、ぐつぐつ煮えてきたら弱火で1時間位煮込む。 +8. 味がなじんで柔らかくなったら、酒粕を入れ、醤油、塩、好みで砂糖を入れ味を調える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 :『ふる里の和食 宇都宮の伝統料理』(柏村祐司/半田久江) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_1_1.jpg)" +"# 耳うどん 栃木県 + +**郷土料理名**: 耳うどん + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +佐野市葛生地区、宇都宮市 + +## 主な使用食材 +小麦粉(中力粉)、さといも、しいたけ、ねぎ、にんじん + +## 歴史・由来・関連行事 +「耳うどん」は、佐野市葛生地区および宇都宮市城山地区に伝わる料理。うどんと言えば、一般的には長細い紐状をイメージするが、耳うどんは少し変わった形状だ。練った小麦粉で作った形が耳の形に似ていることから「耳うどん」と呼ばれる。佐野市では、この耳の形をしたうどんを手に持ち耳に当て「いい耳聞け」とその1年よいことがあるようにと祈る風習がある。 宇都宮市では、星野宮神社の氏子の間で正月の祭礼の際のご馳走として耳うどんを食べたものである。 + +## 食習の機会や時季 +正月の来客に手間のかかる料理を準備するのが大変ということから、佐野市葛生地区では、年の暮れに耳うどんを作り冷水に浸して保存し、正月の来客に振舞った。手軽に作れる耳うどんは生活の知恵だったともいえる。また、宇都宮市では、暮れのうちに作り乾燥保存し星の宮神社の祭りの折の飲食会に食べられた。現在では正月に限らず年中食べられている。 + +## 飲食方法 +鍋に水を沸騰させ、カツオ節を入れてひと煮立ちさせ、いったん火を止めてだし汁を作る。里芋、大根、人参、ゴボウなどを刻んで、醤油とみりんなどの調味料で味付けしただし汁に、耳の形に似たうどんを入れる。一般的なうどんと同じなので、肉など好みの具材を入れて煮込んでもよい。耳うどんは、ぬるま湯と塩を合わせて小麦粉を練り、平たく伸ばしてマッチ箱大の長方形に切る。二つ折りにしながら、内側の両端を合わせて閉じ、一つ一つ作り用意しておく。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 小麦粉または中力粉: 500g +- ぬるま湯(30度): 200~220cc +- 塩: 小さじ1 +- 打ち粉: 少々 +- 【耳うどんの汁】水: 4カップ +- 【耳うどんの汁】さといも: 300g +- 【耳うどんの汁】しいたけ: 中5枚(100g) +- 【耳うどんの汁】にんじん: 中1/2本(100g) +- 【耳うどんの汁】ねぎ: 40g +- 【耳うどんの汁】ごぼう: 中1/3本(50g) +- 【耳うどんの汁】だし用かつお節: 30~50g +- 【耳うどんの汁】醤油: 大さじ4 +- 【耳うどんの汁】みりん: 大さじ4 +- ※基本的にうどんの料理方法と同じなので、かまぼこや鶏肉などお好みで追加を。: 適量 + +## 作り方 +1. 大きめのボールに小麦粉をぬるま湯、塩と合わせ練ってから、ビニール袋に入れて1時間程度ねかせる。 +2. めん板に1をのせ、めん棒でうすくのばす。 うすくのばしたら、マッチ箱大(6×4cm)の長方形に切る。それを二つ折りにしながら、内側の両端を合わせて閉じて、耳うどんを作る。 +3. 水が���騰したら、かつお節を入れ軽くひと煮立ちさせてから火を止める。アクをとり、しばらくしてからふきんでこしてだし汁を作る。 +4. 3のだし汁を火にかけ沸騰したら千切りにしたさといも、ねぎ、しいたけ、ささがきにしたごぼうを入れて煮る。 +5. さといもなど具材がやわらかくなったら、醤油、みりん、塩(分量外)などで味付け後、耳うどんを入れてさっと煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『ふる里の和食 宇都宮の伝統料理』(柏村祐司/半田久江) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_2_1.jpg)" +"# 干瓢の卵とじ 栃木県 + +**郷土料理名**: 干瓢の卵とじ + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +栃木県全域 + +## 主な使用食材 +かんぴょう、卵 + +## 歴史・由来・関連行事 +「干瓢の卵とじ」は、栃木県の特産品「かんぴょう」を用いた郷土料理である。 栃木県は国内の生産量の9割以上を占めるほどのかんぴょうの産地。その栽培の歴史は古く、江戸時代正徳2年(1712年)に下野国壬生藩(現栃木県壬生町)に伝わったのが始まりとされる。ゆうがおは火山灰台地と夏の高温気候に適し栽培地を拡大し、現在では、宇都宮市、上三川町、下野市、壬生町などで主に作られている。 かんぴょうはゆうがおの果肉の皮を細長く切ってから乾燥させて作る。この際、上手にむけなかったかんぴょうがもったいないと、汁物に使われたのが「干瓢の卵とじ」の始まり。どのような味付けにもなじむかんぴょうは、ほかにも補助食として多くの献立に使用されている。 + +## 食習の機会や時季 +忙しい農家で、加工に失敗したかんぴょうを使った簡単かつ栄養のある料理として一年を通じて作られてきた。現在では、市販のかんぴょうが使って一般家庭で食べられるほか、学校給食の献立としても親しまれている。 + +## 飲食方法 +切ったかんぴょうを溶き卵の中に入れよく混ぜ、だし汁と調味料で味つけをした中へ入れ軽くかき混ぜる。味付けは、醤油仕立てのほか味噌を使ってもよい。卵を入れる際は汁の温度を十分に上げて入れる。かんぴょうを漬け物や和え物にする場合は、たっぷりの熱湯につけ歯ごたえを残すとよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- かんぴょう: 12g +- 卵: 2個 +- 三つ葉: 少々 +- 塩: 小さじ1/3 +- 醤油: 大さじ1 +- だし汁: 3カップ + +## 作り方 +1. かんぴょうは水洗いし、塩でよくもみ、水を取り替える。つまんで指で切れるくらいの固さにゆでる。 +2. ゆでたかんぴょうを2cmくらいに切り、溶いた卵の中に入れ、よくかき混ぜる。 +3. だし汁を煮立て、塩、醤油で調味し、沸騰したら2を入れ、具がふわっと固まったところで火を止め、椀に盛り、三つ葉をのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『ふる里の和食 宇都宮の伝統料理』(柏村祐司/半田久江) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_3_1.jpg)" +"# 芋ぐし/いも串 栃木県 + +**郷土料理名**: 芋ぐし/いも串 + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +栃木県西北、栃木県央 + +## 主な使用食材 +さといも + +## 歴史・由来・関連行事 +串に刺したさといもを焼き、焦げた味噌だれが香ばしい「芋ぐし」は、儀礼や行事に合わせて作られてきた郷土料理。さといもは、我が国へは稲作以前の縄文時代に熱帯アジアから伝えられたもので、栃木県内では、寒冷のためにさといも栽培に不適な旧栗山村などを除く広い範囲で栽培されてきた。かつては芋といえばさといもを指したもので、普段はもとより祭りや年中行事などに供えられてきた。芋ぐしにまつわる風習では、例えば那須塩原市槻沢の旧家では正月に囲炉裏を囲んでおせち料理やお神酒をいただきながら芋ぐしを食べる風習があり、日光市山久保では、旧暦初午の稲荷社の祭りには、各家で芋ぐしを作り食べる風習があった。 + +## 食習の機会や時季 +さといも収穫後から春先までは囲炉裏で暖をとりながら、普段の日でも芋ぐしを食べることがあった。特に正月やこの間の祭りなどに食べられてきた。 + +## 飲食方法 +蒸したり、ゆでたりしたさといもを串にさして焼き、味噌だれをつけてもう一度焼く。味噌だれは、とろみが出るまで焦げ付かないように丁寧に練り上げ、秋から冬にかけてはすり下ろしゆずやみじん切りのさんしょうの葉を加えたゆず味噌、春先にはさんしょう味噌も良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- さといも: 400g +- 【味噌だれ】味噌: 100g +- 【味噌だれ】砂糖: 80g +- 【味噌だれ】みりん: 60cc +- 【味噌だれ】ゆず: 適宜(季節により) +- 【味噌だれ】さんしょう: 適宜(季節により) + +## 作り方 +1. さといもは一口大の大きさに切りそろえる。 +2. 蒸し器にクッキングペーパーを敷き、さといもを入れ串が通るまで蒸す。 +3. ざるに広げて冷まし、串に3~4個の芋をさす。 +4. オーブン、炭火などで両面を焼く。 +5. 味噌だれを作る。鍋に味噌、砂糖、みりんを入れて火にかけ、とろみがでるまで、焦げ付かないように混ぜながら煮詰める。好みでゆずの皮のすり下ろしや、さんしょうの葉のみじん切りを加える。 +6. 4に5の味噌だれをつけ、もう一度軽く焼く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『ふる里の和食 宇都宮の伝統料理』(柏村祐司/半田久江) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_4_1.jpg)" +"# さがんぼの煮つけ 栃木県 + +**郷土料理名**: さがんぼの煮つけ + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +栃木県全域 + +## 主な使用食材 +サガンボ(アブラツノザメ) + +## 歴史・由来・関連行事 +海なし県栃木では、冷蔵庫が普及する以前、海の生魚といえばサガンボ(アブラツノザメ)やモロ(ネズミザメ)と称されるサメ類を食べた。サメは、体の中に尿酸を蓄えており、命が尽きると尿酸が分解しアンモニアへと変化して腐りにくくなり保存が利くからである。栃木県内で流通したサガンボは、もともと北茨城の漁港で水揚げされたもので、漁港では高値で売れるヒレや皮を取り除き、紡錘形になった身の部分を内陸の栃木県に出荷した。「サガンボ」という特徴的な名前は、北茨城から栃木県北東部あたりの方言で、紡錘形の氷柱(つらら)のことをさがぼうとかサガンボと呼ぶことが由来。江戸時代に全国の方言をまとめた『物類称呼(ぶつるいしょうこ)』によると、サメについて「下野国宇都宮周辺にてはさがぼうとよぶ」との記述があり、栃木県でサメを食べるようになった歴史は古い。 + +## 食習の機会や時季 +日本近海でも比較的寒い地域での漁獲量が多いとされるアブラツノザメは、一年中漁獲されるが、特に12~2月のものは身のしまりがよい。「さがんぼの煮つけ」は、かつては冬の定番料理であった。一晩おいて出来上がった煮こごりも美味とされる。現在では栃木県内全域で親しまれているが、大田原市周辺では正月などの「晴れの日」の料理としても食卓を賑わせる。 + +## 飲食方法 +サガンボの切り身を、醤油、砂糖、みりん、酒を合わせた調味料で10分ほど煮込む。最後に千切りにしたしょうがをのせる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- サガンボ(アブラツノザメ): 4切れ +- しょうが: 1かけ +- 【調味液】しょうゆ: 大さじ2 +- 【調味液】砂糖: 大さじ1 +- 【調味液】みりん: 大さじ1 +- 【調味液】酒: 100cc +- 【調味液】水: 100cc + +## 作り方 +1. しょうがは半分は薄切り、残り半分は千切りにしておく。 +2. 調味液をあわせて、鍋に入れ煮立たせる。 +3. 薄切りのしょうがとサガンボの切り身を2の鍋に入れ、中火で10分位煮含める。 +4. 器に盛り、千切りしょうがを飾る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 高橋 久美子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_5_1.jpg)" +"# 板台餅/ばんだい餅 栃木県 + +**郷土料理名**: 板台餅/ばんだい餅 + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +県西部、日光市(旧栗山村) + +## 主な使用食材 +うるち米 + +## 歴史・由来・関連行事 +栃木県日光市栗山地区に古くから伝わる郷土料理。もち米ではなく硬めに炊いたうるち米を使うのが特徴で、もともと山の作業小屋で板の台の上で斧の峰等で叩きながら餅にすることから「板台餅」と呼ばれたといわれる。もち米を使った餅より粘りが少なめで、時間が経っても固くなりにくく、なめらかなことが特徴だ。日光市栗山地区では、円盤状に丸めて焼いた板台餅に、甘味噌やじゅうねと呼ばれるえごまの味噌だれを付けて焼いたり、小豆餡や大豆をすりつぶしたずんだを付けたもの、あるいは釣ったイワナを出汁にした汁物に入れたりと地域によって食べ方も様々である。 + +## 食習の機会や時季 +通年作られ食べられているが、もともとは山小屋での山の神の祭りや、山小屋から家へ帰る際に家族への土産として用いられた。旧栗山村川俣では、今でも五月節句等の年中行事の日、盆過ぎの夏祭り等に欠かせない料理として受け継がれている。 + +## 飲食方法 +もちつき機を用いる場合は、しゃもじでおさえながら粘りが出るまでよくつくとよい。餅は丸めて囲炉裏で炙り、好みであんこやじゅうね、ずんだなどを付ける。炙ったり焼いたりほかにも、汁物の中に入れて雑煮のように食したりもする。湯西川では、「汁ばんだい餅」が現在でも残り、魚や野菜など、具材の入っただし汁に入れる。ばんだい餅入りのサバ汁、けんちん汁などにアレンジして食べるのも良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- うるち米: 500g +- 枝豆(さやつき): 400g +- 塩(ずんだ用): 少々 +- じゅうね(えごま): 50g +- 砂糖: 40g +- 塩(じゅうね用): 少々 + +## 作り方 +1. 水につけておいたうるち米は、固めに炊きよく蒸らす。 +2. 1をもちつき機で餅にし、1個25~30gの俵型にする。 +3. 【ずんだ】枝豆をゆで、さやをむいてミキサーでゆで汁を少々入れて細かく砕き、塩少々を入れて調味する。 +4. 【じゅうね】じゅうねをフライパンに入れ弱火でこげないようにゆっくり炒り、すり鉢に入れる。すりながら熱湯大さじ2を2回に分けて入れ、砂糖と塩を加えてさらによくする。 +5. 2に3、4のタレをつけて、あたたかいうちに食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 栃木県農業者懇談会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_6_1.jpg)" +"# 小麦まんじゅう 栃木県 + +**郷土料理名**: 小麦まんじゅう + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +栃木県全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、小豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +「小麦まんじゅう」は、小麦粉で作った皮で小豆あんを包み蒸したもの、単にまんじゅうとも、また、炭酸(重曹)を加えて作られるため、「炭酸まんじゅう」とも呼ばれ、昔から各家庭で作られてきたふるさとの味である。栃木県は、二毛作で麦の作付けも多く、古くから小麦を使った料理が人々に親しまれてきた。小麦まんじゅうも年中行事や冠婚葬祭の日には欠かせない料理の一つとなっている。特に、小麦収穫後の新鮮な小麦粉が出回る盆行事には欠かせない料理だった。旧暦7月1日は「釜蓋朔日(かまのふたついたち)」と呼ばれ、「地獄の蓋が開く日」とされ、この日「釜蓋」に供えるまんじゅうを「釜蓋まんじゅう」といった。ご先祖様が迎え盆の13日に間に合うように帰るため、地獄の窯の蓋が開くと言われる釜蓋朔日にあの世を出発すると言い伝えられ、ご先祖様が腹を空かせることのないよう、釜蓋まんじゅうを供える。 + +## 食習の機会や時季 +栃木県は、台地や二毛作田が広がり日本有数の麦作地帯である。6月ごろから始まる大麦や小麦の収穫は7月まで続き、盆前に挽きたての小麦粉が出回るので盆にはまんじゅうやうどんなど小麦粉を用いた料理が作られた。 + +## 飲食方法 +小麦粉に重曹を入れふるいにかけ、砂糖水を加えながら、耳たぶより柔らかな生地を作り、あんを包み込んでまんじゅうを蒸し上げる。近年は皮にカボチャやほうれん草、春菊などをペースト状にして加えて作ることも多く、色や香り、味ともにバラエティーに富んだまんじゅうが楽しめる。他にも、白砂糖のかわりに黒糖を使うと茶まんじゅうになる。あんも小豆だけではなく、味噌あんやサツマ芋あんなどを応用して作っている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10個分) +- 小麦粉(薄力粉): 250g +- 炭酸(重曹): 10g +- 砂糖: 125g +- 水: 125g +- あん: 300g +- 手粉(薄力粉): 300g + +## 作り方 +1. あんは1個30gに丸める。 +2. 小麦粉に重曹を入れ、2度ふるいにかけて、大きめのボールに入れる。 +3. 砂糖を分量の水でよく溶かしておく。 +4. 2の小麦粉に3の砂糖水を加えながら混ぜ、耳たぶよりやや柔かめの生地を作る。 +5. 手粉を敷いたまな板に4の皮をとり、棒状に伸ばして10個分に切り分ける。 +6. 皮を丸く押しつぶした上���あんを置き、あんを包み込むように皮を閉じる。閉じたところを下にする。 +7. 蒸し器にクッキングペーパーを敷き、6のまんじゅうを並べ、軽く霧吹きをかける(皮が膨張するので並べるときに、まんじゅうの間を少し離す)。 +8. 中~強火で10分~12分蒸す。蒸し上がったら、ざるに取り手早く冷ます。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『ふる里の和食 宇都宮の伝統料理』(柏村祐司/半田久江) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_7_1.jpg)" +"# ちたけうどん(そば) 栃木県 + +**郷土料理名**: ちたけうどん(そば) + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +県央・県東部 + +## 主な使用食材 +ちたけ、なす、うどん(そば) + +## 歴史・由来・関連行事 +「ちたけうどん」は、ちたけとなすを炒めただし汁の中にうどんを入れた、平地林が広がる栃木県平野部ならではのうどん料理である。畑や二毛作田の広がる栃木県は、日本でも有数の麦作地帯であり、大麦や小麦の収穫が終わった間のない頃の盆行事には、挽きたての小麦粉でうどんが作られていた。「ちたけ」とは裂くと白い汁が出る「ちちたけ(乳茸)」のことで、香りが強く、うどんやそばのだし汁として最適で、なすとの相性も抜群。ちたけは、秋のきのこに先立って8月頃に生える数少ない食べられるきのこであり、栃木県では盆の時期に食された。かつては自然豊かな里山地帯で多く採れたが、現在は自然環境の変化などの要因により収穫量、流通量は減少している。 + +## 食習の機会や時季 +栃木県では、「盆にぼたもちお昼にうどん夜は米の飯でとうなす汁(かぼちゃ)よ」といわれたように、うどんは盆の時期の代表的な料理であった。そのうどんのだし汁として、夏に採れるちたけやなすがよく用いられた。 + +## 飲食方法 +ちたけは土のついている部分を除いて切る。小さいものはそのままで10分ほど塩水に浸す。なすも切ったあと水に5分ほど浸す。油を熱した鍋に水気を切ったちたけとなすを入れよく炒め、だし汁を入れて調味料を加え軽く煮る。うどんを丼に入れて、ちたけ汁をかけ、薬味をのせる。野生のきのこの使用にあたっては、以下の点をご確認ください。きのこを採取してよい森林か確認してください。放射性物質モニタリング検査結果等で安全かどうか確認してください。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ちたけ: 100g +- なす: 中2個 +- 油: 大さじ2 +- 塩: 少々 +- 醤油: 50cc程度 +- だし汁: 3カップ +- 薬味(ねぎ): 適宜 +- ゆでうどん: 800g + +## 作り方 +1. ちたけは土のついている所を除き、食べやすい大きさに切る。小さいものはそのままで塩水に10分程度浸しておく。 +2. なすは皮付きのまま縦半分にし、さらに半月に切り、水に5分程度浸してから、水気を切っておく。 +3. 鍋に油を熱し、1のちたけと2のなすを香りが出るまでよく炒める。 +4. だし汁を加えて一煮立ちさせる。醤油で味を整える。と水を入れ煮とかす。 +5. うどんをどんぶりに入れ、4のちたけ汁をかける。薬味に小口切りにしたねぎを添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『ふる里の和食 宇都宮の伝統料理』(柏村祐司/半田久江) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_9_1.jpg)" +"# モロの煮付 栃木県 + +**郷土料理名**: モロの煮付 + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +栃木県全域 + +## 主な使用食材 +モロ(ネズミザメ) + +## 歴史・由来・関連行事 +「モロの煮付」は、茨城県北部や福島県、宮城県沖で獲れた「ネズミザメ(モウカザメ)」を「モロ」と呼び、醤油や砂糖でやわらかく煮付けた料理で、栃木県民なら誰でも知る家庭の味。そもそもサメ料理は、海が遠い内陸地方で貴重なたんぱく源として食べられることが多い。その理由は、サメを水揚げする港周辺では、サメ肉の人気がなく、あまり食されていなかった。サメは体の中に尿酸を蓄えており、命が尽きると尿酸が分散しアンモニアとなり腐りにくくなるため、新鮮な海の幸に恵まれなった内陸部では、数少ない海の生魚として重宝された。栃木県内では、モロの他にも、サガンボ(アブラツノザメ)も食べられており、どちらも手軽に食べられ食卓に並んできたふるさとの味である。 + +## 食習の機会や時季 +一般的には4~7月に旬を迎える「ネズミザメ(モウカザメ)」は、年間を通して水揚げされ栃木県でも一年中入手できる。 + +## 飲食方法 +モロの煮付けには、切り身が使われており、スーパーなどでも気軽に買うことができる。高たんぱくで低脂肪なサメは、煮付だけでなく、フライやカツなど揚げ物にしてもおいしく、近年では学校給食でモロの松風焼きやリンゴソースをかけたソテーなどさまざまなアレンジが提供される。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- モロ(ネズミザメ): 4切れ +- しょうが: 1かけ +- 【調味液】しょうゆ: 大さじ2 +- 【調味液】砂糖: 大さじ1 +- 【調味液】みりん: 大さじ1 +- 【調味液】酒: 100cc +- 【調味液】水: 100cc + +## 作り方 +1. しょうがは半分は薄切り、残り半分は千切りにしておく。 +2. 調味液をあわせて、鍋に入れ煮立たせる。 +3. 薄切りのしょうがとモロの切り身を2の鍋に入れ、中火で10分位煮含める。 +4. 器に盛り、千切りしょうがを飾る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『ふる里の和食 宇都宮の伝統料理』(柏村祐司/半田久江) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_10_1.jpg)" +"# 干瓢のごま酢あえ 栃木県 + +**郷土料理名**: 干瓢のごま酢あえ + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +下野市壬生町周辺 + +## 主な使用食材 +かんぴょう ゴマ + +## 歴史・由来・関連行事 +数あるかんぴょう料理の中でも、「干瓢のごま酢あえ」は「干瓢の卵とじ」などと共に県民に親しまれている料理である。 栃木県のかんぴょう生産は全国の99%以上を占め、特に県南地域で栽培が盛んにおこなわれている。 かんぴょうとなるゆうがおの栽培には、排水の良い軽い土が好ましく、関東ローム層が広く分布するこの地域は栽培に適した場所である。 また、夏の風物詩である夕立が地表を冷やしゆうがおの根の伸びを促し、その水分がゆうがおの実を成長させる要因となっている。 このような土壌や気象条件に恵まれ、この地域にかんぴょう生産が定着した。 ゆうがお栽培の歴史は約300年前に遡り、下野壬生藩主の初代藩主となった鳥居忠英によりもたらされたと伝わる。正徳2(1712)年に近江国水口木津からゆうがおの種子を取り寄せ、栽培に成功したことにより、かんぴょうが生産されるようになったといわれる。 + +## 食習の機会や時季 +かんぴょうと野菜をゴマ酢で和えるさっぱりしたシンプルな料理。野菜は季節にあるものを利用できるので、家庭で通年手軽に作ることができる。体の調子を整え、夏バテ予防にもよいかんぴょう。炭水化物のほかに、食物繊維やカリウム、カルシウムなどのミネラル成分が多く、食物繊維はゴボウの約5倍、ブロッコリーや大根の約7倍といわれる。 + +## 飲食方法 +かんぴょうの食感を残すため、かんぴょうのもどし方は、料理により異なる。一般的には、ゆがいて使うことが多いが、漬物やごま酢あえはさっと洗い小さじ1杯の塩をふりかけ両手でよくもみ、弾力が出てくるまで柔らかくし、水で塩を洗い流してから、熱湯に20分程度浸して水気を絞る。もどしたかんぴょうを3~4cmに切り、人参、油揚げ、キュウリなどと混ぜ、ゴマ酢を材料にあわせ、和える。食べる直前に和えるとよい。かんぴょうは結ぶことのできる食材として貴重である。また、淡白な味が他の食材を引き立てるため、粉末にしてパンやお菓子に入れるなど、さまざまな使い方やアレンジができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- かんぴょう: 15g(戻して90g) +- 油揚げ: 30g +- 人参: 15g +- キュウリ: 小1本 +- 【調味料】すりゴマ: 小さじ2 +- 【調味料】酢: 小さじ2 +- 【調味料】砂糖: 大さじ2 +- 【調味料】ゴマ油: 小さじ2 +- 【調味料】塩: 小さじ1/2 +- 【調味料】醤油: 小さじ2 + +## 作り方 +1. かんぴょうは塩(分量外)でもんでから、水で洗い流し、熱湯に20分くらいつけ、水を絞り3~4cmに切る。 +2. 油揚げは熱湯をかけて油抜きをし、千切りにする。 +3. 人参は洗って皮をむき、長さ3~4cmの千切りにする。 +4. キュウリも3~4cmの千切りにする。 +5. 3、4に塩少々(分量外)をふりかけ、軽くもむ。 +6. 【調味料】を混ぜ合わせ、かんぴょう、油揚げ、人参、キュウリを和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『ふる里の和食 宇都宮の伝統料理』(柏村祐司/半田久江) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_11_1.jpg)" +"# ゆず巻き 栃木県 + +**郷土料理名**: ゆず巻き + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +宇都宮市北部 + +## 主な使用食材 +ゆず、だいこん + +## 歴史・由来・関連行事 +「ゆず巻き」は、だいこんでゆずの皮を巻いて、2~3日程甘酢に漬けた郷土料理。秋の祭りや正月には欠かせない一品だ。宇都宮市北部を中心に栽培される寒冷ゆずは、温かい地方で栽培されているものより香りが強く肉厚。うどんの薬味や風呂に入れるなど香りを楽しむイメージのゆずだが、宇都宮周辺で栽培されるものは、肉厚なので食材として適している。宇都宮市北部のおせち料理に欠かせないのがこの寒冷ゆずを使った「ゆず巻き」。雑煮のあとには、甘酢に漬けれられたゆず巻きが口の中をサッパリさせる。だいこんは生のまま使ってもよいが、半日から1日ほど干すと歯ごたえや保存性がよくなる。 + +## 食習の機会や時季 +10月から12月が収穫時となるゆずと、冬野菜の代表格、だいこんを使った「ゆず巻き」は、お正月料理の定番として親しまれているほか、秋の祭りにも欠かせない。 + +## 飲食方法 +薄く切っただいこんでゆずを巻き、巻いただいこんを楊枝で刺す。甘酢をかけて2~3日置くと完成する。調理方法は地域によって異なり、だいこんは干したものを使うところや、生のまま用いるところもある。干す場合は、薄く輪切りにしただいこんを半日から1日干してからゆずを巻くと、歯ごたえや保存性が高まる。また、ゆず巻きを漬ける際に使う漬け汁に、だいこんやかぶで菊花かぶを作り漬け込んでおくと、さらに正月料理らしい雰囲気となる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ゆず: 1個 +- 酢: 大さじ5 +- 砂糖: 大さじ5 +- だいこん: 500g +- 赤とうがらし: 1本 +- 塩: 大さじ1 +- ようじ: 約20本 + +## 作り方 +1. だいこんを薄く輪切りにして塩をふり、しんなりさせる。 +2. ゆずは表面の皮をむき太めの千切りにする。 +3. しんなりしただいこんで千切りにしたユズ4~5本を巻き、ようじで3個ずつ刺す。 +4. とうがらしは種を除き、薄い輪切りにしておく。 +5. 酢、砂糖、とうがらしを合わせておく。(砂糖が溶けるように) +6. 3を蓋つきの容器にならべて、5をふりかけ2~3日置く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『ふる里の和食 宇都宮の伝統料理』(柏村祐司/半田久江) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_12_1.jpg)" +"# 五目飯 栃木県 + +**郷土料理名**: 五目飯 + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +県全域 + +## 主な使用食材 +米、かんぴょう、干ししいたけ、にんじん、ごぼう、油揚げ、絹さや、卵 + +## 歴史・由来・関連行事 +祭りや農家の休日など、特別な日などに作られる「五目飯」。かんぴょうをはじめ、干ししいたけ、にんじん、ごぼう、絹さや、油揚げや錦糸卵など、色とりどりの食材が並ぶハレの日にふさわしい伝統料理だ。主な使用食材となるかんぴょうは、日本の生産量の99%以上が栃木県産、全国1位(2018年農林水産省調べ)で、特に県南地域で栽培が盛んにおこなわれている栃木県を代表する特産品だ。栄養的にもカルシウム、カリウムなどが多く含まれ、食物繊維も豊富なかんぴょう。ゆうがおの実を薄くひも状にむき、太陽光に当て干し上げた乾物食品。 + +## 食習の機会や時季 +かんぴょうをはじめ豊富な具材を用いた五目飯は、手間がかかることなどから祭りや農家の休日などの特別な日に作られてきた料理。いろどりも美しい五目飯と一緒に、かんぴょうを卵でとじた汁物「干瓢の卵とじ」も作られることがある。 + +## 飲食方法 +米は炊く30分くらい前に洗ってざるにあげておく。水を入れてかために炊き上げる。かんぴょうは水洗いして塩でよくもみ、水に5~10分つけてからよく洗い流して2cm大に切る。水で戻した干ししいたけ、油抜きした油揚げ、ごぼうやにんじんなどの根菜類を細かく刻んで鍋にサラダ油を熱し、かんぴょうと一緒に炒めて調味料で味付けして煮る。煮込んだ具材をごはんにのせて全体をよく混ぜ合わせる。錦糸卵、ゆでた絹さや���のり、紅しょうがの千切りを上からふりかけ、彩りよく盛り付ける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 300g(2合) +- かんぴょう: 25g(もどして約150g) +- 干ししいたけ: 中3枚 +- にんじん: 50g +- ごぼう: 25g +- 油揚げ: 1枚 +- 絹さや: 1枚 +- 錦糸卵: 卵1個分 +- 紅しょうが: 適量 +- のり: 適量 +- 【調味料】だし汁: 350cc +- 【調味料】砂糖: 大さじ3と1/2 +- 【調味料】醤油: 50cc +- 【調味料】酒: 大さじ1と1/2 +- 【調味料】サラダ油: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 米は炊く前に洗ってざるにあげておく。米に水を入れかために炊き上げる。 +2. かんぴょうは、水洗いをして塩でよくもむ。水に5~10分浸してから水を取り替えて洗い流した後2cm位に切る。 +3. 水で戻した干ししいたけと、油抜きした油揚げを千切りにする。にんじん、ごぼうをささがきにする。ごぼうは水に浸してアクを抜く +4. 鍋にサラダ油を熱し、2と3の具を炒め、調味料で味付けをして煮る。 +5. 1に4の具材をのせて5分蒸らし、全体をよく混ぜ合わせて器に盛る。錦糸卵、ゆでた絹さや、のり、紅しょうがの千切りを飾る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『ふる里の和食 宇都宮の伝統料理』(柏村祐司/半田久江) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_13_1.jpg)" +"# いなりずし 栃木県 + +**郷土料理名**: いなりずし + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +栃木県全域 + +## 主な使用食材 +米、油揚げ、かんぴょう + +## 歴史・由来・関連行事 +稲荷の神の使いとされるキツネの好物が油揚げとされ、油揚げを用いた寿司が稲荷社の供物に欠かせないことから「いなりずし」と呼ばれた。 栃木県では酢飯を詰めた油揚げの中央に味付けをしたかんぴょうを巻き、俵に見立ててある形が特徴。全国の約99%以上が栃木県産の特産品であるかんぴょうは、ゆうがおの果肉をひも状に剥き乾燥したものである。 どのような味付けにも馴染み、補助食材として多くの献立に使用される。 + +## 食習の機会や時季 +かつては、花見や運動会、遠足などの際には、きまってのり巻き寿司やいなりずしを重箱に入れて持参していた。酢飯は、普通のご飯に比べて痛みにくく、行楽や行事の食事に向いている。 + +## 飲食方法 +油揚げは熱湯をかけてしっかりと油抜きをし、かんぴょうは戻して熱湯で湯がいて仕込みをする。酢飯を1個50g程度しっかりと俵型に握り、油揚げの口を開けてご飯を詰め、あらかじめ味付けをしておいたかんぴょうで中心を結ぶことにより食べやすさが増す。手づかみでも食べることができる気軽さもある。他の副菜がなくてもいなりずしだけでおいしく食べることができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10個分) +- 米: 2カップ(300g) +- 【A】酢: 40cc +- 【A】砂糖: 10g +- 【A】塩: 小さじ1/3 +- かんぴょう: 10g +- 油揚げ: 5枚 +- 【B】だし汁: 500cc +- 【B】醤油: 100cc +- 【B】酒: 100cc +- 【B】みりん: 20cc +- 【B】砂糖: 60g + +## 作り方 +1. 米は同量の水加減で炊き、【A】で合わせ酢を作りご飯に振りかけ、切るようにして混ぜ合わせる。 +2. 油揚げは横半分に切り、口を開いて袋状にして、熱湯をかけしっかりと油抜きをする。 +3. かんぴょうは戻して、熱湯で湯がく。 +4. 【B】をすべて混ぜ合わせて調味料を作り、油揚げとかんぴょうをじっくりと味がつくように煮含める。 +5. 1の酢飯を1個50g程度に俵型に握る。油揚げの口を開けてご飯を詰め、中心をかんぴょうで結ぶ。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『ふる里の和食 宇都宮の伝統料理』(柏村祐司/半田久江) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_14_1.jpg)" +"# あいその甘露煮 栃木県 + +**郷土料理名**: あいその甘露煮 + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +那珂川流域、鬼怒川・思川中流域 + +## 主な使用食材 +あいそ + +## 歴史・由来・関連行事 +「あいその甘露煮」は初春に獲れたウグイ(あいそ)を甘く煮詰めた栃木県の郷土料理で、那珂川や鬼怒川などの大きな川筋で、春先に産卵のために群れるあいそを捕らえて食していた。若干骨っぽさを感じるため柔らかく甘露煮にすることが多い。内陸部の栃木県では、新鮮な海産物をふんだんに食べられるようになったのは、冷蔵庫が普及してか���であり、それ以前は乾物や塩引き鮭などが主であった。そのような背景から、身近である川魚は貴重なたんぱく源として利用されていた。伝統的な小網漁は、産卵しやすい場所作りからはじまり、そこに産卵にきたあいそを獲る漁を行う地域が現在も県内にある。 + +## 食習の機会や時季 +ウグイのシーズンは3~5月だが、春に産卵期を迎えると体に赤いしまができ、これがあいそと呼ばれる。春先に獲れたものはまだ小さくその分柔らかくて食べやすい。この時期に獲れたものを甘露煮にして食べたり、串刺しにして保存食にしていた。 + +## 飲食方法 +3時間位弱火で煮ると骨まで柔らかくなるが、一気に煮るのではなく、夜2時間位煮たら火を止め、翌朝1時間位煮ると味がよくしみこむ。この時、鍋のふたは開けておくと臭みが抜けやすくなる。好みでショウガやみりん、水飴を入れてもよい。煮くずれしないように、煮始めたら鍋をゆすったり、箸を使ったりせずに煮込む。日持ちしないので、火入れしながら早めに食べきるようにする。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- あいそ(軽く火にあぶったもの): 1kg +- 【煮汁】ざらめ(三温糖でも可): 300~350g +- 【煮汁】醤油: 200g +- 【煮汁】酒: 200cc +- 【煮汁】梅干し: 5~7粒 +- 【煮汁】湯: 適量 + +## 作り方 +1. あいそがゆったりと入る大きさの鍋に調味料を入れて一度沸騰させる。 +2. アクを取りながら甘みや辛みの具合を確認する。少し甘いくらいがよい。 +3. あいそを丁寧に入れる。 +4. 落としぶたをして弱火でコトコト煮る。必要に応じてさし湯する。 +5. 3時間位弱火で煮ると骨まで柔らかくなる。このとき一気に煮るのではなく、夜2時間位煮たら火を止め、翌朝1時間位煮ると味がよくしみこむ(あくまで弱火で、鍋のふたは開けておくと臭みが抜けやすくなる)。 +6. 焦げ付かないように注意して煮詰め、煮汁が残るように仕上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『ふる里の和食 宇都宮の伝統料理』(柏村祐司/半田久江) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_15_1.jpg)" +"# 揚げまき湯波の煮物 栃木県 + +**郷土料理名**: 揚げまき湯波の煮物 + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +日光市 + +## 主な使用食材 +揚げまき湯波 + +## 歴史・由来・関連行事 +「揚げまき湯波の煮物」はゆばを巻いて揚げたものを味付けして煮た料理で、日光市を代表する伝統料理である。ゆばは精進料理の材料として、唐留学から帰国した仏教僧が伝え、全国に広まっていったといわれる。肉食を忌む修験者たちは古くからゆばを食べる風習があり、それが庶民にも広まったと考えられる。一般的には「湯葉」と表記されることが多いが、日光では「湯波」と書く。金串を使用し薄皮の中央に入れてすくい上げる「日光湯波」は、金串の両側に垂れ下がったゆばがくっつき一枚となり厚みが出てボリューム感があり、表面が波打っているのが特徴である。生ゆばを重ねて棒状に巻き、輪切りにして油で揚げる「揚げまき湯波」は乾燥ゆばの一種で、ゆばと油との相性がよく、昔からふるさとの味として親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +日光東照宮の春と秋の例大祭のお供えのお膳に使われるゆばは、日光でも長い歴史がある。揚げまき湯波は日光ゆばを代表する一品で、薄味に味付けして煮るほかにも、鍋物などに入れ冬場に食す。また、正月のおせち料理や祝い事にも欠かせない。「揚げまき湯波の煮物」は各家庭独自の味付けもされ、おふくろの味として家庭では通年食されている。 + +## 飲食方法 +ゆばを煮る前には水からつけて煮始める。その際、煮るときに使う落とし蓋ぶたは、アルミホイルで代用してもよい。ようじをさして用いると、煮崩れが防げる。「揚げまき湯波」は汁まで飲めるよう、醤油は薄口を用いるなど、薄味で適度な甘みがポイント。食する前日に煮ておくと味がよりしみこむ。油抜きをして鍋物に使うこともできる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10個分) +- 揚げまき湯波: 10個 +- 出し汁: 300ml +- 【調味料】醤油: 大さじ1/2 +- 【調味料】みりん: 大さじ3 +- 【調味料】砂糖: 大さじ3 +- ほうれん草等の青み野菜: 適量 + +## 作り方 +1. 揚げまきゆばは、���騰した湯に入れ落しぶたをして弱火で10~15分位煮る。鍋を火からおろし、落としぶたの上から静かに水を注ぎ、ふたで押さえて茹で水を流す。ざるに取り余分な水分を切る。 +2. 別鍋に出し汁と調味料を入れる。その中に1の揚げまきゆばを入れ、落としぶたをして弱火 で約20分程煮て火を止め味を含ませる。 +3. 彩りに、ほうれん草や小松菜等を茹でた青み野菜を飾る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 高橋 久美子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_16_1.jpg)" +"# ばっとう汁・だんご汁(すいとん) 栃木県 + +**郷土料理名**: ばっとう汁・だんご汁(すいとん) + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +栃木県全域 + +## 主な使用食材 +じゃがいも、にんじん、しいたけ、ごぼう、豚肉、小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +野菜の入ったみそ汁に練った小麦粉や米粉を入れたものを一般には「すいとん」というが、全国各地に各様の「すいとん」があり呼び名も様々である。県内では那須塩原市の旧西那須野地区では「ばっとう汁」、那珂川町旧馬頭地区では「はっとう汁」といい、「法度汁」が訛ったものだといわれる。「だんご汁」という所は宇都宮市旧上河内地区、日光市旧栗山地区、那須塩原市旧西那須野地区等で、佐野市の葛生地区では、団子を手で取ってつまんで落とすことから「とっちゃなぎ」ともいった。かつては水田の少ない地域で、米の不足を補う食べ物として日常的に食卓に並ぶ家庭料理であった。具材はその時期の季節野菜を使って通年食べられる。調理の手軽さからも、現在でも家庭の味として親しまれる料理である。 + +## 食習の機会や時季 +日常的に食卓に並んだ家庭料理。おかずがいらないので、忙しい時や米の足りない時などに作った。特に冬は体が温まるので作られる機会が多く、季節により小麦粉のほか、米粉を使うこともある。具の野菜は季節によってかえてもよい。 + +## 飲食方法 +ボールに卵を割り入れ、水と塩少々を入れてかき混ぜた中に小麦粉を加え、よく混ぜて団子の生地を作る。この時、小麦粉は、耳たぶより若干柔らかいくらいに練っておく。じゃがいもやごぼうは切って水につけ、にんじん、しいたけ、豚肉も切る。切った野菜を入れた味噌汁の中に、こねた小麦粉をスプーンやしゃもじの角ですくい取りながら入れる。みそ汁はこんぶとかつお節でだし汁をとっておく。ねぎを入れたみそ汁もよく合う。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- じゃがいも: 120g +- にんじん: 70g +- 玉ねぎ: 100g(約1個) +- ごぼう: 50g +- しいたけ: 2~3枚 +- ねぎ: 50g +- 味噌: 50g +- だし汁: 6~7カップ +- 【団子】小麦粉: 200g +- 【団子】卵: 1個 +- 【団子】水: 150ml +- 【団子】塩: 小さじ1/2 + +## 作り方 +1. じゃがいもは乱切りにする。にんじんはいちょう切りにする。玉ねぎは縦の薄切りにする。ごぼうはささがきにして水に浸してアクを取りざるにあげる。しいたけはいしづきを取り薄切りにする。ねぎは斜めの薄切りにする。 +2. 大きめの鍋にだし汁を入れ沸いて来たら、ねぎを除いた野菜を加え八分どおり柔らかくなるまで火を通す。 +3. 団子をつくる。ボールに卵を割り、水と塩を加えて溶き、卵液を作る。別のボールに小麦粉をふるって入れる。その中に卵液を加えながらヘラでかき混ぜ、耳たぶより柔らかめのだんご生地にする。 +4. 1の鍋に味噌を溶き入れアクをすくい取る。鍋の火をつけたまま3の生地をスプ-ンでひと口大にとり、汁の中に落とし入れる。団子が浮いて来たら、ねぎを加えて器に盛る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 髙橋 久美子、半田 久江 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_17_1.jpg)" +"# 煮しめ 栃木県 + +**郷土料理名**: 煮しめ + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +栃木県全域 + +## 主な使用食材 +さといも、だいこん、にんじん、ごぼう、しいたけ、こんにゃく + +## 歴史・由来・関連行事 +地域の祭りや各家庭で行う年中行事のほか、冠婚葬祭でも振る舞われる郷土料理。栃木県では「芋煮しめ」ともいわれるように必ずさといもが入る。親芋を囲むように子芋、孫芋が育つさといもは、子孫繁栄や豊作の象徴とされる。縁起のよいさといもが主役となる芋煮しめはおせち料理の定番である。さといもは稲作以前の縄文時代に日本に伝来されたといわれる。栽培適応範囲が広く、火山灰台地や砂礫地(されきち)などでも栽培が可能で、栃木県内では宇都宮周辺の火山灰大地や那須扇状地、足尾山麓一帯の砂礫地などで収穫されている。古くから県内で親しまれている食材であり、煮しめの他、様々なさといも料理が存在する。 + +## 食習の機会や時季 +神社の祭礼、正月や盆などの年中行事、出産、冠婚葬祭など、様々な場面で食されてきた。現在では日常的なおかずとして食されている。 + +## 飲食方法 +主な材料は、さといも、だいこん、にんじん、ごぼう、しいたけ、こんにゃくなど。これらを醤油味でじっくり味がしみるまで煮付けたものである。近年ではさつま揚げやちくわなどの練り物を入れることも多い。かんぴょうを入れてもよい。しいたけの軸を取り除き、大きければ半分のそぎ切り、だいこんは半月切り、さといも、にんじん、ごぼうは乱切り、こんにゃくは短冊切りにしてそれぞれゆでこぼす。特にごぼうは柔らかくなるまで、ほかの材料も一品ずつゆがくと素材そのものの味を活かすとともに、味がしみこみやすくなる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- さといも: 中10個 +- だいこん: 400g +- にんじん: 1本 +- ごぼう: 100g +- しいたけ: 50g +- こんにゃく: 100g +- いんげん: 50g +- ちくわ: 2本 +- さつま揚げ: 2枚 +- 【調味料】砂糖: 大さじ1 +- 【調味料】醤油: 大さじ4 +- 【調味料】みりん: 1/2カップ +- 【調味料】だし汁: 3カップ + +## 作り方 +1. しいたけの軸を取り除き大きければ半分にそぎ切り、だいこんは皮をむき半月切り、さといも、にんじん、ごぼうは良く洗って皮をむき乱切りにし、ゆでこぼす。 +2. こんにゃくは短冊形に切り、中心に切り込みを入れる。その後、手綱に形作りさっとゆでる。 +3. ちくわ、さつま揚げは、ひと口大の大きさに切る。 +4. いんげんは1分ほど、下ゆでし3cmに切る。 +5. 1、2、3を鍋に入れ調味料を加え、途中ゆっくりかき混ぜながら煮含める。 +6. 5が煮えたら、いんげんを加え煮上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『ふる里の和食 宇都宮の伝統料理』(柏村祐司/半田久江) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_19_1.jpg)" +"# ニシンとタケノコの煮付け 栃木県 + +**郷土料理名**: ニシンとタケノコの煮付け + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +栃木県全域 + +## 主な使用食材 +身欠きにしん、たけのこ + +## 歴史・由来・関連行事 +身欠きにしんとたけのこを甘じょっぱく煮付けた料理。内陸部の栃木県は、新鮮な海産物をふんだんに食べられるようになったのは、冷蔵庫が普及してからであった。身欠きにしんは、内臓や頭を取り除き乾燥させた干物のような加工品で保存が効くため、海の幸が手に入りにくい時代に貴重なたんぱく源として重宝されてきた。「田植えにしん」ともいわれ、田植えの際のご馳走としてにしんの煮物は付きものだった。田植え始まりだけでなく、田植え終了後の宴でも振る舞われた。にしんの味がたけのこと良く合い、ご飯のお供として今日でも日常的に食べられている。 + +## 食習の機会や時季 +かつては田植えの時期に食べられた。「田植えは田の神様の祭り」と言われ、稲作のなかで最も大切な作業であるとされてきた。身欠きにしんの煮付けは「田植えにしん」と呼ばれ、田植えの際に神様をもてなし、手伝いに来てくれた人たちに振る舞う御馳走の代表格として欠かせないものであった。 + +## 飲食方法 +身欠きにしんは米のとぎ汁に浸して臭みをとり、柔らかくした後、小骨を取り除き下準備をする。たけのこと共に好みの大きさに切り、鍋に調味料を入れ一緒に火にかける。落し蓋をして柔らかくなったら完成。好みで山椒の葉を加えると香りが良くなる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 身欠きにしん: 2枚 +- ゆでたたけのこ: 300gぐらい +- 醤油: 50ccぐらい +- みりん: 大さじ2 +- 砂糖: 大さじ2 +- 水: カップ1 + +## 作り方 +1. 身欠きにしんは、米のとぎ汁に浸して臭みを取り、かつ柔らかくする(米のとぎ汁に1晩浸しておくのが理想)。 +2. 身欠きにしんの小骨を取り除き、好みの���きさに切る。たけのこも好みの大きさに切る。 +3. 鍋に刻んだにしん・たけのこを入れ、水1カップと調味料を加え火にかける。 +4. 落し蓋をして中火で煮る。時々鍋を軽く振り具材を混ぜる。10分程で煮含め、にしんが柔らかくなったらできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『ふる里の和食 宇都宮の伝統料理』(柏村祐司/半田久江) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_20_1.jpg)" +"# ぼた餅 栃木県 + +**郷土料理名**: ぼた餅 + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +栃木県全域 + +## 主な使用食材 +もち米、うるち米、小豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +彼岸の添え物として欠かせないごちそう。牡丹の花が咲く頃の春の彼岸では「ぼた餅」、萩の花が咲く頃の秋の彼岸では「おはぎ」と呼ばれるが、栃木県内では「ぼた餅」の呼び名が一般的である。また、県内では、もち米とうるち米をつぶしたものを俵型にまるめて、あんを包んだものは、多く和菓子店等で作られたが、農作業で多忙な農家では、ご飯茶碗等に盛ったご飯の上にあんをのせただけの場合が多く、その場合も呼び名は「ぼた餅」であった。食べる時期も彼岸以外、盆行事にも欠かせず、「盆にぼた餅、昼にうどん、夜は米の飯でとうなす(かぼちゃ)汁よ」の言葉が伝わるように、お盆にも「ぼた餅」はつきものである。 + +## 食習の機会や時季 +ぼた餅は、主に春秋の彼岸や盆の時期に食された。県内の農家では、稲刈り終了時や稲こき(脱穀)終了時に、庭の上に零れ落ちていた稲穂や籾で特別にぼた餅を作る風習があり、前者を「刈りあげぼた餅」、後者を「こきあげぼた餅」と呼ぶ。 + +## 飲食方法 +うるち米ともち米を混ぜて洗い、1時間ほど分量の水に浸してから炊く。うるち米ともち米の割合を7:3にして炊くと良い。炊き上がったご飯を茶碗に盛り、上にあんをたっぷりのせる。俵型に丸める場合は、炊きあがったごはんをボールに移してすりこぎ棒で半つぶしにつき、1個約30gの俵型にし、あんとまとめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (30個分) +- もち米: 1カップ(150g) +- 米(うるち米): 2カップ(300g) +- 水: 3カップ +- 【小豆あん】生あん: 400g +- 【小豆あん】砂糖: 200~280g +- 【小豆あん】水: 160ml +- 【小豆あん】塩: 少々 + +## 作り方 +1. 米ともち米を混ぜて洗い、1時間ほど分量の水に浸してから炊く。 +2. あんをつくる。鍋に、砂糖と水を入れて、煮とかし、生あんの1/2を加えて練りまぜ、残りの1/2を同様に加え、好みのかたさまで練る。最後に塩を加える。 +3. 重箱や器に1のごはんを盛り、上にあんを広げてのせる。 +4. おはぎ風の俵型にする場合は、1のごはんを俵型ににぎる。ラップにあんをうすめに適量広げ、にぎったごはんをのせてラップで包むようにして、あんをつける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 髙橋 久美子、半田 久江 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_21_1.jpg)" +"# 鮎めし 栃木県 + +**郷土料理名**: 鮎めし + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +那珂川中流域 + +## 主な使用食材 +米 生鮎 + +## 歴史・由来・関連行事 +鮎と米を炊き込んだ「鮎めし」は、那珂川や鬼怒川など鮎の獲れる川筋の人々が昔から作ってきた郷土料理。那珂川は古くから鮎漁が盛んな場所として「西の四万十川、東の那珂川」と称されるほどで、日本有数の漁獲量を誇る。平成14(2002)年には日本釣振興会により「天然アユがのぼる100名川」に選定されたほどである。内陸部の栃木県では川魚は貴重なたんぱく源として重宝されていた。中でも鮎は、祭りや農休日などの特別な日に食され、一度に食べきれない分は串に刺し、それを巻きわらに突き刺し囲炉裏のかたわらに吊り下げて保存するなど大切に扱われてきた。素焼きにした鮎とご飯を一緒に炊く「鮎めし」は、数ある鮎料理の中でも手軽に作ることができ、庶民に親しまれてきた料理である。 + +## 食習の機会や時季 +清流に育つ鮎は貴重な食材だったため、「鮎めし」は祭りの日や農休日など特別な日に作られていた。全国でも有数の鮎漁獲量を誇る那珂川では、初夏から夏にかけては「若鮎」が、夏の終わりには卵をいっぱい持った濃厚な味わいの「抱卵あゆ」が獲れ、これらを使った鮎めしを飲食店で味わうことができる。 + +## 飲食方法 +米をよく洗った後、調味料と水に30分くらい浸し、ワタを取って素焼きにした鮎とともに炊飯器に入れて炊き上げる。この時鮎が重ならないように入れる。炊き上がったら頭と骨を取って身をほぐし、混ぜ合わせて味が薄いようなら調整する。塩焼きの鮎を使う場合は、調味料を控える。器に盛って、好みで青しその千切りや、針しょうがを加えても良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 3カップ +- 生鮎: 4匹 +- 【炊飯用調味料】酒: 1/2カップ +- 【炊飯用調味料】醤油: 大さじ1 +- 【炊飯用調味料】塩: 小さじ1/2 +- 【炊飯用調味料】水: 2と1/2カップ + +## 作り方 +1. 米はよく洗って、炊飯用調味料と水に30分位浸しておく。 +2. 鮎はワタを取り除き、グリルなどで素焼きにしておく。 +3. 1の米に、鮎をのせ炊飯器で炊く。 +4. 炊き上がったら、頭と骨を取り除き、ご飯と鮎の身をほぐして、よく混ぜ合わせる。 +5. このとき、味を見て薄いようなら塩を加えて、味を調整し少し蒸らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『ふる里の和食 宇都宮の伝統料理』(柏村祐司/半田久江) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_22_1.jpg)" +"# えび大根 栃木県 + +**郷土料理名**: えび大根 + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +栃木県南部 + +## 主な使用食材 +だいこん、川エビ + +## 歴史・由来・関連行事 +寒くなると川エビが獲れる県南地域で、霜の便りを聞く頃に作る冬の料理。親戚や家を出ている子供たちも集まり一緒に祝いをする水神祭の席には、えび大根のほか、赤飯やけんちん汁、きんぴらごぼうなどが作られていた。小山市南西部の生井地区・白鳥地区周辺では、たくさん捕れた川エビは行商に回っていた。エビは炊くと赤くなり、だいこんの白と合わさり、縁起物として祝いの席の一品として添えられたと伝わる。えび大根に使われる川エビは「笹エビ」とも呼ばれる。川の岸辺の草が枯れて寒くなる頃に、エビが寒さをしのぐ場所がなくなる。枯れた草の代わりに笹を束ねて縄で縛り、エビが近寄るよう岸辺に1mくらい縄の端をつけ固定する。その笹に身を寄せてきたエビを網ですくい獲る。川エビと冬が旬のだいこんとを、とろけるほど柔らかく煮付ける「えび大根」はごちそうの一品だった。「川エビ」は、テナガエビ、ヌマエビなど淡水の河川や湖沼にいるエビの総称で、天ぷらや佃煮、煮付けなどでも食べられる。現在では川エビの代わりに、桜エビが用いられることも多い。 + +## 食習の機会や時季 +元来、舟の安全や川が穏やかであるよう祈願する水神祭のほか、行事や祝い事のごちそうとして作られた。一般家庭で日常的な惣菜として食卓に並ぶが、現在では桜エビが代用されることが多い。 + +## 飲食方法 +だいこんは皮をむき2cmくらいの輪切りまたは半月切りにしてから下ゆでする。その際米のとぎ汁があればそれで下ゆでをしておく。鍋に下ゆでしただいこんと、川エビ、水、砂糖、酒、しょうゆを加えてだいこんがやわらかくなるまで煮る。味がよくしみこむよう弱火でゆっくりと煮ると良い。川エビがない場合は、桜エビ(素干し)でも代用できる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- だいこん: 10cm +- 川エビ(または桜エビ1/3カップ): 40g +- 【調味料】砂糖: 大さじ1 +- 【調味料】酒: 大さじ2 +- 【調味料】しょうゆ: 大さじ1 +- 水: 160cc + +## 作り方 +1. だいこんは皮をむき、厚さ2cmの輪切りまたは半月切りにし、さっと下ゆでする。 +2. 鍋に、だいこん、川エビ、水と調味料を入れ、だいこんに味がしみるまで煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 栃木県教育委員会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_23_1.jpg)" +"# 草餅 栃木県 + +**郷土料理名**: 草餅 + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +栃木県全域 + +## 主な使用食材 +米粉、餅草(よもぎ) + +## 歴史・由来・関連行事 +「草もち」は、餅草(よもぎ)を入れてついた餅で、餅草が芽を出し幾分育った3月中旬頃から4月中旬頃の行事に食べる風習がある。ひな節句(桃の節句、三月節句ともいわれる)に、草もちをひな飾りに供え、きな粉等���つけて食べる風習があるが、もともとは旧暦でのひな節句でのことである。近年のように新暦3月3日にひな節句を行うようになると餅草が手に入らないことがあり、和菓子店で作った草もちを用いることが多い。初めての女の子が生まれ初節句を迎える家では、嫁や婿の実家から贈られたひな人形を座敷などに飾って子どもの無事成長を祈るが、この時、嫁が実家に里帰りする風習がある。ひな飾りに紅白のひし餅や白酒を供える家もあるが、草もちだけは必ず供えた。 + +## 食習の機会や時季 +ひな節句に娘の成長を祈り、ひな飾りにお供えをして食べた伝統料理の草もち。新暦の3月下旬頃から4月上旬の頃は、よもぎが芽を出す頃である。新芽は独特の香りがあり、芽吹いたばかりのよもぎの葉を入れた草もちは香りが高く、この時期ならではの食べ物である。 + +## 飲食方法 +よもぎは柔らかい葉を摘んでよく水洗いをし、たっぷりの湯に重曹を入れてゆで、水に浸してアクを抜き、絞っておく。ミキサーで砕く場合は少量の水を加える。春先のよもぎなら包丁で細かく刻んでもよい。大きめのボールに米粉を入れて、熱湯を加えて手早くかき混ぜ、耳たぶくらいのかたさにこね、そこにすりつぶしたよもぎを入れてさらによくこね、最後に丸めていく。ゆでたよもぎは冷凍しておくと季節が過ぎても利用できる。よもぎが手に入らない場合は春菊の葉の部分を代用してもよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10個分) +- 米粉(上新粉): 2カップ(260g) +- 熱湯: 1と1/2カップ +- よもぎ: 80g(ゆでたもの) +- 【きな粉】きな粉: 大さじ5 +- 【きな粉】砂糖: 大さじ3 +- 【きな粉】塩: 小さじ1/2 + +## 作り方 +1. 絞っておいたよもぎは、すり鉢でよくつぶすか、ミキサーで少量の水を加えてよく砕く。 +2. 大きめのボールに米粉を入れ、熱湯を加えて手早くかき混ぜ、耳たぶくらいのかたさにこねる(熱湯は堅さを確認し調整しながら入れる)こねたものを、一握りくらいの大きさにちぎって約15分蒸す。 +3. 蒸した米粉をボールに移し、すりこぎでつきながらよくこねて、1のよもぎを加えさらによくこねる。 +4. よもぎがまんべんなく混ざったら、1個50~70gの大きさに丸め、指を添えて軽くつぶす。 +5. きな粉は、砂糖、塩を混ぜる。草餅にきな粉をつけて食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『ふる里の和食 宇都宮の伝統料理』(柏村祐司/半田久江) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_24_1.jpg)" +"# 白あえ 栃木県 + +**郷土料理名**: 白あえ + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +栃木県全域 + +## 主な使用食材 +豆腐、にんじん、こんにゃく + +## 歴史・由来・関連行事 +人寄せからハレの日だけでなく、普段の食事でも家庭料理の献立として多くの人々に親しまれている料理。かつては豆腐店が近くにない山間地などでは、豆腐は自給せざるを得なかった。例えば日光市川俣や芹沢では、隣近所同士が道具を共有し、共同で豆腐を作ったものであり、貴重な食材であった。豆腐を作るのは、ご祝儀や葬式、正月等の際であり、この時に白あえが作られた。豆腐が容易に手に入れることができる所では神社の祭りや年中行事の時にも作っていた。現在では、一年を通し食卓に並ぶ惣菜の一つである。 + +## 食習の機会や時季 +ご祝儀や葬式、正月以外、神社の祭りや年中行事の時に作っていた。和える食材は、定番のにんじんとこんにゃくをベースに、ほうれんそうやりんご、柿など季節の野菜や果物を好みで入れることもある。白あえは葬式などにも作ることが多いが、葬式の場合はにんじんなどの赤い色合いの食材は入れないようにする。 + +## 飲食方法 +こんにゃくは短冊切りにして湯がき、水切りをして下準備をする。下準備で豆腐は30分位前に布巾で包み、まな板の上にのせて重しをして水切りをしておく。切ったにんじんやこんにゃくを下煮用調味料で煮たのちに冷ます。豆腐はすり鉢で味を整え、食べる直前に食材と和える。豆腐をなめらかにする際、すり鉢がない場合は、へらのようなものでよくつぶして代用することもできる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 木綿豆腐(水を切ったもの): 1丁(380g) +- 砂糖: 大さじ3~4 +- 塩: 小さじ1 +- すりごま: 大さじ2 +- にんじん: 80g +- こんにゃく: 160g +- 【下煮用】砂糖: 大さじ1 +- 【下煮用】塩: 小さじ1/2 +- 【下煮用】だし汁: 100cc + +## 作り方 +1. こんにゃくは4cm位の長さの短冊切りにして、熱湯でさっとゆで、水切りする。 +2. にんじんもこんにゃくと大きさを合わせて短冊切りにし、1のこんにゃくと合わせて下煮用調味料で煮て冷ましておく。 +3. 豆腐はすり鉢でなめらかにすり、砂糖、塩、すりごまを入れて味を整える。 +4. 食べる直前に2と3を和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『ふる里の和食 宇都宮の伝統料理』(柏村祐司/半田久江) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_25_1.jpg)" +"# ちたけとなすの油炒め 栃木県 + +**郷土料理名**: ちたけとなすの油炒め + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +県央部 + +## 主な使用食材 +ちたけ、なす + +## 歴史・由来・関連行事 +栃木を代表するきのこ「ちたけ」となすを炒めた料理。「ちたけ」とは、「ちちたけ(乳茸)」のことで、裂くと乳白色の汁が出ることが名前の由来。香りが良く、なすとよく合い、うどんやそばのだし汁の材料として好まれてきた。栃木県では「ちちたけ」とその近縁種は「ちたけ」と呼ばれ、日常的に食されてきた。里山のちたけは、秋のきのこに先立って8月頃に生える数少ない食べられるきのこであり、栃木県では盆の時期に食された。里山は薪炭(しんたん)類の生産のために十数年ごとにナラやクヌギを伐採し、また落ち葉を堆肥にするために毎年落ち葉さらいが行われるなど再生産のための管理がなされてきた。現在は自然環境の変化などの要因によりちたけの収穫量、流通量は減少している。 + +## 食習の機会や時季 +ちたけが採れる夏から秋にかけて、よく食されてきた。 + +## 飲食方法 +ちたけを大きめに切り、塩水に浸し水分を切る。なすは一口大の小口切りにし、塩水に浸して、アクを抜き、ざるにあげる。油を入れたフライパンを熱し、ちたけを炒めて香りを出す。なすを加えよく炒めて、だし汁、しょうゆ、みりんを加え、炒め煮にする。※野生のきのこの使用にあたっては、以下の点をご確認ください。・きのこを採取してよい森林か確認してください。・放射性物質モニタリング検査結果等で安全かどうか確認してください。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ちたけ: 50g +- なす: 5~6本 +- 油: 大さじ3~5 +- しょうゆ: 大さじ3 +- みりん: 大さじ2 +- だし汁または水: 大さじ3 + +## 作り方 +1. ちたけは、土のついた先端を切り落とし、大きめに切り、塩水(分量外)に浸し水分を切る。 +2. なすは、皮をつけたままでも、皮をむいても、好みで良いが、縦4つ割にし、一口大の小口切りにする。塩水(分量外)に浸し、アクをぬいてざるにあげる。 +3. フライパンまたは鍋に油を熱し、ちたけをよく炒め、香りを出す。 +4. なすを加えさらによく炒める。 +5. しんなりしたら、だし汁、しょうゆ、みりんを加え、炒め煮にする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 栃木県農業者懇談会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_26_1.jpg)" +"# なすといんげんの油味噌 栃木県 + +**郷土料理名**: なすといんげんの油味噌 + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +北西部山間地を除いた地域 + +## 主な使用食材 +なす、いんげん + +## 歴史・由来・関連行事 +なすは夏から秋にかけての代表的な野菜である。夏季の気温が高くなる内陸栃木県は、なすの栽培に適し、農家のみならず多少の畑があればなすを栽培したもので身近な野菜だった。なす料理といえば、糠漬、味噌汁など多数あるが、中でも刻んだなすを油で炒め、味噌と砂糖でからめた「なすといんげんの油味噌」は、夏場の代表的な食べ物であった。宇都宮市板戸では、夏に行われる天祭(てんさい)と称する行事に「なすといんげんの油味噌」を食べる風習がある。北西部山間地以外のなすの栽培地域では、祭りに限らず平日でもよく食べられる。 + +## 食習の機会や時季 +宇都宮市では、8月初旬から9月初旬、稲の収穫を控え無事に豊作を祈って、男たちが作った。またお盆にも煮しめなどと共になすといんげんの油味噌が作られる。 + +## 飲食��法 +なすといんげんを炒め、味噌、砂糖、だし汁を入れてしばらく混ぜながら水気をとばし炒め煮にする。調味料は予め合わせておくと混ぜやすい。いんげんの代わりにピーマンやししとうを入れても良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- なす: 5個 +- いんげん: 50g +- サラダ油: 大さじ3 +- 味噌: 大さじ2 +- 玉砂糖: 大さじ2 +- だし汁: 50~100ml + +## 作り方 +1. なすはヘタをとり、1.5cm厚さのいちょう切りか、半月切りにし、塩水に浸し、灰汁をぬき、ザルにあげる。 +2. いんげんはつるをとり、2~3cm長さに切る。 +3. フランパンにサラダ油を熱し、なすといんげんを炒める。だし汁、玉砂糖を加え、全体になじませ、味噌を加え、炒め煮にする。汁が少なくなり、全体に味がからんだらできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 髙橋 久美子、半田 久江 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_27_1.jpg)" +"# どじょう汁 栃木県 + +**郷土料理名**: どじょう汁 + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +栃木県平野部 + +## 主な使用食材 +どじょう、ねぎ、ごぼう、たまねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +「どじょう汁」は夏に決まって作る料理のひとつ。厳しい夏場に暑さを乗り切ろうと食べられていた。内陸性の気候で寒暖の差が大きな栃木県は、夏季は暑さが厳しく、冬季は寒い日が続く。どじょうをはじめとする川魚は、海から離れた内陸部では、貴重なたんぱく源で、用水堀がコンクリートで施される以前、宇都宮周辺地域ではどじょうはごく普通に見られていた身近な川魚であった。田んぼを作る農家では、夏になると田んぼの水口(みなくち)にふたをしてどじょうを獲り、どじょう汁にして食べた。小さい子どもには、親が身を剥がし食べさせていた。左手でどじょうの頭の下をつまんで、右手のはしで頭の下から尾にかけて身をそぎ落とすと、きれいに身が剥がれて食べやすくなる。 + +## 食習の機会や時季 +(宇都宮市)の一部地域では、昔から七月の暑い最中に行われる八坂神社の祭りの昼食にどじょう汁がつきものになっている。暑さに体力を失いがちな夏場にどじょうを食べると精力がつくと喜ばれ、丸ごと食べるどじょう汁は不足しがちなカルシウムの供給源にもなる。 + +## 飲食方法 +どじょうを水切りしてから鍋に、酒をひたひたに入れ、醤油を少々注ぎふたをして火にかけ動きをとめる。ねぎやごぼうを入れ、溶き卵を加えていただく。うどんを加えて食べてもおいしい。どじょう料理は、かば焼き、丸煮、天ぷらなどがあるが、どじょう汁は一番手軽な食べ方である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- どじょう(やや小さめのもの): 300g +- ねぎ: 1本 +- ごぼう: 1/2本 +- たまねぎ(中): 1個 +- 酒: 100cc +- 醤油: 少々 +- 卵: 1個 +- 水: 4カップ + +## 作り方 +1. どじょう(購入したどじょうはそのままでよいが、獲ってきたどじょうは水の入った容器に入れ、十分に泥を吐かせてから用いる)を水切りしてから鍋に入れ、酒をひたひたになるくらい入れ、次いで醤油を少々注ぎふたをして火にかけ、動きをとめる。 +2. 水を加え、刻んだたまねぎ、ささがきにしたゴボウを入れ、煮え立った頃に溶き卵を加える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『ふる里の和食 宇都宮の伝統料理』(柏村祐司/半田久江) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_28_1.jpg)" +"# 焼き餅(やきもち) 栃木県 + +**郷土料理名**: 焼き餅(やきもち) + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +栃木県全域 + +## 主な使用食材 +ご飯 小麦粉 とうもろこし 味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +おやつや間食が手作りの時代に、残りご飯に小麦粉や味噌を加えて丸めて押しつぶし、ほうろくやフライパンで焼いた焼き餅は、味噌の香ばしさと素朴な好まれる家庭の味だった。また、夏場のご飯は傷みやすいため、焼き餅にして日持ちさせる知恵でもあった。昔は、具は入れず小麦粉と味噌のみで作り炉端で焼いていた。時期により小麦粉の代わりに米粉も使っていた。次第に季節の野菜等が具として使われ、各家庭の焼き餅が作られた。地域により焼くほかに、蒸したり茹でたりするところもあり、これらは砂糖、醤油、��な粉をつけて食べる。地域や家庭によりアレンジが多数あり、現代でもおやつやお茶うけに喜ばれる料理である。 + +## 食習の機会や時季 +一般家庭で残りご飯を利用して、ほうろくやフライパンで焼き、おやつとして食べたり、ご飯の足りない時に作ったり、通年で食されてきた。手軽に作ることができる素朴な家庭の味として今日でも親しまれている。 + +## 飲食方法 +ご飯を10分位水に浸し軽く水を切る。大きめのボールにご飯、小麦粉、とうもろこし、小女子、青のり、ごま、みそを入れ、よくこね合わせ、小判型に形を作る。熱したフライパンに油を入れ、弱火~中火で焼く。中に入れる野菜はその時期の野菜を使うと季節感が楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ご飯: 200g +- 小麦粉: 150g +- とうもろこし(ゆでたもの): 100g +- 小女子: 50g +- 青のり: 大さじ2 +- ごま: 大さじ2 +- みそ: 50g +- 油: 少々 + +## 作り方 +1. ご飯は10分位水に浸してから軽く水を切る。 +2. 小女子は湯どおしする。 +3. ごまは炒っておく。 +4. 大きめのボールにご飯、小麦粉、とうもろこし、小女子、青のり、ごま、みそを入れ、よくこね合わせる。 +5. 8個分にわけ厚さ、1.5cmくらいの小判型に形を作る。 +6. フライパンを熱し、油を引き、中~弱火で片面をうすく焦げ目がつくまで焼き、裏返して片面も焼く。時々フライパンを動かしながら焼くと良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 栃木県農業者懇談会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_29_1.jpg)" +"# 切干し大根の煮物 栃木県 + +**郷土料理名**: 切干し大根の煮物 + +**都道府県**: 栃木県 + +## 主な伝承地域 +栃木県全域 + +## 主な使用食材 +切干し大根 + +## 歴史・由来・関連行事 +切干し大根をかためにもどし、調味料を加えてゆっくり煮含めた料理。冬の栃木県は空っ風が吹き、晴れた日が何日も続くことから、切干し大根や芋がら(さといもの茎を干したもの)等の乾物がよく作られてきた。切干し大根は、だいこんを細長く薄く切って乾燥させたもので、食物繊維が多く、生のだいこんとは違った風味があり、現在でも日常的に好んで食べられている。かつては冬の間などの野菜の少ない時期に、貴重な保存食として食べられてきた。その代表的な調理方法が煮物である。 + +## 食習の機会や時季 +保存食であり、野菜の少なくなる時期の補いにしていた。天日で干して旨みや栄養素が凝縮され、カルシウムや鉄分、ビタミンB群などの含有量が増え、食物繊維も豊富。ヘルシーな食材として、現在では季節を問わず食べられている。 + +## 飲食方法 +よく洗っただいこんの皮をむき、5mmぐらいの厚さの輪切りにして4~5枚重ね、幅5mmくらいの千切りにする。平たいざるや新聞紙の上などに千切りにしただいこんをまんべんなく広げ、陽が当たり、風通しがよく、雨の当たらない場所で2週間くらい干すと切干し大根ができる。食品用保存袋などに詰め乾燥剤を入れて保存するとよい。この切干し大根をもどし、調味料を加えてゆっくり煮含めると切干し大根の煮物となる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 切干し大根: 50g +- にんじん: 50g +- 油揚げ: 3枚 +- 赤唐辛子: 1~2本 +- サラダ油: 大さじ3 +- だし汁: カップ2 +- 醤油: 大さじ3 +- みりん: 大さじ2 +- 砂糖: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 切干し大根は水洗いをしてから、たっぷりの水に浸して戻しておく。戻しただいこんはざるにあげて水切りをする。 +2. にんじんはだいこんに合わせて千切り、油揚げは縦半分に切り、1cm位の細切りにする。赤唐辛子は種を取って細かい輪切りにする。 +3. 1と2を合わせて鍋に入れ、サラダ油でよく炒める。次に、だし汁、醤油、砂糖、みりんを加えて10分位煮る。汁気がなくなってきたら出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 髙橋 久美子、半田 久江 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_30_1.jpg)" +"# おきりこみ/おっきりこみ 群馬県 + +**郷土料理名**: おきりこみ/おっきりこみ + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、ニンジンや長ねぎ、しいたけなどの野菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +群馬は小麦粉の名産地。水はけのよい田んぼや冬に吹���乾燥した冷風・からっ風の影響を受けて元気に育ち、その生産量は全国トップクラス。群馬県の農業技術センターが品種改良し、全国に生産地が広がった「きぬの波」、「さとのそら」の生産をはじめ、小麦粉を使った加工品もさかんに製造しており、特有の粉食文化を発展させている。郷土料理は小麦粉を活用したものも多く、おきりこみはその代表格。小麦で作った幅広麺を、各家庭にある野菜やきのこなどとともに煮込む麺料理だ。麺の生地を麺棒などに巻いて、包丁で“切り込み”を入れることから「おきりこみ」と名付けられたと言われている。2014年には「群馬の粉食文化・オキリコミ」として、「群馬県記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に採択された。 + +## 食習の機会や時季 +石臼が庶民に広まった江戸時代中期頃から、日常的な主食として親しまれ始めたと考えられている。幅広麺と野菜を使うことは決まっているが、麺の具体的な太さや野菜の種類、さらに味付けに細かい決まりはなく、各家庭により異なる。ちなみに、おきりこみのように無塩かつ下ゆでなしの麺を日常的に食べる地域は珍しく、群馬のほかには埼玉や山梨、長野などに限られる。 + +## 飲食方法 +小麦粉で作った無塩の幅広麺を、各家庭にある野菜とともに大鍋に入れ、ゆでずにそのまま煮込む。野菜は各家庭により異なるが、ニンジンや長ねぎ、大根、しいたけ、じゃがいも、里芋などを使うことが多い。そのほか、旬の食材を活用し、季節の味わいを楽しむことも。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 【麺】中力粉: 300g +- 【麺】水: 約150ml +- 【麺】打ち粉: 約30g +- ごぼう: 60g +- 【汁】にんじん: 60g +- 【汁】大根: 100g +- 【汁】里芋: 150g +- 【汁】しいたけ: 4枚 +- 【汁】油揚げ: 1枚 +- 【汁】長ねぎ: 40g +- 【A】水: 2L +- 【A】煮干し: 40g +- 【A】昆布(10cm角): 1切 +- 【A】かつお節: 10g +- 【B】しょうゆ: 大さじ2 +- 【B】味噌: 40g + +## 作り方 +1. 【麺をつくる】ボウルに中力粉を入れ、中央をくぼませて水を少しずつ加えていく。粉っぽさがなくなるまで手で十分にこねる。 +2. 1を丸めて大きなビニール袋に入れ、かかとで踏む。生地を折りたたみさらに踏む。耳たぶより少し硬めになるまで数回繰り返す。その後、袋に入れたまま常温で20~30分ねかす。 +3. 2の生地を、打ち粉をしたのし板の上に置き、めん棒でのばす(厚さは3mm~5mm)。 +4. 3の生地に必要に応じて打ち粉をし、めん棒に巻き付ける。包丁でめん棒の上をなぞるようにして切り開いたらうどんより太め(約1cm)の幅に切る。 +5. 【だしをとる】鍋に【A】の水と昆布、頭とワタをとった煮干し・かつお節を入れて、5分ほど浸してから、弱火にかける。 +6. 沸騰したら昆布を引き出し、他はそのまま弱火で5分ほど煮出し、その後ザルでこす。 +7. 【具材の切り方】にんじんと大根はいちょう切り、里芋は一口大、しいたけはスライス、長ねぎは輪切りにする。ごぼうは太さに応じて輪切りか斜め切りにする。油揚げは7mm幅の短冊切りにする。なるべく大きさをそろえる。 +8. 鍋にだし汁を入れ、麺と長ねぎ以外の野菜を、煮えにくいものから加え、中火で10~15分加熱していく。麺を加えてさらに煮込み、長ネギを加え【B】のしょうゆや、味噌で味付けする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : こころをつなぐ まえばしの味 前橋市健康部健康増進課、前橋市食生活推進員協議会作成 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_1_1.jpg)" +"# すいとん 群馬県 + +**郷土料理名**: すいとん + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、ゴボウやニンジン、ネギなどの野菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +昔から米と麦の二毛作が行われてきた群馬では、特に小麦粉の生産が盛ん。それゆえに、おきりこみやまんじゅうなど多様な小麦粉料理が郷土料理として親しまれている。小麦粉を水で溶いて作る「すいとん」もその一つだ。群馬の全域で作られている料理ではあるが、地域によって使う材料や呼び名が少しずつ異なることも。例えば、太田市で作られるすいとんは米粉を用いることが多い。一方藤岡市では、小麦粉で作ることは同じだが、「とっちゃなげ汁」と呼ばれ��いる。水で溶いた小麦粉を「取っては投げる」から、あるいは「父ちゃんが鍋をかき混ぜて作る」からのいずれかが由来という説がある。ほかにも「つめりっこ」、「おつゆだんご」、「ねじっこ」などといった名前で呼ばれることもあり、各地域で独自の文化を形成している。 + +## 食習の機会や時季 +特に食料不足の時代において、米の代替品として好まれていた。数ある小麦粉を使った郷土料理の中でも、生地をこねたり切ったりする必要がないため、比較的手軽に食べられる日常食として親しまれている。また、小麦粉を水で溶いて作るだけと調理が簡単であるため、量産できて腹持ちが良いことも愛される理由の一つとなっていた。 + +## 飲食方法 +煮干しなどで取っただし汁に、家庭にある野菜を食べやすい大きさに切って加え、煮込む。しょうゆや味噌で味を調え、水で溶いた小麦粉をスプーンなどでこねて丸め、数分間煮ると出来上がり。野菜は各家庭にあるものを好みで加える。ちなみに、すいとんと似た料理に水分量を減らして弾力を出し、手でちぎって作る「おつみっこ」というものもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 小麦粉: 150g +- 水: 150ml +- 大根: 60g +- にんじん: 40g +- 里いも: 2個 +- しいたけ: 2枚 +- 長ねぎ: 1/2本 +- 油揚げ: 1枚 +- しょうゆ: 大さじ2と1/2 +- みりん: 大さじ1 +- だし汁: 4カップ + +## 作り方 +1. 小麦粉を水でこねておく(スプーンですくって落とせる程度のかたさ)。 +2. 野菜等は食べやすい大きさに切り、だし汁で煮る。 +3. 鍋にだし汁を入れ、野菜を入れて火にかける。 +4. 野菜が七分通りやわらかくなったら、1をスプーンで落とし入れる。 +5. 沸騰したらみりんを入れ、しょうゆで味を調える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : こころをつなぐまえばしの味前橋市健康部健康増進課、前橋市食生活推進員協議会作成 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_2_1.jpg)" +"# 炭酸まんじゅう 群馬県 + +**郷土料理名**: 炭酸まんじゅう + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +群馬は「ぐんま百名山」として100山を選定するほど、豊かな山脈が広がるエリア。土壌も火山灰などの火山噴出物でできていることが多いため、水はけがよく作物の生産に向いている。さらに冬の日照時間が長いことから、小麦が育ちやすく、小麦を使った郷土料理がたくさん作られている。炭酸まんじゅうもそのうちの一つで、小麦粉で作った生地であんを包み蒸し上げたもの。生地に重曹を加えており、甘みとほんのりとした苦味が特徴となっている。さまざまなおいしいお菓子が食べられる現代とは違い、昔は甘いものがとても希少だった。そんな中で、貴重な砂糖を使った甘くておいしい炭酸まんじゅうは、特別なごちそうとして愛されていたという。呼び名としては「ふかしまんじゅう」「田舎まんじゅう」などと呼ばれることもある。 + +## 食習の機会や時季 +希少な砂糖を使った料理であることから、十五夜などの季節の行事のおもてなし料理として提供されたり、農作業が一段落した際のご褒美として食べられたりするなど、特別な一品として重宝されていた。また、先祖への供物とされることもあるという。また、農作業の間食である「小昼半(こじゅはん)」として食べられることも。 + +## 飲食方法 +炭酸まんじゅうは小麦粉と重曹、ベーキングパウダー、砂糖を使って生地を作る。そこに餡を包み丸めたら、あとは蒸し器で熱を通して完成。県内全域で食べられているが、特に館林市や高山村などで親しまれているほか、甘楽町では「そばまんじゅう」、明和町では「ニラまんじゅう」など個性豊かなまんじゅうが作られている。また、中はあんこがつまっているものが一般的だが、高菜やおからなど、おかずを入れて惣菜風にするケースも見られる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 薄力粉: 250g +- ベーキングパウダー: 小さじ1/2 +- 重曹: 8g +- 卵: 1/2個 +- 砂糖: 50g +- 水: 100cc +- 【あん】小豆: 150g +- 【あん】砂糖: 150g +- 【あん】塩: 1つまみ + +## 作り方 +1. あんを作る。小豆を水洗いし、鍋に入れ、たっぷりの水を入れて中火にかける(フタはしない)。※銅鍋がおすすめ。 +2. グラグラと沸騰したら、火から下ろし、ザルにあけてゆでこぼす(渋切りという)。 +3. 2を鍋に戻し、水をひたひたになるくらいまで入れ、フタをして中火にかける。水分量の目安は小豆の3~4倍の量(450~600ml)。沸騰したら、途中でアクを取りながら、軟らかくなるまで煮る(鍋から目を離さず、10~30分)。差し水を3~4回繰り返す。 +4. 豆を手でつぶせるくらいに軟らかくなったら、砂糖を2~3回に分けて加える。焦げないように混ぜながら煮る。水分がとんだら(丸形に整形できるかたさが目安)塩を加える。 +5. まんじゅうを作る。薄力粉とベーキングパウダー、重曹は混ぜてふるっておく。 +6. ボウルに卵と砂糖を入れまぜる。5でふるった粉を加え、水を少しずつ加えて、耳たぶくらいのかたさによくこねる(水の量は加減する)。 +7. 6をボウルの中で丸め、ラップして常温で20~30分ねかせておく。 +8. 7のねかせた生地を10等分に分け、丸めておく。あんも10等分にして丸める。手に粉をつけて、丸めた生地を広げ、あんを包んで丸める。 +9. 蒸し器に5cm角に切ったクッキングシートを敷き、その上に丸めた生地をのせる。蒸気の上がった蒸し器でふたにふきんをはさんで12~15分くらい蒸す。 +10. 蒸し上がったらザルに取り出してうちわであおぐ。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : こころをつなぐ まえばしの味 前橋市健康部健康増進課、前橋市食生活推進員協議会作成 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_3_1.jpg)" +"# やきもち 群馬県 + +**郷土料理名**: やきもち + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、季節の野菜や薬味 + +## 歴史・由来・関連行事 +群馬は利根川から流れる豊かな水源があるほか、日照時間は長く全国トップクラスである。さらに標高10~1,400mに広がる標高差のある高地もあって豊かな自然に恵まれており、その恩恵を受けておいしい農畜産物が豊富だ。そんな中、群馬県の平野部では、古くから米と麦の二毛作が広く行われてきた。多くの地域では秋に米を収穫し、その後春にかけて小麦を栽培している。そのため、主食やおやつに小麦を使った料理を食べることも多く、小麦粉を使ったうどんやもち、まんじゅうなどが親しまれている。小麦粉で生地を作り、丸めて焼き上げる「やきもち」も、こうした群馬の粉食文化からできた郷土料理の一つだ。各家庭で作る醤油や味噌、季節の野菜とともに囲炉裏で焼いて仕上げるのが特徴。呼び方としては、やきもちのほかにも「おやき」や「じり焼き」と呼ぶ地域もあるという。 + +## 食習の機会や時季 +県内で豊富に生産されている小麦粉を使うほか、家庭にある食材や調味料、薬味などを具材にする。手軽に作れるうえにお腹にたまりやすいやきもちは、おやつのような存在。お茶請けや軽食として食べられることが多い。もともとは農作業の合間に食べる「小昼半(こじゅはん・間食という意味)」として親しまれていたほか、山仕事の際の簡単なお弁当として持って行くこともあったという。 + +## 飲食方法 +やきもちは小麦粉で丸く焼き上げる以外に決まりはなく、地域によってさまざまな調理法がある。例えば、生地に小麦粉と重曹、さらにみじん切りにした季節の野菜や薬味、山菜などを混ぜ合わせたのち、食べやすいサイズに分けて丸め、焙烙やホットプレートでじっくり焼き上げることもあれば、生地は小麦粉や重曹のみで作り、具を別途味つけしてまんじゅうのように包むケースもある。また、初めに蒸してから焼く場合や、小麦粉ではなく、米粉やもち粉を活用する場合もあるという。地域や家庭で自由に作られるというのも、やきもちの大きな魅力と言えるだろう。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 小麦粉: 500g +- 味噌: 50g +- 水: 120cc +- 重曹: 20g +- 季節の野菜(ネギ・シソの葉・フキノトウ等): 適量 +- 油: 適量 + +## 作り方 +1. 季節の野菜は細かく切る。 +2. 小麦粉に重曹と1を混ぜておく。 +3. 味噌を水で溶いておき2の中に入れ滑らかになるまでこねて、20個程度に分けて丸めておく。 +4. ホットプレートに油をひき3を弱火で10~12分程度両面をゆっくりと焼く。 + +## レシピ��供元 +レシピ提供元名 : NPO法人群馬の食文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_4_1.jpg)" +"# あまねじ/あまだんご 群馬県 + +**郷土料理名**: あまねじ/あまだんご + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小豆、小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +米の収穫が終わった秋頃から、群馬では小麦を栽培して二毛作を盛んに行っている。そのため粉食文化が根づいており、特に米の生産量が少ない地域では小麦料理が主食になっていることもある。「あまねじ」は、そんな粉食文化から生まれた郷土料理。小豆で作った甘いお汁粉の中に、小麦粉を水で練った生地をひと口大にして加えて煮込む、おやつのような一品だ。砂糖が貴重だった昔には、おもてなしの料理としても供されていたという。地域としては渋川市で主に食べられているが、ほかのエリアでもさまざまな名前で呼ばれ、親しまれている。例えば、甘い団子という意味合いから川場村では「あまだんご」と呼ばれるほか、「砂糖ねじ」や「すすり団子」と呼ぶこともある。 + +## 食習の機会や時季 +農作業を行う際には、食事以外にも「小昼飯(こぢゅうはん)」と呼ばれるおやつや軽食を挟むことがある。この小昼飯にあまねじを食べ、甘さで疲れた体を癒やしていた。また、砂糖が貴重であった際には、来客時のもてなしや特別な日の甘味として食べることもあった。川場村では昔、農作業の間にいろりの残り火で豆を加熱し、あまだんごを作っていたという。できるだけ野菜や豆を無駄なく使うための、生活の知恵から生まれた郷土料理といえる。 + +## 飲食方法 +渋川市のあまねじは、まず鍋に粒あん、湯、塩を入れて煮立たせて汁を作る。別鍋に湯を沸かし、水で練った小麦粉をスプーンで団子状に丸めて入れ、加熱する。最後に小豆の汁に団子状の小麦粉を加え、ひと煮立ちさせたら出来上がり。あまだんごは弱火でゆでた小豆を塩、砂糖で味付けしてさらに煮立たせ、ここに直接水で練った小麦粉をスプーンで一口サイズにして加える。やわらかいほうが、あんが絡みおいしく食べられるのだという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6~8人分) +- 小豆: 75g +- 砂糖: 75g +- 塩: 少々 +- 小麦粉: 100g +- 水: 100ml + +## 作り方 +1. 小豆はアク抜きをして、多めの水(分量外)で茹でる。 +2. やわらかくなったら、お玉の底で軽くつぶし、砂糖・塩を加えて味を調える。 +3. ボウルに小麦粉と水を加え、ねばりが出るまでよく溶いておく。※団子(15~16個分) +4. 2を火にかけ、煮立ったところへすいとんの要領で3をお玉の端ですくい取り、汁の中へくっつかないように入れる。中まで火が通ったら出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : こころをつなぐ まえばしの味 前橋市健康部健康増進課、前橋市食生活推進員協議会作成 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_5_1.jpg)" +"# しめ豆腐 群馬県 + +**郷土料理名**: しめ豆腐 + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +沼田市白沢町、神流町、長野原町、沼田市・利根郡 + +## 主な使用食材 +豆腐 + +## 歴史・由来・関連行事 +食糧不足で肉や魚などが不足していた時代、大豆はたんぱく源として重宝されていた。大豆といえば、味噌や醤油などさまざまな姿に調理されるが、群馬で特に親しまれていたのは豆腐。栄養が豊富であることはもちろん、調理すれば保存もきくため、郷土料理にも活用されている。この豆腐の郷土料理の代表格が、「しめ豆腐」。茹でた豆腐を醤油や砂糖で味付けした手軽なおかずで、主に祭りや節句などの行事食として食べられている。豆腐を使った郷土料理としては、ほかにもごはんに豆腐を混ぜて作る「豆腐めし」などがある。ちなみに群馬では現在、高品質大豆を安定生産するため、基本技術の励行や契約栽培による安定的な取引の拡大、地産地消を目的とした大豆生産の推進などを方針として取り組みを行っている。こだわりの県産大豆を使って作られた豆腐は町おこしの一環としても活用され、県外からも人気を誇っている。 + +## 食習の機会や時季 +かつては沼田市白沢町(旧利根郡白沢村)で正月や節句の時期に、長野原町では祭りの時期に作ら���たとされている。あるいは神流町でも人寄せや物日の料理として親しまれていた。各家庭が自家製の豆を持ち寄り、近隣の主婦たちが手作りしていたという。現在は肉などの動物性たんぱく質が手軽に入手できるようになり、食べる機会が減少。珍しい郷土料理となっている。 + +## 飲食方法 +豆腐を巻きすで巻いて茹で、醤油や砂糖で味付けをして作る。たくあんのように一口サイズにスライスして食べるのが一般的。煮しめの具の一つとして扱われていた。かまぼこのような食感が特徴となっている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 豆腐: 1丁 +- 塩: 少々 +- だし汁: 2カップ +- 砂糖: 大さじ1 +- しょうゆ: 大さじ3 + +## 作り方 +1. 豆腐を縦半分に切り、巻きすで巻いてひもで結ぶ。 +2. 鍋に湯を沸かし、塩を入れ、その中で20~30分位茹でる。 +3. 冷めたら巻きすをはずす。 +4. 鍋にだし汁・砂糖・しょうゆを熱し、3を入れ煮含める。 +5. 4を適当な大きさに切って皿に盛る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 神流町食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_6_1.jpg)" +"# かて飯 群馬県 + +**郷土料理名**: かて飯 + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +米、麦、豆、野菜など + +## 歴史・由来・関連行事 +米が不足していた時代は、米の代わりを補うような料理がさまざまに考案されていた。小麦を使った「おきりこみ」などのように主食を小麦とする以外にも、ご飯にさまざまな食材を加えることでかさ増しし、お腹にたまるよう工夫していたという。「かて飯」も、もともとはそんなアイデア料理の一つ。お米に麦や豆、大根、海藻などの腹持ちのする食材を混ぜて炊き上げたものを指す。「かて」はお米に加えられる食材のことで、ごはんの量を増す目的で加える。米が普及して手軽に手に入る現在では、好みの食材や旬の野菜などを混ぜて楽しむように。ごはんにタケノコやマツタケなどの季節の食材を混ぜ合わせて作る「五目ご飯」や「混ぜご飯」として親しまれるようになった。 + +## 食習の機会や時季 +かて飯自体は、群馬県以外のエリアでも広く知られる料理となっている。ほかのエリアでも群馬同様、米不足の時代のアイデア料理として食べられているが、特に群馬県内では学業成就や子どもの健やかな成長を願う「天神講」の日に供されるほか、人が集まるときや忙しいときに手軽につくれるごちそうとして食べられることも多くある。 + +## 飲食方法 +作り方や取り入れる具材は地域や家庭により異なる。例えば調理法としては、お米を炊く際に具材を加えて炊き上げるほか、炊いたご飯に具材を混ぜ合わせることもある。加える具材は麦や豆、にんじんやごぼうなどの野菜、きのこ類、鶏肉や油揚げなど多岐にわたる。これらはお米に加える前に小さく切って、醤油で味付けしたり、だし汁で煮たりと事前に味つけをすることが一般的である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 米: 5合(750g) +- 油揚げ: 2枚 +- ごぼう: 100g +- にんじん: 60g +- きのこ(生しいたけ、しめじ等): 100g +- こんにゃく: 100g +- 油: 大さじ1 +- 【調味料】砂糖: 20g +- 【調味料】みりん: 大さじ2 +- 【調味料】しょうゆ: 大さじ4 +- 【調味料】酒: 大さじ1 +- 【調味料】だし汁: 150cc +- 【添え物】せり・さんしょう・ふきのとう・紅しょうが: 適宜 + +## 作り方 +1. にんじん、ごぼうはささがきに、こんにゃく、にんじん、きのこは小さめに切る。油抜きした油揚げは縦半分に切り2~3mm幅に切る。 +2. 鍋に油を入れ、先にごぼうを炒め、きのこ、にんじん、こんにゃくを加え炒める。 +3. 2に油揚げを入れ、【調味料】を入れ中火で煮る。やわらかく煮えたら、炊いたご飯に具材と煮汁を入れて混ぜ合わせる。 +4. 出来上がったかて飯に、【添え物】を例に季節に合った山菜などを添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : NPO法人群馬の食文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_7_1.jpg)" +"# ねぎぬた 群馬県 + +**郷土料理名**: ねぎぬた + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +群馬県で生産されている特産品の一つに、ねぎがある。根深ねぎや上州ねぎなども生産されているが、特に広く認知されているのは「下仁田ねぎ」だろう。下仁田ねぎが生産され始めたのは江戸時代と言われており、江戸大名からの依頼でねぎを贈ったことから「殿様ねぎ」とも呼ばれている。特徴としては太さが最大で4~5cmになることと、長さが15~20cmと短いこと。お歳暮やお中元などの贈り物として活用されるほど。こうしたおいしく個性豊かなねぎが育つ群馬で親しまれているのが、ねぎを使った郷土料理である「ねぎぬた」。加熱したねぎを酢味噌で和えて仕上げる料理である。似た料理として、ねぎとするめ、すりつぶした豆腐を和える「ぬたあえ」というものも存在している。 + +## 食習の機会や時季 +行事食や冠婚葬祭、お祝いの際のもてなし料理として作られている。結婚式のほか、桃の節句などにも供されることが多い。 + +## 飲食方法 +よく洗ったねぎを蒸し器で蒸す、あるいはゆでてやわらかくし、適当な長さに切り分けたものにすりごまや味噌、砂糖、お酢を混ぜた酢味噌を和える。ねぎは甘い方がねぎぬたによく合うと言われており、下仁田ねぎのような独特の甘味を持つねぎも適している。また、ねぎをよりやわらかくおいしくするために和える前に酢をかけておくことも。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ねぎ: 5本 +- 麩: 適量 +- 【調味料】すりごま: 大さじ1 +- 【調味料】砂糖: 大さじ2 +- 【調味料】白味噌: 大さじ1 +- 【調味料】酢: 適量 + +## 作り方 +1. ねぎは薄く斜め切りにする。 +2. 1を熱湯で2~3分煮る。ざるに上げ、水気を絞り冷ます。 +3. 水で戻し、食べやすい大きさにちぎった麩とねぎを【調味料】と合わせる。味を見ながら和えるが、甘味がある方がおいしい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : こころをつなぐ まえばしの味 前橋市健康部健康増進課、前橋市食生活推進員協議会作成 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_8_1.jpg)" +"# まゆ玉 群馬県 + +**郷土料理名**: まゆ玉 + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +米粉やひえの粉、とうもろこしの粉など + +## 歴史・由来・関連行事 +群馬は古くから養蚕業が盛んで、現在もオリジナルの蚕品種を使用した「ぐんまシルク」の製造や、遺伝子組み換え蚕の実用化など、養蚕業の継承に取り組んでいる。このため、養蚕業に欠かせない「まゆ」は大切にされ、行事食としても、米粉やひえの粉、とうもろこしの粉などを丸めて作る「まゆ玉」が親しまれるようになった。ただし、多くの郷土料理のように作ってすぐに食べるのではなく、お供えの習慣が根づいている。例えば、小正月の二日前である1月13日にはひえの粉でまゆ玉を作り、山桑などの木に花に見立てて枝にさして飾る習慣がある。また、2月の初めての丑の日を祝う「初午」は、群馬の吾妻郡においては養蚕の豊作を願う日。まゆ玉を16個作り、神棚や井戸などにお供えをするのだという。こうした風習からは、養蚕業を支えるまゆを大切にする人々の様子がよく表れているといえる。 + +## 食習の機会や時季 +1月13日にまゆ玉を飾った後は、翌日の夕方ごろに田んぼに持って行き、小正月に行われる「どんど焼き」で焼く。焼いたまゆ玉を食べると病気になりにくいと言われている。また、小正月の朝には小豆がゆを作ることがあり、ここにまゆ玉を加える。こちらもどんど焼き同様、疫病を避けることや、養蚕業の繁栄への願いが込められている。 + +## 飲食方法 +ひえの粉を湯で溶いてこね、丸めてからゆでる。その後小正月にどんど焼きで焼くか、神棚などにお供えをしてから、砂糖やきな粉をつけて食べることが一般的。また小正月に作る小豆がゆに入れる場合は、まずあらかじめ煮ておいた小豆とごはんで小豆がゆを作った後にまゆ玉を加え、一緒に食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (24個分) +- 上新粉(うるち米粉): 250g +- ぬるま湯: 220g +- 食紅: 少々 + +## 作り方 +1. ボウルに上新粉を入れ、ぬるま湯を少しずつ入れて混ぜ合わせ耳たぶくらいのかたさにする。 +2. 1から食紅で色付けする分(好みの量)を別のボウルに入れ、水で溶いた食紅をほんの少しずつ様子を見ながら加えて混ぜる。 +3. 1と2をそれぞれ直径2cm程度の団子状に丸め、鍋で多めの湯を沸かしてゆでる。 +4. 団子に火が通ったら、水にとって冷やす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : NPO法人群馬の食文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_9_1.jpg)" +"# 上州きんぴら 群馬県 + +**郷土料理名**: 上州きんぴら + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +豚肉、にんじん、こんにゃく、ごぼう、しいたけ + +## 歴史・由来・関連行事 +1983年、第38回国民体育大会「あかぎ国体」が群馬県で行われた。このとき群馬は「スポーツ県群馬」を宣言したほか、マスコットとして初代「ぐんまちゃん」が登場するなど、群馬にとって記念すべき大会となった。この大会時に群馬の名産である豚肉やしいたけ、こんにゃくなどを使った新たな郷土料理として考案されたのが、「上州きんぴら」である。特徴としては、一般的なきんぴらにもよく使われているごぼうを太く切ること。これは壮大な上毛三山をイメージしているのだという。地域によっては鶏肉やピーマン、高野豆腐、さつま揚げを加えるなど、さまざまな工夫が凝らされていることもあるが、いずれにしても群馬の特産品をふんだんに活用しており、群馬の家庭料理として定着している。 + +## 食習の機会や時季 +「あかぎ国体」で提案されて以来、手軽に作れる郷土料理として、家庭や給食で供されるようになった。肉と野菜がバランスよく入った上州きんぴらは栄養価が高く、甘辛い味付けは子どもたちにも人気が高いのだという。 + +## 飲食方法 +太めのせん切りにしたごぼうを炒め、そこに豚肉を加える。さらにせん切りにしたにんじんやしいたけ、こんにゃくを加えて炒める。火が通ったらだしや砂糖、みりん、酒、水を加えて炒め煮し、水分がなくなったらしょうゆで味付けして完成。太く切ったごぼうの食感はもちろんのこと、通常野菜だけで作ることの多いきんぴらに豚肉を加えることで、旨味とボリュームのある一品に仕上がっている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 豚肉: 50g +- ごぼう: 70g +- にんじん: 40g +- つきこんにゃく: 50g +- 白ごま: 4g(小さじ2) +- しょうゆ: 18g(大さじ1) +- みりん: 6g(小さじ1) +- 砂糖: 6g(小さじ2) +- 酒: 5g(小さじ1) +- サラダ油(ごま油でもよい): 4g(小さじ1) +- 鷹の爪: 適宜 + +## 作り方 +1. 豚肉は細切りにする。 +2. ごぼうは洗って泥を落とし、細切りにする。 +3. にんじんは皮をむいて、細切りにする。 +4. つきこんにゃくは茹でてあく抜きをする。 +5. サラダ油を熱し、酒をふって豚肉を炒める。 +6. 5にごぼう、こんにゃく、にんじんの順に加え、炒める。 +7. ごぼうがしんなりしたら、鷹の爪、砂糖、しょうゆ、みりんを加えて炒める。 +8. 汁気がなくなるまで炒めたら、ごまをふり、さっと炒め合わせて火を止める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 群馬県学校栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_10_1.jpg)" +"# 群馬のうどん 群馬県 + +**郷土料理名**: 群馬のうどん + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉(うどん) + +## 歴史・由来・関連行事 +粉食文化が根づく群馬で、主食として親しまれている「うどん」。各地域の気候や特色をいかした個性豊かなうどんが生まれ、群馬県民はもちろん、県外からも群馬のうどんを食べにくるなど、観光グルメとしても楽しまれている。中でも特徴的なのが、桐生市の「ひもかわ」、館林市の「館林のうどん」、渋川市の「水沢うどん」だ。ひもかわは、麺の幅が非常に広く、店舗によっては10cm以上の幅にもなるものがある。館林のうどんは、邑楽館林の小麦「百年小麦」を使用しているところがポイントだ。一方水沢うどんは、秋田の稲庭うどん、香川の讃岐うどんと並んで日本三大うどんと言われている。つやとコシがあり、もちっとした食感がクセになる一品である。 + +## 食習の機会や時季 +うどんは各家庭で気軽に食べられるものではあるが、ひもかわや館林のうどん、水沢うどんなどは観光グルメとしても親しまれてきた。土産屋などで気軽に手に入るのはもちろんのこと、化粧箱に入った贈答用なども多く、お中元やお歳暮に贈る人も多い。また、2019年の「第9回全国ご当地うどんサミット」では邑楽館林産の小麦「百年小麦」を使用したメニューがグランプリに。館林のうどんが全国に広まるきっかけとなった。 + +## 飲食方法 +幅の広い桐生市のひもかわは、つゆにつけて食べるほか、醤油ベースのだし汁で煮込んだものもある。ほかにも、カレーうどんなどのアレンジのきいた商品が販売されており、さまざまな味わいを楽しむことができる。水沢うどんはつややコシを楽しむため、基本的にざるで提供され、シンプルに食べることが多い。一方館林のうどんは、瑞々しさをそのまま味わえる釜玉うどんが名物として知られている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 小麦粉(百年小麦): 400g +- 水: 180ml +- 塩: 18g +- 打ち粉(コーンスターチまたは百年小麦): 適量 +- 薬味(刻みのり、揚げ玉、ねぎ、わさび等): お好みの量 +- 市販のめんつゆ(つけつゆ用に水で希釈): お好みの量 + +## 作り方 +1. 小麦粉に食塩水を入れて素早く混ぜ全体が黄色っぽくなり、ポロポロの粒になるまでよく混ぜる。 +2. ポロポロの小さな粒ができたら、手前に集めて練り込んで一つの塊を作る。 +3. ポリ袋に包み厚さ2cm位になるまで踏む。生地をたたみ、また踏むことを3回程度繰り返す。 +4. そのまま乾かないように包み、30分~3時間寝かせる。 +5. 角型の生地を内側に練り込むようにして団子状にしたものを、ポリ袋に入れて、一晩寝かせる。 +6. 手のひらで生地を円形に押しのばす。麺棒に生地を巻き、中央から両端に押すように5~6回転がしたら広げ、向きをかえて再度麺棒に生地を巻き同様に繰り返す。厚みが3mmほどになったら折りたたむ(厚みはお好みで) +7. 打ち粉を多めにしながら、生地を屏風たたみにしたら厚みと同じ幅で切る。 +8. 沸騰したお湯に麺を入れ、煮立ったら火を弱めて10分程度ゆであげ、流水にさらす。 +9. ぬめりを洗い流し、器に盛り付ける。 +10. 薬味は刻みのり、揚げ玉、ねぎ、わさび等、好みのものを用意する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 麺のまち「うどんの里館林」振興会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_11_1.jpg)" +"# こんにゃくの白和え 群馬県 + +**郷土料理名**: こんにゃくの白和え + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +豆腐、こんにゃく + +## 歴史・由来・関連行事 +「こんにゃくの白和え」は豆腐とごまをすりつぶした衣でこんにゃくを和えた料理。白和え自体は全国のさまざまな地域で作られているが、群馬で作られる白和えの特徴の一つに、こんにゃくを使用する点がある。こんにゃくの素となるこんにゃく芋は、群馬の特産品。室町時代に県内に持ち込まれて以来、研究を重ねて栽培量を増やしてきた。特に下仁田ねぎが有名な下仁田町はこんにゃく芋の栽培が盛ん。極度の寒さや強い日差しを苦手とし、水はけのよく穏やかな気候を好むこんにゃく芋は、下仁田の気候がぴったりなのだという。下仁田町をはじめとしてこんにゃくが多く生産されるようになる中で、こんにゃくの白和えのような、こんにゃくをふんだんに使った郷土料理が多く考案されるようになった。 + +## 食習の機会や時季 +白和えは主に、精進料理の一品として供されることが多い。また、冠婚葬祭のときに作られることもあり、祝い事のときにはにんじんで赤い色合いを加え、法事ではにんじんを入れないようにするといった細かなルールが設けられている。今回は群馬県の特産品としてこんにゃくを使用しているが、ほかにも旬の野菜や果物を加えることもあり、季節のごちそうとして供されるケースもある。 + +## 飲食方法 +すり鉢ですりつぶした豆腐に砂糖や塩、みりんなどを加えて和え衣を作り、細切りにして湯がいたこんにゃくを加えて合わせる。にんじんやほうれん草、チンゲン菜などで彩りを加える場合は下茹でするなどの下ごしらえを行い、せん切りにして加える。豆腐の和え衣がしっかりと具材に絡まったら完成。こんにゃくの食感と豆腐の甘味を感じられる一品である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- こんにゃく: 120g +- にんじん: 50g +- 砂糖: 小さじ4 +- しょうゆ: 小��じ4 +- だし汁: 大さじ4 +- ほうれん草: 25g +- 豆腐: 200g +- 砂糖: 小さじ4 +- 塩: 少々 +- 白ごま: 大さじ2 + +## 作り方 +1. こんにゃくは3cmくらいの長さに細切りにして湯がく。にんじんもこんにゃくにサイズを揃えて切り、だし汁、砂糖、しょうゆで煮る。煮えたら、ざるに上げて汁気をきっておく。 +2. ほうれん草はゆでて、水にさらしてから、3cmくらいの長さに切る。 +3. 白ごまはいって、すり鉢でなめらかになるようにすり、よく水を切った豆腐をほぐして加え、さらにすって砂糖と塩で味付けしてすり混ぜる。 +4. 3の中で1、2を和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 神流町 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_12_1.jpg)" +"# すみつかれ 群馬県 + +**郷土料理名**: すみつかれ + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +東毛 + +## 主な使用食材 +大根、鮭、大豆、酒粕 + +## 歴史・由来・関連行事 +「しもつかれ」、「すみつかり」、「しみつかれ」などとも呼ばれる。正月に食べた鮭の頭、節分で余った豆など、お祝い事のごちそうの残りを煮込んで作る料理。さらに前年に収穫し、食べ頃を過ぎた大根やにんじんなどの野菜の余りを加えることも多い。群馬のほかにも栃木や茨城など、主に北関東で親しまれている行事食だ。すみつかれの始まりは江戸時代と言われ、かつては2月の最初の午の日である「初午」の日、稲荷神社に赤飯とともに皿に盛って供えられていた。皿に盛るだけでなく、束ねたわらに皿をのせて「ワラぼっち」として供えることもあったという。 + +## 食習の機会や時季 +初午に稲荷神社に備えた後、無病息災を願って赤飯とともに食べるのが一般的。各家庭で大鍋にたっぷりと作り、家族で食べるだけでなく、近所で分け合ったり来客に対してふるまったりもしていた。また、供えるのは初午だけだが、二回目の午の日にも作って食べる家庭もあったとされている。 + +## 飲食方法 +細かな材料は家庭や地域により異なるが、煮込む前の下ごしらえが重要とされていた。まず、大根とにんじんは鬼おろしですりおろすのがポイント。大豆も煮込む前に炊いて火を通すほか、鮭の頭は事前に焼いて、焼き目をつけておく。ほかにも、油揚げなどが具材として使われることが多かった。具材と酒粕は、酒やだし、みりん、醤油、みそなどを加えて煮込む。水は入れず、野菜から出た水分で煮るようにする。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 大根: 1kg +- にんじん: 100g +- 油揚げ: 1枚 +- 大豆: 20g +- 塩鮭の頭など: 50g +- 酒粕: 30g +- 酒: 適量 +- しょうゆ: 適宜 + +## 作り方 +1. 大根・にんじんは鬼おろし(粗い目のおろし器)でおろす。 +2. 油揚げは半分に切り細切りにし、酒粕は小さくちぎっておく。 +3. 大豆はいり二つ割りにし皮を取り除く。塩鮭は1cmの角切りにする。 +4. 鍋に全ての材料と酒を入れやわらかくなるまで煮込み、塩気が足りない時は適宜しょうゆを入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : NPO法人群馬の食文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_13_1.jpg)" +"# ざく煮 群馬県 + +**郷土料理名**: ざく煮 + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +高崎市 + +## 主な使用食材 +こんにゃく、根菜、するめなど + +## 歴史・由来・関連行事 +群馬ではもともと、秋のえびす講・正月えびす講(春えびす講)や節分などの行事にけんちん汁を食べる習慣がある。このけんちん汁に似た郷土料理で、高崎市で伝承されているのが「ざく煮」である。けんちん汁と同様、祝い事などの際に食べることが一般的ではあるが、特に特別な行事の際に、材料を細かく切って作ることが特徴となっている。また、けんちん汁の場合はまず具材を多めの油でしっかりと炒めるのが特徴だが、ざく煮の場合は油を使わないほか、けんちん汁では加えないするめをだしとして使用する。その歴史は長く、少なくとも60年以上も前から作られていたと言われている。 + +## 食習の機会や時季 +正月にはお節料理の一品として食べられるほか、節分や祝いの席で供される行事食となっている。また、商売繁盛を願って行われるえびす講でふるまわれることもあるほか、屋敷祭りの定番料理でもあるという。神様に感謝を伝える行事・屋敷祭��では赤飯や尾頭付き魚(丸干しいわしなど)と一緒にお稲荷様に供え、願い事をしてから家族で食べることが習慣となっている。 + +## 飲食方法 +一般的なけんちん汁は野菜を油で炒めてからだしで煮込んで味つけを行うが、ざく煮では油を使わず、また、だしにするめを加えることなどが特徴となっている。かつては婚礼時に供されていたため、夫婦が水と油にならないようにという願いが込められてのことだった。婚礼時にはいつものざく煮に結び昆布などを加える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- にんじん: 100g +- だいこん: 600g +- ごぼう: 50g +- 生しいたけ: 5個 +- さといも: 500g +- こんにゃく: 200g +- 竹輪: 2本 +- スルメイカ: 1枚 +- なると: 1本 +- しょうゆ: 50cc +- みりん: 50cc +- 酒: 50cc +- 食塩: 小さじ1 +- 砂糖: 小さじ1 +- 片栗粉: 大さじ3 +- だし: 少々 + +## 作り方 +1. ごぼう・さといも・こんにゃくは、それぞれ下茹でする。材料はすべて1cm程度に切る。スルメイカは細かく切り、お湯に浸して戻しておく。 +2. さといもと片栗粉以外の具材を鍋に入れ、具が浸るくらいの水とスルメイカの戻し汁も加え柔らかく煮る。 +3. さといもを入れ、調味料で味付けし少し煮てから、水溶き片栗粉を入れとろみをつける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : NPO法人群馬の食文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_14_1.jpg)" +"# 花いんげんの煮豆 群馬県 + +**郷土料理名**: 花いんげんの煮豆 + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +中之条町、嬬恋村、草津町(吾妻地域)、長野原町 + +## 主な使用食材 +紅花いんげん + +## 歴史・由来・関連行事 +野菜やこんにゃく芋、フルーツなどさまざまな農畜産物を栽培している吾妻地域。中でも花豆とも呼ばれる花いんげん(紅花いんげん)は、中之条町、嬬恋村、草津町、長野原町などの高地で栽培されており、吾妻地域の特産品となっている。標高900m~1,300m、夏の冷涼な気候のみで育つ、大きな実のいんげん豆で、吾妻地域で作られるものは特に「高原花豆」と名付けられ、親しまれている。花いんげんの調理法としては、風味豊かな豆の味をそのまま味わえる「煮豆」にするのが一般的。あっさりとしつつも、ほのかな甘みが感じられる。花いんげんを乾燥させて保存しているので、食べやすくするために、やわらかく煮て仕上げる煮豆が根づいたとされている。花いんげんを使った料理も、その多くが煮豆にしてからのアレンジレシピとなっている。 + +## 食習の機会や時季 +よく取れる特産品だからこそ、地域の祭りなどの行事や冠婚葬祭、おもてなしの際に供されている。また、吾妻地域では花いんげんの煮豆をおせちに入れることも。家庭によっては、収穫した豆を神棚に供えることもあるのだという。 + +## 飲食方法 +洗って一晩ほど水に浸した花いんげんをたっぷりの水で数回煮る。その後、砂糖と塩で味付けして煮含める。煮汁から豆を取り出す際は、熱いうちに取り出すと表面にしわができてしまうので要注意。花いんげんの煮豆はそのまま食べられることが多いが、甘露煮や甘納豆、赤飯、ようかんなどのさまざまな料理にも活用されている。特に中之条町ではてんぷら、長野原町ではまきおはぎなどの郷土料理が親しまれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (つくりやすい分量) +- 花豆: 1kg +- 砂糖: 1kg前後 +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 花豆は洗って、たっぷりの水に一晩ほとばす(浸す)。※ひねの豆(古くなった豆)を煮るときは二晩くらい水に浸す。水に重曹を入れる方法もあるが、皮がやぶれやすくなるので注意。 +2. 1をたっぷりの水で煮、そのまま冷まして水をかえて煮る。 これを2~3回繰り返す。※煮汁が熱いうちに水を取りかえると、豆の皮がやぶれてしまうので必ず煮汁が冷めてから水をかえる。 +3. 鍋に火を入れたり冷ましたりしながら豆がふっくらと柔らかくなるまで煮る。 +4. 煮汁を豆がかぶるくらいにし、砂糖と、甘さを引き立たせるための塩を少々加えて煮含める(煮汁から豆が出てしまうとシワになるので注意する)。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中之条町保健センター + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_15_1.jpg)" +"# な���ずの天ぷら 群馬県 + +**郷土料理名**: なまずの天ぷら + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +板倉町(東毛) + +## 主な使用食材 +なまず + +## 歴史・由来・関連行事 +群馬県の東毛にある板倉町は「群馬の水郷」と呼ばれるほど水源が豊か。現在も全国最大規模の利根川や渡良瀬川といった全国的にも有名な一級河川が広がっているが、かつてはさらに多くの河川や池、沼などが存在していた。その豊かな水源から取れる川魚が特産品としてよく知られており、うなぎやコイ、どじょうなど多様な川魚が食べられている。そのうちの一つとして人気を博しているのが、なまずを使った料理の数々だ。たたき揚げや刺身など調理法はさまざまにあるが、代表格として親しまれているのが「なまずの天ぷら」。ふっくらとしていてやわらか、そのうえ驚くほどクセのない白身とサクサクの衣は相性がよく、県外から食べにやって来る観光客や食通も多いのだという。 + +## 食習の機会や時季 +河川や池、沼が豊富にある板倉町では昔、そこで取れた川魚を取り扱う問屋が多くあった。川魚を売買する拠点となっていたのはもちろんのこと、近隣には川魚料理を提供する飲食店が軒を連ね、今もなお、なまずの天ぷらを含む多様な川魚料理を提供している。また、近くには雷電神社や高鳥天満宮があるため、参拝客に向けて名物料理としても振る舞っている。 + +## 飲食方法 +泥をかぶっていることが多いなまずは、下ごしらえをしっかりと行うことが重要とされている。飲食店によっては1週間かけて泥抜きをして臭みを取り除き、新鮮で旨味のあるなまずを提供するように努めているという。また、天ぷら用として食べられる身の部分はほんの一部であるため、残りは細かく叩きつぶして野菜や豆腐と混ぜ、団子にして揚げる「たたき揚げ」として提供することも。なまずの天ぷらは皮を取らずにそのまま揚げるのだが、身を包丁でたたき、高温で揚げることがコツだという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分※なまずの天ぷら(たたき揚げ) +- なまず: 1匹(100g) +- ごぼう: 100g +- にんじん: 100g +- じゃがいも: 100g +- 豆腐: 半丁 +- シソの実漬け: 大さじ1 +- 味噌: 大さじ2 +- 小麦粉: 100g +- 揚げ油: 適量 + +## 作り方 +1. なまずは親骨を取り除き、細かくたたく。最近はフードプロセッサーで骨ごと砕く。 +2. ごぼう・にんじんは細かく切りじゃがいもはすりおろす。豆腐は水切りしておく。 +3. 小麦粉は天ぷらの衣より少し硬めに溶き、1と2とシソの実漬け・味噌を合わせ混ぜる。 +4. 小分けにして油でゆっくり揚げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : NPO法人群馬の食文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_16_1.jpg)" +"# 鮎塩焼き 群馬県 + +**郷土料理名**: 鮎塩焼き + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +上野村 + +## 主な使用食材 +鮎 + +## 歴史・由来・関連行事 +美しい河川が多くある群馬では、多様な川魚が豊かに育ち、それらを活かした郷土料理が親しまれている。なまずやコイ、うなぎ、どじょうなど、エリアによってよく食べられる川魚は異なるが、中でも「鮎」は群馬の県魚として指定されており、積極的に生産している代表格的存在。郷土料理としては、鮎本来の味をそのまま堪能できる塩焼きが主によく食べられている。 鮎漁が盛んに行われているのは、群馬で最も人口の少ない村である上野村。利根川水系の神流川が流れており、鮎を始めとしてヤマナやイワナ、ウグイなどさまざまな川魚が生息するエリアとなっている。夏の時期には鮎漁が解禁され、期間限定として「鮎の塩焼き」を堪能することができる。この時期になると、県内、県外から新鮮な鮎を食べるために多くの人が訪れる。 + +## 食習の機会や時季 +鮎は食べる前に釣りを楽しむ人も多く、上野村漁業協同組合では、鮎釣りに関する情報提供を行っている。鮎はなわばりを作る習性があるため、おとりの鮎を釣り針に引っ掛けてなわばりのあるところに誘導し、おとり鮎に攻撃を仕掛けてきた鮎を釣り上げる「友釣り」という手法が取られる。毎年6月の中旬ごろに鮎釣りが解禁され、観光客でにぎわう。 + +## 飲食方法 +群馬県で獲れる鮎の中でも特に神流川の鮎は香り高く���身が引き締まった逸品。上野村漁業協同組合では、新鮮な鮎を生きたまま串に波のようにジグザクさせながら刺し、塩をふった後、上野村産の楢炭を使って直火で焼き上げる。川の駅では期間限定で活鮎を塩焼きにして販売しており、観光客や村民に親しまれている + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 鮎: 1尾 +- 塩: 少々 +- 串: 1本 + +## 作り方 +1. 鮎に塩を振る。 +2. 塩をふったら、串にさす。 +3. 炭火で1時間半焼く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 上野村漁業協同組合 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_17_1.jpg)" +"# 鶏めし 群馬県 + +**郷土料理名**: 鶏めし + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +鶏肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +農畜産物が豊富に生産されている群馬では、鶏肉もまた上質なものを育てている。特に県の特産でもある桑の葉と梅酢をエサに作る「上州地鶏」は瑞々しくジューシーな味わいが特徴。すき焼きや寄せ鍋などさまざまな料理にも活用されている。そんな鶏肉に強いこだわりを持つ群馬で長らく親しまれているのが、薄切りにした鶏肉にたれを絡めてご飯にのせる「鶏めし」。群馬県民はもちろん、観光客にも愛される名物グルメとなっている。 + +## 食習の機会や時季 +家庭や飲食店で食べるだけでなく、行楽地に行く際のお弁当にすることも。鶏めしを提供している飲食店では、テイクアウト用の弁当を販売しているところもある。 + +## 飲食方法 +焼いてたれに漬けた鶏肉をご飯の上にのせ、丼ぶりのようにして一緒に食べる。鶏めしを提供する老舗の中には秘伝のたれを重宝している店舗もあり、古くからのファンも多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_18_1.jpg)" +"# すき焼き 群馬県 + +**郷土料理名**: すき焼き + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +上州和牛、下仁田ねぎ、シイタケ、春菊、豆腐、白菜などの野菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +群馬には国内で初めてEUに輸出された「上州牛」や、甘楽郡下仁田町で栽培される太くて柔らかい「下仁田ねぎ」などの豊かな農畜産物が多くある。そんな群馬の畜産物の魅力を余すところなく味わえるのが「すき焼き」だ。活用する食材はすべて県産の「自給率100%」。上州牛、下仁田ねぎはもちろんのこと、生産量全国第1位のこんにゃく芋を使ったしらたきに、生産量全国5位以内を誇る白菜、しゅんぎく、生しいたけ(農林水産省「令和2年産こんにゃくいもの栽培面積、収穫面積及び収穫量」、「令和2年産野菜生産出荷統計」、「令和2年特用林産基礎資料」)をふんだんに使っている。近年ではすき焼きを使った弁当のアイデアを募る「ぐんま・すき焼き弁当コンテスト」や、家族ですき焼きを楽しむ写真を競う「家族ですき焼きフォトコンテスト」などの県民参加型のコンテストも多く開催され、文化が定着しつつある。 + +## 食習の機会や時季 +11月29日「ぐんま・すき焼きの日」には、県内の学校の多くですき焼きが提供されている。また野菜や肉が豊富で栄養たっぷりのすき焼きは、栄養教諭による食育指導や地元生産者との給食交流などに活用されることも。また、2018年に行われたイベント「オールぐんまdeすき焼きまつり」では745名に振る舞われ、ギネス世界記録「1時間で最も多く提供されたすき焼き」として認定された(「ぐんま食文化継承テキスト」より)。 + +## 飲食方法 +一般的なすき焼き同様、食べ方は家庭や店、地域により異なる。群馬を含む関東では割り下で食材を全て煮込むことが多いが、県内の名店では関西でよく食べられている、先に肉を焼くスタイルが採用されていることも。また、上州牛の代わりに「上州軍鶏」を使用するすき焼きや、トマトソースを加えて仕上げる「イタリア風すき焼き」などのアレンジも豊富。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 牛薄切り肉: 400~600g +- 牛脂: 1個 +- ねぎ: 3本 +- しらたき: 200g +- 生しいたけ: 6個 +- お好みの野菜(白菜、春菊等): 適量 +- 割り下(たれ): 300ml + +## 作り方 +1. 食材を切り分ける。牛肉は30分前に冷蔵庫から出し、常温��戻す。 +2. 鍋を温め、牛脂を鍋底に伸ばし、肉を1枚ずつ広げて入れ、砂糖をまぶす。 +3. 割り下を入れ、肉を返して反対面を焼き、焼き立てを食べる。 +4. 焼き立ての肉を楽しんだら、野菜やしらたきを加え、砂糖、割り下、お好みで水を適量ずつ足していく。 +5. 鍋にスペースをつくり、そこで肉にサッと熱を通してできあがり。 +6. お好みで生卵にからめて食べる。豆腐を入れてもよい。残り汁でうどんや雑炊を楽しむ家庭もある。 + +## レシピ提供元 + + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_19_1.jpg)" +"# ソースカツ丼 群馬県 + +**郷土料理名**: ソースカツ丼 + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +桐生市、前橋市、伊勢崎市 + +## 主な使用食材 +豚肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +群馬は30種以上の銘柄豚が存在するほど、豚肉の名産地として知られている。県内で生産された小麦をエサとして育てる「麦豚」など、飼育方法にこだわり、肉の品質やおいしさを追求。中でも前橋市は、全国屈指の豚肉産出額を誇るという。それゆえに県内では豚肉料理が根づいており、豚肉料理の代表格である「とんかつ」が多くの家庭や飲食店で提供されている。単品で食べるのはもちろん、カツカレーやカツサンドなど多様にアレンジされる中、ソウルフードとして特に愛されているのが「ソースカツ丼」だ。 元祖はとある鰻屋と言われている。伝統の鰻のタレにウスターソースをブレンドしたオリジナルソースをソースカツ丼に使用することで人気を集め、それに伴いソースカツ丼を提供する飲食店が増えていったとされている。 + +## 食習の機会や時季 +織物業が盛んだった桐生市では、冷めてもおいしいソースカツ丼の出前がよく取られていた。現在もソウルフードとして親しまれており、さまざまな飲食店で提供されているメニューだ。桐生市内で「カツ丼」と言えば、卵とじのカツ丼ではなくソースカツ丼を指すほど、馴染み深い料理となっている。 + +## 飲食方法 +桐生市の飲食店組合と麺類商組合の有志が集う「桐生ソースかつ丼会」では、「豚ヒレ肉を使い、揚げたてのカツをソースにくぐらせ、丼に盛ったご飯にのせる」と定義づけている。使うソースや豚肉の銘柄に明確な決まりはなく、家庭や店舗によって異なる味が楽しめる。また、地域によっては部位もヒレやロース、モモなどを活用するところも。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_20_1.jpg)" +"# 呉汁 群馬県 + +**郷土料理名**: 呉汁 + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +大泉町 + +## 主な使用食材 +大豆、味噌、旬の野菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +農作物が豊富に育つ群馬では、風味豊かな大豆を多く生産している。県として「かぶら大豆生産者協議会」を設立し、大豆の栽培管理について指導を行うほか、新品種「里のほほえみ」を生産するなど、大豆の質向上に努めている。おいしい大豆が採れる群馬で昔から食べられているのが、大豆をすりつぶして加えた味噌汁である「呉汁」。大豆のすりつぶした汁を「ご」と呼ぶことから「呉汁」と呼ばれるようになった。大豆は「畑のお肉」ともいわれ、栄養が豊富。食料不足で肉や魚が不足していた時代に重宝されていた。また、呉汁には旬の野菜をたっぷりと入れるため、栄養をしっかりと取れる郷土料理として親しまれていたという。 + +## 食習の機会や時季 +新豆が収穫される秋から冬の時期に、新鮮な大豆をすりつぶし、旬の野菜とともに楽しむ。野菜の旨味と大豆の食感が楽しめる呉汁は、特に寒い時期に、体も心も温まる料理として食べられてきた。旬の味覚をおいしく味わえるように工夫された一品と言える。ちなみに、地域によっては大豆になる前の枝豆を使用することもあり、その際は緑がかった呉汁ができあがる。 + +## 飲食方法 +ねぎやにんじん、大根、ごぼうなどの野菜を食べやすい大きさに切ってだしで煮込み、すりつぶした大豆と味噌を加えて作る。汁物として食卓に並ぶことが一般的だが、ほうとうのように太い麺を入れて、主食のように食べることも。県内の学校給食では、大豆の代わりに豆乳を入れ、食べやすく仕上げることもあると��う。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 水煮大豆: 150g +- 大根: 80g +- にんじん: 40g +- 生しいたけ: 2枚 +- ごぼう: 40g +- 長ねぎ: 6cm +- 油揚げ: 1枚 +- だし汁: 4カップ +- 味噌: 大さじ2 + +## 作り方 +1. ゆでた大豆と適量の水をミキサーにかける(つぶつぶが残るくらい)。 +2. 大根・にんじん・ごぼうは大きさを揃えて薄切りにする。生しいたけは半分に切って、うす切りにする。油揚げは油抜きし、小さめの短冊に切る。長ねぎは小口切りにしておく。 +3. だし汁に2を加えて煮る。やわらかくなったら1の砕いた大豆を加えてさらに煮る。 +4. 十分に火が通ったら、味噌を加え味を調える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : こころをつなぐ まえばしの味 前橋市健康部健康増進課、前橋市食生活推進員協議会作成 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_21_1.jpg)" +"# じりやき 群馬県 + +**郷土料理名**: じりやき + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +おきりこみやすいとん、炭酸まんじゅうなど、小麦粉を使った郷土料理を多く持つ群馬。数ある小麦粉料理の中でも、特に農村部で親しまれているのが「じりやき」だ。囲炉裏の灰の余熱でじっくり焼き上げる味噌風味のお好み焼きで、焼くときにじりじりと音が鳴るため、その名が付いたと言われている。味噌以外にも、家に余っている野菜などを刻んで生地に練り込むこともあるという。群馬では昔から女性も男性も共に働き、仕事が終わった後に食事を用意する習慣があった。そのため、じりやきのように簡単で、栄養価の高い郷土料理が好まれるようになったと考えられる。そのほか、農作業の合間に10時と15時の「おこじはん」として、ワンハンドで食べられる間食として好まれていたという。県内のさまざまなエリアで食べられている。 + +## 食習の機会や時季 +食料不足の時代、腹持ちのする小麦粉料理は、群馬県内で広く親しまれていた。特にじりやきは簡単に作れる主食としても活躍したほか、農作業などの合間のおやつとしても供されていたという。また、田んぼのない南牧村では、畑で比較的栽培しやすかったえごまを加えたじりやきが好まれていたりするなど、地域によって作り方が異なる場合もあったという。 + +## 飲食方法 +現在は生地に桜エビやふきのとう、ネギやキャベツ、大葉など好みの具材を細かく刻んで練り込むことが多い。また、焙烙ではなくホットプレートで焼くなど、より簡単に作られるようになった。入れる具材や生地の硬さに特に決まりはなく、できあがりは各家庭により異なる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 小麦粉: 50g +- ねぎ: 8g +- 桜えび: 8g +- ベーキングパウダー: 0.6g +- 水: 6.3cc +- えごま: 5g +- 砂糖: 4.5g +- 味噌: 4.5g +- だし汁: 8cc +- 油: 少々 + +## 作り方 +1. えごまを軽くいってから、すり鉢ですり、砂糖、味噌、だし汁を加えよく練っておく。 +2. 小麦粉に小口より薄く刻んだネギ、桜エビ、ベーキングパウダーを入れて混ぜ合わせ、水を入れてゆるく溶く。 +3. フライパンを火にかけ油をなじませ、2の材料を流し込み(厚さ8mm~1cm)、弱火で焼く。 +4. 焼きあがったらひし形や三角形等、好みの形に切り、1の中に入れ、混ぜて出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 私たちの郷土料理 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_22_1.jpg)" +"# こんにゃく味噌おでん 群馬県 + +**郷土料理名**: こんにゃく味噌おでん + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +こんにゃく、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +群馬の特産物と言えば、こんにゃく芋。収穫量は全国第1位(農林水産省「令和2年産こんにゃくいもの栽培面積、収穫面積及び収穫量」)で、9割のシェアを誇っている。県内でもこんにゃくを使った多様な郷土料理が親しまれており、その中の一つに「こんにゃく味噌おでん」がある。ゆでたこんにゃくに、味噌だれを塗って味わう料理で冬場に食べられることが多い。群馬の冬は山から下りてくる冷たいからっ風が吹き、比較的乾燥する気候であるため、体の芯から温めてくれるおでんが各家庭でよく作られていたという。また、「こんにゃく味噌おでん」が一般的な呼称ではあるが、一部の地域ではこんにゃくの水気を切る際に布巾に思い切りたたきつけることから「ひっぱたきおでん」とも呼ばれている。 + +## 食習の機会や時季 +こんにゃくは群馬の特産物として生産され、全国に出荷されているが、その一方で県内では家庭で手づくりされるものでもあるという。近隣で育てられたこんにゃく芋を使って作り、こんにゃく味噌おでんなどにして楽しんだ。また、味噌おでんの味噌だれはみりんの入った甘辛い味付けや、ゆずやごまを加えて風味豊かに仕上げたものなど多様にあり、家庭や提供している飲食店によって異なる。 + +## 飲食方法 +こんにゃくを水洗いし、食べやすい大きさに切ってから串に刺す。切り方は特に決まっておらず、長方形や三角形にすることが一般的とされる。たっぷりの水と酒でこんにゃくを煮込んだら、味噌だれを塗って完成。ただし最後に味噌だれを塗るときは、しっかりとこんにゃくの水気を拭き取ることが大切になる。水気が多いこんにゃくには味噌だれが付きにくく、おいしく仕上がらないのだという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- こんにゃく: 半丁 +- 味噌(伝田郷味噌): 大さじ5 +- 砂糖: 大さじ6 +- 酒: 大さじ5 +- みりん: 大さじ5 + +## 作り方 +1. こんにゃくを三角形かつ、8mmくらいの厚さに切ったものをお湯で4~5分湯がく。 +2. 熱いうちに味噌、砂糖、酒、みりんを混ぜ合わせた味噌だれをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 神流町 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_23_1.jpg)" +"# こしね汁 群馬県 + +**郷土料理名**: こしね汁 + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +富岡市 + +## 主な使用食材 +こんにゃく、しいたけ、ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +群馬県の南部にある富岡市は自然豊かな街。赤城山、榛名山とともに上毛三山と呼ばれる妙義山があるほか、市の中心を利根川水系の一級河川・鏑川が流れている。さらに温暖な気候であることから肉や野菜などの農畜産物が美味しく育ち、多くの特産物を輩出している。中でも有名なのが、甘楽・富岡地域で栽培されているこんにゃく、しいたけ、ねぎの3つの野菜だ。からっとした富岡市の天候では、湿気を好まないこんにゃくや原木栽培によるしいたけ、太くて立派な下仁田ねぎなどが良く育つ。そこで富岡市婦人会連合会がこれらの農畜産物がたっぷりと入った汁物の郷土料理を考案。「こんにゃく」「しいたけ」「ねぎ」の頭文字を取り、「こしね汁」と名付けた。 + +## 食習の機会や時季 +世界遺産に登録された富岡製糸場の存在からもわかるように、富岡市はその昔、養蚕の盛んな地域であった。しかし、時代の変化とともに絹製品の消費が少なくなってきたため、代わりに気候を活かした農業が増えていったという。その中でこんにゃくの素となるこんにゃく芋やしいたけの生産が行われるようになり、こしね汁のような郷土料理が作られるようになった。 + +## 飲食方法 +こんにゃく、しいたけ、ねぎの3つを入れることが決まっているが、それ以外に使う野菜や味噌は家庭によって異なる。ごぼうや里芋、ニンジン、豆腐、豚肉など、地域で採れる農畜産物をたっぷりと入れるのがこしね汁。先に火が通りにくい野菜や肉を炒めてからだし汁で煮て、野菜に火が通ったら味噌や醤油で味付けする。さらに油揚げや豆腐、ねぎなどの火が通りやすいものを後で加えて仕上げる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- こんにゃく: 40g +- しいたけ: 35g(中2個位) +- ねぎ: 20g(10cm位) +- じゃがいも: 80g(中1個位) +- ごぼう: 25g(15cm位) +- にんじん: 30g(2cm位) +- 油揚げ: 20g(約1/2枚) +- 豆腐: 60g +- 豚もも肉こま切れ: 80g +- 【A】みそ: 34g(大さじ2弱) +- 【A】和風だしの素: 少々 +- 【A】しょうゆ: 2g(小さじ1/3) +- 酒: 4g(小さじ1弱) +- 油: 3g(小さじ1) +- 水: 500cc + +## 作り方 +1. こんにゃくは食べやすい大きさに切り、下茹でしてアクを抜く。油揚げは短冊切りにして、湯通しして油抜きをし、水気を絞っておく。しいたけは石づきを取りスライスする。野菜の皮をむき、じゃがいもは1.5cm角、にんじんはいちょう切りにする。ごぼうは斜め薄切りにして水にさ���しアクを抜く。ねぎは小口切りにする。豆腐は1.5cmのさいの目に切る。 +2. 鍋に油を入れて熱し、水気を切ったごぼうを入れて炒める。次に豚肉と酒を加えて炒める。こんにゃく、にんじん、じゃがいも、しいたけを入れてさらに炒める。 +3. 水を入れて、材料が柔らかくなるまで煮る。 +4. アク取りをして、油揚げ、豆腐を入れてひと煮立ちさせる。 +5. 【A】を加えて味をととのえる。 +6. 最後にねぎを入れ、火を止める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 富岡市学校給食センター + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_24_1.jpg)" +"# ゆず巻き 群馬県 + +**郷土料理名**: ゆず巻き + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +県全域 + +## 主な使用食材 +ゆず、大根 + +## 歴史・由来・関連行事 +冬の群馬は、山地を越えて降りてくる乾いた風「からっ風」が吹く。また、冬の時期は雨も少ないため、乾いた気候となる。そのため、乾燥した空気を活かしてこんにゃくや芋、柿、大根などを干す文化が栄え、干し柿や切り干し大根、芋がらなどが豊富に作られている。そんなからっ風の文化が生み出した郷土料理の一つが、干した大根でゆずの皮をぐるっと巻いて作る「ゆず巻き」。冬の食材を使った季節の行事食だ。 + +## 食習の機会や時季 +ゆずや大根が出回る冬の時期によく食べられている。主に祝い事の際に供される。おせちを作る際には、「紅白なます」の代わりにゆず巻きを入れることもあるのだという。保存がきくために、冬の家庭料理としても重宝されていた。 + +## 飲食方法 +せん切りにしたゆずの皮を、天日干しにして薄く輪切りにした大根で巻く。その後、酢や砂糖を合わせたものに数日間漬け込んで完成。群馬では大根で巻くほかにも、エリアによっては干し柿などを活用する場合もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (25個分) +- だいこん(2mmの輪切り25枚): 5cm +- ゆず: 1.5個 +- とうがらし: 1/2本 +- 【調味液】砂糖: 1/2カップ +- 【調味液】みりん: 1/6カップ +- 【調味液】酢: 1カップ +- 【調味液】水: 1/2カップ +- 【調味液】塩: 少々 + +## 作り方 +1. だいこんは2mm程度の輪切りにして、天気の良い日に朝から夕方までざるなどに広げて天日干しにする(日中干す。10時間ほど)。 +2. ゆずから皮を取り分け、2~3mmのせん切りにして、1の干しただいこんで巻く。 +3. 2を保存容器に詰め、とうがらしと一緒に調味液に浸す。 +4. 1週間ほど冷蔵庫のなかで蓋をした保存容器に入れていると、味がしみ込みおいしく食べられる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : NPO法人群馬の食文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_25_1.jpg)" +"# 焼きまんじゅう 群馬県 + +**郷土料理名**: 焼きまんじゅう + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +小麦が盛んに生産されている群馬では、小麦粉を使った郷土料理が多く親しまれている。特に炭酸まんじゅうやそばまんじゅうなどの「まんじゅう」は種類豊富に作られており、中でも特徴的なのが、串に刺したまんじゅうに甘みのある味噌だれを塗って焼く「焼きまんじゅう」である。江戸時代末期に、前橋の原嶋類蔵と呼ばれる人物が作った「味噌づけまんじゅう」が発祥とされている。当時はどぶろくを発酵剤にして作るまんじゅうは珍しかったほか、まんじゅうを竹串に刺すという発想も驚きをもって受け入れられたのだという。さらに、当時の味噌は特に甘い味付けではなかったものの、その後の明治時代で黒蜜が輸入されるようになり、現在に近い味付けへと変化したと言われている。 + +## 食習の機会や時季 +お花見や夏祭りなどの際に供される。屋台から焼きまんじゅうの香ばしい香りが漂い、祭りに来る人たちを魅了していた。また、前橋市で商売繁盛を願って行われる「初市」でも焼きまんじゅうを販売する屋台が並んだという。そのほか、まんじゅうと味噌だれ、はけ、竹串などを詰め合わせた焼きまんじゅうのセットが土産用として販売されていた。 + +## 飲食方法 +焼きまんじゅうは、麹を使って発酵させる「酒まんじゅう」の方法で作られる。小麦粉やもち米にどぶろくを加えて発酵させ、蒸してまんじゅうにし、さらに竹串に刺して味噌だれをつけてから焼き上げる。食べる際は串から一つひとつ外して、箸で食べることが一般的。沼田市や利根郡といった北部では、餡の入った甘い焼きまんじゅうも食べられている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (約3,000個分)※飲食店における参考レシピ) +- 小麦粉: 40kg +- もち米: 1kg +- 米糀: 600g +- 食塩: 200g +- 水: 15~20kg(季節により調整) +- 【みそだれ】ざらめ: 30kg +- 【みそだれ】赤みそ: 20kg +- 【みそだれ】水アメ: 3kg +- 【みそだれ】カラメル: 700g +- 【みそだれ】水: 40kg(季節により調整) + +## 作り方 +1. 【まんじゅうを作る】もち米をおかゆ状に煮る。 +2. 適度に冷ましてから米糀を混ぜる(冷まし加減は季節ごとに気温、湿度等で判断する)。 +3. 一晩から二晩寝かせ、最適な発酵具合で塩を入れる。これが「もと種」となる。 +4. 小麦粉ともと種と水を混ぜて生地を作る(水温と量は季節ごとに、気温、湿度等で判断する)。 +5. 練りあがった生地を約20gに分割する。 +6. 分割した生地をせいろに並べ、自然発酵させる。 +7. 最適な大きさになったら蒸気で蒸かす。 +8. 個々のまんじゅうを竹串に刺して仕上がり。 +9. 【みそだれを作る】釜に水を入れ、水アメを入れて煮る。 +10. ざらめを入れ、溶かす。 +11. 赤みそを入れ、よく混ぜて溶かす。 +12. カラメルを入れる。 +13. 30分程煮沸する。 +14. よく冷まし、2日程寝かせる。その間何度も混ぜる。 +15. 【まんじゅうの焼き方】4個で1串にしたまんじゅうにみそだれを塗る。 +16. 焼き台に上げ、表面をあぶり焼く。 +17. 表面がやや乾いたら再びみそだれをぬり、これを表裏2~3回繰り返す。 +18. 表裏ともにみそだれをしっかりまとわせ、焼き上げたら完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 原嶋屋総本家 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_26_1.jpg)" +"# ぎゅうてん 群馬県 + +**郷土料理名**: ぎゅうてん + +**都道府県**: 群馬県 + +## 主な伝承地域 +桐生市 + +## 主な使用食材 +小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +小麦の生産が盛んな群馬では、小麦粉を使った料理がたくさん食べられている。もともとは米の代替食として親しまれていたが、小麦の生産地として広く知られ小麦粉を使った郷土料理が多様化していく中で、県独自の品種も開発・育成されるようになった。そんな小麦の名産地の中で作られる郷土料理の一つ、「ぎゅうてん」は桐生市の庶民食であり、小麦粉を薄くといて小判型に焼く、お好み焼きのような料理だ。材料もお好み焼きに近しく、キャベツやネギなどを入れて混ぜて焼き上げる。鉄板にぎゅうっと押し付けることから「ぎゅうてん」と名付けられたと言われている。使う食材も少なく、また手軽に作れることから、ちょっとしたおやつとして親しまれてきた。 + +## 食習の機会や時季 +桐生市では1300年ほど前の奈良時代から、絹織物が盛んに生産されている。1600年の関ケ原の戦いのときには徳川家康の命で旗絹を献上するなど、桐生産の絹織物は重宝されてきた。現在まで長く続く絹織物生産の中で、家庭を守っていた女性たちも働きに出ていたため、忙しい中でもさっと作れるぎゅうてんは子どもたちへのおやつとして供されるだけでなく、食事の副菜としても食べられていたという。 + +## 飲食方法 +小麦粉と水、卵を良く溶いた生地に、ざく切りにしたキャベツやねぎを入れて混ぜ、フライパンで食べやすい大きさに広げる。フライ返しなどでぎゅっと押さえつけながら火を通し、焼き色をつけて仕上げれば完成。近年ではアレンジして、お好み焼きのようにソースをかけたり、さくらえびやチーズを入れたりして作ることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 小麦粉(薄力粉): 150g +- 長ネギ: 2つまみ +- 干しエビ(さくらえび): 1つまみ +- 青のり(青さ粉): 1つまみ +- 水: 60cc +- サラダ油: 大さじ1 +- 中濃ソース: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 薄力粉に水を入れてよく混ぜてから輪切りにした長ネギと干しエビを加え、再び混ぜ合わせて生地を作る。 +2. フライパンにサラダ油を入れて加熱し、やや強火で生地を焼く。 +3. 生地をひっくり返しながら両面を焼き、さらにヘラで「ギュー」と押しつけながら焼く�� +4. フライパンの上で、ヘラを使って生地を4つにカットし、皿に盛りつけ中濃ソースをかけ、青のりを散らして出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 四辻の齋嘉 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_27_1.jpg)" +"# 埼玉のうどん 埼玉県 + +**郷土料理名**: 埼玉のうどん + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「麦踏み」など麦の収量を4~5倍に増加させる多収栽培方法の開発に尽力した権田愛三を輩出した埼玉県は、全国有数のうどん王国。うどんの生産量は全国で2位(平成21年 農林水産省「米麦加工食品生産動態等統計調査年報」)で、昔と比べ減ってきてはいるものの、現在も小麦の主要生産県である。かつて埼玉県では、稲作の裏作として小麦の栽培が広く行われた。そのため小麦が食の中心であり、それを使い地域ごとにバラエティー豊かに発展してきたのが特徴だ。例えば、北東部は手打ちのコシが強く喉ごしのよいうどん、西部ではつけ汁でいただくコシが非常に強い茶色がかった色が特徴のうどん、県中央部の川沿いの地域ではモチッとした幅広のうどんなど。古くから根付く郷土料理やB級グルメを合わせると、その数は20種類以上にものぼるという。現在は、他地域との差別化や独自性を表現するため、地域名や特性を表す言葉がつけられることが多いが、かつてはどの地域でも「うどん」と呼ばれることがほとんどだった。 + +## 食習の機会や時季 +小麦栽培を行う農家の日常食としてはもちろん、冠婚葬祭や年中行事など、様々な場面で食べられてきた。 + +## 飲食方法 +小麦粉に食塩と水を加えてよく練り、耳たぶほどの硬さにする。生地を寝かせてから麺棒で伸ばし、うどんの種類に合わせて厚さや幅を調整する。沸騰したお湯で麺が透き通るまでゆでたらざるにあげ、それぞれのつゆでいただく。野菜などの具材とともに一緒に煮込むうどんもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 小麦粉: 500g +- 塩: 10g +- 水: 200cc +- 打ち粉: 適量 +- 【かえし】しょうゆ: 500cc +- 【かえし】みりん: 90cc +- 【かえし】砂糖: 90g +- だし汁: 2L + +## 作り方 +1. つゆはかえしとだし汁を合わせる。合わせる比率はかえし1に対して、だし汁を4とする。(お好みで) 【かえし】みりんに砂糖を合わせて沸騰させないよう火にかけて溶かし、火を止めてから醤油を加える。 【だし汁】水に昆布を加え中火にかけて、沸騰前に取り出す。鰹節を入れて中火、2~3分たったら火からおろし、ザルでこす。 +2. ふるった小麦粉をボウルに入れ、食塩水を加え、初めは粉をゆっくりと持ち上げるようにして静かに粉と水を合わせる。底の方から粉を持ち上げゆっくりと落とす要領で続ける。 +3. 耳たぶの硬さになったら、体重を掛け、力を入れて生地を押し固め、ビニール袋に入れ常温で約2時間ねかせる。 +4. 麺板に麺棒を使って3~4mmの厚さに均等に延ばす。このとき打ち粉を十分使う。 +5. 平らになったら生地をびょうぶだたみにし、包丁で3~4mmの幅に切り、切った麺をほぐして打ち粉をよく払い落とす。 +6. 沸騰した多めの湯に麺をほぐしながら入れ、8~12分茹で、麺が透きとおるようになったら、湯から出してすぐ水洗いする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : ふるさとの味伝承士 埼玉ふるさとの伝承料理集 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_1_1.jpg)" +"# 呉汁 埼玉県 + +**郷土料理名**: 呉汁 + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +大豆、野菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +「呉汁」は、稲作や畑作を行っていた地域を中心に、埼玉県全域で愛されている郷土料理。特に稲作が盛んな地域では、痩せた土地でも十分に育つ大豆を、田んぼのあぜに植え、土地の有効活用を目的に育てることが多くあった。自家用に田んぼのあぜで育てた大豆は、通称「たのくろ豆(田畦豆)」と呼ばれる。埼玉県では輪作作物や、水田における転作作物として、大豆は古くから栽培されてきた。このように大豆は人々の身近な食品であり、「呉汁」は庶民の日常食であった。大豆や季節の野菜の旨味、栄養が一杯に凝縮されており滋味深い味わいが特徴。味付けは味噌がポピュラーだが、醤油や塩などをベースにすることもある。加える大豆の量やすりつぶす度合いなどは家庭によって異なるようだ。 + +## 食習の機会や時季 +各家庭では、秋に収穫を迎えた大豆を用いて呉汁を作り食すことが、肌寒くなってきた季節の楽しみのひとつであった。冬に不足しがちなタンパク源であることから、栄養食として疲労回復にも役立っていた。 + +## 飲食方法 +大豆は水に浸して戻してから、すり鉢でなめらかになるまですりつぶす。サトイモ、ダイコン、ニンジン、しいたけ、油揚げ、こんにゃくをだし汁で煮る。煮立ったところに大豆を加え、火が通ったらネギを加えて味噌で味をととのえる。昔の食生活は質素だったため、大豆のほかに油揚げと野菜1~2種で作られており、ご飯にかけて食べる人も多くいた。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- 大豆: 80g +- サトイモ: 100g +- ダイコン: 100g +- ニンジン: 60g +- 長ネギ: 60g +- シイタケ: 4枚 +- こんにゃく: 80g +- 油揚げ: 1枚 +- 味噌: 大さじ2~3 +- 七味唐辛子: お好みで適量 + +## 作り方 +1. 大豆は洗って水に浸し、すり鉢でなめらかにすりつぶす。 +2. サトイモは輪切り、太いものは半月切りにする。ダイコン、ニンジン、油揚げは短冊切り、長ネギは小口切り、シイタケは細切りにする。 +3. こんにゃくは短冊切りにし、湯がいておく。 +4. 鍋にだし汁(分量外)を適量作り、サトイモ、ダイコン、ニンジン、油揚げ、シイタケ、こんにゃくの順に入れ煮る。煮立ったら1の大豆を入れ、火が通ったら長ネギ、味噌を加え、味をととのえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : ふるさとの味伝承士 埼玉ふるさとの伝承料理集 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_2_1.jpg)" +"# 冷や汁/すったて 埼玉県 + +**郷土料理名**: 冷や汁/すったて + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +川島町、入間地域、県北 + +## 主な使用食材 +野菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +それぞれの地域でとれる野菜や魚を使い、日本各地様々な場所で独自に発展してきた郷土食「冷や汁」。中でも埼玉の「冷や汁」は、稲作の裏作として小麦の栽培が広く行われた“うどん文化”のある土地ならではの、うどんのつけ汁として食べられてきた。かつて農作業は手作業が基本だったため、稲作を行う農家では田植えから収穫までの時期はとても忙しく、朝から日暮れまで時間を惜しんで作業に明け暮れていた。農繁期に作るのに手間がかからず、栄養もある「冷や汁」は重宝された。四方を川に囲まれ、肥沃な土地を持つ川島町では、古くから稲作が盛んで、「冷や汁」のことを「すったて」と呼び、農家の定番の食だった。「すったて」とは、野菜などの具材をすりばちですり、「すりたて」を食べていたことに由来する。「冷やし汁」「つったて」とも呼ばれる。 + +## 食習の機会や時季 +収穫したばかりの野菜と、冷たい水を使い仕上げる「冷や汁」は、夏の炎天下で農作業をする人々から親しまれていた料理。タンパク質が豊富で塩分も補給できるみそで味付けし、キュウリや大葉、ミョウガといった夏野菜を加えることで、食の進まない暑い日でもさっぱりと食べられる。 + +## 飲食方法 +すり鉢でごまとみそを合わせて、キュウリや大葉、ミョウガなどの清涼感のある野菜をたっぷりと加えて一緒にする。最後に冷たい水を注いで混ぜる。川島町の「すったて」では、野菜もすり鉢ですり合わせるのが特徴。うどんだけでなく、ご飯に豪快にかける食べ方もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 金ごま(茶ごま、黄ごま): 大さじ3 +- 大葉: 4~5枚 +- 玉ねぎ: 1/4個 +- 氷: 適量 +- 米みそ: 大さじ2 +- キュウリ: 1/2本 +- だし汁(かつおだし)、または冷水: 360cc +- うどん: 250g + +## 作り方 +1. ゴマを煎ってから(フライパンが冷たいうちから強火で30秒、ゴマが跳ね始めるまで)、すり鉢でよくする。 +2. 米みそ、玉ねぎ(みじん切り)、大葉(みじん切り)を加えて、すり鉢でゴマとあわせる。キュウリを輪切りにし、すり鉢に加え、すりこ木で軽くたたいたうえで、よく混ぜ合わせる。 +3. だし汁又は冷水を加えてよく混ぜ合わせる。好みで濃度を調整する。 +4. 鉢に氷を入れて冷たい汁にする。(食べきる場合) ※ 小鉢に汁を入れて氷を入れても良い。(こうすると食べる分しか汁は薄くならない。) ※ 薬味にミョウガやショウガを加えても良い。 ※キュウリを千切りにして、別に添える場合もある。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 川島町商工会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_3_1.jpg)" +"# いがまんじゅう 埼玉県 + +**郷土料理名**: いがまんじゅう + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +鴻巣市、加須市、羽生市、行田市 + +## 主な使用食材 +まんじゅう、もち米 + +## 歴史・由来・関連行事 +鴻巣市(旧川里町)が発祥と言われる「いがまんじゅう」は、埼玉県北東部の主に穀倉地帯に古くから伝わるハレの日の郷土料理である。多くの農家が裏作として小麦を栽培してきた地域では、「朝まんじゅうに昼うどん」という言葉が生まれるほど、うどんやまんじゅうなど小麦粉料理が発達した。まんじゅうと赤飯を合わせて蒸した「いがまんじゅう」は、甘じょっぱい味わいともっちりとした食感が意外にも合い、一度食べたらやみつきになる。まんじゅうを覆うように赤飯をまぶしてある様が、“栗のイガ”のような見た目であることから、いがまんじゅうと名付けられた。「もち米が高価で、かさを増すために赤飯の中にまんじゅうを入れた」「農家のお嫁さんが手間を省くため、赤飯とまんじゅうを一緒にせいろに入れて蒸したらくっついてしまった」など、由来については諸説ある。 + +## 食習の機会や時季 +春、夏、秋のお祭りや祝い事の縁起物として家庭で作られ、食されてきた。現在は埼玉県北東部の和菓子屋でも売られており、店ごとに個性豊かないがまんじゅうが楽しめる。現在はハレの日のごちそうとしてはもちろん、郷土の味として地域の人たちに親しまれている。 + +## 飲食方法 +あんこの入っている田舎まんじゅうを、覆うように赤飯をまぶし、蒸し上げる。まんじゅうの上に赤飯をのせただけのものもあれば全体を覆うようにまぶしたもの、赤飯の上にごまを振りかけたものもあり、家庭により店により形はさまざまである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10個分)※小豆あんは「作りやすい分量として約30個分」) +- もち米: 2合(310g) +- ささげ: 30g +- 【あん】: 作りやすい分量=約30個分 +- 小豆: 300g +- 砂糖: 225g +- 塩: 少々 +- 【皮】: 一枚あたりの分量=40g +- 小麦粉: 200g +- 砂糖: 80g +- ベーキングパウダー: 7g +- 牛乳: 45cc +- 水: 45cc + +## 作り方 +1. 小豆あんを作る。(火加減はすべて中火)小豆は洗って、たっぷりの水(1.5L)に入れて煮る。 +2. 煮立ったら、約200ccの水を入れる。 +3. 再び煮立ったら、湯を捨てる。 +4. 新たに水1Lを入れて、軟らかくなるまで煮る。(1時間程度)。 +5. 砂糖を2回に分けて入れ、最後に塩を加える。その後、焦げないように鍋を見ながら、水分がなくなるまで煮詰める。 +6. 鍋底に木べらで直線を書き、1本の線になったら出来上がり。 +7. バットに移し、冷めたら丸めてあんを作る。 +8. まんじゅうを作る。沸騰させたお湯の中にささげを入れ、10分程度中火にして煮出す。その後、火からおろしてささげをザル にあげ、煮汁を別容器に入れて冷ます。冷めたら煮汁にもち米を一晩浸ける。ザルで水気を切り、ささげともち米を一緒に30分程度蒸す。※ささげともち米を既定量の水で、炊飯器の「おこわモード」を利用しても良い。 +9. 7の小豆あんを30gに分け丸める。 +10. 小麦粉にベーキングパウダーをよく混ぜて3回振るう。振るいにかけたそれに砂糖水(砂糖は泡だて器を使って、牛乳と水とよく混ぜて溶かしておく)を加える。皮の生地はこねないように、さっくりと混ぜる。その後皮は30gに切り丸めておく。皮をのばし、あんを包み形を整える。 +11. 蒸し器に赤飯を平らにもり、その上に3を並べ、更に赤飯をかぶせ強火で約15分蒸す。 +12. 火からおろし余分な赤飯を取り除き、形を整える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : ふるさとの味伝承士 埼玉ふるさとの伝承料理集 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_4_1.jpg)" +"# 塩あんびん 埼玉県 + +**郷土料理名**: 塩あんびん + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +久喜市、���須市、行田市 + +## 主な使用食材 +もち米、小豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +久喜市や加須市、行田市といった埼玉県北部から東部にかけての地域では、新米の収穫を祝い古くから「塩あんびん」を食べてきた。「塩あんびん」とは、砂糖の代わりに塩を使って味付けしたあんをもちで包んだもののことで、小豆やもち米本来の甘みを塩が引き立てているのが特徴。現在では甘いあんが主流だが、こちらは江戸時代中期に生まれたもので、当時砂糖は大変貴重だったため、庶民はめったに口にできなかったと言われている。「塩あんびん」が伝わる地域では、地元民の身近な郷土料理のひとつであるが、収穫祝いを始めとするハレの日に多く食べられてきた。 + +## 食習の機会や時季 +農家では、もち米の収穫を迎え、お祝いの行事をする時に食べられていた。また、桃の節句や端午の節句、初誕生日などの子どものお祝いの日には、手作りの「塩あんびん」を親族に送ることがある。紅色の甘いあんこの大福と「塩あんびん」が紅白の「あんびんもち」として、ハレの日に供されることもあった。ほかにも、4月15日および10月15日のお日待ちや9月1日 の稲の実りの前の豊穣祈願や贈答などを行う八朔などの行事でも食べられていた。1歳の誕生日までに歩き始めた子どもに10個ほどの塩あんびんを背負わせ、成長を祝う風習もあるようだ。 + +## 飲食方法 +やわらかく炊いた小豆に塩を入れ、よく練る。もち米は一晩水に漬け、水を切ったら約1時間蒸しあげ、餅つき機でつく。一個分ずつに餅を分け、平たくのばした真ん中に塩あんをおき包む。やや平たい丸に成形する。砂糖を付けて食べるのが一般的だが、醤油を付けて焼くこともある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- もち米: 7合(1kg) +- 小豆(煮たもの): 3合 +- 粗塩: 30g + +## 作り方 +1. やわらかく煮た小豆に塩を入れ、よく練り塩あんを作る。 +2. 一晩水に浸けておいたもち米の水を切り、約1時間蒸す。 +3. 蒸したもち米を、餅つき機でつく。 +4. もちを一個分ずつに分け、平たくのばして塩あんをくるみ、丸く少し平たくしたあんびんの形に整えてできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : ふるさとの味伝承士 埼玉ふるさとの伝承料理集 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_5_1.jpg)" +"# かてめし 埼玉県 + +**郷土料理名**: かてめし + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +秩父地方、さいたま市、比企郡、入間地域 + +## 主な使用食材 +ご飯、野菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +秩父地方を中心に埼玉県の郷土料理として定着している「かてめし」。特に米の生産量が比較的少ない地域で、ご飯の量を増やすために具材を加えたことからできた料理とされる。稲作に不適な地域では米を主食とすることが難しく、また稲作に適した地域でも、小作農にとって米は地主への地代として貴重な換金作物であった。そのため、冠婚葬祭用の米を取り分けたら残りは売ることが多かったと言われている。余ったくず米のかさを増やして食すために、大根やイモなどの味付けをして煮た野菜を加える料理ができた。埼玉県北部の給食で提供される「かてめし」は酢飯に地域の食材を混ぜ、さいたま市などの南部では、ご飯や薄茶飯に里芋の茎を乾燥させた「ずいき」を使った具を混ぜ込む。秩父地方でも、ご飯に「ずいき」を入れるのが定番。地域や家庭によってご飯の味や具材が異なるのが特徴だ。「かてめし」は家庭料理として親しまれているが、農家にとってハレの日の調味料である醤油を使っていたことから、ハレの日に食べられることも多かったことがわかる。ハレの日に食す飯物としては、五目ちらしよりもよく作られたとされる。特に都市部では、すしと同じようにハレの日に食べられていた。 + +## 食習の機会や時季 +1月の「山の神」(山仕事をせず山に立ち入らない日)、桃の節句、八十八夜、お盆の入り、恵比寿様の日などの行事食として作られることが多い。 + +## 飲食方法 +水で戻した干しシイタケやずいき、ニンジン、ダイコンなどの野菜と油揚げやしらたきを炒め、醤油やみりん、酒、砂糖で煮る。炊き上がったご飯、または酢飯、茶飯に煮ておいた具材を混ぜ合わせる。秩父地方では、山菜を加えた「山菜かてめし」の味が伝わっている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6人分) +- 米: 450g(3合) +- ダイコン: 150g +- ゴボウ: 50g +- ニンジン: 50g +- 干しシイタケ: 4、5枚 +- 油揚げ: 2枚 +- 油: 大さじ1 +- 水: 100cc +- 醤油: 大さじ3 +- 砂糖、みりん、酒: 各大さじ1 +- 塩: 小さじ2/3 + +## 作り方 +1. 米をとぎ、水に約30分浸してから炊く。冬場は水が冷たいので、浸水時間を長くするとよい。 +2. ニンジン、ダイコンは小さい短冊切り、干しシイタケは水で戻してから短冊切り、ゴボウはささがきにして水にさらしてアクを抜く。 +3. 材料を油で炒めて、水と調味料で煮ておく。 +4. 炊いたご飯と3を合わせて出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : ふるさとの味伝承士 埼玉ふるさとの伝承料理集 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_6_1.jpg)" +"# 煮ぼうとう/ひもかわ 埼玉県 + +**郷土料理名**: 煮ぼうとう/ひもかわ + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +深谷市、入間郡、比企郡、秩父地域 + +## 主な使用食材 +うどん + +## 歴史・由来・関連行事 +稲作の裏作として小麦が多く生産されていた埼玉県では、さまざまな地域で多種多様なうどんが生まれている。深谷市を中心に食べられている「煮ぼうとう」もそのひとつで、入間郡や比企郡では「ひもかわ」や「打ち入れ」、秩父地域では「おっきりこみ」とそれぞれ呼ばれ、食されてきた。いずれも季節の野菜を入れて煮た汁に、幅広の麺をゆでずに入れ、汁にとろみをつけることが特徴で、山梨県のカボチャを入れた味噌仕立ての「ほうとう」とは異なるものだ。かつてはいろり端や鍋を家族で囲み、夕食に食べられていたケの日の郷土料理で、現在も冬に体を温める食事として家庭で作られている。また、深谷市では、地元出身で明治から昭和にかけて活躍した実業家の渋沢栄一氏も愛した料理として知られており、深谷市内の学校給食で提供されるほか、毎年、11月11日の渋沢氏の命日には、地元の公民館では「にぼうと会」が催されている。 + +## 食習の機会や時季 +どの地域でも、主に家庭で作られる日常食で、温かくとろみのついた煮込み料理であることから、基本的には秋から冬にかけて食されてきた。また、深谷市では地元の偉人・渋沢栄一氏とゆかりある料理として知られ、その功績を知り、遺徳をたたえるために11月11日の渋沢氏の命日に食べることがある。 + +## 飲食方法 +小麦粉に水と塩を加えて練り、寝かせてからめん棒で薄く延ばし、平たく太いうどんを作る。ダイコンやニンジン、白菜、サトイモなど地場の旬の野菜を切ってから油で軽く炒める。だし汁、または水を加えて野菜がやわらかくなるまで煮たらうどんを加え、醤油ベースで味をつける。深谷では名産の深谷ねぎをたっぷりと入れる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ひもかわ: 200g +- ホンシメジ(少しの油で炒めて、しょうゆ少々で味付けしておく): 50g +- 鶏肉(小間): 50g +- 大根(いちょう切り): 100g +- ねぎ(斜め切り、またはぶつ切り): 1/2本 +- 油揚げ(短冊切り): 1枚 +- 白菜(ざく切り): 100g +- 小松菜: 50g +- ニンジン(いちょう切り): 50g +- かつお厚削り: 40g +- 水: 1.4L +- 醤油: 大さじ3と1/2 +- 酒: 小さじ1 + +## 作り方 +1. だしをとる。水とかつお厚削りを鍋に入れ、強火で沸騰させる。沸騰したら弱火であくをとりながら8分程度煮出す。火を止め、こしておく。 +2. 小松菜はゆでて食べやすい大きさに切っておく。 +3. 油(分量外)でニンジンを炒め、鶏肉を続けて炒める。 +4. 鶏肉の色が変わったら大根を加えて炒め、だしを入れます。 +5. 4に白菜の芯、葉、油揚げ、ねぎ、炒めておいたホンシメジを入れて、1のだしを加えて煮る。 +6. 野菜に火が通ったら、醤油・酒で調味し、ひもかわを生めんのまま、パラパラと入れる。 +7. ひもかわに火が通ったら、ゆでておいた小松菜を入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 深谷市学校栄養士会 佐々木 規枝 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_7_1.jpg)" +"# ゼリーフライ 埼玉県 + +**郷土料理名**: ゼリーフライ + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +行田市 + +## 主な使用食材 +おから、野菜 + +## ��史・由来・関連行事 +「フライ」「ゼリー」というものの、肉や魚を油で揚げた「フライ」やお菓子の「ゼリー」とはまったく違う食べ物。「ゼリーフライ」という名前の由来は、小判のような形から。「銭フライ」と呼ばれていたのが変化し、「ゼリーフライ」と呼ばれるようになったと言われている。見た目は衣の付いていないコロッケのようだが、たくさんのおからとジャガイモをベースに、ニンジンやネギなどが入っているのが特徴。ソースによる味付けとモチモチとした食感が相まって、地元民から愛されている。そのルーツは、中国の東北地方にある「野菜まんじゅう」という料理。日露戦争に従軍した、行田市内の「一福茶屋」の店主が考案したと言われている。明治後期には一般的に食されるようになり、現在まで行田市民のおやつとして愛されている。 + +## 食習の機会や時季 +主に庶民のおやつとして食されてきた。 + +## 飲食方法 +おからや、ゆでてつぶしたジャガイモを、炒めたニンジンやネギなどの野菜とよく混ぜ合わせる。小判の形に整え、そのまま油で揚げる。ウスターソース等にくぐらせて仕上げる。市内のお店にはゼリーフライを挟んで食べるゼリーフライバーガーやゼリーフライピタサンドがある。変わり種としてカレー味やチョコバナナ味もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20個分) +- おから: 340g +- ジャガイモ: 300g +- 小麦粉: 40g +- 卵: 1個 +- ニンジン: 60g +- 玉ネギ: 70g +- 塩、こしょう: 各少々 +- サラダ油、ウスターソース、中濃ソース: 各適量 + +## 作り方 +1. じゃがいもは皮ごとふかしてから皮を除きつぶす。 +2. 野菜はみじん切りにする。 +3. おからをよくこね、空気を抜く。 +4. おからにじゃがいも、野菜を入れ、さらに小麦粉、卵、塩、こしょうを加え、よく混ぜ合わせる。 +5. 材料を小判のような形に整え、160度の油できつね色になるまで揚げる。 +6. ウスターソースと中濃ソースを6対4の割合でボウルに入れ、その中に揚げたてのゼリーフライをサッとくぐらせてできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 北埼玉の伝承料理 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_8_1.jpg)" +"# ねぎぬた 埼玉県 + +**郷土料理名**: ねぎぬた + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +深谷市、県内全域 + +## 主な使用食材 +ネギ + +## 歴史・由来・関連行事 +埼玉県はネギの生産量が全国でも2番目に多く、その量はなんと50,600トン(農林水産省「令和2年産・作物調査(野菜)」。作付面積は2,230平米と全国で最も広く、ネギは埼玉県有数の地場産物のひとつだと言える。県南東部の越谷市、吉川市、三郷市などでは夏ネギが、県北東部の深谷市では冬ネギが栽培されており、特に「深谷ねぎ」はブランド化している。深谷市では、ネギそのものの風味が味わえるネギ焼きをはじめ、かきあげや白和え、南蛮漬けなどの料理に用いられる。とりわけ、深谷市の郷土料理である「煮ぼうとう」には欠かせない。ネギを使った料理の中でも、祝い事に欠かせないのは「ねぎぬた」だ。特に、冬ネギは甘みが強い上にとろけるような食感があり、酢味噌の風味とよく合い、その味わいは格別である。祝い事では、出席者に出されると「もうすぐお開きですよ」という合図になった。 + +## 食習の機会や時季 +「ねぎぬた」は、日常的に食される家庭料理であるとともに、結婚式など祝いの席に供される料理である。中でも、締めくくりの料理として登場することが多い。深谷市では、11月23日を「深谷ねぎらいの日」と定め、花束ならぬネギを束ねたねぎ束をお世話になった人に贈るイベントが行われている。 + +## 飲食方法 +深谷ねぎを3cmくらいの長さに切り、やわらかく蒸し上げた後、ざるに上げて冷ます。ごまをフライパンで炒り、すり鉢でする。すりごまと砂糖、味噌、酢を合わせ、水気をしっかり絞ったねぎとあえる。イカやちくわを加えてもおいしい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 深谷ネギ: 3本(360g) +- 糸かまぼこ(市販のかまぼこやかにかまぼこでも可): 30g +- 【調味料】白ごま(すりごまでも可): 20g +- 【調味料】白味噌: 20g +- 【調味料】酢: 大さじ2/3 +- 【調味料】砂糖: 大さじ1 +- 【調味料】洋からし��粉): 0.7g + +## 作り方 +1. ねぎは斜め薄切りにする。 +2. かにかまぼこの場合は細かくかくさき、かまぼこの場合は細切りにする。 +3. 白ごまはする。(すりごまの場合はそのまま使う) +4. 酢以外の調味料を合わせ、混ぜながら弱火にかける。砂糖が溶けたら粗熱をとり、酢を加える。 +5. ねぎは蒸す。 +6. ねぎとたれがさめたら、すりごまと一緒にあえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 草加市食生活改善推進委員協議会 佐々木 規枝 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_9_1.jpg)" +"# ねじ/小豆ぼうとう 埼玉県 + +**郷土料理名**: ねじ/小豆ぼうとう + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +秩父地域、比企郡 + +## 主な使用食材 +うどん、あずき + +## 歴史・由来・関連行事 +秩父郡の小鹿野町がルーツの「ねじ」は、螺旋状にねじった短いうどんに小豆あんを和えた郷土料理だ。お汁粉のようなゆるいあんを使うこともあり、その場合は「小豆ぼうとう」と呼ばれる。小麦栽培が盛んな秩父地域ならではの家庭料理ともいえるが、貧しくて餅が手に入らなかった際の代替食として生まれたという説もある。秩父郡東秩父村では、麺ではなく、生地を農具の「箕」のような形に成形して小豆あんであえた「あずきすくい」が郷土の味となっている。 + +## 食習の機会や時季 +8月16日の送り盆の日に食べられている。かつて「小豆ぼうとう」は、真冬の冷え込みの厳しい夜に、囲炉裏で作られ、家族で冷えた体を温めた。現在では、おやつとして食されている。 + +## 飲食方法 +小豆に水を加えてゆでこぼした後、やわらかくなるまで煮る。砂糖と塩少々で好みの味に調整する。螺旋状にねじり、食べやすい長さに切ってやわらかくゆで、小豆とあえる。お汁粉のようなゆるいあんであえることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 【あん】小豆: 250g +- 【あん】砂糖: 150g +- 【あん】塩: 5g +- 【うどん】小麦粉: 300g +- 【うどん】塩: 5g +- 【うどん】水: 150ml + +## 作り方 +1. あんこを作る。小豆を洗い鍋に入れて火にかけ、沸騰したらお湯を捨て、再び水を加えてやわらかくなるまで煮る。 +2. 砂糖と塩を加えて味を調整する。 +3. うどんを作る。小麦粉に塩を入れて混ぜ合わせ、水を加えてよくこねる。 +4. こねたものをのし板の上にとり、麺棒で3mmの厚さに延ばした後、長さ8cm、幅1cmの麺に切り揃え、両端を持ってねじる。 +5. たっぷりの湯で麺をゆで、火が通ったらざるにあげる。湯を切り、あんをまぶす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 秩父の郷土料理「楽しんでくんなぁ山逢のあじ」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_10_1.jpg)" +"# みそポテト 埼玉県 + +**郷土料理名**: みそポテト + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +秩父地方 + +## 主な使用食材 +ジャガイモ、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +「みそポテト」は、「第5回埼玉B級ご当地グルメ王決定戦inちちぶ」(平成21年)で優勝したことから知名度が上がったが、実は秩父地方に古くから伝わる郷土料理である。平地の少ない秩父地方では、古くから畑作が行われてきた。収穫したジャガイモのうち小ぶりなものをいろりで焼き、味噌だれをぬって食べたのが「みそポテト」の始まりだと言われている。農家では、農作業の合間に「小昼飯(こぢゅうはん)」として食べられてきた。ホクホクとしたジャガイモに甘辛い味噌が絡む「みそポテト」は、現在ではおやつやおつまみ、おかずとさまざまなシーンで親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +秩父地方などの農家では、農作業の合間などに小腹が空いた時に軽食やおやつを食べること、またその郷土料理を「小昼飯」と呼ぶ。その「小昼飯」でよく食べられていたのが「みそポテト」だ。現在は給食や家庭料理としても一般的で、日常のおやつや食事として食卓に並ぶ。 + +## 飲食方法 +味噌に砂糖や酒などを加えて味噌だれを作る。皮をむき一口サイズに切ったジャガイモをゆで、小麦粉と水で作った衣をつけて油で揚げる。からりと揚がったら油を切り、熱々のうちに味噌だれをかける。たれに柚子のみじん切りや青のりを加えてアレンジしても良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材�� (4人分) +- ジャガイモ: 400g +- 小麦粉: 30g +- 揚げ油: 適量 +- 【調味料】味噌: 30g +- 【調味料】砂糖: 30g +- 【調味料】酒: 小さじ1 +- 【調味料】本みりん: 小さじ1 +- 【調味料】水: 大さじ1 + +## 作り方 +1. ジャガイモを乱切りにし、水にさらす。 +2. 小麦粉と水を混ぜて少し緩めの衣を作る。ジャガイモの水気を切り、衣をつける。 +3. 油を180度に熱し、ジャガイモを揚げる。 +4. 調味料をすべて混ぜ合わせて煮詰め、たれを作る。 +5. 3のポテトにたれをかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 深谷市学校栄養士会 佐々木 規枝 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_11_1.jpg)" +"# 甘露梅 埼玉県 + +**郷土料理名**: 甘露梅 + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +越生町 + +## 主な使用食材 +梅 + +## 歴史・由来・関連行事 +埼玉県の中央、入間郡にある越生町。関東三大梅林の一つといわれる越生梅林があり、その周辺には約2万本もの梅が栽培されている。古くから“梅の里”として知られるこの地の歴史は、南北朝時代に九州太宰府から運ばれてきた梅の木が、広く植えられ、栽培されてきたことだと伝わっている。果肉が厚く良質な梅として評判となり、中でも越生町ブランドの「べに梅」は完熟すると、表面が紅色になる美しい梅。塩で漬けた梅干しはもちろん、越生町で昔から伝わっている梅料理のひとつが、「甘露梅」だ。 + +## 食習の機会や時季 +梅の収穫期である6月上旬頃、梅がカリカリとした硬さの期間につくられる。 + +## 飲食方法 +青梅を水に長時間浸しあく抜きをし、水気をよく切ってから種を取り、冷蔵庫で砂糖漬けにする。洗って水気を切った赤ジソの葉を梅酢に漬ける。その後、水気を切った赤ジソで梅を包み、砂糖と梅のシロップで、さらに冷蔵庫でひと月ほど漬ける。梅から出たシロップは水で薄めジュースにして飲むこともある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- 青梅(とれたてのもの): 1kg +- 砂糖: 800g~1kg +- 赤ジソの葉: 適量 +- 梅酢: 適量 + +## 作り方 +1. 青梅はたっぷりの水に5時間くらい漬け、あく抜きをする。 +2. よく洗ってゴミ等を取り除き、ザルにあけ水気をよく取り、包丁で切り込みを入れ、4等分に切り種を取る。 +3. ふたのできる容器またはビンに4等分した梅と砂糖(2/3量)を入れ、水分が出るまで常温に置き、その後冷蔵庫に入れる。 +4. 赤ジソの葉を洗い、水気を取り梅酢(ひたるくらい)に1日漬ける。*あまり漬け込むと色が落ちるので注意する。 +5. 赤ジソの葉の水分をよく絞り、3の梅を一つずつ赤ジソで包み容器に並べ、残りの砂糖(1/3量)を振り、梅から出たシロップをひたひたになるくらい入れ、冷蔵庫で保存する。1ヵ月くらいで食べられるようになる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : JAいるま野武蔵野食文化推進者 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_12_1.jpg)" +"# 栗の渋皮煮 埼玉県 + +**郷土料理名**: 栗の渋皮煮 + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +日高市 + +## 主な使用食材 +栗 + +## 歴史・由来・関連行事 +日高市は埼玉県内でトップクラスの栗の産地で、大きなものだと1粒30グラム以上になる「高麗川マロン」や、甘栗のように渋皮が簡単にむけるのが特徴の「日高ぽロン」などのブランド栗が栽培されている。秋になり栗の収穫期になると栗やその加工品を求め多くの人が日高市の直売所を訪れる。日高市ではさまざまな品種の栗が収穫されており、各品種の特徴を生かした料理を作るべく、品種を指定し購入する客が多いという。「栗の渋皮煮」は、昔は高価で貴重であった砂糖をふんだんに使っているため、日常的に広く作られていた料理ではなく、お祭りやお祝い事などで食される贅沢な料理として伝わっている。 + +## 食習の機会や時季 +栗の鬼皮を丁寧にむき、何度もゆでこぼしながら火を入れる調理工程は時間と手間がかかるため、栗の収穫期に大量につくり、冷凍保存し冬の間に自然解凍し食べる習慣がある。お祭りやお祝いの時に作ることが多い。 + +## 飲食方法 +栗の渋皮にきずをつけないよう鬼皮だけをむく。鍋に水と栗を入れて火にかけ、重曹を加えてゆでる。煮立ったら火を弱める。鍋の湯が黒くなったらゆでこぼ��、水をかえてさらに10分間ゆで、再びゆでこぼし、さらに15分ゆでる。栗がやわらかくなったら水に取り、表面の硬い筋や毛羽立ちを指先で丁寧に取り除く。鍋にゆでた栗とかぶるくらいの水を入れ、砂糖を加え、紙で落し蓋をし、20~30分煮る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 栗(できれば大きい実がよい): 1kg +- 重曹: 大さじ1 +- 砂糖: 450g +- 塩: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 栗は皮をむきやすくするために、水に半日くらいつけておく。または、熱湯の中に入れておけばむきやすくなる。渋皮を傷つけてしまうと後で煮崩れてしまうので注意する。 +2. 栗の渋皮に傷をつけないよう注意して鬼皮のみをむく +3. むいた栗とたっぷりかぶるくらいの水を鍋に入れ、重曹を加えて、中火で10分煮る。真っ黒になったゆで湯を捨て新しい水に替え、アク抜きする +4. 竹串ややわらかい歯ブラシなどで栗の筋、渋毛を一粒ずつきれいに洗い流す。 +5. 3と同じ要領で煮立て、5~6分でゆで湯を捨てる事を4、5回繰り返しザルにとる。 +6. 鍋に栗がかぶるくらいの水を入れ、1/3の量の砂糖を入れ10分煮る。これを3回繰り返し、最後に塩を加え、火から下ろしそのまま冷まして1個ずつ取り出して完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : JAいるま野 武蔵野食文化推進者 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_13_1.jpg)" +"# つみっこ 埼玉県 + +**郷土料理名**: つみっこ + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +秩父地域、本庄市 + +## 主な使用食材 +小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +昔から小麦の栽培が盛んだった埼玉県は、うどん文化が根付いているが、本庄市や秩父地域で愛される「つみっこ」は、うどんよりも手早くつくれることから、特に忙しい時に重宝した郷土料理だ。いわゆる「すいとん」のことで、地域によっては「とっちゃなげ」や「だんご」「つめっこ」と呼ばれることがある。「つみっこ」という名称は、「つみとる」という意味の本庄地方の方言で、小麦を水で練って作った生地を「つみとる」ようにちぎって鍋に入れたことから、このように呼ばれるようになったと伝わる。地元でとれた小麦粉と季節の野菜をたっぷりと使うため、優しく滋味深い味わいの上、栄養バランスが良い。秩父地域では、学校給食でも提供されている。 + +## 食習の機会や時季 +秩父地域では農家の忙しい時の食事としてつくられており、本庄市では、かつて養蚕や機織りが盛んだった頃に仕事の合間に食べられていた。このことからも分かるように、手早くつくれる「つみっこ」は、忙しい日に手早くつくり、食される日常食であった。 + +## 飲食方法 +小麦粉に水を加え、よくこねたら丸くまとめて寝かせておく。シイタケやニンジン、長ネギなど季節の野菜を食べやすい大きさに切り、だし汁鍋で煮る。野菜に火が通ったらこねておいた生地を引っ張ってちぎり、鍋に入れていく。生地がやわらかい場合はスプーンを使うとよい。火が通ったら醤油で味をつけ、ひと煮立ちさせる。生地にすりおろした大和芋や卵を加えるとやわらかく仕上がる。お好みで七味を振り、いただく。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 小麦粉: 200g +- 水: 140ml +- しょうゆ: 大さじ5 +- だし汁: 1.8ℓ +- 油揚げ: 1枚 +- ジャガイモ: 大2個 +- 生シイタケ: 大3枚 +- ニンジン: 中1本 +- 長ネギ: 中2本 +- 青菜: 少々 + +## 作り方 +1. ジャガイモは皮をむきひと口大に切る。 +2. 生シイタケ、油揚げは千切りにし、にんじんはいちょう切りにする。 +3. 生シイタケ、ジャガイモ、ニンジンなどの硬めの野菜は冷ました状態のだし汁から煮て、少し硬めのうちに、しょうゆ大さじ3杯を入れる。 +4. 小麦粉に水を静かに入れながらよくこね、丸くまとめてラップをして、1時間くらい寝かせる。 +5. 手水をつけながら生地を引っ張ってつまみ、親指で押して強火にした鍋に入れる。 +6. 油揚げと野菜を入れ、しょうゆ大さじ2杯で味を調整する。刻んだ長ネギとゆでた青菜をちらして出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 秩父の郷土料理「楽しんでくんなぁ山逢のあじ」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_14_1.jpg)" +"# こんにゃくのみそおでん 埼玉県 + +**郷土���理名**: こんにゃくのみそおでん + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +寄居町風布地区、秩父地域 + +## 主な使用食材 +こんにゃく + +## 歴史・由来・関連行事 +寄居町風布地区、秩父地域では、古くからこんにゃく芋が栽培されており、こんにゃくは特産のひとつである。市販品の多くはこんにゃく芋粉で作られるのに対し、この地域の農家では生のこんにゃく芋を使って手作りする。生のこんにゃく芋ならではの風味と食感で独特のおいしさがある。手作りこんにゃくは、生芋が収穫できる秋から冬にかけて出回ることが多い。 + +## 食習の機会や時季 +手づくりこんにゃくを用いたこんにゃくのみそおでんを、お茶や漬物等とともに供したり、販売したりする観光みかん園も存在する。子どものおやつや、おかずとしても愛されている。 + +## 飲食方法 +三角形に切ったこんにゃくを串にさし、沸騰した湯であたため、水気を切ったものにみそだれを付けて食す。熱々がおいしい。ごまやクルミ、ゆずやみかんの皮をすりつぶしたものをみそだれに混ぜるアレンジもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 【こんにゃく】こんにゃく芋(生): 200g +- 【こんにゃく】水: 700ml +- 【こんにゃく】洗ソーダ(炭酸ナトリウム): 10g +- 【こんにゃく】熱湯: 130ml +- 【甘みそ】無添加みそ: 100g +- 【甘みそ】ざらめ: 100g +- 【甘みそ】白砂糖: 100g +- 【甘みそ】日本酒: 10g + +## 作り方 +1. 鍋に【甘みそ】の材料を入れ、弱火で焦げないように木べらなどでかき混ぜ続ける。細かな泡が膨らんできたら、火を止める。冷めたらみそはかたくなるので、ゆるめでも良い。 +2. こんにゃく芋をきれいに洗い、2~3cmのさいの目に切る。ミキサーに切った芋を入れ、水440mlを加えて、20~25秒程ミキサーにかけ、大きめの鍋に入れ、水260mlを加え、15~20分程おいておく。 +3. お湯を沸かし、洗ソーダを熱湯50mlで溶かす。 +4. 2の鍋を火にかけ、熱湯80mlを入れ、強火で5分程、ダマができないように練る。 +5. 弱火にし、3を40ml入れ、2~3分程、ダマができないように、更に練ってから、火を止める。 +6. 型(四角形の耐熱タッパーなど)に5を隙間がないように注ぐ。3の残分10mlを、表面が乾かぬよう広げながら注ぐ。30分程冷ます。 +7. 6に1cm程の高さになるよう水(分量外)を加える。固まったこんにゃくを半分に切り、別の鍋で沸かした湯(分量外)に入れ、再度沸騰したら強火で20~30分湯がく。木べらなどでこんにゃくを押して、かたければアクが抜けているサイン。 +8. 7を三角形に切り、1の甘みそをからめる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : たちばな園 坂本 勝己 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_15_1.jpg)" +"# やきとり 埼玉県 + +**郷土料理名**: やきとり + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +東松山市 + +## 主な使用食材 +豚のカシラ肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +東松山駅を中心に「やきとり」ののれんを掲げるお店が数多くある東松山市は、北海道の美唄市、室蘭市、福島県福島市、愛媛県今治市、山口県長門市、福岡県久留米市とならんで日本7大「やきとり」の街と呼ばれる。東松山市の「やきとり」は、鶏肉を使った一般的なものではなく、豚のこめかみから頬にかけてのカシラ肉を使うのが特徴。かつてカシラ肉は食肉としてはあまり使われず、加工食品の材料になることが多かった。その後、地域の大きな工場で働く従業員の食をささえる存在になった。「やきとり」は、カシラと長ネギを交互に刺し炭火でじっくりと焼き、塩味で提供されるが、お客の好みでつける味噌だれが味の決め手。味噌だれはお店によって味わいが異なり、お店の個性が表れるポイントでもある。 + +## 食習の機会や時季 +新鮮なカシラを使う。子どもから大人まで大人気だが、労働者の間で食べられてきたこともあり、赤ちょうちんを下げる居酒屋で提供されることが多い。 + +## 飲食方法 +串にカシラとネギと交互に刺し、炭火でじっくりと焼き、塩を振って仕上げる。お好みでつける味噌だれは、白味噌をベースに唐辛子やにんにく、ごま油、みりん、果物のすりおろしなどを混ぜて作る。肉の切り方や刺し方、味噌だれなどは、飲食店によって個性が表われる。 + +## 保���・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分)※辛味噌の分量は「作りやすい分量」) +- 豚のカシラ肉: 120g +- 長ネギ: 1本 +- サラダ油: 小さじ1/2 +- [A]豆板醤: 大さじ3 +- [A]おろしにんにく: 大さじ3 +- [A]一味唐辛子: 小さじ1 +- [A]煎り胡麻: 小さじ1 +- [A]濃口しょうゆ: 50cc +- [A]みりん: 100cc +- [A]だし入りの合わせ味噌: 大さじ12 + +## 作り方 +1. 材料内[A]をまぜあわせる。※一味唐辛子、煎り胡麻、濃口しょうゆの量でお好みの味に調整する。 +2. 豚のカシラ肉を食べやすいサイズに切る(10gずつが目安)。長ネギを約3cmに切る。切ったカシラ肉と長ネギを、4本の串に打ちつける(刺す)。※冷凍肉の場合は少々凍った状態の方が切りやすい。 +3. 2の串に高い位置から塩を振りかける。※串の上の部分には塩を多めに、手元部分には塩を少なめに振りかけることで、味の変化を楽しめる。 +4. 焼く時に燃えないように串の持ち手の部分にアルミホイルを巻く。フライパンにサラダ油をひき、串をのせ、強火で素早く両面を焼く(2分が目安)。表面に軽く焦げ目がついたら、中火にして両面を焼く(3分が目安)。 +5. 1で作った辛味噌をつけて食す。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_16_1.jpg)" +"# ゆず巻き 埼玉県 + +**郷土料理名**: ゆず巻き + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +秩父地域、越生町、毛呂山町 + +## 主な使用食材 +ゆず + +## 歴史・由来・関連行事 +入間郡越生町を中心に、古くからゆずの栽培が行われている埼玉県では、ゆずを使った郷土料理が多くある。その中でも「ゆず巻き」は、冬の保存食で側面がありながら正月料理としても愛される漬物だ。 + +## 食習の機会や時季 +各家庭では、12月中旬に薄切りにした大根を乾かし、ゆずを巻き、それを甘酢に漬けて保存し、正月料理のひとつとして食す。また、酒の肴やご飯のおかず、お茶請けとして親しまれている。 + +## 飲食方法 +大根を3mmほどの厚さに輪切りにし、すのこやざるに並べて日当たりの良い場所で半日くらい天日干しにする。程よく水分が抜けてしんなりしたら、大根の幅と同じ長さに細切りにしたゆずの皮を芯にして巻く。針に糸を通し丸めた大根を刺し重ね、風通しの良いところで1週間から10日程干す。干したものをよく洗って戻し、器に入れて甘酢を注ぎ、味がしみこむまで漬け込む。丸めた大根を干さずに漬ける方法もある。また、漬け込む液は、甘酢ではなく三杯酢を使う家庭もあるようだ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根: 10cm +- ゆず: 1/2個 +- 甘酢(酢100ml、砂糖50g、塩3g): 適量 + +## 作り方 +1. 大根はやや太めのものを選んで、巻きやすい厚さに切り、1枚1枚広げておく。 +2. ゆずの皮を3~5mmくらいに切り、1の大根で巻く。 +3. 糸で巻いたものを順々に刺していき、糸に通したまま吊るして1週間から10日間くらい軒下に干す。 +4. 糸を外し、ぬるま湯で丁寧に洗う。容器に平らに並べ、甘酢をひたひたになるまで入れて漬け込み、味がよくしみたらいただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : JAいるま野武蔵野食文化推進者 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_17_1.jpg)" +"# うでまんじゅう 埼玉県 + +**郷土料理名**: うでまんじゅう + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、あん + +## 歴史・由来・関連行事 +小麦文化が根付き、様々なまんじゅうが作られてきた埼玉県。中でも所沢市は、かつては麦類、いも、お茶などを中心とした畑作地帯で、麦は冬の代表的な作物であった。麦は秋の終わりに種をまき、翌年6月下旬に収穫が行われる作物。そのため、お盆の時期には、特に香りの良い新小麦が手に入った。その新小麦を使って作られるのが「うでまんじゅう」であった。「うでまんじゅう」とは、「ゆでまんじゅう」がなまった言葉で、蒸すのではなく、たっぷりのお湯でゆでるのが特徴。ゆでることにより、蒸したまんじゅうよりももっちりとした食感に仕上がる。小麦粉をこねてゆでただけのものを指すこともあるが、その時々の時代や地域によっては、あんこを包んだものを指すこともある。 + +## 食習の機会や時季 +収穫されたばかりの新小麦を使った「うでま���じゅう」は、お盆に仏様に供えるものであった。また、お彼岸や農家の物日、祭日などでも食べられてきた。七夕祭りや十五夜、十三夜、養蚕が盛んな地域では蚕が繭になった時期に、近所に配ることもある。 + +## 飲食方法 +小麦粉に熱湯を加え、箸などで素早くかき混ぜる。手に水をつけながら耳たぶくらいの硬さになるまでよくこねたら、程よい大きさに切り分け、手のひらで丸める。あんこを入れる場合は、ここで生地を延ばし、あんを入れて包む。たっぷりのお湯を沸かし、鍋底にまんじゅうがくっつかないようかき回しながら、まんじゅうをゆでる。まんじゅうが浮き上がったら水に取り、ぬめりを取る。硬くなったまんじゅうは焼いて食べるほか、油であげたり、ふかしたり、再加熱して食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (15個分) +- 小麦粉: 330g(皮300g、手粉30g) +- 熱湯: 300cc +- あん: 375g + +## 作り方 +1. こね鉢に小麦粉を入れ、熱湯を全体に回るように入れ、木じゃくし、または菜箸ですばやくかき混ぜる。 +2. 熱いので少々手に水をつけ、耳たぶくらいの硬さになるまでよくこね、15個分に分け、手のひらでよく丸め、生地をなめらかにする。 +3. 皮はつぼ状にしながら、厚さを均等にのばす。 +4. あんを25gずつに丸め、皮で包む。丁寧に口を閉じ、少し手粉をつけ、手で軽く丸め、軽く押して少し平たくする。 +5. たっぷりのお湯を沸かし、まんじゅうを静かに入れて、鍋底につかないように木じゃくしでかき回し、まんじゅうが浮き上がるまで何回か繰り返す。まんじゅうは鍋底に並ぶよりも多少多く入れてよい。 +6. 大きいボウルに水とザルを入れておき、浮き上がったまんじゅうを上げ、ぬめりを取り、すぐうちわであおいで光沢を出す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : JAいるま野武蔵野食文化推進者 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_18_1.jpg)" +"# すみつかれ 埼玉県 + +**郷土料理名**: すみつかれ + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +北埼玉地域、幸手市など + +## 主な使用食材 +ダイコン、乾燥大豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +「すみつかれ」は、北埼玉地域を中心としたエリアの郷土料理で、初午の行事食、冬の保存食として親しまれてきた。鬼おろしという木製のおろし器でダイコンを粗くおろしたものに、節分で余った乾燥大豆のほか、野菜や油揚げを入れて煮た料理である。新巻鮭の頭を細かく刻んで入れる地域や家庭もある。浦和や上尾などの北足立台地では「しみづかり」、加須など東部低地では「しみつかり」と呼ばれている。これらの地域に隣接する栃木県、茨城県、千葉県でも名称こそ若干異なるものの、同様の料理が作られている。 + +## 食習の機会や時季 +2月に稲荷神社で行われるお祭り・初午の日に作る料理で、節分で使った豆を残しておき、それを使うのが特徴。赤飯やきんぴらとともにお稲荷様にお供えされる。保存食としての側面もある。 + +## 飲食方法 +乾燥大豆をフライパンで炒り、薄皮をきれいにはずす。ダイコンは鬼おろしでおろし、油揚げは千切り、ニンジンはいちょう切りにする。鍋に具材を入れ、醤油や砂糖、だしとともに中火で1時間ほど煮込む。火を止め、そのまま味を染み込ませる。鬼おろしがなければ、角切りにしたダイコンをポリ袋に入れ、麺棒などで叩いて粗くつぶすとよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- 新巻鮭の頭(または切り身): 1尾分(250g) +- ダイコン: 1本(1.5kg) +- ニンジン: 2本 +- 炒り大豆: 1カップ +- 油揚げ: 2枚 +- ちくわ: 2本 +- さつま揚げ: 1枚 +- 酒かす: 150g +- 醤油: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 鮭の頭を洗い、細かく骨ごと切る。(焼いてから切ってもよい) +2. 鬼おろしでダイコン、ニンジンをおろす。 +3. 炒り大豆は皮をとる。 +4. 油揚げは油ぬきして細く切る。ちくわは半月切り、さつま揚げは長さ2cmのうす切りにする。 +5. 鍋に材料を全部入れて、酒かすも加えて煮る。 +6. 大豆が軟らかくなったら、醤油で味を調える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 北埼玉の伝承料理 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_19_1.jpg)" +"# フライ 埼玉県 + +**郷土料理名**: フライ + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +行田市 + +## 主な使用食材 +野菜、肉、小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +行田市など北埼玉地方に伝わる「フライ」は、揚げ物ではなく焼き物だ。小麦粉を水で溶いた生地を焼き、野菜や肉などの具材を入れたもので、お好み焼きやクレープのような料理である。元は、農家が手軽に作るおやつのようなものであった。材料が安く手に入り、持ち運びが便利なうえ、腹持ちがよいこともあって、行田で昭和初期に全盛期を迎えた足袋工場で働く女工に大ヒットし、販売する店が増えて定着したという。現在でも行田市内の20店以上の飲食店で提供されている。「フライ」という名称は、行田周辺が布の産地だったことから「布来(ふらい)」になったという説や、フライパンで作るからという説、また、「富よ来い」に引っ掛けたなど、諸説がある。 + +## 食習の機会や時季 +かつては足袋工場で働く女工の間ではやった腹持ちの良い、おやつであった。現在は、子どもから大人までが楽しむ日常的なおやつとして食べられている。 + +## 飲食方法 +小麦粉を水でやわらかく溶き、鉄板の上に薄く流し入れて焼きながら、刻んだネギや豚肉などを入れて、両面焼く。このとき、鍋ぶたなどで繰り返し押し付けながら焼き、焦げ目をつける。ソースや醤油ダレをつけ、好みで青のりをふりかける。また、生地を焼く際に卵を割り入れることもある。店によっては焼きそばを挟んだり、チーズやイカ、エビ、揚げ玉を加えたりすることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 小麦粉: 2カップ(200g) +- 水: 350ml +- ネギ: 50g +- 豚肉: 50g +- サラダ油: 適量 +- ソース: 適量 + +## 作り方 +1. ネギはみじん切りにし、豚肉は食べやすい大きさに切っておく。 +2. 水で溶いた小麦粉を熱した鉄板に適量たらし、直径20cmの円形に薄くのばす。 +3. ねぎ、豚肉をのせ、お好みで卵(分量外)を割り入れる。 +4. 小麦粉を水で溶いたものを適量上からかける。 +5. 表裏とも鍋ぶたなどで繰り返し押し付けながら焼く。少し焦げ目がついたらソースを塗ってできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 北埼玉の伝承料理 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_20_1.jpg)" +"# 飯餅 埼玉県 + +**郷土料理名**: 飯餅 + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +秩父地域 + +## 主な使用食材 +ご飯 + +## 歴史・由来・関連行事 +埼玉県全域では、残り物のご飯を水でといた小麦粉の生地と混ぜて焼く料理があり、秩父地域では「飯餅」、加須などの東部低地では「焼きびん」、北東部や入間地域では「やきもち」と呼ばれていた。かつては農作業を手作業で行っていたため労働時間が長く、農家では食事の準備に時間がかけられなかった。そのため、手軽に作れ、朝作ってお弁当のように田んぼまで持っていける「飯餅」は重宝された。特に、お昼になる少し前に取る軽食の「小昼(こじゅう)」で食べられることが多かったようだ。また、夏になると炊いておいたご飯が少し酸っぱくなってしまうことがあるが、それを無駄にせず、おいしく食べるための知恵でもあった。 + +## 食習の機会や時季 +農作業の合間に食べられる小昼としてよく食べられていた。また、農作業だけでなく養蚕の合間にも食べられるなど、季節を問わず、残ったご飯を粗末にしないため、作られていた。 + +## 飲食方法 +余り物のご飯に水を加えてほぐし、小麦粉を加える。よくこねたら食べやすい大きさに丸め、少し平たくしてから油をひいたフラインパンで焼く。醤油と砂糖のタレを絡める。クルミや砂糖、みりんなどを混ぜ合わせたタレでも食べられ、生地にシソの葉や青葉、ネギなどを混ぜることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4~5個分) +- 小麦粉: 50g +- 残り飯: 250g +- 味噌: 大さじ1 +- 水: 50cc +- 油: 小さじ1 +- 醤油: 100cc +- 砂糖: 100g + +## 作り方 +1. 小麦粉に残り飯、味噌、水を適度に入れ、よく練り丸め、少し平たい形にする。 +2. 油をひいたフライパンに並べてふたをし、中火で焼く。 +3. 醤油と砂糖を混ぜ合わせ、ひと煮立ちさせる。 +4. 2と3を絡め、フライパンでもう一度軽く焼く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : JAいるま野武蔵野食文化推進者 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_21_1.jpg)" +"# 八ツ頭の茎の炒め煮 埼玉県 + +**郷土料理名**: 八ツ頭の茎の炒め煮 + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +八ツ頭 + +## 歴史・由来・関連行事 +里芋や八ツ頭の茎は「ずいき」と呼ばれ、それを乾物にした「芋がら」は、かつては保存食として広く食べられていた。特に食べ物が不足した時に、煮て、ごはんと混ぜて食べたり、煮付けにして食べたりすることが多かったという。また、女性の体に良いとされ、“血の道の薬”と言われていた。八ツ頭の茎は秋に収穫し、皮をむいてよく干して保存食にする。天気が良く、風の強い時に干すとよく乾き、乾燥させた茎は3~4cmに切って保存すると一年中持つ。食べる分だけ、水で戻して使う。現在では八ツ頭の茎はなかなか手に入らなくなっているが、埼玉県は全国でも有数の八ツ頭の産地で、深谷市や杉戸町を中心に県内各地でオリジナルの「丸系八つ頭」の栽培もしている。 「八ツ頭の茎の炒め煮」は、ごはんのおかずや酒のつまみなど、何にでも合うしっかりとした味付けの料理として親しまれてきた。 + +## 食習の機会や時季 +食べ物が不足した時のおかずや酒の肴として食べられていた。最近では、八ツ頭の茎そのものやそれを干したずいきは手に入りづらく、家庭で食べられる機会が減っている。 + +## 飲食方法 +干し芋がらを一晩水につけて戻しておく。水で戻した干しシイタケやさつま揚げ、油揚げ、こんにゃくなどの食材とともに食べやすい大きさに切り、鍋で熱した油で炒める。酒やだし汁、砂糖、醤油などの調味料を加え、汁気がなくなるまで煮込む。芋がらだけを使うこともある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 乾燥した八ツ頭の茎(水につけて戻したもの): 500g +- サラダ油: 100cc +- 砂糖: 60g +- 醤油: 120cc +- みりん: 50cc + +## 作り方 +1. 乾燥した八ツ頭の茎をはさみで3cmの長さに切り水につけてよく洗い、途中水を替えながら計6時間くらいアク抜きをする。 +2. アク抜きした八ツ頭の茎の水気をよくしぼり、油をしいた鍋でよく炒める。 +3. 砂糖、醤油、みりんで好みの味付けにし、さらに炒める。 +4. フタをして、水気がなくなるまで蒸し煮にする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : JAいるま野武蔵野食文化推進者 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_22_1.jpg)" +"# たらし焼き 埼玉県 + +**郷土料理名**: たらし焼き + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +秩父地域、加須市 + +## 主な使用食材 +小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +主に秩父地域や加須市などの東部低地で、農作業の合間の小休止に食べられる小昼飯として伝わる郷土料理。小麦の栽培が盛んに行われていた埼玉県らしいおやつで、うどんやまんじゅうほど手間がかからず、簡単に作ることができるため重宝された。基本的に、小麦に水などを混ぜた生地を焼く料理で、細かく刻んだ野菜や残りご飯を混ぜ込むこともあり、その具材は家庭や季節によって異なる。特に秩父地域では、“しゃくし菜”の漬物を油炒めにして入れる。また、味噌を生地に入れたり、砂糖と醤油のたれをつけたりするのがポピュラーだが、ソースやマヨネーズをかけてもおいしい。生地をたらして焼くことから「たらし焼き」と名付けられたという。 + +## 食習の機会や時季 +かつて秩父地域では、畑や仕事の合間やお茶うけとしてお菓子の代わりに食されていた。旬の野菜を刻んで混ぜこむことが多い。 + +## 飲食方法 +シソの葉や子ネギ、しゃくし菜漬けを油炒めしたものは、細かく刻んでおく。味噌を水で溶き、小麦粉と合わせて生地を作る。そこに刻んでおいた野菜をお好みで加えて混ぜ合わせる。油を薄くひいたフライパンでおたま一杯分ずつを伸ばして、両面を香ばしく焼き付ける。生地に味噌を入れずにそのまま焼き、砂糖醤油のたれで食べることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10個分) +- 小麦粉: 400g +- 水: 480cc +- 味噌: 40g +- しゃくし菜油炒め(漬物): 240g +- 調味料: 適量 +- 米油: 大さじ4 + +## 作り方 +1. しゃくし菜漬けは細かく切り、油で炒めて薄く味をつける。 +2. ボウルに味噌を軽く溶かして、小麦粉と合わせて生地を作る�� +3. 油で炒めたしゃくし菜漬けを2の生地に入れ、混ぜ合わせる。 +4. フライパンを温め、油を薄くひき、好みの大きさで焼く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : JAちちぶ 女性部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_23_1.jpg)" +"# つとっこ 埼玉県 + +**郷土料理名**: つとっこ + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +秩父地域 + +## 主な使用食材 +もち米 + +## 歴史・由来・関連行事 +栃の葉とわらひもでもち米を包んで炊いた「つとっこ」は、古くは武士が戦場へ持っていく携帯食であった。当時は穀物を包み、食べる前に蒸して食べられていた。昭和初期には、野良仕事の際の昼食として、また子どものおやつとしても食べられていた。青々とした栃の葉が手に入る5月の節句の行事食でもある。 + +## 食習の機会や時季 +秩父地域では、新緑の頃、みずみずしい栃の葉を使い5月の節句の行事食として作った。栃の葉で包んでいるため保存性があり、農繁期の食事としても重宝された。 + +## 飲食方法 +もち米は洗って、一晩水につけておく。小豆は崩れない程度に煮ておく。水気をよくきったもち米と小豆をよく混ぜ合わせて、重ねた栃の葉の上にのせて包みわらで縛る。鍋に平らに並べ、かぶるくらいの水をゆっくりと加え、指で押してやわらかくなるまで45分ほど煮る。もち米とうるち米を半々にしたり、きびなどの雑穀を加えたりしてもおいしい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (25個分) +- もち米: 700g(5合分) +- うるち米: 280g +- 小豆: 170g +- 栃の葉: 約60枚 +- わら: 30本 + +## 作り方 +1. もち米と米は洗って、一晩水につけておく。小豆を洗ってから鍋に入れて火にかけ、沸騰したらお湯を捨て、再び水を加えて、小豆は崩れない程度に煮ておく。 +2. 米と小豆の水気をきってよく混ぜ合わせ、栃の葉を2枚合わせた上にのせ、わらで丁寧に、きつくなりすぎないように縛る。 +3. 鍋に平らに並べて入れ、かぶるくらいの水をゆっくりと加え、45分ほど煮る。指で押してみて、やわらかくなっていればできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 秩父の郷土料理「楽しんでくんなぁ山逢のあじ」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_24_1.jpg)" +"# おなめ 埼玉県 + +**郷土料理名**: おなめ + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +秩父地域 + +## 主な使用食材 +麦こうじ + +## 歴史・由来・関連行事 +「おなめ」は、麦こうじと大豆を使用した発酵食品である。冷蔵庫で保存すれば半年以上日持ちすることから、保存食としても重宝されており、ご飯がすすむ料理として日常の食卓で食べ継がれてきた。秩父地域を中心に、武蔵野台地北端や東北部地域、入間台地などで食されている。 材料となる「おなめこうじ」は、水に浸しておいた大麦と炒った大豆を蒸し上げ、こうじ菌を混ぜ合わせて作られる。作るのに手間がかかり専門知識が必要なため、現在は「おなめこうじ」自体が販売されている。具材となるのは、季節の食材のほか、塩漬けのナスや椎茸、シソの実、古生姜など、家庭によってさまざまである。 + +## 食習の機会や時季 +常備菜として秩父地域などでは普段から食卓にのぼる郷土料理。塩気が強く、食欲をそそる味わいであり、土用など、夏の暑さで食欲の出ない時期や、農家の繁忙期の食欲増進の一品として重宝されてきた。 + +## 飲食方法 +塩と砂糖、水を煮立てたら、35~37℃くらいの人肌ほどの温度に冷まし、おなめこうじを加えて保存する。毎日かき混ぜれば1~2週間で出来上がるが、かき混ぜずに作ったほうが仕上がりはきれいになる。春先はフキノトウ、夏はミョウガを刻んで入れることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (出来上がり1.6kg分) +- おなめこうじ: 1kg +- 塩: 90g +- 水: 1.2ℓ + +## 作り方 +1. 鍋に水と塩を入れて、一度煮立て、人肌くらい(35~37℃)に冷ましたものをおなめこうじに加えて、よくかき混ぜて保存する、 +2. 毎日かき混ぜて、1~2週間後くらいから食べられる。出来上がったおなめは冷蔵庫で保存する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 秩父の郷土料理「楽しんでくんなぁ山逢のあじ」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_25_1.jpg)" +"# どじょう煮 埼玉県 + +**郷土料理名**: どじょう煮 + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +県東部、利根川、綾瀬川流域 + +## 主な使用食材 +どじょう + +## 歴史・由来・関連行事 +秩父山系を源とする荒川と利根川などの河川を有する埼玉県では、人々は川の豊かな恵みを享受してきた。ウナギやアユ、ナマズ、コイなどの川魚は、刺身で食べるほか焼き物や煮物にして食された。田んぼのじょうは捕まえやすく、水温が上がると田の隅に集まるので、手ですくってとることができる。また、9月末、田んぼの水を落とす時に、水路の口の部分に筌(うけ)を立ててどじょうを捕獲した。 捕れたドジョウは野菜と共にかき揚げにしたり、まるごと煮付けにしたりする。細いものは野菜とともに味噌仕立てのどじょう汁に、丸々と太ったものはどじょう煮にした。 + +## 食習の機会や時季 +かつては水田でどじょうを育て、夏から秋にかけて捕獲し食べる日常の食であった。栄養豊富なことから滋養強壮、妊婦の栄養源として重宝された。 + +## 飲食方法 +生きたどじょうに酒を少しふりかけおとなしくなったものを、ささがきにし水にさらしたゴボウとともに砂糖や醤油で煮付ける。卵でとじることもある。 「丸鍋」はどじょうを丸のまま煮て骨も頭も丸ごと食すことができる。どじょうを割き、たれをつけて焼く蒲焼や、ゴボウと割いたどじょうを割り下で煮て卵でとじる柳川鍋、丸のままのどじょうに片栗粉をまぶして油で揚げる唐揚げ等がある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- どじょう: 適量 +- ゴボウ: 適量 +- 豆腐: 適量 +- 長ねぎ: 適量 +- 割り下(水4、酒1、しょうゆ1、みりん適量)の割合: 適量 +- 酒: 適量 + +## 作り方 +1. 深めの容器などにどじょうを入れフタをし、フタのふちから、酒を流し込む。 +2. どじょうが動かなくなったら、別の鍋に割り下、どじょう、ゴボウのささがきを入れ、強火にかける。 +3. 沸騰したら中火にしてひと口大に切った豆腐、刻んだ長ねぎを入れて好みの柔らかさまで煮て完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : うなぎ料理専門店「川昌本店」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_26_1.jpg)" +"# くわいの含め煮 埼玉県 + +**郷土料理名**: くわいの含め煮 + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +さいたま市 + +## 主な使用食材 +くわい + +## 歴史・由来・関連行事 +6月下旬から7月上旬に田んぼに苗付けをするくわいは、収穫期が11月末から12月中と短い食材だ。くわいは、県東南部を流れる綾瀬川流域の、稲作に不向きな低湿地で栽培されてきた。1786(天明6)年、関東地方で大水害が起こって稲作が壊滅的被害を受けた時、くわいが高値で売れたおかげで農家が救われたと伝えられている。明治後期には、安行・野田村から種子の導入が行われ、栽培が本格化。戦中、戦後にかけて一時的に生産が途絶えたものの、その後回復し、昭和30~40年には作付け面積が最大規模になった。現在は、越谷や草加、さいたま市などが産地で、全国で2番目に生産量が多い(農林水産省 平成30年「地域特産野菜生産状況調査」)。産地では多様なくわい料理が食されており、学校給食では新鮮なくわいを煮てからご飯と混ぜ合わせる「くわいご飯」が提供されている。そんなくわいの伝統的な料理のひとつが「くわいの含め煮」だ。縁起物であるくわいにあやかり、お正月などの祝い事で食べられる郷土料理である。くちなしの実を使い、鮮やかな黄色に仕上げる。 + +## 食習の機会や時季 +くわいは正月のおせち料理に欠かせない。大きく長い芽をつけること、塊茎(かいけい)の着生が、慈母が幼児に授乳する姿を連想させること、旺盛な生育を見せることなどから「おめでたい」「子孫繁栄」「健康で立身出世する」縁起物の食材とされているためだ。産地の埼玉県では、11月末から12月中に収穫される冬の野菜ということで、正月のみならず、冬の祝い料理に欠かせない一品として「くわいの含め煮」が愛されている。 + +## 飲食方法 +水洗いしたくわいは、底から芽に向かって皮をむく。たっぷりの水で15~20分ゆでる。水を替えて竹串が通るまでゆでこぼす。鍋に酒や砂糖、みりん、塩、ほぐしてガーゼに包んだくち��しの実を加えて、ひと煮立ちさせる。そこに、ゆでたくわいを、芽を上にして入れて煮る。煮汁に漬けたまま冷まし、味を入れる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- くわい: 600g +- 【調味料】水: 200cc +- 【調味料】酒: 200cc +- 【調味料】砂糖: 60g +- 【調味料】みりん: 大さじ3 +- 【調味料】塩: 小さじ1 +- くちなしの実: 2個 + +## 作り方 +1. 水洗いしたくわいを底から芽に向かって皮をむく。 +2. たっぷりの水で1回目は沸騰後15~20分、水を張りなおして2回目は竹くしが通るまでゆでて、その後、水にさらしてアク抜きする。 +3. 鍋に調味料とくちなしの実(ほぐしてガーゼ等に包む)を入れ、ひと煮立ちさせる。 +4. 煮立った3にくわいの芽を上にして並べ、中火で10~15分煮る。そのまま煮汁に漬けておく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : ふるさとの味伝承士 埼玉ふるさとの伝承料理集 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_27_1.jpg)" +"# 小麦まんじゅう 埼玉県 + +**郷土料理名**: 小麦まんじゅう + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦、小豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +かつて埼玉県では米の裏作として小麦栽培が盛んであったため、県全域でうどんやまんじゅうなど小麦粉を使った料理が伝承されている。地域ごとにバリエーション豊かに発展を遂げたまんじゅうの中でも、シンプルなのが「小麦まんじゅう」で「まんじゅう」とも呼ばれる、小麦粉の生地で小豆あんを包んで蒸したもの。所沢市などで伝わる「ゆでまんじゅう」は、同じ材料を用いてゆでて作るが、それに比べると生地がふんわりとしていてやわらかい。ハレの日の食、行事食である。現在の三芳町である三富新田地域では、特産のサツマイモ「富(とめ)のイモ」をあんに包んだ「いもまんじゅう」が作られている。 + +## 食習の機会や時季 +七夕やお盆、十五夜などの行事に仏様にお供えする菓子であった。現在は行事の際に近所や親戚に配り、家族と一緒に食す。 + +## 飲食方法 +砂糖と牛乳、重曹、ベーキングパウダーを混ぜ合わせ、溶きほぐした卵と合わせる。よくふるっておいた小麦粉に加え、こねないようにさっくりと混ぜ、ひとまとめの生地にする。生地とあんを1つずつに分け、生地であんを包む。蒸し器に並べて入れて蒸す。あんにイチジクやクルミなどを加えたり、あんの代わりにおから煮などを入れたりしてもよい。また、べに花をのせたり、ゆでた水菜を皮に混ぜ込んだりすると、色鮮やかになる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 小麦粉: 500g +- 砂糖: 180g +- 牛乳: 200cc +- 重曹: 10g +- ベーキングパウダー: 7.5g +- 卵: 1個 +- あん: 800g +- 手粉用小麦粉: 100g + +## 作り方 +1. 小麦粉はよくふるっておく。卵をよく溶きほぐす。 +2. 砂糖、牛乳、重曹、ベーキングパウダーを混ぜ合わせ、1の卵と合わせておく。 +3. 小麦粉に2を入れ、こねないようにさっくりと混ぜる。手粉をふった台の上にのせ、ひとまとめの生地にする。 +4. あんは40gずつに丸めておく。 +5. 生地を50gの大きさにちぎり、丸めて手のひらで平らにしあんを包む。 +6. 蒸気の上がった蒸し器の中に、間隔を開けて入れ、12~15分ほど蒸す。蒸しすぎると破裂するので注意する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : ふるさとの味伝承士 埼玉ふるさとの伝承料理集 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_28_1.jpg)" +"# 聖天ずし 埼玉県 + +**郷土料理名**: 聖天ずし + +**都道府県**: 埼玉県 + +## 主な伝承地域 +熊谷市妻沼地域 + +## 主な使用食材 +ご飯 + +## 歴史・由来・関連行事 +熊谷市妻沼地域は、江戸時代は利根川の水運で栄え、田んぼと畑の豊かな大地に米や妻沼在来大豆が栽培されてきた。貴重な米と高価であった油揚げを用いた聖天ずしは、祭事や行事の日に食べられるハレの日の料理あった。 妻沼の聖天様と言えば門前で売られる聖天ずしと言われるように、聖天ずしは、江戸の昔から変わらぬ味と姿で現在まで食べ継がれてきた。 聖天ずしは、稲荷ずし3本と巻きずし4切れを1人前としており、その大きさから腹持ちが良いことも、地域の人々に好まれた理由の一つである。 また、聖天様として地域の人々に親しまれ��いる妻沼聖天山歓喜院は、大名や豪商が寄進して作られたものではなく、地域の人々の寄付で建立された歴史があり、講を作り妻沼聖天山を詣でる際のハレの食事としても地域に広まった。 + +## 食習の機会や時季 +昭和30年代までは、地域の農家は米を重箱に入れて聖天様の門前の店に持っていき、聖天ずしに交換してもらっていたという。今でいうテイクアウトのごちそうであった。 現在も、3月の桃の節句や5月の端午の節句、春と秋の聖天様の例大祭などの祝い事には聖天ずしを食べ、彼岸やお盆の来客への手土産としても利用されている。 + +## 飲食方法 +稲荷ずしは、長さ約13~14cmと大きく、江戸の稲荷ずしの姿を今に伝えている。調理方法としては、醤油と砂糖で甘辛く煮込んだ大きな油揚げに酢飯を詰める。調理工程で破れた油揚げはかんぴょうを巻いて補強する。巻きずしの具には、かつては砂糖と醤油で甘辛く煮た人参やごぼうを用いていたが、現在はかんぴょうやでんぶが使われている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 3合(450g) +- 水: 450cc +- 【合わせ酢】酢: 60g +- 【合わせ酢】砂糖: 20g +- 【合わせ酢】塩: 2g +- 【すしあげ】油あげ: 12枚(480g) +- 【すしあげ】しょうゆ: 70g +- 【すしあげ】砂糖: 30g +- 【すしあげ】みりん: 20g +- 【すしあげ】酒: 20g +- 【すしあげ】水: 300cc +- 【かんぴょう煮】かんぴょう: 40g +- 【かんぴょう煮】昆布・かつおだし汁: 200cc +- 【かんぴょう煮】砂糖: 10g +- 【かんぴょう煮】しょうゆ: 10g +- 【かんぴょう煮】みりん: 10g +- 焼きのり: 2枚 +- 桜でんぶ: 20g + +## 作り方 +1. 米は研ぎ、水加減をし、30分以上置き、炊飯器のすし飯モードで炊く。 +2. 合わせ酢の材料を鍋に入れ、火にかけて煮溶かす。 +3. 炊きあがった1の飯に2の合わせ酢を回し入れ、手早く混ぜる。 +4. 油あげは、横長の袋状に開いて、沸騰した湯にひたし、油を抜く。 +5. 4の油あげに砂糖、みりん、酒、水を加え火にかけ、沸騰したら中火にし、しょうゆを加え、煮汁がなくなるまで煮詰める。 +6. かんぴょうは水に戻しながら塩揉みし、良く水洗いをしてから分量外のたっぷりの水から煮て、沸騰したらゆで汁を捨てる。 +7. 6に砂糖、昆布・かつおだし汁、みりんを入れ、火にかけ、沸騰したら中火にし、しょうゆを加え、煮汁がなくなるまで煮る。冷めたら焼きのりの幅に合わせて6本切っておく。 +8. 5にすし飯を詰め、形を整える。 +9. すだれに焼きのりをのせ、すし飯150gを広げ、手前側にかんぴょう3本、桜でんぶをのせ、端から「のの字」に巻いていく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 埼玉県保健医療部 健康長寿課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_29_1.jpg)" +"# 太巻ずし 千葉県 + +**郷土料理名**: 太巻ずし + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +上総・下総地域を中心とした県内各地 + +## 主な使用食材 +すし飯、海苔、卵、かんぴょう、青菜(漬菜)、桜でんぶ + +## 歴史・由来・関連行事 +農家など一般家庭に伝えられてきた寿司の一種であり、歴史は寛政年間(1789年-1801年)頃まで遡り、イワシを追いかけて来た紀州の漁師の弁当のめはりずしをそのルーツとする説もある。祭り、桃の節句、お花見、入学式など、年中行事や冠婚葬祭、家族のイベントに合わせて食べられてきた。戦前は地元の名誉職の男性がつくり、ふるまうものだったが、戦後の諸事情により、つくり手が女性にうつったことで、より華やかに進化を遂げた。「太巻き祭りずし」、「房総巻き」、「房総太巻き寿司」など色々に呼ばれる。 + +## 食習の機会や時季 +流鏑馬祭りや節句や節分をはじめ、安産祈願のために、婦人が集まって子安神を祭る子安講、商売繁盛を祈願する行事のえびす講、害虫を追い払い少しでも多くの農作物が収穫できるよう農作物の豊作を祈願する行事の虫送りなど、日本の伝統行事や祭りには欠かせないごちそうとして、季節を問わず通年食べられている。また、祭り以外にも入学式や運動会、お花見など家族のイベントでも各家庭でつくられ、食べられている。 + +## 飲食方法 +太巻きを切ったときの断面の華やかな図柄を目で楽しみながら味わう。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- すし飯(白): 300g +- す���飯(ピンク): 250g +- 【すし飯】米: 5合 +- 【すし飯】酢: 01月02日カップ +- 【すし飯】砂糖: 01月02日カップ +- 【すし飯】塩: 大さじ1 +- 卵焼き: 1枚 +- 【卵焼き】卵: 3個 +- 【卵焼き】砂糖: 大さじ2 +- 【卵焼き】だし汁: 大さじ1 +- 【卵焼き】塩: 小さじ01月04日 +- 【卵焼き】片栗粉: 小さじ01月02日 +- 【卵焼き】酒: 大さじ1 +- かんぴょう(茶): 6~7本(50g) +- 【かんぴょう】砂糖: 適量(同量) +- 【かんぴょう】醤油: 適量(同量) +- 【かんぴょう】みりん: 適量(同量) +- 【かんぴょう】水: 適量(同量) +- 【かんぴょう】かんぴょう: 適量(同量) +- のり: 1枚 +- 紅しょうが(みじん切り): 20g + +## 作り方 +1. 【下準備(すし飯)】(1)米を固めに炊き、酢・砂糖・塩を煮溶かした合わせ酢で白すし飯をつくる。ピンクのすし飯は市販の寿司粉を混ぜると手軽にできる。使うまでぬれフキンをかけておく。(白米5合で約1600gのご飯=卵焼き2本、のり巻き1本分=が炊ける) +2. 【下準備(卵焼き)】(1)ボウルに材料をすべて入れ、泡立てないようによくかき混ぜる。(2)卵焼き器(四角)を十分に熱し、サラダ油をなじませて余分な油をペーパーで拭き取り、卵液を流して中火で蓋をして四隅をしっかりと焼く。菜ばし2本を差し込んで裏返し、さっと焼いてペーパーにとり、冷ます。 +3. 【下準備(茶かんぴょう)】(1)下ゆでしたかんぴょうを調味料を煮立てた汁で味付けする。煮上がったがんぴょうは20cmに切って準備しておく。乾物の約5倍の分量ができあがるので、まとめてつくっておくと便利。 +4. のり1枚の長い方を01月02日が1枚、01月06日が3枚に切る。ピンクのすし飯にみじん切りにした紅しょうがを混ぜる。 +5. 木の幹をつくる。01月02日ののりに茶かんぴょう3~4本をはさみ、二つ折りにする。(輪の方を薄く、元の方を多くする) +6. 巻き簾に卵焼きを縦長におき、白すし飯100gを中央に9cm幅で広げる。その上に4cm幅でピンクのすし飯01月03日量を広げ、上部を平らにする。ピンクのすし飯の上に茶かんぴょう1本、01月06日のり1枚をのせる。 +7. 菜ばしを中心におき、向こうと手前に白すし飯100gを分けてのせ(片方を高めに)、それぞれにピンクのすし飯01月03日量、茶かんぴょう1本、01月06日のり1枚、白すし飯の順にのせる。はしを取り、中心の凹みに木の幹を下向きに立て、両側に白すし飯をたす。根張りを出すため、かんぴょうをさらに入れて卵焼きを巻き上げる。 +8. 巻き終わりの合わせ目を下にし、1本を8等分に切り分ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ちばのおかず」(千葉県食生活改善協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_1_1.jpg)" +"# せぐろいわしのごま漬け 千葉県 + +**郷土料理名**: せぐろいわしのごま漬け + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +九十九里町 + +## 主な使用食材 +カタクチイワシ(背黒イワシ)、ごま、しょうが、赤唐辛子 + +## 歴史・由来・関連行事 +イワシは平安時代から食べられており日本人にはなじみの深い魚である。陸にあげるとすぐに弱ってしまうことから「ヨワシ」が転じて「イワシ」となった。千葉の九十九里浜は日本最大の水揚げ高を誇る。この地方でのイワシ漁は江戸時代から盛んに行われていた。和歌山県の紀州から漁師が移住して地引網漁を始めた事により、急速に広まったといわれている。九十九里浜の沖合いは黒潮が流れており、カツオ、サバ、イワシが黒潮に乗って回流してくる日本でも絶好の漁場である。九十九里浜で獲れるイワシは地元から愛着をこめて「セグロ」と呼ばれる。(カタクチイワシの別名)大量に獲れるが日持ちのしないイワシを保存する方法の一つとして昔から伝えられたものが「セグロイワシのごま漬け」である。 + +## 食習の機会や時季 +旬である冬につくられ食される。日常のおかずに、酒の肴に、行事食などに親しまれている郷土料理である。 + +## 飲食方法 +新鮮なイワシを使い、つくる料理である。イワシの頭や内臓を取り、流水できれいに洗い流したのち、イワシを塩で漬け込み、水が上がるので繰り返し重石をして水分を除く。炒ったごまや赤唐辛子などを加えながら数時間漬け込み、2~3日で食べ頃になる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- カタクチイワシ: 500g +- 塩: 01月04日カップ +- 柚子の皮: 少々 +- 赤唐辛子: 少々 +- 根しょうが: 01月04日片 +- ごま: 適量 +- 【調味料A】酢: 01月02日カップ +- 【調味料A】酒: 01月04日カップ +- 【調味料A】砂糖: 少々 +- 【調味料A】塩: 小さじ01月03日 + +## 作り方 +1. イワシは頭・内臓を取り、内臓のまわりを流水できれいに洗い流し、薄い塩水に30分浸け、血抜きする。 +2. 1の水気をきって器に入れ、塩を振りかけて5時間ほどおく。 +3. 赤唐辛子は小口切り、根しょうがは千切り、ごまは炒っておく。 +4. 2を水洗いして水気をきり、ボウルに調味料Aを合わせ、7時間ほど浸ける。 +5. 4の水気をきり、漬物器に並べて3を振り、繰り返し重ねて重石をする。 +6. 2~3日(好みで時間を加減する)で食べ頃になる。 +7. 柚子の皮の千切りを飾る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ちばのおかず」(千葉県食生活改善協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_2_1.jpg)" +"# なめろう 千葉県 + +**郷土料理名**: なめろう + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +房総半島沿岸地域 + +## 主な使用食材 +アジ、長ねぎ、しょうが、しそ + +## 歴史・由来・関連行事 +黒潮洗う太平洋に面した千葉県房総半島沿岸部に古くから伝わる郷土料理。上総・安房(今の千葉県南部)の漁師が獲れたての鮮魚を不安定な船上で調理するために考えられた。醤油ではなく味噌を入れたのは、波の荒い船上で、醤油ではこぼれてしまうため味噌を使った。「皿をなめるほど旨い」ことから「なめろう」と名づけられたといわれる。また粘りが強く皿にこびりついてしまうことから「なめないと食べられない」という意味も含まれる。 + +## 食習の機会や時季 +漁船の上で、獲ったばかりの魚を材料につくられる。南房総一帯ではアジは一年中獲れる。季節によってイワシ、サンマ、トビウオでもつくる。家庭料理になる過程でねぎやしょうがの薬味が加わった。現在では千葉県に限らず広い地域の家庭でつくられたり、居酒屋などで提供される。 + +## 飲食方法 +「なめろう」は魚のたたきの一種である。主にアジに味噌・ねぎ・しょうがのみじん切りなどを混ぜ、さらに粘りがでるまでたたく。アジの代わりにサンマ、カツオ、イカなどの魚を用いる場合もある。保存は利かないので、調理後は新鮮なうちにすぐに味わう。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- アジ: 4尾 +- おろししょうが: 大さじ3~4 +- 長ねぎ: 1/2本 +- しそ: 4枚 +- 味噌: 大さじ2 + +## 作り方 +1. アジは3枚におろして皮をひき、1cm幅に切る。 +2. アジの上に他の具材をのせ、アジがほとんどかたちをとどめず、ふわっとするまで包丁でたたく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ちばのおかず」(千葉県食生活改善協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_3_1.jpg)" +"# はば雑煮 千葉県 + +**郷土料理名**: はば雑煮 + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +上総地域、特に山武郡 + +## 主な使用食材 +餅、はばのり、青のり、カツオ節 + +## 歴史・由来・関連行事 +はばとは房州産の海藻を干した「はばのり」のこと。(「はばのり」は秋に遊走子が岩などに着床し、晩秋に発芽、冬から春にかけて生育し、長さ15~25cm、幅1.5~5cmくらいの緑色を帯びた黄褐色から赤褐色のへら型の海藻になり、冬から春にかけて採集。2cmくらいに刻んで簀の子に並べ、天日で乾燥させたもの)元々アサクサノリの代用品として食べられていたが、その不恰好な外見もあってほとんどが地元の漁師によって消費された。そのため市場にはほとんど出回ることもなく、ご当地食材になった。この「はばのり」を入れた「はば雑煮」を年の初めに食べると、「1年中幅を利かすことができる」と縁起がよいと、地元の正月料理になる。※「はばのり」は房総半島南部の鴨川市や南房総市などが産地だが、産地から離れた九十九里地域(山武郡市)や市原市で雑煮に用いられている。※北総台地の一部(成田市や佐倉市)ではハバノリではなく、大根の葉を干した「干葉(ひば)」をふりかける家庭もある。 + +## 食習の機会や時季 +年の初め、お正月。 + +## 飲食方法 +家庭で正月に食べる。焼いたりゆでたりした��をお椀に盛り、汁をかけ、はばのり、青のり、カツオ節を混ぜたものをたっぷりかけていただく。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 餅: 1個 +- 【だし汁】カツオ節: 少々 +- 【だし汁】醤油: 少々 +- カツオ節: 適量 +- はば: 1/4枚 +- 青のり: 1~2gまたは少々 + +## 作り方 +1. カツオ節で出汁をとる。 +2. 1に醤油を加え雑煮の汁をつくる。(したじ)※はばのりの塩気が強いので薄めに味付けする。 +3. はばと青のりをフライパンで乾煎りする、またはオーブントースターを用いて焼く。 +4. 餅を焼く、またはゆでる。 +5. 椀にもちを入れ、したじをかけ、はばと青のり、削り節をたっぷりかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「房総のふるさと料理」(農業千葉刊行部) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_4_1.jpg)" +"# かいそう 千葉県 + +**郷土料理名**: かいそう + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +銚子地方から九十九里地方中心、海匝地域、山武地域 + +## 主な使用食材 +海藻(コトジツノマタ) + +## 歴史・由来・関連行事 +「かいそう」の元となる、コトジツノマタは、潮間帯の岩上に付着する、高さ20cm程度の海藻である。規則正しく、二又に分枝しながら成長していく。その枝のかたちが琴の弦を支える琴柱に似ていることから、この名がついたといわれる。火にかけるととろみが出て、冷ますと凝固する特性を生かし、古くは石けんや接着剤として使われていた。年末になると、銚子から商人が正月用にコトジツノマタを売りにきたことから、おせち料理につくられるようになった。正月に、味の濃いお節料理ばかりでなく、さっぱりとした「かいそう」を食べて、お腹のこなれを良くするという習慣がある。また、小正月に行われる御歩射(おびしゃ)祭りに使われる地域もある。 + +## 食習の機会や時季 +年末になるとおせち料理としてつくる。正月に欠かせない料理。さっぱりとした味わいなので、味が濃い調理が多いおせち料理の箸休めとして重宝されている。 + +## 飲食方法 +コトジツノマタをしっかり洗って汚れを落とした後、沸騰したお湯に入れ、とろみが出るまで煮る。とろみが出てきたら、型に流し、冷やしてかたまったら食べやすい大きさにカットしていただく。磯の香りを存分に楽しめるさっぱりとした味わいなので、醤油に加えて、カツオ節やねぎ、唐辛子をのせて食べる。また、アレンジとして、細かく刻んだ人参やごぼうを一緒にかためることで、食べた時の風味や食感の違いを楽しむこともできる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 本海藻: 110g +- 水: 2L +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 海藻の石や貝を除き、手早く洗い、2~3cm長さに切る。 +2. 深なべに水と海藻を入れ、1時間くらいおく。 +3. 最初は強火で、海藻が溶けはじめたら、中火にして混ぜながら溶けるまで煮る。 +4. しゃもじで横に線を引くとなべ底が見えるくらいになったら火を止め、容器に泡を入れないように流し、かためる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「房総のふるさと料理」(農業千葉刊行部) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_5_1.jpg)" +"# さんが焼き 千葉県 + +**郷土料理名**: さんが焼き + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +房総半島地域周辺 + +## 主な使用食材 +アジもしくはサバ + +## 歴史・由来・関連行事 +房総半島周辺では昔からアジやイワシ、サンマなどがよく獲れた。漁師たちは獲れたての魚を不安定な船の上でも簡単に調理出来るということで、味噌といっしょに細かくたたき、「なめろう」という料理をつくった。あまりの美味しさに食べ終わったお皿までなめてしまうことからその名がつけられる。この「なめろう」を漁師は山へ仕事に行くときに、アワビのからに入れて持っていき、山小屋で蒸したり焼いたりして食べた。千葉の古い方言には、「○○の家」のことを、「○○が」という訛りがある。したがって山の家で食べた料理ということで「さんが焼き」と呼ぶようになる。 + +## 食習の機会や時季 +アジは年中、出回っているが、産卵前の初夏が最も美味しくなる。 + +## 飲食方法 +鉄板の上で「なめろう」だけを焼いたり、網の上でホタテやアワビの貝殻に「なめ���う」を詰めて焼いたりする。「さんが焼き」をおいしくつくるコツは、「なめろう」をつくる際、十分に粘りを出すまでたたくこと。すると、柔らかくフンワリと焼き上り絶品の味となる。ご飯のおかずや酒肴として食される。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- サバ: 1尾 +- 味噌: 大さじ2 +- しょうが: 20g +- たまねぎ: 1/2個 +- ピーマン: 1個 +- しその葉: 5枚 +- アワビの殻: 5個 + +## 作り方 +1. サバを3枚におろして皮をむき、包丁で細かくたたき、さらに味噌を加えてたたく。 +2. しょうがは千切り、たまねぎ、ピーマンはみじん切りにし1といっしょに混ぜる。 +3. アワビの殻を用意し、できあがった2を殻の中にすり切り一杯つめる。しその葉で蓋をして火にかけて魚肉の身がぷくっとふくれるまで焼く。アワビの殻がないときは皿を用いても良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「房総のふるさと料理」(農業千葉刊行部) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_6_1.jpg)" +"# ゆで落花生 千葉県 + +**郷土料理名**: ゆで落花生 + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +県内全域(千葉市、八街市、富里市、袖ケ浦市など) + +## 主な使用食材 +落花生 + +## 歴史・由来・関連行事 +南米大陸のアンデス原産の落花生が、東アジアを経由して日本に入ってきたのが1706年。沖縄では栽培されていたが、明治に入り、千葉県を始めとした日本の主要産地(千葉県、茨城県、神奈川県、鹿児島県、栃木県、長崎県、静岡県など)で本格的に生産が始まった。千葉県は、明治9年(1876年)山武郡南郷村(現山武市)九十九里平野地域で試作したのが始まりとされている。明治10年当時の県令(知事)が県民に向けて栽培を奨励し、旭市を中心とした産地が広がったが、当時の品種は干ばつの影響を受けやすく次第に減少した。大正に入ってからは、八街市付近の畑地に干ばつに強い品種が中国から入り、栽培が盛んになる。現在は、北総台地を中心に全県で栽培されている。落花生は柔らかくて水はけの良い火山灰地が栽培に適しており、富士山や箱根山の火山灰が降り積もった関東ローム層である千葉県は生産量が全国第1位で、国内の7割以上を占める。市場で高い評価を受け、加工品、料理が数多くある。「ゆで落花生」は畑から採れたての生のものからしかつくることができない(生のままの落花生は収穫した時点からすぐに硬くなり始め、味も落ちてしまうため、本当の掘りたてをすぐにゆでないとおいしくならない)産地ならではの季節の一品である。 + +## 食習の機会や時季 +落花生は品種にもより9月~11月下旬にかけて収穫される。その後、加工し最近では通年を通して食べることが出来る。そのままでお茶うけに、またおこわに入れたり、すり潰して和え物にするなどアレンジして食べることもある。 + +## 飲食方法 +落花生は生では食べられないので、サヤ付きのままゆでるか炒る。「ゆで落花生」は鍋に水を張り、水に対して3%ほどの塩を加えて沸騰させる。(ゆでている間は灰汁が出てくるので水は多い方がいい)沸騰しているところにサヤごとの落花生を投入し、40分~50分程ゆでる。30分過ぎた辺りから時々1つ取り出して硬さを見る。ゆで上がったらザルに上げ、そのまま冷ます。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 落花生(掘りたて): 20莢 +- 塩: 適量 + +## 作り方 +1. 落花生の泥を落としてよく洗う。 +2. 鍋にたっぷりの水と落花生・塩を加えて火にかけ、沸騰してから30分ほどゆでる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ちばのおかず」(千葉県食生活改善協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_7_1.jpg)" +"# 落花生味噌 千葉県 + +**郷土料理名**: 落花生味噌 + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +落花生、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +落花生は、別名「南京豆」とも呼ばれ、日本には江戸時代ごろ伝わったといわれている。千葉県の落花生の栽培は明治9年に山武郡南郷町(現山武市)の農家牧野万右エ門氏が神奈川県三浦郡中里村から種子を購入して試作したのが始まりとされている。現在では国産落花生収穫量の全国の8割を千葉県が占めている。一般的に��、煎ったりゆでたりしてそのまま食べることが多いが、市場に出回らない規格外の落花生の活用方法として農家の人たちが「落花生味噌」を考案した。また落花生には脂肪、たんぱく質などの栄養素が豊富に含まれることから、今ほど食料が豊富でなかった時代、保存食として重宝され、郷土料理となる。いまでも生落花生が手に入ったときには、好みの味付けで「落花生味噌」をつくり、常備菜としている家庭も少なくない。また、学校給食で提供されたり、スーパーマーケットなどでも販売され親しみのある料理となる。掘り起こした落花生を自然乾燥させるために積み上げる「ぼっち」は、秋の風物詩となっている。 + +## 食習の機会や時季 +一般的に落花生の収穫は9月から11月に行われるが、落花生を加工してつくられる「落花生みそ」は長持ちするため、通年食べることができる。常備菜として日常の食卓に、ごはんのおかずやお茶うけに食される。 + +## 飲食方法 +家庭でもつくられており、それぞれの家庭ごとに好みの味噌を使うため、味もさまざまである。ごはんに乗せたり、お茶うけとしてや、そのまま酒のつまみとしても食べられている。食べ方によって、味噌や砂糖などの調味料の量を変えて楽しめる。甘さが苦手な場合は、砂糖などを入れず、みりんで味噌をのばして調整すると甘みが減り、美味しくいただける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 生落花生: 100g +- 味噌: 80g +- 砂糖: 60g +- 酒: 大さじ1 +- サラダ油: 適量 + +## 作り方 +1. フライパンに油をひいて、焦がさないように弱火で15~20分位ゆっくりと生落花生(渋皮付き)を煎る。 +2. 生落花生がよく煎れたら、砂糖、味噌を入れ、豆になじんだら酒を入れて出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ちばの郷土料理」(千葉じゃらん) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_8_1.jpg)" +"# 性学もち 千葉県 + +**郷土料理名**: 性学もち + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +香取、海匝地域 + +## 主な使用食材 +うるち米 + +## 歴史・由来・関連行事 +江戸時代末期に活躍した農民指導者「大原幽学(おおはら ゆうがく)」が考案。「性学もち」の名称は、大原幽学が教えた学問「性学(せいがく)」にちなんだ名前。「性学」とは、道徳と経済の調和を基本とし、人の本来持つ良心に従って助け合って生きようという考え方である。その「性学もち」は、当時高額だった“もち米”を食べられなかった農民にも餅のようなものを食べさせたい、という幽学の試行の末に考案された。“うるち米”を粉にしないでそのまま二度蒸して、餅搗きと同様に臼・杵でつくる(餅搗き機の使用も可)。米どころだった香取、海匝(かいそう)地域の米農家を中心に広まる。もち米でつくる餅と比べ、かたくならない点で保存性に優れ、広く伝わり、伝承される。別名「つきぬきもち」とも言われている。 + +## 食習の機会や時季 +通年食べることができる。汁物、鍋、おかず、スイーツとしても、バリエーション広く日常的に食される。粘りが少なく、なめらかな食感なので餅のように喉に詰まる心配がなく、高齢者にも安心な餅として食される。 + +## 飲食方法 +「性学もち」は汁物に入れても溶けにくく、粘りけが少ない、食感が柔らかい、炒めても溶けにくい加工が容易、という特徴がある。お餅とは違った食感や調理方法を楽しむことができる。汁物、炒め物、白玉風に使えばデザートにもなる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- うるち米: 1.4kg +- 水: 適量 + +## 作り方 +1. うるち米を洗って水につけておく。(夏3~4時間、冬1晩) +2. 米の水気をよく切り、米は蒸し布で包んで、蒸気の上がった蒸し器で20分位蒸す。 +3. 蒸した米をざるにとり、水に浸して手早く洗い、1粒ずつバラバラにする。 +4. 水気をよく切って、芯がぬけるまでまた蒸す。(10分位) +5. よく蒸したら、三相電機餅つき機(ついた餅が棒状になって出てくるタイプ)の場合、雑煮用は1回、きな粉・くず餡の場合は2回つく。家庭用の餅つき機の場合は、通常のもち米と同様だが、餅状になったら、時々上からしゃもじ等で押さえる必要がある。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「房総��ふるさと料理」(農業千葉刊行部)、「性学もち」(千葉県産米需要拡大推進協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_9_1.jpg)" +"# ふうかし 千葉県 + +**郷土料理名**: ふうかし + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +富津市から船橋市にかけてのベイエリア + +## 主な使用食材 +あさり + +## 歴史・由来・関連行事 +あさりを使った「ふうかし」は富津市から船橋市にかけてのベイエリアの郷土料理である。江戸時代、船橋市は賑やかな宿場町として栄え、農業や漁業も盛んにおこなわれていた。船橋浦で獲れる新鮮な魚介類は、将軍家へと献上されるほどだった。特にあさりは、豊富に獲れ、身も大きくて味も抜群。冷蔵施設がなかったため、漁師たちはあさりを蒸かしてから輸送した。その時の蒸かし汁に味噌を少量加えて(当時、味噌は高価で貴重なものだった)、漁師達の賄い料理として食べられたものが「ふうかし」の始まりといわれる。「ふうかし」は魚介類が豊富に獲れる地域だからこそ誕生した味わいである。(平成に入ってからあさりは徐々に採れなくなる。現在、県内の潮干狩り場は外国から稚貝を仕入れる事により維持している) + +## 食習の機会や時季 +あさりの採れる時期、2月~4月の春と、9月~10月の秋頃に食される。 + +## 飲食方法 +砂抜きしたあさりを昆布出汁に入れ、沸騰させる。あさりの口がひらき、あさりから出汁がでたら味噌を少量入れる。お椀にあさりを山盛りに入れ、あさり出汁の味噌汁といただく。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- あさり(からつき): 1L +- 味噌: 150g +- 水: 1.8L +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 砂をはかせたあさりと分量の水を鍋に入れる。 +2. 煮立ったら味噌を入れて薄めに味付けする。 +3. 沸騰したら火をとめる。 +4. ※あさりは砂をはかすことが一番大切。水5カップに塩大さじ2を入れこの中にあさりを入れて一晩位砂をはかす。寒いとき(春先)水温があまり低いと、はかない。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「房総のふるさと料理」 (農業千葉刊行部) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_10_1.jpg)" +"# くじらのたれ 千葉県 + +**郷土料理名**: くじらのたれ + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +南房総地域 + +## 主な使用食材 +くじら肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「くじらのたれ」は、くじら肉をたれに漬け込んで干した千葉県南房総の郷土料理。見た目は炭や海苔のように真っ黒で、木の皮のような見た目である。「くじらのたれ」に使用されるクジラは体長12メートルほどのツチクジラという種類である。鎌倉市内の遺跡から出土する多くの鯨骨の存在などから、鎌倉時代後半の13世紀頃から室町時代14世紀~15世紀頃までには、房総で沿岸捕鯨が始められていた可能性が考えられている。各地で「網取り法」での捕鯨が主流になっても、ツチクジラが深くまで潜るため網取り法が適さず、一貫して「突き取り法」でおこなってきたことが南房総地域の捕鯨の特徴的である。捕鯨は昭和の時代までは全国各地で盛んに漁がおこなわれており、庶民の食べ物であった。一般家庭でも頻繁に食卓に並べられていた食材で、冷蔵庫の無い時代の保存食として「くじらのたれ」がつくられたと言われている。「くじらのたれ」という名前は、クジラをたれに漬け込んで干すことが由来といわれているほか、家の軒先に吊るしたからという説もある。南房総地域の市民にはなくてはならない味で、他県に移り住み里帰りしてきた人は、「くじらのたれ」を買って帰るほど、故郷の味として親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +保存食として加工された「くじらのたれ」は、酒の肴やご飯のおかずとして年間を通して食べられる。 + +## 飲食方法 +クジラ肉を醤油や酒、しょうがを混ぜたたれに浸して味を馴染ませる。その後たれから取り出して生乾き程度に乾燥させる。それを火で炙って食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20人分) +- くじら肉: 1kg +- 醤油: 2カップ +- にんにく: 大1片 +- しょうが: 10g +- 酒: 少々 +- みりん: 少々 + +## 作り方 +1. くじら肉1kgをすじなりに、1cm位の厚さに切る。 +2. 醤油2カップに、にんにく、しょうがをすりおろして、���、みりんを混ぜ、つけ汁をつくる。 +3. その中に2時間位浸けこむ。 +4. 生乾き程度に干す。干しすぎないこと。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「房総のふるさと料理」(農業千葉刊行部) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_11_1.jpg)" +"# いわしのだんご汁 千葉県 + +**郷土料理名**: いわしのだんご汁 + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +北総地域、九十九里地域 + +## 主な使用食材 +イワシ、大根、人参、里芋、長ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +九十九里地域は、海の幸、里の幸の宝庫であり、特に古くから知られる好漁場である。九十九里地域を代表する海の幸であるイワシは、江戸時代から漁獲量が多く、「海の米」とも例えられる。九十九里地域の食卓でなじみの魚であるイワシのおいしさと栄養を生かした料理は多種多様である。その中でも11月~3月頃にとれるイワシを使ってつくられる「いわしのだんご汁」は、定番料理である。例年2月~3月に開催される「九十九里浜大漁イワシまつり」では、イワシのごま漬けやイワシの丸干し、イワシのみりん干しなどの加工品が販売されている。また、地元住民によるイワシのさばき方教室が開催されるほか、その場で揚げるイワシのてんぷら即売会などイワシを使った料理が多々味わえるのである。 + +## 食習の機会や時季 +「いわしのだんご汁」は通年食すことが可能であるが、イワシのすり身を味噌で味付けただんご、大根などの具沢山の汁は体が温まるため、寒い冬によく食べられている。11月~3月頃の冬が旬の背黒イワシを使ってつくられることが多い。 + +## 飲食方法 +大根・人参はいちょう切りにし、里芋は食べやすい大きさに切る。3枚におろしたイワシを粗く叩き、すり鉢に入れ、摺る。すりおろした長いもと溶き卵、味噌をすり鉢に加え、摺り混ぜる。鍋に水を入れ、大根、人参を加え火にかける。煮立ったら里芋を加える。摺ったイワシをスプーン2本でだんご状に形成し、鍋に落とし、煮る。醤油を加えて味をととのえ、最後に長ねぎを散らし、火を止める。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 背黒イワシ: 100g +- 大根: 100g +- 人参: 50g +- 里芋: 100g +- 長ねぎ: 1/2本 +- 水: 4カップ +- 醤油: 少量 +- 【材料A】長いも(すりおろし): 大さじ1/2 +- 【材料A】溶き卵: 大さじ2 +- 【材料A】味噌: 30g + +## 作り方 +1. 大根・人参はいちょう切りにする。 +2. 里芋は食べやすい大きさに切る。 +3. 3枚おろしのイワシを粗く叩き、すり鉢に入れ、摺る。材料Aを加えて摺り混ぜる。 +4. 鍋に水、1を入れて火にかけ、煮立ったら2を加える。 +5. 4に3をスプーン2本でかたちづくりながら落とし、煮る。 +6. 醤油を加えて味をととのえ、長ねぎを散らし、火を止める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ちばのおかず」(千葉県食生活改善協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_12_1.jpg)" +"# いわしの卯の花漬け 千葉県 + +**郷土料理名**: いわしの卯の花漬け + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +海匝地域・九十九里地域 + +## 主な使用食材 +背黒イワシ、おから、ピーマン、人参、しょうが + +## 歴史・由来・関連行事 +九十九里地域は、海の幸、里の幸の宝庫であり、特に古くから知られる好漁場である。九十九里地域を代表する海の幸であるイワシは、江戸時代から漁獲量が多く、「海の米」とも例えられる。九十九里の食卓でなじみの魚であるイワシのおいしさと豊富な栄養成分を生かした料理は多種多様である。その中でも11月~3月頃にとれるイワシを使ってつくられる「いわしの卯の花漬け」は、お正月のおせちや祭りなどの行事に食される郷土料理である。また、保存食や常備食としても日常的に食べられる。「いわしの卯の花漬け」は、水揚げされたイワシを新鮮なまま酢漬けにし、更におからで漬け込んだ料理である。おからの色が白くおからが卯の花(うつぎの花のこと)と呼ばれることから、卯の花漬けとも言われている。おからは、豆腐をつくる際にできる大豆の搾りかすであるため、食物繊維を豊富に含むヘルシーな食品である。このおからで漬け込むことにより、型崩れを防止し、酸化を抑えることができるという。 + +## 食習の機会や時�� +11月~3月頃にとれるセグロイワシ、大イワシが使われる。日々の常備食や祭り、正月のおせち料理として食されている。また、市内の店舗やネットで販売されている加工品を購入することができるため、通年食べることができる。 + +## 飲食方法 +下処理をしたイワシに塩を振り、1日おく。塩を洗い流し、酢、砂糖に更に1日漬け込む。鍋におからを入れ、焦げないように炒り、熱が取れたら酢、砂糖を混ぜた調味料を加える。ピーマン、人参は3cmほどの長さの千切りにし、塩をもみ込みしんなりさせ水分をふき取る。おからにイワシ、ピーマン、人参、ごま、みじん切りにしたしょうがを加え、最後に柚子の皮の千切りを加え和える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 背黒イワシ(カタクチ): 300g +- おから: 100g +- ピーマン: 50g +- 塩: 30g +- 人参: 50g +- 柚子の皮: 適量 +- しょうが: 適量 +- ごま: 適量 +- 【調味料A】酢: 75ml +- 【調味料A】砂糖: 大さじ3 +- 【調味料B】酢: 大さじ1 +- 【調味料B】砂糖: 大さじ2 + +## 作り方 +1. イワシの頭をとり、内臓・骨をとって水でよく洗う。 +2. 1に塩を振り、一晩おく。水で洗い、塩をおとして調味料Aに漬け、1日おく。 +3. おからを鍋に入れ、中火で20分(様子を見ながラ火加減や時間を加減する)、焦げないようにから炒りし、冷ましてからあらかじめ混ぜた調味料Bを加える。 +4. ピーマン、人参は3cm長さの千切り、塩少々でしんなりさせてしぼり、クッキングペーパーで水分を拭きとる。 +5. 3に2、ごま、しょうがのみじん切り、4、柚子の皮の千切りを加えて和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ちばのおかず」(千葉県食生活改善協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_13_1.jpg)" +"# 瓜の鉄砲漬 千葉県 + +**郷土料理名**: 瓜の鉄砲漬 + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +成田市・香取市 + +## 主な使用食材 +瓜 + +## 歴史・由来・関連行事 +瓜の中を鉄砲のようにくり抜き、しその葉を巻いた唐辛子を火薬に見立てて詰め、無添加醤油とみりんを主体とした調味液で漬け込む。唐辛子が入っているだけあってピリっと辛く、カリカリとした歯ごたえがある。ごはんのおかずとしても、酒の肴としても食べることができる一品である。穴をあけた瓜が砲筒、青唐辛子が弾のようだということで鉄砲漬けという名前がつけられた。原料にこだわり、千葉県産の白瓜、唐辛子、しその葉を使用しており、醤油の風味と瓜のパリッとした歯ごたえを楽しむのが一般的である。また、成田山新勝寺のお土産としても有名であり、数ある成田の漬物店ごとに味や中身の組み合わせなどの工夫が凝らされており、どの味を選ぶかはお好み次第で、食べ比べて歩き回るのも通の楽しみ方のひとつといえる。歯がぐらつく人でも食べられるほど柔らかい「はぐらうり」というブランドウリも生産されている。 + +## 食習の機会や時季 +昔は、農作物が取れなくなる冬に備えた保存食として成田地域でつくられていたものであった。千葉県は昔から瓜の生産が盛んで、現代でもシロウリの生産量が全国上位ということもあり、「瓜の鉄砲漬」がつくられるようになった。 + +## 飲食方法 +塩漬けした瓜は時々水をかえながら2日位塩出しをして水気をよく切る。調味料を煮立てて冷まし、瓜を漬け、軽く落し蓋をする。次の日に瓜を取り出し、調味料を再び煮立て冷ましてから、再度瓜を漬け、落しぶたをする。この作業を4~5日繰り返す。1週間ほどで食べられる。※調味料は必ず煮立て、冷ましてから使用する。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 塩漬け瓜: 1kg +- ざらめ: 200g +- 醤油: 2カップ +- 酒: 1/2カップ +- みりん: 1/2カップ +- 酢: 大さじ1 +- しそ: 10枚 +- 青唐辛子: 3~5本 + +## 作り方 +1. 塩漬けした瓜は時々水をかえながら2日位塩出しをして水気をよく切る。 +2. 調味料を煮立てて冷まし、瓜を漬け、軽く落し蓋をする。 +3. 次の日に瓜を取り出し、調味料を再び煮立て冷ましてから、再度瓜を漬け、落し蓋をする。 +4. 3の作業を4~5日繰り返す。 +5. 1週間ほどで食べられる。 +6. ※塩出しした瓜は水分がなくなるまでよくしぼる。※調味料は必ず煮立て、冷ましてから使用する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ちばのふるさと料理」(千葉県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_14_1.jpg)" +"# かき餅 千葉県 + +**郷土料理名**: かき餅 + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +香取市 + +## 主な使用食材 +もち米 + +## 歴史・由来・関連行事 +「かき餅」は、主にお茶うけとして餅を油で揚げたり、炭火で焼いたりして食されており、旧暦の正月に餅と一緒に「かき餅」をついていたことが由来とされている。食べ方としては、乾燥させた餅を低温の油に入れて揚げる方法や、炭火で焼いて食べる方法があり、一か月経ったころが一番おいしく食すことができるという。また、低温の油に餅を入れることにより、芯が残らず、程よく膨らむ。かき餅は、網の袋に入れ風通しのよいところにおいておくことで、一年くらいもつという。利根川流域の穀倉地帯でのもち米は粘り気があり美味しい餅になる。千葉県は温暖な気候と、水と緑豊かな自然に育まれた東日本一の早場米の産地である。千葉県で生産される米の中で最も多い品種は「コシヒカリ」である。次いで千葉県独自に品種改良を行った「ふさこがね」は平成18年からつくられており、粒が大きく、炊き上がりはふっくらとしている。やや軟らかく、もっちりとした粘りがあり、冷めても硬くなりにくい点が特徴的である。同様に千葉県独自に品種改良を行った「ふさおとめ」は早生品種で平成10年からつくられている。特徴としては、粒が大きく、控えめな粘り、あっさりとした食味がある。また、14年ぶりに開発された独自品種の「粒すけ」は、令和2年から生産がスタートする。大粒且つ程よい粘りと弾力があるという。 + +## 食習の機会や時季 +特に時期を問わず、年間を通して主におやつとして食べられている。 + +## 飲食方法 +蒸したもち米と皮をむいてすりおろした里芋、塩、ごま、のり等の混ぜ合わせの材料を餅つき機に入れる。つきあがったらかまぼこ型にのばす。ついてから2日位するとかたくなるため、包丁で2~3mmの厚さに切る。1枚ずつ並べ2日陰干し、または網の袋に入れて風通しの良いところに吊るしておく。半月位おくと乾くので保存し、随時利用する。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (ひとふかし分) +- もち米: 3升 +- 【混ぜ合わせ材料】里芋: 茶のみ茶わん8分目(皮をむいてすりおろしたもの) +- 【混ぜ合わせ材料】塩: 大さじ2 +- 【混ぜ合わせ材料】ごま(黒): 大さじ2 +- 【混ぜ合わせ材料】のり: 3~4枚 +- 【混ぜ合わせ材料】重曹: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 蒸したもち米と混ぜ合わせの材料を餅つき機に入れる。(のりはちぎって入れ、普通の餅より長時間つく。塩が少ないと、かき餅にしてから割れやすくなる) +2. つきあがったらかまぼこ型にのばす。(こうじぶたの中に2本入る位の大きさ) +3. ついてから2日位するとかたくなるので包丁で2~3mmの厚さに切る。1枚ずつ並べ2日陰干し、または網の袋に入れて風通しの良いところに吊るしておく。 +4. 半月位おくと乾くので保存し、随時利用する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「房総のふるさと料理」(農業千葉刊行部) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_15_1.jpg)" +"# からなます 千葉県 + +**郷土料理名**: からなます + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +内房地域 (房州沿岸でもつくられている) + +## 主な使用食材 +イワシ、おから、長ねぎ、人参、きゅうり、油揚げ、ピーナッツパウダー、柚子 他 + +## 歴史・由来・関連行事 +「からなます」は、イワシやおからを使ったおからの酢の物である。祭りなどの人が集まる行事や、日常食としても「からなます」は食されている。祝いのときはウサギの形につくって大皿に盛り、不祝儀に時は普通に皿に盛った。千葉県館山市三軒町では毎年1月15日に、皆がひとつの家に集まり、疱瘡祭(ほうそうごもり)がおこなわれている。疱瘡祭でも「からなます」は定番料理として現在もなお食されている。疱瘡とは、天然痘ウイルスが引き起こす感染性のことで、約6世紀に日本に伝わったといわれている。江戸時代に日本でも定着し、流行を繰り返した。痘瘡発祥すると症状がきわめて奇異なことから「痘瘡に鬼神あり」と伝わるようになり、痘瘡の��として疱瘡神をまつる風習が広がったという。また、疱瘡の疫病をはらう疱瘡祭をおこなう風習ができたという。行事の際にからなますを振舞うときは、大きな皿に一人分ずつ俵型に形成されている。 + +## 食習の機会や時季 +祭りなどの人が集まる行事や、日常食としても「からなます」は食されている。郷土料理としてイワシを使った「からなます」が受け継がれているが、日常的に食される「からなます」にはイワシを使っていない家庭が多く見受けられる。 + +## 飲食方法 +味噌、酢、砂糖、ピーナッツパウダーを混ぜ合わせる。湯をかけて油抜きした油揚げを小さく切り、醤油、砂糖で甘辛く煮る。塩でしめたイワシを酢で洗い、細かく切る。人参は千切り、きゅうりは薄い輪切りにし、塩を振ってしんなりさせる。ねぎは細かく切っておく。人参、きゅうりをしぼり水気を切ったら、具材全てを最初に合わせておいた調味料に加え和える。この時、おからは事前に空煎りをするもしくは、電子レンジで加熱をしておいたものをまぜ合わせると良い。最後に千切りにした柚子の皮を合わせ俵型に握る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 油揚げ: 1枚 +- 醤油: 少々 +- 砂糖: 小さじ1 +- イワシ(マグロ): 適量 +- きゅうり: 1/2本 +- 人参: 25g +- 長ねぎ: 1/2本 +- おから: 250g +- ピーナッツパウダー: 25g +- 柚子の皮: 適量 +- 【調味料A】味噌: 40g +- 【調味料A】酢: 50cc +- 【調味料A】砂糖: 100g + +## 作り方 +1. ピーナッツパウダーに調味料Aを混ぜ合わせる。 +2. 油揚げはさっと湯をかけて小さく切り、醤油・砂糖で甘く煮る。 +3. イワシは塩でしめて酢で洗い、細かく切る。 +4. きゅうりは薄く輪切り、人参は千切りにし、塩を振ってしんなりさせる。ねぎはみじん切りにする。 +5. 4をしぼって水気をきり、2、3、おからを1と混ぜ合わせる。※市販のおからを利用する際は、から煎りをするもしくは、電子レンジで加熱しておいたものを混ぜ合わせると良い。 +6. 千切りした柚子の皮を加えて混ぜ合わせ、俵型に握る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ちばのおかず」(千葉県食生活改善協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_16_1.jpg)" +"# チッコ豆腐/牛乳豆腐 千葉県 + +**郷土料理名**: チッコ豆腐/牛乳豆腐 + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +南房総市、鴨川市 + +## 主な使用食材 +牛乳、酢 + +## 歴史・由来・関連行事 +江戸時代8代将軍徳川吉宗公がインド産と言われる白牛(セブ一種)を嶺岡牧(現千葉県南房総市・鴨川市)で飼育し、白牛の乳から「白牛酪」という乳製品をつくったことが、日本酪農の始まりと言われている。白牛は、ラクダのようなコブがあり、長く垂れた耳、白い毛色の、日本では現在鴨川市でしか見られない珍しい品種である。「チッコ豆腐」とは、千葉県安房鴨川地方で昔から食べられている、牛の初乳からつくられた豆腐である。産後の牛の初乳を火にかけ固めたもので、日本の伝統的なチーズの一種として食べられてきた。しかし初乳を使った料理の為痛みが早く、一般には流通せず、酪農家の間で親しまれてきた郷土料理である。地域によって、「チッコカタメターノ」(「乳っこ固めたもの」が由来とされる。)や「嶺岡豆腐」と呼ばれている。初乳ではなく常乳を使用し、一般に販売できるように加工した「牛乳豆腐」と呼ばれる料理もあり、製法も呼び名も様々であるが、昔から酪農が盛んであった地域で生まれた食文化である。 + +## 食習の機会や時季 +「チッコ豆腐」は、牛が生まれた際の初乳を使ってつくられ酪農家の間で食べられてきたが、現在は牛乳を加熱して様々に加工され、広く一般的に食べられている。 + +## 飲食方法 +牛乳を沸騰させないよう火にかけて温める。酢を回し入れて水分と「チッコ豆腐」に分離したら火を止め、ざるにあけて、水分を取り除く。よく水分を切ったら完成。醤油をかけて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 牛乳: 1L +- 穀物酢: 大さじ4 + +## 作り方 +1. 鍋に牛乳を入れ火にかける。沸騰直前(70~80℃)になったら火を止め、穀物酢を入れ静かに混ぜる。 +2. 白く固まってきたら、濡らしたさらしのフキンで漉す。かたちをととのえて冷ます。 +3. 食べる時に醤油をかける。砂糖をかけたり、砂糖と醤油で味をつけそぼろ状にしてもおいしい。このように、ちっこ豆腐は、食材としてアレンジが可能である。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「房総のふるさと料理」(農業千葉刊行部) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_17_1.jpg)" +"# 金山寺みそ 千葉県 + +**郷土料理名**: 金山寺みそ + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +東金市 + +## 主な使用食材 +なす、新しょうが、みょうがほか + +## 歴史・由来・関連行事 +「金山寺みそ」は、千葉県東金市の特産品であり、千葉県でも昔からつくられている味噌である。この味噌は、大豆に麦麹を合わせて、瓜、なす、しょうがなどの野菜を加えたもので、千葉県以外にも和歌山県、愛知県、静岡県などの地域でも食されている郷土料理のひとつである。発祥としては、現在の中国である唐に空海(弘法大師)が遣唐使として訪れ、金山寺等で修行を重ねたのち、日本にもどり「金山寺みそ」の製法が伝えられたという説がある。他にも鎌倉時代の僧である心地覚心(法燈国師)が宋に渡り、金山寺で修業をおこない、日本に戻ったのち、和歌山県の鷲峰山興国寺を開山した際に製法が伝えられたという説もある。後に徳川吉宗が8代将軍となり、幕府に金山寺味噌を献上させた事から江戸に広まったとされる。また、この「金山寺みそ」が醤油の起源になったという説もある。 + +## 食習の機会や時季 +夏野菜を使うため、夏から冬にかけてつくられることが多いが、「金山寺みそ」の加工品が各所で販売されているため、通年食すことが可能である。 + +## 飲食方法 +なすは縦半分に切り、5~7mmの短冊切りにする。ボウルになす、塩、みょうばんを入れてよく混ぜる。なすの倍の重石をのせて一晩おく。しょうがは薄い短冊切りにし、塩を振ってよく混ぜる。なすと同様に重石をして一晩おく。みょうがは切らずに熱湯にくぐらせ、氷水に取って水分をふき取ったら、縦半分に切りさらに細かくせん切りにする。麦糀、醤油、砂糖を漬け物用ポリ袋に入れ、水気を切った材料なす、みょうばん、しょうがを加える。材料全てをよく混ぜたら、ポリ袋の口をしっかりと締め、全体量と同量の重石をし、涼しい場所に置く。毎日撹拌する。1週間ほどで食べられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (約7kg分) +- なす: 3kg +- 新しょうが: 1kg +- みょうが: 500g +- なすの下漬け用塩: 1% +- 焼きみょうばん: 1% +- しょうが下漬け用塩: 1% +- 【調味料A】麦糀: 板状1枚 +- 【調味料A】醤油: 1カップ +- 【調味料A】砂糖: 1kg + +## 作り方 +1. なすは縦半分に切り、5~7mmの短冊切り。ボウルはなす・塩・みょうばんを入れてよく混ぜ、なすの2~3倍の重石をのせて一晩おく。翌日、水気をよくしぼる。 +2. しょうがは2~3mmの薄い短冊切り、塩を振ってよく混ぜる。重石をして一晩おき、翌日、水気をよくしぼる。 +3. みょうがは丸のまま熱湯にくぐらせ、氷水に取って水分をふき取る。縦半分に切り、さらに細かく千切りにする。 +4. 調味料Aをよく混ぜる。 +5. 漬け物用ポリ袋に材料を全て入れ、よく混ぜる。 +6. 5の袋の口をしっかり締め、全体量と同量の重石をし、涼しい場所におく。毎日撹拌する。1週間ほどで食べられる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ちばのおかず」(千葉県食生活改善協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_18_1.jpg)" +"# ごんじゅう 千葉県 + +**郷土料理名**: ごんじゅう + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +館山市 + +## 主な使用食材 +米、豚バラ肉、油揚げ、カツオ節 + +## 歴史・由来・関連行事 +「ごんじゅう」は、豚バラ肉と油揚げを甘辛く煮てご飯に混ぜたおにぎりで、千葉県館山市地域で古くから食されてきた郷土料理である。古くより、旧暦10月は、全国の八百万(やおよろず)の神々が出雲の国に集まる月とされており、各地で神々が留守になるため神無月という。その出雲を目指して、安房国からもお参りに出かける方々の安全を祈り、出発時に食べたのが「ごんじゅう」だと言われている。現在では、秋祭りである鶴谷八幡宮例大祭「やわたんまち」の御輿担ぎの若衆に振る舞われているという。やわた���まちは、安房地方で一番大きいお祭りで、千年以上続けられている伝統ある祭りである。祭りは2日間に渡り、10万人の人出で賑わうという。また、鶴谷八幡宮は昔、安房国の総社であり、国司自ら祭を催したことから「安房国司祭」の名がつけられ、現在は千葉県無形民俗文化財に指定されている。やわたんまちは残暑も厳しい毎年9月におこなわれる。しかし御輿担ぎの人々に振舞う「ごんじゅう」は、十分に火を通した具をごはんに混ぜるため、食中毒予防にもなっているという。 + +## 食習の機会や時季 +秋祭りである「やわたんまち」の御輿担ぎの若衆に振る舞われているが、日常食としても通年食されている。 + +## 飲食方法 +もともと神輿の担ぎ手に振る舞われていたので、片手で食べられるようおにぎりにして、食べられていた。その習慣は現在でも続いており、おにぎりにして食べられることが多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20個分) +- 米: 5合 +- 豚肉(バラ肉): 400g +- 油揚げ: 5枚 +- カツオ節: 50g +- 砂糖: 大さじ軽く3 +- 醤油: 150cc +- みりん: 50cc +- 酒: 100cc +- 水: 250cc + +## 作り方 +1. 米をとぎ、炊く。 +2. カツオ節は軽くフライパンでから煎りし、揉んで細かくする。 +3. 油揚げはそのままさっとお湯をかけ、ふちを切り落として、形をととのえて刻む。 +4. 豚肉は約1cm角に刻む。 +5. 2のカツオ節を1/3量残して、米以外の材料を鍋に入れ、酒、醤油、砂糖で煮込み、仕上げにみりんを入れて味をととのえる。 +6. 飯台に1のごはんを入れ、5の具材を加えて、まんべんなくかき混ぜる。 +7. 少し残した2のカツオ節を加え、さらに混ぜてできあがり。 +8. おにぎりにする。豪快に握ってください! + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 館山市健康課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_19_1.jpg)" +"# 重箱入りぼたもち/おはぎ 千葉県 + +**郷土料理名**: 重箱入りぼたもち/おはぎ + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +北部地方 + +## 主な使用食材 +もち米、うるち米、小豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +「重箱入りぼたもち」は、ぼたもちを一つづつまるめるのではなく、もち米ごはんとあんこを重箱に敷き詰め、好みの量だけ食べる。これは、一人目のこどもが生まれて三日目にこの「重箱入りぼたもち」をつくって配るというお祝いの風習で食べられてきたものである。食糧を満足に得ることが難しかった時代、子育てのために栄養が必要な出産直後の母親のために、栄養豊富なもち米や小豆を使った大きなぼたもちを食べさせたことがはじまりだという説がある。もち米や小豆は母乳の出をよくするとも言われている。小豆には、邪気を払うという信仰があるとも言われている。三日目のお祝いということから、「みつめのぼたもち」とも呼ばれ、現在も茨城県(鹿嶋市、神栖市、水戸市など)、千葉県(銚子市、市原市など)、神奈川県、愛知県など一部の地域でもこの風習が受け継がれている。 + +## 食習の機会や時季 +お祭り、お祝い、お彼岸などにつくる。重箱に、祝儀では、あん、おこわ、あんの順に3層に詰める。不祝儀では、おこわ、あんの順に2層につめる。 + +## 飲食方法 +もち米、うるち米を炊き上げて蒸らした後、重箱につぶさず、丸めず、そのまま敷き詰めて上からあんこをのせる。または、あんこ、もち米ごはん、あんこの順番に敷き詰める。好きな分だけ取り分けて食べる。重箱に入れず、一般的なサイズよりも大きなぼたもちを3つ用意することもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (約5人分) +- もち米: 250g(もち米飯約500g) +- つぶしあん: 500g + +## 作り方 +1. もち米は蒸し(あるいは炊飯器で炊く)、おこわにする +2. 小豆は同量の砂糖を加えてあんをつくる(市販つぶしあんを購入してもよい) +3. 重箱に、祝儀では、あん、おこわ、あんの順に3層に詰める。不祝儀では、おこわ、あんの順に2層につめる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 渡邊 智子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_20_1.jpg)" +"# すみつかれ 千葉県 + +**郷土料理名**: すみつかれ + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +東葛飾地域 + +## 主な使用食材 +大根、人参、大豆、油揚げ、豆腐、酒かす + +## 歴史・由��・関連行事 +「すみつかれ」は、2月の最初の午の日である初午に小豆ご飯と一緒にお稲荷様に供え、食されている料理で、鬼おろし器でおろした大根と人参を節分の大豆、酒かすと一緒に炊いた料理である。千葉県のほか、茨城県、栃木県、埼玉県などでも食されており、「すみつかれ」以外にも「しもつかれ」「そもつかれ」など地域によって呼び方が異なるという。栃木県に江戸時代から伝わる料理として千葉県の東葛飾地域に波及したと考えられている。また、鎌倉時代に書かれた「宇治拾遺物語(うじしゅういものがたり)」などの説話にも記述されているなど、歴史は非常に古く、その名の由来については諸説ある。「下野国の家例としてつくる料理」から「しもつかれ」と呼ばれたという説や、つくり方の「酢み漬け」から「すみつかれ」と呼ばれたという説などがある。節分は、季節を分けるという意味で、立春、立夏、立秋、立冬の前日をいい、旧暦では立春が年の初めにあたるので、節分の日は大晦日にあたる。そのため、千葉県野田市では、古くに節分ことを「としこし」と呼んでいたという。良い年を迎えようと、節分の日に豆まき、無病息災を願い、邪気を払う習わしがあるのだという。また、大豆の枝であるマメガラにイワシの頭を差し、ヒイラギを添えたものを魔除けとして、家の入り口等に付けるといった習わしもあったが、時代と共に廃れ現在節分時におこなっている家庭は減少しているという。 + +## 食習の機会や時季 +古くから初午の日に食べる習慣があるが、現在では日常食としても食されている。 + +## 飲食方法 +大根と人参を鬼おろし器でおろし、鍋に入れそのまま煮る。よくゆだった所に炒り大豆の皮をむいて入れ、砂糖、醤油、みりん等の調味料を加える。くずした豆腐と、大きめの千切りにした油揚げ、細かくした酒かすを加え、数時間弱火でじっくり煮込む。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 大根: 1本(品種は大倉かみやこが良い) +- 人参(長人参): 1/2本位(おろした量で大根の1/4容量) +- 大豆: 1/2カップ弱(節分の残りを利用するとよい) +- 油揚げ: 2枚 +- 豆腐: 1丁 +- 【調味料A】砂糖: 少々 +- 【調味料A】醤油: 1/2カップ +- 【調味料A】みりん: 少量 +- 酒かす: 少量 + +## 作り方 +1. 大根と人参を鬼おろしでおろす。 +2. 大きな鍋に1を入れ、水を入れずに、そのまま煮る。 +3. よくゆだった所に炒り大豆の皮をむいて入れる。 +4. 調味料Aを入れる。 +5. 豆腐はくずし、油揚げは大きめの千切りにして入れる。 +6. 酒かすを細かくして加え、長時間(3~4時間)弱火で煮込む。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「房総のふるさと料理」(農業千葉刊行部) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_21_1.jpg)" +"# 高津のとり飯 千葉県 + +**郷土料理名**: 高津のとり飯 + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +八千代市高津地域 + +## 主な使用食材 +米、鶏もも肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「高津のとり飯」は、千葉県八千代市高津地区で広まった郷土料理である。醤油で煮た鶏肉をご飯とまぜるだけのシンプルな料理で、高津地区では古くより食されてきた。特に安産祈願のために、婦人が集まって子安神を祭る子安講(こやすこう)や、本格的な収穫をおこなう前の豊作を願った行事である八朔(はっさく)の時に食べられていた。「米1升に飯茶わん1杯の醤油」という分量で代々伝えられてきたという。子安講は、農家のお嫁さんの月1回のお楽しみ会であり、子育てなどの話などをしたとのこと。また、八朔は旧暦8月1日におこなわれ、この日は商売などをしている人には特別な日であり、お世話になった人にお礼の品を持ってあいさつに出かけていたとのこと。小さく切った鶏肉を醤油で煮たものをご飯と混ぜるだけの料理は、シンプルな味付けだが、手間がかからないほか、普段食が細い子供にも人気である。肉を小さく切る意味としては、肉が貴重だったころ、皆に平等に肉がいきわたるよう小さく切られたという説や、卵を産まなくなった鶏の肉は硬いことから、小さく切ったなど諸説あるという。「高津のとり飯」は、食材が手に入りにくい時代に、少ない食材を工夫してつくられた料理であるが、現代の忙しく手間暇がかけられない働き世代の人々の生活にも合った料理でもある。 + +## 食習の機会や時季 +八朔や子安講などの行事では必ず食されているほか、日常食としても日々食べられているため、通年食すことができる。「高津のとり飯」は、子供から大人まで幅広く人気である。 + +## 飲食方法 +鶏肉を小指の先ほどの大きさに切り、鍋に入れる。鍋に醤油を加え、煮汁が少し残る程度にしっかりと煮る。煮た鶏肉を炊きたてのご飯に混ぜる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 2合 +- 鶏もも肉: 120g +- 醤油: 40cc + +## 作り方 +1. 米は普通に炊いておく。 +2. 鶏肉は小指の先ほどの大きさに切る。 +3. 2を分量の醤油のみで、煮汁が少し残る程度にしっかり煮る。 +4. 3の鶏肉を炊き立てのごはんに混ぜる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「八千代のなつかしい味」(八千代食文化探訪倶楽部) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_22_1.jpg)" +"# 塩漬けタケノコの天ぷら 千葉県 + +**郷土料理名**: 塩漬けタケノコの天ぷら + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +夷隅地域 + +## 主な使用食材 +たけのこ、卵、小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「塩漬けタケノコの天ぷら」は、塩漬けしたたけのこの塩を洗ったのち調味料と合わせ味を付け、天ぷらにしたシンプルな料理である。「塩漬けタケノコの天ぷら」で使われるたけのこは、千葉県でとれる良質なたけのこを使用する。千葉県はたけのこの産地として有名で、大多喜町、長柄町、千葉市、君津市、勝浦市が主な産地である。また、千葉県のたけのこの生産量は首都圏一であり、そのなかでも夷隅郡大多喜町は県内で最も生産が盛んで、千葉県内一の生産量を誇る。大多喜町は、千葉県房総半島のほぼ中央に位置しており、県内の町村で最も広大な面積を有している。総面積の70%を森林が占めており、江戸時代の初期あるいは中期ごろにモウソウチクが初めて植えられたとされる。大多喜町でとれる大多喜たけのこは、「白たけのこ」と呼ばれており、名前の通り色が白い。特徴としては、えぐ味や苦みが少なく、アク抜きをせず食すことが可能である。この良質なたけのこは、土壌が小石や岩石の破片を含む粘土質な酸性白土であるため、つくることができる。また、千葉県では「自然環境に負荷を与えない農業を推進する」ため、平成14年度から農薬や化学肥料の使用量を通常の半分以下に減らして栽培する「ちばエコ農産物」の認証をおこなっており、千葉のたけのこも農薬不使用、化学肥料半分以下、親竹の本数を適正に管理するなど取り組まれている。 + +## 食習の機会や時季 +たけのこの旬である春に食されることが多いが、塩漬けにして保存したたけのこを天ぷらとするため通年を通して食べられている。 + +## 飲食方法 +塩抜きしたたけのこは7mmの厚さに切り、水にさらす。醤油、砂糖、酒で煮て、味がついたら小麦粉と卵で衣をつくり、揚げ油でからっと揚げる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- たけのこ: 200g +- 【調味料A】だし汁: 200cc +- 【調味料A】醤油: 大さじ1強 +- 【調味料A】砂糖: 大さじ1 +- 【調味料A】酒: 少々 +- 小麦粉: 1カップ +- 卵: 1個 +- 水: 適量 +- 油: 適量 + +## 作り方 +1. 塩抜きしたたけのこは7mm厚さに切って、水にさらし調味料Aで煮る。 +2. 味がついたら小麦粉と卵で衣をつくり、揚げ油でからっと揚げる。※塩漬けの場合は十分塩抜きをすること。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 千葉県食生活改善協議会設立40周年記念誌 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_23_1.jpg)" +"# 鉄砲巻き 千葉県 + +**郷土料理名**: 鉄砲巻き + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +富津市 + +## 主な使用食材 +カツオ節、米、海苔 + +## 歴史・由来・関連行事 +富津市の郷土料理である「鉄砲巻き」とは、醤油で味付けしたカツオ節を具にした太巻きで、見た目が鉄砲に似ているのが名前の由来である。富津市は海苔の産地でもあり、「鉄砲巻き」は手早くつくって食べられることから、漁師の携帯食などとして親しまれてきた。全国の様々な地域でも「鉄砲巻き」と呼ばれる巻き寿司がつくられているが、それらの多くはかんぴょうを具にしたものや、かんぴょうにわさびを効かせたものが主である。それらの「鉄砲巻き」はすし飯を使うのに対し、富津の「鉄砲巻き」は、すし飯ではなくごはんを使用しており、おかかおにぎりを細長くして片手でも食べやすくしたものと言える。「鉄砲巻き」といえばこのおかかの太巻きである「鉄砲巻き」を思い出す程、地元の人たちにとっては昔から馴染みのある郷土料理といえる。 + +## 食習の機会や時季 +海苔の養殖が盛んな富津市の漁師のお弁当として、年間を通して食べられている。 + +## 飲食方法 +巻きすに炙った海苔を載せ、ごはんを広げ、醤油をかけたカツオ節を芯にして巻く。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1本分) +- ごはん: 茶碗大盛1杯 +- 海苔: 全形で1枚 +- カツオ節: 一握りくらい +- 醤油: 適量 + +## 作り方 +1. カツオ節に醤油をかけて混ぜる。 +2. 巻きすの上に海苔をおきごはんを広げる。(巻き終わりを2cmくらい残す。) +3. 1のカツオ節を巻いたときに芯になるようにごはんにおく。 +4. 端までごはんのおいてあるほうから巻き、軽く押さえ形をととのえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ちばのふるさと料理」(千葉県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_24_1.jpg)" +"# てんもんどう 千葉県 + +**郷土料理名**: てんもんどう + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +県内全域、東金市 + +## 主な使用食材 +ごぼう、人参、しょうが、れんこん + +## 歴史・由来・関連行事 +千葉県では野菜がたくさん採れることから、それを砂糖で煮て長期保存が可能なお菓子にしたものが「てんもんどう」である。「てんもんどう」とは、もともとユリ科のクサスギカズラの塊茎を湯通しし外皮を去って乾燥した漢方薬のことであり、これを蜂蜜で1ヵ月~2ヵ月漬けたものを、咳止めや滋養強壮作用を期待して服用したことから、その名前の由来になったといわれる。柑橘類や根しょうがを蜜で煮て乾燥させたものが主であったが、時代とともに様々な野菜が使われるようになった。ごぼうやれんこんのように、繊維の多いものは薄く切って 1回ゆでる。そして、アクがあるものはゆでこぼして、砂糖を入れてゆっくり煮詰める。これをたくさんつくり、大きな缶に入れて保存し、農繁期には田畑作業のおやつにしてエネルギー源にしていたといわれる。防腐剤を使わなくても10 ヵ月ほど保存が可能な為、農民の間で保存食として広く親しまれて来た。東金市では、徳川家康のお手植え蜜柑に由来する「柚子」をはじめ、多品目生産地であることを生かして季節に応じて様々な農作物を有効活用しながら、「てんもんどう」が作られている。 + +## 食習の機会や時季 +農家のおやつやエネルギー源として年間を通して食べられる。保存食としても重宝されてきた。 + +## 飲食方法 +材料となる物をそれぞれ下処理をし、アクのあるものはアク抜きをし、硬いものはゆでる。水と砂糖で煮詰め、仕上げに砂糖をまぶして乾燥させる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 () +- 【ごぼうのてんもんどう】ごぼう: 1kg +- 【ごぼうのてんもんどう】みょうばん: 大さじ1 +- 【ごぼうのてんもんどう】砂糖: 1kg +- 【人参のてんもんどう】人参: 100g +- 【人参のてんもんどう】砂糖: 100g +- 【人参のてんもんどう】塩: 少々 +- 【人参のてんもんどう】片栗粉: 少々 +- 【夏みかんのてんもんどう】夏みかんの皮: 3個分 +- 【夏みかんのてんもんどう】砂糖: 500g +- 【夏みかんのてんもんどう】酢: 少々 +- 【しょうがのてんもんどう】しょうが: 1kg(10月上旬に収穫したものが柔らかく、辛味も少ないので適している) +- 【しょうがのてんもんどう】砂糖: 1kg + +## 作り方 +1. 【ごぼうのてんもんどう】(1)ごぼうは、5cm位の千切り、3時間位みょうばんに浸し、アク抜きする。(2)さっとゆでてよく水切りする。(3)ごぼうと砂糖を合わせ、蓋をしないで煮しめる。飴状になったら火からおろし、よくかき混ぜて冷ます。 +2. 【人参のてんもんどう】(1)人参は千切りにして、砂糖と塩少々入れてこげないように煮る。(2)汁気がなくなったら、手早く広げて冷ます。(3)砂糖に片栗粉を入れ(2)の冷ました人参を入れてまぶす。 +3. 【夏みかんのてんもんどう】(1��夏みかんの皮は、中の白いところを薄くはぎ取り、千切りにする。(2)酢水に一晩つけてアク抜きをする。(3)水を加えて、皮が柔らかくなるまで煮る。(4)煮えたら水をすて、砂糖を加えさらに煮る。(煮立ったら弱火にする)(5)カニ泡になるまで煮つめて、最後に弱火にし砂糖をまぶしてできあがり。 +4. 【しょうがのてんもんどう】(1)しょうがを薄く切り、一晩水に浸け、アク抜きをする。(2)(1)のしょうがの水気をよく切る。(3)鍋に水気を切ったしょうがと砂糖(850~900g)を入れ強火で煮つめる。(4)飴の状態になったら弱火にし、こがさないようにさらに煮つめる。(5)鍋にざらめのようについてきたら火からおろし、厚手の紙の上に広げた残りの砂糖(100~150g)の上にあけ手早くかき混ぜ広げたまま冷ましておく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「房総のふるさと料理」(農業千葉刊行部) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_25_1.jpg)" +"# ばらっぱまんじゅう 千葉県 + +**郷土料理名**: ばらっぱまんじゅう + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +北総地域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、砂糖、あん + +## 歴史・由来・関連行事 +「ばらっぱまんじゅう」は、千葉県の北総地域で古くよりつくられており、夏祭りやお盆などのハレの日に食べられている。麦秋が過ぎる頃、収穫が終わった小麦を粉に挽いて、自家製のあんを使って小麦まんじゅうをつくる。まんじゅうを蒸す時に、ばらっぱ(サルトリイバラの葉)を下に敷いたので、「ばらっぱまんじゅう」といわれている。6月中旬に採集した若葉を塩漬けにしたものがつかわれる。(陰干ししたものを冷凍保存することも可能)サルトリイバラは、サンキライともいい、ユリ科の落葉つる性樹木で、つるに生じる棘や葉元から伸びるヒゲ根によって、猿の行く手を阻み捕まえることが名前の由来である。葉の特徴として、丸くて表面がつるつるしているため、まんじゅうを包むのに適している。サルトリイバラを使った饅頭や餅として、三重県のいばら餅などがある。西日本では柏餅のカシワの葉の代わりにサルトリイバラの葉を使う地域もあるそうだ。 + +## 食習の機会や時季 +人の集まりがあると材料を持ち寄ってつくられた。夏祭りやお盆、ハレの日に食されることが多い。 + +## 飲食方法 +小麦粉にふくらし粉と砂糖を混ぜふるいにかける。水を少しずつ加え、耳たぶ位の柔らかさになるまで手で混ぜ合わせる。濡れたフキンをかけて数分おき、分ける。手のひらに皮を広げ、丸めておいたあんを包む。饅頭のかたちをととのえたら、ばらっぱの上におき、蒸し器に並べ蒸す。素朴な味のするまんじゅう。あんは、さつまいも、かぼちゃなども使われる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20個分) +- 小麦粉: 500g(打ち粉に少量とる) +- 砂糖: 35g +- ふくらし粉(ベーキングパウダー): 35g(大さじ3) +- 水: 1.5カップ +- あん: 600g +- ばらっぱ: 20枚 + +## 作り方 +1. 小麦粉にふくらし粉と砂糖を混ぜ、3回ふるいにかける。 +2. あんは、20個に分けまるめておく。 +3. 1に水を少しづつ加えながら手で混ぜ、耳たぶ位の柔らかさにする。 +4. ぬれフキンをかけ、5分~6分おいて、これを20個に分ける。 +5. 手のひらに皮をひろげ、あんを包み込んでかたちをつくりばらっぱの上におき、湯気のあがった蒸し器に並べて10~15分位ふかす。 +6. ※皮をつくるときに加える水は一度に入れないで様子を見ながら少しずつ加える。まんじゅうの大きさは、好みで決める。あんは、さつまいも、かぼちゃなどいろいろ工夫すると喜ばれる。ばらっぱは、初夏につみ取り、陰干ししたものを冷凍保存しておく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「千葉のふるさと料理」(千葉県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_26_1.jpg)" +"# ヤンゴメ 千葉県 + +**郷土料理名**: ヤンゴメ + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +房総半島地域 + +## 主な使用食材 +米、小豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +「ヤンゴメ」は、炒った米とゆでた小豆に砂糖を合わせ炊いた料理である。見た目は赤飯に似ているが、ほんのり甘く、パラパラとしている。お盆や、ハレの日、豊作祈願の縁起物とし���食べられている。また「やん米」「やき米」「やーごめ」「えいごめ」など、地域によって呼び方が異なるという。お盆では迎え火、送り火を行う際、藁に火をつけ、燃えている藁に向かって「やん米食い食い、水のみのみ、この明かりでごぜいらっしゃい」と火が消えるまで唱え、米と水をまくのだという。「やん米食い食い」は「やん米を食べて」で、「水のみのみ」は「水を飲んで」そして「この明かりでごぜいらっしゃい」は「この明かりでどうぞいらしてください」という意味となっており、故人を迎え、送るのだという。また「ヤンゴメ」は、昔から田植えが終わる時期に、残った籾を利用してつくられており、お盆の行事以外でも食べられている郷土料理である。 + +## 食習の機会や時季 +お盆や、ハレの日、豊作祈願の縁起物として食べられている。 + +## 飲食方法 +米を研ぎ、水切りしたら木桶にお湯を張り、米を入れ一晩おく。米をザルにあげ、再び桶にお湯を張り米を入れる。3時間~4時間ほど浸けたら、水気を切り、米を鍋に入れて炒る。小豆は砂糖、水と一緒に煮る。冷めた米を加え、弱火で蒸すように20分おく。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- うるち米: 3カップ +- あずき: 2カップ +- 砂糖: 2カップ +- 塩: 少々 +- 水: 7カップ(あずきのゆで汁も含めて) + +## 作り方 +1. 米をといで水切りしておく。 +2. 木の桶に40度位のお湯をたっぷり入れ、その中にといだ米を入れ一晩蓋をしておく。 +3. 次の日、米をざるにあげ、さらに桶の中に40度のお湯を入れ、3~4時間浸す。 +4. よく水切りし、いり鍋に油を引いて炒り、炒りあがった米はよく冷ます。 +5. あずきをよく煮て、おつゆをたっぷりにし、甘みはひかえめとし、砂糖を入れる。この中に炒りあがった米を入れ、弱火で蒸すようにし20分位おくと、ふっくらと、こうばしい「ヤンゴメ」ができあがる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「房総のふるさと料理」(農業千葉刊行部) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_27_1.jpg)" +"# 鶏雑炊 千葉県 + +**郷土料理名**: 鶏雑炊 + +**都道府県**: 千葉県 + +## 主な伝承地域 +市原市 + +## 主な使用食材 +米、鶏肉、ごぼう + +## 歴史・由来・関連行事 +「鶏雑炊(とりどせ)」は正月や冠婚葬祭などのハレの日、集会や祭りなどの人寄せに食される郷土料理である。昔はどの農家でもニワトリを飼っていたことから、人寄せの食事以外の家庭食としても食されていた。また、「とりどせ」ではなく方言で「とっどせ」とも呼ばれる。鶏雑炊は、骨をよくたたき、鶏団子に混ぜ込まれている。食料を無駄なく食べる工夫が施されている。 + +## 食習の機会や時季 +正月、冠婚葬祭などのハレの日、集会、祭りなどの人寄せに食される。また、冬の家庭でも食されている。 + +## 飲食方法 +ご飯は固めに炊き、ごぼうはささがきにする。鶏肉は小さく切り、ごぼうと一緒にを鍋に入れる。水、またはだし汁を鍋に加え、柔らかくなるまで煮る。煮たら味噌を入れ味を付ける。最後にご飯を入れひと煮たちさせる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- ごはん: 茶わん10杯 +- 鶏肉: 500g +- ごぼう: 300g +- 味噌: 200~250g +- 水: 2L +- 干ししいたけ: 8枚(お好み) +- なると: 1本(お好み) +- 柚子: 適宜(お好み) +- しょうが: 20g(お好み) + +## 作り方 +1. 米は少し固めに炊いておく。 +2. ごぼうはささがきにし、アクを出し水気をきる。鶏肉は、しょうがのみじん切り、味噌大さじ2と混ぜ、団子状にする(鶏軟骨をたたいて入れる場合もある)。干ししいたけは水でもどして、千切りにする。三つ葉は3cm長さに切る。なるとは、5mm幅の輪切りにする。柚子の皮は千切りにする。 +3. 鍋に水、またはだし汁、およびごぼうを入れ加熱する。沸騰後、しいたけと1の団子を加え沸騰させる。 +4. 3に味噌を入れ、ごはんを加え、ひと煮立ちさせて、器にもる。 +5. なると、三つ葉、千切りにした柚子の皮を添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「房総のふるさと料理」(農業千葉観光部) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_28_1.jpg)" +"# 深川めし/深川丼 東京都 + +**郷土料理名**: 深川めし/深川丼 + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +江東区 + +## 主な使用食材 +米、アサリ、ニンジン、ゴボウ、油揚げ、干しシイタケ + +## 歴史・由来・関連行事 +「深川めし」とは、元来、ネギと生のアサリを味噌でさっと煮て汁ごとご飯にかけたものと言われている。現在「深川めし」は「ぶっかけ」と「炊き込み」の2種類がある。また、ご飯にかけない「深川鍋」もある。江戸時代、現在の東京湾は多くの干潟があり,貝類の宝庫であった。江東区永代、佐賀あたりの南方に流れる大横川の一部は深川浦と呼ばれ、潮が引くと砂州が広がり、アサリ、ハマグリやアオヤギが豊富に獲れる漁師町として有名であった。昭和の初期までは浅草でその深川めしを売る屋台が多く存在し、その名が知られ、一般家庭でも食べられていた。また、江戸時代から「ぬきみ」といって、殻からはずした身だけを売っていたために、そのぬきみを使った「炊き込みご飯」が生まれ、その炊き込みご飯を温かく食べるために熱い汁をかけて食べる汁かけ飯も江戸の食べ方として定着した。水の汚れと埋め立ての進行で、昭和30年代に漁業権を放棄したため深川周辺での漁場を失ったが、千葉方面では貝類が獲れる三番瀬などの干潟が残っている。深川では芭蕉記念館や深川江戸資料館の開館に伴う観光客の来訪をきっかけに、かつて愛されていた深川めしを復活させようという飲食店の働きでこの地に再び深川めしが戻ってきた。新鮮な生アサリ、粗く刻んだネギのうまみが味噌と相まって、このエキスがご飯に染み渡り、なんとも言えない風味が口いっぱいに広がる現代にも残る江戸の伝統食である。 + +## 食習の機会や時季 +かつては庶民の味として通年親しまれてきたが、現在は飲食店で食すのが一般的。 + +## 飲食方法 +といだ米をざるにあげ水気をきる。アサリのむき身をボイルし日本酒をふり、ニンジン・油揚げ・干しシイタケの千切り・ささがきゴボウと一緒に油で炒め味付けをしたあと、具と煮汁に分けておく。煮汁と塩ひとつまみと水を合わせた汁でご飯を炊き、炊き上がったらご飯に具を加えてむらし、よく混ぜ合わせる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- アサリ: 100g +- ネギ(粗く刻む): 適量 +- 味噌: 50g +- 刻み海苔: 適量 +- 炊いたご飯: 1膳分 + +## 作り方 +1. 沸騰したお湯に味噌を溶かし、アサリを入れて煮る。 +2. 1にネギを加えて、さっとひと煮立ちさせる。 +3. 器にご飯を盛り、汁ごとかける。 +4. 刻み海苔をのせて完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 深川宿 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_1_1.jpg)" +"# にぎりずし 東京都 + +**郷土料理名**: にぎりずし + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +東京湾周辺、都内全域 + +## 主な使用食材 +米、マグロ、小鯛、コハダ、キス、アナゴ、アジ、サバ、車海老、貝、小柱、イカ、卵など + +## 歴史・由来・関連行事 +にぎりずしは、酢飯の上に具材をのせた日本を代表する料理の一つである。平安時代は保存食として塩魚を炊いた飯でつけ、飯が発酵した酸味のついた漬物を「熟れ寿し(なれずし)」として食べられていた。このなれずしは江戸時代には姿をいろいろに変えて、早ずし、押しずしそしてにぎりずしができた。現在は手巻すしも人気となり、にぎりずしは世界各国に広まっている。江戸時代に庶民の小腹を満たす屋台食として人気を得たにぎりずしは高級化と手軽化の工夫で発展した料理である。平安時代のなれずしも各地域で工夫されて、晴れ食にも用いられるすしなど、現在でも伝承され食べることができる。滋賀のなれずしは有名である。江戸では、江戸三鮨として、松崎喜右衛門の「毛抜すし」、華屋与兵衛の「与兵衛寿司」、堺屋松五郎の「松が鮨」が挙げられ、にぎりずしの普及に大きく貢献したと伝えられる。江戸前寿司は赤酢で締めた米飯に、コハダやサバなどを締めたもの、煮アナゴや蒸しエビなどの火を通したもの、卵焼きといった、煮る、蒸す、ゆでる、ヅケ、昆布締め、酢洗いなど下ごしらえを施したものをネタとする。 + +## 食習の機会や時季 +江戸時代後期になると、江戸の町では庶民が手軽に屋台でにぎりずしをたべることができた。それらの中から材料や味を吟味した高級すし屋��出現する。江戸時代の屋台から始まった名残で店を構えてもカウンターで握りながらサービスする形が定着した。江戸のにぎりずしのすし飯は現在のにぎりずしの3倍くらいはあり、具材より飯を食べて小腹を満たすものであったが、現在は飯よりも具材が重視される。現在は庶民的な回転寿ずし、デパ地下、スーパーやコンビニエンスストアなどすし屋の販売形態が多様化したことにより、ハレの日だけでなく日常的に食される傾向にある。 + +## 飲食方法 +酢飯に、下ごしらえしたネタをのせ、軽くにぎって、ワサビやつけ醤油とともに食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3~4人分) +- 米: 2合 +- 酒: 大さじ2 +- 昆布: 10~15cm +- 【すし酢】赤酢(なければ普通の酢でもOK): 大さじ4 +- 【すし酢】砂糖: 小さじ1/2 +- 【すし酢】塩: 小さじ1 +- まぐろの赤身(刺身用): 1さく +- 濃い口しょうゆ: 大さじ2 +- みりん: 小さじ2 + +## 作り方 +1. 米を研いでざるに上げ、5~10分ほど水気を切る。 +2. 昆布を軽く水拭きし、はさみで切り込みを入れておく。 +3. 釜に1を入れ、2合目の目盛りより少なめの水、酒、2を入れ、炊く。 +4. 【すし酢】の材料すべてを溶けるまでまぜる。 +5. ご飯が炊けたら昆布を取り除き、熱いうちにすし桶へ移し4を回しかけ、しゃもじで切るように手早く一気に混ぜる。まんべんなく混ざったら、しゃもじでご飯を軽く返しながらうちわで扇ぎ冷ます。※握るまで水で濡らしてかたく絞ったふきんをかけておく。 +6. 小鍋にみりんを入れ火にかけ、アルコール分を飛ばしたら濃い口しょうゆを加えて冷ます。 +7. 薄切りにしたまぐろの赤身を6で10分ほど浸け、水気をとる。 +8. 指の第2関節付近に7と一口分に軽く丸めた5を順にのせ、横に回転させながら軽くおさえるように形を整える。※漬けまぐろ以外にも、煮た魚や酢じめにした魚、玉子焼き、現代ではサーモンなどの東京湾以外でとれる魚もネタとなる。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_2_1.jpg)" +"# もんじゃ焼き 東京都 + +**郷土料理名**: もんじゃ焼き + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +月島地区、都内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、キャベツ、紅しょうが、コーン、桜えび、揚げ玉、かつお節、醤油、ウスターソース + +## 歴史・由来・関連行事 +もんじゃはゆるく水で溶いた小麦粉に具材を混ぜて鉄板で焼き、めいめいのヘラで熱々を食する料理。江戸時代末期、月島の駄菓子屋の前で手頃なおやつとして売られていたのが根源である。食料難であった昭和20年代頃、うどん粉を溶いて醤油やシロップを加えたシンプルなもんじゃ焼きが子どもたちに広く親しまれていた。江戸末期から明治にかけては物資が不足していた時代、紙や習字の道具をなかなか手に入れることができなかった子どもたちに、小麦粉を水に溶いた生地で鉄板に文字を書いて教えたり遊んだりしていたことから「文字焼き」と呼ばれ、もじがもんじと転じて「もんじゃ」へ変化していった。戦後の経済成長に伴い、キャベツ、コーンや揚げ玉など具材を入れて進化していったが、同時に子どもたちが親しんできた駄菓子屋は激減してしまう。幼い頃から親しんできた味を残そうと数軒のもんじゃ焼き店が立ち上がり、大人のつまみへと変化を遂げ、現在に至る。もんじゃ焼きに必須なのが、鉄板とヘラ。もんじゃ焼きは生地の外側から少しずつすくい、鉄板に押し当てて焦がして食べるのが一般的だが、現在は実にさまざまな具材のバリエーションに富んでおり、様々な味ともんじゃの食感を楽しむことができる。 + +## 食習の機会や時季 +元々は子どものおやつとして食されていたが、月島はもんじゃの町としての知名度を確立しており、家族や友人と楽しんだりと日常的に食される。 + +## 飲食方法 +キャベツと紅しょうがは粗いみじん切りにする。ホールコーンは水けをよくきる。大きめのボウルに水・ウスターソース・かつお節・醤油を入れて混ぜ、薄力粉をふり入れてよく混ぜる。桜えび、揚げ玉を加えてさっと混ぜる。鉄板に230℃に熱してサラダ油をひき、具材を軽く汁けをきってから入れる。具材が少ししんなりするまで軽く炒める。具材を中央に集めてへらで真ん中に穴をあけ、ドーナツ状になるように土手を作る。中央にボウルに残った生地を流し入れ、中央がふつふつして全体に火が通るまで2分ほど焼く。ヘラで全体を混ぜて薄くのばし、3~4分ほど香ばしく焼いて青のりをふる。家庭ではホットプレートでも可能。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2~3人分) +- 【A】キャベツ: 300g +- 【A】切りイカ: 大さじ1 +- 【A】揚げ玉: 一つまみ +- 【A】干しエビ: 大さじ1 +- 【B】水: 350cc +- 【B】小麦粉: 30g +- 【B】和風顆粒だし: 小さじ1 +- 【B】ウスターソース: 大さじ2(お好み) +- 青のり: お好みで +- 鰹節: お好みで +- コショウ: お好みで + +## 作り方 +1. キャベツは粗めの短冊切りにする。 +2. 【B】の水、小麦粉、和風顆粒だしをボウルに入れ、よく混ぜ合わせる。 +3. 2に【B】のウスターソースを加え、さらに混ぜ合わせる。 +4. 3の上に【A】の具材を盛り付ける。 +5. 加熱したホットプレートに油を引き、3の具材のみをかき出し炒める。 +6. 具材をヘラなどで細かく刻み、混ぜ合わせなじませる。 +7. キャベツがしんなりしてきたらドーナツ状の丸い土手を作り、真ん中に生地を流し込む。 +8. 火が通るまで待ち、表面が軽く泡立ち始めたら全体をかき混ぜ、平らに広げる。 +9. お好みで青のり、鰹節、コショウをかけ、裏面がこんがりしたらハガシで食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 月島もんじゃ振興会協同組合 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_3_1.jpg)" +"# 柳川鍋/どじょう汁 東京都 + +**郷土料理名**: 柳川鍋/どじょう汁 + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +台東区浅草、台東区駒形、江東区高橋 + +## 主な使用食材 +ドジョウ、ゴボウ、卵、醤油、みりん、ネギ + +## 歴史・由来・関連行事 +「どじょう汁」には二種類あり、「丸鍋」は生きたドジョウを丸ごと煮立った酒の中に入れて酔わせたのち、割り下とともに鉄鍋に入れて煮込んだ料理。「ぬき鍋」は背開きにした骨抜きドジョウをゴボウと一緒に煮込んだ料理。ドジョウはぬるぬるとした表面が特徴の川魚で生命力が強い。獣肉食を禁じていた江戸時代には、ドジョウは鯉や鰻と同様に力の付く食べ物として身近な食材であった。ドジョウは泥鰌、鰌と書き、旧かなづかいでは「どぢやう」あるいは「どじやう」と書く。最も古い店として創業1801年(享和元年)の「駒形どぜう」が挙げられるが、元々店名は「どじゃう」としていた。ところが1806年文化の大火に遭い、初代・越後屋助七氏が四文字では縁起が悪いとして三文字の「どぜう」とし、今に伝えている。淡白なドジョウに甘辛い割り下が絡み、これぞ江戸庶民の嗜好の味と言えよう。一方「柳川鍋」は開いたドジョウを割り下で煮込み、ささがきにしたゴボウとともに卵とじにした料理。“柳川”の由来については、柳川鍋を作る際に使う平鍋に九州・柳川で焼かれた土鍋を使っていたという説、江戸日本橋もしくは浅草千束村の小料理屋の屋号とする説がある。卵が入るため、どじょう汁に比べると味はあっさりめの仕上がりだ。 + +## 食習の機会や時季 +江戸時代、ドジョウもゴボウも精のつく食材とされていたことから、主に夏に食していた。現在は、ドジョウを提供する店が多く存在するため、通年食すことができる。 + +## 飲食方法 +泥抜きしたドジョウを酒の中で泳がせて臭みを落とし、塩でもみ洗いをしてぬめりを取る。丸鍋、ぬき鍋、柳川鍋それぞれの調味料で煮たのち、ネギや三つ葉を散らし、好みで山椒をかけて食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- どじょう(生きたまま): 20匹程 +- 料理酒: 適量 +- 【A】だし: 600ml +- 【A】味噌(甘めのもの): 50g +- 【B】しょうゆ: 50ml +- 【B】みりん: 50ml +- 【B】砂糖: 大さじ1 +- 長ネギ: お好みの量 +- 七味唐辛子、山椒: お好みの量 + +## 作り方 +1. 生きているどじょうを深めのボウルに入れ、1時間ほど料理酒に浸す。このとき、どじょうが飛び出さないよう必ず蓋をする。 +2. 【A】を合わせて味噌汁を作り、1.のどじょうを入れ、中火で5分ほど煮た後、弱火にして25分ほど煮込む。煮込み終わったらボウルなどにあげておく。 +3. 【B】の調味料をすべて合わせ、割下を作る。 +4. どじょうを並べられるサイズの鍋を用意し、どじょうを敷き詰める。 +5. 3で作った割下をどじょうが全て浸るくらいに注ぎ、小口切りしたネギを乗せ、弱火~中火で煮込む。ネギが柔らかくなってきたら完成。食前にお好みで七味唐辛子や山椒をかける。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_4_1.jpg)" +"# おでん 東京都 + +**郷土料理名**: おでん + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +都内全域 + +## 主な使用食材 +かつお節、昆布、大根、じゃがいも、卵、こんにゃく、しらたき、油揚げ、ちくわぶ、はんぺん、がんもなどの練り物数種 + +## 歴史・由来・関連行事 +おでんとは鰹節と昆布でとっただしに、さつま揚げや大根、こんにゃく、ちくわぶなどタネと呼ばれるさまざまな具材を入れて醤油などの調味料を加えて煮込んだ料理。拍子木形に切った豆腐を竹串で刺して焼いた豆腐田楽がおでんのルーツとされる。「おでん」とは、宮中を支える女房が使用した女房言葉で、「田楽」に「お」をつけて丁寧にし、「楽」を省略して「おでん」になったと伝えられる。田楽とは元来、豊穣を祈願して笛や太鼓のリズムに合わせて舞った楽舞を指し、拍子木形に切った豆腐の形が、田楽舞に似ていたことからこの名がついた。田楽舞は現在も浜松市天竜区で「西浦田楽“高足もどき”」として舞の文化が残っている。江戸時代には豆腐やこんにゃくを串にさして、味噌を塗って焼く田楽が庶民の惣菜として普及していた。近代以降には煮込みのおでんが広まっていく。関西では本来のおでんと区別するために、煮込みおでんを関東煮(関東炊き)といって区別している。現在は手軽さと練り物や大根、昆布など冬の惣菜として人気が高く、地域によって具材に特徴があるおでんが広まっている。東京ではちくわぶをいれるのが特徴である。 + +## 食習の機会や時季 +煮込み料理であることから、秋から冬に食されることが多い。東京には老舗のおでん屋があり、通年で提供している。 + +## 飲食方法 +鰹節と昆布でとっただしに、数十種類の具材を入れて煮込み、好みでからしを添えて食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- だし汁: 1,000ml +- 【だし汁】水: 小4尾 +- 【だし汁】だし昆布: 1枚 +- 【だし汁】かつお節: 適量 +- 【だし汁】酒: 大さじ2 +- 【だし汁】みりん: 大さじ2 +- 【だし汁】濃い口しょうゆ: 大さじ2 +- 大根: 1/4本 +- こんにゃく: 1/2丁 +- しらたき: 1/2袋 +- がんも: 2~3個 +- ちくわぶ: 2~3本 +- はんぺん: 2個 +- 卵: 4個 +- じゃがいも: 2個 + +## 作り方 +1. 大根は厚めに皮をむき2cm幅に、こんにゃくは三角に切る。表面に味がしみやすいように隠し包丁を入れて、大根とこんにゃくをそれぞれ約20分下茹でする。卵は冬場なら10分、夏場なら8分程度茹で、ゆで卵にしておく。 +2. ちくわぶは斜めに食べやすい大きさに切り、じゃがいもは1/4の大きさに切る。はんぺんは三角に切る。 +3. だし汁を作る。水に昆布を入れ、火をかける。ひと煮立ちしたら昆布を取り出しかつお節を入れ、火を止め、2分待つ。その後かつお節を取り出し、酒・みりん・濃い口しょうゆを入れて再び火にかける。 +4. 深鍋にだし汁と具材を入れて約30分間煮込む。 +5. 火を止め、十分に味を染み込ませたら完成。温度が下がってしまったら、食べる前に弱火で温めてから食べる。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_5_1.jpg)" +"# てんぷら 東京都 + +**郷土料理名**: てんぷら + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +都内全域 + +## 主な使用食材 +エビ、キス、イカ、アナゴ、メゴチ、ホタテ、稚鮎など + +## 歴史・由来・関連行事 +てんぷらは魚介や野菜などの具材に小麦粉をまぶし、卵と小麦粉を溶いた衣液にひたして、植物油で揚げた揚げ物料理。上方が魚のすり身をてんぷらと呼んでいたのに対して、江戸のてんぷらは魚介の衣揚げを指す。江戸前の新鮮な魚介類をごま油を使って、揚げたての熱々を次々と食すのが特色だ。16世紀中頃、ポルトガルから伝わったフリッターのような南蛮料理が原点と伝えられる。しかし当時の日本において、食用に大量の油を用いる料理は限られ、普及は江戸時代に入り菜種油の生産が高くなってからと言われている���江戸時代に新興都市として発展した江戸では庶民の外食のひとつとして、屋台で立ち食いする商売が盛んとなり、てんぷらもそのひとつであった。七輪の発明も普及を後押しした。油切れが悪かったと見え串に刺して、食べる際には大根おろしがついていた。江戸時代の後半になると、揚げ方や具材の吟味がなされ、からりと揚げたてんぷらが高級料理として発展した。また,天ぷらは火事予防のために屋台料理のみで食べることが出来たが、明治以降、料亭やてんぷら専門店が広がり、高級料理としての地位も確立する。その後、関東大震災で職を失った職人が日本各地に移り住み、江戸前のてんぷらが全国に広まった。現在でもすしと同様に、庶民の家庭惣菜から高級てんぷら店などの極めた料理と幅広い形態で普及している。 + +## 食習の機会や時季 +油がまだまだ高価だった昭和初期は、ハレの日の特別料理だった。揚げ物は見栄えも食べた満足感も得られる料理法であるが、核家族が多くなってきた頃から購入する惣菜となった。大家族になると手作りにした方が経済的に安く、揚げたてておいしい。季節に合わせて食材を選べるため、利用度の高い料理と言える。 + +## 飲食方法 +食材に下粉を打って(小麦粉をまぶして)から「衣液」にひたし、浅い銅鍋(てんぷら鍋)を使用し多量の熱い油(160~180℃度程度)で揚げ、揚げたてを鰹だしのつゆにつけて岩塩や香辛料入の塩を振る、レモンなど柑橘系の酢をかける、生姜汁、醤油だしつゆに大根おろしなどをつけて食べる。また、甘辛味のつゆでさっと煮て、汁ごとご飯にのせて天丼として、惣菜として食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 車えび(小巻): 12本 +- きす: 小4尾 +- あなご(背開きにしたもの): 4尾 +- なす: 1個 +- ししとう: 8個 +- 【衣】卵黄: 1個分 +- 【衣】冷水: 1・1/2カップ +- 【衣】小麦粉(薄力粉): 2カップ +- 揚げ油(サラダ油7対ごま油3): 適量 +- 【天つゆ】だし: 1カップ +- 【天つゆ】しょうゆ: 大さじ0.5 +- 【天つゆ】淡口しょうゆ: 大さじ2.5 +- 【天つゆ】みりん: 大さじ1.5 +- 【天つゆ】砂糖: 小さじ1.5 +- 大根: 250g +- しょうが: 少々 +- レモン: 0.5個 + +## 作り方 +1. えびは頭、背わたをとり、尾の一筋を残して殻をむき、尾の先を斜めに切って、揚げたとき、はねないようにする。腹を上にして持ち、背側に3ヶ所ほど折り、えびが曲がらないようにする。 +2. きすはうろこをとり、頭、内蔵を除いて水洗い。きすの頭を右にしておき、背のほうから、腹側を切らないように尾の近くまで切って背開きにする。次に身を下にして中骨を切り除き、腹骨をすきとる。 +3. なすは縦4つに割り、皮目に細かく包丁目を入れ、ししとうは軸を切る。 +4. 天つゆを作る。だしと調味料を一煮立ちさせて冷ましておく。 +5. 揚げ油を180度に熱し始める。衣を落として、途中まで沈み、すぐ浮いてくる状態が180度。 +6. 衣を作る。ボールに卵黄をとき、冷水を加えて卵水をつくり、ふるった薄力粉を加えて太い箸で粉が少し残るようにさっくりと混ぜ合わせる。必ず、油を火にかけてから作り、練りすぎないのがコツ。 +7. えびの尾を持ち、薄めの衣をたっぷりつけて揚げる。 +8. きすは皮目を上にして衣をつけて揚げる。 +9. あなごは少し長めに衣がカリッとするまで揚げる。 +10. 揚げ油の温度を少し落とし、なすとししとうを衣をつけて揚げる。食材を揚げている間、衣の残りの粉は少しずつくずして使用し、油の温度はこまめに調節すること。 +11. あなごは箸で二等分し、きす、えび、なす、ししとうと盛り合わせる。 +12. 天つゆと大根おろし、おろししょうが、またはレモンと塩でいただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 柳原 尚之(柳原料理教室) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_6_1.jpg)" +"# お雑煮 東京都 + +**郷土料理名**: お雑煮 + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +都内全域 + +## 主な使用食材 +餅、鶏肉、しいたけ、かまぼこ、青菜、みつば、ゆず、昆布、かつお節 + +## 歴史・由来・関連行事 +お雑煮とは焼いた餅に火を通した鶏肉や青菜などを添え、すまし汁をかけた正月料理。室町時代、京都では丸餅に味噌仕立ての雑煮を公家はおもてなし料理として、上級武家は慶事料理として、正月以外にも食していた料理である。雑煮が身分に関係なく正月の祝い事に食べられるようになったのは江戸時代からと伝えられ、参勤交代などの文化の交流の中で雑煮は全国各地へと広がりをみせる。当初は江戸も味噌仕立ての雑煮を食していたが、元禄年間になると下総の野田と銚子で醤油の生産がさかんになり、江戸っ子好みの濃口醤油の雑煮が確立されるようになる。このようにして、江戸雑煮は現在の醤油を用いたすまし汁になった。また、雑煮は餅が入るのが特徴であるが、西日本は基本丸餅であり、東日本は角餅を用いる。角餅の由来は「のして切る」ことが「敵を制圧して切る」と連想した武士のゆえんであるなど諸説あるが、平たく伸ばした餅を切り分ける方法が生み出され、利便性が高いことから、東日本では角餅が定着したと考えられる。元旦に一年最初の水(若水)を汲み、浄められた火を用いてひとつの鍋で汁を作るという一連の作業が、人間に活力を与える食べ物として正月に食され続けてきた雑煮。江戸雑煮は香ばしく焼いた餅に昆布とかつお節でとったすまし汁をかけるのが特徴。小松菜がほうれん草であったり、かまぼこがなるとであったりと地域で具材は少し異なる。 + +## 食習の機会や時季 +正月料理に欠かせない主役料理。 + +## 飲食方法 +材料を食べやすい大きさに切りそれぞれゆで、餅をオーブントースターなどで焼いておく。器に餅、ゆでた具材とかまぼこを盛り付け、すまし汁を注ぐ。ゆずの皮とみつばを添えて食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- とりささみ: 100g +- 小松菜: 1/2把 +- かまぼこ: 4枚 +- 三つ葉: 数本 +- 黄柚子: 少々 +- 餅: 2個 +- かつお昆布だし: 600cc +- 淡口醤油: 小さじ2/3 +- 塩: 小さじ2/3 + +## 作り方 +1. 昆布は汚れをサッと落とし、分量の水と一緒に鍋に入れ、中火にかける。沸騰直前に昆布を取り出し、一度沸かしてから火を止める。 +2. 削り節を入れてひと混ぜし、1分間おく。 +3. ざるに布巾を敷いてボウルに重ね、2をこす。 +4. 布巾をまとめて箸で固定し、布巾をねじりながらギュッと絞る。 +5. 小松菜は、塩をひとつまみ入れた熱湯で軸が軟らかくなるまで、湯がき、水につける。しっかり冷ましてから、すだれに並べてから巻いて水気をしぼり、2~3cm長さに切る。 +6. かまぼこは、半分に切る。三つ葉は、2~3cmの長さに切る。 +7. ささみの筋を取り、一口大に切る。軽く散らばるぐらいに塩をふり、鍋に沸かした熱湯にいれて、白くなったら取り出す。 +8. 餅は半分に切ってから、トースターなどで少し焼き目を付けながら焼く。 +9. 鍋にだしを入れて、軽く煮立ったら、淡口醤油、塩を入れて味を調え、5を加えて2分ほど煮る。 +10. 器にささみ、餅、小松菜、かまぼこ、三つ葉を盛り、熱いだしを張る。最後に柚子の皮を飾って出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 柳原 尚之(柳原料理教室) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_7_1.jpg)" +"# べったら漬け 東京都 + +**郷土料理名**: べったら漬け + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +都内全域 + +## 主な使用食材 +大根、米麹、昆布、砂糖、みりん、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +べったら漬けとは、塩で下漬けした大根を米麹と砂糖で漬けこんだ漬物。江戸時代のえびす講で売られていた大根の浅漬けがべったら漬けの発祥である。購入した漬物を縄でくくって持ち歩く際、「べったり付くぞ」と女性に向けて若い男性が振り回したのが起源と伝えられる。秋田のいぶりがっこや鹿児島のつぼ漬けなど大根を原料とした漬物は全国各地にあり、その地域の漬物文化が継承されているが、東京で庶民に愛された漬物といえば、「たくあん」と「べったら漬け」だった。特に漬物文化が開花したのは江戸時代と伝えられ、江戸の都市部に住む人々の多くはすでに各家庭では漬物を作っておらず、漬物屋で買い求めるのが日常だった。大所帯や裕福な商人の家では、練馬村の農家と契約を結んで一年分の漬物を仕込んでもらい、必要に応じて必要な量を配達してもらっていたという。東京で大根といえば、練馬大根とその流れを受け継ぐ東光寺大根が有名だが、共に辛みが多く少し苦いことから、たくあん用に干し大根にするか、べったら漬けにするのが主流だった。麹をふんだんに使用したべったら漬けは上品な甘みで、現在でも人々の食卓には欠かせない漬物といえよう。 + +## 食習の機会や時季 +大根の収穫と共に仕込むため、江戸時代は主に秋から冬にかけてご飯のお供として日常的に食されていたが、現在は通年食されている。 + +## 飲食方法 +大根は皮をむいて縦半分にカットし、塩をまぶして漬物容器に入れ、重しをして1日置く。水があがってきたらその都度捨て、大根がやわらかくなったら半日干して水気を切る。漬物容器に、水気を切った大根、米麹、砂糖、みりん、昆布、鷹の爪を入れて1~3日ほどでできあがり。好みの大きさに切って食す。発酵が進むと酸味が強くなってきてしまうので、その後は冷蔵庫で保存する。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1本分) +- 大根: 1本から1本半 +- 塩: 35g +- 【A】甘酒: 300g +- 【A】鷹の爪: 適量 + +## 作り方 +1. 大根は皮を剥いて、横に半分に切り、さらに縦に4等分するように切る。 +2. 大根全体に塩をまぶし、容器に入れ重石をし、一晩おく。 +3. 一晩経ったら、水分を切り、軽く水洗いする。 +4. 新しい容器に3と【A】合わせ入れる。 +5. 容器を密閉し、冷蔵庫で2~3日置いたら完成。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_8_1.jpg)" +"# しょっから汁 東京都 + +**郷土料理名**: しょっから汁 + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +式根島、新島、御蔵島 + +## 主な使用食材 +しょっから(ムロアジ)、アシタバ、サトイモ + +## 歴史・由来・関連行事 +「しょっから汁」とは、小ぶりのムロアジを丸ごとミンチにして塩を加え発酵させた「しょっから」に、アシタバやサトイモなどの島で採れる野菜を加えて煮込んだ汁物。御蔵島を中心に伊豆諸島に伝わる料理で、伊豆大島では「えんばい汁」と呼ばれている。ムロアジは伊豆諸島の食文化に欠かせない魚で、伊豆諸島の名産「くさや」の原料である。くさやの語源は、ムロアジの別名「クサヤモロ」からきているという説と、江戸の魚河岸の間で「くさいからクサヤ」という名前がついたという説もある。「しょっから」はそのムロアジを発酵させた魚醤。塩漬けにして、約1ヶ月程度発酵させて出来上がったしょっからは、独特な匂いと濃厚な旨味に加え栄養分もたっぷり。アシタバとサトイモがしょっからの臭いと塩気を中和する。島に暮らす人々の知恵と、島の特産品の旨味が詰まった一品である。 + +## 食習の機会や時季 +アシタバとサトイモが獲れる晩秋から冬に食べられてきた。現在はムロアジの漁獲量の減少とともに、作られる機会は減っている。 + +## 飲食方法 +開いた新鮮なムロアジをミンチ状にし、塩を加えて1~2週間置いて発酵させたものを、あしたばと共にだし汁に入れ、他の具材とともに煮込む。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- アシタバ: 4把 +- サトイモ: 小8個 +- 水: 500cc +- 和風顆粒だし: 小さじ1 +- 魚醤(推奨:ムロアジのしょっから): 大さじ2 +- 酒: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 鍋にたっぷりの水(分量外)をいれて沸騰したら、アシタバを1分30秒程度茹でて水にさらし、水を絞り2cm程度の大きさに切る。 +2. サトイモは良く洗って、皮を剥き一口大に切る。 +3. 鍋にサトイモを入れて、水を入れ沸騰後に弱~中火でサトイモが軟らかくなるまで煮る。 +4. だし、魚醤、塩を入れて、アシタバを入れてひと煮立ちさせる。お好みで醤油や塩(分量外)などで味を調える。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_9_1.jpg)" +"# コロッケ 東京都 + +**郷土料理名**: コロッケ + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +都内全域 + +## 主な使用食材 +じゃがいも、ひき肉、玉ねぎ、卵、小麦粉、パン粉、油 + +## 歴史・由来・関連行事 +コロッケとはふかしじゃがいもをつぶし、炒めた玉ねぎとひき肉を加えて形を整え、衣をつけて揚げた料理。大正期、とんかつ、カレーライスと共に三大洋食と呼ばれたコロッケ。文明開化により、日本の洋食界ではフランスとイギリスの食文化に影響を受けていた。そのため、フランスのクロケットが由来とされるが��クロケットはベシャメルソースが入っているものを指し、大正時代に西洋料理店で出されていたコロッケは主にクリームコロッケだった。同時にシチューやフィッシュ&チップスに見られるように、じゃがいもを使ったイギリスの料理も広く伝わったことから、日本オリジナルのじゃがいもコロッケが誕生したようだ。東京では1870年(明治3年)には「築地精養軒ホテル」で西洋料理が出されたのに続いて、明治30年頃には40軒ほどの西洋料理店があった。明治初期には一部の階層のハレの日の食だった西洋料理も、明治中期には庶民の日常の食として浸透しはじめる。大正末期から昭和の初めは第一次大戦による好況を背景に東京への人口集中が進んだ時代でもあり、洋風の一品料理に米飯を盛り合わせるスタイルが定着、都市部の大衆に広く普及した。その一品料理においてコロッケも定番メニューのひとつだった。「洋食」の始まりである。コロッケは現在、家庭で調理されることはもちろん、精肉店のお惣菜には必ず並び、おかずとしても小腹がすいたときのおやつとしても、人々にとって身近な料理といえよう。 + +## 食習の機会や時季 +日常の家庭の料理として食されている。 + +## 飲食方法 +ボウルにふかしてつぶしたじゃがいも、炒めた玉ねぎとひき肉を入れ、調味料で味を整えて小判型に成形する。薄力粉、溶き卵、パン粉の順に衣をつけ、揚げる。好みで千切りキャベツや野菜を添えて食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- じゃがいも: 2個 +- 玉ねぎ: 1/2個 +- 合い挽き肉: 100g +- 【A】塩こしょう: 350ml +- 【A】砂糖: 一つまみ +- バター: 10g +- 薄力粉: 大さじ2程 +- 卵: 1個 +- パン粉: 大さじ4程 +- 油: 適量 + +## 作り方 +1. じゃがいもは芽を取り、皮をむき、一口大のサイズに切る。 +2. 耐熱ボウルにじゃがいもを入れラップし、600Wの電子レンジで約4分加熱する。加熱直後にスプーンやマッシャーでつぶし、バターをと混ぜ合わせる。 +3. 玉ねぎをみじん切りにする。 +4. 熱したフライパンに合い挽き肉を入れ中火で炒め、色が変わってきたら、3と【A】を加える。 +5. 中火で炒め、玉ねぎがしんなりしたら火から下ろし、粗熱を取る。 +6. 2に5を加えて混ぜ、4等分程に分け小判型にする。成形した物の表面に小麦粉を薄くつけ、溶き卵に絡めたあと、パン粉をつけていく。 +7. 鍋に油を注ぎ、180℃程に熱し6を入れ、衣がきつね色になったら油を切り、皿に盛る。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_10_1.jpg)" +"# 玉子焼き 東京都 + +**郷土料理名**: 玉子焼き + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +都内全域 + +## 主な使用食材 +卵、だし汁、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +玉子焼きとは卵を調味して厚く焼き上げた料理。関東では甘めに調味し、少々焦げ目がつくほどに焼き上げる「厚焼き玉子」を指すのに対して、関西ではだしを効かせて焦がさず焼いて、大根おろしを添えて食する「だし巻き玉子」を指す。卵は古来より「精のつく食物」として人々に重宝されてきたが、宮廷では鶏肉が禁食とされていたこと、またニワトリは時を告げる鳥として役に立つ動物として扱われていたため、獣肉とともに食用が禁じられた期間が長かった。鶏肉や鶏卵を食材として調理して食すようになったのは、禁食が解かれた江戸初期。南蛮貿易の影響で鶏卵を食べるようになったが、まだまだ貴重なものであった。その後、江戸の庶民のごちそうとして流行したのが「玉子ふわふわ」というだしを沸騰させた中に溶き卵を流し入れて蒸した料理だ。これが玉子焼きの起源とされる。落語「王子の狐」の舞台に登場し、歌川広重の「江戸高名会亭尽」にも描かれている「王子扇屋」では当時の味をそのままに現在も手焼きの玉子焼き店として販売している。桜の名所であゆうこうしたというる王子・飛鳥山周辺には当時、多くの茶屋や料亭が軒を連ねており、扇屋もそのひとつであった。江戸の玉子焼きはかつおだしのうまみがしっかりと利いた甘く濃い味わいと弾力のある食感が特徴。現在も各家庭に定着し、テフロン系の角型フライパンの普及で手軽に焼くことができ、お弁当の定番としても愛され続ける一品だ。 + +## 食習��機会や時季 +鶏卵が高価だった頃は、滋養食として特に病人への見舞いとして重宝されていた。鶏卵はタンパク質食品として優良であり、現在は価格の安定した食品として好んで食されている。鶏舎で昼夜の回数を早めて産卵させ、運動させずに作っているが、最近は健康的な鶏からの卵を販売する傾向があり、価格もピンキリである。鶏卵は調理性に優れているため、家庭料理の一品を作る際はもちろん、ハレの日のご馳走にも重宝し、季節を問わず歓迎される優等生と言える。 + +## 飲食方法 +卵、だし汁、砂糖を混ぜ合わせ、厚く焼き上げる。食べやすい大きさに切って食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1本分) +- 卵: 2個 +- だし: 大さじ1 +- 【調味料】砂糖: 大さじ1/2 +- 【調味料】塩: 少々 +- 【調味料】醤油: 少々 +- 油: 適宜 + +## 作り方 +1. 卵を割りほぐし、だしと調味料をすべて混ぜる。 +2. 卵焼き器に油を入れて熱し、余分な油をふき取ってから卵液の1/4を流して均等に広げる。周囲がかわいて半熟状になったら菜箸で巻く。再び油をなじませ、これを繰り返す。 +3. 焼きあがったら巻きすで巻き、粗熱が取れるまで置いて、切り分ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 近藤 惠津子(『食材選びからわかるおうちごはん』より) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_11_1.jpg)" +"# 親子丼 東京都 + +**郷土料理名**: 親子丼 + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +都内全域 + +## 主な使用食材 +鶏もも肉、卵、玉ねぎ、醤油、みりん、昆布 + +## 歴史・由来・関連行事 +親子丼とは煮立てただし汁と調味料で鶏肉と玉ねぎを煮たのち卵でとじた具を白飯にのせたどんぶり料理。起源については諸説あるとされるが、東京においては明治20年頃、軍鶏料理専門店「玉ひで」で鶏すきの締めに残った肉と割り下を卵とじにしてご飯とともに食べていた客がおり、これを「親子煮」と呼んでいた。のちの明治24年、玉ひで五代目秀吉氏の妻・とくさんがこの親子煮を食べやすくご飯にのせて一品料理としたのが「親子丼」の始まりとされる。当時は出前専用の料理として提供しており、特に注文の多かった兜町、米屋町、日本橋を中心にこの味が人々の間で人気になり、やがて全国に広まった。家庭では現在、鶏もも肉とともに玉ねぎやねぎを入れ、卵のかたさもそれぞれ好みの頃合いで調理するまでに一般家庭の定番料理として親しまれているが、元祖玉ひででは醤油とみりんの香りを生かした鶏肉と卵のみが本家本元の親子丼とされる。 + +## 食習の機会や時季 +通年、日常的に各家庭で食されている。 + +## 飲食方法 +鍋にだし汁・調味料を入れ中火にかけひと煮立ちさせ、鶏もも肉・玉ねぎを加え、鶏肉に火が通るまで加熱する。煮汁が煮立っているところに軽くほぐした溶き卵を流し、半熟状態にして火を止める。ご飯を盛った器の上にかけて、三つ葉を散らして食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 鶏もも肉(一口大のそぎ切り): 150g +- 醤油: 小さじ1/2 +- 酒: 小さじ1/2 +- 玉ねぎ(縦半分に切ってから薄切り): 1/2個(100g) +- 卵(軽くほぐすように溶く): 2個 +- 三つ葉(2cmに切る): 4~5本 +- だし: 100ml +- ご飯: 2人分 +- 【合わせ調味料】醤油: 大さじ1 +- 【合わせ調味料】砂糖: 大さじ1/2 +- 【合わせ調味料】みりん: 大さじ1/2 + +## 作り方 +1. 鶏肉に醤油と酒をまぶして下味をつける。 +2. 鍋にだしと合わせ調味料を入れて中火にかけ、煮立ってきたら玉ねぎと鶏肉を入れる。 +3. 蓋をして鶏肉に火が通るまで2~3分煮て、卵を鍋の中心から外側へ円を描くように回し入れる。 +4. 卵の周囲が固まりかけてきたら、火を止め、三つ葉を散らして再び蓋をし、30秒蒸らす。 +5. 丼にご飯をよそい、4をのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 近藤 惠津子(『食材選びからわかるおうちごはん』より) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_12_1.jpg)" +"# かんぴょう巻き 東京都 + +**郷土料理名**: かんぴょう巻き + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +東京湾周辺、都内全域 + +## 主な使用食材 +米、かんぴょう、焼のり、酢、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +かんぴょう巻きとは、巻きずしの一種で、水で戻したかんぴょうを甘辛く煮付けたものを酢飯とのりで巻いたもの。かんぴょう巻きは江戸前ずしの中の定番ネタとして欠かせない一品。かんぴょうとはユウガオの果肉を薄く細長くむいて、天日干しした乾物食品のひとつ。当時、のり巻といえばかんぴょう巻きを指し、のり巻は細い太いに関わらず「の」の字に巻くのが原則とされており、芯にした具がくたっとしないように巻き上げるのが職人の腕の見せどころであり特徴であった。また、かんぴょう巻きに必須である焼のり。元々のりは日本において太古より貝類とともに食されてきた海藻で、江戸時代になると現在の品川から大森エリアでのり養殖がさかんになり、紙のようにすいて作るすき製法が定着する。当時、浅草には「浅草紙」と呼ばれる手漉きで再生紙を作る製紙産業があり、その製法からヒントを得たことから、江戸時代の焼のりは「浅草のり」と呼ばれるようになった。養殖により焼のりは庶民でも手に入れることができるようになったため、大正時代になると家庭でものり巻きが作られるようになった。関東ではすしの一品として誰もが食したことのあるかんぴょう巻だが、関西では太巻きが主流で、現在に至っても馴染みのない巻物。かんぴょう巻きは江戸前ならではの粋な食べ物といえる。 + +## 食習の機会や時季 +江戸時代、高級すし屋の形態により寿司は主にハレの日に食されるようになった。現在は寿司屋の形態が多様化したことにより、ハレの日だけでなく日常的に食される。また、家庭でも日常食として食される。 + +## 飲食方法 +かんぴょうは水で戻して甘辛く煮付ける。巻きすに、焼のり、酢飯を敷き詰め、煮付けたかんぴょうを芯にして巻く。食べやすい大きさに切って食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 焼き海苔(全型): 3枚 +- 白米(かために炊く): 約2合 +- すし酢: 約50ml +- かんぴょう(乾燥): 30g +- 水: 600ml +- 酒: 100ml +- 砂糖: 大さじ4 +- 醤油: 大さじ4 +- みりん: 大さじ2 +- 塩: 適量 + +## 作り方 +1. かんぴょうを煮る。かんぴょうをたっぷりの水で洗い、塩で揉む。10分程度置いたら、熱湯で10分間下茹でする。 +2. 鍋に水、酒、砂糖、醤油、みりんを入れてかんぴょうを弱火で煮る。汁気がなくなったら取り出す。 +3. 酢飯を作る。炊きたてのかために炊いた白飯2合分に寿司酢を入れ、しゃもじで切るように混ぜ合わせる。一粒一粒に光沢が出て寿司酢が全体になじんだら、うちわで人肌の温度まで冷ます。 +4. 巻きすを広げ、海苔を半分に切ったものをのせ、上2cmほどを残して寿司飯をまんべんなく広げる。 +5. ごはんの中央より少し上にかんぴょうを2本並べ、手前の海苔を巻きすごと持ち上げ、向こうの寿司飯の端(海苔の空白部分)まで持ち上げる。巻き寿司の上にかぶせるようにして向こうへ転がし、巻きすの下の部分をおさえながら、もう一方の手で、巻きすごと巻き寿司を手前に引き、締めて完成。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_13_1.jpg)" +"# 治助芋のネギ味噌 東京都 + +**郷土料理名**: 治助芋のネギ味噌 + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +奥多摩地域 + +## 主な使用食材 +治助芋、ネギ、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +治助芋のネギ味噌とは治助芋と呼ばれる芋を蒸して、ネギ味噌をつけた料理。治助芋は馬鈴薯品種に属し、西多摩郡奥多摩町小河内(おごうち)地区を中心に100年以上前から栽培されており、オイネさんが山梨県都留市から嫁入りした時に隣の檜原村で栽培されている芋(オイネのつるいも)を持参し、それを治助さんが持ち帰ったことが名前の由来とされる。奥多摩地域は稲作に向かない土地であったため、食糧不足の時代には副菜としての利用はもちろん、客人が来た時にインゲンや昆布とともに煮てもてなす習慣もあるなど、生活に密着した食材であった。小ぶりながらも病気に強く、白皮・白肉が特徴で、男爵薯より遅い7月上旬頃が収穫時期である。味は濃厚で粘りが強く、煮崩れしにくい特性を持つことから、ネギ味噌と食すだけでなく、煮物やカレーの具材など広く日常的に食されている。粘りのあるみっちりとした食感とネギやかつお節を混ぜたネギ味噌との相性は抜群。��多摩の庶民に愛される一品だ。 + +## 食習の機会や時季 +収穫時期を迎える7月以降に主に食されるが、治助芋は馬鈴薯と同じく長く保存ができるため、通年、各家庭で食される。 + +## 飲食方法 +治助芋の皮をむき、蒸す、煮る、焼くのどれかで火を通したのち、ネギ味噌を添えて食す。また、昔は冬の寒い気候を利用して、濡らした芋を一晩屋外に出して凍らせたのち、乾燥させ、粉にして「芋団子」を作り、こがし(大豆と麦を炒って粉にしたもの)をまぶして食すこともあった。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 治助芋(小さめのもの): 数個 +- 醤油: 大さじ2 +- 酒: 大さじ2 +- みりん: 大さじ2 +- 砂糖: 大さじ1 +- 味噌: 適量 +- 長ネギ: 適量 + +## 作り方 +1. 治助芋は皮ごとよく洗い水気をふいておく。 +2. 鍋に治助芋を加え、砂糖・酒・醤油を入れて強火で全体に絡ませる。 +3. 味噌を刻み、長ネギをまぜる。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_14_1.jpg)" +"# おくたまワサビのTOKYO-X巻き 東京都 + +**郷土料理名**: おくたまワサビのTOKYO-X巻き + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +奥多摩地域 + +## 主な使用食材 +豚肉(TOKYO X)、根わさび、しょうゆ、みりん + +## 歴史・由来・関連行事 +おくたまワサビのTOKYO-X巻きとは刻んだ根わさびを豚肉で巻いて焼き上げた料理。江戸東京野菜のひとつである奥多摩わさびは、多摩川の源流に近い冷たい清流で生育するため、鼻に抜ける涼やかな辛さと豊かな風味が特徴で、足利時代から栽培されている伝統ある食材である。またTOKYO-Xは青梅畜産センターで開発されたブランド豚で、きめが細かく柔らかくてジューシーなのが特徴だ。この料理は2011年10月に開催された「都内産農林水産物を使用した料理コンクール」で最優秀賞を受賞し、奥多摩の新たな郷土食として誕生。考案した奥多摩町「たまものグループ」は2006年より奥多摩に伝わる旬の食材を生かした郷土料理のレシピを作るために活動する団体である。日常で食している奥多摩わさびをおろした後に残ったわさびを有効に活用したいとの思いから、おくたまワサビのTOKYO-X巻きのレシピが完成したという。作り方はシンプルながら、わさびと豚肉の相性は抜群。すりおろして生で食すのが定番だったわさびを刻んで加熱するという新しい試みは大成功で、地産地消を進めていくために欠かすことのできない新たな郷土食と言える。 + +## 食習の機会や時季 +2011年のコンクール受賞時より、奥多摩町では徐々に広がりを見せており、各家庭で食されたり、おもてなし料理として食されたりしている。 + +## 飲食方法 +根わさびを千切りにし、TOKYO-Xの薄切り肉で巻く。フライパンに油を引き、火が通るまで焼いたらしょうゆ、みりんを加えて味付けする。好みの付け合わせ野菜と共に皿に盛りつけ食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 根わさび: 20g +- 豚肉(TOKYO-X)の薄切り: 80g +- しょうゆ: 大さじ1 +- みりん: 大さじ1 +- 【付け合わせ】キャベツ: 40g +- 【付け合わせ】ミニトマト: 2個 +- 【付け合わせ】大葉: 1枚 + +## 作り方 +1. 根わさびはよく洗い、千切りにする。 +2. 豚の薄切り肉を1枚ずつ広げ、1を芯にして巻く。 +3. 熱したフライパンに油を入れ、2を巻き終わりが下になるように並べて、肉に火が通るまで焼く。 +4. しょうゆ、みりんで味付けをする。 +5. フライパンから取り出し、千切りにしたキャベツ、ミニトマト、大葉と一緒に盛り付ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 奥多摩町役場 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_15_1.jpg)" +"# のしこみうどん 東京都 + +**郷土料理名**: のしこみうどん + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +奥多摩地域およびその広域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、煮干し、しいたけ、ねぎ、人参、油揚げ、ちくわ、醤油、酒、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +のしこみうどんとは煮干しとしいたけでとっただしに酒と塩と醤油で味をつけ、コシのあるうどんとネギや油揚げなどの具材を入れて煮た麺料理。江戸時代、奥多摩町全域は幕府の直轄領であった山の中に位置し、東京都では最も山が急峻であり町の大部分は山林であった。水田には不向きな土地のため、もっぱら小麦や蕎麦の栽培が主で、奥多摩ではうどんや蕎麦を食する粉文化が定着していた。加えて晩秋から冬にかけての山は寒い。男性たちが一日の山仕事を終え、寒い中お腹を空かせて帰ってきたとき手早く温かく作ってあげられることから、のしこみうどんは各家庭で作り食されてきた。のしこみとはうどんを打ったあと「伸す」=「伸ばし広げる」ことが由来だが、鍋からずるずると取り出して食すことから「ずりだしうどん」と呼ぶ地域もある。山梨のほうとうに似た幅が広めの麺が特徴で、鍋にだしとなる煮干し、しいたけ、打ち立てのうどん、季節の野菜を入れ、グツグツと煮込んで熱々をいただくのが奥多摩流。野菜の甘みがうどんに染み込み、心身温まる一品だ。昭和50年頃までは、猟で捕れたイノシシや鹿、各家庭でさばいた鶏を入れることもあった。 + +## 食習の機会や時季 +秋から冬の寒い日には頻繁に食す。 + +## 飲食方法 +打ったうどんを幅広めに切り、鍋に水を入れて、煮干し、しいたけでだしをとり、調味料で味を調え、うどんと季節の野菜を入れて煮込む。熱々を食する。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 【うどん】中力粉: 500g +- 【うどん】塩: 15g +- 【うどん】水: 250cc +- ねぎ: 50g +- 人参: 50g +- ちくわ: 2本 +- 煮干し: 10本 +- しいたけ: 20g +- 醤油: 大さじ2 +- 酒: 適宜 +- 塩: 適宜 + +## 作り方 +1. うどんを作る。こね鉢に中力粉と塩を合わせ、水を加減して加えながらよくこねる。 +2. 生地がまとまったらビニール袋に入れてよく踏む。 +3. 調理台に粉を振って麺棒で伸ばす。 +4. 生地を半分に折って切る。 +5. 鍋に水を入れ煮干し、しいたけでだしをとる。 +6. 5を火にかけ酒、塩で味付けし、4のうどんを入れて煮込む。 +7. ねぎ、人参、ちくわを入れ、火が通ったら、醤油で味付けし、ひと煮立ちさせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : おくたま海沢ふれあい農園 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_16_1.jpg)" +"# すき焼き 東京都 + +**郷土料理名**: すき焼き + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +都内全域 + +## 主な使用食材 +牛肉、ネギ、春菊、しらたき、白菜、焼き豆腐、醤油、砂糖、酒 + +## 歴史・由来・関連行事 +すき焼きとは醤油、砂糖、酒をベースにした割り下に、牛肉にネギ、春菊、焼き豆腐などの具材を添えて共に煮た料理。現在、東京の老舗店では関東大震災後より熱した鍋に牛脂を入れて溶かし、牛肉を炒めてから残りの具材と調味料を入れて煮込む、関西と同様の調理法が主流となっている。江戸時代中期、関西には元々農具の鋤(すき)を鉄板代わりにして貝や魚を焼く「魚すき」「沖すき」と呼ばれる料理が存在していた。その鋤で牛肉を焼いたものを「鋤焼(すきやき)」と呼ぶようになったのが語源とされる。とはいえ、これは関西の話。675年の天武天皇による所謂,食肉禁止令以来、日本において牛や馬は大切な労働力であったなどの理由のため、公には食することができなかった(江戸後期になると彦根藩井伊候が、将軍家に牛肉の味噌漬けを送る記録があるなどある程度食されていたことが分かる)。解禁となったのは明治維新以降のこと。1859年(安政6年)の横浜の開港とともに、1860年(安政7年)江戸・高輪にイギリス公使館が設けられ、牛肉の注文を受けるが、横浜まで仕入れに行くのは丸一日がかり。そこで、芝白金に牛の処理場を作ったことから、肉食文化が広まり、東京では「牛鍋」と呼ばれる料理を提供する店が次々とオープン、大流行する。牛鍋は肉食のたたりから解放された庶民のご馳走とされ、文明開化の食の代表と言えよう。当初は獣臭をやわらげるために味噌ベースが主流だったが、肉質の向上により豆腐やしらたきといった具材が加わり、醤油、砂糖、酒を調合したたれで煮るようになった。しかし、大正12年の関東大震災を機に、東京の牛鍋屋は大打撃を受け、ほとんどの店が閉店に追い込まれる。その後、牛鍋の関西の呼び名であった「すき焼き」が関東に伝わり、呼び名も統一されることになる。関西では牛肉を焼いたのち、割り下や野菜を入れるのに対し、関東では専門店は関西同様の作り方であるが、家庭においては割り下を煮立たせ���肉と野菜を同時に入れるのが主流。 + +## 食習の機会や時季 +昔は店で食べるのが一般的だったが、現在では店だけでなく、一般家庭でも作られて食されている。 + +## 飲食方法 +関東風では、すき焼き鍋に割り下を入れて火にかけ、煮立ったら牛肉、食べやすい大きさに切った春菊やネギなどの野菜、しらたき、豆腐を並べ入れる。好みの煮え加減になったら溶き卵をつけて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 牛肉(すき焼き用): 200~250g +- 白菜: 1/6個 +- 春菊: 1/2わ +- えのきだけ: 1/2袋 +- ネギ: 1本 +- 焼き豆腐: 1/2丁 +- 結びしらたき: 4個 +- 卵: 2個 +- 【割り下】醤油: 1/2カップ +- 【割り下】酒: 1/2カップ +- 【割り下】みりん: 1/2カップ +- 【割り下】だし汁: 1/2カップ +- 【割り下】砂糖: 大さじ3 + +## 作り方 +1. 白菜は食べやすく切る。春菊、えのきだけは根本を切り落とす。ネギは幅1センチの斜め切りにする。焼き豆腐は食べやすく切る。結びしらたきはさっとゆでる。 +2. 割り下の材料を混ぜ合わせる。 +3. すき焼き鍋に割り下を入れて火にかけ、煮立ったら具を並べ入れる。好みの煮え加減になったら、溶き卵をつけて食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : サッポロビール株式会社 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_17_1.jpg)" +"# 穴子寿司 東京都 + +**郷土料理名**: 穴子寿司 + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +東京湾周辺 + +## 主な使用食材 +穴子、白飯、甘酢、醤油、みりん + +## 歴史・由来・関連行事 +穴子寿司とはシャリの上に煮てネタ状にしたあなごをのせ、ツメと呼ばれる煮詰めたたれを塗ったすし。江戸時代の東京湾はいくつもの川から栄養に富んだ水が流れ込んでいたため、いい魚が育つ抜群の環境だった。晩春から夏が旬とされるあなごは、東京湾でとれる魚であったキスやメゴチとともにすしや天ぷら料理といった江戸の食文化として広く食されてきた。特に江戸前ずしの中の定番ネタとして欠かすことのできない魚だった。「おいしい鮨屋はあなごでわかる」と言われるほど、あなごは鮮度が命。そしてあなごの特徴であるぬめりをしっかり取り除き、丁寧に煮て、さらにツメを作り上げるという一連の作業はまさにすし職人だけが成しうる技術だった。現在では東京湾ではとれる魚は限られ、その数も減ってきているが、そんな中でもあなごは水揚げされ、全国でも一級品と賞されるほど評価が高い。姿形はうなぎに似ているが、身は淡泊でありながら上品なうまみに満ちているのが特徴で、シャリ、身、ツメの融合は食する者をうならせる魅力ある一品だ。 + +## 食習の機会や時季 +7~8月が旬として食されてきたが、現在は流通技術の向上により、全国各地からあなごを輸送できるようになったこともあり、通年食されている。 + +## 飲食方法 +生きたあなごをしめてさばき、塩と湯をで表面全体のぬめりをしっかり取り除き臭みを出さないよう処理する。酒、砂糖、醤油で弱火で煮たあと、ネタの大きさに切る。あなごの頭と骨を煮てだしを取り、調味料を加えて煮詰めてツメを作る。シャリを握り、あなごの身をのせ、ツメを塗ってできあがり。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 焼き穴子: 1枚 +- 酒: 大さじ1 +- 大葉: 4枚 +- ご飯(あたたかいもの): 250g程 +- 山椒: 1.25ml +- 【A】砂糖: 2.5ml +- 【A】塩: 少々 +- 【A】酢: 15ml + +## 作り方 +1. 焼き穴子に酒をふり、軽くラップをかけ、600Wの電子レンジで約1分加熱する。 +2. 大葉を千切りにする。 +3. ボウルなどに【A】をすべて入れ混ぜる。 +4. ご飯と大葉、【A】を入れ、よく混ぜる。 +5. ラップを敷き、焼き穴子を皮を上にして乗せ、その上に4を乗せてしっかりと巻く。そのまま数分置き、成形する。 +6. ラップを巻いたまま2cm幅に切り、皿に盛り付けるときにラップを取る。山椒をかけ、完成。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_18_1.jpg)" +"# 島ずし 東京都 + +**郷土料理名**: 島ずし + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +八丈島、小笠原諸島 + +## 主な使用食材 +タイ、マグロ、カツオ、カジキ、シイラ、トビウオ、メダイ、イサキ、カンパチ、岩のり、米、酢、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +島ずしとはすしネタにする魚を薄く切って醤油ベースの液に漬けて、酢飯で握った八丈島の郷土料理。伊豆諸島で獲れる魚をネタにしていることから島ずしとされ、東京ではこの漬けた製法で作られたネタを現在も「ヅケ」と呼んでいる。元々は、船で沖に出る際、鮮度を保つ工夫としてヅケにしていたが、伊豆諸島は温暖な地域のため、江戸からすし文化が伝わった明治以降、地域独自の技法が発達した。一般的にはすしにはワサビを用いるが、八丈島や小笠原諸島では当時ワサビが手に入らなかったため、代わりに練りがらしを使ったり、醤油に「青とう」という島唐辛子の熟していない実を漬け込んだ「島とう醤油」を使用したりと島によって食し方は少しずつ異なる。伊豆諸島北部では刺身を食べる際にもこの島とう醤油を使っている。握りで食するのが基本であるが、甘酢生姜や島のりを混ぜた酢飯にネタをのせて、ちらしずし風にして食すこともある。すしの形態は各島々で独自に発達し、現在でも欠かすことのできない郷土食として人々に愛され続けている。 + +## 食習の機会や時季 +八丈島ではハマトビウオを、小笠原諸島ではサワラをそれぞれ「春トビ」と呼んで島ずしにして節分の日に食べる風習がある。春トビは春を告げる魚「春告魚(はるつげうお)」と呼ばれ、島ずしのネタとして各家庭で食されてきた。また、冠婚葬祭にも欠かせない一品。 + +## 飲食方法 +寿司だねを食べやすい大きさに切り、醤油、酒、みりんで漬けにする。砂糖と塩、酢で調味した酢飯で握る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 白米: 約2合 +- すし酢: 約50ml +- 【ヅケだれ】醤油: 200ml +- 【ヅケだれ】みりん: 大さじ1 +- 【ヅケだれ】酒: 大さじ1 +- 寿司ネタとなる魚(タイ、マグロ、トビウオなど): 1尾 +- ねりからし: 適量 + +## 作り方 +1. 寿司ネタとなる魚を三枚におろし、一口大の大きさに切る。 +2. ヅケだれを作る。事前に醤油・みりん・酒を煮てアルコール分をとばしておく。 +3. ボウルなどを用意し、ヅケだれ、寿司ネタとなる魚を入れ、冷蔵庫で30分ほど浸ける。 +4. 炊きたての白米2合に寿司酢を入れ、しゃもじで切るように混ぜ合わせる。一粒一粒に光沢が出て寿司酢が全体になじんだら、うちわで人肌の温度まで冷ます。 +5. 酢飯を一口大の大きさににぎってシャリをつくる。ねりからしをシャリの上にのせる。 +6. ヅケにした魚をシャリの上に乗せて、完成。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_19_1.jpg)" +"# そば 東京都 + +**郷土料理名**: そば + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +全域 + +## 主な使用食材 +そば粉、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +そばは、そばの実をひいたそば粉につなぎと水を加えてこねたのち、細長く切った麺料理。そば自体は古来より食べられてきたが、今日のように麺にして食べるようになったのは、江戸時代以前から蕎麦は粉にしてそば練り、粒食がなされていたが、江戸時代初め寺院でそば切がふるまわれていたものが、江戸の町で麦切のうどんと並んで蕎麦切が売られるようになった。江戸っ子はうどんよりもそばを好み、けんどんそばをはじめとして店構えの蕎麦屋から屋台そばまで広がった。江戸時代後期には蕎麦屋のメニューには盛そば、花巻そば、てんぷらそば、あられそば、しっぽくそば、かも南蛮などがあった。「西はうどん、東はそば」と言われるが、まさに気の短い江戸っ子にはもってこいの料理だったと言えよう。江戸時代中期には屋台で温かいぶっかけを提供する「夜たかそば」(「風鈴そば」とも)も登場する。東京でそばといえば「砂場」「更科」「藪」が江戸そば御三家として有名だが、砂場は細打ちの白い麺、更科は透明感のある麺、藪は蕎麦の実の甘皮による緑がかった麺とその姿は三者三様だ。さらに藪そばにいたっては、雑司が谷がルーツとされ、江戸っ子ならではの塩辛いつゆが特徴。 + +## 食習の機会や時季 +広く日常食としても親しまれている。江戸時代にはすでに、そばは体に良いとされ、健康食としての一面も持っていた。健康に良い=縁起物となり、「みそかそば」「節分そば」と呼ばれ、毎月月末や季節の変わり目に食される��うになった。現在でも、大みそかの年越しそばや引っ越しそばなどの慣習が残っている。また、駅の立ち食いそばも日本ならでは風景である。 + +## 飲食方法 +つゆにつけて食べる「もりそば」と、丼に入れた蕎麦に温かいつゆをたっぷりかける「かけそば」がある。ネギや刻み海苔などの薬味を入れると、味の変化を楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- そば(乾麺、茹で麺、冷凍など): 1束分 +- めんつゆ: 120ml +- きざみ海苔: 少々 + +## 作り方 +1. そばは茹でる、湯通しする等、それぞれの表示に従い調理する。麺を流水で洗い水を切る。 +2. そばを器に盛り、きざみ海苔を乗せたら完成。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_20_1.jpg)" +"# こはだの粟づけ 東京都 + +**郷土料理名**: こはだの粟づけ + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +都内全域 + +## 主な使用食材 +コハダ + +## 歴史・由来・関連行事 +江戸時代から江戸前を代表する食材だった「コハダ」は、仕込みに職人の技が問われる食材で、江戸前ずしの光りものと言えば、「コハダ」と代名詞になるほどネタとして欠かせないものである。握りずしのほか、酢じめで食される機会が多いが、「こはだの粟漬け」もそのひとつ。成長により名前が変わっていくコハダ。稚魚「シンコ」若魚「コハダ」「ナガスミ」成魚「コノシロ」と、出世魚であるコハダを用いることで縁起を担ぎ正月料理に用いられる。また、クチナシで黄色に染めた粟と漬けて「五穀豊穣」を願い、縁起の良い組み合わせが二の重の縁起物としておせち料理を彩る。重箱に詰めることを考慮し、多少強めの酢加減にすることで保存性が高まる。 + +## 食習の機会や時季 +年末に用意をして正月に食される全国的にも代表的なおせち料理のひとつである。通常は、2~3日漬けてからが食べごろだが、数時間で漬け込み即席で食べることもできる。 + +## 飲食方法 +魚の頭と内臓を取り除き、骨も取り、塩でしめて酢漬けにする。蒸した粟を冷ましたものに、しょうがのみじん切りや唐辛子の輪切りを加えたものと、酢漬けにした魚とを交互に重ね容器に入れて漬ける。酢を強めにすることで保存性も高まる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- こはだ: 10匹程度 +- 粟: 適量 +- 唐辛子: 適量 +- 塩: 適量 +- 酢: 適量 + +## 作り方 +1. こはだは3枚におろし、食べやすい大きさに切る。 +2. 1に粟と唐辛子を混ぜ合わせ、甘酢で漬ける。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_21_1.jpg)" +"# 桜もち 東京都 + +**郷土料理名**: 桜もち + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +墨田区 + +## 主な使用食材 +桜葉、小麦粉、あん + +## 歴史・由来・関連行事 +「桜もち」は、享保二年(1717年)、長命寺の門前に住み寺の御用を務める山本新六という男性が考案したのが始まりと伝わる。当時から、隅田堤(墨堤通り)は桜の名所であった。土手の大量の桜の落ち葉を掃除していた時に思いつき、葉を塩漬けにして、あん入りの餅を包んだ。この「桜もち」を長命寺の門前にて売り始めたところ、花見客らが大変喜んで桜もちを食し、大当たりした桜もちはこの地の名物になったという。このように、江戸時代に考案された桜もちは現代まで続いている。桜の葉は大島桜の葉が使われている。関東では、小麦粉生地を円形に薄焼きしたものを二つ折りまたは円筒状にし、横から餡が見えるようにしてこしあんを包む。この上に桜の葉の塩漬けを二枚または三枚で包む。現在も「長命寺桜餅山本や」は長命寺の近くで桜餅を販売している。 + +## 食習の機会や時季 +享保年間に吉宗の命で墨提に桜がどんどん植えられ、年々花見が盛んになり、花見客に喜ばれたという。現在では年間を通して食すことができる。 + +## 飲食方法 +小豆を煮てこし、練ってあんにする。小麦粉または白玉粉を水で溶き食紅で桜色にした生地を、フライパンでクレープのように楕円形に薄く焼いた皮であんを包み、その上から塩漬けの桜の葉で包む。塩漬けの桜の葉を食べる派と食べない派に分かれる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 【皮】小麦粉: 50g +- 【皮】白玉粉: 10g +- 【皮】砂糖: 15g +- 【皮】塩: 少々 +- 【皮】水: 100ml +- 【皮】食紅: 少々 +- 【皮】油: 少々 +- 【あん】さらしあん: 65g +- 【あん】砂糖: 90g +- 【あん】水: 130ml +- さくらの葉: 8~16枚 + +## 作り方 +1. 鍋にさらしあんと砂糖・水を加えて火にかけ、練りあんをつくり、8個に丸めておく。 +2. ボールに白玉粉をいれてつぶす。よくつぶしたところへふるった小麦粉と砂糖・塩を加え、水を加えてよくまぜ衣をつくる。 +3. 2の生地の半量に食紅でピンク色にする。この時食紅に水を少量加え、生地になじませるように加減しながら色付けをする。 +4. フライパンに薄く油をうすくひき、2を楕円形にして4枚弱火で焼く。3も同様に4枚焼く。 +5. 4の熱いうちに1のあんを包み、さっと湯を通した桜の葉(塩分が強いので塩出しをして薄塩にしておく)で包む(葉の裏側が表にくるようにする)。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_22_1.jpg)" +"# いもようかん 東京都 + +**郷土料理名**: いもようかん + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +台東区 + +## 主な使用食材 +さつまいも + +## 歴史・由来・関連行事 +「いもようかん」は、主な使用食材のさつまいもを蒸して練り上げ成型させたもの。明治時代に、浅草にある芋問屋と菓子職人が一緒に作り出した和菓子である。当時、練りようかんは高価なもので、庶民は口にする機会が少なかった。芋問屋と菓子職人は、手近な食材のさつまいもを用いて練りようかんの代用となるような和菓子を考案し、さつまいもの研究から調理法、調味料の配合など、試行錯誤を繰り返して「いもようかん」が誕生したと伝わる。練りようかんよりも安価で入手できるいもようかんの登場は、庶民の身近な和菓子として歓迎された。 + +## 食習の機会や時季 +主材料のさつまいもがあれば通年作ることができ、おやつとして食すことができる。和菓子屋でも購入できるが、家庭でも気軽に作ることができる甘味品のひとつ。 + +## 飲食方法 +皮をむいたさつまいもを加熱してやわらかくし、温かいうちに大きなかたまりがなくなるまで良くつぶし、砂糖を加えてペースト状にする。さつまいものヘタに近い部分は繊維質が強く硬いため切り落としておくと裏ごししやすい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- さつまいも: 250g +- 砂糖: 60g +- 粉寒天: 2g +- 水: 120ml + +## 作り方 +1. さつまいもは皮を剥き2cm程度の厚さの輪切りにして水(分量外)にさらし、アクを抜く。 +2. たっぷりの水(分量外)でさつまいもを柔らかくなるまで茹でる。茹でたらざるに上げ、熱いうちに裏ごしする。 +3. 鍋に粉寒天と水を入れてよく煮溶かし、砂糖を加える。※粒子が残っていると固まらなくなるのでしっかり溶かす。 +4. 3に2を加えてよく混ぜ、容器に入れて冷やし固め、食べやすい大きさに切り分ける。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_23_1.jpg)" +"# 鰻のかば焼き 東京都 + +**郷土料理名**: 鰻のかば焼き + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +都内全域 + +## 主な使用食材 +うなぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +もともと、江戸前とはうなぎから生まれた言葉であり、大川(今の隅田川)河口付近で獲れた鰻を江戸前鰻と称していたことがはじまりである。江戸前「鰻のかば焼き」は、生きた鰻を割いて串打ちにし、白焼きにして蒸したものにたれをつけて焼く。関東と関西では、調理法が異なり、関東では、鰻を背開きにして骨、内臓を取り、串に刺して白焼きにし、蒸す。そして、炭火でたれをつけながら焼きあげる。関西では、腹開きにして、骨、内臓を取り、串に刺し、蒸さずに炭火でたれをつけながら焼きあげる。名前の由来には、鰻をぶつ切りにした鰻を、竹串に刺して焼いたものが蒲(がま)の穂に似ていることからという説、焼き上がった際の色や形が「樺の木」に似ているからとする説、いい香りが早く鼻に入るという意味の「香疾(かばや)」が転じたとする説など、諸説ある。味つけは醤油の普及とともに、塩から醤油をかけて焼くことが主流となる。その後、醤油、砂糖、みりんを用いたたれを使うようになったことで、鰻のかば焼きは大流行し、江戸��子たちに愛される料理となった。鰻は万葉集の大伴家持の有名な一首からも栄養価が高いことが知られており、夏バテに良いと言われ、土用の丑の日に食べる慣習が江戸時代に行われている。この始まりは、平賀源内の発案という説が有名である。 + +## 食習の機会や時季 +現代では、土用の丑の日に鰻を食す習慣があるが、本来は冬に向けて脂が乗る秋が旬とされている。脂が乗ると、鰻は黄色みを帯びるようになり、鰻の語源といわれる「胸黄(むなぎ)」に通じる。 + +## 飲食方法 +白焼きを買った場合、鍋に酒を入れて火にかけ、アルコールを飛ばし、醤油と砂糖を入れ、中火で煮つめてたれを用意する。白焼きにたれをつけて焦げない程度に鰻の両面を焼く。生の鰻を用いる場合は、さばいて串を打ってから白焼きにして、蒸してから、たれにつけて焼き上げる。焼き上がった鰻のかば焼きは、ご飯の上に乗せて食べるのが普遍的食べ方であるが、元々は、鰻と飯は別々に供されており、うな重は鰻だけが入っていた。出前などで鰻を温かくいただくために、熱いご飯の上に乗せた鰻丼がその後普及するようになり、一般的になった。鰻を使った料理には、その他にも、酢の物にしたうざく、鰻を玉子焼きでまいたう巻きなどの料理がある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- うなぎ(白焼きされたもの): 4尾 +- 【たれ】料理酒: 5カップ +- 【たれ】醤油: 1と1/2カップ +- 【たれ】砂糖: 150g + +## 作り方 +1. 鍋に酒を入れて火にかけ、アルコールを飛ばす。その後、醤油と砂糖を入れ、中火で10分ほど煮つめる。 +2. 火にかけたフライパンに1のタレを敷き、うなぎを焼く。表面が焦げない程度に裏返し焼き上げる。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_24_1.jpg)" +"# 佃煮 東京都 + +**郷土料理名**: 佃煮 + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +都内全域 + +## 主な使用食材 +白魚、のり、小エビ、貝類など + +## 歴史・由来・関連行事 +江戸時代から保存食として食されてきた「佃煮」は、佃島(現中央区佃周辺)にちなんで生まれた東京の名産品。江戸幕府開府時に徳川家康が、墨田川河口にある佃島に、摂津国の佃村から漁師たちを移住させたことで、この地は漁業の中心的な場所となる。当時、魚の保存法として,塩ゆでや塩漬けなどが一般的であったが,紀州から伝えられたたまり醤油などを使い、濃厚な調味料を用いて煮付けたことで貯蔵性の高いものとなった。お茶漬けやおにぎりなどの具材としても定番の佃煮。白魚のほか、のりや昆布、エビ、あさりなどの水産佃煮のほか、農産物を具材に用いたものもある。また、地方ではいなごや蜂の子など現在では数えきれないほどの食材を用いた種類が存在する。醤油、みりん、砂糖、水飴などを甘辛く煮つめた味わいは、白飯との相性が抜群で全国的にも親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +一年を通じて食されている。具材は、白魚は春、アサリ、ハマグリ、シジミは春が旬。主菜としての利用度は少ないが、味が濃いことから主菜のわき役として食事に締まりをつける。濃口醤油を使用しているため色が濃く、料理の盛り付けの引き締め効果も期待できる。佃煮の素材は昆布を筆頭に海草、キノコ類、魚介類が用いられるが現在は肉類も加わって多彩である。お茶漬けの友としても人気が高い。 + +## 飲食方法 +主な使用食材と調味料を鍋に入れ、汁気がなくなるまで煮詰める。のりの佃煮の場合は、のりが固まりにならないように、水でほぐすのがポイント。下準備として細かくちぎって水に十分つけてふやかしておくと良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 白魚: 100g +- 醤油: 大さじ4 +- みりん: 大さじ3 +- 砂糖: 大さじ3 +- 酒: 大さじ3 + +## 作り方 +1. 白魚と調味料を鍋に入れ中火にかける。沸騰したら火を弱め、煮汁がなくなるまで煮詰める + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_25_1.jpg)" +"# ねぎま鍋 東京都 + +**郷土料理名**: ねぎま鍋 + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +葛飾区及びその周辺地域 + +## 主な使用食材 +まぐろ、ねぎ、きのこ + +## 歴史・由来・関連行事 +「ねぎま鍋」は、���ぐろとねぎを醤油で調理した、江戸発祥の庶民の味。現代ではトロと呼ばれる油の多い腹身は、江戸時代、お客には出せない下品(げぼん)の料理であった。赤味の部分は醤油につけてヅケにして寿司などで供されたが、トロなどの脂身の部分は痛みも速く保存に適さないため、冷蔵庫など保存方法のない当時は、加熱で調理することが多かった。そこでこの脂身を食べる工夫として、ねぎと醤油で一緒に火を通したことから「小鍋たて」の「ねぎま鍋」が誕生したと言われる。江戸中期以降、七輪が開発されたことで、客間に火を持ち出せるようになったことから、鍋を調理器具だけではなくそのまま食すスタイルが普及し、汁物と煮物を合わせたような鍋料理は大変重宝された。火鉢に小鍋をかけて手軽に食べる方法は、現在の卓上加熱機器で調理をしながら食べる風景と通じるものがある。 + +## 食習の機会や時季 +江戸時代には、傷みやすく保存が効かないために安価で手に入った脂身を使って作られたねぎま鍋であるが、現代では脂身の方が高価になり、本来のねぎま鍋は作りにくくなっている。江戸時代には、醤油やみりんなどを使いすき焼き風に食べていたが、現代では出汁を効かせたねぎま鍋も作られるようになった。 + +## 飲食方法 +まぐろは2cmほどのぶつ切りにし、ねぎもぶつ切りにする。土鍋に、醤油、酒を入れ、冷たいうちにねぎを入れて火をかける。煮立ったらまぐろを入れ1~2分さっと煮る。あまり煮すぎると身がかたくなるので色が変わるくらいでよい。春菊やえのきなど季節の野菜や豆腐を入れてもよい。まぐろ以外の食材に火を通し、まぐろは食べる直前にいれながら食べる。ネギは焼きネギにしても一味違ったものになる。さしみ用まぐろであれば、軽く温めるくらいで食べるのもおいしい。加熱用マグロはしっかり火を通す。まぐろからだしが出るので野菜やきのこのうまみも加わって汁も楽しめる。また、筋や血合いの部分を入れると、ゼラチン質になりトロトロとおいしくなる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ねぎ: 4本 +- まぐろ: 400g +- えのき: 1パック +- だし: 2カップ +- 酒: 大さじ4 +- みりん: 大さじ4 +- しょうゆ: 大さじ4 + +## 作り方 +1. まぐろは1cmのそぎ切りにする。ねぎは3cmのぶつ切りにする。えのきは食べやすい長さに切る。 +2. ねぎを焼き、焼き目をつける。 +3. 土鍋にだしと調味料を入れ、冷たいうちにねぎとえのきを入れて火にかける。 +4. 煮立ったら、まぐろを入れさっと煮る + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_26_1.jpg)" +"# きんぴら 東京都 + +**郷土料理名**: きんぴら + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +全域 + +## 主な使用食材 +ごぼう、にんじん + +## 歴史・由来・関連行事 +「きんぴら」の名は、江戸時代に流行した古浄瑠璃「金平浄瑠璃」の主人公で、金太郎で有名な坂田金時の息子という設定の「坂田金平」に由来していると言われる。ごぼうのしっかりした食感や歯ごたえ、唐辛子のピリ辛さを坂田金平の強さや勇ましさに例え、「きんぴらごぼう」と呼ばれるようになったとされる。また、ごぼうは古くから伝わる江戸東京野菜のひとつで、京野菜、加賀野菜などと並ぶ伝統野菜だ。特に、当時の栽培地域の地名滝野川村から名前のついた滝野川ごぼうは、古い歴史を持つ。参勤交代で集められた武士たちが、自分たちの地元から持参した野菜の種を栽培して品種改良をし、練馬大根などと共に江戸野菜として定着させたという。国内で栽培されているごぼうの90%以上は、長い年月をかけて改良された滝野川ごぼうの血を受け継ぐ品種。 + +## 食習の機会や時季 +江戸時代後半には庶民の惣菜としてよく食されてきた「きんぴら」。現在でも、日常の食卓にも登場することが多いが、調理法として、油で炒め、味付けを濃くすることで保存性を高めることができ、おせち料理や、祝い事、弔事などによく使われる料理の一つである。 + +## 飲食方法 +千切り、またはささがきにしたごぼうを油で炒めて、砂糖、醬油などの調味料で味を調え、唐辛子を入れて辛みをきかせる。ごぼうの皮に風味があるので、こするように洗うほうがよい。「きんぴら」は��ぼうから始まり、昭和後半まで「ごぼうとにんじん」が定番という時代が続いた。日常の手作り惣菜がスーパーなどで販売され、料理本などにものるようになると、レンコンなど歯ごたえのある根菜類を炒めて甘辛に味付けしたものもきんぴらと呼ぶようになった。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- ごぼう(5cm長さのせん切りにし、水にさらす): 70g +- 人参(5cm長さのせん切り): 30g +- 赤唐辛子(種を出す): 1/2本 +- 【A】水: 50ml +- 【A】醤油: 小さじ1 1/2 +- 【A】砂糖: 小さじ2 +- 【A】酒: 小さじ1 +- ごま油: 大さじ1 +- 白炒りごま: 適宜 + +## 作り方 +1. 鍋にごま油と赤唐辛子を入れて強火にかけ、ごぼうを炒める。人参も加えて、さらに炒める。 +2. 合わせておいた【A】を加え、汁気をとばすように炒り煮にする。汁気がほとんどなくなったら火を止め、少しおいて味をなじませる。 +3. 器に盛り付け、白炒りごまをひねりながらかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 近藤 惠津子(『食材選びからわかるおうちごはん』より) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_27_1.jpg)" +"# ちゃんこ鍋 東京都 + +**郷土料理名**: ちゃんこ鍋 + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +墨田区 + +## 主な使用食材 +鶏肉、白菜、人参、ねぎ、水菜、しいたけ、油揚げ、豆腐など + +## 歴史・由来・関連行事 +明治時代に始まったと伝わる「ちゃんこ鍋」。ちゃんことは、力士たちが食べる料理のことで、ちゃんこ鍋は一度に大量の食事を作れる力士たちの体を作るために欠かせない料理だ。肉や野菜、魚介類などさまざまな食材を用いることで良いだしが出て、具材に味が染み込み、栄養価の高いおいしい鍋が簡単に作ることができる。昔は、四足歩行の肉を使うことを避けていたと伝わる。手をつくことが負けるイメージに繋がり牛や豚の肉を避けて縁起を担いでいた。日本の伝統文化と言われる相撲の歴史は、1500年以上と深い。力比べや展覧勝負の伝説も日本書紀や古事記の中にも挙げられており、農作物の収穫を占う祭りの儀式としても行われていた。相撲を職業とするようになったのは江戸時代。中期頃には定期的に興行されるようになり、歌舞伎と並び庶民の娯楽となっていく。 + +## 食習の機会や時季 +元々は力士たちの体を作るために作られた鍋料理で、相撲部屋で通年食されてきた。現在では、さまざまなちゃんこ鍋を提供する店舗があり、家庭でも気軽に作れるメニュー。ちゃんことは力士が食す食べ物のため、一般人が作る場合は食材が同じでも寄せ鍋となる。 + +## 飲食方法 +だし汁や鶏ガラから作ったスープに、鶏肉に、白菜、人参、ネギなどの野菜や油揚げ豆腐などを一緒に煮込んで食べる。味付けは醤油や味噌など、様々である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鶏もも肉: 1枚 +- 鶏だんご: 10個 +- 白菜: 1/4個 +- にんじん: 1/3本 +- 長ねぎ: 2本 +- 水菜: 1/2福る +- しいたけ: 4枚 +- 絹ごし豆腐: 1/2丁 +- 油揚げ: 2枚 +- くずきり: 1袋 +- 【スープ】水: 1000㏄ +- 【スープ】鶏ガラスープの素: 大さじ3 +- 【スープ】塩: 小さじ1 +- 【スープ】にんにく(すりおろし): 3~5片 +- 【スープ】しょうが(すりおろし): 少々 + +## 作り方 +1. 具材は全て食べやすい大きさに切る。 +2. スープを鍋に入れ、沸騰させる。煮えにくい具材から入れて、火を通す。 +3. 煮えた具材からいただく。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_28_1.jpg)" +"# 串だんご 東京都 + +**郷土料理名**: 串だんご + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +都内全域 + +## 主な使用食材 +上新粉、白玉粉、あん、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +団子は平安時代に唐からの伝来の唐菓子の一つの団喜が団子になったといわれている。米の粉を丸くして茹でたものが団子である。団子を串に刺して焼いたものが串団子であるが、室町時代までさかのぼれるという。江戸時代に庶民も旅をするようになると茶店や神社仏閣の境内の店などで串団子を売る店もできた。東京では柴又の帝釈天題経寺門前の団子屋は「寅さん」の映画で有名になった。「花より団子」という言葉がはやるほど人気が出て、全国的に広まった一串5つ刺しの串だんご��、京都発祥と言われる。東京でも、江戸時代では5つ刺しが主流であり、1本5文銭で販売されていた。4文銭が流通を始めてから、買い求める客で混雑する中、4文銭を置いて持ち帰る不正を行う客が増え、店主が困り苦肉の策でだんごの数を減らして4つ一串にしたことが、4つ刺しのだんごが生まれたはじまりという記録が残っている。現在でも串だんごは関東では4つ刺し、関西では5つ刺しが主流である。 + +## 食習の機会や時季 +日常的なおやつとして通年食されている。 + +## 飲食方法 +粉を混ぜ合わせ、ぬるま湯を入れてかたまりをつぶしながらこねる。耳たぶくらいの固さになったら、小さく分けて手のひらで転がしながら丸める。たっぷりの湯に丸めただんごを入れてゆでたものに、あんや砂糖醤油たれ(みたらし)やきな粉などをつけて食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4本分) +- 白玉粉: 30g +- 水: 50ml +- 上新粉: 120g +- 熱湯: 70ml +- 【たれ】醤油: 大さじ1 +- 【たれ】砂糖: 大さじ3と半分 +- 【たれ】水: 大さじ5 +- 【たれ】片栗粉: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 白玉粉に水を少しずつ加えながら練る。上新粉は熱湯を加え混ぜてから白玉粉を合わせてよくこねる。5から4等分にしておく。 +2. 熱湯で1を浮き上がってくるまで茹でて、湿らせたふきんにとりあげ、よくこねる。 +3. よくこねた生地を棒状にし、16等分に切り分ける。 +4. 丸めて一串に4個通す。軽く焼き目をつける(バーナーがあると便利) +5. 小鍋にたれの材料を入れてよく混ぜながら火を通す。 +6. 4に5をからませる。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_29_1.jpg)" +"# うどの酢味噌和え 東京都 + +**郷土料理名**: うどの酢味噌和え + +**都道府県**: 東京都 + +## 主な伝承地域 +北多摩地区 + +## 主な使用食材 +うど + +## 歴史・由来・関連行事 +数少ない日本原産の野菜のひとつうどを用いた料理と言えば「うどの酢みそ和え」が代表的。江戸時代の後期から東京で栽培されたうどは、練馬大根などとともに、江戸東京野菜のひとつとして親しまれる伝統野菜。深さ3~4mほどの室(むろ)と言われる穴で育ち、光が当たらないため白く繊維も柔らかであくも少なく、独自の風味や食感が特徴だ。この室の入口は、人が一人入れるくらいのわずかな空間であり、その狭さの中で植え付けから収穫までを行う手間のかかった野菜である。1830年代の江戸時代後期以降から武蔵野八幡宮周辺でうどの栽培が始まった。この周辺は、旧武州多摩郡吉城寺村として江戸時代より農業が盛んであった。関東ローム層のしっかりとした地層や温度と湿度がうどの栽培に適しており、この地域で生産が盛んになっていく。1948年(昭和23年)から穴蔵でうどを栽培する軟化うどの研究がされ、その後うどの軟化法は北多摩地区に広まった。 + +## 食習の機会や時季 +うどの旬は12月中旬から3月。江戸時代から栽培が始まったと言われるうどは、当時江戸っ子たちが初物を楽しむ食材のひとつだった。 + +## 飲食方法 +厚めに皮をむいたうどを酢水につけて、短冊切りにし熱湯にくぐらせてから冷やす。砂糖とみそをよく混ぜて、酢、みりんなどを加えて酢みそをつくりうどと和える。うどは色が変わりやすいので早めに酢水につける。酢みそは、白みそを使うことが多いが、赤みそや合わせみそを用いることもある。菜の花やホタルイカなどもうどと酢みそと相性が良い。皮は天ぷらやきんぴらに利用できる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- うど: 1/4本 +- わかめ(戻したもの): 40g +- 【酢みそ調味料】白みそ: 大さじ2 +- 【酢みそ調味料】米酢: 大さじ1 +- 【酢みそ調味料】砂糖: 大さじ1/2 +- ねりからし: 適宜 + +## 作り方 +1. 酢みそ調味料をよく合わせ、酢みそを作る。 +2. うどは4~5cmの長さに切る。皮を厚めにむいて短冊に切り、酢水につけ、あく抜きをし水気を切る。 +3. わかめはさっと湯通しし、水にとってから食べやすい大きさに切る。 +4. 器にわかめとうどを盛り、酢みそをかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 東京うど生産組合連合会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_30_1.jpg)" +"# 生しらす丼 神奈川県 + +**郷土料理名**: 生しらす丼 + +**都道��県**: 神奈川県 + +## 主な伝承地域 +湘南地域 + +## 主な使用食材 +生しらす、ご飯 + +## 歴史・由来・関連行事 +新鮮な生しらすを酢飯(または白飯)に乗せた丼飯。茅ヶ崎、鎌倉、江の島など湘南地域の名物料理として知られている。しらすはイワシの稚魚である。ゆでたしらすを「釜揚げしらす」、さらに天日干ししたものを「しらす干し」と呼ぶが、生しらすはその名の通り、加工していない生のしらすのこと。生しらすは鮮度が落ちるのが早く、水揚げ当日にしか食べることができない。湘南地域では、江戸時代にはすでにしらす漁が行われていた。当初は、長方形の枡にしらすを広げて天日干しする「たたみいわし」に加工するのが一般的で、釜揚げしらすは漁師の自家消費のみ、生で食すことはされていなかった。やがて釜炊きや冷蔵の技術発展にともない、釜揚げしらすや生しらすが加工直売されるようになり、地域の特産品として人気を集めることになった。漁場となるのは、県南部に広がる相模湾である。沿岸近くにしらすの漁場が形成されるため、水揚げまでがスピーディーで、鮮度が非常に良い状態で水揚げできる。神奈川県のしらす漁業者の大半は、漁獲から加工、直売まで一貫して手がけており、しらすの鮮度と味わいに定評がある。 + +## 食習の機会や時季 +漁期は3月11日~12月31日の約10カ月間。しらすはほぼ通年獲れるが、イワシ類の産卵がピークとなる春と秋に、しらす漁は最盛期を迎える。小ぶりながらぷりぷりとした春しらす、脂ののった秋しらす、それぞれの美味しさがある。1月1日~3月10日は禁漁期となる。 + +## 飲食方法 +酢飯の上に生しらすを乗せ、しょうゆをたらして食す。薬味としてのり、大葉、刻みネギ、卵の黄身などを添えたり、味付けに麺つゆ、ポン酢、生姜醤油を使ったりと、飲食店や家庭によってアレンジが楽しまれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- ご飯: 茶碗2杯程度 +- 生しらす: 約50グラム +- しょうがすりおろし: 適量 +- しょうゆ: 適量 +- 卵黄またはうずらの卵: 1個 +- お好みの薬味(小口ネギ、きざみのり、大葉、白ごまなど): 適量 + +## 作り方 +1. 温かいご飯を茶碗によそう。 +2. 生しらすをその上にかける。 +3. 真ん中に卵黄またはうずらの卵をのせる。 +4. お好みの薬味を入れる。 +5. しょうゆをかけ、しょうがのすりおろしを乗せて完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 快飛(かっとび) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kanagawa_3_1.jpg)" +"# へらへら団子 神奈川県 + +**郷土料理名**: へらへら団子 + +**都道府県**: 神奈川県 + +## 主な伝承地域 +横須賀市、県央地域 + +## 主な使用食材 +薄力粉、白玉粉、あん + +## 歴史・由来・関連行事 +三浦半島の西部に位置する横須賀市佐島に伝わる、小麦粉と白玉粉で作った平たい団子にあんをからめたあんころもち。素朴な味わいで、子どもからお年寄りまで幅広い世代に親しまれてきた郷土料理である。その名前の由来は「押しつぶした平たい形だから」「漁業の道具である箆(へら)に似ているから」など諸説ある。佐島では、江戸時代から続く夏の船祭りの際、豊漁と無病息災を願い、横須賀市の重要無形民俗文化財である「佐島御船歌」や特産のマダイとともに、へらへら団子が奉納される。家庭においても、船祭りに合わせてへらへら団子を作り、神棚に供えたり、集まった親族とともにその味を楽しんだりという慣習が残っている。また、座間市芹沢などでは、農家のおやつとして古くから食されている。 + +## 食習の機会や時季 +佐島地域では、船祭りが行われる夏によく食される。 + +## 飲食方法 +小麦粉と白玉粉に水を加えて練ってから団子状にちぎり、平たくのばして熱湯でゆでる。ゆであがった団子の水気を切り、あんをよくからませる。小麦粉に卵を混ぜたり、あんの代わりにみたらしあんをからませたりと、地域や家庭によって味付けが工夫されている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 薄力粉: 250g +- 水: 150cc +- こしあん: 250g + +## 作り方 +1. 薄力粉に水を加えて、耳たぶくらいの柔らかさになるまでこね、30分程寝かせる。 +2. 鍋にたっぷりのお湯を沸かし、1を手のひらまたは指先で平たく伸ばしな���ら、5cm大にして入れる。 +3. すべての生地を入れたら差し水をする。再度沸騰したら火を止めて、そのまま2~3分置く。 +4. 3をサッと水にさらしてぬめりを取り、水気を切って、こしあんをよくからませる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : よこすか葉山農業協同組合 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kanagawa_4_1.jpg)" +"# とん漬け 神奈川県 + +**郷土料理名**: とん漬け + +**都道府県**: 神奈川県 + +## 主な伝承地域 +厚木市、相模原市、座間市 + +## 主な使用食材 +豚肉、特製味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +良質な国産豚肉を特製味噌にじっくりと漬け込んだもので、厚木市の名物料理である。豚肉にからんだ香ばしい味噌の風味がご飯によく合う一品。そのルーツは江戸末期にさかのぼる。当時の武士は、牛・豚・イノシシなど四つ足の肉を食べることを嫌っていた。ある時、荻野山中藩(現在の厚木市近辺)に大勢の人が集まり、料理が不足してしまった。そこで何の肉か分からないようイノシシの肉に味噌を塗り焼いて出したところ大変好評となった。これがとん漬けの始まりだという。文明開化とともに日本にも肉食の文化が広まると、港をもつ神奈川県では養豚業がさかんとなり、なかでも厚木は一時300軒もの養豚場が存在するほどで、やがてとん漬けも厚木の名産として認知されるようになった。現在では厚木市に隣接する座間市、相模原市でも親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +季節を問わず、年間を通して食べられている。日常のおかずとして楽しまれるほか、地域の土産品、贈答品としても重宝されている。とん漬けをアレンジしたヒレカツやとん漬けラーメンなどの多くのアイデア料理も生み出され、楽しまれている。 + +## 飲食方法 +みりんや醤油、にんにくなどを調合した特製味噌に豚肉を漬け込む。フライパンにクッキングシートかアルミホイルを敷き、サラダ油をひいて豚肉を置き、蓋をして中火で焼く。網やオーブンで焼いたり、油で揚げたりといった調理法もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 () +- とん漬け(市販のものを使用): 適量 + +## 作り方 +1. フライパンにホットクッキングシートかアルミホイルを敷き、少しサラダ油をたらし、蓋をして中火で、焦がさないように焼く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : あつぎとん漬のれん会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kanagawa_6_1.jpg)" +"# 酒まんじゅう 神奈川県 + +**郷土料理名**: 酒まんじゅう + +**都道府県**: 神奈川県 + +## 主な伝承地域 +相模原市 + +## 主な使用食材 +小麦粉、酒種、あん + +## 歴史・由来・関連行事 +米・麹から作った酒種と小麦粉を混ぜた生地で、あんを包んで蒸しあげたまんじゅう。相模原は火山灰が多く稲作に向かない土地であったため、古くから小麦や大麦などの畑作がさかんで、地粉を使用したさまざまな食べ物が親しまれてきた。そのなかでも酒まんじゅうは、祭りや人寄せの際に必ず食卓に上がるごちそうだった。「酒まんじゅうが作れることが嫁入りの条件」とされた時代もあったという。生地を発酵させるには暑い時期が最適であるため、特に7、8月に行われる祭礼には欠かせない儀礼食で、各家庭で大量に作って家族で楽しんだり、親族に配ったりされた。 + +## 食習の機会や時季 +現在は家庭で手作りされることは少なくなったが、市中の菓子店や農産物直売所などで一年を通して販売され、地域の名産として根強い人気がある。店舗によって、昔ながらの製法で作ったり、地元産の材料にこだわったりと特色がある。 + +## 飲食方法 +伝統的な製法では、白飯に水と麹を加えた酒種(まんじゅう酒)を使って生地を発酵させる。その生地で小豆あんを包み込み、丸めて蒸しあげる。また、具材に小豆あんではなく味噌あんなどを用いる場合もある。伝統的な作り方は出来上がるまでに数日かかるため、地元の食生活改善推進団体ではベーキングパウダーと日本酒を利用し、家庭で簡単に作れるように工夫したレシピの紹介も進めている。なお、伝統製法のものを「さかまんじゅう」と呼ぶのに対し、酒種を使わない製法のものは「さけまんじゅう」と呼び、区別されている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (40個分)※行事食用の分量とレシピ) +- 【種】ご飯: 茶碗2~3杯分 +- 【種】水: 600cc +- 【種】米麹: 25g +- 【皮】地粉: 1kg +- 【皮】種汁: 2と1/2カップ +- 【皮】砂糖: 大さじ4 +- 【小豆あん】小豆: 2カップ +- 【小豆あん】砂糖: 350g +- 【小豆あん】塩: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 【種】種の材料を桶(タッパーでも可)に入れ、よく混ぜ合わせて発酵させる。 +2. ご飯が浮いてきたらざるにあげて絞る。※夏季は2日くらいで発酵する、冬季は5~6日かかる。 +3. 【まんじゅうを作る】地粉に砂糖・種汁を加えて混ぜ、耳たぶ程度の柔らかさにし、寝かせる。※夏は4時間くらい、冬は一晩置くと2倍くらいにふくらむ。粉をこねる時に砂糖を入れると生地が硬くならない。 +4. 膨らんだ生地を静かに1~2回ガス抜きして、更によくこねる。 +5. 4を1個分(約60g)ずつちぎり、なめらかに整形する。 +6. 生地を広げる(中心は厚く、外側は薄く)。 +7. 作っておいたあん(約40g)を皮の中心に乗せて、あんを皮で包む。口が開かないように最後に指先で皮をきゅっと止める。上から指で押して元に戻るくらいまで30分程寝かす。 +8. 蒸し器に入れ、20分蒸す。※蒸す時、火が強いと生地が割れるので注意。 +9. 火から下ろし、うちわであおいでつやを出す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 相模原市食生活改善推進団体わかな会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kanagawa_7_1.jpg)" +"# かて飯 神奈川県 + +**郷土料理名**: かて飯 + +**都道府県**: 神奈川県 + +## 主な伝承地域 +相模原市 + +## 主な使用食材 +米、干ししいたけ、ごぼう、人参、ちくわ、油揚げ、さやいんげん + +## 歴史・由来・関連行事 +相模原市に古くから伝わる郷土料理で、白飯と煮付けた野菜を混ぜ合わせた混ぜご飯。かつて、相模原には火山灰に覆われたやせた土地が多く、米よりもさつまいもや小麦が多く栽培されていた。貴重な米をかさ増しするため、大根や芋などの野菜を入れた料理が「かて飯」である。農作業の折の糧となる食べ物であることからその名が付いたという。祭りや彼岸など特別な日にはたくさんの具を入れてごちそうとされた。 + +## 食習の機会や時季 +近年では、年中行事などの際に縁起物として家庭で食されている。 + +## 飲食方法 +細切りにした干ししいたけ、人参、ごぼう、油揚げなどの具を、砂糖としょうゆを入れただし汁で煮る。煮た具を白飯と混ぜ合わせる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 3.5カップ +- 米用)煮汁: 適量 +- 米用)水: 適量 +- こんにゃく: 1/2枚 +- 油揚げ: 1枚 +- ごぼう: 100g +- にんじん: 100g +- 干ししいたけ: 4枚 +- ちくわ: 1/2本 +- 水: 適量 +- 【調味料】しょうゆ: 大さじ3・1/2 +- 【調味料】砂糖: 大さじ2 +- 【調味料】しいたけの戻し汁: 適量 + +## 作り方 +1. こんにゃくはさいの目に切り、油揚げ、ごぼう、にんじん、しいたけは千切りにする。ちくわは輪切りにする。 +2. 切った材料を鍋に入れ、しょうゆ、砂糖、しいたけの戻し汁にひたひた位の水を入れて、水分量が10%くらいになるまで煮る。 +3. 米を洗い、具の煮汁と水を炊飯器の分量に合わせて加え炊く。 +4. ご飯が炊きあがったら、具を入れて蒸らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 神奈川県食生活改善推進団体なごみ会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kanagawa_8_1.jpg)" +"# ワカサギの甘露煮 神奈川県 + +**郷土料理名**: ワカサギの甘露煮 + +**都道府県**: 神奈川県 + +## 主な伝承地域 +箱根町 + +## 主な使用食材 +ワカサギ + +## 歴史・由来・関連行事 +神奈川県の西端、箱根町の芦ノ湖で獲れたワカサギを、素焼きしてからじっくり煮込み、水あめで照りを出した郷土料理。甘辛くしっかりした味付けで、水分を飛ばしているため日持ちし、保存食としても重宝されている。芦ノ湖は標高724メートル、箱根火山の火山活動で生まれたカルデラ湖である。逆さ富士を眺める景勝地として知られるとともに、古くから漁業でも栄えてきた。大正7年、茨城県の霞ヶ浦からワカサギの種卵が移植されワカサギ漁が始まって以来、100年以上にわたって増殖事業が続けられている。芦ノ湖の澄んだ水で育ったワカサギはその美味しさに定評があり、箱根の特産品として地元の人々だけで��く観光客にも親しまれている。芦ノ湖では毎年10月1日にワカサギの刺し網漁が解禁となる。当日は地元の漁師らが一斉に船を出し、その日獲れた初物は箱根神社で祈祷された後、宮内庁に献上される。ワカサギにはフライや南蛮漬けなどさまざまな調理法があるが、なかでも甘露煮はこの地域で古くから親しまれてきた料理で、正月には定番の品として食卓に上がる。 + +## 食習の機会や時季 +冬の魚というイメージがあるワカサギだが、芦ノ湖では8月頃から漁獲でき、11月頃に最盛期を迎える(禁漁期間は12月中旬~2月)。漁獲期間中は地元の旅館や飲食店などで、甘露煮をはじめ多彩なワカサギ料理が提供されている。 + +## 飲食方法 +素焼きにしたワカサギを鍋に並べ、番茶を入れて弱火で一日煮る。醤油、砂糖、みりんなどの調味料を加え、さらに一日煮込む。最後につや出しのため水あめを加える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4~5人分)※分量は好みで調整) +- ワカサギ(鮮魚): 適量 +- 醤油: 180~240cc +- 酒: 適量 +- みりん: 60~100cc +- 三温糖: 300~350g +- 好みの調味料: 適量 +- 水あめ: 80~100g +- 番茶: 適量 + +## 作り方 +1. よく洗ったワカサギを素焼きにし、鍋の底に並べて落し蓋をし、番茶を入れる。とろ火で約一昼夜よく煮る。 +2. 醤油・三温糖・酒・みりん・調味料を加え、また一日ゆっくりとろ火で煮る。最後につやだしに水あめを加える。 +3. よく冷ましてから、形を崩さぬように鍋から取り上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 芦之湖漁業協同組合 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kanagawa_9_1.jpg)" +"# 梅ごはん 神奈川県 + +**郷土料理名**: 梅ごはん + +**都道府県**: 神奈川県 + +## 主な伝承地域 +小田原市 + +## 主な使用食材 +梅干し、米、ちりめんじゃこ + +## 歴史・由来・関連行事 +梅干しとちりめんじゃこを混ぜた米を、だし汁で炊いた飯料理。梅のさわやかな香りとじゃこの旨みが楽しめる、夏にぴったりな品。神奈川県の「ふるさとの生活技術指導士」となった地元の女性が、小田原の特徴を出した料理を求められて考案し、周囲に広めた。地元の家庭で普段の食事の一品として食されている。小田原では戦国時代の昔から梅の栽培が行われてきた。当初は兵糧用として城下に梅の木が植えられ、江戸時代になると箱根を超える旅人たちが、弁当の腐敗防止のおかずとして、宿場町・小田原の梅干しを重宝した。「東海道中膝栗毛」には小田原の名産品として梅漬が登場している。また現在も、関東三大梅林に数えられる曽我梅林を中心に梅の栽培がさかんに行われており、小田原市は神奈川県下で最も多い生産量を誇る。小田原のオリジナル品種である「十郎梅」は果肉が厚くて柔らかく、梅干し用品種の最秀品とされている。地元では身近な食材である梅を使い、梅エキスや梅ジャムなど新旧さまざまな料理が開発されてきたが、梅ごはんもそのひとつである。 + +## 食習の機会や時季 +梅栽培がさかんな曽我地域を中心に、家庭の日常食として楽しまれている。梅の収穫時期である夏に食卓に出されることが多い。 + +## 飲食方法 +昆布とかつお節でだしをとり、酒やみりんを加え、洗った米を入れて1時間ほど浸す。梅干しとちりめんじゃこを混ぜ合わせて炊飯する。器に盛り、刻んだ青シソなどを添えて完成。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5~6人分) +- 米: 3カップ +- 梅干し(種を抜いたもの): 50g +- じゃこ: 1/3カップ +- だし汁(酒少々、みりん大さじ2を含む): 720cc +- 青じその葉: 5枚 +- 鳴門かまぼこ: 1本(なければよい) + +## 作り方 +1. 昆布とかつお節でだしをとっておく。 +2. 米を洗ってみりんと酒を入れ、だし汁を分量まで入れて、3時間くらい浸しておく。 +3. 炊くときは、じゃこと梅干しを入れる。 +4. 炊き上がったら器に盛り、刻んだ青じその葉をのせる(青じそがない時は、刻みのりを使うとよい) +5. あれば鳴門かまぼこを薄く切りのせてもよい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : むつき会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kanagawa_10_1.jpg)" +"# にごみうどん 神奈川県 + +**郷土料理名**: にごみうどん + +**都道府県**: 神奈川県 + +## 主な伝承地域 +相模原市津久井地域 + +## 主な使用��材 +生うどん、乾麺、大根、人参、小松菜、しめじ、白菜、油揚げ、長ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +野菜を具とした汁で直接うどんを煮込んだ、相模原市津久井地域の郷土料理。地域内でもエリアによって味噌味、醤油味、その両方といったように、味付けに特色がある。「にごみうどん」という名前の由来は、汁が「濁る」からとも、「煮込みうどん」がなまったものともいわれている。津久井地域は稲作に不向きな土地であったため、古くから小麦・大麦などの栽培が盛んで、毎日のように小麦粉で打ったうどんが食されてきた。麺は各家庭で手作りされており、製麺機が登場した昭和20年代には、地元の製麺所に粉を持参して麺を作ってもらうこともあったようだ。昭和40年ごろまでは日常的な家庭料理としてにごみうどんは頻繁に食卓にあがっていた。ただし近年は食生活の変化により家庭で食される機会は大きく減少している。そこで伝統の味を残したいと地元の商工会が尽力した結果、現在では周辺の飲食店でも提供されるようになった。 + +## 食習の機会や時季 +冬場によく食されてきた。それ以外の季節も、その時期に畑で採れた野菜を使って作られる。 + +## 飲食方法 +生うどんを作り、野菜などの具材は切っておく。切った野菜をだし汁に入れて柔らかくなるまで煮る。そこに生うどん、乾麺をほぐしながら入れる。うどんが煮えたら、好みの味噌、醤油、塩などで味をととのえる。小口切りしたねぎを加えてひと煮立ちしたら、器に盛る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 【生うどん】中力粉: 300g +- 【生うどん】水: 120~140ml +- 【生うどん】塩: 2~2.5g(小さじ1/2弱) +- 乾麺(津久井産麺): 約250g +- だし汁(かつおぶし・煮干し・昆布*何のだしでも可): 1000~1200ml +- 大根: 100g +- 人参: 50g +- 小松菜: 1/3~1/2把 +- しめじ: 1/2~2パック +- 白菜: 200~300g +- 油揚げ: 1枚 +- 長ねぎ: 1/3~1/2本 +- 味噌または醤油: 味噌は30~50g、醤油は30~40ml +- 塩: 適量 +- ゆずこしょう: 適量 +- ※調味料を加える時はだし汁・うどんの塩分があるので注意が必要: 適量 + +## 作り方 +1. 生うどんを作る。中力粉300gに塩水(水120ml+塩小さじ1/2弱)を少しずつ加え、水回しをしながら混ぜてゆく。水をよく混ぜ込むように生地をまとめてゆく。まとめたらよくこねる。生地が均一になったら、ビニール袋などに入れて足で踏む(5~10分くらい)。生地を打ち粉をしながら麺棒でのして、折りたたみ、端から細目に均一に切る。 +2. 野菜を切る。大根はいちょう切り、人参は千切り、白菜は1~1.5cm幅に繊維に直角に切る。小松菜は3cmのざく切り、しめじは小房に分ける。油揚げは油抜きをして、千切りにする。長ねぎは小口の薄切りにする。 +3. だし汁(1000~1200ml)で2で切った大根・人参・しめじ・油揚げを柔らかくなるまで煮て、小松菜を加えてさらに煮る。 +4. 3にうどんを入れて煮る。生うどん・乾麺ともほぐしながら入れる。 +5. うどんが煮えたら、一度味見をしてから、好みの味噌か醤油+塩で味をととのえる。最後に小口のねぎを加えひと煮立ちして、器によそい、ゆずこしょうを好みで添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 津久井地域商工会連絡協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kanagawa_11_1.jpg)" +"# かんこ焼き 神奈川県 + +**郷土料理名**: かんこ焼き + +**都道府県**: 神奈川県 + +## 主な伝承地域 +相模原市津久井地域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、季節の食材 + +## 歴史・由来・関連行事 +「かんこ焼き」は、小麦粉の皮でたっぷりの具を包み、焼いて蒸しあげた、おやきのような食べ物。具には山菜、小豆、かぼちゃ、キノコ、漬物など、季節に合わせた地元食材を使う。江戸時代から相模原市津久井地域に伝わる郷土料理である。津久井地域は稲作に適さない山間地であったため、古くから麦や豆が栽培され、小麦を中心とする粉食文化が根付いた。江戸時代には、うるか(アユのはらわたの塩漬け)や味噌を皮で包み、囲炉裏の熱い灰で蒸し焼きにしたかんこ焼きが昼食やおやつとして食された。かんこ焼きという名は、雅楽に使う太鼓の一種「鞨鼓(かっこ)」に形が似ていることから付いたといわれる。 + +## 食習の機会や時季 +季節��合わせて具を変えることで、四季折々の味を楽しめる。身近な食材を包んだ素朴な味わいのおやつとして、家庭を中心に親しまれてきた。 + +## 飲食方法 +小麦粉で作った生地を少し発酵させ、小豆、かぼちゃ、フキなどの山菜、しめじなどのキノコ、クリ、切り干し大根、漬物など季節の食材を具として包み、軽く焼いたあとに蒸しあげる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (12個分) +- 小麦粉: 500g +- 水: 260cc +- 卵: 1個 +- 砂糖: 40g +- ベーキングパウダー: 10g +- 小豆、かぼちゃ、切り干し大根、キノコなどの食材(お好みで): 適量 + +## 作り方 +1. 小麦粉にベーキングパウダーを入れて、ふるいにかける。 +2. 水と卵を混ぜて砂糖を入れて1に入れる。耳たぶくらいのやわらかさにこね、1時間寝かせる。 +3. 適当な大きさに丸めて、小豆、かぼちゃ、切り干し大根、漬物、しめじ等お好みの具を入れて焼く。 +4. 焼いたものを蒸し器に入れて、10分程蒸す。 +5. 蒸し器から出して冷ます。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 津久井商工会女性部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kanagawa_12_1.jpg)" +"# マグロのかぶと焼き 神奈川県 + +**郷土料理名**: マグロのかぶと焼き + +**都道府県**: 神奈川県 + +## 主な伝承地域 +三浦市三崎地域 + +## 主な使用食材 +マグロ + +## 歴史・由来・関連行事 +日本屈指のマグロ漁港として知られる三浦半島の三崎港。「マグロのかぶと焼き」は、三崎地域の名物で、マグロの頭部をそのまま焼き上げた豪快な料理。もともとはマグロ漁船に乗って遠洋に出かけた三崎の漁師たちが、売り物にならないマグロの頭を船の煙突に吊り下げて蒸し焼きにして食べていたことが始まり。また、港に帰ってきた若い漁師たちの酒肴としても楽しまれた。40年ほど前から、三崎港近くの飲食店がマグロのかぶと焼きを一般客向けに提供し始めたという。巨大なマグロの頭がそのままテーブルに上がるこの料理はインパクトが大きく、特に観光客に楽しまれている。一般的なマグロ料理では口にすることが少ない、ホホの身や目玉の裏の身など希少な部位を味わえるのも魅力である。港に適した地形をもつ三崎は、古くから沖合・沿岸漁業の拠点として発達し、昭和初期にはマグロ漁が盛んな遠洋漁業基地として全国に知られるようになった。現在では世界各国で獲れたさまざまな種類のマグロが船上でマイナス60℃に冷凍保存され港に運ばれ、魚市場を通して首都圏を中心に出荷されている。三崎の魚市場では一日に400~1000匹のマグロが取り扱われている。 + +## 食習の機会や時季 +マグロの種類によって旬の時期は変わるが、三崎港には世界中から多種多様なマグロ類が集まっており、また冷凍技術も発達しているため、一年を通してかぶと焼きをはじめとするさまざまなマグロ料理を楽しむことができる。かぶと焼きは漁港周辺の海鮮料理店で、事前予約制にて提供されている。 + +## 飲食方法 +マグロの頭をオーブンで3時間から4時間かけて弱火でじっくり焼く。目玉の奥のゼラチン質の眼肉、頭身、ホホ肉、あごの内側の身を、おろし大根に醤油、ポン酢、土佐酢など好みの調味料で食べる。部位による食感の違いが楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10~20人分) +- マグロの頭: 1匹分 + +## 作り方 +1. マグロの頭をオーブンで3時間から4時間かけて弱火でじっくり焼く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 三崎館本店 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kanagawa_13_1.jpg)" +"# 割り干し大根のはりはり漬け 神奈川県 + +**郷土料理名**: 割り干し大根のはりはり漬け + +**都道府県**: 神奈川県 + +## 主な伝承地域 +三浦市 + +## 主な使用食材 +大根 + +## 歴史・由来・関連行事 +三浦半島の先端に位置する三浦市に伝わる郷土料理。地域の特産品である大根を、切り干し大根より太く切った「割り干し大根」にして、醤油やだし汁などの調味料に漬けたもの。三浦市は三方を海に囲まれた街である。冬は暖かく夏は涼しいため、一年を通じてさまざまな野菜が露地栽培されているが、とりわけ大根は日本一の生産量を誇り、国の指定産地となっている。この地域では江戸時代にはすでに大根栽培が行われていた。明治後期、三浦の在来種と東京の練馬大根を交配して生まれたのが全国的に有名な三浦大根である。大正14年から東京市場に出荷される際に三浦大根と名付けられ、特産品として全国に知られるようになった。昭和50年代、台風で三浦大根が壊滅状態に陥ったことから青首大根が栽培され始め、現在では収穫しやすい青首大根が出荷量のほとんどを占めている。ただし今なお三浦大根には根強い人気があり、直売所などを中心に販売されている。大根になじみの深い三浦市では、大根の調理法のひとつとして古くから割り干し大根が作られてきた。割り干し大根を使った定番料理がはりはり漬けで、パリパリとした食感が楽しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +三浦市における大根の収穫時期は11月~3月である。そのため地元産の大根を使った割り干し大根も冬に作られる。多くの農家で日常食として頻繁に食されている。 + +## 飲食方法 +根元を切り落とした大根を縦に16~20分割し、2週間程度天日干しすると割り干し大根ができる。割り干し大根を昆布やスルメ、醤油などの調味液に漬けるとはりはり漬けの完成。地域や家庭によって、サザエやわかめなどの具材を入れたり、鷹の爪などでピリ辛にしたり、最近ではキムチの素を使って漬けるなど、さまざまにアレンジが楽しまれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4~5人分) +- 割り干し大根: 100g +- 昆布: 10g +- スルメ: 10g +- 唐辛子: 4本 +- 【調味液】水: 200ml +- 【調味液】醤油: 60ml +- 【調味液】酢: 35ml +- 【調味液】砂糖: 35g +- 【調味液】みりん: 15ml + +## 作り方 +1. 割り干し大根は水で洗う。 +2. 割り干し大根を1cmくらいに切る。 +3. 昆布をせん切りにする。 +4. スルメをせん切りにする。 +5. 唐辛子は種を抜き、小口に切る。 +6. 鍋に調味液を合わせ、ひと煮立ちさせ、冷ます。 +7. バットに2の割り干しダイコンと3の昆布、4のスルメ、5の唐辛子を入れ、ザッと混ぜる。 +8. 漬け込み容器に7の合わせた漬け込み材料を入れる。 +9. 8に6の調味液を注ぎ込む。 +10. 重石をする。 +11. 時々箸で全体を混ぜながら、保管する。 +12. 4日~6日で、味がなじみ、食べころとなる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 神奈川県農業技術センター「農産物の上手な利用法」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kanagawa_14_1.jpg)" +"# のらぼう菜のおひたし 神奈川県 + +**郷土料理名**: のらぼう菜のおひたし + +**都道府県**: 神奈川県 + +## 主な伝承地域 +川崎市 + +## 主な使用食材 +のらぼう菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +川崎市多摩区菅地区で約800年も前から栽培されてきたといわれる伝統野菜、のらぼう菜を使ったおひたし。のらぼう菜は、昔は油をとるために栽培され、農家は自家用として自家採種をして作り続けてきた。生命力が強く、江戸時代の大飢饉の際には多くの人の命を救ったという。現在、神奈川県では菅地区を含む川崎市北部や小田原市で、他県では埼玉県比企郡や東京都あきる野市などで栽培されている。アブラナ科の野菜であるが、特有の苦みやえぐみが少なく、ほのかな甘みとやわらかな食感、そして花茎(トウ)を食べるのが特徴。最初に主茎を地表から約10センチの位置で深摘心すると、その後わき芽が4、5回収穫できる。地元で農業を営んでいた髙橋孝次氏が、平成12年頃にこの手法を生み出し、周辺の農家に積極的に伝授した。また、同時期に地元の農家や商工会などが力を合わせ、のらぼう菜を使ったカステラや豆腐などの商品を開発したこともあり、それまで農家の自家用であったのらぼう菜が一般にも認知されるようになっていった。定番の食べ方がおひたしで、素材の香りと甘み、歯ざわりを楽しめるシンプルな一品である。 + +## 食習の機会や時季 +のらぼう菜の収穫期が2月下旬~4月下旬であるため、のらぼう菜のおひたしも春に食される。一般家庭を中心に日常食として親しまれており、最近では市中の飲食店でものらぼう菜を使った多彩なメニューが提供されている。なお、収穫後ののらぼう菜は傷みやすいため市場には多く出回らず、主に農家の軒先や大型農産物直売所などで販売されている。 + +## 飲食方法 +水洗いしたのらぼう菜を、塩を加えた熱湯でゆでる。火が通ったら、冷水にとってから水気を絞る���5cm程度に切りそろえ、器に盛る。醤油や出汁醤油を少しかけて味わう。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- のらぼう菜: 200g +- そばつゆ: 適量 +- かつおぶし: 適量 + +## 作り方 +1. のらぼう菜は塩を入れたたっぷりのお湯で約4分ゆでる。 +2. ゆであがったら、水にとり冷まし、絞る。 +3. 約5センチに切り、器に盛りつける。 +4. そばつゆを「かけつゆ」程度の割合にのばし、温める。 +5. 3に、たっぷりのそばつゆを注ぎ、最後にかつおぶしをふりかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : かわさきのらぼうプロジェクト + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kanagawa_15_1.jpg)" +"# サンマーメン 神奈川県 + +**郷土料理名**: サンマーメン + +**都道府県**: 神奈川県 + +## 主な伝承地域 +横浜市、神奈川県全域 + +## 主な使用食材 +もやし、白菜、キクラゲ、豚肉、人参、葉野菜、麺 + +## 歴史・由来・関連行事 +もやし、白菜、豚肉などを入れた野菜炒めにスープを入れ、とろみをつけてラーメンに乗せた、横浜発祥の麺料理。その名の由来や漢字については諸説あるが、一説によると「生馬麺」と書き、これは「新鮮でシャキシャキした素材を上に乗せた麵」の意味になるという。戦前から横浜中華街では肉そば(ルースー麺)がよく食べられていたが、高価だったため、まかないとして野菜入りの麺料理「サンマーメン」が作られるようになった。野菜あんをかけることでスープが冷めにくく、ボリュームもあることから人気となり、やがて県内各地の中華料理店がメニューにとり入れていった。今では県内のラーメン店や中華料理店にはサンマーメンを主力とするところも多い。横浜市民、神奈川県民にとって、サンマーメンは日常的によく目にする慣れ親しんだ品となっている。 + +## 食習の機会や時季 +県内各地の飲食店で、季節に関わらず一年を通して食すことができる。高級店から大衆店までさまざまな店で提供されているが、主には庶民の味として親しまれている。 + +## 飲食方法 +豚肉を炒め色が変わったら、野菜やキクラゲなどの具材を加えてシャキッと炒める。そこに醤油などの調味料と中華スープを加え、水溶き片栗粉でとろみをつける。器にラーメンスープとゆでた麺を入れ、野菜あんをかけて完成。定番の具材はもやし、白菜、豚肉だが、味や具材に明確な定義はない。醤油味だったり塩味だったり、オリジナルな具材を使ったりと、店舗ごとにアレンジされている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 【A】豚肉: 25g +- 【A】白菜: 60g +- 【A】タケノコ: 25g +- 【A】小松菜: 10g +- 【A】玉ねぎ: 65g +- 【A】人参: 15g +- 【B】もやし: 150g +- 【B】おろしニンニク: 5g +- 【C】醤油: 大さじ2 +- 【C】味の素: 小さじ1 +- 【C】砂糖: 小さじ1 +- 【C】ごま油: 小さじ1 +- 【C】スープ: 250cc +- 【D】片栗粉: 大さじ2 +- 【D】水: 50cc +- 【E】スープ: 250cc +- 【E】わりした(スープ醤油): 30cc +- 麺: 140g + +## 作り方 +1. 加熱したフライパンに【A】を入れて炒める。 +2. 火が通り始めたら【B】を入れる。 +3. 火が通り始めたら【C】を加え、【D】を入れ餡止めする。 +4. 【E】に茹でた麺を入れ、3を乗せて完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 味の散歩中華村 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kanagawa_16_1.jpg)" +"# 牛鍋 神奈川県 + +**郷土料理名**: 牛鍋 + +**都道府県**: 神奈川県 + +## 主な伝承地域 +横浜市 + +## 主な使用食材 +牛肉、長ねぎ、豆腐、しいたけ、春菊、卵 + +## 歴史・由来・関連行事 +味噌や醤油を使ったたれで牛肉を煮込んだ、横浜市発祥の鍋料理。すき焼きに似ているが、すき焼きは肉を焼いてから煮るのに対し、牛鍋は最初から具材をたれで煮る。日本で一般的に牛肉が食べられるようになったのは、長い鎖国が終わった江戸末期以降である。1859年に開港した横浜では、西洋文化の影響を受け、国内でもいち早く肉食文化が広まった。横浜港付近の居留地に住む外国人たちが食べていた牛肉料理にヒントを得て、横浜の居酒屋「伊勢熊」の主人が1862年に初の牛鍋屋を開業。当時の日本では牛肉を食することを嫌悪する人も多く、「伊勢熊」も妻の猛反対のため店を仕切って半分を居酒屋、半分を牛鍋屋としていたが、食べ慣れ���い牛肉を日本人好みの味付けにしたことから人気を博し、やがて牛鍋の専門店となったという。周囲にも次々と牛鍋屋が開店した。現在でも明治時代に開業した老舗料理店が営業を続けており、今では横浜を代表する名物料理となっている。 + +## 食習の機会や時季 +季節を問わず一年を通して提供されている。現在においては高級料理のイメージがあり、人が集まるお祝いの席や法事などの際に食されることが多い。 + +## 飲食方法 +鍋に、たれと肉・野菜を入れて煮る。煮えた具材を、溶き卵につけて食す。店舗によって、肉が薄切りだったり角切りだったり、あるいはたれが醤油味だったり味噌味だったりと、味付けや具材にそれぞれ特色がある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 牛もも塊肉: 300g +- 長ねぎ: 1本 +- 春菊: 1/2袋(約100g) +- しいたけ: 6個 +- 焼き豆腐: 1丁 +- 卵: 4個 +- 【A】水: 1と1/2カップ +- 【A】しょう油: 大さじ3 +- 【A】みりん: 大さじ1 +- 【A】砂糖: 大さじ2 +- 【A】削り節: 2パック(5g) +- 【B】赤みそ: 80g +- 【B】砂糖: 大さじ1 +- 【B】みりん: 大さじ1/2 + +## 作り方 +1. 牛肉は繊維を断つように1cm幅に切り、ひと口大にする。長ねぎは斜め1cm幅に切り、春菊は4等分の長さにし、太めの茎はたて半分に切る。しいたけは石づきを取り半分にし、焼き豆腐は8等分に切る。【B】を合わせておく。 +2. 小鍋に【A】を入れてひと煮立ちさせ、火を止めて10~15分おいて厚手のペーパータオルをのせたザルでこし、絞る。 +3. 鍋を熱して(2)を入れ、中央に【B】と長ねぎをのせる。まわりに牛肉と野菜、焼き豆腐を並べ、みそを溶かしながら煮て火を通し、溶き卵につけていただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 公益財団法人日本食肉消費総合センター、監修:フードスタイリスト マロン + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kanagawa_17_1.jpg)" +"# 小田原かまぼこ 神奈川県 + +**郷土料理名**: 小田原かまぼこ + +**都道府県**: 神奈川県 + +## 主な伝承地域 +小田原市 + +## 主な使用食材 +魚のすり身 + +## 歴史・由来・関連行事 +味付けしてよく練った魚のすり身を木の板に盛り付けて蒸しあげたもので、小田原市の特産品。食材には主に白身魚のグチ(イシモチ)が使われる。魚をすり身にする前に何度も水にさらして不純物や油分を取り除くことで、きめ細かく弾力のある食感のかまぼこが生み出される。板からぷっくりとはみ出した扇形が特徴的である。かまぼこの起こりは大変古く、現存する文献の中では、平安時代に描かれた祝宴の図に初めて「蒲鉾」の文字が登場する。当初は、なまずのすり身をすりつぶし、竹を芯にして焼いた、ちくわのようなものだったという。その見た目が蒲(がま)の穂や鉾に似ていることから「蒲鉾」と呼ばれるようになった。やがて魚のすり身を木の板に乗せて焼くようになり、江戸時代の終わりには蒸しかまぼこが登場した。小田原では室町時代にはすでにかまぼこが作られていたが、盛んに生産されるようになったのは江戸時代後期である。相模湾が近く魚がよく獲れたこと、箱根丹沢山系を水源とするミネラル豊富な水に恵まれたこと、そして東海道の宿場町という多くの人々が行き交う場所であったことから、関西地方で主流の焼きかまぼことはまた違う、江戸好みの蒸しかまぼこが小田原の名物として全国に知られるようになった。 + +## 食習の機会や時季 +季節に関わらず一年を通して食べられる。普段の食事はもちろん、正月のおせち料理やお祝いの席の一品になることもある。 + +## 飲食方法 +グチの魚肉を水にさらし、油や血合いを取り除く。水気を取ってすり身にし、塩、砂糖、みりんなどの調味料を加えながら練る。小骨や皮を取り除くため裏ごしする。板の上に盛り付けて成形し、蒸しあげる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 () +- グチ(イシモチ): 適量 +- 調味料(塩、砂糖、みりんなど): 適量 + +## 作り方 +1. 【身落とし】新鮮な魚の肉をとる。 +2. 【水さらし】天然の磨かれた水に魚肉をさらし、油や血合いを取り除く。 +3. 【脱水】さらした魚肉の余分な水分を取り除く。 +4. 【擂潰(らいかい)】石臼で塩を加えて練る。このとき、必要な調味料を加えて味付けをする。 +5. 【���抜き(裏ごし)】すり身の中の小骨や皮を取り除き、更に、小田原蒲鉾の特長であるきめの細かさと白さを増す。 +6. 【成形】板の上に盛り付ける。 +7. 【加熱】約90℃の蒸気で蒸し焼きにする。 +8. 【冷却】製品の温度が0℃位になるまで冷却する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 小田原蒲鉾協同組合 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kanagawa_19_1.jpg)" +"# 奈良茶飯 神奈川県 + +**郷土料理名**: 奈良茶飯 + +**都道府県**: 神奈川県 + +## 主な伝承地域 +川崎市 + +## 主な使用食材 +米、栗、小豆、煎茶、栗甘露煮(古くは勝栗) + +## 歴史・由来・関連行事 +米に栗、大豆、小豆、アワなどを入れ、お茶で炊いた炊き込みご飯。もともとは奈良の東大寺や興福寺などで僧が食べていた料理が川崎に伝わったという。江戸時代、東海道五十三次の宿場町であった川崎宿は人の往来が盛んであった。奈良茶飯は、川崎宿にあった茶屋「万年屋」でシジミのみそ汁や奈良漬けとともに提供され、旅人に大変な好評を博した。手早く食べられておいしい、現代でいうファーストフードのような料理で、江戸後期には大名も昼に立ち寄るほどの人気ぶりだったそうだ。十返舎一九の『東海道中膝栗毛』で弥次さん喜多さんが万年屋の奈良茶飯を食べるシーンが描かれたことがきっかけとなり、全国にその名が知れ渡った。万年屋の廃業によって川崎の奈良茶飯は途絶えていたが、2001年に開催された「大川崎宿祭り」で文献をもとにその味が再現され、シジミのみそ汁などとともに提供された。現在では、市内の和菓子店が奈良茶飯を現代風にアレンジした「奈良茶飯風おこわ」が開発され、川崎の新たな名物として注目を集めている。 + +## 食習の機会や時季 +万年屋の廃業以降は、日常的に食される機会はなくなった。「奈良茶飯風おこわ」は季節に関わらず1年を通して提供されている。 + +## 飲食方法 +米に小豆や勝栗などを入れ、煎茶で炊き込む。なお「奈良茶飯風おこわ」は炊き込みご飯ではなくもち米を使用したおこわであり、勝栗の代わりに栗の甘露煮が用いられている。また、江戸時代と同じようにシジミのみそ汁とともに提供されている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 3合 +- 煎茶またはほうじ茶(茶葉): 500cc +- 煎り大豆: 30g +- 栗: 100g +- 塩: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 米は洗って、水に30分浸水させる。 +2. 炊飯器に米、煎り大豆、栗、塩を入れて、茶を入れて炊く。 +3. 炊きあがったら茶碗に盛り付ける。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kanagawa_20_1.jpg)" +"# 田にしの味噌煮 神奈川県 + +**郷土料理名**: 田にしの味噌煮 + +**都道府県**: 神奈川県 + +## 主な伝承地域 +厚木市飯山温泉周辺 + +## 主な使用食材 +田にし、ごぼう + +## 歴史・由来・関連行事 +東京の奥座敷として知られる温泉郷・飯山の郷土料理で、甘辛い味噌で田にしを煮込んだもの。田にしには田楽や柳川鍋などさまざまな調理法があるが、代表的なものが味噌煮である。飯山地域では、かつては春になると田にしがよく獲れ、毎年、春の恒例行事であった飯山観音の花祭り(現在の「飯山桜まつり」)には、田にし料理を売る屋台が多く出店したという。そのため「タニシ町」と呼ばれるほどであった。この地域に、飯山観音の祭りに誘う「たにしことこと」というわらべ唄が伝わることからも、いかに地元の人々にとって田にしが身近なものであったかがうかがえる。地元産の田にしが入手困難になってからも、外国産を活用するなどして周辺の温泉宿で田にしの味噌煮を提供していたが、それも品薄となり、現在は提供されていない。 + +## 食習の機会や時季 +かつては農家の日常食であった。国産の田にしは田植え前の5~6月に獲れるため、田にしの味噌煮もその時期が旬となる。ただし、農業状況の変化などにより地元で田にしが収穫される機会は激減している。 + +## 飲食方法 +泥抜きした田にしをゆで、ごぼうなどの具材とともに、味噌や砂糖などを入れた煮汁で煮込む。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (200人分)※行事食用の分量とレシピ) +- 田にし: 10kg +- 丹沢みそ: 1kg +- ごぼう: 3本 +- 酒: 3合 +- 砂糖: 500g +- XOジャン: 少々 +- 醤油: 少々 +- 水: 8l + +## 作り方 +1. 田にし、ごぼうを湯がく。 +2. 1をごま油で炒める。 +3. 鍋に水をたっぷり張り、酒を入れて2を煮る。 +4. みそ、砂糖を入れる。 +5. XOジャン、醤油を入れて煮詰め、出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 元湯旅館 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kanagawa_21_1.jpg)" +"# シューマイ 神奈川県 + +**郷土料理名**: シューマイ + +**都道府県**: 神奈川県 + +## 主な伝承地域 +横浜市、神奈川県全域 + +## 主な使用食材 +豚肉、タマネギ、グリーンピース、シューマイの皮 + +## 歴史・由来・関連行事 +横浜市はシューマイの消費額日本一の都市である。全国におけるシューマイ(冷凍食品や飲食店での食事は除く)の年間平均消費額が1,093円であるのに対し、横浜市は2,248円と2倍以上。次いで川崎市が1,951円と後を追う(※)。この要因として、横浜名物として知られる崎陽軒の「シウマイ」や、中華料理のメッカである横浜中華街の存在が大きい。崎陽軒は1908年に初代・横浜駅(現在の桜木町駅)で創業。南京街(現在の横浜中華街)で突き出しとして提供されていたシューマイにヒントを得て、具材に干し帆立貝柱を使い、冷めてもおいしい「シウマイ」を開発し、1928年に駅利用客に向けて販売を始めた。やがて崎陽軒のシウマイは横浜土産として全国的に知れ渡った。加えて、横浜には観光地として中華街のイメージも強いことから、シューマイそのものが横浜の名物として定着したものと考えられる。なお、今では神奈川県内各路線の駅構内にある崎陽軒の売店は、県民にとってなじみのある風景となっている。※総務省・家計調査(二人以上の世帯)/品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング/2018~2020年平均 + +## 食習の機会や時季 +惣菜としても具材としても、スーパーマーケットやコンビニなどで手軽に入手でき、季節にかかわらず1年を通して食すことができる。全国的に家庭料理として親しまれるほか、中華料理を扱う飲食店を中心に提供されている。横浜中華街にもシューマイに注力する店が多数ある。また、神奈川県内では地域を代表する名産品としての側面があるため、観光コーナーや土産店でも扱われている。 + +## 飲食方法 +よく練った豚ひき肉に、醤油やオイスターソースなどの調味料とタマネギなど具材を加えて混ぜ合わせてタネを作る。シューマイの皮でタネを包み、蒸しあげて完成。ちなみに、シューマイにグリーンピースを加える場合、一般的には上に乗せることが多いが、崎陽軒ではシューマイの具材に練り込まれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10個分) +- 【ア】豚モモ粗びき肉: 200g +- 【ア】全卵: 30g +- 【ア】塩: 3g +- 【イ】砂糖: 10g +- 【イ】胡椒: 少々 +- 【イ】オイスターソース: 6g +- 【イ】醤油: 3cc +- 【ウ】ゴマ油: 5g +- 【ウ】タマネギみじん切り: 40g +- 【ウ】片栗粉: 10g +- グリーンピース: 10粒 +- シューマイの皮: 10枚 + +## 作り方 +1. ボウルに【ア】を入れ、肉の繊維が潰れるまで練る。 +2. 1に【イ】を加え、全体に味が馴染むまで混ぜる。 +3. 2に【ウ】を加え、混ぜる。※調味料を順番に入れることで、肉の弾力や旨味を引き出せる。また、オイスターソースを加えることで、コクと香りが引き立つ。※ひき肉は必ず当日ひき肉にした素材を使い、100%豚モモ肉を使用する。 +4. シューマイの皮の中心に(3)のシューマイ餡を約26g乗せ包み、グリーンピースを乗せる。 +5. 包んだシューマイを、クッキングシートなどを敷いたせいろに並べ、沸騰した蒸し器で約7分強火で蒸し、火を止めたら1分間蒸らす。※1分間蒸らすことで、肉汁を外に漏らさずジューシーなシューマイができる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 :日本シュウマイ協会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kanagawa_22_1.jpg)" +"# 茹で落花生 神奈川県 + +**郷土料理名**: 茹で落花生 + +**都道府県**: 神奈川県 + +## 主な伝承地域 +秦野市、二宮町、大磯町 + +## 主な使用食材 +落花生 + +## 歴史・由来・関連行事 +落花生を殻付きのまま塩茹でしたもの。日本で最初に落花生が栽培されたのは神奈川県である。明治初期、文明開化の横浜で落花生を入手した大磯の農家が栽培を始め、その後、二���町の農家が品種改良を進めたことから全国へと生産が拡大していったという。富士山の火山灰が積み重なった秦野盆地においても、その土壌が落花生栽培に適していたため、明治時代から葉たばこの輪作として栽培が盛んに行われてきた。研究と改良を重ねた秦野や近隣地域の「相州落花生」は、風味豊かな名産品として全国に名を馳せている。茹で落花生はもともと、出荷に至らない未熟な落花生を、農家が塩茹でしておやつ代わりに食していた。その食文化に着目した地元の農協が、1989年に茹で落花生を「うでピー」として冷凍商品化したことにより、農家以外の人も手軽に食せるようになった。現在では地域の名物として広く親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +冷凍品であれば一年を通して食すことができるが、茹で豆用の落花生は8~9月頃に収穫されるため、生豆から調理する場合にはこの時期が旬となる。落花生農家でなくても、畑で自家消費用の落花生を栽培する農家もおり、一般家庭の場合は直売所などで生の落花生を購入して自宅で茹で落花生をつくる。地元では季節の味として親しまれており、このシーズンを心待ちにする人も多い。 + +## 飲食方法 +水洗いした殻付きの落花生を、塩を入れたたっぷりの湯で30分~1時間ほど茹でる。殻をむき、皮ごと食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- 落花生(生・殻付き・掘りたての新鮮なもの): 1kg +- 塩: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 落花生はていねいに洗う。 +2. 鍋に入れてかぶるくらいの水を加え、塩を加えて50分ほど茹でる。圧力鍋を使うと10分ぐらいで茹で上がる。茹で汁ごと冷ましてできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : JAはだの女性部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kanagawa_23_1.jpg)" +"# ほうとう 山梨県 + +**郷土料理名**: ほうとう + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、じゃがいも、かぼちゃ、大根、人参、白菜、しいたけ、長ねぎ、油揚げ、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +「ほうとう」とは小麦粉を練り、平らに切った「ほうとうめん」を、たっぷりの具材とともに味噌仕立ての汁で煮こんだもので、「うまいもんだよかぼちゃのほうとう」といわれるほど、誰もが知る山梨県の代表的な郷土料理である。峡南地域では「のしいれ」「のしこみ」とも呼ばれている。稲作が適さない山間で、米に代わる主食として古くから親しまれてきた。そのため、「ほうとうめん」を打つことは、嫁入り修行ともされていた。めんの製造時に塩を混ぜないので、あらかじめゆでて塩分を抜く必要がない。つくる手間がかからず野菜や肉とも相性が良く、栄養価も高い。「ほうとう」は「餺飥」の呼び名で、平安時代から貴族が儀式等で食べていたことが知られている。 + +## 食習の機会や時季 +通年、日常的に食べられている。打粉を付けたまま煮こむので汁は粘性があり、冷めにくく、体が温まる食事として、冬場は機会が増える。 + +## 飲食方法 +小麦粉にぬるま湯を少しずつ加えながらこね、もち状にまとめたら、濡れたフキンをかけてねかす。切った野菜やきのこなど、硬いものから順に煮干しでとっただし汁に入れ、柔らかくなるまで煮こむ。ねかせた生地は打ち粉をしながら薄くのばし、幅広く切って「ほうとうめん」をつくる。切った油揚げと味噌半分の量と、ほうとうめんを入れて煮こむ。ほうとうめんが透き通ってきたら、残りの味噌を加えて味をととのえ、煮立ったらねぎを入れて火をとめ、蓋をして2、3分蒸らす。肉を入れたり旬の野菜やきのこなど具材は好みで良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 小麦粉: 400g +- ぬるま湯: 150~200ml +- じゃがいも: 100g +- かぼちゃ: 75g +- 大根: 60g +- 人参: 25g +- 白菜: 100g +- しいたけ: 5枚 +- 長ねぎ: 35g +- 油揚げ: 25g +- 煮干し: 75g +- 水: 2.5L +- 味噌: 180~200g + +## 作り方 +1. 鍋に煮干しと水を入れ、だし汁をつくっておく。 +2. 小麦粉にぬるま湯を少しずつ加えながらこね、耳たぶよりもやや硬めのもち状にまとめる。濡れたフキンをかけて、30分位ねかす。 +3. じゃがいもとかぼちゃは乱切りにする。 +4. 人参と大根はいちょう切りにし、しいたけは太い千切りにする。白菜はざく切りにする。 +5. 油揚げは短冊に切り、長ねぎは薄い斜め切りにする。 +6. 1に硬い野菜から入れ、柔らかくなるまで煮こむ。 +7. 2に打ち粉をしながら薄くのばし、うどんより幅広く(1cm位)切ってほうとうめんをつくる。 +8. 油揚げと味噌半分の量と7を入れて煮こむ。ほうとうめんが透き通ってきたら、残りの味噌を加えて、味をととのえ、煮立ったらねぎを入れて火を止め、蓋をして2、3分蒸らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまなしの食 まるごと体験ハンドブック」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_1_1.jpg)" +"# せいだのたまじ 山梨県 + +**郷土料理名**: せいだのたまじ + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +上野原市 + +## 主な使用食材 +じゃがいも(小粒)、味噌、砂糖など + +## 歴史・由来・関連行事 +「せいだのたまじ」とは、上野原市にある棡原(ゆずりはら)地域に古くから伝承されている郷土料理で、小粒の皮つきじゃがいもを味噌味で煮っころがしにしたものである。江戸時代後期、甲府の代官であった中井清太夫(なかい せいだゆう)が、九州からじゃがいもを取り寄せ、村人に種いもを配って栽培させたことで大飢饉から救ったことから、功績をたたえてじゃがいもを「清太夫芋」「清太芋」と呼ぶようになり、のちに「せいだ」へと変化した。中井清太夫は”芋大明神”として祀られており、上野原市内の龍泉寺に碑が残されている。「たまじ」は小さなじゃがいものことを意味するが、小粒でも無駄にせず食べられるようにした先人の知恵から生まれた郷土料理である。 + +## 食習の機会や時季 +通年食べられるが、特に皮が薄い新じゃがが出回る3月と7月の間によくつくられる。 + +## 飲食方法 +よく洗い水気を拭き取った皮付きじゃがいもを、中火でじっくりと皮がしわしわになるまで油で揚げ、鍋でたっぷりのだし汁で煮る。沸騰したら中火にして味噌、砂糖、みりんを入れて煮こみ、汁気がなくなってきたら弱火にしてさらに煮汁にとろみが出るまで煮る。ごまを振りかけて食べると美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- じゃがいも(小粒): 500g +- サラダ油: 適量 +- だし汁: 適量 +- 味噌: 大さじ1~1 1/2 +- 砂糖: 大さじ1 +- みりん: 大さじ1/2 +- ごま: 少々 + +## 作り方 +1. じゃがいもは皮付きのままよく洗い、水気を拭きとる。 +2. 1を皮の付いたまま中火でじっくり揚げる。 +3. 皮がしわしわになってきたら別の鍋にうつし、じゃがいもがかぶる位のだし汁を入れて火にかける。 +4. 沸騰してきたら、中火にして味噌、砂糖、みりんを入れて煮込む。 +5. 煮つまってきたら弱火にして、煮汁にとろみが出るまで煮て、皿に盛りごまをふる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまなしの食 まるごと体験ハンドブック」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_2_1.jpg)" +"# みみ 山梨県 + +**郷土料理名**: みみ + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +富士川町十谷地域 + +## 主な使用食材 +大根、人参、里芋、ごぼう、しいたけ、長ねぎ、味噌、小麦粉など + +## 歴史・由来・関連行事 +「みみ」とは主に富士川町十谷地域で、小麦粉をこねてのばし一口大に切った正方形の生地の、片側の二つの角をくっつけて三角にしたものを、野菜とともに味噌味で煮こんだ郷土料理である。「ほうとう」と似ているが「みみ」はその三角形が特徴的で、農機具の「箕(み)」のかたちに似ていることから、その名が呼ばれている(耳に似ているからという説もある)。また、十谷で源氏の武将が戦勝を祝って食したという言い伝えもあり(諸説あり)、「福をすくう」意味をこめて「福箕」といわれ、それが転じて「みみ」になったともいわれる。そのためとても縁起の良い食べ物とされ、正月や祝いの日の料理になったともいわれる。十谷では現在でも毎年、正月元旦の朝食には「みみ」を歳神様に供えてから家族で食す。 + +## 食習の機会や時季 +正月元旦の朝や祭りや祝い事など人が大勢集まるときに食される。 + +## 飲食方法 +小麦粉に様子を見ながらぬるま湯を加えてよくこね、ぬれフキンをかけて30分ほど寝かせた生地を、のし棒でのばして5cm四方に切り、二つ���角に水をつけて合わせ「箕」のかたちにする。野菜を煮ただし汁に「みみ」を加えてさらに煮込み、最後に味噌を入れて味をととのえる。「みみ」の下ゆでは必要ない。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4~5人分) +- 大根: 200g +- 人参: 100g +- 里芋: 500g +- ごぼう: 120g +- しいたけ: 90g +- 長ねぎ: 100g +- 味噌: 100g +- 【みみ】小麦粉: 300g +- 【みみ】ぬるま湯: 150ml +- 【だし汁】煮干し: 20g +- 【だし汁】水: 800ml + +## 作り方 +1. 大根はいちょう切り、人参は半月切り、里芋は一口大に。ごぼうは斜め切り、しいたけは細切り、長ねぎは小口切りにする。 +2. ボウルに小麦粉、ぬるま湯を様子を見ながら入れ、手でよくこね、ぬれフキンをかぶせて30分おく。板の上にのせ、のし棒で薄く広げ、5cm四方の正方形に切る。2つの角に水をつけ、合わせて箕のかたちをつくり、みみをつくる。 +3. 煮干しで、だし汁をつくり、1の野菜を煮る。 +4. 野菜が柔らかくなったら、みみを加えて煮こみ、最後に味噌を加えて味をととのえて、器に盛り完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまなしの食 まるごと体験ハンドブック」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_3_1.jpg)" +"# 甘納豆のお赤飯 山梨県 + +**郷土料理名**: 甘納豆のお赤飯 + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +南アルプス市、甲斐市、山梨市、甲府市 + +## 主な使用食材 +もち米、うるち米、甘納豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +「甘納豆のお赤飯」とはその名のとおり、甘納豆を入れて炊いた赤飯である。味は甘く、ごま塩をかけて食べると甘じょっぱくなり美味しいと地元の人たちには人気である。ささげや小豆などは使わないため、もち米は赤くならず、かわりに食紅で色をつける。和菓子店やスーパーマーケットなどではこの甘納豆を使った甘い赤飯と、全国的に知名度のある、ささげや小豆を使った甘くない赤飯と両方がおいてある。古来より赤い色は「邪気を払う」魔除けの色と信じられていた。そのため「甘納豆のお赤飯」も、甘くない赤飯同様に祝いの日には欠かせない。甘い赤飯はとても珍しく感じるが、山梨県から遠く離れた北海道、東北の一部でも食べられている。そのルーツは諸説あり、鎌倉時代に甲斐の国(山梨県)から青森県に移った南部氏が伝えた説や、山梨県での50年前の学校給食で、青森の人から聞いて甘納豆を入れるようになった説など数多くある。 + +## 食習の機会や時季 +甘納豆を使う場合、豆を水でもどしたり、ゆで汁にもち米を浸しておく必要がなく、手軽につくれるため通年つくられる。特に祝いの日に好まれて食される。 + +## 飲食方法 +もち米とうるち米を混ぜ合わせ洗い、水を切り炊飯器に入れる。食紅は少量の水で溶かしておく。分量通りの水加減にした後、水に溶かした食紅を加え、炊飯器で炊く。炊きあがったら甘納豆をのせ、再度炊飯器の蓋をして少し蒸らす。さっくりと混ぜて器に盛り、ごま塩をかけて完成。山岳地方などで花豆が特産品の地域では「花豆赤飯」なども食べられている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4~5人分) +- もち米: 2合 +- うるち米: 1合 +- 甘納豆: 150g +- 食紅: 少々 +- ごま塩: 少々 + +## 作り方 +1. もち米とうるち米を混ぜ合わせて洗い、水を切り炊飯器に入れる。 +2. 食紅は少量の水で溶かしておく。1は3合の水加減にし、水に溶かした食紅を加える。 +3. 炊飯器で炊く。 +4. 炊きあがったら、甘納豆をのせ、再度炊飯器の蓋をして少し蒸らす。 +5. さっくりと混ぜて器に盛り、ごま塩をかけて完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまなしの食 まるごと体験ハンドブック」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_4_1.jpg)" +"# あわびの煮貝 山梨県 + +**郷土料理名**: あわびの煮貝 + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +甲府市 + +## 主な使用食材 +アワビの煮貝 + +## 歴史・由来・関連行事 +「あわびの煮貝」とは山梨県の名産品であるが、四方八方を山に囲まれ海に面していない内陸の地において、なぜ海の幸のアワビが名産となったのか理由は諸説ある。その一つとして、隣国の駿河湾(静岡県)でとれる豊富な魚介類を、現代のようにな交通手段も冷蔵設備もない状態でいくつもの山を越えて運ぶことは容易ではなく、わずかに塩漬けや干物程度が届く程度だった。江戸時代、駿河湾でとれた新鮮なアワビを加工し、醤油漬けにして木の樽に詰めて運んだところ、道中、馬の体温で温められながら何日もほどよく揺られ、甲府に着く頃には醤油がよく染み込みひときわ味が増したアワビが甲州名物になったという。また、武田信玄がアワビの栄養価に注目し、陣中食として考案したという説もある。煮アワビは、生と比べてグルタミン酸やアスパラギン酸が増加して旨味が増すことから、これが内陸地域の名産品として定着した理由でもあろう。 + +## 食習の機会や時季 +現在では贈答用に重宝されている。 + +## 飲食方法 +煮貝は薄くスライスし、肝も小さめの一口大に切り、しそや薄切りにしたきゅうりなどと盛り付けて食す。肝をすり潰し、マヨネーズと和えたソースをのせても良い。また、レモン汁をかけたり、カルパッチョやサラダなども紹介されている。どのように料理しても煮貝の旨味が生かされ、ワインやビール、日本酒などとも相性が良いとされている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- アワビの煮貝: 1個 +- きゅうり: 1本(又は大根5cm) +- 醤油: 大さじ2 +- わさび: 少々 + +## 作り方 +1. 煮貝はできるだけ薄く切る。 +2. きゅうりか大根を千切りする。 +3. 皿につまをのせ、煮貝の薄切りを盛る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 依田 萬代氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_5_1.jpg)" +"# 鳥もつ煮 山梨県 + +**郷土料理名**: 鳥もつ煮 + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +甲府市 + +## 主な使用食材 +レバー、砂肝、はつ、きんかん、ひも、醤油、砂糖、酒 + +## 歴史・由来・関連行事 +「鳥もつ煮」とは鳥のレバー、砂肝、はつ、きんかん、ひもなどを甘い醤油のたれで煮詰めたもので、戦後まもない昭和25(1950)年頃、甲府市にある大正2(1913)年創業の蕎麦屋「奥藤本店 国母店」の二代目主人が、肉屋から「捨てられてしまう鳥のもつをどうにかできないか?」と相談されたのが始まりと言われる。当時はまだ食べ物にも不自由している時代で、安くておいしいものになるよう試行錯誤し、当時は貴重だった醤油と砂糖でこってりと煮た「鳥もつ煮」を開発した。甘じょっぱい味付けで、お酒にも白ご飯にのせてもあうと今では居酒屋や定食屋、蕎麦屋などで定番になっているほど甲府市民の庶民の味である。「もつ煮」というと長時間煮込んだ汁もの印象があるが、「鳥もつ煮」はレバーなどを少量のタレで、強火にて短時間で照り煮し、鳥もつの旨味や甘みをぎゅっと閉じ込める独特の製法である。具材にある「きんかん」もその名の由来が面白い。 + +## 食習の機会や時季 +季節問わず通年食べられている。 + +## 飲食方法 +レバー、砂肝、はつ、きんかん、ひもの余計な部位を取り、それぞれ食べやすい大きさに切る。薄めの食塩水でしっかりと洗い、塩水を切る。フライパンに醤油と砂糖を強火で煮立たせて、濃い場合は酒か水でのばす。タレから少し泡が出てきたら、もつを入れ軽く混ぜて蓋をする。焦げ付かないように時々混ぜながら、フライパンのふちにタレがこびりつくようになったらできあがり。お好みでレタスや火を通したししとうなどと食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- レバー: 300g +- 砂肝: 250g +- はつ: 50g +- きんかん: 50g +- ひも: 50g +- 醤油: 1/2カップ +- 砂糖: 100g +- 酒: 少々 +- 水: 少々 +- レタス: 適宜 +- ししとう: 適宜 + +## 作り方 +1. 【下準備】(1)レバーは、 赤いハート型の部分だけ(2つ)使う。食べやすい大きさに切る。(2)砂肝は、つながっている白い部分とピンク色の部分を取り除き、食べやすい大きさに切る。(3)はつは、縦半分に切り、血のかたまりをとる。(4)きんかんは、つながっている部分をとる。(5)ひもは、長いひも状の部位であるため、3cm位に切り分ける。 +2. 薄めの食塩水をつくり、切ったもつの臭みをとるために、しっかり洗う。洗い終わったら塩水を切っておく。 +3. フライパンに醤油、砂糖を入れ、強火で煮立たせる。どろっと濃い場合は酒か水を入れてのばす。 +4. タレから泡が少し出てきたらもつを入れる。 +5. 軽く混ぜて���をする。焦げ付かないように時々かき混ぜる。(フライパンのふちにタレがこびりつく位になったらできあがり。) +6. 好みでレタスや火を通したししとうなどといただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまなしの食 まるごと体験ハンドブック」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_6_1.jpg)" +"# めまき 山梨県 + +**郷土料理名**: めまき + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +富士河口湖町 + +## 主な使用食材 +乾燥アラメ、ワカサギなどの魚、醤油、砂糖、酒、みりん + +## 歴史・由来・関連行事 +「めまき」とは魚をアラメ(昆布の仲間)で巻いて、醤油や砂糖などでじっくりと煮込んだ郷土料理である。アラメで巻くことから「めまき」と呼ばれるようになった。江戸時代中期頃から富士山信仰で訪れる信者に対して、宿を提供し、もてなす役目の御師が「めまき」をふるまったという。また、富士河口湖町の河口浅間神社の例大祭を祝う行事食として地域に伝えられてきた。「めまき」の三角形は富士山、アラメの巻きおわりを留めている爪楊枝は富士登山に使われる金剛杖を意味するといわれており、富士山信仰と富士登山の安全祈願を意味するとも伝えられている。食材のアラメは大変硬いため、数日間煮込む必要があるが、その分保存がきき、かつては富士登山の携帯食として重宝された。また、祭神は富士の女神・木花開耶姫命であり和服姿が三角形を模し「めまき」の三角形を姿としているようである。 + +## 食習の機会や時季 +4月には富士河口湖町周辺の商店に「めまき」の材料としてアラメが店先に並ぶ。 + +## 飲食方法 +熱湯でゆでて陰干ししたアラメで魚を三角形に巻き、鍋で10時間以上煮て柔らかくなったら調味料で味をつけ、味がしみこむまで煮る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (50~60個分) +- 乾燥アラメ: 500g(2把位) +- ワカサギなどの魚: 小さめ150匹位 +- 水: 適量(たっぷり) +- 醤油: 400ml +- 砂糖: 500g +- 酒: 300g +- みりん: 180g + +## 作り方 +1. アラメをたっぷりの熱湯で10~15分程度ゆでて、冷水でよく洗い、水が切れるまで陰干しにする。 +2. 魚の切身を芯にしてアラメで三角に巻き、爪楊枝で止める。 +3. 2を鍋に並べ、たっぷりの水を入れてアクを取りながら、10時間以上煮る。 +4. めまきが柔らかくなったら、醤油、砂糖、酒、みりん、調味料で味を付け、めまきの芯まで味がしみ込むまで時間をかけて煮る。(弱火) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまなしの食 まるごと体験ハンドブック」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_7_1.jpg)" +"# 小豆ほうとう 山梨県 + +**郷土料理名**: 小豆ほうとう + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +北杜市、市川三郷町、身延町、甲斐市、甲府市 + +## 主な使用食材 +小麦粉、あずき、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +「ほうとう」の起源である餺飥は、平安時代には小豆の汁で食べられていたことが貴族の日記などに記録されている。山梨では江戸時代以降、味噌で煮る「ほうとう」が日常的に食べられていたが、「小豆ほうとう」は正月や盆、村の祭り、また田植えの時期など、地域行事や祝い事の時に食べられてきた。北杜市須玉町若神子の三輪神社で毎年7月末に開催される祭りは、「小豆ほうとう」がふるまわれることから、「ほうとう祭り」とも呼ばれる。あずきの赤い色は邪気をはらい厄除けの力があると伝えられており、新あずきと小麦粉を神前に供え、ふるまわれた「小豆ほうとう」を食べて収穫に感謝したという。本来はあずき汁に餅を入れるものだが、稲作に適していない地域が多い山梨県では、餅は大変貴重なもので、「ほうとう」のめんを太めに切り、餅に見立ててあずきの汁粉に入れ代用にしたという。 + +## 食習の機会や時季 +正月や盆、村の祭り、田植えの時期などに地域行事の祝いの時に食べられている。あずきと小麦の収穫が7月下旬、一年で最も暑い時期の節目にハレの食として「小豆ほうとう」をふるまった。 + +## 飲食方法 +小麦粉にぬるま湯を加え、手でこね、30分ほどねかし、さらにこねる。打ち粉をしながら生地を薄くのばし、うどんよりも幅広に切る。水洗いしたあずきはたっぷりの水に入れて強火にかけ、沸騰したらざるにあげて汁を捨てる。再びたっぷりの水で煮て、煮立ったら弱火にし、柔らかくなるまで煮る。煮あがったらあずきをすりこぎなどでつぶして砂糖と塩で味付けする。ほうとう麺はたっぷりの湯でゆで、さっと水洗いし、あずき汁に入れて、ひと煮立ちさせたら完成。好みで汁粉の砂糖の量、あずきのつぶし具合などは調整してもよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3~4人分) +- 【麺】小麦粉: 200g +- 【麺】ぬるま湯: 100ml +- 【麺】塩: 適宜 +- 【あずき汁】あずき: 200g +- 【あずき汁】水: 2L +- 【あずき汁】砂糖: 200g +- 【あずき汁】塩: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 【ほうとう麺生地 手順1】小麦粉にぬるま湯を加え、やや固まる程度に手でこねる。30分ほどねかし、さらにこねる。 +2. 【ほうとう麺生地 手順2】打ち粉をしながら「ほうとう麺生地 手順1」を薄くのばし、うどんよりも幅広に切る。 +3. 【あずき汁 手順1】水洗いしたあずきはたっぷりの水に入れて強火にかけ、沸騰したらざるにあげて汁を捨てる。 +4. 【あずき汁 手順2】再びたっぷりの水で煮て、煮立ったら弱火にし、柔らかくなるまで煮る。 +5. 【あずき汁 手順3】煮あがったらあずきをすりこぎなどでつぶして砂糖と塩で味付けする。 +6. 【あずき汁 手順4】ほうとう麺はたっぷりの湯でゆで、さっと水洗いし、あずき汁に入れて、ひと煮立ちさせたら完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまなしの食 まるごと体験ハンドブック」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_8_1.jpg)" +"# おざら 山梨県 + +**郷土料理名**: おざら + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +甲府市、甲斐市、身延町、昭和町 + +## 主な使用食材 +地粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +山梨県で有名な郷土料理として「ほうとう」が挙げられるが、盆地の影響により冬は極寒地、夏は猛暑地となるため、「ほうとう」にかわり夏の季節に好まれるのが「おざら」である。「ほうとう」より細い冷やしためんを、温かい醤油ベースのつゆに入れて食べる。ゆでずにそのまま鍋に入れる「ほうとう」と違い、一度鍋でゆでてから冷たい水でしめためんは、つるつるとのど越しが良く、暑い夏でも食べられるため、夏バテ防止として人気があり、米が貴重だった時代には暑い時のごちそうとしてつくられた。 + +## 食習の機会や時季 +「おざら」は、各家庭や「ほうとう」専門店では、「ほうとう」に代わり暑い夏に食べられることが多いが、通年提供している「ほうとう」専門店もある。また、甲府の旅館などで食事のあと、葬式やイベントなどでも「しめ」として冬場でも出されるところがある。またお酒を飲んだ後にも好まれるという。 + +## 飲食方法 +ボウルに小麦粉、食塩、ぬるま湯を入れてよくこね、濡れたフキンをかけて30分ほどねかせた生地を、のし板の上でのばし、できるだけ細く切り、たっぷりの湯でゆでる。再度沸騰したら冷水にとり、しっかりと洗い流し、ざるにあげる。麺つゆをつくり、薬味をそえる。つゆは肉や旬の野菜、きのこなど具沢山にされることも多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 【おざら麺】地粉: 300g +- 【おざら麺】食塩: 少量 +- 【おざら麺】ぬるま湯: 150ml +- 【麺つゆ】だし汁: 600ml +- 【麺つゆ】醤油: 大さじ4 +- 【麺つゆ】みりん: 大さじ3 +- 【薬味】小ねぎ: 2本 +- 【薬味】みょうが: 2個 +- ※その他、お好みで、のり、わさび、青しそ、しょうがなど: 適量 + +## 作り方 +1. ボウルに小麦粉、食塩、ぬるま湯を入れてよくこね、濡れたフキンをかけて30分ほどねかせる。 +2. のし板の上で1の生地をのばし、できるだけ細く切る。 +3. 鍋にたっぷりの湯を沸かし、2をゆでる。 +4. 再度沸騰したら冷水にとり、しっかりと洗い流し、ざるにあげる。 +5. 麺つゆをつくり、薬味をそえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまなしの食 まるごと体験ハンドブック」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_9_1.jpg)" +"# 甲州小梅漬 山梨県 + +**郷土料理名**: 甲州小梅漬 + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +中北地域、峡東地域、峡南地域 + +## 主な使用食材 +甲州小梅、赤しそ、塩、米酢 + +## 歴史・由来・関連行事 +「甲州小梅漬」は山梨県の特産である甲州小梅を、まだ青い時期に収穫して、5月末には漬け込みが終わるようにする。特に甲府盆地では特有の寒暖差のある気候が小梅の生育に適しており、種が小さく果肉に厚みが出るので小粒だが食べごたえがある。養蚕の衰退とともに梅の栽培が盛んになった。近年は、宅地化・道路化・高齢化等により生産量は減っているが、現在でも小梅の生産は日本一を誇っているという。江戸時代後期には県の特産品としての記録が残っているほどである。食感や塩分など納得いくものをと試行錯誤してつくられた「甲州小梅漬」は、カリカリと良い歯ごたえから「カリカリ漬」ともいわれ、県内の梅の加工品の中では圧倒的に人気である。従来の梅干しのように天日干しはしないため、「どぶ漬け」といって梅酢に漬けたまま保存するのが特徴である。 + +## 食習の機会や時季 +保存が利くため通年食べられている。 + +## 飲食方法 +たっぷりの水につけてアク抜きした甲州小梅のヘタをとり、青みが増すまで塩もみする。よく洗って乾かした卵の殻を袋に入れて粗く砕き容器の底に入れておき、梅に重石をかけて梅酢が上がってくるまで塩漬けにする。卵の殻は梅をカリカリとした食感にしてくれる天然の有機石灰である。その後、塩でもんでアク抜きした赤しそと、米酢、焼酎などと混ぜて、冷蔵庫で保存して1ヵ月後くらいから食べられる。ごはんのお供や、お茶うけとしてそのまま食べられるのはもちろん、おにぎりやお茶漬け、しょうがと合わせたり、アレンジ次第で和風パスタなど意外な料理に使われることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (約600粒) +- 甲州小梅: 2kg +- 塩: 200g(梅の10%) +- 卵の殻: 15個 +- 赤しそ: 4~5束(正味400g) +- 塩: 40g(しその10%) +- 米酢: 100ml +- 焼酎(35%): 80ml + +## 作り方 +1. 梅は水洗いしてたっぷりの水に一晩つけてアクを除き、水気をふきとってヘタをとる。 +2. 容器に梅と塩を入れ、梅の青みが増すまで塩をもみこむ。 +3. 卵の殻はよく洗って乾かし、ガーゼの袋に入れて粗く砕き、容器の底に入れる。 +4. 梅の上に落とし蓋をして梅と同量の重石をのせて白梅酢が上がるまで冷暗所におく。 +5. 赤しそは葉を摘み取って洗い、分量の塩をまぶしてもんでアクを出して汁気をすて、葉を4に加える。酢、焼酎も加えてひと混ぜし、ラップで表面をおおい、蓋をして冷蔵庫で保存する。※1ヵ月置くと味がなじんで食べ頃となる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「おごっそうの玉手箱 レシピ集」(著:新海 桂子) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_10_1.jpg)" +"# 枯露柿 山梨県 + +**郷土料理名**: 枯露柿 + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +甲州市、南アルプス市など + +## 主な使用食材 +渋柿 + +## 歴史・由来・関連行事 +甲州市や南アルプス市などでよくつくられる「枯露(ころ)柿」は、大きめの品種の柿を使った飴色の干し柿である。同じ干し柿でも水分が50%前後で柔らかいものは「あんぽ柿」、水分が25%から30%位で甘み成分が結晶化し白い粉が吹いてくるものを「枯露(ころ)柿」と呼んでおり、干す期間も長めである。「枯露(ころ)柿」の名前の由来は、天日で乾燥させるときに、皮をむいた柿を並べて実全体に太陽の日が当たるよう、ころころと位置を変えたことからといわれている。甲州市の松里地域では、大きな甲州百目柿がとれることから、昔から「枯露(ころ)柿」の名産地として知られ、11月から12月にかけて、民家の軒先にかかる柿の天日干しは、オレンジのカーテンとなり、秋の風情として人気である。 + +## 食習の機会や時季 +「枯露(ころ)柿」として仕上がる12月中旬から1月下旬まで販売され、食することができる。最近は個包装などで保存の技術が上がり、1ヵ月ほどの保存が可能。冷凍すれば1年ほどもつ。糖度が高いため凍りづらい。 + +## 飲食方法 +11月頃、熟して赤くなった柿を柄の部分をT字に残して収穫し、ヘタをとりのぞき、お尻の先端の皮のみ残して皮をむく。可能ならカビ防止と、表面の渋のベタつきを落とすため熱湯にくぐらせる。ビニールひもは輪っかに結び、両端にT字の柄をかけて柿を結んで竿につるして軒先で天日干しする。柿を���から下ろしてひもを除き、柄も剪定鋏で切り落として小判状にかたちをととのえる。あれば稲わらの間に包み、冷暗所において粉がふくまでねかせてる。おせち料理の「なます」に入れて「柿なます」にしたり、硬くなったものを天ぷらにすることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (柿の収穫量と干す広さによる) +- 渋柿: 適宜(※熟しすぎていないもの) +- ビニールひも: 適宜(60cmの長さ) + +## 作り方 +1. 11月半ば頃、じゅうぶんに赤くなった柿を柄の部分をT字に残して収穫する。 +2. 包丁をくるりと回してヘタをとりのぞき、お尻の先端の皮のみ残して皮をむく。可能ならカビ止めと、表面の渋のベタつきを落として扱いやすくするために熱湯にくぐらせる。(皮はピーラーを使うと効率が良い。また大量につくる場合は渋が手につくのでビニール手袋をして作業をおこなう) +3. ビニールひもは輪っかに結び、両端にT字の柄をかけて柿を結んで竿につるして軒先で天日干しする。(柿が効率よく乾くように片側は短く、もう片方は長くずらして干すことがポイント) +4. 雨に当たらないように注意しながら柿の全面に日が当たるように調節し、一週間程度して柔らかくなってきたら指先でもみはじめる。約1ヵ月程度かけて好みの柔らかさになるまでもみながら干す。(12月半ば) +5. 柿を竿から下ろしてひもを除き、柄も剪定鋏で切り落として小判状にかたちをととのえる。 +6. あれば稲わらの間に包み、冷暗所において粉がふくまでねかせてできあがり。(年末) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 新海 桂子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_11_1.jpg)" +"# 吉田のうどん 山梨県 + +**郷土料理名**: 吉田のうどん + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +富士吉田市 + +## 主な使用食材 +中力粉、味噌、醤油、出汁、キャベツなど + +## 歴史・由来・関連行事 +「吉田のうどん」はびっくりするような歯ごたえとコシ、太さのある小麦粉の麺を、味噌や醤油など出汁のきいた汁で食べる富士吉田市周辺の郷土料理である。富士山北麓の富士吉田市は標高700~900mほどの冷涼な気候、火山灰土の地質により昔から稲の栽培には不向きだった。代わりに小麦、大麦、蕎麦のほか雑穀などを栽培し、合わせて粉物の食文化が進んでいった。また、昭和初期、富士吉田では繊維業が盛んで、織物の機械を動かす女性が、昼食の準備で作業が止まらないように、また、絹糸を触る手が荒れないようにと、行商担当の男性たちが昼食にうどんをつくるようになったといわれる。男性たちは腹持ちの良いうどんをと力強く練るため、歯ごたえ、コシが特徴となったという。山梨県の郷土料理として「ほうとう」が有名であるが「吉田のうどん」もまた昔から親しまれているため、現在では富士吉田市周辺に限らず、山梨県の名物としても名高い。 + +## 食習の機会や時季 +通年食べられる。また、うどんは長い食べ物であることから、長寿祈願や末永く幸せでいられるようにと、盆や正月、結婚式など祝いの席で食べられる縁起物であったため今でも人が集まるところでは締めくくりにはうどんが出されることが多い。 + +## 飲食方法 +粉に塩水を入れてまとめた生地をビニール袋に入れて1時間ほどねかせたら、ビニール袋のまま足で踏んでこねる。またねかしたものを踏んで1cmの厚さにのばす。それに打ち粉をし、のし棒で5mmほどの厚さにしたら、三つ折りして5mm幅で切っていく。お湯でゆで、冷水でぬめりをとり煮干しやカツオ節などの出汁のきいたつゆに味噌や醤油を入れ、蒸したキャベツや好みで甘じょっぱく煮た馬肉などをのせて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (8人分) +- 【麺】中力粉: 800g(または強力粉 500g、薄力粉 200g) +- 【麺】水: 320ml +- 【麺】打ち粉: 適量(コーンスターチ、片栗粉など使用) +- 【麺】塩: 大さじ1 +- 【つゆ】味噌: 56g +- 【つゆ】醤油: 48g +- 【つゆ】粉末調味料: 24g +- 【つゆ】煮干し: 16g +- 【つゆ】カツオ厚削り: 20g +- 【つゆ】カツオ節: 6g +- 【つゆ】水: 2L +- 【具】キャベツ: 1/4個 +- 【具】塩: 適量 + +## 作り方 +1. 【麺 手順1】粉に、塩水を少しずつ入れて混ぜる。※水の量は夏は少なめに、冬は多めに調節する。 +2. 【麺 手順2】ある程度混ぜたら、ビニール袋の中に入れて1時間程度ねかす。 +3. 【麺 手順3】ビニール袋に入れたまま踏んでこねる。 +4. 【麺 手順4】ねかしたものを踏んで1cm程度までのばす。 +5. 【麺 手順5】打ち粉を付けた後、のし棒で5mm程度までのばす。 +6. 【麺 手順6】生地を3つ折りにしてから、5mm幅程度に切っていく。 +7. 【麺 手順7】ゆでる。(12分程度) +8. 【麺 手順8】麺を冷水でしめながらぬめりをとる。食べる直前に一度湯がいた方が温かくて良い。 +9. 【つゆ 手順1】鍋に湯を沸かし、煮干し・カツオ厚削り・カツオ節を入れ、煮る。(強火) +10. 【つゆ 手順2】沸騰する直前に火を止め、煮干し・カツオ厚削り・カツオ節をとりだす。(弱火) +11. 【つゆ 手順3】出汁をとったつゆに、味噌、醤油、粉末調味料を入れ混ぜる。(中火)味をととのえてからは、弱火から中火程度にし、つゆを沸騰させないようにする。 +12. 【具 手順1】鍋に1/6程度湯を張り、塩を一つまみ入れる。 +13. 【具 手順2】1/4にカットしたキャベツを鍋に入れて、5分程度蒸す。(箸が刺さる程度) +14. 【具 手順3】流水で5分程度冷やす。 +15. 【具 手順4】芯を除き、5mm幅で切る。さらに、それを半分の長さにする。お好みで馬肉を砂糖、醤油、酒で煮た具をのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまなしの食 まるごと体験ハンドブック」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_12_1.jpg)" +"# さんまめし 山梨県 + +**郷土料理名**: さんまめし + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +中北地域 + +## 主な使用食材 +米、サンマ、生しょうが + +## 歴史・由来・関連行事 +海のない山梨県でも秋になると質の良い新鮮なサンマが出回る。その旬のサンマと新米を一緒に炊きあげた料理が「さんまめし」である。農家では秋の収穫が無事に終わったときに、祝いの日のごちそうとして「さんまめし」は欠かせなかった。古い一説によると、稲刈りが終わった頃、「えびす講祭り」(昭和初期より始まった)では、業者が新潟から売りに来た塩サンマ(干したもの)2~3尾と、一升の新米を炊きこんだものが、現在の「さんまめし」になったといわれる。サンマを並べてごはんと炊きあげるだけで、忙しいときでも美味しく仕上がる調理法のため、現在でも多くの家庭でつくり続けられている。 + +## 食習の機会や時季 +稲刈りが終わり、サンマと新米が出回る秋に、特に祝いの日などにつくられた。現在で も、旬の時期になると各家庭でつくられ食される。 + +## 飲食方法 +米は炊く30分前に洗ってざるに取り、水気をきる。釜に米、サンマの切り身、水、酒、醤油を入れて炊く。炊きあがったらサンマの切り身を取り出し、身をほぐす。ほぐしたサンマをご飯にもどし、千切りした生しょうがを入れ混ぜる。レシピとしてはサンマを生のまま炊き込む場合と、網などで焼いてから混ぜ込む場合がある。どちらも生しょうがのほか、しそや柚子などをあわせても青魚特有のくさみが抑えられて美味である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3~4人分) +- 米: 2カップ +- 水: 2カップ +- サンマ(切り身): 250g※生サンマの場合は大2尾 +- 酒: 40g +- 醤油: 40g +- 生しょうが: 50g +- しそ: 適量 + +## 作り方 +1. 米は炊く30分前に洗ってざるにとり、水気を切る。 +2. しょうがを2mm幅の千切りにする。 +3. 釜に1の米、サンマの切り身、水、酒、醤油を入れて炊く。 +4. 炊きあがったら、サンマの切り身をとりだし、身をほぐす。 +5. 4でほぐしたサンマを釜にもどし、2のしょうがを入れ混ぜる。 +6. 茶碗に盛り、好みでしそをのせ完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまなしの食 まるごと体験ハンドブック」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_13_1.jpg)" +"# やこめ 山梨県 + +**郷土料理名**: やこめ + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +県内全域(特に中北地域) + +## 主な使用食材 +もち米、うるち米、大豆、ごま、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +稲作農家にとって、立春の頃の苗代の種まきは、「水口祭り」と呼ばれ、1年のうちでもっとも大切な神事行事とされているため、田の水口に収穫の神様を迎えて豊穣を祈る行事をした。この時、水口に供える供物���「やこめ」と呼んだという。「やこめ」は「焼米」が語源といわれ、前年に収穫した稲のなかから選りすぐって残しておいた種もみの、もみ殻をとって煎ったものである。水口にその「やこめ」を供え、ショウブやシャクヤクなどの季節の花や、七草がゆをつくるときにつかった粥かき棒や箸なども供えた。現在では「やこめ」は、もち米やうるち米と、煎った大豆と塩を入れて炊いたものを指す。大豆は穀霊が宿るといわれ、米の次に神事で用いられることが多い。 + +## 食習の機会や時季 +立夏(5月6日頃)の頃、「水口祭り」にて振る舞われていた。 + +## 飲食方法 +もち米とうるち米を混ぜ合わせて洗い、5、6時間水につけてから、ざるに移して水気を切り、蒸し器で蒸す。湯気のあがる間に大豆を煎ってボウルに移し、熱湯を注いで豆を柔らかくする。(塩で味付けする)湯気があがったら煎った大豆を米の上にのせて蒸す。九分通り炊きあがったら味見をして、豆をひたした塩水を打ち水する。豆を硬めにするには、この時豆をのせて少し蒸すと良い。炊きあがったら、ごまを煎ってごはんに混ぜる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (15人分) +- もち米: 7合 +- うるち米: 3合 +- 大豆: 2合 +- ごま: 1合 +- 塩: 大さじ1と1/3弱 + +## 作り方 +1. もち米とうるち米を混ぜ合わせて洗い、5、6時間水につけておく。 +2. ざるに移して水気を切り、蒸し器で蒸す。 +3. 湯気のあがる間に大豆を煎り、ボウルに移し、熱湯を注いで豆を柔らかくする。(塩で味付けする) +4. 湯気があがったら3を米の上にのせて蒸す。 +5. 九分通り炊きあがったら味見をして、豆を浸した塩水を打ち水する。(豆を硬めにするには、この時豆をのせて少し蒸すと良い) +6. 炊きあがったら、ごまを煎ってごはんに混ぜる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまなしの食 まるごと体験ハンドブック」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_14_1.jpg)" +"# あけぼの大豆の枝豆 山梨県 + +**郷土料理名**: あけぼの大豆の枝豆 + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +身延町 + +## 主な使用食材 +あけぼの大豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +「あけぼの大豆」は身延町曙地域などで明治時代から栽培されており、通常の大豆よりも大粒で糖度も高い極上の大豆である。通常の大豆の1.6倍の大きさがあり、10粒並べると6寸(18cm)になることから別名「十六寸(とうろくすん)」と呼ばれていたほどである。身延町は標高300~700mで昼夜の寒暖差が激しく霧深い気候、礫岩(レキガン)層といわれる土壌により「あけぼの大豆」に最適とされている。しかし、地域性が強いことと、機械化が難しくすべての工程において手作業であること、そして生産者の高齢化のため収穫量が減少し、入手しづらい「幻の大豆」と呼ばれるようになった。特に若い枝豆は収穫期のわずかな期間しか出回らず、とても希少となった。現在では生産者協力の下、町内全体で地域活性化事業として取り組まれて生産量も上がり、豆腐や味噌のほか、コロッケや納豆などにも加工されて食されている。曙大豆の種を他の地で育てると1年目は大粒の大豆が収穫できるが、翌年以降は小粒になって曙大豆ではなくなってしまうのをみて、「やっぱり曙大豆は曙で育ててこそ曙大豆なんだね」が常套句になっている。 + +## 食習の機会や時季 +「あけぼの大豆」は晩生種のため、採れたての枝豆が味わえるのは10月、大豆の収穫は11月下旬から12月中で加工品は通年食べられている。 + +## 飲食方法 +あけぼの大豆を水で洗い、塩を多めに振り、こするようにして産毛を取り、塩を入れた湯で5~8分ゆでる。途中硬さを確認して好みの柔らかさに仕上げる。ざるに上げて水気を切ってうちわであおり、粗熱が取れたらいただく。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- あけぼの大豆: 250g +- 塩: 45g + +## 作り方 +1. あけぼの大豆を水で洗い、塩(分量外)を多めに振り、こするようにして産毛を取る。 +2. 1.5Lの水に45gの塩(塩分3%)を入れて沸騰させ、1の大豆を入れて5~8分ゆでる。途中硬さを確認して好みの柔らかさに仕上げる。 +3. ざるに上げて水気を切ってうちわであおり、粗熱が取れたらいただく。※ゆで上げた後、色良く味良��仕上げるために水にとらずに、ざる等の上に広げて急冷することがポイント。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_15_1.jpg)" +"# あんびん 山梨県 + +**郷土料理名**: あんびん + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +峡南地域 + +## 主な使用食材 +さつまいも粉、小麦粉、さつまいも、あん + +## 歴史・由来・関連行事 +「あんびん」は峡南地域の特産として、さつまいもの粉や小麦粉、角切りのさつまいもを熱湯で練った生地に、あんを包み平らにして蒸したもので、素朴な味わいが好まれている。あんを入れてから「びんた」をするように強く叩いてつくることから「あんびん」という名前がついた。米づくりに不向きな土地であったので、さつまいもやとうもろこし、小麦などの栽培が中心で、粉物の文化が発展した。とうもろこしの粉でつくられることもあるがそれは黄色となり、さつまいもの粉でつくると黒くなる。重曹などの膨張剤などは使われず、冷めたあんびんはずっしりと歯ごたえがあり腹持ちも良い。食生活の変化とともにつくる人、食べる人ともに減ったが、1996年に市川三郷町の落居小学校廃校の話が持ちあがったのをきっかけとして地元民が「伝統食をPRして町おこしをしよう」と立ち上がり、六郷町特産品加工組合を設立。地元農産物や加工品の販売と合わせ、かつての伝統食「あんびん」を復活させた。 + +## 食習の機会や時季 +昔は各家庭で手づくりされ仕事の合間などに食べられてきたが、現在は朝市や地元の団体により、おやつや土産物として通年販売され食されている。 + +## 飲食方法 +さつまいも粉、小麦粉、塩、さいの目に切って水にさらしたさつまいもに熱湯を混ぜ、耳たぶの柔らかさになるまで練る。丸めてあんを入れて手で強く叩きながら平たくかたちをととのえて蒸し器で15分ほど蒸す。生地にはさつまいもの粉のほかとうもろしの粉なども使われる。またあずきあんのほか白いんげんのあんなどもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (33個分) +- さつまいも粉: 700g +- 小麦粉: 300g +- さつまいも: 200g +- 食塩: 大さじ1 +- 熱湯: 600~800ml +- あん: 1kg + +## 作り方 +1. さつまいもは5mm位のさいの目に切り、水に浸しておく。 +2. さつまいも粉、小麦粉、食塩、さいの目に切ったさつまいもを混ぜる。 +3. 2に熱湯を入れ、耳たぶ位の柔らかさになるまでこねる。 +4. 3を1個(60g)に丸め、あん(30g)を入れ、手で叩きながら平たくかたちをととのえる。 +5. 蒸気の上がった蒸し器で15分程蒸す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまなしの食 まるごと体験ハンドブック」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_16_1.jpg)" +"# いもがら入り太巻き寿司 山梨県 + +**郷土料理名**: いもがら入り太巻き寿司 + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +いもがら、干ししいたけ、きゅうり、でんぶ、すし飯、のり + +## 歴史・由来・関連行事 +山梨県内各地で日常的によく食べられている「いもがら」は、八つ頭や赤芽芋などの里芋や、葉柄(葉と茎の間)を収穫するためにつくられたはす芋の芋茎部分である「ずいき」の皮を剥いて干したもので、「干しずいき」とも呼ばれ、保存食としていろいろな料理に使われている。水でもどした「いもがら」は、だしや調味料の染み込みが良く、食感も繊維質によりシャキシャキとしている。酢の物や煮物、きんぴらなどの常備菜のほか、味噌汁や「ほうとう」などへも入れられて日常的に食べられている。「いもがら入り太巻き寿司」はそんな庶民の味の「いもがら」を甘辛く煮て、かんぴょうのように中に入れる具材として使ったもので、古くから冠婚葬祭や人が集う時にごちそうとしてふるまわれた。その美味しさには根強い人気があり、今後も残したい”ふるさとの味”として現在も受け継がれている。 + +## 食習の機会や時季 +「ずいき」の収穫は初夏から夏にかけてだが、それを干して加工した「いもがら」は保存がきくので通年、様々な料理にて食べられている。「いもがら入り太巻き寿司」もまた、各家庭で日常的につくられるほか、冠婚葬祭や人が集まるときなど季節問わずにつくられる。 + +## ��食方法 +巻きすにおいたのりにすし飯をのせ、醤油や砂糖などを煮含めた干ししいたけといもがら、1cm角の棒状に切った厚焼き卵、縦に切ったきゅうりなどとともに巻いて巻き寿司をつくる。切り分けて甘酢しょうがを添える。好みで、ちくわ、油揚げ、人参なども煮汁で煮て、一緒に巻いても美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 3カップ +- だし昆布: 10cm +- 酢: 大さじ2 +- 干ししいたけ: 大4枚 +- いもがら(干): 30g +- 卵: 2個 +- きゅうり: 1本 +- でんぶ: 大さじ3 +- 焼きのり: 4枚 +- 甘酢しょうが: 適宜 +- 【調味料A(合わせ酢)】酢: 大さじ4と1/2 +- 【調味料A(合わせ酢)】砂糖: 大さじ3 +- 【調味料A(合わせ酢)】塩: 小さじ1 +- 【調味料B】しいたけのもどし汁: 1カップ +- 【調味料B】醤油: 大さじ3 +- 【調味料B】砂糖: 大さじ2 +- 【調味料B】みりん: 大さじ2 +- 【調味料B】酒: 大さじ1 +- 【調味料C】砂糖: 大さじ1 +- 【調味料C】塩: 少々 + +## 作り方 +1. すし飯をつくる。米はだし昆布と酒を入れて硬めに炊いて、調味料A(合わせ酢)は一度煮立てておき、炊きあがったごはんが熱いうちに回しかけ、切るように混ぜる。調味料Aがごはん全体によく混ざってから冷ます。 +2. 干ししいたけは水でもどし、薄く切る。いもがらは水でもどし流水でもみ洗いしてアクを除く。(この時えぐみが強いようなら水から5分程度ゆでてざるに上げ、流水でもみ洗いしてアクを除く)いもがらはのりの幅に切りそろえ、しいたけとともに調味料Bで煮含める。 +3. 卵は調味料Cを入れてよく混ぜ、厚焼き卵にして1cm角の棒状に切る。 +4. きゅうりは縦に4~6つ割りにする。 +5. のりはあぶる。 +6. 巻きすにのりをおき、1のすし飯の1/4量をのせ、手前1cm、向こう側2cmをあけて、平らに広げる。中央に4等分にした具を並べ、具を押さえながら巻きすを手前に起こして一気に巻き込んでかたちをととのえる。残り3本も同様につくる。 +7. 切り分けて切り口を上にして盛り付け、甘酢しょうがを添える。お好みで、ちくわ、油揚げ、人参なども煮汁で煮て、一緒に巻いても美味しくできる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 南アルプス市食生活改善推進員連絡協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_17_1.jpg)" +"# うすやき 山梨県 + +**郷土料理名**: うすやき + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、ちりめんじゃこ、青じそ + +## 歴史・由来・関連行事 +県土の約8割を森林が占めるという山梨県では、稲作のような広大な土地の利用が難しく、米は大変貴重であった。かわりに蕎麦やとうもろこし、さつまいもや雑穀などが主食として栽培されていた。なかでも小麦は利用価値が高く、「ほうとう」が山梨県の名物であることからもわかるように、必然的に粉文化が発展し、長年人々の生活に根付いてきた。「うすやき」はそんな粉物のなかでも、具材によって味を変化させることができ、手軽につくることができる。また持ち運びなどもしやすいため、家でのおやつとしてだけでなく、農作業の合間の軽食として日常的に食べられていた。地の野菜や大葉や豆などの具材を入れたものもあれば、小麦粉だけのシンプルなものに砂糖や砂糖醤油をつけて食べることもあったという。 + +## 食習の機会や時季 +通年食べられている。 + +## 飲食方法 +ボウルに小麦粉、水を加えだまにならないようによく混ぜ、ちりめんじゃこと千切りにした青じそ、塩を加え混ぜたら、熱したホットプレートに薄く油をのばし、生地を丸く流しこみ両面をよく焼く。各家庭により具材や味付けはさまざまで、さつまいもや甘い煮豆、あんこを入れて焼いたりもする。現在ではソーセージを入れたりケチャップをつけるなど現代風にアレンジされることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10枚分) +- 小麦粉: 150g +- 水: 200ml +- ちりめんじゃこ: 20g +- 青じそ: 20枚 +- 塩: 小さじ1/2 +- 油: 適量 + +## 作り方 +1. 青じそを千切りに切る。(または1cm角に切っても良い) +2. ボウルに小麦粉、水を加えだまにならないようによく混ぜる。 +3. 2にちりめんじゃこと1の青じそ、塩を加え混ぜる。 +4. 熱したホットプレートに薄く油をのばし3の生地を丸く流しこみ��面をよく焼く。(両面で弱火で5分程度) +5. 皿に盛り完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山梨県食生活改善推進員連絡協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_18_1.jpg)" +"# おしゃかこごり 山梨県 + +**郷土料理名**: おしゃかこごり + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +甲府市、峡南地域 + +## 主な使用食材 +大豆、三温糖、塩、小麦粉、牛乳 + +## 歴史・由来・関連行事 +「おしゃかこごり」とは、4月8日の釈迦の誕生日を祝う「灌仏会」(花祭り)の行事食で、砂糖を入れた小麦粉に煎った大豆などを加えて丸めた団子で、あまちゃづるの葉でつくられた「甘茶」と一緒に振る舞われる。地域や各家庭により材料は違い、小麦粉の代わりに米粉を使ったり、大豆を中心にあられやくるみ、干しぶどうなどを入れるところもある。「おしゃかこごり」はごつごつとした釈迦の頭を表しており、食べると釈迦のように知恵が授かるとも言い伝えられている。「こごり」は”塊(かたまり)”を意味する方言である。また、仏への献花や供え物のことを「花供御(はなくご)」というが、その音が似ていることにより「お釈迦様の鼻くそ」とも呼ばれる。また「お釈迦様にとっては鼻くそ程度のもの」という謙遜の意味が込められている。「花供御」を食べると無病息災で過ごせるという。 + +## 食習の機会や時季 +4月8日の「灌仏会」にて、地域によっては1ヵ月後の5月8日に食される。 + +## 飲食方法 +大豆は水に3~4時間位浸して、水気をきり、中火で焦がさないように煎る。小麦粉に大豆と砂糖、塩を合わせて温めた牛乳を少しずつ加え、耳たぶ位の柔らかさに練り、10等分してアルミカップに入れ、蒸し器に入れて10分蒸す。地域や家庭により、団子のように丸めたかたちにすることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10個分) +- 大豆: 100g +- 三温糖: 70g +- 塩: 少々 +- 小麦粉: 100g +- 牛乳: 1/2カップ強 + +## 作り方 +1. 大豆は水に3~4時間位浸して、水気をきり、中火で焦がさないように煎る。 +2. 小麦粉に1と砂糖、塩を合わせて温めた牛乳を少しずつ加え、耳たぶ位の柔らかさに練る。 +3. 2を10等分してアルミカップに入れ、蒸し器に入れて10分蒸す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまなしの食 まるごと体験ハンドブック」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_19_1.jpg)" +"# おばく 山梨県 + +**郷土料理名**: おばく + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +峡東地域、峡南地域、富士・東部地域 + +## 主な使用食材 +丸麦、米、じゃがいも、大根、金時豆、さつまいも、里芋 + +## 歴史・由来・関連行事 +「おばく(お麦・御麦)」は、大麦の皮を剥いた丸麦を一晩水に浸し、じゃがいも、さつまいも、大根、里芋などの野菜類や、あずきや金時豆などの豆類などを入れ、たっぷりの水で柔らかめに炊いたものである。すり鉢で煎りゴマ、味噌を入れてすり、水で溶いた冷や汁をかけて食べると口あたりが良く美味しい。稲作がしづらい山間部では、米は祝いの日の貴重な食べ物であったため、麦が日常的な主食となり長年親しまれていた。昔は大きな”かまど”で、焦げ付かせないように絶えずかき混ぜながら一日中煮ていたため、大変重労働であった。「おばく」自体には味付けされていないので、ねぎやカツオ節を加えた味噌や醤油の実をつけて食す。とろとろしたなかに丸麦のぷちぷちとした触感が好まれている。一般には丸麦を使った場合は「ばく」、押し麦を使った場合は「麦飯」と区別されている。丸麦は食物繊維やミネラル、ビタミンが豊富で「五穀の長」とも呼ばれる程の栄養食であり、山間部の厳しい気候や重労働がともなう生活のなか、地元民の健康を支えていたといわれる。 + +## 食習の機会や時季 +主食として通年食されている。 + +## 飲食方法 +前日のうちに3~4時間程度水に浸した丸麦を炊飯器で炊いておき、金時豆も前夜から水に浸す。米を研いで水に浸す。金時豆を鍋に入れ水3~4L位で煮立てておく。大根を厚さ2mmの短冊切りにする。里芋、じゃがいも、さつまいもを約1.5cm程の角切りにして食べ頃にゆでておく。金時豆が煮立っている鍋に大根と、丸麦を加え、焦げないように時々混ぜる。金時豆、大根がやや柔らかくなったら米と水をすべて鍋に加える。米が柔らかくなり、混ぜると鍋底が見えるようになったら里芋、じゃがいも、さつまいもを加えて仕上げる。味噌、薄切りにしたねぎ、花カツオ、砂糖を混ぜ、ねぎ味噌をつくり、「おばく」につけて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (お茶碗20杯分) +- 丸麦: 500g +- 米: 2合 +- じゃがいも: 200g +- 大根: 200g +- 金時豆: 125g +- さつまいも: 300g +- 里芋: 200g +- 【つけ合わせねぎ味噌】味噌: 適量 +- 【つけ合わせねぎ味噌】ねぎ: 1~2本 +- 【つけ合わせねぎ味噌】花カツオ: 5g×1~2袋 +- 【つけ合わせねぎ味噌】砂糖: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 【下準備(ねぎ味噌)】ねぎを薄切りにする。味噌、ねぎ、花カツオ、砂糖を混ぜる。 +2. 前日に、丸麦を煮る。(3~4時間程度水に浸し、玄米の水位4合あたりで炊飯器で炊いておく)また、金時豆を前夜から水に浸す。 +3. 米を研いで水に浸す。(米2合と水800ml程度) +4. 金時豆を鍋に入れ水3~4L位で煮立てておく。(最初から水を多く入れすぎず足りないようなら足す気持ちで) +5. 大根を厚さ2mm位の短冊切りにする。里芋、じゃがいも、さつまいもを約1.5cmの角切りにして食べ頃にゆでておく。 +6. 金時豆が煮立っている鍋に4の大根と、1の丸麦を加え、焦げないように時々混ぜる。 +7. 金時豆、大根がやや柔らかくなったら3の米と水をすべて鍋に加える。※焦げないように常に鍋底からヘラでかき混ぜる。 +8. 米が柔らかくなり、混ぜると鍋底が見えるようになったら里芋、じゃがいも、さつまいもを加えて仕上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまなしの食 まるごと体験ハンドブック」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_20_1.jpg)" +"# うらじろまんじゅう 山梨県 + +**郷土料理名**: うらじろまんじゅう + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +甲州市、上野原市 + +## 主な使用食材 +オヤマボクチの葉、上新粉、もち米、あん + +## 歴史・由来・関連行事 +「うらじろまんじゅう」とは、日当たりの良い山地に生息するキク科ヤマボクチ属の多年草「オヤマボクチ」の葉を練りこんだ郷土菓子である。「オヤマボクチ」の語源は葉の裏側に生えている産毛のような繊維である茸毛(じょうもう)が、火おこしのときに「火口(ほくち)」として使われたからといわれる。また、その茸毛により葉の裏側が白く見えることから「ウラジロ」と呼ばれ「うらじろまんじゅう」と名前がついた。「まんじゅう」と名はついているが粘りのあるヨモギ餅のようである。だがヨモギとは違った風味があり、草の味はほとんどせず食べやすい。甲州市大和地域では、かつて「オヤマボクチ」の葉から取り出した繊維を「ほうとう」の「つなぎ」として使っていたことがあり、それをまんじゅうとして加工したのが始まりとされる。山梨市牧丘地域や県東部の郡内地域では、オヤマボクチの葉をもろこし粉や小麦粉と混ぜてつくる「うらじろだんご」が旧暦の3月3日のひな祭りなどで食べられていた。 + +## 食習の機会や時季 +「オヤマボクチ」の生葉は5月中旬から下旬が旬であるが、ゆでて干すなどの加工や保存管理の向上により、通年つくられ食べることができる。 + +## 飲食方法 +5月中旬から下旬、オヤマボクチの若い柔らかい葉を収穫し、当日のうちに水洗いし、アクを抜く。上新粉を水で練り生地をつくる。せいろでふかしたもち米をついて餅をつくり、オヤマボクチの葉と上新粉の生地を臼でつき合わせる。できあがった生地であんをくるむ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 () +- オヤマボクチの葉: 天候や気温により量を変えて調理するため、以下材料名のみを記す +- 上新粉: 適量 +- 水: 適量 +- もち米: 適量 +- あんこ: 適量 + +## 作り方 +1. 5月中旬から下旬の間に、オヤマボクチの若い柔らかい葉を収穫し、当日のうちに水洗いし、アクを抜く。 +2. 上新粉を水で練り生地をつくる。 +3. せいろでふかしたもち米をついて餅をつくり、1のオヤマボクチの葉と2の生地を臼でつき合わせる。 +4. 3の生地であんをくるむ。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまなしの食 まるごと体験ハンドブック」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_21_1.jpg)" +"# かつ丼 山梨県 + +**郷土料理名**: かつ丼 + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +とんかつ、ごはん、キャベツ + +## 歴史・由来・関連行事 +山梨で「かつ丼」を注文すると、ご飯の上に千切りのキャベツがのり、その上に揚げたてのとんかつがのった丼が出てくる。この上にソースをたっぷりとかけて食べるのだが、とんかつを箸で切って出てくる肉汁と、ソースがしみたご飯によって、ますます食欲が増す美味しさである。丼にのった「かつ丼」を目の前にするとボリュームを感じるが、さっぱりとシャキシャキした食感の千切りキャベツによって最後まで飽きずに食べられる。県外で一般的な卵でとじる「かつ丼」は、山梨県では「煮かつ丼」と呼ばれていて別の料理とされている。山梨県の「かつ丼」の発祥は明治時代の蕎麦店からといわれている。甲府市で360年以上続く老舗そば店の「奥村本店」の当時の主人が、東京へでかけた際にカツレツを食べ、感動してメニューに取り入れようとした。しかし、当時出前が主流だった蕎麦店では器がひとつで済む丼物が中心だったため、丼にのせる「かつ丼」が誕生したのではないかといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +通年食べられている。 + +## 飲食方法 +ご飯の上に千切りキャベツをのせ、揚げたかつを切ってのせる。食べる前にソースをかけるが、とんかつソースとウスターソースの2種類から選べる店もある。また、千切りキャベツだけでなく、きゅうりやトマト、ポテトサラダなども一緒に丼にのせて出す店もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 飯: 200g +- 豚ロース肉: 100g +- パン粉: 15g +- レモン: 1枚 +- 揚げ油: 適量 +- とんかつソース: 適量 +- キャベツ: 20g +- 卵: 20g +- 塩: 少々 +- 洋辛子: 少々 +- 小麦粉: 大さじ1 +- 胡椒: 少々 + +## 作り方 +1. 豚ロース肉に下味をつけ、小麦粉、卵液、パン粉の順につけて揚げる。 +2. キャベツを千切りにする。 +3. レモン1枚を用意する。 +4. とんかつを切る。 +5. 丼にご飯を盛り、千切りキャベツ、とんかつをのせ、ソースをかけ、レモンと洋辛子もつける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 依田 萬代氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_22_1.jpg)" +"# 茂倉瓜の冷や汁 山梨県 + +**郷土料理名**: 茂倉瓜の冷や汁 + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +早川町 + +## 主な使用食材 +茂倉瓜、味噌、みょうが、しそ + +## 歴史・由来・関連行事 +「茂倉瓜の冷や汁」とは、標高800mの南アルプスの麓にある早川町茂倉地域で、130年前から代々自家播種しながら栽培されてきた茂倉瓜を、千切りにして冷たいだし汁に入れ、味噌や薬味を加えてご飯にかけて食べる山の冷や汁であり、簡単で暑い夏にぴったりの郷土料理である。茂倉瓜は若い頃はきゅうりのようだが、成長すると太くずんぐりとした形になり、冬瓜のように大きくなる。皮は濃い緑や黄色や茶色っぽくなるものもあるが、皮をむくと薄い緑色でみずみずしい。味はきゅうりほど青臭くなく、くせがない。食感はしゃきしゃきしており冷や汁によくあう。瓜は大変交配しやすいため、茂倉地域ではきゅうりやにがうりなどと一緒に畑に植えず、下の部落の土地で育てている。 + +## 食習の機会や時季 +茂倉瓜の旬でもある夏の暑い時期、7月上旬から8月上旬に食べられる。 + +## 飲食方法 +冷蔵庫で冷やしておいた煮干しのだし汁に、皮をむき種をとった茂倉瓜とみょうがを、それぞれ千切りにして入れ味噌を加える。さらにしそも千切りにしてそえ、ご飯にかけて食べる。押し麦の麦飯おにぎりがそえられたり、丸麦のおかゆである「おばく」にかけて食べるのが好まれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 茂倉瓜: 1本 +- だし汁(煮干し): 300ml +- 味噌: 大さじ2 +- みょうが: 2個 +- しそ: 2枚 +- 細ねぎ: 1/2本 +- えごま: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 煮干しでだし汁をとり、冷蔵庫で冷やしておく。 +2. 茂倉瓜の皮をむく。 +3. 茂倉瓜の種をとる。 +4. 茂倉瓜、みょうが、しそを千切りにする。細ねぎは小口切り、えごまは乾煎りしてすりおろす。 +5. 1のだし汁に味噌を加え、よくかき混ぜる。 +6. おに千切りにした茂���瓜とみょうが、しそ、細ねぎ、えごまを入れ、5のだし汁を注いで混ぜ合わせ、氷を浮かべて冷やして出来上がり。麦ごはんがあればおばく(丸麦のお粥)にかけていただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山梨県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_23_1.jpg)" +"# じゃがいもとひじきの煮物 山梨県 + +**郷土料理名**: じゃがいもとひじきの煮物 + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +富士吉田市、富士河口湖町 + +## 主な使用食材 +じゃがいも、乾燥芽ひじき、砂糖、醤油、みりん + +## 歴史・由来・関連行事 +富士山信仰で訪れる信者に対して、宿を提供し、もてなす役目の御師が、富士山山開きの7月1日に振る舞ったのが「じゃがいもとひじきの煮物」だという。また、富士登山の安全と無事、暑い夏を健康に過ごせるよう祈願するものとして、富士山や神棚に供えたと伝えられている。「海のものと山のものを用い、開山をお祝いする」というのがもともとの意義であり、100年以上前から食べられているこの「じゃがいもとひじきの煮物」は現在でも習慣として山開きの日には食べられるという。 + +## 食習の機会や時季 +山開きの7日1日に食べられるが、庶民の味として普段でも食卓にあがる。特に皮が薄い新じゃがが出回る5月から10月までの間はよくつくられる。じゃがいもの芋類、人参の緑黄色野菜、干ししいたけのきのこ類、ひじきの海藻類と栄養バランスに富み、夏の猛暑に負けないとされている。 + +## 飲食方法 +ひじきはよく洗ってから水に20分程度浸してもどし、ざるに上げて水気を切る。じゃがいもは皮を剥き(新じゃがいもの場合は好みにより剥かなくても良い)半分に切る。鍋に入れた油が熱くなったらひじきを加えて全体に油が回るまで炒め、じゃがいもを加え、ひたひたの湯を加えて煮る。じゃがいもに火が通ったら砂糖、醤油を加え弱火で煮る。(15~20分程度)仕上がる直前にみりんを加え、全体に照りがでるまで煮る。彩りや栄養面から、人参、干ししいたけ、さやいんげん、油揚げを入れたりする。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4~5人分) +- 新じゃがいも: 中3~4個 +- 乾燥芽ひじき: 50g +- 油: 大さじ1 +- お湯: ひたひた程度 +- 砂糖: 大さじ2 +- 醤油: 大さじ3 +- みりん: 大さじ2 +- ※好みで、人参、しいたけ、さやいんげんを加えることもある: 適量 + +## 作り方 +1. ひじきはよく洗ってから水に20分程度浸してもどし、ざるに上げて水気を切る。 +2. じゃがいもは皮をむき1/2に切る。(人参、干ししいたけ、さやいんげん、油揚げを切る) +3. 鍋に油を入れて火にかけ、油が熱くなったらひじきを加えて全体に油が回るまで炒め、じゃがいもを加え、ひたひたの湯を加えて煮る。 +4. じゃがいもに火が通ったら砂糖、醤油を加え弱火で煮る。(15から20分程度) +5. 仕上がる直前にみりんを加え、全体に照りがでるまで煮る。 +6. 器に盛り完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまなしの食 まるごと体験ハンドブック」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_24_1.jpg)" +"# 月の雫 山梨県 + +**郷土料理名**: 月の雫 + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +甲州市、甲府市 + +## 主な使用食材 +砂糖、甲州ぶどう + +## 歴史・由来・関連行事 +「月の雫」とは、山梨県のぶどうを代表する品種「甲州ぶどう」の粒に、砂糖を練り上げた白い蜜を一つずつかけてコーティングした手間暇をかけた郷土菓子である。固まった蜜が、甘くほろっとほぐれる食感と、「甲州ぶどう」特有のみずみずしい甘酸っぱさが絶妙の組み合わせになっている。「甲州ぶどう」は、高温の蜜にも耐えられるほどの皮の厚さががあり、また適度な酸味がこの菓子に向いているとされる。「月の雫」の由来は、江戸時代、甲府市にあった和菓子店で砂糖を煮詰めていたところ、近くにあったぶどうが一粒落ち、それが冷えて固まりできあがったともいわれる。江戸時代末頃に出版されたガイドブック『甲府買物独案内』にも、数軒の菓子店で「月の雫」が売られていたこと、『甲斐名所寿古六』にも「極製月の雫」として描かれるなど、すでに甲州の銘菓として知られていたことがわかる。山梨県の銘菓として歴史が深く、今な��人気も高い。 + +## 食習の機会や時季 +新鮮な「甲州ぶどう」のみを使うため、毎年9月下旬から12月、製造元によっては翌年3月あたりまでの期間限定となっている。 + +## 飲食方法 +ボウルに砂糖と水を入れ強火で加熱し、砂糖が溶けるまでしずかに混ぜる。大きな泡が小さな泡になり112度か114度位まで加熱すると糸を引く程度の粘着力が出てくるので火から下ろし、ボウルを水につけ40度になるまで冷やす。冷めたらすりこぎで力いっぱい練ると月の雫の素(フォンザン)が仕上がる。フォンザンを小鍋にとり200度に設定したホットプレートにのせ、溶けてきたら温度を160度から180度位に下げ、長めに切りとったぶどうの軸をピンセットで持ちフォンザンをくぐらせ、クッキングシートを敷いたバットに取り出す。冷えたら軸を切りとる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (200粒分) +- 砂糖: 1kg +- 水: 360ml +- 甲州ぶどう: 1kg + +## 作り方 +1. ボウルに砂糖と水を入れ強火で加熱する。(仕上げるまで強火のまま) +2. 砂糖が溶けるまでボウルに水滴がはねないように静かに混ぜる。 +3. 大きな泡が次第に小さな泡になってくる。112度か114度位まで加熱すると糸を引く程度の粘着力が出てくるので火から下ろす。 +4. 下ろしたボウルはすぐ水につけ、40度になるまで冷やす。 +5. 冷めたところでボウルを水から引き上げ、すりこぎで力いっぱい練る。すりこぎが動かないほど硬くなるが、さらに力を入れて素早く練ると柔らかな月の雫の素(フォンザン)が仕上がる。 +6. ぶどうの軸を長めに一粒ずつ切りとる。 +7. フォンザンを小鍋にとり、200度に設定したホットプレートにのせる。ゆるく溶けてきたら温度を160度から180度位に下げ、ぶどうの軸をピンセットで持ちフォンザンをくぐらせ、クッキングシートを敷いたバット(大きめな皿)に取り出す。冷えたら長めの軸を切りとる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまなしの食 まるごと体験ハンドブック」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_25_1.jpg)" +"# 馬刺し 山梨県 + +**郷土料理名**: 馬刺し + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +馬肉、薬味など + +## 歴史・由来・関連行事 +山梨は甲斐国と呼ばれていた律令制の時代から貢馬の国として知られ、「甲斐の黒駒」は貴族たちの憧れのブランドであった。また、かつて富士山の信仰登山が盛んで、登山者の荷揚げ用に馬がたくさん飼われていた。馬が身近にあったことから、安く手に入る馬肉の料理が盛んになったといわれている。「馬刺し」は、生の馬肉を薬味と醤油につけるというシンプルな食べ方ではあるが、良質な馬肉のとろりとした食感と、甘みのある軽い脂が存分に味わえる馬肉の代表的料理である。「やまなしの食」や「農山漁村の郷土料理百選」に選定されている「吉田うどん」には甘辛く煮た馬肉がのせられる。また馬肉は美味しいだけでなく鉄分やミネラル、ビタミンなど栄養価が高いことで知られる。高たんぱく質、低カロリーで、低アレルギー食品としても評価が高い。また、馬肉は「桜肉」とも呼ばれるが、由来は諸説ある。馬肉自体が綺麗な桜色をしているからという説、寒い時期にたくさん食べて肥え、越冬した春の馬刺しは絶品であるからという説、江戸時代は獣肉を堂々と食べることができず、隠語として馬肉を「桜」と呼んだという説、坂本龍馬が「咲いた桜になぜ駒(馬)つなぐ、駒が勇めば花が散る」と歌ったフレーズが元になった説などある。それほど地域によって人々の食に根付いていた食材であるといえる。 + +## 食習の機会や時季 +通年食べられている。 + +## 飲食方法 +カットされた馬肉に、おろししょうが、おろしにんにく、ねぎ、七味とわさびなど、好みの薬味をのせて醤油をつけて食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 馬刺し: 70g +- しょうが: 10g +- 大根: 40g +- 醤油: 大さじ1 +- 長ねぎ: 15g +- しそ: 1枚 + +## 作り方 +1. 馬刺しを薄く切る。 +2. 大根は細い千切りにする。 +3. 長ねぎは小口きりにする。 +4. しょうがはすりおろす。 +5. 皿に大根のつまをのせ、しそ、馬刺しの順に乗せ、手前に長ねぎとしょうがをあしらう。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 依田 萬代氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_26_1.jpg)" +"# 夕顔のみそ汁 山梨県 + +**郷土料理名**: 夕顔のみそ汁 + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +富士北麓地域 + +## 主な使用食材 +夕顔、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +夕顔は富士北麓地域の夏の風物詩で「夕顔のみそ汁」が頻繁に食卓に上がる。一般的には「ゆうがお」と呼ぶが、山中湖村では「ゆうごう」と呼ばれることが多い。この地域に栽培されている夕顔は、朝顔とは別の植物であり、また、かんぴょうの材料となる「マルユウガオ」でもなく、ひょうたんのような長いかたちをした「ナガユウガオ」である。夕顔は古くから利尿作用があるとして、腎臓病を患う人の食事に用いられてきたという。夕顔の名は、朝に咲く朝顔に反して、夕方に開花することからきている。夕顔の原産地は北アフリカ、またはインドで、古くから日本でも栽培されているが、いつどのように伝来されたかは分かっていない。富士北麓地域では、大正時代から夕顔栽培がおこなわれてきており、昭和40年(1965年)頃から市場に向けて栽培が盛んにおこなわれるようになった。現在は高齢化などから栽培する人は減少したが、各家庭の畑などで多く栽培されており、地域の代表的な野菜の一つになっている。 + +## 食習の機会や時季 +8月から9月頃の暑い時期によく食される。 + +## 飲食方法 +煮干しで出汁をとり、薄切り、または角切りにした夕顔を入れ、煮立ったら味噌を入れて火を止める。油揚げやじゃがいもなど他の具と合わせても美味しい。味噌汁だけでなく、冬瓜と少し食感は違うが味わいは淡泊で似通っており、煮込むと夕顔ならではのトロンとした独特の食感を持つ。出汁で煮てそぼろあんかけにしたり、豚肉や鶏肉と合わせて煮たり、スープなども良い。煮すぎないように注意。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 夕顔: 200g +- 煮干し: 10g +- 味噌: 50g + +## 作り方 +1. 煮干しで出汁をとる。 +2. 薄切り、または角切りにした夕顔を入れ、煮立ったら味噌を加えて、火を止める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「甲斐路 ふるさとの味」(山梨県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_27_1.jpg)" +"# 生湯葉 山梨県 + +**郷土料理名**: 生湯葉 + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +身延町 + +## 主な使用食材 +生湯葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「生湯葉」は大豆を煮て粉砕し、布でしぼってつくった豆乳を煮立て、その表面にできた被膜のことで、身延町の特産品であり、たくさんの製造元がある。「生湯葉」といっても一種類ではなく、厚さや食感の違う「生湯葉」がいろいろと売られている。約750年ほど前、日蓮聖人が身延山に入山した際、弟子たちが師の体を気づかい、消化吸収の良い栄養源としてつくったのが始まりといわれている。日本へは約1200年前、平安時代の僧である最澄が中国より、「仏教」「茶」とともに「湯葉」を持ち帰ったのが起源ともいわれている。大豆は良質な植物性たんぱく質と脂質が含まれ、肉食を禁じられている僧侶たちの体を支える、現在でも大事な精進料理のひとつである。 + +## 食習の機会や時季 +通年食べられている。 + +## 飲食方法 +「生湯葉」はひと口大に切って、わさび醤油で食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 生湯葉: 50g +- つけ汁: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 皿に南天をのせ、手前に生湯葉を盛る。 +2. つけ汁を添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 依田 萬代氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_28_1.jpg)" +"# しょうゆの実 山梨県 + +**郷土料理名**: しょうゆの実 + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +芦安(あしやす)地域 + +## 主な使用食材 +大豆、麦麹 + +## 歴史・由来・関連行事 +「しょうゆの実」とは芦安(あしやす)地域で古くから伝わる大豆と麹を発酵させてつくる保存食であり、芦安地域ならではの郷土料理である。昔から芦安地域は傾斜地が多く、また高冷地にあるため通常の野菜の栽培や稲作には向かず、寒さに強い大豆などが多く栽培されてきた。各家庭で水でふやかした大豆で醤油をつくり、残った豆は「しょうゆの実」として栄養満��のおかずとなり、貴重なたんぱく源とし食べられていた。冬には欠かせない保存食であるため、醤油をつくらなくなった今でも毎年「しょうゆの実」をつくって大事に食されている。つくり方は各家庭によってレシピが異なることと、麹をつかった発酵食品のため、温度やつくり手のさじ加減により、味や香りも微妙に違う。 + +## 食習の機会や時季 +大豆の収穫がはじまる10月頃よりつくられはじめるが、冬の保存食として食べられてきた。斜面の耕地で大豆と大麦や小麦栽培が多く、「しょうゆの実」はかつて麦ごはんにのせて食べられていた。 + +## 飲食方法 +大豆を4時間ほど煮て1時間乾かし、麦麹を細かくしたものを混ぜ合わせ、木箱にワラを薄く敷き、厚さ3~4cm位入れる。大豆が少し隠れる位ワラを薄く敷く。タオル・毛布をかけ、木箱の中の温度を20℃位にする。豆から白いカビ(花)が出たら箱の下に敷いたワラをとりながら手を入れて混ぜ合わせ、またタオル・毛布をかけ、箱の中を20℃にする。数日後、白い花から黒い花になってきたら、豆をよく乾かしてできあがり。もどす時は、水と少量の酒の中にしょうゆの実を入れ、実が少し柔らかくなってきたら塩を少々入れると1週間位で「しょうゆの実」ができる。湯でもどすこともある。できあがりには、ねぎ、シラス干しなどを入れて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (一箱分) +- 大豆: 2~4升 +- タオル: 適宜 +- 薄く広い木箱: 1箱 +- 麦麹: 1枚 +- 毛布: 1枚 +- ワラ(ゴザ): 約1束 + +## 作り方 +1. 大豆を4時間ほど煮て(納豆位の柔らかさ))1時間乾かして水分と熱をとり、さらさらにする。 +2. 1に麦麹を細かくしたものを混ぜ合わせる。 +3. 木箱にワラを薄く敷き、上に2を厚さ3~4cm位入れる。 +4. 敷きつめた大豆が少し隠れる位ワラを薄く敷く。 +5. 【発酵 手順1】タオル・毛布をかけ、木箱の中の温度を20℃位にする。 +6. 【発酵 手順2】豆から白いカビ(花)が出たら箱の下に敷いたワラをとりながら手を入れて混ぜ合わせる。 +7. 【発酵 手順3】混ぜたら、またタオル・毛布をかけ、箱の中を20℃にする。 +8. 【発酵 手順4】数日後、白い花から黒い花になってくる。 +9. 【発酵 手順5】豆全体に黒い花が付いたら、タオル・毛布をとりはずし、豆をよく乾かしてできあがり。 +10. 【戻し方 手順1】水と少量の酒の中にしょうゆの実を入れる。 +11. 【戻し方 手順2】実が少し柔らかくなってきたら塩を少々入れる。 +12. 【戻し方 手順3】1週間位すると、しょうゆの実ができる。 +13. 【戻し方 手順4】できあがりには、ねぎ、シラス干しなどを入れ、食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまなしのおかず」(山梨県食生活改善推進員連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_29_1.jpg)" +"# いのぶた鍋 山梨県 + +**郷土料理名**: いのぶた鍋 + +**都道府県**: 山梨県 + +## 主な伝承地域 +三富地域他 + +## 主な使用食材 +いのぶた肉、白菜、えのき、生しいたけ、しめじ、春菊、味噌、ごま油 + +## 歴史・由来・関連行事 +山梨県は8割を森林が占め、狩猟によりジビエ料理なども食べられてきた。特に笛吹川の上流にあたる三富地域は、昔から狩猟が盛んで、いのししをよく食べていたこともあり、戦後、雄のいのししと、雌の豚を掛け合わせた「いのぶた」の飼育が奨励された。「いのぶた鍋」は、ごま味噌汁などにいのぶた肉を入れて、地元でとれた野菜やきのこをたっぷりと煮込んだ鍋料理である。いのぶた肉は獣臭はなく、さっぱりとしていて脂に甘みとコクを感じる。豚肉と比べても柔らかく、風味豊かな赤身が特徴である。さらにたんぱく質が豚肉よりも約20%多く低脂肪である。また、栄養価が高く体が温まるため、スタミナ料理といわれている。飼育に関しては豚よりも期間が長く、病気やストレスを与えないための徹底管理などがとても難しいとされる。野生種の雄いのししの捕獲に加え、神経質な性格のため人に慣れさせるための苦労もあるという。また交配させるための組み合わせやタイミングなども経験を要する。 + +## 食習の機会や時季 +いのぶた肉は飼育されていることと冷蔵や冷凍設備の向上も加わり、通年食べられている。 + +## 飲食方法 +鍋にごま味噌汁��煮立たせ、いのぶた肉を入れて火が通ったら、切った野菜を入れて煮ながら食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- いのぶた肉: 300g +- 白菜: 500g +- えのき: 100g +- 生しいたけ: 4枚 +- しめじ: 100g +- 春菊: 50g +- 【調味料A(ごま味噌汁)】だし汁: 2と1/2カップ +- 【調味料A(ごま味噌汁)】味噌: 80g +- 【調味料A(ごま味噌汁)】砂糖: 大さじ1強 +- 【調味料A(ごま味噌汁)】ごま油: 少々 +- 【調味料A(ごま味噌汁)】七味唐辛子: 少々 + +## 作り方 +1. 鍋に調味料Aを合わせ、煮立ったところにいのぶた肉を入れる。 +2. 肉に火が通ったら食べやすい大きさに切った野菜を入れ、煮ながら食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やまなしの食 まるごと体験ハンドブック」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_30_1.jpg)" +"# いもなます 長野県 + +**郷土料理名**: いもなます + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +北信地域(飯山市) + +## 主な使用食材 +じゃがいも + +## 歴史・由来・関連行事 +「いもなます」は、飯山市周辺に伝わるじゃがいもを使った郷土料理。「なます」は、食材を酢で和えた料理で、日本では正月のおせち料理として、大根と人参を使った「紅白なます」や、れんこんを使った「酢れんこん」がつくられる。日本有数の豪雪地帯で知られる北信地域は、積雪量が多いため冬に新鮮な野菜を手に入れることが難しかった。そのため飯山市周辺では、保存がきく「じゃがいも」でなますをつくった。じゃがいも料理が日本で定着したのは明治時代以降といわれているが、飯山周辺では江戸時代から食べられており、池波正太郎の歴史小説「鬼平犯科帳」にも、いもなますが登場している。平成19年には、飯山市の選択無形民俗文化財に指定されている。 + +## 食習の機会や時季 +日常の茶受けや寺の精進料理として、また冠婚葬祭など人が多く集まる機会につくられた。特に祝い事がある際は大皿に盛り付けて振舞われた。人参を入れて彩りを添えることもあるが仏事の場合は入れない。 + +## 飲食方法 +シャキシャキとした食感が特徴のいもなますは、じゃがいもが本来持つデンプンを取り除いて、手間暇かけてつくる料理。炒め始める時に酢を入れることによって、じゃがいもの食感を保つことができる。最近はカレー粉を加えたり、じゃがいもの代わりに長芋を使ってアレンジすることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- じゃがいも: 中2個 +- 砂糖: 大さじ4 +- 油: 大さじ3 +- 酢: 大さじ3 +- 塩: 小さじ1/2 + +## 作り方 +1. じゃがいもは皮をむき、細い千切りにして水を張ったボウルにとり、水をかえながら最低2時間以上水にさらしてデンプンを取り除く。 +2. さらしたじゃがいもをざるにとってしっかり水を切る。 +3. 鍋に油を入れて熱し、じゃがいもを入れて全体に油が回ったら酢を入れさっと混ぜたあと、砂糖、塩の順に加える。 +4. 中火にして水分がなくなるまで炒める。 +5. ※いもなますには男爵いもが最適。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「未来へつなごう ばあちゃんの味 かあちゃんの味」(飯山市食の風土記編集委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_10_1.jpg)" +"# 鯉こく 長野県 + +**郷土料理名**: 鯉こく + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +佐久市 + +## 主な使用食材 +コイ、味噌、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +長野県東部に位置する佐久市は、二毛作の難しい佐久平で、水田を利用したコイの養殖がおこなわれている。「佐久鯉」の養殖は、天明年間に桜井の呉服屋・臼田丹右衛門が大阪から持ち帰り、1825年(文政8年)岩村田藩主内藤豊後守が大阪からの帰国に際し、「淀鯉」を野沢の豪商・並木七左衛門に与え、養殖を定着させたといわれている。明治5年以降、機械製糸の発展に伴い、さなぎの入手が容易になると、それを飼料としてコイが大量生産できるようになり、養鯉が急速に発展して「佐久鯉」の名は全国的に知られるまでになった。時代は流れ、食習慣の変化や農薬の普及などにより佐久市の養鯉は徐々に廃れてしまったが、近年の減農薬栽培の普及と減反調整などにより、「佐久鯉」を復活させる取り組みが始まった。通常、コイは2年で���荷されるが、「佐久鯉」は食用に適する大きさに育つまでに3~4年かかるのが特徴で、千曲川の冷たい流水により身の引き締まったコイは、臭みがほどんどなく脂肪が適度にのった肉質となる。佐久市に伝わる「鯉こく」は、大胆に筒切りにして味噌で煮た汁もので、佐久地域の正月には欠かせないものとなっている。佐久ホテルの篠澤社長の八代前の先祖の篠澤佐五右衛門滋野包道が延享3年(1746)の正月6日に伊勢神宮の福島鳥羽大夫神官を邸宅に招き、「鯉こく」を食べさせたことがきっかけで正月に「鯉こく」を食べるようになった。甘めの煮汁で炊いた「鯉のうま煮」は、佐久地域では馴染みのある料理で、脂ののりが良いコイだと口の中でとろける。コイの身は淡泊でふんわりとしていて脂がのっており、アラから良い出汁が出る。コイは泥臭いと思われがちだが、清流で育った「佐久鯉」は刺身にしても美味しく、冷水で身を引き締めた「あらい」は、佐久の地酒とも合う。 + +## 食習の機会や時季 +コイは、山国の冠婚葬祭にかかせない魚となっている。お正月によく食べられており、「病気をせず一年健康に過ごせるように」という思いが込められている。 + +## 飲食方法 +コイを大胆に筒切りにして、味噌で煮る。味噌に砂糖を入れる入れない、コイのうろこを取る取らないなど、つくり方は地域や家庭によって様々。好みで粉山椒をかけていただく。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5~6人分) +- コイの輪切り: 5切と鯉の頭 +- 砂糖: 小さじ1 +- 酒: 100ml +- 味噌: 100g +- ごはん: 20g +- 水: 1500~2000ml + +## 作り方 +1. 【下処理】コイを輪切りにして、熱湯に4、5分つける。その際白くなったところを水にさらした時に取る。 +2. 鍋に下処理したコイの輪切りを並べ、酒と水を入れる。 +3. 強火で煮て、沸騰しはじめたらアクを丁寧に取る。(旨味の油は取らないように) +4. アクを取り終わったら、汁が濁らないように中火にし、砂糖全部と味噌の01月03日位を入れてじっくり煮る。少量の味噌とごはんをすり鉢でよくすってから混ぜ、3時間前後煮込む。 +5. 好みでねぎや豆腐又は凍み豆腐などを入れ、残りの味噌を溶き入れながら味をみる。また、器に盛り付けた後、好みで粉山椒を振り、ゆでた芹をそえる。 +6. ※汁を増やすと人数分より多くの「鯉こく」ができる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「佐久市農村生活マイスターの会 レシピ集 母から子へ 孫へ伝える佐久の味」(佐久市農村生活マイスターの会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_11_1.jpg)" +"# 塩いかの酢の物 長野県 + +**郷土料理名**: 塩いかの酢の物 + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +北信地域、南信地域(県内全域) + +## 主な使用食材 +イカ、きゅうり、ワカメ、酢 + +## 歴史・由来・関連行事 +長野県は海から遠いため、海産物は水揚げされた地域で加工され、「塩の道」を通って運ばれた。塩の道は「千国街道(糸魚川から松本・塩尻)」、「北国街道(直江津から追分(現・北佐久郡軽井沢町追分))」、「北国街道(岡崎から塩尻)」、「秋葉街道(御前崎から塩尻)」などいくつかの道筋があり、塩や海産物を内陸に運ぶのに使われていた。ゆでたイカを塩漬けにした塩丸イカは、その代表的な食品で、江戸時代中期からつくられるようになり、元々は塩自体を交易する際の副産物としてつくられたものだったが、海がない長野県にとって海産物はとても貴重で、冷蔵・冷凍保存ができなかった頃の保存食としても珍重された。塩丸イカは、きゅうりとワカメと一緒に酢で和えた「酢の物」にして食べるのが一般的。現在では、北信地域と南信地域を中心に食べられている。 + +## 食習の機会や時季 +特に春から夏にかけて食べられることが多い。特にきゅうりがとれる夏場は、冷蔵庫の中に塩丸イカが入っている家も多く、酢の物は今もよくつくられている。塩丸イカは、塩抜きをしても適度に塩辛いため塩分が摂取でき、夏場の熱中症対策にもなった。 + +## 飲食方法 +塩丸イカは、とても塩辛いため、時間がかかるが塩抜きをしてから調理する。定番の酢の物以外にも、ゆでてサラダに混ぜたり、天ぷらにすることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 塩丸イカ: 1/2パイ +- きゅうり: 1本 +- 生ワカメ: 10g +- 酢: 大さじ2 +- 砂糖: 大さじ2 +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 塩丸イカは手でさいてから水につけて塩抜きする。途中2~3回水を替える。(別法として、5mm幅くらいの輪切りにする。)※イカの塩抜き加減が味の決め手!塩気が少し残る程度に。 +2. ワカメはさっとゆで、食べやすい大きさに切る。 +3. きゅうりは薄い輪切りにして、うす塩で軽くもむ。 +4. 合わせ酢をつくり1、2、3を和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「未来へつなごう ばあちゃんの味 かちゃんの味」(飯山市「食の風土記」編集委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_12_1.jpg)" +"# 手打ちそば 長野県 + +**郷土料理名**: 手打ちそば + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +そば粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +長野県といえば「信州そば」というほど、そばは代表的な郷土料理。冷涼な気候で、米や小麦が栽培しづらい高冷地の農産物として育てられてきたのが「そば」だった。朝霧のかかるような標高700m前後の高冷地では、霜に弱い蕎麦を霧がやさしく守ってくれるため美味しいそばができる。そば切り(細い麺状のそば)発祥の地としても有名で、「戸隠そば」「開田そば」など、そばの特産・名産地が多く点在している。「霜下そば」とも呼ばれる「戸隠そば」は風味が良く冷たい水でキュッとしめられ、のど越しの良いのが特徴。一本棒・丸伸ばしという古くから伝わるそば打ち方法で、小分けにした盛り付けは「ぼっち盛り」と呼ばれている。また、そばの薬味にかかせない「わさび」は県内の9割以上が安曇野市産のもので、そばに引き続き全国一位の生産量を誇る。北アルプスから湧き出る雪解け水で育てたわさびは、なめらかな口当たりとまろやかなコクが特徴で、辛いだけでなくそばの甘みを引き立ててくれる。 + +## 食習の機会や時季 +時期問わず、食べられているが、そばは春と秋の年2回収穫時期があり、収獲したての「新そば」が美味しいとされている。夏の新そばを「夏新」、秋の新そばを「秋新」といい、一般的に秋のそばの方が香り、色、風味が良く美味しいといわれている。信州の新そばは、10月中旬から11月上旬頃に出回る。 + +## 飲食方法 +そばは、そばつゆにねぎとわさびを入れて食べるのが一般的だが、伊那の「高遠そば」は、そばつゆに大根のしぼり汁と焼き味噌を加えたものにそばをつけて食べ、奈川の「とうじそば」は鍋つゆに野菜や鶏肉などを入れて火にかけたものに、竹籠に入れたそばをしゃぶしゃぶのようにして食べたりなど、そばの産地の長野県には、地域や産地によって様々な食べ方がある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3~4人分) +- そば粉: 400g +- 小麦粉(地粉): 100g +- 水: 225ml +- 【そばつゆ】だし汁: 400ml +- 【そばつゆ】みりん: 100ml +- 【そばつゆ】醤油: 100ml + +## 作り方 +1. そば粉と小麦粉を振って、こね鉢の中でよく混ぜ合わせる。 +2. 1に水200ml強をまわし入れ、粉全体に水が均一に混ざるように手早くかき混ぜる。 +3. 両手を熊手状にしてかき混ぜていくうちに、フレーク状になり、小さな粉の粒からだんだんとまとまってなめらかなビー玉状になってくる。(この過程が一番大事) +4. 3の大きいものがピンポン玉くらいになり。全体に粉気が感じられなくなったら一つにまとめて菊練りをする。(100回位練り、へそ出しをする) +5. 4を麺棒を使ってのして切り、そばにする。 +6. 大鍋に湯を沸かし、5を小分けしてバラバラ振り入れ、浮き上がるまで待つ。差し水をしないでゆで上げる。急いで冷水で冷やし、表面のぬめりを取って氷水でしめる。ざるで水を切る。 +7. すぐに食べられるように段取り良く薬味等を準備しておく。ゆでてから2分以内がもっとも美味しい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 長野県農村文化協会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_13_1.jpg)" +"# こねつけ 長野県 + +**郷土料理名**: こねつけ + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +北信地域、東信地域 + +## 主な使用食材 +米、小麦粉、青じそ + +## 歴史・由来・関連行事 +戦国武将、真田幸村が出陣前に腹ごしらえの���めに食したとされる「こねつけ」。こねつけとは、ご飯と小麦粉を混ぜてこねたものに味噌だれや醤油だれなどを付けたもので、北信・東信地域に伝わる郷土料理。当時は米が貴重だったため、米が不作の時に満腹感を味わうために小麦粉を混ぜて焼いたといわれている。武将の携行食としても食べたといわれ、幸村にとって最期の戦となった大坂夏の陣(1615年)では兄の信幸と別れの盃とともに食したという逸話が残っている。今は、冷蔵・冷凍技術が発達しているが、以前はそのようなものがなかった。こねつけは、余ったご飯をむだなく美味しく食べるための生活の知恵から生まれた郷土料理。釜に残った米粒を水につけてざるにもどし、干し米にして食すこともあり、そうやって工夫を凝らしながら、おこびれ(おやつの方言)や主食の足しにしていた。 + +## 食習の機会や時季 +年間を通して食べられている。以前は主食として食べていたが、今はおやつとして食べることが多い。 + +## 飲食方法 +ご飯に小麦粉を加えてこね、油をひいたフライパンで焼く。タレは、甘味噌、胡桃味噌、唐辛子味噌など様々なつくり方や味付けがある。切った青じそやニラをご飯に入れても美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4個分(2人分) +- 残りごはん: 茶碗2杯 +- 小麦粉: 1カップ +- 青じそ: 5枚(好みで入れる場合) +- 【調味料A】砂糖: 適量 +- 【調味料A】醤油: 適量 +- 【調味料A】油: 適量 + +## 作り方 +1. 青じそは細かく刻む。(好みで入れる場合) +2. 残りごはんと小麦粉を合わせ(好みで入れる場合は、1を入れ)よくこねる。 +3. 2を棒状にのばす。(ごはんが残ったときは、ラップに包んで冷凍庫に入れておくと良い) +4. 1.5cmの輪切りにする。または、2を丸や小判型に手でかたちづくる。 +5. フライパンに油をひいて両面を焼く。 +6. 焼いたら、煮立てた調味料Aの中に入れ、味付ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「おいしい信州ふーどネット」(長野県農政部農業政策課) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_14_1.jpg)" +"# たけのこ汁 長野県 + +**郷土料理名**: たけのこ汁 + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +北信地域 + +## 主な使用食材 +たけのこ、サバ、たまねぎ、豆腐、卵、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +「たけのこ汁」は、根曲がり竹を使った味噌汁で、北信地域と新潟県上越地域で食べられている郷土料理。「根曲がり竹」とは、ちまざさという笹の新芽で、山間部でとれるたけのこのこと。初夏の極わずかな時期にしかとれないため、出回る量が少なく、手に入りにくい希少なたけのこ。多雪地帯特有のもので、アクが少なく味が良いといわれている。一部の地域でははちくを用いることもある。「たけのこ汁」といえば、無くてはならないのがサバの水煮缶。昭和30年代に広まったサバ缶は、海がない長野県では重宝され、以前は高価なものだった。味噌汁にサバを入れるのは地域特有の食べ方で、あっさりとした味噌汁に油とコクが加わり、「たけのこ汁」に欠かせない旨味にもなっている。シンプルにたけのことサバ缶だけでも十分美味しいたけのこ汁になるが、たまねぎ、人参、油揚げ、豆腐、溶き卵などを入れることもある。 + +## 食習の機会や時季 +根曲がり竹は、5月から6月の初夏に収穫される。アクが少ないので、収穫して直ぐであれば皮を向いてアク抜きせずにゆでて食べることができる。根曲がり竹が出回る時期になると、地元のスーパーマーケットにはサバ缶がずらりと並ぶ。たけのこは、瓶詰めや缶詰にされたものが手軽に購入でき、塩漬けにして保存したものなどを使って一年中楽しめる。 + +## 飲食方法 +皮をむき、節の硬い部分を切り落としたたけのこを切り鍋に入れ、たまねぎや人参などの具材とサバ缶を加え、水と酒で煮る。たけのこが煮えたら豆腐を加え、味噌を溶く。煮立ち始めたら溶き卵を加える。たけのことサバ缶だけのシンプルな味噌汁から、具沢山の味噌汁など、地域や家庭によってつくり方は様々。たけのこは、「一晩おくと山へ帰る」といわれているほど、時間が経つとアクが強くなる。購入したら、その日のうちに調理する。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 根曲がりたけのこ: 500g +- サバの水煮缶: 1缶 +- 水: 4カップ +- たまねぎ: 1/2個 +- 豆腐: 1/2丁 +- 卵: 1個 +- 味噌: 大さじ4 +- 酒: 1カップ + +## 作り方 +1. たけのこは皮をむき、節の近くの硬い部分を切り落とす。(節抜き) +2. 鍋に分量の水と酒、たけのこ、たまねぎ、サバ缶を入れて煮る。味噌を溶き入れる。 +3. お好みでさいの目に切った豆腐、味噌を入れた後に溶き卵を入れても美味しくいただける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「未来へつなごう ばあちゃんの味 かあちゃんの味」(飯山市食の風土記編集委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_15_1.jpg)" +"# 天寄せ 長野県 + +**郷土料理名**: 天寄せ + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +諏訪地域 + +## 主な使用食材 +寒天、素麺、食紅 + +## 歴史・由来・関連行事 +諏訪地域の寒天製造業は、低温な気候と安定した天気に恵まれ、他の地域よりも長く製造できることと、明治末期の鉄道開通によって発展した。寒天産業が始まったのは江戸時代。寒天作りの出稼ぎに出ていた小林粂左衛門が、故郷へ製法を持ち帰ったのが始まりだといわれている。寒天は、海藻のテングサとオゴノリなど紅藻類を煮て固めたものを、凍結・乾燥を繰り返してつくられる。諏訪地域では、夏の料理をはじめ、菓子や年中行事の料理に必ず出てくるのが「天寄せ」である。天寄せとは、寒天を使った「寄せもの」のこと。諏訪大社の御柱祭では、祭りのおもてなし料理として振舞われている。諏訪地域の冠婚葬祭には欠かせない料理で、行事や季節などによって固める具や味が異なり、祝儀の時には「紅」、不祝儀の時には「緑」と色で使い分けられる。主に、人が集まる時によくつくられ、料理に彩りを添えてきた。 + +## 食習の機会や時季 +7年に一度おこなわれる御柱祭は、4月の「上社山出し」から始まり、6月の「上社宝殿遷座祭」までおこなわれる。その間、諏訪の人々は御柱祭が暮らしの中心となり、祭りに来るお客さまをもてなすためのふるまい料理のひとつに「天寄せ」がつくられる。また、家庭料理や祭り、慶弔に利用されてきた。 + +## 飲食方法 +固める材料によって行事や季節に適した一品となる。中に入れる具は、そうめん、卵、くるみなどを入れ固める。季節や行事などによって、和・洋さまざま変化するところが魅力のひとつ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 角寒天: 1本 +- 水: 500ml +- 砂糖: 100g +- 塩: 少々 +- そうめん: 10~15本(お好み) +- 食紅(緑): 少々 + +## 作り方 +1. 角寒天はサッと洗いゴミをおとし、30分水につけておく。 +2. 水を計り入れた鍋に、硬く搾って細かくちぎった1を入れ、中火から弱火で煮溶かす。 +3. そうめんをゆでて水洗いしておく。 +4. 寒天が煮溶けたことを確認して、砂糖と塩、食紅を入れ、混ぜ合わせる。ひと煮立ちしたら火を止め、粗熱をとる。 +5. 水で濡らした器(流し缶など)に流し入れ、少し冷めたら(寒天液が固まってしまう前に)3のそうめん(お好みの量)を流れるように上にひろげ、冷蔵庫で冷やして固める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「おいしい信州ふーどネット」(長野県農政部農業政策課) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_16_1.jpg)" +"# にらせんべい 長野県 + +**郷土料理名**: にらせんべい + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +北信地域 + +## 主な使用食材 +にら、小麦粉、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +山に囲まれた北信地域の山間部は、急傾斜の畑が多く、水田はわずかで、米の代わりに麦が多く栽培されていた。また、千曲川流域の平坦地では、水田の裏作として麦が中心に栽培された。米は、自分の家で毎日食べることが出来ないほど貴重だったので、その節約のために、昔から、小麦を粉にしてつくる料理は「粉もの」と呼ばれ、毎日の食事の大事な役割を果たしてきた。「粉もの」の中でも、粉を水溶きして、その中に刻んだ野菜を入れて焼いたものは「せんべい」や「うす焼き」と呼ばれ、おこびる(又はおこびれ)や子どものおやつによくつくられてきた。おこびる(おこびれ)とは、「小昼(こひる)」が変化したもので、ご飯とご飯の間の中間食のようなもの。畑��事の労働の間に食べるため腹持ちのよいものがつくられた。中に入れる季節の野菜は、にらやなす、ねぎなどがあるが、にらは栽培が簡単で、雪の積もる冬以外いつでも収穫できることから、どの家でも庭先に植えておき重宝に利用した。特に春先に伸びた柔らかいにらでつくったにらせんべいは格別の味だという。にらせんべいやうすやきのつくり方も家庭によって少しずつ異なり、粉と野菜と一緒に味噌も混ぜて焼いたり、焼き上がってから、味噌だれや醤油だれをかけて食べたりといろいろだ。昔は、ほうろくを火にかけ、油を節約するために真綿に油をしみこませたものでほうろくの内側をこすり、この中へ溶いた小麦粉を流し入れて焼いた。焼けたら、適当な大きさに切り分けて食べた。 + +## 食習の機会や時季 +年間を通して食べられている。以前は、農作業の合間や子ども達のおやつとしてつくって食べていた。 + +## 飲食方法 +生地は、多めの油で焼いてうすく広げて表面をカリカリに仕上げる。味噌ダレや醤油ダレを少々加えて下味を付け、焼きあがったにらせんべいにも、タレをたっぷりつけていただく。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2枚分) +- にら: 80g +- 地粉(薄力粉): 200g +- 水: 200ml +- サラダ油: 適量 +- 【調味料A】味噌: 40g +- 【調味料A】砂糖: 大さじ1 + +## 作り方 +1. にらは良く洗い、15mm幅に切る。 +2. ボウルに地粉と水、にら、調味料Aを入れてしっかり混ぜ合わせる。(調味料を入れず、出来上がりに砂糖醤油等をつけて食べてもよい) +3. フライパンに油を引いて、中火にかけ、2を全面に薄く広げる。 +4. 焼き色がついたらひっくり返し、両面こんがりと焼いて完成。 +5. ※生地に調味料を入れない場合は、食べるときに砂糖醤油や、砂糖味噌などお好みでつけて食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : JAグリーン長野女性部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_17_1.jpg)" +"# のたもち 長野県 + +**郷土料理名**: のたもち + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +諏訪地域、上伊那地域 + +## 主な使用食材 +もち米、うるち米、枝豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +「のたもち」は、諏訪地域と上伊那地域で食べられている郷土料理。のた餅の「のた」とは、枝豆をゆでてすり鉢ですり、砂糖と塩をいれてつくったものをいう。宮城県の「ずんだ餅」にも似ているが、半殺し(半搗き)のごはんの上に「のた(枝豆の餡)」をぬりたくるようにかけた料理で、諏訪地域の盆や秋の供えの代表的な料理として各家庭でつくられてきた。上伊那地域では「じんだ餅」とも呼ばれている。諏訪地方では枝豆を「盆豆」とも言い、以前は田んぼのあぜで育てていた。盆になると枝豆をすりつぶしたあんやえごまをすりつぶしたあんでおはぎをつくって仏前に供えた。鮮やかなウグイス色が見た目によく、枝豆の甘い香りが口いっぱいに広がる。 + +## 食習の機会や時季 +のたもちは、枝豆の収穫を迎える8月から9月中旬の盆、月見、彼岸など、夏の間の季節の節目に欠かせないもので、諏訪地域では、盆になると帰省する子供や親戚の人々のためにのたもちをつくる家庭も多い。 + +## 飲食方法 +半つき位につぶしたご飯に、枝豆のあんをのせて食べる。あんは、砂糖を加える甘いもののほか、塩味のみの味付けのものもある。茶碗に盛り付けるほか、ご飯を丸くして上にあんをのせるなど、食べ方やつくり方は家庭によって異なる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- もち米とうるち米: 3カップ(7:3~8:2の割合) +- 水: 3カップ弱 +- 枝豆(サヤつき): 600g +- 砂糖: 80g +- 塩: 小さじ1 + +## 作り方 +1. もち米とうるち米を混ぜて炊き、半つき位につぶす。 +2. 枝豆は色よくゆで、サヤから出し、すり鉢ですり、砂糖、塩を加え、味をととのえながら、水を加減しゆるめて「のた」をつくる。(硬さは好み。枝豆のすりづぶしと分かるように粗めにつぶす。) +3. 1をお茶碗に盛り、2をかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 諏訪の味と食文化編纂委員会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_18_1.jpg)" +"# やたら 長野県 + +**郷土料理名**: やたら + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +北信地域 + +## 主な使用��材 +きゅうり、なす、みょうが、青唐辛子、大根の味噌漬け + +## 歴史・由来・関連行事 +「やたら」とは、野菜や漬物を細かく刻んで混ぜ合わせたもので、夏野菜のふりかけのようなもの。主に北信地域で食べられている郷土料理で、夏の定番メニューとして親しまれてきた。みょうがやなすなどの夏野菜、ぼたんこしょう、大根の味噌漬けを刻んで混ぜ合わせ、あたたかいご飯にかけて食べる。「ぼたんこしょう」は、古くからこの地域で栽培されてきた青唐辛子で、牡丹の花のように見えることからぼたんこしょうと名前が付いたといわれている。平成20年に信州の伝統野菜に認定された。野菜のシャキシャキ感と、ピリッとしたぼたんこしょうの辛みがアクセントになり、暑くて食欲がない夏でもやたらがあればご飯が食べられた。とにかく、やたらとなんでも入れたり、やたらと刻んだりすることから「やたら」といわれるようになったといわれている。やたらの美味しさは、「旬の野菜」、「味噌漬け」、「包丁の腕」で決まる。「信州味噌」は米こうじと大豆でつくる淡色・辛口の代表的な「米味噌」でこれを使った味噌漬けだから味に深みが出る。日本全体で生産・消費は全国一、40%を超えている。 + +## 食習の機会や時季 +やたらは野菜をたっぷりと使った料理で、夏には欠かせないおかずである。たくさんとれる夏野菜を食べきるための工夫でもあり、毎食とれたての野菜を使って食べた。唐辛子やみょうがは食欲増進に効果的だといわれ、夏野菜に含まれているカリウムはほてった体を冷やす効果が期待できるとされており、夏バテ防止にもなった。 + +## 飲食方法 +家にある野菜を使って自由にアレンジができる。おくらやながいもなどのネバネバ系や、味噌漬けの代わりにたくあんやぬか漬けを入れたりもする。醤油やカツオ節を加えると風味が増す。やたらはご飯だけでなく、素麺や冷奴とも相性が良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- きゅうり: 1/2本 +- 丸なす: 1/2個 +- みょうが: 1~2個 +- 青唐辛子: 1本 +- 大根の味噌漬け: 20g +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 丸なすをみじん切りにして、塩少々を入れた水にさらしてアクをぬく。 +2. きゅうり、みょうが、青唐辛子をみじんに切り、1と合わせて水気をよくしぼる。 +3. みじん切りにした味噌漬けと合わせる。 +4. 水分が出るので3をよくしぼって器に盛る。 +5. ※みょうがだけの出る5月頃、味噌漬けと一緒に細かく刻んでも美味しい。オクラ・ズッキーニなどを入れても美味しい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「未来へつなごう ばあちゃんの味 かあちゃんの味」(飯山市食の風土記編集委員会)、「ひ孫に伝える100年レシピ ひらがな料理」(信州ひらがな料理普及隊) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_19_1.jpg)" +"# えごの酢味噌あえ 長野県 + +**郷土料理名**: えごの酢味噌あえ + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +北信地域、中信地域 + +## 主な使用食材 +エゴ草 + +## 歴史・由来・関連行事 +「えご」は「エゴ草」という海藻を煮溶かして固めたもので、新潟県などにも伝わる郷土料理。エゴ草は、日本海沿岸の漁村から行商人によって信州の山村に運ばれたといわれており、「えご」を食すのは、「塩の道」沿道の大北地域から長野西山地域(信州新町、小川、中条、七二会等)を中心に分布する。冷蔵庫がまだなかった頃、海のない長野県では、保存性の高い海産物は、不足しがちな栄養素をとるための貴重な食材だった。えごは、大正末には食べられていたと考えられており、新潟県の沿岸部から何日もかけて運ばれていた。飯山近くでは、そのまま煮溶かして「えご」と呼ぶ。南部を除いて多くの地域で食べられており、辛子醤油、辛子酢味噌、辛子などで食べる。木島平や安曇野(豊科南穂高付近)では、煮溶かす前に白くして日にさらしたものを煮溶かして「いご」と呼び、山椒味噌、けずり節と醤油、わさび醤油、辛子醤油などをつけて食べる。新潟県から入ってきたエゴ草は、北信地域で売り切れてしまい、長野市や松本市の大きな町までほとんど届かなかったという。そのため、長野県の北部を中心に伝わり根付いたといわれている。また、新潟県のエゴ草の郷土料理もそのままの色で煮溶かして食べる習慣の地域と、えごを水に濡らして天日に干し白くさらしてから煮溶かして食べる習慣の地域があり、盆の行事食を中心として伝えられている。 + +## 食習の機会や時季 +年間を通して食べられている。「えご」は盆の御馳走であるばかりでなく,冠婚葬祭にもなくてはならない食べ物としてえごがつくられている。 + +## 飲食方法 +エゴ草を水で洗って十分吸水させ、 鍋に入れてひたひたになる程度の水を加えて火にかける。しゃもじでよく練ったら型に流し入れ、固めたものを刺身こんにゃくのように切り、酢味噌やわさび醤油などをつけて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 () +- 【えご】エゴ草: 50g +- 【えご】水: 900ml +- 【いご】エゴ草: 50g +- 【いご】水: 1000ml + +## 作り方 +1. 【えご 手順1】エゴ草を水に浸してごみを取り除き、きれいに水洗いする。鍋に入れ、水を加えて火にかける。 +2. 【えご 手順2】のり状に溶けたら、木じゃくしでよく練り、鍋の底が見えるくらいにもったりとしてきたら、型に流しこみ冷やす。 +3. 【いご 手順1】乾エゴ草を水にもどして、ごみをとる。水に入れて30分~1時間ぐらいほとばす。(ほとばす=水に浸す。長野の方言) +4. 【いご 手順2】日にさらして、干す。(白くなるまで、浸水・さらしをくりかえす) +5. 【いご 手順3】乾エゴ草50gに対して、水1Lで煮る。 +6. 【いご 手順4】強火で5分位したら、かきまわす。中火にして15~20分しゃもじで練る。(底がこげつかないように) +7. 【いご 手順5】ねばりが出てきたら火を止めて流し箱に流して、冷蔵庫で冷やす。 +8. 酢味噌だけでなく、好みで、【えご】辛子醤油、辛子酢味噌、辛子酢醤油【いご】山椒味噌、けずり節と醤油、わさび醤油、辛子醤油 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「さあたべすわぇ」(JAながのの伝えたい味)、「安曇野の味あがっとくれ」(JAあづみの伝えたい味) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_20_1.jpg)" +"# おしぼりうどん 長野県 + +**郷土料理名**: おしぼりうどん + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +北信地域 + +## 主な使用食材 +うどん、大根、味噌、ねぎ、カツオ節 + +## 歴史・由来・関連行事 +埴科郡坂城町周辺に伝わる「おしぼりうどん」は、辛味大根をすりおろして、おろしたての大根を絞った「おしぼり」と呼ばれるしぼり汁に味噌を溶かして薬味を加え、ゆでたてのうどんをつけて食べる郷土料理。だし汁ではなく、大根のしぼり汁を使うのが特徴で、おしぼりうどんの「おしぼり」の由来にもなっている。辛味大根のしぼり汁と信州味噌(米味噌)の相性がよく普及したのは江戸時代から明治時代にかけて。味噌が美味しいからうどんやそばのつけ汁には身近な食材が用いられていた。大根は、坂城町の特産品の「ねずみ大根」を使う。びっくりするほど辛い大根だが、しぼり汁にはまろやかな信州味噌を溶いて食べる。刺激的な辛さの後からほのかな甘味を感じる奥深い味わいで、食べると汗が出るほど。体が芯から温まり、その味わいを地元では「あまもっくら」と表現する。県内の戸隠や千曲市(旧更埴市、旧戸倉町)には「おしぼりそば」があり、同様に辛味大根の絞り汁に味噌を溶かしたものをつゆとして冷たいそばを浸して食べる。 + +## 食習の機会や時季 +主に、ねずみ大根がとれる冬に食べられている。寒暖の差が大きい坂城町は、降水量が少なく日照時間も長いことから身がしまって糖度の高い作物が育つといわれており、礫混じりで水はけの良い土壌に適しているねずみ大根は、坂城町で古くから栽培されている。ねずみ大根は、8月に種を撒き11月から12月に収穫される。 + +## 飲食方法 +おしぼりうどんの薬味は、ねぎとカツオ節が定番で、地元ではあたたかいうどんで食べるのが⼀般的。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- うどん(生うどん): 200g×2(乾麺、冷凍麺でも可) +- ねずみ大根: 1本500g(なければ普通の青首大根でも良い) +- 信州味噌(白味噌): 適量 +- きざみねぎ: 適量 +- カツオ節: 適量 + +## 作り方 +1. 大根をすりおろし、フキンでしぼって汁だけにする。 +2. ねぎをきざむ。 +3. うどんをゆでる。生麺���ら10分ほど。釜揚げうどんで、またはゆでたてのあつあつうどんをざるにあげる。 +4. 大根汁に味噌・ねぎとカツオ節を入れて、つけ汁をつくり、うどんを入れて食べる。味噌の分量は好みにより調整する。 +5. ※味噌はやっぱり信州みそ。そばすいとんもある。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 「ひ孫に伝える100年レシピ ひらがな料理」信州ひらがな料理普及隊 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_21_1.jpg)" +"# 具だくさん味噌汁 長野県 + +**郷土料理名**: 具だくさん味噌汁 + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +県内全域(特に長野市周辺、松本市) + +## 主な使用食材 +旬のもの(冬の例:小麦粉、じゃがいも、大根、人参、ごぼう、ちくわ、ねぎ) + +## 歴史・由来・関連行事 +「具だくさん味噌汁」は、旬の野菜、肉、魚などがたくさん入った具だくさんの汁物のこと。「味噌は医者いらず」といわれるほど栄養豊富で、1日1杯のみそ汁は、今と変わらず昔も1日の活力源だった。大根、人参、里芋、ねぎ、油揚げなどをいれて、具だくさんにすることでお腹も満たされ、野菜の栄養を効率よくとることができる。小麦がとれる地域では、以前から「すいとん」もよく食べられている。小麦粉の生地をひっぱってちぎることから、長野市・須坂市周辺ではすいとんのことを「ひんのべ・とっちゃなげ」とも呼ばれている。粉のこね方や硬さ・形もさまざまで、人それぞれのこだわりがある。また、よもぎやかぼちゃなどのペーストを練りこむとハイカラ料理になる。長野県で気を付けていることは旬の野菜や食材が基本であり、何を入れても良いということではない。冬の旬は根のもの(大根・ごぼう・人参・じゃがいもなど)。最近は、具だくさんみそ汁がさまざまな健康効果が期待できると注目されている。その中のひとつに「減塩」があり、一般的な味噌汁では、1杯あたりの味噌の量は12g、食塩量は1.5gとなるが、具だくさんみそ汁にすると具材のうま味が加わるため味噌の量は10g、汁の量も減り食塩量は1.2gまで減らすことができる。また、リコピン、ポリフェノール、イソフラボンなどのファイトケミカルを大量にとるのには、具だくさんみそ汁は最適だといわれており、健康長寿者が多いといわれる長野県では、その秘訣は「具だくさんみそ汁」にもあると考えられている。 + +## 食習の機会や時季 +日常食として食べられている。特に冬の寒い日は、体の中から温まる汁ものとしてよくつくられ、すいとんは主食の代わりとしても食べられている。 + +## 飲食方法 +根菜、きのこ、肉、魚、いろいろな具を入れることでバランスがとれる。具だくさんにすることで、野菜をたくさん食べることができ、お椀一杯で主菜・副菜・副副菜がとれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 小麦粉: 100g +- じゃがいも: 300g +- 大根: 100g +- 人参: 50g +- ごぼう: 40g +- ちくわ: 1本 +- ねぎ: 1本 +- だし汁: 5カップ +- 味噌: 大さじ4 +- 酒: 大さじ1 +- ※(冬季)すいとんを加えるなど: 適量 + +## 作り方 +1. じゃがいもの皮をむいてをすりおろし、小麦粉と合わせてこねる。(生地) +2. 大根・人参はいちょう切り、ごぼうはささがき(水につけてアク抜きをする)、ちくわは半月切り、ねぎは小口切りにする。(何でもいい) +3. だし汁に2を入れて煮る。 +4. 野菜に火が通ったら、酒と味噌で味付けをする。 +5. 煮立ってきたら1をつまみ入れる。(手やスプーンなどで一口大にかたちつくる) +6. 生地に火が通ったら、味をととのえ、ねぎを散らして火をとめる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 「ひ孫に伝える100年レシピ ひらがな料理」信州ひらがな料理普及隊 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_22_1.jpg)" +"# 鮭の粕煮 長野県 + +**郷土料理名**: 鮭の粕煮 + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +東信地域、上伊那地域 + +## 主な使用食材 +サケ、酒粕 + +## 歴史・由来・関連行事 +日本では、新年に歳神様を迎える準備として、大晦日に歳取りのごちそうをつくる風習がある。年越しそばもそのひとつで、「細く長く伸びるそばにあやかって、家運や寿命が長く続くように」と縁起を担いだものである。また、魚も神事や祭りの供え物として欠かせないもので、「サケ」や出世魚である「ブリ」は縁起物とされ、祝い料理として食べられている。歳取り魚は、長野県では東側はサケ、西側はブリを用いるところが多く、地域によっては混在する。サケが特産品である北信地域では、サケが歳取り魚として用いられ、塩サケを使った「鮭の粕汁」や「鮭の粕煮」は、東信地域や上伊那地域の正月の歳取りのごちそうには欠かせない料理となっている。 + +## 食習の機会や時季 +以前は、正月だけの特別な料理で、大晦日に大鍋でたくさんつくって家族や親戚と食卓を囲み、年越しのごちそうとして食べられていた。 + +## 飲食方法 +シンプルに、サケと酒粕だけで煮たものもあれば、野菜を入れて具沢山にすることもある。大晦日につくってそのまま食べ、翌日の元旦は餅を入れて雑煮にすることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- サケの切身(甘塩): 4切れ +- 酒粕: 100g +- 塩: 適量(小さじ1/2) +- 水: 400ml +- 砂糖: 適量 + +## 作り方 +1. 酒粕を細かく刻み、電子レンジで柔らかくなるまで加熱する。 +2. 鍋に1の酒粕と水を入れ、よく混ぜる。火にかけてほぐしながら酒粕をとかす。 +3. 2が沸騰したらサケの切り身を入れて蓋をして弱火で煮る。砂糖で甘みを調整し、サケにより塩分が違うので、塩を少しずつ入れて、塩味を調整する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「佐久市農村生活マイスターの会 レシピ集 母から子へ 孫へ伝える佐久の味」(佐久市農村生活マイスターの会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_23_1.jpg)" +"# 凍み大根のお田植えの煮物 長野県 + +**郷土料理名**: 凍み大根のお田植えの煮物 + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +大根、身欠きニシン、昆布、わらび、人参、こんにゃく、ちくわ、さつま揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +「凍み大根」は、冬の寒さを利用してつくる保存食のひとつで、大根を野外の寒風に当てて乾燥させたもの。以前は、大根をわらでしばって軒下に干して凍らせていた。夜の寒さで大根が凍り、昼の暖かさで解ける。これを何度も繰り返すことで大根の水分が抜けていく。「寒干し大根」とも呼ばれ、生の大根とはまた違った味わいになる。一昔前は、どの家も手植えで田植えをしたもので、大変な苦労が必要なことから、その時期だけの特別な「お田植え料理」がつくられていた。魚の煮つけやおむすび、凍み大根の煮物などをつくって食べ、「今年も良いお米ができるように」とみんなで願った。寒い気候を活かした「凍み」の食文化が根付いており、凍み大根以外にも「凍り豆腐」や「凍り餅」などもつくられている。保存食として寒さが厳しい地域の食を支えた信州の「凍み文化」は、自然に寄り添い食をつくってきた先人達の知恵である。 + +## 食習の機会や時季 +冬場の乾燥を利用して凍み大根をつくり、長く保存食として食べられていた。今も、田植えの時期の「お田植え料理」として食べられている。 + +## 飲食方法 +凍み大根のつくり方は地域や家庭によって多少異なり、大根をゆでるところとゆでないところがある。できあがった凍み大根は、水でもどして昆布や人参などの野菜と煮て食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1鉢分) +- じゃがいも: 400g +- 人参: 100g +- 身欠きニシン(乾): 2本 +- 塩漬けわらび: 400g +- 凍み大根: 2本 +- 昆布(10cm角): 1枚 +- 水: 5カップ +- 【調味料A】醤油: 大さじ4 +- 【調味料A】塩: ひとつまみ +- 【調味料A】砂糖: 大さじ4 +- 【調味料A】出汁: 少々 +- 【調味料A】酒: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 凍み大根は、前日より水に浸してもどしておく。わらびも前日より塩出ししておく。身欠きニシンは米のとぎ汁に一晩浸ける。 +2. 凍み大根を一口大に切ってゆでる。じゃがいも、人参は2cm大の乱切り。身欠けニシンも2cm大に切る。わらびは5cmに切る。昆布は一口大に切る。 +3. わらび以外の材料を鍋に入れ、調味料Aを加えて強火にかけ、沸騰したら中火にして柔らかくなるまで煮る。 +4. わらびを入れてひと煮たちしたら、味をととのえて火を止める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「田植のごちそう」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_24_1.jpg)" +"# しょうゆ豆/しょうゆの実 長野県 + +**郷土料理名**: しょうゆ豆/しょうゆの実 + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +北信地域、中信地域 + +## 主な使用食材 +醤油、豆麹、米麹 + +## 歴史・由来・関連行事 +「しょうゆ豆」は、「しょうゆの実」とも呼ばれ、北信・中信地域に伝わっている蒸した大豆や黒豆を種麹で発酵させてつくる発酵食品で、醤油の旨味がつまった「食べる醤油」のようなもの。香川県のそら豆でつくる郷土食の「しょうゆ豆」とは全く異なる。「しょうゆ豆」は、種麹で発酵させた蒸した大豆や黒豆に米を発酵させた米麹をあわせ、生醤油に漬け込んで毎日状態を見ながら手作業で撹拌する。1ヵ月以上発酵熟成させると、豆麹と米麹が馴染み「しょうゆ豆」ができあがる。長野県は日本一の味噌蔵数を誇り発酵文化が人々の暮らしに根付いており、信州味噌に欠かせない麹を使った「糀甘酒」「塩糀」「しょうゆ糀」などといった日本古来の麹を使った発酵食品が多い。伊那地域では甘酒に豆を加えて数日寝かせたものを「白味噌」と呼んで、正月に餅につけて食べる。佐久地域では、硬めの甘酒に豆を加えて数日寝かせたものを「甘味噌」や「おなっとう」と呼んで餅につけて食べる。 + +## 食習の機会や時季 +北信地域では、「しょうゆ豆」を正月に食べた。 + +## 飲食方法 +「しょうゆ豆」を、温かいご飯の上にのせて食べたり、豆腐や野菜につけたり、おひたしや納豆の醤油代わりにしても美味しくいただける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (一回分(つくりやすい分量) +- 【豆麹】大豆: 18L +- 【豆麹】種麹: 適量 +- 【豆麹】小麦粉: 1カップ +- 【しょうゆ豆(しょうゆの実)】豆麹: 2L +- 【しょうゆ豆(しょうゆの実)】米麹: 2L +- 【しょうゆ豆(しょうゆの実)】醤油: 2カップ +- 【しょうゆ豆(しょうゆの実)】水: 3カップ + +## 作り方 +1. 【豆麹 手順1】大豆を洗い水に一昼夜浸しておく。 +2. 【豆麹 手順2】大豆を柔らかくなるまで(指でつぶれるくらいに)蒸す。(6~7時間程度) +3. 【豆麹 手順3】小麦粉は厚なべに入れて空煎りし、冷ましておく。 +4. 【豆麹 手順4】種麹に小麦粉を混ぜ合わせる。 +5. 【豆麹 手順5】大豆を25~30℃まで冷まし、「豆麹 手順4」の種麹をまんべんなく混ぜ合わせる。 +6. 【豆麹 手順6】麹の温度は24~26℃くらいで3~4日、豆の全体が白くなるまでおく。 +7. 【しょうゆ豆(しょうゆの実) 手順1】醤油、水を60℃くらいに温めて、豆麹・米麹をくずしたものを加えてよく混ぜる。 +8. 【しょうゆ豆(しょうゆの実) 手順2】時々かき混ぜて、硬すぎるようだったら湯をさす。10日くらいたつと塩がなじんでくる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「つけものの味ふるさとの味」(長野県農業改良協会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_25_1.jpg)" +"# 半ごろし 長野県 + +**郷土料理名**: 半ごろし + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +東信地域 + +## 主な使用食材 +もち米、うるち米、小豆、きなこ + +## 歴史・由来・関連行事 +「半ごろし」とは、長野県では「ぼたもち」「おはぎ」のことをいい、炊いたもち米をすりこぎで半つぶしになるくらいに搗(つ)くのが、半ごろしの状態を表している。さらによく搗いたものを「みなごろし」といい、ユーモアの中に食べ方の知恵がある。家事に農作業に忙しい女衆が編みだした冠婚葬祭の手間のかからない料理である。春は「ぼたもち」、秋は「おはぎ」と使い分けるが同じもの。定番の小豆やきなこのほか、えごまやくるみをたっぷりまぶしたものもある。雨の少ない上田地域は、かしくるみの栽培が適しており、上質なくるみの産地にもなっている。醤油と砂糖で味付けしたくるみダレで食べるおはぎは、東御市の名物おはぎにもなっている。「来そうで来ないのは遠くの雷と隣のぼたもち」とか、おすそ分けを差し上げたい一品である。昔から赤い色の小豆は魔除けの力があるといわれ、ハレの食には必ず使われてきた。 + +## 食習の機会や時季 +「みなごろし」はハレの食だが「半ごろし」はハレの中でもケ(普通の日常的な生活)に近いお祝いの食として食べられている。 + +## 飲食方法 +半ごろしにしたもち米に、小豆あんやきなこをたっぷりとまぶす。くるみやごま、青のり、枝豆など様々なおはぎ(ぼた餅)がある。まん丸は仏様用に、自分たちは俵型に丸める。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (17~20個分) +- もち米: 2合 +- うるち米: 1合 +- 粒あん: 240g +- きなこ: 大さじ2 +- 砂糖: 大さじ1と1/2 +- 塩: 少々 +- すりごま: 大さじ3 +- 砂糖: 大さじ2 +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 【下準備(あんこ)】(1)小豆を洗い、3倍くらいの水を加えて煮る。沸騰したらさし水をし、再び沸騰させてからざるにあげて煮汁をすてる。(2)さらに3倍の水を加えてアクをとりながら柔らかくなるまで煮る。(3)砂糖を3回くらいに分けて入れながら弱火で練る。(塩も) +2. もち米、うるち米を合わせてとぎ、炊飯器に普通の水加減にし、30分以上おいてから炊き上げる。 +3. 全体をかき混ぜ、水でぬらしたすりこ木で半つぶし程度までつく。 +4. 50~60gに丸め、柔らかめに煮た粒あんや、砂糖・塩で味付けしたすりごま、きなこ等をまぶしつける。(まん丸は仏様に、自分たちは俵型に丸める) + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 「ひ孫に伝える100年レシピひらがな料理」信州ひらがな料理普及隊 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_26_1.jpg)" +"# ひたし豆 長野県 + +**郷土料理名**: ひたし豆 + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +北信地域、東信地域 + +## 主な使用食材 +青大豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +北部の西山地域の土壌は、大豆の生産に向いていることで、以前から麦類や豆類の栽培が盛んにおこなわれている。香りの良さとほっこりとした甘みのあるよい大豆で、西山地域で育てた大豆は品質よく「西山大豆」と名付けられている。また、戸隠地域では花豆を特産品としており、標高800m以上が栽培適地とされる「高原花豆」を栽培している。高原花豆は、黒と紫が交わった色で、紫花豆ともいわれている。大粒で味が良く、煮豆や甘煮にされる。「ひたし豆」は、長野県の北信地域と東信地域をはじめ、新潟県や東北地方でも食べられている郷土料理で、正月のおせち料理にも使われる。青大豆をゆでて、薄味のだし汁に浸したものである。長野県では鞍掛豆(くらかけ豆)でもつくられる。鞍掛豆は青大豆の一種で、馬の背中に鞍を掛けたような模様をしていることから鞍掛豆といわれるようになった。また、のりのような風味がするので「海苔豆(のりまめ)」とも呼ぶ地域もある。この独特の風味と豆のコリコリした食感と濃厚な味わいが見事にあいまって、豆自体が大変美味しいので、ゆでてシンプルな味付けで美味しく食べられている。最近は生産量が減少し、入手するのが難しくなってきている。 + +## 食習の機会や時季 +日常的に食べられており、お茶請けとしても食べられている。「ひたし豆」に数の子を入れたものは、「数の子豆」としておせちに使われる。 + +## 飲食方法 +そのまま食べる他、醤油や大根おろしをかけたり、豆ごはんにすることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (中鍋一つ分の目安) +- 青大豆(佐久地域では青ばつとよぶ): 2カップ +- だし汁: 3カップ +- 醤油: 大さじ3 +- みりん: 大さじ2 +- 塩: 大さじ1/2 + +## 作り方 +1. 青大豆は一晩たっぷりの水につける。(冬は二晩) +2. 1を歯ごたえが残る程度ゆで、ざるにあけて冷水にさっとつけて粗熱をとる。 +3. だし汁を煮立て、醤油、みりん、塩を加えて味をととのえる。 +4. 3に水を切った豆を入れ、一煮立ちして火を止め、冷ます。 +5. ※ 佐久地域では、正月料理で食べられる。正月料理では、数の子を入れる家庭が多く、数の子を入れる場合は、数の子(形がくずれたものでも良い)を、前もって薄い塩水をたっぷり注いで約半日おき、食べてみて塩分をほとんど感じない程度まで塩けを抜く。水気を切って大豆より少々大きいくらいに切って、冷ました4に混ぜ合わせる。冷蔵庫で保存し、2~3時間おいて味を馴染ませる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「未来へつなごう ばあちゃんの味 かあちゃんの味」(飯山市食の風土記編集委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_27_1.jpg)" +"# 干しかぼちゃのえごま和え 長野県 + +**郷土料理名**: 干��かぼちゃのえごま和え + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +北信地域 + +## 主な使用食材 +かぼちゃ + +## 歴史・由来・関連行事 +「谷の都」とも言われる鬼無里(きなさ)地域には、野菜を干して保存する食文化が古くから根付いている。山に囲まれた鬼無里地域では、以前は雪が積もると外部との交通が遮断されていたため、長い冬を越すために食べ物を干して、保存して食べるようになったといわれている。野菜は干すと味も食感も変わり、栄養も豊富になる。「干す」ことは、おいしさを閉じ込めるだけでなく、余った野菜を無駄なく食べるための生活の知恵でもある。春には、山菜のぜんまいやワラビを干し、夏にはなす、なすはうすく切って干すと、肉のような食感になる。秋には、かぼちゃや切り干し大根など、様々な野菜類が保存用としてつくられている。「冬至はカボチャの年取り」といわれるように、カボチャは年を越すと、凍みてしまったり、腐ったりしてそのままでは保存できない。2、3個は冬の保存用として、干しかぼちゃにして食べた。かぼちゃを短冊状に切り、むしろの上に広げて、カラカラになるまで干す。食べる時は、洗ってゆで、ごま和えや煮物にしたり、おやきのあんにも使う。また、大根や野沢菜とりが終わると、軒先の下に縄をはり、大根菜や野沢菜をひとにぎりずつ、わらで束ね、軒下の日陰で風通しのよいところにかけて干す。冬中かけておき、食べる時、ここから外して食べていく。長野県の干し文化には、もうひとつ、厳冬の冷え込みと冬の乾燥した気候を生かしたフリーズドライの製法がある。寒天、凍り餅、凍み大根、凍み豆腐など、外気での凍結と解凍を繰り返しながら、乾燥した気候の中で水分が抜けていく。信州の厳しい冬の自然を生かした、まさに生活の知恵から生まれた食文化だ。 + +## 食習の機会や時季 +時期問わず食べられている。季節問わず干し野菜はつくれるが、夏に野菜がたくさんとれた時などに干す。乾燥する冬場は野菜を干すのに最適な季節で、以前はよく軒下に大根が吊るされていたり、竹ざるに野菜を並べて庭先に干してあった。 + +## 飲食方法 +かぼちゃは、短冊状に細かく切って、いい天気で2日はかかる。煎ったえごまをすり鉢ですって、ぬるま湯でゆるめながらすり合わせる。干しかぼちゃをえごまで和える。干しかぼちゃは甘辛く煮て食べたりもする。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 () +- 干しかぼちゃ(乾燥): 50g +- えごま: 10g +- 砂糖: 少々 +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. えごまは、はぜない程度に煎る。 +2. すり鉢に入れ、半分位すったら、ふっと吹いて、薄皮を除く。 +3. さらによくすり、ぬるま湯で少し温め、砂糖と塩で調味する。 +4. 洗ってゆでたかぼちゃを3で和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 鬼無里食の風土記編纂委員会『ふるさとINKT』 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_28_1.jpg)" +"# たなばたほうとう 長野県 + +**郷土料理名**: たなばたほうとう + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +松本地域 + +## 主な使用食材 +中力粉、小豆、ごま、きなこ + +## 歴史・由来・関連行事 +西に北アルプス、東に美ヶ原高原が望める松本市は、長野県のほぼ真ん中に位置する山岳都市。松本城の城下町として栄え、歴史を感じる風情ある街並みは、「松本市景観百選」にも選ばれている。街と田舎がほど良く共存する松本市は、街中から少し離れればのどかな田畑が広がる。山を見つめ、自然のうつろいを感じながら暮らす長野県では、年間行事が月遅れや旧暦でおこなわれることが多い。松本地域では、七夕行事は月遅れの8月7日におこなわれており、厄払いを意味する紙や着物でつくられた七夕人形を縁側に吊るし、ほうとうやまんじゅうを供える風習が江戸時代頃から続いている。松本地域周辺では、以前はどこの農家でも小麦をつくっていたもので、原料の小麦がとれる時期がちょうど七夕と重なっていたことから、七夕につくって供えるようになったといわれている。「七夕ほうとう」は、ほうとうと呼ばれる小麦粉でつくった太い麺に小豆あんやきなこを和えたもので、松本地域では、この時だけの特別な料理として食べられている。また、「七夕まんじゅう」は、月遅れの七夕に供える風習が安曇野地域でも残っており、小豆あんを包んだ新小麦でつくった七夕まんじゅうをつくって神様に供える。 + +## 食習の機会や時季 +月遅れ8月7日の七夕料理として食べられている。人形に着物を着せて軒下に吊るし、収穫した野菜や果物などと一緒に、ほうとうやまんじゅうを供えて食べる風習がある。 + +## 飲食方法 +練った小麦粉をのばして麺状にし、小豆あんやきなこをまぶしていただく。ほうとうは、よもぎが入ったものもあり、おやつとして食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5~6人分) +- 地粉(中力粉): 5カップ +- 塩: 小さじ1 +- 温湯(水でも良い): 1.5カップ +- 打ち粉(小麦粉): 少々 +- 【あんこ】小豆: 100g +- 【あんこ】砂糖: 130g +- 【あんこ】塩: 小さじ1 +- 【ごま】いりごま: 大さじ5 +- 【ごま】砂糖: 大さじ3 +- 【ごま】醤油: 小さじ1 +- 【きなこ】きなこ: 大さじ5 +- 【きなこ】砂糖: 大さじ5 +- 【きなこ】塩: 少々 + +## 作り方 +1. 地粉に塩を加えて温湯でよくこね、ぬれフキンをかけて30分寝かせる。 +2. 打ち粉に小麦粉を使い、1を2~3mmの厚さにのし、1cm幅に切る。 +3. 鍋に湯を沸かし2をゆでて冷やし、ざるにあげる。 +4. 【あんこ】あずきは一昼夜水に浸し、水から煮て柔らかくなったら砂糖・塩を加えてあんをつくり、ゆでたほうとうにからませる。 +5. 【ごま】ごまをすり、砂糖・醤油で味をつけ、ほうとうにからませる。 +6. 【きなこ】砂糖・塩で味をつけ、ほうとうにからませる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「おいしい信州ふーどネット」(長野県農政部農業政策課) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_29_1.jpg)" +"# すんき漬け 長野県 + +**郷土料理名**: すんき漬け + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +木曽地域 + +## 主な使用食材 +赤かぶ + +## 歴史・由来・関連行事 +山深い木曽地域は古くから独自の食文化が根付いており、そのひとつに赤かぶの葉を使った「すんき漬け」がある。すんき漬けとは赤かぶの葉を塩を一切使わずに「すんき種」を加えて乳酸発酵させた無塩の漬物のことで、木曽地域に古くから伝わる発酵食品で「すんき」ともいう。まだ流通や交通がなかった時代は、「米は貸しても塩は貸すな」といわれたほど、海から遠く離れ山深い木曽谷では塩は大変貴重品だった。塩を節約するために、生活の知恵から生まれたこのすんき漬けは、独特の酸味があり、一般的な漬物とは異なる味わいを持つ。歴史は定かではないが、芭蕉一門の連句会で「木曽の酸茎(すんき)に春も暮れつつ」と詠んでいることや、約150年前の古文書にもすんき料理が出されたと記されていることから、少なくとも300年以上前にはあったといわれている。原料となる赤かぶは木曽地域で古くから栽培されてきた「木曽かぶ」を用いる。木曽かぶには「開田かぶ」「王滝かぶ」「三岳黒瀬かぶ」「吉野かぶ」「芦島かぶ」「細島かぶ」と地元に根付いた6種類のかぶがある。かぶが持つ自然の乳酸菌は、特に茎と根の付け根の部分に多く含まれているといわれている。また、かぶが持つ乳酸菌の微妙な違いなのか風土の違いか、他所ですんきを漬けても同じようにはならないという。昔は、山に自生する小梨(ズミ)や山葡萄などの実をたたいてつぶし、発酵させたものを「すんき種」として用いた。今では、前の年に漬けたすんき漬けを干しておいたり、冷凍したりものを「すんき種」として用いている。最近の研究では、すんきにはヨーグルトに匹敵するほどの乳酸菌があるといわれ、300種類以上もある乳酸菌の中からすんき漬けに向くものが4種類ほどあることが分かっている。平成15年からすんき乳酸菌の本格的な研究が東京農業大学教授によりおこなわれ、その4種類の乳酸菌を使ったすんき種(スターター)の試作テストが進められている。 + +## 食習の機会や時季 +すんき漬けは、冬季限定の漬物で秋の終わり頃から冬にかけてつくられる。かぶ菜は寒くなるとおいしくなり、乳酸菌が活動しやすいといわれることから、霜が降りるのを待ってから収穫する。数十年前は、囲炉裏のまわりですんきを仕込み、寒さが厳しい木曽地域では、凍ったすんきを桶から取り出��て食べていた。 + +## 飲食方法 +一般的な漬物は保存性を高めるために沢山の塩を使うが、すんき漬けは60度くらいのお湯で葉の表面をゆでることで殺菌する。さっとゆでた葉は、温かいうちにビニール袋を敷いた容器にすんき種と重ね、45度くらいの温度のゆで汁を加える。乳酸菌は温度が高いと菌が死んでしまうため、温度管理は大切である。温かい場所に1日置くことで酸味が出てくる。できあがったすんき漬けは、そのまま食べたり、温かい蕎麦に入れて食べる。最近は、洋食にすんきを取り入れたり、新しい食べ方が増えている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (一回分の目安) +- かぶ菜: 3kg +- すんき漬けの種: 700g + +## 作り方 +1. かぶ菜は、よく水で洗った後、茎にかぶを少し残して(茎のつけ根の部分が残るように)、かぶと茎に切り分け、1~2cm幅に切る。 +2. 大鍋でさっと温める。「お湯にくぐらせて温める」というつもりで湯通しする。 +3. 保存容器(発泡スチロール)に、ビニール袋を敷いて2とすんき漬けの種とを交互に敷いていく。 +4. 敷き終わったら2で使ったお湯を葉が浸る程度に入れ、空気をしっかりと抜いてビニール袋の口を閉じる。 +5. 蓋をして温かい場所に1日おいておく。 +6. 翌朝開いて味見してみて、酸味が出ていたら完成。涼しい場所において2~3日さらに発酵させ、酸味と旨味がしっかりしてから涼しい場所で保管する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 長野県ふるさと体験館 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_1_1.jpg)" +"# 五平餅 長野県 + +**郷土料理名**: 五平餅 + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +木曽地域、伊那地域、上伊那地域、下伊那地域 + +## 主な使用食材 +うるち米、味噌、くるみ + +## 歴史・由来・関連行事 +五平餅は、半搗き(はんつき)にしたうるち米を串に刺し、味噌や醤油ベースのタレをつけて焼いたもので、木曽・伊那地域のほか、岐阜県、富山県、愛知県、静岡県などの中部地方の山間部に伝わる郷土料理。様々な形のものがあり、「わらじ型」「小判型」「筒型」「団子状」などがある。中山道を境にして、北は団子形、南はわらじ形に大きく分かれており、細かく分けると10種類ほどあるといわれている。由来は、形が神道の祭祀で捧げられる「御幣」に似せて供えた、五平(若しくは、五兵衛)という人物が飯を潰して味噌をつけて食べた、約400年前に美濃の国から飯田へ峠越えして来た老人が伝授した、その老人の名が「五平」だったなど様々な説がある。起源は明らかではないが、江戸時代中期頃には既にあったといわれている。五平餅文化は、「塩の道」沿いに分布しており、塩尻市が境目となっている。北信地域はおやき文化が根付いており、五平餅は木曽地域や南信地域を中心に食べられている。伊那地域は暖かく竹藪が多いため、米を刺す串は竹串を使うことが多い。一方、木曽地域では、以前は木曽五木の桧の串を使っていたといわれており、自然環境の相違がそこから窺える。昔は米が貴重だったため五平餅はハレの日の料理として食べていたもので、当時は、五平餅は大変なご馳走だった。あまりに美味しくて「1人で5合は食べてしまう」という意味で、その美味しさを「五平五合」と表す。タレは、各地域や家庭によって様々だが、醤油・味噌ベースのタレをぬったり、季節によって、ごま、山椒、柚子などを加えたりもする。信州の特産品であるくるみをすりつぶしてつくる「くるみ味噌」は代表的な味で、素朴な味付けが信州らしい一品である。 + +## 食習の機会や時季 +今は時期問わずおやつとしても食べられるが、以前は木曽・伊那地域共に、五平餅はハレの日の食べ物で、祝い事や祭り、来客をもてなす時につくられていた。上伊那の農業は稲作が中心で、今も米作りが盛んにおこなわれており、田植えを終えると田の神を送る行事(しつけじまい、田植えじまい、まんが洗いなどと呼ぶ)がおこなわれ、苗を神棚に供えて豊作を祈った。田植えの後や新米の時期には「五平餅会」が開かれ、大人も子供もみんなで五平餅をつくって食べる。 + +## 飲食方法 +硬めに炊いたうるち米を半搗き(はんつき)にして、平たい団子状にしたものを串に刺す。コンロ���囲炉裏で両面を焼き、たっぷりとタレをつけてあぶる。団子の大きさや形、刺す串の大きさや長さは、地域や家庭によって様々である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 4カップ +- 竹串: 16本 +- 【くるみ味噌ダレ】味噌: 60g +- 【くるみ味噌ダレ】くるみ: 15g +- 【くるみ味噌ダレ】砂糖: 80g +- 【くるみ味噌ダレ】いりごま(白): 10g +- 【くるみ味噌ダレ】酒: 少々 + +## 作り方 +1. 米を普通に炊き、熱いうちにすりこぎで半つぶしにして、直径3cm位の平たい団子形に丸める。 +2. よく冷ましてから2個ずつ串に刺す。 +3. いりごまをすり鉢ですりつぶし、次にくるみを入れてすり鉢でしっかりすりつぶしておく。(緑茶を少し加えてすりつぶすとつぶしやすい) +4. くるみ味噌ダレは、分量の材料を鍋に入れ中火~弱火にかけ、とろみがつくまで混ぜ合わせる。 +5. 炭火やフライパン、ホットプレートで2を焦げ目がつくまで焼く。 +6. 5に4のくるみ味噌ダレをつける。炭火の場合は、再び炭火であぶる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「おいしい信州ふーどネット」(長野県農政部農業政策課) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_2_1.jpg)" +"# おやき 長野県 + +**郷土料理名**: おやき + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +北信地域、中信地域(県内全域) + +## 主な使用食材 +中力粉、丸なす、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +「おやき」は、小麦粉と蕎麦粉を水または湯で溶いて練り、薄くのばした皮にあんや野菜など旬のものを包み焼いたもので、信州を代表する郷土料理。地域によっては「やきもち」とも呼ばれる。上水内郡西山地域が発祥といわれており、その歴史は古く、小川村の縄文遺跡からは雑穀の粉を練って焼いた跡が発見されている。山間部は急峻な地形が多く、寒冷な気候のため米の栽培に適さないところが多い。こうした山間地では小麦や蕎麦が多く栽培され、1日1回はその粉を使った食事をつくって食べたといわれ、米の代わりとして先人の食を支えた。一方、豪雪地帯である栄村は小麦の栽培が適さず、米粉を原料とした「あんぼ」というおやきがつくられている。昔はどこの家にも囲炉裏があり、西山地域では「ほうろく」とよばれる鉄製の鍋で表面を焼いて囲炉裏の灰の中でおやきを蒸し焼きにして、周りに付いた灰を落として食べていた。このおやきを「灰焼きおやき」といい、以前は主流だった。それが里から町へと伝わり、「蒸す」「焼く」「焼いて蒸す」「蒸して焼く」など、様々な調理法が生まれた。包む具材は、なす、きのこ、かぼちゃ、切干大根などを味噌や醤油で味付けし、それを単体もしくは複数混ぜたものなど様々な種類がある。身近にあるものや季節の具材を入れて楽しんだ。おやきは元々北部に伝わる郷土食だが、観光資源として価値が高まるにつれて県内全域に広まり、今では県全体の郷土料理として親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +おやきはハレ食でもあり、日常食としても食べられている。具により季節を問わずつくることができ簡単に焼けるので、おやつとしても食べられ、春はよもぎせんべい、にら、なす、りんごせんべいと季節の野菜を使ったおやきがつづく。北信地域のお盆は、おやきは欠かせない。毎年8月1日を「石の扉(いしのと)」といい、朝から墓掃除をしておやきをつくり、盆に先祖の霊を迎える準備をする。8月14日の朝には仏前におやきを供える。 + +## 飲食方法 +一般的に知られるおやきは、小麦粉と蕎麦粉を混ぜた生地で、うすく伸ばして野菜などの具材を包む。具はたっぷり入れて生地を少しづつ伸ばしながら包む。生地の中心を厚めにしておくと破れにくい。調理方法は、焼くと水分が減って皮がパリパリの食感になり、蒸かすと水分を含んで皮がやわらかくモチモチとした食感に仕上がる。生地の材料やおやきの調理方法は、地域・家庭で異なり、中に入れる具材は千差万別である。西山や善光寺では、小麦粉の皮で季節の野菜を包んだおやきがつくられるが、米がよくとれる安曇平では、ご飯に小麦粉を混ぜてつくり、黒砂糖と味噌のあんを入れて「やきもち」と呼んだ。小麦粉が育ちにくい飯山では、しいな米の粉(死米の一種で、受粉障���により子房の段階で死んだものや受粉しても登熟初期で死んだ粒)ととうもろこしの粉を混ぜた皮によもぎを入れてあんを包んだ「ちゃのこ」をつくり、春先に食べた。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20個分) +- 中力粉: 500g +- ぬるま湯: 350ml +- 丸なす: 4~5個 +- 【調味料A(甘味噌)】味噌: 120g +- 【調味料A(甘味噌)】砂糖: 大さじ3 +- 【調味料A(甘味噌)】サラダ油: 適量 + +## 作り方 +1. 粉にぬるま湯を入れ、よくこねて乾かないようにぬれフキンをかけて1時間以上ねかせる。(熱湯でこねるといつまでも柔らかい) +2. なすは1.5cm厚さの輪切りにし、真ん中に切れ目を入れ、調味料Aの甘味噌をはさむ。 +3. 1を40gくらい手に取り丸くのばして、2のなすを包みフライパンで両面を焼いたあと、15分位蒸す。 +4. みょうがの葉や青しその葉で包んで蒸しても美味しい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 長野県農村文化協会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_3_1.jpg)" +"# 野沢菜漬 長野県 + +**郷土料理名**: 野沢菜漬 + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +県内全域(野沢温泉村) + +## 主な使用食材 +野沢菜、塩、焼酎 + +## 歴史・由来・関連行事 +寒さが厳しい県内は、冬になると田畑から青ものはひとつもとれなくなるため、晩秋になると大量に保存用の漬物を仕込んだ。菜類の漬物のことを「お葉漬け」といい、「野沢菜」「稲核菜」「源助かぶ菜」「木曽菜」などが使われる。そのなかでも「野沢菜漬」は、県を代表する2大漬物のひとつであり、信州の冬には欠かせない食材となっている。地元では、ふるさとの味、おふくろの味として親しまれており、地域に深く根付いている。野沢菜は、県の北東にある野沢温泉村の住職が宝暦6年に京都から天王寺かぶを持ち帰り植えたのが始まりといわれている。温暖な地域の天王寺かぶは、標高600メートル近くもある高冷地の野沢温泉村の気候風土により突然変異を起こし、根が育たず葉と茎だけが大きくなり地域独特のものとなった。味は美味しいと好評で、地名の付いた「野沢菜」として広まっていった。野沢菜は9月に種を撒き、大きなもので1メートルにもなる。収穫は11月に迎えるが、野沢菜は霜が当たると甘く柔らかくなるため、寒くなるのを待ってから取り入れ作業が行われる。その後、北信州の風物詩ともいわれるお菜洗いが始まり、丁寧に1枚ずつきれいに洗って一石桶といわれる大きな桶で大量の野沢菜を漬ける。漬け方は色々あるが、各地域で漬け方が工夫されている。 + +## 食習の機会や時季 +野沢菜は、11月以降寒くなるのを待ってから収穫が行われるが、仕込んでから2~3週間もすれば食べられるようになり、美味しくなるのは1ヵ月後の年末年始頃といわれ、乳酸発酵が進み、べっ甲色になった野沢菜の味は絶品である。 + +## 飲食方法 +そのまま食べたり、おにぎりやおやきの具材、パスタなどいろいろな料理で美味しく食べることができる。野沢菜には浅漬けと古漬けがある。春先、発酵が進んで黄色く変色した古漬けは、酸味が強いが古漬けならではの味わいがあり、油との相性がよく、炒めて食べたりもする。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1樽分) +- 野沢菜: 40kg +- 漬物塩: 1~1.3kg +- 焼酎(35度): 360ml +- 昆布(切り昆布): 適量(160g位) +- 唐辛子: 好みで適量(80本) +- 【用意するもの】4斗樽、4斗樽用ビニール袋、踏み込み用のビニール(袋でもシートでも良い): 適量 + +## 作り方 +1. 【下準備】4斗樽を洗って乾かす。野沢菜の株を少し残して切り落とし、大株の野沢菜は株に切り込みを入れて洗う。特に根元に入りこんだ土をよく洗って水を切る。 +2. 180mlの焼酎を、樽の周りから流し入れる。(消毒用) +3. 樽にビニール袋を入れる。 +4. ビニール袋の中に180mlの焼酎を周りから流し入れる。 +5. 3の中に野沢菜を並べて、漬物塩を振る。野沢菜が2段になったら、踏み込み用のビニールを敷き、踏み込んだ後に塩を振る。(踏み込んだ時に漬物用ビニール袋が中に入りこむので、踏み込む時に度々上へ引っ張り上げる)これをくり返し、全部漬けたらビニール袋を閉じて内ぶたをのせて30~40kgの重石をする。野沢菜が一度に樽に入りきらなかった場合は、野沢菜が沈んでからその上に同じように並べて重石をする。 +6. 水が上がったら、野沢菜が漬け汁より出ない程度の軽い重石(10~20kg)に替える。もし水が上がらない時は、5~10%の塩水をつくり、周りから流し入れて様子を見る。1ヵ月位で食べられる。 +7. ※11月23日以降に漬ける。野沢菜が霜にあたるほど柔らかくぬめりが出る。この漬け方は、野沢菜漬けを切って半日おいても色が白茶けることなく、緑色が変わらない。焼酎はカビ止めの役割がある。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「佐久市農村生活マイスターの会 レシピ集 母から子へ 孫へ伝える佐久の味」(佐久市農村生活マイスターの会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_4_1.jpg)" +"# ほう葉巻 長野県 + +**郷土料理名**: ほう葉巻 + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +木曽地域 + +## 主な使用食材 +米粉、小麦粉、朴葉、いぐさ、小豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +「ほう葉巻き」は、米の粉に熱湯を入れてよくこね、中にあんを入れて、ほうの葉で包んで蒸したもので、木曽地域に伝わる伝統的な祝い餅である。木曽地域では端午の節句は、ひと月遅れの6月5日におこなわれる。その前後に「ほう葉巻き」がつくられる。端午の節句といえば柏餅だが、標高が高い木曽地域には柏の木がなく、代わりに、朴の葉を使うようになった。昔からそれぞれの家庭には、朴の木があり6月初旬頃になると、朴の若葉が伸びて大きく広がるので、ものを包むのに適するようになる。小枝の先に5、6枚の葉がついており、切らずに繋げたまま1枚毎に餅を包む。餅の中には、小豆あんやつぶしあんを入れ、新しい井草や藁を用いて葉をしばる。蒸しあがったほう葉巻きは、さわやかな若葉の移り香が特徴的な祝い餅だ。今では、ゆず味噌あん、白みそ胡桃あんなどもあり、各家庭や店で工夫されている。町中のあちこちの店でも「ほう葉巻き」がたくさん並び、木曽地域独自の初夏の風物詩となっている。ほう葉巻きの由来は、平安末期に信濃源氏の一族だった木曽義仲の時代に、戦に出る際に朴の葉を利用して味噌や米を包んだのが始まりだといわれている。朴の木は、モクレン科の落葉高木で、山地で見られる樹木の中で、最も大きい葉と花を付ける。大きい葉は長さ40cm、巾25cmもある。ほう葉は防腐効果をもつことから古くから食べ物を包むことにも使われていた。 + +## 食習の機会や時季 +端午の節句の祝いとしてもつくられ、季節の行事食としてのほか、田植え時期の農家の茶菓子としても親しまれてきた。 + +## 飲食方法 +ひとつずつ枝から外し、葉を取り、そのまま手で食べることができる。地元の人は、蒸したてよりも、餅がほどよく締まって朴の香りがより移った状態になる「翌日が一番美味しい」という。常温で2~3日保存ができ、食べきれない時は早めにラップで包んで冷凍もできる。冷凍したものは、蒸し器で蒸し直すか自然解凍、または葉を取って焼いて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (30個分) +- 米粉: 600g +- 小麦粉: 60g +- 熱湯: 500g +- 朴葉: 30枚 +- いぐさ: 30本 +- 【あん】小豆: 1kg +- 【あん】砂糖: 1kg +- 【あん】塩: 少々 + +## 作り方 +1. 小豆は柔らかく煮てつぶし、砂糖・塩を加えてあんをつくる。 +2. 粉を合わせて熱湯を加えながら、耳たぶ位の硬さに練る。(熱いのではじめ箸で溶きながら) +3. 2を蒸し器で15~20分位蒸す。 +4. 3を再びよくこねる。(100~200回) +5. 4を1個につき約40gずつに分け、丸めておく。1のあんも1個につき約30gずつに丸める。皮をのばしてあんを包みこむ。 +6. 5を朴葉にのせ、葉をたたみながら餅を包み、いぐさで縛る。それを蒸し器で10分程蒸してできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「つくらまいか木曽の味」(ふるさと体験館きそふくしま 四季の会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_5_1.jpg)" +"# 小鮒の甘露煮 長野県 + +**郷土料理名**: 小鮒の甘露煮 + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +佐久地域 + +## 主な使用食材 +フナ、醤油、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +県の東部に位置する佐久市は、群馬県との境に位置し、田んぼで淡水魚のフナやコイを飼えるほどきれいな水源に恵まれており、田んぼで水稲と一緒に���ナやコイを育てる「水田養鮒」や「水田養鯉」などがおこなわれていた。それまで副産物として収穫していたフナだが、水田転作の進展とともにコイよりも手がかからないフナを養殖するようになった。地元では、9月になると5cm前後の小フナが生きたまま袋詰めされて販売される。町ではあちこちで「小フナ」の文字が見られた。小フナは、醤油と砂糖で甘辛く炊いて甘露煮にされる。買ってきた(若しくは、田んぼでとってきた)小フナを、水を何度もかえながらきれいに洗い生きたまま小フナを鍋に入れて調理する。柔らかくなるまで炊いたら、ほかほかの新米と一緒に食べる。小フナの僅かな苦みに秋の訪れを感じる。海のない信州は、山に囲まれ、千曲川、木曽川、天竜川など豊かな水源に恵まれており、川や湖には淡水魚が育まれている。それをとって食べ、山の地域ならではの食文化が根付いていった。信州では川魚を昔から甘露煮にしておかずとして食べる風習がある。佐久の「コイの甘露煮」や諏訪湖の「ワカサギの甘露煮」なども信州の郷土料理として根付いており、丸ごと食べられる川魚の甘露煮は、カルシウムが豊富な上、昔は貴重なたんぱく源でもあった。 + +## 食習の機会や時季 +田植えが終わると田んぼへ稚魚を放し、稲と共にフナを育てる「稲田養魚」がおこなわれる。秋になり、米と共に水揚げされる。佐久市では、多い日で約3000袋(1袋1キロ)が県内のスーパーマーケットや東信地方の学校給食などへ出荷されるという。恒例の「フナ祭り」では、早朝からフナを買い求める客で賑わい、2日間で約1200kgを完売した年もある。毎年、小フナを楽しみにしている人も多く、佐久地域の秋の味覚とて親しまれている。 + +## 飲食方法 +佐久地域の「小鮒の甘露煮」の特徴は、やはり小フナを生きたまま調理すること。小フナが跳ねるので飛び出さないように急いで蓋をしなければならない。焦げ付かないよう、母親たちは常に鍋のそばにいた。骨まで柔らかくなった「小鮒の甘露煮」は、ごはんのおかずや酒のつまみとして食されている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (フナ1kg分) +- フナ: 1kg +- 酒: 200~250g +- 醤油: 180g +- ざらめ: 300g + +## 作り方 +1. 水を張ったバケツにフナを入れ、水を替えながらよく洗う。 +2. フナの水を切り、鍋に入れ、酒・醤油を入れて素早く蓋をし、20分~30分おく。 +3. ざらめを入れ、強火で煮立て、アクを丁寧にとる。 +4. ここから中火~弱火にして、アルミホイルなどで落しぶたをしてゆっくり煮る。途中でかき混ぜることは絶対しない。鍋全体を静かにゆする位が良い。 +5. 煮汁が少なくなったら鍋を傾け、スプーンなどで残った汁をすくい上げて全体にかける。これをしっかりやることで全体に照りがでて味もつく。 +6. 煮汁がなくなったら火を止め、十分に冷めたらくずれないように1匹ずつ皿に盛りつける。保存容器に入れる場合はふたをして冷蔵庫で保存する。 +7. ※火加減を上手に行い、焦がさないようにする。※汁気を足したいときには酒を入れる。※鍋の大きさにもよるが2kg位が煮やすい。※ざらめを使うと、みりんを入れなくてもきれいに仕上がる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 佐久市農村生活マイスターの会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_6_1.jpg)" +"# 笹ずし 長野県 + +**郷土料理名**: 笹ずし + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +飯山市(北信地域) + +## 主な使用食材 +米、もち米、笹の葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「笹ずし」は、笹の上に酢飯を敷いてその上に具材をのせたもので、飯山市及び新潟県上越地域に伝わる郷土料理。笹ずしの歴史は古く、天文22年(1553年)から12年にわたって争われた川中島の合戦では、信州と越後の国境にある富倉峠が重要な軍用路となった。その折、上杉謙信の軍勢にふるまわれたのが始まりだともいわれており、他にもいくつかの説がある。また、笹の葉は殺菌、防腐効果があり、上杉謙信は戦のときに保存食として笹ずしを携帯していたといわれている。その歴史背景から、飯山市では笹ずしを「謙信寿司」ともいう。酢飯の上には、ぜんまい、たけのこ、しいたけ、くるみなど山の幸を中心にあしらわれ、錦糸卵や紅生��で彩りを添える。具材は、各地域や家庭によって工夫されている。酢飯にもち米を混ぜる家庭もあれば、具材にひじきや味噌漬けをのせたりもする。以前は、祝い事や祭りなどがあると各家庭でつくっていた。そんなハレの日の食として素朴なごちそうでもあった笹ずしは、飯山市で古くから親しまれて来た郷土料理として、平成19年に長野県選択無形民俗文化財に指定された。※富倉地域の村人が上杉謙信の一行に、器の代わりに笹を使用し、ごはんに山菜などをのせて出したことが始まりという説もある。 + +## 食習の機会や時季 +時期問わず、季節の食材を使い年間を通して食べられている。飯山市では、祝い事や祭りなどの行事があると笹ずしをつくってもてなす風習がある。 + +## 飲食方法 +箸を使わなくても、手軽に手で持って食べることができる。食べ方は、「笹ずしを手に持ち、スライドさせながら笹を下に引き、笹から離れたところを食べる」箸などを使わず、直接笹の葉から食べるのが本来の食べ方とされている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 3カップ +- もち米: 1/3カップ(米の1割) +- 水: 3と1/3カップ +- 笹の葉: 25枚 +- 【合わせ酢】酢: 1/2カップ +- 【合わせ酢】塩: 小さじ1/2 +- 【合わせ酢】砂糖: 大さじ3 +- 【具】大根の味噌漬け: 100g +- 【具】干ししいたけ: 2~3枚 +- 【具】植物油: 大さじ2 +- 【具】もどしたぜんまい: 100g +- 【具】削り節: 5g +- 【具】砂糖: 小さじ1 +- 【具】紅しょうが: 30g +- 【具】くるみ: 20g +- 【薄焼き卵(炒り卵)】卵: 1個 +- 【薄焼き卵(炒り卵)】砂糖: 適宜 +- 【薄焼き卵(炒り卵)】塩: 少々 +- 【薄焼き卵(炒り卵)】油: 少々 + +## 作り方 +1. 米ともち米を混ぜ、1時間前にといでおき、分量の水で炊く。炊きあがったら10分蒸らし、熱いうちに合わせ酢を振りかけ、切るようにしてまぶす。 +2. 卵は砂糖、塩で味をつけ、薄焼き卵にして短冊に切るか、煎り卵にする。 +3. 味噌漬けは5mmくらいの粗いみじん切りにする。もどしたぜんまいは1~2cmの長さに切り、軽くしぼって水を切る。干ししいたけは水でもどし、石づきを取って粗いみじん切りにする。 +4. フライパンに油を熱し、ぜんまい、干ししいたけをさっと炒め、味噌漬け、削り節、砂糖を加えて水分がなくなるまでよく炒めて味をととのえる。 +5. 笹の葉の付け根を少し切り落とし、先端は斜めに切って適当な大きさにそろえ、よく洗って拭く。 +6. 手に酢水をつけてすし飯を軽く一握り取り、笹の表に楕円形に広げ、真ん中をへこませる。 +7. 6の上に4をのせ、2と紅しょうが、くるみを彩りよくのせる。手のひらでかたちをととのえながら軽く押す。 +8. お盆等に平らに重ね、上に笹の葉をのせて軽く手で押さえる。※専用の四角なすし箱に笹、ごはん、具を何段も重ねる押しずし風のつくり方もある。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「未来へつなごう ばあちゃんの味 かあちゃんの味」(飯山市食の風土記編集委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_7_1.jpg)" +"# やしょうま 長野県 + +**郷土料理名**: やしょうま + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +北信地域、中信地域 + +## 主な使用食材 +米粉、片栗粉、青のり、ごま、黒豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +北部を中心とする地域では、2月15日は釈迦の亡くなった涅槃会(ねはんえ)の日として、「やしょうま」をつくって仏壇に供える風習がある。やしょうまは、米粉を練ったものに色を付けて蒸したお団子で、以前はどこの家庭でもつくっていた。一般的に「やしょうま」は、家や寺でつくったものを子どもたちがもらい歩いたもので、「やしょうまを引く」と呼んでいた。かたちは、細長い棒状の団子の上に箸を押しつけて凸状にするのが主流で、三角形に似たもの、真ん中のくびれた分銅形、花弁のかたちをしたものなど様々で、近年では色とりどりの模様を描くやしょうまがつくられ、子どもたちにも人気がある。上田市では、米粉を練って赤や緑の食紅で色付をけしたものにあんを入れた「ねじ」と呼ばれる団子を野菜や花、動物などの姿にかたどり、毎年2月におこなわれる国選択無形民俗文化財「戸沢のねじ行事」では、子どもたちがわらの馬を引いて道祖神にお参りし、無病息災と豊作を願う。 + +## 食習の機会や時季 +2月15日の涅槃会の日に仏壇に供えるために、家庭や寺でつくっていた。家庭では仏壇に供え、寺では涅槃会の法要の時に、参詣人や子ども達に配られた。 + +## 飲食方法 +米粉、砂糖、塩を混ぜ、熱湯を少量加え、耳たぶくらいの硬さに練る。ひとにぎりサイズにちぎった生地を蒸し器で蒸す。冷水につけ冷やしてからボウルに入れ、こねる。その際に青のり、豆、ごまなどを加え、細長くのばして形成する。そのまま食べるのが一般的だが、時間が経って硬くなってしまった場合は、焼いたり、油で揚げて砂糖醤油でも美味しく食べることができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3本分) +- 米粉: 500g +- 砂糖: 50g +- 塩: 大さじ01月02日 +- 熱湯: 370ml +- 片栗粉: 少々 +- 青のり: 適量 +- 黒ごま: 適量 +- 黒豆: 適量 +- 食紅: 適量 + +## 作り方 +1. ボウルに米粉、砂糖、塩を入れて混ぜる。 +2. 熱湯を加えながら箸で混ぜてから手でひとまとめにし、耳たぶ位の硬さにこねる。 +3. 生地をひとにぎり位にちぎり、蒸し布を敷いた蒸し器に入れて20分蒸す。 +4. 蒸しあがったら蒸し布ごと持ち、冷水に1分位入れて冷やす。(びっくり水)(まとまりにくくなるので、冷やし過ぎに注意) +5. 水気をしぼり、ボウルに入れしっかりこねる。(しっかりこねておくと後の作業がしやすい) +6. 冷めないうちに、青のり、豆、ごま、食紅を生地の中へ入れて細長くのばして箸などでかたちをつくる。 +7. ※黒豆は浸さず洗って水から歯ごたえのある位にゆでる。できあがりの柔らかいうちは、木綿糸を使うと良く切れる。硬くなったら、焼いて砂糖醤油をつけて食べると美味しい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 長野県農村文化協会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_8_1.jpg)" +"# いなごの佃煮 長野県 + +**郷土料理名**: いなごの佃煮 + +**都道府県**: 長野県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +いなご + +## 歴史・由来・関連行事 +南信地域の伊那谷には、古くから昆虫食文化が根付いており、いなご、蜂の子、かいこ、ざざむしなどを食べる習慣がある。こうした昆虫類は、以前は少ない動物性たんぱくをとるための栄養補給源として食べられていた。群馬県など海産物が少ない山間地で食用とする地域がある。戦時中や戦後の食糧難では、いなごを食べてお腹を満たし生きるのに必要な栄養をとっていた。クロスズメバチなどの幼虫「蜂の子」は、日本各地の山間地を中心に多く食されており、炊き込みごはんや甘露煮などにして食べられている。長野県では「蜂追い(すがれ追い)」といって、森林内にあらかじめ餌を仕掛けておびき寄せたクロスズメバチに細い赤い糸を付けた餌を持ち帰らせるという伝統的な捕獲方法を使って、地中にある蜂の巣を探し出していた。昔に比べいなごの数も減少しており、生活や食文化の変化により各家庭で調理されることは少なくなってきたものの、今もなお伊那谷では昆虫食文化が残っている。 + +## 食習の機会や時季 +漢字で「稲子」と書くように、いなごは稲刈り時に収穫される。9月から10月にかけて稲刈りの時期になると、手拭いでできた袋を腰につけて、飛び跳ねるいなごを捕まえていた。 + +## 飲食方法 +とってきたいなごを袋や容器に入れて一晩おき、お湯に通して洗う。洗ったいなごは、甘露煮や佃煮にすることが多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (いなご500gの事例) +- いなご: 500g +- 醤油: 50ml +- みりん: 25ml +- 砂糖: 100g +- 酒: 50ml +- 塩: 小さじ1 + +## 作り方 +1. いなごは熱湯をかけ、足と羽を取り、よく水洗いし、水切りをする。 +2. 熱したフライパンにいなごを入れ、弱火で3~5分空煎りする。 +3. 鍋に砂糖・醤油・酒を入れて煮立て、いなごを入れ、強火で煎り煮する。 +4. 汁気がなくなる直前に、みりんを入れ照りをだす。 +5. 汁気がなくなったら火を止めて塩をからめる。(カラっとする) +6. ※いなごの足はすり鉢ですりつぶし味噌、砂糖などお好みの味でいなご味噌を作る。 +7. ※いなごの下処理の別法:いなごをとった布袋のまま、熱湯でゆでた後、水で洗い、水気を切って冷めた後、一度冷凍する。(冷凍すると羽と後ろ足を外しやす���)解凍しながら羽と後ろ足を外して調理すると、食べやすい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「とうみ 伝えていきたい郷土料理」(東御市食生活改善推進協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagano_9_1.jpg)" +"# 黒はんぺんフライ 静岡県 + +**郷土料理名**: 黒はんぺんフライ + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +焼津市 + +## 主な使用食材 +黒はんぺん、パン粉、小麦粉、卵 + +## 歴史・由来・関連行事 +黒はんぺんは、鯖、鰺、鰯などをすり身にして茹でた物であり、形は半円形で色は灰色の練り物である。焼津の特産品であるが、ほぼ県内全域で食されている。県外では、はんぺんといえば白い練り物だが、静岡県では、通常「黒はんぺん」のことをさす。白いはんぺんは、魚の身の部分だけ使っているため白くなるが、黒はんぺんは魚の骨や皮を丸ごと練り込んでいるため灰色になる。黒はんぺんは、フライの他、煮物、焼き物、さらには静岡おでんの具材にもなっている。黒はんぺんをフライにした「黒はんぺんフライ」は、家庭でも作られ、スーパーなどのお惣菜コーナーでも販売されている。魚のうまみが凝縮されたはんぺんを油で揚げることで香ばしさも加わり、地元では子どもから大人まで世代を超えて親しまれているお惣菜である。 + +## 食習の機会や時季 +通年食される。日常の食卓やお弁当のおかず、給食にも登場する。 + +## 飲食方法 +黒はんぺんに、小麦粉、溶き卵、パン粉をつけて油で揚げる。パン粉は細かいものを薄くつけるのがコツ。そのまま食べても、ソースをかけて食べてもおいしい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 黒はんぺん: 13g×20枚 +- 小麦粉: 16g +- 卵: 1個 +- パン粉: 60g +- レモン: 1/2個 +- 【A】中濃ソース: 小さじ1 +- 【A】ケチャップ: 小さじ1/2 +- 【A】醤油: 少々 + +## 作り方 +1. 黒はんぺんに、小麦粉・溶き卵・パン粉の順で衣をつけ、油(分量外)で揚げる。 +2. 【A】を混ぜ合わせソースを作り、フライにつけて食べる。※お好みでレモンを添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「しずおかのおかず」開港舎 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_1_1.jpg)" +"# がわ 静岡県 + +**郷土料理名**: がわ + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +御前崎市 + +## 主な使用食材 +カツオ、たまねぎ、きゅうり、青しそ、しょうが、梅干し、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +全国屈指のカツオの漁獲量を誇る静岡県(※)。中でも静岡県最南端に位置する御前崎港は県内でも有数の漁獲高を誇る港である。5月に水揚げされるカツオは「初鰹」と呼ばれ特に人気があり、御前崎港周辺で端午の節句に合わせて掲げられる「カツオのぼり」は、夏の風物詩になっている。「がわ」は、生のカツオ、きゅうり、梅干し、青しそなどを刻んで、味噌と共に水に入れる「冷やし味噌汁」で、漁師がカツオ漁に出た際に船上で作ったのが始まりとされる。氷を入れ、味噌を溶かそうとかき混ぜるときに「ガワガワ」と音がするため、「がわ」と呼ばれるようになったといわれる。元は漁師めしだが、御前崎の一般家庭でも夏の食卓に登場することもある。 ※出典:静岡県公式ホームページ + +## 食習の機会や時季 +主に夏 + +## 飲食方法 +きゅうり、たまねぎ、しょうが、青しそ、葉ねぎを刻み、カツオは細かくたたき、さらに味噌と種を出した梅干しを入れ、馴染ませる程度に、一緒にたたく。そこに氷水と入れのばし、刻んだ野菜を入れて、かき混ぜてできあがり。白いご飯にかけたり、素麺にかけたりしても相性がいい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- カツオ(またはアジ・イサキ等): 小1節(400g) +- たまねぎ: 1/2個 +- きゅうり: 1本 +- 青しそ: 5枚 +- しょうが: 1片 +- 梅干し: 3個 +- 葉ねぎ: 5本 +- 味噌: 30~50g +- 水: 1,000cc +- 氷: 20個位 + +## 作り方 +1. カツオをみじん切りにしながら、包丁でたたく。1分程度粗めに、お好みで細かくたたく。 +2. たまねぎは薄切り、きゅうりは輪切り、青しそ・しょうがは千切り、葉ねぎは小口切りにする。 +3. 1に味噌・種を出した梅干しを加え、馴染ませる程度に、一緒にたたく。 +4. カツオと馴染んだら氷水でのばす。刻んだ野菜を浮かべて彩りよく盛りつける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「しずおかのおかず」開港舎 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_2_1.jpg)" +"# 山葵漬け 静岡県 + +**郷土料理名**: 山葵漬け + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +中部地域(静岡市)、伊豆半島(伊豆市)、東部地域(御殿場市、小山町) + +## 主な使用食材 +わさび + +## 歴史・由来・関連行事 +山葵漬けは、わさびの刻んだ葉や茎、根を酒粕に漬けた料理。わさびの発祥は、慶長年間(1596~1615年)に、それ以前から静岡市葵区の有東木地区の佛谷山(ぶっこくさん)に自生していた野生のわさびを、同地区の湧水源付近に植えたこととされる。その後、駿府城で晩年を過ごしていた徳川家康が同地区からわさびを持ち出すことを禁じ、長い年月、有東木地区から外へ出ることはなかった。しかし、18世紀半ばに伊豆地域へ栽培法が伝播し、その後、中伊豆地区で「畳石式」と呼ばれる栽培方式が開発されると、静岡県全域へ、さらには日本各地に普及していった。静岡県のわさびは、多量の降雨や地質、年間を通して13℃前後の湧水がわさびの栽培に適しているため収量、品質とも日本一を誇る(※)。現在、湧水が湧く山間地に階段状のわさび田を作り、極力肥料を使用せずに栽培されており、「静岡水わさびの伝統栽培」は世界農業遺産と日本農業遺産に認定されている。山葵漬けは、明治22年に開駅した静岡駅構内で販売したことが始まりといわれ、現在でも定番の静岡土産の一つであると同時に、家庭でも日常の食卓にあがることが多い。わさびのつんとくる辛みと酒粕の風味のため、主に大人に好まれる料理である。※出典:静岡わさび農業遺産推進協議会 + +## 食習の機会や時季 +一年を通して食されている。温かいご飯の上にのせたり、酒のつまみにしたり日常の食卓にあがる。 + +## 飲食方法 +わさびの茎・根は細くきざみ、一晩、塩漬けにしておく。酒粕に砂糖・酒を入れてよくこね、滑らかになったら、塩漬けにしたわさびを布巾でよく絞り酒粕の中に入れる。よく馴染むようにかき混ぜる。密封容器に移し2~3日おくと辛みが出て食べ頃になる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 酒粕: 250g +- わさび(茎、根): 450g +- 砂糖: 適宜 +- 酒: 適宜 +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. わさびの茎・根は約3mmの細さに刻み、2%の塩でもみ、一晩おく(6時間以上)。 +2. 1をふきんに包み、水分を絞る。 +3. 酒粕に砂糖と塩を入れ、よくこねる。少しずつ2を入れ、酒粕とよく馴染むように練り込む。 +4. 密封容器に移し2~3日おくと辛みが出て食べ頃となる。できあがったわさび漬けが辛すぎる場合は少しふたを明けておくと辛みが和らぐ。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_3_1.jpg)" +"# とろろ汁 静岡県 + +**郷土料理名**: とろろ汁 + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +中部地域(静岡市) + +## 主な使用食材 +自然薯(じねんじょ) + +## 歴史・由来・関連行事 +「とろろ汁」は自然薯をすりおろし、だし汁と味噌で割ったもので、麦飯にかけて食べる料理。自然薯は「やまのいも」ともいわれ、長さ1.5メートル、直径3センチほどの大きさ。本州、四国、九州の山野に自生するが、栽培をしているところもある。静岡県内の野生の自然薯は、主に中部地域が産地だが、西部地域、東部地域でも収穫される。「とろろ汁」の歴史は古く、東海道五十三次の20番目の宿場町であった丸子(まりこ。現在の静岡市駿河区丸子地区)の名物で、スタミナがつく料理として旅人に人気があったとされる。十返舎一九の小説『東海道中膝栗毛』や歌川広重の浮世絵「東海道五十三次」、松尾芭蕉の俳句「梅若菜 丸子の宿の とろろ汁」にも登場している。 + +## 食習の機会や時季 +自然薯の収穫時期が10月中旬から12月なので、秋から冬にかけてよく食される。正月2日に食べ、1年間の健康を祈る地域もある。 + +## 飲食方法 +自然薯をおろし金ですりおろし、すり鉢でよくする。そこに、だし汁と味噌、醤油を合わせたものを少しずつ加えて、さらによくすって、のばす。できあがったら、ご飯にかけて海苔をちらして食す。地域によって、自然薯を��りおろし、すり鉢でするときに卵を加えたり、だし汁を加えるときに味噌と醤油を合わせるのではなく、醤油のみと合わせたりするところもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 自然薯: 500g(すりおろし) +- だし汁: 1½カップ +- 味噌: 大さじ1強 +- 醤油: 小さじ1 +- ご飯: 600g +- 青ねぎ: 適宜 +- のり: 適宜 + +## 作り方 +1. だし汁を温めて味噌と醤油を合わせ、冷ましておく。 +2. すりおろした自然薯をすり鉢でよくすり、1を加えてさらにすり混ぜる。 +3. ご飯に2をかけていただく。 +4. お好みで3に青ねぎ、のりを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「しずおかのおかず」開港舎 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_4_1.jpg)" +"# 水かけ菜の漬物 静岡県 + +**郷土料理名**: 水かけ菜の漬物 + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +御殿場市、小山町 + +## 主な使用食材 +水かけ菜、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +御殿場市と小山町は、冬寒く夏涼しい準高冷地域である。この辺りでは、富士山の雪どけ水が湧き出した地下水が豊富で、年間を通して水温13度を保っている。「水かけ菜」は、この地域の伝統野菜であり、2~3月の早春にしか味わえない特産物である。冬季の水田に高畝を作り、湧水を流して保温し栽培する。名前の由来は、「水を流す」ことを「水をかける」ということから、「水かけ菜」と呼ばれるようになったという。栽培は、明治19年、北郷村(現在の小山町)阿多野の戸長が越後(新潟県)より種子を持ち帰ったことにより始まったとされる。明治中頃、東海道線(現在のJR御殿場線)施設工事の労働者とともにやってきた、越後の女性により水かけ菜の漬物が作られ、以後、御殿場・小山地域で広く栽培され、食べられるようになったといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +日常の食事やお茶請けとしても食されている。 + +## 飲食方法 +洗った水かけ菜に塩を振り、重石を置き、翌日、水が上がってきたら、重ねていた水かけ菜の上下を置き換えて漬ける。漬けて3~4日後が食べ頃。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 水かけ菜: 1kg +- 塩: 30~40g + +## 作り方 +1. 水かけ菜は水洗いする。束のまま下をそろえ、大きいボウルに入れて塩を振りかけ、しんなりするまでもむ。 +2. 容器に1段ずつ交互に並べていく。重石を置く(水が出てきたら重石を軽くする)。 +3. 翌日、水が上がってきたら水かけ菜の上下を置き換えて漬け直す。 +4. 漬けてから3~4日後が食べ頃。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『しずおかのおかず』(開港舎) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_5_1.jpg)" +"# イルカの味噌煮 静岡県 + +**郷土料理名**: イルカの味噌煮 + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +伊東市 + +## 主な使用食材 +イルカ、ごぼう、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +静岡県におけるイルカ漁は、伊豆地方を中心に行われてきた。伊豆半島沖の湾がイルカの回遊経路にあたり、また半島が複雑に入り組んだ地形だったこともあり、イルカを追い込んで捕獲する追い込み漁に適していた。縄文時代の遺跡からイルカの骨が出土されたことや中世、近世にも実施されていた記録が残っていることから、イルカ漁が古くから行われてきたことがわかる。明治以降、伊豆で水揚げされたイルカが県内の他地域や愛知県、岐阜県、山梨県にも販売されていた。現在、イルカの追い込み漁を継承するのは、県内では、いとう漁協(伊東市・富戸漁港)のみとなったが、国内外のイルカ愛護・保護活動の高まりや捕獲種・数の制限などのため2004年以降、漁が行われなくなった。しかし、2019年から飼育用の捕獲に限って追い込み漁が解禁されている。「イルカの味噌煮」は伊豆の伝統的な郷土料理。鮮魚店でイルカの肉が皿に盛られて販売されていたころは、イルカの肉をごぼう、あるいはにんじん、こんにゃくなども入れて炒め、酒、醤油、砂糖、味噌で味をつけるイルカの味噌煮が一般家庭で日常の食卓にのぼっていた。 + +## 食習の機会や時季 +冬に一般家庭の日常食として、しばしば食されていた。 + +## 飲食方法 +イルカの肉を一口大に切り脂身を先に炒める。ごぼうを加えてさらに炒め、酒、醤油���砂糖、味噌で味付ける。ごぼうのほかににんじん、こんにゃくなどを入れる家庭もある。また、イルカの肉を厚さ2センチほどに切り、醤油のタレに漬け、天日干しにした干物「タレ」も酒の肴として食べられていた。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- イルカ: 200g +- ごぼう: 120g +- にんじん: 80g +- こんにゃく: 80g +- だいこん: 80g +- しょうが: 1片 +- だし汁: 4カップ +- 【A】酒: 1/2カップ +- 【A】砂糖: 大さじ4 +- 【A】味噌: 大さじ3 + +## 作り方 +1. イルカは角切りにし、水が濁らなくなるまで流水で血抜きする。 +2. しょうがは薄切り、ごぼう・にんじん・だいこんは乱切り、こんにゃくは適当な大きさにちぎる。 +3. 鍋に油(分量外)を熱し、しょうが・1を入れてさっと炒め、だし汁を入れる。 +4. 3に具材を入れ、沸騰したら弱めの中火であくをすくいながら、具材に火が通るまで煮込む。【A】で調味する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『しずおかのおかず』(開港舎) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_6_1.jpg)" +"# 染飯 静岡県 + +**郷土料理名**: 染飯 + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +藤枝市 + +## 主な使用食材 +米、もち米、くちなしの実、煎茶 + +## 歴史・由来・関連行事 +染飯は「瀬戸の染飯」と言われ、旧東海道の上青島村瀬戸町(現在の藤枝市)の茶屋で戦国時代から売られてきており、東海道の名物として知られてきたもの。もち米を蒸した強飯をくちなしの実で染めてすりつぶし、薄くのばして小判の形などにして干して作られていた携帯食。乾燥したくちなしの実は、消炎・解熱・鎮痛・利尿などの薬効があるとされていたため、瀬戸の染飯は、足腰の疲れを取る食べ物として評判が良かった。十返舎一九が書いた『東海道中膝栗毛』にも登場するほど歴史のある料理だったが、やがて時代とともに限られた家庭だけで食べられる料理になっていった。忘れ去られそうになってきた約60年前、藤枝市内の弁当業者が商工会議所と協力し、昔は干し飯だったため戻して食べていたものを、現代に合うようすぐに食べられるおにぎりにアレンジして復活させた。 + +## 食習の機会や時季 +通年食されているが、主に、瀬戸地域ではお祭りや祝い事のある時に作られている。 + +## 飲食方法 +くちなしの実の皮をむき、中身を潰して半日ぐらい水に浸けておく。黄色い水が出来る。もち米は炊く30分~1時間前にといでおく。炊飯器にもち米を入れ、くちなしの実をつけて出てきた黄色い水を真水で薄めてかき混ぜてから炊く。炊きあがったら10~15分蒸らす。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 米: 1合 +- もち米: 1合 +- くちなしの実: 1~2個 +- 水: 1カップ +- 【A】塩: 小さじ2/3 +- 【A】酒: 大さじ1 +- 【A】水: 1カップ +- 【A】煎茶: 小さじ1 +- ごま(黒): 適量 + +## 作り方 +1. 米・もち米を洗って水に浸けておく。 +2. くちなしの実をさじで突いて細かくつぶし、水に浸けて浸出液を作る。 +3. 炊飯器に1を入れ、2・【A】を加えて炊く。 +4. 炊きあがったら、器に盛り、お好みでごまを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「しずおかのおかず」開港舎 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_7_1.jpg)" +"# 鯖の箱寿司 静岡県 + +**郷土料理名**: 鯖の箱寿司 + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +伊東市、伊豆地域 + +## 主な使用食材 +サバ、にんじん、しいたけ、れんこん、卵 + +## 歴史・由来・関連行事 +伊豆地域で祭りなどのハレの日に作られる郷土料理。元々は漁師飯のため、地元で捕れたサバを使う。魚の身をほぐしてそぼろ(地元の呼び名はおぼろ)にしたものや、にんじんやしいたけなどの煮物を木箱に詰めた酢飯の上にのせた箱寿司。1261年に日蓮上人が鎌倉幕府によって伊豆に流刑になった際に、上人をかくまった漁師が朝夕の食事を、井桁の重箱で運んだことが箱寿司の由来といわれている。おぼろは地元でとれた魚を使うため、サバ以外に地域によってアジやキンメダイを使うところもある。 + +## 食習の機会や時季 +祭りや行事などのハレの日に家庭で作り、近所や親戚にも配る。 + +## 飲食方法 +木箱に酢飯を詰め、具をのせる。サバを茹でて骨を除き身をほぐし、炒って砂糖と��油で味をつけたものや、煮たにんじんやしいたけ、桜エビなどをのせる。おぼろにする魚は、地域によってアジやキンメダイのところもある。また、近年は生の魚は手間がかかるため、サバ缶やマグロ缶を使って作ることが多くなっている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ご飯: 800g +- 【A】酢: 大さじ3⅓ +- 【A】砂糖: 大さじ1 +- 【A】塩: 小さじ1 +- サバ: 120g +- 【B】砂糖: 小さじ1½ +- 【B】醤油: 小さじ1½ +- 卵: 1個 +- 【C】砂糖: 小さじ1 +- 【C】塩: 少々 +- にんじん: 60g +- 【D】だし汁: 1/2カップ +- 【D】砂糖: 小さじ1強 +- 【D】塩: 少々 +- 干ししいたけ: 4枚 +- 【E】だし汁: 1/2カップ +- 【E】砂糖: 大さじ1 +- 【E】醤油: 小さじ1 +- 桜エビ: 20g +- 【F】醤油: 小さじ1/2 +- 【F】砂糖: 小さじ1 +- はす: 40g +- 【G】酢: 大さじ1½ +- 【G】砂糖: 大さじ1 +- 【G】塩: 少々 +- 絹さや: 12枚 +- かまぼこ: 40g + +## 作り方 +1. ご飯はかために炊き、【A】を混ぜてすし飯にしておく。 +2. サバはさっと茹でて骨を除きながら身をほぐし、鍋で炒って【B】を加え、そぼろを作る。 +3. 卵は溶いて【C】を加え、玉子焼きを作る。 +4. にんじんは千切りにし、【D】で煮詰める。干ししいたけは水で戻し、【E】で煮詰める。桜エビは【F】で煮詰める。 +5. はすは薄切りにしてさっと茹で、【G】に浸して酢漬けにする。 +6. 絹さやのすじをとって茹でる。かまぼこは半月切りにする。 +7. ご飯を八分位平に盛り付け、上に具材を彩りよく盛り並べ、蓋をして軽く押す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「しずおかのおかず」開港舎 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_8_1.jpg)" +"# 御厨そば 静岡県 + +**郷土料理名**: 御厨そば + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +御殿場市 + +## 主な使用食材 +そば、鶏肉、にんじん、しいたけ + +## 歴史・由来・関連行事 +御殿場市の御厨地域の郷土料理。この地域はそばや麦を多く栽培していたため、農家が自前で、水を使わずに「山芋」や「自然薯」を使ってそばを打ち、鶏ガラでだしを取ったそばつゆをかけて食べた。そばは素朴な味わいで、山芋が入っているため喉ごしがよい。だし汁に鶏ガラを使い、具に鶏肉やにんじん、しいたけを入れるのが特徴。 + +## 食習の機会や時季 +家庭で大みそかや正月、行事の時に客人へのごちそうとして振る舞われる。 + +## 飲食方法 +だし汁に一口大に切った鶏肉、千切りにしたにんじんやしいたけを入れ煮立たせ、醤油、砂糖、塩で味をつける。このつゆをそばにかけて食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- そば: 4人分 +- 鶏肉: 1枚 +- しいたけ: 中4枚 +- にんじん: 中1本 +- 青ねぎ: 適宜 +- だし汁(かつおだし): 800cc +- 醤油: 80cc +- 砂糖: 80g +- 塩: 少々 +- 昆布だし: 少々 + +## 作り方 +1. 鶏肉は細かく切っておく。しいたけ・にんじんは千切り、青ねぎは小口切りにしておく。 +2. だし汁に1の鶏肉・しいたけ・にんじんを入れ、加熱する。 +3. 2に醤油・砂糖を入れ、塩・昆布だしで味を調える。 +4. 茹で上がったそばを丼に入れ、3をかけ青ねぎを盛る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「しずおかのおかず」開港舎 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_9_1.jpg)" +"# ぼくめし 静岡県 + +**郷土料理名**: ぼくめし + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +吉田町(中部地域) + +## 主な使用食材 +ウナギ、ごぼう、いんげん、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +県内の主な養殖ウナギの産地は、浜名湖周辺と大井川流域の2カ所があり、吉田町は大井川流域の産地にあたる。吉田町におけるウナギの養殖は、大正時代に度重なる大井川の洪水で稲が育たなくなり遊休水田となった地に養鰻池を築造して、大井川の伏流水を利用したことからスタートした。吉田町のウナギは、身が柔らかくて脂のりがいいと評判の品である。「ぼくめし」は炊きあがったご飯にウナギとごぼうを煮たものを合わせた混ぜごはん。その名は太い杭の「木杭(ぼっくい)」からきており、当時、太すぎるウナギが売り物にならなかったため、養鰻場のまかない飯として利用し食べられ始め、それが「ぼくめし」と呼ばれるようになったという。昭和30年代後半から、全国のウナギ生産量の4割を占める��ど多く養殖され(※)、大量に捕れて地元では安く購入できたため、ぼくめしは多くの家庭で作られていたが、近年はウナギの値段が高騰し、家庭で作る機会も減っている。※よしまち公社HPより + +## 食習の機会や時季 +祭りや祝い事の際に食べられている。 + +## 飲食方法 +ごぼうをささがきにして茹で、ウナギは蒸して細かく切る。両者を煮て、炊きあがったご飯と混ぜる。斜め切りにして茹でたいんげんや錦糸卵などを飾る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 2カップ +- ウナギ白焼: 1串(100g) +- ごぼう: 150g +- 【A】砂糖: 80g +- 【A】醤油: 大さじ3 +- 【A】酒: 大さじ2 +- さやいんげん: 40g +- 炒りゴマ(白): 大さじ2 + +## 作り方 +1. 米は普通に炊く。 +2. ごぼうは小さくささがきにして、水にさらしてアクを抜き、茹でる。 +3. ウナギは蒸して、細かく切る。 +4. 【A】を鍋に入れ、沸騰してきたら2・3を加えて弱火でトロトロと汁がなくなるまで煮る。 +5. さやいんげんは茹でて、斜め薄切りにする。 +6. 4をご飯と混ぜ、いんげん・ゴマも混ぜ合わせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「しずおかのおかず」開港舎 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_10_1.jpg)" +"# げんなり寿司 静岡県 + +**郷土料理名**: げんなり寿司 + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +東伊豆町(稲取) + +## 主な使用食材 +キンメダイ、にんじん、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +稲取のキンメダイの漁は明治時代から始まっている。この地区に伝わるハレの日の料理は、キンメダイで作った紅と白のそぼろ(地元の呼び名はおぼろ)をのせた押し寿司。結婚式や七五三、成人式などの祝い事のときに作られる。その大きさに、食べるだけで「げんなり」してしまうことから、その名前がついたという。キンメダイのおぼろの他、マグロの赤身、しいたけの煮付け、玉子焼きの押し寿司がセットとなったげんなり寿司を作る場合もある。 + +## 食習の機会や時季 +ハレの日(成人式、七五三などのお祝い事)に家庭で作り、親戚や近所に配る習わしがある。 + +## 飲食方法 +千切りにして甘く煮たにんじんを真ん中に詰めた酢飯を型に入れて押し、型から抜いたらキンメダイのおぼろをのせる。マグロの赤身やしいたけの煮付け、玉子焼きをのせた各々の押し寿司を加えたセットにすることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20個分) +- 米: 1升 +- 合わせ酢: 400cc +- 【合わせ酢の分量】酢: 900cc +- 【合わせ酢の分量】砂糖: 700g +- 【合わせ酢の分量】食塩: 100g +- キンメダイ: 1kg(うち、ほぐした身240~500g) +- 酒: 大さじ1 +- 【A】砂糖: 100g +- 【A】食塩: 小さじ1 +- 【A】酒: 小さじ1強 +- にんじん: 1kg +- 砂糖: 300g +- にんじん: 少々 + +## 作り方 +1. 炊いた米を15分蒸らし、寿司桶にあけ、400ccの合わせ酢をすばやく混ぜる。※余った合わせ酢は手酢として使う。 +2. キンメダイは頭・内臓を取り、酒を入れた水(分量外)で中骨が身から外れる位まで茹でる。皮・細かい骨を取り除き、ざるに入れて流水で身を洗いほぐし、布巾で包みよく絞って水気をきる。 +3. 2と【A】を鍋に入れ、火にかける前によくからませる。焦げないように水分をとばして、おぼろをつくる。 +4. 千切りしたにんじんを鍋に入れ、水を浸る程度入れて少し沸騰してきたところで砂糖・塩を加えて煮る。 +5. 寿司飯をご飯茶わんに1杯盛る。手に手酢をつけたら指でご飯茶わんに盛った寿司飯の中央に穴を開けて4を入れ、寿司飯をご飯茶わんから手酢をつけた手にのせて、にんじんが見えないように団子にしてから四角い型枠に入れる。 +6. 指で型枠の角にしっかりすし飯を押し込み、板でしっかり押し込み、型枠を指で押さえながら型枠を持ち上げはずす。 +7. 上におぼろをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「しずおかのおかず」開港舎 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_11_1.jpg)" +"# ところてん 静岡県 + +**郷土料理名**: ところてん + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +土肥(西伊豆)、稲取(東伊豆) + +## 主な使用食材 +天草、酢 + +## 歴史・由来・関連行事 +伊豆半島はところてんの原料となる天草の日本一の産地(※)である。約1600年前から天草漁が��われており、ところてんの原料や肥料としても利用されていたという。天草はテングサ目テングサ科であり、主にところてんに使用されるのはマクサとオオブサとよばれるもの。マクサは西伊豆で主に収穫され、柔らかく粘りのあるところてんとなる一方、オオブサは東伊豆で多く取られ、太く硬いしっかりとしたところてんになるといわれている。伊豆では昔から家庭において、天草から煮て固めたところてんを、突き器で突いて細長く出てきたものを食べ、また駄菓子屋でも販売されていたため、子どもたちのおやつとしてかかせないソウルフードであった。西伊豆の土肥町の八木沢海岸では、春から初夏にかけて天草の収穫と天日干しが盛んに行われ、海岸には赤いじゅうたんを敷きつめたような光景が見られる。※出典:伊豆ところてん倶楽部 + +## 食習の機会や時季 +気軽に軽食やおやつとして食されている。ところてんは、通年生産されているため季節を問わず食されているが、毎年5月末から初夏にかけて行われる天草漁の時期が旬。 + +## 飲食方法 +天草を水で洗い、水と酢とともに煮る。その液をこして、型に入れて流し固める。その後、突き器で押し出し、細長くなったところてんに三杯酢か酢醤油をかけて食べる。辛子を添え、青のりを散らして食べたり、きな粉や黒蜜で甘味として食べたりもする。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10~12人分) +- 天草: 50g +- 湯: 3,000cc +- 酢: 大さじ1・1/2 + +## 作り方 +1. 天草は水で洗う。 +2. 鍋に天草、湯、酢を入れて40分煮る。 +3. ボウルの中にさらしの袋を広げ、2の液を流し入れて、こす。流し箱に流してかためる。 +4. 突き器で押し出す。※お好みで三杯酢をかけ、からしを添え、青のりや白ごまをかけて食べたり、きな粉や黒蜜で甘味として食べたりもする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「しずおかのおかず」開港舎 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_12_1.jpg)" +"# 沖あがり 静岡県 + +**郷土料理名**: 沖あがり + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +静岡市由比地区 + +## 主な使用食材 +生桜エビ、豆腐、葉ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +国内で桜エビが水揚げされるのは駿河湾だけ(※)であり、静岡市の由比港と焼津市の大井川港のみである。桜エビ漁はアジの綱引き漁に偶然桜エビが入ったことから、明治27年から始まった。漁期は桜エビの保護のため年2回と限定し、春漁は3月中旬から6月初旬、秋漁は10月下旬から12月下旬となっている。沖あがりは、生の桜エビを豆腐やねぎと一緒にすき焼き風の味付けで煮込んだもので、沖から上がった桜エビ漁の漁師が、漁の反省をしながら酒の肴に食べた鍋料理。漁師めしである。※出典:由比港漁業協同組合 + +## 食習の機会や時季 +桜エビの漁期には取れたての生の桜エビ、それ以外でも通年、釜揚げや冷凍の桜エビが購入できるため、一年を通して家庭で作られている。 + +## 飲食方法 +土鍋などの平鍋に醤油、砂糖、日本酒を入れ、火にかけ、煮立ったら桜エビと大きめに切った豆腐を入れ、中火で味が染み込むまで煮込む。火からおろす直前に、4cm程度に切った葉ねぎを加え、ひと煮立ちしたら火を止める。冷凍の桜エビを使う場合には自然解凍がお勧め。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 生桜エビ: 150g +- 豆腐: 大1丁~1½丁(300~500g) +- 葉ねぎ: 1束 +- 【A】醤油: 大さじ4 +- 【A】砂糖: 大さじ4 +- 【A】酒: 大さじ5 +- 【A】水: 1/4カップ + +## 作り方 +1. 桜エビは洗ってざるにあげ、水をきっておく。 +2. 鍋に【A】を入れて火にかけ、煮立ったら1を入れる。 +3. 豆腐は大きめに切って2に加え、中火で味がしみ込むまで煮込む。 +4. 火からおろす直前に3~4cmに切った葉ねぎを加え、ひと煮立ちしたら出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「しずおかのおかず」開港舎 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_13_1.jpg)" +"# おざく 静岡県 + +**郷土料理名**: おざく + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +三島市、函南町 + +## 主な使用食材 +里芋、大根、にんじん、しいたけ、こんにゃく、油揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +おざくは、里芋、大根、にんじんなどの野菜をだし汁と醤油、砂糖で���た野菜の汁物である。結婚式や葬式、祭りなど人が集まるときに、隣近所がそれぞれの畑で収穫した野菜を持ち寄ってつくった郷土料理。野菜をざくざく切って作るので「おざく」と呼ばれるようになったといわれている。冬になると根菜類は霜や雪で味が良くなり、たっぷりと作って煮返すと味がしみこみおいしくなり、弁当店やコンビニエンスストアがなかったころにはごちそうとされた。地域によってはごぼうや豆腐、鵜肉を入れるところもある。 + +## 食習の機会や時季 +通年。野菜の栄養を多くとれるので家庭の食卓にも登場するが、学校給食のメニューにも取り入れられている。 + +## 飲食方法 +里芋・にんじん・ごぼうは乱切り、干し椎茸は水で戻しそぎ切りにする。こんにゃくは、塩でもんでちぎり茹でる。鍋でこんにゃくをから炒りし、油を引いて里芋・にんじん・ごぼうを炒め、干し椎茸も炒めて、だし汁を入れる。煮立ってきたら油揚げを加え、砂糖・醤油で味を付け、煮汁がなくなるまで煮詰める。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 里芋: 400g +- 大根: 350g +- にんじん: 100g +- 油揚げ: 60g +- こんにゃく: 100g +- カツオ削り節: 50g +- 【だし用】水: 5カップ +- 【A】砂糖: 大さじ1 +- 【A】醤油: 大さじ3 +- 【A】薄口醤油: 大さじ1 +- 【A】みりん: 大さじ1 +- 【A】酒: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 里芋1cm、大根7mm・にんじん5mmの薄さに、それぞれいちょう切りにする。 +2. 油揚げは7mm幅の短冊切りにし、油抜きしておく。 +3. こんにゃくは横3等分に切って薄切りにし、下茹でしておく。 +4. カツオ削り節でだしを取った中に1~3と【A】を入れ、弱火でコトコト煮詰める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「しずおかのおかず」開港舎 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_14_1.jpg)" +"# 金山寺味噌 静岡県 + +**郷土料理名**: 金山寺味噌 + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +県内各地 + +## 主な使用食材 +納豆こうじ(米こうじ・豆こうじ)、冬瓜、なす、ごぼう、にんじん、新生姜、しその実、黄ざらめ + +## 歴史・由来・関連行事 +金山寺味噌は、穀物を発酵させて作られた発酵食品で、冬瓜、なす、しその実、生姜等が入っており、調味料としてではなく副菜や酒の肴としてそのまま食べる「なめ味噌」の一種。もともとは寺で夏野菜を冬に食べるための保存食であった。鎌倉時代に宋の修行から帰国した僧侶、心地覚心が和歌山県に伝えた味噌が始まりという説があるが、真言宗の開祖・空海が唐から持ち帰ったとする説もある。金山寺味噌は、県内の西部、中部、東部、伊豆地区など各地で作られている。昔は家庭で自家製金山寺味噌を作っていたが、現在は味噌の業者が製造したものを購入する家庭が多い。静岡県以外にも和歌山県や千葉県、愛知県などでも食されている。 + +## 食習の機会や時季 +調味料としての味噌ではなく、おかずとして生野菜や豆腐の上にのせたり、酒の肴としたり、炊きたてのご飯の上にのせたりして食している。スーパーや味噌の販売店で購入できるため、季節を問わず食されている。 + +## 飲食方法 +小麦と大豆で作ったこうじで、なす、冬瓜、生姜、しその実などの夏野菜を漬け込む。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20人分) +- 納豆こうじ(米こうじ・豆こうじ): 2kg +- 黄ざらめ: 500g +- 冬瓜(またはきゅうり): 中1/2個 +- なす: 8個 +- ごぼう: 大1本 +- にんじん: 3本 +- 新生姜: 50g +- しその実: 適量 +- 塩: 120~150g + +## 作り方 +1. 冬瓜は皮をむき、種、ワタを除いて薄切りにする。なすは1/4にして7mm厚さのいちょう切り、にんじん・生姜は千切り。ごぼうは千切りにして少量の水で2回ぐらいもみ洗いしてアクを出す。 +2. 1をそれぞれ塩もみし、まとめて漬物容器で一晩漬ける。 +3. しその実はしごいて実をとってよく洗い、塩(分量外)もみする。水で流しながらアクをぬく。 +4. 納豆こうじと、ざらめをよくもみ合わせる。 +5. 野菜の水気をしぼって4に加える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「しずおかのおかず」開港舎 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_15_1.jpg)" +"# 静岡おでん 静岡県 + +**郷土料理名**: 静岡おでん + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +静岡市 + +## 主な使用食材 +黒はんぺん、牛すじ、大根、こんにゃく、卵、昆布、だし粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +静岡おでんは、牛すじ、黒はんぺん、練り物、大根、卵など具材を全て串に刺し、色の黒いだし汁で煮込み、青のりや魚のだし粉をかけて食べる静岡市の郷土料理。市内では、駄菓子屋でも売っているため、おやつがわりに子どもの頃から慣れ親しんでいる人が多い。静岡おでんのはじまりは大正時代だが、第二次大戦後には、廃棄処分されていた牛すじや豚モツをおでんの具材としたところ、人気が高まったという。また当時から駿河湾で水揚げされる魚介類を利用できたため、黒はんぺんなど魚のすり身を使った練り製品がおでんの具に使われていた。 + +## 食習の機会や時季 +家庭でも作り食されるが、惣菜屋や駄菓子屋などでも串に刺した静岡おでんを1本単位で購入できるため気軽に食べられている。 + +## 飲食方法 +深鍋にだし汁を作り、串をさしたおでん種を入れる。下ごしらえした牛すじを煮汁ごと深鍋に加え、砂糖、みりん、しょうゆ、酒、塩を入れて弱火で2~3時間煮込む。出来上がったおでんに青のり、だし粉をかけ、からしを添えて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 黒はんぺん: 4枚(120g) +- 牛すじ: 4本(100g) +- 水: 5カップ +- しょうゆ: 大さじ1弱 +- 大根: 4切れ(200g) +- こんにゃく: 4切れ(160g) +- 卵: 4個 +- 早煮昆布: 4枚(120g) +- 水: 11カップ +- 削り節: 20g +- 【A】砂糖: 大さじ2 +- 【A】みりん: 大さじ2 +- 【A】しゅうゆ: 大さじ4 +- 【A】酒: 大さじ2 +- 【A】塩: 少々 +- だし粉: 適宜 +- 青のり: 適宜 +- からし: 適宜 + +## 作り方 +1. 牛すじは下ゆでする。鍋に牛すじと水5カップを入れて火にかけ、煮立ったらしょうゆ大さじ1弱を入れて1時間ほど煮る。 +2. 大きい鍋に水11カップを入れ、沸騰したら削り節を入れだしをとる。こんにゃく・大根は下ゆでし、昆布は結ぶ。卵はかためにゆでる。それぞれに串を刺し、鍋に入れる。 +3. 1を煮汁ごと加え、【A】を入れて弱火で2~3時間ほど煮込む。途中で汁が少なくなったら湯をたす。 +4. 青のり・だし粉をふりかけ、からしを添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「しずおかのおかず」開港舎 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_16_1.jpg)" +"# 金目の煮付け 静岡県 + +**郷土料理名**: 金目の煮付け + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +下田市、東伊豆町(稲取) + +## 主な使用食材 +金目鯛、生姜 + +## 歴史・由来・関連行事 +静岡県伊豆半島は金目鯛の産地であり、下田港は金目鯛の水揚げが日本一の漁港である。伊豆で捕れる金目鯛は3種類あり、地金目鯛(ジキンメ、※稲取キンメ、日戻りキンメなどとも呼ばれる)、島キンメ(シマキンメ)、沖キンメ(オキキンメ)である。地金目鯛が最上級の金目鯛で、脂ののりと味が一番いいとされる。1本釣りで捕獲するが、水揚げ量が激減しており入手困難となっているブランド金目鯛である。東伊豆町の稲取漁港で水揚げされる金目鯛は、この地金目鯛であり、稲取キンメと呼ばれている。金目鯛の代表的な料理は刺身や煮付けであり、煮付ける場合、切り身あるいは一匹そのままの姿を醤油、酒、砂糖で甘く煮る。近年は、刺身、煮付け以外のメニューも多く開発されている。 + +## 食習の機会や時季 +10月~3月下旬の金目が、一番脂がのりおいしい時季。家庭での料理のほか、飲食店のメニューでも提供されている。 + +## 飲食方法 +ウロコ、エラ、ワタを取り除いた金目鯛を3枚におろした後、5等分~7等分の切り身にする(頭は半分に割る)。酒、砂糖、醤油を合わせておいたたれを鍋にかけ、強火で沸騰させ、金目鯛と薄切りにした皮付きショウガを鍋に入れる。落とし蓋をして10分ほど煮詰め、切り身にツヤが出てきたところで火を止める。ハレの日の席では、切り身ではなく、姿煮にして大皿に盛り付ける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- キンメ: 1匹(900g) +- ごぼう: 1本(200g) +- 【A】水: 3カップ +- 【A】料理酒: 1/2カップ +- 【A】砂糖: 80g +- 【A】醤油: 130cc + +## 作り方 +1. キンメのウロコを取る。エラの部分から包丁を入れ、エラ・内臓を取り除く。ごぼうは包丁の背で皮を削り取り、5cm長さに切る。 +2. 大きめの鍋に【A】を入れ、よく混ぜ合わせる。 +3. 2に1を入れ、火にかける。火加減は中火が目安。煮立ったら落とし蓋をして時々汁をかけながら煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「しずおかのおかず」開港舎 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_17_1.jpg)" +"# 安倍川もち 静岡県 + +**郷土料理名**: 安倍川もち + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +静岡市 + +## 主な使用食材 +餅、きな粉、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +つきたての餅に砂糖を入れたきな粉をまぶしたもので、静岡市を中心とした中部地域の郷土料理。「安倍川もち」の名前は県内に流れる安倍川にちなんだものであるが、江戸時代、徳川家康が命名したという説と、東海道を旅する人々の間では安倍川の茶屋で売られていた名物として有名だったため、安倍川もちと呼ばれるようになったという説がある。江戸時代に十返舎一九が著した道中記「東海道中膝栗毛」にも登場している。現在も安倍川橋のたもとには、安倍川もちを提供する店が軒を連ね、中には200年の歴史を誇る老舗もみられる。 + +## 食習の機会や時季 +時季を選ばず、一年を通して食されている。家庭でおやつや軽食として作る。また土産物として販売されている安倍川もちは日持ちがする工夫がされているため県外者へのお土産物にすることもある。 + +## 飲食方法 +つきたての餅に砂糖を混ぜたきな粉をまぶす。あるいは切り餅を使う場合、焼いたあと軽く湯にくぐらせてから砂糖を混ぜたきな粉をまぶす。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 切り餅: 8個 +- きな粉: 40グラム +- 砂糖: 好みの分量 +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. きな粉に砂糖と塩を入れ混ぜる +2. 餅を焼いたあと、軽く湯にくぐらせ軟らかくする +3. 1に餅を入れ、きな粉をまぶす + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_18_1.jpg)" +"# 切り干しいも 静岡県 + +**郷土料理名**: 切り干しいも + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +御前崎市、島田市、焼津市 + +## 主な使用食材 +サツマイモ + +## 歴史・由来・関連行事 +干し芋は静岡県が発祥と言われる。江戸時代、御前崎沖で遭難した薩摩の船を大澤権右衛門という人物が助けたことをきっかけに静岡県にサツマイモが伝来。その後、県内にサツマイモ栽培が広がる中で、サツマイモを煮て包丁で薄く切ったものを天日で干す「煮切り干し法」という手法が考えだされ、これが「干しいも」のはじまりとなったといわれている。天日干しすることにより、サツマイモの甘さとやわらかさが際立つようになる。この地域特有の冬に吹く偏西風「遠州からっ風」と長い日照時間は、干し芋の生産に適していた。 + +## 食習の機会や時季 +保存食なので一年中食することができる。おやつや小腹が空いたときに食される。そのまま食べる。あるいは、トースターや炭火で軽くあぶると表面はかりっとするが、中はやわらかく甘みが増して食すことができる。 + +## 飲食方法 +サツマイモを竹串がすっと通るまで蒸す。熱いうちに皮をむき、縦に薄切りにする。その後、天日で干す。家庭で作るのであれば、天日干しではなくオーブンで焼いて乾燥させることも可。使うサツマイモの種類によってできあがりの甘さややわらかな食感が異なる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- サツマイモ: 4本(1本/約250~350g) + +## 作り方 +1. サツマイモをよく洗う。 +2. 皮付きのサツマイモを重ならないように鍋に入れ、たっぷりの水で沸騰まで強火、沸騰後に弱火で約90分程度じっくりと蒸す。竹串をサツマイモに刺して、中心までスッと串が通れば頃合い。※サツマイモの大きさによって、煮る時間は調整が必要です。 +3. 熱いうちにサツマイモの皮を剥く。 +4. サツマイモが冷めたら、縦に1cm程度の厚さで切る。 +5. ネットやザルなどにサツマイモを重ならないように並べて、5~7日間程度干す。(2日目程度で裏返す) + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_19_1.jpg)" +"# 筍のアラメ煮 静岡県 + +**郷土料理名**: 筍のアラメ煮 + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +吉田町、牧之原市、焼津市など(中部地域)、西部地域 + +## 主な使用食材 +タケノコ、切り干し大根、アラメ(昆布の種類) + +## 歴史・由来・関連行事 +筍のアラメ煮は、タケノコとアラメを一緒に煮た煮ものであり、中部地域を中心にした郷土料理。アラメとは昆布の一種。かつて、中部地域の海岸には春になるとさまざまな海藻が流れつき、地元の人がそれを持ち帰り料理したというが、約40年前からアラメの収穫量が減り、この付近の海では収穫できなくなってしまった。しかし、他地域で水揚げされたアラメを使ってタケノコと一緒に煮るアラメ煮は、現在でも春を告げる料理として家庭の食卓や学校給食に登場している。 + +## 食習の機会や時季 +タケノコやアラメの旬である春に多く作られ、食されている。 + +## 飲食方法 +アラメを水で洗って戻し、切り干し大根も洗って水、またはぬるま湯で戻す。タケノコとアラメを食べやすい大きさに切り、鍋の煮汁を煮立たせ、切り干し大根とタケノコを煮る。煮えたらいったん取り出し、次にアラメを煮る。アラメが煮えたら、切り干し大根とタケノコを鍋に戻しひと煮立ちする。薩摩揚げやしらす干しを入れるところもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- タケノコ: 小1本(200g) +- アラメ: 1袋(20g) +- 切り干し大根: 10g +- だし汁: 3カップ +- 【A】砂糖: 大さじ1 +- 【A】醤油: 大さじ2 +- 【A】みりん: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 切り干し大根は水に漬けて戻し水気を切っておく。タケノコは5mm厚さに切る。 +2. アラメは戻して4~5cm長さに切る。 +3. 鍋にだし汁2カップ・【A】を入れて煮立て、1を入れて煮る。 +4. 切り干し大根がやわらかく煮えたら、タケノコと切り干し大根を一度とり出す。残りの煮汁にだし汁1カップを加えて2を入れ、やわらかくなるまで煮る。 +5. アラメがやわらかく煮えたらタケノコと切り干し大根を戻し入れ、ひと煮立ちしたら火を止める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「しずおかのおかず」開港舎 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_20_1.jpg)" +"# 落花生なます 静岡県 + +**郷土料理名**: 落花生なます + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +東部地域(富士宮市、富士市) + +## 主な使用食材 +大根、人参、炒った落花生 + +## 歴史・由来・関連行事 +正月のおせち料理に欠かせない「紅白なます」は、酢と砂糖で味付けされた甘酸っぱい物が知られている。しかし落花生が特産品である富士宮市や富士市、その周辺の東部地域では、炒った落花生をすりつぶして加えた紅白なますが一般的だ。すりつぶされた落花生を加えることでなますの酸っぱさが和らぎ、そこに落花生のこくが加わってあとをひく味となり、酢の物が苦手な人にも食べやすくなっている。他にも、殻ごとゆでたあとむいて食べる「ゆで落花生」は、この地域ならではの食べ方として地元の人に親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +正月料理ではあるが、気軽に作れるため日常的に家庭で作られている。 + +## 飲食方法 +大根と人参を千切りにしたあと、一振りの塩を入れて、汁気が残る程度まで絞る。すり鉢にピーナツを入れてすり、酢と砂糖と塩を混ぜたものを加え、さらにピーナツの脂が出るぐらいまですりあわせる。水気を絞った大根、人参と混ぜ合わせる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根: 1/2本 +- 人参: 1本 +- 落花生: 120g +- 【A】酢: 大さじ4 +- 【A】砂糖: 大さじ1½ +- 【A】塩: 少々 + +## 作り方 +1. 大根・人参は細かい千切りにして塩もみをし、約10分おく。水で洗い流して軽く絞る。 +2. 落花生・【A】を混ぜ、すり鉢でする。大きいボウルに材料を全て入れ、よく混ぜる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「しずおかのおかず」開港舎 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_21_1.jpg)" +"# 折戸なすの田楽 静岡県 + +**郷土料理名**: 折戸なすの田楽 + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +静岡市 + +## 主な使用食材 +折戸なす、赤みそ + +## 歴史・由来・関連行事 +折戸なすは静岡市清水区三保の在来種で丸い形と鋭いトゲ、色は深く黒みがかかった茄子紺、濃厚で甘みがあることが特徴である。通常のなすより濃厚な味わいが、田楽などみそを使った料理と相性がよく、好まれている。初夢に見ると縁起がよいとされる「一富士、二鷹、三茄子」のなすのことだといわれ、徳川家康が好んだとして知られている。明治時代以降、折戸なすの栽培は途絶えてしまっていたが、国の研究所で保存されていた種子を譲り受け、生産者とJAや関係機関の連携により平成17年に復活に成功した。 + +## 食習の機会や時季 +折戸なすは夏から冬にかけて収穫される。みそと相性がよく、みそと和えたり、炒めたりするメニューとして、家庭で作られるだけでなく、学校給食にも度々登場する。 + +## 飲食方法 +折戸なすを縦半分に切る。赤みそと酒、砂糖、みりんを火にかけ、とろりとするまで練り合わせる。フライパンでなすの両面を焼き、練り合わせたみそを片面にのせる。味噌を練り合わせるとき焦げ付かないよう気をつける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 折戸なす: 2本 +- サラダ油: 大さじ3 +- 赤みそ: 100g +- 【A】酒: 大さじ1 +- 【A】みりん: 大さじ2 +- 【A】砂糖: 大さじ3 +- 白ごま: 少々 + +## 作り方 +1. 鍋にみそ・【A】を合せ、弱火にかけてとろりとするまで練り合わせる。 +2. なすは縦半分に切り、切り口を下にして水にさらす。水気をふき、皮側を薄く切り落として平らにし、切り口に格子状の切り目を入れる。 +3. フライパンにサラダ油を熱して2を入れ、中火にして両面を色よく焼く。 +4. 器に盛り、1をのせ白ごまをふる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「しずおかのおかず」開港舎 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_22_1.jpg)" +"# 生しらす丼 静岡県 + +**郷土料理名**: 生しらす丼 + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +西部地域(浜松市舞阪)~中部地域~東部地域(沼津市静浦) + +## 主な使用食材 +生しらす、わけぎ(ネギ)、きざみ海苔、わさび + +## 歴史・由来・関連行事 +しらすはカタクチイワシやマイワシの生後約1~2か月の稚魚のことであり、静岡県のしらすの漁獲量は全国で一、二を誇る。駿河湾は大量のプランクトンが発生する日本で有数の漁場であり、船曳網漁により3月末から1月中旬まで漁獲されている。しらすは、鮮度のいいものは「生しらす」で食すことができるほか、釜茹でにされた「釜揚げしらす」、それを干した「しらす干し」、「ちりめん」、生しらすを板のり状に薄く延ばして干した「たたみいわし」などの加工品が有名である。 + +## 食習の機会や時季 +家庭で作るほか、飲食店でも食せる。 + +## 飲食方法 +ご飯の上に、刻み海苔をちらし、その上に生のしらすをのせる。ワサビ醤油で食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 生しらす: 200g +- ご飯: 600g +- きざみ海苔: 適宜 +- わけぎ: 適宜 +- わさび(生わさび): 適宜 +- 醤油: 適宜 + +## 作り方 +1. ご飯を器に盛り、きざみ海苔を散らしてから生シラス、わけぎをのせ、わさびを添える。 +2. 醤油をかけていただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「しずおかのおかず」開港舎 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_23_1.jpg)" +"# まご茶漬け 静岡県 + +**郷土料理名**: まご茶漬け + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +伊東市、伊豆地域 + +## 主な使用食材 +アジ、ねぎ、しょうが + +## 歴史・由来・関連行事 +まご茶漬けは、もともと漁の最中に船上で食べられていた漁師めしであり、伊豆半島全域で食されている郷土料理。名前の由来は、漁の合間に食べるため「まごまごしないで早く喰え」という意味からという。鮮度のいいアジを叩いて、ご飯の上にのせ、熱いお茶かお湯をそそいで食べるまご茶漬けは、家庭で手軽に作られており、アジのうまみを存分に味わえる。 + +## 食習の機会や時季 +主に鮮度のいいアジの出まわる夏に家庭で食べられる。 + +## 飲食方法 +ご飯の上に叩いたアジをのせる。そこにお湯かお茶、あるいは熱くしただし汁をかける。醤油とワサビで味を調える。アジのたたき以外にも、マグロやブリなどの刺身を使ったまご茶漬けも食されている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 白米: 300g +- アジ: 1尾 +- 長ねぎ: 40g +- しょうが: 20g +- 青じそ: 4枚 +- だし汁: 600cc +- 塩: 小さじ1⅓ +- 醤油: 小さじ1⅓ + +## 作り方 +1. 長ねぎはみじん���り、しょうがはすりおろし、青じそは千切りにする。 +2. アジは3枚におろし、ひれを取り、小骨・皮を取り除いてたたきにする。 +3. だしをとって醤油・塩で味付けする。 +4. 器にご飯を盛り、その上に2をのせ、お好みで1をのせる。 +5. 3を沸騰させて、4に注ぐ。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「しずおかのおかず」開港舎 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_24_1.jpg)" +"# なまり節と白玉葱のサラダ 静岡県 + +**郷土料理名**: なまり節と白玉葱のサラダ + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +焼津市 + +## 主な使用食材 +なまり節、たまねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +なまり節はかつお節になる一歩手前の段階のもので柔らかく、刺身のように薄く切って食べることができる。静岡県のかつおなまり節の生産量は、全国の生産量の51%をも占め全国1位となっている(令和1年)。焼津港で水揚げしたカツオを釜ゆでし、燻して作られる。味が凝縮されてうまみがたっぷりなので、そのまま食べても、サラダや炒め物、煮ものなどにも利用できる。一方、白たまねぎは明治時代後期から大正時代の初めに、愛知県・知多半島から浜松市に伝わり、他地域ではほとんど栽培されていないという。気候や土壌の利点を生かしながら品種改良を重ね、年明け早々に出荷できる品種に育て上げ、現在は「サラダオニオン」という商品名で出荷されている。 + +## 食習の機会や時季 +家庭で、炒め物、煮もの、サラダなどに料理して食されている。そのまま食べても、おかずや酒の肴になる。 + +## 飲食方法 +なまり節を湯通しし身をほぐす。食べやすい大きさに切った好みの野菜と合わせ、ドレッシングやマヨネーズで和える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- なまり節: 60g +- だいこん: 200g +- きゅうり: 1/2本 +- ピーマン: 1/3個 +- たまねぎ: 1/3個 +- レタス: 1/4個 +- 貝割れ菜: 適量 +- マヨネーズ: 適量 +- 【A】塩: 少々 +- 【A】こしょう: 少々 +- 【A】酢: 少々 + +## 作り方 +1. なまり節はさっと熱湯で湯通しし、皮をとって身をほぐす。 +2. だいこん・きゅうり・ピーマンは千切りにする。たまねぎは薄くスライスし、レタスは食べやすい大きさにちぎる。 +3. ボウルに1・2・貝割れ菜を入れ、マヨネーズで和え、【A】で味を調える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「しずおかのおかず」開港舎 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_25_1.jpg)" +"# たまごふわふわ 静岡県 + +**郷土料理名**: たまごふわふわ + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +袋井市 + +## 主な使用食材 +卵、だし汁 + +## 歴史・由来・関連行事 +「たまごふわふわ」は江戸時代に袋井宿で提供されていた料理で、袋井市観光協会が地元の新名物にと再現・復活させたもの。江戸時代の文献「仙台下向日記」によると、袋井宿の大田脇本陣で宿泊客の朝食に出されたという。材料は、たまごとだし汁だけで、「ふわっ」と仕上げた風味豊かな泡のようなふんわりとした食感が楽しめる。 + +## 食習の機会や時季 +家庭や飲食店で一年を通じて食べられている。 + +## 飲食方法 +だし汁に、塩・薄口しょう油・こしょうを加えてすまし汁を作り、2つに分ける。一方のすまし汁は鍋のふたをした状態で火にかける。もう一方のすまし汁には、卵とみりんを加え、泡立て器でクリーム状になるまでよく混ぜる。鍋で火にかけていたすまし汁が煮立ったら火を止め、クリーム状に泡立てた卵を一気に流し込み、ふたをして蒸らす。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 卵: 2個 +- 【A】かつおだし汁: 400cc +- 【A】薄口醤油: 大さじ1/2 +- 【A】塩: 1/小さじ1/2 +- 【A】こしょう: 少々 +- みりん: 少々 + +## 作り方 +1. 【A】を混ぜ合わせ、すまし汁を作る。ア360ccとイ40㏄に分ける。 +2. 鍋にアを入れ、ふたをした状態で火にかける。火加減は中火が目安。 +3. ボウルに卵・イ・みりんを入れ、ハンドミキサーでクリーム状になるまで(最低4~5分)よく混ぜる。 +4. 2が煮立ったら火を止め、鍋の縁から3を一気に流し込み、蓋をして蒸らす。時間は2~3分が目安。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「しずおかのおかず」開港舎 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_26_1.jpg)" +"# へそもち 静岡県 + +**郷土料理名**: へそもち + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +中・西部地域(おもに富士川以西) + +## 主な使用食材 +上新粉(うるち米の粉) + +## 歴史・由来・関連行事 +旧暦8月15日の十五夜、あるいは旧暦9月13日の十三夜のお月見の際にお供えされる月見団子で、富士川以西の県中・西部地域特有のもの。へそ団子ともいう。へそもちとは、上新粉の団子をひらたく丸め、その中央をへこませたもの。必ず、その年の新米で作る物とされていた。かつては、この餅を、12個、閏年には13個、新藁の束の上にのせて供えたり、月見の日に子供たちが各戸をまわり、縁側に供えたもちをもらい歩くという風習も広くみられた。 + +## 食習の機会や時季 +十五夜、あるいは十三夜に富士川以西の静岡県中・西部地域のお月見行事でお供えされる。家庭で作られたり、和菓子店でも販売されたりしている。 + +## 飲食方法 +上新粉に熱湯を少しずつ入れて耳たぶぐらいのかたさになるまで練る。団子の形に丸め、手の平で平たくしてからまん中にへそのようなくぼみを作る。10~15分蒸す。別皿に餡子を用意し、団子の真ん中にのせて食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (15個分) +- 上新粉: 125g +- 熱湯: 100ml +- あずき(乾): 60g +- 砂糖(三温糖): 70g +- 食塩: 1.5g +- 水: 100ml + +## 作り方 +1. 上新粉に熱湯を少しずつ入れて、耳たぶぐらいのかたさになるまで練る。 +2. 1を団子に丸め、15個程度作り、これを手のひらで平たくしてから真ん中にへそのような窪みを作って、10~15分蒸す。 +3. 好みで、別にあんこを供え、ヘソの窪みにのせて食べる。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_27_1.jpg)" +"# サクラエビのかき揚げ 静岡県 + +**郷土料理名**: サクラエビのかき揚げ + +**都道府県**: 静岡県 + +## 主な伝承地域 +静岡市 + +## 主な使用食材 +生サクラエビ、小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +国内で水揚げされるサクラエビの全ては駿河湾産である。水深400~600メートルの海中に群れで暮らしている。産卵期は6~8月で、この時期は資源を守るため禁漁期間としており、春漁は3月中旬~6月初旬、秋漁は10月下旬~12月下旬である。漁では夜間に浮上した物だけを捕獲する。 サクラエビのかき揚げは漁港付近に限らず、県内全域の一般家庭でもよく作られ、飲食店でも提供するところは多く、静岡県のよく知られた郷土料理である。 + +## 食習の機会や時季 +ほぼ年間通して食されている。かき揚げをそのまま、あるいは丼にしたり、蕎麦やうどんにのせたりして食べる。生サクラエビのほか素干しのサクラエビでも作られている。 + +## 飲食方法 +生サクラエビを小麦粉と水とまぜ、180度の油で揚げる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 生サクラエビ: 500g +- 三つ葉(ねぎ): 1カップ +- 小麦粉: 1カップ +- 水: 120g + +## 作り方 +1. サクラエビ・適当な大きさに切った三つ葉・小麦粉を混ぜて、水を入れ、さっくり混ぜ合わせる。 +2. しゃもじなどの上に1をのせ、形をととのえ180度の油で揚げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「しずおかのおかず」開港舎 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_28_1.jpg)" +"# のっぺ 新潟県 + +**郷土料理名**: のっぺ + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +新潟県内全域 + +## 主な使用食材 +ホタテ貝柱、干ししいたけ、たけのこ、里芋、人参、こんにゃく、かまぼこ、ぎんなん、塩サケ + +## 歴史・由来・関連行事 +「のっぺ」は、新潟の代表的な家庭料理であり、日本全国いたるところにある郷土料理。全国各地に点在する「のっぺい汁」とは違い、新潟の「のっぺ」は汁物というより煮物である。里芋を主材料とし、野菜やきのこなどを薄味で煮たものにとろみがついているもので、青味にはさやえんどうが使われる。さやえんどうが手に入らない冬は「ととまめ」を散らす。ととまめはサケの卵のこと。これをほぐして塩を混ぜて保存し、必要に応じてゆでて使う。新潟は雪深い土地のため、買い物もままならない日にたくさんつくり、雪を冷蔵庫代わりにして鍋ごと雪の中で保存していた。その名残りからか「のっぺ」を冷やして食べ��りもする。昔は出汁に貝柱を使っていたが、最近は鶏肉や新巻ザケを小さく切って入れたりもする。とろみの出し方は、里芋をたくさん使ってそのぬめりでつけるところ、片栗粉を使うところ、汁の多いもの少ないものがあり、呼び方も「こにも」、「大海」「こくしょう」「いとこ煮」「のっぺい汁」など地域によってさまざまである。その家独自の味で工夫され、具材、切り方、つくり方、食べ方はバリエーション豊かだ。家庭の味として母から子へと引き継がれ、古くから食べられている「のっぺ」は、新潟のおふくろの味として親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +正月料理の定番だが、一年を通して食べられている。お祭りや法事、婚礼など、振る舞いがあると、新潟県ではどこの家でも必ず「のっぺ」をつくる。たとえ、おせちは仕出し屋からとっても、「のっぺ」だけはその家でつくるところも多い。 + +## 飲食方法 +「のっぺ」は煮汁をにごらせないようにすることが大切であり、あまりくたくたに煮込まない。縁起をかつぎ、材料の品数は奇数にするところや、祝い事では野菜を丸く切ったり太めの短冊にしたり、仏事では乱切りや細い短冊、三角切りにすることもある。冷やしても美味しく、夏は冷たくして、冬は温かいままなど、どちらでも美味しく食べることができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ホタテ貝柱(乾燥): 2個 +- 干ししいたけ: 2枚 +- たけのこ水煮: 80g +- 里芋: 4個(200g) +- 人参: 40g +- こんにゃく: 1/2枚(100g) +- かまぼこ: 40g +- ぎんなん水煮: 18粒 +- 塩サケ(切り身): 100g +- 調味汁: 40ml(だし汁(水)、ほたて貝柱のもどし汁、干ししいたけのもどし汁) +- 【調味料A】醤油: 大さじ2 +- 【調味料A】酒: 大さじ2 +- 【調味料A】塩: 小さじ1/3 +- 【調味料A】みりん: 大さじ2 +- とと豆(イクラ): 適量 + +## 作り方 +1. ホタテ貝柱と干ししいたけは、それぞれ水でもどす。もどし汁はとっておく。もどしたホタテ貝柱は細かくほぐし、干ししいたけは細切りにする。 +2. たけのこ水煮、里芋、人参を3cmの長さの短冊切りにする。 +3. こんにゃくとかまぼこは、野菜の大きさにあわせて切る。こんにゃくは湯通ししてアクを抜く。 +4. 塩サケは一口大に切る。熱湯をかけ、霜降りする。 +5. 鍋に、かまぼことぎんなん以外の材料を入れる。ホタテ貝柱と干ししいたけのもどし汁、だし汁(水)を入れてひと混ぜし、火にかける。 +6. アクをとりながら、材料が柔らかくなるまで煮る。 +7. かまぼことぎんなんを加え、調味料Aで味をととのえる。 +8. 器に盛り、とと豆(イクラ)をのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「続々伝えたい新潟の味」(新潟市) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_1_1.jpg)" +"# いごねり 新潟県 + +**郷土料理名**: いごねり + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +新潟県内全域 + +## 主な使用食材 +いご草 + +## 歴史・由来・関連行事 +「いごねり」は、日本海でとれるいご草を使ってつくる佐渡を代表する郷土料理。秋から冬にかけて各家庭でつくられていた。いご草は、昆布やホンダワラなどの大型海藻に着生する海藻の一種で、日本海側を中心に広く利用されている。佐渡地方では「いご」、新潟地方では「えご」などと呼ぶ。天日干しで乾燥させたいご草を水加減を調整しながら煮てよく練り、薄くのばして冷やし固めたもので、しょうが醤油や酢味噌でいただく。もっちりとした食感が特徴でくせが少なく、ほんのりと磯の香りが楽しめる。製法が少し異なる類似の食品が各地にあり、「いごねり」は九州の「おきゅうと文化」が北前船や漁船の往来により博多から能登半島の輪島を経由して佐渡に入り、越後各地へと伝わったといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +7月中旬から8月旬にかけていご草の収穫がおこなわれ、その後乾燥させ、必要に応じて「いごねり」をつくる。もともと秋から冬にかけて各家庭でつくり、冠婚葬祭の場を中心に食べられていたが、最近は製造業者が年間を通してつくるようになったことから通年食べられるようになり、日常食へと変化してきた。 + +## 飲食方法 +佐渡地方では、板状に薄くのばした「いごねり」をくるくると巻いてところてん���ように細く切るのが伝統的なスタイル。ねぎやしょうがなどの薬味をのせ、醤油をかけていただく。一方、本土では、いご草を煮こみ漉した後、熱いまま容器に入れてそのまま固めたものを板状に切り、ポン酢や酢味噌で食べるのが主流となっている。最近は、黒蜜きなこをそえたスイーツ系のものが商品化されたり、バニラアイスをそえるなど新しい食べ方も考案されている。相川の海士町(あままち)には「海士町そば」という細く切った「いごねり」にめんつゆをかけて食べる料理がある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- いご草(えご草): 100g +- 水: 2L +- 長ねぎみじん切り: 適宜 +- レモンの皮薄切り: 適宜 + +## 作り方 +1. ボウルにいご草(えご草)を入れ、流水でごみをとる。 +2. 鍋に水を入れて沸騰させ、1を入れ、しんなりとしたら火を止めて約10分蒸らす。 +3. 再び火にかけ、弱火で練りながらごみをとる。適宜水をつぎ足して、こげないようにかき回しいご草(えご草)がとけたら火と止める。 +4. ステンレス台か金製のお盆に3を薄くのばす。固まったら15cm角に切り、ロール状にする。さらにそれを0.5cmくらいの巾で切って器に盛る。長ねぎやおろししょうがなど、好みの薬味をそえて、醤油をかけて食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「にいがたのおかず 郷土の食材と料理」(著:新潟県食生活改善推進委員協議会、出版:開港舎) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_2_1.jpg)" +"# しょうゆおこわ 新潟県 + +**郷土料理名**: しょうゆおこわ + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +長岡市(中越地方) + +## 主な使用食材 +もち米、金時豆、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +長岡市に伝わる「しょうゆおこわ」は、醤油で色付けしたおこわのこと。ふっくらと炊き上げた金時豆が入っているのが特徴の郷土料理である。一般的な赤飯のように赤い色ではなく、醤油で色付けされているため茶色である。長岡市とその近隣のみで食されており、この地域で育った人にとっては子どもの頃から赤飯といえばこの醤油味のものである。「醤油赤飯」や「長岡赤飯」ともいい、醤油味のおこわを赤飯というのは同じ新潟県内でも長岡だけである。結婚式の引き出物に入れられることも多い。起源は江戸時代に遡るという説の他さまざまあるが、未だ確かな文献はなく「昔、長岡ではささげがなかなか採れなくて、もち米に色が付けれず身近にある醤油で色付けした」、「摂田屋(せったや)といった醸造の町があり、醤油造りが盛んだったから」という説や、「江戸時代に長岡藩の殿様が大阪相撲の力士を連れて来たのがきっかけ」で、殿様から醤油や味噌を造る許可を得た元力士が店の前にあった寺に醤油を譲り、その力士が醤油で味付けした米を信徒に提供したという話もある。 + +## 食習の機会や時季 +全国的に赤飯を食べるのは祝い事がある時だが、長岡ではお祝い事や行事ごとはもちろん、日常食として食べられている。スーパーマーケットのお惣菜売り場には通年欠かさず陳列され、特に年末年始やお盆、町内で行事があるときは山盛りに並べる店もある。西蒲地域には、「しょうゆおこわ」であん団子を包んだ「おこわだんご」というお菓子があり、昔から農家のおやつとしても親しまれてきた。 + +## 飲食方法 +蒸したもち米に、醤油やみりんを合わせた醤油だれを混ぜ合わせ、醤油とみりんで煮た金時豆をのせて再度蒸す。蒸しあがったら器に盛り、ごまをかける。各家庭やお店で味付けは異なり、みりんの変わりに砂糖や酒を使うこともある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- もち米: 2合 +- 金時豆: 20g +- 白ごま: 適宜 +- 【調味料A】みりん: 大さじ1/2 +- 【調味料A】醤油: 大さじ1/2 +- 【調味料B】水(出汁): 80ml +- 【調味料B】醤油: 大さじ2 +- 【調味料B】みりん: 大さじ2 + +## 作り方 +1. もち米は洗い、一晩水煮浸ける。ざるに上げ、水気を切る。 +2. 金時豆は一晩水に浸ける。ざるに上げ、多めの水で15分位煮る。調味料Aを加え、さらに5分ほど煮たらざるにとり、水分を切っておく。皮が破れず、芯がないようにゆであげる。 +3. 調味料Bを合わせておく。 +4. 蒸し器の一段目にお湯をはる。二段目に水でぬらしてしぼった蒸し布を敷き、1のもち米を入れ平らに広げ、蒸し布で包むようにおおう。蒸し器の一段目のお湯が沸騰してから二段目をのせ、強火で20分間蒸す。 +5. 蒸し上がったもち米をボウルに移し、3の調味料を回しかけ、米の白い部分がなくなるまで、しゃもじでよく混ぜる。再び蒸し器に戻し、2の金時豆を上にのせ、10分間蒸す。 +6. 蒸しあがったら器に盛り、白ごまをかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「にいがたのおかず」(著:新潟県食生活改善推進委員協議会、出版:開港舎) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_3_1.jpg)" +"# 笹団子 新潟県 + +**郷土料理名**: 笹団子 + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +下越地方 + +## 主な使用食材 +だんごの粉、笹の葉、干しよもぎ、小豆あん + +## 歴史・由来・関連行事 +新潟の名産品として知られる「笹団子」は、笹の葉に包んでスゲなどの紐で結んだ俵形のお団子のこと。およそ500年前から新潟の中越・下越地方と福島県会津地方の一部で食べられており、笹には殺菌作用があることから戦国時代の携行保存食とされ「上杉謙信が携帯食にしていた」といわれている。また、年貢米にならない欠けたくず米を美味しく食べるための知恵から生まれたものなど諸説ある。昭和39年(1964年)に開催された新潟国体で土産として推薦され、そのことがきっかけで一躍有名となり、米俵に似たかたちは米どころ新潟を思い起こさせた。今ではあんを包んだ和菓子として食べられているが、以前はきんぴらやおかかなど、家庭のおかずを入れて主食の役割を担っていたといわれている。ハレの日は上米を使い小豆を入れた。地域によっては、あん入りのものを「女団子」、あん以外のものが入ったものを「あえもん団子」、きんぴら入りもしくは何も入っていないものを「男団子」と呼ぶ。 + +## 食習の機会や時季 +新潟県の農家では、家にあるくず米を使ってお菓子をつくり、「笹団子」も初夏の笹がきれいな時期や春と秋のよもぎの季節に各家庭でつくられていた。笹の葉は防腐効果があることから保存食としても食され、旧暦の4月8日(新暦では5月8日)に薬師様に供えたり、5月5日の端午の節句(だんご節句)では米の粉を使ってたくさんつくっていた。特に初夏を彩る蒲原の祭りの際や五穀豊穣を祈る神事にはなくてはならないものである。 + +## 飲食方法 +だんご粉で生地をつくる。水でもどしたよもぎを加えてよくこねる。生地に小豆あんをつつんで丸いお団子をつくる。出来上がっただんごに少量の油をぬっておくと、食べる時に笹にくっつかなくて食べやすくなる。3枚の笹を使ってだんごを包み、スゲまたはイグサで縛り、蒸し器で20分蒸す。固くなってしまったら、蒸したりレンジで温めるなど再加熱すると美味しくいただける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (80個分) +- だんごの粉: 1kg +- 笹の葉: 240枚 +- 干しよもぎ: 150g +- スゲ: 80本 +- 砂糖: 1カップ +- だんごの素: 1/5袋(3g) +- 小豆あん: 2kg + +## 作り方 +1. よもぎを水にもどして洗った後、軽くゆでる。ボウルにざるを重ね、よもぎを入れる。(ボウルの汁は後で使用する) +2. 粉・砂糖・だんごの粉をよく混ぜ合わせ、1を加えてボウルの汁を少しづつそそぎながら、耳たぶくらいの柔らかさになるまで汁を加えながらこねる。ぬれフキンをかけて3~4時間ねかす。 +3. 2をもう一度しっかりこねなおし、耳たぶくらいの柔らかさにこねあげる。皮は30gくらいの団子、あんこは20~25gくらいの団子に丸める。 +4. 3を手の平にのせ、のばし広げあんこを入れて俵型にまとめる。 +5. 笹の葉を3枚合わせた上に団子をのせて包み、スゲかイグサで縛る。 +6. 5を湯気のあがった蒸器に入れ、中火で20~25分蒸して取り出し、冷水にさっとくぐらせ、ざるにあげて水を切り、風通しのよいところにつるしておく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「新潟県 しばたのおかず 郷土の食材と料理」(著:新発田市食生活改善推進委員協議会、出版:開港舎) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_4_1.jpg)" +"# きりざい 新潟県 + +**郷土料理名**: きりざい + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +中越地方 + +## 主な使用食材 +野沢菜、大根、納豆、ごま + +## 歴史・由来・関連行事 +「きりざい」は、納豆に刻んだ野菜を混ぜ合わせた魚沼地方に伝わる郷土料理。きりざいの「きり」は切ること、「ざい」は野菜の「さい」の意味を表す。その歴史は古く、戦国時代には武士が兵糧として持ち歩いていたという記録が残っている。南魚沼地方は雪深く、冬の間長く雪に閉ざされたことから長期間保存が効く漬物や干物などの保存食文化が根付いた。肉や魚がほとんど食べられなかった時期は良質のたんぱく源である納豆はとても貴重で、余った漬物や野菜を細かく刻み量を増やして食べたのがはじまりだといわれている。身近にある野菜を使いその切れ端も大切に使う、おばあちゃんの生活の知恵から生まれた料理である。また、手軽につくれて効率良く栄養を摂取できることから厳しい自然環境で生活していた先人たちにとって大切な栄養素でもあった。つくり方は各家庭によって微妙に違い、好みでいろいろな食べ物を合わせてつくることができるためバリエーションが豊富である。 + +## 食習の機会や時季 +特に時期はなく、年間を通して食べられている。ごはんのお供だけでなく、おつまみとしても食べ、野菜やその時期に手に入る食材使ってつくる。 + +## 飲食方法 +納豆に刻んだ野沢菜や人参などを混ぜ合わせる。野沢菜漬けを入れるのは必須で、大根の代わりにたくあん漬けを入れることもある。またイクラやマグロのすきみなどを合わせたり、納豆のように山芋やめかぶ、オクラなどのネバネバした食品とも合う。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 野沢菜漬け: 100g +- 大根: 200g +- 大根の味噌漬け: 50g +- 納豆: 40g +- ごま: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 大根は細かく切り、塩ひとつまみでもみ、水洗いしてかたくしぼる。 +2. 野沢菜漬けも細かく刻んでしぼる。シャキシャキ感を出すため、葉先の部分は入れない。 +3. 大根の味噌漬けは大根と同じ大きさに切る。 +4. ボウルに1~3を入れ、混ぜ合わせてごまを加える。 +5. 食べる直前に納豆を加えて混ぜる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「にいがたのおかず 郷土の食材と料理」(著:新潟県食生活改善推進委員協議会、出版:開港舎) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_5_1.jpg)" +"# 笹寿司 新潟県 + +**郷土料理名**: 笹寿司 + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +上越地方 + +## 主な使用食材 +米、干しぜんまい、姫タケの芽、サケ、野沢菜、蕗(ふき)味噌、卵、しょうがの甘酢漬け + +## 歴史・由来・関連行事 +「笹寿司」は、北信越地方に伝わる郷土料理で、新潟県では、上越地方を中心に食べられている。石川県は、酢飯を笹で包んで押してつくる「押し寿司」だが、新潟県の「笹寿司」は、クマ笹の上に酢飯をのせて具材や薬味を盛りつけたもの。妙高市、上越市、糸魚川市などの上越地方では笹の葉を箕のかたちに折ってつくり、「箕寿司(みずし)」と呼ぶ地域もある。専用の木箱を使い重ねてつくる地域もある。主に、ハレの日の料理としてつくられ、お盆や祭りなど人が多く集まるときに振る舞われていた。酢飯の上に具材を彩りもよく飾り付けたものや、具材を酢飯に混ぜてつくるものもあり、地域や各家庭で少しづつ異なる。手間がかかるため、家庭でつくることは昔より少なくなってきている。「笹寿司」の誕生と、新潟・長野の両県に伝わっているのにはいくつかの説があり、「戦国時代に上杉謙信の軍勢が武田信玄との戦の際に山奥で器代わりに笹に御飯を盛った」「川中島の合戦に出陣する上杉謙信に長野県飯山市富倉地域の住民が笹の葉寿司を献上した」などといわれている。また、笹は防腐効果が高く、保存食としても食べられていた。実際に、上杉謙信もごはんを笹の葉に包んで携帯していたともいわれている。七夕は「笹の節句」ともいわれており、平成26年(2014年)に糸魚川青年会議所が7月7日を「糸魚川 七夕は笹ずしの日」として日本記念日協会に申請し、記念日として登録された。「七夕に郷土料理に触れ、糸魚川の魅力を再確認してほしい」という思いが込められている。 + +## 食習の機会や時季 +お盆やお祭りなどの行事を中心に、ハレの日の料理としてつくられる。具材は、山でとれた山菜や海川の魚、地元でとれた野菜などが使われ、季節感が溢れている。 + +## 飲食方法 +クマ笹の葉の上に酢飯をのせて、味付けをした具材や薬味を彩りよく盛り付ける。わらび、筍、きゃらぶきなどの山菜や、野沢菜漬け、大根の味噌漬け、くるみ、人参、ひじき、錦糸卵、田麩、薬味は紅しょうがなどが使われる。包み方は、笹の上に寿司をのせただけのものと、笹の片方だけを折って舟形にしたもの、三角に折ったもの、ちまき風に包んでイグサなどで束ねたものなどがある。食べるときは箸を使わなくても、笹の葉をめくってそのまま手で持ったまま食べることができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 3合 +- サケの切り身: 60g +- 卵: 2個 +- 干しぜんまい: 15g +- 野沢菜漬け: 80g +- しょうがの酢漬け: 適宜 +- 笹: 20~24枚 +- 姫たけのこの芽: 8本(7cm位、市販も可) +- ふきみそ: 60g(つくりおきまたは市販) +- 【調味料A】砂糖: 大さじ1 +- 【調味料A】塩: 小さじ1 +- 【調味料A】酢: 大さじ4 +- 【調味料B】砂糖: 適量 +- 【調味料B】塩: 適量 +- 【調味料B】酢: 適量 +- 【調味料C】砂糖: 適量 +- 【調味料C】塩: 適量 +- 【調味料C】みりん: 適量 +- 【調味料C】醤油: 適量 + +## 作り方 +1. 米は少し硬めに炊き、調味料Aの合わせ酢を混ぜてすし飯をつくる。 +2. 干しぜんまいは水に一晩浸けてもどし、醤油、砂糖、塩で好みの味に煮る。 +3. 姫たけのこは柔らかい部分のみを醤油、砂糖、みりんなどで味をつける。 +4. サケは蒸して皮と骨をとり、調味料Bの甘酢に浸ける。 +5. 野沢菜はあらかじめ塩出しをし、細かく切り、油で炒めて好みの味で煮る。 +6. 卵はよくとき、砂糖と塩を混ぜて薄焼きにし、千切りにする。 +7. 笹は湯を通し、水気を切っておく。 +8. 笹にすし飯30g位を小判型に広げ、その上にそれぞれの具をのせて軽く押し、皿に並べる。好みでしょうがの酢漬けを添えて食べる。※ほかにしいたけやしそ漬けなどお好みの具でお楽しみください。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「にいがたのおかず 郷土の食材と料理」(著:新潟県食生活改善推進委員協議会、出版:開港舎) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_6_1.jpg)" +"# 鮭の焼漬け 新潟県 + +**郷土料理名**: 鮭の焼漬け + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +新潟県内北部 + +## 主な使用食材 +生サケ、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +サケが遡上する三面川が流れる村上市は「鮭のまち」として知られており、秋になると町中がサケ一色になる。頭から尾まで大切に食べる文化が根付く村上市には、100種類以上の料理法があるといわれている。そのサケ料理の一つが「鮭の焼漬け」である。その名の通り、焼いたサケを酒やみりんなどを合わせた醬油だれに漬け込むシンプルなもので、そのまま、もしくは炙っていただく。元々、冷凍技術が発達していなかった頃の保存食として江戸時代からつくられていたが、サケはそのまま焼いて食べると少々脂が足りなかったため、このような工夫をしてできたと考えられる。塩サケや煮付けとは全く違う風味を楽しめ、冷めても固くならなくて、ふんわりとしている。村上のサケ文化の歴史は平安時代にも遡り、京の都の朝廷に租税として納められていたといわれている。また、世界初の人工増殖に成功した歴史もあり、そのおかげで豊かな町となった。そのため、サケへの感謝の気持ちの表れとして「天の恵みであるサケに切腹をさせてはならぬ」と、サケの腹は全て切らず、一部を残す習慣がある。 + +## 食習の機会や時季 +秋の短い期間に出回る生サケを使ってつくる。サケ漁は、10月から11月にかけておこなわれ、三面川では「居繰網漁(いぐりあみりょう)」という伝統的な漁法でおこなわれている。 + +## 飲食方法 +煮切った酒とみりんに醤油を加えた醤油だれに、白焼きにしたサケを熱いうちに漬け込む。サケは「もち切り」という新潟県独特の切り餅のかたちに似た切り方をする。そのままでも美味しいが、レンジや網で炙って温めても美味しい。つくりおきが可能なため、常備菜としても人気がある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 生サケ: 4切れ(1切れ60g) +- 【調味料A】醤油: 大さじ2 +- ��調味料A】酒: 大さじ2 +- 【調味料A】みりん: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 小鍋にAの酒とみりんを入れて煮切り、醤油を加え、冷ます。 +2. サケを白焼きにする。 +3. 焼きあがったサケを熱いうちに1に入れ、漬ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「にいがたのおかず 郷土の食材と料理」(著:新潟県食生活改善推進委員協議会、出版:開港舎) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_7_1.jpg)" +"# ぜんまいの煮物 新潟県 + +**郷土料理名**: ぜんまいの煮物 + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +新潟県内全域 + +## 主な使用食材 +干しぜんまい + +## 歴史・由来・関連行事 +山間部は、春になると山菜がたくさんとれる。ぜんまいもその中の一つで、春先にとれたものを天日干しにして乾燥させ、特に冬の保存食として重宝されていた。煮物をはじめ使い方は多岐にわたり、新潟県では欠かせない食材である。雪の下で育った山菜は、雪解けと共に適度にアクが抜けるため、えぐみが少なくて美味しいといわれている。以前は田んぼのあぜ道に生えているものをとっていた。最近は栽培も盛んにおこなわれるようになり、県東部の奥阿賀の室谷地区はぜんまいの特産地になっている。干しぜんまいは、綿毛を取ってから茹で、手で揉みながらつくる。揉む作業は2~3日、数十回繰り返す。とても大変な作業だが、そうすることで繊維が切れてやわらかいぜんまいになる。生のぜんまいを料理することは少なく、乾燥させたものを必要な分だけを水でもどして使う。料理は、シンプルにぜんまいだけで煮たものもあれば、何種類も食材を使った具だくさんなものまである。切らずにそのまま煮た「ぜんまいの一本煮」は、縁起を担ぐという意味でお正月につくるところもある。 + +## 食習の機会や時季 +ぜんまいがとれるのは春先だが、干したものを年間通して食べられている。また、「山菜の王様」ともいわれるぜんまいの煮物は、お正月に欠かせない料理だった。魚沼地方では身欠きニシンを入れて煮る。 + +## 飲食方法 +鍋に干しぜんまいとたっぷりの水を加えて火にかける。沸騰直前に火をとめ、そのまま冷めるまでおいておく。水を変え、この作業を2~3回繰り返す。(干しぜんまいをもどす作業)もどしたぜんまいは、食べやすい長さに切って油で炒め、出汁、醤油、みりん、酒、砂糖を入れてに含める。好みで、しいたけや人参などの野菜や車麩、ホタテなどを入れる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 干しぜんまい: 100g(もどしで350g) +- だし汁: 2カップ +- 醤油: 大さじ3 +- 塩: 小さじ1/2 +- 砂糖: 大さじ1 +- みりん: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 干しぜんまいを鍋に入れ、たっぷりの水を入れ沸騰させ、中火で1分ほど煮る。 +2. すぐに水にはなし、半日間、3回位水をかえてアクを抜く。 +3. 鍋にだし汁と2を入れ、沸騰したら砂糖と酒を加え、落とし蓋をして2~3分ほど煮る。 +4. 塩、醤油、みりんを入れ、落とし蓋をして5分ほど煮たら火を止め、そのまま味をしみ込ませる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「にいがたのおかず 郷土の食材と料理」(著:新潟県食生活改善推進委員協議会、出版:開港舎) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_8_1.jpg)" +"# かきあえなます 新潟県 + +**郷土料理名**: かきあえなます + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +新潟県内全域(中越・下越) + +## 主な使用食材 +かきのもと(食用菊)、しらたき、れんこん、きゅうり、干ししいたけ、くるみ + +## 歴史・由来・関連行事 +「かきあえなます」は、赤紫色の食用菊を使った郷土料理。菊の花を食べる習慣は新潟県のほか東北地方独特の文化で、食用がはじまったのは江戸時代頃からといわれている。かきのもとは延命楽という菊で、新潟県では古くから農家の庭先や畑の片隅などで栽培されてきた。独特の芳香としゃきしゃきとした歯ごたえがあり、甘みがあるのが特徴である。また、「かきのもと」は、新潟県下越地方の呼名で、中越地方は「おもいのほか」と呼ばれている。もともと精進料理である「かきあえなます」は、法事やおせちには欠かせない料理で、来客があった際にも振る舞われていた。さっとゆでたかきのもとに、くるみやれんこんなどの野菜を彩りよく混ぜて酢で和える。かきあえなますの「かき」は、かきのもとのことをいい、「あえ」は合える(混ぜる)こと、「なます」は調味した酢に和えることを意味する。「かきのもと」は、酢の物のほか、おひたしやごま和え、ごはんのかやくとしても食べられることも多い。かきのもとのあざやかな紫色が食卓に彩りを添え、新潟の秋の風物詩としても楽しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +以前は、お正月や来客があった際に振舞われていた。使う材料は、地域や家庭によって少しずつ違う。 + +## 飲食方法 +さっとゆでたかきのもとと、れんこんやにんじん、しいたけなどの秋野菜とくるみをごま酢で和える。かきのもとは、沸騰したお湯に塩、酢を加えあざやかな色になるようにさっとゆでる。かきのもと、くるみ、ごま酢をベースにいろんな食材を合わせてつくる。キャベツや油揚げ、こんにゃくなども入れたりもする。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- かきのもと(花びら): 150g +- しらたき: 1/2個 +- きゅうり: 1本 +- れんこん: 100g +- 干ししいたけ: 3枚程度 +- くるみ: 40g +- 白ごま: 大さじ2 +- 【調味料A】酢: 大さじ2 +- 【調味料A】砂糖: 大さじ1 +- 【調味料A】酒: 小さじ1 +- 【調味料A】塩: 少々 +- 【調味料B】みりん: 大さじ1 +- 【調味料B】砂糖: 大さじ1/2 +- 【調味料B】醤油: 大さじ1/2 +- 【調味料B】しいたけのもどし汁: 大さじ2 +- 【調味料C】酢: 大さじ2 +- 【調味料C】砂糖: 大さじ3 +- 【調味料C】醤油: 小さじ2 +- 【調味料C】塩: 小さじ1/3 + +## 作り方 +1. かきのもとの花びらをとり、酢を入れた湯でさっとゆで、水にとって水分をしぼる。 +2. しらたきは熱湯をかけて3cmの長さに切る。 +3. きゅうりは小口切りにして塩をまぶし、しんなりしたら水で洗って水分をしぼる。 +4. れんこんは薄いいちょう切りにし、酢水に浸けてアクを抜いてから、調味料Aで軽く煮る。 +5. 干ししいたけはもどして千切りにし、調味料Bで煮る。 +6. くるみは粗くきざみ、すり鉢でごまと一緒にすり混ぜ、調味料Cを加えてよく混ぜる。 +7. 1~5の材料を6であえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「にいがたのおかず 郷土の食材と料理」(著:新潟県食生活改善推進委員協議会、出版:開港舎) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_9_1.jpg)" +"# かんずり 新潟県 + +**郷土料理名**: かんずり + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +上越地方 + +## 主な使用食材 +唐辛子、糀、柚子、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +新潟県妙高市(旧新井市)に伝わる伝統の発酵調味料の「かんずり」は、一年で一番寒い日に仕込まれることから”寒造里”とも書く。戦国武将の上杉謙信がヨーロッパから伝来した貴重な唐辛子を京都から持ち込み、農民に分け与えたといわれている。はじめは、唐辛子をすりつぶしたものに味噌を混ぜて簡単につくられていた。妙高市は、新潟県の上越地方に位置し、長野県に隣接している。この地域は特別豪雪地帯にも指定されているほど雪が多いため、厳しい寒さで冷え切った体を温めるために食べていたといわれている。かんずりの仕込みは、大寒(1月20日前後)に、塩漬けにした唐辛子を一度雪の上にさらして天日干しにする「寒ざらし」からおこなわれる。別名「雪さらし」ともいわれ、真っ白な雪の上にあざやかな赤色の唐辛子がきれいに並べられる。地場産の唐辛子を雪の中にさらしたのちにすり潰し、米糀と柚子、塩を混ぜて三年間熟成・発酵させる。雪にさらされた唐辛子はアクが抜けて旨みが増し、糀とともに発酵させることで味わい深い風味となる。寒ざらしは、天気の良い日に3日から4日ほどおこなわれる。 + +## 食習の機会や時季 +有限会社かんずりでは、その独自の製法でつくり、古代味豊かな風味を現代に伝えている。伝統の製法ならではの唯一無二の味は、地域の伝統食にとどまらず広く食通に親しまれ、夏にはスタミナ料理・食欲増進に、冬はからだを温める食卓の名脇役として、新潟の各家庭やお店で利用されている。 + +## 飲食方法 +料理の隠し味として鍋、ラーメン、パスタなどに加えたり、刺身にそえたり、焼き鳥やディップソースなどに適量加える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 () +- 唐辛子: 適量 +- 糀: 適量 +- 柚子: 適量 +- 食塩: 11% + +## 作り方 +1. 5月定植。(苗植え) +2. 8月~11月収穫。 +3. 8月から11月にかけて塩漬け。 +4. 1月から2月にかけて雪さらし。 +5. かんずりの原材料→2月から3月にかけて元仕込み。 +6. 3年間熟成・発酵。 +7. 充填。 +8. 商品完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 有限会社かんずり + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_10_1.jpg)" +"# 車麩の煮物 新潟県 + +**郷土料理名**: 車麩の煮物 + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +下越地方 + +## 主な使用食材 +車麩、白なす、いんげん + +## 歴史・由来・関連行事 +麩は、グルテンを主な原料とした加工食品で、小麦粉を水で練ってつくられる。室町時代(1393~1573年)初期に中国へ修行に行っていた僧侶が持ち帰り日本に伝来したといわれ、新潟へは江戸時代後期頃に北前船が立ち寄ったことで加工技術が伝わり、製造がはじまったといわれている。全国的各地にさまざまな麩があるが、新潟でもっともポピュラーな麩が「車麩」である。車麩は、練った生地を鉄棒に巻きつけたものをバームクーヘンのように回転させながら焼き、2回、3回と生地を重ねて焼いたもの。ドーナツのようなかたちをしているのが特徴で、輪切りにすると車輪のようであることからその名が付いたといわれている。3回巻きのものが一般的で、4回巻きのものは手間ひまがかかるため珍しい。麩の質を安定させるために1日から2日かけて休ませ、短く切って蒸して柔らかくした後に輪切りにして干す。乾燥は、最短で3日、梅雨時期など湿度が高い時期は5日ほどかかるという。これだけの工程を経て完成するまでに一週間近くもかかるため、4回巻きの車麩は、今は新潟県内でもつくっているのは数社しかない。 + +## 食習の機会や時季 +今は日常的に食べられているが、以前は小麦の作付が少なく高価なものであったため、麩は特別な時に食されていた。また、長期保存が可能なため、冬場の貴重なタンパク源として重宝されていたといわれている。精進料理の定番食材であり、越後地方では行事の際の煮しめに使われていた。 + +## 飲食方法 +麩は水やお湯でもどしてから調理する。水でも良いが、お湯でもどすとふっくら膨らんで食感も良くなる。煮物、炒め物、揚げものなどアイデア次第でいろいろな料理がつくれる。麩は油との相性もよく、豚のバラ肉や油揚げと一緒に煮て食べてもおいしい。煮物にしても煮崩れしにくく、煮汁をたっぷり吸ってもっちりと仕上がる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 白なす: 700g (4個) +- 車麩: 40g (4枚) +- いんげん: 24g (8本) +- 砂糖: 大さじ3 +- 醤油: 大さじ4 +- 塩: 小さじ1 +- 【だし汁(1300ml分)】水: 1700ml +- 【だし汁(1300ml分)】カツオ節: 25g +- 【だし汁(1300ml分)】煮干し: 25g + +## 作り方 +1. 白なすは縦に半分に切り、皮側に亀甲に包丁を入れる。白なすが手に入らない場合は、丸なすで代用が可能です。車麩は水に浸けてもどし、半分に切る。 +2. いんげんは筋をとり、さっとゆでて、水にとる。 +3. 鍋にだし汁と調味料、白なすを入れて火にかける。沸騰したら中火にし、落とし蓋をし15分程度煮る。(なすに火がとおるまで) +4. 白なすに火がとおったら、水気をしぼった車麩を入れ、弱火で7~10分程度煮る。 +5. 火を止め、白なすや車麩に味がしみるように含ませておく。 +6. 味がしみたら、器に盛り、彩りとしていんげんを飾る。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 新潟県新潟地域振興局 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_11_1.jpg)" +"# 煮菜 新潟県 + +**郷土料理名**: 煮菜 + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +新潟県内全域 + +## 主な使用食材 +体菜、打ち豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +「煮菜」は、塩漬けにした菜っ葉を煮た郷土料理で、新潟県ではごく一般的な家庭料理として食べられていた。主に体菜(たいな)が使われる。体菜は、明治初期に中国から導入したものを新潟でも適応するよう品種改良されたもので、長岡野菜の一つとして広く利用されている。地域によっては、野沢菜や大根菜を使うところもある。 魚沼地方や上越地方では野沢菜を使用する。一昔前は、秋に各家庭で漬け込み、青物がない冬間に食べていた。塩漬けにした体菜は、塩出ししてから調理する。塩出しした体菜は食べやすい大きさに切って油で炒め、だし汁と醤油や味噌で煮る。中に入れる具材は打ち豆が定番で、その他、人参、ごぼう、油揚げを入れたりする。打ち豆は、大豆をたたいてぺたんこに潰したもので、大豆を洗い、40度くらいのぬるま湯に10分間ひたしてざるにとって水を切ったものを固い板か石臼(または平らな石)の上に大豆をのせ、1枚ずつ木づちでとんとんたたいて2~3ミリの厚さにのばしたもの。粒のままとちがって、うすくなっているので、すぐに火が通るため、煮物、炒め物、酢の物、味噌汁などにも使われる。また、出汁も煮干しやカツオ節、干し貝柱を使うなど家庭によって異なり、一言で煮菜といっても調理法から食材選びまでさまざまである。 + +## 食習の機会や時季 +新潟県は冬になると畑がすっかり雪に覆われてしまうため、菜類が全然とれなくなってしまう。そのため、昔から冬の青菜類は干葉や塩漬けに頼る以外にはなかったようで、この料理もそうした意味で昔ながらの味を残している。 + +## 飲食方法 +体菜の塩漬けは、ゆでて煮あがったら火を止めて1時間くらいそのままにして塩出しする。塩は抜きすぎても味気なく、ちょうど良い塩加減を残すのがポイントになる。味付けは、醤油や味噌を使うことが多く、酒粕を入れることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 体菜(たいな)の塩漬け: 500g +- 打ち豆: 50g +- サラダ油: 大さじ3 +- だし汁: 適量 +- 味噌: 少々 + +## 作り方 +1. 体菜の塩漬けはゆでて塩出しし、煮あがったら火を止め、1時間位そのままにしておく。 +2. 水気を切った1を3cm位に切り、油で炒め、だし汁を加えて煮る。お好みで、油揚げや里芋、人参などを入れてもよい。 +3. 2に打ち豆と味噌を入れて調味する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「にいがたのおかず 郷土の食材と料理」(著:新潟県食生活改善推進委員協議会、出版:開港舎) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_12_1.jpg)" +"# 干し大根漬け 新潟県 + +**郷土料理名**: 干し大根漬け + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +大根、人参、昆布、スルメ、数の子 + +## 歴史・由来・関連行事 +雪の多い新潟県では、冬を越すための保存食としてつくられていた「干し大根漬け」は、上越地方を代表する郷土料理の一つで、「はりはり漬け」とも呼ぶ。切り干し大根を醤油に漬けたものを「はりはり漬け」というが、その由来は大根を食べた時に「はりはり」と音を立てるからといわれている。しかし、新潟県の「干し大根漬け」は、他県の「はりはり漬け」とは少し違い、酢が入らない。また、松前漬けとも似ているが、その違いは干した大根が入っていることである。干し大根の他に、人参や昆布、スルメなどを入れ、お正月には数の子を加えておせちの一品としても利用される。昆布とスルメが入っているため、寝かせておくほど旨味が出て美味しくなるという。新潟で冬に食べる漬物といえば、この「干し大根漬け」。冬が近づくと、どこの家庭も軒下に大根が干されている風景があちこちで見られる。 + +## 食習の機会や時季 +秋冬にとれた大根を使って、お正月の保存料理としてつくっていた。 + +## 飲食方法 +細めの大根の皮をむき、4つ割または、6つ割りにして吊るし干す。干した大根は熱湯で洗って5~6cmの厚さに切る。切った大根と塩抜きした数の子と、千切りにした昆布、人参、スルメを醤油、みりん、酒でつくった調味料に漬ける。調味料は、沸騰する直前に火を止めると風味が残る。くるみをかけて食べても美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 干し大根: 80g +- 人参: 40g +- 昆布: 10cm角のもの +- スルメ: 2cmくらい +- 数の子(小): 1個 +- 酒: 大さじ3 +- みりん: 150ml +- 醤油: 150ml +- しょうが: 適量 + +## 作り方 +1. 大根は細めのものはそのまま皮をむいて、太めのものは割って、あんで乾かす。 +2. よく乾いたものを、水にもどし、小口切りにする。 +3. 人参、出汁昆布、するめは千切り、数の子は塩出しする。 +4. 材料は全部容器に入れる。 +5. 酒��醤油、みりんを鍋に入れ火を通す。 +6. 調味料が冷めたら、しょうがを入れ、すべての材料と混ぜ合わせる。 +7. 容器に入れた材料に混ぜる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「にいがたの伝承料理」(新潟県食生活改善推進委員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_13_1.jpg)" +"# けんさん焼き 新潟県 + +**郷土料理名**: けんさん焼き + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +新潟県内全域 + +## 主な使用食材 +ごはん、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +「けんさん焼き」は、おにぎりの上にしょうが味噌や甘味噌などをぬって焼いた郷土料理。「けんさし焼き」「けんしん焼き」「けんさ焼き」ともいい、名前の由来は上杉謙信が戦時に兵糧として、冷めてかたくなってしまったおむすびを剣先に刺して焼いて食べたのがはじまりといわれている。また、昔は交通機関も発達していなかったため、里帰りのときは雪道を徒歩で移動した。そのため、実家に着くのは夜も更けたころ。寒さで凍え、お腹をすかせた娘のために実家では囲炉裏でけんさ焼きをつくって待っていたといわれる。また、お茶漬けにもでき、冬の夜長に話が咲いたり、お酒の後の夜食として食べることもあったようである。新潟県は米を中心とした主食の豊かな食文化があり、主食やおやつに米を使ったものが多く、「けんさん焼き」もその一つである。 + +## 食習の機会や時季 +以前は正月や年始客の酒宴の後の夜食として食べられてきた。最近は、新米の収穫を祝う行事食にもなっている。 + +## 飲食方法 +おにぎりに味噌をぬって、フライパンや焼き網、オーブントースターで、焦げないように両面をこんがりと焼く。そのまま食べてもよし、出汁やお茶をかけて茶漬けにするのもよい。最近は、柚子味噌やねぎ味噌、ごま味噌など、のせる味噌をアレンジして楽しまれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ごはん: 640g(80g×8個) +- 味噌: 大さじ3 +- 砂糖: 大さじ1/2 + +## 作り方 +1. 味噌と砂糖を混ぜ、甘味噌をつくる。 +2. ごはんを8等分し、平たく丸型ににぎり、フライパンや焼き網、オーブントースターで両面をさっと焼く。 +3. 甘味噌をおにぎりに塗り、こんがりと焼く。お好みでしょうがや柚子、山椒などの味噌をつけても良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「にいがたのおかず 郷土の食材と料理」(著:新潟県食生活改善推進委員協議会、出版:開港舎) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_14_1.jpg)" +"# 佐渡の煮しめ 新潟県 + +**郷土料理名**: 佐渡の煮しめ + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +佐渡市 + +## 主な使用食材 +焼きスケトウ、こんにゃく、焼き豆腐、昆布 + +## 歴史・由来・関連行事 +焼きあごで出汁をとり、野菜や昆布、焼き豆腐といった食材を、時間をかけてじっくり煮る「佐渡の煮しめ」は、新潟県では佐渡で食べられている郷土料理。おでん風の煮しめはしっかりと味がしみて美味しい。スケトウダラやイカ、車麩を入れる地域もある。汁が残らないほどに煮しめることから、「にしめ」と呼ばれており、古くから続く家庭の味として島民に親しまれてきた。佐渡市は魚介のイメージがあるが、春は山菜、秋はタケノコなど野菜にも事欠かない。材料が豊富ゆえ、焼き豆腐は必ず入るが、それ以外は決まったものがなく、各家の畑でとれた野菜を具にしてつくられ、味付けは季節ごと、家庭ごとに異なる「おふくろの味」である。佐渡市では、祭りや祝い事には欠かせない料理となっており、大皿にてんこ盛りにして振る舞われる。 + +## 食習の機会や時季 +佐渡の祭り料理の主役で、冠婚葬祭だけでなく年末年始やお祭り、お盆など、人が集まる場には欠かせない料理である。鬼太鼓が各家回る春や秋の祭りでは、各家庭それぞれの「煮しめ」がふるまわれる。 + +## 飲食方法 +佐渡特産のトビウオの「あご出汁」をベースに煮込んだ郷土料理である。スケトウダラを入れ、その出汁で煮込む家庭もある。汁が少なくなるまで何度も煮こみ、味を含ませるので中まで味がよくしみ込んでいる。日が経つごとに味が染みて美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 焼きスケトウ: 3本 +- だし汁(トビウオ): 600ml +- 焼き豆腐: 2パック +- こんにゃく: 2丁 +- 昆布: 1巻 +- 砂糖: 適量 +- 酒: 適量 +- みりん: 適量 +- 醤油: 適量 + +## 作り方 +1. スケトウを素焼き(空焼き)したものを、砂糖、酒、みりん、醤油で煮る。 +2. 焼き豆腐、こんにゃくは水から煮あげておく。 +3. トビウオで出汁をとり、2と結び昆布を、砂糖、酒、みりん、醤油で煮る。 +4. 1と3を大皿に盛り付ける。 +5. ※前日に煮しめておく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 新潟県食生活改善推進委員協議会佐渡支部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_15_1.jpg)" +"# 三角ちまき 新潟県 + +**郷土料理名**: 三角ちまき + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +新潟県内全域 + +## 主な使用食材 +もち米、笹の葉、いぐさ、きな粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +新潟県には、全国的にめずらしいシンプルで素朴な味わいがする「三角ちまき」がある。もち米を笹で包んで三角に折り、イグサで縛ったものをたっぷりのお湯でじっくり2時間ほどかけてゆでたもち米だけのシンプルなちまき。きなこをかけていただく。知名度としては、笹団子よりはやや低いかもしれないが、日本のちまきの中でもっとも古いともいわれているという。奈良・平安時代には三角ちまきが存在していたことが書籍にも残っており、『倭名類聚鈔(わみょうるいじゅしょう)』 (931~938に編纂された辞書)には、アクで煮こむという製法が掲載されている。また、笹には防腐効果があることから昔は保存食としてつくられ、農作業の合間に食べていた。ゆでたあとでもそのまま水の中に入れておけば固くならず、3日から4日ほど保存が可能だという。戦国武将の上杉謙信が戦の際の携行食として考案したとの言い伝えも残っている。 + +## 食習の機会や時季 +昔は新潟県の各家庭で、笹団子と同じ様にちまきもつくっていた。新潟県の人々にとってちまきといえば、9割方がこの「三角ちまき」であるという。 + +## 飲食方法 +材料も食べ方もとてもシンプルなちまきで、きな粉やあんこをつけていただく。もち米だけなので、素材の味がそのまま味わうことができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20人分) +- もち米: 300g +- 笹の葉: 20枚 +- いぐさ(すげ): 10本 +- 【材料A】きな粉: 20g +- 【材料A】砂糖: 16g +- 【材料A】塩: 少々 + +## 作り方 +1. もち米は一晩水に浸し、ざるに上げる。 +2. 笹の葉とすげは熱湯にとおし、水洗いして拭く。 +3. 笹の葉の1枚を手にとり、中心をひねって三角の袋をつくる。 +4. 3の中に米をかるく入れ、上からもう1枚の笹を被せて両端を折って、すげで結ぶ。 +5. 鍋にたっぷりの水を入れ、中火で40~60分煮て水を切る。(湯が沸騰してから25~30分) +6. 材料Aを合わせたものを付けて食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「しばたのおかず 郷土の食材と料理」(著:新発田市食生活改善推進委員協議会、出版:開港舎) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_16_1.jpg)" +"# ずいきの酢漬け 新潟県 + +**郷土料理名**: ずいきの酢漬け + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +ずいき、酢 + +## 歴史・由来・関連行事 +「ずいき」は、里芋の一種の「八つ頭」の葉柄のこと。夏の野菜として、全国的に広い地域で古くから親しまれてきた野菜のひとつ。新潟では、信濃川流域や水田地域で多く栽培されている。早いところで6月から収穫がはじまり9月まで続く。長岡野菜、上越野菜、柏崎野菜にも指定されおり、酢に漬けた「ずいきの酢漬け」は、新潟県の郷土料理として古くから親しまれている。酢の物以外にもずいきを干して保存し、雑煮に入れたり汁物や煮物にした。八つ頭の軸は、表面が紫色アントシアニンを含む。酢に漬けると酸と反応して鮮やかな色に染まる。酢漬けにすることで日持ちするため、保存食としてもつくられた。漬け汁に火を入れてカビが生えないようにすると3ヶ月くらいはもつ。さっぱりしていて暑い夏の時期にはぴったりで、季節を感じる郷土食として古くから親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +酢の物は、生の葉柄がとれる夏につくる。酢につけると鮮やかな色になることから、お正月にも食べられる。���漬け以外にも、干して保存したずいきを雑煮に入れたり、汁物や煮物にして食べる。 + +## 飲食方法 +生のずいきはアクが強く、皮をむくと手が黒くなるため、水につけてアクをしっかり抜いてから調理する。ゆでる際、お湯に少量の酢を加える方法もある。酢、砂糖、塩を合わせた調味液を煮立てて冷ましたものに、ゆでたずいきを熱いうちに漬ける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 生ずいき: 250g +- しょうが: 1かけ +- 【調味料A(合わせ酢)】酢: 1/2カップ +- 【調味料A(合わせ酢)】砂糖: 1/2カップ +- 【調味料A(合わせ酢)】塩: 大さじ1/2 + +## 作り方 +1. 調味料Aを小鍋に入れて煮立てる。砂糖がとけたら火を止め、そのまま冷やす。 +2. ずいきは皮をむき、30分位水に浸け、アクを抜く。 +3. 沸騰したお湯で2をゆでる。ゆですぎないよう注意する。ゆであがったらさるにあげ、3cm長さに切る。 +4. 3のずいきが熱いうちに1に漬ける。よく冷やし、すりおろしたしょうがをそえていただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「伝えたい新潟の味」(新潟市) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_17_1.jpg)" +"# タレかつ丼  新潟県 + +**郷土料理名**: タレかつ丼  + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +県内全域(下越地域) + +## 主な使用食材 +米、豚肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「タレかつ丼」は、ごはんの上に揚げたての薄めのとんかつを甘辛い醤油だれにくぐらせたカツをのせた丼のこと。卵とじでない。ごはんとカツのみのシンプルな料理で、1つの丼にカツが2枚以上のっているのが特徴である。薄めの衣で、一般的なかつ丼のカツよりも薄い豚肉が使われている。江戸時代から北前船で栄えた新潟の港町には、飲食店や歓楽街が軒を連ね、今もなお風情が残る「古町」と呼ばれるエリアがある。洋食文化も早くから花開き、西洋料理店が西堀の屋台に並んでいた。そこに店を構えていた初期創業の老舗が発祥の店として知られている。「タレかつ丼」が誕生したのは昭和初期頃。当時、モダンな料理だったカツレツを大胆にも醤油だれにくぐらせてご飯の上にのせて提供したのが始まりだといわれている。瞬く間に人気となり、「タレかつ丼」が新潟市内に浸透していった。老舗店で修行した弟子たちが店を開き、今や「新潟のかつ丼スタイル」として定着した。特に新潟市のご当地グルメ、市民のソウルフードとして今も親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +特に時期はなく、日常的に食べられている。各お店によって独自の工夫がされ、豚肉、醤油、米など使う食材にこだわりを持っている店も多い。 + +## 飲食方法 +薄めのそぎ切りにした豚肉に、細目のパン粉を薄くまぶして揚げる。揚げたてのかつを、醤油ベースにみりんや砂糖を加えた甘めのたれにくぐらせ、ご飯の上にのせて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 豚肉(好みの部位): 16枚(1枚30g) +- 小麦粉: 適量 +- 卵: 適量 +- パン粉(細かいもの): 適量 +- 揚げ油: 適量 +- ごはん: 適量 +- 【調味料A】醤油: 80ml +- 【調味料A】みりん: 80ml +- 【調味料A】酒: 80ml +- 【調味料A】砂糖: 30g +- 【調味料A】昆布: 10cm + +## 作り方 +1. 豚肉を麺棒などでたたいて薄くのばす。卵はしっかりと溶く。 +2. 1の豚肉に小麦粉を薄くまんべんなくまぶし、卵にくぐらせ、パン粉をしっかりとつける。 +3. 調味料Aの材料をすべて鍋に入れて火にかけ、1分ほど煮立てる。 +4. 2を170~180度の油で3~4分揚げる。揚げたてを3にくぐらせ、丼に盛ったごはんの上にのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「続伝えたい新潟の味」(新潟市) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_18_1.jpg)" +"# くじら汁 新潟県 + +**郷土料理名**: くじら汁 + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +中越地方、下越地方 + +## 主な使用食材 +塩クジラ、なす、人参、ゆうがお、ねぎ、じゃがいも、豆腐、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +「くじら汁」は、塩漬けにしたクジラの皮の脂身を野菜と一緒に味噌で煮た郷土料理。新潟は北前船の影響で他所のさまざまな文化が根付いており、「くじら汁」もそのひとつである。その昔、西日本で獲れたクジラが塩漬けにされて、北���船で新潟に運ばれていた。クジラの脂肪は、健康に良いとされる不飽和脂肪酸を多く含み、新潟では、特に真夏の暑い時期にスタミナ食として食べていた。こってりとした味わいが魅力で、野菜はなすを入れるのが必須。地元で採れる丸なすを使い、長岡市近辺ではかんぴょうの材料になるゆうがおも欠かせない材料のひとつ。味噌仕立てで食べるのが主流だが、醤油仕立てで食べたりもする。保存ができる塩漬けのクジラを使うため、海がない山間地でも食べられていた。 + +## 食習の機会や時季 +使用する材料は塩クジラのほか、新潟市周辺では「なす」、中越地方では「ゆうがお」が多く使われ、夏に食す人が多い。一方、下越地方の阿賀町では、山菜の「うるい」を使い、春に食す人が多いようである。 + +## 飲食方法 +塩クジラは、塩出ししてから調理する。出汁をとり野菜を煮て、やわらかくなったら塩出ししたクジラを入れる。味噌を加えて味をととのえる。クジラに塩気があるので、味噌は加減しながら加えると良い。好みで七味を入れていただく。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 【材料A】塩クジラ: 30g +- 【材料A】小麦粉: 大さじ1 +- 【材料B】水: 4カップ +- 【材料B】煮干し: 15g +- 丸なす: 1個 +- たまねぎ: 1/2個 +- みょうが: 2個 +- 酒: 大さじ2 +- 味噌: 大さじ2と1/3 + +## 作り方 +1. 鍋に分量に材料Bを入れ、30分程度おく。 +2. 塩クジラは薄く切り、小麦粉をもみ込む。水で洗い流し、たっぷりのお湯で2~3回ゆでこぼす。 +3. 丸なすは食べやすい大きさに切り、たまねぎは薄切りにする、みょうがは千切りにする。 +4. 1の鍋を中火にかけ、煮立ったらアクを取る。弱火にし、5~10分煮て、煮干しを取り出す。 +5. 4に酒を加え、クジラ、丸なす、たまねぎを入れ、火を通す。 +6. 味噌を溶き入れ、煮立つ直前に火を止める。お椀に盛り、みょうがをそえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「伝えたい新潟の味」(新潟市) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_19_1.jpg)" +"# なまぐさこうこ 新潟県 + +**郷土料理名**: なまぐさこうこ + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +新潟市(西蒲区角田浜地区) + +## 主な使用食材 +大根、イワシ、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +近年獲れる量が少なくなってきたイワシだが、昔は日本海沿岸部で4月5月になると大量にイワシが獲れた。そのイワシのエラと内臓をきれい取って大量の塩で漬け「しょっからいわし」をつくった。しょっからいわしは、いわゆる和製のアンチョビのようなもので、いわし90匹に対して一升の塩を使いつくられる。このしょっからいわしで漬けた大根の漬物が「なまぐさこうこ」である。12月頃大根が収穫できたら、春に漬けたしょっからいわしをどろどろになるまで煮て、1ヵ月ほど漬け込む。新潟市の角田浜地区に伝わる漬物で、地元でとれるいわしを上手く保存するための生活の知恵から生まれた郷土料理だと思われる。また、漬けている間に、白菜や大根を2・3日漬けてつくったとうば漬けもつくられていた。その他、しょっからいわしと大根を使い煮物にし、冬は囲炉裏を囲んで食べる風習もあった。 + +## 食習の機会や時季 +地元でとれたイワシと、畑で育てた大根を使ってつくり、日常食として食べられていたが、お正月にはどこの家庭でも食べていた。 + +## 飲食方法 +地元の人たちはイワシを生きたまま買ってきて、各家庭で塩漬けにする。イワシのエラと内蔵を取り除いて塩漬けにし、しょっからいわしができあがる。それを大きな鍋に入れて火にかける。約70度の温度に達すると、ドロドロ感はなくなり、さらさらの液体になる。この汁を使って大根を漬ける。一ヵ月ほどで食べることができ、薄く切ってそのまま食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (大根60本分) +- 大根: 60本 +- 塩イワシ: 90匹 +- 塩: 1升 + +## 作り方 +1. 大根を漬桶に並べ、沸騰させた塩水をかけ、冷めたらその漬汁を捨てる。 +2. 春に漬け込んだ塩イワシを漬汁と共に鍋にとり、煮立て、イワシが粉々になるまで煮込み、浮いた油を捨てる。 +3. イワシが冷めたら漬桶の大根にかけ、たくあん漬けの要領で重しをのせ、漬け込む。大根2に対し、塩イワシ3の割合で、イワシの量が���いほど美味しい。 +4. ※4・5月頃日本海沿岸部において大量のイワシがとれる。そのイワシを大量に漬け込んでおく。(イワシは90匹に塩1升使用するといわれている。)※別名、塩からこうこ + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「新潟県 しばたのおかず 郷土の食材と料理」(著:新発田市食生活改善推進委員協議会、出版:開港舎) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_20_1.jpg)" +"# 冷やし汁みそ仕立て 新潟県 + +**郷土料理名**: 冷やし汁みそ仕立て + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +長岡市、中越地方 + +## 主な使用食材 +きゅうり、青じそ、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +「冷やし汁みそ仕立て」は、出汁と味噌で味付けした冷たい汁物で、主に夏に食べる。冷や汁は日本各所に郷土料理としても存在し、古くから食べられてきた。山形県、埼玉県、宮崎県をはじめ、その他各地それぞれ呼び方や使う食材も異なる。宮崎県の冷や汁は、焼きほぐしたアジやいりこなどの魚にごまと麦味噌を使い、米飯や麦ごはんにかける。埼玉県では「冷汁(ひやしる)」と呼び、すりごま、味噌、きゅうりの輪切り、青じそやねぎを合わせたものを冷水でのばして、うどんや素麺のつけ汁にする。山形県の冷や汁は、数種類の乾物をもどして煮たものを冷ましたものをゆでた野菜にかけたもの。新潟県では、長岡市、栃尾地域、中越地方、十日町市、三条市、見附市などで、「冷やし汁みそ仕立て」が食べられており、3県の中でいうと埼玉県の冷汁に似ている。きゅうりや青じそ、みょうがなどの野菜を刻んで味噌仕立てにする。 + +## 食習の機会や時季 +暑さで食欲が落ちても、さらさら食べれる冷やし汁は、身近な食材を使って暑い夏の時期につくり、冷たくして食べた。 + +## 飲食方法 +味噌をだし汁でのばし、切った野菜を入れる。冷蔵庫で冷やしていただく。そのまま汁物として食べたり、ご飯や麺にかけて食べたりもする。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- きゅうり: 小1本 +- 青じそ: 4枚 +- 味噌: 大さじ2~2と1/2 +- 冷水: 4カップ + +## 作り方 +1. きゅうりは薄く輪切りにする。青じそは千切りにする。 +2. 味噌をすり鉢でする。 +3. 2に冷水を注ぎ入れ、よく合わせる。 +4. 3にきゅうり、青じそを入れ、容器に盛る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「にいがたのおかず 郷土の食材と料理」(著:新潟県食生活改善推進委員協議会、出版:開港舎) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_21_1.jpg)" +"# ふぐの子の粕漬け 新潟県 + +**郷土料理名**: ふぐの子の粕漬け + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +佐渡地方 + +## 主な使用食材 +フグの卵巣、塩、酒粕 + +## 歴史・由来・関連行事 +日本海では、6月から7月にかけて「ゴマフグ」が獲れる。その卵巣を2年以上塩蔵した後、佐渡の酒粕で長期間熟成させたものが「ふぐ子の粕漬け」。新潟県では佐渡特有のものであり、石川県と福井県にも同じような加工品がある。佐渡では、江戸時代からつくられていたといわれている。※ふぐの処理は、特別な免許、ふぐ調理師免許が必要。 + +## 食習の機会や時季 +酒粕に漬け込むことで、塩漬けした時よりも塩辛さが控えめとなり、口当たりがやさしい味となる。とはいっても塩気があるため、ご飯のお供に、また酒の肴として食べる。 + +## 飲食方法 +特別な免許(ふぐ調理師免許)を持っている者が処理した材料を用いる。まわりの酒粕をガーゼで取り除き、そのままスライスして食べる。軽くあぶってもおいしい。大根おろしを添えたり、おにぎりの具やお茶漬けにしてもおいしい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_23_1.jpg)" +"# ふかしなす 新潟県 + +**郷土料理名**: ふかしなす + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +なす + +## 歴史・由来・関連行事 +なすの消費量日本一の県である新潟県には「ふかしなす」という郷土料理がある。地区によっては「なすぶかし」というところもある。蒸したなすを冷蔵庫で冷たく冷やして、和がらしを溶いたからし醤油をつけて食べるのが新潟流。手で裂いて、生姜醤油���ポン酢で食べたりもする。また、新潟県は作付け面積も全国1位(令和元年度)を誇り、栽培しているなすの品種も多い。約18種類以上のなすがつくられており、それぞれ調理特性が異なる。漬物向き、焼き物・煮物向きなど様々な品種が揃っている。ふかしなすには、果肉がしまった丸い形の巾着なす系統が向いている。その中でも長岡野菜の巾着なす(中島巾着なす/長岡巾着なす)は、蒸して食べるのには最適だという。本来は煮ても焼いてもアクが強いなすだが、ふかすとトロリとして甘くなる。 + +## 食習の機会や時季 +なすは、夏から秋にかけて採れる。体を冷やす作用があるなすは、夏の暑さをしのぐために食べていた。お盆料理には、巾着なすを使った「ふかしなす」、「なすの皮の雑炊」、「なす炒り」などが並び、ご先祖様を供養しながら夏の郷土料理を味わった。 + +## 飲食方法 +半分に切った巾着なすを水にさらしてアクをぬく。蒸し器で約10分ほど蒸す。箸がすっと通るくらいになったら取り出して冷ます。冷蔵庫で冷たく冷やして食べやすい大きさに切り、からし醤油や生姜醤油でいただく。冷やさずに熱いまま食べてもおいしい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 巾着なす: 2個(300g) +- 【調味料A】醤油: 適量 +- 【調味料A】おろししょうが: 適量 + +## 作り方 +1. 表面を水で洗いヘタを取り皮をむき、二つ割にして水に入れて、アクを抜く。 +2. 蒸し器に湯を多く入れ、強火で、竹串を通してすっと通るくらいまで蒸す。 +3. 冷してから、食べやすい大きさに切り、調味料Aをかけて食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 新潟県長岡地域振興部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_22_1.jpg)" +"# へぎそば 新潟県 + +**郷土料理名**: へぎそば + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +そば粉、布海苔 + +## 歴史・由来・関連行事 +「へぎそば」とは、つなぎに布海苔(ふのり)という海藻を使った蕎麦をヘギといわれる器に盛り付けた切り蕎麦のこと。新潟県の織物文化とそばの食文化が融合して生まれた魚沼地方発祥といわれる郷土料理である。へぎそばの「へぎ」は、剥ぎ板で作った四角い器のことで、「剥ぐ=はぐ=へぐ」のなまりで「剥ぎ」を語源とする。この器に一口ずつ美しく盛ったそばは、“手振り・手びれ”と呼ばれ、織物をする時の糸を撚り紡いだ(よりつむいだ)“かせぐり”などからきた手ぐりの動作を表している。新潟の蕎麦切りは、江戸時代から始まり、魚沼地方を中心に栽培が始まったといわれている。当時は小麦の栽培は行われていなかったため、つなぎにはヤマゴボウの葉や自然薯が使われていた。「布海苔」をつなぎに使っているのは、もともと織物の緯糸(よこいと)を張るために布海苔が使われ、身近にあるこの布海苔を使って蕎麦がつくれないかと考えたのがきっかけだったといわれている。「へぎそば」は、布海苔が入ることで、ツルツルとした食感と弾力のあるコシが生まれる。薬味には刻みネギにからしを用いるのが特徴で、魚沼地方はわさびがとれる場所ではなく、代わりにからしで食べる風習がある。 + +## 食習の機会や時季 +時期は関係なく年間を通して食べられているが、そばは夏に種をまいて、秋に収穫を迎える。秋に収穫される新そばのことを「秋新(あきしん)」といい、この時期に出まわるそばは、色、味、香りが優れていておいしい。 + +## 飲食方法 +一口分づつ盛り付けられたそばを取り、そばつゆにたっぷり浸して食べる。薬味には、ねぎやごま、からしが付き、からしはつゆには溶かずに、そばの上に少量のせていただく。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 乾燥布海苔: 30g +- 蕎麦粉: 400g + +## 作り方 +1. 銅なべに乾燥ふのりを入れ、全体が緑色になるまで弱火で1時間ゆっくりと煮込む。※この時、銅なべで化学変化を起こさないと綺麗な緑色にならないので注意する。 +2. そば粉8割にふのり2割を加える。腕に力を入れ、上半身の体重をかけ、リズムをとりながらこねていく。 +3. 適当な厚さになるまで平らに伸ばす。 +4. 包丁は手前に引かず、下に押しつけるようにする。こま板を少しずつずらし、同じ太さ��なるように切る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 宮本製粉株式会社 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_24_1.jpg)" +"# 身欠きにしんの糀漬け 新潟県 + +**郷土料理名**: 身欠きにしんの糀漬け + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +下越地方、阿賀町津川中心 + +## 主な使用食材 +ニシン、大根、白菜、人参、甘酒 + +## 歴史・由来・関連行事 +北前船が運んだ物の中でも、大きな位置を占めたのが北海道のニシン。ニシンは、生の状態では日持ちしないため、冷蔵技術が発達していない時代には、内臓や頭を取り除いて乾燥させたり、肥料、魚油(ぎょゆ)などに加工され、北前船で各地に運ばれた。中でもニシンを乾燥させた「身欠きニシン」は、海がない内陸や山間地域の貴重なたんぱく源として重宝された。一般的に魚の干物は焼いて食されるが、身欠きニシンは米の研ぎ汁や米ぬかを溶いた水に漬けてもどしてから調理する。新潟県では、古くから身欠きにしんを使う料理も多く、「身欠きにしんの糀漬け」もそのひとつ。甘酒の甘みと塩が程良く絡み合って、独特の風味が美味しい一品。その他、身欠きニシンはぜんまいと一緒に煮物にしたり、酢の物に入れたり、山椒漬けなどにしても食べられる。 + +## 食習の機会や時季 +お正月に食べる贅沢な料理だった。かるく炙って食べてもおいしく、酒の肴としても楽しんだ。 + +## 飲食方法 +身欠きニシンは、ぬるま湯で洗い、米のとぎ汁や米ぬかを水で溶いたものにつけてもどす。切った野菜とニシンに塩をして下漬けしたら、出てきた水をしぼり、甘酒を混ぜ合わせる。多くの発酵食品に使われている糀には、でんぷんやタンパク質を分解する酵素があり、糀入れることで甘味が出る。また、生臭さが落ちて、ニシン本来の風味が引き立つ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 身欠きニシン(乾燥): 2本 +- 大根: 300g +- 白菜: 200g +- 人参: 100g +- 甘酒: 200g(1袋) +- 塩: 大さじ3 + +## 作り方 +1. もどしたニシンはよく洗い長さ2cmに切る。 +2. 大根、人参は拍子木切り、白菜はざく切りにする。 +3. 野菜全部とニシンを合わせ、塩をして1~2日重石をして漬けこむ。 +4. 漬けた材料の水を切ってしっかりしぼり、甘酒を混ぜて1晩おき味をなじませる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「南魚沼地域の郷土料理」(新潟県食生活改善推進委員協議会南魚沼支部) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_25_1.jpg)" +"# あんぼ 新潟県 + +**郷土料理名**: あんぼ + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +中越地域 + +## 主な使用食材 +上新粉、サケ、漬け菜、あんこ + +## 歴史・由来・関連行事 +「あんぼ」とは、練ってつくった皮にあんや野菜などでつくった具を包んで蒸したお饅頭のようなもので、新潟県及び長野県北部に伝わる郷土料理。地域によっては「あんぶ」と呼ぶところもある。「あんぼ」は一見、長野県の「おやき」にも似ているが、大きく異なるのは皮が小麦粉ではなく米粉を使用していること。長野県の山間地は米作に適さない土地で小麦の栽培が盛んだったため小麦粉が使われたが、米がたくさんとれた新潟県では米粉をつかって「あんぼ」をつくった。中身については、小豆あんや味噌で味付けした大根菜が一般的だが、野沢菜やなす、切干大根などのおかずを包む。海側の地域だと魚類を入れたりもする。昔は、囲炉裏の灰の中や、金網渡しであんぼを焼いて食べた。くず米を利用するための一方法であり、冬の保存食のほか主食やおやつとして食べられていた。 + +## 食習の機会や時季 +時期問わず、主食やおやつとして年間を通して食べられている。 + +## 飲食方法 +地域によっては、もち草、ごはんを入れる場合もある。あんこ、煮菜、野菜のごま和え、野沢菜漬、なすのみそ炒め、サケ、イワシのぬか漬け、塩ホッケなど好みの具を入れる。冷凍保存もでき、オーブントースターやホットプレート、又はフライパンに油を少し敷いて焼いて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (12個分) +- 上新粉: 3カップ(375g) +- 水: 3カップ(600ml) +- 新巻サケ: 1切れ(80g) +- 漬け菜: 80g +- あんこ: 適量 + +## 作り方 +1. サケは焼いてほぐしておく。漬け菜は細かく刻んでおく。 +2. 鍋に水を入れ、沸騰したら粉をバラバラといっきに入れる。周りからボコボコと泡が出てきたら、だまにならないように箸5~6本で手早くかき混ぜ火を止める。熱いので蓋をして5分位蒸らし、手水をつけながら耳たぶくらいの硬さにこね12等分する。 +3. 2を手のひらでのばし、サケ、漬け菜、あんこをそれぞれ入れて包む。 +4. 網に並べて、両面をこんがりと焼く。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「柏刈地域の食の歳時記」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_26_1.jpg)" +"# 竹の子汁 新潟県 + +**郷土料理名**: 竹の子汁 + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +上越地方 + +## 主な使用食材 +たけのこ、じゃがいも、人参、たまねぎ、サバ、卵、ねぎ、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +新潟県の山深い地域では、5月下旬から7月初旬にかけて「姫たけのこ」と呼ばれる千島笹(チシマザサ)の若芽が採れる。新潟県の上越地方や長野県の北信地域では、姫たけのこが出回ると「竹の子汁」にして食べる。「竹の子汁」にはサバ缶が入っているのが特徴で、具は地域によって様々だが、上越地方はたけのことサバ缶以外に、じゃがいもや人参、たまねぎ、大根、油揚げなどを入れて卵とじにするなど具沢山なものが多い。一方、長野県の北信地域はシンプル。たけのこはハチクや孟宗竹を使ってつくることもある。妙高市などの一部の地域では「身欠きニシン」を使っていたが、昭和30年代にサバ缶が出回るようになり、新鮮な魚が手に入る海側の地域以外で広く使われるようになったといわれている。若芽が出回るのは一時的なため、地元の人はこの時期を楽しみにしている。最近では、たけのこを瓶詰めにして長期間食べられるように工夫もされているが、地元で採取できる時期が一時的なため、旬の素材を贅沢に使った味噌汁といえる。 + +## 食習の機会や時季 +姫たけのこは、初夏の時期だけに採れるたけのこで、信越地方から東北地方にかけは「根曲がりたけ」と呼ばれている。竹ではなく、笹(チシマザサ)の若芽で高さは2メートルほどにもなる。旬が短い上、採取するのが大変なため希少な山菜といわれている。姫たけのこの時期になると上越・北信地域の家庭では「竹の子汁」やたけのこ料理をつくって食べる。 + +## 飲食方法 +姫たけのこはアクは少ない方だが、時間と共にどんどん強くなるため、収獲(又は購入)したらその日のうちに茹でて下処理するか調理する。味噌ベースの汁に、たけのことサバ缶を加える。サバ缶を加えることでコクと旨味が増す。更に酒粕を加えることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 姫たけのこ: 10本 +- じゃがいも: 中2個 +- 人参: 中1本 +- たまねぎ: 中2個 +- サバ缶: 1缶 +- 卵: 1個 +- 味噌: 90g +- 水: 800ml +- 長ねぎ: お好みで + +## 作り方 +1. たけのこは、皮をむき節を避け、1.5cm位に切り、下ゆでする。 +2. たけのこの上の方は細くなっていくので、長めに切る。 +3. じゃがいもは、5mm位のいちょう切りにする。 +4. 人参も、5mm位のいちょう切りにする。 +5. たまねぎも、5mm位のいちょう切りにする。 +6. 鍋に、2、3、4、5を入れ、人参、じゃがいもが柔らかくなるまで煮る。 +7. じゃがいも、人参が柔らかくなったら、サバ缶をほぐし入れ、味噌を溶く。 +8. 最後に溶き卵を流し入れて出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 新潟県上越市 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_27_1.jpg)" +"# いもみそ 新潟県 + +**郷土料理名**: いもみそ + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +下越地方 + +## 主な使用食材 +里芋、味噌、柚子 + +## 歴史・由来・関連行事 +阿賀野川と早出川が流れる五泉市は、肥沃でありながらも水はけのよい土壌と豊かな水に恵まれ、多くの県産ブランド野菜が育まれている。なかでも、「五泉美人(れんこん)」、「やわ肌ねぎ」とともに生産に力を入れているのが「帛乙女(きぬおとめ)」と呼ばれる里芋。五泉市では、昔から各農家で自家野菜として里芋が栽培されており、今では新潟県内1位の生産量(五泉市HPより:令和元年度)を誇る産地となっている。「帛乙女」は、皮を剥くと真っ白で、独特のぬめりを持ち、なめらか���舌触りが特徴。煮崩れしにくいことから煮物料理に向いている。その肌の白さから、五泉市の伝統産業である絹織物にたとえられ、「帛乙女(きぬおとめ)」と名付けられた。この、五泉市に伝わる郷土料理のひとつの「いもみそ」は、秋に里芋が採れると各家庭でつくって食べていた。里芋をだし汁と味噌で煮たシンプルな料理で、ねっとりとした味噌が里芋によく絡む。特に、粒の小さい里芋が沢山あるときは、「いもみそ」がよく食卓にならんだ。 + +## 食習の機会や時季 +五泉市では、昭和45年(1970年)に稲作の減反政策などを受けて本格的な栽培が始まった。大和早生(やまとわせ)という丸芋系品種をおよそ20年かけて品種改良に取り組み、優良な品質をつくり上げた。昭和62年(1987年)には県内で唯一「国の指定産地」を受けて生産量は県下一となる。里芋の収穫は、主に9月から11月にかけて行われる。貯蔵性があり通年出回るが、以前は秋に畑の里芋が採れると、どの家庭も「いもみそ」をつくって食べた。 + +## 飲食方法 +皮を剥いた里芋を食べやすい大きさに切って、出汁と味噌で煮る。「いもみそ」は、里芋のぬめりを活かした料理のため、皮をむいた後や切り分けた後に洗いすぎないようにし、ぬめりを残すようにする。里芋が煮くずれるまでコトコト煮つめるのがコツ。あたたかいご飯に、とろとろの「いもみそ」がよく合う。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 里芋: 500g +- 味噌: 50g +- 砂糖: 大さじ1と 1/2 +- 煮干し: 5本 +- 水: 3カップ +- 柚子: 適宜 + +## 作り方 +1. 煮干しを5本くらい使って出汁をとる。 +2. 里芋は皮をむいて好みの大きさに切り、1をひたひたになるくらいに入れ、味噌大さじ1と砂糖を入れて煮る。 +3. 2が煮上がるころ、残りの味噌を入れて少し煮る。煮汁が少し残るくらいで火を止めて、器に盛る。好みで千切りにした柚子の皮を添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「にいがたのおかず郷土の食材と料理」(著:新潟県食生活改善推進委員協議会、出版:開港舎) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_28_1.jpg)" +"# 飯ずし 新潟県 + +**郷土料理名**: 飯ずし + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +村上市 + +## 主な使用食材 +米、糀、サケ、数の子、タラ、れんこん、人参、柚子 + +## 歴史・由来・関連行事 +村上市に古くから伝わる「飯ずし」は、なれずし(熟寿司)の一種で、保存食として生まれた。サケの薄切りと、数の子、人参、大根、ハラコ(イクラ)、氷頭(ひず)、柚子をごはんと麹に漬け込んで発酵させた郷土料理で、毎冬その日の温度や発酵の段階によって重しを変えながら、出来上がりのタイミングを待つ。低温でゆっくり発酵させることで麹の酸味や香り、甘味が穏やかに仕上がる。サケは、村上市特産の塩引きサケを使う。塩引きサケとは、秋に三面川で獲れた雄サケの内臓とエラを取り出して塩をすり込み、数日おいて水洗いして寒風干しにしたものである。12月頃村上市内では、軒先に塩引き鮭をつるす風景が各地で見られる。その干したサケを入れ、具材には、米、野菜が入るため、主食、副菜、主菜が同時にとれている豪華な一品である。主に北海道から東北にかけての寒い地域で盛んにつくられている郷土料理で、お正月の味として古くから親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +村上地方では、11月頃になるとお正月に向けて各家庭でつくられていた。冬場の保存食のほか、お正月には欠かせないご馳走だった。 + +## 飲食方法 +そのまま食べたり、お酒との相性が良いので、酒の肴として少量づつ珍味としていただくことが多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5リットルの容器1個分) +- 塩サケの切り身: 1kg +- カズノコ: 300~500g +- サケのはらこ: 100g +- スルメ: 2枚(身が厚いもの) +- 柚子: 1~2個 +- すきみタラ: 3袋 +- 青豆: 1合 +- サケの氷頭: 1匹分 +- れんこん: 1節 +- 人参: 1~2本 +- 干し大根: 中2本 +- 米: 各1升 +- 塩: 大さじ4 +- 酢: 適宜 +- 笹の葉: 100枚 +- 重石: 5kgくらい(押しぶた数枚) +- 酒: 適宜 +- 麴: 各1升 + +## 作り方 +1. 【下準備 手順1】干物は水に浸してやわらかくする。塩ものは塩出しする。塩サケは食べやすい大きさに切り、皮と骨をはずして酒に��けておく。はらこは湯通しし、水洗いしてざるに上げて水気を切る。 +2. 【下準備 手順2】スルメは水でもどして短冊切りにする。青豆は一晩水につけ、ゆでて水を切っておく。サケの氷頭は薄切りにして、たっぷりの酢に長時間漬けておく。 +3. 【下準備 手順3】れんこんは2~3cm長さの輪切りにし、酢水でさっとゆがく。柚子は千切り、人参と大根は短冊切りにし、塩でもんでしぼっておく。笹は熱湯に通し、水気をふき取っておく。 +4. 【漬ける 手順1】ごはんは普通に炊く。麴は細かくほぐす。ごはんを器に移し、一息抜いたら麴を混ぜる。さめないうちに、表面にぬれタオルをかけ、器の蓋になるように新聞紙を3~4枚かけて、その上にビニールをかける。 +5. 【漬ける 手順2】座布団を2枚重ねた上に2Lのペットボトル2本に湯を入れて横にし、その上に4の器をおき、毛布をかぶせて温度が下がらないようにし、一晩おく。その後布団から出してさます。 +6. 【漬ける 手順3】具と5のごはんを4~5等分する。洗ってよくふいた容器に笹を敷き、その上にごはんと具を交互に重ねる。最後に笹をのせて中ぶたをし、重石をのせてふたをする。さらにビニール袋などで覆う。 +7. 【漬ける 手順4】寒い場所において、1~2週間くらいでできあがり。1段ずつ取り出して食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「にいがたのおかず郷土の食材と料理」(著:新潟県食生活改善推進委員協議会、出版:開港舎) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_29_1.jpg)" +"# 赤かぶ漬け 新潟県 + +**郷土料理名**: 赤かぶ漬け + +**都道府県**: 新潟県 + +## 主な伝承地域 +村上市山北地域(一部周辺) + +## 主な使用食材 +赤かぶ、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +山形県との県境に位置する村上市山北地区では、8月の中旬頃に焼畑が行われ、そこに種を蒔き赤かぶを育てる。焼畑は、耕地の乏しい山間部でよく行われていた原始農法のひとつだが、時代の流れと供に衰退した。現在では、村上市山北地区、山形県鶴岡市(旧西田川郡温海町)、宮崎県東臼杵郡椎葉村のみでしか行われていない。新潟県では、山北地区と山形県鶴岡市の山地が赤かぶの栽培適地といわれ、この地域で採れるかぶで「赤かぶ漬け」がつくられる。山の斜面で育つ山北の赤かぶは、他所の地域や畑では独特の赤色が出ないといわれており、鮮やかな赤色に染まるのは、赤かぶが持つ素材来の色素によるものである。焼畑にすることで土壌を殺菌して焼けた後の灰は良質な肥料となり、色濃く、形もきれいな扁平(へんぺい)になり、歯応えの良いものが育つという。収穫したかぶは丁寧に下処理をして漬けられる。地元笹川流れの海水を釜炊きしてつくった塩を使ってつくることもある。雪深い地域では、長い冬の保存食として食べられていた。 + +## 食習の機会や時季 +晩秋、寒さが増す11月頃になると赤かぶの収穫が行われる。採ったかぶは、塩、酢、砂糖、焼酎を合わせた調味液に漬け込み、酢漬けにした。長期保存を目的とし、寒さが厳しくなった頃につくられ食べられている。 + +## 飲食方法 +各家庭でそれぞれの漬け方や調味料の配合があり、時期によって温度・湿度も変わるため出来上がりは少しづつ異なる。切り方も早く食べる場合は薄くスライスしたり、細く切って「千切り漬け」にし、長期保存する場合は厚めに切る「切り漬け」や「丸漬け」にする。できあがった赤かぶ漬けは、そのまま食べたり、お茶請けとしていただいた。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (漬物容器1個分) +- 赤かぶ: 1kg +- 【調味料A】塩: 大さじ3 +- 【調味料A】水: 2カップ +- 【調味料B】三杯酢: 大さじ4 +- 【調味料B】砂糖: 80g +- 【調味料B】焼酎: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 赤かぶはよく洗い、調味料Aで1週間漬ける。 +2. 下漬けをしたかぶをざるに上げ、水気を切る。 +3. 調味料Bをボウルの中でよく混ぜておく。 +4. 3に下漬けしたかぶをからませて、樽に入れて重石をし、1週間くらい漬け込む。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「にいがたのおかず郷土の食材と料理」(著:新潟県食生活改善推進委員協議会、出版:開港舎) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_30_1.jpg)" +"# ほたるいかの酢味噌和え 富山県 + +**郷土料理名**: ほたるいかの酢味噌和え + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +ホタルイカ、ワケギ、辛子酢味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +「ほたるいかの酢味噌和え」は富山の春を代表する料理。ホタルイカは水深の深いところに生息しているが、3月頃になると産卵のため富山湾沿岸に集まり、毎年決まった期間だけ水揚げされる。富山県屈指の漁獲量を誇る滑川漁港。江戸時代には既にこの地で、ホタルイカの漁が行われていたとわかる史料も残っている。全身が青白く光るホタルイカは「富山湾の神秘」と呼ばれ、群れで浅瀬を漂う様子は幻想的。「ホタルイカ群遊海面」として国の特別天然記念物に指定されている。定置網で漁獲する富山湾のホタルイカは傷が少なく、漁場と漁港が近いため鮮度がいい。また漁期には、ホタルイカ漁の保護のため水田の水を海に流さない取り組みも行われている。新鮮なうちにゆでるホタルイカは格別で、「ほたるいかの酢味噌和え」は最もポピュラーな料理。ホタルイカはゆでると胴がまるくなりつやが出て、中はトロッとしていて外はプリプリの食感に。 + +## 食習の機会や時季 +ホタルイカの漁は3月に解禁され、6月頃まで水揚げが行われるため、春から初夏にかけて最も食される。富山に春の訪れを知らせる味覚であり、特にホタルイカの漁場がある港町ではこの時期になると、家庭で毎週のように食卓にのぼる。アサツキやワケギを添えると彩りがよく、おもてなしの一品としても振る舞われる。酒のつまみとしても欠かせない存在。 + +## 飲食方法 +水に塩を加え沸騰させたらホタルイカを入れてゆで上げ目を取る(水産加工業者や料理店などではゆでてから目を取るが、家庭では食べる時に個人個人で取るが多い)。ワケギもゆで水気を取り食べやすい長さに切る。ワケギをホタルイカに添えたら、味噌、酢、辛子、砂糖などを合わせた辛子酢味噌をかける。ワケギのほか、ワカメ、ミョウガ、ショウガなどを添えるのもおすすめ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ホタルイカ: 20匹 +- ワケギ: 1束 +- 生ワカメ: 40g +- 【酢味噌】味噌: 大さじ1.5 +- 【酢味噌】砂糖: 大さじ1 +- 【酢味噌】酢: 大さじ2 +- 【酢味噌】練り辛子: 小さじ1 + +## 作り方 +1. ホタルイカは熱湯に塩を入れ再沸騰後1分間茹でて、ざるに取り出す。すぐに冷水をくぐらせてから水切りし、目を除く。 +2. ワケギはサッと熱湯に通して水にとり、水切りしたあと、3~4cm長さに切る。 +3. 生ワカメは3~4cm長さに切りし、サッと熱湯に通して水にとり、水切りをする。 +4. ホタルイカとワケギ、生ワカメを酢味噌で和える。※酢味噌を、市販品で代用してもよい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「富山の家庭料理」メニュー集(富山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_1_1.jpg)" +"# たら汁 富山県 + +**郷土料理名**: たら汁 + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +朝日町 + +## 主な使用食材 +スケソウダラ、ごぼう、長ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +富山県の東端にある朝日町は、山側に北アルプス、日本海側にはヒスイの原石が採れる美しいヒスイ海岸が広がる自然豊かな土地。「たら汁」はこの町で発祥した伝統的な汁物である。海岸沿いの国道8号周辺には「たら汁」を提供する店が立ち並び「たら汁街道」とも呼ばれる。朝日町はかつてタラの水揚げ量が豊富で、漁へ出た男たちを温かく出迎えようと漁師の女房たちが流木を集め大鍋を沸かし、味噌とタラを入れ煮込んで作ったのがはじまり。漁に携わった人たちみんなで大鍋を囲み浜辺で円座になって食べていた。美味しさの決め手は、スケソウダラを一匹まるごとぶつ切りにして、身、頭、肝、白子、真子を使って豪快に煮込むこと。鮮度が落ちやすいタラは当時、地元の浜辺で干ダラや一本焼きにして売られていたが、現在は海水温の上昇からか地元ではほとんど獲れず、東北や北海道産が使われている。 + +## 食習の機会や時季 +タラ漁が盛んだった昭和30~40年代は、舟が小さく冬は漁に出られる日があまりなかったため、スケソウダラが獲れるのは夏秋であった。現在は町の名物料理として季節を問わず一般的に���べられるようになっているが、タラの白子や真子(たらこ)が成長する12~2月頃はタラの旨みがより増すことから冬に好んで食す人も多い。簡単に調理できることから家庭でも日常的に食べられている。 + +## 飲食方法 +新鮮なタラのはらわたを取り出しぶつ切りにする。その際、キモ(肝臓)は別にしておく。ごぼうはささがきにし、水にさらしてあくを抜いておく。鍋に水を入れ沸騰させたら、味噌を入れてタラの身とキモを加え、煮立ったらあくを取りながら煮る。タラの身が白くなったら、味噌とごぼうを加え、蓋をし、さっと煮立て火を止める。仕上げに刻んだねぎを散らすと彩りが良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- スケソウダラ: 2匹 +- ごぼう: 適量 +- 長ねぎ: 適量 +- 味噌: 大さじ3 +- 水: 4カップ + +## 作り方 +1. タラのウロコを取り、あごの下からお腹を開く。 +2. 内臓を取り出し、キモ(肝臓)と白子・真子は別に取っておく。 +3. 血合いはブラシを使って除き、流水でよく洗う。 +4. 2cmほどのぶつ切りにする。 +5. ごぼうはささがきにし、水にさらしてあくを抜く。 +6. 鍋に水を入れて火にかける。 +7. 沸騰したら、味噌を分量の2/3入れ、タラの身とキモ・白子・真子を入れる。 +8. 煮立ったらこまめにあくを取りながら煮る。 +9. タラの身が白くなったら、残りの味噌とごぼうを入れ鍋のふたをして火を止める。仕上げにねぎを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : (一社)朝日町観光協会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_2_1.jpg)" +"# 酢ずき 富山県 + +**郷土料理名**: 酢ずき + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +ずいき + +## 歴史・由来・関連行事 +ずいきと呼ばれる里芋の葉柄(茎と葉の間の部分)を酢漬けにした料理。すっきりとした口当たり、シャキシャキとした歯ごたえが後を引く、昔から食べ継がれている酢の物である。ヤツガシラやエビイモの茎である赤ずいき、ヤツガシラなどを軟白栽培した白ずいき、ハスイモの茎である青ずいきがあるが、一般的にずいきといえば赤ずいきのことを指す。同じ北陸地域の福井では「すこ」とも呼ばれる。里芋の一種であるヤツガシラのずいきを使うのが一般的で、酢に漬けることで赤色が鮮やかに発色する。血液をきれいにしてくれるともいわれており、富山では産後の女性が食べる食材としても広く知られている。生のずいきを使った料理が作られるのは収穫時期にあたる夏から秋頃までになるが、干して乾燥させ保存食としても利用するため、旬の時期以外では、煮物や炒め物にして登場する。また干すことで日持ちがするだけではなく、栄養価も高まる。 + +## 食習の機会や時季 +収穫時期は、夏から秋の初め頃までのため、その時期の食卓によく登場する家庭料理である。酢を効かせているので、たくさん作って常備菜として保存ができるのも利点。また、お盆や秋祭りにも出される一品で、鮮やかな色味が華を添える。 + +## 飲食方法 +ずいきは洗ったら皮をむいて、4センチぐらいの長さにざく切りにする。水につけてあくを抜く。あくを抜いたずいきを鍋に入れて、しんなりするまでから煎りにする。しんなりしたら酢を振りかける。冷めたら甘酢で和えて冷蔵庫に入れておく。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 赤ずいき(生): 400g +- 酢: 大さじ2 +- 【甘酢】酢: 大さじ2 +- 【甘酢】砂糖: 大さじ2 +- 【甘酢】しょうゆ: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 赤ずいきを洗って皮をむき、4cm程度の長さに切る。太い部分は縦にさいて太さをそろえると、熱の伝わり方が均等になる。20~30分ほど水にさらすとあくが出る。ざるにとって水気を切る。 +2. 赤ずいきを鍋に入れ、中火でから煎りする(油は不要)。 +3. しんなりしてきたら酢を加えて混ぜる。赤色に変わったら火を止める。 +4. 冷めたら甘酢で和え、味をなじませる。※赤ずいき(ヤツガシラの茎の部分)の皮をむく時には、使い捨ての手袋などを使うと手や爪が黒くならなくて良い。黒くなってしまったときには酢水につけて洗う。その後、何回か石鹸で手洗いをすることで薄くなっていく。※から煎りとは、油を入れず炒めること※甘酢を、市販品で代用することもで���る + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「富山の家庭料理」メニュー集(富山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_3_1.jpg)" +"# ぶり大根 富山県 + +**郷土料理名**: ぶり大根 + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +ブリ、ダイコン + +## 歴史・由来・関連行事 +晩秋から初冬にかけて、猛烈な風が吹き荒れ雷が激しく鳴り響く天候を富山では「ぶり起こし」と呼び、富山湾のブリ漁が最盛期を迎える頃といわれている。この時期に捕れる寒ブリは特に脂がのっていて身が締まっており、漁が盛んな氷見市で捕れるブリは味の良さから「ひみ寒ブリ」としてブランド化もされている。ブリは捨てるところがほとんどない魚であらゆる部位が生かされ、いくつもの料理が生み出されてきた。あらを使った「ブリ大根」は、大根とともにじっくり煮込む体の温まるブリ料理の代表格。氷見市など海沿いの一部地域では、結婚したその年のお歳暮にお嫁さんの実家から嫁ぎ先へ一本ブリを贈ることを「嫁ブリ」と呼び、そして頂いた側は、その半身をお嫁さんの実家へ返す「半身返し」を行う風習が残っている。このような祝い事をはじめ神事などにもブリは欠かせない存在で、その度に「ブリ大根」も作られてきた。 + +## 食習の機会や時季 +ブリのシーズンである冬場は家でも飲食店でも日常的に作られ食されている。庶民的な家庭料理である一方、成長するごとに名前を変え値打ちを上げるブリは出世魚と呼ばれて縁起がいいため、正月などのおめでたい日にも並ぶ一品である。 + +## 飲食方法 +ブリのあらは水洗いしたら熱湯にくぐらせ血合いやぬめりを取る。ダイコンは厚めに輪切りにする。鍋にブリ、ダイコン、酒を入れ、煮立てる。煮上がったらあくをとる。ダイコンが柔らかくなったら醤油や砂糖などの調味料を入れ味が染みるまで煮込んでゆく。一晩置くとさらに味が染み込み、こっくりとした味わいに。家庭によって、醤油ベースではなく、味噌ベースの味付けをすることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ブリのあら: 8切れ +- ダイコン: 中1本 +- 水: カップ6 +- 酒: カップ1 +- みりん: カップ1/2 +- 醤油: カップ1/2 + +## 作り方 +1. ダイコンは1~1.5cmの輪切りにし、やわらかくなるまでゆでておく。 +2. ブリは熱湯の中にサッと通す。すぐに水にとり、ざるで水切りしておく。 +3. 鍋に水と調味料、ブリと、ダイコンを入れて煮る。浮いているあくはこまめに取り除く。 +4. 煮えたら火を止めてしばらく置いて、再度煮る。そうすると味が良く染み込む。※圧力鍋で煮ても、早くて美味しく出来上がります。※米のとぎ汁でダイコンを茹でると、えぐみを除きやすくなります。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「富山の家庭料理」メニュー集(富山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_4_1.jpg)" +"# かぶらずし 富山県 + +**郷土料理名**: かぶらずし + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県西部 + +## 主な使用食材 +かぶ、ブリ(ほか、サバなど)、にんじん、甘酒麹 + +## 歴史・由来・関連行事 +「かぶらずし」は、塩漬けにしたかぶに切り込みを入れブリなどを挟み、糀を使いじっくり発酵させた、酸味と旨みのバランスが絶妙ななれずしの一種。冬のご馳走であり正月料理に欠かせない一品。加賀藩の時代から脈々と伝わる石川県でもお馴染みの郷土料理ではあるが、富山県の西部地域もかつて加賀藩に属していたことから加賀の文化と通じるところが今も多く、それゆえ「かぶらずし」が郷土の味として根付いている。発祥には諸説あるが、前田藩主が湯治のため深谷温泉(金沢市)を訪れた際に提供した料理のひとつであった説や、当時武士しか食べられなかったブリを農民が見つからないようにかぶに隠して食べたのが始まりともいわれている。砺波市と南砺市にまたがる砺波平野はかぶの産地として有名で、稲作が終わるとかぶの栽培がスタート。毎年10月下旬に重さ1kg以上にもなる大かぶが収穫される。富山ではブリ以外にサバ、サケ、マスなども使われる。 + +## 食習の機会や時季 +かぶの収穫を終えると、11月下旬頃から「かぶらずし」作りがメーカーや家庭など��本格化。この時期、富山で採れる大かぶは、みずみずしく寒さによって甘みが凝縮されているのが特徴。正月を彩るハレの日の料理として古くから多くの家庭で食されてる。「かぶらずし」は冬の味覚であるが、かぶの代わりにダイコンを使った通年味わえる大根寿司なるものもある。 + +## 飲食方法 +かぶは厚く皮をむき中心の柔らかい部分を使う。2センチほどの厚さに輪切りにしたら中心に切り目を入れて塩をふり、一晩置く。削ぎ切りにしたサバを、塩で漬けておいたかぶに挟む。樽を用意し甘酒麹、サバを挟んだかぶ、にんじん、ゆず、しょうがの千切りを交互に並べ、蓋をして重石をのせる。約2週間熟成させれば食べることができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- かぶ: 5個 +- しめサバ: 1尾分 +- 塩: 3g +- 米麹: 100g +- ご飯: 1合 +- 人参: 1/2本 +- 生姜: 適宜 +- ゆず: 適量 + +## 作り方 +1. かぶを2cmの厚さの輪切りにし、中心に切り目を入れ、塩をして、一晩置く。 +2. 米こうじとご飯を混ぜ、一晩置く。 +3. そぎ切りにしたしめサバを1にはさむ。人参、生姜、ゆずは千切りにする。 +4. 桶に米麹、しめサバ、人参、生姜、ゆずの千切りを交互に並べ、蓋をして、重石を置く。 +5. 約2週間熟成させる。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_5_1.jpg)" +"# いとこ煮/にざい 富山県 + +**郷土料理名**: いとこ煮/にざい + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小豆、ごぼう、大根、にんじん、里芋、こんにゃく、油揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +浄土真宗の信仰文化が強く根付き、真宗王国とも呼ばれる富山県。開祖・親鸞聖人の命日に行う大切な法要、報恩講の際に作られる料理のひとつが、この「いとこ煮」だ。親鸞聖人の好物であったといわれる小豆とともに、ごぼう、大根、にんじん、里芋といった根菜類などを煮込む。滋養豊富で秋から冬にかけての寒い季節に美味しい煮物料理である。名前の由来は、いとこの間柄のような近しい種類の根菜が入ることや、硬いものから追々煮ていくため “追々”が“甥甥”に通じること、また、親鸞聖人の遺徳を偲ぶので“遺徳(いとく)”が訛ったという説など、謂れはいくつか存在する。地域によって入れる野菜はさまざまで、味付けも味噌や醤油と異なるが、小豆は必ず入る。黒部市などの県東部では「煮た菜」から「にざい」と呼ばれていて、他の地域に比べると材料の切り方が少し大きいのが特徴だ。 + +## 食習の機会や時季 +親鸞聖人の命日11月28日前後に行われる報恩講の際に、お寺や家庭で振る舞われる。特に五箇山では「おつけ」として提供される料理である。そのほか、収穫祭などでも食べられていたり、具だくさんの温かい汁は冬の食卓に上ることもある。また、いとこ煮という名の料理は富山県以外の地域でも多く存在しており、小豆とかぼちゃを煮たものや、小豆と白玉団子などを煮たものなど、地域によってさまざまである。 + +## 飲食方法 +小豆を柔らかく煮る。大根、にんじん、里芋、ごぼうは皮をむき、さいの目に切る。ごぼうは切った後に、水にさらしアクを抜いておく。油揚げとこんにゃくは湯通しを行い、こちらもさいの目に切る。鍋に野菜、油揚げ、こんにゃく、そして水を加えて煮込んでゆく。野菜が柔らかくなったら茹でておいた小豆を加え調味料で味を整え、ゆっくり味を含ませる。小豆が割れたり煮崩れすると見た目が悪いので、煮過ぎないように気をつける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根: 80g +- ごぼう: 20g +- にんじん: 25g +- 里芋: 130g +- 板こんにゃく: 1/3枚 +- 厚揚げ: 1/3枚 +- 焼き豆腐: 1/3丁 +- 小豆: 1/3カップ +- 水: 適量 +- 【調味料】味噌: 大さじ1 +- 【調味料】しょうゆ: 大さじ1 +- 【調味料】だし汁: 3カップ + +## 作り方 +1. 小豆はたっぷりの水に入れて沸騰させる。中火で5分ほど煮る。小豆をざるにとり、新しい水で小豆を煮る。沸騰までは強火。沸騰後は弱火にして硬めにゆでる。 +2. 大根・焼き豆腐・厚揚げは1.5~2cm角切り。にんじんはいちょう切り。ごぼうは1cm厚さの輪切りにして水にさらし、アク抜きする。里芋は下茹でし、大根よりも大きめに切る。こんにゃくはごぼうと同じくらいの大きさに手でちぎる。 +3. だし汁に大根とごぼうを入れて煮立て、中火で煮る。大根が軟らかくなったら、にんじん、里芋、小豆、こんにゃくを加えて煮る。 +4. 3が軟らかくなったら、厚揚げ、焼き豆腐を加え、味噌、醤油も加えて3分ほど煮て味を調え、火を止める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「富山の家庭料理」メニュー集(富山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_6_1.jpg)" +"# とろろ昆布のおにぎり 富山県 + +**郷土料理名**: とろろ昆布のおにぎり + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +白と黒のとろろ昆布、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +おにぎりといえば海苔ではなくとろろ昆布を巻くのが富山県民の定番で、とろろ昆布を使った料理の代名詞。富山県は昆布の消費量が全国屈指ではあるが、実は県内で昆布はほとんど採れない。富山における昆布文化のはじまりは、江戸時代に日本海沿岸を運行していた北前船に起因する。各地の特産品を輸送していた北前船は富山(越中)も寄港地にしており、その際とりわけ北海道産の昆布が大量に購入されていた。また、明治時代には開拓者として北海道に移住した大勢の富山県民が、故郷にいる親類に昆布を送るなどの交流が生まれたことも深く関係している。現在もほとんどが北海道産である。とろろ昆布は、酢漬けにした数種類の昆布を重ねてから固め、その表面を削り出して作られる。削る過程で表面の黒いとろろから中心の白いとろろへと変化する。富山県独特の黒とろろは酸味が強く、白とろろは酸味が控えめでソフトな食感。程よい酸味と旨みのバランスが絶妙なとろろ昆布はふっくら炊いた白米との相性が抜群である。 + +## 食習の機会や時季 +長期保存ができるため、とろろ昆布はほとんどの家庭で常備されている。とろろ昆布のおにぎりは、普段のお弁当はもちろん、町内の会合、祭り、子供の運動会、遠足など、人が集まる時には決まって作られており、子どもにも大人にも人気の料理。海苔のおにぎりと違い、時間が経過してもふわっとした柔らかさを保つことができるのも魅力。 + +## 飲食方法 +とろろ昆布は白と黒の両方を用意し、ほぐしてからそれぞれをお皿、またはラップに広げておく。ご飯を炊きおにぎりを握りとろろ昆布の上に置いたら、おにぎりを転がし昆布を全体にまとわせる。やさしく包み込むように巻くのがポイント。中の具は梅干しなどのほか、昆布の佃煮を入れてダブル昆布のおにぎりを作る人も。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (おにぎり6個分) +- ご飯: 2合(約300g) +- 黒とろろ: 30g +- 梅干し: 3個 +- たらこ: 半本 +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. お皿もしくは紙などの上に、黒とろろ昆布をまんべんなく広げる。 +2. 梅干しは種をとっておき、たらこは一口大に切っておく。 +3. ボウルに炊き上がったご飯を移し、塩を均一に混ぜ込む。 +4. 具材を真ん中に入れて、おにぎりの形を整える。 +5. おにぎりの表面に黒とろろ昆布をたっぷりとまぶす。 +6. 無駄がでないように、昆布はしっかりと密着させる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 高岡食のブランド推進実行委員会(資料提供:株式会社 室屋) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_7_1.jpg)" +"# おせずし 富山県 + +**郷土料理名**: おせずし + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +魚津市、黒部市、入善町、朝日町の新川地区など + +## 主な使用食材 +米、サバ、海苔 + +## 歴史・由来・関連行事 +ます寿司や笹寿司など、押し寿司のバリエーションに富んでいる富山県。「押しずし」が訛ったことが名前の由来といわれる「おせずし」もその一種。富山湾に面し山岳地帯は2,000m級もの山々が聳える標高差の大きい魚津市や黒部市などの新川地区で特に親しまれている料理だ。焼いたサバのほぐし身を甘酢で味付けし酢飯で挟んだら海苔をのせ、上から重石でぎゅっと押し固め一晩置くと出来上がる。四角い形に切るのも特徴のひとつ。その昔、「魚ご飯」といってご飯の間に魚を挟んで食べていたのが「おせずし」のはじまりといわれており、酢飯を使うようになり現在のかたちへ変化していった。サバを使用す���のが一般的だが、家庭によってはアジやニギス、サケなどその時々に捕れる魚で作られる。 + +## 食習の機会や時季 +魚津市内で行われる春祭りや、8月の「たてもん祭り」といった伝統行事をはじめ、ハレの日や仏事の時のおもてなし料理として作られている。その際、一升のお米を使い大きな「おせずし 」を作ることもあり、切り分けずに大きいまま大皿に豪快にのせて振る舞われる。 + +## 飲食方法 +二杯酢を入れてご飯を炊き上げたら、砂糖と塩を混ぜて冷まし三等分にしておく。サバは焼いたら身をほぐし、酢などを合わせた調味液に漬けておく。押し型の内側に酢をふり、底板に酢飯を平たく広げたら、魚のほぐし身を散らす。さらに酢飯を重ね、板のりをのせたら上から仕切り板を置く。1段目と同じ要領で、2段目と3段目もご飯、サバ、海苔を重ねたら上蓋をして重しをのせて一晩置いたら完成。サバなど魚のほぐし身とともに、クルミや木の芽などを入れても美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ご飯: 800g +- 焼きさば: 80g +- 【A】酢: 40ml +- 【A】砂糖: 大さじ1 +- 【A】塩: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 【A】の合わせ酢を作り、そのうち大さじ1を焼きさばにかけておく。残りはご飯に混ぜ合わせ寿司飯を作る。 +2. 型に半量の寿司飯を入れ平らにならし、さばを散らしさらに寿司飯をのせ最後に板海苔をのせる。 +3. 押し蓋をした上から重石をのせ、一晩おく。 +4. 型から外し、好みの大きさに切り、器に盛る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「富山の家庭料理」メニュー集(富山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_8_1.jpg)" +"# 白えびのかき揚げ 富山県 + +**郷土料理名**: 白えびのかき揚げ + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +富山市、射水市 + +## 主な使用食材 +シロエビ、タマネギ、ニンジン + +## 歴史・由来・関連行事 +特徴的な地形と、異なる性質の海水が重なる水産資源豊富な富山湾。深海に生息する透き通った淡いピンク色に輝くシロエビは「富山湾の宝石」と称され、漁が成り立つほど漁獲されるのは全国でも富山だけで、主な水揚げ漁港は新湊漁港、岩瀬漁港の2港。ブリ、ホタルイカとともに「富山県のさかな」に指定されてもいる。かつては、殻ごと干しエビにして出しを取るために使われることがほとんどであったシロエビ。冷凍技術の向上によりむき身にすることが容易となり、また鮮度を保つことが可能となったことで、とろりとした食感と上品な甘さをもつシロエビの美味しさが見直された。飲食店では刺身や寿司ネタとして人気だが、家庭では「白えびのかき揚げ」も親しまれている。カラッと揚がったシロエビはサクサクで香ばしく、独特の甘みを堪能できる。ほかのエビと違い火を通しても赤くならないという点も特徴のひとつ。 + +## 食習の機会や時季 +シロエビの漁期は決まっており4~11月ではあるが、水揚げされた後、新鮮なうちに急速冷凍されるため一年中楽しむことができる。そのため、家庭や飲食店でも季節を問わず作られている料理となっている。 + +## 飲食方法 +シロエビの頭とひげ、尾を取り水分を切っておく。タマネギは薄切りにし、ニンジンは千切りにする。卵を水で溶いて天ぷら粉を加え、タマネギとニンジンを入れ混ぜたら、シロエビと塩を少し入れ混ぜる。適量を木じゃくしなどですくって、油の中へ入れ揚げる。油は高温にせず一定の温度に保ち、衣も薄めにして揚げるのがポイント。殻ごと揚げると香ばしさが楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 白エビ: 80g +- 玉ねぎ: 100g +- さやにんじん: 25g +- いんげん: 25g +- 揚げ油: 適宜 +- 小麦粉: 1/2個 +- 卵: 適宜 +- 塩、抹茶塩: 少々 +- 酒: 少々 + +## 作り方 +1. 白エビは水で洗い、水気を切る。 +2. 玉ねぎはうす切り、さやいんげんは、ななめうす切り。人参はせん切りにしておく。 +3. ボウルに小麦粉、塩少々、酒少々、卵1/2個、水100mLを入れて2を入れざっくりと混ぜる。※酒を入れても美味しいです。 +4. 天ぷら鍋に油を入れ170~180℃になったら3をお玉にのせて、その上に小麦粉をまぶしたシロエビを飾るようにのせて揚げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「富山の家庭料理」メニュー集(富山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_9_1.jpg)" +"# 昆布巻き 富山県 + +**郷土料理名**: 昆布巻き + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +昆布、身欠きニシン、かんぴょう + +## 歴史・由来・関連行事 +江戸時代、日本海を往来する北前船により北海道からたくさんの昆布が運ばれていたことをきっかけに、今日の昆布王国・富山が築かれた。いくつもの昆布料理が受け継がれてきているが、昆布で魚等を巻き上げた「昆布巻き」は、正月をはじめとしたハレの日のごちそうとして欠かせない料理となっている。代表的なのは身欠きニシンを使った昆布巻き。ニシンも当時北前船により北海道から昆布とともに大量にもたらされたものである。じっくり時間をかけて甘く煮付けてゆく「昆布巻き」は、厚みがありながらも昆布はとろっとやわらかく、中のニシンまでしっかりと味が染み込んでいる。ニシン以外に、富山湾で取れるイワシ、ホタルイカ、ブリ、タラコなど、旬の素材を巻いて作ることも。富山以外に、お隣の石川や福井でもお馴染みの料理である。 + +## 食習の機会や時季 +昆布は「よろこぶ」という語呂から縁起が良い食材として用いられることが多い。それゆえ「昆布巻き」もその年の円満を願い正月に食される料理である。また、お祝い事だけではなく普段の食卓にものぼる料理。 + +## 飲食方法 +身欠きニシンは米のとぎ汁の中に一日漬けておき戻した後、ゆでる。昆布もしばらく水につけて戻す。このとき、昆布をつけておいた水はとっておく。かんぴょうは水で洗い半分にさく。ニシンを昆布で巻きかんぴょうで結んだら、昆布を戻した際の水を使いゆっくり柔らかくなるまで煮込む。醤油などの調味料を2回に分けて加え、じっくり味を染み込ませてゆく。仕上げに水あめを入れることで照りが生まれる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 身欠きニシン: 2本 +- 米のとぎ汁: 適量 +- 昆布: 8×10cmを4枚 +- 干ぴょう: 60cm +- 酢: 少々 +- 砂糖: 大さじ1 +- しょうゆ: 大さじ1 +- 酒: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 身欠きニシンは、米のとぎ汁に一晩つけてもどし、アクをぬく。 +2. 昆布は砂をふきとり、水をくぐらせ、しんなりしたら、半分に切ったニシンを巻き、干ぴょうで結ぶ。 +3. 2を水から煮て、酢を少々入れ、やわらかくなるまで弱火で煮る。やわらかくなったら調味料を半量ずつ2回に分けて入れ、ゆっくり味を含ませる。※昆布はミネラル豊富で低エネルギー食品です。※中に巻く材料として、ニシンのほかに、タラコ、鮭、油揚げ、人参を入れてもおいしく召し上がれます。※昆布巻きは市販もされていますが、味付けが濃い場合が多いので、家庭で薄味の昆布巻きを作ってみては。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「富山の家庭料理」メニュー集(富山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_10_1.jpg)" +"# 黒豆おこわ/みたま 富山県 + +**郷土料理名**: 黒豆おこわ/みたま + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県東部 + +## 主な使用食材 +もち米、黒豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +富山県の東部地域で主に食べられている「黒豆おこわ」。別名、「みたま」や「白ごわい」とも呼ばれている。正月などのおめでたい日には小豆などを使った赤飯、その他の祭りなどの行事の際には黒豆を使った「黒豆おこわ」が作られていた。現在は県内のほぼ全域で葬式や法事といった弔事の時に食されている。仏前に供えたり、直会の席での御膳に出されたり、引き出物として頂く事も。黒部市の宇奈月地区では、黒豆とともに在来種の雑穀イナキビを加えた「きびおこわ」を秋にこしらえ、神棚や仏壇にお供えする習慣がある。黒部川から吹く“あらせ”という冷たい風と良質な名水で栽培される黒部市のイナキビは、ミネラル豊富で風味豊か。黒豆と黄色くてつやのあるイナキビのコントラストが美しいおこわとなっている。 + +## 食習の機会や時季 +一年を通じて、葬式や法事の時に作られる。黒部市の「きびおこわ」は秋に食べられている。 + +## 飲食方法 +黒豆をかために煮上げたら、砂糖や塩を加えて一煮立ちさせる。蒸し器を用意しぬれ布巾を敷き、その上にもち米を広げて15分ほど蒸す。その後打ち水をして蒸す。数分後再度打ち水を行ったらまた蒸して、計30分ほどで出来上がる。かためが好みの場合は、打ち水は1回でも良い。ご飯が熱いうちに煮汁をよく切った黒豆を混ぜて、出来上がる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3人分) +- 【黒豆用】黒豆: 75g +- 【黒豆用】砂糖: 30g +- 【黒豆用】還元鉄: 1g +- 【黒豆用】重層: 1g +- 【黒豆用】水: 300cc +- 【黒豆用】食塩: 1g +- 【蒸す用】もち米: 300g +- 【蒸す用】水: 300cc +- 【蒸す用】食塩: 9g + +## 作り方 +1. 黒豆を水で洗ってたっぷりの水に一晩漬けて置く。水に浮いている豆は取り除く。 +2. 1に水、食塩、還元鉄(家庭では錆釘をガーゼで包む)を入れ、火をかけ灰汁を取り、湧いたら火を弱火にし、落し蓋をして柔らかくなるまで煮る。 +3. 2を鍋肌から水を注ぎ粗熱を取る。黒豆を水でゆすぎながらやさしくザルにあける。(急激に冷ますと黒豆にしわができます) +4. 3を鍋に入れ水、砂糖を入れ弱火で10分煮て粗熱が取れるまで置いておく。(一晩置くとより味が染み込みます) +5. もち米を洗い、水に2時間漬けて置く。ざるにあけて水気をよく切る。 +6. 水、食塩で塩水を作り、5のもち米を20分漬ける。 +7. 6の水気を切り、もち米を蒸し布に入れ、中心を少し窪ますように包み、蒸し器で強火で15分蒸す。 +8. 7を蒸し器から出し、もち米に水50ccで打ち水をして5分置く。 +9. 黒豆を軽く洗い水気を切り、6と混ぜ合わせ5分蒸す。(米が固かったら追加で蒸して下さい) +10. お茶碗に盛り付けてお召し上がりください。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : (一社)富山県調理師会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_11_1.jpg)" +"# 昆布〆 富山県 + +**郷土料理名**: 昆布〆 + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +昆布、カジキ・タイなど + +## 歴史・由来・関連行事 +昆布で新鮮な刺身を挟んだ「昆布〆」は、江戸時代、北前船が運んできた北海道の昆布と、富山湾で捕れる魚を組み合わせて誕生した一品。昆布は魚の余分な水分を吸収し日持ちを良くするため、冷蔵庫がなかった当時は生魚を保存する手段であったが、昆布の旨みが染み込んだ魚は味わい深くなり、身は熟成され程よい弾力が生まれるなど、美味しさも加味されることとなった。「昆布〆」をはじめ、富山県で料理に使う昆布の大半は、北海道産の羅臼昆布である。明治時代、開拓のため北海道へ移住した富山県民の多くが羅臼地方に住み、そこで町の特産品である羅臼昆布を富山にいる親戚などへ送ったことが要因のひとつといわれている。「昆布〆」に使う魚は、富山県民にサスと呼ばれるカジキが定番だが、そのほかタイやヒラメといった白身魚、富山名産のシロエビやホタルイカなども使われる。シロエビの昆布締めは、県が選ぶふるさと認定食品にもなっている。 + +## 食習の機会や時季 +揃える材料が少なく、手間があまりかからない事もあり普段から食卓にのぼる料理ではあるが、ハレの日やおもてなしの一品として振る舞われることも多い。 + +## 飲食方法 +酢を昆布の片面に塗る。その面に刺身にした魚を敷き詰め、刻んだショウガをのせる。その上に、魚を置いた後同じサイズの昆布をのせる。昆布と魚がしっかりくっつくようにラップの上から押さえ、軽く重石をして一晩寝かせておく。寝かせる時間の長さによって味わいや身の弾力に違いが出る。昆布〆に使った昆布は、佃煮や煮物などに再利用されることも。かつては魚が定番であったが、すす竹やよし菜、ワラビなどの山菜を生かした昆布〆も人気を得ている。山菜を使う際は、あくをしっかり抜いてから使用する。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- バイ貝: 2個 +- 昆布(推奨:真昆布): 1枚 +- 塩: 少々 +- 【酢水】酢: 小さじ1 +- 【酢水】水: 200cc + +## 作り方 +1. バイ貝の殻を包丁の背で叩き割り、身を取り出す。 +2. 塩をふり、もみ洗いをして、ヌメリやゴミを取り除く。 +3. 水気を拭き取り、食べやすい大きさに切る。 +4. 酢水をつけた布で昆布の表面を軽く拭きとる(※)。昆布のシワを伸ばしながら、表面をやや湿らせる。 酢水を用いると食材とのなじみが良くなる。 +5. 広げた昆布の上���、切ったバイ貝を並べて、その上から昆布をかぶせる。 +6. 昆布ごとラップで包みこむ。冷蔵庫で一晩寝かす(※)。〆る食材の厚みによって仕上がり時間が異なる。薄いものなら2~3時間で仕上がる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 富山型食生活総合メニュー集(富山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_12_1.jpg)" +"# 黒づくり 富山県 + +**郷土料理名**: 黒づくり + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +スルメイカの身、イカスミ + +## 歴史・由来・関連行事 +スルメイカの身を細かく切り、イカスミとともに熟成させた塩辛の一種。黒く光る独特の見た目に、驚く人も多い珍味である。加賀藩主が参勤交代の際に将軍家に献上したという文書も残されており、古くから名産品であったことが分かる。イカスミには旨み成分のグルタミン酸やタウリンが豊富に含まれており、「赤づくり」と呼ぶ一般的な塩辛よりも、深みがありクセになる味わいと言われている。生臭さが少なく塩味がまろやかに感じられるのも特徴だ。酒のつまみや、ご飯にのせたり、お茶漬けにするなど、いろいろな食べ方がある。使われるスルメイカは、定置網によって主に氷見漁港と新湊漁港で水揚げされるもの。一方、富山湾のホタルイカを使った「ホタルイカ黒作り」もあり、ホタルイカのワタと熟成したスルメイカのイカスミのコクが絶妙とこちらも人気だ。 + +## 食習の機会や時季 +酒やご飯のお供として通年食されるため、冷蔵庫に常備している家庭も多い。 + +## 飲食方法 +イカの胴体は皮をはぎ、塩をふって冷蔵庫へ。キモも両面に塩をのせて冷蔵庫へ入れ一晩おく(キモはしっかり水分を抜くことで生臭さがなくなる)。胴体の身は削ぎ切りに。キモは塩を取り、袋を切って中身を出し包丁でよく叩く。身とキモを和えたらイカスミを加え、冷蔵庫で熟成させる。一日一回はかき混ぜる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- スルメイカ: 1杯 +- 塩: 100g~ + +## 作り方 +1. スルメイカをさばき、ゲソを取り外す。皮をきれいにむいておく。ワタと墨袋は取り出し、とっておく。 +2. ワタに多めに塩をまぶし、トレイなどに入れて一晩冷蔵庫で寝かす。身にも少し塩をまぶして、風通しのよいところや冷蔵庫でラップをしないで保存をする。墨袋は冷蔵庫でラップをかけて保存する。 +3. 一晩寝かせたら、身を5mm幅くらいの短冊切りにする。 +4. ワタの塩を水洗いで落とし、ワタを出してボウルに入れる。墨袋からスミを出して同じボウルに入れ、ワタをスプーンなどで潰しながらよく混ぜる。 +5. 切った身を入れ、さらによく混ぜ合わせ、再び冷蔵庫で一晩寝かせて、完成。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_13_1.jpg)" +"# よごし/ごま味噌和え 富山県 + +**郷土料理名**: よごし/ごま味噌和え + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +砺波市などの西部地域 + +## 主な使用食材 +大根葉、いもじ、シソの実、ほうきんの実、ほうれん草、なす、味噌、ごま油 + +## 歴史・由来・関連行事 +富山県西部に位置する砺波平野を中心とした地域で、日常的に食されている一品。砺波平野は、カイニョと呼ぶ屋敷林に囲まれた農家が点在する、散村(散居村)という日本の原風景が今も残る場所。「よごし」は、ゆでた野菜を細かく刻み味噌と和えて炒めた一品で、夜に作り置きをしておいて翌日の朝に食べることから「夜越し」の意味で「よごし」と呼ばれるようになった。昔はお米が足りない時にかさ増しをする目的で作られていたが、現在では定番のおかずとして定着。味噌の濃い味付けは熱々のご飯のお供に最適で、世代問わず愛されている。大根葉をはじめ、なす、いもじ(里芋の葉)、干し野菜などその時々で使う素材が違うため、季節感や地域性も反映されやすい。ほうきんの実を使った「よごし」は、親鸞聖人の命日に行う法要時の報恩講料理として決まって出てくる一品である。ほうきんの実とはホウキ草の実のことで、「畑のキャビア」ともいわれる緑色の粒。プチプチとした食感と弾力が特徴である。 + +## 食習の機会や時季 +調理法がシンプルで特別な材料も必要なく、調理に手間もかからないため、家庭料理として暮らしに根付いている。使われる野菜はこれといった決まりがなく季節も問わない。味噌をベースに味付けをアレンジする人もおり、家庭ごとに味の違いが出やすい。 + +## 飲食方法 +たっぷりのお湯で大根葉をゆでる。ゆで上がったら流水で洗って、しっかりと水気を絞るのがポイント。ごま油をひいたフライパンで炒めたら、味噌や砂糖などで味を調える。唐辛子を入れるとピリッとした辛味が加わり、さらに美味しく仕上がる。どんな野菜も立派なおかずにしてくれる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根の葉: 100g +- 味噌: 大さじ1 +- ごま油: 少々 +- 刻みごま: 適宜 +- みりん: 少々 +- 砂糖: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 大根の葉をゆで、ゆであがったら水にとり、更にアク抜きをする。 +2. 1をしっかり絞り、細かく刻む。 +3. 鍋にごま油を入れ、2を入れ、味噌、砂糖、刻みごま、みりんで味をつける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「富山の家庭料理」メニュー集(富山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_14_1.jpg)" +"# おすわい/すばい 富山県 + +**郷土料理名**: おすわい/すばい + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +ダイコン、ニンジン + +## 歴史・由来・関連行事 +「お酢和え」が訛って「おすわい」と呼ばれるようになり、多くの富山県民が子どもの頃から慣れ親しんできた甘酢の和え物。ほかの県で言うならば、なますに近い料理。正月のおせち料理の定番でハレの日やお祝いの席、また仏事の際にも作られる特別な日の料理である一方、普段からおかずの一品として食卓に登場する日常食でもある。基本的な材料は千切りにしたダイコンとニンジン。そこへ、旬の野菜や果物などその時期にある食材を加えるため、季節感はもちろんそれぞれの家庭や地域の特色が反映されやすく、おふくろ味のひとつにもなっている。こんにゃく、レンコン、ヒジキ、柚子、干し柿、またイカなどの魚介類が入ることも。比較的、油揚げや厚揚げが入るのは一般的である。酢の加減がおだやかで食べやすく、また日持ちがするため一度にたくさん作られる。 + +## 食習の機会や時季 +一年中食べられている料理ではあるが、ダイコンとニンジンの組み合わせは紅白で華やかさがありお祝いごとにはかかせない料理となっている。特に正月の重箱には必ずと言っていいほど入っている。保存がきくため常備菜になる。 + +## 飲食方法 +油揚げは熱湯をかけて油抜きを行い千切りにする。鍋にだし汁、醤油などの調味料を加えて、その中に油揚げを入れさっと煮る。ダイコンとニンジンも千切りにして、塩を入れしんなりとさせたら、水気をきっておく。甘酢を作り、ダイコン、ニンジン、煮た油揚げを合わせて和える。仕上げに白ゴマをふりかけたり、また柚子を添えると香りよく仕上がる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根(中): 1/4本 +- 人参: 1/3本 +- 塩: 小さじ2/3 +- 厚揚げ: 1/2個 +- かつお出汁: 1/2カップ +- 砂糖: 小さじ2 +- 醤油: 大さじ1/2 +- 【甘酢】砂糖: 大さじ1 +- 【甘酢】塩: 小さじ1/2 +- 【甘酢】酢: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 大根と人参を3cm程度の長さの千切りにして、塩をふる。しんなりとしたら、水気を絞る。 +2. 厚揚げに熱湯をかけて油抜きをし、食べやすい大きさに切る。 +3. 砂糖、塩、酢を混ぜ合わせて、甘酢を作る。 +4. 鍋にかつお出汁と砂糖、醤油を加え煮立て、2を入れて煮詰める。 +5. 3と4を和える。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_15_1.jpg)" +"# ばいの煮もの 富山県 + +**郷土料理名**: ばいの煮もの + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +バイ貝 + +## 歴史・由来・関連行事 +富山湾の深海に生息している巻貝の一種バイ貝。富山県では普段から食べられている馴染み深い食材で、新湊、滑川、魚津、黒部、朝日でかご縄漁により漁獲されている。水揚げされるのは、オオエッチュウバイ、チヂミエゾボラ、カガバイ、ツバイの4種類。全国的にもこれほどの種類が同じ場所で採れるのは大変珍しいとされている。バイ貝は、めでたいことが倍に��るという語呂合わせから、お祝いの席や祭事の際の宴に登場する食材。中でも「ばいの煮もの」は昔からの定番で、殻ごと煮上げるためバイ貝の旨みを存分に堪能できる。煮付けにするのは特に漁獲量の多い小ぶりなツバイが最適で、「つんこい(小さい)バイ」という方言の呼び名から、その名がついたといわれている。最近では、ツバイをゆで汁ごと使ったバイ飯も話題だ。チヂミエゾボラ、オオエッチュウバイ、カガバイのような大ぶりのものは刺身にすることが多く、コリコリのしっかりとした食感で好まれている。 + +## 食習の機会や時季 +バイ貝は縁起物の食材のため、正月や祭り、おめでたい事があった時などに作られることが多い。一年中水揚げが行われてはいるが、特に冬の時期に美味しさが増すといわれている。飲食店でも提供されており、酒のつまみに好む人も多い。 + +## 飲食方法 +鍋にバイ貝と水を入れて火にかけ、煮立ったら中火にしてゆでる。水にさらしながらきれいに掃除する。鍋に合わせだしとバイ貝を入れあくを取りながら煮てゆく。調理中は殻が割れないように注意。身が硬くならないように煮すぎないのがポイントである。食べる際は、楊枝などを使って捻りながら先端の肝まできれいに取り出せると、バイ貝の美味しさを丸ごと楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 小バイ: 30個 +- 【合わせ出し汁】だし汁: 600mL +- 【合わせ出し汁】醤油: 60mL +- 【合わせ出し汁】みりん: 60mL +- 【合わせ出し汁】酒: 20mL +- 【合わせ出し汁】しょうが: 少々 + +## 作り方 +1. 鍋にバイ貝と水を入れ火に掛ける。 +2. 煮立ったら中火にして10分間茹でる。 +3. 茹で上がったら、水にさらしながら洗う。 +4. 合わせ出し汁で10分間アクを取りながら煮る。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_16_1.jpg)" +"# 焼き付け 富山県 + +**郷土料理名**: 焼き付け + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +もち粉、よもぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +もち粉に風味のいいよもぎを合わせてこねて焼き上げる「焼き付け」は、昭和初期の食糧難の頃から食べられている素朴な郷土食で、特に農村で長らく親しまれてきた。当時は、出荷することができないもち米のくず米を粉にして使用。焼く際にはどの家庭にもあったという大きな鉄鍋が用いられ、生地を鍋いっぱいに薄く広げて焼き上げ、味噌ダレを塗り切り分けてみんなで食していた。食べ応えがあり腹持ちがいいことから、大人たちは野良仕事の合間の腹の足しに、子供たちにはおやつとして重宝された。よもぎを入れるのは風味の良さだけではなく、お腹への負担が少なく、また餅がすぐにはかたくならないという利点もある。 + +## 食習の機会や時季 +春に芽吹くよもぎの若芽を使うため春に作られている料理。 + +## 飲食方法 +味噌と砂糖、ショウガ汁を混ぜて練り上げ、味噌ダレを作っておく。よもぎはお湯に入れやわらかくしたら細かく刻んでおく。もち米、片栗粉を入れ、お湯を少しずつ加えながらこねる。よもぎを加え、耳たぶくらいの柔らかさになるまでこね上げる。油を引いた鉄板で両面をこんがり焼き上げたら、味噌ダレをぬりゴマをふる。焼くときはホットプレートを使っても便利。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- もち粉: 300g +- よもぎ: 160g +- お湯: 150ml +- 油: 大さじ1 +- ごまみそ: 大さじ2 +- 【ごまみそ用】みそ: 大さじ1 +- 【ごまみそ用】砂糖: 大さじ2 +- 【ごまみそ用】ごま: 300g + +## 作り方 +1. ごまは炒り、みそと砂糖を混ぜてごまみそを作っておく。 +2. きれいに洗ったよもぎはお湯で茹で、水にさらして、細かく切っておく。 +3. もち粉にお湯150mlを少しずつ入れながらよくこねる。その中に2のよもぎを入れてよく混ぜ、耳たぶくらいのやわらかさにこねて広げる。 +4. 鉄鍋に油を熱し、3を並べふたをして両面をこんがり焼く。 +5. 焼き上がったら両面にごまみそをつけていただく。※昔は専用の鉄鍋で作りましたが、フライパンで代用できます。※よもぎは、春先に摘み、冷凍保存しておくと便利です。※よもぎは、適量の炭酸(重曹)を加えたお湯でゆでると良い一層きれいな緑色になります。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 富山型生活総合メニュー集(富山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_17_1.jpg)" +"# ぶりしゃぶ 富山県 + +**郷土料理名**: ぶりしゃぶ + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +ブリ + +## 歴史・由来・関連行事 +天然のいけすといわれる富山湾で冬に捕れる寒ブリは平成8年に「富山県のさかな」に選定され、富山湾の王者という異名も持つ県を代表する魚。日本海沿いを南下してやってくるこの時期のブリは、身が締まっていて脂のりがよく、その品質から全国的にも高い評価を得ている。ブリはこれまで、ぶり大根やかぶらずしといった伝統的な郷土料理、また正月などのハレの日には欠かせない縁起物の魚として親しまれてきたが、近年はしゃぶしゃぶでブリを楽しむ人も増えている。刺身で味わえる新鮮な切り身をさっとだし汁の中にくぐらせると、表面だけに火が入り中はレアな状態に。身が一層締まり旨みが閉じ込められ、また程よく脂が落ちるため、いくらでも食べられると評判な料理だ。特に氷見漁港で水揚げされるブリの最高級ブランド「ひみ寒ぶり」を使ったしゃぶしゃぶは贅沢感がある。 + +## 食習の機会や時季 +10~2月の漁獲シーズンになると県内の飲食店のメニューに登場する冬のご馳走。富山湾のブリは水揚げ後すぐに船上で氷冷海水を使い沖じめ。さらに、漁場と漁港が近いこともあり鮮度の良さは折り紙つき。そのため、しゃぶしゃぶや刺身といった獲れたての美味しさを生かしたシンプルな料理も好まれている。ブリ自体高級品のため、年末年始、特別な日、親戚が集まる時など特別な日に食べることがほとんど。 + +## 飲食方法 +鍋にだし昆布と水を入れて火にかける。煮立たせたら、酒や塩を入れて味を整える。ブリ は薄くそぎ切りにする。水菜やねぎなどの野菜、キノコを適当な大きさに切る。だし汁にブリや野菜を通し、ポン酢やごまだれなど好みのたれで楽しむ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3人分) +- ブリ(生食用): 300g +- にんじん: 1/2本 +- ポン酢: 60mL +- 水菜: 1/2パック +- みょうが: 2パック +- 水: 1000mL +- えのきたけ: 1パック +- 昆布: 10g +- 白ねぎ: 1本 + +## 作り方 +1. ブリを水洗いし、3枚におろす。背身と腹身に分ける。 +2. 腹身の皮を引き3mm幅に削ぎ切りにする。 +3. にんじん、みょうがを5cm幅の千切りにする。えのきたけの石づきを切り落としてほぐし5cm幅で切る。水菜を水洗いして5cm幅で切る。 +4. 鍋に水、昆布を入れ火にかける。2と3を盛り付ける。 +5. 煮たって来たらブリ、野菜をしゃぶしゃぶして好みの薬味とポン酢を付けて食べる。※だし代わりに、日本酒のアルコールを抜いて使う方法や、ペットボトルの日本茶を用いる方法等もあります。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : (一社)富山県調理師会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_18_1.jpg)" +"# いかと里いもの煮もの 富山県 + +**郷土料理名**: いかと里いもの煮もの + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +イカ、サトイモ + +## 歴史・由来・関連行事 +時季によって種類は異なるが富山では一年中イカがとれるためイカ料理のバリエーションが豊かである。「イカと里いもの煮もの」は、イカのプリッとした食感とサトイモのねっとりとしたやわらかさ、そしてこっくりとした味わいが楽しめるお馴染みの家庭料理だ。よく使われるイカのひとつが富山湾の漁獲トップであるスルメイカ。県西部の氷見漁港と新湊漁港で水揚げされ、漁獲から入札、出荷までの時間がスピーディーなため、鮮度が良く身が色鮮やかなのが特徴だ。サトイモは江戸時代から栽培が行われている富山県の伝統野菜。南砺市と上市町が主な産地として有名で、9~11月に収穫される。そのため、この「イカと里いもの煮もの」も基本的には寒い時に登場する身近な料理で、幅広い世代から親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +富山の伝統的な野菜であるサトイモの収穫が秋から冬にかけてになるため、特に寒い時期になると食卓に並ぶ冬の定番料理。ご飯のおかずはもちろん酒のつまみとしても喜ばれる一品である。 + +## 飲食方法 +イカは���臓を取り除き、輪切りにする。サトイモは皮をむいておく。煮汁を煮立たせたらイカとサトイモを入れる。煮立ったあくをすくい、弱火で30分間揺らしながら煮汁が少なくなるまで味を染み込ませてゆく。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- スルメイカ: 2杯 +- サトイモ: 15個 +- 【煮汁】だし汁: 250mL +- 【煮汁】砂糖: 大さじ3 +- 【煮汁】酒: 大さじ2 +- 【煮汁】醤油: 大さじ3 +- 【煮汁】しょうが: 少々 + +## 作り方 +1. スルメイカは内臓をとり輪切りにする。 +2. サトイモの皮を剥き、塩でもみ、熱湯でさっと茹でて、ヌメリをとる。 +3. 煮汁を煮立ててイカとサトイモを入れる。 +4. 煮立ったアクをすくい、弱火で30分間揺らしながら煮汁が少なくなるまで味をしみ込ませる。※強火で煮ると、煮くずれしやすく、味の含みも悪いので煮立てないようにします。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「富山の家庭料理」メニュー集(富山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_19_1.jpg)" +"# ます寿司 富山県 + +**郷土料理名**: ます寿司 + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +マス、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +薄紅色のマスが酢飯にのった押し寿司「ます寿司」は、富山で最も有名といえる郷土料理。発祥の歴史は江戸時代享保年間まで遡る。当時料理に長けていた富山藩士・吉村新八が三代目藩主・前田利興のために鮎の鮓を作り、これを気にいった前田利興が将軍吉宗へ献上。将軍吉宗が味の良さを賞賛したことで富山名物と謳われるように。その後、アユの代わりに春になると神通川へやってくるサクラマスを使うこととなり、これが現在の「ます寿司」の原型と考えられている。全国的に知れ渡るきっかけとなったのは大正時代、駅弁として売り出されてからで、各地に鉄道が普及するとともにその美味しさが各地に広まっていった。木製の丸いわっぱに笹を敷き、塩漬けしたマス、酢飯を重ね押しながら詰めた「ます寿司」は、一段と二つ重ねた二段がある。マスの厚み、酢加減、酢飯の押し具合など、味やスタイルは店それぞれ。多くの県民が自分のお気に入りの店があるという。 + +## 食習の機会や時季 +通年食されるもので、自宅で作るというよりも、専門店で購入して味わう人が大半。富山市内だけでも20軒以上の専門店がある。普段はあまり食べないが、祭事、お盆、年末年始など何かめでたいことがあるときに食べられている。また、お土産や贈答品として買う人も多い。 + +## 飲食方法 +曲げ物に笹を放射線状に敷き、その上にすし飯を均一に広げ敷き詰める。酢漬けにしたマスを曲げ物の型に合わせて切りすし飯の上にのせ、笹を順番に折りたたみ蓋で閉じ、重石を乗せる。笹で包むことで美味しさが熟成される。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- マス: 150g +- 塩: 小さじ1 +- 酢: 大さじ3 +- 米: 1合 +- 寿司酢: 適量 +- 笹の葉: 適量 + +## 作り方 +1. 炊きあがったご飯に寿司酢を加え、酢飯を作っておく。 +2. マスを三枚に開いて薄くスライスしたら、塩を振る。 +3. 2から水気が出たらふき取り、酢に30分~1時間程度漬けておく。 +4. 笹を敷いた曲げわっぱ等に酢飯を敷き詰め、その上に水気をふいた3を乗せる。 +5. 4を笹の葉で閉じ重石を載せ数時間置いておく。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_20_1.jpg)" +"# たけのこの味噌煮 富山県 + +**郷土料理名**: たけのこの味噌煮 + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +タケノコ、昆布 + +## 歴史・由来・関連行事 +昆布のうま味が生かされた味噌仕立ての「たけのこの味噌煮」は春の訪れを感じさせる料理のひとつ。県内にはタケノコの里と呼ばれる名産地があり、ひとつが射水市の黒河地区。約150年前に民家周辺の竹やぶで収穫され出したのが始まりで、今では町にモウソウチクの竹林が点在し、シーズンを迎えると掘り立ての新鮮なタケノコが直売場などに並ぶ。竹林の土壌が黒土のため独特のほろ苦さを持ち合わせているのが特徴だ。もうひとつの産地が高岡市の西田地区。こちらは粘土質の土壌で育つため、やわらかいながらも歯ごたえはありあくが少ない���臨済宗国泰寺派の大本山・国泰寺の斜面にモウソウチクがたくさん生えていたため、訪れた参詣者をタケノコ料理でもてなしたのが、この地にタケノコが根付いた所以だ。現在、町にはタケノコ料理の専門店が数件あり、この地域で作られる「たけのこの味噌煮」は、分厚く輪切りにするのが特徴。 + +## 食習の機会や時季 +収穫時期は4~5月のため、この時期に頻繁に家庭で作られる料理。ワカメを合わせた若竹煮は全国的にも有名だが、特産の昆布を合わせるところが富山県ならではである。特に掘りたての新鮮なタケノコは格別なおいしさだと言われている。 + +## 飲食方法 +タケノコの下ゆでを行う。大きな鍋に米ぬかと鷹の爪、タケノコを入れたら水を注ぎ火にかける。沸騰したら落とし蓋をして煮込む。中までやわらかくなったら火を止め、お湯が自然に冷めるまでゆで汁の中に入れておく。水洗いし皮をむけば下ゆでは完了。鍋に切ったタケノコと昆布とともに水、味噌などの調味料を入れて煮立たせたら落とし蓋をして弱火でじっくり煮る。昆布がとろりとしてきたら完成。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- タケノコ: 320g +- 昆布: 20cm角1枚 +- 味噌: 大さじ4 +- だし汁(かつお節): 4カップ +- 【A】米ぬか: 適宜 +- 【A】赤唐辛子: 大さじ3 + +## 作り方 +1. タケノコは皮付きのまま穂先を斜めに切り落とし、皮に縦の切り込みを入れる。 +2. 大鍋に1とたっぷりの水、【A】を入れてやわらかくなるまでゆで、ゆで汁につけたまま自然に冷ます。 +3. タケノコの皮をむき、2cmほどの輪切りにする。 +4. 鍋に3とだし汁、味噌、昆布を入れ、約1時間煮含める。※とろとろに煮とけた昆布も一緒にいただく。※市販の(ゆでてある)パックのたけのこでも代用できる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「富山の家庭料理」メニュー集(富山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_21_1.jpg)" +"# 報恩講料理 富山県 + +**郷土料理名**: 報恩講料理 + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +野菜、山菜、穀物 + +## 歴史・由来・関連行事 +真宗王国といわれるほど浄土真宗が盛んな富山県。浄土真宗の開祖・親鸞聖人の命日にはその遺徳を偲んで法要、報恩講が行われており、そのとき朱塗りの御膳で振舞われるのが「報恩講料理」である。料理の種類や品数は地域によって異なるが、その年に収穫された中で一番出来の良い野菜や山菜を、普段用とは別に報恩講のためにとっておく習わしがある。北陸地方に浄土真宗がもたらされたのは鎌倉時代で、現在の南砺市にある瑞泉寺を拠点に越中に信仰が広まったといわれている。そのため現在も南砺市周辺は信仰がとりわけ篤い地域で、報恩講を「ほんこさま」と呼び、さまざまな料理が御膳にのりきれないほど用意される。しきたりが根強く残る五箇山地区では、春に摘んで干して保存しておいたワラビ、ゼンマイなどの山菜、縄でしばっても形が崩れない堅さが特長の五箇山豆腐などで煮物が作られるほか、赤カブの煮付けや漬物、新米などが揃う。 + +## 食習の機会や時季 +親鸞聖人の命日11月28日前後に、寺院や家庭に僧侶を招き報恩講を行なった際、集まった人たちで御膳を囲み食す。煮物、汁物、漬物、ご飯などが用意され、親鸞聖人の好物であった小豆は必ず盛り込まれる。報恩講料理定番のいとこ煮や白和えなどは、普段の食事で食べられている。 + +## 飲食方法 +料理の内容や椀の並び・呼び方は地域や家により多少違うが、五箇山地区では、鮮やかな朱塗りの膳に、飯、汁物、酢物、煮物、つぼなどが並ぶ。さらに赤カブの漬け物など膳にのりきらない料理が、重箱や大鉢に盛って出される。これらは「オトシ」や「廻し鉢・強い鉢」と呼ばれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_22_1.jpg)" +"# 雑煮 富山県 + +**郷土料理名**: 雑煮 + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +東部/餅、魚(フクラギ、カワハギなど)、野菜、かまぼこ西部/餅、白ネギ、かまぼこ + +## 歴史・由来・関連行事 +全国津々浦々さまざまな雑煮が存在しているが、富山県の中でも食される雑煮はエリアごとに異なる。県東部の海に近い下新川地方などでは、縁起のいい出世魚、福来魚(フクラギ)をはじめカワハギ、サバ、エビといった魚介類が使われるほか、野菜類やかまぼこなども入り、餅が隠れるほど具だくさん。一方県西部の内陸、砺波地方では、餅のほかに入るのは長ネギや昆布など具材は数種類とかなりシンプル。長ネギは根がついたまま使われるが、これは白髪が生えるまで長生きをという願いが込められているからだ。地域の数だけ雑煮があると言っても過言ではないほど郷土食豊かな料理ともいえる。そして、どちらの雑煮にも入るのが、富山の特産品である「巻きかまぼこ」。昆布ですり身を巻く「昆布巻きかまぼこ」が定番であるが、縁起のいい料理にはすり身の一部を赤く着色した、紅白の「赤巻き」がよく取り入れられる。添えるだけで一気におめでたい雰囲気となる。 + +## 食習の機会や時季 +正月料理のひとつとして作られ、家族みんなで味わう。年末になると県内のスーパーには巻きかまぼこがたくさんそろい、魚津市では雑煮に欠かせないフクラギの素焼きが店頭に並ぶ。 + +## 飲食方法 +東部:魚を焼いたら頭、骨、皮をとり、身を粗くほぐす。頭は出し用にとっておく。野菜などそのほかの具材を切る。ゴボウを使う際には、切ったあと水にさらしておく。昆布や魚の頭などでだしをとった中に、野菜などを入れやわらかく煮たら、魚の身やかまぼこを加え、調味料で味を調える。餅は別の鍋でゆでておく。大きめのお椀に餅を入れ、その上から具材と汁を入れ、三つ葉を飾る。西部:白ネギは根をつけたままさっと湯に通す。だし汁を煮立て醤油など調味料で味を整える。餅は焼き色がつきすぎない程度に焼いておく。お椀に餅、白ネギ、切ったかまぼこをのせ、その上からだし汁を注ぎ入れる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 切り餅: 4個 +- カワハギ(中)(もしくは、ウマヅラハギ): 1尾(200g) +- せり(もしくは、ほうれん草などの青菜): 4株 +- なると(薄切り): 4枚 +- タケノコ水煮: 80g +- 【だし汁】水: 6カップ +- 【だし汁】昆布: 12g +- 【だし汁】カワハギの頭: 1尾分 +- 【だし汁】塩: 小さじ2 +- 【だし汁】醤油: 小さじ1/2 + +## 作り方 +1. 鍋に水を入れて昆布を約20分浸して、火にかける。沸騰直前に昆布を取り出し、カワハギの頭を入れて煮る。塩、醤油の順に入れて味を調えた後、頭を取り出す。 +2. せりは湯がき、3cm程度の長さに切りそろえる。 +3. たけのこは薄切りにし、下味をつける。※水100ccと醤油小さじ1(分量外)で煮る。 +4. 鍋に水を入れて昆布を約20分浸して、火にかける。沸騰直前に昆布を取り出し、カワハギの頭を入れて煮る。塩、醤油の順に入れて味を調えた後、頭を取り出す。 +5. 切り餅を焼く。 +6. 鍋に湯を張り、5を軽く湯通しして、椀に入れる。 +7. 椀にカワハギの身、せり、なると、タケノコをのせて、熱いだし汁を注ぐ。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_23_1.jpg)" +"# みょうが寿司 富山県 + +**郷土料理名**: みょうが寿司 + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +富山市 + +## 主な使用食材 +ミョウガ、マス、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +富山市の南東部(旧大山町)、小佐波地区で採れるミョウガは小佐波みょうがと呼ばれる富山県を代表する伝統野菜。鮮やかなピンク色をしており、香りがよく、シャキシャキとした食感が特徴だ。かつては各家庭で栽培が行われていたため、味噌汁の具材や薬味などさまざまな料理に取り入れられてきた。「みょうが寿し」は、祭事の際に家庭で必ず作られてきたごちそうで、長い歴史がある。炊きたてのご飯で酢飯を作り、ミョウガとマスのほぐし身を混ぜ合わせ、出来たてを茶わんによそって食べるのがかつては主流であった。ただ、過疎化などの影響でミョウガの生産量が減ったため一時は作る家庭も減少。しかし手軽に食べられる笹に包んだ押し寿司タイプの「みょうが寿し」が生み出されるとハレの日以外にも食されることが増え、県内外にも広く知れ渡るように。ミョウガの風味と甘酢のさっぱりとした味わいがよくお土産としても評判を得ている。 + +## 食習の機会や時季 +小佐波地区では親鸞聖人の命日の法要・報恩講や、祭りなどを行うハレの日のおもてなし料理として作られるほか、家庭ではミョウガの採れる時期(8月~10月)にちらし寿しや押し寿しにして食す。笹で包んだ押し寿しはミョウガの甘酢漬けを使用し通年製造されており、手軽に味わえる。 + +## 飲食方法 +ミョウガはよく洗い細切りにして塩でもんで酢につけておく。マスを2時間ほど酢の効いた調味液の中に漬けておき、身をほぐす。青じそは千切りに。ご飯にだし汁を加えて硬めに炊いたら、熱々のうちに合わせ酢を加え、マス、ミョウガ、青じそを加えて混ぜ合わせる。作りたては、ミョウガの風味が一層際立ち香り高い。食べ切れない時は、押し寿司にしておくと良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 4合 +- ミョウガ: 8個 +- 枝豆: 60g +- 【甘酢】酢: 大さじ3 +- 【甘酢】砂糖: 小さじ1 +- 【甘酢】塩: 小さじ1/3 +- 【合わせ酢】酢: 1/4カップ +- 【合わせ酢】砂糖: 小さじ4 +- 【合わせ酢】塩: 小さじ1/4 + +## 作り方 +1. ミョウガは良く洗い、沸騰したお湯でさっとゆがき、【甘酢】に5分以上漬けておく。その後、縦の千切りにする。 +2. 枝豆は塩ゆでし、さやから出しておく。 +3. ご飯が炊き上がったら、合わせ酢ですし飯にする。 +4. 3にミョウガと枝豆を加え、笹の葉の上に盛り付ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「富山の家庭料理」メニュー集(富山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_24_1.jpg)" +"# 白えび素干だしのそうめん 富山県 + +**郷土料理名**: 白えび素干だしのそうめん + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +素麺、シロエビ素干し + +## 歴史・由来・関連行事 +富山湾の宝石といわれるシロエビ。今でこそ刺身や寿司、かき揚げなどいろいろな調理法で食べられているが、出汁として使うのが昔から変わらない活用法。生のシロエビで出汁をとることもあるが、素干しにすることで長期保存ができシロエビの旬である夏以外でも使用可能に。シロエビのダシがベースのつゆで食すそうめんは、富山の夏に欠かせない料理となっている。素麺にも富山を代表するものがあり、それが砺波大門地区の「大門素麺」。売薬行商が持ち帰った加賀藩の御用素麺が起源だといわれており、江戸時代後期から作られている伝統的な麺だ。手延べ製法による麺づくりが行われるのは10~3月頃。清流庄川の水で何度もこね上げた麺は、冬の寒さと山から吹く寒風の中にさらして乾燥することで、コシが強くなめらか、そしてよく締まった素麺となる。細く長い麺をくるくる丸めて包装する独特な見た目も特徴的で、まるまげ素麺とも呼ばれる。シロエビの旨みが凝縮したつゆで味わう喉越しのいい「大門素麺」は特に格別な味わい。 + +## 食習の機会や時季 +シロエビでダシをとったつゆで味わう冷たい素麺は夏になると食される涼感漂う料理で、暑さで食欲が湧かない時でも食指が動く。また、つゆを温かくして、にゅうめんとして味わうこともある。シロエビの素干しは長期保存ができるので、冬はうどんのつゆなどでも使える。 + +## 飲食方法 +シロエビでだしをとり、醤油や砂糖を入れ煮詰めてつゆを作る。そうめんはゆでたら流水でよくもみ洗いする。つゆは冷やしても温めても使われる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- そうめん(推奨:大門そうめん): 250g +- 【白エビ素干しだしのつゆ】白エビ素干し: 200g +- 【白エビ素干しだしのつゆ】乾燥昆布: 10cm +- 【白エビ素干しだしのつゆ】水: 400mL +- 【白エビ素干しだしのつゆ】砂糖: 20g +- 【白エビ素干しだしのつゆ】醤油: 40mL +- 【白エビのあめ炊き】白エビのだしがら: 150g +- 【白エビのあめ炊き】砂糖: 大さじ2 +- 【白エビのあめ炊き】醤油: 大さじ2 +- しょうが: 40g +- 青ネギ: 40g + +## 作り方 +1. 白エビ素干しはサッと洗い、水気を切る。 +2. 鍋に1と昆布を入れ、沸騰直前に取る。10分程度煮だして砂糖、醤油を入れて味を調えて冷ます。 +3. だしがらのエビを鍋に入れて砂糖、醤油を入れて炒りつけて煮つめ、あめ炊きにする。 +4. しょうがはすりおろし、青ネギは小口切りにする。 +5. たっぷりの湯(分量外)を沸騰させて、そうめんを半分に割って入れて茹でる。途中差し水をしつつ、少し硬めに茹でる。 +6. そうめんをザルにあげて、流水で泡が出なくなるまでよくもみ洗いし、水気をきる。 +7. そうめんに4を添えて、3のつゆでいただく。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_25_1.jpg)" +"# すり身揚げ 富山県 + +**郷土料理名**: すり身揚げ + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +アジ、カマス、ニギス、エソなどの魚、ネギ + +## 歴史・由来・関連行事 +富山湾には500種類もの魚介類が生息しており、海の幸が四季を通して水揚げされている。新鮮な魚のすり身を生かした「すり身揚げ」は、そんな豊かな漁場を有する富山ならではの味。家庭でよく作られるお馴染みのおかずであり、酒との相性も良いため多くの居酒屋で提供されている。外側がカラッと揚がっていて中はふわふわとした食感がよく、子供から大人まで好まれている一品だ。すり身にする魚はイワシ、ニギス、トビウオ、アジなど時期によりさまざま。ほかに具材を入れずにすり身だけで揚げるものもあれば、タマネギ、ゴボウ、ネギなどの具材と合わせることもあり、シンプルながらも家庭やお店ごとに個性が出やすい料理でもある。氷見市では「すり身揚げ」を「ととぼち揚げ」とも呼び、そのまま味わうのはもちろん、おでんや鍋の具材にも用いられている。 + +## 食習の機会や時季 +その時々でとれる新鮮な魚介類のすり身を使うため、季節を問わず食べられている。家庭料理として食卓によく出る料理であり、居酒屋などでも定番メニューとなっていて、おかずにもつまみにもなる。 + +## 飲食方法 +タマネギやニンジンは粗みじん切り、ゴボウは千切りにする。魚のすり身にすりおろしたナガイモ、溶き卵(または卵白)、味噌または塩を入れてよく混ぜ合わせる。そこに野菜と片栗粉を加えて混ぜる。スプーンで一口程度の大きさぐらいの量をすくい、熱した油で揚げる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- イワシ: 200g +- ナガイモ: 60g +- 卵: 1個 +- タマネギ: 100g +- ニンジン: 40g +- ゴボウ: 40g +- 大葉: 10枚 +- ショウガ: 1かけ +- 味噌: 大さじ1 +- 片栗粉: 大さじ1/2 +- 揚げ油: 適量 + +## 作り方 +1. イワシは、頭・骨・皮をとり、まな板の上で軽くたたいた後、ショウガのおろし汁を加えて、すり鉢でする。 +2. 1の中にナガイモをすりおろし、溶き卵、味噌を入れよくすり、混ぜ合わせる。 +3. タマネギ、ニンジンは粗いみじん切りに、ゴボウは1cm長さのせん切りにする。大葉は縦半分にしてせん切りにする。 +4. 2と3を混ぜ、片栗粉を加える。 +5. 4を一口程度の大きさにスプーンですくい、油で揚げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「富山の家庭料理」メニュー集(富山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_26_1.jpg)" +"# げんげの味噌汁 富山県 + +**郷土料理名**: げんげの味噌汁 + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +富山市、射水市、魚津市 + +## 主な使用食材 +ゲンゲ、ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +体長は約20センチで細長く、白く透明感のある全身が分厚いゼラチン質で覆われている深海魚ゲンゲを使った味噌汁は、漁村の家庭でのみ食べられていた料理。富山を代表する魚といえば、ホタルイカ、シロエビ、ブリ、カニなどが有名だが、近年このゲンゲに注目が集まっている。水深に生息する甘エビをとる時に混じってしまうやっかいもの扱いで、またグロテスクな見た目から30年ほど前までは「下の下の魚」とまでいわれる存在であった。それがここ数年で、コラーゲンの豊富さや身のおいしさが見出され徐々に人気が出始めている。水分を多く含んでいることから劣化が早く、すぐに生臭くなることもあり、漁村でしか消費されてこなかったが、鮮度の保持技術が向上したことで、県内の広い範囲への流通が可能に。これまで限られた地域で食べられていたゲンゲのうま味が詰まった味噌汁はもちろん、さまざまな調理法で食されるようになっている。ゲンゲだけの専門の漁がないため、めったに出会うことができない幻の魚として今では「幻魚(ゲンゲ)」と記されるようにもなった。 + +## 食習の機会や時季 +9月~翌年5月にかけてとれるため、味噌汁もこの時期に作られるのが一般的。近年は港町だけではなく県内の広い地域で食されるようになっている。ゲンゲは良いだしが出ることから汁物にとても適している。石川では「ゲンゲンボウ」、福井では「ミズベコ」と呼び、両県でも親しまれている。 + +## 飲食方法 +ゲンゲは頭と内臓を取り除き、水洗いしてぶつ切りにする。鍋に水を入れ沸騰させたら和風だしの素を加え、ゲンゲも入れる。ゲンゲに火が通ったら火を止めて味噌を溶かし入れる。刻んだねぎを入れ、さっともう一度温めたら完成。ゲンゲのうま味が詰まった汁は格別な味わい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3人分) +- ゲンゲ: 6尾 +- 味噌: 24g +- 昆布: 5g +- 顆粒だし: 5g +- 料理酒: 10mL +- 醤油: 5mL +- 味醂: 10mL +- 白ねぎ: 1/3本 +- 水: 600mL + +## 作り方 +1. ゲンゲの頭を切り、内臓を取り出し5cm位に筒切りする。 +2. 1の腹の中を水洗いする。 +3. 2を下茹でして、氷水に入れ軽く腹の中を洗う。 +4. 水に昆布、顆粒出し、料理酒を入れ火にかけ沸騰し始めたら昆布を取り出す。 +5. 4に水気を取った3を入れ一煮立ちさせ灰汁を取る。 +6. 5に味噌、醤油、味醂を入れ、味を整える。 +7. お椀に盛り付け、小口切りした白ねぎを添えて出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : (一社)富山県調理師会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_27_1.jpg)" +"# 三日の団子汁 富山県 + +**郷土料理名**: 三日の団子汁 + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +もち米、ずいき + +## 歴史・由来・関連行事 +米どころの富山県では、行事や人生の節目節目に必ずと言っていいほど餅を使った料理や菓子が関わってくる。「三日の団子汁」は、上新粉で作った団子入りの味噌汁で、赤ちゃんを産んだ母親に栄養をつけさせ母乳がよく出るようにと、産後三日目に作られる伝統的な料理。出産したお嫁さんの実家が、団子汁セットにのしをつけて親戚へ配ることもある。団子以外の具材には、母乳の出がよくなり、産後の回復が早くなるといわれるずいきを入れる。ずいきとは、里芋の一種であるヤツガシラの葉柄(葉と茎の間の部分)のことで、乾燥したものを戻して使う。そのほか、ごぼう、白菜といった野菜、キノコ、魚を加えるところも。出産ひとつを挙げてでも、産後に食べるこの「三日の団子汁」をはじめ、出産五ヶ月前の腹帯祝いや臨月の際にも安産を祈ってさまざまな形で餅を作る習わしがあり、富山県民と餅の関わりの深さが伺える。 + +## 食習の機会や時季 +出産した三日後にお祝いも兼ねて、子供を産んだ母親が食べる料理。産後、食欲が出てくるのが三日目ぐらいだからともいわれている。団子入りの汁料理自体は、お産に関係なく普段から食されている家庭料理でもある。 + +## 飲食方法 +干しずいきは水に戻したら、食べやすい大きさに切る。もち粉に熱湯を注ぎ入れこねて、耳たぶくらいの硬さにする。こねあがったら一口大の大きさに丸める。だし汁を沸騰させ、ずいきと団子を入れて味噌を溶かす。団子が上に浮いてきたら火を止め、お椀に盛り、鰹節を上から散らす。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- もち米粉: 150g +- 干しずいき: 10g +- ごぼう: 1/2本 +- 厚揚げ: 1/2個 +- だし汁: 800mL +- 味噌: 大さじ2 +- 花かつお: 適量 + +## 作り方 +1. 干しずいきは半日程、水につけもどし好みで1~2cm長さに切る。(もどし汁はアクがあるので捨てる) +2. ごぼうはささがきにし、アクをとるためしばらく水につけておく。 +3. 厚揚げは油抜きをし1~2cm角に切る。 +4. もち米の粉をボールに入れ、水またはお湯を少しずつ入れながら捏ね、耳たぶくらいの固さにする。一口大に丸めて軽く真ん中を指で押さえてくぼませる。 +5. 鍋にだし汁を入れ、ごぼう、干しずいきを入れて煮る。ごぼうと干しずいきが柔らかくなったら厚揚げと団子を入れて煮る。 +6. 団子に火が通り浮いてきたら、味噌を溶き入れ火を止める。 +7. 器に盛り、好みでかつお節をのせても良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 富山県食生活改善推進連絡協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_28_1.jpg)" +"# つぼ煮 富山県 + +**郷土料理名**: つぼ煮 + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +立山町 + +## 主な使用食材 +干しくごみ、にんじん、里芋、油揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +立山町の芦峅寺エリアは、日本三大霊山のひとつ立山連峰の玄関口にあたり、江戸時代には立山信仰の里として登拝者が集う宿坊が軒を連ねていた。「つぼ煮」はここの宿坊でかつて振る舞われていた精進料理のひとつであるが、現在は一般家庭にも広まり食べ継がれている。名前の由来は、底の深いつぼ椀と呼ばれる蓋の付いた朱塗りの器に盛って提供されていたことにちなむ。具材の主役となるのが、春の山菜であるくごみ。クサソテツの新芽の別称で、地域によってはこごみとも呼ばれている。旬の時期が短い山菜ではあるが、一年中使えるように春に摘み取り日干しして乾燥させ保存しているので、一年中「つぼ煮」は作ることが可能だ。くごみのほか、にんじん、里芋、油揚げなども入るため具だくさん。醤油ベースのだし汁は、くごみの旨みが染み出していて、山の恵みを感じる滋味深い味わいとなっている。 + +## 食習の機会や時季 +元々は宿坊の精進料理だったこともあり、葬儀や法事、お盆の際などの膳に作られるようになり、現在は普段の食事でも日常的に食べられている。乾燥させた干しくごみを使うため、季節を問わず味わうことができる。 + +## 飲食方法 +干しくごみはゆでて戻し2日ぐらい水にさらしておく。にんじん、里芋、油揚げなどの具材を食べやすい大きさに切る。くごみ、にんじんを油で炒め、だし汁とそのほかの具材も加えて煮込む。材料がやわらかくなったら、醤油など調味料を加えて味を整え、さらにじっくりと煮詰めてゆく。くごみは油で炒めることでうまみが引き出される。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- くごみ(干): 16g +- にんじん: 中1/2本 +- 厚揚げ(油揚げ): 1/4枚 +- 里芋: 中1個 +- しょうゆ: 大さじ2 +- みりん: 大さじ2 +- だし汁(昆布): カップ2 +- サラダ油: 小さじ1 + +## 作り方 +1. くごみは茹でてもどし、一晩水にさらす。1~1.5cm長さに切る。 +2. にんじん、里芋はいちょう切り、厚揚げはサイコロ状に切る。 +3. くごみ、にんじん、里芋をサラダ油で炒める。 +4. 鍋に3とだし汁を入れて、弱火で煮る。 +5. 煮上がったら、しょうゆ、みりんと厚揚げを入れ、さらにじっくりと煮る。(※材料がこげないように時々混ぜる。)※味付けは、うすめに仕上げましょう。※くぐみは和名をクサソテツといいますが、富山県ではこごめ、こごみ(ぜんまい)と呼ばれています。 +6. 里芋が煮くずれる手前で火を止める。味付けは、うすめに仕上げましょう。くごみは和名をクサソテツといいますが、富山県ではこごめ、こごみ(ぜんまい)と呼ばれています。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「富山の家庭料理」メニュー集(富山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_29_1.jpg)" +"# べっこう/えべす 富山県 + +**郷土料理名**: べっこう/えべす + +**都道府県**: 富山県 + +## 主な伝承地域 +県東部 + +## 主な使用食材 +寒天、卵 + +## 歴史・由来・関連行事 +溶き卵を流し入れた醤油風味の寒天寄せ「べっこう」は、口当たりがよく美しい見た目で、お祝い事、仏事の際など節目の時や、お祭りなどの行事ごとにも決まって作られてきた定番料理。昔は卵が贅沢品であったため、「べっこう」は特別な日にだけ食べられるご馳走として愛されてもいた。あめ色の寒天に卵がむら雲のように散らされている様子が、まるでべっ甲のかんざしに見えることから「べっこう」と名づけられ、主に県東部で呼ばれている。「えべす」という地域もあるが、南砺市などの県西部では和菓子のゆべしに似ていることから、そのまま「ゆべし」という名で通っている。東部は甘さが際立つ味わいからおやつとして食べる人もおり、西部では甘さを抑えて仕上げるためおかずとして食べられることが多い。最近では、卵以外に、野菜、素麺、カニなど、いろいろな食材を使いアレンジを利かせて作られてもいる。 + +## 食習の機会や時季 +正月やお祭りなどのハレの日や、お祝いごと、またお盆や仏事など、大勢の人が集まるときには、おもてなし料理のひとつとして決まって作られている。仏事の際には、湯葉や豆腐、ゴマなどを入れる地域もある。 + +## 飲食方法 +棒寒天を30分ほど水に浸したら、ちぎってよく絞る。鍋に水とともに入れ火にかけて、弱火で煮溶かす。溶けたら、醤油やみりんなどの調味料を加える。火を止めて溶きほぐしておいた卵を、糸を引くように流し込み型に入れて冷やす。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 棒寒天: 1本 +- 水: カップ2 +- 醤油: 大さじ2 +- みりん: 大さじ2 +- 砂糖: 小さじ2 +- 卵: 1/2個 + +## 作り方 +1. 寒天は、30分水に浸し、その後、ちぎって固く絞り、鍋に入れて水とともに火にかけ、弱火でしっかり煮溶かす。 +2. 溶けたら、醤油、みりん、砂糖を加える。火を止め、割りほぐしておいた卵を、糸を引くように流し込む。 +3. ぬらした型に流して冷やす。※粉寒天でも可※卵のかわりに、ショウガ、短く切ったそうめん、味をつけた刻みシイタケ、刻んだクルミ等の具をいれてもおいしい + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「富山の家庭料理」メニュー集(富山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_30_1.jpg)" +"# ぶり大根 石川県 + +**郷土料理名**: ぶり大根 + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +ブリ、大根 + +## 歴史・由来・関連行事 +石川県の伝統食材を語るうえで欠かせないのが、ブリである。初冬、「ぶりおこし」と呼ばれる雷が雷鳴を響かせる時期になると能登の内浦地区で定置網を使った本格的なブリ漁がはじまる。養殖のブリも一般的になったが、脂ののりや味、身のしまりは天然ブリが大きく勝っているといわれる。厳冬期の寒ブリはとくに脂がのっていて、刺身で食べると醤油をはじくほどだという。暮れの祝いごとや贈答品に使われ珍重されており、“コゾクラ”、“フクラギ”、“ガンド”と大きさによって名前を変える出世魚のため、縁起物としても喜ばれる。江戸時代、とれたてのブリは、城下に出まわる前にまず藩主へ献上されたという。「ブリ一本、米一俵」ともいわれる高級食材で、庶民が口にすることは滅多になかったといわれている。いまでは定番の「ぶり大根」や刺身をはじめ、かぶらに挟んだ「かぶらずし」や発酵食の「巻きぶり」など、県内ではさまざまなブリ料理が楽しめる。 + +## 食習の機会や時季 +旬は11月から翌2月にかけて。この時期は地元の市場に大小さまざまなブリが並ぶ。暮れの祭事や贈答品に欠かせず、新婦の実家から嫁ぎ先へ贈る風習も残っている。「ぶり大根」はブリ料理の代表格として、現在も家庭でつくられている。 + +## 飲食方法 +ブリはカマや切り身をさっと湯通しして氷水に取り洗いながらうろこを取り除いておく。そのブリと大根、出汁用の昆布を鍋で煮こみ、酒、しょうが、砂糖を加え味をととのえ落しぶたをして煮こみ食べると美味しい。煮あがってから器に盛る際、しょうがの千切りを天盛りにするとさわやかな風味と彩りが加わる。ブリの旨味を大根に移すのが仕上がりの決め手になる。大根は皮を厚めに切り、身に切り込みをいれておくと味が染みやすい。シンプルでいて、ブリの旨味をダイレクトに楽しめる郷土料理といえる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ブリ(頭・カマ・切り身): 8切れ +- 塩水: 適量 +- 大根3cm厚さ: 8個 +- 水: 3~4カップ +- 昆布10cm角: 1枚 +- しょうが: 少々 +- 赤唐辛子: 少々 +- 砂糖: 大さじ1 +- 酒: 1/3カップ +- 濃口醤油: 1/4~1/3カップ +- みりん: 1/4カップ + +## 作り方 +1. ブリの頭などは等分に切り、うすい塩水に浸けておく。 +2. 大根は皮を厚めに剥いて切り込みを入れる。 +3. 1のブリを沸騰した湯にさっと通し、水に取り(霜降り)ていねいにうろこを洗い落とす。 +4. 鍋に昆布、大根、3、水を入れ強火にかけ、煮立ったらアクを取り、弱火にしてしばらく煮、しょうがの千切りの半量、酒、砂糖を入れさらに煮る。 +5. 濃口醤油、みりんを加えゆっくりと煮含め、醤油少々を落とし、残りのしょうがを入れ味をみて仕上げる。(調味料は二度に分けて入れると良い) +6. 煮上がれば器に盛り、しょうがの千切りを天盛りにする。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 『青木悦子の新じわもん王��� 金澤料理』(著:青木 悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_19_1.jpg)" +"# あいまぜ 石川県 + +**郷土料理名**: あいまぜ + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +能登地域 + +## 主な使用食材 +大根、人参、ごぼう、しいたけなど + +## 歴史・由来・関連行事 +三方を海に囲まれた能登半島。赤土に代表される粘りの強い土壌によって、栽培される野菜に独特の風味がもたらされる。これらの風土を活かして生産された野菜は「能登野菜」としてブランディングされている。おおむね30年以上の栽培歴史があること、部会などの組織をつくっていること、広く一般に流通していること、といった認定基準を設け「能登伝統野菜」「能登特産野菜」に分けられ流通する。能登だいこん、能登かぼちゃ、神子原(みこはら)くわい、金糸瓜(きんしうり)などおよそ20品目が認定されている。こうした野菜栽培に恵まれた環境をもつ能登地域では、地元の野菜を使ったさまざまな郷土料理が生まれた。その一つが「あいまぜ」である。「あいまぜ」は、主に能登地域で食べられている伝統料理。大根や人参といった根菜類を中心に使った煮物である。使う野菜はその土地土地でとれる旬の野菜が使われるため、見た目や味わいはさまざま。幅広いアレンジがほどこされ、いまに伝わっている。地域性があらわれるのも、この料理の特徴の一つである。 + +## 食習の機会や時季 +正月のおせち料理やハレの日に欠かすことのできない料理である。そういった特別な日を迎えるときは、手間ひまかけて大根や人参などの根菜類を細かく千切りにし、つくり置きをしておく。現在は、家庭で日常的につくられることはあまりないが、行事の際に食べられることが多い。行事のときなど一度に大量につくられることが多い。 + +## 飲食方法 +各種野菜を3cmほどの千切りにして鍋で煎り、煮る。具材がある程度しんなりしてきたタイミングで、醤油や砂糖などを加えてから食べる。油揚げなどを入れると、野菜の旨味や出汁が染みてより美味しく食べられる。具材に能登野菜を使うケースもある。熱くても美味しいが、冷めても美味しくいただくことができる。比較的保存がきく料理だが、最近では薄味に仕上げたり、昔より気温が高くなっていることなど、保存環境も変わったため2日から3日程度で食べることが多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 打ち豆: 20g +- ごぼう: 40g +- 油揚げ: 20g +- 大根: 200g +- 人参: 20g +- 濃口醤油(また淡口醤油): 大さじ4 +- みりん: 大さじ1 1/2 +- 酒: 大さじ 1 1/2 +- 砂糖: 大さじ 1 1/2 +- 酢: 大さじ1 1/2 + +## 作り方 +1. 打ち豆はしばらく水に浸しておく。ごぼうはささがきにして水にさらす。油揚げは熱湯をかけて油抜きして千切りにする。 +2. 大根、人参は千切りにし、さっとゆでて水気を絞っておく。 +3. 鍋に1を入れ、酢以外の調味料を入れて歯ごたえが残るくらいに煮る。 +4. 火を止めてから酢を入れる。 +5. 最後に2の大根と人参を加えて、混ぜ合わせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 石川県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_18_1.jpg)" +"# なすそうめん 石川県 + +**郷土料理名**: なすそうめん + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +金沢市周辺 + +## 主な使用食材 +なす、そうめん + +## 歴史・由来・関連行事 +かつて、そうめんの産地として知られていた石川県。一大産地だった奥能登の輪島市では、室町時代からそうめんづくりが根づき、漆器の「輪島塗り」以上の長い歴史がある。江戸時代に入ると、その評判はいっそう高まり各地へ輸出された。庶民が名産として進物用に用いるほか、有名銘柄は将軍への献上品にも使用されるほどだった。しかし、昭和に入るころには産業として衰退していき、名産は輪島塗りに取って代わられた。富山県の砺波市(となみし)大門地区でつくられる「大門そうめん」は、江戸時代後期に薬売りの行商を通じて能登から伝承されたものといわれている。そうめんの産地だった名残りは、金沢市で食べられている郷土料理「なすそうめん」に見てとれる。「なすそうめん」は、なすとそうめんを煮こんだ料理。そうめんは柔らかく煮こま���ているため、麺料理というより煮物に近い感覚で食べらている。 + +## 食習の機会や時季 +暑い盛り、夏バテして食欲のないときに軽く食べられる惣菜として、いまでも日常的につくられている。昔はお盆料理の一品としてつくられることが多かったが、現在は材料が通年手にはいるため時季は問わずに食卓に上がる。金沢市の郷土料理として、食べ残ったそうめんを美味しく食べるためになすととり合わせ、煮物や汁として食べた先人の知恵。最近は飲食店で出されることも増えた。 + +## 飲食方法 +まず、切れ目を入れたなすを出汁で煮る。なすにある程度火が通ったら、あらかじめゆでておいたそうめんを加え、ひと煮立ちさせて食べる。醤油で味付けるのが一般的だが、味噌仕立てにする家庭もある。決まったレシピはなく、乾麺のそうめんを煮こむなど、各家庭によってさまざまなつくり方がある。熱いままでも冷やしても食べられる。そうめんは煮こみ加減によって食感が大きく変化する。そうめんとなすを上手に煮こむには、ある程度の慣れが必要である。煮こんでなすと醤油の色にかぶれた(方言で「染まる」の意)そうめんとなすの味が馴染んで美味しくなるので、別名「なすのそうめんかぶし」ともいう。金沢市で栽培されているブランド野菜へた紫なすを使うと、独特の甘みが加わってより美味である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- なす: 4個 +- そうめん: 2束 +- だし汁: 1/2カップ +- 薄口醤油: 大さじ2 1/2~1/3 +- みりん: 大さじ2/3~1 +- 酒: 大さじ1 +- 【A】 だし汁: 1カップ強 + +## 作り方 +1. なすはヘタを取り、皮目に切り込みを入れ、薄い塩水に浸けてアク抜きする。 +2. そうめんはかためにゆでて洗い、水切りしておく。 +3. だし汁を熱してやや濃い目の味で調味し、なすを煮る。なすが柔らかくなったら、Aのだし汁を適宜加えて味をととのえ、そうめんを加え、ひと煮立ちすれば火を止め味を馴染ませる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「青木悦子の新じわもん王國 金澤料理」 (著:青木 悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_13_1.jpg)" +"# にしんの昆布まき 石川県 + +**郷土料理名**: にしんの昆布まき + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +身欠きニシン、昆布、かんぴょう + +## 歴史・由来・関連行事 +日本海に突き出た能登半島は、古くから海運の要衝を担っており、地域外との交易や文化交流が盛んだった。特に食文化に大きな影響を与えたのが、江戸時代に活躍した「北前船」である。北前船とは、日本海の航路を介して北海道と大阪を行き来した商船群のこと。北海道や北陸で仕入れた米穀や海産物を大阪で売りさばき、北海道への航行では積み荷に大阪の雑貨や酒などを満載した。能登地域は、北前船の寄港地になっており、各地からあらゆる物資が運び込まれた。北海道からの物資で特に多かったのが、ニシンと昆布である。5月の伝統行事として、能登地域の七尾市に伝わる「青柏祭(せいはくさい)」の祝い唄「七尾まだらの脇唄」でも、北前船が運んできた昆布とニシンがうたわれている。北前船のニシンは、保存を目的に内臓を取り除いて干した「身欠きニシン」に加工されて運びこまれる。能登の大きな港町には、そのニシンを貯蔵するためのニシン蔵があったという。その身欠きニシンと昆布を使った伝統料理が「にしんの昆布まき」。戻した身欠きニシンを芯にして昆布を巻き、甘辛く煮こんだものである。 + +## 食習の機会や時季 +「にしんの昆布まき」は、正月や祝宴などのハレの日に食べられていた。比較的保存がきくので、年末に大量につくり正月の間の常備菜にする家庭も少なくない。 + +## 飲食方法 +身欠きニシンを米のとぎ汁やぬか汁に1日以上漬けて柔らかくしておき、ヒレ・うろこ・骨を取り、2等分から3等分ほどに切る。ニシンの幅に合わせて昆布を切って、ニシンにきつく巻きつけてかんぴょうで結ぶ。出汁と砂糖などで1時間以上煮こみ仕上げに醤油、みりんを加え10分ほど煮こんだら美味しく食べられる。長時間煮こむことで昆布も柔らかくなり、ニシンの旨味が全体に行きわたる。甘さが強いもの、醤油をきかせたものなど家庭���とにさまざまなレシピが伝わっている。隠し味に、奥能登の「いしる(魚醤)」を加える場合もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 煮物昆布: 30g +- かんぴょう: 8本 +- 身欠きニシン: 3切れ +- 棒茶: 適量 +- 昆布の戻し汁: 2カップ +- 酒: 1/3カップ +- 砂糖: 大さじ4 +- 濃口醤油: 大さじ3.5 +- みりん: 1/4カップ +- 酢: 大さじ1 + +## 作り方 +1. ニシンはひたひたくらいの棒茶を入れて10~15分くらい煮、煮汁は捨ててニシンは適宜に切る。 +2. 昆布で、ニシンを3~4回くらいきっちりと巻き、かんぴょうはゆるめに2巻きして結ぶ。 +3. 鍋に竹の皮などを敷き、2をきっちり並べ、昆布の戻し汁、酒、砂糖を入れ、落しぶたをして昆布が柔らかくなるまで1~2時間煮(昆布により変わる)、酢、醤油を加えて10分とろ火で煮て火を止めそのまま半日くらい冷ます。 +4. 3を温め、味をみて砂糖を足し、更に極とろ火で柔らかくなるまで落としぶたをして煮、砂糖、みりんで味をととのえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 石川県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_12_1.jpg)" +"# じぶ煮 石川県 + +**郷土料理名**: じぶ煮 + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +鴨肉(鶏肉)、すだれ麩、わさび、せり、しいたけなど + +## 歴史・由来・関連行事 +「じぶ煮」は、石川県を代表とする煮物。鴨肉やすだれ麩、季節の野菜などを煮て食す。鴨肉には小麦粉がまぶされているため、とろみがあるのが特徴。少なくとも江戸時代から食べられていたとされる武家料理。発祥は諸説ある。キリシタン大名の高山右近が宣教師から教わり加賀藩に伝えたという説や豊臣秀吉の兵糧奉行として従事した岡部治部右衛門が朝鮮から伝えたという説、漂流したロシア人が伝えたという説などさまざま。また、「じぶ煮」の名の由来についても定説がない。岡部治部右衛門の「治部」や「じぶじぶ煮る」の擬声語に由来しているなど、さまざまな説がある。加賀藩の台所方を務めた“包丁侍”こと舟木伝内は、「料理ちから草」という本のなかで「じぶじぶ煮、炒りどり、湯どり、のっぺい、麦鳥」といくつかの料理とそのレシピを書き記した。現代の「じぶ煮」は、文中の麦鳥のレシピが伝わったものとされている。長い時代を経てなんらかの理由で、料理名が麦鳥から「じぶ煮」に変わったといわれている。加賀藩主の別邸、金谷御殿が落成したお披露目の宴に藩士約3000名が招かれた際、その宴では藩公に鴨肉・せり・すだれ麩・くわいの「じぶ煮」が供されたという。 + +## 食習の機会や時季 +武家料理としてはじまったとされる一方で、庶民たちは秋冬ごろ、大陸からの渡り鳥をしとめて、「じぶ煮」をつくっていたとされる。時が経つにつれて、料亭風の盛り付けや仕立て方で演出され献上料理に供されるようになった。このときから、薄手で口が広く底が浅い、専用のお椀で供されるようになったといわれている。家庭でもおもてなしや特別な日の料理として食べられている。また、郷土料理を提供する料亭や割烹などでも提供されている。 + +## 飲食方法 +大きめのそぎ切りにした鴨肉に小麦粉をまぶし、すだれ麩や各種野菜とともに出汁や醤油とともに煮てある。この小麦によって肉の旨味をとじこめ、汁にとろみがつくため寒い冬でも体があたたまる。季節によっては旬の魚介が加わることもある。薬味としてわさびを天盛りにすることで、さわやかな辛みがやわらかな鴨肉と調和する。鴨肉は高級食材のため、家庭でつくるときは合鴨や鶏肉などで代用される場合もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鴨肉: 120g(12切れ) +- すだれ麩: 1枚 +- 里芋(お好みで): 4個 +- 生しいたけ: 4枚 +- ほうれん草またはせり: 1/4束 +- 花麩(お好みで): 4切れ +- 【A】 薄口醤油: 大さじ2 +- 【A】 濃口醤油: 大さじ2 +- 【A】 みりん: 大さじ2 +- 【A】 酒: 大さじ2 +- 【A】砂糖: 大さじ1 +- 【A】だし汁: 2 1/2カップ強 +- 小麦粉: 適量 +- わさび: 適宜 + +## 作り方 +1. 鴨肉はそぎ切り、すだれ麩は適宜に切り、ゆでこぼしておく。里芋は皮をむいて下ゆでし、生しいたけは石づきをとり、飾り包丁を入れる。青菜はゆでてすだれ���かたちをととのえ、2~3cmに切る。 +2. 鍋にAの調味料を入れて火にかけ、煮立ったらすだれ麩、里芋、花麩、生しいたけを入れて煮、いったん引き上げる。 +3. 鴨肉にたっぷりの小麦粉をまぶして、2に入れて煮、火が通ればこれも引き上げる。 +4. 器に2、3を盛り、青菜をそえる。 +5. 3の煮汁に水ときの小麦粉で濃度をととのえ、4にかけ、わさびを天盛りにする。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 「金沢・加賀・能登 四季のふるさと料理」(著:青木 悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_1_1.jpg)" +"# きしず 石川県 + +**郷土料理名**: きしず + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +加賀市周辺 + +## 主な使用食材 +くずきり、わかめ、きくらげ、たけのこ、すだれ麩、湯葉、白ごま、白味噌、酒粕、砂糖など + +## 歴史・由来・関連行事 +加賀市の大聖寺町は、かつて白山五院(白山寺の末寺のこと)の一つ大聖寺の門前町として栄えていた。この地で法事や報恩講(浄土真宗を開いた親鸞聖人の命日前後におこなわれる伝統行事)の際に食べられている精進料理が「きしず」である。「きしず」は、山海の珍味を錦皿に盛り合わせた料理(たれのことを「きしず」という)。くずきりやわかめ、きくらげ、たけのこ、すだれ麩、湯葉などを細長く切って色あざやかに盛り付けられる。輪島市に伝わる精進料理「すいぜん(寒天と米粉を使った真っ白なくずきり)」同様に、刺身の代わりとして食べられている。特にに大きな規模の行事では、紅白に分けたくずきりが使われるが、一般的には春雨で代用されることが多い。また、青みを出すためにそえられる菊の花は、近年きゅうりなどが用いられる。全体的にさっぱりした食材が使われるため、白ごまや酒かすを練った香ばしいたれと良く合う。昔は調味料に、けしの実を使用しており、“けし酢”から「きしず」と呼ばれるようになったといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +お葬式や法事の時の精進料理の一つとして出されていた。しかし、最近ではそうした行事ごとは、料理屋でおこなうことがほとんどのため、家庭でつくることは少なくなった。また、町中、山間地でもとれる食材が違っていたため、食材によっては、酢の物やデザートとして提供されていることもある。 + +## 飲食方法 +提供する際は、くずきり(春雨)を中心にわかめやきゅうり、など四季の味覚が色あざやかに盛り付けられる。よく炒った白胡麻に白味噌やみりん、酢、出汁などを加えてつくった胡麻だれをつけてから食べる。白味噌の代わりに甘酒や酒粕などで味付けすることもあるという。ごまだれをつけるのではなく、あらかじめ具に絡めてある場合もあり、各家庭によって食べ方や具に違いがある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 人参: 1/2本 +- すだれ麩: 1 1/2枚 +- うど: 1/2本 +- こんにゃく: 1枚 +- きゅうり: 2本 +- 塩わかめ(またはとさかのり): 50g +- くずきり(または春雨): 1袋 +- [ごまだれ]当たりごま(または白ごまでも): 大さじ5 +- [ごまだれ]白味噌: 50g +- [ごまだれ]みりん: 大さじ1 +- [ごまだれ]酒: 大さじ1 +- [ごまだれ]塩: 小さじ1/2 +- [ごまだれ]砂糖: 大さじ1 +- [ごまだれ]だし汁: 大さじ2 +- [ごまだれ]酢: 少々 +- [ごまだれ]けしの実: 適量 + +## 作り方 +1. 野菜はそれぞれ千切りにし、水にさらす。 +2. 塩わかめは塩抜きし、適宜に切り、さっと湯通しをし、水にとる。 +3. こんにゃくは縦半分に切り、4~5本の切り込みを入れて酒、薄口醤油などで色づかないようにいりつけ、冷まして刺身のように切る。 +4. くずきりはゆで、水にとる。 +5. すだれ麩は湯通しをし、短冊に切る。 +6. 器の中央にたれを入れる器をおき、下ごしらえした1~5の材料を彩りよく盛り込む。 +7. <ごまだれ作り方>白ごまの場合はよくいり、油の出るまで充分にすり、白味噌を入れてすり上げ、煮切りみりん、酒を加え、加減を見ながらだし汁を入れ、酢少々、けしの実を入れて味をととのえる。白味噌の代わりに甘酒、酒粕などで味つけすることもある。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 「金沢・加賀・能登 四季のふるさと料理」(著:青木悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_26_1.jpg)" +"# さわらの昆布じめ 石川県 + +**郷土料理名**: さわらの昆布じめ + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +金沢市周辺 + +## 主な使用食材 +サワラ(カジキマグロ)、昆布 + +## 歴史・由来・関連行事 +サワラの刺身を昆布でしめたもの。サワラというと、西京焼きなどに使われる「鰆(さわら)」が知られている。しかし、石川県ではカジキマグロのことを方言で「サワラ」と呼んでいる。マカジキやクロカジキなども、サワラに一括りとされ、スーパーマーケットや飲食店の表記もこの呼び名で通っている。一方の鰆は、方言で「ヤナギサワラ」や「サゴシ」などと呼ばれている。淡白でさっぱりとした味わいの身は、刺身はもちろんフライ、ムニエル、煮つけなど、さまざまな料理に活用できる。そのなかでも、「さわらの昆布じめ」は独特の調理法といえる。昆布に薄く切ったサワラを一切れずつ並べて、昆布で巻いて半日ほど寝かせると食べられる。「さわらの昆布じめ」は、北海道と大阪を行き来する商船群の北前船が運んできた昆布の活用法としてはじまった料理といわれている。かつて加賀藩領だった富山県でも同様の伝統食が根づいており、サワラではなく「サス」と呼ばれている。一方の鰆を使った昆布じめも販売されている。こちらは、行事食として振る舞われることが多い。 + +## 食習の機会や時季 +マダラやタイやヒラメの昆布じめもあるが、サワラは価格が手ごろで一般家庭でも日常的に食べられている。また、カジキマグロの種類にもよるが、季節に関わらず比較的調達しやすく、冷凍物も流通している。一方の鰆の場合は、大きさによって名前が変わる出世魚のため、縁起物として取り扱われる。そのことから、正月料理には鰆の昆布じめが入っていることが多い。 + +## 飲食方法 +昆布から外して、刺身の状態で食べたり昆布と重ねて切り、昆布ごと食べることもある。昆布でしめることで旨味が刺身にうつり、さらにねっとりとした独特の食感が加わる。わさび醤油や刺身醤油などをつけるのが一般的。調理前に日本酒や米酢で昆布を拭いておくとより旨味が引き出されて、魚の生臭さもおさえられる。残った昆布は甘辛く煮たり、出汁をとる、といった使いみちがある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- サワラ(または鰆): 1尾 +- 塩: 適量 +- 広板昆布: 適量 +- 酒: 適量 +- 酢: 適量 + +## 作り方 +1. サワラは三枚におろして中骨を抜き、皮を引き、薄くそぎ切りにして塩を少々振る。 +2. 昆布は汚れを拭きとり、酒、酢で表面を拭いておき、1のサワラを並べて巻きラップに包んで「巻きす」で包み、輪ゴムで止めて軽い押しをして1日置く。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 「青木悦子の新じわもん王國 金澤料理」(著:青木悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_9_1.jpg)" +"# なまこの酢の物 石川県 + +**郷土料理名**: なまこの酢の物 + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +七尾市周辺 + +## 主な使用食材 +なまこ、大根 + +## 歴史・由来・関連行事 +能登半島の冬の味覚として定着する、なまこ。能登のなまこの歴史は、8世紀ごろまでさかのぼるとされている。平城宮跡(平城京の大内裏)から出土した木簡(文書を記した木札)には、能登からなまこ6斤を都へ運んだと記されている。平安中期に編纂され、朝廷の儀式が定められている「延喜式(えんぎしき)」にも、能登のなまこについて記録が残っているという。七尾湾に面した七尾市は、なまこの特産地として知られている。山に囲まれた七尾湾は、波がおだやかなため、柔らかくて旨味のあるなまこがとれる。小型底びき網によるなまこ漁が行われており、昭和40年代(1960年後半)には1000トン以上の漁獲量を誇った。現在では、300トン台にまで落ちこんでいるが、県全体の漁獲量のほとんどを七尾湾産のなまこが占めている。とれたなまこは、手作業によってきんこ(乾燥なまこ)やこのわた(腸の塩漬け)といった加工品にされ、国内外へ流通する。「なまこの酢の物」は、なまこを使った定番料理として親しまれており、お酒の肴としても人気である。なまこの卵巣を干して乾燥させた、「干くちこ」は高級珍味とし���珍重されている。春先、のれんのように寒風にさらされる「干くちこ」は地元の風物詩である。 + +## 食習の機会や時季 +県内のなまこ漁は、11月にはじまり翌4月まで続けられる。能登では、まなまこが水揚げされる。“赤なまこ”“青なまこ”“黒なまこ”など見た目の色味が異なり、生食用の高級品や地元消費用に選別される。地元では、なまこをさまざまな調理法で食べているが、なかでも「なまこの酢の物」は定番料理として根づいている。 + +## 飲食方法 +よく表面を洗い、内臓を取り除いたなまこを薄く切って、大根おろしと酢と混ぜ合わせて食べる。コリコリした歯触りと強烈な磯の香りが特徴である。なまこは、塩もみの要領で表面のぬめりをとり、手早く洗い、腹側に切り目を入れて内臓のあった部分もていねいに洗うとよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- なまこ: 100g +- 大根: 150g +- [A] 砂糖: 小さじ1弱 +- [A] 酢: 大さじ1弱 +- [A] 味噌: 小さじ1弱 +- [A] 長ねぎ: 5cm + +## 作り方 +1. なまこは真ん中から(腹身から)切って二等分して内臓をとり、口(硬い部分)を切りとる。水できれいに砂を洗い流す。薄く切ってざるに上げて水気をきる。 +2. 大根をすりおろし、しっかり水気を切る。 +3. 1のなまこと2の大根を混ぜ合わせておく。 +4. Aの調味料を合わせ、3と長ねぎのみじん切りを和える。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 「金沢・加賀・能登 四季のふるさと料理」(著:青木悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_30_1.jpg)" +"# 五色生菓子 石川県 + +**郷土料理名**: 五色生菓子 + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +金沢市周辺 + +## 主な使用食材 +5種の生菓子 + +## 歴史・由来・関連行事 +石川県は古来より餅を食べる文化が根づいている土地である。たとえば、能登に伝わる「ねんねだんご」。「ねんね」とは赤ちゃんのことで、産後の母親に良いお乳が出るように与えた郷土料理である。紅白2色のだんごをすまし汁や味噌汁の具に使われるほか、ぜんざいなどのデザートとしても食べられている。また、北海道から能登の小木地区に伝来したといわれる「べこ餅」は、端午の節句や春の祭りに欠かさず食べられている。そのほか、「あぶり餅」や「ひっぱり餅」、「とびつき餅」、「とち餅」……など県内各地で、1年を通してさまざまな餅料理が食べられている。加賀藩の城下町としての歴史をもつ金沢市で食べられているのが、「五色生菓子」である。慶長6年(1601年)、二代目将軍・徳川秀忠の息女にあたる珠姫(たまひめ)が前田利常に輿入れした際に、加賀藩の御用菓子士の樫田吉蔵が献上したとされている。樫田はとくに容器にこだわり、五重の菓器におさめて奉納したという。菓器におさめられた五種の生菓子は諸説あるが、それぞれが森羅万象を意味している。赤色の米粉を餅の半分にまぶした白い丸餅は「太陽」を、白くて丸いまんじゅうは「月」、黄色の餅米をまぶした丸餅は「山」、こしあんのはいったひし形の餅は「海」、蒸しようかんは「里」を表したもの。これにより、天地自然のすがた「日月山海里(じつげつさんかいり)」が完成する。 + +## 食習の機会や時季 +発祥の経緯もあり、「五色生菓子」は婚礼時の祝い菓子として広まった。明治時代には庶民にも定着したという。菓器には、一種類5個、計20個の生菓子を詰めるのが習わしになっている。 菓器を五段重ねに入れた蒸籠は、家の門前に置かれ式典後に配られたという。現在では、20個を祝い菓子としていただくことはほとんどないが、5~10個ほどの祝い菓子をいただいて、食べることはあるという。 + +## 飲食方法 +器から生菓子を取り出して、そのまま食べる。菓器に詰められた餅やまんじゅうは色あざやかな配色で、祝いごとの返礼におしるしとして配られる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 「青木悦子の新じわもん王國 金澤料理」(著:青木悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_29_1.jpg)" +"# たけのこ昆布 石川県 + +**郷土料理名**: たけのこ昆布 + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +金沢市周辺 + +## 主な使用食材 +たけのこ、昆布 + +## 歴史・由来・関連���事 +かつて城下町として栄えた歴史都市金沢市の近郊の山は、現在、たけのこの産地として知られている。金沢市は、内川地区をはじめ額(ぬか)地区や金城地区などでとれるたけのこを「加賀野菜」としてブランディングし市内外へPRしている。加賀野菜に認定されている孟宗竹(モウソウチク)は、藩政時代に江戸から伝来したといわれている。独特の甘みがあり、身のみずみずしさが特徴。昭和2年(1927年)と昭和8年(1933年)には、たけのこの缶詰工場が建設された。たけのこ料理の一つに、「たけのこ昆布」がある。これはたけのこと昆布を出汁とともに煮こんだシンプルな料理。江戸時代から明治時代にかけて、北海道と大阪を行き来していた商船群の北前船は石川県の能登半島を寄港地にしていた。その関係もあって、金沢市には北海道でとれた昆布が大量に流入する。これらの経緯もあり、「たけのこ昆布」は二つの伝統食材をかけあわせた料理であることがわかる。 + +## 食習の機会や時季 +金沢市のたけのこは、毎年4月下旬から5月中旬にかけて出荷される。「表年」と「裏年」という周期があり、前者は豊作の年、後者は不作の年を意味する。この表年・裏年が1年交代でやってくる。それでも県内の出荷量は、表年で約1000トン、裏年で約600トンにも及ぶという。金沢市でとれるたけのこは、県内の生産量のほとんどを担っており、地元で調達する機会は多い。「たけのこ昆布」は、一般家庭でも馴染み深いたけのこ料理である。 + +## 飲食方法 +あらかじめゆでておいたたけのこと、水で戻して適当な大きさに切った昆布を薄口醤油やみりんとともに煮こんでから食べる。煮こむ際に、昆布のつけ汁を使うとふくよかな味わいになり美味である。また、とれたての新鮮なたけのこなら、生のものを使っても美味しく食べられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- たけのこ昆布: 1袋 +- 酒: 1/3カップ +- 薄口醤油: 大さじ5 +- みりん: 大さじ2 + +## 作り方 +1. たけのこ昆布1袋は洗って水につけ、もどしておく。 +2. 1の昆布を適宜切るか結んでおく。つけ汁は使用する。 +3. たけのこ1.5kgは生のまま、1cm厚さに半月切りにする。 +4. 2、3を鍋に入れ、落としぶたをし、強火にかけ、アクをとる。酒カップを加えて弱火にし、20分ほど煮、薄口醤油、みりんを入れて昆布が柔らかくなるまで煮含める。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 「青木悦子の新じわもん王國 金澤料理」(著:青木悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_28_1.jpg)" +"# 加賀太きゅうりのあんかけ 石川県 + +**郷土料理名**: 加賀太きゅうりのあんかけ + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +金沢市周辺 + +## 主な使用食材 +加賀太きゅうり、ひき肉、片栗粉など + +## 歴史・由来・関連行事 +かつて城下町として栄えた金沢市では、藩政時代から特産野菜が継承されてきた。これらの地元に根づいた野菜を後世に伝えるため、金沢市は「加賀野菜」の認定制度を設け、普及・促進に取り組んでいる。加賀野菜の定義は、昭和20年(1945年)以前から栽培され、現在も金沢市で栽培されていること。現在は、さつまいも、加賀れんこん、加賀つるまめ、へた紫なす、源助だいこん、金沢一本太ねぎなどの15品目が認定されている。認定品目のなかで、特に高品質(秀品)の野菜はブランドシールが貼付されて流通する。加賀野菜の一つ、加賀太きゅうりは市内の打木町・かほく市がおもな産地になっている。名前の通り、果長が20cm近くにもなり、果径は5cmから6cmにまで成長する。大きなものは果重が500gから600gを越えることもあり、従来のきゅうりと比べるとずしりと重い。昭和11年(1936年)、久安町地区の農家が東北の短太系きゅうりの種子をゆずりうけ、栽培したのがはじまりである。当時はうりに近く、長年にわたる自然交雑によって、果径が丸みを帯び、色も黄色から緑色に変化していった。現在のかたちになったのは、昭和27年(1952年)ごろといわれている。現在は、露地栽培からハウス栽培や温室栽培に変わり、地元はもちろん東京や関西へも出荷されている。加賀太きゅうりは、酢の物やスープなどの食材に使われるが、夏の定番料理として人気があるのが「加賀��きゅうりのあんかけ」である。 + +## 食習の機会や時季 +加賀太きゅうりが出荷されるのは、4月上旬から11月中旬まで。加賀太きゅうりを使った料理は、酢の物やサラダ、漬物など多彩だが、肉厚な身は青臭さがなく、火を通すと柔らかくなるため、「加賀太きゅうりのあんかけ」は地元民からも親しまれている。食欲が減退する暑い盛りは、さっぱりと食べられる加賀太きゅうりを使った料理が重宝される。 + +## 飲食方法 +皮をむき、種をとった太きゅうりを縦に2等分から4等分に切り、2cmから3cmの一口大に切り、煮物にする。下ゆでしてから、ひき肉やエビなどとともに火にかけて煮た後、仕上げにくず粉又は片栗粉でとろみをつけてあんかけにする。しょうがの天盛りをそえても良い。酢の物にしても美味で、従来のきゅうりにはない歯ごたえが楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 加賀太きゅうり(またはかたうり、太めのきゅうり): 1本 +- 煮干し: 中3~5本 +- 醤油: 大さじ2 +- 片栗粉: 適量 + +## 作り方 +1. 加賀太きゅうりの皮をむいて中の種を出して、少し大きめに切って煮干しのだし汁でゆっくり煮る。 +2. 醤油で味付けして、水溶き片栗粉(じゃがいものすりおろしたものでも可)を入れてとろみを付ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 石川県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_27_1.jpg)" +"# すいぜん 石川県 + +**郷土料理名**: すいぜん + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +輪島市周辺 + +## 主な使用食材 +てんぐさ、黒ごま、黒砂糖など + +## 歴史・由来・関連行事 +「すいぜん」は、輪島に古くから伝わる郷土料理の一つ。てんぐさを煮て米粉を入れ、固めたもの。精進料理にルーツをもち、刺身の代わりに食べられている。法事や葬式に出される料理で、ひと昔前は葬式前に各家庭でつくるのが一般的だったという。隣近所からも人が集まり、つくるのを手伝った。「すいぜん」に欠かせないのが、ごまだれである。これはよくすった黒ごまに黒砂糖や醤油を混ぜたものである。このごまだれ用のごまをするのは男性の役目だった。こういった背景から、家庭によって「すいぜん」のかたさや味に個性が現れる。「すいぜん」は、輪島塗の漆器に菊水やきんちゃく、輪花などの趣向をこらしたかたちで盛り付けられ、美しく飾り立てられる。透明感のある真っ白な「すいぜん」が朱色の漆器によく映える。見た目の美しさ以外に寒天とは一味違った食感やごまだれの風味が特徴である。また、てんぐさの独特の風味も楽しめる。 + +## 食習の機会や時季 +法事や葬式などで振る舞われる。昔は各家庭でつくられていたが、現在はつくられることはほとんどない。取りあつかう販売店や製造業者も少なくなっている。柔らかく、長期間の保存もできないので観光土産として不適で、地域内で消費されることが多い。 + +## 飲食方法 +てんぐさを水に浸して、少量の酢を加え煮溶かす。それを布袋でこしたら、細かくひいた米粉を加え、型に流し入れかためる。食べるときは、突き出しを使って細長くする。食べる際はごまだれをつけてから食べる。このごまだれは黒砂糖が入っているため、甘じょっぱい風味である。こうした風味から、まれにデザート感覚で食べられるケースもあるという。法事や葬式の際は、輪島塗の漆器に盛り付け、飾り立てられることが多い。突き出しによって細長い短冊状になっており、花模様のかたちに盛り付けられる。てんぐさがとれた場所によって水加減がことなるため、かたさ加減を調節しながら煮溶かす必要がある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- てんぐさ: 適量 +- 酢: 適量 +- 米: 適量 +- 黒ごま: 大さじ3 +- 黒砂糖: 大さじ2 +- 味噌: 大さじ1 1/2 +- 醤油: 大さじ2/3 +- 昆布だし汁: 大さじ2 1/2 +- 季節の果物(みかんなど): 適宜 +- パセリ: 適宜 + +## 作り方 +1. てんぐさがかぶるほどの水に少量の酢を加えて煮とかす。 +2. 1がドロドロになってきたら水を少しずつ加えて、てんぐさの形がすっかり溶けたら、布袋でこす。 +3. 一晩水につけた米は石臼ですり、沈殿させておく。 +4. 2に3を加えて流し箱に流し、固まれば適宜に切り、水にさらす。 +5. 4を4~5mmの薄切りにし、器の上で好みの形に盛り、季節の果物、パセリをそえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「金沢・加賀・能登 四季のふるさと料理」 (著:青木悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_25_1.jpg)" +"# めった汁 石川県 + +**郷土料理名**: めった汁 + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +さつまいも、大根、人参、ごぼう、豚肉など + +## 歴史・由来・関連行事 +「めった汁」とは、さつまいもや大根、人参といった根菜類を使った具だくさんの豚汁のこと。従来の豚汁と異なるのは、じゃがいもではなくさつまいもを使う点にある。とはいえ、使う根菜に厳しい決まりはないため、県内全域の家庭で気軽に食べられている。ユニークな名の由来は「やたらめったら具を入れる」「やたらめったら具を切る」など、諸説伝わっている。たくさんの具を使うのは、農家が大量にとれた野菜を処理するためにはじめたともいわれている。県を代表する文豪・徳田秋声(とくだしゅうせい)が明治44年(1894年)に発表した出世作「黴(かび)」では、主人公と友人たちが、「めった汁」をこしらえ食べるシーンが書かれている。「めった汁」の具材にも使われているさつまいもは、金沢市が普及促進するブランド野菜「加賀野菜」の一つに認定されている。金沢市でのさつまいも栽培の歴史は古く、元禄時代の末期に薩摩から種芋と栽培方法が伝わったとされている。明治10年(1877年)に産地化が本格化し、昭和13年(1938年)には100トン以上の早堀りさつまいもが、京都、彦根、大阪、敦賀、神戸などに出荷された。昭和52年(1977年)に、キュアリング貯蔵法(高温多湿下での大量保存方法)が導入されてからは、金沢北部の砂丘地の主力野菜になった。 + +## 食習の機会や時季 +旬の野菜を使い、通年食べられている。手軽に調理できるので、家庭の食卓に上がることも多い。家庭によって、味噌、醤油など味付けはさまざまである。 + +## 飲食方法 +豚肉と各種野菜をだし汁で煮立て、野菜が柔らかくなったら味噌を溶き入れて食べる。大根や人参はいちょう切り、ごぼうは斜め切りなど、野菜によって切り方を工夫すると食感や味の変化が楽しめる。こんにゃくや里芋が入る場合もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 豚肉: 80g +- 大根: 50g +- 人参: 30g +- ごぼう: 1/4本 +- こんにゃく: 1/4枚 +- 里芋: 2個 +- しいたけ: 2枚 +- ねぎ: 1/4本 +- だし汁: 4カップ +- 味噌: 35g + +## 作り方 +1. 豚肉は食べやすい大きさに切る。 +2. 大根、人参、しいたけはいちょう切り、里芋はいちょうまたは半月切り、ごぼうは斜め切りにし水にとる。 +3. こんにゃくは板ずりにしてゆで、適宜に切る。 +4. 鍋にだし汁を煮立て1~3の材料を入れてアクとりをし野菜が柔らかくなるまで煮る。 +5. 4に味噌をとき入れ味をととのえて、ねぎの斜め切りを入れ椀に注ぐ。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 「青木悦子の新じわもん王國 金澤料理」(著:青木悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_24_1.jpg)" +"# みたま 石川県 + +**郷土料理名**: みたま + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +黒豆、もち米 + +## 歴史・由来・関連行事 +「みたま」とは、黒豆(黒大豆)ともち米を蒸した黒豆のおこわのことをいう。地域や人によっては、その見た目から「めだま」と呼ぶ場合もある。また「みたま」は、漢字で「御霊」と表記されることもある。県内では昔から法事や建前(上棟式)の引き出物として贈られる習わしがある。小豆の入った赤飯は、見た目の赤色が火事を連想させるということから建前の引き出物には適していないとされ、白と黒の「みたま」を祝い善にする風習が広がったといわれている。同じ理由から、赤いタイの尾頭つきではなく、アジやサバといった青い魚を用いる。黒豆は健康を意味するとして、床上げの際に振る舞われたりもする。 + +## 食習の機会や時季 +地元では、新築の建前や慶事、弔事などに食べられる。お通夜の際は仏前に「みたま」が供えられ、集まった人たちで分け合った。先祖の供養のため、お盆の十五日にも食べられている。黒豆は健康���意味するということで、めでたい時によく用いられる。江戸時代から原型があったとされる白山市美川地区の「おかえり祭り」でも、「みたま」が振る舞われる。5月に開催される伝統行事で、神輿と山車が地区を巡行。神輿のお還りのルートにあたるエリアは「おかえり節」と呼ばれ、エリア一帯の家々で友人知人を招いた祝宴が開かれる。その際に食べられるのが「みたま」である。 + +## 飲食方法 +砂糖や醤油で煮こんだ黒豆を蒸したもち米に混ぜ込んでから食べる。黒豆の素朴な風味ともち米の食感が特徴である。黒豆に味を付けない地域もあれば、甘く煮こむ地域もある。金沢市では食べる直前にきな粉をふりかける飲食方法が定着している。調理時の注意点はもち米を蒸して、ゆでた黒豆を飾り、きなこを上にかけて食べること。米と黒豆を別にするのは黒豆の色が米にうつらないようにするため。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- もち米: 5カップ +- 黒豆: 1カップ +- 塩: 小さじ1 +- 水: 3~3.5カップ(お好みで砂糖を大さじ3~4) + +## 作り方 +1. 黒豆は分量の水と塩に一晩浸けておく。 +2. ふっくらと戻った豆の水気を切り、蒸し器で柔らかく(約1時間)蒸し上げる。 +3. もち米は一晩水に浸けて、水気をきり、2~3回打ち水をしながら強火で45~50分蒸し上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「青木悦子の新じわもん王國 金澤料理」(著:青木悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_23_1.jpg)" +"# さざえめし/さざえべし 石川県 + +**郷土料理名**: さざえめし/さざえべし + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +能登地域 + +## 主な使用食材 +サザエ、米、麹など + +## 歴史・由来・関連行事 +輪島市の輪島港から北へ約50km。日本海上に浮かぶ離島、舳倉島(へぐらじま)では、海女による素潜り漁がおこなわれている。海女たちは黒いウエットスーツに水中眼鏡を身につけてサザエやアワビを手づかみで漁獲する。海女によるサザエ漁は400年以上の歴史があるとされ、輪島市は舳倉島や七ツ島でとれるサザエを「輪島海女採りさざえ」としてブランディングを図っている。平成30年(2018年)には「輪島の海女漁の技術」が国の重要無形民俗文化財に指定された。「輪島海女採りさざえ」は、身が大ぶりで歯ごたえの良さが特徴。岩礁や岩場に生息するサザエのため、殻のなかに砂が入りにくい。ていねいに1個ずつとるため、身に傷もつきにくい。サザエは刺身やつぼ焼きはもちろん、炊きこみごはんの「さざえめし」や麹漬けした「さざえべし」が食べられている。 + +## 食習の機会や時季 +7月になると、舳倉島や七ツ島の周辺海域でサザエ漁がはじまり、輪島市内の海女約200人が夏の味覚を求めに精を出す。この時期になると、「さざえめし」をはじめとしたサザエ料理が食卓に並ぶ。夏に塩漬けしたサザエを晩秋に麹づけした「さざえべし」は、輪島の正月料理に欠かせない逸品である。薄切りにした「塩漬けさざえ」はかめに入れ、麹・酒・みりんをひたして密封する。1か月ほど熟成させたら赤唐辛子や、柚子の皮を刻んだものを加えてから食べる。1年ほど保存がきくため、正月料理の一品や暮れの贈答品としても定着している。いまでも「塩漬けさざえ」は市場などで販売されているが、「さざえべし」をつくる一般家庭はあまりない。 + +## 飲食方法 +「さざえめし」は、殻から外して内臓を取り除いたサザエを米や出汁と一緒に炊きこんで食べる。サザエの、磯の香りとコリコリとした食感が食欲をかきたてる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- *レシピはさざえめし: 適量 +- 米: 2合 +- サザエ: 4個 +- しょうが: 適量 +- [A] みりん: 大さじ3 +- [A] 酒: 大さじ1 +- [A] 醤油: 大さじ1 +- [A] 塩: 小さじ1/3 +- [A] 水: 1カップ +- だし昆布: 5cm +- 三つ葉または青じそ: 少量 + +## 作り方 +1. 米は研いでから、分量の水に30分以上浸しておく。 +2. サザエの身をとり出し、食べやすい大きさに切る。しょうがは千切りにする。Aの調味料でさっと煮る。 +3. 煮た後、煮汁と具に分け、煮汁は完全に冷ましておく。 +4. 1から煮汁分の水をとり、煮汁と昆布を加えて炊飯する。炊き上がったら、具を加えて蒸らす。器に盛り付け��細かく切った三つ葉を散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 石川県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_22_1.jpg)" +"# いさざの卵とじ 石川県 + +**郷土料理名**: いさざの卵とじ + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +穴水町周辺 + +## 主な使用食材 +イサザ(シロウオ)、卵 + +## 歴史・由来・関連行事 +能登半島の中央に位置する穴水町。このまちの珍味として親しまれている食材が、イサザである。イサザとはシロウオのこと。加賀地方では別名「すべり」とも呼ばれている。体長5cmから6cmほどのハゼ科の小魚で、美しく透き通った身体が特徴である。穴水町の地元民が「春告げ魚」とも呼ぶように、イサザ漁は春に解禁を迎える。産卵のために海から遡上したイサザが町内の河川にたくさん集まってくるのである。地元では、現在でも四つ手網を使った伝統漁法「ほうちょう」が春の風物詩になっており、たくさんのイサザが網にすくいとられる。3月初旬からとれ、生きたイサザを丸ごと食べる踊り食いは、3月中旬ごろが美味とされている。2、3匹をそのまま口にふくんでからのどをすべらせると、甘みがあり、食感と共に独特の香りが楽しめる。イサザの身が少し大きくなってくる4月から5月にかけては、料理のバリエーションも幅広くなる。たとえば、汁の具や揚げ物、茶わん蒸しなどが多岐にわたり、そのうちの「いさざの卵とじ」も定番料理の一つである。5月位には同じシロウオが加賀、美川地区でも獲れ、すべりと呼ばれ食べられている。 + +## 食習の機会や時季 +イサザ漁が解禁する、3月ごろから流通し始める。3月ごろは踊り食い、それ以降はお吸い物や卵とじ、かき揚げなどにして食べられる。現在は、漁獲量が減り、比較的高価となったため、家庭の食卓に日常的に上がることは少なく、観光客向けの飲食店や観光施設などで提供されることが多い。穴水周辺では家庭でもよく食べられている。 + +## 飲食方法 +淡白な味わいのイサザは卵とじや茶わん蒸し、すまし汁といったシンプルな調理法で食べられている。生きているうちに調理するのがポイント。踊り食いする場合は、二杯酢や三杯酢に入れ、うずらの卵を落としてから飲みこむと美味である。ひと昔前は、イサザがたくさんとれたため、佃煮のような珍味もよく食べられていた。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- イサザ: 200g +- 卵: 4個 +- 酒: 大さじ4 +- みりん: 大さじ2 +- 薄口醤油: 大さじ1 +- ほうれん草: 50g + +## 作り方 +1. 調味料を合わせて火にかけ、煮立ったらイサザを入れる。 +2. ゆでて水気を絞り、2~3cmほどの長さに切ったほうれん草を加える。 +3. 火を弱めて、といた卵を少しずつ流し込み、卵に八分ほど火が通ったら火を止める。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 「金沢・加賀・能登 四季のふるさと料理」(著:青木悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_21_1.jpg)" +"# べか鍋 石川県 + +**郷土料理名**: べか鍋 + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +沿岸部 + +## 主な使用食材 +コンカイワシ、白菜、大根、きのこ、酒粕など + +## 歴史・由来・関連行事 +降雪はあるものの冬の気温は適度に低く、夏は高温多湿になる石川県。独特の気候風土を生かして根づいたのが発酵食文化である。たとえば、「日本三大魚醤」の一つに数えられる「いしる」。スルメイカの内臓をおもな原料としているが、マイワシやウルメイワシ、サバ、アジなど使う材料は地域によって多彩に展開する。また、すしの元祖ともいわれる「なれずし」や加賀料理の代表格「かぶらずし」も発酵を活かした郷土料理である。イワシをぬか漬けにしたコンカイワシも石川県の伝統発酵料理として根づいている。冷蔵技術がない時代、大量にとれるイワシの保存手段として広まったという。ひと昔前は、食糧のとぼしい冬の山村地域には欠かせない保存食だった。ぬかをつけたまま焼いたり、ぬかを水で洗い落して刺身にして食べたりする。塩分が多いので、ご飯のおかずにはもちろんお酒の肴にも良く合う。能登地方では、このコンカイワシを使った「べか鍋」が古くから親しまれている。コンカイワシや塩漬けした白菜やきのこなどと粕煮にした鍋料理。イワシは大衆魚のため、庶民の間では「今日も食べっか」「明日も食べっか」という会話がよく交わされたといわれ、それが「べか」の由来になったといわれている。能登中部では「かぶし」、「ドボヅケ」とも呼ばれている。帆立貝を容器の代わりに使った、「コンカイワシの貝焼き」は一人用の鍋料理として人気。能登地方ではないが、県南部の白山市ではコンカイワシと漬物を煮こんだ「イジイジ鍋」が食べられている。 + +## 食習の機会や時季 +コンカイワシは通年出回っていて、一般家庭でも調達しやすい。昔はどこの家庭でも「べか鍋」は鍋料理の一つとして冬に食べられていたが、現在はあまり食べられていない。蒸し焼きにして食べる地域もあり、塩分を多く含んでいることから、夏期の食事が進まないときに食べる家庭もある。 + +## 飲食方法 +大根や人参を食べやすい大きさに切って、コンカイワシ、酒粕のはいった出汁で煮こむ。具材に火が通ったら、コンカイワシを箸でほぐして骨をとってから食べる。家庭によっては、青菜や唐辛子を入れると場合もある。煮こむことで、ぬかや酒粕の独特の香りが楽しめる。野菜の上にコンカイワシを乗せて蒸し焼きにして「べか鍋」をつくるが、調理時のコツはコンカイワシを先に焼くと、ぬかとイワシが香ばしく、甘みが出て、生臭さが残らない。野菜から水分が出るが、焦げないように火力に気をつけると良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根: 500g +- コンカイワシ: 1匹 +- 板酒粕: 50g +- だし汁: 1カップ + +## 作り方 +1. 板酒粕を手でちぎってだし汁に入れて柔らかくする。 +2. 大根は皮をむき、千切りにする。 +3. 鍋に1と2を入れ、コンカイワシも加えて中火にかける。グツグツと火が通ってきたら箸でコンカイワシをほぐしながらかき混ぜ、汁がなくなるまで弱火で煮る。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 「金沢・加賀・能登 四季のふるさと料理」(著:青木悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_20_1.jpg)" +"# いとこ汁 石川県 + +**郷土料理名**: いとこ汁 + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小豆、豆腐、根菜類など + +## 歴史・由来・関連行事 +石川県では、秋の伝統行事の一つに「報恩講(ほうおんこう)」がある。これは、浄土真宗の宗祖・親鸞聖人の忌日にあたる11月28日におこなわれる伝統行事である。寺院や檀家に集まり法話を聞いたあとに食べる食事を「お斎(とき)」と呼び、報恩講に集まった客人たちに振る舞われる。報恩講の食事に欠かせないのが、「いとこ汁」である。これは、小豆や豆腐を中心に各種野菜をゆっくり煮こんで味噌汁風に仕立てた汁物である。小豆は親鸞聖人の好物。法会に参加した人たちは「いとこ汁」を食べながら、親鸞聖人への御恩を報いるという。 能登島では「小豆汁」ともいう。「いとこ汁」というユニークな名前の由来は諸説ある。旧暦12月8日に正月の準備をはじめる「御事始(おことはじめ)」に食べられていた「おこと汁」がいとこ汁になったという説や小豆と豆腐などの材料が“いとこ関係”にあるためとも。地域によっては、大根やごぼう、芋などの根菜を“いとこ”としている場合もあり、解釈は個人によって地域によってさまざまである。報恩講の料理には、「いとこ汁」に似た「いとこ煮」もある。これは小豆と根菜類をじっくり煮こんだもの。7日間かけてごぼうを炊き上げた「七日炊きごぼう」なども食べられる。山口県や山形県などにも「いとこ煮」があるが、調理法や材料に共通点が少なく、おもむききが異なる。 + +## 食習の機会や時季 +報恩講のお斎に欠かせない料理の一つである。金沢は「真宗王国」といわれるほど浄土真宗が浸透しており、現在でも報恩講が伝統行事として根づいている。報恩講では「いとこ汁」のほか、小豆と根菜類を煮こんだ「いとこ煮」や7日間かけて煮こんだ「七日炊きごぼう」なども食べられている。 + +## 飲食方法 +柔らかくゆでた小豆をだし汁にいれて火にかける。煮立ったら豆腐をいれ、味噌で味を調えてから食べる。精進料理のため、出汁は昆布やしいたけなどが使われる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 小豆: 50g +- 木綿豆腐: 80g +- 大根: 80g +- かぼちゃ: 60g +- 昆布だし汁: 2カップ +- 小豆のゆで汁: 2カップ +- 味噌: 大さじ1 1/3 + +## 作り方 +1. 鍋に小豆とたっぷりの水を入れて火にかける。沸騰したら15分ほど煮て、一度お湯を捨てる。水を入れ、再び煮る。水分が少なくなったら、水を足し、アクをとりながら柔らかくなるまで煮る。 +2. ざるに上げて、小豆と小豆のゆで汁に分ける。 +3. 豆腐と大根は1cm角切りにする。かぼちゃは種とわたをとり、ところどころ皮をそぎ落として小さめの一口大に切る。 +4. 鍋にだし汁と小豆のゆで汁を入れて火にかける。大根を加え煮る。大根に火が通ったらかぼちゃを加え、柔らかくなるまで煮る。 +5. 2の小豆と豆腐を加えて味噌で味付けする。ひと煮立ちしたら火を止める。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 「金沢・加賀・能登 四季のふるさと料理」(著:青木悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_17_1.jpg)" +"# メギスのだんご汁 石川県 + +**郷土料理名**: メギスのだんご汁 + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +メギス、卵、ねぎなど + +## 歴史・由来・関連行事 +メギスは、日本海、太平洋沿岸に分布する20cm程度の細長い魚。キスに似た見た目から、全国的に「ニギス」という呼び名が主流になっている。「メギス」は石川県の方言で、ギョロっとした大きな目が由来ともいわれている。石川県はメギスの漁獲量全国トップを誇り、メギスの漁獲量の1割程度を金沢市が担っている。値段も手ごろなため大衆魚として親しまれており、脂ののった白身はクセがない。臭みも少ないため、大人から子どもまで広く好まれている。煮魚やフライ、干物などどんな料理にも生かせる万能魚で、学校給食のおかずにも食べられている。一方で、鮮度が落ちるのが早いため、産地以外で見かける機会は少ない。新鮮な刺身やすしネタで食べられるのは地元民だけの特権である。大漁に調達できるメギスを一度で使い切るために、「メギスのだんご汁」が根づいたともいわれている。メギスのほかに、イワシやトビウオなどを「だんご汁」にして食べる文化が石川県には根づいている。 + +## 食習の機会や時季 +9月から翌6月まで、底びき網で水揚げされる。冬のメギスは身が肥えているので美味とされている。7月、8月は底びき網漁の禁漁期だが、メギスのすり身は貯蔵庫や加工場に保存されているため1年を通して調達可能。スーパーマーケットや鮮魚店でもお馴染みの魚で、一般家庭の食卓にも良く登場する。 + +## 飲食方法 +骨をぬいて、包丁でミンチ状にしたメギスをすり鉢ですり身にする。すり身に味噌や卵、ねぎなどを混ぜ合わせたら、だんご状にして出汁と一緒にしばらく煮てから食べる。だんごは淡白な味わいで、さっぱりとした後味である。味噌汁が美味しいが、すまし汁も良い。新鮮なメギスは塩を加えて煮た後、おろし生姜をのせて食べる「メギスの塩炒り」はシンプルで調理も簡単で、素材を生かした料理である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- メギスのすり身: 200g +- ごぼう: 40g +- [A] 卵: 1個 +- [A] 酒: 小さじ2 +- [A] 味噌: 大さじ1/2 +- [A] 片栗粉: 大さじ1 +- 昆布だし汁: 4カップ +- 塩: 小さじ1/2 +- 醤油: 小さじ1 + +## 作り方 +1. ごぼうはささがきにし、水にさらしてアクを抜く。 +2. すり鉢にすり身を入れてよくする。Aを加えてさらによくする。 +3. 鍋にだし汁、ごぼうを入れて煮る。沸騰したらすり身をスプーンなどで団子状にすくいながら入れる。浮き上がってきたら火を弱め、しばらく煮る。塩、醤油を加え、火を止める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 石川県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_16_1.jpg)" +"# 鯛の唐蒸し 石川県 + +**郷土料理名**: 鯛の唐蒸し + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +金沢市周辺 + +## 主な使用食材 +タイ、おから、人参、ごぼうなど + +## 歴史・由来・関連行事 +尾頭つきのタイを背開きにし、人参、ごぼう、きくらげなどを入れて煮た五目おからを詰めて蒸した定番の加賀料理。武家文化の名残りを色濃く残す郷土料理の一つである。二匹のタイを腹合わせにした盛りつけが主流となっている。祝いごと、とくに婚礼時の際に食べられている。中華料理に由来をもつ長崎の卓袱(しっぽく)料理が、蘭学修養の加賀藩士を通じて伝来されたともいわれている。タイは唐蒸し以外にも、昆布じめ、あら炊き、タイ皮の和え物などさまざまな料理に活用される。 + +## 食習の機会や時季 +婚礼の際に、嫁方は嫁入り道具とともにお酒、大ダイを持参する。それを婿方で唐蒸しにする。宴たけなわのころを見計らって、「鯛の唐蒸し」を披露。客人たちに振る舞われ、宴は一層の盛り上がりを見せる。上身のみを客人に取り分け、骨の下身は下働きをしてくれた人や近所の人に振る舞い、労をねぎらった。二匹のタイを腹合わせに盛り付けるのが習わしで、これを「にらみ鯛」や「鶴亀鯛」という。腹開きではなく、背開きにしたのは切腹を連想させ縁起が悪いからである。このあたりに、武家文化の名残りを見ることができる。タイのおなかにはちきれんばかりに、おからを詰めるのは子宝に恵まれるように、と願ってのことである。一般家庭の祝いごとや祭礼にも食べられており、現在は季節を問わず祝宴に登場する。伝統を重んじる商家などでは、12月の祭礼「恵比寿講」にて商売繁盛を祈願する。このとき、えびす様に供えたおさがりのタイを使って、唐蒸しをつくった。 + +## 飲食方法 +タイのおなかに詰まったおからは、人参、ごぼう、れんこん、しいたけ、ぎんなん、きくらげとともに炒められている。出汁、醤油、砂糖などで味付けされており、ほんのりと甘い。おからをタイに詰めて40分から50分ほど、大ダイでは1.5時間以上蒸すと、おからにもタイの旨味がうつり美味しく食べられる。色あざやかな九谷焼の大皿に盛り付けられることが多く、祝宴に花をそえる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- タイ: 2尾 +- おから(卯の花): 2カップ +- ゆでたけのこ: 20g +- ごぼう: 1/2本 +- 人参: 20g +- きくらげ: 6枚 +- ぎんなん: 8粒 +- 麻の実: 小さじ1 +- [A] だし汁: 1カップ +- [A] 砂糖: 大さじ6 +- [A] 酒: 大さじ4 +- [A] 醤油: 大さじ4 +- [A] 塩: 少々 + +## 作り方 +1. ゆでたたけのこ、ごぼう、人参、もどしたきくらげは千切り、殻を除いたぎんなんはゆでて薄皮をむいておく。 +2. タイはうろこをとり、腹合せに並べた魚の背びれの裏側から、背開きし、内臓をとり出し、洗う。海水程度の塩水に1時間ほどつけて塩味を馴染ませる。 +3. 1を炒め、Aの調味料、おからを入れて焦がさないように充分にいり、麻の実を混ぜて冷ます。 +4. 2の切り口に3を詰め、40~50分ほど蒸す。(魚の大きさにより、蒸し時間は異なる) + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 「青木悦子の新じわもん王國 金澤料理」(著:青木悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_15_1.jpg)" +"# なすのオランダ煮 石川県 + +**郷土料理名**: なすのオランダ煮 + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +金沢市周辺 + +## 主な使用食材 +なす + +## 歴史・由来・関連行事 +金沢市では、地元で伝統的に栽培されてきた野菜を「加賀野菜」としてブランディングし、普及促進に努めている。ブランディングにあたり、昭和20年(1945年)以前から栽培されていること、現在も金沢近郊で栽培されていることを定義にしている。現在は15品目がブランド認定されており、加賀太きゅうりや源助だいこん、赤ずいき、金時草、甘栗かぼちゃなど見た目も味も個性豊かな野菜が揃う。加賀野菜の一つ、へた紫なすはその名のとおり、あざやかな紫色のへたと卵のような個性的なかたちが特徴。色つやの良い皮はうすく、身は柔らかく甘みがある。日持ちが良いともされている。栽培がはじまったのは明治20年(1945年)ごろ。市内の有松地区、泉地区で栽培されていた小木という系統から発展したとされている。昭和初期に、現在の金城地区や崎浦地区などが主な産地になっている。なすの収穫期になると食卓に上がるのが、「なすのオランダ煮」である。揚げたり、炒めたなすを甘辛く煮こんだシンプルな料理で、なすが丸ごと使われることが多い。ひと昔前は、もて余すほど大量にとれるなすの処理方法として農家で良く食べられていたという。へた紫なすを使うとあ���り煮崩れしないため、なす本来の味を充分堪能できる。長崎県を経由して伝わった西洋の調理法が「オランダ煮」の名の由来だといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +なすが旬をむかえる夏から中秋にかけて、食卓に上がる。あっさりした風味なので、夏バテで食欲がないときでも食べやすい。「なすのオランダ煮」は、なすとそうめんを煮こんだ「なすそうめん」と並ぶ、夏の味覚として親しまれている。冷たくして食べることが多い。 + +## 飲食方法 +へたの部分を切ったなすに切れ込みをいれて、沸騰させたお湯でアク抜きする。アクの出た汁はすべて捨てて、新たにだし汁を火にかけて醤油と砂糖とともになすを煮つめる。なすに充分味が染みたのを確認してから食べる。仕上げにおろししょうがや唐辛子をかける場合もある。素朴でやさしい味わいで、柔らかい身と張りのある皮の、二つの食感が楽しめる。塩漬けやぬか漬けにしてから丸煮する、「つけオランダ」もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- なす: 8個 +- 赤唐辛子: 少々 +- [A] だし汁: 1 1/2カップ +- [A] 薄口醤油: 大さじ2 1/2~3 +- [A] 料理酒: 大さじ1 +- [A] 砂糖: 大さじ1~2/3 +- [A] 塩: 小さじ1/3 +- ごま油: 適量 + +## 作り方 +1. なすはヘタを取り、十文字に切り込みを入れ水に浸けてアク抜きをし、沸騰した湯に入れてゆで、ゆで汁をこぼし水にとる。 +2. Aの調味料を煮立て、1と小口切りの赤唐辛子を入れ煮含め器に盛る。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 「金沢・加賀・能登 四季のふるさと料理」(著:青木悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_14_1.jpg)" +"# たらの子つけ 石川県 + +**郷土料理名**: たらの子つけ + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +能登地域、金沢市周辺 + +## 主な使用食材 +タラ、真子(タラの子) + +## 歴史・由来・関連行事 +タラは石川県では欠かせない冬の味覚の一つ。県内で食べられているタラは、スケトウダラよりもマダラを指すことが多い。古くから港町として栄える七尾市は寒ブリが有名だが、地元民にとっては、タラのほうがより馴染みのある食材である。七尾湾は入り組んだ地形のため、産卵期を迎えたタラが良くとれた。昭和20年代(1940年後半)には“タラが湧く”ほどとれたとなつかしがる地元民も少なくない。それを裏づけるように、七尾のタラを唄った民謡が残っているほか、毎年2月には「ごっつおまつり(たら祭り)」が開催される。「すてるところがない」といわれるように、アラは味噌汁や煮物に、胃や内臓は塩辛に、「たらちり」や「たら汁」には身だけでなく、七つ道具といわれる内臓一式も使われる。ひと昔前は、季節が冬にさしかかると家々の軒先に干しダラが下がるのがお馴染みの風景だったという。本来、鮮度が落ちるのが早いタラは、火を通して食べるのが一般的である。しかし、新鮮なタラが調達できる能登地域では刺身で食べることができる。さらに刺身に真子(タラの子)をまぶした、「たらの子つけ」は地域内外に広く伝わっており、とくに金沢市では定番の郷土料理として根づいている。 + +## 食習の機会や時季 +能登地域の港町では、2月11日の旧正月に豊漁・安全祈願のための起舟祭(きしゅうさい)がおこなわれる。漁船には大漁旗が飾り立てられ、榊と御神酒を供えられる。この日のために、用意されるごちそうが「たら御膳」「起舟御膳」。「たらの煮つけ」、「白子の酢の物」、「真子の醤油漬け」、「たらの子つけ」などを一度に楽しめるフルコースで、漁師の親方が部下たちを家に招き、振る舞わうのが習わしとして残っている。 + +## 飲食方法 +酒と塩でうす味に味つけした真子のいり煮がまぶされており、いり酒(酒と梅干し)で食べられる。カツオ出汁と醤油を混ぜた土佐醤油で食べても良い。スケトウダラと比べ、マダラの真子は巨大で倍以上の大きさになることもある。黒い皮で覆われており、インパクトのある見た目だが、淡白でモチモチとした食感が楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- タラ(刺身用上身): 100g +- 真子: 25g +- 大根: 適宜 +- 大葉: 適宜 +- 人参: 適宜 +- わさび: 適宜 +- [いり酒]醤油: 1/2カップ +- [いり酒]酒: 1/4カップ +- [いり酒]梅干し: 適量 + +## 作り方 +1. タラ(上身)は薄塩をして1~2時間しめてそぎ切りにする。 +2. 真子をゆでながら皮から子をはずし、布巾に包んで熱いうちに水分をしぼり、身をほぐして冷まして1にまぶす。 +3. いり酒は鍋に梅干し、酒を入れて煮、醤油と合わせ、冷ましておく。 +4. 大根のけん、大葉、わさびなどを添えて盛り、いり酒をそえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「青木悦子の新じわもん王國 金澤料理」(著:青木悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_11_1.jpg)" +"# 真子の煮つけ 石川県 + +**郷土料理名**: 真子の煮つけ + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +真子(タラの子) + +## 歴史・由来・関連行事 +石川県で「タラ」といえば、スケトウダラではなくマダラのことを指すのが一般的である。寒さが厳しくなるころに産卵期を迎え、この時期のタラは特に美味とされている。地元民の間では「すてるところがない」ともいわれ、頭から内臓までさまざまな部位が料理に使われる。刺身を昆布じめにしたり、白子を酢の物にしたり、正月料理には干物にした棒ダラも食べられている。漁業が盛んな能登では、12月から2月にかけてタラ漁が最盛期を迎える。その味は古くから評判で、民謡でも「能登のタラは日本一」とうたわれるほど。能登の七尾市では「ごっつおまつり(たら祭り)」も開催される。「真子の煮つけ」は能登に伝わる代表的な調理法の一つ。真子とは卵のこと。江戸時代から食べられており、細かくほぐした卵を刺身にまぶす「たらの子つけ」も有名だが、シンプルに醤油とみりんで煮付けにもされる。現在は珍味として、広い地域で知られている。全長が1mを越え、重さが10kg以上にもなるマダラの真子は、30cm近い大きさになる。黒い皮につつまれており、スケトウダラの卵よりも見た目のインパクトが大きい。 + +## 食習の機会や時季 +産卵期を迎える冬頃に食べられている。時期になると鮮魚店やスーパーマーケットで真子が売られており、家庭で調理される。能登地域の港町では、2月11日の旧正月に「起舟祭(きしゅうさい)」が開催され、地元の飲食店や宿泊施設で「たら御膳」や「起舟御膳」が振る舞われる。「たら御膳」はたら料理尽くしのフルコースで、定番の「たらの煮つけ」をはじめ、真子を使った料理が並ぶ。 + +## 飲食方法 +輪切りにした真子を醤油とみりんとともに煮こんでから食べる。味付けがしっかりしているので、ごはんのおかずやお酒の肴にも良く合う。小さく切ると、バラバラになってしまい、花が咲いたように仕上がるため、包丁を入れずに大きなまま煮てから切ると良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 真子: 450g +- だし汁: 250cc +- 酒: 大さじ3 +- 醤油: 大さじ3 +- 砂糖: 大さじ3 +- みりん: 大さじ3 + +## 作り方 +1. 真子はきれいに水洗いし、二腹くっついたところを切り離す。 +2. 鍋にだし汁と調味料を入れて煮立たせる。 +3. 真子をそっと入れて、アルミホイルで落としぶたをして中火から弱火で25分ほど煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 石川県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_10_1.jpg)" +"# 押しずし 石川県 + +**郷土料理名**: 押しずし + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +金沢市周辺・加賀地域 + +## 主な使用食材 +米(酢飯)、旬の魚など + +## 歴史・由来・関連行事 +石川県では祭りや祝いごとのハレの日に「押しずし」が食べられる。金沢市では、酢でしめた魚、すし飯、紺のりを木枠に重ね入れ、一晩押して寝かせたものが食べられている。一夜かけて重しをすることで、魚とすし飯が互いの旨味を引き出して調和するという。ほど良い酸味も食欲をかきたてる。春ならタイやイワシ、アジ、秋はサバ、シイラといった具合に季節や行事によって使う魚介も異なり、木の芽やきんかんなどの彩りがそえられる。加賀では、「押しずし」の一種である「笹ずし」や「柿の葉ずし」が食べられている。「笹ずし」は熊笹で包んだすし飯や魚を一晩押し寝かしたもの。米一升で50人前ほどがつくれる。ひと昔前は、近くの山から笹を調達して何十人分もの「笹���し」を一家総出でこしらえたという。家で食べる分は簡易的な方法でつくられる、「おけらずし」を食べたという。魚が手に入りにくい地域は、油揚げや塩くじらを使った。「柿の葉ずし」も柿の葉をすし飯、魚を重ね寝かせた「押しずし」。柿の葉は7月から8月ごろにとれるものが、緑が濃く香り高いといわれている。この時期に大量に収穫したものを冷凍し、1年分を保存する家庭もある。魚をすし飯の下にし、上に紺のりと桜エビをのせるのが本来のつくり方とされる。 + +## 食習の機会や時季 +正月や冠婚葬祭のほか、春祭りや秋祭りのときに食べられている。ひと昔前は、行事の前になると家族で大量につくり、当日近所におすそわけするのがお決まりだった。すし飯を敷く、魚を乗せる、ふたをして抑える、といった各工程を子どもと大人で分担して、流れ作業で進めたという。 + +## 飲食方法 +1日ほど寝かしたのち、そのまま食べる。お祝いごとのときは、九谷焼の大皿に贅沢に盛りつけられ祝宴に彩りをそえる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 白米: 3カップ +- もち米: 1/4カップ +- 水: 3 1/2カップ +- 昆布(5cm角): 1枚 +- [A] 合わせ酢: (米5カップ分) +- [A] 酢: 1/2カップ +- [A] 塩: 16g +- [A] 砂糖: 60g +- 【春季】イワシ、アジ、小鯛: 適量 +- 【秋季】サバ、シイラ等(刺身用): 適量 +- 塩、酢: 適量 +- 針しょうが: 適量 +- レモン、紺のりまたはきざみ昆布、桜エビ、経木または笹の葉: 適量 + +## 作り方 +1. 白米、もち米は洗って1~2時間水に浸けざるに上げて30分おく。 +2. Aを合わせて火にかけ、塩、砂糖が溶ける程度に温める。(すし酢を使用しても良い) +3. 1の米に昆布を入れて炊き上げすし桶にとり、2の合わせ酢を振りかけて混ぜ、濡れ布巾をかけて冷ます。 +4. 魚は三枚におろし、強めに塩を打ち2~3時間おいて身をしめ、水洗いして水気を拭きとり、針しょうがを入れた酢に30分~1時間ほど浸けてしめ、皮をはぎ、さくどりしてそぎ切りにする。 +5. しょうがは千切りにし、水に浸ける。レモンはいちょう切りにし水にさらす。紺のりは水にサッとくぐらせて戻す。経木または笹の葉は型に合わせて切っておく。 +6. すし枠を水で濡らしておき、経木を敷き、レモン、魚を並べ、すし飯を広げてその上に紺のり、桜エビ、針しょうがをのせてさらに経木をしき一段つくり、同じようにくり返して重ね一晩押しをする。 +7. 6を切り分け皿に盛り付ける。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 「金沢・加賀・能登 四季のふるさと料理」(著:青木悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_08_1.jpg)" +"# かぶらずし 石川県 + +**郷土料理名**: かぶらずし + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +かぶら(かぶ)、ブリ、人参、柚子皮など + +## 歴史・由来・関連行事 +塩漬けしたかぶらに塩漬けしたブリを挟んだ、石川県を代表する伝統的発酵食品。従来の酢飯を使うすしとは異なる、漬物に近い「なれずし」の一つである。起源については、諸説ある。金沢市金石町の漁師が豊漁祈願・安全祈願で正月の行事食として食べはじめたという説や前田藩主が湯治で訪れた地元の温泉宿で振る舞われたといった説が伝わっているが、定かではない。少なくとも江戸時代には食べられていたという。魚屋や八百屋が年末、得意先に通い帳の入れ替えとごあいさつのために手づくりの「かぶらずし」を手土産にしたことから広がった。ブリは能登地方を代表する食材の一つ。脂ののった寒ブリは刺身にしても煮ても焼いても美味しく食べられる。江戸時代、とれたての「御用ブリ」は、城下に出まわる前にまず藩主へ献上された。「ブリ一本、米一俵」といわれるほどの高級食材で、質素倹約を強いられていた庶民が口にすることは滅多になかったという。どうにかしてブリを食べるために、かぶらで挟んで食べたことが「かぶらずし」のはじまりという説もある。 + +## 食習の機会や時季 +初冬、北陸地方には「ブリおこし」と呼ばれる雷が雷鳴を響かせる。ブリおこしが鳴り響くと、ブリの定置網漁が本番を迎える。石川県漁協では、この時期にとれる7kg以上のブリを「天然能登寒ぶり」としてブランディングを進めている���「コゾクラ」、「フクラギ」、「ガンド」と大きさによって名前を変えるブリは、古来より縁起物で、加賀藩から徳川将軍家にも贈答されていた。数あるブリ料理のなかでも、高級品とされるのが「かぶらずし」である。「かぶらずしがないと正月が始まらない」という地元民もいるほど定着しており、年の暮れが近づくとスーパーマーケットやデパートなどで売り出される。風味や口あたりはかぶらの種類や熟成加減、塩の加減によって千差万別。つくるのには、気温に左右され、経験と技術が求められるという。現在でもブリは高級食材のため、一般家庭ではニシンと大根で手軽につくれる「大根ずし」が浸透している。 + +## 飲食方法 +ブリの塩漬けをかぶらの塩漬けで挟み、糀でつくった甘酒をのせて1週間から10日ほど漬け込んでつくられる。熟成が進んだものを、なにもつけずにそのまま食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20~25切れ分) +- ブリ(またはガンド): 1~1.5kg +- 天然塩: 適量 +- 重石: 適量 +- かぶら(特大): 10~13個 +- 人参: 1/2本 +- 柚子皮: 適量 +- 赤唐辛子: 1~2本 +- 糀: 1枚 +- 米: 2カップ +- 熱湯: 2カップ + +## 作り方 +1. ブリはようかんのように切り、容器に入れてブリが見えなくなるくらいの強塩をし、重石をして40日くらいおく。 +2. かぶらの天地を切り落とし2枚の輪切りにし、切り離さないで切り目を入れ、樽底に塩を振りかぶらを並べ、また塩を振りかぶらをくり返し並べる。重石をして1週間くらい塩漬けする。 +3. 糀にごはん、熱湯を合わせて混ぜ、簡単な保温(50℃前後)をして一晩おく。 +4. かぶらは十分に水気をきり、水気をふき取っておく。人参は花形に切って塩もみし、赤唐辛子は種を除き小口切り、柚子は千切りにしておく。ブリは水洗いし、かぶらに合わせてそぎ切りにする。かぶらの間にブリを挟み、大さじ山盛り2杯の糀をのせ、隙間のないように並べ、人参、赤唐辛子、柚子皮を散らす。これをくり返し一番上に塩抜きしたかぶらの葉をのせ、落としぶたをして重石をする。(7~10日程度で漬け上がる) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「青木悦子の新じわもん王國 金澤料理」 (著:青木悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_07_1.jpg)" +"# 大根ずし 石川県 + +**郷土料理名**: 大根ずし + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +大根、身欠ニシン、人参など + +## 歴史・由来・関連行事 +「かぶらずし」と並ぶ、加賀を代表する伝統的発酵食品。身欠ニシンと大根を、米と麹でつくる甘酒で漬けた発酵食品である。「大根ずし」が根づいた背景には、藩政期から交流のある北前船が大きく影響している。北前船は日本海を経由して、北海道から江戸、大阪へと米や魚を運ぶ商船群。航海途中の拠点だった能登には、全国各地の物品が多く運びこまれた。ニシンは特に供給量が多く、庶民でも調達しやすい魚介の一つだったのだ。港町には大量のニシンを保管する「にしん蔵」という倉庫がいたるところに点在していたという。身欠ニシンとは、水揚げしたニシンから内臓や卵巣(数の子)を取り去って干したもの。冬は「大根ずし」に使われるほか、四季を通して煮物などに使われていた。県内の広い範囲に渡って、定着している郷土料理である。漬け方には地域性があり、金沢市では拍子切りの大根に小切れのニシン、人参などを甘酒に漬けこむ。雪の多い地域では酸っぱくなりやすい甘酒ではなく、麹を使う。肉質が柔らかく甘みがある、加賀野菜の源助だいこんが良く合う。 + +## 食習の機会や時季 +正月などのハレの日に提供される「かぶらずし」に対して、「大根ずし」は原料になる大根とニシンが手に入れやすいため、家庭でも日常的につくられる。 + +## 飲食方法 +桶から取り出して、麹がついたまま食べる。粗雑な見た目から敬遠する人も少なくないが、大根と脂がのった魚の甘み、発酵による酸味が調和した味わいを好む人も多い。大根のシャキシャキとした食感も魅力の一つである。骨まで食べられるので、お酒の肴にも良く合う。源助だいこんが手にはいらないときは、青首大根も良く使われる。地域によっては輪切りの大根に塩サバや、サケを���んで漬けるところもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根: 5本 +- 天然塩: 2.5~3% +- 重石: 適量 +- 人参: 3~6cm +- 柚子皮・昆布・赤唐辛子: 少々 +- 身欠きニシン: 10本 +- 米のとぎ汁: 適量 +- 椛(かば): 1/2枚 +- 米: 1 1/2カップ +- 熱湯: 1/2~1カップ + +## 作り方 +1. 大根は適宜に切り、樽の底に塩を振り、大根を並べまた塩を振り大根を並べることをくり返し、重石をして5~6日くらい塩漬けする。 +2. ニシンは米のとぎ汁に一晩浸けて戻し、うろこをとり、水洗いして糠を落とし、適宜に切っておく。 +3. 椛に熱いごはん、熱湯を合わせて混ぜ、簡単な保温をして一晩おく。 +4. (a)大根はざるに上げて水気を切っておく。(b)人参は千切り、赤唐辛子は種を除き小口切り、柚子、昆布は千切りにしておく。(a)、(b)を混ぜながら漬け込み、落としぶたをして重石をする。(7日~10日くらいで漬け込みあがる) + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 「青木悦子の新じわもん王國 金澤料理」(著:青木悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_06_1.jpg)" +"# ひねずし 石川県 + +**郷土料理名**: ひねずし + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +能登地域 + +## 主な使用食材 +魚介(アジ、サバなど)、米、赤唐辛子、山椒の葉など + +## 歴史・由来・関連行事 +「ひねずし」は、塩漬けした魚を米とともに漬け込み熟成させた発酵食品。輪島市、穴水町、能登町といった奥能登の地域が主な産地になっている。奥能登地方の山村地域は古くから穀倉地帯になっており、「ひねずし」に必要な米が栽培されていた。さらに地域を流れる河川からは、アユやウグイなどの川魚がとれる。交通インフラが行き届かない山村地域にとって、「ひねずし」は保存食としてだけでなく、貴重なたんぱく源でもあった。地域によっては、「すす」の名称で呼ばれる場合もある。いつごろから食べられてきたのかは定かではないが、江戸時代に編纂された「諸国献上物集」のなかに、その存在を伺い知る記述が見られる。当時は高価な品として、冠婚葬祭やお祭りのときに客に振る舞われていたとされる。塩漬けの具合と熟成期間によって旨味が変化し、その独特の味わいから、“すしの元祖”ともいわれている。近年は、昔ほど川魚がとれなくなってきており、保存食もつくる必要性もない。そのため、新鮮な海産魚を使った「ひねずし」が一般的である。アジやサバやハチメ(メバル)などの魚介が使われるが、アジやサバが最も主流である。 + +## 食習の機会や時季 +お祝いごとのほか、夏祭り、秋祭りなどに食べられていた。春先にとって塩漬けにしておいたアジをごはん、山椒の葉、赤唐辛子などと専用のずんどう桶に詰めて、熟成させる。祭りの時期にあわせて、1、2か月ほど熟成させたら発酵も進み美味しく食べられる。いまでは家庭でつくる機会も減ってきているが、スーパーマーケットやお土産屋などで販売されている。 + +## 飲食方法 +各家庭によってさまざまなつくり方が伝わっており、統一されていない。食べる直前の落としぶたを開ける瞬間まで、桶のなかを確認することはできない。また、発酵食品ということもあり、同じ人が漬けても塩加減や気候によって味が変わるという。熟成が進んだころに桶から取り出して、食べやすい大きさに切り、そのまま食べる。発酵食独特のにおいとクセがあるが、食べ馴れるとやみつきになる人も多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20人分) +- 中アジ: 5kg +- 塩: 2kg +- 米: 1升 +- 山椒の葉: 500g +- 赤唐辛子: 70g +- 酢: 2 1/2カップ +- 重石: 15kg +- 桶: 1個 +- 落としぶた: 1枚 +- たて塩(1カップの水に4gの塩を加え沸騰させ冷ましたもの): 適量 + +## 作り方 +1. 新鮮な中アジを選び、頭と腹わた、エラを取り出し、3回くらい水洗いをする。 +2. 桶に水気をきったアジを並べて塩をふる。その上にアジを並べ塩をふる。これを交互にくり返し1.3kgの塩をふりかけながら漬け込み、落としぶたをして重石をする。 +3. 1週間ほど下漬けしたら取り出し、さっと洗い、ざるに上げ、水気をきる。 +4. 山椒の葉は小分けにする。赤唐辛子は種をぬき、2mmの輪切りにする。 +5. 米を炊飯し、おりに移したら50gの塩を入れて混ぜ合わせ、うち���であおぎ冷ます。 +6. 桶底に山椒の葉をたっぷり敷き、青臭さを抑えるために残りの塩をふり、その上に赤唐辛子をバラバラとちらす。 +7. 冷ましたごはんをすき間なく敷き詰め、手に酢をつけながら、しっかり押さえる。 +8. 水気をきった後、アジをすき間なく扇状に並べる。 +9. 山椒の葉・赤唐辛子・ごはん・アジの順に6~8をくり返す。 +10. 落としぶたをし、15kgの重石をのせる。ナイロン袋をかぶせ、新聞を桶のまわりに巻き、2ヶ月間冷暗所に寝かせて発酵を待つ。 +11. 2ヶ月後、上がった水を全て捨てる。 +12. 食べる分を取り出した後は、腐敗防止のためにたて塩を重石のまわりにかける。これをとり出すたびにおこなう。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 石川県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_05_1.jpg)" +"# いしる鍋 石川県 + +**郷土料理名**: いしる鍋 + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +能登地域 + +## 主な使用食材 +いしる、各種魚介、各種野菜など + +## 歴史・由来・関連行事 +「いしる」とは、能登地方に伝わる魚醤のこと。「魚汁(うおしる)」が訛ったものとされ「いしり」や「よしる」とも呼ぶ地域もある。定説はないが、少なくとも1700年代にはつくられていたとされる。また、一説によると、発祥は弥生期、古墳期にさかのぼるともいわれる。いしるは、スルメイカの内臓をおもな原料にするほか、地域によってはマイワシやウルメイワシ、サバ、アジなどが使われる。自然塩を加え、塩漬けにしたあと、数年ほど発酵・熟成させていく。どの地域も地元の魚醤が一番だと言い張るほど、個性が現れる調味料である。ひと昔前の流通網が行き届いていない時代、山村地域では入手しにくい魚の代わりにその旨味を加えるため、いしるを求め、米と交換したという。独特のクセとにおいが特徴で、魚介による旨味が溶けこんでいる。刺身や一夜干し、煮物など用途は多彩。旬の魚介と野菜を煮た「いしる鍋」や「いしるの貝焼き」は地元の冬の定番である。大根やなす、かぶをいしるに漬けこんだ「べん漬け」も有名な郷土料理である。秋田県の「しょっつる」、香川県の「いかなご醤油」と並ぶ「日本三大魚醤」の一つである。 + +## 食習の機会や時季 +現在でも、各地の事業者がいしるを生産。ビンやペットボトル容器などで供給され、スーパーマーケットなどで気軽に購入できる。「いしる鍋」は調理にそれほど手間がかからないため、現在でも冬の鍋メニューの選択肢の一つになっている。 + +## 飲食方法 +旬の魚介や野菜などを出汁といしるとともに鍋で煮て食べる。旨味のあるいしるは水と割って煮こむだけでも美味である。昆布出汁にすると、さらに美味しい。ホタテ貝を鍋代わりにする「ホタテの貝焼き」も広く知られている。これは北海道と大阪を結ぶ商船群・北前船によってもたらされた食べ方とされている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 白菜: 4枚 +- 大根: 1/2本 +- じゃがいも: 小4個 +- ねぎ: 2本 +- 糸こんにゃく: 1玉 +- 焼き豆腐: 1丁 +- 生しいたけ: 4枚 +- えのき茸: 1束 +- 春菊: 1束 +- いしる: 1/4カップ +- だし汁(または水): 3 1/2カップ +- 酒: 大さじ3 +- 七味唐辛子: 適量 +- 柚子: 適量 + +## 作り方 +1. 白菜は細切りにし、大根は1cm厚さの半月切り、じゃがいもは皮をむいて適宜に切る。 +2. ねぎは斜め切り、糸こんにゃくは適宜に切ってからいり、焼き豆腐も適宜切っておく。 +3. 鍋にだし汁を入れてじゃがいも、大根を入れて煮、いしる、酒で味をつけ、下ごしらえした野菜、糸こんにゃく、焼き豆腐などを煮ながらいただく。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 「金沢・加賀・能登 四季のふるさと料理」(著:青木悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_04_1.jpg)" +"# えびす / べろべろ 石川県 + +**郷土料理名**: えびす + +**都道府県**: / べろべろ 石川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +寒天、卵 + +## 歴史・由来・関連行事 +「えびす」は、とき卵の寒天寄せ。祭りや祝いごとに欠かせない行事食である。江戸時代の料理書「江戸料理通」や「料理百珍」に記される「たまご寒天」にルーツがあるとされている。当時、貴重品だった���と砂糖をごちそうに仕立てたものである。おせち料理の定番品目で数の子や紅白かまぼことともに一の重におさめられた。地域によってさまざまな呼び名があるのも特徴。つるつるした見た目から「べろべろ」とも呼ばれる。また、「はやべし」とも呼ばれ、その呼称は輪島市の郷土菓子「柚餅子」(ゆべし)に由来があるとされる。「柚餅子」は、柚子の果肉ともち米粉を練って蒸しあげるが、「えびす」は寒天と卵だけで簡単につくることができる。このことから「早ゆべし」となり、転じて「はやべし」と呼ばれるようになったといわれている。旧加賀藩が置かれた富山県には「べっこう」の名で伝わっている。金沢や能登では砂糖と醤油が味付けのベースになるため、べっこう色の見た目をしている。小松、加賀地区では砂糖と塩で味付けするため、白っぽい見た目になる。甘じょっぱい味であるため、地元民の間では「おかずかお菓子かわからない」という声も挙がる。 + +## 食習の機会や時季 +冠婚葬祭やお正月などのハレの日に食べられ、卵で描く友禅流しのようにつくる。昔は、砂糖をたっぷり入れた「えびす」を子どものおやつにする家庭も多かった。シンプルな料理だけに、家庭ごとに仕上がりや味に個性が現れる。箸をはじくような弾力のものから、箸でつまむとちぎれてしまうような柔らかいものまで、幅広い。しょうが汁を加えるケースもある。 + +## 飲食方法 +煮溶かした寒天に、とき卵と砂糖、醤油を入れて固められている。四角や三角など一口大にして切って提供される。卵のとき加減や流しこみ方によって切ったときの断面の美しさも変化する。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 卵: 1個 +- 水: 2 1/2カップ +- 粉寒天: 4g +- 砂糖: 大さじ2 +- 醤油: 大さじ1 1/2 +- 塩: 少々 +- しょうが: 少々 + +## 作り方 +1. 分量の水と粉寒天を鍋に入れ火にかけ、沸騰したら弱火にしてしばらく煮、砂糖、醤油、極細く千切りにしたしょうがを入れる。 +2. 1に卵を少しずつ流し入れて、鍋ごとあら熱をとる。ある程度冷ましてから型に流して冷やし固め、人数分に切り分けていく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「青木悦子の新じわもん王國 金澤料理」(著:青木悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_03_1.jpg)" +"# はす蒸し 石川県 + +**郷土料理名**: はす蒸し + +**都道府県**: 石川県 + +## 主な伝承地域 +金沢市周辺 + +## 主な使用食材 +加賀れんこん、白身魚、エビ、卵など + +## 歴史・由来・関連行事 +金沢市が認定するブランド野菜に「加賀野菜」がある。このブランド名が本格的に使用されはじめたのは平成の時代(1990年ごろ)にはいってから。ブランド認定されるのは、金沢市を主な産地とし、昭和20年(1945年)以前から栽培されていることが条件となっている。認定されている野菜は、さつまいも、加賀太きゅうり、源助だいこん、たけのこ、加賀れんこんなど15品目ある。なかでも、加賀れんこんは藩政時代から栽培が続く歴史の長い野菜である。金沢市、かほく市、津幡町などの2市2町にまたがる河北潟干拓地が一大産地になっている。節の間が短いのが特徴で、先端の2節が美味とされている。身が肉厚で、歯ごたえが小気味いい。でんぷん質の多さから「餅れんこん」ともいわれる。すりおろしたときの粘りが強く、その粘り気を活かした郷土料理「はす蒸し」が古くから食べられてきた。味の良さが評判になり、明治時代後期から大正時代にかけて、加賀れんこん農業は隆盛を極めた。「れんこん御殿」を建てた栽培農家も少なくなかったという。五代加賀藩主の前田綱紀公は、美濃の国から持ち帰ったれんこんの種を金沢城内堀に植えて、観賞用の花を育てていたという。この加賀れんこんの食感が味わえ、地元の人たちから親しまれている郷土料理が「はす蒸し」。「はす蒸し」は加賀れんこんをすりおろし、具材を加えて混ぜた蒸し物。 + +## 食習の機会や時季 +加賀れんこんは、夏から翌年の春ごろまで収穫される。どこを切っても穴が続くれんこんは「先の見通しがきく」縁起物として正月料理に欠かせない。代表格の「はす蒸し」をはじめ、刺身やだんご汁、寒天寄せ(蓮根羹:はすねかん)など、さまざま料理が残っている。ひと昔前は、来客用のおもてなしに「はす蒸し」をつくる家庭も多かったが、現在は以前ほど食卓に挙がる機会は少なくなった。 + +## 飲食方法 +すりおろした加賀れんこんに白身魚やエビを加えて蒸しあげて食べる。でんぷん質が多い加賀れんこんはつなぎを必要としない。れんこん本来のもっちりとした粘りと仕上げにかけるあんによって、とろりとした食感が楽しめる。れんこんの収穫時期や産地によっては、つなぎ用の卵白や片栗粉などを加える。お好みで薬味のわさびをそえることもある。白身魚やエビに代わり、うなぎや鶏肉を使うケースもあり、アレンジの手法は幅広く展開している。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- れんこん: 300g +- くず粉(または片栗粉): 小さじ1 +- 塩: 小さじ1/2 +- みりん: 小さじ2 +- 白身魚(または鶏肉): 100g +- エビ: 4尾 +- きのこ: 適量 +- ぎんなん: 4個 +- ゆり根: 8枚 +- 卵白: 1個分 +- [A] だし汁: 1.5カップ +- [A] みりん: 大さじ1 +- [A] 塩: 小さじ2/3 +- [A] 薄口醤油: 小さじ2 +- 片栗粉またはくず粉: 適量 + +## 作り方 +1. れんこんは皮をむいてすりおろし、ざるにのせて水気を切る。 +2. 1に卵白、くず粉または片栗粉、塩を加えて混ぜ合わせる。 +3. エビは身の殻をむき、しめじは石づきを取り下ゆでし、ゆり根ははずし、ゆでておく。 +4. 白身魚は酒塩で下味をつけ、ぎんなんは割ってゆで、薄皮をむく。 +5. 器に4、3の順に入れて2を加え、蒸気のあがった蒸し器で蒸し青味をそえる。 +6. Aを鍋に入れて煮立て、くず粉または片栗粉の水ときでとろみをつけて5にかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「金沢・加賀・能登 四季のふるさと料理 おいしい食を育む知恵と心」(著:青木悦子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_02_1.jpg)" +"# へしこ 福井県 + +**郷土料理名**: へしこ + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +若狭地域(嶺北の河野地区を含む) + +## 主な使用食材 +サバ、塩、こぬか、唐辛子 + +## 歴史・由来・関連行事 +若狭地域や越前海岸沿岸の伝統料理で、魚の内臓をとりだして塩漬けし、さらに糠漬けすることで腐らせずに長期保存できる。厳しい冬を越すための貴重なたんぱく源であった。歴史は古く、江戸時代の中頃にはすでにつくられはじめていたといわれている。漁師が魚を樽に漬けこむことを「圧(へ)しこむ」といい、「へしこまれたもの」が省略されて「へしこ」になった説と、魚を塩漬けして出てきた水分「干潮(ひしお)」がなまって「へしこ」になったなど、いくつかの説がある。イワシやイカ、フグなどでもつくられるが、サバが最も多い。若狭で獲れた魚介類は「若狭街道」を経て京都へ運ばれていたが、数多い魚介類の中で主に塩漬けしたサバを京都まで運ぶために使われていたため、近年になって「鯖街道」と呼ばれるようになった。嶺北地方では主にイワシを糠漬けにした「こぬか(こんか)いわし」をよく食べる。 + +## 食習の機会や時季 +長期保存食なので通年食べられている。以前は、各家庭でつくられていた 「へしこ」を使ってつくられる「なれずし」は、正月等ハレの場に欠かせないごちそうだった。現在は生産業者でつくられたものが多く普及している。 + +## 飲食方法 +塩漬けしたサバを、こぬかと塩で半年ほど漬ける。塩味と旨みが強く、くん製にも似ているので、それを生かしたレシピとして、ぬかを落として適当な大きさに切り、軽く火で炙ったり、お茶漬け、酒の肴、おにぎりの具、寿司のネタのほか、最近ではチャーハンの具や、アンチョビのようにパスタやピザなどにも使われる。新鮮なものは刺身としても食べられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1桶分(作りやすい分量) +- サバ: 中6尾 +- 塩: 3カップ +- 【ぬか】こぬか: 10カップ +- 【ぬか】塩: 1カップ +- 【ぬか】唐辛子: 適量 + +## 作り方 +1. サバは背開きにし、塩を胴の中に詰め、あとは全体にまぶし、重石をして約1週間水があがるまで漬ける。 +2. 水があがったら、いったん取り出す。 +3. こぬか、塩をよく混ぜ合わせ、樽の底に少し敷いた後、サバとこぬかを交互に隙間のないようにきっちりと詰め、1の塩おしの水をまわりから注ぎ入れ、上に��辛子を入れて、きっちり重石をして冷暗所におく。 +4. 半年くらいすると食べられる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「再発見!福井の食」 ※一部改変 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_1_1.jpg)" +"# なまぐさ汁 福井県 + +**郷土料理名**: なまぐさ汁 + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +小浜市新保区 + +## 主な使用食材 +焼きサバ、麩、豆腐、ちくわ、生しいたけ、しめじ、かまぼこ、ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +若狭湾での中心地だった小浜市は、”背負い”と呼ばれる京都まで魚を徒歩で運ぶ”鯖街道”の出発点であった。古くは飛鳥・奈良時代から都の朝廷に食材を納めることを認められた「御食国(みけつくに)」として知られ、食に関して重要な役割を担っていた。特に宮川地区にある六つの集落のうち、新保地域には新保山城(霞美ヶ城)があり、山を越えての食材も手に入りやすかった。その恩恵を受け、この地域だけでつくられてきた伝承料理が「なまぐさ汁」である。焼きサバ(竹串にさした鯖の丸焼き)を使ってつくられ、サバの旨味とすこし甘みがある”すまし汁”で、名前からイメージする生臭さは全くなく、かつては精進明け(一定期間 喪に服すために肉や酒を絶ったあと)や祝い事の席では欠かせなかった。御食国の時代以降、現在でも、若狭湾の海産物は全国でも「若狭もの」として珍重される。 + +## 食習の機会や時季 +現在でも建前などの祝い事や、法事などでつくる家もある。 + +## 飲食方法 +焼きサバの頭と骨でだし汁をとったあと、きのこやちくわ・豆腐などを入れ、サバの身をほぐし入れて煮て、たっぷりのねぎを入れる。具たくさんで汁というよりおかずに近い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 焼きサバ: 150g +- 麩: 7g +- 木綿豆腐: 150g +- ちくわ: 150g +- かまぼこ: 1/2板 +- 生しいたけ: 20g +- しめじ: 20g +- ねぎ: 50g +- 水(だし汁): 4カップ +- 【調味料A】醤油: 小さじ1 +- 【調味料A】塩: 小さじ1/2 +- 【調味料A】砂糖: 少々 +- 焼きサバの頭: 適量 +- 昆布: 適量 + +## 作り方 +1. 水を鍋に入れ、昆布・焼きサバの頭を入れて、沸騰したら昆布・焼きサバの頭を取り出す。(出汁を取る。) +2. 焼きサバは大きめにほぐし、麩は水に浸けもどし水気をしぼる。 +3. 生しいたけは小ぶりのものなら1/4に切る。しめじは小房に分ける。 +4. 木綿豆腐は大き目に切り、ちくわは5mm程度の斜め切り、かまぼこは半分に切り5mm程度の厚さに切る。 +5. ねぎは斜めに切る。 +6. だし汁に調味料Aを入れ、生しいたけ・しめじ・ちくわ・麩・豆腐を入れて煮る。ほぐした焼き鯖を入れ、最後にかまぼことたっぷりのねぎを入れてひと煮たちする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 福井県食生活改善推進員連絡協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_2_1.jpg)" +"# さばぬた 福井県 + +**郷土料理名**: さばぬた + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +小浜地区 + +## 主な使用食材 +サバ、ねぎ、味噌、練りからし、砂糖、酢、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +若狭湾での中心地だった小浜は、「背負い」と呼ばれる京都まで魚を徒歩で運ぶ「鯖街道」の出発点であった。古くは飛鳥・奈良時代から都の朝廷に食材を納めることを認められた「御食国(みけつくに)」として知られ、食に関して重要な役割を担っていた。腐敗を防ぐための塩が、サバが京都に着く頃には、ちょうどよい塩加減になったといわれる。御食国の時代以降、現在でも、若狭湾の海産物は全国でも「若狭もの」として珍重された。若狭湾で獲れるサバは脂がのり、味が良い。そのサバを酢でしめて、ねぎやからし、味噌などと和えたものを「さばぬた」という。地元では「ぬた」のことを「のた」や「どろず」ともいい、古くから伝承されている。サバは酢でしめることにより、皮がむきやすくなり、香味野菜と和えても美味である。 + +## 食習の機会や時季 +塩をしてしばらくおき、さらに酢でしめたサバの皮を剥いて1cm幅に切り、からしや味噌で味を付ける。ねぎの他、にら、しょうが、みょうが、春菊などの香味野菜を合わせることもあり、伝承野菜でもある”谷田部ねぎ”との組み合わせは人気がある。「さばぬた」と合わせる��材は、香味野菜のほか、こんにゃく、いりごまなど色々使われる。 + +## 飲食方法 +塩をしてしばらくおき、さらに酢でしめたサバの皮を剥いて1cm幅に切り、からしや味噌で味を付ける。ねぎの他、にら、しょうが、みょうが、春菊などの香味野菜を合わせることもあり、伝承野菜でもある”谷田部ねぎ”との組み合わせは人気がある。「さばぬた」と合わせる具材は、香味野菜のほか、こんにゃく、いりごまなど色々使われる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 生サバ: 1尾 +- 【生サバ用調味料】酢: 適時(ひたひたにつかるほど) +- 【生サバ用調味料】ねぎ: 700g +- 【生サバ用調味料】練りからし: 大さじ1 +- 【生サバ用調味料】味噌: 大さじ4 +- 【生サバ用調味料】砂糖: 大さじ4 +- 【生サバ用調味料】酢: 大さじ3 + +## 作り方 +1. サバは3枚におろし、塩をして2~3時間おき、酢に一晩浸けて皮をむき、小骨を取り除く。 +2. ねぎは2cm長さのぶつ切りにする。 +3. 熱湯に塩少々を入れ、2をさっとゆで、ざるにあげてよく冷やす。 +4. 1のサバを1cm幅に切る。 +5. すり鉢で味噌をすり、練りからし、砂糖、酢、塩を入れ、よくすり込む。 +6. 3、4を5で和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「ほっとするね ふるさとの味」(福井県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_3_1.jpg)" +"# 丸焼き鯖 福井県 + +**郷土料理名**: 丸焼き鯖 + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +若狭地域 + +## 主な使用食材 +マサバ + +## 歴史・由来・関連行事 +若狭地域は、古くは飛鳥・奈良時代から、都の朝廷に食材を納めることを認められた「御食国(みけつくに)」として知られ、食に関して重要な役割を担っていた。特にサバは脂がのって味がよく、徒歩で魚を運ぶ「背負い」によって「鯖街道」を通って、京都まで多くの数が運ばれた。腐敗を防ぐための塩が、サバが京都に着く頃にはちょうどよい塩加減になったといわれている。御食国の時代以降、現在にいたるまで、若狭湾の海産物は全国でも「若狭もの」として珍重された。それほど質の良いサバが獲れる若狭地域で、竹串に刺して丸ごと焼かれた郷土料理が「丸焼き鯖」である。嶺北地方の大野市周辺では夏至から数えて11日目の7月2日、半夏生(はんげしょう)と呼ばれる日に、この「丸焼き鯖」を食べる風習が残っているが、それは大野(現在の大野市)の殿様が、田植えで疲れた領民の体をねぎらい、「丸焼き鯖」を配ったのがはじまりといわれる。(若狭地域では五月休み(田植えが終わった後地区で休みを決めている)に柏餅と焼き鯖を親戚に配る習慣がある。) + +## 食習の機会や時季 +通年だが半夏生と呼ばれる7月2日あたりは特によく食される。 + +## 飲食方法 +マサバを背開きにし、1匹の形にするように竹か茅の串で、頭から尾にかけて縫うようにして串刺しにする。火加減に注意しながら炭火で25分程度かけてじっくり焼く。若狭地域ではしょうが醤油で食べるのが一般的である。味をつけて、焼き鯖煮やなまぐさ汁などにも利用される。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- マサバ: 1匹(350g) +- 醤油: 適量 + +## 作り方 +1. マサバを背開きにし、1匹の形にして、竹か茅の串で頭から尾にかけて縫うようにして串刺しにする。 +2. 炭火でじっくりと25分かけて焼き上げる。 +3. 醤油かしょうが醤油をかけて食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 公益社団法人全国学校栄養士協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_4_1.jpg)" +"# ほんこさん/報恩講料理 福井県 + +**郷土料理名**: ほんこさん/報恩講料理 + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +野菜、穀物など + +## 歴史・由来・関連行事 +福井県では昔から仏教、特に浄土真宗の信仰に熱心で、開祖・親鸞聖人の祥月命日(旧暦11月28日、新暦1月16日)の前後、秋から新年にかけて浄土真宗各派の年中最大行事である報恩講を各地でおこなう。福井県では「ほんこさん」や「おこ(う)さま」と呼ばれる。親鸞の教えに触れ、敬い、徳に感謝するという意味がこめられている。寺院でおこなわれるもの、一般家庭でおこなわれるもの、地域の集会所で開かれるものとさまざまである。その報恩講の期間中、午前と午後のおつとめの合間である昼食、さらに夕食では「お斎(おとき)」と呼ばれる旬の収穫物(野菜や穀物)と豆(油揚げや豆腐)を主に一汁三菜を基本とした精進料理が、集まった人々にふるまわれる。それが「報恩講料理」と呼ばれる。報恩講料理はお寺だけで食べられるものではなく、仏事や祭事などの際、おもに地元の女性が集まり心をこめてつくり大勢にふるまう。また、通常の生活でも食卓に上がるなど”ふるさとの味”として家庭料理に根付いている。 + +## 食習の機会や時季 +秋から冬にかけておこなわれる「報恩講」のお斎として食される。お斎は地元の収穫物を持ち寄って、地元の伝承レシピでつくられるため、郷土料理として定着した。一般家庭の普段の食事レシピとしても定着している。「がんもどきや厚揚げと野菜の煮物」「麩の辛し和え」「ぜんまいの白和え」「すこ」「煮豆」「おはづけ」「打ち豆のみそ汁」「呉汁」「なます」「きんぴら」「おつぼ(小豆と里芋の煮もの)」のほか、地域ごとの郷土料理や地元でとれる食材が食卓に並ぶ。中でも小豆は、親鸞聖人の好物であったとされ、小豆煮や小豆いもなどがつくられる。 + +## 飲食方法 +「報恩講料理」の代表的な「呉汁」を例にあげると、一晩ひたした大豆をすり鉢ですり、水(地域や家庭によりだし汁)、具材とともに煮たてたら味噌を入れる。唐辛子があう。また「おつぼ」は小豆を煮て砂糖で甘く味付けをしたら、うっすら塩味で煮た里芋を入れる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_5_1.jpg)" +"# 呉汁 福井県 + +**郷土料理名**: 呉汁 + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +嶺北地域 + +## 主な使用食材 +大豆、味噌、ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +開祖・親鸞の祥月命日(旧暦11月28日、新暦1月16日)の前後、秋から新年にかけておこなわれる浄土真宗各派の年中最大行事を報恩講といい、福井県では「ほんこさん」や「おこ(う)さま」と呼ばれる。「呉汁」はその報恩講に集まった人々にふるまう精進料理のひとつで、味噌汁にすりつぶしたコクのあるふわふわな大豆がたっぷり入った、豊富なたんぱく質と滋養あふれる温かい汁ものである。大豆を一晩水に浸け、すりつぶしたものを「呉(ご)」(由来は所説多数あり)と言い、それを味噌汁に溶かしたものを「呉汁(ごじる)」と呼ぶが、具材やつくり方は地域、各家庭によってさまざまで、水でもどした大豆をすりつぶす、煮豆をすりつぶす、大豆を乾燥させて挽いた豆粉をつかうレシピもある。「豆汁」や、奥越地域では「ひき汁」とよばれる。 + +## 食習の機会や時季 +おもに報恩講で食されるほか、結婚式や葬式、法事などでも出される。また各家庭で特に寒い冬に好まれる。 + +## 飲食方法 +一晩水に浸けた大豆をたっぷりの水で生臭みが取れるまで煮て、すり鉢やミキサーなどでなめらかな「呉」をつくり、鍋に入れて具材とともに煮たててから、味噌を加えて味付けをする。ふきこぼれやすいので注意する。みじん切りのねぎをちらしたり、唐辛子を入れても良い。熱いうちにいただく。大豆をクリーミーなペーストにするのにすり鉢の場合は1時間以上かかるが、味が良いからとその製法を守り続ける人もいれば、手軽に大豆の粉を使って朝から食す人もおり、生活スタイルにあわせたさまざなつくり方や食べ方がある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大豆: 1カップ +- 味噌: 35g +- ねぎ: 1/2本 +- 唐辛子: 少々 + +## 作り方 +1. 大豆は洗って一昼夜水に浸けておく。 +2. 大豆は洗って一昼夜水に浸けておく。 +3. 煮えた大豆をすり鉢でよくするか、ミキサーにかけなめらかな呉をつくる。(すり鉢でする方がより綺麗な 泡が立つ) +4. 鍋に3を入れ、煮立ててから味噌で味付けをする。 +5. ねぎのみじん切りをちらし、好みにより唐辛子を入れ、熱いうちにいただく。 +6. ※大豆を一晩水につけ、生のまますり呉汁をつくるところもあるが、ふきこぼれやすいので注意すること。生大豆粉でつくる地域もある。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「再発見!福井の食」 ※一部改変 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_6_1.jpg)" +"# 厚揚げの煮たの 福井県 + +**郷土料理名**: 厚揚げの煮たの + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +嶺北地方 + +## 主な使用食材 +厚揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +開祖・親鸞の祥月命日(旧暦11月28日、新暦1月16日)の前後、秋から新年にかけておこなわれる浄土真宗各派の年中最大行事を報恩講といい、福井県では「ほんこさん」や「おこ(う)さま」と呼ばれる。親鸞の教えに触れ、再び信心しましょうという意味がこめられて精進料理を食べるなどされる。浄土真宗の信仰が熱心な福井県では、報恩講でのお斎(食事)にはごちそうであった「厚揚げ」(福井県でいう油揚げ)をつかった料理が添えられていた。どこの町内にもおおよそ1軒は豆腐屋があり、大豆を豆腐や油揚げと交換した。一般家庭にも「厚揚げ」を使った料理が広まりやすかったと言われる。油揚げの消費額が50年以上もの間1位(「家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2017年~2019年平均)」総務省統計局)の福井県では、油揚げといえば分厚くずっしり重量がある、他県では「厚揚げ」と呼ばれているものを指し、いろいろな種類が手に入り味わえるため、各家庭ごとにお気に入りの「厚揚げ」があるようだ。 + +## 食習の機会や時季 +報恩講の時期のほか、各家庭や飲食店などで通年食べられている。 + +## 飲食方法 +熱湯に通して湯抜きした後、味が染み込みやすいよう十文字に切り目を入れた厚揚げを、だし汁、酒、みりん、醤油などで甘辛く弱火でことこと15分ほど煮て、火を止める寸前にしょうが汁を加える。おろししょうがや地がらしなどを添えて器に盛る。このように丸ごと煮るほか、対角線上に4等分に切るなど各所によりレシピが異なる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 厚揚げ: 2枚 +- だし汁: 3カップ +- 酒: 大さじ2 +- みりん: 大さじ2 +- 醤油: 大さじ3 +- しょうが: 適量 + +## 作り方 +1. 厚揚げは熱湯に通して湯抜きした後、揚げの中央に切り込みを入れて味が浸み込むようにする。 +2. 厚揚げが丸のまま入る位の鍋に、だし汁を煮立てて酒、みりん、醤油で調味し、厚揚げを並べてその上に落としぶたをして弱火で15分位煮る。 +3. 火を止める前にしょうが汁を入れる。 +4. 器に厚揚げを丸ごと盛り付け、おろししょうがをそえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「高志の食サポーターによる地産地消レシピ集」(福井農林総合事務所) ※一部改変 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_7_1.jpg)" +"# 麩の辛し和え 福井県 + +**郷土料理名**: 麩の辛し和え + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +嶺北地方 + +## 主な使用食材 +麩、きゅうり、和辛子、味噌、砂糖、酢、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +開祖・親鸞の祥月命日(旧暦11月28日、新暦1月16日)の前後、秋から新年にかけておこなわれる浄土真宗各派の年中最大行事を報恩講といい、福井県では「ほんこさん」や「おこ(う)さま」と呼ばれる。「麩の辛し和え」はその報恩講に集まった人々に振る舞う精進料理の一つで、麩や味噌が使われるため精進料理のなかでは貴重なたんぱく源である。調味料に和辛子の一種、福井県の「からし種」でつくった「地からし」を使うことで、香ばしい芳香の独特な香りとなる。これは”からし種”の油を脱脂せずに丸ごと粉末にする製法に秘密があり、江戸時代中期に創業された老舗店で現在もつくられている。この料理によく利用される角麩は、越前市で製造され、麩の一部が赤で着色されており、料理に彩りを添える。 + +## 食習の機会や時季 +報恩講のほか、葬式や法事などには欠かせない定番料理で、県内各地でつくられている。味噌の代わりに醤油を使うところもある。 + +## 飲食方法 +和辛子(地からし)は、すり鉢に入れて熱湯で目や鼻に強い刺激を感じるまで、すりこぎでよく練りこむ。香りが飛ばないように、すり鉢をそのまま伏せて30分から60分ほどおく。もどした麩や、塩でもんだきゅうりは水気をよく切り、和がらしや味噌や酢などの調味料とよく和える。和えてからも味が馴染むまで30分ほどおくと良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- きゅうり: 2本 +- 塩: 少々 +- 麩(角型): 10個 +- 酢: 大さじ3 +- 味噌: 大さじ3 +- 和辛子: 小さじ2 +- 砂糖: 大さじ3 + +## 作り方 +1. きゅうりは小口切りにし、塩で軽くもみ水気をしぼる。麩は水でもどして固くしぼり、四つ切りにする。 +2. 味噌を十分にすり、酢、砂糖を溶いて、からみを出した和辛子(又は練り辛子)を加え、酢味噌をつくる。 +3. 2の酢味噌できゅうりと麩を和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「再発見!福井の味」 ※一部改変 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_8_1.jpg)" +"# すこ 福井県 + +**郷土料理名**: すこ + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +奥越地域 + +## 主な使用食材 +赤ずいき(八つ頭の茎) + +## 歴史・由来・関連行事 +開祖・親鸞の祥月命日(旧暦11月28日、新暦1月16日)の前後、秋から新年にかけておこなわれる浄土真宗各派の年中最大行事を報恩講といい、福井県では「ほんこさん」や「おこ(う)さま」と呼ばれる。「すこ」はその報恩講に集まった人々に振る舞う精進料理の一つである。材料である赤ずいき(漢字で書くと赤芋茎)とは、里芋の一種である八つ頭の茎で、酢漬けにすることで赤色がさらにあざやかとなる。この酢を加えると赤くなる特性はアントシアニンによるもので、昔から「古い血を流す」といわれて食べられたほか、干して長期の備蓄に耐える保存食とされてきた。食感はシャキシャキとしており、甘酸っぱさが食欲を増す。福井県ではもっともポピュラーな料理の一つである。特に九頭竜川の恩恵を受ける大野市では、里芋をはじめ色々な野菜が栽培されており、赤ずいきも名産として名高い。 + +## 食習の機会や時季 +奥越地域では、「すこ」が報恩講や祭りに欠かせない料理になっている。里芋の中でもずいきが赤く染まる品種の八つ頭の茎を「すこ」に利用する。八つ頭は水を好む品種のため、奥越地域のような水田での里芋栽培に適しており、「すこ」のために八つ頭をつくっている農家も多い。八つ頭の茎を8月・9月頃に収穫してつくる「すこ」は、報恩講や葬式、祭りのほか、秋から冬にかけての長期保存食として各家庭でつくられる。最近では、冷凍してお正月なども含め一年中食べられている。 + +## 飲食方法 +赤ずいきの皮を端から手で剥き(アクがあるので手が黒くなる、若いものは剥かなくても柔らかいものもある)、4cmほどの長さに切る。太いものは幅を揃えるように縦に切る。塩でもんだあとに鍋で乾煎りし、調味料に漬けて冷めるまでおく。一晩でも良いが、2日、3日経つともっと美味しい。酢を使うので、鍋は鉄・アルミ製ではなくステンレス製を使う。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (40人分) +- 赤ずいき: 1kg +- 塩: 小さじ4 +- 酢: 1.5カップ +- 砂糖: 200g + +## 作り方 +1. 赤ずいきの皮をむき、3~4cmくらに切る。 +2. 塩をふって軽くもむ。(もみすぎないこと) +3. 大鉢に砂糖と酢を合わせて、甘酢をつくる。 +4. 鍋を熱してずいきを入れて、から炒りする。 +5. しんなりしたら、熱いうちに大鉢の甘酢の中に入れ、蓋をして、冷めるまでそのままにしておく。 +6. ※ずいきをから炒りするときに鉄鍋は使わない。また、柔らかくなりすぎないようにする。ずいきが熱いうちに酢を入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「再発見!福井の味」 ※一部改変 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_9_1.jpg)" +"# 古たくあんの煮物 福井県 + +**郷土料理名**: 古たくあんの煮物 + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +福井県内全域 + +## 主な使用食材 +古たくあん + +## 歴史・由来・関連行事 +福井県の代表的な郷土食として、昔から親しまれている。南越前町河野地区(旧河野村)では「よもこんじ」といわれている。また、越前町朝日地区(旧朝日町)では、一度ぬか漬けしたたくあんを塩出しし、再び調味料を加えて味付けして食べることから「大名煮」ともいう。収穫された大根を保存するために、秋から暮れにかけて漬けられる”たくあん”は、次の年にたくあんをつける頃には古漬けとなり、酸味が出てくる。それを塩抜きして、出汁や醤油、唐辛子などで味付けをしたものが「古たくあんの煮物」である。温めても冷めても、味が落ちずに美味しく食べられ、福井県ではもっともポピュラーで、家庭でよく食べられている郷土料理である。地域や家庭により呼び名が異なり、親しみを込めて「古たくあんの煮たの」や「たくあんの炊いたん」と呼ばれるほか、そのままでも食べられる”たくあん”にわざわざ一手間をかけて、別の料理に仕上げることから「贅沢煮」などとも呼ばれる。古くなった”たくあん”でも大事に美味しく食べられるように工夫する昔の知恵が生きている。 + +## 食習の機会や時季 +前年に漬けた”たくあん”が酸っぱくなって”古たくあん”となる8月上旬から11月下旬までによくつくられる。ごはんがすすむおかずとして食卓へよく上がり、酒の肴やお茶漬けとしても好まれる。 + +## 飲食方法 +薄切りにした古たくあんを2mmくらいの輪切りにし、何度も煮こぼしながら柔らかくなるまで下ゆでして塩抜きをする。(まだ塩が抜けない場合にはさらに水に浸けておく)だし汁、醤油などの調味料で煮て、唐辛子や白ごまをかける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (大根2本分) +- 古たくあん: 2本 +- 【調味料A】醤油: 1/3カップ +- 【調味料A】みりん: 1/3カップ +- 【調味料A】だし汁: だし汁 +- 唐辛子: 適量 +- 白ごま: 適量 + +## 作り方 +1. 古たくあんは2mm位の輪切りにする。 +2. 鍋に入れ、かぶるくらいの水を入れて煮る。 +3. 何度も水をとりかえて、柔らかくなったら調味料Aを加える。 +4. 最後に赤唐辛子の輪切りと白ごまを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「再発見!福井の味」 ※一部改変 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_10_1.jpg)" +"# 昆布巻き/棒巻き 福井県 + +**郷土料理名**: 昆布巻き/棒巻き + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +福井県内全域 + +## 主な使用食材 +昆布、身欠きニシン + +## 歴史・由来・関連行事 +江戸時代中期(18世紀中頃)から明治30年代にかけて、北海道から福井各地を寄港し、大阪まで至る西回り航路で、商品を売買しながら拠点を回っていた商船「北前船」があった。単に荷物を運搬していただけではなく、寄港地で安い商品があればまとめて買い、それが高値で売れる港でさばくことにより多大な利益を得ながら航海していた。国内で流通する昆布の90%は北海道でとれるが、北前船で西日本へ運ばれ、昆布が流通することにより、各地で昆布を使った和食がつくられるようになった。福井県には北前船の寄港地の一つに敦賀があり、繁栄とともに各地の食文化が持ち込まれた。なかでも北からもたらされたものとして昆布とニシンは別格であった。身欠きニシンを昆布で巻いて柔らかく煮た「昆布巻き」は”よろこぶ”として、ニシンも子孫繁栄を願う食材として縁起物である。また輪切りにすることにより円満を願う意味もあり、祝い事のごちそうとして欠かせない郷土料理となった。とくに秋祭りや正月に食される。 + +## 食習の機会や時季 +盆や正月、祝い事の席では必ず大きい「昆布巻き」をつくる習わしで、皿に大きい昆布巻きを盛り付けて切らずにかぶりついて食べるのが何とも言えないご馳走である。身欠きにしんに箸をあてて巻くので「棒巻き」「箸まき」とも言う。基本的に一年中食べられる。 + +## 飲食方法 +身欠きニシンは米のとぎ汁、昆布はぬるま湯、かんぴょうは水でもどす。ニシンに箸1本をあてて昆布を巻き、昆布のもどし汁と醤油や砂糖などの調味料とともに箸がすっと入るまで柔らかく煮る。身欠きニシンとごぼう、揚げと人参やごぼうを芯にしたものを巻いても良い。昆布は箸1本分の余裕を持たせて巻くことにより中心部までやわらかくなり味の含みがよくなる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6人分) +- 昆布巻き用昆布: 60g(100cm長さ×4本) +- 身欠きニシン: 2本 +- 【調味料A】白砂糖: 1/2カップ(80g~90g) +- 【調味料A】醤油: 1/2カップ +- 【調味料A】みりん: 1/2カップ + +## 作り方 +1. ニシンは、一晩米のとぎ汁に漬けてしぶみを抜く。昆布は、さっと洗ってよごれを取り、ざるにあげて水気を切る。かんぴょうは洗って軽くもんでおく。 +2. ニシンと箸1本を芯にして昆布を巻く。昆布の幅の半分をずらしながら巻いて、大きい昆布巻きをつくる。箸を抜いてかんぴ��うで結ぶ。 +3. 鍋底に1cm角×15cm長さに切った大根を敷いて昆布巻きを並べて入れ、水をたっぷり加えて火にかけ柔らかく煮る。 +4. 昆布が柔らかくなったら、調味料Aを入れて弱火でゆっくりと煮含める。 +5. ※こげつかないように、煮立ったら弱火にして煮る。汁がなくなったら水をさし、昆布が柔らかくなるまで煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「再発見!福井の食」 ※一部改変 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_11_1.jpg)" +"# 里芋のころ煮 福井県 + +**郷土料理名**: 里芋のころ煮 + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +奥越地域 + +## 主な使用食材 +里芋 + +## 歴史・由来・関連行事 +開祖・親鸞の祥月命日(旧暦11月28日、新暦1月16日)の前後、秋から新年にかけておこなわれる浄土真宗各派の年中最大行事を報恩講といい、福井県では「ほんこさん」や「おこ(う)さま」と呼ばれる。「里芋のころ煮」はその報恩講に集まった人々に振る舞う精進料理の一つである。奥越地域は福井県のなかでも北東部に位置し、霊峰白山をはじめ標高の高い山々に囲まれた屈指の豪雪地帯である。その山々からもたらされる水資源と、肥えた土壌、昼夜の寒暖差など、里芋にとって好条件であるため、きめが細かくもちっとした食感で味の良い里芋がとれる。中でも「上庄さといも」はGI登録されている。里芋は、秋に収穫され、冬の間の貴重な食べ物である。この料理は報恩講で振る舞われるほか、子孫繁栄の縁起物であるとして、祝いの席でも親しまれてきた。福井県では里芋は皮をこすり落としたように剥かれた状態でスーパーマーケットなどで売られていることが多い。薄皮が残っている状態でつくるのが、美味しさの秘訣でもある。 + +## 食習の機会や時季 +里芋の収穫の最盛期は11月。最近では冷凍保存しておき、一年中食べられる。 + +## 飲食方法 +皮をこそげ落とした里芋を醤油や砂糖、みりんなどで煮る。下ゆでをしないことでとろみのある仕上がりとなる。煮ている最中はなるべく里芋に触れないようにするのが見た目良く仕上げるコツである。焦げ付かないように鍋をゆすって煮汁が少なくなるまで煮て、冷めたらまた煮汁を絡ませる。冷凍の里芋を使用するときは煮たてた調味料に凍ったまま入れて煮こむ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4~5人分) +- 里芋: 400g +- 醤油: 1/2カップ +- 水: 1/2カップ +- 砂糖: 大さじ4 +- みりん: 大さじ3 + +## 作り方 +1. 里芋の皮を包丁でこそげとる。 +2. 鍋に水と里芋、砂糖、醤油を入れ、中火にかけて煮汁が煮え上がったら弱火にする。 +3. ゆっくり煮こみ、煮汁がなくなったら、おろし際にみりんをふりかけ、鍋ごとゆり動かして照りを出し、火を止める。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「再発見!福井の食」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_12_1.jpg)" +"# 長寿なます 福井県 + +**郷土料理名**: 長寿なます + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +嶺北地方 + +## 主な使用食材 +大根、人参、さやえんどう、厚揚げ、白ごま、酢、砂糖、味噌、溶きからし + +## 歴史・由来・関連行事 +「長寿なます」は、名前の通り食べると長生きするとされ、お正月には欠かせない。大根にはジアスターゼという酵素が多く含まれており、正月料理を食べすぎて疲れた胃腸の調子をととのえるとされる。人参は緑黄色野菜として栄養価が高く、厚揚げはタンパク質が豊富、ごまもまた健康的な食材とされており、これらが使われる「長寿なます」は名前だけでなく、実際に健康的な郷土料理として認識されているのだろう。「長寿なます」は白ごまとともに厚揚げが練りこまれるが、敦賀市の五幡と挙野の二地区では、千切りの油揚げやねぎが具材として大根や人参などと一緒に和えられる。こちらは「こっぱなます」と呼ばれ、薄く切った大根が「こっぱ(木くず、かんなくず)」に似ていることや、もともと大根が”かんな”で削られていたことから名前がついたとされる。 + +## 食習の機会や時季 +お正月に欠かせない料理として、おせち料理に入れられるほか祝いの席でも食される。法事や報恩講でも食べられる。 + +## 飲食方法 +炒った白ごまを油が出るまですり鉢ですり、味噌、砂��をいれてよくする。そこへ焼いて細かく切った厚揚げ、からしと酢を入れ、滑らかになるまでさらに根気よくする。出来上がったペーストに、千切りにして塩もみした大根と人参、色よくゆでたさやえんどうなどを和える。似た料理として、厚揚げを油揚げ、大豆粉、打ち豆で代用したなますが各地にある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (15人分) +- 大根: 1本 +- 人参: 1本 +- さやえんどう: 50g +- 厚揚げ: 1枚 +- 白ごま: 大さじ3 +- 酢: 大さじ3 +- 砂糖: 大さじ4 +- 味噌: 大さじ2 +- 溶きからし: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 大根と人参はなますカンナで千切りし、塩でもんで固くしぼっておく。 +2. 厚揚げは網で焼き、1cm角に切っておく。 +3. さやえんどうは色よくゆで、細切りする。 +4. すり鉢に香ばしく炒ったごまを入れ、油が出るまですり、厚揚げを入れて良くする。そこに味噌、砂糖を入れてよくする。からし、酢を入れて揚げの皮が目立たなくなるまでする。 +5. とろりとしたら、1と2を混ぜる。 +6. ※厚揚げを入れてから、気長によくすり鉢ですること。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「再発見!福井の味」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_13_1.jpg)" +"# ごんざ/ごんじなます 福井県 + +**郷土料理名**: ごんざ/ごんじなます + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +福井市東部地域 + +## 主な使用食材 +大根、人参、打ち豆、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +「ごんざ」とは、打ち豆と大根の煮物である。「ごんざぶろう」という人がつくったから「ごんざ」、大根が「すりこぎ(ごんべ)」に似ていることから「ごんべ」、また「ごんじなます」などとも言われたりする。おばあちゃんをだまらせてしまうほど美味しいという理由で「ばばころし」というユニークな名前で呼ばれたり、地域により呼び方がさまざまである。打ち豆と大根を入れることは共通しているが、里芋や油揚げ、人参、しいたけ、調味料も砂糖やみりんを入れてつくるところも多く、地域や家庭でもさまざな呼び名、レシピが存在する。なお、打ち豆とは水に浸して柔らかくした大豆を、木槌などでつぶして乾燥させた保存食である。調理時の加熱時間が短くて済むため家庭で重宝され、打ち豆汁、酢の物、炒め物などにも使われ、福井県の郷土料理として今でも多くの家庭で食されている。元々は、「報恩講(秋から新年にかけておこなわれる浄土真宗各派の年中最大行事、「ほんこさん」とも呼ばれる。)で、仏の教えを説き伝える「お説教」時に、男性が集まる会の時だけにつくられることが多かった。また、昔は隣近所でもらい風呂をしたが、その時にお茶請けとして出したり、大根の煮物が飽きたときに目先の変わった料理としてつくられた。 + +## 食習の機会や時季 +報恩講や冠婚葬祭のほか、通年、各家庭でつくられている。 + +## 飲食方法 +大根は太めの千切り(短冊切り)にし、人参はやや細めの千切りにする。鍋に大根、人参、打ち豆の順に入れ、水をひたひたに加えて落とし蓋をして煮る。柔らかくなったら砂糖、醤油で味をつける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根: 500g +- 打ち豆: 30g +- 醤油: 大さじ2 +- 水: 100ml +- 人参: 100g + +## 作り方 +1. 大根は皮をむき、太めのせん切りにする。人参は大根よりやや細めのせん切りにする。 +2. 鍋に大根と人参、打ち豆、調味料、水を入れ、煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ほっとするね ふるさとの味」(福井県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_14_1.jpg)" +"# にしんすし 福井県 + +**郷土料理名**: にしんすし + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +嶺南地方 + +## 主な使用食材 +大根、人参、身欠きニシン、麹 + +## 歴史・由来・関連行事 +江戸時代中期(18世紀中頃)から明治30年代にかけて、北海道から大阪まで日本海を通る西回り航路にて、商品を売買しながら拠点を回っていた商船を、総称して北前船と呼んでいた。単に荷物を運搬していただけではなく、寄港地で安い商品があればまとめて買い、それが高値で売れる港でさばくことにより多大な利益を得ながら航海していた。国内で流通する昆布の90%は北海道でとれるが、北前船で西日本へ運ばれ、���布が流通することにより、現在の和食の基礎にもなった。福井県には北前船の寄港地であった三国、河野、敦賀などがあり、繁栄とともに食文化が持ち込まれた。なかでも北からもたらされたものとして昆布とニシンは別格であった。そのニシンでつくった保存食が「いずし」「なれずし」の一種である「にしんすし」である。ニシンのすしは、夏に仕込んで秋に食べ頃を迎え(食べ頃は時期によるが2週間から4週間)、敦賀祭はもちろん、冬場のたんぱく質が得られるごちそうとして、おせち料理としても出されるおめでたい料理のひとつ。大根がニシンと麹の旨みを存分に吸い、熟成させることで美味しさが増す。 + +## 食習の機会や時季 +ニシンのすしは冬だけのものではない。なすやきゅうり、うりなど、季節の野菜を使って夏から冬まで「にしんすし」をつくってきた。夏に仕込んだ「にしんすし」は、忙しい秋の刈り入れのときに食べ頃となる。料理をしなくても手軽に栄養をとるための暮らしの知恵といえる。祭りのほか、お正月にも食される。 + +## 飲食方法 +塩漬けにした大根と、水(米の研ぎ汁)に一晩浸けて身欠きニシンを柔らかくしてからきれいに洗って切って使う。大根と人参などを、麹と調味料とともに漬け込み2週間ほど保存する。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根: 2本 +- 人参: 2本 +- 身欠きニシン: 500g +- 麹: 300g(500gでも可) +- みりん: 1/2カップ +- 醤油: 小さじ4 +- 酒: 1/2カップ +- 鷹の爪: 適宜 +- 塩: 適宜 + +## 作り方 +1. 大根は一度干してから、3%の塩で塩漬けしておく。 +2. ニシンは、一晩水(米の研ぎ汁)につけて柔らかくしておく。 +3. ニシンはきれいに洗って2つに切る。大根は長さ10cm、厚さ1cmくらいの短冊切りにする。人参も厚さ1cmの斜め切りにしておく。 +4. 大根(と人参)とニシンを交互に漬けていく。(この時、一段の半分にニシン、残りの半分に大根を並べ、次の段はニシンの上に大根、大根の上にニシンがのるように漬けていくと、一段あげれば大根もニシンも食べられて良い) +5. 大根とニシンを一段並べたら、麴、鷹の爪、酒をふる。4と5を繰り返す。 +6. 繰り返し漬け込んでから、重石をしっかりして保存する。 +7. ※大根は細目のものをクニャッと曲がるまで干してから使う。食べ頃は2週間程で、ニシンのすしをあげる時は、まず漬け汁を別の容器に一旦移し、すしをあげたら再び漬け汁を桶にもどすようにする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「再発見!福井の食」 ※一部改変 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_15_1.jpg)" +"# 葉ずし 福井県 + +**郷土料理名**: 葉ずし + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +福井市殿下地区、丹南地区 + +## 主な使用食材 +うるち米、もち米、金時豆、ひじき、干ししいたけ、薄揚げ、人参、アブラギリの葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「葉ずし」とはアブラギリ(油桐)というトウダイグサ科の落葉高木の葉で包んだ「すし」である。このアブラギリは中国原産で揚子江以南で栽培されていたが、「ころび」と呼ばれる実から桐油(きりあぶら)という油がとれるため、日本でも栽培が奨励された。この桐油は灯油や和傘の撥水剤、ろうそくなどの原料でもあり、貴重な収入源でもあった。特に若狭地域では盛んに生産され、17世紀末にはほとんどの村で栽培されるようになり、19世紀後半には全国でも生産量トップを誇っていた。このアブラギリの葉は表面に油気があるため、ご飯がつきづらく独特の香りがある。さらに保存性に優れている為、「すし」を包むのに最適で、地元では「すしの葉っぱ」とも呼ばれて各家庭に植えられていた。「すし」を一日でも長くもたせるための先人の知恵である。現在でもその風習は残り、庭や畑にアブラギリの姿を見ることができる。 + +## 食習の機会や時季 +かつてはアブラギリの葉を利用できるのは、5月~11月くらいまでであった(近年では冷凍していつでも使える)。この時期にあるお盆や秋祭り、法事などの人が集まる席でつくられる。春秋祭りのもてなしにつくり、嫁に行った娘が祭りに来て、帰る時に持たせる。葉に包んであるので手を汚さずに食べられる。 + +## 飲食方法 +金時豆などの甘い煮豆や���ひじき、干ししいたけ、薄あげ、人参など体に優しい食材が入ったすしを、アブラギリの葉で一つずつ丁寧に包む。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 2合 +- 出汁昆布: 6cm角 +- すし酢: 適量 +- 干ししいたけ: 4枚 +- 高野豆腐: 10g +- たけのこ水煮: 100g +- 薄揚げ: 1枚 +- ひじき水煮: 大さじ3 +- 人参: 1/4 +- 金時豆: 適量 +- アブラギリの葉: 10~15枚 +- 【調味料A】しいたけもどし汁: 1カップ +- 【調味料A】酒: 大さじ3 +- 【調味料A】本みりん: 大さじ2 +- 【調味料A】醤油: 大さじ3 +- 【調味料A】砂糖: 大さじ2~3 + +## 作り方 +1. 干ししいたけはたっぷりの水につけ、ゆっくりもどして、細く切っておく。もどし汁は煮汁に使う。 +2. 高野豆腐は水でもどし、細かく切る。※あらかじめ細かい高野豆腐の市販品を使うと楽である。 +3. 薄揚げは縦4等分し、細切りにする。たけのこは、2×1cm程度の薄切りにする。人参も細切りにする。 +4. 下準備した1~3とひじきの水煮を、調味料Aで煮汁が少なくなるまで煮る。 +5. 米を炊くときに出汁昆布を入れて炊き、すし酢を混ぜて酢飯にする。 +6. 酢飯に4の具材を適量混ぜ、最後に金時豆を潰さないように混ぜる。 +7. アブラギリの葉に6をのせ、半分に折りたたみそっと両手で押さえる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 次世代につなぐえちぜんの味(10周年記念越前市食生活改善推進員会)平成27年発行 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_16_1.jpg)" +"# 葉っぱずし 福井県 + +**郷土料理名**: 葉っぱずし + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +九頭竜川流域(主に永平寺地区) + +## 主な使用食材 +米、塩マス(サクラマス)、しょうが、酢、砂糖、塩、アブラギリの葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「葉っぱずし」はアブラギリ(油桐)というトウダイグサ科の落葉高木の葉で酢飯と一緒にマス、しょうがを包んだ「すし」である。永平寺町周辺など九頭竜川流域では「木葉(こっぱ)ずし」ともいい、薄紅色という色合いからも祭りや祝い事に欠かせない郷土料理である。保存性と香りの良さからアブラギリが使われているが、アカメガシワ、笹の葉、柿の葉など、ほかの葉を使うこともあるようだ。ひと口大に握ったマスのすしを包むことから、人によっては単なる「マスずし」とも言われている。アブラギリの木は野山に自生しているが、永平寺地区の人々は自宅の庭に植え、「すしの木」として親しんでいた。 + +## 食習の機会や時季 +「葉っぱずし」は前日につくっておき、当日には食べ頃になっている。お祭り、お盆などにも食べられ、薄紅色が見た目にもおめでたいため、祝い事などでも食べられる。 + +## 飲食方法 +3枚におろした塩マスを、そぎ切りにして酢に漬け、酢飯、しょうがと一緒にアブラギリの葉に包んで、すし箱の中にきっちりと並べて重石をかけるため、四角いかたちをしている。アブラギリの葉は表面に脂分があって米粒がくっつかないため、葉をむいて箸を使わずに食べることができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20人分) +- 米: 1升(1.5kg) +- 塩マス: 1尾 +- しょうが: 50g +- 酢: 1カップ +- 砂糖: 1カップ +- 塩: 大さじ2 +- アブラギリの葉: 適宜 + +## 作り方 +1. 米を洗って炊き、すし飯をつくる。 +2. しょうがはせん切りにする。 +3. 塩マスは薄くそぎ切りにし(60切れ程度)、3~4時間甘酢に漬けておく。(漬けすぎると脂分が抜けてカスカスして美味しくなくなり、漬け方が足りないと塩分が抜けず、塩辛い) +4. すし飯を小さく握り(手水は、塩マスの漬け汁を使う)、2をのせてアブラギリの葉で包む。 +5. 4を箱の中に並べ、重石をのせ一晩おく。重石は、米1升に対して10kg位とし、1時間経ったら、半分の重さに減らす。 +6. ※葉は、アカメガシワやアブラギリ、笹の葉、柿の葉などを利用すると良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「再発見!福井の食」 ※一部改変 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_17_1.jpg)" +"# ほうばめし 福井県 + +**郷土料理名**: ほうばめし + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +ほお葉、米、きな粉、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +福井県では昔、集落の田植えが終わると”さつきあげ”というお祝いをした。その時のごちそうとしてふるまわれたのが、ほう葉で熱いごはんと甘いきな粉を包んで重しをかけてつくる「ほうばめし」である。ほう葉を使うことにより、熱々のご飯に香りがよく馴染み美味しくなるほか、持ち運びができて保存もしやすい。そのため、”さつきあげ”の席だけでなく、田植えという重労働の合間のエネルギー補給としても食べられた。また、きな粉は稲穂が実る稲花粉に似ていることから、豊作祈願として使われたともいわれている。シンプルな「ほうばめし」だが、昭和61年(1986年)当時の食糧庁(現・農林水産省食料産業局)により開催された”ふるさとおにぎりまつり”において”ふるさとおにぎり百選”に選ばれている。 + +## 食習の機会や時季 +生のほう葉が手に入り、田植えがおこなわれる5月上旬から下旬あたりが旬である。 + +## 飲食方法 +できるだけ大きさのそろったほお葉を、水のなかにしばらく浸けてアクを抜く。葉の裏側を上(表裏は地域によって異なる)にして2枚1組で十文字におく。その中心に、砂糖を入れたきな粉を混ぜ込んだご飯を軽くにぎって、両方の葉をたたむようにして包む。わらで軽くしばり、重石で上からしばらく押す。ほう葉とご飯を馴染ませて、葉の香りをきな粉ご飯にうつす。生のほう葉の色が変わるほどの熱々のごはん使うのがコツである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (8人分) +- ごはん: 800g +- きな粉: 大さじ4 +- 砂糖: 大さじ2 +- 塩: ひとつまみ +- ほお葉: 16枚程度 +- 棕櫚(しゅろ)の葉: 適当 + +## 作り方 +1. ほう葉は、洗って水気を拭いておく。水の中にしばらくつけてあくを取る。 +2. きな粉、砂糖、塩を混ぜておく。 +3. 2枚1組にして、葉の裏側をつかい十文字に葉をおき、その中心にきな粉、軽く握ったごはん、きな粉をのせて、両方の葉をたたむようにして包む。 +4. 軽く重石をして、葉の色が変わるまでおく。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「ほっとするね ふるさとの味」(福井県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_18_1.jpg)" +"# おろしそば 福井県 + +**郷土料理名**: おろしそば + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +県内全域(主に嶺北地方) + +## 主な使用食材 +生そば、大根、カツオ節、ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +平均寿命が全国でもトップクラスの福井県で、最もよく食べられているそばは「おろしそば」である。結婚式や仏事の〆の料理や、大みそかの夜の年越しそばとして食べられる。また、開祖・親鸞の祥月命日(旧暦11月28日、新暦1月16日)の前後、秋から新年にかけておこなわれる浄土真宗各派の年中最大行事で、福井県では「ほんこさん」や「おこ(う)さま」と呼ばれる報恩講でも「おろしそば」が夜食としてふるまわれる。福井県でのそばの歴史は古く、朝倉孝景が一乗谷に初めて居城を構えた時(1473~)に、戦時の非常食として栽培したのがはじまりといわれる。そばは種を蒔いてから2ヵ月半~3ヵ月と栽培期間が短く、保存もきくことから籠城用の非常食として重宝された。当時は「そばがき」や「そばだんご」で食べられていたようである。その後、府中(現越前市)の城主となった本多富正が、そば師を従えて赴任し(1601年~)大根おろしをのせた細い麺としてのそばが広まった。その後、昭和天皇が福井に来られた際に「おろしそば」を召し上がられ、「越前のそばは大変おいしかった」とのお言葉より、「越前おろしそば」として名前が全国に広まった。それだけ福井県で収穫される「そば」の品質と、培ってきた製粉技術が高いというあらわれである。「おろしそば」の美味しさは、玄そばの品質の高さや製粉技術に深く関係している。在来種のそばを、昔ながらの石臼挽きで製粉することにより、味はもちろん、そば独特の風味が損なわれることがない。 + +## 食習の機会や時季 +報恩講での夜食として食べられるほか、福井県での年越しそばとして「おろしそば」は欠かせない。冬でもこの冷たいそばが食べられるのが一般的である。丹南地域では、結婚式で父母が帰る時にも、「タチソバ、タチフノソバ」といって「おろしそば」をだす。細く長くいられるようにとの願いが込められている。 + +## 飲食��法 +ゆでて水でしめたそばに冷たいつゆをかけ、大根おろしやカツオ節、ねぎなどをのせて食べる。(大根は、ピリッと辛い越前辛味大根が人気がある)福井県内での食べ方は、「出汁と大根おろしを別に入れる」「出汁に大根おろしを入れる」「出汁に大根おろしの汁を入れる」など3通りの食べ方がある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 生そば: 4玉 +- 大根: 400g +- だし汁: 3カップ +- 酒: 大さじ1と1/3 +- みりん: 大さじ1と1/3 +- 薄口醤油: 大さじ3弱 +- 刻みねぎ: 20g +- 花カツオ: 8g + +## 作り方 +1. 鍋にだし汁を入れて沸騰させ、酒、醤油、みりんを入れてかけ汁をつくる。 +2. そばはたっぷりのお湯でゆがき、水気を切って、温めた器に入れる。(水にとって冷やすときは充分ぬめりを洗う) +3. そば鉢に2を入れ、大根おろしをいれたかけ汁をそそぐ。ねぎ、花カツオを飾る。お好みで唐辛子を振りかける。 +4. 大根おろしを入れたかけ汁をかけるほか、大根とだしを別々に入れる、大根のしぼり汁とだしをあわせてかける、という3通りの食べ方がある。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 旬の里ふくい + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_19_1.jpg)" +"# 雑煮 福井県 + +**郷土料理名**: 雑煮 + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +丸餅、かぶ、味噌、カツオ節 + +## 歴史・由来・関連行事 +餅は日本人にとって祝い事に欠かせない縁起の良い食べ物である。新年を迎えるにあたり、餅つきをして年神様にお供えをするが、そのお下がりとして「雑煮」をいただく。その際、旧年の収穫や無事に過ごせたことに感謝し、新年の豊作祈願と家内安全を祈る。正月三が日には欠かせない全国で食べられている「雑煮」だが、餅の形や具材、出汁の種類など地域や家庭ごとにさまざまである。福井県の「雑煮」は、板昆布を敷いた鍋に水を入れ、丸餅を煮、味噌で味付けをして最後にカツオ節をかけるシンプルなもので、具は、かぶや大根、白菜、里芋をいれるところもあるが「具なし」のところも多い。このかぶは「株を上げる」という縁起かつぎという説もある。雑煮用の器を用いず、日常の汁椀に盛り付けるのも特徴である。嶺南地方では、地域によっては「雑煮」は味噌仕立てに丸餅が入り、黒砂糖を盛るという。これは北海道と大阪を結ぶ北前船が、交易時に若狭湾に寄港していたため、その商品の中でも高価な黒砂糖をのせたとされる。 + +## 食習の機会や時季 +お正月に食べられる。地域によっては、1月1日は餅を食べない習慣のところもある。 + +## 飲食方法 +鍋に、板昆布を敷き、薄い半月型に切ったかぶをならべ、その上に丸餅、水を入れて、柔らかくなるまで煮る。そこへ味噌を加えて椀に盛り、カツオ節をたっぷりかける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 丸餅: 10個 +- かぶ: 2個 +- 味噌: 大さじ2~3 +- カツオ節: 適宜 +- 板昆布: 1枚 + +## 作り方 +1. 鍋に板昆布を敷き、薄い半月切りにしたかぶを敷き、その上に餅を並べ、水をいれて、中火にかける。 +2. 餅が柔らかくなったら、味噌を加え火を止める。 +3. 椀に盛って、カツオ節をたっぷりかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 食のよろず研究所、「再発見!福井の食」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_20_1.jpg)" +"# はまなみそ 福井県 + +**郷土料理名**: はまなみそ + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +嶺北地方 + +## 主な使用食材 +米麹、豆麹、塩漬なす、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +「はまなみそ」は冬限定の郷土料理である。米麹から甘酒をつくり、そこへ豆麹や醤油、塩漬けなすや、しその実、しょうがなどを加えてつくる。甘酒のほんのりした甘さに、麹の旨味や醤油の香ばしさなどが加わり、とても食欲をそそる美味しさで、ふるさとの味である。江戸時代に徳川家康が「浜なっとう」を好み、その二男の結城秀康が関ケ原合戦後に越前へ浜松の食文化を持ち込み、福井県の風土に合った越冬食へ変化したものといわれている。以前はお正月のあいさつ回りである”お念頭”の時に、自家製の「はまなみそ」を振る舞ったとされる。 + +## 食習の機会や時季 +旬は10月上旬から2月下旬。大豆が主原料��あるため、貴重な冬のたんぱく源として保存され、寒い時期にも食される。 + +## 飲食方法 +湯と米麹でつくった甘酒を、弱火で炊き酸味を防ぐ。冷めた甘酒に、醤油を加えた豆麹をよく混ぜる。一口切りにし、水に浸けて塩気が残る程度に塩出しした塩漬なすに、熱湯をかけて臭みを抜き冷ます。甘酒、豆麹、なす、しその実、しょうがのみじん切り、白ごま、唐辛子を混ぜ軽く重石をし、1日1回は混ぜる。20日程度で美味しくなる。酒の肴やごはんによく合うため現在も人気がある。餅やきゅうりなどにつけるなどさまざまな利用法がある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4kg分) +- 米麹、豆麹: 1升 +- お湯: 4合 +- 醤油: 5合 +- 塩麹なす: 1kg +- しその実: 1カップ +- しょうがみじん切り: 大さじ2 +- 白ごま(いりごま): 大さじ3 +- 唐辛子: 少々 + +## 作り方 +1. 甘酒をつくる。お湯をわかし、70度くらいにさめたら米麴と混ぜ、5~6時間保温する。 +2. 1を弱火で炊く。(酸味を防ぐため) +3. 豆麴に醤油を加えよく混ぜる。 +4. 2が冷めたらと豆麴を入れる。 +5. 塩漬なすを水洗いし、一口切りにして水につけて塩出しする。(塩味が少し残る程度に) +6. 5に熱湯をかけて臭みをぬき、よく冷ましておく。 +7. 塩漬のしその実を洗う。甘酒、豆麴、なす、しその実、しょうがのみじん切り、いりごま、唐辛子を混ぜる。 +8. 容器に入れて軽く重石をし、1日1回は混ぜ合わせる。20日前後で美味しくなる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「再発見!福井の食」 ※一部改変 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_21_1.jpg)" +"# ぼっかけ 福井県 + +**郷土料理名**: ぼっかけ + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +嶺北地方、坂井市、勝山市など + +## 主な使用食材 +厚揚げ、ごぼう、人参、糸こんにゃく、削り節 + +## 歴史・由来・関連行事 +「ぼっかけ」とは、福井県で100年以上前(大正初期)から食べられている郷土料理で、根菜や糸こんにゃくといった具だくさんの熱い汁を、炊き立てのご飯にかけて食べる料理である。熱々の汁をごはんにぶっかけ(ぼっかけ)ることから、「ぼっかけ」と呼ばれるようになったという説の他、客人に振る舞う料理で、あまりの美味しさから、帰ろうとした客人たちを追いかけて(ぼっかけて)引き留めるほどだったからという説もある。それほど地元で愛され続けている福井県を代表する郷土料理である。広く親しまれている「ぼっかけ」だが、具材や食べ方、味付けは地域によってさまざまで、おなじ「ぼっかけ」には見えないほど違いがあるといわれる。福井県北東の勝山市では、ごはんに赤いかまぼこや三つ葉の入った出汁をかけて、わさびや海苔を添えるお茶漬けのような食べ方もある。どちらもお酒を飲んだあとにさっぱりと食べられる料理である。 + +## 食習の機会や時季 +祝い事や正月三が日の夕食に出されたり、結婚式の最後にお嫁さんに食べてもらう風習が残っている地域もある。また、報恩講という浄土真宗の催事の夜食として出される地域もある。 + +## 飲食方法 +厚揚げやごぼう、人参、糸こんにゃくなどを、削り節などのだしで煮こみ、醤油などで味付けする。それを炊き立てのごはんに汁ごとかける。平皿(そば皿)に盛り付けて食べるのも特徴である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 厚揚げ: 1枚 +- ごぼう: 中2本 +- 人参: 1本 +- 糸こんにゃく: 1/2袋 +- 削り節: 1カップ +- 水: 7カップ程度 +- 醤油: 適宜 + +## 作り方 +1. ごぼうはささがきに、人参は3cmくらいの拍子切りにする。厚揚げは2枚にそいで短冊に切る。糸こんにゃくは5cmくらいに切ってゆで、ほぐしておく。 +2. 水に削り節を入れ、1で切った材料を入れ30分ほど煮る。 +3. 材料が柔らかくなり、野菜の味が出たら醤油で味をととのえる。 +4. そば皿に盛った炊き立てごはんに3をかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「再発見!福井の味」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_22_1.jpg)" +"# 茶飯 福井県 + +**郷土料理名**: 茶飯 + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +今庄地区 + +## 主な使用食材 +もち米、うるち米、大豆、豆入り番茶 + +## 歴史・由来・関連行事 +「茶飯」は奈良の東大寺、興福寺などではじめられた「奈良茶飯」が由来とされ、それを宿場町であった今庄に旅人が伝承したといわれている。もともとは茶を煎じた汁で炊いた茶粥から変化したようだ。「茶飯」は主に仏事に用いられ、今庄の味として今日まで受け継がれ、現在は仏事だけでなく色々な行事の際にも食されている。昔は葬式が出ると、親類の家から、芋の子と茶飯を炊いて小判型のおひつに詰め、塩ぶき、芋の子の煮しめをそえて贈る習わしがあった。また、開祖・親鸞の祥月命日(旧暦11月28日、新暦1月16日)の前後、秋から新年にかけておこなわれる浄土真宗各派の年中最大行事を報恩講といい、福井県では「ほんこさん」や「おこ(う)さま」と呼ばれるが、その報恩講に集まった人々に、精進料理の一つとして「茶飯」を振る舞う地域もある。「茶飯」には豆入り番茶が使われるが、番茶と大豆を合わせることにより栄養価が高まり、香ばしさと、ふりかけた酒の香りを楽しみながら冬のたんぱく質をとれる、先人の知恵により生み出された郷土料理である。嫁入りした娘が里帰りの時、里の親が娘と孫を迎えるためにつくる料理の一つである。茶飯は忘れがたい「故郷の味」ともいえる。 + +## 食習の機会や時季 +地域によって、現在でもお通夜の夜食や法事、報恩講で食される。 + +## 飲食方法 +炒って皮をむいた大豆を熱い番茶に一時間ほど浸ける。大豆を浸けた番茶に新しく沸かした番茶と醤油を足して煮立て、そこへ洗ってざるにあげた米と番茶に浸けた大豆を入れて炊く。炊きあがったら蒸らす直前に酒を入れる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20人分) +- もち米: 6合 +- うるち米: 4合 +- 大豆: 90g +- 酒: 3/4カップ +- 醤油: 0.5カップ +- 豆入り番茶: 1つかみ +- 出汁昆布: 少々 + +## 作り方 +1. 番茶を沸かしておく。 +2. 大豆を炒って皮をむき、煮立った番茶につけておく(200cc位の番茶に1時間位)。 +3. お米は洗ってざるにあげておき、豆と混ぜる。 +4. 1のつけ汁180ccに醤油100ccと番茶1220ccを加え、全体で1500ccになるようにする。 +5. 4を煮立て、そこへ3を入れて炊く。 +6. 炊きあがったら、蒸らす直前に酒を入れる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 福井県余暇ガイドブック + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_23_1.jpg)" +"# 赤かぶらの酢漬け 福井県 + +**郷土料理名**: 赤かぶらの酢漬け + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +美山地域 + +## 主な使用食材 +赤かぶら、塩、酢、砂糖(ざらめ) + +## 歴史・由来・関連行事 +福井県で有名な赤かぶら(赤かぶ)は、800年以上前より福井市美山地域の河内集落で盛んにつくられている「河内赤かぶら」と呼ばれる伝統野菜である。山に囲まれ、降雪と大きな気温差が赤かぶらの栽培に適していることに加え、県内でも唯一残る焼畑農法により味の良い自然の力あふれる赤かぶらが育つ。平安時代、戦に敗れた平家の落人がこの村に住み着き、平家の象徴である”赤色”のかぶらを後世に残したいとの思いで赤かぶらの種と栽培技術を村人に伝承したとの伝説が残っている。また、山奥にある集落のため、元々の品種が交雑することなく残されてきたのではないかといわれている。外見は丸く真っ赤で、切っても中までしっかりと赤いサシが入っているものもある。独特の風味で、甘さとピリッとした辛味があり、やや硬くほろ苦いが、塩漬けや千枚漬けにすると旨味が引き出されると人気である。なかでも「赤かぶらの酢漬け」は、酢と皮の色が反応して中まで真っ赤に染まり、見た目が綺麗なことと、味や食感がよくなり保存もできるので、赤かぶらの代表的な郷土料理である。 + +## 食習の機会や時季 +赤かぶらの収穫は10月下旬から始まる。寒暖差が大きくなる11月には甘味が増し、収穫もピークを迎える。地域によってはお正月には欠かせない料理である。 + +## 飲食方法 +赤かぶらの切り方は主に二通りで、薄切りなら塩を加えて重石をし、一晩漬けてから苦みを和らげるために漬け汁は少し捨てる。千切りなら塩を加えたらよく混ぜてもみ、そのままざるに広げて上から軽い重石をおき、自然に汁をたらす。こうして塩漬けした赤かぶらに砂糖と酢を入れて漬け込み、1日に1~2回ほど下からかき混ぜながら、薄切りなら2週間、せん切りなら1週間ほどで食べられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (漬物容器1個分) +- 赤かぶら(赤かぶ): 1kg +- 塩: 40g(現在は30g) +- 酢: 1カップ強(現在は100cc) +- ざらめ: 150g + +## 作り方 +1. 【下準備1】赤かぶらは皮をむかず繊維に沿って縦に切る。(厚さ5mm) +2. 【下準備2】切った赤かぶらに塩をひとつかみ程度をふり重しをする。(しんなりして水があがる程度)1晩から2日程度。 +3. 【下準備3】水を捨ててざるにあげて軽い重しをする。水が滴る程度、しぼるとうまみが逃げるのでしぼらない。(アク抜き) +4. 【本漬け1】赤かぶらと調味料(塩、酢、ざらめ)をすべて入れつける。1日1~2回下からかき混ぜる。1~2日くらいで1回まわす。それを1週間程度つづける。 +5. 【本漬け1】1週間~1ヵ月程度程するとおいしく食べられる。※河内赤かぶらは一夜漬けには向かない。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 食のよろず研究所、「再発見!福井の食」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_24_1.jpg)" +"# せいげ 福井県 + +**郷土料理名**: せいげ + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +河野地区 + +## 主な使用食材 +セイコガニ、大根、味噌、岩のり + +## 歴史・由来・関連行事 +「せいげ(せえげ)」とは、福井県の冬の味覚である越前ガニのなかでも、せいこがにと呼ばれる雌のズワイガニを使った郷土料理である。江戸時代より漁業で栄えてきた南越前町河野地区にて昔から食べられている地域限定の料理で、各家庭それぞれのレシピがある。せいこがには卵を抱いており、外から見える部分を外子、甲羅のなか卵の元を内子という。「子を背負っている」という意味からせいこがにと呼ばれる。この雌のせいこがには、かつては出荷されずに主に地元で食され、冬には毎日食卓にのぼる庶民の味であった。特に「せいげ」はセイコガニの足などと、大根おろしを味噌で煮て、ごはんにかけたり、酒の肴にしたりとせいこがにのアレンジ料理である。甲羅から出汁がよくでて、美味しい。もともとは船上で貝殻を鍋(皿)の変わりにして食べられていた漁師飯である。江戸時代中期(18世紀中頃)から明治30年代にかけて、北海道から大阪まで日本海を通る西回り航路で、商品を売買しながら拠点を回っていた商船「北前船」がこの料理のルーツともいわれる。 + +## 食習の機会や時季 +越前ガニの漁は毎年11月6日に解禁され、翌年3月20日まで続くが、せいこがには資源保護のために漁期が短く、12月31日までとなっている。 + +## 飲食方法 +ゆでたカニは足の付け根の部分と足を折ってそのまま土鍋にいれ、たっぷりの大根おろしをいれて火にかけ、煮あがったら味噌を入れ、火を止めるときに岩のりを入れる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- セイコガニ: 2杯 +- 味噌: 80g +- 大根: 500g +- 岩のり: 10g + +## 作り方 +1. 大根は皮をむいておろしておく。 +2. ゆでたセイコガニは足の付け根の部分と足を折っておき、カニ味噌をとった甲羅もとっておく。 +3. セイコガニ、大根おろし(汁ごと)、水を入れて煮る。 +4. 煮あがったら味噌を入れ、火を消すときに岩のりを入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「再発見!福井の食」 ※一部改変 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_26_1.jpg)" +"# とびつき団子 福井県 + +**郷土料理名**: とびつき団子 + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +あわら市、坂井市の一部 + +## 主な使用食材 +もち米粉、うるち米粉、ササゲ、砂糖、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +「とびつき団子」は、昔はお盆のお供えとしてどの家庭でも必ずつくられていた伝統菓子。一見おはぎのようだが、歯切れをよくするために、もち米にうるち米を1割ほど混ぜてつくった餅に、しっかりと形を残したササゲをまぶしてあり、素朴で甘さを抑えた味が好まれている。ササゲは外皮をはじかせないようにするため、水で煮たあと砂糖水に浸す。甘味をつけるようになったのは近年で、かつては塩味も珍しくなかった。薄赤いササゲが、なかの餅に飛びついたように見えるので、この名前がついたとされる。また、あまりにも美味しいため、飛びつくように食べてしまうからとも言われる。もともとはど��家でもササゲが自家栽培され、お盆につくられるほか、嫁いだ女性が実家へ帰る際の手土産でもあった。 + +## 食習の機会や時季 +主にお盆に食される。昔からお盆になると各家庭でお供え物として「とびつき団子」をつくる習慣があった。子どもからお年寄りまで広く喜ばれ、お盆のおもてなし料理としてもつくられたようだ。旧三国町や旧芦原町、旧金津町の竹田川沿いの農家に伝わる伝統菓子で、お盆のころに各家でつくる。 + +## 飲食方法 +洗ったササゲをたっぷりの水で柔らかくなるまでゆで、ざるにあげて砂糖水に1時間ほど浸した後、またざるにあげて水を切る。もち米粉と、うるち米粉を合わせて、ぬるま湯で耳たぶくらいの柔らかさに練る。ちぎって細長く形をつくり、熱湯に入れて浮かんできたらざるに引き上げ乾かないうちにササゲをまぶす。近年ではササゲに砂糖をつかって甘みをつけているが、昔は砂糖の入手が難しかったため、塩やきな粉をつけて食した。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6人分) +- もち米粉(白玉粉): 300g +- うるち米粉: 30g +- ササゲ: 200g +- 砂糖: 大さじ7 +- 塩: 少々 +- 水: 250cc + +## 作り方 +1. ササゲは洗ってたっぷりの水で柔らかくなるまで煮る。ざるにあげて砂糖水に1時間ほど浸した後、再びざるにあげて水気を切る。 +2. もち米粉とうるち米粉を合わせ、ぬるま湯でこねて耳たぶくらいの固さにする。ちぎって細長く形をととのえ、熱湯に入れ、浮かんできたらざるに引き上げる。 +3. だんごが乾かないうちにササゲを手早くつける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「再発見!福井の食」 ※一部改変 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_27_1.jpg)" +"# でっち羊かん 福井県 + +**郷土料理名**: でっち羊かん + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +こしあん、角寒天、上白糖、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +「でっち羊かん」は、福井県の庶民の日常の味として親しまれる水羊かんで、福井県では冬の風物詩として寒い時期に食される。名前の由来は、大正から昭和にかけて丁稚(でっち)奉公の時代、京都に奉公に出た丁稚が、正月に福井に帰郷する際に、持ち帰った羊かんが発祥といわれる。持ち帰った羊かんを近所に配るために水で伸ばしてつくり直したため、水羊かん状というかたちになり、糖度が低くても大丈夫な冬に食べられるようになったとも言われる。また、菓子屋で「こねあわせる」ことを「でっちる」ということからきているという説など諸説ある。また、冬に食べられることだけでなく、大きさや食べ方にも特徴がある。昔は八百屋や駄菓子屋などの店先に、漆の木箱に切れ目の入った「でっち羊かん」が入っており、それをヘラで切り目に沿ってすくったといわれる。小豆や砂糖の量も通常の羊かんより少ないため、値段も和菓子に比べて安く庶民的であったようだ。現在の一般的な大きさはA4サイズで高さは2cmほどの平箱に入れて売られている。 + +## 食習の機会や時季 +福井県の冬の風物詩としてよく食べられている。つるんとした食感の「でっち羊かん」を、こたつに入りながら食べるのが昔ながらの習慣となっている。 + +## 飲食方法 +夏ではなく冬に食べる。A4サイズの高さ2cmほどの紙の平箱に切れ目の入った状態で「でっち羊かん」が入っており、添付の木べらですくって食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 角寒天: 8g(1本) +- 水: 5~5と1/2カップ +- 上白糖: 230g +- こしあん: 150g +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 寒天は水で良く洗い、ちぎって水に浸しふやかす。 +2. 1を固くしぼり、分量の水で煮溶かす。 +3. 寒天が完全に溶けたら上白糖を加え、しばらく煮てからこしあんと塩少々を加える。(一度に加えずに寒天の溶き水でこしあんを溶いてから、少しずつ加えていく) +4. 3をひと煮立ちさせて火からおろし、粗熱をとってから流し箱かぬれたバットに流して、冷やし固める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ほっとするね ふるさとの味」(福井県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_28_1.jpg)" +"# 柏餅 福井県 + +**郷土料理名**: 柏餅 + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +小浜市、若狭町 + +## 主な使用食材 +もち米粉、うるち米粉、小豆、砂糖、塩、かしわの葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +田植えが無事に終わったことを祝う子どもたちが主役の祭りを「田の神祭り」という。小浜市から若狭町上中域など15集落では、「五月やすみ」や「休ん業(やすんぎょう)」などとそれぞれの呼び名の休みの日におこなわれる。集落それぞれ特有の囃子詞(はやしことば)で神輿をかつぎ、家々や田んぼをねり歩く全国的にも珍しい祭りである。5月半ばから7月上旬ごろにかけてその祭りの時にどこの家でも「柏餅」が用意され田の神にお供えされる。子ども神輿が巡行しない村でも、「半夏生」のほか「野上り」、「泥落とし」などさまざまな名のつく休みにつくり、嫁の親元や娘の嫁ぎ先などそれぞれ親類に配る。かしわの葉には抗菌、防腐作用があり、保存に向いているほか、枯れ葉になってもなかなか木から落ちないことから木の神様に守られていると考えられていた。これにより子孫繁栄を願う縁起のよい食べ物となった。 + +## 食習の機会や時季 +5月半ばから7月上旬頃にかけて各集落ごとでおこなわれる祭りで食される。 + +## 飲食方法 +もち米粉とうるち米粉を熱湯でこねて耳たぶくらいの柔らかさにし適当な大きさにちぎって蒸し器で15~20分蒸す。それをすりこぎでよくついてから小判型に薄くのばし、あんを包んで2つに折り、まわりをおさえてかしわの葉で包む。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (30個分) +- もち米粉: 4合(400g) +- うるち米粉: 1合(100g) +- 小豆: 140g +- 砂糖: 130g +- 塩: 少々 +- かしわの葉: 30枚 + +## 作り方 +1. 鍋にあずきとたっぷりの水を入れ中火にかけ沸騰させ、5分ほど煮て火を止め、ざるにあげて流水で洗い水気を切る。鍋にあずきを入れ強火にかけ、沸騰したら中火にして蓋をし、さし水をしながら40分程度柔らかくなるまで加熱する。 +2. ボールに柔らかくなったあずきを濾し皮を取り除く、水をたっぷりと加え混ぜて沈殿するまで5分程おき、上澄みを捨てる。これを2回繰り返し、さらしでこしてしっかり水気を切る、鍋砂糖と水をさらしで水気をしぼったあずきを入れ中火で混ぜながら加熱し水分がなくなるまでねり塩を加える。 +3. かしわの葉をきれいに洗い、蒸し器で蒸す。(葉は立てて蒸す) +4. もち米粉とうるち米粉を4対1の割合で混ぜ、熱湯を加えて十分こねる。(材料がもち米粉だけの時は、水でこねる) +5. 耳たぶくらいの柔らかさになったら適当な大きさに手でちぎり、蒸し器で15分~20分位蒸す。 +6. 蒸した餅をすりこぎでよくつき、小判型に薄くのばす。 +7. 5を25~30個に丸めて、小判型に薄くのばし、中にあんを包んで2つ折り、まわりを押さえてかしわの葉で包む。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「再発見!福井の食」 ※一部改変 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_29_1.jpg)" +"# おつぼ 福井県 + +**郷土料理名**: おつぼ + +**都道府県**: 福井県 + +## 主な伝承地域 +嶺北地方 + +## 主な使用食材 +小豆、里芋、砂糖、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +開祖・親鸞聖人の祥月命日(旧暦11月28日、新暦1月16日)の前後、秋から新年にかけておこなわれる浄土真宗各派の年中最大行事を報恩講といい、福井県では「ほんこさん」や「おこさま」と呼ばれる。親鸞聖人の教えに触れ、徳に感謝する意味がこめられて開催される。「おつぼ」はその報恩講に集まった人々にふるまう精進料理のひとつで、報恩講のときにお膳に出される。料理の入れ物を意味する「おつぼ」に、小豆と里芋の煮物を入れるのが伝統的な決まりごとである。小豆は親鸞聖人の大好物だったと言われ、弟子の導珍という僧がたびたび小豆餅を進上していたといわれる。そのため、今でも報恩講には「おつぼ」以外に、その地域それぞれの小豆が使われた精進料理が登場する。 + +## 食習の機会や時季 +報恩講や法事に集まった人々にふるまわれる。 + +## 飲食方法 +小豆は洗って、アクを抜くために一度ゆでこぼし、再度たっぷりの水を入れて柔らかくなるまで煮る。砂糖を半分入れてとろ火にし、残りの砂糖も追加してよくなじんだら塩を加える。そこへ皮をむいて一口大に切り、薄い塩味にゆでた里芋を加え「おつぼ」に入れる。美味しくつくるコツは、小豆は柔らかくなってから砂糖を加えると味がよく馴染むこと。また、里芋は皮を包丁で剥くというより、こそげるように、また大きさを揃えるように切るとゆで加減が均一になり荷崩れしにくくなる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 小豆: 1カップ +- 里芋: 中10個 +- 砂糖: 1カップ +- 塩: 小さじ1/2 + +## 作り方 +1. 小豆を洗い、水とともに鍋に入れて火をかける。 +2. 煮立ったら一度水を捨て、次にたっぷりの水を入れて柔らかくなるまで煮る。 +3. 砂糖を半量入れて、しばらくとろ火で煮る。 +4. 残りの砂糖を加え、よくなじんだら塩を入れる。 +5. 里芋は皮をむいて一口大に切り、うすい塩味にしてゆでる。 +6. 5を4の中に入れて煮る。 +7. 火から下ろしてつぼに入れ、膳に供える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「SOUP FUKUI(スープふくい)」(JA福井県中央会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_30_1.jpg)" +"# 朴葉ずし 岐阜県 + +**郷土料理名**: 朴葉ずし + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +飛騨地方南部から中濃地域 + +## 主な使用食材 +米、朴葉、酢 + +## 歴史・由来・関連行事 +朴の木の葉で酢飯を包んだ初夏の風物詩的な料理で、田植えなど農休みの御馳走として食べられてきた。伝承地域周辺の家々では、当たり前のように庭やその周辺にかならず朴の木が植えられており、大きな葉を茂らせていた。朴の葉には、殺菌作用の他に防カビ効果もあるとされ、特に、葉に含まれる「ヒノキチオール」という酵素は、抗菌性が高く、酢飯の酢と相まって高温多湿で食品の腐敗が心配される田植えの時期に重宝した。朴の葉を利用すると箸がなくても手を汚さずに食すことができるので、山仕事や農繁期の携帯食が発祥とされ、現代では、鯖や鮭の酢漬け、きゃらぶきの煮物、錦糸卵などを入れ、彩り豊かなものが多いが、始めのころは、北陸から入ってくる塩鮭を酢で締め、締めた酢で酢飯を作り、鮭をのせただけのシンプルなものだったと伝えられている。 + +## 食習の機会や時季 +5月~8月が朴の葉の彩りや香りが良いので、この頃が「朴葉ずし」の旬と言われ、各家庭の食卓を賑わせてきた。岐阜県中濃地域にある東白川村では、昭和中期まで水稲作業は「結い(ゆい)」と呼ばれるご近所共同作業で行われており、田植えなどを近所にお願いする際に、前日から作り置きができ、食器が不要で後片付けも簡単な朴葉ずしが昼食に振る舞われた。 + +## 飲食方法 +東濃地域では、川魚の甘露煮や酢鯖、錦糸卵、紅ショウガなど、彩り豊かな7~8種の具材を酢飯の上に乗せてから包む家庭が多く、飛騨地域ではさっぱりとした味が好まれ、シンプルにミョウガと酢飯だけというところもある。朴葉の包み方も、葉を半分に畳んだだけのものや、四角く包んだものなどいろいろとあり、朴の葉を使うのは共通しているが、作り方や具材などは各地域、各家庭さまざま。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (12個分) +- 炊いた米: 3合 +- 【A】酢: 30cc +- 【A】砂糖: 60g +- 【A】塩: 小さじ1 +- 人参: 20g +- 【B】だし汁: 50cc +- 【B】砂糖: 小さじ1 +- 【B】白醤油: 小さじ1 +- ごぼう: 30g +- 【C】だし汁: 150cc +- 【C】砂糖: 小さじ2 +- 【C】醤油: 小さじ1 +- 干し椎茸: 4枚 +- 【D】だし汁: 70cc +- 【D】砂糖: 小さじ1・1/2 +- 【D】濃口醤油: 小さじ1・1/2 +- れんこん: 30g +- 【E】だし汁: 50cc +- 【E】砂糖: 小さじ1 +- 【E】酢: 大さじ1 +- ざっこ(しらす干し): 30g +- 紅ショウガ: 少々 +- 朴葉: 12枚 + +## 作り方 +1. 米は1時間前に洗っておく。 +2. 寿司飯は少し硬めがよいので、水をやや控えめにして炊き上げ蒸らして、熱いうちにすし桶に移す。【A】の調味料を混ぜ合わせ酢を作り、ご飯全体にまわしかける(一部ざっこの分を残しておく)。木杓子をたてに使い、ご飯を切るようにして混ぜる(粘りをださないようにサッと混ぜる。合わせ酢は好みで加減する)。 +3. 人参は3cmの長さに千切りにして【B】の調味料で煮る(煮立ったら弱火で10分程度、煮汁が少し残るぐらい)。ごぼうは3cmの長さの千切りにし、あく抜きと水切りをしたら、だし汁で煮て(煮立ったら弱火で10分程度、煮汁が少し残るぐらい)【C】の調味料で味付けをする。干し椎茸は水で���して薄切りにし、【D】の調味料で甘辛く味付けをする。れんこんは洗って皮をむき薄く切り、【E】の酢水につけてから水切りをして酢れんこんにする。ざっこは残しておいた合わせ酢に浸しておく(酢を煮詰めるときは冷めてからざっこを浸すとよい。ごぼうがやわらかくなったら人参を入れて一緒に味付けをしてもよい)。 +4. 朴葉は洗ってよくふき、枝側を少し切り落しておく。 +5. 3の具材を酢飯と混ぜ合わせ、冷めないうちに朴葉の上にのせて、紅ショウガも少しのせて、おひつ又はボールに重ねながら入れ、朴葉の香りがつくようにお皿など重しをして落ち着かせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 郡上市食生活改善推進員協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_1_1.jpg)" +"# 鶏ちゃん 岐阜県 + +**郷土料理名**: 鶏ちゃん + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +郡上市、下呂市、高山市南部 + +## 主な使用食材 +鶏肉、キャベツ、玉ねぎ、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +地域や家庭によって味付けはさまざまだが、鶏肉と野菜に特製のたれを絡めて炒めたものが「鶏ちゃん」。誕生は1950年ごろで、岐阜県の一部の地方で食べられていたジンギスカンをまねて作られたのが始まりといわれている。その後1960年ごろから地元の精肉店や居酒屋が独自に改良し、地域色豊かな鶏ちゃんが、各地で生まれた。鶏ちゃんは、各家庭で飼っていたニワトリが卵を産まなくなった後、貴重なタンパク源として食したのが始まりと伝えられ、当時は、特別な日に味わえるご馳走だった。名前の由来は、豚のホルモン焼きを「トンチャン(豚ちゃん)」と呼ぶことから「ケイチャン(鶏ちゃん)」といわれる説や、混ぜ合わせるという意味の「ちゃん」と「醤(じゃん)」を合わせた「鶏醤(けいじゃん)」から「鶏ちゃん」になったという説もある。 + +## 食習の機会や時季 +鶏肉が貴重な食材だったころは、大切なお客様があった時や、親戚が集まるお盆やお正月など、特別な日の料理だった。今では、手に入りやすい食材や調味料で作れる身近な郷土料理として、各家庭や多くの飲食店で一年中味わうことができる。 + +## 飲食方法 +鶏肉とキャベツやもやし、季節の野菜に特製のたれを絡め、鉄板やジンギスカン鍋などで焼きながら食べる。味噌味、醤油味、塩味など、地域や家庭、店によって味付けや作り方には違いがあり、それぞれのこだわりの味を楽しめるのも「鶏ちゃん」の魅力。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鶏胸肉(一口大): 200g +- ミックス味噌: 32g +- 酒: 6g +- 薄口醤油: 8g +- にんにく: 6g +- キャベツ: 200g +- 人参: 40g +- ピーマン: 20g +- 植物油: 6g + +## 作り方 +1. にんにくはすりおろす。 +2. 鶏肉に「ミックス味噌・酒・薄口醤油・おろしたにんにく」をもみこみ、下味とする。 +3. キャベツはざく切り、人参はうすい短冊切り、ピーマンは細切りにする。 +4. フライパンに油を熱し、下味をつけた鶏肉を入れて炒め、続いてキャベツ、人参、ピーマンを入れて炒める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岐阜県学校栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_2_1.jpg)" +"# からすみ 岐阜県 + +**郷土料理名**: からすみ + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +東濃地域 + +## 主な使用食材 +米粉、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +江戸末期ごろ、東濃地域で桃の節句に作られるようになったと伝えられている「からすみ」。「からすみ」といえばボラなどの卵巣を塩漬けにし、乾燥させた珍味が有名だが、こちらは練った米粉を蒸した和菓子。特徴は、切った断面が山型になる形状にある。山の頂上が2つあるのが一般的だが、まれに3つのものもある。山の形になったのは、わが子が「日本一幸せになれるように」との願いが込められ、富士山を模した形になったと言われている。名称の由来は諸説あり、高級珍味の「からすみ」は、海から遠いこの地域では貴重であったため、それに形が似たお菓子で代替したことからこの名が付いたという説と、中国・唐時代の文鎮とすずりを兼ねた墨(道具は一般に「唐墨(からすみ)」と呼ばれていた)に形状が似ていることからという説とがある。 + +## 食習の機会や���季 +東濃地域で、桃の節句のお供えや日常のお菓子として親しまれている。雛祭りに伝承地の一部で行われる「がんどうち」は、子どもたちが「お雛様みせて」と言って地域の家々をまわり、まわった先でお雛様を見て、お菓子をもらうという珍しい行事。昔は、この「がんどうち」で「からすみ」が子供たちに振る舞われていた。今日では、東濃地域の農産物直売所や道の駅、インターネットなどで一年を通して買うことができる。 + +## 飲食方法 +米粉に砂糖を練り込み棒状にして専用の木型に入れ、型を外して15~30分ほど蒸し上げて作る。白色のものがスタンダードだが、砂糖の代わりに黒糖を使用するほか、よもぎやくるみ、ごま、あずきなどを生地に練り込むなど、いろいろなバリエーションがある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3本分) +- 米粉(荒びき): 330g +- 熱湯: 300cc +- 【よもぎのからすみ】よもぎ: 130g +- 【よもぎのからすみ】砂糖: 100g +- 【よもぎのからすみ】塩: 少々 +- 【白のからすみ】砂糖: 100g +- 【白のからすみ】塩: 少々 +- 【黒砂糖のからすみ】黒砂糖: 100g +- 【黒砂糖のからすみ】塩: 少々 + +## 作り方 +1. 米粉の中に熱湯を入れ、すばやくむらのないようにかきまぜて、蒸し器で30分間蒸す。 +2. 1を3等分し、それぞれ材料を4回程度に分けて入れ、つやが出て手につかなくなるまで根気よく練る。 +3. 2をそれぞれ3等分し形をつくる。(※型がない場合は、棒状にしたものを竹皮などにのせ、上から箸で押さえて形にする。) +4. 蒸し器で5分間蒸し上げる。冷ましてから切り分けて食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 恵那市食生活改善連絡協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_3_1.jpg)" +"# 鮎ぞうすい 岐阜県 + +**郷土料理名**: 鮎ぞうすい + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +木曽川流域の中濃地域、長良川流域の岐阜地域、揖斐川流域の西濃地域 + +## 主な使用食材 +鮎、炊いたご飯 + +## 歴史・由来・関連行事 +素焼きでこんがりと香ばしく焼かれた鮎をご飯とだしでさっと煮た「鮎ぞうすい」。昔は、捕獲の際に傷つき、そのままでは市場性が低くなってしまった鮎を、おいしく食べるための方法の一つだったといわれている。木曽川、長良川、揖斐川など清流が多い岐阜県では、毎年6月ごろから10月ごろにかけて鮎漁が盛んに行われている。鮎の漁法と言えば「友釣り」と「簗漁(やなりょう)」の2つの方法があるが、「友釣り」は、縄張りをつくり生息している鮎の習性を利用した方法で、鮎釣りと言えば友釣りと言われるほど一般的な漁法。一方、「簗漁(やなりょう)」は、川の中に木や竹ですのこ状の足場を組み鮎を獲る伝統的な漁法である。岐阜県内の主な川の近くには「観光やな」と呼ばれるスポットが数多くあり、鮎漁の時期になると多くの観光客でにぎわう。そこでは、「簗漁(やなりょう)」が行われ、獲れたばかりの新鮮な鮎を味わえる食事処が併設されている。鮎ぞうすいは、その「観光やな」をはじめ、多くの鮎料理を出す飲食店で味わえる鮎料理の締めとして供されることが多い。 + +## 食習の機会や時季 +夏の風物詩である鮎料理の最後の一品として供される。夏の蒸し暑さを乗り切るため鮎を雑炊にし、食してきたと伝えられ、鮎の独特のうまみと、さらりとしたぞうすいが食欲のないときにも最適と言われている。 + +## 飲食方法 +鮎のはらわたを抜いてから素焼きにしたものと、水でぬめりをとったご飯とだし汁すべてをさっと煮て味を調える。冷ご飯の利用方法としても重宝されていた。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 炊いたご飯: 240g +- 鮎: 中2匹 +- だし汁: 8カップ +- ねぎ: 少々 +- 柚子: 少々 +- 塩: 小さじ1・1/2 +- 醤油: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 鮎のはらわたを抜き、鮎に火が通る程度まで素焼きにする。頭と骨を取り除く。 +2. 炊いたご飯を水で洗い、ぬめりをとる。 +3. だし汁に、塩を加えて沸騰させる。 +4. 鮎とご飯を加え、さっと煮たて、醤油を加えて火をとめる。 +5. ねぎと柚子を千切りにする。また、好みに合わせ、千切りにしたねぎはお好みで5~10分程度水にさらし、さらしねぎとする。 +6. 鮎の身をほぐし、さらしねぎと柚子の千切りを加え出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 郡上市食生活改善推進員協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_4_1.jpg)" +"# へぼ飯 岐阜県 + +**郷土料理名**: へぼ飯 + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +東濃地域 + +## 主な使用食材 +へぼ(クロスズメバチ、地蜂とも呼ぶ)、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +へぼ(クロスズメバチ、地蜂とも呼ぶ、地中の中に巣をつくる体長2センチほどの蜂)の幼虫を使った恵那市を中心とする周辺地域の郷土料理。 高タンパク・高カロリーなへぼは、海から離れたこの地域の貴重なタンパク源として、住民の健康促進に役立てると共に、大切なお客にご馳走として振る舞われた。へぼを食べる文化は、信州から奥三河にかけての山間地域で盛んである。江戸時代に書かれた「想山著聞奇集」(三好想山・1850年)の中に、美濃国や信濃国では、蜂の子を醤油で味付け、ご飯に混ぜた「へぼ飯」を食している、という記述がすでにあり、古くからの食習慣だったことがうかがえる。へぼ料理は、へぼ飯の他にも香ばしい食感の甘露煮やへぼ五平餅などがあり、秘伝の郷土料理として代々受け継がれている。 + +## 食習の機会や時季 +一般的に、クロスズメバチの巣が大きく育つ秋に、へぼ獲りをして幼虫などを食べるが、6月頃にまだ小さなハチの巣を捕獲し、飼育して巣を大きくしてから幼虫などを取り出して食すという方法もある。地域や料理によっては幼虫だけでなく、成虫も乾煎りするなどして食される。 + +## 飲食方法 +巣から取り出したへぼを砂糖や醤油、酒などで甘辛く煮付けた甘露煮が主な食べ方である。甘露煮と米と醤油で炊き上げるへぼ飯や、たれに甘露煮をすり込んで作る五平餅も代表的な食べ方である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 精白米: 400g +- 蜂の子: 100g +- 砂糖: 5g +- 醤油: 8g +- 清酒: 5g +- みりん: 5g +- 油: 1g + +## 作り方 +1. 油で蜂の子を水分がなくなる位まで炒める。 +2. 鍋で砂糖、醤油を煮立たせる。 +3. 煮立たせた調味料の中へ先ほど炒めた蜂の子を入れ、からめる。 +4. 炊き上がったご飯に混ぜ合わせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岐阜県学校栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_5_1.jpg)" +"# みょうがぼち 岐阜県 + +**郷土料理名**: みょうがぼち + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +北方町、岐阜市 + +## 主な使用食材 +小麦粉、そら豆、みょうがの葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「みょうがぼち」は、そら豆で作ったあんを小麦粉で作った皮でくるみ、みょうがの葉で包み蒸した素朴な味わいの郷土菓子。ぼちは「餅」の意味で、一般的にはもち米を使った団子のことを「餅」というが、伝承地周辺では、小麦粉を練ったものを「ぼち」と呼んでいる。みょうがの葉が繁りだす初夏になると、各家庭で作ったみょうがぼちを、田植えや農作業の一休みに、おやつとして食べていたと伝えられており、かつては「田植えぼち」「野休みぼち」とも呼ばれていた。 みょうがぼちに欠かせないみょうがの葉には、殺菌効果があることから、食品が傷みやすい初夏から夏にかけての携帯食に用いられることが多く、冷蔵庫などの食品保存機器が無い時代の先人の知恵がうかがえる。加えて、あんに使われているそら豆には、鉄分やタンパク質が含まれているため、農作業の疲れを癒やすのに最適なおやつだったと言える。 + +## 食習の機会や時季 +初夏から秋にかけてみょうがの葉が出回る時期に作られる「みょうがぼち」。ちょうど農作業も忙しい時期となるため、その合間に、田んぼのあぜ道や畑の脇にむしろを敷いて腰をかけ、おやつにみょうがぼちを食べたと伝えられている。 + +## 飲食方法 +水に浸したそら豆を、やわらかく煮て砂糖を加えてあんを作り、小麦粉に水と砂糖、塩を加えて練り、皮を作る。あんを皮でくるみ丸く形を整えたら、みょうがの葉で包み蒸す。みょうがの葉が出回る6月から10月までの間に作られるが、早い時期の方がみょうがの葉の香りがよいといわれている。そら豆のあんをくるんでいる「ぼち」の部分だが、小麦粉だけでなく、米粉を混ぜる地域もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分 約8��分) +- 【あん】そら豆: 90g +- 【あん】砂糖: 50g +- 【あん】食塩: 少々 +- 【あん】水: 170cc +- 【あん】みょうがの葉: 適量 +- 【皮】小麦粉: 120g +- 【皮】砂糖: 10g +- 【皮】食塩: 少々 +- 【皮】水: 20cc + +## 作り方 +1. そら豆をよく洗い、170ccの水に3時間浸す。 +2. 沸騰するまで火にかける。 +3. 一度ざるにそら豆をあけて洗い、水を取り替え、中火で柔らかくなるまで煮る。(約20分)そのとき、水が足りないようなら水を足す。 +4. 砂糖を加え、弱火で鍋の底がみえるまで煮る。火を止める前に塩少々を入れる。 +5. 冷めたら適当な大きさに丸める。(約25g) +6. 小麦粉に、砂糖、塩を入れ、よく混ぜる。 +7. 20ccの水を沸騰させて、少しずつ加えながらこねる。こねてから30分ほどねかせるとよい。 +8. こねた皮(約25g)を手に取り広げ、あんを入れて包む。 +9. みょうがの葉に包み、蒸し器で8~9分蒸す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岐阜県学校栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_6_1.jpg)" +"# 鮎なれずし 岐阜県 + +**郷土料理名**: 鮎なれずし + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +岐阜市 + +## 主な使用食材 +鮎、ご飯、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +鮎の保存食として作られてきた「鮎なれずし」は、塩漬けした鮎の腹に、炊き立てのご飯を詰め、2ヵ月ほどかけて樽に漬け込む発酵食品。塩、鮎、ご飯のみの素材を菌の力で醸し、冬の貴重なタンパク源であり、獲れる時期が限られている川魚の保存性を高めている。岐阜県で鮎といえば長良川の鵜飼がまず思い浮かぶが、その歴史は古く、およそ1300年以上と言われている。「長良川鵜飼」は、織田信長も鵜飼を見せるおもてなしを行ったと伝えられており、江戸時代には鵜飼で獲れた鮎を使った鮎鮓(鮎なれずしの別名)が徳川将軍家へ献上され、それが運ばれた街道は、現在鮎鮨街道または、御鮨街道と呼ばれている。 + +## 食習の機会や時季 +夏の間、川の上流で過ごし秋になると産卵のために下ってくる鮎を「落ち鮎」と呼び、鮎なれずしにはこれを用いることが多い。特に「子持ち鮎」が珍重され、その内臓から出るうまみにより、さらに、まろやかで食べやすくなると言われている。熟成させ完成すれば1年を通して味わうことができ、製造技術が伝承されている鵜匠家では、今も正月に、世話になった人に配られている。 + +## 飲食方法 +9月頃、落ち鮎を開き、塩と一緒に2ヵ月ほど漬け込み、12月の初旬に塩抜きをして、鮎のお腹に炊き立てのご飯を詰め込む。木桶を用意し、ご飯を詰め込んだ鮎を3~4段にして漬け込み、竹皮を敷いてふたに石の重しをのせて自然発酵させる。乳酸菌などの力を借りて2ヵ月ほど熟成させ完成となる。オスの鮎を使うことが多いが、卵を抱いたメスは味がまろやかでまた格別といわれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- 鮎: お好みで +- 塩: 適量 +- 米: 適量 +- 水: 適量 + +## 作り方 +1. 落鮎(秋に産卵のために川を下る鮎のこと)をきれいに洗い、腹を開いて内臓を取り除く。 +2. 塩漬けにして体内の水を抜く。タッパーに鮎、塩の順の層にして重ねて入れ、最後に塩かぶせ、冷蔵庫で保管する(1ヶ月程度)。 +3. 流水でしっかり塩抜きし、陰干して乾燥させる。乾いたら腹に炊いた米を詰める。 +4. 炊いた米を洗い、桶の底に敷く。その上に米を詰めた鮎、ご飯の順にすき間がないように詰め、上にご飯をかぶせる。竹皮を敷いて、重石をし、水を張り発酵させる(2ヶ月~1年程度)。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_7_1.jpg)" +"# 五平餅 岐阜県 + +**郷土料理名**: 五平餅 + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +東濃地域、飛騨地域 + +## 主な使用食材 +精白米、くるみ、白ごま、落花生、醤油か味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +米をつぶしたものを串に巻きつけ、たれをつけて焼いた郷土料理。主に、長野県の木曽・伊那地方から岐阜県の東濃地方東部、愛知県三河地方にかけて食されている。江戸時代中期、長野県の中央アルプスと御嶽山系に挟まれた木曽地域やその周辺で、木こりたちが木材の伐採で出た木の切れ端に飯を握りつけてたき火で焼き、味噌をつけて食べたのが始まりと��れる。やがて、山での仕事の無事などを祈り神様に捧げられるようになり、新米がとれた収穫祝いや、祭事の場でも捧げられ、食べられるようになった。神に捧げる「御幣(ごへい)=小判」に形が似ていることから、この名がついたと一般的には言われているが、16世紀中ごろ、武田信玄と上杉謙信が戦った「川中島の戦い」で、美濃出身の五平という人物が兵たちに振る舞ったのを始まりとする説もある。 + +## 食習の機会や時季 +秋の収穫を終え、とれたばかりの新米で五平餅を作り、収穫のお礼と来年の豊作を祈願して神様にお供えされ、人々のお腹も満たしてきた。お供え物としての役割ばかりでなく、農繁期の食事として親しまれるほか、恵那、中津川地域では客人をもてなすご馳走として振る舞われた。現在では、地元民を含め、観光客も気軽に食べられる郷土料理として、主に行楽地などで販売され、県内外の人々に親しまれている。 + +## 飲食方法 +形は、わらじの形、団子を平たくした形、丸い団子の形など、地域や家庭によってさまざま。たれも、味噌味、醤油味、ミックスの3種があるが、中山道を境に、北は醤油味、南は味噌味が多く、醤油と味噌のミックスを食す地域が点在している。隠し味は、ポピュラーなのがくるみや落花生だが、東濃地域ではクロスズメバチの幼虫「へぼ」を使う地域もあり、作る人によって独自の味があるのも魅力の一つだ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 精白米: 320g +- 【たれ】落花生: 24g +- 【たれ】くるみ: 12g +- 【たれ】白すりごま: 40g +- 【たれ】白いりごま: 2g +- 【たれ】濃い口しょうゆ: 64g +- 【たれ】上白糖: 80g +- 【たれ】清酒: 24g +- 【たれ】本みりん: 32g +- 串: 適量 + +## 作り方 +1. 米を炊き、すりこぎなどで粘りがでる程度にすりつぶす。ご飯を丸く握る。串を真ん中に押し込みご飯で包み、わらじ型に形を整える。 +2. 1を薄く色がつくまで下焼きをする。 +3. 落花生、くるみはすりつぶす。たれの材料を合せて煮る。 +4. 2に3のたれをつけてもう一度焼く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岐阜県学校栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_8_1.jpg)" +"# 鮒味噌 岐阜県 + +**郷土料理名**: 鮒味噌 + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +西濃地域 + +## 主な使用食材 +鮒、大豆、豆味噌、ざらめ + +## 歴史・由来・関連行事 +素焼きした鮒(ふな)に味噌、ざらめ、大豆などを加えて煮こんだ「鮒味噌」。県内では、木曽三川(濃尾平野を流れる木曽川、長良川、揖斐川の三つの川の総称)流域である西濃地域が主な伝承地域となっており、県外でも、愛知県の尾張地方や三重県桑名市長島町、木曽岬町周辺でも食べられている。鮒味噌を作る際に用いられる「豆味噌」は、「東海の赤味噌」とも呼ばれ、東海地方の郷土料理には欠かせない調味料である。加えて豆味噌は、他の味噌よりも原料となる大豆の割合が多いため、たんぱく質やうま味成分(グルタミン酸)を多く含み、旨味が強く、加熱をすると食品の臭い成分を和らげる働きもあるため、比較的臭みがあるといわれる鮒料理には適した材料といえる。 + +## 食習の機会や時季 +木曽三川が流れる西濃地域では、川魚料理が有名で鮒の他にもナマズや鯉、もろこなどが食されており、魚がたくさん獲れる時期に加工し、冬の間の保存食として蓄えられ、寒い季節の食卓を彩ってきた。鮒味噌もそのような川魚料理の一つである。 + +## 飲食方法 +はらわたやうろこを取った鮒を素焼きにし、水で戻した大豆と一緒に時間をかけて煮る。その後、ざらめや豆味噌、酒をくわえて煮込み、身がほろほろになり骨までやわらかくなったら完成となる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鮒(中型サイズ): 1尾 +- 大豆: 50g +- 豆味噌: 100g +- ざらめ: 100g +- 酒: 20g + +## 作り方 +1. 鮒は、うろこ、はらわたを取ってよく洗い、素焼きする。 +2. 大豆は水で戻し1を入れ、鮒にかぶるくらいの水を入れ時間をかけて煮、あくが出ればあくをとる。 +3. 豆味噌、酒、ざらめを入れ、弱火で煮る。味噌が焦げないように鍋を動かしながら味噌がとろとろになるまで煮込む。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岐阜県学校栄養士会 + +![料理画���](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_9_1.jpg)" +"# 朴葉味噌 岐阜県 + +**郷土料理名**: 朴葉味噌 + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +飛騨・高山地域 + +## 主な使用食材 +朴葉、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +朴葉の上に、自家製のこうじ味噌を乗せて焼いた料理。ご飯によく合うほか、酒の肴としても最適といわれている。朴の木は日本全国の山々で見ることができる葉の大きな落葉広葉樹。朴葉には抗菌作用があり、包むと食べ物が日持ちし、良いかおりが移りおいしくなる。由来は諸説あるが、林業が盛んだった飛騨地域で、山仕事を生業とする杣人(そまびと)たちが、山で朴葉を皿代わりに焼き味噌をしたのが始まりといわれる。その後一般家庭にも普及し、昭和40年代には土産物としての販売も始まった。 + +## 食習の機会や時季 +秋になり茶色く落葉した朴の葉を冬になる前に集めて保存し、朴葉味噌に使用する。発祥の地とされる飛騨・高山地方の冬は、寒さが厳しく食材が凍るほどであったため囲炉裏の火に朴の葉を敷き、漬物や味噌などを温めながら食べたと伝えられている。 + +## 飲食方法 +朴葉の上に味噌を乗せ、焼きながら食べる。朴葉味噌を焼く方法は、炭火が一番だが、ホットプレートやフライパンでも朴葉の香りが引き立ちおいしく焼くことができる。今日では朴葉の上に乗せるのは味噌だけでなく、飛騨牛やキノコやネギなども一緒に食べる朴葉味噌も登場している。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 地味噌: 100g +- ネギ: 80g +- しいたけ: 80g +- 朴葉(茶色): 1枚 + +## 作り方 +1. ネギは斜め切り、しいたけはいしづきを取り、千切りにする。 +2. 七輪に網と朴葉を乗せ、味噌とネギ、しいたけを入れ、焼きながら食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岐阜県学校栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_10_1.jpg)" +"# 大歳のごっつぉ 岐阜県 + +**郷土料理名**: 大歳のごっつぉ + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +中濃地域、東濃地域、飛騨地域 + +## 主な使用食材 +大根、人参、里芋などの根菜類、豆腐、糸昆布 + +## 歴史・由来・関連行事 +12月31日の大みそかから正月三が日まで岐阜県の広い範囲で食されている「大歳のごっつぉ」は、地域によって「年越し料理」「年越し煮」「お年越し」などいろいろな名称で親しまれ伝承されている。お正月は台所の道具や器具などを休ませ、家族もそろってゆっくり休めるよう、一度に大鍋にたくさんの大歳のごっつぉを作り、あたためなおして食していた。大根や人参などの根菜類を、だしで煮たものがポピュラーだが、地域や家庭ごとに、煮る野菜や、その切り方、だし汁なども異なる。しかし、どの地域でも「糸昆布」が必ず入っており、その由来は「細長く生きられるように」「長生きできる」などの願いが込められている。昔、今のようなおせち料理がないころは、この料理がごちそうで、一年が無事過ごせたことに感謝し、迎える年もよい年になることも願い、神仏に供えられ食されてきたとも伝えられている。 + +## 食習の機会や時季 +年末の12月31日に大鍋で作り、大みそかはもちろん、正月三が日の間、何度も煮返して食す大歳のごっつぉは、今でも各家庭で年末年始に欠かせない料理として親しまれている。 + +## 飲食方法 +各家庭やその土地土地によってはいる具材もその切り方も異なるが、大根や人参、里芋などと、あく抜きしたごぼうやこんにゃく、煮干し、豆腐、水で戻した糸昆布などをだしと調味料で煮る。地域によっては、焼く時の煙が一年の悪いことを追い払ってくれるとのことで、いわしの丸干しも一緒に食すところもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根(乱切り): 200g +- にんじん(乱切り): 60g +- ごぼう(拍子切り): 40g +- さといも(乱切り): 80g +- 板こんにゃく(乱切り): 60g +- 油揚げ(大きめ): 20g +- 糸昆布: 12g +- 木綿豆腐(大きめの長方形): 80g +- 煮干し: 10g +- 水: 480g +- しょうゆ: 20g +- 清酒: 8g +- 本みりん: 8g + +## 作り方 +1. 板こんにゃくは茹でておき、煮干しと水でだしをとる。 +2. 鍋にだし汁、ごぼうを広げて入れ、大根、にんじん、さといも、板こんにゃく、油揚げを加え、上か���糸昆布を広げて入れる。 +3. 昆布の上に豆腐を広げて置き、調味料を加え煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岐阜県学校栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_11_1.jpg)" +"# ねずし 岐阜県 + +**郷土料理名**: ねずし + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +下呂市を中心とした飛騨地域、中濃地域 + +## 主な使用食材 +米、麹、だいこん、にんじん、塩マス + +## 歴史・由来・関連行事 +「ねずし」は、飛騨地域を中心に古くからお正月料理として振る舞われてきたなれずしの一種で、風味豊かな一品。漢字で「寝鮓」と書くこともあり、文字通り寝かせて作る料理である。冬の厳しい寒さゆえに新鮮な野菜や食料が不足したことから、飛騨地方には漬ける・干す・発酵させるなど、多彩な方法の保存食文化が根付き、ねずしも人々に親しまれてきた。12月に入ると、どこの家でも塩マスや麹が用意され、ねずしの漬け込みが始まる。麹を加えたご飯にマスやだいこん、にんじんなどを混ぜあわせ、半月から20日間ほど寝かせて発酵させ完成となる。全国各地に発酵系の寿司が存在し、その独特の風味を苦手とする人も多いが、ねずしはそれらの中でも甘酸っぱくマイルドで食べやすいと言われている。 + +## 食習の機会や時季 +「ねずしがないと正月が来たような気がしない」と言われるほど、正月のごちそうとして、なくてはならない料理といわれている。家庭によってはマスの代わりに鯖を使ったり、酢飯を用いたり、具材の切り方が違うなど、その家々で味わいが違う。 + +## 飲食方法 +塩マスは、骨を取り除き小口大に切り、だいこんやにんじんは塩で揉んでおく、あわせるご飯は炊き立てではなく少し冷ましたものに麹を混ぜて用いる。それらすべてを混ぜ合わせ2週間から20日ほど漬け込む。発酵具合は気温や材料によって変わるため、同じ人が作ってもその都度少しずつ味わいが違うのも楽しみのひとつ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- だいこん: 120g +- にんじん: 16g +- 生姜: 少々 +- 麹: 50g +- 米: 100g +- 塩マス: 56g +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 塩マスは、骨を抜き、小口切りにする。生姜は、みじん切りにする。 +2. だいこん、にんじんは千切りにして、塩もみにしておく。 +3. 米は、普通に炊き、少しさましてから、麹を混ぜる。 +4. 1、2、3を混ぜ合わせ、2週間ほど寝かせてから、いただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岐阜県学校栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_12_1.jpg)" +"# もろこずし 岐阜県 + +**郷土料理名**: もろこずし + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +西濃地域 + +## 主な使用食材 +もろこ、酢飯 + +## 歴史・由来・関連行事 +「もろこずし」とは、寿司箱に酢飯を敷き詰め、その上に甘辛く煮た「もろこ」を並べ、押し寿司にしたもので、正月や祭りなどのもてなし料理として重宝され、西濃地域のほかに愛知県北西部でも食されている、素朴な味わいの郷土料理である。「もろこ」とは、コイ科に属し、成魚になると体長10cmほどになる淡水魚で、もろこずしには小さめのもろこを使用した方が食べやすいとされる。木曽三川(木曽川、長良川、揖斐川)に育まれた西濃地域は、戦後の土地基盤整備が行われるまでは、網の目のような水郷地帯で、フナやコイ、もろこ、うなぎ、なまずなど川魚が多くとれ、それを利用した食文化が発展し、今でも人々に親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +祭りや正月、法事など、多くの人が集まったときのおもてなし料理として、各家庭で作られていた。今では、漁獲量の減少や人々の川魚離れがすすみ、作られることが少なくなったが、特別な日の懐かしい料理として食されている。 + +## 飲食方法 +米は酒とこんぶを入れて炊き、炊き上がったら調味料と合わせて酢飯を作る。ぬらした寿司箱にハランを敷き、下から酢飯、もろこ、ハランと順番に敷き詰め、重しをする。2~3時間が経ったら寿司箱から取り出し、適当な大きさに切り分ける。もろこは、お砂糖・醤油・お酒・しょうがであめ色になるまで煮詰めて作る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6~8人分) +- 精白米: 4カップ +- 酒: 大さじ2 +- だしこんぶ: 10cm +- 【A】���: 80ml +- 【A】砂糖: 大さじ5 +- 【A】塩: 小さじ1/2 +- もろこの佃煮: 200g +- ハラン: 8~12枚 + +## 作り方 +1. 米は洗い、水(分量外)と酒とこんぶを加えて炊く。【A】の調味料を合わせて、炊きあったご飯に加え、酢飯を作り、冷ましておく。 +2. すし箱をぬらし、底板に合わせてハランを敷き、1の酢飯を入れ、平らにし、その上にもろこを一面に並べる。ハランをかぶせてふたをし、重しをして2~3時間おく。 +3. すし箱から取り出して、12~18切れに切り分ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岐阜県学校栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_13_1.jpg)" +"# いももち 岐阜県 + +**郷土料理名**: いももち + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +中津川市恵北地区、中濃地域 + +## 主な使用食材 +里芋、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +「いももち」は、北海道、和歌山県、高知県などでも郷土料理として名が挙がるが、それぞれ芋の種類(ジャガイモ、サツマイモ、里芋)や製法などが違う料理であることが多い。岐阜県のいももちは、里芋と米が使われるのが特徴で、里芋とお米を一緒に炊き、よく潰して丸めたものをそのまま、もしくは焼いて、生姜醤油などで食べる。発祥は諸説あり、ある地域では稲刈りが終わった際に、旬の里芋を収穫し、選別の時に出たくず米と粘り気の強い里芋を合わせ作られたという説と、お米が不作な地区で「かさ増し」が目的で里芋を加えたとされ、気候に左右されず収穫ができる里芋を混ぜたことが始まりという説がある。いずれも、お米が貴重だった時代を生きた先人たちの知恵で生み出された郷土料理であることがわかる。 + +## 食習の機会や時季 +一年で最も重要な農作業である稲刈りが終わる晩秋に、一年の労をねぎらうために食された。 + +## 飲食方法 +里芋とお米を炊き上げてつぶし、一つ一つ丁寧に丸め、出来立てをそのまま食べるか、両面をこんがりと焼く。生姜醤油をつけ食べるか、冷めた場合は、もう一度焼いて食す。生姜醤油の他にも、ネギ味噌などをつけて食べる地域もある。いももちに使う里芋は、中津川市などが産地である西方(にしがた)いもという粘りの強いいもが良いといわれ、一年を通して食せるようになった現在では、春はみょうがの葉、秋はかぶらの葉に包んで焼き、季節を感じながら味わうこともできるようになった。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 精白米: 300g +- 里芋: 170g +- 生姜: 15g +- しょうゆ: 25g + +## 作り方 +1. 里芋は、皮をむき洗って一口大に切る。洗った精白米に里芋を入れ、炊く。 +2. 炊き上がったごはんをすりこぎなどでつぶす。 +3. 1人2個ずつ団子にして少し平らにしたものを串にさし、炭火で焼く。 +4. たれをつけもう一度焼く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岐阜県学校栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_14_1.jpg)" +"# みそぎだんご 岐阜県 + +**郷土料理名**: みそぎだんご + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +羽島市 + +## 主な使用食材 +米粉、あん、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +米粉の生地であんを包んだ団子を串に刺し、味噌と砂糖を合わせたたれをつけて焼いた羽島市の伝統菓子。昭和の初め頃、羽島市内の菓子店の店主がみたらし団子の中に餡を入れて味噌をぬり焼いた「みそつけだんご」を開発し、商いをしていた。その後、その店の2代目が竹鼻町の氏子様、八剣神社の「みそぎ神事」の由来を知り、その神事と「みそつけだんご」を合わせて〈みそぎ団子〉と名前を改め、「6月30日のみそぎ神事の際にこの団子を食べると1年の前半のみそぎを払い、残り半年は元気で過ごせる」という内容の掛け紙を作り販売したと伝えられている。 + +## 食習の機会や時季 +羽島市にある竹鼻八剣神社では、毎年6月30日に半年分の罪や汚れを払い清め、無病息災を願う『みそぎ神事』が行われ、7月1日・15日には、竹鼻の商店街において提灯の飾り付けがされ、街の中の屋台や菓子店では「みそぎだんご」が販売される。 + +## 飲食方法 +米粉の団子生地でこしあんを包み、それを2個串にさし、味噌と砂糖で作ったたれを、焼いた団子の両面に田楽風に塗り、ゴマをふりかけ、それをまた焼いたシンプルなもの。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- みそぎ団子: 4本 +- 【A】豆味噌: 10g +- 【A】白すりごま: 5g +- 【A】中双糖: 8g +- 【A】本みりん: 5g +- 【A】日本酒: 10g + +## 作り方 +1. 【A】をなべで煮込み、みそだれをを作る。 +2. みそぎ団子の表面に1のたれをぬる。 +3. 2の団子を色よく焼いて出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岐阜県学校栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_15_1.jpg)" +"# すったて汁 岐阜県 + +**郷土料理名**: すったて汁 + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +白川村 + +## 主な使用食材 +大豆、味噌、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +「すったて汁」は、茹でた大豆をすり鉢や石臼などですりつぶした「すったて」に、味噌や醤油などを加えた汁物で、合掌造りで有名な世界遺産・白川村で行われる祝い事や報恩講(ほうおんこう)などのハレの場で親しまれている郷土料理である。別名「すりたて汁」とも言われ、他にも、どぶろくに似ていることから「どぶ汁」と呼ばれることもある。食品の保存や流通が今ほど便利でなかったころ、山の奥深い白川村では、やせた土地でも育ち、たくさん収穫できる大豆が貴重なタンパク源として盛んに栽培されていた。その大豆を使い、味噌や豆腐がつくられ、豆腐を作る過程で「すったて汁」が誕生したと言われている。夏場はすぐに悪くなるので、秋から冬、春先までの時期に食されることが多い。 + +## 食習の機会や時季 +晩秋から春にかけて雪深い白川村で、地域の寄り合いや報恩講の際に、食されてきた。報恩講とは、開祖・親鸞聖人の命日に行われる仏事のこと。 + +## 飲食方法 +一晩水に浸しておいた大豆を、少しかたいなと思うぐらいまで煮る。煮た豆をすり鉢やミキサーなどですりつぶし、それを鍋に移し、醤油で味をつけ、沸騰寸前まで火を通して完成となる。味付けは、醤油の他に味噌を用いることもある。近年、すったて汁をアレンジした「すったて鍋」が開発され人気を博している。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大豆: 20g +- うすくち醤油: 5g +- 水: 適量 + +## 作り方 +1. 大豆は洗って、豆がかぶるくらいの水に一晩浸しておく。 +2. 浸しておいた豆を煮る。少しかたいなと思うくらいで火を止める。 +3. そのままミキサーでなめらかになるまですりつぶす。 +4. 鍋に移し、醤油で調味し、沸騰寸前で火から下ろす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岐阜県学校栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_16_1.jpg)" +"# 栗きんとん 岐阜県 + +**郷土料理名**: 栗きんとん + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +中津川市を中心とした東濃地区とその周辺エリア + +## 主な使用食材 +栗、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +「栗きんとん」と聞くと、一般的におせち料理を思い浮かべるが、東濃地区を中心とした地域の栗きんとんは、一度蒸した栗の実を、砂糖と炊き上げて、布巾で栗の形にかたどるシンプルな和菓子で、栗そのものの風味を存分に味わえる。最初は、山栗を茹でたり焼いたりして食していたが、やがて茹でた栗を布巾でしぼった栗きんとんの原形に近いものが生まれ、それがこのお菓子の始まりだと言われている。栗きんとんの発祥の地とされ、県内有数の栗の産地でもある中津川市は、江戸時代に幕府が直轄する幹線道路「中山道」が通り、江戸と京都・大阪を結ぶ重要な宿場町の一つとして発展を遂げ、独自の文化が花開き、茶の湯文化も盛んになった。そのため、お茶に合うおいしい菓子が求められ、菓子職人が腕を競い合い、特産である栗をつかった菓子が次々に生み出され、栗きんとんも誕生したと伝えられている。 + +## 食習の機会や時季 +9月9日は重陽の節句、栗節句と言われ、昔から長寿を祈り、栗料理や栗菓子を食べていた。毎年9月から冬にかけて栗のおいしい季節になると、現在でも、栗きんとんをはじめとした栗菓子を求めて、県内外から多くの人が中津川に足を運ぶ。 + +## 飲食方法 +生の栗を茹で中身を取り出し、それに砂糖や塩を加え、温めてなじませる。なじませたものを鍋に入れ、弱火で良く練り、練りあがったものを水で湿らせた布巾でしぼり、布巾の形を整えて完成となる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (30個分) +- 生栗: 1kg +- 砂糖: 300g +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 栗を茹でる。茹で上がった栗の中身を熱いうちに取り出す。幼根や黒く変色した部分は丁寧に取り除く。 +2. 1に砂糖を合わせ塩を少々加えて電子レンジで温め、なじませる。 +3. 厚手の鍋を温め、2を入れて弱火で丁寧に、少し焦げが付く程度に良く練る。 +4. 練った生地をラップに包んで棒状に伸ばす。 +5. 棒状になったらラップを外し、約30gの輪切りにする。 +6. 輪切りにしたものをしぼりやすいように丸く形を整える。 +7. 丸くした生地を、湿らせた布巾で包み布巾の形にしぼる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中津川観光協会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_17_1.jpg)" +"# 水まんじゅう 岐阜県 + +**郷土料理名**: 水まんじゅう + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +大垣市 + +## 主な使用食材 +くず粉、わらび粉、小豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +「水まんじゅう」は、くず粉とわらび粉で作られた生地であんを包み、井戸水で冷やしたまんじゅうである。水まんじゅうが誕生したのは明治時代といわれ、水の都といわれる大垣には、豊富な地下水を利用して野菜や果物を冷やす「井戸舟」が各家庭にあり、それを冷蔵庫代わりにしていた。そうした中、「夏に食べられる冷たいお菓子を」と開発されたのが水まんじゅうである。開発当初は、くず粉のみを使っていたそうだが、くず粉は水に溶けやすい上に、水で冷やすとかたくなってしまうので、水に強いわらび粉をまぜることで、もっちりとした食感の水まんじゅうが完成したと伝えられている。 + +## 食習の機会や時季 +菓子店の店頭の水槽の中、おちょこに入った水まんじゅうが冷やされる姿は水の都大垣に夏の訪れを告げる風物詩となっており、販売期間は各店舗によって異なるが、4月から9月頃までとなっている。 + +## 飲食方法 +冷たい地下水に漬けて冷やすよう、くず粉に水に強いわらび粉を混ぜ、柔らかく炊き上げた生地の中に、こしあんを包み陶器のおちょこに流して蒸した後、固めて作る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (15個分) +- くず粉: 90g +- わらび粉: 12g +- 砂糖: 180g +- 水: 720g +- 中あん: 170g(1個7g) + +## 作り方 +1. くず粉、わらび粉を水の中に入れて良く溶かす。 +2. 砂糖を入れ、火にかけ、ゆっくりと混ぜ続け、半透明の糊状になったら火を止める。 +3. おちょこ半分程度に生地を入れ、真ん中にあん玉を入れてからおちょこいっぱいになるまで生地を入れる。 +4. 約10分(透明になるまで)蒸す。 +5. 粗熱が抜けてから井戸水で冷やし、おちょこから取り出す。※上記は代表的レシピで、店舗によって異なる。※上記のレシピでも使用するくず粉やわらび粉によって食感などが変わることがある。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 大垣観光協会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_18_1.jpg)" +"# 煮たくもじ 岐阜県 + +**郷土料理名**: 煮たくもじ + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +飛騨地域 + +## 主な使用食材 +かぶの葉など菜っ葉の漬物 + +## 歴史・由来・関連行事 +水にさらして塩抜きした、菜っ葉の漬物を煮たもの。春になり酸っぱくなった漬物を、捨てるのではなく、煮て食すという食材を大切にする思いが生んだ一品である。「くもじ」とは、平安時代に宮中で使われていた言葉で、漬物のことを指す。その昔、漬物は「茎漬」と呼ばれていたが、「くきづけ」の「く」をとって「く文字」とも呼ばれるようになり、「く文字」を煮て食べるので「煮たくもじ」と呼ばれているようになったという説がある。 + +## 食習の機会や時季 +冬場に漬けた菜っ葉などの漬物を春先に煮て食べる。食料が乏しかった時代に、食材をむだにせずに最後まで食べきることができるという先人の知恵が生んだ郷土料理。漬物を漬けておけば、まずはそのまま漬物として食し、次は煮たくもじにして、季節を問わず食べることができる。 + +## 飲食方法 +塩漬けしたかぶの葉を水洗いして塩抜きをする。塩が抜けたら、3cmぐらいに切り、油で炒め、調味料とあわせて、水分がなくなるまで煮て、仕上げにごま油と白ごまを入れ強火で仕上げる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- かぶらの長漬け(塩漬け): 10株 +- サラダ油: 適宜 +- ごま油: 適宜 +- 白ごま: 適宜 +- 【A】醤油: 180㏄ +- 【A】みりん: 180㏄ +- 【A】酒: 180㏄ +- 【A】煮干し: 適宜 +- 【A】鷹の爪: 適宜 + +## 作り方 +1. 塩漬けしたかぶらの葉を桶から出し、水洗いし塩を落とす。 +2. 1を水につけておく。2~3回水をかえ、塩ぬきをする。※つける時間によって塩ぬき具合が異なります。※完全に抜かず、ほどよく塩を抜くのがポイント。 +3. 2を3cmくらいに切り、かるくしぼったものをサラダ油で炒める。 +4. 鍋に3と【A】と水(葉がかぶる程度)を入れ、水分がなくなるまで中火で煮る。 +5. 仕上げに、ごま油と白ごまを入れ強火で煮しめる。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_19_1.jpg)" +"# 赤かぶ漬け 岐阜県 + +**郷土料理名**: 赤かぶ漬け + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +高山市、飛騨市を中心とした飛騨地域 + +## 主な使用食材 +飛騨紅かぶ + +## 歴史・由来・関連行事 +山深く、冬には雪に閉ざされてしまう飛騨地域の貴重な食料だった漬物。大根やかぶ、きゅうりやごぼうなど色々な野菜が漬物として親しまれているが、中でも、雪や霜に強い赤かぶの漬物は今日も各家庭に受け継がれている。「赤かぶ漬け」には、大正7年(1918年)に、八賀かぶの中から紅色の突然変異株が発見されて生まれた「飛騨紅(べに)かぶ」が用いられる。その柔らかく肥大したかぶの豊富な糖分と乳酸菌の力が合わさり、ほのかな酸っぱさが感じられる独特の味わいが生まれた。かつて山間の飛騨地域では塩が貴重であったため、塩を節約するために生まれた江戸時代以来の伝統製法であるといわれている。赤かぶ漬けの特徴である鮮やかな紅色は、皮の色素による自然の色で、発酵が進むとともに、もともと白かった身を赤く染め、味わいも深くなってゆく。 + +## 食習の機会や時季 +今ではその光景を見ることも少なくなったが、飛騨地域では、11月になると長い冬に備えることや、年間を通して食卓になくてはならない漬物を漬けるために、漬物用のかぶや大根など大量の野菜を川で洗う「菜洗い」が行われ、その光景は、この地域に冬の訪れを告げる初冬の風物詩といわれていた。10~12月上旬に収穫される飛騨紅かぶも、この頃から漬け込みが始まり、寒さの中で熟成し、雪深く寒さ厳しい冬に欠かすことのできない常備菜となる。 + +## 飲食方法 +鮮度の良い飛騨紅かぶをよく洗い、樽の中に塩水を入れ、その中に隙間のないようにかぶを入れて塩を振り、重石をして常温で漬け込む。2カ月ほどで発酵し熟成したら完成となるが、途中、「天地替え」や容器の移し替えを行う。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 飛騨紅かぶ: 20kg +- 食塩※塩分が強めの設定になっているので、保存期間や好みによって調整してもよい。: 800g +- 水: 2kg + +## 作り方 +1. 飛騨紅かぶは新鮮なものを用意し、よく洗っておく。 +2. 樽(30L程度のもの・2斗樽)を用意し、樽の中に水と食塩200gを入れ塩水を作る。 +3. 塩水の入った樽の底に、隙間のないようにかぶを並べ、食塩を振り入れ、その食塩の上にかぶを並べ、その上にまた食塩を振る。といった要領で600gの食塩を数回に分けて振り入れ、かぶを樽に入れていく。※この時一番下の段のかぶが少し多めになるようにする。※振り入れる塩の量は、下の段から上の段になるにつれて多くなるようにする。 +4. かぶと食塩の入った樽に落とし蓋をし、15~20kgの重石をし、常温で漬け込む。2カ月程度、発酵、熟成させれば完成となる。※漬け始めから15日ほど経過したら、樽の中身の上下を入れ替える「天地替え」を行うと塩分が均一になり、発色がよくなる。天地替えの際は、落とし蓋の上にたまった漬け液をくみ出して捨て、かぶを別の樽に移しかえ、落とし蓋と重石をして漬ける。※白い酵母が樽内の水の表面に上がってきたら、こまめにくみ取る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 高山漬物組合 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_20_1.jpg)" +"# 柿なます 岐阜県 + +**郷土料理名**: 柿なます + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +中濃地域、岐阜地域、西濃地域 + +## 主な使用食材 +干し柿、大根、人参 + +## 歴史・由来・関連行事 +「柿なます」は、大根と人参で作る酢の物に、干し柿を加えた郷土料理。地域によっては正月料理に欠かせない一品といわれている。柿は大きく分けると甘柿と渋柿の2種類に分けられるが、全国でも有数の柿の産地である岐阜県は、甘柿では、柿の王様と呼ばれる「富有柿(ふゆうがき)」の発祥地として知られる。県内では、糖度が17度を超えるものもあるほど良い品質のものを栽培している。同時に渋柿も、その干し柿が朝廷や幕府などに献上されるなど、1000年以上の歴史を持つ美濃加茂市特産の「堂上蜂屋柿(どうじょうはちやがき)」や、山県市で栽培され干し柿に加工された「連柿(れんがき)」と呼ばれるもの、新年の縁起物とされている「伊自良大実柿(いじらおおみがき)」などがあり、収穫量、品質ともに定評がある。 + +## 食習の機会や時季 +11月上旬ごろに収穫された渋柿は、風通しや湿度管理に気を使いながら1カ月ほど干すと柿の表面に白い粉が吹き、干し柿の完成となる。甘い干し柿が入った柿なますは、新鮮な野菜や果物が乏しい冬の時期に、貴重なビタミンなどの栄養素の補給に役立った。 + +## 飲食方法 +大根や人参はあらかじめ塩をふってしんなりとさせ、その後かたくしぼって水気をきり、砂糖や酢などの調味料とあわせる。食べる少し前に細かく割いた干し柿とあわせ完成となる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 大根: 12cm +- 人参: 6cm +- 干柿: 1個 +- 【A】さとう: 大さじ2 +- 【A】酢: 1/2カップ +- 【A】塩: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 大根、人参はマッチ棒くらいの細切りにし、別々に塩(分量外)をふる。 +2. しんなりしたら、水で洗い、かたくしぼって【A】の調味料とまぜ合わせる。 +3. 食べる少し前に細く割いた干し柿と合わせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 可茂食生活改善連絡協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_21_1.jpg)" +"# 赤だつの酢ぶて 岐阜県 + +**郷土料理名**: 赤だつの酢ぶて + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +山県市を中心とする岐阜地域 + +## 主な使用食材 +赤だつ、酢 + +## 歴史・由来・関連行事 +里芋の葉柄部(ずいき)を、合わせ酢で和えた料理。「だつ」とは「ずいき」のことで、赤いもの「だつ」を「赤だつ」と呼ぶ。伝承地である山県市の北部は、山間のため平地が少なく米がとれない地域だったが、石灰質のやせた土壌が芋の栽培などには適していた。だつは食すと「古血を洗い、母乳の出も良くなる」と古くから言われており、産婦の体力回復を願って食べさせたと言われている。赤だつは、酢で和える他にも、炒ってから酢と和える酢炒りや、重しをのせて酢に漬けるなどいろいろな料理に使われ、今でも親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +6月から9月に収穫できる里芋の葉柄は、緑色のものと赤紫のものがあるが、山県市周辺では「赤だつ」と言われる鮮やかな赤紫色が特徴の八つ頭のだつを料理に用いることが多い。里芋の中でも、八つ頭は芋が小ぶりなため、食用となる茎の部分はとても貴重な食材だったので、収穫時期に食すだけでなく、干して野菜の少ない冬場の保存食とした。 + +## 飲食方法 +赤だつは筋をとり塩でもんで、アクを抜いてから短冊に切り、合わせ酢と和える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 赤だつ: 3本 +- 酢: 2/3カップ +- みりん: 1/3カップ +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 赤だつは、筋をとり塩もみしてアクを抜き、水で洗う。ゆでた後、短冊に切る。 +2. 合わせ酢(酢とみりん)は、一度火を通し冷まして、ずいきと和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岐阜県健康づくり友の会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_22_1.jpg)" +"# 千石豆のかきまわし 岐阜県 + +**郷土料理名**: 千石豆のかきまわし + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +岐阜市 + +## 主な使用食材 +千石豆、米、鶏肉、ごぼう、人参 + +## 歴史・由来・関連行事 +岐阜市南部地域で明治時代より栽培されている「千石豆」は、ふじまめのことで、さやの形が千石船に似ていることや、高温や病気に強く、たくさん実をつけることからその名がつけられた。以前は多くの農家で作られていたが、近年生産者は減り、希少な野菜となっているが、独特の香りと風味豊かな味わいが特徴で、天ぷらやごまあえなど、さまざまな料理に使われている。「かきまわし」とは、混ぜご飯のことをいい、岐阜市では親戚など人が集まる時に振る舞われている郷土料理で、炊き込んで作る炊き込みごはんのことを「混ぜごはん」と呼ぶので、それと区別するために煮た具をごはんに混ぜる様子をかいて回すことから「かきまわし」と名付けられたといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +かきまわしは、鶏肉やごぼう、人参などを具として煮て味をつけておき、それを炊いたご飯に混ぜた混ぜご飯である。岐阜市では、祭りや行事ごとなど親戚が集まるときに食卓を賑わせていた。 + +## 飲食方法 +千石豆の旬は7月から9月とされ、筋を取り除いてから下ゆでをして、やわらかくしてから調理に使う。下ゆでは沸騰したお湯に塩を入れ、1分から2分でゆであがる。その後冷水にくぐらせすぐに水気を切るのがよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 3カップ +- 里芋: 450g +- 千石豆: 100g +- あげ: 2枚 +- ちくわ: 2本 +- だし汁: 2カップ +- 【A】醤油: 大3 +- 【A】酒: 大2 +- 【A】みりん: 大2 +- 【A】砂糖: 大1 +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 米は、炊く30分くらい前に洗って、ザルにあげ、普通の水加減で炊く。 +2. 里芋は皮をむき、ボウルに入れ、塩少々を振り、手でコロコロところがして、ぬめりを出し、水洗いする。 +3. あげは油抜きする。 +4. 里芋を鍋に入れ、だし汁を注いで強火にかける。煮立ったら弱めの中火にし、【A】の調味料を入れ、里芋が8分目くらい、煮あがったら、あげ(せん切り)、千石豆(幅1cmくらいに切る)、ちくわ(半分に切って、幅0.5~0.7cm位に切る)を加え、煮立ちさせる。煮汁をからませる。 +5. 炊き上がったらご飯に混ぜ合わせ、器に盛る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岐阜市食生活改善推進協議 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_23_1.jpg)" +"# つぎ汁 岐阜県 + +**郷土料理名**: つぎ汁 + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +郡上市明宝寒水(かのみず)地 + +## 主な使用食材 +唐辛子、地豆腐、干椎茸 + +## 歴史・由来・関連行事 +明宝寒水(かのみず)地区の郷土料理「つぎ汁」は、ここでしか味わうことのできない珍しいお吸い物で、唐辛子の辛みと砂糖の甘み、小さく角切りにされたかための地豆腐が入っているのが特徴。別名「辛汁(からじる)」とも呼ばれている。名前の由来は、汁をついでまわる「きったて」と呼ばれる専用の容器から、1本の箸を使い混ぜながらお椀を持った人についでまわることから、「つぎ汁」の名がついたといわれている。明宝寒水地区にある寺院で、毎年10月に行われる報恩講(ほうおんこう)の際に参拝者に振る舞われる。 + +## 食習の機会や時季 +明宝寒水地区にある寺院では、年に1度の「報恩講」の際に、参拝者は米を納め、寺からは檀家持ち寄りの精進料理とつぎ汁が振る舞われるという仏事が行われる。つぎ汁は報恩講のほかにも、結婚式や葬儀が行われるときなど、人々が集まる特別な日に作る料理として伝えられている。 + +## 飲食方法 +たっぷりの唐辛子をから煎りし、風味を出してから、干椎茸などからとっただし汁と一緒に丁寧に煮出し、そこに水分が出て汁が薄まらないようにと小さく角切りにした地元のかたい豆腐を加え、醤油や砂糖で味を整える。深いだしの風味と砂糖の甘さ、唐辛子の辛さが特徴の郷土料理である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- だし(干椎茸を加えると良い): パックでも顆粒でも可 +- 水: 350ml +- 鷹の爪: 2本 +- 【A】醤油: 大さじ2 +- 【A】酒: 大さじ2 +- 【A】砂糖: 少々 +- 【A】豆腐: 1/4丁程度 +- 【A】わかめ: 好きなだけ +- 【A】麩: 好きなだけ + +## 作り方 +1. 鍋に入れた水にだしを入れる。(数時間置くと良い) +2. 鷹の爪を少しから煎りし、半分に割って茶パックに入れ、火をつけた1に投入し煮る。(3~5分程度) +3. 味を見て辛みを感じたら、【A】を入れ沸騰させる。 +4. 味を見て足りないようなら、醤油(分量外)を足して味を整えて完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : (一社) 郡上市観光連盟 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_24_1.jpg)" +"# 初午だんご 岐阜県 + +**郷土料理名**: 初午だんご + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +白川村を中心とした飛騨地域、郡上市を中心とした中濃地域、岐阜地域 + +## 主な使用食材 +米粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +明治から昭和初期にかけて、自給自足だった暮らしの中で盛んに行われた養蚕。貴重な現金収入を得ることのできる家内作業として、岐阜県内の養蚕に適した地域では、多くの家庭で蚕を育て、繭を取り出荷していた。蚕が食べる桑の葉の準備が始まる前、2月の初午(はつうま)の日に、繭が上質で多く生産できるように願いを込め、神様に繭の形をした団子「初午だんご」をお供えし、食した。白川村では、初午だんごを供えるだけではなく、豊蚕を願う蚕飼(こがい)祭りがあり、伝統芸能である「春駒踊り」が演じられる。春駒踊りは、住民が七福神と舞子に変装して踊る祝い踊りで、近年は、蚕飼祭りで披露されるばかりでなく、正月や結婚式などハレの日にも演じられている。 + +## 食習の機会や時季 +2月最初の午の日は「初午」と言い、全国に末社が数万社あるという稲荷神社で「初午祭」が催されている。稲荷の神の使いとされるキツネの好物の油揚げ(あぶらあ)が神前に供えられ、五穀豊穣、商売繁昌、家内安全、諸願成就が祈願されてきた。岐阜県内で養蚕が盛んな地域の「初午祭」では、繭の増産を祈る祭りとして根づき「初午だんご」を供え食している。 + +## 飲食方法 +米粉を耳たぶぐらいの硬さになるまで練り、一口大の繭のような形に整え、それを蒸す。蒸し上がった初午だんごは、きな粉をまぶしたり、焼いて醤油をつけたり、すまし汁やみそ汁、ぜんざいなどに入れて食べるなど地域によって食し方もそれぞれにあり、調理法も蒸さずに茹でたり、主な材料も米粉だけでなく「きび」や「そば」を用いる地域もある。近年では、揚げだんごにしたり、チーズやケチャップなどをつけてトースターで焼くなど、アレンジ料理も開発されている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米の粉: 60g +- きな粉: 16g +- さとう: 12g +- 塩: 0.8g + +## 作り方 +1. 米の粉に熱湯を加えよく捏ね、耳たぶくらいのやわらかさになったら、まるめて繭の形のダンゴを作る。 +2. きな粉とさとうと塩をよくまぜておく。 +3. 1のだんごをゆでて2をまぶす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岐阜県学校栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_25_1.jpg)" +"# 漬物味噌煮 岐阜県 + +**郷土料理名**: 漬物味噌煮 + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +郡上市 + +## 主な使用食材 +白菜の切り漬け、味噌、煮干し + +## 歴史・由来・関連行事 +塩気の強い豆味噌「郡上味噌」と、煮干しだしの鍋に、白菜の切り漬けを入れ煮込んだ「漬物味噌煮」。漬物を煮て食すという、寒い冬の食材が乏しい時期に、材料を余すことなく使う先人たちの知恵が生み出した郷土料理である。炭焼き小屋で作業している人々が鯖缶を器にして、白菜の切り漬けを入れ食したのが始まりと伝えられ、農作業と家事とで忙しい母親が、小さな鍋でササっと作れ、余ったらまた材料を足し、煮返してまた食卓に並べることができる手軽なおかずとして、昔から人々に親しまれてきた。今でも各家庭で食されており、現代では肉を入れるなどアレンジされている。ご飯との相性も抜群。 + +## 食習の機会や時季 +寒い冬に食べる料理。漬物味噌煮の主役の白菜の切り漬けは、白菜が収穫を迎える11月ごろから本格化する。赤かぶを一緒に漬け込むのが伝承地の郡上流。シンプルに塩だけで漬けるのが主流だが、昆布や唐辛子などを使う家庭もある。漬物味噌煮には、酸っぱいぐらいの古漬けの方が、味が良いと言われる。 + +## 飲食方法 +白菜漬けなどの漬物の他にも季節の野菜などを鍋に入れ、赤味噌や酒、砂糖、みりんなどと一緒に煮詰めて完成となる。鍋に入れる漬物は、酸味の出た漬かりすぎぐらいの切り漬けを使うことが多く、切り漬けは鍋に入れる前に水で塩抜きをすると良い。味噌も豆味噌を使ったり、最近では肉を入れたりすることも多い。 + +## 保存・継承の���組 +Not found + +## 材料 (2~3人分) +- 白菜漬けなどの漬物: 1~2掴み +- 赤味噌: お玉半分 +- 水: 適量(辛すぎない程度に薄める) +- 酒: 少々 +- みりん: 少々 +- 砂糖: 少々 +- 白ネギ: 好きなだけ +- なす: 1/4本 +- しいたけ: 1/4個 +- こんにゃく: 1/3枚 + +## 作り方 +1. 土鍋にすべての材料を入れて、弱火で20~30分煮詰める。(赤味噌が辛いので、水、みりん、酒、砂糖で角を取って整える) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : (一社) 郡上市観光連盟 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_26_1.jpg)" +"# 寒干大根煮 岐阜県 + +**郷土料理名**: 寒干大根煮 + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +飛騨市 + +## 主な使用食材 +寒干大根、だし汁、しょうゆ + +## 歴史・由来・関連行事 +飛騨市の特産品である「寒干大根」をだし汁や醤油で煮込んだ料理。「寒干大根煮」の主役である寒干大根は、岐阜県東北端にある飛驒市神岡町「山之村」で、作付けから出来上がりまで約8カ月かけて作られる。11月上旬に地中に保存した大根を、氷点下まで気温が下がる1~2月頃に堀り出して水洗いし、輪切りにして茹で、その後串に刺し、軒先で乾燥させる。夜間にはマイナス20度まで気温が下がるので大根は凍り、昼間、太陽の光で溶け、さらに風に晒されて乾燥する。それを繰り返し約1カ月ほど経つと、大根は飴色になり甘みを凝縮させる。産地である山之村は標高850~1000mにあり「天空の里」と呼ばれ、かつては冬の間、深い雪のために約5カ月は孤立していたという。そんな厳しい冬を乗り切るための先人たちの知恵が詰まった保存食が寒干大根である。調理する際は、水で戻して調理をするが、煮物だけでなく様々なアレンジが可能な万能商品である。 + +## 食習の機会や時季 +冬の厳しい寒さではぐくまれた寒干大根は、1年を通して味わうことができる。 + +## 飲食方法 +寒干大根は、10~20分ほど、お湯かぬるま湯に浸し戻す。戻した大根とだし汁をひと煮立ちさせ、醤油で味を整え20分ほど煮込む。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6~8人分) +- 寒干し大根: 50g +- だし汁: 1リットル +- しょうゆ: 適量 + +## 作り方 +1. もどした寒干し大根をだし汁でひと煮立ちさせる。 +2. しょうゆで味を調整しつつさらに20分ほど煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : すずしろグループ + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_27_1.jpg)" +"# 桑の木豆煮 岐阜県 + +**郷土料理名**: 桑の木豆煮 + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +山県市 + +## 主な使用食材 +桑の木豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +「桑の木豆煮」は山県市の北部、美山地域で栽培され食べられてきた「桑の木豆」を醤油や砂糖で煮たもの。桑の木豆は、完熟するとさやと豆に赤いかすり模様が入るのが特徴で、古くから栽培されている特色ある野菜として、岐阜県の「飛騨・美濃伝統野菜」にも認定されるインゲン豆の一種である。山県市美山地域周辺は、明治から大正時代にかけて養蚕業が盛んに行われており、蚕の飼料となる桑の木が多く植えられていた。台風が来ても倒れないようにするために、桑の木の根元に桑の木豆が植えられ、そのツルをからませて激しい風から豆を守っていたことから「桑の木豆」と名前が付いたと言われている。 + +## 食習の機会や時季 +桑の木豆の収穫は9月下旬頃から始まり、生のものは、そのまま茹でておひたしやフライ、煮物や炒め物に使われる。また、乾燥させ保存用にもなる。一般的なインゲン豆と違うのは、さやごと乾燥させて保存できることにあり、乾燥保存したものは、水に浸して戻し、さやごと調理できるのも豆類の中でも珍しい特徴である。 + +## 飲食方法 +鍋に桑の木豆を、向きをそろえて並べ、水を入れて柔らかくなるまで弱火で1時間ほど茹でる。串が通るぐらいに柔らかくなったら、醤油や砂糖を加え汁気がなくなるまで煮たら完成。先に調味料を入れると豆がかたくなってしまうので、調味料は豆が柔らかくなったら加えるのがポイント。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3人分) +- 桑の木豆(生)※乾燥したものを使うときは戻して調理する: 30~40本 +- 醤油: 大さじ1 +- 砂糖: 大さじ1.5くらい +- 水: 適量 + +## 作り方 +1. 鍋に、桑の木豆(生)を並べるようにして入れる。(向きをそろえることで、煮崩れしにくくなる) +2. 桑の木豆がかぶるくらいの水を入れ、蓋をして柔らかくなるまで弱火で1時間ほどゆっくり茹でる。 +3. 豆に爪楊枝を刺して、チェックして、柔らかくなっていたら醤油と砂糖を入れる。そのまま汁気が少なくなるまで煮たらできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : YAMAGATA BASE + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_28_1.jpg)" +"# こも豆腐 岐阜県 + +**郷土料理名**: こも豆腐 + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +飛騨市、高山市を中心とした飛騨地域 + +## 主な使用食材 +豆腐 + +## 歴史・由来・関連行事 +わらを編んで作ったむしろ「こも」で豆腐を包み茹でたものが「こも豆腐」。スが立つことでできる無数の気泡と、豆腐の表面にしみ込んだワラの香りと模様が特徴的。もともとは、家庭で豆腐を作った際に出た余りものを集めて、「こも」で巻いて作ったことが始まりといわれているが、最近では、豆腐を巻きすで巻いて作ったり、市販のこも豆腐を調理したりすることが増えている。表面の無数の気泡により、出汁で煮込むと味がしみ込みやすく、型崩れもせず、口に含むとジュワッと旨味が広がる。飛騨地域では、盆や正月など、人が集まって食事をする際に振る舞われることが多い。 + +## 食習の機会や時季 +伝承地域では、昔も今も身近な郷土料理として親しまれ、お正月には、おせち料理や雑煮にも入る他、祝い事だけではなく、仏事などでも供される。この地域を代表するおもてなし料理である。 + +## 飲食方法 +軽く水切りした豆腐を適当に切り、「こも」で巻いて1時間ほど茹でる。スができたら取り出し、醤油や砂糖で味付けしただし汁で煮る。こも豆腐を煮る際には、単品で煮ることが多いが、山菜と一緒に煮ても美味といわれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 豆腐: 1丁 +- だし汁: 450㏄ +- さとう: 小さじ1 +- しょうゆ(うす口): 大さじ1/2 +- みりん: 大さじ1 +- 塩: 大さじ1/2 + +## 作り方 +1. 豆腐をかるく水切りする。 +2. 豆腐はたてに4つに切る。 +3. 2で切った豆腐を2本ずつ「こも」で巻き、たっぷりの湯(分量外)で1時間ほどゆでる。 +4. スができたら取り出し、味付けしただし汁で煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 飛騨食生活改善連絡協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_29_1.jpg)" +"# 鮎の塩焼 岐阜県 + +**郷土料理名**: 鮎の塩焼 + +**都道府県**: 岐阜県 + +## 主な伝承地域 +木曽川流域の中濃地域、長良川流域、揖斐川流域の西濃地域 + +## 主な使用食材 +鮎、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +木曽川、長良川、揖斐川をはじめ清流が多い岐阜県では、毎年6月頃から10月頃にかけて各地で鮎漁が盛んに行われ、新鮮な鮎が味わえる。岐阜で鮎漁といえば1300年の歴史を誇る「鵜飼」が有名で、御料鵜飼で獲れた鮎は皇室や伊勢神宮へ奉納されている。岐阜県の鮎漁といえば他にも、川の流れをせき止めて、木杭や竹で組んだ仕掛けに川魚を流し込む伝統漁法「ヤナ」がある。夏の鮎漁の季節になると、美山観光ヤナや、板取川洞戸八幡ヤナなど数多くの「観光ヤナ」が設置され、鮎のつかみ取り体験や、「鮎の塩焼」をはじめとした、新鮮な鮎を使った鮎料理を楽しむことができる。 + +## 食習の機会や時季 +タテ串を刺し、炭火などでじっくりと焼かれ、余分な水分が落ちて旨味が凝縮された「鮎の塩焼」は、鮎料理の王道とも称され、鮎の香りと旨みを存分に味わうことができる。鮎の塩焼に適しているのは、7月から8月にとれる脂ののった成魚だが、8月以降のたっぷりと卵を抱えた子持ち鮎も美味であると言われている。 + +## 飲食方法 +鮎全体に軽く塩をふり5~6分ほど置く、その後ヒレと尾に化粧塩をして両面を焼く。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鮎: 4匹 +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 鮎は全体に軽く塩をふる。 +2. 5~6分置いた後、ヒレと尾に化粧塩をして、両面を焼く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岐阜地域食生活改善推進員協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_30_1.jpg)" +"# あらめと落花生の煮付 愛知県 + +**郷土料理名**: あらめと落花生���煮付 + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +渥美半島を中心に東三河地域 + +## 主な使用食材 +落花生、アラメ + +## 歴史・由来・関連行事 +渥美半島は、北は三河湾、南に太平洋に面し、海と山の自然に恵まれた地域である。沖合を流れる黒潮の影響による温暖な気候、日照時間の長さ、快晴日数の多さと、農業に非常に適した環境である。しかし、渥美半島はかつては大きな河川がなく、常に干害に悩まされ、決して肥沃とは言い難いやせた土壌だった。昭和に入って豊川用水ができてからは急速に農業が発展し、野菜と花の収穫において日本有数の農業地帯となった。砂地が多い渥美半島では、落花生も栽培されている。また渥美半島は三河湾、渥美外海の海の恵みが豊富で、のりの養殖が盛んなほか、海藻などがよくとれる。昆布の一種であるアラメは本州太平洋沿岸に分布している海藻で、ワカメより身が粗くて厚いことから、アラメと呼ばれている。伊勢湾で豊富にとれ、全国生産量のほとんどを占めている。伊勢湾に近い渥美半島も、同様にアラメはよくとれ、味噌汁や佃煮などにして食べられている。「あらめと落花生の煮付」は、渥美半島でとれる食材を使った常備菜として、東三河地域中心に親しまれてきた。 + +## 食習の機会や時季 +アラメは7月から9月にとれるため、生アラメを使う際はこの時期によくつくられる。ただ、乾燥加工したものも多く出回っているので、特に時期を問わず、日常的につくられる。甘辛く煮つめてつくるので、つくり置きにも重宝されている。 + +## 飲食方法 +落花生はしっかり浸水し、アラメは調理する30分くらい前に水で戻しておく。落花生とアラメを柔らかくなるまでゆがいたら、砂糖、醤油、みりんで煮つめて味が染みたらいただく。温かくして食べても、冷やして食べても良い。落花生のほっくりとした食感と、肉厚で歯応えのあるアラメの食感が食べごたえがある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 落花生: 200g +- アラメ(乾燥): 20g +- 【A】 砂糖: 大さじ2 +- 【A】 醤油: 大さじ3 +- 【A】 みりん: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 落花生は薄皮をつけたまま一晩以上、水に浸けておく。 +2. アラメは30分ほど水に浸けてもどし、適当な大きさに切る。 +3. 鍋に1と2を入れ、水をひたひたに入れて柔らかくなるまで1時間くらいゆでてざるに上げておく。 +4. 鍋にAと3を入れて15分ほど煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_30_1.jpg)" +"# ふろふき大根 愛知県 + +**郷土料理名**: ふろふき大根 + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +大根、赤味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +愛知県は太平洋を流れる黒潮の影響もあり、年間を通して温暖な気候に恵まれる。また、木曽三川(濃尾平野を流れる木曽川、長良川、揖斐川の三つの川の総称)に代表される大きな河川や農業用水などによって、古くから農業が盛んであった。木曽川が生み出した扇状地は、砂粒が大きく、水捌けが良いため、地中で成長する根菜類の栽培に適しており、大根の生産が盛んになった。尾張を代表する甘みの強い「宮重大根」、あま市を中心に栽培され煮物によく使われる「方領大根」、そして、長いものでは180cm以上にもなるという漬物向けの「守口大根」といった3種類の大根が、愛知県の伝統野菜に認定されている。スーパーマーケットなどの店頭でよく見かける、青首大根は「宮重大根」がルーツといわれ、「方領大根」は、関東で有名な「練馬大根」のルーツであるといわれている。大根の名産地であることから、大根料理も非常によく食べられている。「味噌おでん」に加え、「ふろふき大根」も人気である。愛知県の「ふろふき大根」の味噌ダレは、やはり愛知県の食に欠かせない豆味噌(赤味噌)を使う。豆味噌の濃厚なコクと独特の渋みは、だし汁で甘みを増した大根によく合う。 + +## 食習の機会や時季 +食べると体が温まる「ふろふき大根」は、寒い季節に食べられることが多い。また、豊明市にある曹源寺では、毎年11月29日に”豊明の大根炊き”をおこなう。参拝客に「ふろふき大根」が振る舞われ、これを食���ると寝たきりにならずに健康に過ごせるといわれている。 + +## 飲食方法 +3cmくらいの厚さに切り、面とりした大根をだし汁で煮た後、赤味噌を使った甘い練り味噌をのせて食べる。「ふろふき大根」の場合は、肉質が細かく煮崩れしにくい「方領大根」が適しているが、「宮重大根」でも問題はない。大根の品種によって煮る時間は変わってくる。味噌ダレは、豆味噌をベースにしつつ、各家庭によって味わいが異なる。爽やかな風味づけとして柚子をそえることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根: 1本 +- 【A】 赤味噌: 110g +- 【A】 みりん: 大さじ4 +- 【A】 しょうが汁: 1かけ分 +- 【A】 ごま: 大さじ1 +- 【A】 砂糖: 大さじ4 +- 出汁昆布: 3cmくらい + +## 作り方 +1. 大根は3cmほどの厚さの輪切りにし、面取りする。 +2. 鍋に米のとぎ汁(分量外)と1を入れて20分ほど下煮する。 +3. 別の鍋にAの材料を入れて、弱火にかけながらつやが出るまで練り合わせる。 +4. 2をさっと洗い、鍋に入れて大根がかぶるくらいまで水を入れ、出汁昆布を加えて、弱火で1時間ほど煮る。 +5. 4に3をつけていただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_29_1.jpg)" +"# 十六ささげのごま味噌和え 愛知県 + +**郷土料理名**: 十六ささげのごま味噌和え + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +十六ささげ、赤味噌、ごま + +## 歴史・由来・関連行事 +十六ささげは愛知県の伝統野菜で、さやに16個の豆が入っていることから、その名が付けられたという。愛知県では主に愛西市、稲沢市などの尾張西部でつくられており、ほかには岐阜県や沖縄県などでも生産されている。中部地方で生産がはじまったのは、大正時代くらいからといわれている。愛西市ではれんこんの栽培も盛んだが、れんこんの収穫時期と十六ささげの収穫時期がずれるため、1年を通して作物を育てられることが、この地域に十六ささげの栽培が根づいた理由ではないかと考えられている。小豆などの豆は火を通すと皮が割れて切腹のように見えるといわれ、火を通しても割れない十六ささげの豆は、武士の縁起担ぎとしても好まれたといわれている。2月に種まきをおこない、5月中旬ごろになったらつるを這わすための支柱や網を準備する。夏に入り、さやの長さが30cmから50cm程度になったら収穫をおこなう。さやいんげんと似ているが、さやの長さが非常に長いのが特徴。そのため、収穫をおこなう際は手作業で1本1本、摘みとっていく必要があり、非常に手間がかかる。さやが柔らかいうちに収穫し、さやごと食べる。手間のかかる十六ささげは希少なため地元で消費されることが多く、あまり県外には流通しない地産地消の野菜となっている。十六ささげを選ぶ際は、緑色が鮮やかで細く長いものを選ぶと良いとされる。さやいんげんよりも火が通りやすく、食感も柔らかく、淡白でさっぱりとした味わいである。十六ささげを使った料理は多く、ごま和えやお浸し、油炒め、煮物、天ぷらなどに利用される。 + +## 食習の機会や時季 +盛夏にできる愛知県の代表的な夏野菜。十六ささげを使った料理は、お盆のお供えとして欠かせない。 + +## 飲食方法 +十六ささげを熱湯でゆで食べやすい長さに切ったら、赤味噌、すりごま、みりんなどでつくったタレを絡めていただく。味噌風味ではなく、しょうが醤油やごま醤油で和えても、また違った味わいを楽しめる。十六ささげは火が通りやすいので、ゆですぎないように気をつける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 十六ささげ: 150g +- みりん: 大さじ1 +- 【A】 赤味噌: 大さじ1 +- 【A】 酢: 大さじ1 +- 【A】 すりごま: 大さじ1/2 + +## 作り方 +1. 十六ささげは熱湯でゆでて、3cmの長さに切る。 +2. 煮切りみりんをつくる。みりんを鍋に入れて強火で加熱。中火にして2~3分煮てアルコールを飛ばし、冷ます。 +3. ボウルにAの調味料と2の煮切りみりんを合わせ、1に和え混ぜる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_28_1.jpg)" +"# れんこんの煮物 愛知県 + +**郷土料理名**: れんこんの煮物 + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +尾張地域 + +## 主な使用食材 +れんこん + +## 歴史・由来・関連行事 +れんこんの栽培は、江戸時代に愛知県愛西市にある寺の住職が門前の田へ植え付けたのがはじまりとされている。愛西市は、愛知県内におけるれんこん生産量のほとんどを占める。愛西市は、西は木曽川に接しており、土壌は非常に肥沃であったが、海抜0m地帯のため、度々水害に悩まされた。そこで、稲作に代わるものとしてれんこんの栽培が一気に広まったといわれており、現在も全国有数のれんこんの産地として知られている。栽培当初のれんこんは「備中」という、もっちりした歯応えで煮物にぴったりの品種であったが、現在は、シャキシャキ感の強い「ロータスホワイト」、もっちり感の強い「金澄(かなすみ)」など、さまざまな品種が栽培されている。そうした背景から、愛西市を含む尾張地域を中心にれんこん料理もよく食べられる。「れんこんの煮物」はその代表料理で、家庭ごとの味がある。ほかにも酢れんこんや砂糖漬け、炒め物、サラダなども人気である。れんこんは穴がたくさん開いているため、「先を見通す」という縁起の良い食材として正月のおせち料理に取り入れられることも多い。 + +## 食習の機会や時季 +れんこんは、秋から翌年春にかけて収穫されるため、その時期につくって食べられることが多い。また、れんこんは穴があって、先が見えることから、“先を見通す”縁起ものとされ、正月や慶事などのハレの場でも食べられる。 + +## 飲食方法 +食べやすい大きさに切ったれんこんを、だし汁、醤油、みりんなどで煮込んでいく。その後、一度冷ますと味がよく染みた状態で食べられる。だし汁の代わりに、カツオ節と一緒に煮る「れんこんのおかか煮」も良く食べられている。れんこんの品種や部位を変えてつくると、また違った食感を楽しむことができる。また、「れんこんの煮物」に、とり肉や干ししいたけなどの具材を加えるアレンジもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- れんこん: 500g +- 【A】 だし汁: 500ml +- 【A】 みりん: 大さじ3 +- 【A】 酒: 大さじ2 +- 【A】 砂糖: 大さじ3 +- 醤油: 60ml + +## 作り方 +1. れんこんは皮をむいて1.5cmくらいの厚さの輪切りにする。 +2. 鍋に1を入れ、Aを加えて弱火で5分ほど煮る。 +3. さらに醤油を加えて15分ほど煮て火を止め、そのまま冷まして煮含ませる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_27_1.jpg)" +"# きしめん 愛知県 + +**郷土料理名**: きしめん + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +きしめん + +## 歴史・由来・関連行事 +厚さ1mm、幅7から8mmほどの平たいうどんを「きしめん」という。県内全域で食べられる愛知県のソウルフードであり、現在の刈谷市の名物だった平打ちうどん(ひもかわと呼ばれていた)がルーツであるといわれている。「きしめん」という名の由来については諸説あるが、中国のお菓子である「碁石麺(きしめん)」からきているといわれる。この「碁石麺(きしめん)」は、小麦粉を練って平たく伸ばし、竹筒などで碁石の形に抜いてゆで、きなこをかけた食べ物である。愛知県で「きしめん」が浸透した理由として、うどんよりもつゆの味が染みやすく、しっかりした味付けが好きな県民の好みに合ったからではないかといわれている。昔ながらのつくり方では、つゆはムロアジとたまりで味付けをする。これは平たい麺のため口に含んだ時に味が薄く感じられることから、汁はしっかりとした味付けにする必要があったからだといわれる。ムロアジはカツオなどよりも独特のクセのある濃い出汁がとれるのが特徴。醤油が大豆と麦でつくられるのに対して、たまりはほぼ大豆でつくられ、ほんのりと味噌の香りや独特の香りがする調味料である。これと出汁を合わせることで、濃厚なつゆが完成する。 + +## 食習の機会や時季 +1年を通して、日常的に食べられる。 + +## 飲食方法 +一般的には冷凍の麺、もしくは乾麺でいただく。名古屋特有の赤いかまぼこをそえるとより郷土感が出る。現在��は、ムロアジやたまりでつくるつゆに加え、だし汁と醤油でつくられることも多い。また、「カレーきしめん」や餅を入れる「力きしめん」、「カルボナーラきしめん」など、アレンジのバリエーションも豊富である。温かい「きしめん」に加え、麺もつゆも冷たくした「ころ」というものもあり、食欲が低下する夏に食べられている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- ゆできしめん: 2玉 +- ほうれん草: 50g +- かまぼこ(赤): 40g +- 油揚げ: 1枚 +- ねぎ: 適量 +- 【A】 醤油: 小さじ1 +- 【A】 砂糖: 小さじ1/2 +- 【A】 だし汁: 50ml +- 【B】 だし汁: 800ml +- 【B】 醤油: 大さじ1 +- 【B】 みりん: 大さじ1/2 +- 【B】 塩: 小さじ1/2 +- カツオ節: 6g + +## 作り方 +1. ほうれん草はさっとゆで、3cmの長さに切る。かまぼこは半月型の薄切りにする。 +2. 油揚げはさっとゆでて油抜きし、短冊切りにしてAで煮付ける。 +3. 鍋にBを入れてひと煮立ちさせ、ゆできしめんを加えて軽く煮る。 +4. どんぶりに3を入れ、1と2を上に飾り、カツオ節をそえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_3_1.jpg)" +"# ふきの煮付け 愛知県 + +**郷土料理名**: ふきの煮付け + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +尾張地域 + +## 主な使用食材 +ふき + +## 歴史・由来・関連行事 +ふきは北海道から沖縄まで、全国の野山で自生しており、平安時代から食べられていたという。現在、流通しているふきの多くが、愛知県の伝統野菜の「愛知早生(わせ)ふき」である。愛知早生ふきは知多半島が一大産地となっており、その歴史は明治中頃までさかのぼる。現在の東海市で発見され、葉ののびが早く、茎も太く、さらに香りも良いということから、周辺地域に広まった。また、知多半島は大きな河川がなく、農業をおこなう上での課題があったが、昭和に入って愛知用水ができると、さらに安定して収穫ができるようになった。現在では、10月から翌年1月に収穫する“秋ふき”と、2月から5月に収穫する“春ふき”が生産されている。このように全国トップクラスのふきの生産をおこなっている愛知県では、ふきを使った料理も親しまれている。なかでも「ふきの煮付け」がよくつくられる。愛知早生ふきは、茎が非常に太いため、シャキシャキとした食感を楽しむことができる。 + +## 食習の機会や時季 +春になり、店頭にふきがよく出回るようになると、家庭でつくられる。味付けは各家庭で少しずつ異なる。 + +## 飲食方法 +ふきは生のものを使うときは最初に必ずアク抜きをする。その後、4cmくらいの長さに切ったふきをだし汁で煮て食べる。味噌を加えるアレンジもある。ふきは独特の風味や食感を楽しめる食材だが、しっかり下処理をしないと、えぐみや苦味が強くなってしまう。また天然毒が含まれるため、最初にしっかり下ごしらえすることが重要である。アク抜きは、ふきに少々塩を振り、板ずりをする。その後、たっぷりの熱湯で数分間煮こぼし、流水で冷やした後に筋とりをする。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ふき(水煮): 200g +- 【A】 だし汁: 150ml +- 【A】 白醤油: 大さじ1強 +- 【A】 酒: 大さじ1 +- 【A】 みりん: 大さじ1 + +## 作り方 +1. ふきは塩をまぶしてまな板でする(板ずりする)。 +2. フライパンに湯を沸かし、1を5分ほどゆでて冷水に取り、薄皮を丁寧にむき、4cmの長さに切る。 +3. 鍋にAを沸かし、2を入れて落し蓋をし、10分ほど煮る。そのま煮汁につけて冷ます。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 株式会社自由ケ丘クッキングスタジオ + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_26_1.jpg)" +"# たこ飯 愛知県 + +**郷土料理名**: たこ飯 + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +尾張地域・日間賀島 + +## 主な使用食材 +タコ、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +「たこ飯」は、漁師が釣ったタコを船の上でぶつ切りにし、米と一緒に炊きこんだ、いわゆる漁師飯であったといわれる。愛知県以外にも、愛媛県、香川県、広島県などの瀬戸内海地域でもよく食べられている。三河湾に浮かぶ日間賀島は、良質のタコがとれるため、「タコの島」と呼ばれる。モニュメントやマン��ールの蓋など、島のいたるところでタコのキャラクターを目にすることができるほか、夏にはタコの供養と豊漁を祈願するたこ祭りがおこなわれる。また、島にある安楽寺は通称「たこ阿弥陀」と呼ばれているが、これは、地震で沈んだ寺の仏像が漁師によって引き上げられた時、仏像を守るように一匹の大ダコが巻きついていたという逸話からきている。タコが特産品のこの日間賀島では、「たこ飯」をはじめ、さまざまなタコ料理を楽しむことができる。 + +## 食習の機会や時季 +かつて、南知多地域では、半夏生(はんげしょう)にタコを食べる風習があった。半夏生(はんげしょう)は、夏至から数えて11日目のことを指し、農家にとって田植えを終わらせる目安として大事な日だった。タコは吸盤がついた足が8本あり、苗がしっかり根をはるようにという願いをこめて豊作を願ってタコを神様に捧げたといわれている。半夏生の行事日にタコを食べる風習は、瀬戸内地域を中心に広く見られ、半夏生前にはタコの値段が上がった。タコはタウリンが豊富に含まれており、疲労回復に良いとされているため、夏バテ予防で食べる人も多い。 + +## 飲食方法 +全国的には煮たタコをごはんに混ぜることが多いが、愛知県では生タコを米と一緒に炊き込むのが主流である。一緒に炊きこむことできれいな桜色に染まるため「桜飯」と呼ばれることもある。タコのみをシンプルに味わうのも良いが、彩りを良くするために人参のみじん切りを入れたり、茶碗に盛り付けた後に万能ねぎのみじん切りを散らしたり、木の芽や青のりをあしらうのも良い。生ダコが手に入らなければ蒸しタコや干したタコでも代用できる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 2合 +- タコ(生): 200g +- 【A】 酒: 大さじ1 +- 【A】 みりん: 大さじ1 +- 【A】 醤油: 大さじ3 +- しょうが: 1かけ +- 万能ねぎ: 適宜 + +## 作り方 +1. 米は洗って30分ほど水に浸してざるに上げておく。 +2. タコは塩(分量外)をたっぷりとふって、もみ洗いする。出てきたぬめりをしっかりと洗い流し、2cmほどの大きさに切る。 +3. しょうがは千切りにする。 +4. 炊飯器に1とAを入れて内釜の目盛に合わせて水を加えて混ぜ、2と3をのせて炊き上げる。 +5. 炊き上がったら、さっくりと混ぜ合わせ器に盛り、小口切りにした万能ねぎを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_13_1.jpg)" +"# 鬼まんじゅう 愛知県 + +**郷土料理名**: 鬼まんじゅう + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +名古屋市を中心に県内全域 + +## 主な使用食材 +さつまいも、小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「鬼まんじゅう」は、戦中、戦後の食糧難の時代に、比較的手軽に手に入ったさつまいもと小麦粉を使ってつくられ、米の代わりの主食として広まった。角切りにしたさつまいもの角がゴツゴツ見える様が、鬼のツノや金棒を想起させたことからこの名がついたといわれる。地域によって「芋ういろ」や「芋まん」「芋まんじゅう」など、さまざまな呼び名がある。戦時中は、さつまいもの美味しさよりも量が優先されたため、収穫量が多い“護国芋”という品種が生産されていた。しかし、その味は現在の紅あずまや紅はるか、安納芋といった甘みがあって口当たりがなめらかなものと違い、水っぽく旨味がない芋だったため、これらをいかに美味しく食べるかという工夫から「鬼まんじゅう」が誕生したのではないかといわれている。その後、高度経済成長期に、農家において腹持ちの良い、安価なおやつとして重宝され、定着していった。 + +## 食習の機会や時季 +さつまいもの収穫期である秋につくられることが多いが、和菓子屋などでは必ずと言っていいほど「鬼まんじゅう」があるため、1年を通して食べられている。 + +## 飲食方法 +1cm角に切ったさつまいもを、小麦粉、砂糖を混ぜた生地の中に入れ、蒸しあげて食べる。さつまいもは皮つきのままでつくると、赤色が映え、皮の食感も楽しめる。温かくても冷えても食べられるが、ラップをかけてレンジで20秒から30秒ほど温め直すとできたてのような食感を楽しめる。「鬼まんじゅう」はもっちり��重量感のある食感で非常に腹持ちが良いのが特徴であるが、近年では、ふんわりとした蒸しパンのような生地のものも食べられていたり、さつまいもの代わりにリンゴの角切りを入れたアレンジなども楽しまれている。和菓子屋で売っているものは、さつまいもがあらかじめ、”蜜煮”されているものが多い。家庭では素朴に塩と砂糖をまぶしてつくられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- さつまいも: 小1個(200g) +- 薄力粉: 80g +- 米粉(上新粉): 20g +- 砂糖: 60g +- 水: 35ml + +## 作り方 +1. さつまいもは厚めに皮を剥いて1cmくらいの角切りにして、水にさらしてアクを抜き、水気を取って砂糖をまぶす。 +2. 薄力粉と米粉(上新粉)を一緒にふるいにかけておく。 +3. 1に水と2を入れ粉気がなくなるまで混ぜ、4等分に分ける。 +4. 10cmくらいに切ったクッキングシートの上に3をのせる。 +5. 蒸し器に濡れフキンを敷き、4をのせて15分蒸す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_7_1.jpg)" +"# じょじょきり 愛知県 + +**郷土料理名**: じょじょきり + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +渥美半島を中心に東三河地域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、小豆、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +渥美半島は、愛知県の東側に位置する半島で、北に三河湾、南は太平洋に面し、海と山の自然に恵まれた地域である。渥美半島は、沖合を流れる黒潮の影響による温暖な気候、日照時間の長さ、快晴日数の多さと、農業に非常に適した環境である。しかし、かつては大きな河川がなく、常に干害に悩まされ、決して肥沃とはいい難いやせた土質だった。昭和に入って豊川用水ができてからは急速に農業が発展し、野菜と花の収穫において日本有数の農業地帯となった。そんな農業が盛んな渥美半島の農家に明治時代から伝わる料理が「じょじょ切り」である。別称「伊良湖汁粉」とも呼ばれる。うどん状の麺を、砂糖で甘くした汁で煮て食べる。小麦粉で練った細いうどん状の麺のかたちが、ドジョウに似ていることから「じょじょ切り(じょじょはドジョウのこと)」と呼ばれるようになったといわれている。農作業の合間のおやつ代わりに食べられていたため、疲れをとるために砂糖で甘く仕上げているのが特徴である。 + +## 食習の機会や時季 +かつては、農作業の合間に間食として食べられていた。また、農上がり(田植えや稲刈りなど、農作業における節目)にも食べられていた。 + +## 飲食方法 +小麦粉に水を入れて少しかために練ったら、のし棒などで薄く伸ばし、1cm幅くらいに切っていく。沸騰させた水の中に入れてゆで、最後に小豆を入れ、多めの砂糖、塩を入れて味をととのえたら食べる。麺のもっちりとした食感と、小豆、砂糖の甘さが口の中に広がる。甘いお汁粉風にして食べるのが一般的だが、里芋、人参などを入れた醤油風味のアレンジも食べられている。醤油風味で食べる時は、主食代わりになったという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 薄力粉: 100g +- 小豆: 60g +- 水: 400ml +- 砂糖: 大さじ4強 +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 小豆は洗って鍋に入れ、小豆の3倍量の水を加えて火にかけ、一度ゆでこぼしてアクを抜く。再び小豆の3倍量の水を加えて火にかけ、柔らかくなるまで30分くらいゆでて半つぶしにする。 +2. 薄力粉を水で少し硬めに練り、団子にし、のし棒で3mmくらいの厚さにのばし、長さ4cm幅1cmの細切りにする。 +3. 水を沸騰させた中に2を入れ、浮いてくるまで待つ。 +4. 浮き上がったら、1の小豆を入れ、砂糖、塩で味をととのえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_25_1.jpg)" +"# かりもりの粕漬け 愛知県 + +**郷土料理名**: かりもりの粕漬け + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +かりもり、酒粕 + +## 歴史・由来・関連行事 +かりもりおよび早生かりもりは明治時代から濃尾平野で栽培されている漬物用の白瓜の一種で、愛知県の伝統野菜に認定されている。現在は、清須市、丹羽郡大口町で主に生産されている。別名・堅瓜���かたうり)の名の通り、非常にかたい瓜のため、漬物以外で食されることはほとんどない。身がしまって厚いことから、漬物にしても歯切れの良い食感を楽しめる。濃尾平野の南に広がる知多半島は、古くから交通の利便が良く、醸造業が栄えた地域で、最盛期には200を超える酒蔵があったという。かりもりの生産がおこなわれていた地域と近かったこともあり、これらの酒蔵から出る大量の酒粕を使った粕漬けが根づいたのではないかといわれている。丹羽郡扶桑町の特産品である守口大根とともに漬けられることもある(守口大根の酒粕漬けは「守口漬け」といい、これも名古屋名物として知られる)。かりもりという名は、漬物にした時もカリッと食感が良く、ごはんがもりもり食べられるというところからきているという。 + +## 食習の機会や時季 +かりもりの旬は、一般的な瓜と同様に夏である。7月から8月に収穫された後、「かりもりの粕漬け」がつくられる。夏の漬物という印象が強い。ぬか漬けや塩漬けでもいただく。 + +## 飲食方法 +かりもりを縦半分に切って種を出し、大量の塩を馴染ませながら漬物桶に並べ、重石をのせて水を出す。その後、しっかり水をふいたかりもりにみりん粕を塗りつけ、ビニール袋などに小分けにして漬ける。そして、3週間ほど寝かして食べる。酒粕を付け替えながら1年以上寝かせると、べっこう色に染まり、酒粕の香りと旨味が増す。ごはんのお供はもちろん、酒の肴にしたり、脂っこい料理のお口直しにも最適である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- かりもり: 1kg +- 塩: 200g +- 重石: 約2kg +- みりん粕: 400g + +## 作り方 +1. かりもりは縦2つ割にし、種の部分をきれいに取り除く。 +2. ワタなどを取り除いたあとのくぼみに塩をつめ、かりもりの背と腹が接するように横漬けにし、押し蓋をして重石をのせる。 +3. 2日間(48時間)くらい漬けておくと、水がいっぱい上がってくる。 +4. ザルにあげ、フキンで十分水気を拭き、表面が乾くまで陰干しする。 +5. みりん粕をまんべんなく塗り付けて、ビニール袋に小分けして漬ける。 +6. 冷蔵庫に入れて3週間ぐらい置くと食べごろになる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_24_1.jpg)" +"# 酢味噌そうめん 愛知県 + +**郷土料理名**: 酢味噌そうめん + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +味噌、酢、そうめん + +## 歴史・由来・関連行事 +八丁味噌に代表される豆味噌(赤味噌)は愛知県の食で欠かせない調味料。豆味噌は、大豆を原料に麹菌を繁殖させ、大豆の麹をつくり、この豆麹を使って長期間、発酵・熟成させたものが豆味噌となる。最低でも1年、長いと2年から3年も熟成させる。こうしてつくられる豆味噌は、濃厚なコクと酸味、独特の渋みを感じさせる味わいになる。この豆味噌の銘柄の一つが八丁味噌である。八丁味噌が生まれた八丁村(現:岡崎市八帖町)は、徳川家康が生まれた岡崎城から八丁離れたところにあり、東海道と矢作川が交わる交通の要所だったことから、味噌の原料である大豆や塩などを手に入れやすかったといわれる。豆味噌文化は現在にいたるまで強く日常に根付き、さまざまな味噌料理が楽しめる。「味噌煮込みうどん」や「味噌おでん」、「味噌カツ」、「味噌田楽」などは県外にも広く知られているが、夏に食べる味噌料理として親しまれているのが「酢味噌そうめん」である。愛知県は、酢についても縁が強く、半田市にある酒造元で手頃な価格で粕酢がつくられるようになり、にぎりずしが江戸の食文化に浸透していったといわれている。半田市の近くに位置する碧南市や安城市で昔からそうめんが食されていたこともあり「酢味噌そうめん」として根づいていったと考えられている。 + +## 食習の機会や時季 +食欲が低下しがちな夏に、名古屋市を中心に食べられている。酢が入ることでさっぱりと食べられ、豆味噌の高い栄養価は夏バテ予防にも良い。 + +## 飲食方法 +味噌、酢、砂糖でつくった酢味噌をゆでたそうめんにかけて食べるだけなので非常に簡単。豆味噌の濃厚なコクと旨味が酢が加わることでよりま��やかに、さっぱりと食べられる。味噌ダレの水分が少なく、麺に絡みづらい時はだし汁で伸ばすと良い。そうめんの代わりにうどんを使って食べられることもある。夏野菜をそえたり、ごまやおろししょうが、桜エビ、大葉などの薬味を加えると栄養バランスも良くなり、見栄えも楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- そうめん: 2束 +- みりん: 大さじ3 +- 赤味噌: 大さじ4 +- 砂糖: 大さじ1 +- 酢: 大さじ2 +- ごま: 大さじ1 +- きゅうり、みょうが、大葉など: 各適宜 + +## 作り方 +1. 鍋にみりんを入れ、火にかけアルコールをとばし、赤味噌、砂糖を加えて混ぜ合わせ、さらに酢を入れて混ぜ合わせる。 +2. そうめんをゆでて冷水でしめる。 +3. 2を器に盛り、1をかけてごまをふり、刻んだきゅうり、みょうがなどをそえる。 +4. 混ぜながらいただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_23_1.jpg)" +"# へぼ飯 愛知県 + +**郷土料理名**: へぼ飯 + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +西三河地域・東三河地域・奥三河地域 + +## 主な使用食材 +へぼ、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +「へぼ」とは、クロスズメバチをはじめとする地蜂の幼虫のことで、いわゆる蜂の子である。かつて、信州から奥三河の山間部において、へぼは貴重なタンパク源であり、地蜂の成虫と幼虫を甘辛く煮つけ、ごはんに混ぜ込んで食べる「へぼ飯」や「へぼの甘露煮」、「へぼ五平餅」などにして食べてきた。現在は、へぼもへぼをとる人も少なくなり、ごちそうとして客に振る舞うものとなっている。クロスズメバチは地中に巣をつくるので、巣を見つけるにあたっては、餌を巣にまっすぐ持ち帰る蜂の習性を利用する。へぼとりはまず、川魚や、鶏、カエルなどの肉を用意し、蜂が運びやすい大きさに肉を丸めて、目印の綿をつけておく。その目印を手掛かりに蜂の後を追って巣を見つける。以前は水田のあぜなどいたるところに巣をつくっていたが、農薬の影響などもあって山に巣をつくるようになった。へぼの重さを競う品評会がおこなわれるようになって、初夏に巣を見つけて飼育用の巣箱の中に入れ、秋の品評会まで餌を与えて大きく育てるようになった。飼育しないで、秋になって大きくなった巣をとることもある。 + +## 食習の機会や時季 +昔は、秋ごろになると巣からへぼを取り出し、煮て保存していたという。家庭でのへぼ料理は「へぼ飯」のほかにも、佃煮や甘露煮、味噌とすりつぶしたへぼを練り込んだ特製ダレでつくる「へぼ五平餅」などが親しまれている。 + +## 飲食方法 +へぼを潰さないようにから炒りし、醤油、砂糖、みりんを加えて煮立たせ、まずは佃煮風にする。炊飯器に米とへぼを入れ炊き上げたら、最後にざっくりと混ぜていただく。成虫、幼虫それぞれの異なった食感を楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 2合 +- へぼ: 100g +- 【A】 醤油: 50ml +- 【A】 砂糖: 大さじ1/2 +- 【B】 みりん: 大さじ1 +- 【B】 酒: 大さじ1 +- 【B】 塩: 小さじ1/2 + +## 作り方 +1. 米は洗って30分ほど水に浸してざるに上げておく。 +2. フライパンでへぼをから炒りし、Aを加えて煮立たせる。 +3. 炊飯器に1入れて、Bを加えて内釜の目盛に合わせて水を入れて炊き上げる。 +4. 炊き上がったら、2を加えて混ぜ合わせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_22_1.jpg)" +"# いがまんじゅう 愛知県 + +**郷土料理名**: いがまんじゅう + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +西三河地域 + +## 主な使用食材 +米粉、もち米、粒あん + +## 歴史・由来・関連行事 +「おしもん(おこしもん)」は、米粉を熱湯で練って型にはめ、取り出したものに色粉をつけて彩る愛知県の節句菓子。西三河地域では、桃の節句に「いがまんじゅう」を食べる習わしがある。「いがまんじゅう」は、粒あんもしくはこしあんを、米粉で包み、表面に着色したもち米をつけた菓子で、愛知県以外にも京都や九州にも「いがまんじゅう」があるが、雛祭りの行事食として食べるのは西三河地域独特の風習である。「いがまんじゅう」の名の由来としては諸説あり、表面につけるもち米が栗の“いが”に似ているというもの、家康の“伊賀越え”からきたというもの、まんじゅうを蒸す時の“香り(飯の香:いいのか)”からきているという説などがある。岡崎市で食べられる「いがまんじゅう」は、ピンク・黄色・緑でつくられる。ピンクは桃の花、黄色は菜の花、緑色は新芽を意味するほかに、ピンク(赤)は魔除、黄色は豊作祈願、緑色は生命力を意味するという説もある。このあざやかさが雛菓子として定着したゆえんではないかといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +「菱餅」などと同様にお雛様にお供えした後、3月3日の雛祭りに食べる。また田植えが始まる前の豊作祈願の際や、稲刈りが終わる秋の彼岸の頃などの農耕儀礼の際などに食べる地域もある。西三河地域では、1月中旬くらいから店頭に並び始める。 + +## 飲食方法 +米粉と砂糖を合わせたところに熱湯を注ぎ、耳たぶくらいの固さに練る。一度蒸し器で蒸したら、生地を薄く伸ばして小豆あんを包み、最後にピンク、黄色、緑に着色したもち米をつけて再度蒸し上げてから食べる。蒸す時に強火にしてしまうと、生地がかたくなってしまうので注意する。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米粉(上新粉): 220g +- 米粉(餅粉): 30g +- 砂糖: 大さじ1 +- 熱湯: 190ml +- もち米: 少々 +- 色粉(赤・緑・黄): 各少々 +- 粒あん: 150g + +## 作り方 +1. 米粉(上新粉・餅粉)、砂糖を合わせて、熱湯を注いで耳たぶくらいのかたさまでよく練る。※やけどに注意 +2. 粒あんは8等分に丸めておく。 +3. 1を蒸し器に入れ、蒸気が上がったら20分ほど蒸す。 +4. すり鉢に3を入れてつき、3cmくらいの大きさにちぎり、広げて2のあんを入れて包む。 +5. もち米は2~3時間水に浸けておき、赤・緑・黄の色粉で染め、4のまんじゅうの上につけてさらに中火で20分ほど蒸す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_21_1.jpg)" +"# はぜ佃煮 愛知県 + +**郷土料理名**: はぜ佃煮 + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +沿岸地域 + +## 主な使用食材 +ハゼ、たまり + +## 歴史・由来・関連行事 +愛知県の知多半島、渥美半島に挟まれた三河湾は、遠浅が長く続き、六条潟や汐川干潟などの干潟に恵まれている。さらに渥美半島では甘味料になるさつまいもの栽培が盛んであったことも後押しとなり、沿岸部では、古くから取れた魚を長く食べられるようにと佃煮にする風習があり、現在も佃煮屋が点在している。愛知県の佃煮は“たまり”を使うのが特徴である。このたまりも愛知県を代表する調味料であり、たまり醤油とも呼ばれる。たまりは、豆味噌をつくる過程でにじみ出た液体がはじまりだといわれる。一般的な醤油は麦からつくられるが、たまりはほぼ大豆のみでつくられる。そのため、豆味噌を思わせるような濃厚なコクと旨味を味わえる。「はぜ佃煮」は、おせち料理に欠かせない一品である。ハゼの顔が翁に似ていることから”長寿”を意味し、また、泳ぎが早いことから目標を早く達成できるといういわれがある。 + +## 食習の機会や時季 +縁起物として正月のおせち料理でよく食べられる。冬の時期になると、三河産の本ハゼの佃煮が店頭に並び、年末が近くなったことを実感するという。伊勢・三河湾の沿岸地域では9月から11月ごろの秋がハゼ釣りのシーズンとなる。釣ったハゼは、腸をとって焼きハゼにして正月まで保存する。焼きハゼは佃煮のほかに、昆布巻きの芯にしたり、雑煮の出汁にする。ハゼは、そのほか刺身、天ぷら、唐揚げにしても美味しい。ただし、刺身にできるハゼは15cmもある2年目で、隠居ハゼともいう。知多半島の亀崎が良くハゼが釣れる、名所だといわれている。 + +## 飲食方法 +川ハゼは内臓を取らずにそのまま煮るが、海ハゼは内臓を取り除き、焼いて乾燥させてから煮る。味付けはたまりを使い、深いコクと旨味を引き出す。また、出汁昆布を鍋の底にしいて煮たり、実山椒をすりつぶして少量入れたりするなど、風味にアクセントをつけるアレンジもある。ハゼの臭みが気になる時は、たまりと砂糖で煮詰める前に��一度お茶で軽くゆでると臭みが消える。炊き立てのごはんと一緒に食べたり、酒の肴としても楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 海ハゼ: 200g +- 【A】 水: 200ml +- 【A】 酒: 50ml +- 【A】 みりん: 50ml +- 【A】 たまり醤油: 50ml +- 【A】 砂糖: 大さじ3 + +## 作り方 +1. 海ハゼのうろこをとり、口から竹串でエラを両側から挟む形で奥まで入れ、グルグル回しながらエラと内臓を引っ張り出す。素早く塩水で洗ってぬめりと汚れを除き、水気を拭く。 +2. 1をバットに並べ、ラップをせずに冷蔵庫に入れて半日ほど乾燥させる。 +3. 2を魚焼きグリルで白焼きにする。 +4. 再度ラップをせずに冷蔵庫に入れ、一晩乾燥させる。 +5. 鍋にAを入れ、4を並べて落し蓋をし、弱火で煮汁がなくなるまで煮詰める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_20_1.jpg)" +"# 煮味噌 愛知県 + +**郷土料理名**: 煮味噌 + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +赤味噌、大根、人参、ごぼう、里芋、こんにゃく、油揚げ、長ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +愛知県の食で欠かせないのが、八丁味噌に代表される豆味噌(赤味噌)。大豆を原料に麹菌を繁殖させ、大豆の麹をつくり、この豆麹を使って長期間、発酵・熟成させたものが豆味噌となる。最低でも1年、長いと2年から3年も熟成させる。こうしてつくられる豆味噌は、濃厚なコクと酸味、独特の渋みを感じさせる味わいになる。この豆味噌の銘柄の一つが八丁味噌である。八丁味噌が生まれた八丁村(現:岡崎市八帖町)は、徳川家康が生まれた岡崎城から八丁離れたところにあり、東海道と矢作川が交わる交通の要所だったことから、味噌の原料である大豆や塩などを手に入れやすかったといわれる。豆味噌文化は現在に至るまで強く根付き、さまざまな味噌料理がつくられ、それは県外にも知られている。「味噌煮込みうどん」や「味噌おでん」、「味噌カツ」などと並んで、愛知県民に親しまれているのが「煮味噌」である。「味噌煮」とも呼ばれるこの料理は、その名の通り、さまざまな具材を味噌で煮返しながらつくる。家庭によってその味やつくり方が異なり、バリエーションは非常に多い。煮物のようにして食べるところもあれば、汁を多めに鍋や味噌汁のようにして食べるところもあるが、根菜がよく使われること、一度に沢山つくることなどが共通している。 + +## 食習の機会や時季 +四季折々の食材を煮込んで食べられるが、特に根菜が旬の冬に食べられることが多い。じっくり煮てつくられるので、体を温めてくれる。 + +## 飲食方法 +大根、人参、ごぼう、里芋など、家にある食材を味噌で煮こんでいただく。具材は季節や家庭によって様々である。味付けについても、味噌とみりんで味付けをするものから、味噌と出汁で味噌汁風にすることもある。汁を多めにして食べる場合は、残った汁にうどんやごはんを入れて雑炊風にして食べることもある。まとめてつくって、次の日、また煮返して食べるということを繰り返すうちに、味噌の味が染み、コクと旨味が増す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根: 5cm +- 人参: 1本 +- ごぼう: 1本 +- 里芋: 3個 +- ねぎ: 1本 +- こんにゃく: 1/2枚 +- 油揚げ: 1枚 +- 【A】 赤味噌: 100g +- 【A】 砂糖: 大さじ4 +- 【A】 みりん: 大さじ4 +- だし汁: 600ml +- 七味唐辛子: 適宜 + +## 作り方 +1. 大根、人参、ごぼう、里芋は、一口大の乱切りに、ねぎは1cm幅の斜め切りにし、ごぼうはさっとゆでる。 +2. こんにゃくは一口大にちぎり、さっとゆでる。油揚げはさっとゆでて油抜きをして短冊切りにする。 +3. だし汁の中にねぎ以外の1と2を入れ、Aを加えて煮立て、アクを取りながら野菜が柔らかくなるまで弱火で煮る。 +4. 最後にねぎを加えひと煮立ちさせる。 +5. 好みで七味唐辛子を振っていただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_19_1.jpg)" +"# 串あさり 愛知県 + +**郷土料理名**: 串あさり + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +東三河地域、知多地域 + +## 主な使用食材 +アサリ + +## 歴史・由来・関連行事 +愛知県は、全国1位のアサリ漁獲量を誇る。中でも西尾市、蒲郡市の漁獲量が圧倒的に多く、渥美半島、知多半島でもとられている。三河湾における干潟や浅場の造成や豊川河口の六条潟からの稚貝の移植といった資源管理によって供給がされている。また、三河湾のアサリ漁で多い腰マンガ漁に使う網(マンガ)の目を小さいアサリが抜けられる大きさにすることで、アサリを取りすぎないようにする配慮がされている。三河湾は遠浅で波も穏やかなため、アサリが生育しやすい環境になっている。そのため、三河湾の沿岸地域ではアサリを使った料理が多くつくられる。「串あさり」は、アサリを串に刺して天日干ししただけのシンプルな郷土料理である。「串あさり」は江戸時代、徳川幕府に献上されていたほか、東海道の宿場でも提供するなど、幅広い人に親しまれていた。国の重要無形民俗文化財に認定された亀崎潮干祭(かめざきしおひまつり)が開催される半田市亀崎では、「串あさり」はこの祭りに欠かせない一品になっている。しかし、現在ではアサリの漁獲量は減少傾向にあり、スーパーマーケットなどでも愛知県産のアサリの販売数は少なくなってきている。 + +## 食習の機会や時季 +「串あさり」は、夏の産卵の前に栄養をたっぷり蓄え、肉厚で旨味たっぷりの春のアサリを使ってつくられることが多い。保存食のため、1年を通して食べられている。ことに正月の酒の肴として人気があった。 + +## 飲食方法 +生のアサリの水管に串を通し、丸1日天日干しにして食べる。干すと身が縮むため、身が太ったアサリを贅沢に使う。そのまま食べてもアサリの凝縮した旨味を味わえるが、火で少しあぶったり、天ぷらにして食べる方法も人気である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- アサリ(砂出ししたもの): 1.2kg +- 水: 1L +- 塩: 大さじ2 +- 竹串: 20本 + +## 作り方 +1. アサリは生のまま剥く。貝の口を上向きにし、貝の長さが短い方が手前に向くように手で握り、3分の1ほどのところにナイフを入れる。手前から奥へ向かってナイフを押し込み、貝が開いている間に爪を入れ、開いたままの状態にする。ナイフを奥に向かっていれ、刃を返して貝殻の中で円を描くように刃を回してアサリを開く。 +2. 塩水を合わせ、1を軽くすすぐ。 +3. 貝の両側がひも状になっている間に竹串を刺し、2つある水管のうち、上の水管に通す。3粒ほど刺す。 +4. 日当りの良いところで6~7時間干す。 +5. 4をあぶる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_18_1.jpg)" +"# とうがん汁 愛知県 + +**郷土料理名**: とうがん汁 + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +尾張地域・西三河地域を中心に県全域 + +## 主な使用食材 +とうがん、とり肉、干ししいたけ + +## 歴史・由来・関連行事 +愛知県は、とうがんの出荷量が沖縄に次ぐ全国第2位で、とうがん料理も広く浸透している。とうがんはインドが原産で、中国を経由して日本にもたらされたといわれる。奈良時代の文献にとうがんの記載があり、古くから食べられていた食材であったことがうかがえる。夏が旬の野菜であるが、皮が厚くかたいので冷暗所などで保存をすれば冬までもつほど日持ちの良い野菜だったため、“冬瓜(とうがん)”と名付けられたといわれる。明治時代から栽培されている小ぶりのとうがん「早生とうがん」が愛知県の伝統野菜として知られ、熟した実は白い粉がつくのが特徴である。近年は品種改良によって小ぶりのものが増えているが、昔は大ぶりだったため、戦後の食糧難の時代によく食べられていたという。早生とうがんは、その白い粉が手につくことから敬遠され、近年は琉球とうがんの栽培が主流である。とうがんは淡白な味わいで味が染みやすいのでさまざまな料理に合うため、味噌汁や煮物、炒め物などさまざまな料理で使われている。数あるとうがん料理の中で親しまれているのが、とうがんに出汁がきいたあんをかけた「とうがん汁」である。 + +## 食習の機会や時季 +7月から10月のとうがんの収穫時期に食べられる。95%以上が水分のため、夏の水分補給になるほ���、淡白な味わいのため食欲が減りがちな夏のメニューに重宝されている。冷やして食べたり、熱々にして夏の暑気払いとして食すこともある。 + +## 飲食方法 +とうがんのわたをとり、食べやすい大きさにカットして皮をむいたら、とり肉としいたけなどの具材とともに出汁で煮ていく。具材に火が通ったら、片栗粉でとろみをつけ、馴染んだら食べる。とうがん以外の具材は家庭によって異なるが、出汁がよく出るものが好まれるので、油揚げを入れるのも人気である。とうがんの皮は、口当たりをなめらかにしたい場合は、厚めに切ると良い。一方、皮を薄めに切ると、食感を楽しめるほか、皮の緑色が少し残り煮込んだ時の色合いが良くなる。出汁は、カツオや煮干しでなく、干ししいたけの出汁でつくることが多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- とうがん: 1/2個(900g) +- とりもも肉: 200g +- 干ししいたけ: 3枚 +- 【A】 だし汁: 800ml +- 【A】 淡口醤油: 大さじ4 +- 【A】 みりん: 大さじ4 +- 【A】 酒: 大さじ3 +- 【A】 塩: 少々 +- 水溶き片栗粉: 大さじ2 + +## 作り方 +1. とうがんはワタを除き、3cmくらいの角切りにし、皮は薄く剥く。 +2. とりもも肉は一口大に切り、干ししいたけは水で戻して薄切りにする。 +3. 鍋にAを入れて煮立て、1と2を加えて30分ほど煮る。 +4. 水溶き片栗粉を加えてとろみをつける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_17_1.jpg)" +"# 五平餅 愛知県 + +**郷土料理名**: 五平餅 + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +西三河・東三河・奥三河地域 + +## 主な使用食材 +うるち米、味噌、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +「五平餅」は愛知県・奥三河地域のほか、長野県・木曽、伊那地域、岐阜県・飛騨地域など、中部地方の山間部発祥の郷土料理で、江戸時代中期にはすでに食べられていたといわれる。木こりや狩人といった山の仕事を生業としている人々が、山仕事の安全を祈る祭りである“山の講”の前夜に、この「五平餅」をつくって食べていたという。「五平」という名の由来や起源については諸説あり、神様へのお供物のことである“御幣”のかたちに似せてつくったという説や、山仕事をする人の携帯食から生まれたという説、さらに「五平さん」という人が昼飯を食べる際、にぎり飯に味噌を塗り、焚き火であぶって食べていたことがはじまりという説などがある。 + +## 食習の機会や時季 +米が貴重だった江戸時代中期頃は、祭りなどのハレの場などで食べられていた。当時は男衆を含む大人から子どもまで、そして時には客人も巻き込みながら、みんなで「五平餅」をつくって楽しんだという。現在では手軽な軽食として、さまざまなシチュエーションで食べられている。特に、行楽先での食べ歩きグルメとして人気である。 + +## 飲食方法 +炊き立てのうるち米をしっかり潰して餅のような状態にしたものを平たくして串に刺し、味噌ダレをつけて焼き上げて食べる。平たい楕円形をしたわらじ型が一般的であるが、平だんご型など、かたちにはバリエーションが多い。なるべく薄く握り、芯までしっかり火を通すことが、「五平餅」を美味しく食べるコツである。また、餅の表面を指でさりげなく波型にすると、そこにタレがのりやすくなる。付ける味噌ダレは、家庭や店舗ごとに味が異なり、くるみやごま、落花生、にんにく、ねぎなどを味噌に練り込んで、味にバリエーションを持たせて楽しむことができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- うるち米: 2合 +- 串: 4本 +- 赤味噌: 50g +- 砂糖: 75g +- 酒: 少々 +- くるみ: 8g +- ごま: 5g +- おろししょうが: 少々 + +## 作り方 +1. 米は洗って30分ほど水に浸して炊き上げる。 +2. 1を熱いうちにつぶす。 +3. 2を4等分にして串に刺し、小判形に広げる。 +4. すり鉢でくるみ、ごまをよくすり、赤味噌、砂糖、酒を加えて摺り合わせ、しょうがを入れ混ぜ合わせる。鍋に移して弱火で加熱しながらよく練る。 +5. 3を魚焼きグリルまたはフライパンなどできつね色に焼く。 +6. さらに4の味噌ダレをつけてこんがり焼く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![��理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_5_1.jpg)" +"# あぶらげずし/いなりずし 愛知県 + +**郷土料理名**: あぶらげずし/いなりずし + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +豊川市を中心に県内全域 + +## 主な使用食材 +油揚げ、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +「あぶらげずし(いなりずし)」の由来は諸説あるが、お稲荷さんにお供えしてあった油揚げの中にごはんを詰めて、すしにしたのがはじまりだといわれる。発祥の地も諸説あり、江戸や名古屋とともに、日本三大稲荷とも呼ばれる豊川稲荷の門前町も発祥の地とされる。豊川稲荷では江戸時代後半に「あぶらげずし」が考え出されたといわれる。名古屋の「あぶらげずし」は、甘辛く煮た油揚げいっぱいにすし飯を詰め、底を閉じないのが特徴である。また、「あぶらげずし」と「巻きずし」の組み合わせを「助六」と呼んだのは名古屋が最初だといわれる。その由来は、歌舞伎十八番『助六所縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)』の主人公・助六からきているという説がある。助六の愛人の名である“揚巻(あげまき)”の“揚げ”から油揚げを使った「あぶらげずし」に見立て、助六がはち巻きをしてきたことから「巻きずし」になぞらえたのではないか、といわれている。また豊川稲荷の門前町でも、古くから「いなりずし」が販売され、参拝客に振る舞われてきた。出汁を吸った油揚げと酢飯でつくるスタンダードな「いなりずし」も人気があるが、まちおこしの一環で、さまざまな工夫を凝らした創作「あぶらげずし」を出す店舗も多い。 + +## 食習の機会や時季 +季節問わず、日常的に親しまれている。家庭の献立に取り入れられたり、弁当のメインとしてもつくられている。 + +## 飲食方法 +甘辛く煮た油揚げの中に、酢飯を詰め、たわら状にしていただく。油揚げの味付けは家庭ごとに異なる。酢飯の中に具材を混ぜたり、さまざまなアレンジがされている。油揚げの口の部分を上に向け、中のごはんを見えるようにすると、中の具材が映え、見た目も楽しめる。豊川市では、古くからの伝統的なつくり方もされているほか、「いなりずし」の上に、味噌カツやうなぎをおいたメニューを考案するなど、幅広い楽しみ方を提案している。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- すし飯: 480g +- 油揚げ: 8枚 +- 【A】 砂糖: 大さじ2 +- 【A】 醤油: 大さじ2 +- 【A】 みりん: 大さじ1 +- 【A】 だし汁: 100ml + +## 作り方 +1. 油揚げは半分に切り、中側を剥がして袋にし、さっとゆでて油抜きをして水気を絞っておく。 +2. 合わせたAで1を煮汁がなくなるまで煮含め冷ます。 +3. すし飯を16等分にして油揚げに詰めて、かたちをととのえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_16_1.jpg)" +"# かきまわし/とりめし 愛知県 + +**郷土料理名**: かきまわし/とりめし + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +とり肉、米、とりの脂、ごぼう、人参 + +## 歴史・由来・関連行事 +古くから愛知県では、かしわ(とり肉)を使った料理が好まれてきた。愛知県における養鶏は江戸時代後期からはじまり、発展をしながら、明治初期には、有名な「名古屋コーチン」が誕生。現在にいたるまで、養鶏が盛んである。そのため、愛知県ではとり肉料理が多い。手羽先や焼き鳥、水炊き、「かしわのひきずり」に加え、「とりめし」も人気である。江戸時代は、とり肉が貴重だったため、とり肉が入っていない「とりめしまがい」が食べられたが、鶏の孵化技術が愛知県に持ち込まれて養鶏が盛んになる中で、卵を産まなくなった成鶏をおいしく食べようと「とりめし」がつくられるようになった。成鶏は身がかたいため、ほぐしてごはんの中に混ぜこむことで美味しく食べられるようにしたのがはじまりだといわれる。また、愛知県では、「とりめし」などの混ぜごはんのことを「かきまわし」や「かきまし」と呼ぶ地域がある。炊き上げたお米と別で味付けした具材を、しっかりかき混ぜることから「かきまわし」、「かきまし」と呼ばれるようになったといわれる。 + +## 食習の機会や時季 +現在では、季節を問わず、日常的に食べられている。とり肉が高価だった時代は、祝いの席などハレの場で振る舞われた。 + +## 飲食方法 +米は、醤油、みりんなどを入れて炊きこむ。具材は、とり肉、ごぼう、人参などをとりの脂で炒め、醤油などで味付けをする。ごはんが炊き上がったら、具材をしっかりかき混ぜていただく。ごはんと具材を一緒に炊き込まずに、別々につくって混ぜるため、具材は少し濃いめの味付けにしておく方がちょうど良い味わいになる。より愛知県ならではの材料でつくるのならば、とり肉はたまりと砂糖で味付けると良い。醤油が大豆と麦でつくられる一方、たまりはほぼ大豆のみでつくられ発酵・熟成の期間も長いため、ほのかに味噌の風味がする。そのため、たまりを使うことで、よりしっかりとしたコクと旨味を楽しむことができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 2合 +- とりもも肉: 50g +- とりの脂: 適量 +- ごぼう: 1/4本 +- 人参: 1/4本 +- ちくわ: 2本 +- 【A】 醤油: 大さじ2 +- 【A】 みりん: 大さじ1 +- 【B】 醤油: 大さじ1/2 +- 【B】 みりん: 小さじ1/2 +- 【B】 砂糖: 小さじ1/2 + +## 作り方 +1. 米は洗って30分ほど水に浸してざるに上げておく。 +2. 炊飯器に1とAを入れ、内釜の目盛に合わせて水を入れ炊き上げる。 +3. とりもも肉は、小さく切る。 +4. ごぼうは、皮をこそげ、細かいささがきに、人参は3cmの細切りに、ちくわは縦半分に切り、5mm幅の薄切りにする。 +5. 熱したフライパンにとりの脂を入れ、3と4を入れて炒め合わせ、Bを加えて汁気がなくなるまで煮る。 +6. 炊き上がった2に5を入れて蒸らし、混ぜ合わせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_15_1.jpg)" +"# 黄いないおこわ 愛知県 + +**郷土料理名**: 黄いないおこわ + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +名古屋市・尾張地域 + +## 主な使用食材 +もち米、黒豆、くちなしの実 + +## 歴史・由来・関連行事 +端午の節句の料理といえば、「ちまき」や「柏餅」が代表的であるが、愛知県ではこれらに加え、「黄いないおこわ」を食べる習いがある。「黄いないおこわ」の呼び方のほかに、「きいはん」「きめし」とも呼ばれる。大分県や静岡県にも同様の料理があるが、愛知県とは呼び方が違い、それぞれ「おうはん」「染飯(そめいい)」と呼ぶ。端午の節句では、男子の健やかな成長、無病息災を祈って、さまざまな願掛け、邪気払いをおこなう。たとえば、鯉のぼりは、急流をさかのぼり、竜門という滝を登ると竜になるという言い伝えから、立身出世を願うために飾られ、鎧兜も体を守るという意味合いがある。また菖蒲も端午の節句に欠かせないものであるが、これも悪いものを遠ざける力があるとされ、「ちまき」や菖蒲湯などに取り入れられている。同様に、「黄いないおこわ」も、黄色が邪気を払うとされ、またそえられる黒豆には健康祈願が込められている。かつて、お祝いの席で振る舞われる赤飯は非常に高級なものだったため、身近で手に入るくちなしの実で黄色く色付けたごはんを、赤飯の代わりに食べたのが、「黄いないおこわ」のはじまりだといわれる。 + +## 食習の機会や時季 +男の子の健やかな成長を願う、端午の節句で食べられる。また、男子の誕生祝いに用意されることもある。初節句の際は、お祝いのお返しに重箱につめて配る風習もある。 + +## 飲食方法 +もち米をくちなしの実とともに水に浸し、しっかり浸水させた後、黒豆と一緒に炊きこんだら、黄色く染まったおこわを器に盛っていただく。赤飯と同様に、塩と黒ごまを振って食べることもある。炊飯器ではなく、蒸し器を使って炊くと、よりふっくらとした食感を楽しめる。黒豆を煮るところから始める場合は、ゆですぎないようにするとつぶれにくく、ほっくりとした食感を楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- もち米: 3合 +- 黒豆: 70g +- くちなしの実: 1個 +- 塩: 小さじ1 + +## 作り方 +1. もち米は洗って、半量のくちなしの実とともに水に一晩浸けて、ざるに上げておく。 +2. 鍋に500㎖の水と残りのくちなしの実を入れ、ひと煮立ちしたら火を止め、実をつぶしてこす。 +3. 黒豆は古くぎ※と一緒に一晩水に浸け、30分ほどゆでてざるに上げておく。※くぎの鉄分が黒豆の色を色落ちさせず、豆本来の黒さを保つ。味には影響しない。 +4. 炊飯器に1を入れ、もち米が隠れるすれすれまで2を入れ、3をのせて炊き上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_14_1.jpg)" +"# ふな味噌 愛知県 + +**郷土料理名**: ふな味噌 + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +尾張地域、木曽三川流域 + +## 主な使用食材 +フナ、大豆、赤味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +「ふな味噌」は、木曽三川(濃尾平野を流れる木曽川、長良川、揖斐川の三つの川の総称)下流の淡水魚料理で、尾張地域のほか、岐阜県美濃地域西南部、三重県木曽岬町などでも食べられている。木曽三川は、フナやコイ、ボラなどの川魚に恵まれ、周辺に住む人たちの重要なタンパク源となり、古くから川魚料理が発達した。また、「ふな味噌」に使う豆味噌(赤味噌)も愛知県を代表する調味料である。豆味噌は、大豆を原料に麹菌を繁殖させ、大豆の麹をつくり、この豆麹を使って長期間、発酵・熟成させたものである。最低でも1年、長いと2年から3年も熟成させる。こうしてつくられる豆味噌は、濃厚なコクと酸味、独特の渋味を感じさせる味わいになる。この豆味噌の銘柄の一つが広く知られる八丁味噌である。赤味噌を使うことで川魚特有の臭みを消し、旨味が増す。 + +## 食習の機会や時季 +12月後半から1月ごろにとれる寒ブナが、脂がのって一番美味しいといわれている。現在でも、木曽三川では寒ブナ漁が冬の風物詩になっており、一般の人が参加できるイベントなどもある。寒ブナは、身がしまって脂がのり、美味とされ、これで「ふな味噌」をつくる。特にメスのフナはこの時期、卵が多く、子持ちのフナは好んで食べられる。 + +## 飲食方法 +鍋に大豆を敷き、その上にフナを入れ、5時間程度弱火でじっくり火を入れたら、豆味噌と砂糖を調合したタレを入れ、さらに煮詰めていく。完成までに非常に時間がかかる料理であるが、その分、骨まで柔らかくなり、丸ごと食べられる。フナ、大豆、豆味噌が基本の材料となるが、ごぼうなどの根菜を一緒に煮こんだり、番茶やしょうがを入れてフナの生臭さを消すこともある。ごはんの上に乗せて食べたり、酒の肴にして楽しむ。骨が柔らかくなるまでじっくり煮こむことがポイントだが、圧力鍋を使うと時短になる。完成した「ふな味噌」は保存食として、長い間味わうことができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- フナ: 中4尾(480g) +- 大豆(乾): 150g +- 【A】 赤味噌: 180g +- 【A】 砂糖: 70g +- 【A】 みりん: 大さじ1 1/2 +- しょうが: 1かけ + +## 作り方 +1. 大豆は一晩水に浸けておく。 +2. フナの頭はそのままつけ、うろこと内臓を取り除く。 +3. 鍋に大豆を入れ、その上にフナをのせ、水を加えて煮る。ふき上がってきたら水を捨てる。 +4. 3に水を入れ、沸騰してきたら、Aを入れ、赤味噌が溶けたらしょうがの千切りを加える。 +5. 焦げつかないように、時間をかけて弱火で煮こむ。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_12_1.jpg)" +"# 味噌おでん 愛知県 + +**郷土料理名**: 味噌おでん + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +八丁味噌、大根、卵、こんにゃく、焼き豆腐 + +## 歴史・由来・関連行事 +愛知県の食に欠かせないのが、八丁味噌に代表される豆味噌(赤味噌)。大豆を原料に麹菌を繁殖させ、大豆の麹をつくり、この豆麹を使って長期間、発酵・熟成させたものが豆味噌となる。最低でも1年、長いと2年から3年も熟成させる。こうしてつくられる豆味噌は、濃厚なコクと酸味、独特の渋味を感じさせる味わいになる。この豆味噌の銘柄の一つが八丁味噌である。八丁味噌が生まれた八丁村(現:岡崎市八帖町)は、徳川家康が生まれた岡崎城から八丁離れたところにあり、東海道と矢作川が交わる交通の要所だったことから、味噌の原料である大豆や塩などを手に入れやすかったといわれる。そんな豆��噌を使った、愛知県独特のおでんが、「味噌おでん」である。「味噌おでん」は、具材が入った土鍋の真ん中に味噌壺を置き、具材を味噌ダレにつけて食べるというもの。もともとおでんは、煮こみ料理ではなく、味噌田楽がルーツだといわれており、江戸では醤油ベースのだし汁で煮こむおでん(醤油ベースの一般的なおでんは、“関東煮”とも呼ばれる)が広まったが、愛知県では味噌を付けて食べる方法が根づいたと考えられている。 + +## 食習の機会や時季 +年間を通して食べられているが、やはり冬の寒い時期に食べる「味噌おでん」が人気である。 + +## 飲食方法 +土鍋の中央に味噌ダレが入った味噌壺を入れ、その周りに、大根や里芋、こんにゃく、焼き豆腐などのお好みの具材を入れて、だし汁で煮ていく。熱々にゆで上がったら、味噌壺の中にある味噌ダレにつけて食べる。味噌ダレは、豆味噌(赤味噌)に砂糖、みりん、ごまなどを入れてのばしたもので、家庭によって味が異なる。味噌壺ではなく、おでんの具を取り分けて、後から味噌ダレをかけても良い。この食べ方が愛知県の伝統的な「味噌おでん」であるが、近年は飲食店などで、豆味噌仕立てのだし汁に具材を入れて煮こむ「味噌おでん」が増えている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根: 1/2本 +- 里芋: 8個 +- こんにゃく: 1枚 +- 焼き豆腐: 1丁 +- ちくわ: 4本 +- 赤味噌: 80g +- 砂糖: 大さじ4強 +- みりん: 大さじ1 +- ごま: 大さじ1 +- 【A】 だし汁: 800ml +- 【A】 淡口醤油: 50ml +- 【A】 みりん: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 大根は皮を剥き3cmの厚さの輪切りにし、米のとぎ汁(分量外)で下煮する。里芋は皮をむき、酢(分量外)を少量入れた水で軽くゆでる。 +2. こんにゃくは4等分にし、さらに斜め半分の三角形に切り、さっとゆでてアクを取る。 +3. 焼き豆腐は4等分に切り、ちくわは半分に切る。 +4. 鍋にAを入れ、1~3の具を入れて煮る。 +5. 4の鍋の中心に器を入れ、合わせた味噌ダレを入れ温める。 +6. すべての具が煮えたら、具に味噌ダレをつけていただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_11_1.jpg)" +"# 箱ずし 愛知県 + +**郷土料理名**: 箱ずし + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +尾張地域・西三河地域を中心に県内全域 + +## 主な使用食材 +米、エビ、アナゴ、サケ、卵、干ししいたけなど + +## 歴史・由来・関連行事 +四角い木枠の中にすし飯をつめ、その上に具材をのせて、上から押してつくる「箱ずし」は、全国に存在する。「箱ずし」の歴史は、握りずしよりも古い。魚と米と塩を長期間漬け込んでつくる「なれずし」からはじまり、室町時代になると「なれずし」よりも、比較的短期間で熟成させる「半なれ」が登場したといわれる。「半なれ」は、「なれずし」と比べると、魚も米も食感が残るため、酸味がきいたごはんそのものも好んで食べられるようになる。この流れから、すし桶や木枠に塩をまぶした魚とごはんを重ね、蓋をして上から重石を置き、数日間発酵させて食べる「箱ずし」の原型が誕生したという。さらにその後、粕酢(かすず)が発明されると、各地でさまざまな食材を使った「箱ずし」が生まれることとなる。かつて米が十分に取れなかった時代、大量のごはんを用意する必要がある「箱ずし」は、非常に贅沢なものだった。尾張地域および西三河地域中心に食べられている「箱ずし」は「切りずし」ともいい、エビやアナゴ、干ししいたけ、錦糸卵といった具材を斜めに配置しているのが特徴。これは、皆が平等にさまざまな味を楽しめるようにという配慮から考えられたものである。使用する木枠は、5段から6段を重ねる専用の木箱でつくられる。すし飯と具材を入れた木枠を重ね、横からくさびを打ってまとめて圧力をかける。かつては木枠を持っている家庭も多かったが、現在では持っている家庭も減ってきている。 + +## 食習の機会や時季 +祝い事や祭り事など、たくさんの人が集まるときにつくられた。現在では、木枠を持っていない家庭も多く、手間も多いことから、家庭でつくられる機会は少なくなってきた。 + +## 飲食方法 +すし飯の上にのせる具���や味付けは家庭によって異なるが、魚介類や山菜、野菜、角麩(かくふ)、でんぶなどを使うことが多い。味付けした具材はしっかり水気を切り、すし飯の上に中央から順に斜めに配置し、押し蓋をして半日ほど上から圧力をかける。できあがったら、箱から取り出し、食べやすい大きさにカットしていただく。「箱ずし」をつくっていたころは、一緒に「巻きずし」や「あぶらげずし」をつくって食べることも多かった。高度経済成長期を経て「箱ずし」は、次第に家庭ではつくられることは少なくなっていった。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- すし飯: 500g +- むきエビ: 100g +- 【A】 だし汁: 50ml +- 【A】 醤油: 小さじ1 +- 【A】 砂糖: 小さじ1 +- 焼アナゴ: 1尾 +- 【B】 だし汁: 100ml +- 【B】 醤油: 大さじ1 +- 【B】 砂糖: 小さじ1 +- 塩ザケ: 1切れ +- 干ししいたけ: 2枚 +- 【C】 醤油: 大さじ1 +- 【C】 砂糖: 大さじ1 +- 卵: 1個 +- 【D】 砂糖: 小さじ1/3 +- 【D】 塩: ひとつまみ +- ハランの葉: 適宜 + +## 作り方 +1. むきエビは包丁でたたいてすり身にし、Aで煮る。焼アナゴはBで煮る。塩ザケは焼いてほぐす。干ししいたけは水で戻し、薄切りにしてCで煮る。卵はDと混ぜ合わせ、そぼろ卵にする。 +2. 水気をよくふき取った箱の中へハランの葉を敷き、すし飯を入れ、軽く押さえて表面をなめらかにしておく。 ※「ハランの葉」は大きな笹の葉のようなかたちで、殺菌作用があるとされ、おにぎりや、すしを包んだり盛り付けの仕切りとして使われる。 +3. 具をすし飯の上に斜めに彩りよく並べる、ハランの葉をかぶせ、押し蓋をしっかりしてしばらくおく。 +4. 箱から取り出したら食べやすい大きさに切りそろえて器に盛り付ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_1_1.jpg)" +"# 味噌煮込みうどん 愛知県 + +**郷土料理名**: 味噌煮込みうどん + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +八丁味噌、うどん、卵、とり肉、油揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +「味噌煮込みうどん」は、「きしめん」と並び愛知県の代表的な麺料理の一つ。八丁味噌仕立ての汁にコシの強いうどんを入れて煮こんでつくる。「味噌煮込みうどん」は家庭料理だったが、明治時代には一宮市の飲食店で提供されていたとされる。その後、名古屋市を中心とした地域でよく食べられるようになったといわれる。愛知県を代表する調味料である八丁味噌は、徳川家康の居城であった岡崎城から八丁(約870m)離れたところにある八丁村(現・岡崎市八帖町)が発祥の豆味噌で、濃厚な味わいと色味が特徴である。ほぼ大豆を原料とし、長い期間、発酵と熟成をおこなう。また八丁味噌は、ほかの味噌と比べて栄養価が高く、三河の地において、その健康効果も踏まえた赤味噌文化が強く根づいていた。そのため、赤味噌を使った郷土料理が愛知県には多数存在し、「味噌煮込みうどん」もその代表的な料理の一つであるといえる。うどんは、「ほうとう」などと同じく、小麦粉と水だけでつくり、塩は使わない。塩を使わないことで、煮こんでも柔らかくなりにくく、しっかりコシが残るためである。 + +## 食習の機会や時季 +寒い冬はもちろん、年間を通して食べられている。 + +## 飲食方法 +家庭ではゆでうどんを使うことが多い。具材は、家庭や店舗によって違いがあるが、油揚げ、とり肉、かまぼこ、ねぎが入り、最後ひと煮立ちさせる前に卵を割り入れるのが一般的な食べ方である。うどんを食べ終わった後は、ごはんを入れておじやにすることもある。また、「味噌煮込みうどん」は、土鍋でつくるのも大きな特徴。保温性が非常に高いので、いつまでも熱々の状態で食べられるのはもちろん、食べはじめと終わりでは、うどんの麺の食感が変わってくるのも楽しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- ゆでうどん: 2玉 +- だし汁: 500ml +- 【A】 赤味噌: 大さじ3 +- 【A】 砂糖: 小さじ1 +- 油揚げ: 1枚 +- とりもも肉: 60g +- 卵: 2個 +- かまぼこ(赤): 40g +- ねぎ: 20g + +## 作り方 +1. とりもも肉は小さく切り、油揚げはさっとゆでて油抜きし、短冊切りにする。 +2. かまぼこは半月型の���切り、ねぎは斜め切りにする。 +3. 土鍋にだし汁を入れて火にかけ沸騰させる。 +4. 合わせたAと1を入れて煮立てる。 +5. 煮立ったらうどんを加えて5分ほど煮る。 +6. 2をのせて卵を割り入れ、蓋をしてひと煮立ちさせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_10_1.jpg)" +"# もろこずし 愛知県 + +**郷土料理名**: もろこずし + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +尾張地域 + +## 主な使用食材 +米、モロコ + +## 歴史・由来・関連行事 +細い川が四方八方に流れる尾張地域の水郷地帯では、フナやナマズ、ボラなどの川魚をいかした郷土料理が多く存在する。その中の1つ、”モロコ”を使った「箱ずし」の「もろこずし」も水郷地帯発祥の郷土料理である。モロコとは、コイ科の淡水魚で、成魚になると体長10cmほどになる。水郷地帯では、昔はモロコが豊富にとれたため、江戸時代にはすでに食べられていたといわれる。「もろこずし」は、5cmほどのモロコを醤油やみりんなどで甘辛く煮漬け、四角い木枠の中のすし飯の上に斜めに配置し、上から押してつくる。具材を斜めに配置していくのは尾張地域でつくられる「箱ずし」の特徴。これは、かつて米が貴重な時代に贅沢な料理であった「箱ずし」を食べる際、皆が平等にさまざまな味を楽しめるようにという配慮から考えられたものである。近年は水質汚染の問題などから、モロコの漁獲量が減り、川魚の中でも高級魚として知られる。高級魚のモロコの代わりに普段は「ハヤ(ハエ)」で代用することも多い。名古屋市を中心とした「箱ずし」の特徴は、小さい淡水魚のモロコとハヤ(ハエ)を煮つけてのせることである。ハヤ(ハエ)は小フナをさすことが多く春先の小フナは骨も柔らかいので好まれた。それに対してモロコは1年を通して柔らかくて、骨が口にあたることもないという。 + +## 食習の機会や時季 +米もモロコも高級な食材だったため、祭りや祝い事などのハレの場でつくられることが多い。また、法事の引き出物などにも利用されてきた。 + +## 飲食方法 +モロコを弱火で煮崩れしないように甘辛く煮付け、すし飯をつめた木型の上に、腹が上になるようにモロコを置き、上から押し蓋をしっかり押していく。木枠から取り出したら、食べやすい大きさにカットしていただく。伝統的に木枠の箱でつくることが多いが、手持ちの箱寿司の箱や弁当箱などでもつくることはできる。木枠とすしの間には、ハランを敷く。木枠にすし飯や具がくっつくのを防ぎ、殺菌効果もある。モロコを並べる時は、対角線の中央から並べていく。また、錦糸卵を交互に置いて彩りを良くすることもある。佃煮の甘辛さの中に、ほのかに広がるモロコの苦味を楽しめる味わいである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- すし飯: 500g +- モロコ: 200g +- しょうが: 1かけ +- 【A】 酒: 大さじ4 +- 【A】 砂糖: 大さじ2 +- 【A】 たまり醤油: 大さじ4 +- 【A】 酢: 大さじ1 +- みりん: 大さじ4 + +## 作り方 +1. モロコは洗っておく。しょうがは皮つきのまま千切りにする。 +2. 鍋にAを入れて火にかけ、煮立ってきたら1のモロコを少量ずつ入れ、しょうがを加え、弱火で煮汁がなくなるまで煮る。 +3. 2にみりんを加えて、煮汁をかけながら艶がでるまで煮上げ、冷ます。 +4. 水気をよく拭き取った箱の中にすし飯を入れ、軽く押さえて表面をなめらかにしておく。 +5. 4に3を並べ、押し蓋をしっかりしてしばらくおく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_9_1.jpg)" +"# おしもん/おこしもん 愛知県 + +**郷土料理名**: おしもん/おこしもん + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +米粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「おしもん」は、米粉を熱湯で練って型にはめ、取り出したものに色粉をつけて彩る、桃の節句のお雛様に供えられる郷土菓子である。雛祭りで食べられる料理といえば、「雛あられ」や「菱餅」、「ちらしずし」などがあるが、愛知県ではこれらに加え、「おしもん」をつくる風習がある。西三河地域では、粒あんもしくはこしあんを、米粉で包み、表面に着色したもち米をつけた「いがまんじゅう」が桃の節句に供えられる。「おしもん」の由来については諸説あり、型に押してつくる押し物(おしもの)から派生して呼ばれるようになったといわれたという説や、型から起こし外すことから「おこしもん」とも呼ばれたという説もある。名古屋地域では「おしもん」、周辺地域で「おこしもん」と呼ばれることが多い。木型は、桜や桃、梅、菊などの花の形をしたものに加え、タイやおしどり、蝶々などの生き物、のしや宝船、巾着袋、福助などといった縁起物のモチーフなどがある。 + +## 食習の機会や時季 +桃の節句にお雛様に供えられる。お雛様にお供えしたあと、焼いて砂糖醤油などを付けて食べられてきた。 + +## 飲食方法 +米粉に熱湯を加え、耳たぶくらいのかたさにしたら、型にいれる。熱湯で練った米粉に色粉を加えてつくる方法と、型から外した後に色付けする方法がある。色付けについても、食紅などを使う家から、くちなしや抹茶など、天然の色物を使う家など、つくり方は家庭によってさまざま。色を付ける時は濃くしすぎないのがポイント。蒸す工程で色が濃くなってしまうからである。型から取り出したら、蒸し器で蒸すことで日持ちがするようになる。お雛様へのお供えが終わったら、あまり日数が経っていなければまだ柔らかいのでそのまま食べられるが、かたくなったら餅のように焼いて食べる。たまりに砂糖を入れたタレに付けて食べるのが古くからの食べ方であるが、現在は砂糖醤油やきなこをかけて食べることが多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米粉(上新粉): 500g +- 熱湯: 500ml +- 色粉(赤、緑、黄): 適宜 +- 醤油: 適量 +- 砂糖: 適量 + +## 作り方 +1. 米粉(上新粉)に熱湯を加え、耳たぶくらいのかたさに練る。※熱くなるため、やけどに注意 +2. 1から90gくらい取り、3等分に分けてそれぞれ色粉を混ぜ込む。 +3. 米粉をふった型の所々に2の色粉を混ぜた生地を詰め、上から1の生地を詰めて型から抜く(型に1の生地を詰め、型から抜いてから筆を使って赤、緑、黄等の色を所々に塗ってもよい) +4. 型から抜いたものを、蒸し器で表面につやが出てくるまで蒸す。 +5. 4を砂糖醤油につけていただく。かたくなったものは焼いていただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_8_1.jpg)" +"# 味噌田楽 愛知県 + +**郷土料理名**: 味噌田楽 + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +豆腐、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +豆腐は、奈良・平安時代には既に中国から伝わっていたとされ、精進料理の中の貴重なタンパク源として、貴族・武家社会で食べられるようになったといわれいてる。江戸時代に出版された豆腐の料理本「豆腐百珍」には数多くの豆腐料理が紹介されており、その中に豆腐を切って串に刺し焼いて食べる「田楽」も紹介されている。平安時代中期ごろから、農村では、田植えの時期などに太鼓の音に合わせて田んぼで踊る風習があり、これを「田楽舞い」と呼んでいた。この田楽舞いを生業とする田楽法師が、いつも白い袴に色付きの上着を着て、一本棒に乗って踊っていたことから、その姿が白い豆腐の上に味噌をのせて串で焼いた豆腐料理と似ていたため、「味噌田楽」や「田楽」などと呼ぶようになったといわれる。愛知の「味噌田楽」の歴史は古く、その特徴も地域によってさまざまである。三河地域のお店では菜飯と田楽をセットで出す「菜飯田楽」が名物となっており、尾張地域では、生麩を揚げて赤みそを塗った「麩田楽」がある。「菜飯田楽」は江戸時代の東海道の宿場町でも名物にする店があった。 + +## 食習の機会や時季 +古くは、体を温める冬の料理であったが、木の芽をそえるようになってからは春の訪れを知らせる料理として親しまれるようになる。また、江戸時代のころには外で手軽に食べられるものであったことから、花見の席などでもよく食べられたという。現在も、行楽先での食べ歩きなどで人気である。 + +## 飲食方法 +食べやすい大きさに切った豆腐を串に刺して焼き、味噌ダレをつけて食べる。愛知では、味噌は八丁味噌などの赤味噌を使い、木の芽をすって混ぜ込んだり、上にのせたりして味わう。こんにゃく、里芋の「味噌田楽」も親しまれ、家庭料理の定番となっている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 木綿豆腐: 2丁 +- 赤味噌: 100g +- みりん: 大さじ1 +- 砂糖: 55g +- だし汁: 大さじ2強 +- 練り辛子: 少々 +- 木の芽: 16枚 +- 竹串: 16本 + +## 作り方 +1. 豆腐は水切りをする。 +2. 練り味噌の材料を鍋に入れ、生味噌のかたさまで練り上げる。 +3. 1の豆腐1丁を8等分に切り、竹串に刺す。 +4. 3を強火で水気が乾く程度に両面を焼く。 +5. 焼き上がったら2の味噌を塗り、味噌の表面を軽く焼く。 +6. 木の芽と練り辛子をそえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_6_1.jpg)" +"# かしわのひきずり 愛知県 + +**郷土料理名**: かしわのひきずり + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +尾張・奥三河地域 + +## 主な使用食材 +とり肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +愛知県では、かしわ(とり肉)を使った料理が好まれてきた。愛知県における養鶏は江戸時代後期からはじまり、発展をしながら、明治初期には有名な”名古屋コーチン”が誕生。現在にいたるまで、養鶏が盛んである。愛知の里山には山鳥が多かったことが影響しているともいう。そのため、愛知ではとり肉料理が多い。手羽先や焼き鳥、水炊きに加え、全国的に見ても珍しいとり肉を使ったすき焼きである「かしわのひきずり」などが代表的である。「かしわのひきずり」という名前の由来については諸説あり、一つ目は、昔の包丁は切れ味が悪いためとり肉の皮がしっかり切れず、一切れ持ち上げようとすると、ずるずると引きずってくっついてきたからという説。二つ目は、すき焼き鍋の中で、引きずるようにしてとり肉を焼くからという説。そして、昔、村の若者がほかの家の鶏を盗んだときに、後ろで隠しながら引きずるようにして持って帰ったからという説などがある。 + +## 食習の機会や時季 +昔は、鶏を飼っている家が多かったので、来客があったときに鶏をしめて「かしわのひきずり」をつくってもてなした。現在では、やり残したり、引きずってきたものをその年のうちにしっかり片付けて新年を迎えようということで、大晦日に「ひきずり」を食べることが多い。 + +## 飲食方法 +とり肉や野菜などの具材を食べやすい大きさにカットし、鍋の上で軽く火を入れた後、砂糖、醤油を入れ、しっかり火が通ったら溶き卵を付けていただく。具は、しいたけや糸こんにゃくが人気であるほか、玉みち(未成熟卵)も特徴的な具材の一つである。伝統的なつくり方としては、醤油ではなく、たまりを使う。醤油が大豆と麦でつくられる一方、たまりはほぼ大豆のみでつくられ発酵・熟成の期間も長いため、ほのかに味噌の風味がする。そのため、たまりを使うことで、よりしっかりとしたコクと旨味を楽しむことができる。しめには、うどんやごはんなどを入れること多い。知多半島など魚が豊富にとれるところでは、かしわの代わりにイワシなどの魚を使うところもあった。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- とり肉(もも・胸・レバー・玉みちなど): 800g +- 焼き豆腐: 1丁 +- ねぎ: 4本 +- しゅんぎく: 適宜 +- 【A】 だし汁: 200ml +- 【A】 たまり醤油: 100ml +- 【A】 砂糖: 大さじ5 +- 【A】 みりん: 100ml +- 卵: 4個 + +## 作り方 +1. とり肉は食べやすい大きさに切る。 +2. 焼き豆腐は8等分に切り、ねぎは斜め切りに、しゅんぎくは4cmの長さに切る。 +3. すき鍋を火にかけて熱し、ももの脂身とねぎを入れて焼き、Aを加えて調味し、煮えたものからいただく。 +4. 順にほかの肉と材料を加えてさらにAで調味し、好みで溶き卵を付けながらいただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_4_1.jpg)" +"# 雑煮 愛知県 + +**郷土料理名**: 雑煮 + +**都道府県**: 愛知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +餅、餅菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +日本各地で、その内容に特色が現れる「雑煮」。出汁の素��や味、中に入れる具材、もちの形状など、地域によってさまざまである。正月に食べられる「雑煮」は、角餅と尾張地域の伝統野菜である餅菜(もしくは小松菜)をすまし汁でいただく、非常にシンプルな「雑煮」である。シンプルな「雑煮」の成り立ちには、大きく三つの説がある。一つ目は、尾張藩主の徳川宗春が豪華な食事を食べていたところ、将軍の徳川吉宗に叱られたからという説、二つ目は、徳川家康から続く、質素倹約の武士文化が受け継がれているという説、そして三つ目は「名を(もち)上げる」「名(名古屋)を(もち)上げる」と、縁起担ぎとして、餅と菜をかけたという説である。また愛知県といえば、八丁味噌に代表される「豆味噌」が親しまれているが、「雑煮」では味噌を用いない。その理由としては、日常的に味噌を使うので、正月などのハレの場ではすまし汁を選ぶようにしているのではないかと推察されている。しかし、現在もごく限られた地域で、味噌仕立ての「雑煮」を食べるところもある。また、愛知県の「雑煮」に欠かせないのが餅菜である。別名・正月菜とも呼ばれる。餅菜は古くから尾張地域で栽培されてきた野菜で、小松菜に似ているが、小松菜よりも柔らかく、甘味があり、アクが少ない。「雑煮」以外にも、生で食べたり、お浸しにして食べられている。 + +## 食習の機会や時季 +正月の三が日に食べられる。 + +## 飲食方法 +醤油風味のすまし汁に、角もち、餅菜、とり肉を入れて食べるのが一般的である。餅菜の代わりに小松菜を使うこともある。また、角餅は焼かずに、そのまま入れる。最後に花ガツオをのせることもある。名古屋地域では、とり肉もなく、餅と餅菜だけのよりシンプルな「雑煮」を食べ、八丁味噌の発祥の地である三河地域では味噌仕立ての「雑煮」を食べる家庭もある。また、沿岸部では、少しあぶって干した焼ハゼを、すまし汁の出汁に使うところもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 餅(角餅): 8個 +- 餅菜: 80g +- とりもも肉: 100g +- カツオ節: 適宜 +- 【A】 だし汁: 600ml +- 【A】 酒: 大さじ1 +- 【A】 みりん: 大さじ1 +- 【A】 塩: 小さじ1/2 +- 醤油: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 餅菜は4cmの長さに切り、とりもも肉は小さく切る。 +2. 鍋にAを入れて火にかけ、ひと煮立ちしたら、餅と1のとりもも肉を入れる。 +3. 餅が柔らかくなったら、餅菜を入れ、火が通ったら醤油を加えて器に盛り、好みでカツオ節をそえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「あいちの郷土料理レシピ50選」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_2_1.jpg)" +"# てこねずし 三重県 + +**郷土料理名**: てこねずし + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +伊勢志摩食文化圏 + +## 主な使用食材 +カツオやマグロなどの赤身、酢飯 + +## 歴史・由来・関連行事 +漁師が船上でとれた魚をその場でさばいて、手で混ぜあわせたことから「てこねずし」と呼ばれるようになり、主に海沿いの地域で食されてきたが、現在では、農山漁村の郷土料理百選にも選ばれ、三重県を代表する郷土料理の一品となっている。三重県は日本でも有数のカツオの漁獲高(「令和元年漁業・養殖業生産統計」農林水産省により第4位)を誇り、中でも熊野灘地域は、一本釣りと曳き縄釣り漁業が盛んな地域である。また、マグロの主要な養殖地となっており、育てられたマグロの身はとても締まっており美味しいといわれている。こうした恵まれた漁場があることから、新鮮な魚が手に入るので、生食で食べる機会が多く、その流れからも「てこねずし」が多く食されている。また比較的簡単につくることができてしかも美味しいので、共働き家庭や子育て世代などにも歓迎されている。 + +## 食習の機会や時季 +漁師などが忙しい作業の合間に手軽に食べられる食事として続いてきた「てこねずし」だが、現在では代表的な郷土料理であり、多くの料理店などでも提供されている。各家庭でも人が集まる機会に、木桶(飯切り)を使ってつくり、宴会などでも食される機会は多い。 + +## 飲食方法 +カツオやマグロなどの赤身を刺身にしたものを醤油などでつくったタレに漬け込んだものを、飯切りにいれた酢飯の上に並べて、しそや海苔などの薬味を上にちらす。人が多く集まる際のおもてなし料理としても食べられている。また最近では白身のタイなどの「てこねずし」もつくられるようになっている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- カツオ: 1/4身 +- 青じそ: 8枚 +- しょうが: 1かけ +- のり: 1/2枚 +- 米: 1と1/2カップ(240g) +- 昆布: 10cm +- 【調味料A】醤油: 大さじ5 +- 【調味料A】みりん: 大さじ2 +- 【調味料B】砂糖: 大さじ3 +- 【調味料B】酢: 大さじ4 +- 【調味料B】塩: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 【下準備(カツオの捌き方)】(1)うろこを落とす(うろこは多くない。胸びれから背にかけて少し存在する)(2)頭を落とす準備の処理、内臓を除く準備の処理を行う。(胸びれの後ろに斜めに包丁を入れ、また腹びれの横に斜めに包丁を入れる)(3)頭を背側から腹側に折り曲げ、頭と繋がったままの内臓を一緒に引き去る。→水洗いしたらドレスのできあがり。(4)魚を立てて、背びれを落とす。(5)三枚おろしにする。すなわち背部分に包丁を入れ、背骨に沿って包丁を進め、次いで腹側に包丁を入れ、背骨に沿って包丁を進め、最後に背骨と片身をはずす。→フィレのできあがり。(6)腹膜と共に、肋骨をそぎ落とす。(7)フィレの中央にある血合いと骨を切り取る。(8)皮を引く→形・表面をととのえて、節(柵)のできあがり。 +2. 昆布を入れて、容量の1割増しの水で米を炊き(沸騰直前に昆布を取り出す)、調味料Bを合わせて冷ます。 +3. 調味料Aを煮立てて冷ましておく。 +4. カツオはそぎ切りにし、2に漬け込む。(5~30分)なお鮮度で漬け込み時間は調節する。 +5. 青じそは千切り、しょうがも千切りにする。 +6. 1に3の漬け汁をふりかけ、カツオを加えて5と千切りにしたのりを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_1_1.jpg)" +"# あらめ巻き 三重県 + +**郷土料理名**: あらめ巻き + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +伊勢志摩食文化圏(鳥羽地域(答志島、神島など)、北勢食文化圏、東紀州食文化圏 + +## 主な使用食材 +イワシ(サンマ)、アラメ(乾) + +## 歴史・由来・関連行事 +三重県には、サガラメ(アラメ)、アカモク、ヒジキ、アオノリ(スジアオノリ)、マクサ(テングサ)、ワカメなど、食用となる天然の海藻が数多くある。また、アサクサノリ、ヒトエグサ(アオサノリ)などの養殖もさかんである。アラメは昆布の仲間で外観も昆布に似ているが昆布に比べ表面の皺などが粗いことから、アラメと呼ばれている。国内の生産量の大半を三重県が占めており、主に夏の暑い時期(7~9月)に鳥羽志摩地域(時に熊野灘沿岸)で収穫される。古くから伊勢神宮に献上されており、この地域で大切に守られてきた海藻の一つである。また、アワビ、サザエはアラメを餌にしている。アラメには渋味があるため、海水に浸して渋味を取り、夏の収穫後から秋まで乾燥熟成させ、じっくり煮込んだり蒸して柔らかくする(柔らかくなるには4~5時間かかる。)商品化された干しアラメは20分ぐらい水に戻して旬の魚の切り身を巻き、甘辛いたれで味付けされたものが「あらめ巻き」である。最近では刻みアラメも商品化され、アラメごはんや煮物にも応用され、京都に出荷して寺の精進料理や京都のおばんざいにも使われている。 + +## 食習の機会や時季 +伊勢志摩地域では、昔から伊勢神宮に献上されてきたアラメ。鳥羽地域では、そのアラメを使って、「あらめ巻き」がつくられる。海藻の旨味と魚の栄養がつまった「あらめ巻き」は、ごはんのおかずや酒の肴として食べられている。アラメはその他に佃煮(志摩地域で加工され販売されている)、酢の物、煮物、和え物(酢みそ和えなど)、炊き込みごはんのような料理がある。「あらめ巻き」はそれぞれの地元では正月には欠かせないとされている。 + +## 飲食方法 +水で戻したアラメでイワシを包むように3回以上巻き、醤油、砂糖、酒などで煮付ける。神島や東紀州地域ではサンマを使うことが多く、答志島ではイワシが多いがサンマ、タチウオなど、北勢地域ではハゼなどの淡水魚を使う。魚の種類は地域によって異なり、旬の魚をアラメで巻いて煮付ける料理である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3人分) +- イワシ: 6尾 +- アラメ(乾): 30g +- 砂糖: 大さじ1/2 +- 醤油: 30ml +- 酒: 100ml +- 水: 50ml +- みりん: 25ml + +## 作り方 +1. アラメは10~15分前に水で浸しもどす。 +2. イワシは頭・わた・中骨(小さいものは中骨付きでよい)をとり、よく洗う。(大きい時は 2つに切る)*サンマを使用する場合は三枚におろし、適当な大きさに切る。(片身を 3つくらいに) +3. アラメを広げ、イワシを芯にして3回以上巻き、鍋に並べていく。 +4. 調味料を入れ、中火から弱火で20分位煮る。煮えたら皿に盛る。(食べやすい大きさに切ってから盛り付けてもよい) +5. (注)イワシ以外の魚を使う時は、それぞれに適した前処理を行う。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_2_1.jpg)" +"# 伊勢うどん 三重県 + +**郷土料理名**: 伊勢うどん + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +伊勢志摩食文化圏(伊勢市、鳥羽市) + +## 主な使用食材 +伊勢うどん、伊勢うどん用つゆ(たれ)(これの材料は、昆布、雑節、みりん、たまり醤油、砂糖) + +## 歴史・由来・関連行事 +伊勢食文化圏では、昔から伸ばす手間をかけずに腰の無い太いうどんをつくり、これに味噌だまりを絡ませて食べていたという。伊勢参りが盛んになる江戸時代になると、参宮客にいつでも食べられるようにと、ゆで続けた麺にたまりを掛けてすぐに食べられる店が出来てきた。御木本真珠の御木本幸吉は自宅がうどん店だったので、店で使っていた手塩皿が残されていることから、当時は少しずつ取り分けて食べていたらしい。また、呼び名もただの「うどん」とか「素うどん」とか「並うどん」と呼ばれており、正式に「伊勢うどん」と呼ばれるようになったのは、決して古いことではなく、昭和40年代初め頃、「伊勢うどん」を食べた有名な作詞家がラジオで話した『伊勢の珍しいうどんなので伊勢うどんというのがよいのでは』という趣旨の発言を受けて、昭和47年(1972年)に伊勢市麺類飲食業組合が統一名を決め、組合員向け献立表に記載してから以降とされている。このように食べ方は古いものであるが、名前は新しい郷土料理という典型である。 + +## 食習の機会や時季 +太くて柔らかい麺と出汁の効いた黒いたれ(つゆ)が特徴的な「伊勢うどん」は、伊勢市民のソウルフードであり、スーパーマーケットなどでも売られ1年中食べられる。昭和43年(1968年)にゆで麺の小袋化、たれの小袋化が開発されて、それまでは店で食べるものであった「伊勢うどん」が家庭で手軽に食べられるようになり、一気に家庭に広まった。 + +## 飲食方法 +麺の太さは普通のうどんの3倍はあろうかという太いものなので、生麵はゆでるのに小1時間かかる。これでは実用的ではないため、市販品は「茹で麺」で売られている。また伊勢うどん用つゆ(たれ)は自分でつくって保存しておくこともできるが、これも一回分ずつの市販品を利用することもできる。店によって微妙に味がいろいろあるのでお好みの味を探すとよい。「茹で麺」とつゆ1回用パックを用いれば、子どもや調理未経験の人でも簡単につくれる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 () +- 【つゆ用だし汁(400ml分)】雑節: 20~30g +- 【つゆ用だし汁(400ml分)】昆布: 2g +- 【つゆ用だし汁(400ml分)】水: 450ml +- 【つゆ(20人分)】たまり醤油: 400ml +- 【つゆ(20人分)】みりん: 400ml +- 【つゆ(20人分)】砂糖: 20g(砂糖は上白糖でも中ザラメでもお好みで) +- 【つゆ(20人分)】だし汁: 400ml +- 【伊勢うどん(1人分)】伊勢うどん: 1玉 +- 【伊勢うどん(1人分)】伊勢うどんつゆ: 40~50ml +- 【伊勢うどん(1人分)】刻みねぎ: 少々 + +## 作り方 +1. 【つゆ用だし汁 手順1】水に昆布を入れ、半時間おく。 +2. 【つゆ用だし汁 手順2】火に掛けて沸騰直前に昆布を取り出し、沸騰したら雑節を入れ、再沸騰後消火し、粗熱が取れたらこす。(雑節で濃い目のだしをとる。お好みで煮干しを使うこともある) +3. 【つゆ(たれ) 手順1】みりんを鍋に入れて火にかけ、アルコールを飛ばす。 +4. 【つゆ(たれ) 手順2】たまり醤油と砂糖を加え、3分の2程度に煮詰める。 +5. 【つゆ(たれ) 手順3】先につくっただし汁を加えて煮立ったらできあがり。お好みで少し煮詰めても良い。(これで20人分) +6. 【伊勢うどん 手順1】伊勢うどん1玉を熱湯の中でゆで、湯を切る。 +7. 【伊勢うどん 手順2】丼鉢に温めた麺を盛り、伊勢うどんつゆ(たれ)をお玉一杯分ぐらい(40ml位)かけて、好みで刻みねぎを散らして、供する。丼鉢の中でかき混ぜて麺にたれをよく絡ませてからいただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_3_1.jpg)" +"# あいまぜ 三重県 + +**郷土料理名**: あいまぜ + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +中南勢食文化圏、伊勢志摩食文化圏(伊勢市・鳥羽市周辺) + +## 主な使用食材 +干ししいたけ、れんこん、ごぼう、人参、凍りこんにゃく、豆麩、青板昆布など + +## 歴史・由来・関連行事 +材料をそれぞれ別に煮て味付けをし、合わせて混ぜることから「あいまぜ」という名前になったといわれている。やや甘めの合わせ酢で和えるものが多いが、家庭によって様々である。凍りこんにゃくを入れるのが特徴でもある。凍りこんにゃくは普通のこんにゃくに比べて、冷凍されることでスポンジ状となり、煮汁などの味がしみやすく、生のこんにゃくのぷるんとした食感とは異なり、肉に近い食感となる。「あいまぜ」は元々葬式用料理の「組みもの」をつくった残り物分を細かく切ってつくったもので、いわば端材活用料理であった。だんだん家庭で葬式をしなくなって「あいまぜ」もつくられなくなったが、味を懐かしむ人や人が集まる正月などにわざわざつくられるようになってきている。地域によっては大根と人参のなますに、しいたけや油揚げ、ちくわなどの煮しめを混ぜ合わせてつくられる。これは、正月のおせち料理の残りを利用してつくられたともいわれている。 + +## 食習の機会や時季 +法事のときや正月など人が集まる際に出され、昔から食されている料理である。地域によって呼び名が異なり、中南勢地域・伊勢市二見(旧二見町)・鳥羽市では「にあいなます」、松阪市では「あいまぜ」または「切りごみなます」、伊勢市では「あいまぜ」と呼ばれている。 + +## 飲食方法 +材料をそれぞれ短冊切りまたはせん切りにしてから、醤油や砂糖などの調味料で味付けし、最後に具材を合わせて、合わせ酢で和えて漬け込み、仕上げる。丁寧につくる人は元々通りに材料ごとに味付けをする。味付けの際、しっかり煮付けることが大切である。松阪市・伊勢市を中心として法事や正月など行事の際に出される料理である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (15人分) +- 【干ししいたけ】干ししいたけ: 50g +- 【干ししいたけ】砂糖: 大さじ3 +- 【干ししいたけ】濃口醤油: 25ml +- 【れんこん】れんこん: 1節(180g) +- 【れんこん】砂糖: 大さじ1 +- 【れんこん】みりん: 20ml +- 【れんこん】塩: 小さじ1/2 +- 【れんこん】酢: 小さじ1 +- 【ごぼう】ごぼう: 1本(150g) +- 【ごぼう】砂糖: 大さじ1と2/3 +- 【ごぼう】塩: 小さじ1/2 +- 【人参】人参: 1本(150g) +- 【人参】砂糖: 大さじ1 +- 【人参】薄口醤油: 大さじ1/2 +- 【人参】塩: 少々 +- 【凍りこんにゃく】凍りこんにゃく: 10枚(15g) +- 【凍りこんにゃく】砂糖: 大さじ2と1/3 +- 【凍りこんにゃく】塩: 小さじ1 +- 豆麩: 30g +- 青板昆布: 30g +- 【合わせ酢】酢: 120ml +- 【合わせ酢】白すりごま: 大さじ3 +- 【合わせ酢】砂糖: 200g + +## 作り方 +1. 干ししいたけは水でもどし、幅5mmに切る。ごぼうは長さ3cm、幅5mmに切り水につけておく。人参も同じ長さに切る。れんこんは縦半分に切り薄い半月にし、酢水につけてアクを抜く。凍りこんにゃくは、野菜の長さにそろえ、はさみで切り水でもどしておく。 +2. 1の材料をそれぞれの調味料で煮て味を付け、冷ましておく。 +3. 豆麩は水でもどし、甘酢(合わせ酢の一部)につける。 +4. 青板昆布は1の材料にそろえはさみで切る。 +5. 2、3、4を合わせ、合わせ酢につけ一晩おいてからいただく。 +6. 【注】(1)元々「組みもの」の残りなので野菜は5種類だったが、今は大根やちくわ、油揚げなど色々な材料をいれることが多くなってきた。(2)最近は凍りこんにゃくが入手できにくくなり、板こんにゃくを薄く切ったり、糸こんにゃくを使うなどの工夫がおこなわれている。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_4_1.jpg)" +"# こけらずし 三重県 + +**郷土料理名**: こけらずし + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +東紀州食文化圏 + +## 主な使用食材 +米、人参、干ししいたけ、さやえんどう、しめサバ、卵、その他これに限らず彩りよい5種類を選べばよい + +## 歴史・由来・関連行事 +東紀州地域では人寄せ事やおめでたい時に、型に入れて押し固める「押しずし」がよくつくられる。これを「こけらずし」というが、この名前の由来は、こけら落としの席に出されていたことや、こけらぶきの屋根のように1枚1枚ずらし重ねて具材を盛り付けたことからと言われている。材料の具材は5種類の奇数にし、彩り豊かな仕上がりとする。5種類の中に1種は必ず魚を使い、主に酢の物にしたものである。魚にはしめサバ、サンマ、アジなど、その時の旬の魚が使用される。このように押しずしが発達したのは東紀州の豊かな木材(主にひのき)を利用したすし型が発達したことによると思われる。押し型には、米一升型、五合型、三合型などといろいろなサイズがある。また最近は伝統的な型に加えて、少人数に適用するように扱いやすい小型のものや一人用、一段用など多くの型がつくられている。また尾鷲市須賀利地区で、二升半用の大きな押し型も使われている。間に敷く植物の葉は、山いちごの葉、花みょうがの葉などで仕切ると、葉のにおいや成分が染み渡り、なんともいえない香りや味がすしの味を引き立たせる。また防腐効果もあるといわれている。なお、都会でこれらの葉が入手できない場合はからし菜、レタスなどで代用すればよい。またすし型の代用は弁当箱を使用する。蓋をひっくり返してその中に盛り込み、弁当箱の身を外向けて押し蓋代わりに上から押さえる。 + +## 食習の機会や時季 +祭りや、結婚式などの祝い事や、60歳の還暦や厄祝いの時などにはたくさんつくって、切り分けて親戚、近所に配り、共に祝い合う風習がある。1年中どこかで誰かがつくっているほどなじみ深い料理である。 + +## 飲食方法 +複数の具材をすし飯にのせ、その上に葉を敷き、さらにすし飯、具材、葉を3段あるいは5段ほど重ねて押したすしのこと。食べるときは外枠を抜き取って重なったまま食べやすい大きさに切る。横側から見ると3~5段に積み重なった様子が美しい。1ブロックごと取り分け、上から葉を外しながら1段ずつ食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5合用すし桶1箱分) +- しめサバ: 1/2尾分 +- 卵: 2個 +- 砂糖: 大さじ1 +- 塩: 少々 +- 酒: 少々 +- 花みょうが(山みょうがともいう)の葉: 適量 +- 米: 5合 +- 【調味料A(合わせ酢)】酢: 100ml +- 【調味料A(合わせ酢)】砂糖: 120g +- 【調味料A(合わせ酢)】塩: 10g +- 【具材A】人参: 200g +- 【具材A】だし汁: 100ml +- 【具材A】薄口醤油: 大さじ1 +- 【具材A】みりん: 大さじ1 +- 【具材A】砂糖: 大さじ1/2 +- 【具材B】干ししいたけ: 6枚 +- 【具材B】もどし汁: ひたひたにつかる位 +- 【具材B】薄口醤油: 大さじ1 +- 【具材B】砂糖: 大さじ 1と1/2 +- 【具材C】さやえんどう: 50g +- 【具材C】だし汁: 100ml +- 【具材C】薄口醤油: 小さじ1 +- 【具材C】砂糖: 小さじ1/2 + +## 作り方 +1. ごはんを炊き、調味料Aをあわせてすし飯にする。 +2. 具材A~Cはそれぞれ短冊切りにして調味料で炊く。(各食材の角や断面を美しく仕上げるためには、時間があれば、丸のまま煮てから短冊に切るとよい。) +3. 卵は薄焼きにして短冊切りにする。(砂糖大さじ1、塩・酒少々) +4. 押しずしの型の底に花みょうが(山みょうが)の葉を敷き、すし飯をおき、その上に5種類の具をいろどりよく並べる。また、山みょうがの葉、すし飯、具をかさね、これを3~4段つくる。(1段1段蓋でしっかり押す) +5. 蓋をして重しをして約40分以上おく。 +6. 型から出して切りわけ、盛り付ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(み��食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_5_1.jpg)" +"# さんまずし 三重県 + +**郷土料理名**: さんまずし + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +東紀州食文化圏 + +## 主な使用食材 +サンマ、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +熊野市有馬町にある産田神社では、子どもに中骨がついたままの「さんまずし」などを食べさせ、健やかな成長を願う「奉飯(ほうはん)」とよばれる行事がある。「さんまずし」は中骨を除くのが一般的だが、奉飯用は骨付きでつくられる。「気骨のある子に育ってほしい」という願いのほか、カルシウムを補う意味もあったのではないかと考えられる。産田神社の鳥居前に「さんま寿し発祥の地」という案内が丸太棒に書かれて建てられている。主に祝いの席や祭事などで食べられる郷土料理であり、これを地元の名物になればと昭和50年尾鷲市の飲食店が販売を開始して以来、さまざまな店で楽しめるようになり、今では東紀州地域を代表する名物料理となった。なお、この地域ではとにかくハレ食に姿ずしをよくつくり、サンマの季節外にはイワシ、アジ、カマスなどの姿ずしがつくられる。 + +## 食習の機会や時季 +サンマは9月頃に北海道沖で捕れ、11月下旬頃から三重県沖に南下してくる回遊魚である。熊野市で漁獲する頃はサンマの脂肪が落ち、姿もほっそりしてあっさりしているので丸干しにしても油焼けしにくく、刺身や酢で締めても美味しい。祭りや正月など祝事の日に各家庭でつくられたり、祝い行事の引き出物として折り詰めにされたりしている。 + +## 飲食方法 +熊野灘でとれた脂肪分の少ないサンマを、熊野市周辺では背開き、尾鷲市周辺では腹開きにし、塩漬けしたものを水洗い・塩抜きし、これをさらに柑橘の酢(酸味が強いので酸柑、酸酢という)につけ、すし飯の上に尾、頭のついた姿のままのせて締める。からし、しょうが、ごまなどが使用されることもある。サンマの開き方に地域差があるが、熊野市にはかつて代官所がおかれており、武士の世界では腹開きが切腹を連想し敬遠されたため、背開きでつくられたという。なお、最近は最初から頭を除いたかたちでつくられるようになってきている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (8本分) +- 米: 600g +- 水: 1000ml +- サンマ: 8尾 +- 塩じめ用塩: 40g +- 酢じめ下漬け用果汁: 適宜(だいだい、レモンなどをしぼる) +- 【酢じめ本漬け用】酢: 魚重量の30% +- 【酢じめ本漬け用】砂糖: 酢と同量 +- 【合わせ酢】酢: 180ml +- 【合わせ酢】砂糖: 70~100g +- 【合わせ酢】塩: 15~25g + +## 作り方 +1. サンマを背開きまたは腹開きにする。頭は除いても付けておいてもよい。内臓、エラ、目玉を取り出してさっと水で洗い、フキンで水分を拭き取る。 +2. 魚の重量の5~7%の塩を魚の表面に丁寧に振る。 +3. 魚の塩締めができたら、手で中骨を起こし、腹骨、側線の小骨を丁寧に取る。表面の中央に付いているうろこを尾から頭側に向かって爪でこそげて丁寧に洗って水分を拭き取る。魚の塩分を確認しておく。 +4. 酢締めにする。下漬け20分位、その後本漬けする。本漬けは30分~1日漬ける。本漬けに酸酢を加えて使用する。 +5. ごはんが炊きあがったら熱いうちに合わせ酢をかけ、切るように混ぜ、酢が馴染んだら冷ます。 +6. 巻きすの上に、水分を軽くしぼった魚をおく。好みで身の中心に辛子を塗る。すし飯240gを取り、サンマの大きさと長さにあわせて少し硬めに俵型に握る。それをサンマの上にのせて巻き簀でかたちをととのえる。 +7. これを幅2cm位に切って盛り付ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_6_1.jpg)" +"# ふき俵 三重県 + +**郷土料理名**: ふき俵 + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +伊賀食文化圏、中南勢食文化圏(主に松阪市) + +## 主な使用食材 +米、大豆、ふきの葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +三重県では、伊賀米・結びの神などの米が栽培されている。多くの地域では、毎年の豊作を願う行事がおこなわれている。中でも伊賀地域では、初めて田植えをする時に水戸口へ分げつしやすいススキや大きな実のなる栗の枝などと共に「��き俵」を供えて、田の神に豊作祈願と感謝をする。「ふき俵」は、1月~12月分と田の神の分を合わせて13個をしょうけ(ざる)に盛って供える。小ぶりなおにぎりのような「ふき俵」は、田植えの小昼(間食)としてもつくられている。温かいごはんをふきの葉で包むことによって、ふきの香りと塩味の豆ごはんがおいしい。豆類の中で、ただ一つ上向きに実るので縁起がよいといわれているそら豆や、その他えんどう豆でもつくる。「ふき俵」には、田畑仕事のおやつ、小昼に手を洗わなくてもよい、食べた後の包み、すなわちふきの葉は自然に返るなど、生活の知恵からうまれたものである。また、中ノ庄地区(松阪市)では、同様にごはんと大豆をふきの葉に包み、わらにからげてつくる「さぶらぎごはん」がある。こちらも豊作を祈願するさぶらぎ行事につくられることから「さぶらぎごはん」と呼ばれている。 + +## 食習の機会や時季 +田植えの時期におこなう行事で、田の一角に「ふき俵」を供え、豊作を祈願する。大豆のように大粒の米がたくさんとれるようにと大豆を炊き込んだごはんをふきの葉で米俵のかたちに包んだもの。 + +## 飲食方法 +大豆を米と共に炊き、炊いた豆ごはんをふきの葉に包み、茎をひもの代わりにして留める。持ち運びしやすい形にすることで、農作業の合間に手軽に食べることができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20個分) +- 米: 5合 +- 大豆(乾燥): 1合 +- 塩: 1つまみ +- ふきの葉: 適宜 + +## 作り方 +1. 乾燥大豆は、前日に煎って吸水させ、皮を除いておく。 +2. 米と吸水させた大豆、ひとつまみの塩を入れて、ごはんを炊く。その間にふきの葉を洗っておく。 +3. 手のひらにふきの葉をのせて広げ、その上にごはんをのせ、温かいうちにふきの葉で包む。なお、ごはんが熱いほど、その熱でふきの葉の色が変わると共に、香りが付き、美味しさが増す。 +4. ふきの茎のすじの部分をさいて結わえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_7_1.jpg)" +"# 盆汁 三重県 + +**郷土料理名**: 盆汁 + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +中南勢食文化圏・東紀州食文化圏 + +## 主な使用食材 +大豆、ごぼう、なす、人参、かぼちゃ、油揚げ、十六ささげ、ずいき、など + +## 歴史・由来・関連行事 +江戸時代(1813年)に出された松阪の年中行事や風習などを記録した「松坂風俗記」(昔は松坂と表記)には、「汁ハ牛蒡(ごぼう)、ナスビ、カンヒヤウ(かんぴょうのこと)、大豆等をごまごまにしてたくさん入る」といった「盆汁」を示すと思われる記述があるそうである。禅宗(仏教のひとつ、大乗仏教の一派)の家庭では、お盆に殺生してはいけないとされていることから、肉や魚を食べず、カツオ節や煮干しの出汁を使わない旬の野菜を入れた具だくさんの味噌汁を食べていた。カツオ節や煮干しの出汁は使わないが油揚げが出汁の代わりになり、具材をたくさん入れることで出汁を入れなくても美味しく仕上がる。また、盆にご先祖様を迎えておもてなしするためにつくられるため、通常の汁物より具材の種類や量を多く入れるのも特徴である。具材が多いので野菜の煮物風である。特に松阪市の北東部では十六ささげを盆ささげと呼び、ちょうど盆に食べ頃になるので必ず入れるという。地域によっては、7種類の具材を使っていることから、「七色汁(なないろじる)」とも呼ばれていたり、東紀州地域の尾鷲市須賀利では、豆腐を入れて「はちはい」、「精霊さん」を送る日にはかんぴょうを入れた「ひゅうが汁」(澄まし仕立て)をつくる。 + +## 食習の機会や時季 +家庭によって盆の「朝の3日間」「14日か15日の昼」「16日の朝」などまちまちのようであるが、精霊さんに「盆汁」を供えて、家族みんなでいただくのが習わしである。 + +## 飲食方法 +別名「七色汁(なないろじる)」と呼ばれているように、7種類の夏の旬の野菜を使用する。野菜を適当な大きさに切り、湯で煮て、最後に味噌を溶き入れいただく。カツオ節や煮干しの出汁は使用しないのが特徴である。東紀州地域のように、食べる日にちによって、具材や名前が変わるのもつくる人は大変であるが面白い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 大豆: 1/2カップ +- ごぼう: 1/4本 +- 油揚げ: 1枚(すし揚げサイズ) +- なす: 1/2本 +- 人参: 1/5本 +- かぼちゃ: 100~150g +- 味噌: 100g +- 水: 1000ml +- 十六ささげ: 50g + +## 作り方 +1. 大豆は前日水にて吸水させる。当日、先に8分目まで柔らかく煮ておく。 +2. 他の野菜類はある程度小さく適当に切る。(アク抜きが必要なものは先に行っておく) +3. 鍋に大豆、野菜類、油揚げを硬い食材から入れ柔らかくなったら、味噌を溶き入れ、味を確認して消火する。 +4. 【注】具材は、その他に枝豆、ずいき、ねぎ、間引き菜などその時に手に入るもの7種類あれば良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : みえ食文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_8_1.jpg)" +"# いばら餅 三重県 + +**郷土料理名**: いばら餅 + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +上新粉、砂糖、あんこ、サルトリイバラの葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「いばら餅」は、サルトリイバラの葉で包んだ餅のことである。5月の節句の時期に食べられていた「いばら餅」は、地域によって名称が異なる。津市では「いばら餅」というが、東紀州地域では「おさすり」といい、中南勢地域の安濃町近辺では「いばらまんじゅう」、北勢地域の竹成では「がんだち餅」、亀山市では「どっかん餅・どうかん餅」という。どっかん餅は、「どうかん」という名の人物が野上りの祝いにいばらの葉で包んだ餅をつくり、村人に振舞ったところ喜ばれ村人も真似して同様の餅をつくったことから名づけられたといわれている。伊賀地域では「いばらだんご」という。尚、野上りは田植えなどの農作業の終わりを祝う行事である。この行事にちなんで「野上りまんじゅう」ともいわれている。このように5月の節句以外にも農作業の合間のおやつとしても食べられ、野上りの行事でも農作業を手伝ってくれた人々と共に食べ、労をねぎらうという風習がある。他県では餅にあんこを入れ葉で包み蒸したお菓子のひとつに柏餅があり、柏餅は柏の葉を使用するが、いばら餅で使用するサルトリイバラの葉は、丸くて表面がつるつるしているため、餅を包むのに適している。また、西日本では柏の葉があまりとれなかったことから、柏餅の葉の代用として使われたともいわれている。 + +## 食習の機会や時季 +5月の節句や野上り(田植えや稲刈りなど農作業の終えること)などの行事の際に食べられることが多い行事食だが、日常のおやつとしても食べられている。サルトリイバラの葉は春から秋のものであり、冬には枯れてしまうが、最近は冷凍保存も可能である。 + +## 飲食方法 +混ぜ合わせた上新粉と砂糖に熱湯を加え、粉っぽさがなくなるまでこねる。適当な大きさに分け、直径8cm位の円に伸ばす。あんを餅で包み、2つ折りにし、口をしっかり止め、いばらの葉で包んで最後に蒸す。サルトリイバラの葉が小さい春には2枚で上下に挟み、秋になって大きくなったら葉も2つに折り曲げて挟む。東紀州地域では上新粉を使う家庭が多いが、中南勢・北勢地域では小麦粉を使用する家庭が多いという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10個分) +- 上新粉: 250g +- 砂糖: 50g +- 熱湯: 1カップ +- あん(粒またはこしあん): 300g +- サルトリイバラの葉: 10枚(小さいものなら20枚) + +## 作り方 +1. ボウルに上新粉と砂糖を入れて混ぜ合わせ、熱湯を注ぎ入れ、太めの菜ばしなどでざっとかき混ぜる。手でさわれる熱さになったら、粉っぽさがなくなるまでよくこねる。 +2. 10等分して直径8cm位の円に伸ばし、予め30gで丸く丸めておいたあんを中に入れて、2つ折りにし、口をしっかり止める。(葉が小さい場合には餅を丸くつくり、いばらの葉2枚で上下にはさむ) +3. 蒸気の上がった蒸し器に2を1列に並べ入れ、強火で蒸す。葉の色が茶色くなれば蒸し上がる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_9_1.jpg)" +"# さめなます 三重県 + +**郷土料理名**: さめなます + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +伊勢志摩食文化圏 + +## 主な使用食材 +ネコサメをはじめサメ各種 + +## 歴史・由来・関連行事 +サメは古代には「ワニ」や「フカ」と呼ばれ、神話や木簡、文献に見られるように、人々の生活の近くにあった。三重県以外でも広島県や青森県、宮城県など多くの地域で食されている。三重県ではサメの身は伊勢神宮の御饌(みけ)の一品にも用いられるが、三重県はこのサメを食べる地域もある。志摩の和具地域で祝い事に出す「てびき料理」、越賀地域でいう「さはち料理」の一品に「さめなます」がみられる。サメ(鮫)は漢字に交わるという字が含まれるのでおめでたい席に欠かせない。「てびき」も「さはち」も大皿や大鉢の地域での呼称の違いである。昭和の時代には、延縄漁(はえなわりょう)でかかったネコザメ等1mほどのものをいけすでかこって、結婚式当日に熱湯にサメを通して処理し、その身で「さめなます」をつくり、大皿毎に料理の種類を変えて出す“てびき料理”の一品とした。 + +## 食習の機会や時季 +志摩地域での人生儀礼の三つの祝い、すなわち結納に当る樽入れや結婚の宴、厄祝いや米寿の祝いの一品に「さめなます」が出される。伊勢の二見地域では、普段の他、祝い事にもサメの皮のゼラチンを利用して「にこごり」をつくる。伊勢神宮内宮が所在する宇治では、業者がサメの身に塩か溜まりを付けて半干した「さめだれ」をつくり、これを求めて焼き、酒の肴やお茶漬けでの食べ方が受け継がれている。なお、地元では「さめんたれ」と呼ばれている。 + +## 飲食方法 +「さめなます」は、さばきたてのサメの身を刺身より幾分薄いそぎ切り状にし、これをさっと湯通ししたのち冷水で身を引き締め、志摩地域独特の発酵がきつく塩分の強いみそだれを付けて食べる。“にこごり”は、細かく切った人参やごぼう等の野菜を醤油味で煮て味付けしたものをサメのゼラチン液に混ぜ、火にかけてどろどろ状にして具材を混ぜてから缶等の枠型に入れ、これを冷ませて固形状にしたものを適当な大きさに切って器に盛る。“さめだれ”は、業者がサメの身を長さ30cm巾20cm厚さ2cmほどに切り、塩をしたり、或いはみりん醤油に漬けてから天日で半乾かししたものである。これを求め、適当に裂いて焼き、酒の肴か茶漬けの具材にする。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- サメの身: 400g +- 【味噌だれ】家庭味噌: 40g +- 【味噌だれ】砂糖: 40g +- 【味噌だれ】だし汁: 適宜 + +## 作り方 +1. 新鮮なサメの身を薄切りにする。 +2. 沸騰した湯にくぐらせ、すぐに冷水で身をしめる。 +3. 味噌だれをつくり、添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : みえ食文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_10_1.jpg)" +"# 魚のじふ/魚のすき焼き 三重県 + +**郷土料理名**: 魚のじふ/魚のすき焼き + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +東紀州食文化圏(主に熊野灘沿岸の漁村) + +## 主な使用食材 +とりたての背の青い魚(サンマ・サバ・ボラ、コガツオ等)、白菜やねぎなど季節の野菜、豆腐、糸こんにゃく、きのこ類 + +## 歴史・由来・関連行事 +一般的に、魚すきとか沖すきとか呼ばれ、魚介類や野菜その他多くの種類の材料を薄めの煮汁で煮る鍋料理のことで、漁師街ではポピュラーな料理である。東紀州地域では熊野灘の豊かな漁場であがったその時々の魚と季節の野菜を醤油仕立ですき焼き風につくる鍋物。これゆえ、熊野灘沿岸の志摩地域から東紀州方面と広域の漁村でつくられているが、尾鷲市が早くから「当地の郷土料料理」としていることで定着しつつある。東紀州南部の熊野市周辺では「魚のじふ鍋」とよんでいる。 + +## 食習の機会や時季 +熊野灘沿岸の漁港に常にあがってくる鮮魚を使い、幾人増えても共に分かち合って、新鮮な魚をふんだんに使って手軽に食べられる共食として生まれた郷土食。身体が温まることから、特に冬場に多くつくられ、大勢で楽しく食卓を囲む。献立に窮した時などに「今夜はじふにしようか」というくらい家庭の定番料理としてつくられている。特に冬はすぐに体を温めるのにもってこいの料理である。 + +## 飲食方法 +幾人集まっても、突然の来客で人数に変動が生じても受け入れ楽しく食べ��れる共食の中心献立として熊野灘の豊かな魚を利用した。魚の種類も取り合わせる野菜の種類や数量にはこだわらない。ただ魚は背の青いものを使用する。食べるときに、椀に卵を溶いてこれにつけて食べることをする家もある。まさに漁師街のすき焼き鍋である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ソマガツオなど: 2匹 +- 白菜: 200g +- たまねぎ(またはねぎ): 150g +- 糸こんにゃく: 200g +- 焼き豆腐: 100g +- しいたけ: 100g +- しめじ: 50g +- 【煮汁】酒: 200g +- 【煮汁】砂糖: 60g +- 【煮汁】醤油: 70ml(みりんを入れる場合は大さじ2) + +## 作り方 +1. 魚は一口大に切り、他の材料もすき焼き風に適度な大きさに切る。 +2. 鍋に調味料を入れて煮て、煮汁をつくる。 +3. 2の煮汁に各材料を入れ、すき焼きと同じ要領で煮る。魚は野菜類がほぼ煮えてから入れる。 +4. 沸騰したらアクをとる。 +5. 一人前ずつ盛り分ける。お好みで割りほぐした卵をつけながら食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_11_1.jpg)" +"# 茶粥 三重県 + +**郷土料理名**: 茶粥 + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +伊賀食文化圏、東紀州食文化圏、中南勢食文化圏 + +## 主な使用食材 +米、番茶 + +## 歴史・由来・関連行事 +明治時代の百科事典である古事類苑によれば、聖武天皇の時代から食べられており、今でも二月堂の「お水取り」の後、宿所で「ごぼう」と呼ばれる番茶仕立ての「茶粥」が食べられているとのことで、「茶粥」の歴史は古いらしい。水の量を増やすことにより米を節約するという米の収穫量の少ない地域で創意工夫された郷土料理である。「茶粥」を調理する地域では自宅の周辺に茶樹(ちゃじゅ)が植えてある。伊賀地域は耕地面積が少なく、白米は貴重なもので日常食としては食べる機会はなく、盆や正月、祭りや客のもてなしなどに食べるくらいだった。主食はだいたい麦飯と粥であり、かさを増やすために「茶粥」がよく食べられてきた。昔は三食とも茶粥とたくあんですませていたという。野菜や豆類を具として加えたり、具は飽きがこないように季節感を取り入れていた。また熊野地域の粥食が多かったことを 『朝かい昼かい晩もかい、夜食ないかい、もう寝よかい』という粥尽くしの歌があり、伊賀地域では「朝昼茶粥に夜おかい」といい表されている。松阪市飯南町粥見は茶産地であり、盛んに「茶粥」が食べられていた地域でもある。 + +## 食習の機会や時季 +昔から「おかいさん」の愛称で親しまれ常食となっていた。夏は冷やすと食欲が出る。季節によりさつまいも、大角豆(ささげ)、えんどう、とうもろこしなどを加えてもよい。 + +## 飲食方法 +水が澄まない程度に米を洗っておき、釜に水を入れ、つぎに茶袋(地元ではこれを「ちゃんぶくろ」という)を入れて少し煎じ出し、そこに米を入れて炊き、茶がほどよく出れば茶袋を箸で挟んで取り除き、しばらく蒸してつくったものである。使用する茶葉は緑茶よりほうじ茶、はぶ茶、自家製茶などがよい。盛り付けたら熱いうちにいただく。しかし、夏の暑い時は冷やして食べるのが美味しい。ランチジャーに冷やした茶粥を入れて仕事に持っていく人もいる。また熊野市西山地域では弘法大師が伝えたという弘法茶(カワラケツメイ)で「茶粥」をつくる方法も伝えられている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 140g +- 水: 8カップ +- 塩(好み): 少々 +- ほうじ茶: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 米はさっと洗い、ざるで水切りをする。 +2. 鍋に水8カップ入れ沸騰させ、茶袋(ちゃんぶくろ)を入れて茶汁をつくる。 +3. 1の米を入れ強火で蓋をせずに炊き上げる。時々撹拌し、アクは取り除く。加熱時間は15分~20分位でできあがる。茶袋は途中で取り出してもよい。副材料を入れる時は米と一緒に入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_12_1.jpg)" +"# 豆腐でんがく 三重県 + +**郷土料理名**: 豆腐でんがく + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +伊賀食文化圏 + +## 主な使用食材 +木綿豆腐、だし汁、田楽味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +山々に囲まれた盆地である伊賀地域では、魚介類の入りにくい時代があり、豆を加工した豆腐が重要な栄養源だった。豆腐の製法は中国起源とされ、遣唐使が持ち帰ったとされるが、文献的には1183年春日大社の神主日記に「唐符」の字で現れるのが初出らしい。女房詞(言葉)に豆腐のことを「お壁」と呼んでいたことから、平安時代には貴族階級では食べられていたと思われるが、しかし庶民にまで広がるのは江戸時代になってからという。当時の農村では、田植えや祭りなどのときに田んぼで太鼓に合わせて踊る風習があり、それを田楽舞いという。「豆腐でんがく」はそれを踊る人の格好(袴をはき、その上に色のついた上着をはおる)に似ており、 また、伊賀地域は観阿弥・世阿弥の出身地であることから、能楽に由来するといわれ、串を打った豆腐が、白装束を着て1本足の棒で舞う高足の舞を舞うさまに似ていることからこう呼ばれるようになったといわれている。でんがくについては谷川士清の「倭訓栞」に、「豆腐の製に田楽というは田楽法師の竿に上りて踊る貌に似たるをもて名を得たりといえり」と述べられていることから、江戸時代後期から今日まで変わっていないことが理解できる。 + +## 食習の機会や時季 +人を招くときのおもてなしの一品であり、行事食としては大晦日、正月の山の口講(山の神の神事)、それと花見に食べるという。その昔は各家庭に田楽専用のコンロがあり、炭火で焼いていたが、時代の流れとともに姿を消してしまった。現在は店でも食べられ、伊賀地域の名物となっている。 + +## 飲食方法 +砂糖を入れた味噌に少しずつみりんを加え味噌を溶き、火にかける。よく練りながら味をみて、濃い場合はだし汁を加え調節する。重石をして水を抜いた木綿豆腐を食べやすい大きさに切り、串を通し両面を焼く。味噌をつけて少し炙り焼きする。季節によって春は木の芽味噌にし、冬は柚子、その他の季節は青のり、ごま、ねぎを使うこともある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 木綿豆腐: 2丁 +- だし汁: 適量 +- 竹串: 80~100本 +- 【田楽味噌(ねり味噌)】合わせ味噌: 大さじ4 +- 【田楽味噌(ねり味噌)】砂糖: 大さじ1~3 +- 【田楽味噌(ねり味噌)】みりん: 大さじ1~3(甘みは味噌の味により加減) +- 木の芽: 適量 +- 青のり、ごま、ねぎなど: 適量 +- 柚子味噌: お好みで + +## 作り方 +1. 味噌に砂糖を入れ、みりんを少しづつ入れて味噌を溶く。 +2. 1を火にかけてよく練る。甘みを確かめ、濃い時はだし汁で調節する。 +3. 豆腐をフキンで包み、均等に重石をして水を抜く。(水分を取る際、一度湯通しし、冷やしてつくると長持ちする) +4. 水抜きした豆腐を横にそぐ。長さ5~6cm、縦・横1cm強の拍子木状に切る。 +5. 長さ25cm位の竹串を通し、5本1手として両面こんがり焼く。味噌をつけてさっと炙り焼きをし、器に盛る。季節によって春は木の芽味噌にし、冬は柚子、その他の季節は青のり、ごま、ねぎを使う。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_13_1.jpg)" +"# なれずし 三重県 + +**郷土料理名**: なれずし + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +三重県全域 + +## 主な使用食材 +アユ、米、塩(魚は地域によってサンマ、サバ、カマス、コノシロ、タイ、アジなど) + +## 歴史・由来・関連行事 +「なれずし」は、古来のすしのことで、塩漬けした魚と米を漬け込み乳酸発酵させたものである。発酵が進むにつれて「馴れる、熟れる」ことから「なれずし」と呼ばれている。「なれずし」は元々魚を長期保存するための加工方法だったため、発酵を促す飯は捨てられていた。これは滋賀県のふなずしに代表され、「本なれ」と呼ばれる。しかし、室町時代には発酵期間を短くし飯も魚と共に食べる「なまなれ」が生まれた。酸味のある飯が食べられるようになってきたというわけである。三重県の「なれずし」は全てなまなれである。地域によって、漬ける魚種、漬け方、漬ける目的、漬ける時期など特色が異なり、特に目的としては神社の熟撰(じゅくせん/神様にお供えする食事の中で調理したものをさす)として漬けられているものがある。魚種としては、伊勢市ではアユ、タイ、アジ、東紀州ではアユに加え、サンマ、サバ、カマスなど、中南勢地域(芸濃町)、伊賀地域、北勢地域(桑名市)ではコノシロが用いられている。 + +## 食習の機会や時季 +三重県では北から南まで広い範囲で漬けられているが、この中で東紀州地域ではアユ、サンマ、サバなどの魚を12月上旬頃から飯と共に漬け込み、正月に食べることが多い。東紀州地域の家庭では、正月以降1月上旬、2月上旬、3月上旬に約3週間程度漬ける。3月に漬けたものを3月20日前後に口開けしてその年のなれずしづくりが終わる。「なれずし」は一度口開けすると日に日に酸味が増すため、早く食べきるようにする。素早く食べきるために友人や親せきなど知人に配ったりすることから「やり(遣り)ずし」とも呼ばれている。その他に、「持っていって、あげる」「もってけ」から「もったる」ともいわれている。その他の地域では、多くの場合神社の神饌として秋祭りの際、祷屋(とうや)組織でつくられ、直会のあと各戸に下賜される。合祀などで神社が無くなっている地域では有志でつくられている。 + +## 飲食方法 +1ヶ月ほど塩漬けした魚を水で丁寧に洗い塩抜きをおこない、水切りする。東紀州地域では米を柔らかく炊いて、細長い俵型ににぎる。その他の地域では米は普通の硬さに炊く。漬け方はそれぞれに特徴があり、津市、伊賀市では漬ける際に柚子を使う。伊勢市では炊き上がった飯に麹を混ぜる。桑名市ではしょうがを使用する。飯の扱い方から漬け方、使用する副材料に至るまで各地域のなれずしごとに独自性がみられる。漬け込み後、水面に白いカビが生え、3~4日すると青カビが生え、水一面にカビが生えたら漬け込み完了の目安である。食べる時は、漬け桶を逆さにし、重石を乗せ水気を切る逆押しという作業をしてから取り出す。東紀州地域では「なれずし」のサンマずしと食酢を使ってつくる「早ずし」のサンマずしが同じような姿ずしであるので、一見紛らわしいが、表面にうらじろの模様がついていること、また店ではうらじろの一片をのせているので区別できる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1桶分※各地のなれずしは独自性があるのでここでは東紀州の漬け方を示す。) +- 魚: 50匹 +- 米: 2.5升 +- うらじろ: 適量 +- しゅくしゃの葉: 適量 +- 下漬け用塩: 適量 +- 酒: 適量 +- 漬け桶: 適量 +- 重石: 適量 + +## 作り方 +1. 【下準備(魚の塩漬け)】(1)アユの場合は9月~10月頃(落ちアユを入手)、その他の魚は11月頃、大量の塩で漬け込んでおく。 +2. 【下準備(本漬けの準備・本漬けの前日)】(1)塩漬けの魚を取り出し、一匹ずつささらなどを使って掃除する。(うろこ取り、内臓取りなど)なお、ささらとは松葉や稲わらを10cm位に切りそろえて束ねた自家製のもの。洗いながら塩抜きをする。塩の抜き加減(時間)は味見をしながら確認をし、水切りをしておく。(2)必要な材料(うらじろ、しゅくしゃの葉)の収集、および漬け桶を水に漬けて吸水させておく。うらじろ、しゅくしゃの葉は綺麗に洗って酒で拭き、乾燥しないようにビニール袋に入れておく。 +3. 【本漬け(当日) 手順1】昆布を入れてごはんを炊く。(硬めのおかゆ程度)水加減は2倍程度。ガスや薪の火力の影響で不足するなら途中で水を追加すればよい。 +4. 【本漬け(当日) 手順2】炊き上がったら細長い俵型に握り、1個ずつしゅくしゃの葉の上に乗せていく。 +5. 【本漬け(当日) 手順3】漬け用桶を水槽から出して酒で拭いて消毒する。 +6. 【本漬け(当日) 手順4】桶の底にうらじろを十分に敷き酒を振って、「本漬け(当日) 手順2」の上に水切りした魚をのせてしっかり詰めて桶に並べていく。一段並べ終わるとすいているところがあれば米で補いフラットにして上一面にうらじろを敷く。酒を振る。これを4~5段繰り返す。 +7. 【本漬け(当日) 手順5】最後にサンダワラ・ビニール・木の蓋などで蓋をし、重石をのせる。水封する。 +8. 【本漬け後(本漬け作業から20日前後) 手順1】表面の水を捨て、桶を逆さにむけて、一晩逆押しする。 +9. 【本漬け後(本漬け作業から20日前後) 手順2】1匹ずつ取り出し、小口から2~3cm巾に切り盛り付ける。お好みで唐辛子と醤油を添えて供する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : みえ食文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_14_1.jpg)" +"# のっぺい 三重県 + +**郷土料理名**: のっぺい + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +伊賀食文化圏 + +## 主な使用食材 +里芋、人参、大根、こんにゃく、油揚げ、ちくわ、干ししいたけ、ごぼう、かまぼこ、れんこん、たけのこなど + +## 歴史・由来・関連行事 +全国的にも有名な郷土料理のひとつである「のっぺい」は、のっぺい汁、のっぺ、ぬっぺいなど、他県でもさまざまな呼び方があり、親しまれている料理である。里芋が必ず入ることから収穫時期にあわせて冬に食べられることが多く、人参、ごぼう、大根など根菜類が入り、油炒めしないのが特徴である。伊賀地域においても代表的な冬のおかずとして食べられ、大量につくって最初は具だくさんの汁物として食し、その後温めなおして最後は煮物のような状態で食べられている。この地域は三重県の中で唯一海に面していないので魚料理に恵まれず、大豆加工品や魚肉加工品(竹輪やかまぼこなど)はごちそうであり、一昔前までは地域の祭りや、家庭の祝い事、法事・葬式などの精進落としなど、事あるごとにつくられてきたという。なお、のっぺいという料理名は江戸時代初期(1643年)発行の料理書「料理物語」の中に、「のっぺいとう」の名で出てくるが、これは「炒りどり」のような料理でうどんの粉でとろみをつけるとある。伊賀地域では1694年に松尾芭蕉が門人たちを招いた「月見の会」の献立の中に「麩ののっぺい」があり、献立名だけ残っているので、多くの方々が試行錯誤して復元されているが、料理物語のつくり方に近いらしい。現在ののっぺいは随分変化していることが理解できる。 + +## 食習の機会や時季 +冬の家庭料理として欠かせないものである。献立に窮すると「今夜はのっぺいにしようか」というくらい、定番の家庭料理である。 + +## 飲食方法 +使用する食材はその時々で異なるが、根菜類はそれぞれ下処理して大きさを大体そろえる。里芋が入ることで汁にとろみがつき、冷えにくいので身体が温まる。京文化の影響と思われるが、味や汁の色は非常に薄く仕上がり、一人ずつ盛り付けていただく。一度にたくさんつくっておき、毎日火を入れて温め直すうちに、煮詰まっていき、つくり始めは汁物料理のようでも、最後には普通の煮物風になる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 里芋: 4個 +- 人参: 1/2本 +- 大根: 1/4本 +- こんにゃく: 1/2本 +- 油揚げ: 1枚 +- ちくわ: 1本 +- 干ししいたけ: 4枚 +- ごぼう: 1本 +- かまぼこ: 1枚 +- れんこん: 1/2本 +- たけのこ: 1/2本 +- 【煮汁】煮出し汁(煮干し): 400ml +- 【煮汁】しいたけのもどし汁: 60ml +- 【煮汁】みりん: 60ml +- 【煮汁】酒: 40ml +- 【煮汁】塩: 少々 +- 【煮汁】醤油: 60ml +- 【煮汁】砂糖: 30g + +## 作り方 +1. 【具の下処理】大体一口大に切りそろえる。(1)里芋は皮をむき、小さいものはそのまま。大きいものは2つに切り、ゆでてぬめりを取る。(2)大根は皮をむき、輪切りまたはいちょう切りにして、米のとぎ汁でゆでておく。(3)人参は皮をむき、輪切りにしてゆでる。(4)しいたけはもどして、2つまたは4つに切る。なお、もどし汁は残しておく。(5)ごぼうは皮をこそげ斜め輪切り、ゆでる。(6)ちくわ、かまぼこは適当に切る。(7)油揚げは油ぬきし、適当に切る。(8)こんにゃくは少したたいてゆでて、隠し包丁を入れて適当に切る。ちぎりこんにゃくでもよい。(9)れんこんは皮をむき、ゆでて厚い輪切り。(10)たけのこはゆで、茎に近いところはいちょう切り、穂に近いところは櫛様に切る。 +2. 煮干しでとった煮出し汁にしいたけのもどし汁を加えて調味し、下処理した具を入れて煮る。 +3. 【注】家庭によってはカツオ節で出汁をとる家もある。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_15_1.jpg)" +"# あほだき 三重県 + +**郷土料理名**: あほだき + +**都道府県**: 三���県 + +## 主な伝承地域 +北勢食文化圏 + +## 主な使用食材 +古たくあん、醤油、だし汁、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +大根は古くから食べられており、すでに日本最古の文書「古事記」や「日本書紀」にも記されているという。また、大根という名は根が大きいことから「おおね」とか、色が白く涼しげだから「すずしろ」と呼ばれていたのが、正倉院文書では「羅萄」や「大根」の漢字が使われているという。また、野菜を塩と共に付けて保存する漬物は、平城宮の木簡、万葉集、延喜式に表れているが、ぬか漬けの記載は室町時代まで下るようである。それだけ米が貴重であった証ともいえよう。また、たくあん漬けは江戸時代の沢庵禅師(1573年-1646年)が考案したとも、沢庵禅師が所属した寺を訪れた徳川家光が命名したとも、「貯え漬け(たくわえづけ)」が転じたともいわれている。「あほだき」は、漬けた翌年の夏を越す頃になれば味や匂いが悪くなるたくあんを再利用した常備菜で、食品を無駄にすることなく美味しく食べようという知恵がみられる郷土料理。桶につけたたくあんは、取り出すごとに空気に触れ味が落ちていく。それを塩分を抜き醤油で炊きなおす料理である。ユニークな名前は、美味しい時期に食べずに、せっかくの塩分をぬいてしまうので「あほなことしてるなぁ」という意味からきているともいわれている。なお、大変贅沢な調理法のため、別名「大名炊き」ともいわれ、他県でも福井県では「たくあんの煮たの」、石川県では「おくもじ」、富山県では「いりこぐ・いりごき」など同様の料理が見られる。 + +## 食習の機会や時季 +冬に漬けたたくあん漬けが翌年の夏頃には、味が落ちてくるたくあんを再利用する方法として考え出された。 + +## 飲食方法 +たくあんの古漬けを薄く輪切りにし、何度も水につけ、塩抜きをする。少し煮て、醤油、カツオだし汁、砂糖等の調味料で味付けをし、最後に白ごまと好みで七味唐辛子を振る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 古たくあん(大根漬け): 150g +- 白ごま: 小さじ2 +- 七味唐辛子: お好み +- 【調味料A】醤油: 適宜 +- 【調味料A】カツオだし汁: 100ml +- 【調味料A】砂糖: 小さじ2 + +## 作り方 +1. たくあん(古漬け)を薄く輪切りにし、何度も水に浸け、塩抜きする。(完全に抜きすぎない方が良い) +2. 少し煮て柔らかくし(好みの硬さに)、調味料Aで味付けする。 +3. 最後に白ごま、好みで七味唐辛子を振る。 +4. 【注】最近は塩抜きのあと,油炒めをしてから煮込む方法や、仕上がりにごま油を掛けるなどの方法もおこなわれている。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩2」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_16_1.jpg)" +"# いわしずし 三重県 + +**郷土料理名**: いわしずし + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +伊賀食文化圏、中南勢食文化圏、北勢食文化圏 + +## 主な使用食材 +イワシ、米、しょうが、白ごま + +## 歴史・由来・関連行事 +三重県の魚種別漁獲量はイセエビが全国1位、カタクチイワシが2位、イワシ類が6位とイワシ漁が盛んな地域である(「令和元年漁業・養殖業生産統計」農林水産省)。そのイワシを使用した「いわしずし」は、秋の祭りなど人の集まるときにつくられ、食べられていた。もともと海から遠い伊賀市、名張市などの三重県西部側では、祝い事などの特別な日にイワシでさえごちそうとして食べる習慣があった。秋祭りの時には、一塩物のイワシが魚店に並ぶ。秋祭りで「いわしずし」を大量につくり、余ったらお土産にするなどしていた。中南勢・北勢地域の海沿いでは新鮮なイワシが手に入るので、生のイワシに塩をして「いわしずし」をつくった。やはり秋祭りには欠かせないもので、「祭りずし」とも呼ばれている。 + +## 食習の機会や時季 +主に秋祭りのときに食べられており、秋祭りには「いわしずし」以外にも太巻きやいなりずしなども出されている。祭りには「いわしずし」が欠かせない存在となっている。また人寄せごとの時にも食べられる。 + +## 飲食方法 +大部分の地域では「いわしずし」は木枠を使った押し抜きずしなので、木枠の内側に酢水を付けて湿らせてお��。酢飯を木枠の中に詰め、イワシを1枚ずつのせる。蓋をし、上から押して圧をかける。イワシと酢飯が馴染み落ち着いてから木枠から押しぬく。最後に形を崩さないよう切る。最近は握りずし風につくられることも増えてきた。また中南勢・北勢地域においても主に秋祭りにつくられるが、やはり箱ずし中心から握りずし風が増えてきた。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- イワシ: 20尾(長さ約10cm) +- 塩: 適量 +- 酢: 50ml +- 米: 3合 +- しょうが: 1片 +- いり白ごま: 大さじ2 +- 甘酢しょうが: 適量 +- 【合わせ酢】米酢: 大さじ4 +- 【合わせ酢】砂糖: 大さじ1強 +- 【合わせ酢】塩: 小さじ1 + +## 作り方 +1. イワシは頭と内臓を取り、薄い塩水で洗って手開きし、中骨と腹骨を取る。 +2. 盆ざるに1のイワシを並べ、両面に多めの塩をふって一晩おく。 +3. 2のイワシを水で洗ってざるに上げて水分をふき取り、酢に漬けておく。(漬け時間はお好みで) +4. ごはんに合わせ酢(煮きったもの)を混ぜて冷ます。しょうがを千切りにし、かるくすったごまと共に酢飯に混ぜる。飾り用しょうがは薄切りにして個数分(20枚)準備をする。 +5. 4の酢飯をイワシの大きさに握り、3のイワシの汁気をきってのせる。これを寿司型に端から詰めてゆく。その上に薄切りしょうがをのせる。最後にすし型の蓋を押して酢飯を纏める。少し落ち着いたら、蓋を押して枠を外し、底を外して、適当に切って盛りつける。 +6. 大きなイワシの場合は2~3個に切って盛り付ける。甘酢しょうがをそえてもよい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_17_1.jpg)" +"# かきまぜ 三重県 + +**郷土料理名**: かきまぜ + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +東紀州食文化圏(熊野市、御浜町、紀宝町周辺) + +## 主な使用食材 +米、魚、干しいたけ、油揚げ、高野豆腐、ごぼう、人参、さやいんげん、合わせ酢、だし汁など + +## 歴史・由来・関連行事 +一般に言う五目ずし(混ぜずし)のことで、東紀州地域南部独特の料理であり、別名「おまぜ」、「かきまぜ」、「かきまぜずし」などとも呼ばれている。冠婚葬祭などハレ食として食されることが多い。他にも人が寄り集まる際にも、普段手に入らない珍しい食材が手に入った時などにもつくられる。地域によっては町内会の出会い(9月の二百十日頃、道普請や公共道路の草刈りなど。二百十日とは立春から数えて210日目の日のことで9月1日頃にあたる。)などがあり、作業終了後の慰労のためにかきまぜや酒食が準備されるが、この際かきまぜは手を付けずにトイモ(蓮芋のずいき)の葉で包んで持ち帰ると、子どもたちが待ち構えていて大喜びしたという。祝い事の時には、マグロ(シビ)やサンマを使う。マグロはおろして酢に漬けるが、サンマは焼いて身を外して使う。具材を細かく刻んで一緒に煮込み、醤油と砂糖で味付けする。ここに春の山菜を加えることもある。ごはんの方は冷ましてから合わせ酢する場合と、蒸れたごはんに合わせ酢する場合がある。これに魚身を混ぜて食べる。熊野市金山町では地元で沢山とれる大根を主にしてつくられている「大根すし」という料理もある。また、隣接する和歌山県との食文化の共通性もみられ、和歌山県にも「かきまぜずし」という郷土料理がある。 + +## 食習の機会や時季 +冠婚葬祭、人寄せごとなど、また普段手に入らない珍しい食材が手に入った時などにもつくられる。珍しい食材は決して高価なものというわけではなく、例えば山菜や、トイモ(蓮芋のずいき)など、スーパーマーケットにはあまり見かけない特別な食材のことである。 + +## 飲食方法 +炊いたごはんを蒸らし、魚と合わせ酢を加え、切るようにして混ぜる。具材は5種類とか7種類とか奇数取り合わせる。いつの時も魚の酢漬けは必ず入る。具材は細かく刻んであらかじめ煮ておいて混ぜ込む。四季によって具材も変わってくるため、年中飽きがこない。例えば春は各種の山菜、夏には、トイモを塩もみしたものを入れるという。他にも青葉に包んで食べることもあるという。各家庭で味が違う点も特徴の一つである。 + +## 保存・継承の���組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 3合 +- 水(米の2割増): 650ml +- さやいんげん: 55g +- 人参: 70g +- 【合わせ酢】酢: 70ml +- 【合わせ酢】砂糖: 60ml +- 【合わせ酢】塩: 小さじ2 +- 【具】干ししいたけ: 10g +- 【具】油揚げ: 15g +- 【具】ごぼう: 40g +- 【具】高野豆腐: 20g +- 【調味料A】砂糖: 大さじ3 +- 【調味料A】酒: 大さじ1 +- 【調味料A】醤油: 大さじ4 +- 生節または魚の酢じめ(シビマグロ等): 30g +- だし汁: 適量 + +## 作り方 +1. 米を洗って分量の水につけておいて、炊く。 +2. シビマグロはサイコロ状に切って酢につけておく。生節は網にのせて炙り、細かくさいて合わせ酢につけておく。 +3. 【下準備(具材)】野菜の具を切って煮る。(1)干ししいたけ、高野豆腐を水につけてもどしておく。(2)人参、ごぼうは縦に太い場合は6等分(細い場合は4等分)にしていちょう切りにする。(3)高野豆腐、あげ、しいたけを1×0.3×0.3の大きさに切る。(4)さやいんげんは色よくゆで、短い斜め切りにする。(5)さやいんげん以外の材料をひたひたのだし汁を入れて煮、調味料Aで味付けする。煮汁がなくなるまで煮る。 +4. 1のごはんに2の魚と3の具材の味付けを入れて具を均一に混ぜ込む。盛り付けて取り分けておいたゆでさやいんげんの斜め切りを上に散らす。この際あれば、トイモの葉に盛り付けるとよい。 +5. 【注】春にはごんばちと呼ばれるイタドリや、たけのこ、わらび、ぜんまい、ふきなどの山菜を入れるとよい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_18_1.jpg)" +"# ガラガラおろし 三重県 + +**郷土料理名**: ガラガラおろし + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +北勢食文化圏・中南勢食文化圏 + +## 主な使用食材 +大根、油揚げ、ちくわ、ねぎ、柚子、煮干し、赤味噌、白味噌、酢など + +## 歴史・由来・関連行事 +「ガラガラおろし」は、竹でできた専用の鬼おろし器を使ってつくる三重の郷土料理である。江戸時代、年貢として米を納めていたが、米が納められない際、米の代わりに献上したといわれ、食料の乏しさから「ガラガラおろし」を納める地域は年貢米が免除になったといわれている。また、「ガラガラおろし」のガラガラは、「荒い」という言葉を「ガラガラ」と表現していることや、鬼おろし器で大根をおろす時の音からきているとも考えられている。通常のおろし器だと大根の水分ばかりが出てしまうが、鬼おろし器だと大振りで柔らかく軽やかな大根おろしが一度に大量につくることができるのである。鬼おろし器は、各家庭で手づくりしたものを使うことが多く、嫁ぐ際は嫁入り道具の一つとして母から娘に持たせていたという。また、各地域によって呼称や材料が異なり、北勢地域の鈴鹿市下大久保町や菰野町下野では「ガラガラおろし」、中南勢地域の松阪市嬉野町合野は「ガタガタおろし」、同じく松阪市笠松町では「パリパリなます」または「かみたれなます」などと呼ばれている。「ガラガラおろし」は、冠婚葬祭や他に人が集まる正月や祭りなど行事の際につくられ食されているハレ食だったが、日常の食卓でも出されていた。由緒は全く異なるが、鬼おろし器で大根を下ろす点は栃木県の「しもつかれ」と似ている。 + +## 食習の機会や時季 +冠婚葬祭や他に人が集まる正月や祭りなどの行事の際によく食されていたため、通年食べられている。箸休めの一品としても愛されています。家庭ごとにつくり方が異なるため、合わせる具は、煮干しと油揚げ、ねぎが基本となるが、煮干しが苦手な家庭は、代わりにジャコや焼いたサバを入れたり、ちくわやかまぼこを加えることもあるという。伊勢湾台風の時、5段の寿し押し型をはじめ、鬼おろし器などが一切流されたためつくられていなかったが、またつくられるようになってきている。 + +## 飲食方法 +頭と内臓を取り除き、細かく割った煮干しを、ひたひたの酢につけておく。油揚げ、ちくわ、ねぎなど具材をを細かく切り、おろして塩をまぶした大根をしぼる。すり鉢にごまを加えすり混ぜる。赤味噌、白味噌、砂糖を更に加えよく混ぜる。すり鉢に酢につけた煮干しと大根おろしを入れ、最後���みじん切りした柚子を振る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根: 550g +- 塩: 少々 +- 煮干し: 25g +- 酢: ひたひたになるくらい +- 油揚げ: 1と1/2 +- ちくわ: 1本 +- ねぎ: 1本 +- 柚子: 1/3個 +- ごま: 20g +- 赤味噌: 大さじ1 +- 白味噌: 大さじ1 +- 砂糖: 35g + +## 作り方 +1. 大根は鬼おろし器でおろし、塩をしておく。 +2. 煮干しは頭と内臓を取り除き、細かく割き、ひたひたの酢につけておく。 +3. 油揚げ、ちくわ、ねぎ、みかんを細かく切る。おろした大根をしぼる。 +4. すり鉢にごまをすり、赤味噌、白味噌、砂糖を加えよく混ぜる。 +5. 4の中に2と3を加え、混ぜ合わせる。器に盛り付け柚子のみじん切りを振る。 +6. 【注】(1)おろした大根はしぼりすぎないこと。水分が抜けるとパサパサして美味しくなくなる。(2)煮干しは前日処理して酢につけておくと柔らかくなって美味しい。(3)柚子がない時はみかんで代用する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_19_1.jpg)" +"# きゅうりの冷や汁 三重県 + +**郷土料理名**: きゅうりの冷や汁 + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +伊賀食文化圏 + +## 主な使用食材 +きゅうり、味噌、白ごま、煮だし汁 + +## 歴史・由来・関連行事 +伊賀地域では夏場は盆地特有の蒸し暑さが増して食欲がなくなるので、暑い夏を乗り切る知恵として、冷たい味噌汁をつくり盛んに食べられてきた。全国各地にも地域独自の冷や汁が存在しているが、宮崎県の冷や汁の由緒について、鎌倉時代の「鎌倉管領家記録」に「武家にては飯に汁かけ参らせ候、僧侶にては冷汁をかけ参らせ候」との記載があるように、僧侶によって全国に広められ、その影響で宮崎県に広まったと言われている。しかし三重県では原則ごはんにかけるものではなく、冷たい汁物として広くつくられている。簡単な調理法なので家庭によって少しずつ味が異なる。 + +## 食習の機会や時季 +食欲が落ちやすい夏場に冷たい味噌汁を夏バテ対策として食べられるようになった。さらにご飯にかけることで食欲が増し、食べやすくなる効果もあり、こういう食べ方をする人もある。 + +## 飲食方法 +煎ったごまをすり鉢に入れよくすり、味噌を入れさらにすりこむ。輪切りにしたきゅうりを加え、混ぜ合わせる。きゅうりが幾分かしんなりしたら、最後に冷やした煮だし汁を入れる。刻みねぎを散らしてもよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ミックス味噌: 60g +- 白ごま: 大さじ2 +- きゅうり: 2本 +- 煮だし汁: 1200ml + +## 作り方 +1. すり鉢に煎ったごまを入れよくする。 +2. 1に味噌汁をつくる程度の分量のミックス味噌を入れさらにすりこむ。 +3. 予め冷蔵庫で冷やしておいたきゅうりを3mm位の輪切りにし、味噌とごまをすり合わせた中に入れ、混ぜ合わせる。 +4. きゅうりが軽くしんなりしたら、冷たくした煮だし汁を入れてできあがり。刻みねぎや千切り青じそを散らしても良い。香りがよくなってさらに食欲が増す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_20_1.jpg)" +"# こうなごのくぎ煮 三重県 + +**郷土料理名**: こうなごのくぎ煮 + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +北勢食文化圏、中南勢食文化圏、伊勢志摩食文化圏(主に鳥羽)の伊勢湾岸沿い + +## 主な使用食材 +コウナゴ、ザラメ、濃口醬油、清酒、みりん、しょうが + +## 歴史・由来・関連行事 +春を告げる魚と言われるコウナゴは、イカナゴの別名。三重県では専らコウナゴと呼ばれる。コウナゴは元々釜揚げかちりめんにするのが一般的であったが、神戸で1935年に佃煮がつくられたのがはじまりで、その後神戸から三重県に原料となる生コウナゴの買付けが広がり、三重県でも佃煮をつくることがはじまった。コウナゴの佃煮は、イワシ類の稚魚(じゃこ)などと違い、体長が細長いので、煮ると折れ曲がったようになり、そのさまが錆びた釘に見えることから「くぎ煮」と呼ばれている。元々は三重県と愛知県の漁業者が相談して解禁日を決めて漁獲を始めていたが、昭和50年代にかけて、イカナゴの漁獲量が極端に少なくなってしまったことから、漁獲量を厳しく制限するようになった。乱獲による親の数の減少を防ぐことが絶対に必要なため、行政・漁業関係者・加工流通業者・研究者・行政担当者の努力によって、春の風物詩であるコウナゴを守る努力をしているが、ここ数年は、資源量が激減し、禁漁となっており、わずかに残った親魚を保護し、資源回復を待っている。 + +## 食習の機会や時季 +伊勢湾のコウナゴ(イカナゴ)は、12月から1月にかけて伊勢湾口部で産卵をし稚魚は湾内で成長する。毎年2月下旬に試験引きをおこない、解禁日を決めていたが、この5、6年は禁漁となっている(2021年時点)。獲れたての鮮度のよい、体長3~4cmのものをくぎ煮にする。春にかけて出回る10cm程度の大きさになる成魚は煮たり焼いたり酢の物にして食べるが大変美味しい。 + +## 飲食方法 +鍋に中ザラメ、醬油、清酒、みりんを入れ強火にかける。ザラメが溶けて煮立ったら、洗ったコウナゴと千切りにしたしょうがを少しずつ入れ、煮汁の温度を下げないようにしながら、煮汁が少なくなるまで煮る。火を弱め全体を何回か鍋返しして、焦がさぬように煮切る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (コウナゴ4kg分) +- コウナゴ: 4kg +- 中ザラメ: 800g +- 醬油: 800ml +- 清酒: 800ml +- みりん: 400ml +- しょうが: 200g + +## 作り方 +1. 鍋に中ザラメ、醬油、清酒、みりんを入れ強火にかける。 +2. しょうがは千切りにし、コウナゴは1/4程さっと洗い、ざるにあげ水けをきる。 +3. 1が煮立ちザラメが溶けたら、2のコウナゴの半量をパラパラと全体に入れ、しょうがも1/8程加えていく。 +4. コウナゴが白く色が変わったら、2の残りの半量のコウナゴとしょうがを同時に加えていく。 +5. これをくり返し、全量入ったら煮汁が少なくなるまで煮る。(3、4を繰り返す間、絶対にかきまわさないようにすること) +6. 火を弱め全体を何回か鍋返しして、焦がさぬように煮切る。 +7. 鍋からパイレッシュ(バット)に移し、広げて冷ます。 +8. ※コウナゴを何回にも分けて入れるのは煮汁の温度を下げないようにするため。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_21_1.jpg)" +"# 雑煮 三重県 + +**郷土料理名**: 雑煮 + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +餅(角餅・丸餅・押し餅)、小松菜、里芋、大根、ねぎ、豆腐など※地域によって具材が変わる。 + +## 歴史・由来・関連行事 +三重県は東と西の文化が混沌としている全国でも特殊な地帯である。畿内を守る伊吹山系と鈴鹿山系といった城壁と三関止めで、東の簡略化文化の西への流れはブロックされて南下し、伊勢平野に急速に影響を及ぼした。東紀州地域には帆船の時代に海の道から東の文化がもたらされた。本来、律令の時代からの風土の違いで分類されていた四つの国の三重県に東西の文化が混淆して根付いた。一方、2千年の伝統がある伊勢神宮の関係から御饌の志摩国や伊勢湾内の離島に古来の文化も残った。こうした複雑さは、節会の雑煮に古今東西の混淆文化圏として受け継がれた。雑煮でいえば、餅の形状である。峠越えで伝播してきた公家文化の西の丸餅の所に、簡略化された武家文化が成熟すると東の角餅(熨斗餅)は西に急速に波及するも、伊吹山系と鈴鹿山系の山並みでブロックされて南下し、三重県に入り込んで混淆地帯になった。さらに、地域によって湯炊き、水炊き、焼き餅が見られる県である。粟餅と白餅を入れた金銀餅もある。今では姿を消したが昭和初期までは餅なし正月の小豆汁文化も離島では受け継がれ、その名残の湯がいた小餅に小豆あんを付けて食べる風習が今も残っている家がある。 + +## 食習の機会や時季 +年の初めの正月の雑煮は、若水と共に神棚に供え、福茶と共に仏壇に供え、その後、家族そろって副茶を飲み雑煮を食べる。 + +## 飲食方法 +餅の扱いについて、湯炊きの地区は具材が煮え、だし汁が沸騰してから餅を入れる。焼餅の地区は、椀に両面焼した餅を入れてから汁と具材を椀に入れ、食べる。汁は澄まし汁の地域とみそ汁の地域がある。地域によって具材は変わ���、餅(角餅・丸餅・押し餅)、正月菜(主に北勢地域)の他に、里芋と大根(主に中南勢地域)、里芋・大根・ねぎ・豆腐(伊賀地域)、他に具だくさんの地域(東紀州地域)では人参等根菜や鶏肉を使う家もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分※東紀州の雑煮) +- 切り餅: 4切 +- 大根: 100g +- 小松菜: 120g +- しいたけ: 4枚 +- 人参: 100g +- 里芋: 4個 +- ねぎ: 少々 +- 煮だし汁: 700ml +- 醤油: 20ml +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 【東紀州の雑煮 手順1】餅は湯で煮て柔らかくしておく。または焼いて熱湯を通す。 +2. 【東紀州の雑煮 手順2】大根・人参は円形または半月切り、里芋は円形に切る。小松菜はゆで3~4cmに切る。しいたけはもどして亀甲にする。 +3. 【東紀州の雑煮 手順3】煮だし汁としいたけのもどし汁、調味料で澄まし汁をつくり、ここに2を入れて加熱し、野菜が柔らかくなったら1を入れ、再度調味して、お椀に盛り付ける。好みで小口切りねぎを散らす。 +4. 【注:北勢の雑煮】餅は切り餅、これを湯で柔らかくしておく。(湯炊き)澄まし汁を準備し、餅菜を4~5cmに切って入れ、柔らかくなったらこれに餅を入れる。椀に盛り、カツオ節をかける。 +5. 【注:中南勢の雑煮】具は大根は輪切り、里芋は丸のまま、年末に鍋一杯に煮ておく。(茶色く煮込まれている)正月に味噌汁をつくり、角餅と具材を煮て、柔らかくなったら椀に盛り付ける。 +6. 【注:伊賀北部のお雑煮】餅は丸餅で、筵の上で押さえて模様を付ける。(花びら餅という)焼き餅にする。澄まし汁を用意し、丸い里芋、輪切り大根を煮て、焼き餅を入れる。最後に青菜を入れることもある。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_22_1.jpg)" +"# たこ飯 三重県 + +**郷土料理名**: たこ飯 + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +伊勢志摩食文化圏(主に鳥羽市) + +## 主な使用食材 +タコ、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +わが国でのタコ食用の歴史は古く、三重県においても、カキの貝殻が多く見つかったことから名付けられた桑名市の蛎塚新田(かきづかしんでん)の貝塚からタコ壺らしき漁具が出土している。伊勢神宮式年遷宮諸祭のひとつ山口祭の饗膳には、干しサメやエビとともにタコも供されている。また、十月におこなわれる津八幡宮祭礼にもタコと里芋を炊き合わせた料理が神饌のひとつとして供えられて、八幡町の古い氏子の家では祭にこれを調える習慣が現在も残っている。このように、周年捕獲されるタコは身近な食材として古くから利用されてきた。三重県では真ダコや長ダコがたくさんとれる。中でも鳥羽市にある答志島(とうしじま)では、さし網、まき網、釣りなどのさまざまな種類の漁業や、ワカメ・のりの養殖がさかんで、年間を通じてたくさんの魚介類がとられており、タコ壺を用いたタコ漁もその中のひとつ。干しタコの製造もさかんで、漁港では、寒くなると足を広げて天日に干されたタコがゆらゆらとゆれている風景が見られる。伊勢湾口の速い潮流の中で育った真ダコは身が締まってとても美味しく、特に伊良湖水道の荒波にもまれた神島産の真ダコは 「潮騒タコ」と呼ばれ、たいへん人気がある。また、鳥羽市には「たこめし」が有名な畦蛸(あだこ)という町がある。地名の由来は不詳ではあるが、「嵐の日に大波に乗ってタコが田んぼの畔(あぜ)までやってきた」、「月夜になると蛸(たこ)が畔(あぜ)の水路まで泳ぎ登ってきたから」などといわれている。畔蛸では「多幸めし」とも呼ばれている。 + +## 食習の機会や時季 +伊勢湾へと流れ込む木曽三川の水と、太平洋の海水が混ざり合う鳥羽の海は豊かな漁場であり、そこで育つタコは旨味が濃くプリプリとした食感で、地元でもよく食される。タコ漁はタコ壺を使って、一年中おこなわれている。たくさんとれるのは夏場だが、冬のタコも柔らかくて美味しく、一年中そのタコを使った「たこめし」が食べられる。 + +## 飲食方法 +タコのつけ液(調味料)と生タコを米と一緒に炊き込むシンプルな料理である。具は人参を入れる場合もあるがあまり色々な具は入れない。タコは生のものを使��するのが本来であるが、生が入手できなかったら干しタコを戻して入れる、売りものにならない小さなタコを入れるなど、地域や家庭によってさまざまである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- タコ(生): 350g +- 米: 3カップ +- 醤油: 大さじ2 +- 酒: 大さじ3 +- みりん: 大さじ1 +- 塩: 小さじ1(タコのぬめり取りの塩は分量外) +- しょうがのしぼり汁: 適宜 + +## 作り方 +1. 米は洗ってざるにあげておく。 +2. タコは内臓を取り除き塩で十分に揉んでぬめりを取る。 +3. 下ごしらえしたタコは、適当な大きさにぶつ切りして、分量の調味料を全部合わせた中に20分程度つけこんでおく。(塩は後から) +4. 炊飯器に米、塩、タコを漬けた調味液も加え、味をととのえて水加減する。 +5. 最後にタコを入れてざっくりとかき混ぜて炊く。 +6. 盛り付ける時、上に細かく切った青ねぎを散らしても良い。 +7. 【注】(1)タコはしょうがのしぼり汁を入れた調味液で生臭みを消す。(2)生ダコがない時は干しダコをもどして使用するとよい。(3)本来具はタコのみであるが、お好みで人参、こんにゃく、ごぼう等を入れて五目ごはんにしても良い。ただタコの味を妨げる干ししいたけや油揚げ、ちくわなどは使用しない方が良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_23_1.jpg)" +"# ないしょ餅/なべ餅 三重県 + +**郷土料理名**: ないしょ餅/なべ餅 + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +中南勢食文化圏 + +## 主な使用食材 +もち米、うるち米、よもぎ、あん、きな粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +餅はおめでたい時の食べ物なので、臼と杵で餅をつくと近所にも配るのが一般的であるが、日常生活の中で餅を食べたいときに餅をつくと目立ってしまうために、隣近所に聞こえないように、杵と臼を使う代わりに、鍋の中で蒸した米を半づきにしてつくって食べていた。どうしてももち米よりうるち米の方が潰れにくいので、粒々の残ったやじろ餅(たがね餅)風になるのでさっくりして食べやすい。あまりに美味しいため家族だけで内緒で食べていたことや、ペッタンペッタンと音がしないのがそのユニークな名前の由来という。また鍋の中ですりこ木のようなものでつくので「なべ餅」とも呼ばれている。米粒が残っているのが特徴で、餅というよりおはぎのような食感が楽しめる。近年は町の中央を流れる三重県内で最長の河川「宮川」の河原に自生するよもぎを使用したり、中流域で盛んな農村地帯で生産される米を活用し、地産地消の地域づくりが進められている。 + +## 食習の機会や時季 +つくり方が非常に簡単なので、いつでもつくれ、通年食べられている。よもぎは春に摘んで、湯がいて刻み冷凍しておくと年中たのしめる。よもぎを入れないバージョンもある。 + +## 飲食方法 +もち米とうるち米を一緒に洗い炊く。よもぎは細かくきざみ、あんは均等に丸めておく。米が炊き上がったら、よもぎをのせて15分ほど蒸らす。蒸らしたもち米に塩を混ぜて鍋の中でつく。餅のように粘りが出てきたらあんの数に分け、あんを包んできな粉をまぶす。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (30個分) +- もち米: 3カップ +- うるち米: 2カップ +- よもぎ: 200g +- あん: 900g +- 塩: 大さじ1 +- きな粉: 適量 + +## 作り方 +1. もち米とうるち米を一緒に洗い炊く。 +2. よもぎは生の場合は予め色よくゆでて、細かくきざんでおく。 +3. あんは約30g位ずつ30個に丸めておく。 +4. 米が炊き上がったらよもぎをのせてむらし、15分程したら塩を混ぜて鍋または大きなボール等にあけてその中ですりこ木等でつく。熱いうちにつく。※よもぎについては、ついている間に色を見て少なければ追加、濃いようなら減らす。 +5. 粘りが出て餅のようになったら、30個に分け、あんをくるんできな粉をまぶす。 +6. 【注】甘いのが好みであればきな粉に砂糖を混ぜるとよいが、時間が経つとべとべとになるので、砂糖を入れたきな粉は食べる直前にまぶすとよい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_24_1.jpg)" +"# ���菜の漬物 三重県 + +**郷土料理名**: 野菜の漬物 + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +野菜類、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +三重県内には、さまざまな野菜の漬物がある。鈴鹿山麓地域をはじめ中南勢・東紀州地域でも漬けられている「日野菜漬け」、今から約300年前、松阪城を築いた蒲生氏郷が、近江の国(現在の滋賀県)から伝えたとされ、松阪市が生んだ国学者、本居宣長が「香の物」として好んで食べた記録が残っている「松阪赤菜」、これは一旦絶えたが2001年に県科学技術振興センター保管の種がJAを通じて生産者に渡り、生産が復活された。日照の多い中南勢地域の畑で育つ御薗(みその)大根を漬けた「伊勢たくあん」、伊賀地域では白瓜をくり抜いた中にきゅうりやしその葉や実、しょうがなどを刻んで詰め込み、味噌だまりに漬け込んだ「白瓜の鉄砲漬け」、在来種のアブラナ科で常陸国の秋田氏が伊勢国朝熊に蟄居(ちっきょ)させられた際、種を持参して始まったとされ、朝熊山麓の底冷えする寒さと霜にうたれることによって、口当たりよく柔らかに育つ小菜を塩漬けした「朝熊小菜の漬物」、熊野市の山間地域で多く栽培されているピリッとした辛さが特徴の赤しそたかなをシンプルに塩だけで漬け込んだ「高菜漬け」は、漬け上がった高菜をサッと水洗いし、軽くしぼって葉を広げごはんをのせ、俵状にくるんだ「めはりずし」にも活用されている。夏の暑さを乗り切るのに最も効果的なヤツガシラの茎を塩と赤紫蘇で漬ける東紀州北部の「茎漬け」など、それぞれの地域に根付いた多種多様な野菜の漬物がある。 + +## 食習の機会や時季 +発酵という過程を経ることで保存性や食味や栄養価が増す漬物は食生活・食卓には欠かせないものになっている。また野菜によって漬ける時期も異なり季節を感じることができる。 + +## 飲食方法 +野菜を塩漬けしたものが基本的な漬け方だが、今でも家庭で漬けられたり、市販品も多く出回っている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (漬物容器1個分 ※「八つ頭の茎漬け」の場合) +- 八つ頭の茎(茶色の茎の葉や芯を取り除く): 10kg +- 天塩: 500g +- 赤しそ葉: 1kg +- 塩: 一掴み +- 梅酢(または酢): 100ml +- 本漬けする時の呼び水(すでに本漬けした漬けあがり液): 1300ml +- 漬物容器(海山町では長方形の茎漬け専用の漬物容器を売っている): 適量 +- 重石(数個で重量20kgにする。それぞれの石の重さを計量し書いておく): 適量 + +## 作り方 +1. 【茎の準備】畑の八つ頭は、掘らずに地上の茎を水平に刈り取る。(1)茎は、しっかりした太い肉厚の茎がよい。茎先で葉を切り離す。(2)茎についた泥を洗い落とし、水を切っておく。(3)茎の中に芯のように新芽が包み込まれているのを取り除く。皮はむかない。 +2. 【茎の計量】太い茎を優先し、軽量する(太い茎は、味がよく皮はぎも楽。細い茎は皮をはぐとき扱いにくい。) +3. 【仮漬け】(1)茎に塩をまぶす。太い茎や株元に多めにしっかりまぶす。(2)容器に、茎の先と株元を交互に入れ、容器に茎が水平に収まるように入れる。(3)蓋をして重石をする。茎10kgに対して重量20kgをのせる。重石の圧が全面に均等にかかるように、容器と蓋との間隙は少ないほうがよい。蓋は上部で、取り扱い易い構造が良い。重石は、数個で全面に均等に押したほうが使い良い。(4)一昼夜おくと、茎から水(浸出液)が出ている。この水は捨てる。 +4. 【本漬け】(1)呼び水の本漬けの漬け上がり液を、底に入れる。(2)茎をもんで柔らかくして、もとの漬け容器に並べる。茎の硬い部分が残っていたら、塩をこすりつけると柔らかく漬かる。(3)赤しそは、一掴みの塩でもんでアクを出し。梅酢100ml(無ければ酢)で色出しする。色だししたしそは、茎を並べ、しそを散らし、茎を並べしそを散らす要領で、まんべんなく色や風味が均等につくように入れる。(4)一番上もしそを散らし、呼び水をまんべんなくかけ、蓋をして、重石20kgの圧力が平均にかかるようにおく。 +5. 【裏返し】(1)翌日は、味や色が均等になるように、上にあった茎を底へ、底の茎を上へ位置をかえ、蓋をして重石をする。(2)翌々日も裏返す。こうして何回も手を加え全体がまんべんなく漬かるようにする。(3)重石は、最初は20kgで圧し、少しずつ日毎に軽くしていく。重石を日毎に減量しながら、茎の中に汁を含ませ漬け上げていく。 +6. 【茎漬け完成】4~5日目にはしその香りのする美味しい八つ頭の茎漬けができる。 +7. 【食べ方】漬けあがった後1本づつ取り出し、茎の長いまま、中央部分を持ち挙げて、皮をつまんで両側に引っ張ると皮がむける。何度か繰り返して全面の皮をむく。小口から細かく切り、生節のそぎ切り、おろししょうがを混ぜる。お好みで醤油を垂らす。暑い夏には最高の味わいである。 +8. 【注】保存は必ず冷蔵庫を使用する。室温では発酵が進み、味・色共に悪くなる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_25_1.jpg)" +"# まんぼう酢味噌あえ 三重県 + +**郷土料理名**: まんぼう酢味噌あえ + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +東紀州食文化圏 + +## 主な使用食材 +マンボウの身、肝、味噌、砂糖、酢、塩、練り辛子 + +## 歴史・由来・関連行事 +志摩地方から南紀にいたる熊野灘沿岸にみられる伝統漁の際に、マンボウが捕獲されてくることがある。波間に横たわった姿を目撃されることから「海ののんき者」といわれるが生態はまだ分からないことが多いというマンボウ。歯ごたえがあり、白身魚や鶏のささみのような食感である。マンボウは長時間湯に入れておくと身が無くなってしまうため、煮込まずあっさりとゆでる方法で調理される。ややクセがあることから、地元では和え物の「まんぼうの酢味噌和え」や「まんぼうの肝入り味噌和え」などにして食べることが多い。その他、歯ごたえのある小腸(コワタ)は、上ミノをさらに上品にしたような歯ごたえで、珍味中の珍味としてお酒の肴として食べられる。その他、小腸の干物など、都会の人には滅多にお目にかかれない料理が地元では味わえる。マンボウは既に江戸時代初期に出版された「料理物語(料理秘伝抄)」の中に、マンボウが「うきき(浮木、浮亀とも書く)」という名前で登場し、調理法として霜降りにしてしょうが酢で食べる方法が示されている。水戸の名物であったという。 + +## 食習の機会や時季 +普通は水族館に行かないとみられないマンボウだが、東紀州地域ではスーパーマーケットでも切り身で販売され、家庭でも食されている。主に、ブリなどを狙う定置網で漁獲されるため、水揚げは冬場に多い。 + +## 飲食方法 +伝統的な食べ方は、マンボウを適当な大きさに切り、手で裂き、ゆでてざるに上げ水気をきる。マンボウの荒熱がとれ冷えたら、マンボウと酢味噌を合わせよく和える。好みで練りからしを加える。または肝酢味噌和えなどもよいが、最近の食生活の変化に対応して、から揚げや天ぷら、ムニエル、ソテーなど魚というより鶏肉感覚での料理が特に若者中心に食べられている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- マンボウの身: 400g +- 味噌: 小さじ3 +- 白砂糖: 小さじ2 +- 酢: 小さじ2 +- 塩: 少々 +- 練りからし: 好み + +## 作り方 +1. マンボウは適当な大きさに切り、手で裂く。たっぷりの湯でゆで、中まで火を通す。ざるに上げて水気をきる。 +2. 白味噌、砂糖、酢を合わせ酢味噌をつくる。味をみて好みにととのえる。 +3. マンボウが冷えたら、マンボウと酢味噌を合わせよく和える。 +4. 練りからしは好みで加える。 +5. 【注】肝和えにするなら、予め肝を湯がいておき、冷めたらすり鉢ですり、そこへ調味料を入れて更に摺り、均等にして、肝和えの和え衣をつくる。(肝の量は好みでよい) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_26_1.jpg)" +"# 魚のたたき/なめろう 三重県 + +**郷土料理名**: 魚のたたき/なめろう + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +東紀州食文化圏、伊勢志摩食文化圏(熊野灘沿岸の漁村一帯) + +## 主な使用食材 +小アジ・イサギ等小形の鮮魚、カツオなど大型魚の身、大葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +熊野灘沿岸の志摩地方から東紀州地方の漁師街での背の青い小型鮮魚の食べ方の一種に「たたき」がある。船で出てとれたてのものを、さらに新鮮に美味しく食べるために生まれたのが「たたき」である。志摩地域の一部の地区での「なめろう」の呼称は、東紀州地域ではこの呼称は見られない。三重県の語彙を8万6千語集めた『三重県方言民俗語集覧』(全6巻別1巻)にも「なめろう」記述はなく、黒潮の海の道での伝播で房総半島から入ってきて、志摩地域の一部で使われた始めたものと思われる。 + +## 食習の機会や時季 +年中だが、寒い時期によく食べられる。10月頃に水揚げされるカツオは「戻りガツオ」と呼ばれ、脂が乗った濃厚な味が楽しめる。好みの薬味を入れて豪快にたたいて食べるのが美味しい。 + +## 飲食方法 +小型の鮮魚は頭と内臓、うろこをはずし、骨も皮も含めて包丁でたたき、ドロドロ状にたたく。途中、大葉や薬味を入れた場合、さらに包丁でたたいて仕上げる。これを大葉にすくって醤油をつけて食べる。また、味噌汁にだんご状にして落とし入れて、具材の一品にすることもある・カツオのような大型の鮮魚での「たたき」は、漁であがったすぐの生きたままの魚を三枚におろし、これを厚く刺身状作りにしたものを同じ呼び方をしている。陸に上がってからつくる「刺身」と区別している。ただカツオの剥き身(すきみ)を用いて、同様に調理したものはカツオのなめろうと呼んでいる。また、そのまま食べても美味しいが、熱いごはんにのせて茶漬けにしたり、フライパンで焼いてハンバーグ風にするのは最近の傾向である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- アジ: 5匹 +- 味噌: 適宜 +- 大葉: 数枚 +- しょうが: 1かけ +- 【調味料A(二杯酢)】塩: 少々 +- 【調味料A(二杯酢)】酢: 適宜 +- 【調味料A(二杯酢)】醤油: 適宜 + +## 作り方 +1. アジを氷に入れた塩水に5~6分つけた後、うろこを落とす。 +2. アジのぜいごを取り、頭を落とし、腹わたを取る。流水で腹をきれいに水洗いする。大きい場合は3枚におろす。水気をしっかりふきとる。 +3. 小アジの場合は骨ごと包丁でたたく。3枚におろした場合は小さく小口に切り、それから包丁でたたく。その際、大葉、味噌、しょうがも一緒にたたく。 +4. 器に盛り付け、調味料Aをつけて食べる。 +5. (注)大葉の上に魚身を載せ、醤油をつけて食べることもある。このとき、薬味を載せてもよい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_27_1.jpg)" +"# ちゃつ 三重県 + +**郷土料理名**: ちゃつ + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +北勢食文化圏・中南勢食文化圏 + +## 主な使用食材 +大根、人参、れんこん、昆布、油揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +人寄せ事の際につくられる郷土料理。もともと僧堂(そうどう)や仏事でつくられていた精進料理で、盛り付ける器が端は少し外側に反り、糸底は少し高く、朱漆塗りの木製皿で、その名前が「ちゃつ(楪子)」と呼ばれるものであったためで、それに盛り付けられていた料理であることから、この名前がついたとされている。ただ現在「ちゃつ」は懐石家具として茶懐石料理で使用され、なす田楽やお浸しなどが向付(むこうづけ)として盛り付けられている。「ちゃつ」は料理を白く仕上げるために、醤油を使用しない点が特徴である。北勢地域の特に朝日町に古くから伝わる郷土料理で甘酸っぱい味が食欲をそそる。朝日町は海に面していないため、野菜を使った「ちゃつ」が郷土の味になったといわれている。四日市やその他の中南勢地域では「煮あえ」とも呼ばれている。昔は梅干しを漬けたりする茶色の瓶に入れて保存し、冬場なら2、3週間はもっていたといわれ、栄養的にも保存食としても優れた郷土料理である。同じく北勢地域に、材料はよく似ているが、醬油を使用する「煮なます」という料理もある。 + +## 食習の機会や時季 +かつては法事やお正月など、人が集まるときにつくっていた。2、3日おくと味がよりしみて、酢の酸味も柔らかになる。保存できるのは1週間ほどである。 + +## 飲食方法 +大根、人参、昆布、油揚げは千切りにする。れんこんは細いところを薄切る。切ったすべて��材料を鍋に入れ、酢、砂糖、塩少々、水適量で煮る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根: 100g +- 人参: 30g +- れんこん: 30g +- 昆布: 10g +- 油揚げ: 20g +- 酢: 大さじ1 +- 砂糖: 大さじ1 +- 塩: 小さじ1 +- 水: 適量 + +## 作り方 +1. 大根は千切り、人参も千切り(大根の1/3量)、昆布も細く切る。れんこんは皮をむいて太いところはいちょう切り、細いところを薄切り、油揚げ、昆布は千切りにする。 +2. 材料はみな一緒に鍋に入れ、酢、砂糖、塩少々、水(適量)で煮る。 +3. 【注】(1)あまり煮過ぎないこと。シャリシャリ感が残っている方が美味しい。(2)別法として、それぞれの材料を別々に煮て下味を付け、最後に全部を調味液で混ぜ合わせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_28_1.jpg)" +"# 魚の漬物(塩辛) 三重県 + +**郷土料理名**: 魚の漬物(塩辛) + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +伊勢志摩食文化圏 + +## 主な使用食材 +イワシ、サンマ、サバ、カツオ、魚の内臓など + +## 歴史・由来・関連行事 +熊野灘に伊勢湾から真水を大量に含んだ内湾の流れが合流するそこはプランクトンが多く、ここにイワシ等の小形の魚が集まり、これを食べるカツオ等の大型魚も集まる好漁場となる。そこで大量にとれた魚の保存方法として塩干物づくりが発達する。その一つとして一匹成りの各種「魚の漬物」が生まれた。サンマの呼称は「サイラ」で塩辛(塩をして魚を漬けたもの)を「しょから」と表現することから「サイラのしょから」という。一方で、志摩地方の和具地域で「わたじょから」と呼ばれる塩辛もつくられる。こちらの材料は、カツオやカマスやサワラである。カツオの内臓を使う「かつおのしょから」もつくる。これは最近まで漁に出た漁師が、とりたてのカツオの廃棄される内臓を使って、船の上でつくって持ち帰っていた。いずれにしても冷蔵庫の無い時代、大量に水揚げされた鮮魚の保存から生まれたものである。長期物は秋から冬場に漬けて春に食べる。塩辛の原理は、一方で多量の食塩による防腐と他方で自己消化酵素による旨味の生成、ならびに微生物による臭いの生成によって特有の香気を得るものである。従って、漬けあがった魚を3枚におろすと、身が透き通るような赤さを示し、非常に美しい。 + +## 食習の機会や時季 +サンマのような小ぶりのものは丸のまま塩又は塩糠で、少し大きなものは塩で、同様に沢庵漬けのように甕(かめ)や桶に漬けられて保存される。大量にあがる鮮魚の保存として生まれた魚の漬物で、大型のカツオは内臓をはずして頭もつけたまま一本なりに塩をふんだんに使って漬け込まれる。多くは秋や冬に漬けて春に食べる。 + +## 飲食方法 +サンマの糠漬けの場合、志摩地域の和具や越賀で食べるときに取り出した魚の糠を箸で少し取り除き、これを三つに切って食べる。サバも原則は一本のまま漬け込むが、安乗地域のように3枚におろして身を適当に切って漬け込むこともする。浜島地域では晩春から初秋にあがるカツオは内臓を省いて3~4ヵ月一本のまま漬け込む。いずれにしても大量にあがった鮮魚の保存のためにできた食べ物である。1匹なりのものは3枚におろして、小口から薄く切って盛り付ける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (漬物容器1個分) +- イワシ・サンマ・サバ・カツオ: 適量 +- 塩(又は塩と糠を適量): 3~5kg + +## 作り方 +1. サンマに塩をし漬け込む。塩と糠で漬け込む地域や家もある。 +2. 短期間で食べる場合のサンマは丸のまま、幾分長期に漬け込むには内臓をはずす。 +3. カツオ等大型のものは、内臓を取り除いたその内側にもしっかり塩をかまして漬け込む。 +4. 地域によってはサバを3枚におろし、身を適当に切って、塩漬けにする場合もある。いずれも、塩の量は食べる時期や魚の種類や量で適当に調整する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : みえ食文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_29_1.jpg)" +"# 落花生の煮豆 三重県 + +**郷土料理名**: 落花生の煮豆 + +**都道府県**: 三重県 + +## 主な伝承地域 +東紀州食文化圏、中南勢食文化圏 + +## 主な使用食材 +落花生、だし汁、砂糖、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +東紀州地域南部や中南勢地域では日照が多く、平均気温も高いので落花生の生育に適している。そのため昔から落花生がたくさん栽培されており、掘りたての十分実入りしていないものをゆでて食べたのが始まりといわれている。落花生は煎って食べるだけでなく、色々な料理に使用される。煮豆でも五目煮豆もあり、「落花生ご飯」などもある。昔は栄養失調になったら落花生を食べたら治るといわれており貴重な栄養源であった。 + +## 食習の機会や時季 +今年もまめ(健康)に暮らせますようにとの願いを込めて正月につくられる黒豆(煮豆)は、東紀州地域では落花生でつくられる。その他お盆や入学式など、多くの行事の際につくられている。 + +## 飲食方法 +殻をむいた落花生を一晩水につけておく。鍋に落花生と水を入れ、ふきこぼしてアクをとる。煮汁を捨て、ひたひたになるまでだし汁を入れ、柔らかくなるまで煮る。柔らかくなったら、砂糖を入れてしばらく煮る。最後に酒、醤油を入れ、味がしっかりしみこむまで更に煮る。地域によっては醤油を使用しない煮方もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 落花生: 3カップ +- だし汁: 適量 +- 砂糖: 90g +- 醤油: 大さじ4 +- 酒: 大さじ4 + +## 作り方 +1. 殻をむいた落花生を一晩水につけておく。 +2. 鍋に落花生と水を入れ、ふきこぼしてアクをとる。(2回) +3. 煮汁を捨て、ひたひたになるまでだし汁を入れ、柔らかくなるまで煮る。(だし汁が減ったら追加する) +4. 柔らかくなったら、砂糖を入れてしばらく煮て酒、醤油を入れ、味がしっかりしみこむまで煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「三重の味 千彩万彩」(みえ食文化研究会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_30_1.jpg)" +"# いさざ豆 滋賀県 + +**郷土料理名**: いさざ豆 + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +長浜市、高島市を中心に県内全域 + +## 主な使用食材 +イサザ、大豆、醤油など + +## 歴史・由来・関連行事 +「いさざ豆」は、琵琶湖の固有種でハゼの一種であるイサザと大豆を合わせて佃煮にした料理である。「いさざ豆」は湖北地域を中心に県内全域に広まった郷土料理で、9月から4月の秋、冬から春にかけてとれるイサザと、畑の肉と呼ばれるほどタンパク質が豊富で栄養価が高い大豆の相性はとてもよく、今でも各家庭でつくられている。また、湖北地域ではイサザがとれる時期に行われる冠婚葬祭の行事には欠かせない料理となっている。イサザは琵琶湖を代表する魚介類の一つとして、「琵琶湖八珍」に選ばれている。琵琶湖の水深70m前後のところに生息しており、体長は7cmほどと小さいが、頭と口が大きいところが特徴的である。味は淡白な旨味があり、すき焼き風にした鍋である「じゅんじゅん」などの料理にも合い、いさざ豆同様によく食されている。イサザの漁獲量は周期性があって変動するが、漁港付近の道の駅や湖魚専門店などで販売されている。 + +## 食習の機会や時季 +イサザの漁獲時期は9月から4月の間であるため、秋から春にかけて食すことができる。イサザがとれる時期に行われる冠婚葬祭には必ず食されているほか、日常食としても食されている。 + +## 飲食方法 +大豆は一晩水につけてから、柔らかくなるまでゆでる。鍋に、イサザと調味料を入れて煮る。イサザに火が通ったら、ゆでた大豆を加え更に煮る。煮汁が少なくなったら、みりんを加えて全体に煮汁をまわす。あら熱を取ってから、鍋返しをする。みりんを後から加えるのは、照りを出すためである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1鍋分) +- イサザ: 200g +- 大豆: 200g(ゆで大豆500g) +- 砂糖: 140g(中ざらめ糖) +- 醤油: 80ml +- 酒: 140ml +- みりん: 30ml + +## 作り方 +1. 大豆は一晩水につけてから、柔らかくなるまでゆでる。 +2. 鍋に、イサザ、砂糖、醤油、酒を入れて煮る。 +3. イサザがほぼ煮えたら、ゆで大豆を加えて煮る。沸騰したら中火から弱火にして、30分間煮る。 +4. 煮汁が少なくなったら、みりんを加えて照りを出し全体に煮汁をまわす。 +5. 火から下ろして、あら熱を取ってから、鍋返しをする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_14_1.jpg)" +"# ごりの佃煮 滋賀県 + +**郷土料理名**: ごりの佃煮 + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +北湖を中心に県内全域 + +## 主な使用食材 +ゴリ、粒山椒、醤油など + +## 歴史・由来・関連行事 +「ごりの佃煮」とは、琵琶湖に生息する小魚であるゴリを佃煮にした料理である。また、北湖を中心に棲息しており、県内全域に広まった郷土料理である。「ごりの佃煮」は家庭の味というほどよく食されていたが、近年漁獲量が減り、ゴリは高級食材となりつつある。ゴリとは、琵琶湖に生息するヨシノボリというハゼの仲間で、地域によってはウロリとも呼ばれている。また、ゴリは琵琶湖を代表する魚介類のひとつとして「琵琶湖八珍」に選ばれている。主に水深5~6mくらいに生息しており、体長は約1cm~3cmほどの小魚である。ほかの湖魚とは異なり砂地に潜っているため、日が昇らないと出てこないという。尚、初夏から初秋にかけて旬を迎えるため、ごく短い時期にしかとれない季節の魚である。特徴としては、身が柔らかく透き通っており、「ごりの佃煮」をはじめ、釜揚げや、スパゲッティに入れるなどさまざまな料理に使える。 + +## 食習の機会や時季 +ゴリの漁獲時期は初夏から初秋になるため、新鮮なゴリを使った料理は短い期間でのみ食すことができる。しかし、「ごりの佃煮」は加工食品としても販売されているため、手軽に購入でき、通年食すことができる。「ごりの佃煮」は、ごはんとの相性が良く美味しいため、「ごりの佃煮」の加工食品は、土産としても人気である。 + +## 飲食方法 +鍋に、調味料を入れて煮る。煮立ったらゴリを入れ、沸騰したら粒山椒を加えてさらに煮る。みりんを加え全体に煮汁を濾して、仕上げる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1鍋分) +- ゴリ: 500g +- 砂糖(中ざらめ糖): 250g +- 醤油: 150ml +- 酒: 150ml +- みりん: 30ml +- 粒山椒: 適量 + +## 作り方 +1. 鍋に、砂糖、醤油、酒を入れて煮たったら、ゴリをつぶさないようにパラパラと入れる。 +2. 沸騰したら粒山椒を加え、中火で20分間煮る。 +3. みりんを加えて全体にまわしてから、煮汁を濾して、仕上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_15_1.jpg)" +"# いとこ煮 滋賀県 + +**郷土料理名**: いとこ煮 + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +湖北地域を中心に県内全域 + +## 主な使用食材 +小豆、里芋、醤油など + +## 歴史・由来・関連行事 +「いとこ煮」とは、小豆を里芋またはかぼちゃと煮た料理である。また、湖北地域を中心に県内全域に広がった郷土料理である。親鸞聖人(しんらんしょうにん)の遺徳を偲んで報恩講(ほうおんこう)や法事の際によくつくられており、かぼちゃを使った「いとこ煮」は湖東地域でよく食べられ、里芋を使った「いとこ煮」は湖北地方でよく食べられている。「いとこ煮」の名前の由来としては多々あり、煮える時間がかかる材料から「おいおい(順番に)」煮えることから、「甥と甥」で「いとこ煮」と言われるようになったという説や、兄弟、姉妹やいとこたちが集まったときに食べられるから、また「いとく煮」が転じたというものなどさまざまである。また冬至では、古くからかぼちゃを食べ、ゆず湯に入る風習が全国的にあり、そのかぼちゃ料理として「いとこ煮」も冬至によく食されている。一年のうちもっとも昼間が短い冬至にかぼちゃを食べる理由としては、風邪を予防する、病気にかからないなどがある。かぼちゃは、β-カロテンを多く含み、摂取することで体内でビタミンAに変わる栄養価の高い野菜。小豆は、高タンパクで食物繊維の豊富な豆で、昔の人はかぼちゃや小豆を食べて病気の回復を図り、予防を心掛けていたという。 + +## 食習の機会や時季 +報恩講や仏事には欠かせない料理である。冬至に小豆とかぼちゃを食べると病気にならないという言い伝えから、冬至にもよく食されている。 + +## 飲食方法 +小豆は一度ゆでこぼしてアクを取ってから柔らかくなるまでゆでる。一口大に切った里芋を下ゆでし、砂糖、醤油で煮た���豆に加え、煮る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 小豆: 120g +- 里芋: 300g +- 砂糖: 10g +- 醤油: 少々 +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 小豆は一度ゆでこぼしてアクを取ってから柔らかくなるまでゆでる。 +2. 里芋の皮をむいて、一口大に乱切りし、下ゆでしておく。 +3. 柔らかくなった小豆に砂糖、醤油を加えてさっと煮る。 +4. 味付けした小豆に里芋を加えて、煮あげる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_16_1.jpg)" +"# ふなずし 滋賀県 + +**郷土料理名**: ふなずし + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +フナ、米、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +なれずしは、古来のすしの一つで、塩漬けした魚と米を漬け込み発酵させたものである。発酵が進むにつれて「馴れる、熟れる」ことから「なれずし」と呼ばれている。なれずしは魚を長期保存するための加工方法で、腐敗しやすい魚を発酵させて年間にわたって食べることができるようになり、優れた保存法である。滋賀県ではフナを始め、ウグイ、ハス、モロコ、アユ、ハイ、ビワマス、コイ、ドジョウなどがなれずしにされる。「ふなずし」はその代表格で、五穀豊饒を祈る神社の祭礼に神撰として奉納されることが多い。「ふなずし」は琵琶湖でとれる子持ちのニゴロブナを使用することが多い。フナを丸ごと漬け込み、発酵中に産生する乳酸で骨が軟らかくなり、骨まで食べることができる。また増えた乳酸菌による整腸作用もあり、栄養価も高い。滋賀県では古くから腹痛や体調不良の際は、薬の代わりに「ふなずし」を食す習慣がある。このように古くから親しまれてきたなれずしは、平成10年(1998年)に滋賀県の無形民俗文化財の「滋賀の食文化財」として選択されている。 + +## 食習の機会や時季 +「ふなずし」は、ハレの日など祝いの席や正月など人寄せの際に食されている。以前は各家庭でつくられていたが、近年は琵琶湖の産卵環境の悪化、外来魚による食害などの原因により、ニゴロブナが減少し、「ふなずし」をつくる家庭が減少しつつある。 + +## 飲食方法 +琵琶湖でとれる子持ちのニゴロブナを使用することが多く、春先に塩漬けし、夏に塩切フナを上げて、水洗いして干したのち、桶に飯を敷き、その上にフナを重ならないように並べる。数回繰り返し蓋をして重石をのせる。これを「本漬け」という。本漬け後、正月まで数か月漬けこみ発酵させる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1桶(20Ⅼ)分) +- フナ: 10kg(生の重量で) +- 米: 4~8升 +- 塩切用塩: 10kg +- 飯用塩: 200g(0~1000g適宜) +- 酒または酢: 1~2合 + +## 作り方 +1. 【塩漬け 手順1】フナが入ったら、うろこをこそげ落とす。エラをとり、三つ骨をはずす。卵膜を傷つけないようにして、内臓を抜き取る。 +2. 【塩漬け 手順2】苦玉(胆嚢)をつぶさないようにして取り除く。背骨のすぐ下にある浮き袋を取り除く。水洗いしてから、水を切っておく。 +3. 【塩漬け 手順3】フナの口腔部、腹腔部に塩を詰めてから全体に塩をまぶして、桶に並べて塩漬けする。重石をして、水が上がっている状態で、2ヵ月間以上塩漬けする。 +4. 【飯漬け 手順1】米を炊飯し、ごはんに塩(1升分に対し40~80g)を混ぜ(適宜量、塩が多いと発酵速度がゆるやかになる。塩を加えない場合も多くなっている)、室温まで冷ましておく。塩を使わない場合はポリ袋に入れて空気を遮断しておく。手水に清酒、または酢を1~2合使う。 +5. 【飯漬け 手順2】塩切フナを流水で洗い、竹べらで残ったうろこや内臓を取り除いておく。ペーパータオルでフナを包み、水をよく切る(逆さに吊して腹腔内の水を切る)。 +6. 【飯漬け 手順3】桶に漬物袋を充て、ごはんを敷き、その上にフナを重ならないように並べる。その上にごはんを入れて、しっかり押して空気を追い出す。さらにフナ、ごはん、フナ、ごはんと積み上げていく。 +7. 【飯漬け 手順4】桶の上部まできたらしっかり押して竹皮(漬物袋を閉じる)の上に三編輪をまわし、蓋をして重石をのせる(重石は中身の倍量が目安)。2日ほど重石をして、水が上ってくるのを待つ。 +8. 【飯漬け 手順5��漬床が締まってから、桶に水を張る(漬物袋の場合は水を張らない)。気温が高いと発酵が進みすぎて桶が湧き、重石が動いてしまうので、暑すぎる時は、桶を冷やしてやる。半年以上おくと発酵・熟成し、骨が柔らかくなる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_1_1.jpg)" +"# あめのいおご飯 滋賀県 + +**郷土料理名**: あめのいおご飯 + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +ビワマス、米、人参、しいたけなど + +## 歴史・由来・関連行事 +「あめのいおご飯」は琵琶湖の固有種であるビワマスを使った炊き込みご飯で、「あめのいお」とは「雨の魚」のことである。雨が降り河川が増水した際、産卵のため遡上するビワマスの別名である。秋に産卵期を迎えるビワマスを1匹丸ごと使った「あめのいおご飯」は平成10年(1998年)に滋賀県選択無形民俗文化財「滋賀の食文化財」として選択されている。地域によってビワマスを切り身にして入れるところや、人参、しいたけ、きのこ、油揚げなど具材も多種多様で、湖東地域、湖西地域、湖北地域、湖南地域と作り方や具材の違いがある。また、湖南地域、湖西地域では「あめのいおご飯」、湖北地域では「ます飯」と呼ばれている。ビワマスは湖の深いところで生息するため、昔の漁具ではなかなか捕まえることができない「幻の魚」だった。その幻の魚と里の人々が出会える貴重なチャンスが秋に産卵のために川をさかのぼってくるこの時期だった。ただ、秋のビワマスは脂が落ちているために、ビワマスをよりおいしく食べるために工夫された料理だといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +秋に産卵期を迎える子持ちのビワマスを使用するため、主に秋に食される。 + +## 飲食方法 +「あめのいおご飯」は、滋賀県の秋を代表する料理で、大勢の人が集まるときに大鍋でつくられていた。 大釜で炊くときは卵を出さず米の上にビワマスを直接のせ、醤油と酒を少し入れて炊く。炊き上がったら、魚の頭を持ち上げ、ぷるぷると振ると、身と卵だけが落ちて頭と骨だけが残る。この身と卵をごはんに混ぜ合わせる。その上にネギを刻んで乗せる、というつくり方である。近年は切り身にしてから炊く方法が普及している。また、近年は秋だけでなく、年間にわたって冷凍されたフィレを使って、マスを下煮してから炊飯器で炊きあげる方法が普及している。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ビワマス: 160g(切身で正味分) +- 米: 2合(290g) +- 醤油: 35ml +- みりん: 大さじ1 +- 酒: 大さじ1 +- 【昆布だし】水: 2カップ +- 【昆布だし】昆布: 10cm角 +- 人参: 35g +- しいたけ: 35g +- ねぎ: 35g + +## 作り方 +1. ビワマスの皮、内臓、骨を除いて三枚に下ろす。米を洗ってから、水を切っておく。 +2. 昆布を分量の水につけて火にかけて、沸騰直前に取り出して、昆布だしを用意する。 +3. 人参、しいたけは細めの拍子木切りに、ねぎは小口切りにする。 +4. 鍋にビワマスの切身を並べて、醤油、みりん、酒、昆布だし(半カップ)を入れて、中火で3分、弱火で2分煮る(マスの下煮)。煮汁はとっておき、炊飯時に加える。 +5. 炊飯器に米を入れ、2の残りの昆布だし1と1/2カップと、4の煮汁を加えて、炊飯器の水位を合せる。その上に人参、しいたけ、下煮したビワマスをのせて、炊飯する。 +6. 蒸らし終わったら、マスを軽くほぐし、残った骨がないか確認し、小口切りのねぎを加えて、混ぜてから盛り付ける。上にねぎを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_2_1.jpg)" +"# 小あゆの山椒煮 滋賀県 + +**郷土料理名**: 小あゆの山椒煮 + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小アユ、粒山椒、醤油、みりんなど + +## 歴史・由来・関連行事 +「小あゆの山椒煮」は、5月から8月上旬にとれる琵琶湖の特産である小アユを甘辛く佃煮にした湖魚の佃煮で、昔から伝わる料理である。湖魚の佃煮としては小アユ、モロコ、ゴリなどを使用する。淡水魚は独特の臭いがあるため、その臭いを消すためにしょうがや山椒を���緒に煮ることが多い。また、水あめを使用したり、鍋返しをしないことで煮くずれを防ぐなどの工夫が施されている。この湖魚の佃煮は、地域や家庭によって炊き方に違いがあるため、各家庭でつくった佃煮を持ち寄り、それぞれの味を楽しむことができる。また、湖魚の佃煮は、平成10年(1998年)に滋賀県選択無形民俗文化財「滋賀の食文化財」として選択されている。なお、琵琶湖に生息するアユは餌の関係で体長が7cmほどにしか成長しないので、小アユと呼ばれている。食感も柔らかいため、食べやすい魚である。琵琶湖の小アユは川に遡上すると水苔を食べて大きくなり、20cmほどに育つので、昔から稚魚が全国に出荷されて河川に放流されてきた。 + +## 食習の機会や時季 +小アユは5月ごろからがよくとれ始め、8月上旬ごろまでが盛期であるため、春から夏にかけて食すことができる。しかし、「小あゆの山椒煮」などの湖魚の佃煮は加工品が販売されているため、通年食すことができる。 + +## 飲食方法 +鍋に洗った魚を入れ醤油、砂糖、酢などの調味料を加えて加熱し、沸騰したら火を弱め、梅干しと山椒を加える。落としぶたをして煮たら、みりんを加え蒸らし煮をする。鍋から器に移して荒熱を取る。小アユの炊き方は地域や家庭、業者によって違いがある、煮汁に余裕を持たせ、仕上げを佃煮用に照りがつくようカチッと炊き上げるため、調味料を多くする方法もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20人分) +- 小アユ: 1kg +- 醤油: 150ml +- 砂糖: 200g +- 酒: 200ml +- 梅干し: 1個 +- 酢: 30ml +- みりん: 50ml +- 粒山椒: 20g + +## 作り方 +1. 魚は洗って水切りをしておく。 +2. 鍋に魚を入れ醤油、砂糖、酒、酢を加えて加熱し、沸騰したら中火にして、梅干しと山椒を加える。 +3. しずかに沸騰させながら、落とし蓋をして30分間煮る。 +4. みりんを足して、さらに弱火で10分ほど蒸らし煮をする。 +5. 熱いうちに鍋からうつして、煮汁をこして、魚を冷ます。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_3_1.jpg)" +"# 丁稚羊羹 滋賀県 + +**郷土料理名**: 丁稚羊羹 + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小豆こしあん、小麦粉、竹の皮、水 + +## 歴史・由来・関連行事 +「丁稚羊羹」は、小豆、砂糖でつくった餡に小麦粉(あるいは上新粉)を混ぜ蒸してつくられる羊羹で、滋賀県の特産品である。また、竹の皮で羊羹を包んでいるところが特徴的で、ほんのり香る竹の香りともちもちとした触感、そして素朴な味の羊羹が人気である。練り羊羹をつくる際、寒天を使用するが、海のない近江では手に入れることが難しく、寒天のかわりに、小麦粉をつなぎに使用したといわれている。ただし信楽地方においては、「丁稚羊羹」とは寒天で固めた水羊羹のことである。「丁稚羊羹」という名称については、近江八幡地域から大阪や関東など全国へ奉公に出た丁稚達が実家へ帰郷するの際、給金の少ない丁稚達でも購入できる安価な菓子だったためという説や、丁稚が帰省した際に家でつくった羊羹を奉公先のご主人や番頭へのお土産として持ち帰り喜ばれたからという説もある。また菓子屋用語でこね合わせることを「でっちる」ともいうことから、小豆の餡と小麦粉を練り合わせる工程から「丁稚羊羹」と呼ばれるようになったなど、さまざまな説がある。なお、丁稚は将来商人をめざして、商家に奉公した。この滋賀県の特産品である「丁稚羊羹」は、平成10年(1998年)に滋賀県選択無形民俗文化財「滋賀の食文化財」として選択されている。 + +## 食習の機会や時季 +手ごろな価格が土産物としても人気で各地に製造販売店があり、通年食すことができる。 + +## 飲食方法 +小豆のこし餡に小麦粉をまぜよく練り合わせる。水で湿らせておいた竹の皮にあん生地をのせ、竹皮をたたむ。あん生地を包み込んだら、竹ひもでくくり、蒸し器に入れて蒸す。蒸し器から取り出したら、熱いうちに軽く重石をかけて平らにする。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 小豆こしあん: 400g +- 小麦粉: 80g +- 水: 50ml前後 +- 竹の皮: 4枚 + +## 作り方 +1. 竹の皮を水に浸けておく。 +2. 小���のこしあんに水を少しずつ加えて(50ml前後)、柔らかめのあんにする。 +3. あんに小麦粉をふるい入れて、よく混ぜてから、4等分しておく。 +4. 竹皮の水をぬぐってから、皮の端をひも用に裂き、皮中央にあん生地1/4をのせてのばす。 +5. 竹皮をたたんであん生地を包み込み、竹ひもでくくる。 +6. あん生地を包んだ竹皮を蒸し器に入れて、沸騰後、約15分間蒸す。 +7. 蒸し上がったら、熱いうちに軽く重石をかけて平らにする。 +8. 冷めてから羊羹を切って盛り付ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_4_1.jpg)" +"# じゅんじゅん 滋賀県 + +**郷土料理名**: じゅんじゅん + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +牛肉(または鶏肉や湖魚)、豆腐、糸こんにゃく、青ねぎ、春菊など + +## 歴史・由来・関連行事 +「じゅんじゅん」とは、牛肉、鶏肉や湖魚などをすき焼き風に味付けをした鍋料理のことである。牛肉や鶏肉を使った「じゅんじゅん」はお正月やお盆などのハレの日に食されている。湖魚の「じゅんじゅん」は主に湖北地域や湖西地域、湖東地域、沖島などの湖辺を中心に食されている。「じゅんじゅん」という名称は、具材を鍋で煮る際に出る音が「じゅんじゅん」と聞こえたことに由来するといわれており、古くから琵琶湖でとれるイサザやウナギ、ナマズなどを季節によって変わる旬の野菜と一緒に煮こんで食されていたという。また、日本三大和牛の一つである近江牛や琵琶湖八珍の固有種イサザ、安土城があった近江八幡市安土町周辺で生産されている豊浦ねぎや安土信長ねぎなどの食材は、「じゅんじゅん」との相性がよく、更に美味しく食すことができる。特に滋賀県の伝統野菜にもなっている豊浦ねぎは生産量は少ないが、風味がよく、熱を加えるとやわらかくて甘くなる。一方、安土信長ねぎは肉厚で熱を加えることにより深い甘みが増す。どちらとも鍋料理に合う野菜である。他にも滋賀県の特産品である丁字麩や赤こんにゃくなども鍋に合う。丁字麩は、四角い形で、もちもちとした食感、なめらかな舌触りが特徴的である。赤こんにゃくは、三二酸化鉄という鉄分で赤く染められており、健康的にも優れている。 + +## 食習の機会や時季 +四季折々の食材を使って食すため、通年食すことができるが、盆や正月などの客寄せの際には牛肉や鶏肉を使用して食すことが多いという。湖魚や牛肉、鶏肉を旬の野菜と一緒に通年食すことができる工夫された料理である。 + +## 飲食方法 +肉(または湖魚)をすき焼き鍋で軽く炒め、野菜、調味料(もしくは割り下)を加える。汁気が出てきたら糸こんにゃくや豆腐、麩などを加えて煮る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1鍋分) +- 牛肉: 500g +- 牛脂: 1個 +- 青ねぎ: 250g +- 菊菜: 1束 +- 豆腐: 1丁 +- 糸こんにゃく: 100g +- しめじ: 1袋 +- 丁字麩: 4個 +- 砂糖: 60g +- 醤油: 80ml + +## 作り方 +1. 肉を食べやすい長さに切る。 +2. ねぎを3cm位の長さに切り、菊菜は根を取り、半分の長さに切る。 +3. しめじは根元を切って、ばらす。 +4. 豆腐は3cm角くらいに切る。 +5. 丁字麩は半分または3つに切ってから水にもどしてしぼる。 +6. すき焼き鍋を加熱して、牛脂を入れて溶かす。 +7. 牛肉を鍋に入れて、軽く炒めてから、ねぎ、菊菜、しめじを入れて、砂糖、醤油(割り下でもよい)を加える。汁気が出てきたら、こんにゃく、豆腐、麩を足して煮る。 +8. 味をととのえながら材料を足していき、鍋を囲む。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_5_1.jpg)" +"# 赤こんにゃく煮 滋賀県 + +**郷土料理名**: 赤こんにゃく煮 + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +近江八幡地域 + +## 主な使用食材 +赤こんにゃく、花カツオ、唐辛子、醤油など + +## 歴史・由来・関連行事 +「赤こんにゃく煮」は、滋賀県の特産品である赤こんにゃくを使った煮物である。赤こんにゃくは、近江八幡市の名物で三二酸化鉄という鉄分で赤く染められており、煮ても脱色せず、健康的にも優れた食材である。なぜこんにゃくが赤いのかという点は、華やかなものを��んでいた織田信長が赤く染めさせたなどの諸説があるが、由来や起源を示す史料はなく、赤い理由はわからないままだ。また、近江八幡市から全県に広がり、今では全国区に広がった赤こんにゃくは、こんにゃくの独特な臭いがない。きめが細かく、柔らかくプリプリとした触感が特徴である。近江八幡市近辺では五目寿司(ちらしずし)の具材としても使われている。彩の良さから飲食店でも人気で、味付けされた加工品も販売されている。 + +## 食習の機会や時季 +「赤こんにゃく煮」は、冠婚葬祭や学校給食などには欠かせない一品である。また、味付けされた加工食品も販売されているため、通年食すことができる。味付き赤こんにゃくは、滋賀県の特産品で近江八幡市の名物として、土産物としても人気がある。 + +## 飲食方法 +赤こんにゃくをゆで、水にさらしたら切る。切ったこんにゃくを洗ってから鍋の中で乾炒りし、花カツオと醤油、みりんなどの調味料を加える。じっくりまぜながら味がしみこむのを待つ。最後に唐辛子を加える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 赤こんにゃく: 1丁(300g程度) +- 花カツオ: 8g +- 醤油: 20ml +- みりん: 5ml +- 唐辛子: 少々 + +## 作り方 +1. 赤こんにゃくをゆでてから水の中でさらしておく。 +2. 赤こんにゃくを4等分に角切りし、さらに対角線に沿って切った三角柱を3ミリ厚さの薄切りにする。 +3. 切ったこんにゃくを洗ってから鍋の中で乾炒りする。 +4. こんにゃくに花カツオと醤油、みりんを加えて、混ぜながら弱火で味をしみこませる。 +5. 唐辛子を加えて仕上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_6_1.jpg)" +"# しじみ汁 滋賀県 + +**郷土料理名**: しじみ汁 + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +シジミ、昆布、味噌、ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +「しじみ汁」はセタシジミを使った滋賀県の郷土料理である。日本には3種類の在来シジミが生息している。一つが「ヤマトシジミ」、そして「マシジミ」、最後に「セタシジミ」で、今現在、流通しているシジミのほとんどは、ヤマトシジミだという。滋賀県の「しじみ汁」に使われるセタシジミは、琵琶湖にのみ生息する固有種で、(ヤマトシジミやマシジミと比べて)殻がふっくらと大きく肉厚で身にコクがある。セタシジミは琵琶湖の浅瀬から水深10m弱にかけて生息しているが、砂地の減少など環境悪化により、シジミの生息場所に変化が表れているという。尚、セタシジミは昭和40年頃まで、琵琶湖に多く生息しており、「しじみ汁」をはじめ、しぐれ煮、しじみ飯が日常的に食べられていた。しかし環境の変化に伴い、収穫量が激減しているという。12月から4月に旬を迎えるシジミは身がふっくらとし、美味しくなることから「寒シジミ」とも呼ばれている。とりわけ産卵期を控えた春が美味しいと地元の漁師は言う。 + +## 食習の機会や時季 +3月から4月が漁獲時期となっており、旬を迎えるため、春先に美味しく食すことが可能である。しかし、冬場はセタシジミを使用しない場合は、通年漁獲できるヤマトシジミを使って通年食すことも可能である。 + +## 飲食方法 +シジミは一晩砂出しして砂を吐かせておく。昆布でとっただし汁にシジミを入れて加熱し、貝の殻をあける。味噌を溶き入れて、一煮立ちさせる。最後にきざみねぎをそえる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- シジミ(殻つき): 250g +- 水: 700ml +- 昆布10cm角: 1枚 +- 味噌: 40g +- ねぎ: 1~2本 + +## 作り方 +1. シジミは一晩砂出しして砂を吐かせておく。 +2. 分量の水に昆布を入れて、沸騰する前に昆布をとりだす。 +3. 2の中に、シジミを入れて加熱して、貝の殻をあける。 +4. 味噌を溶き入れて、一煮立ちさせてから弱火にする。 +5. きざみねぎをそえてお椀に盛る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_12_1.jpg)" +"# えび豆 滋賀県 + +**郷土料理名**: えび豆 + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +大豆、スジエビ、酢、醤油など + +## 歴史・由来・関連行事 +「えび豆」は、琵琶湖でとれるスジエビを大豆と一緒に甘辛く煮た滋賀県の郷土料理で、カルシウムとタンパクが豊富な料理である。滋賀県では田んぼの畦で大豆や小豆が栽培されていて、古くから祝儀や法事、祭りなどの集まりで大豆を使用した料理がよく食されていた。「えび豆」もその一つである。「えび豆」は、安価な食材でつくることができ、保存もきくため、日常食としても食べられているほか、「エビのように腰が曲がるまでまめにくらせますように」との長寿への願いをこめて、お正月などのハレの日にも食されている。スジエビは、琵琶湖の水草の生えている浅瀬に広く生息しており、産卵期である春から夏にかけて水深10m以内に生息する。冬に入ると、より一層深いところへ移動するため、春から夏は沖島に伝わる伝統漁法「エビたつべ漁」を行い、冬は「沖びき網漁」を行っている。エビたつべ漁は、「たつべ」と呼ばれる専用のかごを使った伝統漁法のことで、たつべの中に餌を入れ水中に仕掛ける。たつべの中に入り込んだエビが出られなくなる仕組みである。また、沖びき網漁とは、漁船を使用し網を仕掛け、巻き上げる底びき網の一種である。 + +## 食習の機会や時季 +「えび豆」は、祝儀や贈答にも贈られるほか、弁当や加工食品も販売されており、飲食店でも食すことができ、通年食すことができる。 + +## 飲食方法 +一晩水に浸けた大豆を鍋に入れてゆで、柔らかくする。鍋に醤油や酢などの調味料を入れ沸騰したら、洗ったスジエビを入れる。エビの色が変わるまで煮たらゆで豆を加え更に煮る。最後にみりんを全体にからめる。酢はエビの殻を軟らかくして、日持ちさせる効果がある。缶詰などのゆで豆を使用すると比較的簡単にできる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 大豆: 200g(ゆで大豆で500g) +- スジエビ: 150g +- 醤油: 80ml +- 砂糖: 120g +- 酒: 100ml +- 酢: 40ml +- みりん: 30ml + +## 作り方 +1. 一晩水に浸けた大豆を鍋に入れてゆでて、柔らかくする。 +2. スジエビは洗って水切りをしておく。 +3. 鍋に醤油、砂糖、酒を入れて沸騰したら、スジエビを入れる。 +4. しずかに沸騰させ、スジエビの色が変わったらゆで豆を加え20分ほど煮る。 +5. 煮汁が少なくなってきたら、みりんを足して、全体にからめる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_7_1.jpg)" +"# 鯖そうめん 滋賀県 + +**郷土料理名**: 鯖そうめん + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +湖北地域 + +## 主な使用食材 +焼きサバ、そうめん、青ねぎなど + +## 歴史・由来・関連行事 +「鯖そうめん」は、焼きサバを煮こんで、そうめんにからめる滋賀県の湖北地域を中心に県内全域で食されている郷土料理である。古くから「御食国(みけつくに)」若狭から海産物などの物資を京都へ運ぶ道がいくつも存在した。代表的な物資がサバであったことから「鯖街道」と呼ばれる。小浜地方から朽木地方を経るなど湖西地域を通る道がよく知られているが、湖北地域には敦賀地方からのルートがあった。そのため、滋賀県の湖北地域、湖西地域ではサバがよく手に入っていた。その中でも湖北地域では、春になると農家に嫁いだ娘を気遣い、田植えの繁忙時期に滋養豊富な保存食である焼きサバを嫁ぎ先へ贈る「五月見舞い」という風習がある。贈られてきた焼きサバは近所の知人や親戚に配った。農繁期で忙しい際、簡単に調理できる料理として重宝されていた。田植え見舞いなどに頂いたサバはそのまま軽く焼いて酢醤油で食べる場合もある。 + +## 食習の機会や時季 +毎年4月に長浜八幡宮の祭礼として行われる「曳山(ひきやま)まつり」のご馳走として「鯖そうめん」がふるまわれており、ハレの日に食されている。また、春の農繁期に「五月見舞い」として食べられている。 + +## 飲食方法 +鍋に下味用の出汁と調味料を入れて沸騰させ、焼きサバを入れ、煮汁が半分程度になるまで煮る。煮こむ際、煮汁をサバに回しかけるところがポイントである。煮たらサバを皿に盛り付け、煮汁は骨が入らないようこす。青ねぎを煮汁で軽く熱を通し、皿に盛る。煮汁に調味料を加え沸騰させたら、固め��ゆでておいたそうめんを入れて味を付ける。サバの周りにそうめんを盛り付け、煮汁をかける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 焼きサバ: 1尾 +- そうめん: 4束 +- 水: 2L(そうめん湯) +- 青ねぎ: 5本 +- 【下味用だし】だし汁: 1000ml +- 【下味用だし】砂糖: 25g +- 【下味用だし】醤油: 100ml +- 【下味用だし】酒: 50ml +- 【下味用だし】みりん: 20ml +- 【そうめん味つけ用サバ煮汁】水: 400ml +- 【そうめん味つけ用サバ煮汁】砂糖: 20g +- 【そうめん味つけ用サバ煮汁】酒: 30ml +- 【そうめん味つけ用サバ煮汁】みりん: 20ml +- 【そうめん味つけ用サバ煮汁】竹の皮: 1枚 + +## 作り方 +1. 鍋に2Lの水を沸騰させて、そうめんを固めにゆでる。ゆであがったら、流水で冷まし、ぬめりを取ってから、ざるにとる。 +2. 鍋に下味用のだしと調味料を入れて沸騰させる。 +3. 焼きサバの串をはずし、鍋に入れて煮る。時々、サバに煮汁を回しかける。煮汁が半分程度になるまで15分間ほど煮る。吹きこぼれないように注意する。 +4. 鍋からサバをとりだし、皿の中央に盛り付ける。鍋の煮汁はこして骨が入らないようにする。 +5. 青ねぎを5cm位の斜め切りにして、3の煮汁でさっと熱をとおしてから、4の皿のサバの周囲に盛り付ける。 +6. 3の煮汁に水と砂糖・酒・みりんを加えて沸騰させ、1のそうめんを入れて味を付ける。 +7. そうめんを3のサバのまわりに盛り付ける。小分けする時はサバを5等分して、中鉢にとり、そのまわりに素麺と煮汁をまわし入れて、ねぎをそえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_8_1.jpg)" +"# 丁字麩のからしあえ 滋賀県 + +**郷土料理名**: 丁字麩のからしあえ + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +丁字麩、きゅうり、辛子酢味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +「丁字麩のからしあえ」は、滋賀県のご当地麩である丁子麩を使った定番の郷土料理である。丁字麩とは、マッチ箱をちょっと大きくしたサイズの四角い焼き麩で、6面全体が焼かれているため煮崩れせず鍋料理やうどんなどさまざまな料理に使用でき、また栄養価的にも植物性タンパク質が豊富で優れている。仏事などの精進料理には欠かせない食材で、もちもちとした食感になめらかな舌触りが特徴的である。丁字麩の名前の由来は諸説あってまだ解明されていない。丁字麩の名自体は江戸後期、慶弔時のお供えや土産物として八幡町人の文献に登場する。一般的に各地の焼き麩は、幕末の開港で始まった精白小麦粉の輸入が本格化した明治期以降に製造が広まっていったとされている。「丁字麩のからしあえ」は、湖東地域を中心に県内全域で食されており、親せきの集まりなどの客寄せの際の定番料理である。市販のからしあえの素も販売しており、手軽につくれることから客寄せ以外の日常食としても食されている。きゅうりと一緒に辛子酢味噌を和えるため、口当たりが良くさっぱりとした味わいで、残暑による食欲不振にも効果的である。また丁字麩を切らずにそのまま辛子和えにしたものは法事の席の一品として出されている。 + +## 食習の機会や時季 +夏野菜であるきゅうりを使用するため、夏によく食べられるが、きゅうりのハウス栽培の技術や品種改良などが進み、通年収穫、販売が可能となっているため、丁字麩のからしあえも年間を通して食すことが可能である。 + +## 飲食方法 +麩はぬるま湯に浸け、中までしみこませた後、しぼって3等分する。きゅうりは薄めの輪切りにしてから塩もみをし、しんなりさせる。余分の塩分をさっと洗い流して固くしぼる。練り辛子、白味噌、砂糖、酢などの調味料を混ぜ合わせる。麩ときゅうりに辛子酢味噌を合わせて、麩に味をしみこませる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 丁字麩: 4個 +- きゅうり: 2本 +- 塩: 小さじ1/2 +- 【辛子酢味噌】白味噌: 15g +- 【辛子酢味噌】味噌: 10g +- 【辛子酢味噌】すりごま: 大さじ1 +- 【辛子酢味噌】砂糖: 20g +- 【辛子酢味噌】練り辛子: 小さじ1/2 +- 【辛子酢味噌】酢: 30ml + +## 作り方 +1. 丁字麩はぬるま湯に約10分浸け、中までしみこませた後、しぼって、3等分する。 +2. きゅうりは薄目の��切りにしてから塩もみをする。その後、余分な塩分をさっと洗い流してしぼる。 +3. 練り辛子、白味噌、味噌、ごま、砂糖、酢を混ぜ合わせる。 +4. 麩ときゅうりに辛子酢味噌を合わせて、しばらくおいて麩に味をしみこませる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_9_1.jpg)" +"# 日野菜漬け 滋賀県 + +**郷土料理名**: 日野菜漬け + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +日野菜、あら塩、米ぬか + +## 歴史・由来・関連行事 +「日野菜漬け」は、滋賀県の伝統野菜を使用した漬物のことで、平成10年(1998年)に滋賀県選択無形民俗文化財「滋賀の食文化財」として選択されている。日野菜は、滋賀県蒲生郡日野町が発祥とされており、約500年前、当時の領主であった蒲生家中興の祖・蒲生貞秀が日野町鎌掛にある観音堂に詣でた際に発見したといわれている。日野菜は、かぶの一種で、葉側が紫色、根に向かって白色が特徴で、長さ30cmと細長い。主に10月から12月末までに旬を迎えるという。尚、独特の風味と辛み、苦みがあり、漬物として使われることが多い。漬け方も多数あり、葉を刻み、短冊切りにした根と一緒に酢に漬ける「桜漬け」、葉付きのまま下漬けし、甘酢に漬け込む「えび漬け」、ぬかで漬けた「ひね漬け」などがある。日野菜の根には、でんぷんの消化酵素として働くアミラーゼや、少量のビタミンを含んでおり、葉の部分βカロテンやビタミンC、カルシウム、カリウムなどの栄養が豊富に含まれている。 + +## 食習の機会や時季 +日野菜の旬は10月から12月末だが、漬けてある加工食品も販売されていることから通年食すことができる。 + +## 飲食方法 +日野菜は洗い、稲架(はさ)にかけて干す。混ぜた米ぬかとあら塩を桶の底に入れ、日野菜を平らにすきまなくならべる。その上から塩ぬかを加え、手でしっかり押さえる。この手順を数回繰り返し、押しぶたを当てて重石をのせる。漬けた後、1ヵ月位に漬かり具合を確認する。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1桶分) +- 日野菜: 5kg(干した重量) +- あら塩: 200g +- 米ぬか: 2kg + +## 作り方 +1. 日野菜は洗ってから稲架(はさ)にかけて、1日~2日程度くねっと曲がるようになるまで干す。 +2. 日野菜の株元に葉を巻き付けておく。米ぬかとあら塩をよく混ぜ、桶の底に入れてから、日野菜を平らにすきまなくならべて、塩ぬかを加えて、手でしっかり押さえる。 +3. さらに日野菜、塩ぬかを交互につめていき、上部まできたら、あまった葉、塩ぬかを入れて、しっかり押さえて、三つ縄をまわし、押し蓋を当てて、重石(内容量の2倍重量)をのせる。 +4. 数日たっても水が上がってこない場合は、4%塩水で差し水をする。1ヵ月位に漬かり具合を確認する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_10_1.jpg)" +"# 打ち豆汁 滋賀県 + +**郷土料理名**: 打ち豆汁 + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +湖北地域 + +## 主な使用食材 +大豆、里芋、かぶ、油揚げ、ねぎ、豆腐など + +## 歴史・由来・関連行事 +「打ち豆汁」とは、かぶや大根、里芋などと一緒に打ち豆を煮て、味噌汁にした料理である。打ち豆とは、大豆を蒸して、木づちで一つ一つ潰して花型にし乾燥させたもので、雪の多い湖北地域を中心に広がっている。蒸した大豆を木づちで潰すことにより、火が早く通り、豆に味がよく染みる。更に大豆のだしもとれ、柔らかい触感は老若男女問わず食べやすく工夫してつくられている。「打ち豆汁」はお寺の報恩講の行事にお講汁として振る舞われることが多いという。厳しい湖北地域の冬の貴重なたんぱく源であり、冬には欠かせない料理である。近江八幡市安土下豊浦地域の「打ち豆汁」は伊勢講参りのお迎えをする祈祷汁といわれ、打ち豆の他、里芋、ずいき、豆腐、油揚げを入れる。具沢山の「打ち豆汁」には、かぶ、里芋、大根のほかに信長ねぎも入っており、じっくりと煮こむことで甘みが増し、更に美味しくいただけるという。信長ねぎは近江八幡市安土町地域で栽培されている肉厚の白ねぎで、太く豪快に我が道を生きた織田信長にちなんで命名されている。11月後半から3月末に旬を迎え、しっかり火を通すと甘みが更に増すところが特徴である。打ち豆は煮物にもされる。 + +## 食習の機会や時季 +「打ち豆汁」は、親鸞聖人(しんらんしょうにん)の報恩講の際に出る定番料理であるが、湖北地域を中心に冬の日常食として食されている。 + +## 飲食方法 +打ち豆は、大豆を洗って水に1時間ほど漬ける。その後熱湯でゆで、熱いうちにポリ袋に入れて5時間おき、蒸す。木づちで一粒ずつ叩いて、平らにする。打ち豆を鍋に入れ、味噌(1/4量)、だし汁で下煮する。かぶ、里芋、油揚げなどの具材を鍋に加え、煮る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大豆: 40g +- 里芋: 2個 +- かぶ: 1個 +- 油揚げ: 1枚 +- 豆腐: 1/3丁 +- ねぎ: 1本 +- だし汁: 800ml +- 味噌: 70g + +## 作り方 +1. 打ち豆は、大豆を洗って1時間つけてから熱湯で3分間ゆでて、水を切り、熱いうちにポリ袋に入れて5時間おく。木槌で一粒ずつ叩いて、平らにする。 +2. 打ち豆を鍋に入れ、味噌1/4量を加え、だし汁で下煮しておく。 +3. かぶは銀杏切り、里芋は皮をむいて一口大に切り、油揚げは湯どおし後、3cm長さに切る。 +4. 鍋に、かぶ、里芋、油揚げを加えて、芋が柔らかくなるまで煮てから、残りの味噌と豆腐を加えて、味をととのえる。 +5. お椀に盛ってから、ねぎを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_11_1.jpg)" +"# 湖魚の天ぷら 滋賀県 + +**郷土料理名**: 湖魚の天ぷら + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小アユ、小麦粉、卵など + +## 歴史・由来・関連行事 +「湖魚の天ぷら」は、琵琶湖でとれる小アユ、イサザ、ワカサギなどの魚を使った滋賀県の定番料理である。揚げたての湖魚は臭みがなく、美味しい。スジエビも天ぷら、かき揚げにする。「湖魚の天ぷら」に最適な魚である琵琶湖の小アユは、体長が7cmほどにしか成長しないアユのことで、おいしさが凝縮され、食感も柔らかいため食べやすい。5月頃から8月上旬に漁がおこなわれている。小アユ以外では、イサザも天ぷらとしてよく食されている。イサザはハゼの一種で、琵琶湖の水深70m前後の深いところに生息しているため、水深が深い湖北地域で漁獲が行われている。イサザは独特の風味があるところが特徴的である。最初は琵琶湖に生息していなかったワカサギも、イサザに続き天ぷらに向いている。ワカサギが琵琶湖に生息し始めた原因は明確になってはいないが、小アユに続き漁獲量が多くなるほど増加している。北湖を中心に琵琶湖のほぼ全域、また余呉湖に生息しており、11月下旬頃から1月末に旬を迎える魚である。 + +## 食習の機会や時季 +小アユ、イサザ、ワカサギなど琵琶湖でとれる湖魚によって旬が違うため、おおよそ年間を通して「湖魚の天ぷら」を食すことができる。小アユは5月から8月上旬、イサザは9月から4月、ワカサギは11月下旬から1月末頃までが漁獲時期となっている。 + +## 飲食方法 +小アユを洗ってから水を切り、塩を振る。卵と冷水をよく混ぜ、小麦粉をふるって入れる。更に卵液を流し入れ、天ぷらの衣をつくる。油を熱し、片栗粉、衣を付けた小アユを揚げる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 小アユ: 200g +- 小麦粉: 50g +- 片栗粉: 25g +- 卵: 1/2と冷水100ml +- 塩: 大さじ1 +- てんぷら油: 適量 +- しそ: 5枚 + +## 作り方 +1. 小アユを洗ってから水を切り、塩を振っておく。 +2. 卵と冷水を合わせ、よく混ぜておく。 +3. 小麦粉をふるってから、卵液を流し入れ、衣をつくる。 +4. てんぷら油を180度付近まで加熱する。 +5. 小アユに片栗粉をつけて、はたいてから2の衣をつけて、揚げる。 +6. しそを敷き、小アユを盛り付ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_13_1.jpg)" +"# 幸福豆 滋賀県 + +**郷土料理名**: 幸福豆 + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +湖北地域 + +## 主な使用食材 +大豆、小麦粉、砂糖など + +## 歴史・由来・関連行事 +「幸福豆」は滋賀県を代表する昔ながらの「大豆をつかったお菓子」��ある。農家では大豆は水田の畦で栽培し、小麦は裏作で自給分を栽培していた。現在、滋賀県では小麦生産が増加しつつあり、小麦粉を使う場合が多い。米粉でつくるともちもちとしておいしい。滋賀県は稲作を中心に農業が発展してきたことから、古くより米が豊富にとれていた。品質の良さと生産量の多さから滋賀県は「近畿の米蔵」とも呼ばれていた。そのため、米を使った料理は、飯以外にも餅やだんごなどのおやつとしてもよく食べられていた。「幸福豆」もその一つである。甘いおやつがない時代では、煎った大豆と米粉を砂糖と水に混ぜ合わせ焼いた「幸福豆」を農作業の合間のおやつとして食べられていた。ほかにもいもつぶしやお和えだんご、青豆だんご、汁だんごなど数多くあり、どれも腹持ちの良いおやつであった。 + +## 食習の機会や時季 +農作業の合間の休憩に食べられていたおやつであるが、手軽につくられることから通年食すことができる。 + +## 飲食方法 +小麦粉、砂糖、塩をよく混ぜ、水で溶き、煎った大豆を加える。生地をホットプレートの上に円盤状に落とし、両面を焼く。煎った大豆は生地を焼いている途中でトッピングしても良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大豆: 40g +- 小麦粉(または米粉): 100g +- 砂糖: 40g +- 塩: 少々 +- 天ぷら油: 少々 + +## 作り方 +1. 大豆をフライパンで煎る。市販の煎り大豆(節分豆)を使っても良い。 +2. 小麦粉、砂糖、塩をよく混ぜてから水で溶き、ゆっくり流れ落ちる程度の生地にしてから、大豆を加えて混ぜておく。(豆は焼いている途中でトッピングしても良い) +3. 玉じゃくしで生地をすくって、ホットプレートの上に円盤状に落とし、両面を焼いて仕上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_17_1.jpg)" +"# 鯖の棒ずし 滋賀県 + +**郷土料理名**: 鯖の棒ずし + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +湖北地域を中心に県内全域 + +## 主な使用食材 +塩サバ、米、酢など + +## 歴史・由来・関連行事 +「鯖の棒ずし」は、お祭りのご馳走として定番の郷土料理である。「鯖の棒ずし」以外にも焼サバずし、姿ずし、なれずしと、サバを使ったすしは数多くある。サバを使った料理が多い理由として、湖北地域や湖西地域ではサバがよく手に入ったからである。古くから若狭湾でとれた魚介類を京都へ運ぶ道があり、湖西地域を通るルートもあった。サバが多く運ばれ、「鯖街道」と呼ばれており、街道沿いに製造販売店も多い。長浜でも敦賀湾から、サバ、ニシン、サケを入手することができた。尚、「鯖の棒ずし」は、大津や長浜の曳山祭りのご馳走として欠かせない料理であった。滋賀県の米は、数種類の品種が栽培されている。「コシヒカリ」や「みずかがみ」、「秋の詩」、「キヌヒカリ」や「日本晴」などあり、その中でも、コシヒカリとみずかがみは一般財団法人日本穀物検定協会による令和元年(2019年)産米の食味ランキングにおいて、最高ランクである「特A」に評価された。みずかがみは、滋賀県が独自に開発した品種で、炊き上がった米はつやがあり、適度な粘りと甘みがあり、冷めても美味しくいところが特徴的である。 + +## 食習の機会や時季 +サバは秋から冬にかけて旬を迎えるため、寒い時期に「鯖の棒ずし」も食されることが多い。また土産物として、返礼品としても贈られることが多く、人気である。 + +## 飲食方法 +塩サバを酢で洗い、三枚におろし、一晩酢に浸ける。薄皮をはがし、小骨を抜く。炊き上がったごはんを蒸らし、合わせ酢をかけてほぐす。巻きすを広げ、ラップを敷き、サバをのせる。その上にごはんを軽く握りながらのばす。巻きすを当て、棒状に巻きあげて、成型する。最後に、酢飯とサバがなじんだら、酢をくぐらせた包丁で、切って盛り付ける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 2合(290g) +- 塩サバ: 1尾 +- 【酢じめ用】酢: 120ml +- 【酢じめ用】砂糖: 20g +- 【合わせ酢】酢: 70ml +- 【合わせ酢】砂糖: 60g +- 【合わせ酢】塩: 8g + +## 作り方 +1. 塩サバは酢洗いし、頭をとって三枚におろす。中骨、腰骨を取り除いて、一晩、酢締め用の甘酢に浸ける。 +2. 締めサバの薄皮を頭の方からはがし、小骨を抜く。身の厚い部分を斜めにそぐ。 +3. ごはんを炊き、蒸らし終わったら、熱いうちに合わせ酢をかけて、しゃもじで切るように混ぜ、よく冷ましておく。 +4. 板の上に巻きすを広げ、ラップを敷いてサバを皮を下にしてのせる。鯖の尾の欠けているところに削ぎ切りした身を足す。その上に1/2量のごはんを軽く握りながらのばす。 +5. 巻きすごと巻いて棒状に整え、両端を輪ゴムで止めて、しばらくおいておく。上から軽い重石をしておくとよい。 +6. ごはんが落ち着いてから、酢をくぐらせた包丁で、切って盛り付ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_18_1.jpg)" +"# ぜいたく煮 滋賀県 + +**郷土料理名**: ぜいたく煮 + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +古漬けたくあん、だし汁、醤油など + +## 歴史・由来・関連行事 +「ぜいたく煮」は、漬物の「たくあん」を水に漬け塩を抜き、それを煮ものにした郷土料理である。県内全域でみられる料理でもある。名前の由来としては、漬物をわざわざ煮物料理にするという手間のかかった料理であることからその名がついたという説や、漬ける時にたくさんの塩を使い、そのたくあんをけだし(塩抜き)してまた塩分を入れて炊く贅沢なものであるからという説がある。尚、「ぜいたく煮」は、湖北地域の仏事では欠かせない定番料理の一つである。「たくあん炊き」と言われることもある。たくあんだけでなく、「高月菜の糠漬けの炊いたん」なども突然の弔事に備えて、どの家庭で常備してておいた。また、「ぜいたく煮」以外にも「塩切りなすの煮もの」も仏事には欠かせない一品で、各家庭で塩切なすを常備していた。 + +## 食習の機会や時季 +湖北地域では、主に仏事の際に食されているほか、日常食としても通年食すことができる。 + +## 飲食方法 +切った古漬けたくあんを水に浸け、塩抜きをする。鍋に水とたくあんを入れて、煮る。柔らかく煮えたら、たくあんを別に移し、出汁、調味料を入れ沸騰させたくあんを戻し煮る。火からおろし、味が染み込むまで冷ます。古漬けのたくあんは、塩気が強い時もあるため、2~3回水をかえて塩抜きするところがポイントである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 古漬けたくあん: 1本 +- だし汁: カップ2 +- 醤油: 大さじ1 +- みりん: 大さじ2 +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 古漬けたくあんを5mm厚さに切り、水に浸けて塩抜き(けだし)をする。塩気が強い時は、2~3回水をかえる。 +2. 鍋に水とたくあんを入れて、柔らかくなるまで煮る。 +3. たくあんを別の鍋にうつし、出汁、醤油、みりん、塩を入れて、沸騰してから弱火で15分間煮る。火をおとしてからも冷めるまでそのままにして、味を染み込ませる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_19_1.jpg)" +"# 豆腐田楽 滋賀県 + +**郷土料理名**: 豆腐田楽 + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +木綿豆腐、ねぎ、味噌など + +## 歴史・由来・関連行事 +滋賀県は人口あたりの寺院数が多く、信仰深い風土があり、豆腐を使う精進料理がよくつくられてきた。「豆腐田楽」は、水を切った豆腐を串にさして焼き、少し焦げ目がついたら木の芽味噌やねぎ味噌をつけて、もう1度焼く。湖北地域では、報恩講(ほうおんこう)や祭り、冬至の際に、「豆腐田楽」をつくって食べる風習がある。湖南地域の石部や草津の目川は東海道筋にあり、「豆腐田楽」が名物になっている。古くの農村では、田植えの際に豊作を祈り、太鼓の音に合わせて踊るという田楽舞い、田楽踊りという習わしがあった。この習わしから舞踊、やがて雑芸となり、田楽法師という専任の演者が誕生した。白い袴の上に色のついた上着を身に着け、演舞する田楽法師の姿が串に刺した豆腐にねぎ味噌をつけた料理と似ていたことから、「田楽」と呼ばれるようになり、豆腐の串焼きのことを「豆腐田楽」「田楽」などと呼ぶようになったという。また、食材も豆腐だけではなく、こ��にゃくや里芋、しいたけ、そのほかに野菜やニシンなどの魚にも波及していったという。 + +## 食習の機会や時季 +湖北地域では、門徒(もんと)が行う報恩講や祭り、冬至の際につくられていた料理である。 + +## 飲食方法 +小さく切ったねぎをすり鉢でよくすり、味噌と砂糖を加えねぎ味噌をつくる。事前に水を切った豆腐に串を刺し、コンロの上で加熱する。焼き色がついたら裏面も焼き、ねぎ味噌を豆腐の両面にぬって炙る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 木綿豆腐: 1丁(大) +- 【ねぎ味噌】ねぎ: 5本 +- 【ねぎ味噌】味噌: 100g +- 【ねぎ味噌】砂糖: 80g +- 田楽串: 8本 + +## 作り方 +1. ねぎを小口切りにして、すり鉢でよくすり、味噌と砂糖を加えてすって練り合わせる。 +2. 田楽串は半日程度水につけておく。 +3. 豆腐を24分割(※)にし、水気をフキンで取り、串に刺す。(※)滋賀県長浜市の豆腐店で売られている豆腐は、1丁が立方形で大きく、24分割が可能。現在の量販店で売っている豆腐はこれに比べて小さいため、8~12分割位に切る。 +4. 豆腐をコンロの上で加熱し、焼き色がついたら、裏面も焼く。フライパンやホットプレートでつくる場合は焼いてから串を刺す。 +5. ねぎ味噌を豆腐の両面にぬり、軽くあぶって、盛り付ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_20_1.jpg)" +"# 泥亀汁 滋賀県 + +**郷土料理名**: 泥亀汁 + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +湖東地域 + +## 主な使用食材 +なす、味噌、だし汁、ごまなど + +## 歴史・由来・関連行事 +「どんがめじる」または「どろがめじる」ともいう。「泥亀汁」は、五個荘地区の近江商人宅で、夏場につくられた味噌汁で、湖東地域を中心に県内全域に広まっている。味噌汁にはすったごまが入っており、汁のごまが泥のように見え、なすの皮に切れ目を入れたものが亀の甲羅のように見えることから、「泥亀汁」と名付けられたという。この「泥亀汁」は、夏野菜であるなすが入っており、なすには、体の熱を外へ逃がすカリウムや疲労回復効果のあるアスパラギン酸が多く含まれているため、夏の暑さによる食欲不振防止に役立っていた。更にごまには良質なたんぱく質やゴマリグナンが含まれており、栄養満点の汁料理となっている。尚、ごまの栄養成分であるゴマリグナンは、健康を損なう活性酸素の働きを抑制し、コレステロールを低下させ、老化を防ぐなどの効果が期待できることが判明するなど、優れている。当時の近江商人は栄養素に関して知らずとも、季節に合った健康に優れた料理を食していたのである。 + +## 食習の機会や時季 +夏野菜のなすを使用していることから、主に夏に食されているが、現在は年間を通してしてなすを入手できるため、通年食すことが可能である。 + +## 飲食方法 +なすは縦半分に切り、皮に斜め格子の切れ目を入れ、大きいなすはさらに横半分に切ってアクを抜く。だし汁の中になすを入れ、柔らかくなるまで煮る(この時、すったおかゆを入れてもよい)。味噌を溶かし入れ、沸騰する前にすりごまを加える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- なす: 2本 +- ごま: 60g +- だし汁: 3カップ +- 味噌: 45g +- おかゆ: 40ml + +## 作り方 +1. なすは縦半分に切ってから、それぞれ皮に斜め格子の切れ目を入れ、大きいなすはさらに横半分に切る。水に浸けて、アク抜きをしておく。 +2. おかゆをすり鉢でとろとろにすっておく。 +3. だし汁の中になすとおかゆを入れて煮る。沸騰したら、弱火にして、なすが柔らかくなるまで煮る。 +4. ごまを煎ってからすっておく。 +5. 味噌を溶かし入れ、沸騰する前にすりごまを加えて混ぜて、盛り付ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_21_1.jpg)" +"# おあえ団子 滋賀県 + +**郷土料理名**: おあえ団子 + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +守山地域、野洲地域 + +## 主な使用食材 +団子粉、人参、こんにゃく、しいたけ、小松菜、木綿豆腐など + +## 歴史・由来・関連行事 +「おあえ団子」は、人参、しいたけ、青菜を入れた白和えに、米粉でつく��た団子を和えた郷土料理である。滋賀県の守山地域、野洲地域に古くから伝わる料理で、「おあえ団子」はだんごが入っているため、お茶うけにもなる。白和えのほかに、野菜の味噌和えに米粉でつくった団子を混ぜ合わせても美味しくいただけ、青菜を使用し味噌和えにした団子は「くき団子」ともいわれている。主に法事の際に食される料理である。 + +## 食習の機会や時季 +通年手に入る野菜を使った白和えに米粉団子を混ぜ合わせた「おあえ団子」は、主に法事の際に食されるが、日常食としても食べられている。 + +## 飲食方法 +団子粉に水を加えて、こねて、耳たぶ位の固さになったら、丸め、円盤状にし、ゆでる。すり鉢にいりごまを入れてすり、さらに砂糖、味噌を入れながらする。水切りした豆腐をフキンでしぼって水抜きし、すり鉢に入れてよくすりこむ。更に下ゆでしたしいたけ、こんにゃく、人参、小松菜も加えて豆腐と和える。ゆでて冷ました米粉団子を白和えで包む。団子粉は水を加えてこねるが、熱湯を加えてこねると柔らかさが変わる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 団子粉(上新粉ともち粉): 200g +- 水: 180ml前後(気温で調節) +- こんにゃく: 80g +- しいたけ: 25g +- 人参: 50g +- 小松菜: 小3株 +- 木綿豆腐: 3/4丁(およそ300g) +- 味噌: 50g +- ごま: 25g +- 砂糖: 50g +- みりん: 15ml + +## 作り方 +1. 【米粉団子をつくる 手順1】団子粉に水を加えて、こねて、耳たぶ位の固さになったら、丸めて、3cm位の円盤状にする。沸騰した湯を用意して、団子を入れて、浮き上がったらすくって冷ます。 +2. 【あえだね 手順1】豆腐をしばらく水切りさせてから、フキンでしぼって水気を抜く。 +3. 【あえだね 手順2】しいたけ、こんにゃく、人参を短冊状に切り、塩ゆでして水を切っておく。 +4. 【あえだね 手順3】小松菜をゆがいて、水にさらし、2cm位の長さに切って、よくしぼっておく。 +5. 【あえだね 手順4】すり鉢にいりごまを入れてすり、さらに砂糖、味噌を入れながらする(好みで砂糖の量は調節する)。 +6. 【あえだね 手順5】「あえだね 手順4」に水切りした豆腐を加えてよくすりこむ。 +7. 【あえだね 手順6】「あえだね 手順2」の具、「あえだね 手順3」の小松菜を入れて、豆腐と和える。 +8. 【団子をあえる 手順1】米粉団子をあえだねで包んで、盛り付ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_22_1.jpg)" +"# 近江牛の味噌漬 滋賀県 + +**郷土料理名**: 近江牛の味噌漬 + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +近江牛、白味噌、味噌、にんにくなど + +## 歴史・由来・関連行事 +「近江牛の味噌漬」は、近江牛を白味噌に漬け込み、数日寝かせてから焼いて食べる古くから滋賀県に伝わる郷土料理である。江戸時代では、生牛馬と畜禁止が定法としてあったが、1781年、彦根藩では、牛肉の味噌漬を補養薬として将軍家や徳川御三家に献上し、公然と摂取されるようになった。この牛肉の味噌漬は、中国明朝の李時珍が残した薬学所「本草綱目」を参考に花木伝右衛門によって考案されたもので、「反本丸(へんぽんがん)」と称されていた。尚、1866年には牛鍋屋が開業され、牛肉が薬用として売られるようになったという。このように、長い歴史をもつ近江牛は、国内最古のブランド牛と言われており、きめ細やかな赤身と良質な脂肪のバランスが程よく、柔らかな肉質が特徴である。近江牛は、美しい水、肥沃な土地の自然豊かな環境で育った滋賀県で最も長く飼育された黒毛和種で、東海道本線が開通された明治23年(1890年)、近江八幡駅から貨物での輸送が始まり、全国的に近江牛の名が広く知られるようになった。 + +## 食習の機会や時季 +「近江牛の味噌漬」は、各家庭でもつくることができるほか、加工品としても販売されているため、通年食すことができる。 + +## 飲食方法 +すったにんにくと、唐辛子を入れ、よく混ぜた味噌に肉を漬ける。味噌を長時間漬けて味を浸み込ませたら、肉に付いた味噌をぬぐい、油をひいたフライパンで両面をさっと焼く。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ステーキ肉: 300g +- 白��噌: 100g +- 味噌: 50g +- にんにく: 30g +- 唐辛子粉: 少々 + +## 作り方 +1. にんにくをすり、唐辛子とともに味噌によく混ぜてから、味噌に肉を漬ける。 +2. 肉の味噌をぬぐって、フライパンに油を敷き、両面を強火でさっと焼いてから、弱火にして、火に通してから盛り付ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_23_1.jpg)" +"# くるみごぼう 滋賀県 + +**郷土料理名**: くるみごぼう + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +甲賀市 + +## 主な使用食材 +枝豆、ごぼう、砂糖ほか + +## 歴史・由来・関連行事 +「くるみごぼう」は、枝豆でつくった餡とごぼうを和えた料理で、滋賀県甲賀市信楽町に古くから伝わる郷土料理である。「くるみごぼう」は信楽町上朝宮の三所神社で行われる秋祭りの際に供えられ、食す風習があるため、毎年秋になると振る舞われている。三所神社で行われる秋祭りは、ごんぼ(牛蒡)祭りとも言われ、「くるみごぼう」以外にも「鯖寿司」も供えられる。「くるみごぼう」を食べると、1年間健康で過ごせると古くから伝えられている通り、枝豆には、100gあたり約11.7gのたんぱく質が含まれており、その中でも、体内で合成できない「必須アミノ酸」をバランスよく含んでいるため、良質なたんぱく質が摂取できる。他にもエネルギー、脂質、食物繊維など多くの栄養素を含んでいる。ごぼうも食物繊維やミネラル、ポリフェノールなどが多く含まれているため、栄養満点な料理である。 + +## 食習の機会や時季 +三所神社で行われる秋祭り「ごんぼ(牛蒡)祭り」の際に食されている。 + +## 飲食方法 +ごぼうは皮をこそげ取り、水に放してアクを抜いてから切る。湯を沸かし、少量の塩を入れごぼうを下ゆでする。枝豆は柔らかめにゆでて、薄皮をはがす。枝豆に砂糖と塩などの調味料を入れ、すり鉢ですりつぶす。すりつぶした枝豆にごぼうをからませる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 枝豆: 200g +- ごぼう: 100g +- 砂糖: 20g +- 塩(ゆで用): 10g +- 塩: 2g + +## 作り方 +1. ごぼうは皮をこそげ取り、水に放してアクを抜いてから、3cm長さに切る。太いごぼうは1/2か1/4にカットする。 +2. 薄い塩味の湯を沸かして、ごぼうを下ゆでする。 +3. 枝豆は柔らかめにゆでて、薄皮をはがす。 +4. 枝豆に砂糖と塩を入れ、すり鉢でよくすりつぶす。 +5. すりつぶした枝豆にごぼうをからませて、盛り付ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_24_1.jpg)" +"# しょいめし 滋賀県 + +**郷土料理名**: しょいめし + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +高島市、新旭町 + +## 主な使用食材 +米、だし汁、ごぼう、人参、干ししいたけ、油揚げ、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +「しょいめし」とは醤油を使って炊いた、高島市新旭地域に伝わる伝統料理である。だし汁と調味料で具を煮て、煮上がったら米を入れて炊く「煮立て方式」や「湯立て方式」と呼ばれる、昔ながらの方法でつくられてきた。これは、熱湯によって神意を占ったり,清めをしたりする「湯立て」という神事から由来するものと考えられている。「しょいめし」は祭りの際にも食べられていたことから、「わっしょい」の「しょい」をかけて名づけられたと言われる。また、「しょうゆめし」が訛って「しょんめし」と呼ばれるようになったという説もある。 + +## 食習の機会や時季 +もとは祭りの行事食として食べられてきたが、今では地元の炊き込みご飯として広く一般的に親しまれており、年間を通して食すことができる。 + +## 飲食方法 +ごぼうはささがき、人参は細切り、水でもどした干ししいたけと油揚げは千切りにしてだし汁と醤油で煮て味を付けたのち、再度沸騰したところに米を入れて炊く。現在は普通の炊き込み方式で、具材と米を一緒に炊き込む方法でつくる家庭が多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 2合(290g) +- だし汁: 300ml +- 濃口醤油: 35ml +- 酒: 30ml +- 人参: 40g +- ごぼう: 40g +- こんにゃく: 80g +- 干ししいたけ: 10g +- 油揚げ: 30g(1枚) + +## 作り方 +1. 米を洗い、ざるに上げてから、炊飯器に��米と出汁、醤油、酒を入れ、水で水位を合わせる。 +2. ごぼうは洗って皮をこそげてから水に放って、アク抜き後、ささがきにする。 +3. 干ししいたけはもどして千切り、油あげは千切り、人参、こんにゃくは短冊切り(2cm長さ)にする。 +4. 切った具を米の上にのせて、炊飯する。 +5. こげつきやすいので注意する。少しおこげができる位がおいしい。 +6. 炊けたら蒸らしてから、ほぐして、全体を混ぜる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_25_1.jpg)" +"# 白菜のたたみ漬け 滋賀県 + +**郷土料理名**: 白菜のたたみ漬け + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +湖北地域 + +## 主な使用食材 +白菜、赤唐辛子、昆布、あら塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +白菜の葉を1枚ずつはがして赤唐辛子や昆布と漬けこむ「白菜のたたみ漬け」は、湖北地域で昔から食べられてきた葉茎漬けの手法を白菜漬けに応用したものである。伊吹山が望める姉川流域の地域で漬けると、漬けあがったものを包丁で切っても切り口が崩れにくいなどと伝えられている。地元の風土が培った独自の漬物である。滋賀県では10月から3月にかけて東近江市を中心に白菜が露地栽培されており、冬になると多くの家庭で白菜を使った漬物つくりが行われてきた。中でもこの「白菜のたたみ漬け」は見た目にも美しく、報恩講(ほうおんこう)、正月、神事(おこない)、法事、結婚式、建前(建築祝)等になくてはならない一品である。所々に千切り昆布、輪切り鷹の爪、青葉などを挟んでいく場合もある。年間を通して食べられているが、夏期は白菜が入手困難であり、また暑くなると失敗しやすいため漬けない。 + +## 食習の機会や時季 +9月末から5月末にかけて「白菜のたたみ漬け」の漬け込みが始まる。出来上がった「白菜のたたみ漬け」は、冠婚葬祭など特別な食事の席で振る舞われている。 + +## 飲食方法 +白菜の葉を1枚ずつはがして赤唐辛子や昆布と漬けこむ。好みでしょうがや醤油を付けて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20人分) +- 白菜: 小2玉 +- あら塩: 白菜の3%塩 +- 唐辛子: 3本 +- 土しょうが: 1個 +- 桶: 15L + +## 作り方 +1. 白菜の根元の固い部分を3cm程切り落として葉をばらし、洗ってから、水を切っておく。 +2. 桶に漬物袋をセットして、白菜を広げて入れていき、塩を振り、押して平らにし、さらに白菜の向きを変えて、白菜、塩を重ね、平らにして押すことをくり返す。 +3. 上段まできたらしっかり押さえて、唐辛子をおき、袋をたたんで押しぶたをする。10kgの重石をかける。1週間ほどで漬かる。ぬか袋を桶の上下において漬けることもある。 +4. 束ねて取り出し、長方形に切る。切り口を上に向けて盛り付け、すりしょうがをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_26_1.jpg)" +"# はす魚田 滋賀県 + +**郷土料理名**: はす魚田 + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +湖岸、米原地域 + +## 主な使用食材 +ハス、味噌など + +## 歴史・由来・関連行事 +「ハス」は、もとは琵琶湖と三方五湖の固有種で、コイ科には珍しい魚食性の淡水魚である。ハスは俊敏に獲物を追って泳ぎ回る性質を持ち、常に動いていないと弱ってしまう。漁の網にかかった途端に弱り始め、網から外した時にはほとんど死んでしまうため、広く流通せずごく一部で食べられてきた。ハスの魚田は、琵琶湖で獲れるハスを使った滋賀県の郷土料理であり、魚田とは魚を姿のまま、もしくは切り身にして串にさし、味噌を塗って焼いたものをいう。成魚の旬は初夏。秋にとれる小型のハスも味が良いと言われる。身は淡泊で小骨が多く、クセのない味わいである。外来種などの影響によりその数が年々減り、ハスは絶滅危惧II類 (VU)に分類されているが、現在はコアユの種苗に混じって各地に移植され、九州から関東まで幅広く棲息している。 + +## 食習の機会や時季 +小型のものは冬・春にとられ、大型のものは春・夏となり通年を通して食べられる。 + +## 飲食方法 +ハスのエラと内臓を取り除いたら、 酒と塩をふりしばらくおいておく。味噌、砂糖、���黄を鍋に入れ、木べらでよく練り混ぜ合わせ玉味噌をつくる。鍋を弱火にかけて練り、ふつふつとしてきたら火を止める。魚焼きグリルに入れ、弱火で、焦げ目があまりつかない程度に両面を焼き、ハスの片面に玉味噌をのせて、さらに2分程、少し焦げ目がつくまで焼く。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ハス: 4尾 +- 味噌: 160g +- 砂糖: 70g +- 卵黄: 2個 + +## 作り方 +1. 魚のうろこ、エラ、内臓を取り去り、洗ってから、水をぬぐっておく。 +2. 味噌に砂糖を加えて、加熱し、焦がさないように混ぜながら、卵黄を加えてのばす。 +3. 魚に串を刺して、230℃のオーブンで、6分間焼く。 +4. ほぼ焼けたら、味噌を塗って、オーブンを220℃にして、軽く焦げ目がつく程度まで焼く。 +5. 竹串を抜いて、盛り付ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_27_1.jpg)" +"# ひとかわすし 滋賀県 + +**郷土料理名**: ひとかわすし + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +愛荘町、東近江市 + +## 主な使用食材 +米、合わせ酢、干ししいたけ、人参、かんぴょう、錦糸卵、ちりめんじゃこなど + +## 歴史・由来・関連行事 +「ひとかわすし」は、滋賀県蒲生郡桜川村でよくつくられた人呼びの時の箱寿司である。現在、東近江市に移行し、桜川西、桜川東、愛荘町辺りの東近江を中心に分布している。2升分の米が入る寿司桶に、飯と具材を4段、または5段に積み重ね押し寿司にする。色とりどりの具材を使い、何段も重ね押した寿司は豪華で、華やかである。数段重ねた寿司を一段ずつ取り、食すため、「ひとかわすし」と呼ばれている。また、「ひとかわすし」は、一度に20人から40人分の寿司がつくれるため、ハレの日や人寄びの際に食されている。尚、法事やお葬式にはちりめんじゃこを使わず、卵を湯葉に代えて精進の具にしてつくる。滋賀県には同様の箱寿司として、甲賀市水口町特産の水口干瓢を使う「宇川寿司」がある。全国各地に伝わるすしは、古くから日本人の食生活に受け継がれており、祭りや祝い事、通過儀礼等の様々な「ハレの日」に食されてきている。 + +## 食習の機会や時季 +主にハレの日や人寄せの際につくられることが多く、通年食すことができる。 + +## 飲食方法 +事前に米を炊き、具材はそれぞれ切って下味を付けておく。米が炊き上がったら半切に移して合せ酢を加えて寿司飯にして寿司桶に詰める。その上から具材を散らし、手で平らにならし、重しをする。中蓋をしてその上からさらに飯をのせ、具材を散らし、手でならす。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20人分) +- 米: 1升 +- だし昆布: 10cm角 +- 酒: 大さじ2 +- 【合わせ酢】酢: 180ml +- 【合わせ酢】砂糖: 90g +- 【合わせ酢】塩: 20g +- 【合わせ酢】うま味調味料: 少々 +- ちりめんじゃこ: 100g +- 干ししいたけ: 8枚 +- 人参: 100g +- かんぴょう: 20cm +- ゆでたけのこ: 1本 +- さやえんどう: 少々 +- 卵: 3個 +- のり: 2枚 +- 砂糖: 大さじ3 +- 醤油: 大さじ3 +- 塩: 少々 +- 紅しょうが: 30g +- 酢: 適宜(手水用) + +## 作り方 +1. 米は、炊く30分前によく洗い、ざるに上げておく。 +2. 干ししいたけは、たっぷりの湯に砂糖少量を加えた中に入れてもどしておく。柔らかくなれば、千切りにして砂糖、醤油、各大さじ1杯で甘辛く煮る。卵は薄く焼いて切り、錦糸卵にする。 +3. かんぴょうは、塩でもみ洗いして水に浸しておき、柔らかくなったら細かく切る。 +4. 人参とたけのこは、2cmの短冊切りにする。 +5. 3をしいたけのもどし汁で煮る。柔らかくなれば、4を入れて残りの砂糖、醤油で煮る。 +6. 合わせ酢にちりめんじゃこを浸しておく。 +7. 米を炊くときは、酒と水を合わせて水位を合わせ、昆布を加えて炊く。炊き上がったら分15分ほど蒸らし、寿司桶に移して、6を混ぜる。 +8. 桶に7の半量を入れて平らにし、2のしいたけと5の汁気を切って半分を振り込み、錦糸卵、さやえんどうも半量を飾り、手水用の酢で押さえる。中蓋をして残りのすし飯を入れ、同様に、手水をつけながら平らにして重しをする。一段ごとに適当な大きさに切って盛り、紅しょうがみじん切りときざみ海苔をのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文��研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_28_1.jpg)" +"# ビワマス刺身 滋賀県 + +**郷土料理名**: ビワマス刺身 + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +ビワマス + +## 歴史・由来・関連行事 +琵琶湖にのみ生息している固有種、ビワマスはサケ目サケ科に属する淡水魚。滋賀県には84種類を超える魚類が生息し、16種が琵琶湖だけに生息する固有種である。ビワマスは15℃以下の低い水温を好み、湖の深い層で生息する魚であるため、その条件を満たす琵琶湖でのみ定着したと考えられている。大きさは30cmから60cm、大きいもので2kgほどで、他のサケ科の種と比べると小ぶりであることと、海へ降りずに一生を淡水域で過ごすのが特徴である。琵琶湖での漁は縄文時代から始まったと言われており、昔は水路や水田に上ってくる魚をとっていたが、現在は刺網漁業(小糸網漁業)と呼ばれる漁法など琵琶湖独自の漁法で漁業が行われている。近年、ビワマスの漁獲量は20トンから50トン程度を推移し、地元でもあまり流通せず貴重な魚となっており、「琵琶湖の宝石」と呼ばれている。ビワマスを使った料理は塩焼きや煮付けなどさまざまあるが、旬のビワマスはトロにも負けない上質な脂が全身に乗っており、地元では刺身で食べられることが多い。また、ビワマスは産卵期に大雨の日に遡上することからアメノイオとも呼ばれる。 + +## 食習の機会や時季 +漁は春から夏頃に行われるが、初夏から夏にかけて脂がのる旬を迎える。 + +## 飲食方法 +ビワマスを三枚におろして、皮をはぎ、小骨などを取り除く。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ビワマス: 1尾 +- 大根: 100g +- 青しそ: 8枚 +- わさび: 少々 +- 醤油: 少々 + +## 作り方 +1. ビワマスを三枚におろして、皮をはぐ。 +2. 腹骨は斜めにそぎおとし、中骨、小骨はぬいておく。 +3. マスの身を洗って、水気をフキンでぬぐってから、刺身に切る。 +4. 大根のケンと青しそを使って、刺身を盛り付ける。 +5. わさび醤油をそえる。好みで辛子酢味噌でも良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_29_1.jpg)" +"# 焼きもろこのどろ酢 滋賀県 + +**郷土料理名**: 焼きもろこのどろ酢 + +**都道府県**: 滋賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +ホンモロコ、酢、味噌、砂糖、からし + +## 歴史・由来・関連行事 +ホンモロコは、コイ科モロコ属に分類される淡水魚の仲間で、琵琶湖周辺にのみ生息する「固有種」とされており、琵琶湖以外でその姿を見ることは困難とされている。コイ科の魚類の中でも特に美味しいと言われており、特に冬にとれる「子持ちモロコ」は琵琶湖の名物とされ、とても貴重な食材とされてきた。これを味噌を使った合わせ酢の「どろ酢」につけて食べるのが、滋賀県の郷土料理「焼きもろこのどろ酢」である。ホンモロコは琵琶湖を代表する魚介類の一つとして、「琵琶湖八珍」に選ばれている。ホンモロコは絶滅危惧IA類(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い)に指定されているが、現在は稚魚の生産技術が確立し、稚魚の放流や琵琶湖以外でも養殖して出荷されており、今も変わらず食べることができる。京都市内の料亭などへも高値で出荷されている高級魚であるが、ホンモロコは年間を通して釣ることができることや、小型の魚であるため、釣りの初心者や子どもでも釣りやすく、ホンモロコ釣りはレジャーとしても親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +ホンモロコは年間を通してとることができるが、冬から春にかけての繁殖期の時期が脂がのって美味しいとされる。 + +## 飲食方法 +串に刺して焼いたホンモロコに、味噌、砂糖、辛子、酢を混ぜた合わせ酢(泥酢)をかけていただく。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ホンモロコ: 160g(約16尾) +- 白味噌: 60g +- 砂糖: 30g +- 酢: 40ml +- 練り辛子: 小さじ1/2 + +## 作り方 +1. モロコを洗って、胸上部に串を打ち、ガスグリルで火加減に気をつけて、素焼きする。 +2. 白味噌、砂糖、酢を混ぜ合わせ、練り辛子は好みで加えて混ぜて、どろ酢(辛子酢味噌)をつくる。 +3. 焼いたモロコをお皿に盛り、どろ酢をかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 滋賀の食事文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shiga_30_1.jpg)" +"# 黒豆煮 京都府 + +**郷土料理名**: 黒豆煮 + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +南丹地域、中丹地域、丹後地域 + +## 主な使用食材 +丹波黒大豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +「黒大豆(くろだいず)」は、京丹波町や南丹市などの丹波地域を主な産地とする黒豆である。栽培の歴史は古く、大豆そのものは「古事記」(712年)や「日本書紀」(720年)が書かれたころには五穀の一つに数えられていたが、大豆の中の1品種である「丹波黒大豆」がいつごろ成立したかは定かではない。10世紀の書物には「烏豆(クロマメ)」として大豆と区別され、16世紀には宮中への献上物に「黒豆」の名があることから、このころには既に栽培が盛んであったと推測できる。土地が肥沃で、昼夜の気温差が大きい内陸型の気候で栽培されているため、大きな粒に育ち、味も濃厚である。栽培期間が半年間と長く、技術的にも難しいことから生産者の間では「苦労豆」と呼ばれることもあった。大粒でしわもなく、艶やかに黒光りする黒大豆は、煮あがりの味も良い。未熟のころに収穫した枝豆や豆ごはんなど素材の味をダイレクトに楽しめるレシピが一般的。正月のおせち料理では「黒豆煮」にして振る舞われる。「黒豆煮」には、「黒く日焼けするほどマメに働けるように」と、長寿、健康の願いがこめられている。 + +## 食習の機会や時季 +黒大豆は8月ごろに花を咲かせる。9月から10月はサヤに実がつきはじめ、しばらくすると実が黒くなっていく。黒く色づく手前の10月ごろには、枝豆用の黒大豆が収穫される。煮豆用の黒大豆が収穫されるのは11月ごろ。収穫前に実の周辺の葉が取り除かれ、日光にさらされた実は、次第に乾燥し、楕円形から丸型に変化する。「黒豆煮」は健康・長寿を祈願して、おせち料理に欠かせない一品になっている。 + +## 飲食方法 +黒大豆を砂糖や醤油と一緒に煮こんでつくる。豆が煮えたら器に盛ってそのまま食べる。弱火で時間をかけてゆっくり煮こむとふっくらと仕上がって大変美味である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 黒豆: 700g +- 【A煮汁】 水: 12カップ +- 【A煮汁】 砂糖: 500g +- 【A煮汁】 醤油: 0.5カップ +- 【A煮汁】 塩: 大さじ1 +- 【A煮汁】 錆びた釘(ガーゼで包む): 15本 + +## 作り方 +1. 黒豆は洗ってざるに上げる。 +2. Aの材料を全て鍋に入れて沸騰させ、冷めてから黒豆を入れて4~5時間漬ける。 +3. 2を強火にかけ沸騰したら、火を弱めて浮いている泡を玉杓子でとり除く。再び沸騰したら半カップの水を差し、中蓋をして弱火で8時間煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「京ごちそうさまお母さんの味」(京都府生活研究グループ連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_24_1.jpg)" +"# たけのこの木の芽和え 京都府 + +**郷土料理名**: たけのこの木の芽和え + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +山城地域、京都市 + +## 主な使用食材 +たけのこ、木の芽 + +## 歴史・由来・関連行事 +身が白くて柔らかく、えぐみが少ないことで知られる“京たけのこ”は、孟宗竹(もうそうちく)という品種を用い、独特の栽培法がおこなわれている。京都式軟化栽培法という方法で、親竹の先を止める“芯止め”、わらを畑一面に敷き詰める""敷きわら”、土を盛って土層を深くし、たけのこの皮が酸化して黒くなるのを防ぐ“土入れ”という作業をおこなう。このていねいな作業に加え、京都府におけるたけのこの一大産地である西山地域は、たけのこ栽培に適した水捌けのよい酸性土壌でマグネシウム含有も高く、日当たりの良い丘陵が多いという自然条件もあり、良質なたけのこをとることができる。このようにたけのこの名産地であることから旬の春になると、さまざまなかたちでたけのこを味わう風習が引き継がれている。運良くとれたてのたけのこが手に入ったら刺身にしたり、「たけのこごはん」や「若竹煮」なども人気である。そして「たけのこの木の芽和え」も、同じく春が旬の木の芽(山椒の葉のこと)を組み合わせた���理で、春の訪れを感じる料理として親しまれている。“木の芽和え”といえば、たけのこを想起するほど、広く一般的に知られている郷土料理である。 + +## 食習の機会や時季 +京たけのこは、早堀りで3月上旬から下旬、最盛期は4月中旬から5月上旬ごろに収穫される。また一般的なたけのこも木の芽の旬も春であることから、春を告げる料理として食べられている。 + +## 飲食方法 +木の芽とゆでたほうれん草を、白味噌、砂糖、卵黄とともにすり鉢ですり、しっかりアク抜きしてゆでたたけのこに和えて食べる。卵黄を入れることで味噌に艶が出るのと、味にコクが出るが、日持ちしないため余った分はしっかり冷蔵庫で保存すると良い。木の芽味噌は、酢味噌にしてもまた違った味わいを楽しむことができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ゆでたけのこ: 150g +- 木の芽: 50枚程 +- ほうれん草の先: 少々 +- 【A】 白味噌: 50g +- 【A】 砂糖: 小さじ2 +- 【A】 卵黄: 半分 + +## 作り方 +1. 木の芽はすり鉢でかたちがなくなるまでする。 +2. ほうれん草を色よくゆでて、先の柔らかいところを細かく刻み、1と一緒にかたちがなくなるまでする。 +3. 1と2の中にAを入れて、すりながらよく混ぜる。 +4. たけのこをサイコロ形に切って、3の中で混ぜ合わせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「京ごちそうさまお母さんの味」(京都府生活研究グループ連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_15_1.jpg)" +"# 万願寺とうがらしとじゃこの炊いたん 京都府 + +**郷土料理名**: 万願寺とうがらしとじゃこの炊いたん + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +中丹地域、京都市 + +## 主な使用食材 +万願寺とうがらし(万願寺甘とう)、じゃこ + +## 歴史・由来・関連行事 +「万願寺とうがらしとじゃこの炊いたん」は、京のブランド産品の一つである「万願寺とうがらし(万願寺甘とう)」とじゃこを使った炊いたん(煮物)で、家庭料理として親しまれている。“炊いたん”は、出汁をじっくり染み込ませるように炊いてつくるおかずのことを指す。「万願寺とうがらしとじゃこの炊いたん」は、万願寺とうがらしが夏の野菜ということもあり、夏の食卓によくあがる。大型の甘唐辛子の中でも細長く、肩がくびれて全体に少し湾曲し、あざやかな濃緑色で艶と張りがあり、清々しい容姿が特徴。大正末期ごろに京都府舞鶴市万願寺地区で、京の伝統野菜の「伏見とうがらし」と、北米原産のカリフォルニア・ワンダーが自然交雑して誕生したといわれている。みずみずしい味わいと肉厚な食感を楽しめる野菜である。唐辛子という名がついているが辛味はなく、子どもにも安心して食べさせられる。 + +## 食習の機会や時季 +万願寺とうがらしは、5月中旬から10月下旬に収穫・出荷され、スーパーマーケットや八百屋などの店頭に並ぶ。そのため、「万願寺とうがらしとじゃこの炊いたん」は夏のおばんざいとして、日常的につくられ食べられている。 + +## 飲食方法 +万願寺とうがらしを食べやすい大きさに切り、じゃこと一緒にだし汁、醤油、みりん、酒を入れて煮含めていき、軽く火が通ったらお皿に盛り付けていただく。あまり火を入れすぎると万願寺とうがらしの食感が損なわれてしまうため、調理時の火加減や炒め具合には注意する。また、家庭でつくる場合、「万願寺とうがらし」を手でちぎってつくるケースもあるが、万願寺とうがらしの旨味・風味が逃げやすくなってしまうので、包丁で切った方が良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 万願寺とうがらし: 200g +- ちりめんじゃこ: 20g +- 油: 大さじ1 +- 【A】 醤油(濃い口): 大さじ2 +- 【A】 砂糖: 大さじ1.5 +- 【A】 みりん: 大さじ1 +- 【A】 だし汁: 50cc + +## 作り方 +1. 万願寺とうがらしは種をとりきれいに洗う。 +2. 鍋に油を入れて火にかけ、少し経ったらちりめんじゃこ、万願寺とうがらしを入れて炒める。 +3. 柔らかくなったらAを入れてよく混ぜて、中火にして煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「京ごちそうさまお母さんの味」(京都府生活研究グループ連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_9_1.jpg)" +"# 白味噌の雑煮 京都府 + +**郷土料理名**: 白味噌の雑煮 + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +府内全域 + +## 主な使用食材 +白味噌、丸餅、頭芋、大根 + +## 歴史・由来・関連行事 +日本各地で、その内容に特色が現れる雑煮。出汁の素材や味、中に入れる具材、餅の形状など、地域によってさまざまである。正月の三が日に餅が入った雑煮を食べる風習は、平安時代にはあったといわれる。その後、室町時代に入り、武家の祝い膳としてさまざまな縁起物の食材も取り入れた雑煮が各地で根づいていくようになる。京都府で正月に食べられる雑煮は、丸餅と頭芋(かしらいも:里芋の親芋のこと)、大根、そしてブランド京野菜の「金時人参」を入れることもある「白味噌仕立ての雑煮」である。丸餅は円満と長寿を願い、頭芋は子孫繁栄・立身出世、大根は、丸く切れば円満を意味し、亀甲型に切れば長寿を意味する。金時人参はそのあざやかな赤色から魔除けのために入れられることがある。白味噌は京都が発祥だといわれており、平安時代からすでにつくられていたとされる。当時貴重だった米を贅沢に使う白味噌は、主に貴族の間で食されていた。麦味噌や豆味噌など、貯蔵を目的に発達したほかの味噌に比べ、発酵期間が1週間から10日と短く、塩も少なめでつくるため、まろやかで甘みのある仕上がりになる。 + +## 食習の機会や時季 +正月の三が日に各家庭で食べられる。日常的に白味噌を食す習慣はないが、特別な日である正月に向けて、白味噌を仕込む家庭も少なくないという。 + +## 飲食方法 +皮をむいてゆでた頭芋と大根を、輪切りもしくは亀甲型に切る。同様に金時人参を入れる場合は、輪切りにしてゆでる。器に、下準備の終わった頭芋、大根を入れ、柔らかくした丸餅も入れる。最後にだし汁に白味噌をのばしたものを注ぎ入れていただく。餅は焼くこともあるが、白味噌の風味を邪魔しないように、ゆで餅にすることも多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分※丸餅、頭芋や器の大きさにより、各家庭で人数分が異なる。) +- 頭芋(里芋の親芋のこと): 1/2個 +- 雑煮大根: 1/6個 +- 丸餅: 2~4個(好みで) +- だし汁(昆布): 3カップ +- 白味噌: 250g +- 糸カツオ: 適宜 + +## 作り方 +1. 頭芋は皮をむき、竹串が通るくらいまでゆでる。吹きこぼれるので弱火にする。せいろで蒸したり、圧力鍋を使用しても良い。 +2. 雑煮大根は、皮をむかずに輪切りにしてゆでる。だし汁が沸騰したら弱火にして白味噌をよく溶きのばす。 +3. 丸餅は少し焼いて柔らかくし、頭芋、大根とともにお椀に入れて糸カツオを上に盛る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「京ごちそうさまお母さんの味」(京都府生活研究グループ連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_4_1.jpg)" +"# ばらずし 京都府 + +**郷土料理名**: ばらずし + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +丹後地域 + +## 主な使用食材 +米、酢、サバ、干ししいたけ、卵、かんぴょう、かまぼこ、たけのこ、紅しょうが + +## 歴史・由来・関連行事 +若狭湾に面する丹後半島では、サバがよくとれ、古くから大衆魚として親しまれていた。冷蔵技術が発達していなかった時代、サバは鮮度が落ちるのが速いこともあり、サバを長く楽しむための工夫が考えられた。塩漬けにした後、さらに粕漬けにする「へしこ」もサバを長く味わうための工夫の末に誕生した料理だが、焼くことも保存方法の一つであった。魚介類を若狭湾から都(京都)へと運ぶためのルート、通称“鯖街道”で商品を運ぶ際も、サバを焼くか、塩漬けにして内陸部まで運んだという。そのため、鯖街道周辺では、焼きサバを用いた郷土料理も多い。「ばらずし」も、そんな焼きサバを用いた郷土料理で、おぼろ状にしたサバや色とりどりの具材をのせてつくるのが特徴である。“まつぶた”と呼ばれる木製の浅い木箱やすし切り(ばらずしを取り分ける用のヘラ)、テツキ(ざる)など、独特の道具を使う。地元の人々は「ばらずし」と呼ぶことが多いが、正式には「丹後ばらずし」と呼ばれる。「ばらずし」の由来は、具やサバのおぼろをすし飯の上に“バラバラ”と散らすからという説が有力だが、“バラテツキ”という平たいざるで��し飯を混ぜたからという説もある。昔はサバを長時間煮ておぼろをつくっていたが、最近は缶詰を代用することが多い。そのため、地元のスーパーマーケットなどでは、ほかの地域では見られない特大サイズのサバ缶が売られている。 + +## 食習の機会や時季 +現在でも、祭りや結婚式などの祝いの席で食べられている。そのほかにも、雛祭りや運動会などの行事や、正月、お盆などの季節の行事、誕生日など、大勢の人が集まる席でも定番の料理になっている。 + +## 飲食方法 +まつぶたの中に、すし飯を薄く敷きつめ、その上に甘辛く炒り煮にしたおぼろ状のサバを散らし、干ししいたけや錦糸卵、かまぼこ、紅しょうが、さらに季節の具材を彩りよく散らす。一段でつくる場合もあるが、切った時の断面を意識して、すし飯とすし飯の間に具を挟んで二段にすることもある。できたら、すり切りで切り分けて食べる。サバのおぼろを使うことは必須だが、それ以外に使用する具材や一段にするか二段にするかは、各家庭によって異なる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (米1升・約20人分) +- 米: 1升(1.5kg) +- 【合わせ酢A】 酢: 280cc +- 【合わせ酢A】 砂糖: 280g +- 【合わせ酢A】 塩: 大さじ1強 +- 味付けサバ缶: 440g 1缶 +- 砂糖: 大さじ5 +- 卵: 5個 +- かんぴょう: 45g +- ごぼう: 100g +- 干ししいたけ: 20g +- 紅しょうが: 70g +- 青物(木の芽、いんげん、きゅうり等): 適量 + +## 作り方 +1. 米を炊いて熱いうちに合わせ酢Aを混ぜる。 +2. かんぴょうは水で戻し小さく切る。ごぼうはささがきにする。一緒に出汁で炊く。 +3. 干ししいたけは水で戻して、千切りにして出汁で炊く。砂糖と醤油(分量外)で味を付ける。 +4. サバ缶を汁ごと小鍋で炒る。身がほぐれ水分が飛んでから砂糖を加える。最後に卵の白身1個分を混ぜておぼろをつくる。 +5. 残った卵に塩少々を入れて薄焼き卵をつくる。 +6. 紅しょうがを千切りにする。 +7. 酢飯が少し冷めたらかんぴょうを混ぜる。 +8. まつぶた (浅い木箱)を酢液でぬらし、7をのせ、上にごぼう、おぼろの順にのせてから、錦糸卵、しいたけ、紅しょうが、青物をのせる。まつぶたがない場合は、酢飯を皿に入れてその上に具をのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「京ごちそうさまお母さんの味」(京都府生活研究グループ連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_1_1.jpg)" +"# きごしょう 京都府 + +**郷土料理名**: きごしょう + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +京都市 + +## 主な使用食材 +きごしょう + +## 歴史・由来・関連行事 +「伏見(ふしみ)とうがらし」は、京都市伏見区付近で栽培されていた京の伝統野菜。詳細は明らかになっていないが、貞亨元年(1684年)に編纂された地誌「雍州府志(ようしゅうふし)」には、山城の国(現在の京都府南部)で栽培されていたと記録されている。京都府は、古くから府内で栽培されている野菜を「京の伝統野菜」として定め、ブランディングを図っている。ブランディングにあたり、明治以前に導入されたもの、京都府内全域が対象、キノコやシダをのぞく、といった定義を設けており、伏見とうがらしも認証され、府内全域で栽培されている。一般的に唐辛子は辛いイメージがあるが、伏見とうがらしは辛みがなく、独特な甘みがあることから「伏見甘長(ふしみあまなが)」という別名もある。熟すと赤唐辛子のように実が赤くなるが辛味が増すことはない。そのため、青色果と赤色果を組み合わせて、調理の彩りに用いられることもある。おなじく京都で栽培されている「万願寺とうがらし」と比べて細長く、長さは10cmから15cmほど。市場では「青ト」の愛称で親しまれている。若い葉は「きごしょう」と呼ばれ、小さな果実と一緒に佃煮などの食用に用いられる。伏見とうがらしが使われることが多いがほかの唐辛子を利用する場合もある。葉は柔らかく、ほのかな唐辛子の風味と独特の苦みが特徴である。 + +## 食習の機会や時季 +伏見とうがらしの旬は、5月上旬から10月下旬である。現在は、府内各地で栽培されるようになっており、ビニールハウスによって収穫時期を広げたりする工夫もされている。辛みがなく子どもでも食べられるため、京都の真夏のおばんざいとして幅広い世代に親しまれている。 + +## 飲食方法 +唐辛子の葉をお湯でさっとゆでて冷水でしめたあと、水気をよく切って醤油や酒と炒め煮にしてから食べる。ごはんのお供はもちろん、酒のつまみとしても親しまれている。じゃこなどを加えても美味である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20人分) +- 唐辛子の葉: 500g +- ごま油: 大さじ2 +- 【A】 酒: 大さじ3 +- 【A】 醤油: 大さじ2 +- 【A】 みりん: 大さじ2 +- 【A】 砂糖: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 唐辛子の枝から葉を外す。 +2. ごま油を熱し、唐辛子の葉を炒める。 +3. 柔らかくなったらAを加える。味が馴染むまで炒める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「京ごちそうさまお母さんの味」(京都府生活研究グループ連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_30_1.jpg)" +"# 宇治金時 京都府 + +**郷土料理名**: 宇治金時 + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +京都市、山城地域 + +## 主な使用食材 +宇治抹茶、小倉あん、氷など + +## 歴史・由来・関連行事 +「宇治茶」は、日本を代表する高級茶。1191年、栄西禅師が宗から持ち帰ってきた茶の種子を明恵上人が京都市右京区の栂尾(とがのお)の地に播いて、栽培がはじまったという。足利義満、義政の時代に栽培が推奨され、宇治市に茶園が開かれた。そして、喫茶の習慣が広がっていくようになると、宇治茶は贈答品に用いられる一級品に。茶の産地を飲み当てる「闘茶」もたしなまれた。さらに、座敷飾りや茶道具を鑑賞する「茶の湯」が生まれ、大衆にも広まっていった。江戸時代中期には、永谷宗圓によって「宇治製法」が確立。これは、蒸した茶の新芽を焙炉の上で揉み乾燥させる製法。この製法によるお茶が江戸で評判となり、全国各地に知れ渡った。現在は宇治市をはじめとし、和束町(わづかちょう)、南山城村といった京都府南部の山城地域を中心に中丹地域、丹後地域がおもな産地になっている。宇治茶には、さまざまな種類がある。露天で栽培した新芽を蒸し、揉んでつくられる「煎茶」、新芽に覆いをして直射日光を妨げて栽培された「玉露」、玉露のように直射日光を避けて栽培され、蒸した葉を揉まずにつくる「てん茶」、てん茶を粉末状にした「抹茶」などがある。宇治抹茶は最高級品のお茶として飲まれるほか、ゼリーやアイスといった氷菓などにも使われる。かき氷に小倉あんと抹茶シロップをかけた「宇治金時」は、抹茶を使ったスイーツの定番。京都市をはじめ、府内のカフェや茶店などで提供されている。 + +## 食習の機会や時季 +カフェやレストランなどの飲食店で通年販売されているが、夏に好んで食べられる。京都の宇治茶専門店では宇治茶を使った抹茶シロップが販売されている。 + +## 飲食方法 +器に盛ったかき氷に小倉あんと抹茶シロップをかけて食べる。飲食店では、白玉やアイス、抹茶ゼリーを豪華に盛り付けてパフェ風にアレンジされていることも少なくない。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 宇治抹茶: 5g(大さじ1) +- グラニュー糖: 100g +- お湯: 70ml +- 白玉粉: 50g +- 水: 約45ml +- 氷: 約800g +- 粒あん(京都大納言小豆等): 100g + +## 作り方 +1. 砂糖と水を熱して溶かしシロップ状にする。 +2. 茶こしでこした抹茶に熱したシロップを少し加えて練り、お湯を少しずつ入れてのばし抹茶シロップをつくる。※抹茶のだまがある場合は目の細かいストレーナーでこす。 +3. あら熱が取れたら冷蔵庫に入れてよく冷やしておく。 +4. 白玉粉をボウルに入れ、水を少しずつ加え耳たぶくらいのかたさにする。 +5. 生地を、12個にわけて直径2cmくらいの大きさに丸める。 +6. 鍋にたっぷりのお湯を沸かし、白玉を2~3分ゆで、ゆで上がったら、冷水にさらしてひきしめる。 +7. かき氷器で4人分のかき氷を作る。 +8. 抹茶みつをかけ、白玉、粒あんをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : TOMIZ(富澤商店)/cuoca(クオカ) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_29_1.jpg)" +"# 千枚漬け 京都府 + +**郷土料理名**: 千枚漬け + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +京都市 + +## 主な使用食材 +聖護院かぶ + +## 歴史・由来・関連行事 +「千枚漬け」は、薄切りにした聖護院かぶを塩漬けにした漬物。「すぐき漬け」「しば漬け」と並ぶ“京都三大漬物”の一つである。従来の漬物と異なり、長期保存を目的としておらず、繊細に漬け上げる。江戸時代、御所の料理人である大藤藤三郎が考案したものとされる。のちに大藤藤三郎は漬物商に転身し、「千枚漬け」を販売。たちまち評判となり、明治23年(1890年)に京都で開かれた全国博覧会では、全国名物番付けに入選するまでになった。使うかぶは、京の伝統野菜「聖護院かぶ」である。このかぶは、享保年間に滋賀県大津市で栽培されていた近江かぶの種子を左京区聖護院の農家が持ち帰って、栽培をはじめたのが発祥とされている。大きなもので4kgから5kgほどになる国内最大のかぶで、柔らかく上品な味わい。「千枚漬け」が一般的に知れ渡るようになると、栽培が盛んになっていった。聖護院かぶの名産地になっている亀岡市篠町では、戦後間もなく生産がはじまった。京都で生産されている「千枚漬け」のほとんどが、この地域でとれたかぶである。京都で古くから食べられてきた伝統的な野菜として「京の伝統野菜」にも認証されている。京都府では、伝統的な原材料と技術技法などにより製造された伝統食品を「京もの伝統食品」として指定しており、そのうちの一品として「千枚漬け」も含まれている。 + +## 食習の機会や時季 +聖護院かぶの出荷時期にあたる11月ごろからつくられる。この時期、仕込み作業を公開する老舗の漬物業者では大きな樽を用いて、大量につくられ、その光景が冬の京都の風物詩となっている。聖護院かぶの収穫時期には、家庭でもつくられている。 + +## 飲食方法 +聖護院かぶを薄く切って、昆布、唐辛子とともに酢漬けにする。従来の漬物と異なり、長期保存を目的としておらず乳酸発酵もさせない。もとは、塩漬けして乳酸発酵させた漬物だったという。そのまま食べたりするほか、からすみやスモークサーモンをはさんだアレンジレシピなども存在する。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 聖護院かぶ(直径10~15cm): 1kg +- 塩: 20g +- 昆布: 45g +- 鷹の爪: 適量 +- 【A】 酢: 200cc +- 【A】 砂糖: 90g +- 【A】 みりん: 40cc + +## 作り方 +1. 聖護院かぶの皮は厚めにむいて、2mm程度の厚さに切る。 +2. 塩を振って重石をし、一昼夜漬けてからざるに上げて水気を切る。 +3. 昆布は細かく切り、鷹の爪は種を除いておく。 +4. Aを合わせてひと煮して、冷ましておく。 +5. 容器にかぶと昆布を交互に重ねて並べ、鷹の爪も入れ、4を注ぎ軽い重石をする。一昼夜おくとできあがる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「京ごちそうさまお母さんの味」(京都府生活研究グループ連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_28_1.jpg)" +"# しば漬け 京都府 + +**郷土料理名**: しば漬け + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +京都市 + +## 主な使用食材 +しそ、きゅうり、なす、みょうがなど + +## 歴史・由来・関連行事 +地下水が流れる京都では、古来より各地で野菜の栽培が営まれてきた。これにより、野菜を活用した漬物文化が発展したといわれている。「しば漬け」は京都市を代表する漬物の一つで、「すぐき漬け」や「千枚漬け」と並び“京都三大漬物”と評されている。「しば漬け」は、なすやきゅうり、みょうがなどをしその葉とともに塩漬けした漬物である。しそのあざやかな紫色と酸味が特徴。京都市左京区の大原地区は「赤しそ」の産地として知られている。発色や香りの評価が高く、府内外から高い需要がある。大原地区の赤しそは、800回以上繰り返し栽培されてきたこと、盆地のため地域外からの花粉の飛来がないこと、といった理由から最も原品種に近いとされている。「しば漬け」は、大原の名刹・三千院の僧侶、聖応大師が発案したとされている。名前の由来は、高倉帝の皇后、建礼門院にあると伝わる。大原の寂光院に閑居していた建礼門院に、地元民がしそを使った漬物を献上したところ、その味にたいそう喜んだという。そして、あざやかな紫色にちなんで「紫葉漬け(むらさきはづけ)」と名付けた。このような背景から、大原地区の家庭では、「しば漬け」が常備菜の定番になっている。 + +## 食習��機会や時季 +保存食のため通年楽しむことができる。直売所やスーパーマーケットなどで気軽に購入できるほか、漬物業者には欠かせない商品になっている。また、ごはんのおともやおつまみとして、全国的にも知名度が高い。大原地区では、しその収穫期にあわせて、7月1日から31日まで「赤しそ開き」を開催している。行事初日には「赤しそ法要」がおこなわれるほか、「しば漬け」つくり体験などが催される。 + +## 飲食方法 +食べやすいサイズにカットしたなすやきゅうりなどを、しその葉、塩ともみあわせる。しばらく置いて水分をしぼったら漬物容器に移して数日間、寝かせる。発酵が進んだら、ごはんのおかずやお酒のつまみとして食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (漬物容器1つ分) +- なす: 10kg +- しその実: 1kg +- みょうが: 少々 +- きゅうり: 2kgまで +- 青唐辛子: 500g +- 塩: 550g + +## 作り方 +1. なすはへたをとり除き、洗って5mm厚さに切る。 +2. 青唐辛子は縦半分にする。 +3. きゅうりは斜め大切りにする。 +4. しそは枝ごと洗って葉をとって荒く刻み、なすに混ぜる。 +5. みょうがは薄切りにする。 +6. 容器になすとしその葉を混ぜたものを約10cmの厚さに詰めて塩を振り、みょうが、きゅうり、青唐辛子を交互に漬けていく。 +7. 一番上にしその葉を多めにのせる。 +8. 材料と同量の重石をする。 +9. 一昼夜漬けて黒い漬け汁が出れば流して捨てて、きれいな汁が押し蓋より3~4cmある状態で保存する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「京ごちそうさまお母さんの味」(京都府生活研究グループ連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_27_1.jpg)" +"# 水無月 京都府 + +**郷土料理名**: 水無月 + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +府内全域 + +## 主な使用食材 +ういろう、小豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +砂糖や水あめなどを混ぜた生地を木型で成形した「落雁(らくがん)」や高級食材の和三盆糖を木型で成形した「和三盆(わさんぼん)」、砂糖と水あめを煮つめて手で成形する「有平糖(ありへいとう)」など、京都ではさまざまな郷土菓子が発展した。「水無月」もまた、府内全域で伝統的に食べられてきた郷土菓子である。白いういろうの上に小豆を乗せ、三角形に切り分けた状態で提供される。平安時代、宮中の人々は京都市北区西賀茂地区の氷室に蓄えていた氷を口にして暑気払いしていた。当時、氷は高級品で、庶民が口にする機会はほとんどなかった。そこから、氷のかたちを模した「水無月」を食べるようになったと伝わっている。京都では6月30日になると、1月から6月までの半年間の「罪穢れ(つみけがれ)」を祓い清める神事「夏越しの祓(なごしのはらえ)」が各地の神社で催される。この神事の際に罪を払い無病息災を願って食べられるのが「水無月」である。三角のかたちは暑気を払う氷を模しており、小豆の赤色は邪気払いの意味がこめられている。京都府は、京都で育まれた王朝文化、茶道文化などをもとに成立した芸術的な食べ物として「水無月」を「京もの伝統食品」に指定している。指定にあたり、すべて手作業で製造していること、木型も手彫りであること、といった基準を定めている。 + +## 食習の機会や時季 +1年の折り返しにあたる6月30日に無病息災を祈念する神事「夏越しの祓」で食べる行事食として根づいている。6月ごろになると、和菓子店やスーパーマーケットなどの店頭に「水無月」が並ぶ。 + +## 飲食方法 +ういろうの生地を蒸籠に流して蒸し、大粒の大納言小豆や甘納豆を並べて再び蒸して食べる。既製品を購入するのが一般的である。食べる前に少し冷やしておくとひんやりとした食感が楽しめる。近年は、白いういろうだけでなく、抹茶味や黒糖味、栗入りといった現代的なアレンジを加えたバリエーションも販売されている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (牛乳パック1個分) +- 小麦粉(薄力粉): 90g +- 米粉: 10g +- 砂糖: 80g +- 小豆の甘納豆: 100g +- 水: 300cc +- 牛乳の紙パック: (1000ml) + +## 作り方 +1. (1)牛乳パックの側面の一面だけを切り取り、流し型をつくっておく。牛乳パックの注ぎ口の部分は長めのガムテープで漏れないように留めておく。(2)砂糖がま��された甘納豆を使う場合はあらかじめ水洗いして落としておく。(3)小麦粉、米粉、砂糖をボウルに入れ、だまにならないように少しずつ水を加えながら、よく練る(練ることでコシが出る)。 +2. (1)でつくった方を横にしたまま底に甘納豆を散らし、(3)をゆっくり流し入れる。 +3. 型にラップをかけて600Wのレンジで6分間加熱する。※電子レンジのワット数により、加熱時間は加減する。 +4. しばらく自然に冷ます。食べる30分程度前に冷蔵庫でさらに冷やす。 +5. 取り出しやすいようにハサミなどで牛乳パックを切り、水無月を取り出し、三角に切り分ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「京ごちそうさまお母さんの味」(京都府生活研究グループ連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_26_1.jpg)" +"# 壬生菜のからし和え 京都府 + +**郷土料理名**: 壬生菜のからし和え + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +京都市 + +## 主な使用食材 +壬生菜、辛子 + +## 歴史・由来・関連行事 +「壬生菜(みぶな)」は、京都市の壬生地区を発祥とする京の伝統野菜である。1800年代、みず菜の一変種が自然交雑することによって生まれたと伝わっている。みず菜と区別されるようになった時期ははっきりわかっていないが、文化元年(1804年)に残された資料によると「壬生に産する壬生菜」という記載がある。みず菜と異なり、葉のふちに切れ込みが無く、丸いスプーン状になった葉が特徴である。さっぱりとした風味のみず菜と比較して、壬生菜にはぴりっとした辛み、苦味がある。京都市内全域で栽培されているが、府内の主産地は南丹市日吉町である。漬物加工用に露地栽培もおこなわれているが、ビニールハウスでの周年栽培がおもである。年5回ほど収穫されているという。京都府は、古くから府内で栽培されている野菜を「京の伝統野菜」として定め、ブランディングを図っている。ブランディングにあたり、明治以前に導入されたもの、府内全域が対象、キノコやシダをのぞく、といった定義を設けており、壬生菜も京の伝統野菜の一つとして取り扱われている。壬生菜は「壬生菜のからし和え」をはじめ、和え物や浅漬け、サラダ、炒め物など幅広い料理に活用されている。 + +## 食習の機会や時季 +大株で、主として京漬物の「千枚漬け」のそえ物として用いられる壬生菜は、12月ごろから市場に出回るようになる。1月にピークを迎え、3月ごろまで販売されているが、近年はみず菜のような小株での栽培が定着している。周年栽培されるようになってからは、京野菜を代表するブランド商品として年中、手に入りやすくなった。からし和えは壬生菜の定番料理の一つとして、家庭でもつくられている。 + +## 飲食方法 +ゆでた壬生菜を1cm程度に刻んで、すりごま、練り辛子、昆布出汁などの調味料と和えてから食べる。壬生菜の長さによって食感が変化し、合わせる調味料によって口あたりも異なるため、各家庭によってレシピもさまざまである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6人分) +- 壬生菜: 300g +- 【A】 醤油: 大さじ1 +- 【A】 辛子: 小さじ1 +- 【A】 みりん: 少々 + +## 作り方 +1. 壬生菜は熱湯に塩をひとつまみ入れてゆでる。 +2. 1~2cmくらいに切る。 +3. 水気を切り、冷ましてからAで和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「京ごちそうさまお母さんの味」(京都府生活研究グループ連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_25_1.jpg)" +"# 松茸ごはん 京都府 + +**郷土料理名**: 松茸ごはん + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +南丹地域、中丹地域、丹後地域 + +## 主な使用食材 +丹波マツタケ、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +南丹地域の南丹市、中丹地域の綾部市や福知山市では、松茸生産が盛んにおこなわれている。この地域の松茸は「丹波マツタケ」として流通しており、香りの良さと弾力に富んだ歯ごたえが特徴。特に香りの良さに定評があり、収穫直後、丹波マツタケを積んだ車内は濃厚な香りでいっぱいになるという。京都府南部に位置する山城地域でも松茸が生産されており、こちらは「山城マツタケ」で市場に流通。味、風味は丹波マツタケに勝るとも劣らないといわれてい���。戦前、年間1200トン以上あった府の松茸生産量も、近年は生産量数トンにまで減少している。減少の理由の一つとして、高度経済成長期によるライフスタイルの変化が挙げられる。電気、石油、プロパンなどを利用するようになってから、松の枝葉が燃料として利用されなくなり、放置される松林が増加。もともと、乾燥したやせ地を好む松茸は、雑木や雑草が生い茂る松林では生育しにくくなる。さらに、近年の松くい虫被害によって大量の松枯れが発生し、それが生産量減少の追い打ちをかけた。松茸の人工栽培は現代においても確立されておらず、発生を促すには山や松林を手入れして生育環境を整える必要がある。これを受けて、昭和53年(1978年)には府内各地で松茸発生環境整備施業を実施。これまで「京都方式」と呼ばれる中層木の除伐や腐植土の除去といった生育環境づくりがおこなわれた。こういった背景もあり、京都の松茸は高級食材として珍重されている。旬を迎える秋ごろになると、料亭や割烹で「松茸ごはん」や「おすまし」、「すきやき」などで提供される。 + +## 食習の機会や時季 +9月から11月上旬に旬を迎える。成長にともなって若い時期のものから「ころ」、「椀」、「開き」と呼ばれる。松茸ごはんは香りが強い「開き」が良いとされる。松茸を使った料理は、おもに料亭や割烹などで食べられているが、産地に近い家庭ではつくられることもある。 + +## 飲食方法 +薄くスライスした松茸を米と昆布出汁などと炊いてから食べる。仕上げに三つ葉などをそえると見映えが良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 3カップ +- 松茸: 100g +- 【A】 薄口醤油: 大さじ3 +- 【A】 酒: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 米を洗い、30分程度ざるに上げておく。 +2. 松茸は洗わずに、濡らしてかたく絞ったフキンで表面を拭く。いしづきは鉛筆のように削って落とす。泥汚れや虫が付いている場合は、薄い塩水につけ軽く洗う。 +3. 炊飯器に、米、松茸、Aを入れて、炊飯し、蒸らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「京ごちそうさまお母さんの味」(京都府生活研究グループ連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_23_1.jpg)" +"# ふろふき大根 京都府 + +**郷土料理名**: ふろふき大根 + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +京都府全域 + +## 主な使用食材 +聖護院だいこん + +## 歴史・由来・関連行事 +京都ではさまざまな品種の大根が食べられている。中京区の「青味大根」や北区の「辛味大根」、中丹地域の舞鶴市の「佐波賀大根」など多種多彩。なかでも一般的に知られているのが「聖護院だいこん」である。この大根の原種は、文政年間に尾張から取り寄せて栽培されていた「宮重(みやしげ)だいこん」だといわれている。宮重だいこんをもらい受けた愛宕郡聖護院(現在の左京区聖護院)の農家が毎年栽培しているうちに、丸形の品種を選抜、育成し、やがて聖護院だいこんと呼ばれるようになった。丹後地域の京丹後市をはじめ、京都市や亀岡市、久御山町など府内全域で栽培されている。京都で古くから栽培されてきた「京の伝統野菜」の一つとして、青味大根や辛味大根とともに聖護院だいこんが指定されている。聖護院だいこんの身は、緻密で柔らかく苦味がなくて甘い。また煮崩れが少ないのが特徴である。水気が多く繊維が少ないので、煮こむとねっとりとしたなめらかな口当たりが楽しめる。「ふろふき大根」は聖護院だいこんを使った代表的な郷土料理である。 + +## 食習の機会や時季 +聖護院だいこんは、8月下旬から種まきがおこなわれ、11月中旬から翌年2月にかけて出荷される。出荷のピークは11月からの2か月ほどで、12月中旬が旬とされている。この時期になると府内各地の寺院では「大根(だいこ)焚き」がおこなわれる。無病息災を祈願する伝統行事で、参拝者には聖護院だいこんの煮物が振る舞われる。「ふろふき大根」はいまも一般家庭でつくられており、冬の味覚として幅広い世代から親しまれている。 + +## 飲食方法 +聖護院だいこんは、煮崩れしにくく苦味が少ないので、主に煮物用に使われる。お湯が沸騰した鍋にくし形に切った聖護院だいこんと昆布出汁を加えて柔らかくなるまで煮こむ。食べるときに白味噌や柚子味噌をつけるとより美味しくなる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根(厚切り、皮をむく): 4切れ(約500g) +- 水: 3カップ(大根の重量の約120%) +- 昆布: 10g(大根の重量の約2%) +- 淡口醤油: 小さじ2(大根の重量の約0.5%塩分) +- 田楽味噌: 大さじ4(70g) +- 柚子の皮千切り: 適量 +- 白水(米のとぎ汁): 適量 + +## 作り方 +1. 口当たりを良くするため皮をやや厚めにむき、白水(米のとぎ汁)で大根に竹串がすっと通るくらいまでゆでる。 +2. 手順1の大根は、昆布を入れた水で煮て、淡口醤油を加え、ごくごく薄味(吸い物より薄い味)を付けて柔らかく煮る。 +3. 田楽味噌を練ってあたため、2の上にかける。最後に柚子の皮の千切りを天盛りする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 参考文献:「京都の郷土料理」(飯塚久子・滋野幸子・堀浪子共著) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_22_1.jpg)" +"# はもの焼き物 京都府 + +**郷土料理名**: はもの焼き物 + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +京都市、中丹地域、丹後地域 + +## 主な使用食材 +ハモ + +## 歴史・由来・関連行事 +ハモは、京料理に欠かせない魚である。暖流の影響をうける海に生息しており、丹後の海では年に数トン程度が水揚げされている。しかし、京都で食べられているハモの多くは瀬戸内や玄界灘などでとれたものである。ハモは、うなぎやアナゴに似た姿をしており、大きい個体は2m近い体長になることもある。大物は生まれてから10年以上経っているといわれている。日中は砂泥底や岩穴に潜んでおり、夜に活動して魚やエビ・カニ類などを好んで食べる。口には鋭い歯が並んでおり、気性も荒い。水揚げされたあとも、激しく動きまわり噛みついてくることもある。見た目に反して、肉質は美しい白身で淡白な味わいである。ハモは小骨が多く、調理に手間がかかる。それでも食材として京都に根づいたのは、生命力の強いハモなら、遠方からでも京都まで生きたまま運んでくることができたからだといわれている。小骨が厄介なハモは、調理の際に「骨切り」という独自の技術が用いられる。骨切りには熟達した技術が必要で、「京都の料理人は骨切りを覚えてから一人前」といわれるほど。いつごろから食べられるようになったかは定かではないが、江戸後期に編纂された「海鰻(はむ)百珍」では、100種類以上のハモ料理が記されている。身を湯引きした「はものおとし」やしゃぶしゃぶ、お造りなど、現代においてもさまざまな料理で親しまれており、「はもの焼き物」も定番料理の一つである。 + +## 食習の機会や時季 +ハモは初夏から盛夏、秋にかけて旬を迎える。調理に手間がかかるため、家庭でつくられることは少なく、飲食店で食べるのが一般的である。国の重要無形民俗文化財、ユネスコ無形文化遺産でもある「祇園祭」(7月1日から31日に開催される伝統行事)は、「はも祭り」の別称でも親しまれており、行事食としてハモ料理が振る舞われる。 + +## 飲食方法 +醤油ベースのタレにつけて照り焼きにしたり、塩焼きにしてから食べる。ごはんのおかずだけでなく、酒のつまみにもよく合う。ハモの身は薄いので強火で焼くとパサパサして身がかたくなることから焼き加減には注意が必要。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- ハモ: 1枚(骨切りされたもの) +- タレ: 大さじ6(濃口醤油4:酒5:みりん1の割合) + +## 作り方 +1. フライパンの大きさに合わせた長さに切り、皮が収縮して丸くなるのを防ぐために体長に串を4本打つ。串を打つ際、串先がつきでないよう皮にそわせながら通す。 +2. 身を少し短くするように縮ませてから、まず皮側を焼き目が付くまで焼き、裏返して身8割、皮2割の要領で焼く。 +3. 手順2で焼いたハモにタレをかけたら、さらにフライパンで焼き、これを2~3回繰り返す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 参考文献:「京都の郷土料理」(飯塚久子・滋野幸子・堀浪子共著) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_21_1.jpg)" +"# 鯛蕪/聖護院かぶと鯛の煮物 京都府 + +**郷土料理名**: 鯛蕪/聖護院かぶと鯛の煮物 + +**都道府県**: 京都府 + +## 主���伝承地域 +京都市 + +## 主な使用食材 +タイ、聖護院かぶ + +## 歴史・由来・関連行事 +聖護院かぶとタイの煮物「鯛蕪」は、京都市で古くから食べられてきた郷土料理である。タイの旨味とかぶのやさしい味わいが楽しめる冬の定番料理。タイとかぶの、相性の良い食材を組み合わせた「であいもん」である。「鯛蕪」で使われる「聖護院かぶ」は、京の伝統野菜の一つである。享保年間に滋賀県大津市で栽培されていた近江かぶの種子を左京区聖護院の農家が持ち帰って、栽培をはじめたのが発祥とされている。一般的なかぶと異なる偏円形の実が特徴だが、これは改良によってなったといわれている。大きなもので4kgから5kgほどになる国内最大のかぶで、柔らかく上品な味わいで知られている。天保年間、聖護院かぶを使った漬物「千枚漬け」が一般的に知れ渡ってから、栽培が盛んになっていった。栽培するにあたり、生産者はさまざまな工夫を凝らしており、土寄せや肥入れを欠かすことなくおこない、美しいかたちになるよう手間をかける。聖護院かぶの名産地になっている亀岡市篠地区では、戦後間もなく生産がはじまった。朝晩の寒暖差や、盆地特有の霧、気候風土などがかぶの生育環境に適しており、生産が盛んになったという。京都で生産されている「千枚漬け」のほとんどが、この地域でとれたかぶである。京都府は、古くから府内で栽培されている野菜を「京の伝統野菜」として定め、ブランディングを図っている。ブランディングにあたり、明治以前に導入されたもの、府内全域が対象とし、たけのこを含む、キノコやシダを除くといった定義を設けており、聖護院かぶも京の伝統野菜に含まれている。 + +## 食習の機会や時季 +聖護院かぶは寒冷地だと8月下旬、暖地だと9月下旬に種をまき、11月中旬から2月下旬にかけて収穫される。その時期になると飲食店などで「鯛蕪」が提供される。 + +## 飲食方法 +食べやすい大きさに切ったタイのあらと聖護院かぶを出汁、酒、みりん、醤油などの調味料とともに煮こんでつくる。かぶが柔らかく煮こまれたら、皿に盛り付けてから食べる。食べる直前に、千切りにした柚子皮をのせるとさわやかな風味が加わり、より美味である。かぶの葉の部分は、漬物などに使うことができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1鍋分) +- タイの頭、身あら: 1尾分 +- かぶ: 大1個(正味600g)角切り12個 +- 【調味液】 だし汁: 2カップ +- 【調味液】 酒: 大さじ2(だし汁とかぶの重量の約3%) +- 【調味液】 みりん: 大さじ3(だし汁とかぶの重量の約4.5%) +- 【調味液】 淡口醤油: 大さじ2・1/2(だし汁とかぶの重量の約0.6%塩分) +- 柚子: 1個 + +## 作り方 +1. タイの頭や身アラに塩を振ってから、たっぷりの熱湯をかけて湯引きし、表面のタンパク質を凝固させる。 +2. 流し水でうろこなどをきれいに取り除く。 +3. かぶは5cmくらいの角切りにして面をとり、米のとぎ汁で柔らかくゆでて、タイと合わせ調味液で落とし蓋をしてこっくり煮こむ。 +4. 最後に千切りの柚子をたっぷり盛り、供する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 参考文献:「京都の郷土料理」(飯塚久子・滋野幸子・堀浪子共著) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_20_1.jpg)" +"# へしこ 京都府 + +**郷土料理名**: へしこ + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +丹後地域 + +## 主な使用食材 +サバ、イワシ + +## 歴史・由来・関連行事 +海の幸が調達できない印象をもたれることも多い京都だが、日本海に面した丹後地域は、対馬暖流や丹後半島や丹波山地の山々を流れる河川の影響もあり、好漁場に恵まれている。たとえば、京都府でおこなわれている漁業は定置網漁業、沖合底びき網漁業、小型機船底びき網漁業、貝類養殖漁業、釣り延縄漁業など多岐にわたる。ズワイガニやトリガイ、ブリなどさまざまな魚介が水揚げされる。漁業者は水揚げした旬の魚を自家用のために干物にする習慣があり、その伝統は今でも受け継がれている。干物や煮干し、乾燥させた海藻などは丹後の特産として有名な加工品である。伊根町を中心に丹後地域で食べられているのが「へしこ」である。「へしこ」は、サバやイワシなどの魚を米糠と塩で長期間漬けこんだ保存食。名前の由来は、魚を樽に漬けこむことを漁師たちの間では「へしこむ」といっており、「へしこまれたもの」が短縮されて「へしこ」になったなど、諸説ある。「へしこ」は、加工前の生サバに比べて、旨味がある。独特の風味と塩辛さはごはんのおかずや酒のおつまみともよく合う。伊根町でつくられている「へしこ」には、脂の乗りが良い国産やカナダ産・ノルウェー産のサバが使われる。 + +## 食習の機会や時季 +秋から冬にかけて、米糠に漬けこまれ、半年から1年を経て食べごろを迎える。昔は各家庭でつくられるほど親しまれている保存食だったが、現在は漁協や水産会社でつくられるものが多くを占めている。 + +## 飲食方法 +糠を軽く落とし、適当な大きさに切ったあと、さっと軽く焼いてから食べる。糠が気になる場合は、焼く前に水で洗い流しても良い。焼いた「へしこ」は、お茶漬けにしたりごはんに乗せて食べるのが一般的。焼きすぎると身がかたくなるので注意する。「へしこ」は長期保存が可能である。余った分を焼いてほぐし、保存しておくと色々な料理に使える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (漬物袋1つ分) +- サバ: 20kg +- 塩: 3kg +- 【A】 米糠: 3kg +- 【A】 粉唐辛子: 100g +- 【A】 酒: 1.8L +- 【A】 ホワイトリカー: 200cc +- 【A】 実山椒(生): 200g + +## 作り方 +1. サバは頭と内臓をとり、2枚におろして塩を振り、魚と同じ程度の重石をして、10日前後おく。 +2. Aの材料を全部混ぜ合わせる。 +3. 漬物用袋にA・魚・A・魚・Aと一段ずつ並べて漬け込む。 +4. 最後にホワイトリカーを振り入れ、重石をして涼しいところにおく。 +5. 5~6ヶ月したら漬かる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「京ごちそうさまお母さんの味」(京都府生活研究グループ連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_19_1.jpg)" +"# にしん茄子/茄子とにしんの炊いたん 京都府 + +**郷土料理名**: にしん茄子/茄子とにしんの炊いたん + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +府内全域 + +## 主な使用食材 +身欠きニシン、なす + +## 歴史・由来・関連行事 +旬と旬の食材同士の組み合わせ、相性の良い食材の組み合わせを京料理の世界では「であいもん」という。タイとかぶを合わせた「鯛蕪(たいかぶら)」や「えびいもと棒だらの炊いたん」、「ぶり大根」など。脂の多い身欠きニシンと脂がよく染み込むなすを組み合わせた「にしん茄子」も、であいもんとして親しまれている。身欠きニシンとは、ニシンの内臓を取りのぞき、干物にした保存食材。江戸時代から明治時代にかけて、北海道と関西を行き来した商船群・北前船によってもたらされた食材の一つで、内陸で魚介が手にはいりにくい京都市では重用された。そういった背景もあり、ニシンを使った郷土料理は多岐にわたる。たとえば、みりん醤油をかけて焼いた「焼きにしん」やそばに盛り付けた「にしんそば」、昆布を巻いて煮こんだ「にしんのこんまき」など、京都に欠かせない伝統食材になっている。「にしん茄子」には、「山科なす」や「賀茂なす」といった京都市の在来種を使うと美味である。「山科なす」は明治末期から昭和初期にかけて他の品種を凌駕して一時は市内で栽培されるなすの6割から7割を占めるまでに。肉質が柔らかくとろけるような食感が特徴である。「賀茂なす」は北区上賀茂で古くからつくられてきた丸なすの一種。肉質はかたくしまっており、甘みがある。京都府は、古くから府内で栽培されている野菜を「京の伝統野菜」として定め、ブランディングを図っている。ブランディングにあたり、明治以前に導入されたもの、京都府内全域が対象、キノコやシダをのぞく、といった定義を設けており、「山科なす」、「賀茂なす」も認証されている。 + +## 食習の機会や時季 +7月から9月ごろ、なすが旬を迎える夏から秋ごろによく食べられている。 身欠きニシンは、保存がきくため1年を通しておばんざいの一品に使われている。 + +## 飲食方法 +身欠きニシンを使用してつくる。かちかちに干された身欠きニシンは、米のとぎ汁に一晩漬けて柔らかくする必要がある。酒と水を加えて沸騰させた鍋で数時間かけてアク抜きし、醤油や砂糖を加えて��らに数時間、煮含めるとコクのある滋味が楽しめる。下準備に手間はかかるが、その分より味わいが増し美味である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- なす: 4本 +- ニシン: 3本 +- 【A】 水: 2・1/2カップ +- 【A】 醤油: 大さじ4 +- 【A】 砂糖: 大さじ2 +- 【A】 酒: 大さじ2 +- みりん: 大さじ2 +- 番茶: 適量 +- 米のとぎ汁: 適量 + +## 作り方 +1. ニシンは水でよく洗って、米のとぎ汁に4~5時間程度つけておく。 +2. ニシンをざるに上げ、番茶で30分ほどゆがき、表面を水で洗う。 +3. なすは縦半分に切り、水につけてアクを抜く。 +4. 半分に切ったニシンをAで煮る。 +5. ニシンに味が染みたころにみりんとなすを入れて、中火で20分くらい煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「京ごちそうさまお母さんの味」(京都府生活研究グループ連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_18_1.jpg)" +"# 肉豆腐 京都府 + +**郷土料理名**: 肉豆腐 + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +京都市 + +## 主な使用食材 +牛肉、木綿豆腐、九条ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +「肉豆腐」は、牛肉と豆腐、ねぎを煮たシンプルな料理。ねぎは、京の伝統野菜「九条ねぎ」が使われることが多い。九条ねぎの特徴は、緑の葉を食べる葉ねぎ(青ねぎ)であること。771年、伏見稲荷神社建立の際に、秦伊呂具(はたのいろぐ)が浪速から取り寄せたねぎを植えたのが発祥とされている。種は代々、農家によって受け継がれ、守られてきた。このような経緯から「葉ねぎの王様」とも謳われる。一説によると、平安時代の九条付近で良質なねぎが栽培されていたことが名前の由来と伝わる。柔らかな葉の内部は、ぬめりが多く、甘さと香りが強い。薬味、鍋物、すき焼き、煮物、和え物、みそ汁など幅広い用途で親しまれている。現在では通年栽培されているが、ぬめりが多く甘みが増すのは旬の冬場である。京都の牛肉の歴史は古く、1310年に描かれた日本最古の和牛書「国牛十図」にも「丹波牛」が記されている。明治時代初頭には、京都市にすき焼き屋が創業された。京都府と京都肉牛流通推進協議会は、府内で生産・飼育される牛肉の高級肉を「京都肉」と名付けて、ブランディング。品種が黒毛和種であること、京都府内で最も長く飼養されていること、京都市中央卸売市場第二市場において食肉加工されること、といった定義を設け、流通される。京都の生活用水は軟水のため、ミネラル分が少なくくせがないことから、美味しい豆腐がつくられるとされる。 + +## 食習の機会や時季 +「肉豆腐」は冬の定番料理と親しまれている。九条ねぎは、季節とともにねぎの姿かたちや味も移り変わるのが特徴で、春は柔らかな風味、夏から秋は爽やかな辛味が楽しめる。旬は12月から翌年2月ごろの寒い時期。九条ねぎ特有のぬめりは霜が降りることで甘みが増す。さらに、葉の厚みも増して、食べごたえがある。 + +## 飲食方法 +牛肉と豆腐を鍋ですき焼き風に味付けして、よく煮立ったら刻んだ九条ねぎを入れて、さらに煮立ててから食べる。割り下の味は家庭や料亭によって味付けが異なり、個性が現れる。九条ねぎは、さっと火に通すくらいが甘みが出て美味である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3人分) +- 牛薄切り肉(すき焼き用): 200g +- 木綿豆腐: 160g +- 九条ねぎ: 1束 +- だし汁: 500cc +- 酒: 大さじ1 +- 砂糖: 大さじ2/3 +- 醤油: 大さじ2 +- みりん: 小さじ1 +- 塩: 適量 +- 一味唐辛子(お好みで): 適量 + +## 作り方 +1. ねぎ、豆腐を食べやすい大きさに切っておく。 +2. 牛肉は湯通ししざるにあげて水気を切っておく。 +3. 鍋にだし汁を入れ煮立たせ、酒、砂糖、牛肉、豆腐を加え、中火で2~3分ほど煮る。 +4. 醤油、みりんを加えて落し蓋をし、弱火で10分ほど煮こむ。 +5. 仕上げに九条ねぎを加えて軽く火を通し、塩で味をととのえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 日本の食文化情報発信サイト「SHUN GATE」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_17_1.jpg)" +"# たけのことふき・生節の炊いたん 京都府 + +**郷土料理名**: たけのことふき・生節の炊いたん + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +中丹地域、丹後地域 + +## 主な使用食材 +たけのこ、ふき、生節 + +## 歴史・由来・関連行事 +全国的に見ても特に質が良いとされる京都のたけのこ。京都に伝来したのは、嵯峨天皇の時代(810年から823年)といわれている。一説には、長岡京市の海印寺寂照院の開祖・道雄が、中国から孟宗竹を持ち帰ったことがきっかけとなり、関西に広まったとされる。長岡京市は、たけのこの産地として有名。長岡京市一帯の乙訓(おとくに)地域のたけのこは「京都式軟化栽培法」という独自の栽培方法を取り入れている。4月上旬に親竹選びがはじまって、肥料やり、間引き、土入れなどの工程を重ね、1月ごろになってからたけのこの生育を見守る。そして収穫されるのは、3月上旬。一連の工程にある敷きわらや敷き草、土入れなどを施すことが特徴で、年間を通じてていねいに手入れされている。また、地域の西部に広がる西山連山は竹林が多く、酸性の粘土質。水はけや日当たりも良いため、たけのこ栽培に適した環境といえる。「たけのことふき・生節の炊いたん」は、海から遠い京都ならではのおばんざい。「生節(なまぶし)」とは、生のカツオを捌いた後に、蒸す、ゆでるといった加熱処理をおこなって、一度だけ燻製(焙煎)した加工品のこと。燻製の工程を何度も繰り返すと、かたいカツオ節になる。主に東日本で呼ばれる生利節(なまりぶし)とは呼び名が異なるだけで同じ加工品を指している。カツオ節は、出汁をとるときに利用されることが多いが、生節の場合は、生節自体をほぐして、さまざまな料理にあわせる。たけのこの旬は、生節が流通する時期と重なるため相性が良い。また、ふきもちょうど柔らかい時期である。 + +## 食習の機会や時季 +春になると家庭でつくられるおばんざいの定番。ひと昔前、たけのこ農家は、たけのこ掘りで忙しい時期、いつでもこの料理をつくれるように、ふきを水に浸けてアク抜きした状態で常備していたと伝わる。 + +## 飲食方法 +出汁と砂糖、酒、醤油などを鍋に入れ、煮立ったら生節を入れて煮る。しばらく煮たら、ゆでたたけのこと煮ておいたふきを加える。しばらく煮含めたらそのまま食べる。長く煮すぎると色が悪くなるが、その分味も良く染みて美味である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ゆでたけのこ: 250g +- ふき: 250g +- 生節: 4切れ +- 【A】 砂糖: 大さじ3 +- 【A】 酒: 大さじ3 +- 【A】 醤油: 大さじ5 +- 【A】 みりん: 大さじ2 +- だし汁(昆布、カツオ): 2カップ + +## 作り方 +1. ふきは皮をむき、4cmくらいに切って、柔らかくなるまでゆでる。米ぬかや米のとぎ汁でゆでるとふきの繊維が柔らかくなりアクが抜けやすい。 +2. ふきをざるに上げ、冷水に2時間以上つける。 +3. だし汁とAを鍋に入れ、煮立ったら生節を入れて煮る。 +4. しばらく煮て、生節に味が染みたら、たけのことふきを入れ煮含める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「京ごちそうさまお母さんの味」(京都府生活研究グループ連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_16_1.jpg)" +"# 古老柿なます 京都府 + +**郷土料理名**: 古老柿なます + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +山城地域 + +## 主な使用食材 +古老柿、大根、人参 + +## 歴史・由来・関連行事 +古老柿とは、“鶴の子”という渋柿を使ってつくる、宇治田原町特産の干し柿である。まだ干し柿が知られていなかった時代、とある娘が甘い干し柿を売り歩いていた。その美味しさに感動した村人たちは娘からつくり方を教えてもらう。その後、立ち去った娘の後を追っていくと、娘は禅定寺で突然消えたと思ったら観音の姿になって現れた。以降、観音の化身だった娘が言い伝えた干し柿を“孤娘柿(一人の娘が伝えた柿)”と呼んだのがはじまりだという言い伝えがある。ほかにも、全国的にも珍しいつるさないで干す“干し柿”であることからその名がついたという説がある。干し柿というと、縄で連ねてつるして干すのが一般的であるが、古老柿は、“柿屋”と呼ばれる何層もの棚がある干し場に並べて乾燥させた後、柿屋からおろし、むしろの上で転がしながら干す。そのため、”古老(ころ)柿”と呼ぶようになったともいわれている。古老柿は、茶菓子の元祖ともいわれており、その自然の甘みは和菓子の甘みの基準になっているほどである。茶菓子として多くの人に親しまれているが、これを使った料理として冬によくつくられるのが「古老柿なます」である。その素朴な味わいは、大根や人参との相性も良い。 + +## 食習の機会や時季 +古老柿は、11月中旬ごろから柿屋に並べ、2週間から3週間寒風にさらして乾燥させるため、冬の味覚として親しまれている。観音の化身の娘から伝わったという伝承から縁起物として神棚に古老柿をお供えする風習もある。そのため、「古老柿なます」は正月のおせち料理に入れられ、食べられることが多い。地元の人は、古老柿の種を取り除き、そこにバターを挟む食べ方でも楽しんでいる。あたたかい宇治茶と一緒に食べるとバターが溶け出ていっそう美味である。 + +## 飲食方法 +千切りにした大根と人参は塩でもんでおき、古老柿は種をとって細かく割いておく。水気を切った大根、人参と古老柿を混ぜ、酢、みりん、砂糖を入れて味が馴染んだら食べられる。さっぱりとした味わいの中に、古老柿の素朴な甘味が楽しめる一品である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 大根: 300g +- 人参: 120g +- 古老柿: 5個 +- いりごま: 大さじ2 +- 【A】 酢: 大さじ2 +- 【A】 みりん: 大さじ2 +- 【A】 砂糖: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 大根、人参は千切りにして塩を振ってもみ、しばらくおく。水分が出てきたら、調味料が馴染みやすいようしっかり水気を絞る。 +2. 古老柿はヘタと種をとって細かく割いておく。 +3. いりごまとAを加えて、絞った大根、人参と古老柿を和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「京ごちそうさまお母さんの味」(京都府生活研究グループ連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_14_1.jpg)" +"# すぐき漬け 京都府 + +**郷土料理名**: すぐき漬け + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +京都市 + +## 主な使用食材 +すぐき + +## 歴史・由来・関連行事 +すぐきは京の伝統野菜のかぶらの一種で、独特の酸味を持つのが特徴の一つである。漬物以外で食べることはほとんどなく、「すぐき漬け」は、「千枚漬け」、「しば漬け」と並び、京都三代漬物に名を連ねるほど有名。すぐきの発祥は諸説あり、安土桃山時代、上賀茂神社の社家(神社の奉仕者やその家)が、鴨川に自生していたのを栽培し始めたという説、京都御所から種をもらったという説などがある。すぐきをシンプルに塩だけで漬ける「すぐき漬け」は、江戸時代初期につくられるようになったといわれる。当初は、社家のみでつくられ、御所へと献上されていた高級漬物であった。江戸時代後期になると上賀茂神社周辺の農家でもつくられるようになるが、“就御書口上書”によってすぐきをほかの村へ持ち出すことが禁止されたため、生産は限られた量であった。その後、明治維新を経て普及し、街に広く出回るようになった。「すぐき漬け」は、下漬け、本漬け、室(むろ)入れの大きく3工程でつくられる。室とは、炭や電気などで約40℃ほどにした加温室のことで、この室入れで乳酸発酵を促すつくり方が、現在では一般的である。このつくり方だと半月ほどで食べられるようになる。一方、昔は、室入れの代わりに“時候熟れ”といい、自然の気温に任せて発酵させる方法がとられていた。この場合、できあがるのは春から夏であったため、江戸時代のころなどは、夏の珍味として親しまれていたという。 + +## 食習の機会や時季 +霜が降りる季節になると、すぐきの根の部分の糖度が高まるため、11月中旬から1月ごろに収穫し、漬ける。年末年始の贈答品としても親しまれている。 + +## 飲食方法 +すぐきの葉とかぶらは別々に切る。葉は細かく刻むか、食べやすい長さに切り、かぶらは半月、もしくはいちょう切りにすることが多い。ごはんのお供に食べるほか、お茶漬けにしたり、酒の肴として食べられることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_13_1.jpg)" +"# ずいきの炊いたん 京都府 + +**郷土料理名**: ずいきの炊いたん + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +中丹地域、丹後地域 + +## 主な使用食材 +���いき + +## 歴史・由来・関連行事 +「ずいきの炊いたん」は、里芋の葉柄であるずいきを使った炊いたん(煮物)で、家庭料理として親しまれている。“炊いたん”は、出汁をじっくり染み込ませるように炊いてつくるおかずである。京料理に馴染みの深い、えびいも(京の伝統野菜。里芋の一種)の葉柄もずいきとして食され、おばんざいに欠かせない食材である。ずいきを選ぶ際は、柄にハリがあり、太くしっかりしたものを選ぶと良い。シャキシャキとした食感とさっぱりとした味わいは、夏のおばんざいとして好まれ、「ずいきの炊いたん」のほかにも、梅酢和えなどの酢の物やごま和えなどの料理も親しまれている。また京都市にある北野天満宮では、秋に五穀豊穣に感謝する「ずいき祭り」がおこなわれる。この祭りの主役が、ずいきで屋根を葺いた神輿である。太い赤ずいきで作られる屋根と、さまざまな京野菜でつくられる神輿は圧巻である。干したずいきは出産後、悪露(おろ)をおろすといわれ、産後の方に食べられた。 + +## 食習の機会や時季 +夏から秋にかけて収穫され、店頭に並ぶ。そのため、京都の夏のおばんざいとして各家庭でつくられ、食べられている。ずいきを食べると血をきれいにすると伝わっており、出産後に必ず食べる料理の一つとして知られている。少し涼しくなったころの祝いや普請など、人寄せの時には必ずつくる料理である。 + +## 飲食方法 +たっぷり水を入れた鍋に酢を入れてずいきのアク抜きをしたら、ずいきの皮をむき、酢を入れたお湯に入れ数分下ゆでをする。その後、醤油、みりんなどを入れただし汁にずいきを入れ、少し煮立たせたあと、水溶き片栗粉を入れてとろみを出す。最後におろししょうがをそえていただく。ずいきのほかに、油揚げなど旨味が出やすい食材を入れてつくるアレンジや三度豆を入れて食感を足すアレンジもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- ずいき: 350g +- 油揚げ: 1/3枚 +- だし汁(カツオ): 300cc +- 濃口醤油: 小さじ4 +- みりん: 小さじ4 +- 酒: 小さじ4 +- つちしょうが: 適宜 + +## 作り方 +1. ずいきには強いアクが含まれるため、皮をむいたずいきを酢大さじ1を加えた熱湯で2~3分ゆでる。その後、水にとりアク抜きをする。 +2. 食べやすい大きさに切り、軽く水気を絞る。 +3. だし汁のなかに調味料を入れ、湯通しした千切りの油揚げを入れる。 +4. 2のずいきを入れて煮る。小鉢に盛り付け、土しょうがのすったものを天盛りする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「やましろ郷土食こよみ」(やましろ郷土食ごよみ編集委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_12_1.jpg)" +"# えびいもと棒だらの炊いたん 京都府 + +**郷土料理名**: えびいもと棒だらの炊いたん + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +京都市、中丹地域、丹後地域 + +## 主な使用食材 +えびいも、棒ダラ + +## 歴史・由来・関連行事 +「えびいもと棒だらの炊いたん」は、エビのようなかたちと縞々の模様が特徴である京の伝統野菜であるえびいもと、北海道産の棒ダラを一緒に炊き上げてつくる郷土料理である。肉質が緻密でねっとりとした独特の食感と豊かな旨味があり、一般家庭にも人気の高い伝統野菜で、煮崩れしにくいことから煮こみ料理によく使われる。棒ダラは、マダラを干したもので、主に北海道から運ばれてきたものである。かつて朝廷があった京都は日本各地からさまざまな食材が集まったため、それらを工夫して美味しく食べる文化が育った。その京料理の特徴の一つに“であいもん”がある。これは旬の食材を組み合わせ、双方の良いところを引き立たせ合う料理のことをいう。「えびいもと棒だらの炊いたん」もまさにこの“であいもん”の代表的な料理である。棒ダラから出るゼラチン質は、えびいもの煮崩れを防ぎ、えびいもから出るアクが棒ダラを柔らかくするといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +主に正月などめでたい席で食べられた。現在は、えびいもが店頭に並ぶ秋から冬にかけてよくつくられる。 + +## 飲食方法 +ぶつ切りにした棒ダラをだし汁、もしくは米のとぎ汁で柔らかく戻したら、新しいだし汁に食べやすい大きさにカットしたえびいもと一緒に入れて煮こむ。えびいもが柔らかくなったら、具材を取り出し、煮汁をさらに煮詰めてえびいもと棒ダラにかける。最後に、香りづけとして千切りにした柚子を散らして食べる。えびいもが手に入らない時は、代わりに里芋を使っても可。はじめに棒ダラを戻す時に使うだし汁には、棒ダラの臭みがにじみ出てしまっているので、えびいもと煮こむ際は、新しく用意しただし汁を良かった方が良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 棒ダラ(戻したもの): 650g +- えびいも: 皮付き600g(正味350g) +- 【だし汁】 水: 7・1/4カップ +- 【だし汁】 出汁昆布: 20g +- 【だし汁】 花ガツオ(または煮干し): 30g ※材料のかぶる量(全材料の140%)7カップ +- 酒: 1カップ(材料とだし汁の重量の8%) +- 砂糖: 100g(材料とだし汁と酒の重量の4%) +- みりん: 50cc(材料とだし汁と酒の重量の2.5%) +- 淡口醤油: 110cc(材料とだし汁と酒の重量の5%) + +## 作り方 +1. <棒ダラの戻し方>米のとぎ汁をとり替えながら2日間、水洗い後、真水に3~5日、朝夕水をとり替え柔らかく戻す。 +2. 戻した棒ダラのヒレやカマのところを切りとり、切り身は5cm×2cmの大きさにぶつ切りにする。番茶(普通の飲み加減の濃さ)をかぶるくらい入れて、沸騰まで強火、アクをとりながら弱火で約30~40分、身崩れしないように柔らかくゆでる。 +3. ゆで上がったら鍋をそのまま流しへ運び、蛇口から冷水を静かに入れる。自然とゆで汁が水へと入れ替わり、タラが冷たくなるまでさらす。 +4. えびいもは水洗い後、皮を厚くむきかたちをととのえる。軽く塩でもみ洗い、フキンで表面のぬめりのある水気を拭く。 +5. 鍋の底に竹の皮を敷き、棒ダラとえびいもを並べる。昆布とカツオの混合出汁と酒を入れ、中火で約1時間、アクを除き、落とし蓋をして煮る。 +6. 砂糖とみりんを加え、10分煮て淡口醤油を加え、落とし蓋をし、さらに鍋の蓋をして弱火で1時間~1時間20分ほど煮含める。煮汁が蒸発してしまった時は、途中、だし汁を補う。 +7. 火を消して、そのまま一晩おいて味を含ませる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 参考文献:「京都の郷土料理」(飯塚久子・滋野幸子・堀浪子共著) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_11_1.jpg)" +"# 山椒の葉の佃煮 京都府 + +**郷土料理名**: 山椒の葉の佃煮 + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +京都市 + +## 主な使用食材 +山椒の葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +京都府は北部に丹後山地、中央部に丹波山地と1000m弱の低山地帯を擁し、中丹地域から南丹地域の大部分が山地となっている。丹波山地からは桂川をはじめとする大小の河川が山の間を縫うように流れ、里山が点在する。そのため、山の幸には恵まれており、山椒の木も同様に古くからいたるところに自生しており、料理にアクセントをつける食材として親しまれてきた。山椒は春に芽をふき、この若い芽を“木の芽”といって、煮物や焼き物、木の芽味噌、酢の物などに使って、香りを楽しむ。木の芽は春の訪れを感じさせる食材である。4月に入ると黄色の小さな花をつける。“花山椒”として知られるもので、花だけでなく葉も一緒につまれる。これを使ってつくられるのが「山椒の葉の佃煮」である。5月には、薄緑色があざやかな“実山椒”が出回るようになる。実山椒の旬も短いため、柔らかいうちに佃煮にしたり、ちりめん山椒にして食べるのが一般的である。そして、秋になると“割山椒”が店頭に並びはじめる。収穫の時期によって、さまざまな料理を楽しめる山椒は、京料理やおばんざいに欠かせない食材として広く浸透している。 + +## 食習の機会や時季 +「山椒の葉の佃煮」は、山椒の葉が出回る4月ごろにつくられ、食卓に並ぶ。 + +## 飲食方法 +細かく刻んだ山椒の葉を鍋に入れて火を入れる。酒、薄口醤油、ちりめんじゃこを入れて水分が飛ぶまで炒める。炒める前に、山椒の葉に熱湯をまわしかけると、緑色があざやかになる。また、少し甘みを出したい場合は、みりんを入れるのも良い。できあがった「山椒の葉の佃煮」はさまざまな料理に活用できる。たとえば、ごはんのお供にするほか、おにぎりの具やお茶漬け、うどんやそうめん、冷奴などの薬味���ど、幅広く楽しまれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 山椒の葉: 50g +- ちりめんじゃこ: 10g +- 【A】 酒: 大さじ1 +- 【A】 薄口醤油: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 洗ってごみを取り除き、細かく刻んだ山椒の葉をざるに上げ、熱湯をまわしかける。山椒は細かく刻んで熱湯をかけることで、緑色があざやかになる。 +2. 1を軽く絞り、鍋に入れて中火にかける。 +3. Aを入れる。 +4. ちりめんじゃこを入れて、炒め煮する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「京ごちそうさまお母さんの味」(京都府生活研究グループ連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_10_1.jpg)" +"# 賀茂なすの田楽 京都府 + +**郷土料理名**: 賀茂なすの田楽 + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +京都市 + +## 主な使用食材 +賀茂なす + +## 歴史・由来・関連行事 +京の伝統野菜の中でも人気が高いのが賀茂なすである。直径10cmを超える丸いかたちが特徴で、実がしまり、ずっしりとした重みがあり、煮炊きしても煮崩れせず、「ナスの女王」ともいえる風格と味わいを持つ京の逸品。一説によると賀茂なすは、下鳥羽村芹川で生産されていたが、北にある上賀茂に伝わって産地となったことからこの名がついたとされるが、定かではない。上賀茂地区は、西に鴨川、東に高野川に挟まれた扇状沖積地で、肥沃な土地だったため、伝統野菜のすぐきなど、賀茂なす以外の野菜も古くから生産されていた。賀茂なすは、1本からできる実の数が、通常のなすの半分と少なく、また色がぼけやすかったり、実が割れやすいなど、栽培が難しいことでも知られる。賀茂なすを使った代表的な料理が「賀茂なすの田楽」である。賀茂なすは油との相性がよく、身がしまっているので、じっくり火を通してもしっかりした歯応えを楽しめるのが魅力だ。 + +## 食習の機会や時季 +5月上旬の夏から初秋くらいまでが賀茂なすの収穫時期。地元では夏の味覚として親しまれている。大きいものだと1kgを超すものもあるが、店頭に並ぶのは、250gから300gの中玉が主である。 + +## 飲食方法 +賀茂なすを輪切りにし、多めの油でじっくり中が柔らかくなるまで焼く。田楽味噌は、味噌を酒、みりん、砂糖とともに少し煮詰めてつくり、焼き上がった賀茂なすの上にのせて食べる。京都を代表する白味噌でつくっても良いし、赤味噌を使っても良い。それぞれ用意すれば、味の違いを楽しむことができる。そして、味噌を塗った後、上から軽くあぶると、香ばしい味噌の風味も味わえる。また、木の芽やごま、けしの実などをふりかけて、味や食感のアクセントを入れるのも好まれる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 賀茂なす: 2個 +- 【白味噌】 白味噌: 100g +- 【白味噌】 酒: 大さじ2 +- 【白味噌】 みりん: 大さじ2 +- 【白味噌】 砂糖: 大さじ1 +- 【赤味噌】 赤味噌: 100g +- 【赤味噌】 酒: 大さじ2 +- 【赤味噌】 みりん: 大さじ2 +- 【赤味噌】 砂糖: 大さじ5 + +## 作り方 +1. なすは上下を切り落とし、半分の輪切りにする。 +2. 5分くらい水に浸して、アク抜きをし、水分を拭きとる。 +3. フライパンにたっぷり油を入れ、中火(180度)でじっくり中が柔らかくなるまで焼く。 +4. 田楽味噌を赤・白別々に練り上げる。少し煮詰めながらやや柔らかめに仕上げる。 +5. なす2切にそれぞれ白味噌と赤味噌をぬる。木の芽、ごま、けしの実などがあればふりかけると良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「京ごちそうさまお母さんの味」(京都府生活研究グループ連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_8_1.jpg)" +"# おはぎ 京都府 + +**郷土料理名**: おはぎ + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +府内全域 + +## 主な使用食材 +もち米、小豆、きなこ + +## 歴史・由来・関連行事 +日本各地で親しまれている「おはぎ」。小豆の赤色は古くから邪気を払うものとされ、さまざまな季節の行事の料理に取り入れられてきた。春と秋の彼岸に「おはぎ」がお供えされるようになったのも、魔除けの効果がある小豆と、当時はまだ貴重だった砂糖を使った料理をお供えすることで先祖に感謝の気持ちを伝えることにつながったといわれている。「おはぎ」は「ぼたもち��とも呼ばれるが、由来は諸説ある。代表的なのは、春は「ぼたもち」といい、秋は「おはぎ」と季節で呼び名が変わるというものである。春はその時期に咲く牡丹の花に見立てたためで、秋は同様に萩の花に見立てたといわれている。京都は「おはぎ」に使う小豆の名産地で、特に丹波大納言小豆はブランド小豆として全国に知られている。主に中丹・南丹地域の山間に広がる盆地で栽培されており、年間を通して朝晩の寒暖差が激しい環境が、大粒で美しい烏帽子型や俵型をした甘みが強い小豆を育んでいる。大納言小豆は、煮こんでも皮が破れにくく、“腹切れ”しにくい特徴があるため、切腹の風習がないほど高い位の大納言からその名をとったといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +主に春と秋の彼岸の時期に、ご先祖様へお供えするものとしてつくられていた。また祭りや祝いの席など、たくさんの人が集まる場でも食べられている。現在も彼岸の時期に食べる風習が引き継がれているが、日常でも和菓子の一つとして食されている。 + +## 飲食方法 +炊いたもち米を米の粒が残るようにふんわりと俵型にしたら、小豆あんを包んでいく。小豆あんを包んでいくときは、ラップで包むとやりやすい。包むあんはアレンジが豊富で、王道の小豆の粒あんのほか、こしあん、抹茶あんなども好まれている。また、もち米の中央に小豆あんを仕込み、周りはきなこをまぶして味わう「おはぎ」も親しまれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10個分) +- もち米: 3合 +- 小豆あん: 300g +- きなこ: 適量 +- 塩: 大さじ1/2 + +## 作り方 +1. もち米は炊く1時間前に水につけておく。塩を加えて炊く。 +2. 小豆あんは40gずつ6個と、きなこ用あん15gずつ4個に丸めておく。 +3. ごはんはすりこぎで少しつぶして粘り気を出す。10等分し、おにぎりにして小豆あんをつける。きなこ用は中に小豆あんを入れておにぎりにし、きなこをまぶす。あんが外側の時はラップにあんを広げ、その上におにぎりをのせて包む。きなこ用はクッキングペーパーを使うときれいに包める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「京ごちそうさまお母さんの味」(京都府生活研究グループ連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_7_1.jpg)" +"# 納豆餅 京都府 + +**郷土料理名**: 納豆餅 + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +京都市、南丹地域 + +## 主な使用食材 +納豆、餅 + +## 歴史・由来・関連行事 +納豆発祥の地は日本各地に諸説あるが、京都府もその一つであるといわれている。京都市右京区の京北地区にある常照皇寺で修行をおこなっていた光厳法皇が、村人から献上された藁苞(わらづと)に包まれた煮豆を食べていたところ、日を経るごとに糸を引くようになり、それが美味だったことがはじまりだという。寺に所蔵されている絵巻にも住職が藁苞納豆を振る舞う様子が描かれている。やがて、珍味として京都御所に納められるようになったことから“納豆(豆を納める)”と呼ばれるようになったといわれている。そのため、当時は、正月など、ハレの日に食べる貴重な食材という意識が庶民の間に根づいていった。また、京北地区は、戊辰戦争を戦った山国隊の発祥の地でもあり、この農兵が出兵の際に納豆を持参したという逸話もあり、現在、京北地区の名産にもなっている“山国納豆”の名はここからきている。食料が満足にとれない時代、貴重なタンパク源であった納豆を、腹持ちの良い餅で包んで食べる「納豆餅」は、農兵たちにも好まれたという。当時の「納豆餅」は顔と同じくらいの大きさがあり、正月三が日かけてこの餅を食べたといわれている。京北地域以外にも南丹市日吉町、美山町でも「納豆餅」をつくる風習があり、それぞれの地域でつくり方や形が異なる。 + +## 食習の機会や時季 +正月など、祝いの席で食べられており、京北地域では、正月になると「納豆餅」と味噌汁を食べる風習が残っている。かつては、年の瀬になると、家長が家族の人数分つくり、大切に食べたという。 + +## 飲食方法 +食べ方としては大きく2種類あり、納豆と餅をともについて餅の中に納豆を練り込んだものをこんがり焼いて食べる方法。もう一つは、納豆を餅で包み��好みできなこなどをまぶして食べる方法である。かたくなった「納豆餅」を焼いて香ばしくのばして食べるのも好まれるという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 丸餅: 12個 +- 納豆: 100g +- 塩: 小さじ1/3 +- 黒砂糖: 小さじ4 +- きなこ: 小さじ2 + +## 作り方 +1. 焼いた餅を、きなこを敷いた飯切り等の上に置き、焦げ目を包み込むように円形に薄くのばす。 +2. 納豆に塩を入れ、混ぜておく。 +3. 1の餅の半分に2を置き、折りたたみ、かたちをととのえる(納豆餅)。同様に2と黒砂糖を置き、半分に折りたたみ、かたちをととのえる(黒砂糖入り納豆餅)。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「京ごちそうさまお母さんの味」(京都府生活研究グループ連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_6_1.jpg)" +"# きび餅・あわ餅・とち餅 京都府 + +**郷土料理名**: きび餅・あわ餅・とち餅 + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +南丹地域、中丹地域 + +## 主な使用食材 +きび、あわ、とちの実 + +## 歴史・由来・関連行事 +京都府は北部に丹後山地、中央部に丹波山地と1000m弱の低山地帯を擁し、中丹地域から南丹地域の大部分が山地となっている。丹波山地からは桂川をはじめとする大小の河川が山の間を縫うように流れ、里山が点在する。平地が少ない山間部では米や麦が十分に収穫できないため、きびやあわといった雑穀や、とちの実などを使った餅がつくられた。米が満足につくれない時代は主食代わりに食べられていたという。京都府以外でも、雑穀を使った餅は全国各所で食べられている。かつてはいたるところで雑穀が栽培されていたが、米が品種改良されて栽培しやすくなってから、逆に雑穀が希少になっている。しかし、近年、その栄養価の高さから健康食として注目されることが多くなっている。 + +## 食習の機会や時季 +とちの実は、9月から10月にかけて収穫されるため、「とち餅」もこの時期につくられ、食べられている。「きび餅」も「あわ餅」も年末に向けてつくられ、年末年始に雑穀餅を食べる習慣がいまでも地域に受け継がれている。 + +## 飲食方法 +下準備としてもち米を一晩中、水につけておく。もち米を水からあげたら、きび、もしくはあわを混ぜて、蒸し器で蒸す。その後、餅つき機でついて餅状にしたら、丸餅、もしくは切り餅に成形させる。「とち餅」は、とちの実をアク抜きして、もち米と一緒に蒸してからついて、同様に成形する。できあがった餅は、焼くか、ゆでて食べる。食べ方のレパートリーは多岐にわたっている。通常の餅と同じように、醤油に付けて食べたり、海苔を巻いて磯部焼きにしたり、きなこなどをまぶして甘くして食べるのも好まれている。これらの食べ方によって、もち米だけでつくる餅よりも、独特の風味と素朴な味わいを楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20人分) +- もち米: 1升(1.5kg) +- きび粉もしくはあわ: 200g +- 塩: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 前日に洗ってつけておいたもち米の水をよく切り、きび粉(あわ)を全体に混ぜて、蒸し器で蒸し、餅つき機でつく。 +2. つきあがる前に塩を入れ、仕上げる。 +3. 丸餅、切り餅、どちらに成形しても良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「京   ごちそうさまお母さんの味」(京都府生活研究グループ連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_5_1.jpg)" +"# 栗ごはん 京都府 + +**郷土料理名**: 栗ごはん + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +中丹地域、南丹地域 + +## 主な使用食材 +栗、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +京都の名産の一つに、丹波地域でとれる「丹波くり」がある。「丹波くり」は品種ではなく、丹波地域でとれる栗のことを指す。非常に大ぶりで甘みがある「丹波くり」の歴史は古く、「延喜式」に「丹波くり」の名が登場し、平安時代ごろから貴族の間で食べられていた。江戸時代になっても、幕府や朝廷への献上品として重宝されていたという。「丹波くり」は現在もブランド栗として全国にその名を知らしめている。丹波地域は山々が地域を囲うように連なり、盆地を形成していることから、昼夜間の寒暖差が大きい。また、山の間を大小の河川が流れ、肥沃な土壌にも恵まれるなど、農作物に甘みが増す条件がそろっていることから、栗も質の良いものが育つと考えられている。丹波地域では、古くからゆで栗や焼き栗、甘露煮など、さまざまな調理法で栗を楽しんできた。「栗ごはん」も数ある栗の味わい方として親しまれている。少し塩をきかせたごはんに「丹波くり」を入れて、栗の甘さをより引き立たせて食べる「栗ごはん」は、秋に欠かせない一品である。 + +## 食習の機会や時季 +秋になり、店頭に栗が並び始めると各家庭でつくられる。栗は鮮度が短く、落下後から劣化がはじまり風味が落ちてしまうため、すぐに調理することが重要。そのため、生の栗を使った「栗ごはん」は、秋限定のごちそうといえる。 + +## 飲食方法 +炊飯器に米、塩、栗を入れて炊いて食べる。お米1合に対し、塩は小さじ1杯程度が目安。少し塩をきかせることで、栗の甘さがより引き立つ。もち米を入れて、栗おこわ風にするアレンジもある。栗は、鬼皮、渋皮をむいたらすぐ水につけ、濁らなくなるまで水を変える。この下処理をしっかりおこなっておくと、「栗ごはん」の仕上がりが変わってくる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6人分) +- 米: 3カップ +- むき栗: 15個 +- 昆布: 5cm角 +- 酒: 大さじ3 +- 塩: 小さじ1・1/2 +- 水: 3・1/3カップ +- 黒ごま: 少々 + +## 作り方 +1. 栗は鬼皮、渋皮をむいたら、すぐに水につけ、濁らなくなるまで水を変える。 +2. 米は炊く30分前に洗ってざるに上げ、水を切っておく。 +3. 米、水、出汁昆布、塩、酒を合わせ、むいた栗を加えて炊く。 +4. できあがったら、器に盛り、黒ごまを振りかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「丹波ふくちゃま!お母ちゃんの味」(福知山市農村女性協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_3_1.jpg)" +"# さばずし 京都府 + +**郷土料理名**: さばずし + +**都道府県**: 京都府 + +## 主な伝承地域 +府内全域 + +## 主な使用食材 +サバ、米、酢、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +若狭湾では、サバがよくとれ、古くから大衆魚として親しまれていた。冷蔵技術が発達していなかった時代、サバは鮮度が落ちるのが速いこともあり、サバを長く楽しむための工夫が考えられた。塩漬けにした後、さらに糠漬けにする「へしこ」もサバを長く味わうための工夫の末に誕生した料理だが、酢でしめる、焼くことも保存方法の一つであった。魚介類を若狭湾(小浜)から都(京都)へと運ぶためのルート、通称“鯖街道”で商品を運ぶ際も、サバを塩漬け、酢漬けにしたり、焼いたものを内陸部まで運んだという。そのため、鯖街道周辺では、「さば飯」や「なれずし」など、サバを使ったさまざまな郷土料理が伝えられている。そのなかの一つが「さばずし」で江戸時代に誕生したといわれる。サバを塩漬けにして鯖街道を通って運ぶと、都(京都)に着くまでの2日から3日の間でちょうど良い塩加減になったという。この塩漬けのサバを使って「さばずし」はつくられ、庶民の間で貴重な青魚を楽しむ文化が生まれた。冷蔵技術が発達した現在においても多くの人に親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +季節でおこなわれる祭りなど、ハレの日のごちそうとして食べられていた。現在も、京都の三大祭(葵祭・祇園祭・時代祭)、京都府内各地の秋祭りなどには「さばずし」を食べる風習がある。 + +## 飲食方法 +塩サバを3枚におろし、血合いをのぞいて酢水で洗った後、サバがかぶるくらいの酢の中に入れて30分強ほど漬ける。酢から取り出したサバの身側を上にして、すし飯を棒状にしてのせていく。巻きすで押さえてかたちをととのえ、竹の皮に包んで軽く重しをしておく。翌日、味が馴染んだらいただく。なにも付けずに食べられるが、醤油を付けて食べても良い。サバとすし飯の間に、ガリ(しょうがの甘酢漬け)を挟むアレンジもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (8人分) +- 塩サバ: 1尾 +- 米: 4合 +- 【合わせ酢A】 酢: 80cc +- 【合わせ酢A】 砂糖: 60g +- 【合わせ酢A】 塩: 小さじ2/3 +- 竹の皮: 2枚 +- フキン: 適量 +- 巻きす: 適量 +- 酢: 1リットル(サバを事前に漬け込む用) + +## 作り方 +1. 炊きたてのごはんをすし桶(もしくはボウル)にうつし、合わせ酢Aをしゃもじに伝わせるようにして全体にまわしかけて混ぜ合わせる。すし飯ができたら、ぬれフキンをかけて冷ましておく。 +2. 塩サバは、3枚におろして血あいや小骨を除き、酢水で洗ってからサバがかぶるくらいの酢の中に入れて30~40分くらい漬けておく。その後、皮目を上にして、身をやさしく押さえながら頭の方から薄皮を剥く。 +3. かたく絞ったフキンの上に、サバの身側を上にして置く。身が厚い部分はこそげとり、身のうすいサバの尾の方に全体の厚さが均等になるように振り分ける。 +4. 1のすし飯を2等分にし、棒状にしてサバの身側にのせ、フキンで包んでから、巻きすで押さえてかたちを整える。 +5. 竹の皮に包んで5カ所ほどひもでくくる。お皿などの軽い重しをすると翌日には味が馴染んで美味しくなる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「京ごちそうさまお母さんの味」(京都府生活研究グループ連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kyoto_2_1.jpg)" +"# 泉州水なすの浅漬 大阪府 + +**郷土料理名**: 泉州水なすの浅漬 + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +泉州地域 + +## 主な使用食材 +泉州水なす + +## 歴史・由来・関連行事 +大阪南部に広がる泉州地域を代表するブランド野菜、泉州水なす。これをぬかや漬物調味液に短期間漬け込んだ漬物のこと。泉州水なすは、他のなすに比べてぷっくりと丸みを帯びた形で、皮が薄くて柔らかい。その名の通り、ぎゅっと絞ると水がしたたり落ちるほど水分が多く、ほんのりと甘味のあるみずみずしさが特徴である。アクが少ないため生のまま食べることもできるが、ぬか床にや調味液に漬け込んだ漬物として食べられることが多い。なかでも好まれているのが、水なすのみずみずしさを楽しめる浅漬である。海が近く適度な気温と湿度に恵まれた泉州地域は水なすの栽培に適しており、他の地域で栽培しても泉州水なすのようには育たないといわれる。泉州地域では江戸時代初期から水なすが栽培されてきたという。皮が薄く輸送に向かず、また漬物にすると皮の色が茶色くくすむため、長らく地元を中心に消費されてきたが、1994年の関西国際空港の開港をきっかけに大阪の特産品として注目を集めるようになった。その後、品種改良が進み、皮の色が鮮やかな品種が登場したことから、泉州水なすの浅漬が全国的に広く知れ渡った。 + +## 食習の機会や時季 +昔の農家は、田畑の片隅に水なすを植え、畑仕事の合間に喉が渇くと水なすで水分補給をしていたともいわれる。収穫時期は4月から11月頃で、旬は夏。泉州水なすの浅漬は、地域の家庭で日常的に食されている。 + +## 飲食方法 +洗って水気を切った泉州水なすを、ぬかや漬物調味液に短期間(1日~数日ほど)漬け込む。食する際はヘタを切り落とし、切り込みを入れてから手で縦に割くと、風味と食感が良くなる。好みでかつお節やすり胡麻、醤油などを添えてもよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5個分) +- 泉州水なす: 5個 +- 塩: 大さじ2 +- ぬか床: 適量 +- 【ぬか床】糠: 4kg(殺菌のためからいりする) +- 【ぬか床】塩: 1.3合 +- 【ぬか床】昆布茶: 大さじ2 +- 【ぬか床】発砲ビール: 1リットル +- 【ぬか床】湯ざまし水: 適量 +- 【ぬか床】うま味調味料: 大さじ2 +- 【ぬか床】刻みとうがらし: 大さじ2 +- 【ぬか床】みょうばん: 大さじ1 +- 【ぬか床】土しょうが: 1かけ + +## 作り方 +1. 泉州水なすは洗って水気をとる。 +2. 泉州水なすにまんべんなく塩をすり込む。 +3. ぬか床に泉州水なすを漬ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山中 弓子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_1_1.jpg)" +"# じゃこごうこ 大阪府 + +**郷土料理名**: じゃこごうこ + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +泉州地域 + +## 主な使用食材 +泉州水なすの古漬け、海老じゃこ + +## 歴史・由来・関連行事 +地域特産の泉州水なすをぬか床にじっくり漬け込んだ古漬けを塩抜きし、小海老と甘辛く炊き上げた郷土料理である。一部地域では「じゃこなす」と呼ばれることもある。大阪府南部に位置する泉州地域で古くから食されてきた。泉州地域では、「じゃこ」とは海老じゃこ(小海老)のこと、「こうこ」とは漬物のことをさす。海老じゃこは大阪湾で獲れる芝海老に似た海老で、だしがよく出るのが特徴。一方で、泉州地域では昔から、夏野菜である水なすを夏以外でも食べられるよう、塩分濃度の高いぬか床に漬け込んで保存食とした。2~3ヶ月漬け込むと発酵が進み古漬けが出来上がる。海老じゃこと古漬けを組み合わせて炊いたじゃこごうこは、海老の旨みが水なすにしみこみ、ご飯にも酒にもよく合う。カルシウム補給やたんぱく源としてもすぐれた常備菜である。 + +## 食習の機会や時季 +夏に採れた水なすを数ヶ月漬け込んだ古漬けを用いるため、夏の終わりから秋にかけて食べごろとなるが、古漬けがあれば時季を問わず楽しめる。 + +## 飲食方法 +水なすの古漬けを一口大に切り、水にさらして塩抜きしてから熱湯でゆでる。沸騰させただし汁の中に、海老じゃことゆでた古漬けを入れ、しょうゆとみりんを加えてじっくり煮込む。好みで砂糖を少し加える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 泉州水なすの古漬け: 3個 +- 土生姜(千切り): 適量 +- 海老じゃこ(頭と尾を取る): 100g +- 【調味料A】しょうゆ: 大さじ2 +- 【調味料A】酒: 大さじ1強 +- 【調味料A】みりん: 大さじ1強 +- だし汁: 2カップ + +## 作り方 +1. 泉州水なすの古漬けは縦半分に切り、それぞれ4分割にする。2~3時間水につける。 +2. 鍋に水を煮立たせたら(1)を入れゆでる。冷水に取り、さらし、少しぬか漬けの香りと塩気が残っているぐらいにしてザルに上げ軽く絞っておく。 +3. 鍋にだし汁と調味料Aを入れ煮立て土生姜、海老じゃこ、2の水なすを入れ、汁気がほとんどなくなるまで煮詰める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山中 弓子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_2_1.jpg)" +"# ばらずし 大阪府 + +**郷土料理名**: ばらずし + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +大阪府内全域 + +## 主な使用食材 +米、ちりめんじゃこ、れんこん、にんじん、高野豆腐、干ししいたけ、ごぼう、きぬさや、卵 + +## 歴史・由来・関連行事 +穴子やしいたけなどの具を刻み、すし飯に混ぜ込んだ五目ずし。一説によると、ばらずしの発祥は岡山県で、江戸時代に藩主が質素倹約のため「食膳は一汁一菜とする」と発令したことに庶民が反発し、多様な具材をご飯に乗せて「一菜」としたのが始まりだという。関東では刺身などの具材をすし飯に乗せて「ちらしずし」と呼ぶことが多いが、関西では細かく切った具材をすし飯に混ぜ込むスタイルが主流で、「ばらずし」と呼ぶ。レシピは家庭によってさまざまだが、具材に刺身は必須ではない。手軽に作れて食卓が華やかになる料理のため、老若男女問わず人気のメニューである。大阪ではたくさん作って余ったばらずしを、翌日には蒸して「蒸しずし(温ずし)」して食す。残りものもおいしくいただく食の知恵が見てとれる。 + +## 食習の機会や時季 +お祝いごとやお祭りなどハレの日によく作られる定番の品となっている。季節に関わらず1年を通して食されている。 + +## 飲食方法 +すし飯を作る。煮たてた野菜や高野豆腐、しいたけなどを刻んですし飯に混ぜ合わせ、器に盛る。錦糸卵と酢漬け生姜や紅しょうがを散らす。れんこんを酢れんこんにしたり、具にちくわや油揚げを入れても美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 【すし飯】米: 3合 +- 【すし飯A】米酢: 大さじ4 +- 【すし飯A】砂糖: 大さじ3 +- 【すし飯A】塩: 小さじ1 +- 【すし飯A】昆布茶: 小さじ1/2 +- 【具】えびじゃこ: 100g +- 【具B】かつおだし: 1/2カップ +- 【具B】薄口しょうゆ: 大さじ1/2 +- 【具B】砂糖: 小さじ1 +- 【具B】塩: 少々 +- 【具B】塩: 少々 +- 【具】かんぴょう: 10g +- 【具】にんじん: 1/2本 +- 【具】干し椎茸: 3枚 +- 【具】高野豆腐: 2個 +- 【具】ゆでたけのこ: 100g +- 【具】ちりめんじゃこ: 大さじ2 +- 【具】酢: 小さじ1 +- 【具】塩: 小さじ1 +- 【飾り用】錦糸卵: 適量 +- 【飾り用】紅しょうが: 適量 +- 【飾り用】きゅうり: 1/2本 +- 【飾り用】刻みのり: 適量 +- 【調味料C】昆布だし: 1カップ +- 【調味料C】椎茸戻し汁: 1カップ +- 【調味料C】薄口しょうゆ: 大さじ1 +- 【調味料C】濃口しょうゆ: 大さじ1 +- 【調味料C】砂糖: 大さじ2 +- 【調味料C】みりん: 小さじ2 +- 【調味料C】酒: 小さじ2 + +## 作り方 +1. 炊飯器ですし飯用の水量で米を炊く。炊き上がったら合わせ酢【すし飯A】を加え、すし飯をつくる。 +2. にんじん、干し椎茸は水でもどして1cmの長さで千切りにする。 +3. かんぴょうは塩揉みをして、水洗い後5mm程に切る。高野豆腐は水でもどして1cm幅に切り、さらに細かく切る(3mm幅くらい)。ゆでたけのこも同様にして切る。 +4. えびじゃこは皮をむき、【具B】の調味料で火が通るまで煮る。※火が通ると丸くなる +5. 鍋に【調味料C】を煮立て、にんじん・かんぴょう・干し椎茸・高野豆腐・ゆでたけのこを加え、汁が無くなるまで煮る。 +6. ちりめんじゃこは酢につけておく。 +7. 錦糸卵・紅しょうが・きゅうりは千切りにする。 +8. 1のすし飯に5の具と、お酢からあげて水気を切ったちりめんじゃこを加え混ぜ合わせる。 +9. 器に8を盛り、えびじゃこ・錦糸卵・紅しょうが・きゅうり・刻みのりを飾る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山中 弓子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_3_1.jpg)" +"# 鯨のハリハリ鍋 大阪府 + +**郷土料理名**: 鯨のハリハリ鍋 + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +大阪府内全域 + +## 主な使用食材 +鯨肉、水菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +かつて庶民にとって身近な食材だった鯨肉と、古くから関西を中心に栽培されてきた水菜を組み合わせて炊いた鍋。鯨のだしが水菜にからんで食が進む。大阪の千日前で営業していた1967年創業の鯨料理店、徳家(とくや)が発祥とされ、冬の味覚として大阪の人々に愛されてきた郷土料理である。水菜を食べるときにハリハリッと音がすることからハリハリ鍋と名付けられたといわれている。現在は高級品となった鯨肉だが、日本で捕鯨が盛んだったころは肉類のなかでも安価で手に入り、庶民にとっては慣れ親しんだタンパク源であった。国内有数の捕鯨基地だった和歌山県太地と距離が近いこともあり、かつて大阪は鯨の流通が大変盛んで、鯨肉を用いた食文化が花開いた。ところが1980年代に商業捕鯨が中止されたことをきっかけに入手困難となり、現在では豚肉など他の肉で代用されることも増えている(商業捕鯨は2019年に再開)。 + +## 食習の機会や時季 +冬が旬の水菜を使うこと、そして体が温まる鍋物であることから寒い時季に食するメニューとして人気が高い。 + +## 飲食方法 +かつお節などでだしをとり、醤油などを加えた鍋に水菜をたっぷり入れ、鯨肉を加え、煮立ったら完成。水菜のシャキシャキとした歯切れの良い食感を楽しむには、サッと火が通ったあたりが食べごろ。好みに合わせて粉山椒や七味唐辛子などをかけてもよい。具材や味付けは家庭や店によってさまざまである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鯨肉(赤肉): 400g +- 水菜(京菜): 800g +- 水: カップ6 +- 削り鰹: 60g +- 【調味料A】酒: カップ2/3 +- 【調味料A】醤油: カップ1/2強 +- 【調味料A】砂糖: 大さじ6 +- 【調味料A】みりん: 大さじ2 +- 土しょうが: 適量 + +## 作り方 +1. 水菜は4~5cmの長さに切る。 +2. 水を煮立てて削り鰹を入れ、中火で10~15分あくを取りながら煮てこし、濃いだし汁を作る。 +3. 2と【調味料A】を煮立て、鯨肉を入れる。 +4. 3が煮立ったら、水菜を入れる。 +5. 水菜にさっと火が通ったところで、鯨肉、だし汁とともに小鉢に取り、すりおろした土しょうがを添えて熱いところを食する。(好みで、七味唐辛子、粉山椒をふりかけてもよい。) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『おおさかの郷土料理集~行事食と食文化の伝承』(公益財団法人大阪府学校給食会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_4_1.jpg)" +"# バッテラ 大阪府 + +**郷土料理名**: バッテラ + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +大阪府内全域 + +## 主な使用食材 +〆鯖、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +酢飯の上に薄く切った〆鯖と白板昆布を重ねて、木枠で押した押し寿司。江戸の握り寿司に対して、関西では箱や木枠で押し抜いた押し寿司が主流である。そのなかでもっとも大衆的な味といえるのがバッテラ。大阪ならではの押し寿司や昆布の文化が詰まった郷土料理で、府民にとって非常になじみ深い一品である。バッテラは、南船場にあった「寿司常」という店が明治24年に考案した。当初は大阪湾でよく獲れたコノシロで作られており、半身を使った寿司の姿が舟のような形をしていたことから、ポルトガル語で小舟を意味する「バッテラ」という名が付いたという。しだいに安価な鯖に置き換わって定着し、また押し型も四角い箱の形が用いられるようになっていった。大阪では白板昆布のことをバッテラ昆布と呼ぶこともある。 + +## 食習の機会や時季 +市中の飲食店で食することができるほか、スーパーやコンビニでも手ごろな価格で入手できる。醤油を付けずに食べられるためテイクアウトや手土産としても重宝されている。 + +## 飲食方法 +炊飯したご飯に合わせ酢をまわしかけ、ご飯を切るように手早く混ぜ、冷ます。〆鯖は皮を引き、中骨を抜いて薄くそぎ切りにする。切った〆鯖を木枠に並べ、酢飯を詰めて、上板を押す。木枠から抜いて酢で湿らせた白板昆布で包み、切り分けたら、甘酢しょうがを添える。醤油は付けなくてもよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 〆鯖: 300g +- 米: 2と1/2カップ +- 白板昆布: 6g +- 酢: 大さじ4弱(54ml) +- 砂糖: 大さじ5(45g) +- 塩: 小さじ2弱(9g) +- 甘酢しょうが: 8g +- だし昆布: 10g + +## 作り方 +1. 米の水加減は、米の10%容量増しにする。だし昆布を入れ浸水させ普通に炊く。 +2. 合わせ酢の割合(米1升1.4kgに対して)酢180ml砂糖150g塩30gとして合わせ、炊けたご飯を「飯切り」に移し、合わせ酢を廻しかけてご飯を切るように混ぜ、手早く冷ます。 +3. 〆鯖は皮を引き、中骨を抜いて薄く削ぎ切り、背と腹身に切り分ける。 +4. 葉らんを木枠の底板に合わせて敷き、背を下にのせ、ご飯を詰めて上板で押す。木枠から抜いて酢で湿らせた白板昆布で包み、切り分けたら、甘酢しょうがを添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『日本の味 なにわの味』(大阪府食生活改善連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_5_1.jpg)" +"# ごより豆/じゃこ豆 大阪府 + +**郷土料理名**: ごより豆/じゃこ豆 + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +泉州地域~河内地域 + +## 主な使用食材 +大豆、ごより + +## 歴史・由来・関連行事 +泉州地域や河内地域で楽しまれてきた日常食で、大豆と干した小魚・えびを一緒に甘辛く炊いたもの。河内地域では「じゃこ豆」と呼ばれることが多い。具材となる小魚やえびの種類は地域によって異なり、大阪湾に近い泉州地域では海で獲れた小魚やえびを用い、内陸部である河内地域では川で獲れたものが使われた。「ごより」とは、大阪湾で獲れた雑魚を天日乾燥したもの。昭和の半ばまで、泉州の海辺には砂浜が広がり、網にかかった小魚やえびじゃこ(小えび)をまとめて天日干ししていた。その中から売れるものを取り出し、その後に残った雑魚が「後寄り(ごより)」と呼ばれた。いずれもカルシウムが豊富な小魚と、たんぱく質が豊富な大豆の組み合わせで、栄養面でも優れた伝統料理である。 + +## 食習の機会や時季 +昔は家庭の常備菜として日常的に食されていた。まとめて大量に作り、人が集まるときなどに楽しまれた。 + +## 飲食方法 +ゆでた大豆を、みりんや醤油などの調味料とともに炊く。乾煎りした「ごより」を加え、煮詰まるまで炊いたら完成。一晩おくと、味がなじんでより美味しい。ごよりが手に入りにくくなっているため桜えびで代用されることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい量) +- 大豆(乾燥): 1kg +- ごより: 100g +- 【調味料A】ざらめ: 300g +- 【調味料A】酒: 300cc +- 【調味料A】みりん: 300cc +- 醤油: 250cc + +## 作り方 +1. 大豆は2~3回水をかえて洗う。 +2. 厚手の鍋に大豆を入れ、大豆から8cmくらい上まで水を入れる。 蓋をしないで強火にかけ、沸騰したら弱火にする。 +3. 30分くらいしたら調味料Aを入れ弱火で炊き続け(30分くらい)、醤油を加える。 +4. ごよりの魚のかたい所はたたいてやわらかくして、フライパンで弱火で10分位から炒りにして(3)に加える。さらに弱火で1時間位煮詰め、汁気がなくなって照りが出てきたら火を止める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山中 弓子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_6_1.jpg)" +"# 白味噌雑煮 大阪府 + +**郷土料理名**: 白味噌雑煮 + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +大阪府内全域 + +## 主な使用食材 +丸餅、白味噌、大根、人参、里芋 + +## 歴史・由来・関連行事 +白味噌汁に丸餅、綺麗に形を切り整えた大根、人参、里芋などを加えた料理。雑煮の歴史は大変古く、室町時代にはすでに食されていたといわれる。上流階級の祝いの席などに出されていたが、江戸時代になると庶民の間にも広がったという。現在でも正月に雑煮を食す風習は全国的にあるが、地域や家庭によって使用される具材や味付けはさまざまである。大阪のみならず関西地方では、昔から丸餅と白味噌を用いた白味噌雑煮が広く親しまれている。具材となる大根や人参は輪切りにする。丸い食材を用いるのは、「角が立たず、円満に過ごせるように」という縁起を担いでいるからだ。正月時期になると、大阪のスーパーには正月野菜として雑煮大根や金時人参が並ぶ。雑煮大根とは細く小さな大根で、輪切りにすると雑煮の椀に入れるのにちょうどよいサイズになる。同じく細身の金時人参も大阪で古くから栽培されてきた伝統野菜である。 + +## 食習の機会や時季 +正月に食される行事食。元旦は白味噌仕立てだが、二日目は味を変えて醤油仕立てのすまし汁にする。「商い」の街である大阪だからこそ「飽きない」ための風習といわれる。 + +## 飲食方法 +輪切りに大根、人参と、皮をむいた里芋をだし汁で煮て、白味噌をとく。丸餅を入れてさらに軽く煮たら完成。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 里芋: 2個(80g) +- 焼豆腐: 1/3丁(100g) +- 大根: 80g +- 人参: 40g +- 水菜: 60g +- 丸餅: 4個 +- 【調味料】白味噌: 大さじ1と1/2 +- 【調味料】昆布: 10g +- 【調味料】削り節: 30g +- 水: 4カップ + +## 作り方 +1. 大根、人参は、5mm幅の輪切りにする。(直径3cmぐらい)(雑煮用なので細いです)里芋は、皮をむき1cmの輪切りにする。水菜は3cm長さに切る。焼豆腐は1口大のサイコロ切りにする。 +2. 鍋に水を入れ昆布と削り節でだし汁を作る。 +3. だし汁の中に大根、人参を入れ沸騰したら里芋を加えあくをとり 5~6分煮る。水で洗った丸餅を加え、弱火で2~3分煮る。 +4. (3)に白味噌を加え、焼豆腐を入れて温まったら、最後に水菜を入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山中 弓子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_7_1.jpg)" +"# あかねこ 大阪府 + +**郷土料理名**: あかねこ + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +中河内~南河内 + +## 主な使用食材 +もち米、小麦粉、きな粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +蒸したもち米と小麦粉をついてできたもちに、砂糖ときな粉をまぶしたもの。「半夏生(はげっしょ)もち」とも言う。小麦粉が入っているため、もち米だけで作ったもちよりも粘りが少なく、サクサクした食感を楽しめる。半夏生とは、夏至から数えて11日目の7月2日頃から7月7日頃までのことをいう。農家はこの頃に田植えを済ませるので、田植え前に収穫した小麦と、昨年収穫したもち米で「あかねこ」を作り、田植えが終わったことへの感謝と、豊作への祈りをこめて食するならわしがあった。当時の自家製の小麦粉は、皮ごと粉に挽いていたため褐色だった。そのためもちが褐色になり、できあがったもちの見た目が「猫の丸い背中」に似ていたことから、「あかねこ」と呼ばれるようになったという。 + +## 食習の機会や時季 +田植えが終わった頃に、感謝を込めて食す行事食である。 + +## 飲食方法 +一昼夜水につけて水気を切ったもち米と、水などを加えて耳たぶ位のやわらかさにこねた小麦粉を蒸す。蒸しあがったらもちつき器でつき、ほどよい大きさにちぎり、砂糖を混ぜたきな粉をまぶす。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- もち米: カップ2 +- 小麦粉: 160g +- 食塩: 小さじ1 +- 水: 190cc +- 砂糖: 10g +- きな粉: 25g + +## 作り方 +1. もち米は洗って1昼夜水につけ、水を切る。 +2. 小麦は20~30分水につけておく。小麦のないときは薄力粉を使用する。その際は、水を加えて耳たぶくらいのやわらかさにこね、こぶし大に丸めて、中央を少し押さえておく。 +3. せいろに、1を入れその上に2を並べて蒸す。 +4. 蒸しあがれば���餅つき器でもちをつく。 +5. 4を適当にちぎり、砂糖を混ぜたきな粉をまぶす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『親から子へ 子から孫へ おおさか伝承の味』(大阪府食生活改善連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_8_1.jpg)" +"# 半助豆腐 大阪府 + +**郷土料理名**: 半助豆腐 + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +大阪市内 + +## 主な使用食材 +焼き豆腐、半助、葉ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +蒲焼きにした鰻の頭とともに豆腐を煮込んだもの。上方落語「遊山船」にも登場する料理で、古くから庶民に親しまれていたことがうかがえる。鰻の頭を半助と呼ぶ。その由来は、昔は鰻の頭はザル1杯 50 銭で売られていたため1円(円助と呼ばれた)に対して半助と呼ばれるようになった説や、半助という名前の男が売っていたから、など諸説ある。大阪では鰻の蒲焼を作る際、鰻の頭つきのまま腹を開いてたれを付けて焼き上げ、最後に頭を落とす。切り落とすとはいえ、たれの味がしみこんでいることから安価ながら売り物にされたのであろう。その半助を豆腐やねぎとともにだし汁で煮込むと、コクの深い濃厚なだしが出て大変美味しい。半助についたわずかな身も楽しめる。捨ててもおかしくない鰻の頭を一品料理として生かした半助豆腐には、食材を無駄なく使い切る大阪の「始末の料理」の精神が垣間見える。 + +## 食習の機会や時季 +庶民の家庭料理として親しまれてきた。市中の飲食店などで食することもできる。 + +## 飲食方法 +だし汁を土鍋に入れ、焼き豆腐と調味料を入れ火にかける。沸騰してきたら半助を入れ最後に葉ねぎを入れる。具材は各家庭でさまざま。また、近年は半助を入手するのが困難なため鰻の蒲焼きで代用することもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 焼き豆腐: 1丁(360g) +- 半助: 100g +- 青ねぎ: 30g +- 出し汁: 1カップ +- 砂糖: 大さじ1.5 +- こいくちしょうゆ: 大さじ1.5 +- 酒: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 焼き豆腐は3×4cmの長方形に切り、青ねぎは3cmのぶつ切りにする。 +2. 出し汁を土鍋に入れ、焼き豆腐と砂糖、こいくちしょうゆ、酒を入れ火にかける。沸騰してきたら半助を入れ最後に青ねぎを入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『おおさかの郷土料理集~行事食と食文化の伝承』(公益財団法人大阪府学校給食会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_9_1.jpg)" +"# 若ごぼうの炒め煮 大阪府 + +**郷土料理名**: 若ごぼうの炒め煮 + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +河内地域(八尾市) + +## 主な使用食材 +若ごぼう、油揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +油揚げと八尾市特産の若ごぼうを炒め煮にした郷土料理。若ごぼうとは、八尾市を中心に栽培されている葉ごぼうで、早春に収穫されるため春を告げる野菜として親しまれている。根だけを食べる普通のごぼうとは異なり、葉、軸、若い根を全て食すことができる。さわやかな香りとシャキシャキした歯ごたえが特徴で、ルチン、鉄分、食物繊維などの栄養価が高い。ごぼうは平安時代に中国から薬草として渡来したといわれ、江戸時代には八尾市の名産品として栽培が広まった。昭和時代中頃になると葉ごぼうの品種である「白軸矢牛蒡」が栽培されるようになり、これが葉・茎・根ともに利用できる品種であった。若ごぼうはかき揚げやパスタなどさまざまな料理に用いられるが、定番は炒め煮である。 + +## 食習の機会や時季 +若ごぼうの収穫時期が1月下旬から4月初旬のため、若ごぼうの炒め煮もその時期に食される。この時期ならではの副菜や酒肴として各家庭で楽しまれている。 + +## 飲食方法 +若ごぼうの根はささがき、軸は3~4cmに切った後、水にさらしてアクを抜く。油揚げは油抜きして短冊に切る。若ごぼうの根、油揚げ、茎の順に油でサッと炒め、だし汁、しょうゆ、みりんで調味する。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 若ごぼう: 400g +- 油揚げ: 1.5枚 +- サラダ油: 大さじ1.5 +- だし汁: 50cc +- こいくちしょうゆ: 大さじ1.5 +- みりん: 大さじ1.5 + +## 作り方 +1. 若ごぼうの根はささがきに、茎は3cmに切り水にさらす。 +2. 油揚げは油抜きして短冊に切る。 +3. 油で若ごぼうの根、油揚���、茎の順にサッと炒めてだし汁、こいくちしょうゆ、みりんを加えて、色よく仕上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『おおさかの郷土料理集~行事食と食文化の伝承』(公益財団法人大阪府学校給食会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_10_1.jpg)" +"# 鱧皮ザクザク 大阪府 + +**郷土料理名**: 鱧皮ザクザク + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +大阪市 + +## 主な使用食材 +鱧皮、きゅうり + +## 歴史・由来・関連行事 +古くから海運業や商業で栄えた大阪では、鱧(はも)が大量に水揚げされ流通した。夏が旬とされ、「鱧は梅雨の水を飲んでおいしくなる」といわれるほど。そのため夏に行われる天神祭りには鱧を使ったさまざまな惣菜が食卓に並ぶ。大阪ではかまぼこの原料として鱧が用いられる。かまぼこを作るために鱧の身をこそぎ取ると、後には皮だけが残る。この皮の小骨を取り除き、醤油などを塗って炙ったものを、きゅうりと甘酢で和えて酢の物にしたのが「鱧皮のザクザク」である。残った皮までおいしく使う“始末の精神”にあふれる大阪ならではの家庭料理で、あっさりと食べられるため夏によく合う。料理名の「ザクザク」とはきゅうりを切るときの音とも、食べるときの音ともいわれる。 + +## 食習の機会や時季 +かまぼこ店やスーパーなどで販売される鱧皮を用いて調理する。家庭料理として食されるほか、飲食店で副菜や酒肴として提供されている。夏に行われる天神祭りによく作られる。 + +## 飲食方法 +刻んだ鱧皮を甘酢に和え、塩もみして水気を切った薄切りのきゅうりと和える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鱧の皮(細切り): 30g +- きゅうり: 1本(100g) +- 新しょうが: 30g +- 塩: 0.5g +- 【調味料A】酢: 大さじ2 +- 【調味料A】砂糖: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 鱧の皮をフライパンで煎り付ける。 +2. きゅうりは薄切りにして一つまみの塩でもみ、10分おいて絞る。 +3. 新しょうがを針しょうがに切る。 +4. 1~3の材料を調味料Aであえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『日本の味 なにわの味』(大阪府食生活改善連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_11_1.jpg)" +"# 恵方巻き/巻きずし 大阪府 + +**郷土料理名**: 恵方巻き/巻きずし + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +船場、大阪府内全域 + +## 主な使用食材 +米、厚焼き卵、きゅうり、三つ葉、あなご、干し椎茸、かんぴょう、海老、鰻蒲焼、のり + +## 歴史・由来・関連行事 +節分の日に、その年の縁起の良い方角(恵方)を向き、太い巻き寿司を丸かぶりする風習がある。この巻き寿司のことを「恵方巻き」という。恵方は陰陽道により定められ、年ごとに異なっており、2022年の恵方は北北西、2023年は南南東である。この風習は大阪に端を発するともいわれるが、起源や発祥は定かではない。花街の遊びから生まれたとか、江戸時代末期に大阪・船場の商家で商売繁盛を願って行われたなど、その由来は諸説ある。戦後までは一般的にさほど普及していなかったようだが、1970年代頃からのり業界などによって販売促進のために宣伝され、さらに1990年代に入ってコンビニエンスストアやスーパーが恵方巻きを販売するようになったことから、節分に恵方巻きを食べるというならわしが全国に広がった。元来、食べられていた巻き寿司にはとくに決まりや規定はなかったが、近年では七福神にあやかり7種類の具を使った太巻きが主流になっている。 + +## 食習の機会や時季 +毎年、節分の時期になると、スーパーやコンビニエンスストアなどに趣向を凝らしたさまざまな恵方巻きがずらりと並ぶ。食品ロスが問題視されたことから、事前予約制をとる店もある。 + +## 飲食方法 +恵方巻きの特徴は、なんといってもその食べ方にある。その年の恵方に向かい“縁を切らないように”願いを念じながら、“福が逃げないように”無言で丸かぶりして1本食べきる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4本分) +- 米: 3合 +- 昆布(10cm角): 1枚 +- 酒: 大さじ1 +- 【合わせ酢】酢: 大さじ4~5 +- 【合わせ酢】砂糖: 大さじ3 +- 【合わせ酢】塩: 小さじ1 +- 干し椎茸: 8枚 +- 椎茸戻し汁: 100cc +- 【A】だし汁: 200㏄ +- 【A】酒・砂糖・みりん・しょう油: 各大さじ2 +- かんぴょう: 4本 +- 高野豆腐: 2枚 +- 【B】だし汁: 200cc +- 【B】砂糖・酒: 各大さじ1 +- 【B】薄口しょう油: 小さじ1 +- 【B】塩: 少々 +- 卵: 3個 +- 【C】砂糖・酒: 各大さじ1 +- 【C】しょう油: 小さじ1 +- 【C】塩: 少々 +- きゅうり: 1本 +- 焼きのり: 4枚 + +## 作り方 +1. 米を洗い、昆布(10cm角)と酒を入れ、すし用の水量で炊く。 +2. 合わせ酢を作る。米が炊き上がったら、合わせ酢を加え、すし飯を作る。 +3. しいたけ旨煮を作る。椎茸は水に戻して、細切りにし【A】の調味料で煮る。かんぴょうは水でよくもみ洗いして、たっぷりの湯で5分位煮た後、椎茸と一緒に煮る。 +4. 高野豆腐は軽く水洗いして、【B】の調味料で煮る。 +5. 厚焼き卵を作る。卵を割りほぐし、【C】の調味料で焼き、8本の棒状に切る。 +6. きゅうりは塩ずりして8本に切る。種のところは水気があるので切り落とす。 +7. 巻きすを広げ、焼きのりを縦長に置く。すし飯を向こう側2cm残して、のりの四隅まで平らに広げる。のりのフチに土手を作る。 +8. すし飯の中心に具を1/4量ずつのせる。 +9. すし飯の手前と向こう側を合わせるようにして巻く。巻き終わりを下にして食べやすい大きさに切る。※具に、穴子、えび等を加えるとより美味しい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山中 弓子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_13_1.jpg)" +"# 大阪寿司 大阪府 + +**郷土料理名**: 大阪寿司 + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +大阪市、大阪府全域 + +## 主な使用食材 +米、卵、鯛、えび、あなご + +## 歴史・由来・関連行事 +大阪で作られる寿司の総称で、押し寿司、巻き寿司、蒸し寿司などがある。東京で寿司といえば握りのことだが、大阪の寿司の代表格は、飯と具材を重ねてギュッと押し固めて作る押し寿司である。その押し寿司のなかでも抜きんでた存在となっているのが「二寸六分の懐石」とも呼ばれる箱寿司。もともと庶民の間で鯖や鯵など大衆魚が用いた押し寿司が親しまれていたが、明治時代に船場の寿司店「吉野寿司」が鯛、えび、あなごなどの高級食材をふんだんに使った箱寿司を考案。コンパクトな箱の中に一口サイズの寿司が色とりどりに並ぶ箱寿司は、芝居見物の幕間弁当や手土産として最適であったため、船場の旦那衆から絶大な支持を受けることとなり、やがてもてなし料理の定番として大阪全域に知られるようになった。箱寿司のことを大阪寿司と呼ぶこともある。また、押し寿司や太巻き寿司、伊達巻き寿司など、大阪特有の寿司を盛り合わせにして大阪寿司として提供する場合もある。 + +## 食習の機会や時季 +現在でも、歌舞伎や落語など観劇のお供に、またハレの日のごちそうとして大阪府民に愛されている。 + +## 飲食方法 +寿司飯を作る。具材はそれぞれ、だし汁や煮汁などで下味をつけたり、酢で〆たりしておく。木枠に寿司飯を詰め、卵焼きや下ごしらえした具材を重ね、ふたをして強く押す。一口大にカットして箱に並べる。空気を押し出して作られているため保存性に優れ、時間がたっても風味が損なわれず、また作ってからしばらくおいたほうが寿司飯と具材の味がなじんでおいしい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 【寿司飯】米: 3カップ +- 【寿司飯】だし昆布: 10cm角 +- 【合わせ酢A】酢: 大さじ4 +- 【合わせ酢A】砂糖: 大さじ1.5 +- 【合わせ酢A】塩: 小さじ1 +- えび: 2尾 +- 【B】酢: 大さじ2 +- 【B】砂糖: 大さじ0.5 +- 【B】塩: 小さじ0.5 +- 卵: 1.5個 +- 【C】だし汁: 大さじ0.5 +- 【C】みりん: 大さじ0.5 +- 【C】砂糖: 大さじ1 +- 【C】塩: 少々 +- 焼きあなご(市販): 2匹 +- 【D】だし汁: 70cc +- 【D】濃い口醤油: 大さじ2 +- 【D】みりん: 大さじ2 +- 【D】砂糖: 大さじ1 +- 干ししいたけ: 3枚 +- 【E】つけ汁: 100cc +- 【E】砂糖: 大さじ1.5 +- 【E】濃い口醤油: 大さじ1 +- 小鯛笹漬け(市販): 3枚 +- 焼きのり: 全型1/3枚 +- ※太巻き・伊達巻の材料は除く: 適量 + +## 作り方 +1. えびは背わたをとって水で洗い、尾から腹側に沿って竹串を刺し、塩ゆでにする。 +2. 冷めたら串を抜き、殻をむいて【B】の合わせ酢に5~6分つけてから2枚にそぐ。 +3. 卵は【C】で調味して2cm程度の厚さに焼く。 +4. 焼きあなごは【D】で10分程煮、煮汁をつけたまま冷ます。 +5. しいたけは水でもどし、【E】で煮て味を含ませた後、みじん切りにする。 +6. 2、3、4はすし型の大きさに合わせて、長方形に切る。型に入れ押す。 +7. 寿司型を水でぬらし、寿司型の大きさに切って酢水でぬらした葉らんを敷く。寿司飯を平均に詰めて卵焼きをのせ、えびをその上に彩りよくのせてその上に葉らんをのせ、押しぶたをし、わくごと平均に力を入れて押す。 +8. 同じ要領で、寿司飯を半量詰め、5を散らしその上に残りの寿司飯をのせ、あなご、葉らんの順にのせて押す。 +9. 同じ要領で、寿司飯を半量詰め、焼きのりを敷いてその上に残りの寿司飯をのせ、小鯛笹漬け、葉らんの順にのせ押す。 +10. 7、8、9をそれぞれ6等分に切り、1種類ずつ盛りつける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『おおさかの郷土料理集~行事食と食文化の伝承』(公益財団法人大阪府学校給食会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_14_1.jpg)" +"# たこ焼き 大阪府 + +**郷土料理名**: たこ焼き + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +大阪市 + +## 主な使用食材 +小麦粉、だし、卵、ゆでだこ、天かす + +## 歴史・由来・関連行事 +大阪の味といえばまず思い浮かぶのがたこ焼きであろう。鉄板の丸いくぼみに、だしや卵で溶いた小麦粉を流し入れ、ぶつ切りにしたたこを具にして丸く焼き上げたもの。ソースやマヨネーズをかけて食す。大阪府民のソウルフードである。明治末期から大正時代にかけて駄菓子屋や縁日の屋台などで提供され、子どもたちに人気のおやつだった「チョボ焼き」からの派生ともいわれる。定番の具はコンニャクや干し海老、たくあんなどで、味付けは生地に醤油を入れて丸く焼いていたという。大正末期に日本でラジオ放送が開始されると、文明の最先端であったラジオから名をとった屋台食「ラジオ焼き」が登場。昭和初期、大阪市内の屋台でラジオ焼きの具にたこを用いた「たこ焼き」が販売され始めた。当初は何もつけずに食べていたが、戦後、濃厚ソースが誕生すると、たこ焼きにソースや青のり、削り節をかけ、フネに乗せてつまようじをつけた現在のスタイルが確立したという。やがて大阪名物として全国に知れ渡り、現在では国民から広く愛される屋台食の大定番となった。 + +## 食習の機会や時季 +手軽に食べられる身近な軽食である。府内では家庭料理としても広く浸透しており、たこ焼き器を所有している家庭が多い。今日では全国各地はもとより、世界の主要都市にもたこ焼きを提供する店舗が増えている。また冷凍たこ焼きも、アメリカなどのレストランやラーメン店ではサイドメニューとして定着している。 + +## 飲食方法 +たこ焼き器の鍋を熱して油をぬる。たこ焼き器の型に生地をくぼみのふちが隠れるくらいまで流し、たこを1切れずつ入れ、次に天かすを入れる。ふちが焼けてきたら、まわりのあふれた生地を入れ込みながら丸く形を整えて焼き上げる。器に取り出して刷毛で濃厚ソースをぬり、上に青のり粉と削り節をふりかける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分)(1人前20個程度) +- 【生地】薄力粉: 300g +- 【生地】だし: 1,100cc +- 【生地】卵: 3個 +- 【生地】塩: 2~3g +- 油: 適量 +- ゆでだこ: 200g +- 天かす: 60g +- 【トッピング】濃厚ソース: お好みの分量 +- 【トッピング】青のり: お好みの分量 +- 【トッピング】けずり粉: お好みの分量 +- 【トッピング】マヨネーズ: お好みの分量 + +## 作り方 +1. ゆでだこは、15mm程に切る +2. 【生地】ボウルに卵をよく溶きほぐして、だし、薄力粉、塩の順で入れる。粉を全体に沈めてから、切るように混ぜる。※ダマは10分ほどすると消えるので気にしない。※混ぜ終わったら、軽量カップへ移しておく。 +3. たこ焼き器を220℃に熱し、油を薄くひく。 +4. 生地を穴に少し落としてみて、「ジュッ」と音がしたら一気に流し込む。※プレート全体が生地で埋まるようにたっぷりと流し込む。※生地は粉が沈殿しやすいので流し込む前によく混ぜること。 +5. すぐにタコを入れ、天かすを全体に散らす。 +6. 1~2分程で生地の縁が白くなってくるので、穴の周囲に返しを入れて、穴ごとに生地を切り分ける。 +7. 端の穴から手早く返す。※一気に返さ���に、まず90度ずつ返し、その後全部返しきる。(全体に火が通らない内に90度返すことで、中の生地が流れ出て丸いたこ焼きを作ることが出来る。) +8. 全体を返し終えた後も、手を休めることなく返し続ける。飛び出た部分を中に入れながら、綺麗な球体にする。 +9. 穴があいてたり、生地が少ない穴には生地を継ぎ足す。 +10. よく焼ける穴と、焼けない穴のたこ焼きを交換し、焼きムラをなくす。 +11. 表面に少し油を塗ってテリをだし、よりカリッと焼きあがるようにする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 日本コナモン協会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_15_1.jpg)" +"# 船場汁 大阪府 + +**郷土料理名**: 船場汁 + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +大阪市 + +## 主な使用食材 +塩鯖、大根 + +## 歴史・由来・関連行事 +塩鯖のあらと大根を使った潮汁で、船場で古くから家庭料理として親しまれてきた。鯖のだしがしっかりと生きた上品な味わいを楽しめる一品で、「船場煮」とも呼ばれる。魚のあらまで余さず利用する、大阪らしい“始末の料理”である。船場は、明治から大正にかけて大阪の商業の中心地として賑わった問屋街。当時、多くの奉公人を抱えていた商家の食生活は、朝夕が茶漬けと漬物、昼が一汁一菜といったごく質素なもので、月2回だけ、塩鯖などの魚が食膳にあがった。その魚の身をとった後の頭、骨、あらを使ってだしを取り、大根を煮たものが船場汁である。魚のあらまで余さず使えて経済的で、かつ時間をかけずに作れることから忙しい商家で重宝され、日常食として定着した。 + +## 食習の機会や時季 +現在も日常食として家庭で楽しまれているほか、市中の定食屋などで提供されている。鯖が旬を迎える秋や、温かい汁物が恋しくなる冬に好んで食される。 + +## 飲食方法 +昆布のだし汁で鯖の骨と大根を煮て、仕上げに塩で味をととのえる。薬味としてネギを加える。元は塩鯖のあらを使い、その塩気とだしをそのまま味わっていたが、近年では新鮮な鯖の切身で代用したり、仕上げに酢や醤油などを加えたりすることも多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鯖: 1尾(300g) +- 大根: 10cm(440g) +- 葉ねぎ: 1本(25g) +- 根深ねぎ: 6cm(20g) +- しょうが(すりおろす): 1片(70g) +- 昆布: 5cm(10g) +- 水: 1リットル +- 【調味料A】酒: 大さじ2 +- 【調味料A】薄口醤油: 大さじ1 +- 【調味料A】塩: 小さじ1 +- 柚子果皮: 4g + +## 作り方 +1. 鯖をよく水洗いをし、適当な大きさに切り塩を多めにし、1時間ほど置く。 +2. 鯖の塩を洗い落とし、2cmに切る。 +3. 鯖の頭と骨、切身をボウルに入れて熱湯にかけ、冷水にくぐらせて水気を切る。 +4. 大根は皮をむき5cmの長さの厚めの短冊切りにし、さっとゆでる。 +5. 根深ねぎ、葉ねぎ、3cmの長さに切り繊維にそって千切りにし、水にさらして白髪ねぎにする。 +6. 分量の水と昆布、3のあらを鍋に入れて強火にかけ、沸騰したら弱火にし、あくを取りながら10分位煮てペーパータオルで漉し、大根、3の鯖と中骨を加えて、ひと煮立ちさせ味をたしかめて、【調味料A】で味を調える。 +7. 椀に大根、鯖の切身、中骨を盛り付け、つけ汁を張り、しょうがのしぼり汁を数滴落とし、白髪ねぎと柚子果皮を天盛りにして供する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『日本の味 なにわの味』(大阪府食生活改善連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_16_1.jpg)" +"# きつねうどん 大阪府 + +**郷土料理名**: きつねうどん + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +大阪府内全域 + +## 主な使用食材 +うどん、だし、油揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +真昆布と鯖節などの雑節を主としただしを利かせたつゆをうどんにかけ、その上に甘辛く煮た油揚げをのせたもの。大阪うどんは、だしに馴染む、太すぎないもっちりとした食感が特徴といわれる。なかでもきつねうどんは大阪府民がもっとも愛するうどん料理といっても過言ではない。うどんやそばなどの麺類は、もともとは寺社で特別な食事として食されていたが、やがて日本各地で民衆の日常食として定着していった。大阪におけるうどん食の歴史は長く、古くは豊臣秀吉が大阪城を築城する際、現在の���阪市西区新町付近の砂場(資材置き場)と呼ばれた場所にうどん店やそば店が並んだという。その後、うどんが一般に普及したのは江戸中期ごろのこと。商業が盛んで「天下の台所」とも言われた大阪には、北前船の航路が整備されると、北海道からの昆布はじめ、小麦粉、塩などさまざまな食材が集まり、選び抜かれた食材を使ってうどんが作られた。明治初頭には大阪では製麺所が多く現れ、店の忙しさもあり製麺所から麺を仕入れる店が多くなった。一方で店や各家庭ではだしやつゆの味にそれぞれ工夫を凝らしていたという。明治26年、船場のうどん店「松葉家(現・うさみ亭マツバヤ)」で、添え物として出した油揚げを客が素うどんにのせて食べたことが、きつねうどんの始まりといわれる。大阪府民が強いこだわりをもつだし文化、そして心から愛するコナモン(粉食)文化、その二つをシンプルに、かつ存分に味わえるのが、大阪府民の大好物きつねうどんである。 + +## 食習の機会や時季 +家庭でも市中の飲食店でも、気軽に食べられる日常食である。季節に関係なく1年を通して食されている。 + +## 飲食方法 +だし汁に醤油やみりん、砂糖などを加え煮て、うどんつゆを作っておく。油抜きした油揚げを、だし汁、砂糖、醤油などで甘辛く煮含める。茹でたうどんを器に入れ、油揚げをのせて、うどんつゆを注ぎ、小口切りにした青ねぎを散らす。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- うどん: 2玉 +- だし: 600cc +- 【だし】水: 1000㏄ +- 【だし】真昆布: 約5×6cm +- 【だし】雑節や煮干し: 40g +- 【だし】砂糖: 6g +- 【だし】塩: 少々 +- 【だし】薄口醤油: 大さじ1.5 +- 【だし】みりん、酒: 各小さじ1 +- 油揚げ: 大2枚 +- 【油揚げ】2番だし: 300㏄ +- 【油揚げ】砂糖: 10g +- 【油揚げ】塩: 少々 +- 【油揚げ】薄口醤油: 大さじ1 +- 青ねぎ(斜め切り): 30g +- かまぼこ: 2枚 +- 柚子: 2片 + +## 作り方 +1. 鍋に水と真昆布を入れ40分おいてから、火にかけ、沸騰してきたら雑節を入れ、2~3分煮立てて、さらしで濾し、砂糖、塩、みりん、酒を入れ、薄口醤油で味を調える。 +2. 1のだしガラに水400㏄を入れ、煮立てて、2番だしをつくる。2番だしに砂糖、塩を入れ、薄口醤油で味を調え、熱湯で油抜きした揚げを入れ、返しながら3分煮含める。 +3. うどんを熱湯にくぐらせ、湯切りしたら器にうつし、湯煎で温めた1のだしをかけて、油揚げ、青ねぎ、かまぼこ、柚子を飾る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : うさみ亭マツバヤ(日本コナモン協会監修) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_17_1.jpg)" +"# 丁稚ようかん 大阪府 + +**郷土料理名**: 丁稚ようかん + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +北摂地域 + +## 主な使用食材 +糸寒天、こしあん + +## 歴史・由来・関連行事 +北摂地域の山村では、江戸時代後期に寒天の製造に成功して以降、寒さが厳しい冬の農閑期に寒天の製造がさかんに行われた。寒天は、天草を主原料にしたところてんを凍結し、水で溶かして不純物を取り除き、さらに乾燥させて作る。北摂地域で作られた寒天の一部は、長崎を通じて海外にも輸出されていたという。地域特産の寒天を使って作られたのが丁稚羊羹である。高価だった砂糖をたっぷり使った練り羊羹に対して、砂糖の使用量が少ない丁稚羊羹は日持ちがしないため、冬場に作られ食された。甘さ控えめであっさりとした素朴な味わい。その名の由来は、練り羊羹と比べて煮詰めが足りず丁稚のように半人前だからという説と、安価であるため丁稚が里帰りの時に土産にしていたという説がある。なお、河内の丁稚羊羹には寒天ではなく小麦粉を使い、蒸して作るため食感が異なる。 + +## 食習の機会や時季 +北摂地域では農閑期にあたる冬に寒天が作られたこと、また丁稚羊羹は保存がきかないことから、冬季に食されてきた。現在も冬限定の菓子として地元の菓子店などで製造・販売されている。 + +## 飲食方法 +水に浸した糸寒天を火にかけ、完全に煮溶かす。そこにこしあんと砂糖を入れてよく混ぜ、沸騰したら火から下ろす。かき混ぜながら冷まし、型に流し入れて固める。固まったら型から出し、長方形に切る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 糸寒天: 15g(粉寒天   8g) +- 水: 1ℓ +- こしあん: 500g +- 砂糖: 250g + +## 作り方 +1. 糸寒天はサッと洗い、絞って1ℓの水に入れて沸騰させておく。 +2. 1を火にかけ完全に煮溶かす。こしあんと砂糖を入れてよく混ぜ、沸騰させる。 +3. 2を攪拌しながら40℃くらいに冷まし、型に流し入れて固める。 +4. 固まったら型から出し、長方形に切る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『おおさかの郷土料理集~行事食と食文化の伝承』(公益財団法人大阪府学校給食会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_18_1.jpg)" +"# 蓮根餅 大阪府 + +**郷土料理名**: 蓮根餅 + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +門真市 + +## 主な使用食材 +蓮根、もち米 + +## 歴史・由来・関連行事 +蓮根の穴に紅白のもち米を詰めて蒸したもの。穴が開いているため「将来が見通せる」縁起の良い野菜として正月のおせち料理にも用いられる蓮根。河内地域の特産として知られ、その多くは門真市で栽培されている。門真市は昔から水はけの悪い土地であり、稲の栽培に向かない代わりに蓮根が自生していた。江戸時代には蓮根の大産地となり、年貢の代わりに蓮根を納めることもあったようだ。大正時代に栽培方法や品種の見直しが行われ、戦後にかけて栽培がさらに拡大した。門真の粘土質の土が、甘みがありモチモチした独特の食感をもつ「門真蓮根」を生み出すという。ただし近年は都市化の影響などにより門真蓮根の生産量は大きく減少している。その門真蓮根を使った「蓮根餅」は、地元では昔からお祝いの席に欠かせない料理で、ハレの日によく作られてきた。めでたい紅白の見た目と、蒸した蓮根の粘りを楽しめる一品である。 + +## 食習の機会や時季 +市中にある蓮根料理を提供する飲食店などで提供されている。門真蓮根の生産が減った現在、一般に流通することが少ないため、家庭で作られる機会はあまりない。 + +## 飲食方法 +蓮根は皮をむき、米のとぎ汁に一晩浸けておく。もち米は水に浸して半分を食紅で着色する。蓮根の穴に紅白のもち米を箸を使って詰め、アルミ箔で切り口に蓋をして、竹串がスッと通るくらいまで2時間ほど蒸しあげる。輪切りにし、皿に並べる。きな粉やあんこを付けて食べれば菓子として楽しめるし、好みでからし醤油やポン酢を付けてもよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 蓮根: 600g +- もち米: カップ1 +- 食紅: 少々 +- きな粉: 適量 +- あんこ: 適量 + +## 作り方 +1. 蓮根は一方の節は切らないでつけておき、片方は、まっすぐに切って皮をむき、米のとぎ汁に一晩漬けておく。 +2. もち米は水切りし、蓮根は一度水洗いして水分をふき取る。 +3. 残りの米を食紅で淡く色をつけて、片方の蓮根に詰める。アルミ箔で切り口に蓋をして糸で縛る。 +4. 蒸し器に濡れ布巾を敷き、上にも布巾を被せて強火で2時間位蒸し続ける。竹串がスッと通るようになればよい。 +5. 8mmの厚さの輪切りにし、皿に並べて食べる。(お好みできな粉やあんこをつけて食べてもよい) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『おおさかの郷土料理集~行事食と食文化の伝承』(公益財団法人大阪府学校給食会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_19_1.jpg)" +"# お好み焼き 大阪府 + +**郷土料理名**: お好み焼き + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +大阪府内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、だし、卵、キャベツ、天かす + +## 歴史・由来・関連行事 +だしで溶いた小麦粉の生地に、細かく切ったキャベツや肉、イカなどを入れ、鉄板で平たく両面を焼いたもの。たこ焼きと並んで、なにわのコナモン(粉食)文化を代表する料理である。そのルーツは、安土桃山時代に千利休が催した茶会に供された「フノヤキ(麩の焼)」という茶菓子だといわれる。フノヤキは、水で溶いた小麦粉を銅板に伸ばして薄く焼き、味噌を塗って巻いたり、クレープ状にたたんだりしたものだった。江戸時代末期には、溶いた小麦粉を鉄板などで焼いて食する習慣が庶民の間にも広まった。明治時代後期にはメリケン粉、キャベツ、ソースを使った「洋食焼」が登場する。これは手軽に食べられる駄菓子のようなものであったが、やがて具材に豚肉やたっぷりの野菜を使うなど各店舗が工夫を凝らし、お好み焼きとして進化していった。当初は焼いた生地の上に具材をのせる「重ね焼き」のスタイルだったが、生地に具材を混ぜて焼く「混ぜ焼き」も広がった。お好み焼きが大阪の名物として全国に広く知られるようになったのは昭和30年代の終わりから40年代にかけてのこと。チェーン展開したお好み焼き店が、“大阪名物”として売り出したことが要因といわれる。 + +## 食習の機会や時季 +季節を問わず、いつでも食すことができる。大阪府内の各地にお好み焼きを提供する店が軒を連ねている。また家庭料理としても日常的に食されている。大阪名物として観光客にも人気である。 + +## 飲食方法 +小麦粉をだしで溶いて生地をつくる。鉢にキャベツ、生地を混ぜ、キャベツを加えて混ぜる。200℃位に熱した鉄板に油をひいて、まぜた生地をおいて、整え、裏返して豚バラ肉をのせ、また返して、10分ほどかけて焼く。お好み焼きソースをぬり、上から削り節、青のり、好みでマヨネーズをかける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2枚分) +- 【生地】フラワー(薄力粉): 100g +- 【生地】だし: 100cc +- 【生地】長いもすりおろし: 40g +- 【生地】塩: ひとつまみ +- 【具】キャベツ(約5mm粗みじん): 240g +- 【具】卵: 2個 +- 【具】天かす: 大さじ4 +- 【具】青ねぎ: 大さじ4 +- 【具】豚バラ肉 3mm厚: スライス4枚 約160g +- 【具】紅しょうが: お好みで +- 【具】油: 適量 +- 【トッピング】お好みソース: お好みで +- 【トッピング】青のり: お好みで +- 【トッピング】花がつお: お好みで +- 【トッピング】マヨネーズ: お好みで + +## 作り方 +1. 【生地】の材料を合わせ、生地を作る。ダマをつぶすように泡立て器で混ぜる。 +2. ボウルにキャベツ、その上から1枚分の生地(約120g)、卵、天かすをのせ、ボウルのふちに親指をかけて底をもち、カレースプーンで合わせていく。卵や生地を、キャベツのみじん切りに3~4回突き刺しては、底から全体をぐるりと返し、それを5~6回繰り返しているうちに、キャベツが生地をまとって、一つにまとまる。※まぜすぎて置いておくと、キャベツの水分が出て、重いお好み焼になるので手早く鉄板に置くのがポイントです。 +3. 【ココが大事!】熱しておいた鉄板(フライパンは中火、ホットプレートなら強200~220℃)に、薄く油をひいて、2のまとまりを、コロンと真ん中に置き、中央から外にスプーンで15~16cmぐらいに広げる。※熱が通りやすいように、中央はややへこませる。お好み焼は、まぜて、鉄板に置くまでで、おいしさの7割が決まると言われるので、ここまでの作業が肝心。 +4. 3分たったらテコを入れて、こんがり焼き色がついているか確認し、豚バラの脂身が外側になるよう川の字に並べ、自分の方にひっくり返して、ふたをし、弱火にして4分焼く。 +5. ふたをあけて、再度返して1分、ソースなどのトッピングで、できあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 日本コナモン協会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_20_1.jpg)" +"# がっちょの唐揚げ 大阪府 + +**郷土料理名**: がっちょの唐揚げ + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +泉州地域 + +## 主な使用食材 +がっちょ(ネズミゴチ)など + +## 歴史・由来・関連行事 +がっちょとは大阪湾でよく獲れる体長10~20cmほどの魚。ネズミゴチやハタタテヌメリなど数種類の魚がまとめてがっちょと呼ばれている。エサにがつがつと食らいつくことから、泉州地域ではその名で呼ばれるようになったといわれる。がっちょの代表的な料理が唐揚げで、昔からおやつとして親しまれてきたという。今では泉州地域の特産品ともなっている。香ばしくカリカリした食感で酒肴にぴったりで、骨まで丸ごと食べられるためカルシウムが豊富で子どものおやつにもちょうどよい。 + +## 食習の機会や時季 +がっちょの旬は春から夏。この時季になると地元の海産物直売所などで買うことができ、家庭料理の一品として楽しまれる。居酒屋などの飲食店でも定番メニューとなっている。 + +## 飲食方法 +頭を落とし、はらわたを取り除き、尾は残したまま骨に沿って身を開く「松葉おろし」にしたがっちょに、塩で下味をつけ、片栗粉をま��して揚げる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- がっちょ(メゴチ): 20尾 +- 唐揚げ粉: 適量 +- 塩コショウ: 適量 + +## 作り方 +1. がっちょ(メゴチ)を3枚おろしにし、塩コショウをふりなじませる。 +2. がっちょ(メゴチ)に唐揚げ粉をつけ、180度の油で1分半揚げて、完成。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_21_1.jpg)" +"# 小田巻き蒸し 大阪府 + +**郷土料理名**: 小田巻き蒸し + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +大阪市 + +## 主な使用食材 +うどん、だし、卵、海老 + +## 歴史・由来・関連行事 +うどんが入った大きめの茶碗蒸しで、大阪発祥の郷土料理。紡いだ麻糸を丸く巻いたものを「苧環(おだまき)」といい、うどんが紡ぎ糸のように見えるためこの名が付いたという。「小田巻き」の文字は当て字である。かつて卵が高級品だった時代、卵をふんだんに使った小田巻き蒸しは、船場の商家などでハレの日のご馳走料理として親しまれた。海老やかまぼこなど具材の彩りも華やかで、めでたい席にぴったりな一品。うどんが入っているため腹持ちも良い。戦前は地域のうどん店などの品書きにのっていたが、食生活の変化の影響もあり、戦後はあまり見かけなくなった。 + +## 食習の機会や時季 +冠婚葬祭に欠かせないお祝い料理で、新年の挨拶に訪れた人をもてなす時などに重宝されたという。 + +## 飲食方法 +割りほぐした卵に、だし汁、調味料を加え、混ぜ合わせて濾す。器に、うどん、海老、椎茸などの具材を入れ、卵液を泡立てないように注ぐ。蒸気のあがった蒸し器に入れ、布巾をかけてから蓋をして蒸す。最後に三つ葉、柚子を添える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- うどん: 2/3玉 +- だし: 360cc +- 【だし】水: 700cc +- 【だし】真昆布: 5×6cm +- 【だし】雑節: 40g +- 【だし】砂糖: 6g +- 【だし】塩: 少々 +- 【だし】薄口醬油: 大さじ1・1/2 +- 【だし】みりん: 小さじ1/2 +- 【だし】酒: 小さじ1/2 +- 卵: 1個 +- 【具材】海老: 2尾 +- 【具材】ゆりね: 1/2個 +- 【具材】生椎茸: 2個 +- 【具材】穴子: 2切れ +- 【具材】かまぼこ: 2切れ +- 【具材】三つ葉: 適量 +- 【具材】柚子: 適量 + +## 作り方 +1. 鍋に水と昆布を入れ、40分おいて、火を入れる。沸騰してきたら雑節を入れ、2~3分煮立て、さらしでこし、砂糖、塩、みりん、酒を入れ、薄口醤油で味を調え、冷ます。 +2. 海老は皮をむき、皮をむき背ワタをはずして塩で洗っておく。ゆりねは房に小分けし、椎茸は半分にカットする。 +3. 卵を泡だて器でなめらかになるまでしっかり溶きほぐし、粗熱のとれた1を360cc加え、卵だしを作る。 +4. うどんを熱湯にくぐらせ、湯切りしたら鉢にうつし、具材を彩り良く配置し、3の卵だしをひたひたくらいに回しかけ、アルミホイルでふたを軽くする。 +5. 熱した蒸し器に4をおき、菜箸をかませて蓋をする。 +6. アルミをはずし、菜箸を入れて透明なだしが出たら、三つ葉と柚子を飾ってできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 日本コナモン協会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_22_1.jpg)" +"# どて焼き 大阪府 + +**郷土料理名**: どて焼き + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +大阪市内 + +## 主な使用食材 +牛すじ、味噌、みりん + +## 歴史・由来・関連行事 +牛のすじ肉を味噌やみりんで長時間かけて煮込んだもの。鍋のふちに味噌を土手のように盛ることからその名が付いた。甘辛く濃厚な味わいで酒によく合う。安価に楽しめる大阪の下町グルメとして知られ、新世界エリアにはどて焼きを提供する店が多数軒を連ねている。 + +## 食習の機会や時季 +市内のさまざまな飲食店で提供されている。季節に関係なく1年を通して食すことができる。 + +## 飲食方法 +牛すじは下茹でしてアクをとる。鉄鍋のふちの内側に土手のように味噌を盛る。鍋の中央で牛すじを焼き、熱で溶け出した味噌でさらに煮込んでいく。こんにゃくを一緒に煮込むこともある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 牛すじ肉: 300g +- こんにゃく: 1枚 +- 青ねぎ: 1本 +- だし汁: 8カップ +- しょうがの薄切り: 2枚 +- 田舎みそ: 100g +- 砂糖: 大さじ5 +- みりん: 大さじ4 +- 酒: 大さじ4 + +## 作り方 +1. 牛すじ肉はア��と臭みを取るために熱湯で湯通しする。その後水にとり、ザルに上げておく。 +2. 青ねぎは青い部分と白い部分を分け、青い部分は小口切りにする。 +3. 鍋に湯通しした牛すじ肉、だし汁、しょうがの薄切り、青ねぎの白い部分を入れて煮立て、アクを取りながら40分~60分ゆでる。 +4. ゆでた牛すじ肉をひと口大に切る。こんにゃくはひと口大にちぎり、下ゆでする。 +5. 鍋に牛すじ肉のゆで汁カップ1.5、残りの調味料を入れて、牛すじ肉を加えて煮る。煮汁が少なくなるまで煮詰める。 +6. 小口切りにした青ねぎを散らして完成。 +7. 牛すじ肉はアクと臭みを取るために熱湯で湯通しする。その後水にとり、ザルに上げておく。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_23_1.jpg)" +"# ハモ鍋 大阪府 + +**郷土料理名**: ハモ鍋 + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +泉州地域 + +## 主な使用食材 +ハモ、玉ねぎ、じゃがいも + +## 歴史・由来・関連行事 +ハモは大阪湾に古くから生息しており、近世中期のころには大阪で流通するようになった。大阪や京都では夏の祭りに欠かせない食材であり、夏の旬魚として知られるが、産卵を終えて脂がのった秋のハモもまたおいしい。びっしりと小骨があるため、皮だけ残して身に細かく切り目を入れる「骨切り」をしないと食べられない。大阪湾に面し海の幸に恵まれた泉州地域では、ハモは古くからなじみのある食材で、ハモ鍋もよく食されてきた。ハモの頭や骨を使って出汁をとり、具材に玉ねぎとじゃがいもを入れるのが泉州流。「日本における玉ねぎ栽培発祥の地」とされる泉州地域ならではの料理といえる。泉州玉ねぎの甘みが鍋いっぱいに広がり、淡白なハモとよく合う。 + +## 食習の機会や時季 +ハモの旬は産卵前の6~8月、もしくは産卵を終えた10~11月。関東ではあまり目にしない魚だが、大阪では骨切りしたハモがスーパーマーケットで手軽に購入できるため、家庭でも気軽にハモ鍋を楽しめる。 + +## 飲食方法 +昆布とハモの骨・頭で出汁をとり、酒、みりん、醤油など調味料を加える。玉ねぎ、じゃがいも、しいたけなどの具材を入れる。具材はお好みだが、玉ねぎは欠かせない。野菜が煮えたら骨切りして一口大に切ったハモを入れる。具材に火が通ったら完成。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ハモ: 1尾分 +- 玉ねぎ: 大2個 +- じゃがいも: 1個 +- だし汁: 3カップ +- うす口醤油: 大さじ6 +- みりん: 大さじ4 +- 酒: 大さじ4 + +## 作り方 +1. ハモは骨切りしたものを、3cm幅に切る。 +2. 玉ねぎは、たて半分に切り、6mm位の幅に切る。じゃがいもは、たて半分に切り、1cm位の幅に切る。 +3. 鍋にだし汁とうす口醤油、みりん、酒を煮立て玉ねぎ、じゃがいもを入れ、沸騰したらハモを加え、汁ごといただく。※好みで上にみつばを散らしても良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山中 弓子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_24_1.jpg)" +"# 紅ずいきと油揚げの炊いたん 大阪府 + +**郷土料理名**: 紅ずいきと油揚げの炊いたん + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +泉州地域、南河内地域 + +## 主な使用食材 +紅ずいき、油揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +ずいきとは里芋の葉茎のことで、関西では昔から夏の伝統野菜として親しまれてきた。なかでも泉州地域や南河内地域を中心に生産されているのが葉茎が赤褐色の「紅ずいき」。大きいものは背丈が約2m、葉の大きさは70cmに及び、食物繊維やカルシウム、カリウムなどが豊富に含まれる。アクが強いため、酢水につけてから茹でてアクを抜いてから調理する。シャキッとした食感で、中はスポンジ状になっているため味がしみこみやすく、おひたしや煮物によく用いられる。この紅ずいきを油揚げとともに煮物にしたのが「紅ずいきと油揚げの炊いたん」。紅ずいきを使った定番のおばんざいである。「炊いたん」とは関西地方の言葉で「煮物」のことを指す。 + +## 食習の機会や時季 +紅ずいきの旬は7~8月で、その時期になると色鮮やかな紅ずいきが地域の直売所やスーパーマーケットに並ぶ。 + +## 飲食方法 +アク抜きした紅ずいきを、短冊切りした油揚げとともに、だし汁や醤油などの調味料で��含める。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 紅ずいき: 400g +- 酢: 大さじ1 +- 油揚げ: 1枚 +- 【調味料A】醤油: 大さじ2 +- 【調味料A】砂糖: 小さじ1 +- 【調味料A】酒: 大さじ2 +- だし汁: 1カップ + +## 作り方 +1. 紅ずいきは、皮をむき酢水(分量外)につける。 +2. たっぷりの湯に酢大さじ1を入れて、紅ずいきを茹でる。冷水にさらし、20~30分置く。4~5cmの長さに切る。太いものはたて半分に切り、水気を切っておく。 +3. 油揚げは熱湯をかけ、油抜きをしてから短冊に切り、水気を切る。 +4. 鍋にだし汁を入れ、紅ずいきと油揚げを入れ火にかけ沸騰したら、【調味料A】を加え、煮含める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山中 弓子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_25_1.jpg)" +"# 桜餅 大阪府 + +**郷土料理名**: 桜餅 + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +大阪府内全域 + +## 主な使用食材 +道明寺粉、あんこ、桜の葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +塩漬けした桜の葉でピンク色の餅を巻いた菓子で、春の季語にもなっている。桜餅は全国で食されているが、関東の桜餅は薄いクレープ状の生地であんを巻くのに対し、関西の桜餅はつぶつぶとした道明寺粉の餅であんを包むという違いがある。仕上げに塩漬けした桜の葉で巻く点はどちらにも共通している。そもそも桜餅は、江戸時代、隅田川のほとりに建つ長命寺の門番であった山本新六が考案したという。新六は大量に落ちてくる桜の葉を利用できないかと考え、塩漬けにして餅を巻いて売り出したところ大変な評判となり、それが全国へと広まっていった。大阪を含む関西では、道明寺粉を使って作る桜餅が主流である。道明寺粉とは、もち米を蒸して乾燥させた後に粗くひいたもので、和菓子によく用いられる。1000年以上も昔に大阪・藤井寺市にある道明寺で初めて作られ、保存食として重宝された。ピンク色の餅と、ほんのりとした桜の香り。桜餅は見た目も味も春を感じられる風流な菓子である。 + +## 食習の機会や時季 +2月から4月上旬の春の季節に、菓子店などで販売される。季節を感じる菓子として広く楽しまれている。 + +## 飲食方法 +塩漬けした桜の葉を水に浸けて塩抜きする。道明寺粉、砂糖、水、食紅を合わせて蒸す、または煮て、さっくりと混ぜて餅にする。餅をちぎって円形にのばし、あんを包む。それを桜の葉で巻く。桜の葉は、食べても食べなくてもよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10個分) +- 道明寺粉: 125g +- 水: 250㏄ +- 砂糖: 30g +- 食紅: 少量 +- こしあん: 200g +- 桜の葉の塩漬け: 10枚 +- 【手水】水: 50cc +- 【手水】砂糖: 3g + +## 作り方 +1. 桜の葉の塩漬けを流水でさっと洗い、たっぷりの水に30分ほど浸けて塩抜きをし、水気をキッチンペーパーなどで取り除いておく。 +2. こしあんは丸めておく。 +3. 鍋に分量の水、砂糖、食紅を入れて火にかけ、沸騰したら道明寺粉を入れ、木しゃもじで手早く混ぜる。 +4. 再び沸騰したら弱火にしておよそ6分間煮た後(焦げやすいので気をつける)、火を止めて蓋をし、10~12分間ほど蒸らす。 +5. 手水を用いて、(4)の餅を直径7cmほどの円形にのばし、中央に(2)のあんをのせ、餅の端をのばしながらあんを中央に寄せていき口を閉じて形を整える。 +6. (5)の餅が冷めたら、桜の葉の裏を外側にして巻く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 『おおさかの郷土料理集~行事食と食文化の伝承』(公益財団法人大阪府学校給食会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_26_1.jpg)" +"# 大阪しろ菜の辛子和え 大阪府 + +**郷土料理名**: 大阪しろ菜の辛子和え + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +大阪市 + +## 主な使用食材 +大阪しろ菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +大阪しろ菜は、山東菜あるいは白菜と、体菜の交雑によってできた品種だといわれている。江戸時代には栽培が始まっており、明治初期には大阪市中心部の天満橋付近で盛んに栽培されたことから「天満菜(てんまな)」とも呼ばれる。明治の終わりにかけて東淀川、城東、住吉の各方面へ栽培が広がっていったという。収穫時期が異なる早生種、中生種、晩生種の三系統があるが、いずれも葉柄が鮮明な白色で平軸。現在も大阪市及��周辺の畑で収穫され、大阪を代表する葉物野菜となっている。味わいはクセがなくあっさりとしており、火を通すとしんなりと柔らかくなる。白菜や小松菜と同じような料理に使われることが多い。おひたし、和え物、煮物などどのような料理にも合いやすいが、ピリッとした「大阪しろ菜の辛子和え」はさっぱりした味わいで副菜にもぴったり。 + +## 食習の機会や時季 +収穫時期が異なる早生種、中生種、晩生種があるため1年を通して収穫できる。府民にとってもなじみのある野菜で、直売所やスーパーで手軽に買うことができる。 + +## 飲食方法 +下茹でした大阪しろ菜と、油抜きした油揚げを、とき辛子、醤油、みりんで和える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大阪しろ菜: 1束 +- 油揚げ: 1枚 +- 【調味料A】とき辛子: 小さじ1 +- 【調味料A】うす口醤油: 大さじ1と1/2 +- 【調味料A】みりん: 小さじ2 + +## 作り方 +1. 油揚げは熱湯をかけ、油抜きをして縦半分にして短冊に切る。 +2. 熱湯に塩(分量外)を一つまみ加え大阪しろ菜をゆで、冷水にとって2~3cmの長さに切って、水気を軽く絞る。 +3. ボウルに調味料Aを入れ混ぜ、(1)と(2)を加え和える。※油揚げの代わりに車麩を使ってもおいしい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山中 弓子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_27_1.jpg)" +"# 串カツ 大阪府 + +**郷土料理名**: 串カツ + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +大阪市、大阪府内全域 + +## 主な使用食材 +牛肉、小麦粉、卵、パン粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +牛肉や野菜、魚介類などバラエティ豊かな具材を串に刺してフライにしたもの。揚げたてをソースが入った容器に突っ込んでから食べるが、ソースは客同士で共有するため「2度づけ禁止」の鉄則があることも広く知られている。「串カツ」の起源については諸説あるが、一説には通天閣がある大阪の“新世界”で、大正末期から昭和初期に発祥したといわれる。近隣で働く労働者たちの腹を満たすために、安価で腹が膨れ、時間をかけずに食べられるよう、薄い牛肉に厚い衣をつけて揚げる串カツが考案された。戦後になると、食糧の供給が安定しない中、食中毒の心配がない串カツを出す店が増えたようだ。2000年代、串カツを主力とした全国チェーン店が登場し、串カツを大阪名物として宣伝したこともあり、全国に串カツの名が広まった。「安い・早い・うまい」が揃った串カツは立ち食いの店も多いが、近年では松茸などの高級食材を使ったものや、若者がデートに使えるようなおしゃれな店もある。 + +## 食習の機会や時季 +季節に関わらず1年を通して楽しまれている。家庭でも作ることはできるが、主には店舗で食すもの。現在も新世界には串カツを提供する店がひしめき合い、また大阪府内全域に串カツを楽しめる飲食店がある。 + +## 飲食方法 +牛肉、うずらの卵、魚介類など好みの具を串に刺し、小麦粉や卵を溶いた生地につけてからパン粉をまとわせ、油で揚げ、ソースをつけて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4本分) +- 小麦粉(薄力粉): 50g +- 水: 60g +- 塩: 少々 +- 牛肉 ※カレー用のソトモモなど、かための部位(お好みで)塩コショウ: 10~15g +- パン粉(細目): 適量 +- 揚げ油: 適量 + +## 作り方 +1. 小麦粉と水、塩をまぜてバッター生地をつくる。 +2. 肉(うずら卵、蓮根、ししとうなどのお好みの具材)を切り、竹串にさす。 +3. バッター生地に具材を浸し、容器のへりで余分な生地をこそげる。 +4. 細目のパン粉をまとわせる。 +5. 180度の油で、1~2分、こんがり色づくまで、返しながら揚げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 日本コナモン協会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_28_1.jpg)" +"# 大阪漬 大阪府 + +**郷土料理名**: 大阪漬 + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +大阪市 + +## 主な使用食材 +大根、かぶ、昆布、赤とうがらし + +## 歴史・由来・関連行事 +浅漬けの一種。大根やかぶを刻み、葉茎もともに塩漬けにしたもの。数時間から一晩程度で食べられる。大阪地域でよく作られることからこの名があるとされる。 + +## 食習の機会や時季 +大根やかぶの旬である11~2月頃にかけて食べられることが多い。現在では、季節を問わず食べられている。 + +## 飲食方法 +大根の皮と大根を炊いた昆布は細切りにし、刻んだ大根の葉・赤とうがらし・柚子の皮各適量と合わせ、塩をふりかけてもみ込む。しんなりしたら水けを絞って器に盛り、好みでしょうゆ適量をかける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根: 1/3本 +- 大根の葉: 5枚ほど +- 塩: 適量 + +## 作り方 +1. 大根は5cmくらいの細切りにし、葉は細かく切り、塩をまぶしてもむ。 +2. お湯を沸かし、湯をまわしかけたら冷水にとる。冷えたら水気を切り、手で絞る。ボールに入れ、塩小さじ1/2ほど入れ、軽く混ぜ冷蔵庫で2~3時間漬ける。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_29_1.jpg)" +"# 紅しょうが天 大阪府 + +**郷土料理名**: 紅しょうが天 + +**都道府県**: 大阪府 + +## 主な伝承地域 +大阪府内全域 + +## 主な使用食材 +紅しょうが、天ぷら粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +その名の通り、紅しょうがの薄切りに衣をつけて揚げた天ぷらのこと。大阪府、奈良県、和歌山県など近畿地方で親しまれている料理である。梅酢の酸味、ピリッとしたしょうがの辛味がアクセントとなり、酒のつまみにもってこい。また、茶色や黄色が多くなる天ぷら類のなかで、紅しょうが天の鮮やかな赤は目をひき、食欲をそそる。紅しょうがはしょうがの根茎を梅酢に漬けたもので、梅干しを作ったあとの梅酢を再利用して作られた。紅しょうがの天ぷらがどのような経緯で食されるようになったかは定かではないが、昭和15年に発表された織田作之助の短編小説『夫婦善哉』に「路地の入り口で牛蒡、蓮根、芋、三ツ葉、蒟蒻、紅生姜、鯣、鰯など一銭天婦羅を揚げて商っている種吉は」という記述があり、昭和初期にはすでに大阪庶民の食べ物であったことが伺える。 + +## 食習の機会や時季 +府内全域の惣菜店やスーパーの天ぷらコーナーには必ず置かれている、大阪人にとって慣れ親しんだ味である。 + +## 飲食方法 +紅しょうがに天ぷら衣をつけて揚げる。好みでソースを付けて食す。紅しょうがを丸ごと、もしくは薄切りにして揚げる、または千切りにしてかき揚げにするなど様々である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4個分) +- 紅しょうが(スライスまたは千切り): 30g +- 小麦粉(薄力粉): 50g +- 水: 150~160g +- 揚げ油: 適量 + +## 作り方 +1. 紅しょうがはスライスして、一晩水につけて、塩だししておく。 +2. 小麦粉と水、塩をまぜて生地をつくる。 ※野菜の一片をつけてみて、軽くまとうくらいの濃度に調整 +3. 180度に熱した油で、1分ほど揚げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 日本コナモン協会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/osaka_30_1.jpg)" +"# 明石焼/玉子焼 兵庫県 + +**郷土料理名**: 明石焼/玉子焼 + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +明石市 + +## 主な使用食材 +小麦粉、じん粉、卵、タコ、だし汁 + +## 歴史・由来・関連行事 +「明石焼」は、小麦粉とじん粉、卵とだし汁を混ぜた生地にタコを入れて焼き、つけ汁につけて食べる明石市の郷土料理である。見た目はたこ焼きに似ているが、たこ焼きはソースをかけて食べるのに対し、「明石焼」はかつおや昆布のだし汁につけて食べる点が大きな違いだ。地元では古くから「玉子焼」と呼ばれ親しまれてきたが、昭和63年頃、市の職員が明石の町のPRになるようにと「明石焼」と名前をつけてみたところ、各地にその名前で広まっていった。江戸時代末期から大正時代にかけて、明石では地場産業として装飾品の「明石玉(人工さんご)」の生産が盛んに行われていた。「明石玉」は卵の白身を材料とするため、この製造過程で余った卵の黄身を目の前の海で捕れるタコと混ぜ合わせてできたものが明石焼の始まりではないかといわれている。おやつの代わりにもなり、子どもから大人まで気軽に食べられる明石のソウルフードである。 + +## 食習の機会や時季 +季節に関係なく、普段の昼食やおやつとして食べられている。家庭でも作られているが、市内には明石焼の飲食店が約70店舗(2021年現在)あり、外出時にも気軽に食べられる。 + +## 飲食方法 +小麦粉とじん粉(小麦粉のデンプ���を精製したもの)、卵、だし汁を混ぜ合わせて作った生地の中にタコを入れ、銅鍋の上で焼き、出来上がりをだし汁につけて食べる。卵の分量がたこ焼きに比べて多く、また、じん粉は加熱しても硬くならないため、ふんわりとした焼き上がりになる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- タコ: 適量 +- 卵: 3個 +- だし汁: 2カップ +- 小麦粉: 60g +- じん粉: 60g +- つけ汁(昆布やかつおのだし汁): 適量 + +## 作り方 +1. タコを塩でもんで水でよく洗い、ぬめりを取る。 +2. タコを茹でて、1cm角に切る。 +3. 小麦粉とじん粉を混ぜてふるいにかけ、だし汁で溶く。 +4. 3に溶き卵を加える。 +5. 熱した銅鍋に4を入れ、タコを1個ずつ入れる。 +6. 形を丸く整えながら、丁寧にひっくり返し、ふっくらと焼く。 +7. つけ汁につけて食べる。つけ汁は冷温どちらでもお好みで。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 明石観光協会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_2_1.jpg)" +"# ぼたん鍋 兵庫県 + +**郷土料理名**: ぼたん鍋 + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +丹波篠山市 + +## 主な使用食材 +猪肉、ハクサイ、ゴボウ、ネギ、ニンジン、山の芋(サトイモ)、焼き豆腐 + +## 歴史・由来・関連行事 +「ぼたん鍋」は、白と赤の合わせみそをベースにしただし汁に猪肉と季節の野菜を入れて煮る鍋料理で丹波篠山市の郷土料理。発祥は1908年(明治41年)ごろ、多紀郡篠山町に陸軍歩兵第70連隊が駐屯し、訓練時に捕獲したイノシシの肉をみそ汁に入れて食べたことや、料理旅館に持ち込んで、みそ仕立ての鍋物にしたことだといわれる。当初は「いの鍋」と呼ばれており、「ぼたん鍋」という言葉が登場するのは昭和になってから。1931年(昭和6年)に篠山市商工会の前身団体が、民謡「篠山小唄」の歌詞を募ったところ、採用された歌詞に「いの鍋」ではなく「ぼたん鍋」という言葉が使われていた。また、丹波篠山の民謡「デカンショ節」には「雪がちらちら丹波の宿に猪(しし)が飛び込むぼたん鍋」と歌われている。やがて、地元の料理旅館が「ぼたん鍋」という言葉から発想を得て、猪肉を牡丹の花びらのように並べて皿に盛り付け、客に提供するようになったと言われている。 + +## 食習の機会や時季 +主に冬、正月や来客時に提供されるおもてなし料理。 + +## 飲食方法 +昆布やかつおで取っただし汁に白みそと赤みその合わせみそを入れた汁に、猪肉や野菜を入れ煮て食べる。好みで粉山椒をふりかけて食べる。猪肉は部位によって味もうまみも異なるので、好みの部位を使って調理する。また、猪肉はバーベキューなどで食されることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 猪肉(ロース薄切り肉): 300g +- 焼き豆腐: 250g +- ハクサイ: 150g +- ネギ: 2本 +- 春菊: 100g +- エノキダケ: 100g +- ゴボウ: 100g +- ニンジン: 80g +- 板コンニャク: 1枚 +- 山の芋(サトイモ): 300g +- 【煮汁】だし汁: 500ml +- 【煮汁】酒: 100ml +- 【煮汁】みりん: 大さじ3 +- 【煮汁】赤みそ: 大さじ3 +- 【煮汁】白みそ: 大さじ3 +- 【煮汁】粉山椒: 適量 + +## 作り方 +1. 焼き豆腐はひと口大に切る。ハクサイはざく切り、長ネギは斜め切り、春菊は5センチ幅に切る。エノキダケは石づきを切り、ほぐす。ゴボウはささがきにし、水につけてアクを抜く。ニンジンはせん切り、板コンニャクは食べやすい大きさに切るか、ちぎる。山の芋は皮をむいて、酢水につけアクを抜き、食べやすい大きさに切る。 +2. 鍋に煮汁を入れて、沸騰したら猪肉を加える。肉の色が変わったら、火の通りにくい具材から順に入れて煮る。 +3. 食べる時にお好みで粉山椒をかける。※また、お肉を鍋で一緒に煮るときに粉山椒をかけて煮てもよい。ただし、若干苦味が出ます。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 丹波篠山市いずみ会・丹波篠山市 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_3_1.jpg)" +"# かつめし 兵庫県 + +**郷土料理名**: かつめし + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +加古川市と周辺地域 + +## 主な使用食材 +牛肉、キャベツ、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +「かつめし」は洋食の皿に盛ったご飯の上に平たいビーフカツをのせ、その上にデミグラスソースをかけ、脇にゆでキ���ベツを添えた洋食であり、加古川の郷土料理である。戦後間もなく、まだビーフカツが珍しかった頃、街の食堂で、「ナイフとフォークがなくても箸で気軽に食べることができる洋食」として考案されたのが始まりである。その後、他の食堂でも、たれの甘辛さなど工夫を加えたかつめしを提供するようになり、加古川市内に広まっていった。現在は、ビーフだけではなく、とんかつやチキンカツ、エビカツを使ったり、デミグラスソース以外のソースを提供したりなど新たなかつめしも登場している。加古川市とその周辺にある店舗では、店ごとに異なる、さまざまなバリエーションを楽しむことができる。 + +## 食習の機会や時季 +平常時の食事として、季節にかかわらず、家庭で作って食べられる。 + +## 飲食方法 +洋食皿に盛るご飯は薄めにし、その上のビーフカツは平らにたたいて揚げたものをのせるのがおいしく見えるコツだという。ビーフカツ以外に、とんかつやチキンカツをのせて食べることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 米: 300g(2合) +- 水: 450cc(2・1/4カップ) +- 牛肉(スライス): 400g +- 【衣の材料】小麦粉: 30g(大さじ3) +- 【衣の材料】片栗粉: 15g(大さじ1・1/2) +- 【衣の材料】酢: 7~8cc(大さじ1/2) +- 【衣の材料】水: 30cc +- 塩: 少々 +- コショウ: 少々 +- パン粉: 適量 +- 揚げ油: 適量 +- キャベツ: 250g +- 湯: 400cc(2カップ) +- カレー粉: 2g(小さじ1) +- 塩: 少々 +- コンソメ: 1個 +- 湯: 600cc(3カップ) +- バター: 25g +- 小麦粉: 25g(大さじ3) +- ケチャップ: 70g(大さじ4・1/2) +- ウスターソース: 45cc(大さじ3) +- おろし玉ねぎ: 50g(大さじ4~5) +- からし: 3~5g(小さじ1/2~1) + +## 作り方 +1. 米を洗って炊飯器で普通に炊く。 +2. キャベツは2cm四方に切り、カレー粉と塩を入れた熱湯でゆでる。ザルに上げ冷ましておく。 +3. コンソメ1個を3カップのお湯に溶かしスープを作る。 +4. フライパンにバターを溶かし、小麦粉を加え弱火できつね色になるまで炒める。 +5. 4のフライパンを火からおろし、鍋底を少し冷ましてから3のスープを少しずつ入れながら伸ばす。 +6. 5を火にかけ、ケチャップ、ウスターソース、おろし玉ねぎを加え、混ぜながら煮詰める。味をみて塩コショウで味を調える。 +7. 牛肉は1枚ずつ広げて重ねてカツの形にする。 +8. 【衣の材料】を合わせて水で溶いておく(天ぷらの衣のように) +9. 牛肉に塩、コショウをして8の衣のあとにパン粉を付ける。 +10. 170~180℃の油でカツを揚げる +11. 皿に飯を盛り、切ったカツを載せ、キャベツを添えてソースをかけ、からしを添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 :兵庫県家庭料理調査グループ(片寄眞木子、本多佐知子) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_4_1.jpg)" +"# ちょぼ汁 兵庫県 + +**郷土料理名**: ちょぼ汁 + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +淡路島 + +## 主な使用食材 +ささげ豆、ズイキ、もち粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +どろっとしただし汁に、団子とささげ豆、ズイキが入っている「ちょぼ汁」は、江戸時代から続く淡路島の伝統的な郷土料理である。お汁粉に似ているように見えるが甘くない。具のささげ豆ともち粉の団子は栄養価が高く、ズイキは古い血をくだし血液をきれいにする作用があると言われ、「産後の乳の出を良くするために嫁に食べさせる」と、母が出産後の娘の体力回復のために作る習慣があった。鍋にたくさん作り、出産のお祝いに集まった親戚や近所にも振る舞う。また、子どものお宮参りの際にも作り、親戚や知人に配る習慣がある。ちょぼ汁の名前の由来は、子どもがかわいいおちょぼ口になるようにとの願いを込めたところからついたという。汁の中に入れる団子は、女の子が生まれたら真ん中をへこませるかまん丸にする、男の子だったら先をとがらせる。そうして子どもの健やかな成長を願う。 + +## 食習の機会や時季 +出産直後の女性に母親が作って食べさせ、親戚や近所に振る舞う。また、子どものお宮参りの際にも作り、親戚や知人らに配る。 + +## 飲食方法 +だし汁に、もち粉で作った団子とささげ豆、ズイキと呼ばれる里芋の茎を入れ、煮て、みそを加える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ささげ: 160g(1カップ) +- (ささげ煮込用)水: 3カップ×2 +- ずいき(乾物): 20g +- もち粉: 50g +- (もち粉用)水: 50cc程度 +- だし汁: 700cc +- 味噌: 80g +- 花かつお: 適宜 + +## 作り方 +1. ささげはよく洗って、3カップの水に3時間程度浸けた後、一煮立させて、水切りをしアクを抜く。 +2. 1に3カップの水を入れて軟らかく煮てから、水気を切っておく。 +3. ずいきはよく洗ってぬるま湯で戻し、1cmの長さに切る。茹でて、よくアク抜きをして、粗熱をとってから絞る。 +4. 「ちょぼ(だんご)」を作る。もち粉に水を少しずつ加えてこね、耳たぶ位の硬さにまとまったら棒状に伸ばし、1.5cmの長さに切り、俵型等にする。 +5. だし汁を火にかけ、ささげとずいきを加えて軟らかくなったら、4を加える。 +6. だんごが浮き上がってきたら味噌を溶き入れる。 +7. お椀に盛り、花かつおをかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 淡路市健康増進課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_5_1.jpg)" +"# 姫路おでん 兵庫県 + +**郷土料理名**: 姫路おでん + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +姫路市とその周辺 + +## 主な使用食材 +大根、結び昆布、ちくわ、こんにゃく、糸こんにゃく 、ゆで卵、ごぼう天、ひら天、その他 + +## 歴史・由来・関連行事 +おでんは一般的には辛子を添えて食べるが、姫路おでんは生姜醤油をかけて、あるいは、つけて食べる。これが姫路の郷土料理「姫路おでん」の特徴である。姫路には、濃く甘い味付けの関東煮と呼ばれるおでんと薄味のおでんの2種類が存在するが、どちらも生姜醤油を使う場合は「姫路おでん」と呼ばれている。生姜醤油とは、醤油にすった生姜を加えたものだが、もともと姫路市は生姜と醤油の生産地であった。また、近隣一帯は醤油の有数な生産地であり、これらのことがおでんに生姜醤油を使う食習慣につながったのではないかと考えられている。「姫路おでん」と呼ばれるようになったのは、2006年に「姫路の食で町おこし」活動をしていた有志らが「姫路おでん」と命名したことによる。現在はご当地グルメとして広く知れ渡り、「姫路おでん」目当てで訪れる観光客も多い。 + +## 食習の機会や時季 +通常、家庭で作り食べられているが、秋祭りや棟上げのときなどの祝いの場でも食される。おでんの残った具を刻んでお好み焼きに入れるという家庭ならではの食べ方もある。 + +## 飲食方法 +おでんの具は牛すじの他、大根、卵、こんにゃく、ちくわなど各家庭の好みで用意。牛すじは下ゆでをして水で洗い、大根やこんにゃくも下ゆでをしたあと、だし汁と醤油とみりんを合わせたおでんだしで1時間ほど煮込む。できあがったら、生姜醤油をかけるか、生姜醤油をおでんだしで割って、つけながら食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 【おでん】大根: 400g +- 【おでん】じゃがいも: 200g +- 【おでん】ゆでたまご: 4個 +- 【おでん】ごぼう天: 4本 +- 【おでん】ちくわ: 2本 +- 【おでん】平天: 4枚 +- 【おでん】厚揚げ: 4個 +- 【おでん】こんにゃく: 1/2枚 +- 【おでん】他にお好みのおでん種(すじ肉、がんもどきなど): お好みで +- 【おでん】だし汁: 800~1000ml +- 【おでん】醤油: 60ml +- 【おでん】みりん: 30ml +- 【おでん】酒: 15ml +- 【しょうが醤油】土しょうが(すりおろす): 適量 +- 【しょうが醤油】醤油: 適量 + +## 作り方 +1. おでん種の用意・大根は3cm厚さの輪切りにして、米のとぎ汁でゆでる。・こんにゃくは三角に切り分け、下ゆでする。・じゃがいもは皮をむいて水につけておく。・ごぼう天、平天、厚揚げは熱湯をかけておく。・ちくわはななめ半分に切る。・ゆでたまごを作って殻をむいておく。 +2. だし汁に醤油、みりん、酒を入れて大根、こんにゃく、じゃがいもを入れて煮込む。じゃがいもに八分目程度火が通れば、ごぼう天、平天、厚揚げ、ちくわ、ゆでたまごを入れて煮る。 +3. おでんを器に盛り付け、小皿に醤油とすりおろした土しょうがを入れて添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 兵庫県家庭料理調査グループ(片寄眞木子、坂本薫、作田はるみ、田中紀子、富永しのぶ、中谷梢、原知子、本多佐知子) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_6_1.jpg)" +"# 丹波黒豆ごはん 兵庫県 + +**郷土料理名**: 丹波黒豆ごはん + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +丹波篠山市 + +## 主な使用食材 +丹波黒大豆(乾燥)、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +丹波篠山の黒大豆は、この地方の粘土質で肥沃な土と昼夜の激しい寒暖差のため、粒が大きく、糖度も高く成長し、黒大豆の中では最高級の品質といわれている。大粒でほんのり甘く、皮が破れにくいのが特長。農家では出荷用に栽培する一方、自分たちで食すための黒大豆を田んぼのあぜ道を利用して栽培していたという。このあぜ道で作られたものや出荷できなかった黒大豆を使って、子どものおやつや田植え時などのごちそうが作られていた。「黒豆ごはん」は、6月に行われる「さびらき(早苗開き、早開き)」(苗の成長を祈願する行事)で、田の神にお供えされた。炊きたての黒豆ごはんをおにぎりのように丸め、朴の葉に包み神棚に供し、また、田んぼには栗の木を立て、そこに朴葉に包まれた黒豆ごはんを稲わらでつるし、供物とした。朴葉も栗の木の香りも虫が嫌うため、「虫がつかずに稲が成長しますように」という願いが込められていたという。 + +## 食習の機会や時季 +昔は、6月の田の神に苗の成長を祈願する行事「さびらき(早苗開き、早開き)」の際に、炊きたての黒豆ごはんを丸めて朴葉に包み、家の神棚や田んぼなどにお供えしたという。この習わしは失われつつあるが、現在でも、田植えや祝い事、法事などには黒豆ごはんが炊かれる。 + +## 飲食方法 +黒大豆を一晩水に浸して戻し、つけ汁と水を合わせて通常の水加減にして30分以上おく。炊く寸前に塩と酒を混ぜて味を調え、黒大豆をのせて炊く。炊きあがりは黒大豆の色素が溶け出して、うっすらと紫色がかったご飯になる。また、黒大豆は水に浸けておく代わりに鉄のフライパンで炒るか、耐熱皿に並べて電子レンジで約3分加熱し炊く方法もある(加熱の目安は豆の皮にひびが入り、1粒味見をして香ばしく感じるくらい)。炊き上がった黒豆ごはんに合わせ酢を混ぜ、ピンク色の黒豆寿司にして食することもある。なお、不祝儀の際はご飯を白いまま仕上げる「白蒸し」にして食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 2合 +- 黒豆: 40g +- 梅干し: 1個 +- 酒: 大さじ2 +- 水: 適量 + +## 作り方 +1. 黒豆は表面にしわが寄るまで、弱火で乾煎りする。 +2. 梅干しは種を除き、包丁で刻む。 +3. 洗った米に黒豆、梅干し、酒を加え、適量の水加減で炊く。 +4. 炊き上がったら軽くほぐす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 兵庫県家庭料理調査グループ(片寄眞木子、坂本薫、作田はるみ、田中紀子、富永しのぶ、中谷梢、原知子、本多佐知子) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_7_1.jpg)" +"# 播州手延べそうめん 兵庫県 + +**郷土料理名**: 播州手延べそうめん + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +播磨地方 + +## 主な使用食材 +小麦、塩、水 + +## 歴史・由来・関連行事 +コシがあり歯切れの良い食感でゆでのびしにくいことが特徴の播州そうめん「揖保乃糸」は播磨地方の名産品である。日本でのそうめんの歴史は、奈良時代に遣唐使が唐から持ち帰ってきたものに、そうめんの元となった菓子「さくべい」があったことから始まる。兵庫県播州地区のそうめんとのつながりは、斑鳩寺(揖保郡太子町)の古文書で、応永25年(1418年)の条項に「サウメン」の記述があったことからうかがえる。そうめん作りが本格的になってきたのは江戸時代であり、安永年間(1771~1780年)に龍野藩の「許可業種」として奨励されていたという。文化年間(1804~1818年)には、龍野藩が産物の保護育成を始めている。播州は、そうめん作りに重要な条件である小麦(播州平野で収穫する小麦)、水(揖保川の清流)、塩(赤穂の塩)が揃っていたことや冬の農閉期の副業ともなったことで、揖保乃糸=播州地方の伝統産業として栄えていった。作られる時季や小麦粉の種類、麺の細さによって7つの等級に分類され、家庭での普段使いのものから高級贈答品まで幅広く対応している。 + +## 食習の機会や時季 +「揖保乃糸」が製造されるのは毎年、10月から翌年の4月までだが、���庭では、夏は冷たいつゆで冷やしそうめんとして、冬は温かいつゆでにゅうめんとして、一年中食されている。そうめんを製造するときに出る切り落とし部分は形が三味線のバチに似ていることから「ばち」と言われ、そうめんよりこしが強く粘りがあり、塩気が多い。味噌汁を煮立てて「ばち」をそのまま入れたり、野菜などと一緒に煮て、「ばち汁」として家庭や学校給食で食されている。 + +## 飲食方法 +「ばち汁」に入れる「ばち」は下ゆでせずに直接だし汁に入れて使えるので、家庭で手軽に作られている。大根やにんじんを短冊切りにし、里芋を食べやすい大きさに切りさっとゆでておく。油揚げも食べやすい大きさに切り、だし汁の中に切った材料を全て入れ煮る。火を止める直前に「ばち」を入れ、醤油を加え味を調節する。「ばち」は塩気が多いためだし汁の味は薄味にして、「ばち」を加えてから味を調える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- そうめんばち: 10g +- 【みそ汁】だし汁: 300g +- 【みそ汁】かぼちゃ: 50g +- 【みそ汁】うすあげ: 5g +- 【みそ汁】みそ: 16g + +## 作り方 +1. みそ汁を作る。 +2. みそ汁の鍋にそうめんばちをそのまま入れ、やわらかくなるまで煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 兵庫県家庭料理調査グループ(片寄眞木子、坂本薫、作田はるみ、田中紀子、富永しのぶ、中谷梢、原知子、本多佐知子) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_8_1.jpg)" +"# ゆで松葉ガニ 兵庫県 + +**郷土料理名**: ゆで松葉ガニ + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +但馬地域(新温泉町、香美町、豊岡市) + +## 主な使用食材 +松葉ガニ(ズワイガニ) + +## 歴史・由来・関連行事 +ズワイガニは、山陰では「松葉ガニ」、北陸では「越前ガニ」と呼ばれている。松葉ガニの茹でたては身がほくほくしているが、冷めてもカニのほんのりとした甘みがあることが特徴とされ、日本海に面した但馬地域の特産品である。松葉ガニと呼ばれる理由は「カニを茹でるとき燃料に松の葉を使ったから」「カニの身を水につけると松葉のように広がるから」などの説がある。カニ漁の期間は11月から3月までで、県北西端の浜坂漁港をはじめ5つの漁港で水揚げされ、全国有数の水揚げ高を誇る。しかし、ズワイガニの漁獲量は昭和40年(1965年)頃が最盛期で、その後、漁船の大型化や漁法の発達で乱獲が進み、昭和40年代後半から激減した。近年は資源保護のため、漁期の短縮や捕獲制限など自主規制を強化しながら、漁期末まで漁獲ができるよう調節している。 + +## 食習の機会や時季 +漁が解禁される11月から3月がシーズン。家庭でも食されるが、カニの刺身、カニすき、カニ鍋、カニ雑炊などを提供する飲食店がある。 + +## 飲食方法 +カニの選び方は、手に持ったとき重くて殻の硬いものがいい。たっぷりの水で茹でて、身を取り出し、酢と醤油の二杯酢に漬けながら食す他、カニの炊き込みご飯や雑炊、味噌汁、コロッケなど幅広く料理に利用されている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 松葉ガニ: 1匹 +- 水: 適量 +- 塩: 適量 + +## 作り方 +1. カニをしっかり水洗いしておく。 +2. カニが丸ごと入る大きな鍋を準備する。 +3. 鍋にカニがつかる程度の水を入れ、海水より少し薄い程度(約3%)まで塩を入れる。 +4. 沸騰したらカニを丸ごと、腹を上(甲羅が下)にして入れる。 +5. 再び沸騰したら火を弱め18~25分程度蓋をして茹でる。 +6. 茹で上がったらザルにあげる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 新温泉町 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_9_1.jpg)" +"# 出石皿そば 兵庫県 + +**郷土料理名**: 出石皿そば + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +兵庫県豊岡市出石町 + +## 主な使用食材 +そば粉、つなぎ(小麦粉) + +## 歴史・由来・関連行事 +出石焼きの白磁の小皿に盛られたそばを徳利に入ったつゆと薬味で何枚も食べる「出石皿そば」は、豊岡市出石町の郷土料理。5枚1組のそばが一人前。地元では、箸を立てた高さの分量が成人男性の一人前と言われている。始まりは、1706年(宝永3年)、信州(長野県)上田から国替えで来た藩主仙石政明(まさあきら)が連れてきたそば職人から。そ���以前からあったそば打ち技術に新たな技術が加わり、以来300年以上、改良を加えながら職人の鍛錬によって発展してきた。出石のそばは、挽き立て、打ちたて、ゆでたてにこだわった伝統的な製法で作られている。そばをのせている小皿は直径約13cm。幕末の頃、屋台で提供する際に持ち運びが便利なため小さな浅い手塩皿にそばを盛ったことが始まりとされる。後に出石焼の白磁が使われるようになった。 + +## 食習の機会や時季 +季節を問わず、食されている。町内には出石皿そばを提供する飲食店が約40店舗あり(2021年現在)、気軽に食べることができる。 + +## 飲食方法 +直径約13cmの小皿に盛られたそばは、徳利からそば猪口に注いだつゆに、卵やとろろ、ネギ、大根おろし、わさびなどの薬味を入れて、つけて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 出石皿そば: 適量 +- 【薬味】刻みネギ、わさび、とろろ、卵、大根おろし: 適量 +- つゆ: 適量 + +## 作り方 +1. そばをたっぷりの湯でゆでる +2. つゆをそば猪口に入れ、つゆと薬味を入れる。 +3. そばをつゆにつけながら食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 出石皿そば協同組合 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_10_1.jpg)" +"# 鯖寿司 兵庫県 + +**郷土料理名**: 鯖寿司 + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +全域 + +## 主な使用食材 +鯖、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +伝統料理の鯖ずしは酢で締めた塩鯖を使った寿司だが、姿寿司、棒ずし、にぎり寿司と形状はさまざまである。姿寿司は名前の通り鯖の姿をしている寿司で、頭と尾を残した形の塩鯖を開いて酢で締め、酢飯を挟んで形を整える。一方、棒ずしは頭と尾は除いて、酢で締めた半身の塩鯖を酢飯にのせて棒状にして竹の皮に包む。冷蔵技術が発達していなかった時代、若狭湾で捕れた魚類を内陸部の京都まで運んだ街道を総称して「鯖街道」と呼び、塩漬けなどにされた鯖が多く運ばれた。例えば西の鯖街道では丹波篠山に続く街道があり、塩漬けの鯖は丹波篠山に着く頃にはちょうどいい塩加減になっており、この鯖を使って鯖ずしを作るようになった。収穫を祝う秋祭りでは、新米を炊いて作るすし飯の上に、酢でしめた塩鯖をのせて竹の皮に包んだ棒ずしが伝承されている。 + +## 食習の機会や時季 +棒ずしは秋祭りなどハレの日のごちそうとして作られるが、田植えが終わった後のお祝いである「さなぶり」やその他の行事では、酢に漬けた鯖をそぎ切りにしてのせるにぎり寿司が作られている。 + +## 飲食方法 +姿寿司を作るときは、頭と尾を残した形の塩鯖を開いて酢で締め、間に酢飯を挟んで形を整える。一方、棒ずしならば頭と尾は除いて5枚におろした塩鯖を酢で締め、すし酢飯にのせて棒状にし、竹の皮で包むと完成。完成後、切り分けて食す。にぎり寿司は、酢で締めた鯖を一口大にそぎ切りにして、酢飯の上にのせ握る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3人分) +- 塩鯖(秋祭り用): 2匹 +- 【塩鯖用合わせ酢】米酢: 2カップ(400cc) +- 【塩鯖用合わせ酢】砂糖: 大さじ3 +- 【塩鯖用合わせ酢】塩: 小さじ1 +- 【寿司飯】米: 2合 +- 【寿司飯】水: 2.2合 +- 【合わせ酢】米酢: 大さじ2 1/2 +- 【合わせ酢】砂糖: 大さじ1 +- 【合わせ酢】塩: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 塩さばを一晩水につけて、塩出しをする。 +2. 表面の薄い皮をとる。 +3. 骨、ひれ、小骨を取る。小さな骨は毛抜きを使ってとるとよい。 +4. 半日~1日位合わせ酢に漬ける。 +5. 寿司飯を作る。硬めに炊いた温かいご飯に合わせ酢をまぜ、冷めてから魚の身の長さ程度のおにぎりにする。こわれないようにしっかりとにぎる。 +6. おにぎりに鯖をのせ、しっかりとおさえる。進物用の場合はこれを竹の皮に包むこともある。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 兵庫県家庭料理調査グループ(片寄眞木子、坂本薫、作田はるみ、田中紀子、富永しのぶ、中谷梢、原知子、本多佐知子)、村田好子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_11_1.jpg)" +"# とふめし 兵庫県 + +**郷土料理名**: とふめし + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +丹波篠山市大山地区 + +## 主な使用食材 +豆腐、米、鯖(水煮缶)、ゴボウ、ニンジン、油揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +豆腐めしは、「とふめし」と呼ばれ、ゆでた豆腐やニンジン、ゴボウ、鯖の水煮などを炒め、炊きたてのご飯に混ぜたもので、丹波篠山市の大山地区に約120年前から伝わる郷土料理である。地域の寄り合いの際に大勢の料理を用意することが大変だったので、長老がおかずとご飯を混ぜて作ればいいと提案したことから生まれた料理という。山里にも関わらず鯖があるのは、若狭湾から京都に鯖などの魚類を運ぶルート「鯖街道」の一つがこの地域までつながっていたため、塩漬けの鯖が手に入ったからである。丹波地区では江戸時代半ばから農閑期に灘の酒蔵まで出稼ぎに行く季節杜氏が多かったが、その杜氏が出発する際に腰に下げていた弁当の中に「とふめし」が詰められていたという。 + +## 食習の機会や時季 +地区の運動会や冠婚葬祭、集会の際に作りふるまわれる。 + +## 飲食方法 +生の鯖ではなく簡単に利用できる鯖の水煮缶を使い、ニンジン、ゴボウ、油揚げ、ゆでた豆腐などを炒め、醤油ベースの味付けにし、炊きたてのご飯の上にのせ蒸してかき混ぜる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 2合 +- 木綿豆腐(固め): 200g +- ゴボウ: 80g +- ニンジン: 30g +- 油揚げ: 20g +- 鯖水煮缶: 80g +- 油: 小さじ1 +- しょうゆ: 大さじ2 +- 酒: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 米は洗って普通の水加減でごはんを炊く。 +2. 木綿豆腐はよくゆでて(約40分)ザルにあげ、水切りしておく。 +3. 人参は3センチ長のせん切り、ごぼうは皮をこそげてささがきにし、水に浸してアクを抜き、水気を切る。油揚げは長さ3センチのせん切りにする。 +4. 鍋に油を入れて熱し、ごぼう、人参、油あげの順に入れて炒める。 +5. 野菜がやわらかくなったら2、の豆腐と鯖缶も加え、豆腐をつぶしながら炒める(小さくつぶさないようにする)。しょうゆと酒で味つけし煮汁がなくなるまで炒り煮する。 +6. ごはんが炊けたら、5、の具をごはんの上にのせふたをし、15~20分間蒸らしてから混ぜ合わせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 丹波篠山市いずみ会・丹波篠山市 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_12_1.jpg)" +"# 粕汁 兵庫県 + +**郷土料理名**: 粕汁 + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +酒粕、大根、ニンジン、里芋、ゴボウ、油揚げ、こんにゃくなど + +## 歴史・由来・関連行事 +「粕汁」は、大根、ニンジン、ゴボウ、こんにゃくなどを日本酒の醸造工程で出る酒粕で煮込んで作る郷土料理である。野菜以外にシャケやブリ、サバなどの魚を入れる場合もある。冬の間、寒さの厳しい山間部から、酒造りのために酒造地に出稼ぎに来ていた人々が、酒粕をお土産に持って帰ったことから、山間部でよく食べられてきた。兵庫県は国内の清酒生産量の約3割を占める酒造地、灘五郷を抱え、酒米の王者といわれる山田錦の栽培も全国の6割以上を占める、国内最大の日本酒の生産地である。その歴史も古く、1300年前に書かれた「播磨国風土記」には、日本で初めて米こうじを使って日本酒を造ったとの記述がある。そのため、酒粕の歴史も古く、平安時代から魚や野菜を長期保存する粕漬けとして利用されてきた。酒粕は酵母のタンパク質やビタミン、ミネラルが豊富に含まれる滋養食品でもある。「粕汁」は、正月の終わる節目である1月20日の「二十日(はつか)正月」に、正月に食べていた鮭や鰤などの残っている頭や骨からだしをとり、酒粕と野菜を煮込んだものを食べるという祝い納めの風習であり、ハレの気分を引っ込め日常の生活に戻るけじめの食事であった。 + +## 食習の機会や時季 +家庭で、1月20日の「二十日(はつか)正月」に食べる他、寒い冬場には栄養があり、身体を温める食事として普段の食卓に登場する + +## 飲食方法 +大根、ゴボウ、ニンジン、こんにゃく、油揚げなどをだし汁で煮て、そこに酒粕を入れ、みそで味をつける。サケ、ブリ、サバなどの魚を入れてもコクが出る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根: 40g +- ニンジン: 20g +- ゴボウ: 20g +- 里芋: 2~3個 +- こんにゃく: 1/2枚 +- 油揚げ: 1枚 +- 酒粕: 40g +- みそ: 大さじ2杯 +- 煮干し: 適量 +- 青ネギ: 1本 +- ※サケや塩サバをい��てもよい: 適量 + +## 作り方 +1. 煮干しでだしを取り、いちょう切りにした大根、ニンジン、輪切りにしたゴボウ、里芋、薄く四角に切った油揚げ、こんにゃくを一緒に煮る。 +2. 1に酒粕を溶かして入れ、みそで味付けをする。最後に細かく切った青ネギを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 美方郡生活研究グループ連絡協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_13_1.jpg)" +"# 神戸ビーフステーキ 兵庫県 + +**郷土料理名**: 神戸ビーフステーキ + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +神戸 + +## 主な使用食材 +神戸ビーフ + +## 歴史・由来・関連行事 +鉄板の上で肉を焼き、塩とこしょうで味付けし、ステーキソースや辛子で食す「神戸ビーフステーキ」は海外でも知名度が高い。しかし、実は、神戸ビーフという牛の種類は存在しない。神戸ビーフというのは「但馬牛」(たじまうし)のことをさしている。兵庫県で誕生し成長した「但馬牛」を県内の食肉処理センターでと畜し、肉質の等級など厳格な基準を満たしたものに「神戸ビーフ」という呼称がつけられる。「但馬牛」は、もともとは日本海に面した但馬地域で農作業用に使われていた牛だった。神戸ビーフとして知られるようになったのは1859年に横浜が開港したことによる。当初、来日外国人のために牛肉が輸入されていたが、それだけでは足りず、外国船が神戸港で1隻あたり30~40頭の牛を仕入れて横浜港に送るようになった。この牛が但馬牛で、食味が良く外国人に大変好評で、神戸ビーフとして広まったという。その後、神戸も開港し、牛肉店や牛鍋屋など食肉文化が花開いていった。また、養父郡上野村や七美郡大笹村には牧場ができ、但馬牛の増産がはかられ、豊岡県や兵庫県がこれを支援したという。 + +## 食習の機会や時季 +家庭での日常食ではなく、特別な日の食事として、飲食店で食ベることが多い。 + +## 飲食方法 +鉄板やフライパンに牛脂をひいて、ニンニクを炒め、牛肉を載せ、塩、こしょうで味付けし、好みの焼き加減で焼く。ソースや辛子などをかけて食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 神戸牛サーロイン: 200g +- 塩: 適量 +- こしょう: 適量 +- きのこ類: 適量 +- ほうれん草: 適量 +- 玉ねぎ: 適量 +- にんじん: 適量 +- バター: 適量 +- 【A】ごま油: 小さじ1/2 +- 【A】キャノーラ油: 小さじ1/2 +- 【お好みで】ガーリックチップ: 適量 +- 【お好みで】ポン酢、ねぎ: 適量 +- 【お好みで】ガーリックソース: 適量 + +## 作り方 +1. 脂身を切り落とす。お肉の両面に塩とこしょうをまんべんなく振りかけ、下味をつける。きのこ類とほうれん草をバターで炒める。玉ねぎをスライスして水にさらす。にんじんをひと口大に切り、ゆでる。 +2. 鉄板に材料内【A】をひき、1で切り落とした脂身を弱~中火で焼く。脂身から出た油の上に、肉をのせて両面を弱~中火で焼く。 +3. 肉の側面を焼く。 +4. 肉を切り、1で準備した付け合わせの野菜を添え、お好みでガーリックチップやポン酢、塩、ねぎ、ガーリックソースなどをかけて完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 牛庵 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_14_1.jpg)" +"# ハモすき 兵庫県 + +**郷土料理名**: ハモすき + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +淡路島 + +## 主な使用食材 +ハモ、タマネギ + +## 歴史・由来・関連行事 +ハモすきは、ハモと淡路島産タマネギを寄せ鍋風のだしで煮込んだ鍋料理で淡路島の名物である。淡路島のハモの特徴は、主な漁場となる沼島近海が泥地でやわらかい海底のため、おなかの皮がすれずに薄くやわらかく、さらに鳴門海峡の影響で肉質がよく、コクがある。秋の産卵に向けて脂がのる初夏以降が旬となるため、夏の風物詩といわれている。ハモが旬を迎えるころ、淡路島産タマネギも収穫時期を迎える。白身で淡泊な味わいながらふっくらとして脂がのり甘みがあるハモと淡路島産タマネギの特徴である甘みが、だし汁との絶妙な相性を生み、おいしい「ハモすき」となる。保冷手段が乏しかった時代に、淡路島で取れた魚が大阪、堺、尼崎などの魚市場に出せるようになったのは、天正時代に豊臣秀吉が大阪に魚市場「ざこば」を開いてからという。生命力が強いハモは生きたまま運ぶことができ、大阪や京都が商業都市として栄えていくにつれ、料亭などでも扱うようになった。現在に至るまで、京都の「祇園祭」、大阪の「天神祭」では欠かせない魚として食され続けている。 + +## 食習の機会や時季 +初夏から秋にかけて、産卵時期に向けて脂がのり、体長70~80cm、700~1000gが食べ頃の大きさといわれる。 + +## 飲食方法 +鍋にだし汁を入れ、酒、みりん、醤油などで味を調え、淡路島産タマネギや好みの野菜を入れる。骨切りして一口大に切ったハモを軽く煮込んで食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ハモ: 1尾 +- タマネギ: 2個 +- 春菊: 1束 +- 三つ葉: 1束 +- 豆腐: 1丁 +- そうめん: 2束 +- 【A】昆布: 20cm +- 【A】かつお節: 20g +- 【A】水: 1L +- 【B】しょう油: 50ml +- 【B】みりん: 20ml +- 【B】酒: 20ml + +## 作り方 +1. ハモの身・骨・卵をさばいて、骨切りをして、一口大に切っておく。 +2. だし汁を作る。【A】でだしを作り、【B】で味付けをする。 +3. タマネギは半分に切り、輪になる向きで1cmの厚さに切っておく。春菊、三つ葉は洗って3等分ぐらいに切る。豆腐も切っておく。そうめんは少しかために湯がいておく。 +4. 土鍋にだし汁を入れ、骨を入れ、だしを出す。(あとで取り出して、せせって食べる) +5. 4にタマネギ、春菊、三つ葉、豆腐を入れ、煮立ってきたらハモを入れ、全体に火が通ったら出来上がり。 +6. 鍋の中身を食べたら、湯がいたそうめんを入れ、だし汁と一緒に食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 兵庫県いずみ会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_16_1.jpg)" +"# 鍛冶屋鍋 兵庫県 + +**郷土料理名**: 鍛冶屋鍋 + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +三木市 + +## 主な使用食材 +タコ、なす + +## 歴史・由来・関連行事 +日本で最初の金物の町といわれる三木市の起源は約1500年前で、鍛冶の発達と共に優れた職人を輩出してきた。鍛冶屋鍋は、鍛冶職人が夏に精力をつけるために好んで食べたといわれる。明治・大正期には集落にやってきた行商人が売り歩く明石沖で捕れた活きがいいタコと、夏が旬のなすをだしと醤油を煮て作った。火を扱うため、ほてった職人の身体を冷やすとして喜ばれた。一時期、廃れたが、1990年頃に地域の郷土料理として見直され、市内でも食することができるようになったが、現在は飲食店で提供しているところはない。 + +## 食習の機会や時季 +鍛冶屋鍋の具材であるタコの旬は6~8月。特に7月下旬は産卵に向けて体力と栄養を蓄えるため味がいい。 + +## 飲食方法 +だし汁とみりん、酒、醤油、砂糖を合わせて煮汁を作り、煮立ったらタコとなすを入れて煮込む。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- タコ: 半匹 +- なす: 4本 +- 【割りした】しょうゆ: 100cc +- 【割りした】水: 100cc +- 【割りした】みりん: 150cc +- 【割りした】砂糖: 大さじ4~5 + +## 作り方 +1. タコを一口大に切る。(生タコを使った場合はゆで汁を水の代わりに使う。 +2. なすはざく切りにする。 +3. 割りしたが煮立ったところに1、2を入れ、中火でコトコト煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 兵庫県いずみ会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_17_1.jpg)" +"# 味噌だれ餃子 兵庫県 + +**郷土料理名**: 味噌だれ餃子 + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +神戸市 + +## 主な使用食材 +豚肉、牛肉、白菜、キャベツ、ニラ、ネギ + +## 歴史・由来・関連行事 +焼き餃子には酢や醤油、ラー油を合わせたタレをつけて食べるのが一般的だが、神戸では味噌ベースのタレをつけて食べる「味噌だれ餃子」が広く食されている。第二次大戦前、満州に住んでいた日本人の間では、当時、中国人が食べていた水餃子ではなく、焼餃子が好まれていた。この焼き餃子に、ふるさとへの郷愁から味噌をつけて食べる家庭が多かったという。大戦後、満州から引き上げた男性が、神戸市兵庫区の新開地に食堂を開き、焼き餃子に味噌だれを提供したところ、引き揚げ者の間で話題になり、他の飲食店にも拡がった。味噌だれ餃子の元祖と言われる店「ぎょうざ苑」の餃子の餡は、神戸ポークに隠し味として神戸牛を混ぜたもので、これに店のオリジナルの���噌ダレをつける。平成26年(2014年)には「五つ星ひょうご」(県が認定した、兵庫五国の地域らしさと新しさを兼ね備えた商品)に選定されている。 + +## 食習の機会や時季 +具材の白菜の旬が冬野菜のため、特に冬においしいとされる。家庭で餃子を作り、味噌を合わせたタレで食す他、市内のラーメン店や中華料理店にも味噌だれが置いてあるため、焼餃子につけて食せる。一年を通して、日常の食事以外にも酒のつまみとしても、手軽に食べられている。 + +## 飲食方法 +焼いた餃子を味噌だれにつけて食す。味噌だれは味噌に、砂糖、醤油、酒、ラー油やニンニク醤油、酢などを合せて作られる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 餃子(焼き餃子): 20個 +- 味噌: 大さじ3 +- しょうゆ: 大さじ3 +- 酢: 大さじ3 +- 砂糖: 小さじ3 +- ラー油: 小さじ3 + +## 作り方 +1. 味噌、しょうゆ、酢、砂糖、ラー油を混ぜて味噌ダレをつくる。 +2. 餃子を焼き、味噌ダレをつけて食べる。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_18_1.jpg)" +"# にくてん 兵庫県 + +**郷土料理名**: にくてん + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +高砂市 + +## 主な使用食材 +すじ肉、こんにゃく、ジャガイモ、キャベツ、小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +薄くのばした生地に、味付けをしたジャガイモやすじ肉、こんにゃく、キャベツなどをのせて焼いたものを半分に折ったお好み焼きのことを高砂市では「にくてん」と呼んでいる。家庭料理として食べられている。いつから食されていたかは不明だが、第二次世界大戦後、アメリカから小麦粉が輸入されるようになると盛んに食べられるようになった。家庭でおでんを食べた翌日には、残ったおでんの具材を使ってにくてんを作ったという。「にくてん」という名前の由来は「すじ肉」と「天かす」が入っているためではないかといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +家庭でも飲食店でも食べられる。 + +## 飲食方法 +薄くのばした生地に、甘辛く味付けをして角切りにしたジャガイモやすじ肉、こんにゃく、キャベツ、天かすをのせて焼く。ソースを塗って両面を焼いたあと、半分に折り、さらにソースを塗り、青のりとかつおぶしをかける。家庭で作るにくてんは、ジャガイモやすじ肉、こんにゃくの他、ちくわや平天(薩摩揚げ)などのおでんの残り具材も入れることがある。おやつやお酒の〆に食べられている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (【(作りやすい分量)】) +- お好み焼き粉: 適量 +- ジャガイモ・こんにゃく・すじ肉などおでんの残りの具材を使ってもよい: 適量 +- ねぎ、キャベツ、天かす: 適量 +- ソース、青のり、かつおぶし粉: 適量 + +## 作り方 +1. 鉄板にお好み焼きの生地を流します。薄くのばし、かつおぶし粉をふる。 +2. 甘辛く煮込んだ、ジャガイモ・こんにゃくを食べやすい大きさに切り入れる。ジャガイモはちょっと大きめでももっちりしておいしい。こんにゃくは小さい方が食べやすい。 +3. みじん切りにしたキャベツ、ねぎをのせる。 +4. 甘辛く煮込んだすじ肉を食べやすい大きさに切ってのせる。 +5. 天かすをのせる。 +6. もう一度生地を上からかける。 +7. ひっくり返し、裏面に火が通るまで焼く。 +8. 焼けたら、またひっくり返し、ソースをたっぷり塗り、真ん中に軽く折り目を付け、半分に折る。 +9. 折った面にもう一度ソースを塗る。 +10. お好みで青のり、かつおぶしなどを振り出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 兵庫県高砂市 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_19_1.jpg)" +"# こけらずし 兵庫県 + +**郷土料理名**: こけらずし + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +淡路市 + +## 主な使用食材 +米、鯛 + +## 歴史・由来・関連行事 +乾燥させてほぐした鯛、ベラ、トラハゼなどのそぼろを酢飯にのせて押し寿司にした「こけら寿司」は淡路島の西浦海岸地域で食べられている郷土料理。名前の由来については、「こけら」が木を削ったときに出る細片を板屋根の上に瓦のように並べたもののことで、魚のそぼろを並べた様子がこれに似ているため、あるいは、みじん切りにすることを「こる」といい、干して硬くなった魚��一生懸命みじん切りにしたため「こる」が転じて「こけら」になったからなど諸説ある。近年は、干し魚でなく生の魚を焼いてそぼろを作り、こけら寿司にする場合もある。 + +## 食習の機会や時季 +秋の収穫祭(だんじり祭り)や正月、冠婚葬祭時に振る舞われているが、ベラがよく取れるシーズンには普段の食卓に並んだり、お弁当に入れたりする。また飲食店でも販売される。 + +## 飲食方法 +ベラや鯛、シログチなどの魚の身をほぐし、小骨を取り除いて包丁で細かく刻んだ物を甘辛く炒り煮にしてそぼろを作り、酢飯にのせて押し寿司にする。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 米: 2合 +- 昆布: 1枚 +- 【A】砂糖: 大さじ1 +- 【A】塩: 小さじ1 +- 【A】酢: 50cc +- すりごま: 10g +- ニンジン: 40g +- 鯛(刺身用): 120g +- 紅ショウガ: 適量 +- 【B】砂糖: 小さじ1 +- 【B】みりん: 小さじ1 +- 【B】醤油: 大さじ1 +- サラダ油: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 昆布をふいて米に入れ、通常の水加減で炊く。 +2. ニンジンはみじん切りにしてゆでて水を切っておく。紅ショウガを刻んでおく。 +3. ご飯が炊けたら【A】の合わせ酢をかけ、ニンジン、すりごまを加え混ぜる。 +4. 鯛を2cmの厚さに開き、フライパンに油を引き両面を焼く。焼けたら身をほぐす。 +5. ほぐした鯛と【B】の調味料を入れ、フライパンでそぼろを作る。 +6. 押し型に酢飯を押さえながら入れ表面を平らにし、その上に5を均等にのせ、紅ショウガをちらす。 +7. 上からしっかり押さえ込んで冷蔵庫に30分ほど入れておくと味がなじむ。 +8. 型から外し、ぬらした包丁で切り分ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 淡路市健康増進課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_20_1.jpg)" +"# 焼きアナゴ 兵庫県 + +**郷土料理名**: 焼きアナゴ + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +播磨地区 + +## 主な使用食材 +アナゴ + +## 歴史・由来・関連行事 +焼きアナゴは、開いたアナゴを串に刺したれをつけて焼いた料理。国内でも有数のアナゴの水揚げ高を誇る播磨灘では、多くの川から栄養が流れ込み、地形と潮の流れの影響で餌が豊富なため、アナゴが生息するのには適した漁場である。食用にされるアナゴはマアナゴで、この地域のアナゴは身が柔らかく脂がのっているため大変好評である。焼きアナゴは、1905年(明治38)に高砂市の老舗商店の初代店主が日露戦争から復員してきて始めたという。兵庫県人にはウナギよりも愛されているアナゴだが、近年は環境変化や埋め立て、乱獲などのため漁獲量は落ち込んでしまった。そのため、韓国、中国からの輸入物でまかなうことが多くなり、地元産の焼きアナゴが店頭に並ぶことが少なくなってしまったが、現在でも地域の人々にとってさまざまな行事には欠かせない名物である。串焼きをそのまま食べる以外にも、家庭では巻き寿司やちらし寿司などの具材として混ぜて食することも多い。 + +## 食習の機会や時季 +通年食されるが、マアナゴの旬は7月~9月。年末年始や節分、祭り時に食される。贈答品としても使われる。 + +## 飲食方法 +身を開き、串を刺し、たれをつけて焼く。たれは砂糖、醤油、みりん、酒を合わせてこげないように煮詰めて作る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 生穴子: 一尾70~100g +- ※たれは、濃口醤油5:みりん3:砂糖1:酒1で作る。つぎ足しで使用。: 適量 + +## 作り方 +1. 生穴子は、背開きにする。 +2. 炭火をおこし、身のほうから焼き、たれを塗りながら焼く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 :兵庫県家庭料理調査グループ(片寄眞木子、坂本薫、作田はるみ、田中紀子、富永しのぶ、中谷梢、原知子、本多佐知子)、中安忠、中安康子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_21_1.jpg)" +"# 高野豆腐粉と野菜の煮物 兵庫県 + +**郷土料理名**: 高野豆腐粉と野菜の煮物 + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +北播磨(多可町) + +## 主な使用食材 +高野豆腐粉、鶏肉、ニンジン、干しシイタケ、ゴボウ、(好みで油揚げ、こんにゃくなど) + +## 歴史・由来・関連行事 +高野豆腐粉は高野豆腐を作る過程で出る粉で、とふ粉とも呼ばれている。とふ粉と刻んだ野菜を炒め煮にしたものが多可町の家庭料���としてよく食されている。多可町での高野豆腐製造は、1852年に門田村の門脇定次郎が製法を高野山で学び、帰郷後、製造を始めたことから始まった。その後、明治時代には日清戦争や日露戦争で軍需用乾物として需要が急増し、製造業者も約90軒まで増加したという。昭和元年頃には、関西で最大の生産地の一つとなったが、第二次世界大戦の敗戦により、原料不足やインフレなどで衰退が始まった。現在では、町内に1軒の製造業者を残すのみとなっている。 + +## 食習の機会や時季 +外食ではなく、ほとんど家庭で食されている。特に町内唯一の高野豆腐の販売業者のある多可町八千代地区の家庭では、頻繁に食卓に登場している。 + +## 飲食方法 +鵜肉、ニンジン、シイタケ、ゴボウ、(好みでこんにゃく、油揚げなど)を小さく切り、油で炒めた後、だし汁で煮て、砂糖、醤油、みりんを加えて煮る。最後に高野豆腐粉を加えてなじませ、蓋をして、少し蒸らして仕上げる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 【A】鶏肉: 40g +- 【A】ニンジン: 20g +- 【A】ゴボウ: 20g +- 【A】れんこん: 20g +- 【A】干シイタケ: 1枚(3g)…水に戻す +- 【A】こんにゃく: 50g +- 【A】ちくわ: 15g +- 【A】油揚げ: 1/3枚(6g) +- 油: 大さじ1 +- 【B】だし汁または水: 2と3/4カップ(550ml) +- 【B】みりん: 大さじ3 +- 【B】砂糖: 大さじ1 +- 【B】醤油(薄口): 大さじ3 +- 高野豆腐粉: 100g(1袋) +- 青ねぎ(小口切り): 少量 + +## 作り方 +1. 【A】の材料は0.8cmくらいの角切りにする。 +2. 鍋に油を入れて火にかけ、【A】の材料を炒める。 +3. 2に【B】のだし汁と調味料を加え、蓋をして10分間、中弱火で煮る。 +4. 高野豆腐粉を加えて混ぜ、煮汁が少し残る程度に煮る(5分間くらい)。 +5. 器に盛って、青ねぎを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 :兵庫県家庭料理調査グループ(片寄眞木子、坂本薫、作田はるみ、田中紀子、富永しのぶ、中谷梢、原知子、本多佐知子) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_22_1.jpg)" +"# さばのじゃう 兵庫県 + +**郷土料理名**: さばのじゃう + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +豊岡市、香美町(但馬地域) + +## 主な使用食材 +サバ、白菜、ネギ、春菊、焼き豆腐 + +## 歴史・由来・関連行事 +サバをネギや白菜など季節の野菜や焼き豆腐などと一緒に煮込むすき焼き風の寄せ鍋で、但馬地域の漁港のある町で食されてきた漁師めしである。豊岡市竹野地域では小さなサバの水揚げが多かったため、サバを利用していたが、香美町など他地域でも、商品にならないような雑魚、ハタハタや山ガレイなどを使って「じゃう」を作っていた。 + +## 食習の機会や時季 +主に、サバがよく取れる春や秋に家庭で食べられた。また漁から戻ったあとの朝食としても食されていた。 + +## 飲食方法 +サバを三枚おろしにして、頭と骨は焼いてだしをとる。大鍋に、だし汁、おろしたサバや白菜、春菊などの野菜や焼き豆腐を入れ、手早く混ぜて豪快に食す。醤油、酒、みりん、砂糖で味付けをする。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- サバ(中): 2尾 +- 水: 適量 +- 昆布: 適量 +- 白菜: 1/4個 +- もやし: 1袋 +- ごぼう(ささがき): 2本 +- 白ネギ: 1本 +- シイタケ: 4本 +- 焼き豆腐: 1パック +- 糸こんにゃく: 100g +- 春菊: 1袋 +- 人参(飾り): 適量 +- 調味料(しょうゆ、酒、みりん、さとう、塩): 適量 + +## 作り方 +1. サバを三枚におろして、頭と骨は焼いてだしとして使う。 +2. 鍋に水1Lを入れ、昆布と焼いたサバの頭と骨を入れ、沸かしてアクを取りながらだしを作ります。だしが作れたら、頭と骨は鍋から取り除きます。そこに、しょうゆ(大さじ3)、酒(大さじ3)、みりん(大さじ3)、砂糖(大さじ4)、塩(少々)を入れて、味を調えます。 +3. 鍋にぶつ切りにしたサバの身と野菜、きのこ類、焼き豆腐、糸こんにゃくを入れて、煮たたせます。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_23_1.jpg)" +"# とろろご飯 兵庫県 + +**郷土料理名**: とろろご飯 + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +丹波篠山市 + +## 主な使用食材 +山の芋(大和芋)、だし汁、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +山芋をすりおろして、いりこ��かつお節のだし汁でのばしたとろろ汁は、消化を助ける働きがあると考えられ、丹波篠山市では1月2日に、正月料理に疲れた胃腸を助けるために食されてきた。この風習はとろろを食する国内各地で見られている。山芋という名称は特定の品種ではなく、長芋、大和芋、いちょういも、自然薯などの「ヤマノイモ科」に属する芋類を総称して呼んでいる。丹波篠山地方の大和芋は「山の芋」と言われ、この地方特有の気候と長年にわたる品種改良のため、肉質が緻密で粘りが非常に強いものとなっている。 + +## 食習の機会や時季 +正月の二日に食すが、朝食で食べるか、昼食で食べるかは地域によって異なる。また、収穫時には普段の食事にも登場する。 + +## 飲食方法 +すりおろした山の芋をだし汁でのばしてできたとろろ汁を、ご飯にかけて食べる。すりおろしたとろろは、そばのつなぎとして練り込んだり、お好み焼きに入れたりなどアレンジして食されている。また、ぼたん鍋に入れて食べることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 山の芋: 400g +- だし汁: 1カップ +- 塩: 小さじ1/3 +- うす口しょうゆ: 小さじ1 +- もみのり: 適量 + +## 作り方 +1. 山の芋は皮をむき、すり鉢かおろし金ですりおろす。 +2. 鍋にだし汁を入れて煮立て、うす口しょうゆと塩を入れてひと煮し、少し冷ましてから1に少しずつ加え、なめらかにのばす。 +3. 器に盛り、もみのりを天盛りにする。 +4. ※山の芋はできるだけ目の細かいおろし金かすり鉢ですると、口当たりがなめらかになる。※だしはいりこやかつお節をたくさん使って、濃いだし汁にするとおいしく出来上がる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 丹波篠山市・丹波篠山いずみ会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_24_1.jpg)" +"# 黒豆煮 兵庫県 + +**郷土料理名**: 黒豆煮 + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +丹波篠山市 + +## 主な使用食材 +丹波黒大豆(乾燥) + +## 歴史・由来・関連行事 +丹波篠山の黒大豆は、この地方の粘土質で肥沃な土と昼夜の激しい寒暖差のため、粒が大きく、糖度も高く成長し、黒大豆の中では最高級の品質といわれている。大粒でほんのり甘く、皮が破れにくいのが特長。丹波篠山の黒大豆の由来には諸説あるが、戦国時代に宮田地区で開かれていた楽市楽座に、商品として外部から持ち込まれた黒大豆が、地域の気候風土に合ったため定着し、その後周辺の村に広まったと言われている。江戸時代には、篠山藩主が将軍に黒大豆を献上したところ、大変ほめられたという逸話も残っている。黒大豆を甘く煮た黒豆煮は古くから、正月のおせち料理の一品として親しまれてきたが、近年の健康ブームで、黒大豆に含まれるポリフェノール成分に注目が集まり、一年を通して消費されるようになってきた。 + +## 食習の機会や時季 +主に、正月のおせち料理の一品として食される他、近年は味を薄めに煮付けて、常備菜として一年を通して用意しておく家庭もある。10月頃には若採りの「黒豆の枝豆」が収穫され、季節の味覚として賞味されている。 + +## 飲食方法 +乾燥黒大豆を水で戻し、醤油、砂糖、塩などで弱火でじっくり煮る。黒豆煮を黒豆パンや蒸しパンなどのお菓子にアレンジすることもできる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 黒豆: 240g(市販では1袋240gのものや300gの物が多い) +- 水: 1200ml(カップ6) +- 砂糖: 180g +- 醤油: 大さじ1と2/3(約25g) +- 塩: 5g(小さじ1弱、粗目のものは小さじ1) +- 重曹: 5g(小さじ1/2) +- さび釘: 10本くらい(ガーゼなどで包んで入れる) + +## 作り方 +1. 黒豆は皮を破らないように洗って、ざるにあげておく。 +2. 厚手の鍋(蓋つき)に水、砂糖、醤油、塩、重曹、さび釘を入れて、沸騰させる。 +3. 沸騰したら火を止めて、1を入れ、蓋をして、そのまま一晩(7~8時間)置いて吸水させる(しわがないくらいに吸水させると豆が膨潤する)。 +4. 3の鍋を強火で加熱し、煮立てて、浮いてくる黒っぽい泡(アク)を除く。 +5. さし水(冷たい水)カップ1/2くらいを入れ、再び煮立ってきたらアクをとる。これをさらに2回くらい繰り返してアクを除く。 +6. アクを取り除いたら、落し蓋(紙蓋でもよい)をして、鍋の蓋をして、��りなく弱火にして吹きこぼれないように注意しながら5~8時間くらい、常に豆が煮汁に漬かっている状態を保てるよう煮る。 +7. 豆が指でつぶれる程度にやわらかくなったら、火を止める(煮汁から豆が出ているとしわが出やすいので注意)。そのまま冷ましておくとよく味がなじむ。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 兵庫県家庭料理調査グループ(片寄眞木子、坂本薫、作田はるみ、田中紀子、富永しのぶ、中谷梢、原知子、本多佐知子) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_25_1.jpg)" +"# じゃぶ 兵庫県 + +**郷土料理名**: じゃぶ + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +新温泉町 + +## 主な使用食材 +鶏肉(牛肉・豚肉)、白菜、タマネギ、ゴボウ、豆腐、糸こんにゃく + +## 歴史・由来・関連行事 +鶏肉と糸こんにゃく、ネギ、豆腐、タマネギ、ゴボウなどの野菜を煮たおかずで、家庭で作られてきた料理。「じゃぶ」という料理名の由来は、煮込むとき、通常の煮物のように水を使わないが、煮ているうちに豆腐や野菜から水分が出てじゃぶじゃぶすることから付いたという。肉が手に入りにくい時代には、貴重な地鶏を使ったごちそうだった。「ハレの日」である祭りやお盆、冠婚葬祭時など多人数が集まるときには大鍋で作り、振る舞われるおもてなしの家庭料理。現在も観光イベントなどで提供されている。 + +## 食習の機会や時季 +祭りやお盆、冠婚葬祭など人が集まる行事のときに大鍋で作られ、振る舞われてきた。 + +## 飲食方法 +水を使わず、鶏肉や牛肉、豚肉(材料の肉は地域や家庭によって異なる)と糸こんにゃく、ネギ、豆腐、タマネギ、ゴボウなどの野菜を醤油やみりん、酒、砂糖で煮る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鶏もも肉: 100g +- 鶏むね肉: 100g +- 糸こんにゃく: 100g +- ゴボウ: 50g +- ニンジン: 50g +- タマネギ: 中1個 +- 青ネギ: 2本 +- 豆腐: 1丁 +- 砂糖: 大さじ5 +- 醤油: 大さじ3 +- 酒: 大さじ3 +- みりん: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 鶏肉は乱切り、糸こんにゃくは食べやすい長さに切り、塩もみをして洗っておく。 +2. ゴボウ、ニンジンはささがきに、タマネギは縦に薄切りにする。 +3. 青ネギは2~3cmのぶつ切りにする。 +4. 糸こんにゃく、ゴボウを鍋底にしき、タマネギ、鶏肉、ニンジンの順に入れる。豆腐を適当な大きさに切り上にのせ中火で煮る。 +5. 煮上がったら砂糖、醤油、酒、みりんで味付けをし、火からおろす際に青ネギを加える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 美方郡いずみ会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_26_1.jpg)" +"# たこめし 兵庫県 + +**郷土料理名**: たこめし + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +淡路島、東播磨 + +## 主な使用食材 +たこ + +## 歴史・由来・関連行事 +兵庫県のタコ類の捕獲量は全国で2位、マダコでは日本一を誇る。淡路島と神戸から赤穂あたりにかけて水揚げされる播磨灘のマダコは6月から8月にかけて最盛期を迎える。この時期、明石海峡の潮流に揉まれ、また産卵に向けて栄養を蓄えようとするため身に弾力が増し、歯ごたえと甘みが特長となる。瀬戸内海のマダコ漁は、江戸時代には既に名が知られていたと記録があり、「たこめし」は、漁の後に下ごしらえの手間がかからない炊き込みご飯として作られていたという。現在では、家庭料理としても普及し、生ダコや煮ダコ、干しダコを使った、たこめしもある。県の名物の駅弁としても販売されている。 + +## 食習の機会や時季 +通年食することができるが、6~8月がマダコの最盛期のため、夏場によりおいしく食べられる。 + +## 飲食方法 +米を研いで、通常の水加減になるようにだし汁と調味料を合わせ、タコを入れて炊く。入れるタコは地域によって、生ダコや煮ダコ、干しダコを利用するところもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3人分) +- 米: 2合 300g +- 混合だし: 2カップ 400ml +- 酒: 大さじ2 30ml +- みりん: 大さじ2 30ml +- うすくちしょうゆ: 大さじ2 30ml +- 干し蛸: 足2本 (ゆでだこでもよい。ゆでだこなら約160g) +- 針生姜 (お好みで): 少々 +- みつば (お好みで): 少々 +- ねぎ (お好みで): 少々 +- ごま (お好みで): 少々 +- 刻みのり (お好みで): 少々 + +## ���り方 +1. 米は洗米する。 +2. 干し蛸は軽くあぶって、5mm幅程度にはさみで切る。 +3. 炊飯器に、米と混合だし、調味料、干し蛸を入れて炊く。 +4. 炊きあがった飯を茶碗に盛り、好みで薬味を盛りつける。※干し蛸が硬い場合は、分量のだし汁に30分間(可能であれば一晩)漬けておく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 兵庫県家庭料理調査グループ(片寄眞木子、坂本薫、作田はるみ、田中紀子、富永しのぶ、中谷梢、原知子、本多佐知子) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_27_1.jpg)" +"# はたはたの唐あげ 兵庫県 + +**郷土料理名**: はたはたの唐あげ + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +但馬地域 + +## 主な使用食材 +ハタハタ + +## 歴史・由来・関連行事 +頭と内臓を取り除いた小型のハタハタを丸ごと油で揚げた唐揚げ。ハタハタはうろこがなく、身がはがれやすいため調理しやすい魚であり、癖がないため食べやすい。そのため、但馬地域の家庭では馴染みの魚である。唐揚げの他、生は煮付けて、干したものは焼いて食べるなど、さまざまな調理法で味わうことができる。現在、兵庫県但馬地域では全国有数のハタハタの漁獲量を誇る。ハタハタは回遊魚で、生まれた場所に帰って産卵をするため日本海沿岸で捕獲したハタハタは抱卵しているが、但馬地域では朝鮮半島から回遊してきたハタハタを水揚げするため抱卵状態ではない。抱卵していると卵に栄養がとられ魚の身には栄養が行き渡らないが、但馬で水揚げされるハタハタは抱卵していないため魚の身に脂がのっており、うまみが強い。 + +## 食習の機会や時季 +但馬で水揚げされるハタハタの旬は春。家庭料理として、通常の食事のおかずや酒のつまみとして食されている。 + +## 飲食方法 +ハタハタの頭と内臓を取って、塩コショウで下味をつけ、衣をつけて油で揚げる。小さめのハタハタの唐揚げは骨まで食すことができ、スライスした野菜と共に南蛮漬けにもできる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ハタハタ: 12尾 +- 小麦粉: 大さじ3 +- 片栗粉: 大さじ3 +- 塩: 適量 +- コショウ: 適量 +- 揚げ油: 適量 +- レタス: 適量 + +## 作り方 +1. ハタハタは頭と内臓を取り、洗って水気を切り塩、コショウをする +2. 小麦粉と片栗粉を混ぜ合わせ1のハタハタにまぶす +3. 油を170℃に熱し、ゆっくりと揚げる +4. レタスをざくざくと切り、ハタハタとともに皿に盛り付ける + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 浜坂郷土料理研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_28_1.jpg)" +"# いびつもち 兵庫県 + +**郷土料理名**: いびつもち + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +もち粉、うるち米、こしあん、サルトリイバラの葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +真ん中に餡を入れた餅をサルトリイバラの葉で包んだもので、全国的には「かしわ餅」の名で知られている。餅は「ハレの日」の行事食に欠かせないものであり、端午の節句の時期になると作られてきた。兵庫県内では柏の葉があまり自生していなかったため、サルトリイバラの葉で代用された。「いびつもち」の名の由来は、(サルトリイバラの)葉の形がいびつだからと言われている。淡路では「いびつもち」と呼ばれるが、神戸・丹波では「柏餅」、北播磨では「ひょっとで」、西播磨では「ばたこ」と地域によって名称が異なっている。 + +## 食習の機会や時季 +5月5日の端午の節句(地域によっては1月遅れの6月5日)に作り、お祝いとして贈ったり、あるいはお祝いをもらった場合のお返しとして親戚や近所に配った。また、農家では泥落とし(田植え後の労をねぎらう行事)や繁忙期の作業の合間に食べていたという。 + +## 飲食方法 +もち粉とうるち米で作った団子の粉を湯で練って、中に餡を包んで丸め、サルトリイバラの葉で上下に包んで蒸す。最近は手作りする家庭は減りつつある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- もち粉: 60g +- 白玉粉: 20g +- 片栗粉: 適量 +- 水: 適量 +- こしあん: 80g +- サルトリイバラの葉: 10枚 + +## 作り方 +1. こしあんは5個分に丸めておく。 +2. もち粉と白玉粉を混ぜて、水を加え、耳たぶぐらいの硬さにこねる。 +3. こねた餅を5等分にして��手のひらの上で、直径5cmくらいに伸ばして、こしあんを入れて包む。 +4. 餅にたっぷりと片栗粉をつけ、2枚のサルトリイバラの葉で包み、蒸し器で15分ほど蒸して完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 淡路市健康増進課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_29_1.jpg)" +"# やたら漬け 兵庫県 + +**郷土料理名**: やたら漬け + +**都道府県**: 兵庫県 + +## 主な伝承地域 +播磨(宍粟市) + +## 主な使用食材 +季節の野菜なす、きゅうり、しその実、みょうが、大根、小菜(※小松菜や野沢菜に似た地元の在来野菜)など + +## 歴史・由来・関連行事 +やたら漬けの名前は、なすやきゅうり、しその実やみょうがなど、「やたら野菜を使って、やたらおいしい」ことが由来だという。半年かけて漬ける冬の保存食で、何種類もの野菜を使う。通常、漬け物の野菜は全部同時に漬け込むが、やたら漬けはそれぞれの野菜の収穫時期が異なるので、季節別に漬け物桶に塩漬けにしておく。その後11月頃に、塩抜きした野菜を粗く刻み、唐辛子や調味液に数日ほど漬け込んで完成する。以前は商業用に盛んに出荷されていたが、現在購入は難しい。漬ける人が減ったためだが、現在でも、宍粟市千種町では、作り続けている家庭もある。 + +## 食習の機会や時季 +冬場の保存食で、12月頃から夏前まで食していた。 + +## 飲食方法 +食事時やおやつで食していた + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- 【夏野菜】きゅうり: 1kg +- 【夏野菜】なす: 1kg +- 【夏野菜】みょうが: 100~200g +- 【夏野菜】しその実: 50g +- 塩: 塩漬けにする野菜の約20% +- 【秋冬の野菜】かぶ: 2kg +- 【秋冬の野菜】白菜: 2kg +- 【秋冬の野菜】はやとうり: 1kg +- ゆずの皮: 適量 +- とうがらし: 適量 +- 柿やりんごなどの果物: お好みで +- 【調味液】酒(または発泡酒): 少量 +- 【調味液】だし(うま味調味料): 適量 +- 【調味液】塩: 適量 + +## 作り方 +1. 夏に採れた野菜は、それぞれ塩漬けにして保存しておく。 +2. 秋冬野菜は、食べやすい大きさに切る。 +3. 塩漬けにした夏野菜の水気を切り、きゅうりは輪切り、なすは小さめに切る。みょうがは縦にいくつかに切る。 +4. 全ての野菜を混ぜ合わせ、ゆずの皮ととうがらしを小さく切って加える。秋冬野菜と塩漬け後の夏野菜の比は3:1程度とし、塩漬け野菜が塩辛すぎるようであれば生の秋冬野菜を増やし、味が薄ければ塩を足す。お好みで柿やりんごを入れてもおいしい。 +5. 味見をしながら調味液を加えて味を調整し、数日間漬けて完成。塩分控えめの場合は冷凍保存するとよい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 兵庫県家庭料理調査グループ(片寄眞木子、坂本薫、作田はるみ、田中紀子、富永しのぶ、中谷梢、原知子、本多佐知子) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_30_1.jpg)" +"# 柿の葉寿司 奈良県 + +**郷土料理名**: 柿の葉寿司 + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +五條市、吉野地域 + +## 主な使用食材 +米、サバ、柿の葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「柿の葉寿司」は、塩で締めたサバを酢飯と一緒に柿の葉で包んだ押し寿司のことである。「柿の葉寿司」の由来については諸説ある。江戸時代の中頃、高い年貢を課せられていた紀州(和歌山県)の漁師が、お金を捻出するため、熊野灘で取れた夏サバを塩で締め、峠を越えて吉野川沿いの村へ売りに出かけた。ちょうどその頃、村々の夏祭りがおこなわれており、お祭りのごちそうとなったとの説や、他にも、保存食・兵食としていたものから変化したとの説がある。「柿の葉寿司」には、タンニンが多く、緑色が鮮やかな渋柿の葉が使われる。飯に含ませた酢と柿の葉に防腐の効果があり、「柿の葉寿司」は、つくってから一晩おくことで、柿の葉の香りとサバの旨みが酢飯に移り、独特の風味が出て美味しくなる。柿の葉の代わりに、山中に自生する朴の葉を使った「朴の葉寿司」が、端午の節句頃から7月にかけてつくられる。つくり方は柿の葉寿司と同じで、こちらも朴の葉の香りが酢飯に移って美味しい。 + +## 食習の機会や時季 +五條・吉野地域では、夏祭りのごちそうとして「柿の葉寿司」をつくる。農村では、田植えが終わり、一息つくことが出来る時期で、子どもたちも手伝いをしながらつくる。サバはハレの日の食べ物として重要な魚であり、祝いの席などでも食されてきた。 + +## 飲食方法 +冷蔵庫などで冷えすぎてご飯が硬くなってしまった場合は、電子レンジ等で少し温めると美味しく食べられる。冬場は「炙り柿の葉寿司」にすると美味しい。柿の葉に包んだままオーブントースターで3~4分焼き、柿の葉の表面が少し焦げてきたら食べごろ。※焼きすぎるとすし飯やネタが焦げ付くので注意が必要。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20個分) +- 米: 2合 +- 塩サバ切り身: 150gくらい +- 柿の葉: 20枚 +- 酢(塩サバ用): 適量 +- 【合わせ酢】酢: 40ml +- 【合わせ酢】砂糖: 25g +- 【合わせ酢】塩: 4g + +## 作り方 +1. 柿の葉の表裏をきれいに洗い、水気をとる。 +2. 塩サバは骨がついている場合は骨を取り(細かい骨もすべて取る)、1時間くらい酢で締める。うす皮をとって3~4mmに薄くそぎ切りにする。 +3. 酢・砂糖・塩で合わせ酢をつくる。 +4. 炊飯し、炊き上がったらすぐに合わせ酢を混ぜ、酢飯をつくる。(米を炊く時、昆布と酒を少し加えて炊くと美味しく仕上がる。) +5. 冷ました酢飯をたわら型ににぎる。 +6. 柿の葉の上にサバをおき、にぎった酢飯をのせ包む。(キャラメル包み) +7. 寿司箱にきっちり詰め、重石をのせ、一晩くらいおくと出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 奈良県農村生活研究グループ協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_1_1.jpg)" +"# 奈良のっぺ 奈良県 + +**郷土料理名**: 奈良のっぺ + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +奈良県全域 + +## 主な使用食材 +里芋、厚揚げ、大根、人参、干ししいたけ、こんにゃく + +## 歴史・由来・関連行事 +奈良の郷土料理の一つであるのっぺは、里芋や大根、人参などを使った具だくさんの煮ものである。全国に「のっぺ」「のっぺ汁」はあるが、「奈良のっぺ」は、昆布や干ししいたけのもどし汁をだし汁として使った精進料理で、里芋が煮くずれて、自然にとろみがつくのが特徴である。毎年12月17日に奈良春日大社で開催される「おん祭」のお渡り式に先立ち、15日に、おん祭を執りおこなう大和士(やまとざむらい)らが身を清める「大宿所祭」で大和士や参拝者らに「奈良のっぺ」がふるまわれる。おん祭は平安時代1136年、全国でが飢饉や疫病が蔓延していたため、民の平安を願い藤原忠通により祈りを奉げたのがはじまりある。奈良の1年を締めくくる祭りである。 + +## 食習の機会や時季 +奈良ではおん祭にあわせてのっぺを食べる習慣が昔から続いている。この時期になると、のっぺに入れる3~4cm角の厚揚げが販売されている。 + +## 飲食方法 +寒い日には、汁を多めにして汁物として食べても、煮ものとして食べても良い。昆布と干ししいたけだけのだし汁ではあるが、野菜の旨味が感じられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 里芋: 400g +- 厚揚げ: 120g(3~4cm角4個) +- 大根: 200g +- 人参: 100g +- こんにゃく: 200g +- 干ししいたけ: 中3枚 +- だし汁(昆布): 500ml +- 塩: 小さじ1/2 +- 醤油: 大さじ5 +- みりん: 大さじ1 +- 干ししいたけのもどし汁: 適量 + +## 作り方 +1. 里芋は皮をむいて下ゆでする。 +2. 大根、人参を大きめの乱切りにしておく。こんにゃくは大きめの乱切りにし、下ゆでしておく。 +3. 厚揚げは熱湯をかけ油抜きする。 +4. 干ししいたけは水500mlでもどしておく。 +5. 鍋に材料と干ししいたけのもどし汁、だし汁を入れてじっくり煮る。 +6. 材料が柔らかくなったら調味料を加え、さらに煮含める。 +7. ※里芋が煮くずれて自然にとろみがつく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 奈良県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_2_1.jpg)" +"# 大和の雑煮 奈良県 + +**郷土料理名**: 大和の雑煮 + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +丸餅、祝だいこん、金時人参、里芋、木綿豆腐、白味噌、きなこ + +## 歴史・由来・関連行事 +奈良では、豆腐、祝だいこん、金時人参、里芋、丸餅などが入った白味噌仕立ての雑煮で、雑煮の餅を取り出して、砂糖入りのきな粉につけて食べる地域が多い。それぞれの具材にはいわれがあり、豆腐は白壁の蔵の象徴で、蔵が建つようにとの願いが込められている。一年間、家族円満に過ごせるようにと、餅は丸餅、野菜類も輪切りにして入れている。奈良県では雑煮に入れるために、直径3cm程度の細い大根が、「祝だいこん」として年末に販売される。また、子孫繁栄の象徴として、里芋を入れるのだが、奈良県の東部山間地域では、里芋の頭芋(八つ頭)を入れる。頭芋には、「人の上に立てるように」との思いが込められている。また、きな粉の黄色は、米の豊作を願うといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +昔は、一年間、笑ってまめに過ごせるようにと、藁(わら)と豆殻を燃やして雑煮を炊いたといわれている。 + +## 飲食方法 +奈良県では、雑煮の餅を取り出して、砂糖入りのきな粉につけて食べる地域が多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 丸餅: 4個 +- 祝だいこん: 1/2本 +- 金時人参: 1/2本 +- 里芋: 4個 +- 豆腐: 半丁 +- だし汁: 5カップ +- 白味噌: 80g +- 砂糖入りきな粉: 適量 + +## 作り方 +1. 祝だいこん、金時人参は5mmの厚さ、里芋は皮をむき、1cmの厚さに切る。 +2. だし汁に野菜を入れ、柔らかく煮えたら豆腐を加え、一煮立ちさせる。 +3. 白味噌を少量の煮汁で溶いた後入れ、一煮立ちさせる。 +4. 食べる直前に丸餅を焼いて入れる。 +5. 餅は取り出してきな粉を付けて食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 奈良県農村生活研究グループ協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_3_1.jpg)" +"# 茶粥 奈良県 + +**郷土料理名**: 茶粥 + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +米、ほうじ茶 + +## 歴史・由来・関連行事 +9世紀初めに弘法大師(空海)が、唐から茶の種子を持ち帰り、宇陀市の仏隆寺で播いたのが日本における茶栽培の始まりといわれている。毎年3月に東大寺で行われる「お水取り」は、1200年以上歴史があり、その練行衆(れんぎょうしゅう)の献立に「ごぼう(ゴボ)」「ゲチャ」が出てくる。「ゲチャ」は米をほうじ茶で煮て汁を取り去ったもの(茶飯の原点のようなもの)、「ゴボ」は茶粥の汁の多いものといわれており、1200年あるいはそれ以上前から、「茶粥」が食べられていた。 + +## 食習の機会や時季 +「おかいさん」といわれる奈良の「茶粥」は、煮出したほうじ茶の中に冷やごはんを入れて炊いたもので、さらっとしているのが特徴である。「大和の朝は茶粥で明ける」といわれているほど「茶粥」は奈良の代表的な日常食である。 + +## 飲食方法 +今では毎朝「茶粥」を炊く家庭はほとんどなくなったが、大和では夜にごはんを炊く家庭が多く、冷ごはんをあたたかく食べるため、「茶粥」が一般家庭に広く普及したと思われる。腹持ちをよくするため、さつまいもやかぼちゃ、里芋、栗、かき餅などさまざまなものを入れて食べた。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 米: 1合 +- ほうじ茶: 30g +- 水: 5カップ +- 塩: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 米を通常の水加減(分量外)で炊く。 +2. ほうじ茶を煮出す。 +3. 2にごはん・塩を入れ、中火で時々かき混ぜながら煮る。好みのかたさになったら完成。 +4. 好みで蒸かしたさつまいもや、焼いたかき餅などを入れて食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 奈良県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_4_1.jpg)" +"# 奈良茶飯 奈良県 + +**郷土料理名**: 奈良茶飯 + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +米、大豆、ほうじ茶、水 + +## 歴史・由来・関連行事 +毎年3月に東大寺でおこなわれる「お水取り」は、1200年以上の歴史があり、その練行衆(れんぎょうしゅう)の献立に茶粥と共に「ゲチャ」と呼ばれる茶飯の原点となるものが出てくる。茶飯は奈良で発祥したが、庶民の間には広く普及しなかった。茶飯を気に入った旅人が江戸に持ち帰り、江戸の浅草寺の付近に奈良茶飯の店が多くでき、「奈良茶」の目印を出して客を呼んだ。十返舎一九の「東海道中膝栗毛」にも登場したことで一層有名になった。茶飯は米と大豆のバランスのとれた栄養食であり、腹持ちも良かったため、全国各地で広く知られるようになった。明治以降に、再び奈良で広まりはじめたという。 + +## 食習の機会や時季 +東大寺の練行衆の食事として、僧坊で古くから食べられていたものであるが、現在は、特に決まった喫食の時期はない。 + +## 飲食方法 +家庭でつくる際は、大豆を炒る手間を省くため、節分の際に出まわるソフト炒り豆などを使用することもできる。炊飯器にお米を入れ、ほうじ茶を目盛りまで注ぎ、豆を入れると簡単に炊き上げることができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 2カップ +- 大豆: 40g +- ほうじ茶(茶葉): 4g +- 水: 約600ml +- 塩: 4g + +## 作り方 +1. ほうじ茶を煮出して冷ましておく。 +2. 大豆を弱火で焙り、表皮が少し割れたときにすぐ水に浸し、両手ですり合わせて皮を除く。 +3. 米を洗い、炊飯器に入れ、ほうじ茶を通常の水加減で入れ、30分ほどおく。 +4. 3に2の大豆と塩を入れ、炊き上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 奈良県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_5_1.jpg)" +"# いもぼた 奈良県 + +**郷土料理名**: いもぼた + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +米、里芋、小豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +「いもぼた」は、里芋が入ったぼた餅のことである。餅米が貴重だったことから、うるち米に里芋を加え、里芋の粘りで餅米からつくったようなぼた餅になる。米を大切にする農家の人たちの生活の知恵である。たくさん食べても消化がよいため、胃もたれしにくい。他県の「いもぼた」は、じゃがいもやさつまいもを使っているが、奈良の「いもぼた」は、里芋を使うのが特徴である。奈良県は水田が多く、里芋の栽培が盛んであったことから身近な里芋が使用されたと思われる。 + +## 食習の機会や時季 +収穫が終わる11月の「亥の日」に餅を食べると万病を払うといわれている。またイノシシ(亥)は、一度に5頭以上の子を産むことから女性は多産にあやかるとされていることから「いのこ餅」ともいわれる。奈良盆地平坦部では「亥の日」以外にも、お彼岸や秋祭りなどお祝いの日に「いもぼた」をお墓や仏壇に供える。また地域によっては「亥の日」に、大豆や青大豆でつくったあんでくるんだくるみ餅を食べる地域もある。 + +## 飲食方法 +うるち米と里芋だけでつくっているため、冷めてもやわらかく、もちもちした食感が楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10個分) +- 米: 2カップ +- 里芋: 200~250g +- 水: 2.4カップ +- 塩: 小さじ1 +- 小豆: 200g +- 砂糖(小豆用): 200g +- 塩(小豆用): 少々 + +## 作り方 +1. 皮をむいて一口大に切った里芋と洗った米、塩、水を入れて炊く。炊きあがったごはんをすり鉢に入れ、すりこぎで里芋のかたちがなくなるまでよくつぶす。 +2. つぶしたごはんを俵型ににぎり、小豆あんで包む。 +3. 【あんの作り方】小豆を洗って5~6倍の水を入れ、火にかけ沸騰し始めたら、火からおろしてざるに上げ、煮汁をすてる(これを渋切りという)。再び水を加えて、やわらかくなるまで煮て、砂糖200g、塩少々を入れて練り上げ、粒あんをつくる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 奈良県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_6_1.jpg)" +"# かしわのすき焼き 奈良県 + +**郷土料理名**: かしわのすき焼き + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +鶏肉、白菜、しらたき、焼き豆腐、ねぎ、しいたけ、きくななど + +## 歴史・由来・関連行事 +関西地方では食用の鶏肉を「かしわ」と呼んでいる。天神さんの守護神が牛であることから、天満宮の秋祭りのお祝いの席では鶏のすき焼きが食べられてきた。かしわの名前は、鶏の茶褐色の羽色が、柏の葉に似ていることが由来との説がある。戦前に「肉質が良い」と名声を博した「大和のかしわ」の味を復活させるため、県が試行錯誤して生み出した「大和肉鶏」はコクと旨味、適度な脂肪、ほどよく締まった肉質が特徴である。 + +## 食習の機会や時季 +年間を通して食べられている。祝い事やもてなしの席などハレの日によくつくられ食されている。 + +## 飲食方法 +割りほぐした生卵をつけて食べることが多いが、温泉卵をつけて食べても美味しい。すき焼きの最後に、三輪素麺を入れるのもおすすめ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大和肉鶏(もも肉): 400g +- 白菜: 1/8株 +- 結崎ネブカ(ねぎでも可): 1束 +- 大和きくな(春菊でも可): 1束 +- しいたけ: 4枚 +- しめじ: 1パック +- えのき茸: 1パック +- 焼き豆腐: 1/2丁 +- しらたき: 1袋 +- サラダ油: 適量 +- 【割り下】酒: 360ml +- 【割り下】みりん: 180ml +- 【割り下】醤油: 180ml +- 【割り下】三温糖: 80g +- お好みで卵(温泉卵でも可): 4個 + +## 作り方 +1. 割り下用の酒、みりんを鍋に入れて強火で一煮立ちさせて煮切る。 +2. 一煮立ちしたら中火にして三温糖を加える。三温糖が溶けたら、醤油を加え、沸騰したら火を止める。 +3. 鶏肉はそぎ切り、白菜と結崎ネブカはざく切り、大和きくなは根元を落として半分に切る。きのこ類は石づきを切り落とし、しめじとえのき茸は小房に分ける。しらたきは長さ5cmほどに切り下ゆでする。焼き豆腐は4等分に切る。 +4. 鍋を熱し、サラダ油を入れ、3の鶏肉を皮面から焼き、少し焼き色を付ける。 +5. 4に3の野菜やきのこ類などを加え、割り下を回し入れて煮る。 +6. 食材に火が通ったら完成。お好みで卵とともに食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「大和料理物集女」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_7_1.jpg)" +"# にゅうめん 奈良県 + +**郷土料理名**: にゅうめん + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +素麺、だし汁 + +## 歴史・由来・関連行事 +奈良県桜井市三輪は素麺発祥の地とされており、この地でつくられる素麺は三輪素麺と呼ばれている。1200年以上前に三輪山を御神体とする日本最古の神社である大神神社で、疫病と飢餓に苦しむ民のため救済を祈願したところ、神の啓示を賜った三輪の里に小麦を撒き、粉に挽き、水でこね延ばして糸状にしたものが素麺の起源とされている。今でも大神神社祭神は素麺の守護神とされ、その年の三輪特産の三輪素麺の卸値を占っていただく祭典である卜定祭(ぼくじょうさい)が大神神社で営まれている。油を塗って、細く伸ばす技術は鎌倉時代に中国から伝わり、室町時代にはほぼ製法が完成していた。この地の豊富な水が小麦を育み、水車製粉が発達したことにより、良質な小麦粉が製造されてきた。また冬季の厳しい寒さと晴天日が多いことが、素麺の製造に適していたこともあり、江戸時代のグルメ本である「日本山海名物図会」には、三輪素麺が日本一である旨の記載があるほど、その品質が優れている。 + +## 食習の機会や時季 +全国的に有名な素麺産地の三輪では、夏は冷やし素麺、冬は「にゅうめん」として年間を通して食べる食文化が根付いている。また「にゅうめん」は煮麺がなまった呼び名だといわれている。 + +## 飲食方法 +家庭でパスタや春雨の代わりに使用するなど、様々な使い方が浸透してきた。素麺カルボナーラや焼き素麺など、素麺を使ったアレンジレシピも増えている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 素麺(乾): 100g +- しめじ: 40g +- かまぼこ: 24g +- 三つ葉: 12g +- だし汁: 800ml +- 【調味料A】淡口醤油: 小さじ1/2 +- 【調味料A】酒: 小さじ1 +- 【調味料A】塩: 少々 + +## 作り方 +1. 素麺は、沸騰したたっぷりの湯にさばきながら入れ軽くかき混ぜ、ゆであがったら冷水でよくもみ洗いしてざるにあげ、水を切っておく。 +2. 温めただし汁に調味料Aを入れ味付けする。 +3. しめじは小房に分け、かまぼこは3mmの厚さに切り、2に入れ軽く煮たたせる。 +4. 器に素麺を入れ、3の具材とともに注ぎ、三つ葉を添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 奈良県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_8_1.jpg)" +"# 飛鳥鍋 奈良県 + +**郷土料理名**: 飛鳥鍋 + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +奈良盆地中南部 + +## 主な使用食材 +鶏肉、牛乳、はるさめ、しいたけ、白菜、春菊、人参、白ねぎ、ごぼうなど + +## 歴史・由来・関連行事 +「飛鳥鍋」は、鶏肉、野菜を牛乳とだし汁で煮込んだ奈良県の郷土料理である。飛鳥時代に唐から奈良へやってきた使者が練乳に似た乳製品を伝え、孝徳天皇へ献上したところ大変喜ばれ、乳牛が宮中で飼育されるようになった。これが日本における牛乳飲用のはじまりになったといわれている。当時は貴族の飲み物だっ��が、僧侶たちも密かに飲むようになり、そのうち飼っていた鶏の肉を牛乳で煮て、食していたものが「飛鳥鍋」の起源といわれている。それが時代とともに庶民の間に広がったが、当時の牛乳は高価なものであったため、飼っていたヤギの乳を使っていた。昭和初期に、明日香の名物料理として地域の産品である牛乳を使った現在の「飛鳥鍋」のかたちが考案された。 + +## 食習の機会や時季 +年間を通して食べられているが、特に冬場は体が温まるために食べる機会が増える。 + +## 飲食方法 +「飛鳥鍋」はお好みの季節の野菜や鶏肉などの具材を入れて食べる。たくさんの野菜や鶏肉から出汁が出るので、締めにうどんなどを入れても美味しい。近年、「飛鳥鍋」をベースとした「大和鍋」という新しい郷土料理も食されるようになってきた。大和鍋は牛乳の代わりに豆乳を加え、まろやかでコクもあるがヘルシーなアレンジ鍋となっている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大和肉鶏: 240g +- はるさめ: 40g +- しいたけ: 4枚 +- 白菜: 400g +- 春菊: 80g +- 人参: 80g +- 白ねぎ: 120g +- ごぼう: 60g +- 豆腐: 200g +- 牛乳: 320g +- 鶏ガラスープ: 400ml +- 白味噌: 80g +- 淡口醤油: 小さじ4 + +## 作り方 +1. 野菜などの具材を食べやすい大きさに切る。 +2. 鶏ガラスープを煮立て、牛乳を入れ、白味噌、淡口醤油で味付け、具材を煮えにくい順に入れる。春菊、はるさめは食べる直前に入れる。 +3. 食べるときにはお好みで薬味(青ねぎ、しょうが、すだち、一味とうがらしなど)を添えていただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「奈良県の郷土料理集~元気に育て やまとっ子~」(奈良県教育委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_9_1.jpg)" +"# 半夏生餅/小麦餅/さなぶり餅 奈良県 + +**郷土料理名**: 半夏生餅/小麦餅/さなぶり餅 + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +つぶし小麦、もち米、きな粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +夏至から数えて11日目を「半夏生(はんげしょう)」という。奈良盆地では、「半夏生」の頃に小麦の収穫が終わり、田植えも一段落することから、「半夏生餅」を作り、ひと休みする。「半夏生餅」はつぶし小麦と、もち米を混ぜてついた餅のことで「小麦餅」ともいう。田植えが終わり、田の神を送り感謝する行事である早苗饗(さなぶり)に食べられることから、「さなぶり餅」ともいわれている。 + +## 食習の機会や時季 +田植えの終わりに食べることが多い。地域によっては、水田にお供えするところもあるという。 + +## 飲食方法 +「半夏生餅」は、小麦が入っているため、粘らず歯切れがよく、消化も良いため胃もたれしにくい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10個分) +- つぶし小麦(小麦を押しつぶしたもの): 2.5カップ +- もち米: 2.5カップ +- きな粉: 適量 +- 砂糖: 適量 +- 塩: 適量 + +## 作り方 +1. もち米は洗って、一晩水に浸けておく。 +2. つぶし小麦は、軽く水洗いする。 +3. 蒸し器に水気をきった1を入れ、蒸しあがる前に2をのせて蒸す。 +4. 餅つき器で3をつく。(小麦の歯ごたえを残すため、小麦は後で餅つき器に加える) +5. 適当な大きさに丸め、砂糖入りのきな粉をまぶす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 奈良県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_10_1.jpg)" +"# 葛餅 奈良県 + +**郷土料理名**: 葛餅 + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +吉野本葛、砂糖、水、きなこ、黒蜜など + +## 歴史・由来・関連行事 +「葛餅」は、葛粉から作られる透明でプルプルとした舌触りのいい餅である。葛粉の原料である葛は、マメ科の多年草で、北は北海道から南は九州まで日本全国に広く分布している。この葛という名は、奈良県の吉野地方に住んでいた山の民である国栖人(くずびと)が葛から葛粉をつくり、売っていたことから付けられた名前だという。「葛粉」は葛の根に含まれるデンプンを、真冬の地下水のみで繰り返し精製し、2~3ヵ月乾燥させた自然食品であり、添加物を一切含まない。このように葛デンプン100%の葛粉を「吉野本葛」と呼ぶ。また、厳冬期に冷水に何回もさらす製法は吉野晒(よしのざらし)製法と呼ばれ、江戸時代から続く伝統的な製法である。奈良県の吉野地方の寒さと良質な水が品質の良い葛粉を生んでいる。葛粉は、「葛餅」以外にもごま豆腐、葛湯、葛饅頭、葛切り、料理のとろみつけなど、料理やスイーツとして幅広く利用されている。 + +## 食習の機会や時季 +特に時期を問わず、年間を通して食べられている。 + +## 飲食方法 +お好みできな粉や黒蜜をかけて食べる。「葛餅」を冷やすとその弾力が際立つが、つくりたてを氷水で締め、中はまだほんのり温かみが残るくらいで食べると、もちもちふわふわの食感が楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 吉野本葛: 80g +- 砂糖: 小さじ4 +- 水: 400ml +- 黒蜜: 適量 +- きな粉: 適量 + +## 作り方 +1. 吉野本葛と砂糖、水を鍋に入れ、よく溶かして強火にかける。 +2. 全体が透明になるまでかき混ぜる。 +3. 小さめの器に入れる。 +4. 流水で冷まし、容器から取り出す。 +5. お皿に盛り付け、きな粉と黒蜜をかけてできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 株式会社井上天極堂 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_11_1.jpg)" +"# 蕨餅 奈良県 + +**郷土料理名**: 蕨餅 + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +本蕨粉、砂糖、水 + +## 歴史・由来・関連行事 +「蕨餅」は、蕨粉に水や砂糖を加えて加熱しながら混ぜ、冷やして固めた和菓子である。特に奈良は蕨粉の名産地であった事から、奈良の名物となっている。蕨粉は、ワラビの根に含まれるデンプンからつくられており、製造に手間がかかり、取れる量もとても少ないため非常に希少価値の高いものとなっている。そのため、市販の「蕨餅」は、さつまいもやタピオカ、葛等から取れるデンプンを使用してつくられることが多い。昔、若草山の鶯塚古墳から出る妖怪を、山を焼くことで追い払えるとの迷信があった。その迷信から若草山を通る人々が放火するようになり、東大寺境内や近隣の寺にも火が及び危険が絶えなかった。そこで、若草山に隣接する東大寺、興福寺、奈良奉行所が立ち会って山を焼くようになった。その山焼き後にたくさんワラビが生え、かつ奈良公園の鹿が食べなかったことからワラビが群生し蕨粉の産地となった。これが、古都奈良に早春を告げる伝統行事である「若草山焼き」の始まりである。 + +## 食習の機会や時季 +時期を問わず、年間を通して主におやつとして食べられているが、特に春から夏にかけてよく食べられている。宝永6年(1709年)の東大寺大仏殿の落慶法要にお参りした人の参詣記「寧楽土産」に、「八幡前には蕨餅の茶屋あまたたてにけり」との記載があり、その頃から「蕨餅」が名物であったことがうかがえる。 + +## 飲食方法 +蕨粉、砂糖、水などを鍋に入れ火をつける。焦がさないように混ぜ続けると半透明になる。弱火にし混ぜ、透明になったら2分程度練り混ぜる。器に入れきな粉や黒蜜をかけていただく。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 蕨粉: 80g +- グラニュー糖: 128g +- 水: 240g +- 水あめ: 32g +- 砂糖入りきな粉: 適量 +- 黒蜜: 適量 + +## 作り方 +1. 蕨粉、グラニュー糖を混ぜあわせ、水を少量ずつ加えながら溶き混ぜる。 +2. 1をふるいで漉し、鍋に入れ火にかける。弱火で底から焦げないように混ぜる。 +3. ひとかたまりになったら、透明感がでるまで8分程度蒸す。 +4. 再度鍋に移し入れ、水あめを加え弱火にて混ぜ合わせ、蕨餅特有のこしを出し練り上げる。 +5. 練りあがったらボウルに入れておいた冷水につけ粗熱をとる。 +6. 器に移し、きな粉か黒蜜を好みでかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 株式会社吉方庵 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_12_1.jpg)" +"# かき氷 奈良県 + +**郷土料理名**: かき氷 + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +氷、シロップなど + +## 歴史・由来・関連行事 +ふわふわに削られた氷にかけられたシロップは、それぞれのお店で工夫が凝らされている。奈良県の「かき氷」が新しい食文化となりつつあるのには理由がある。奈良市にある氷室神社は、平城京に遷都された和銅3年(710年)、若草山の近くを流れる「吉城川」上流域にあるの「���日磐(つきひいわ)」と呼ばれる巨石に「氷神」をお祀りしたことがはじまりといわれている。月日磐には氷室が設置され、夏になると、平城宮にその貴重な氷を献上するという儀式が約70年間行われていた。このことから、氷室神社は今でも氷の聖地として知られ、毎年5月に全国の製氷、冷凍業者が集まり、商売繁盛を祈願する「献氷祭」が行われ、花や魚を埋め込んだ氷柱が奉納される。天理市にも氷室神社があり、7月1日に献氷祭が行われている。また、清少納言が書いた枕草子四十二段「あてなるもの」に「削り氷にあまづら入れて新しき金まりに入れたる」と記されており、これは「細かく削ったかき氷にあまづらをかけたものが大変雅びやか」だということを表しており、夏になると平安貴族たちは氷で涼をとっていたことが分かる。「かき氷」には、当時の甘味料である甘葛(あまづら)をかけて食していたといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +現在、カフェやレストランなどの飲食店で通年販売されているが、夏に好んで食べられる。 + +## 飲食方法 +有名レストランでも、かき氷を出しているところがあるほど、多くの飲食店でかき氷が一年中販売されている。近畿有数のいちご産地であるため、奈良のいちごを使ったメニューは特に人気がある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_13_1.jpg)" +"# 蛸もみうり 奈良県 + +**郷土料理名**: 蛸もみうり + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +タコ、きゅうり、白ごま、酢など + +## 歴史・由来・関連行事 +「蛸もみうり」とは、小口切りにしたきゅうりを塩で柔らかくなるまでよくもみ、タコと和えた酢の物のことである。田植えの終わりに田の神様に感謝し、秋の豊作を祈る行事である早苗饗(さなぶり)の際に、吸盤を持ち吸い付くタコにあやかって大地にしっかり根付くよう、田の苗がよくつくようにという願いからタコが入っている。タコは縁起のよい食材で、結婚式や宮参りなどハレの日にもよく食されている。タコの代わりに、両面をあぶり千切りにした薄揚げを加えた「もみうり」は夏の定番の家庭料理である。 + +## 食習の機会や時季 +夏野菜であるきゅうりを使用することから夏に食べられることが多い。田植えが終わり、秋の豊作を祝う行事である早苗饗(さなぶり)の行事にも食されているという。 + +## 飲食方法 +昔は、大和三尺きゅうりや半白きゅうりなど漬物用で肉質のかたいきゅうりが多かったので、柔らかくなるまで塩もみしたが、現在のきゅうりでは軽く塩もみするだけでよい。さっぱりとした酢の物のため、酒の肴としても食べられている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- きゅうり: 200g +- 塩: 適量 +- ゆでタコ: 60g +- 白いりごま: 4g +- 【合わせ酢】酢: 大さじ2 +- 【合わせ酢】醤油: 小さじ1 +- 【合わせ酢】砂糖: 小さじ1 + +## 作り方 +1. きゅうりは薄切りし、塩で柔らかくなるまでもんでおく。 +2. ゆでタコはひと口大に切っておく。 +3. 酢、醤油、砂糖を混ぜ、合わせ酢をつくる。 +4. きゅうりはしぼって水分を切り、タコを加え合わせ酢で和える。 +5. 器に盛り付け、白いりごまを振る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 奈良県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_14_1.jpg)" +"# さんま寿司 奈良県 + +**郷土料理名**: さんま寿司 + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +十津川村 + +## 主な使用食材 +サンマ、米、酢、塩など + +## 歴史・由来・関連行事 +「さんま寿司」は、主に奈良県吉野郡十津川村の郷土料理として伝わっている。また、「さんま寿司」はハレの日や正月に欠かせないなれずしであった。なれずしは、古来のすしの一つで、塩漬けした魚と米を漬け込み発酵させたものである。発酵が進むにつれて「馴れる、熟れる」ことから「なれずし」と呼ばれている。「なれずし」はもともと魚を長期保存するための加工方法に過ぎなかったため、発酵を促すごはんは捨てられていた。しかし、室町時代には発酵期間を短くしごはんも魚と共に食べるようになってきた。十津川村の「さんま寿司」は村の南北それぞれつくり方が異��る。北部のつくり方は、サンマを塩漬けし、塩を洗いとったあと塩と酒で炊いたごはんと一緒に形成し桶に並べ、水と塩を加え長期発酵させる「なれずし」に対し、南部では、塩を振ったサンマを合わせ酢で締め、酢飯にのせる押し寿司である。つくり方に違いはあるが、使用するサンマは、晩秋から初夏にかけて熊野灘まで南下してきた脂の少ないサンマを使用する。熊野灘でとれるサンマは、やや小ぶりで、脂が程良く落ちているため、「さんま寿司」などの日持ちする保存食に適している。 + +## 食習の機会や時季 +なれずしは主に正月に食べられる。秋に旬を迎えるサンマを長期漬け込み、大晦日に取り出す家庭が多かったという。 + +## 飲食方法 +背開きにし、塩漬けしたサンマを酢に漬け、魚の大きさに合わせて握った酢飯の上にのせ、かたちをととのえてラップに包む。翌日から2日目位で味がなじむので、食べごろになる。サンマを酢に漬ける時間は好みに応じて調整する。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (サンマ5尾分) +- サンマ: 5尾 +- 米: 3合 +- 水: 750ml +- 酒: 37ml +- 昆布: 適量 +- 【調味料A(サンマ用合わせ酢)】酢: 125ml +- 【調味料A(サンマ用合わせ酢)】砂糖: 45g程度 +- 【調味料B(酢飯用合わせ酢)】酢: 55ml +- 【調味料B(酢飯用合わせ酢)】砂糖: 11g程度 +- 【調味料B(酢飯用合わせ酢)】塩: 6g程度 + +## 作り方 +1. 米を洗って昆布をのせ水と酒を入れ1~2時間漬けておき、昆布を取り出して炊く。炊き上がったら調味料Bを合わせ、酢飯をつくっておく。 +2. 脂の少ない新鮮なサンマを用意し、背開きにする。このとき中骨(主骨)も包丁でとる。 +3. サンマの重量の3~4%の塩(分量外)を振って元の姿にたたみ平らな容器に並べてラップをし、冷蔵庫に入れて一昼夜ほどおく。 +4. 次に、骨抜きを使って腹骨や、中落ちの小骨、背鰭(びれ)の骨などを抜き、水洗いしながら残っている骨や、鱗(うろこ)をきれいにとって、水切りをする。 +5. バットにサンマを開いて並べ、ひたひたになる程度に調味料Aを注ぐ。漬けておく時間は、30分~2時間、酢の利き具合は好みに応じて調整する。 +6. 酢漬けが終わったサンマはざるなどに上げて水切りをし、サンマの大きさに合わせて握った酢飯の上にサンマをのせ、かたちをととのえてラップに包んでおく。 +7. つくった翌日から2日目位で味がなじんで食べ頃。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 奈良の食文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_15_1.jpg)" +"# 鮎寿司 奈良県 + +**郷土料理名**: 鮎寿司 + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +吉野川流域 + +## 主な使用食材 +アユ、米、酢など + +## 歴史・由来・関連行事 +吉野山地の清流が育む天然のアユは、川の石に付いた藻を食べて育つ。その香りがスイカやきゅうりに例えられ「香魚」と呼ばれ、美味しいと評判である。この鮎を使った姿ずしが吉野地域では有名である。本来の「鮎寿司」は、1週間から1ヶ月熟成させる「なれずし」であったが、独特の風味があり、時代の流れとともに、つくられなくなった。しかし、室町時代には樽と重石の開発により発酵期間を短くし飯も魚と共に食べる「なまなれずし」が生まれた。現在つくられている「鮎寿司」は、つくってすぐに食べるタイプのもので、アユの風味が爽やかで上品な寿司である。歌舞伎や人形浄瑠璃の演目「義経千本桜」の中で出てくる鮨屋が奈良県に実在していたことから、奈良の「鮎寿司」が人気となった。芝居の中で出てくる釣瓶鮨(つるべすし)は、ごはんとアユを詰めて発酵させたなれずしである。すし桶が井戸水を汲む釣瓶に似ていたところから、釣瓶鮨(つるすべし)と呼ばれるようになったという。この歌舞伎鮨屋の舞台となっている料理屋は今現在も老舗料亭として営まれている。 + +## 食習の機会や時季 +アユが旬の夏から秋にかけて食されることが多い。古くよりアユは縁起がいい食材として重宝されていたため、人が集まる席やハレの日に食されることも多い。 + +## 飲食方法 +すし飯の上にアユをのせ、固くしぼったフキンで押した「鮎姿寿司」はひと口大に切って食べる。また焼いたアユをのせた「焼き鮎寿司」もあり、こちらは山椒が入ってい��り、タレで食べたりする。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 米: 5合 +- アユ: 10匹 +- 【調味料A(すし酢)】酢: 130ml +- 【調味料A(すし酢)】みりん: 35ml +- 【調味料A(すし酢)】砂糖: 70g +- 【調味料A(すし酢)】塩: 27g + +## 作り方 +1. 調味料Aを火にかけ煮つめないようにして、すし酢をつくっておく。 +2. 炊きあがったらごはんが熱いうちにすし酢を廻しかけ、うちわで扇ぎながら、米を潰さないように混ぜる。扇ぐことにより米に艶が出ておいしくなる。 +3. アユはうろこを取り、頭から尾の付け根まで腹側より包丁を入れ、鰓(えら)、内臓を取り除き、腹開きにして中骨、腹骨をかき取り、背びれも取り除き、塩を振り、3分おき、水で塩を洗い、酢(分量外)に1分漬ける。 +4. アユの水気を拭き取り、酢飯をアユの長さのナマコ形にまとめ、アユを上にして固くしぼったフキンで形よく姿にととえ、一口大に切り分ける。 +5. ※お好みでアイ蓼、木の芽、しそを酢飯に混ぜても良い。(香りがする程度) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 梅﨑 正利氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_16_1.jpg)" +"# 奈良和え 奈良県 + +**郷土料理名**: 奈良和え + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +奈良漬、ぜんまい、かんぴょう、干ししいたけ、つきこんにゃく、人参、薄揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +「奈良和え」は、奈良の特産品である奈良漬を使用した和え物で、子どもにも人気の料理である。平城京跡地で発掘された長屋王木簡にも「加須津毛瓜(かすづけけうり ) 」との記載があるが、当時の酒はどぶろくのような物であったので、現在の酒粕とは違い、容器の底の澱(おり)に野菜などを漬けた物であったとされている。清酒発祥の地であり、清酒造りが盛んだった奈良には、美味しい酒粕が豊富にあったことから、粕漬けの製法も古くから発達した。しかし、江戸時代までは、一般庶民の口には入らない、贅沢なものであった。豊臣秀吉や徳川家康に奈良漬が献上され好評を得たと伝えられているが、これらの奈良漬は、寺院で酒と共につくられた物と思われる。江戸時代に、奈良の漢方医の糸屋宗仙(いとや そうせん)が白瓜を酒粕に漬けて町家に売り出したのが、一般庶民の口に入った最初といわれている。その後、奈良を訪れる旅人などにより「奈良漬」の名が全国に知られるようになり、今では粕漬けの代名詞として使われるようになっている。 + +## 食習の機会や時季 +奈良漬は通年食されており、それを使った和え物である「奈良和え」も家庭で、日常的に食されてる。 + +## 飲食方法 +かんぴょう、干ししいたけ、人参、薄揚げ、ぜんまいなどを調味料で煮込み、奈良漬を加える料理だが、あたたかいうちに食べるものでなく、冷めて味がなじんだところを食べるのが美味しい。冷ましている間にも何度か混ぜると更に味がなじむ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ぜんまい(水煮): 120g +- かんぴょう(干し): 12g +- 干ししいたけ(中葉): 16g +- つきこんにゃく: 40g +- 人参: 40g +- 薄揚げ: 20g +- 奈良漬(好みで加減する): 40g +- 【調味料A】砂糖: 20g +- 【調味料A】醤油: 20g +- 【調味料A】みりん: 4g +- 【調味料A】サラダ油: 4g + +## 作り方 +1. つきこんにゃくは下ゆでしておく。 +2. かんぴょう・干ししいたけをもどしておく。かんぴょうは3cmの長さに、干ししいたけは細切りにする。 +3. 奈良漬の酒かすをぬぐいとり、細かく切る。 +4. 人参は細切りにする。ぜんまいは水をきり、食べやすい長さに切る。薄揚げは湯通しして油ぬきし、短冊に切る。 +5. 鍋にサラダ油を熱し、奈良漬け以外の材料を軽く炒め、だし汁と調味料Aを加え、煮含める。煮汁がなくなってきたら、味をととのえ、奈良漬を入れて和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「奈良県の郷土料理集~元気に育て やまとっ子~」(奈良県教育委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_17_1.jpg)" +"# 柿なます 奈良県 + +**郷土料理名**: 柿なます + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +大根、人参、干し柿、酢 + +## 歴史・由来・関連行事 +奈良県では古くか��大根と人参を使用した紅白なますに、干し柿を入れた柿なますが正月の定番おせち料理の一つとしてとして食されてきた。白い大根と赤い人参を混ぜた紅白の色は、水引を意味し、平安の願いが込められている。「柿なます」に柿を入れることで、柿の甘み、旨味が加わり、味わい深い酢の物になる。 + +## 食習の機会や時季 +正月に食べられるなますは大根と人参を使ったものが多いが、奈良のなますは特産品である柿を使用した「柿なます」である。干し柿を使うことが多いが、生の柿を使った「柿なます」も美味しい。昔から正月に食べる料理として受け継がれている。 + +## 飲食方法 +大根、人参、干し柿を合わせ酢にまぜたシンプルな料理であるが、柚子の皮を千切りにして飾る時もある。砂糖が高価だった時代、干し柿は砂糖の代わりに、料理などに使われており、酸味のある紅白なますに柿が入ることで食べやすく美味しくなるという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根: 240g +- 人参: 28g +- 干し柿: 40g +- 【合わせ酢】酢: 大さじ2 +- 【合わせ酢】砂糖: 小さじ1~2 +- 【合わせ酢】塩: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 酢、砂糖、塩をよく混ぜ、合わせ酢をつくる。 +2. 大根、人参は皮をむいて千切りにし、塩を振ってよく混ぜあわせ、しばらくおく。 +3. しんなりしたら流水でさっと洗い、かたくしぼる。 +4. 干し柿はヘタ、種を取り、細切りにする。 +5. 合わせ酢と2,3をよく混ぜ合わせ、器に盛り付ける。 +6. ※香り付けに、柚子の皮を千切りにして飾る時もある。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「奈良県の郷土料理集~元気に育て やまとっ子~」(奈良県教育委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_18_1.jpg)" +"# でんがら 奈良県 + +**郷土料理名**: でんがら + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +東吉野村、川上村 + +## 主な使用食材 +米粉、朴の葉、小豆など + +## 歴史・由来・関連行事 +「でんがら」は、餡を包んだ餅を朴の葉(ほうのは)でくるんだ伝統菓子。東吉野村と川上村では、端午の節句に粽(ちまき)と「でんがら」をつくる風習がある。どちらも男の子の立身出世・子孫繁栄・無事成長を願い現在に至りつくられてきたもので、その形から男のシンボルを象ったものとも伝えられている。四方を山に囲まれた川上村では米をつくる水田が無く、その代用としてとうきびや粟などの雑穀を植えており、貴重な食糧源とされていた。奈良盆地より気温が低い川上村では、ちょうど6月頃に、朴の葉の新葉が収穫できる。枝付きの朴の葉を使い、1つの枝から出るたくさんの葉ひとつひとつに餡入りの餅をくるむため、くるまれた袋がぶら下がった形状をしている。これは、ひとつひとつの餅を風通しをよくし、保存食として利用されていたためといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +現在も端午の節句には欠かせない伝統菓子である。旧暦の端午の節句は現在の暦に換算すると6月7日にあたるため、現在では5月から6月にかけてよくつくられ食べられている。 + +## 飲食方法 +餅で餡を包み、さっと熱湯で湯がいた朴の葉でくるんだ後に蒸す。朴の葉に火を通すことにより良い香りがお餅を包みこむ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (15個分) +- 米粉: 500g +- 熱湯: 適量 +- 塩: 2.5g +- 小豆: 1カップ +- 湯(小豆用): 適量 +- 砂糖(小豆用): 200g +- 塩(小豆用): 4g +- 朴の葉: 適宜 +- イ草: 適宜 + +## 作り方 +1. 朴の葉は枝付のまま用意し、熱湯をとおしておく。 +2. 小豆は一度ゆでこぼして、やわらなるまで煮て、砂糖と塩を入れて餡に練りあげる。冷めたら餡を丸くし団子をつくっておく。 +3. 米粉に塩を入れ熱湯で耳たぶくらいのかたさになるまでよく練る。 +4. 3を適当な大きさにとり、中に丸くした餡を入れ長方形のようなかたちにして枝についたままの朴の葉に包んでイ草で巻いて蒸し器に入れて蒸す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「奈良県の郷土料理集~元気に育て やまとっ子~」(奈良県教育委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_19_1.jpg)" +"# ふき俵 奈良県 + +**郷土料理名**: ふき俵 + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +大和高原地域 + +## 主な使用食材 +大豆、米、ふき��葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +大和高原地域では、田植えの始まりの日を「さびらき(早苗開)」といい、「ふき俵」をつくり、神棚などに豊作を祈って供える。田植え始めの日につくるので「さびらきごはん」、「大豆ごはん」ともいう。ふきの葉で包むため、ふきの香りが移りおいしくなる。ごはんと一緒に炊く大豆は「大きくまめに育つように」との思いが込められている。かたちが米俵に似ていることから「ふき俵」と呼ばれる。田植えする田の畦に苗とふき俵をそれぞれ12個ずつ並べて供え、家族みんなで手を合わせてその年の豊作と田植え期間中の作業安全をお祈りをしてからその場で食べ、その後田植えをおこなう。 + +## 食習の機会や時季 +大和高原地域では、田植えは4月下旬よりはじまる。「さびらき(早苗開)」に食べられることから「さびらきごはん」とも呼ばれる。 + +## 飲食方法 +炒って皮をとった大豆と米を塩味で炊いたごはんをおにぎりにし、茎のついたふきの葉で包み、稲わらかふきの皮で外側を包み俵に似せてつくる。農家のお弁当として、田植えの間食としても食べられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5~6人分) +- 米: 2カップ +- 煎り大豆: 1/3カップ +- 塩: 小さじ1/2~1 +- わら: 12~14本 +- フキ(葉のついたもの): 12~14本 + +## 作り方 +1. 大豆を炒り、熱いうちに皮をむいておく。 +2. 大豆、塩少々を入れてごはんを炊く。 +3. おにぎりをつくり、軸の付いたフキの葉で包み、わら又はフキの皮で外側をくくる。俵に似せてつくる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 奈良県農村生活研究グループ協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_20_1.jpg)" +"# まなめはり 奈良県 + +**郷土料理名**: まなめはり + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +下北山村地域 + +## 主な使用食材 +春まな漬、米、カツオ節、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +「まなめはり」は、塩漬けした下北春まなを使用しためはりずしのことである。高菜を使っためはりずしも十津川地域では郷土料理として伝わっているが、下北春まなを使っているめはりずしは下北山村地域に限定される。大和の伝統野菜に認定されており、奈良県の下北山村でのみ栽培されている。寒さの厳しい環境で育つため、葉が肉厚で鮮やかな緑色で甘みが強くなる。収穫できる期間は2か月と短いため、幻の野菜といわれている。昔から各家庭の菜園などでつくられて、塩漬けにし、「まなめはり」として食べていた。熊野地域や十津川地域で食べられる高菜を使った「めはりずし」とつくり方は同じだが、高菜の独特な辛味がなく、やや小ぶりなのが特徴。 + +## 食習の機会や時季 +山仕事のお弁当として古くから親しまれてきた。 + +## 飲食方法 +水洗いした春まな漬を固くしぼり、茎の実をみじん切りにし、醤油等で和える。春まな漬の葉を軽くしぼり、手の平に広げごはんをのせ、きざんだ茎をごはんで包む。最後に葉でごはんを包む。手軽で簡単につくれ、美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4個分) +- 春まな漬: 100g +- 米: 400g +- 水: 480ml +- カツオ節: 12g +- 醤油又はポン酢: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 春まな漬をさっと水洗いする。 +2. 葉を強くしぼる。 +3. 芯の部分はみじん切りにして醤油かポン酢(好み)に浸しておく。 +4. 手の平に葉を広げ、温かいごはんを盛る。 +5. 3をしぼってごはんの中に包み込む。 +6. 葉でごはんを包み込んでにぎる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 奈良の食文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_21_1.jpg)" +"# 色ご飯 奈良県 + +**郷土料理名**: 色ご飯 + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +米、人参、ごぼう、薄揚げ、醤油など + +## 歴史・由来・関連行事 +奈良県では醤油味の炊き込みご飯のことを「色ご飯」いう。炊き込みご飯の歴史は古く、奈良時代には米に「あわ」を混ぜてかさ増ししたご飯を「あわご飯」と呼んでいた。炊き込みご飯は、米が貴重であった頃、米を節約するため、さまざまな具を混ぜて炊いたことがはじまりといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +村で行うさまざまな行事で「色ご飯」がふるまわれたり、各家庭でも日常的に食されてきた家庭料理である。 + +## 飲食方法 +具材は、人参、しいたけ、ごぼう、薄揚げが一般的だが、えんどう、たけのこ、かんぴょう、里芋、大根など旬の食材を使った「色ご飯」がつくられている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6人分) +- 米: 3カップ +- 人参: 60g +- しいたけ(またはしめじ): 60g +- ごぼう: 60g +- 薄揚げ: 60g +- こんにゃく: 100g +- 鶏肉: 200g +- 醤油: 60ml +- 酒: 40ml +- 【だし汁】水: 900ml +- 【だし汁】出汁昆布: 15g +- 【だし汁】花カツオ節(だしの素でも可): 25g + +## 作り方 +1. ごぼうはささがきにして水にさらす。他の具材は細切りにする。※好みにより量を調整する。※地方により里芋を使うところもある。 +2. だし汁500mlと醤油、酒を合わせる。 +3. 1の具材と米に2を合わせ炊く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 梅﨑 正利氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_22_1.jpg)" +"# ずいきの煮もの 奈良県 + +**郷土料理名**: ずいきの煮もの + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +ずいき、薄揚げなど + +## 歴史・由来・関連行事 +「ずいき」とは里芋の葉柄のことで、唐の芋や八つ頭などの赤茎系品種の葉柄は、アクが比較的少なく、ずいきに向くとされている。皮を剥いて乾燥させたものは「芋がら」と呼ばれる保存食で、もどして煮物や味噌汁の具として利用される。里芋の収穫の時に採れたずいきで「芋がら」をつくることが多い。奈良県には、このずいきを新聞紙で巻き、軟化栽培した「軟白ずいき」が大和の伝統野菜に認定されている。まっ白い葉柄が美しく、高級食材としての地位を確立し、市場に出回る事のない幻の食材とされており、奈良市狭川地区で現在も生産、販売されている。ずいきの歴史は古く、天平時代に芋茎(ずいき)が利用されていたことが「東大寺正倉院文書」に記載されている。水田が多い奈良盆地では、豊富な水資源を背景に、古くから良質な里芋が生産され、それに伴いずいきも日常的に食されてきた。ずいきを使った料理は、煮物や酢のもなど一般的な家庭料理として親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +お盆にずいきの酢の物やずいきが入った七色お和え(季節の7種類の具材の和え物)を仏壇に供える地域もある。 + +## 飲食方法 +ずいきは皮をむき、3cmくらいの長さに切り30分ほど水に浸けたっぷりの湯でゆで、アク抜きして料理に利用する。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ずいき: 280g +- 薄揚げ: 60g +- 【調味料A(だし汁)】だし汁: 200ml +- 【調味料A(だし汁)】醤油: 40ml +- 【調味料A(だし汁)】砂糖: 大さじ1 +- 【調味料A(だし汁)】酒: 大さじ1 + +## 作り方 +1. ずいきは皮をむき、3cmくらいの長さに切り30分ほど水に浸けた後、たっぷりの湯でゆで、水気を切っておく。 +2. 薄揚げは、油抜きし短冊に切る。 +3. 鍋に調味料Aを入れ、ずいき、薄揚げを入れ煮る。 +4. ※ずいき自体あっさりとしているので、油で炒めて調理してもおいしい。煮汁がなくなるまで煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 奈良県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_23_1.jpg)" +"# 七色お和え 奈良県 + +**郷土料理名**: 七色お和え + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +人参、かぼちゃ、なす、三度豆、ずいき、みょうが、ごぼうなど + +## 歴史・由来・関連行事 +「七色お和え」は、真言宗の盆のお供え料理の一つである。七色とは、なす、かぼちゃ、ごぼう、人参、さやいんげん、ずいき、みょうがなど旬の7種類の野菜のことで、お和えは和え物のことである。奈良では和え物を「お和え」といい、すりごま、味噌、砂糖を混ぜた和え衣で野菜を和える。食糧難の時代に、7種類もの豊富な野菜を使った料理をお供えすることは非常に贅沢なことであった。お盆の8月13日の夕方、そんじょさん(精霊)を墓に迎えに行き、晩からお供えし、14日にはおっさん(お坊さん)にお参りしていただき、15日には送り火を焚き、墓に送る。地域や家庭によってお供えの方法やお供えするものは異なるが、13日はお迎え団子、落ち着き団子として、あんつけ餅や団子、おはぎなどをお供えする地域が多い。 + +## 食習の機会や時季 +��盆のお供え料理として食されることが多いが、旬の野菜を使った和え物は、年間を通して食卓に並ぶ。7種類の野菜をふんだんに使用しているため、栄養価も高く、すりごま、砂糖、味噌と和えると食べやすくなる。また、すり鉢ですったごまの香りが食欲をそそる。 + +## 飲食方法 +野菜を食べやすい大きさに切り、それぞれゆでる。すり鉢ですったごまと砂糖、味噌を混ぜ合わせ、ゆでた野菜を加え和える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6人分) +- みょうが: 4~5本 +- ごぼう: 100g +- 三度豆(さやいんげん): 5本 +- 人参: 1本 +- なす: 2本 +- ずいき: 1本 +- かぼちゃ: 100g +- 【調味料A(和え衣)】味噌: 100g +- 【調味料A(和え衣)】すりごま: 50g +- 【調味料A(和え衣)】砂糖: 50g + +## 作り方 +1. みょうがは縦に四つ切り、三度豆は斜め切り、人参は小さめの乱切り、なすは縦に八つ切り、かぼちゃはいちょう切りにしてそれぞれゆでる。 +2. ごぼうはささがきにして、水にさらしてからゆでる。 +3. ずいきは皮をむき、3cmの拍子切りにし、水にさらしてアク抜きした後ゆでる。干しずいきを使う場合は湯でもどして使う。 +4. 調味料Aを混ぜ合わせ、野菜を和えて器に盛る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 奈良県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_24_1.jpg)" +"# しきしき 奈良県 + +**郷土料理名**: しきしき + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +奈良盆地中部 + +## 主な使用食材 +小麦粉、砂糖など + +## 歴史・由来・関連行事 +「しきしき」は、小麦粉に水と砂糖を入れて薄く焼いた戦前からある奈良のおやつである。現在は卵を入れることもある。現在のクレープのような感覚のおやつである。奈良県では、小麦栽培が盛んであったため、三輪素麺や半夏生餅、「しきしき」など昔から小麦を使用した料理やおやつが食されてきた。 + +## 食習の機会や時季 +特に時期は問わず、年間を通して食べられている。甘みをきかせてそのまま食べたり、焼きたてに刻んだねぎや削り節をかけて食べたり、餡を巻いて食べたり、家庭によって食べ方もさまざまである。 + +## 飲食方法 +砂糖を小麦粉に入れ。生地が少しゆるくなるまで水で溶かす。この時、生地をフライパンに薄くのばすために、焼く直前に溶かす。(小麦粉と水を混ぜ、時間が経つと粘りが出て薄くのびないためである。)弱火で熱したフライパンに生地を薄く広げ焼く。熱が通ったら、えんどう豆でつくったあんをのせ、2つに折ってひっくり返し焼く。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3~4人分) +- えんどう豆(生): 240g(乾燥豆を使う場合は100g) +- 砂糖: 80g +- 水(えんどう豆餡用): 適量 +- 小麦粉: 100g +- 砂糖: 大さじ1 +- 卵: 2個 +- 塩: ひとつまみ +- 水(生地用): 100ml +- サラダ油: 適量 + +## 作り方 +1. 【えんどう豆餡 手順1】えんどう豆を柔らかくなるまでゆで、ざるにとって水を切る。(乾燥豆を使う場合は、重曹1gを加えてゆでると柔らかくなる。) +2. 【えんどう豆餡 手順2】煮汁はとっておく。 +3. 【えんどう豆餡 手順3】水切りしたえんどう豆をミキサーにかけ、少しずつ煮汁を加えながら、どろどろにつぶす。 +4. 【えんどう豆餡 手順4】鍋に「えんどう豆餡 手順2」を入れ砂糖を加え、弱火にかけ、よく混ぜながら、水分を飛ばして適度に煮詰める。 +5. 【生地 手順1】小麦粉に水、卵、砂糖、塩を混ぜる。天ぷらの衣より少し柔らかめに。(生地は焼く直前に溶かす。時間が経つと粘りが出て薄くのびない) +6. 【生地 手順2】フライパンを弱火で熱し油をひき、生地を薄く広げて熱が通ったら中心に餡をおき、2つに折ってひっくり返し、少し焼いてできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : NPO法人奈良の食文化研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_25_1.jpg)" +"# 大和まなと薄揚げの煮もの 奈良県 + +**郷土料理名**: 大和まなと薄揚げの煮もの + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +大和まな、薄揚げ、醤油、砂糖、練りからし + +## 歴史・由来・関連行事 +「大和まなと薄揚げの煮もの」は、大和の伝統野菜である大和まなを使用した家庭料理である。大和まなは、アブラナ科の野菜であり、「古事記」に記載されている「菘(すずな)」をルーツとする古くから食されてきた「ツケナ」の一種である。癖のない味で歯ごたえも良く、さまざまな料理に使用されているが、特に大和まなを使った薄揚げの煮ものは、地元の家庭料理として親しまれている。スーパーマーケットなどにはほとんど出回っていなかったが、平成17年(2005年)に奈良県地域結集型研究開発プログラムによって品種改良が進み、平成21年(2009年)10月に新品種「夏なら菜」「冬なら菜」が発表され、今では広く流通するようになってきた。 + +## 食習の機会や時季 +冬になり霜があたると甘みが増すため大和まなの旬は冬である。しかし、近年、品種改良が進み、周年栽培が可能となり、通年スーパーマーケットなどで見かけるようになった。 + +## 飲食方法 +大和まなと薄揚げは食べやすい大きさに切り、鍋に入れ炒める。だし汁、調味料を加え煮含める。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大和まな: 400g +- 薄揚げ: 2枚 +- だし汁: 大さじ1 +- みりん: 大さじ2 +- 醤油: 大さじ1 +- 塩: 小さじ1/2 +- 油: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 大和まなは洗って3cm幅に切る。 +2. 薄揚げは食べやすい大きさに切る。 +3. 油をひいた鍋で大和まなと薄揚げを炒め、だし汁、みりん、醤油、塩を加え煮含める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 奈良県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_26_1.jpg)" +"# いたどりの煮もの 奈良県 + +**郷土料理名**: いたどりの煮もの + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +吉野山間部を中心に県内全域 + +## 主な使用食材 +いたどり、醤油、みりんなど + +## 歴史・由来・関連行事 +「いたどり」はタデ科の多年生草木で、日本各地に自生し、春の山菜として欠かせない食材である。いたどりは、他に「ごんぱち」や「すかんぽ」などと呼ばれており、吉野郡下北山村(きなりの郷)では昔から「ごんぱち」を好んで食べていたと『下北山村史』(昭和48年編纂)に書かれている。いたどりの名前の由来としては怪我をした際に、患部にいたどりをすりこむことによって痛みが取れることから「痛取り(いたどり)」といわれているという。いたどりはアクと酸味が強いため、アク抜きをして料理に使う。アク抜きをしたいたどりは冷蔵庫で1週間、樽で塩漬けして長期保存できる。炒めもの、煮もの、揚げものなど、さまざまな料理に利用できる。炊き込みご飯にして食べる地域もある。県内全域で食されているが、特に吉野の山間部ではよく食されているという。 + +## 食習の機会や時季 +いたどりは成長すると茎が固くなってしまうため、4月半ばから5月の初めにかけて新芽が出る頃に採取し、塩漬けにして保存される。 + +## 飲食方法 +大きな鍋に湯を沸かし、いたどりを数秒浸け、熱いうちに皮をむく。皮をむいたら、すぐに水にさらし、そのまま一晩おき、アク抜きをして料理に使う。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- いたどり: 400g +- カツオ節: 20g +- 油: 適量 +- 【調味料A】醤油: 大さじ1 +- 【調味料A】みりん: 大さじ1 +- 【調味料A】砂糖: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 大きな鍋にたっぷりの湯を沸かし、いたどりを湯に数秒つけ、熱いうちに皮をむく。皮をむいたら、すぐに水にさらし、そのまま一晩おく。 +2. いたどりを4~5cmの長さに切る。 +3. 油でいたどりを炒め、調味料Aで味付けし、最後にカツオ節をかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「奈良県の郷土料理集~元気に育て やまとっ子~」(奈良県教育委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_27_1.jpg)" +"# あまごの甘露煮 奈良県 + +**郷土料理名**: あまごの甘露煮 + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +吉野郡、宇陀郡 + +## 主な使用食材 +アマゴ、ほうじ茶 + +## 歴史・由来・関連行事 +アマゴは体長20cmほど(30cm以上にもなる)の淡水魚でサケ科サツキマスの一種である。パーマークと呼ばれる小判状の斑点に朱色の細かい点が特徴的で、その姿が美しいことから「渓流の女王」とも称されている。 川魚の中でもクセがなく、天ぷらや塩焼き、ムニエル、甘露煮などさまざまな料理で楽しめる。「アメノウオ」「アメゴ」などの名で呼ばれることもある。「奈良県のさかな」に指定��れ、奈良を代表する魚となっている。「あまごの甘露煮」は古くから家庭でつくられているおふくろの味である。 + +## 食習の機会や時季 +生魚がスーパーマーケットなどに出回ることはほとんどなく、飲食店などに直接販売されることが多い。加工食品として「あまごの甘露煮」は出回っているため、通年食すことができる。 + +## 飲食方法 +アマゴのうろこと内臓を取り、綺麗に洗い、素焼きする。鍋に焼いたアマゴとほうじ茶入れ煮る。調味料を加え、さらに煮る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- アマゴ: 4尾 +- ほうじ茶(煮出しておく): 適量 +- 【調味料A】みりん: 150ml +- 【調味料A】酒: 150ml +- 【調味料A】醤油: 50ml +- 【調味料A】砂糖: 小さじ1~2 + +## 作り方 +1. アマゴは内臓を出し、よく洗って水気を切り、素焼きしておく。 +2. 鍋に1を並べ、かぶるぐらいのほうじ茶を注ぎ、紙蓋をして中火で煮る。 +3. ほうじ茶が少なくなったら、合わせておいた調味料Aを、3回くらいに分けて加え、弱火でゆっくりと煮含める。 +4. ※好みで、しょうが(薄切り)や山椒を加えて煮含めてもよい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 奈良県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_28_1.jpg)" +"# 生節とねぎの煮もの 奈良県 + +**郷土料理名**: 生節とねぎの煮もの + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +生節、結崎ネブカ + +## 歴史・由来・関連行事 +海に面していない奈良県では、日持ちのする生節(なまぶし)を使った煮物がよく食されていた。生節は、カツオ節の製造過程で焙乾した加工品のことで、焙乾することで余分な水分を飛ばし、風味や旨味が増す。また、生臭さがなく食べやすいうえ、高タンパクで低カロリーな自然食品なので、さまざまな料理に使用できる。生節は、ねぎやふき、さやえんどう、たけのこなど旬の野菜と炊き、よく食べられている。特にねぎとの相性がよく、「生節とねぎの煮もの」はよく食されている。濃いめの醤油味で、煮汁を多めにして炊くのがコツ。奈良県川西町には、「能の観世流発祥の地」結崎に伝わる伝説の「結崎ネブカ」がある。室町時代、翁の面と共に空から降ってきたねぎを村人がその地に植えたところ、見事なねぎが育ったとある。そのねぎが結崎ネブカとして有名になりねぎの名産地として知られるようになったという。結崎ネブカは、柔らかく甘みがあるため、煮炊きにものや和えものに向いている。奈良県では「ねぎ」のことを「ネブカ」ともいう。 + +## 食習の機会や時季 +生節は、1年を通して市場に出回っているため、通年食すことができる奈良の家庭料理である。ねぎ以外にも季節の野菜や焼き豆腐などを入れて炊く。 + +## 飲食方法 +食べやすい大きさに切った生節に出汁を入れ煮込み、出汁が煮詰まったらねぎを入れる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4~5人分) +- 生節: 50~60g(切り8切) +- 結崎ネブカ(青ねぎでも可): 150g +- だし汁: 300ml +- 酒: 200ml +- 醤油: 100ml +- 砂糖: 50g(好みで加減する) + +## 作り方 +1. 5枚におろし、食べやすい大きさに切った生節を鍋に入れ、だし汁をひたひたに入れる。 +2. 中火で煮込み3割程、だし汁が煮つまったら、3cmに切った結崎ネブカを入れ仕上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 梅﨑 正利氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_29_1.jpg)" +"# エイの煮こごり 奈良県 + +**郷土料理名**: エイの煮こごり + +**都道府県**: 奈良県 + +## 主な伝承地域 +葛城地域中心に県内全域 + +## 主な使用食材 +エイ + +## 歴史・由来・関連行事 +赤エイを甘辛く煮つけた料理で、葛城地域などでは定番の郷土料理である。煮るとエイのゼラチン質が煮汁に溶け出し、冷めるとゼリー状に固まることからエイの煮物を「エイの煮こごり」と呼んでいる。古くから大阪の河内と交流が盛んであった葛城地域は、大阪で水揚げされた魚が竹内街道を経ていち早く届くため、新鮮な魚介を食すことができた。特にエイは、鮮度が落ちるとアンモニア臭が発生するため、新鮮な赤エイを使用して「エイの煮こごり」がつくられていた。「エイの煮こごり」は秋祭りでも食されていた。また、奈良春日大社若宮にて開催される「おん祭」でも「のっぺい」と「赤エイの煮こごり」が食べられていた。 + +## 食習の機会や時季 +奈良春日大社若宮にて開催されるおん祭や正月、結婚式などハレの日に食されてきた。「エイの煮こごり」に使用される赤エイは春から夏にかけて旬を迎えるが、年中漁獲されるため、通年食すことができる。 + +## 飲食方法 +エイの肝臓を小さく切って炒めて、おからと煮ると香ばしくコクが出て美味しくなる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2~3人分) +- エイ: 350g +- 酒: 1/4カップ +- みりん: 大さじ2 +- 薄切りのしょうが: 2~3枚 +- 水: 2カップ +- 砂糖: 大さじ2 +- 醤油: 1/4カップ + +## 作り方 +1. エイを6cm角にぶつ切りにして水に十分にさらし、臭みをとった後、水気を切る。 +2. 鍋にエイ以外の材料を入れ、煮立たせた後、エイを入れ中火で煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 奈良県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nara_30_1.jpg)" +"# おかいさん/茶がゆ 和歌山県 + +**郷土料理名**: おかいさん/茶がゆ + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +米、番茶またはほうじ茶 + +## 歴史・由来・関連行事 +和歌山県では、「茶がゆ」のことを親しみを込めて「おかいさん」または「おかゆさん」と呼ぶ。「木の国」ともいわれる山の多い同県では米が貴重だったため、少ない米でも満腹になるように生み出された。とくに、稲作に適した平地の少ない県南部地域では日々の主食で、1日に5回、6回と食べていた。かつては茶の木は家庭でも栽培されており、茶がゆ文化の定着を支えてきた。印南地方の里唄には「今日も今日とて、おかいでけんか、わしのおかいに芋がない」とあり、兄弟で取り合いになるほど甘い芋入りの茶がゆが好まれていたことが分かる。 + +## 食習の機会や時季 +熊野山間をはじめ、稲作地が少ない地域では米飯を農作業後ののどの乾きと空腹に、さらりとした口あたりの「おかいさん」は最適である。忙しい時期には大釜で大量に炊いておく。「おかいさん」は食べてもすぐに腹が空くので、中にさつまいもや里芋を入れて腹の足しにしていた。 + +## 飲食方法 +鍋に分量の湯を沸かし茶袋に番茶を入れ、色よく煮出す。茶袋をとりだし、洗った米を入れて強火で炊く。木のしゃもじですくいあげるようにして混ぜる。米がふくらんだところで火を止める。※好みで塩(ひとつまみ)を入れる。地域や家庭ごとにお茶や茶がゆの炊き方に違いがあり、何も入れないものを「坊主茶がゆ」という。県北部地域や中部地域ではそら豆やうすいえんどうを入れた「豆茶がゆ」を、県南部地域では秋の山芋の茎にできるむかごをいれた「むかごがゆ」をつくることがある。このほか、南高梅の梅干しや金山寺味噌をのせたものや、焼いた餅を入れる「焼きもちかゆ」、米粉や小麦粉、きび粉を練ったものを入れる「だんごがゆ」などもあり、食べ方のバリエーションが豊かである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2~3人分) +- 米: 1合 +- 番茶: 大さじ2 +- 水: 6合 +- 塩: ひとつまみ(お好みで) + +## 作り方 +1. 鍋に分量の湯を沸かし、茶袋に番茶を入れ、色よく煮出す。 +2. 茶袋をとりだし、洗った米を入れて強火で炊く。 +3. 木のしゃもじですくいあげるようにして混ぜる。 +4. 米がふくらんだところで火を止める。※好みで塩(ひとつまみ)を入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「活かそう、伝えよう!わかやまの食材と食文化」(和歌山県生活研究グループ連絡協議会・和歌山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_1_1.jpg)" +"# めはりずし 和歌山県 + +**郷土料理名**: めはりずし + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +南部地域 + +## 主な使用食材 +米、高菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +漁業や林業が盛んな県南部地域で、忙しい漁や山仕事の合間に簡単に食べられるお弁当として広まった。塩で漬けた高菜で大きなおにぎりをくるんだもので、「めはりずし」という名前の由来には、「目を張るように口を開ける」「目を見張るほどに美味しい」という説や、「おにぎりに目張りをするように完全に包みこむから」などさまざまな説がある。 + +## 食習の機会や時季 +高��は、冬から春先にかけて収穫される。高菜は日当たりの悪い場所でもつくりやすいため、平地の少ない県南部地域の山間部でも盛んに栽培されていた。新宮市では、葉が大きく柔らかい高菜がとれる。家庭で漬けこんで高菜漬けにする以外にも、あえものや煮物にするほか、高菜漬けの芯を細かく刻んで「茶がゆ」にふりかけても美味しい。 + +## 飲食方法 +収穫した高菜を1月・2月頃に樽で塩漬けにする。色がだんだん茶色になってくるが、秋ごろまではもつ。この高菜漬けを酢につけて、丸く握ったご飯に巻く。ごはんは白米のまま使ったり、すし飯にしたりと好みに応じて変わる。米が貴重だった時代には、白米よりも麦を多く入れて握っていた。また、具材には醤油をつけた焼き魚を入れることもあり、那智勝浦町下里地域では、川でとれるシラウオを甘辛く煮たものをごはんに混ぜ、高菜で包んでいた。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2~3人分) +- 米: 2合 +- 高菜の漬物(塩漬): 5枚 +- 【調味液】醤油: 大さじ1 +- 【調味液】 みりん: 小さじ1/2(調味液は好みで加減する) + +## 作り方 +1. 高菜漬は洗って水気をよくしぼり、調味液を振りかけて軽くもみ、しばらく味をなじませる。 +2. 米は洗って普通に炊く。 +3. 葉の軸の部分をみじん切りにする。 +4. 葉を広げごはんをのせ、3を芯に入れ、葉でくるみこみながらかたちをつくる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「活かそう、伝えよう!わかやまの食材と食文化」(和歌山県生活研究グループ連絡協議会・和歌山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_2_1.jpg)" +"# 金山寺味噌 和歌山県 + +**郷土料理名**: 金山寺味噌 + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +中部地域 + +## 主な使用食材 +米、麦、大豆、なす・うり・しょうが・しそなどの野菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +1249年に、由良の高僧である覚心(かくしん・法燈国師)が、修行先の宗(中国)で怪山寺味噌の製法を覚え、日本に持ち帰った。「興国寺」を建立した際、水質が味噌や醤油の製造に適していた湯浅町や、その周辺地域に製法を伝え、広まっていったといわれている。醤油、味噌の祖とされる。その後300年あまりは農家が自家用につくっていたが、江戸時代に入ると幕府の目にとまり、商品化されるようになっていった。 + +## 食習の機会や時季 +昔は家庭で自家用につくられていた。うりやなす、しそやしょうがが豊富にとれる夏に、大豆、麦、米の3種類のこうじで仕込む。1ヵ月ほど漬け込むと食べられるようになるが、1年寝かせるといっそう美味しい。保存がきくので、「常備菜」として一年中食べられている。漬け込む野菜の種類や味付けは、店や家庭によって異なり、それぞれにこだわりの味がある。 + +## 飲食方法 +ごはんにのせたり、焼き魚や刺身にそえたり、酒の肴にしたりと、調味料としてではなくおかずとして食べる。和歌山の郷土料理である「茶がゆ」との相性もよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1桶分) +- 白米: 4升 +- 白麦: 3升 +- 大豆: 3升 +- 砂糖: 3kg +- 塩: 1升 +- 種こうじ: 1袋 +- なす: 3~4kg +- 白うり: 3~4kg +- 土しょうが: 300~400g +- しそ: 400g +- 白ごま: 1合 + +## 作り方 +1. 前日:白米はよく洗い1晩水につけておく。1日目:白麦はよく洗って、ぬるま湯に2時間位つけておく。 +2. 1日目:大豆はいり、熱いうちに水につけ皮を取り水につけておく。(約30分) +3. 1日目:水を切った白米を蒸し(約2時間)米こうじをねかす。 +4. 1日目:白麦の水を切り、いり大豆と混ぜ合わせ、蒸して(約1~1時間30分)麦・豆こうじをねかす。 +5. 2日目:野菜はよく洗って、1cmの厚さに切って、分量の塩の中から塩をして軽い重石をしておく。 +6. 3日目:麦・豆こうじは朝、米こうじは昼頃出こうじとする。もろぶた枚に塩1~2つかみ入れ、涼しいところにおく。 +7. 3日目:野菜は充分水気を切る。ごまはいっておく。しょうがは千切り、しそは1cm巾に切り塩をして軽くしぼる。 +8. 3日目:全部の材料をよく混ぜ、桶に底からきっちり仕込む。落としぶたと重石をして密閉しておく。1ヵ月後から食す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「那賀の産物を生かした手づくりの味」(那賀農業改良普及所(現 ���賀振興局  農林水産振興部  農業水産振興課)) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_3_1.jpg)" +"# 尾の身の刺身 和歌山県 + +**郷土料理名**: 尾の身の刺身 + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +太地町 + +## 主な使用食材 +鯨肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +高緯度海域で餌を食べて太ったクジラは、夏が終わると繁殖活動に従事するために低緯度海域を目指し、真冬に熊野灘を通りかかる。それを狙うのが熊野の古式捕鯨であった。和田頼元は1606年に組織立った捕鯨を始めたことから捕鯨の祖と位置付けられている。1675年に頼元の孫である頼治は網掛け突き取り法を考案し、死んでも浮いているセミクジラやマッコウクジラに加えて、死んだら沈んでしまうザトウクジラも捕れるようになった。この方法ではたくさんの勢子舟(せこぶね)や網舟(あみぶね)が出漁するため、300人を超える男たちが参加する大規模な漁に発展した。やがて網掛け突き取り法は土佐や九州にも伝えられ、領主たちも捕鯨を保護奨励したことにより、日本各地で捕鯨が行われた。江戸時代が終わったことで社会に大きな変化が生じても太地では引き続き古式捕鯨が行われていた。しかし明治11年(1878)12月、太地鯨組は子持ちのセミクジラを追って沖合に流され、2日目の朝には捕獲に成功したものの帰還に時間を要し、午後になって天候が崩れたため船団は漂流し、100名以上が行方不明になった。後に「脊美流れ(せみながれ)」と呼ばれた遭難事故は太地の古式捕鯨に終止符を打ち、間もなくアメリカやノルウェーで発達した近代的な捕鯨方法が導入された。太地では形を変えながら捕鯨は現在も続けられている。熊野の人々はクジラの肉や内臓はもちろん、骨や皮に至るまで、無駄なく消費してきた。最も高価なのが希少部位の「尾の身」で、霜降りの肉は柔らかく、甘みがある。 + +## 食習の機会や時季 +太地で水揚げされた「六鯨」の肉は商品であり、その大部分は、塩を振って樽に詰められ、都市に出荷された。ただし一部は様々な名目で地元民にも配分され消費されていたと考えられる。「六鯨」に含まれていないゴンドウクジラなどの小型歯クジラの肉はいわば自家消費的に地域で流通していたはずで、現在でも根強い人気がある。 + +## 飲食方法 +「尾の身」は「尾肉(おにく)」とも呼ばれる。尾びれの付け根あたりの肉でわずかな量しか採れない。細かなサシが入った霜降り肉で、薄切りにして刺身で食べるのが一般的。鯨肉は、例えば「赤肉」では背肉、腹肉、胸肉など、脂身では「畝須(うねす)」、「皮須(かわす)」、「皮」など、また内臓では「心臓」、「舌(さえずり)」、「食道」、「百畳(ひゃくじょう/胃)」、「百尋(ひゃくひろ/小腸)」などと部位毎に細かく分類されており、それぞれの特徴を活かした様々な調理法が日本各地に伝わっている。希少な霜降り肉は食感や味、脂の量などで「尾肉」、「脂須子(あぶらすのこ)」、「鹿子(かのこ)」、「潮吹鹿子(しおふきかのこ)」などと細分化され、高級品として扱われている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1~2人分) +- クジラの尾の身: 50~100g +- けん(大根・人参): 適量 +- すりおろししょうが: 適量 +- 穂じそ: 適量 +- 醤油: 適量 +- すだち: 1/2個 + +## 作り方 +1. クジラの尾の身の部分の肉を薄切りにする。 +2. 大根や人参のけん、すだち、穂じそをお好みでそえて、しょうが醤油等でいただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 一般社団法人和歌山県調理師会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_4_1.jpg)" +"# さんまずし 和歌山県 + +**郷土料理名**: さんまずし + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +南部地域 + +## 主な使用食材 +サンマ、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +サンマは、10月下旬から3月になると、産卵のために三陸沖から寒流にのって熊野灘に南下する。サンマは和歌山県の沿岸部全域でとれるが、特に南方の熊野灘でとれるサンマは、長い時間潮にもまれて身が引き締まり、小ぶりで脂もほどよく抜けているため、すしに適している。「さんまずし」はもともと、米飯や魚の保存食としてつくられ発展したもので、秋祭りや正月など、人が集まるときに振る舞うごちそうだった。とくに稲作のできない山間部では、貴重な栄養源となっていた。地域によってはサンマのことを「さえら」「さいら」と呼ぶ。硬く握った「さんまずし」は、鉄砲の筒のようでもあることから「さえらの鉄砲」とも呼ばれる。新宮市生まれの作家、佐藤春夫も「さんまずし」を好み、「ふるさとで一番美味しいものは、一にめはり、二にサンマ」と語ったという。 + +## 食習の機会や時季 +秋祭りや正月、船の進水祝いなど、行事ごとになると必ず家庭でつくられていた。現在も、正月にはつきものである。祝い事のときは頭をつけたままで押しずしにする。潮岬を境に、西牟婁郡では腹開き、東牟婁郡では背開き、と捌き方に違いが見られる。大晦日につくり、年明けに焼く「焼きさんまずし」もある。 + +## 飲食方法 +サンマを開いて内臓をとり、べた塩をして洗い流したあとに酢でしめ、すし飯にのせて押さえてかたちをととのえる。小骨までていねいに抜きとってあり、醤油などにつけずそのままいただく。柚子やだいだいのしぼり酢を隠し味に使うと、さっぱりと食べられる。家庭やお店によっては、これを数ヵ月かけて発酵させ、「なれずし」にすることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3~4人分) +- サンマ: 2本 +- 米: 2合 +- 【すし酢】酢: 36ml +- 【すし酢】砂糖: 26g +- 【すし酢】塩: 9g +- 【酢締め用酢】: 酢3に対して砂糖1(サンマがしっかり浸かる程度の量) +- 【酢締め用酢】柚子: お好みでしぼる + +## 作り方 +1. サンマは頭を落とさないように腹開きにし、内臓を取り出して流水で身を洗う。(家庭で難しければ魚屋でさんまずし用でと伝える) +2. 水を拭き取り、べた塩をして、20分程度おく。 +3. 塩を洗い流し、締め酢に20分程度漬ける。酢から上げた後に、骨を抜き、薄皮を優しく剥がす。 +4. 炊きあがったごはんのグラムに対して、すし酢1割程度を目安に合わせすし飯をつくる。ある程度冷ます。 +5. 巻き簾にラップを敷き、サンマの皮目を裏面にしておく。ごはんを棒状に握り、サンマの上に乗せて、巻き簾でかたちをととのえて仕上げる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 郷土料理と日本型食生活(和歌山県生活協同組合連合会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_5_1.jpg)" +"# ごま豆腐 和歌山県 + +**郷土料理名**: ごま豆腐 + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +北部地域 + +## 主な使用食材 +ごま、吉野葛 + +## 歴史・由来・関連行事 +「ごま豆腐」は、弘法大師(空海)が約1200年前に開いた高野山で、厳しい修行の中で食べる精進料理の一つとして生まれたといわれている。ごまは非常に栄養豊かな食品で、その昔、中国では薬として重宝されていた。遣唐使として中国に渡った弘法大師がこれを高野山に持ち帰り、日本で栽培をはじめたとされている。肉や魚を使わない精進料理はたんぱく質が不足しがちになる。そこで、良質のたんぱく質を含むごまを食べて栄養を補っていたと見られる。後に、ごまの栄養を効率よく摂取するために考えられたのが「ごま豆腐」である。ごまを煎らずに生のまま皮を取り除き、高野山の水と吉野葛を合わせてすり鉢で練り上げて炊き上げる。また、1697年に発刊された「和漢精進料理抄」に記されている「麻豆腐」が起源との説もある。昭和に入ると、高野山のお土産として一般に広く知られるようになった。現在は、和食の定番料理の一つである。 + +## 食習の機会や時季 +高野山で修行をする僧侶達の精進料理として欠かすことのできないものだった。現在も、高野山をはじめとする禅寺の食事で供される定番の精進料理である。また、高野山や道の駅などの売店でもお土産として販売されているほか、スーパーマーケットでも購入でき、一般的に身近な料理になっている。 + +## 飲食方法 +わさび醤油や酢味噌をつけて食べるのが一般的だが、出汁を加えたり、和三盆糖や黒蜜をかけてデザートのように食べたりとアレンジを加えても美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 白ごま: 1カップ +- 吉野葛: 70g +- 水: 750ml + +## 作り方 +1. ごまを煎り、ミキサーですりつぶす。それをさらにすり鉢に入れ、油が出るまですりつぶす。 +2. 1のごまに水を加えてこし袋に入れ、油を絞り出す。鍋にしぼり汁を移し、吉野葛を加えて木しゃもじで溶けるまでよくかき混ぜる。 +3. 中火にかけ、気長にかき混ぜながら7~8分程度煮る。適当な固さになったら、水でぬらした流し箱に入れ、冷ます。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「伊都地方の「伝えたい味と食材」ガイド」(和歌山県伊都振興局農林水産振興部伊都地域農業改良普及センター(現 和歌山県伊都振興局農林水産振興部 農業水産振興課)) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_6_1.jpg)" +"# なれずし 和歌山県 + +**郷土料理名**: なれずし + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +有田地方 + +## 主な使用食材 +米、サバ + +## 歴史・由来・関連行事 +祭りなど地域の行事食として古くからつくられている。魚を保存するためにごはんの発酵作用を利用した保存食で、現在までその技術が受け継がれてきた。和歌山の「なれずし」は日本三大なれずしの一つといわれ、約800年以上の歴史がある。その由来にはさまざまな説があるが、いずれも、塩サバにごはんを詰めて植物の葉に包み、数日経ってから食べようとして包みを開けたところ、ごはんが発酵して美味しいすしになっていたことからつくられはじめたといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +秋祭りのごちそうとして振る舞われてきた。夜宮から祭り、その翌日まで、毎日の食事に家族一人に1本ずつ出される。客人には、よく漬かって甘みの出た「なれずし」に、しょうがと甘酒をそえてもてなす。今では少なくなったが、本格的につくる家庭では、1ヵ月前からサバの塩漬けがはじまる。盆が終わる頃に大きなトロ箱で何十匹もの魚が届けられ、たくさんつくって重箱に入れてあちこちの親類に配る。 + +## 飲食方法 +サバを1ヵ月以上塩漬けし、1日がかりで塩抜きをする。米は、粘りがあって硬く握ることができる古米を使うことが多い。塩を加えて炊き、しっかりと握った古米の上にサバをのせて握り込む。殺菌作用のある葉できっちりと巻きつけて、紐でくくる。これを桶にびっしりと詰め、重石を載せて漬け込む。5日ほどするとなれずし特有の匂いがたちこめる。すしを包む葉は、旧清水町(現有田川町)では芭蕉の葉、日高郡や田辺市龍神村、有田市ではアセ(暖竹)、旧吉備町(現有田川町)ではアセやバレンなど、身近にある植物が使われていた。また、有田・日高地方ではサバ、串本から新宮にかけてはサンマやアユなど、その地方でとれる魚を使って各家庭で漬け込まれる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (60個分) +- 米: 1升 +- 梅酢: 90ml +- 塩サバ: 大2匹 +- あせの葉: 70枚 +- 酢: 65ml +- 【調味料A】昆布: 10cm +- 【調味料A】酒: 180ml +- 【調味料A】塩: 適量 + +## 作り方 +1. 米は1時間前に洗っておく。 +2. 米を炊くとき、調味料Aを入れて炊く。 +3. 梅酢をごはんに混ぜ、60個位ににぎる。 +4. 塩サバを薄く切り、酢に漬ける。 +5. 握ったすし飯にサバをのせ、あせの葉で巻く。 +6. すし桶にすしをきっちりと詰め、重石をかけ、4日おいて食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「活かそう、伝えよう、わかやまの食材と食文化」(和歌山県生活研究グループ連絡協議会・和歌山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_7_1.jpg)" +"# いがみの煮付け 和歌山県 + +**郷土料理名**: いがみの煮付け + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +田辺市周辺 + +## 主な使用食材 +イガミ(ブダイ) + +## 歴史・由来・関連行事 +一般的には「ブダイ」と呼ばれる、県南部地域の代表的な磯魚。夏場は独特の磯臭さがあるが、秋から冬にかけては岩場の海藻を主食とするため臭みがなくなって美味になり、肉厚の白身でプリプリとした食感を楽しめる。白浜町富田や田辺市周辺では、正月にタイではなくイガミを尾頭付きで煮付けて食べる習慣がある。また、祭りごとにも欠かせない魚である。「殿さまはタイ、庶民はせめてタイという名がついた魚を」というところから食べられるようになったともいわれており、特別に好まれて食べはじめたわけではないが、味が良いことから広まっていったと考えられる。 + +## 食習の機会や時季 +11��から1月にかけて刺網漁法で水揚げされる。冬場、潮の温度が20度以下になると味が良くなるが、水温が高くなると味が変わるため、田辺市より北でとれるイガミの方の値が高い。白浜町富田や田辺市では、正月になるとタイの代わりに煮付けて食べる。 + +## 飲食方法 +砂糖と醤油、酒で丸ごと煮付けて食べる。内臓を抜くため、祭りや祝い事ではふくらみのあるかたちを保つために腹に大根を詰め込んでおく。煮付けにすると身離れが良く、食感もプリプリとして美味しい。煮汁にはゼラチンが多く溶け出すため冷ますとにこごりができ、これと一緒に身を食べると磯の香りと独特の味わいを楽しめる。煮付けのほか、味噌汁やフライ、鍋物や干物にも向く魚である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- イガミ: 2尾 +- 大根: 1本 +- 竹の皮: 1枚 +- 酒: 200ml +- 【調味料A】醤油: 200ml +- 【調味料A】水: 200ml +- 【調味料A】みりん: 200ml +- 【調味料A】砂糖: 70~100g + +## 作り方 +1. イガミはウロコと内臓をとり、切り目を入れる。 +2. 大根を2cmの輪切りにしておく。 +3. 鍋に酒を入れてひと煮立ちさせ、調味料Aを入れて煮たさせておく。 +4. 竹の皮に大根をおき、その上にイガミをおき、竹の皮を持って鍋に入れる。(大根はイガミの腹に詰めておく。) +5. 強火で時々煮汁をかけながら煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「活かそう、伝えよう!わかやまの食材と食文化」(和歌山県生活研究グループ連絡協議会・和歌山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_8_1.jpg)" +"# うつぼ料理/うつぼの佃煮 和歌山県 + +**郷土料理名**: うつぼ料理/うつぼの佃煮 + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +南部地域 + +## 主な使用食材 +ウツボ、醤油、砂糖など + +## 歴史・由来・関連行事 +「海のギャング」との名称をもつウツボは、気性が激しく、上下に鋭い歯をもつ。どう猛な姿をしたウツボを食用として食べる地域は限られており、和歌山県南部地域もそのひとつである。ウツボは約200種類ほど確認されており、その多くの体長はおよそ1mから1.5m、体重は1kgから5kgである。旬は、11月から3月の冬に迎えるが、寒い時期にとれるウツボは脂がのり、臭みも少ないため、より美味しく食すことができる。ウツボの身は透き通った白身をしており、ほどよい弾力に癖のないさっぱりとした味わいが特徴である。また、たんぱく質やカルシウム、鉄分が豊富なほか、身と皮の間のゼラチン質にはコラーゲンが多く含まれている。和歌山県ではウツボを干してから食べることが多く、秋冬の漁獲時期に開かれたウツボが大量に干されている様子は県南部地域の風物詩となっている。特に干したウツボを揚げ煮にした佃煮は名産品である。佃煮以外にも鍋料理や刺身、タタキ、揚げ料理など、白身で癖のないウツボはどのような料理とも相性がよく、様々な食べ方ができるため、古くから秋・冬の味覚として親しまれてきた。 + +## 食習の機会や時季 +秋から冬の間に旬を迎えるウツボは寒い時期に食される。佃煮や刺身、唐揚げなどの料理以外にも加工食品としても販売されているため、手軽に食すことができる。また、ウツボの揚げ煮の加工食品はお酒にも合うおつまみとして、土産品としても人気がある。 + +## 飲食方法 +佃煮は醤油、砂糖、みりんを水と合わせタレをつくり、とろみがつくまで煮詰める。カリっと揚げたウツボを手早くタレに合わせる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (「うつぼの佃煮」1皿分) +- 干したウツボ: 1尾 +- 揚げ油: 適量 +- ※タレ割合:砂糖2、醤油1、みりん1/3、水1(量はお好みで調整する): 適量 + +## 作り方 +1. 油を中温に熱し、ウツボをこんがり揚げる。(揚げすぎるとにがく、揚げ足りないと生ぐさい) +2. タレを合わせて火にかけ、とろりとなるまで煮詰める、1のウツボに手早くからめる。 +3. ※開いて干したウツボは、下の方は骨が多いので、かなづちで叩いて、2.5cm×1cmの短冊に切っておく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「にしむろ地方の産物と味」(西牟婁地方生活改善友の会(現 西牟婁地方生活研究グループ連絡協議会)) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_9_1.jpg)" +"# 梅干し 和歌山県 + +**郷土料理名**: 梅干し + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +みなべ町、田辺市 + +## 主な使用食材 +梅 + +## 歴史・由来・関連行事 +江戸時代、稲作ができないやせ地は年貢が免除される免租地だった。紀州藩田辺領はやせ地が多く、農民は重い年貢に苦しんでいた。そこで田辺領の城代家老、安藤直次が、農民の年貢の負担を軽減するために、やせ地に自生していた「やぶ梅」に注目し、栽培を推奨した。これが本格的な梅栽培のはじまりとされている。温暖な気候に加え、低い山に囲まれ日当たりの良い気候風土が梅栽培に適していたため、県南部地域を中心に栽培が広がっていったといわれる。その後、高品質な「梅干し」が生産され、江戸でも「田辺梅」として称賛されるようになった。明治以降になると、日清・日露戦争や第二次世界大戦で軍用食として「梅干し」の需要が増加し、生産量が増えていった。また、明治10年代にはコレラや赤痢が流行したことで、「梅干し」需要が増えた。大粒で肉厚な現在の「南高梅」は、昭和40年 (1965年)に、長年にわたる優良系統探索の末、選抜され品種登録されたものである。毎年1月末から2月末にかけて梅林に梅の花が咲き誇り、その景色は「一目百万、香り十里」といわれている。 + +## 食習の機会や時季 +毎年、我が家流の漬け方で「梅干し」をつくる家庭が多い。また、かつては、土用干しした梅を今年食べる分だけ梅酢に漬け、残りは蔵に保存しておいて、災難時などに非常食として食べる慣習があった。 + +## 飲食方法 +そのまま食べたり白米にのせたりするだけでなく、青魚を煮付ける際に1粒か2粒入れると魚の臭みが抜ける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1桶分) +- 黄色い(熟した)梅: 1kg +- 粗塩: 200g +- ストックバッグ: 2枚 +- 焼酎 (またはお酢): 適量 +- 重石: 1kg(梅と同じ重さ) + +## 作り方 +1. 梅を軽く水洗いし、よく水気を切る。 +2. ストックバッグの内側を焼酎(35度以上)やお酢で消毒。(液漏れを防ぐため、大手メーカーの厚手のストックバッグを使ってください) +3. ストックバックの中で塩と梅を混ぜる。まんべんなく馴染んだら、袋の空気を抜く。ストックバッグの口はしっかりと閉める。 +4. ストックバックを2重にし、均等に重さがかかるように平たく受け皿に並べ、その上に重石をのせる。(受け皿を使用するのは液漏れの恐れがあるため) +5. 2~3日程度で梅酢があがってくるので、重石をはずす。又、空気が出てきたら適時空気を抜く。ストックバッグの口はしっかりと閉める。 +6. 仕込み後約1ヵ月で漬け込みは終了。(そのまま漬け込んでいても大丈夫)天気が3~4日程度続くのを見計らって、天日干しする。太陽にまんべんなく当てるのがポイント。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 郷土料理と日本型食生活(和歌山県生活協同組合連合会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_10_1.jpg)" +"# 柿の葉寿司 和歌山県 + +**郷土料理名**: 柿の葉寿司 + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +かつらぎ町、九度山町 + +## 主な使用食材 +柿の葉、米、サバ、しいたけ、エビ + +## 歴史・由来・関連行事 +紀の川流域の伊都地方は柿の名産地で、特に、九度山町は富有柿、かつらぎ町はたねなし柿の産地として有名である。すし飯に具材をのせて、紅葉した柿の葉で包んだ「柿の葉寿司」は、江戸時代に生まれたといわれ、かつては秋祭りに振る舞うごちそうだった。柿の葉には、抗菌・抗酸化作用のあるタンニンが多く含まれていることから、葉で巻くことですしの保存性を高めていたものと思われる。具材には、熊野灘から紀の川上流まで船で運ばれたサバやカチエビの甘辛煮などの海産物のほか、しいたけ、かまぼこ、油揚げ、卵など、身近にある食材をなんでも使う。柿の葉は、渋柿のきれいに紅葉した葉を、天気の良い乾燥した状態のものをとってきて使う。柿の葉特有の良い香りが、すしに馴染んで味わい深いものである。 + +## 食習の機会や時季 +昔は秋祭りに欠かせないハレ食だった。最近では季節や祭りにかかわらず、一年を通してさまざまな具材を使って食されている。いつでもつくられるように柿の葉を塩漬けにして保存しておき、来客��に「柿の葉寿司」をつくって客人をもてなすこともあった。 + +## 飲食方法 +すしを柿の葉でくるんで、重石をして一晩押すと、酢と白米と具材が馴染んで味が良くなる。柿の葉で一口サイズに包まれているため、柿の葉をお皿がわりにして、お箸を使わずに手軽に食べることができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (90~100個分) +- 米: 1升 +- 干ししいたけ: 適量 +- 柿の葉: 90~100枚 +- 塩サバ: 適量 +- 干しエビ: 適量 +- 【調味料A】砂糖: 150~170g +- 【調味料A】酢: 180~200ml +- 【調味料A】塩: 大さじ1 + +## 作り方 +1. すし飯を90個から100個位にぎる。 +2. 柿の葉はしぶ柿の葉を使う。 +3. サバは薄くそぎ切りにして酢に30分位つける。 +4. エビはもどしてから煮付ける。 +5. しいたけはもどしてから煮付ける。 +6. 柿の葉ですし飯と具を包み、すし桶に押す。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 郷土料理と日本型食生活(和歌山県生活協同組合連合会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_11_1.jpg)" +"# かきまでご飯 和歌山県 + +**郷土料理名**: かきまでご飯 + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +日高地方 + +## 主な使用食材 +米、焼サバ、人参、高野豆腐、干し椎茸、油あげ、ちくわ、こんにゃく、たけのこ + +## 歴史・由来・関連行事 +日高地方では、昔からお祝い事や法事、ひな節句、お祭りなど人が集まる行事で「かきまでご飯」が振る舞われてきた。これは、焼き魚の骨で出汁をとり、季節の野菜を炊いて味付けし、酒を入れて炊いたごはんに混ぜ合わせるもので、酢は使わない。「かきまぜ」がなまって、「かきまでご飯」と呼ぶ。かつて、日高地方ではサバがよくとれたことから、ごはんに混ぜるようになったのではないかといわれている。ちらし寿司とは異なり、温暖な気候を生かして栽培する農作物や紀伊水道で漁獲される新鮮なサバを使った、やさしい味わいのまぜごはんである。 + +## 食習の機会や時季 +慶弔やお祭りなど、人が集まる行事で昔から振る舞われてきた。 + +## 飲食方法 +サバの骨で取っただし汁で、具を炊き調味する。温かいごはんに混ぜ合わせて食するが、地域によっては少し酢を入れるところもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (7人分) +- 米: 5合 +- 酒: 50ml +- 【かきまでご飯の具】焼きサバ: 1/2本(約200g) +- 【かきまでご飯の具】人参: 1/2本(約60g) +- 【かきまでご飯の具】高野豆腐: 2個(約 30g) +- 【かきまでご飯の具】干しいたけ: 2~3枚(約15g) +- 【かきまでご飯の具】油揚げ: 1枚(約50g) +- 【かきまでご飯の具】ちくわ: 1本(約50g) +- 【かきまでご飯の具】こんにゃく: 1/2丁 (約120g) +- 【かきまでご飯の具】ごぼう: 50g +- 【かきまでご飯の具】きぬさや: 適量 +- 【かきまでご飯の具】紅しょうが: 適量 +- 【調味料】醤油: 120ml +- 【調味料】砂糖: 130g +- 【調味料】だし汁: 300ml + +## 作り方 +1. 米は洗って水気をきり、炊飯器に入れ、酒と水を加え、少しかために炊く。 +2. 焼きサバは骨を取り、ほぐしておく。 +3. サバの骨に水300mlを加え、煮立ててだしをとる。 +4. 高野豆腐、干ししいたけは戻して千切りにする。人参も千切りにする。 +5. こんにゃくは千切りにし、さっとゆでてアクをとる。 +6. 鍋にサバのほぐし身と千切りにした具、ごぼうを入れ、手順3のだしに砂糖、醤油を加え、煮る。 +7. 炊きあがったごはんに手順6の具材を汁ごと加え、混ぜ合わせる。 +8. 器に盛り、塩ゆでしたきぬさやの千切り、千切りにした紅しょうがを上に散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 日高地方生活研究グループ連絡協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_12_1.jpg)" +"# かきまぶり 和歌山県 + +**郷土料理名**: かきまぶり + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +岩出市、紀の川市 + +## 主な使用食材 +米、高野豆腐、干ししいたけ、人参、たけのこなど + +## 歴史・由来・関連行事 +紀の川平野の東部に位置する那賀地方では、稲作を中心に、柿や桃など、気候風土に合わせた作物が生産されてきた。特に、江戸時代に整備された灌漑用水路によって、県下の穀倉地帯として発展してきた。こうして地域で生産されてきた米と乾物や季節の野菜などを使って、古くから多彩なすしが��くられ、郷土の味として伝わっている。その一つが、四季の野菜などをすし飯に混ぜてちらしずしにした「かきまぶり」である。家庭でのお祝いごとなど、人が集まるときにたくさんつくって振る舞うほか、昔は田植え休みのごちそうだった。「まぶり」は、那賀地方で「かき混ぜる」という意味の方言で、「かき混ぜ」と混ざって「かきまぶり」になった。 + +## 食習の機会や時季 +祝い事やお彼岸など、来客が多い時につくる。客が何人来るか分からない人寄せの食事のときは、かきまぶりと汁物をたくさんつくって用意しておく。具材全てを一緒の煮汁で炊き上げるため、大量につくりやすい。昔は鮮魚を使わず乾物や野菜だけでつくられていたが、最近ではエビなどの具材を加えて家庭で伝承されている。 + +## 飲食方法 +高野豆腐や干ししいたけ、ごぼうなど、乾物や地域でとれる季節の野菜などを入れてすし飯と混ぜ、錦糸卵や紅しょうがで華やかに彩る。地域によってはしらすや梅干しを入れたり、地域でとれた柑橘類をすし酢として使ったり、合わせ酢にちりめんじゃこを入れて味を引き立てることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5~6人分) +- 米: 4合 +- だし汁: 2カップ +- 高野豆腐: 1枚 +- 干ししいたけ: 3枚 +- たけのこ: 100g +- 人参: 100g +- 赤かまぼこ: 1/2本 +- いんげん: 70g +- 錦糸卵: 卵3個分 +- きざみのり: 適宜 +- 紅しょうが: 適宜 +- 【合わせ酢】酢: 75ml +- 【合わせ酢】砂糖: 40g +- 【合わせ酢】塩: 小さじ1 +- 【合わせ酢】みりん: 大さじ2 +- 【調味料A】薄口醤油: 大さじ2 +- 【調味料A】砂糖: 20g +- 【調味料A】みりん: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 高野豆腐は、熱めの湯につけてもどし、水の中で手のひらで挟んでよくしぼり、小さく短冊切りにする。 +2. 干ししいたけは水にもどし、石づきをとって細切りにする。たけのこは小さく切り、赤かまぼこも細かく切る。人参は洗って皮をむき、小さく切る。 +3. いんげんは筋をとって、塩一つまみ加えた熱湯で色よくゆで、斜め切りにする。 +4. 鍋にだし汁と調味料Aを入れて煮立て、1、2の材料を入れて汁がなくなるまで煮含める。かまぼこは火を止める直前に入れる。 +5. すし飯に汁気を切った4の具を加え、全体を混ぜる。 +6. 器に5を盛って、錦糸卵、いんげん、細切りした紅しょうが、きざみのりを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「伝え育てる那賀の味料理集」(那賀まるごとフェアー実行委員会他) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_13_1.jpg)" +"# こけら寿司 和歌山県 + +**郷土料理名**: こけら寿司 + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +北部地域、南部地域 + +## 主な使用食材 +米、魚、エビ、野菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +「こけら寿司」は、すし飯の上に焼いてほぐした魚やしいたけ、人参、卵などをのせ、木枠で押し固めたすしのことで、「押しずし」や「箱ずし」の原型といわれている。すしを押し固める木枠に、屋根をふく「こけら板」を用いたことから「こけら寿司」と呼ばれるようになったという説や、材木を削るときに出る木屑の「こけら」に見た目が似ているために「こけら寿司」と名付けられた、など名前の由来には諸説ある。上にのせる具は地域によってさまざまである。和歌山市の田ノ浦漁港近辺では、かつて、魚の供養とその年の豊漁を祈願して夏祭りをおこなっていた。このとき、春から夏にかけてとれる「ヒメジ」や「エソ」を使った「こけら寿司」を振る舞う。ヒメジは、三枚におろして塩をしてしばらくおかなければならないため、夏祭りが近づくと前もって準備していた。和歌山市雑賀崎でつくる「こけら寿司」は、底びき網漁で水揚げされるエソのそぼろを使う。頭と尾、内臓を取り除いて焼き、小骨を丁寧に取り除いてつくる、おもてなし料理の一つだ。身を柔らかくするために包丁でトントンと叩くことから、「トントンずし」とも呼ばれている。和歌山市松江の「こけら寿司」は、エビやタイのほぐし身とすし飯を幾重にも重ねてつくる。また、エビの代わりに赤魚を使うこともある。那智勝浦町では、黒豆や川エビ、しいたけ、高野豆腐、人参などの具材を散りばめる。すしの仕切りに、夏祭りの頃はバショウの葉を、���祭りやお正月は高菜の葉を使う。 + +## 食習の機会や時季 +夏祭りや秋祭りなど、お祝い事のときに振る舞うおめでたいハレ食だった。 + +## 飲食方法 +固くなったすしは、焼いて食べても一味違った美味しさを味わえる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6~8人分) +- 【すし飯】米: 5合 +- 【すし飯】酢: 90ml +- 【すし飯】砂糖: 90g +- 【すし飯】塩: 25g +- 卵: 2個 +- 高菜の葉: 5枚・6枚程度 +- 黒豆: 100g +- しいたけ: 6枚 +- 高野豆腐: 4枚 +- 人参: 1本 +- 川エビ: 100g +- 紅しょうが: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 卵は薄焼き卵をつくり、1cm角に切る。 +2. 黒豆、川エビ、しいたけ、ごぼう、高野豆腐、人参は、だし汁、砂糖、醤油、塩でそれぞれ別々にしっかり味付けする。具は黒豆より小さめに切る。 +3. 箱の下に高菜を敷き、酢飯を1cmから1.5cm位の厚さにぎっしりと敷きつめる。 +4. 表面を平らにした上に7種類の具をばらばらに散らす。 +5. 再び高菜を敷いて酢飯を敷き、その上に具を散りばめる。 +6. これを繰り返す。(2~3段にする) +7. 最後は高菜をのせ、上に板をのせ、重石(3~4kg)で12時間以上おく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「活かそう、伝えよう!わかやまの食材と食文化」(和歌山県生活研究グループ連絡協議会・和歌山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_14_1.jpg)" +"# しらす丼 和歌山県 + +**郷土料理名**: しらす丼 + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +北部、中部地域 + +## 主な使用食材 +シラス、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +3月下旬から5月にかけてシラス漁が最盛期を迎える。この時期、和歌山市の友ヶ島から日ノ岬沖までの紀伊水道では、カタクチイワシやマイワシ、ウルメイワシなどの稚魚が豊富に水揚げされる。特に、和歌山市加太や有田郡湯浅町は県内有数のシラス産地で、加太は生シラス、湯浅では釜揚げシラスの生産が盛んである。県内でシラスの水揚げ量一位を誇る湯浅町では、「バッチ網」と呼ばれる漁法でシラス漁をおこなっている。これは、網目が1mmほどの細かい網を二隻の小型船で引っ張り、魚群を囲む方法である。網が男性の下着の「バッチ」に似ていることから、この名前がついた。近隣の美浜町煙樹ヶ浜では、今も昔ながらの地びき網でシラス漁をおこなっている。水揚げされた新鮮なシラスは、すぐ近くの工場に運ばれて湯が煮えたぎる大釜で塩ゆでされる。ゆであがったシラスは、よしずに広げて天日干しされる。これをごはんにのせて食べるのが、「しらす丼」。湯浅町では、地元発祥の湯浅醤油や金山寺味噌をそえて食べることも多い。また、生の「しらす丼」を提供する店もある。新鮮なシラスをとれる港町ならではの名物だ。 + +## 食習の機会や時季 +釜揚げシラスは一年中店頭に並ぶが、3月下旬から春先にかけてとれるシラスは旬ならではの味を楽しめる。 + +## 飲食方法 +醤油と味だけのシンプルな味付けもあれば、ポン酢をかけたり梅干しや金山寺味噌をのせたりすることもあり、各家庭の好みで自由に味付けをする。薬味はねぎやしその葉を使う。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- シラス(釜揚げ): 240g +- しそ: 8枚 +- 梅干し: 4個 +- 米: 3合 +- ごま油: 大さじ4 +- 醤油: 少々 + +## 作り方 +1. しそは千切りにする。 +2. 炊き立てのごはんを丼に盛る。 +3. シラスをのせて醤油とごま油を振ったら、しそと梅をそえる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 郷土料理と日本型食生活(和歌山県生活協同組合連合会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_15_1.jpg)" +"# みかん餅 和歌山県 + +**郷土料理名**: みかん餅 + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +有田市 + +## 主な使用食材 +もち米、みかん、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +和歌山県は、全国でも有数のみかん生産量を誇る。特に有田みかんの産地である有田地方は、山という山がみかん畑である。天正二年(1574年)に有田市糸我の伊藤孫右衛門が、九州肥後国(熊本県)八代からみかんの苗木を持ち帰り、植えたのがはじまりといわれている。有田市は、山と海が迫り、稲作に適した平地が少ないが、一方で温暖な気候風土がみかん栽培に適している。そのため、紀州藩もみかん栽培を推奨し��盛んに栽培されるようになった。その後、伊藤孫右衛門が持ち帰ったみかんの樹を広め、現在の有田みかんの原型である「紀州小みかん」産地が生まれたとされている。さらに、1634年に滝川原藤兵衛がはじめて船で江戸に紀州みかんを運ぶと、有田のみかんは美味しいと江戸でも評判になっていった。1685年11月に海が荒れて船が出せない日が続いた時、江戸でみかんの価格が高騰していることを知った有田の豪商、紀伊國屋文左衛門が、荒れる海の中を決死の覚悟で船を出し、江戸にみかんを運んで富を得たという逸話も残っている。「みかん餅」は、ふるさと料理の研究から生まれたお菓子で、紀州の特産であるみかんをもち米の上にのせて蒸しあげ、みかんの皮をむいてからもち米と一緒についたもの。色や香りが良くさわやかな酸味を楽しめる。 + +## 食習の機会や時季 +5月頃になると、みかんの木は段々畑一面に白い花を咲かせ、有田の町全体に良い香りが漂う。秋になると黄色い実が山を彩る。10月頃から極早生が、11月頃から早生、12月になると晩生が収穫できる。 + +## 飲食方法 +そのまま食べると柔らかいが、表面をこんがり焼くと周りはパリッとして中はトロトロになり、いっそう食感を楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20人分) +- もち米: 1.4kg +- みかん: 5~6個 +- レモン: 少々 +- 砂糖: 80g + +## 作り方 +1. 前日もち米を洗い一晩水に浸ける。 +2. 水気を切ったもち米を、蒸し器に入れて、その上によく洗ったみかんを丸ごとのせ、1時間蒸す。 +3. 餅つき機に蒸らしたもち米と皮をとったみかん、砂糖を入れてよくつく。 +4. つきあがった餅にレモン汁を加えてつき、適当な大きさに丸める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「活かそう、伝えよう!わかやまの食材と食文化」(和歌山県生活研究グループ連絡協議会・和歌山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_16_1.jpg)" +"# いのこ餅 和歌山県 + +**郷土料理名**: いのこ餅 + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +北部・南部地域 + +## 主な使用食材 +米、もち米、里芋、小豆あん + +## 歴史・由来・関連行事 +農耕の神様として古くから祀られている亥は、旧暦2月の春の亥の子に訪れて田んぼに稲や麦をつくり、農事を終えると旧暦10月の秋の亥の子(亥の日)に帰っていくといわれている。稲作が盛んだった県北部地域では、秋の収穫が終わった亥の日には、実りに感謝して、亥の神様の好物である小豆のあんを餅にまぶした「いのこ餅」を供える習慣があった。平年は12個、うるう年は13個を半分ずつ一升ますに入れる。県南部地域でも、田辺市大塔村鮎川地区の秋祭りで「いのこ餅」がつくられる。お神酒や焼いたサンマの干物、新米の俵の上に大根のなますや柚子、新米で炊いたごはんと菊の花を添えるのが習わしである。「いんのこ餅」とも呼ばれる。かつては、子どもたちがわらべうたを唱えながら各戸をまわって餅をいただく風習があった。 + +## 食習の機会や時季 +旧暦の10月の最初の亥の日になると実りの秋に感謝し、神仏に供えて「一番亥の子」として祝い、親戚を招いて「いのこ餅」を振る舞う。そのため、秋の収穫が済む頃に、この日のために餅をついて「いのこ餅」づくりに備える。 + +## 飲食方法 +うるち米とうるち米の半量程度のもち米に里芋を入れて炊き上げ、冷めないうちに芋を潰してごはんと一緒にかき混ぜる。これを「さるの頭」といって、あんころ餅より一回り大きいくらいのサイズに丸くにぎる。その上に、塩を入れた小豆のつぶあんをつける。かつては、あんには砂糖は入れなかったという。「いのこ餅」は、冷めてもお餅のように硬くならず口当たりが良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (15人分) +- 米: 4カップ +- もち米: 2カップ +- 里芋: 500g +- 塩: 小さじ2 +- 【小豆あん】小豆: 400g +- 【小豆あん】砂糖: 500g +- 【小豆あん】塩: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 小豆にひたひたの水を加え、柔らかくなるまで煮て、砂糖、塩を入れて煮詰め、粒あんをつくる。 +2. 米ともち米は洗って30分程おく。 +3. 里芋は皮をむいて小さく切り、アクをとるためにさっとゆがく。 +4. 2と3に塩を加え、一緒にやや固めのごはんを炊く。 +5. 熱いうちにすり��ぎでよくすりつぶし、丸く平べったい餅をつくる。 +6. 5を小豆あんで包む。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「活かそう、伝えよう!わかやまの食材と食文化」(和歌山県生活研究グループ連絡協議会・和歌山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_17_1.jpg)" +"# いももち 和歌山県 + +**郷土料理名**: いももち + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +南部地域 + +## 主な使用食材 +さつまいも、もち米 + +## 歴史・由来・関連行事 +熊野灘沿いの地域では、海沿いに少しの平野が開け、その背後にはすぐ山が迫っているため、稲作に適した平地が少ない。一方さつまいもは、赤土の台地でもつくりやすく甘みが強いものができるため、麦とともに栽培が盛んで、米に代わる主食として毎日の食事で食べられていた。いももちは、より少ないもち米で餅をつくる知恵から生まれた。熊野地方でさつまいも栽培がはじまったのは江戸時代である。串本に住む植松弥助が九州の日向に赴いた際にさつまいもという芋が美味しいことを知り、串本に持ち帰った。栽培してみると、紀州の気候風土がさつまいもに適しており、たくさん収穫でき、また貯蔵もできることから県南部地域の各地に広まっていったとされている。当時は、藩の利益を守るために苗木や栽培方法を外部に出すことは禁じられており、外部の人間が持ち帰ることは容易なことではなかった。そうした時代背景の中で遠く離れた県南部地域にさつまいもを持ち帰った植松弥助は、没後その功績を讃えられ、明治時代に和歌山県知事から表彰されている。「いももち」の他にも、つぶしたさつまいもにお茶をかけて食べる「うけじゃ」、「いも茶がゆ」、「芋入りごはん」、「ゆで干しいも」など、さつまいもを使った郷土料理は多い。 + +## 食習の機会や時季 +現在ではおやつとして子どもから大人までに食べられている。 + +## 飲食方法 +つくってすぐは柔らかくてそのまま食べられるが、冷めると固くなるため、焼いて食べる。砂糖が貴重だった頃はさつまいもの甘みだけでつくられていたが、最近では、好みで小豆あんを入れて甘みを出すこともある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (90個分) +- さつまいも(皮むき): 4kg +- 白餅: 約2.2kg +- とりこ: 適量 +- あん: 適量(お好みで) +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. もち米は洗って、一晩水に浸けておく。 +2. 皮をむいたさつまいもは適当な大きさに切って、アク抜きをする。 +3. 2を蒸し、蒸しあがったら餅をのせて、さらに蒸す。 +4. 餅つき機に移し塩を10g入れてつきあげる。 +5. 飯切りにとりこを広げ、4を適当な大きさにとり、中にあんを入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「活かそう、伝えよう!わかやまの食材と食文化」(和歌山県生活研究グループ連絡協議会・和歌山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_18_1.jpg)" +"# うずみ 和歌山県 + +**郷土料理名**: うずみ + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +古座川町 + +## 主な使用食材 +米、しいたけ、豆腐など + +## 歴史・由来・関連行事 +「うずみ」は、しいたけや昆布でだしをとったすまし汁に、豆腐やしいたけの具を入れ、その下にごはんを埋めた法事料理。ごまやねぎ、しょうが、柚子などの薬味を入れていただく。「うずみ」は、東牟婁郡古座川流域の最奥部に位置する平井集落の郷土料理で、ここでしか伝承されていない。古座川は旧大塔村(現田辺市)や旧日置川町(現白浜町)に隣接しており、1221年の承久の乱で都を追われた村上一族が逃れてたどり着いた地である。京都の茶懐石に「うずみ料理」というものがあり、柚子を使う贅沢な味であることから、村上一族が京都からの風習をこの地に伝えたことが「うずみ」の起源といわれている。「うずみ」という名前は、汁にごはんをうずめることから呼ばれるようになったという。またそれ以前に、もともと平井は1185年の壇ノ浦の戦いのあとに平家の落人が開いた集落といわれており、農民が貴重な白米が見つからないように具材の下に隠して食べたことが由来ともいわれている。古座川の源流に近い山里にひっそりと伝わる「うずみ」。精進料理のため、昆布としいたけで出汁をと��たシンプルな料理だが、香り高くて味わい深く、白い豆腐に柚子としょうが、ねぎの色どりが美しい。 + +## 食習の機会や時季 +逮夜(たいや)と呼ばれる法事の前日に食べ、仏を供養する。 + +## 飲食方法 +柚子のみじん切りや白ごま、しょうがのすりおろし、ねぎなどを薬味として好みで加えて食べる。すまし汁を器に入れてからごはんを入れるのが、この料理の作法である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 出汁昆布: 10cm角3枚 +- 生しいたけ: 300g(または乾燥150g) +- 木綿豆腐: 2丁 +- 【薬味】青ねぎ: 5本 +- 【薬味】みかん皮: 3個分 +- 【薬味】ごま: 150g +- 【薬味】しょうが: 適宜 +- 【薬味】ごはん: 少量 + +## 作り方 +1. 昆布をさっと洗って、水8カップを入れた鍋に入れておき、火にかけて沸騰したら昆布をとり出す。 +2. 石づきをとって、千切りにしたしいたけを入れて、弱火で2分~30分程度煮て、だし汁をつくる。 +3. 塩さじ1、薄口醤油小さじ2で、薄味に味付けし、1cm角に切った豆腐を入れる。 +4. 薄味の青ねぎは小口切り、みかんの皮は白いワタを除いてみじん切り、しょうがはすりおろす。 +5. 豆腐が浮き上がったら椀に入れ、ごはんを少し入れて薬味を好みで浮かせ熱いうちに食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「地域伝統食材に関する実態調査結果」(和歌山県農業会議) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_19_1.jpg)" +"# 豆ごはん 和歌山県 + +**郷土料理名**: 豆ごはん + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +中部地域 + +## 主な使用食材 +うすいえんどう、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +和歌山県は全国有数のえんどう産地で、印南町、日高川町、みなべ町、御坊市、美浜町、由良町など、県内の多くの地域で「うすいえんどう」、「きぬさやえんどう」、「オランダえんどう」、「スナップえんどう」などの多品種が栽培されている。えんどう豆の歴史は古く、世界ではギリシア時代から栽培されていたといわれるが、日本にヨーロッパ系のさや用種が導入されたのは、江戸時代中期である。一方、うすいえんどうが和歌山で栽培されるようになったのは、それよりも後である。明治時代にアメリカから大阪の羽曳野市に導入されたものが和歌山県に伝わり、温暖な気候が適していたこともあり生産者が増加していった。その後、生産者の努力や県の指導によって栽培技術が向上し、品種改良されて現在のうすいえんどうになった。粒が大きく、甘みがあり、ホクホクとした食感を楽しめるこのうすいえんどうは、平成18年(2006年)に地域団体商標「紀州うすい」として登録された。豆の産地の郷土料理である「豆ごはん」は、春になると米が少なくなる一方で、えんどう豆が収穫期を迎えるため、米に豆をたくさん入れて増量したことがはじまりとされている。塩だけで味を付けて炊き上げた「豆ごはん」は、豆の風味や甘みを感じられ、子どもにも好まれている。 + +## 食習の機会や時季 +4月から5月頃になると、うすいえんどうが収穫期を迎える。旬の時期のうすいえんどうは、端まで実がつまって粒が揃っていて、つやがあり、独特のホクホク感を楽しめる。 + +## 飲食方法 +米と一緒に炊き上げると緑の豆が茶色に変わっていくが、豆の風味がごはんにうつって美味しい。豆をきれいな緑色のままにするには、炊き上がる5分ほど前になってから豆を入れると良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 3合 +- うすいえんどう: 200g(正味) +- 酒: 大さじ2 +- 塩: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 炊き始める30分前に、お米を洗ってざるにあげておく。 +2. うすいえんどうをむき、豆をやさしく洗う。 +3. 炊飯器に米と水(普通炊きの水加減)を入れ、分量のお酒と塩を入れて混ぜる。 +4. うすいえんどう加える。 +5. 普通炊きで炊飯する。 +6. 炊きあがったら、ざっくり混ぜる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 郷土料理と日本型食生活(和歌山県生活協同組合連合会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_20_1.jpg)" +"# ゴンバチの油炒め 和歌山県 + +**郷土料理名**: ゴンバチの油炒め + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +南部地域 + +## 主な使用食材 +ごんばち + +## 歴史・由来・関連��事 +「ごんばち」は、正式には「イタドリ」というタデ科の植物で、春になると山に自生する山菜の一種である。日当たりの良い土手や河原、土手崩れの跡など、日本各地に広く分布している。和歌山県のごんぱちの消費量は多い。地域によっては「すかんぽ」や「すっぽん」とも呼ばれている。太くて若く、よくのびた茎を根元から折ると「ポン!」という良い音が響く。油炒めや煮物、和え物、佃煮など、地域や家庭によっても調理方法に特色があるが、油との相性がよく、サッと炒めるとコリコリとした歯ごたえとほんのりとした酸味を感じられて美味しい。 + +## 食習の機会や時季 +春になると日常的に食卓にのぼる料理で、昔から庶民に愛されてきた味である。塩漬けにすると長期間保存でき、一年中食べられる。 + +## 飲食方法 +とってきたらすぐに熱湯にくぐらせて皮をむく。数時間天日に干して、少ししんなりしてから皮をむいても良い。昔は皮をむいて緑色の茎を生のまま食べていたという。シュウ酸が含まれているため食べ過ぎには注意が必要である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ごんばち(いたどり): 200g +- 唐辛子: 1本 +- 酒: 小さじ2 +- 砂糖: 小さじ1 +- 淡口醤油: 大さじ1 +- みりん: 小さじ2 +- だし汁: 小さじ2 +- ごま油: 適量 +- ごま: 少々 + +## 作り方 +1. ごんばちは塩抜きしたものを食べやすい大きさに(火が通りやすい大きさ)切り、唐辛子は種をとり、小口切りにする。 +2. フライパンにごま油を入れ、ごんばち、唐辛子を入れ炒める。醤油、砂糖、みりん、酒、だし汁で調味し、ごまを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「活かそう、伝えよう!わかやまの食材と食文化」(和歌山県生活研究グループ連絡協議会・和歌山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_21_1.jpg)" +"# しょうが飯 和歌山県 + +**郷土料理名**: しょうが飯 + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +和歌山市 + +## 主な使用食材 +しょうが、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +和歌山市の河西や布引など、紀の川沿いに広がる柔らかい砂地地帯では、温暖な気候を生かし、大正初期からしょうがの栽培がおこなわれてきた。昭和22年頃から本格的な露地栽培がはじまり、昭和40年代からはハウス栽培が普及したことによって栽培面積が増加していった。生産されているのは、冬に植えて夏に収穫する新しょうがが中心で、全国有数の産地である。収穫が遅れると品質が低下するため、植え付け後は180日以内に収穫する。乾燥させると色味がくすむため、収穫後はすぐにビニールをかぶせて作業場に運び、水洗いする。これによって新しょうが特有の白い肌になる。新しょうがは普通のしょうがと比べて辛味が少なく、水分を含んでいるので瑞々しい歯ごたえを楽しめる。収穫したその日のうちに京阪神市場を中心に、東京や名古屋方面にも出荷される。繊維が柔らかいためガリとしても高い評価を得ており、著名な料理人や高級料亭、高級寿司店でも使われている。この新しょうがを米と一緒に炊き上げる「しょうが飯」は、爽やかな香りが食欲をそそる一品。炊きあがったばかりのごはんと一緒に蒸らし、混ぜて食べてもさっぱりとして食べやすい。 + +## 食習の機会や時季 +新しょうがの旬である5月から10月に収穫・出荷されたものを使ってつくる。食欲のない夏場もさっぱりと食べやすい。また血行をよくする働きがあるため、風邪予防や冷え性対策としても使われる。 + +## 飲食方法 +ごまや薬味のねぎを加えて食べる。このほか、天ぷらや佃煮、ジンジャーエールにしても独特の香りを楽しめ、美味しくいただける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5~6人分) +- 米: 3カップ +- 新しょうが: 80g +- 出汁昆布: 5cm位1枚 +- 【調味料A】酒: 大さじ2 +- 【調味料A】醤油: 大さじ1 +- 【調味料A】塩: 小さじ1/2 +- 【調味料A】だしの素: 少々 + +## 作り方 +1. 米は洗って炊飯器に入れ、調味料Aを加え、普通の水加減をする。 +2. 新しょうがの千切りを1に加え、出汁昆布をのせ、炊きあげる。 +3. ※油揚げを入れても美味しい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「活かそう、伝えよう!わかやまの食材と食文化」(和歌山県生活研究グループ連絡協議会・和歌山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_22_1.jpg)" +"# 太刀魚料理/太刀魚寿司 和歌山県 + +**郷土料理名**: 太刀魚料理/太刀魚寿司 + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +有田市 + +## 主な使用食材 +太刀魚 + +## 歴史・由来・関連行事 +和歌山県内の各地で漁獲される太刀魚。中でも、有田市の箕島漁港が面する紀伊水道は大阪湾からの海水と黒潮がぶつかる好漁場で、太刀魚専用の網を使った小型底びき網漁法が古くからおこなわれてきた。水揚げ量は県全体の約8割を占める。1992年から15年間の漁獲量で連続日本一を達成し、有田川の橋のたもとには記念として太刀魚のモニュメントが建造されている。漁船は午前3時頃に出港する。太刀魚は非常に足の早い魚であるため、引き上げられると船の上で即座に氷でしめられる。午後3時頃になると船が一斉に帰港し、陸にあげられるとすぐに競場へ運ばれる。小魚を追いかけて湾に入ってくるため、地元の釣り人もルアーで釣り上げる身近な魚である。一般的には高級魚だが、地元の人には親しみを込めて「たっちょ」と呼ばれ、家庭の夕食にもよくのぼる。 + +## 食習の機会や時季 +6月から10月までが旬で、この時期の太刀魚は特にあっさりと上品な味が楽しめる。 + +## 飲食方法 +淡白な味で、刺身や塩焼き、天ぷら、煮物などさまざまな料理に合う。幅の狭い小さな太刀魚はさばいても身が薄いため、刻んで酢味噌などで食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (太刀魚寿司/10~20人分) +- 米: 1升 +- 太刀魚: 5匹 +- 酢: 400ml +- 塩: 500g +- 白干し梅: 10個 +- 【調味液】酢: 1000ml +- 【調味液】砂糖: 110g +- 【調味液】塩: 35g +- 【調味液】化学調味料: 少々 + +## 作り方 +1. 太刀魚を3枚におろし、塩をして3~4時間くらいつけておく。 +2. 酢水で洗う。酢に2時間つける。 +3. ごはんを炊き20分間蒸らす。 +4. ごはんが熱いうちに調味液を混ぜ合わせてよく冷ます。 +5. すし型のなかに太刀魚をおき、すし飯をのせる。梅肉を間にはさむ。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 郷土料理と日本型食生活(和歌山県生活協同組合連合会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_23_1.jpg)" +"# はたごんぼずし 和歌山県 + +**郷土料理名**: はたごんぼずし + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +橋本市 + +## 主な使用食材 +はたごんぼ + +## 歴史・由来・関連行事 +「はたごんぼ」は、標高552mの国城山の中腹に位置する橋本市西畑地区で栽培されるごぼうのこと。その名前は、西畑地区の「はた」とごぼうの方言「ごんぼ」に由来する。特別な品種ではなく、急斜面の硬い赤土の中でごぼうを栽培すると、丸々と太った「はたごんぼ」に育つ。特に大ぶりなものは直径5cmから10cm、長さは1mほどもある。昔は、収穫時には粘り気のある土を専用の長いクワで1m以上も掘り返し、20分から30分かけて1本1本収穫していたという。非常に手間がかかるため、近隣では「はた(西畑)には婿(むこ)にやるな」といわれるほどだったという。しかし、その大きさゆえに一般的なごぼうと比較して食物繊維やポリフェノールが豊富で、柔らかくて香りも良い。また、はたごんぼは「雑事のぼり」という高野山麓の集落が高野山へ米や野菜を供える風習により、江戸時代から昭和初期まで続いたとされ、途絶えていたが、地元の組合が2014年から再びおこなっている。 + +## 食習の機会や時季 +農家の日常食として食べられていた。春に種をまき、11月になると収穫できる。 + +## 飲食方法 +「はたごんぼずし」は、地元の組合で販売されているオリジナルメニュー。はたごんぼを輪切りにして中心部をくり抜き酢飯を詰めたもの。このほか、はたごんぼを具に加えたコロッケやいなりずし、はたごんぼ茶などさまざまな調理法や利用法が考案されている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6~7人分) +- 【すし飯】米: 400g +- 【すし飯】水: 520ml +- 【合わせ酢】酢: 1/4カップ +- 【合わせ酢】砂糖: 大さじ2と2/3 +- 【合わせ酢】塩: 小さじ1と1/2 +- はたごんぼ: 適量 +- 水: 100ml +- 和風だし: 25ml +- ほんだし: 6g +- 醤油: 40~80ml +- 砂糖: 100~150g +- 人参: 適量 + +## 作り方 +1. 炊き立てのごはんをすし桶(もしくはボウル)に入れ、分量の合わせ酢を全体にまわしかける。※巻きすしのように少し甘めのすし飯にするとよい +2. 太いごぼうを選んで土がなくなるまで(皮は残るように)よく洗う。 +3. ごぼうを長さ6cmに切り鍋に煮汁をつくり柔らかくなるまで煮る。温かいうちにごぼうの中心をくり抜き、一晩おく。※一般家庭では、1.5cm~2cmにカットした方がくり抜きやすいのでおススメ +4. 人参はみじん切りにし、ごぼうと同じ割合の煮汁で味を付け、トッピング用を少しとり分け、すし飯に混ぜておく。 +5. 6cmの筒になったごぼうの中に4でつくったすし飯を詰めて2cm幅に切り、盛り付けて中央に人参をのせる。※3で2cmにカットしていたらすし飯を詰めるだけでよい + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 郷土料理と日本型食生活(和歌山県生活協同組合連合会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_24_1.jpg)" +"# ぼうり 和歌山県 + +**郷土料理名**: ぼうり + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +田辺市 + +## 主な使用食材 +里芋(親芋) + +## 歴史・由来・関連行事 +後醍醐天皇の皇子であり、大塔宮(おおとうのみや)とも呼ばれる護良親王(もりながしんのう)は、鎌倉幕府の倒幕運動に早くから参加していた。1331年の「元弘の変」で後醍醐天皇が隠岐に流されると、幕府の追求を逃れるため、わずかな家臣とともに山伏を装って熊野に入った。これは「大塔宮の熊野落」といわれる。現在の田辺市大塔村鮎川の小川地区を通りかかったとき、村の家々では正月の餅つきがおこなわれていた。空腹の一行は村人に餅を所望したが、山伏には一切の施し物や便宜を与えてはならないという厳しい布令が発せられており、村人は誰一人として餅を与えなかった。しかし、山伏の一行が出発した後になって、それが護良親王だったことを知る。村人は非礼を詫びて、それ以降600年間正月に餅をつくことをやめ、里芋の親芋である「ぼうり」を煮付けて食べるようになったという。1935年、京都の大覚寺で営まれた護良親王の六百年忌に大塔村の村人も参列し、昔の非礼を詫びて600個の餅を供えて供養した。その後は正月に餅をつくようになったが、正月に「ぼうり」を食べる文化は今でも一部に残っている。 + +## 食習の機会や時季 +正月前になると親芋を皮をむかずに丸ごと二日間かけて煮こむ。そのまま塗りのお皿にのせて祝い、餅を入れた雑煮の代わりに食べる。 + +## 飲食方法 +1日目に4時間から6時間炊いて味をしみ込ませ、2日目に煮詰める。だし汁に醤油や砂糖などで濃い目に味付けをしており、昔ながらの素朴な味わいを感じられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 里芋(親芋): 1個 +- ジャコ: 適量 +- 【調味料A】みりん: 適量 +- 【調味料A】カツオ節: 適量 +- 【調味料A】砂糖: 適量 +- 【調味料A】醤油: 適量 + +## 作り方 +1. 1日目:ジャコとカツオ節でだし汁をつくる。 +2. 1日目:たっぷりとだし汁に調味料Aを加え、濃いめの味付けにする。 +3. 1日目:最初は強火で炊き、沸騰したら弱火で煮る。 +4. 1日目:弱火で4時間~6時間炊き、火を止め、一晩味を含ませる。 +5. 2日目:味の含み具合を見ながら、再び火を入れ、くずれないように火加減に注意しながら2~3時間程度煮詰める。 +6. 2日目:冷ましてとりだす。 +7. ワンポイント:だし汁は多めにとっておき、汁がなくなってきたらだし汁を入れる。 +8. ※里芋の親(7日~10日前に畑より堀り、根、土を除き乾かす。2日前に洗い、半日~1日太陽にあてる。) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「西牟婁の食文化」(西牟婁振興局) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_25_1.jpg)" +"# わかめずし 和歌山県 + +**郷土料理名**: わかめずし + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +由良町 + +## 主な使用食材 +わかめ、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +日ノ御埼から和歌山市の沿岸部は、海産物が豊富にとれる紀伊水道に面している。平均水深が浅く、太陽の光が海底まで届くため、わかめの生育にも適している。また、紀伊水道の荒波にもまれることで、香りもよく、色もあざやかなわかめが育つ。日高郡由良町では養殖のわかめが有名で、県内で有数のわかめ産地として知られている。「わかめずし」は、���しいわかめを薄く広げてのり巻きのように白米を巻いたすしである。もともとは、大量にとれるわかめを広げて焼き、ごはんの上にのせておかず代わりに食べていたという。これを地元の人が漬物を入れて巻きはじめたことから、具材を入れてのり巻きのかたちにする今の「わかめずし」が生まれたとされている。わかめの収穫は厳寒の仕事である。由良町では、衣奈地区を中心に養殖がおこなわれる。11月にロープに種付けをして1ヵ月から2ヵ月程北風にさらし、1月から2月にかけて水揚げする。特にすしに用いられる「はりわかめ」は、一枚一枚を組み合わせていく根気と技術のいる作業で、つくる人も少なくなってきている。 + +## 食習の機会や時季 +山登りに持って行ってお弁当として食べたり、ひな節句のお供えものにしたり、正月やお盆など人が集まる時に振る舞ったりする。 + +## 飲食方法 +輪切りにすると、わかめがきれいな縞模様になり、目にも美しい。口に入れるとわかめの風味が広がり、食感も楽しめる。高野豆腐やしいたけ、卵、きゅうりなどを入れても美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 【すし飯】米: 3カップ +- 【すし飯】水: 3カップ +- 【黄色のすし飯】米: 3カップ +- 【黄色のすし飯】みかん果汁: 3カップ +- 【黄色のすし飯】レモン汁: 適量 +- 合わせ酢(市販): 適量 +- わかめ(干しわかめ): 5枚 +- カニかまぼこ: 適量 +- きゅうり: 適量 + +## 作り方 +1. すし飯をつくる。白、黄色の2種類を用意する。一つは少なめの水加減で炊き、市販の合わせ酢ですし飯をつくる。もう一つはみかん果汁をいれて炊き、レモン汁を適量振りかけすし飯とする。 +2. カニかまぼこときゅうりを入れてわかめで巻く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「活かそう、伝えよう!わかやまの食材と食文化」(和歌山県生活研究グループ連絡協議会・和歌山県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_26_1.jpg)" +"# わさびずし 和歌山県 + +**郷土料理名**: わさびずし + +**都道府県**: 和歌山県 + +## 主な伝承地域 +有田川町 + +## 主な使用食材 +わさびの葉、米、塩サバ + +## 歴史・由来・関連行事 +有田地方では、昔から田植えや、お盆、秋祭りなど、季節の行事として欠かせないすしとして「なれずし」や、「早ずし」などがつくられてきた。清水地域では、ばしょうの葉を巻いた「早ずし」がつくられているが、わさびが多く自生していたため、わさびの葉を使った「押しずし」も各家庭で作られており、今では貴重なわさびの葉が手に入るときは,冷凍しておいて活用している。 + +## 食習の機会や時季 +田植え、お盆、秋祭り、お彼岸などの際に食される。 + +## 飲食方法 +酢でしめたサバなどを酢飯の上にのせて、わさびの葉で包む。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (60~70個分) +- お米: 1升 +- 塩サバ(大): 2匹 +- 梅酢: 適量 +- 米酢: 適量 +- 昆布: 適量 +- 【合わせ酢】砂糖: 適量 +- 【合わせ酢】塩: 適量 +- 【合わせ酢】酢: 適量 +- 【合わせ酢】昆布: 適量 +- 【合わせ酢】うまみ調味料: 適量 + +## 作り方 +1. わさびの葉は収穫できる時期に塩漬けして冷凍しておく。 +2. 塩サバは、斜め薄切りにした後、梅酢に20分漬ける。そのあと米酢に30分漬ける。 +3. お米に昆布とお酒を少し入れて炊きあげ、一煮立ちさせて冷ました合わせ酢を混ぜ合わせ、60~70個に分ける。 +4. すし飯にサバをのせ、わさびの葉で包み、すし桶にきっちり詰める。 +5. 重石をのせ、一晩おく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 有田地方生活研究グループ連絡協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/wakayama_27_1.jpg)" +"# いぎす 鳥取県 + +**郷土料理名**: いぎす + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +中部地域 + +## 主な使用食材 +干いぎす草 + +## 歴史・由来・関連行事 +「いぎす」はえごのりとも呼ばれるいぎす草を使った料理。飛鳥・奈良時代には、すでに献上品として朝廷にも送られていたといわれている。いぎす草は、春になると海岸に流れてくる海藻で天草の一種である。次々と二またに分かれる多くの細糸状の分岐をもち、ホンダワラ類の体枝に絡みついて長さ20cm前後まで生育する。細い糸状で先が鉤(かぎ)状に曲がってい��。夏から秋にかけて繁茂し、主に中部地域、西部地域の漁港で水揚げされる。採取したいぎす草は、夏の強い日差しですぐに乾燥させ、雑藻などを取り除きながら水洗いと天日乾燥を3回か4回ほど繰り返して保存する。「いぎす」は凝固剤などを加えなくても自然に固まる寒天やところてんと同じ原理の料理であり、いぎす草を煮溶かし固めたものを基本とする郷土料理は、いぎす豆腐、えごねりなど、他地域でも見られる。 + +## 食習の機会や時季 +精進料理や祭り・節句・冠婚葬祭の料理に振舞われることが多く、「いぎす」と聞くと正月や法事などを連想するという人も少なくない。 + +## 飲食方法 +乾燥したいぎす草をもどし、とろ火で煮とかし、容器に入れて固め、ごまを振りかけて酢味噌や辛子醤油、しょうが醤油でいただく。ドレッシングや黒蜜をかけて食べることもある。いぎすの繊維が滑らかになるまで煮溶かすのがポイント。見た目はようかんのようだが、口に入れると海の豊かな香りが広がって独特の触感が楽しめ、精進料理には欠かせない。低カロリーであり、水溶性の食物繊維やミネラルが豊富な一品である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (保存容器1個分) +- 干いぎす草: 25g +- 水: 500ml +- ごま: 適量 +- 醤油: 適量 +- 酢: 少量 + +## 作り方 +1. 干いぎす草は水で2~3回水洗いした後、水に浸けてもどす。その後、ザルにあげてゴミを取り除く。 +2. 鍋にいぎす・水・酢(少量)を入れて、火にかける。 +3. 沸騰したらとろ火にする。30~40分くらいよくかき混ぜながら煮る。 +4. ほどよく練れたらバットなどに移し、冷蔵庫で冷やす。 +5. 固まったら食べやすい大きさに切り、ごまをふる。食べるときに醤油をつけていただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 鳥取県栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_1_1.jpg)" +"# いただき 鳥取県 + +**郷土料理名**: いただき + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +西部地域、弓ヶ浜(ゆみがはま)半島 + +## 主な使用食材 +米、三角油揚げ、ごぼう、人参、干ししいたけ + +## 歴史・由来・関連行事 +大きな油揚げの中に生の米・野菜を詰めて、だし汁でじっくり炊き上げた古くから伝わる郷土料理。言い伝えによると、明治中期頃、境港市にあるお寺の住職が福井県のお寺と行き来があり、そこで精進料理として出された油あげを大変気に入り、持ち帰って米や野菜を詰めて炊いたのがはじまりだといわれている。「いただき」の名前の由来は諸説あり、まだ米が貴重な時代には大変なごちそうとされ、近所の方の「もらう」ではなく「頂く」という感謝の気持ちが、そのままこの「いただき」という名になったという説や、秀峰「大山(だいせん)」の頂上にかたちが似ているところから、こう呼ばれるようになったという説もある。漁師や農家の人々がお弁当に持って行ったともいわれている。また、別名「ののこ飯」とも呼ばれ、綿入れの着物の様にふっくらしていることから”布子”という名がなまったところからきているといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +昔は、何か特別な行事があった時に各家庭でつくられ、近所に振る舞われた。当時は米がとても貴重だったため、少量の米でお腹一杯になるようにと、たくさんの具材を入れ工夫してつくられたといわれている。また、その具材・味付け・つくり方などは、各家庭によって少しずつ異なり、親から子へと受け継がれる「おふくろの味」として地域に定着していった。 + +## 飲食方法 +大きないなりずしのような外観だが、調理法や味わいは全く違う。大きな油揚げの中に生米、生野菜を詰め、だし汁でじっくりと炊き上げた山陰の代表的な田舎めしで、鶏肉を入れたりする他、昭和30代から40年代にかけての境港市では赤貝入りで、赤貝の煮汁で炊くバリエーションもあったそうだ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6個分) +- 米: 300g +- 三角油揚げ(大): 6枚 +- ごぼう: 40g +- 人参: 40g +- 干ししいたけ: 3枚 +- 昆布(10cm×10cm): 1枚 +- 煮干し: 10尾 +- 【調味料A】水(干ししいたけのもどし汁): 800ml +- 【調味料A】醤油: 60g +- 【調味料A】砂糖: 30g +- 【調味料A】酒: 20g +- つま楊枝: 6本 + +## 作り方 +1. 油揚げは短い一辺に切��目を入れ、指を入れて袋にする。 +2. ごぼうはささがきにして水にはなし、アク抜きをする。人参は細切りにする。干ししいたけは浸けてもどし、細かく切る。 +3. ボウルに米、2を入れて混ぜ合わせ、油揚げの中に詰め、つま楊枝で口を止める。 +4. 油揚げ全体に10箇所ほど菜ばしで穴をあけ、味が染みこみやすくする。 +5. 炊飯器に昆布と煮干しを敷き、その上に4を縦に並べ、調味料Aを加え、水と調味料を加えて炊きあげる。 +6. 油揚げのつま楊枝をはずして、器に盛る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 鳥取県栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_2_1.jpg)" +"# 小豆雑煮 鳥取県 + +**郷土料理名**: 小豆雑煮 + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +東部地域、中部地域 + +## 主な使用食材 +丸餅、小豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +お正月の雑煮は地方色豊かで、全国各地ではいろいろな雑煮が食べられているが、鳥取のお雑煮は小豆の煮汁に柔らかく煮た丸餅が入ったものが主流である。煮汁がたっぷり入ったものから、小豆がごろごろしていて煮汁は少しというのもあれば、砂糖で甘くしたものや、少数派だが塩味もある。昔は塩を少し入れて煮た小豆汁だったそうだが、現在では最初から砂糖を入れて煮たものが一般的だ。しかし、県全域で「小豆雑煮」が食べられているかというとそうではなく、山間部では醤油味や味噌味が多いようだ。「小豆雑煮」の正確な由来は分かっていないが、古来より、小豆の赤色に邪気を払う力があるとされていたので、ハレの日の食材として用いられてきた。雑煮は、元旦早朝に起床し、1年最初の若水を汲み、浄められた火を用いてひとつ鍋で煮る。人間に活力を与える聖なる食べ物とされ、それを分かち合って食べることにより,家族ならびに親族の結束をはかるための食べ物として正月の祝膳の主役として定着したといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +元旦の朝に、おせちと一緒に食べられている。おせちの塩気と、小豆雑煮の甘みが絶妙である。小豆は、昔から慶事に赤飯や餅のあんなどとして、生活の節目に登場する食材の一つである。その栄養的にも優れる小豆で雑煮をつくり、新年に食して祝う。 + +## 飲食方法 +他の地域では「ぜんざい」や「しるこ」と呼ばれるものに近い。小豆をアク抜きした後、柔らかくなるまでゆで、砂糖を加えて味付けする。別の鍋で煮た丸餅を小豆汁に入れる。味付けは家庭や地域によって少しずつ異なるが、大半の地域ではお餅は軟らかく煮た丸餅が用いられている。中部地域の三朝町では、山で採れる「とちの実」を使ったお餅を入れる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 丸餅: 4個 +- 小豆: 1/2カップ +- 砂糖: 60g +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 小豆はたっぷりの水に入れ、煮立ったら水を捨てアク抜きをする。これを2回位くり返す。その後に新たに水2カップを加えて柔らかくなるまでゆでる。 +2. 砂糖を加えて7分か8分煮て、味を馴染ませる。好みで少量の塩を入れても良い。 +3. 別の鍋で小餅をゆで、柔らかくなったら2の小豆汁に入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 食のみやこ鳥取県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_3_1.jpg)" +"# 大山おこわ 鳥取県 + +**郷土料理名**: 大山おこわ + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +西部地域 + +## 主な使用食材 +もち米、のやきちくわ、鶏肉、人参、ごぼう、干ししいたけ + +## 歴史・由来・関連行事 +「大山おこわ」は大山山麓の食材を使用した醤油味のおこわで、西部地域の郷土料理。昔、僧兵が戦場に行く時に戦勝を祈願して山鳥と山草を入れた米飯を炊き出したのがはじまりといわれ、その後祭りや祝い事のごちそうとして受け継がれてきた。明治時代には、大山寺の博労座(ばくろうざ)で春、秋に開かれていた牛馬市の際に、馬喰(ばくろう=牛馬の仲買商人)達の食事に供され、大山詣りの弁当としても親しまれてたといわれている。また、国立公園大山の山麓の地名をとって「大山おこわ」といわれるようになったのは明治以降のことで、以前は旧汗入(あせり)郡名に由来してか、「汗入(あせり)おこわ」と呼ばれていたそうだ。昭和61年(1986年)、当時���食糧庁(ふるさとおにぎり百選審査委員会)が選定したおにぎりのなかに、「大山おこわ」が選ばれていた。 + +## 食習の機会や時季 +毎年おこなわれていた氏神さまの例祭やその他の祭事には、必ず各家庭でつくられ、来客への土産としていた家庭料理。もとは、大山で修業する人たちに振る舞われていた精進料理の大山寺のおこわが家庭にも広がり、「大山おこわ」になったとみられている。 + +## 飲食方法 +もち米に、しいたけ、ごぼう、栗、こんにゃく、油揚げなどを混ぜて、だし汁、醤油、砂糖などで味付けし、炊き込んだ料理。使用する食材は家庭によりまちまちで、定まったものではないようだが、山菜や野菜、所によってはちくわを入れる地域もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- もち米: 1kg +- 焼きちくわ: 100g +- 鶏肉: 300g +- たけのこ: 150g +- 人参: 150g +- 干ししいたけ: 大6枚 +- こんにゃく: 200g +- ごぼう: 100g +- さやいんげん: 100g +- 【調味料A(煮汁)】砂糖: 60g +- 【調味料A(煮汁)】醤油: 80g +- 【調味料A(煮汁)】酒: 100g +- 【調味料A(煮汁)】だし汁(干ししいたけのもどし汁): 1000ml + +## 作り方 +1. もち米は洗って一晩水に浸けた後、ざるにあげる。 +2. ごぼうはささがきにして水にはなし、アク抜きをする。 +3. 干ししいたけは水に浸けてもどし千切り、たけのこ、人参、こんにゃくも千切り、鶏肉は細かく切る。焼きちくわは4つ割りにして薄く切る。 +4. さやいんげんは色よくゆでて斜め切り。 +5. 調味料Aに2、3を加えて煮、具と汁に分ける。 +6. 5の具ともち米を合わせて、蒸気の上がった蒸し器で20分程度蒸した後、煮汁を2回か3回に分けてまんべんなくうちながら、柔らかくなるまで、全体で40分から50分位蒸す。 +7. 器に盛り、4のいんげんを散らす。 +8. ※栗、むかご、ぎんなんなど、季節のものを使う。落花生、枝豆を入れてもよい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 鳥取県栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_4_1.jpg)" +"# 柿の葉寿司 鳥取県 + +**郷土料理名**: 柿の葉寿司 + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +智頭町 + +## 主な使用食材 +米、塩マス、柿の葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +鳥取県智頭町に古くから伝わる郷土料理の「柿の葉寿司」は、盆や祭りのおもてなし料理として町民から愛される一品だ。海から遠い智頭町で、魚を腐らせることなく美味しく食べる方法として考え出したのが「柿の葉寿司」。柿の葉に含まれるタンニンという成分には防腐効果があり、塩マスが傷むのを防いでくれる。昔は、農家の庭先には柿の木の1本や2本は必ずあったもの。その葉にさまざまな効果があると知っていた先人の知恵も垣間見える。 + +## 食習の機会や時季 +お祭りやお正月、来客のおもてなしなど、ハレの日の食事として昔はどの家庭でもつくられていたといわれている。赤や黄色に色付いた紅葉時期の葉っぱにのせると、さらに彩り豊かになる。秋の風情が感じられ、また一味違う「柿の葉寿司」を楽しむことができる。 + +## 飲食方法 +つくり方はいたってシンプル。薄切りにした塩マスは酢水に漬けて味を染み込ませ、合わせ酢を混ぜたごはんを握り、塩マスを乗せる。握ったごはんは柿の葉に乗せ、塩マスの上に山椒の実を乗せて完成。塩マスのピンクと柿の葉の緑のコントラストで彩りあざやかだ。口に入れた瞬間、酢の風味とともに塩マスの上に乗せた山椒の香りが口いっぱいに広がり、塩マスの旨味を一層引き立てる。山椒の実は小粒でも味にアクセントを加え、食欲を増進させる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10~15人分) +- 米: 1升 +- 水: 米の1.1倍 +- 酒: 100ml +- 昆布: 20cm +- 塩マス: 1尾 +- 柿の葉: 90~100枚 +- 【調味料A(合わせ酢)】砂糖: 200g +- 【調味料A(合わせ酢)】酢: 250cc +- 【調味料A(合わせ酢)】塩: 大さじ2 +- 【調味料B(マスの浸し汁)】酢: 1/2カップ +- 【調味料B(マスの浸し汁)】砂糖: 大さじ2 +- 【調味料B(マスの浸し汁)】塩: 少々 +- 山椒の葉: 90~100枚 (または山椒の実90~100個) + +## 作り方 +1. 柿の葉はよく洗って水気を拭きとる。山椒の葉は、なるべく若芽を選ぶ。 +2. 米は炊く30分前には準備して、分量の水、昆布、酒を入れて炊く。 +3. 塩マスは、ざっと洗い、3枚におろして冷凍する。冷凍のまま薄皮を取り、薄い塩水でさっと洗う。 +4. 片身を40~50枚切れに斜めに薄切りし、調味料Bに1分か2分程度浸けておく。 +5. 調味料Aは、ごはんをしかけるのと同時につくっておき、炊きあがったごはんと手早く混ぜ合わせる。 +6. ごはんを握って、マス、山椒の葉(または実)をのせ、柿の葉で包んで、おひつまたはすし桶にぴちっと詰めていく。詰め終わったら、柿の葉で覆い、蓋をしてすしの約倍位の重石をのせる。 +7. 半日から一晩にかけて漬け込むと、柿の葉、山椒の葉(または実)と、すし飯がよく馴染んでおいしい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 鳥取県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_5_1.jpg)" +"# どんどろけ飯 鳥取県 + +**郷土料理名**: どんどろけ飯 + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +東部地域・中部地域 + +## 主な使用食材 +米、しいたけ、豆腐、糸こんにゃく、ごぼう、人参、三角油揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +豆腐や地元産の野菜を入れた炊き込みごはんのことを鳥取県東部から中部地域にかけて「どんどろけ飯(めし)」という。「どんどろけ」とは方言で「雷」のこと。油をしき、熱したフライパンに豆腐を入れると、威勢の良いバリバリと炒める音が雷鳴のように聞こえることから名がついた。昔は豆腐がごちそうであり、貴重なたんぱく源であった。各村々には豆腐小屋があり、自家生産の大豆を使って、何人かで集まって豆腐をつくっていたという。野菜は、その時期に採れる人参、ごぼう、ねぎなど旬のものを使い、干ししいたけや油揚げを入れて炊き込みごはんの味を引き立たせる、地元産づくしの伝統料理である。昔は野菜のみだったが、昭和になって鶏を飼うようになり、鶏肉を入れるようになった。もともとは炊き込みごはんだったが、炊飯器が普及した昭和半ばから、混ぜごはんになってきたそうだ。 + +## 食習の機会や時季 +田植えが終わった後や農作業の区切り、村の人たちが集まるときには必ずつくっていたという。痛みやすいため、寒い時期に食べられていた。 + +## 飲食方法 +最初に豆腐を炒め、次に野菜や油揚げを入れて炒める。これを炊飯器に米とだし汁と入れて炊く。鶏肉やこんにゃくなどを入れても美味しい。薄味であっさりとしていて、食が進む。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 400g +- 豆腐: 400g +- 干ししいたけ: 4枚 +- 糸こんにゃく: 50g +- ごぼう: 50g +- 人参: 50g +- 三角油揚げ(大): 100g +- 油: 20g +- 酒: 30g +- 薄口醤油: 40g +- だし汁(干ししいたけもどし汁): 400ml +- 青ねぎ: 50g(小口切り) + +## 作り方 +1. 豆腐は水気をきっておく。 +2. 干ししいたけは水に浸けてもどし、千切りにする。 +3. 糸こんにゃくはさっとゆで、ざく切りにする。 +4. ごぼうはささがきにして水にはなし、アク抜きをする。 +5. 人参は細めのそぎ切り、油揚げは2cm長さの千切りにする。 +6. 鍋を熱して油を入れ、豆腐を砕きながらきつね色になるまで炒める。さらに、ごぼう・しいたけ・人参・糸こんにゃく・油揚げを加えてさっと炒め、酒と醤油を加える。 +7. 炊飯器に米と6を全部入れて混ぜ、だし汁を加えて炊く。 +8. 炊き上がったごはんに青ねぎをまぜ、器に盛る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 鳥取県栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_6_1.jpg)" +"# らっきょう漬け 鳥取県 + +**郷土料理名**: らっきょう漬け + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +鳥取市福部町、北栄町 + +## 主な使用食材 +らっきょう + +## 歴史・由来・関連行事 +鳥取県でのらっきょうの栽培は古く、江戸時代まで遡り、参勤交代のとき小石川薬園より持ち帰ったといわれている。らっきょうは生命力が旺盛なため、砂丘地でも育つということから、当時は少数の農家で自家用として栽培されていたが、大正初期に産業組合が設立され、スプリンクラー灌水が導入された頃から本格的な大規模生産が始まった。塩漬けおよび味付けの加工が始まったのは昭和40年頃。生産面積の増加によって大幅に出荷量が増えたが市場価格が暴落し、これを機に農業協同組合が加工事業を開始し、加工原料として取り入れることで出荷調整し価格の安定化を図ることができるようになった。 + +## 食習の機会や時季 +収穫は5月下旬から6月中旬まで。塩漬け及び味付けに加工し、鳥取砂丘の土産物等として販売されるなど、年中食べられるようになっている。 + +## 飲食方法 +らっきょうの漬け方には「本漬け」と「簡単漬け」があり、「本漬け」は、水洗いしたらっきょうを2週間以上塩漬けした後、塩抜きしてから漬け込む。塩漬けにすることでらっきょうが乳酸発酵して美味しいらっきょうになるが、塩抜きの加減が難しく手間がかかる。「簡単漬け」は塩漬けの手間を省いた漬け方で、塩抜きの必要がないので、思い立ったその日に手軽に漬け込むことができるが、冷蔵保存が必要となる。らっきょうの漬け方で最もポピュラーなのが「甘酢漬け」だが、地元では色々な漬け方がされており、「塩漬け」「赤ワイン漬け」「しそ漬け」「りんご酢漬け」「黒砂糖漬け」「黒酢漬け」などがある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (らっきょう4kg分) +- らっきょう: 4kg +- 塩: 1.2kg +- らっきょう酢: 1.8L +- 氷砂糖: 1kg +- 赤唐辛子: 小8本位 + +## 作り方 +1. らっきょうは塩漬けにして10日間から2週間ほどおく。(直に食べない場合は、このまま保存する。) +2. 流水で塩出しする。(噛んでみて少し塩気がある程度に) +3. 熱湯を準備しておく。 +4. らっきょうをざるに広げ、熱湯をざっと回しかけて冷ます。 +5. 熱湯をかけ殺菌した容器にらっきょうを入れ、氷砂糖、らっきょう酢、種をとった赤唐辛子を入れて密封し、冷暗所に保存する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 鳥取県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_7_1.jpg)" +"# とうふちくわ 鳥取県 + +**郷土料理名**: とうふちくわ + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +中部地域、東部地域 + +## 主な使用食材 +豆腐、魚のすり身 + +## 歴史・由来・関連行事 +一般的にちくわといえば、魚肉が普通だが、「とうふちくわ」は全国でも鳥取県中・東部地域に見られる独特の加工食品で、木綿豆腐と白身魚のすり身をほぼ7対3の割合で混ぜて蒸し上げる。味は非常に繊細で、噛みしめるとふんわり豆腐の香りがする。江戸時代、漁港の開発が遅れたため、魚は貴重な食べ物で、とても庶民の口に入るものでなかった。そのため、鳥取藩主池田光仲公が「魚の代わりに豆腐を食べなさい」とのお触れを出したことにはじまるという説が有力といわれている。タンパク質を補うため豆腐が奨励され、「豆腐で新しい料理ができないものか」と考案したのが、魚肉の代わりに豆腐を使った「とうふちくわ」だ。山村の多い鳥取県では、田んぼの畦にも大豆が栽培され、豆腐の消費は多かった。 + +## 食習の機会や時季 +「とうふちくわ」は、普段から食べられていたが、古くから城下町として栄えた鳥取市の中心市街地にある「聖神社」のお祭りや結婚式などの「ハレの日」にも食べられてきた。現在は土産物としても愛され続けている。 + +## 飲食方法 +木綿豆腐と魚肉のすり身を混ぜ合わせ、蒸しあげる。しょうが醤油に付ければ最高のお酒の肴になる。オーブントースターでふっくらと焼いて食べると更においしい。カレー味、レモン味といった味付け商品や、「とうふちくわ」を利用したシュウマイなどの加工食品もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_8_1.jpg)" +"# いもぼた 鳥取県 + +**郷土料理名**: いもぼた + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +弓浜半島 + +## 主な使用食材 +さつまいも、もち米、あんこ + +## 歴史・由来・関連行事 +「いもぼた」は弓浜半島で古くから伝わるさつまいもを使ったぼたもち。弓浜半島は砂地が多く稲作には不向きな土地だった。江戸時代中期に石見銀山領大森代官、井戸平左衛門が薩摩国から砂地に適したさつまいもの種芋を山陰に取り寄せて以降、さつまいもの栽培が盛んになった。明治 20 年頃よりさつまいもが主作物として栽培されるようになった。収穫の少ないもち米の代わりにさつまいもでかさ増しをし、独特なぼたもち文化が生まれた。一見するとぼたもちのようだが、小豆のあんの隙間からやや黄色味がかった中身がのぞき、口��入れると、ぼたもち特有のお米の存在感よりさつまいもの甘みが広がってくる。 + +## 食習の機会や時季 +日常の主食や間食で食べられていた。最近、「いもぼた」をつくる家庭はめっきり減ったというが、かつてはさつまいもの収穫シーズンの秋から冬にかけてよくつくられ、近所に配られていたそうだ。さつまいもともち米の分量は調理する人によって異なるため、家庭によってさまざまな食感や甘みが楽しめる。 + +## 飲食方法 +炊飯器に切ったさつまいもを広げて入れ、その上にもち米をのせて水を加え炊く。炊きあがったら砂糖・塩を熱いうちに入れ、すりこぎでつぶし丸める。正月餅の残りとさつまいもを用いることもある。現在では、きなこ・青のり・あんこなどお好みのものをまぶし、色づけなどアレンジされ、カラフルな「三色いもぼた」ともいわれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (15~18個分) +- さつまいも: 600g +- もち米: 200g +- 水: 200ml +- 砂糖: 50g +- 塩: ひとつまみ +- きなこ: 適宜 +- 青のり: 適宜 +- あんこ: 適宜 + +## 作り方 +1. さつまいもは5mmの厚さで輪切りにし、水にさらす。 +2. もち米は洗って、水に30分以上浸けてから、さるにあげ水気をきる。 +3. 炊飯器にさつまいもを広げて入れ、その上にもち米を広げてのせ、水を加えて炊く。 +4. 炊きあがったら10分蒸らし、砂糖・塩を熱いうちに入れ、すりこぎでつぶし、15~18等分にして丸める。 +5. きなこ・青のり・あんこなどお好みのものをまぶす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 鳥取県栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_9_1.jpg)" +"# こも豆腐 鳥取県 + +**郷土料理名**: こも豆腐 + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +倉吉市周辺 + +## 主な使用食材 +豆腐、人参、ごぼう + +## 歴史・由来・関連行事 +「こも豆腐」はこもにくるまれた素朴な豆腐料理。こもとは、粗く織ったわらのむしろのこと。100年以上伝わる「こも豆腐」は、冠婚葬祭や祭り、法事などの特別な日には欠かせない、倉吉市などの中部地域の伝承料理の一つ。魚があまりとれなかった鳥取県では、よく豆腐が食べられており、庶民の貴重なタンパク源だった。かつて村には共同の豆腐小屋があったそうで、豆腐をたくさんつくることができたので、その楽しみ方の一つとして生まれたのが「こも豆腐」だという説もある。しかし、昭和30年代にスーパーマーケットが登場すると、人々の生活、食事もだんだんと変化した。簡単にいろいろなものが手に入る時代になり、「こも豆腐」も次第につくられなくなったという。「こも豆腐」をつくるのに用いるわらも、最近は手に入りにくくなった。はで掛けをしたわらは、きれいに天日に干され、「こも豆腐」をつくるのに重宝される。 + +## 食習の機会や時季 +昭和30年(1955年)までは、氏神様のお祭りや結婚式などの人が集まる時やハレの日には必ずつくった料理。今は家庭でつくられることは少なくなったが、行事やおもてなしの場で、汁の具に使うことも多いそうだ。 + +## 飲食方法 +砂糖や醤油などを入れた調味料で味をふくませるようにして煮たり、輪切りにしてわさび醤油などをつけて食べることもあるそうだ。豆腐の中に入れる具は、人参とごぼうが定番だが、他にも卵やかんぴょう、ほうれん草、旬の野菜を入れてつくることもあるという。豆腐をわらで包むことによって、わらの香りが豆腐に移って風味が良く、わら一本一本の筋が豆腐に付いて独特なかたちに仕上がる。ゆで上がったばかりだと、わらの良い香りが漂い、断面についたわらの筋とともに温かみが感じられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (こも豆腐2本分) +- 豆腐: 1丁 +- 人参: 適量 +- ごぼう: 適量 +- だし汁: 1カップ +- 【調味料A】砂糖: 小さじ1 +- 【調味料A】淡口醤油: 大さじ1 +- わら: ひと握り +- ナイロンひも(またはわら): 少々 + +## 作り方 +1. 人参、ごぼうは、縦に細長く切り、分量外のだし汁、砂糖、薄口醤油で煮て薄く下味を付けておく。 +2. 豆腐は4つ切りにして水をきっておく。 +3. わらのハカマ等を取り除いてきれいにし、35cm位の長さに切る。一方の端を縛り、わらを広げて、4つ切りにした豆腐を縦に2本並べて入れる。 +4. 1の人参、ごぼうを��腐の間にはさみ入れる。 +5. わらをよく合わせて、一方の端もくくり、全体をナイロンひも又はわらで絡み、しっかりくくる。 +6. 15分位蒸す。 +7. 蒸した豆腐は、わらをゆっくり取り除き、鍋にだし汁と調味料Aを入れて、味を含ませるように煮る。または斜め切りにし、器に盛り、わさび醤油等でいただいても良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 鳥取県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_10_1.jpg)" +"# 栃餅 鳥取県 + +**郷土料理名**: 栃餅 + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +八頭郡、鳥取市河原町、三朝町 + +## 主な使用食材 +もち米、栃の実 + +## 歴史・由来・関連行事 +「栃餅」につかう栃の実はとてもアクが強いため、そのまま食べると非常に苦く、舌にピリピリと痛みが走るほどの強烈な味覚。先人の知恵と経験によって美味しい食べ方が考え出され、古くは縄文時代から食べられてきたといわれている。昔、米がほとんどとれなかった山村では、貴重な食べ物の一つだった。分厚い殻の中に1個か2個程度の実が入っており、秋になると茶褐色に熟し、3から4cmに大きくなる。栗にそっくりのコロコロとした実で10月から11月にかけて収穫される。栃の実にはカリウム、銅、マンガン、サポニン、タンニンなどの成分が多く含まれている。 + +## 食習の機会や時季 +地域の一般家庭では、お正月の雑煮用の餅として「栃餅」をつくり食べられている。 + +## 飲食方法 +栃の実のアク抜きをして渋味をとり、もち米と一緒に蒸し上げ、ついて丸めて餅として食べる。もち米だけの餅よりも粘りが少なく、独特な渋味と苦みが感じられる素朴な味のお餅。小豆汁に入れればおしることして食べられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (40~55個分) +- もち米: 1~1.5升 +- 栃(とち): 500g +- 【板アク合わせ】栃の実: 1升 +- 【板アク合わせ】木灰(樫やくぬぎなどの堅木): 1~2升 + +## 作り方 +1. 【板アク合わせ下準備(皮むき作業前の準備)】栃の実を桶に入れて熱湯をたっぷりかけた後、3日間ほどおき、栃の実をふくらます。 +2. 【板アク合わせ下準備(皮むき)】鍋に湯を沸かして栃の実を入れて保温しながら、昔から伝わる2枚板の「トチムキ」等で皮をむく。 +3. 【板アク合わせ下準備(栃の実の川ざらし)】栃の実を網袋に入れて、谷川の流れで5日間か6日間、水に打たせて川ざらしをおこなう。 +4. 【板アク合わせ下準備(アク抜き)】栃の実を桶に入れて、熱湯をかけてよく混ぜて温めた後、湯をすてる。その後、栃の実1升に灰1~2升の割合で入れ、これに熱湯をかけて混ぜる。桶にナイロンで蓋をして2日間おく。古毛布などで桶をくるんで保温する。この間、最初は1時間おきに棒でよく混ぜる。(3回か4回程度) +5. 【板アク合わせ下準備(アク抜きの確認)】栃の実を噛んでみて、ピリッと舌を刺すようなら栃が合っている。3粒ほど、蒸すか煮るか焼くかして指でつぶしてみて芯が硬くてつぶれなかったら、合っていない。少量で試しに団子をつくってみて味と色をみる(合っていない時は色が薄いなど) +6. 【板アク合わせ下準備(合っていない時)】桶の灰を洗い流して、再度灰を入れて熱湯を注ぎ、「板アク合わせ下準備(アク抜き)」の工程をやり直す。アクが抜けていたら、よく洗って灰をおとす。 +7. もち米は、洗って8~24時間水に浸ける。(暑いときは短く、寒いときは長く) +8. 蒸す1時間前に米をざるにあげて、水切りをする。 +9. アク合わせ、米を蒸すときに最初から上にのせて蒸す。冷凍のものはあらかじめ自然解凍しておく。 +10. 蒸す時間は、蒸気が上がって30分ほどである。 +11. 搗き時間は「米粒がなくなってもち肌になるまで」行う。 +12. 丸める目安は、1.5升で50gで55個くらいになる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 八頭生活改善実行グループ連絡協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_11_1.jpg)" +"# 親ガニのみそ汁 鳥取県 + +**郷土料理名**: 親ガニのみそ汁 + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +鳥取市 + +## 主な使用食材 +親ガニ(ズワイガニのメス)、大根 + +## 歴史・由来・関連行事 +親ガニのみそ汁は、親ガニ(ズワイガニのメス)と大根を使ったシンプルな味噌汁であり���広く県内で親しまれている郷土料理である。冬の鳥取県ではズワイガニがたくさん水揚げされ、冬の味覚の代表となっており、オスは「松葉ガニ」と呼ばれ、メスは子孫を残す卵を抱えている姿から「親ガニ」と呼ばれている。他の地域では、メスは「セコガニ」、「セイコガニ」と呼ばれ、甲羅の上からオレンジ色の卵が透け見える様子が子を背負って見えることから、そう呼ばれているそうだ。親ガニは、松葉ガニより小さいが、旬の時期は県内のスーパーマーケット等で比較的安価で購入しやすく、親ガニのみそ汁は各家庭で日常的に食べられている。親ガニの甲羅の中に内子(うちこ)、おなかに外子(そとこ)を抱えており、カニ味噌を含め旨味が凝縮されている。この旨味を生かすため、味噌汁の具材は少量にする。 + +## 食習の機会や時季 +親ガニを使用した味噌汁は、漁獲時期が11月から12月に限定されており、食べられる期間が短い。そのため、冬の旬を味わえる貴重な地元の定番料理として広く県内の各家庭で食されている。 + +## 飲食方法 +親ガニを半分に切り水を入れてゆでる。沸騰したら大根を入れ火が通るまで弱火で煮る。火を止めて味噌を溶き入れる。カニのうま味を生かすため、みそ汁に具をあまりたくさん入れずにつくる。水からゆでることで親ガニから出汁が出て、大根にしみてとても美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 親ガニ(ズワイガニのメス): 2杯 +- 大根: 1/2本 +- 味噌: 適量 +- 水: 1500ml +- 葉ねぎ: お好みで + +## 作り方 +1. 大根を短冊状に切る。親ガニを腹から半分に割る。 +2. 親ガニを水からゆでる。沸騰してから15分煮る。 +3. 短冊状に切った大根を入れる。 +4. 味噌を入れて調味する。 +5. ※お好みで葉ねぎを入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 鳥取県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_12_1.jpg)" +"# アカガレイの子まぶり 鳥取県 + +**郷土料理名**: アカガレイの子まぶり + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +岩美町網代周辺 + +## 主な使用食材 +アカガレイ + +## 歴史・由来・関連行事 +「アカガレイの子まぶり」とは、子持ちガレイの卵をカレイの刺身にまぶしたもの。濃厚でコクのある卵が淡泊な白身を引き立たせ、ごはんのおかずや酒のつまみとして人気が高い。「フナの子まぶり」が伝わって発祥したといわれている。アカガレイの漁期は9月から5月まで、脂がのる冬場が旬である。名前の由来にもなっている腹側の赤い模様は、美味しさのバロメーターで新鮮なものほどこの模様がくっきりしている。白身で淡白な身だが、くせがなく、身がふっくらとしている。産卵前の子持ちのメスは高価で、ほどよく脂がのり、鳥取県内では煮付けなどで食卓にあがることが多い魚である。たんぱく質を多く含み、脂質が少なく低カロリーで、ビタミンB1、B2、Dがとても豊富な上にコラーゲンも含まれている。 + +## 食習の機会や時季 +祭りの日や正月に食べられることが多いハレの日の料理。刺し身で食べられる新鮮さと、抱卵している冬場の条件が重なってつくることができる特別な料理という。 + +## 飲食方法 +アカガレイを5枚におろし刺身にする。卵をとり、酢を入れてゆでる。卵をとりだして、水気を絞り、薄皮をとりのぞく。卵が冷めてから、刺身と混ぜ合わせる。卵を炒って水分をとばすと、刺し身にまぶしやすく、さらっと仕上がる。一般的な刺身と同じように醤油(お好みでわさびとともに)で食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6人分) +- アカガレイ(抱卵したメス): 大1枚 +- 酢: 少々 +- わさび: 適量 +- 醤油: 適量 + +## 作り方 +1. カレイのうろこと内臓をとり、水で洗う。 +2. 5枚におろす。中央の背骨にそって包丁を入れ、切れ目から包丁を寝かせるように入れて身をはずす。反対側も同様に切り離す。 +3. 身を小さめの刺し身にして、冷蔵庫で冷やしておく。 +4. 鍋に湯を沸かし、カレイの卵を房のまま入れ、酢を入れて8分程度ゆでる。 +5. 卵をとりだして布に包んで水気をしぼり、バットに移して薄皮をとりのぞく。(ゆでた卵を炒って水分を飛ばしても良い。) +6. 卵が冷めたら、刺し身と混ぜ合わせて盛り付け。わさび醤油で食べる。 + +## レシピ提��元 +レシピ参照元名 : 食のみやこ鳥取県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_13_1.jpg)" +"# あごちくわ 鳥取県 + +**郷土料理名**: あごちくわ + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +トビウオ + +## 歴史・由来・関連行事 +普通のちくわの主な原材料は、スケトウダラ・サメ・ホッケなどだが、「あごちくわ」はトビウオを原材料にしてつくられている。鳥取県ではトビウオのことを「あご」と呼ぶことから、「あご」のすり身でつくられたちくわが「あごちくわ」と名がついた。「あごちくわ」は、表面を焼いた硬めの皮がとても美味しく、包丁を入れると「パリッ」という快音と香ばしい香りが広がる。しっかりとした噛みごたえがあり、トビウオを丸ごと堪能できる。特徴は、普通のちくわに比べて見た目の色が濃い。「あご」という呼び名は、400年以上前の文献にも紹介されており、由来は「あごがおちるほどおいしいから」ともいわれているが、その語源については分かっていない。産卵の時期を迎える春から夏がトビウオの旬。初夏の訪れを告げる味覚として親しまれている。食味は脂が少なくてさっぱりとしており、高タンパク質でヘルシーな魚である。鳥取県内のアゴ漁は、数十個の白色ブリ板を縄に付け、おびき寄せて巻きとる方法で、年間180トン近く水揚げされている。小さめで丸あごと呼ばれるホソトビウオと、大きめで角張った角あごと呼ばれるツクシトビウオがとれる。 + +## 食習の機会や時季 +宴会の席での即座の酒の肴には貴重な郷土食となっている。 + +## 飲食方法 +トビウオのすり身を焼いてつくる「あごちくわ」は、手でちぎりながら、もしくは丸かじりで食べることで香りと味を楽しむことができる。また、吸い物や料理の具や出汁などにも利用されている。また、わさび醤油又はしょうが醤油を付けてお酒の肴としても食されている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_14_1.jpg)" +"# いがい飯 鳥取県 + +**郷土料理名**: いがい飯 + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +鳥取市青谷町 + +## 主な使用食材 +米、イガイのむき身 + +## 歴史・由来・関連行事 +イガイは、三角型のかたちで、貝殻の色は黒褐色、岩礁に着生し、同じイガイ科の貝であるムール貝によく似ている。アサリなどの二枚貝とは形・軟体の模様が異なっていることから、「イガイ」と呼ばれているともいわれる。鳥取市青谷町夏泊は、山陰地方で唯一、海女が活動している地域として知られているが、イガイは沿岸の潮間帯から水深約20mまでの潮通しのよい岩礁域に生息しているため、「いがい飯」は海女たちがとってきたイガイを炊き込みごはんにしてつくられている。海女が活動をはじめる6月頃からつくられるようになり、小さな漁村に夏の訪れを告げる風物詩になっている。 + +## 食習の機会や時季 +盆のおもてなし料理として古くから伝わる。 + +## 飲食方法 +貝から身を外し、ヒゲは砂礫などを含んでいるので丁寧に外す。適当な大きさに切ったイガイをゆで、米と調味料と一緒に炊く。お好みで細かく切った人参やごぼうを一緒に炊いてもよい。素朴な味で口の中いっぱいに磯の香りが広がる。貝の殻ごと炊く食べ方もある。「いがい飯」以外では、酒蒸し、炭火焼き、お吸い物などでも食べられる。お吸い物にする際は、水からイガイをいれると美味しい出汁が出る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6人分) +- 米: 3カップ +- イガイむき身: 100g +- 【調味料A】醤油: 30ml +- 【調味料A】みりん: 30ml +- 【調味料A】酒: 60ml +- 【調味料A】イガイゆで汁と水: 3カップ + +## 作り方 +1. 米は洗ってざるにあげる。 +2. イガイをゆでる。ゆで汁は布でこす。 +3. 身を出してヒゲを切る。 +4. 炊飯器に米、イガイの身、調味料Aを入れて炊き上げる。 +5. ※ゆでたイガイはごはんが炊き上がる直前に入れる方法もある。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 鳥取県生活協同組合 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_15_1.jpg)" +"# スルメの麹漬け 鳥取県 + +**郷土料理名**: スルメの麹漬け + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +県内���域 + +## 主な使用食材 +スルメイカ、塩漬け野菜、麹 + +## 歴史・由来・関連行事 +日本海に面している鳥取県は、冬季、北からの寒気により雪が多く積もるため、山間地に暮らす人々は冬の間食材の調達が困難な環境にあった。そんな鳥取県では、秋(9月から11月まで)に旬を迎えるスルメイカがとれる。収穫された旬の美味しさを保ったまま長期間スルメイカを食するため、更には食材が手に入りにくくなる冬に備えた保存食として生み出されたのが「スルメの麹漬け」である。生イカではなく、海風で干して乾燥させることで臭みも減り、適度な塩気を含んで味に深みを持たせたスルメイカを使うのが特徴である。そのスルメイカを刻んで麹に漬け、熟成させると味が染み込んで柔らかくなり、風味・旨味が豊かになる。かつては味噌・醤油も家庭で手づくりされていたため、まさに「おふくろの味」として、各家庭の味で麹漬けがつくられてきた。また、野菜の塩漬けと一緒に漬けこむのが一般的ではあるが、使われる野菜はさまざまである。きゅうり・しその葉・なす・鷹の爪・わさび・ピーマンなど、彩も鮮やかとなり、各家庭の味として親しまれていた。現在では、真空パックの技術によって更に長期保存が可能となり、鳥取県のお土産物として幅広く全国で食されるようになった。 + +## 食習の機会や時季 +スルメイカの旬は9月から11月頃まで。旬の時期にとれたスルメイカを海風に1日干した後、刻んで麹に漬け込み、10日から2週間程度経った頃、冬の訪れとともに食べ頃となる。冷凍・真空パックすれば長期保存も可能。 + +## 飲食方法 +刻んだ大葉と一緒に熱々の白ごはん・お茶漬けのお供に、また日本酒の肴にも最適である。クラッカーにチーズと一緒にのせたり、野菜スティックに付ければ洋酒にも合う。キャベツと一緒に炒めてゆでたパスタに絡めても美味しい。麹独特の甘さがありそのまま食しても、調味料としても使用することもできる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (スルメ5枚分) +- 米麹: 800g~1kg程度 +- スルメイカ(一夜干し): 5、6枚 +- 【調味料A】醤油: 3カップ +- 【調味料A】酒: 2カップ +- 【調味料A】みりん: 1カップ +- 【調味料A】砂糖: 100g +- 塩漬け野菜(しその葉と実・なす・きゅうり・みょうが・塩): 適量 + +## 作り方 +1. スルメイカを3mm3cm幅に短冊切りし、水洗いして酒を振り掛ける。 +2. スルメイカに、麹をほぐしながら入れ、よく混ぜ合わせる。 +3. 野菜の塩漬けを水洗いして塩出しし、細かく刻む。 +4. 2と3に、一煮立ちさせて冷ました調味料Aを入れ、よく混ぜ合わせてつぼ等の器に入れ重石をする。 +5. 時々混ぜ合わせながら分量外の酒、みりん、醤油などお好みにより追加する。 +6. ※10月から3月頃が漬け時(20日から30日間程)。夏季であれば10日前後で香りの良い糀漬けができあがる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 鳥取県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_16_1.jpg)" +"# 板わかめ 鳥取県 + +**郷土料理名**: 板わかめ + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +県内沿岸部全域 + +## 主な使用食材 +わかめ + +## 歴史・由来・関連行事 +「板わかめ」は、収穫した生わかめを板状になるように並べて乾燥させた至ってシンプルなもので、味付けは一切しない。わかめが持つ塩分、旨味だけでごはんがすすむ一品。豊かな森林がある山間部からは、いくつもの清流が日本海へと注ぎこんでおり、森からの栄養がたくさん流れこんでいる。その栄養を元に育ったわかめは、風味がよく、そのまま食べても美味しい。またわかめには、食物繊維、アルギン酸、フコイダンなどの栄養素が多く含まれている。「板わかめ」に使われるわかめは、地元の漁師さんが素潜りで取ったものを使っている。 + +## 食習の機会や時季 +新芽の季節、3月後半から4月上旬にかけての時期が一年の中で一番美味しい。 + +## 飲食方法 +刈りとったわかめを収穫後4時間以内に水で丁寧に洗い、1本1本その葉を広げながら並べる。並べたわかめを約24時間低温でじっくり乾燥させて板状の乾燥わかめをつくる。天然わかめの美味しさを味わうには、そのままシンプルに食べるのがベスト。パリパリとした食感の「板わかめ」は、軽く火で炙って、ごはんにかけて食べるとおいしい。水でもどして味噌汁やラーメンに入れるという食べ方もできる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 () +- わかめ: 適宜 + +## 作り方 +1. 刈りとったわかめを収穫後4時間以内に水で丁寧に手洗いする。その際、わかめの旨みが抜け落ちないよう細心の注意を払う。 +2. 洗い終わったわかめをすだれ状の板に1本1本その葉を広げながら並べる。こうして並べたわかめを約24時間低温でじっくり乾燥させて板状の乾燥わかめをつくる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : NPO法人ライヴ(リヴよどえ) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_17_1.jpg)" +"# いわし団子 鳥取県 + +**郷土料理名**: いわし団子 + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +中部地域、弓ヶ浜半島 + +## 主な使用食材 +イワシ、ごぼう、木の芽 + +## 歴史・由来・関連行事 +鳥取県の海岸線は、長さが約 130kmあり、その多くが砂浜の海岸。江戸時代から明治時代にかけて、弓ヶ浜半島では地引き網、手繰網漁業が主体で、カタクチイワシなどが水揚げされていた。新鮮なイワシを使った昔ながらの庶民の味が「いわし団子」である。イワシを包丁で細かくたたき、卵や具材を混ぜ、煮汁の中で火を通す。片栗粉やつなぎを混ぜなくても、ふんわりとした口当たりが楽しめるのが特徴。漁港では、マイワシ、ウルメなども水揚げされるが、イワシの種類によってもだんごの味がそれぞれ異なるのも面白い一品だ。 + +## 食習の機会や時季 +県内の漁港では、4月から5月にかけてイワシ漁が最盛期を迎える。春は、木の芽を刻んで加えたイワシだんごが格別美味しい季節である。 + +## 飲食方法 +イワシを叩いたものに具材を入れて煮る料理だが、中に入れる具材は、ささがきごぼう、木の葉のみじん切りのほか、しょうがとか山椒なども入れても美味しい。弓ヶ浜半島では、炭酸が生臭みやアクを抑えるためい、仕上げに炭酸を入れてつくる。また、つみれ汁として食べることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- イワシ: 900g(正味500g) +- 味噌: 10g +- 卵: 中1個(50g) +- 酒粕: 20g +- ごぼう: 40g +- 木の芽(しょうが・柚子の皮): 適宜 +- 【調味料A(煮汁)】酒: 30g +- 【調味料A(煮汁)】だし汁: 600ml +- 【調味料A(煮汁)】醤油: 20g +- 【調味料A(煮汁)】みりん: 20g + +## 作り方 +1. イワシは、頭と内臓をとる。骨ごとぶつ切りにして、包丁でよく叩く。(フードプロセッサーを使っても良い。) +2. すり鉢に1と味噌・溶き卵・酒粕をちぎって入れ、よくすっておく。 +3. ごぼうはささがきにして水に入れ、アク抜きをする。 +4. 2に3を加えて混ぜ、8等分する。 +5. 鍋に調味料Aを入れ、火にかけて沸騰してきたら、4のかたちをととのえて入れ、火を通す。 +6. 器に盛り、季節によって木の芽、しょうが、柚子の皮などを天盛りにする。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 鳥取県栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_18_1.jpg)" +"# おいり 鳥取県 + +**郷土料理名**: おいり + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +東部地域 + +## 主な使用食材 +米、水あめ + +## 歴史・由来・関連行事 +「おいり」は、残りごはんなどを無駄にしないために家庭でつくられた菓子である。その昔、因幡地方の家庭では残ったごはんを水洗いし、天日干した乾飯(ほしいい)を炒って、おいりをつくったのだそう。この""炒る(いる)""ことがおいりの名前の由来だといわれている。また、残ったごはんだけでなく、家庭にある食材を混ぜてつくる家庭もあった。食べ物を無駄にしないという思いから生まれた家庭料理である。 + +## 食習の機会や時季 +ひな祭りには欠かせないお菓子。因幡地方では、人形に穢れや災厄を移して水に流す「流し雛」がおこなわれていたが、現在鳥取市用瀬町などわずかに残るのみとなり、「用瀬のひな送り」として県の無形民俗文化財に指定されている。流し雛を流す際には、菱餅や桃の花の他、「おいり」も添えられていた。鳥取県は旧暦でひな祭りをおこなうことが多く、県内のひな祭りイベントは4月にもおこなわれる。そのため、新暦に合わせて1月か2月から、旧暦に合わせて4月まで販売され、食べることができる。 + +## 飲食方法 +つくり方はシンプルで、干した米を炒り、それに水飴を絡めて熱いうちに丸く形成する。家庭で「おいり」をつくる際には、家にある材料や食べる人の好みによってオリジナルの「おいり」がつくられてきた。水飴を煮るときにしょうが汁を加えてもよい(加えるのがおすすめ)。原料となるものはつくり手によってさまざまで、玄米や白米、小麦粉、米粉、ポン菓子などが使われる。しかし、現在ではスーパーマーケットや和菓子店などで購入することが一般的である。昔ながらのレシピでは着色しないが、ほんのりとピンクや緑に着色した餅を混ぜた「おいり」を製造している製菓店もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (50個分) +- 白米(または玄米): 500g +- 色つきの乾いた餅: 大さじ2 +- 水飴: 260g +- 砂糖: 160g +- 塩: 小さじ1/2 +- 水: 40ml + +## 作り方 +1. 白米(または玄米)はポン菓子にする。 +2. 餅を3~5mmに小さく切り(硬ければ割り)、煎っておく。 +3. 鍋に、水飴、砂糖、塩と水を加えて煮立てる。泡が小さくなって、しゃもじですくうと糸を引くようになったら、1のポン米と2の餅を入れ手早くかき混ぜる。 +4. あたたかいうちに、手の平にサラダ油を塗りながら、適当な大きさに固める。(まん丸よりもだ円のほうが食べやすい) +5. ※熱いうちはかたく握るのではなく、手の平で転がすように丸める。※冷めてしまったら、火にかけて飴を溶かすように混ぜるが、焦げつきには注意。※しょうが汁(好みだが大さじ3~5程度)を飴を煮るときに加えても良い。その場合は飴が煮上がってから入れること。はじめに入れると泡が立って煮つまりが判断できなくなる。※ポンとは、米を加工機械で膨張させること。業者に米、玄米を加工してもらうか、店ですでに加工してある材料を購入する。(買う場合は、すでに砂糖が表面にまぶしてあるものは適さない) + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 八頭生活改善実行グループ連絡協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_19_1.jpg)" +"# がんちゃ汁 鳥取県 + +**郷土料理名**: がんちゃ汁 + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +川ガニ、なす + +## 歴史・由来・関連行事 +「がんちゃ汁」は鳥取県のきれいな川でとれる川ガニを使用する。鳥取県ではモクズガニの事を「川ガニ」と呼んでおり、モクズガニは海で生まれて、川で育ち、また、海に帰って産卵をする。古くから川ガニやエガニ、ツガニなど色々な名がつけられ、非常に身近で親しまれてきたカニである。オスの方が大きいのが特徴で甲幅80mm前後になる。ハサミ脚、歩脚に細かい毛が生えており、これが「藻くず」に見えるためこの名が付けられている。今はミキサー等で調理するが、昔は生きたままの川ガニを石臼にいれ、杵で搗いて粉々になるまでつぶしていた。これをこして水と加熱すると身が凝固し、ふわふわなものが汁に浮かんでくる。このふわふわしたものにカニの旨味が凝縮されており、汁自体にも旨味が広がる。「がんちゃ汁」はモクズガニの美味しさを余すことなく味わえる料理である。 + +## 食習の機会や時季 +川ガニが獲れる秋から冬にかけて食べられる。特にメスの内子(うちこ/カニの卵巣のこと)は珍味として知られており、夏の終わりから秋にかけて内子を持ち始める時期になると、メスは近縁種のチュウゴクモクズガニ(上海ガニ)に負けないくらい高値で取引されるようになる。身は少ないのが特徴である。 + +## 飲食方法 +カニは甲羅を外し、ミキサーに分量の水とカニを入れ、ドロドロになるまで砕く。ざるでこし、なすと水と一緒に鍋に入れ、火にかける。沸騰したら、醤油、酒を入れ、小口切りにしたねぎを入れて火を止める。味付けは味噌だけでも美味しい。豆腐のつぶしたものを入れても良い。カニ味噌は、非常に濃厚で美味しく、味噌汁などに入れても、非常に良い出汁が出る。ただし、肺吸虫という寄生虫がいるため、必ず加熱調理して食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 川ガニ(モクズガニ): 250g +- なす: 中1個 +- 水: 2と1/2カップ +- 醤油: 大さじ3弱 +- 酒: 大さじ1/2 +- ねぎ: 適量 + +## 作り方 +1. カニは甲羅を外し、身側の��カマ(ふんどし)をきれいに取り除き、黒い部分も取り除く。 +2. ミキサーに分量の水の一部(1/2カップ位)とカニを入れ、ドロドロになるまで砕く。 +3. 2をざるでこし、少量の水を加えながらさらにこして、殻を取り除く。 +4. なすは皮付きのまま食べやすい大きさに細長く切る。 +5. 3のかに汁となす、分量の残りの水を鍋に入れ、火にかける。沸騰したら、醤油、酒を入れ、小口切りにしたねぎを入れて火を止める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 東伯地区生活改善グループ連絡協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_20_1.jpg)" +"# じゃぶ 鳥取県 + +**郷土料理名**: じゃぶ + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +中部地域、東部地域 + +## 主な使用食材 +鶏肉、豆腐、ごほう、人参 + +## 歴史・由来・関連行事 +現在のように肉が簡単に手に入らない時代には、自家用の鶏で料理する貴重なごちそうで、正月や冠婚葬祭など人が集まるときに大鍋で調理し振る舞われていた。また、肉の代わりに冬にとれる旬のウグイ(魚)が使われたり、地域によっては牛肉・豚肉を使うところもある。「じゃぶ」とは、豆腐・野菜を煮こんでいるうちに「じゃぶじゃぶ」水分が出てくるのに由来している。また余りものといった意味もあり、余った色々な野菜をごった煮する料理だからという説もある。お鍋一つで簡単にできるうえに、じっくりと煮込む事でそれぞれの素材の旨味が合わさって一層美味しくなる。肉やたくさんの野菜を摂取できる栄養満点の郷土料理である。 + +## 食習の機会や時季 +かつて肉は手に入りにくい食材であり、貴重なごちそうであったことから、人が多く集まる際に食する機会が多かった。現在では調理方法が簡単なうえに、美味しく食べられる料理の一品として季節の野菜を使って年中食卓に並ぶ。冬には大根・ごぼうなどの根菜類を煮込み、しょうがを使うことで芯から身体を温めることができる。 + +## 飲食方法 +鶏肉を一口大に切り炒める。同様に食べやすい大きさに切った野菜も一緒に炒める。野菜が柔らかくなったところでだし汁、調味料を加えて味をととのえる。豆腐、油揚げを加えて最後にねぎを入れる。しょうがを使う場合は、切った鶏肉に馴染ませてから炒める。大根、白菜、里芋、かぶ、なめ茸などを入れる事もあり、しそ・柚子で風味付けしても美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鶏肉: 200g +- 豆腐: 1丁 +- ごぼう: 100g +- 人参: 100g +- 生しいたけ: 6枚 +- 油揚げ(大): 1枚 +- こんにゃく: 1枚 +- ねぎ: 100g +- 油: 10g +- だし汁: 200ml +- 【調味料A】酒: 30g +- 【調味料A】砂糖: 20g +- 【調味料A】醤油: 50g + +## 作り方 +1. 鶏肉は一口大に切る。人参はそぎ切りにする。ごぼうはささがきにして水に入れ、アク抜きをする。しいたけはそぎ切り、こんにゃくはちぎり切り、油揚げは薄切りにする。 +2. 鍋に油を熱し肉を炒め、ごぼう・人参・しいたけ・こんにゃくを入れ炒め、だし汁を加え、調味料Aで味付けする。 +3. 少し煮て、豆腐と油揚げを加え、味を浸み込ませる。最後にねぎのぶつ切りを入れる。 +4. 全体を混ぜて、器に盛る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 鳥取県栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_21_1.jpg)" +"# そら豆の粉吹き 鳥取県 + +**郷土料理名**: そら豆の粉吹き + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +中部地域、東部地域 + +## 主な使用食材 +乾燥そら豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +鳥取県東中部を中心としたそら豆料理。ずっしりと重く甘みのあるそら豆。完熟したものを乾燥させる種実用と完熟前に収穫する青果用とあるが、「そら豆の粉吹き」は種実用のそら豆を使用する。そら豆の旬は4月から6月にかけての初夏。鮮度の落ちるスピードが非常に早く、3日で美味しさが激減するといわれる。そのため、長く美味しく保存させる方法として乾燥保存が適している。方法は至って簡単で、黒く完熟した鞘(さや)からそら豆を出し、ざるなどを使って天日干しするだけ。乾燥させることで数ヵ月は保存が可能となる。乾燥そら豆を使用した簡単な料理だが、水に浸して煮るだけで、生のそら豆とは一味違うほっこりとしたコクのあるそら豆の味���しっかりと味わえる。 + +## 食習の機会や時季 +冠婚葬祭などの行事や来客時などに振る舞われていたが、皮むきなどに手間がかかることから、現在は人が多く集まる際の特別な料理として食される。乾燥そら豆を使用することで、季節問わずに調理ができる。 + +## 飲食方法 +乾燥そら豆を水に浸し、その後たっぷりの水と重曹でゆでる。皮をむき、調味料を加えてお好みの硬さになるまで再度ゆでる。砂糖の代わりに、蜂蜜やみりん、醤油を加えたり、そら豆の柔らかさもお好みで楽しむことができる。そのままお弁当の一品としても、ごはんに混ぜ込んだり、一口大のじゃがいもと和えてサラダ風にしても美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (乾燥そら豆1kg分) +- 乾燥そら豆: 1kg +- 水: 適量 +- 砂糖: 適量 +- 塩: 少々 +- 重曹(ベーキングパウダー): 少々 + +## 作り方 +1. 乾燥そら豆は水に浸けてもどす。 +2. 鍋にもどしたそら豆とたっぷりの水、重曹を入れてゆでる。 +3. ゆで上がったら皮をむく。 +4. 皮をむいた1の豆に砂糖を入れ、好みの固さになるまで煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 鳥取県栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_22_1.jpg)" +"# ハタハタ寿司/しろはた寿司 鳥取県 + +**郷土料理名**: ハタハタ寿司/しろはた寿司 + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +賀露地域 + +## 主な使用食材 +ハタハタ、おから + +## 歴史・由来・関連行事 +ハタハタの水揚げ港のある鳥取県の賀露地区には、日本海が一望できる丘陵に賀露神社がある。2年に一度、4月末に県の無形民俗文化財である賀露神社ホーエンヤ祭がおこなわれ、鎧武者や子ども大名行列、他にはないテンポの早い麒麟獅子舞が町中を練り歩き、多くの見物客でにぎわう。また、豊漁を感謝するホーエンヤと呼ばれる神輿の海上行列は、祭り最大の魅力である。「ハタハタ寿司」は地元では「しろはた寿司」と呼ばれ、そのホーエンヤ祭でごちそうとして振る舞われてきた。ハタハタは、北海道から山口県までの日本海側の地域に生息しているが、鳥取県で獲れるハタハタは、ホーエンヤ祭のおこなわれる春が旬。山陰沖を回遊しているところを漁獲するため卵はないが、その分しっかり脂がのってとろける旨さがある。すしといっても、ごはんを使わずにおからを詰める。そのため、とてもヘルシーで珍しい食感を味わう事ができる。 + +## 食習の機会や時季 +鳥取港海鮮市場などで購入できる。各家庭でつくられる「ハタハタ寿司」は、アサの実に代えて白ごまを使ったり、彩りに紅しょうが、わさびを加えるなどさまざまにアレンジされた。酸味の効いたハタハタとおからが食欲を刺激する。 + +## 飲食方法 +ハタハタは頭をつけたまま背開きにし、内臓をとって塩水で洗い水切りする。塩をまぶして一晩寝かし身をしめる。さっと洗って合わせ酢に漬けて更に一晩おく。よく熱したフライパンで、おからを少量づつパラパラになるまで炒って水分をとばす。アサの実も炒っておく。炒ったおからを調味料で味付けし、アサの実も入れて混ぜ込む。冷めたらハタハタの腹の中へ詰め込み、2・3日味を馴染ませる。そのまま一口大に切って醬油をつけて食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (ハタハタ30匹分) +- 【材料A】ハタハタ: 30匹(小ぶりのもの) +- 【材料A】塩: 20~30g +- 【材料B】おから: 500g +- 【材料B】油: 少々 +- 【材料B】塩: 少々 +- 【調味料A(合わせ酢)】5倍酢: 100ml +- 【調味料A(合わせ酢)】水: 400ml +- 【調味料A(合わせ酢)】砂糖: 100g +- 【調味料B】砂糖: 50g +- 【調味料B】5倍酢: 20ml +- 【調味料B】ごま油: 適量 +- アサの実(オノミ): 適量 +- 紅しょうが: 適量 + +## 作り方 +1. ハタハタは頭をつけたまま背開きにし、内臓をとってから塩水できれいに洗い、ざるで水切りする(腹を下にする)。 +2. 材料Aに塩をまぶし、一晩おいて身をしめる。 +3. さっと洗ってから、調味料Aの中に一晩浸けておく。 +4. フライパンをよく熱した後、油を敷き、材料Bのおからを少量ずつ分けて炒り、パラパラするまで水分をとばす。この時、塩少々加えて下味を付ける。 +5. アサの実はごまを炒るような感覚で炒る。 +6. 炒ったおからに調味料Bで調味し、アサの実を��れる。 +7. 冷めたおからを水分をきったハタハタの身の間に詰めこむ。 +8. 残ったおからで7のハタハタを器にびっしり詰めこみ、2、3日味を馴染ませる。 +9. 食べやすいように一口大に切り、ハタハタの姿がわかるよう盛り付け、紅しょうがをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 食のみやこ鳥取県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_23_1.jpg)" +"# もさえびの刺身 鳥取県 + +**郷土料理名**: もさえびの刺身 + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +県内沿岸部 + +## 主な使用食材 +モサエビ + +## 歴史・由来・関連行事 +鳥取県で「モサエビ」と呼ばれるエビは、正式名称をクロザコエビという。海水温5℃程度、水深200~250mの深海域に生息する日本海でしか獲れない種類のエビで、北陸地方では「ガスエビ」、「ドロエビ」などと呼ばれ、日本海各地に根付いた食材である。県内では、境漁港、鳥取港、網代漁港が主な産地として知られ、9月から5月まで沖合底びき網漁で漁獲される。カニシーズンと重なるため、隠れた存在になっているが、弾力のある食感や旨味が強く、甘味は甘エビ以上である。モサエビは鮮度の劣化が早く、血液に銅イオンを含むため、空気に触れ半日もすると頭部が黒くなる。このため、従来より遠隔地への流通は難しく、地元でしか味わえない幻のエビといわれていたが、現在では少量だが、生きたまま県外へも出荷がおこなわれている。 + +## 食習の機会や時季 +9月から5月まで沖合底びき網漁で漁獲され、お腹に緑の卵をかかえる春が旬である。この卵に火を通すと黄色に変わり、プチプチとした触感が大変美味しい。鮮度の劣化が早いため、昔は漁師が船上で食べるくらいだったそうだが、現在は漁期に食事処や民宿、温泉旅館などで食べることができる。スーパーマーケットでも販売され、日常的な家庭料理として親しまれている。 + +## 飲食方法 +鮮度の良いものは、刺身で食べるのが一番で、ピチピチはねているもの、身が透明なものを選ぶのが目利きのコツである。軽く水洗いした後、頭と尻尾を残して胴体部分の殻をむき、刺身醤油で食べる。刺身の調理でむいた殻は、捨てずに水を加えて沸騰させると濃厚な出汁が取れ、味噌汁などにも使え、二度美味しく楽しむことができる。モサエビは刺身以外に、味噌汁、煮付け、塩焼き、天ぷら、唐揚げに調理されるほか、茶わん蒸しの具にすることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10尾分) +- モサエビ: 10尾 +- 刺身醤油: 適量 +- 生わさび: 適量 + +## 作り方 +1. 軽く水洗いした後、頭と尻尾を残して胴体部分の殻をむく。 +2. 刺身醤油と生わさびを付けて食べる。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_24_1.jpg)" +"# 焼き鯖の煮付け 鳥取県 + +**郷土料理名**: 焼き鯖の煮付け + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +東部地域 + +## 主な使用食材 +焼きサバ、玉ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +東部地域では古くから庶民の味として親しまれてきた。日本海では大量のサバが水揚げされたが、現在のような保存技術のない時代であったことから、多くの業者が日持ちさせるために焼いて出荷していた。多く出回っていた焼きサバを、農家では農繁期でも簡単に食べることができる魚料理として重宝していた。そんな庶民の知恵から生まれたのが「焼き鯖の煮付け」である。サバは青魚の代表といわれ、栄養価がとても高い。漁獲量も多いため手に入りやすい食材だが、特有の臭みがあり苦手な人も多い。しかし「焼き鯖の煮付け」は、焼いた鯖の身をほぐしてたまねぎと煮込むことで、臭みを和らげ美味しさを引き立たせる。また甘めに煮込むことで子どもでも食べやすくなる。 + +## 食習の機会や時季 +サバは秋から冬にかけて旬を迎えるが、山陰地方で獲れるサバは、旬の時期でも脂が乗り過ぎないため美味しい。また、年間を通して脂の乗りに大きな差は見られない。昔から農家では、春に旬を迎える葉たまねぎと一緒に煮込み食されていた。 + +## 飲食方法 +焼きサバを一口大にほぐし、たまねぎを加える。醤油は薄口・濃口、砂糖の代わりにざらめを使うなど、好みで味付けされる。熱々でごはんによく合う一��だが、一晩おいても味が染みて美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2~3人分) +- 焼きサバ: 1尾分 +- たまねぎ: 1個 +- 水: 600ml +- しょうが: 適宜 +- 【調味料A】酒: 100ml +- 【調味料A】砂糖: 25g +- 【調味料A】醤油: 100ml + +## 作り方 +1. 焼きサバを一口大(食べやすい大きさ)にほぐし、たまねぎはくし型に切る。 +2. 水と調味料Aを混ぜ、煮立たせ、焼きサバ、たまねぎを入れ、落とし蓋(アルミホイル)をする。 +3. たまねぎが煮えたら出来上がり。後は少し味が馴染むまでおいておく。盛りつけたら、器に千切りしょうがを添える。 +4. ※サバの塩味やたまねぎの甘さによって味が異なるので、レシピは薄味。コクを出したい場合は、濃口醤油の代わりにたまり醤油を少し加え、砂糖を控える。きりっとした味にしたい場合は、薄口醤油を加える。※魚の臭みが気になる場合は、スライスしょうがを加えて煮てもよい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 食のみやこ鳥取県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_25_1.jpg)" +"# 呉和え/なすのずんだ和え 鳥取県 + +**郷土料理名**: 呉和え/なすのずんだ和え + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +西部地域(日南町) + +## 主な使用食材 +大豆(枝豆)、野菜、きのこ等 + +## 歴史・由来・関連行事 +「呉和え」は、ゆでた大豆をすり潰した「ご」を衣にして野菜やきのこと和える料理で、西部地域の日南町に伝わる郷土料理である。日南町は、島根県・広島県・岡山県に隣接し、面積の9割を森林が占める伯耆地方山間部の町で、県内でも有数の豪雪地帯である。耕作地帯が極めて狭く、昔は雪が降るまでの短い期間ではあるが、造林のための急斜面の山に火を入れた「焼山」を農耕に使い、草木の灰の養分だけで、大根、豆類、そば、菜種などをつくっていた。 中でも大豆は、「畑の肉」いわれるほどたんぱく質やビタミン、ミネラルを豊富に含むため、貴重な栄養源として重宝されてきた。 「呉和え」は、乾燥した大豆を一晩位水に漬けておいたものをゆでて使うが、大豆がまだ若い時期に収穫する「枝豆」が旬の時期につくると、緑が色鮮やかな美しいと一品となる。「かがつ」(すり鉢)と「めぐり」(すりこぎ)を使って、少し水を加えてすり潰したものを「ご」といい、野菜やきのこなどと和える。「ご」は味噌汁に入れて「呉汁」としても食べられる。 + +## 食習の機会や時季 +仏事の来客を食事でもてなす際につくられていた。祭りでも食べられる。 + +## 飲食方法 +大豆をゆでて、砂糖、味噌、だし汁を加えてすり鉢でよくすり混ぜる。それを野菜で和える。塩漬けしたきのこやこんにゃくを入れることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- なす: 300g +- 枝豆: 正味50g +- みょうが: 小3個 +- 砂糖: 15g +- 味噌: 10g +- だし汁: 25ml + +## 作り方 +1. 枝豆はゆでて皮をむき、すり鉢ですり潰して砂糖、味噌、だし汁を加えてよくすり混ぜる。 +2. なすは5cm位のたんざくに切り、さっとゆで、水にさらす。みょうがは千切り。(なすは焼いてもレンジで加熱してもよい) +3. なすの水気をしっかりしぼり、みょうがとともに1の和え衣で和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「にちなん邑の味」(日南町) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_26_1.jpg)" +"# 若桜のおやき 鳥取県 + +**郷土料理名**: 若桜のおやき + +**都道府県**: 鳥取県 + +## 主な伝承地域 +若桜町 + +## 主な使用食材 +まきの粉、あん、よもぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +例年5月に初めにおこなわれる「若桜神社大祭」は約400年の歴史があり、2年に1度の5月3日に催される「わかさまつり」には、神輿や行列、獅子舞などが繰り出す。おやきはそのおもてなし料理。昔から氏子は家ごとによもぎ入りのおやきをつくり、夕方になると、このおやきを鉄板で焼く香りが町中に漂っていたといわれている。天下安泰・五穀豊穣を祈願して神社に奉納し、神棚に供えることが受け継がれてきた。おやきといえば、全国的には小麦粉・そば粉でつくった生地に、野菜などの具を包むという長野県の郷土料理が有名であるが、鳥取県若桜町のおやきは、もち米とうるち米の粉を練った生地に小豆のあんを包んだ菓子である。 + +## 食習の機会や時季 +「若桜のおやき」は、各家庭では代々伝わる「大」や屋号の文字が刻まれた亀甲形の押し型を使ってつくり、訪れた人や親類に振る舞われたといわれている。現在、手づりおやきの風習は薄れ、家庭でつくられることが少なくなったが、若桜町のお土産や若桜弁天参りのお土産として長く親しまれ続けている。 + +## 飲食方法 +よもぎをミキサーですり潰し、(まきの)粉と水と一緒にこねて生地をつくる。その生地であんを包み、型押しする。フライパンである程度焼いてから、水を入れて蒸し焼きにする。冷凍保存が可能で、食べるときにレンジで温めるか、フライパンで素焼きにすると、出来立てとはまた違った食感が楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (約75個分) +- まきの粉(だんごの粉): 1kg +- こしあん: 1.5kg +- ゆでよもぎ: 200g +- 水: 1000ml(練り用) + +## 作り方 +1. よもぎをミキサーでよく潰してボウルにまきの粉と一緒に入れ、よく混ぜる。 +2. 1に水分を足しながらよくこねる。(耳たぶ位の硬さ)※よもぎの水分が入るので、水分を加減しながら少しずつ入れる。 +3. 2の生地を冷蔵庫に入れて一晩寝かせる。 +4. 寝かせた生地をもう一度よくこねる。 +5. 生地を30g、こしあんを20gずつ計る。計った生地であんこを包む。 +6. 計った生地を布を敷いた型に入れ型押しする。 +7. フライパンに油を薄くひき、弱火から中火程度で蓋をして焼いていく。ある程度焼けたら、水を少し入れ蒸し焼きにする。 +8. 水気がなくなったら裏返して焼く。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 若桜町食生活改善推進員連絡協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_27_1.jpg)" +"# 干し大根の煮しめ 島根県 + +**郷土料理名**: 干し大根の煮しめ + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +石見地方(浜田市など) + +## 主な使用食材 +干し大根 + +## 歴史・由来・関連行事 +島根県では、乾物づくりや保存食づくりが脈々と受け継がれている。特に秋から冬にかけて収穫される大根は、冬を越して春になったときにとれる野菜が少ないことから、保存食として干し大根がつくられるようになった。大根の保存方法ひとつとってもバリエーションに富む。たとえば、隠岐地域では太い大根は4つに割って軒先につるして干し大根にする。小さな大根は、千切りにして切り干し大根にした。干すことで保存がきくほか、水分が減って旨味や甘み、カルシウムなどの栄養価が凝縮される。生の大根を雪の中に埋めて、春までの食糧とする保存方法も存在する。干し大根は、島根県全域でつくられるが、「干し大根の煮しめ」は主に石見地方でつくられる郷土料理。 + +## 食習の機会や時季 +干し大根は昔の人の知恵が活かされた保存食。干すことによって栄養価が高くなる干し大根は、一般家庭で日常的に食べられている。 + +## 飲食方法 +干し大根は、 カレーライス、酢の物、サラダ、和えもの、炊き込みごはん、餃子、卵焼きなど、さまざまな料理の具材としても使われるが、岩見地方では定番メニューに「干し大根の煮しめ」をあげる地元民が多い。皮を剥いた大根を輪切りにし、真ん中に菜箸などで穴をあける。穴のあいた大根を二筋のわらに一緒、交互、一緒を繰り返して通す。1か月程度軒先に干して、その後一度蒸す。蒸した後に再度寒風に干すことで、甘みの強い干し大根ができる。干し大根をわらから抜き取り、お湯で戻し、戻した大根を油で炒めていく。戻した汁はだし汁としても使用し、いりこ、酒、みりん、醤油、砂糖を加えて煮しめていくと美味しくできあがる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人前) +- 干し大根: 20枚 +- 戻し汁: 適量 +- いりこ: 30g +- 酒: 大さじ2 +- 砂糖: 大さじ1 +- 醤油: 大さじ2 +- 油: 適量 + +## 作り方 +1. 干し大根は水で洗い、30分ぐらい水につけておく。 +2. 鍋に1を入れ、多めの水を入れて火にかけ沸騰したら火を消しそのまま冷ます。 +3. 戻し汁をだし汁として使用する。 +4. 戻した大根を油で炒め、戻し汁を鍋にひたひたまで入れ、いりこ、酒で中火で煮る。 +5. 砂糖、醤油を加えて煮汁がなくなるまで煮る。 +6. 【参考:干し大根の作り方】(1)大根は皮をむいて1cm弱の輪切りにする。(2���中央に割り箸で穴をあけ、交互にひもを通す。 (3)風通しのよい所に3週間ぐらいつるして干す。 (4)鍋に湯を沸かし、熱湯の中に入れ5分位ゆでる。(5)もう一度、前の場所に2週間ぐらい干す。 長期間保存の場合は、暖房のきいたところでカラカラに干す。 +7. 【参考:干し大根の戻し方】(1)水に30分位つけて、鍋に水と干し大根を入れて火にかけ、沸騰したらそのまま置くとしっかり戻る。(2)戻し汁はだし汁として使用する。(3)戻した干し大根を、油で炒め戻し汁を加え、いりこ、酒、みりん、醤油で煮ると美味しくなる。(4)カレーライス、酢のもの、サラダ、和えもの、炊き込みごはん、餃子、卵焼きなど、いろいろな料理に使える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 島根県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_28_1.jpg)" +"# 隠岐アラメの炒め煮 島根県 + +**郷土料理名**: 隠岐アラメの炒め煮 + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +隠岐地域 + +## 主な使用食材 +隠岐アラメ、人参、油揚げなど + +## 歴史・由来・関連行事 +海に囲まれた隠岐では、わかめやのりといった多彩な海藻類が収穫できる。水深0mから20m圏内に海藻がとれる藻場が広範囲にわたって分布している。日本海の荒波にもまれるため美味しい海藻がとれる。水深0mから10mでは、ナラサモやイソモクといったホンダワラ類や海草のエビアマモなどの藻場が形成されている。水深10mから20mでは海藻の種類が少なく、クロメ、ノコギリモクが中心である。隠岐の特産物のアラメは、水深2mから3mの浅い場所や港などに生えている。デコボコと荒い表面が名前の由来とされている。昔から地元民に、ミネラルを多く含む海の恵みとして親しまれている海藻で、春ごろになると、どこの家庭でもアラメを使った料理が食卓に並び、なかでも「隠岐アラメの炒め煮」は地元民から馴染みのあるアラメ料理である。現在でも人力によるアラメ漁が残っており、漁師は木枠にガラスをはめ込んだ「箱めがね」を装着して、長いカマで海中のアラメを刈り取る。アラメは天日干しにした後、海水に漬けて渋抜きをする。さらに、火にかけて炊き上げ、最後に再び乾燥させる。 + +## 食習の機会や時季 +隠岐で獲れるアラメは、柔らかくて幅広である。2月以降、春にかけて新芽を刈り取って、乾燥保存されるため、現在は1年を通して食べられる。ほかの海藻にはない歯ごたえがあるため、煮物、和え物に使われることが多い。手軽につくれる「隠岐アラメの炒め煮」のほか、白和えやサラダ、炊き込みごはん、かき揚げなど、家庭では日常的に食されている。 + +## 飲食方法 +乾燥したアラメを2時間程度水にさらすと、次第に弾力を取り戻す。水で戻したアラメを人参や刻んだ油揚げなどと一緒に鍋やフライパンで炒め、仕上げに出汁で煮しめたらできあがる。アラメは火が通りやすいため、煮すぎないようにする。油で炒めることで、繊維が柔らかくなり、旨味も増すという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人前) +- アラメ(乾燥): 20g +- 人参: 25g +- 油揚げ: 1枚 +- 干ししいたけ: 3枚 +- ピーマン: 1個 +- だし汁: 50cc +- 酒: 小さじ2 +- 醤油: 大さじ1 1/3 +- 砂糖: 小さじ2 + +## 作り方 +1. アラメはたっぷりの水で戻す。 +2. 煮干しで出汁をとる。 +3. 油揚げは湯通して千切りにする。人参と干ししいたけも千切りにする。 +4. 鍋にサラダ油を入れ、水切りしたアラメと、3を入れ炒める。 +5. 4の材料に油が回ったらだし汁と調味料(酒、醤油、砂糖)を入れて弱火で煮詰める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 島根県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_9_1.jpg)" +"# 角ずし/箱ずし 島根県 + +**郷土料理名**: 角ずし/箱ずし + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +石見地方 + +## 主な使用食材 +酢飯、人参、ごぼう、しいたけなどの季節の野菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +「角ずし」、「箱ずし」はともに押しずしの1種。その違いは、使う木枠のかたちや大きさにあるという。「角ずし」は、5cm角程度の小さな木枠(物相)で手軽につくれる押しずしである。形も角型のほかに、花形、松竹梅などもある。一方で「箱ずし」で使う木枠は「角ずし」より大きく、できあがりを切り分けて供す。近年は、少量で、手軽につくれる「角ずし」をつくる地域が多いが、一度に大量につくることができる「箱ずし」が郷土料理として根付いている地域もある。石見地方に伝わる「箱ずし」は、魚や肉を使わない押しずし。角形の木枠に酢飯、野菜を重ねて、薄い板を挟む。さらに、酢飯、野菜、薄い板……というように繰り返し積み重ねていく。最後に上から押して圧をかけて切り分け、飾りとして錦糸卵、桜でんぷ、青い葉(山椒、人参の葉)をのせて彩る。江戸時代、幕府の天領だった石見銀山周辺に派遣された代官の奥方が江戸の味を懐かしんで、地元につくり方を伝承したのがはじまりといわれる。また、戦国時代に兵糧として伝わったという説もある。 + +## 食習の機会や時季 +昔は、家庭でつくり、ハレの日に食べられる料理だった。「角ずし」は小さく手軽につくれ、かつては家々にすしづくりのための木枠があり、ハレの日に「角ずし」をつくるのが当たり前だったという。いまでもハレの日には「角ずし」をつくる慣わしは残っている。また、昔は嫁入り道具のひとつとして、すし用の木枠が代々受け継がれていったという。保存もきくので、祝宴で振る舞われるほか、出産祝いや病気見舞いにも重用された。 + +## 飲食方法 +「角ずし」は酢飯で包まれているため、上の飾りだけで具は無いように見えるが、食べすすむと具が現れる(「箱ずし」は切り分けるるため、横から具が見える)。具材は肉や魚を使わず、野菜が中心である。酢飯を木枠に詰めて、その上に醤油と砂糖で甘辛く煮た人参、ごぼう、しいたけなどを敷く。さらに上から酢飯を敷いたら、ふたをして圧をかけるとできあがる。仕上げに錦糸卵や桜でんぶ、山椒などを散らして彩りを加えて食べる場合もある。この飾りつけについては、とくにルールや決まりはなく、家々の個性が現れる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人前) +- 米: 4合 +- 【A】 酒: 8個 +- 【A】 出汁昆布: 10cm角 +- 【B】 酢: 大さじ5 +- 【B】 砂糖: 大さじ2 +- 【B】 塩: 小さじ1 +- ごぼう: 60g +- 人参: 40g +- 干ししいたけ: 10g +- 長天: 1/2枚 +- 【C】 干ししいたけ戻し汁: 1カップ +- 【C】 しょう油: 大さじ1 +- 【C】 みりん: 小さじ2 +- 金時豆: 16個 +- 錦糸卵: 適宜 +- 青葉: 適宜 +- 桜でんぶ: 適宜 + +## 作り方 +1. 米はといでざるにあげAで炊く。 +2. 干ししいたけは水で戻す。(戻し汁はだし汁に使う) +3. ごぼう、人参はささがきにし、干ししいたけは薄切りにする。長天も細かく切る。(すしの中に入れる具材なので細かく切る) +4. 3の具材をCで煮て味付けをする。 +5. 米が炊きあがったら、Bの合わせ酢を混ぜてすし飯をつくる。 +6. すし飯の中に4の具材と金時豆を1個入れ、丸めて木枠に入れる。 +7. 木枠から押し出したすしの上に、錦糸卵、青葉(人参の葉等)、桜でんぶを飾る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 島根県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_8_1.jpg)" +"# うずめ飯 島根県 + +**郷土料理名**: うずめ飯 + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +石見地方(浜田市、益田市匹見町、津和野町など) + +## 主な使用食材 +わさび、タイ、せり、季節の野菜(人参、ごぼう、しいたけ、里芋、豆腐や厚揚げ、鶏肉、かまぼこ)など + +## 歴史・由来・関連行事 +一見、出汁をかけてわさびをそえたお茶漬けのように見えるが、ごはんの下には小さく刻んだタイや野菜が隠れている。この食べ方の起源についてはさまざまな説が残っている。たとえば、質素倹約を強いられた江戸時代に贅沢しているのを悟られないため、具材が粗末で他人に見られるのが恥ずかしかったため、などが挙げられている。提供するときや食べるときは伏し目がちにする、といった習わしも伝わっている。山口県にも同様の料理があり、仏教信仰にともない伝承されたともいわれており、はじめは動物性の食材は使っていなかったとする見方もある。昭和14年(1939年)には、宮内庁の全国郷土料理調査において日本の代表的な郷土料理として、岐阜県の「さよりめし」、東京都深川の「深川めし」、埼玉県小川町の「忠七めし」、大阪府難波地方の「��やくめし」とともに、「うずめ飯」が「日本五大名飯」のひとつに選定された。 + +## 食習の機会や時季 +寒い冬に暖をとるための晩ごはんや、地域の氏神を参拝する「春神楽」という正月行事のおもてなし料理として客に振る舞われた。現在は、ご当地グルメとして観光施設などで1年を通して楽しめる。 + +## 飲食方法 +鍋で野菜を炒め、あぶったタイの出汁と水を加えて、すまし汁よりもすこし濃いめの醤油味で煮こむ。野菜が柔らかくなるまで煮あがった具をどんぶりに盛り、おろしわさびを敷いたら上からごはんを乗せて食べる。食べるときは、鍋の出汁をかけてお茶漬け風にして食べる。この料理はわさびが決め手になっており、水がきれいな山間で栽培された香り高いわさびを使うのが良しとされる。津和野町では、わさびを特産品として栽培しており、名物の「うずめ飯」にも使われている。津和野町のわさびは、甘みが強く外国人の舌にも合うという。あっさりと素朴な味わいのごはんに、わさびが良いアクセントを加えてくれる。食べ進めていくうちにごはんから具材が出てきて、彩りが増していく。どんな具材が入っているのか楽しむのも「うずめ飯」の醍醐味である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人前) +- 米: 1.5合 +- 里芋: 8個 +- ごぼう: 100g +- 人参: 60g +- しいたけ: 4枚 +- 鶏肉: 32g +- 厚揚げ: 1枚 +- だし汁: 600cc +- みりん: 小さじ2 +- 醤油: 小さじ2 +- 片栗粉: 少々 +- わさび: 適宜 + +## 作り方 +1. 里芋、厚揚げは乱切り、しいたけは薄切りにする。鶏肉は1cm角に切る。 +2. ごぼう、人参はささがきにし1と一緒に出汁で煮る。野菜に火が通ったら、みりん、醤油で味付けし、水溶き片栗粉でとろみをつける。 +3. ごはんを盛り、熱々のうちに2を汁椀に入れ、その上にごはんを盛ってわさびをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 島根県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_7_1.jpg)" +"# 小豆雑煮 島根県 + +**郷土料理名**: 小豆雑煮 + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +東部地域 + +## 主な使用食材 +小豆、丸餅 + +## 歴史・由来・関連行事 +甘さをひかえめに煮た小豆に餅を入れた雑煮。元旦には、岩のりの入った「すまし雑煮」を食べ、正月2日からこちらの「小豆雑煮」を食べる地域もある。餅は丸餅を使う習いがある。この雑煮は、さらさらとしており、見た目は「ぜんざい」や「おしるこ」に近いが、比較するとあっさりとした甘さが特徴である。出雲地方の旧暦10月は、全国から神々が集まる神在月(かみありづき)。この時期に催される神事「神在祭(かみありさい)」では、「神在(じんざい)餅」として、「小豆雑煮」が振る舞われ、これがのちに「ぜんざい」の語源になったとされる説もある。 + +## 食習の機会や時季 +「小豆雑煮」は、家長が氏神へ供えた若水(元旦に初めて汲む水)を使ってつくった。お椀に盛られる餅は2個。雑煮は供物にもなり、三が日の間はお椀を変えずに供えるという。小豆は、一つのさやからたくさんの豆がとれるので、子孫繁栄の願いも込められている。宍道湖(しんじこ)周辺では、小豆はあんにするか、「赤飯」に入れることも多かったという。 + +## 飲食方法 +小豆の粒をつぶさないように、すまし仕立てにしてあっさりと仕上げる。たっぷりと水をはった鍋に小豆を入れて、弱火でじっくりと煮る。小豆の粒がつぶれるくらいになったら、砂糖を入れて好みの甘さに調整する。このとき、塩を少々加えて、味をととのえても良い。小豆を煮る際に出汁を入れる家庭もある。甘さひかえめに煮た小豆のため、椀に盛ってから好みで砂糖を入れて食べることもある。味噌味、醤油味など家族の好みに合わせて味付けされ、食べられている。餅は、「すまし雑煮」と同様に丸餅を用いるのが一般的である。汁とは別に、餅をゆでおきしておくと、餅が柔らかくなりすぎずに食べやすい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人前) +- 小豆: 100g +- 砂糖: 80g +- 塩: 小さじ1/4 +- 水: 1000cc +- 丸餅: 8個 + +## 作り方 +1. 水に小豆を入れ、沸騰するまで中火、沸騰直前に弱火にする。1時間半ぐらいアクを取りながら煮る。 +2. 軟らかくなったら砂糖を加え、木べらで鍋底をな��ながら20分位煮て、さらに塩を加え10分煮る。 +3. 餅を2に入れて軟らかくなるまで煮る。かたい場合はお湯で少し煮ておく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 島根県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_2_1.jpg)" +"# たけのこ山椒煮 島根県 + +**郷土料理名**: たけのこ山椒煮 + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +東部地域(島田地区) + +## 主な使用食材 +たけのこ、山椒 + +## 歴史・由来・関連行事 +島田地区は、その大部分が山に囲まれ、米を十分に収穫できない地域だった。そういった環境に目をつけた安松市郎兵衛という人物が弘化3年(1846年)、山林を開墾。町内にある清水寺の孟宗竹(もうそうちく)を移竹して、母竹を増やしはじめる。粘土質の赤土が成長を促し、市郎兵衛のたけのこはすくすく成長した。たけのこ栽培は周辺の農家にも波及し、やがて「島田たけのこ」は特産品として不動の地位を確立した。島田たけのこは、繊維が細かく、肉質が柔らかい。その秘密は土壌にある。かたい土壌で育ったたけのこは身もかたくなるが、先人たちが耕し続けてきた島田地区の土壌で育った、たけのこの身は柔らかい。島田たけのこは地中奥深くまで根を張る。従来は、たけのこ堀りにはつるはしが使われるが、島田たけのこは長さ1mを越える金棒を使って掘るという。昭和50年ごろ(1970年後半)は、1シーズンに700トン~800トンとれたが、農家の後継者不足などの影響で、現在では数十トン程度に減少。それでも、その人気は衰えることがなく県内外へ供給される。地元民にとっても、たけのこ料理は馴染みが深い。「たけのこ山椒煮」といった煮物をはじめ、「たけのこご飯」や炒め物などさまざまな料理が食卓に上がる。 + +## 食習の機会や時季 +4月ごろから6月にかけて、島田たけのこが出荷のピークを迎える(その他の地域のたけのこは、4月下旬から5月上旬に収穫)。県外からの需要も高いが、その一部は地元へと供給される。島田地区でなくとも、自宅の庭や近隣の竹林でたけのこ掘りをする人も多いという。自家用に消費されるほか、個人で販売して副収入を得る人もいるという。 + +## 飲食方法 +「土佐煮」のようにカツオ節を加えた煮汁でシンプルに調理しても良い。山椒煮にする場合は、カツオ出汁、薄口醤油、酒、みりんを合わせた煮汁で煮こむ。アクセントに実山椒を加えても良い。カツオ節をこし布に入れて、追いガツオをするとより風味が高まり、美味しく食べられる。たけのこの下処理は手間がかかるため、水煮を使っても良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人前) +- たけのこ: 1本 +- カツオ出汁: 360cc +- カツオ節: 適量 +- 山椒の実: 20g +- 酒: 大さじ2 +- 山椒の葉: 1枚 +- みりん: 大さじ2 +- 淡口: 大さじ2 + +## 作り方 +1. たけのこは湯がいてあくを抜き、5cmの短冊に切る +2. カツオ出汁に調味料を合わせて、たけのこを入れ煮る +3. 少し煮詰めたら布にカツオ節を入れたものを加え、コトコト煮立てる +4. 水分が少なくなったら、皿に盛り山椒の葉を飾る + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 島根県調理師会連合会常任理事森井優氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_15_1.jpg)" +"# 柿なます 島根県 + +**郷土料理名**: 柿なます + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +干し柿、大根(かぶでも可)、人参など + +## 歴史・由来・関連行事 +島根県の柿といえば、県内全域で生産されている西条柿がその代表格である。日本海の潮風と気温、赤土の相性が良いことから、島根県でよく収穫されるようになった。広島県の東広島市西条地区が原産とされており、中国地方や四国地方に広く普及している。除草剤を一切使用せずに育てるため、1年を通してしっかり管理をおこなう必要があるが、このおかげで身太りし、甘さも格別な柿となる。4つの溝が入った独特の形状となめらかな食感が特徴。その見た目が出雲大社の祭神である大国主命がもつ「打ち出の小鎚」に似ていることから、「こづち」という名前でブランディングされている。もともと渋柿だが、渋抜き後は糖度17度以上のとろけるような甘さになる。また、中心部がゼリー状になるほど肉��が緻密である。昔は焼酎に漬けて渋抜きしていたが、現在はドライアイスの入った袋に柿を入れて渋抜きをしている。西条柿は干し柿に適しており、干すことで糖度がさらに凝縮される。西条柿の生産量において、トップレベルの地位にあるのが浜田市である。昭和初期には、集落のあちこちに柿の木を見ることができたという。生果が出荷するのは10月上旬から11月中旬ごろ。以降は、寒さが厳しくなる前に柿もぎがはじまり、干し柿に加工される。干し柿のほか、お湯に漬けて渋みを抜くあわし柿や生柿を塩漬けにする漬け柿、変わったところでは柿の天ぷらなど、さまざまな食べ方が伝わっている。その一つが、干し柿を酢の物にした「柿なます」である。 + +## 食習の機会や時季 +干し柿や人参の赤色と、大根やかぶの白色の“紅白”からおめでたい料理とされ、祝宴や正月の定番料理の一つとして親しまれている。 + +## 飲食方法 +人参と大根(かぶでも可)のなますは定番だが、これに柿を入れることで、やさしい甘さとあざやかな彩りが加わる。食べやすく切った干し柿に、細く切った大根とゆでた人参を混ぜたのち、酢や砂糖、醤油などで味をととのえる。冷蔵庫にしばらく保存して味を馴染ませたらできあがる。干し柿はよく乾いているものを選ぶと良い。また、生柿を酢の物に入れて食べても美味しい。生柿の場合は、色が鮮やかであり人参の代わりになるため、柿と大根またはかぶだけで良い。柚子の皮を添えると風味が良くなる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人前) +- 大根: 200g +- 人参: 1/4本 +- [塩水] 水: 3カップ +- [塩水] 塩: 大さじ1 +- 干し柿: 1個 +- [A] 酢: 大さじ1 +- [A] 塩: 少々 +- [A] 砂糖: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 大根は皮をむき長さ5cm、幅1cmの薄い短冊切りにし、人参も同様に切る。 +2. ボールに塩水を入れ、その中に大根と人参を加えしんなりさせる。 +3. 干し柿は縦2等分にし、種を取り除き千切りにする。 +4. 2がしんなりしたらしっかり絞る。 +5. Aの調味料を合わせ3と4を入れしっかり味を馴染ませる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 島根県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_27_1.jpg)" +"# ばくだんおにぎり 島根県 + +**郷土料理名**: ばくだんおにぎり + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +出雲地方、隠岐地域 + +## 主な使用食材 +岩のり、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +隠岐の島は、島根県の北東にある諸島で、4つの主島と180余りの小島で構成されている。面積は346.22km2。海岸線は延長468kmに及ぶ。海に囲まれた隠岐の島は、収穫できる海藻類も多彩。冬はのりやアラメ、春はてんぐさや、ひじきなどがとれる。北風が吹きさす12月から2月にかけ、岩のりの漁がはじまる。海面が静まる凪の日を狙い、水際の岩場に集まり岩に生えたのりをていねいに集める。この「のり摘み」は、隠岐の冬の風物詩となっている。隠岐でとれる岩のりは、繊維が太く歯ごたえが良く、香り高いと評判である。収穫した岩のりは、小石などを取り除く下処理をおこない、板のり状に加工。ほとんどが地元で消費され、一部は県内外へと流通する。隠岐で食べられている「岩のり雑煮」の必需品でもあり、正月には欠かせない食材である。その岩のりを贅沢に使い、弁当や間食によく食べられているのが「ばくだんおにぎり」である。丸く、大きく握ったおにぎりを覆うように岩のりが巻かれており、その見た目から「ばくだん」の名が付けられたという。 + +## 食習の機会や時季 +岩のりは漁期の間に1年分が収穫され、乾燥保存されていることから、通年流通している。「ばくだんおにぎり」は、子どものおやつや弁当の主食など、日常的に食べられ、地元民から親しまれている。 + +## 飲食方法 +岩のりを少し緑色になるくらいに軽くあぶってから、片面に醤油を塗って、醤油の面をおにぎりに巻けばできあがる。 おにぎりのなかに具材が入っている場合もあるが、具材が入らないシンプルなものが多い。具材がなくとも、岩のりに味が付いているので充分食べごたえがある。ほおばると、口いっぱいにふくよかな磯の香りが広がる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2個分) +- ごはん: 茶碗2杯分 +- 岩のり: 1��� +- 醤油: 小さじ1強 + +## 作り方 +1. ごはんを2つに分けて、ばくだんのように丸く握り、おにぎりをつくる。 +2. ガスコンロの火で、岩のりをあぶる。この時の目安は、岩のりの色が少し緑色に色が変わるくらい。岩のりの端の方まで、まんべんなく火を通すために、魚焼き網を用いてもよい。 +3. あぶった岩のりを半分に切り、片面に醤油をつける。醤油のついた面を1のおにぎりにあてて、包んでいく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 島根県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_26_1.jpg)" +"# くじらご飯 島根県 + +**郷土料理名**: くじらご飯 + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +石見地方(浜田市、益田市など) + +## 主な使用食材 +くじらの皮、米、大根、ごぼう、しいたけなど + +## 歴史・由来・関連行事 +島根県の西部にあたり、日本海に面する浜田市と益田市。両市に大田市を含めた“石見三田”は、石見地区の主要都市である。両市はいずれも漁業が盛ん。浜田市は、戦後、沖合底びき網漁業と旋網漁業によって生産量を増大させ、山陰の中核漁場として成長。平成2年(1990年)のピーク時にはおよそ20万トンを水揚げした。益田市は「つくり育てる」漁業を推進。アワビ稚貝やヒラメ稚魚を放流し、育成に力を注いでいる。この両市で昔から食べられているのがくじらの皮を使った炊きこみごはん「くじらご飯」である。巨大なくじらにあやかって、子どもたちが「将来、大物になる」ことを祈って節分の日に食べた。昭和初期、雪深いこの地域では、家々でくじらの皮を大量に買いこんで塩漬けにしていたという。このことからもくじらを食べる文化が地域に根づいていたことがわかる。 + +## 食習の機会や時季 +冬の家庭の食卓に並ぶ郷土料理。くじらのような大物になることを願って、節分に食べる。節分の次の日は立春にあたるが、まだまだ寒いこの時期にくじらの油が体を温めてくれる。 + +## 飲食方法 +「海のジビエ」や「マリンビーフ」とも称されるくじらは、栄養価が優れ滋味に富む。霜降り肉のような「尾の身」や柔らかくてクセのない背や腹の「赤肉」、そのほか脂肪層の「本皮」は珍味として食される。油の多い食材なので、炊き込みごはん、冬野菜と一緒にすき焼き風(石見地方では「へか」)、油をしっかり抜いて酢味噌和えなど、さまざまな料理がつくられている。油抜きをするときは、薄切りにしたくじらを熱湯を入れて油をとるが、このとき火を消しておこなうのがポイント。 「くじらご飯」の調理にあたっては、くじらの皮に熱湯をかけて余分な油を落とすことからはじまる。油を落したら、小さく刻んだくじらと大根やごぼう、しいたけなどを炒め、醤油で味付けする。これを炊きたてのごはんに混ぜたら出来上がる。混ぜ込みのほかに、くじらと野菜各種と米と一緒に炊き込んで食べても良い。 冷凍のくじらを家で調理する場合は冷蔵室で自然解凍すると良い。火の通りが早いので、調理の際は加熱しすぎに注意する。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人前) +- 米: 2合 +- 白くじら: 100g +- ごぼう: 50g +- 人参: 50g +- 大根: 50g +- こんにゃく: 50g +- 醤油: 大さじ1 +- 酒: 大さじ1 +- 塩: 小さじ1/2 + +## 作り方 +1. くじらは短冊に切り、熱湯をかけ余分な油を落とす。 +2. ごぼうはささがきして水にさらし、こんにゃく、人参は細かく切り、大根は短冊に切る。 +3. 窯にといだ米と同量の水、1、2と調味料を加え炊く。 +4. 炊きあがったら、ざっくり混ぜる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 島根県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_25_1.jpg)" +"# 黒田せりとほうれんそうのおひたし 島根県 + +**郷土料理名**: 黒田せりとほうれんそうのおひたし + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +松江市 + +## 主な使用食材 +黒田せり、ほうれんそう + +## 歴史・由来・関連行事 +黒田せりは、江戸時代から伝わる島根県松江市の郷土野菜。「黒田」は、旧地名の黒田町に由来している。黒田町一帯は沼地で、野生のせりが自生していたという。5代松江藩主である松平宜維は、このせりの品種改良を奨励。以来、本格的な栽培がはじまったとされる。この地区���背にする比津が丘は、清らかな水を供給する水源地になっており、こういった生育環境もせりづくりを支えた。厳寒期の水田、素手素足でおこなわれる収穫作業は非常に過酷で「命を縮める」とまでいわれていた。時代を追うに従って、ブリキ製の田んぼ用靴や湯沸かし桶などが導入され、負担も軽減していった。水田での作業風景は冬の風物詩だったものの、現在、町内の黒田せり農家は数軒にまで減少している。せりはクセのある香りが特徴だが、黒田せりは、アクが少なく香りが良い。1930年代には北大路魯山人から「日本一」の折り紙をつけられた。食感もシャキシャキと小気味よく、からしマヨネーズ和えや炒め物など幅広い用途に活用ができる。なかでも、ほうれんそうと合わせた「黒田せりとほうれんそうのおひたし」は、家庭でもよく食べられている一品である。 + +## 食習の機会や時季 +収穫は11月から3月初めまで。血流をよくするといわれていることから、「正月セリ」といって風邪をひかないようにと食べる地元民も多く、年末から正月初めが出荷のピークになっている。松江市の冬の食卓には、おひたしや鍋などに黒田せりが使われ、冬の健康野菜としても重宝されていた。 + +## 飲食方法 +黒田せりの独特の香りや風味、シャキシャキとした歯ごたえを楽しむなら、和え物や椀物といったシンプルな料理が適している。ほうれん草との相性も良く、「黒田せりとほうれんそうのおひたし」は家庭料理でも食べられている。せりはクセがあることから、ほうれん草の割合を多く(ほうれん草7:せり3の割合)つくるとちょうど良い。冷蔵すれば1週間ほど保存がきくので、使い勝手が良い。せりが調達できない場合、三つ葉で代用して食べることもできる。ゆでるときはシャキシャキ感が残るようにゆですぎないこと。鍋では煮過ぎないこと、さっとゆでると良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 () +- 黒田せり(市販のせりでも可): 60g +- ほうれんそう: 140g +- だし汁: 90cc +- みりん: 15cc +- 淡口醤油: 15cc + +## 作り方 +1. せりとほうれん草の根を切り、さっと洗って4,5cmくらいの長さにカットする。 +2. 沸騰した石を入れた鍋で湯がき、冷水または真水にとって粗熱をとり、汁気を絞る。 +3. 調味料を合わせた出汁に一晩漬ける。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 島根県調理師会連合会 執行副会長 中本 喜代数氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_24_1.jpg)" +"# うなぎ豆腐 島根県 + +**郷土料理名**: うなぎ豆腐 + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +出雲地方 + +## 主な使用食材 +うなぎ、焼豆腐、京葱、季節のきのこ、春菊など + +## 歴史・由来・関連行事 +宝暦6年(1756年)、松江市・安来市に接する中海(なかうみ)で、突如うなぎが豊漁になった。松江の商人佐右衛門は、豊漁に目をつけ大阪での販売に乗り出した。かごに入れられたうなぎは天秤棒で担がれて安来港を出発。出雲街道を経て、岡山県、大阪へと陸路・水路を駆使して輸送された。20~30人で輸送団を組み、悪路続きの中国山地を歩き通したといわれている。輸送団が歩いたルートは、「うなぎ道」、「うなぎ街道」とも呼ばれ、現在でもその面影を見ることができる。出雲産うなぎは大阪の食文化にも大きな影響を与えたといわれ、一時は「出雲屋」を屋号にするうなぎ屋が乱立したほどだったという。腹開きの魚は切腹を彷彿とさせるとして、関東のうなぎ屋は背開きにして頭を落としたうなぎを提供する一方、関西では腹開きにして頭を付けたままのうなぎが一般的である。この腹開きの文化は、大輸送をきっかけにして、出雲からもたらされたといわれている。現在でも出雲地方ではうなぎが食べられており、白焼き、蒲焼き、うな重、ちらしずし、柳川鍋風にした「うなぎ豆腐」などさまざまな料理で楽しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +土用の丑の日に食べるイメージが強いうなぎだが、天然のうなぎの旬は冬眠に向けて栄養をため込む冬が旬。漁法は延縄、かご、竹筒、しば漬け(木の枝や竹ざおを束ねて作る仕掛け)などを用いる。漁期は4月から12月で、特に6月から10月は延縄で多く漁獲される。 かつては豊漁に沸いた宍道湖のうなぎ漁だが、昭和40���(1965年)の104トンをピークに平成26年(2014年)には4トンにまで激減している(宍道湖漁業協同組合調べ)。 + +## 飲食方法 +家庭では、スーパーマーケットなどで売っている蒲焼を使うと手間がかからない。食べやすい大きさに切ったうなぎと角切りにした焼き豆腐を合わせ出汁で10分ほど煮こむと、うなぎの出汁と脂が出てくる。そこへ京ねぎ、季節のきのこ、春菊などを入れ、一緒に炊く。焼き豆腐は斜めに切って表面積を増やすと、うなぎの出汁が染みこみやすくなり、美味しく食べることができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人前) +- 蒲焼のうなぎ: 適量 +- 焼き豆腐: 適量 +- 京ねぎ(青ねぎ): 適量 +- しめじ: 適量 +- 出汁: 360ml +- 淡口醤油: 大さじ2 +- みりん: 大さじ2 + +## 作り方 +1. うなぎの蒲焼をいくつかに切り分けて、焼き豆腐を斜めに切る +2. 出汁と調味料を合わせ、うなぎの蒲焼をいくつかに切り分けて、豆腐と一緒に入れて5~6分ほど炊く(煮る) +3. 笹切りした京ねぎ、しめじを加えさらにひと煮立ちする + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 島根県調理師会連合会 執行副会長 中本 喜代数氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_23_1.jpg)" +"# スズキの奉書焼き 島根県 + +**郷土料理名**: スズキの奉書焼き + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +松江市 + +## 主な使用食材 +スズキ + +## 歴史・由来・関連行事 +島根県北東部に位置する宍道湖(しんじこ)は、約1万年前に形成されたといわれる。東西約17km、南北約6km、周囲47kmと広大で、その面積は国内7番目を誇る。風情ただよう湖面から「日本百景」にも選ばれた。宍道湖は海水と淡水が混ざりあう汽水湖で、水域や季節ごとに海水の混ざり方が異なるという。その独自の環境が郷土の味を育んだ。スズキは、ヤマトシジミ、アマサギ(ワカサギ)、シラウオ、モロゲエビ(ヨシエビ)、コイ、うなぎとともに、宍道湖を代表する魚介類「宍道湖七珍(しんじこしっちん)」として有名。コセイゴ、セイゴ、チューハン、スズキと成長とともに名を変える出世魚であるスズキだが、古事記の出雲神話「国譲り」では、大和朝廷と和合した祝宴に出雲から大きなスズキが献上された。江戸時代から城下町として繁栄した松江市の名物料理が「スズキの奉書焼き」。これはスズキを奉書(楮を原料にする和紙)に包んで蒸し焼きにしたもの。漁師がたき火の灰で蒸し焼きにしていたスズキを松江藩七代藩主の松平治郷が所望したものの、灰がついたままではあまりにもお粗末とあって、奉書に包んで差し上げた。これが「スズキの奉書焼き」のはじまりといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +宍道湖のスズキの旬は、秋から初冬ごろ。宍道湖の湖が荒れはじめる時期になると、スズキは宍道湖と繋がる中海(なかうみ)へと向かい、そこで回遊をおこなう。この時期にスズキが宍道湖を離れ、中海で回遊するのは、宍道湖に落ちるカミナリを怖がっているためだと言い伝えられ、その時期のカミナリを地域では「スズキおとし」とも呼ばれていたという。回遊を終え、宍道湖に戻ってくるスズキは産卵を迎え、すっかり体が肥えており、脂がのっていて食べごろになっている。「スズキの奉書焼」きは、現在も会合や祝宴などハレの日に食べられている。 + +## 飲食方法 +身に傷をつけないよう、エラからワタを抜き取る「つぼ抜き」をおこなう。金串で身を突きながら塩を振りかける。塩が馴染んだら、奉書を巻く。奉書は酒と水で濡らしておくと、蒸し焼きにしたときに香味が増す。奉書はクッキングペーパーのように油を吸収する効果があるため、身の脂くどさもなくなる。もみじおろしや醤油、すだちなどを絞って食べる。一口ふくむと、焼いた奉書の香ばしい香りが口のなかに広がる。その他、スズキはムニエルや揚げ物、吸い物などでも楽しまれる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人前) +- スズキ: 1本 +- 和紙の奉書紙: 適量 +- 塩: 適量 + +## 作り方 +1. スズキのうろことエラを取る。 +2. つぼ抜きで内臓をとり出し、ニガタマだけを取り除きまた戻す。 +3. 塩をスズキ全体に振る。 +4. 奉書紙を水に濡らし、スズキを2~3重に覆い包む。 +5. 天火で蒸し焼きにする。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 島根県調理師会連合会執行副会長 中本 喜代数氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_22_1.jpg)" +"# 白魚のかき揚げ 島根県 + +**郷土料理名**: 白魚のかき揚げ + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +松江市 + +## 主な使用食材 +白魚、たけのこ、菜の花、旬の野菜など + +## 歴史・由来・関連行事 +白魚は淡水と海水が混ざりあう汽水湖の宍道湖(しんじこ)でとれる代表的な魚「宍道湖七珍(しんじこしっちん)」の一つ。江戸時代から松江市の白魚は評価も高く、「松江の白魚は日本一」と各地の料亭から支持されていた。全長は5cm~10cmほど。新鮮なほど透き通っていて美しく、死ぬと数時間で不透明になっていく。見た目がよく似た素魚(シロウオ)と混同されがちだが、まったく別の魚で分布も異なる。宍道湖では主に、マス網・刺し網で11月から5月に漁獲される。「春を告げる魚」として古くから親しまれ、地元民のなかには「食べなければ春が来ない」という人もいる。往時は、松江大橋のたもとから、白魚漁をする様子が見られたという。明治時代の資料には、松江市内の缶詰工場で白魚の缶詰が製造されていた記録も残っている。新鮮な白魚は刺身でも食べることができ、歯ごたえと風味が楽しめるほか、卵とじ、酢和えなど様々な白魚料理が松江市では味わえる。なかでも、うどんや天丼の定番種物として地元の飲食店でも親しまれているのが「白魚のかき揚げ」。かき揚げのふわっとした食感と、白魚を揚げることによって増す旨味を楽しむことができる。 + +## 食習の機会や時季 +宍道湖の漁期は11月15日に解禁され、翌5月31日までおこなわれる。ひと昔前、宍道湖と中海(なかうみ)を結ぶ大橋川にかかる松江大橋のたもとには、白魚漁の小舟が浮かぶのどかな光景が広がっていたという。宍道湖でとれた白魚の多くは都内や関西へと流通し、近年は地元への供給量は減っている。 + +## 飲食方法 +白魚は直接手で取り扱うと、手のぬくもりで味が落ちるとまでいわれており、洗うときはざるにうつす。白魚のたんぱくな味わいはどんな食材にも合わせやすく、使い勝手が良い。かき揚げもバリエーションに富んでいる。たとえば、旬が重なるたけのこと菜の花を合わせたかき揚げや、ちぎった大葉と合わせたかき揚げなど、家庭ごとに独自の調理方法や食べ方が存在する。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人前) +- 白魚: 1パック +- 三つ葉: 1束 +- しいたけ: 1個 +- 塩: 少々 +- 薄力粉: 大さじ2 +- 片栗粉: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 三つ葉は水洗いし、根元を切り4cm長さに切る。 +2. しいたけは薄切りにする。 +3. フライパンに2cm深さの油を入れ170℃まで温める。 +4. 三つ葉、しいたけ、白魚を混ぜ合わて、薄力粉、片栗粉、塩を加えてさっくり混ぜ合わせる。 +5. 8等分にして油に落としさくっと揚げる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 島根県調理師会連合会 執行副会長 中本 喜代数氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_21_1.jpg)" +"# 鯉の糸造り 島根県 + +**郷土料理名**: 鯉の糸造り + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +松江市 + +## 主な使用食材 +コイ、コイの卵など + +## 歴史・由来・関連行事 +島根県と鳥取県にまたがる中海(なかうみ)と連結する淡水と海水が混ざりあう汽水湖の宍道湖(しんじこ)では多くの魚介類がとれる。なかでも、ヤマトシジミ、アマサギ(ワカサギ)、シラウオ、スズキ、モロゲエビ(ヨシエビ)、コイ、うなぎの7種は、宍道湖を代表する魚介類「宍道湖七珍(しんじこしっちん)」として有名。宍道湖は塩分が比較的薄いため、淡水魚のコイも多く漁獲され、なかには、20kgに近い大物も存在するという。一般的には、「鯉こく(みそ汁)」や洗い(刺身)にして食べられる。「鯉の糸造り」は、鎌倉時代から明治時代までの天皇や将軍が召し上がっていた御前料理であり、現在では城下町として栄えた松江市の冬の郷土料理。コイを三枚におろし、細長い糸状に切ったものに煎ったコイの卵(真子)をまぶしている。平安時代から続く日本料理の流派「四条流(しじょうりゅう)」からつくり方の伝習を受けたという。細く長く切ったコイの刺身の上に、煎っ���コイの卵をまぶしてから提供される。 + +## 食習の機会や時季 +コイは、12月から3月にかけての寒い時期によくとれる。産卵期を迎える4、5月は体に栄養を蓄えており美味。それ以降は身が痩せて味が落ちるといわれている。コイを食べると、産婦の乳の出が良くなるという言い伝えもあり、昔は滋養のつく食材としても珍重されていた。かつては、祝いの席に欠かせない料理だったが、現在は食生活の変化にともない提供される機会も減ってきているという。 + +## 飲食方法 +コイを三枚におろし、腹骨や隠し骨をとり、身の方から縦に切れ目を入れる。さらに横に薄くすくうように切り、細長い糸状にする。コイの刺身にまぶす卵は、塩もみしたのち水洗いして、鍋でいる。コイの卵が入手できない場合は、数の子や炒り卵で代用して食べることもある。「鯉の糸造り」の特徴の一つに挙げられるのがタレにあたる「煎り酒」である。昔は煎り酒には濃厚な甘みのある「地伝酒」を用いていたが、現在は充分に供給されておらず入手が難しい。酒、みりん、醤油、塩、そのほか煎り米や焼き梅などを調合して煎り酒を再現する。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人前) +- コイ: 半身 +- 真子(無ければ卵黄 / 数の子などでも可): 適量 +- 酒: 適量 +- みりん: 適量 +- 醤油: 適量 +- 塩: 適量 +- 米: 適量 +- 梅干し: 1個 +- カツオ節: 適量 + +## 作り方 +1. コイのうろこをすいてとり、頭とはらわたを取り、三枚におろす。 +2. おろしたコイの皮を下にして、2mmくらいの厚さですいて紙状にし、縦に切って糸状にする。 +3. コイの真子をボールに入れ塩もみしてばらけさせ、水で洗い塩抜きをし湯がく。 +4. 湯がいて水を切って、乾煎りして水分をとばした真子を、糸づくりしたコイに和える。 +5. すいた皮を強火で湯がいて、細かく切り糸づくりの横に添える。 +6. <煎り酒の作り方>酒、みりん、醤油、塩を合わせ、米を炒ったものと梅干しを焼いたものをガーゼに包み落とし、全体の2割くらい煮詰める。火を止める直前に花ガツオを入れ火を止め、こす。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 島根県調理師会連合会 執行副会長 中本 喜代数氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_20_1.jpg)" +"# 赤貝がらん蒸し/赤貝の殻蒸し 島根県 + +**郷土料理名**: 赤貝がらん蒸し/赤貝の殻蒸し + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +出雲地方 + +## 主な使用食材 +赤貝(サルボウガイ) + +## 歴史・由来・関連行事 +海水と淡水の中間の塩分をもつ水を湛えた湖沼を「汽水湖」と呼ぶ。国内には18の汽水湖があり、そのうちの一つが島根県と鳥取県にまたがる「中海(なかうみ)」である。中海を代表する食材に赤貝がある。これは正式名称を「サルボウガイ」といい、一般的に知られるアカガイとは種類が異なる。見た目はよく似ているが、サルボウガイの殻は溝が32本前後、アカガイの殻は溝が42本前後となっている。大きさも異なりサルボウガイの方が小さい。古事記に出てくる、皮をはがれた因幡の白兎の傷を癒したのがこの赤貝といわれている。昭和30年代(1950年代)ごろまでは、中海が赤貝の日本一の産地だった。しかし、干拓事業や水質悪化などが影響し、水揚げ量が減少。昭和50年(1980年代)ごろには出荷が途絶えるほど追い込まれたという。平成10年代(2000年代)に養殖事業が進み、平成25年(2013年)には出荷を再開した。出雲地方では、この赤貝を殻のまま蒸して食べる「赤貝の殻蒸し」。地元では「赤貝のがらん蒸し」とも呼ばれている。「がらん」の由来には諸説ある。「殻」が訛ったものとする説もあれば、殻の溝にはいった砂をざるの上で洗い落とすときに「がらんがらん」と殻が鳴ったからとする説もある。 + +## 食習の機会や時季 +正月料理の定番としても地元民から親しまれ、食べられている。かつて、赤貝漁は中海の漁師たちの冬春の本業だった。庶民はなにかにつけて赤貝を食べ、中海に浮かぶ大根島の漁師が毎日売りに来るほどだったという。昭和30年代(1950年代)ごろには、1000トン以上の水揚げがあったものの、干拓事業や汚水による環境悪化で一時期は漁ができなくなっていた。近年は、資源再生の取り組みがおこなわれ、再び食べられるよう��なっている。 + +## 飲食方法 +鍋に水、酒、醤油、砂糖などを入れ、煮立ったところに赤貝を入れる。アクをすくいとりつつ、赤貝が開いて味が馴染んだら食べごろとなる。煮すぎると身が固くなってしまうため、手早く調理することが重要である。また、そのまま火鉢の上で焼いて食べてもいい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人前) +- 赤貝(サルボウガイ): 250g +- 出汁: 400cc +- みりん: 40cc +- 淡口醤油: 40cc + +## 作り方 +1. 赤貝はこすり合わせながら洗う。 +2. 鍋にみりん、出汁、醤油を加え沸騰したら、赤貝を全部入れふたをして、沸騰したらふたを取りガラガラとゆすり、再度ふたをして火を消し30秒おく。 +3. ふたを取り、貝が開いた赤貝から箸で取り出す。 +4. 煮汁は汚れているので、汁ごとお皿には取らない。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 島根県調理師会連合会常任理事森井優氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_19_1.jpg)" +"# アゴの子旨煮 島根県 + +**郷土料理名**: アゴの子旨煮 + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +隠岐地域 + +## 主な使用食材 +トビウオの卵(アゴの子) + +## 歴史・由来・関連行事 +島根県の県魚でもあるトビウオは、5月中旬以降に回遊してくるため、地元民の間では「初夏を告げる魚」として親しまれている。島根県では、ホソトビウオとツクシトビウオの2種類がとれる。前者は「丸アゴ」、後者は「角アゴ」と呼ばれており、これらは一緒くたに「アゴ」として総称されている。古くから日常食として根づいており「田植え魚」ともいわれている。これは、地元の農家たち間で伝わっている言葉で、田植えを手伝ってもらう助っ人たちに対してよくトビウオ料理を振る舞っていたことに由来している。ひと昔前の農家においては「アゴが手に入らないと田植えにならん」というのが通り相場だったといわれている。刺身やフライなどトビウオを使った料理は数多く存在するが、珍味の魚卵「アゴの子」も頻繁に食べられている。アゴの子は、タラコや筋子と比べて、卵の粒が大きく皮もややかたいのが特徴である。また、卵一つ一つがほぐれにくく、ねっとりとした口あたりをしている。この独特の食感や風味を好む地元民は多い。地元では、酒の肴によく合う、「アゴの子旨煮」がおすすめというが、焼き物や煮つけなども美味しく、アゴの子を使った料理は地元民に親しまれよく食べられている。アゴの子は、トビウオの産卵期にしか食べられないため、地元民からは「身よりも貴重な、贅沢品」という声も上がる。 + +## 食習の機会や時季 +アゴの子は、初夏に水揚げされる子持ちのトビウオからしかとれないため、やや値が張る。トビウオの身だけを必要とするかまぼこ屋などの加工業者が、トビウオから取りのぞいた魚卵だけを販売することもあるという。 + +## 飲食方法 +皮に入ったアゴの子をそのまま、出汁、みりん、酒、濃口醤油などで炒め煮にして食べるシンプルな料理である。おつまみにするなら、しっかり味付けしたほうが良く、しょうがの絞り汁や刻んだしょうがを入れると、魚卵特有のクセもおさえられ、良いアクセントになる。味噌漬けにして焼いても美味しく食べられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人前) +- アゴの子: 8個 +- しょうが: 適量 +- 水: 150ml +- 醤油: 大さじ3 +- みりん: 大さじ3 +- 酒: 小さじ1 +- 砂糖: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 鍋に水、しょうがのうす切り、調味料を入れて沸騰したらアゴの子を入れて中火で5分ぐらい煮る。 +2. 器に盛り、針しょうがを飾り食べる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 島根県調理師会連合会 常任理事 森井 優氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nophoto.jpg)" +"# ドジョウのけんちんじる 島根県 + +**郷土料理名**: ドジョウのけんちんじる + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +東部地域(安来市など) + +## 主な使用食材 +ドジョウ、ごぼう、しいたけ、人参、大根など + +## 歴史・由来・関連行事 +安来市に古くから伝わる民謡「安来節(やすぎぶし)」。ざるを手にしてユーモラスな振り付けで踊る「どじょうすくい」の所作がお馴染みである。このどじょうすくいのジェスチャーは、一説によると砂鉄精選の作業場で働く男たちの所作を取り入れたものだとされている。ドジョウはドジョウでも、川魚の「ドジョウ」ではなく「土壌」だったというわけである。とはいえ、安来節が生まれる以前より、安来市にはドジョウ食文化が根づいていた。「ウナギ1匹 ドジョウ1匹」といわれるように、精をつけるための養生食だったのだ。江戸時代末期に松江藩が領内の産物をまとめた「出雲国産物名充」の魚類の項にもドジョウが記録されているほど、身近な食材だったのである。ドジョウの生産量が全国第2位の安来市では、戦後に養殖事業が本格的に始まった。現在は、田んぼで育てた「青空ドジョウ」のブランディングに力を注ぐ。ドジョウ料理は唐揚げや柳川鍋、甘露煮などさまざまだが、ドジョウと一緒に島根県の山の幸をふんだんに入れてつくる「ドジョウのけんちん汁」は人気がある。 + +## 食習の機会や時季 +初夏の産卵期は脂がのって美味しいといわれている。夏に出荷のピークを迎える。むかしは田植えを終えたあとの「泥落とし」のときなどに食べられていた。現在は、一般家庭の食卓に上がることは少なく、郷土料理を振る舞う飲食店で目にすることが多い。 + +## 飲食方法 +味噌仕立てで食べられることもあるが、すまし汁に入れても美味である。油を敷いた鍋でドジョウを炒めたら、お湯を注いで出汁を加える。人参や大根といった季節の根菜のほか、しいたけや豆腐などを加えても良い。砂糖を入れるとより味わいが増す。ドジョウを油で炒めるとき、鍋の中ではねて暴れることがある。事前に、日本酒を注いだ鍋にドジョウを入れて、ふたをしてしばらく置いておくと大人しくなり調理しやすくなる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人前) +- ドジョウ(小): 18匹 +- 木綿豆腐: 1/2丁 +- 里芋: 3個 +- 大根: 1/10本 +- 人参: 1/4本 +- こんにゃく: 1個 +- ごぼう: 20g +- 出汁: 600cc +- 塩: 少々 +- 淡口醤油: 60cc +- みりん: 60cc +- 砂糖: 大3 +- しょうがの絞り汁: 少々 +- 油: 適量 + +## 作り方 +1. 豆腐は2cm角でカット、里芋と大根とこんにゃくは一口大にカットする。 +2. ごぼうはささがきにし、水につけてアクをとる。野菜を全て油で炒め、馴染んできたら豆腐を入れ、出汁を加える。 +3. 野菜に火が通ったら、ドジョウを入れ、調味料を加え、ひと煮立ちさせる。 +4. 仕上げに、笹切りした白ねぎや青ねぎを上にのせる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 島根県調理師会連合会常任理事森井優氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_17_1.jpg)" +"# ふきのとう味噌 島根県 + +**郷土料理名**: ふきのとう味噌 + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +出雲地方、石見地方など + +## 主な使用食材 +ふきのとう、白味噌、田舎味噌など + +## 歴史・由来・関連行事 +春の味覚としてお馴染みのふきのとう。清らかな水と肥沃な大地に恵まれた島根県でも親しまれている。田畑のあぜ道や山間部の山林、市街地の土手や公園まで、さまざまな場所に姿を見せ春の到来を告げる山菜である。お年寄りが散歩の途中に拾ってきたり、子どもたちが下校途中に拾ってきたり、いたるところに自生するふきのとうが各家庭の食卓を飾る。農園の一部を利用してふきのとうを栽培する農家も存在する。ふきのとうは、冷凍保存ができるため、大量に調達して1年を通して、ふきのとう料理を楽しむことも可能である。とれたふきのとうは、天ぷらや和え物、炒め物などに活用される。味噌とふきのとうを和えた、「ふきのとう味噌」はごはんのおともや、お酒のつまみとしても定番である。 + +## 食習の機会や時季 +早い地域では1月ごろから八百屋やスーパーマーケットに出回るという。4月に入って間もなく、出荷終期を迎える。田畑のあぜ道や山間の斜面などにたくさん自生しているので、地元民の間でおすそわけすることも珍しくない。同じ時期につくしやぜんまい、たけのこなどの山の幸を楽しむことができる。 + +## 飲食方法 +苦みが少ないつぼみが小さく閉じた状態のふきのとうを使う。独特の苦みと香りが特徴だが、摘みとってすぐ調理をすれば強い苦みも軽減される。細かく刻んだふきのとうを重曹(じゅうそう)を加えたお湯でゆでてアク抜きしたら、冷水にさらす。よく水を絞��たら、白味噌、田舎味噌、酒、みりんなどを混ぜ合わせる。好みに合わせて味噌の配分を変えても良い。塩辛くなりすぎるようなら、砂糖を加えて調味して食べる。冷蔵保存すれば、比較的日持ちするため、つくり置きする家庭も多い。ふきのとうは調理中に茶色く変色しやすいが、ゆでた直後に冷水にさらすと鮮やかな緑色を保てるため、食卓に映えるという。「ふきのとう味噌」を提供する飲食店では、見た目を重視してこのような下処理することも珍しくないという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人前) +- ふきのとう: 140g +- 炒りごま: 少々 +- 麦味噌: 30g +- 白味噌: 250g +- 酒: 20cc +- みりん: 20cc +- 砂糖: 20g +- 重曹: 適量 +- 塩: 適量 + +## 作り方 +1. ふきのとうは、塩と重曹を入れた熱湯でゆでた後、しばらく水に放し、アク抜きをしておく。 +2. 水気を絞ってみじん切りにする。 +3. 2と調味料を合わせ、すり鉢でよくすり合わせる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 島根県調理師会連合会 常任理事 森井 優氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_16_1.jpg)" +"# つみれ煮 島根県 + +**郷土料理名**: つみれ煮 + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +出雲地方、石見地方、隠岐地域など + +## 主な使用食材 +沖ギス、アジ、トビウオ、ごぼう、人参など + +## 歴史・由来・関連行事 +島根県は海岸線の長さが1.026kmと長く、全国で10番目の長さを誇る。その沖合には対馬暖流が北東に向かって流れており、漁場に最適な環境が整っている。漁法も多様性に富み、まき網漁や底びき網漁、定置網漁、一本釣り漁などがおこなわれている。それらの漁法で収穫した沖ギス、アジ、アゴ(トビウオ)などはすり身にされ、ごぼうやねぎの入ったつみれにして「つみれ煮」や「つみれ汁」などにして食べられている。特に沖ギスの「つみれ煮」は地元民のおすすめ。全長20cmほどでそれほど大きくない沖ギスは1匹だけではそれほど食べごたえがない。何尾かまとめてミンチにして、つみれにすれば料理の手間も省ける。沖ギスとは地元での呼称で、正式な魚名は「ニギス」である。沖ギスのほか「トンコロイワシ」と呼ぶ地域もある。沖ギスは通年手に入りやすい。ひと昔前は、沖ギスのたっぷり入ったトロ箱が店頭に並んでいるのが、鮮魚店の馴染みの風景だったという。値段が比較的手ごろなので食卓に上がる出番は少なくない。年中脂がのっており「サンマにも引けをとらない」という地元民の声もあるほど。白身の魚でクセがない。 + +## 食習の機会や時季 +「つみれ煮」で使われる沖ギスは1年を通して流通し、日常食として親しまれている。12月から2月が旬といわれて、特に脂ののりが良い。鮮度が落ちるのが早いため、漁獲された沖ギスの多くが一夜干しなどに加工される。新鮮な状態で、刺身やつみれを食べられるのは、地元ならではの楽しみである。 + +## 飲食方法 +「つみれ煮」は人参やごぼうといった季節の野菜を入れて、蒸すか、出汁でゆでる。しょうが汁でさっぱりとした風味を加えたり、つなぎのためにヤマイモを加えても良い。包丁で細かくミンチ状にしていれば、小骨も気にならない。つみれにする以外に、はんぺん状にして成形して揚げ物にしたり、なめろうにして食べる場合もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 () +- 沖ギスミンチ: 500g +- 片栗粉: 50g +- 卵白: 2個分 +- 塩: 適量 +- 酒: 少々 +- みりん: 少々 +- 生姜絞り汁: 少々 +- ねぎ: 適量 +- 昆布だし汁: 200cc +- 塩: 5g +- 淡口醤油: 30cc +- みりん: 30cc +- しょうがの絞り汁: 少々 +- しょうが: 適宜 + +## 作り方 +1. 沖ギスは頭や内臓をとり、骨ごとたたいてすり身にする。(フードプロセッサーを利用しても良い。) +2. 1にみじん切りにした小ねぎを半量と調味料を入れ、片栗粉と卵白と一緒に混ぜ合わせる。 +3. 昆布だしに調味料を合わせて、2をつみれ状にして加え、煮る。 +4. つみれが浮いてきたら淡口醤油と塩で味を調えて、最後に残りの小ねぎとしょうがの千切りをのせる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 島根県調理師会連合会 常任理事 森井 優氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_14_1.jpg)" +"# すもじ 島根県 + +**郷土料理名**: すもじ + +**都道府県**: 島根�� + +## 主な伝承地域 +東部地域(雲南市など) + +## 主な使用食材 +サバ、米、もち米など + +## 歴史・由来・関連行事 +サバの年間漁獲量が全国トップクラスを誇る島根県。日本海の冷たい荒波によって脂がのった美味しいサバがとれる。「すもじ」は、特産品を使った焼きサバを酢飯にほぐしたちらしすしの一種である。「すもじ」が名物になっているのは、内陸部の雲南市木次・三刀屋地区。この地区は、出雲地方と広島県を結ぶ交通の要衝として古くから栄えていた。一般的に「焼きさばずし」というと、「棒ずし」を指すが、島根県の内陸部では、焼サバをほぐしたちらしずしを指すことがある。この地区を介して、日本海沖で水揚げしたサバが各地へ運ばれることも多かったが、明治以前までは保存技術や輸送手段が確立されていない。そこで、より遠くの地域まで運べるように、サバを焼いて輸送したことが焼きサバのはじまりだといわれている。傷むのが早いサバを「生き腐れ」というように、比較的保存のきく焼きサバは大衆文化から生まれた生活の知恵であり、たんぱく質を補う貴重な食材だった。 + +## 食習の機会や時季 +焼きサバは古くから、貴重なたんぱく源として農繁期に食べられていた。現在は、季節に関係なく食卓に並ぶ。市内には焼きサバ専門店もあり、県内外の観光客にご当地グルメとして浸透している。脂がのったサバは、焼きサバのほか、「さばの煮魚」や「しめさば」、「さばずし(姿ずし)」、「さばの煮食い」なども楽しまれている。 + +## 飲食方法 +サバ丸ごと一尾を竹串に刺して焦げ目がつくまでじっくり焼き上げるのが、雲南市木次・三刀屋地区に伝わる調理法。「すもじ」にしたときに、焦げ目の香ばしい香味が食欲をかきたてる。焼きサバの身を骨から外して、ほぐしたのちに合わせ酢に馴染ませる。エラ部分は油が多く、すしに向かないため取り除いておく。米ともち米を合わせて、ややかために炊いたごはんで酢飯をつくり、事前にほぐしておいた焼きサバを散らして混ぜ合わせるとできあがる。サバだけでなく、人参や干ししいたけ、たけのこやかんぴょうなどを出汁で煮て、甘辛く仕上げた具を一緒に混ぜて食べることが多い。錦糸卵や刻みのりを散らして、彩りを加える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人前) +- 米: 2合 +- もち米: 大さじ2 +- 【合わせ酢】米酢: 20cc +- 【合わせ酢】砂糖: 大さじ1強 +- 【合わせ酢】塩: 小さじ1/2 +- 焼きサバ: 1尾(450g) +- (A)人参: 40g +- (A)かんぴょう(干し): 5g +- (A)たけのこ: 40g +- (A)ふき: 40g +- (A)しいたけ: 2枚 +- きぬさや: 20g +- 薄口醤油: 小さじ1 +- 砂糖: 小さじ01月02日 +- 錦糸卵: 1個 +- 刻みのり: 適量 + +## 作り方 +1. 米ともち米は合わせて洗う。普段より少し少なめの水加減にして20分程度置いてから炊く。 +2. 合わせ酢はよく溶かしておく。 +3. 人参は小さめのいちょう切り、かんぴょうは塩もみしてよく水洗いしてから水に浸して戻し、柔らかくなったら細かくきざむ。たけのこ、ふき、しいたけも細かく刻む。きぬさやはさっと塩ゆでして冷水にとり、水気を切って斜めうす切りにする。 +4. 焼きサバはエラの後ろから頭の部分を落とす。骨が残らないように注意しながら身の部分をほぐす。*エラから頭の部分は油が多いためすしに向かない。 +5. 鍋に刻んだAの具材を入れ水ひたひたに加え弱火にかける。沸騰したら薄口醤油と砂糖を加え2~3分煮る。煮えたらざるにあげ、煮汁を切っておく。 +6. 炊きあがったごはんをすし桶に移し、2の合わせ酢をしゃもじに伝わせながら回し入れ、ごはんを切るようにして手早く混ぜながら、うちわであおいで冷ます。 +7. 5の具材とほぐしたサバの身を加えて混ぜ合わす。 +8. 器にすし飯を盛り、錦糸卵、きぬさや、刻みのりを飾る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 島根県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_13_1.jpg)" +"# 出雲そば 島根県 + +**郷土料理名**: 出雲そば + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +出雲地方 + +## 主な使用食材 +出雲そば + +## 歴史・由来・関連行事 +出雲地方を代表するそば。岩手県の「わんこそば」、長野県の「戸隠そば」と並び、日本三大そばの一つにも数えられる。江戸時代初期、松江藩・松平家初代藩主松平直政公が信州松本藩から移ってきた際に、そば職人を連れてきたことから出雲地方にそばが広まったといわれている。「出雲そば」は、一般的なそばと比べて黒味がかっている。そば粉を製粉する際は、一番粉から三番粉の三種類に分類されるのが一般的である。例えば、そばの実の中心部分を挽いた一番粉を使ったそばは「更科そば」と呼ばれ、外殻に近い部分から挽いた三番粉を使ったそばは色黒で「藪そば」や「田舎そば」などと呼ばれる。「出雲そば」は、粉の選別をせず、玄そば(殻のついたそばの実)をそのまま挽き込む「挽きぐるみ」と呼ばれる製粉方法でつくられる。これにより、栄養価と香りが高く、風味と食感の良いそばになるとされている。つなぎに使われる小麦粉も2割程度と、少ないのも特徴の一つである。 + +## 食習の機会や時季 +そばの実は、やせた土地の山畑でも栽培できたので、奥出雲地方では平安時代から、そばを食べるのが定着していた。現在は通年で流通しているが、秋にとれたばかりのそばの実を使った新そばの出回る時期が旬といえる。 + +## 飲食方法 +地元で「出雲そば」は、冷たい「割子そば」と温かい「釜揚げそば」で食べられている。「割子そば」は、円柱状の丸い重箱「割子」に入ったそば。冷たいつゆをかけて食べる。江戸時代、松江の城下町で、そばを四角い重箱に入れて携帯していたことに由来しているという。四角い重箱は洗いにくいため、次第に現在のような丸い重箱になった。つゆは土瓶のような容器に入れ、重箱のそばに直接かけて食べる。ゆであがったそばを冷水にさらして洗うため、「洗い」とも呼ばれる。松江発祥の「割子そば」に対し、「釜揚げそば」は出雲大社などの神社周辺が発祥といわれている。旧暦の10月、出雲地方の神社で執り行われる「神在祭」では、屋台が並び、温かい釜揚げで新そばが振る舞われていた。ゆでたそばは、水洗いするのが一般的だが、屋台売りのため水洗いの行程が省かれた。鍋や釜から揚げたそばをそのまま器に盛り、とろみのついたそば湯と薬味をかけて提供された。「割子そば」同様、自分でつゆを入れて味を調節できる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人前) +- そば粉: 400g +- 水: 450cc +- 打ち粉: 200g + +## 作り方 +1. そば粉はふるいにかけ、水は分量の7割を入れ指先を使って水回しをし、残りの2割を入れ混ぜ、様子を見て再度入れて、ほろほろ状にしていき一つにまとめ、時計の回る方向に生地の中に親指をあて菊練りをしっかりこね、空気を抜くためにこねばちの端にあてながら三角すいをつくる。 +2. のべ板に打ち粉を振り、生地を上から押して平らにし、打ち粉を生地の上に振り、手で中心から回しながら更に平らにする。打ち粉を振り、麺棒で中央手前から押し出すようにのばす。これを回しながら繰り返す。 +3. 打ち粉を振り、麺棒に巻き付けてのばし、ある程度の大きさになったら広げて、打ち粉を振り、厚さが2mm位になるようにのばす。打ち粉を振り、横半分、縦半分に畳む。 +4. 打ち粉を振り、こま板に手をそえ2mm位の厚さに切っていき、くっつかないように手でほぐしながら容器に並べていく。たっぷりの熱湯でバラバラと入れてゆでる。 +5. 水で洗い、冷水でしめる。器に盛り、薬味、だし汁をかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 島根県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_12_1.jpg)" +"# さざえ飯 島根県 + +**郷土料理名**: さざえ飯 + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +隠岐地域全域、石見地方と出雲地方の沿岸部 + +## 主な使用食材 +サザエ、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +暖流の対馬海流と寒流のリマン海流がぶつかる隠岐の島周辺の海域は、プランクトンや栄養塩に恵まれ、魚介類が豊富にとれる。その質の高さは古くから知られており、平安時代には「御食国(みけつくに)」の一つとして、皇室や朝廷に海の幸を献上していた。貝類も多種多様で、サザエをはじめアワビ、バイガイやニイナガイなど定番食材から地元だけ流通する変わりダネまで幅広い。自治体では「貝の王国 隠岐の島」を謳い、地元食材の魅力を発信している���サザエは現在でも伝統漁法によって獲られている。これは、漁船の上から、木箱にガラスをはめ込んだ「箱めがね」で海底をのぞき、槍のような漁具で突いてとる「かなぎ漁」という漁法である。そのほか、漁師が素潜りして、網を海底に這わせてとる「刺網漁」などもおこなわれている。昔は自由にサザエが獲れていたが、近年は漁業権がないと獲れなくなり、値段が高騰することもある。隠岐のサザエは、刺身で食べれば、コリコリとした食感が楽しめ、焼き物や煮物にすると優しい口当たりのエキスが染み出し、料理の味わいに奥行きをもたらす。サザエは隠岐の島の食卓に欠かせない食材で、さまざまな調理方法で親しまれている。「さざえ飯」も数あるサザエ料理の一つである。 + +## 食習の機会や時季 +5月、6月のサザエ禁漁期が明けた7月から素潜り漁などがはじまる。漁獲量が増えると、値段も手ごろになるため食卓に並ぶ機会も増える。隠岐では、お正月や祭り、祝宴、農作業といった人が多く集まる機会に「さざえ飯」ののり巻きが食べられる。のり巻きには、隠岐の名産となっている岩のりが使われる。また、「さざえ飯」のほかにつぼ焼きや刺身などのサザエ料理も振る舞われる。 + +## 飲食方法 +サザエをよく洗って殻ごと水からゆで、細かく刻む。サザエのゆで汁を出汁として使い、米にだし汁、刻んだサザエを一緒に炊きこむシンプルな料理。基本的には具材はサザエのみだが、近年は家庭によって人参やごぼうなどの野菜を入れて食べるケースも見られる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人前) +- 米: 2合 +- サザエ: 4個 +- ※人参: 30g +- ※ごぼう: 40g +- 淡口醤油: 大さじ1 +- 酒: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 米はといでおく。 +2. サザエは洗い、鍋にサザエとひたひたの水を入れ沸騰したら火を消し、サザエの身を取り出して刻む。ゆで汁は取っておく。 +3. 米にゆで汁、水、(ささがきごぼう、細かく切った人参、)サザエ、調味料を加えて炊く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 島根県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_11_1.jpg)" +"# トビウオの刺身 島根県 + +**郷土料理名**: トビウオの刺身 + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +東部地域、隠岐地方 + +## 主な使用食材 +トビウオ + +## 歴史・由来・関連行事 +トビウオの漁獲量が多い島根県。地元民からは「アゴ」の名で親しまれている。日本国内で確認されている約30種類のトビウオのうち、島根県では「ホソトビウオ」と「ツクシトビウオ」が漁獲される。ホソトビウオの漁は、定置網、刺網、まき網がほとんどで、ツクシトビウオはすくい網でも漁獲されている。5月に初漁期を迎え8月に終漁するが、ツクシトビウオの初漁期が比較的早く訪れるというデータもある。トビウオは身が筋肉質で脂肪がほとんどなく、淡白な味わい。魚名のとおり、十数メートル、空中を滑空することもあるという。この特性を利用した、ユニークなトビウオ漁が「アゴすくい」である。夜、船上に強い照明や松明を灯し、その明りに目掛けて飛んでくるトビウオを大きな網でキャッチするというものだ。一晩で600尾から900尾が漁獲できるという。水面を飛び出す姿が飛躍・躍進をイメージさせることから、平成元年(1989年)に県魚にも指定された。 + +## 食習の機会や時季 +毎年初夏の時期になると、島根県沿岸にはトビウオが産卵のため多数来遊し、多く漁獲される。この時期になると、家庭や地元の飲食店では、「トビウオの刺身」をはじめとしたさまざまなトビウオ料理が振る舞われる。産卵シーズンの6月から8月ごろは、体に栄養を蓄えており、この時期がトビウオの旬といえる。 + +## 飲食方法 +鮮度のよい状態で刺身として食べるほか、焼き魚にしても美味しく食べることができる。身は脂の少ないさっぱりとした上品な味わいで、見た目も美しい。お頭を飾り付けた姿造りにして食べられることもある。調理をするときは、長いエラやヒレ、うろこをしっかり取ってから調理することが大切。また、トビウオは出汁もよくとれるため、出汁用の煮干しとしても活用される。クセが少なく、甘く独自の風味である。つみれにして「つみれ汁」にするなど、汁��にも合う。魚卵の「アゴの子」は珍味として高値で売買されている。加工品製造も盛んで、すり身をちくわ状にして焼き上げる「あご野焼」も有名。見た目は大きめのちくわだが、かまぼこを思わせる食感で、こしが強い。かじると魚肉の旨味が口いっぱいに広がる。煙と熱気を避けて野外で焼いていたことから、松江藩七代藩主の松平治郷によって命名されたという逸話が残っている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人前) +- トビウオ: 2尾(300g) +- 大根: 40g +- 青じそ: 2枚 +- 醤油: 適量 +- わさび: 適量 + +## 作り方 +1. トビウオは水で洗い、うろこをとり、胸ビレと一緒に頭を切り落とす。腹ビレは包丁で押さえて落とす。 +2. 腹を開いて内臓をとりだし、水洗いして水気をふき取る。 +3. 三枚におろし、腹骨を切り取り、尾側から皮を引く。 +4. 皮を引いた身を切り分ける。 +5. 大根は細い千切りにして敷き、青じそをのせ、刺身を盛りつける。お好みでわさびを付けて食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 島根県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_10_1.jpg)" +"# かしわ餅 島根県 + +**郷土料理名**: かしわ餅 + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +サルトリイバラの葉、もち米、うるち米など + +## 歴史・由来・関連行事 +島根県全域で端午の節句の時期になるとつくり、子どものおやつとしても親しまれている。「かしわ餅」としているが、かしわの葉は自生していないため、島根県ではその代替品としてサルトリイバラの葉でつくったものが根づいている。「かしわ餅」の呼び名は、地域によってさまざま。東部では「かたらもち」、大田を含む西部では「まき」、隠岐では「かたりまんじ」と呼んでいる。また、同じ「まき」と呼ぶものに隠岐の「笹巻き」がある。県内だけでも地域によって多様な呼び名があり、奥深いことが分かる。サルトリイバラの葉もそれぞれの呼び名があり、かたらの葉、まきの葉、かたりの葉と呼ばれている。サルトリイバラの葉は、トゲのある木質のツル植物で、ほかの植物にからみついて伸びる。トゲに引っかかるとサルでも身動きが取れないという意味で、「猿取り茨」という名前になったとされている。 + +## 食習の機会や時季 +男の子の誕生を祝い、健やかな成長を願う、端午の節句につくられる。従来は5月5日におこなわれる行事だが、地域によっては田植えの時期と重なってしまうため、1カ月遅れの6月5日に催されることもある。端午の節句以外にも食べる機会がある。6月、7月ごろに「泥落とし」という田植えの労をねぎらう行事である。泥落としの時期は農休日になり、農家の女性たちは、山でサルトリイバラの葉をとってきて、せっせと「かしわ餅」をつくる。甘い小豆あんの入った「かしわ餅」は、農作業で疲れた体を癒すごちそうになった。このことから「泥落とし団子」の名で呼ばれることもある。 + +## 飲食方法 +もち米とうるち米の粉を水で溶いてこね、団子状にしたものをサルトリイバラの葉で巻いて蒸す。餅の中には甘いあんが入っており、あんの原料には小豆やソラマメなどが使われた。蒸したサルトリイバラの葉からは、良い香りがただよい食欲をかきたてられる。サルトリイバラの葉は表面がツルツルしていて餅がはがれやすい。蒸す前に葉に油をたらしたり、片栗粉をまぶすとよりはがれやすくなる。餅がかたまっても、ゆで直せば再び柔らかくなるので、小腹が空いたときの間食や子どものおやつなどに親しまれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20個分) +- 団子の粉: 500g +- 片栗粉: 適量 +- 水: 400cc +- あんこ: 300g +- まきの葉(サルトリイバラ): 20枚 + +## 作り方 +1. 団子の粉にお水を入れ耳たぶ位の硬さにしっかりとこねる。 +2. こねた団子の粉にあんこを包み、片栗粉を前面につけてまきの葉でおおう。 +3. 蒸し器の中に並べて12分ぐらい蒸す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 島根県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_06_1.jpg)" +"# しじみ汁 島根県 + +**郷土料理名**: しじみ汁 + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +東部地域(出雲地方など) + +## 主な使用食材 +ヤマトシジミ、小ねぎなど + +## 歴史・由来・関連行事 +島根県東部の斐伊川(ひいかわ)最下流に位置する宍道湖(しんじこ)は全国で7番目に大きな汽水湖。大粒のヤマトシジミは、国内トップレベルの漁獲量を誇る。全国的にも有名で、宍道湖でとれる代表的な食材「宍道湖七珍(しんじこしっちん)」の一つに数えられる。出雲地方では、このシジミをを使った「しじみ汁」が日常食として根づいている。宍道湖のシジミをとる漁師はおよそ300名。船上から人力でシジミをとる手掻き操業、船をエンジンで進ませ、動力の力でシジミを獲る機械掻き操業、漁師が浅瀬に入ってシジミをとる入り掻き操業があり、シジミのとり方はさまざまである。シジミをとりすぎないように、漁師1人につき約100kg内に収まるよう採捕量に制限を設けている。シジミの選別は、漁師やその家族の役目。アスファルトに広げたシジミの山を手で鳴らしながら、カラカラと鳴る殻の音を聞きながら身の大きさや質をチェックする。選別されたシジミは、飲食店や宿泊施設などに直卸される。ひと昔前は、シジミをどっさり積んだ箱を乗せたリヤカーをおばあさんが引いて、まちなかを売り歩く光景がよく見られたという。東京の納豆売り、京都の豆腐売りといった物売りと並ぶ、朝の風物詩であった。また、宍道湖だけでなく出雲市にある神西湖(じんざいこ)でも数は少ないがシジミがとれ、地元民に親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +年間通じてとれるため、日常的に食べられているが、土用に食べる「しじみ汁」はとくに格別とされていた。この時期のシジミは、身が大きく、プリプリとした食感で、栄養価が高いため夏バテ予防としても重用される。 + +## 飲食方法 +宍道湖周辺では、冬は味噌汁仕立てで、夏はすまし汁風にして食べられていた。シジミが生息していた環境と同じ塩分濃度(1%)で一晩砂出しをし、よく洗ったシジミを火にかけた鍋に入れ、シジミが口を開いたら味噌を入れるのが調理のポイント。シジミの旨味だけでも美味しいが、昆布を入れて相乗効果を味わうのも良い。「シジミは水からヒトクラ、アカガエ(赤貝)はオモせ」という出雲の言い伝えも残っている。ヒトクラとは「一瞬煮立つ」、オモせとは「から蒸し」のことで、これは「シジミは煮すぎるな」という教えである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人前) +- シジミ: 300g +- 水: 600ml +- 昆布: 5cm角 +- 味噌: 大さじ1 + +## 作り方 +1. ボールに水を張り、中にざるを入れてシジミを入れ砂をはかせる。 +2. 鍋に水と昆布、シジミを入れ中火で煮る。 +3. 湯が沸いたら火を弱め、シジミが口を開けたら昆布を引き出し味噌を加えて味を調整する。シジミは煮過ぎないこと。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 島根県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_05_1.jpg)" +"# へか 島根県 + +**郷土料理名**: へか + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +石見地方(大田市など)、東部地域 + +## 主な使用食材 +魚介、たまねぎ、白菜、しめじなどの季節の野菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +日本海に面し、古くから漁業が営まれている島根県の郷土料理。「へか鍋」という鉄製の平たい鍋で、魚介をすき焼き風にして食べる。魚介の替わりに、猪肉を使うケースもある。「へか」とは、農機具の犂(すき)の先の金属部分のこと。これを鍋の代わりに使ったことが「へか」の語源になったと伝わっている。大田市で根づく漁法に「一日漁」がある。これは、早朝に港を出て、近海で捕れた魚をその日の夕方に水揚げする漁のこと。「へか」に使われるアマダイ、カレイ、ノドグロといった旬の魚介も、この一日漁でとれるものが多い。新鮮な魚介を豪快にぶつ切りにして食べるのは、「へか」の特徴でもある。 + +## 食習の機会や時季 +「へか」を名物にしている大田市では、1月10日の晩から翌朝まで漁師が宮にこもる「宮ごもり」が執りおこなわれる。これは、海上安全や大漁を祈願する伝統行事である。漁師たちは宮ごもりを終えた翌日に、家族や魚商人といった関係者を集めて「へか」を食べる習わしがある。 + +## 飲食方法 +かつては魚介だけを煮ていた���いう。近年は、たまねぎや白菜、しめじといった季節の野菜なども加わえたすき焼き風のスタイルが主流になり、海の幸と山の幸をいっしょに堪能できる。醤油ベースの割り下は、甘辛く濃厚に仕立てる。白身の魚や野菜が馴染むと、あっさりとした味わいになり、ボリューミーな見た目に対してヘルシーである。最後にごはんととき卵を加えて、雑炊風にする食べ方もある。また、サバをすき焼き風にすると「さばの煮ぐい」になる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人前) +- 魚(アマダイ、カレイなど): 3尾 +- 大根: 300g +- 白菜: 300g +- ねぎ: 3本 +- えのき: 1袋 +- 春菊: 1束 +- 豆腐: 1丁 +- <割り下醤油>醤油: 1/2カップ +- <割り下醤油>水: 1と1/2カップ +- <割り下醤油>砂糖: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 魚(アマダイ、カレイなど)を刺身のように切る。 +2. 野菜は食べやすい大きさに切る。 +3. 醤油、水、砂糖を合わせて割り下醤油をつくり、鍋に入れる。 +4. 鍋の真ん中に大根、白菜、ねぎ等の野菜と豆腐を入れ、周りに魚(アマダイ、カレイなど)を入れて煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 島根県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_04_1.jpg)" +"# すまし雑煮 島根県 + +**郷土料理名**: すまし雑煮 + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +丸餅、岩のり、カツオ節、アゴ(トビウオ)出汁、ハゼ出汁、いりこ出汁など + +## 歴史・由来・関連行事 +醤油仕立てのすまし汁風のつゆに丸い餅を出汁に入れて食べられている雑煮。具は地域によって異なるが餅は丸餅を使う習いがある。東部の具は岩のりとカツオ節のみ。西部は干しアユの出汁を用いることもあり、具は豆腐やこんにゃくなど。西部では他に黒豆とカツオ節のみの雑煮もある。 + +## 食習の機会や時季 +元旦を祝う行事食である。一級河川の江の川流域では、正月の家族膳のうちの一品として食べられてきた。数の子、煮豆、吸い物、煮しめ、さんとう(大根を使った酢の物)、刺身とともに、「すまし雑煮」が並ぶ。白い餅が入っているのは正月三が日まで。四日目から、よもぎがたくさん入ったてんこ餅に替える習わしがあったが、てんこ餅は、白餅よりも粘りが少なく味わいが落ちる。この習わしは、餅が貴重品ではなくなった現在においては、すたれつつある。 + +## 飲食方法 +見た目もシンプルであっさりした味わい。すまし汁の出汁は、アゴ出汁やいりこ出汁、ハゼ出汁など地域や家庭によって異なり、個性が現れる。味のベースになるのは塩よりも醤油である。 出雲地方では、具に出雲市の十六島(うっぷるい)地域でとれる十六島のりという岩のりを使う。十六島のりは、出雲市の北端、日本海に突き出す十六島鼻と呼ばれる岬周辺でとれる。奈良時代や平安時代には朝廷への献上品として納められていた。その味の評判は、天平時代に編纂された「出雲国風土記」に記載されていたほどである。十六島のりは、現在高級品になっており、手に入りにくく、もみのりなどで代用する家庭も少なくない。カツオ節をたっぷりとかける地域もあり、岩のりとカツオ節が相まって、磯の風味が堪能できる「すまし雑煮」になる。 丸餅は焼かずにゆでて柔らかくする。すまし汁と丸餅を一緒に煮ると、餅が柔らかくなってしまう。そのため、餅は別鍋などでゆでおきしておき、食べる直前にすまし汁に落とすと食べやすい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人前) +- 出汁: 400cc +- 薄口醤油: 40cc +- 塩: 小さじ1/4 +- 水: 1000cc +- 丸餅: 8個 +- 岩のり: 適量 +- カツオ節: 適量 + +## 作り方 +1. お湯で丸餅を柔らかくなるまで煮る。 +2. 出汁と調味料を合わせ、お餅と岩のりを入れたお椀に注ぐ +3. 上からカツオ節をのせる + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 島根県調理師会連合会 常任理事 森井 優氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_03_1.jpg)" +"# 笹巻き 島根県 + +**郷土料理名**: 笹巻き + +**都道府県**: 島根県 + +## 主な伝承地域 +東部地域、隠岐地方 + +## 主な使用食材 +熊笹、米粉、いぐさ + +## 歴史・由来・関連行事 +練った米粉を熊笹で巻いてゆでたもの。旧暦・端午の節句の伝統食として根づいている。そのほか、田植えの骨休みや代満(田植えが終わったあとの祝い日)、7月2日の半夏などの行事のときにも食べる風習がある。熊笹は殺菌・防腐効果があるとされている。そのため、古くは切り傷などの包帯として用いられていた。その効能にちなんで、子どもの健康を願って食されている。東部地域では「ちまき」、隠岐地域では「まき」と、地域によって呼び名が異なる。隠岐は笹の葉だけでなくかやの葉を用いることも多く、これを「かやまき」と呼ぶ。また、各家庭によってもち米の粉とうるち米の粉の割合が異なり、加える水の量やこねる時間、笹の巻き方や結び方はさまざまである。 + +## 食習の機会や時季 +半夏が近づき、新緑の季節を感じる5月上旬ごろから、熊笹が大きくなることから、この時期から「笹巻き」はつくられ、店舗や食卓に並びはじめる。古くから月遅れの端午の節句の時期になると、家庭では「笹巻き」をつくり、男の子の成長を祈願してきた。 一家総出で各工程の役割を決めてつくる「笹巻き」は家庭にとっても楽しい行事であり、この時期の恒例行事として地域に根づいてきた。また、地域や家庭によって熊笹の巻き方や形はさまざまであり、独自のレシピが受け継がれてきた。 + +## 飲食方法 +米粉をぬるま湯でこねて、小判型のだんごにする。だんごに熊笹の芯棒を刺して、上から数枚の熊笹で巻き、いぐさで結ぶ。そのまま、お湯で15分ほどゆでたら出来上がる。いぐさをほどかずに笹の葉を開いてだんごを取り出し、きな粉や砂糖醤油、はちみつ醤油などをつけて食べる。熊笹の芯棒が串となり、手を汚さずに食べることができる。余った分は、軒下に吊るして乾燥させて、冷蔵庫で保存することもできることから、一度に多くつくっておいて、子どものおやつや小腹がすいたときの間食としても親しまれてきた。保存した「笹巻き」を食べるときは、再びお湯でゆで、解凍をしてから食べることができるため、忙しいときにも重宝する料理である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20個分) +- もち米粉: 750g +- うるち米粉: 40g +- ぬるま湯: 2.5カップ +- きな粉: 20g +- 砂糖: 20g +- 塩: 少々 +- 醤油: 大さじ1 +- 砂糖: 大さじ3 +- 巻く用の熊笹の葉: 80枚 +- はだこ用の熊笹の葉: 20枚 +- 芯棒(熊笹の軸): 20本 +- ひも(いぐさ): 40本 + +## 作り方 +1. もち米粉とうるち米粉を合わせ、ぬるま湯を少しずつ入れて混ぜながら手でこねる。ゆでた後に笹の葉にくっつかないようにするため、15分くらいしっかりこねる。目安は耳たぶくらいの硬さ。 +2. およそ50gずつに分けて丸め、芯棒に刺し、はだこを被せる。 +3. 2を笹の葉3枚で包む。さらに別の笹の葉を巻き付けて、巻き終わりをひもで結ぶ。 +4. 5本ずつひもで束ね、餅のほうを下にして立てた状態で15~20分ゆでる。 +5. ゆでた後は、芯棒を串にして手を汚さずに、きな粉や砂糖じょうゆを付けて食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 島根県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_01_1.jpg)" +"# まつりずし/ばらずし 岡山県 + +**郷土料理名**: まつりずし/ばらずし + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +米、旬の魚・野菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +まつりずしは、「岡山ばらずし」「備前ばら寿司」とも呼ばれ、備前岡山地方ではお祭りや祝い事、来客の接待などに作られる。野菜や魚介、瀬戸内海の豊かな食材を詰め込んだ、華やかなちらしずしである。江戸時代、岡山藩主であった池田光正公が、ぜいたくをしないように「庶民は一汁一菜にせよ」との節約令を出した。そこで庶民は、魚や野菜をすしの具に使えば飯を食べる時のお菜ではなくなる、という理屈で、たらい状の半切り桶の中に詰めたすし飯に、味をつけた野菜や魚介類を十種余りも入れて、かき混ぜて食べた。入れられる具材の魚や野菜は、家庭や地域によってさまざまで、サワラやアナゴのほかにもモガイ、エビなどの魚介類や、タケノコやゴボウを入れることもある。また、まつりずしを蒸して温めた「ぬくずし」という食べ方もある。「ぬくい」は岡山の方言で「温かい」を意味する。 + +## 食習の機会や時季 +春、秋のお祭りや盆、法事など来客��のもてなしとしても欠かせない、岡山を代表するハレの料理。春はサワラ、フキやタケノコ、秋にはマツタケなど、時季によって入れる具材はさまざまである。地域や家庭で、すし飯の炊き方や合わせ酢の調合、具の煮方などが異なる。 + +## 飲食方法 +野菜は下ゆでで処理などし、しょうゆ、砂糖、塩などで味付けする。サワラに軽く塩をふり、しばらくおいた後、合わせ酢にいれ、まわりが白くなったら取り出す。モガイは振り洗いして煮る。アナゴは背を開いて骨をとり、しょうゆと砂糖で照り焼きにする。エビ、イカはしょうゆで煮るか、塩ゆでする。タコはそぎ切りにし、甘酢に浸す。高野豆腐は戻して煮る。卵は焼いて薄く切っておく。野菜や魚介は形の良いものを飾り用にし、あとは酢飯の中に混ぜ込む。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 400g +- 水: 500cc +- だし昆布: 10cm角 +- サワラ: 4切れ +- 【合わせ酢】砂糖: 大さじ4 +- 【合わせ酢】塩: 大さじ1/2 +- 【合わせ酢】酢: 大さじ3 +- イカ: 1ぱい +- エビ: 4尾 +- ゆでタコ: 1/2本 +- モガイ: 60g +- アナゴ: 2尾 +- レンコン: 80g +- 高野豆腐: 20g +- ゆでタケノコ: 60g +- ゴボウ: 1本 +- フキ: 1本 +- 干しシイタケ: 6枚 +- 卵: 2個 +- サヤエンドウ: 30g + +## 作り方 +1. サワラに軽く塩をふり、しばらくおいた後、合わせ酢にいれ、まわりが白くなったら取り出す。合わせ酢に酢大さじ1を加えておく。 +2. だし昆布を入れて炊いたごはん全体に合わせ酢をまわしかけ、すし飯をつくる。 +3. イカは5mm幅の切れ目を入れ一口大にそぎ切りにし、エビは背わたをとってそれぞれゆでる。 +4. タコはそぎ切りにし、甘酢(分量外:砂糖・酢各大さじ1、塩少々)に浸す。 +5. モガイは振り洗いして煮る。(分量外:砂糖小さじ1、みりん・しょうゆ各大さじ1) +6. アナゴはたれ(分量外:砂糖・みりん・しょうゆ各大さじ1)をつけながら照り焼きにする。飾り用を少し残し、あとは小さく切る。 +7. レンコンは飾り用を花形に、残りは小さく切り、酢水で煮たあと、酢大さじ1を加えて浸しておく。 +8. 高野豆腐は戻して煮る。(分量外:砂糖大さじ2、塩小さじ1/2、だし汁適量)飾り用を少し残し、あとは小さく切る。 +9. 高野豆腐の煮汁にうす切りにしたタケノコ、ささがきにしたゴボウを加えて煮る。下ゆでして小さく切ったフキを加えて火を止める。 +10. 戻した干しシイタケを煮る。(分量外:戻し汁適量、砂糖大さじ6、しょうゆ大さじ1) +11. 卵はわりほぐし(分量外:砂糖小さじ2、塩少々)うすく焼いて錦糸卵にする。 +12. 飾り用以外の具をごはんに混ぜ、器に盛り飾り用の具、塩ゆでしたサヤエンドウを彩りよくのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岡山市栄養改善協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_1_1.jpg)" +"# さばずし 岡山県 + +**郷土料理名**: さばずし + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +真庭市、高梁市 + +## 主な使用食材 +さば + +## 歴史・由来・関連行事 +山深い岡山県北部は、魚料理が意外と多く伝承されている。さばずしは、主に岡山県の北部中部で作られる秋祭りのごちそうだ。塩漬けのさばを使用した棒寿司で、交通の便が悪かった昔、海辺から遠い山村では傷みやすい生魚の入手は困難で、山陰の鳥取県から塩ものとして運ばれてきた魚を利用して、秋祭りのごちそうを作ることを考えたようだ。地域によって差はあるものの、ほとんどの地域で秋祭りや田植えじまいの際に作られていた。 + +## 食習の機会や時季 +秋祭りには一軒の家で大量のさばを買い込み、さばずしをたくさん作って親類や知人に配ったり、来客をもてなしたりした。また、秋祭りが終わってから稲刈りをしていたので、さばずしを多めに作っておき、作業の合間に食べられたりしていた。塩さばを使用するので、年中いつでも作れるが、秋さばの取れる旬に食べるのが美味。 + +## 飲食方法 +塩さばを洗って3枚におろし、合わせ酢の中に1~2日漬けておく。さばを酢から取り出し、水気をしっかりと拭き取る。さばずし用の型箱にラップを敷き、その上にさばを乗せ、すし飯を詰め押してラップで包む。型箱から取り出して竹の皮に包み、軽く重しをし、一昼夜寝かせる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10本分) +- 【塩さば酢じめ】塩さば(中): 5尾 +- 【塩さば酢じめ】塩(生さばの場合)…: 180g(塩さばの場合:0g) +- 【塩さば酢じめ】酢(気温の高い時季は多めに): 1升 +- 【塩さば酢じめ】砂糖: 500g +- 【白飯】米: 9合 +- 【白飯】もち米: 1合 +- 【白飯】だし昆布(スイッチを入れる時に入れる): 5cm角 +- 【せ酢合わ】砂糖: 400g(350g~400g) +- 【合わせ酢】酢: 200cc +- 【合わせ酢】塩: 40g +- しょうが: 12g(さば4枚分) +- ゆずの皮: 14g(さば4枚分) +- すし飯: しめさば1枚に400g +- 【押しずし器用合わせ酢】酢: 190cc +- 【押しずし器用合わせ酢】砂糖: 9g(大さじ1) +- ※すし飯の分量は、しめさば1枚に400gが目安: 適量 +- 【準備品】押しすし器: 適量 +- 【準備品】竹の皮: 適量 + +## 作り方 +1. 塩さばは洗って3枚におろし、皮をひき、小骨を丁寧に取り除き酢で一昼夜締める。 +2. ご飯を炊く。もち米を1割入れると粘りとつやが出る。だし昆布は炊飯器のスイッチを入れる直前に入れる(早く入れると、だし昆布の下のご飯に昆布の色がつく)。 +3. 砂糖、酢、塩を合わせ火にかけ、合わせ酢を作る。 +4. ご飯が炊きあがったら、10~15分後(ご飯の湯気が上がっている状態の時)にご飯を寿司ばちに取り、3の合わせ酢を入れ酢飯を作る。 +5. 4が冷めている間に、押しずし器浸し用の合わせ酢を作り、押しずし器全体を浸しておく(ラップが容器にくっつかないようにするため)。 +6. 竹の皮を押しずし器浸し用の合わせ酢で抜いておく。 +7. しょうがのみじん切りとゆずの皮の千切りを作っておく。 +8. 4のすし飯が冷えたら10等分に分けておく(さばが大なら9枚)。 +9. 1の酢締めしたさばを漬け酢から出し、水分を十分に拭いておく。 +10. 台の上に大きめのラップをしき、容器の下のフタを置き、5の容器を置いた後、容器の中に大きめのラップをしき、すみずみまでシワが無いようにきちんと平らに広げておく。 +11. 10の中に、しめさばの皮の側を下にし、さばの中央に7のしょうが・ゆずの皮どちらかを背骨に沿って一列に並べ、その上に8の等分にした酢飯を容器にまんべんなくきれいに入れ、上ぶたをし、型くずれしないよう酢飯をしっかり押さえしめる。 +12. 11のラップをたたみ、押し抜き、ふたを取り、ラップの向こう側・手前側をそれぞれきちんと包み合わせ、続いて左右もそれぞれきちんと包む。 +13. 12を6の竹の皮にのせ、再び向こう側・手前側をきちんと整え、左右も整え輪ゴムで留めておく。 +14. 一日寝かせて置く。 +15. 適当に切り、器に盛りつける。【注意】切る場合はラップをつけたまま、さばを上にして切る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 高梁市栄養改善協議会連合会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_2_1.jpg)" +"# ママカリの酢漬け 岡山県 + +**郷土料理名**: ママカリの酢漬け + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +瀬戸内海沿岸 + +## 主な使用食材 +ママカリ + +## 歴史・由来・関連行事 +岡山県の郷土料理として広く知られるママカリの酢漬け。「ママカリ」は岡山地方の呼び方で、関東では「さっぱ」と呼ばれる小魚。主に瀬戸内海で取れ、10月頃が旬で、脂が乗って最もおいしくなる。「ママ(ご飯)をカリ(借り)に行くほどおいしい」ということからママカリと呼ばれるようになったと言われ、岡山では酢漬け、刺身、塩焼きなど様々に調理されている。漬け始めは骨が硬いが、酢に漬かるほどにやわらかくなり、骨ごと尾びれまで食べられる。「ままかりずし」は、酢漬けにしたママカリを握り寿司や押し寿司にしたもの。 + +## 食習の機会や時季 +「ままかりずし」と共に、お祭りや家族の祝いごとなどに欠かすことができない岡山のハレの日のごちそうの代表的な料理。 + +## 飲食方法 +ママカリの頭とはらわたを取り除き、腹開きにし背骨をとる。塩をふり、1時間ほど置いておく。酢、塩、だし昆布、しょうが、砂糖を合わせて甘酢を作り、ママカリを酢で洗い、甘酢に漬ける。好みでしょうがや白髪ねぎを添えてもよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ママカリ: 20匹 +- 【甘酢】酢: 1カップ +- 【甘酢】塩: 小さじ2 +- 【甘酢】だし昆布: 10cm角 +- 【甘酢】しょうが: 1片 + +## 作り方 +1. ママカリはうろこをとり、頭とはらわたをとり除き、腹��きにし背骨をとる。塩をふり1時間くらいおく。 +2. 酢、塩、だし昆布、しょうが、砂糖を合わせて甘酢をつくる。 +3. 1を酢少々(分量外)で洗い、甘酢に漬ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 倉敷市栄養改善協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_3_1.jpg)" +"# 蒜山おこわ 岡山県 + +**郷土料理名**: 蒜山おこわ + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +真庭市、蒜山地域 + +## 主な使用食材 +もち米、とり肉、栗、ごぼう、にんじん、こんにゃく、小豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +蒜山おこわは、一般に五目おこわと呼ばれる具材のたくさん入ったおこわ。祭りや祝事には必ずと言っていいほど登場する蒜山を代表する郷土料理。とり肉、栗、ごぼう、にんじん、こんにゃく、小豆、そして蒜山周辺で採れる四季折々の山菜が加えられた豪華な内容が特徴である。蒜山地域周辺に伝わる、大山おこわという郷土料理が元になっているようで、大山おこわは、赤飯を炊く際に、誤って、ちらし寿司の具材を入れてしまい、もったいないのでそのまま蒸したところ、おいしい五目おこわができたのが始まりだと言われている。蒜山おこわの歴史は昭和30年代にさかのぼり、地元素材を活用した五目おこわを作ろうという声が上がり、材料や調理方法を創意工夫して誕生した。昭和47年頃、主食改善で「麦飯を食べましょう運動」を実施した際に、八束村栄養改善協議会では白米に麦を入れてみたところ、胃もたれも少なく好評であったことから、2割の麦を入れることを推奨している。 + +## 食習の機会や時季 +田植えの後の「シロミテ」の行事や、お祭り、祝いの席におこわを作って食べられている。 + +## 飲食方法 +鍋に油を熱し、とり肉、干ししいたけ、油揚げを、水、みりんを加えて炒める。砂糖、醤油、塩を加えて煮て、煮汁と具に分ける。もち米と麦と具材を蒸し、煮汁を打ち水の代わりに打ち、器に盛って、さやいんげんを散らす。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- もち米: 4合 +- 麦: 0.5合 +- とり肉: 80g +- にんじん: 80g +- 栗(皮付き): 300g +- さやいんげん: 40g +- 油: 大さじ1(12g) +- ごぼう: 80g +- ふき: 80g +- 干ししいたけ: 1g +- 【A】油揚げ: 1枚(30g) +- 【A】水: 1/1カップ +- 【A】みりん: 小さじ2 +- 【B】砂糖: 大さじ1 +- 【B】しょうゆ: 大さじ1 1/3 +- 【B】塩: 小さじ1 +- 油: 大さじ1(12g) +- 塩: 6g + +## 作り方 +1. 栗は皮、渋皮をとり、1日天日にあてる +2. もち米を洗い、一昼夜水に浸しておく +3. 麦は30分程度水に浸しておく +4. 干ししいたけは水でもどしておく +5. とり肉は小さく切る。ごぼうは小さくささがき、ふきは小さく切る。 +6. 干ししいたけ、油揚げは1.5cmの千切り、にんじんは小さめのいちょう切り、さやいんげんは塩ゆでし、斜めに切る。 +7. なべに油を熱し、とり肉を炒め、【A】を加えて炒める。【B】を加えさっと煮て、ざるに上げ、煮汁と具に分ける。 +8. もち米と麦をざるに上げ水気を切る。これに3の具とにんじん、栗を混ぜ、蒸し器で蒸す。上のほうまで蒸気が上がってから30分程度蒸し、3の煮汁を打ち水の代わりに打ち、15分程度蒸す。 +9. 器に盛り、さやいんげんを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 真庭市栄養改善協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_4_1.jpg)" +"# けんびき焼き 岡山県 + +**郷土料理名**: けんびき焼き + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +新見市 + +## 主な使用食材 +小麦粉、みょうがの葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +田植えが終わり、梅雨明けを待つ旧暦の6月1日をどこの農家でも仕事を休む節目にしていた。また、この日は厄年の厄が明けたり、厄に入ったりする境の日にもあたり、いろいろな行事が開かれる。この時期に、農家ではみょうがの葉で包んで焼く「けんびき焼き」を作った。これを食べると農作業で疲れた肩の腱びき筋を焼きほぐす、夏やせしないなどの言い伝えがあり、みょうがの芳ばしい「けんびき焼き」を家族みんなで食べた。収穫したばかりの小麦を粉にして焼き餅を作ったり、ソラマメで作ったあんを入れたりして、ホウロクに並べてじっくりと焼く。かつて、みょうがの葉は、多くの家の庭に植えられていて、この時季に���簡単に手に入った。その時季に採れる自然の恵みを巧みに生かした取り合わせだ。 + +## 食習の機会や時季 +旧暦の6月1日を「ロッカッシテェ」「ロッカッヒテェ」といって、どこの農家でも仕事を休む節目にし、農家の嫁が里へ帰る「泥落としの日」にしていた。また、この日は厄年の厄が明けたり、厄に入ったりする境の日にもあたり、田んぼの虫を封じ、豊作を祈る「百万遍」や「アマコ追い」などの行事が開かれ、「けんびき焼き」が作られ、食べられていた。 + +## 飲食方法 +小麦粉に熱湯を加え、こねる。こねた小麦粉を少し広げて、丸めたあんを中に入れて包み込み団子のようにする。みょうがの葉で団子を包むように巻き、フライパンで両面に焼き色がつくまで熱する。小麦粉に白玉粉と卵を混ぜて作る方法もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10個分) +- 小麦粉: 200g +- みょうがの葉: 10枚 +- 熱湯: 200ml +- 水: 40ml +- 油: 少々 +- 片栗粉: 少々 +- 小豆: 140g +- 砂糖: 100g +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 小豆は一晩水に漬けて、あくを取りながらやわらかくなるまで煮る。指で押してつぶれるくらいのやわらかさが目安(50~60分)。 +2. 1を絞って砂糖、塩を加えて練り上げ、あんこを作り、丸めておく。 +3. 小麦粉を大きめのボウルに入れ、熱湯を加え、混ぜる。 +4. 加減を見ながら40mlの水を入れて軽くこねる。そのまま10分くらい常温でねかす。 +5. 手に片栗粉をつけ、10等分にした生地にあんこを包み、団子を作りみょうがの葉を巻く。 +6. フライパンに薄く油をひき、中火から弱火で両面を焼き上げる。 + +## レシピ提供元 +出典:岡山県郷土文化財団「おかやまの味」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_5_1.jpg)" +"# とどめせ 岡山県 + +**郷土料理名**: とどめせ + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +瀬戸内市 + +## 主な使用食材 +米、干ししいたけ、にんじん、ごぼう、かんぴょう、ちくわ、干しえび、鶏肉、里いも + +## 歴史・由来・関連行事 +「とどめせ」は、炊き込みご飯に酢を混ぜた煮込み寿司。そのいわれは中世鎌倉時代までさかのぼる。かつて商業都市として水運で栄えていた備前福岡(現在の岡山県瀬戸内市長船町福岡)で行われていた「福岡の市」。そこで、高瀬舟の船頭たちに出されていた炊き込みご飯に、武士が酔っ払って酸っぱくなったどぶろく(にごり酒)を入れたところおいしくなったため、以来、炊き込みご飯に酸っぱくなったどぶろくを入れて作るようになったとか。これが「どぶろくめし」の始まりとされ、後の備前ばら寿司の元祖と言われている。「とどめせ」とは「どぶろくめし」がなまってできた言葉。 + +## 食習の機会や時季 +お祭りやお日待ちなど、人が大勢集まるときに作られる。 + +## 飲食方法 +干ししいたけ、にんじん、ごぼう、かんぴょう、ちくわ、干しえび、鶏肉、里いもを油で炒め、水と調味料を入れて軽く煮る。炊飯器に米と昆布、酒と具材を入れて炊く。炊き上がったら昆布を取り出し、酢と調味料を混ぜ入れて蒸らす。器に盛り、あなごの照り焼き、さやいんげん、錦糸卵を彩りよくのせる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (8人分) +- 米: 5合 +- 昆布: 10cm +- 酒: 50ml +- 干ししいたけ: 5枚(10g) +- にんじん: 2/3本(100g) +- ごぼう: 1/2本(100g) +- かんぴょう: 15g +- ちくわ: 小1本(20g) +- 干しえび: 40g +- 鶏肉: 200g +- 里いも: 5個(250g) +- サラダ油: 大さじ2 +- 【A】砂糖: 大さじ3 +- 【A】しょうゆ: 大さじ2強 +- 【A】塩: 小さじ1/2 +- 【A】水: 200ml +- 【B】酢: 100ml +- 【B】砂糖: 大さじ4 +- 【B】塩: 小さじ1 +- あなごの照り焼き: 120g +- さやいんげん: 8本(80g) +- 卵: 2個 + +## 作り方 +1. 干ししいたけ→水で戻して薄切りにんじん→いちょう切りごぼう→ささがきにして水にさらすかんぴょう→水で戻して小さく切るあなごの照り焼き→2cmに切るさやいんげん→ゆでて斜め切り卵→錦糸卵にするちくわ→半月切り鶏肉→小さく切る里いも→小さく切る +2. 干ししいたけ、にんじん、ごぼう、かんぴょう、ちくわ、干しえび、鶏肉、里いもを油で炒め、【A】で軽く煮る。 +3. 炊飯器に洗った米と昆布、酒、2を入れて炊く。水加減は、2の煮汁とあわせて米の1.2倍くらいにする。 +4. 炊き上がったら昆布を取���出し、【B】を混ぜ入れて蒸らす。 +5. 器に盛り、あなごの照り焼き、さやいんげん、錦糸卵を彩りよくのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 瀬戸内市 こども・健康部 健康づくり推進課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_6_1.jpg)" +"# さわらのこうこずし 岡山県 + +**郷土料理名**: さわらのこうこずし + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +備前市 + +## 主な使用食材 +さわら、たくあん、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +岡山県南東部に位置し、兵庫県と境を接している日生町。古くから伝わる日生小唄にうたわれるように、春は産卵のために瀬戸内にたくさん魚が入ってくるので漁場は活気づく。特に鰆という字が示すように、鰆は春の魚を代表するもの。さわらのこうこずしは、陸揚げされたさわらを使って豊漁を祝い、漁業の安全を願って、明治の中頃から作り始められた。さわらの漬け酢で味付けしたご飯に、千切りにしたたくわん(こうこ)と、えんどうを混ぜ込み、上に酢漬けしたさわらと木の芽を散らして作る。当初は、他の材料は何も入れずにさわらだけで食していたが、寿司の皿の端や小皿に秋に漬けたたくあんの古漬け(こうこ)を添えていたものがいつの間にか寿司の中に混ざり、おいしかったことから初めからこうこを入れて作るようになったと言われている。 + +## 食習の機会や時季 +日生町では、しょうぶの節句、お祭り、船降ろしの際には必ず作られる。また、地区の集まりの際などにも良く出される。 + +## 飲食方法 +さわらは、刺身より厚めのそぎ切りにし、塩をして5~6分置いて、約30分酢に漬けて引きあげる。たくあんはせん切りにし、もみ洗いして水気を切る。グリーンピースは塩ゆでする。酢、砂糖、塩を混ぜ、合わせ酢を作り、米は昆布を入れて炊き、炊きあがったごはんは、合わせ酢をかけて冷ましておく。酢飯にさわら、たくあん、グリーンピースを混ぜて木の芽を飾る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: カップ4 +- 水: カップ4 1/2 +- 昆布: 10cm角 +- 酢(合わせ酢用): 大さじ5 +- 砂糖: 大さじ3 1/2 +- 塩(合わせ酢用): 小さじ1 +- さわら: 200g +- 塩(さわら用): 小さじ1/2 +- 酢(さわら用): カップ1/2 +- たくあん: 100g +- グリーンピース: カップ1/2 +- 木の芽: 少々 + +## 作り方 +1. 米は洗ってざるにあげ、30分以上おく。 +2. さわらは、さしみより厚めのそぎ切りにし、塩をして5~6分おいて、約30分酢につけて引きあげる。 +3. たくあんは4cm長さのせん切りにし、もみ洗いして水気を切る。グリーンピースは塩ゆでする。 +4. 酢・砂糖・塩を混ぜ、合わせ酢をつくる。 +5. 米は昆布(切れ目を入れる)を入れて炊き、煮立つ前に取り出す。 +6. 炊きあがったごはんは、合わせ酢をかけて冷ましておく。 +7. 6のすしご飯にさわら、たくあん、グリーンピースを混ぜて木の芽をかざる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 東備栄養改善協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_7_1.jpg)" +"# くさぎ菜のかけめし 岡山県 + +**郷土料理名**: くさぎ菜のかけめし + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +吉備中央町 + +## 主な使用食材 +くさぎ菜、米、鶏肉、ごぼう、にんじん、しいたけ + +## 歴史・由来・関連行事 +くさぎ菜とは、山野に自生しているクサギの若芽を採って乾燥させたもの。とてもにおいが強く、近くを歩いていてもクサギのあることが分かるほど。くさぎ菜は採取時期が大切で、小さすぎず、大きくなりすぎない卵大のころを選ぶ。岡山県の中北部では、5月下旬ごろに摘み取って干す。干し方は、摘み取った葉をさっとゆで、水にさらしてアク抜きをする。しっかりアクを抜いておかないとおいしく食べられない。アク抜き後によく絞ってムシロに広げて、雨に当てないようにしてカラカラに干して保存しておく。くさぎ菜のおいしい食べ方は、かけ飯。水でゆっくり戻したくさぎ菜を小さく切って多めの油で炒め、鶏肉などの具材と共に下味をつけてご飯にのせ、別に鶏ガラでとったすまし汁とさらしネギをかけて食べる。油で炒めたものは、みりん、醤油、砂糖などで調味して、惣菜としても楽しむことができる。 + +## 食習の機会や時季 +くさぎ菜は保存することがで���るので、四季の行事に作り、お膳にして出される。 + +## 飲食方法 +くさぎ菜を水でゆっくり戻す。小さく切って多めの油で炒め、鶏肉、ごぼう、人参、しいたけなどの炒めたものと共に下味をつける。それをご飯にのせ、別に鶏のガラでとったすまし汁とさらしネギをかけて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鶏ガラ: 1/2羽分 +- 鶏肉(胸またはささみ): 200g +- くさぎ菜(乾燥): 25g +- にんじん: 80g +- ごぼう: 80g +- 卵: 2個 +- ネギ: 少々 +- ご飯: 200g +- 【調味料】鶏ガラ出汁: 4カップ +- 【調味料】しょうゆ: 大さじ5 +- 【調味料】砂糖: 大さじ2 +- 【調味料】みりん: 大さじ1 +- 【調味料】酒: 小さじ1 +- 【調味料】塩: 少々 + +## 作り方 +1. くさぎ菜は、水でゆっくり一晩かけてもどす。 +2. 鶏ガラを2時間ほど煮だし、スープを作る。途中、スープの中に鶏肉を入れ湯がき、鶏肉に火が通ったら取り出しておく。 +3. 調味料を合わせ、かけ汁を作る。 +4. 水で戻したくさぎ菜をさっと茹でて、小さく刻み油で炒め、かけ汁をひたひたに加えくさぎ菜に味が付くまで煮る。 +5. 鶏肉を細く裂き、かけ汁で薄味をつける。 +6. にんじん、ごぼうは4cm位の千切りにし、かけ汁で薄味をつける。 +7. 錦糸卵をつくる。 +8. ネギを小口切りにする。 +9. 丼にご飯を入れ、上にくさぎ菜・鶏肉・にんじん・ごぼう・卵をそれぞれ彩りよく盛り、真ん中にネギを添える。 +10. かけ汁を掛け、混ぜて食べる。 + +## レシピ提供元 +出典:岡山県郷土文化財団「おかやまの味」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_8_1.jpg)" +"# 柚餅子 岡山県 + +**郷土料理名**: 柚餅子 + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +高梁市、矢掛町 + +## 主な使用食材 +柚子、もち米粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +柚餅子は、柚子やクルミを使用した餅菓子で、携帯食や保存食として発展してきたほか、献上品にもなってきた歴史があり、全国さまざまな地域に伝わっている。東北地方や関東で作られている柚餅子はクルミが使用されるが、岡山県では古くから柚子が多く生産されており、柚子を使ったものが作られてきた。江戸時代から続く歴史があり、高梁市、矢掛町が代表的なエリア。宿場町としても発展してきたエリアで当時、参勤交代の際に大名にも親しまれたといわれる。砂糖や水あめ、もち米粉、柚子が原料で、もち米粉に柚子などを混ぜて練りこむ作る方法や、さらに白味噌や砂糖などを練りこんだもの、ヘタ付近を切り抜いた柚子の中に羊羹などを練りこんだものなどがある。形状も、板状や丸型、結んであるものなどさまざま。 + +## 食習の機会や時季 +日常のおやつとして、1年を通して食べられている。さわやかな柚子の香りと柔らかな食感で、日本茶によく合う。 + +## 飲食方法 +蒸したもち粉に、細かく刻んだ柚子の皮、水あめを加え、じっくりと練りながら煮詰める。さらに白味噌と砂糖などを練り込むものや、ヘタ付近を切り抜いた柚子の中に羊羹などを練りこんだものもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (15個分) +- もち粉: 700g +- 米粉: 300g +- 砂糖: 700g +- 柚子: 4~5個 +- 水: 200cc + +## 作り方 +1. もち粉をふるう。 +2. 柚子を細かく刻む。 +3. 鍋に水を入れ沸騰させ、もち粉と米粉を入れて煮詰める。 +4. バットなどに取り、冷ます。 +5. 4を食べやすい形に切り分け、表面に砂糖をまぶす。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_9_1.jpg)" +"# たこめし 岡山県 + +**郷土料理名**: たこめし + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +倉敷市 + +## 主な使用食材 +たこ、米、ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +岡山県のたこ漁獲量は全国でもトップクラス。瀬戸内海でも特に潮流の早い倉敷市下津井付近の海で育ったたこは、独特の歯ごたえがあり身がしっかりしておいしいと言われている。倉敷市の名物「たこめし」は、たこをぶつ切りにし、炊き込みご飯にしたもので、磯の香り豊かに広がる素材の良さが光る一品。漁師が獲ったたこを船の上で食べていたのが発祥と言われている。新鮮なたこを使った料理は倉敷市内各地で食べることができ、一言でたこめしと言っても、お店により具材や味付け、トッピングなどさまざま��特徴がある。 + +## 食習の機会や時季 +家庭の食卓に並ぶほか、飲食店のメニューとして提供され、日常的に食べられる。 + +## 飲食方法 +米は洗って、ザルに上げておく。たこの足に塩を振り、手でもみながら表面のぬめりを取り除いた後、包丁の背で軽くたたき、小さく切る。炊飯器に米、たこ、しょうがのみじん切り、調味料を入れて炊く。炊き上がったら、小口切りにしたねぎを混ぜる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 1.5カップ +- たこの足(生): 100g +- しょうが: 1片(14g) +- 葉ねぎ: 1本 +- だし汁: 320ml +- うすくちしょうゆ: 大さじ1 +- みりん: 大さじ1 +- 塩: 小さじ3/5 +- 酒: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 米は洗って、ザルに上げておく。 +2. たこの足に塩を振り、手でもみながら表面のぬめりを取り除いた後、包丁の背で軽くたたき、1cm程度に切る。 +3. しょうがは、せん切りにする。 +4. 炊飯器に1、2、3、だし汁、うすくちしょうゆ、塩、みりん、酒を入れ炊く。 +5. 炊き上がったら、小口切りにした葉ねぎを混ぜる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 倉敷市栄養改善協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_10_1.jpg)" +"# 手延べ素麺のばち汁 岡山県 + +**郷土料理名**: 手延べ素麺のばち汁 + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +浅口市 + +## 主な使用食材 +手延べそうめん、大根、にんじん、油揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +岡山県の南西部に位置する浅口市鴨方町は、晴れが多い気候や、良質な水、塩、小麦が手に入ることから、江戸時代から手延べ麺の産地として栄えてきた。手延べそうめんの製造過程で麺の端に当たる部分を「ばち」と呼び、三味線のばちに似ていることからそのように名づけられた。ばちはそうめんとして使用される部分よりもコシが強いのが特徴。ゆでずに鍋に入れ、そうめん自体の塩分を利用し、味付けは少なめにして仕上げる。短い時間でできて、体が温まる料理。 + +## 食習の機会や時季 +年間を通して食べられるが、寒くなる冬に好んで食べられている。特別な日というよりは、日常的な汁物として食卓に並ぶ。味付けは、家によって異なり、しょうゆや味噌が使用される。ばちは通常のそうめんに比べて短いこともあり、小さい子供やお年寄りも食べやすく、幅広い世代に愛されている。 + +## 飲食方法 +鍋にだし汁を入れ、大根、にんじん、油揚げなど好みの具材を入れて煮立たせる。具材が煮立ったら、沸騰した汁の中にばちを入れる。ひと煮立ちしたら、しょうゆを入れ、味を調える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 手延べそうめんばち: 10g +- にんじん: 10g +- たまねぎ: 15g +- 大根: 10g +- 青ねぎ: 5g +- だし汁: 150g +- しょうゆ: 5g + +## 作り方 +1. 具材を千切りやみじん切りにする +2. だし汁に、にんじん、大根、たまねぎを入れて煮立たせる。 +3. 具材がやわらかくなったら、そうめんばちをそのまま入れ、ひと煮立ちさせる(ばちが汁を吸うため、食べる直前に入れることをおすすめします)。 +4. 青ねぎとしょうゆを加え、味を調える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : (株)吉田手延製麺 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_11_1.jpg)" +"# あみとだいこんの煮付け 岡山県 + +**郷土料理名**: あみとだいこんの煮付け + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +瀬戸内海沿岸 + +## 主な使用食材 +アミ、だいこん + +## 歴史・由来・関連行事 +「あみとだいこんの煮付け」は、アミ、だいこん、しょうがを、砂糖、酒、醤油で煮込んだもので、瀬戸内に秋を告げる昔ながらの味。ちょうど同じ時期に出回る大根と、アミを一緒に楽しむ一皿を考案したと推測される。アミは脂がしっかりとのっているので、だいこんと一緒に調理すると相性がよく、美味。アミは瀬戸内海岸で水揚げされるサクラエビ科に属する小エビで、初秋に旬を迎える。瀬戸内ではオキアミと区別して、アキアミやアミと呼ばれて親しまれているが、いたみが早くあまり県外に出回ることはない。岡山では、生きたままのものに醤油をかけて食べたり、ゆでて酢醤油で食べたりすることもある。塩漬けにした「漬けアミ」としても楽しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +昔は11月から2��までの約4力月間、風が強く海が荒れるため単独で漁に出ないようにしていた。この時期には、干したり、塩漬けにしたりして、アミを保存食として貯えて食べていた。 + +## 飲食方法 +ざるにアミを入れて水できれいに洗い、水気を切っておく。だいこんは皮をむいていちょう切りにする。鍋に砂糖、酒、醤油を入れ、沸騰させた後、アミ、だいこんを入れ、落としぶたをして弱火で煮る。だいこんが柔らかくなったら、醤油を加え、一煮立ちさせる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- アミ: 400g +- だいこん: 1本 +- 酒: 大さじ2 +- しょうゆ: 大さじ4 +- 砂糖: 大さじ3 + +## 作り方 +1. ざるにアミを入れて水できれいに洗い、水気を切っておく。 +2. だいこんは皮をむいていちょう切りにする。 +3. 鍋に砂糖、酒、しょうゆ(大さじ3)を入れ、沸騰させた後、アミ、大根を入れ、落としぶたをして弱火で煮る。 +4. だいこんが柔らかくなったら、しょうゆ大さじ1を加え、一煮立ちさせる。 + +## レシピ提供元 +出典:岡山県郷土文化財団「おかやまの味」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_12_1.jpg)" +"# ブリ雑煮 岡山県 + +**郷土料理名**: ブリ雑煮 + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +高梁市 + +## 主な使用食材 +ブリ、ほうれん草、大根、人参、ごぼう、百合根などの根菜類 + +## 歴史・由来・関連行事 +お正月に欠かせない料理である雑煮は、その地域によっていろいろな形が存在する。岡山県の海に近い南部エリアでは、ブリを入れるのが定番。ブリはヤズイナダ、ハマチ、ブリと成長するたびに名前が変わっていく出世魚で縁起が良いとされ、おめでたい席の料理に用いられる。南部エリアではだしを鰹節と昆布で取るが、北部のエリアではスルメで取るのも特徴的。また、その他の具材として、ほうれん草の他、大根、人参、ごぼう、百合根など根菜類が多い。 + +## 食習の機会や時季 +お正月におせちと共に家庭で食べられている。 + +## 飲食方法 +大根、人参、ほうれん草などの野菜はさっと湯通ししておく。だし汁に根菜類を入れ、やわらかくなったらブリを入れる。しょうゆ、酒、みりんを入れて味を整え、最後に百合根を入れる。別の鍋にたっぷり水を入れ、沸騰したら餅を入れてやわらかく煮る。お椀に餅を入れ、ブリ、ほうれん草、根菜などの具を盛り付ける。ブリを先に煮付けておいたり、焼いたりする方法もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 丸餅: 10個 +- ブリ: 5切 +- 大根: 100g +- にんじん: 50g +- ほうれん草: 100g +- 【だし汁】だし昆布: 適量 +- 【だし汁】かつお節: 適量 +- しょう油: 適量 + +## 作り方 +1. ブリは煮付けておく。 +2. ほうれん草は茹でて、3cm位に切りそろえる。 +3. 大根、にんじんは半月切りまたはいちょう切りで少々大きめに切る。 +4. だし汁を取り、大根、にんじん、百合根を入れ、しょう油で味を調える。 +5. 別の鍋で、餅をたんわり煮る。 +6. 椀に餅を入れ、ブリ、ほうれん草、大根、にんじん等の具をきれいに盛りつける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 備北広域農業普及指導センター + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_13_1.jpg)" +"# たかきび団子汁 岡山県 + +**郷土料理名**: たかきび団子汁 + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +総社市、井原市、高梁市、新見市 + +## 主な使用食材 +たかきび、ごぼう、にんじん、だいこん、しいたけ、ちくわ + +## 歴史・由来・関連行事 +たかきびは、中国大陸から入ってきたもので、コウリャンの一種。別名「モロコシキビ」ともいい、アメリカ原産の「トウモロコシ」とは種類が違う。たかきびという名のとおり、高さが3メートルほどにも育ち、先端には赤褐色の小粒がたくさん集まった穂をさげる。気候風土の違いからか、中国のものとは違って、ねばりがあり、芳ばしい風味がある。たかきび粉で団子を作ると、つるりとしたまろやかな舌ざわりでおいしい。たかきび粉を作るには、なかなか手間が掛かる。収穫したものを乾燥させてから、翌年の種は軒下に吊るして残しておく。次に木槌で気長に叩いて、からぬきをする。これを精白して粉にするが、製粉するまでにアク抜きすることが大切。寒に入ると、10日��ぐらい水を換えながら浸しておき、アク抜きしたものを水切りして乾燥させる。乾燥してきたら唐臼でひいたあと、ふるいにかけて、もう一度この粉を保存するために天日干しする。たかきび団子汁は、ごぼうやにんじん、だいこんといった根菜に、しいたけ、ちくわなどを油で炒め、だし汁と醤油で味付けする。この中に、たかきび粉を練って作った小さな団子を入れ食べる。 + +## 食習の機会や時季 +秋も次第に深まり、気温が下がってくると家族で囲炉裏を囲みながら食べられていた。たかきびは、ひえや粟などと共に昔から食べられていた穀物だが、現在では米が主食になり、あまり食べられなくなってきた。米同様に豊作と無病息災を願って、年に1度は食べる習慣がある。 + +## 飲食方法 +だし汁に、ごぼう、にんじんを入れて煮る。下ゆでしたこんにゃく、だいこん、ちくわ、油揚げを入れて煮立たせる。練ったたかきび粉を直径1.5cmぐらいに丸めて、鍋に入れる。たかきび団子が浮いてきたら、調味料を加えて味を整え、最後にねぎを入れる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4~5人分) +- 【団子】たかきび粉: 200g +- 【団子】水: 180~200cc +- 【汁】にんじん: 100g +- 【汁】ごぼう: 100g +- 【汁】だいこん: 150g +- 【汁】しいたけ: 3枚 +- 【汁】ちくわ: 2本 +- 【汁】ねぎ: 少々 +- 【汁】だし汁: 700~800cc +- 【汁】しょうゆ: 大さじ2 +- 【汁】みりん: 少々 +- 【汁】塩: 少々 +- 【汁】油: 少々 + +## 作り方 +1. ごぼうはささがき、にんじんとだいこんはいちょう切り、しいたけは5mm幅に切り、ちくわとねぎは小口切りにしておく。 +2. 鍋に油を入れ、1の具材がしんなりするまで炒める。 +3. 2にだし汁を加え、しょうゆ、みりん、塩で味付けをする。 +4. たかきび粉を水で練り、小さな団子を作り直径1.5cmほどで中央をへこませ、煮立った3に直接入れる。団子が浮き上がってきたら出来上がり。ねぎを散らす。 + +## レシピ提供元 +出典:岡山県郷土文化財団「おかやまの味」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_14_1.jpg)" +"# けんちんそば 岡山県 + +**郷土料理名**: けんちんそば + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +新見市 + +## 主な使用食材 +そば、鶏肉、豆腐、大根、人参、ゴボウ、油揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +新見市は稲作に不向きな土壌で、古くからそばの栽培が盛んな地域であった。そのそばを活用したけんちんそばは、豆腐、大根、人参、ゴボウ等の野菜を、醤油ベースの鶏がらスープで煮込んだけんちん汁をかけた温かいそば。けんちんとは、千切りの材料を油で炒めて巻くという意味で、江戸時代の頃から冬期の栄養を考え、手打ちそばに相性の良い、けんちん汁を用いたと伝えられている。 + +## 食習の機会や時季 +畑作の地域である新見で、食材が少なくなる冬の時期に食べられていた。 + +## 飲食方法 +鍋に油を熱し、鶏肉を炒め、豆腐、野菜、油揚げなどを入れて更に炒める。だし汁を加え、具がやわらかくなるまで煮込む。煮えたら、醤油、みりん塩で味を整え、ゆでたそばにかける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- そば: 4玉 +- 鶏肉: 100g +- 大根: 100g +- ニンジン: 60g +- ごぼう: 60g +- さといも: 60g +- 油揚げ: 1枚 +- ちくわ: 1本 +- こんにゃく: 半丁 +- 豆腐: 1/2丁 +- ねぎ: 少々 +- だし汁: 1ℓ +- 醤油: 適量 +- みりん: 適量 +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 材料は食べやすい大きさに切る。 +2. 鍋に油を熱し、鶏肉を炒め、豆腐・野菜(ねぎ以外)・油揚げ・ちくわ・こんにゃくを入れてさらに炒める。 +3. 2にだし汁を加えて具が柔らかくなるまで煮る +4. 煮えたら、醤油・みりん・塩で調味し、味を調える。 +5. そばの上にかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 備南広域農業普及指導センター + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_15_1.jpg)" +"# いしもちじゃこの唐揚げ 岡山県 + +**郷土料理名**: いしもちじゃこの唐揚げ + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +瀬戸内海沿岸 + +## 主な使用食材 +いしもちじゃこ + +## 歴史・由来・関連行事 +いしもちじゃこは、春から夏にかけて瀬戸内海でとれる小魚。ネブトと呼ぶ地域もあり、標準和名はテンジクダイという。頭にある耳石(じせき)という石のような骨が他の魚より大きいため、小魚だが頭から丸ごと食べることはできず、頭を落として調理する。小魚のため身は少ないが、から揚げにして骨ごと食べると、ほのかな甘みも感じられる。甘くてねばりがあり、団子にして食べられることもある。 + +## 食習の機会や時季 +いしもちじゃこが水揚げされる、春から夏にかけてよく食べられている。 + +## 飲食方法 +いしもちじゃこの頭と内臓をとって洗い、水気を切り、片栗粉をまぶして180℃の油で揚げる。塩をふって食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- いしもちじゃこ(テンジクダイ): 300g +- 塩: 適量 +- こしょう: 適量 +- 片栗粉: 適量 +- みりん: 適量 + +## 作り方 +1. いしもちじゃこの頭と内臓を取り除く。 +2. 塩、こしょう、みりんで下味をつけ、水気をとる。 +3. 片栗粉を薄くつける。 +4. 油の温度を170℃で揚げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岡山県農林水産部水産課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_16_1.jpg)" +"# しし鍋 岡山県 + +**郷土料理名**: しし鍋 + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +美作地域 + +## 主な使用食材 +イノシシ肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +美作地域は、岡山県の北部に位置した自然豊かな地域で、岡山県内でもイノシシやシカが多く獲れる地域で、古くからイノシシ肉やシカ肉を食す文化がある。特にイノシシ料理は冬の美作エリアの郷土料理として有名で、しし鍋は地元の猟師をはじめ、一般家庭でも多くの人に食べられ、親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +イノシシ肉は栄養価も高く、イノシシが獲れる冬の時季の貴重なタンパク源として食されてきた。牛肉とはまた違った深い味わいがあり美味。 + +## 飲食方法 +白菜などの野菜を大きくそぎ切りにしておく。昆布やカツオ節などでだしをとり、味噌、砂糖、みりん、酒を入れて味を調え、イノシシ肉、野菜、きのこなどを入れる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 猪肉(薄切りもも肉など): 300g +- 焼き豆腐: 250g +- 白菜: 150g +- 長ネギ: 1本 +- 人参: 1/2本 +- 春菊: 100g +- えのき: 100g +- 【汁】かつお昆布出汁: 500cc +- 【汁】料理酒: 100cc +- 【汁】みりん: 大さじ3 +- 【汁】赤味噌: 大さじ3 +- 【汁】白味噌: 大さじ2 +- 【汁】生姜(すりおろし): 大さじ1 + +## 作り方 +1. 白菜をザク切りにする。長ネギは斜め切りに、人参は半月切りに、春菊は5cm程度の長さに切る。えのきは石づき部分を切り、ほぐす。 +2. 焼き豆腐は大きめの一口大に切る。 +3. 【汁】の材料を良く混ぜ合わせる。 +4. 土鍋に1、2を入れて猪の肉をいれる。3を入れて蓋をして、火にかけてひと煮立ちする。アクを適度に取りつつ、猪の肉に火が通るまで、弱火で煮込む。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_17_1.jpg)" +"# いいだこの煮つけ 岡山県 + +**郷土料理名**: いいだこの煮つけ + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +倉敷市 + +## 主な使用食材 +イイダコ + +## 歴史・由来・関連行事 +イイダコは、岡山県では南部の倉敷市児島地域にある下津井周辺でよく取られている。体の内部に飯粒状の卵を多く抱えていることから「飯蛸(イイダコ)」と名付けられた。卵の大きさは直径5~6mmぐらいで、1匹につき200~500個ほど入っている。塩を加えてしっかりもみ洗いをして、水気を取ってから煮る。イイダコは墨を持っているが、イカの墨は嫌われても「イイダコは墨が値打ち」と言われる。岡山では墨ごと食べる人もいるが、小さな体の割にはびっくりする程の墨を持っているので、かじると口のなかが真っ黒になる。イカとタコのいいところを合わせ持ち、「墨ごと味わうとその味は忘れられない」と言われているが、墨を食べるとのぼせると言われ、墨袋を破らないように取り除いて調理する場合が多い。 + +## 食習の機会や時季 +冬場に胴の部分に卵を持ち、一般的に岡山で食べられる煮付けは、この時期のものを食べる。 + +## 飲食方法 +ぬめりを取るため、塩を加えてよくもみ、水で洗う。調味料を入れずに、鍋に水を入れて弱火でイイダコを煮る。鍋に醤油、みりん、砂糖、水を入れて沸騰させ、煮ておいたイイダコを入れる。一煮立ちしたら中火にし、落���し蓋をして固くならないように煮る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- タコ(イイダコ): 500g +- しょうゆ: 大さじ3 +- みりん: 大さじ3 +- 砂糖: 大さじ2 +- 水: 2カップ + +## 作り方 +1. ぬめりをとるために塩をふってよくもむ。足は1本1本しごいて吸盤の汚れをとる。よくもんだあと、水であらっておく。 +2. タコの足を大根で軽くたたいてから一口大に切る。こうすることで身が柔らかくなる。 +3. 鍋に水を入れて弱火でタコを煮る。調味料を入れずに先にタコを煮る方が柔らかく仕上がる。 +4. 鍋に煮汁の材料を入れて沸騰させ、タコを入れる。一煮立ちしたら中火にし、落とし蓋をして20分程度煮る。 +5. 鍋止めをする。 + +## レシピ提供元 +出典:岡山県郷土文化財団「おかやまの味」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_18_1.jpg)" +"# ホルモンうどん 岡山県 + +**郷土料理名**: ホルモンうどん + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +津山市 + +## 主な使用食材 +ホルモン、うどん、キャベツ、たまねぎ、長ネギ、もやし + +## 歴史・由来・関連行事 +新鮮なミックスホルモンをたっぷり入れ、味噌や醤油ベースのたれを絡めてうどんと一緒に焼き上げる「津山ホルモンうどん」。岡山県の北部にある津山地域は、古くから牛馬の流通拠点であり、歴史を遡ると西暦705年に津山で牛馬の市が開かれたとの記録が残っている。肉食が禁止されていた明治以前でも、津山は滋賀県彦根市と並んで、全国でも珍しい「養生喰い」(薬として肉を食べる)の本場であった。そのような背景から、現在でも津山市内には食肉処理場があり、新鮮なホルモンが簡単に手に入る。また、津山の食肉処理技術は優れており、牛が処理ラインに入って10分以内にはホルモンの洗浄処理が終了し、食用に適した状態になる。この技術は全国的に見ても特筆すべきもので、津山のホルモンは臭みがなく、おいしいと言われる。津山では、50軒以上ものお店がホルモンうどんを提供しており、その中には50年以上前から提供しているお店も。各店の作るホルモンうどんは、自家製のたれを使い、良質のホルモンにたれとの相性を考えた野菜を加えるなど、店独自の味を作り出している。 + +## 食習の機会や時季 +津山市内の飲食店舗で食べられるほか、県内のお祭り、マラソンなどのイベントにて食べることができる。 + +## 飲食方法 +強火で熱したフライパンでホルモンを炒め、少し火が通ったらキャベツ、たまねぎ、長ネギなどの野菜を加えて炒める。塩、こしょう、たれ、うどんを加えて炒める。もやしを加え、全体に火が通ったら完成。好みでゆず果汁を振りかける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- うどん: 2袋 +- ホルモン: 150~200g +- キャベツ: 適量 +- たまねぎ: 1/2個 +- タレ: 適量 +- 長ネギ: 適量 +- もやし: 適量 + +## 作り方 +1. キャベツ:一口サイズたまねぎ:くし形長ネギ:ななめ切りホルモン:一口サイズに切る。麺は袋から出してほぐす。(電子レンジで温めておくと良い)※お好みでピーマンなど入れても美味しい。 +2. 強火で熱したフライパンで、油を引かないでホルモンを焼く。(時々キッチンペーパーなどで油を拭く)少し焼けたらキャベツ、たまねぎ、長ネギも加え炒める。(塩、こしょうを少々入れても良い) +3. ホルモンうどんのタレを下味程度に加えて炒め合わせ、うどんを加える。 +4. ホルモンうどんのタレを加え、全体を混ぜ合わせながら炒める。もやしを加え、全体に火が通ったら完成。お好みでゆず果汁を振りかけるとさっぱりした味になる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 津山ホルモンうどん研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_19_1.jpg)" +"# デミかつ丼 岡山県 + +**郷土料理名**: デミかつ丼 + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +岡山市 + +## 主な使用食材 +米、豚肉、キャベツ + +## 歴史・由来・関連行事 +揚げたてのとんかつに、熱々のデミグラスソースをかけた岡山のご当地どんぶり「おかやまデミカツ丼」。岡山市の老舗「味司野村」の創始者が考案したといわれている。東京のホテルのデミグラスソースの味に感動した創業者が、自分のお店でも活用できないかと考えた。岡山ではグリーンピースのことを「アラスカ」と言う地域もあるが、その「アラスカ」が彩りを添えるものもあり、昔なつかしい洋食を思わせる。「おかやまデミカツ丼」のポイントでもあるデミグラスソースやトッピングは、生卵やグリーンピースを添えるなど、それぞれのお店で特色があり工夫されている。デミカツ、ドミカツ、洋風カツなど呼び方も豊富。 + +## 食習の機会や時季 +岡山市を中心に飲食店で提供され、1年を通して幅広い世代に食べられている。 + +## 飲食方法 +豚肉にパン粉をつけて揚げる。ご飯の上にキャベツを敷き、揚げたてのトンカツをのせ、デミグラスソースを掛け、生卵やグリーンピースなどを添える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 米: 1合 +- 豚ロース: 2枚 +- キャベツ: 40g +- 塩: 少々 +- 胡椒: 少々 +- 小麦粉: 大さじ2 +- 卵: 1個 +- パン粉: 40g +- 揚げ油: 適量 +- 【ソース】デミグラスソース: 300g +- 【ソース】赤ワイン: 大さじ2 +- 【ソース】ウスターソース: 大さじ1・1/3 +- 【ソース】ケチャップ: 大さじ1・1/3 +- 【ソース】砂糖: 小さじ2 +- 【ソース】コンソメ: 小さじ2 + +## 作り方 +1. 米を炊く。 +2. キャベツを千切りにする。 +3. 豚ロースは筋切りをし、よく叩き、塩と胡椒を両面にふりかけ下味をつける。 +4. 卵を溶く。 +5. 3に小麦粉、卵、パン粉の順で衣をつける。 +6. 170℃の油で豚ロースを3~5分を目安に揚げる。 +7. 油から取り出し、5分を目安に余熱で火を通し、一口大に切る。 +8. 【ソース】を混ぜ合わせ、中火で温める +9. 炊きあがった米にキャベツ、豚ロースをのせて、たっぷりソースをかける。※お好みでグリーンピースを散らす。(分量外) + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_20_1.jpg)" +"# 黄ニラのおひたし 岡山県 + +**郷土料理名**: 黄ニラのおひたし + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +岡山市、赤磐市 + +## 主な使用食材 +黄ニラ + +## 歴史・由来・関連行事 +黄ニラは岡山県の特産品で、全国生産量の7割を誇る。明治5年ごろに、岡山市の牟佐・玉柏地区で栽培が始まったと言われている。太陽の光線を遮断して育てる「遮光栽培」という独特のつくり方をすることにより、華やかなパステルイエローになる。ニラの持つ本来の甘さに加え、繊維が柔らかく生でも食べられるほど。もともとはニラを栽培する過程で、つぼで覆って軟化栽培したところ、その味の評判が伝わり広まったという。その後研究が重ねられ、昭和50年代後半頃ごろから生産が拡大した。現在では、岡山県のブランド野菜として認知されている。シャキシャキとした食感、素材の持つ優しい香りや甘みを活かす食し方が「おひたし」。塩茹した黄ニラに合わせた醤油などの調味料が黄ニラの持ち味を引き出し、その魅力を存分に味わうことができる。 + +## 食習の機会や時季 +黄ニラは年間を通じて食べられるが、2月がもっとも柔らかくなり、シャキシャキとした黄ニラならではの食感が味わえる。 + +## 飲食方法 +黄ニラをさっと塩ゆでし、好みでごま油、塩、醤油などと混ぜる。すりごまや、唐辛子を混ぜてもよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 黄ニラ: 2束 +- ポン酢: 適量 +- かつお節: 適量 +- 唐辛子: 適量 + +## 作り方 +1. 黄ニラを歯ごたえが残る程度にさっと湯通しする +2. 冷水につけて、水分をとり、適当な長さに切る。 +3. かつお節と唐辛子をふりかけ、ポン酢で味付けすれば完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : JA全農おかやま + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_21_1.jpg)" +"# しその実の佃煮 岡山県 + +**郷土料理名**: しその実の佃煮 + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +美作市 + +## 主な使用食材 +しその実、しょうゆ + +## 歴史・由来・関連行事 +しその実は、茎からしごいて醤油に入れて香り付けにし、刺身を食べる際に用いられるほか、佃煮や塩漬けなどにされる。美作周辺のエリアでは佃煮にされ、ごはんのお供として食卓に並ぶ。しその実の味としょうゆ、みりんが合わさり、ピリ辛な味で美味。 + +## 食習の機会や時季 +しその実がとれる夏の時期によく作られ、ごはんのお供として、家庭でも食べられている。 + +## 飲食方法 +しその��を茎から取り、さっと茹でてから水にさらし、よく水をきる。醤油と酒を煮立て、しその実としらす干しを入れて、 汁気がなくなるまで煮る。仕上げにみりんを加える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (しその実100g分) +- しその実: 100g +- しらす干し: 50g +- 【A】醤油: 20cc +- 【A】酒: 50cc +- みりん: 少々 + +## 作り方 +1. しその実を手でしごいて茎から取り、さっとゆでて水に放し、ざるに上げてよく水をきる。 +2. 鍋に【A】を煮立て、しその実を入れて汁気がなくなるまで煮る。仕上げにみりんを加える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 美作市栄養委員会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_22_1.jpg)" +"# 鮒めし 岡山県 + +**郷土料理名**: 鮒めし + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +矢掛町、玉野市、八浜 + +## 主な使用食材 +フナ、ごぼう、にんじん、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +「鮒めし」の歴史は、児島湾干拓の歴史と共にある。岡山県の南部地域は、古くから干拓によって形成された水田が発達。江戸時代から本格的な新田開発が始まり、先人たちは苦労をして開墾を進めてきた。水田、水路、河川、児島湖とつながる水環境に恵まれ、ヨシ、フナ、マツカサガイなどが生息している。干拓地にはりめぐらされた農業用水路では多くのフナが獲れ、その中でも寒い時期に獲れる「寒鮒」は、特有のコクがあると珍重され、貴重なタンパク源となっていた。寒い冬の日、新鮮な寒鮒をまな板の上で調子よくトントンと包丁でたたいて料理したことから、「とんとこ汁」「とんとこ飯」とも呼ばれ、地元の人々に愛されてきた。「鮒めし」は、ミンチ状にしたフナを野菜と一緒に炒め煮して作り、脂ののった寒鮒と根菜がたっぷり入ったコクのある汁を、熱いご飯にたっぷりかけて食べる。 + +## 食習の機会や時季 +寒に入った頃のフナは魚の臭みが少ないといわれ、その頃の寒い日によく食べられた料理。川から離れた地域にはため池が多くあり、田んぼに水がいらなくなる12月には池の栓を抜き、植えてあるれんこん堀りと一緒にフナを捕まえた。 + +## 飲食方法 +フナは内臓等を取ってミンチにする。好みでしょうが汁を混ぜる。サラダ油でよく炒め、にんじん、だいこんを加えてさらに炒める。だし汁を入れて、煮立ったら油揚げを加え、調味する。ねぎの小口切りを加えて火を止める。温かいご飯にかける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ふなミンチ: 50g +- ごぼう: 50g +- 金時人参: 30g +- 小芋: 4個 +- 生しいたけ: 2つ +- こんにゃく: 1/4枚 +- 油揚げ: 1/4枚 +- 小口ねぎ: 少々 +- もみのり: 少々 +- 出汁: 2カップ +- サラダ油: 少々 +- ごま油: 少々 +- 【A】濃口醤油: 大さじ3 +- 【A】薄口醤油: 大さじ1 +- 【A】みりん: 大さじ1 +- 【A】酒: 大さじ3 +- 【A】砂糖: 大さじ1 + +## 作り方 +1. ごぼうはささがきにし、水に放してアク抜きをする。金時人参、しいたけ、こんにゃく、油揚げは短冊切り、小芋は皮をむいて輪切りにする。 +2. フライパンにサラダ油、ごま油を入れ、熱した後、弱火にしてふなミンチを入れ、よくほぐしながら炒める。ミンチが白っぽくなったら、強火にして、1の野菜を入れてサッと炒める。 +3. 鍋に出汁を入れて強火にかける。2を入れ、煮立ってきたらアクを取り、【A】を加えて味を調える。再度煮立ってきたら、弱火にして、野菜がやわらかくなるまで煮込む。 +4. 丼にご飯を盛り、3をかけ、小口ねぎともみのりをふる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 岡山市栄養改善協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_23_1.jpg)" +"# 黒豆入りちらしずし 岡山県 + +**郷土料理名**: 黒豆入りちらしずし + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +美作市 + +## 主な使用食材 +米、黒豆、ごぼう、にんじん、かまぼこ、紅しょうが + +## 歴史・由来・関連行事 +岡山県の北東部に位置する勝英地域(美作市、勝央町、奈義町、西粟倉村)の黒豆は全国有数の産地。勝英地域で採れる黒豆を「作州黒」と名付けてブランド化を図っている。大粒の味の良いのが魅力で、作州黒を使ったお茶や枝豆など、さまざまな商品を展開し、全国にその魅力を発信している。その黒豆をふんだんに使ったちらし寿司は���すし飯にいった黒豆を加えて炊きあげる。酢を合わせると、酢飯が桜を思わせるようなきれいなピンク色になり、見た目にも美しい。さっぱりとした中にも香ばしい黒豆の味わいが広がり美味。 + +## 食習の機会や時季 +県全域で作られているばら寿司同様に、お祭りや法事などの集まりに提供されるハレの日の料理。 + +## 飲食方法 +黒豆を洗い、フライパンで弱火で煎る。洗ったお米を水、酒、昆布につけておき、煎った黒豆と一緒に炊く。炊きあがったご飯に、酢、砂糖、塩を加え、切るように混ぜ合わせる。煮たごぼう、にんじん、かまぼこをご飯に混ぜる。錦糸卵をちらし、しいたけの含め煮とさやいんげん、紅しょうがを飾る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 3カップ +- 【A】水: 500cc +- 【A】酒: 40cc +- 【A】昆布: 10cm +- 黒豆: 1/3カップ(50g) +- 【B】酢: 50cc +- 【B】砂糖: 60g +- 【B】塩: 5g +- 干ししいたけ: 4枚 +- 戻し汁: 1カップ +- 【C】砂糖: 小さじ2 +- 【C】しょうゆ: 小さじ2 +- ごぼう: 80g +- にんじん: 80g +- かまぼこ: 60g +- だし汁: 1カップ +- 【D】砂糖: 大さじ2 +- 【D】塩: 小さじ1/5 +- 錦糸卵: 適量 +- さやいんげん: 20g +- 紅しょうが: 15g + +## 作り方 +1. 弱火で煎った黒豆と、米と【A】を一緒に炊く。 +2. 干ししいたけを湯で戻し薄切りにする。戻し汁に【C】の調味料を加えてしいたけを煮含める。 +3. ごぼうはささがきに、にんじんをいちょう切りにし、だし汁に【D】の調味料を加えてやわらかく煮る。最後にいちょう切りにしたかまぼこを加えてさっと煮る。 +4. 炊き上がったご飯に合わせ酢の【B】を加え、切るように混ぜ合わせる。 +5. すし飯に3の具を混ぜ合わせ、器に盛る。 +6. 錦糸卵をちらし、しいたけの含め煮と、ゆでて斜め切りにしたさやいんげん、紅しょうがを飾る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 勝英栄養改善協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_24_1.jpg)" +"# そばどじょう鍋 岡山県 + +**郷土料理名**: そばどじょう鍋 + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +美作市・鏡野町 + +## 主な使用食材 +そば粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +そば粉をどじょうのような形にして食す鍋料理。消化がよく体の温まる料理として、山間地で食べられていて、川魚をだし汁に使う。 + +## 食習の機会や時季 +寒さが厳しい山間地の料理として、主に冬に食されてきた。 + +## 飲食方法 +そば粉に卵を加えて混ぜ、熱湯を少しずつ加えて耳たぶくらいの硬さに練っておく。ごぼう、油揚げは油ぬきしておく。鍋にだし汁を入れ、ごぼう、油揚げ、にんじん、白菜を入れて煮立てる。練ったそば粉をちぎり、どじょうのような形に細長く延ばして鍋に入れる。そば粉に火が通ったら醤油、みりん、酒を入れて調味する。器に盛り、青菜とねぎをのせる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- そば粉: 150g +- 卵: 小1個 +- 熱湯: 少々 +- だし汁: 2 1/2カップ +- ごぼう: 50g +- あげ: 1/2枚 +- にんじん: 50g +- 白菜: 50g +- かぼちゃ: 50g +- ちくわ: 30g +- 生しいたけ: 3枚 +- 青菜: 50g +- ねぎ: 5本 +- 【A】醤油: 大さじ3 +- 【A】みりん: 大さじ1 +- 【A】酒: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 卵→溶きほぐしておくごぼう→ささがきあげ→短冊切りにし、油抜きをする。にんじん→短冊切り白菜→軸を短冊、葉をざく切りかぼちゃ→厚めの短冊切りちくわ→小口切り生しいたけ→石づきを除き細切り青菜→ゆでて2~3cmに切るねぎ→ざく切り +2. そば粉に卵を加えて混ぜ、熱湯を少しずつ加えて耳たぶくらいの硬さに練っておく。 +3. 鍋にだし汁を入れ、下準備した青み以外の野菜を入れて煮立てる。 +4. 2のそば粉をちぎり、どじょうの形に手で細長くのばし、鍋に入れる。 +5. そば粉に火が通ったら【A】で調味する。 +6. 器に盛り、青菜とねぎをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 鏡野町栄養委員会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_25_1.jpg)" +"# 豆腐飯 岡山県 + +**郷土料理名**: 豆腐飯 + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +高梁市 + +## 主な使用食材 +米、豆腐、卵、さやえんどう、ごぼう + +## 歴史・由来・関連行事 +豆腐飯は精進料理のひとつとして食べられていた料理で、主に商家で仏事の料理とされていた。材料が安く、���かも手に入れやすいため、郷土料理として各家庭で作られるようになった。豆腐を生のままつぶしてゆでて、布巾で絞り水気を切り、炒って醤油で味をつけ、裏ごしする。それをご飯に乗せ、さまざまな野菜とともに、つゆをかけて食べる。豆腐飯はだしを丁寧にとって薄味にし、食材の持ち味を生かすことが特徴。 + +## 食習の機会や時季 +明治時代から精進料理のひとつとして出されていた料理で、家庭でも先祖の供養を行う法事料理として取り入れられていた。 + +## 飲食方法 +豆腐を生のまま小さくつぶして鍋に入れてゆで、熱いうちに布巾で絞り水気を切る。鍋に油を熱し、豆腐を炒り、醤油で味をつけ熱いうちに裏ごしにする。煮干しと昆布で出し汁をとり、しいたけの煮汁、かんぴょうの煮汁を加えて醤油と塩で味を調えてつゆを作る。ご飯に、豆腐の裏ごししたもの、錦糸卵、さやえんどう、煮た干ししいたけ、かんぴょうの醤油煮、ごぼうを盛り付け、食べる直前につゆをかける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 2合 +- 豆腐: 2丁 +- 油: 小さじ2 +- うすくち醤油: 大さじ1 +- 干ししいたけ: 4枚 +- うすくち醤油: 大さじ2 +- かんぴょう: 14g +- うすくち醤油: 小さじ1 +- さやえんどう: 4枚 +- たまご: 1個 +- ごぼう: 40g +- 【つゆ】だし汁: 3カップ +- 【つゆ】醤油: 大さじ1/2 +- 【つゆ】塩: 小さじ1/4 + +## 作り方 +1. 豆腐は生のまま小さくつぶして鍋に入れ、たっぷりの水を加えてゆでる。水と豆腐が分離してきたら火をとめ、熱いうちに布巾で絞り十分水気を切る。鍋に油を熱し、豆腐を炒り、醤油で味をつけ熱いうちに裏ごしにする(フードカッターでも良い) +2. 卵は錦糸卵にする。 +3. さやえんどうは塩ゆで(分量外:塩ひとつまみ)にし、せん切りにする。 +4. 干ししいたけは水でもどして細く切り、醤油を加えて煮る。 +5. かんぴょうは水につけて塩もみ(分量外:塩ひとつまみ)にし、水で洗って小さく切り、醤油を加えて煮る。※しいたけ、かんぴょうの煮汁はつゆの出し汁に加えるので捨てないでおく。 +6. ごぼうはせん切りにして塩ゆで(分量外:塩ひとつまみ)にする。 +7. つゆは、煮干しと昆布でだし汁をとり、しいたけの煮汁、かんぴょうの煮汁を加えて醤油と塩で味を調えてつくる。 +8. ご飯に1~6の具を盛りつけ、食べる直前につゆをかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 高梁市栄養改善協議会連合会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_26_1.jpg)" +"# ままかりずし 岡山県 + +**郷土料理名**: ままかりずし + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +瀬戸内海沿岸 + +## 主な使用食材 +ママカリ、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +「ままかりずし」は、酢漬けにしたママカリをすしにしたもの。酢飯を丸め、酢漬けしたママカリを握りずしのようにのせて食べる。「ままかり」とは、一般に「サッパ」と呼ばれるニシン科の小魚のことで、「ママ(ご飯)をカリ(借り)に行くほどおいしい」ということからママカリと呼ばれるようになったと言われている。主に瀬戸内海で取れ、10月頃が旬で脂が乗って最もおいしくなる。岡山ではすしのほかに、酢漬け、刺身、塩焼きなどさまざまに調理されている。「ままかりずし」は、農林水産省が選定した「農山漁村の郷土料理百選」に、ばらずしとともに選ばれている。 + +## 食習の機会や時季 +お祭りや家族の祝いごとなどには「ままかりずし」は欠かすことができないもので、岡山のハレの日のごちそうの代表的な料理。 + +## 飲食方法 +ママカリの頭とはらわたをとり除き、腹を開いて背骨をとる。塩をふり1時間くらいおき、ママカリを酢で洗う。甘酢を作り、漬けておく。酢飯を握りずしのように握り、ママカリを上にのせる。好みでわさび、しょうがをのせる場合もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ママカリ: 20匹 +- 【甘酢】酢: 1カップ +- 【甘酢】塩: 小さじ2 +- 【甘酢】だし昆布: 10cm角 +- 【甘酢】しょうが: 1片 +- 【甘酢】砂糖: 大さじ1 +- 米: 3カップ +- 【酢飯】昆布: 10cm角 +- 【酢飯】酢: 大さじ4 +- 【酢飯】砂糖: 大さじ5 +- 【酢飯】塩: 少々 + +## 作り方 +1. ママカリはうろこをとり、頭とはらわたをとり除き、腹開きにし背骨をとる。塩を��り1時間くらいおく。 +2. 酢、塩、だし昆布、しょうが、砂糖を合わせて甘酢をつくる。 +3. 酢飯を作り、握りずしのように握り、ママカリを上にのせる。 +4. お好みによりわさび、しょうがをのせてもよい。 + +## レシピ提供元 +出典:岡山県郷土文化財団「おかやまの味」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_27_1.jpg)" +"# 柚子味噌 岡山県 + +**郷土料理名**: 柚子味噌 + +**都道府県**: 岡山県 + +## 主な伝承地域 +井原市 + +## 主な使用食材 +ゆず、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +爽やかな香りが食卓に季節感を加えてくれるゆず。10月頃から収穫がはじまるゆずは、12月頃に旬を迎える。ゆずを活用した柚子味噌は、味噌にゆずの皮や果汁を加えた万能調味料で全国のゆずの産地で作られている。井原市は県内でも有数のゆずの産地で、柚子味噌が伝わっている。 + +## 食習の機会や時季 +ゆずが収穫される秋から冬にかけて作られ、万能調味料として、ご飯にのせて食べたり、茹でた野菜につけて食べられている。 + +## 飲食方法 +ゆずの皮を千切りにし、水を加えて煮て、冷ましてアクを抜く。味噌、砂糖、水あめを加えて煮、ゆず酢を入れる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作り置きできる分量) +- 【A】ゆずの皮: 500g +- 【A】砂糖: 300g +- 【B】味噌: 1kg +- 【B】砂糖: 200g +- 【B】水あめ: 100g +- 【B】ゆず酢: 適量 + +## 作り方 +1. ゆずの皮を2cmの千切りにする。 +2. 鍋に1のゆずの皮がつかるくらいの水を加えて15~20分煮て、水に放してアクを抜く。 +3. 鍋に2のゆずの皮と【A】の砂糖を加えて煮る。 +4. 3に【B】を加えて弱火でゆっくりと煮、照りが出たらゆず酢をおとし、火を止める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 備南広域農業普及指導センター + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_28_1.jpg)" +"# ワニの刺身 広島県 + +**郷土料理名**: ワニの刺身 + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +備北地域の三次市、庄原市 + +## 主な使用食材 +サメ、しょうが、にんにく、しょうゆ + +## 歴史・由来・関連行事 +「ワニ」と呼ばれているが、実際食しているものは「サメ」である。「フカ」ともいう。中国地方の山間部では「サメ」のことを「ワニ」と呼ぶ古語があり、古事記の神話「因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)」に登場するワニもサメのことだと考えられている。 江戸時代、日本海側の商人からサメがこの地域に持ち込まれた記録がある。サメはアンモニアを多く含むため日持ちし、半月ほどは刺身で食べられることから、明治30年代後半から島根県の漁民が運んでくるようになると、家庭でも刺身で食されるようになった。交通が発達していない時代、海から離れた山間地域では新鮮な魚介類は入手しづらく、サメが重宝されていた。日にちがたつとアンモニアの臭いが強くなることから、臭いを消すためにしょうがしょうゆで食べることが多い。また砂糖しょうゆで食べる家庭もあった。 おもに秋祭りや正月、祝い事などのハレの時に食されるもので、三次市には「ワニを腹の冷えるまで食べてつかあさい」という、古くからのもてなしの言葉がある。三次市を中心とした広島県北部で食されるサメ は約20種であるが、おもにネズミザメ、アオザメ、シュモクザメなどがある。種類により肉の色が異なり、赤みが強いものは「カジキ」に似ていて脂肪分が少なく、肉質はやわらかく淡泊である。その味から、三次市ではサメのことを「三次カジキ」、庄原市西城町では「西城マグロ」と呼ぶこともあった。年間通して漁獲されるが、秋から冬は身が引き締まりよりおいしい。 + +## 食習の機会や時季 +秋祭りや正月、祝いの席などで人が多く集まるときに食された。特にこの地域の正月には、なくてならない料理のひとつであった。かつては祭りが近づくとあちこちに「ワニの市」がたち、ワニ(サメ)を切り分けて販売していた。現在も年末になるとニュースの話題になるなど、冬の風物詩である。若い人は刺身をあまり食べないが、年配のかたは今でも刺身を好む傾向にある。 + +## 飲食方法 +サメを刺身にし、アンモニアの臭いを消すためにしょうがしょうゆをつけて食べる。砂糖しょうゆで食べることもある。刺身以外にも煮���、フライ、天ぷら、煮こごり、湯引き、かば焼き、お吸い物、南蛮漬け、ワニめしなど多彩な食べ方がある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- ワニの刺身: 70g程度 +- 濃口しょうゆ: 適宜 +- しょうが: 適宜 + +## 作り方 +1. ワニの刺身を盛り付ける。 +2. 1を濃口しょうゆにつけ、食べる。薬味にすりおろしたしょうがを用いる。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_1_1.jpg)" +"# うずみ 広島県 + +**郷土料理名**: うずみ + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +福山市 + +## 主な使用食材 +ごぼう、里芋、にんじん、大根、しいたけ、松茸、豆腐、小エビ、鶏肉、鯛、ご飯 + +## 歴史・由来・関連行事 +「うずみ」は、江戸時代に具をご飯の下に埋(うず)めて質素に見せかけて食べたことが始まりといわれる。だしで煮たエビや鯛、里芋などの野菜をわんに入れ、汁をかけた上にご飯を盛って食す。中国地方には福山市以外でも、島根の石見地方の「うずめ飯」や岡山の「備前ばら寿司」など「埋める(うずめる)」食文化が存在する。 昭和40年代までは、秋の収穫を祝う料理としてよく食されていた。具材は地域ごとに違いがあり、おもに里芋、にんじん、松茸、しいたけ、エビ、鯛、鶏肉などが使われる。だし汁にも地域差があり、瀬戸内海に面した南部はいりこを使い、北部の山間部では干ししいたけを用いる。 + +## 食習の機会や時季 +昭和40年代までは秋の収穫を祝う料理として食された。それ以降食習の機会は減っていたが、飲食店や給食などで提供されるようになり、機会は徐々に増えつつある。 + +## 飲食方法 +それぞれの具材(ごぼう、里芋、にんじん、大根、しいたけ、松茸、豆腐、小エビ、鶏肉、鯛など)を食べやすい大きさに切り、あらかじめ煮たりゆでたり下ごしらえし、わんに盛る。別にいりこなどでだしをとった汁を具材にかけ、その上からご飯を盛る。現在では「うずみ」は「うずめる」料理として様々なジャンルに取り入れられており、氷にフルーツを埋めたうずみ氷、地元産の具材を埋めたうずみソフトクリーム、麺の下に具材を埋めたうずみラーメンなどが生まれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鯛(皮付き切り身): 4切れ(1切れ30g) +- 酒: 少々 +- 塩: 少々 +- えび: 8尾 +- 里芋: 2個 +- にんじん: 1/2本 +- 【A】かつおだし汁: 100cc +- 【A】みりん: 大さじ1弱 +- 【A】濃口醤油: 大さじ1弱 +- 干し椎茸: 1枚 +- 【B】椎茸の戻し汁: 15cc +- 【B】砂糖: 小さじ2/3 +- 【B】濃口醤油: 少々 +- 厚あげ: 200g +- きざみのり: 少々 +- ゆず: 少々 +- ごはん: 4膳分 +- 【C】かつおだし汁: 500cc +- 【C】酒: 大さじ4 +- 【C】みりん: 小さじ2 +- 【C】薄口しょうゆ: 小さじ2 + +## 作り方 +1. 鯛は酒と塩をふりかけ、オーブントースターにアルミホイルをひいて500w~600wで5分ほど、鯛の中まで火が通り、皮に焦げ目がつくまで焼く。 +2. えびは背わたをとり殻ごと沸騰しているお湯で1~2分ゆで、殻をむいておく。 +3. 里芋、にんじんは皮をむき、5mm程度のいちょう切りにする。 +4. 鍋に3と【A】を入れて、中火で10分位煮る。煮汁に2を10分程度つけておく。 +5. 干し椎茸は水で戻し、せん切りにする。※戻す水は50~100ccで適宜でよい。あまった戻し汁はだし汁に加えてよい。 +6. 鍋に5と【B】を入れて中火で5~10分煮る。 +7. 厚あげはサイコロ状に切り、フライパンで、中火で焼き目がつく程度、1~2分焼く。 +8. 鍋に【C】を入れて火にかけ、タレを作る。※あまり煮詰めないようにする。 +9. 茶碗に1、4、6、7を入れ、ごはんをのせて8をかける。 +10. 9のごはんの上にきざみのりと針状に切ったゆずをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 福山市食生活改善推進員協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_2_1.jpg)" +"# 八寸 広島県 + +**郷土料理名**: 八寸 + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +熊野町、安芸高田市 + +## 主な使用食材 +鶏肉、魚のあら、里芋、れんこん、にんじん、大根、ごぼう、干ししいたけ、こんにゃく、豆腐、厚揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +「八寸」は安芸門徒(広島県西部地方の浄土真宗門徒)の多い地域で食された、山の幸と海の幸を組み合わせて作られ���煮物である。 名前の由来は、盛りつける漆器の直径が八寸(約24センチ)ということからという説や、「8種類の=多くの」材料を使っているからという説がある。「お八寸(おはっすん)」とも呼ばれる。 かつては祭りや正月、法事など冠婚葬祭で人が集まるときには魚屋さんを自宅に招いて刺身などを用意する風習があり、そのときに魚の「あら」と、家でできた野菜を煮込んだのが始まりと言われている。祝儀不祝儀問わず作られるが、「祝儀の時は具の種類を奇数にし、器は朱色のものを使う。鶏肉や魚のあらなど動物性のものを入れる」「葬式や法事など不祝儀の時は具の種類を偶数にし、黒の器を使う。動物性のものは入れず厚揚げや油揚げで代用する」など、地域により決まりがある。 日本料理の会席料理や懐石料理にも「八寸」と呼ばれる料理があるが、広島の「八寸」とは異なるもの。会席料理では、先付けのあとに出す前菜を指すことが多く「前八寸」ともいう。懐石料理では、料理がひと段落したあとに酒のつまみとして出される動物性と植物性の2~3品の料理を「八寸」と呼ぶ。 また同じ地域の郷土料理である「煮ごめ」と比較されることがあるが、「煮ごめ」が動物性のものを入れない精進料理で、親鸞上人が好きだったという小豆を入れるのに対し、「八寸」は魚介類や鶏肉などを入れて煮込むものであり、小豆は入れないという違いがある。また野菜の切り方にも差がある。 + +## 食習の機会や時季 +祭りや正月、結婚式や法事など冠婚葬祭で人が多く集まるときに振る舞われた。現在は自宅で冠婚葬祭が行われなくなり、正月以外に作られることは少なくなったが、高齢者のいる家庭では比較的作られる。 + +## 飲食方法 +鶏肉、水で戻した干ししいたけ、れんこん、こんにゃく、ごぼう、にんじん、里芋などを食べやすい大きさに切り、下処理をする。鍋で炒めてから水、しょうゆ、酒、みりん、砂糖を入れてあくを取りながら煮る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鶏もも肉: 200g +- 干ししいたけ: 3枚 +- ごぼう: 30g +- れんこん: 100g +- にんじん: 50g +- こんにゃく: 50g +- 厚揚げ: 50g +- 里芋: 3個 +- きぬさや: 8枚 +- 水: 400cc +- 【調味料】しょうゆ: 40cc +- 【調味料】酒: 大さじ3 +- 【調味料】砂糖: 大さじ2 +- 【調味料】みりん: 大さじ3 + +## 作り方 +1. 鶏肉は一口大に切り、酒(分量外)をふる。干ししいたけは水で戻し、れんこんとともにいちょう切りにする。こんにゃくは乱切りにしてゆでる。ごぼうは乱切りにし、水にさらしてあく抜きする。にんじんは乱切りにする。里芋は一口大に切り、下ゆでしてぬめりを取る。厚揚げは熱湯にさっとくぐらせて油抜きし、一口大に切る。きぬさやは塩ゆでしておく。 +2. 鍋に油を熱し1の材料(きぬさや以外)を炒める。水と調味料を入れて最初は強火で煮る。煮たったら中火にし、あくを取り煮含める。最後にきぬさやを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「伝えたい残したい ひろしま県の味料理集」(ひろしま食育・健康づくり実行委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_3_1.jpg)" +"# かきの土手鍋 広島県 + +**郷土料理名**: かきの土手鍋 + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +広島市、江田島市、宮島、呉、音戸地方など + +## 主な使用食材 +かき、豆腐、赤みそ、白みそ、しいたけ、えのき、にんじん、春菊、ねぎ、糸こんにゃく + +## 歴史・由来・関連行事 +「かきの土手鍋」の名前の由来は三つあり、一つは味噌を鍋の内側に土手のように塗ることから。二つめは、この鍋料理を考案したのが土手長吉さんだったから。そして三つめは、江戸時代に広島のかきを大阪まで輸送したかき船が、川の土手で鍋を食べさせていたからと言われている。鍋のふちに塗った味噌を崩しながら味を調節する食べ方が特徴。 広島県は、かき生産量が全国1位で、全国の生産量の半分以上を占める(令和2年「漁業・養殖業生産統計」農林水産省)。 広島のかき食の歴史は長く、古くは縄文・弥生時代から天然のかきを食べていたことが、貝塚から出土した殻により分かっている。また1500~1600年代には養殖が始まったと考えられる。 このあたりの湾は、波が静かであ���ながら潮の流れが適度にあること、湾に河川が流れ込むことにより梅雨時期から夏にかけて海水中の塩分濃度が薄まる層が生まれること、中国山地から栄養素が流れ込むことなど、かきの生育に良い条件が揃っている。広島のかきは身が大きく濃厚な味わいが特徴であるが、味のおいしさだけでなく、県が独自に食品衛生上の条例を設けているなど、安全性の高さも人気の理由と言える。 + +## 食習の機会や時季 +1月から2月に旬を迎えるかきを楽しむ冬の郷土料理として、現在も飲食店をはじめ一般家庭で楽しまれている。観光客にも人気。 + +## 飲食方法 +白みそ、赤みそ、酒、みりん、砂糖を混ぜたものを土鍋のふちに土手になるように塗り付ける。土鍋の底に白菜の芯を敷いて焦げにくくし、白ねぎ、白菜、しいたけ、えのき、糸こんにゃく、にんじん、豆腐などの具材を入れ、最後にかきを乗せる。だし汁を加えて火にかけ、味噌を崩して好みの味に調節しながら食べる。 かきの殻焼き、かきフライとともに、かきの人気の食べ方である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- かき: 300g +- 豆腐: 1丁 +- 生しいたけ: 4枚 +- えのきだけ: 1袋 +- にんじん: 1/3本 +- 春菊: 1袋 +- はくさい: 1/4株 +- だし汁: 適量 +- 白ねぎ: 2本 +- 糸こんにゃく: 1袋 +- 【調味料】赤みそ: 100g +- 【調味料】白みそ: 100g +- 【調味料】酒: 小さじ1 +- 【調味料】みりん: 小さじ1 +- 【調味料】砂糖: 小さじ1 + +## 作り方 +1. かきは薄い塩水でふり洗いし、水を替えてすすいで水気をきる。 +2. 白ねぎは斜め切りに、春菊、はくさいは3cmに、生しいたけは石づきをとって飾り切りにする。糸こんにゃくは食べやすい長さに切る。にんじんは花型で抜いて下茹でする。えのきは根元を切り落とし、食べやすい長さに切る。豆腐は食べやすいサイズに切る。 +3. 【調味料】を混ぜ合わせ、土鍋のふちに土手になるように塗る。 +4. 土鍋の底にはくさいの芯を敷き、残りの材料を彩りよく並べて真ん中にかきをおき、だし汁を加えて火にかける。煮立ってきたら3をくずしながらいただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「伝えたい残したい ひろしま県の味料理集」(ひろしま食育・健康づくり実行委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_4_1.jpg)" +"# わけぎのぬた 広島県 + +**郷土料理名**: わけぎのぬた + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +尾道市、三原市、呉市 + +## 主な使用食材 +わけぎ、白みそ、砂糖、酢、みりん + +## 歴史・由来・関連行事 +わけぎはユリ科のネギ属に属し、ねぎとエシャロットが交雑してできた品種で、ねぎの仲間であるがねぎとは違う独特な香りを持っている。 わけぎは種子を作らず球根が分かれていくことにより増える性質があり、1玉の球根が半年で50球以上に増えることもあることから、「子宝に恵まれる」縁起物として桃の節句に好んで食されてきた。「根元が多くの株に分かれた葱(ねぎ)」という意味で「分葱(わけぎ)」と呼ばれる。 瀬戸内海沿岸はわけぎを育てるのに向いている温暖な気候で、特に尾道は全国一位の生産量を誇る(農林水産省「平成30年度地域特産野菜生産状況調査」)。この地域で育ったわけぎは、くせがなく甘みのある味わいと優しい香りが 特徴である。 大正、昭和初期にはすでに産地となっており、昭和30年代には早出し栽培の技術を確立し、昭和60年代には一年中収穫することが可能に。そしてビニールハウス栽培の普及により、厳寒期にも安定して収穫できるようになり、生産量が大きく伸びた。 市場に多く出回る量が多いのは12~3月。特に2月末から3月上旬が最盛期で、この時期のわけぎは甘味とうまみが増している。 「わけぎのぬた」はゆでたわけぎを白みそ、砂糖、酢、みりんを混ぜたものであえたもので、からし酢みそを使うこともある。わけぎにはカルシウム、鉄などのミネラルやビタミンA、B2、Cのほか、玉ねぎやその他のネギ類、ニラ、ニンニクに含まれる硫化アリルが含まれ、食欲を増進する働きがある。 + +## 食習の機会や時季 +年間通して食すことができるが、2月末~3月上旬が旬。子孫繁栄の縁起物として、関西ではひな祭り(桃の節句)に食されることが多い。 + +## 飲食方法 +わけぎを3cm程度に切り、ゆでたものを、白みそ、砂糖、酢、みりんを混ぜたものであえる。家庭によりたこ、あさり、油揚げ、練り物などを入れることもある。 わけぎはぬたの他にも、餃子、炒め物、サラダ、卵焼きなどにも使われる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- わけぎ: 1束 +- ゆでだこ: 40g +- 【調味料】白みそ: 大さじ2 +- 【調味料】砂糖: 大さじ2 +- 【調味料】酢: 大さじ2 +- 【調味料】みりん: 小さじ1 + +## 作り方 +1. わけぎは3cmに切る。 +2. 1を根から順にゆで、ざるにあげ冷まし水気をしぼる。 +3. ゆでたたこは食べやすい大きさに切る。 +4. 【調味料】を混ぜ合わせ、2と3を入れあえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 福山市食生活改善推進員協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_5_1.jpg)" +"# もぶり 広島県 + +**郷土料理名**: もぶり + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +大竹市、呉市 + +## 主な使用食材 +米、にんじん、ごぼう、れんこん、干ししいたけ、油揚げ、さやいんげん、黒豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +「もぶり」の名前の由来は、広島の方言で「混ぜる、混ぜ込む」を意味する「もぶる」であると言われ、地域により「もぶりご飯」「もぐり飯」とも呼ばれる。炊いたご飯に干ししいたけ、ごぼう、にんじん,黒豆、さやいんげんなどの野菜を混ぜ込んだもの。エビ、魚、貝類などを煮たり焼いたりしたものを混ぜたり、黒豆ではなく、うずら豆などの他の豆を使用することもある。地域や時季により具材は異なる。農作業のときにさっと食べられる、おかずが無くても栄養がとれる食事として、または祝い事や法事などのちょっとしたごちそうとして作られ、大竹市では弘法大師の命日や春秋の彼岸の会食で食したり、寄り合いや家を建てたときの建前では、丸い大きなおむすびにして近所に配られたりすることもあった。 似た名前の料理として、愛媛県には「もぶり酢(松山酢)」がある。名前の由来は同じであるが、こちらはエソやトラハゼなど瀬戸内の小魚でだしをとった甘めの合わせ酢で寿司飯を作り、その中にアナゴをはじめ季節の小魚を盛りつける。広島の「もぶり」が混ぜご飯という認識であるのに対し、愛媛のものは「ちらし寿司」である。また高知県宿毛市でも「もぶり」という名前の料理があり、煮込んだ大根やごぼう、にんじんなどをごはんに混ぜ込み、最後に軽くあぶった岩のりを上にかけて食べる。 + +## 食習の機会や時季 +農作業のときにさっと食べられる、おかずが無くても栄養がとれる食事として、または祝い事や法事、寄り合いなど人が集まる席での欠かせない料理として年間通して作られる。具材の種類を奇数にして縁起物として食され、家を建てたときや特別なお祝いの時には、まんまるの握りこぶしほどの大きさのおむすびが地域の人に振る舞われた。 + +## 飲食方法 +干ししいたけは水に戻して千切りにしたもの、れんこんは小さめに切り下ゆでしたものを、ごぼうはささがきにして水にさらしたものと、一緒にだし汁で煮る。ある程度煮たら、にんじんと油揚げの千切りを加え、砂糖、しょうゆで味を調え、やわらかくなるまで煮る。煮汁を切って冷まし、炊いたご飯と混ぜ合わせる。黒豆を加え、彩りにさやいんげんを散らす。季節や地域によって具材が異なり、ゆでたり焼いたりした魚介類を、炊いたご飯に混ぜ込む地域もある。前述の具材以外にもこんにゃく、さといも、ちくわ、あさり、あじ、ムール貝、塩吹き昆布などバリエーションはさまざまである。県立大竹高等学校「学校家庭クラブ」では菊芋を使ったレシピを考案、発表している。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 3カップ +- 塩: 小さじ1弱 +- にんじん: 60g +- ごぼう: 60g +- 干ししいたけ: 3枚 +- 油揚げ: 1枚 +- 黒豆(煮豆): 100g +- さやいんげん: 20g +- 【調味料】砂糖: 大さじ1.5 +- 【調味料】しょうゆ: 大さじ2 +- 【調味料】酒: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 米は洗って水に浸し、塩を加えて炊く。さやいんげんはゆでて千切りにしておく。 +2. にんじんは5cmの千切り、ごぼうはささがきにして水に浸しておく。干ししいたけは水で戻して千切り、油揚げは熱湯をかけて千切りにする。 +3. ごぼう、干ししいたけ、油揚げを、しいたけの戻し汁、だし汁と調味料で煮る。ある程度煮えたら、にんじんを加えてさらに煮る。 +4. 炊き上がったご飯のあら熱をとり、汁をしぼった具を混ぜ合わせる。 +5. 黒豆を加え、さやいんげんを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「伝えたい残したい ひろしま県の味料理集」(ひろしま食育・健康づくり実行委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_6_1.jpg)" +"# お好み焼き 広島県 + +**郷土料理名**: お好み焼き + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、キャベツ、豚肉、焼きそば、卵、ソース、青のり + +## 歴史・由来・関連行事 +広島のお好み焼は、小麦粉の生地を薄くのばし、キャベツや豚肉、焼きそばなどを山盛りにし、薄く焼いた卵などを重ねて蒸し焼きにしたもの。ソースは濃厚な甘口のものを用いるのが一般的で、好みでマヨネーズを付ける場合も。鉄板の上から食べる時は「ヘラ」で食べる。「広島のソウルフード」とも言われ、人口10万人あたりのお好み焼の店舗数は、広島県が全国一位である(「2014年経済センサス‐基礎調査」総務省)。発祥は、戦前に食べられていた「一銭洋食」とされ、戦後に空腹をしのぐ食べ物として、お好み焼に形を変えていった。当時、広島は鉄を扱う工場が多く、鉄板が比較的手に入りやすかったことからお好み焼屋が増えたと考えられる。昭和30年代には、住宅の一部を改装した店舗が増えたり、麺や豚肉を加えたりするようになり、お好み焼の普及が進んだ。その後、昭和50年代の広島カープ優勝の頃からガイドブックなどにも掲載されるようになり、全国的に名が広まった。 + +## 食習の機会や時季 +時期や機会を問わず食される、広島県民の生活に根付いたソウルフードである。地元では飲んだあとの締めの食事としても愛されている。 + +## 飲食方法 +小麦粉の生地を薄くのばし、キャベツや豚肉、焼きそば、薄く焼いた卵などを重ねて蒸し焼きにする。甘口のソースと青のり、好みでマヨネーズをかけて食べる。地域により具材の異なるバリエーションが生まれており、各地域の特徴となっている。府中市の「備後府中焼き」は牛や豚のひき肉を使用。呉市の「呉焼き」は呉名物の細うどんを使い、生地を二つ折りにした半円形が特徴。造船所の職工が休憩時間に素早く食べられるようにという理由からとされる。庄原市の「庄原焼き」は、麺のかわりに庄原産の米を入れ、ソースのかわりにポン酢で食す。尾道市の「尾道焼き」は砂肝とイカ天が入っている。竹原市の「純米吟醸たけはら焼き」は生地に酒粕や日本酒が練りこまれている。三原市の「三原焼き」は鶏モツが入っており、養鶏がさかんであったからと考えられている。三次市の「三次唐麺焼」は唐辛子を練り込んだ麺を使っており、辛みが特徴。熊野町の「ふわふわ納豆焼」は卵・納豆・山芋入り。因島の「いんおこ」はうどん入りが主流である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 【生地】だし汁: 1/2カップ +- 【生地】薄力粉: 25g +- キャベツ: 200g +- もやし: 100g +- 葉ねぎ: 20g +- 魚粉: 小さじ1 +- 天かす: 3g +- 豚三枚肉: 2枚 +- 卵: 1個 +- ソバ玉: 1玉 +- お好み焼きソース: 1/4カップ +- 青のり: 小さじ1/2 +- 紅しょうが: 5g +- サラダ油: 小さじ1 +- かつお節: 少々 + +## 作り方 +1. キャベツは3mm幅のせん切り、ねぎは5mmの小口切りにする。 +2. だし汁に粉を加え、ダマができないようにかきまぜる。※だし汁は多めに作っておく。 +3. ホットプレート(250℃:高温)に薄く油をひき、2の生地を約20cmの円形に広げ、魚粉をふりかける。 +4. キャベツ、もやし、葉ねぎ、天かす、豚三枚肉を3の生地にのせ、つなぎの生地を少々かける。250℃(高温)で5分ほど、生地がカリっとするまで焼く。 +5. 大きなヘラで一気にひっくり返す。 +6. はみ出た具を中におさめながら形を整え、上からヘラで押さえる。 +7. ソバ玉をホットプレートで温め、よくほぐし、炒めておく。※麺を炒めるときは、水又はお好み焼きソース、又は油を加えてほぐす。 +8. ホットプレートに卵を割り入れほぐし、卵の上に7のソバを置き、その上に6をのせ、上からヘラで押さえる。※卵は��クランブルエッグのようにゆるくせず、20cmくらいに丸く広げて、焼きあげる。 +9. 再びひっくり返し、お好み焼きソースをかけ、青のり、紅しょうが、かつお節を飾る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 広島県食生活改善推進員団体連絡協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_7_3.jpg)" +"# 美酒鍋 広島県 + +**郷土料理名**: 美酒鍋 + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +安芸地域の東広島市 + +## 主な使用食材 +鶏肉、砂ずり、豚肉、白菜、ねぎ、にら、塩、こしょう、日本酒、にんにく + +## 歴史・由来・関連行事 +美酒鍋は鶏肉、砂ずり、豚肉、野菜を、塩、こしょう、日本酒のシンプルな味付けで食す鍋料理で、あっさりとしていて素材本来の味を楽しめるのが特徴。東広島市西条の杜氏が、酒造りの合間の空腹を満たすために考案したまかない料理が発祥と言われる。シンプルな味付けは、利き酒に影響が出ないような工夫である。加熱することでアルコール分が抜けるので、お酒が苦手な人はもとより幅広い年代の人が食べることができる。名前の由来は、水仕事が多く仕事着がびしょ濡れになることが多かった蔵人(酒蔵で働く人)を「びしょ」と呼び、その蔵人たちが食することから「びしょ鍋」と呼ばれるようになったと言われる。「美酒」の字は近年あてられたもの。 伝承地域の西条は、「兵庫の灘」「京都の伏見」と並び称される銘醸地で、全国酒品評会が始まった明治から大正にかけて上位を独占するなど品質の高さを誇り、酒都西条の名声を高めた。昭和初めに西条を訪れた俳人・河東碧梧桐が「酒の新都」と呼んだことでも有名である。 + +## 食習の機会や時季 +酒造りの合間のまかない料理として、酒造りの冬の期間に食べられていた。現在では東広島市の名物料理として時季を問わず食される。毎年10月に開催される「酒まつり」でも振る舞われる。 + +## 飲食方法 +鍋に油をひき、にんにくを炒め、鶏肉、砂ずり、豚肉と、白菜、ねぎなどを、火の通りにくいものから入れ、酒を少しずつ入れる。塩こしょうで味付けをして食べる。野菜は煮すぎないのがポイント。一度に全部作るのではなく、鍋の中身を全部食べた後にもう一度最初から作る。こんにゃくや厚揚げを入れる場合もある。野菜は季節に合ったものを使用してよい。 10月の「酒まつり」では、各蔵元、各店舗がそれぞれに工夫した美酒鍋が味わえる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- にんにく: 1かけ +- にんじん: 1/4本 +- たまねぎ: 中2個 +- にら: 1束 +- 白菜: 1/2株 +- 白ねぎ: 4本 +- こんにゃく: 1枚 +- 酒: 1カップ +- 鶏もも肉: 400g +- 砂ずり: 200g +- 豚肩ロース肉: 40g +- 豆腐: 1丁 +- 塩・こしょう: 適宜 + +## 作り方 +1. 白菜はざく切り、にんじんは半月切り、白ねぎは斜め切り、たまねぎはくし形に切る。 +2. こんにゃくは小さく手でちぎり、ゆでる。豆腐は食べやすい大きさに切る。にんにくは薄い輪切りにする。にらは5cmくらいに切る。 +3. 豚肉を鍋に入れ、炒めて脂が溶けたらにんにくを入れ、酒を少しずつ加え、火が通りにくい材料の順に入れながら煮る。 +4. 煮えたら、塩・こしょうをつけながら食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「伝えたい残したい ひろしま県の味料理集」(ひろしま食育・健康づくり実行委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_8_1.jpg)" +"# 鯛めし 広島県 + +**郷土料理名**: 鯛めし + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +福山市、尾道市、大崎上島町など瀬戸内海沿岸地域 + +## 主な使用食材 +米、鯛、塩、だし汁 + +## 歴史・由来・関連行事 +「鯛めし」は瀬戸内海沿岸地域を中心に食される郷土料理で、鯛を丸ごと釜に入れてお米と炊くもの。江戸時代、走島の庄屋が鯛網の操業を始めた頃から、漁師たちにより作られるようになったと言われる。瀬戸内海は岩礁性の起伏の多い海底地形と潮流により、真鯛の産卵、生息に適していることから昔から鯛の漁が盛んで、マダイの一本釣り漁、アビ漁、能地の浮き鯛、鞆の鯛網など伝統的な漁法が伝えられている。その中でも福山市鞆の浦(とものうら)では、約380年前の江戸時代に始まったといわれる「鯛しばり網漁法」が有名。初��に産卵のために瀬戸内海に集まった鯛を網で囲って一気に獲る漁獲法で、現在は福山市の無形民俗文化財に指定されている。5月初旬から中旬には船の上から漁の様子を見たり、実際に網を引く網引き体験をしたりすることができる。近年では港内に放流した真鯛に一定期間餌を与え周辺への定着を図る「港内飼い付け」、大崎上島町の沖合に作られた瀬戸内海初の「海洋牧場」により,鯛の栽培漁業も盛んに行われている。 + +## 食習の機会や時季 +年間通して食されるが、鯛の旬は3~5月。元々は漁師料理で、特に食す機会や時季は特定されていない。現在は主に飲食店などで提供される。 + +## 飲食方法 +鯛の内臓とうろこを取って丸ごと釜に入れ、しょうゆ、酒、みりん、塩などで味付けをして米とともに炊く。ごぼうやにんじんなどを入れることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 精米: 2合 +- 水: 450ml +- 鯛: 1尾 +- にんじん: 20g +- ごぼう: 20g +- 【調味料】薄口しょうゆ: 大さじ1 +- 【調味料】塩: 小さじ1/3 +- 【調味料】酒: 大さじ1 +- だし昆布: 10cm角 +- きざみのり: 適量 + +## 作り方 +1. 鯛はうろこと内臓を取り、きれいに洗っておく。 +2. にんじんはせん切りにし、ごぼうはささがきにして、水にさらしあくを抜く。 +3. 洗った米に水、2、【調味料】を入れ、だし昆布を敷き1をのせて炊く。 +4. 炊きあがったら、鯛の身をほぐして混ぜる。 +5. 4を器に盛り、きざみのりをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ふくやまの味郷土料理編」(福山市食生活改善推進員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_9_1.jpg)" +"# 鯛めん/鯛そうめん 広島県 + +**郷土料理名**: 鯛めん/鯛そうめん + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +尾道市、廿日市市など瀬戸内海沿岸地域 + +## 主な使用食材 +鯛、そうめん、木の芽、卵、しいたけ + +## 歴史・由来・関連行事 +鯛めんは、ゆでそうめんを大皿に波形に盛り、その上に鯛の姿煮を乗せ、木の芽やきゅうり、錦糸卵、甘辛く煮たしいたけなどを添える料理。松の小枝などを飾ることもある。棟上げや喜寿、米寿、結婚式、船おろしなどのめでたい席で振る舞われる、祝いの料理である。鯛は「めでたい」、そうめんは「長く細く続く」ことを意味し、縁起のよいものとされた。招かれた客は鯛の大きさや味のよさをほめ合い、このめでたさがそうめんのように長く続くことを祈りながらごちそうになる。大皿に乗せ、食べる時は小皿に取り分け、かけ汁をかけて好みにより薬味を乗せて食す。かけ汁は、鯛を煮た汁をそのまま使う。日常的に家庭で食すときにはメバルや黒鯛(チヌ)、オコゼ、イサキなどの小魚を使うこともあった。祝いの席では「鯛めん」、家庭で食すときは「鯛そうめん」とおおよそ呼び分けられる。 鯛を崩れないように煮るのは難しく、煮くずれを防ぐためにわらや竹の皮で舟底型の敷物を作って乗せ、それがすっぽり入る大きな平鍋で煮る。 瀬戸内海は岩礁性の起伏の多い海底地形と潮流により真鯛の産卵、生息に適していることから、昔から鯛の漁が盛んで、鯛そうめんをはじめ鯛料理が多く食される。 + +## 食習の機会や時季 +棟上げや喜寿、米寿、結婚式、船おろしなどのめでたい席に食された。また、盆や管弦祭などの行事で食されることもあった。管弦祭は宮島の嚴島神社と深く関わる地元のお祭りで旧暦の 6月17日に行われる行事である。 近年では酒宴の席でも食される。 + +## 飲食方法 +ゆでたそうめんを大皿に波形に盛り、その上にしょうゆ,酒,みりん,砂糖などで薄味に煮た鯛の姿煮を乗せる。木の芽、きゅうり、錦糸卵、煮たしいたけなどを乗せて提供する。食べる時は小皿に取り分け、鯛の煮汁をかけて食す。薬味は入れないことが多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鯛: 1尾(約20cm) +- そうめん: 4束 +- 木の芽: 数枚 +- 卵: 2個 +- 【調味料】水: 1カップ +- 【調味料】しょうゆ: 1/4カップ +- 【調味料】酒: 大さじ2 +- 【調味料】みりん: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 鯛はうろこと内臓を取り、きれいに洗っておく。 +2. 【調味料】を煮立て1を入れ静かに煮込む。 +3. 大皿にゆでたそうめんを波のように盛り、その上に煮込んだ鯛を��る(軽く焼いた鯛や蒸した鯛の身をほぐしてそうめんに乗せてもよい)。 +4. 錦糸卵、木の芽等を飾り盛りつける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ふくやまの味郷土料理編」(福山市食生活改善推進員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_10_1.jpg)" +"# 煮ごめ 広島県 + +**郷土料理名**: 煮ごめ + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +府中町など県西部地域 + +## 主な使用食材 +小豆、大根、にんじん、干ししいたけ、ごぼう、れんこん、里芋、油揚げ、こんにゃく + +## 歴史・由来・関連行事 +小豆、大根、にんじん、干ししいたけ、ごぼう、れんこん、里芋、油揚げ、こんにゃくをさいの目に切って煮たもの。精進料理のため、だしや具に肉や魚は使わない。この地域には古くから浄土真宗の門徒が多く、県西部を「安芸の国」ということから「安芸門徒」と呼ばれていた。新暦の1月16日は開祖である親鸞聖人の命日で「御正忌(ごしょうき)」といい、その前夜から当日までを「御逮夜 (おたんや)」という。「煮ごめ」は親鸞聖人が重体の時に、弟子たちが暖をとるために周りにあった野菜と親鸞聖人の好物である小豆を入れて煮込んで食べたのがはじまりと言われる。その後、御逮夜の精進料理となった。この地域では、昔は御逮夜の時期は「殺生を避ける」という意味もあって、漁業者は漁を休み、魚市場も3日間はお休みになった。これを「おたんやの市止まり」と呼び、この風習は江戸時代から平成8年まで続いた。煮ごめは御逮夜の前夜にたくさん作り、その後、3日間は何度も煮返して食された。精進料理のため、だしや具に肉や魚は使わないことと、小豆が入っているのが特徴。味付けは基本的にしょうゆで、素材の味を楽しめるシンプルな味である。 + +## 食習の機会や時季 +新暦の1月16日頃、親鸞聖人の命日前後の「御逮夜(おたんや)」の期間である3日間に食する行事食。何度も煮返して食べ、体が温まったところで寺へお参りに行くのが安芸門徒の習わしだった。親鸞聖人をしのぶ法要を行うお寺でも、朝昼晩と振る舞われた。 + +## 飲食方法 +小豆は前日から水で戻す。大根、にんじん、干ししいたけ、こんにゃく、ごぼう、里芋、油揚げ、れんこんなどはさいの目に切る。材料をすべて入れ、小豆と一緒に多めのだし汁で煮る。しょうゆでの味付けが基本だが、家庭によりみりんや味噌を加える場合もある。何度も煮返すため薄めの味付けにする。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 小豆: 50g +- 大根: 1/4本(250g) +- ごぼう: 1/2本(75g) +- にんじん: 1/2本(80g) +- 里芋: 2個(140g) +- れんこん: 100g +- 干ししいたけ: 2~3枚(6g) +- 油揚げ: 1/2枚(16g) +- こんにゃく: 1/2枚(100g) +- しょうゆ: 50ml +- 砂糖: 大さじ1/2 + +## 作り方 +1. 小豆は前日より水に浸してやわらかくしたものを軽くゆでる。 +2. 材料はすべて1cm弱のさいの目切りにする。 +3. ごぼうとれんこんはあく抜きをしておく。 +4. 鍋に里芋以外の材料をすべて入れ、多めのだし汁(分量外)で煮込む。 +5. 浮いてくる泡を取りながら、小豆がやわらかくなるまで煮て、里芋、しょうゆ、砂糖を入れ、煮つめる。 +6. 煮つめる場合、少し薄めの味つけになるよう、煮汁がたっぷり残るくらいに仕上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「伝えたい残したい ひろしま県の味料理集」(ひろしま食育・健康づくり実行委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_11_1.jpg)" +"# イギス豆腐 広島県 + +**郷土料理名**: イギス豆腐 + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +三原市、尾道市、大崎上島町、呉市など + +## 主な使用食材 +イギス、生大豆粉、だし汁、大葉、みょうが、味噌、酢 + +## 歴史・由来・関連行事 +「イギス」という海藻と生大豆粉を煮溶かし、寒天のように固めたもので、凝固剤などを加えなくても自然に固まる寒天やところてんと同じ原理の料理である。お盆や祭りなど家族や親戚など人が集まる機会には必ず作られており、夏によく作られる地域もある。具や味付けは、地域や家庭により異なる。夏は冷蔵庫で冷やして食す。 イギスは「えごのり」とも呼ばれる、夏から秋にかけて生育する赤茶色の海藻でテングサの一種。次々と二股に分かれる細い糸のような形状で、先が鉤(かぎ)状に曲がっている。イギスは海の深い場所に生えているが、春から夏には入江や海岸の浅瀬に流れてくるため、岩や小石に付くものを収穫する。採ったあとは水洗いと天日干しを繰り返して乾燥させる。低カロリーで、食物繊維やミネラルが豊富で長寿食と珍重されている。古くから食されており、飛鳥・奈良時代にはすでに献上品として朝廷に納められたと言われている。現在は入手しにくくなってきている。イギスを煮溶かして固めたものは、鳥取、愛媛、新潟、長崎、福岡などでも見られる。 + +## 食習の機会や時季 +昭和35年頃までは、お盆や祭りなど、家族や親戚など人が集まる機会によく作られていた。特に夏に多く食べるという地域がある。 + +## 飲食方法 +乾燥させたイギスを丁寧に洗う。生大豆粉とイギスを水に溶かし、煮る。四角い容器に流し込んで冷やし、固まったら切り分ける。イギスを固めるだけのものや、にんじん、ごぼう、えびを入れたり、米ぬか水を入れる場合もある。食べる際は酢味噌、いりこ味噌、たで味噌、柚子味噌、しょうが、しょうが醤油などで食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- イギス: 12g +- だし汁1: 2と1/2カップ +- 大豆粉: 80g +- だし汁2: 2/3カップ +- 大葉: 4枚 +- みょうが: 2個 +- 【調味料】白味噌: 大さじ2 +- 【調味料】酢: 大さじ1 +- 【調味料】砂糖: 大さじ1 + +## 作り方 +1. イギスは水に戻し、しぼり、だし汁1に混ぜながら煮溶かす。イギスが溶けたらその中にだし汁2と混ぜ合わせた大豆粉を入れ、焦がさないように2分くらい煮る。 +2. 1を型に流し入れ冷やし固める。器に盛り付け、【調味料】を混ぜ合わせ酢味噌を作り、大葉、みょうがを添えていただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「伝えたい残したい ひろしま県の味料理集」(ひろしま食育・健康づくり実行委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_12_1.jpg)" +"# くわいの甘煮 広島県 + +**郷土料理名**: くわいの甘煮 + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +福山市 + +## 主な使用食材 +くわい、くちなしの実、だし汁、砂糖、みりん + +## 歴史・由来・関連行事 +福山市の「くわいの甘煮」はだし汁、砂糖、みりんで味付けする甘めの味が特徴の煮物である。 「くわい」という名の由来は、土を掘り起こす鍬 (くわ) のような形をした葉の下に、芋のような実がなることから「くわいも」と呼ばれ、それが転じて「くわい」になったと言われる。くわいには、「青くわい」、「白くわい」、「吹田くわい」の3種類があり、日本では主に「青くわい」が栽培されている。福山市で生産されているのも「青くわい」で、福山市はくわいの生産量が日本一である(農林水産省「平成30年地域特産野菜生産状況調査」)。「青くわい」はコロンと丸い円球形で、表面が青みの強い鮮やかな藍色であるのが特徴。その美しい色から「田んぼのサファイア」とも呼ばれる。タンパク質やカリウムが豊富で、ほっこりとした食感と食べるとほろ苦さのなかに甘味が残るのが特徴である。 くわいは実から立派な芽が伸びることから「食べると芽が出る」めでたい縁起物として、おせち料理や祝いの席で、煮物にして食されることが多い。福山のくわいもおせち料理の食材としての需要が高いため、出荷時期は11~12月に集中している。 福山は瀬戸内の温暖な気候で日照量が多く、もともと青くわいの生育に適していた。明治35年頃、現在の福山市千田町の沼地に自生していたものを、福山城周辺の肥沃な堀に持ってきたのが栽培の始まりとされている。また江戸時代、福山藩が芦田川の水を新田に送るために網目状の用水路を増設し、多量の水を確保することができる環境にあったのも、くわい栽培が盛んになった理由の一つと考えられる。 + +## 食習の機会や時季 +縁起の良い食べ物として、主におせち料理で食されることが多い。江戸時代は武家のお正月料理の食材として城下町を中心に食されていたが、明治時代になると一般の人もおせち料理を作るようになった。昭和30年代にはデパートなどで重箱詰めのおせち料理が大々的に販売されるようになり、お正月にくわいを���す習慣が一気に広がった。地元では、11月から12月にかけての旬の時季に食べる。 + +## 飲食方法 +くわいをゆで、芽の部分を残して皮をむく。砂糖、みりん、くちなしの実を加えて加熱しただし汁にくわいを入れて煮る。味を含ませるために一晩置くとよい。他にも、くわいの素揚げ、くわいサラダ、くわいチップスなどに調理して食すことがある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- くわい: 200g +- くちなしの実: 1~2個 +- 【調味料】だし汁: 1.5カップ +- 【調味料】砂糖: 大さじ3 +- 【調味料】みりん: 大さじ2 +- 【調味料】塩: 少々 + +## 作り方 +1. くわいはゆでる(表面に亀裂が入るのがゆで上がりの目安)。 +2. 1を冷まし、芽を残して皮をむく。 +3. 【調味料】とくちなしの実(つぶして小袋に入れる)を加えて煮る。 +4. 3に2を入れて煮る。(味を含ませるために一晩置く) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ふくやまの味郷土料理編」(福山市食生活改善推進員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_13_1.jpg)" +"# きなこむすび 広島県 + +**郷土料理名**: きなこむすび + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +北広島町 + +## 主な使用食材 +米、きなこ、梅干し、煮豆、塩吹き昆布 + +## 歴史・由来・関連行事 +「きなこむすび」は丸型のおむすびに梅干しや細く切った塩吹き昆布などを入れ、きなこをまぶしたもの。田植え作業の合間や、作業の終わりを意味する「代みて」(「みて」=広島の言葉で「なくなる」の意)の際に、「ばら寿司」「焼きさばのちしゃもみ」などとともに振る舞われた。 植えつけをした苗が秋に丸々と実るようにという願いを込めて丸く握ったと言われる。 中国地方一帯では、太鼓や笛を鳴らし、田植え歌を歌いながら大勢で田植えをする行事があり、「はやし田」「田ばやし」などと呼ばれる。中世から伝わるその行事は、稲作の平穏と豊穣を祈って「田の神」を祭る稲作儀礼であり、同時に苦しい田植え作業に従事する者の慰労であったり、当時の農村における数少ない娯楽としての要素を持つ一大行事だった。なかでも北広島町壬生(みぶ)の「はやし田」は、参加する牛に豪華な花くぐらをつけたり、太鼓や笛の音に合わせて着飾った早乙女たちが苗を植えたりと、とても華やかであることから「壬生の花田植」と呼ばれるようになった。 この行事の際は、現在でも「きなこむすび」が振る舞われており、「さんばい」「さんばい飯」と呼ばれることもある。「さんばい」とは、おはやしの指揮者のことや、また田の神のこと。 + +## 食習の機会や時季 +田植え作業の合間や、作業の終わりを意味する「代みて」の際に食される。田植え時期の5月終わり~6月頭。 + +## 飲食方法 +おむすびに梅干しや細く切った塩吹き昆布などを入れ、きなこをまぶす。形は丸形が一般的である。 「新庄のはやし田」でも文化伝承の目的でむすびの提供がされるが、こちらは黒豆を混ぜ込んだ俵形のもの。田植え作業の合間でも食べやすいように、きなこはしっかりとまぶすのがポイント。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- 白米: 3合 +- きなこ: 140~150g(市販のきなこ1袋分) +- 砂糖: 90~105g(きなこの分量・好みによる) +- 塩: ひとつまみ~小さじ2/3(しっかり入れた方がおいしい) + +## 作り方 +1. 白米を通常の水加減で炊く。 +2. 大きめの皿にきなこ、砂糖、塩を入れて混ぜる。 +3. 炊きたての白米をおひつ・ボウル等に取り分け少し冷まし、丸形(球体)ににぎる。 +4. 丸形(球体)のおにぎりを2に入れて転がし、全体にまぶす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 北広島町教育委員会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_14_1.jpg)" +"# ねぶとの唐揚げ 広島県 + +**郷土料理名**: ねぶとの唐揚げ + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +福山市 + +## 主な使用食材 +ねぶと、片栗粉、油、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +「ねぶと」とは主に瀬戸内海で獲れる3~5cmほどの白身の魚で、一般的にはテンジクダイと呼ばれる魚である。頭が硬いので「いしもち」「いしかべり」とも呼ばれる。耳石という骨が他の魚より大きいため、小さい魚だが頭から丸ごと食べること��できず、頭は取って食べる。5月から9月が旬で、備後地域(広島県三原市、尾道市、福山市、岡山県笠岡市)の漁師が地元の代表的な魚を選んだ「備後フィッシュ」のひとつにも選ばれている。 「ねぶとの唐揚げ」は「ねぶと」に片栗粉をつけて揚げたもので、スナック感覚で食べることができる。味がよく、子供のおやつや酒のつまみとして好まれている。 また2021年に福山市が開催した、市の特産品を使ったつまみである「福つまみ」の順位を競う「福つまみ総選挙」では、「ねぶとの南蛮漬け」が4位に選ばれ、四天王入りした。 + +## 食習の機会や時季 +5月から9月の時期が旬。子供のおやつとして、また酒のつまみとしてスナック感覚で好んで食べられる。「ねぶと」は唐揚げ以外にも天ぷら、南蛮漬けなどで食される。 + +## 飲食方法 +頭と内臓を取り塩水で洗ったねぶとに片栗粉をまぶし、中温の油で揚げる。唐揚げしたものに塩をふる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ねぶと(テンジクダイ): 160g +- 塩: 少々 +- 小麦粉: 適量 +- 片栗粉: 適量 +- 揚げ油: 適宜 + +## 作り方 +1. ねぶとは、頭を取り塩水で洗う。 +2. 1に小麦粉と片栗粉を同量合わせて軽くまぶす。 +3. 2を中温の油で揚げる。 +4. 3が熱いうちに塩をふる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ふくやまの味郷土料理編」(福山市食生活改善推進員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_15_1.jpg)" +"# 角寿司 広島県 + +**郷土料理名**: 角寿司 + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +広島市から北広島町、安芸高田市など芸北地域 + +## 主な使用食材 +米、しめさば、卵、かまぼこ、しいたけ、栗、さんしょうの葉、にんじんの葉、干しえび、でんぶなど + +## 歴史・由来・関連行事 +四角い木でできた型枠に酢飯と具を詰めて作る押し寿司の一種で、広島県広島市安佐北区周辺や、芸北地域で食べられている。木枠から押し出すと6~8個の同じ大きさのものが同時にでき、出来上がりが四角いため、角寿司と呼ばれるようになった。「押し寿司」「田舎寿司」と呼ぶこともある。具は季節や地域に合わせて変わることがあり、 「上置き」と呼ばれる上部の飾りとなる具材と、「中具」と呼ばれる、酢飯の中に入れる具材が特徴。「上置き」には、しめさば、薄焼き卵、かまぼこ、しいたけ、香茸、松茸、栗、さんしょうの葉、にんじんの葉、干しえび、でんぶなど赤、緑、黄色の色鮮やかな具材を並べ、外側から見えない「中具」は、にんじん、しいたけ、ごぼう、豆などをやや辛めに煮て入れる。寿司飯を食べ進めると、突然煮物の濃い味が広がる仕掛けとなっている。また、具材である野菜を味付けし魚介類は加熱するため、時間が経ってもおいしく食べられる。昭和30年代は角寿司の木型が各家庭にあるのが普通で、昔から角寿司はごちそうとして祝いの席や来客などのハレの日にお客さんに振る舞われるため、多めに作り、隣近所にも木箱に入れて配る風習があった。 + +## 食習の機会や時季 +祭事や来客の際のもてなし料理として振る舞われた。正月、花見、盆、秋祭りのほか、婚礼・葬儀等を自宅で行っていた時代は、冠婚葬祭時にも食されていた。今でも家で作ることはあるが、機会は減っている。 + +## 飲食方法 +四角い木でできた型枠に酢飯と具をつめる。中にはにんじん、しいたけ、ごぼう、豆などを濃いめの味付けで煮て入れる。上にはしめさば、薄焼き卵、かまぼこ、しいたけ、松茸、香茸、栗、さんしょうの葉、にんじんの葉、干しえび、でんぶなど色鮮やかなものを並べる。木枠から押し出すと四角い同じ形の寿司が6~8個出来上がる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 3カップ +- 【寿司酢】酢: 大さじ4 +- 【寿司酢】砂糖: 大さじ2 +- 【寿司酢】塩: 小さじ1 +- しめさば: 適量 +- 薄焼き卵: 適量 +- かまぼこ: 適量 +- しいたけ: 適量 +- 煮た栗: 適量 +- 松茸: 適量 +- 煮豆: 適量 +- でんぶ: 適量 +- にんじんの葉: 適量 + +## 作り方 +1. 炊いた米を寿司おけに入れ、【寿司酢】をすべて混ぜる。 +2. 寿司飯の上にのせるもの(一つ)をおき、でんぶ、にんじんの葉をのせて、押し寿司にする。寿司飯の中に、もぐりに混ぜる煮野菜や煮豆を入れて���よい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「伝えたい残したい ひろしま県の味料理集」(ひろしま食育・健康づくり実行委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_16_1.jpg)" +"# 小いわしの刺身 広島県 + +**郷土料理名**: 小いわしの刺身 + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +呉市音戸町、倉橋町 + +## 主な使用食材 +小いわし、しょうゆ、しょうが + +## 歴史・由来・関連行事 +「小いわし」は「カタクチイワシ」のことで、広島県では昔から「小いわし」の名称で親しまれてきた。広島湾はエサとなるプランクトンが多いため、身が大きく育った小いわしが豊富に漁獲される。そのため広島県で水揚げされる漁獲量の約70%がカタクチイワシである(農林水産省「令和2年漁業・養殖業生産統計」)。いわし船びき網で漁獲され、この網の形状が男性の下着のパッチに似ていることから、地元ではパッチ網漁と言われることもある。昔は新鮮な小いわしを売り歩く行商人の姿がよく見られたといい、安くておいしい、庶民の貴重な食材であった。小いわしは水洗いすることでうろこが落ち、いわし特有の臭みが取れる。刺身はしょうゆとおろししょうがで食べる。身が引き締まっており、そのおいしさは魚の王様である鯛と同等とも評され、「鰯七度洗えば鯛の味」という食のことわざも存在するほど。旬は6月から8月。不飽和脂肪酸が多く傷みやすいため刺身で食べるには鮮度が重要だが、広島では漁場が近いため、新鮮な小いわしがスーパーや鮮魚店にも流通する。広島では小いわしをさばく際、スプーンや荷造りで使われるテープ (PPバンド) で手早くさばく人が多い。 生食以外にも、塩ゆでし乾燥させた「いりこ(煮干し)」は西日本を中心にだしとして使われ、また、稚魚(しらす)を加工した「ちりめん」も広く食される。 + +## 食習の機会や時季 +6~8月が旬。梅雨入りの時期になるとスーパーや鮮魚店に小いわしが並び、各家庭でさばいて食される。 + +## 飲食方法 +広島では小いわしをスプーンやPPバンドで手早くさばける人が多い。しょうゆとおろししょうがで食す。また天ぷらや、米ぬかを塗って焼いて食べる「小いわしのぬか焼き」などでも食べられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- コイワシ(カタクチイワシ): 1パック(30匹程度) +- おろししょうが: 適量 +- 塩: 適量 + +## 作り方 +1. 新鮮なコイワシを用意する。目が透き通っていてるものが新鮮。 +2. 氷で冷やした塩水を作り、その中にコイワシを入れ、優しくこすり洗いするとある程度、うろこが剥がれる。 +3. スプーンをコイワシの肩あたりから身の中に入れ、背骨に沿って身をはがすように滑らせる。 +4. 再度、氷で冷やした塩水の中で、コイワシを洗い、残った鱗や内臓を洗い流す。 +5. コイワシを洗った塩水を新しい物に交換し、再度、コイワシを洗う。 +6. 4と5の作業を7回繰り返す。7回洗えば鯛の味。鯛にも負けないおいしさに。 +7. 洗い終わったコイワシは、キッチンペーパーでしっかり水気を拭き取る。 +8. コイワシをお皿に盛り付け、おろししょうがなどの薬味をお好みでのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「広島湾七大海の幸」普及推進実行委員会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_17_1.jpg)" +"# たこめし 広島県 + +**郷土料理名**: たこめし + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +三原市、尾道市、福山市 + +## 主な使用食材 +米、たこ、にんじん、ごぼう、油揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +「たこめし」は、たこをご飯に炊きこんだもので、もともと漁師が船の上で取れたてのたこをぶつ切りにして、ごはんに炊き込んで食べていた漁師飯である。特に三原沖は水質が良く水温が安定しており、エサが多い岩場があるなどたこの成育に向いている環境であり、江戸時代からたこ漁が盛んであった。現在でも瀬戸内海は有数のマダコの生息地である。また、このあたりは海流が速く、たこが岩場に足をしっかり張り付くため足が太く短くなり、プリプリと歯ごたえが強くなる。 三原のたこの主な漁法は、たこの体に傷が付きにくい「たこつぼ漁」。全長約100mのロープに100個ほどのたこつぼを付け、漁業者ごと���決められた海の底に数10m間隔で沈める。この時ブイなどの目印は置かないため、漁には長年の勘と経験が必要とされる。取れたたこは、すぐに塩水で洗い、真空パックにしてから急速冷凍する。 三原市漁業協同組合では、三原で取れるたこを地元の伝統行事「三原やっさ祭り」にちなみ、「三原やっさタコ」と名付けてブランド化している。 + +## 食習の機会や時季 +たこの旬は6~8月だが、冷凍技術の向上により年間通して食される。元々は漁師が船の上で食べていた漁師飯だが、現在は広く一般に食されている。田植え祭りの際に「たこの足のように稲株がよく張るように」と豊作を祈って食べる習慣も一部地域ではあった。また、一般の家庭でも作られる。 + +## 飲食方法 +生たこを塩でもんでぬめりをとり、水洗いする。にんじん、ごぼう、しょうがなどと刻んだたこを、だし汁、しょうゆ、酒で炊き込む。具材は地域により多少異なる。たこのぬめりは米ぬかで取る場合もある。干したこを使用してもおいしい。たこの料理としては、たこ天やたこの刺身も人気である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 精白米: 2合 +- 水: 450ml +- ゆでたこ: 150g +- にんじん: 30g +- 【調味料】酒: 少々 +- 【調味料】薄口しょうゆ: 大さじ2弱 +- きざみのり: 適量 + +## 作り方 +1. 茹でたたこはぶつ切りにする。 +2. にんじんはせん切りにする。 +3. 洗った米に水、1と2と【調味料】を加え一緒に炊く。 +4. 3を器に盛り、きざみのりをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ふくやまの味郷土料理編」(福山市食生活改善推進員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_18_1.jpg)" +"# あずま 広島県 + +**郷土料理名**: あずま + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +尾道市、福山市 + +## 主な使用食材 +ママカリ、卯の花(おから)、しょうが、塩、酢、ごま、にら、ねぎなど + +## 歴史・由来・関連行事 +お酢でしめたママカリという魚を使った握り寿司。酢飯のかわりに酢で味付けしたおからを使うのが特徴。昔は米が貴重だったため、米を節約するために、手に入りやすいおからで代用した。ママカリだけでなく、コハダやコノシロでも作られる。 沿岸部でつくられるものは「あずま」「あずまずし」と呼ばれるが、山間部の三次市周辺では、鮎を使用した「卯の花ずし」と呼ばれる、やはりおからを使った寿司がある。また、おからを使った寿司は富山県、石川県、愛媛県などでも見られるが、使用する魚や作り方が異なる場合が多い。昔は祭りや正月に作られ、酒のさかなやおかずとして大勢に振る舞われた。 + +## 食習の機会や時季 +秋祭りや正月など人が集まるときに作られ、酒のさかなやおかずとして大勢に振る舞われた。 + +## 飲食方法 +ママカリなどの魚を三枚におろし、酢でしめる。砂糖、塩、酢を入れたおからをよく炒め、冷ましたものにねぎやニラなど刻んだ野菜やごま、しょうがなどを入れる。それを小さく握り、しめておいた魚を乗せる。ゆずを使用する場合もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ママカリ(コハダ): 320g +- (ママカリ用)塩: 少々 +- (ママカリ用)酢: 適量 +- 卯の花(おから): 240g +- 砂糖: 30g +- しょうが: 少々 +- (卯の花用)塩: 少々 +- (卯の花用)酢: 適量 +- いりごま: 適宜 +- ねぎ: 1本 + +## 作り方 +1. ママカリ(コハダ)は3枚におろし、塩をして、しばらく置き、酢でしめる。 +2. 鍋に卯の花(おから)、砂糖、塩、酢を入れてよく炒める。冷ましてから、ごま、刻みしょうが、小口切りにしたねぎを混ぜ、小さく握り、先に酢でしめておいたママカリをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「伝えたい残したい   ひろしま県の味料理集」(ひろしま食育・健康づくり実行委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_19_1.jpg)" +"# 呉の肉じゃが 広島県 + +**郷土料理名**: 呉の肉じゃが + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +呉市 + +## 主な使用食材 +じゃがいも、牛肉、糸こんにゃく、玉ねぎ、砂糖、しょうゆ + +## 歴史・由来・関連行事 +一般的な「肉じゃが」といえば、じゃがいも、牛肉、玉ねぎをメインに、にんじんや絹さやなど家庭によって異な���具材をしょうゆと砂糖で味付けした煮物であるが、「呉の肉じゃが」はじゃがいもにメークインを使用し、牛肉、糸こんにゃく、玉ねぎと決まった具材で作られるのが特徴。肉じゃがのルーツは、かつて東郷平八郎元帥がイギリス留学中に食べた「ビーフシチュー」を艦上食として作るようにと部下に命じ、調理員が当時貴重だった赤ワインのかわりにしょうゆを入れるなど試行錯誤を重ねた結果、「甘煮」が生まれたのではないかという説がある。その作り方は当時の「海軍厨業管理教科書」に載せられていた。その後昭和40年代に、女性雑誌で「肉じゃが」という名前で紹介されたことにより、家庭料理として普及。東郷平八郎は明治23年に呉に赴任していたことから、「呉は肉じゃが発祥の地である」として、平成9(1997)年に「くれ肉じゃがの会」が設立。「海軍厨業管理教科書」の作り方により近い肉じゃがを「呉の肉じゃが」としてPR活動を開始した。 + +## 食習の機会や時季 +戦時中は海軍の料理として出されていた。現在は家庭料理として一般的に作られ、機会や季節を問わず食される。 + +## 飲食方法 +じゃがいも、牛肉、糸こんにゃく、玉ねぎを食べやすい大きさに切る。牛肉を炒め、砂糖、しょうゆで味をつけ、じゃがいも、糸こんにゃくを入れて煮る。最後に玉ねぎを入れて適度に煮込む。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 牛肉: 160g +- じゃがいも: 6個 +- 玉ねぎ: 1個 +- 糸こんにゃく: 240g +- 【調味料】砂糖: 大さじ4 +- 【調味料】酒: 大さじ4 +- 【調味料】しょうゆ: 150cc +- 水: 2と1/2カップ +- 油: 適量 + +## 作り方 +1. じゃがいもは皮をむき、一口大に切る。玉ねぎは、くし形切りに、糸こんにゃく、牛肉は食べやすい大きさに切る。 +2. 鍋に油を熱し、牛肉、玉ねぎ、じゃがいもを炒める。 +3. 水を加えて煮る。 +4. 糸こんにゃくを加える。 +5. 【調味料】をすべて加えて味を煮含める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 広島県学校栄養士協議会山根 直美 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_20_1.jpg)" +"# えび粉/巻き寿司 広島県 + +**郷土料理名**: えび粉/巻き寿司 + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +尾道市 + +## 主な使用食材 +えび、砂糖、みりん、酒 + +## 歴史・由来・関連行事 +「えび粉」はゆでた小さなえび(アカエビ)の殻をむき、包丁で叩いて細かくし、砂糖、みりん、酒などで甘く炒りつけたもの。包丁ではなく、すり鉢でする場合もある。昔は家庭で作ることも多かった。「えびおぼろ」とも言う。 おもに巻き寿司に使われることが多い。この地域の「巻き寿司」は焼き穴子、えび粉、あさり、厚焼き玉子、しいたけ、かんぴょう、三つ葉などを入れてのりと酢飯で巻いたもの。また法事や祝事などで寿司屋が提供するちらし寿司などについていることもある。 + +## 食習の機会や時季 +おもに寿司屋の食材で使われる。巻き寿司のほか、ちらし寿司などについていることもある。 現在は家庭で作られることはほとんどないが、市販はされているため、通年手に入れることができる。 + +## 飲食方法 +「えび粉」はゆでた小さなえび(アカエビ)を包丁で叩いて細かくし、砂糖、みりん、酒などで甘く炒りつけたもの。火を通す際にからからになりすぎないようにする。包丁ではなくすり鉢でする場合もある。「巻き寿司」は焼き穴子、えび粉、あさり、厚焼き玉子、しいたけ、かんぴょう、三つ葉などを入れてのりと酢飯で巻く。「えび粉」は、ばら寿司、箱寿司、いなり寿司などにも使用する。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- 小えび: 1kg +- 酒: 1/2カップ +- 砂糖: 1/2カップ +- 塩: 小さじ1/5 + +## 作り方 +1. 小えびはさっとゆで上げて、殻をとる。 +2. 小えびの身をすり鉢ですりながら、酒、砂糖、塩を加える。 +3. 2を厚手の鍋に入れ、しゃもじでかき混ぜて、こがさないようにとろ火で火を通す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「伝えたい残したい ひろしま県の味料理集」(ひろしま食育・健康づくり実行委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_21_1.jpg)" +"# 江波巻き 広島県 + +**郷土料理名**: 江波巻き + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +広島市中区江波地区 + +## 主な使用食材 +ご飯、広島菜漬け、かつおぶし、しょうゆ、白ごま、のり + +## 歴史・由来・関連行事 +古くからのりの養殖が盛んな広島市中区の江波地区で、昔から食べられているのり巻き。焼きのりにご飯と広島菜漬け、かつおぶし、しょうゆ、ごまをあえたものを乗せて巻いたもの。酢飯ではなくご飯を使用し、具は漬物など手軽で保存性の高いものを入れる。巻き終わりに両端を閉じて中の具が出ないようにすることもあり、沖に出るときは懐に簡単に入れられ、また櫂(かい)を漕ぎながらでも片手で食べられることから、ゆっくりと食事をする時間のないのり漁師が船の上で食べたのが始まりと言われる。のりは、売り物にならない破れのりを使った。中に入れる広島菜とはアブラナ科に属する白菜の一種といわれている。繊維が少なくやわらかで、浅漬けにすると歯切れがよく、ほんのり辛い風味が好まれる。主に贈答用として11月下旬から、全国各地に発送される。江戸時代の参勤交代のときに、京都から種子を持ち帰ったのが始まりと言われ「京菜(きょうな)」と呼んでいる年配の人も多いことから、京都の「壬生菜(みぶな)」がルーツとも考えられる。「広島菜」という呼び方は昭和8年に命名された。太田川の中州にある広島市安佐南区の川内地区は肥沃(ひよく)で水はけがよく、古くから広島菜が栽培されてきた。 + +## 食習の機会や時季 +のり漁師が忙しいときに船上で片手で食した。また、子供の手軽なおやつとしても食された。 + +## 飲食方法 +広島菜漬けを洗ってしぼり、かつおぶし、しょうゆ、白ごまとあえる。焼きのりにご飯と具をのせ巻く。両端をくるっと閉じる場合もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ご飯: 440g +- 広島菜漬: 100g +- かつおぶし: 4g +- しょうゆ: 小さじ2/3 +- 白いりごま: 小さじ2/3 +- 焼きのり: 2枚 + +## 作り方 +1. 広島菜漬はさっと洗って、しぼる。 +2. 広島菜漬とかつおぶし、しょうゆ、白いりごまをあえる。 +3. 焼きのりにご飯と2をのせ、巻いて食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「伝えたい残したい ひろしま県の味料理集」(ひろしま食育・健康づくり実行委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_22_1.jpg)" +"# 広島菜漬けのおにぎり/広島菜むすび 広島県 + +**郷土料理名**: 広島菜漬けのおにぎり/広島菜むすび + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +県全域 + +## 主な使用食材 +ご飯、広島菜漬け + +## 歴史・由来・関連行事 +おにぎりを「広島菜漬け」で巻いたもの。広島菜とはアブラナ科に属する白菜の一種といわれている。繊維が少なくやわらかで、浅漬けにすると歯切れがよく、ほんのり辛い風味が好まれる。9月に種をまくと12月には十分生育し、霜によりピリッとした風味が増す。江戸時代の参勤交代のときに、京都から種子を持ち帰ったのが始まりと言われ「京菜(きょうな)」と呼んでいる年配の人も多いことから、京都の「壬生菜(みぶな)」がルーツとも考えられる。茎の形状から「平茎」とも呼ばれる。「広島菜」という呼び方は昭和8年に命名された。太田川の中州にある広島市安佐南区の川内地区は肥沃(ひよく)で水はけがよく、古くから広島菜が栽培されてきた。地域特有の野菜として、長野県の野沢菜・九州の高菜と共に日本三大漬菜と呼ばれている。広島には、元々かきを販売する船が食事を提供するようになった「かき船」というものがあり、かきに合う食材として、広島菜の存在も広まった。戦後は贈答品として珍重されるように。栽培も広島市以外にも広がり、広島の重要な特産品になった。 + +## 食習の機会や時季 +特に行事等で食べるというわけではなく、県民なじみの、身近な食べものとして食されている。お弁当などにも入れる。 + +## 飲食方法 +具を入れたおにぎりに、3~4cmほどの大きさに切った広島菜漬けを巻く。また,主産地の安佐南区では「餅菜」といって,雑煮の具にも使う。古漬けはお茶漬けとしても食べられる。また、広島菜漬はきざんで、ふりかけにし、パスタ等に使用することもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 米: 500g +- 広島菜漬け: 15枚 +- 【具】梅: ���量 +- 【具】昆布: 適量 +- 【具】かつお: 適量 + +## 作り方 +1. 米を炊く。 +2. むすびの具を作る。梅・昆布・かつお等。 +3. 広島菜漬けを3~4cmの大きさに切る。 +4. 具を入れておむすびを作り、広島菜漬けを巻く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 広島県食生活改善推進員団体連絡協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_23_1.jpg)" +"# 魚飯 広島県 + +**郷土料理名**: 魚飯 + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +竹原市 + +## 主な使用食材 +白身魚、錦糸卵、しいたけ、えび、のり + +## 歴史・由来・関連行事 +「魚飯」は、身を焼いてほぐした白身魚と、錦糸卵、三つ葉、しいたけ、えび、のり、たけのこなどの彩りの良い具材をご飯に乗せ、その骨でだしをとった汁を加えて食べる料理である。主な伝承地域である竹原市は古くは遠浅の海であったが、江戸時代に干拓され塩田が作られ、1650年から1970(昭和35)年まで約320年以上もの間「塩の町」として栄えた。塩田の持ち主は「浜旦那(はまだんな)」と呼ばれ莫大な富を得ており、その浜旦那がおもてなしや祭事の料理として好んで食べていたのが「魚飯」である。1960年に塩田が廃止されたことにより一度は消えかけたこの料理は、昭和54年の1月1日の芸南新聞に掲載されていた魚飯の紹介記事が発見されたのをきっかけに、「竹原の食を考える会」によって2008年に再現され、飲食店などで提供されるようになった。竹原市は塩田により栄えた町人文化によってできた重厚な家々が今でも残る街並みがあり、1982年「重要伝統的建造物保存地区」に選定され、2000年にはその街並みが、国土交通省「都市景観100選 」に選定された。 + +## 食習の機会や時季 +塩田の持ち主である浜旦那が、おもてなしや祭事の料理として好んで食べていた。 + +## 飲食方法 +尾頭付きの鯛やカレイなどの白身魚を焼いて身をほぐす。錦糸卵、三つ葉、しいたけ、えび、のり、たけのこなど彩の良い地元の旬な食材を下調理し、魚の身とともにご飯に載せる。材料の白身魚の骨でとっただしに薄口醤油、みりん、酒、塩で薄く味をつけ、そのだし汁をご飯にかけて食べる。魚は、元々は塩を煮詰める釜に入れて蒸し焼きにした。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 白身の魚(尾頭付): 120g +- 塩: 2g +- 酒: 20g +- 塩: 1.2g +- しばえび: 40g +- にんじん: 40g +- エンドウ: 40g +- ご飯: 300g +- 錦糸卵: 120g +- やきのり: 1.2g +- 酒: 8g +- 干ししいたけ: 6g +- 砂糖: 8g +- しょうゆ: 12g +- 水: 340g +- 【かけ汁】水と干ししいたけの戻し汁: 400g +- 【かけ汁】こんぶ: 4g +- 【かけ汁】魚のほね: 適量 +- 【かけ汁】かつおぶし: 4g +- 【かけ汁】しょうゆ: 8g + +## 作り方 +1. 白身の魚に少し塩をふって焼き、骨をとる。 +2. こんぶ、かつおぶしなどのだし汁に骨を入れて、さらにだしをとり、味を調える。 +3. ほぐした身を酒と塩で炒め、そぼろにする。 +4. しばえびは酒をふりかけて炒め、水に戻した干ししいたけを砂糖、しょうゆで煮つける。 +5. 花形に切ったにんじんをゆで、エンドウをさっとゆでてせん切りにする。 +6. 錦糸卵、やきのり、3、4、5を皿に盛りつける。 +7. 白ごはんに6をのせ、2のかけ汁をかけて食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「伝えたい残したい ひろしま県の味料理集」(ひろしま食育・健康づくり実行委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_24_1.jpg)" +"# 大平 広島県 + +**郷土料理名**: 大平 + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +大竹市 + +## 主な使用食材 +鶏肉、里芋、れんこん、にんじん、大根、ごぼう、干ししいたけ、こんにゃく、厚揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +大竹市に伝わる煮物で、里芋、れんこん、にんじん、大根、ごぼうなどの根菜類と鶏肉、こんにゃく、干ししいたけ、厚揚げなどの食材を乱切りまたはひと口大にし、だし汁、しょうゆ、砂糖などで味をつけて煮る。名前の由来は、膳に乗せるときに、大きくて平たい器に入れたからと言われる。同県の「煮ごめ」「八寸」と比較されることがあるが、切り方など異なる点がある。「煮ごめ」は精進料理であるため動物性の食材は入れず、また具材は小さくさいの目に切るが、「大平」は鶏肉を入れ、比較的大き���の乱切りにする。「八寸」と「大平」では盛り付ける器が「大平」のほうが大きく、また「八寸」に比べると汁気が多く、汁ごといただくのも特徴。祭りや人が集まるときに作られることが多く、具材の種類を奇数にして、縁起物として振る舞われていた。また、隣接する山口県岩国市にも同名の料理がある。 + +## 食習の機会や時季 +祭りや、盆・正月など人が集まるときに作られることが多く、具材の種類を奇数にして、縁起物として振る舞われていた。近年でも自治会や懇親会などの機会に作られる。 + +## 飲食方法 +里芋、れんこん、にんじん、大根、ごぼうなどの根菜類は乱切りにする。鶏肉、干ししいたけ、厚揚げは一口大に。こんにゃくは手でちぎる。これらをだし汁、しょうゆ、砂糖、みりんなどで味をつけて煮る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- こんにゃく: 150g +- にんじん: 80g +- ごぼう: 60g +- 里芋: 200g +- さやいんげん: 20g +- 鶏もも肉: 120g +- れんこん: 100g +- 大根: 120g +- 干ししいたけ: 4枚 +- 厚揚げ: 1/2枚 +- 【調味料】しょうゆ: 大さじ1.5 +- 【調味料】砂糖: 小さじ1 +- 【調味料】みりん: 大さじ1/2 +- 【調味料】酒: 大さじ1 +- 【調味料】塩: 小さじ1/2 +- 油: 大さじ1/2 +- だし汁: 520ml + +## 作り方 +1. こんにゃくは食べやすい大きさに手でちぎり、ゆでる。 +2. れんこん、にんじん、大根は乱切りにする。ごぼうは小さめの乱切りにし、水に浸してあくを取る。 +3. 干ししいたけはぬるま湯でもどして一口大に切る。 +4. 厚揚げは熱湯をかけて油抜きし、一口大の角切りにする。里芋は乱切りにする。さやいんげんはゆでて半分に切っておき、彩りとして使う。 +5. 一口大に切った鶏肉を油で炒め、だし汁を加え、1、2、3の野菜を加え、調味料を入れてやわらかくなるまで煮る。 +6. 里芋、厚揚げを入れ、火が通ったら、さやいんげんとともに盛り付ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「伝えたい残したい ひろしま県の味料理集」(ひろしま食育・健康づくり実行委員会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_25_1.jpg)" +"# 煮菜 広島県 + +**郷土料理名**: 煮菜 + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +福山市 + +## 主な使用食材 +大根、油揚げ、根深ねぎ、いりこ、しょうゆ + +## 歴史・由来・関連行事 +千切りにした大根を主役に、油揚げ、根深ねぎ、いりこをしょうゆの味付けで炒めたもの。食材から出る水分だけで調理するため、旨味が逃げずコクがでる。名前に「煮」とついているが、炒め物に近い。忙しい農家で、手早くおいしくたくさん作れる日常のおかずとして愛されていた。福山市北部では「にじゃー」、南部では「にざい」と呼ばれる。小えび、貝類、かつおぶし、白菜など季節の食材を加えてもよい。またこの料理で使用するねぎは、白い部分が多い「根深ねぎ」が良い。 + +## 食習の機会や時季 +忙しいときに手早くおいしくたくさん作れる日常食として食されていた。簡単に作れるため、現在でもいろいろな材料を入れて作られる。 + +## 飲食方法 +大根を千切りにし、短冊切りにした油揚げ、ぶつ切りにした根深ねぎ、頭を取ったいりこを炒め、しょうゆで味をつける。小えび、貝類、かつおぶし、白菜、にんじん、ちくわ、ほうれん草、チンゲン菜、小松菜、豚肉など、さまざまな食材を柔軟に加える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根: 200g +- 油揚げ: 1/2枚 +- 根深ねぎ: 1本 +- いりこ: 8匹 +- 油: 適量 +- しょうゆ: 小さじ2 + +## 作り方 +1. 大根は突きおろす。 +2. 油揚げは3cmの短冊切りにする。 +3. 根深ねぎはぶつ切りにする。 +4. いりこは頭を取り、割いておく。 +5. 油で1と4をしっかり炒め、水分が出たら2としょうゆを入れて3を加え、水気がなくなるまで煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「ふくやまの味郷土料理編」(福山市食生活改善推進員協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_26_1.jpg)" +"# かき雑煮 広島県 + +**郷土料理名**: かき雑煮 + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +安芸地方、江田島市 + +## 主な使用食材 +丸もち、かき、ぶり、かぶ、大根、にんじん、ほうれん草、しいたけ + +## 歴史・由来・関連行事 +かき雑煮は、煮干し、昆布、かつおだしのすまし汁に、かき、ぶり、野菜を入れた雑煮。味噌仕立てもある。ぶりは脂が強く日持ちがするため、年末年始に一尾さばいて刺身にし、その残りを雑煮にする習慣があった。広島湾沿岸部では塩ぶりを入れずに、瀬戸内海でとれた穴子や牡蠣を入れる。かきは「賀来」として、「福をかき取る、かき寄せる」縁起物とされた。地域や家庭により具材は異なり、はまぐり、焼きあなご、ふぐなどを入れることもある。 広島のかき食の歴史は長く、古くは縄文・弥生時代から天然のかきを食べていたことが、貝塚から出土した殻により分かっている。また1500~1600年代には養殖が始まったと考えられ、今では広島県のかきの水揚げは全国の6割を占める(農林水産省「令和2年漁業・養殖業生産統計」)。このあたりの湾は、波が静かでありながら潮の流れが適度にある。また湾に河川が流れ込むことにより、梅雨時期から夏にかけて、海水中の塩分濃度が薄まる層が生まれ、かきが好む環境になる。また中国山地から流れ込む栄養素など、かきの生育に良い条件が揃っていることもあり、広島のかきは身が大きく濃厚な味わいが特徴である。また味のおいしさだけでなく、県が独自に食品衛生上の条例を設けており、安全性の高さも人気の理由と言える。 + +## 食習の機会や時季 +正月の行事食として食される。 + +## 飲食方法 +煮干し、昆布、かつおだしのすまし汁に、輪切りにした大根、にんじん、かぶやしいたけなどを入れて煮る。丸もちを入れやわらかく煮て、下調理をしたかきやぶりを入れる。味噌味で作る場合や、はまぐり、焼きあなご、ふぐなどを入れることもあるなど、地域や家庭により具材は異なる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- かき: 12個 +- 丸もち: 8個 +- だいこん: 4cm +- にんじん: 2cm +- せり: 8本 +- 紅白かまぼこ: 5mm厚 8切れ +- 一番だし: 1000ml +- 濃口しょう油: 小さじ1 +- 塩: 小さじ1 + +## 作り方 +1. かきを塩水で洗い、汚れを取り除く。 +2. だいこん、にんじんは皮をむき、5mm厚の輪切りにする。 +3. せりを3cm長さに切りそろえる。 +4. 鍋に一番だしを入れ、2を入れて軟らかくなるまで煮る。 +5. 4の鍋にかきを入れしっかり火を通す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 広島酔心調理製菓専門学校 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_27_1.jpg)" +"# かき飯 広島県 + +**郷土料理名**: かき飯 + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +江田島市 + +## 主な使用食材 +かき、米、にんじん、ごぼう、干ししいたけ、油揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +かきの養殖が盛んな江田島市周辺で作られるようになった、かきの旨味をふんだんに楽しめる炊き込みご飯。 広島のかき食の歴史は長く、古くは縄文・弥生時代から天然のかきを食べていたことが、貝塚から出土した殻により分かっている。また1500~1600年代には養殖が始まったと考えられ、今では広島県のかきの水揚げは全国の6割を占める(農林水産省「令和2年漁業・養殖業生産統計」)。このあたりの湾は、波が静かでありながら潮の流れが適度にある。また湾に河川が流れ込むことにより、梅雨時期から夏にかけて、海水中の塩分濃度が薄まる層が生まれ、かきが好む環境になる。また中国山地から流れ込む栄養素など、かきの成育に良い条件が揃っていることもあり、広島のかきは身が大きく濃厚な味わいが特徴である。また味のおいしさだけでなく、県が独自に食品衛生上の条例を設けており、安全性の高さも人気の理由と言える。 かき飯は駅弁としても人気で、「しゃもじかきめし」をはじめ数種類の駅弁が販売されている。 + +## 食習の機会や時季 +かきの取れる時季。広島ではかきは10月から5月に水揚げされる。12月から2月はおいしさの元となるグリコーゲンが大量に蓄えられており特においしい。 + +## 飲食方法 +洗ったかきを酒でいりつける。細く切ったにんじん、ごぼう、油揚げと、だし汁でご飯を炊く。最後にかきを混ぜ合わせる。かきだけを米と一緒に調味して炊く場合もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 480g(カップ3) +- かき: 300g +- ごぼう: 100g +- にんじん: 100g +- 油揚げ: 1枚 +- だし汁: カップ3 +- せり(またはみつば): 少々 +- 【調味料A】酒: 大さじ2 +- 【調味料B】酒: 大さじ3 +- 【調味料B】薄口しょうゆ: 大さじ1 +- 【調味料B】塩: 小さじ1強 + +## 作り方 +1. 米はといで30分間程度水に浸し、ざるにあげる。 +2. かきは塩水で洗い、ざるに取って水気をきる。小なべにかきを入れて【調味料A】を振りかけサッといりつけ、表面がコロンとなったらざるに取る。煮汁はとっておく。 +3. ごぼう、にんじんはささがきに切り、水にさらしてアクを取りざるにあげる。油揚げは湯をかけて短冊切りなどにする。 +4. 炊飯器に米を入れ、だし汁と【調味料B】と2の煮汁と3を加えて普通に炊く。炊きあがったらかきを入れて10分間蒸らし、切るようにサックリと混ぜる。 +5. 器に盛ってせり(またはみつば)を1cmに切って散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 広島県食生活改善推進員団体連絡協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_28_1.jpg)" +"# いが餅 広島県 + +**郷土料理名**: いが餅 + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +呉市 + +## 主な使用食材 +もち米、小豆、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +もち米や米の粉で作った皮で小豆のあんを包み、鮮やかに彩ったもち米の粒を上に乗せて蒸したお菓子。もちもちとした食感と上に乗ったもち米の粒々とした食感が楽しめる。亀山神社の例大祭と小祭りといった秋祭りの時期になると菓子店や屋台などで販売され、屋台では蒸したてのものを楽しむこともできる。名前の由来は「栗のイガに似ているから」や「旅の僧侶が食べたところ胃の病が治ったことから、胃が持つ(治る)から」など様々な説がある。また発祥についても「田畑の少ない呉では米が貴重だったため、せめて祭りの時だけでも食べたいと、もち米を麦、あわ、いもなどで作ったもちにまぶして食べた」「東北出身の人が故郷を懐かしんで作り始めた」など、そのほかにも諸説ある。 「いが餅」は東北地方から中国・四国地方にかけての複数の地域で食されており、山形県では「上に乗せた米を稲に見立て、五穀豊穣を祈った儀式から始まった」という由来から、上に乗せたもち米の着色は黄色だけであるのに対し、呉ではピンクやグリーンなどに華やかに着色されているなど違いがある。また、食す機会、形状についても地域により異なる。 + +## 食習の機会や時季 +亀山神社の例大祭と小祭りといった、呉市内の秋祭りの際に食される、秋の風物詩。 + +## 飲食方法 +もち米や米の粉で作った皮で小豆のあんを包み、着色して彩った米の粒を上に乗せて蒸す。あんは粒あんとこしあんがあり、店により異なる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 上新粉: 12g +- 白玉粉: 6g +- さとう: 2g +- 湯(80℃くらい): 20cc +- もち米: 3g +- 色粉(赤・緑): 少々 +- 小豆: 7g +- さとう: 7g +- 塩: 0.03g + +## 作り方 +1. もち米は洗って3等分し、色を付けた水(分量外)にしばらく浸けておく。 +2. 小豆はやわらかく煮て、煮汁を切り、砂糖、塩を加えて粒あんを作り、小さく丸めておく。市販のこしあんを使ってもよい。 +3. 上新粉、白玉粉、砂糖をボウルに入れよく混ぜ、湯を加えて手早く混ぜ、耳たぶくらいの硬さになるまでさらに手でよくこねる。 +4. 3から1個分を取り分け、あんを包み、上に色付けしたもち米を飾り、20分くらい蒸す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 広島県学校栄養士協議会 山根 直美 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_29_1.jpg)" +"# あなご飯 広島県 + +**郷土料理名**: あなご飯 + +**都道府県**: 広島県 + +## 主な伝承地域 +廿日市市宮島町、広島市 + +## 主な使用食材 +あなご、ご飯、しょうゆ、みりん + +## 歴史・由来・関連行事 +あなごをかば焼きにしたものをそぎ切りにし、だしで炊いたご飯の上に敷き詰めた料理。あなごを蒸す場合もある。宮島町や広島市ではあなごがよく取れ、古くからあなごが食されてきた。江戸時代文政期に編さんされた安芸国広島藩の地誌『芸藩通史(げいはんつうし)』には、「阿奈吾(アナゴ)」をメバルやキスとともに「皆当島邊(あたり)の産、味佳(か)なりとす」と伝える記述がある。廿日市市大野瀬戸周辺は潮流が速く、この地域のあなごは脂がのり、風味、やわらかさに優れており、「瀬戸のあなご」と称される。うなぎよりも脂肪分が少なく淡泊で、ビタミンA が多く含まれることから夏バテ防止や疲れ目などによく効くとされ、県内では昔から幅広い料理に使われ人気がある。あなご(穴子)の名前のとおり昼間は穴や岩の間に隠れ、暗くなると穴からはい出して活動をはじめる夜行性の魚であるが、産卵場所やえさなど生態が不明な点が多く、今はまだ養殖に至っていない。「あなご飯」の発祥は、山陽鉄道が開通して4年後の明治34年に、宮島への玄関口である宮島口駅近くで駅弁として発売されたのがはじまりである。昭和30年代には、観光や修学旅行のバスが宮島口に何十台も訪れるようになり「バス弁」として有名になった。その後宮島を中心に「あなご飯」を提供する店が増え、現在は宮島名物として、宮島参拝客の食事や土産物として全国に広く知られている。 + +## 食習の機会や時季 +年間通して食されるが、あなごは7月から8月、または脂ののる11月が美味とされている。もともとは駅弁だったが、現在は広島の名物として宮島参拝時の食事や土産物として食されている。 + +## 飲食方法 +あなごは内臓と中骨を取り、しょうゆ、みりん、酒をつけながらかば焼きにし、そぎ切りしたものをだしで炊いたご飯の上に敷き詰める。好みで刻みのりを乗せる。あなごは他にも巻き寿司、ばら寿司、照り焼き、白焼き、天ぷら、煮物、みそ汁、しゃぶしゃぶ、雑煮、茶わん蒸しなど幅広い調理法で食される。刺身で食べる地域もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 480g(3カップ) +- だし昆布: 10cm角 +- あなご: 4尾 +- 甘酢しょうが: 40g +- 刻みのり: 少々 +- 【調味料A】しょうゆ: 大さじ1弱 +- 【調味料A】酒: 大さじ1 +- 【調味料A】塩: 小さじ1/2 +- 【調味料B】しょうゆ: 大さじ3 +- 【調味料B】酒: 大さじ3 +- 【調味料B】みりん: 大さじ3 + +## 作り方 +1. 米はとぎ、汚れを拭き取っただし昆布と【調味料A】を加え、普通に炊く。 +2. あなごは内臓と中骨を取り、【調味料B】をつけながら焼く。 +3. 1のご飯を器に入れ、2のあなごを3cmのそぎ切りにして乗せ、2 の残りのタレをかける。 +4. 3.の上に甘酢しょうがと刻みのりを添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 広島県食生活改善推進員団体連絡協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hiroshima_30_1.jpg)" +"# ちしゃなます 山口県 + +**郷土料理名**: ちしゃなます + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +県全域、北浦地域 + +## 主な使用食材 +ちしゃ、魚、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +下関の伝統野菜として、かつては各家庭の庭で自家栽培されていたという「かきちしゃ」。縮れた葉野菜で、程よい苦味とほのかな甘みが特徴だ。葉を下からどんどん摘んで収穫することから、「摘む」を意味する方言「かぐ」が付き、かきちしゃと呼ばれる。地域の伝統的な食材であるかきちしゃを使った郷土料理として伝わるのが、「ちしゃなます」で、ちぎったかきちしゃを酢味噌やごまなどであえたもの。かきちしゃをもむようにあえることから「ちしゃもみ」とも呼ばれる。焼き魚をほぐしたものや、ちりめんじゃこを加えることが多く、カルシウムやたんぱく質もとれ、栄養価が高いため、家庭料理として親しまれている。しかし、かきちしゃは近年手に入れることが難しくなっており、サニーレタスやグリーンレタスで代用されることも多い。また、春菊で作ってもおいしいという。「ちしゃなます」が誕生したのは毛利時代のこと。関ヶ原の戦いによって困窮した人々の中で考案されたと言われている。 + +## 食習の機会や時季 +家庭料理として一般的に作られている。また、おもてなし料理として客人に振る舞うこともある。 + +## 飲食方法 +かきちしゃはきれいに洗い、しっかり水を切り、ひと口大より大きめにちぎっておく。わかめは水で戻して、ひと口大に切る。しらすは熱湯をかけ、ざるにあげておく。味噌に砂糖やカボスの絞り汁や酢を加えてよくすり、かきちしゃ、わかめ、しらすを食べる直前にあえる。かきちしゃはお湯をさっとかけて湯引きし、水で冷やして絞って使ってもよい。また、酸味が苦手な人はすりごまやみりんを加えてまろやかに仕上げても���い。また、昔はいりこをいってそれを裂いたものを用いていたが、最近はしらす、なまり、酢じめの魚等をいろいろ工夫して、食卓に供している。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ちりめんちしゃ(またはサニーレタス): 200g +- 煮干し(いりこ): 15g +- 麦味噌: 大さじ2・1/3 +- 砂糖: 大さじ1・2/3 +- 酢: 大さじ1・2/3 + +## 作り方 +1. ちりめんちしゃを洗って、7~8cmくらいに手でちぎり、水気を切る。(※アクが気になる場合は、5~10分くらい水に放す。) +2. 煮干し(いりこ)は頭と腹わたをとり、鍋で乾煎りし、粉末になるまですり鉢でよくする。 +3. 2に麦味噌、砂糖、酢を入れてすり混ぜる。 +4. 食べる直前に1を3で和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 森永 八江 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_1_1.jpg)" +"# けんちょう 山口県 + +**郷土料理名**: けんちょう + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +県全域 + +## 主な使用食材 +だいこん、豆腐、にんじん + +## 歴史・由来・関連行事 +山口県の郷土料理として県内各地で食されている「けんちょう」は、豆腐とだいこん、にんじんを煮たシンプルな料理。家庭に伝わっている料理で、地域や家庭によってサトイモや油揚げ、こんにゃく、鶏肉、シイタケなどのさまざまな具材を入れることもある。大鍋にたくさん作ることが多く、何日も煮返して食べられている。甘辛い少し濃いめの味付けに仕上げるため、ご飯のお供によく合う。また、汁物に仕立てて、「けんちょう汁」として食されることもある。由来には諸説あり、ひとつが「長崎けんちぇん説」。「長崎けんちぇん」とは千切りにした野菜と豆腐を炒めたものを汁物や蒸し物にしたもの。江戸以降に誕生したとされており、法事などの特別な日の料理であったという。もうひとつ由来としてあげられるのが「鎌倉建長寺説」で、鎌倉時代の日常食として食されていた野菜と豆腐を炒めた汁物が元となっている。特に下関では「けんちょう」が日常の料理ということや、貿易の拠点という歴史から「鎌倉建長寺説」が有力だと考えられている。 + +## 食習の機会や時季 +家庭の日常食として親しまれている。 + +## 飲食方法 +豆腐はゆでて、布きんで水分をよく取っておく。だいこんは5mm、にんじんは2~3mm厚さのいちょう切りにする。干しシイタケは水に戻して、千切りにしておく。ベーコンは5mm幅の千切りにする。鍋に油を入れ、ベーコン、だいこん・にんじん・干しシイタケ、豆腐の順に入れて炒め、だしと醤油や砂糖、みりん、塩を入れて煮る。器に盛り、ゆでてななめ切りにしたいんげんをかざる。豆腐の代わりに厚揚げを使うと水切りの手間がなく、味にコクが出る。また、いんげんの代わりに、小口切りにしただいこんの葉を散らしてもよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 木綿豆腐: 200g +- だいこん: 400g +- にんじん: 40g +- 油: 小さじ2 +- 醤油: 大さじ2 +- 酒: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 豆腐はザルにあげ重石をし、水気を切る。 +2. だいこんとにんじんは皮をむいて、いちょう切りにする。 +3. 鍋に油を熱して、1を崩しながら入れ、豆腐の水気が少し飛ぶ程度に炒め、2を入れ、だいこん、にんじんに油が回るまで炒める。調味料を加え、大根に味が染みるまで、10分程度煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 森永 八江 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_2_1.jpg)" +"# いとこ煮 山口県 + +**郷土料理名**: いとこ煮 + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +県全域、北浦地域、瀬戸内海側 + +## 主な使用食材 +小豆、白玉粉、砂糖、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +山口県内で広く作られてきた「いとこ煮」は、甘く味付けした小豆と白玉粉のだんごを使うことは共通するものの、地域ごとに特色が異なるのが特徴。特に有名なのが萩地域などの日本海側で作られる「萩風いとこ煮」で、冷たい汁物仕立て。昆布などのだしを砂糖や醤油、塩などでととのえた城下町らしい澄んだ汁に、小豆と白玉のほかにシイタケ、かまぼこなどを入れるものだ。白玉は、祝い事の時は食紅で赤く、不祝儀の時は白一色、または緑色に染めた白玉団子を入れる。瀬戸内海側の地域では、汁気がなく��るまで煮詰めて甘く仕上げる。野菜の有無や汁気が土地ごとに異なる上、祝い事では一切作られない地域もある。「いとこ煮」と呼ばれる郷土料理は全国各地にあるが、山口県のものは具材を追い追い(甥甥)に入れて煮ることからそう呼ばれるようになったという説があるほか、長州藩士の毛利公が春秋2回重臣を集めてねぎらう時、質素倹約をむねとして振舞ったこの料理を、遺徳をしのんで「遺徳煮」と呼んだ説など由来は諸説ある。 + +## 食習の機会や時季 +山口県で冠婚葬祭や催し事のあとの宴席に出されてきた行事料理である。また、正月準備を始める12月の事始めの日によく作られてきた。小豆は腹切れしないようにゆっくり煮て、白玉団子はお祝いのときは紅白、仏事には白や緑を入れる。 + +## 飲食方法 +白玉もちをゆでる。小豆を洗い、鍋にひたひたの水と小豆を入れ、火にかけ一度沸騰させてからざるにあげる。鍋に一度火にかけた小豆と分量の水を入れ、火にかけ、あくを取りながら、小豆の皮をやぶらないようにゆっくり煮る。やわらかくなるまでに水気が飛ぶようなら、さし水を加える。小豆がやわらかくなったら、砂糖・塩で味付けする。だし汁にしいたけを入れて煮立たせ、塩、醤油で味付けし、白玉もちと蒲鉾を加え一煮立ちする。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 小豆: 50g +- 砂糖: 50g +- 水: 30ml +- 蒲鉾: 1/5本 +- 干しいたけ: 1枚 +- 白玉粉: 30g +- 食紅: 少々 +- だし汁(昆布だし): 2.5cc +- 塩: 小さじ1/2 +- (薄口)醤油: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 小豆は一晩水に浸けておき、かぶるくらいの水を入れ、一度茹でこぼし、再度、水を入れ、皮が破れないよう煮て(1時間半程度)、ザルに上げ水気をきる。 +2. 1の小豆に砂糖と水を入れ沸騰したら、火を止め、味を含ませる。 +3. 戻した干しいたけは、いちょう切りにする。 +4. 白玉粉は水を加えてこね、半量に食紅で色を付け、紅白の団子にし、茹でる。 +5. だし汁(しいたけの戻し汁を加えてもよい。入れる場合は分量からその分引く)に、しいたけを入れて、煮えたら塩、醤油で味付けする。2の小豆と4の団子といちょう切りした蒲鉾を加え一煮立ちする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 森永 八江 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_3_1.jpg)" +"# わかめむすび 山口県 + +**郷土料理名**: わかめむすび + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +萩地域、北浦地域、長門地域 + +## 主な使用食材 +米、わかめ + +## 歴史・由来・関連行事 +日本海に面した山口県萩市は、真フグを始め、アマダイや瀬つきアジなどの海産物の宝庫。中でも、萩地域に春を告げるのがわかめだ。このエリアでは春になると、採れたばかりの新鮮なわかめを海岸沿いにつるし、干す風景が見られる。海の心地よい潮の香りが広がり、地元の人たちには春の風物詩として知られている風景だ。そうしてできた干しわかめは、おむすびにまとわせた「わかめむすび」として食される。かつては、自分で海にわかめを採りに行き、生乾きにしてから刻んで缶に入れていた家庭も多くあったという。干しわかめは、ご飯にかけてそのままいただくのもよいが、お弁当にはこの「わかめむすび」を入れることが多かったそうで、故郷の味として現在も愛されている。その歴史は古く、江戸時代、参勤交代道中の八島の宿でのこと。長州藩の侍がご飯の上に持参した刻みわかめをふりかけているのを見た女中が、「長州のお侍はご飯に茶殻をかけて食べる」と驚いたという逸話も残っている。 + +## 食習の機会や時季 +昔の農家は、近隣と共同で農作業をし、昼食や三時のお茶には、このわかめむすびや、きなこ、青ノリをまぶしたむすびが出されていたとのこと。 + +## 飲食方法 +手でご飯を握る。干し刻みわかめをおむすび全面にまぶす。シソや夏みかんの皮を混ぜ込んだ商品も販売されており、それを使ってもよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 刻みわかめ: 20g +- ご飯: 200g + +## 作り方 +1. おむすびを作って、刻みわかめをまぶす。※お好みでむすびの芯に梅干しを入れるとよい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山口市内の栄養教諭 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_4_1.jpg)" +"# 岩国寿司 山口県 + +**郷土料理名**: 岩国寿司 + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +県全域、岩国地域 + +## 主な使用食材 +米、魚、卵、しいたけ、れんこん + +## 歴史・由来・関連行事 +山口県の東の玄関口として知られる岩国市。吉川藩6万石の城下町として栄えた歴史を持ち、現在でも数多くの歴史・文化遺産を有し、さらに美しい自然に恵まれた土地である。シンボルとして有名なのが創建300年ほどの五連アーチ橋「錦帯橋」。そして、食の名物にあげられるのが「岩国寿司」。江戸時代に岩国藩主・吉川公に献上して喜ばれたという言い伝えから「殿様寿司」とも呼ばれる押し寿司のことで、山の上の城へ、運搬が便利な食べ物をということで考案されたという特産品の岩国れんこんの酢漬けや伝統野菜のチシャ、アナゴの煮付け、錦糸卵、でんぶなどの城下町らしい豪華な食材を使っており、3~5段に重ねられた華やかな一品。祝い品や献上品として作られてきた。一度に大人数分を作るため、木製の寿司枠は大きなもので60センチ四方になることもあるそう。また、大きなものを作るときには、職人たちが押し蓋の上に乗って押し固めることもあったほどだ。出来上がった寿司は一人前ずつ、四角く切り分け提供される。 + +## 食習の機会や時季 +祝いの席に出す料理として、藩政時代からの伝統を誇るものである。 + +## 飲食方法 +寿司枠の底にチシャの葉を敷き、そこにアジなどのすり身を混ぜた寿司飯を詰める。錦糸卵・しいたけ・でんぶ・特産の岩国れんこんの酢漬けなどで美しく彩ったら、またチシャの葉を敷いて同様に段を重ね、最後に木の蓋を乗せて重しをかける。一段は1升の米が基本であり、料亭などでは白足袋姿の料理人が蓋の上に片足をかけてふんばり、思いっきり枠を引き抜く。家庭で作るときは、弁当箱やスクエア型、牛乳パック、ケーキ型などで代用する。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 300g +- 【A】水: 400ml +- 【A】昆布: 3g +- 【A】酒: 大さじ1 +- れんこん: 50g +- 【B】酒: 小さじ1 +- 【B】砂糖: 大さじ2/3 +- 【B】塩: 少々 +- 【B】酢: 大さじ2/3 +- 卵: 2個 +- サラダ油: 小さじ1 +- きぬさや: 8g +- 干ししいたけ: 4枚 +- 【C】干ししいたけの戻し汁: 100ml +- 【C】酒: 小さじ1 +- 【C】砂糖: 大さじ2/3 +- 【C】醤油: 小さじ1と2/3 +- 【C】みりん: 小さじ1/2 +- 【D】砂糖: 大さじ2と2/3 +- 【D】塩: 小さじ2/3 +- 【D】酢: 大さじ3 +- ちしゃ(サニーレタス): 20g +- さくらでんぶ: 5g + +## 作り方 +1. 米を洗って一度ざるで水気を切る。【A】を加えて炊飯する。 +2. 干ししいたけを水で戻しておく。 +3. れんこんは薄く(1~2mmの厚さ)半月に切る。小鍋に湯を沸かし、小さじ1の酢(分量外)を入れ、その中で2分程度ゆでる。水気を切った後、よく混ぜておいた調味液【B】に浸して味をつける。 +4. 錦糸卵を作る。卵を溶き、油をしいた卵焼き器(フライパン)で薄く焼いてせん切りにする。 +5. 沸騰した湯にひとつまみの塩(分量外)と、きぬさやを入れ、さっと茹でて冷水で冷やす。食べやすいように、1枚を斜めに2~3つに切っておく。 +6. 水で戻したしいたけは、水気を切って3mm幅の細切りにし、【C】で汁気がなくなるまで煮る。 +7. 酢飯をつくる。【D】を小鍋に入れ、加熱してよく溶かしておく。ご飯が炊けたら水でしめらせた寿司おけにうつす。【D】をまわし入れ、しゃもじで切るように手早く混ぜて冷ます。 +8. 押し寿司の容器にちしゃをしき、半量の酢飯を乗せ、具の半量をれんこん、しいたけ、錦糸卵、さくらでんぶの順に散らす。一度押した後、上からちしゃをしいて酢飯を入れ、残りの具(れんこん、しいたけ、きぬさや、錦糸卵)を散らして再び押す。さくらでんぶは最後に彩りとして上からかける。※押し寿司の型がない場合は、底のぬけるケーキの型や、ケーキの型にラップをしいたものに詰める方法でも代用できます。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山口市内の栄養教諭 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_5_1.jpg)" +"# 茶がゆ 山口県 + +**郷土料理名**: 茶がゆ + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +柳井地区、周防大島地区、岩国地区、萩地区 + +## 主な使用食材 +米、さつまいも、茶葉、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +山口県外の他地域でも郷土食として根付いている「茶がゆ」は、奈良地方が発祥と言われている。山口県では、17世紀の初頭、岩国藩主・吉川公が米の節約のために奨励し、柳井市、周防大島町はじめ県内各地に広まったとされている。お茶の成分やかゆにすることによって消化がよくなっていることから、現在では“健康食”としても食べつがれている。山口県の茶がゆは、ほうじた番茶を茶袋に入れ、鑵子と呼ばれる専用の鉄釜で煮出し、色が濃くなったところで茶袋を取り出して米を加えて炊くのが特徴。サラリとした口当たりで、冬は温かく、夏は冷やして食すことが多い。日常食として庶民に伝わった料理だが、かゆの炊き方に各家庭で秘訣があり、手が込んでいたことから「風流食」だという見方もある。また、周防大島や柳井地区ではサツマイモの栽培が盛んに行われていたことから、サツマイモを加えたほのかな甘味のある「芋がゆ」も好まれている。 + +## 食習の機会や時季 +夏、食が進まない時に冷やして食すなど、日常的に家庭で食されている。 + +## 飲食方法 +番茶か粉茶を茶袋に入れて水で煮出し、濃く色がついたら茶袋を取り出す。茶袋はガーゼか薄い布を使うとよい。煮出した茶に米を洗わずに加えて煮る。サツマイモは1cmの厚さに切り、水にさらして洗い、米が沸騰し始めたころに鍋に加え、ふきこぼれない程度の火加減で煮る。かき混ぜると粘りが出る。30~40分くらい煮たら火を止め、少し蒸らし好みにより塩少々を加え、味を調える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 米: 1カップ +- 番茶: 15g +- 水: 8カップ + +## 作り方 +1. 釜に湯を沸かし番茶を入れたお茶パックを入れて煮出す。あめ色になったら茶袋を取り出す。 +2. 米を入れて、ふきこぼれない程度の強火で炊く(17~18分)。米の芯がなくなり、茶渋で米がしまった感じになれば出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山口市内の栄養教諭 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_6_1.jpg)" +"# つしま 山口県 + +**郷土料理名**: つしま + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +周南地域 + +## 主な使用食材 +豆腐、干ししいたけ、にんじん、ごぼう、しょうゆ、砂糖、酢、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +山口県の東南部の周南市を始めとする、周南地域に伝わる郷土料理「つしま」。由来には諸説あるが、江戸時代、周南市の櫛ヶ浜の漁師が朝鮮通信使を案内する役目を仰せつかり、その時に作られた料理で、朝鮮通信使の外交窓口が対馬藩(長崎県)であったことから、「つしま」と呼ばれるようになったとされる。家庭では、精進料理として法事などで作られることが多かったという。また江戸時代ごろから来客向けや、日持ちのする常備菜である保存食として重宝されていた。そのため、生ものは使わずに、すべての具材に火を通すのが特徴だ。一見すると白あえのようだが、豆腐は沸騰した湯でゆでてから使い、だしやしょうゆなどの調味料とともに煮て下味を付けた干ししいたけやにんじん、ごぼうなどの千切り、干しえびなど具材と合わせて作る。周南地域ではお盆などの夏に食べることが多く、故郷を離れた人たちにとっては故郷の味として愛されてきた。 + +## 食習の機会や時季 +常備菜として家庭に日常的に食されているほか、お盆時季や法事などでは精進料理として食されている。また、来客をもてなす一品として用いられることも多かった。 + +## 飲食方法 +豆腐は沸騰した湯に塩少々入れて、ゆで布巾を敷いたざるにとって水気をしぼり、ほぐして鍋に入れ箸でかき混ぜたら、炒り、冷ましておく。干ししいたけは水に戻し、にんじん、ごぼうとともに千切りし、煮て冷ましておく。豆腐をしょうゆや砂糖、酢、塩を合わせて冷ましておいた具材とあえて盛り、ゆでて細切りしたさやいんげんをちらす。キュウリを加えても良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 木綿豆腐: 1丁(400g) +- 干ししいたけ(3cm長さ細切り): 2枚 +- にんじん(3cm長さ細切り): 30g +- ごぼう(3cm長さ細切り): 20g +- こんにゃく(3cm長さ細切り): 30g +- 【A】だし汁(混合): 1/2カップ +- 【A】砂糖: 小さじ1 +- 【A】しょうゆ: 小さじ1 +- さやいんげん(千切り): 12g +- 【B】砂糖: 小さじ1 +- 【B】塩: 小さじ1/6 +- 【B】しょうゆ: 小さじ1/2 +- 【B】酢: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 豆腐を鍋に入れ、くずしながらからいりする。水気が出てぽろぽろしてきたらざるにあげ、水分を切って冷ます。 +2. 野菜を切り、ごぼうは水にさらしてあく抜きをする。こんにゃくは下ゆでする。 +3. 干ししいたけ、にんじん、ごぼう、こんにゃくを【A】で煮る。汁気がなくなるまで煮て冷ましておく。 +4. さやいんげんは塩ゆでにして切り、冷めた豆腐と野菜類を【B】で和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山口市内の栄養教諭 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_7_1.jpg)" +"# 大平 山口県 + +**郷土料理名**: 大平 + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +岩国地域 + +## 主な使用食材 +れんこん、里芋、鶏肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +岩国地域を代表する料理の一つで、平たく大きな蓋つきの塗り物のわん“大平”に入れて食卓に提供することから、「大平」と呼ばれる。鶏肉や里芋、れんこん、長芋、しいたけ、ごぼう、高野豆腐などのさまざまな具材を加えた汁の多い煮物。冠婚葬祭などの大人数が集まる時に提供される料理で、この時に使う大平は直径50cmほどになることもあるという。大平に盛ったものは、小皿にとりわけて振舞われる風習がある。汁が多く薄い味付けのため、煮物だが汁ごといただくことが多い。岩国地域では豪華絢爛な押し寿司の「岩国寿司」と並んで、祝い事には欠かせない料理の一つである。 + +## 食習の機会や時季 +冠婚葬祭の時など大人数で集まったときに、提供される。 + +## 飲食方法 +鶏肉、里芋、れんこん、にんじん、水で戻した干ししいたけ、アク抜きをしたこんにゃく、厚揚げを食べやすい大きさに切る。鍋にサラダ油を熱したら鶏肉を炒め、火が通ったらそれ以外の具材を加えさらに炒める。具材がすべてかぶるくらいの水を入れ、アクをとりながら、やわらかくなるまで煮る。砂糖、みりん、酒、醤油を加え、味をなじませる。使う野菜は季節の根菜を中心にする。また、だしは鶏肉と野菜から出るが、薄い場合は顆粒だしを加えるとよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- れんこん: 80g +- 里芋: 320g +- 干ししいたけ: 8g +- ごぼう: 24g +- こんにゃく: 1/3枚(70g) +- にんじん: 40g +- 鶏肉こま切れ: 80g +- 油揚げ: 1/2枚(10g) +- 高野豆腐: 1/2枚(7g) +- 油: 少々 +- だし汁: 600~800cc +- 砂糖: 小さじ1 +- 酒: 小さじ1 +- 薄口しょうゆ: 30cc +- 塩: 大さじ1 +- みりん: 大さじ1 + +## 作り方 +1. にんじん、れんこん、里芋は皮をむいて乱切り。干ししいたけは水で戻し大きめの乱切り。ごぼうは乱切りにし水にさらす。こんにゃくは手でちぎり、下ゆでしておく。 +2. 鶏肉を油で炒め、材料を硬い物から入れる。 +3. だし汁を材料がかぶるくらい入れて煮る。油揚げは湯通しして切り、高野豆腐は水で戻して1cmに切る。 +4. 材料に火が通ったらアクをとり、里芋、油揚げを入れて味付けし、高野豆腐を入れて仕上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山口市内の栄養教諭 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_8_1.jpg)" +"# のっぺい 山口県 + +**郷土料理名**: のっぺい + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +萩地域 + +## 主な使用食材 +里いも、干ししいたけ、ごぼう、れんこん、こんにゃく、にんじん、鶏肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「のっぺい」「のっぺい汁」と呼ばれる郷土料理は、日本全国に分布しているが、地方により使用する食材が異なる。中でも山口県萩市で伝わる「のっぺい」は、城下町・萩の日々の食卓に並ぶ料理としてはもちろん、祭りや仏事に用意したり、客人に振る舞ったりと生活に欠かせない料理であった。冬場に作られることが多かったため、萩地域では里いもやごぼう、れんこん、にんじんといった根菜を中心に使用し、軽くとろみをつけて仕上げることが多い。かつてはとろみ付けにくず粉を使っていたが、現在では片栗粉や小麦粉が使われる。また、萩では「のっぺい」を仏事に用意するときは精進料理に仕上げるため、鶏肉は入れずにぎんなんを加える。萩市に隣接する福栄村(現萩市福栄)では汁気を多��して作る。 + +## 食習の機会や時季 +冬場を中心に、城下町であった萩地域の日常的なおかずとして食されていた。また、祭りや仏事・客のもてなし料理としても親しまれていた。 + +## 飲食方法 +塩をふっておいた里いもと、水で戻した干ししいたけ、下ゆでをしたごぼうとれんこん、こんにゃく、にんじん、鶏肉は食べやすい大きさに切り、鍋に入れてだしで煮る。煮立ってきたら砂糖や薄口醤油、みりんなどの調味料を入れて中火で40分ほどさらに煮る。仕上げに水溶き片栗粉を入れて軽くとろみをつける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 里いも: 500g +- ごぼう: 1本 +- れんこん: 1櫛 +- しいたけ: 3枚 +- にんじん: 1本 +- こんにゃく: 1枚 +- だし汁: 700cc +- 塩: 小さじ3 +- 砂糖: 大さじ4 +- だしの素: 小さじ2 +- 水溶き片栗粉: 少々 + +## 作り方 +1. 里いもは皮を取り、適当な大きさ(一口大)に切り塩をふっておく。 +2. ごぼう、れんこんを適当な大きさ(一口大)に切り、下ゆでをしておく。 +3. しいたけは水で戻し、6~8等分する。 +4. にんじん・こんにゃくを適当な大きさ(一口大)に切っておく。 +5. 塩をふっておいた里いもをよく洗う。 +6. 材料を全部鍋に入れ、だし汁を入れて火にかける。 +7. 6が煮立ってきたら調味料を入れて、中火で40分位煮る。 +8. 仕上げに水溶き片栗粉を入れて出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 萩元気食の会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_9_1.jpg)" +"# うの花きずし/唐ずし 山口県 + +**郷土料理名**: うの花きずし/唐ずし + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +北浦地域 + +## 主な使用食材 +イワシ、おから + +## 歴史・由来・関連行事 +日本海に面した山口県北部の北浦地域。恵まれた漁場を有し、漁業が人々の生活を支えてきた歴史があり、郷土料理にもそれが現れている。特に季節問わず多く水揚げされるのがイワシだ。イワシを使った郷土料理で特に独特なものが「うの花きずし」で「唐ずし」「だきずし」とも呼ばれる。大きな特徴は酢飯のシャリの代わりにおから(うの花)を使用することで、ネタには酢で締めたイワシを使うのが一般的。萩市ではヒメジやアジなど、その時とれた魚をイワシの代わりに使うことがある。また、それぞれ家庭ごとの味があるが、酢で締めた魚でおからを包んで作るのは共通。イワシとおから、ともに価格が安く簡単に作れるのが特徴で、保存食としても重宝されていた。不意の来客にもさっと作って振る舞うことができ、また酒のさかなに合う味わいのため、もてなし料理として重宝されてきた。 + +## 食習の機会や時季 +保存食として作られるが、酒肴にも合うためもてなし料理としても親しまれる。古くからお正月や婚礼、祭りなどでは欠かせない料理だった。 + +## 飲食方法 +3枚におろし骨を取ったイワシに塩をふる。砂糖や酢の合わせ酢に浸す。炒ったゴマとイワシを浸した合わせ酢で味付けしたおからを混ぜ合わせ、握り寿司のシャリのように小さく握る。その周りに水気を切ったイワシを巻きつける。おからとイワシの間に紅しょうがの千切りを挟んだり、イワシの上にのせてもよい。萩地域では金太郎と呼ばれる小魚・ヒメジやアジをイワシの代わりに使ってもよい。余り物の「うの花きずし」に衣をつけて油で揚げ、コロッケにアレンジできる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- イワシ: 10尾 +- 卯の花: 200g +- しょうが: 少々 +- 砂糖: 適量 +- 酢: 適量 +- 塩: 小さじ2 +- オノミ(麻の実): 少々 +- 黒ごま: 少々 +- イワシをしめる塩: 適量 +- 塩・酢・砂糖: 適量 + +## 作り方 +1. イワシを3枚におろし、骨をとったものに塩をする。その後、酢で塩を洗い軽く絞り、あま酢の中へつけ込む。 +2. 卯の花を煎り、酢・砂糖・黒ごま・しょうが・オノミを入れ味を付ける。 +3. 卯の花を太鼓型ににぎり、1のイワシで巻く。 +4. ごまを振りかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 萩元気食の会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_10_1.jpg)" +"# 柏椀 山口県 + +**郷土料理名**: 柏椀 + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +長門、萩、山口市 + +## 主な使用食材 +鶏肉、しいたけ、卵、春雨、かまぼこ、ホウレンソ��� + +## 歴史・由来・関連行事 +山口県で伝わる「柏椀」は冠婚葬祭などのハレの日に食べられていた郷土料理のひとつ。鶏肉としいたけを使った汁物で、料理名の「かしわ」は鶏肉を意味する。それぞれの具材を丁寧に煮てから味付けをし、冷ました汁で仕上げるのが特徴で、椀に盛った見た目の美しさからもおもてなしの心が伝わる料理だ。昔は、客人を招待する時にご飯や汁、酢の物、煮込みで構成する本膳を提供し、軽く食事を済ませた後に酒の膳を振る舞う習慣があった。その酒の膳の一品として、刺身や酢の物、白あえ・ゴマあえなどの中鉢、魚の焼き物、煮物、土産になるような口取りとともに並んだと言われている。 + +## 食習の機会や時季 +おもてなし料理として、冠婚葬祭の時やお客を招待する時に提供されてきた。 + +## 飲食方法 +鶏肉は、熱湯をかけ臭みを取ってからひと口大に切り、水と醤油、砂糖で作った煮汁で、煮て取り出す。次にしいたけを入れて、味を含ませてから取り出す。そこにシュンギクを入れ、さっと煮て取り出しておく。春雨は茹で、花ふは水で、もどしておく。材料を煮た煮汁に水を加えてのばし、吸物ぐらいの味にととのえる。花ふを入れて味を染み込ませてから取り出し、冷ましてかけ汁を作っておく。椀に具材を彩りよく盛り付け、冷ましたかけ汁を静かにそそぎ入れる。ユズの皮や山椒の葉などを添えて、季節の香りを楽しむのもよい。春雨の代わりにそうめんを使うこともある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- だし汁(混合): 400ml +- 【A】酒: 小さじ1/2 +- 【A】砂糖: 大さじ1・1/3 +- 【A】塩: 小さじ2/3 +- 【A】醤油: 小さじ2/3 +- 卵: 2個 +- 鶏ささみ肉(そぎ切り): 2本 +- 片栗粉: 小さじ1/2 +- 干ししいたけ(そぎ切り): 4枚 +- 【B】干ししいたけの戻し汁: 90ml +- 【B】砂糖: 小さじ1・1/3 +- 【B】醤油: 小さじ1・1/3 +- 春雨: 8g +- ほうれん草: 20g +- かまぼこ(うす切り): 4枚 + +## 作り方 +1. 干ししいたけを水で戻しておく。 +2. 混合だしに【A】ですまし汁より濃い目に味つけをし、冷ましておく。 +3. 卵は固ゆでにして縦半分に切る。 +4. 鶏肉はひと口大のそぎ切りにし、片栗粉をまぶしてたっぷりの熱湯でゆでる。 +5. 水で戻した干ししいたけを半分にそぎ切りにし、【B】で下味をつけておく。 +6. 春雨は3等分に切り、熱湯でゆで、水気を切る。 +7. ほうれん草をゆでて、3cm長さに切る。かまぼこは切っておく。 +8. 椀の中にゆで卵、鶏肉、しいたけ、春雨、ほうれん草、かまぼこを並べ、冷めただし汁を注ぐ。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山口市内の栄養教諭 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_11_1.jpg)" +"# はすのさんばい 山口県 + +**郷土料理名**: はすのさんばい + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +岩国地域 + +## 主な使用食材 +れんこん、にんじん、油揚げ、三杯酢 + +## 歴史・由来・関連行事 +山口県の最東部に位置する岩国市は、風光明媚な自然の歴史と文化が残る城下町の趣が美しい街。特産品の岩国れんこんは、一般的なれんこんの穴が8つのところ、9つの穴があるのが特徴。200年ほど前に殖産家の村本三五郎が現在の大分県から持ち帰り、栽培が始まったとされ、岩国藩主・吉川公の家紋に似ていたことから喜ばれたという逸話が残っている。その後、岩国の温暖な気候や長い日照時間などのれんこん栽培に適した自然条件に加えて、農家たちの努力によって改良され、独特のもっちりとした粘りとシャキシャキとした食感が生まれた。現在は県内外でその名を知られ、流通するまでになった。この岩国れんこんを使った郷土料理として、特に有名なのは押し寿司の「岩国寿司」だが、庶民の日々の食事として親しまれてきたのは「はすのさんばい」。れんこんとにんじん、このしろ等の白身魚を酢であえた料理で、その由来は、「三杯酢」からきた説と、中国・四国地方で「田の神様」を「さんばい」と呼んでいたことに関係しているとの説がある。岩国れんこんの食感がしっかりと楽しめる、さっぱりとした箸休めだ。 + +## 食習の機会や時季 +家庭料理として日常的に食される他、同じく岩国地域の料理である岩国寿司、大平と合わせて「氏盛料理」と呼ばれ、ハレの料理と��ても提供される。また、お節料理にも欠かせない一品。 + +## 飲食方法 +れんこんは薄切りにし、酢少々を入れた熱湯でゆでて冷ます。にんじんは薄切りにし、塩ゆでして冷ます。油揚げは油抜きをして、フライパンで両面を焼いてから細切りにする。穀物酢、砂糖、薄口醤油、塩を混ぜ合わせて、合わせ酢を作る。合わせ酢にれんこん、にんじん、油揚げをあえ、いりごまを加える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- れんこん: 200g +- このしろ: 1/2匹 +- 新しょうが: 小1/5かけ +- 【合わせ酢】砂糖: 大さじ1・1/3 +- 【合わせ酢】酢: 1/4カップ +- 【合わせ酢】しょうゆ: 小さじ1/2 +- 【合わせ酢】塩: 少々 +- 【合わせ酢】みりん: 少々 +- 【合わせ酢】酒: 少々 + +## 作り方 +1. 【合わせ酢】をすべてまぜ、合わせ酢を作る。 +2. せん切りのしょうがを合わせ酢に入れる。 +3. このしろはうす切りにする。 +4. れんこんは一節切りにして皮をむき、たっぷりの水でややかためにゆでて、うす切りにする。 +5. 3と4を2の合わせ酢であえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山口県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_12_1.jpg)" +"# ぬた 山口県 + +**郷土料理名**: ぬた + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +北浦地域 + +## 主な使用食材 +ねぎ、オバイケ、こんにゃく、白味噌、砂糖、練りからし + +## 歴史・由来・関連行事 +日本全国で食されている「ぬた」は、ねぎと酢味噌をあえたものが一般的だが、地域によって使う食材に特色が出る郷土料理である。中でも山口県の北部、北浦地域ではねぎとオバイケの取り合わせで作られることが多い。オバイケとはクジラの尻尾部分をスライスして湯引きしたもので、ゼラチン質が豊富ながらシャキシャキ、モチモチとした食感が特徴。長門を有する北浦地域では江戸時代から捕鯨が盛んで、また部位ごとに余すことなく利用され、庶民もクジラ肉を口にする機会が多かった。そうした背景から北浦地域では、オバイケを加えた「ぬた」が生まれたという。萩エリアでは、「ねぎあえ」とも呼ばれており、地域によってはオバイケの代わりにタコやイカ、貝類などを使用することがある。 + +## 食習の機会や時季 +手軽にできる伝統のあえ物で、一般家庭の料理。特に春先に食されることが多く、桃の節句におひな様に供える地域もある。 + +## 飲食方法 +ねぎはたっぷりの熱湯でゆでて、ザルに上げて冷ましておく。包丁の背でぬめりをしごき出し、3cmくらいの長さに切る。刺身こんにゃくは薄い短冊切りにする。白味噌、砂糖、練りからしをよく混ぜてから酢を加え、さらに混ぜる。混ぜ終わったらねぎとこんにゃくを入れてあえる。器に盛り、ゴマを散らしたらユズを天盛りにする。刺身こんにゃくの代わりに、イカやアサリなどの貝類、アジ、オバイケ、豚肉などを使用してもおいしい。時間がたつと材料から水分が出てくるので、食べる直前に酢味噌であえると良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- わけぎ: 250g +- オバイケ(鯨): 50g +- 砂糖: 大さじ2 +- 酢: 大さじ1 +- 白みそ: 大さじ3 +- 練りからし: 少々 + +## 作り方 +1. わけぎは軽くゆでザルに取り水気を切り、まな板の上に揃えて並べ包丁の背でしごき、中のぬめりを除き4cm位に切る。 +2. オバイケはぬるま湯で洗い流し、だんだん湯を熱くし冷水に取り臭みと脂を取り除く。 +3. 白みそ、砂糖、酢、練りからしをすり鉢に入れてすり混ぜ合わせてからし酢みそを作る。 +4. 器にわけぎ、オバイケを盛り、からし酢みそをかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 萩元気食の会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_13_1.jpg)" +"# ごぼう巻き 山口県 + +**郷土料理名**: ごぼう巻き + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +萩市 + +## 主な使用食材 +ごぼう、エソ + +## 歴史・由来・関連行事 +瀬戸内海と日本海に面する山口県では、古くから海の恩恵を受け、海の幸を使用した加工食品も発展してきた。萩地域では、かまぼこの歴史は特に古く、寛永17年(1640年)に長州藩初代藩主・毛利秀就公を主客とする茶会で献上されたことが記録として残っているほどである。かまぼこは、蒸さずに仕上げる焼��抜きかまぼこで、日本海の荒波の中水揚げされた、新鮮なエソが主原料。身は濃厚な旨みがあり、エソを使ったかまぼこは最高級品とされている。かまぼこ作りで生じるエソの皮を使った郷土料理、それが「ごぼう巻き」である。エソの皮をごぼうに巻き付け、タレにつけて焼いた料理で、山口県内の水産加工食品会社では、かまぼことともにこの「ごぼう巻き」を製造するところが多く、それぞれの味が生まれている。 + +## 食習の機会や時季 +お祭り・来客・花見のお弁当には欠かせない料理。近年はスーパーや水産物販売所などで手軽に手に入るため、家庭で日常的に食されている。 + +## 飲食方法 +エソを3枚におろし、身と皮に分ける。その皮をタレに漬け込み、金串にごぼうを刺し、エソの皮を巻く。回転させながら、焼き上げる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- エソ: 1尾 +- ごぼう: 1本 +- 【タレ】醤油: 大さじ4杯 +- 【タレ】みりん: 大さじ4杯 +- 【タレ】料理酒: 大さじ4杯 +- 【タレ】砂糖: 大さじ2杯 + +## 作り方 +1. エソを3枚におろし、身と皮に分け、皮を濃いめの甘辛醤油ベースのタレに漬け込む。 +2. 1晩浸けたら、15cm~20cm程度の長さにしたごぼうに金串を刺し、その上にエソの皮を一枚ずつ巻きつけていく。 +3. 回転させながら火で炙り、焼いていく。 +4. 焦げ目がつくくらいまで焼いたら完成。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_14_1.jpg)" +"# 柏餅 山口県 + +**郷土料理名**: 柏餅 + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +県全域 + +## 主な使用食材 +上新粉、あんこ、サルトリイバラの葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +現代では「こどもの日」として祝われる5月5日の「端午の節句」。地域によってちまきや笹巻き、べこ餅などのさまざまな菓子が備えられ、食されている。中でも全国的に食べられている「柏餅」は、上新粉と白玉粉で作ったきめ細かい白餅の中に、あんこや味噌あんを入れた祝い餅。餅を包んだブナ科の落葉樹であるサルトリイバラの葉は、初夏の新芽が出るまで落葉しないことから「家系が絶えない」という縁起を担いで、江戸時代から使われるようになったという。山口県では、郷土料理のひとつとして親しまれており、「ほてんどもち」「いぎの葉もち」「ぷとんもち」「ぼたんもち」など別名も多い。かつては端午の節句の他に田植えやお盆行事の際にも、各家庭で作り、食されてきた。特に、手作業で行われていた田植えは重労働であり、「柏餅」が食べられることがひとつの楽しみになっていたと言われている。また、「柏餅」を作ったら隣近所に配ることもあったという。「柏餅」に欠かせないサルトリイバラの葉を山に採りに行くのは、家庭の子どもたちの役目であったことも伝わっている。 + +## 食習の機会や時季 +端午の節句の代表的な祝い餅。 + +## 飲食方法 +米粉を水、または熱湯でこねる。こねた生地を1つ分にとりわけ、軽く延ばして丸くまとめたあんを間に包む。サルトリイバラの葉で挟み、蒸し上げる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10個分) +- もち米粉: 100g +- 上新粉: 100g +- あん: 200g +- ぬるま湯: 160ml +- サルトリイバラの葉: 20枚 + +## 作り方 +1. あんを10等分にし、丸める。 +2. もち米粉と上新粉を混ぜ、ぬるま湯を少しずつ加え、耳たぶ程度のかたさになるまでこねる。 +3. 2を10等分にし、あんを包み、丸める。 +4. きれいに洗って水気を取ったサルトリイバラの葉で3を上下にはさみ、押して平らにし、蒸し器で15分蒸す。サルトリイバラの葉に片栗粉をはたいたり、油を塗ると食べる時、葉をはがしやすくなる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 森永 八江 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_15_1.jpg)" +"# ふく刺し 山口県 + +**郷土料理名**: ふく刺し + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +下関地域、萩地域 + +## 主な使用食材 +ふぐ + +## 歴史・由来・関連行事 +山口県の県魚は、言わずと知れた県を代表する高級魚“ふぐ”。特に有名な漁場は、下関地域や萩地域で、ふぐ漁で主流の延縄漁は山口県で生まれ、改良が重ねられた。中でもふぐ食の歴史が長いのは下関地域で、加工場や料理店が集中しているため、全国各地から天然・養殖ふぐが集められ、ふぐの本場として知られている。かつてふぐは食べることが禁止されている時期があった。それは、豊臣秀吉が朝鮮出兵の際、兵士がふぐを食べて死亡したできごとから、ふぐ食禁止令が出されたため。その後、伊藤博文がふぐのうまさに感心し、明治21年山口県のみで解禁。ふぐ料理公認第一号店「春帆楼」は、日清講和条約の締結会場としても有名だ。とはいえ、一般庶民はふぐ食をしていたといわれており、当時は味噌汁の具にすることもあったという。ふぐ食禁止令解禁後、その舞台となった下関市はふぐとともに発展。下関地域では、ふぐのことを縁起を担ぎ、福にちなんで“ふく”と呼び、その刺身を「ふく刺し」とも呼ぶ。透けるほどに薄く切り分けるのが特徴で、菊の花のように盛り付ける「菊盛り」や、ツルを模した「鶴盛り」などの、多彩な盛り方がある。 + +## 食習の機会や時季 +天然のとらふぐは年々減少しているため、9~3月と漁期が限定されている。そのため、冬の味覚として愛されている。また、高級魚ということで、祝い事などの特別な日に食されることが多い。 + +## 飲食方法 +ふぐをさばき、薄造りにする。あさつきやもみじおろしなどの薬味とともに、柑橘と醤油を合わせたポン酢でいただく。ポン酢にはポンカンやダイダイ、グリーンダイダイなどを使用する。ふぐは毒を持っているため、ふぐ調理師の免許を取得したものだけがさばくことができる。ふぐ調理師は、都道府県ごとによってその呼び名も変わり、試験内容や認められる調理の範囲が異なる。また、国家資格ではない。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ふぐ(身欠き)※必ずふぐ調理師の免許を持つ人が調理したふぐの身欠きをご使用ください。: 200g + +## 作り方 +1. 3枚におろす。 +2. 筋肉(赤い部分)を切り落とす。 +3. 薄皮を取る。 +4. 2つに割る。 +5. 身を少し斜めから包丁を入れて薄く引き、皿に盛り付ける。※もみじおろし、小ねぎなどお好みの薬味を加え、ポン酢で食べる。(分量外) + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_16_1.jpg)" +"# チキンチキンごぼう 山口県 + +**郷土料理名**: チキンチキンごぼう + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +全域 + +## 主な使用食材 +鶏肉、ごぼう + +## 歴史・由来・関連行事 +学校給食から県内全域に広まり、山口県民のソウルフードとなった料理。一口サイズの鶏の唐揚げと素揚げしたごぼうを甘辛いタレで絡めており、ご飯に合うと子ども達から人気だ。発祥は1995年頃のことで、小学校の栄養教諭が「給食のレシピがマネンリ化している」と、各家庭のオリジナル料理を募集。そこに寄せられたレシピを元に考案された。その時、リズムが良く子どもを引き付けるような「チキンチキンごぼう」という名称も生まれた。食材に関心持ってもらったり、アレルギーの子どもへの配慮もあり、使っている食材が分かりやすいネーミングになっているそう。味わいは、砂糖と醤油による甘辛いタレが決め手で、子どもはもちろん、大人にも愛される。カリッと揚げられた鶏肉は食べ応えがあり、ごぼうの風味と絶妙に合わさり、枝豆を入れることで彩りが良いのが魅力だ。給食を通して家庭に広まり、その後、街へ口コミで伝わった県民食のひとつであり、将来郷土料理となっていくものである。 + +## 食習の機会や時季 +家庭料理や給食、飲食店のメニューとして提供される。 + +## 飲食方法 +鶏肉は一口大に切り、塩こしょうで下味を付け、片栗粉をまぶしておく。ごぼうは皮をこそぎとり、5mm厚さのななめ切りにし、水にさらしておく。枝豆は茹でて水気を切っておく。鍋に砂糖、醤油、酒、みりんなどの調味料を合わせてひと煮立ちさせ、タレを作る。鶏肉とごぼうを油で揚げ、枝豆を加え、タレをからめる。ごぼうの代わりにレンコンを使って「チキンチキンれんこん」としたり、クジラ肉を使い「クジラクジラごぼう」、豚肉とレンコンで「トントンれんこん」などのアレンジ料理も派生しており、甘辛いタレの味付けは変えずに作られている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鶏もも肉(角切り): 320g +- ごぼう(3mm���さ斜め切り): 200g +- かたくり粉: 大さじ3 +- 揚げ油: 適量 +- だし汁または水: 1/2カップ +- 【A】酒: 大さじ2 +- 【A】砂糖: 大さじ1と1/2 +- 【A】しょうゆ: 大さじ1 +- 【A】みりん: 小さじ2 +- 枝豆: 30g + +## 作り方 +1. ごぼうは切って10分ぐらい水にさらし、あくを抜きをしておく。 +2. 鶏肉とごぼうにかたくり粉をまぶし、160~170℃の油で揚げる。 +3. 鍋にだし汁(または水)と【A】を入れて火にかける。枝豆を加えて軽く煮立ったら2を加えてからめる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山口市内の栄養教諭 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_17_1.jpg)" +"# ふぐの唐揚げ 山口県 + +**郷土料理名**: ふぐの唐揚げ + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +下関地域、萩地域 + +## 主な使用食材 +ふぐ + +## 歴史・由来・関連行事 +山口県の名産品といえば、真っ先に挙げられるのが冬の味覚“ふぐ”だ。ふぐは種類によって異なるものの、一般的に卵巣や肝臓に猛毒を持つ。都道県ごとに定められた、ふぐ調理師の免許を持つ者のみが捌くことが許されているが、好漁場が近く、ふぐ食の長い歴史がある山口県では、有毒部分と取り除く安全な身欠きの技や調理法が磨かれてきた。特に下関地域ではトラフグが有名で、関西では「てっさ」と呼ばれることもある「ふぐ刺し」や「てっちり」として知られる「ふぐ鍋」に使われる高級魚だ。また、萩地域では独特の歯ごたえと甘味を持つマフグがよく水揚げされる。また、シロサバフグなどの安価なものも水揚げされており、これは「ふぐの唐揚げ」にすることが多い。「ふぐの唐揚げ」は、調味料で下味をつけたふぐの身をさっと油で揚げた料理、サクサクとした衣の食感と、ふんわりとしたふぐの身の組み合わせが絶妙な逸品。家庭や居酒屋などではシロサバフグが用いられるが、「ふぐ刺し」や「ふぐ鍋」をメインとする料理屋ではトラフグを使用することが多い。 + +## 食習の機会や時季 +安価なシロサバフグを使用した「ふぐの唐揚げ」は、家庭や居酒屋で提供される日常的な料理。 + +## 飲食方法 +身欠きのシロサバフグに、醤油や酒、塩などで下味をつける。水気を切り、小麦粉、または片栗粉をまとわせて熱した油で揚げる。火が通ったら油からあげ、よく油を切ってから皿に盛り付ける。揚げるだけで作れるチルドや冷凍の商品なども販売されている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ふぐ(むき身)※必ずふぐ調理師の免許を持つ人が調理したふぐのむき身をご使用ください。: 200g +- 片栗粉: 適量 +- サラダ油: 適量 + +## 作り方 +1. ふぐのむき身をよく水洗いし、水気を拭き取る。 +2. ヒレを切り取り、一口大に切る。 +3. 片栗粉をまぶし、3~4分を目安に180℃の油で揚げて、火を通す。※お好みでレモン、塩、ポン酢などをかけて食べる + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_18_1.jpg)" +"# くじらの南蛮煮 山口県 + +**郷土料理名**: くじらの南蛮煮 + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +長門市、下関市 + +## 主な使用食材 +クジラ肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +フグ食文化が根付く山口県の下関は、クジラとの関わりも古く、クジラ骨の化石の出土などからもそのことが確認できているという。特に本格的な関わりが見られるようになったのは、江戸時代のことで、捕鯨ではなく、捕鯨をする鯨組への資金提供や資財の補給、流通と消費地としての役割を持っていた。対して長門は、全国的にも早い時期から捕鯨の歴史が始まり、寛文12年(1672年に)、最初に現在の仙崎浦の「鯨突き組」が長州藩に取り立てられたことがあったほど。クジラは秋から冬にかけて日本海を南下し、暖かい南の海で出産・子育てを行うが、この時期に漁は行われた。その規模は、「鯨鱗之霊」という碑の裏面の記載でもうかがい知れ、川尻地域だけでも1698年~1910年までの約200年間に2800余頭を捕獲したことが分かる。クジラの頭数が激減したことにより、1910年の捕鯨が最後となったが、人々に繁栄をもたらしたクジラは信仰の対象になった。捕らえたクジラのお腹の中には胎児がいることもあり、向元寺には墓を健立し弔われている。また、現在でも毎年法要が��まれている。捕鯨で栄えた地域では、クジラ肉は広く食されている。中でも「くじらの南蛮煮」は、赤身だけでなく、皮の部分も使い作られていた料理。味噌仕立てで煮込んだ、暖かく、栄養たっぷりの逸品だ。 + +## 食習の機会や時季 +クジラ肉が手に入ると作られた家庭料理のひとつ。また、大きなものを食べて良い年にしようという願いから、大晦日や節分などの節目の日に食べる風習もある。 + +## 飲食方法 +クジラ肉を、食べやすい大きさに切り、こんにゃくは一口大に手でちぎり茹でておく。さといも、ダイコン、ニンジンは一口大の乱切りにする。ゴボウもほかの野菜と同じように切り、酢水につけてアクをとっておく。干しシイタケは水につけてもどし、そぎ切りにする。鍋に油を熱し、千切りにしたショウガとクジラ肉を炒めて一旦取り出す。その後、こんにゃくと野菜をすべて入れて炒め、クジラ肉を加えて、出汁を注ぎ入れて煮る。沸とうしてきたら、みりん、酒、砂糖、醤油を加え、弱火で煮こむ。野菜がやわらかくなったら、種をとり小口切りにした赤唐辛子を、味噌と一緒に加えて、4~5分煮て、味をととのえる。家庭で作る場合、野菜はその時にあるものを使うことが多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鯨肉: 160g +- ごぼう(米のとぎ汁): 160g +- にんじん: 100g +- こんにゃく: 120g +- しょうが(薄切り、しょうが汁): 1かけ +- サラダ油: 大さじ1 +- 砂糖: 大さじ2弱 +- みそ: 80g +- だし汁: 材料がかぶる位 +- 油: 大さじ1 + +## 作り方 +1. ごぼうは皮をこそげて斜め切りにし米のとぎ汁でゆでる。こんにゃくは3つ割りにし小口切り塩もみしてサッとゆでる。にんじんは皮を取り、こんにゃく位に切る。鯨肉も同じように切る。 +2. しょうがは薄切りとしょうが汁を絞っておく。 +3. 厚手鍋を熱し油を入れしょうがの薄切りに焦げ目をつけて取り出し鯨肉を炒め野菜を加えさらに炒める。だし汁を材料がかぶる位に入れて煮る。 +4. 砂糖を入れて煮、次にみそを加え中火で煮る。最後にしょうが汁を加え、酒を入れ炒りつける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 萩元気食の会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_19_1.jpg)" +"# わかめの醤油漬け 山口県 + +**郷土料理名**: わかめの醤油漬け + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +萩市 + +## 主な使用食材 +ワカメ + +## 歴史・由来・関連行事 +海を有する全国の都道府県で養殖されているワカメ。山口県は、全国11位の水揚げ量で、萩市や長門市でよく獲れる(農林水産省平成29年「海面漁業生産統計調査」)。中でも萩市では、わかめが早春にとれ、萩湾には、“瀬”や“グリ”と呼ばれる海底の岩礁があり、平坦な砂地の海底から海水の流れがぶつかることにより流れが乱れ、栄養たっぷりの砂や泥が巻き上げられるとされている。その栄養と太陽光によってプランクトンがよく育ち、ワカメなどの海藻も良く育つのだ。また、広い海を泳ぎまわるアジなどの回遊魚も集まり、ウニやサザエなどの住処にもなっている。ワカメをはじめとする海藻は加工品としても用いられており、海苔は板海苔に、ワカメは干しワカメなどに加工。そのワカメを刻んでおにぎりにまぶした「わかめむすび」は有名だ。また、ワカメは家庭でご飯のおかずに調理されており、「わかめの醤油漬け」もそのひとつ。醤油でもみ込みアクを取り除き、生で食べる料理で、保存食としても重宝されている。 + +## 食習の機会や時季 +家庭料理として、日々の食卓に並ぶ。 + +## 飲食方法 +生のワカメはよく洗う。塩蔵のワカメの場合は、水でよく塩抜きをしておく。ワカメに醤油を適量もみ込み、アクを取り除く。そのままご飯のおともにしたり、酒のつまみとしていただく。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 生わかめ: 200g +- しょうゆ: 80ml +- みりん: 少々 +- 酒: 少々 + +## 作り方 +1. 生わかめにしょうゆ40mlをふりかけ、よく混ぜる。 +2. しばらくして泡が消えたらよくしぼり、1をもう一度繰り返してしぼる。 +3. わかめを2cmくらいに切り、好みでみりん、酒を加えてまぜる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 萩元気食の会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_20_1.jpg)" +"# ぐべ汁 山口県 + +**郷土料理名**: ぐべ汁 + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +萩市 + +## 主な使用食材 +ぐべ + +## 歴史・由来・関連行事 +山口県の萩港から北へ約45km離れた場所に位置する見島は、人口が1000人にも満たない小さな島。本土から離れてポツンと浮かぶこの島は、渡り鳥の中継地点になっており、バードウオッチングの聖地としても有名だ。かつては大陸との交易の要衝であり、防人が置かれた島として独自の文化が残っている。また、対馬暖流の影響によって多彩な魚介類が水揚げされ、海の幸を用いた郷土料理も魅力だ。そのひとつが「ぐべ汁」で、濃厚な磯の風味が堪能できる貝を使った味噌汁。「ぐべ」とは、沿岸部の磯や港の防波堤に付着している直径2~3cmほどのカサガイの仲間のことで、貝殻の形が傘に似ていることから「嫁の皿(ヨメガカサ)」と呼ばれることもある。また、大井・越ヶ浜・須佐では「べべ」と呼ばれることから、「べべ汁」として親しまれている。見島では、漁師の家庭ではもちろんのこと、沿岸部に近い農村でも昔から食される郷土料理だ。本来はぐべを出汁と具として調理した味噌仕立ての汁物だが、ぐべが貴重品になっている昨今ではカメノテやニイナなどの別の貝を加えて作ることもある。 + +## 食習の機会や時季 +家庭料理として食される料理で、見島の宿の朝食では必ず大きな椀に山盛りに入った「ぐべ汁」が提供される。 + +## 飲食方法 +ぐべは水でよく洗う。水を沸騰させて、その中にぐべを入れ、少し煮立たせる。白味噌などの味噌を入れて味を整え、塩気が足りなければ少し塩を入れても良い。最後にワカメを入れて器に盛りつける。ワカメを入れずに、ぐべのみで作ることも多い。また、カメノテやニイナと呼ばれる小型の巻貝を混ぜて作ることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 【ぐべ(貝)】ヨメガカサ: 250g +- 【ぐべ(貝)】カメノテ: 250g +- 【ぐべ(貝)】ニイナ貝: 250g +- みそ: このみで入れる +- 水: 640ml(一人分160ml) +- わかめ: 少々 +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. ぐべ(貝)を水でよく洗う。 +2. 水640mlを沸騰させて、その中にぐベ(貝)を入れる。 +3. 少し煮立たせて、みそを入れて味を整える。(塩を少し入れてもよい) +4. 最後にわかめを入れ器によそう。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 萩元気食の会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_21_1.jpg)" +"# お嫁さん団子汁 山口県 + +**郷土料理名**: お嫁さん団子汁 + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +田布施町 + +## 主な使用食材 +小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +練った小麦粉の生地を入れた汁物は、「すいとん」や「団子汁」として、全国に伝わっている郷土料理。山口県では、県東南部の瀬戸内海に面した熊毛郡田布施町に「お嫁さん団子汁(おごうさんだんごじる)」が伝わる。この地域ではお嫁さんのことを“おごうさん”と呼び、お産をしたお嫁さんに食べさせる料理として作られた。「団子汁によって母乳がたくさん出て、子どもが健康に育ちますように」という願いが込められていたそうで、地域によっては、男の子は繭の形、女の子は丸の形というように、生まれた子どもの性別によって団子の形を変える風習がある。各地の「すいとん」や「団子汁」と異なる点は、煮立てた汁に直接団子を入れるのではなく、あらかじめ団子を作っておくこと。小麦粉をこねて丸めたら茹で、冷水にさらして団子を作ってから、野菜をたくさん加えた汁に合わせる。また、田布施町では白味噌を使い、優しい風味に仕上げている。 + +## 食習の機会や時季 +出産をした女性の母乳がよく出るように食す料理。 + +## 飲食方法 +団子の粉に少しずつ水を加え、耳たぶの固さになるまでこねて一口大に丸める。鍋にたっぷりの水を入れて沸騰させ、団子を茹でた後、団子を冷水にさらしておく。サトイモは、皮をむいてから塩水につけてぬめりをとり、乱切りにする。ニンジン、ダイコン、ゴボウ、水で戻した干しシイタケも乱切りにする。鍋にいりこだしと野菜を加え、火が通るまで煮る。煮えたら冷水にさらしておいた団子を入れ、ひと煮立ちしたら味噌を溶き入れる。最後に茹でたキヌサヤを���らす。風味を逃さないように、味噌を加えた後は煮立たせないことがポイント。また、サトイモのぬめり取りはさっと茹でて行っても良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- もち米粉: 100g +- 豚肉: 150g +- ゴボウ: 40g +- ニンジン: 60g +- ダイコン: 80g +- 玉ねぎ: 80g +- 干しシイタケ: 10g +- 青ねぎ: 1/2本 +- サラダ油: 大さじ1 +- みそ: 大さじ3~4 +- だし汁: 4カップ + +## 作り方 +1. 団子を作る。もち米粉は、少しずつ水を加えながら耳たぶのかたさになるまでにこねて、一口大に丸める。 +2. 鍋にたっぷりの水を入れて沸騰させ、1.をゆでたあと、冷水にさらしておく。 +3. 豚肉や野菜は食べやすい大きさに切る。干しシイタケは水で戻していしづきを取り、薄切りにする。 +4. 鍋にサラダ油を熱し、豚肉を炒める。火が通ったら、ゴボウ、ニンジン、ダイコン、玉ねぎ、水で戻した干しシイタケの順に加え、照りが出るまで炒める。 +5. 4にだし汁を加え、煮えたら2の団子を加える。一煮立ちしたら火を止めて、みそを溶き入れる。最後に小口切りにした青ねぎを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山口県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_22_1.jpg)" +"# はすいもの酢の物 山口県 + +**郷土料理名**: はすいもの酢の物 + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +萩市 + +## 主な使用食材 +はすいも + +## 歴史・由来・関連行事 +東南アジアの熱帯に広く生息するはすいも。日本国内では、高知県や徳島県、沖縄県などで育てられており、レンコンのように小さな穴があいている葉柄の部分が食用にされている。食物繊維やビタミンが豊富に含まれており、炒め物や味噌汁、サラダなどその調理方法はさまざまだが、山口県萩市では酢の物にして食されている。同じく夏に旬を迎えるアジと合わせ酢で和える「はすいもの酢の物」は、はすいもを生で使用することによって生まれた、シャリシャリとした食感が清涼感のある料理。夏になるとスーパーで手に入るほどポピュラーな食材で、夏季の家庭料理として親しまれている。萩市の「はすいもの酢の物」でよく使われるアジも、萩市の名産品のひとつ。萩沖の瀬はアジにとって良質な餌が多く、脂のりが抜群。ブランドの「瀬つきあじ」というマアジもあるほどだ。マアジは漁獲量が全国7位でもある(平成23年 農林水産省「海面漁業生産統計」)。 + +## 食習の機会や時季 +旬を迎えるはすいもとアジを使用した、清涼感のある逸品で、夏の家庭料理として親しまれている。 + +## 飲食方法 +はすいもは皮をとり、薄く切ってから水にさらし、アク抜きをしておく。アジは焼いてから身をほぐし、骨を取り除く。アク抜きをしたはすいもの水気を切り、アジの身とともに、醤油や酢、みりん、砂糖などを合わせた調味料で和える。仕上げに細ねぎの小口切りを飾って完成。具材と調味料を和える時は、食べる直前に行うと水っぽくならず美味に。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- はすいも: 250g +- アジ: 120g +- 細ねぎ: 少々 +- 【合わせ酢】酢: 大さじ2~3 +- 【合わせ酢】塩: 大さじ1/3 +- 【合わせ酢】しょうゆ: 大さじ1~1 1/2 +- 【合わせ酢】砂糖: 小さじ2~大さじ1 + +## 作り方 +1. はすいもは皮をとり薄く切り水にさらしアク抜きをする。 +2. アジは焼いてほぐし骨を取り除く。 +3. はすいもの水気を切り、アジの身と共に合わせ酢であえる。細ねぎの小口切りを天盛りとする。※食べる直前にあえたほうが水っぽくならない。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 萩元気食の会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_23_1.jpg)" +"# うに飯 山口県 + +**郷土料理名**: うに飯 + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +萩市 + +## 主な使用食材 +ウニ + +## 歴史・由来・関連行事 +海産物の宝庫である山口県萩沿岸の地域。甘みが強く濃厚な味わいが特徴のトゲのある生物・ウニもよく獲れ、全国7位の生産量を誇る(平成28年農林水産省「海面漁業生産統計調査」)。ムラサキウニやバフンウニなどが水揚げされ、特に春先から夏にかけて漁獲されるのはアカウニ。ウニの餌となる海藻が豊富な萩沖で水揚げされる物は、甘さと香り、コクのどれをとっても最高の品���である。その分、高価な食品で、普段はめったに食卓に上らない。しかし、大切な客人をもてなす際は「うに飯」として振舞っていたという。「うに飯」は、ご飯の上に生のウニをのせた「うに丼」とは異なる料理で、ウニと米を一緒に炊く炊き込みご飯。磯の香りが広がり、しっかりとしたコクや甘みが感じられる逸品だ。 + +## 食習の機会や時季 +客人をもてなすために振舞われた料理。 + +## 飲食方法 +米をといで、水に30分~1時間ほど浸水させる。浸水させておいた米の水気をよく切ったらご飯釜に入れ、新しい水、塩(またはしょうゆ)、酒を入れてよく混ぜ、その上にうにをのせる。蓋をしたら中火~強火にかけ、湯気が勢いよく上がってくるまで沸騰させ、そのまま約2分待つ。火を消して、そのまま20分おく。ご飯が炊き上がったら刻んだ三つ葉を加えてざっくりと混ぜる。茶碗に盛り付け、刻み海苔をのせて完成。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 生ウニ(ムラサキウニもしくはアカウニ): 10g +- 白米: 1合 +- 日本酒: 小さじ1 +- しょうゆ: 大さじ1弱 +- 昆布: 0.5g + +## 作り方 +1. こぶを敷いた釜によく洗った米を入れ、普通のご飯を炊くときよりも少なめの水、それに日本酒としょうゆを適量加える。(水で戻して細切りにしたしいたけを加える場合もある。) +2. 火にかけて沸騰する直前に米の1割程度の生ウニを入れ、炊きあがったらよくかき混ぜる※具の増量のために細かく切ったさざえの身を混ぜたりすることもあります。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 萩元気食の会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_24_1.jpg)" +"# 外郎 山口県 + +**郷土料理名**: 外郎 + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +山口市 + +## 主な使用食材 +ワラビ粉、あんこ + +## 歴史・由来・関連行事 +名古屋をはじめ、京都や小田原などが産地として知られる「外郎」。特に、戦後の物資不足の中で原料調達に奔走し、和菓子作りに取り組み、全国に向けて販売していた名古屋が有名だ。そんな「外郎」は、山口県も産地として知られている。名古屋の外郎は米粉と砂糖を主原料に蒸して仕上げるお菓子で、もっちりとした食感とずっしりとした重量感が魅力。しかし、山口県の「外郎」は、ワラビ粉を使うことでブルブルとした弾力と、モチモチとした食感が生まれている。また、地元では「おっとり」と表現される、独特のなめらかさも特徴的だ。室町時代から親しまれてきたと伝えられ、古くから山口県で愛されている伝統の銘菓だ。日々のお茶菓子として親しまれているものだが、上品な甘さと独特の風味が珍重され、お土産や引き出物などの贈答品としても利用されている。専門店や和菓子店によっては、抹茶や小豆、栗、ゆずなどを加えた物も販売されている。 + +## 食習の機会や時季 +日常のお茶菓子としてはもちろん、お土産や贈答品、引き出物としても重宝されている。 + +## 飲食方法 +水に蜜とあんこを溶いておく。小麦粉とワラビ粉を混ぜ、そこに溶いたあんこを半量加え、よく混ぜる。粉っぽさがなくなったら残りのあんこを加え、さらによく混ぜる。こし器で混ぜた生地をこす。型に流し込み、茹で小豆や茹で栗などを加える。蒸して固めたら、常温で粗熱を取る。冷蔵庫などで急激に冷やすとかたくなるので注意が必要。また、家庭で作る場合は、電子レンジで蒸して仕上げてもよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- わらび粉: 20g +- 砂糖: 大さじ1 +- 水: 大さじ4 +- ねりあん(市販品): 60g + +## 作り方 +1. 蒸し器に水を入れ、沸かしておく。 +2. わらび粉と砂糖をボウルに入れ、水を少しずつ加えながら泡だて器でよく混ぜる。 +3. 2にねりあん(市販品)を加え、よく混ぜる。 +4. 型(流し缶)に3を入れ、蒸し器で15分蒸す。 +5. 蒸しあがったら、型から出して人数分に分ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 山口市内の栄養教諭 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_25_1.jpg)" +"# かぶ雑煮 山口県 + +**郷土料理名**: かぶ雑煮 + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +餅、かぶ + +## 歴史・由来・関連行事 +お正月料理として欠かせないお雑煮は、地域色が強く、また各家庭により材料や作り方も異なるもの。例えば、富山県、岐阜県、愛知県を境に東日本は角餅を焼いて使うことが多く、西日本は丸餅を煮ることが多い傾向にある。また、東日本ではすまし汁仕立てが多いが、京都府や奈良県、香川県などは白味噌で味付け。沖縄県ではお雑煮を食べる習慣はない、などさまざま。山口県内でも地域や家庭によって違いがあるものの、基本的には丸餅を醤油のすまし汁仕立てにするお雑煮がポピュラーだ。萩市などを中心に県内全域で食される「かぶ雑煮」は、丸餅とカブ、三ツ葉を具材にしたシンプルな郷土料理。焼かずに餅を入れるため、すまし汁に少しとろみがつくのが特徴だ。細く切ったするめを軽く結んで入れると、香りと見た目が良くなる。最近ではその習慣は減ったものの、萩地域では餅つきは男性の役目であった。年末は、家庭の男性がもち米を蒸し、臼と杵で餅つきを行い、女性が大掃除やお正月料理を用意する。そのお餅は神仏に供えられ、またお雑煮としてお正月の食卓を彩った。 + +## 食習の機会や時季 +お正月料理として食されている。 + +## 飲食方法 +水に煮干しを入れて弱火で10分煮て、出汁をとっておく。かぶは大きめのいちょう切りにし、昆布、するめは千切りにしておく。かぶとするめを煮干しの出汁に加え、材料がやわらかくなるまで煮てから、醤油で味をととのえる。丸餅を加え、やわらかくなるまで煮る。この時、出汁を煮立たせると餅が溶けるので注意する。椀に盛り、三ツ葉をあしらう。阿武町ではかぶの葉も入れることがある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 丸餅: 4コ +- かぶ: 60g +- 昆布: 10g +- するめ: 10g +- 三ツ葉: 少々 +- だし汁: 4カップ +- 煮干し: 8尾 +- しょうゆ: 小さじ2~3 +- 酒: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 分量の水に煮干しを入れ、弱火で10分煮、だしをとっておく。 +2. かぶは大きくいちょう切りにし昆布、するめは千切りにしておく。 +3. かぶとするめをだし汁に加え、材料が柔らかく煮えてからしょうゆで味をつける。 +4. 丸餅が柔らかくなるまで煮る。(おもちが溶けないよう、煮立たせない。) +5. 雑煮を椀に盛り、三ツ葉をあしらう。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 萩元気食の会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_26_1.jpg)" +"# くじらの竜田揚げ 山口県 + +**郷土料理名**: くじらの竜田揚げ + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +全域 + +## 主な使用食材 +クジラ肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +中国地方の北側に面する山陰地方では、「大きなものを食べて大きく年をとる」「大きなものを食べて邪鬼を払う」との願いを込め、節分にクジラを食べる風習がある。中でも山口県は、クジラとの関わりが古くからある。特に長門は捕鯨の歴史が古く、明治43年(1910年)に漁が終わるまではクジラで栄えた街。今でも人々に繁栄をもたらしたクジラを信仰し、毎年法要が行われている。また、下関は江戸時代、北前船の寄港地だった下関は、長門や萩で捕獲された鯨の肉、油などを下関の問屋を通じて、九州、北陸、関西に送る「流通基地」としての役割を担ってきた。本格的な関わりは、海上交易が盛んになった江戸時代のこと。捕鯨ではなく、捕鯨をする鯨組への資金提供や資財の補給、流通の役割を担っていた。また、消費地でもあったため、クジラの食文化が根付いている。1958年にあった大洋漁業の鯨の直営レストラン「日新」には、クジラ料理が25種類もあったという。そんなクジラ料理で全国的にも有名なメニューが「くじらの竜田揚げ」ではないだろうか。戦後の学校給食で広く利用されたおかずで、「給食界のチャンピオン」と言われた献立だ。赤肉に下味を漬けてからからりと揚げた料理で、噛むほどに味わい深いメニュー。下関では飲食店でも愛されている逸品だ。 + +## 食習の機会や時季 +山口県では、スーパーでもクジラ肉が購入できるため、日常的な家庭料理として食されている。また、節分に食べる習慣がある地域もある。 + +## 飲食方法 +クジラ肉は5mmほどの厚さに切り分け、醤油やみりん、砂糖、ショウガ汁を合わせた調味料に約30分漬けて、下味をつけておく。下味がついたら肉の汁気をよく切り、片栗粉を薄くまぶす。170℃に熱した油で3分ほど、こんがり揚げる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- くじら赤身肉: 250g +- 【A】醤油: 大さじ2 +- 【A】みりん: 大さじ1 +- 【A】砂糖: 小さじ1/2 +- 【A】しょうがの絞り汁: 大さじ1/2 +- 片栗粉: 適量 +- 揚げ油: 適量 + +## 作り方 +1. くじら肉は5mm程度の厚さに切り、【A】と混ぜ合わせて、冷蔵庫で30分を目安に味を漬け込む。 +2. 1の汁気をクッキングシートなどで拭き取り、片栗粉を薄くまぶす +3. 時間をあけずに170℃の油で、3分を目安にカラッと揚げる。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_27_1.jpg)" +"# 夏みかん菓子 山口県 + +**郷土料理名**: 夏みかん菓子 + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +萩市 + +## 主な使用食材 +夏みかん + +## 歴史・由来・関連行事 +都道府県を代表する郷土の花を選定する県花。山口県は、長門市大日比が原産の夏みかんが選ばれている。夏みかんは、5月に甘酸っぱい香り漂う白い花を咲かせ、その後だいだいと呼ばれる黄色い実をつけ、実は食用としても親しまれている。特に萩市では、5月上旬に収穫を行い、ゼリーやジュース、ジャムなどに加工したお土産が販売される。萩に夏みかんがもたらされたのは文化年間の初頭のことで、ゆずの代用として使われていた。長州藩の政治経済の中心地として栄えた城下町であったが、文久3年(1863年)に萩から山口に藩庁が移ったことで、萩の町民は経済的に困窮したという。さらに、士族の給禄奉還も武士の苦境に追い討ちをかけたのだった。そんな萩の人々を救うため、新政府の要職を歴任した小幡高政が立ち上がり、廃屋同然となった侍屋敷に夏みかんの種を蒔き、苗木を士族たちに配ったという。それにより、萩の街全体で夏みかん畑が広がり、今日の名産品となった。萩では、ひとつの木に新旧の実がなることから「代々(だいだい)」と呼ばれている。「だいだい菓子」はそんな、夏みかんの皮までも大切に使ったおやつ。甘いものが少なかった時代には特に重宝され、現在も多くの家庭で作られている。 + +## 食習の機会や時季 +家庭で簡単に作れるおやつとして、夏みかんが収穫される4~6月に作られるお菓子。 + +## 飲食方法 +ピーラーで夏みかんの表皮を薄く削る。削った皮を4つ割にして、1cmくらいの幅に切り分ける。たっぷりのお湯に夏みかんの皮を入れ、落とし蓋をしてやわらかくなるまで2~3回差し水をしながら茹でる。やわらかくなったら水を変えて、一晩水にさらす。水切りをした皮と、皮の重さと同量か8割ほどの砂糖を用意する。砂糖は1/3の量を鍋に入れ、弱火で煮詰める。その後、残りの砂糖を2回に分けて鍋に入れ、みかんの白い部分が透き通ってくるまで弱火で煮詰める。煮詰めた夏みかんの皮をざるにとって蜜を落とす。ざるにあげうちわで扇いで冷まし、粗熱が取れたらグラニュー糖をまぶす。余分なグラニュー糖はざるを振って落とし、紙の上にきれいに伸ばして並べて、扇風機で乾かす。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- 夏みかんの皮: 適量 +- 砂糖: 夏みかんの皮の重さと同量又は8割 +- グラニュー糖: 適量(仕上げにまぶす程度) + +## 作り方 +1. ピーラーで表皮を薄く削る。 +2. 削った皮を4つ割にして、1cm幅位に切り分ける。 +3. 切り分けた皮を、落としぶたをしてたっぷりのお湯で柔らかくなるまで2~3回差し水をしながら茹でる。皮が手で切れるようになったら、水につけて冷ます。 +4. 1回水を変えて、一晩水にさらす。 +5. 水切りをして分量を量る。皮の重さと同量か8割の砂糖を3回に分けて鍋に入れ、みかんの白い部分が透き通ってくるまで弱火で煮詰める。 +6. 煮詰めた夏みかんの皮をざるにとって蜜を落とす。 +7. うちわで扇いで冷ます。ある程度冷めたらグラニュー糖をまぶす。余分なグラニュー糖はざるを振って落とす。 +8. 紙を敷き、その上にきれいに伸ばして並べ、扇風機で乾かす。 +9. 乾いたら完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 萩元気食の会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_28_1.jpg)" +"# 筍の味噌煮 山口県 + +**郷土料理名**: 筍の味噌煮 + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +全域 + +## 主��使用食材 +タケノコ + +## 歴史・由来・関連行事 +春の訪れを感じさせるタケノコは、3月~5月が旬。成長が早くすぐに竹になってしまうため、生タケノコは限られた期間のみに楽しめる希少な春の味覚。とはいえ、水煮などの保存がきく状態で通年出回っており、日本の食卓でも馴染み深い食材だ。福岡県や鹿児島県などの西日本が生産量が多く(農林水産量「令和元年特用林産基礎資料」)、山口県では岩国の名産としてタケノコがあげられる。ワカメと合わせた土佐煮や炒め物、「筍の味噌煮」などとして食べられている。 + +## 食習の機会や時季 +家庭料理として食されている。特に春を告げる逸品として、タケノコの旬に食される。 + +## 飲食方法 +水煮のタケノコは大きめの乱切りにしておく。フライパンにサラダ油を熱して、ツヤが良くなるまでタケノコを炒める。水を加えてひと煮立ちさせたら、あらかじめ合わせておいた味噌や砂糖、醤油、酒などを加えてさらに煮る。汁気がなくなるまで煮込み、皿に盛り付ける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 筍: 1本(400g) +- 米ぬか※なければ米の研ぎ汁や生米を1つかみ入れてもよい。米ぬかは無人精米所で無料で貰える。スーパー等では筍に米ぬかが付いて売られていることもある。: 1つかみ +- 唐辛子: 1本 +- 麦みそ: 大さじ2 +- 酒: 大さじ2 +- しょうゆ: 小さじ1 +- だし汁: 1カップ +- 木の芽: 適量 + +## 作り方 +1. 筍の先端を斜めに切り落とし、切り落とした部分から皮の部分に1本切込みを入れる。 +2. 大きな鍋に筍を入れ、水をたっぷり入れ、米ぬかと半分に折った唐辛子を種ごと入れ、強火で茹でる。 +3. 沸騰してから1時間沸騰した状態を保ち、火を止める。 +4. そのまま1晩冷ます。 +5. 翌朝、筍の皮を剥き、すぐに使わない場合は、水に浸けて冷蔵庫で保存する。毎日、水を替えれば、3日ほどもつ。 +6. 茹でた筍の柔らかい先端部分はくし形切り、他の部分は半月切りにする。 +7. 鍋に筍と調味料を入れ、火にかけ、味噌を溶かして、煮汁が少なくなるまで煮る。 +8. 器に盛り、木の芽を添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 森永 八江 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_29_1.jpg)" +"# 瓦そば 山口県 + +**郷土料理名**: 瓦そば + +**都道府県**: 山口県 + +## 主な伝承地域 +川棚温泉 + +## 主な使用食材 +茶そば、牛肉、卵 + +## 歴史・由来・関連行事 +山口県を代表するソウルフードで、全国的にも知られている「瓦そば」。熱々の瓦の上に茶そばや錦糸卵、牛肉などをのせて提供する料理で、麺つゆでいただく。レモンともみじおろしが添えられることが多く、味の変化も楽しめる料理だ。「瓦そば」が生まれたのは、昭和36年(1961年)のこと。現在は「瓦そば」の専門店を営むお店が旅館業をしていた当時、「何か川棚温泉に名物を」と考え考案したという。ヒントになったのは、西南戦争のときに、熊本で薩摩兵が肉や野草を瓦で焼いて食べたという、古老から聞いた話。また、川棚温泉では、江戸時代に湯治場として栄え時に、治安を守るため、特別に“瓦”を庶民が使うことが許されたこともあり、瓦は生活に欠かせないものであった。そして、瓦の上で色んなものを焼いて食べたというエピソードもあり、「瓦そば」が生まれたという。「瓦そば」発祥の旅館の廃業に伴い、一度は消えた「瓦そば」だったが、「もう一度食べたい」という客の声で、専門店が開業し、他の旅館や飲食店でも提供するようになったという。歴史は浅い料理ではあるが、山口県の未来に残り、郷土料理になっていくことが期待できる。 + +## 食習の機会や時季 +ホットプレートで手軽に作れ、見栄えもよいため、家庭に人が集まった時に食されることが多い。 + +## 飲食方法 +瓦は油を塗って直火にかけて、熱する。茹でた茶そばを鉄板で焼いてから瓦に乗せる。炒めておいた牛肉と錦糸卵、小口切りにした小ネギをのせ、その上にちぎった海苔をふりかける。さらに、輪切りにしたレモンの上にもみじおろしをのせて、麺つゆを添えて提供する。家庭で作る時はフライパンやホットプレートを使って作ると良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 茶そば: 4袋(170g×4) +- 【茶そば用】油: 大さじ1 +- 牛肉切り落とし: 200g +- 【牛肉用】油: 大さじ1 +- 【牛肉用】酒: 大さじ2 +- 【牛肉用】砂糖: 大さじ2 +- 【牛肉用】醤油: 大さじ2 +- 【つけ汁】混合だし(かつお節・昆布): 240cc +- 【つけ汁】醤油: 大さじ3・1/3 +- 【つけ汁】みりん: 大さじ3・1/3 +- 錦糸卵: 適量 +- 青ネギ: 40g +- もみじおろし: 適量 +- レモン: 輪切り2~4枚 +- 刻みのり: 適量 + +## 作り方 +1. 沸騰させた混合だしに醤油とみりんを加え、ひと煮立ちさせ、アルコールを飛ばす。 +2. ホットプレートを温め油を引き、牛肉を炒める。牛肉の赤い色がなくなったら、酒、砂糖、醤油を入れ、煮汁がなくなるまで煮て取り出しておく。 +3. 茶そばを基準の茹で時間よりも1分程度短めに茹でて、ざるにあげ、水気を切っておく +4. ホットプレートを掃除し、油を引き、茶そばをほぐし炒める。全体が温まったら、触らずカリッとしたところを作る。 +5. 4に錦糸卵、牛肉、青ネギ、刻みのりを盛り付ける。レモンの輪切りの上に、もみじおろしを円錐形にし、盛り付ける。 +6. つけ汁を温め、つけ汁につけて、いただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 森永 八江 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_30_1.jpg)" +"# そば米雑炊/そば米汁 徳島県 + +**郷土料理名**: そば米雑炊/そば米汁 + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +三好市祖谷地域、県内全域 + +## 主な使用食材 +そば米 + +## 歴史・由来・関連行事 +昔、徳島の祖谷(いや)地方は山々に囲まれており、米が育ちにくい気候とされていた。その祖谷地方に源平合戦で負けてしまった平家がやってきた際に、米の代わりとなり、なおかつ栽培期間が短いそばの実を育て、そばを作ることが定着したと言われている。「そば米雑炊(そば米汁)」はそんなそば文化から生まれた郷土料理。通常、そばの実を粉にしてそばを作るが、そば米雑炊ではそばの実をそのまま塩ゆでして殻をむき、乾燥させる。これを「そば米」として、野菜や肉とともにだしで煮込み、雑炊に仕上げる。 そばはたんぱく質やミネラル、食物繊維も多く含まれており、単体で栄養価値が高い。そこに野菜や肉をたっぷり加えて作る雑炊は栄養バランスのとれた一品となっており、今もなお県民に親しまれ続けている。 + +## 食習の機会や時季 +祖谷にやってきた平家の人々は、このそば米雑炊を正月に作って食べたと言われている。また、当時加える具材は野菜や山菜などが一般的であったが、山鳥を入れ、ご馳走として食べることもあったとされている。ちなみにそばの実を粉にせず、そのまま食べる文化は珍しいが、徳島ではなじみのある食べ方。県内ではスーパーなどで気軽に購入できるのだという。 + +## 飲食方法 +そば米はゆでるとふくらみ、4倍以上の大きさになる。このそば米が雑炊の主食になるため、たっぷりと用意する。別にだし汁に鶏肉やこんにゃく、にんじん、干ししいたけなどを入れて煮込み、しょうゆなどで味付け後、ゆでておいたそば米を入れて完成。具材はほかにも、大根やちくわなどを入れるほか、だしは干ししいたけや鶏がら、昆布、かつお節など多様なものを使う。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- そば米: 120g +- 鶏もも肉: 100g +- 酒: 大さじ1強 +- ちくわ: 1本 +- にんじん: 1/4本 +- 干ししいたけ: 2枚 +- こんにゃく: 1/3丁 +- 青ねぎ: 2本 +- 【出汁】水: 4カップ +- 【出汁】にぼし: 12尾 +- 【出汁】しいたけの戻し汁: 適量 +- 薄口しょうゆ: 大さじ3 +- みりん: 大さじ1/2 + +## 作り方 +1. そば米はたっぷりの水(そば米の8倍の水)で中火にて10~15分程ゆで、水洗いしてザルにあげておく(4倍の重さになる)。 +2. にぼしをだし袋に入れ、前日より鍋で水につけておく。干ししいたけはぬるま湯で戻し細切りにし、戻し汁を鍋に加え火にかけ、沸騰後2~3分したらにぼしを取り出す。 +3. 鶏もも肉は皮を除き、1cm角に切り、酒をふりかけてもんでおく。 +4. 2に鶏もも肉、いちょう切りのにんじん、2cmの短冊切りにしたこんにゃく(塩もみして洗っておく)、縦半分に切り薄切りにしたちくわ、干ししいたけを入れて中火で10分煮る。薄口しょうゆ、みりんで味を付け、最後にゆでたそば米を入れ、小口切りにした青ねぎをあしらう。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「とくしまの郷土料理」(徳島県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_1_1.jpg)" +"# ボウゼの姿寿司 徳島県 + +**郷土料理名**: ボウゼの姿寿司 + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +南部、県内全域 + +## 主な使用食材 +ボウゼ + +## 歴史・由来・関連行事 +秋祭りの時季、徳島ではさまざまな魚をそのままの形で残して寿司にする「姿寿司」がよく食べられている。すし飯を、背開きにした魚で包み作る行事食だ。使う魚はアジやコノシロのほか、昔は高級魚として扱われていた「ボウゼ」が主に活用されていた。ボウゼとは徳島の方言による名前で、イボダイやウボゼ、シズなどと呼ばれ、夏から秋にかけて取れる白身の魚。ボウゼ自体は焼き物や煮魚、開きなどにして全国で食べられているが、姿寿司として食べるのは新鮮なボウゼが手に入りやすい環境にある徳島県ならでは。新鮮であるほど身が引き締まっているために、姿寿司として調理しやすいのだという。ただし、現在はボウゼの漁獲量そのものが減少傾向であり、サバやサンマで作られることも増えてきている。 + +## 食習の機会や時季 +秋祭りには赤飯やかきまぜ寿司、お吸い物、甘酒、そしてこのボウゼの姿寿司が供される。ボウゼの形を残したままの姿寿司として振る舞われるほかにも、切り身にして塩、酢に漬けたものをすし飯とともに握る「ボウゼのにぎり」として食べられることも。 + +## 飲食方法 +ボウゼを背開きし、骨やえら、目玉、血合いなどを取り除いて塩を振り、30分~1時間おく。その後酢に漬けてまた1時間ほどおき、すし飯をボウゼの大きさに合わせて握ってボウゼで包み、押し寿司に仕上げる。すし飯にはすだちやゆずのような香り高いものを使うこともあり、さわやかな風味が際立つ。また、仕上げの重しで押す時間は、一日以上と長めにしておくと、より味がなじむのだという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ボウゼ: 8尾 +- 塩: 小さじ2~3 +- 酢: カップ1・1/2 +- 米: 300g(2合) +- 水: カップ1・2/3 +- 【合わせ酢】上白糖: 大さじ3 +- 【合わせ酢】酢: 大さじ1・1/3 +- 【合わせ酢】ゆず酢: 大さじ1・1/3 +- 【合わせ酢】食塩: 小さじ1弱 +- 【合わせ酢】うま味調味料: 少々 +- 練りわさび: 4g +- 甘酢しょうが: 適量または30g +- すだち: 2個 + +## 作り方 +1. ボウゼはウロコを取り、頭を左に向ける。 +2. 背開きして頭まで開く。腹骨は無理に取らなくても酢でやわらかくなるが、気になる場合は除く。 +3. 頭を右にして、中骨に沿って切り開く。 +4. 中骨を切り取る。背びれ、胸びれ、尾びれは、取ると形が崩れるので残す。 +5. えら・目玉を除き、血合いも除いて流水できれいに洗う。 +6. 塩を振って、30分~1時間おく(一晩寝かすとさらにおいしい)。 +7. 6のボウゼを、酢を水で薄めた酢水で洗い、魚がつかるくらいの酢に、30分~1時間浸ける。(好みで酢に砂糖を入れてもよい) +8. 7のボウゼをザルにあげ酢を切っておく。 +9. 米は洗ってザルにあげる。炊飯器に入れ水を加えて夏場で30分、冬場で1時間十分吸水させてから炊く。 +10. ご飯を炊き、【合わせ酢】を作りご飯に混ぜて冷ましておく。 +11. すし飯を8等分してボウゼの大きさに握り、形を整える。(好みでわさびをつける)ボウゼですし飯を包み込み上から軽く重しをして押し寿司にする。輪切りにしたすだちをのせ、甘酢しょうがを添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「とくしまの郷土料理」(徳島県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_2_1.jpg)" +"# 祖谷のでこまわし 徳島県 + +**郷土料理名**: 祖谷のでこまわし + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +三好市祖谷地方 + +## 主な使用食材 +じゃがいも、こんにゃく、豆腐など + +## 歴史・由来・関連行事 +一口サイズのじゃがいも、そば団子、岩豆腐、丸こんにゃくを串に刺して味噌だれをつけて焼く「でこまわし」は、三好市祖谷地方の郷土料理。囲炉裏に串を立てて焼き、全体が焼けるようにぐるぐると串を回しながら作る。その様子が阿波人形浄瑠璃の「木偶(でく)人形」が頭を回す姿に似ているため、この名が付いたと言われている。ちなみに祖谷地方では「ごうしゅいも」と���ばれる小ぶりのじゃがいもが栽培されており、でこまわしではこれを使う。岩豆腐は岩のように硬いことに由来する木綿豆腐で、こちらも祖谷地方で作られているもの。串で刺して焼き上げるでこまわしにも向いている。そのほか、「祖谷そば」などでも知られるようにそば粉が盛んに作られており、こうした祖谷の特産物が多く使われている料理となっている。 + +## 食習の機会や時季 +主に家庭料理として親しまれ、日常的に食べられていた。上からごうしゅいも・豆腐・こんにゃくの順で刺すのが一般的で、こんにゃくは滑りにくいため、上の具材のストッパーのような役割を果たしていたという。具材は各家庭同じではあるが、特にごうしゅいもの収穫量が多い時期には、ごうしゅいものみで作ることもあったとされている。 + +## 飲食方法 +ごうしゅいもやこんにゃくはゆでて下ごしらえをし、そば粉を水で練って丸めてゆでる。これらと一口サイズに切った岩豆腐を竹串に刺し、一度囲炉裏に立てて素焼きをしてから味噌だれを塗ってさらに焼き上げる。焼く際にはぐるぐると竹串を回しながら、まんべんなく焼けるように仕上げる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- さといも: 40g位のもの8個(320g) +- ごうしゅいも(じゃがいも): 30g位のもの8個(240g) +- 木綿豆腐: 半丁 +- 丸こんにゃく: 1丁 +- そば粉: 60g +- 水(そば粉用): 40g +- 【味噌だれ】味噌: 80g +- 【味噌だれ】しょうが(すりおろし): 小さじ1弱 +- 【味噌だれ】上白糖: 大さじ4 +- 【味噌だれ】料理酒: 大さじ2 +- 【味噌だれ】水: 大さじ2・1/3 +- 【味噌だれ】和風だし: 小さじ1 +- 木の芽: 8枚 + +## 作り方 +1. さといもは洗って皮のまま蒸す。(レンジなら大きさにより6~8分)竹串をさして軟らかくなったら、皮をむき丸く整える(大きい芋の場合は3cmほどの、ひと口大で円形に見えるような形で切る。) ごうしゅいも(じゃがいも)も皮をむき、中火で10~15分程度、火が通るまで茹でる(大きい場合は、3cmほどのひと口大に切り、丸く形を整える)。 こんにゃくは三角形に見えるよう切り、3分程度茹でる。 木綿豆腐は1/2丁を8つに四角形に切る。 +2. そば粉は水と混ぜ、よくこねて、ひと口大に丸めて沸騰している湯に入れて、2分間茹でる。 +3. 味噌だれは、しょうがをおろし調味料と合わせて、レンジ(弱火)で煮詰める。レンジを使用すると焦がさずにできるので便利である。※500wで1分を3回繰り返す。 +4. 18cm位の竹串に、こんにゃく、豆腐、ごうしゅいも(じゃがいも)、さといも、そばだんごの順に刺して、ほんのり焦げ目がつく程度に素焼きをしてから味噌だれをハケでまんべんなく塗る。 +5. 4の表面の味噌に焦げ目がつくまで焼く(オーブントースターを使用し、アルミホイルを敷いて焼くとよい)。 +6. 木の芽を添えて、出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「とくしまの郷土料理」(徳島県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_3_1.jpg)" +"# 半田そうめん 徳島県 + +**郷土料理名**: 半田そうめん + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +つるぎ町半田地区、県内全域 + +## 主な使用食材 +そうめん + +## 歴史・由来・関連行事 +つるぎ町半田地区で作られる「半田そうめん」の歴史は長い。半田で作られ始めた経緯は諸説あるが、江戸時代の中頃に船頭たちが奈良の磯城郡三輪町、淡路、鳴門などを経由して半田にそうめんを持ち込んだと言われている。最初は船頭たちの家族が自給自足で作るほか、副業にする目的で生産されていたが、半田の風土や気候がそうめん作りに適していたことから生産が盛んになっていったとされている。一般的なそうめんよりも少し太めでコシがあり、食べ応えのあるのが特徴。 半田地区には数多くの製麺所があり、各製麺所の標高や使う小麦の種類や配合、塩などによって味わいが少しずつ異なっている。そのため製麺所がブランド化し、近隣住民はもちろんのこと、観光客や遠方から訪れる根強いファンも多い。 + +## 食習の機会や時季 +そうめん作りはもともと、11月~翌年3月の寒い時季に行われるのが一般的だったという。その昔、秋祭りが終わる頃には屋外にそうめんを干している「そうめんの庭干し(かどぼし)風景」がよく見られ、この時季の風物詩として慣れ親しまれていた。しかし、現在庭干しを行う製麺所は数少なくなり、さらに季節を問わず一年中生産されるようになった。 + +## 飲食方法 +たっぷりの湯でそうめんをほぐしゆで、その後ざるにあげて流水で洗い、水を切って食べる。「冷やしそうめん」としてはもちろん、「にゅうめん」としても食べられる。そのほか、すだちそうめんなど料理のバリエーションが豊富にあるのも、産地ならではの特徴といえるだろう。また、そうめんの端を「ふし」と呼び、ふしを使って作る「ふし汁」もよく食べられている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 半田そうめん: 320g +- かまぼこ: 80g +- 干ししいたけ: 4枚 +- しいたけ戻し汁: 100ml +- 上白糖: 小さじ2 +- 濃口醤油: 小さじ1 +- 卵: 60g(大1個) +- 塩: 少々 +- 上白糖: 小さじ1/2 +- サラダ油: 少々 +- 葉ねぎ: 2本 +- しょうが: 20g +- 青じそ: 4枚 +- ミョウガ: 20g +- すだち: 2個 +- 【つけ汁】だし汁: 400ml(2カップ) +- 【つけ汁】薄口醤油: 80ml(1/2カップ弱) +- 【つけ汁】みりん: 80ml(1/2カップ弱) + +## 作り方 +1. かまぼこは、薄切りにする。 +2. 椎茸は水で戻し、戻し汁と砂糖、濃口醤油で甘辛く煮る。 +3. 卵は溶きほぐし、塩、砂糖を加えてフライパンにサラダ油をひき、薄焼き卵にする。4~5cm幅に切り、錦糸卵にする。 +4. 葉ねぎは、小口から小さく刻み、さらしねぎにする。 +5. しょうがは、皮をむき、すりおろす。青じそ、ミョウガは千切りにする。 +6. すだちは輪切りにする。 +7. つけ汁を作る。みりんを鍋に入れアルコール分を蒸発させ(煮きりみりん)、だし汁、薄口醤油を合わせてひと煮立ちさせ、冷ましてから冷蔵庫で冷やしておく。 +8. そうめんはたっぷり(麺の重量の10倍)の熱湯にほぐし入れ、そうめんの太さによって1~2回の差し水をしてゆでる。冷水に取り、軽くもみ洗いし、ぬめりと油気を取ってザルに上げる。 +9. ガラス鉢にそうめんを入れ、具を飾り、葉ねぎとすだちを添える。 +10. ガラス小鉢につけ汁を入れて、しょうが、青じそ、ミョウガを別皿に添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 四国大学 髙橋 啓子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_4_1.jpg)" +"# 祖谷そば 徳島県 + +**郷土料理名**: 祖谷そば + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +三好市祖谷地域 + +## 主な使用食材 +そば + +## 歴史・由来・関連行事 +三好市の祖谷地域と言えば、そばの名産地。源平合戦に敗れた平家が祖谷に逃れてきた際に、そばの実を栽培し始めたことがきっかけといわれている。祖谷は米が育ちにくい地域でもあることから、以降育ちやすくて栽培期間も短いそばが主食として親しまれるようになった。そんな祖谷地域を代表する郷土料理が、「祖谷そば」。地元のそば粉を100%使って作る、祖谷のソウルフードである。麺が切れやすく、太く短くなることから「そばきり」とも呼ばれている。そば粉をこねる際に加える水やだしには祖谷の新鮮な水を使い、具材にも祖谷の食材を取り入れる。ほかにも、祖谷ではそばの実をそのまま使う「そば米雑炊」など、そば料理が豊富に作られている。 + +## 食習の機会や時季 +祖谷地方では主に8月頃にそばの種をまく「夏まき」を行っており、その2ヵ月後の10月頃に刈り取りが行われる。刈り取ったそばの実は1ヵ月ほど天日干しし、その後脱穀、粉ひきを行ってそばを作る。こうして作られた祖谷そばは、祝い事の際に供されていたほか、人が集まる際にもてなしの料理としても振る舞われていた。 + +## 飲食方法 +昔はそば粉を各家庭の女性がひいていたと言われている。たくさんの人が来る際は、前日から準備をして、おもてなしに備えたのだという。ひいたそば粉は祖谷の水を加えてこね、のばして包丁で細く切っていく。つなぎの粉を入れずに作るために、麺が切れやすく短くなるというのが特徴。そばはゆでて丼に盛りつけ、温かいだしを注いで食べる。具材には油揚げやかまぼこ、ねぎのほか、山菜を加えることも。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- そば粉: 300g +- 水: 160ml +- かまぼこ: 40g +- 油揚げ: 2枚 +- 葉ねぎ: 20g +- 【つゆ】水: 1400ml +- 【つゆ】煮干し: 20g +- 【つゆ】だし��布: 8g +- 【つゆ】かつお節: 20g +- 【つゆ】薄口しょうゆ: 80ml +- 【つゆ】みりん: 20ml +- 打ち粉(そば粉): 少々 + +## 作り方 +1. そば粉は、ふるっておく。 +2. 1に水を少しずつ入れ、粉になじませる。 +3. パラパラのそば粉を、しっかりとまとめ何回もこね、腰を強くする。 +4. 麺台に打ち粉をふり、3を麺棒でのばしていく。 +5. 2mmくらいの厚さになれば、打ち粉をしながら2つにたたみ2mm幅に切る。 +6. 切ったら、打ち粉をしてくっつかないようにほぐしておく。 +7. 沸騰した湯で6を2~3分ゆでてザルにあげ、冷水で水洗いし水気をよくきり、丼に盛る。 +8. 鍋に昆布と煮干し(煮干しはだしパックと入れる)、水を入れ2~3時間浸しておく。 +9. 8の鍋を火にかけ昆布に泡が付きかけたら取り出す、沸騰したらだしパックに入れたかつお節を加え、2~3分加熱し火を止めてこす。 +10. かまぼこは薄切り、油あげは2cm長さの細切り、葉ねぎは小口切りにする。 +11. 9のだし汁に、薄口しょうゆとみりんを入れ、ひと煮立ちさせる(つゆ)。7の丼につゆを加えかまぼこ、油揚げ、葉ねぎを添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 徳島文理大学短期大学部 長尾 久美子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_5_1.jpg)" +"# 出世いも 徳島県 + +**郷土料理名**: 出世いも + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +海陽町、県南部 + +## 主な使用食材 +さといもまたはさつまいも、小豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +米不足の時代、海陽町を含む県南部では、米のかわりに芋類を食べることが多かった。「出世いも」は、芋料理をさまざまに作る中で考案された郷土料理。蒸したさといもを円柱形に整え、こしあんで包んで輪切りにする。昔は出世いもをおはぎのかわりに作っていたといい、いもが米のように食べられ、「出世」したと言われたことからこの縁起のいい名前が付いたのだという。現在はさといもでなく、さつまいもを使って作ることが一般的となっている。小豆、さつまいもともに食物繊維が多いほか、小豆はポリフェノール、さつまいもはビタミン類やカリウムなどの栄養素を豊富に含んでいるため、腹持ちのする食事としてだけでなく、栄養素をしっかりと摂れる料理としても重宝されている。 + +## 食習の機会や時季 +その縁起のいい名前から、「出世するように」との願いが込められ、お祝い事の際に作られるようになった。特に男の子が生まれたときや端午の節句などで供されていたとされ、ときには結婚式の日に作られることもあったという。 + +## 飲食方法 +出世いもを作る際は、まずこしあん作りから始まる。水に浸けておいた小豆をゆでてミキサーでつぶし、砂糖と塩を加えてあんにする。その後ゆでたさつまいもを皮をむいて形を整え、のばしたこしあんを巻いて冷蔵庫で冷やす。供する際は、3cm長さの輪切りにする。現在は既製のあんを使って簡単に作る家庭も多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- さつまいも(またはさといも): 2本(細めのもの、中サイズなら1本200~250g) +- 小豆こしあん: 300g + +## 作り方 +1. さつまいもは皮付きのまま蒸し器でやわらかくなるまで蒸す。 +2. 蒸し上がったら皮をむき、太さが均等になるように太い部分を削り、形を整える。*さといもを用いる場合は蒸したらつぶして形を整える。 +3. ラップに餡を広げて(いもの長さおよびいもの周囲を覆うくらいに広げる)、形を整えたいもを置き、くるっと巻く。冷蔵庫で少し冷やしてからラップごと、2~3cm厚に切り、ラップをはがして、切り口を上にして盛り付ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 四国大学 髙橋 啓子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_6_1.jpg)" +"# 阿波ういろ 徳島県 + +**郷土料理名**: 阿波ういろ + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小豆(さらしあんまたはこしあん)、上新粉、砂糖(または阿波和三盆) + +## 歴史・由来・関連行事 +「名古屋ういろう」「山口ういろう」と並び、日本三大ういろうと称される「阿波ういろ」。その歴史は長く、江戸幕府11代将軍・徳川家斉(いえなり)の時代にさかのぼる。この頃サトウキビが阿波に伝わり、栽培したサトウキビから���阿波和三盆」を作るようになり、さらにこの阿波和三盆の完成を祝って作られたのが、阿波ういろなのだという。もともとはあんと和三盆、砂糖、塩を使ったシンプルな味付けであったが、近年は季節に合わせて栗や柿を加えるほか、チョコレート味のような現代風な味付けも増えている。また、四角く切り分けたようかんのような形から、まんじゅうのような丸いものまで形もさまざま。もちもちとした食感と、阿波和三盆の素朴でやさしい甘さが特徴となっている。 + +## 食習の機会や時季 +阿波和三盆の完成を祝って阿波ういろが作られたのは、旧暦の3月3日、節句の日とされている。それ以来、毎年この日には阿波ういろを食べる習慣があるという。ひな祭りのひな壇にまつることもあった。また、昭和の時代までは節句の日に「遊山箱」と呼ばれる重箱に食事を詰めて山や海に遊びに行く風習があり、遊山箱の中には巻きずしなどのほか、赤や緑の寒天とともに阿波ういろを入れる家庭もあった。 + +## 飲食方法 +阿波和三盆や砂糖、塩を混ぜ合わせ、生あんに加える。さらに上新粉やもち粉を加えて混ぜ、ほどよい硬さになったら型に流し込み、蒸し上げる。型に流し込む際に全体をゆすり、気泡をきれいに取り除くことがポイントとなる。また、蒸し上がったら一晩寝かせておき、食べる際には切り分けて供する。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (流し箱1個分) +- あん(砂糖入り): 300g +- 上新粉: 100g +- もち米: 10g +- 塩: 1g +- 水: 110ml + +## 作り方 +1. ボウルにすべての材料を入れ混ぜ、よくこねる。市販のあんの水分量により、少しパサつくがこねているとなじんでくる。 +2. 流し箱(縦14cm、横11cm、深さ4.5cm)に移し、すき間なくしっかり詰める。 +3. 蒸気の上がった蒸し器で30~40分蒸す。流し箱に水滴が落ちないように、蒸し器の蓋にふきんをかける。(つゆ止め) +4. 水でぬらした竹串を刺し、竹串に生の生地がつかなかったら火を止める。 +5. 蒸し器から流し箱を出し、粗熱が取れたら流し箱からういろを取り出し、適当な大きさに切る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 徳島文理大学短期大学部 長尾 久美子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_7_1.jpg)" +"# 半ごろし 徳島県 + +**郷土料理名**: 半ごろし + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +那賀町(相生地区) + +## 主な使用食材 +もち米、うるち米 + +## 歴史・由来・関連行事 +平成17年、徳島県内の5町村が合併して生まれた那賀町。町の面積の9割を森林が占める、自然豊かな地域だ。鷲敷地区、相生地区、上那賀地区、木沢地区、木頭地区の5つに分かれており、それぞれに文化や風習が根づいている。このうちの特に相生地区で親しまれている郷土料理が、もち米とうるち米を混ぜて作る、おはぎのような「はんごろし」。炊いた米をすりつぶす際に、米粒が残る程度に“半分だけすりつぶす”ことから、はんごろしという名前になった。県内では一時期「草もち」として販売されていることもあったが、地元の学生たちから元の名前を使いたいという要望があり、「はんごろし」と再度呼ばれるようになった。ちなみに、米をしっかりとすりつぶして作るおはぎは「みなごろし」と呼ばれているそう。 + +## 食習の機会や時季 +昔は人をもてなす際によく振る舞われていたと言われている。現在は那賀町のイベントなどでも供される伝統食となっている。 + +## 飲食方法 +もち米にうるち米を混ぜて、水に浸けた後、塩を加えて炊き上げる。さらにこれを米粒が残る程度にすりつぶして、あんを包んだら完成となる。はんごろしの生地にヨモギを加えたり、仕上げにきな粉をまぶしたりすることもあり、作り方は各家庭によって少しずつ異なる。あんは市販のものを使ってもおいしく出来上がるが、あんから手づくりをする家庭も多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (約10個分) +- もち米: 200g +- うるち米: 100g +- 水: 360㏄ +- 塩: 小さじ1/3 +- よもぎ(生・葉のみ): 200g(乾燥の場合は20g) +- きなこ: 適宜(80~100g) +- あん(粒あん、こしあんどちらでも可): 200~250g(1個当たり20~25g) + +## 作り方 +1. もち米は前日に洗い、ひたひたの水に浸漬して一晩おく。 +2. よもぎは水��沸騰したら加え、中火で1~2分ゆでて冷水に取り、水気を絞り、細かく切っておく(フードプロセッサーでもよい)。※乾燥よもぎを使用する場合は、水につけて戻してから使用する +3. 洗ったうるち米ともち米(水気をよく切り)を合わせ、定量の水を加えて炊飯器で炊く。炊きあがったら2のよもぎをご飯の上にのせて、蓋をして5~10分蒸らす。 +4. あんは分量を10等分して(1個当たり20~25g)丸めておく。 +5. 3の炊きあがったごはんに塩を加え、しゃもじで混ぜ、すりこ木で半分くらい粒が残るようにつぶす。 +6. 5を10等分し、手に取り、平らに広げて、丸めておいたあんを包む(手にごはんがつく場合は水でぬらしながら包むとよい)。 +7. きなこを全体にまぶす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 四国大学 髙橋 啓子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_8_1.jpg)" +"# 押し寿司 徳島県 + +**郷土料理名**: 押し寿司 + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +海陽町(牟岐・海南地域) + +## 主な使用食材 +ごはん、柚子酢、にんじん・ごぼうなどの野菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +ボウゼの姿寿司やかきまぜ寿司、あめご寿司など、寿司の郷土料理を多く持つ徳島。そんな中、海陽町や牟岐町周辺では「押し寿司」が親しまれている。ごはんに「ゆうのす」と呼ばれる柚子酢を混ぜて酢飯にし、四角い升のような押し枠に押し込んで形を作る。見た目には白いごはんのみで作られているように見えるが、割ったときに細かく刻んだにんじんやごぼうなどの煮物が入っているのが特徴。また、牟岐町の特産品である「実生柚子」を使って酢飯を作ることも、ポイントの一つとなっている。各家庭で親から子へ、それぞれの味つけを受け継いでいく伝統的な郷土料理ではあるが、いつ頃から作られ始めたかははっきりとしていない。 + +## 食習の機会や時季 +祭りや祝い事などの際に振る舞われていたとされている。特に牟岐町内では親せきや友人など大人数が集まる日や正月に供されていたという。また日持ちする、食べやすいなどの理由から、行楽の弁当によく用いられていた。ちなみに阿南市では正月や盆、冠婚葬祭の際に「箱すし」という押し寿司に似た郷土料理を供する文化が根づいている。 + +## 飲食方法 +中に入れる具材は、にんじんやごぼう、切り干し大根、ちくわ、金時豆などで、先にしょうゆやみりんで煮て味をつけておく。押し枠に柚子酢を混ぜた酢飯を敷き、その上に具材を乗せ、さらに上から酢飯をかぶせて軽く押す。飾りとして柚子の皮や卵、桜でんぶ、具材として使った煮物などを乗せ、彩りよく仕上げる。飾りは季節や家庭によって異なる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 450g(3合) +- 水: 630ml +- 昆布(10cm角1枚): 2.5g +- 酢: 30g +- 【合わせ酢】ゆず酢: 3ml +- 上白糖: 38g +- 【合わせ酢】塩: 4.5g +- 昆布(10cm角1枚): 2.5g +- きゅうり: 90g +- 塩(きゅうり用): 少々 +- ワカメ(乾燥): 4g +- にんじん: 45g +- かに缶: 150g +- 【合わせ酢】酢: 15g +- 【合わせ酢】上白糖: 38g(大さじ4強) +- 押し抜きの箱: 1個 + +## 作り方 +1. 米は定量の水を加え、昆布を入れて炊飯する。 +2. 合わせ酢の酢、ゆず酢、上白糖、塩を混ぜ合わせておく。 +3. 飯が炊きあがったら、合わせ酢を掛けて混ぜ、冷ましておく。 +4. きゅうりは薄くスライスして、軽く塩をしてしんなりしたら、水気をふいておく。 +5. にんじんは千切りにしてゆでる。 +6. ワカメは、戻してさっと熱湯をかけ、刻んでおく。 +7. かに缶は水気を切り、甘酢に漬けて軽く絞っておく。 +8. 押し抜き用の箱は飯がくっつかないように水でぬらしておく。 +9. 箱の底にすし飯を1cmほど敷き、その上にワカメを敷く。次にすし飯、にんじん、すし飯、きゅうり、すし飯、かに缶と交互に詰め、上から落とし蓋をして重石で押さえる。具材とすし飯がなじむようにしっかりと締める。 +10. しっかりすし飯と具材が重なりあったら、押し抜いて切り分ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 徳島文理大学短期大学部 長尾 久美子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_9_1.jpg)" +"# いり飯/いりこ飯 徳島県 + +**郷土料理名**: いり飯/いりこ飯 + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +佐那河内村嵯峨地区 + +## 主な使用食材 +ちりめん、しいたけ、こんにゃく、ごはん + +## 歴史・由来・関連行事 +お酢や醤油で味付けしたちりめんを、ちくわやしいたけ、こんにゃく、ごぼうなどの具材とともにご飯に混ぜ合わせて作る「いり飯」。「いりこ飯」と呼ばれることもあり、呼び方は地域によって異なるが100年以上にわたって伝承され続けている郷土料理である。「いり(いりこ)」はちりめんのことを指し、昔はちりめんのみが入ったご飯として親しまれていたのだという。ポイントはいり(いりこ)をしっかりと漬け汁に漬けること。また、細かく切った具材にも味付けをしておくこともおいしく食べるコツの一つとなっている。ちなみにちりめんは徳島の小松島市和田島町でよく取れる。取れたてをすぐにゆでて天日干しにするため新鮮で味わい深い仕上がりになっている。 + +## 食習の機会や時季 +佐那河内村の嵯峨地区では昔、用水路の手入れや草刈りなどを住民が共同で行う「つじ仕事」が終わった後、あるいは農作業の後や合間などに、ねぎらいの意味を込めていり飯が供されていた。また、村の集会などでも振る舞われることがあったという。混ぜるだけで簡単に作れ、副菜も不要であることから、手軽に食べられる郷土料理として長く親しまれている。 + +## 飲食方法 +先にご飯を炊いておき、酢や醤油で味付けをしたちりめん、だしや醤油、みりんなどで煮詰めたこんにゃく、ごぼう、しいたけなどを混ぜ合わせる。具材を煮詰めるだしには、煮干しのだしを使うことも。また、具材も徳島県産のものを活用するほか、かえりちりめんの漬け汁に佐那河内産のすだちを加えて爽やかに仕上げることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (約4人分) +- 米: 300g(2合) +- 水: 450ml(2と1/4カップ) +- いりこ(かえり、ひらこ、ちりめん): 20g +- 【漬け汁】薄口醤油: 大さじ1 +- 【漬け汁】酢(すだち果汁): 大さじ1 +- 【漬け汁】米酢: 大さじ1 +- ちくわ: 30g(1/3本) +- ごぼう: 60g(1/3本) +- こんにゃく: 60g(1/3枚) +- 人参: 30g +- 生しいたけ: 2枚(20g) +- 油揚げ: 1枚(15g) +- 【煮汁】だし汁(煮干しだし): 200ml(1カップ) +- 【煮汁】薄口醤油: 小さじ1(6g) +- 【煮汁】みりん: 小さじ1(6g) +- 青ねぎ: 2~3本 + +## 作り方 +1. 米は分量の水を加えて炊飯する。 +2. いりこは、薄口醤油、酢(すだち果汁)、米酢を合わせて30分程浸す。 +3. ちくわは縦半分に切り小口切りにする。ごぼうはささがきにして水にさらす。 +4. こんにゃくは細切りにしてゆでておく。油揚げは油抜きをして2cm長さの細切りにする。人参、生しいたけも2cm長さの千切りにする。 +5. 青ねぎは小口切りにする。 +6. 3、4の具をだし汁(煮干しだし)、薄口醤油、みりんで調味し、汁気がなくなるまで煮詰める。 +7. 炊きあがったご飯に、2のいりこと漬け汁、6の具を混ぜ合わせる。 +8. 器に盛り、青ねぎの小口切りを上に散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 四国大学 髙橋 啓子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_10_1.jpg)" +"# 金時豆入りばら寿司 徳島県 + +**郷土料理名**: 金時豆入りばら寿司 + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +米、金時豆、こんにゃく、にんじん、ごぼう、ちくわ、しらす、焼き魚など + +## 歴史・由来・関連行事 +醤油や砂糖で甘めに煮た金時豆と、そのときどきの旬の食材を酢飯に混ぜ合わせて作る「ばら寿司」。徳島はもともと米の育ちにくい土壌であったため、米の代わりにさまざまな具材をたっぷりと加えて量を増やそうと考えたことが、この郷土料理の始まりといわれている。使う食材は地域や季節によって異なるほか、呼ばれ方も「ばら寿司」以外に「まぜくり」「五目ずし」「かきまぜ」「おすもじ」など多様だ。酢飯にはゆずの皮をせん切りにしたものやごまなどで風味付けすることもあり、香りや見た目、味わいともに華やかな一品となっている。ちなみに、徳島で金時豆はなじみ深い食材。お好み焼きに金時豆を加えた「豆天玉」や、金時豆や黒豆、根菜類を煮た「れんぶ(でんぶ)」など、さまざまな郷土料理が親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +ばら寿司は、お祭りや節句などの祝い事の際に供される。たくさん作り、各家庭で食べるのはもちろん、客に振る舞ったり、手土産として渡したりすることもあるのだという。また、ばら寿司の中でも陰暦10月の亥の日に食べるものを「いのこずし」と呼び、これは農作物とともに神前に供える料理として親しまれた。升に八分目まで盛り、「翌年は升いっぱいの豊作になるように」と願うことが慣例となっている。客に振る舞う際は卵を加えるが、日常では使用せず、自家栽培の野菜を活用して作る。 + +## 飲食方法 +合わせ酢とご飯を合わせてすし飯を作り、だし、砂糖、醤油(または塩)で煮たこんにゃくやちくわ、にんじん、ごぼうなどの具材を混ぜ合わせる。合わせ酢にはすだちの果汁や柚子酢、ゆこう酢などのかんきつ酢が使用される。春の節句の際はぜんまいやわらびなどの山菜や、たけのこ、ふき、そらまめのような旬の食材を加えることもあるそうだ。地域によっては、干し大根や干しなすを入れることも。また、徳島県の南部では金時豆の代わりに落花生を乾燥させてだしや醤油、砂糖で煮て使うことも。旬を味わえることや各家庭の個性を楽しめることもまた、ばら寿司の魅力である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 2合(300g) +- 水: 420ml(新米の場合は390ml) +- 【合わせ酢】ゆず酢: 1/5カップ(40ml) +- 【合わせ酢】米酢: 大さじ1と小さじ1(20ml) +- 【合わせ酢】上白糖: 大さじ2強(20g) +- 【合わせ酢】塩: 小さじ1(5g) +- しらす干し(または、アジなどの焼き魚): 30g(小1尾) +- ひじき(干し): 5g(水でもどして35g) +- 【A】だし汁(煮干し): 1/2カップ(100ml) +- 【A】上白糖: 3g(小さじ1) +- 【A】醤油: 4g(小さじ2/3) +- 【A】みりん: 8g(大さじ1/2) +- 干ししいたけ: 3枚(約6g) +- しいたけの戻し汁(または煮干しだし汁): 1/2カップ +- 【B】上白糖: 9g(大さじ1) +- 【B】みりん: 9g(大さじ1/2) +- 【B】濃口醤油: 3g(小さじ1/2) +- 【B】酒: 12g(大さじ1弱) +- こんにゃく: 30g(1/6枚) +- 【C】だし汁(煮干し): 1/2カップ弱 +- 【C】上白糖: 4g(大さじ1/2) +- 【C】みりん: 8g(大さじ1/2) +- 【C】薄口醤油: 3g(小さじ1/2) +- 【C】酒: 12g(大さじ1弱) +- ごぼう: 50g(1/4本) +- にんじん: 50g(1/3本) +- さといも: 150g(2個) +- 干し大根: 20g(水でもどして50g) +- 【D】だし汁(煮干し): 1・1/2カップ +- 【D】上白糖: 18g(大さじ2) +- 【D】塩: 5g(小さじ1) +- ふき: 130g (細い物1本) +- 【E】だし汁(煮干し): 3/4カップ弱(130ml) +- 【E】上白糖: 7g(大さじ1弱) +- 【E】薄口醤油: 13g(大さじ2/3) +- 金時豆甘煮: 100g +- 紅しょうが: 5g +- しょうが: 15g +- 木の芽: 数枚 + +## 作り方 +1. 米は洗って分量の水を加えて炊飯する。 +2. 合わせ酢の材料を合わせて、砂糖を溶かす。しらす干しをつけ込んでおく(アジの場合は素焼きにして、身をほぐしながら、骨や皮を除く。ほぐした身を合わせ酢に混ぜ合わせておく)。 +3. ひじきは水につけて戻し、水が濁らなくなるまでよく洗い、Aで汁気が少なくなるまで煮る。 +4. 干ししいたけは水でもどし、浸る程度のもどし汁にBを加えて煮る。汁気を切り、千切りにする。 +5. こんにゃくは3cm長さの千切りにしてゆで、Cの調味料で煮る。煮汁が少なくなったら汁気を切っておく。 +6. ごぼうは笹がき、にんじんは2cm長さの短冊切り、さといもは皮をむいて厚めのイチョウ切りにする。干し大根は水につけて戻し、水気をよく絞り、2cm程度に包丁を入れる。これらの材料を鍋に入れ、Dで調味して煮る。煮汁が少なくなったら汁気を切っておく。※野菜は色をきれいに残すため、砂糖と塩で調味する。 +7. ふきはゆでて皮をむき、1cm長さの小口切りにする。Eを煮立てて、冷まし、ふきをつけておく(青煮)。 +8. 飯が炊けたら熱いうちに2の合わせ酢を回しかけてすし飯を作る。 +9. 8に3、4、5、6と7のふきの半量を混ぜ合わせる。 +10. 器に盛り、残りのふき、金時豆、しょうがの千切りを上に散らし、紅しょうがと木の芽を添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 四国大学 髙橋 啓子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_11_1.jpg)" +"# うちがえ雑煮 徳島県 + +**郷土料理名**: うちがえ雑煮 + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +三好市祖谷地方 + +## 主な使用食材 +岩豆腐(石豆腐)、里芋 + +## 歴史・由来・関連行事 +全国津々浦々で個性豊かな雑煮が作られているが、中でも三好市祖谷地方で作られる「うちがえ雑煮」はとてもユニーク。雑煮には餅を入れる地域が多い中、うちがえ雑煮では餅の代わりに岩豆腐(石豆腐)と呼ばれる大きくて硬い豆腐を入れる。大豆をふんだんに使い、水気をしっかりと切るほか、にがりを多めに加えていることから、硬くなっているのだという。 この岩豆腐が重なり合って乗っている様子が、武士が刀を「打ち違え」ているさまに似ているところから、「うちがえ雑煮」と呼ばれるようになった。同様の意味合いで「打ち合わせ雑煮」と呼ぶこともあるのだそう。 祖谷地域は米が育ちにくい地域であったことから、主食は麦やそばであり、タンパク質が豊富に含まれる岩豆腐は栄養源として重宝されていた。 + +## 食習の機会や時季 +昔は冷蔵庫がなく、食料を保管するのが難しかった。そんな中、水分の少ない岩豆腐は日持ちする食料として好まれるだけでなく、縄などで縛って持ち上げられるほど硬かったために、持ち運びができることでも好まれていた。当時は豆腐を各家庭で手間暇をかけて作っており、祝い事や行事の際に食すのが一般的。「うちがえ雑煮」はまさに、正月というハレの日に作られるものであった。 + +## 飲食方法 +いりこでだしを取り、醤油などで味付けしてつゆを作る。そこに煮しめた里芋を数個入れ、そのうえに長方形の大きな岩豆腐を2枚のせて完成。里芋は八つ頭を使うことが多く、一つの芋からいくつも芽が育つために「芽出たい(めでたい)」とされ、祝い事の料理によく使用されていたという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 【基本つゆ】だし汁(いりこ5g、干ししいたけ2枚、昆布5g、水800ml): 750ml +- 【基本つゆ】醤油: 50g(大さじ3) +- 【基本つゆ】みりん: 36g(大さじ2) +- 岩豆腐: 600g(一丁) +- 【基本つゆA】: 300ml +- まいも(八つ頭または里芋): 500g(小(40g)×12個) +- 【基本つゆB】: 250ml +- 砂糖: 3g +- かけつゆ(基本つゆ): 200ml(1人50ml) + +## 作り方 +1. 基本つゆを作る。いりこは頭と内臓を除き、半分に裂き分量の水につけておく。干ししいたけはさっと洗ってほこりをとり、いりこと一緒に水につける。30分ほどおいて、昆布を加えて火にかけ、沸騰直前に昆布を取り出し、数分ゆっくりと沸騰させて、いりことしいたけをこして,だしを取る。だしに醤油とみりんを加えて調味する。 +2. 岩豆腐は、5cm×10cm×1cm程度の長方形に切り、一人2枚作る。基本つゆAで数分煮る。 +3. まいも(八つ頭または里芋)は、皮をむき1個を40g程度の大きさにし、下ゆでしておく。基本つゆBに砂糖を足して少し甘めに煮ておく。 +4. 椀にまいもを3個入れて、岩豆腐をまいもの上に十字になるようにのせ、かけつゆを注ぐ。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 四国大学 髙橋 啓子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_12_1.jpg)" +"# ならえ 徳島県 + +**郷土料理名**: ならえ + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +大根、にんじん、油揚げ、ごま、れんこん、干ししいたけ、こんにゃくなど + +## 歴史・由来・関連行事 +大根、にんじん、油揚げ、ごま、れんこん、干ししいたけ、こんにゃくの7つの食材を三杯酢で和えて作る「ならえ」。由来は「七つの食材を使っているから」とも言われるが、もともとはここに野菜を塩漬け、酒粕漬けにする「奈良漬け」が入っていたとされており、徳島では奈良漬けを「奈良和え」、あるいは「ならえ」と呼んでいたことから、この名が付いたともいわれている。大化の改新の頃(645年)に食べられていた精進料理の一つに「ならえ」があったとされており、その後は特に昭和40年ごろによく食べられていたとされるが、栄養豊富で家庭で手軽に作れることから、今もなお親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +法事や彼岸の際に供されていた。特に甘いものが貴重であった時代は、甘い酢の味わいが子どもたちに人気で、振る舞われるのを楽しみにしていたという。また、美馬町では祝い事の際���精進料理として味噌汁、お平、白和え、魚とともにならえを食する風習があったとされている。現在は、家庭料理として作るほか、学校給食や介護施設などの献立に入っており、普段の食事として楽しまれている。 + +## 飲食方法 +野菜と油揚げを食べやすい大きさに切り、干ししいたけの戻し汁で煮る。水気を切って白ごま、酢、柚子酢、砂糖、しょうゆで作った合わせ酢に入れ、和えてしばらくなじませたら完成。家庭で作る際は上記の七つの食材に限らず、たけのこやきゅうり、みょうが、三つ葉、豆腐、昆布など、各家庭にある旬の野菜を活用することが一般的。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根: 1/6本(160g) +- にんじん: 1/3本(40g) +- 干ししいたけ: 2枚 +- 油揚げ: 1枚 +- しいたけの戻し汁: 1/4カップ +- れんこん: 1/4節(40g) +- ごぼう: 1/5本(30g) +- 高野豆腐: 1/2枚 +- だし汁: 1/4カップ +- 上白糖: 大さじ1/2 +- 薄口しょうゆ: 小さじ1/3 +- 塩: ひとつまみ +- 【合わせ酢】米酢: 60ml(大さじ4) +- 【合わせ酢】上白糖: 大さじ4(32g) +- 【合わせ酢】薄口しょうゆ: 小さじ1 +- 【合わせ酢】みりん: 大さじ1 +- 【合わせ酢】酒: 大さじ1 +- 【合わせ酢】塩: 小さじ2/3 +- 【ゆずの皮】白ごま: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 大根、にんじんは皮をむき3cm長さの短冊切りにする。 +2. 干ししいたけは水で戻し、5mm幅に切る。(干ししいたけの戻し汁はだし汁に使う)。 +3. 油揚げは油抜きをして、縦半分に切り、さらに5mm幅に切る。 +4. れんこんは皮をむき、3mm厚さの輪切りにする。太い場合は半月またはイチョウ切りにする。 +5. 大根、にんじん、れんこん、しいたけ、油揚げをしいたけの戻し汁で煮る。火が通ったらザルにあげて水気をきる。 +6. ごぼうは皮をこそげて3cm長さの斜め輪切りにし、太めのせん切りにしてゆでる。 +7. 高野豆腐はぬるま湯で戻して三角形に切り、厚みを2~3枚にスライスする。だし汁、しいたけの戻し汁、砂糖、薄口しょうゆ、塩で煮含める。 +8. 【合わせ酢】の材料を全て混ぜ合わせる。 +9. 5、6、7の汁気をきり、【合わせ酢】と和える。味がなじんだら器に盛りつけ、白ごまをふる。ゆずの皮を千切りにして、天盛りにする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 四国大学 髙橋 啓子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_13_1.jpg)" +"# ゆべし 徳島県 + +**郷土料理名**: ゆべし + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +那賀町(那賀川上流)、勝浦地方、上勝 + +## 主な使用食材 +ゆず + +## 歴史・由来・関連行事 +徳島の那賀町では特にゆずの生産が盛ん。降水量が多く、日中と夜の寒暖差が激しいことからゆずの栽培に向いており、ここで作られる「木頭ゆず」の生産量は全国2位を誇る(徳島県農業支援センター 「木頭ゆず」産地の取り組み)。また、木頭ゆずは比較的大玉で色合いも美しく、高品質。国の地理的表示(GI)保護制度にも登録されるなど(農林水産省登録の公示・登録番号第42号)、全国的によく知られている農作物である。ゆずを使った料理もさまざまに作られているが、中でもゆずの皮を砂糖としょうゆで煮詰めて作る「ゆべし」は県内で親しまれている保存食。そのままおかずとして食べるのはもちろんのこと、酒のつまみにしたり、お茶漬けの具材として楽しんだりすることもある。 県外でも江戸時代からの銘菓として京都や愛媛で現在も売られているが、徳島の那賀町相生地区で根づくゆべしはあくまで副食物。ゆずが完熟する11月頃、時間をかけてじっくりと煮詰めて作られる。そのほか、砂糖が家庭で多く使われるようになった昭和30年代に上勝で食べられていたとされ、昭和50年代ではさらに盛んに作られるようになったという。 + +## 食習の機会や時季 +ゆずが完熟する11月頃、香り高いゆずを使ってゆべしを作ることが風習となっている。また、鮎の干物とともに食べる習慣もあるのだという。ゆずの収穫後に果汁を搾った後、そのままゆべしを作ったり、保存用として乾燥させたりすることが一般的であった。秋から春にかけて、おかずが少ないときなどに作っておき、副菜として利用していたという。ただし、砂糖が希少であった時代は、砂糖を多く入れるため、頻繁に作るこ��はなかった。 + +## 飲食方法 +ゆずの皮を細かく刻み、砂糖としょうゆで煮詰めて甘辛く味つけをする。皮は先に天日干しにして保存しておき、ふやかしてから煮詰めることもあるという。煮詰める際は鍋にたっぷりの水を入れて、水から煮る。沸き上がったら水を替えることを繰り返し、調味料を加えて粘り気が出るまでしっかりと煮詰めるのがポイント。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ゆずの皮(干し): 50g +- 上白糖: 70g +- 濃口しょうゆ: 45g +- みりん: 20g +- 和風だしの素: 1g +- 水: 200ml +- 唐辛子(好み): 適宜 + +## 作り方 +1. 干したゆずの皮は水につけてふやかす。 +2. 1を鍋に入れて水から煮る、沸騰したら水を替える。これを3回くらい繰り返し、苦味を除く。 +3. 2に調味料(砂糖、しょうゆ、みりん、和風だしの素)と水を加えて弱火で時々混ぜながら、ペクチンの粘りが出るまで煮詰める(調味料は好みで調節してください。甘いのが好みの場合や濃いのが好みの場合など)。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 徳島文理大学短期大学部 長尾 久美子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_14_1.jpg)" +"# おみいさん 徳島県 + +**郷土料理名**: おみいさん + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +みそ、ごはん、里芋、大根、大根の葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +みそで味付けた雑炊を指す「おみいさん」。その昔、みそを「みい」と呼んでいたことから、尊敬語の「お」と「さん」を付けておみいさんになったのだという。米が育ちにくい土壌とされていた徳島では、代わりにそばや麦を主食としていたほか、米を食べる際にさまざまな食材を加えることで量をかさ増しすることが多くあった。おみいさんもまた、大根や里芋をたっぷりと加え、腹持ちの良い食事として好まれていたようだ。 作り方は、みそで味付けをすることやいりこだしを使うこと以外はあまり決まっておらず、使う食材はニラやみそ、豆腐などを入れることもあるなど、各家庭によって個性豊かなおみいさんが作られていた。野菜がたっぷりで栄養もあり、また、経済的にも優しい、素朴で親しみやすい郷土料理と言えるだろう。 + +## 食習の機会や時季 +米が貴重であった時代に、出来の悪く出荷できない小米などをもったいないのでおみいさんに使用することが多かった。みそ汁の残りや冷や飯を利用し、食べ物を残さず最後まで食べるために工夫された日常的な料理として親しまれていたという。特に冬の時季は体を温めてくれる家庭料理としてよく食べられていたほか、病気などで体調がすぐれないときに家族が作ってくれる心休まる料理としても伝えられている。 + +## 飲食方法 +里芋、大根、大根の葉を細かく切り、煮干しでだしをとっただし汁に洗った米と共に入れて煮立たせる。沸騰したら弱火にし、みそをある程度塊のまま、鍋全体に散らす。30分ほどするとみそがきれいに溶け、米がやわらかくなるので、かき混ぜて蒸らしたら完成。みそを混ぜると焦げてしまうため、混ぜずにそのままにしておくことがコツなのだという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 100g +- だし汁(煮干し15g): 4カップ +- 里芋: 250g(中5個) +- 大根: 200g +- 大根の葉: 1/2束 +- みそ: 40g + +## 作り方 +1. 【だし汁を作る】煮干しは、だし袋に入れて、調理の前日または5時間前に水に浸し、だし汁をとる。 +2. 米は、調理の30分前に洗ってザルにあげて水気を切る。 +3. 里芋は、洗って土を落とし、皮をむき厚めの拍子木切りにする。※レンジの場合は、皮の付きのまま6分加熱し、皮をむいて拍子木切りにする。 +4. 大根の葉は洗って1cmに切り、大根は短冊切りにする。 +5. 鍋にだし汁、煮干し(だし汁をとったもの)、洗った米、里芋、大根を入れ火にかける。 +6. 5が沸騰したら弱火にして、みそを塊のまま所々に置く。30分くらいで、みそが溶けて米がやわらかくなったら、大根葉を入れて、少し煮て、かき混ぜて少し蒸らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「とくしまの郷土料理」(徳島県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_15_1.jpg)" +"# 茶ごめ 徳島県 + +**郷土料理名**: 茶ごめ + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +そら豆、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +「茶ごめ」は甘い豆入りのごはん。煎ったそら豆とざらめ糖とともに米を炊き上げるため、全体的に茶色いご飯に仕上がる。昔は武家屋敷の人々が食べる食事として親しまれていたとされているが、その後は新しいそら豆が採れる時季に、古いそら豆を消費するために農家で作られる料理として広まっていった。食べる際にはたくあんや梅干しといった漬物や、お茶が添えられて供されることも。 + +## 食習の機会や時季 +茶ごめは農作業の合間に食べることが一般的で、ざらめ糖の甘味は農作業で疲れた体をいたわってくれる役割もあったという。また、地域によっては、正月の行事食として供したり、法事の際に仏壇に供えたりする風習がある。 + +## 飲食方法 +そら豆は先に弱火でいり、その後湯に30分ほどつけてから沸騰させて、炊飯器に米とざらめ糖、ゆで汁と共に入れて炊き上げる。そら豆を煎る際には焦げないように弱火にし、茶褐色になるまで加熱するのがポイント。そら豆の下ごしらえに時間はかかるが、手順が簡単で親しみやすい料理となっている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 300g(2合) +- そら豆(乾燥): 80g +- そら豆ゆで汁: 460㎖ +- 塩: 少々 +- キザラ(砂糖): 40g + +## 作り方 +1. 米は洗いザルにあげて水気を切っておく。 +2. そら豆は焙烙(ほうろく)、または厚手のフライパンで茶褐色になるまで丁寧にいり、たっぷりの熱湯に30分つけ、ひと沸かしする(煮すぎると崩れやすいので注意、皮が破れるようになれば取り出す)。冷めたらゆで汁を取り分け、そら豆の皮をむいておく。 +3. 炊飯器に1の米を入れ、分量の水(そら豆のゆで汁)を入れる。 +4. 3にキザラ(砂糖)、塩を入れて混ぜて2のそら豆も加えて、炊飯する。 +5. 炊き上がったら、豆が崩れないように混ぜ、茶わんに盛る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 徳島文理大学短期大学部 長尾 久美子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_16_1.jpg)" +"# でんぶ 徳島県 + +**郷土料理名**: でんぶ + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +金時豆、にんじん、大根、ごぼうなど + +## 歴史・由来・関連行事 +徳島県では、「ばら寿司」や「豆天玉」など、金時豆を使った郷土料理が多く親しまれている。その中の一つである「でんぶ」は、「おでんぶ」「おれんぶ」「れんぶ」などとも呼ばれる五目豆のような一品。下ゆでしておいた金時豆や黒豆を大根やごぼうなどの根菜と煮込み、醤油と砂糖で甘辛く味つけする。家庭や地域によっては、梅干しを加えてさっぱりと仕上げることもあるという。 でんぶは正月に白みそ仕立ての雑煮や煮しめとともに供されることが多く、祝い事の特別な料理として食べられる。また、豆類にはたんぱく質、根菜には食物繊維などが豊富に含まれており、栄養たっぷりな料理となっている。 + +## 食習の機会や時季 +正月のお節料理に加えたり、新築の棟上げ式のような祝い事の際に供されたりするごちそうの一つ。特に豆類が主役となるでんぶは、「まめに働いて暮らせるように」という願いを込めて加えられる。また、でんぶには高価な食材を使わないことが一般的。貧しい家庭であっても正月を楽しく祝おうという思いから生まれた料理だと言われている。ちなみに、正月には金時豆の代わりに黒豆を使用することもある。 + +## 飲食方法 +金時豆は下ごしらえでゆでる際、ゆで汁から出すとしわができてしまうため、差し水をして調整するのがおいしく作るコツ。使う具材はにんじん、大根、ごぼうのほか、ちくわやれんこん、油揚げ、昆布、高野豆腐などを加えることもあり、各家庭にあるものを活用する。それぞれ1cm角ほどに細かく切って、煮干しのだし、醤油、砂糖、料理酒で煮る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 【煮豆】金時豆: 80g +- 【煮豆】水: 400ml +- 【煮豆】上白糖: 20g(大さじ2強) +- 【煮豆】濃口醤油: 5g(小さじ1) +- にんじん: 40g +- 大根: 60g +- ごぼう: 40g +- 高野豆腐: 1枚 +- こんにゃく: 40g +- 梅干し: 1個(15g) +- だし汁: 200ml +- 上白糖: 10g(大さじ1強) +- 薄口醤油: 9g(大さじ1/2) +- 酒: 大さじ1/2 + +## 作り方 +1. 【煮豆を作る】金時豆は3倍量の水に浸して5~6時間置く。 +2. つけ汁ごと鍋に入れ、火にかけ、沸騰したらざるに上げて煮汁を捨てる。 +3. 新しく水をかぶるくらい入れて、沸騰したら弱火にして豆が軟らかくなるまで煮る。 +4. 3に上白糖を入れて、10分ほど煮て、醤油を加える。火を止めて、蓋をして味を煮含める。 +5. 【でんぶを作る】にんじん、大根は1cmの角切りにする。ごぼうは小さめの乱切りにする。 +6. 高野豆腐は水につけて戻し、5mm厚さの色紙切りにする。こんにゃくはゆでて、1cmの角切りにする。 +7. 鍋に、だし汁と5、6を入れて、沸騰したら上白糖、酒で調味し、梅干しを入れる。野菜がやわらかくなったら醤油を入れて、煮含める。仕上げに煮豆を入れて、3~4分煮て、煮汁が少し残る程度に仕上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 四国大学 髙橋 啓子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_17_1.jpg)" +"# ゆずかん 徳島県 + +**郷土料理名**: ゆずかん + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +那賀町 + +## 主な使用食材 +ゆず + +## 歴史・由来・関連行事 +徳島の那賀郡那賀町では、「木頭ゆず」と呼ばれるゆずが盛んに生産されている。木頭ゆずは比較的大玉で色合いも美しく、高品質。国の地理的表示(GI)保護制度にも登録されるなど(農林水産省登録の公示・登録番号第42号)、全国的によく知られている農作物である。 「ゆべし」や「ゆず酢」など、木頭ゆずを使った料理や商品がさまざまに開発される中、近年特におやつとして作られる機会が増えたのが、「ゆずかん」。ゆずゼリーとも呼ばれ、ゆずの風味が感じられるさっぱりとしたデザートとなっている。 + +## 食習の機会や時季 +日常的に家庭でおやつやデザートとして作られ、食べられている。 + +## 飲食方法 +皮や実、果汁とゆずを存分に味わえる一品。ゆずをスライスして使うほか、果汁を搾ってゼリーの部分にも使用する。ゆずを半分に切り、中身をくり抜いてカップにするとより華やかに仕上がる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (7人分) +- 天草(又は棒寒天): (棒寒天)10g +- 水: 2・1/3カップ(460ml) +- 酢: 小さじ1弱 +- 上白糖: 100g +- ゆず果汁: 大さじ1弱 + +## 作り方 +1. 天草を水洗いし、ざるにとる。(棒寒天の場合は、水でしめらせ、小さくちぎる) +2. 大きな鍋に1と分量の水(またはお湯)と酢を入れて炊く。 +3. 沸騰したらふきこぼれないように弱火にして、ゆっくりと2分くらいかき混ぜ、火を止め、ふたをして15~20分蒸らす。 +4. ざるの上に木綿の布を敷き、こす。※時間がたって冷めて固まりかけていたら、もう一度温めてからこす。 +5. 4のところてん液に砂糖とゆず果汁を加える。 +6. カップに流し入れ固める。※ゆずをカップに使用する場合は、上部2cm位のところで横に切り中身を取り出して果汁を絞る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 徳島県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_18_1.jpg)" +"# 伊勢エビの味噌汁 徳島県 + +**郷土料理名**: 伊勢エビの味噌汁 + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +美波町 + +## 主な使用食材 +伊勢エビ + +## 歴史・由来・関連行事 +伊勢エビは一般的に高級食材として知られているが、この「伊勢エビの味噌汁」は家庭料理として継承されている珍しい一品。ひげや足などが取れてしまい、出荷できなくなった「あがり」と呼ばれる伊勢エビのだしと身を味わう味噌汁である。生きたままの伊勢エビを縦半分に切ってさらにぶつ切りにし、砂袋や背ワタを取って豪快に味噌汁に使用する。身の部分は具材として加えることもあれば、一部を刺身にし、残りを味噌汁にすることもあるという。たんぱく質が豊富で低カロリーの伊勢エビの味噌汁は体にも優しく、徳島県民に広く親しまれている。 水深5~20mの浅瀬にいるとされる伊勢エビは、「小網」と呼ばれる伊勢エビの通り道を遮って網を張る刺し網を使って捕獲する。海が荒れる時季は特に、豊富に取ることができると言われている。 + +## 食習の機会や時季 +9月に伊勢エビ漁の解禁「お小網のくちあき」が始まり、翌年5月まで漁が行われる。徳島県の南��ではこの時季に伊勢エビ祭りが行われ、伊勢エビを販売したり、味噌汁を無料提供したりする風習がある。ちなみに、5月から9月までは伊勢エビの産卵期。この時期は漁を禁止されている。 + +## 飲食方法 +伊勢エビのほかには玉ねぎやわかめなどの具材を使用する。伊勢エビは水から煮てだしを取り、そこに味噌を加えてひと煮たちさせる。仕上げにネギを散らして、完成。味噌は白味噌を使うことが一般的だが、赤味噌や合わせ味噌で作る家庭もあるのだという。また、ゆでたそば米を加えて楽しむこともある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 伊勢エビ: 1/2尾 +- 玉ねぎ: 1/2個 +- わかめ(戻して): 100g +- 青ネギ: 20g +- 味噌: 大さじ3(55g) +- 水: 5カップ + +## 作り方 +1. 伊勢エビの胴をしっかり押さえて、縦に頭の方から半分に切って、向きを変えて尾の方から同じように切る。砂袋と背ワタをフォークで取る。 +2. 玉ねぎは半分に切り、縦に薄切りにする。わかめは水で戻しておく。ネギは小口切りにする。 +3. 鍋に玉ねぎと水と伊勢えびを入れ火にかけて水から煮る。アクが出てきたらこまめに取り除き、15分くらいぐつぐつ煮る。伊勢エビは取り出しておく。 +4. 3の伊勢エビのだし汁に味噌を入れ、ひと煮立ちする。 +5. わんにわかめを入れて伊勢エビを盛り、4の味噌汁を注ぎネギを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「とくしまの郷土料理」(徳島県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_19_1.jpg)" +"# いももち 徳島県 + +**郷土料理名**: いももち + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +さつまいも、もち粉またはもち米、あずき餡 + +## 歴史・由来・関連行事 +徳島県ではさつまいもが多く栽培されている。全国的にも有名なのが「なると金時」で、徳島の穏やかで降水量の少ない気候や海沿いならではのミネラルの多い土地柄は、さつまいもづくりに適していると言える。 いももちは、蒸したもち粉を加えたさつまいもの生地であんを包んだ、餅菓子。19世紀後半頃、徳島の鳴門市にさつまいもが伝えられ、いももちのようなさつまいもを使った料理が広まっていったと言われている。当時、砂糖などの甘いものは高級品とされており、一般家庭では手に入りにくいものだった。しかし、さつまいもは甘いうえに芋類であるため比較的入手しやすく、満腹感も得られるため重宝されていた。 + +## 食習の機会や時季 +秋の作物の収穫の時期、地域の神様を祭る「お亥の子さん」では「お亥の子餅」として作られ、あんは空豆のあんが使用されることもあった。また、正月などの祝い事の際にも供され、勝浦の正月の餅つきにはもち米と一緒に生いもをふかし突き込んだいももちをよく作っていたとされている。そのほか、稲刈り後や芋の収穫後のおやつとしてはもちろんのこと、栄養もあるため、補食としても好まれていたという。 + +## 飲食方法 +皮をむいたさつまいもをゆでる、あるいは蒸してやわらかくし、もち粉や砂糖、塩、湯とともにペースト状に撹拌して生地を作る。その後50gほどずつに取り分けて、あんを包んで丸める。仕上げにきな粉をまぶす。さつまいもは比較的変色しやすいため、皮をむいて切ったあとは、水に浸けておくのがポイント。鮮やかな黄色に仕上がる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4個分) +- さつまいも: 小1本(200g) +- 水【レンジで作る場合】: 60g +- もち粉: 32g +- 上白糖: 8g +- 塩: 0.8g +- あずきあん: 80g +- きな粉: 8g + +## 作り方 +1. 【レンジで作る場合】あずきあんは4等分(1個20g)に丸めておく。 +2. さつまいもは皮をむき、3mm位の厚さに切り10分程、水にさらしザルにあげておく。 +3. 耐熱ボウルに2のさつまいもを入れ、水を1/3カップ入れてレンジ(500w)で3分加熱する。(完全に火が通っていなくても、後ほど再び、レンジで加熱するのでよい) +4. 3のさつま芋と、もち粉・上白糖・塩、湯100mlを混ぜて、フードカッターに入れ、混ぜる。 +5. 再び4を耐熱ボウルに入れてレンジで2分加熱して、1個50gにとりわけ広げて、丸めたあんを包む。 +6. きな粉をまぶす。 +7. 【鍋で作る場合】あずきあんは1個20g位に丸めておく。 +8. さつまいもは皮をむき、薄く輪切りにして、いもがつかるくらいの水でゆでる。 +9. さつまいもがやわらかくなったら加熱しながらさつまいもをマッシャー(又はブレンダー)でつぶす。(茹で汁が多ければ取っておく) +10. もち粉(だんご粉でもよい)・上白糖・塩を入れる。 +11. 生地が硬いようであればゆで汁を足しながら混ぜる。 +12. 弱火のまま混ぜ、火が通ると透明感が出る。冷やしておく。1個50gにとりわけ、丸めたあんを入れ丸める。 +13. きな粉をまぶす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「とくしまの郷土料理」(徳島県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_20_1.jpg)" +"# 島そうめん 徳島県 + +**郷土料理名**: 島そうめん + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +牟岐町 + +## 主な使用食材 +そうめん + +## 歴史・由来・関連行事 +徳島県牟岐町で食べられている「島そうめん」は一般的なそうめんとは違い、魚を煮た汁がめんつゆ代わり。出羽島で獲れたれんこ鯛を甘辛く煮付け、その煮汁を活用する。残った煮汁までおいしく食べられるアイデア料理の一つである。 + +## 食習の機会や時季 +祭りや婚礼、または宴会などを行う際に、れんこ鯛の煮付けとともに供される。祝い事に欠かせない料理となっている。 + +## 飲食方法 +れんこ鯛のうろこや内臓を取り除き、しょうゆやみりん、砂糖などで煮込んで煮汁を作る。そうめんはゆでて水洗いし、器に盛った後は錦糸卵やかまぼこ、ねぎなどを散らして飾り付けるのがポイント。好みですりおろしたショウガを添えてもおいしい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- そうめん: 1kg(10束) +- レンコ鯛(煮魚を個別に出す場合は小10尾): 1kg +- 【つけだれ】水: 800ml +- 【つけだれ】酒: 80ml +- 【つけだれ】みりん: 80ml +- 【つけだれ】濃口醤油: 180ml +- 【つけだれ】ザラメ糖: 60g +- 卵: 3個 +- 細ネギ: 10本程度 +- 板付き(かまぼこ): 1枚 +- ショウガ: 20g(1片) + +## 作り方 +1. レンコ鯛のうろこを取り、内臓とえらを除き水洗いをしておく。 +2. 【つけダレ】の調味料と水をすべて鍋に入れ強火で沸騰させる。 +3. 2が沸騰したらレンコ鯛を入れ、中火で15分煮る。 +4. レンコ鯛を取り出して、味見をしながら弱火で5分ほど煮汁を煮詰める。 +5. 卵3個を割りほぐしよくかき混ぜる。卵焼き用のフライパンを熱し、サラダ油を引き、卵液を1/6程度、薄くフライパン全体に広がるように流し入れ片面を焼く、焼けたらひっくり返しもう一方の面もかるく焼く。これを繰り返し卵液がなくなるまで6~7枚薄焼き卵を焼く。全部焼けたら重ねて細切りにする(錦糸卵)。 +6. かまぼこは細切りにし、細ネギを小口切りにする。しょうがをすりおろしておく。 +7. そうめんは袋の表示どおりゆでる。ゆであがったそうめんを水で洗って、両手の人差し指と中指を使って輪を作るように一口大に巻く。※個別に盛る場合は1皿1人分7個程度盛る。 +8. 皿に盛ったそうめんの上に錦糸卵、かまぼこ、ネギをちらし、すりおろしたしょうがを横に添える。 +9. 煮魚は別の皿に盛る。つけだれを別の器にいれ供する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 牟岐町産業課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_21_1.jpg)" +"# 阿波のいとこ煮 徳島県 + +**郷土料理名**: 阿波のいとこ煮 + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +さつまいも、小豆(またはササゲ) + +## 歴史・由来・関連行事 +小豆と野菜の煮物を指す「いとこ煮」。かぼちゃなどで作られることが多いが、「阿波のいとこ煮」ではさつまいもを使う。さつまいもを干し芋にしてから小豆とともに煮て、優しい甘みに仕上げる。ちなみに、干し芋には生のさつまいもを切ってそのまま干す「白干し」と一度茹でてから乾燥させる「ゆで干し」があり、阿波のいとこ煮ではゆで干しを活用する。また、小豆はその昔ハレの日に食べる食材だったために、ゆでた芋に小キビなどの代替品を混ぜて食べることもあったのだという。 戦時中の砂糖が希少であった時期は、砂糖を使わずに作っていたが、後に砂糖も加えられるようになり、おかずのほかにも上等なお茶受けやおやつとして親しまれるようになった。ちなみに、昔は多くの家庭が芋を畑で栽培���ていたのではないかと言われている。そのため保存方法として干し芋にし、これを使って料理をしていたと考えられる。 + +## 食習の機会や時季 +冬になると空気が澄んで乾燥するため、干し柿や切り干し大根、干し芋などの乾物がよく作られるようになる。阿波のいとこ煮は、こうして干してうま味と甘味が凝縮された干し芋を使って作っている。寒い時期に体と心を温めてくれる料理として、地元民に親しまれている。また、農作業の休憩に食べる軽食や、子どもが食べるおやつとしてもよく作られていた。保存がきくために大きな鍋にたっぷり作るのが一般的であった。 + +## 飲食方法 +ゆで干しした干し芋を水で戻し、鍋に小豆、塩少々を加えて弱火で2時間ほど炊き上げる。芋の切り方ややわらかさ、小豆の量などが家庭によって異なり、それぞれに個性豊かな味付けができあがる。ちなみに干し芋は煮るのに時間がかかるため、あらかじめ小豆を別で煮ておき、後から加えることがポイントに。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 干し芋: 200g(水で戻して400g) +- 小豆: 150g +- 砂糖(ざらめ): 85g +- 塩: 1.2g + +## 作り方 +1. 鍋に小豆とたっぷりの水を入れて一晩おく。 +2. 1を火にかけ、沸騰したらゆでこぼして、再度水を加えてやわらかくなるまで煮る。ざるにあけて水気を切る。 +3. 鍋に干し芋と水を入れ、芋がやわらかくなるまで30分ほど水につける。 +4. 3を火にかけ、串を刺してスッと通るくらいにやわらかくなったら、2の小豆と砂糖と塩を加えて煮る。弱火で汁気がなくなるまで煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 四国大学 髙橋 啓子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_22_1.jpg)" +"# 鯛めし 徳島県 + +**郷土料理名**: 鯛めし + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +鯛、ご飯 + +## 歴史・由来・関連行事 +徳島県鳴門市で獲れる「鳴門鯛」は全国でも指折りの高級魚。鳴門海峡の渦潮にもまれて育ったことで身が引き締まり、うま味と食感のある鯛に仕上がっている。新鮮なまま刺身で食べるのもおいしいが、特に徳島県で親しまれているのが「鯛めし」。鳴門鯛を丸のまま、あるいはぶつ切りなどにして米とともに炊き上げる一品だ。身の引き締まった鳴門鯛と、その旨味を吸ったご飯の相性は抜群で、県民はもちろん県外からやって来る観光客にも人気が高い。 + +## 食習の機会や時季 +一般的な家庭ではあまり作られず、基本的に飲食店で通年提供されている。 + +## 飲食方法 +洗った米の上に焼いた鯛を置いて米と一緒に炊飯後、骨や皮を除き、ご飯に混ぜ込む方法が、徳島の鯛めしの作り方。他県ではこの調理方法のほかに、鯛の切り身を一緒に炊き込む方法や漬けにした生の切り身をご飯の上にのせる場合もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鯛(生でも食べられる新鮮なものを使用): 1尾(約500g) +- 米: 450g(3合) +- みつ葉: 20g +- 酒: 大さじ2 +- 白醤油(なければ薄口醤油): 大さじ2 +- だし汁(昆布): 650ml(昆布10cm位 ) + +## 作り方 +1. 鯛はうろこを取って内臓を取り出す。頭、えら、口の中を丁寧に水洗いし、キッチンペーパーで水気を切る。 +2. 軽く塩(分量外)をふり、焦げ目がつく程度まで焼く。 +3. 昆布でだしを取る。炊飯器に洗った米を入れ、酒、白醤油(又は薄口醤油)、昆布だしを入れて軽く混ぜる。 +4. 3に2をのせて、炊飯する。 +5. 炊きあがったら5~10分蒸らし、鯛を取り出す。骨を取り除き身をほぐす。※土鍋を使用する場合は沸いてきたら中火12分、火を止めて蒸らし15分。 +6. 鯛の身を戻して、ご飯と混ぜ合わせる。 +7. 食べる時にきざみみつ葉を盛る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : (一社)徳島県調理師会 元木 達二 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_23_1.jpg)" +"# 白味噌雑煮 徳島県 + +**郷土料理名**: 白味噌雑煮 + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +白味噌、餅、鶏肉、かまぼこ、さといも、小松菜など + +## 歴史・由来・関連行事 +徳島県の雑煮は個性豊か。たとえば祖谷で食べられている「うちがえ雑煮」は、いりこだしのしょうゆ味で、餅の代わりに石のように硬い��豆腐(岩豆腐)を加える。そのほかの地域でも、使う餅が丸餅だったり、角餅だったり、だしもすまし仕立てなど多様だ。 その中の一つでよく食べられているのが、「白味噌雑煮」。煮干しや昆布でとっただしに、白味噌を溶いて仕上げる。具材には一般的な雑煮と同じ餅やかまぼこのほか、にんじん、だいこん、小松菜、さといもなど豊富な野菜を入れるのも特徴。彩り豊かで優しい味わいの雑煮となっている。ちなみに勝浦では白味噌雑煮に黒砂糖、相生地区では白味噌雑煮に砂糖を入れて食べる家庭もあるという。 + +## 食習の機会や時季 +ほかの地域同様、正月に食べる。また、昔は12月~3月に採れる「まな」とよばれるアブラナ科の野菜を加えることが一般的であった。現在はまなが手に入りにくくなったため、小松菜や春菊、ほうれんそう、ねぎ、水菜、三つ葉などの青菜で作る家庭も増えている。食べる際にはおせち料理や巻きずしなどが同じ食卓に並ぶ。 + +## 飲食方法 +煮干しと昆布でだしを取り、下ごしらえをしただいこん、にんじん、さといもなどの硬い根菜を先に入れてやわらかくなるまで煮込む。その後、生しいたけやかまぼこなどのやわらかい具材を加え、白味噌を溶き入れる。仕上げに小松菜などの青菜を添える。餅は焼いた餅を加える家庭もあれば、ゆでて加える家庭もある。また、だいこんは亀甲に切り、にんじんは梅型に抜き、さといもは丸いままを使用するなど、縁起の良い形にすることも。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 丸餅: 4個(1個60g) +- かまぼこ: 40g +- さといも (小さなもの): 4個(12g) +- だいこん: 80g +- にんじん: 40g +- ほうれんそう: 40g +- だし汁: 600ml +- 白味噌: 50~60g +- すだち: 少々 + +## 作り方 +1. かまぼこは1cm厚さの日の出切りにする。 +2. さといもは皮をむき、上下を切りおとし、六角になるように切る。または、1cm厚さの輪切りにする。下ゆでをしておく。 +3. だいこんは5mm厚さの亀甲形に切り、ゆでておく。 +4. にんじんは5mm厚さの輪切り(又は花型で抜く)にし、ゆでる。 +5. ほうれんそうはゆでて3cm長さに切る。 +6. 丸餅は熱湯でやわらかくゆでる。 +7. だし汁にさといも、だいこん、にんじんを加え、煮立ったら白味噌で調味する。 +8. 椀の底にだいこんを敷き、その上に丸餅をのせ、さといも、にんじん、ほうれんそうを彩りよく盛り、汁をはる。 +9. すだちは皮を薄くそぎ、松葉に切り、吸い口にする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 四国大学 髙橋 啓子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_24_1.jpg)" +"# 包飯 徳島県 + +**郷土料理名**: 包飯 + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +県西部、阿波町、半田町、貞光町、つるぎ町 + +## 主な使用食材 +そばの実、鶏肉、油揚げ、にんじん、大根、ちくわなど + +## 歴史・由来・関連行事 +昔、農村では米が少なく、徳島ではそばの実やそば米で代用した郷土料理が慣れ親しまれていた。その中の一つとされる「包飯」は、そば米雑炊とご飯を別々に炊いて、ご飯の上にそば米雑炊をのせ、混ぜて食べる。そばの実や野菜でかさ増しし、腹持ちが良くなるように工夫されたアイデア料理である。ごはんをそば米で「包む」という意味から、この名で呼ばれるようになった。祖谷のそば米雑炊が山から里に伝わり、包飯へと進化していったと言われる。 + +## 食習の機会や時季 +もともとは一般的な家庭料理として食べられていたが、現在は若い世代にあまり浸透しておらず、家庭で食べている人もほとんどいなくなった。 + +## 飲食方法 +そば米雑炊とご飯を別々に炊いて、そば米雑炊の上にご飯をのせ、混ぜて食べる。炊き込みご飯では、包飯とは呼ばないのだという。具材や作り方はどの家庭も同じで、違いはあまりない。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- そば米: 150g(1カップ) +- 飯: 150g +- 鶏肉(もも肉): 100g +- にんじん: 80g +- ごぼう: 100g +- こんにゃく: 100g +- 竹輪: 60g +- 葉ねぎ: 20g +- だし汁(煮干し): 800g +- 塩: 5g(小さじ1) +- しょうゆ(濃口): 54g(大さじ3) + +## 作り方 +1. そば米は、さっと洗いごみや汚れを除いておく。 +2. 鍋に水を入れ、そば米を入れて10分くらい沸騰させ蒸らしておく。蒸らし終えたら(10���後)ザルに上げておく。 +3. 鶏肉は、小さめに切っておく。 +4. にんじんは皮をむき5mm幅で3cmの短冊切りにする。 +5. ごぼうはたわしで洗い、ささがきにして酢を加えた水であく抜きをし、水を切っておく。 +6. こんにゃくは、5mm幅で3cmの短冊に切り、塩もみ後、洗って塩を除いておく。 +7. ちくわは、小口から薄く切っておく。 +8. 葉ねぎは小口切りにしておく。 +9. だし汁に各材料を入れて煮る。やわらかくなったら調味料(塩、しょうゆ)で味付けして、そば米とご飯を加え汁気がなくなるまで煮詰める。(汁が多いときは、小麦粉を振り混ぜ粘りを加える場合もある。) +10. 9が煮上がると、器に入れ、ねぎを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 徳島文理大学短期大学部 長尾 久美子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_25_1.jpg)" +"# ずきがし 徳島県 + +**郷土料理名**: ずきがし + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +ずいき + +## 歴史・由来・関連行事 +里芋の一種であるヤツガシラの葉の部分「ずいき」は、徳島の郷土料理でよく使われる食材。乾燥させたずいきは「おみいさん」や「かきまぜ寿司」の具として使うほか、味噌汁に加えたり、煮付けにして副菜にしたりすることもある。「ずきがし」もまた、ずいきを使った郷土料理の一つ。生のずいきをゆで、酢で和える。やさしい紫色のずいきは、ゆでると一度は黒くなるものの、酢で和えると鮮やかな赤に変わり、テーブルを彩る一品となる。 生のずいきは硬いが、程よくゆでるとしゃきしゃきとした食感が出る。そのほか、酢は砂糖や醤油、徳島の特産品の一つでもある柚子を使った柚子酢などを混ぜ合わせた合わせ酢を使うことが特徴となっている。 + +## 食習の機会や時季 +ずきがしが食卓に並び始めたのは、砂糖が一般的に料理によく使われるようになってからとされている。よく食べられているのは、芋の収穫前である夏頃。すだちの皮をすりおろして加える家庭もあったという。 + +## 飲食方法 +皮をむいて5cmほどの長さに切り、酢水に浸けてあくをとってからゆで、油抜きして細切りにした油揚げとともに酢で和える。ずいきはゆでずに、炒めてから使う場合もあるという。また、生でなく干しずいきをゆでて戻してから使う家庭もある。ずいきを触るとかゆみが出ることがあるため、酢でいったん手を濡らしてから調理するのがポイントに。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ずいき(生): 200g +- 油揚げ: 40g +- サラダ油(またはごま油): 8g +- 上白糖: 15g +- 薄口醤油: 12g +- 酢: 15g +- 柚子酢: 15g +- ごま: 8g + +## 作り方 +1. 生ずいきは皮をむき、5cmくらいの長さに切る(太い部分は縦に切る)。大さじ1杯の酢(分量外)を入れた水に漬けてアクを抜きザルに上げる。 +2. 1を沸騰した湯に入れ2~4分ゆでザルに上げ水に取り絞っておく。 +3. 油揚げは縦半分に切り横にして細切りにし、湯をかけ油抜きをする。水気を切っておく。 +4. 2、3をサラダ油(または好みでごま油)で炒めて、上白糖、薄口醤油、酢、柚子酢を混ぜた合わせ酢で和える。器に盛り、仕上げにごまをふりかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 徳島文理大学短期大学部 長尾 久美子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_26_1.jpg)" +"# 鮎ろうすい 徳島県 + +**郷土料理名**: 鮎ろうすい + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +勝浦町 + +## 主な使用食材 +鮎、ご飯 + +## 歴史・由来・関連行事 +鮎が丸ごと一本入った雑炊を指す「鮎ろうすい」。ろうすいは雑炊がなまった言葉で、「いれろうすい」と呼ばれることもあるのだという。なすやじゃがいも、たまねぎなどの野菜とごはん、鮎をだしで煮込み、味噌で味付けをする。鮎の風味が特徴的な味わい深い一品となっている。 徳島県勝浦町の中心を流れる勝浦川は清流で、鮎を始めとしてうなぎやあめご、鯉などさまざまな川魚が多く生息している。鮎釣りの季節になると県外からも多くの人が訪れ、鮎を堪能するという。 + +## 食習の機会や時季 +天然の鮎は、6月の鮎釣り解禁の時期が旬となる。瀬張り網漁の「喰い川」と呼ばれる鮎漁が行われ、とれたての鮎をじゃがいもやたまねぎ、���すなどの夏野菜と一緒に雑炊にして食べていた。また、徳島県内では水産資源を保護するため、一部を除いて10月下旬から11月上旬、1月~5月頃は禁漁となっている。そのほか、吉野川や那賀川で養殖が盛んに行われるようなり、6月~8月が出荷時期とされている。 + +## 飲食方法 +鮎のうろこを取り除き、炊いた米、じゃがいも、たまねぎなどのかための野菜とともにだし汁に入れて煮込む。具材がやわらかくなってきたらなすやしめじ、にらなどのやわらかい野菜と味噌を溶き入れて味つけをし、仕上げる。すだちの薄切りを添えて完成。勝浦川の鮎はコケを食べて育っており、腹まで食べられるので、内臓を取り除かずに加えて独特の風味を味わうのが一般的だが、食べられない人がいる場合は除くこともあるという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鮎: 4尾 +- 米: 150g +- 水: 7~9カップ +- じゃがいも: 150g +- なす: 100g +- たまねぎ: 120g +- しめじ: 100g +- にら: 100g +- ねさし味噌: 80g +- すだち: 1個 + +## 作り方 +1. 米は洗って水を切っておく。 +2. じゃがいもは1.5cm厚さのいちょう切りか、サイコロ切りにする。 +3. なすはたてに2つに切って小口から薄く切る。たまねぎは薄切りにする。 +4. しめじは石突きをとり、ほぐし、にらは2cm幅に切る。すだちは輪切りにしておく。 +5. 平鍋に米と分量の水を入れ、じゃがいも、なす、たまねぎ、しめじを加えて強火にかける。 +6. 沸騰したら弱火にし、野菜に火が通ったらうろこを除いた鮎を上に並べて煮る。(鮎のお腹に砂がある場合は、内臓を除いておく) +7. 米がふっくらし、鮎に火が通ればねさし味噌を加えて、軽く混ぜながら煮る。 +8. 最後に、にらとすだちを加える。煮上がった鮎は鍋の中で頭や骨、ひれなどを除いて混ぜる。器に盛り、七味唐辛子をふる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 徳島文理大学短期大学部 長尾 久美子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_27_1.jpg)" +"# あめごのひらら焼き 徳島県 + +**郷土料理名**: あめごのひらら焼き + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +三好市祖谷地域 + +## 主な使用食材 +あめご、豆腐、こんにゃく、生しいたけなど + +## 歴史・由来・関連行事 +平たい石を熱して、そのうえで魚や野菜を味噌とともに焼く「ひらら焼き」。平らな石を「ひらら」と呼ぶことから、この名が付いた。三好市祖谷地域で食べられている郷土料理の一つで、その昔は野外で作る料理として親しまれていたという。かまどの上に平たい石を置いて加熱し、鉄板のように石を温めてそのうえで具材を焼き上げる。石が温まるまでには数時間かかると言われ、その間に人々は料理の主となる「あめご」や山菜などを採りに行っていたのだとされる。このほか、祖谷地域の名物でもある「石豆腐(岩豆腐)」やこんにゃくなど、地域ならではの具材を揃える。祖谷地域に古くから住む人々から、自然と生まれた郷土料理だと言われている。 + +## 食習の機会や時季 +近隣の村の人々との交流の際、おもてなし料理の一つとして供されていた。そのほか、身近な家族や友人が集まるときにもよく食べられていたという。次第に山に遊びに行った際の野外料理としても親しまれるようになったと言われている。 + +## 飲食方法 +かまどの上に平たい石を置いて、味噌で丸く土手を作る。そこに水や砂糖、酒を入れてじっくりと3時間ほど火を通す。温まってきたらあめごや山菜、こんにゃく、豆腐などをのせて焼く。現在作る際は、ホットプレートに調味料を混ぜ合わせて敷き、あめごのほかに鶏肉や豆腐、じゃがいも、生しいたけなど好みの野菜を置いて焼く方法もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- あめご: 4尾 +- 鶏もも肉: 120g +- 豆腐: 1丁(300g) +- じゃがいも(ごうしゅいも): 小2個 +- 生しいたけ: 中4個 +- たまねぎ: 中1個 +- 玉こんにゃく: 01月02日丁 +- なす: 1個 +- ピーマン: 2個 +- 味噌: 大さじ2・1/2 +- 上白糖: 大さじ2強 +- みりん: 小さじ2 +- 酒: 大さじ1・1/3 +- 水: 大さじ2強 + +## 作り方 +1. あめごは竹串で串打ちをして焼く。 +2. 鶏もも肉は一口大に切る、豆腐は1丁を12切れに切る。じゃがいもはゆでて皮をむく。生しいたけは石づきをとる。たまねぎは4枚��輪切りに切る。玉こんにゃくは12切れに切り、塩でもむ。なすは縦半分に切り、棒状に切る。ピーマンは1個を縦4切れに切る。 +3. 味噌、上白糖、みりん、料理酒、水を混ぜ合わせ、ホットプレートに広げる。 +4. 3の上に焼いたあめご、野菜等の材料を並べてふたをして焼く。魚、野菜に火がとおり、煮汁が少なくなればできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「とくしまの郷土料理」(徳島県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_28_1.jpg)" +"# ほたようかん 徳島県 + +**郷土料理名**: ほたようかん + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +黒糖、薄力粉、重曹、みょうばん + +## 歴史・由来・関連行事 +「ほたようかん」は蒸しパンのようなお菓子。徳島の方言で、中に空洞ができていることを「ほた」と呼び、ふわふわとしたスポンジのような見た目からこう呼ばれるようになった。黒糖を使用するため、濃い茶色の見た目が特徴で、もっちりとした食感とやさしい甘みがある。 大正時代まではほたようかんではなく「松風」と呼ばれた蒸しようかんが食べられており、昭和初期に駄菓子屋で販売され始めたと言われている。 黒砂糖は精製しておらず安価であるため、利用しやすいのはもちろん、味もコクがあって美味しいことから、黒砂糖を使うことが多かったと考えられる。 + +## 食習の機会や時季 +徳島県民にとっては、馴染み深いおやつの一つ。昔は農作業の休憩として食べられていたとされ、ほたようかんの甘味が疲れを癒やしていた。また、豊作を祝って作られるものでもあったと言われている。多めに作ったときなどは、近所にお裾分けをすることもあった。 + +## 飲食方法 +黒糖と適量の重曹を使い、甘くふっくらと仕上げるのがコツ。重曹が多いと苦味が出てしまうことも。そのほか、黒砂糖を充分に溶かさなければ、ぼつぼつと黒く穴があいてしまう。甘くて美味しい部分でもあるが、しっかりと溶かして均等に仕上げるのがコツ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (一枠分17.5×17.5cm) +- 黒糖(粉末): 60g +- 上白糖: 45g +- 熱湯: 130ml +- 薄力粉: 135g +- みょうばん: 4.5g(小さじ1/2) +- 重曹: 4.5g(小さじ1/2) +- 黒ごま: 少々(0.5g) + +## 作り方 +1. 熱湯の一部をとって冷まし、重曹を溶かす。 +2. 黒糖、上白糖、熱湯をボウルに入れてよく溶かす。 +3. 薄力粉とみょうばんを合わせてふるい、2の中に入れて泡立て器で素早く混ぜ、最後に1を加えて、さっくりと混ぜる。 +4. 蒸し器に枠を置き、ぬれ布巾を敷きこみ、3を流し入れ平らにして、強火で18分蒸す。 +5. 蒸し上がったら黒ごまをふる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 四国大学 髙橋 啓子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_29_1.jpg)" +"# はすいもの茎の酢の物 徳島県 + +**郷土料理名**: はすいもの茎の酢の物 + +**都道府県**: 徳島県 + +## 主な伝承地域 +県南部 + +## 主な使用食材 +はすいもの茎、太刀魚 + +## 歴史・由来・関連行事 +徳島や高知を中心に食べられている「はすいも」は里芋の一種。東南アジアが原産とされているが、沖縄から取り入れられたことから「りゅうきゅう」と呼ばれることもあるという。その名の通り芋ではあるが、食べるのは主に茎と葉の部分となっている。 中でも、はすいもの茎は味噌汁やサラダ、炒め物、煮物、和え物などさまざまな調理に使われるが、そのうちの一つに、太刀魚とともに酢の物にした郷土料理がある。しゃきしゃきとしたはすいもの茎の食感が特徴で、さっぱりとした味わい。 ちなみに、はすいもと似たものに「ずいき」があるが、ずいきは里芋の葉柄を指す。県西ではずいきを食べることが多く、県南部でははすいもを食べることが多い。 + +## 食習の機会や時季 +はすいもの旬は7月から9月、太刀魚も夏から秋にかけてが旬となっているが、一年中食べられる日常のおかずとして親しまれている。 + +## 飲食方法 +皮をむいたはすいもの茎と、食べやすい大きさに切って酢に漬けた太刀魚を醤油や酢、砂糖を加えた合わせ酢で和える。仕上げにみょうがを添えたら完成。具材はこのほかにも油揚げやちりめんじゃこ、ツナ缶、大葉などを入れてもおいしいという。太���魚の皮が苦手な人がいる場合は、取り除いてから作ることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- ハスイモの茎: 400g(大2本) +- 塩: 5g(小さじ1) +- 太刀魚: 100g(1/4尾) +- 塩: 1.5g(小さじ1/4) +- 生酢(すだち酢またはゆず酢): 45g(大さじ3) +- 【合わせ酢】砂糖: 25g(大さじ3) +- 【合わせ酢】薄口醤油: 30g(大さじ2弱) +- 【合わせ酢】酢: 30g(大さじ2) +- 【合わせ酢】すだち酢(またはゆず酢): 15g(大さじ1) +- みょうが: 15g(2個) +- 青じそ: 2枚 + +## 作り方 +1. ハスイモの茎は皮をむき、斜めに5mm程度の厚さに切り、水にさらす。 +2. 1のハスイモの水を切り、塩5gを振ってしばらくおき、しんなりしたらもみ、水分を出す。ハスイモをさっと水洗いして、よく絞る。 +3. 太刀魚は3枚おろしにし、7~8mm厚さの斜めに切る。塩1.5gを振り、30分置く。 +4. 3に生酢(すだち酢またはゆず酢)を加えて、15分置く。 +5. 合わせ酢の材料を合わせる。 +6. 4の太刀魚の水気を切り、2のハスイモと合わせ、合わせ酢を加えて和える。 +7. 器に盛り、みょうがの千切りと青じその千切りを天盛りにする + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 四国大学 髙橋 啓子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokushima_30_1.jpg)" +"# あんもち雑煮 香川県 + +**郷土料理名**: あんもち雑煮 + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +餅(あん入り丸餅)、白味噌、大根、金時人参、豆腐など + +## 歴史・由来・関連行事 +白味噌仕立ての汁に甘いあん入りの丸餅、家族円満の願いを込めて輪切にした大根、金時人参などを入れた雑煮。江戸時代、温暖で雨の少ない気候である香川県では、殖産振興の一つとしてさとうきび栽培が奨励された。讃岐地方の白砂糖は、色が白く口どけがよいことから、綿や塩と並び「讃岐三白」として特産品の代表となった。当時砂糖は貴重品で、一般家庭では普段口にすることができなかったが、明治時代あたりから、年に一度、とっておきの砂糖を使った正月の特別な料理として、雑煮に取り入れるようになったのが「あんもち雑煮」のはじまりといわれている。雑煮に使う白味噌は、保元の乱に敗れ讃岐地方に流された崇徳上皇のもとへ、京都から往来する人々によって伝えられたとされており、冬場の調味料として多くの料理に使われ重宝されてきた。 + +## 食習の機会や時季 +正月に、おせち料理と共に各家庭で食べられる。白味噌は、大豆の量を減らして米麹を多くし、塩分を控えて、12月頃正月用に仕込み、1ヵ月くらい熟成させた甘口の味噌である。 + +## 飲食方法 +煮干しでとっただし汁に、丸く輪切にした大根、金時人参を入れ、具材が柔らかくなったらあん餅を入れ、餅が柔らかくなったら豆腐を入れ、一煮立ちしたら白味噌を煮汁で溶いて入れる。餅が椀にくっつかないように椀の底に大根をおき、その上にあん餅を入れ、さらにその上に大根、金時人参を彩りよく盛り、最後に青のりを振りかけて食す。具材は大根、金時人参や、豆腐が中心であるが、里芋や白ねぎを取り合わせる場合もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 餅(あん入り丸餅): 5個 +- 金時人参(3~5cmの太さ): 50g +- 大根(3~5cmの太さ): 150g +- 豆腐: 01月03日丁 +- 白味噌: 100~130g +- 煮干のだし汁: 5カップ(餅の量により加減する) +- 青のり: 適量 + +## 作り方 +1. 大根、金時人参は厚さ2mm位の輪切りにする。豆腐は長さ3cm、厚さ1cmの拍子木切りにする。 +2. 煮干で出汁を取り、1を入れて煮る。 +3. 野菜が柔らかくなったら、丸餅を入れ、餅も柔らかくなったら豆腐を入れ一煮立ちする。 +4. 白味噌を煮汁でのばしながら入れる。 +5. 餅が椀にくっつかないように椀に大根をおき、その上に餅をのせ、輪切にした大根、金時人参、豆腐を彩りよく盛り、最後に青のりを振る。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 香川県農政水産部農業経営課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_1_1.jpg)" +"# しょうゆ豆 香川県 + +**郷土料理名**: しょうゆ豆 + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +乾燥そら豆、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +乾燥させたそら豆を煎って、熱い��ちに醤油、砂糖と唐辛子を混ぜた調味液に漬け込んだもの。煮豆とは異なり、醤油に漬け込む前に豆を煎ることで、軽く噛むと口の中でポロッとくだける独特の食感が楽しめる。讃岐(現在の香川県)でしょうゆ豆づくりが始まったのは江戸時代と考えられている。その発祥については、文禄年間に醤油の醸造が始まった小豆島が発祥の地であるという説や、四国八十八ヵ所巡礼のお遍路さんを接待するために煎っていたそら豆が近くにあった醤油の壺に転がり込み、あとでその豆を食べてみると、香ばしい豆の香りと醤油がほどよく合い美味しかったのが「しょうゆ豆」の始まりといういわれもある。そら豆の栽培は、明治時代以降、日本中に普及した。香川県は温暖な気候に恵まれ、そら豆の生育には最適の土地柄であることから、農家では稲の裏作としてつくられるようになり、現在では特産野菜のひとつとなっている。昔の「しょうゆ豆」には、「讃岐長さや」という種類が使われていたが、現在「しょうゆ豆」の原料として用いられている乾燥そら豆は、ほとんどが輸入品である。 + +## 食習の機会や時季 +常備菜や酒の肴として、一般家庭や飲食店で年間を通してよく食べられている。またおせち料理で黒豆の代わりに食べる家庭もある。かつては、どこの農家でも稲の裏作として年中食べる量のそら豆を栽培し、農繁期の常備菜として「しょうゆ豆」をつくっていた。また、保存がきくため重宝され、地域におけるさまざまな行事での郷土料理として欠かせないものであった。 + +## 飲食方法 +乾燥させたそら豆をほうろく、またはフライパンに入れて弱火で煎る。鍋に水、醤油、砂糖などを入れ、これを煮立たせた調味液に煎ったそら豆を入れて一晩ねかせる。昔は砂糖をほとんど使わず、そら豆の甘さを生かしていたが、現在は家庭により甘みの度合いが異なる。また好みで、しょうが汁を風味付けに加える家庭もある。盛り付け後は皮ごと食べられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 乾燥したそら豆: 1カップ +- 唐辛子: 2本 +- 【調味料A】砂糖: 大さじ3~5 +- 【調味料A】濃口醤油: 1/2カップ +- 【調味料A】水: 1カップ強 + +## 作り方 +1. そら豆を、ほうろくか厚手のフライパンに入れて、弱火で20~30分芯まで火が通るようにじっくりと煎る。 +2. 鍋に調味料Aと種を取り除いた唐辛子の輪切りを入れて、煮立たせる。 +3. 2に1の煎った豆を熱いうちにジュっと入れ、蓋をして一晩おく。 +4. 少し硬いようであれば20~30分、弱火で炊くと柔らかい豆となる。 +5. ※煎った豆を2~3時間水につけてから調味液に入れる方法もあり、そうすると、そら豆がより柔らかくなる。(その場合は、調味料と合わす水は1/2カップくらいで良い) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農業経営課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_2_1.jpg)" +"# しっぽくうどん 香川県 + +**郷土料理名**: しっぽくうどん + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +うどん、大根、人参、豆腐、油揚げ、ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +香川県でいう「しっぽくうどん」は、秋から冬にかけてとれる数種類の野菜と油揚げを煮干しの出汁で一度に煮込み、ゆでたうどんの上から具材とともにかけてつくる料理で、野菜の甘みやうまみに油揚げの味が加わり、寒い季節にとても美味しく食べられる。「讃岐うどん」の特徴であるコシの強さとなめらかな食感に加えて、地元でとれる季節の野菜を活かした代表的な冬の郷土料理である。香川県でうどんづくりが盛んになった理由としては、雨量が少なく、温暖な気候がうどんの材料に適した良質な小麦の栽培に適していたこと。「伊吹いりこ」で名高い伊吹島を中心とした瀬戸内海では、煮干しの原料となるカタクチイワシが豊富にとれること。海岸一帯が遠浅で砂浜が多いことから塩づくりが盛んであり、その塩を原料の一つとする醤油が小豆島などで生産されていることなど、複数の条件が挙げられる。江戸時代に描かれた「金毘羅祭礼図屏風」にはうどん店が描かれており、この時代には、すでにうどんが普及していたことがうかがえる。 + +## 食習の機会や時季 +秋から冬にかけて、冬野菜が出回る時期に、一般家庭では寒い冬の食事、または来客時の食事に出される。飲食店では、季節限定メニューとして提供される場合が多い。年末に、年越しそばの代わりに食べることもある。 + +## 飲食方法 +大根や人参など、季節の野菜を煮干しの出汁とともに一度に煮込み、ゆでたうどんの上から具材ごと汁をかけて盛り付ける。具材が多く、これだけで一食となる。薬味として小口切りにした細ねぎやすりおろしたしょうがを加えるとさらに美味しくなる。出汁は煮干しが多いが、家庭によってカツオや昆布の出汁にしたり、里芋やしいたけなど好みの具材を加えたりと家庭や飲食店によりさまざまである。また、こくを出すために、鶏肉や豚肉を入れることも多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ゆでたうどん: 4玉 +- 油揚げ: 1枚半 +- 大根: 300g +- ねぎ: 5本 +- 人参: 150g +- 豆腐: 1/2丁 +- 薄口醤油: 40ml +- だし汁(煮干し): 5カップ(好みで昆布、カツオ節等でとってもよい) + +## 作り方 +1. 大根、人参は3cmの長さの短冊切りにする。油揚げは油抜きをして短冊切りにする。 +2. ねぎは3~4cmの長さに切り、豆腐は3cmの長さ、7mmの厚さの短冊切りにする。 +3. 煮出し汁を煮立て、大根、人参、油揚げを入れ、少し煮てから豆腐を加え、次に醤油を入れ、味をふくませる。最後にねぎを入れて火を止める。 +4. 別の鍋に湯を沸かし、うどん玉を温めて器に入れ、3をかける。 +5. 春菊など、青味のものを散らしても良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農業経営課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_3_1.jpg)" +"# 押し抜きずし 香川県 + +**郷土料理名**: 押し抜きずし + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +米、サワラ、そら豆、卵、しいたけ + +## 歴史・由来・関連行事 +春から初夏にかけて、そら豆に実が入り、麦が熟れはじめると、脂が乗ったサワラが外洋から瀬戸内海に入り、サワラの旬を迎える。讃岐の農家では、麦刈りや田植え前の農閑期にサワラ1本を購入して様々なサワラ料理をつくり、親類縁者を招いて酒盛りをする「春祝魚(はるいお)」と呼ばれる習慣がある。この「春祝魚」の主役はサワラの「押し抜きずし」である。また若嫁のいる家では、姑がサワラを買い、南天をしいた魚箱に入れたものを持たせて嫁を里帰りさせる。里帰りした実家では、内内での「春祝魚」をし、嫁は、実家でつくった「押し抜きずし」を婚家へ手土産として持ち帰ることで実家と婚家との仲を取り持つ機会とした。サワラの「押し抜きずし」による「春祝魚」は、地域により、「麦うらし」や「サワラ初穂」という名前で同様の習慣が残っている。 + +## 食習の機会や時季 +サワラ漁が盛んになる4月下旬から6月にかけてつくられる。 + +## 飲食方法 +型にすし飯を入れて、その間に煮た野菜の小切りをはさみ、上には、サワラと山椒とそら豆、彩りにエビ、卵焼き、きぬさや、紅しょうがなどの具材を型に並べて押し出す。押し型は、四角や扇、松、梅などさまざま。旬の食材を取り入れた彩り豊かな料理である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (12個分) +- 米: 5カップ +- 【卵】卵: 1個 +- 【卵】塩: 小さじ1/4 +- 【ふき】ふき: 2本 +- 【ふき】だし汁: 大さじ3 +- 【ふき】酒: 大さじ2 +- 【ふき】砂糖: 大さじ1 +- 【ふき】塩: 小さじ1/2 +- 【しいたけ】しいたけ: 4枚 +- 【しいたけ】もどし汁: 1/2カップ +- 【しいたけ】砂糖: 大さじ1 +- 【しいたけ】醤油: 大さじ1 +- 【しいたけ】みりん: 大さじ1 +- 【凍豆腐】凍豆腐: 1個 +- 【凍豆腐】だし汁: 1カップ +- 【凍豆腐】砂糖: 大さじ2 +- 【凍豆腐】塩: 小さじ1/2 +- 【凍豆腐】酒: 小さじ1と1/2 +- 【凍豆腐】薄口醤油: 小さじ1/2 +- 【サワラ】サワラ: 300g +- 【サワラ】塩: 大さじ1 +- 【サワラ】酢: 1/2カップ +- 【そら豆】そら豆: 12粒 +- 【そら豆】塩: 少々 +- 【そら豆】砂糖: 小さじ1 +- 【合わせ酢】酢: 1/2カップ +- 【合わせ酢】砂糖: 130g +- 【合わせ酢】塩: 15g +- 山椒の葉: 適量 + +## 作り方 +1. 米を炊き、合わせ酢を入れてすし飯をつくる。 +2. ふきは、塩小さじ1で板ずりしてゆで、皮をとり小口切りにし、調味液で汁気がなくなるまで煮る。 +3. しいたけはもどして細切りにし、もどし汁と調味料で煮る。 +4. 卵は薄焼きにして、好みの大きさに切る。 +5. サワラの切り身は、塩をして30分くらいおいた後、酢につけて1時間くらいおく。 +6. そら豆は塩ゆでして、甘辛く味付けする。 +7. 凍豆腐はぬるま湯でもどして水にさらし、小さく切って調味液で汁気がなくなるまで煮る。 +8. 押し抜き型の下に葉らんを敷いてすし飯を半分おき、2、3、6、7を適量入れ、その上にすし飯をおき、卵、サワラ、そら豆など配置良く並べ上から押して型から出す。山椒の葉をたたいてその上に飾る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農業経営課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_4_1.jpg)" +"# なすそうめん 香川県 + +**郷土料理名**: なすそうめん + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +中讃地域 + +## 主な使用食材 +そうめん、なす + +## 歴史・由来・関連行事 +旬のなすと小豆島特産のそうめんを用いて、唐辛子で味を引き立てた家庭料理で、主食にもおかずにも最適である。そうめんは少しご飯の足らない時に常備しておくと便利な食材であり、なすそうめんは「おなすにそうめんを抱かせる」といわれるように主婦にとっては大変扱いやすく熟練したこつを必要とせず、簡単につくれるので、広く一般家庭に浸透している料理である。なすは油と煮汁を含んで柔らかく、ボリュームもあり、食欲のない暑い夏にも食べやすく、夏バテ防止にもなるといわれている。香川県西部で栽培され、一般的ななすの約3倍の大きさで皮が柔らかい品種の三豊なすを使うことも多く、そのとろけるような食感が、出汁によく合い具材として重宝される。昔からのなすそうめんは、唐辛子とそうめんだけでつくっていたが、ここでは、油揚げ、しょうがを加えている。 + +## 食習の機会や時季 +手軽に栄養をとることができ、夏バテ防止にも有効とされる。主食にもおかずにも適していることから、農家を中心に家庭ではよく夏の食卓に上がっている。 + +## 飲食方法 +なすに切り目をいれて水につけ、アク抜きした後、水気をとり、厚手の鍋に入れ、油で炒める。これに油揚げと唐辛子を加え、いりこのだし汁に砂糖と醤油を加えて煮た後、あらかじめ硬めにゆでたそうめんを入れるとできる簡単な料理である。薬味にしょうがやねぎを入れるとさらに美味しい。汁を温かくしても冷やしても、なすや油揚げに出汁がしみ込んで美味しく食べられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 三豊なす: 中2個 +- そうめん: 200g +- しょうが汁: 1かけ +- 油揚げ: 1枚 +- 薄口醤油: 45ml +- 砂糖: 30g +- だし汁(いりこ): 700ml +- 唐辛子: 1本 +- 油: 少々 +- ごま油: 少々 + +## 作り方 +1. なすは縦8等分に切り、斜めに切り目を入れて水につけてアク抜きをする。しょうがはすりおろしてしぼり汁をとる。唐辛子は種を除き、1/3はキッチンバサミで輪切りにする。残りはそのままで用いる。 +2. 油揚げは油抜きをしたのち、8等分の三角の形に切る。 +3. そうめんは硬めにゆでる。 +4. 厚手の鍋に油を入れてよく熱し、水気をとったなすを加えて軽く炒める。 +5. 4に2を加え、そのままの唐辛子、だし汁、調味料を加えて煮る。 +6. 煮えてきたら、そうめんを入れて、ごま油としょうが汁を加える。(このとき煮えすぎないよう注意する) +7. 適当な皿に盛り付け、唐辛子の輪切りを上に飾る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農業経営課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_5_1.jpg)" +"# まんばのけんちゃん 香川県 + +**郷土料理名**: まんばのけんちゃん + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +まんば、油揚げ、豆腐 + +## 歴史・由来・関連行事 +冬場の香川県の郷土料理の代表的な料理である。まんばは、10月から4月が旬の高菜の一種で、独特のアクが特徴。県内全域で栽培されており、家庭菜園でも見かける。株の外側から葉を取っても次々と芽吹くので、「万葉」と名付けられた。同じ意味合いで千葉や百貫ともいわれている。東讃地域では「まんば」、西讃地域では百貫が訛って「ひゃっか」と呼ばれている。野菜の少ない冬に深緑や暗紫色の大きな葉を伸ばすが、寒くなり霜を何度も被ることで柔らかくなり甘みが増す。栄養豊富で、ビタミンCも多く含む。けんちゃんは、細切り野菜の油炒めに豆腐を入れて炒めたしっぽく料理のけんちんがなまったといわれている。西讃地域では、豆腐を雪に見立てて「ひゃっかの雪花」と呼ばれている。 + +## 食習の機会や時季 +まんばは、家庭菜園でもよくつくられ、寒に入ると柔らかく甘みも増すので、冬場の惣菜として今も一般家庭で日常的につくられる。 + +## 飲食方法 +まんばは、ゆでてから水にさらしアクを抜く。小さめの煮干しは、頭ごと加えると良い出汁が出る。大きい煮干しは、頭と内臓や骨をとってから使う。鍋に油を熱し、煮干しを香ばしく炒めた後刻んだまんばを炒める。豆腐や油揚げを加え、豆腐を崩しながらさらに炒める。最後に出汁や調味料で煮て味をととのえる。具材や味付けは、家庭によりさまざまである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- まんば: 大8枚 +- 油揚げ: 1枚 +- 豆腐: 1/2丁 +- 煮干し: 少々 +- サラダ油: 大さじ1 +- 醤油: 大さじ2 1/2 +- だし汁: 2/3カップ + +## 作り方 +1. まんばはゆでて水につけ、アクぬきをしてしぼり、1.5cm位に切っておく。 +2. 豆腐は軽く水気をきり、油揚げは3cmの短冊切りにする。 +3. 鍋に油を熱し、煮干しを入れて香ばしい香りが出るまで煎り、1のまんばを入れて炒める。 +4. 2の豆腐、油揚げを入れ、豆腐は木しゃもじでくずして炒める。 +5. だし汁、調味料を加えて煮て味をととのえる。 +6. 器に盛り付ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農業経営課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_6_1.jpg)" +"# いりこ飯 香川県 + +**郷土料理名**: いりこ飯 + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +西讃地域 + +## 主な使用食材 +米、いりこ、人参、大根、里芋、こんにゃく + +## 歴史・由来・関連行事 +「いりこ飯」は、いりこと呼ばれる煮干しを使った炊き込みごはん。瀬戸内海では、いりことなるカタクチイワシの漁が盛んで、とりわけ西讃(香川県西部)地域に位置する伊吹島周辺は有数のいりこの産地として知られている。いりこづくりは、鮮度が重要である。漁獲されたカタクチイワシは、わずか30分間で伊吹島に運ばれ煮沸される。この漁獲から加工までの作業を同じ業者が一貫しておこなう体制が、上質ないりこの生産に繋がる。漁獲から店頭に並ぶまでは1~3日。スピードを重視するカタクチイワシ漁だが、水揚げには細心の注意を払う。魚体を傷つけないよう、網に魚が入る量を加減するには熟練の技を必要とする。穏やかな瀬戸内海で生産されるいりこは、濃厚で旨味の強い出汁がとれる。香川県では、いりこ出汁が、和食料理に欠かせず、名物の讃岐うどんをはじめ、さまざまな家庭料理にいりこ出汁が使われている。また、いりこの身も、煮物や天ぷらとして食べることが多く、食文化を支える代表的な食材の一つである。 + +## 食習の機会や時季 +日常食として、季節を問わずつくられている。 + +## 飲食方法 +いりこの頭と腹を除き身を割る。いりこの頭は水につけて出汁をとる。切った具材と米、いりこの身、いりこ出汁、調味料を釜に加えて炊き上げる。きのこ類やごぼう入れる場合も多いが、具材は野菜の時期や家庭の好みにより異なる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20人分) +- 米: 1升 +- 【調味料A】醤油: 大さじ6 +- 【具】いりこ: 80g +- 【具】油揚げ: 1枚 +- 【具】人参: 140g +- 【具】大根: 400g +- 【具】里芋: 400g +- 【具】こんにゃく: 1枚 + +## 作り方 +1. 米は30分位前に洗っておく。 +2. いりこは頭と腹を除き、身を割る。頭は水につけておき、出汁をとる。 +3. 野菜は皮をむき、油揚げ、人参、大根、こんにゃくは2cmの短冊切りに、里芋は5mm幅の半月切りにする。 +4. 釜に、米、いりこだし汁、水を分量まで入れ、3の具といりこの身、調味料Aを加えて炊く。 +5. ※ごはんは一度にたくさん炊くほうが美味しいため、昔から米1升単位で計算しているが、家族の人数に合わせて調整して良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農業経営課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_7_1.jpg)" +"# てっぱい 香川県 + +**郷土料理名**: てっぱ��� + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +フナ(最近はコノシロ、サゴシ、サバを使うことが多い)、大根、細ねぎ、唐辛子 + +## 歴史・由来・関連行事 +讃岐平野に点在するため池の淡水魚であるフナは鉄砲と呼ばれた。これを三枚におろし、薄切りにし、塩じめ、酢じめにして大根とともに讃岐の白味噌を用いた酢味噌で和えた鉄砲和えは、てっぱいと呼ばれ、酒の肴やおかずとして重宝がられてきた讃岐の味である。降水量が少ない香川県では、近年まで農業用水には主にため池を活用していた。県内のため池の数は1万ヵ所を超え、県土の総面積に対するため池の密度では全国一(香川県HP)である。ため池にはフナが生息しており、農繁期が終わる秋から冬にかけてため池の水を抜く際には、フナが産卵期で、脂がのって身がしまり、淡水魚特有の臭みも少なくなってくる。昔からこれを寒ブナと呼び、海が遠い山村や農村地域の人たちの食生活のうえで、貴重なたんぱく質源となっていた。この寒ブナの味を最高に生かせる料理がてっぱいである。フナの旬は冬である。「寒ブナ」と名付けられるほど、脂がのる上に臭みが少なく、身もしまって美味しくなる。県内では、現在も約300のため池でフナの養殖がおこなわれている。全国でもトップクラスの生産量を誇り、郷土料理として県内で出回るだけでなく県外にも出荷されている。「てっぱい」の語源は、フナのことを鉄砲と呼んだことから「鉄砲和え」が訛ったとされる説がある。 + +## 食習の機会や時季 +ため池の水を抜く冬に男達が生きたフナを使ってつくる料理で、昔は伊勢講やいろいろな寄り合いの席での酒の肴として、冬の客膳には欠かせないものであった。 + +## 飲食方法 +フナ(コノシロ)を三枚におろし細切りにする。塩をかけたあとに酢に浸す。短冊切りにした大根を塩もみにし、白味噌を用いた酢味噌に刻んだ細ねぎや唐辛子を入れ和える。酢の代わりにだいだいのしぼり汁を使うこともある。また、柚子の皮を千切りにして混ぜることもあり、爽やかな柚子の香りが美味しさを引き立たせる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- コノシロ: 中1匹 +- 大根: 600g +- 唐辛子: 1本 +- 細ねぎ: 少々 +- 塩: 少々 +- 【調味料A】白味噌: 100g +- 【調味料A】砂糖: 60g +- 【調味料A】酢: 大さじ3 + +## 作り方 +1. 魚は3枚におろし、腹骨をすきとり0.5cm幅の細切りにして塩少々を振りかけて30分くらいおき、これに酢をつかるくらいかけてさらに15~20分つけておく。 +2. 大根は皮をとり長さ4cm幅0.5mmの短冊切りにして塩を振ってもみ、10~15分おいてしんなりしたら、水分をよくしぼる。 +3. 唐辛子は種を除き輪切に、細ねぎは細かい小口切りにする。 +4. ボウルに白味噌と砂糖を入れてよく混ぜ合わせた中に酢を少しずつ加えてのばす。 +5. 4に2と3を入れ、混ぜ、最後に1を加えて和える。 +6. ※白味噌自体が甘いので、砂糖の量は好みによって加減する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農業経営課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_8_1.jpg)" +"# アジの三杯 香川県 + +**郷土料理名**: アジの三杯 + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +アジ + +## 歴史・由来・関連行事 +夏、かつては地引き網を引く手伝いをすると、大人でも子どもでも漁師がアジやイワシを分けてくれた。「アジの三杯」はこの新鮮な小魚を使った郷土料理。酢につけることで、魚の骨を柔らかくし丸ごと食べられるようになるだけでなく、保存性も増す工夫に富んだものである。アジは、魚の中でも「味が良い」ということから名付けられたとも言われる。瀬戸内海では、夏から秋にかけて小アジがとれるようになり、秋には15cmほどに成長し旬を迎える。瀬戸内海は浅瀬が多く、えさとなるプランクトンが豊富なことなどから、アジをはじめ、年間を通じて豊かな海産物に恵まれ、昔から多様な魚料理が継承されてきた。 + +## 食習の機会や時季 +夏から秋にかけて瀬戸内海に入るアジを使う。昔から夏祭りの酒肴としても親しまれてきた。爽やかな三杯酢の酸味が暑い夏にも食欲をそそる。また魚を丸ごと食べることができるので、たんぱく質と脂質に加えて、骨に含まれるカルシウムの摂取が健康増進にも寄与してきた。 + +## 飲食方法 +アジの腹わたを取り除き、焦げ目がつくように焼く。三杯酢をつくり、唐辛子や刻みしょうが、みょうがの細切りなどの薬味を加える。三杯酢に焼き立てのアジをつける。最後にすだちや青じそを好みで添える。アジだけでなく、サッパやキスなどの小魚でつくられることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- アジ: 小8匹 +- 【調味料A(三杯酢)】酢: 1/2カップ +- 【調味料A(三杯酢)】砂糖: 50g +- 【調味料A(三杯酢)】濃口醤油: 70ml +- 【調味料A(三杯酢)】だし汁: 50ml(酸味が和らぐ) +- 【調味料A(三杯酢)】塩: 少々 + +## 作り方 +1. アジは、腹わたを取り除く。(小アジは、身がくずれるので、腹わた、ぜいごをとらないほうが良い) +2. 焼き網で、まず、表身を色良く焼き、焦げ目がついたら裏返して、中まで火が通るように焼く。 +3. 調味料Aを合わせ、三杯酢をつくる。季節により、唐辛子や刻みしょうが、みょうがの細切りを加える。 +4. 3に2の焼きたての熱いアジをつける。時々、裏返して味を染み込ませる。すだちの輪切りやくし型切りをそえたり、青しそをあしらう。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農業経営課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_9_1.jpg)" +"# いもたこ 香川県 + +**郷土料理名**: いもたこ + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +タコ、里芋 + +## 歴史・由来・関連行事 +「いもたこ」は、瀬戸内海でとれる新鮮なタコと里芋を煮付けたシンプルな郷土料理で、海と里の幸を組み合わせた特徴ある一品。使われるタコは、手長ダコが一般的であるが、瀬戸内海では、マダコやイイダコなど数種類のタコが年間を通じてとれる。貝類に加え、エビやカニなどの栄養豊富なえさで成長するため、瀬戸内海のタコは、甘く風味が強いといわれている。また、たんぱく質やビタミン、タウリンがバランスよく含まれることから疲労回復に効果があり、昔から定番の食材として親しまれてきた。里芋は、県内でも多く栽培されており、蒸した里芋は、かつて子どものおやつとしても重宝していた。田んぼの片隅にも植えていたことから「田いも」とも呼ばれる。さつまいもやじゃがいもとは異なり、親芋から数が増えるため、子孫繁栄の象徴として祭りや正月などハレの日のごちそうに用いられてきた。 + +## 食習の機会や時季 +かつて正月や婚礼などのハレの日に食べられていたが、現在は日常的につくられる。 + +## 飲食方法 +タコを塩もみした後、さっとゆでる。里芋は小口に切り、塩でぬめりをとる。鍋に調味料、切ったタコ、里芋を加え煮る。惣菜や酒の肴として食卓に上がる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 里芋: 800g +- タコ: 500g +- だし汁: 300ml +- 濃口醤油: 40ml +- 砂糖: 50g +- みりん: 大さじ1 +- 酒: 小さじ1 + +## 作り方 +1. タコは塩でもみ、さっとゆで、適当な大きさに切る。 +2. 里芋は皮をむいて小口に切り、塩でぬめりを取っておく。 +3. 鍋にだし汁と調味料を入れてひと煮立ちさせ、タコと里芋を入れ、里芋が柔らかくなるまで弱火で煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農業経営課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_10_1.jpg)" +"# ばらずし 香川県 + +**郷土料理名**: ばらずし + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +米、油揚げ、ごぼう、しいたけ、里芋 + +## 歴史・由来・関連行事 +「ばらずし」は、酢飯に季節の野菜などの具を混ぜ合わせたもので、おもにハレの日に食べる。客用には、サワラ、サバ、コノシロなどを酢でしめたもの、アナゴの照焼き、錦糸卵、紅しょうが、木の芽などをあしらう。神社の春秋の祭り、馬節句、ひな祭り、棟上げ、結婚披露宴、法事などの際、一番のごちそうであった。中讃地域にある宇多津町の「ばらずし」は、甘い味付けが特徴である。宇多津町は、江戸時代、高松藩の港であったことから、砂糖を入手しやすい地域であった。また、江戸時代から昭和40年代まで、当地は全国有数の塩の生産地であり、体力が必要とされる塩づくりの人々には、甘いものが好まれていた。このようなことから、宇多津町において甘い「ばらずし」がつくられるようになったと推測される。 + +## 食習の機会や時季 +春や秋の祭り、冠婚葬祭など特別な行事のときには、「ばらずし」が振舞われた。子どもから大人までが集まり、賑やかにおしゃべりをしながら、旬や好みにより多様な具材を使った「ばらずし」をつくることで、その時々の行事や食材が話題に上がり、料理の味だけでなく、地域の歴史や文化が伝わる場にもなっていた。 + +## 飲食方法 +昆布や酒を合わせて米を炊く。エビをゆで、里芋やごぼうなどの具材を切って薄味に煮る。合わせ酢を混ぜたごはんに具材を加え、手早くかき混ぜる。器に盛り付け、アナゴや錦糸卵などを彩りに添える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 3合(昆布 5cm1枚、酒 小さじ2) +- 【合わせ酢】酢: 60ml +- 【合わせ酢】塩: 小さじ1強 +- 【合わせ酢】砂糖: 50~70g +- 【具】油揚げ: 1/4枚 +- 【具】人参: 40g +- 【具】ごぼう: 20g +- 【具】しいたけ: 3枚 +- 【具】里芋: 小2個 +- 【具】れんこん: 30g +- 【具】エビ: 80g +- 【飾り】卵: 1個 +- 【飾り】きぬさや: 30g +- 【飾り】アナゴ: 少々 +- 【飾り】紅しょうが: 少々 + +## 作り方 +1. 米は昆布、酒を加えて普通に炊く。 +2. 具の用意をする。エビは塩ゆで、ごぼうはささがきにして水にさらす。里芋は粗いさいの目切りにし塩もみして水にさらす。れんこんは小さい小口切り。人参、油揚げ、しいたけは細かい短冊切り。煮干しで出汁をとり、具を薄味に炊いて、ざるにあげておく。 +3. 合わせ酢の材料を火にかけ、砂糖と塩を溶かしておく。 +4. はんぽ(おひつ、すし桶)に熱いごはんをうつし、合わせ酢を混ぜ合わせる。(この時は、うちわであおいでつやを出す)2の具を加えて手早くかき混ぜる。 +5. 器に盛り、つけ焼きにしたアナゴ、錦糸卵、塩ゆでにした斜め千切りのきぬさや、紅しょうがを飾る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農業経営課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_11_1.jpg)" +"# 打ち込み汁 香川県 + +**郷土料理名**: 打ち込み汁 + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、大根、人参、里芋、油揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +「打ち込み汁」は、農村の冬の寒い日の日常食として、手早くつくる汁物の1つ。いりこだしに季節の野菜をふんだんに入れ、塩を加えず小麦粉と水だけで簡単にこねて打っためんをそのまま入れて煮込んでつくる。めんが太かったり細かったりするのも、手づりの楽しさの1つ。打ち立てのめんを、別ゆでせずそのまま入れる様子から「打ち込み汁」と名付けられたとされる。温暖で雨の少ない香川県は、小麦の生産に適しており、小麦粉が家庭でも身近な食材として使われてきた。また、「伊吹いりこ」で名高い伊吹島を中心に、瀬戸内海では出汁の原料となるカタクチイワシが豊富にとれることなども、うどんが身近な料理となった要因であるといえる。 + +## 食習の機会や時季 +農村の寒い冬の日の夕飯として、旬の野菜を豊富に使い用いつくられて、家族にも喜ばれる献立であった。ハレ食の手打ちうどんに対して打ち込み汁は、冬の日常食として手軽につくられた。 + +## 飲食方法 +最初にボウルに小麦粉と水を入れて簡単にこね生地をつくりねかす。生地をねかす間に大根や人参などの具材を準備する。鍋に出汁を入れ、具材を煮る。具材を煮ている間に生地をのばして切り、煮汁が沸騰したらめんを加え、めんが煮えたら味噌で味をととのえる。最後にねぎを添える。具材は、旬や好みにより多様で、鶏肉や豚肉、しいたけなどを入れてもよいとされる。また、家庭により醤油で味をつける場合もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 小麦粉(中力粉): 300g +- 水: 160ml +- 大根: 300g +- 人参: 100g +- ごぼう: 100g +- 里芋: 150g +- 油揚げ: 1枚 +- ねぎ: 少々 +- 中味噌: 100g +- だし汁(煮干し): 7カップ + +## 作り方 +1. ボウルに小麦粉と水を入れて手早くこねて生地をつくりねかす。 +2. 大根、人参、油揚げは短冊切り、ごぼうはささがき、里芋は一口大に、ねぎは2cmくらいの大きさに切る。 +3. 鍋��だし汁を入れ、大根、人参、里芋、ごぼう、油揚げを入れて煮る。 +4. まな板に打ち粉をふり、1の生地をめん棒でのばし、すこし太めのめんに切る。 +5. 3が沸いたら4のめんを入れ、7~8分煮てめんが煮えたら味噌で味をととのえる。 +6. 最後にねぎを入れるとできあがり。 +7. ※鶏肉、豚肉、生しいたけなどを入れても良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政部農業経営課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_12_1.jpg)" +"# カンカンずし 香川県 + +**郷土料理名**: カンカンずし + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +東讃地域 + +## 主な使用食材 +米、サワラ + +## 歴史・由来・関連行事 +「カンカンずし」は、江戸時代から伝わる保存食で、さぬき市鴨部地域で発祥し、さぬき市のほぼ全域に伝承されている。一升ほどのごはんが入るすし箱にすしめしを詰め、その上に酢でしめたサワラを並べ、蓋をして木枠をくさびで打ち込む。その音がカンカンと聞こえることから名前がついた。すし箱をいくつも重ねるため一度に大量につくることができる。また、魚を塩と酢でしめているため、冬では1週間、夏でも2~3日保存がきく。かつて鴨部地域一帯の各家庭には、すし箱や木槌などの道具が一式揃えられていた。すし箱は、昔は固くて無臭のセンダンの木が主流であったが、近年はほとんど杉や檜が使われている。昔は農繁期を前にして、地主が奉公人にふるまった料理であったため、末席にいる者に放り投げて渡しても形が崩れないほど締まったすしであることから、別名「ほらいたずし」とも呼ばれている。 + +## 食習の機会や時季 +讃岐の農家では、麦刈りや田植え前の農閑期にサワラ1本を購入して様々なサワラ料理をつくり、親類縁者を招いて酒盛りをする。この習慣は「春祝魚(はるいお)」と呼ばれ、「カンカンずし」も、はるいお料理の一つとしてつくられていた。また、農繁期の保存食として食べられた。今でも法事などの行事の時につくられている。 + +## 飲食方法 +サワラを刺身にし、塩を付けたあとに酢につける。保存が利くよう身の中が白くなるまで酢でしめる。すし用の木箱に葉らんを敷き、すしめしを詰め、サワラを並べてから、さらに葉らんを載せ上から蓋をおく。いくつもの木箱に同様にすしを詰め、枠に収めたあとに木槌でくさびを打ち込み押し固める。翌日に味が馴染んでから切り分ける。山椒の葉を添えることもある。またサワラのない時期は、アジやコノシロを使うこともある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 米: 1升 +- 酢: 1カップ強 +- 塩: 30g +- 砂糖: 200g +- みりん: 50ml +- サワラ: 1kg(廃棄部込) + +## 作り方 +1. 活きの良いサワラを3枚におろし、中骨にそって包丁を入れ節にとる。 +2. 刺身に切って刺身の3%の塩をあて20分位おいた後、さっと洗い水気を取り、酢に1時間くらいつける。身の中まで白くなるほど酢でしめること。 +3. すし箱に葉らんを敷き、すし飯を5cmの厚みに詰め、サワラを並べ、さらに葉らんをおき、上蓋をのせる。 +4. いくつものすし箱に同じ要領で詰め、特製のすし枠におさめ、さんをして木槌でくさびを打ち込み、重石をかける。 +5. 一晩おき、翌日味が馴染んでから切り分ける。好みにより山椒の葉を飾る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農業経営課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_13_1.jpg)" +"# はげ団子 香川県 + +**郷土料理名**: はげ団子 + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、小豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +香川県では、麦を刈る5月から田植えをする6月にかけて農繁期を迎える。半夏生(はんげしょう)と呼ばれる7月2日ごろは節目であり、「半夏までに田植えを終えないと半夏半つくになる」とされ農家は遅れまいと仕事を急ぐ。また「半夏のはげ上がり」と言われ、降り続いた雨がやみ梅雨が明ける時期でもある。この晴れた日に「はげ団子」をつくって食べ半日ほど疲れを癒す。収穫したばかりの小麦粉でつくるだんごはつるりとした光沢があり香りが良い。「はげ団子」という名前は、半夏に食べることやだんごの表面にあんがまだらにつく様子から付けられた。 + +## 食習の機会や時季 +半夏生に新麦でだんごをつくり、自然の恵みに感謝しながら休息をとる習わしがある。つくった「はげ団子」は神仏に供え家族で食べる。 + +## 飲食方法 +小豆またはささげをたっぷりの水で柔らかく煮る。豆と同量の砂糖を入れさらに煮詰める。この時に塩を少し加えると甘みが引き立つ。小麦粉を水で練り生地をつくる。湯を沸かし、一口サイズのだんごを落とす。だんごが浮かんできたらざるに上げる。だんごの水気を切ってから全体にあんをまぶす。生地の中にあんを入れ鉄板で焼いたり、だんごを蒸したり、あんの上からきな粉をまぶしたりと地域により食べ方に特色がある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 小麦粉: 400g +- 水: 200g +- 塩: 少々 +- 【あん】小豆: 100g +- 【あん】水: 適量 +- 【あん】砂糖: 100g +- 【あん】塩: 小さじ1/2 + +## 作り方 +1. あんをつくる。小豆またはささげは、しぶがあるので、たっぷりの水からゆでて、途中沸騰したら、しぶ切りするため湯は捨てる。再び、たっぷりの水を加えて柔らかく煮る。煮えれば、砂糖を加えてまとまるほどの硬さまで焦がさないように煮つめる。塩を入れ、甘みをひきたたせる。 +2. 小麦粉を水で練り、耳たぶ程度の硬さの生地をつくる。湯を沸かし、沸騰している湯の中へ、木杓子で一口大の大きさのだんご生地をすくって落とす。浮かび上がればざるにとる。 +3. 2の水気を切って、熱いうちに1のあんをまんべんなくまぶす。あんがまだらにつき、「はげ」だんごとなると上出来である。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農業経営課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_14_1.jpg)" +"# うずまきもち 香川県 + +**郷土料理名**: うずまきもち + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +引田地域 + +## 主な使用食材 +こしあん、小麦粉、だんご粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「うずまきもち」は、こしあんを餅で巻いた引田地域の郷土菓子である。引田地域は、徳島県鳴門市との県境に位置し、「うずまきもち」のうずは、鳴門の海を表している。かつて鳴門は、引田地域にとって重要な漁場だったが、争いに敗れたため鳴門の海を惜しんでつくったのが「うずまきもち」の始まりとされる。 + +## 食習の機会や時季 +昔から海運交易で栄えた引田地域。かつて女の子が生まれると、初節句には豪華な雛飾りを設え近所にお披露目する習慣があった。その盛大な様子から「引田飾り」と呼ばれ、7段にわたる雛壇の横に市松人形を設置するのが特徴である。また、子孫繁栄を願い、縁起物のわけぎやハマグリも供えられる。「うずまきもち」も子どもの健やかな成長を願い菱餅などと同様に飾って食べてきた。この風習は、昭和60年(1985年)頃まで続いたものの、豪華になりすぎたことから一時自粛する。平成15年(2003年)に町おこしを目的に復活し、現在では約60軒の民家の座敷や商店の軒先などで毎年目にすることができる。 + +## 飲食方法 +こしあんに小麦粉を加え、十分に混ぜてから強火で蒸す。また、だんご粉をぬるま湯でこねてひとまとめにし同様に蒸す。こしあんを粘りが出るまでよくこねた後、めん棒を使いのばす。厚さ1cmほどになったらめん棒で長方形にととのえる。だんごもよくこねて、冷める前にこしあんと同じく長方形にする。だんごとこしあんを重ね、あんや餅がはみ出さないよう、両手で押さえながら注意して巻く。直径が7~8cmになるまで長くのばす。最後に扱いやすい長さに切り分ける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20切れ分) +- こしあん: 500g +- 小麦粉: 50g +- だんご粉: 250g(もち米粉200g、うるち米粉50g) +- 片栗粉: 適量 +- 食紅: 適量 + +## 作り方 +1. こしあんに小麦粉を入れ、しっかり混ぜてから強火で30分蒸す。だんご粉は200mlのぬるま湯で耳たぶくらいの硬さにこねてひとまとめにし、同様に蒸す。 +2. 1のこしあんは粘りが出るまでよくこねたら、片栗粉を敷いたまな板などの上でめん棒を使ってのばす。 +3. 厚さ1cmぐらいにのびたら、めん棒を使って長方形(約30cm×25cm程度)にととのえていく。 +4. 1のだんご(5分の1は別にとっておく)もよくこねて(熱いのでボールにとり、すりこぎでつくとよい)、なるべく温かいうちに、こしあんと同じ大きさの長方形にのばす。 +5. 4で別にとっておいただんごに食紅を混ぜ、赤く染める。さらに5分の1を別にとっておく。白いだんごと同じ幅(30cm×5cm程度)にのばして巻き終わり側に5cmほど重ねて上におく。この時、生地の重なる面がくっつきやすいように、片栗粉をフキンでふき取っておく。 +6. 5の上にこしあんを重ねる。5と同様に、重なる面は全てくっつきやすいように片栗粉を常にフキンでふき取っておく。5でとっておいた赤いだんごを細長く延ばして、手前におく。 +7. 6を芯にして、きっちりとしっかり巻いていく。あんや餅がはみ出さないように、両端を押さえながら巻く。 +8. 巻きあがった7の直径が7~8cmくらいになるまで、長くのばしていく。のばしすぎると溝がつぶれるので注意すること。扱いやすいように、適当な長さに切る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農政課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_15_1.jpg)" +"# えびみそ汁 香川県 + +**郷土料理名**: えびみそ汁 + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +豊中町 + +## 主な使用食材 +シバエビ、白味噌、豆腐 + +## 歴史・由来・関連行事 +瀬戸内海では、数多くのエビが豊富にとれる。エビの中でも10cm前後までしか成長しないものを「小エビ」と呼び、「えびみそ汁」に用いるシバエビも小エビに分類される。三豊市豊中町にある宇賀神社では、五穀豊穣に感謝する秋祭りが毎年開催されてきた。「どぶろく祭り」と呼ばれ、演芸大会などもおこなわれ賑わう。神前に供え神事をおこなったあと、参加者にもどぶろくが振る舞われる。その際に、ごはん、なますなどと共に「えびみそ汁」も郷土料理として出される。宇賀神社では、どぶろくの醸造を許可された約300年前から伝統の製法を受け継いでいる。どぶろくの製造が許可されている神社は全国でも限られており、四国では宇賀神社が唯一である。3月には伊勢神宮にもどぶろくを献納しているほか、使われている古式醸造用具一式は、県指定文化財に指定されている。 + +## 食習の機会や時季 +秋、豊作に感謝して毎年「どぶろく祭り」がおこなわれてきた。「えびみそ汁」は、どぶろくと共に振る舞われる郷土料理の一つである。 + +## 飲食方法 +米のとぎ汁をとる。米をざっと洗い一度水を捨て、2回目のとぎ汁を使う。エビは頭と尾を取り除いて塩水で洗う。殻をむかずにボウルに入れ、米のとぎ汁を加えミキサーにかける。残りのとぎ汁は鍋に入れ火にかける。エビを加え、混ぜながら煮立たせたあとに白味噌を入れ、20分ほど弱火で煮る。さらに、さいの目切りした豆腐を加え煮る。このとき、焦げないよう注意しながら混ぜる。器に盛り付け最後にねぎを散らす。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- シバエビ: 60g +- 白味噌: 100~110g +- 赤味噌: 少々(好み) +- 米のとぎ汁: 700ml +- ねぎ: 少々 +- 豆腐: 1/2丁(200g) + +## 作り方 +1. 米のとぎ汁をとる。最初の1回目は米をざっと洗いすてる。2回目からのとぎ汁を使う。 +2. エビを塩水で洗う。エビは頭と尾を取り除いて洗い、殻つきのままボウルに入れ、これに米のとぎ汁500ml入れてミキサーにかける。 +3. 鍋に残りの米のとぎ汁を入れ火にかけ、2を加え、木しゃもじで混ぜながら煮立ったら、白味噌を加え(好みで赤味噌を加えても良い)、20分位弱火で煮る。 +4. 3にさいの目に切った豆腐を入れ、焦げ付かないように混ぜながらさらに10分位弱火で煮る。 +5. 椀に盛り、ねぎを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農政課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_16_1.jpg)" +"# かきまぜ 香川県 + +**郷土料理名**: かきまぜ + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +小豆島 + +## 主な使用食材 +米、たけのこ、さやいんげん、人参、ごぼう、干ししいたけ、油揚げ、干しエビ、ちくわ + +## 歴史・由来・関連行事 +「かきまぜ」は、小豆島の海や山の幸をふんだんに使った郷土料理である。「おまぜ」とも呼ばれ、具材を醤油などの調味料で味付けし、炊き立てのごはんに混ぜ込む。小豆島の醤油製造は、400年もの歴史を持つ伝統産業である。海に囲まれた温暖少雨な気候が、醤油��原料となる塩や大豆、小麦の生産に適していたことが背景にある。最盛期の明治時代には、醸造所が400軒も稼働していた。現在も20軒以上の醤油蔵や佃煮工場が存在し、桶仕込みという独自の製法が守られている。香川県の醤油づくりは小豆島をはじめ、坂出市、東かがわ市、高松市でもおこなわれており全国的に上位の生産量を誇る。 + +## 食習の機会や時季 +昔は親族や集落の集会、農繁期の収穫で近所に協力してもらったときなど、ハレの日に振る舞う料理だった。時間がないときでも簡単に調理でき、大人数に対応できる「かきまぜ」は、見た目の華やかさもあり農村の女性たちから重宝されてきた。春には、ふきやさつまいもの茎を、漁師町ではアナゴを用いることもあり、季節や地域性を楽しめる料理でもある。 + +## 飲食方法 +米を通常通り炊き、干ししいたけ・干しエビは水でもどす。ごぼうをささがきにし、さやいんげんは塩ゆでしたあと斜めに切る。他の材料は細かく切る。鍋に人参・さやいんげん以外の具材を入れ、調味料を加え煮含詰める。味が染み込んだら人参とさやいんげんを鍋に追加し、煮含める。炊いておいたごはんに、具を混ぜ合わせ(煮汁も混ぜ味をととのえる)器に盛り付ける。旬や家庭の好みにより具材は多少異なる。近年は鶏肉を使う場合も多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 3合 +- たけのこ: 70g +- さやいんげん: 20g +- 人参: 30g +- ごぼう: 70g +- 干ししいたけ: 小2枚 +- 油揚げ: 1/4枚 +- 干しエビ: 30g +- ちくわ: 1/2本 +- こんにゃく: 1/2枚 +- 【調味料A】濃口醤油: 30ml +- 【調味料A】砂糖: 30g +- 【調味料A】酒: 60ml +- 【調味料A】出し汁: 300ml + +## 作り方 +1. 米はとぎ、普通に炊きあげる。 +2. 干ししいたけ、干しエビは水でもどす。 +3. ごぼうはささがきにする。さやいんげんは塩ゆでし、斜め切りにする。他の材料も、適宜に切る。 +4. 鍋に、人参、さやいんげん以外の2~3の具材を入れ、調味料Aを加えて中火で20分ほど煮含める。 +5. 4に味が染みれば、人参やさやいんげんを入れ、弱火で10分ほど煮含める。 +6. 1のごはんに5の具を混ぜ合わせ、器に盛り付ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農政課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_17_1.jpg)" +"# こんにゃくの白あえ 香川県 + +**郷土料理名**: こんにゃくの白あえ + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +こんにゃく、豆腐、ごま + +## 歴史・由来・関連行事 +「こんにゃくの白あえ」は、つぶした豆腐やごまでこんにゃくをあえた郷土料理である。こんにゃくは、仏教伝来とともに精進料理として伝えられたとも、遣唐使が持ち帰ったともいわれているが、庶民に食べられるようになったのは江戸時代であった。香川県では明治時代からこんにゃく芋の栽培が始まり、今でも山間地域ではこんにゃく芋が栽培されている。そばを栽培している山間地域では、そばがらを焼いてつくるアクを使い、手づりで生いもからこんにゃくをつくっているところもある。 + +## 食習の機会や時季 +「こんにゃくの白あえ」は、法事や正月など特別な時(ハレの日)に食べられる料理である。こんにゃくは食物繊維が豊富で、腸内環境を良くする作用があることから、「1年の砂おろし」として、悪鬼を払って新しい年を無病息災ですごしたいという願いを込め、節分に、こんにゃくを白あえや煮しめにして食べる地域が多い。また、「こんにゃくの白和え」は、こんにゃく料理の1つとして日常食でも食べられている。 + +## 飲食方法 +豆腐をさっとゆで、ざるに上げて水気をとる。ごまを煎ってすりつぶし、豆腐と味噌と合わせてよくする。砂糖、醤油、塩で味付けする。短冊切りにしたこんにゃくを煎って味付けをする。最後にすりつぶした豆腐とこんにゃくを和える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- こんにゃく: 1枚 +- 豆腐: 半丁 +- 白ごま: 大さじ2 +- 【調味料A(和え衣)】白味噌: 60g +- 【調味料A(和え衣)】砂糖: 大さじ2 +- 【調味料A(和え衣)】薄口醤油: 小さじ1 +- 【調味料A(和え衣)】塩: 少々 +- 【調味料A(和え衣)】だし汁: 少々(衣が硬い場合) +- 【調味料B(こんにゃくの味つけ)】砂糖: 大さじ2 +- 【調味料B(こんにゃくの味つけ)】薄口醤油: 大さじ1 +- 【調味料B(こんにゃくの味つけ)】塩: 小さじ1/2 +- 【調味料B(こんにゃくの味つけ)】だし汁: 少々 + +## 作り方 +1. 豆腐はさっとゆでてざるにあげ水気を切り、さらにフキンで包んで軽くしぼる。 +2. すり鉢に煎ったごまを入れてすりつぶし、1の豆腐と味噌を入れよくすり、調味料Aで味付けする。 +3. こんにゃくは短冊切りにして、から煎りし、調味料Bで味付けする。 +4. 2に3を入れて和える。※2のだし汁の量は豆腐のしぼりかたで違ってくる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 香川県農政水産部農業経営課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_18_1.jpg)" +"# こんにゃくのはちはい 香川県 + +**郷土料理名**: こんにゃくのはちはい + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +東讃地域、中讃地域 + +## 主な使用食材 +こんにゃく、干ししいたけ、人参、里芋、かんぴょう + +## 歴史・由来・関連行事 +こんにゃくを里芋や人参、しいたけなどの具材とともに出汁で煮た郷土料理。名前の由来は、あっさりとした味があまりに美味しいので八杯おかわりした人がいたから、また、こんにゃくを「八杯切り」にするから、調味料の出汁、醤油、酒を合計で八杯加えるからなどと諸説ある。こんにゃくは、昔、中国から仏教とともに精進料理として伝来したといわれている。庶民の食材として親しまれるようになったのは、江戸時代からである。当時は、ハレの日の食べ物で法事や正月に料理に用いた。香川県では、旧琴南町(現まんのう町)や高松市塩江町などでこんにゃくの生産がおこなわれていた。 + +## 食習の機会や時季 +かつて主要作物としてこんにゃくが生産されていた塩江町上西地域では、寒い日に「こんにゃくのはちはい」がよくつくられた。具材には、旬である大根やさつまいもを使用することもある。 + +## 飲食方法 +こんにゃくは、3等分したものを三角形に薄く切る。干ししいたけは、水にもどしいちょう切り、里芋は食べやすい大きさに切る。塩でもみ洗いしたかんぴょうを水からゆで、4cmの長さに切り結び目をつくる。だし汁に干ししいたけのもどし汁を加え、こんにゃくや干ししいたけ、里芋、かんぴょうを煮る。途中で適宜アクを取り除く。最後に醤油で味をととのえ、おろししょうがを添える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- こんにゃく: 200g(1丁) +- 干ししいたけ: 4枚 +- 人参: 80g +- かんぴょう: 8g +- 里芋: 120g(4個) +- 【調味料】だし汁(いりこの出汁): 600ml +- 【調味料】薄口醤油: 30ml +- 【調味料】しょうが: 少々 +- 【調味料】干ししいたけのもどし汁: 100ml + +## 作り方 +1. こんにゃくは、3等分したものを斜めに三角に薄く切る。干ししいたけは、浸る程度の水にもどし、いちょう切りにする。人参は幅1cm長さ3cmの短冊切りにする。里芋は食べやすい大きさにして切る。 +2. 塩でよくもみ洗いしたかんぴょうを水から入れてゆで、4cmの長さに切り結び目をつくる。 +3. だし汁に干ししいたけのもどし汁を加え、1、2の材料を入れて煮る。煮る途中でアクをとる。 +4. 醤油で味をととのえる。おろししょうがを添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農政課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_19_1.jpg)" +"# さわさわ 香川県 + +**郷土料理名**: さわさわ + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +三豊市仁尾町 + +## 主な使用食材 +こんにゃく、人参、ごぼう、さつまいも、干ししいたけ + +## 歴史・由来・関連行事 +「さわさわ」は、こんにゃくを具材にした郷土料理である。汁気が多くさらさらと流し込める食感が訛り、そう呼ばれるようになったとされる。こんにゃくは、江戸時代に庶民の食材として普及し始めた。かつては、正月や法事など、特別な日に食べるものだったという。香川県の山間部では、昔から家の周りにこんにゃく芋を植えていた。時期になると共同でこんにゃくをつくり、アクを入れた樽に各家庭で50丁ほど保存して使った。こんにゃくには、食物繊維が豊富に含まれ、腸内環境をととのえる作用があることから「おなかの砂おろし」とも呼ばれ重宝されてきた。よく似た食材でつくる「こん��ゃくのはちはい」という香川県の郷土料理があるが、こんにゃくの切り方や薬味などが異なる。 + +## 食習の機会や時季 +かつて法事や弘法大師の月命日につくっていた。調理が簡単で、栄養がとれることから家庭の味として仁尾町では家々で伝えられてきた。具材は、こんにゃくとさつまいもだけを用いたり、うどんのように細長く切ったこんにゃくを濃い味の汁で炊いて惣菜として食べたりとつくり方は、家庭によりさまざまである。 + +## 飲食方法 +こんにゃくをさっとゆで縦に切る。人参は、千切り、ごぼうはささがきにしてからゆでる。干ししいたけは、水にもどしてから細切りにし、下味を付ける。鍋にだし汁を加え、切った具材と醤油、砂糖、酒で味付けして煮る。さつまいもは、皮をむいてからすりおろす。煮立っている鍋に加えて混ぜ、とろみがついたら火を止める。器に盛り付けて、最後に刻みねぎとおろししょうがを添える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- こんにゃく(芋こんにゃく): 2枚 +- 人参: 100g +- ごぼう: 150g +- 干ししいたけ: 3枚 +- さつまいも: 150g +- だし汁(煮干、昆布): 2カップ +- しょうが: 少々 +- ねぎ: 少々 +- 【調味料A】醤油: 大さじ1 +- 【調味料A】砂糖: 小さじ1 +- 【調味料A】酒: 大さじ2 + +## 作り方 +1. こんにゃくは、さっとゆでて縦長に切る。 +2. 人参は千切りにし、塩を加えてさっとゆで、ごぼうはささがきにして米のとぎ汁(あれば)でさっとゆでる。水でもどした干ししいたけは細切りにし、調味料Aの砂糖、醤油、酒で甘辛く下味を付ける。 +3. 鍋にだし汁を加え、火にかけ、1、2を加え、調味料Aで味付けして煮る。 +4. 皮をむいたさつまいもは、おろし金ですりおろし、3の煮立っている中に加えて混ぜ、汁が透明になってとろみがついてくれば火を止める。 +5. 器に盛って刻みねぎとおろししょうがをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農政課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_20_1.jpg)" +"# 島の茶粥 香川県 + +**郷土料理名**: 島の茶粥 + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +志々島、高見島、佐柳島など瀬戸内海の塩飽諸島 + +## 主な使用食材 +米、碁石茶(ハブ茶、ほうじ茶など) + +## 歴史・由来・関連行事 +瀬戸内海に浮かぶ塩飽諸島の一つに志々島がある。周囲4kmの小さなこの志々島では、昔朝食と言えば茶粥を食していた。志々島と同様に田んぼがなく米を収穫できない塩飽の島々では、古くからこの茶粥を常食としており、今でも一部の島民に食べられている。米は魚を売って手に入れる貴重品で、茶粥は米を「食い延ばす」ための手段であった。当時は、丸亀、仁尾の茶商が高知まで茶を買い付けに行っていたという。つくり方は、釜に湯を沸かして高知県大豊町産の「碁石茶」を煮出し、米とさつまいもを入れて15分~20分ほど煮込めば出来上がり。調味料による味付けは一切せず、碁石茶の深い渋みが唯一の風味である。また、茶粥は、島しょ部特有の少量の塩水を含む湯水とよく合うといわれている。このようなことからこの地域で茶粥がよく食べられるようになった。茶粥には、碁石茶の他にも高見島産のハブ茶やほうじ茶を使うこともあり、お茶の配合や入れる材料によって、各家庭の味がある。また、島では「茶がい」とも呼ばれている。 + +## 食習の機会や時季 +年間を通して食べられる。簡単につくることができ、さっと食べられることから漁師に親しまれてきた。 + +## 飲食方法 +釜に湯を沸かして碁石茶(ハブ茶、ほうじ茶)を煮出し、米を入れ15分~20分ほど煮込む。他にも、麦や芋、さつまいもやそら豆、正月の残りの餅を小さくし、煎って入れる場合もある。具材は、季節や地域、家庭によっても様々である。また、茶粥は、家庭によってつくり方が異なる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5~6人分) +- 碁石茶: 1個(ほうじ茶2パック) +- 水: 1.5L~2L +- 米: 1.5合~2合 + +## 作り方 +1. 1.5L~2Lの水に碁石茶を入れて沸騰させる。ほうじ茶の場合、濃い色を出すため、市販紙パックを2つ使う。※昔は碁石茶が安かったが、今はほうじ茶・ハブ茶(毒消し茶)などを使う家が増えている。(佐柳では碁石茶のことを番茶と言ったという話もある。) +2. 沸騰したら茶袋を取り出し、米1.5合~2合を入れる。強火で、米が鍋の中で踊るのを確認しつつ、15~20分ほど炊く。(古米がいいという説もある。)この時、季節にあわせて、3~5cm角に切ったさつまいもやあらかじめ水でもどしたそら豆の皮を除いたもの、また、正月の残りの餅を小さくして煎って入れる場合もある。 +3. 米が柔らかくなったら、出来上がり。通常は、サラッとした茶粥を食べる。少しドロッとさせてから食べる人もいるが、好みによりまちまちのようである。付け合せに、昆布や漬物・梅干しなどを添える。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_21_1.jpg)" +"# 鯛そうめん 香川県 + +**郷土料理名**: 鯛そうめん + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +タイ、そうめん + +## 歴史・由来・関連行事 +「鯛そうめん」は、タイとそうめんをあしらった豪華な大鉢料理で、婚礼のトリを飾る伝統料理である。つくり方は、塩でしめたタイを一匹丸ごと、醤油、砂糖、酒を加えぐつぐつと煮崩れないよう大鍋で煮込み、ゆでたそうめんと共に大皿に盛り付ける。婚礼の宴会では、それを座卓に載せ、讃岐伊勢音頭に合わせて、二人がかりで座卓ごと揺すりながら出すというのが習わしであった。他にも、新家の棟上げ式や漁村では船の進水式でも振る舞われてきた。「鯛そうめん」は「鯛麺」とも呼ばれ、祝いの席では欠かせない料理として明治時代以降広まってきたが、江戸時代にも既に「鯛麺」は武家の献立として記録が残る。タイの浜焼きが盛んだった詫間町では、タイは煮ずに焼いたタイとそうめんを大皿に盛り付ける所もある。他にもピンクや紫などのそうめんを使用したり、錦糸卵や野菜の飾り切りでより一層華やかに盛り付けるなど、地域によって盛り付け方も様々である。 + +## 食習の機会や時季 +それぞれの家庭で、祝いの席のご馳走として振舞われてきた。 + +## 飲食方法 +塩でしめたタイを大鍋で煮込み、醤油、砂糖、酒を加え、30分程すれば出来上がり。あとは、大皿に盛り、ゆでたそうめんを流し込む。タイ一尾を姿焼きにしたものをゆでたそうめんと一緒に大皿へと盛りつける地域もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- タイ: 350g +- そうめん: 200g +- ねぎ: 5g +- 【煮汁】水: 400ml +- 【煮汁】醤油: 50ml +- 【煮汁】みりん: 75ml +- 【煮汁】酒: 50ml + +## 作り方 +1. タイはうろこ、えら、内臓を取り、表に2本包丁を入れ、薄塩をする。 +2. 1匹丸々入る鍋を用意し、煮汁の材料を入れ沸かし、鍋の下にアルミホイルを敷き入れる。 +3. アルミホイル等で落し蓋をし、煮汁が回るようにし、タイに火が入るまで煮る。 +4. そうめんを1分ゆで、水で洗ってざる上げする。 +5. タイに火が入ったら下のアルミホイルと共に上げ、残った煮汁でそうめんを温める。 +6. 器に、タイが奥、そうめんが手前になるように盛り付ける。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_22_1.jpg)" +"# たくあんのきんぴら 香川県 + +**郷土料理名**: たくあんのきんぴら + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +古漬けたくあん、赤唐辛子 + +## 歴史・由来・関連行事 +「たくあんのきんぴら」は、古漬けたくあんを塩抜きし、油で炒めたもの。冬から春にかけて収穫される大根は、昔から香川県内各地で栽培されている。でんぷんの消化酵素であるアミラーゼを多く含み、葉からもカロテンやビタミンCなどの栄養がとれる。味噌汁や煮物はもちろん、「てっぱい」や「しっぽくうどん」などの郷土料理にも多用され、さらに切り干し大根やたくあんに加工し、香川県の食文化を支えてきた。たくあんは、江戸時代に日本でつくられるようになったといわれる。香川県では、「こんこ」とも呼ばれ、冬の日常食として親しまれてきた。冬に大量に仕込むため、春が近づくにつれ発酵が進み、酸味を含んだ独特の風味が生じる。その古漬けたくあんを余すことなく食べられるよう塩抜きし油で炒めてつくられたのが、「たくあんのきんぴら」である。素朴な味と保存性の高さから惣菜として食卓に並んできた。 + +## 食習���機会や時季 +「たくあんのきんぴら」がつくられる時期には、なすやきゅうりが市場に出回り始める。食卓に上がる漬物が、たくあんから浅漬けや味噌漬けに代わり、旬の移ろいを感じることができる一品でもある。 + +## 飲食方法 +たくあんを薄く輪切りに、太いたくあんは半月切りにして1日水にさらして塩抜きする。鍋に塩抜きしたたくあんと水を入れて煮る。一度ざるに上げ、再度水を加えて柔らかくなるまで煮る。ざるに上げ水気をとったあと、鍋でたくあんを炒め調味料や酒を加え煮る。最後に唐辛子の輪切りを加える。好みでしょうがの千切りやごまを加えると香りが良くなる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 古漬たくあん: 400g +- サラダ油: 大さじ2 +- 酒: 大さじ2 +- 醤油: 大さじ2 +- 赤唐辛子: 小1/2本 + +## 作り方 +1. 古漬たくあんは2mm位の輪切り、太いたくあんの場合は半月切りにして、時々水をかえながら一昼夜水の中で塩抜きする。 +2. 鍋に1のたくあんと水を入れて煮る。ざるにあげ、もう一度水を加えて柔らかくなるまで煮る。(たくあんのにおいと塩気を十分除いておく) +3. ざるにあげ、水気を切る。 +4. 鍋にサラダ油を熱し、3を軽く炒め、醤油、酒を加えて煮る。この時、煮干し出汁少々を加えても良い。 +5. 赤唐辛子は種をのけて、小さく輪切りにし、4の中に入れる。(ピリッとするくらいのほうが美味しい) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農業経営課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_23_1.jpg)" +"# わりご弁当 香川県 + +**郷土料理名**: わりご弁当 + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +小豆島地域 + +## 主な使用食材 +米、こんにゃく、しいたけ、人参、ごぼう、ちくわなど + +## 歴史・由来・関連行事 +瀬戸内海の小豆島では、毎年5月3日に「肥土山農村歌舞伎」が開催される。これは昔、農業用ため池の完成を祝って始まったとされる伝統行事で、江戸時代から続いており、県の無形民俗文化財に指定されている。この歌舞伎の演目の合間などに食べられてきたのが、わりご弁当である。わりご弁当は、長方形の木箱を中ほどから斜めに二つ割りにした形のものが多い。昔から2個1人前とされていて、20人前40個を負い紐のついた黒塗りの木箱に納め持ち運ぶようにしており、平安時代から使用されてきたといわれている。現在も、このわりごを使用しているのは小豆島のわりご弁当だけといわれるほど、小豆島に古くから受け継がれてきた、独自の幕の内弁当である。弁当の内容は、様々で地元の食材を使った色とりどりの料理が楽しめ、それを歌舞伎の席で分け合いながら食べる。 + +## 食習の機会や時季 +毎年5月3日に小豆島で開催される「肥土山農村歌舞伎」の席で食べられる。各家庭で20個ほどつくられ、持ち寄って分け合って食べられる。 + +## 飲食方法 +専用の木枠で型抜きしたご飯とおかずの煮しめを詰め合わせたお弁当。煮しめの材料は、こんにゃく、しいたけ、人参、ごぼう、ちくわ、れんこんなどを入れるが、れんこん、ごぼう、こんにゃくなどは少し濃い目に味をつける。他にも卵焼きやかまぼこなど、彩りよく弁当に詰める。煮しめの具材は各家庭によって違うため、お弁当を持ち寄り、様々な味を楽しむことができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20人分) +- 【つき飯】米: 12合 +- 【つき飯】水: 14.4合 +- 【つき飯】酢: 適量 +- 【つき飯】ごま塩: 少々 +- その他のおかず(卵焼き、ブロッコリー、ウインナー、いちごなど): お好みで +- 【煮しめ(ごぼう)】ごぼう: 1本 +- 【煮しめ(ごぼう)】だし醤油: 大さじ3 +- 【煮しめ(ごぼう)】みりん: 大さじ2 +- 【煮しめ(ごぼう)】水: 300ml +- 【煮しめ(人参)】人参: 2本 +- 【煮しめ(人参)】だし醤油: 大さじ2 +- 【煮しめ(人参)】みりん: 大さじ2 +- 【煮しめ(人参)】砂糖: 大さじ2 +- 【煮しめ(人参)】粉末出汁: 少々 +- 【煮しめ(人参)】水: 300ml +- 【煮しめ(れんこん)】れんこん: 1本 +- 【煮しめ(れんこん)】だし醤油: 大さじ3 +- 【煮しめ(れんこん)】みりん: 大さじ3 +- 【煮しめ(れんこん)】水: 500ml +- 【煮しめ(こんにゃく)】こんにゃく: 2枚 +- 【煮しめ(れんこん)】だし醤油: 大さじ3 +- ��煮しめ(れんこん)】みりん: 大さじ2 +- 【煮しめ(れんこん)】水: 400ml +- 【煮しめ(ちくわ)】ちくわ: 4本 +- 【煮しめ(ちくわ)】だし醤油: 大さじ3 +- 【煮しめ(ちくわ)】みりん: 大さじ3 +- 【煮しめ(ちくわ)】水: 500ml +- 【煮しめ(かまぼこ)】かまぼこ: 2枚 +- 【煮しめ(かまぼこ)】だし醤油: 大さじ1 +- 【煮しめ(かまぼこ)】水: 300ml +- 【煮しめ(揚げかまぼこ)】揚げかまぼこ: 4枚 +- 【煮しめ(揚げかまぼこ)】だし醤油: 大さじ3 +- 【煮しめ(揚げかまぼこ)】みりん: 大さじ3 +- 【煮しめ(揚げかまぼこ)】水: 500ml + +## 作り方 +1. 米を炊く。 +2. 煮しめの具材を切る。人参、ちくわは斜め切り。こんにゃくは湯がいてねじりこんにゃくに。れんこんは輪切り、ごぼうは斜め切りにし、水にさらす。 +3. 煮しめの具材をそれぞれだし醤油、みりん、砂糖などお好みの味付けで煮る。れんこん、ごぼう、こんにゃくなどは少し濃い目に味を付けるとよい。 +4. その他のおかずをつくる。 +5. 酢をつけた手で炊き立てのご飯を丸め、酢でぬらした弁当箱専用の枠に入れ、押し出し飯(つき飯という)をつくり、中央にごま塩をのせる。 +6. 弁当箱につき飯を盛り、煮しめをはじめ、卵焼きなどその他のおかずを彩りよく詰める。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 佐々木 輝子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_24_1.jpg)" +"# 年明けうどん 香川県 + +**郷土料理名**: 年明けうどん + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +香川県全域 + +## 主な使用食材 +うどん、赤い食材(紅いあん餅、エビ、イクラ、梅干し、かまぼこ、トマト、明太子、紅しょうが、人参など) + +## 歴史・由来・関連行事 +うどんは、太くて長いことから、古来より長寿を祈る縁起物として食べられてきた。年明けうどんとは、年明けに縁起を担いで紅白に彩られたうどんを食べる習慣で、香川県のさぬきうどん振興協議会が新たな麺食行事の普及を目的に始めた取り組みである。うどんに赤い食材を添え、1月15日までに食べる。今年一年幸せであるようにという願いを込めてつくられる。讃岐うどんは、今や全国的に有名であるが、その歴史は古く、奈良時代に弘法大師空海が、中国に渡った際にうどんを知り、日本に持って帰ったのが始まりといわれている。讃岐がうどんで有名になったのは、讃岐地域は小作地が多いうえに、降水量が少なく干ばつに悩まされることの多い地域のため、米の生産に向いていない土地であった。そのため、米は当時の人々にとって贅沢品であり、米の代わりにするものが麦でつくったうどんであったこと。また、香川県の讃岐地域が上質の小麦をつくるのに適していたことや、高品質のいりこが多くとれたことなどが美味しいうどんづくりが発展していった理由と考えられる。 + +## 食習の機会や時季 +年の初めに食べることにより、その年の人々の幸せを願うもの。白いうどんに赤いトッピングを添えて食べる。1月15日までに食べるとされる。 + +## 飲食方法 +年明けの祝いに紅白をイメージし、白いうどんに赤い食材を使ったトッピングを添える。梅干しやにんじんやイクラなど、具材は自由。紅いあん餅が入ったうどんなどもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- ゆでうどん: 5玉 +- 紅いあん餅: 5個 +- かまぼこ(紅): 50g +- 細ねぎ: 10g +- 【うどん出汁(できあがり1000ml)】水: 1300ml(途中蒸発分含む) +- 【うどん出汁(できあがり1000ml)】いりこ: 25g +- 【うどん出汁(できあがり1000ml)】カツオ節: 15g +- 【うどん出汁(できあがり1000ml)】薄口醤油: 60ml + +## 作り方 +1. あん餅は硬くなっている場合は柔らかくなるまで水で煮る。かまぼこは5mmくらいの厚さに切る。細ねぎは小口切りにする。 +2. うどんだし汁をつくる。鍋に水といりこを入れ沸騰寸前の火加減で20分間煮て煮干しを取り出す。そこへカツオ節を入れて約10分軽く沸騰させて濾してだし汁とする。このだし汁に薄口醤油を入れて味をととのえる。 +3. ゆでうどんを温めなおして器に入れ、1のあん餅、かまぼこをのせ、2のうどんだし汁をかけ、最後にねぎをのせる。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_25_1.jpg)" +"# どじ��う汁 香川県 + +**郷土料理名**: どじょう汁 + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +中讃地域および東讃地域の一部 + +## 主な使用食材 +ドジョウ、ごぼう、なす、里芋、長ねぎ、油揚げ、打ち込み用うどん + +## 歴史・由来・関連行事 +ドジョウは、産卵期前の6月から7月が年間で最も美味しいとされる。ウナギよりも脂肪分が少ないものの、ビタミンやミネラルが豊富に含まれる。煮ると骨まで食べられるため栄養バランスが良い食材として親しまれてきた。田植えが終わり農作業が一段落すると、昔は男性がため池や川からドジョウをとってきた。「どじょう汁」は、ごぼうや里芋、長ねぎなどの野菜や打ち立てのうどんと共に煮込む土用の夏バテ予防の料理であり、男性が中心となって調理をおこなってきた。また、集落の共同作業や寄り合いには、大釜でドジョウを炊き、近所や親戚に振舞っていたため、親睦を深める役割も担っていた。環境の変化に伴い天然ドジョウを見る機会は減っているが、「どじょう汁」の食習慣は今でも続いている。 + +## 食習の機会や時季 +夏バテ防止の料理として土用に食べられてきた。家々が交代でつくる夏の行事に欠かせないごちそうであった。 + +## 飲食方法 +鍋に水を入れ火にかける。ごぼう、なす、里芋、油揚げを切る。ドジョウは水切りし酒と共にバケツに入れる。酒に酔ってドジョウの動きが止まったら塩でもみぬめりをとる。沸騰した鍋に油揚げ、里芋、なすを入れ、煮えた後に水洗いしたドジョウを加える。再度沸騰したらうどんを入れ軽く混ぜる。うどんが煮えたら残りの具材を加え、味噌、酒で味付けする。好みの薬味を添えていただく。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20杯分) +- ドジョウ(中くらい): 1kg +- ごぼう: 2本 +- なす: 10個 +- 里芋: 20個 +- 油揚げ(短冊切り): 5枚 +- 長ねぎ: 5本 +- 打ち込み用うどん: 20玉 +- 塩: 200g +- 中味噌: 1kg +- 酒: 3合 +- 薬味(醤油、細ねぎ、唐辛子、にんにく、みょうが): お好みで + +## 作り方 +1. 大鍋に水6Lを入れ火にかける。ごぼう、なす、里芋を適当に切り、油揚げは短冊に切る。 +2. ドジョウは清水で1~2日泳がせて泥をはかせてから、バケツに入れ、そこへ酒2合を入れる。 +3. 酒に酔ってドジョウの動きが止まったら塩を入れ、ドジョウを手でよくもんでぬめりをとり、ていねいに水洗いする。 +4. 湯が沸騰したら油揚げ、里芋、なすを入れ、6~7分煮えたらドジョウを入れる。沸騰してきたら5分後に打ち込み用うどんをさばきながら入れ、軽く混ぜる。 +5. うどんが煮上がったらごぼう、長ねぎを入れ、味噌、残りの酒で味付けする。好みの薬味を加えていただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農業経営課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_26_1.jpg)" +"# おちらしあめ 香川県 + +**郷土料理名**: おちらしあめ + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +おちらし、水あめ、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +「おちらしあめ」は、おちらし粉を水あめで練り上げた菓子。おちらしとは、大麦の一種であるはだか麦のことで、別名を「はったい」ということから、「おちらしあめ」は「はったいあめ」と呼ばれることもある。香川県では、気候などの栽培条件が適していることから、米の裏作として昔から麦の生産が盛んにおこなわれてきた。はだか麦は味噌や麦茶の原料に用いられ、収量の約4割が県外へ出荷されている。作付面積は減少傾向にあるものの、県内で生産されている品種「イチバンボシ」は粒質が柔らかく、精麦した際の白度も高いことから国内で高く評価されており、香川県は安定供給と品質の向上に取り組んでいる。はだか麦は、食物繊維が豊富で腸内環境を整えたり生活習慣病の予防に効果がある。麦ごはんとして食べられるのが一般的だが、香川県では麦の収穫時期を迎える初夏に各家庭で「おちらしあめ」がつくられてきた。また菖蒲の葉でおちらしをすくって食べると病気にならないという言い伝えもあり、粉をそのまま食べたり湯に溶かして飲むこともある。甘いものが少なかった時代には子どもにも好まれていた。 + +## 食習の機会や時季 +初夏、新麦の収穫に合わせてつくられた。昔はこの時期、どこの家でも茶の間に、おちらしあめを常備していた。 + +## 飲食方法 +おちらしは、麦ともち米を10対3の割合で混ぜ、弱火で煎ったあとにひき臼で粉にする。鍋に水と水あめ、砂糖を入れ短時間で煮る。鍋におちらしを加え弱火で練り上げる。練り上げたあめをまな板の上で棒状にし、斜めに切る。最後にとり粉用のおちらしをまぶす。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (一回分) +- おちらし: 150g +- 水あめ: 150g +- ごみ砂糖(白砂糖): 100g(ない場合は砂糖でも良い) +- 水: 20ml + +## 作り方 +1. バットに、とり粉用のおちらし(分量外)を入れておく。 +2. 鍋に、水と水あめ、ごみ砂糖を入れて、なるべく短時間で煮溶かす。 +3. 2の鍋におちらしを入れて弱火で練り上げる。 +4. まな板の上で、細長く棒状にして斜め切りにし、1のバットに入れ粉をまぶす。 +5. 参考:おちらしのつくり方麦ともち米を10対3の割合で混ぜ、弱火で根気よく煎り、ひきうすで粉にする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農業経営課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_27_1.jpg)" +"# わけぎあえ 香川県 + +**郷土料理名**: わけぎあえ + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +わけぎ、タコ + +## 歴史・由来・関連行事 +昔から農家では、春の野菜としてわけぎもよく栽培されていた。うどんの薬味に欠かせない細ねぎや冬の鍋料理で馴染みの白ねぎと同様に、わけぎは春の食卓に欠かせない食材である。ねぎとたまねぎの雑種で、ねぎよりも香りが柔らかく、加熱すると甘みが出る。球根から芽が伸び、枝分かれして生育することから「分け葱(わけぎ)」と名付けられた。「わけぎあえ」は、子孫繁栄の縁起物として雛祭りの時期に食べられてきた。小豆郡の豊島では「わけぎのぐるぐる」と言い、良いことが続くことを願ってわけぎを切らず、一口大に巻いて使う習慣がある。また、和える具材は、同じく春に漁の時期を迎えるマテ貝やアサリをタコの代わりに用いることもあり、山と海両方の旬の食材をふんだんに使用した郷土料理と言える。白味噌を酢などの調味料でのばしていることから「わけぎのぬたあえ」とも呼ばれている。 + +## 食習の機会や時季 +雛祭りの頃に最も美味しくなるとされ、惣菜や酒の肴として食卓に上がった。昔は、年末に雑煮用につくった白味噌を残しておき「わけぎあえ」にも使っていた。 + +## 飲食方法 +わけぎを洗い、白い根本部分と青い部分をそれぞれ3cmほどの長さに切る。沸騰した湯に白い根本部分を入れ、追って青い部分をゆで、ざるにとって冷ます。タコは塩もみしたあとに熱湯でさっとゆで一口大に切る。すり鉢に白味噌、練りからし、酢、砂糖を入れてよくすり混ぜ、冷ましたらわけぎを和える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- わけぎ: 1束(180g) +- タコ(またはマテ貝、アサリ): 150g +- 【辛子酢味噌】白味噌: 60g +- 【辛子酢味噌】練りからし: 小さじ1/4 +- 【辛子酢味噌】酢: 大さじ2~3 +- 【辛子酢味噌】砂糖: 30g + +## 作り方 +1. わけぎは洗って、白い根本の部分と青い部分とに分け、どちらも3cm位の長さに切っておく。 +2. 沸騰した湯に、白い根本部分を入れ、次に青い部分を入れてゆで、ざるにとって冷ます。(少しの水でから煎りしても良い) +3. タコは塩もみしてぬめりをよくとり、熱湯に塩ひとつまみを入れて、ざっとゆで一口大に切る。マテ貝の場合は、薄い塩水でぬめりや砂を取り除き、から煎りし酒を振り込むと良い。 +4. すり鉢に白味噌、練り辛子、酢、砂糖を入れてよくすり混ぜ、冷ましたらわけぎを和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農業経営課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_28_1.jpg)" +"# さつま 香川県 + +**郷土料理名**: さつま + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +西讃地域の一部 + +## 主な使用食材 +タイ + +## 歴史・由来・関連行事 +「さつま」は、焼き上げた白身魚をほぐして、焼き目を付けた味噌と魚のだし汁でのばし、熱々のごはんにかけて食べる郷土料理である。味噌を焼く際、昔は鍋の蓋やすり鉢に味噌をぬり、七輪にかぶせて香ばしくつくった。歴��は諸説あるが、九州から四国へと海岸づたいに伝えられたといわれている。愛媛県でつくられるものを「伊予さつま」、香川県でつくられるものを「讃岐さつま」とも呼ぶ。食材はタイに限らず、チヌやメバル、ボラなど瀬戸内海でとれた白身魚が使われる。チヌとはクロダイのことで、一年中とれるが冬に最も美味しくなる。香川県では身近な魚の一つである。 + +## 食習の機会や時季 +「さつま」は魚が多くとれると日常食として食卓に並んだ。香川県名産のいりこを使うこともあったという。腐りやすい魚を無駄なく使い、貴重な米でも満足感を得られるよう工夫を凝らした庶民の味として各家庭に継承されてきた。 + +## 飲食方法 +タイを塩焼きにして骨と皮を除き身をほぐす。頭と骨でだし汁をとる。味噌を木杓子につけて軽く焦げ目を付ける。タイの身をすり鉢でよくすり、味噌を加え、冷ましただし汁で少しずつのばす。熱々のご飯にかけて、薬味のねぎ、ごまをのせる。ごまをのせる場合は軽くフライパンで煎って、すり鉢でよくすると香りが良くなる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- タイ: 1匹(30cmくらいの大きさ) +- 塩: 小さじ1/2 +- 赤味噌: 大さじ2 +- ねぎ(ごま、もみのり): 適宜 +- ごはん: 640g + +## 作り方 +1. タイは塩焼きにして骨と皮を除き身をほぐす。頭と骨で2カップ分のだし汁をとる。 +2. 味噌を木杓子につけて軽く焦げ目を付ける。 +3. タイの身をすり鉢でよくすり、味噌を加え、冷ましただし汁で少しずつのばす。 +4. 熱々のごはんに3をかけて、薬味のねぎ、ごまをのせる。※ごまをのせる場合は軽くフライパンで煎って、すり鉢でよくすったほうが良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農業経営課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_29_1.jpg)" +"# もっそうめし 香川県 + +**郷土料理名**: もっそうめし + +**都道府県**: 香川県 + +## 主な伝承地域 +三豊市 + +## 主な使用食材 +米、油揚げ、人参、こんにゃく、たけのこ、いりこ、ごぼう、かんぴょう、干ししいたけ + +## 歴史・由来・関連行事 +「もっそうめし」とは、握ったごはんを指す。丸や扇などの木型に、すし飯や五目飯を詰めて押し抜いたごはんを「物相飯」と呼び、もともとは修行僧が集団生活を送りながら暮らしていくときに、一膳のごはんで全てを済ませる時の精進料理が起源とされている。香川県では西讃地域を中心に、県内各地で五穀豊穣や海上安全、厄払いなどを祈願する百々手(ももて)祭りが毎年おこなわれてきた。裃姿の子どもたちが射手となり、正面の的を目がけて弓を構える。合計二百本の矢を射るが、二本を一手と数えることから祭りの名が付いたといわれている。地域により祈願の内容は多少異なる。三豊市では、この祭りの際に「もっそうめし」を会食として出したことから市民に親しまれるようになった。(三豊市の学校給食の放送で紹介されている内容)「肉もっそは三豊市豊中町に伝わる郷土料理。荒神さんのお祭りのあとの会計決算の時に、頭家の人がつくり、みんなで食べながら祭りの反省をした。」 + +## 食習の機会や時季 +昔は祭り以外でも、川ざらえや棟上げなど地域住民総出で共同作業をおこなう機会が年に何度もあった。「もっそうめし」はそうした人が集まるときにまかない飯として振る舞われた。農作業の合間におにぎりを握って食べていたともいわれている。 + +## 飲食方法 +米を炊いておく。イリコ(煮干し)は頭と腹、骨を取り除く。具材を切り、水と調味料で甘辛く煮る。炊き上がったごはんに具材と煮汁を加える。円柱の型に押し抜いて器に盛り付ける。最近は、牛肉を使った「肉もっそ」を目にすることも多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20人分) +- 米: 1.4kg +- 【調味料A】醤油: 90ml +- 【調味料A】砂糖(ザラメ): 70g +- 【具材】油揚げ: 2枚 +- 【具材】人参: 1本 +- 【具材】こんにゃく: 1枚 +- 【具材】たけのこ: 小1本 +- 【具材】イリコ(中羽): 100g +- 【具材】ごぼう: 1本 +- 【具材】かんぴょう: 40g +- 【具材】干ししいたけ: 10枚 +- 【具材】えんどう豆: 適量 +- 【具材】豆腐: 適量 + +## 作り方 +1. 米は30分前に洗って、炊いておく。 +2. イリコ(煮干し)は、頭と腹��骨を除いておく。 +3. 具の材料はすし具の様に切り、ひたひたの水を入れ、調味料Aを加えて甘辛く煮る。 +4. 炊きあがったごはんに具と煮汁を入れ混ぜる。(べたべたにならないように煮汁を加減する) +5. 円柱形の押しぬきの形で抜いて、皿に盛る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 香川県農政水産部農政課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_30_1.jpg)" +"# 鯛めし 愛媛県 + +**郷土料理名**: 鯛めし + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +タイ、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +鯛と日本人の関わりは古く、『古事記』には、神武天皇の祖父にあたる山幸彦が釣りをした際に、釣り針がかかっていた魚(赤魚)として、『日本書紀』には、仲哀天皇の妃である神功皇后が船上で食事をしていたところ、多数の鯛(鯽魚)が寄ってきたとの記述がある。神話の時代から日本人に親しまれた鯛を丸ごと使った郷土料理が「鯛めし」である。松山市北条地区から約30km東にある今治市沖の来島海峡は潮の流れが速く、ここで育った魚は身がしまって弾力がある。今治市など東予地方では、タイをまるごと米と一緒に炊き込み、炊きあがった後でタイの身をほぐし、ごはんとまぜて食べる。タイの旨味がごはんに染み込みタイの身の弾力と合わさり、とても美味しい。宇和島市、西予市など南予地方では、タイの生の切り身を、醤油、みりん、卵、ゴマ、だし汁をあわせたたれに漬け込み、たれごと熱いごはんにかけて食べる。南予地方は漁場が九州に近く、昔から大分県や宮崎県沖の日向灘でも漁をした。その際、漁師が火を使えない船の上でも簡単につくれる料理として食べたのが始まりといわれている。よく捕れるアジを使うことが多かったようだが、華やかなタイを使ったものを特に「鯛めし」と称するようになった。歴史的に、中予地方においては、松山市北条地区に象徴されるようにタイを炊き込むタイプのものが主流となっていたが、現在では両方の食し方の影響を受け両方のタイプの「鯛めし」を扱う店舗があり、家庭でもその食し方を楽しむ様子がうかがえる。 + +## 食習の機会や時季 +山海の珍味というが、ここ愛媛県は確かにその種類が豊富である。それは山・海などの豊かな自然に理由がある。北に瀬戸内海を抱き、西は豊後水道に面している。リアス式海岸の南予地方の海を宇和海といい、太平洋から黒潮の支流が入り込む。陸地に目を向けると関西以西の最高峰=石鎚山(いしづちさん)をいただき、地形や気候の変化に富んでいる。広大な平野はないが、周桑、道後、宇和は耕地としてよく開けている。「鯛めし」は年間を通じて食べられ、タイは縁起の良い魚と認識されているのでお祝いの時に食することも多い。 + +## 飲食方法 +米は炊く1時間前に洗い、タイはうろこをとり内臓も出しておく。炊飯器に同量の水と調味料を加え、米の上に昆布を敷きタイをのせ炊き上げる。炊き上がったら、タイを取り出し骨を外して身をほぐしごはんと混ぜ合わせる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 2カップ +- タイ: 200~300g +- 出汁昆布: 10cm +- 【調味料A】薄口醤油: 大さじ2 +- 【調味料A】酒: 大さじ1 +- 【調味料A】塩: 小さじ1/2 +- 水またはだし汁: 2と1/5カップ + +## 作り方 +1. タイはうろこを引き、内臓を出して、皮に切れ目を入れておく(2~3カ所)。 +2. 米は洗って30分おく。 +3. 釜に、洗って30分おいた米を入れ、濡れフキンで拭いた昆布をその上におき、1をのせる。 +4. 調味料Aと水、またはだし汁を加えて、普通に炊きあげる。 +5. ごはんができあがればタイと昆布を取り出す。 +6. タイは骨を取り、身をほぐしてごはんに混ぜ合わせる。※木の芽や三つ葉など加えると、味、風味がともに一段と増す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 愛媛調理師専門学校 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_1_1.jpg)" +"# さつま 愛媛県 + +**郷土料理名**: さつま + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +南予地方 + +## 主な使用食材 +麦味噌、だし汁、白身魚、麦飯 + +## 歴史・由来・関連行事 +「さつま」は、八幡浜市をはじめ、南予地方一帯の郷土料理として知られている。白身魚とはあ��が、県下全域でつくられる「さつま」は、地域により魚もさまざま。タイ以外では、コズナ(赤アマダイ)、エソ、アジ、カマス、ヒメチ、ボラ、イワシ、その他雑魚など、山間部だとイリコや、コイ、フナ、ハヤなどの川魚も使うので白身魚に限ったわけではない。県の南西部の宇和島市や愛南町では、昔は麦飯がよく食べられていた。漁師が舟の上で食べたという「さつま」はぱさぱさした麦飯をおいしく食べられるように工夫した料理であり、伊予さつまとも呼ばれている。「さつま」の名前の由来は諸説あり薩摩国(鹿児島県)から伝わったいう説や、だし汁がよくなじむよう茶碗によそったごはんを十字に切った見た目が、薩摩藩の島津家の家紋のようだからなどがあるようだ。また、夫が妻を助けてつくる、つまり妻を補佐するという意味の「佐妻」からという説などさまざまな由来があるがどれが真実かはっきりしていない。 + +## 食習の機会や時季 +愛媛県の新鮮な魚と味噌を使った郷土料理。手間がかかるため、今日では家庭でつくられることは少なくなり、専ら郷土料理店で出される料理となっている。喉ごしのよい「さつま」は、食欲のない夏でもサラサラといただける一品。 + +## 飲食方法 +魚を焼いて、熱いうちに身をほぐしすり鉢に麦味噌と魚の身を入れて混ぜ、すり鉢に身をほぐした後の骨でとっただし汁を入れておく。薄く味をつけたこんにゃくは短冊切りにし、洗いねぎ、みかんの皮のみじん切りをお好みに応じて、温かい麦飯にかけて食べる。きゅうりなどを具材にいれることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 麦味噌: 180~200g +- ねぎ: 2本 +- 白身魚: 味噌10に対し4~5の割合 +- こんにゃく: 1/2丁 +- 砂糖: 小さじ1 +- 醤油: 小さじ1 +- みかんの皮: 少々 +- ねぎ: 少々 +- 麦飯: 4人分 +- だし汁: 1~2カップ + +## 作り方 +1. 魚を焼いて、熱いうちに身をほぐす。 +2. 1と味噌を混ぜ、すり鉢ですって、あぶる。(炭火かガス火で、きつね色になるまであぶる。) +3. だし汁は、身をほぐした後の骨でとり、冷まして、2に加え、とろりとさせ味をととのえる。 +4. こんにゃくは短冊切りにし、薄く味を付ける。 +5. ねぎの小口切り、みかんの皮のみじん切り、こんにゃくを別器に入れておき、お好みに応じて、温かい麦飯にかけて食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「えひめの郷土料理100選」(愛媛県観光協会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_2_1.jpg)" +"# いもたき 愛媛県 + +**郷土料理名**: いもたき + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +鶏肉、里芋、生揚げ、しいたけ + +## 歴史・由来・関連行事 +「いもたき」の発祥は、大洲市とされており、鶏肉、里芋、こんにゃく、しいたけなどの具材を煮込んだ鍋料理で、加藤家が藩主として治めていた350年以上前にまでさかのぼる歴史をもつ。お籠りと呼ばれる伝統行事でふるまう鍋に、各自が地元名産の里芋を持ち寄ったことがそもそもの始まりといわれている。昭和41年(1966年)には市の観光事業となり、河川敷で月を肴に里芋を味わうこの事業は、全盛期には年間7万人以上を動員していたという。妙法寺河原では、名物の鵜飼いと重なる時期が1ヵ月間あり、右手に見える臥竜山荘(がりゅうさんそう)のライトアップと共に風景も楽しめる。秋になると河原で鍋を囲む姿が見られる。大洲市のほかにも各地で「いもたき」がおこなわれ、愛媛の中秋の風物詩になっている。 + +## 食習の機会や時季 +里芋は親芋から子芋、孫芋と増えていくので、子孫繁栄の縁起の良い食べ物として祝いの料理で利用されている。その里芋の「いもたき」は愛媛県内の約10数ヶ所、南予地方を中心とした愛媛県内のさまざまな地域でおこなわれ、秋の河川敷では月見も兼ねた大勢での宴会が催されている。 + +## 飲食方法 +里芋は皮をむき少しの塩で茹で、生揚げは一口大に切り油抜きをしておく。白玉粉で耳たぶ位の団子をつくり熱湯でゆでる。鶏肉は油で炒め里芋、生揚げを入れてだし汁で煮る。里芋が煮えたら白玉粉の団子を入れ、調味料を加え甘辛く味付けし、温かいうちに汁と一緒に食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ��肉: 300g +- 里芋: 400g +- 生揚げ: 1枚 +- 白玉粉: 100g +- しいたけ: 4枚 +- だし汁: 5カップ +- 砂糖: 大さじ2~3 +- みりん: 大さじ2 +- 醤油: 大さじ3 +- 酒: 大さじ1 +- 塩: 少々 +- サラダ油: 適量 + +## 作り方 +1. 里芋は皮をとり、熱湯に塩少々を入れゆでる。生揚げは一口大に切り油抜きする。 +2. 白玉粉に少しずつ水を加え、耳たぶ位の固さに練り、団子にし、熱湯でゆでる。 +3. 油を熱し、鶏肉を炒め、1を入れてよく炒め、だし汁を加えて煮る。 +4. 里芋が煮えれば、2を入れ調味料を加え、甘辛く味付けし、汁と一緒に食べる。里芋は、口の中でとろっとするくらい、やわらかく煮るとよい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「えひめ郷土料理物語」(愛媛県観光協会 渡邊 笙子氏監修) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_3_1.jpg)" +"# いぎす豆腐 愛媛県 + +**郷土料理名**: いぎす豆腐 + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +今治地域 + +## 主な使用食材 +いぎす、エビ、エビのゆで汁、生大豆粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +いぎすとは、浅い海の岩などに生える海藻(かいそう)で、枝状の細い紅藻(こうそう)の一種。今治市周辺の海岸で7・8月にたくさんとれる。「いぎす豆腐」はいぎすと生の大豆粉をだし汁で煮溶かし、寒天のように固めた料理。ひんやりとした舌ざわりで、食欲が出ない暑い夏にも食べやすく、「具入り」と「具なし」の2種類がある。「具入り」はエビや枝豆などを入れ、見た目も華やかになる。家庭によって混ぜる具材もさまざまで各家庭で特徴がある。「具なし」は醤油やからし味噌をつけて食べる。 + +## 食習の機会や時季 +愛媛県の越智・今治地域では、お盆や法事のときによく食べる。「いぎす豆腐」は夏の味覚の一つで、冷や奴を食べる感覚で口にする人が多い。 + +## 飲食方法 +いぎすを水で何度も洗い、ゴミを取りのぞき一晩水にもどす。人参、ごぼう、しいたけは千切りにして下味をつける。エビは皮をつけたままゆがき皮をとりみじん切りにする。鍋にいぎすとエビのゆで汁を入れゆっくり煮る。その後、生大豆粉を入れさらに煮る。薄口醤油と味付けした具を加え流し箱に入れて冷やし固める。出来たら切り分け、からし酢味噌をかけてできあがり。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- いぎす: 10g +- エビのゆで汁: 3と1/2カップ +- 生大豆粉: 1/2カップ +- エビ: 100g +- ごぼう: 35g +- 人参: 15g +- しいたけ: 2枚 +- 薄口醤油: 大さじ1 +- 【からし酢味噌】白味噌: 150g +- 【からし酢味噌】砂糖: 大さじ1 +- 【からし酢味噌】みりん: 大さじ1 +- 【からし酢味噌】酢: 大さじ5 +- 【からし酢味噌】旨味調味料: 少々 +- 【からし酢味噌】練りがらし: 小さじ1~1と1/2 + +## 作り方 +1. いぎすは、ほぐして何回も水洗いして、砂やごみをよく取り、一晩水にもどす。 +2. 人参、ごぼう、しいたけは千切りにして下味を付ける。 +3. エビは、皮をつけたままゆがき、皮をとり、みじん切りにする。(ゆで汁はそのままおく) +4. 鍋に1とエビのゆで汁を入れ、ゆっくりと煮とかし、大体煮とけたら生大豆粉を入れて、さらに煮る。薄口醤油を入れ、味付けをした具を加え、流し箱に入れて冷やし固める。 +5. 分量の調味料を合わせ、からし酢味噌をつくる。 +6. いぎす豆腐ができたら切り分けて、からし酢味噌をかけてできあがり。※いぎす豆腐の中に具を入れなくてもよい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「えひめ郷土料理物語」(愛媛県観光協会 渡邊 笙子氏監修) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_4_1.jpg)" +"# せんざんき 愛媛県 + +**郷土料理名**: せんざんき + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +東予地方 + +## 主な使用食材 +若鶏(骨付き) + +## 歴史・由来・関連行事 +せんざんき(千斬切・せんざん雉)は、鶏料理が盛んな東予地方(主に今治市辺り)の郷土料理である。鶏のいろいろな部位の骨付き肉を使った揚げ物料理で、江戸時代、近見山のキジを捕獲し揚げ物にしたことが始まりといわれている。 およそ300年前のことであり、文献史料に詳細等は見つかっていない。現在では鶏肉が用いられているが、鶏を丸ごと千のように斬るため「千斬切(せんざんき)」と呼ぶようになった、中国語の発音��なまって骨付鶏のから揚げを意味する「軟炸鶏(エンザーチ)」、骨なし鶏のから揚げを意味する「清炸鶏(チンザーチ)」になった等、各説がある。骨ごと揚げることによって、骨から出た旨味とあらかじめ漬けておいた下味が加熱で一段としみ込み、カラッと揚がった食感と濃厚な味付けが支持されている。今治地域には、戦後間もなく「せんざんき」の店として繁昌店となった店があり、「せんざんき」を食べようと、この店に長蛇の列ができたといわれ、この頃から今治地域に「せんざんき」が広がったといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +祝いの席などの行事には必ず食卓に並ぶ。親戚や友人が集まる時から、子どもの運動会や遠足、日々の弁当まで、あらゆる場面で食べられており年間を通じて食べられている。 + +## 飲食方法 +若鶏の骨付きを一口大のぶつ切りにし、ボウルに薄口醤油、酒、しょうが汁、こしょうを混ぜ合わせ若鶏を漬け込み馴染ませる。揚げ油を中温にして片栗粉をつけて揚げる。一般的な唐揚げと違うのは、「せんざんき」は鶏肉を骨つきのまま揚げることである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 若鶏の骨つき: 600g +- 薄口醤油: 大さじ1と1/2 +- 酒: 大さじ1と1/2 +- しょうが汁: 少々 +- こしょう: 少々 +- 片栗粉: 適量 +- すりおろしにんにく: 少々 + +## 作り方 +1. 若鶏の骨つきを一口大のぶつ切りにする。 +2. ボウルに薄口醤油、酒、しょうが汁、こしょう、すりおろしにんにくを混ぜ合わせ、1を20分位浸け味を馴染ませる。 +3. 揚げ油を中温にして、2に片栗粉を付け揚げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「えひめ郷土料理物語」(愛媛県観光協会 渡邊 笙子氏監修) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_5_1.jpg)" +"# 法楽焼 愛媛県 + +**郷土料理名**: 法楽焼 + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +今治市 + +## 主な使用食材 +タイ、エビ、ハマグリなど魚介類 + +## 歴史・由来・関連行事 +「法楽焼」は、今治市の名物料理で、塩やごま、豆類などを炒るための平らな焙烙鍋(ほうろくなべ)を使って、日本三大潮流として知られる来島海峡の荒波で身をもまれた新鮮なタイやタコ、サザエ、エビ、ハマグリなどの魚介類を色とりどりに盛り、塩のみの味付けで蒸し焼きにするシンプルかつ大変華やかで豪快な料理。ほっくりした焼き上がりはクセになる。室町時代、海賊が戦いに勝利した際に食べられていたと言われており、村上海賊(水軍)という名の今治市にある来島海峡を拠点に構えていた水軍が由来となっており、海賊料理とも呼ばれている。海賊というと、金品を略奪する無法者というイメージがあるかもしれないが、平時には瀬戸内海の水先案内、海上警固、海上運輸など、海の安全 や交易・流通を担う重要な役割を果たし、戦時には小早船を巧みに操り、「ほうろく火矢」など火薬を用いた戦闘を得意とした。また、茶や香を嗜み、連歌を詠む文化人でもあったといわれている。今治市には、村上海賊ミュージアム という施設もある。 + +## 食習の機会や時季 +「法楽焼」は通年食べられる料理であり、見た目の豪華さから宴席でも食べられている。 + +## 飲食方法 +炮烙(ほうらく・ほうろく)の上に小石や松葉を並べ、タイを中心におき、エビやハマグリ、サザエなどの魚介類、ゆで卵を周りに盛る。さらに、炮烙で蓋をし、蒸し焼きにする。入れる魚介類は旬のものを使うため、季節によって異なるが、タイを中心に飾るかたちがスタンダードである。水を使わず魚介の味が凝縮されるため、旨味が出て、具の下に敷く小石が余分な水分を吸うため、蒸しあがりはほっくりと仕上がる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4~5人分) +- タイ: 1尾 +- サザエ: 5個 +- イカ: 1杯 +- ゆで卵: 5個 +- 車エビ: 5尾 +- さつまいも: 1本 +- 銀杏: 適量 +- 塩: 適量 + +## 作り方 +1. 炮烙(ほうらく、ほうろく)に小石、松葉などを敷き詰め、タイを中心に魚介類、野菜、卵などをのせ蓋をして蒸し焼きにする。 +2. ※味は塩のみで、具材の量によって塩の量を調節する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 道後温泉ふなや 和食料理長 久保田 昌司氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_6_1.jpg)" +"# 緋の蕪漬/緋のかぶ漬 愛媛県 + +**郷土料理名**: 緋の蕪漬/緋のかぶ漬 + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +松山地域 + +## 主な使用食材 +緋のかぶ、だいだい酢、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +愛媛県の民謡伊予節にもでてくる伝統野菜、緋色のかぶの漬け物であり、ダイダイ酢の香りと甘酸っぱい味付けと風味は、深みのある上品な仕上がりである。歴史的に見ると300余年前、蒲生忠知が松山に転封になった際に先祖の地、近江国蒲生郡日野産のかぶを移植したのが始まりで、原種であるこの「近江の日野菜かぶ」が松山の地に適して改良され、名物になった。鮮やかな緋色の発色は、かぶに含まれる色素のアントシアニンが酢に反応することで得られる。愛媛ゆかりの俳人 正岡子規も、「緋の蕪や膳のまわりも春景色」とこの漬物を俳句に詠んでいる。多くの人に好まれ、故郷を離れて暮らす人の郷愁を誘う漬物である。 + +## 食習の機会や時季 +松山地域独自の漬物「緋の蕪漬」は、おせち料理には欠かせない食材のひとつで、各家庭で漬けられてきた。かぶの緋色が冴えていると、その年はよい年になる、という言い伝えがあり、今も縁起ものとして愛されている。特に初物の赤色が冴えていると、今年は縁起がよいと喜ぶ風習もある。 + +## 飲食方法 +かぶは、きれいに洗い皮をむきたっぷりの水に一晩つけアク抜きをする。アク抜きしたかぶを輪切りにして塩漬けし、4、5日位おく。だいだいを輪切りにし、しぼり酢をつくる。しぼり酢に砂糖を合わせかぶを漬け込む。1週間位すると味が馴染み美味しくなっている。好みの大きさに切って食べてもよいし、千切りにしてサラダのトッピングにしたり、刻んでごはんに混ぜてもよい。酸味が苦手な人は、醤油をかけると味がまろやかになって、コクが加わる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (漬物容器1個分) +- 緋のかぶ: 1kg +- 塩(かぶの重量の5%): 50g +- だいだい酢(米酢): 300~350ml +- 砂糖: 250g +- 食酢: 適量 + +## 作り方 +1. 緋のかぶはきれいに洗い、きれいにならないところは、皮を取り、一晩たっぷりの水に浸けてアク抜きをする。 +2. 1を輪切りにして塩漬けし、4~5日位おく。 +3. 2の水気を十分に切る。 +4. だいだいを輪切りにして汁をしぼり酢を取る。 +5. 4と砂糖(好みの甘さにする)を合わせた中に、3を漬け込む。1週間位すると味が馴染み、おいしくなってくる。(だいだい酢に、食酢を加えると発色が良い) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「えひめ郷土料理物語」(愛媛県観光協会 渡邊 笙子氏監修) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_7_1.jpg)" +"# いずみや 愛媛県 + +**郷土料理名**: いずみや + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小鯛、卯の花、オノ実 + +## 歴史・由来・関連行事 +新居浜地方の郷土料理で、酢飯の代わりに味付けしたおからを使った卯の花寿司のことを「いずみや」という。江戸時代の元禄4年(1691年)に別子銅山を開坑し、地域の発展に寄与した住友家では、米飯を用いたすしが食されていたが、庶民は容易に米を食べることはできなかった。そのため、料理の見た目だけでも住友家と同じものを食べようと、田のあぜで栽培していた大豆のおからを米の代わりに食した。この料理が住友家の屋号である「泉屋」に由来して「いずみや」と呼ばれ、その後は住友家で雇用されていた県内各地の出身者らを通じて、その故郷へ伝播したとする説がある。宇和島市などの南予地方では「丸ずし」とよばれている。 + +## 食習の機会や時季 +祭りや祝事でも食べられる愛媛県の代表的な味。使われる魚は、地元で獲れる旬の小魚が主だが、時にはタイやアマギなどを使うこともある。それぞれの家庭で、おからの味付けや使う魚も違う郷土料理で、昔は日常的に食べられており近年でも通年食べられるが、家庭でつくる機会は減っている。 + +## 飲食方法 +小魚を背開きにして中骨をとり、塩をふって30分ほどおき、砂糖、酢の中につけ込む。表面が白くなったらとり出し、酢をよくきっておく。卯の花は、から煎りして魚のつけ汁で味付けし、みじん切りのしょうがとオノ実を混ぜて、酢魚とにぎる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 卯の花: 200g +- みじん切りしょうが: 少々 +- オノ実: 小さじ1(煎) +- 小鯛: 3~4尾 +- 【調味料A】卵黄: 1個 +- 【調味料A】酢: 大さじ4~5 +- 【調味料A】砂糖: 大さじ2 +- 【調味料A】塩: 小さじ1/2 +- 【調味料A】旨味調味料: 少々 +- 塩: 適量 +- 甘酢: 適量 + +## 作り方 +1. 小鯛は背開きにし、中骨を取って、塩をあて、30分位おいた後、酢洗いして甘酢に浸ける。 +2. 卯の花は、から煎りし、調味料Aを加えてさらに弱火でねる。 +3. 2をよく冷まし、しょうがと煎ったオノ実を加える。 +4. 1に3をつめる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「えひめ郷土料理物語」(愛媛県観光協会 渡邊 笙子氏監修) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_8_1.jpg)" +"# 鯛そうめん 愛媛県 + +**郷土料理名**: 鯛そうめん + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +タイ、素麺、干ししいたけ、卵、ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +「鯛そうめん」とは、タイを一尾まるごと姿煮にしたものを、ゆでた素麺と一緒に大皿に盛りつけ、タイの煮汁をつけ汁もしくはかけ汁として食べる。特に瀬戸内海沿岸部で良く食べられ、南予地方では、錦糸卵、千切りしいたけを付け合わせとして、薬味と一緒に食べる。松山地域では、五色素麺を用いることが多く、神への供物になったといわれている。また、七夕の織女にちなみ、糸のような素麺を食べるようになったとも伝えられ、七夕に素麺を食べるという室町時代の風習は、江戸時代になると庶民にも広がったといわれる。縁起ものの素麺と魚の王者・タイの組み合わせは最強のハレ食といえ、タイが白波の中を泳ぐように飾る豪華な料理のため、婚礼や棟上げ、還暦などの祝いに使われる事が多い。婚礼では、細く長く幾重にも幸せが続くようにとの願いを込めた素麺と、めでたいタイの組み合わせは、両家の親族がめでたく対面したことを祝うともいわれ、縁起をかつぐ意味合いがある。南予地方では「鯛のめんかけ」、松山市周辺では「鯛めん」と呼び、愛媛県全体でも馴染みのある料理となっている。 + +## 食習の機会や時季 +波のような形に盛りつけた素麺に、姿のまま煮たタイをのせる。喜寿のお祝いや赤ちゃんのお食い初め、結婚披露宴など、家族や親族でのお祝いの席で振る舞われる。中でも宇和島市では、上座に「鯛そうめん」と「ふくめん」という彩りの鮮やかな大皿を2皿並べておく風習がある。 + +## 飲食方法 +タイは調味料で煮て味付けしておく。干ししいたけは、水で戻して調味料で味付けして煮た後千切りにしておく。卵は薄焼きにして錦糸卵を作る。ねぎは小口切りにする。素麺を茹でて皿に盛り、味付けしたタイをのせ、干ししいたけ、錦糸卵、ねぎを散らす。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- タイ: 1匹 +- 素麺: 10束 +- 【調味料A】薄口醤油: 1と1/4カップ +- 【調味料A】だし汁: 1と1/4カップ +- 【調味料A】砂糖: 1/2カップ +- 【調味料A】みりん: 1/4カップ +- 【調味料A】干ししいたけ: 3枚 +- 【調味料B】砂糖: 小さじ1 +- 【調味料B】薄口醤油: 小さじ1/2 +- 【薄焼き卵】卵: 3個 +- 【薄焼き卵】砂糖: 少々 +- 【薄焼き卵】塩: 少々 +- 【薄焼き卵】ねぎ: 4~5本 +- 【薄焼き卵】めんつゆ: 適量 + +## 作り方 +1. タイは、調味料Aで煮て味付けしておく。 +2. 干ししいたけは、水にもどしてから千切りにして調味料Bの材料で煮る。 +3. 卵は、砂糖、塩を少々入れて薄焼きにし、錦糸卵をつくる。 +4. ねぎは小口切りにしておく。 +5. 素麺はゆでて皿に盛る +6. 1を素麺の上にのせ2、3、4を散らす。 +7. 食べる直前にめんつゆをかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 愛媛県農山漁村生活研究協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_9_1.jpg)" +"# たこ飯 愛媛県 + +**郷土料理名**: たこ飯 + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +中予地方、今治市および島しょ部 + +## 主な使用食材 +タコ、米、昆布、人参、ごぼう、干油揚げ、みかんの皮、もみのり + +## 歴史・由来・関連行事 +漁船上で漁業者が獲れたタコをぶつ切りにして、ごはんに炊き込んだのがはじまりといわれている。もともと伊予灘は海底が砂地で、小エビ、カニ、貝類が多く、タコの生育��境として適している。その中でも春先に出回る「木の芽だこ」と呼ばれる200~400gの小ダコは身が締まって美味しいとされる。また、梅雨の多雨期には栄養分を含んだ水が海に流れ込むため、タコが大きく育ち、この時期のものも独特の歯ざわりがあるとされる。松山市では、伊予灘に面した漁港のある今出地区に、「たこ飯」をはじめとしたタコ料理の専門店がいくつかある。 + +## 食習の機会や時季 +タコは春から夏が旬とされるが、一般家庭でも比較的手軽に調理することができるため、食卓にあがることも多い。 + +## 飲食方法 +具が少ない簡素な料理だけに、下ごしらえは重要。まず、生ダコの足に塩をふりかけ、手で揉むようにして表面のぬめりを取り除く。そして吸盤の中の汚れを指先を使ってきれいに取る。米は洗ってざるにあげておく。タコは全体を塩もみして洗い、塩ゆでして小口切りにしておく。人参、ごぼう、干油揚げを細切りにしておく。鍋に昆布を敷き、水、調味料とタコを除く具を入れ、普通に炊き沸騰したところにタコを加える。炊きあがったらざっくりと混ぜ、器に盛り付けて好みでもみのりとみかんの皮をのせる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 3カップ +- 昆布: 5cm角 +- 【調味料A】醤油: 大さじ3 +- 【調味料A】みりん: 大さじ1/2 +- 【調味料A】酒: 大さじ1/2 +- 【調味料A】旨味調味料: 少々 +- みかんの皮: 適量 +- タコ: 200g +- 人参: 20g +- ごぼう: 20g +- 干油揚げ: 1/2枚 +- もみのり: 適量 + +## 作り方 +1. 米は炊く30分前に洗ってざるにあげておく。 +2. タコは塩もみして洗い、塩ゆでして小口切りにする。人参、ごぼうは細切り、干油揚げも同じに切る。 +3. 鍋に昆布を敷き1と同量の水、調味料A、タコを除く具を入れ普通に炊き、沸騰したところにタコを加える。(生ダコを一緒に炊く場合もある) +4. 炊き上がればさっくりと混ぜ、器に盛り、みかんの皮のみじん切り、もみのりをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「えひめ郷土料理物語」(愛媛県観光協会 渡邊 笙子氏監修) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_10_1.jpg)" +"# ふかの湯ざらし 愛媛県 + +**郷土料理名**: ふかの湯ざらし + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +南予地方 + +## 主な使用食材 +フカ(サメ)、みがらし味噌、豆腐、こんにゃく + +## 歴史・由来・関連行事 +「ふか」とはサメのことで、南予では1メートル前後のものがよく捕れ、種類は、イサバフカ、マブカ、ホシブカなどである。その昔、漁師が釣れた売り物にならないフカを、酢みそで酒の肴にしたのがはじまりといわれている。身は弾力があり、ヒレはコリコリと歯触りが楽しめる。朝につくり始めても完成は夕方になるというほど、下ごしらえに手間がかかり、調理する業者は限られている。淡白なフカとピリッときかせた酢味噌が調和した飽きのこない一品で、酒の肴や鉢盛料理の一品として親しまれている。フカを食べるのは、例えば中国地方の山間部のように海に遠く、新鮮な魚が手に入らなかった地域が多いが、宇和島市では、新鮮な刺身と対等の地位を得ている。 + +## 食習の機会や時季 +南予地方で見られるお祭りの料理は、鉢盛料理に代表される。鉢盛料理は、人数にこだわらない料理で、海や畑のものなどをバランスよく盛り付けた料理で、「ふかの湯ざらし」は鉢盛料理に欠かせない料理である。自家製味噌を使ってつくったみがらし味噌をつけていただく。 + +## 飲食方法 +フカを熱湯にサッと通した後、柔らかいタワシでサメハダを取り、冷水にさらし三枚に卸す。味噌はすり鉢ですり、からしを加えすり混ぜ、酢と砂糖で好みの味にしてみがらし味噌をつくり、これをつけていただく。結びこんにゃく、豆腐、季節の野菜を添えるのが一般的で、淡白な味に、ピリッと辛い味噌がよく調和して食欲をそそる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- フカ(サメ): 600~700g +- ほうれん草: 100g +- きゅうり: 100g +- 【みがらし味噌】麦味噌: 100g +- 【みがらし味噌】酢: 大さじ3~4 +- 【みがらし味噌】砂糖: 大さじ2 +- 【みがらし味噌】からし: 大さじ1 +- つけあわせ: 適量(豆腐、こんにゃく、わけぎ) + +## 作り方 +1. たっぷりの湯にフカ(サメ)を���れ、素早く引き上げ、柔らかめのタワシでサメ膚をとる。 +2. 1を水洗いし、三枚におろし、やや斜めに5~8mm幅に切って、3Lにひとつかみの塩を入れた水にしばらく浸ける。 +3. 沸騰した湯に2を入れ2分位ゆで、冷水にさらしざるにあげる。(ゆですぎないこと) +4. 豆腐は3cm位のサイコロに切り湯におとして冷やす。 +5. わけぎは4cmの長さに切りさっとゆで冷やす。こんにゃくはさっとゆで冷ます。ほうれん草はさっとゆで、4cm位に切る。きゅうりは板ずりして薄切りにする。 +6. 味噌はすり鉢ですり、からしを加えすり混ぜ、酢、砂糖で好みの味にし、彩りよく盛る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「えひめ郷土料理物語」(愛媛県観光協会 渡邊 笙子氏監修) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_12_1.jpg)" +"# ふくめん 愛媛県 + +**郷土料理名**: ふくめん + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +宇和島市周辺 + +## 主な使用食材 +白身魚、こんにゃく + +## 歴史・由来・関連行事 +「ふくめん」は、宇和島藩の行事食として伝わったといわれており、主な材料となるこんにゃくは、こんにゃく芋からつくられるが、この芋は江戸時代の飢饉の際にも、良く収穫され、当時は食糧確保のために栽培されるようになった。「ふくめん」の名前の由来はいくつかあり、宇和島ではこんにゃくのことを「山ふく」と言い、それを麺の様に細く切って使用した料理なので、「ふく麺」、また、こんにゃくが見えなくなるほど、そぼろですっかり覆面するのでこの名がついたという説や、材料を細かく切ることを「ふくめ」というからという説などがある。こんにゃくの上にのせるピンクのそぼろは春、緑のネギは夏、みかんのオレンジを秋、白のそぼろを冬とし、四季を表すことでハレの日の料理として振舞われるようになったといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +祭りや正月など人の集まる宴会料理として、結婚披露宴や長寿祝いなどのハレの料理として食べられている。見た目にとても鮮やかで、お祝いの席に欠かせない一品。宇和島市周辺では祝い事があると、大きな器にごちそうを盛って、大勢で分け合って食べる鉢盛料理がつくられるが、その鉢盛料理に欠かせないのが「ふくめん」である。 + +## 飲食方法 +白身魚を茹でて、フキンに包みよくしぼる。ほぐしながら骨を取り除き、鍋にほぐした魚を入れ、砂糖、酒で調味する。この時、色付けする場合は、食紅を加える。食べやすい大きさに切った糸こんにゃくは、茹でて水気を切り、鍋でから煎りする。だし汁や調味料を加え、汁気がなくなるまで煮て冷ます。骨を取り除いたそぼろを糸こんにゃくにまぶし、皿にこんもりと盛る。形を形成したら、仕上げにねぎとみかんの皮を飾る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 白身魚: 200g +- 食紅: 少々 +- 糸こんにゃく: 300g +- ねぎ: 適量 +- みかんの皮: 適量 +- 【調味料A】砂糖: 大さじ1 +- 【調味料A】酒: 大さじ1 +- 【調味料B】だし汁: 50ml +- 【調味料B】砂糖: 大さじ1 +- 【調味料B】塩: 小さじ1/2 +- 【調味料B】みりん: 大さじ1 +- 【調味料B】薄口醤油: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 白身魚(エソや鯛など)をゆでて、フキンに包みよくしぼり、ほぐしながら骨を取り除く。 +2. 鍋にほぐした魚を入れ、煎りながら調味料Aで調味する。(色付けする場合は、食紅を加える。) +3. 糸こんにゃくは食べやすい長さに切り、ゆでて水気を切る。さらに鍋でから煎りし、調味料Bを加え、汁気なくなるまで煮て冷ましておく。 +4. 骨を取り除いた2のそぼろを3の糸こんにゃくにまぶす。 +5. 4の糸こんにゃくを皿に、こんもりと盛り、そぼろを美しく盛り付ける。 +6. 仕上げにねぎとみかんの皮を、飾り付ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 愛媛県農山漁村生活研究協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_13_1.jpg)" +"# 松山鮓 愛媛県 + +**郷土料理名**: 松山鮓 + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +松山地域 + +## 主な使用食材 +米、アナゴ、しめサバ、エビ、ごぼう、人参 + +## 歴史・由来・関連行事 +明治25年(1892年)、夏目漱石が初めて松山を訪れ、正岡子規の家に立ち寄った際に、母・八重がもてなしたのが「松山鮓」。その時、漱���は大いに喜び一粒もこぼさぬように食べたとのこと。また、子規にとっても「松山鮓」は、郷土の誇りであったようで、『われ愛す わが豫州 松山の鮓』という俳句を詠んでいる。なお、後日談として明治28年(1895年)の春、松山中学校の教師として漱石が再び松山を訪れた際、まず所望したのが「松山鮓」だったそうで、漱石にとってもお気に入りの松山料理であったことが想像できる。松山鮓は「もぶり鮓」とも称されることがあるが、混ぜ込むことを松山地域の方言で「もぶす」あるいは「もぶる」と呼んでいることに由来している。 + +## 食習の機会や時季 +松山地域では祝い事や客をもてなす際にばら寿司をふるまう習慣があり、瀬戸内の食材を贅沢に散りばめた「松山鮓」が生まれたとされる。お祝いの際や来客時、人が集まる時に食する。 + +## 飲食方法 +瀬戸内海の魚をふんだんに使うのが特徴。季節によって具は変わるが、基本はアナゴが入っている。エソやトラハゼなど瀬戸の小魚でとった出汁と甘めの酢を用いて酢飯をつくり、刻んだアナゴや季節の野菜をまぜ込む。すしの上には錦糸卵や魚介をきれいに飾り付ける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (8人分) +- 米: 3.5カップ(560g) +- 卵: 150g +- ごぼう: 80g +- 人参: 80g +- 干ししいたけ: 20g +- 三つ葉: 25g +- ぎんなん: 60g +- きぬさや: 40g +- 焼きアナゴ: 160g +- しめサバ: 160g +- エビ: 160g +- エソ(すり身): 40g +- サラダ油: 大さじ1/2 +- 【調味料A】酒: 大さじ3 +- 【調味料A】水: 730ml +- 【調味料A】出汁昆布: 1枚 +- 【調味料B】酢: 大さじ5と1/2 +- 【調味料B】砂糖: 65g +- 【調味料B】塩: 小さじ2 +- 【調味料C】だし汁: 300ml +- 【調味料C】薄口醤油: 大さじ2と1/2 +- 【調味料C】砂糖: 大さじ1と1/2 +- 【調味料C】酒: 小さじ2 +- 【調味料C】塩: 1g(ひとつまみ) +- 【調味料D】砂糖: 大さじ1 +- 【調味料D】塩: 1g(ひとつまみ) + +## 作り方 +1. 米と調味料Aを入れて炊く。 +2. 合わせ酢をつくる。 調味料Bを入れて、エソ(すり身)が固まらないようにかき混ぜながらさっと火を通す。 +3. 炊き上がったごはんに2の合わせ酢を加えて、すし飯をつくる。 +4. 干ししいたけは水でもどし、ごぼう、人参と共に千切りにして調味料Cで煮る。三つ葉をゆでる。 +5. 卵は溶きほぐして調味料Dを加えて合わせ、サラダ油をひいたフライパンで焼き、錦糸卵にする。 +6. 焼きアナゴは軽くあぶり、適当な大きさに切っておく。しめサバも適当な大きさに切っておく。 +7. エビ、ぎんなん、きぬさやはそれぞれゆでて、適当な大きさに切る。 +8. すし飯に調味した干ししいたけ、ごぼう、人参と三つ葉を混ぜる。大皿に盛り他の具材を飾る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 愛媛県農山漁村生活研究協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_14_1.jpg)" +"# 石花汁 愛媛県 + +**郷土料理名**: 石花汁 + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +今治市 + +## 主な使用食材 +米のとぎ汁、味噌、干し大根、人参、ごぼう、貝 + +## 歴史・由来・関連行事 +古くは石材業が盛んだった今治市大島に伝わる郷土料理。同島の北部に位置する宮窪地区で採れる「大島石」は建築材や墓石に使われており、日本でも指折りの高級石材として知られている。今治市大島の石文化を伝える郷土料理として「石花汁」がある。大島の石切場で手近な石を使って昔からつくられていたもので、寒い冬の凍てつくような石切り場で少しでも身体を温められるように、保温を考えた職人の知恵と工夫でできた賄い食。こんにゃくは砂おろしといって石工職人には欠かせない食材だったので必ず使用していた。それ以外に10種類以上の食材が入り熱く熱した石を入れ、この石を入れた時に一気に湯気が上がりぶくぶくと沸き上がった様子がまるで花が咲いたように見えることから、また、入れた豆腐がくずれて花が咲くように見えることから「石花汁」の名が付いたといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +冬の寒い時期に保温効果のある鍋料理として屋外の石切り場で食べられていた。昔は石切り場に行くことがたいへんで家と行き来ができないために、石切り場で食事をしていたようだ。また、水ももったいないので、米のとぎ汁を使っていた。現在はつくる手間がかかるため、頻繁には食べられないが石を入れない汁料理として食べられる。 + +## 飲食方法 +昔は、米のとぎ汁に瀬戸内海の貝や野菜、油揚げ等を入れて煮込んだ。今は昆布と煮干しの出汁で油揚げや豆腐、野菜、貝類などたくさんの具を入れて煮込む。火が通ったら味噌を溶き味付けする。ここで熱く熱した石を入れ、煮れば煮るほどコクが出て美味しい。石を入れると保温効果でいつまでも温かく食べられる。また、盛り付ける時、三つ葉としょうが汁を加える。ごま油少々を入れても風味が出てよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 干し大根: 20g +- 油揚げ: 1枚 +- 人参: 小1本 +- 三つ葉: 20g +- ごぼう: 1本 +- 味噌: 100g +- 里芋: 5個 +- 砂糖: 少々 +- 昆布: 40g +- 煮干し: 20g +- 豆腐: 2/3丁 +- 貝: 200g +- しょうが: ひとかけ +- 米のとぎ汁: 4カップ + +## 作り方 +1. 米のとぎ汁に、味噌をこし入れ、その中に袋に入れた煮干しと三つ葉を除いた材料全部を入れ、初めは強火で煮立て、中火にして30分位煮立て、煮干しを取り出し、そのまま弱火で3時間位煮る。 +2. 盛り付ける時、三つ葉としょうが汁を加える。ごま油少々を入れてもよい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「えひめの郷土料理100選」(愛媛県観光協会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_15_1.jpg)" +"# 今治焼き鳥 愛媛県 + +**郷土料理名**: 今治焼き鳥 + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +今治市を中心に県内全域 + +## 主な使用食材 +鶏肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「今治焼き鳥」は、串に刺さっていない皮を鉄板で軽く焼き、小さな板状の鉄の重しを乗せプレスしてつくる焼き鳥のことで、約50年前に考案された。厚い鉄板で鶏皮を焼き、串に刺さない点が今治独自の調理法である。鉄板で焼くことで、鶏肉から出る脂で揚げられ、プレスすることにより蒸されるため、火の通りが早く、素早く提供することができる。今治は、商売人が多く、せっかちで待つことが嫌いな気質といわれていたため、鉄板で素早く焼き上げるスタイルは、今治の人の気質と合い人気を博した。その人気から、かつては100軒以上の鉄板焼き鳥店があった。なお、「今治焼き鳥」を代表するメニューは皮で、はじめに皮を食べ、最後の締めには「せんざんき」と呼ばれるから揚げを食べる。これが今治焼き鳥の通の食べ方であり主流である。また、鉄板はやや斜めに取り付けられており、皮を焼く際余分な脂を落とす工夫がされているため、皮の旨味を残しながら、あっさりとした味わいを楽しむことができる。 + +## 食習の機会や時季 +「今治焼き鳥」は通年食すことができる。居酒屋などの飲食店では甘辛いタレをベースに、店によって味が工夫されているため、さまざまな味を堪能することができる。 + +## 飲食方法 +飲食店での提供がメインであり、皮を鉄板で押し付けながら外側が香ばしくカリッとなるまで焼く。皮を食べて、しめに「せんざんき」を食べるのが今治流の食べ方である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_16_1.jpg)" +"# 味噌汁(麦味噌) 愛媛県 + +**郷土料理名**: 味噌汁(麦味噌) + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +季節の野菜、麦味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +愛媛の味噌汁は、地元に古くから伝わる麦味噌を使った汁物で、中に入れる具材は家庭によって異なる。愛媛では米の裏作として麦を栽培しており、古くは米を年貢として納め、麦を食用として味噌に加工したものが麦味噌である。農家で独自につくられたものが多く、田舎味噌とも呼ばれていた。麦味噌は、大豆に麦麹と食塩を加えてつくられており、瀬戸内地域を中心に愛媛県、山口県、九州全域で主に生産されている。味噌は他にも「米味噌」や「豆味噌」、混ぜ合わせた「調合味噌」がある。その中でも愛媛の麦味噌は、はだか麦をふんだんに使用しているため麹歩合が高く、他の味噌と比べ芳醇な香りと上品な甘さが特徴である。また、麦味噌は、食物繊維とタンパク質が豊富な上、コレステロールの制御、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞の予防などの効果が期待できる。この麦味噌を使った味噌���は、栄養価も高く健康的な料理であり、愛媛県では定番の家庭料理である。 + +## 食習の機会や時季 +麦味噌の味噌汁は、手軽につくることができるため、通年食されている。甘口の麦味噌の味わいや香りが、具材の味を引き立てる。近年は、インスタントの味噌汁も販売されている。麦味噌は、味噌汁だけではなく、郷土料理の一つの「さつま」や、おでん、スティック野菜サラダなど、さまざまな料理に使われている。 + +## 飲食方法 +人参やたまねぎ、里芋など季節の野菜や豆腐などの具材を鍋に入れ、だし汁と共に煮る。具が煮えたら麦味噌を加える。味噌汁は煮たてると風味と栄養価が低下してしまうため、煮返しをせず、食べる直前に味噌を入れるところがポイントである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 油揚げ: 12g +- 木綿豆腐: 40g +- 里芋: 80g +- 大根: 60g +- 干ししいたけ: 2g +- 葉ねぎ: 20g +- 麦味噌: 60g +- 煮干し: 30g +- 水: 500ml + +## 作り方 +1. 【下準備】(1)煮干しで出汁をとる。(2)干ししいたけは冷水でもどしておく。(3)里芋、大根は皮をむく。(4)油揚げは熱湯をかけ油抜きする。(5)干ししいたけ、里芋、大根、ねぎ、油揚げを食べやすい大きさにきる。(6)豆腐はさいの目切りにする。 +2. だし汁を沸騰させ、具材を入れて煮る。 +3. 具材が火が通ったら麦味噌を溶いていれる。ねぎを入れて仕上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 愛媛県学校栄養士協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_17_1.jpg)" +"# えび天 愛媛県 + +**郷土料理名**: えび天 + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +東予地方 + +## 主な使用食材 +エビ、豆腐 + +## 歴史・由来・関連行事 +豊かな海の幸をはぐくむ燧灘(ひうちなだ)の新居浜から川之江にかけては、ジャコエビと呼ばれる体長2~5cmの小さな海老が豊富に水揚げされ、古くから家庭料理に取り入れられてきた。このジャコエビは煮ても焼いても美味しいため料理の応用範囲が広く、子どもからお年寄りまで幅広く人気がある。ジャコエビを殻ごとすりつぶして豆腐や白身魚と練り合わせ、油で揚げたのが「えび天」である。現在の「えび天」は、燧灘(ひうちなだ)の新鮮なハゼやタチウオ、タラなどの魚とジャコエビに水分を絞った特注の豆腐が入る。これらを機械で粉砕して練り合わせ、塩や砂糖などで味付けする。豆腐の甘みとエビの香りを最大限に生かすため、塩分はほかの練り製品に比べてかなり少なめで、手作業で一枚一枚揚げて仕上げる。菜種油で揚げる間、表面の焦げ具合を見ながらこまめに裏返しながら揚げていく。 + +## 食習の機会や時季 +漁師の家庭料理として食べられており昔から天ぷらとして親しまれていた。練り製品のため冬場の帰省土産やお歳暮に最適である。エビは頭以外を殻ごと使うためカルシウムたっぷりで、すりつぶした殻のジャリジャリした感じが残る。通には「この舌触りが良い」という。噛みしめると口の中にじわじわとうま味が広がる。 + +## 飲食方法 +瀬戸内海でとれた新鮮な魚(ハゼ、タチウオ等)と、厳選した国産の大豆を使用した特注の水分を絞った豆腐に活きのいいエビを程よく練り合わせ、高温の油で包み揚げた練製品。豆腐とエビ殻を入れることでやわらかい食感とジャリッとした歯触りが特徴である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 小エビ(頭尾除く): 200g +- 木綿豆腐: 1丁 +- 【調味料A】油: 大さじ2 +- 【調味料A】片栗粉: 小さじ2 +- 【調味料A】砂糖: 小さじ1 +- 【調味料A】塩: 小さじ1/2 +- 【調味料A】スキムミルク: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 豆腐をさっと湯に通し、フキンで固くしぼってすり鉢でする。 +2. 小エビの頭・尾・背わたを除き、皮つきのまま包丁でたたいて細かくする。 +3. 1、2を混ぜ合わせ、調味料Aを加え粘りが出るまでよく混ぜる。(フードカッターにかけてもよい) +4. 厚さ5mm、直径5~6cmに丸めて160℃の油で揚げる。丸める時に、手に油をつけて丸めると、くっつかない。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 愛媛県農山漁村生活研究協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_18_1.jpg)" +"# かんころ 愛媛県 + +**郷土料理名**: かんころ + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +伊方町 + +## 主な使用食材 +干し芋、小豆、砂糖など + +## 歴史・由来・関連行事 +日本一細長い半島といわれる佐田岬半島にある伊方町では、その独特の地形から内洋の瀬戸内海と外洋の宇和海の二つの漁場を持つ場所として栄えてきたが、昔、沿岸沿いでは米がとれにくく、もっぱらの主食は麦かさつまいもであった。しかし、芋はそのままだと長期貯蔵に適さないので、干して保存食として用いられた。その干し芋を使った料理が「かんころ」で、じっくりと炊いて砂糖を入れおやつとして食べられてきた。鍋の中で木杓子で練り炊きする時に発する音からこう名づけられたといわれている。明治時代に入ると、半島のある西宇和地域ではその傾斜地を生かし、みかんの栽培が盛んにおこなわれるようになった。傾斜面には石垣に覆われた段々畑が多くみられ、これは土の流動化を防いだり土壌の水はけを良くする効果や、石垣が太陽の光で反射することにより柑橘の木により光が当たるようになること、そのことで冬場の寒さを和らげる効果があるともいわれている。これまでにさまざまなみかん栽培の研究や改良が続けられ、現在では日本有数のみかんの産地となった。 + +## 食習の機会や時季 +年間を通して、おやつとして食べられる。 + +## 飲食方法 +小豆を固めに煮る。切り干し芋はひたひたの水を加えて煮る。いもが柔らかくなったら砂糖を加え、すりこぎでつぶし、小豆を合わせ味を馴染ませる。食べやすい大きさに丸くまとめて完成。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (18個分) +- 切り干し芋: 200g +- 水: 500ml +- 砂糖: 60g +- 塩: 小さじ1/2 +- あずき(炊いたもの): 60g + +## 作り方 +1. 切り干し芋は一度洗う。 +2. 鍋に水を入れて沸かし、沸騰したら1の干し芋を入れる。再度沸いたら火を弱めて、アクをとりながら1時間半から2時間程度炊く。※かき混ぜない。 +3. 柔らかくなったら水を捨て、ポテトマッシャーなどでつぶす。 +4. 柔らかく炊いておいた小豆に砂糖をまぶして馴染ませる。3に入れ、塩を入れて5、6分練るようにして火を入れる。 +5. 40g位の大きさの茶巾絞りにして、容器に入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 八幡浜市・八西生活研究協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_19_1.jpg)" +"# きじ肉と切り干し大根の混ぜご飯 愛媛県 + +**郷土料理名**: きじ肉と切り干し大根の混ぜご飯 + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +鬼北町 + +## 主な使用食材 +キジ肉、切り干し大根、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +日本でいうキジは日本昔話の「桃太郎」にも出てくるくらい古くから親しまれてきた。キジは渡り鳥ではなく、定住する留鳥で民家に近いところで生息している。日本では国鳥に指定されるほど昔から高貴な鳥として知られており、そのきじ肉は、昔から貴重な食べ物として食べられてきた。 しかし、近年、里山の環境変化により、 キジが少なくなり、 食べる機会が減っている。キジは香りが強いがローストしたりゆでたりするとある程度和らぐ。肉はパサつきやすく噛むと弾力があり、旨味があるが非常に淡泊。白くて脂肪分が少ないので、熟成に向いている。 そのきじ肉と瀬戸内の陽光をたっぷり浴びて作られた常備菜の切り干し大根で混ぜご飯にしたのが、「きじ肉と切り干し大根の混ぜご飯」である。 + +## 食習の機会や時季 +キジ肉は低カロリーで高タンパク、必須アミノ酸やミネラルが豊富。昔から貴重な食べ物として食べられてきた。切干大根は、秋の終わりから冬にかけて収穫した大根を細切りにして広げ、太陽の光をたっぷりあてて、乾燥させてつくられる。煮物や漬物などによく使われ、食物繊維やカルシウムが多く含まれている健康食品である。 + +## 飲食方法 +きじガラを煮て出汁をとる。きじ肉、ごぼう、人参、薄あげ、そして戻した干し大根、しめじや天ぷら(じゃこ天など)などを炒め、調味料で味を付ける。きじガラのだし汁を加え、煮汁が無くなるまで煮たら、だし汁と調味料を加え炊いたご飯に混ぜる。最後に千切りにした柚子皮を散らす。このように本来はきじガラで出汁をとるが、学校給食では冷凍きじブイヨンを使用している。冷凍保存により、年間を通じて提供���ているお店もある。きじ肉はきじ鍋等でも食べられている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20~25人分) +- 米: 1.5kg(10合) +- きじ肉: 約1羽分 +- きじガラ: 約1羽分 +- ごぼう: 200g +- 人参: 160g +- 干し大根: 120g +- しめじ: 4束 +- 油揚げ: 2枚 +- じゃこ天: 1枚 +- 柚子の皮: 適量 +- サラダ油: 60ml +- 【調味料A】出汁昆布: 2枚 +- 【調味料A】塩: 22.5g +- 【調味料A】料理酒: 50ml +- 【調味料B】濃口醤油: 75ml +- 【調味料B】薄口醤油: 90ml +- 【調味料B】砂糖: 120g + +## 作り方 +1. 鍋に水6Lを入れ、きじガラを煮て出汁をとる。米は炊く30分前に洗米する。 +2. きじ肉は1~2cmに切る。ごぼうはささがき、人参と薄あげは太目の千切りにする。 +3. 干し大根は洗って水に15分浸した後、ざく切りにする。 +4. しめじは石づきを落として小房に分ける。じゃこ天は千切りにする。 +5. 米に調味料Aと1のだし汁を入れて炊く。(普通の水加減でよい) +6. サラダ油できじ肉を炒め、野菜類、じゃこ天を入れる。(硬めの野菜から順番に) +7. 火が通ったら調味料Bと1の出汁60~70mlを入れ、煮汁が少なくなるまで煮る。 +8. 6の具材をご飯に混ぜ、千切りにした柚子皮を散らしてできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 愛媛県農山漁村生活研究協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_20_1.jpg)" +"# じゃこ天 愛媛県 + +**郷土料理名**: じゃこ天 + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +南予地方 + +## 主な使用食材 +小魚、卵、揚げ油 + +## 歴史・由来・関連行事 +宇和海から豊富な魚がとれる八幡浜市や、宇和島市などでは、魚の加工品づくりが盛んで、その代表的なものに「じゃこ天」がある。昔から宇和島では、魚のすり身の揚げ物を「天ぷら」といい、じゃこ天のように皮や骨ごと入ったものを「皮天ぷら」と呼んでいる。底引き網でとれたいろいろな種類の魚(雑魚)でつくられていたため、「ざこ天」と名付けられ、それが変化して「じゃこ天」になったという説や、原料のはらんぼ(ほたるじゃこ)に由来して「じゃこ天」と呼ばれるようになったという説もある。製品自体の始まりは、宇和島藩史によれば、元和元年(1615年)に宇和島藩初代藩主の伊達秀宗が故郷を偲んで仙台から蒲鉾職人を連れてきてつくらせたことによるといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +料理のバリエーションがたいへん多く時期は問わず、年間を通してよく食べられている。特に、南予地方では、日々の食卓に欠かせないものとなっている。おかずの一品のほか、酒の肴としても好まれている。 + +## 飲食方法 +小魚の身だけでなく皮や骨もすり潰し、小麦粉、卵、塩を加え堅めに混ぜたら、小判上に形を整え油で揚げる。魚が骨ごと入っているため、カルシウムやミネラルなど栄養満点。揚げたてをそのまま食べるほか、火を通して醤油を落とした大根おろし、しょうがと付け合せるなどの食べ方がある。宇和島市のおでんには必ずといっていいほど、「じゃこ天」が入っている。また、肉の代わりに「じゃこ天」を使った天ぷらカレーは、じゃこ天産地の家庭料理としてもメジャーである。うどんの具にしたり、すり身のじゃこ天にパン粉を付けて油で揚げ、「じゃこ天カツ」にすることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- エソの皮、小アジの身: 200g +- 塩: 小さじ1/2 +- 小麦粉: 適量 +- 卵: 1/2個 +- 揚げ油: 適量 + +## 作り方 +1. エソの皮を包丁で細かくたたいて、よくすって、塩、小麦粉、卵を加え、堅めに混ぜる。 +2. 1を小判形にまとめて、油で揚げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「えひめ郷土料理物語」(愛媛県観光協会 渡邊 笙子氏監修) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_21_1.jpg)" +"# しょうゆめし 愛媛県 + +**郷土料理名**: しょうゆめし + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +松山地域 + +## 主な使用食材 +米、醤油、ごぼう、人参など + +## 歴史・由来・関連行事 +室町時代から炊き込みご飯を「しょうゆめし」と呼んでおり、お祝い事などの時に食べる郷土料理として親しまれてきた。松山地域に古くから伝わり、庶民のありあわせの具で作られた手軽な料理として、昔はお客さんが来た時、おもてなしのためにつくっていた。春はふきやたけのこ、秋は里芋、栗、ぎんなんなど、旬の具を入れることで一年を通して楽しめる。最近は、魚介類や鶏肉を入れることが多く、昔ながらの「しょうゆめし」は野菜をメインに干油揚げを入れており、植物性のタンパク質が取れると同時に、味にコクが出てとてもおいしくなる。昭和30年代に松前町にある弁当店がこれをアレンジしてできたのが、駅弁の「しょうゆめし」である。醤油の風味が香ばしい、コクのあるごはんは、冷めてもふっくらとしていて美味しく、ごはんの上には、鶏肉、れんこん、しいたけ、たけのこ、ゼンマイなど出汁が染み込んだ煮物がのっていて食べごたえもある。 + +## 食習の機会や時季 +古くから松山地域に伝わる郷土料理で、ごぼうや人参などその時期にある野菜と米を醤油で炊き上げたハレの日の料理。祭りや祝いごとの日に、各家庭で「しょうゆめし」を炊く。 + +## 飲食方法 +人参、ごぼう等野菜の下ごしらえをし、醤油を中心にした調味料と一緒にお米を炊く。器に盛り錦糸卵、のりなどをのせる。ごはんはコクがあって冷めても美味しく食べれる。春は山菜、冬は里芋や大根など季節の食材を加えて、一年中アレンジが楽しめる。たくさん炊くほど、美味しい「しょうゆめし」ができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 3カップ +- 鶏肉: 150g +- 人参: 50g +- 干ししいたけ: 3枚 +- ごぼう: 50g +- こんにゃく: 1/2丁 +- 卵: 1個 +- 糸のり: 少々 +- 干油揚げ: 1枚 +- 【調味料A】醤油: 大さじ1と1/2 +- 【調味料A】塩: 小さじ1/2 +- 【調味料A】酒: 大さじ2 +- 【調味料B】淡口醤油: 大さじ1と1/2 +- 【調味料B】酒: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 米は洗ってざるにあげ、30分以上おく。 +2. 干ししいたけはもどして千切り、鶏肉は小切りにして調味料Bをまぶしておく。人参は千切りにする。ごぼうも同様にして、酢水に浸けてアクを取る。干油揚げは千切りにして熱湯をかけて油抜きする。 +3. 釜に1、2、調味料Aと水を加えてよく混ぜ合わせて炊く。 +4. 器に3を盛り、錦糸卵と糸のりをふる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「えひめの郷土料理100選」( 愛媛県観光協会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_22_1.jpg)" +"# 太刀魚巻/太刀巻 愛媛県 + +**郷土料理名**: 太刀魚巻/太刀巻 + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +南予地方(宇和島市) + +## 主な使用食材 +タチウオ + +## 歴史・由来・関連行事 +タチウオとはスズキ目タチウオ科の海水魚で、その全長は大きなもので2mを超える。魚の生臭い匂いが少ない上に脂が乗っている美味しい魚なので、魚が苦手な子どもでも美味しく食べられる。宇和島市で創業150年の老舗の魚屋が昭和62年(1987年)に「太刀魚巻」を考案したといわれており、竹串に太刀魚が巻いてある。多くのメディアで紹介され、今では宇和島を訪れる観光客の名物の一つになっている。また、美味しいだけでなく栄養も満点なのがタチウオ。タチウオに多く含まれるオレイン酸という成分は、体内の酸化予防に一役買っており、脂肪分に含まれるDHAには、中性脂肪や悪玉コレステロールを減らす働きがある。その他豊富に含まれるビタミンA、D、Eは加熱調理しても流出しにくいので、焼いても栄養を逃さずに美味しく食べられる。 + +## 食習の機会や時季 +年間を通じて食べることが出来る。味がしっかりしているのでおかずにもなり、酒の肴にもなる。 + +## 飲食方法 +竹にタチウオをらせん状に巻き、つけ汁を何度か塗りながら炭火焼く。このつけ汁の味が店によって独特で、各店秘伝のタレとして伝わっている。食べ方は、竹からタチウオを抜いて食べる。(お好みで2mm幅に切って大根おろしなどを上にのせてもよい)。また、ごぼうにタチウオを巻いた「太刀魚の八幡巻き」もこの土地では食べられていた。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- タチウオ: 2尾 +- みりん: 少々 +- 【つけ汁】醤油: 大さじ2 +- 【つけ汁】砂糖: 大さじ1 +- 【つけ汁】酒: 大さじ2 +- 【つけ汁】しょうが汁: 少々 +- 竹: 4本 + +## 作り方 +1. タチウオを三枚におろす。 +2. 1をつけ汁に浸けておく。 +3. 竹に2のタチウオを、らせん状になるように巻きつける。 +4. 巻いた3のタチウオを、炭火で10~15分焼く。 +5. 照りを出すために、つけ汁の残りに、みりんを少々加え、太刀魚巻の上にぬり焼く。これを2~3度くり返す。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「えひめ郷土料理物語」(愛媛県観光協会 渡邊 笙子氏監修) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_23_1.jpg)" +"# タルト 愛媛県 + +**郷土料理名**: タルト + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +松山市 + +## 主な使用食材 +卵、小麦粉、こし餡 + +## 歴史・由来・関連行事 +松山市を代表するお菓子。松山市では、カステラ生地であんを巻いたロールケーキ状のお菓子を「タルト」という。正保4年(1647年)久松家初代松山藩主・松平定行公は、ポルトガル船が長崎へ入港したという知らせを聞いて、長崎の海上警備へ赴いた際に、カステラの中にジャムが巻かれた南蛮菓子であるタルトに出会い、その味の虜になった。松山への帰郷の際に長崎から製法を持ち帰り、ジャムが柑橘系だったことから四国特産の柚子をアクセントに加え、和の要素を取り入れたお菓子に変化させたといわれている。製法は後に久松家の家伝となり、明治以降に松山の菓子司に技術が広まった。名前の由来は、オランダ語でケーキを意味する「taart」からとする説やポルトガル語でロールケーキを意味する「torta」からとする説がある。いずれもラテン語の焼き菓子に由来する。 + +## 食習の機会や時季 +年間を通して食すことができ、茶菓子として供されるほか、土産品、贈答品としても用いられる人気のお菓子である。 + +## 飲食方法 +基本的に購入して食べることが主である。餡に柚子と小豆が入り、断面が「の」の字になっていることがポイントで、季節によって桜や甘夏みかん、栗などを餡にしたりと四季折々楽しめるお菓子となっている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1本分) +- スクエアケーキ用型: 20cm×20cm +- 卵(Lサイズ): 2個 +- 上白糖: 70g +- 小麦粉: 60g +- 市販のこしあん: 250g +- 柚子皮すりおろし: 5g +- 水: 50ml + +## 作り方 +1. 【スポンジ生地 手順1】卵をボールに割る。ふるった上白糖をボールに入れ軽くかき混ぜる。 +2. 【スポンジ生地 手順2】約40度に温め、泡立てる。(生地のラインが残ってすっと消える程度) +3. 【スポンジ生地 手順3】ふるった小麦粉を「スポンジ生地 手順2」に入れかき混ぜる。(粉だまの残らない程度) +4. 【スポンジ生地 手順4】型にクッキングシートを敷き、「スポンジ生地 手順3」を流し入れる。180度に予熱したオーブンに入れ、表面に焼き色がつくまで焼成。(7~8分程度)焼き色を確認し、取り出す。 +5. 【あんこ 手順1】柚子の皮を擦りおろす。 +6. 【あんこ 手順2】鍋に市販のこしあんと水を加えかき混ぜながら軽く沸騰させる。 +7. 【あんこ 手順3】塗りやすい好みの固さになったら、火を止め「あんこ 手順1」を入れてかき混ぜる。 +8. 【あんこ 手順4】スポンジの焼き色のついた面(上面)に「あんこ 手順3」を塗る。「の」の字になるように巻き上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 愛媛県菓子工業組合 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_24_1.jpg)" +"# ぼて茶 愛媛県 + +**郷土料理名**: ぼて茶 + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +松山地域 + +## 主な使用食材 +大豆、米、番茶、黒豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +松山地域の気候風土にマッチした「ぼて茶」は、藩政時代に松山藩主より質素倹約のおふれが出た際に考案され、藩主の女房たちが寄り合いのもてなし料理にと工夫したものといわれ、高価な材料は一切使用していない。松山地域は古くから茶道が盛んだったこともあり、茶せんでお茶を泡立てるという郷土料理「ぼて茶」が生まれたようだ。丁寧に煮だした「ぼて茶」を先に塩をつけた茶せんで泡立て、その中に黒豆ごはんを入れ、具をのせて食べる。松山市の「ぼて茶寺」の愛称で親しまれる松山市猿川原の蓮生寺では、釈迦(しゃか)の誕生を祝う花まつりの時、大勢の参拝客が名物のお茶漬け「ぼて茶」を堪能できる。参拝者への接待として提供したところ好評であったため、手づくりの胡麻豆腐や生麩の佃煮などの精進料理も添え、昭和50年代後半頃から続けられている。花まつりは毎年、釈迦が生まれた旧暦の4月8日から近い連休(ゴールデンウィーク頃)に合わせて開催されている。 + +## 食習の機会や時季 +茶せんでお茶を泡立てる必要があることからか、主に茶道をたしなむ人が楽しんでいた。現代においては、手間暇をかけた贅沢なお茶漬けとして人々に愛されている。昔は、家の周りに植えてあったクコの木の葉を煎じて飲んでいた。クコは漢方薬であるため自然な形で健康茶を飲んでいたことになる。 + +## 飲食方法 +「ぼて茶」とは、クコの葉や番茶と大豆を煮出したお茶を、塩をつけた茶せんで泡立て、その中に黒豆ごはんとたけのこ、しいたけ、高野豆腐、奈良漬・フキなどをみじん切りにしたものを入れたお茶漬けのようなもの。茶碗の中にふわふわと泡が浮かんでおり、その泡が消えないうちにお箸でかきこんで食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 【ぼて茶】大豆: 20g +- 【ぼて茶】水: 15カップ +- 【ぼて茶】番茶(くこ茶): 1つかみ +- 【黒豆ごはん】黒豆: 20g +- 【黒豆ごはん】米: 2カップ +- 【黒豆ごはん】塩: 少々 +- 【黒豆ごはん】旨味調味料: 少々 +- 【具】かまぼこ(赤): 1/2本 +- 【具】れんこん: 70g +- 【具】ふき: 40g +- 【具】奈良漬: 50g +- 【具】凍豆腐: 1丁 +- 【具】砂糖: 大さじ3 +- 【具】しいたけ: 20g +- 【具】だし汁: 2カップ +- 【具】塩: 少々 +- 【具】淡口醤油: 大さじ3 +- 【具】みりん: 大さじ1 +- 【具】旨味調味料: 適量 + +## 作り方 +1. 【ぼて茶】土びんまたは土鍋に、水、茶、大豆を入れ弱火で2時間程度煮出しこす。 +2. 【黒豆ごはん】黒豆をほうろくで炒り、熱湯に入れてやわらかく煮て、米に黒豆の煮汁ごと加え、塩、旨味調味料で味をととのえ、普通のごはんと同様に炊きあげる。 +3. 【具】れんこん、皮をとったふきをゆで、それぞれ薄味を付ける。れんこん、ふき、かまぼこ、奈良漬を3mm角に切り、混ぜ合わせ鉢に盛る。 +4. 茶碗に1/3位熱いぼて茶を注ぎ、塩を少し加え茶せんで泡立てた中に黒豆ごはんを入れ具をのせ食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「えひめの郷土料理100選」(愛媛県観光協会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_25_1.jpg)" +"# みかんずし 愛媛県 + +**郷土料理名**: みかんずし + +**都道府県**: 愛媛県 + +## 主な伝承地域 +南予地方 + +## 主な使用食材 +みかんジュース、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +太陽の光と潮風をいっぱいに浴びて育つ愛媛みかんは、全国トップクラスの生産量を誇る。自然条件がうまく重なることで、甘さと酸味のバランスが良い美味しいみかんとなる。この地域は、瀬戸内海が目の前にあり、段々畑にみかんの花が咲く風光明媚な風景が広がる。美味しいみかんができる理由は、まさにここにある。愛媛県南部の地域では希少であった米酢の代わりに酸味と香味が強いかぼすやみかんなど柑橘果汁を使ってつくった郷土料理が「みかんずし」であり、商品にならないみかんを使った「みかんご飯」がルーツともいわれている。地元の学校給食ではオレンジジュースで炊いたご飯が出されており、それがテレビで紹介され話題になり、愛媛県では「蛇口からミカンジュースが出る」という都市伝説さえある。この蛇口は松山市内にある「えひめ愛顔の観光物産館」や松山空港で楽しむことができる。蛇口をひねると、そこからみかんジュースが注がれる愛媛県ならではの光景だ。 + +## 食習の機会や時季 +お祝いの席やおもてなしに登場する。愛媛県はみかん以外にも季節ごとにさまざまな柑橘がつくられていて、年間を通して料理に使用されている。酸味は酢の代用になり、ビタミンなども豊富。きれいな色は食欲増進につながる。 + +## 飲食方法 +米をみかん生ジュースで炊くが、ごはんにみかんの甘味が加わるので合わせ酢の砂糖を少し控えるのがポイント。トッピングにさまざまな具材を合わせ彩りよくして食べる。みかんごはんを油揚げに詰めた「みかんいなり」もあり、甘辛い油揚げとみかんの爽やかな酸味が後をひく美味しさである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 米: 1升 +- みかん生ジュース: 約1L +- 水: 約1L +- みかんの皮: 適量 +- 魚: 適量 +- れんこん: 適量 +- きぬさや: 適量 +- かまぼこ: 適量 +- 干ししいたけ: 3枚 +- 人参: 1/3本 +- ごぼう: 1本 +- 薄揚げ: 1枚 +- 白ごま: 適量 +- 【調味料A(合わせ酢)】酢: 200ml +- 【調味料A(合わせ酢)】砂糖: 160g +- 【調味料A(合わせ酢)】塩: 12g + +## 作り方 +1. 米はみかんと生ジュースと水を半々の割合で炊く。 +2. 魚は塩をふり、酢でしめる。 +3. れんこんは砂糖、塩、酢で味付けする。 +4. きぬさやは塩ゆでする。 +5. 干ししいたけ、ごぼう、薄揚げ、人参、みかんの皮を入れて煮る。 +6. ごはんに調味料Aと具、白ごまを混ぜる。 +7. かまぼこを切り、手順3~5と一緒にすし飯の上に飾り付ける。 +8. ※ごはんを炊くときに、みかんジュースのみにすると焦げやすい。ごはんにみかんの甘みが加わるので、合わせ酢の砂糖を少し控える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 愛媛県農山漁村生活研究協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_26_1.jpg)" +"# いもの茎の炒め煮 高知県 + +**郷土料理名**: いもの茎の炒め煮 + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +さつまいもの茎、てんぷら(さつま揚げ) + +## 歴史・由来・関連行事 +高知県では、さつまいもやかぼちゃの茎を食べる食文化がある。茎といっても葉と茎をつなぐ「葉柄」の部分である。「いもの茎」料理といった場合は、一般的にさつまいもの茎でつくる。茎を食べるようになったのは、高知県の気候が関係している。高知県は高温多湿のため、夏季に入ると畑にさつまいもやかぼちゃの茎が旺盛に茂る。農家がその茎を食用に用いたことから、生活の知恵として広がっていったといわれる。いまでこそ、都市部のスーパーマーケットなどで気軽に調達でき一般家庭でも日常的に食べられているが、これは農村から人が市街へ流入しはじめてからの傾向だともいわれている。農家の主婦はさつまいもの茎の皮をはいで、曜市で販売していた。そこから副収入を得ていたため、いもの茎は家計を支える大事な資源だった。その名残りから、いまでもお年寄りの間では、散財のあとに「さあ、いもの茎をはごう」というお決まりのフレーズが存在するという。 + +## 食習の機会や時季 +さつまいもの茎は、夏野菜が手に入りにくくなる端境期(はざかいき)に食べられた。戦時中はおやつ代わりに茎を食べていたという。高知県ならではの、茎を食べる食習慣はいまでも受け継がれており、多くの家庭でも親しまれている料理。家庭で調理しやすいように、下処理された茎も一般向けに販売されている。 + +## 飲食方法 +茎はシャキシャキとした食感が特徴である。さつまいもやかぼちゃなど野菜によって茎の食感や味わいが異なるが、いずれも炒め煮や煮びたし、白和えなどに使われて食べられる。彩りがよいため、五目ずしの具とも相性が良い。さつまいもの場合は、ツル状になっている茎の枝分かれした先の柔らかい部分を食べる。さつまいもの茎の皮をはいで、下ゆでする。下ゆでした茎を鍋で炒める。軽く炒めたら、出汁で煮て砂糖や醤油などの調味料を加えればできあがる。仕上げに、小口切りした赤唐辛子を盛りつけても良い。てんぷら(高知県では魚のすり身を揚げた「さつま揚げ」のことをてんぷらという)を入れて、アレンジすることも多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- さつまいもの茎: 400g(下処理したもの) +- 油: 大さじ1 +- だし汁: カップ2/3 +- 砂糖: 大さじ2 +- 醤油: 大さじ2 +- 赤唐辛子: 1本 + +## 作り方 +1. 下処理したさつまいもの茎は4cmくらいに切る。 +2. 鍋に油を熱し、1を入れて軽く炒め、だし汁で煮て調味料を加える。 +3. 仕上げに小口切りにした赤唐辛子を入れる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_21_1.jpg)" +"# かつおのたたき 高知県 + +**郷土料理名**: かつおのたたき + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +カツオ、にんにく、たまねぎやねぎなどの薬味 + +## 歴史・由来・関連行事 +高知県の県魚であるカツオは、日常的に食べられている食材である。「かつおのたたき」は漁師が船上で食べていたまかないだったものが一般に伝わったとされている。保存技術のない時代、船上で鮮度が落��たカツオを食べるために、“たたき”という料理法が発展したともいわれている。「かつおのたたき」にすることで、カツオ特有の生臭さも軽減される。「かつおのたたき」の“たたき”とは、その名の通り“叩く”を意味する。調理の際に、塩やタレをかけて叩いて味を馴染ませたことに由来するといわれている。「かつおのたたき」は、いまでは全国的なメニューだが、高知県では地域や集落によってこだわりやレシピが少しずつ異なる。たたき料理が盛んな高知県では地域によっては、ウツボなどの魚、肉やしいたけ、かぼちゃやなすなどのカツオ以外もたたきにして食べられる。野菜のたたきの場合は、下ゆでしたり揚げたりしたものにタレや薬味をのせて食べる。また、野菜と魚を合わせたたたきもあり、アジとなすなど、旬の魚と野菜を組み合わせる。 + +## 食習の機会や時季 +冬の一時期を除いて、1年中カツオは食べられているが、秋の下りカツオが脂がのっていて、たたきには最適だとされる。新緑の時期にとれる初夏の初カツオも美味とされ、人気が高い。県内全域の食習慣として根づき、冠婚葬祭や神事に欠かせない「皿鉢料理」の定番の一品でもある。 + +## 飲食方法 +3枚におろしたカツオの身を背と腹に切り分けて焼き網に乗せて豪快にあぶる。カツオのかたい皮は火であぶることで食べやすくなり、風味も豊かになる。火を通すため、ある程度の保存効果もある。風味を出すためにわらであぶるのが良いとされるが、一般家庭ではガスの火であぶることが多い。あぶったカツオは厚めの刺身にする。刺身をまな板の上に乗せて、塩を振って軽くたたく。この「たたく」工程が「たたき」の由来であるといわれている。塩でたたいたら、柚子酢や醤油を合わせたタレをふりかけてたたき皿に盛る。にんにくの薄切りを散らし、好みで小口切りのねぎやたまねぎの薄切りを散らす。かつおのたたきの仕上げ方は各地域で少しずつ違いがあり、各家庭や店の数だけ種類があるといってもよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- カツオ切り身: 300g +- 塩: 小さじ1/2 +- 柚子酢: 大さじ1 +- 醤油: 大さじ3 +- ねぎ: 1本(20g) +- たまねぎ: 少々 +- にんにく: 4~5粒 + +## 作り方 +1. 3枚におろした身を背(おん節)と腹(めん節)に切り分けて、焼き網にのせ(または魚串に刺して)炎の先にかざして3面をあぶる。 +2. 厚めの刺身に切る。 +3. まな板の上で、塩を振って叩き、さらに半量の柚子酢と、醤油を振りかけて軽く叩いて、皿に盛る。 +4. カツオの上ににんにくの薄切りを散らし、好みでねぎの小口切り、たまねぎの薄切りを散らす。残りの醤油と酢をかける。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_12_1.jpg)" +"# ぐる煮 高知県 + +**郷土料理名**: ぐる煮 + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +大根、人参、里芋、厚揚げ、こんにゃくなど + +## 歴史・由来・関連行事 +「ぐる煮」とは、大根、人参、里芋といった冬の根菜を中心に使った煮物のこと。いずれの食材も県内で手に入れやすい野菜である。「ぐる」とは土佐の方言で、「仲間」、「みんな」といった意味があり、さまざまな具材を一緒くたに煮こむことに由来しているといわれている。現代よりも食糧の調達が大変だった時代、あり合わせの野菜を使って「ぐる煮」を大量につくり、何度も温めなおしながら食べられていた。もともとは、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」の6文字にちなんで、6品の材料が使われていた。現在は、さまざまな材料が使われている。香南市野市地区では「おぐる」の名で呼ばれる。土佐市では、煮る材料が9品も揃うと「いとこ煮」と呼ばれる。これは、大根・人参・ごぼう、里芋・こんにゃく・豆腐といった、ジャンルの近い食材を“いとこ”に見立てたもの。3つの“いとこ”が揃ったら、「いとこ煮」となる。具材は四角に切る、芋を入れる、といった習わしも、いまに伝わっている。 + +## 食習の機会や時季 +体を温めてくれる「ぐる煮」は、寒い冬の総菜として各地域で食べられてきた。 + +## 飲食方法 +大根、人��、里芋などの根菜をさいの目に切る。出汁じゃこを入れて沸かした大鍋で切った野菜を煮て、醤油で味付けたら完成。あっさりした味付けで、昔ながらの素朴な味わいである。何度も煮返していくうちに、具材に味が染みてきて美味しくなるので、一度で大量につくられる備蓄菜としても地元に根づいた。味噌の味付けで食べる地域もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根: 300g +- 里芋: 140g +- 人参: 80g +- ごぼう: 80g +- こんにゃく: 1/2丁 +- 厚揚げ: 1枚(または油揚げ2枚) +- だし汁(出汁じゃこ): 2カップ +- 薄口醤油: 大さじ2 +- 砂糖: 小さじ2 + +## 作り方 +1. 里芋以外の材料は2cmの角切り。里芋は皮をはいでゆでてぬめりを取り、他の材料よりやや大きめに切る。 +2. だし汁に具材を入れ調味料で味付けし、弱火で気長に煮る。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_8_1.jpg)" +"# りゅうきゅうの酢の物 高知県 + +**郷土料理名**: りゅうきゅうの酢の物 + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +りゅうきゅう(ハスイモの茎)、太刀魚またはナイラゲ(カジキマグロ)、柚子酢、ごまなど + +## 歴史・由来・関連行事 +高知県では、ハスイモ(サトイモ科)の葉と茎のつながる葉柄部分を「りゅうきゅう」と呼び、昔から食材として日常的に食べられている野菜。りゅうきゅうは、あざやかな緑色で、独特のシャリシャリとした歯ざわりが特徴。名前の由来は沖縄(琉球)から伝わったことにちなんで名付けられたといわれているが、諸説あり定かではない。りゅうきゅうの食感とさっぱりとした味の「りゅうきゅうの酢の物」は、高知県の夏の定番料理として、いまも地元に根づいている。 + +## 食習の機会や時季 +露地ものは夏から秋にかけてとれる(ハウスものと合わせると通年栽培されている)。りゅうきゅうは、日陰の場所に生育する。外側から順に切り取って使い、ひとシーズンに何度も収穫でき、毎年生えることもあって、たいていの農家ではりゅうきゅうを栽培しているといわれるほど。りゅうきゅうが市場に出回るころ、太刀魚とぶしゅかん(柑橘)の季節になるため、太刀魚とぶしゅかんで酢の物がつくられる。高知県以外では、温暖な気候の東南アジアでもりゅうきゅうは食べられている。 + +## 飲食方法 +りゅうきゅうは、酢の物のほか、炒め物や「田舎ずし」の具としていろいろな調理方法で食べられている。生のまま食用するほか、冷凍して、保存食として常備することもある。皮をはいだりゅうきゅうを水にさらして塩もみし、柚子酢に浸した太刀魚やナイラゲ(カジキマグロ)などの魚としょうがやごまと和える。みょうがや新しょうがを加えると風味がさわやかになる。酢は、柚子酢のほかに、ぶしゅかんなどの柑橘を使うこともある。地域によってはアユなどの魚を使うこともあるが、沿岸部の人々は「りゅうきゅうには太刀魚が合う」とし、地域ごとに好みが分かれる。塩もみする際、かゆくなるのでビニール袋に入れてもむと良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- りゅうきゅう: 400g +- 塩: 小さじ1 +- 太刀魚(または、ナイラゲ): 100g +- 塩: 小さじ1 +- 柚子酢 (または、ぶしゅかん): 大さじ2 +- しょうが: 少々 +- 【A】 砂糖: 大さじ1 +- 【A】 醤油: 小さじ1/2 +- 大葉: 3枚 +- いりごま: 大さじ1 + +## 作り方 +1. りゅうきゅうは皮をはぎ、そぎ切りにして水にさらし、塩を振る。しんなりしたら水気を絞る。 +2. 太刀魚は3枚におろし、細切りして塩をしてしばらくおいて、柚子酢に浸す。千切りのしょうがも浸しておく。 +3. 2にAを加え、1と千切りの大葉を混ぜ合わす。いりごまを加える。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_3_1.jpg)" +"# いたどりの油いため 高知県 + +**郷土料理名**: いたどりの油いため + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +いたどり + +## 歴史・由来・関連行事 +「いたどり」とは山あいに自生するタデ科の植���。竹のように中心が空洞なことから「すかんぽ」と呼ぶ地方もある。登山やハイキングの道中でいたどりをとって生で食べることもあるが、高知県内では、古くからいたどりを色々な方法で食べてきた。いたどりの新芽がとれるのは春のみだが、塩漬けや冷凍で保存ができるので、保存食としても重宝され、家庭料理の副菜として年間を通して食卓に上る。そのうちの一つ「いたどりの油いため」は、いまでも家庭で親しまれている料理。 + +## 食習の機会や時季 +酸味とカリカリとした歯ごたえが特徴で、炒め物のほか、煮物や酢の物、ちらしずしの具など、高知県ではさまざまな料理に用いられることから、身近な食材として親しまれている。一般的に食用に適しているのは、4月から5月にかけてとれる新芽だといわれている。採取時期以外は、塩漬けもしくは冷凍保存しておいたものを用いる。 + +## 飲食方法 +いたどりの下処理方法は、採取したいたどりの皮を剥き、熱湯にくぐらせたあと、すぐに冷水に入れ、半日から1日ほど水にさらしておく。こうすることで、いたどり特有の酸味が抜けて食べやすくなる。貯蔵する場合は、皮をむいたいたどりを適当な長さに切り揃え、塩をまぶして重石を乗せておく塩漬け保存が一般的だったが、近年は冷凍保存することも多い。塩漬けや冷凍したものは、あらかじめ水にさらして塩抜きしておく。いたどりを適当な長さに切り揃えたら、油で炒め、砂糖、醤油で味付けする。家庭によっては、天ぷら(高知県では魚のすり身を揚げた「さつま揚げ」のことをてんぷらという)や、ちくわ、鶏肉などを加えることもあり、レシピの自由度は高い。加熱しすぎると歯ごたえがなくなるため、手早く調理し再加熱はしない。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- いたどり(下処理したもの): 300g +- 油: 大さじ1 +- 砂糖: 大さじ1 +- 醤油: 大さじ2 +- 削り節: 少々 +- いりごま: 少々 + +## 作り方 +1. 冷凍又は塩漬けのいたどりを4cm程度の長さに切り、水にさらし塩と酸味を抜く。 +2. 鍋に油を入れ、少し火にかけてから、いたどりを入れ、調味料と削り節を加え手早く炒め火を止める。 +3. ごまを加え、冷ましながら味を馴染ませる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_1_1.jpg)" +"# ひめいちとみかんの辛子煮 高知県 + +**郷土料理名**: ひめいちとみかんの辛子煮 + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +ヒメイチ、みかん(または柚子、ぶしゅかん)の皮、唐辛子など + +## 歴史・由来・関連行事 +ヒメイチとは、土佐湾の小型底びき網にかかる小魚。正式な呼称は、ホウライヒメジである。安価ということもあり、タイの代わりにもよく使われる魚。地域によって「アスナル」や「アスナロ」と呼称されるのは、「明日は鯛になろう」という意味が込められているからである。ヒメイチの白身はくせがなく、上品な味わい。そのため、塩焼き、干物、姿ずしなど幅広く料理に活用される。とくに小さいものは、みかんとともに「辛子煮」にされることが多い。 + +## 食習の機会や時季 +ヒメイチは秋から冬にかけてが旬。タイの代用品としてハレの日の料理に使われることもある。ヒメイチは頭も骨も食べられるので、安価に調達できたひと昔前は保存食がわりに「辛子煮」がよく食べられていた。行商が売りに来るヒメイチは日が経っていることも珍しくなく、そのようなときは火鉢で何日もかけて炊いたという。保存がきくため「辛子煮がないと暮れがこない」と、年の暮れに大量につくられる。お弁当のおかずの定番でもあった。現在では、長時間加熱する必要があることや生のヒメイチを手に入れることが難しくなったこともあり、家庭でつくる機会は減っている。 + +## 飲食方法 +うろこと腹わたを取ったヒメイチを、種を取った辛子とともに弱火で煮こむ。ゆでてみじん切りにし一晩さらしたみかんの皮と調味料を加える。汁がなくなるまで弱火で煮上げたらできあがる。柑橘類のさわやかな香りと辛子のツンとした風味がアクセントになる。辛子で煮ることで、ヒメイチの骨が柔ら��くなるともいわれている。腹わたを取らずに調理するなど、各家庭ごとにレシピが異なり、家庭の味が存在する。レシピの個性は地域差にも現れる。香我美地域では柑橘類にぶしゅかんが使われる。土佐山田地域では、りゅうきゅう(ハスイモの葉柄部分)を入れることもある。葉柄の繊維がとろとろになり、従来とは異なる食感に仕上がる。介良地域では、ヒメイチの半分量の柚子と葉の付いた青い唐辛子を使う。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 () +- ヒメイチ: 500g +- 醤油: 大さじ4 +- 酢: 大さじ2 +- 砂糖: 大さじ4 +- 唐辛子: 2本 +- 酒: 大さじ2 +- 柚子皮: 1個分 + +## 作り方 +1. ヒメイチは、うろこと内臓を取って鍋に並べ、かぶるくらいの水と酢、種を取った唐辛子を入れて火にかける。 +2. 骨が柔らかくなったら、せん切りの柚子皮と調味料を加える。 +3. 汁が少なくなったら、熱いうちにすり鉢で骨と身を細かくすりつぶす。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_20_1.jpg)" +"# こうし飯 高知県 + +**郷土料理名**: こうし飯 + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +大月町 + +## 主な使用食材 +岩のり、米、たくあん、ちりめんじゃこ + +## 歴史・由来・関連行事 +大月町は県南西部にある海沿いのまち。町内では稲作や葉たばこ栽培、施設園芸などの農業が、リアス式海岸を形成する海岸部では漁業が営まれている。 まちの一角では本マグロの養殖業もおこなわれている。県単位で見れば、その生産量は全国トップレベルを誇る。大月町の人々が年越しに食べるのが「こうし飯」である。「こうし飯」とは、ちりめんじゃこや細かく刻んだ魚を炊きこんだごはんのことで、「越しめし」としてはじまり、次第に「こうしめし」という呼び方に変化していったといわれている。「こうし飯」に欠かせないのが、仕上げとしてごはんに混ぜ込む岩のりである。岩のりは、この地域では「めのり」と呼ばれる。冬の寒い時期、胸まで海に浸かって、めのり採りがおこなわれる。めのり採りをする際は、刺し子木綿の服「ヤンザ」を着こむものの、厳寒の海の中は身を切るような寒さである。港町の宿毛市でも、めのりを使った飯料理が食べられている。この料理は「もぶり」といい、煮こんだ大根やごぼう、人参などをごはんに混ぜ込み、最後に軽くあぶった、めのりを上にかけて食べる。「もぶり」とは「まぶす」に由来する。 + +## 食習の機会や時季 +「こうし飯」は、冬に旬をむかえるめのりを使い、年越しの時期に食べられる。大月町では「こうし飯」が年越しの定番だったため、ひと昔前までは年越しそばを食べる習慣がほとんどなかったという。近年は、めのりも手に入りにくなり、もみのりで代用する家庭もある。 + +## 飲食方法 +たくあんを細かく刻み、めのりは軽くあぶってもみのりにしておく。ごはんにちりめんじゃこと醤油、砂糖を混ぜて具が馴染むまで置いておく。ご飯が人肌くらいに冷めたら、たくあんとのりを混ぜ込めば出来上がる。たくあんや砂糖のほのかな甘みが特徴である。ちりめんじゃこの代用にカツオ節を使う場合もある。彩りを出したいなら、かまぼこなどを入れて食べる。たくあんは刻んだ後、フキンで絞ってからごはんに混ぜる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分(5合分) +- 岩のり: 1~2枚 +- 米(5合分): 750g +- たくあん: 1/3本 +- ちりめんじゃこ: 100g +- 淡口醤油: 大さじ2 +- 砂糖: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 米を洗ってざるにあげて30分おき、かために炊く。 +2. たくあんは1cm巾の千切りにし、フキンで絞っておく。 +3. 岩のりは、色良くあぶってもみのりにする。 +4. 出来上がったごはんに、ちりめんじゃこと醤油、砂糖を混ぜて少し冷ましておく。 +5. 人肌くらいに冷めたごはんにたくあんを混ぜ、最後にのりを入れさっと混ぜ合わす。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_30_1.jpg)" +"# きらずもち 高知県 + +**郷土料理名**: きらずもち + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +佐川町尾川地区 + +## 主な使用食材 +おから、もち米、小豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +豆腐づくりの副産物で出るおからは、日本各地で食べられ、呼び方も「卯の花」「きらず」「から」「かす」「おたま」とさまざまである。「きらず」という呼び方は、料理する際に包丁で切らなくなくても良い「切らず」に由来している。また、婚礼の祝儀にも、「縁を切らず」という願いを込めて、縁起ものとして「きらず」を使った料理が振る舞われていたという。このおからを使ってつくられている郷土菓子が、「きらずもち」である。「きらずもち」は、もち米と「きらず」を混ぜた生地に、あんこを包み込んだ餅で、佐川町西部の尾川地区のみに伝えられている。昔は正月前に豆腐をつくるのが習わしで、大豆を挽いてくれる請け挽きの家に、各家庭から一升の大豆を挽いてもらっていた。豆腐をつくるとおからが出る。このおからを「きらずもち」にして、豆腐同様に正月に食べられていた。また高知県では、甘みをきかせて炒ったおからの総菜は昔からよく食べられており、背開きにしたタイの中に味付けしたおからを詰めて蒸しあげた「鯛のたま蒸し」や酢飯のかわりに丸く握ったおからに酢でしめたイワシをのせた「たまずし」や、おからをキビナゴで巻いた「きびなごのほおかぶり」などがある。 + +## 食習の機会や時季 +正月前に豆腐とともにつくられ、食べられていた。昔はもち米が高価だったため、かさを増すためにきらずを混ぜていたが、いまでは郷土菓子として地域に根づいている。「きらずもち」は、甘さひかえめのどこかなつかしい味わいで、老若男女に親しまれている。 + +## 飲食方法 +水につけておいたもち米を水を切って蒸しておく。きらずはもち米とは別に軽く蒸しておく。もち米をついたらきらず、塩、砂糖を加えてふたたびつく。ついた餅を食べやすい大きさにちぎり、あんを入れて丸め、仕上げにきな粉をまぶしたらできあがる。2日程度は柔らかさを保ったまま食べることができる。餅をつくときによもぎを入れてついたり、きび粉をつけると美味しく食べることができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20~30人分(約80個分) +- おから: 1kg +- もち米: 1kg +- 塩: 30g +- 砂糖: 500g +- 小豆あん: 80個分 +- きなこ: 適宜 + +## 作り方 +1. 2時間以上水につけておいたもち米を、水切りして蒸す。 +2. おからは、米とは別に軽く蒸しておく。 +3. 蒸したもち米をつき、きれいにつけたらおから、塩、砂糖を入れてさらにつく。 +4. ボウルについた餅を移し入れ、手に水をつけながら適当な大きさにちぎり、あんを入れて丸め、きな粉をつける。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_29_1.jpg)" +"# 豆腐の梅酢づけ 高知県 + +**郷土料理名**: 豆腐の梅酢づけ + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +津野山地区 + +## 主な使用食材 +豆腐、梅酢 + +## 歴史・由来・関連行事 +日本で豆腐が食べられるようになったのは平安末期のことである。中国から伝来されたといわれている。高知県では、土佐国の戦国大名である長宗我部元親(ちょうそかべもとちか)が朝鮮出兵した際に連れ帰った朴氏によって伝えられた。土佐藩主の山内一豊も唐人町での豆腐の専売を推奨していたとされる。当時、呉(大豆を水に浸してすり潰した液)を布袋でしぼった汁を煮て、にがりを入れて凝固させる「生しぼり式」で豆腐がつくられていたが、現在は衛生上の問題から、呉を加熱してからしぼる「湯とり式」がおこなわれている。豆腐は神事や正月のお祝いなどに振る舞われるごちそうで、家で手づくりする家庭も珍しくなかったという。「豆腐の梅酢づけ」は、津野山地区に伝承される郷土料理である。この地区でつくられる豆腐はかたいことが特徴。「豆腐の梅酢づけ」は、かための豆腐を梅酢に漬けたもので、保存食としてつくられてきた。高級料理としても高値で取引されていたという。梅酢で染まった赤い見た目があざやか。塩分が高く、しっかりとした味わいである。 + +## 食習の機会や時季 +山間地域の常備食、保存食として発展、普及した。いまでも家々でつくられ食べられている。自家消費用のためにつくられることが多く、あまり流通することはないという。 + +## 飲食方法 +梅酢のさわやかな酸味とねっとりとした食感が特徴の「豆腐の梅酢づけ」。かための豆腐の水を良く切り、上下を返しながら炭火で何度も焼く。豆腐が冷めたら梅酢に1週間から10日ほど漬けこむことで出来上がる。塩分が高いため食べるときは薄く切って食べるのがおすすめで、お酒のあてにも最適である。焼くときは表面を焦がさないように注意する。焦がしてしまうと仕上がりが黒くなってしまい、梅酢に漬けてもあざやかなピンク色にならない。また、電子レンジなどで水分を飛ばそうとするとカチカチになり美味しくなくなるとという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3~4人分) +- 木綿豆腐: 1丁 +- 梅酢: カップ5 + +## 作り方 +1. 木綿豆腐を1/4の厚さに切り、新聞紙(キッチンペーパー)の上に木綿布を敷いて豆腐を置き、その上に布、新聞紙(キッチンペーパー)をのせて挟み、これを繰り返して重ねていき、まな板で重石をし、1~2時間置いて水気を切る。 +2. 豆腐の両面を炭火で焼く。表面がきつね色になるように何度も上下を返しながら焼いていく。 +3. 2を梅酢に1週間~10日間漬け込む。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_28_1.jpg)" +"# 暮れの煮物 高知県 + +**郷土料理名**: 暮れの煮物 + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +くじら、切り昆布、大根、人参、糸昆布、こんにゃくなど + +## 歴史・由来・関連行事 +高知県で年越しに食べる郷土料理といえば、くじら肉が入った「暮れの煮物」である。これはくじらのような大きなものを食べることで「大物になるように」という願いを込めて食べられた。くじらが手に入りやすかった時代は、大晦日が近くなると魚屋にくじらが並ぶのがお決まりの光景。山間部では「コロ」とよばれるくじらの乾燥物を使うほど、欠かせない食材だった。高知のくじら食文化を担っていたのが港町の室戸市である。くじらは太平洋を北へ南へと回遊する際、土佐湾を横切る。その時期を見計らって、鯨組と呼ばれる漁業集団が捕鯨をおこなった。土佐捕鯨発祥の地としても知られており、江戸時代初期には捕鯨がはじまっていたとされる。土佐湾での捕鯨は昭和11年(1936年)まで300年以上続けられた。現在でも土佐湾はくじらの回遊コースになっており、ホエールウォッチングなどがおこなわれている。 + +## 食習の機会や時季 +「暮れの煮物」は、縁起物としても馴染んでおり、年越しにくじらの煮物を食べるのが習慣としていまでも伝わっている。捕鯨をおこなっていた周辺地域ではくじら料理が日常的に食べられていた。 + +## 飲食方法 +くじらは赤身が多く、そのほか腹肉や舌なども珍味として扱われ、無駄になる部位が少ない。煮物だけではなく、刺身は半解凍にして食べられており、シャリシャリとした食感を味わえる。定番の「竜田揚げ」や水菜と炊いた「ハリハリ鍋」など、バリエーションは幅広い。越知町では伝統野菜の大平かぶと一緒に煮物にする食べ方が伝わっている。煮物にする際は、まずはくじらを鍋で煮る。このときアクが出るのでこまめにとる。あまりに長く煮すぎると肉がかたくなるので頃合いを見て、取り出しておく。くじらのだし汁に醤油やみりん、砂糖を加えて味をととのえて、下ゆでしておいた大根や人参、こんにゃくなどを加えて再び煮る。野菜が煮えたら、仕上げにくじら肉と糸昆布を加え完成。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (8人分) +- くじら: 200g +- 大根: 半本(500g) +- 人参: 1本(100g) +- ごぼう: 1~2本(100g) +- 里芋: 3~4個(200g) +- こんにゃく: 1丁(250g) +- 糸昆布: 20g +- 煮干(くじらが多ければ不要): 適量 +- 水: カップ4 +- 醤油: カップ1/3 +- 砂糖: 大さじ4 +- 酒: 大さじ2 + +## 作り方 +1. だいこん、人参、里芋は皮を取って、好みの形に切る。ごぼうは皮をたわしで洗い、斜切りして水にさらす。こんにゃくは1cm厚さの手綱(たずな)に切る。 +2. くじらは薄切りをひと口大に切り、水から煮て、アクをていねいにすく��捨てる。 +3. アクが出なくなったら切った野菜とこんにゃくを入れ、煮干、糸昆布も入れて煮る。 +4. 醤油、砂糖、酒で好みの味に仕上げる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_27_1.jpg)" +"# 田芋のころばし 高知県 + +**郷土料理名**: 田芋のころばし + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +田芋(里芋)、白ごま + +## 歴史・由来・関連行事 +高知県では、里芋のことを田芋(たいも)と呼び、米に次ぐ貴重な栄養源として、昔から食べてられきた。甘みは少なく、ほくほくとした口あたり。また、独特のとろみがある。大きいサイズのものは「田芋飯」になり、戦時中の米が手に入りにくいときは、ごはんのかさ増しのために活用されていたという。小さいサイズのものは味噌汁の具、きんとん、煮物などに使われた。茎を干した「ずいき」は、厳寒期が訪れる前に茎を刈り取り、皮をはいで干し、保存食として家々で備蓄していた。県中西部に位置する佐川町は、かつて土佐藩筆頭家老深尾の城下町として栄え、現在でも造り酒屋の酒蔵や旧商家からなる風情ある街並みが残っている。この地域も、ほかの地域同様に田芋を食べる習慣があるが、そのなかでも独自の郷土料理が「田芋のころばし」である。これは、田芋を使った煮っころがしのような料理。醤油と砂糖で甘辛く味付けされ、仕上げにごまをまぶすのが特徴である。ごまの上で田芋が転がすため「ころばし」という名が付いたと伝わっている。下ごしらえに手間がかかるため、昔は暇を見てつくる料理だったという。 + +## 食習の機会や時季 +秋から冬にかけて、田芋が旬を迎える時期に食べられる。昔は子どものおやつとしてもつくられていた。親芋から子芋、さらに孫芋と実が増えていくことから、子孫繁栄の象徴として伝わっている。冠婚葬祭に振る舞われる皿鉢料理の一品には、縁起物である田芋のきんとんも加わることがある。 + +## 飲食方法 +調理にあたっては、まず田芋の皮むきからはじまる。田芋をゆでたのち、ざるに上げて皮をむく。たっぷり水の入った鍋に田芋、醤油、砂糖を入れ、煮汁がなくなるまでじっくりと煮る。煮汁が少なくなったらさらに煮詰め、炒った白ごまを和えて食べる。そのほかの地域では、ゆでた田芋を串に刺して味噌をぬった田楽やツガニ(モクズガニ)と一緒に煮る鍋料理も食べられている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 子芋: 600g +- 砂糖: 大さじ3 +- 醤油: 大さじ4 +- みりん: 大さじ2 +- 白ごま: 大さじ3 +- だし汁: 適宜 +- 柚子皮: 少々 + +## 作り方 +1. 子芋を皮つきのまま熱湯に入れ、3~5分くらいゆでて、ざるに上げ、皮をつまむようにして中身を押しだす。 +2. 鍋に皮をはいだいもを入れ、かぶるくらいのだし汁と調味料を入れて煮る。沸騰したら弱火にして煮汁がなくなるまで煮て、ふり動かして照りをだす。 +3. 平たい器に取り、あおいで冷まし、香ばしく炒った白ごまの上をころばす。 +4. 器に盛り、千切りした柚子皮を散らす。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_26_1.jpg)" +"# 淡竹とエンドウの煮物 高知県 + +**郷土料理名**: 淡竹とエンドウの煮物 + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +淡竹(はちく)、エンドウ + +## 歴史・由来・関連行事 +高知県ではたけのこが良く食べられる。春先になると孟宗竹(もうそうちく)が出回り、淡竹、真竹と続く。南国市の特産である四方竹は秋ごろにとれる珍しいたけのこである。高知市の薊野(あぞうの)地区では孟宗竹、こさん竹、真竹、四方竹など様々な品種がとれるたけのこの特産地として知られている。たけのこ料理も多種多様。カツオのあらと炊いた「あらだき」。酢飯を詰めた「たけのこずし」。酢味噌和え、木の芽和えなど土地土地の収穫物と掛け合わせた料理が数多く存在している。「淡竹とエンドウの煮物」は高知県ではポピュラーなたけのこ料理。淡竹は細長くて、赤紫がかった皮が���徴である。身が薄く味が淡白なため、エンドウとの相性がいい。5月ごろからは、孟宗竹に続いて、淡竹が出回りはじめるころ、エンドウも実をつけはじめ、旬の食材の組み合わせは季節を感じる料理。 + +## 食習の機会や時季 +春ごろに孟宗竹が出回ったあと、5月、6月ごろに淡竹は市場に並ぶ。エンドウは「のらまめ」とも呼ばれ、奈良時代から食べられていたという。昔はエンドウを栽培している農家も多く、春ごろにエンドウを収穫し、「エンドウめし」などを食べていた。冷凍保存もできるので、通年流通する。シーズンが訪れると、淡竹料理が一般家庭の食卓にもあがる。そのうちの一つが「淡竹とエンドウの煮物」である。昔は、「淡竹とエンドウの煮物」がお弁当のおかずによく入っていたと、なつかしむお年寄りも多い。 + +## 飲食方法 +皮をむいた淡竹をゆでて、食べやすい大きさに切る。煮干しや昆布、カツオ節などでとっただし汁で淡竹を煮て、続いて皮をむいたエンドウを投入する。砂糖やみりん、醤油などで味をととのえ、煮こめば出来上がる。淡竹をゆでるときは、縦に切れ目を入れて皮をはぎ、水がたっぷり入った大きめの鍋に沈める。ぬか一握りと唐辛子数本を加えて1時間ほどゆでたら、そのまま冷ます。余った淡竹は冷水につけた状態で冷蔵庫で保存すると2日から3日保存できるので、他の料理にも楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 淡竹: 300g +- エンドウ: 70g +- だし汁: カップ1 1/2 +- [A] 砂糖: 大さじ2 +- [A] 醤油: 大さじ1 1/2 +- [A] 塩: 小さじ1/2 +- [A] みりん: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 淡竹は皮をはいでからゆで、輪切りにする。 +2. だし汁に淡竹を入れ、煮立ってきたらAの調味料を加え、エンドウを入れて中火で煮込む。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_25_1.jpg)" +"# 皿鉢料理 高知県 + +**郷土料理名**: 皿鉢料理 + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +すし、かつおのたたき、刺身、煮物、揚げ物など + +## 歴史・由来・関連行事 +高知県の代表的な食文化といえば「皿鉢料理」である。特定の料理名ではなく料理の様式のことを指し、36cmから39cmの大皿に高知県の恵まれた自然が生む山の幸、海の幸が贅沢に盛り付けられる。皿鉢に盛られる料理の種類はさまざまである。刺身や「かつおのたたき」などの旬の生ものの皿鉢、「姿ずし」や「田舎ずし」などのすしの皿鉢、組物と呼ばれる、すしと煮物、和え物、揚げ物、甘い物、果物などを盛りつけた皿鉢、そのほかに「蒸し鯛」やそうめん、ぜんざいといった一品盛りの皿鉢がある。高知県は客を招いて宴会を催すことを「おきゃく」と呼び、いまも「おきゃく」文化が根づいている。その「おきゃく」で振る舞われるのが「皿鉢料理」である。「皿鉢料理」は一皿三人前ほどのボリュームでつくられ、皿鉢の料理が減ると補充される。皿鉢の枚数で「おきゃく」の規模がわかる。「皿鉢料理」の起源は藩政時代にまでさかのぼる。武家の供宴の終わりに大皿に盛った料理が提供され、やがて明治以降になってから「おきゃく」料理として全域に普及したとされている。「皿鉢料理」は社会的地位を示す象徴でもあった。裕福な家庭では伊万里や九谷、有田焼などの高価な大皿を取り揃え、杯台や物据え(大皿を据える塗り物の台)といった付属品も蔵に所蔵していた。 + +## 食習の機会や時季 +日常食ではなく、冠婚葬祭や出生祝い、還暦祝い、節句、新築祝いなど様々なハレの行事や客をもてなす際に提供される。料理は男性が魚を捌き、女性は煮炊きを担当する。下ごしらえに時間を要するため、つくるのに2日間かけるときもあるという。昔の農村には、農作業を共同でおこなう「結(ゆい)」と呼ばれる集団が組織されていた。結は、さらに「汁組」という小グループに分かれ、「おきゃく」があれば、協力して調理、配膳、片付けまでを手伝った。その中には素人ではあったが「器用料理人」と呼ばれる腕に覚えのある人たちがいた。「あの家のすしは上手い」「たたきといえば、あの家のオヤジ」など地元民たちは、���の腕を評定し合っていたという。 + +## 飲食方法 +大皿に盛られた料理を大勢で囲み、各々で小皿に取り分けて食べる。好きな食べ物を自由に取って食べられるので「おきゃく」には欠かせない料理になっている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_24_1.jpg)" +"# いもべらあずき 高知県 + +**郷土料理名**: いもべらあずき + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +伊野町 + +## 主な使用食材 +いもべら、小豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +土佐和紙の産地として知られ、県中央部に位置する伊野町。この地域では昔から、冬の味覚として親しまれている「干しいも」のことを「へら」と呼んでいる。また、さつまいもを丸のまま何時間もじっくりと煮たあとに、そのまま干し、周りが乾いてきたら輪切りにし、さらに干したものを「ゆでべら」や「煮べら」と呼んでいる。「いもべらあずき」とは、ゆでべらと小豆を甘く煮た伊野町の郷土菓子である。ねっとりとした食感と、ほくほくとした素朴な甘さが特徴である。伊野町以外の地域は、ゆでべらを「東山(ひがしやま)」と呼ぶのが一般的。東山はそのまま食べても良いが、少しあぶって食べるとまた格別である。しっとりした食感とコクのある甘さの東山は県産品として人気である。「いもべらあずき」も伊野町に限った呼称だが、こちらも高知県民には馴染み深い。 + +## 食習の機会や時季 +昔は米・麦の捕食であったさつまいもは、「干しいも」にしていた。「干しいも」は長期間の保存がきくため、昔から保存食として通年食べられていた。農作業に行く前の晩、水をはった鍋にゆでべらを浸けておくと、芋の中心まで水分を吸収するため、翌朝ほど良く柔らかくなっている。これが農作業の合間に食べるおやつや弁当になった。「いもべらあずき」をつくるときは、砂糖を入れるが、砂糖が希少だったひと昔前は黒砂糖を使っていた。そのため、いまの「いもべらあずき」の色とは異なり、真っ黒な見た目をしていたという。 + +## 飲食方法 +ゆでべらはよく洗い、水に浸けておく。小豆は水から煮て、一度ゆでこぼしアクを抜いて、弱火で煮る。このとき、煮崩れしないように注意する。水に浸けたままのゆでべらを火にかけ、柔らかくなるまでじっくり煮こみ、少しつぶす。つぶしたゆでべらに小豆を加え、少し煮て砂糖や塩を入れて仕上げる。砂糖の量は各家庭の好みが出やすいが、おやつとして食べる場合は、砂糖を多めにいれて食べられている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- ゆでべら: 300g +- 小豆(ゆでたもの): 150g +- 砂糖: 130g +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. ゆでべらは、よく洗い4~5時間くらい、塩少々入れた水につけておく。 +2. 小豆は水から煮て、1度ゆでこぼしてアク抜きをし、腹を割らないように弱火で良く煮る。 +3. 1をつけ汁のまま火にかけ、ゆっくりと柔らかくなるまで煮てから、少し粒が残るくらいにつぶす。 +4. つぶしたいもに半分の砂糖を入れ、小豆を加える。少し煮て、残りの砂糖を入れ、あまりかたくならないように仕上げる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_23_1.jpg)" +"# こんちん 高知県 + +**郷土料理名**: こんちん + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +大豊町 + +## 主な使用食材 +ごぼう、小麦粉(中力粉)、えごま + +## 歴史・由来・関連行事 +四国山地の中央部に位置する、山あいのまち大豊町。「こんちん」とは、ささがきしたごぼうをふんだんに小麦粉の生地に加えた大豊町の郷土菓子。おやきのような素朴な味わいで、小腹の空いたときなどのおやつとして老若男女関わらず馴染みが深い。ごぼう独自の歯ごたえがクセになり、1枚、2枚とつい手が伸びてしまう。「こんちん」は、麺類の原料になる中力粉でつくられる。農家が自家用でつくっている小麦粉は「地粉」と呼ばれるが、地粉は中力粉のことを指している。米のとれない時期に、中力粉を主食に用いていたため、その関係もあっ��「こんちん」にも中力粉が使われるようになったといわれている。「こんちん」の生地にはえごまが混ぜられるが、昔はえごまではなく麻の実を入れていた。また、大豊町の「皿鉢(さわち・さはち)料理」には「こんちん」が盛りつけられているのが定番である。 + +## 食習の機会や時季 +手に入りやすい食材ということもあり、通年食べられている。いまでは、昔ほど日常的に食べられることは少なくなったが、なつかしのおやつとして浸透している。 + +## 飲食方法 +短めに切ったごぼうをささがきにして、アクがぬけるまで水にさらす。フライパンでごぼうを炒め、だし汁や醤油で味付けする。ごぼうを小麦粉と砂糖、塩、水、えごまとともに軽く混ぜて生地をつくる。熱したフライパンに生地を薄くのばして両面に焼き目がつくまでしっかり焼くと、香ばしい「こんちん」ができあがる。ごぼうをふんだんに入れてつくることで、歯ごたえが良くなる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ごぼう: 100g +- 砂糖: 大さじ1 +- 油: 適宜 +- だし汁: カップ1 +- 塩: 小さじ1/2 +- 醤油: 小さじ2 +- 水: カップ1 +- 小麦粉(中力粉): 150g +- えごま: 大さじ1 1/2 + +## 作り方 +1. ごぼうは短めのささがきにして水にさらしてアクを抜く。 +2. フライパンに油を熱してごぼうを炒め、だし汁、醤油を加えて炒りつける。 +3. 小麦粉に砂糖、塩、水と炒めたごぼうを入れて軽く混ぜた後、えごまを混ぜる。 +4. フライパンに油を熱し、生地をお玉ですくい入れて薄くのばし、両面をこんがり焼く。冷めてから適当に切り分ける。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_22_1.jpg)" +"# つがに汁 高知県 + +**郷土料理名**: つがに汁 + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +四万十川、仁淀川、物部川流域 + +## 主な使用食材 +ツガニ(モクズガニ)、りゅうきゅう(はすいもの茎)、なすなど + +## 歴史・由来・関連行事 +高知県を代表する郷土料理の一つに「つがに汁」がある。ツガニとは、四万十川や仁淀川(によどがわ)などの河川に棲息するモクズガニのこと。「つがに汁」は、ツガニを生きたまま石臼やミキサーで粉砕して、その出汁からつくった汁物料理である。ツガニの旬は、いたどりやクズの花が咲き始めた秋ごろを目安にする。産卵のためにツガニが川を下りると流域では漁がはじまる。ツガニは、体長10cmくらいのものから、大きなものになると体長30cm近くまで成長する。「つがに汁」のほかに、ツガニの甲羅とともに臼でついたものを出汁に使う「つがにそうめん」やツガニを甲羅ごと米と炊く「つがにめし」など、ツガニを使った料理が多数ある。 + +## 食習の機会や時季 +ツガニの旬は、秋ごろ。産卵期のツガニは、オスより栄養をからだに蓄えたメスのほうが美味しいとされている。近年では、漁獲保護のため、禁漁期間を設けており、8月1日から11月30日がツガニ漁の解禁期間となる。以前は家庭でもよくつくられていたが、ツガニが手に入りにくなったことと手間がかかるため、家庭では昔ほどつくられなくなった。 + +## 飲食方法 +甲羅(せんごう)とふんどしを外したツガニを石臼で挽き(ミキサーでも良い)、粉砕する。粉砕したツガニをざるに入れて、湯を沸かした鍋の中でこす。適当な大きさに切ったなすやりゅうきゅうを水にさらしてアクを抜いたのち、「つがに汁」に投入。仕上げに醤油や酒で味付けする。火にかける前に、にごりを出すために醤油を入れて食べる地域もある。ツガニの独特のにおいが気になるようなら、しょうがなどを入れて食べると良い。ツガニは毛のついた巨大なハサミを持っているので、取り扱う際には注意が必要。熱湯に入れるとハサミがもげることもあるので、生きたまま水に入れた状態から火にかける。その際は、ツガニが逃げないようにフタをしてゆっくりとゆでる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ツガニ: 3~4匹(約500g) +- なす: 1個 +- りゅうきゅう: 0.5本 +- 水: 5カップ +- 醤油: 大さじ1 1/2 +- 塩: 小さじ1 +- 酒: 大さじ2 +- 大葉: 3枚 + +## 作り方 +1. ツガニの甲羅(せんごう)とフンドシをはずし、��な板の上で出刃包丁で細くたたきつぶす。ある程度つぶれたら水を少し加えてミキサーにかけ、さらに細かく砕く(ゆるめる水は分量の水の中から)。 +2. 砕いたツガニをざるに入れ、分量の水でこして殻を除く。 +3. こしたツガニの汁を鍋に入れて火にかけ、薄く切ったなすとりゅうきゅうとともに煮る。 +4. 火が通るとカニのたんぱく質が卵とじのように寄ってくる。 +5. 醤油、塩、酒で調味し、椀に盛り、刻んだ大葉を浮かす。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_19_1.jpg)" +"# チャーテの和え物 高知県 + +**郷土料理名**: チャーテの和え物 + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +チャーテ(ハヤトウリ) + +## 歴史・由来・関連行事 +暑い夏が過ぎ、秋の気配が近づいたころチャーテの季節がやってくる。チャーテとは熱帯アメリカ原産のウリ科の植物。明治40年(1907年)、海外から鹿児島県に伝わったため「ハヤトウリ」と呼称されるのが一般的である。ツル植物で、特徴の一つとしてツルにたくさん実をつけることが挙げられる。1株から100個から200個もの実をつけるため「千成(センナリ)」とも呼ばれている。高知県では英名のChayoteがそのまま伝わり、それがなまって「チャーテ」になったとされている。洋なし形、卵形、円錐形など、実の形は多彩である。色も白っぽいものや緑がかったものなどさまざまである。栽培が簡単で山間部では、特に人気の食材である。販売目的で栽培されることはあまりなく、自家消費用として栽培されていることが多い。家庭菜園や日よけのグリーンカーテンとして育てている一般家庭も少なくない。そのため、ご近所づきあいのなかで、チャーテをおすそ分けすることもよくある。チャーテは日頃の家庭料理の食材としてもよく使われ、なかでも「チャーテの和え物」は、簡単に調理できるので、日ごろの料理のレパートリーにも加えやすい。 + +## 食習の機会や時季 +秋ごろになると高知県内のスーパーマーケットや直売所で安価でチャーテが販売される。シーズン中は多くの一般家庭で「チャーテの和え物」をはじめとするチャーテ料理が食べられている。 + +## 飲食方法 +生で食べるとしゃきしゃきとした食感が楽しめる。和え物や肉炒め、酢の物など用途は幅広い。新しく若い実は、皮をはがずに食べることができる。チャーテの歯ごたえをよくしたい場合は、熱湯でゆでるときに酢を少し加えておくと良い。豚肉との相性が良く、少し厚めに切ったものを豚肉やベーコンと一緒に炒めても美味しい。チャーテの形を利用して、縦半分に切ったものを薄く切り、さらに袋状にした中に、黒ゴマの入ったすし飯と紅しょうがを入れるとまるで錦ゴイのようなすしができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- チャーテ: 400g +- 酢: 少々 +- 豆腐: 半丁 +- いりごま: 大さじ2 +- 砂糖: 小さじ2 +- 塩: 小さじ1/2 + +## 作り方 +1. 豆腐の水気を切る。 +2. チャーテは薄く切り、酢を入れた熱湯にさっと通す。 +3. すり鉢でいりごまをすり、水気を切った豆腐を加えてさらにすり、調味料を加える。 +4. 食べる直前に、チャーテを軽くしぼり、和え衣と混ぜる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_18_1.jpg)" +"# ぜんまいの炒め煮 高知県 + +**郷土料理名**: ぜんまいの炒め煮 + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +山間地域 + +## 主な使用食材 +ぜんまい、油揚げなど + +## 歴史・由来・関連行事 +山村では古くから、「ぜんまいの油炒め」や白和え、煮物などが食べられてきた。高知県内でも、ぜんまいの産地として知られるのが、四国山地の中央部に位置する大豊町である。町の面積は315.06km2と広大で、80%以上を山林が占めている。標高200mから850mの急傾斜地には集落や耕地が点在し、ぜんまいのほか水稲や柚子などを栽培している。ぜんまいはゆでて、乾燥すると長期保存がきくため、重要な食材でもあった。春ごろに収穫したぜんまいは乾燥ぜんまいや水煮に加工して出荷される。昔は田植えの日の食卓によくぜんまい料理が上がったという。ぜんまいは油と相性が良く、油を使った料理は腹持ちが良いので、農家に重用された。 + +## 食習の機会や時季 +収穫された乾燥ぜんまいは一度に出荷されるため、ぜんまいを使った料理は普段から日常的に食べられている。大皿に様々な総菜を盛り合わせた「皿鉢(さわち・さはち)料理」の一品にもぜんまい料理がよく登場する。 + +## 飲食方法 +乾燥させる工程は多くの手間がかかる。まず、専用の大釜でゆでたぜんまいをむしろの上に広げて天日に干す。水分が飛んだら、むしろの上で揉みほぐし、再び天日干しする。揉みほぐす・天日干しを5、6回繰り返し、水分がなくなったら出来上がる。この繰り返し作業によって、ぜんまいの繊維が柔らかくなり美味しく食べられるといわれている。乾燥ぜんまいは調理前にもどしておく必要がある。水をはった鍋を火にかけて沸騰したら、乾燥ぜんまいを投入し火を弱める。そこから10分ほどゆでたら火を止めて、冷めるまで置いておく。半日から一日、水にさらしておく。あまり長く煮ていると柔らかくなりすぎて、食感が楽しめない。乾燥からもどしたぜんまいと油揚げを炒め、出汁や調味料を加えて、味が染み込むまでゆっくり煮る。仕上げにごまなどを振りかけるとアクセントになり、美味しく食べられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 乾燥ぜんまい(戻したもの): 300g +- 油揚げ: 1枚 +- 砂糖: 大さじ2 +- 醤油: 大さじ3 +- だし汁: カップ1 +- 油: 適宜 +- いりごま: 少々 + +## 作り方 +1. ぜんまいを4cm長さに切る。 +2. 油揚げはぜんまいに合わせて細く切る。 +3. 油でぜんまいを炒め、だし汁、油揚げ、調味料を加えて煮含める。 +4. 器に盛り、いりごまを振る。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_17_1.jpg)" +"# こぶずし 高知県 + +**郷土料理名**: こぶずし + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +県中央部(板こぶずし)、県西部(黒こぶずし) + +## 主な使用食材 +白板昆布、だし昆布、米、しょうが、ごまなど + +## 歴史・由来・関連行事 +県中央部・県西部に分かれて「こぶずし」のレシピは異なる。県中央部は、「板こぶずし」を食べる。これは、薄くて白い白板昆布で酢飯を巻いたすし。一方、県西部は黒い見た目が対照的な「黒こぶずし」を食べる。こちらは昆布で巻かれている。いずれも冠婚葬祭などの祭事や行事などのハレの日に客に振る舞われた。白板昆布の方が高級で手に入りづらかったため、地域で食文化が分かれたと考えられる。「こぶずし」は、のり巻きと違い芯の具材がないのも特徴。同じ巻きずしの一種に「卵ずし」もある。これは、酢飯を薄く焼いた玉子焼きで巻いたすしである。中村地区では、客がお祝い事から帰る際にお持たせとして、「こぶずし」、「卵ずし」、「巻きずし」、「さばの姿ずし」の入った折箱を持たせていた。折箱は客一人一人に渡すので、近隣住民の助っ人を借りながら、一家総出で準備した。準備は大変だが、それもまた一家団欒の風景でもあった。 + +## 食習の機会や時季 +古くは、すしをつくるのは男性の仕事だった。女性は煮炊きや雑務にあたって手助けしたという。昔は普通の黒い昆布を使っていたため、下準備にひと手間かけた。まず、昆布を煮て納屋の天井からかけてぬめりを乾かす必要があった。乾かすことで、ご飯がくっつきやすくなるのだ。「黒こぶずし」に使う昆布は煮だし用ではなく、幅の広いすし用を使う。これを甘辛く煮つけ、乾かしてから巻きずしに使った。 + +## 飲食方法 +「こぶずし」をつくるすし酢も地域によって特徴がある。東部では、焼いてほぐした魚を酢に浸し、取り出した酢をすし酢に使い「酢にごし」という。西部でもほぐした魚の身を酢に入れるが、その魚の身をそのまますし飯に入れ「酢ころし」という。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4本分) +- 米: 900g +- 【合わせ酢】酢(または柚子酢): 1/2カップ +- 【合わせ酢】砂糖: 60~120g +- 【合わせ酢】塩: 18g +- しょうが: 50g +- ごま: 大さじ2 +- 板こぶ: 2枚 +- 【A】だし汁: カップ1 +- 【A】酢: 大さじ2 +- 【A】砂糖: 大さじ4 +- 【A】塩: 小さじ1/3 +- 【A】唐辛子: 1本 + +## 作り方 +1. 合わせ酢にしょうがのみじん切りを加え、炊き立てのごはんに混ぜる。ごまを加えてすし飯を冷ましておく。 +2. 板こぶをAで煮て、箸にかけて乾かす。 +3. 1枚を2つに切り、巻き簀にひろげてすし飯を中央にひろげ、板こぶを両端から折り込んで2つ折りにしてととのえる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_16_1.jpg)" +"# Not found + +**郷土料理名**: Not found + +**都道府県**: Not found + +## 主な伝承地域 +室戸市 + +## 主な使用食材 +卵、米、人参、しいたけ、魚(サバなど)など + +## 歴史・由来・関連行事 +高知県の代表する食文化の一つに「すし文化」がある。そのバリエーションは多岐にわたり、一般的な握りずしはもちろん、「押しずし」や「姿ずし」、「野菜ずし」など枚挙にいとまがない。米が貴重だった時代、すしはなによりのごちそうだった。冠婚葬祭や出世祝い、還暦祝いなどのハレの日には必ず、すしが食べられてきた。代表的なすしの一つに「押しずし」がある。「押しずし」の一種に挙げられるのが東洋町の郷土料理「こけらずし」である。四角い木枠に酢飯と具材をどんどん重ねていく「押しずし」で、デコレーションケーキのようなカラフルな見た目が特徴である。具を幾重にも重ねる様子が“喜びを重ねる”という意味合いを持たせ、縁起物として伝わっている。 + +## 食習の機会や時季 +祝いごとや神事に欠かせない「こけらずし」は、およそ130年の伝統があるとされる。具材は入るが、米をおなかいっぱいに食べることが目的である。 + +## 飲食方法 +「こけらずし」は大きいもので、米5升が使われる。木枠から抜いたばかりの「こけらずし」は、箱のような形状で圧巻である。これを食べやすい大きさに切り分けて客に出す。東部では、焼いてほぐした魚を酢に浸し、取り出した酢をすし酢に使い、これを「酢にごし」という。西部でもほぐした魚の身を酢に入れるが、その魚の身をそのまますし飯に入れ「酢ころし」という。西部では、魚がきれいに蒸し焼きになるように、濡れた新聞を巻く。これにより身に焦げをつけずに食べることができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 米: 1.5kg +- 【酢にごし】サバ: 中1尾(500g) +- 【酢にごし】柚子酢: 250ml +- 塩: 大さじ2 +- 砂糖: 60~70g +- 人参: 中2本(500g) +- 干ししいたけ: 中10枚 +- 砂糖: 大さじ1 +- 醤油: 小さじ2 +- 卵: 2個 +- 塩: 少々 +- 人参の葉: 5本 + +## 作り方 +1. 米は炊く1時間前に洗って、ザルにあげ、同量の水に30分浸してから炊く。 +2. サバは3枚におろし、焼き、きれいに身をほぐし、骨や血合いを取り除く。分量の柚子酢に浸して、サバの旨味や出汁を出しておく(酢にごし)。 +3. 人参は皮をむいて薄い半月型に切る。しいたけは水に戻し、太めの千切りにする。人参としいたけは、しいたけの戻し汁で煮て、醤油、砂糖で味を付ける。人参の葉は形が残るようにちぎっておく。卵は薄焼き(両面を焼く)にし、長さ3cm、幅7mmの短冊切りに切っておく。 +4. 卵を割りほぐして、卵焼き器に油を熱し、薄焼き卵を作る(両面を焼く)。長さ3cm、幅7mmの短冊切りにする。 +5. こけらずしの型枠の内側を酢で湿らせる。すし飯を3cmくらいの高さに詰め、上に人参、しいたけ、卵、人参の葉を盛り付け、酢で湿らせた仕切り板を上に置き、これを繰り返す。一番上に最後の蓋をし重石をして2時間から一晩おく。 +6. 重石、蓋を取り、枠を抜く。仕切り板の上で5cm幅の棒状に切り分ける。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_15_1.jpg)" +"# きゅうりと川エビの煮物 高知県 + +**郷土料理名**: きゅうりと川エビの煮物 + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +地這きゅうり、川エビ、大葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +川エビとは手長エビのこと。四万十川や仁淀川でとれる高知県の特産品の一つ。体長は9cmほどの淡水エビで、���長の1.5倍もある長いハサミが特徴である。四万十川に生息しているのは、主にミナミテナガエビとヤマトテナガエビの二種。現在でも夜行性であることを利用した伝統漁法「柴漬け漁」が伝わっている。柴漬け漁は、長さ1mほどの葉のついた柴の枝や笹を束ねた仕掛けを使った漁。仕掛けを河口近くのある程度深いところに一昼夜以上沈めておくと、川エビが隠れ家だと思い仕掛けにかかる。ひと昔前、夏の川エビとりは子どもたちの川遊びの定番で、とれた川エビは夕食のおかずになった。素材の味を活かした食べ方が一般的である。皮を剝かずに焼いたり、唐揚げにするとバリバリとした食感と香ばしい風味が楽しめる。「きゅうりと川エビの煮物」も代表的なレシピのひとつである。「きゅうりと川エビの煮物」は、川エビ漁の漁師からはじまったとされている。 + +## 食習の機会や時季 +高知県では、夏の味覚としていまでも食べられている。飲食店や居酒屋での定番メニューだが、近年は漁獲量が減少傾向にあり、禁漁期間などが設けられている。きゅうりは夏ごろにとれる「地這きゅうり」がよく使われる。全長30cm近くもなる大きなきゅうりで、生食もされるがしっかりした身のため、加熱料理との相性が良い。 + +## 飲食方法 +冷まして食べても美味しく、暑い夏に合う。水と川エビを鍋に入れて火をかけ、ひと煮立ちしたらきゅうりを加える。その際、砂糖や醤油、塩などで味をととのえる。仕上げに水とき片栗粉を入れてとろみをつけたらできあがる。川エビを使った料理は多岐にわたり、塩焼き、塩ゆで、炒め物など多用される。川エビは滋味に富み、味噌汁の具に使うと出汁もとれる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 川エビ: 200g +- 地這きゅうり: 1本(400g) +- 大葉: 3枚 +- 水: 1 1/2カップ +- [A]砂糖: 大さじ1 +- [A]薄口醤油: 大さじ2 +- [A]塩: 小さじ1/2 +- [A]酒: 大さじ1 +- 片栗粉: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 地這きゅうりは縦半分に切り、種をとり、1cm厚さに切る。 +2. 鍋に川エビと水を入れて火にかける。 +3. 沸き上がってきたら調味料Aを加え、ひと煮立ちしたら地這きゅうりを入れ、おろし際に水溶き片栗粉を入れて火を止め、千切りした大葉を入れる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_14_1.jpg)" +"# きびなごのほおかぶり 高知県 + +**郷土料理名**: きびなごのほおかぶり + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +キビナゴ、おからなど + +## 歴史・由来・関連行事 +高知県では、お米の代わりにおからを使い酢づけのイワシをのせた握りずしの「たまずし」が食べられてきた(高知では、おからのことを「おたま」と呼ぶ)。貴重なお米の代わりに、豆腐の副産物であるおからを使ったのがこの料理のきっかけとされる。「きびなごのほおかぶり」とは、「たまずし」の一種。キビナゴは、体長10cmほどの小型魚。小さなキビナゴをていねいに背開きし、酢でしめてからおからずしを包む。すしの見た目が、ほっかむりをした(手ぬぐいを頭から頬にかけて包んだ)人の頭のように見えることから、その名がついたとされる。「きびなごのほおかぶり」を特産品として大々的にアピールしているのが宿毛市である。宿毛湾に面した宿毛市では昔からキビナゴがよくとれ、昭和60年(1985年)ごろには漁獲量が3千トンを超えた。近年は漁獲量が減ってしまったものの、平成のはじめまでは2千トン以上がとれていた。現在でも、市内の飲食店ではキビナゴの刺身や天ぷら、南蛮漬けなども楽しめる。四万十市周辺では、キビナゴではなくイワシを使う。名前も「ろくやた」として伝わっている。 + +## 食習の機会や時季 +高知県では通年とれるが、産卵期を迎えた4月から6月がよく肥えて美味だとされる。昔は日常的に食べられていた。近年でも通年食べられるが、家庭でつくる機会は減ってきている。 + +## 飲食方法 +キビナゴを背開きにして酢でしめる。塩や砂糖を加えただし汁を煮たてて、おからを炒る。炒る際は酢を加えて調味する。炒ったおからを丸く握って、キビナゴで包んだらできあがる。ほのかに甘い���わいで、口に入れるとほろほろとくずれる独特の食感である。米ではなくおからを使っているため、ヘルシーで、丸い見た目が可愛らしい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- キビナゴ: 150g +- 塩: 小さじ1 +- [A]酢: 100ml +- [A]砂糖: 小さじ1 +- [A]塩: 小さじ1 +- おから: 400g +- しょうが: 20g +- [B]砂糖: 120g +- [B]醤油: 小さじ1 +- [B]酢: 90ml +- [B]塩: 小さじ1/4 + +## 作り方 +1. キビナゴは手で腹開きにし、塩を振りかけ、10分くらいおく。 +2. 塩をしたキビナゴをさっと水洗いして、調味料Aにつけ込む。 +3. おからにみじん切りにしたしょうがと調味料Bを混ぜ、弱火で炒める(火が通るくらいでよい)。 +4. おからが冷めたら、卵の半分くらいのだんごに丸めて、キビナゴでくるむ。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_13_1.jpg)" +"# 銀ぶろうずし 高知県 + +**郷土料理名**: 銀ぶろうずし + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +大豊町 + +## 主な使用食材 +銀ぶろう豆、金時豆、米、しょうが、ごまなど + +## 歴史・由来・関連行事 +「銀ぶろう」とは大豊町の西豊永地区で自家用で栽培されてきたいんげん豆の一種。大豊町では、「不老長寿の豆」として古くから栽培され、縁起物として食べられていたが、そのほとんどが地域内で消費されてきた。黒い独特の見た目が特徴。豆の皮が柔らかく、煮付けると味がよく染みる。名前の由来については諸説あるが「銀」は艶やかな見た目に、「ぶろう」は不老に由来していると伝わる。また、1750年ごろに町内の上桃原集落に住むお銀という者が旅人から「フロウ」とよばれる豆の種を譲り受けて栽培したのがはじまりだとする説もある。「銀ぶろうずし」とは、銀ぶろうをごはんに混ぜ合わせたすしのこと。大豊町では「銀ぶろうずし」のほか、混ぜごはんやおにぎりなども食べられている。 + +## 食習の機会や時季 +銀ぶろうの収穫は9月から11月。「銀ぶろうずし」は、昔から祝宴や祭事のときにつくられた。銀ぶろうは、正月の煮豆としても食べられていた。お彼岸の中日には、銀ぶろうを使ったおはぎのような「なべもち」をお供えする。 + +## 飲食方法 +銀ぶろうを砂糖で甘く煮て、しょうがやごぼう、人参といった野菜を出汁で煮る。出汁で味付けした各種野菜と銀ぶろうをを酢飯に混ぜる。銀ぶろうは水から柔らかくなるまでじっくり煮る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20人分(1升分) +- 銀ぶろう: 150g(1合) +- 砂糖: 100g +- 塩: 大さじ1 +- 米: 1升 +- 昆布: 2枚 +- 水: 1800cc +- [A]酢: 100cc +- [A]柚の酢: 100cc +- [A]塩: 30g +- [A]砂糖: 120g +- ちりめんじゃこ: 50g +- しょうが: 30g +- ごぼう: 200g +- 人参: 120g +- 高野豆腐: 2枚 +- 干ししいたけ: 大5枚 +- 油揚げ: 2枚 +- わらび: 200g +- たけのこ: 100g +- [B]砂糖: 50g +- [B]醤油: 50cc +- [B]だし汁: 3カップ +- 秋豆: 150g +- ごま: 50cc +- えごま: 25cc + +## 作り方 +1. 銀ぶろうは、水からゆっくり煮て、柔らかくなったら砂糖を加えてさらに煮る。 +2. Aにちりめんじゃこ、みじん切りのしょうがを加えたすし酢を、炊き立てのごはんに混ぜる。 +3. ごぼう、人参、高野豆腐、干ししいたけ、油揚げ、わらび、たけのこをみじん切りにし、Bで煮る。 +4. 秋豆は塩ゆでし、斜め切りにする。 +5. 冷ました銀ぶろうと具の汁気を切り、すし飯とごま、えごまを混ぜ、秋豆を散らす。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_11_1.jpg)" +"# 半夏だんご 高知県 + +**郷土料理名**: 半夏だんご + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +大豊町 + +## 主な使用食材 +小麦粉(中力粉)、砂糖、あんこ、みょうがの葉など + +## 歴史・由来・関連行事 +四国山地の中央部、県庁所在地の高知市より約40kmの距離に位置する大豊町。古くは豊永郷と呼ばれ、昔から南北を結ぶ交通の要として、発展してきた。この町に昔から伝わる郷土菓子が「半夏だんご」である。その名に付く「半夏」とは7月2日のこと。農繁期を過ぎた後に労をねぎらったり、作付けが終わった時期などに「半夏だんご」は食べられる。だんご���、みょうがの葉に包まれており、清涼感のある独特の香りとあんこの甘さが農作業の疲れを癒した。「半夏だんご」は、田んぼの神様にも供えられた。もち米ではなく小麦粉を使うのは、米が貴重だった時代の名残である。みょうがの葉を使うことから「みょうがだんご」とも呼ばれている。 + +## 食習の機会や時季 +どんなに農作業が忙しくても、7月2日の半夏の日だけは、農繁期の労をねぎらい一日休んで過ごした。その際、農家では「半夏だんご」をつくり、食べられていた。大豊町では、七夕の翌日に「半夏だんご」を食べる習慣もある。 + +## 飲食方法 +食べるときはみょうがの葉をはがして食べる。みょうがの葉には防腐効果があり、さわやかな風味もあり、夏にぴったり合う。小麦粉に砂糖と塩を加えて、お湯を入れて全体を混ぜ合わせる。混ぜ合わせたら、10分ほど寝かせる。生地にあんこを入れてだんご状にしたらみょうがの葉で包む。そのまま蒸し器に入れて、15分ほど蒸したら出来上がる。小麦粉とお湯は、よく混ぜ合わせるのが良いとされる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分(約20個分) +- 小麦粉(中力粉): 500g +- 砂糖: 1/2カップ +- 塩: 大さじ1/2 +- 熱湯: 3カップ +- 粒あん: 600~800g +- みょうがの葉: 40枚 + +## 作り方 +1. 粒あんを丸めておく。 +2. 小麦粉に砂糖と塩を加え、ふるっておく。 +3. 粉に熱湯を加え、木しゃもじで手早く混ぜたのち、手で粘りが出るまでよくこねる。生地をまとめて、ボウルにラップをかけ、10分間ねかせる。 +4. 粒あんを入れてだんごにした後、みょうがの葉2枚で包む。 +5. 蒸気のあがった蒸し器に入れ、約15分蒸す。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_10_1.jpg)" +"# 田舎ずし 高知県 + +**郷土料理名**: 田舎ずし + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +みょうが、りゅうきゅう(ハスイモの茎)、こんにゃく、たけのこ、しいたけ、かぶ、四方竹、米など + +## 歴史・由来・関連行事 +「田舎ずし」とは、全国的に見ても珍しい野菜を使ったすし。高知県の山間地帯に伝わる行事食で、すしのネタには県内でとれる山の幸がふんだんに使われる。土佐弁で宴会のことを指す「おきゃく」の際に振る舞われ、「おきゃく」文化の料理の定番である「皿鉢(さわち・さはち)料理」の一品にもなる。昆布やのりが手に入りにくかった時代、山でとれる食材ですしをつくったのがはじまりとされている。地域によって食材は異なるが、りゅうきゅう(はすいもの茎)やみょうが、こんにゃく、四方竹など幅広い。りゅうきゅうが乗った「りゅうきゅうずし」や四方竹の空洞部分に酢飯を詰めた「四方竹の一口ずし」など、鮮やかな色彩が食卓を飾る。 + +## 食習の機会や時季 +冠婚葬祭や祭りの際の行事食や行楽弁当に登場し、子どもからお年寄りまで幅広い世代に親しまれている。色あざやかな見た目が特徴で、みょうがの赤、りゅうきゅうの緑、しいたけの黒など、カラフルな見た目とともに味を楽しむ。 + +## 飲食方法 +酢飯をにぎり状にするのは従来のすしと同様。すし酢には柚子などの柑橘を使い、ほのかに酸味の効いた酢飯がさわやかで上品な味わい。上に乗るネタは甘酢につけたりゅうきゅうやみょうが、甘めに煮たしいたけなど、山の幸を、さまざまな味付けで楽しむことができる。握りずしのように野菜を酢飯の上部に置くのが一般的だが、「こんにゃくずし」はこんにゃくの内側に切れ目を入れて、稲荷ずしのようにして食べられている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 米: 5合分(750g) +- 【すし飯】酢: 70~80ml +- 【すし飯】柚子酢: 20~30ml +- 【すし飯】砂糖: 70~100g +- 【すし飯】塩: 15g +- 【すし飯】しょうが: 30~40g +- 【すし飯】いりごま: 大さじ2 +- 【A たけのこずし】たけのこ: 200g +- 【A たけのこずし】だし汁: 300g +- 【A たけのこずし】砂糖: 大さじ3 +- 【A たけのこずし】醤油: 大さじ2 +- 【A たけのこずし】塩: 少々 +- 【A たけのこずし】みりん: 大さじ1 +- 【B りゅうきゅうずし】りゅうきゅう: 20cm +- 【B りゅうきゅうずし】塩: 適宜 +- 【B りゅうきゅうずし】酢: 大さじ3 +- 【B りゅうきゅうずし】砂糖: 大さじ2 +- 【B りゅうきゅうずし】みりん: 小さじ2 +- 【B りゅうきゅうずし】塩: 少々 +- 【C みょうがずし】みょうが: 5個 +- 【C みょうがずし】塩: 適量 +- 【C みょうがずし】砂糖: 大さじ2 +- 【C みょうがずし】柚子酢: 大さじ2 +- 【D こんにゃくずし】板こんにゃく: 1丁 +- 【D こんにゃくずし】だし汁: 100ml +- 【D こんにゃくずし】砂糖: 大さじ2 +- 【D こんにゃくずし】醤油: 大さじ2 +- 【D こんにゃくずし】みりん: 大さじ1 +- 【D しいたけずし】しいたけ小: 10枚 +- 【E しいたけずし】だし汁: 10ml +- 【E しいたけずし】砂糖: 大さじ1 +- 【E しいたけずし】醤油: 小さじ2 + +## 作り方 +1. <すし飯>(1) 米は少し水をひかえて炊く。 (2) しょうがは細かいみじん切りにし、調味料と混ぜて合わせ酢を作っておく。 (3) 炊きあがったご飯を大きいボール(飯切り)にとり、すぐ合わせ酢をまんべんなく混ぜ、炒りごまを混ぜ合わせる。風にあて早く冷ます。・酢は全体で100cc、柚子酢の割合が多いと、砂糖を多く入れる。・熱いご飯が冷めるとき酢を吸収し、風を当てると米粒がなめらかになる。 +2. <たけのこずし> (1) 下ゆでしたたけのこをだしと調味料で煮て、一晩味を染み込ませる。 (2) すし飯を詰める。 (3) 適当な大きさに切る。・八竹、ま竹、四方竹でも良い。・塩漬けしたたけのこを煮て、水にさらして塩出しし年中使う。 +3. <りゅうきゅうずし> (1) りゅうきゅうは皮をはぎ、巻き簀の長さに合わせて切り、根元なら縦2つに切る。内側に1~2の縦切り目を入れ、塩をふってしんなりさせる。 (2) (1)にすりこぎを押し当て、転がしながら水分をとり、水で塩抜きしてから甘酢に浸す。 (3) 巻き簀で長方形の押しずしにする。・りゅうきゅうは塩をして平たくしたものを、冷凍保存すれば、年中使える。・押しずしはしばらくおいて冷めてから切る。 +4. <みょうがずし> (1) 縦2つに切って、元に切り目を入れ、熱湯にさっと通してざるにあげ、塩をあてる。 (2) しんなりしたら、きつくしぼって甘酢に浸す。 (3) すし飯に載せて握る。・みょうがの甘酢漬けは保存できる。・大きいみょうがの場合は、中を取り除いて薄くする。 +5. <こんにゃくずし> (1) 3×6~7cmの薄切りにして水から茹で、切り込みを入れる。温かい方が扱いやすい。 (2) だし汁で甘辛く煮る。 (3) すし飯を稲荷ずしの要領で詰める。・薄くした方が食べやすいが、切り目を入れるとき要注意。 +6. <しいたけずし> (1) しいたけの柄をとり、表面に十字の切れ目を入れる。(柄を傘の付け根あたりからしっかり切り取ると寿司の姿が良くなる。) (2) 甘めに煮て、すし飯にのせて丸く握る。・干ししいたけを使っても良い。生しいたけを煮るとき干ししいたけの戻し汁を入れると香り・味が良い。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_09_1.jpg)" +"# かしきり 高知県 + +**郷土料理名**: かしきり + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +安芸市南部 + +## 主な使用食材 +かしの実(あらかしの実)、ぬた(葉にんにく、ごま、味噌、米酢などを混ぜた調味料) + +## 歴史・由来・関連行事 +「かしきり」は、かしの実(あらかしの実、どんぐりともいう)でつくられる豆腐のこと。高知県山間部では救荒食で「かし豆腐」とも呼ばれている。古来、朝鮮半島から伝わったといわれており、山間部などの耕作が向いていない地域が、シンプルにかしの実と水を使い、調理していた。食料難の時代には重要な食材であった。「かしきり」づくりは、家を守るお年寄りの仕事であることが多かったという。 昔は高知県で広く食べられていたが、いまでは食べる機会があまり無く、安芸市でしか食べられていない貴重な郷土料理。 韓国では、いまでもこの「かしきり」と似たかしの実でつくるトトリムクという料理が食べられている。 + +## 食習の機会や時季 +10月の終わりごろ、かしの実を山に拾いに行く習慣があった。かしの実は、天日干しで乾燥させる。よく乾燥したかしの実は自然に割れ目ができ(これを地元の人は「かしの実が笑う」という)、割れ目から中身を取り出して、水に浸けてアク抜きしたものを粉末にして「かしきり」にする。いまは、かしの実をミキサーでも粉末にして調理するが、かつては石臼で挽いて粉末にしていた。かしの実と水でつくる「かしきり」は、飢饉のときなどの緊急時の救荒食としても活用されていた。 + +## 飲食方法 +まずは渋抜きの下準備からはじまる。殻から取り出したかしの実を水といっしょに粉砕する。さらに水を加えて、上澄み液が澄むまで水をかえる。これを10回くらい繰り返し、上澄み液が澄むまで2日ほど要する。下準備が済んだら、水と一緒に鍋に火にかけて焦げないようにかきまぜる。でんぷんがどろりとしたのり状になったら、型に流し込み冷やす。生地が固まったら適当な大きさに切って完成。高知県の郷土料理でもある「ぬた(葉にんにくや味噌、米酢などを混ぜあわせた調味料)」をつけて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- あらかしの実: 1800ml(1升) +- 水: 2700ml(1升5合) + +## 作り方 +1. あらかしの実を日に干し、外皮がはじけたら木臼で軽くついて外皮を除く。 +2. 外皮を取った実を石臼で粗くひき、木綿袋に入れて2昼夜流水にさらして渋を抜く。 +3. 渋を抜いた実を再び石臼で細かくひき、これを釜に入れ、水を加えて焦がさないようにゆっくり煮詰め、煮汁を木型に流してかためる。 +4. 3~4時間するとかたまるので、適当に切り分け、ぬたをかけて食べる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_07_1.jpg)" +"# 蒸し鯛 高知県 + +**郷土料理名**: 蒸し鯛 + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +平野部、海岸部 + +## 主な使用食材 +タイ、おから、人参、しいたけ、ごぼう、卵、醤油、みりんなど + +## 歴史・由来・関連行事 +「蒸し鯛」は、婚礼や正月などの祝いの席など、県内で頻繁に催される「おきゃく」の際に供されるお祝い料理の一つ。「おきゃく」とは、土佐弁で宴会のことをいう。高知県の食習慣に根づいている「皿鉢(さわち・さはち)料理」のように、この「おきゃく」文化は高知県の食文化に影響を与えている。「蒸し鯛」の「蒸し」とは、魚におからを入れて蒸す料理のことを指している。高知県では魚を姿のまま調理する料理が多いのも特徴である。 + +## 食習の機会や時季 +昔からおめでたい席には必ずつくられており、現在でも飲食店や仕出し店などで提供されている。ひと昔前は、どこの家庭にも「蒸し鯛」用の大きなセイロがあったという。冷めたものは、蒸し直して食べることもできる。高知県の人にとっては、祝いの席ではなくてはならない大切な料理だが、手間のかかる料理であるため、近年は食べる機会が減っている。 + +## 飲食方法 +タイ以外にも、日常的な会合の際には、サバが使われることもある。春野町では、おからのほか鶏肉のミンチを入れる一風変わった食べ方をする。地域によって中に詰めるおからの味付けなどにも特徴がある。タイの中におからを詰めて蒸し上げるが、おからのほかに、人参やしいたけ、卵などを入れる。詰め物であるおからは、砂糖や塩、みりんや醤油などで味付けしたあとにタイに詰めて蒸し上げる。旨味が出る中骨を残すのが伝統的な調理法だが、近年は骨を取り除き、見た目もよく子どもにも食べやすくされていることもある。セイロでタイをまるごと蒸すときは火加減の調整が難しい。そのため、セイロのすみにさつまいもを入れておき、さつまいもに串が刺さった時を目安に蒸しあがりの時間を判断した。蒸す際に、ふきんや葉蘭を敷いておくと、タイをキレイに取り出すことができる。仕上げにゆで卵の黄身を裏ごしし、タイの上にかける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 () +- タイ: 1尾(約1Kg) +- 塩(手順1): 適宜 +- おから: 500g +- ごぼう: 100g +- 人参: 100g +- 干ししいたけ: 5枚 +- 砂糖(手順2): 30g +- 醤油(手順2): 大さじ1 +- 塩(手順2): 少々 +- 葉にんにく: 3~4本 +- 卵: 5個 +- 砂糖: 130g +- 塩: 小さじ1 +- ゆで卵: 1個 +- さつまいも: 1本 +- だし汁※: 1.5カップ(300cc) + +## 作り方 +1. タイをヒレがついたまま背開きにし、うす塩をして一晩冷蔵庫に置く�� +2. 干ししいたけを水で戻す。だし汁にささがきごぼう、しいたけ、人参を小さく切って順に入れ、砂糖、醤油、塩を加え、汁気がなくなるまで煮る。 +3. 2とにんにく葉のみじん切りをおからに混ぜ、卵を割り入れる。砂糖、塩を加えてよくこねる。 +4. 3をタイの腹に詰めていく。 +5. 4をさつまいもと一緒に約45分蒸す。(さつまいもが蒸し上がるのを目安にする。) +6. ゆで卵の黄身を裏ごしして表面に散らす。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_06_1.jpg)" +"# ねぎとさつまいものぬた 高知県 + +**郷土料理名**: ねぎとさつまいものぬた + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +南国市など + +## 主な使用食材 +ねぎ、さつまいも、味噌、酢、砂糖など + +## 歴史・由来・関連行事 +高知県の中心部にあたる南国市。奈良時代から平安時代にかけて国府が置かれ、土佐の政治・文化の中心地として栄えた。南国市では大正時代よりさつまいもが栽培されてきた。現在は特産品になるまで規模が広がり、南国市でとれたさつまいもは1年を通して出荷をおこなっている。南国サービスエリアでは、さつまいもにドーナツ生地をからめて揚げた「いも天」が名物になっている。同じようにねぎ栽培の歴史も長く、さつまいもと並ぶ特産品。高知県では、ねぎ類をよく食べる習慣がある。葉にんにく同様、ねぎは高知県を代表する郷土食材である。「ねぎとさつまいものぬた」は、ねぎとさつまいもを酢味噌で和えたもの。イカとねぎの酢味噌和えのイカの代わりとして自家製のさつまいもを利用したともいわれており、生産者による自家生産物や地場産品を利用した料理研究を通して開発された。 + +## 食習の機会や時季 +高知県では、ねぎといえば葉ねぎのことである。ねぎ、さつまいもは1年を通して手に入る食材のため、家庭では日常的に食べられている。 + +## 飲食方法 +皮をむいたさつまいもをさいの目に切ってゆでておく。さらに、ゆでたねぎも切っておく。さつまいもとねぎに、白味噌、砂糖、みりん、酢などを混ぜた酢味噌を和え食す。高知県では、すり潰した葉にんにくと酢味噌を和えた「葉にんにくのぬた」が伝統的な調味料として根づいているが、食材に酢味噌を和えた「ぬた」の食べ方も多く存在する。酢味噌で和えた「ぬた」では、「ねぎといかのぬた」が一般的であるが、いかの代わりにさつまいもを使用したのが、「ねぎとさつまいものぬた」である。ねぎにさつまいもの甘みが加わり、より風味が豊かになる。練り辛子を加えると良いアクセントになり、美味しく味わえる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ねぎ: 200g +- さつまいも: 150g +- 白味噌: 60g +- 砂糖: 大さじ1 1/2 +- みりん: 大さじ1 1/2 +- 酢: 大さじ1 1/2 +- 練りからし: 小さじ1 1/2 + +## 作り方 +1. ねぎはさっとゆでて冷まし、3cm位の長さに切って、水気をしぼる。 +2. さつまいもは皮をむき、大きめのさいの目に切り、ゆでる。 +3. からし酢味噌の材料を混ぜ合わせる。 +4. ねぎとさつまいもを盛りつける直前に、からし酢味噌で和える。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_05_1.jpg)" +"# 葉にんにくのぬた 高知県 + +**郷土料理名**: 葉にんにくのぬた + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +葉にんにく、味噌、ごま、酢、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +ぬたとはにんにくに味噌や酢を混ぜてつくる高知県の伝統的な調味料。生の魚やこんにゃくなどにつけて食べられる。葉にんにくを食べる文化は朝鮮渡来によるものといわれている。16世紀末、土佐国の戦国大名、長曾我部元親(ちょうそかべもとちか)が朝鮮の役から帰国した際に持ち込まれたのがルーツにあるという。高知県では、ぬたに限らず葉にんにくが料理に使われる。すき焼きや雑炊、炒め物など用途は多種多様。高知県では、葉にんにくだけでなくねぎ類をよく食べる。これは高温多湿な気候を乗り切るためともいわれている。3月3日の桃の節句には、お雛様の��に葉にんにくと赤芽芋(赤色をした里芋の一種)を供える風習も残っている。 + +## 食習の機会や時季 +ぬたは日常的に食べられており、一般家庭や飲食店など様々な場面で登場する。葉にんにくは、刻んで冷凍保存ができるため、使い勝手も良い。葉にんにくは、にんにくの成長途中に収穫した若い葉の部分である。旬は冬ごろで、春ごろになると養分がにんにく芋の部分にまわる。 + +## 飲食方法 +細かく刻んだ葉にんにくをすり潰す。そこへ味噌や酢、いりごまを混ぜる。最後に砂糖で味を調整すれば完成。ブリやクマビキ(シイラ)、ドロメ(イワシの稚魚)といった生の魚や豆腐やこんにゃくなどにかけて食べる。高知県では、ブリの刺身には醤油ではなくぬたをかけるのが一般的である。にんにく独特の香味とピリっとした辛みが特徴。さっぱりとした口あたりは、魚介の脂ともよく合う。あざやかな緑色のぬたは料理に彩りをそえ、見る者の食欲をかきたてる。赤岡町では、「あおぬた」と呼ばれており、隠し味として酒や塩を加える地元民もいるという。赤岡町ならドロメ、高知市ならクマビキなど、ぬたをかける魚介は地域によって個性が現れる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 葉にんにく(青い部分): 5~6本 +- いりごま: 大さじ3 +- 白味噌: 100g +- 酢または、柚子酢: 100ml +- 砂糖: 大さじ3 + +## 作り方 +1. いりごまをすり、葉にんにくを細かく刻んだものを加え、なめらかになるまでする。 +2. 白みそを入れてすり、酢でのばし砂糖を加えて、トロリとした酢みそ(ぬた)にする。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_04_1.jpg)" +"# さばの姿ずし 高知県 + +**郷土料理名**: さばの姿ずし + +**都道府県**: 高知県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +サバ、各種魚、米、生姜、ごま + +## 歴史・由来・関連行事 +県内全域の食習慣として根づき、冠婚葬祭や神事に欠かせない「皿鉢(さわち・さはち)料理」。「皿鉢料理」は、土佐弁で宴会のことを指す「おきゃく」の際に振る舞われ、36cm~39cm位の大皿にごちそうが盛り付けられる。その「皿鉢料理」の定番といえるのが、「さばの姿ずし」である。新鮮なサバを背開きにして酢でしめられており、なかには酢飯が、ぎっしり詰められている。すしを中心に据えて、切り取った頭と尾の部分を豪快に盛り付けるのを正調としている。また、サバを使用したすしとしては「さばの押しずし」も、もてなしの席に並ぶ。高知県では魚を姿のまま調理する料理が多いのも特徴である。京都府の「さばずし」も全国的に有名だが、甘めな味付けの京都府に対して、高知県では酢と塩をきかせている。この味付けの違いは、使っているサバの種類が関係している。京都府で使われるマサバは脂が多く、高知県でよくとれるゴマサバはマサバほど、こってりしていない。この差が味付けにも現れている。「皿鉢料理」を出すほどでもないこぢんまりした会には、甘ダイやアジ、カマスなどの姿ずしが出された。「ひめいち(ホウライヒメジ)の姿ずし」は、日常食。食堂などで稲荷ずしとともに総菜としてよく売られていた。 + +## 食習の機会や時季 +祭りや正月など祝いの席の料理に振る舞われる。かつて、「皿鉢料理」の魚をさばくのは集落の男性の仕事だった。サバは日常食材のため、新鮮なものは刺身で食べたり、煮魚や焼き魚として食べられる。 + +## 飲食方法 +ボリュームのある「さばの姿ずし」だが、残ったサバの頭や尾は翌日に焼いて食べる。地域によってさまざまなつくり方が存在する。新鮮なサバを背開きにし、全体に振り塩をし半日から1日冷蔵する。塩が馴染んだら、さらに酢に半日ほど浸しておき、酢飯を詰める。酢飯に使われる酢は、柚子酢や米酢など地域によってさまざま。酢飯を詰め終わったらフキンでおさえて、かたちを整え、食べやすい大きさに切る。最後に頭と尾を立てればできあがり。1日ほど置くと、味が馴染みより美味しく食べることができるとのこと。高知のすし飯にはしょうがとごまが入っているのが特徴である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- サバ: 1尾 +- 塩: 大さじ4~5 +- 酢: 魚が浸るくらい +- 米: 150g(1合) +- 【合わせ酢】酢: 180ml +- 【合わせ酢】砂糖: 10~20g +- 【合わせ酢】塩: 3g +- 【合わせ酢】しょうが: 10g +- 【合わせ酢】いりごま: 小さじ1 + +## 作り方 +1. 新鮮なサバを背開きにして、骨、内臓、エラをとり除いて洗う。サバに振り塩をする。身には強めに、皮にもパラパラとふり、容器に入れて、半日から1日冷蔵する。 +2. 冷水に30分ぐらい浸し、水気を拭いて、酢にどっぷりと浸して、半日おく。 +3. 【すし飯】(1) 米は普通の水加減で炊く。(2) しょうがは細かいみじん切りにし、調味料と混ぜて合わせ酢をつくっておく。(3) 炊きあがったごはんを大きいボール(飯切り)にとり、すぐ合わせ酢をまんべんなく混ぜ、炒りごまを混ぜ合わせる。風にあて早く冷ます。熱いごはんが冷めるとき酢を吸収し、風を当てると米粒がなめらかになる。 +4. 酢につけたサバの小骨を骨抜きで抜き、薄皮を頭の方からていねいにはぐ。 +5. すし飯を詰め、フキンでおさえて、姿をととのえる。 +6. 身の部分を1cmに切り、頭と尾を立てて盛る。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 高知県農業振興部農産物マーケティング戦略課/土佐伝統食研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kochi_02_1.jpg)" +"# ぬかみそ炊き 福岡県 + +**郷土料理名**: ぬかみそ炊き + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +北九州市 + +## 主な使用食材 +イワシ(サバ)、ぬか味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +昔は小笠原藩の保存食だったぬか漬けが、小倉の旧家に伝わりそれが庶民の間に広まり、今に伝わっている。小倉の旧家では、漆、朱塗りの桶に屋号を入れた床漬けが先祖代々受け継がれ、嫁ぐ娘に継ぎダネを分けてやる。「百年もの」を誇る家は少なくない。夏は、朝、昼、夕、冬でも一度は桶の底から混ぜるのが主婦のつとめとされていた。よくなれた床漬け野菜は美味しく、イワシ、サバなどの青魚を煮る時、このぬか床のなれた部分を一握り使うと生臭さが消える。別名を「おささじ煮」といい、古く小倉城内で御殿女中の間で交わされたぬか味噌の呼び名といわれる。栄養価が高く保存がきくため、戦の際にも用いられ、当時の小倉藩の藩主であった小笠原公から「陣立煮(じんだに)」と命名もされている。江戸時代中期より、砂糖や酒が加えられ、今日の「ぬかみそ炊き」の食文化に繋がってきた。一般には「ぬかみそ炊き」や「ぬか味噌煮」という名で通っている。 + +## 食習の機会や時季 +年間を通して食べられる。おかずや、酒の肴として食べられている。そのほかにも、正月料理や葬式などの冠婚葬祭の際にも振る舞われる。 + +## 飲食方法 +「ぬかみそ炊き」は、まず、青魚であるイワシやサバをさばき、醤油、みりん、砂糖などを加えた煮汁で煮る。ある程度火が通ったら、ぬか床を入れて、とろ火でコトコトと炊いていく。青魚特有の臭みは抜け、代わりに、ぬか床の旨味が染み込む。その旨味は、ぬか床の材料である、山椒や唐辛子の風味に加え、ぬか漬けをつくる度にぬか床に蓄積される野菜のエキスによって生まれ、日々かき混ぜられ、我が子のように育てられているぬか床があってこそ、美味しい「ぬかみそ炊き」が生まれる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- イワシ: 10尾(800g) +- 酒: 80ml +- 醤油: 80ml +- みりん: 80ml +- 砂糖: 30g +- 水: 300~400ml +- しょうが: 40g +- ぬか味噌: 100g +- 唐辛子: 1本 +- しょうが(鉢しょうが): 10g + +## 作り方 +1. イワシは頭をおとし、内臓を筒抜きする。薄い塩水につけて臭みをぬく。(30分ほど) +2. 平らな鍋に調味料を合わせ、イワシを並べて、コトコト煮る。 +3. 汁気が少なくなったころ、ぬか味噌を上からのせて、とろけるまで煮こむ。最後に針しょうがをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中村学園大学栄養科学部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_1_1.jpg)" +"# がめ煮 福岡県 + +**郷土料理名**: がめ煮 + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +福岡県全域 + +## 主な使用食材 +鶏もも肉、じゃがいも、人参、たけのこ + +## 歴史・由来・関連行事 +「がめ煮」は福岡県の代表的な郷土料理で、博多の方言「がめくりこむ」���寄せ集めるの意味)が名前の由来とされている。また、豊臣秀吉のおこした文禄の役の時、朝鮮に出兵した兵士が当時「どぶがめ」と呼ばれていたスッポンと、ありあわせの材料を煮込んで食べたのがはじまりで、そこから「がめ煮」と名付けられたという説も伝わっている。今では、スッポンではなく鶏肉を使うのが一般的で、「がめ煮」は正月料理や精進料理としてもつくられる一品で、地元では欠かせない味となっている。全国調査で福岡市の鶏肉とごぼうの消費量が多いのは「がめ煮」に使うことが影響しているといわれるほどだ。「がめ煮」は、全国的には「筑前煮」とも呼ばれているが、筑前煮は、骨なしの鶏肉も使われるのに対し、がめ煮は骨つきの鶏肉が使われることがある。 + +## 食習の機会や時季 +「がめ煮」は正月やお祭り、結婚式などのお祝い事のときによくつくられる。若鶏の水炊きとともに農山漁村の郷土料理百選に福岡県の郷土料理として選ばれており普段のおかず、酒の肴になっている。博多祇園山笠のお祝いや祭りにも振る舞われる。 + +## 飲食方法 +最初に具材を全て炒める。だし汁、調味料をいれて野菜に火が通るまで煮る。野菜は季節によって異なることがあるほか、福岡県福岡市の志賀島では、具材の種類が必ず奇数になるようにつくる風習がある。しょうがを加えたり、盛り付けたところにさやえんどうを添えることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4~5人分) +- 鶏もも肉: 250~300g +- じゃがいも(または里芋): 300g +- 人参: 80g +- たけのこ: 100g +- 干ししいたけ: 10g(3~4枚) +- いんげん: 20g +- こんにゃく: 100g +- だし汁: 400ml(2カップ) +- 【調味料A】醤油: 25~30ml +- 【調味料A】塩: 4~5g +- 【調味料A】みりん: 30ml +- 【調味料A】砂糖: 20~30g +- 油: 大さじ1~2 +- 針しょうが: 15g + +## 作り方 +1. 鶏肉は一口大に切る。 +2. じゃがいも、人参は乱切りにする。 +3. たけのこ、こんにゃくも2と同様に切り、軽くゆでておく。こんにゃくは手綱切り、または、かのこ切りにする。 +4. しいたけはもどして半分に切る。いんげんは塩ゆでして4~5cm位の長さに切っておく。 +5. 鍋に油を熱し、鶏肉を軽く炒め、2、3としいたけを入れてさらに炒め、だし汁と調味料Aを加え、野菜に火が通るまで煮る。 +6. 5にいんげんを加えて器に盛り、針しょうがを天盛りする。または各種取り合わせて串にさしても良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中村学園大学栄養科学部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_2_1.jpg)" +"# 博多雑煮 福岡県 + +**郷土料理名**: 博多雑煮 + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +博多地区 + +## 主な使用食材 +小丸餅、ブリの切り身、しいたけ、里芋、人参、かつお菜、大根 + +## 歴史・由来・関連行事 +「博多雑煮」に欠かせない材料のかつお菜は、博多に古くから伝わる野菜で高菜の仲間である。茎の部分がカツオ節の風味があることから、この名になったそうだ。色は濃い緑色で、肉厚の葉は縮れている。ブリは「ヤズからイナダ、ハマチ、最後にブリ」と大きさによって名前が変わっていく出世魚で、めでたい席の料理に使われるが、なぜブリを博多では雑煮入れるようになったかは、いろいろ説がある。その一つとして、博多では、嫁の里に年末「嫁さんぶりがよい」と大きなブリを一本持っていく風習があった。そのため正月のおせちの材料や雑煮に使用されるようになったともいわれている。そして、「博多雑煮」は、まるでおでんのように、具を1人前ずつ竹串に刺して準備しておくというユニークなつくり方である。実は、この調理スタイルが生み出された背景には、福岡の歴史が深く関わっている。昔から、博多商人の町として知られていた福岡だが、そんな彼らを支えたのが、“ごりょんさん”の存在。ごりょんさんとは、貴人の妻への敬称「御寮人(ごりょうにん)」に由来し、博多商人のおかみさん達をこう呼ぶ。来客も多く、商売に忙しい商家では、雑煮の準備にも手間をかけてはいられない。そこで、思いついたのが、前もって具を1人分ずつ串に刺しておくこと。こうしておけば、後は具材を串から抜いて、椀に入れ、最後に出汁をかけるだけで良いので、年始の挨拶に来��大勢の客人にも、手早く振る舞える。忙しいごりょんさんたちのアイディアである。 + +## 食習の機会や時季 +お正月の元旦に、お膳に数の子、歯固め、黒豆をつけ、お屠蘇(とそ)がまわったところでこの雑煮を出していた。また、今では少なくなったようだが、かつて来客の多い商家では、雑煮の具はあらかじめ下ゆでして食べやすい大きさに切り、串刺しにしておいておき、食べる時に椀に盛るのが一般的だった。めでたい料理としての格式を重んじるとともに、急な来客でも手早く仕上げてもてなしていた。 + +## 飲食方法 +「博多雑煮」の特徴としては、焼きアゴ(トビウオ)でとっただしにブリを入れる。餅は丸餅、その他の具として、かつお菜、かまぼこ、里芋、人参、大根、しいたけなど具だくさん。具は各家庭で若干違うが、かつお菜だけは付き物。餅と具は別鍋でそれぞれ煮ておき、あらかじめ温めておいた出汁を入れたお椀に餅と具を加えて出来上がりである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 小丸餅: 8個(1個60g) +- しいたけ: 中2~4枚 +- 里芋: 小4個 +- 人参: 40g +- 板付きかまぼこ: 1/3本 +- かつお菜: 100g +- ブリの切り身: 100g +- 大根(敷大根): 50g +- 柚子(吸い口): 少々 +- 【だし汁800ml】水: 1L +- 【だし汁800ml】削りカツオ: 7g +- 【だし汁800ml】焼きアゴ: 3匹 +- 【だし汁800ml】昆布: 10cm長さ +- 【調味料A】塩: 5g +- 【調味料A】酒: 8ml(大さじ1/2) +- 【調味料A】醤油: 8ml(大さじ1/2) + +## 作り方 +1. だし汁は水を鍋に用意し、昆布を入れ、焼きアゴは腸をとりのぞいて小さくさき、昆布とともに水に浸けておく。このまま火にかけ、沸騰直前に昆布をとり出し、5~6分程度煮出し、削りカツオを加え1分位煮て火を止め、5分位放置する。これをしずかにこしとって雑煮のだし汁に使用する。 +2. 里芋と人参は皮をむき、九分通り下ゆでしておく。しいたけは水にもどし、いちょうに切っておく。かつお菜は青くゆで、長さ3cmに切っておく。 +3. ブリは4~5日前から塩をしておいたものを洗って塩をおとし、一口大の角切りにしてさっと霜降りにする。 +4. かつお菜をのぞく、その他の材料を竹串にいろどりよく1人前ずつ刺して用意する。こうしておくと具が散らばらず、盛りやすい。 +5. 餅は一度水洗いして粉を洗い落としたあと、昆布を敷いた器に入れ熱湯を何度か替えながら、柔らかくもどす。 +6. 椀に大根と敷き餅を入れ、その上から串でつないだ具を抜いて並べ、熱い汁を注ぎ込み、供する。吸い口に松葉柚子をそえると風味も良い。 +7. ※雑煮はだし汁のよしあしでその味が決まるので、まず美味しくだし汁をとること。 +8. 【餅のつきかた(粉餅)】もち粉400g、微温湯(30~40℃)240~250ml、片栗粉20~30g(取り粉)、清潔なボウルにもち粉を入れ、微温湯に徐々に入れてよくもみ込み、蒸気の立った蒸し器で10分ほど蒸し、取り出して、水をつけたすりこぎで餅をつく。全体がなめらかに餅状になったら、片栗粉の上に取り出して丸め、かたちをつくる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中村学園大学栄養科学部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_3_1.jpg)" +"# 若鶏の水炊き 福岡県 + +**郷土料理名**: 若鶏の水炊き + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +福岡地方 + +## 主な使用食材 +若鶏骨つき、肝・砂ずり、野菜、水など + +## 歴史・由来・関連行事 +「若鶏の水炊き」は、福岡県を代表する郷土料理の一つである。鶏肉を骨ごと煮こんだスープの中に、季節によってお好みの野菜を加えてポン酢で食べる鍋料理で、元々は外国船が長崎に寄港した際に広まり、後に福岡に波及したとされている。中国風の鶏肉の淡塩煮が長崎で盛んになり、コンソメなどの西洋スープと融合し、さらに日本料理の要素も組み合せてできた福岡独自の料理が「若鶏の水炊き」である。この料理は、寒い冬だけではなく、早生キャベツが旬を迎える春や、博多祇園山笠の祭りのある夏など、通年を通して食すことができる。なお、博多祇園山笠の直会(なおらい)と呼ばれる祭祀の最後に参加者一同で神酒と神饌を食する行事では、必ず「若鶏の水炊き」が食されるという。重い山笠を昇く男衆たちは、体力をつけるため「鶏肉」を選び食していたからではないかと伝えられている。また、福岡県が平成11年(1999年)に独自に開発した「はかた地どり」は、在来種「さざなみ」と「ホワイトプリマスロック」の交配により誕生したブランド地鶏で、「福岡県の郷土料理である筑前煮や水炊きをもっと美味しくしよう」という発想が原点となりできたため、「若鶏の水炊き」に最適である。 + +## 食習の機会や時季 +四季折々の野菜と一緒に食されているため、通年食べることができる。特に博多祇園山笠の直会では必ず水炊きが食されるという。 + +## 飲食方法 +骨つきの若鶏を使い、すまし汁、濁り汁をつくり、合わせる。中に鶏肉と好みの野菜、豆腐などを入れ煮る。ポン酢と醤油の合わせ酢で食べる。薬味にはもみじおろしや、おろししょうが、ねぎ、柚子などお好みで入れる。最後に餅やうどん、ごはんなどを入れても美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 若鶏骨つき: 800g +- 肝・砂ずり: 各2個 +- スープ: 800ml +- キャベツ: 6枚 +- 深ねぎ: 1/2本 +- はるさめ: 60g +- 春菊: 100g +- 生しいたけ: 8枚 +- 豆腐: 1/2丁 +- 人参(もみじ型): 2枚 +- 【合わせ酢】米酢: 50ml +- 【合わせ酢】 醤油(淡・濃): 50ml +- 【合わせ酢】だいだい酢: 15~30ml +- 【合わせ酢】(みりん): 30ml +- 【薬味】小ねぎ: 20g +- 【薬味】おろししょうが: 15g +- 【薬味】もみじおろし: 50g +- 餅、うどん、ごはん: お好み + +## 作り方 +1. 若鶏は間接から直角に切り落とし、さらに3つ切りにする。心臓は2つに切って血合いをとり、肝も一緒に塩水につけて洗う。 +2. 鍋に水8カップを入れ水気を切った鶏肉を入れ煮る。 +3. 強火で焼く20分煮る。約20分たったら肝、心臓、砂のうを入れ、軽く火を通し、鶏の頭、ガラなどで濃いめにとったスープを加える。 +4. 3を土鍋に移し、季節の野菜、薬味、ポン酢を添えて煮ながら供する。 +5. 食べ方は最初にスープに塩とねぎを入れて、次に鶏を食べ、スープの味が濃くなって野菜を入れて食べる。※合わせ酢や薬味は食べるときに好みで加える。 +6. 最後に餅、うどん又は白飯と卵とねぎを入れて雑炊にする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中村学園大学栄養科学部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_4_1.jpg)" +"# おきゅうと 福岡県 + +**郷土料理名**: おきゅうと + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +福岡市 + +## 主な使用食材 +おきゅうと、酢、醤油など + +## 歴史・由来・関連行事 +「おきゅうと」は、海藻であるエゴノリを干し、煮溶かして小判型に固めた食べ物で、海に面した福岡県ならではの郷土料理である。また、「おきうど」とも呼ばれており、アジア・太平洋戦争前までは、毎朝おきゅうとを売り歩く「おきゅうと売り」がいたほど、かつては朝ごはんに欠かせない一品であった。なお、飢饉の時代、食糧難だった際に「おきゅうと」を食糧とし、多くの人を飢えから救ったことから「御救人(おきゅうと)」や「救人」と呼ばれたという説や、漁師が海藻から偶然生み出した食べ物というところから「沖人」や「沖独活」という名称になったという説もあるなど諸説ある。 + +## 食習の機会や時季 +古くから朝食に欠かさず食べられていたが、現在は朝食に食べる習慣が薄れてきている。「おきゅうと」は食物繊維が豊富で低カロリーなため、ダイエットフードとしても最適であるほか、居酒屋などの飲食店でも酒のつまみとして提供されているため、通年食すことができる。 + +## 飲食方法 +福岡市内ではエゴノリを一枚一枚巻いて販売されており、食べる際に切りタレをかけて食べる。焼き魚をそえると一層美味しくいただける。「おきゅうと」にかけるタレは、酢醤油、ポン酢のほか、マヨネーズやしょうが醤油など好みの調味料を使う。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3人分) +- おきゅうと: 200g +- 酢: 50ml +- 醤油: 50ml +- 【薬味】ごま: 3g +- 【薬味】こうとうねぎ: 3g +- 【薬味】しょうが: 3g +- 【薬味】カツオ節: 3g + +## 作り方 +1. おきゅうとは千切りにする。 +2. 酢醤油をかけ、好みの焼身をそえて供す。 +3. タレは醤油でもマヨネーズでも好みで良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「福岡県の郷土料理」(著:中村学園大学名誉教授 楠 喜久枝、出版:同文書院) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_5_1.jpg)" +"# かしわめし 福岡県 + +**郷土料理名**: かしわめし + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +米、鶏肉、ごぼう、人参 + +## 歴史・由来・関連行事 +九州地方では鶏肉のことを「かしわ」と呼び、炊いたごはんに、かしわや具材を煮詰めたものを混ぜた郷土料理を「かしわめし」と呼ぶ。古くから福岡県の各地域の家庭や食堂でつくられている定番の郷土の家庭料理であり、祭りや運動会等の行事、ハレの日など特別な日にも食されている。駅弁としても古くより愛されている「かしわめし」は、今日に至ってはメディアでも取り上げられ、福岡の名物となっている。「かしわめし」に使われる鶏肉は、福岡県の地鶏である「はかた地どり」が多く、筋肉質で歯切れのよさと、噛むほどに旨味が増すところが特徴である。また、「はかた地どり」のむね肉には、認知機能の低下を抑止する効果が期待されるアンセリンやカルノシンが含まれており、消費者庁の機能性表示食品として認定された。 + +## 食習の機会や時季 +日常食として食されるほか、祭りやハレの日など人寄せの際にも食されている。県外においても「かしわめし」の駅弁は、広く人気があり、折尾駅のほか、北九州のJR主要駅をはじめ、デパートでも購入することができるため、通年味わえる。 + +## 飲食方法 +炊いたごはんに鶏肉や野菜などの具材を煮たものを混ぜ合わせて食べる。もちもちとした触感の「かしわめし」は冷えても美味しく、おにぎりでも食べられている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 1.7合 +- 鶏もも肉: 120g +- ごぼう: 60g +- 人参: 60g +- 干ししいたけ: 小4枚 +- 干ししいたけのもどし汁: 大さじ4 +- ごま油: 小さじ1 +- 【調味料A】酒: 小さじ4 +- 【調味料A】砂糖: 小さじ4 +- 【調味料A】みりん: 小さじ4 +- 【調味料A】醤油: 小さじ4 +- 万能ねぎ: 12g + +## 作り方 +1. 米をとぎ、米と同量の水を加えて30分程おき、普通に炊く。 +2. 鶏肉は小さめのそぎ切りにし、ごぼうはささがきか細切りにし、人参は皮をむき細切りにする。干ししいたけは、もどし汁の倍量程の水に浸してもどし、水気をしぼり、石づきを除き、細切りにする。もどし汁はとっておく。 +3. フライパンを中火で熱し、ごま油を入れて、鶏肉を炒める。 +4. 鶏肉に火が通ってきたら、ごぼう、人参、干ししいたけ、を加えて炒める。 +5. 調味料Aと干ししいたけのもどし汁を加えて弱火で煮詰める。 +6. ごはんが炊けたら、5を加え混ぜて、万能ねぎをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 福岡市保健医療局健康増進課 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_6_1.jpg)" +"# あちゃら漬け 福岡県 + +**郷土料理名**: あちゃら漬け + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +福岡地方 + +## 主な使用食材 +白瓜、なす、れんこん、きくらげ、ごぼう、早煮昆布、人参 + +## 歴史・由来・関連行事 +刻んだ季節の野菜に赤唐辛子を加えた酢の物である。爽やかな甘みと酸味に、唐辛子の辛味がアクセントになる。冷蔵庫がなかった時代から夏場に日持ちする料理として重宝されてきた。「あちゃら漬け」は漢字で「阿茶羅漬け」と表記し、ポルトガル語で野菜や果物の漬物を意味する「achar(アチャール)」が語源とされる。日本以外のアジア諸国でも「チャーレ」「オチョール」など似た発音で漬物を指す言葉が存在する。ただし、外国である「あちら」を意味し「南蛮風の漬物」を表して名付けられたともいわれ由来は諸説ある。博多湾は昔から貿易の拠点として栄えてきた。「あちゃら漬け」は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけておこなわれた南蛮貿易により伝わったといわれる。また、「あちゃら漬け」に欠かせない赤唐辛子も同じ時代に日本に伝来したとされる。 + +## 食習の機会や時季 +古くからお盆の時期に、お供えやお盆参りの客をもてなすために用意してきた。白瓜やれんこん、人参など歯ごたえのある夏野菜を縁起が良いとされる奇数用いる。現在は、常備菜として普段の食卓にも上がり食材も家庭により異なる場合がある。 + +## 飲食方法 +白瓜となすは薄切りにし塩もみする。他の具材���薄切りにした後、下ゆでして冷ます。調味料と赤唐辛子を合わせた甘酢を白瓜やなす、その他具材にかぶる程度にかける。しばらくおいて味を馴染ませてから器に盛り付ける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 白ウリ(きゅうり): 200g (2本) +- なす: 100g(1本) +- れんこん: 100g +- 人参: 50g(1/2本) +- きくらげ: 10g +- しそ: 5g +- しょうが: 10g +- 赤唐辛子: 7g(1本) +- 【調味料A】酢: 7ml +- 【調味料A】出汁: 30ml +- 【調味料A】塩: 3~4g +- 【調味料A】砂糖: 20g + +## 作り方 +1. 酢、砂糖、塩、出汁、赤唐辛子を合わせてひとたぎりさせ冷ましておく。 +2. 白ウリは縦半分に割って種子を出し、薄切りして塩もみする。なすも薄く切って塩もみしておく。 +3. れんこん、人参は薄切りにして下ゆでし、水切りして冷ましておく。 +4. 塩もみした白ウリ、なすは水で洗って水分を切っておく。水でもどしたきくらげを千切りにする。 +5. 3と4を1に漬ける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中村学園大学栄養科学部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_7_1.jpg)" +"# 博多の胡麻鯖 福岡県 + +**郷土料理名**: 博多の胡麻鯖 + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +福岡地区 + +## 主な使用食材 +サバ、白ごま + +## 歴史・由来・関連行事 +昔から新鮮な魚介が揚がる福岡・博多。傷みやすいことから、全国的には生で食べることはなかったサバも、以前から博多では刺身としても食べられていた。そして、生のサバの食べ方としてよく知られている郷土料理が「博多の胡麻鯖」。サバの(通常よりやや薄く切った)刺身を醤油、いりごま、みりんを加えて和えたもの。おろししょうが、わさび、もみ海苔等の薬味が追加される場合もある。そのまま食べる他にも、飯に乗せて湯等をかけ茶漬け風にして食べる場合もある。こうした食べ方が広がったのは、醤油が一般的に手に入るようになった江戸時代後期から明治時代初期ではないかとされている。 + +## 食習の機会や時季 +玄海の新鮮な海の幸が手に入る福岡県では、サバの刺身をよく食べる。やや薄く切ったサバに醤油やごまをからめた「博多の胡麻鯖」は、熱いごはんにのせたり、お茶漬けにしたり、酒の肴にも合う。サバは年中とれるが、海水の温度が下がってくる秋から春先にかけてが、脂ののりもよりよくなってくる。 + +## 飲食方法 +サバを刺身よりいくらか薄めに切る。いりごまをよくすり、醤油、みりんをほどよく加えてサバを和える。熱いごはんにのせて食べるだけで美味しいが、わさび、もみのりを振りかけて、熱い番茶をかけた茶漬けでも美味しく食べられる。なお、使うサバは新鮮でないと食中毒の危険がある。食中毒の原因となる寄生虫アニサキスは目視できる大きさであるが、調味料に漬け込むだけでは死ぬことはないため、一度冷凍して調理することが望ましい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4~5人分) +- サバ: 800g(1尾) +- 【調味料A】醤油: 70ml +- 【調味料A】酒: 70ml +- 【調味料A】みりん: 30ml +- 【調味料A】ごまペースト: 15g +- 【調味料A】ごま(あたり): 20g +- 針しょうが: 10g +- 針ねぎ: 10g +- のり: 10g +- 刻みごま: 10g + +## 作り方 +1. サバは3枚におろしにして皮をひき、刺身よりやや薄めに切る。 +2. 1を酒で洗って、ざるに上げておく。 +3. 調味料Aを合わせておく。 +4. 3に2を入れて刻んだごまを入れ、皿に盛る。 +5. 4に針しょうがや針ねぎ、のり、刻みごまを天盛りする。 +6. わさびをそえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中村学園大学栄養科学部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_8_1.jpg)" +"# にぐい 福岡県 + +**郷土料理名**: にぐい + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +豊前地域 + +## 主な使用食材 +鶏肉、里芋、人参、れんこん、ごぼう + +## 歴史・由来・関連行事 +鶏肉の入らない精進料理がはじまりといわれ、仏事に必ずつくり、結婚式などの祝いごとの時にもつくる。里芋、こんにゃく、人参、しいたけ、油揚げ、花麩、れんこんなどの中から奇数の材料を選び、それぞれ三、四分角くらいに切る。醤油と塩に砂糖は隠し味程度にし、具だくさんのおつゆ(吸い物)のような味つけでだし汁で煮る。「にぐい」は通常の煮物よりも具材を小さくひと口サイズに切り、汁たっぷりでつくられる。その味は、心がほどけるようなほっとする味。一度目は汁物としていただき、時間が経って汁気がなくなってきた煮物状態を「二度目」と数え、「二度食う」ことから「にぐい」といわれてきた。筑豊地方では「だぶ」とも呼ばれており、仕上げにくず粉や片栗粉でとろみをつける。 + +## 食習の機会や時季 +お祭りや冠婚葬祭にはなくてはならない料理。かつては客人などが来た時に飼っていた鶏を使ってつくったという特別なごちそうで、一緒に鶏飯や鶏のスープもつくることが多かったという。 + +## 飲食方法 +野菜も鶏肉も1.5cmの角切りにする。野菜は煮崩れないように下煮してゆでこぼす。鍋に鶏肉をいれ野菜、出汁をいれて煮あげる。途中で調味し、全体が煮えた時が食べ頃。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3人分) +- 鶏肉: 200g +- 里芋: 2個 +- 人参: 100g +- こんにゃく: 1/2丁 +- れんこん: 50g +- ごぼう: 60g +- だし汁: 600ml +- 【調味料A】醤油: 30ml +- 【調味料A】砂糖: 30g +- 【調味料A】塩: 2~3g +- 【調味料A】酒: 5ml + +## 作り方 +1. 野菜も肉も1.5cmの角切りにする。 +2. 野菜のみ形が崩れないように下煮してゆでこぼす。 +3. 鍋に鶏肉、野菜、出汁を入れて煮あげる。途中で調味する。 +4. 全体がほどよく煮えたときが食べごろ。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「福岡県の郷土料理」(著:中村学園大学名誉教授 楠 喜久枝、出版:同文書院) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_9_1.jpg)" +"# ふなやき 福岡県 + +**郷土料理名**: ふなやき + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +筑後地域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、水 + +## 歴史・由来・関連行事 +「ふなやき」は、筑後地域に古くから伝わる小麦粉を使ったおやつである。小麦粉と水を混ぜ、丸く薄く焼く。挟む具はさまざまで、黒砂糖を包みおやつにしたり、高菜漬けなどを挟んで軽食として食べるなど、地域や家庭によって異なる。九州地方においては、九州地方北部の筑後川流域に広がる平坦部を中心に麦の作付けがおこなわれており、九州全体の作付面積の8割を福岡県と佐賀県が占めている。そのため、小麦の生産が盛んであった筑後地域では、手軽につくれる「ふなやき」がよく食べられていた。また、ふなやきの「ふな」は舟のことをいい、底面が湾曲した大きな鉄鍋で生地を焼き、半分に折ると舟のようなかたちをしていることが由来ともいわれるが諸説ある。 + +## 食習の機会や時季 +おやつや軽食として通年食されている。 + +## 飲食方法 +小麦粉を水で溶いて塩味をつけたものを丸く焼き、黒砂糖の小片を包む。黒砂糖を入れておやつとして食べたり、高菜漬けや味噌を入れ軽食やおつまみとして食べるなど、地域や各家庭によってさまざまである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 小麦粉: 120g +- 卵: 1/2個分 +- 水: 100~150g +- 塩: 1g +- 油: 適宜 +- 黒砂糖: 10g + +## 作り方 +1. 小麦粉はふるう。 +2. 卵を溶きほぐして水を加えて混ぜ、塩も加えて混ぜる。 +3. 2に小麦粉を加え、泡立て器で混ぜる。 +4. フライパンに薄く油をひき、生地の1/4を流し入れて薄く丸くのばし、弱火で焼く。 +5. 表面が乾いたら裏返し、両面がほんのりときつね色になるまで焼く。 +6. まな板の上に広げ、温かいうちに黒砂糖の1/4を手前1/3ぐらいのところにすじ状において手前から巻く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中村学園大学栄養科学部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_10_1.jpg)" +"# かぼちゃのだんご汁 福岡県 + +**郷土料理名**: かぼちゃのだんご汁 + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +豊前市 + +## 主な使用食材 +小麦粉だんご、かぼちゃ、しいたけ、煮干し + +## 歴史・由来・関連行事 +県の北東部の豊前市三毛門地区は、1個が4kg近くになる大きな日本かぼちゃ、三毛門かぼちゃの産地で、「かぼちゃのだんご汁」がつくられてきた。三毛門かぼちゃは、約450年前にポルトガルから伝わった日本最古といわれるかぼちゃで、昭和3年(1928年)には昭和天皇に献上した歴史があり、平成30年(2018年)7月には豊前市の天然記念物に指定された。トロトロになるまで煮た三毛門かぼちゃに、練った小麦粉を���えただんご汁は、かぼちゃの甘さがひき立ち、食べ物が乏しかった戦前戦後は特に重宝され、当時を知る人々にとっては命をつないだ懐かしい味だという。しかし、昭和40年代になると西洋かぼちゃの人気に押されて三毛門かぼちゃの生産者が減少している。 + +## 食習の機会や時季 +旬のかぼちゃは夏には汗をかきながら「かぼちゃのだんご汁」を食べる。三毛門では寒い冬までかぼちゃを保存しておくと味もよくなり、子どもからお年寄りまで親しまれている。 + +## 飲食方法 +水と煮干しを入れ、味が出た頃煮干しをとりだし、一口大のかぼちゃやしいたけを入れて煮る。小麦粉だんごを、指で引きのばして、平たくして汁にちぎりこむ。汁にとろ味がつきかぼちゃの甘味とあって素朴な味。北九州市では、三毛門特産かぼちゃが特に喜ばれる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 【小麦粉だんご】小麦粉: 250g +- 【小麦粉だんご】塩: 1g +- 【小麦粉だんご】水: 125ml +- かぼちゃ: 600g +- しいたけ: 3枚(20g) +- 水: 800ml +- いりこ(頭・内臓をのぞく): 30g +- 砂糖: 10g +- 味噌: 40~60g +- 青ねぎ: 10g + +## 作り方 +1. 小麦粉に塩と水を入れて練り、30分おく。耳たぶくらいの硬さにして、少しねかせる。 +2. かぼちゃは種とワタを除き、一口大に切る。しいたけは2~4等分する。 +3. 水といりこで出汁をとった後、いりこを取り出し2を入れて煮る。 +4. 小麦粉だんごを手でちぎって入れ、砂糖・味噌の調味料を入れる。出来上がりに青ねぎを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中村学園大学栄養科学部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_11_1.jpg)" +"# あぶってかも 福岡県 + +**郷土料理名**: あぶってかも + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +福岡市 + +## 主な使用食材 +スズメダイ + +## 歴史・由来・関連行事 +「あぶってかも」は、主に福岡市沿岸地域で食べられるスズメダイの塩焼きで、皮や鱗の香ばしさや肝のほろ苦さが特徴である。スズメダイは体長10cm程度の小魚で、日本海に広く生息しているが、小骨が多く身も薄いことから積極的に食す地域は少ない。旬の時期を迎えると、船を動かす妨げになるほどとれるため「カジキリ」と呼ぶ地域もあり、あまり歓迎されてこなかった。博多湾にほど近い玄界灘は、昔から栄養豊富な黒潮が合流する良質な漁場であるが、明治時代の終わり頃、そこに大量のスズメダイが流れ込むことがあった。船の進路を確保するためにスズメダイをすくい上げたが、始末に困り塩をふっておいておき、後で焼いてみたところ脂が乗り美味しかったため、それ以来あぶって食べるようになった。博多名物として認知されるようになったのは、料亭などで提供されはじめた昭和の時代に入ってからとされる。料理名は、焼いて食べようという意味の「あぶって噛もう」や、あぶったら鴨のような旨味を感じたことから由来するといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +「あぶってかも」は3月頃から夏の終わりにかけて市場に出回る。最も脂の乗る美味しい時期は、スズメダイの産卵期を前にした初夏である。家庭の食卓だけでなく、県内複数の飲食店でも食べることができ、酒の肴として人気がある。 + +## 飲食方法 +鱗や内臓は取り除かず、そのまま塩をまぶして一晩おいたスズメダイをあぶる。こんがりと焼けた鱗や皮、ジューシーな身の食感を楽しみながら骨ごと食す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- スズメダイ: 4匹 +- 塩: 適量 + +## 作り方 +1. スズメダイに落とし塩をして一晩おく。 +2. 一晩おいたスズメダイを直火で焼く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「福岡県の郷土料理」(著:中村学園大学名誉教授 楠 喜久枝、出版:同文書院) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_12_1.jpg)" +"# がめの葉饅頭 福岡県 + +**郷土料理名**: がめの葉饅頭 + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +福岡県北部 + +## 主な使用食材 +上新粉、小豆のこし餡、がめ(サンキラ)の葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +端午の節句の時期になるとつくり、子どものおやつとしても親しまれている。端午の節句では、一般的に「かしわ餅」を食べることが多いが、福岡県にはかしわの葉が自生していないため、その代替品としてがめ(サンキラ)の葉でつくったものが根づいている。「がめの葉饅頭」の”がめ”とは福岡県北部では亀とかスッポンを「がめ」と呼び、その甲羅にそっくりな葉っぱであることから「がめの葉」と呼んでいる。がめの葉で包むからその名がついたものと思われ、別名「さんきらまんじゅう」とも呼ばれている。がめの葉は、つるに生じる棘とひげ根、そして丸い葉っぱを持ち、それらが猿すらも引っかかるのでサルトリイバラとも呼ばれている。 + +## 食習の機会や時季 +旧暦の5月の節句頃になると、がめの葉を摘んできて、「がめの葉饅頭」をつくる。8月の盆のときや、旧暦の8月1日(9月1日頃)に赤ちゃんの健やかな成長を祈る「八朔さん」の時にもつくる。祭りのときだけでなく、がめの葉が固くなる梅雨ときから葉の落ちる頃まで、お茶の時(茶摘みの時期)につくることもある。中の餡も小豆と栗がある。栗は秋にとれたときに勝栗(栗の実を干して臼で軽くつき、殻と渋皮を取り去ったもの)にして保存しておく。さらに、勝栗をゆでて小さく割って乾燥しておくと、使う時に便利である。 + +## 飲食方法 +小豆餡をつくっておき、生地をつくり、上新粉に塩と水を加え、耳たぶ位の硬さになるまで手でこね、皮種を蒸す。蒸しあがったものを熱いうちに餅状になるようにつく。粗熱をとれたら餡を包み、がめの葉(サンキラの葉)に挟んで蒸す。生地を広げる時、縁をなるべく薄くすると小豆餡を包んだ時に重なりが薄くなる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10個分) +- 上新粉: 200g +- ぬるま湯: 160ml +- 食塩: ひとつまみ +- 片栗粉: 大さじ1 +- 水: 80g +- こし餡: 200g +- がめ(サンキラ)の葉: 20枚 + +## 作り方 +1. ボウルに上新粉を入れて、ぬるま湯を少しずつ加え、耳たぶ位の固さまでこねる。 +2. 蒸し器に固くしぼったフキンを敷き、皮種を一にぎりずつちぎって、平らに並べ、強火で25分ほど蒸す。 +3. 割って白いところがないようになれば、ボウルにとって、熱いうちに餅状になるようにつく。 +4. 途中で食塩、片栗粉、水を合わせたものを少しずつ加える。 +5. 餅状になったら一度冷水につけ、粗熱をとって、もう一度軽くこね、10個にちぎり、手のひらでのばしてこし餡を包み、がめ(サンキラ)の葉にはさんで強火で7~8分程度蒸す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中村学園大学栄養科学部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_13_1.jpg)" +"# いも饅頭 福岡県 + +**郷土料理名**: いも饅頭 + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +八女市 + +## 主な使用食材 +里芋(またはじゃがいも)、小麦粉、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +福岡県の奥八女は日向神から有明に流れる矢部川の上流にある。弓掛地区はこの矢部川に沿ってできた集落で、熊本県との境にある山あいにある。この地区は小麦といも類がたくさんとれるので目先を変えたり工夫をこらして、家族に食べさせていた。その中の料理が「いも饅頭」である。夕方、晩ごはんの用意ができるまでの間のつなぎとして、または、ごはんが足りないときにごはん代わりに食べていた。たくさんつくっておくことができ腹持ちがよく、体が温まることもあり、冬には欠かせない一品だった。寒い日は、もち焼き網で焼いて熱々を食べる。また、里芋やじゃがいもをまんじゅうの中に入れて食べる。 + +## 食習の機会や時季 +日常で食べられており、そのままよりも焼いたほうが香ばしくなって好まれる。薄い味なので、醤油をつけて食べることもあり、漬物をのせて食べていた。 + +## 飲食方法 +いもは中くらいの大きさのものを選んで皮をむき、塩でぬめりを取っておく。小麦粉に塩・砂糖を入れてよくこね、耳たぶくらいのやわらかさの皮をつくる。皮は、いも1個を包めるくらいの大きさをとり、1枚ずつ薄くのばし、厚さにむらがでないようしながら、丸のままのいもを包み、蒸し器で蒸す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10個分) +- 里芋(またはじゃがいも): 300g +- 小麦粉(強力): 300g +- 水: 200ml +- 砂糖: 100g +- 塩: 1g + +## 作り方 +1. 里芋は皮をむき、塩でぬめりをとる。 +2. ボウルで小麦粉、砂糖、塩、水を混ぜ、10等分にする。 +3. 1の里��を2の生地で包み、丸める。 +4. 蒸し器にフキンを敷き、上に並べて15分ほど強火で蒸す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中村学園大学栄養科学部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_14_1.jpg)" +"# 酢もち 福岡県 + +**郷土料理名**: 酢もち + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +豊前地域 + +## 主な使用食材 +餅、大根、醤油、だいだい + +## 歴史・由来・関連行事 +「酢もち」は、器に大根おろし、だいだいのしぼり汁、醤油、砂糖を入れておき、正月の最後の餅を片栗粉をつけず、手で一口サイズに切り、つきたての餅を合わせた郷土料理で、福岡県東部の豊前地域では正月前にたくさんの餅をつき、最後の餅で「酢もち」をつくり、皆で食べる風習があった。地域によっては、「おろし餅」とも呼ばれている。旬を迎える冬の大根は辛味もあり、デンプン分解酵素ジアスターゼも含み、だいだいを入れるとクエン酸も入って、さっぱり美味しく食べることができる消化にもよい一品となる。「酢もち」は古くから伝わる健康的な郷土料理である。 + +## 食習の機会や時季 +毎年正月に集まった人々で餅をつき、「酢もち」を食べる。県内各地域で毎年開かれる餅つき大会などでも振る舞われている。 + +## 飲食方法 +すりおろした大根に、だいだいのしぼり汁、醤油、砂糖で味をつけ、つきあがった餅を手で一口サイズにちぎり和える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- つきたての餅: 200g +- 大根: 200g +- だいだい: 1/2個 +- 醤油: 10g +- 砂糖: 10g + +## 作り方 +1. 大根をすりおろす。 +2. だいだいは果皮の苦味が入らないよう、真ん中を5cm幅のかつらむきにして皮をのぞき、半分に切り、汁をしぼる。 +3. 1に2と醤油、砂糖を入れて味をととのえる。 +4. つきたての餅を一口大にちぎって3に入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中村学園大学栄養科学部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_15_1.jpg)" +"# せんぶきまげ 福岡県 + +**郷土料理名**: せんぶきまげ + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +筑豊地区 + +## 主な使用食材 +せんぶき(わけぎ)、酢味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +わけぎのことを福岡では「せんぶき」と呼ぶ。ねぎの変種で、ねぎより柔らかく甘味がある。ねぎと見た目が似ているが、わけぎは根元のところから2つに分かれている。2月、3月に美味しくなり、このせんぶきをサッとゆがいて曲げて盛りつけるため「せんぶぎまげ」という料理名がついた。酢味噌あえが代表的な料理で、ひなの節句には必ずつくる。せんぶきをゆでて、根のほうから何回か折り曲げて結ぶ。タニシをゆでて身をとりだし、きれいに洗ったものとせんぶきを一緒に皿に盛り、酢味噌をかけて食べる。ひなの節句の頃、急に寒くなった日を「たにし寒」という。この頃、タニシがよくとれるからだが、タニシがない場合には、もだま(フカの尾を輪切りにしてゆでたもの)や、おばいけ(クジラの皮下の白い脂)をさっと湯をくぐらせて付け合わせることもある。せんぶきの緑と白があざやかで、春らしい一品である。 + +## 食習の機会や時季 +この地方では、節句、盆などは1ヶ月遅れでやっている。4月3日のひな節句のごちそうとして、タニシとせんぶきに酢味噌をつけて食べるのが「せんぶきまげ」である。せんぶきの酢味噌和えは春を告げる料理で、「せんぶきまげ」にしないで、ざく切りしてあえて日常のおかずにもする。 + +## 飲食方法 +せんぶきは色よく塩ゆでし、根元を三つに折り、残った部分をぐるぐる巻きつける。すり鉢に白味噌、砂糖、練りからしを入れてよくすり、少しずつ酢を加えてのばし、からし酢味噌をつくる。器にせんぶきを盛り、ワカメやからし酢味噌をそえていただく。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- せんぶき(わけぎ): 20本 +- わかめ(もどしたもの): 120g +- くじらのおばいけ: 適量 +- 【酢味噌】白味噌: 30g +- 【酢味噌】練りからし: 6g +- 【酢味噌】酢: 30g +- 【酢味噌】砂糖: 10g + +## 作り方 +1. せんぶきは、ゆでてから1本ずつ根をとる。(はじめから根をおとすと、ゆでるときに皮がはがれてしまう) +2. 根元から3cmぐらいの長さのところを三つに折り、残った葉先の部��を根の方からぐるぐる巻きつける。先端に空気がたまるので、ぷつんと切って空気を抜くとうまく巻きつく。 +3. もどしたわかめは湯通しして2cm角に切り、添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中村学園大学栄養科学科 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_16_1.jpg)" +"# 鶏肉のすき焼き 福岡県 + +**郷土料理名**: 鶏肉のすき焼き + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +糟屋郡から宗像市一帯 + +## 主な使用食材 +鶏肉(親鶏・若鶏)、もつ(内臓)、ごぼう、季節の野菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +福岡県で鶏肉を食べる習慣が生まれた背景として、江戸時代の飢饉(享保の飢饉等)で福岡藩の財政が枯渇したことがある。福岡藩では「鶏卵仕組」という役所をつくり、藩内で養鶏を振興して鶏卵を上方に出荷することで、財政を立て直そうとしたため、養鶏が盛んになったといわれている。大きい客寄せの日には、鶏を一羽あるいは数羽をしめてすき焼きにしていた。各家の台所には、有田焼の大皿にしめて解体した鶏を、もつ(内臓)も一緒に盛り、他の大皿には、白菜、ねぎ、かぶ、豆腐、こんにゃく、春菊などを盛っていた。座敷にゴザをひいて七輪をおいて、そこで鉄鍋をおいてすき焼きをしてもてなしていた。 + +## 食習の機会や時季 +糟屋郡から宗像市周辺では、親戚一同が集まったときやお祭りの直会、田植えや稲刈りの時期などに「鶏肉のすき焼き」がよく食べられている。食材を準備しておけば、あとは煮込むだけなので酒席によく使われる。 + +## 飲食方法 +鶏肉と皮、肝、玉ひもなど1羽無駄なく使う。白菜や春菊、さつまいも、ごぼうなど地元でとれる旬の野菜をふんだんに使い、季節を選ばず年中食べられる。砂糖と醤油の濃厚な味付けにし、野菜の水分と鶏肉からの出汁で美味しくつくる。砂糖をかなり入れるので、初めて食べる人はびっくりするかもしれないが、この砂糖と醤油の濃厚な甘辛味は一度食べるとやみつきになる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5~6人分) +- 若鶏骨つき: 400g +- もやし: 200g +- 長ねぎ: 4本 +- 人参: 中1本 +- ごぼう: 1本 +- しいたけ: 10g +- 豆腐: 1/2丁 +- そうめん: 適宜 +- 春菊: 50~100g +- サラダ油: 大さじ3 +- 【調味料A】砂糖: 大さじ3 +- 【調味料A】塩: 小さじ1 +- 【調味料A】酒: 大さじ3 +- 【調味料A】醤油: 大さじ3~5 +- 水: 2~5カップ + +## 作り方 +1. 若鶏は一口で食べられる大きさに、骨ごとぶつ切りにし、ぬるま湯で洗って水気をきる。 +2. 人参、ごぼうは大きめのささがきにする。 +3. ねぎは5cmの長さに切る。 +4. その他の材料も食べやすく用意する。 +5. そうめんは硬めにゆであげ、一人前ずつ丸めておく。 +6. 以上の材料を大皿に盛る。 +7. 厚手の浅めの鍋にサラダ油を熱し、若鶏を強火で炒め、調味料Aと水を加えて一煮立ちさせる。次に野菜を入れ、煮ながら食べる。そうめんは汁を吸うので最後のほうで入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「福岡県の郷土料理」(著:中村学園大学名誉教授 楠 喜久枝、出版:同文書院) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_17_1.jpg)" +"# 瀬高の高菜漬け 福岡県 + +**郷土料理名**: 瀬高の高菜漬け + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +筑後地方 + +## 主な使用食材 +高菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +高菜はからし菜の仲間で、葉や茎のピリリとした辛味が特徴である。高菜漬けの流通がはじまったのは明治時代。中国四川省から伝わった青菜と在来種を掛け合わせ、葉が大きく肉厚な「三池高菜」が誕生した。三池高菜は歯切れが良く、辛味や香りのバランスに優れた品種とされる。当時その試験栽培をおこなっていた筑後地方、特にみやま市瀬高町では豊かな水や温暖な気候、肥沃な土壌などの環境に恵まれ現在も高菜の生産が盛んである。高菜は、1m以上に生長することから名付けられた。ビタミン、カロテン、鉄分、カルシウムなどを含む緑黄色野菜として知られ「瀬高の高菜漬け」は栄養豊富な保存食として重宝されてきた。年間を通じて食されているが、乳酸菌発酵が進み古漬けになってもコクが増して美味しくなるという。高菜は「日本三大漬け菜」に数えられ、漬物に適した葉物類の代表といえる。 + +## 食習の機会や時季 +普段の食事に1年を通じてよく登場する。漬物として食すだけでなく、ごはんやラーメン、炒め物、和え物など家庭や飲食店で提供されるさまざまな料理にトッピングや具材として多用されている。 + +## 飲食方法 +高菜の砂を落とした後、おけに葉先と根元が交互になるように並べる。塩と唐辛子の粉をまぶし、隙間ができないよう踏みつける。その上にまた高菜を並べ、同じ工程を繰り返しながら重ねていく。おけが満たされたら蓋をして重石をおく。梅雨明けから食べ頃を迎え、翌シーズンの高菜を漬けるまで食卓に頻繁に上がる。食べるときは細かく刻み、しょうがやごまを添える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10Ⅼの漬物桶1個分) +- 高菜: 6kg +- 塩: 1kg +- 唐辛子の粉: 50g +- 唐辛子: 10本 +- 重し: 15kg +- ウコン: 100g + +## 作り方 +1. 高菜は水洗いして1~2日間物干し竿にかけておく。 +2. 桶に葉先と根元を交互に並べ、一段ごとに塩と唐辛子の粉をふり、隙間がないように詰めていく。 +3. この要領で次々に積み重ね、桶いっぱいになったら、蓋をして重石をきかせ、ビニールで覆いをしておく。 +4. 一週間位して重石をとり、桶を横にして汁をこぼして、また元の重石をのせておく。 +5. 汁が上がったまま梅雨を越し、梅雨明け頃に食べ頃となる。 +6. 保存する時水分を除き、ウコン、唐辛子を入れて重しをしておく。 +7. できるだけ細かく切って、切りごま、しょうがをそえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : みやま市瀬高町 河野 道子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_18_1.jpg)" +"# とうへい鍋 福岡県 + +**郷土料理名**: とうへい鍋 + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +宗像市大島地区 + +## 主な使用食材 +トウヘイ(クロアナゴ) + +## 歴史・由来・関連行事 +「トウヘイ」とは、本州の中部以南の海域に生息する大ウナギに似た魚で、正式にはウナギ科の「クロアナゴ」のこと。他の種類のアナゴに比べて大きく、2mほどになるものもある。身は小骨が多いことから下処理が困難な為、お金にならないと捨てられていたトウヘイを鍋にした漁師料理がはじまりである。トウヘイは秋から冬にかけて脂がのり、美味しくなることから、次第にトウヘイ料理が広まり、旅館や一般家庭でも食べられるようになった。祭りや行事などの時に家族や仲間で囲む、ハレの日の料理として親しまれているが、トウヘイは獲れる量も少なく、さばき方も難しいため、「とうへい鍋」は宗像市大島のみで受け継がれてきた伝統料理となった。 + +## 食習の機会や時季 +トウヘイの旬は秋から冬にかけてで、一般家庭ではハレの日の料理として食べられる。 + +## 飲食方法 +骨からスープをとり、キャベツなどの野菜と一緒に味噌仕立てで煮こむ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- トウヘイ(黒アナゴ): 650g +- キャベツ: 半玉 +- 長ねぎ: 1本 +- しいたけ: 100g +- しめじ: 100g +- えのき: 100g +- 豆腐: 1丁 +- 【調味料A】合わせ味噌: 200~250g +- 【調味料A】砂糖: 適量 +- 【調味料A】みりん: 適量 +- 【調味料A】昆布: 適量 +- 【調味料A】柚子胡椒: 適量 + +## 作り方 +1. クロアナゴに熱湯をかけ、冷水に浸し、皮のぬめりを(たわしで)とる。 +2. 3枚におろし、身、脂、骨、内臓に分ける。また、身は小骨が多いため、骨切りする。 +3. 骨と昆布を1時間以上煮こみ、出汁をとった後、きれいにこしてアクをとりのぞく。 +4. とった出汁に、味噌を入れ、みりんと砂糖で味をととのえる。 +5. クロアナゴの身と内臓、脂(半分)を入れ、ひと煮立ちさせ、キャベツ、しいたけ、しめじ、えのき、長ねぎ、豆腐を入れる。 +6. じっくりと煮こんで、最後に残りの脂を加えできあがり。食べた後に、うどんを入れても良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 民宿 つわせ + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_19_1.jpg)" +"# のうさば 福岡県 + +**郷土料理名**: のうさば + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +鐘崎地域 + +## 主な使用食材 +ホシザメ(のうさば) + +## 歴史・由来・関連行事 +「のうさば」は、天日干しにしたホシザメを調味料液に漬けて食べる郷土料理である。ホシザメは、日本各地でとれる小型のサメの一種。背中に��る星のような白い斑点が特徴で、サメの中では比較的クセがない味とされる。ホシザメのことを福岡県では「のうさば」と呼ぶ。名前の由来は諸説あるが、「はえ縄漁で掛かったサメ」という説が有力である。「のう」は、はえ縄漁に使う針掛けの通称で、「さば」はサメの語源とされる「砂身(さみ)」が訛ったものだといわれる。「のうさば」がつくられる鐘崎地域は、天然トラフグの国内有数の水揚げ港として知られている。フグを水揚げする際に、ホシザメが一緒に網にかかるため食されるようになった。昔、正月のおせち料理に用いる数の子が手に入らなかったときに、数の子用の調味液に代わりに漬けて食べたため、「鐘崎数の子」や「玄海数の子」という別名でも親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +鐘崎地域の正月には「のうさば」が欠かせない。年末の仕込みに向け、海岸沿いのいたるところで目にする天日干しの「のうさば」は、冬の風物詩である。大晦日の前日あたりまでに漬けておき、正月におせち料理とともに食べる。味付けや調味液に漬ける時間は家庭の好みによりさまざまである。 + +## 飲食方法 +身を開いて内臓を取り除いたホシザメを屋外で紐に吊るし、乾燥した冷たい風に数週間当てて天日干しにする。食べる時期が近づくと、沸騰した湯にホシザメを浸して身を柔らかくする。その後水にさらしながら、金属たわしを使い硬い皮をこする。皮の感触がなめらかになったら、包丁やはさみを使い食べやすく短冊切りにし調味料を合わせた液に漬ける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (保存容器1個分) +- 干し小型サメ: 適量 +- 醤油: 200ml +- みりん: 45ml +- 酒: 30ml +- だし汁: 50~65ml +- 砂糖: 少量 +- 唐辛子: お好みで + +## 作り方 +1. 干し小型サメを100℃のたぎり湯に1~2分程度頭からつける。少し柔らかくなったら水にとり、水でさらしながら金属たわしで表面のガサガサのうろこをとる。 +2. 1を3~4cmほどの長さに切り、5mm幅に切って調味液に浸す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「福岡県の郷土料理」(著:中村学園大学名誉教授 楠 喜久枝、出版:同文書院) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_20_1.jpg)" +"# みとり饅頭 福岡県 + +**郷土料理名**: みとり饅頭 + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +北九州地域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、あん、重曹 + +## 歴史・由来・関連行事 +家庭でつくられてきた郷土菓子である。福岡県は小麦の生産が盛んで、生産面積は上位を誇る。昔から地域ごとに気候に合う品種を栽培し、小麦粉は身近な食材として用いられてきた。「みとり饅頭」は、重曹独特の香りやほのかな苦みが特徴。重曹を加えるため、蒸したときに生地が膨らみ、きれいな丸いまんじゅうになる。重曹の成分が炭酸ナトリウムであることから「炭酸まんじゅう」や「ソーダまんじゅう」とも呼ばれている。中のあんには、夏場に採れる「みとり豆(夏あずき)」を使う。「みとり」の名前の由来は、豆のさやを食べやすい実だけ食べることからきているといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +みとり豆を使った「みとりおこわ」「みとり饅頭」は今でもお盆につくられ、仏様にお供えしている。近所の親せきにもつくって配る風習も残っている。生産量も少ないため、そのほとんどが地元で消費されている。 + +## 飲食方法 +ボウルに水と砂糖を入れる。小麦粉と水に溶いた重曹を加え耳たぶ程度の硬さに混ぜ生地をつくる。生地をのばし等分する。あんも同じく等分して生地に包む。丸く形成したら蒸し器を使い蒸す。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (12個分) +- 小麦粉: 200g +- 砂糖: 70g +- 水: 70ml +- 【材料A】重層: 小さじ1 +- 【材料A】水: 小さじ1 +- 【みとりつぶしあん】みとり豆: 120g +- 【みとりつぶしあん】砂糖: 150g(豆の1.3倍) +- 【みとりつぶしあん】水飴: 10g +- 【みとりつぶしあん】塩: 少々 + +## 作り方 +1. 砂糖と水をボウルに入れて混ぜて、小麦粉、重曹を水で溶かしたものを入れて、耳たぶ位の固さの皮種をつくる。 +2. 小麦粉を広げたバットに移しもみこんで12個に広げ、あんも12等分して皮種で包み、腰高の丸形にして蒸す。(12~13分程度) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中村学園大学栄養科学部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_21_1.jpg)" +"# ゆずごしょう 福岡県 + +**郷土料理名**: ゆずごしょう + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +青こしょう、青柚子 + +## 歴史・由来・関連行事 +九州地方では一般的な調味料として親しみのある「ゆずごしょう」。発祥の地は諸説あり、福岡県の英彦山周辺もその一つといわれている。英彦山は修験山として知られ、多くの山伏たちが坊舎で暮らしていた。その山伏たちが、山に多く生息していた柚子を用いて、薬にしていたものがはじまりともいわれている。「ゆずごしょう」と呼ばれているが、一般的なこしょうは使われておらず、唐辛子が使われている。九州地方では唐辛子の事をこしょう呼ぶためだ。一般的なこしょうは洋胡椒として区別されている。こしょう(唐辛子)は青唐辛子を使うのが一般的だが、赤唐辛子を使う場合もある。一般的に緑色の物は辛味が強く、赤色の物は香りが強いため、好みによって使い分ける事もある。 + +## 食習の機会や時季 +柚子は秋冬になっていくにつれて徐々に黄色になり熟していくので、その前の青柚子を使う。青こしょうの旬は7月から9月頃までなのでちょうど青柚子と重なる。旬の時期にとれたものでつくったものを、小分けにし冷凍保存し年間を通して使われる。お鍋やうどんそうめん、お刺身の薬味として、そのほか多様な料理のアクセントとして人気がある。 + +## 飲食方法 +ミキサーなどで細かくした青こしょうと、みじん切りにした柚子に塩を入れて撹拌する。この時の塩加減が大切である。多く入れることで長く保存ができるようになり、青こしょうの緑色も安定するが、柚子の香りが抜けてしまう。少なければ青こしょうの退色が速まり色目が悪くなる。適量で混ぜ合わせたものをものを冷蔵保管すれば、きれいな緑色のまま次の季節まで保存でき、美味しくいただける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (青柚子10個分) +- 青こしょう: 150g +- 青い柚子の皮: 10個分(果皮100g程度、9月ころの柚子が良い) +- 塩: 1.5g + +## 作り方 +1. 青こしょうの、へたをとって水洗いし、水気をふきとる。若ければ種もそのままミキサーで粉砕する。 +2. 柚子は皮のところをきれいに包丁でとって荒みじん切りにしたものを、青こしょうの中に入れて、一緒にミキサーにかける。塩を入れてよく混ぜ合わす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中村学園大学栄養科学部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_22_1.jpg)" +"# あまぎのかわたけ 福岡県 + +**郷土料理名**: あまぎのかわたけ + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +朝倉市 + +## 主な使用食材 +かわたけ + +## 歴史・由来・関連行事 +かわたけ(川茸)は、福岡県朝倉市の黄金川でしか収穫できない貴重な天然淡水海苔。昔から高級珍味として扱われ、江戸時代には将軍へと献上されていた貴重品である。和名はスイゼンジノリと呼ばれ、良質の炭水化物、たんぱく質、ミネラルを含む貴重な自然食品として食べられてきた。しかし、時代とともに川の水質の悪化や水量の減少により収穫量は減り、現在、かわたけは絶滅危惧種に指定されている。黄金川は全長2kmほどの小さな川で、水深も大人の膝丈位ほど。地域の子どもたちの遊び場として、また、環境を学ぶ場としても貴重な役割を果たしている。かわたけを守ることは、この黄金川の自然を守る事でもあり、行政や県、地域の人たちによって川の保全活動などがおこなわれている。 + +## 食習の機会や時季 +収穫時期は1月から8月までだが、加工して販売されているため、年間を通して食べることができる。 + +## 飲食方法 +かわたけは三杯酢や甘酢をかけて食べたり、酢の物に入れて食べる。最近はフランス料理にも高級食材として使われている。ツルツルとした食感とクセのない味わいは、和洋中のさまざまな料理で活用できる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- かわたけ: 100g +- 【三林酢】酢: 10ml +- 【三林酢】みりん: 10ml +- 【三林酢】醤油: 10ml + +## 作り方 +1. 塩浸しのものは完全に塩出しをして湯熱をかける。乾燥(板状)ものは、いったん水に戻し、ひとゆで���たのち、好みに応じて切って使う。 +2. 三林酢で和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中村学園大学栄養科学部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_23_1.jpg)" +"# くつぞこの煮つけ 福岡県 + +**郷土料理名**: くつぞこの煮つけ + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +有明海沿岸地域 + +## 主な使用食材 +シタビラメ(くつぞこ) + +## 歴史・由来・関連行事 +九州4県に囲まれた有明海。海底は泥質で平均水深が20mほどと浅く、日本最大の干潟を有し、固有の生物も生息する恵み多き海である。多くの魚種が水揚げされるその中に、シタビラメがある。有明地方では、シタビラメの事を「くつぞこ」と呼んでいる。シタビラメは独特の姿をしており、体が扁平で細長くその姿かたちがまるで「くつぞこ」の様に見えることから、そう呼ばれるようになったという。地元では表皮が黒いものを「クロシタ」、赤っぽいものを「アカシタ」と呼んでいる。「クロシタ」の方が身が締まっており値段も高い。 + +## 食習の機会や時季 +種類によって旬が異なるので、1年を通し流通している。コウライアカシタビラメは冬から春までが旬で、産卵後の秋から徐々に味がよくなる。古くは煮つけや、干しものなどにされ庶民の惣菜魚として食べられていた。洋食文化が普及しはじめると、ムニエルなどで食されるようになり、和洋色々な用途で食べられるようになった。 + +## 飲食方法 +白身で素朴な味わいのあるシタビラメだが、皮に臭みがあるので、しょうが、山椒を入れる。有明地域では必ず酢水に浸けてぬめりをとりのぞく。下処理をきちんとしておくことで臭みも抜け、冷めても美味しくいただける。煮付け、から揚げにして食べることが多く、洋風料理ではムニエルが有名である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- くつぞこ(シタビラメ): 2尾 +- 醤油: 70ml +- ししとう: 6本 +- 【調味料A】砂糖: 20g +- 【調味料A】酒: 70ml +- 【調味料A】みりん: 20g +- 【調味料A】水: 150ml +- 【調味料A】しょうがしぼり汁: 15g +- 【調味料A】青山椒: 5g +- 鉢しょうが: 適量 +- 木の芽: 適量 + +## 作り方 +1. シタビラメは包丁でうろこをとり、エラと内臓をとって水洗いして酢水につけてぬめりをのぞく。 +2. 鍋に調味料Aを入れ強火にかけ、沸騰したらシタビラメ、しょうが、青山椒を入れる。落し蓋をし、鍋蓋をして中火よりやや強火で5分間位煮る。 +3. 鍋を傾けて煮汁をすくい、魚の上から4、5回かける。最後に種をとったししとうを入れて火を止める。ふきの青煮でもよい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中村学園大学栄養科学部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_24_1.jpg)" +"# えびざっこ 福岡県 + +**郷土料理名**: えびざっこ + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +豊前地域 + +## 主な使用食材 +地エビ、そうめん + +## 歴史・由来・関連行事 +豊かな恵みをもたらしてくれる豊前海。福岡県東部沿岸から大分県北部沿岸にかけて広がる周防灘に位置する内海性の海域で、海底は泥または砂泥となっており、潮の干満が大きく、沿岸域には広大な干潟が広がる。小型底びき網漁や、小型定置網漁が主な漁業方法となっており、カレイ類などの魚類や、エビ類・ガザミ類などの甲殻類が多く水揚げされる。シバエビによく似た皮の柔らかい小型のエビも、豊前海では多く水揚げされた。「えびざっこ」に使用される「エビ」は、特定の種類ではなく、アカエビ、サルエビ、トラエビなど数種類の小型のエビを使用する。地元では単に「ざっこ」とも呼ばれ、漁で獲れる雑多な小型なエビの総称として呼ばれている。たくさんとれる小型のエビを新鮮な状態で、さっと調理しいただく漁師のごちそうである。 + +## 食習の機会や時季 +数種類のエビからなるが、5月から10月頃までが旬となる。とれたて新鮮なものは刺身でも食べられ、ほんのり甘く美味しい。皮が柔らかいので、軽く小麦粉を付けてから揚げにしたり、衣を付けて天ぷらにする事も多い。新鮮なエビが手配できれば、簡単に調理できることもあり家庭の食卓や、来客者へ郷土の味として出される。 + +## 飲食方法 +新鮮な小型のエビを頭付きのまま、丸ごと薄い甘醤油でさっと煮る。���し大きめのエビはまるごと使う場合は、頭部と尾にある尖った部分を丁寧に取り除いたり、頭や殻をとってしまうと口当たりがよくなる。残った煮汁にゆでたそうめんを入れ、ひと煮立ちしていただくと、エビの旨味が移り美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 地エビ: 300g +- 醤油: 20ml +- 酒: 40ml +- 砂糖: 20g +- お好みでそうめん: 100g + +## 作り方 +1. エビは2、3回水洗いして、ざるに上げる。 +2. 鍋に酒を入れて強火にかけ、沸騰してから醤油、砂糖を加え、1のエビを殻つきのまま入れ強火で煮る。 +3. 殻が赤くなり、身がばちっとはじけたらすぐ皿に盛る。残りの煮汁でゆでたそうめんをひと煮して食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中村学園大学栄養科学部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_25_1.jpg)" +"# べたもち 福岡県 + +**郷土料理名**: べたもち + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +豊前地区 + +## 主な使用食材 +小麦粉、きな粉、小豆の粒あん + +## 歴史・由来・関連行事 +小麦生産量が多い福岡県では、昔から多くの農家で稲作のほかに小麦の栽培がおこなわれていた。小麦はそれぞれの家庭で粉にして、だんごなどをつくり農作業中のおやつにしたり、来客のおもてなしなどとして食べられ、さなぼりの時には必ずつくられている。「さなぼり」とは、田の神様が田植えを見届けて、天にのぼることから「さのぼり(田の神(さ)昇り)」といわれ、それがなまって「さなぼり」となったといわれている。一大行事の田植えが無事に終わった事を田の神に感謝し、田植えに参加した人たちをねぎらい、宴を催しごちそうを並べ秋の豊作を願う、農家にとって大切な行事の中で今へと伝えられている。べたもちの「べた」とは、豊前海でとれる魚、「ベタ」から由来している。豊前市あたりでは舌平目の事を「ベタ」と呼んで親しまれており、地元ではよく食べられる魚である。シタビラメのような扁平な形に似せて、平らにぺたんとしたかたちにつくるので、この地域では舌平目の「ベタ」から連想され、「べたもち」と呼ぶようになったといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +家庭においてのおやつなどとして、通年食べられる。地域によってアレンジが見られ、さつまいもなどを生地に練り込んでつくる地域もある。 + +## 飲食方法 +昔ながらの食べ方は、砂糖を入れたたっぷりのきな粉をまぶしていただくか、少しゆるめにした小豆の粒あんでいただく。最近ではそえるトッピングにこだわったり、おもちスイーツとして扱うお店も出てきている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 小麦粉: 200g +- 水: 100ml +- 塩: 2g +- きな粉: 100g +- 砂糖: 50g +- 塩: 1g +- 白ごま: 適宜(お好みで) + +## 作り方 +1. ボウルに小麦粉、水、塩を入れて耳たぶ状に粉をまとめる。 +2. めん棒で1cm厚さにのばし、3cm×4cmのひし形に切る。 +3. たっぷりのお湯の中に入れて、そうめんの要領で煮あげてざるにとる。 +4. 少し水気があるうちに、砂糖・塩を入れたきな粉の中に付けてまぶす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中村学園大学栄養科学部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_26_1.jpg)" +"# 柳川なべ 福岡県 + +**郷土料理名**: 柳川なべ + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +筑後地方(柳川市) + +## 主な使用食材 +ドジョウ、ごぼう、卵 + +## 歴史・由来・関連行事 +筑後地方の南西部に位置する柳川市は、ほぼ全域が筑紫平野に含まれており、平坦な土地柄である。古くは湿地帯であったが、掘割(水路)を掘ることによって、土地の水はけを良くし生活用水の確保をしてきた。市内を縦横に流れる掘割から「水の都」とも呼ばれている。柳川市の名物料理の一つにドジョウを使った「柳川なべ」がある。古くからこの地域ではウナギ、ドジョウが食べられていた。ドジョウはウナギに劣らない滋養があり、しかも値段も手頃である事から庶民に好まれていた。春から初夏がドジョウの旬になる。暑い夏を元気にすごすための料理だったともいう。「柳川なべ」はドジョウを丁寧に下処理し、ごぼうなどとともに煮込み、卵でとじる料理で、「どぜう鍋」とは別物として扱われる事が多い。 + +## ��習の機会や時季 +使うドジョウは活きドジョウがよいとされる。近年では養殖や冷凍ものが流通し、年間を通して食べることができるようになった。冬に向けてドジョウは田んぼに潜って越冬するため、その直前の頃の物は特に脂がのって美味しいという。 + +## 飲食方法 +ドジョウは小さく表面にぬめり、小骨が多いので下ごしらえはしっかりとしなければならい。さばいて開いたドジョウの小骨を丁寧にとることで口当たりが良くなる。土鍋にアク抜きごぼう、しいたけを入れ、その上に開いたどじょうを放射線状に並べ、割下を入れ一煮立ちしたのち、溶き卵を入れ、最後に薬味を添える。柔らかなドジョウの身とふんわりとした卵、甘辛い味わいが三位一体となり、ごはんにもお酒にも合う一品となる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- ドジョウ: 4匹前後(入手できない場合はアナゴ100g) +- ごぼう: 100g +- 生しいたけ: 4枚 +- 三つ葉: 20g +- 卵: 2個 +- 粉山椒: 適宜 +- 【調味料A】だし汁: 200ml +- 【調味料A】みりん: 50ml +- 【調味料A】薄口醤油: 50ml +- 【調味料A】酒: 30ml + +## 作り方 +1. ドジョウを開いてくさみをとりのぞき、醤油、みりん、砂糖を合わせたタレの中に入れ、一煮立ちさせる。 +2. 浅底の土鍋にアク抜きをしたささがきごぼう、薄切のしいたけを敷き、その上にドジョウをきれいに並べ、煮汁を加える。 +3. 一炊きした後で、卵を溶いて流し、三つ葉を散らし、半熟卵の状態で火を止め、余熱で仕上げる。 +4. 好みによって、粉山椒を少々かける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中村学園大学栄養科学部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_27_1.jpg)" +"# やまごんにゃくの刺身 福岡県 + +**郷土料理名**: やまごんにゃくの刺身 + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +筑後地域(八女市) + +## 主な使用食材 +山ごんにゃく、わさび醤油、酢味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +こんにゃくの歴史は古く、鎌倉時代には貴族や僧侶など身分の高い人たちの間で薬や間食として食され、室町時代になると道端で売り歩く商人がでるほど、庶民の間でも広く食べられるようになった。安土桃山時代には織田信長が赤こんにゃくをつくらせたという逸話も残っている。現在のこんにゃく製法の基礎は、1776年に水戸藩で生まれた。こんにゃく芋を切って乾燥させ、それを粉にしたものからつくるため、こんにゃくは年中食べられる食材となった。当時この製法は水戸藩で秘匿とされ、藩の財源を潤す一翼を担っていたという。こんにゃく芋の栽培には、山間の傾斜地などが良いとされ、八女市北部の山間地などで栽培がされるようになった。このあたりでは、こんにゃく玉のことを「鬼頭」ともよぶ。普通は3年間から4年ほど成長させ、それを収穫し加工する。加工は、昔ながらの直接芋から加工する方法で、その産地ごとの芋の味や香りを残し風味よく、弾力があり歯ざわさりがよくなり、でんがくや刺身で食べることが多い。一方、芋から精製されたこんにゃく粉からつくられるものは、風味は薄いがクセがなく、通年でつくられることもあり現在の主流となっている。 + +## 食習の機会や時季 +年間を通して食卓にあがり、刺身のほか白あえ、でんがく、煮物などの料理の脇役として重宝されている。 + +## 飲食方法 +こんにゃくは昔から、「腹の中の砂払い」があると考えられ整腸効果のある薬として食べられていた。最近では食物繊維を含み低カロリーの食品として注目され、摂取カロリーの制限をする必要のある場合の食品素材としても、よく利用されるようになった。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 山ごんにゃく: 1丁 +- わさび醤油: 適宜 +- 【酢味噌】酢: 20ml(お好みで) +- 【酢味噌】味噌: 40g(お好みで) +- 【酢味噌】みりん: 20g(お好みで) +- 【酢味噌】練りがらし: 5g(お好みで) + +## 作り方 +1. 山ごんにゃくは塩でもみ、塊のまま一度湯がいてアク抜きをする。 +2. フグ造りのように薄切りにして皿に並べ、わさび醤油か酢味噌で食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中村学園大学栄養科学部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_28_1.jpg)" +"# エツの南蛮漬け 福岡県 + +**郷土料理名**: エツの南蛮漬け + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +筑後地区 + +## 主な使用食材 +エツ + +## 歴史・由来・関連行事 +日本では、有明海へと流れ込む筑後川河口域一帯にしか生息していない「幻の魚」とも呼ばれるエツ。カタクチイワシ科の魚で、3年ほどで30cm程の大きさまで成長する。稚魚は5cm前後になるまで河川にとどまり、その後、海水域に移動する。5月から7月頃にかけて、成魚は産卵のため筑後川などを遡上する。この短い期間だけが解禁期間となり漁がおこなわれる。漁法は流し網漁で、天候や水温に敏感な魚なので、南風が吹く暖かい日に、漁師はこぞって船を出す。網にかかったエツは一跳ねすると銀鱗をふるわせながら息絶えてしまう。まさに美人薄命、「幻の魚」といわれる所以であろう。エツ漁解禁中におこなわれる、「えつ狩り船」は屋形船の上でエツ漁を間近で眺め、とれたてのエツ料理を楽しむ舟遊びとして、大川市の夏の風物詩として好評をうけている。 + +## 食習の機会や時季 +5月から7月までの解禁期間にのみ市場に出回る。この時期のエツは産卵前でもあり、脂がのっていてとても美味しい。市場に出回らない小型のエツは直売所などで販売され、唐揚げや南蛮漬けなどに調理され家庭の食卓にあがる。 + +## 飲食方法 +鱗はとれやすい。非常に小骨が多い魚なので細かく包丁目を入れて骨切りし処理する。当歳魚(とうさいぎょ/その年に生まれた魚)は、地元では「エツ子」と呼ばれ、成魚より骨が柔らかいので唐揚げにして食べられる事が多い。刺身、塩焼き、唐揚げ、煮付け、南蛮漬け、すしなど多彩な料理で楽しむことができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- エツ: 8尾 +- 片栗粉: 適量 +- 【漬け汁】醤油: 60ml +- 【漬け汁】酢: 60ml +- 【漬け汁】みりん: 40ml +- 【漬け汁】酒: 20ml +- 【漬け込み野菜】たまねぎ: 120g(大1/2個) +- 【漬け込み野菜】人参: 60g +- 【漬け込み野菜】ピーマン: 30g(1個) +- 【漬け込み野菜】赤唐辛子: 2本 + +## 作り方 +1. 漬け汁は合わせてひと煮たてする。 +2. たまねぎ、人参、ピーマンは千切りにする。 +3. エツは内臓をとり、両面に1mm間隔で包丁目を入れて骨を切り落とし、片栗粉をまぶしてからりと揚げる。 +4. 揚げたての熱いものを漬け汁に野菜とともに漬け込む。辛味に赤唐辛子を入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中村学園大学栄養科学部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_29_1.jpg)" +"# かます寿司 福岡県 + +**郷土料理名**: かます寿司 + +**都道府県**: 福岡県 + +## 主な伝承地域 +筑後地域(久留米市) + +## 主な使用食材 +カマス + +## 歴史・由来・関連行事 +筑後国一の宮である高良大社でおこなわれる、高良大社例大祭(高良山くんち)は、重陽のお祝いと秋の収穫祭が結びついたお祭りである。「重陽」とは旧暦の9月9日のことで、吉日とされ「菊の節句」としても知られている。高良山くんちは江戸時代より久留米藩主の参拝があった由緒あるお祭りで、筑紫平野の人々の秋一番の楽しみであり、多くの参拝者が訪れる。参道の両側には「かます寿司」と栗入り赤飯を売る露店で賑わったという。また、菅原道真公を祀る北野天満宮でも秋季大祭(北野くんち)が催される。秋の収穫際に結びついていることもあり、村人たちは感謝をこめて新米を新しい叺(かます)にいっぱい入れて神社に奉納した。叺(かます)とは、わらで編んだむしろで二つ折りにして、縄で結んで使用していた当時の袋。ちょうどこの時期、カマスは旬に入り脂肪がのって美味しくいただける。奉納に使われる叺と魚のカマスの言葉の語呂から、いつの頃からか農民の信仰的なものとなって受け継がれ、秋祭りには「かます寿司」をつくるようになった。 + +## 食習の機会や時季 +高良山くんち、北野くんちのごちそうの一つで食べられることはもとより、カマスが旬を迎える9月、10月に食べられる。縁起ものでもあり、旬を迎えるこの時期には家庭でもつくり食べられている。 + +## 飲食方法 +下ごしらえとして、酢に浸す前に塩をふり塩じめをする。塩じめをすることで程よく身がしまり、魚臭さをやわらげる事ができる。2、3時間しめた後、水洗いをして水気を切り、甘��につける。身にすし飯を詰めラップで巻き、1時間くらいおいて出来上がり。お好みとして、わさびなどをぬったり、甘酢しょうが、しそを挟んでも美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 新鮮なカマス: 2尾(1尾300~400g) +- 塩: 120g +- すし飯: 700g +- 昆布: 1枚 +- 【調味料A(甘酢)】酢: 200ml +- 【調味料A(甘酢)】みりん: 60ml +- 【調味料A(甘酢)】赤唐辛子: 1本 +- ハラン(飾り): 適量 + +## 作り方 +1. カマスはうろこをとり、背から開き内臓、エラ、中骨と腹骨をとる(3枚おろしにして身だけ使っても良い)、身の両面に塩をぬりつけるようにして冷蔵庫で2、3時間しめる。調味料Aを合わせて混ぜる。 +2. 1を水洗いして塩を落とし、水気を切って甘酢に20分つけ、小骨をとる。 +3. 2の身の方にすし飯をつめ、ラップで巻き1時間位おいて一口大に切り、盛り付ける。好みでカマスの身にわさびをぬったり、しそや甘酢しょうがの千切りを挟んでも良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 中村学園大学栄養科学部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_30_1.jpg)" +"# ふなんこぐい 佐賀県 + +**郷土料理名**: ふなんこぐい + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +鹿島市、全域 + +## 主な使用食材 +フナ + +## 歴史・由来・関連行事 +干満の差が約6mあり、干潮時には沖合の5~7mにわたって干潟が広がる有明海。珍しい姿形の魚や貝などが獲れるが、冬の閑漁期になると代わりのタンパク源が必要であった。そんな、冬の間のタンパク源として重宝されたのが、川魚のフナだ。佐賀県内で獲れる淡水魚では代表的で、河川のほか、白石や佐賀平野のクリークでよく獲れる。特に農家では、秋に掘り干しをする際田んぼの水を抜くときにフナを捕まえ、長期保存できるように干していた。そんなフナを使った郷土料理で有名なのが、「ふなんこぐい」だ。「鮒のこぐい」とも呼ばれるこの料理は、昆布で巻いたフナをダイコンなどの季節野菜と一緒にじっくり煮込んだもので、姿のまま骨まで食べられるようにやわらかく仕上げる。生臭さがなく独特の風味があるので、郷土食として愛されている。佐賀県全域でハレの日に必ず振る舞われ、家庭で作るときは、大鍋にたくさん作り近隣にも配るのが習わしだ。また、鹿島市では、1月20日の二十日正月になると恵比寿様に「ふなんこぐい」をお供えし、豊漁や商売繁盛、家内安全を祈願する風習がある。「恵比寿様に供えるタイは上等すぎて一般庶民に手が届かなかったため、形のよく似たフナで間に合わせようとした」や「冬に有明海で獲れない魚類の変わりにフナが使われた」などの説が伝わっている。また、二十日正月には「ふなんこぐい」の材料を売る「ふな市」が300年以上前から行われており、生きた新鮮なフナが販売される。 + +## 食習の機会や時季 +佐賀県全域ではハレの日に振る舞われているほか、おくんちなどでも食べられている。また、発祥の鹿島市では、二十日正月に恵比寿様にお供えしている。 + +## 飲食方法 +味噌をさらし袋に入れてつり下げ、自然にこして、すめ汁をとる。十分に砂を落とし洗った昆布で、フナを巻く。このとききっちりと締めて巻き、かんぴょうで結ぶ。大きめに切ったダイコンやこんにゃく、レンコン、ゴボウを鍋に入れ、ひと煮立ちさせたら、その上に昆布で巻いたフナを並べ、すめ汁、水あめ、砂糖や醤油などの調味料を入れ、強火で10時間くらい煮込む。フナが常に水に被っている状態になるように注意する。すめ汁は、古味噌や赤味噌からとるとおいしくなり、また、味噌を袋に入れたまま具材と煮込む方法もある。焦げないように、鍋底に藁やこんにゃくを入れても良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10~15人分) +- フナ: 330g(中2尾) +- 昆布: 100g +- ダイコン: 130g +- こんにゃく: 110g(1/2枚) +- レンコン: 65g +- ゴボウ: 65g(1本) +- 赤味噌: 100g +- 黒砂糖: 100g +- 白砂糖: 50g +- 醤油: 大さじ2 +- 水あめ: 65g + +## 作り方 +1. 赤味噌(分量外)を袋でこしてすめ汁を作る。味噌をさらし袋に入れてつり下げておき、汁を自然にしぼりとる採取法で、これが「すめ」と呼ばれる。 +2. 昆布は砂をおとしてきれいに洗う。 +3. フナを昆布で巻く。きっちりと締めて巻き、かんぴょう(分量外)で結ぶ。 +4. 大きめに切ったダイコン、こんにゃく、レンコン、ゴボウを鍋に入れて、その上に3を並べ、1のすめ汁、調味料を入れ、弱火で10時間くらい煮込む。 +5. 鍋の中の汁が常に十分上まであがるように、汁が減ったらすめ汁をたっぷりさして煮込む。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : おどんが町の郷土料理 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_1_1.jpg)" +"# いかのかけ和え 佐賀県 + +**郷土料理名**: いかのかけ和え + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +イカ、野菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +全国各地にあり「おろしなます」「かきあえ」「ぬたあえ」と呼ばれる、魚介類とダイコンやワカメなどを和えた料理。佐賀県では「かけ和え」「かけやぁ」と呼び、日常的なおかずのひとつとして年間で食べられている。一方、お祭りなどのハレの日や田植えや収穫などの人がたくさん集まる時に欠かせない料理で、普段粗食の分、「お祭りの時だけでもいろいろな料理を」と振る舞われる料理のひとつでもあった。使う魚介類は、各家庭や季節、地域によって異なり、例えば有明海や玄界灘に近い地域ではイワシやサバ、アジ、堀やクリークの多い場所ではフナを使うこともある。特に脂がのったサバが水揚げされるようになる季節は、秋祭り頃のため、秋祭りにはサバを使うことがよくあった。青魚を使う時は三枚おろしや手開きにして、軽く塩を振ってから酢洗いし、生のまま酢漬けにして用いる。また、イカやクジラなどを使うこともある。「かけ和え」によく使われるダイコンは霜が降りる季節に甘くなるため、その時期は噛むほどに味わいが口に広がり、よりおいしい「かけ和え」がいただける。 + +## 食習の機会や時季 +日常食として年間通して食べられるほか、人が集まる集会などでよく振る舞われている。また、神祭りの行事食としても作られており、とくに秋祭りの季節はサバがもっともおいしい季節のため、酢でしめたサバを使うことがよくある。 + +## 飲食方法 +白ゴマはフライパンでよく炒ってから、ゴマの油が出るまで丁寧にすり鉢でする。イカはワタを取り除き熱湯でサッと湯通ししてから、短冊切りにする。ダイコン、ニンジンも短冊に切り、塩もみしておく。すりゴマに白味噌、砂糖、酢を順番に加えてさらにする。イカや野菜などの材料と合わせ完成。酢味噌の中に柚子胡椒や生姜を入れるアレンジもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- イカ: 100g +- ダイコン: 150g +- キュウリ: 100g +- ニンジン: 20g +- 塩もみの塩: 適量 +- 白ゴマ(いり): 大さじ1 +- 味噌: 大さじ1 +- 砂糖: 大さじ1 +- 酢: 大さじ1 + +## 作り方 +1. イカはワタをとって、茹でて短冊に切る。 +2. ダイコン、キュウリ、ニンジンは1cm幅の短冊切りにし、塩でもむ。 +3. すり鉢でゴマをよくすり、味噌、砂糖、酢の順に加え、ていねいにすり混ぜ、1と2を和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : すこやか食卓・さが + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_2_1.jpg)" +"# にいもじ 佐賀県 + +**郷土料理名**: にいもじ + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +ミズイモ + +## 歴史・由来・関連行事 +年間を通して穏やかな気候の佐賀県も、夏になると連日30度前後と暑くなる。そんな時に重宝されているのが「にいもじ」「いもじの酢の物」と呼ばれる、ミズイモの酢の物だ。ミズイモの皮をむいて二杯酢や三杯酢で漬ける料理で、夏の日常食として日頃から食べられており、“佐賀の夏の味”として地元では愛されている。冷蔵庫で1週間ほど保存できることから常備菜としての側面があるが、お盆のお供えものや、お祭りでお客を接待する時に副菜として提供されることもある。夏に食べられるため、よく冷やして食されることが多く、ミズイモのシャキシャキとした食感を残すことが定番。作る人や食べる人の好みによってやわらかくゆでることもある。酸味や甘みなどが家庭によって異なり、それぞれの“我が家の味”が作られ、受け継がれている。 + +## 食習の機会や時季 +「にいもじ」のメインとなるミズイモは7月から霜が降りる前までの季節がおいしく食べられる。また、「にいもじ」は冷やして食べるとおいしいことから、暑さで食欲の落ちる夏に食べられることが多い。お盆やお祭りなどでお客を接待する時には、副菜として提供されることが多い。 + +## 飲食方法 +ミズイモは皮をむき、4cmくらいの長さに切り、水にさらしてあくを抜く。ほうろう鍋に酢、砂糖、輪切りにした唐辛子を入れ、ひと煮立ちしたらミズイモを入れてさっと煮る。煮すぎると歯ざわりが悪くなるので注意する。ショウガの千切りを天盛りしてできあがり。干しずいきを使う時はもみながら水で戻し、酢を加えてゆでて水にさらしてから調理する。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ミズイモ: 200g +- 【調味料A】酢: 1カップ +- 【調味料A】砂糖: 大さじ6 +- 【調味料A】塩: 少々 +- 【調味料A】唐辛子: 少々 +- ショウガ: 少々 + +## 作り方 +1. ミズイモは皮をむき、4cmの長さに切り、水にさらしておく。 +2. 鍋に調味料Aを混ぜた合わせ酢を入れ、ひと煮立ちさせたら、1を入れてさっと煮る。煮すぎると歯ざわりが悪くなるので注意する。 +3. 皿に盛ったらショウガのせん切りを天盛りにする。しっかりと冷やしても良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 佐賀の食郷土料理 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_3_1.jpg)" +"# だぶ 佐賀県 + +**郷土料理名**: だぶ + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +浜玉町、唐津市 + +## 主な使用食材 +野菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +佐賀県から福岡県にまたがって伝承されている「だぶ」は、鶏肉と季節の野菜を入れて作る郷土料理である。煮くずれしやすい食材は使わずに、水をたくさん入れて「ざぶざぶ」に仕上げることから、“ざぶ”が訛って「だぶ」と呼ばれるようになった。冠婚葬祭などの客を招待する場面で振る舞われる料理で、慶弔によって材料や切り方に違いが生まれる。唐津エリアでは具材はすべて短冊切りにするのがポピュラーだが、仏事はこんにゃくを三角に切る。また、冠婚葬祭ではレンコンや干しシイタケ、こんにゃく、きくらげ、凍りこんにゃく、鶏肉などを使用するほか、慶事の時は玉麩を入れる。特に浜玉地区ではとろみをつけずに仕上げる。他地域でも、結婚やお祝い事などの慶事には具材は四角に切り、花麩を使用。また、味付けには砂糖を使わない人もいる。反対に弔事では、具材は三角に切り、砂糖を使用。各家庭によって味付けは異なるが、かつては、隣近所など、集落の人が集まり、一度にたくさんの量を共同で作っていたという。 + +## 食習の機会や時季 +各家庭の冠婚葬祭などの時に、隣近所の人々が集まり作る。また、客を招待する時には必ず作られ、昔から伝わる料理として今でも受け継がれている。 + +## 飲食方法 +ダイコンやこんにゃく、ゴボウ、ニンジン、サトイモ、焼き豆腐などの具材は1センチの角切りにし、下処理をしておく。だしに入れやわらかく煮、塩や薄口醤油で味をつける。手まり麩、ギンナンを加え、片栗粉でとろみをつけて完成。薄味でさらっと仕上げると、温かくても冷めてもおいしく食べられる。鶏肉の代わりに白身魚を使う地域もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鶏肉: 180g +- 厚揚げ: 1/2丁 +- かまぼこ: 1本 +- レンコン: 中1/2本 +- サトイモ: 中4個 +- ゴボウ: 1/3本 +- 凍りこんにゃく: 5枚 +- ニンジン: 1/6本 +- 麩(生): 小5個 +- 干しシイタケ: 中5個 +- だし汁: 6カップ +- 砂糖: 大さじ2 +- 薄口醤油: 大さじ4 +- 酒: 大さじ4 +- 塩: 小さじ2/3 + +## 作り方 +1. 鶏肉は1cm角に切る。他の材料も1cm角に切る。ゴボウはささがきにする。凍りこんにゃくはもどして細いせん切りにする。 +2. こんぶ、いりこでだしをとり、鶏肉、他の材料を入れ、火が通ったら、うす味に調味する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : すこやか食卓・さが + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_4_1.jpg)" +"# お茶がい/茶がゆ 佐賀県 + +**郷土料理名**: お茶がい/茶がゆ + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +佐賀市、小城市、神埼市 + +## 主な使用食材 +ご飯 + +## 歴史・由来・関連行事 +お茶でご飯を炊いたかゆ「お茶がい」「お茶がゆ」。幕末時代、財政難に悩んだ佐賀藩第十��藩主鍋島直正が、「御飯粒ひとつも無駄にしてはならない」と質素倹約令を通達し、米の節約術として生まれたと言われている。特に使用人と居住をともにしていた商家では、前夜の冷やご飯と出がらしのお茶、粉茶を使った茶がゆを朝食に出し、多数の使用人をまかなっていたという。その後、有明海沿岸地域を中心に食習慣として根付き、戦後間もなくまでは日常食として家庭でも食べられていた。しかし、経済の高度成長とともに家庭で作られることは減っていったそう。現在は、県内の宿の朝食などで味わうことができる。特に長崎街道の宿場町として栄えた嬉野では、旅の疲れを癒やす“温泉”と“嬉野茶”が古くから有名であった。嬉野ではそんな嬉野茶を使い、「お茶がい」を作っている。「お茶がい」は白がゆと違い、茶の味が染み込んだ素朴な味わいとさっぱりとした後味が特徴で、お茶の作用で粘り気がなく、さらりと仕上がる。夏は冷やして食べるのもおすすめだ。季節によっては、サツマイモを入れて「芋がゆ」にすることもある。 + +## 食習の機会や時季 +日常的に食べられる料理で、特に商家では使用人の朝食としてよく提供されていた。 + +## 飲食方法 +米は洗ってざるに上げておく。水を沸騰させたら番茶を加え、茶汁を作る。茶汁に米を加え加熱し、沸騰したら吹きこぼれないように煮る。湯に冷やご飯と袋に入れた茶葉を加えて煮込む方法もある。また、皮をむき角切りにしたサツマイモを入れて、かさを増やすこともある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 200g +- 番茶: 20g +- 水: 1,600ml + +## 作り方 +1. 米は洗って、ざるにあげておく。 +2. 分量の水を沸騰させ、番茶を加え、約2分加熱して茶汁を作る。(茶は、袋に入れるよりも、茶葉をそのまま炊き出した方が、粥の粘り方が少なく、風味がでる。)そのうち、200mlの茶汁はとっておき、でき上がりが硬いようであれば、好みで仕上げに加える。 +3. 2の茶汁に米を加え、沸騰したら、ふきこぼれないように煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 佐賀の長寿メニュー + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_5_1.jpg)" +"# 須古ずし 佐賀県 + +**郷土料理名**: 須古ずし + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +白石町 + +## 主な使用食材 +米 + +## 歴史・由来・関連行事 +有明海に面している白石町は、山や平野、海、川と自然が豊富。特に白石平野は、中世から現代までの間に度重なる干拓事業によって造成された土地で、米や麦、野菜などの農業好適地帯だ。中でも米は、古くから長年品質改良に努めてきたという。伝承によれば、500年以上前、白石町須古地区の領主は、領内の農民のことをとても大切にしており、米の品質改良に尽力している。その甲斐あって、「すし米」「酒造米」として全国で名声を博すほどの評判になった。そんな領主の愛情に感謝し、領民たちは地元で取れた海の幸、山の幸を使ってすしを作り、献上したと言われている。そのすしは、「須古ずし」と呼ばれ、母から子へ、子から孫へと脈々と受け継がれている、現在もお祝い事では欠かせない逸品だ。箱ずしのスタイルが特徴的で、地元のさまざまな具材がのった素朴な味わいが楽しめる。本来はムツゴロウのかば焼きを具材に使うが、近年はムツゴロウが手に入りにくいため、エビやコノシロなどで代用することもある。 + +## 食習の機会や時季 +白石町須古地区では、祭りの時や地元の寺院・日輪山水堂安福寺にお参りに来た人、嫁いだ娘の里帰りを歓迎するご馳走として振る舞われていた。現在でも地元の祭りや、祝い事の際に客人に提供する、この土地の自慢の料理である。 + +## 飲食方法 +米は塩や根昆布を入れて炊く。炊いた米に合わせ酢を加えて混ぜ合わせ、「もろふた」と呼ばれる木箱に詰める。四角形に切り目を入れ、タケノコや奈良漬、ムツゴロウのかば焼き、錦糸卵、甘辛く煮たシイタケ・ゴボウ・ニンジンなどのそれぞれの具材をこんもりとのせる。三つ葉や紅ショウガのみじん切りを飾り完成。ムツゴロウのかば焼きの代わりに、鰻やエビを使っても良い。ヘラを使って切り分ける。具材は季節や家庭によって異なるが、有明海の海の幸、山の幸がふんだんに使われる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (もろふた1枚分) +- うるち米: 5合 +- もち米: 0.5合 +- 塩: 小さじ2/3 +- 【合わせ酢】砂糖: 60g +- 【合わせ酢】酢: 1/2カップ +- 【合わせ酢】塩: 小さじ1 +- ムツゴロウ(かば焼き): 5尾 +- ゴボウ: 30g +- ニンジン: 30g +- シイタケ(乾): 5枚 +- 【A】シイタケもどし汁: 1カップ +- 【A】砂糖: 大さじ2 +- 【A】酒: 大さじ1 +- 【A】醤油: 大さじ2 +- 卵: 3個 +- かまぼこ: 1本 +- サヤエンドウ: 適宜 +- 奈良漬: 1/3枚 +- 紅ショウガ: 適宜 + +## 作り方 +1. 米はといで、塩を入れて普通に炊く。 +2. 合わせ酢を作る。 +3. ムツゴロウは身をきれいにはずし半分に切る。 +4. シイタケは水でもどしてせん切り、ゴボウ、ニンジンは短めのうすいささがきにする。 +5. シイタケを【A】の調味料で甘辛く煮て取り出し、さらに同じ煮汁でゴボウ、ニンジンを煮る。 +6. 卵は薄焼きにして錦糸卵にする。かまぼこは蒸して18枚のいちょう切りにする。サヤエンドウはゆで、ななめ細切り、奈良漬、紅ショウガは粗いみじん切りにする。 +7. 炊きあがったご飯をもろふたに移し、合わせ酢をかけ、切るように混ぜ、丁寧に広げ軽く平均におさえる。縦6、横3等分に切り、上に具をのせ飾る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 佐賀の食郷土料理 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_6_1.jpg)" +"# のっぺ汁 佐賀県 + +**郷土料理名**: のっぺ汁 + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +揚げ豆腐、野菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +「のっぺ汁」は、佐賀県の家庭で伝わる汁物で、「のっぺい汁」や「ぬっぺい汁」と呼ばれることもある。“のっぺ”や“のっぺい”とは、片栗粉で汁にとろりとした濃度をつけていることを意味し、そのとろみとサトイモやゴボウなどの根菜がたくさん入っているのが特徴。日常的な食事に、特に冬、体を温める一品として食べられていた。また、人が集まる日にもよく食べられており、行事によって入れる具材が異なる。例えば、お祝いには鶏肉、結婚などのおめでたい日にはあずき、供養の席では肉を入れずに花麩など。野菜など具だくさんで醤油、塩などによる味付けは変わらない。 + +## 食習の機会や時季 +冬の寒い時に体を温める汁物として日常的に食べられているほか、冠婚葬祭でも食される。仏事にはしいたけとごぼうを味だしとして入れ、祝いの時には鶏肉を入れる。また、結婚式などめでたい席ではあずきを入れることもある。 + +## 飲食方法 +サトイモやサツマイモ、ゴボウ、レンコンなどの野菜をさいの目に切り、さっとゆでておく。鶏肉やかまぼこ、ちくわなどの具材もさいの目に切る。だしで材料を煮て、火が通ったら塩や醤油で味を調え、水溶き片栗粉でとろみをつける。だしは昆布、鶏ガラ、干しシイタケなどを使い、揚げ豆腐のしめ汁(豆腐を炊いたあとの煮しめた汁)や、酒・みりんなどを入れて煮込んでも良い。彩りをよくするために豆麩を入れたり、青色を補うためにグリンピースを散らしたりすることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 揚げ豆腐: 300g (1丁) +- サトイモ: 200g(4個) +- ニンジン: 100g(1本) +- ゴボウ: 100g(中1本) +- ダイコン: 70g(1/10本) +- レンコン: 70g +- こんにゃく: 70g(1/3枚) +- 干ししいたけ: 6g(中3枚) +- 片栗粉: 大さじ1 +- だし汁: カップ5 +- 塩: 小さじ1 +- 醤油: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 揚げ豆腐、サトイモ、ニンジン、ゴボウ、ダイコン、レンコン、こんにゃくは乱切りにする。干しシイタケは水で戻して、いちょう切りにする。 +2. ゴボウ、レンコン、こんにゃくは下ゆでをする。 +3. 1の材料を深めの鍋に入れ、だし汁を加えて、やわらかくなるまで煮る。 +4. 塩・醤油で味をととのえ、仕上げに水溶き片栗粉を入れて、とろみをつける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : おどんが町の郷土料理 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_7_1.jpg)" +"# 煮ごみ 佐賀県 + +**郷土料理名**: 煮ごみ + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +野菜、鶏肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +佐賀県をはじめとする九州北部に伝わるくんち。おくんちとも呼ばれ、新米を氏神様に捧げて五穀豊穣を天地の神々に感謝する秋祭りだ。伊万里市伊万里町でも毎年10月にくんちは行われ、神輿とだんじりが組み合う、いわゆるけんか祭り。太鼓の音から“伊万里トンテントン”と呼ばれており、供日料理には「栗おこわ」と「煮ごみ」が欠かせない。「にごみ」は、鶏肉や小豆、栗と一緒にレンコンやゴボウ、ダイコンなどの根菜類を砂糖や醤油などの調味料で味を含ませながら煮込む料理である。「煮じゃあ」「煮じゃー」とも呼ばれ、野菜のもっている素朴な味わいと、栄養のバランスの良さが魅力だ。もともとは煮しめを作った後の残りの材料と、栗おこわに入れる栗と小豆、小豆のゆで汁を無駄にしないために作られていたと伝わっている。くんちの前日の夜のうちにたくさん作っておき、その後2~3日は温めて少しずつ食べられていたという。 + +## 食習の機会や時季 +秋祭りのくんちで、親戚縁者を招いた際に赤飯や甘酒とともに振る舞い、食べる習慣がある。祝いや祭り事に招いた客へ提供するものはきれいに形が整った材料を使い、家族の食べる分は残りや切りくずなどの形の悪いものを活用していたと言われている。 + +## 飲食方法 +鶏もも肉を2cm角くらいの大きさに切り、サトイモ、ニンジン、ゴボウ、レンコンも同サイズの乱切りにする。こんにゃくは下ゆでして手でちぎる。小豆はゆで、一度ゆで汁を捨てたら再び水を足し、やわらかくなるまで茹でる。鍋に出汁を入れ、切っておいた野菜や肉、こんにゃく、むいた栗を加えてさらに煮る。火が通ったら小豆、小豆のゆで汁を加え、醤油や酒、砂糖を加えて味を調える。鶏肉の代わりに魚介類やだんごを入れることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鶏もも肉: 60g +- サトイモ、栗(甘露煮でもよい): 各120g +- 小豆: 60g +- ニンジン: 50g +- ゴボウ、レンコン、こんにゃく: 各40g +- 【A】醤油: 小さじ4 +- 【A】酒: 小さじ4 +- 【A】砂糖: 小さじ5 +- だし汁: 270cc +- 小豆の煮汁: 60cc + +## 作り方 +1. 鶏肉は2cmくらいの大きさに切る。サトイモ、ニンジン、ゴボウ、レンコンは鶏肉ぐらいの大きさの乱切りにする。 +2. こんにゃくは下ゆでし、小さめに手でちぎる。栗は半分に切る。 +3. 小豆は一度ゆでて、ゆで汁をいったん捨て、再び水を足してやわらかくなるまでゆでる。このゆで汁は捨てずにとっておく。 +4. 鍋にだし汁を入れ、ゴボウ、レンコンを入れしばらく煮る。次にニンジン、こんにゃく、鶏肉、栗を加えさらに煮る。 +5. サトイモを加え、小豆、小豆の煮汁を加えやわらかくなるまで煮たら【A】で調味し、器に盛る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 佐賀の長寿メニュー + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_8_1.jpg)" +"# がめ煮 佐賀県 + +**郷土料理名**: がめ煮 + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +野菜、鶏肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +数ある佐賀県の郷土料理の中でも、定番なのが「がめ煮」だ。全国的には「筑前煮」と呼ばれ、博多をはじめ、九州の他の地域でも郷土料理として愛されている。たくさんの根菜と鶏肉を炒めて煮含める料理で、誕生したのは豊臣秀吉が朝鮮出兵をした時だと伝わる。大軍が博多に宿営した時に、博多の入り江や沢で多くとれたすっぽんを、野菜とともに煮て食べたのが起源。当時はすっぽんのことを、川亀やドロガメと呼んでおり、そこから「がめ煮」と名付けられた。現在では、すっぽんを使わずに鶏肉を使っている。ハレの日の行事食として受け継がれており、おくんちなどの祭りや、正月などの祝い事で食べられている。 + +## 食習の機会や時季 +祭りや祝いの席に欠かせない郷土料理で、正月にはおせち料理のひとつとして食卓に並ぶ。また、佐賀県の各地で行われる秋祭り・おくんちのもてなし料理などとしても振る舞われる。 + +## 飲食方法 +干しシイタケは水で戻す。レンコン、ゴボウは皮をむき、乱切りにし、下ゆでしておく。こんにゃくはゆでてあくをぬき、一口大に切る。鍋に油をしき、一口大に切った鶏肉を入れて炒め、さらに他の具材を入れ、さっと炒める。そこにシイタケの戻し汁と醤油や砂糖、酒、みりんなどを加えあくを取りながら弱火で煮含める。器に盛ったら筋を取ってゆでたさやえんどうを散らす。針ショウガを添えることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鶏肉(もも): 120g +- 干しシイタケ: 小2枚 +- サトイモ、レンコン: 各60g +- タケノコ、ゴボウ、こんにゃく: 各40g +- ニンジン: 30g +- インゲン: 20g +- だし汁: 200cc +- 砂糖: 大さじ1 +- 醤油: 大さじ1・1/2 +- 酒、みりん: 各大さじ1 +- ショウガ: 少々 + +## 作り方 +1. 鶏肉は一口大に切り干しシイタケは水で戻す。 +2. レンコン、ゴボウは酢水で茹で皮をとり、サトイモは皮をむき、タケノコ、ニンジン、こんにゃくも同じように一口大に切る。 +3. 鍋に1,2とだし汁を入れて煮る。調味料を加え煮立ったらあくを取り、落とし蓋をして弱火で煮含める、 +4. 器に盛り、ゆでたインゲン、針ショウガを添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 佐賀の長寿メニュー + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_9_1.jpg)" +"# むつごろうの蒲焼 佐賀県 + +**郷土料理名**: むつごろうの蒲焼 + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +有明海沿岸地域 + +## 主な使用食材 +ムツゴロウ + +## 歴史・由来・関連行事 +佐賀県の有明海は、干満の差が約6mもあることから、干潮時に広大な干潟が出現することで知られており、そこに生息する魚介類は珍しく、“前海もん”と呼ばれている。そのシンボル的な存在が、日本では有明海と、九州本土と天草諸島に囲まれた八代海の一部にしかいないとされているムツゴロウ。有明海沿岸地域などでは“ムツ”と呼ばれることもある。ムツゴロウは、エラと皮膚の両方で呼吸ができる水陸両生魚で、潮が引いたときに巣穴から出てくる。産卵期は5~7月で、オスがメスへの求愛行動としてジャンプを繰り返すことから、その様子を写真に収めようと全国から人が集まる。旬も5~8月の夏頃で、引き潮のときに“むつかけ漁”と呼ばれる、伝統漁法で釣り上げられる。生きたまま素焼きにした後に甘辛く炊く「むつごろうの蒲焼」がおいしく郷土料理として有名だが、鮮度の良い場合は、刺身や味噌汁にしたりすることもある。 + +## 食習の機会や時季 +ムツゴロウが獲れるのは5月過ぎから8月まで。生きたムツゴロウを素焼きにしたものを使うので、「むつごろうの蒲焼」は、一般的にはこの時期にしか食べられない。 + +## 飲食方法 +ムツゴロウを生きたまま串に刺し、炭火にかけて素焼きにする。砂糖、醤油、酒を鍋に入れて、ムツゴロウの素焼きを加えて煮立たせ、煮汁がなくなるまでじっくりと煮る。この「むつごろうの蒲焼」を巻いた、「むつごろう寿司」も食べられている。活きの良いものを使うため、塩水に漬けて泥吐きをさせる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ムツゴロウの素焼き: 8匹 +- 砂糖: 大さじ1 +- 醤油: 大さじ1 +- 酒: 小さじ1 + +## 作り方 +1. ムツゴロウの素焼きは、調味料を煮立てていれ、煮汁がなくなるまでじっくりと煮る +2. 器に盛りつける + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 西九州大学佐賀調理製菓専門学校 田中 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_10_1.jpg)" +"# ゆでだご 佐賀県 + +**郷土料理名**: ゆでだご + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、黒砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +「ゆでだご」は「ゆでだんご」がなまった言葉で、小麦粉と黒砂糖を使ったお菓子のこと。「平だご」と呼ばれることもある。佐賀県では昔から二毛作が盛んに行われており、米を収穫した後には麦を育てていたため、多くの農家には自家栽培の小麦粉や米粉が常備されていた。それゆえに、毎日の食事や手軽なおやつにそれらを使うことが多く、「ゆでだご」もそんな郷土料理のひとつである。ぺったんこに伸ばした小麦粉の生地をゆでて黒砂糖をかけるのが一般的だが、生地にゆでたカボチャ、またはほうれん草やヨモギを混ぜたり、中にあんこを包んだりすることもある。 + +## 食習の機会や時季 +農家で常備していることの多かった小麦粉を使い作られる「ゆでだご」は、農作業の合間に食べられるおやつであり、ご飯が少し足りない時の補食でよく食べられていた。武雄地区では田植え時の休憩でよく食べられていたと伝わっている。また、祭りで振る舞われることもあった。 + +## 飲食方法 +小麦粉に熱湯を合わせて、耳たぶくらいの硬さにこねる。沸騰したお湯の中に、こねた生地をちぎりながら入れ、ゆでる。ゆで上がったら、ゆで汁を捨て、黒砂糖を加えて混ぜる。生地はつんきいだご、小判型など家庭ごとに形が異なる。生地におかゆを潰して混ぜると、時間が経ってもやわらかい。また、寒ざらし粉などの米粉で作り、砂糖醤油をつけて食べることもある。黒砂糖の代わりに白砂糖や煮砂糖を使っても良いが、風味があっておいしく仕上がるのは黒砂糖である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20個分) +- 小麦粉: 300g +- 白玉粉: 100g +- ご飯: 100g +- 塩: 少々 +- きな粉: 100g +- 黒砂糖: 100g + +## 作り方 +1. 小麦粉、白玉粉、ご飯、塩をボールに入れ、熱湯を少しずつ加えながら、しゃもじで混ぜる。 +2. 手で触れる熱さになったら、まるめてゆでる。 +3. 熱いうちに、黒砂糖、きな粉をかけて供する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 伝えたい郷土料理レシピ + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_11_1.jpg)" +"# およごし 佐賀県 + +**郷土料理名**: およごし + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +豆腐、野菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +約230年前の2月19日に佐賀県の伊福集落では、集落の大半を焼失した火災が起こった。その時、焼け残った野草などを湯がいて和えて食し、住民が一丸となり集落の再建に努めたという伝承がある。それ以来、被災した時の先人たちの思いを忘れないようにと、この町では2月19日を集落祭り「およごし祭り」と定めた。当時野草の和え物を食べたことから「およごし」は欠かせない料理で、必ず供されている。「およごし」は、女性の言葉で“和え物”を意味し、いわゆる野菜の白和えのことを指す。豆腐を使うのが一般的だったが、昔はどこの家庭でも野菜を作っており、その野菜を使うことが多かった。そのため、常備していない豆腐ではなく、どの家庭にもあったサトイモを代用するようになった。現在では各家庭によって使う野菜や味付けが変わるなど、独自にレシピが異なりながら伝わっている。例えば、サトイモをなめらかにつぶしたり、あえてつぶし残しを入れて食感を出したり。また、かぼちゃを代用することもある。 + +## 食習の機会や時季 +季節の野菜を使った和え物で、佐賀県のおふくろの味や日常食として親しまれている。また、伊福集落で2月に行われる「およごし祭り」で提供される、欠かせない料理にもなっている。 + +## 飲食方法 +サトイモは湯がき、つぶしておく。ホウレン草は湯がき、水気を絞った後にひと口大にカットする。だしにニンジン、ゴボウ、シイタケを入れ、砂糖や醤油、みりんと煮る。つぶしたサトイモと砂糖やみりん、味噌、ゴマを混ぜ合わせ、水気をよく切ったほかの具材を合わせる。ゴマ、砂糖、味噌を使うが、各家庭によってそれぞれ味が異なる。野菜の水気をしっかりと切り、充分冷ましておくのがコツで、サトイモは粉ふきいものように水分を飛ばすとよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ほうれん草: 1把 200g +- 木綿豆腐: 1丁(200~300g) +- 砂糖: 大さじ1 +- 味噌: 大さじ1 +- ゴマ: 大さじ1 +- かつおだし: 100cc + +## 作り方 +1. ホウレン草は流水できれいに洗い、ざるにあげ、水切りをする。たっぷりの沸騰したお湯で15~30秒、軟らかくなるまでゆでる。ホウレン草をかつおだし汁に1分ほどつけてから、キッチンペーパーで包み水気を絞り、ひと口大に切る。 +2. 木綿豆腐はキッチンペーパーで包み、10分程重しをし、水気を切る。 +3. ゴマを1分ほど香りよくいり、すり鉢のなかですりこぎでする。砂糖、味噌を加えてさらに1分ほどする。 +4. 3に2を加え、さらに10分ほどすりこぎでする。 +5. 1と4を和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 西九州大学佐賀調理製菓専門学校 田中 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_12_1.jpg)" +"# つんきーだご汁 佐賀県 + +**郷土料理名**: つんきーだご汁 + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +野菜、小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +佐賀県に伝わる郷土料理「平だ���」「だご汁」は、ともにだごを使ったもの。“だご”とは、“だんご”がなまった言葉で、「平だご」は平たい小麦の生地をゆで、黒糖をかけていただくおやつだ。一方「だご汁」は、小麦粉で作っただんごをたっぷりの旬の野菜とともに煮込んだ汁物。「だんご汁」や「ねばだごじゅ」「ひらひぼ汁」「つんきーだご汁」など、だんごの形状や地域によって呼び名が変わるとされている。中でも「つんきーだご汁」は、武雄弁でちぎるという意味の“つんきー”から、だんごを手でちぎって作ることが分かる。佐賀県のほかに、熊本県や大分県、宮崎県などの広い地域で、寒い日に体を温める料理として食べられている。具材もさまざまで、基本的には旬の野菜を使用する。また、鶏肉の代わりにクジラ肉を使ったり、小豆を入れたりする地域もあると言われている。 + +## 食習の機会や時季 +麦作りが盛んな佐賀県では、白米や茶粥などの主食がない時の代用品として食べられてきた。昔は主食の一品であったが、現在では副食の位置付けで食べられることが多い。また、かつて農家では田植えや稲刈りなどで朝から日暮れまで仕事をしており、間食や夜食として食べられていたという。 + +## 飲食方法 +サトイモやニンジンなどの野菜をひと口大の乱切りにする。野菜とだし汁を合わせて煮て、火が通ったら、湯で耳たぶほどのやわらかさまでこねた小麦のだんごをひと口大にちぎり、鍋に入れる。煮えたら、味噌、または醤油で味付けする。だんごに蒸してつぶしたサツマイモを合わせると、冷えてもかたくならない。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 小麦粉(中力粉): 400g +- 湯(小麦粉用): 300cc +- かぼちゃ: 200g(1/5個) +- みずいも(茎)(または、はすいも(茎)): 100g +- さといも: 100g(2個) +- じゃがいも: 100g(中2個) +- にんじん: 100g(1本) +- なす: 100g(中1本) +- 皮くじら(脂身): 100g +- ねぎ: 50g(2本) +- 味噌: 120g +- 水: 10カップ + +## 作り方 +1. 皮くじら(脂身)は2~3mmの薄切りにし、サッとゆでて余分な油と臭みをとる。野菜はそれぞれひと口大の乱切りに、みずいも(茎)、なすは水にさらし、5分間あくぬきをする。 +2. 鍋に10カップの水を入れ、じゃがいも、にんじん、かぼちゃ、さといも、くじらの順に入れて煮る。(中火で10~15分程、軟らかくなるまで)八分どおり煮えたころ、みずいも・ナスを加える。 +3. 小麦粉は湯で耳たぶより軟らかくこねる。この際、お湯は300cc前後を目安に耳たぶのかたさになるまで少しずつ加える。これをひと口大にちぎり、おとし入れる。ちぎる形はすいとんと同様で、3本指で引っ張って適宜ちぎる。 +4. 小麦粉をちぎり入れ、5分程煮てから味噌を加え、味をととのえる。最後にねぎの小口切りをちらす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : おどんが町の郷土料理 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_13_1.jpg)" +"# 呉豆腐のごま醤油かけ 佐賀県 + +**郷土料理名**: 呉豆腐のごま醤油かけ + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +有田町 + +## 主な使用食材 +豆乳、葛またはでんぷん + +## 歴史・由来・関連行事 +全国各地で作られている豆腐は豆乳ににがりを加えて形成するが、佐賀県の有田町を中心に伝わる「呉豆腐」は、豆乳に葛やでんぷんなどを加えて固めるのが特徴。従来の豆腐との大きな違いは食感で、柔らかくモチモチとしている。また、プリンのようなつやつやとした光沢もある。ごま醤油をかけて副菜として提供するのが一般的だが、黒蜜やきな粉をかければヘルシーなスイーツとしても楽しめる。「呉豆腐」の由来は、水に浸した大豆を石臼などで粉砕し、圧力鍋で煮る、その状態を“呉”と呼ぶことから。その呉から豆乳を搾り葛などと練りこんだものが「呉豆腐」となるため、“呉”を使った“豆腐”ということでこの名称になったと言われている。また、中国の呉という国から伝わった豆腐だから、という説もある。発祥は諸説あるが、昭和の初め、大豆を買い付けに長崎を訪れた有田の豆腐屋が、中国人から葛を使った豆腐の作り方を聞き、習ったというのがひとつ。また、有田町内にあったすし屋のおばあさんが、昭和4年に長崎の中国人から元となる作り方を教えてもらい、すし屋で提供するようになった事で町に広まったという説がある。 + +## 食習の機会や時季 +普段の食事でもよく食べられているが、法事や祝い事でも振る舞われる。 + +## 飲食方法 +豆乳を鍋に入れ、90度になるまで沸かす。その間にでんぷんと水をボウルに合わせて溶かしておく。豆乳が沸いたら溶かしたでんぷんを加え、弱火にして木べらでかき混ぜる。20分ほど練り続けるとなめらかになる。火を止めてバットに流し込み、15分ほど冷水で冷やす。お好みでごま醤油たれや黒蜜をかける。また、衣をつけて揚げたり、味噌汁の具にしたり、パフェに使う事もある。酢味噌で食べることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 葛粉: 40g +- 水: 40g +- 豆乳: 400cc +- 牛乳: 300cc +- 塩: 小さじ1/5 +- ゼラチン: 大さじ1・1/3 +- 【ごま醤油】だし汁: 大さじ2 +- 【ごま醤油】醤油: 大さじ2 +- 【ごま醤油】すりごま: 少々 +- ゆずの皮又は木の芽: 少々 + +## 作り方 +1. ゼラチンは水でふやかしておく。 +2. 葛粉は分量の水で溶かし、豆乳、牛乳を合わせ火にかけ、とろみを付け、塩を加える。 +3. ゼラチンを加え、煮溶かし、型に入れ冷やし固める。 +4. 切りわけ、器に盛り木の芽やゆずの皮を上にあしらい、ごま醤油をかける。ゆずの皮又は木の芽を散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : すこやか食卓・さが + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_14_1.jpg)" +"# ゆきのつゆ 佐賀県 + +**郷土料理名**: ゆきのつゆ + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +有田町 + +## 主な使用食材 +大根 + +## 歴史・由来・関連行事 +言わずと知れた焼き物の地・佐賀県有田町。17世紀初頭に磁気の原料となる陶石が有田の泉山で発見され、産業としての磁器の製造が始まった。この時陶石を見つけたひとりが、朝鮮人陶工・初代金ヶ江三兵衛(通称・李参平)で、有田焼の生みの親として知られている。1658年頃に建立された「陶山神社」には、応神天皇を主神とし、敷地の中には李参平の碑も建てられている。“やきものの神様”として、地元民から親しまれている「陶山神社」は、大晦日の晩に「有田碗灯」を開催。有田陶器市通りの中心交差点にある辻の札交差点から境内までの間を、約1000個の磁器でできた現像的な灯明が彩る。大晦日の23時30分ごろに始まり、元旦の2時ごろまで開催されており、当日は郷土料理の「ゆきのつゆ」が振る舞われる。「ゆきのつゆ」は、鬼おろしという竹でできたおろし器で粗くおろした大根おろしと、焼いた餅や薄揚げを味噌汁に入れる汁物。窯元の窯焚きは、一晩中窯についていなければならないため、寒い夜でも体が温まり、腹持ちがよく、食べやすい事から夜食として食べられていたとされる。 + +## 食習の機会や時季 +有田焼の窯元で窯焚きが行われる際に食されていた。一晩中かかる窯焚きの夜食として、特に寒い季節に体を温める汁物として重宝されていたという。現在は、大晦日に陶山神社で行われる「有田碗灯」で振る舞われている。 + +## 飲食方法 +だしをとり味噌を溶いた汁に、鬼おろしで粗くおろした大根おろしを入れる。餅は香ばしく焼き、温まった汁に入れる。クジラ肉を入れることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根: 150g +- かつおだし: 1・1/2カップ +- 油揚げ: 1/2枚 +- 麦味噌: 大さじ1・1/2~2 +- 大根の葉: 適量(10g~15g) +- 丸餅: 4個 +- 塩: 適量 + +## 作り方 +1. 大根をおろしやすい大きさに切り分け「フードプロセッサー」か「おろし器」で粗くおろす。 +2. 鍋にだし汁と、粗みじん切りの油揚げを入れて中火で加熱し、沸きはじめたら麦味噌を溶き入れる。1を入れて、ひと煮立ちしたら火を止める。 +3. 沸騰したお湯で1分程塩ゆでした大根の葉をみじん切りにする。 +4. 水にくぐらせた丸餅を、ラップをせず電子レンジ500wで30~60秒程加熱した後(2個ずつ加熱する)、グリルかトースターでふっくら膨らむまで焼く。 +5. 4の丸餅に2をかけ、3の大根の葉をあしらい、完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 西九州大学佐賀調理製菓専門学校 田中 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_15_1.jpg)" +"# くちぞこの煮付け 佐賀県 + +**郷土料理名**: くちぞこの煮付け + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +有明海沿岸 + +## 主な使用食材 +くちぞこ + +## 歴史・由来・関連行事 +日本一の干満さと広大な干潟を有する有明海には、ムツゴロウをはじめ、メカジャやウミタケ、ワラスボなど特有の魚介類が生息。全国各地の浅海の砂泥底に住むシタビラメは、有明海にも生息しており、佐賀県ではくちぞこと呼ばれる。体は木の葉の形をしており、背びれや尾びれなどの区別がないのが特徴で、名前の由来は、靴底の形に似ているから、あるいは小さな口が下側にあるからだとの説があることからくちぞこと呼ばれている。ヒラメ類と近縁の魚で、両眼が体の左側にある。このくちぞこは有明海沿岸の地域では親しみ深い食材で、少し甘がらく味をつけたたっぷりの調味液で煮付けにされることが多い。 + +## 食習の機会や時季 +くちぞこの煮付けは日常食の魚料理として昔も今も食卓に出る。有明海のくちぞこは独特の旨味を持ち、中でも黒舌(クロウシノシタ)は特に美味しい。年中出回っているが、夏から秋にかけて出回るくちぞこをふっくらと煮付けたものは最高の味。一回り小さいササクチゾコは、唐揚げにすると骨まで食べられる。また、身離れが良いので、離乳食や幼児向きの魚料理としても食されている。 + +## 飲食方法 +鍋に醤油や酒、みりんを煮立たせ、うろこを取ったくちぞこを煮込む。野菜を加え、煮汁で煮含める。くちぞこを盛り付け、野菜を添える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- くちぞこ(したびらめ): 4枚 +- 水: 400ml +- 酒: 200ml +- 醤油: 100ml +- みりん: 100ml +- 砂糖: 大4 +- ショウガのしぼり汁: 20ml +- ゴボウや青菜など好みの野菜: 適宜 + +## 作り方 +1. くちぞこは金たわしでうろこをとり、エラと内臓をとって水洗いして水気をふきとり、背骨に沿って切り目を入れる。 +2. 鍋に調味料を入れ強火にかけ、沸騰したら(1)を切り目が入った方を上にして入れる。沸騰してきたらあくをとって落とし蓋をし、鍋ぶたをして中火よりやや強火で5分ほど煮る。※くちぞこはすぐに火が通るので強火でさっと煮ること。 +3. 2の蓋をとりショウガのしぼり汁を入れ、鍋を傾けて煮汁をすくい、魚の上から数回かける。野菜は煮汁で煮含める。器に盛り、上から煮汁をたっぷりかける。※佐賀県の醤油は甘口なので、砂糖・みりんは入れずに醤油と酒で炊き上げることが多い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 西九州大学佐賀調理製菓専門学校 田中 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_16_1.jpg)" +"# 栗おこわ 佐賀県 + +**郷土料理名**: 栗おこわ + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +もち米、栗、小豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +佐賀県に伝わる「栗おこわ」は、「栗こわい」「こわい」とも呼ばれる、村の祭りや家内のお祝いで欠かせない料理。神前に供える時には、円錐や三角のおにぎりの形にし「ごっくうさん」と呼ぶこともある。この「栗おこわ」が欠かせないのが、“くんち”や“おくんち”と呼ばれる、佐賀県をはじめ九州北部に伝わる、新米を氏神様に捧げて五穀豊穣を天地の神々に感謝する秋祭り。中でも、伊万里市伊万里町で10月に開催される“伊万里くんち”は神輿とだんじりが組み合って争うけんか祭りで、太鼓の音から“伊万里トンテントン”と呼ばれている。旧家では、数日前から菊花かぶやこぐい、煮しめ、甘酒などの準備を始め、おくんち客への土産の定番「栗おこわ(こわい)」は必ずと言っていいほど作られていた。他地域でも「栗おこわ」は、秋祭りになくてはならない料理で、塩田・大草野地区の丹生神社や久間地区の八幡宮の秋祭りでは、お客をもてなすために栗おこわをたくさん作る。また、有田では10月のくんちの際にたくさん作り、末広の形の木枠で抜いたものを提供している。「勝ち戦になるように」という意味を込めて、生栗を干してゆでてから乾燥させて作る保存食、かち栗を使うこともあるそう。地域や家庭で作り方や味が異なる郷土料理である。 + +## 食習の機会や時季 +佐賀県でくんちが行われる10月は、地元でとれる野菜や魚、栗などがたくさん出回る時期で、くんちは収穫を感謝する意味合いもある。そんな収穫された材料を使った「栗おこわ」は、神前に捧げたり、くんちに参加する客人をもてなしたりするために作られ、提供されてきた。また、お祭りだけでなく、お祝い事でも食された郷土料理でもある。 + +## 飲食方法 +もち米は洗って一晩水につけ、翌朝水を切る。小豆は水から茹で、煮立ったらゆで汁を捨ててざるに上げ、再びたっぷりの水を加えて7~8分くらいの硬さに煮ておく。栗は皮をむく。もち米、小豆を混ぜ、栗をのせて蒸し器で蒸し上げる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- もち米: 400g +- 栗(皮つき): 300g +- 小豆(乾): 80g +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. もち米は洗って一晩水につける。 +2. 栗は皮をむき、小豆は八分通り煮る。 +3. 1をざるに上げ、2と塩を混ぜて蒸す。(蒸し上がる前に湯うちをする) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : すこやか食卓さが + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_17_1.jpg)" +"# 干し柿なます 佐賀県 + +**郷土料理名**: 干し柿なます + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +佐賀市大和町松梅地区 + +## 主な使用食材 +干し柿、大根 + +## 歴史・由来・関連行事 +全国各地で栽培されている柿。佐賀県は決して生産量は多くなく、作付面積も広くないものの、個性あふれる柿が収穫されている。そのひとつ、佐賀県武雄市で栽培されているブランド柿「温泉美人」は、渋柿を独自の方法で渋抜きしたもの。木についたまま熟し、赤味が濃く深いのが特徴で、サクッとした食感ながら、果汁がたっぷり含まれている。年に50~60箱しか収穫されない希少な柿である。また、樹齢が50~100年になると実に甘味が出てくる品種「伽羅柿」は、富士町のものが宮内庁に献上されている。 そんな佐賀県では、「柿のれん」が秋の風物詩となっている。「干し柿」は、手作業でひとつずつ丁寧に皮をむいた渋柿を紐で結び、軒下などにつるし作られる。そのずらりと並んだ干し柿がまるでオレンジ色ののれんが垂れ下がっているように見えることから、「柿のれん」と呼ばれる。特に脊振山や天山などで見られ、約300年前から続くという。背振山系と天山山系の山並みに囲まれた土地は寒暖の差が激しく、干し柿作りに適した風土。やわらかくモチモチとした独特の食感に仕上がり、ファンが多い逸品だ。干し柿はそのまま食べられるほか、「干し柿なます」として食されることがある。お正月のおせち料理のひとつとして「なます」が食べられるが、干し柿が古くから生産される佐賀市大和町松梅地区ではこの「干し柿なます」が欠かせない。 + +## 食習の機会や時季 +11月下旬ごろから軒先につるされる柿が干し柿に仕上がるのは、30~40日後。それ以降に「干し柿なます」も食される。また、お正月におせち料理のひとつとして食べられている。また、干し柿は冷凍して保存できることから近年では通年出回っており、不足しがちな食物繊維がよく取れると重宝されている。 + +## 飲食方法 +ダイコン、干し柿を千切りにする。酢、ゆずの絞り汁、砂糖、薄口醤油、塩を合わせ、千切りにしたダイコンと干し柿と合わせる。ゆずの皮の千切りを入れても良い。柿は干し柿ではなく、生の柿を使うこともある。また、ダイコンの代わりにカブを使ってもおいしくいただける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 干し柿: 大1個 +- ダイコン: 160g +- ニンジン: 10g +- ゆずの皮: 少々 +- 塩(塩もみ用): 適量 +- 【合わせ酢】酢: 大さじ1 +- 【合わせ酢】砂糖: 小さじ1 +- 【合わせ酢】塩: 少々 + +## 作り方 +1. ダイコン、ニンジンは皮をむいて千切りする。塩をふってもみ、10分程度おいてしんなりしたらさっと水洗いし、水気を絞る。 +2. 干し柿とゆずの皮はせん切りし、1と合わせて【合わせ酢】で和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 佐賀県栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_18_1.jpg)" +"# つがにめし 佐賀県 + +**郷土料理名**: つがにめし + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +かに、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +有明海や玄界灘を有する佐賀県。豊富な海の幸の恩恵を受けた郷土料理が数多く残るが、「つがにめし」は、川の幸を使った料理だ。ツガニを米���一緒に炊き込んだ飯料理で、ご飯に染み込んだツガニの独特の風味がおいしい。「がね飯」「かに飯」とも呼ばれている。メインに使われるツガニは、地元ではツガネ、ヤマタロウ、関東ではモクズガニと呼ばれる、日本全国の河川などにすむ代表的なカニだ。モクズガニと呼ばれる通り、はさみに長くて柔らかい“藻屑”のような毛が密集しており、深緑色に見える。「つがにめし」がよく作られるのは、秋から冬にかけてだが、それはツガニが9~12月に川を下り、海水が入り込む河川や浅海域で産卵するため。産卵のために川を下るカニは味がよく、「つがにめし」の他にも塩ゆでや煮付けなどでも食べられる。特に有名なのは、玄界灘に注ぐ、唐津市七山の玉島川で、塩田川でもよく獲れるそう。雨が降り水かさが増えてにごった時に川を下る習性があり、昔は、竹で作ったカゴの筌(うけ)で獲っていた。最近では以前に比べ少なくなっており、資源を増やすために毎年1万匹程度が筑後川に放流されている。 + +## 食習の機会や時季 +ツガニのおいしい時期は、産卵のために川を下る秋から冬頃であり、よく獲れる七山では秋の風物詩として親しまれている。昔は鶏をさばくよりもツガニを調理する方が簡単だったため、お祝いで人が集まる時に重宝されていた。 + +## 飲食方法 +一晩水につけて汚物を吐かせたツガニはタワシできれいに洗い、甲羅を剥がしエラを除き、二つ割りにする。釜に米と水、塩や醤油の調味料を加え、下処理をしたツガニを並べて炊き上げる。カニが恐くて触れない場合は、一晩水に漬けて汚物を吐かせてから、少量の水を入れた鍋の中に生きたまま入れ、火にかけ、動かなくなったところで調理するとよい。カニが赤くならない程度で火を止めると、うまみが逃げずよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- ツガニ: 5匹 +- 米: 5合 +- 濃口醤油: 50cc +- 薄口醤油: 50cc +- だし汁: 900cc +- 中ざら糖: 大さじ1 +- 酒: 30cc + +## 作り方 +1. ツガニを2つに切り、足の先を切り落とす。 +2. 米とだし汁、調味料を入れる。 +3. カニを入れ込み30分後に炊く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : JAからつ女性部会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_19_1.jpg)" +"# しゃっぱの煮付け 佐賀県 + +**郷土料理名**: しゃっぱの煮付け + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +有明海 + +## 主な使用食材 +しゃっぱ + +## 歴史・由来・関連行事 +エビのような見た目を持つシャコ科のシャコは、北海道から沖縄まで日本全土に生息する甲殻類である。前足がカマキリのハサミのような形をしているのが特徴で、これで小魚やエビなどを捕食している。生息地は沿岸の砂泥質海域に多く、泥底にU字形の巣穴を掘りすんでおり、有明海でも水揚げされる。佐賀県での呼び名は主に「しゃっぱ」。「がねしゃっぱ」と呼ばれることもある。クルマエビやシバエビの刺網にかかり嫌われることも多く、雑魚として扱われることもあるが、エビのようなうまみがありおいしい。あっさりとしており酢との相性も良いので、ゆでてすしにして食べられるのがポピュラーだ。佐賀県では、塩ゆでにするほか、醤油で炊いた煮付けにする。炊くことによってうまみを含んだだしがたっぷりと出るのが特徴で、夏の味覚として親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +しゃっぱの漁期は4~10月で、この時期に水揚げされたものが旬。この時期に煮付けにされたしゃっぱはうまみがありおいしい。 + +## 飲食方法 +しゃっぱは水洗いし、よく水気を切る。鍋に醤油や酒などの調味料を入れ、しゃっぱを加えて煮る。煮汁は、そうめんの漬け汁としても美味。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- しゃっぱ: 8尾 +- 濃口醤油: 大さじ1 +- 酒: 大さじ1 +- みりん: 大さじ1 +- 水: 1カップ + +## 作り方 +1. 鍋に水、調味料、水で洗ったしゃっぱを入れて火にかけ、味が染みるまで煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 佐賀県栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_20_1.jpg)" +"# わらすぼのみそ汁 佐賀県 + +**郷土料理名**: わらすぼのみそ汁 + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +有明地域 + +## 主な使用食材 +ワラスボ + +## 歴史・由来・関連行�� +有明海の珍魚といえばムツゴロウだが、それと並ぶのが、日本では有明海にしか生息していないワラスボ。ハゼの仲間だが、目が退化し、鋭い歯がむき出しで、内臓や血管が透けて見えるような紫色のぬるぬるとした体を持つ、まるで“エイリアン”のような見た目。しかし、その独特な味わいがクセになり美味であると地元で愛されている。河口部の泥の中に巣穴を掘ってすんでいるのだが、干満の差がある干潟では、潮の満ち引きにより川の栄養をたっぷりと溜め込み、ワラスボをはじめとする魚介類がよく育つ。そのため、ワラスボも味が良いのだという。5~10月にかけて漁が行われ、代表的な方法はスボカキという道具を使うもの。先端がかぎになった1.3mほどのナギナタのような道具のことで、潟スキーにのって泥の中を引っかき回し獲る。この様子は有明海の夏の風物詩でもある。また、あんこう網にかかることも多い。ワラスボはみそ汁にするほか、砂糖や醤油で炊いた煮付けなどで食べられ、また、乾燥したワラスボは揚げたり焼いたりするほか、もくさいと呼ばれるふりかけにする。生で使う場合、生きた状態から調理することが多く、凶暴なワラスボは“嫁泣かせ”の食材のひとつだった。生のワラスボは煮付けにするほか「わらすぼの味噌汁」にすることが多い。 + +## 食習の機会や時季 +5~10月に漁が行われるため、「わらすぼのみそ汁」や「わらすぼの煮付け」といった生の魚を使う料理はこの季節に食べられることが多かった。 + +## 飲食方法 +ワラスボはぶつ切りにし、内臓を取り出し、塩でよくもみ洗いをする。ワラスボの腹わたでわらすぼを炒め、だし汁を加えて煮る。味噌を溶き、刻んだニラや小口切りのネギを散らす。また、玉ネギやジャガイモの薄切りを入れてもおいしい。だしを入れずに、ワラスボのうまみだけで作ることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ワラスボ: 200g +- たまねぎ: 80g +- じゃがいも: 120g +- ネギ: 少々 +- 味噌: 大さじ2 +- だし汁(または水): 3カップ + +## 作り方 +1. ワラスボはぶつ切りにし、塩でよくもみ洗いする。(この下準備をすると特有の臭みがなくなります) +2. 鍋に取りだした腹わた(肝臓)をからいりし、1を加えてさらに炒める。 +3. だし汁(または水)、玉ネギのうす切りとジャガイモのうす切りを加えて煮る。 +4. 材料が煮えたら、味噌を溶き、器に盛ってネギを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 佐賀県有明海漁業協同組合 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_21_1.jpg)" +"# あらの姿煮 佐賀県 + +**郷土料理名**: あらの姿煮 + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +唐津市 + +## 主な使用食材 +アラ + +## 歴史・由来・関連行事 +ユネスコ無形文化遺産に「曳山行事」を含む「山・鉾・屋台行事」が登録された唐津くんち。佐賀県唐津市の唐津神社の秋季例大祭のことで、収穫感謝の意が込められた盛大な祭りだ。昔から唐津の町の男性たちが祭りに参加する中、家を守る女性たちは日頃お世話になっている人たちへ料理を振る舞う風習がある。その料理を“くんち料理”と言い、中でも目を引くのが巨大な魚の「あらの姿煮」だ。第二次世界大戦後、商人たちが見栄をはり、玄界灘で獲れる大きく見栄えの良いアラを煮付けたことが始まりだという。アラは10kg程の魚体をもちいる。アラとは九州の呼び名で、全国的にはクエとして知られており、透明感のある白身は姿煮のほか、刺身や鍋などでも絶品。一年中手に入るものの、10~12月が旬で、唐津くんちが行われる11月は、アラがとてもおいしい季節である。 + +## 食習の機会や時季 +秋祭りのくんちに欠かせない料理として、昔から作られてきた。くんち料理は、日頃から付き合いがある親しい友人、知人、親戚縁者へ振る舞う。 + +## 飲食方法 +アラの肝を取り出し、空いた腹の部分に大根を詰める。アラがそのまま入るほどの大鍋で醤油や日本酒、砂糖を調味液にしたもので煮込む。煮汁をかけながら、少しずつ1日かけて煮込む。みりんを味の調整に使用することでおいしい煮魚となる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量)※行事食用の分量とレシピ。調味料は調理段階で継ぎ足��ため目安。) +- あら(10kg程の魚体を使う): 1尾 +- うま口醤油: 適量 +- 酒: 7升 +- 薄口醬油: 適量 +- みりん: 適量(調整用) +- 砂糖(白糖、キザラ糖、黒砂糖): 7~8kg程度 +- 大根: 適量 + +## 作り方 +1. あらのうろこを取る +2. エラは、魚体の崩れを防ぐために残す。 +3. 内臓を取り去り、大根の輪切りをいっぱい詰める。 +4. 特注サイズの大鍋に酒を入れ火にかけ、沸騰させアルコールを飛ばす。 +5. 醤油、みりん、砂糖を入れて、薄味の調味液を作る。 +6. あらの魚体には目打ちを多数刺して細かい穴をあけ、味が染みやすいようにする。 +7. ステンレスの網、さらし布2枚を重ね、あらを包む。 +8. あらのえらと尾はアルミ箔で包む。 +9. 調味液に下処理済のあらを入れ弱火で加熱する。 +10. えらには大根を差し込み、尾の下に大根を置き、形を整える。 +11. 調味液を魚体にかけながら加熱する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 唐津市 中町 亀山鮮魚店 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_22_1.jpg)" +"# ふつもち 佐賀県 + +**郷土料理名**: ふつもち + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +もち米、よもぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +稲作が盛んな佐賀県では、うるち米だけでなくもち米の栽培も広く行われており、全国でも有数の生産量を誇る。そのため、もち米を使った郷土食も多数あり、「ふつ餅」もそのひとつ。「ふつ餅」はいわゆる「よもぎ餅」のことで、“ふつ”とはよもぎを指す。春、ソーケと呼ばれる取っ手のないカゴを持って、田んぼのまわりや道際に生えるふつを摘んで各家庭で作っていた。また、3月3日の「桃の節句」では全国的に菱餅を供えることが多いが、佐賀ではこの「ふつ餅」を供えている。 + +## 食習の機会や時季 +春になるとよもぎの若葉が芽吹くため、この葉を使い作られることが多かった。桃の節句や端午の節句、花祭りのお供えとして食べられるほか、春の訪れを告げるおやつのひとつであった。 + +## 飲食方法 +もち米を蒸し、餅をついておく。よくゆですり鉢ですったよもぎ(※)とついた餅を合わせ、さらによくつく。1つ分の餅を手にとり伸ばし、炊いておいたあんこを包む。 ※よもぎはよく洗い、塩少々と重曹を入れた沸騰した湯でよくゆでる。その後、冷水に20分ほどさらしておき、すり鉢やミキサーなどでペースト状にしておく。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (8個分) +- 餅: 300g +- よもぎ: 80g +- あん(ねりあげたもの): 300g + +## 作り方 +1. 餅をぬれぶきんをしいて蒸す。よくゆでてすり鉢ですったよもぎとまぜあわせる。 +2. 8等分して、もちを広げその中にあんを包みながら形を整える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 佐賀の郷土料理 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_23_1.jpg)" +"# おこもじの油炒め 佐賀県 + +**郷土料理名**: おこもじの油炒め + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +高菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +三度の食事に欠かせない漬物。佐賀県では、春は高菜漬、初夏には梅干しやらっきょう漬、夏は佐賀青しまうり漬が代表的なうり漬け、冬にはダイコン漬といったように季節の食材が活かされており、一年中途切れないように漬けられるものだ。中でも、高菜やしゃくし菜を塩漬けにした保存食の菜漬を“おこもじ”“おくもじ”と呼んでおり、現在も愛されている。特に高菜は3月から4月にかけて大株のものと若い小株のものをそれぞれ塩漬けにして長期、短期の漬物にし、1年中保存できる菜漬として大量に漬けておく。そんなおこもじが古くなってもおいしく食べられるように考えられたものが、塩抜きして油で炒める「おこもじの油炒め」。「高菜の油炒め」とも呼ばれるこの料理は、家庭で簡単に作れ、ソウルフードとして親しまれている。漬物は一般的に塩分が多いとされているが、「おこもじの油炒め」は、古漬けを塩出ししてから使うため、減塩が期待できるのも特徴だ。 + +## 食習の機会や時季 +各家庭で手作りされ、ご飯のおともとして食べられている。県内の飲食店では、おこもじが香の物として定食に添えられることが多い。 + +## 飲食方法 +塩漬けの高菜は水に一晩漬けて洗い��し、塩出しする。よく絞ったら刻み、ごま油で炒め、砂糖や醤油で味を付け、ちりめんじゃこやごまを加える。高菜の塩加減に合わせて砂糖や醤油の量を調整して作ると良い。お好みで唐辛子を入れ、ピリ辛の味付けにすることもある。「おこもじ油炒め」をご飯に混ぜたおにぎりや、高菜ピラフやチャーハンにすることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- 塩漬け高菜(古漬け): 450g +- ごま油: 大さじ2 +- 醤油: 大さじ1 +- 砂糖: 大さじ1 +- ごま: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 塩漬け高菜は水で洗い一晩塩出しする。 +2. 1をみじん切りし、ごま油で炒め、砂糖、醤油で味を付けてごまを入れる。※塩漬け高菜の塩加減で砂糖・醤油の量の調整をする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 伝えたい郷土料理レシピ + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_24_1.jpg)" +"# 冷やしそうめん 佐賀県 + +**郷土料理名**: 冷やしそうめん + +**都道府県**: 佐賀県 + +## 主な伝承地域 +神埼市 + +## 主な使用食材 +そうめん + +## 歴史・由来・関連行事 +佐賀県で古くから食べられている「冷やしそうめん」。県東部に位置する神埼市の名産である「神埼そうめん」は、九州を代表するそうめんブランドのひとつとして有名である。しっかりと感じる小麦のうまみと豊かな香り、シャキシャキとした強いコシ、なめらかでツルツルとした喉越しが特徴であり、しっかりと氷水で締めることで、その魅力が存分に味わえる。また、ゆでても煮くずれしないので、冬はにゅうめんにして楽しまれている。およそ380年前、諸国を行脚していた小豆島の僧が神埼で病に倒れた時に、手厚く看病した地元の行商人へ手延べそうめんの製法を伝授したことが始まりとされていて、佐賀の温暖な気候や上質な水源など小麦栽培に適した土地ということもあり、神埼でそうめん作りが広まった。初期は冬期の農家の副業で行われることが多く手作りされていた。その後、豊富な水量を生かした水車を使い小麦をひくようになり、かつては300軒を超える製麺所が存在した。なお、神埼はロール式の製麺機を開発し、機械製麺の生産をいち早く導入した、機械そうめん発祥の地でもある。 + +## 食習の機会や時季 +家庭料理として、夏、暑い時期の食欲がない時の食事として食べられている。また、冬の寒い時期には、煮くずれしにくい「神埼そうめん」がにゅうめんとして重宝されている。 + +## 飲食方法 +沸騰したたっぷりのお湯でゆで、湯からざるにあげたら、氷水でしっかりと締め、ぬめりをとる。めんつゆにつけ、ショウガやミョウガなどの薬味とともにいただく。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- そうめん(乾): 320g +- 湯: 適量 +- えび: 2尾 +- トマト: 20g +- キュウリ: 20g +- 【薬味】青じそ: 8枚 +- 【薬味】ショウガ: 1かけ +- 【薬味】ミョウガ: 3個 +- 【麺つゆ】醤油: 40ml +- 【麺つゆ】みりん: 40ml +- 【麺つゆ】だし汁: 1.5カップ + +## 作り方 +1. たっぷりの湯を沸かした鍋に麺をバラバラにして入れ、よく箸でかき混ぜて麺同士がくっつかないようにする。 +2. 2~3分ほど好みのかたさにゆで、手早くざるにとり、水洗いする。 +3. 麺つゆは、しょうゆ、みりん、だし汁を鍋に入れ、一煮立ちさせる。 +4. 器に麺を盛り、茹でたえび、ひと口大に切ったトマト、キュウリを散らし、麺つゆと青じそ(せん切り)、ショウガ(おろす)、ミョウガ(小口切り)などの薬味を添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 佐賀県栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_25_1.jpg)" +"# 具雑煮/島原具雑煮 長崎県 + +**郷土料理名**: 具雑煮/島原具雑煮 + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +島原半島 + +## 主な使用食材 +丸餅、鶏肉、白菜、人参、ごぼう、干し椎茸、高野豆腐、焼きアナゴ、卵焼き + +## 歴史・由来・関連行事 +島原を代表する郷土料理のひとつ。江戸時代初期の1637年に起こった島原の乱で、総大将の天草四郎が三万七千人のキリスト教信徒たちと籠城した際に、兵糧の餅と山の幸・海の幸を合わせて煮て食し、長期戦の体力と気力を養ったのがこの料理としてのはじまりといわれている。全国的にも珍しい土鍋でつくる具だくさんの雑煮とし���知られ、これを食すことを目的に島原を訪れる観光客も多くいる。 + +## 食習の機会や時季 +地元の一般家庭では、正月や祭礼の日などのめでたいときに食されている。名物化したことで、飲食店などの商業施設では時節を問わず提供されるようにもなっている。 + +## 飲食方法 +土鍋に張っただし汁に具材を入れて炊き、そのまま食すスタイル。入れる具材は作る家庭によってさまざまだが、丸餅、鶏肉、白菜、人参、ごぼう、干し椎茸、高野豆腐といったところが一般的。焼きアナゴや卵焼きを定番の具材とする家庭もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 丸餅: 6個(210g) +- 鶏もも肉: 60g +- かまぼこ: 30g +- ちくわ: 15g +- さつま揚げ: 30g +- 高野豆腐(乾): 8g +- 干し椎茸: 10g +- 玉子焼き: 50g +- ごぼう: 20g +- 人参: 20g +- 白菜: 60g +- れんこん: 30g +- 水菜: 8g +- だし汁: 3カップ +- 【だし】昆布: 4g +- 【だし】かつお節: 10g +- 【だし】椎茸の戻し汁: 適量 +- 薄口醬油: 大さじ1 +- みりん: 大さじ1 +- みりん: 大さじ1 +- 食塩: 適量 + +## 作り方 +1. 高野豆腐、干し椎茸を水(分量外/200cc程度)で戻す。干し椎茸の戻し汁はだし汁で使うのでとっておく。 +2. 鶏もも肉は細切りに、かまぼこ、さつま揚げ、ちくわは薄切りにする。高野豆腐、椎茸、玉子焼きはうす切りにする。 +3. ごぼうはささがきに、人参は半月切りにする。白菜は3cm幅にざく切り、れんこんは半月切りにする。水菜は一口大のざく切りにする。 +4. 水2カップで、昆布とかつお節のだし汁をとり、干し椎茸の戻し汁と水を加えて3カップ分に調整する。 +5. 深めの鍋に4のだし汁を入れて火にかけ、鶏もも肉、ごぼう、人参、れんこん、椎茸を入れて煮る。 +6. 具材に十分に火が通ったら、かまぼこ、さつま揚げ、ちくわ、玉子焼きを入れ、薄口醤油、みりん、酒を加えて味を調え、白菜、高野豆腐を加える。味が薄い場合、食塩で味を調える。 +7. 別の鍋で煮た餠と水菜を入れ、少し煮立てる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : (公社)長崎県栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_1_1.jpg)" +"# ひきとおし 長崎県 + +**郷土料理名**: ひきとおし + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +壱岐市 + +## 主な使用食材 +鶏もも肉、壱州豆腐、そうめん、白菜、ごぼう、こんにゃく、ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +長崎県の離島・壱岐の代表的な郷土料理。かつて壱岐の農家では、盆・正月・祭りの日に客が訪れると、自宅で飼っていた滋味深い鶏をさばいて鍋料理をつくり、奥の座敷に引き通してもてなしていた。それが現在の鍋料理「ひきとおし」の原点とされ、名称も当時の「引き通し」からきているといわれている。なお、壱岐の方言では「ふるまう」を「フレメー」というため、「ひきとおし」を「フレメー料理」と呼ぶことがある。 + +## 食習の機会や時季 +現在、地元では盆や正月、祭礼の日に家庭で食されるのに加え、人が集まる寄り合いなどでもよく食されている。そのため、この料理を囲んで語り合うことを『ひきとおし寄り合い』と呼ぶ習慣もある。名物ということで、地元の飲食店などでは時節を問わずこの一品を提供している。 + +## 飲食方法 +鍋の具材は家庭によってさまざまだが、鶏もも肉(あるいはツミレ)と野菜類だけでなく、壱岐特産の味が濃くて甘みが強い壱州豆腐(いしゅうどうふ)と、かために茹でたそうめんを加えるのが定番になっている。コクをだすために鍋に張る水に名物の壱岐焼酎を注ぐこともある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- そうめん: 1束 +- 鶏もも肉: 200g +- 壱州豆腐: 1/4丁(普通の豆腐なら200g) +- 白菜: 1/8玉 +- ごぼう: 1/2本 +- 春菊: 1/2束 +- 白ネギ: 1/2本 +- こんにゃく: 1/2枚 +- 鶏ガラ: 320g +- 【鶏ガラ用】水: 3カップ +- 壱岐焼酎: 1.5カップ +- 砂糖: 大さじ7と1/3 +- 濃口醤油: 大さじ5 +- 薄口醤油: 小さじ2 +- 酒: 大さじ2と2/3 + +## 作り方 +1. ごぼうはささがきにし、あくぬきをして太めのそぎ切りにした鶏もも肉炒める。 +2. 鶏ガラはひたひたの水で煮る。沸騰したらざるに上げ、水(分量外)で何回も洗う。鍋に水、焼酎を入れ、鶏ガラを入れ、とろ火で1時間ほど煮てだしをとる。 +3. 鶏ガラをすくいあげ、鶏もも肉を入れる。 +4. そうめんはかために茹でる。 +5. 豆腐・野菜は食べやすい大きさに切る。こんにゃくは一口大にちぎっておく。 +6. 3に砂糖、濃口醤油、薄口醤油、酒を入れる。 +6. 豆腐、野菜、そうめんを煮えにくいものから先に入れて煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : (公社)長崎県栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_2_1.jpg)" +"# 浦上ソボロ 長崎県 + +**郷土料理名**: 浦上ソボロ + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +長崎市(浦上地区) + +## 主な使用食材 +豚肉、揚げかまぼこ、糸こんにゃく、もやし、にんじん、ごぼう + +## 歴史・由来・関連行事 +長崎県浦上地区が発祥の郷土料理。1500年後半、浦上地区でキリスト教を布教していたポルトガル人宣教師が、当時肉を食べる習慣がなかった信徒たちに「健康にいい食べ物」として豚肉を食べさせようと作られたのがはじまりといわれる。その後、信徒らは豚肉の量を少なくし、野菜をたっぷり入れて作るようになったため、それが基本レシピとして確立、いまに伝わったといわれている。名前の由来としては、ポルトガル語で“ソプラード(余り物)”からきたという説や、素材を粗く切ることを表す、“粗おぼろ”からきたという説がある。 + +## 食習の機会や時季 +長年にわたり地元の家庭料理として親しまれてきたが、近年、作る家庭が減ってきている。その一方で、この料理を供する飲食店は多くあり、単品のおかずとしてだけでなく、「浦上ソボロ丼」や「浦上ソボロ焼きうどん」といったアイデア料理を出す店もある。長崎駅で販売されている駅弁には豚肉の代わりに鯨肉を使って作ったものをご飯の上にのせた一折もある。 + +## 飲食方法 +名称に「そぼろ」とあるが、挽肉は使わない。豚肉を細切りにし、それを揚げかまぼこや糸こんにゃく、もやし、にんじん、ごぼうなどといっしょに炒めて作る。味付けに酒(みりん)、醤油、ときには出汁も使うことから煮物としての側面もある。作る家庭によって入れる具材や調味方法はさまざまだが、素朴であきない味わいという点では共通している。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 豚ばら肉(うす切り): 50g +- 揚げかまぼこ: 20g +- こんにゃく: 50g +- もやし: 100g +- にんじん: 15g +- ごぼう: 25g +- 干し椎茸: 6g +- 椎茸戻し汁: 50mL +- さやいんげん: 10g +- サラダ油: 小さじ2 +- 【A】薄口醤油: 大さじ1 +- 【A】砂糖: 小さじ2 +- 【A】酒: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 豚肉・揚げかまぼこ・こんにゃく・にんじんは太めのせん切り、ごぼうはささがきにする。 +2. 椎茸は戻してせん切り、いんげんは茹でて斜めのうす切りにする。 +3. サラダ油を熱し、豚肉を炒め、もやしといんげん以外の具材を加えてさらに炒める。 +4. 3に椎茸の戻し汁を加え、ひと煮立ちして【A】で調味する。 +5. 最後にもやしを加えてさっと煮る。 +6. 器に盛り、いんげんを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : (公社)長崎県栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_3_1.jpg)" +"# にごみ 長崎県 + +**郷土料理名**: にごみ + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +大村市 + +## 主な使用食材 +鶏もも肉、落花生、厚揚げ、じゃがいも、にんじん、こんにゃく、れんこん、ごぼう、干ししいたけ、細切り昆布 + +## 歴史・由来・関連行事 +落花生の名産地として知られる長崎県大村市の郷土料理。具材のひとつとして薄皮つきのゆで落花生を入れるのが特徴の煮込みで、江戸時代に大村市一帯のもてなし料理として作られていたのが、いまに伝わったとされている。「にごみ」という名称は「煮込み」の。料理としては同じ九州の「煮」と似ているが、鶏肉や根菜類などを1cm角に細かく切る点が異なっている。具材を細かく切る理由としては、落花生の大きさに合わせて食べやすくするためだという説と、昔の人々が食材のムダを極力なくすための知恵が引き継がれた結果だという説の二つがある。 + +## 食習の機会や時季 +古くから、祝儀、仏事、集会に訪れる人々をもてなすための大鍋料理として伝わってきたが、冷蔵庫が普及している現代では、多く作っても保存ができるため、普通の日でも家庭の食事のおかずとして食されるようになっている。また、地元の料理店や居酒屋などの飲食店でも、常時提供されている。 + +## 飲食方法 +家庭によって入れる材料はさまざまだが、鶏もも肉、落花生、厚揚げ、じゃがいも、にんじん、こんにゃく、れんこん、ごぼう、干ししいたけ、細切り昆布あたりが定番。これら多くの具材をやや甘めの味付けで煮込むため、ご飯のおかずはもちろん、酒のつまみにも適している。地元では幅広い世代に親しまれる料理となっている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ピーナッツ(生): 30g +- じゃが芋: 150g +- 人参: 50g +- 大根: 50g +- ごぼう: 40g +- 干し椎茸: 10~15個程度 +- こんにゃく: 30g +- 厚揚げ: 100g +- 鶏もも肉: 50g +- しょうゆ: 小さじ2 +- 砂糖: 大さじ1 +- みりん: 小さじ1 +- 酒: 小さじ1 +- 油: 適量 +- 水: 160g + +## 作り方 +1. 干し椎茸は水で戻し、ピーナッツは柔らかくなるまで茹でる。その他の材料は角切りにする。 +2. 鍋に油を入れて鶏もも肉を炒め、色が変わり始めたら角切りにした材料を入れる。 +3. 水と調味料を加えて煮る。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_4_1.jpg)" +"# 大村寿司/大村寿し 長崎県 + +**郷土料理名**: 大村寿司/大村寿し + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +大村市 + +## 主な使用食材 +はんぺん、にんじん、ごぼう、かんぴょう、きぬさや、錦糸卵 + +## 歴史・由来・関連行事 +古くから大村市に伝わる郷土料理。室町時代、戦に敗れ領地を奪われた大村純伊(おおむらすみこれ)が、反攻して領地を奪還し帰還した際に、領民らがそれを祝うために押し寿司を作り供したのが起源とされている。なぜ押し寿司だったのかというと、大勢の兵に食べてもらうための食器が足らなかったため。領民らは浅い木箱(もろぶた)に大量の炊きたての米飯を広げて、具を二重に乗せた押し寿司を急ごしらえし、兵士らはそれを脇差しで四角に切りながら食べたのだという。この伝承により、地元では「勝ち戦の祝いの寿司=大村寿司」となり、いまでもお祝い事に欠かせない料理として重宝されている。 + +## 食習の機会や時季 +地元の家庭では、祝い事や祭、仏事などの特別なときの料理として伝わってきたが、名物化してからは、長崎県内の一部の飲食店で常時出されるようにもなっている。 + +## 飲食方法 +材料もレシピも作る家庭によってさまざまだが、定番の具としては、はんぺん、にんじん、ごぼう、かんぴょう、きぬさや、錦糸卵などが挙げられる。シャリを味付けする際に、たくさんの砂糖を入れるのは、かつて砂糖が貴重であった時代に大量の砂糖を使うことで来客をもてなす気持ちを表していた慣習が、いまに伝わった結果といわれている。現代では健康を考慮し、砂糖を少なめにして作る家庭や、料理店が増えてきている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (30切分) +- 米: 4カップ(4.5合) +- だし昆布: 10cm角 +- 酒: 大さじ4 +- 水(酒を含む): 4カップ +- 【調味料A】砂糖: 50g +- 【調味料A】塩: 小さじ1 +- 【調味料A】酢: 1/2カップ +- 白身魚(切り身): 200g +- 【調味料B】砂糖: 20g +- 【調味料B】塩: 小さじ1/5弱 +- 【調味料B】酒: 大さじ1 +- はんぺん(赤、緑): 1パック +- 【調味料C】グラニュー糖: 少々 +- 【調味料C】酢: 少々 +- ごぼう: 150g +- 【調味料D】サラダ油: 適宜 +- 【調味料D】だし汁: 適宜 +- 【調味料D】砂糖: 大さじ1 +- 【調味料D】薄口しょうゆ: 大さじ1 +- 干ししいたけ(石づきを含む): 20g +- かんぴょう: 15g +- 【調味料E】砂糖: 大さじ1.5 +- 【調味料E】酒: 大さじ1.5 +- 【調味料E】みりん: 大さじ1.5 +- 【調味料E】濃口しょうゆ: 大さじ2 +- 【調味料E】干ししいたけの戻し汁: 3/4カップ +- 卵: 5個 +- 【調味料F】塩: 大さじ1/5 +- 【調味料F】酒: 大さじ1 +- グラニュー糖: 大さじ1 +- ゆでたけのこ: 100g +- ゆでふき: 100g +- 【調味料G】だし汁: 適宜 +- 【調味料G】砂糖: 小さじ2 +- 【調味料G】薄口しょうゆ: 小さじ2 +- しょうがの甘酢漬け: 30g +- 木の芽: 少々 +- 【手酢】酢: 大さじ4 +- 【手酢】水: 大さじ4 + +## 作り方 +1. 豚肉・揚げ洗った米に分量の水(酒の分量を除く)を入れ、だし昆布を入れて30分程度浸けて取り出し、分量の酒を加えてかために炊く。※米をといだ水は後工程で使用するため捨て��いかまぼこ・こんにゃく・にんじんは太めのせん切り、ごぼうはささがきにする。 +2. 【調味料A】をすべて合わせて「合わせ酢」を作っておく。 +3. 白身魚をゆでてふきんに取り、水でもむようにほぐしてさっと洗い、厚手の鍋に入れて【調味料B】を加え「そぼろ」を作る。 +4. はんぺんはサッと熱湯をとおし、小さく角に切って【調味料C】をまぶす。 +5. ごぼうをささがきにし、米のとぎ汁に浸けてあく抜きし、水気を切って油でサッと炒め【調味料D】を加えて調味する。 +6. 干ししいたけは水で戻し、かんぴょうはゆでて、それぞれ小さく刻み、【調味料E】で煮汁がほぼなくなるまで煮る。 +7. 卵は溶きほぐして【調味料F】をすべて加え、ざるでこして薄焼き卵を焼き、できるだけ細かく千切りして「錦糸卵」を作り、グラニュー糖をまぶす。(季節により、ゆでたけのこやゆでふきを使うとさらに季節感・香りを楽しめる。その場合、ゆでたけのことゆでふきは細かく刻んで【調味料G】で煮て水気を切る。) +8. 炊きあがったご飯を熱いうちに「合わせ酢」をまわしかけ、ウチワなどで扇ぎながら切るように混ぜ合わせ、すし飯にツヤを出す。 +9. すし型の内側を【手酢】でぬらし、すし飯の1/2を平らに入れ、その上にごぼうを平らにのせて、残りのすし飯を入れる。 +10. 残りの具の彩を考えながら、濃いものから薄いものの順に平らに広げてのせ、一番上に錦糸卵を盛りつける。 +11. すし蓋をかぶせて、重しをして30分程度おく。 +12. すし型に入れたまま切り分けて、すし型から取り出す。 +13. 器に盛りつけ、しょうがの甘酢漬け、木の芽を添える。(木の芽がない時は、ハランや南天など適宜に利用する)※この他具材として、むきえびの酢漬け、人参、三つ葉、奈良漬けなども利用される。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : (社)長崎県栄養士会「グループ研究活動:大村ずしを伝えのこし隊」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_5_1.jpg)" +"# ろくべえ/六兵衛 長崎県 + +**郷土料理名**: ろくべえ/六兵衛 + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +島原市、対馬市 + +## 主な使用食材 +さつまいも、山芋、かまぼこ、ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +島原地域と対馬地域に江戸時代から伝わる郷土料理。調理方法に多少の違いはあるが、どちらの地域でもさつまいもから作った粉をこねてうどん状にして、つゆに入れた料理である。島原地域では1792年、眉山(まゆやま)が火山性地震で崩壊したことで、大量の土砂が有明海に流れ込み津波が発生した。それは広く沿岸部を襲い、一帯の農地を荒らし、飢饉を招いた。付近の民衆はやせた土地でも育つさつまいもを主食にして飢えをしのいだ。料理の由来は、深江村(現在の南島原市深江町)の六兵衛という人が保存食用のさつまいもの粉末とつなぎとして山芋を合わせてうどん状にした料理を考案し、多くの人々を喜ばせた。これが島原における「六兵衛」のはじまりだといわれている。対馬では、ろくべえの原料としてさつまいもを発酵させて作る保存食「せん」を用いる。さつまいもは島民を飢えから救ったことから「孝行いも」(こうこいも)と呼ばれている。 + +## 食習の機会や時季 +かつては家庭料理としてよく作られていたが、近年では作る家庭が減ってきている。しかし、長崎県内のいくつかの飲食店では地元名物として積極的に提供しており、地元民、観光客問わず、いつでも食すことができるようになっている。 + +## 飲食方法 +麺は、原料のさつまいもの粉とつなぎとしての山芋で作る。一見すると太いソバのようだが、ソバのようには長くなく、表面はツルツルで、なかはモッチリとしている。すまし汁に入れた麺を噛めば、さつまいものほのかな甘味が口中に広がるのも特徴。かつては耐乏食だったが、いまは品種改良されたさつまいも使うなど、さまざまな味のアレンジがなされ、素朴ながらもおいしい郷土料理として広く認識されている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- せんだんご: 500g +- ごぼう: 40g +- 人参: 40g +- 干ししいたけ: 3g +- かまぼこ: 30g +- ねぎ: 5g +- 出汁: 150cc +- 酒: 3cc +- 淡口しょうゆ: 5cc +- 濃口しょうゆ: 2cc +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. せんだんごを手で細かく砕く。 +2. ぬるま湯をかけて、全体に水が行き渡る様に手でこねる。 +3. なめらかになってきたら、生地をソフトボール大に丸める。 +4. 大き目の鍋に湯を沸かし、3のだんごをいれ、さっと茹でる。 +5. しゃもじで形を崩し、再び手でこねる +6. 5の生地を少量ずつとって、ろくべえせぎの刃に当てて押し出し、沸騰した鍋に落としていく。 +7. 再沸騰して2~3分たったら冷水にとり、灰汁を洗い落として水気を切る +8. ごぼうはささがきにして水につけてあくを抜き、人参、干し椎茸千切り、かまぼこは薄切り、ねぎは小口切りにする。 +9. 出汁に椎茸の戻し汁を加え、ごぼう、人参、干し椎茸、調味料を加え煮て汁を作る。 +10. ろくべえに9の汁をかけて、かまぼこ、ねぎを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : (公社)長崎県栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_6_1.jpg)" +"# 皿うどん 長崎県 + +**郷土料理名**: 皿うどん + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +長崎県 + +## 主な使用食材 +皿うどんの麺、豚肉(+エビ、イカ)、白菜orキャベツ、人参、しいたけ、玉ねぎ、かまぼこ、うずらの卵、生姜 + +## 歴史・由来・関連行事 +「皿うどんは」全国的に知られる長崎名物の麺料理。1899年(明治32年)に「ちゃんぽん」を考案した中華料理店『四海樓(しかいろう)』の店主・陳平順(ちんへいじゅん)が、汁なしのちゃんぽんとして作ったもので、その独自の味わいから、後年「ちゃんぽん」と並んで全国的に知られる麺料理に育っていった。当初から伝わる「皿うどん」は、ちゃんぽんと同じ太い麺を使った焼きちゃんぽんで、近年よく食されている細いパリパリ麺に五目あんかけをかけるものとはちがう料理の側面がある。長崎の人たちは前者を「太麺皿うどん」、後者を「細麺皿うどん」としてはっきり区別している。なお、「皿うどん」という名称は、誕生当時、麺は椀や丼などの深い器に入れるのが常識だったところ、皿で出されたことで多くの驚きを誘い、そこから付けられたものだといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +発祥後、「皿うどんは」は長崎の多くの一般家庭や飲食店で食べられる料理となった。いまや全国的に知られる存在となり、他県でもよく食べられるものになっている。 + +## 飲食方法 +「太麺皿うどん」も「細麺皿うどん」も使う具材はほぼ同じだが、「太麺皿うどん」は炒めた麺をスープが残らなくなるまで調理し、「細麺皿うどん」は炒めた麺の上にあんかけをのせて仕上げるというちがいがある。多くの長崎の人々はそのことをはっきり認識しつつ、どちらにも同じ長崎独自のソース(ウスターソース)や酢をかけて食べる習慣をもっている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 豚肉: 100g +- 人参: 30g +- キャベツ: 120g +- かまぼこ: 30g +- もやし: 100g +- 椎茸: 2~3枚 +- むき海老: 100g +- イカ: 100g +- 市販の長崎皿うどんの揚げ麺: 2袋(2人前) +- 塩: 少々 +- 胡椒: 少々 +- サラダ油: 適量 +- 【スープ】しょうゆ: 小さじ2 +- 【スープ】鶏ガラスープの素: 小さじ2 1/2 +- 【スープ】水: 400ml +- 【スープ】片栗粉: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 材料を食べやすい大きさに切る。豚肉は塩、胡椒をふる。 +2. スープの材料を混ぜ合わせておく。 +3. フライパンにサラダ油を入れて中火で熱し、豚肉を炒める。色が変わったら、人参、キャベツ、むき海老、イカ、加えて更に2~3分炒める。その後、かまぼこ、もやし、椎茸を加えてさらに炒める。 +4. 2を3に加え煮立たせたら片栗粉でとろみをつけ、塩、胡椒で味を調える。 +5. 皿に麺を盛り、4をかける。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_7_1.jpg)" +"# ちゃんぽん 長崎県 + +**郷土料理名**: ちゃんぽん + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +長崎県 + +## 主な使用食材 +豚肉、はんぺん(紅白かまぼこ)、キャベツ、ネギ、モヤシ、イカ、エビ、アサリ(夏場)、カキ(冬場)、ちゃんぽん麺 + +## 歴史・由来・関連行事 +全国的に知られる長崎名物の麺料理。1899(明治32)年、中華料理店『四海樓(しかいろう)』の店主・陳平順(ちんへいじゅん)氏が中国人留学生に安くて栄養があるものを食べさせ��うと、鍋で野菜や肉の切れ端などを炒め、そこに中華麺を入れて濃いめのスープで煮こんだボリュームたっぷりの料理を作ったのがはじまりとされている。ちゃんぽんという名称は、中国語の簡単なご飯という意味の「喰飯(シャンポン)」がなまったものが由来という説と、ポルトガル語の混ぜる・混合するという意味の「ちゃんぽん」がなまったものが由来という説など、さまざまある。 + +## 食習の機会や時季 +発祥以降、中華鍋ひとつで作れるおいしく栄養たっぷりな麺料理ということで、長崎県で日常的に食される家庭料理となった。同時に多くの飲食店でも提供されはじめ、全国的に知られる存在となってからは、他県の飲食店でも食べられるようになっている。 + +## 飲食方法 +福建料理の『湯肉絲麺(とんにいしいめん)』という豚肉、椎茸、筍、ネギなどを入れたあっさりしたスープの麺料理がルーツだといわれているが、これをより濃いめのスープ、より豊富な具、独自のコシのある麺にして日本風にアレンジしたのが『ちゃんぽん』。入れる具は自由だが、一般的には豚肉と長崎特有のはんぺん(紅白かまぼこ)、キャベツ、ネギ、モヤシといった野菜類、イカ、エビ、アサリ(夏場)、カキ(冬場)といった魚介類を入れることが多い。好みによって生卵をトッピングすることもある。ほかの麺料理と大きくちがう点は、麺をスープで煮こむために、中華鍋ひとつで調理ができること。現在、豚骨主体の濃いめのスープの長崎ちゃんぽんと鶏ガラ主体のあっさりめのスープの小浜ちゃんぽんが、県内における二大ちゃんぽんといわれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 豚肉: 80g +- むき海老: 80g +- イカ: 80g +- アサリ: 80g +- 人参: 30g +- キャベツ: 100g +- かまぼこ: 30g +- もやし: 100g +- 椎茸: 2~3枚 +- 市販の長崎ちゃんぽんの麺: 2袋(2人前) +- サラダ油: 適量 +- 【スープ】オイスターソース: 小さじ2 +- 【スープ】鶏ガラスープの素: 大さじ1 +- 【スープ】酒: 大さじ1 +- 【スープ】砂糖: 大さじ1/2 +- 【スープ】塩: 小さじ1/2 +- 【スープ】水: 400ml + +## 作り方 +1. 材料を食べやすい大きさに切る。スープの材料を混ぜ合わせておく。 +2. 水(分量外)を沸騰させ、麺を茹でる。茹で上がったらザルに取る。 +3. 中華鍋にサラダ油を入れて強火で熱し、豚肉、むき海老、イカ、アサリを炒める。色が変わったら、残りの野菜を入れ軽く炒める。 +4. 混ぜ合わせておいたスープを3に入れて煮立たせる。 +5. 4に麺を入れて煮込む。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_8_1.jpg)" +"# いりやき 長崎県 + +**郷土料理名**: いりやき + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +対馬市 + +## 主な使用食材 +鶏肉もしくは魚介(ブリ、ヒラマサ、クロ、キジハタ、メジナ、アナゴ)、豆腐、こんにゃく、にんじん、はくさい、たまねぎ、ごぼう、深ねぎ、生しいたけ + +## 歴史・由来・関連行事 +日本海に浮かぶ離島・対馬に古くより伝わる鍋料理。昔から地元の家庭には、冠婚葬祭で人々が集った際に、家で飼っていた地鶏をさばいて寄せ鍋を作ってもてなす慣習があり、それがいまの「いりやき」につながったといわれている。ただ、漁村などにある海辺の家庭では鶏の代わりに近海で獲れた魚を入れて鍋を作っていたようで、いま、鶏メインと魚メインの二つのタイプの「いりやき」が基本レシピとして伝わっている。「いりやき」という名称は、鍋を作るときに、まず地鶏や魚を椿油に入れた鍋でことからきている。これは平安時代の『今昔物語』に出てくる「い焼き」と同じ調理法と見られている。 + +## 食習の機会や時季 +いまでも、祝い事や法事などの際のお客さまをもてなすための料理として各家庭で作られている。一方で名物料理として常時提供している店がいくつかあり、地元民・観光客ともにいつでも食べられるようになっている。 + +## 飲食方法 +鶏もしくは魚をメインに、野菜類やこんにゃく、豆腐などを入れて作る寄せ鍋。メイン食材を魚にする場合、対馬近海で獲れるブリ、ヒラス(ヒラマサ)、クロ、キジハタ、メジナ、アナゴなどのいずれかを入れるが、冬場には脂がのった寒ブリを入れるのが定番とな���ている。スープの味付けは家庭によって異なるものの、醤油のほかに砂糖、みりんも入れるため、少し甘めに仕上がる。鍋の具を食べ終えたら、具材の旨味を含んだそのスープにソーメンか特産の対州そば(たいしゅうそば)を入れて食べるのが地元流で、そのあまりのおいしさに「いりやきは後食え」という格言も生まれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5~10人分) +- 地鶏(鯛などの白身魚でも可): 1~2kg +- はくさい: 300g +- 長ネギ: 50g +- 春菊: 150g +- こんにゃく: 30g +- しいたけ: 20g +- ごぼう: 15g +- 砂糖: 25g +- しょうゆ: 40g +- 酒: 20g +- そば・ソーメン: お好みで + +## 作り方 +1. 地鶏をなべで炊く。(長く炊くほどやわらかくなり、鶏肉から良い出汁が出る)※対馬では鶏を一羽分買ってきてそれを使用する。(専門店があり、食べやすく切ってある) +2. 野菜などの具材を切る。 +3. 調味料を入れ、さらに煮る。 +4. 切った野菜を加える。 +5. 手打ちそばや茹でたソーメンを器に盛り、いりやきを汁ごとかけて食べる。※魚のいりやきの時は塩、しょうゆのみで調味することが多い。※魚は白身のもの、鯛やめじなを丸ごと一匹捌いて使う。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : (公社)長崎県栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_9_1.jpg)" +"# いぎりす 長崎県 + +**郷土料理名**: いぎりす + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +島原半島 + +## 主な使用食材 +イギス藻(干)、キクラゲ、木綿豆腐、にんじん、ピーナッツ + +## 歴史・由来・関連行事 +長崎県の島原半島に伝わる郷土料理。「いぎりす」は、材料や作り方は若干異なるものの、愛媛県今治地方に伝わるイギス藻を使った料理「いぎす豆腐」がルーツだといわれている。今治の料理に近いものが島原で作られるようになったのは、江戸時代の1637年に起きた島原の乱ののちに幕府が復興策として四国の各藩から農民たちを移住させたから。移住した彼らが有明海でも瀬戸内海と同様にイギス藻が採れることを知ったことで調理がはじまったと見られている。「いぎりす」という名称は国名のイギリスとはなんの関係もない。イギス藻のイギスが転訛しただけとされている。 + +## 食習の機会や時季 +かつては日常食だったが、作るのに手間がかかるうえ、原料のイギス藻が高級食材化したことから、次第に作る家庭が少なくなった。現在では、冠婚葬祭などの特別な席だけででる料理と見なされはじめている。ただし、地元には常時提供を行っている飲食店もいくつかある。 + +## 飲食方法 +乾燥させたイギス藻を煮溶かしたものに煮たり炒めたりした具材を入れ、それを流し箱に移して固めると「いぎりす」ができあがる。羊羹状になったものを均等に切ってそのまま食し、具の旨味と喉ごしのよさを味わう。なお、仏事用に中に具を入れない「白いぎりす」もあり、これは薄く切ってごま醤油や白あえを付けて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- いぎす藻(干): 60g +- ピーナッツ: 60g +- 厚揚げ豆腐: 1丁 +- にんじん: 1本 +- キクラゲ: 3枚 +- 米ぬか: 150g +- 薄口しょうゆ: 80cc +- サバの味噌煮: 1缶 +- ぬか水(二番汁): 8カップ +- 砂糖: 大さじ2 +- だしの素: 適量 +- 塩: 適量 + +## 作り方 +1. いぎす藻は米糠の一番汁に浸し、固くしぼっておく。(一番汁は米糠を軽くもみ出したもの、浸した汁はすてる) +2. キクラゲ、にんじんはせん切り、豆腐は1cm位のさいの目に切る。ピーナッツは炒って粗く砕いておく。 +3. 鍋に、二番汁(1の米糠をよくもみ出した汁)を入れ火にかける。 +4. 煮立ったら、いぎす藻を入れ、木杓子で混ぜながら煮溶かす。(中火) +5. 砂糖、しょうゆ、だしの素、2の具、サバ缶をほぐし汁ごと入れ混ぜる。 +6. 加熱するにしたがって糊状になる。焦げつかないように中火にして20分位練り、塩で味を調える。(量と火力で時間は異なる) +7. ピーナッツを入れ、ムラにならないように混ぜる。 +8. 流し箱に入れ、冷やし固める。適当な大きさに切って盛りつける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 南島原市食生活改善推進員協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_10_1.jpg)" +"# ヒカド 長崎県 + +**郷土料理名**: ヒカド + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +長崎市 + +## 主な使用食材 +ブリ、鶏肉、大根、にんじん、干ししいたけ、さつま芋、しらす干し、小ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +1600年代の初期から長崎に伝わる郷土料理。かつて長崎にいたポルトガル人の宣教師や貿易に携わっていた人たちは、寒い時季に牛肉や豚肉を使ったシチューを食べていた。その味は次第に地元の人々の間にも広がり、のちに地域で採れる野菜、鶏、魚などを使った独自の作り方が確立されていく。現在に伝わる「ヒカド」は、それが起源といわれている。「ヒカド」という名称は、ポルトガル語の肉などを細かく刻むという意味の単語Picadoからきている。江戸中期に料理本には南蛮料理の一つとして紹介されている。 + +## 食習の機会や時季 +地元では、シチュー同様、秋や冬といった寒い季節に体が温まる料理としてよく食べられている。家庭料理としてだけでなく、料亭などでは長崎名物のコース料理である卓袱料理(しっぽくりょうり)のなかの一品としても提供されている。 + +## 飲食方法 +野菜類(大根、にんじん、しいたけなど)と、魚(または鶏肉)などを細かく切って煮込み、シンプルにしょうゆで味付けをする。最後に、すりおろしたさつま芋を入れてひと煮立ちさせ、とろみをつければできあがる。さつま芋の甘みが、さまざまな具材を調和させ、やさしい味わいをうみだす。とろみの付け方がさつま芋であることが特徴。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ブリ: 80g +- 【ブリ下味用】塩: 少々 +- 【ブリ下味用】酒: 少々 +- 鶏肉: 80g +- 大根: 80g +- にんじん: 40g +- さつま芋: 80g +- 干し椎茸(乾燥時): 4g +- さつま芋(すりおろし): 60g +- 小ねぎ: 10g +- だし汁と椎茸の戻し汁: 3・1/2カップ +- 【調味料】塩: 小さじ1/5 +- 【調味料】薄口醬油: 小さじ1 +- 【調味料】酒: 大さじ1 + +## 作り方 +1. ブリは1.5cm角に切り、塩、酒少々(分量外)で下味をつける。 +2. 鶏肉は1.5cm角に切る。 +3. 大根、にんじんは1cm角、さつま芋は皮がついたまま1.5cm角に切る。 +4. すりおろし用のさつま芋は、皮をむいて10~15分水にさらして、アクを抜く。 +5. 干し椎茸は水で戻した後、石づきをとり、1cm角に切る。 +6. 小ねぎは小口切りにする。 +7. ブリは湯通しする。 +8. だし汁と椎茸の戻し汁をあわせた鍋に鶏肉、大根、にんじん、椎茸を加えて煮る。 +9. 煮立ったらアクをとり、1cm角に切ったさつま芋を加える。 +10. ブリを加え、【調味料】で味をととのえ、すりおろしたさつま芋を入れ、とろみがついたら火を止め、器に盛り小ねぎを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 長崎市(第三次長崎市食育推進計画) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_11_1.jpg)" +"# 地獄炊き(五島うどん/島原そうめん) 長崎県 + +**郷土料理名**: 地獄炊き(五島うどん/島原そうめん) + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +五島列島 + +## 主な使用食材 +〈地獄炊きにする場合〉五島うどん、薬味(ネギ、しょうが、かつお節)、卵 + +## 歴史・由来・関連行事 +「五島うどん」は、長崎県の最西端にある五島列島の古くからの特産品。かつて五島は遣唐使船の寄港地であったことから、中国でさまざまなことを学んだ遣唐使がその原型を伝えたといわれている。近年の研究においては、製法が酷似している中国・浙江省永嘉県岩坦(せっこうしょうえいかけんがんたん)地区に伝わる索麺(そうめん)がルーツではないかという説がでている。生麺ではなく椿油を使って島原そうめんで、ゆでて戻した麺は丸くて細くつるんとした食感が特徴となっている。 + +## 食習の機会や時季 +五島に多くある製麺所で作られるうどんは、地元では、家庭料理としてだけでなく、大勢の人が鍋を囲んで食べる行事食としても親しまれてきた。全国的に名物うどんとして知られるようになってからは、日本各地のさまざまな家庭、シーンで食されるものとなった。現在、製麺の約80%は島外に出荷されている。 + +## 飲食方法 +地元での定番の食べ方は「地獄炊き」。乾麺を鉄鍋でぐつぐつとうゆでて戻し、それを五島沖で獲れたトビウオを使ったアゴだしでいただく。味にアクセントをつけるために、ネギ、かつお節、��ょうゆを入れて溶いた卵に麺を絡めて食べることもある。うどんを取り出す時に箸では取りにくいので「うどんすくい棒」を使う。また島原ソーメンも同様でゆでたてを薬味で頂く家庭も多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 五島うどん(乾めん): 120g +- 【たれ】水: 200㏄ +- 【たれ】あごだし(顆粒): 大さじ1弱 +- 【たれ】煮切りみりん: 大さじ4 +- 【たれ】醤油: 大さじ2 +- 【たれ】たまり醤油: 大さじ2 +- 【薬味】柚子胡椒: 適量 +- 【薬味】もみじおろし: 適量 +- 【薬味】おろし生姜(チューブ): 適量 +- 【薬味】ねぎ(小口切り): 適量 +- 【薬味】生卵: 適量 + +## 作り方 +1. 大鍋に湯をたっぷりと沸かし、五島うどんを入れる。 +2. 茹であがった麺をたれにつけて食べる。※卵を溶いて、お好みの薬味を入れ、麺を絡めて食べてもおいしい。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_12_1.jpg)" +"# 鶏飯 長崎県 + +**郷土料理名**: 鶏飯 + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +諫早地区 + +## 主な使用食材 +米、鶏肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「鶏飯」は、諫早市の目代地区に伝わるおもてなし用の混ぜご飯。昔から、正月や盆のときに、男衆が自宅で育てた鶏をさばいて作るのが習わしで、いまも基本的に男性が作るものとされている。「鶏飯」を「といめし」とも呼ばれることもあるが、地元で鶏を「とい」ということからきている。 + +## 食習の機会や時季 +地元では正月や盆、祭りのほか、地域の寄り合いなどの場でも供される料理となっている。 + +## 飲食方法 +男性が作る混ぜご飯らしく基本的なレシピはとても簡素。基本的に米と鶏肉さえあれば作ることができる。凝った作り方をする場合は、鶏肉以外に、ごぼう、にんじん、干ししいたけ、薄揚げ、凍り豆腐などの具を入れる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 米: 1カップ +- 水: 220ml +- だし昆布: 3~4cm +- 油: 大さじ1/2 +- 鶏肉: 50g +- 酒: 大さじ1 +- 薄口醤油: 少々 +- 濃口醤油: お好みで + +## 作り方 +1. 米は洗って分量の水(1割増の水)、出し昆布を加えて30分以上おいて、普通に炊く。 +2. 厚手の鍋をよく熱して油をなじませ、小さく切った鶏肉をよく炒める。 +3. 2をよく炒めたら酒を加えてしばらく蓋をして煮る。次に薄口醤油を加えてさらにしばらく煮る。(色をつけたいときは、濃口醤油を少し混ぜる) +4. ご飯が炊き上がったらよく蒸らし、3を汁ごと加えてよく混ぜる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 諫早市食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_13_1.jpg)" +"# ぬっぺ 長崎県 + +**郷土料理名**: ぬっぺ + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +諫早地区 + +## 主な使用食材 +鶏肉、厚揚げ、さといも、こんにゃく、ごぼう、だいこん、にんじん、干ししいたけ、玉ふ + +## 歴史・由来・関連行事 +「ぬっぺ」は諫早地区に古くから伝わる郷土料理。実は、これに類する料理は日本各地に存在している。名称も、同じ「ぬっぺ」のほか、「ぬっぺい」「のっぺ」といった一字違いのものが多くある(それぞれ末尾に「汁」を付けて呼ぶ場合もある)。どれもさといもを中心とした根菜類を小さく切って煮ることと、汁にとろみがあることが共通点となっている。いつ、どこで発祥したかは定かではない。各地で作られるようになったのは、一説では、主な材料の根菜類が身近にあって廉価で、煮崩れしにくいため、一時に大量に作り置きできる点が好まれたからだとされている。また、その都度温めて提供できるため、人が多く集まる場の料理としても日常の作り置きのおかずとしても最適と見られたことも影響したと考えられている。なお、「ぬっぺ」という呼び方は、さといもやでんぷん(片栗粉)のとろみで「ぬっとり」することからきているといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +諫早地区では、昔から法事の精進料理としてだされてきた。また、鯨肉・鶏肉を加えて結婚式などの祝い料理としても供されてきた。いまは、保存が効く日常食として作られることも多くなっている。地元の飲食店では常時のメニューのひとつとしてだしているところもある。 + +## 飲食方法 +作り方は簡単。���菜類を中心とした野菜を小さく刻んで、それをこんにゃく、厚揚げ、干ししいたけ、花ふなどといっしょに煮込んで作る。肉を入れる場合は鶏が基本だが、鯨肉、豚バラを入れる場合もある。とろみがついているため、冷めてもおいしくいただける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 鶏肉: 50g +- 厚揚げ: 50g +- こんにゃく: 40g +- 干ししいたけ: 1枚(4g) +- にんじん: 20g +- さといも: 50g +- れんこん: 20g +- ごぼう: 30g +- だいこん: 40g +- さやいんげん: 2本 +- 花ふ: 6個 +- 【水溶き片栗粉】片栗粉: 大さじ1 +- 【水溶き片栗粉】水: 大さじ1 +- 砂糖: 大さじ1/2 +- 酒: 大さじ1 +- 薄口しょうゆ: 大さじ1 +- 【だし汁】: 300ml +- 【だし汁】かつおぶし: 適宜 +- 【だし汁】だし昆布: 適宜 + +## 作り方 +1. だし汁を作る。 +2. 干ししいたけ・花ふは水で戻しておく。 +3. さやいんげんはゆでて1cmくらいの輪切りにする。 +4. 他の材料も1cmの角切りにする。 +5. 鍋にだし汁を入れ、しいたけ・こんにゃく・野菜を入れ、やわらかくなるまで煮込む。 +6. 厚揚げを加え、砂糖・しょうゆ・酒で調味し、花ふを入れる。 +7. 水溶き片栗粉でとろみをつけ、さやいんげんを加える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 :(公社)長崎県栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_14_1.jpg)" +"# 鼻はじき 長崎県 + +**郷土料理名**: 鼻はじき + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +諫早地区 + +## 主な使用食材 +きゅうり、にんじん、厚揚げ、こんにゃく、エビ、ささみ、いんげん + +## 歴史・由来・関連行事 +「鼻はじき」は諫早地区に伝わる郷土料理。一枚の皿にさまざまな食材を放射状に並べ、それを辛子酢みそをつけながら食べる。昔から主に法事の精進料理として供されてきた。「鼻はじき」というユニークな名称は、辛子酢みその辛子が鼻をツンとはじくことからきている。長崎県内や県外において高菜の漬物などを同じく「鼻はじき」と呼んで食す文化があるが、料理としてはまったく別物となる。 + +## 食習の機会や時季 +昔は主に法事の精進料理だったが、現在は一般家庭での普段のおかずとしても食されるようになっている。 + +## 飲食方法 +食材を短冊状に切ったきゅうり、にんじん、厚揚げ、こんにゃく、エビ、ささみ、いんげんなどを一枚の皿に放射状に盛り付け、辛子酢みそを付けながら食すのが基本スタイル。具材のひとつに長崎の特産である鯨肉が入ることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 厚揚げ: 1/2丁(100g) +- こんにゃく: 1/2枚(125g) +- きゅうり: 50g +- さらしくじら: 50g +- ささみ: 2本(86g) +- さやいんげん: 7本(50g) +- にんじん: 50g +- えび: 5尾(150g) +- 【辛子酢みそ】米みそ: 大さじ4 +- 【辛子酢みそ】練り辛子: 小さじ2 +- 【辛子酢みそ】砂糖: 大さじ3 +- 【辛子酢みそ】酢: 大さじ3 +- 【辛子酢みそ】酒: 大さじ1/2 + +## 作り方 +1. 厚揚げ、こんにゃくはゆでて幅1cm、長さ5cmの薄い短冊に切る。 +2. きゅうりも幅1cm、長さ5cmの薄い短冊に切る。 +3. さらしくじらは冷水でよく洗い水切りしておく。 +4. ささみは筋を取り、酒、塩少々を振り皿に入れラップを軽くして、5分蒸し、大きめに裂く。 +5. さやいんげんは色よくゆで、斜め2つに切る。 +6. にんじんも幅1cm、長さ5cmの薄切りの短冊に切り、下ゆでしておく。 +7. えびは背わたを取り、皮つきのまま塩少々を加えた熱湯でゆで、皮をむき、縦半分に切る。 +8. 【辛子酢みそ】をつくる。 +9. 全ての材料を放射状に彩りよく盛り付け、8の【辛子酢みそ】をつけていただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 :(公社)長崎県栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_15_1.jpg)" +"# 押し寿司(もろぶた寿司) 長崎県 + +**郷土料理名**: 押し寿司(もろぶた寿司) + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +県北全域 + +## 主な使用食材 +米、鯛、ごぼう、タケノコ、干し椎茸、干し大根、高野豆腐、ちくわ、卵、寿司でんぶ、パセリ + +## 歴史・由来・関連行事 +「もろぶた寿司」は長崎県の県北地域に古くから伝わる押し寿司。由来は大村市に伝わる「大村寿司」と同じで、室町時代に戦に破れ領地を奪われた大村純伊(おおむらすみこれ)が反攻して領地に帰還した際に、領民らがそれを祝うために押し寿司を作り供したのがはじまりといわれている。当時、浅い木箱「もろぶた」を使って作ったとされており、それがいまに伝わる点も共通している。ただし、佐々町には「もろぶた寿司がシャリで具を挟むのは、武士は無闇に腹のなかを見せてはならないという精神に通じている」という独自のいい伝えが残っている。 + +## 食習の機会や時季 +昔から地元の農家を中心に、めでたい席でだされる料理として伝わってきた。現在もおくんち(秋祭り)で集まる人たちにふるまわれたり、消防署の出初め式にだされたりしている。ただし、近年、地域外からの移住者が増えたことなどから、一般家庭で食される機会が次第に減ってきているともいわれている。 + +## 飲食方法 +「もろぶた寿司」の起源は「大村寿司」と同じとされているが、料理としては若干異なる点がある。「もろぶた寿司」は、シャリの間に挟む具に佐々町の近くの海で取れる鯛を必ず入れる。また、味付けは「大村寿司」よりは少し甘めとなっている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (30個分) +- 【すし飯】米: 9合 +- 【すし飯】【合わせ酢】砂糖: 225g +- 【すし飯】【合わせ酢】塩: 18g +- 【すし飯】【合わせ酢】酢: 160cc +- 【具材】鯛: 125g +- 【具材】ごぼう: 100g +- 【具材】タケノコ: 75g +- 【具材】干し椎茸: 5g +- 【具材】干し大根: 30g +- 【具材】高野豆腐: 1枚 +- 【具材】ちくわ: 1本 +- 【具材】砂糖: 50g +- 【具材】醤油: 30~40cc +- 【具材】卵: 3個 +- 【具材】でんぶ: 適量 +- 【具材】パセリ: 適量 + +## 作り方 +1. 若干固めに米を炊く。 +2. 干し椎茸、干し大根、高野豆腐は水や湯で戻す。 +3. ごぼうは小さく削ぎ、2の食材、タケノコ、ちくわを細かく刻む。 +4. 鯛を焼いて(※)、火を入れる。鍋に鯛を入れ、水と椎茸の戻し汁を沸騰させて身をほぐし、骨を取り除く。※炭火推奨 +5. 4にごぼう、干し椎茸、タケノコを入れてごぼうに火が通ったら、干し大根、ちくわを入れてひと煮立ちする。 +6. 砂糖と醤油で味を調え、高野豆腐を入れて煮詰める。 +7. 卵は焼いて、薄焼き卵を作る。冷めたら、細切りにし錦糸卵にする。 +8. 砂糖、塩、酢を混ぜ合わせ、すし酢を作る。 +9. 1にすし酢を少しずつ回しかけ、切るように混ぜ合わせてすし飯を作る。 +10. もろぶたに、すし飯2/3・具材1/3程度を目安に混ぜ合わせて、ならす。その上に残りの具材を平らに広げる。 +11. 10に残りのすし飯を平らにし、切り分ける。 +12. 錦糸卵、でんぶ、パセリを飾る。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_16_1.jpg)" +"# かんころ餅 長崎県 + +**郷土料理名**: かんころ餅 + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +五島地方 + +## 主な使用食材 +さつま芋、餅米 + +## 歴史・由来・関連行事 +「かんころ餅」は長崎県五島地方に古くから伝わる郷土食。五島地方ではさつま芋を薄くスライスして天日干ししたものを「かんころ」と呼ぶ。この「かんころ」を餅米に混ぜてつきあげると「かんころ餅」ができあがる。昔は、冬の保存食として各家庭で作られていた。かんころを混ぜた餅にしたのは、高価な餅米を少なくしても家族全員が十分な量を食べられたからだといわれている。なお、伝承のひとつとして、江戸時代に迫害を受けて五島列島に渡ってきたキリシタンの人々が食料確保のために作りはじめたという話も残っている。 + +## 食習の機会や時季 +かつては家庭ごとの冬の保存食だった。いまは五島地方をはじめとする長崎の特産品になったことでさまざまなメーカーから商品が販売されていて、常時、どこでも食すことができるようになっている。地元のいくつかの飲食店も名物食として年中提供している。 + +## 飲食方法 +もともとは、さつま芋の甘みがあるだけの素朴な餅だった「かんころ餅」。近年は砂糖を加えて甘みを増し、和菓子のような側面も併せ持つものになってきている。食べ方の基本は棒状の餅を切って焼くだけだが、焼いたものにバターをのせたり、天ぷらにしたりと、現代人の舌に合わせて、さまざまな食し方が考案されている。また、数多く発売されている商品のなかには、むらさき芋やよもぎを加えるなど、見た目と味のバリエーションが楽しめるものも出てきている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- もち米: 3合 +- 干し芋: 200g +- 砂糖: 大さじ10 +- 片栗粉: 大さじ4 + +## 作り方 +1. もち米を水で洗って、ひと晩吸水させる。 +2. 吸水させたもち米をザルに上げ30分置く。 +3. 餅を搗いて砂糖を加える。(お好みで、むらさき芋やよもぎを入れる) +4. 搗き終わったら台に取り出し、なまこ型に成型する。(片栗粉を敷いておくとひっつきにくい) +5. オーブントースターで焼く。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_17_1.jpg)" +"# 長崎天ぷら 長崎県 + +**郷土料理名**: 長崎天ぷら + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +長崎県 + +## 主な使用食材 +魚介類、野菜類 + +## 歴史・由来・関連行事 +「長崎天ぷら」は約400年前から伝わる郷土料理。南蛮貿易のポルトガル人が食べていた衣に味が付いたフリッターが原型とされている。実際、現在の「長崎天ぷら」は、衣に砂糖などの調味料が加えられたフリッターの体を成しており、一般の天つゆで食べる天ぷらとは若干異なる料理となっている。ただ、一説では「長崎天ぷら」は一般の天ぷらの起源ともいわれている。これは、天ぷらの語源がポルトガル語の「Tempero(調理する)」だとする説や、キリスト教で肉食を絶って魚を食べる期間を「Temporas」と呼び、長崎のキリシタンたちがそれに従って魚や野菜をフライにして食べていたという説があることから発したものと考えられる。 + +## 食習の機会や時季 +当初は富裕層を中心に広がり高級料理だったと見られている「長崎天ぷら」。現在は、家庭での夕餉や弁当のおかずとして、だれでもいつでも食べられる料理となっている。 + +## 飲食方法 +「長崎てんぷら」は、魚介類や野菜類に小麦粉に砂糖や酒などを加えた衣をつけてカリッと油で揚げるフリッターに似た料理。衣は厚く味がついているため天つゆにつける必要がなく、そのまま食べられる。揚げたてはもちろん、冷めてもおいしくいただける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- エビ: 4尾 +- 鶏ささみ: 4本 +- さつまいも、れんこん、いんげんなど季節の野菜: お好みの量 +- 【A】小麦粉: 1カップ +- 【A】片栗粉: 大さじ1 +- 【A】砂糖: 大さじ2 +- 【A】塩: 少々 +- 【A】薄口醤油: 小さじ1 +- 【A】卵液: 大さじ3 +- 【A】酒: 大さじ3 +- 【A】水: 大さじ3 +- 揚げ油: 適量 + +## 作り方 +1. エビは背ワタを取り除く。鶏ささみは筋を除き、塩(分量外)で薄下味をつけておく。さつまいも、れんこんは輪切り、いんげんはへたを切る。 +2. 【A】をボウルに入れ、粘り気が出るまでよく混ぜ衣を作る。 +3. 油をフライパンに入れる(2~3cm)。具材を衣にくぐらせ、170度の油で揚げる。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_18_1.jpg)" +"# 鯨じゃが 長崎県 + +**郷土料理名**: 鯨じゃが + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +長崎県 + +## 主な使用食材 +塩鯨、じゃがいも、にんじん、たまねぎ、糸こんにゃく(黒)、さやいんげん + +## 歴史・由来・関連行事 +長崎では縄文時代から捕鯨が行われており、江戸時代には大村湾の東側に位置する彼杵(そのぎ)が古式捕鯨の中心地として栄えた。それにともない長崎では鯨を食す文化が根付き、古くからさまざまな鯨料理が生まれている。「鯨じゃが」はそのなかのひとつ。肉じゃがが誕生した近代以降に、鯨肉を入れた肉じゃがとして地元の一般家庭で作られるようになった。 + +## 食習の機会や時季 +長く普通の家庭料理として親しまれてきた「鯨じゃが」だが、近年、材料の塩鯨の価格が高くなったため、以前ほどに身近な料理ではなくなってきている。県内に数多くある鯨料理店のなかにはメニューのひとつとして常時提供しているところがある。 + +## 飲食方法 +市販されている塩鯨を使用して作る。普段から鯨肉を食べ慣れていない人のなかには、鯨肉は特有の臭みや脂っぽさがあるとして敬遠する向きがある。しかし、この料理ではいっしょに煮込むじゃがいもやたまねぎとの相性がよく、鯨肉ならではの旨味のほうが際立つため、老若男女だれでもおいしくいただけるものとなる。 + +## 保存・���承の取組 +Not found + +## 材料 (4~5人分) +- 鯨(須払): 300g +- じゃがいも: 4個(600g) +- にんじん: 1本(150g) +- たまねぎ: 中1個(180g) +- 糸こんにゃく: 1袋(100g) +- さやいんげん: 50g +- 水: 2カップ +- 【調味料】砂糖: 大さじ3 +- 【調味料】しょうゆ: 大さじ6 +- 【調味料】酒: 大さじ2 +- 【調味料】みりん: 大さじ2 + +## 作り方 +1. じゃがいもは皮をむいて4つに切る。にんじんはじゃがいもよりやや小さめの乱切りにする。たまねぎはくし型に切る。 +2. さやいんげんはサッと下ゆでし、2つに切る。鯨はザルに入れ熱湯をかける。(臭み消し) +3. 糸こんにゃくは下ゆでし、5,6cmに切る。 +4. なべに水2カップを入れ、合わせ調味料を入れ火にかける。 +5. 沸騰したら、鯨といんげん以外の材料を入れ、再び沸騰したら火を弱めてアクを取る。 +6. 落としぶたをしてやわらかくなるまで中火で10~15分煮る。 +7. 仕上げ際にいんげんを加える。 +8. 器に汁もいっしょに盛り付ける。※ 鯨は塩漬けの場合はぬるま湯でサッと洗い、熱湯を2~3回かけて使用する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 東彼杵町 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_19_1.jpg)" +"# パスティー 長崎県 + +**郷土料理名**: パスティー + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +長崎県 + +## 主な使用食材 +鶏肉、やまいも、生しいたけ、ぎんなん、もやし、ゆで卵、冷凍パイシート + +## 歴史・由来・関連行事 +「パスティー」は鎖国時代に出島に出入りしていたオランダ人から伝わったとされる料理。当時の料理本『南蛮料理書』に原型が紹介され、後年に著された『四季料理書』には現在のレシピに近い作り方が載っている。「パスティー」という横文字の名称は、ポルトガル語でパイを意味する「Pastel」あるいは生地を意味する「Pasta」のいずれかに由来するといわれている。西洋風な料理ながらもパイ生地の下の具材に中国伝来のものが入っていたり、味付けが和風だったりすることから、長崎独自の和華欄(わからん)料理のひとつである。 + +## 食習の機会や時季 +昔は庶民がめったに口にできない高級料理であったと推測される。現在は出島のレストランなどが地元の名物料理のひとつとして常時提供している。また、一部の料亭では卓袱料理(しっぽくりょうり)のなかの一皿としてだしている。 + +## 飲食方法 +鍋で具材を鶏ガラスープ(あるいはフカヒレスープかスッポンスープ)で煮込み、和風の味付けをする。それを耐熱の大鉢に盛り付けてパイ生地で蓋をし、そのままオーブンで焼くと「パスティー」ができあがる。食べるときは、編み目のパイ生地を崩してなかのスープに入れ、具材といっしょにいただく。独自の和華欄の味わいに加え、パイ生地のザクザク食感と煮込んだ具材のやわらかい食感の組み合わせの妙が楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 鶏もも肉: 100g +- もやし: 100g +- 長いも: 50g +- 生しいたけ: 20g +- にんじん: 20g +- ゆでぎんなん: 4個 +- ゆで卵: 1個 +- 鶏がらスープ: 小さじ1/2 +- 水: 200ml +- 食塩: 1g +- 薄口しょうゆ: 小さじ1 +- 酒: 大さじ1/2 +- 砂糖: 小さじ1/2 +- パイ皮: 1枚 +- 卵黄: 1/2個 + +## 作り方 +1. 鶏肉は一口大に切る。長いもは、皮をむいて乱切りにする。にんじん、生しいたけは一口大に切る。 +2. 1を鍋に入れ、鶏がらスープの素と水を加えて1がやわらかくなるまで煮て、調味料を入れ更にしばらく煮る。 +3. 2を深めの耐熱皿に盛り、残りの煮汁とともに盛り、2つに切ったゆで卵を飾る。 +4. パイ皮を1.5 cm幅のひも状に切り、3の器の上に少し間隔をあけて斜め格子状にのせる(器の周囲の部分を押さえる)。 +5. 4の周囲にハケで卵黄(少量の水を加える)をぬり、1.5 cmに切ったパイ皮をのせ、軽く押さえる。 +6. 5の表面に卵黄をぬり、250℃のオーブンで8分ほど軽く焦げ目がつく程度に焼く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 :(公社)長崎県栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_20_1.jpg)" +"# アルマド 長崎県 + +**郷土料理名**: アルマド + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +平戸地区 + +## 主な使用食材 +ゆで卵、すり身 + +## 歴史・由来・関連行事 +「アルマド」は江戸時代初期まで海外貿易の拠点��った平戸地区に伝わる卵入りの練り物。食紅でゆで卵に色を付けるため、切った断面がピンク色に縁どられるのが特徴である。基本的に平戸の名物だが、同じような練り物が佐世保では一字ちがいの「アリマド」と呼ばれ、長崎では断面が竜の目に似ているということで「竜眼(りゅうがん)」と呼ばれ、それぞれが地域の名物となっている。西洋風の呼び名である「アルマド」は、オランダ語の「アルマトーレ(包む)」あるいはポルトガル語の「アルマード(武装する)」に由来するといわれている。佐世保では「アリマドという名前の宣教師が栄養価の高い食べ物として考案したからアリマド」という説も伝わっている。 + +## 食習の機会や時季 +二つに切ると卵の周りが赤く彩られていることから、長らく、くんち(秋祭り)や正月などの祝いの席にだされるめでたい一品として親しまれてきた。一方で、地元のかまぼこ店では常時販売しているところがあるため、近年は普段の食卓にのぼる機会も増えている。 + +## 飲食方法 +二つあるいは四つに切って、竜の目のような断面を見せる形で皿に盛り付ける。食すときは、そのままか、好きな調味料を付けていただく。近年はおでんの具としても使われている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- ゆで卵: 2個 +- すり身: 80g +- 揚げ油: 適量 +- 食紅: 1滴 +- 水: 10cc + +## 作り方 +1. 水に食紅を溶かしたものに、ゆで卵を転がし色をつける。 +2. 1をすり身で包み、形を整える。 +3. 2を熱した油に入れ、弱火で揚げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 平戸市食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_21_1.jpg)" +"# ピーナッツ豆腐 長崎県 + +**郷土料理名**: ピーナッツ豆腐 + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +小値賀町 + +## 主な使用食材 +落花生、葛粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +五島列島北部の小値賀島(おじかじま)に伝わる郷土食で、島の特産品である落花生をすり潰して、葛粉と混ぜて固めたもの。小値賀島での落花生栽培の歴史は、少なくとも70年以上前に遡り、島特有の赤土と潮風によって育まれた落花生は甘さとコクに定評がある。 + +## 食習の機会や時季 +地元の小値賀では、昔から各家庭で作られ、お祝い事の席などでよく出されていた。現在は名物の郷土食としてさまざまな商品が発売されており、県内外問わず、常時食することができる。 + +## 飲食方法 +そのままでも食べられるが、ご飯のおかずにする場合には、柚子を和えた味噌を付けるのが定番となっている。また、黒蜜やきなこ砂糖をかければスイーツとしても楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ピーナッツ: 40g +- 葛粉: 50g +- 水: 2カップ +- 砂糖: 少々 +- 塩: 少々 +- 【みそだれ】白みそ: 20g +- 【みそだれ】砂糖: 10g +- 【みそだれ】水: 小さじ1弱 +- 【みそだれ】酒: 小さじ1弱 +- 【みそだれ】みりん: 小さじ1弱 +- 【みそだれ】柚子・しょうが など: 適量 + +## 作り方 +1. ピーナッツをフードプロセッサーやすり鉢でドロドロになるまでする。 +2. 1をさらしにとり、分量の水を少しずつ加えながら、搾りかすがカラカラになるまでこす。 +3. 2の搾り汁に葛粉と砂糖・塩を加えて強火にかける。 +4. 周りが少し固まってきたら中火にしてヘラなどでなべ底からよく混ぜながら約1時間練る。 +5. 水でぬらすか油を軽く塗った流し型に手早く流し入れ、固まるまで冷蔵庫に入れずに5~6時間冷やし固める(鍋底やわきについた豆腐は入れないほうがきれいにできる)。 +6. 【みそだれ】を作る。みそと砂糖を混ぜて火にかけ、酒を少しずつ入れながら練り、よく混ざったら水とみりんを入れてさらに練る。 +7. 最後に柚子の皮のすり下ろしたものやしょうが汁を加える(砂糖は好みで調整する)。 +8. 5に【みそだれ】をかけ、完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 小値賀町食生活改善推進員まつば会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_22_1.jpg)" +"# 茹で干し大根とかんぼこの煮物 長崎県 + +**郷土料理名**: 茹で干し大根とかんぼこの煮物 + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +西海市 + +## 主な使用食材 +茹で干し大根、かんぼこ、にんじん + +## 歴史・由来・関連行事 +「茹で干し大根とかんぼこの煮物」は西海市の郷土料理。「茹で干し大根」と「かんぼこ」の組み合わせが長崎ならではの味わいをうみだす。「茹で干し大根」は西海市で寒期に作られている保存食。大栄大蔵大根(だいえいおおくらだいこん)」を短冊に切って茹で、それを海に面した断崖の中空の干し場で1~2日かけて陽光と海の冷たい風にさらして干し上げて作っている。戻して調理すると苦みが少ないやさしい味わいが楽しめる大根になる。なお、断崖の中空の干し場とそこでの作業風景は、全国に知られる西海市の冬の風物詩となっている。一方、「かんぼこ」は長崎名物のかまぼこ。近海の新鮮なアジ、イワシ、トビウオなどを材料にして作っていて、エソ、グチ、ハモなどが材料の普通の蒲鉾とは一線を画す味わいとなっている。そのため長崎県のかまぼこ類の消費額は全国トップクラスである。なかでも「揚げかんぼこ」は人気が高く、そのままで食せるのはもちろん、「茹で干し大根とかんぼこの煮物」をはじめとする多くの料理の食材としてもよく使われている。 + +## 食習の機会や時季 +茹で干し大根とかんぼこ、どちらの食材も通年食べられるものであり、一般家庭や飲食店等で日常的に食べられている。 + +## 飲食方法 +「茹で干し大根」で料理を作る際は、まず軽く水洗いし、水で戻してから使う。切り干し大根と比べると、水で戻しやすい、苦みが少ない、食感がやわらかい、調味料の味がしみ込みやすい、という特長があるため、和食にも洋食にもよく合う。地元では、鶏肉や近海で獲れるイカを入れた「茹で干し大根とイカの煮物」がよく作られている。また、長崎では日常的に食べられているすり身揚げに茹で干し大根をもどして切ったものを混ぜ「茹で干し大根のすり身揚げ」というアレンジ料理もよく作られている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6人分) +- ゆで干し大根: 50g +- 人参: 15g +- 椎茸: 中3枚 +- かんぼこ(すり身揚げ): 50g +- だし汁: 200~300cc +- 醤油: 大さじ2 +- みりん: 大さじ1 +- 砂糖: 大さじ1 + +## 作り方 +1. ゆで干し大根を水で20分ほどもどす。 +2. もどしたゆで干し大根の水気をしぼり、薄切りにした人参、椎茸、短冊切りにしたかんぼこ(すり身揚げ)をだし汁で10~15分ほど煮て、醤油、みりん、砂糖で味をつける。※椎茸は干し椎茸を使ってもよい。その場合は戻し汁をだし汁に加えるとよい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 :「菜海食物語」(西海市)より + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_23_1.jpg)" +"# レモンステーキ 長崎県 + +**郷土料理名**: レモンステーキ + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +佐世保市 + +## 主な使用食材 +牛肉、レモン + +## 歴史・由来・関連行事 +「レモンステーキ」は、長崎県佐世保市で1955年ごろから親しまれはじめた地元の名物料理。佐世保には戦後まもなくアメリカ海軍の基地ができた影響で、界隈では早くからアメリカンステーキが流行した。そんななか、1955(昭和30年)年に開業した洋食レストランで働いていた兄弟が、より日本人の口に合うステーキをと、さっぱり味のステーキを考案。肉が焼き上がる直前にかける和風ソースにレモン果汁を加えることから「レモンステーキ」と名付けられた。 + +## 食習の機会や時季 +当初、「レモンステーキ」は、考案した兄弟が勤めるレストランの名物料理として人気を博した。その後、兄弟が独立してそれぞれのお店で提供し始め、また、その兄弟の弟子たちが独立して出したお店で提供し、という形で広がりを見せ、結果、市内の多くの洋食店で常時供される佐世保名物となっていった。現在、市内にとどまらず、長崎県内外において「レモンステーキ」を出している店が多数存在する。 + +## 飲食方法 +牛肉をすき焼き風に薄くスライスして鉄板で焼き上げ、焼きあがる直前にレモン果汁が入った醤油ベースのソースをかけて仕上げる和風ステーキ。薄切り肉とレモンの爽やかな酸味が相まって、あまり重さを感じずに食べることができる。ご飯と一緒に食べるおかずとされていて、肉を食べ終わったあとは、鉄板の上にご飯を乗せ、残った肉汁とソースに絡めて食べるのが地元流となっている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 牛ロース肉(薄切り): 300g +- サラダ油: 大さじ1 +- 【レモン醤油ソース】すりおろし玉ねぎ: 約1/6個 +- 【レモン醤油ソース】すりおろしにんにく: 一片 +- 【レモン醤油ソース】しょうゆ: 大さじ4 +- 【レモン醤油ソース】レモン果汁: 50ml +- 黒胡椒: 適量 + +## 作り方 +1. ぶりは1.レモン醤油ソースを作っておく。 +2. フライパンにサラダ油を入れ、牛ロース肉の片面を強火でさっと焼く。(あれば鉄板やグリルプレートでも可) +3. 片面に火が通ったらレモン醤油ソースを入れ、牛ロース肉の両面を強火で焼く。(火を通しすぎないように注意) +4. お皿に盛り付け、お好みで黒胡椒を振り完成。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_24_1.jpg)" +"# くりつぼ 長崎県 + +**郷土料理名**: くりつぼ + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +川棚町・東彼杵町 + +## 主な使用食材 +鶏もも肉、にんじん、れんこん、ごぼう、こんにゃく、干し椎茸、里芋、厚揚げ、栗の甘露煮、いんげん豆 + +## 歴史・由来・関連行事 +「くりつぼ」は、昔から川棚町と東彼杵町で食べられてきた地域伝統の煮物料理。名称の「くりつぼ」の「くり」は具材に栗を使うことからきており、「つぼ」は料理を盛るおわんを坪に見立てていることからきている。漢字にすると「栗坪」となる。 + +## 食習の機会や時季 +昔から、おくんちなどのお祭りのときにだされたごちそうで、いまも基本的にはめでたいときの料理のひとつとなっている。ただし、地元の飲食店のなかにはメニューのひとつとして常時提供しているところもある。 + +## 飲食方法 +味付けに麦味噌や醤油を使うが、栗の甘露煮を入れるため、普通の煮物よりは甘めに仕上がる。また、甘めながらも、栗や、にんじん・れんこん・ごぼうなどの根菜の素朴な味わいを残すのが大切とされており、煮詰めすぎずに作るのが重要な調理のポイントとなっている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- くり: 200g +- にんじん: 80g +- れんこん: 100g +- 里芋: 200g +- ごぼう: 100g +- こんにゃく: 100g +- 鶏肉: 80g +- 厚揚げ: 180g +- 昆布: 適量 +- 干ししいたけ: 4枚 +- 酒: 50cc +- さとう: 10g +- みそ(合わせみそ): 60g +- 濃口しょうゆ: 5g +- だし汁(しいたけの戻し汁を含む): 適量 +- 油: 小さじ2 + +## 作り方 +1. くりは皮と渋皮をはぐ。人参、れんこん、里芋、鶏肉を一口大に切る。厚揚げはさいの目切りにする。干ししいたけは、戻して1口大に切る。※干ししいたけの戻し汁は、材料を煮込むときに使用するので、残しておく。 +2. ごぼうは乱切りにして下茹でし、こんにゃくは1口大にちぎり、鍋で乾煎りする。昆布はさっと洗って結び昆布にする。 +3. 鍋に油を熱して鶏肉を炒め、くり以外の1,2の材料を加え、ひたひたのだし汁で煮る。 +4. ひと煮立ちしたら、くりを加え、酒、さとう、みそ、しょうゆで調味して煮込む。材料がやわらかくなったら、火を止めて、味を浸み込ませる。※地元の方は、くりを旬の時期に収穫して、皮をむいて、さっと塩ゆでしたくりを冷凍保存して活用しています。また、水を入れたビニール袋に、くりをいれて冷凍保存すると長持ちします。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 川棚町食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_25_1.jpg)" +"# 対州そば 長崎県 + +**郷土料理名**: 対州そば + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +対馬 + +## 主な使用食材 +対州そば + +## 歴史・由来・関連行事 +「対州そば」は、古くから対馬で栽培されているそばの品種のこと。名称にある「対州」はかつての対馬国を指している。そばの原種は中国南部からヒマラヤ周辺がルーツとされ、縄文時代に朝鮮半島を経由して対馬に伝来したといわれている。対馬は離島であるため、ちがう品種のそばと交わることが少なく、今もその原種の特徴を残すそばが栽培されている。2018年には、地域の農林水産物や食品の名称を守ることを目的とした国の『地理的表示(GI)保護制度』に「対州そば」が登録された。これは長崎県で初であり、日本のそばでも初のこととなった。 + +## 食習の機会や時季 +昔から対馬には農地が少なく米がほとんどとれなかったため、山の斜面を利用してそばの栽培が盛んに行われた。それが島の常食用の材料となり、今も家庭でよくそば料理が食べられている。また、名産化したことから、島には「対州そば」を提供する飲食店がたくさん存在している。 + +## 飲食方法 +「対州そば」は小粒な品種。打つと強いコシがあり、ほのかな苦みが感じられる独自の麺になる。「もりそば」や「かけそば」にして食べるほか、対馬の郷土料理「いりやき」にそばを入れた「いりやきそば」にしていただくこともある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- 対州そば: 1玉 +- めんつゆ: 120ml +- 【薬味】きざみ海苔: 適量 +- 【薬味】きざみネギ: 適量 + +## 作り方 +1. そばを茹でる(2分程度)。冷水で洗い、ぬめりをとる。 +2. そばを器に盛り、薬味を添える。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_26_1.jpg)" +"# つぼ汁 長崎県 + +**郷土料理名**: つぼ汁 + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +雪浦地区 + +## 主な使用食材 +もめん豆腐、ごぼう、干し椎茸、こんにゃく + +## 歴史・由来・関連行事 +「つぼ汁」は、西海市雪浦地区の郷土料理。地域によって「いんげん汁」や「つぼき」と呼ばれている。ルーツは定かではないが、昔から法事の精進料理として食べられてきた。名称にある「つぼ」は、料理を盛るお椀を坪に見立てていることからきていると考えられる。 + +## 食習の機会や時季 +昔から法事のときにだされる精進料理として各家庭で作られてきた。最近は懐かしい味あるいは独自の郷土料理ということで、さまざまな集まりやイベントなどで供されることが増えている。 + +## 飲食方法 +具材は家庭によってさまざまだが、基本的には精進料理であるため、肉や魚は使わない。ごぼう、干し椎茸、とうふ、こんにゃくなどを細かく切って入れるだけ。味付けは醤油、塩、砂糖でシンプルに行う。砂糖の甘みを抑えるため、食べる時にすりおろした生姜を入れることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- もめん豆腐: 100g +- ごぼう: 20g +- 干ししいたけ: 0.6g +- こんにゃく: 20g +- サラダ油: 2g +- だし汁: 300ml +- 料理酒: 小さじ1 +- 食塩: 0.8g +- 薄口しょうゆ: 小さじ1 +- ねぎ: 5g + +## 作り方 +1. もめん豆腐は水切りして、絞っておく。 +2. ごぼうはささがきにして、茹でておく。 +3. 干ししいたけは水でもどして、薄切りにする。 +4. こんにゃくは、小さくちぎって、茹でておく。 +5. 鍋にサラダ油を熱し、1~4の材料を炒める。 +6. 5にだし汁を入れて加熱し、料理酒、食塩、薄口しょうゆで調味する。 +7. 小口切りにしたねぎを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 :(公社)長崎県栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_27_1.jpg)" +"# 長崎ミルクセーキ 長崎県 + +**郷土料理名**: 長崎ミルクセーキ + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +長崎市 + +## 主な使用食材 +牛乳、卵、氷 + +## 歴史・由来・関連行事 +「長崎ミルクセーキ」は、大正末期~昭和初期に長崎市で生まれたアイスデザート。九州で初めてオープンした喫茶店『ツル茶ん』が、長崎の夏の猛暑をしのぎやすくする一品をと、砕いた氷を入れたミルクセーキを作ったのがはじまりといわれる。それが人気を博し、その後、市内の数々のお店で提供されるようになった。現在は長崎の「食べるミルクセーキ」として全国的に知られる存在となっている。 + +## 食習の機会や時季 +発祥からしばらくは、どの店も暑い季節のみ「長崎ミルクセーキ」を提供していた。長崎名物となり観光客が求めだすにしたがい、常時提供されるものとなっていった。基本的な作り方が簡単なので、一般家庭でもよく作られ食べられている。 + +## 飲食方法 +「長崎ミルクセーキ」は牛乳と卵と砂糖と氷さえあれば作れるが、提供する店によってレシピはさまざま。それぞれ、材料の比率、隠し味の有無、砕く氷の大小などで、味、食感の違いを出している。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 卵黄: 1個分 +- 砂糖: 大さじ2弱 +- 練乳: 大さじ1 +- 牛乳: 100cc +- バニラエッセンス: 少々 +- (缶)サクランボ: 2個 +- 氷: 150g + +## 作り方 +1. 卵黄、練乳、牛乳、砂糖、バニラエッセンスを容器に入れて、よく混ぜ合わせておく。 +2. ミキサーに1と氷を入れて、トロッとなるまで細かく砕く。※ミキサーにかけすぎると氷が溶けてしまうので、氷が残っているところで止めるのがコツ。 +3. 器に注ぎ、サクランボをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : (公社)長崎県栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_28_1.jpg)" +"# ハトシ 長崎県 + +**郷土料理名**: ハトシ + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +長崎市 + +## 主な使用食材 +エビのすり身、食パン + +## 歴史・由来・関連行事 +「ハトシ」は、明治時代に清国(当時の中国)から長崎に伝わった料理。中国語で「蝦多士(ハートーシー)」と書くとおり、蝦=エビのすり身を、多士=食パンで挟み、それを油で揚げて作る料理で、当初は円卓を囲む卓袱(しっぽく)料理のなかの一品となっていた。現在では街中で店頭販売されるほど、市民に身近な料理の一つになっている。 + +## 食習の機会や時季 +かつては料亭の卓袱料理として食べるものだったが、次第に一般の家庭や飲食店でも作られるようになり、広く愛される郷土食となった。ただし、作るのに手間がかかることから最近では調理する家庭が減っており、店内で食べたり店頭で買って食べる一品になりつつある。 + +## 飲食方法 +「ハトシ」は、基本的にはエビのすり身と食パンがあれば作ることができる。エビの代わりに魚のすり身やはんぺんなどを使う場合もある。また、野菜やチーズを加えるアレンジ版もある。油で揚げる際、食パンの耳はあってもなくてもいいが、耳を落としておくと火の通りが一定になるという効果が期待できる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- エビ: 16尾 +- イカ: 80g +- タマネギ: 1/4玉 +- 食パン: 4枚 +- 塩コショウ: 少々 +- マヨネーズ: 小さじ1 +- 一味唐辛子: 小さじ1 +- サラダ油: 適量 + +## 作り方 +1. タマネギをみじん切りにし、サラダ油を入れたフライパンを中火で10分を目安に透明になるまで炒めて冷ましておく。 +2. エビ、イカのそれぞれ半分の分量をフードプロセッサーですり身状にし、途中で塩コショウ、マヨネーズを加え、再度フードプロセッサーを回し、残りのエビ、イカを包丁で粗切りにして混ぜる。 +3. 2に1のタマネギ、一味唐辛子を加え、混ぜ合わせる。 +4. 3を食パン2枚に二等分して塗り、上から残りの2枚の食パンをかぶせ、ラップに包んで、蒸し器で8分程蒸す。 +5. フライパンに多めのサラダ油を入れ180℃まで熱し、4を入れ、きつね色に焼けたら食べやすい大きさに切る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 坂本洋一(県庁レストラン「Chez Dejima」) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_29_1.jpg)" +"# かんざらし 長崎県 + +**郷土料理名**: かんざらし + +**都道府県**: 長崎県 + +## 主な伝承地域 +島原地区 + +## 主な使用食材 +白玉粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「かんざらし」は、古くから島原市一帯で作られてきた伝統のスイーツ。かつて島原市一帯の庶民は年貢として納める米を口にできず、くず米を主食にしていた。彼らは、それを磨り潰して長期保存できる米粉にし、そのつど調理し食していた。ただ、夏は米粉も腐りやすい。そのため、団子にして湧水のなかで保存し、それを食す習慣をはじめた。一帯には1792年(寛政4年)の島原大変による地殻変動の影響で数十箇所から澄んだ地下水が湧きでるようになっており、それを活用した生活の知恵だった。そのうえで、島原一帯には砂糖の生産が盛んという環境があった。いつしか庶民らは米粉(白玉粉)の団子と砂糖で作った蜜で冷たい菓子をこしらえだし、夏の来客に振る舞うようになった。それが「かんざらし」の発祥といわれている。なお、昔は原料の餅米のくず米を冷たい大寒の日前後に石臼で水びきし、その沈殿物を乾燥させて米粉(白玉粉)を作っていたことから、「寒ざらし」と呼ばれるようになったのが由来とされている。 + +## 食習の機会や時季 +その昔、島原一帯で砂糖が豊富に獲れたとはいえ、ぜいたく品だったため、「かんざらし」も夏のおもてなし用スイーツだった。時代が下り、蜜に使う砂糖・ハチミツが一般的��ものになってはじめて頻繁に食されるものとなった。現在、「かんざらし」は、市内の多くの飲食店で常時提供される身近な一品となっている。 + +## 飲食方法 +白玉粉で作った小さな団子を島原の湧水で冷やし、それに砂糖やハチミツで作った蜜をかけるだけのシンプルなスイーツ。上品な甘さと喉越しのよさが特徴とされるが、作る家庭、飲食店によって蜜のレシピが異なるため、実際の味わいは千差万別となる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 白玉粉: 60g +- 水: 適量 +- 【シロップ】ざらめ: 50g +- 【シロップ】砂糖: 9g +- 【シロップ】薄口しょうゆ: 少々 +- 【シロップ】塩: 少々 +- 【シロップ】水: 200cc + +## 作り方 +1. 鍋に【シロップ】の材料を入れ、ふつふつとなるまで煮た後、冷ましておく。 +2. 白玉粉に水を加え、耳たぶくらいの硬さにこねる。 +3. 鍋にお湯を沸かし、沸騰したお湯の中に小さく丸めた白玉団子を入れゆでる。 +4. 白玉団子が浮いてきたら1分間ゆで、冷水に取り冷ます。 +5. 1で作ったシロップに4の白玉団子を浮かべて出来上がり。※シロップが甘すぎる場合は、水や氷でお好みの甘さにすると良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : (公社)長崎県栄養士会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_30_1.jpg)" +"# からし蓮根 熊本県 + +**郷土料理名**: からし蓮根 + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +熊本地域 + +## 主な使用食材 +れんこん、味噌、粉からし、油 + +## 歴史・由来・関連行事 +熊本県は、全国的にも上位の生産量を誇るれんこんの産地。中でも細川藩の天保年間に新田開発された宇城地方は今も主産地として栽培が盛んである。からしれんこんは、細川藩と縁のある料理として知られる。寛永九年(1632年)、肥後細川家初代藩主忠利公は、日頃から体が病弱で、心配した羅漢寺の玄宅和尚は「何か栄養のあるものを」と苦心して探していたところ、当時の熊本県は沼地が多く、至るところに蓮が繁茂しており、れんこんには増血効能があることを和漢の書で知った。熊本城の外堀には加藤清正が非常食用にと植えていた蓮があったのでこれを食べさせようとしたが、忠利公はれんこんは「泥の中で育った不浄なもの。」として決して箸をつけようとはしなかった。そこで、味噌と和からしを混ぜ合わせたものをれんこんの穴に詰め、小麦粉、空豆粉、卵の黄身の衣をつけて油で揚げた。ピリッとした辛さが効いたのか、気に入って常食される程になると、病弱だった忠利公は食欲も増し、みるみる剛健になられた…というのが「からし蓮根」の由来である。また、輪切りにしたれんこんの外観が細川家の家紋、九曜(くよう)の紋に似ている事もあって、忠利公は「からし蓮根」の製造方法を秘伝とし、明治維新まで門外不出の味だった。これが、今でも「からし蓮根」が全国で唯一熊本県でしかつくられない由縁でもある。 + +## 食習の機会や時季 +普段の食事の惣菜や酒のつまみとして食べられる。また、正月にはおせち料理の一品として欠かせない食べ物となっている。 + +## 飲食方法 +基本的には九曜紋が見えるように5mmから10mmの厚さに切り、そのまま食べる。好みで醤油やマヨネーズをつけて食べる家庭もある。最近ではコロッケにしたり、サンドイッチやハンバーガーなどパンに挟んで食べる工夫も見られる。からしはマスタードに近いので、パンとも好相性だという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (7~9本分) +- れんこん: 7~9本(1kg) +- 麦味噌: 500g +- 粉からし: 20~23g +- 小麦粉: 300g +- ウコン(食用色素・黄): 少々 +- 水: 350ml +- 揚げ油: 適量 + +## 作り方 +1. れんこんは金属のたわしなどで、きれいに洗う。 +2. 鍋にたっぷりの湯を沸かし、沸騰したられんこんを入れて10~13分ゆで、ざるにとってさましておく。(固めにゆでる) +3. ボウルに麦味噌と粉からしをよく混ぜ合わせる。 +4. 3のからし味噌のなかにれんこんを立てて入れ、回すようにして、味噌をれんこんに詰めていく。(全部の穴から味噌があがってくるまで) +5. 余分な味噌はとりのぞき、ざるに立てて6~7時間おく。 +6. 小麦粉、ウコンを水に混ぜて、固めの衣をつくる。 +7. れんこんをきれいに拭き、れんこんの中心より少し上に竹串を刺し衣の中に入れ、天ぷらを揚げる要領で180℃位の油でじっくり揚げる。(油の温度は180℃以上にならないように注意する) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「くまもとのふるさとの食レシピ集 上巻」(熊本県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_1_1.jpg)" +"# だご汁 熊本県 + +**郷土料理名**: だご汁 + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +熊本県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、里芋、ごぼう、人参、大根、干ししいたけ、醤油(味噌) + +## 歴史・由来・関連行事 +「だこ汁」は、小麦粉(米の粉)を水で練って、しばらく寝かせ、手で延ばしちぎった団子を入れた汁のことで、里芋やごぼうなど季節の野菜を入れ、味噌や醤油仕立てで食べる。手軽につくれて栄養価も高く、腹持ちが良いので、古くから農作業の合間などに食べられ親しまれてきた。「だご」とは熊本弁で「だんご」を意味し、だんご汁とも呼ばれる。九州全般で食されるが、熊本ではだんごにからいも(さつまいも)を使用する地域が多い。生のさつまいもを包んだだんご入りの「いきなりだご汁」(熊本市)や、さつまいもを練り込んで甘味を出し、つるんとした柔らかい食感を出した「おひめさん団子汁」(鹿本菊池地区)、さつまいもと黒砂糖を混ぜた甘い餡をさつまいも入りの生地で包んだ「あん餅だご汁」(合志市)などがある。団子状ではなく、うどんのように生地を延ばし切ったものを入れるところもある。地域や家庭によって材料やつくり方が違い、バラエティーに富んでいるのも魅力の一つ。飲食店でも提供しているところは多いが、「だご汁」を提供する店が並ぶ国道57号線は「だご汁街道」と呼ばれている。 + +## 食習の機会や時季 +一年を通して食卓にあがるが、特に秋冬には、里芋やごぼうの収穫の時期であり、季節を感じる料理として飲食店のメニューにも登場する。高菜飯との組み合わせをお薦めする人が多い。 + +## 飲食方法 +干ししいたけや煮干しなどで出汁をとり、麦味噌や白味噌、醤油で仕立てる。具材は里芋やごぼう、人参、白菜などのほか、鶏肉や貝類、山菜などが入る地域もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 煮干し: 100g +- 干ししいたけ: 10枚 +- ごぼう: 1本 +- 里芋: 300g(白芋4個) +- 人参(中): 1本 +- 小麦粉(中力粉): 300g +- もち米の粉: 150g +- 淡口醤油: 100ml +- 水: 約1200ml(汁椀×人数分) +- ねぎ: 適量 + +## 作り方 +1. 干ししいたけを水にもどしておく。 +2. 鍋に水と煮干しを入れて火にかける。 +3. 沸騰したらしばらくして煮干しをあげる。 +4. ごぼうは大きめのささがきにし、干ししいたけは細切りにする。里芋は大きめの乱切り、人参はいちょう切りにする。 +5. 鍋にごぼう、干ししいたけ、里芋、人参の順に入れて煮る。 +6. 淡口醤油で味をととのえる。 +7. 小麦粉ともち米の粉に水(分量外)を加えて耳たぶの硬さまで煉り、団子をつくる。 +8. 6の里芋が煮えたら7の団子を入れ、一煮立ちさせる。 +9. もう一度味をみてととのえる。 +10. お椀についだ後、小口切りのねぎをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「くまもとのふるさとの食レシピ集 下巻」(熊本県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_2_1.jpg)" +"# 焼鮎の甘露煮 熊本県 + +**郷土料理名**: 焼鮎の甘露煮 + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +人吉・球磨地域、八代地域 + +## 主な使用食材 +アユ + +## 歴史・由来・関連行事 +球磨川は熊本最大の一級河川で、人吉盆地を貫き、八代平野を流れて八代海に注ぐ。日本三大急流の一つに数えられるほどの急流と、清流といわれる水質の良さで、古くからアユの産地として知られてきた。激しい流れがアユの身を鍛え、澄んだ水は川底でも太陽の光が届くため餌となる藻が豊富なのが理由だ。特に支流の川辺川では尺アユと呼ばれる30cmほどの大アユがとれると有名。緑川の流れる甲佐町には簗場(やなば)もあり、アユ料理のレストランなども人気だ。アユの宝庫として塩焼きやアユ寿司などさまざまな名物料理があるが、秋に産卵のために川を下る「落ちアユ」を焼いた「焼アユ」は、この地域ならではの冬の保存食である。串にさして炭火でじっく���黄金色に焼いた後に乾燥窯で干して、正月の雑煮や炊き込みごはんの出汁に使った。また、焼きアユを甘めの醤油ダレでじっくり時間を掛けて煮こんだ甘露煮も冬の保存食である。最後に水飴を入れて照りを出す。骨まで食べられ身もふっくら。卵を抱えた子持ちアユなどもこの時期のごちそうだ。しかし、球磨川や河口では、昭和中頃まで大量にとれていたアユの漁獲高が減っている。球磨川漁協では、ダムや複数の堰(せき)が稚アユの遡上(そじょう)を妨げるとして、途中の堰で稚アユをすくい上げて流域全体に放流するなど資源保護の取り組みをしている。 + +## 食習の機会や時季 +産卵のために川を下る落ちアユを炭火で焼く「焼アユ」の風景は、秋の風物詩。焼アユでつくった甘露煮は毎日のおかずとして食卓に上る。 + +## 飲食方法 +甘露煮は切らすに一匹丸ごと盛り付ける。冷めたままでも美味しくいただける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (12尾分) +- アユ(冷凍アユ): 1kg(12尾入) +- 【調味料A】醤油: 150~200ml(甘露3:普通7の割合) +- 【調味料A】ざらめ: 250g +- 【調味料A】みりん: 50ml +- 【調味料A】水: 1500~2000ml + +## 作り方 +1. アユは表面のぬめりをきれいに洗って、炭火で鮎を焼く。 +2. アユを鍋に平らに並べて調味料Aを入れる。 +3. 初めから強火で30分ぐらい煮て、あとは弱火で4時間から5時間ほど炊く。(途中煮汁をかけて全体に味を浸み込ませる。) +4. 煮上がった後、冷えるまでしばらくそのままの状態にしておく。(熱いうちはかたちが崩れやすい)必ず落とし蓋をする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 有限会社ひまわり亭 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_3_1.jpg)" +"# いきなり団子 熊本県 + +**郷土料理名**: いきなり団子 + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +菊池地域 + +## 主な使用食材 +さつまいも、小麦粉、あん + +## 歴史・由来・関連行事 +「いきなり団子」は、輪切りにしたさつまいもを小麦粉の生地で包んで蒸した素朴な郷土おやつ。県内一のさつまいも(からいも)生産地・大津をはじめ、阿蘇山麓周辺地域では、火山灰の影響でさつまいもの栽培が盛んなため、菊池平野や熊本平野の農家では、さつまいもを収穫する秋の農作業の間に食べるおやつとしてよくつくられていた。「いきなり団子」の「いきなり」というのは、熊本弁で「簡単・手早く・すぐに」などという意味で、短時間で簡単につくることができるほか、急な来客の際でもすぐに出せるというのが名前の由来といわれる。皮の生地には小麦粉とだんご粉(と塩)が使われているが、米が貴重な時代は小麦粉のみで作られた。数10年前から中の具に小豆あんが入るようになったがホクホクのさつまいもに、小豆の餡の甘味、生地の塩味が合うと人気で、今はこちらが主流になっている。さらに最近は生地にヨモギや黒砂糖を混ぜたり、きなこをまぶしたり、また具にも紫芋を使ったり、栗やくるみが入ったりと少しずつバリエーションが増えている。本来は出来立てを食べる温かいおやつだが、冷凍したものを半解凍で食べる冷やしいきなり団子なども登場した。 + +## 食習の機会や時季 +もともとは、家庭でさつまいもの旬の時期に作って食べていたが、専門店や和菓子店のほか、露店などでも売られ、日常的に食べられている。昔ながらの甘すぎずやさしい味わいは、お茶菓子や子どものおやつにも人気である。 + +## 飲食方法 +おやつとして、つくり立て、出来立てのあつあつのうちにいただく。お土産品は冷凍してあり、レンジや蒸し器で温めて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20~25個分) +- 切ったさつまいも(1~1.5cmの厚さ): 20~25個 +- 【調味料A】中力粉: 250g +- 【調味料A】だんご粉: 100g +- 【調味料A】砂糖: 50g +- 【調味料A】塩: 大さじ1 +- 【調味料A】サラダ油: 大さじ1/2 +- 水: 180~200ml +- あん: 250~400g + +## 作り方 +1. さつまいもの皮をむいて、1~1.5cmの厚さに切り、面をとり、水に10分間さらす。 +2. 調味料Aを水で合わせ30分以上寝かせる。 +3. 2の生地を打ち板に広げ、さつまいもの大きさに合わせて切る。 +4. 3の上にあんを丸めて、1個ずつおき、その上に1のいもをのせて、包む。 +5. 4を蒸し器に並べ、約20分ほど蒸す。竹串を刺してさつまいもにスッと通れば出来上がり。 +6. ※生地を寝かせなければ、生地がのびないので最低1時間以上は、生地を寝かせること。(一晩寝かせても良い) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「次世代に伝えたいふるさとのおやつ」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_4_1.jpg)" +"# がね揚げ 熊本県 + +**郷土料理名**: がね揚げ + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +天草地域 + +## 主な使用食材 +からいも(さつまいも) + +## 歴史・由来・関連行事 +天草地域で、仏事に魚が使えないので、その代わりにさつまいもを太めの拍子切りにして菜種油で揚げ、精進料理として「がね揚げ」を使ったのがはじまりといわれている。天草の方言で「がね」とはカニのことで、揚げた姿がカニの足に見えることから名付けられた。別名「つき揚げ」ともいい、祝いの席などでは「がね揚げ」、仏事では「つき揚げ」と呼ばれる。衣はみじん切りか千切りにしたしょうがで香りをつけ、砂糖を加えて甘めにするのが特徴。カリッと揚げた衣にホクホクしたさつまいもは幅広い世代に親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +今でも精進料理には欠かせない一品だが、冠婚葬祭の席にも登場する。老若男女問わず人気で、普段の食事だけでなくおやつに食べることもある。 + +## 飲食方法 +揚げたてをそのまま、または好みで軽く塩を振って食べる。うどんにのせる「がね揚げうどん」などのメニューもある。基本的にさつまいものみを使うが、人参を加えるレシピもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- さつまいも: 600g +- 小麦粉: 200g +- 【材料A】卵(小): 1個 +- 【材料A】砂糖: 50g +- 【材料A】塩: 6g +- 【材料A】アルコール類(酒、ビールなど): 20ml +- 【材料A】しょうが(千切りまたはみじん切り): 6g +- 【材料A】水: 100g +- 揚げ油: 適量 + +## 作り方 +1. さつまいもの皮をむき、1cm角の拍子木切りにして水にさらす。 +2. 1のさつまいもの水気を拭いて、小麦粉をまぶす。 +3. ボウルに材料Aをよく混ぜ合わせ、さつまいもにまんべんなく付ける。(しょうがは香り付けに使用) +4. フライ返しの上で3を数本まとめたら、カニの足に見えるようかたちをととのえて170℃の油で香ばしく揚げる。焦がさないよう油の温度には注意する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「くまもとのふるさとの食レシピ集 下巻」(熊本県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_5_1.jpg)" +"# 南関あげ巻き寿司 熊本県 + +**郷土料理名**: 南関あげ巻き寿司 + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +南関町 + +## 主な使用食材 +南関あげ、米、かんぴょう、厚焼き玉子など + +## 歴史・由来・関連行事 +「南関あげ巻寿司」は、南関町に江戸時代から伝わる「南関あげ」を使った巻き寿司。南関町で巻きずしといえばこれというくらい親しまれている。南関あげは、1枚が20~30cm四方もあり、カリカリサクサクの特徴ある油揚げだ。つくり方は、豆腐を圧縮し、水気をしっかり切った後に、低温と高温の油で2度揚げする。すると水分がほとんどなくなるので、日光が当たらない冷暗所で保管すれば2~3カ月常温で持つ保存食だ。「出汁あげ」と言われるほど、煮込むほどいい出汁が出るので南関地域ではみそ汁や煮物には必ず入れる。四国の愛媛・松山にもこれに似た油揚げがあり、南関あげは松山から伝わったと言われている。「南関あげ巻き寿司」は、油抜きした南関あげを出汁、醤油、砂糖などで甘辛く煮たものを海苔の代わりに使う。煮汁をしぼってから開き、巻きすにのせたらすし飯を広げ、しいたけや人参、卵焼きなどいわゆる巻きずしの具材を巻いてつくる。海苔と違ってご飯につきにくく、巻き終わりもぎゅっと締める力加減にコツが必要で、飲食店や惣菜店などでも手作業でつくられている。南関あげが煮汁をたっぷり吸い、ふっくらジューシーなもちもちとした食感になる。 + +## 食習の機会や時季 +お祝い事などのほか、日常の食卓でも食べられている。見た目もきれいで、子どもも喜ぶ味なので運動会のお弁当などにもよく登場する。中に巻く具材はつくり手によって違うが、夏はきゅうり、冬はほうれん草など季節によっても変わる。 + +## 飲食方法 +巻きすに熱湯をかけ軽くしぼった南関あげを広げ、酢飯を薄く重ねる。巻きネタが真ん中に来るようにして巻いたら、2cm幅くらいの食べやすい大きさに切って食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (太巻き3本分) +- 厚焼き玉子(3個巻き): 1本 +- かんぴょう(味付き): 60g +- 干ししいたけ(水もどし): 6枚 +- きゅうり: 1本 +- さくらでんぶ: 30g +- 海苔: 1枚 +- 【すし飯】米: 2合 +- 【すし飯】酢(赤酢): 70ml +- 【すし飯】砂糖: 10g +- 【すし飯】塩: 3g +- 【調味料A】南関あげ(大): 3枚 +- 【調味料A】砂糖: 50g +- 【調味料A】淡口醤油: 100ml +- 【調味料A】みりん: 100ml +- 【調味料A】酒: 100ml +- 【調味料A】だし汁(干ししいたけの出汁とカツオと昆布): 500ml + +## 作り方 +1. 南関あげをバットに1枚ずつ熱湯をかけて重ねる。10分程おくとしんなりするので熱いうちに水気を軽くしぼる。 +2. 鍋に合わせ出汁と調味料Aを入れ、南関あげと干ししいたけを入れて煮るとしいたけの味が出て美味しくなる。落とし蓋または紙蓋などでしっかりと含め煮にしておく。煮上がったら温かいうちに(火傷をしない程度に冷ます)広げる。 +3. すし飯はやや硬めに炊く。すし酢は軽く温めて塩が溶けたら火から下して炊きたてのごはんと合わせる。 +4. 他の具材はやや大きめに切る。南関あげの長さに揃える。 +5. 軽くしぼった南関あげを巻きすに広げ、すし飯を薄く広げる。巻きネタが真ん中に来るようにし、手前から巻く。海苔を使った巻き方は、まず、海苔にすし飯を広げ、ひっくり返し、海苔の面に具材をのせて巻きこむと、すし飯が表になるので広げた南関あげでさらに巻き込む。八等分に切って盛り付ける。中に巻く材料は彩りを考えて「三つ葉・高野豆腐・人参の旨煮」などバリエーションを変えてつくるのも良い。太巻き3本分(すし飯360g) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : ANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイ 日本料理調理長 戸澤 清水氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_6_1.jpg)" +"# つぼん汁 熊本県 + +**郷土料理名**: つぼん汁 + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +人吉球磨地域 + +## 主な使用食材 +鶏肉、干ししいたけ、里芋、かまぼこ、こんにゃく、人参、焼き豆腐 + +## 歴史・由来・関連行事 +「つぼん汁」は、鶏肉、かまぼこのほか、里芋、ごぼう、人参、大根など根菜の野菜を小さめに切り、いりこ出汁で煮て醤油味で仕上げた具だくさんの汁もので、野菜の旨味が溶けだした優しい味わいだ。もともとは人吉球磨地域で、秋祭りに供される会席膳の一つで、現在は正月や祭りなどでもつくられている。特に祝い事には欠かせない料理であり、そのとき具材は7種類か9種類など奇数でそろえるという。名前の由来は、会席膳では浅いお椀と深いお椀を使うが、蓋付きの深い椀に汁を盛り付けていたことから、「壺の汁」と呼ばれ、それが変化して「つぼん汁」という名が付いた。各地域や家庭でそれぞれ出汁や材料、切り方などに違いがある。例えば人吉地区(おくんちさん)では焼き豆腐、球磨郡あさぎり町(八幡さん)では厚揚げ、多良木町(えびすさん)では油揚げを入れる。出汁もいりこのほか、干ししいたけ、地鶏、焼きエビなどさまざまに受け継がれている。 + +## 食習の機会や時季 +昔から秋祭りは、実りの秋に感謝し、農作や豊漁を祝う祭りとして各地でおこなわれてきた。そんな秋祭りにかかせない料理だった「つぼん汁」が、いつしか正月や祝い事でもつくられるようになり定着していった。 + +## 飲食方法 +祝い事の際には赤飯とお煮しめとともに食べる。例えば人吉市の国宝・青井阿蘇神社で秋(旧暦9月9日)におこなわれる「おくんち祭」では、必ず赤飯とお煮しめとセットでつぼん汁が供される。煮しめに使う食材の切れ端を、無駄のないように小さく切って「つぼん汁」の具にして食してきた。食材をまるごといただく風習からうまれた一品でもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- 地鶏肉: 300g +- 干ししいたけ: 中10枚 +- 里芋: 中8個 +- ちくわ: 2本 +- こんにゃく: 中1枚 +- 人参: 1本 +- 焼き豆腐: 1丁 +- 水: 10カップ +- 【調味料A】淡口醤油: 1/4カップ +- 【調味料A】醤油: 1/4カップ +- 【調味料A】酒: 少々 + +## 作り方 +1. 干ししいたけは水でもどしておく。 +2. 材料は同じ位の大きさのサイコロ状に切る。 +3. 鍋に水を入れ、人参・焼き豆腐を除く材料を加え、野菜が少し煮えたら人参を加えて加熱する。材料を煮る際、アクを丁寧に取る。 +4. 煮立ったら調味料Aを入れ、最後に焼き豆腐を加えて味をととのえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「くまもとのふるさとの食レシピ集 下巻」(熊本県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_7_1.jpg)" +"# 阿蘇高菜漬け 熊本県 + +**郷土料理名**: 阿蘇高菜漬け + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +阿蘇市 + +## 主な使用食材 +高菜、塩、唐辛子 + +## 歴史・由来・関連行事 +「阿蘇高菜」は、阿蘇の寒冷な気候と火山灰の大地が育む伝統野菜。秋に種をまき、冬の寒さをじっくりと越えて春先にぐんと成長したものを3月~4月に収穫する。食べ頃の太い茎には、ポキっと折れる部分があり、機械ではなく今も手で折る作業がおこなわれている。そのため阿蘇高菜の収穫は「高菜折り」と呼ばれている。また新芽は細くて柔らかく鮮度落ちが早いため、昔から収穫後すぐに塩と赤唐辛子で漬物にしてきた。「阿蘇高菜漬け」は、食卓でもお土産品としてもお馴染みの漬物である。漬けて3日ほどで食べられる新漬け(浅漬け)と、半年かけて乳酸発酵させ酸味とピリ辛の味わいを楽しむ古漬けがある。 + +## 食習の機会や時季 +新漬けは3月中旬頃の収穫期に浅漬けにしたもので、収穫と漬物加工の様子、店先に並ぶ様子は春の訪れを知らせる風物詩。塩分を少し多めにし、半年間乳酸発酵させた酸味のある古漬けは秋に出回る。 + +## 飲食方法 +漬物としてそのまま楽しむほか、さまざまな料理に活用されている。特に古漬けを細かく刻んで油で炒め、唐辛子を加えたものをご飯に混ぜる「高菜飯」は郷土料理として親しまれている。その他にも、おにぎりやチャーハン、餃子の具、総菜パン、パスタなど多様にかたちで食されている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (漬物容器1つ分) +- 高菜: 10kg +- 塩: 400g(材料の4%) +- 唐辛子: 少々 + +## 作り方 +1. とれ立ての高菜を多めの塩で軽くもみ、漬ける。 +2. 一段漬けたらとうがらしと残りの塩をふり、交互に漬け込む。 +3. 落とし蓋と重石を乗せる。落とし蓋の上に汁があがってきたら2~3日ごとに丁寧に拭き取る。 +4. 一週間漬け込んだら汁を捨てる。 +5. 【古漬け 手順1】長期保存する場合には、塩の分量を高菜の6%として、6ヶ月漬け込む。 +6. 【古漬け 手順2】1年漬け込む場合は、8%と塩の分量を多くする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「くまもとのふるさとの食レシピ集 下巻」(熊本県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_8_1.jpg)" +"# 赤ど漬け 熊本県 + +**郷土料理名**: 赤ど漬け + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +阿蘇地域 + +## 主な使用食材 +赤ど芋(里芋)の茎、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +高菜漬けと並んで阿蘇(旧一の宮町など一部の地域)に伝わる伝統的な漬物。色やかたち、食べ方などから「阿蘇の馬刺し」「畑の馬刺し」とも呼ばれている。この地域で栽培していた里芋の一種である「赤ど芋」は、阿蘇地域独自の呼び名で、種芋とともに伝えられてきたものだ。茎はアクが少なく色がきれいな赤色になるので昔から漬物に利用されてきた。漬け方としては、少量の塩を揉みこんで一晩で水が上がるように重石をおいて漬ける。しんなりしたら酢を振り、黒い汁が上がるのでそれをとってしばらくおくと赤い色に変わってくる。きれいな赤色になると食べ頃で、皮をむいて適当な長さに切って、醤油やしょうが醤油をかけて食べる。昔は冷蔵庫がなかったので、9月中旬から霜が降りるくらいの期間に漬物にし、この期間に食べられていた。中秋の名月の頃に収穫されたものが特に色がよく出るといわれ、ちょっとした漬け方でも色の具合が変わる。「赤ど漬け」を漬けるときは家の女性たちは気を使いながら作業したようだ。酢を使って漬物にしているが、気温が下がれば酢を使わずに乳酸発酵させてつくる。秋の干し草刈りなど農作業のお弁当としても欠かせなく、阿蘇の人た���にとっては秋の訪れを感じる漬物だ。 + +## 食習の機会や時季 +昔は冷蔵庫がなかったので、「中秋の名月から霜の降りるまで」漬けて食べる秋の食べ物で、毎日のおかずや、9月下旬頃からはじまる外輪山での干し草切の作業に必ず持っていくお弁当のおかずであった。 + +## 飲食方法 +「赤ど漬け」はひと口大の長さに切って、主にしょうが醤油をかけて食べると一段と美味しくいただける。昔は青唐辛子入りの醤油などもかけていた。冷蔵庫に入れておくと赤色が保てるが、そのまま常温でおくと黒くなる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (漬物容器1つ分) +- 赤ど芋の茎: 10kg +- 塩: 300~400g +- 酢: 1カップ + +## 作り方 +1. 赤ど芋の茎から葉を切り落としてきれいに水洗いをする。 +2. もろぶたにビニールを敷き、赤どの茎をのせ、分量の塩を振って塩もみする。 +3. ビニールにくるんで板をのせ、その上に重石をのせて一晩おく。 +4. 茎がしなやかになったら樽につけ込み、酢を上からぱっと全体に振りかけ押し蓋をおいて重石をする。黒い汁が上がってくるので汁をとる。10日位して汁が赤くなってきたら皮をむいて、3、4cmに切って食べる。しょうが醤油で食べると美味しい。 +5. ※茎全体が赤く染まったら、冷凍庫で保存するとあざやかさが保てる。(そのままおくと黒くなってくる) +6. ※塩は3、4%と塩分が低いので、彼岸頃までは酢を使うが、彼岸以降は気温が下がるので酢を使わなくても、乳酸発酵によって赤い色が出る。芋がらが赤いほどきれいな赤になる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「くまもとふるさと食の名人」(熊本県地産地消サイト) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_9_1.jpg)" +"# 寒漬け 熊本県 + +**郷土料理名**: 寒漬け + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +芦北・水俣地域 + +## 主な使用食材 +大根 + +## 歴史・由来・関連行事 +「寒漬け」は冬の冷たい風に大根を二度さらしてつくる漬物で、芦北・水俣地域に古くから伝わる特産品。生の大根を干して、しわしわになったら塩漬けにし、さらに、1~2カ月干す。あめ色になるくらい干し上がったら、薄切りにして醤油やみりん、酢を合わせた調味液に漬け込み、1~2日おいて味が染みたら出来上がりである。こりこりとした食感と独特の風味を感じる味わいで、これがあればごはんを何杯でも食べられるほどごはんのお供にぴったり。お茶請けやお酒のつまみにも合う。調味液には、その他にしょうがや昆布、柚子胡椒を入れるなど、各家庭によって味付けを工夫している。大根を干す際は竹の串で穴を開け、ひもを通して軒先の竹竿に吊るす。その様子は、芦北・水俣地域の冬の風物詩といわれた。現在は、家で干す作業をする人が少なくなってきているが、大根を干した状態のものが販売されており、家で好みの味付けにすることができる。道の駅やスーパーマーケットなどでは懐かしい故郷の味として並び、親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +大根を干す光景は11月下旬~3月頃まで見られる。名前の通り寒い時期につくって食べる漬物だが、保存がきくので1年中食べられる。 + +## 飲食方法 +器に盛った際に白ごまを振りかけると香ばしい香りが加わっておいしい。炊き立ての白いご飯にも、お弁当のおかずにも合う。お茶請け、日本酒・焼酎のつまみとしても。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (寒干し大根1kg分) +- 寒干し大根: 1kg +- 酢: 1カップ +- ごま: 少々 +- 【調味料A】砂糖: 400g +- 【調味料A】醤油: 3カップ +- 【調味料A】みりん: 1カップ +- 【調味料A】出汁昆布: 20g + +## 作り方 +1. 【寒干し大根 手順1】大根は長さ70~80cmのものを収穫する。 +2. 【寒干し大根 手順2】二週間位「への字」になるまで干す。 +3. 【寒干し大根 手順3】大根を水洗いした後に計量して大根の重量が5~6%の重さの塩で漬けこむ。(重石も同重量) +4. 【寒干し大根 手順4】大根を取り出して再びつるして1~2ヶ月乾燥させる。 +5. 【寒漬け 手順1】寒干し大根を刻み、水につけて塩抜きし、しっかり水切りする。 +6. 【寒漬け 手順2】調味料Aと昆布を鍋に入れて、火にかけ沸騰させる。 +7. 【寒漬け 手順3】昆布は取り出して刻んでおく。 +8. 【寒漬け 手順4】最後に酢を加え、寒��け手順1と昆布をつけ込む。 +9. 【寒漬け 手順5】仕上げにごまを振る。 +10. 【寒漬け 手順6】調味料に漬けてから2~3日程度したら食べられる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「くまもとのふるさとの食レシピ集 下巻」(熊本県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_10_1.jpg)" +"# このしろの姿寿司 熊本県 + +**郷土料理名**: このしろの姿寿司 + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +八代地域 + +## 主な使用食材 +コノシロ、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +八代海沿岸部、天草灘、有明海に面した地域で、正月や祭り、祝い事など家族や親せきが集まる場に欠かせないのが「このしろの姿寿司」。縁起のよい料理としてこの地域に江戸時代から受け継がれている。コノシロは汽水域に棲むニシン科の魚で、5cmほどの幼魚はすし店でも高価なシンコ、さらに10cmほどに成長するとおなじみのコハダ、次にナガツミ、20~30cmになるとコノシロと、成長によって呼び名が変わる出世魚だが、ブリとは違い小さいほど高値が付く。漢字で魚編に冬と書くように、秋から冬の時期が脂が乗る旬だが、球磨川の流れ込む八代海では一年中取れる。鮮度落ちが早いのであまり遠方まで出回ることはない。酢と相性がよく酢で締めると保存性も高まる。姿寿司は、コノシロを背開きにし(腹開きにする家庭もある)、中骨や内臓を取って塩をしてから、甘酢につけて酢締めにする。棒状にしたすし飯を腹の部分に詰めてかたちをととのえ、頭と尾を立てて皿に盛る。程よい塩味と甘酢の酸味、そしてすし飯にもねぎやしょうが、ごまなど薬味が入っており、醤油を付けなくても美味しくいただける。また、八代海沿岸の地域には、豆腐をつくる時にできるおから(きらす)でつくる吉野寿司(またはうのはな寿司)と呼ばれる「このしろ寿司」がある。おからと刻んだ人参やねぎなどを炒め、酢、醤油、砂糖で味を付ける。姿寿司と同じく腹に詰めるタイプのものや、三枚におろして酢でしめたコノシロで丸めたおからをくるりと巻くタイプがある。 + +## 食習の機会や時季 +正月や祝い事に欠かせない料理。郷土料理として道の駅や物産館に並び、地元だけでなく観光客にも人気のある料理である。 + +## 飲食方法 +姿寿司は、食べやすい大きさに切り分けたら、姿のままさらに盛り付ける。甘酢が効いて、醤油を付けなくてもおいしく、頭や小骨も柔らかいので残さず食べられる。2~3日経ったら、オーブントースターなどで少し炙るようにすると、香ばしくてまた違った美味しさを楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4~5人分) +- コノシロ: 3尾 +- しょうが(みじん切り): 少々 +- ねぎ(小口切り): 少々 +- 米: 2.5合 +- 【調味料A(酢じめ)】塩: 大さじ2 +- 【調味料A(酢じめ)】酢: 150ml +- 【調味料A(酢じめ)】砂糖: 120g +- 【調味料B(合わせ酢)】酢: 100ml +- 【調味料B(合わせ酢)】砂糖: 100g +- 【調味料B(合わせ酢)】塩: 小さじ2 + +## 作り方 +1. コノシロは背から開き、中骨と内臓を取りだして水で腹をよく洗う。水洗いすることで生臭さをとる。 +2. 1のコノシロに塩大さじ2(分量外)を振って一昼夜ほどおく。さらに酢(分量外)でコノシロを洗い、水気を切る。 +3. 調味料Aを混ぜ合わせ、その中にコノシロを4~5時間漬けておく。ここでじっくり漬けることで骨や頭まで柔らかくなる。 +4. 米は洗って30分おき、普通に炊く。炊き上がったら混ぜ合わせた調味料Bとしょうが、ねぎを入れて混ぜ、冷ましておく。 +5. 3のコノシロの水気をフキンなどで拭き、4のすし飯を中に詰め、かたちをととのえたら出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「くまもとのふるさとの食レシピ集 下巻」(熊本県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_11_1.jpg)" +"# 豆腐の味噌漬け 熊本県 + +**郷土料理名**: 豆腐の味噌漬け + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +八代、球磨地域 + +## 主な使用食材 +木綿豆腐、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +800年ほど前、源氏との戦いに敗れた平家の落ち武者が肥後連山の麓に隠れ住み、つくり伝えたと言われる「豆腐の味噌漬け」。山岳地帯の五家荘(八代市泉)地域や五木村では、焼き畑でつくった大��や麦を使った自家製の豆腐や麦味噌がつくられてきた。半年ほど味噌に漬けた豆腐はチーズのような風味で、ごはんのおかずやお酒のつまみになり、物流の整っていない地域の貴重な保存食になった。八代市坂本町鮎帰地区でつくられる「かずら豆腐」は、豆腐を固める工程で重しをかけて水分をしっかり切ってつくるが、つたかずら(つる草の総称)で縛ってぶら下げて持っても運べるくらい硬いとその名が付いた。また、五木村では「樫の木豆腐」と呼ばれる、やはり大豆をふんだんに使った硬い食感の豆腐がある。味噌漬けにはこうした硬い豆腐が向いており、常温で長期保存ができるように豆腐をよくしぼり、さらに、弱火で乾燥させた後に、塩分濃度高めの味噌に漬けた。現在は、県内各地でつくられ特産品として市販されている。「山うに豆腐」「秘伝豆銘」などもろみを使ってアレンジされたものがよく知られ、塩分を低く抑え、口当たりなめらかで味もまろやかなものが主流になった。柚子胡椒や赤唐辛子を入れるなどバリエーションも多く、焼酎はもちろん、日本酒やワインなどさまざまなお酒に合う。 + +## 食習の機会や時季 +普段の食卓で食べられており、土産物用や家庭用に市販されている。家庭でつくる場合は、普通の木綿豆腐を水切りしてつくることが多く、好みによるが漬け込み期間も数日から食べることができる。 + +## 飲食方法 +家庭で味噌床に漬けた場合は、日を追うごとに味が濃くなるので好みの漬かり具合を見て取り出す。薄くスライスして、ご飯にのせたりお酒のおつまみとしてそのまま食べる。好みでわさびや醤油をつけても美味しい。細かく切っておにぎりにまぜたり、サラダに入れたりと具材としてのアレンジも楽しめる。また、もろみに漬けたものは、ねっとりと柔らかく、ごはんのお供だけでなく、パンにつけたり、スパゲティを和えたり新しい料理も考え出されている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (16個分(1個600g) +- 【かずら豆腐】大豆: 8kg +- 【かずら豆腐】うすめ水: 108L +- 【かずら豆腐】泡消剤: 55g +- 【かずら豆腐】にがり: 240g(水3Lに溶かす) +- 【かずら豆腐の味噌漬け】かずら豆腐: 1個(600g) +- 【かずら豆腐の味噌漬け】砂糖: 240g +- 【かずら豆腐の味噌漬け】味噌: 750g +- 【かずら豆腐の味噌漬け】ガーゼ: 適宜 + +## 作り方 +1. 【かずら豆腐 手順1】大豆は、3倍の水に浸けておく。(夏は10~14時間、冬は20~24時間)水をきって、豆すり機で、大豆の10倍の量になるように水を入れながら大豆をすりつぶして呉をつくる。 +2. 【かずら豆腐 手順2】1を大鍋にうつして火にかけ、泡消剤を入れ、沸騰してから5~6分煮る。 +3. 【かずら豆腐 手順3】桶の中に、こし袋2枚重ねて2を入れてしぼると、豆乳ができる。 +4. 【かずら豆腐 手順4】3ににがりを2回に分けて入れる。にがりを入れたらぐるりとしゃもじでまぜ、蓋をして5分間待つ。 +5. 【かずら豆腐 手順5】箱に布を敷いて4を入れ重石をして、約20分間水切りする。水切りができたら、箱から取り出して切り分ける。 +6. 【かずら豆腐の味噌漬け 手順1】かずら豆腐1個(600g)を4本に切り分ける。(1本150g)砂糖を全体にまぶし、ガーゼで包む。 +7. 【かずら豆腐の味噌漬け 手順2】容器に手づくりの味噌を入れ、「かずら豆腐の味噌漬け 手順1」を味噌の中によく隠れるように入れ、冷蔵庫で40日位漬け込む。 +8. 【かずら豆腐の味噌漬け 手順3】「かずら豆腐の味噌漬け 手順2」の味噌漬け豆腐を取り出し、味噌漬け豆腐が壊れないようにそっとガーゼをはずし、洗わないでそのまま薄く切って食べる。クリーミーな和風チーズが口の中に広がる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「くまもとふるさと食の名人」(熊本県地産地消サイト) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_12_1.jpg)" +"# 馬刺し 熊本県 + +**郷土料理名**: 馬刺し + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +熊本市、阿蘇地域 + +## 主な使用食材 +馬肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +馬肉生産量日本一・熊本の名物として一番に名前が上がるのが「馬刺し」。薄く切った生の馬肉を薄切りのたまねぎやおろししょうが、にんにくなどと一緒に甘口の醤油をつけて食べる。低脂肪、低カロリーで高タンパクで鉄分やカルシウム、亜鉛などミネラルも豊富で、今注目の食材だが、熊本では昔から滋養強壮に食されてきた。発祥は諸説あるが、熊本藩の初代藩主の加藤清正が朝鮮出兵した際、朝鮮半島で食料がなくなり、しかたなく軍馬を食べたところ、大変美味しかったので帰国後も馬刺しや馬肉を好んで食べたというのが始まりといわれる。江戸時代には肉を食べる習慣がほとんどなく、一部の農民などが食べていたのみだったが明治の時代に入ってしだいに熊本や阿蘇地域に広まっていった。軍馬の産地だった阿蘇地域で、戦後の食糧難で馬肉を食べ始めたことで広く一般に伝わり、昭和30年代には飲食店でも扱うようになった。「馬刺し」と一口に言っても、ロースなどの霜降りやもも肉など赤身のほか、レバ刺し、タン刺しなど部位によって味わいに違いがある。ふたえご(バラ肉)、ネッコ(大動脈)、たてがみの下の脂肪・コーネなど馬肉独特の呼び名も多い。産地の表示には、熊本で生まれ育てられた熊本産馬肉と、カナダなどから輸入した仔馬を、厳選した飼料を与えて1~1年半ほど肉質を育てた熊本馬肉がある。もともと馬は牛や豚よりも体温が高く、食中毒の原因となる細菌が繁殖しにくいのも馬肉が生で肉を食べられる所以でもある。また、現在、徹底して衛生管理された食肉加工場で解体し、必ず冷凍して流通させることで寄生虫などへの万全の対策をとっている。 + +## 食習の機会や時季 +主に正月や祝い事などで食すことが多いが、スーパーなどにも馬肉(馬刺し)が並び、日常的にも食べられている。 + +## 飲食方法 +肉を切った切り口がきれいな桜色なので別名「桜肉」といわれるが、酸化しやすいので少し時間が経つと黒ずんでいく。店では注文が入るまで塊のまま冷やしておき、切りたてを提供する。スライスたまねぎやおろししょうが、おろしにんにく、小口切りにした小ねぎなどの薬味を添え、甘口醤油とともに食べる。霜降りやたてがみの下の「コーネ」など、馬の脂は融点が低く、溶けやすいので早めに食べる。馬刺しを細かく包丁で叩き、納豆と合わせ、うずらの卵をのせ、小ネギを散らして甘めの醤油でいただく「桜納豆」も、日本酒や焼酎のつまみとして人気である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 馬肉: 200g +- たまねぎ: 1/2 +- しそ: 適量 +- にんにく: 適量 +- しょうが: 適量 + +## 作り方 +1. 新鮮な馬肉を繊維の方向に垂直に繊維を切るよう2~3mmの厚さにスライスする。 +2. たまねぎスライスの上にしそをおき、切った馬刺しを並べる。薬味に、すりおろしたにんにくとしょうがをそえる。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_13_1.jpg)" +"# ぶたあえ 熊本県 + +**郷土料理名**: ぶたあえ + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +天草地域 + +## 主な使用食材 +タコ、なす、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +大小120ほどの島々からなる天草地域では豊富な魚介に恵まれており、中でもエビやカニを餌に育つ特産のマダコは、弾力のある食感など品質の良さで知られている。マダコを干しダコにする様子は夏の風物詩で、そんな光景が見られる国道324号線は平成17年(2005年)に「天草ありあけタコ街道」と名付けられるなど、特産のタコで地域おこしに取り組んでいる。新しく生まれるタコ料理もある中で、ゆでタコとなすでつくる「ぶたあえ」は古くからこの地で親しまれている郷土料理。沖縄の料理ゴーヤチャンプルーがもとになっており、昔、天草地域では貴重でなかなか手に入らない豚肉の代わりに、天草湾でとれたタコを代用してつくったのがはじまりである。昔からなすやゴーヤもたくさんとれる時期には、マダコがとれていたこともあって、夏の野菜とタコを味噌(麦味噌)で炒めた料理として定着した後も、名前だけ「ぶたあえ(豚和え)」としてそのまま伝わったユニークな料理である。砂糖や鷹の爪(唐辛子)の入ったぴりっと甘辛い味噌の味がタコの味わいと野菜の甘みを引き立て、ごはんのお供や酒のつまみにぴったり。野菜は主になすを使うが家庭によってゴーヤやピーマン、人参、かぼちゃなどが入ったり、切り方などもそれぞれのアレンジ���ある。 + +## 食習の機会や時季 +夏野菜とマダコを使うので、特に夏の料理として登場することが多いが、マダコは年中出回っているため、季節問わず食べられる。 + +## 飲食方法 +普段の食卓で白いごはんにも焼酎のつまみにも合う。冷めても美味しいのでお弁当にも良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- なす: 中3本 +- タコ: 足2本(塩ゆでしたもの) +- 【調味料A】味噌: 大さじ2 +- 【調味料A】みりん: 大さじ1 +- 【調味料A】砂糖: 大さじ1 +- 鷹の爪(唐辛子): 少々(お好みで) + +## 作り方 +1. なすは縦半分に切ってから、5mm程の厚さで斜めに切る。 +2. タコはぶつ切りにする。 +3. フライパンにサラダ油を適量入れ、1のなすを加えて炒める。 +4. 3に2を入れて軽く炒め、合わせておいた調味料Aを加えてさっと混ぜ合わせればできあがり。 +5. ※お好みで鷹の爪を加える場合は、輪切りにして調味料と一緒に入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「くまもとふるさと食の名人」(熊本県地産地消サイト) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_14_1.jpg)" +"# 巻柿 熊本県 + +**郷土料理名**: 巻柿 + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +宇城地域、上益城郡山都市 + +## 主な使用食材 +柿 + +## 歴史・由来・関連行事 +干し柿の産地として有名な宇城地区、上益城郡山都町に伝わる伝統食。「福をかき寄せる」という意味合いで、年末の贈答や正月の縁起物として需要があり、巻柿つくりの様子は師走らしいニュースになっている。干し柿は「投烏帽子(なやぼし)」という特産の渋柿を、干している途中に形をととのえながら3回ほど手揉みし、表面に白い粉(果糖)が吹いたら出来上がり。巻柿づくりは、干し柿の軸と先端部分を切り、縦に切り込みを入れて開き、丁寧に種を取り除いたら、ラグビーボール状に10数個(柿の大きさによる)を重ね、竹の皮に包んで藁(わら)で巻いた後、縄でぐるぐると力を入れて巻き上げる。切ったときに干し柿のあめ色と白粉の層がしっかり出て、バラの花のように見えるのが上手くできた目安で、干し柿の独特な風味と自然の甘さは高級な和菓子のようだ。生産は7月ごろから本竹の皮を取ったり、稲わらを編んだりしながら干し柿の完成を待ち、年末に向けて仕上げる。竹の皮で包むところまでは地域や生産者による違いは出ないが、縄(わらやいぐさ)で巻き上げる方法などにはそれぞれの工夫が見られる。昔は家々の軒下に柿が吊るされた風景をよく見かけたが、巻柿をつくる生産者も年々少なくなってきている。 + +## 食習の機会や時季 +秋に収穫した柿を使って干し柿にし、晩秋のころからつくり始める。保存食だが、年末の贈答や正月のおせちに入れるなど縁起物として一番需要がある時期が最盛期になる。 + +## 飲食方法 +お茶請けなどに、巻いた模様が美しく見えるように、薄く輪切りにして食べる。クリームチーズやハムなどと合わせてお酒の肴としても食べられている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1個分) +- 最高級の干し柿: 約20個(もみ柿を使用) +- セロファン紙: 適宜 +- 稲わら: 適宜 +- わら縄: 適宜 + +## 作り方 +1. 干し柿の先端部分と軸の部分を包丁で切り取り、側面に1ヶ所切り込みを入れ、柿を開き中の種子を取り出す。 +2. 竹すのこの上に広げた柿を半分が重なる様に5~6個並べ、すのこを使って寿司を巻く要領で堅く巻き込み、さらに手に取り堅くしめ込む。 +3. 柿の重なった部分に次の柿を重ね合わせ、次々とくり返しながら一定の大きさになったら、また、すのこで巻き締め、柿の中に隙間がないようにする。 +4. セロファン紙で包み、両口をしばり、稲わらで編み上げた菰(つと)に、丸めた柿を包み、外側を稲わらで縛りこみながら巻きあげる。全体がしっかり締まっていて、輪切りにした時に柿の白粉の模様がバラの花のようにくっきりしているのが、上手くできた状態。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「くまもとのふるさとの食レシピ集 上巻」(熊本県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_15_1.jpg)" +"# まぜ飯 熊本県 + +**郷土料理名**: まぜ飯 + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +熊本県内全域 + +## 主な使用食材 +米、鶏肉、干ししいたけ、たけのこ、ごぼう、人参など + +## 歴史・由来・関連行事 +地域で行事や人の集まる祝い事の時に必ず登場する「まぜ飯」。具飯とも呼ばれ、鶏肉、ごぼう、人参、干ししいたけ、たけのこ、油揚げなど具材を細かく切って炒め、醤油や砂糖で味付けしたものを炊き立ての温かいごはんに混ぜる。具材にはこんにゃくやかまぼこが入ったり、海に近い地域ではチヌ(タイ)やツベタ(マキガイ)を入れたり、大根の収穫の時期に大根をたっぷり入れたものがあるなど地域や家庭によって違いがある。嘉島町下六嘉(かしままちしもろっか)にある六嘉神社(ろっかじんじゃ)では、毎年10月17日に五穀豊穣を祈願する秋の例大祭があり、その際に各家庭で具飯(まぜ飯)がつくられ、集まった親戚や隣人などに振る舞われる。鶏肉ではなく県の特産である馬肉を使い、ごぼう、干ししいたけ、こんにゃく、人参など季節の野菜を炒めて醤油や砂糖で味付けたものを白いごはんに混ぜる。なお、この祭りで奉納される獅子舞は、加藤清正の虎狩りを由来とし、子どもが大きくなって戦士となり勇敢に獅子と戦う様をあらわす熊本県第一号の重要無形文化財である。また、宇土半島と天草の中間あたりに位置する戸馳島では、肉の代わりに豆腐を使った「びりん飯」というまぜごはんがある。豆腐を炒めて水分を飛ばすときにびりんびりんと音がすることからこの名が付いた。精進料理として仏事に提供されていた。 + +## 食習の機会や時季 +地域の行事や人が集まるお祝いなどの時に欠かせないごはんもの。秋祭りなどに登場するが、山菜やきのこなど季節ごとに具材を変えながら一年を通して食べられている。 + +## 飲食方法 +温かい炊き立てのごはんに混ぜたつくりたてはもちろんのこと、冷めても美味しいのでおにぎりやいなりずしにしたり、お弁当としても喜ばれる。お茶をかけてお茶漬けにするなど各家庭でいろいろな楽しみ方がある。ごはんに混ぜる前の具はたっぷりつくって冷凍しておき、食べる分だけ温めて使うこともできる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5~6人分) +- 米: 4と1/2カップ +- だし昆布: 10cm +- 鶏もも肉: 100g +- 干ししいたけ(もどし): 4枚 +- 干したけのこ(もどし): 100g +- ごぼう: 50g +- 人参(中): 5cm +- さやいんげん: 5本 +- だし汁: 適量 +- 卵(薄焼き卵): 2個 +- 【調味料A】醤油: 大さじ3 +- 【調味料A】砂糖: 大さじ1と1/2 +- 【調味料A】みりん: 大さじ1 +- 【調味料A】酒: 大さじ1 +- 【調味料A】塩: 少々 +- 【調味料B】酒: 大さじ1 +- 【調味料B】砂糖: 大さじ2 +- 【調味料B】塩: 小さじ01月05日 + +## 作り方 +1. 米は炊く1時間前に洗いざるに上げ、きれいに拭いた昆布を加えて、1割増しの水加減で固めに炊く。 +2. 鶏肉は小さく切る。もどしたしいたけ、たけのこは2cmの細切り、ごぼうはささがきにして水にさらしアクを抜く。 +3. 鍋にだし汁を入れ、調味料Aを加え煮立て、2を入れる。5、6分煮て味をふくませる。 +4. 人参は千切りに、さやいんげんは斜め細切りにしてゆでる。 +5. 卵を割りほぐし、調味料Bで味付けし薄焼き卵をつくる。冷めてから細切りにする。 +6. ごはんが炊き上がったら、昆布をとり出し12~13分程度蒸らす。 +7. ごはんをボウルに移し、汁気を切った3と4を混ぜる。 +8. 器に盛り、薄焼き卵を飾る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「くまもとのふるさとの食レシピ集 上巻」(熊本県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_16_1.jpg)" +"# たこ飯 熊本県 + +**郷土料理名**: たこ飯 + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +天草地域 + +## 主な使用食材 +マダコ、米、ごぼう、ひじき、人参 + +## 歴史・由来・関連行事 +足を広げて吊るされ、潮風に揺れる「干しダコ」は、ちょっとユーモラスな天草市有明町の夏の風物詩。梅雨明けから9月ごろまで、天気の良い日に3~4日天日干しすればでき上がる。スルメのようにそのままで食べることはなく、もどして料理に使われる。漁はタコ壺を海に沈める昔ながらの方法で行われている。タコはとれる場所によって肉質が異なるが、天草地域では弾力があって歯応えのいいマダコが一年中よくとれる。有明海の長崎側でとれるものは脂が少なく、干しダコに向いて��るという。干しダコはもともとはタコのとれる量が少ない冬のための保存食だったが、旨味が凝縮されていい味がでるので、「たこ飯」には干しダコを使うことが多い。干しダコを水でもどして小さく刻み、ごぼうや人参、ひじきなどを具材につくるが、各家庭や地域によってタコや具材に味付けしたものを後からごはんに混ぜる方法と、一緒に炊き込む方法がある。干しダコをもどした水をだし汁として使うので、調味料は醤油や酒、砂糖とシンプル。天草市五和町ではタコの風味を損なわないよう具材も干しダコのみでつくる。天草市は特産のタコで町おこしも行われており、国道324号線の有明区間は「天草ありあけタコ街道」と名付けられている。 + +## 食習の機会や時季 +天草地域では昔から冠婚葬祭には欠かせない料理で、生臭くないので仏事にもよく使われた。五和町では、誕生日などの祝い事や運動会、地域の寄合などでよくつくられた。 + +## 飲食方法 +熱々の湯気とともにタコの風味が豊かに香る炊き立てをそのまま食べる。冷めても美味しいのでお弁当やおにぎりにしてもよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 干しタコ: 50g +- ごぼう: 40g +- 人参: 40g +- ひじき: 50g +- 米: 2カップ +- 干しタコのもどし汁: 2カップ +- 水: 1カップ +- 【調味料A】酒: 大さじ1 +- 【調味料A】みりん: 大さじ1/2 +- 【調味料A】薄口醤油: 大さじ1 +- 【調味料A】濃口醤油: 大さじ1/2 +- 【調味料A】塩: 小さじ1/2 +- 【調味料A】砂糖: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 米を洗って30分ほど浸漬し、炊く。 +2. 干しタコは、沸騰したお湯と酒50mlの中に入れて10分程度蒸す。柔らかくなったら小さく刻む。 +3. ごぼう、人参をそぎ切りにし、ひじきは小さく刻む。 +4. 鍋に2、3とタコのもどし汁、水、調味料Aを入れ、具を煮る。 +5. 炊き上がったごはんに具を混ぜる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 尚絅大学生活科学部 守田 真里子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_17_1.jpg)" +"# かすよせ 熊本県 + +**郷土料理名**: かすよせ + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +上益城地域 + +## 主な使用食材 +米、大豆、里芋、鶏肉、人参、たまねぎ、干ししいたけ、かぼちゃ + +## 歴史・由来・関連行事 +「かすよせ」は、主に山都町で祝い事や祭りの際など人が集まるときに、家庭でよくつくられてきた大豆と野菜の炒め煮。一見すると白和えにも似た、ごはん代わりにもおかずやお酒のつまみ、おやつにもなるというユニークな料理だ。里芋、たまねぎ、人参、干ししいたけなどの野菜を細かく刻み、鶏肉を入れて具材を炒め、米、大豆を加えてとろっとするまで煮こむ。大豆は一晩水に浸して柔らかくなったものを、ミキサーやすり鉢で食感を残す程度に砕いて使う。名前の由来はおからのことをこの地域では、「かす」と呼んでいたことから「かすよせ」といわれたという説や、数多くの野菜を寄せる(使う)ことから「数寄せ」になり「かすよせ」になったという説もある。また、「そこにある材料を使う、入れる」という意味で、「おしよせ」とも呼ばれる。米はうるち米に限らず、粘り気を出すためにもち米を使ったり、団子を入れる家もある。他にもかぼちゃを必ず入れる地域もあれば、逆に絶対に入れてはだめという地域もあるなど、各家庭や地区ごとに自由にアレンジされている。調味料は醤油、みりん、砂糖(三温糖)で、素材の味を生かすよう薄味に仕上げるのは共通のようだ。 + +## 食習の機会や時季 +主に秋から冬に家庭料理としてつくられる。昔は祝い事や祭りのときに出るごちそうだった。主食、副菜、おやつなど限定せずに食べられており、やさしい味わいで栄養も満点なのでちょっと胃を休めたいが何か口にしたいときなどにもちょうど良い。昔は年貢米があり、家族も大人数だったので貴重な米を食べる際にありあわせの野菜を合わせ、唯一のたんぱく源である大豆を入れて調理した。農家の知恵と工夫が詰まった料理である。 + +## 飲食方法 +出来立てよりも冷めて全体に味が染みたほうが美味しい。地元のカフェでは、「かすよせ」をコロッケにした「おしよせコロッケ」を提供している。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大豆: 100g +- 鶏肉: 30g +- 里芋: 1~2個 +- たまねぎ: 1/4個 +- 人参: 1/4個 +- かぼちゃ: 30g +- もどした干ししいたけ: 1/2枚 +- 米: 100g +- だし汁: 少量 +- 砂糖: 小さじ1 +- みりん: 大さじ1 +- 淡口醤油: 大さじ1 +- 濃口醤油: 少々 +- サラダ油: 少々 + +## 作り方 +1. 一昼夜水に浸けた大豆をミキサーに入れ、水を加えて呉汁をつくる要領で細かくひく。 +2. 鶏肉と野菜、干ししいたけを2cm角位に切る。 +3. 鍋にサラダ油を熱し、2を入れて炒める。そこに洗って1時間ほど水につけておいた米と、1の大豆を加え、米を炊く程度の水とだし汁を入れ混ぜながら炊く。炊く際に焦げ付きやすいので蓋をとった状態で、混ぜながら炊く。 +4. 材料に火が通ったら、砂糖、みりん、淡口醤油で味を付け、仕上がる直前に濃口醤油を加え一混ぜする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「くまもとのふるさとの食レシピ集 上巻」(熊本県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_18_1.jpg)" +"# こっぱもち 熊本県 + +**郷土料理名**: こっぱもち + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +天草地域 + +## 主な使用食材 +さつまいも、もち米、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +「こっぱもち」は、天草地域特産のさつまいもを使った伝統的なおやつ。こっぱとは木っ端微塵の「こっぱ」と同じ、小さく切るといった意味の方言からきており、皮をむいたさつまいもを1、2cm位の輪切りにしてゆでて、天日干ししたものを指す。輪切りの真ん中にわらを通し、軒先に吊るす光景は天草に冬の訪れを告げるものだ。天草地域では平地があまりないため米の収穫量が少なく、昔からやせた土地でもとれるさつまいもを多く栽培していた。こっぱは保存食として重宝しただけでなく、煮て干し、日に当ててカラカラに乾燥させることで生で食べるより甘みが増す効果もあった。「こっぱもち」はそのこっぱともち米を蒸したものと、砂糖(または水飴など)を合わせてつくる。ふんわりもっちりとした食感で、さつまいもの甘みを感じられる素朴な味わいだ。昔は各家庭でつくられており、常温で日持ちするので特に年末にお正月用のおやつとしてつくられていた。今では天草地域の代表的なお土産として販売されている。 + +## 食習の機会や時季 +昔の家庭では、白餅と同じように、正月に備えて年末につくられていた。こっぱだけでなく、「こっぱもち」も常温で2ヵ月ほど持つ保存食である。 + +## 飲食方法 +柔らかいうちは、食べやすい大きさに切ってそのまま食べる。きな粉をまぶす人もいる。硬くなったら、電子レンジやトースターで温めて食べる。フライパンで焼くときは、バターを入れて焼くと風味が加わって美味しい。油で揚げる方法もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (約25個分) +- もち米: 1升5合 +- こっぱ(乾燥さつまいも): 3kg +- 黒砂糖: 1kg +- 白砂糖: 1kg +- 塩: 大さじ1 + +## 作り方 +1. もち米を洗い、一晩水に浸けておく。 +2. こっぱを水で洗って、ざるに上げ、半日程おく。 +3. もち米とこっぱを別々に蒸して、それぞれを潰す。 +4. 臼に3を入れてつき、よく混ぜ合わせてから砂糖・塩を加え、更に良く混ぜ合わせる。 +5. もろぶたに4をとりあげて、4cm位の厚さにのばし、固まったら適当な大きさに切り分ける。 +6. ※こっぱは皮をむいたさつまいもを1、2cm位の輪切りにしてわらにさしてゆで、天日に干して乾燥させたもの。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「くまもとのふるさとの食レシピ集 下巻」(熊本県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_19_1.jpg)" +"# シャクの天ぷら 熊本県 + +**郷土料理名**: シャクの天ぷら + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +八代、荒尾、玉名地区 + +## 主な使用食材 +シャク(アナジャコ) + +## 歴史・由来・関連行事 +熊本の夏の味覚、シャク(真ジャク)は正式には「穴じゃこ」といい、八代地域・荒尾地域などの干潟に深い巣穴を掘って生息している。シャコと姿形も似ているがエビの仲間でシャコとは全く別の種目である。「シャク釣り」は潮が引いた後に現れた巣穴に筆を入れ、外敵に反応して穴の入り口まで出てきたシャクを、1匹ずつ捕獲するユニークな方法である。鮮度落ちが早く、陸では長く生きられないので熊本県���外には流通せず、天ぷらや塩ゆで、煮つけ、「シャク味噌」などで食べるシャクは、地元ならではのごちそうとして昔から親しまれている。天ぷらにするには、泥をよく洗って衣をつけ、そのままからりと揚げて丸ごと食べる。身も殻も内臓も食べるので味が濃く、独特の風味があって、焼酎のつまみに合う。ちなみにシャク味噌は、生のシャクのえらと足をとり、細かく刻んですり鉢ですり、味噌や塩を入れて合わせる。こちらはつまみにはもちろん、ごはんのお供としても人気である。シャクは台湾や朝鮮半島にも生息し、調理もされる。日本では食材としてあまり一般的ではないが岡山県でもアナジャコを使った郷土料理が多い。 + +## 食習の機会や時季 +5月頃から鮮魚店などの店頭に並ぶ。夏の間が旬で新鮮なうちに地元でしか味わえない珍味だが、手ごろな価格で食べられる。 + +## 飲食方法 +揚げ立てを好みで天つゆや塩でいただく。塩にはしそや青のり、山椒、カレー粉などをまぶして風味を変える楽しみ方もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (シャク12匹分) +- シャク: 12匹 +- 卵: 1個 +- 小麦粉: 1カップ +- 塩: 小さじ1/2 +- 水: 150ml +- 揚げ油: 適量 + +## 作り方 +1. シャクはよく洗って、はさみや足はとっておく。 +2. 腹側に2、3ヵ所切り込みを入れ、小麦粉をつける。(シャクが曲がらないように) +3. ボウルに卵を割りほぐし、水・小麦粉・塩を加えて軽く混ぜる。 +4. 揚げ油を170度から180度程度に熱し2にシャクをつけて揚げる。 +5. 器に付け合わせの野菜をのせ、3を盛り、天つゆでいただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「くまもとの味紀行」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_20_1.jpg)" +"# 鯛そうめん 熊本県 + +**郷土料理名**: 鯛そうめん + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +天草地域、上益城地域(山都町馬見原) + +## 主な使用食材 +タイ、そうめん + +## 歴史・由来・関連行事 +タイといえば、古くからお祝い事などに欠かせない魚だが、熊本県は全国の中でも新鮮なマダイが豊富にとれ、消費量も常に全国上位。刺身や塩焼き、鯛茶漬けなどさまざまな調理法で親しまれている。天草地域の「鯛そうめん」(「鯛めん」ともいう)は、刺身にした後の頭や中骨などのアラを「アラ炊き」にして、煮汁をそうめんにかけて食べる。タイの旨味がたっぷりの煮汁を無駄にしない生活の知恵で、お祝い事の際に提供された。そうめんを使うのはそうめんが特産の島原の食文化に影響を受けたと思われる。一方、上益城郡山都町(旧・馬見原地区)に伝わる「鯛めん」は、タイを丸ごと姿煮にして大皿に盛り、そうめんを白波に見立てて皿に盛り付ける豪華なお祝い料理。そうめんはタイを煮た煮汁でつくる出汁でさっと煮た後に盛り付け、出汁につけて食べる。馬見原は江戸時代の宿場町で酒造業も栄え、料亭なども並ぶ商人の町だった。山の中にある町で生のタイを手に入れるのが困難だったが、裕福な豪商が多かったので、日向灘のタイは大分県の竹田を経て馬車で運んだり、天草のタイは船や早馬に乗せて運んだりした。昔は結婚式のときなどにつくられるハレの料理として、集落の婦人たちがそのつくり方を受け継ぎ、各家に2~3kgほどのタイをそのまま煮付けにできる大きさの鍋や盛り付けの皿が用意されていた。「鯛そうめん」(または「鯛めん」)はほかに岡山県や愛媛県、広島県など瀬戸内海で郷土料理として知られる。熊本県での発祥は定かではないが、馬見原では大分県の姫島から伝わったとされているようだ。姫島ではタイはつがいになったら巣を決めて決して離れないので、婚礼の席で「離婚しない」という願いが込められた。両家が対面(「鯛めん」)し、長い麺で両家の末永い付き合いを願う意味もある。 + +## 食習の機会や時季 +丸ごと一匹煮付けする「鯛めん」は、今は少なくなっているが結婚式などのお祝い事に使われた。あら炊きを使う天草の「鯛そうめん」(「鯛めん」)ももとはお祝い料理で、今も地域の集まりなど行事の中でつくられている。マダイの旬の春や秋、チヌ(黒タイ)の旬の夏には旬のおすすめとして、飲食店のメニューに登場することもある。 + +## 飲食方法 +タイを煮た���汁に砂糖や醤油を加えたそうめん出汁で、そうめんをさっと煮てから皿に盛る。そうめん出汁は上から掛けたり、別の器に入れてつけ汁として食べる。天草のレシピではタイの煮付けに砂糖は使わない傾向がある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- マダイ: 1匹(500~800g) +- 素麺: 5束 +- 小ねぎ(刻み): 適量 +- しょうが(スライス): 適量 +- ねぎ(長ねぎの青い部分): 適量 +- 【調味料A】淡口醤油: 100ml +- 【調味料A】濃口醤油: 100ml +- 【調味料A】赤酒: 100ml +- 【調味料A】酒: 100ml +- 【調味料A】砂糖: 大さじ1 +- 【調味料A】水: 300ml + +## 作り方 +1. 中抜きの新鮮な真鯛を丸ごと霜ふりをし、鱗をしっかり取り除く。 +2. 丸ごと入る鍋で水と調味料Aを全て入れ、しょうが、青ねぎを加えて煮る。沸騰してから20分程煮付ける。(あまり濃い味にならないように気を付ける) +3. 素麺を茹でて水洗いし、小口に丸めておく。 +4. 煮あっがった鯛を大皿に移し、周りに小口にした素麺を並べて小ねぎを散らす。食べる直前に煮汁をたっぷりと掛ける。好みで、おろししょうが、柚子、錦糸卵などをトッピングすると「ハレ」の料理になる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : ANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイ 日本料理調理長 戸澤 清水氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_21_1.jpg)" +"# 山するめのきんぴら 熊本県 + +**郷土料理名**: 山するめのきんぴら + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +人吉・球磨、阿蘇地域など + +## 主な使用食材 +干したけのこ、切り干しきくらげ + +## 歴史・由来・関連行事 +九州地方全般で食べられているが、熊本県で特に人気が高いのが干したけのこ料理。熊本県は昔から里山や家の周囲に竹林が多く、春にたくさんとれるたけのこを干して保存食にしてきた。たけのこは鮮度の良いうちに縦方向に切って内側の節を落とし、ゆでてからじっくり天日干しにして乾燥させる。このとき三角形のたけのこが干される様子がスルメのように見えたので、「山するめ」と呼ぶようになったといわれている。つくっておけば一年中いつでももどして煮物や炒め物などにも使えるので大変重宝されてきた。戻し方は、水かお湯に浸して柔らかくしてからさらに鍋や圧力鍋などで煮てもどす。「山するめのきんぴら」は、もどした干したけのこを千切りにし、だし汁で炊いてから醤油や砂糖、みりんなどで味付けするが、きくらげを同じように千切りにして加えると美味しい。干したけのこは生のたけのことは、また違った食感と味わいがあり、シャキシャキコリコリとした食感も楽しく箸が進む料理である。ごぼうやしいたけを油で炒めて、干したけのこ、人参、こんにゃくを加えて味付するつくり方もあり、家庭や地域でレシピはさまざまである。 + +## 食習の機会や時季 +球磨郡球磨町では農繁期や祭りの精進料理として食されている。 + +## 飲食方法 +普段の食卓のおかずやお酒のつまみとして食べられている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6~7人分) +- 干したけのこ: 150g +- だし汁: 5カップ +- 薄口醤油: 100ml +- 酒: 大さじ1 +- みりん: 大さじ1 +- 砂糖: 50g +- 塩: 小さじ1/2 +- 切り干しきくらげ: 30g + +## 作り方 +1. 干したけのこは柔らかくゆで、もどしておく。 +2. ゆで戻したたけのこは8cm位の千切りにしておく。 +3. 濃いめのだし汁でたけのこを炊き、砂糖、みりん、薄口醤油で味をととのえる。 +4. 煮汁が少なくなってから切り干しきくらげを入れて煮含める。 +5. ※ゆでもどしたけのこは、切り方をそろえる。切り干しきくらげは水にもどさず、煮汁が少なくなってから加えると歯ごたえがある。出汁をきかせ薄味で煮含める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「くまもとふるさと食の名人」(熊本県地産地消サイト) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_22_1.jpg)" +"# 太平燕 熊本県 + +**郷土料理名**: 太平燕 + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +熊本県内中部 + +## 主な使用食材 +春雨、卵、豚肉、イカ、エビ、かまぼこ、白菜(キャベツ)、人参、たまねぎ、ねぎ、きくらげ + +## 歴史・由来・関連行事 +熊本の中華料理店や家庭でも定番の一品で、春雨をメインに、炒めた野菜や豚肉、エビ、たけのこ、かまぼこ、しいたけなどを入れた具沢山の中華風春雨スープのことで、その上にはゆで卵を揚げたものがのっているのが特徴である。中国福建省福州の家庭で盆や正月、その他の祝い事など特別な日に食べるスープ料理がルーツとされている。明治時代後期、福建省から長崎、熊本にわたってきた華僑が伝えたといわれるが、中国の高級食材の燕の巣の代わりに揚げたゆで卵(表面にしわがでた様が、燕の巣のイメージ)をフカヒレの代わりに春雨を使って作ったスープが始まりという説がある。福州(現在の福建省都)ではこの卵を太平卵(タイピーノン)と呼び、それを食べられると安泰に暮らせると伝えられており、縁起のよい料理とも言える。 + +## 食習の機会や時季 +熊本県の中華料理店では、具だくさんであっさりした味わいのヘルシーな麺料理としてランチや夕食、飲んだ後のしめなどに親しまれている。ラーメン店でも提供する店もあり、家庭でもよく食べられている。 + +## 飲食方法 +つるっとのどごしの良い春雨は緑豆春雨を使うことが多いが、じゃがいものでんぷんを含んだ日本産春雨を使うところもある。鶏ガラの透明感のあるスープや豚骨を合わせた白湯スープ、塩味、醤油味など、家庭や店によって材料や味に違いがある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 豚肉: 40g +- かまぼこ: 20g(3mm幅) +- ムキイカ: 40g(一口大) +- ムキエビ: 40g +- 卵: 1個 +- 春雨: 50g +- きくらげ: 1枚(千切り) +- 人参: 20g(千切り) +- たまねぎ: 60g(千切り) +- 白菜(またはキャベツ): 50g(2cm幅) +- ねぎ: 10g(小口切り) +- しょうが: 少々(みじん切り) +- 薄口醤油: 大さじ1 +- 酒: 大さじ1 +- 鶏ガラスープ(中華スープの素): 小さじ1 +- お湯: 2カップ(400ml) +- ごま油: 小さじ2 +- 塩: 少々 +- こしょう: 少々 +- 炒め油: 少々 + +## 作り方 +1. 春雨は、たっぷりのお湯でゆでて、15cmくらいの長さに切る。 +2. きくらげは、もどして千切りにする。 +3. 材料をすべて切って、準備しておく。(切り方は材料欄にて記載参照) +4. 卵は、固めにゆでて、皮をむき、半分に切っておく。(油であげる場合もある) +5. 鍋に油をひき、みじん切りにしたしょうがを炒めて香りを出す。豚肉を炒めて酒をふる。たまねぎ、人参、しいたけ、白菜の茎を炒め、塩こしょうをする。 +6. ある程度炒まったら、エビ、イカ、白菜の葉を加え、お湯に溶かしておいたスープと醤油を加えて、ひと煮立ちさせる。 +7. 6に春雨を加えて、味をととのえ、最後にねぎとごま油を加える。 +8. 大きめの器に盛り付け、4のゆで卵をのせてできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 尚絅大学生活科学部 守田 真里子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_23_1.jpg)" +"# とじこ豆/豆菓子 熊本県 + +**郷土料理名**: とじこ豆/豆菓子 + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +山鹿地域、菊池地域 + +## 主な使用食材 +大豆、小麦粉、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +甘い小麦粉の生地で大豆をとじこめたという意味で名付けられた「とじこ豆(とちこ豆、としこ豆ともいう)」。県北の山鹿市菊鹿地区では昔から年末になるとおせちなどの正月料理と一緒に必ずつくって食べられていた素朴な味わいの郷土菓子である。初めに鍋に砂糖と水を入れて溶けたところに炒った大豆を入れ、柔らかくなったら小麦粉を入れて混ぜる。フライパンに油をひいて、小麦粉が透明になるまで練りあげたら、竹の皮に包んで蒸す。昔は大豆を使っていたが、現在はピーナッツ入りが食感も風味も良く、大豆のように炒る作業なく使える便利さもあって一般的になった。生地に柚子やしょうがが入ったり、砂糖も黒砂糖だけでなく三温糖、きび砂糖、または、それらをブレンドしてコクを出すなど材料に家庭や地域でバリエーションがある。最後の蒸す作業を省いて、巻きすに巻いてつくる方法も伝わっている。 + +## 食習の機会や時季 +昔から冠婚葬祭に登場するお菓子で、山鹿市では昔は正月に必ず食べていた。農家では大豆や小麦粉、黒砂糖などおもな材料は栽培していた。農繁期の作業のおやつにしたり、お土産にしたりしていた。 + +## 飲食方法 +1cm幅位の輪切りに切ってそのまま食べる���、軽く炙ったり焼いたりして温めても美味しくいただける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (30人分) +- 大豆: 400g +- 小麦粉: 1kg +- 砂糖(三温): 400g +- 砂糖(黒糖): 400g +- 塩: 大さじ1 +- 水: 900ml +- 油: 大さじ4 + +## 作り方 +1. 小麦粉、砂糖、塩を分量の水でむらがないようによく混ぜ合わせる。 +2. 大豆はフライパンで香ばしい程度に炒り、熱湯にさっとくぐらせてざるに上げ、1の中に混ぜ合わせておく。 +3. フライパンを熱し、焦げ付かない程度に油を引き、2回か3回に分けて練り上げる。 +4. 直径5cm位の細⻑なかたちにととのえて、⽵の⽪に包んで30~40分程度セイロで蒸せばできあがり。 +5. ※⼤⾖は⾹ばしく炒りあげること。三温と黒糖を混ぜると、黒糖だけより⾊合いが良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「くまもとふるさと食の名人」(熊本県地産地消サイト) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_24_1.jpg)" +"# 馬肉蕎麦 熊本県 + +**郷土料理名**: 馬肉蕎麦 + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +阿蘇地域 + +## 主な使用食材 +馬肉、そば + +## 歴史・由来・関連行事 +熊本県は馬肉の生産量全国1位(農林水産省令和元年畜産物流通統計)である。「桜肉」や「蹴とばし」などとも呼ばれ、馬肉の中でも馬刺しが特産として知られている。そもそもは肥後藩主・加藤清正が朝鮮出兵の際、食料がなくなりやむを得ず軍馬を食したところ、大変美味だったので帰国後も好んで馬刺しを食べたことが馬肉や馬刺しの食文化を広めたといわれている。馬肉はタンパク質やビタミン類が豊富で、脂肪分が少ないのでヘルシーな食材だが、江戸時代の肉食禁止の時代にも栄養価の高い食材としてけが人や病人に食べさせるなど薬膳料理として提供されたという。熊本県では戦前から一部の農民の間で食されていたが、阿蘇山麓の放牧地は陸軍の軍馬の生産地で、戦後の食糧難で牛肉や豚肉の代用品として役目を終えた軍馬の肉を使ったことで馬肉料理が広まった。昭和30年代には料理店でも提供されはじめた。スーパーマーケットでも牛肉や豚肉と並んで馬肉が売られており、カレーや肉じゃがに使われるほどポピュラーな食材だ。中でも馬刺しを加工したあとに余ったこま切れ肉を使い、醤油や砂糖、しょうがを入れて甘じょっぱくほろほろになるまで煮こんだしぐれ煮は昔から庶民のおかずで、ごはんのお供や酒のつまみとして親しまれてきた。そばやうどんの具としてもお馴染みで、熊本で肉そば(うどん)といえば馬肉のしぐれ煮だった。 + +## 食習の機会や時季 +そば・うどん店などで提供されており、年中食べることができる。 + +## 飲食方法 +しぐれ煮は温かいそば・うどんの具材として上にのせ食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 馬肉の小間切れ: 200g +- そば: 2玉 +- しょうが: 1/2片 +- だし汁: 3カップ +- 醤油: 大さじ2 +- ねぎ: 10g +- 【調味料A】濃口醤油: 大さじ2 +- 【調味料A】砂糖: 大さじ1/2 +- 【調味料A】酒: 大さじ2 +- 【調味料A】赤酒(みりん): 大さじ2 + +## 作り方 +1. 馬肉は、1度ゆでて、アクをとりざるにあげる。 +2. 鍋に1の馬肉、すりおろしたしょうが、調味料Aを入れ、かぶるくらいの水を加えて中火にかけ、煮立ったら弱火にし、馬肉が柔らかくなるまで煮こむ。(途中水分がなくなってきたら水を足す) +3. ねぎは小口切りにする。 +4. そばは、好みの硬さにゆでる。 +5. だし汁は煮立てて、醤油を加え、好みの味に調整する。 +6. 5にそばを入れ、再沸騰したら、どんぶりにつぎ分け、馬肉とねぎをのせてできあがり。肉汁も出てくるので、汁の塩分は少し控えめにする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 尚絅大学生活科学部 守田 真里子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_25_1.jpg)" +"# 一文字のぐるぐる 熊本県 + +**郷土料理名**: 一文字のぐるぐる + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +熊本県内全域 + +## 主な使用食材 +一文字(わけぎ) + +## 歴史・由来・関連行事 +6代目藩主細川重賢の時代、肥後藩の財政が苦しく立て直しを図って倹約令が出された際に、安くて美味しい酒のつまみとして考えだされたのがはじまりといわれている。一文字はわけぎの別称で、植えてある��が「人」の文字に見えたとか、または、ねぎが「き」と一文字で呼ばれていた御所時代の女房言葉「一文字草」に由来する。熊本県の一文字は、白根の部分の膨らみが特徴的な名産品だ。ぐるぐるとは、さっとゆでた一文字の白根の部分を軸に青い葉の部分をぐるぐると巻き付けたことで名付けられた。巻き付けた葉の先を指で切ると、とろりとした汁が出るので、これで巻き終わりをくっつける。こうしてひと口大にきっちり巻き付けることでザクっという食べごたえのある食感を生み、独特の香りと甘みを楽しめる。一文字だけでつくられるシンプルな料理だが、酢味噌や辛味噌を掛けるとごちそうになる。栄養豊富な一文字をたくさん食べられる。江戸時代から栽培されている一文字の旬はもともと春だが、郷土料理として通年提供したいという需要が高まり、品種を改良するなどして栽培時期を増やしている。 + +## 食習の機会や時季 +一文字は今は一年中とれるが、冬を越し、寒さで甘味が増した春先が旬。この料理が出ると春の訪れを感じるという人も多い。昔はこんにゃくの刺身、マテ貝、ウバ貝の煮しめなどと一緒にひな祭りの際には欠かせないものであった。 + +## 飲食方法 +一文字をさっとゆで、冷ましてから、白根の部分を軸に青い葉の部分を巻きつける。そこに、酢味噌や辛味噌を掛けたり、添えたりして盛り付け、色合いと食感を楽しんでいただく。酒のつまみとしても食されてきた。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3~4人分) +- 一文字(わけぎ): 120g +- 塩: 小さじ1 +- 【調味料A】白味噌: 40g +- 【調味料A】砂糖: 大さじ2 +- 【調味料A】酢: 大さじ2 +- 【調味料A】みりん(または赤酒): 小さじ2 + +## 作り方 +1. 一文字は根を切り落とし、よく洗う。 +2. 鍋にたっぷりの水を入れ、塩小さじ1を入れて沸騰したら一文字を根元の方から先に入れてゆでる。芯のかたさが残る位にさっとゆでるが、加減はお好みで。 +3. 2をざるにあげて冷水で冷やした後、しっかりしぼって水気を切る。 +4. 白根から5cm上を折り、白根を芯にして青い葉の部分をぐるぐると巻きつける。一つひとつの太さ、大きさが同じになるように丁寧に巻くと見栄えも口当たりも良い。 +5. 調味料Aを合わせて酢味噌をつくって添える。お好みで、辛子酢味噌、梅味噌などでも美味しい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「くまもとのふるさとの食レシピ集 上巻」(熊本県) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_26_1.jpg)" +"# 蛇腹大根(房切り大根)の煮物 熊本県 + +**郷土料理名**: 蛇腹大根(房切り大根)の煮物 + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +南阿蘇地域 + +## 主な使用食材 +蛇腹(切りかけ・房切り)大根 + +## 歴史・由来・関連行事 +蛇腹大根は、南阿蘇地域で冬の冷たい風を利用して昔から作られている干し大根。房切り大根、切りかけ大根とも呼ばれる。青首大根でも作られるが、干し大根に向く「理想大根」を使うことが多い。切り方が独特で、大根を横にして置き、2~3mm幅の輪切りにするように包丁を入れる。この時切り離さないよう下側を5mmほど残すが、下まで切らないように菜箸を大根の脇に添えておくと良い。裏返して切り目を真下に置き、2~3mmの幅の切り目を斜めに入れていく。端まで切ると蛇腹のように長く伸びて3倍ほどの長さになる。新鮮な生の大根の切り立ては大根が硬くて伸ばすとちぎれやすいので、ざるなどに入れて干し、しなっとして吊るしても切れないようになったら竿に掛けて干す(収穫した大根を数日から1週間ほど干してから切る方法もある)。こうすると長細くなるので場所もあまり取らず、乾燥も早く進む。できあがったものは缶や瓶にいれて保存し、一年中の食べ物にした。天日に干すことで旨味や栄養が凝縮され、カルシウムや鉄分、食物繊維が増えるので、冬から春の野菜の切れ目に重宝した。調理するときは水で戻し、主に煮物や酢の物、みそ汁の具にも利用する。味が染みてパリっという独特の食感は生の大根を使うのとは、また違った美味しさがある。干し大根を戻した水も旨みがあるので使うことが多い。阿蘇地域の煮物は、季節の野菜や油揚げ、しいたけ、こんにゃくなどを醤油や砂糖で煮て作るが、お祭りや仏事、お祝では必ず煮物を作る習慣がある。 + +## 食習の機会や時季 +大根の収穫時期(11~2月頃)につくられ、冬の冷たい風に当てて干す。南阿蘇地域で軒下に白い花のように連なり吊るされる様子は冬の風物詩だ。主に冬から春に使われる保存食だが、長く保存がきくので一年中使われた。蛇腹大根(房切り大根)の入った煮しめは冠婚葬祭のときに必ず出された。 + +## 飲食方法 +蛇腹大根は煮物、酢の物、炒め物、みそ汁などにも使われる。煮しめに入るのは定番である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (3人分) +- 蛇腹大根(切りかけ・房切り): 1本 +- しいたけ: 3枚 +- 人参: 1/2本 +- ねぎ: 1/2本 +- 卵: 2個 +- 醤油: 1/2カップ +- 砂糖: 大さじ1と1/2 +- 油: 少々 + +## 作り方 +1. 蛇腹(切りかけ・房切り)大根:葉をおとし4~5日好天の日に干し、しんなりさせたものを使用する。3mm間隔で7分目までまっすぐに切り目を入れる。切り目を入れたところを下にして斜めに3mm間隔で7分目まで切り目を入れる。好天の日、並べて干し、柔らかくなったら、竿に干し、乾いたらのばしながら干しあげていく。生の大根の3倍の長さに仕上げる。 +2. しいたけは水でもどし、蛇腹大根はぬるま湯に2~3分浸す。そしてまな板の上に2~3分おいておく。 +3. 人参、ねぎ、しいたけを細長めに切る。蛇腹大根の水気を拭き、1cm位に切る。 +4. 油を少々入れた鍋に蛇腹大根、しいたけ、人参の順で入れ中火で炒める。 +5. なじんだら少量の水(または酒)を加える。 +6. だいぶしんなりなったところで砂糖、醤油を入れる。 +7. ねぎを入れる。 +8. 卵2個をといて入れ、手早く混ぜ合わせてできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「くまもと味紀行」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_27_1.jpg)" +"# 骨かじり 熊本県 + +**郷土料理名**: 骨かじり + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +上球磨地域 + +## 主な使用食材 +猪(または豚)の骨付き肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「骨かじり」は、人吉・球磨地域の特に奥球磨(上球磨/湯前町、多良木町、水上村)と呼ばれる地域の郷土料理である。主に宴会など人が大勢集まるときに出されるが、手づかみで骨付き肉にかぶりつく豪快な料理である。調理は、猪や豚のあばらや背、骨盤などの骨付きの肉を大鍋に入れ、水から3時間(火力や大きさによる)ほどじっくりと煮こむ。途中、丁寧にアクや脂をすくいながら、肉が骨から外れるくらいまで煮込んだら、塩で味付けするだけである。時間は掛かるがシンプルで、煮こんだ肉はホロホロと柔らかく、ジューシーで旨味もたっぷりである。皆、骨の髄まで吸って楽しむので「骨かじり」という名がついた。猪狩りの猟師料理がもとになったといわれ、猪や豚を解体処理した後の骨に残った肉を使ったのがはじまり。水だけで煮る下ゆでの後に昆布や、しょうがなどの香味野菜を入れたり、球磨焼酎で香り付けしたり、醤油や味噌で味付けするつくり方も見られる。肉と骨からのエキスがたっぷりと出たスープはラーメンや鍋などの料理にも使える。 + +## 食習の機会や時季 +猪については狩猟の時期に食べられることが多いが、豚肉については季節を問わず、地域の行事の際につくられている。 + +## 飲食方法 +そのまま手で持ってかぶりつき、骨のまわりの肉を食べる。焼酎のつまみにぴったりである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 () +- 猪の骨(もしくは豚): 適量 +- 水: 適量 +- 醤油: 適量 +- 塩: 適量 + +## 作り方 +1. 猪(豚)の骨を水から炊く。アクや脂はすくっておく。 +2. 肉が骨から外れるくらいになったら、醤油、塩で味付けする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 有限会社ひまわり亭 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_28_1.jpg)" +"# 柚餅子 熊本県 + +**郷土料理名**: 柚餅子 + +**都道府県**: 熊本県 + +## 主な伝承地域 +菊池地域、人吉・球磨地域 + +## 主な使用食材 +もち米、うるち米、味噌、柚子、砂糖、柚子 + +## 歴史・由来・関連行事 +餅のような食感で、柚子の香りと味噌が噛めば噛むほど味わい深い素朴な郷土菓子である。「柚餅子」は全国的に見られる和菓子だが、この地域は竹の皮で包んで蒸すのが特徴。保存���として竹の皮の抗菌作用を利用している。現在は菊池市の銘菓だが、当地は古くからの米どころで、米の収穫時にできるくず米を有効利用してつくられていた。南北朝時代に栄えた菊池一族がその保存性に目を付け兵糧として用いていたのが起源とされる。現在のかたちになったのは明治時代に入ってからで、細川藩御菓子司だった津島屋又平が西南戦争の戦火に追われ、熊本の京町から菊池に移り住み、従来の「柚餅子」に改良を加えて商品化した。昭和40年代に菊池温泉の掘削があり、土産物として人気になった。実は、名前は同じ「柚餅子」でも、柚子を使った料理の多い人吉・球磨地域には全く違った「柚餅子」がある。柚子の中身をくり抜いて容器にし、中に味噌、ピーナツ、ごま、しょうが、とうがらし、小麦粉に調味料を加えて混ぜ合わせたものを詰めて蒸すというもので、その後、ネットに入れて2週間位天日干しして熟成させたら出来上がり。昔は「わらつと」に包み、1ヶ月軒先に干していた。こちらは唐辛子の辛みがアクセントで塩分もあり、お茶請けだけでなく、球磨焼酎のつまみにもなった。保存食として、豊富に取れる柚子を無駄にしない知恵だったのだろう。 + +## 食習の機会や時季 +菊池地域の「柚餅子」は、普段のおやつだけでなく正月などにも食され、球磨地域の「柚餅子」は、お茶請けやお酒のつまみに普段の食卓に登場する。 + +## 飲食方法 +もっちりして素朴な甘さの和菓子の柚餅子は、好みの大きさにスライスしても、かぶりついて食べても美味しい。つくった翌日が食べ頃だが、硬くなったら電子レンジでさっと温めたり、フライパンやトースターで焼くとふっくらと美味しく食べられる。人吉・球磨地域の柚餅子は、薄く切ってお茶請けやおかずに。柚子の独特の風味と塩味が焼酎のお供にぴったりだ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (15個分) +- 糯米(もち米)の粉: 600g +- 粳米(うるち米)の粉: 400g +- 味噌: 200g +- 砂糖(上白糖): 600g +- 柚子: 4~5個 +- しょうが: 適量 +- 竹の皮: 15枚 +- 水: 2カップ +- サラダ油: 適量 + +## 作り方 +1. 糯米の粉をふるいにかけておく。 +2. 柚子は洗って皮の部分をおろし金ですって砂糖の一部をまぶしておく。 +3. ミキサーに水を1杯(200ml)入れ、柚子、しょうがを入れてミキサーにかける。 +4. 味噌と水(100ml程度)を入れ、さらにミキサーにかける。 +5. ミキサーの中身を鍋に返し、砂糖を入れて火にかける。ぶくぶくと沸騰したら火を止めて糯米の粉と粳米の粉を入れて素早く混ぜる。 +6. 少し冷えたら竹の皮にサラダ油をひく。 +7. 15等分した柚餅子を平らにのばし竹の皮にのせ、竹紐で結ぶ。 +8. 蒸し器に並べて40分程蒸す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「くまもと食の名人」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_29_1.jpg)" +"# そらきたもち 大分県 + +**郷土料理名**: そらきたもち + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +姫島村 + +## 主な使用食材 +さつまいも、強力粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「やせうま」や「じり焼き」、「ゆでもち」など、小麦粉を原材料とする郷土菓子が多く伝わる大分県。その理由は、古くから根づいてきた粉食文化にある。台地が発達している大分県では、米づくりに適さない土地が多かった。各地で水路が整備されるようになってからは、畑作による麦の栽培が発展する。そこから、小麦粉が料理に活用されるようになり、郷土菓子や郷土料理へと定着していった。「そらきたもち」は、瀬戸内海西端に浮かぶ離島・姫島に古くから親しまれてきた郷土菓子である。姫島は、国東市(くにさきし)の伊美港からフェリーでおよそ20分。古事記に収められた神話の一つ「国生み」のなかで、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)が生んだ女島は、この姫島にあたると伝わっている。周防灘(すおうなだ)を臨む姫島近海は、好漁場になっており、タイやタコ、車エビ、スズキなど豊富な魚介が水揚げされる。海に囲まれた姫島では、米が育たずその代わりに小麦粉やさつまいもがよくつくられた。そのような環境でつくられた手ごろなおやつといえる。そんな姫島村で親しまれてきた「そらきたもち」は、柔らかくゆでたさつまいもを潰し、半分は小麦粉をまぶし入れ、火にかけて練って皮にする。残りのさつまいもは砂糖を加えあんにして、包んだものである。蒸す作業がいらないため、調理時間を短縮できる。そのため、急な来客があっても、「そらきた!」というぐらいすぐにつくれることから、「そらきたもち」という名になったといわれる。昔は、どんな家でもさつまいもを湯がいて置いてあったことも、すぐにつくれる理由の一つである。 + +## 食習の機会や時季 +急な来客があった時や、子どものおやつとしてよくつくられていた。現在は家庭でつくる機会はそれほど多くない。 + +## 飲食方法 +まず、さつまいもをゆでて皮用とあん用に分ける。皮用には強力粉を加えて加熱する。あん用には砂糖と塩を加える。あんを皮で包んで、最後にきなこをまぶしてから食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (12人分) +- さつまいも: 1kg +- 強力粉: 80g +- 砂糖: 300g +- 塩: 少々 +- きなこ: 50g + +## 作り方 +1. さつまいもの皮をむき、1.5cmくらいの厚さの輪切りにして、水にさらす。 +2. 鍋に入れ、水をひたひたより少し少なめに加えてゆでる。 +3. さつまいもが柔らかくなったらゆで汁を切り、弱火にして鍋の中でさつまいもをつぶす。 +4. 二等分して半分を取り出す。 +5. 鍋に残った方に強力粉を少しずつ振り入れてこねる。白い粉が残らないようにこねたら、フタをして、余熱で強力粉に火を通す。 +6. 取り出しておいたさつまいもに砂糖と塩を加えてこね、あんをつくり、10等分する。 +7. 鍋にあるさつまいもを10等分してのばし、さつまいものあんを包む。 +8. 形をととのえ、きなこをまぶす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「次代に残したい大分の郷土料理」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_21_1.jpg)" +"# じり焼き 大分県 + +**郷土料理名**: じり焼き + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +豊後大野市 + +## 主な使用食材 +小麦粉、黒砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +鶏肉の消費量が多いことで知られる大分県だが、小麦粉を使った粉食文化も暮らしに深く根づいている。大分県は台地が発達していたこともあり、米づくりに適さない土地が多かったが、長い月日をかけて各地に水路を整備。やがて、畑作による穀物栽培が盛んに営まれるようになった。収穫された小麦のほとんどは挽かれて地粉になる。地粉を使った「やせうま」などは、いまもなお幅広い世代に親しまれている。豊後大野市に伝わる「じり焼き」も粉食文化の産物である。地粉を水で溶いたものをクレープのように薄く焼いて、細かく砕いた黒砂糖やかぼちゃのあんを巻いて食べる。手軽につくれて、万人に愛される素朴な味わいのため豊後大野市のみならず、大分県内で広く浸透している。名前の由来については、生地が“じりい(大分の方言で、「ゆるい」という意味)”ことから来ているという説、“じりじり”と生地を焼くからという説などがある。日田市の「へこ焼き」をはじめ「ひ焼き」や「たらたら焼き」など地域によってさまざまな呼び名があるのも特徴。 + +## 食習の機会や時季 +昔は子どものおやつや大人の農作業中の差し入れとして日常的に食べられていた。黒砂糖が貴重だった時代は、「じり焼き」の代わりに「ゆで餅」(小倉あんを詰めた生地をゆでたもの)や「石垣もち」(さつまいもを混ぜた生地を蒸したもの)を食べた家庭もあったという。昔ほど、食べられる機会は少なくなってしまったが、現在でも子どものためにつくってあげる親は珍しくない。 + +## 飲食方法 +昔は地粉、水、塩で生地をつくっていたが、現在ではさらに卵を加え、ふっくらと仕上げる。また、米粉を加えてもちっとした食感の生地にしたり、砂糖を少なめにして甘さをひかえた生地に柚子味噌を巻いて食べるなど、アレンジを楽しむこともできる。近年は、ジャムやマーマレード、生クリームなどをそえるレシピもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- <昔風> 地粉: 150g +- <昔風> 塩: 少々(少し多め) +- <昔風> 水: 340g +- <昔風> 黒砂糖: 適宜 +- <昔風> 油: 適宜 +- <現代風> 小麦粉: 150g +- <現代風> 塩: 少々 +- <現代風> 水: 340g +- <現代風> 砂糖: 10g +- <現代風> 卵: 1個 +- <現代風> ベーキングパウダー: 3g +- <現代風> 牛乳: 少々 + +## 作り方 +1. <昔風 手順1> 地粉に塩と水を加えて溶く。 +2. <昔風 手順2>水の分量は、粉の重量の2.2~2.3倍。さらっと流れるくらいに溶く。 +3. <昔風 手順3>フライパンに油を敷き、薄く流し入れる。 +4. <昔風 手順4>表面が乾いてくるまで焼く。 +5. <昔風 手順5>黒砂糖をのせ、端から巻いていく。 +6. <昔風 手順6>適当な長さに切る。 +7. <現代風 手順1> 小麦粉に卵、砂糖、ベーキングパウダー、牛乳、水を入れ、よくかき混ぜる。 +8. <現代風 手順2> フライパンに、薄く流し入れる。 +9. <現代風 手順3> 表面が乾いてくるまで焼く。 +10. <現代風 手順4> さつまいものジャムや、紫芋ペーストを塗って端から巻いていく。 +11. <現代風 手順5> 適当な長さに切る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「次代に残したい大分の郷土料理」レシピ画像提供元 : 大分県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_12_1.jpg)" +"# きらすまめし 大分県 + +**郷土料理名**: きらすまめし + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +臼杵市 + +## 主な使用食材 +魚、おから、かぼす + +## 歴史・由来・関連行事 +大分県の東南部に位置し、豊予海峡方面へ楕円状に細長くのびる臼杵市(うすきし)。東は豊後水道に面した臼杵湾を臨み、南西部は鎮南山・姫岳といった山稜が広がっている。古くから沿岸集落で漁業が営まれており、一本釣り、はえ縄、小型底びき網などがおこなわれる。特産品は、太刀魚、ブリ、フグなどがある。「きらすまめし」は、「黄飯」や「茶台ずし」と並ぶ臼杵市の郷土料理である。冬場の料理として馴染みのある「黄飯」やおもてなし料理の「茶台ずし」と異なり、「きらすまめし」は通年食べられている。江戸時代中期、たびたび財政難に陥ることがあった臼杵藩は、倹約令を出して食べ物や着るものを規制することが多かったとされる。そんななか、生み出されたのが「きらすまめし」である。残り物の刺身や魚をおろしたあとの中落ちを、大豆の搾りかすであるおからをまぶしてかさ増しをしたものである。倹約料理でありながら、栄養豊富で庶民に愛された。臼杵地方の方言で、おからのことを「きらず」、まぶすことを「まめす」と言い、刺身に“切らず”を“まめし”た料理であることから、「きらすまめし」と呼ばれるようになったといわれている。旧藩時代、山間部から訪れた商人や年貢納めの人たちにとって、「きらすまめし」を食べるのが最大の楽しみだったといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +臼杵市では1年を通して家庭で食べられているが、特に花見に欠かせない料理であることから、春の料理としてあげられることも多い。また、大切なお客様には「きらすまめし」でもてなす。 + +## 飲食方法 +ブリやアジ、マグロなどの刺身を、醤油ベースのつけダレにしばらく漬け込み、おからをまぶす。最後にねぎやしょうがなどの薬味をのせていただくが、仕上げにカボスを絞ってアクセントを加えるのが特徴。香りが良く、爽やかな風味を楽しめる。家庭によって、つけダレや使う薬味が異なり、家庭ごとの味がある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- おから: 100g +- 魚(ブリ等の刺身をとったあとの切れ端): 150g +- ねぎ: 2本 +- しょうが: 少々 +- 濃口醤油: 大さじ2 +- 淡口醤油: 大さじ1 +- 酒: 大さじ2 +- みりん: 大さじ1 +- 砂糖: 少々 +- かぼす: 1個 +- 塩: 少々 +- 醤油: 適量 + +## 作り方 +1. 魚を小さめに切る。 +2. ほんの少し塩をまぶして、2~3分おく。(身がカチっと締まる) +3. 濃口醤油、淡口醤油、酒、みりんを混ぜて漬けこむ。 +4. おからを手でこねてつぶす。 +5. 手で押し付けて山型にする。(おからに粘りが出る) +6. 白髪ねぎをつくって水にさらしておく。 +7. ねぎは小口切り、しょうがは千切りにしておく。 +8. おからにかぼすと醤油、砂糖少々で味をつける。 +9. 8に小口切りのねぎとしょうがを加えて混ぜる。 +10. 魚をのせて、おからを起こしながらまぶす。 +11. よく混ぜる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「次代に残したい大分の郷土料理」レシピ画像提供元 : 大分県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_6_1.jpg)" +"# りゅうきゅう 大分県 + +**郷土料理名**: りゅうきゅう + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +南部沿岸部 + +## 主な使用食材 +旬の魚介、ごま、しょうが + +## 歴史・由来・関連行事 +瀬戸内海に面し、豊富な魚介類に恵まれる大分県では、アジやタイ、太刀魚、イワシ、サバなど四季折々のさまざまな魚介が水揚げされる。「りゅうきゅう」は、地元でとれた新鮮な魚を、醤油、酒、みりん、ごま、しょうがでつくるタレと和えていただく、大分県の代表的な郷土料理。一種の保存食として地元に浸透していった。「りゅうきゅう」という名については諸説ある。大分の漁師が、沖縄(琉球)の漁師につくり方を教わり、地元に持ち帰ったことから「りゅうきゅう」と呼ばれるようになったといわれる説や、ごま和えにする料理を「利休和え」と呼ぶことから派生したという説がある。漁師たちにとってのまかない飯、また保存食として、南部の沿岸地域から大分県全域に広まった。 + +## 食習の機会や時季 +ブリやアジ、サバなど、その時期にとれる旬の魚を使って1年を通して食べられる。刺身を捌いた後の切れ端や余った刺身を使うのが一般的だが、「りゅうきゅう」をつくるために新鮮な魚を用意する飲食店も少なくない。観光地の飲食店では、ごはんに「りゅうきゅう」を盛った「りゅうきゅう丼」として提供されることが多く、シンプルなものから具だくさんのものまで、各店で趣向を凝らしている。 + +## 飲食方法 +刺身をしょうがや調味料に漬けこんでいただく。そのまま熱々のごはんに乗せて食べても美味しいが、お茶漬けにして食べると味の違いを楽しめる。まれに魚と食感の似ているこんにゃくを入れてかさ増しするケースもある。お好みでみょうがやしそ、わさびなどを加えても美味である。海が遠く新鮮な魚が手に入りにくい山間部などでは、一度酢でしめてから食べる家庭もあったという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- ブリの切り身: 適量(アジ、ハマチ、タイなど他の魚でも可) +- 醤油: 100cc +- 砂糖: 100g +- 酒: 100cc +- いりごま: 適宜 +- 小ねぎ: 適宜 + +## 作り方 +1. タレに使ういりごまをすり鉢でよくする。 +2. 1に醤油、砂糖、酒の順で調味料を加えて混ぜる。 +3. ブリを刺身に切る。 +4. タレにブリを漬け込む。 +5. 器の上にブリをのせ、好みでタレを少しかける。小口切りの小ねぎを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「次代に残したい大分の郷土料理」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_4_1.jpg)" +"# だんご汁 大分県 + +**郷土料理名**: だんご汁 + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +大分県は台地が発達しており、米づくりに適さない土地が多く、古くから畑を基盤とした麦などの穀物栽培が盛んだった。穀物のほとんどは粉にされたため、大分県では粉食文化が各地に根づいている。「だんご汁」はその代表格である。小麦粉をこねて薄く帯状に引きのばしただんごを具材とともに、九州地方でよく食されている麦味噌、または合わせ味噌や白味噌仕立ての汁に入れていただく。米が不足していた時代に、米の代わりに日常的に食べていた。一般的に“だんご”というと球状にしたものを想像するが、大分の場合は手で引きのばして食される。うどんよりもコシが強く、歯応えを楽しめるのが特徴である。見た目はきしめんのような形状であるが、だんごをつくる際に丸めた状態でしばらく寝かせることから“だんご”と呼ばれるようになったといわれる。その後、薄く帯状にするのは、汁で煮こむ際に味が染み込みやすくするためである。福岡県や熊本県では「だご汁」と呼ばれる。 + +## 食習の機会や時季 +昔は家庭でも「だんご汁」をよくつくっていたという。祖母や母から子や孫へとつくり方が伝承され現代へと繋がっている。寒い季節を迎えると身体が温まりお腹が満たされる「だんご汁」は秋口から冬の間、よく食卓に上った。大分のソウルフードといえる。 + +## 飲食方法 +大分の名産である、しいたけやいりこで出汁をとることが多いが、各家庭によって出汁のとり方やだんごの��ばし方などに違いがあり、バラエティに富んでいる。最近は、人参やねぎ、ごぼう、大根、しいたけ、白菜、肉類など、どの家庭にもある一般的な食材でつくられることが多いが、なかでも里芋は、だんごの独特の食感と相まって、非常に好まれる組み合わせである。「豚汁」と違って肉類は基本的には入れないシンプルな汁物。かつては、地粉でつくられることが多く、噛み締めるほどに旨味を味わえるのが好まれていたが、最近では地粉が手に入りづらくなっている。味噌以外にも醤油ベースで味付けしても美味である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6人分) +- 小麦粉: 500g +- 塩: 13g +- 水: 250cc +- だし汁(いりこ・昆布): 適宜 +- 大根: 10cmくらい +- 人参: 1本 +- ごぼう: 1本 +- 里芋: 5個 +- 豚肉: 150g +- 小ねぎ: 適宜 +- 味噌: 150g + +## 作り方 +1. 小麦粉に塩を混ぜて水を少しずつ加える。 +2. よくこねる。水は粉の状態を見ながら加え、一度に全部入れてしまわないようにする。 +3. 手につかなくなるまでこねたら、丸くまとめる。 +4. 濡れフキンで包んで、1時間くらい寝かせる。 +5. 寝かせた後、棒状にして、親指大にちぎる。 +6. 手のひらを使ってのばし、濡れフキンをかけて、さらに寝かせる。 +7. 手でのばし、鍋の熱湯に落としてゆでる。 +8. ゆであがっただんごをざるにあげ、水洗いして、ぬめりを取る。 +9. いりこと昆布で出汁を取る。 +10. 里芋を皮付きのまま下ゆでし、皮をむいて、7~8mmくらいの厚さで食べやすい大きさに切る。 +11. ごぼうはささがきにして、水にさらす。 +12. 人参の皮をむき、大きめのささがきにする。 +13. 大根の皮をむき、大きめのささがきにする。 +14. 切った野菜をだし汁に入れて煮る。食べやすく切った豚肉も入れる。 +15. 具材に火が通ったら、味噌で味をととのえ、だんごを加える。 +16. 器に盛り付けて、小口切りにした小ねぎを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「次代に残したい大分の郷土料理」レシピ画像提供元 : 大分県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_1_1.jpg)" +"# あじの丸ずし 大分県 + +**郷土料理名**: あじの丸ずし + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +佐伯市米水津 + +## 主な使用食材 +アジ、しそ + +## 歴史・由来・関連行事 +大分県南東部に位置する佐伯市(さいきし)は、九州最大の面積をもつ街。面積は903.12km2、海岸線延長約270kmに及ぶ。地勢は、九州山地から広がる山間部、一級河川番匠川下流に広がる平野部、リアス式海岸の続く海岸部で構成。豊後水道によってもたらされる海の恵みが地域の水産業を支える。多彩な魚介類が漁獲されており、水揚げされる魚種は350種以上になるといわれている。この地で古くから親しまれてきた魚介がアジである。水質がきれいな豊後水道は、南から北へ流れる黒潮の暖流と瀬戸内海からの寒流がぶつかりあい、魚のエサも豊富。豊後水道で育ったアジは、脂ののりがよく、味が良いと評判。大量に水揚げされるので、さまざまな郷土料理、加工品に活用される。2007年には、アジが「市の魚」に認定された。アジを使った郷土料理の一つが「あじの丸ずし」である。梅酢漬けしたアジに赤しそが巻かれている。アジを丸ごと使っているのが特徴。しそを使っているため、保存もきく。 + +## 食習の機会や時季 +アジは年間を通じて手に入れやすい魚。「あじの丸ずし」は祝いの席やお祭りごとの際で食べられた。お祝いの日を前に、たくさんの「あじの丸ずし」をつくるのがひと昔前の慣例だったという。中骨やはらわた、目玉などを取り除いたり、しそで巻いたり、調理に手間暇のかかる料理のため、家人はていねいに一つ一つ仕上げていく。手間がかかる分、一般家庭でつくることは減ってきている。地元の一部の飲食店では、いまも取り扱っており完全に衰退したわけではない。 + +## 飲食方法 +中骨、はらわた、目玉などをきれいに取り除いた新鮮なアジを背開きにし、塩と酢でしめる。その後、酢飯を中に入れ、最後に赤しそを巻きつけていただく。頭から尻尾まですべて食べられる。アジと酢飯の酢加減は家庭によって異なる。すぐ食べるより置いておくと味が馴染んで美味しい。押し箱に並べて蓋をして、上から重しをして半日位置く���ともある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (30人分) +- アジ: 30尾 +- 酢: 1000cc +- 砂糖: 1kg +- 酒: 適宜 +- 酢飯: 30個 +- 赤しそ: 30枚 + +## 作り方 +1. アジは頭を残したまま、背開きにする。 +2. 中骨を取る。 +3. 内臓を取り、よく洗う。 +4. たっぷり塩をする。 +5. 一晩おく。 +6. 塩を洗い流す。 +7. 洗いながら小骨を取る。 +8. 酢、砂糖、酒でつくった甘酢に一晩漬け込む。 +9. 丸ずし用に梅酢漬けにしている赤しそ。 +10. 水で洗ってから、アジを漬け込んでいた甘酢の中で少し振り洗いする。 +11. 酢飯をつくる。酢飯の味加減は、家庭によって違う。 +12. 酢飯をアジの大きさに合わせて握る。 +13. 姿よくできるように、アジの中に酢飯を入れる。 +14. 手のひらでそっと押さえて形を整える。 +15. 赤しそを巻いていく。(7月からお盆くらいまでに摘んだしそでないと、薄すぎて巻く時に破れてしまう。) +16. うまく巻き終わったら、最後にまた、そっと押さえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「次代に残したい大分の郷土料理」レシピ画像提供元 : 大分県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_30_1.jpg)" +"# 頭料理 大分県 + +**郷土料理名**: 頭料理 + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +竹田市 + +## 主な使用食材 +大型の魚 + +## 歴史・由来・関連行事 +大分県の南西部に位置し、くじゅう連山、阿蘇外輪山、祖母山麓に囲まれた竹田市。戦国時代に志賀氏が岡城に入城後、豊臣秀吉の天下統一のころに中川氏が移封。竹田村内に城下町を造成してからは、商業を中心として発展する。やがて、西南の役により往時の風景の多くが失われたものの、市内中心部には、武家屋敷通りなどの古い面影をいまなお残している。 交通インフラの整備されていない江戸時代、内陸部で海が遠いこの地では、海魚を食べる機会は少なく、新鮮な魚介ともなるとめったに食べることはなかった。希少な魚介を無駄なく使うために生み出されたのが「頭料理」である。「頭料理」に使われるのは、魚の身はもちろん、エラ、アゴ、内臓など多種多彩。頭以外を残して、普段なら捨ててしまうような部位も材料になる。これらをサっと湯びきして大皿に豪快に盛り付けられる。使うのは、アラ、クエ、ニベ、ハタなどの大型魚など。大型魚を余すところなく活用し、家族や客人たちと楽しんだ。 + +## 食習の機会や時季 +祝いごとなど、ハレの場で食べられた。また、傷みやすい魚も一度調理してしまうとしばらく保存がきくため、お正月の来客にも振る舞われる。現在では、一般家庭で「頭料理」が食卓に並ぶことは少なくなったが、ひと昔前は、年の暮れになると縁側にまな板を持ち出して、大きな魚をさばく風景が風物詩になっていたとされる。 + +## 飲食方法 +身、アゴ、胸ビレ、真子、内臓など頭以外の部分をさっと塩ゆでして冷水にさらす。大皿に盛り付けたら、ねぎやもみじおろしといった薬味とともに、三杯酢やかぼすをしぼったつけだれでいただく。さっぱりとした味わいの身を酸味のきいた調味料がひきしめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (12人分) +- ニベ、アラ、ハタ、クエ、マス等の大きな白身魚: 10kg(~60kg) +- 季節の野菜(きゅうりなど): 適宜 +- かぼす: 適宜 +- 二杯酢または三杯酢: 適宜 + +## 作り方 +1. 魚のうろこをとり、胴と頭を切り離す。 +2. エラの下から包丁を入れて胸ビレまで一緒にとる。頭・骨・エラ・胸ビレを切り離す。 +3. エラブタをはずし、上あご・下あごをはなす。ぼつ肉をはずす。 +4. エラの血、粘りなどを落として塩もみにしてきれいにする。 +5. 胃袋(コウワタ)、肝臓、腸、卵巣(マコ)、精巣(白子)の汚れを出刃包丁できれいにおとし、塩を強めに振る。 +6. ヒレからヒレ肉をはずす。 +7. 大鍋にたっぷりの湯をわかし、湯引きをする。(塩を入れる) +8. [湯引き(1)] ヒレ肉・ホホ肉・磯づり肉の身をそぎ切りにして、塩をまぶして湯引きにする。 (沸騰湯にサッとつけて鍋にとり、冷水に放ち直ちに引き上げる) +9. [湯引き(2)] 肝臓・胃袋(コウワタ)・腸に塩を強くして30分おき、湯引きして冷水に放ち引き上げる。 +10. [湯引き(3)] 真子・白子は竹の皮に包み、時間をかけて60分位ゆでる。 +11. [湯引き(4)�� 皮・上アゴ・下アゴ・エラ・エラブタを湯引きにし、冷水にとりその中で皮・頭骨の小さいうろこを冷めきらないうちにきれいに落とす。 (皮・エラは短時間、上下アゴ・頭骨は大きいのでゆでるのに時間がかかる) +12. 下処理したものを、それぞれ食べやすい大きさに切る。 +13. 大皿に季節の野菜と共に盛り合わせる。 +14. 薬味・赤おろし(大根、唐辛子)・三杯酢(または二杯酢)をかけて食べる。酢はかぼすが良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「次代に残したい大分の郷土料理」レシピ画像提供元 : 大分県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_29_1.jpg)" +"# ごまだし 大分県 + +**郷土料理名**: ごまだし + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +佐伯市 + +## 主な使用食材 +魚、ごま + +## 歴史・由来・関連行事 +九州最大の面積を誇る佐伯市(さいきし)は、豊富な海の幸に恵まれた漁師町として知られている。県内の水産業生産量の約7割を佐伯市が担っており、なかでもブリ類やヒラメを中心にした養殖業は全県生産量の大半を占めている。また、漁船漁業も盛んで、まき網、底びき網、船びき網、一本釣り、さらには潜水などがおこなわれる。アジ、クルマエビ、ヒラメなど水揚げされる魚種も多岐にわたる。イワシ類は特産品の「佐伯イリコ」として珍重されている。佐伯市で日常的に食べられている「ごまだし」は、年間を通してエソ(エソ科の魚)を使った伝統的な調味料。年間を通して水揚げされるエソとすりごま、みりんなどを混ぜあわせてつくられる。発祥の由来は定かではないが、大量にとれた魚を処理するためとも、漁師の妻が出汁をつくる手間を省くため、ともいわれている。「ごまだし」はさまざまな料理に活用されるが、地元ではうどんに合わせて食べるのが一般的である。近年はエソがとりづらくなってきたことから、アジやサバ、イワシなどでもつくられるようになった。 + +## 食習の機会や時季 +「ごまだし」を入れることで手軽に風味豊かな料理がつくれることから、日常的に食べられていた。地元のスーパーマーケットや直売所などでも手に入れやすい。「ごまだしうどん」を取り扱う飲食店も多く、ファーストフード感覚で食べられる。 + +## 飲食方法 +焼いたエソをほぐしたものに、醤油、ごま、みりんを加えてつくる。ごまが高い抗酸化作用があるため、保存がきく。食べ方としては、かけうどんに「ごまだし」をのせるだけの、「ごまだしうどん」が人気。そのほか、お茶漬けにしたり、そうめんのつけ汁に入れたりとさまざまなアレンジを楽しめる。エソに限らず、アジやサバを使っても良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- [ごまだし]エソ(ほぐし身): 100g +- [ごまだし]いりごま: 100g(1カップ弱) +- [ごまだし]醤油: 適宜 +- [ごまだしうどん]うどん: 4玉 +- [ごまだしうどん]薬味: 小ねぎ、かまぼこなど適宜 + +## 作り方 +1. <ごまだし 作り方> エソを焼いて身をほぐし、皮と小骨をていねいに除く。 +2. <ごまだし 作り方>いりごまをすり、エソを加えてさらにする。 +3. <ごまだし 作り方>醤油を入れてする。 +4. <ごまだしうどん 作り方> うどんをゆで、水を切る。 +5. <ごまだしうどん 作り方> どんぶりにうどん、かまぼことごまだしを入れて熱湯をかけ、薬味をのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「今こそ作ってみたいおおいたの郷土料理」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_28_1.jpg)" +"# あゆうるか 大分県 + +**郷土料理名**: あゆうるか + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +三隈川、大野川流域 + +## 主な使用食材 +アユ + +## 歴史・由来・関連行事 +一級河川・筑後川本流の上流にあたる三隈川、長さ107kmにも及ぶ、県下最大の川・大野川など、大分県には585の清流が流れており、それらの一つ一つが地域に川の恵みをもたらした。特にアユは、山間地域の貴重なたんぱく源として珍重された。河川流域にはアユ料理を振る舞う割烹彩、和食店が点在する。河川流域で定着しているアユ料理に「あゆうるか」がある。「うるか」とは塩辛のこと。三隈川、大野川などの清流でとれるアユを使って、「あゆうるか」がつくられた。「うるか」��は「身うるか」、「子うるか」、「にがうるか」の3種類がある。それぞれ、(1)身うるか:新鮮なアユの身、内臓を「うるか」にしたもの。(2)子うるか:アユの真子、白子を取り出し、「うるか」にしたもの。(3)にがうるか:アユの内臓のみを「うるか」にしたもの。といった特徴がある。大分県で「あゆうるか」というと、「にがうるか」を指すことが多い。内臓を使っていることもあり、「にがうるか」の独特な苦味、渋味を好む人も多い。アユはとれる時期が限られるため、保存手段の一つとして「うるか」が生み出された。発酵食品のため、胃腸をととのえる効果があるといわれており、昔から腹痛時などに重宝されたという。 + +## 食習の機会や時季 +産卵期をむかえた7月から8月にかけて、身体に栄養を蓄えるため美味とされる。この時期の新鮮なアユを原料にすることで、贅沢な「あゆうるか」をつくることができ、保存食としても重宝していた。ひと昔前は、「あゆうるか」を一般家庭でもつくっていたが、手間がかかるため、現在では家庭でつくる機会は減ってきた。地元のお土産屋や直売所などで購入することができる。 + +## 飲食方法 +新鮮なアユの身や内臓を包丁などでミンチ状にし、塩を加えて1週間ほど熟成させる。熱々のごはんに乗せて食べたり、酒の肴にしたり、調味料として使うなど、さまざまなシーンで活用できる。塩を加えて身や内臓を混ぜ合わせるときは、杉の木でできた箸を使うと発酵を促して美味しい「うるか」が仕上がると伝わっている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 () +- アユ: 適宜 +- 塩: 適宜 + +## 作り方 +1. うろこ、頭を包丁で落とす。 +2. 腸のみを取り除く。 +3. 頭付近をつぶしながら、1cm程度のぶつ切りにし、尻尾を切る。 +4. 食塩を入れ、馴染んで柔らかくなるまですり鉢でする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「別府大学食物栄養科学部食物栄養学科」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_27_1.jpg)" +"# くじゃく 大分県 + +**郷土料理名**: くじゃく + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +佐伯市蒲江地区 + +## 主な使用食材 +白身魚、卵 + +## 歴史・由来・関連行事 +大分県南東部に位置する佐伯市(さいきし)は、面積は903.12km2の九州最大の街である。九州山地から広がる山間部、一級河川・番匠川下流に広がる平野部、リアス式海岸の海岸部に分けられる。明治10年(1877年)に起こった西南戦争では、宮崎との県境の山間部が戦場になった。西郷隆盛を盟主にする西郷軍の一部が佐伯市街にも侵入した。宇目・直川地区などには現在も台場跡が点在している。佐伯市に伝わる「くじゃく」は、白身部分を赤に着色したゆで卵を、緑色に着色した白身魚のすり身で包んで揚げたもの。半分に切った時に、緑、赤、白、黄色とあざやかな色合いであること、卵の断面がくじゃくの羽にある模様にそっくりなことから、この名がついた。豊富な海の幸に恵まれた豊後水道の近くに位置する佐伯市ならではの郷土料理である。昔から水揚げされた魚を無駄にしないようすり身などの加工品がよくつくられていた。魚のすり身はエソが使われることが多いが、エソは小骨が多いため、刺身や三枚おろしで流通することはなく、すり身やカマボコに加工されて流通する。大分県民にとっては、馴染み深い魚介である。色が付き華やかな「くじゃく」は、お正月などの祝いの席で食べられてきた。 + +## 食習の機会や時季 +その華やかな見た目からハレの場でよく食べられる。佐伯市では、お正月のお節にも入れられるほか、運動会の日の特別なおかずとして弁当に加わることもあるという。年間を通して地域のスーパーマーケットや道の駅などでも売られ身近なものとなっている。 + +## 飲食方法 +ゆで卵の殻をむいて、白身の部分を赤の食紅に漬けて着色する。次に、白身魚(エソなど)の生身をミンチにし、砂糖、塩、卵、片栗粉などとともにすり鉢でする。このとき、すり身に緑色の食紅を加えておく。さらに、片栗粉をまぶした卵をすり身で包んで15分ほど蒸す。蒸したものが本来の食べ方だが、今は油で揚げたものが多くなっている。揚げる場合は180℃の油でかたくならないようサっと揚げる。蒸したものや��げた卵を縦に切って、断面をくじゃくの羽のように盛り付けて食べる。赤や緑色以外にも好みの色を使って、くじゃくの羽を再現しても良い。多くは、赤と緑を使ったものが売られている。最近では、人工着色料を避ける傾向も見られすり身に色付けしない商品も出回るようになった。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20人分) +- 魚のすり身(エソ、ゴチなど): 2kg +- 塩: 35g +- 砂糖: 125g +- 卵白: 1個分 +- ゆで卵: 適宜 +- 食紅: 少々 +- 揚げ油: 適宜 + +## 作り方 +1. エソなどの魚を3枚におろす。 +2. 3枚におろした魚をすりつぶして、塩、砂糖、卵白を混ぜ、更によくすり混ぜる。 +3. ゆで卵に食紅で色を付ける。 +4. 手に水を付けて、卵が入るくらいのすり身を取る。 +5. 広げたすり身の上に、ゆで卵をのせる。 +6. ゆで卵をすり身で包む。 +7. 少し時間をおいてから、油で揚げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「次代に残したい大分の郷土料理」レシピ画像提供元 : 大分県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_26_1.jpg)" +"# ゆずの皮煮 大分県 + +**郷土料理名**: ゆずの皮煮 + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +日田市、玖珠町、竹田市 + +## 主な使用食材 +柚子皮 + +## 歴史・由来・関連行事 +大分県は、柚子の生産量で国内上位の産地。県内各地のいたるところに柚子の木が散見され、農業にかかわらない人にも馴染み深い果実である。日田市は昼夜の寒暖差が大きいので、香りが豊かで質の良い柚子がとれる。80人ほどの生産者で構成される「JAおおいた日田柚部会」は、約30haの栽培面積で柚子を栽培。8月下旬から緑色の青柚子の出荷がはじまり、11月ごろから黄色く熟れた黄玉柚子の出荷がはじまる。県内外に出荷された柚子の多くは、果汁や柚子こしょうなどの加工品となる。日田市をはじめとする、柚子の特産地では果皮や果汁を料理に使う以外にもさまざまな楽しみ方がある。たとえば、皮をつや煮にした「ゆずの皮煮」は、お茶うけやお節料理の一品に用いられる。皮を細かく刻んで甘く煮た「ゆず練り」は、そのまま食べたり、パンにぬったりして食べられている。お湯を注げば「ゆず茶」になる。ほか、種を焼酎に漬けて化粧水をつくったり、冬至にお風呂に入れたり、食用以外にもさまざまな使い方がある。 + +## 食習の機会や時季 +柚子は8月から11月にかけて出荷される。「ゆずの皮煮」は比較的保存がきくので、お節料理に使われることもある。庭先などで柚子を育てている一般家庭も少なくないため、いまも食習慣として根づいている。 + +## 飲食方法 +厚めの柚子皮の表面を削り、2等分か4等分、大きめに切って、たっぷりの水で2回ゆでこぼしする。ゆでこぼしすることで苦味やえぐみが軽減される。水気を切り、砂糖をまぶしてしんなりしたら、水を適量入れて鍋でコトコト煮こんで、照りが出てきたところで保存容器に入れて保存する。冷凍する家庭もある。砂糖の量は好みにもよるが、皮の重量の8割程度の砂糖でゆっくりと煮含めると良い。鍋で煮こむときに火が強すぎると焦げたり煮崩れたりしやすいので、火加減に注意して弱火でじっくり煮るのがコツである。以前は大釜を使い薪で炊いていたので、火の調整もしやすかったようである。薄切りにしてほかの料理に使ったり、甘酒に浮かべたりしても美味である。家庭によってさまざまなアレンジ方法がある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20人分) +- 柚子皮: 1kg +- 砂糖: 800g + +## 作り方 +1. 柚子の表皮を薄く剥く。 +2. 中身を取り出し大きさによって2つ割りもしくは4つ割りして、2~3回ゆでこぼし、水にさらす。 +3. 砂糖を2~3回に分けて入れながら汁がなくなるまで煮含める。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「次代に残したい大分の郷土料理」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_25_1.jpg)" +"# あいまぜ 大分県 + +**郷土料理名**: あいまぜ + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +竹田市 + +## 主な使用食材 +豆腐、切り干し大根、ぜんまい、干ししいたけ + +## 歴史・由来・関連行事 +大分県の南西部に位置する竹田市は、くじゅう連山、阿蘇外輪山、祖母山麓に囲まれた自然豊かな地域である。市内を一級河川・大野川が流れており、1日に数万トンの湧出量ともいわれる湧水群を誇っている。竹田市久住地区の御膳には、「あいまぜ」が欠かせない。これは、炒めた野菜にすった豆腐を和えたもの。豆腐で和えることから白和えと似ているが、ぜんまいなどの山菜やしいたけ、切り干し大根などをたっぷり使っている点が異なる。具材と豆腐の両方に味付けをして、混ぜ合わせることから「あいまぜ」という名になったと伝わっている。同じ名の料理が三重県や鳥取県にも伝わるが、こちらは「煮なます」や「野菜のごま酢和え」のことを指しており、大分県の「あいまぜ」とは全くの別物である。 + +## 食習の機会や時季 +冠婚葬祭のおもてなし料理として、御膳には必ず「あいまぜ」が出された。使う具材に決まりはなく、身近でとれる旬の野菜や山菜など、バリエーションは幅広い。このため、各家庭によって見た目や味付けが大きく異なる。砂糖が貴重な時代、特別な行事の時に出される「あいまぜ」は,砂糖をたっぷり使い味付けするため、ごちそうだった。また、砂糖の代わりに甘酒を用いて、甘みを出すこともあった。 + +## 飲食方法 +干ししいたけ、人参などは千切りにし、ぜんまい、切り干し大根とともに出汁、醤油で煮付ける。豆腐も塩、砂糖を加えながらすり鉢ですって、最後に具材と混ぜ合わせていただく。豆腐をする前にしっかりとよく水を切っておくと、すった際に粘りが出て、和えやすくなる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ぜんまい: 30g +- 豆腐: 1/2丁 +- 乾しいたけ: 中3枚 +- 切干大根: 30g +- こんにゃく: 1/2枚 +- 人参: 30g +- 紅しょうが: 少々 +- いりごま: 大さじ4 +- サラダ油: 適宜 +- [A]だし汁: 少々 +- [A]醤油: 少々 +- [A]砂糖: 少々 +- [B]醤油: 大さじ1,5 +- [B]みりん: 大さじ1 +- [B]砂糖: 大さじ1 +- [C]塩: 小さじ1/2 +- [C]砂糖: 15g +- [C]塩: 少々 + +## 作り方 +1. 乾しいたけと切干大根を水でもどす。こんにゃくを下ゆでする。 +2. ごまを炒って、油分が出てくるまでよくする。 +3. ゆで汁に一晩浸けておいたぜんまいを油で炒め、Aで味を含ませ、食べやすい長さに切る。 +4. しいたけ、人参、こんにゃくを千切りにする。 +5. 戻した切干大根を食べやすい長さに切る。 +6. しいたけ、人参、切干大根、こんにゃくをBの調味料で汁気がなくなるまで煮る。 +7. 熱湯でゆでて水切りしておいた豆腐を、すったごまに加えて、よくする。 +8. Cの調味料で味をととのえる。 +9. 具材を入れて混ぜ合わせる。 +10. 器に盛り付けて、紅しょうがを飾る。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 大分県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_24_1.jpg)" +"# こねり 大分県 + +**郷土料理名**: こねり + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +豊後大野市 + +## 主な使用食材 +なす、にがうり、味噌、小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「こねり」は、夏の野菜である、なすやにがうりを油で炒めて、出汁で溶いた味噌で味付けをし水で溶いた小麦粉を入れとろみをつける料理。野菜から出る栄養を含んだ水分を小麦粉が閉じ込めるので効率よく栄養を取れる。食欲が低下する夏でも食べやすいので、家庭でよくつくられていた。小麦粉を入れて練ることから「こねり」という名が付いたといわれる。国東半島(くにさきはんとう)では、なすとにがうりでつくる「こねり」のことを「オランダ」と呼ぶが、その理由はわかっていない。そのほか、「こかけ」や「あんかけ」、「ばばころし」といった呼び方もある。起伏に富んだ地形と大小の河川が流れる豊後大野市では、県内屈指の畑作地帯になっており、なすの栽培が盛んである。この地域でつくられるなすは、見た目が美しく「美なす(びーなす)」の名でブランディングされている。大量にとれるなすやにがうりを処理するための手段として、農家が「こねり」を食べはじめた、とする説もある。 + +## 食習の機会や時季 +夏の盛り、なすやにがうりが収穫される時期につくられる。これらの野菜は育てやすく、家庭菜園で育てている一般家庭も少なくないため、いまでも食習慣として根づいている。しっかり火を通せば柔らかくなるので、胃が弱っている人やお年寄りにも好まれる。 + +## 飲食方法 +なすは輪切りか短冊切りに、にがうりは0.7cmほどの厚さに切っておく。フライパンでなすとにがうりを炒め、水で溶いた味噌で味付けする。仕上げに水で溶いた小麦粉を流し入れ、とろみがついてきたタイミングで皿にとって食べる。なすのみ、にがうりのみでもつくられるほか、ピーマンなどのほかの野菜、豚肉やじゃこなどを入れる家庭もある。また味付けは味噌が一般的であるが、醤油風味の「こねり」もあり、食材や味付けは家庭によって千差万別である。小麦粉に卵を混ぜていると、べちゃっとなりにくい。にがうりをさっと湯通ししておくと、苦味成分がぬけて子どもでも食べやすくなる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- なす: 3本 +- ピーマン: 3個 +- いりこ: 適宜 +- 小麦粉: 50g +- 水: 50g +- 砂糖: 少々 +- 味噌: 大さじ1.5~2 +- 油: 適宜 + +## 作り方 +1. なすを切って水にさらす。 +2. ピーマンを千切りにする。 +3. 鍋に多めの油を熱し、いりことなすを炒め、なすがしんなりしたらピーマンを加える。 +4. 小麦粉、味噌、砂糖を水で溶く。水と粉の分量は好みで調整する。 +5. 火を弱火にして、溶いた粉を鍋に加え、混ぜながら粉に火を通す。 +6. 粉に火が通ったら、味をととのえる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 大分県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_23_1.jpg)" +"# 酒まんじゅう 大分県 + +**郷土料理名**: 酒まんじゅう + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +竹田市・豊後大野市 + +## 主な使用食材 +米、米麹、小麦粉(地粉)、小倉あん、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +大分県南西部に位置する竹田市と豊後大野市から構成される豊肥(ほうひ)地方。祖母・傾山系や阿蘇外輪山、久住山などに四方を囲まれた地域で、山々を挟んで宮崎県や熊本県に接している。「酒まんじゅう」は豊肥地方の夏の行事などで食べられている郷土菓子。麹による発酵の力でまんじゅうをふくらませるのが特徴である。一般的に、小倉あんが入っているが、あんが入っていないものは豊肥地域では「しいら」、「しえもち」、「しえっぽ」、県南地方では「ばっぽ」の名で伝わっている。 + +## 食習の機会や時季 +5月の端午の節句やお盆、お祭りなどのほか、農作業の合間にも食べられていた。冬も蒸し上がったまんじゅうを食べると体が温まるので、好んで食べられた。つくるときは、米麹を発酵させるため、温かい時期の方が適している。地元住民からはソウルフードのように愛されており、竹田市や豊後大野市内にはいまでも販売店舗が点在。通年購入できる。 + +## 飲食方法 +まず、炊いた米と麹を混ぜ合わせて2日ほど放置し、酵母液をつくる。続いて、小麦粉に塩少々を加えてふるい、酵母液を加え、耳たぶの柔らかさになるまでよくこねて生地をつくる。さらに、小倉あんを生地で包んだら、かんから(山帰来)の葉にのせて数時間寝かせて生地がふくらむのを待つ。このときにふくらむのは、発酵によって気体が発生するからである。充分ふくらんだら、蒸し器で蒸してから食べる。生地の一部は乾燥させて「種」として残しておく。種は次回、「酒まんじゅう」をつくるときに発酵を促すために用いられる。種の良し悪しが仕上がりに影響するため、ひと昔前は種を代々受け継いでいくのが習わしだったそうだ。小豆あんを入れるのが一般的だが、小豆あんを入れずに黒砂糖やはちみつをつけて食べるのも美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10人分) +- [甘酒酵母液]もち米: 80g(1/2カップ) +- [甘酒酵母液]麹: 50~60g(1/2カップ) +- [甘酒酵母液]湯冷まし: 2カップ +- [まんじゅう]地粉(中力粉): 400g(3と2/3カップ) +- [まんじゅう]塩: 5g(小さじ1弱) +- [まんじゅう]砂糖: 40g(大さじ4と1/2) +- [まんじゅう]あん: 400g + +## 作り方 +1. <甘酒酵母液 作り方>米を軟らかめに炊いて、60℃に冷ます。 +2. <甘酒酵母液 作り方>麹と湯冷ましを加え、60℃に保つ。約1日で甘酒ができる。 +3. <甘酒酵母液 作り方>室温で泡が立つまでおいておく。これが酵母液で、数日間かかる。 +4. <まんじゅう 作り方>地粉に塩と砂糖を加え、酵母液を耳たぶの軟らかさになるまで少しずつ加えながら、よくこねる。 +5. <まんじゅう 作り方>あんを40gず��に分けて、丸める。 +6. <まんじゅう 作り方>生地を60gずつに分け、あんを包む。 +7. <まんじゅう 作り方>フキンをかけて、ふっくらするまで寝かせる。 +8. <まんじゅう 作り方>20~30分間、蒸す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「今こそ作ってみたいおおいたの郷土料理」レシピ画像提供元 : 大分県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_22_1.jpg)" +"# ゆでもち 大分県 + +**郷土料理名**: ゆでもち + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +竹田市、豊後大野市 + +## 主な使用食材 +小豆あん、小麦粉、塩 + +## 歴史・由来・関連行事 +かつて大分県は水捌けの悪い地域が多く、水をはる必要がある稲作に向かなかったことから、小麦の栽培が盛んだった。そういった背景もあり、粉食文化が各地で発達。さまざまな料理に小麦粉が使われる。「ゆでもち」は「石垣もち」や「じり焼き」、「やせうま」などと並ぶ、小麦粉を使った大分県の郷土菓子。これらは子どものおやつのほか、農作業中の小昼(こびる)に食べられた。「ゆでもち」の特徴は、なんといってもその見た目にある。平たく円盤状にのばされた形状は、全国的に見ても例が少ない。なかに詰められたあんが透けて見えるほど薄くのばすことで、火の通りが早くなり調理時間も短縮できる。また、食べやすくなるため、作業の合間の間食としてもうってつけである。 + +## 食習の機会や時季 +農作業中の間食や子どものおやつとして通年食べられていた。現在、家庭でつくる機会はそれほど多くないが、スーパーマーケットや直売所などで購入できる。生地の中央にあんが包まれていなかったり、平たくのばす力が強すぎると皮が破れてしまうため、初見ではつくるのは難しい。包むのと薄くのばすのには熟練の技術が必要である。家庭でつくるときは、お年寄りが「ゆでもち」づくりの腕前を発揮した。ひと昔前は親から子へ、祖父母から孫へ、世代を越えて継承されていくのが通例だった。 + +## 飲食方法 +小麦粉に塩と水を混ぜて耳たぶくらいにこねた生地で小豆あんを包んで丸め、それを麺棒で薄く丸くのばし、熱湯に入れてゆでて食べる。小豆あんの他に、さつまいもやかぼちゃあんを挟むこともある。ゆでることでもっちりとした食感になり、腹持ちも良い。ゆでたての温かい状態で食べるのがいちばん。生地にヨモギやむらさき芋を練りこんで、色彩豊かにつくられることもある。温かいうちにラップで包めば、皮が乾燥しにくくなる。地元住民のなかには、冷めてかたくなってしまった「ゆでもち」を火であぶって食べる人もいるという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 地粉(中力粉): 200g(1と4/5カップ) +- 塩: 3g(小さじ1/2) +- ぬるま湯: 3/5カップ +- あん: 240g + +## 作り方 +1. 地粉と塩を混ぜ、ぬるま湯を加えて耳たぶくらいの硬さになるまでよくこね、ぬれ布巾をかけて20分間寝かせる。 +2. あんを8等分する。 +3. 生地を8等分し、あんを包む。 +4. 3を手のひらで押さえ、次に指で円形にのばす。 +5. たっぷりの湯でゆでる。浮き上がってきたらすくい上げて、濡れフキンを敷いたざるに並べる。 +6. 熱いうちにラップで包む。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 大分県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_20_1.jpg)" +"# 石垣もち 大分県 + +**郷土料理名**: 石垣もち + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +さつまいも、小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +大分県に根づく食文化の一つに、粉食文化がある。かつて、大分県は米づくりに適さない台地が多かったが、水路が整備されるようになってからは、小麦などの穀物栽培が盛んに。昭和20年代には4万haを超える作付け面積を誇ったという。そういった背景もあり、庶民の日常食として小麦粉を使った郷土料理や郷土菓子が県土一帯に浸透していく。粉食文化から生まれた「石垣もち」は、昔の人が農作業の合間に食べるためにつくられていたおやつである。名前の由来は、その見た目が、石垣のようにゴツゴツしているからという説と、石垣の多い地区発祥であるからという説がある。材料を手に入れやすく、簡単につくれるので徐々に大分��全域に広がっていった。芋を切りこむから「きりこみもち」、芋をこねるから「こねこみもち」などと、地域によって名前や由来が異なる。小麦粉とさつまいもだけのシンプルな材料で、噛み応えのある生地が特徴。「石垣もち」のほか、小麦粉を平麺状にのばした「やせうま」やあんを詰めてゆでた「ゆでもち」なども大分県を代表する郷土菓子としていまも幅広い世代に親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +冬から春にかけて農作業の合間のおやつに食べられており、素朴な甘さが疲れた身体を癒した。現在もさつまいものおやつとして各地で食べられている。 + +## 飲食方法 +小さく切ったさつまいもに、小麦粉、水を入れてこね、適当な大きさに丸めたら蒸し器で蒸して食べるのが一般的。ただし、地域によって、さつまいもの大きさや小麦粉の分量が異なるほか、ふんわりとした食感を出すためにベーキングパウダーを加える場合もある。さつまいもの代わりに、かぼちゃや人参、スイートコーンなどを使うアレンジもある。小麦粉をこねた後にさつまいもを入れても混ざらないので、最初から一緒に混ぜる事がコツ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6人分) +- 小麦粉(中力粉): 500g +- さつまいも: 正味650g +- 砂糖: 75g +- 塩: 12g +- 水: 125cc位 + +## 作り方 +1. さつまいもの皮をむき、1.5cm角で厚さ2~3mmの大きさに切る。 ※きれいなさつまいもなら、皮をむかなくても彩りが良くなる。 +2. 水に浸けて、アクを抜き、アクが抜けたら水を切る。 +3. 砂糖をまぶして、さつまいもから水分が出てくるまで、少しおく。 +4. ベーキングパウダーを混ぜた小麦粉をさつまいもに合わせ入れ、さつまいもに粉をまぶすように混ぜる。 +5. 塩を溶かした水を、少しずつ入れながら、よくこねる。水の分量は加減する。 ※一度に全部入れないように。 +6. 生地が手につかないようになったら、手で丸める。 +7. 蒸し布を敷いた蒸し器に並べ、湯気の上がった蒸し器で、さつまいもに火が通るまで約15分間蒸す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「次代に残したい大分の郷土料理」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_19_1.jpg)" +"# 鯛麺 大分県 + +**郷土料理名**: 鯛麺 + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +姫島村 + +## 主な使用食材 +タイ、うどん + +## 歴史・由来・関連行事 +国東市(くにさきし)の伊美港からフェリーでおよそ20分、瀬戸内海西端に浮かぶ離島・姫島。古事記に収められた神話の一つ「国生み」のなかで、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)が生んだ女島は、この姫島にあたると伝わっている。周防灘(すおうなだ)を望む姫島近海は、好漁場になっており、タイやタコ、車エビ、スズキなど豊富な魚介が水揚げされる。「鯛麺」は、うどんの上に煮こんだタイを1匹丸ごとのせた、シンプルでありながら豪華な郷土料理である。タイはつがいになって巣を決めると決して離れない魚であることから、婚姻の席における縁起物の料理として「鯛麺」が供された。また、「鯛麺」と「対面」が同じ発音であることから、婚礼を控えた両家の顔合わせの会食にも提供された。長いうどんは、付き合いが末長く続くようにとの想いがこめられている。タイは2kgほどのサイズのものを使うことが多い。 + +## 食習の機会や時季 +婚礼の席だけでなく、子どもの初節句や漁師が新しく船を下ろす時など、さまざまな祝いの席でつくられた。ひと昔前は、婚礼の席に欠かせない料理だった。客人に酒がほどよくまわり「これの座敷」という祝歌を唄い出しはじめるころを見計らって、「広ぶた」という脚付きの膳に乗せられた「鯛麺」を披露。豪快であざやかな「鯛麺」は、ハレの席をパッと明るくするような華やかさに客人たちは感嘆の声を上げる。うどんは家庭で打たれたものを使っていたため、とてもコシが強かったという。 + +## 飲食方法 +新鮮なタイを軽く塩焼きした後、だし汁で煮る。タイの出汁が染み出た汁でうどんをゆがき、味を染み込ませる。最後に大皿にうどんを波に見立てて盛り、その上にタイを飾る。客人にお披露目した後、うどんとほぐしたタイをつぎ分けて食べる。姫島以外にも「鯛麺」が食べられている地域がある。大分市周辺では、うどんとタイを取り分けた後、別にとった出汁をかけていただく。宇佐地域では、うどんではなくそうめんを使う。食べる手順や麺が異なるが、主に婚礼の場で食べられるということは共通している。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- タイ: 1尾 +- 地粉: 500g +- 薄力粉: 500g +- 水: 500cc +- 乾しいたけ: 適宜 +- 昆布: 適宜 +- 酒: 適宜 +- 塩: 適宜 +- 濃口醤油: 適宜 +- 薄口醤油: 適宜 + +## 作り方 +1. 大鍋に乾しいたけと昆布で出汁をとり、調味料で味をととのえる。 +2. タイのうろこと内臓を取り、塩をして少しおく。 +3. タイにさらしをかぶせて熱湯をかけ、霜降りにする。 +4. 身が崩れないようにタイをさらしにくるんで、1にそっと入れ、火が通るまで煮る。 +5. 地粉と薄力粉を半々に混ぜ、水を少しずつ加えながら、よくこねる。 +6. 5を4つか5つに分ける。 +7. 製麺機にかける。 +8. 最初製麺機にかけるのは練るため。 +9. 出てきたものを折りたたんで何度もかける。 +10. だんだんなめらかになってくる。 +11. 4~5回かけると、さらになめらかになってくる。適当な長さに切る。 +12. なめらかになった生地を製麺機の違う部分にかけて麺に切る。 +13. 姫島のうどんは細め。 +14. すぐにたっぷりのお湯でゆでる。 +15. 吹き上がったら差し水をする。ゆであがりは1本食べてみて確かめる。 +16. ゆであがった麺を、流水でよく洗う。 +17. 一人分ずつまとめる。これを“かなけ”という。 +18. 煮あがったタイを鍋からそっと取り出す。 +19. タイの身を崩さないように大皿に盛り付ける。 +20. タイを取り出した後の煮汁の味を濃い目にととのえ、うどんを入れて煮込み、タイの旨味を染み込ませる。 +21. 大皿に麺を一緒に盛りつけ、だし汁をかけたら完成。 +22. みんなにお披露目した後は、お椀に麺を入れ、タイの身を乗せる。 +23. さきほどのだし汁をかける。 +24. 薬味なしでも、とても美味しい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「次代に残したい大分の郷土料理」レシピ画像提供元 : 大分県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_18_1.jpg)" +"# けんちゃん 大分県 + +**郷土料理名**: けんちゃん + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +国東市 + +## 主な使用食材 +豆腐、干ししいたけ、大根、里芋、人参、ごぼうなどの根菜類 + +## 歴史・由来・関連行事 +瀬戸内海に突き出た国東半島(くにさきはんとう)の東部を占め、周防灘(すおうなだ)・伊予灘に面した国東市。東半島の中央部に位置する両子山(ふたごやま)、文珠山(もんじゅやま)などを中心とする放射谷からなり、山間をぬって静かな小河川が流れる。両子山の山麓には神仏習合文化・六郷満山の寺院が点在している。農業も営まれており、みかんやしいたけ、いちご、メロンなどが特産品になっている。「けんちゃん」は国東市で食べられている郷土料理。大根や里芋、人参といった根菜をふんだんに使った汁物で、地域によっては「けんちん汁」の名で呼ばれている。発祥については、神奈川県鎌倉市にある禅宗の寺院・建長寺(けんちょうじ)にあるとされる。建長寺の和尚が野菜くずや皮を無駄にしないようにと汁物にして食べ、それがやがて「建長汁」として各地へ伝わり、「けんちゃん」や「けんちん汁」といった地域ごとの呼び名で呼ばれるようになったといわれている。国東市には、根菜以外にうどんを入れて食べるレシピが伝わっている。また、地域によっては、焼いたエソ(エソ科の魚)から出汁をとることもある。 + +## 食習の機会や時季 +根菜類が多くとれる冬によく食べられる。米を口にする機会の少ない時代でも、具だくさんの「けんちゃん」を食べればおなかがふくれた。大家族なら大鍋にたくさん仕込んで、煮返しをして食べたという。身体を芯から温める、冬には欠かせない料理である。 + +## 飲食方法 +必ず使うのは、豆腐、大根と里芋。そのほか、油揚げ、こんにゃく、ごぼう、人参などあるものを入れる。具材は大きめに切るのが特徴。汁気を少なめにつくられることが多く、煮物に近い食べ方もできる。汁を多めにしてつくると「けんちゃん汁」になり、また違った味わいが楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 大根: 1/2本 +- 里芋: 4~5個 +- 人参: 1本 +- ごぼう: 1本 +- うどん: 4玉 +- 醤油: 適宜 +- 油: 適宜 + +## 作り方 +1. 里芋は下ゆでして食べやすい大きさに、ごぼうは大き目のささがき、大根と人参はいちょう切りにする。 +2. 鍋に油を熱し、大根を炒める。 +3. 大根に油がまわったら、ごぼう、人参、里芋の順に加えて炒める。 +4. 大根が透き通ってきたら、ひたひたより少し多い水を加えて煮込む。 +5. 具材に火が通ってきたら斜め切りにしたねぎを加え、醤油で味をととのえる。 +6. 温めたうどんを器に盛り付け、上から汁をかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「次代に残したい大分の郷土料理」レシピ画像提供元 : 大分県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_17_1.jpg)" +"# がん汁 大分県 + +**郷土料理名**: がん汁 + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +宇佐市域 + +## 主な使用食材 +川カニ(ツガニ) + +## 歴史・由来・関連行事 +国東半島(くにさきはんとう)の付け根に位置する宇佐市。北は周防灘(すおうなだ)に面し、南は立石山・人見岳などの標高1000m弱の山岳を望む。全国4万余社の八幡社の総本宮・宇佐神宮は、毎年多くの参拝者が訪れるパワースポットとして知られている。市内を流れる駅館川(やっかんがわ)は、ツガニ漁が有名。ツガニとは、河川に生息する大型のカニ「モクズガニ」の呼び名で、藻屑のようにびっしりと毛の生えたハサミが特徴である。この地域で食べられている「がん汁」とは、ツガニをすりつぶして醤油風味に仕立てた汁物。そのままでは食べづらいツガニを味わうために考案されたといわれる。昭和中期までは一般家庭でもよくつくられていたが、つがに自体の生息数が減っていること、つくるのに手間がかかることから、一部の地域を除いて、家庭でつくられることは減っている。名称については諸説あるが、カニ汁が訛って「ガニ汁」と呼ばれ、徐々に「がん汁」へと言い方が変化していったといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +8月中旬の川カニ漁解禁の後、家庭でつくられる。産卵期を迎えた秋から冬にかけて身体に栄養が蓄えられるため、美味とされている。ひと昔前は、季節のごちそうとして、近隣に振る舞っていた。 + +## 飲食方法 +生きたツガニを殻ごとすりつぶし、殻をこしとった後、塩を入れ残りを煮立てる。すると、たんぱく質がふわふわとしたかたまりになって浮かび上がってくると同時に汁が澄んでくる。鍋を火にかけ、汁が濁りはじめた所に高菜を切って入れるとカニのたんぱく質が高菜に集まるため(“とまる”という)、高菜を入れる家庭が多い。最後に、塩もしくは醤油を入れて調味するだけのシンプルな食べ方であるが、その分、カニの旨味を存分に味わえる。ツガニ独特の香りが気になるようなら、しょうがを加えても良い。昔は石臼でツガニをすりつぶしていたが、現在はミキサーやフードプロセッサーを使うのが一般的。こちらのほうが細かく粉砕できるのでこしやすい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 川カニ: 6匹 +- 塩: 適宜 +- かつお菜: 大きい葉を3枚 +- 淡口醤油: 適宜 +- 水: 適宜 + +## 作り方 +1. 川カニをよく洗う。 +2. 生きた川カニと水をミキサーにかける。 +3. ざるでこし、残った殻をさらにミキサーにかける。これを2~3回繰り返す。 +4. 集めた汁を、もう一度こす。 +5. 鍋に入れ、塩を加えて中火にかける。しゃもじで鍋底から静かにかき混ぜて焦げ付かないようにする。 +6. かつお菜を1cmくらいの幅に切る。 +7. 鍋の汁が、にごり始めたら、かつお菜を入れる。 +8. 川カニがかつお菜にとまり、汁が澄んできたら、淡口醤油で味をととのえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「次代に残したい大分の郷土料理」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_16_1.jpg)" +"# 鶏汁 大分県 + +**郷土料理名**: 鶏汁 + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +豊後大野地方 + +## 主な使用食材 +鶏肉、ごぼう、しいたけ、長ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +一世帯当たりの鶏肉年間購入量が全国トップレベルの大分県では、古くから鶏肉を使った郷土料理が食べられている。かつて鶏肉が貴重だった時代のごちそうに「鶏汁」がある。お祝いごとや客を招くことがあれば、あらかじめ飼っていた鶏をさばき、身や内臓などは「鶏めし」や「がめ煮」などに使い、残りの鶏ガラも余すことなく「鶏汁」に使ったという。身はもちろん、鶏ガラから出汁をとるので無駄なく、素材を堪能できる。「鶏汁」に並ぶ鶏肉料理に「鶏めし」がある。これは、煮こんだ鶏肉、ごぼう、人参などを混ぜこんだ飯料理である。この「鶏めし」をつくった際に余った、身の切れ端や内臓が「鶏汁」に使われることもある。そのため、「鶏めし」と「鶏汁」はセットでつくられることも多かった。 + +## 食習の機会や時季 +お盆や正月、祭りなど人が集まる時には欠かせないごちそうだった。ひと昔前は、ハレの日に備えて、縁の下に網を張りめぐらせて鶏を飼っていた家庭もあったという。「鶏めし」は、卵を産まなくなった「親鳥」が使われることが多かったため、その流れで「鶏汁」にも親鳥の身が使われた。当時の味を再現するために、一般的に流通している若鶏ではなく親鶏の肉を購入をする地元住民も少なくない。また、余った肉の切れ端が使われていた背景から、あえて身を細かく刻んで調理する場合もある。柔らかい肉質の若鶏とくらべ、親鶏はしっかりした肉質で滋味深く、脂の風味も豊か。 + +## 飲食方法 +一口大に切った鶏肉と、ごぼう、干ししいたけ、長ねぎを軽く炒めた後、昆布で出汁をとったすまし汁に入れて一煮立ちさせてから食べる。柚子胡椒やかぼすの皮を入れて味わうことも。また、そうめんやうどん、冷や飯を入れておじやにするなど、アレンジも楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鶏肉: 150g +- ごぼう: 1.5本 +- だし汁(鶏ガラでとったもの): 600cc +- 油: 大さじ1 +- 砂糖: 大さじ1 +- みりん: 大さじ1/2 +- 酒: 大さじ2 +- 醤油: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 鶏肉を1cm角に切る。 +2. ごぼうをささがきにして、水にさらしアクをとる。 +3. 鍋に油を熱し、鶏肉を炒める。 +4. 鶏肉の色が変わったら、ごぼうを加えて炒める。 +5. だし汁を加え、アクをていねいにとる。具材が柔らかくなったら、調味料で味をととのえる。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 大分県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_15_1.jpg)" +"# とり天 大分県 + +**郷土料理名**: とり天 + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +鶏肉、天ぷら粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +鶏肉を多く食べることで知られる大分県。2019年、総務省が都道府県庁所在地と政令指定都市を対象に、一世帯あたりの鶏肉年間消費量を調査したところ大分市が全国1位になった。大分県では、鶏肉を使ったまぜごはん「鶏めし」や鶏出汁の汁物「鶏汁」といったさまざまな鶏肉料理が食べられてきた。なかでも、唐揚げが有名だが、鶏肉を天ぷら粉で揚げた「とり天」も大分県全域にわたって広く親しまれている。鶏肉が高価な食材だった時代、家庭では衣がたっぷりついた「とり天」がつくられていた。厚い衣がかさ増しになり、家族が多くてもみんなで鶏肉を味わうことができる。「とり天」は、別府市内にある県内初のレストラン「東洋軒」が発祥だとされている。昭和初期、既存メニューの唐揚げが骨付きであったために女性が食べづらいだろうという気遣いから、骨のないもも肉を食べやすい大きさに切り、天ぷら風にアレンジしたのがはじまり。唐揚げより早く調理できて、サクサクと柔らかい衣は、またたく間に評判となり、やがて、さまざまな飲食店が「とり天」を提供するようになったという。 + +## 食習の機会や時季 +大分県では、唐揚げと同じくらい一般的なメニューで、日常的に食べられている。飲食店でも定番メニューになっており、地元住民向けの店から観光客向けの店まで、さまざまな「とり天」が楽しめる。 + +## 飲食方法 +鶏もも肉もしくは胸肉を、醤油やにんにくで下味をつけ、天ぷら粉で揚げた後、練りからしをそえた酢醤油で食べるのが一般的。ポン酢やかぼすを使うことも多い。下味のつけ方やそえるたれは、各家庭によって違いがある。また、使う部位によっても口あたりが異なる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 鶏肉(もも肉): 400g +- 醤���: 大さじ1 1/3 +- おろしにんにく: 少々 +- 砂糖: 5g(大さじ1/2) +- 薄力粉: 50g(1/2カップ) +- 卵: 1/2個 +- 水: 適宜 +- 揚げ油: 適宜 +- 付け合わせ: キャベツ、トマト、かぼすなど + +## 作り方 +1. 鶏肉を一口大に切る。 +2. ポリ袋に鶏肉とおろしにんにくを入れ、手でもむ。醤油と砂糖を加え、さらにもみ込む。 +3. 箸でさっと材料をかき混ぜて衣をつくる。 +4. 3に2の鶏肉を入れて軽く混ぜ、175~180℃の油で揚げる。美味しそうな色になって膨らんだ感じになったら、鍋から上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「今こそ作ってみたいおおいたの郷土料理」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_14_1.jpg)" +"# たらおさ 大分県 + +**郷土料理名**: たらおさ + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +日田・玖珠地方 + +## 主な使用食材 +たらおさ + +## 歴史・由来・関連行事 +「たらおさ」は、県内陸部の日田・玖珠(くす)地方で食べられているタラの乾物。タラのエラと胃を干したもので、大きな歯ブラシのような独特の形状が特徴である。保存技術や交通インフラが整っていない時代、日田・玖珠地方では、海の幸を食べようと思っても、乾物や塩漬けにしたものしか食べられなかった。それでも、魚を原料にする「たらおさ」はごちそうで、精進を建前とする盆料理でも「たらおさ」の煮しめだけは行事食として珍重され、日田地方のどの家庭でもお盆には食卓に上がる一品。乾物状の「たらおさ」は一見グロテスクな見た目をしているため、地元の人以外は扱い方や食べ方など分からず知らない人が多い。しかし地元の人にとってはエラのコリコリとした食感や胃のもっちりとした食感にやみつきになり、なつかしいふるさとの味として親しまれている。大分県では、アジやタイ、タチウオなどさまざまな魚種が水揚げされるが、タラはとれない。そのため、「たらおさ」は北海道最北端の稚内市から運びこまれる。身を取りのぞいたタラのエラとはらわたを、真冬の寒風にさらして乾燥させてつくられる。北海道内で消費されることは少なく、お盆の時期に合わせてほとんどが日田・玖珠地方に送られるという。 + +## 食習の機会や時季 +日田地方では、お盆に欠かせない料理である。昔は、魚屋や乾物屋で取り扱っていたが、現在ではスーパーマーケットでも手に入るが貴重な食材でもあり、値段も高めで売られている。送られてくる北海道の稚内市では、11月ごろからタラの処理がはじまり、翌年3月から屋外で約1カ月かけて乾物に加工する。大分県に向けて出荷されるのは5月ごろである。 + +## 飲食方法 +「たらおさ」は独特の臭いがするので途中で水を何回か取り替えながら柔らかく戻し、食べやすい大きさに切って、醤油や砂糖などで甘辛く煮つめて食べるのが一般的である。干したけのこを水で戻し一緒に煮たり、唐辛子などを加えピリ辛に仕上げることもある。煮つめた後、一晩寝かすとより味が染みて美味しい。コリコリしたエラの部分、もっちりとした食感の胃の部分と、部位によって異なる食感を楽しめる。「たらおさ」は、きれいな飴色をしたものを選ぶと良い。ごはんのおかずはもちろん、お酒のつまみにもよく合う。。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- たらおさ: 2本 +- 醤油: 大さじ5 +- 砂糖: 45g(大さじ5) +- 酒: 大さじ4 +- みりん: 大さじ4 +- 唐辛子: 1本 + +## 作り方 +1. たらおさを水に浸けて、軟らかくなるまで戻す。 +2. 適当な大きさに切る。 +3. ひたひたの水を加えて、軟らかくなるまで煮る。 +4. 煮汁を捨てる。 +5. 調味料を加えて煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「今こそ作ってみたいおおいたの郷土料理」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_13_1.jpg)" +"# 物相ずし 大分県 + +**郷土料理名**: 物相ずし + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +中津市、宇佐市 + +## 主な使用食材 +米、白身魚、油揚げ、干ししいたけ、ごぼう、人参 + +## 歴史・由来・関連行事 +大分県の北西端に位置する中津市とそこに隣接する宇佐市では、古来より「物相ずし」が食べられてきた。「物相」とは、一辺15cm、高さ15cmほどの木製の正方形の型のことで、この物相でつくる押しずしのことを「物相ずし」とい���。一説では数百年の歴史がある郷土料理といわれている。米が非常に貴重だった時代に、皆が平等に食べられるように、定量で切り分けるために物相を使ったといわれている。具材を混ぜこんだ酢飯を物相に入れて、上から押しぶたで上から圧力をかける際は、力のある男性が押すのが習わしだった。もともと寺院で使われた円筒状の曲げ物をいうが、この地方では木製の真四角な抜型を「物相」と呼んでいる。二合物相や三合物相など、物相にも大小さまざまなサイズがあり、行事の規模によって使い分けられた。大分県は、各地にさまざまなすし料理が伝わっており、宇佐市長洲地区の「かちエビちらしずし」や臼杵市(うすきし)の「茶台ずし」など食べ方やレシピは多岐にわたる。いずれも祝いごとやお祭りなどハレの日に食べられる行事食として珍重された。 + +## 食習の機会や時季 +農繁期の嗜好食として食べられるほか、4月の金毘羅祭り(こんぴらまつり)や2月の稲荷祭りの行事食になっている。稲荷祭りの際は、すし飯ではなくおこわを詰めた「物相おこわ」がつくられる場合もある。 + +## 飲食方法 +お米に、地元で取れた人参やごぼう、干ししいたけ、油揚げを細かく切って、だし汁とともに煮る。それを酢飯に混ぜこみ、型に入れて押しずしにし、仕上げに白身魚と木の芽をそえていただく。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 280g(2合) +- [すし酢] 酢: 大さじ2 1/3 +- [すし酢] 砂糖: 36g(大さじ4強) +- [すし酢] 塩: 6g(小さじ1) +- 干ししいたけ: 2枚 +- 油揚げ: 1/2枚 +- ごぼう: 50g(1/4本) +- 人参: 80g(1/2本) +- しいたけの戻し汁: 1/2カップ +- 砂糖: 23g(大さじ1 1/2) +- 塩: 9g(大さじ1/2) +- 白身魚: 適宜 +- 大葉: 適宜 + +## 作り方 +1. ごはんをかために炊き、すし酢を混ぜて酢飯をつくる。 +2. 干ししいたけを水で戻し、千切りにする。 +3. ごぼうはささがき、人参、油揚げは千切りにする。 +4. 野菜と油揚げをしいたけの戻し汁で煮て、砂糖と塩で調味する。 +5. 酢飯に4を混ぜる。 +6. 物相箱に詰め、押しぶたをして押す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「今こそ作ってみたいおおいたの郷土料理」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_11_1.jpg)" +"# お方ずし 大分県 + +**郷土料理名**: お方ずし + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +大分市竹中地区 + +## 主な使用食材 +米、うずら豆、アジ + +## 歴史・由来・関連行事 +大分県は、各地にさまざまなすし料理が伝わっている。大分市竹中地区に伝わるすし料理が「お方ずし」。「お方ずし」は、すし飯に焼きほぐしたアジと甘く煮たうずら豆を混ぜて、俵方に握ったすしである。「お方」とは庄屋のことを指す。昔、農業の繁忙期に入る前の「地獄入り」という行事で、庄屋が小作人たちに、労いの気持ちをこめて振る舞ったのがはじまりといわれる。「地獄入り」とはこれからはじまる農作業の重労働と皆が集まる行事、娯楽を意味していた。当時はごちそうといっても、魚はアジやイワシ、野菜も豆や芋しかとれなかったものの、小作人は白米を食べられるのを非常に喜んだという。大分県は、各地にさまざまなすし料理が伝わっており、宇佐市、中津市に伝わる「物相ずし(もっそうずし)」は、木製の正方形の木枠を使ってつくられる押しずしの一種。米が非常に貴重だった時代に、皆に平等にいきわたるように生み出されたといわれている。さらに、宇佐市長洲地区には特産品の赤エビを使った「かちエビちらしずし」が、お祭りや来客時のごちそうとして振る舞われる。臼杵市(うすきし)域の郷土料理「茶台ずし」は、ネタに魚介ではなく野菜を使った握りずし。安価で手にはいる野菜をネタに使ったことがはじまりとされている。 + +## 食習の機会や時季 +田植えをひかえた初夏などに食べられていた。田植えや稲刈りなどの農作業のシステムが変わっていくなかで「地獄入り」もおこなわれなくなり、「お方ずし」を食べる習慣も衰退している。大分県は、アジがよくとれるため、通年調達できる。煮豆も市販品で代用できるため、季節を問わずにつくることができる。 + +## 飲食方法 +うずら豆(金時豆などでもよい)をひと晩、水に浸け煮崩れしないようにし、���っくりとろ火で煮たうずら豆に砂糖、塩少々を加え煮る。素焼きにしたアジの身をほぐしておき酢飯に和える直前に甘酢を振り、すし酢を絡めたごはんにアジと甘い豆と混ぜ、俵状のおにぎりにして食べる。煮豆をつくる時間がない時は、市販の煮豆を利用してもできる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 280g(2合) +- [すし酢] 酢: 大さじ2 1/3 +- [すし酢] 砂糖: 27g(大さじ3) +- [すし酢] 塩: 6g(小さじ1) +- アジ: 中1尾 +- [甘酢] 酢: 小さじ2 +- [甘酢] 砂糖: 6g(小さじ2) +- [甘酢] 塩: 1.5g(小さじ1/4) +- [煮豆] 金時豆: 80g +- [煮豆] 砂糖: 36g +- [煮豆] 塩: 3g(小さじ1/2) + +## 作り方 +1. 金時豆を一晩、水に浸ける。 +2. ひたひたの水を加え、一煮立ちさせる。水を換え、煮崩れしないように煮る。 +3. 豆が軟らかくなったら砂糖を加え、最後に塩を加える。 +4. ご飯は水を少なめに炊き、すし酢を加える。 +5. アジを素焼きにし、身をほぐす。酢飯に加える直前に、甘酢をかける。 +6. 酢飯に煮豆とアジを加え、俵型に握る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「今こそ作ってみたいおおいたの郷土料理」 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_10_1.jpg)" +"# あみめし 大分県 + +**郷土料理名**: あみめし + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +宇佐市・中津市・豊後高田市域 + +## 主な使用食材 +干しアミ、米、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +福岡県東部から大分県北部沿岸に広がる豊前海(ぶぜんかい)は、遠浅が続くため干潟が発達しており、希少な生物が生息している。大分県においては、中津市、宇佐市、豊後高田市が豊前海に面しており、エビやシタビラメ、ハモなどを対象とした小型底びき網、タコ、イカなどを対象とした刺し網やカゴ網といった漁がおこなわれるほか、干潟ではのりも養殖されている。さらには、なまこを目的にした潜水漁もおこなわれている。豊後高田市沿岸では、昔からアミ(正式和名:オキアミ)が豊富にとれた。アミは、冬季に水揚げされるプランクトンの一種。季節になると波うち際がピンク色に染まる。とれた生のアミは塩漬けにし「漬けアミ」として漬物の味付けや調味料として利用されるほか、干しアミに加工する。どちらも桜エビの代用としてお好み焼きやかき揚げなどに使われる。干しアミは旨味が多く、手軽な佃煮風にしてごはんに混ぜていただく「あみめし」が秋から冬にかけて好まれてよく食べられている。 + +## 食習の機会や時季 +アミは豊前海では、9月から10月の限られた時期しかとれないため、豊前海を代表する秋の味覚として親しまれている。旬の時期ともなると豊前海の各港では、たも網によるアミ漁がおこなわれ、地元の風物詩になっている。干しアミに加工されたものは、季節を問わず1年を通して調達しやすい。とれたての生アミや干したものは、色も香りもよく「新物」として地元のスーパーマーケットや道の駅などでも売られ、旬の美味しい時期を楽しみに待っている人も多い。昔は、醤油につけただけの干しアミをごはんに混ぜて食べられていた。 + +## 飲食方法 +みりん、醤油、しょうがで甘辛く煮付けたアミの佃煮を、炊き上がる直前に入れて一緒に蒸らしよく混ぜ合わせていただく。最近はアミと一緒に、しいたけや人参、油揚げなどを入れて佃煮風にして食べることが多い。県北地域の郷土料理として、学校給食にも取り入れられたり、手軽に年間通して食材も手に入る事から食べる機会も増えている。また簡単に、干しアミを醤油にからめておき、炊き上がる直前に入れて蒸らして食べることもある。干しアミをフライパンで乾煎りして、ごま、青のり、カツオ節等とあわせてカルシウムがとれる手軽なふりかけにして食べるのも美味である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 2合 +- 水: 500cc +- アミの佃煮: 80g(お好みで) +- 塩: 少々 +- 干しアミ: 30~40g +- 醤油: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 米を研いで30分以上水に浸してから炊飯する。 +2. ごはんが炊きあがる直前に、アミの佃煮をのせる。(ごはんが炊きあがる直前に、干しアミを醤油で絡めたものを乗せ蒸らす) +3. 炊きあがったらごはんを混ぜ、味加減をみて、塩で味をととのえる。(炊き上がったらご飯を混ぜる) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「次代に残したい大分の郷土料理」レシピ画像提供元 : 大分県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_9_1.jpg)" +"# 黄飯と黄飯かやく 大分県 + +**郷土料理名**: 黄飯と黄飯かやく + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +臼杵市 + +## 主な使用食材 +米、くちなしの実、豆腐、大根、エソ + +## 歴史・由来・関連行事 +大分県の東南部地域に位置し、豊予海峡方面へ楕円状に細長くのびる臼杵市(うすきし)。かつては、大友宗麟(おおとも そうりん)が治める臼杵藩が置かれていた。財政難に陥ることが多かった臼杵藩は質素倹約令をひき、食べ物や衣服の倹約を励行した。そんななか、臼杵藩の殿様が、贅沢な赤飯の代わりにつくらせ(当時、小豆は貴重な食材だった)、家来にも振る舞ったのが「黄飯」と「黄飯かやく」のはじまりといわれる。また一説では、キリシタン大名だった大友宗麟が南蛮貿易をおこなっていたことから、スペインのパエリアを模したのではないかともいわれている。この華やかな山吹色のごはんは、くちなしの実を水に浸し、その黄色に染まった水で炊くことでつくられる。「黄飯」には、エソなどの白身魚や野菜、豆腐などを煮こんだ「かやく」もそえられる。武家料理が根本にある「黄飯」に対して、「かやく」は商人たちの暮らしから生まれた。大晦日や初売りの時期、商人は多忙を極める。料理をつくるゆとりもなければ、ゆっくり食事する暇もない。そこで、大鍋一杯に「かやく」をつくって三が日を乗り切ったという。何度も鍋を煮なおしていくうちに、具に味が染みていき、まろやかな味わいとなる。身体も芯から温まる。時代が移り変わるなかで、徐々に「黄飯」をつくる機会が減ってくると、代わりに「かやく」が「黄飯」と呼ばれることもある。 + +## 食習の機会や時季 +大晦日にまとめて「かやく」をつくり、三が日に温め直しながら食べる。煮返すほど美味しく食べられるといわれている。また、その華やかな色合いから、祝いの席でも振る舞われる。 + +## 飲食方法 +くちなしの実で黄色く染まった水につけて炊く。長くつけておくと、あざやかな黄色ではなく、くすんだり緑色になってしまうため注意が必要。「かやく」は、エソなどの白身魚や豆腐、大根、ごぼうなどの具材を、醤油やみりんなどで味付けをして煮ていく。臼杵市では、「かやく」はごはんにそえるのではなく、「黄飯」の上に「かやく」をのせて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- <黄飯>米: 3カップ +- <黄飯>水: 3.6カップ +- <黄飯>くちなしの実: 2~3個 +- <黄飯かやく(黄飯汁)>豆腐: 半丁 +- <黄飯かやく(黄飯汁)>ごぼう: 小1本 +- <黄飯かやく(黄飯汁)>大根: 小1本 +- <黄飯かやく(黄飯汁)>人参: 1本 +- <黄飯かやく(黄飯汁)>ねぎ: 2本 +- <黄飯かやく(黄飯汁)>エソ: 1尾 +- <黄飯かやく(黄飯汁)>だし汁: 2カップ +- <黄飯かやく(黄飯汁)>サラダ油: 大さじ2 +- <黄飯かやく(黄飯汁)>濃口醤油: 少々 +- <黄飯かやく(黄飯汁)>淡口醤油: 大さじ1 +- <黄飯かやく(黄飯汁)>みりん: 大さじ1/2 +- <黄飯かやく(黄飯汁)>酒: 大さじ2 + +## 作り方 +1. <黄飯 作り方>くちなしの実をフードプロセッサーにかけて砕く。 +2. <黄飯 作り方>砕いたくちなしを水に浸けて、色を出してからこす。 +3. <黄飯 作り方>研いでザルにあげておいた米に、水とくちなしの汁を入れて炊く。 +4. <黄飯かやく(黄飯汁) 作り方>ごぼうをささがきにして、水にさらす。 +5. <黄飯かやく(黄飯汁) 作り方>人参を大きめの拍子木切りにする。 +6. <黄飯かやく(黄飯汁) 作り方>大根を大きめの拍子木切りにする。 +7. <黄飯かやく(黄飯汁) 作り方>ねぎを斜め切りにする。 +8. <黄飯かやく(黄飯汁) 作り方>鍋に油を熱し、水切りした豆腐を手で崩しながら入れて炒める。 +9. <黄飯かやく(黄飯汁) 作り方>エソのミンチ、ごぼう、大根、人参、ねぎの順に加えて炒める。 +10. <黄飯かやく(黄飯汁) 作り方>だし汁を加えて煮込み、調味料で味をととのえる。 +11. <黄飯かやく(黄飯汁) 作り方>火を止める前に1cmに切ったね��を加える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「次代に残したい大分の郷土料理」レシピ画像提供元 : 大分県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_8_1.jpg)" +"# 鶏めし 大分県 + +**郷土料理名**: 鶏めし + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +鶏肉、ごぼう、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +一世帯当たりの鶏肉年間購入量が全国トップレベルの大分県。鶏肉が伝統食材として根づいており、宇佐市は唐揚げ発祥の地としても知られる。「唐揚げ」、「とり天」、「鶏汁」など鶏肉を使った料理は多岐にわたり、地元民は思い思いの食べ方で地域の味覚を堪能する。「鶏めし」は、鶏肉とごぼうや人参などを炊きこんだ飯料理。地域や家庭によってつくり方や一緒にいれる具材が異なるが、広く大分県内で愛されている郷土料理である。食糧が乏しい時代、鶏は貴重なたんぱく源として各家庭で飼育されていた。母屋の縁の下に網を張って飼育小屋がわりにしている家庭も少なくなったという。猟師がお客をもてなすために、キジやハトなどの鶏肉でつくっていたものが起源とされている。 + +## 食習の機会や時季 +親戚が集まるときやお祭りなど、ハレの場に欠かせない料理となっている。また、飼育している鶏が卵を産まなくなったら、しめられて「鶏めし」の具に使われる。現在、市場に流通する鶏肉は若鶏が主流であるが、昔ながらの「鶏めし」をつくるために、飼育日数が経過した親鶏の肉を使う地元民も多い。親鶏の肉は若鶏とくらべてしっかりとした肉質で噛めば噛むほど旨味が出てくる。 + +## 飲食方法 +つくり方としては大きく二つのやり方がある。先に鶏肉や野菜、きのこなどの具材を醤油や砂糖などで煮込み、炊き上がったごはんに混ぜ込む方法と、最初から一緒に炊き上げる方法である。最も素朴なものは、鶏肉とごぼうだけでつくられる。若鶏と親鳥の両方の鶏肉を使い、食感や味わいの変化させることもある。それ以外の具は旬の野菜はすぐに手にはいる野菜を使う。調理の際に余った内臓や骨、細かな肉は「鶏汁」に使われ、無駄にしない。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 2合 +- 地鶏: 150g +- ごぼう: 120g +- 醤油: 100cc +- 酒: 50cc +- 砂糖: 30g +- 油: 適宜 + +## 作り方 +1. こぼうを細かいささがきにして水にさらす。※水を替えないのがコツ。 +2. 鶏肉を小さく切る。 +3. 熱した鍋に鶏脂か油をしき、鶏肉を炒める。 +4. 鶏肉が白くなるまで炒める。 +5. 水にさらしていたごぼうをザルにあげ、流水にさらし、水を切る。 +6. 4の鍋にごぼうを加え、混ぜながら火を通す。 +7. ごぼうの色が変わってしんなりしたら、砂糖を加えて混ぜ合わせる。 +8. 7に酒と醤油を加えて汁気がなくなるまで煮詰める。(ごはんに色をつけたい時は汁気を少し残す) +9. 炊き上がったご飯の上に8を乗せ、15分間蒸らす。 +10. よく混ぜ合わせる。 +11. 完成。具材の煮詰め方で、できあがりの色がちがう。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 大分県食生活改善推進協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_7_1.jpg)" +"# ひゅうが丼 大分県 + +**郷土料理名**: ひゅうが丼 + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +津久見市 + +## 主な使用食材 +マグロ、米、ごま、卵、醤油 + +## 歴史・由来・関連行事 +津久見市の津久見港からおよそ14km、豊後水道に浮かぶ島・保戸島。古来より漁業が営まれており、島に残る漁村・漁民の歴史、文化、景観は「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選」に選ばれた。 とくに、マグロ遠洋漁業の基地としてとして知られており、「ひゅうが丼」は島内のみならず津久見市域へも広く伝播した郷土料理である。「ひゅうが丼」は、マグロの赤身を、醤油、砂糖、酒、ごま、卵黄などが入った特製のたれにつけ、ごはんの上にのせて丼にしたもの。タレにネギやしょうがなどの薬味を効かせる事で食欲も増し、さらに美味しくいただける。保戸島の漁師が、漁の合間に手早く栄養がとれるようにとあみだした漁師飯である。過酷な船上で、風が強く「ヒューヒュー」と音を立てても火を使わずに食べられることから「ひゅうが丼」という名がついたという説や保戸島のマグロ船が宮���県日向(ひゅうが)の油津港に入り、そこで知ったので「ひゅうが丼」と名付けられたという説があるが、確かな由来はわかっていない。地域によっては、「りゅうきゅう丼」「あつめし」と呼ばれることもある。 + +## 食習の機会や時季 +かつては、結婚式などの祝いの席で食べられていた。津久見市内の飲食店でも提供されている。なかには、マグロ尽くしのコース料理を用意するお店もあり、コースの一品として「ひゅうが丼」が加わることも珍しくない。また、地元の物産展や桜まつりなどのイベントでもよく提供されている。 + +## 飲食方法 +大分県では、ごまと醤油ベースのつけだれに刺身をつけて食べる料理は他にも「りゅうきゅう」などがあるが、「ひゅうが丼」は、いりごまをよくすり砂糖を加えた少し甘めの醤油のつけだれに卵黄を入れるのが特徴。卵黄がマグロにまとうことで、よりコクのある味わいになる。ネギやしょうがと混ぜ合わせよく味を馴染ませ、熱々のごはんにのせていただく。最後、少し残しておいて、お茶漬けにすると二度楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- 米: 3合 +- マグロ: 2冊 +- いりごま: 20g +- 醤油: 40cc +- 砂糖: 30g +- みりん: 少々 +- 酒: 少々 +- 卵黄: 1個分 +- 小ねぎ: 少々 + +## 作り方 +1. いりごまをよくすり、砂糖を加えて、さらにする。 +2. 卵黄を加える。 +3. 酒、みりん、醤油を加えて、さらにすり混ぜ、たれをつくる。 +4. マグロを薄く切る。 +5. 3のたれにマグロを入れ、小口切りにした小ねぎを少し入れて馴染ませる。 +6. 熱々のごはんの上に、たれにつけたマグロをのせ、改めて小口切りの小ねぎを飾って完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「次代に残したい大分の郷土料理」レシピ画像提供元 : 大分県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_5_1.jpg)" +"# やせうま 大分県 + +**郷土料理名**: やせうま + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、きなこ、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +練った小麦粉を平たくのばしてゆでたものに、きなこや砂糖をまぶして食す、昔ながらのおやつ。練った小麦粉を麦味噌ベースの汁に入れて食べる「だんご汁」と同様に、大分で親しまれている郷土料理である。生地ののばし方にはコツがあり、熟練者ほど薄く長くのばすことができるという。「やせうま」の発祥の地は古野(大分県由布市)とされている。平安時代、信仰心の厚い乳母の八瀬(やせ)が、貴族の若君の健やかな成長のために、古野にある妙蓮寺へ参拝に向かった。その道中、お腹がすいた若君が、「八瀬(やせ)、うま(「うま」は幼児期特有の言い方で、食べ物を指す)」といい、その度に八瀬が小麦粉を薄くのばしてきなこをまぶしたものを若君に食べさせたことから、「やせうま」と呼ばれるようになったといわれている。妙蓮寺では、現在でもお盆の行事として「やせうま」がつくられている。大分県では、古くから畑を基盤とした穀物栽培が営まれており、小麦粉を使った粉食文化が発展した。「やせうま」のほかにも、小麦粉を使った料理は県内各地に浸透している。 + +## 食習の機会や時季 +学校給食や飲食店などでも提供されるほど日常に根づいたものであるが、七夕やお盆のお供え物にもなる。西方浄土に帰る先祖の霊がお供え物をまとめるための紐として、「やせうま」を使うと伝わっている。 + +## 飲食方法 +水で練った小麦粉を棒状のだんごにし寝かせた後、手で薄くのばしゆで、温かいままきなこと砂糖をまぶして食べる。あるいは、冷やして食べることもある。きなこの代わりにあんこやはったい粉、砂糖の代わりに黒砂糖を使用することもある。また、ココアパウダーや抹茶パウダーなどをまぶすなどの応用も楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (8~10人分) +- 小麦粉(中力粉): 500g +- 塩: 13g +- 水: 250cc +- きなこ: 適宜 +- 砂糖: 適宜 + +## 作り方 +1. 小麦粉に塩を入れて混ぜ、水を少しずつ加える。 +2. よくこねる。水は粉の状態を見ながら加え、一度に全部入れてしまわないようにする。 +3. 手につかなくなるまでこねたら、丸くまとめる。 +4. 濡れフキンで包んで、1時間くらい寝かせる。 +5. 寝かせた後��棒状にして、親指大にちぎる。 +6. 手のひらを使ってのばし、濡れフキンをかけてさらに寝かせる。 +7. 手でのばして、鍋の熱湯に落としてゆでる。 +8. ゆであがっただんごを冷ましてきなこ、砂糖をまぶす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「次代に残したい大分の郷土料理」レシピ画像提供元 : 大分県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_3_1.jpg)" +"# 鮑腸 大分県 + +**郷土料理名**: 鮑腸 + +**都道府県**: 大分県 + +## 主な伝承地域 +大分市戸次地区、大野川流域 + +## 主な使用食材 +小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +古くから畑を基盤とした穀物栽培が盛んだった大分県。収穫した小麦を挽いた「地粉」は、「こねり」や「やせうま」といった料理に活用され、粉食文化の地盤を築かれた。「鮑腸」は、小麦粉を練って細いうどん状にし、薬味を入れたつけ汁(だし汁)につけていただく麺料理。九州の戦国大名・大友宗麟(おおとも そうりん)の家来が、アワビの腸のように小麦粉を細くのばしてゆでたものを献上したところ、アワビ好きの宗麟が非常に気に入ったことが「鮑腸」の名の由来だといわれている。その後、大分の小麦の産地、戸次地区を中心に根づいたと考えられている。うどんとも異なる舌触りや食感を好む地元住民も多い。似たような料理に山梨県の「ほうとう」があるが、この「ほうとう」が訛って「鮑腸(ほうちょう)」になって伝わったとする説もある。 + +## 食習の機会や時季 +小麦粉を練って食べる「だんご汁」や「やせうま」も大分の郷土料理であるが、「鮑腸」は手延べで2m以上にのばすのが大きな特徴の一つである。非常に手間と労力がかかるため、日常的に食べるものではなく、お盆やお祭りなど、お客様をおもてなしするときに振る舞われた。 + +## 飲食方法 +小麦粉と塩、水を混ぜてこね、1時間ほど寝かすことでグルテンが増え、長くのばすことができるようになる。お湯でゆでた後は、冷水でしっかりしめることで弾力があって噛み応えのある食感になる。また、「鮑腸」は、つけ汁につけて食べるのも特徴。大分の特産品である干ししいたけやいりこからとっただし汁に、すりごまやおろししょうが、かぼす、小ねぎといった薬味を入れて味わう。麺が2m以上と非常に長いので、少しずつ箸で切りながらいただく。鶏肉、里芋、人参、大根などと一緒に煮こんで、煮こみうどん風にして食べても美味である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (12人分) +- 小麦粉: 1kg +- 塩: 約35g +- 水: 8カップ +- いりこ: 約30g +- 乾しいたけ: 約20g +- 昆布: 約10cm +- カツオ節: 約5~10g +- 薄口醤油: 1カップ +- みりん: 大さじ3 +- 塩: 少々 +- 薬味: ごま、かぼす、しょうが、小ねぎ + +## 作り方 +1. 小麦粉に塩を入れて混ぜ、水を少しずつ少しずつ加えながらこねる。 +2. 耳たぶくらいの硬さになるまで、よくこねる。 +3. 濡れフキンに包んで、15分間寝かせる。 +4. 寝かせた生地を棒状にのばし、ちぎっていく。 +5. 一つ一つが全て20gになるようにする。 +6. 濡れフキンをかけておく。この一つ一つが1本の麺になる。 +7. 6を両手のひらでもみながらのばす。 +8. 力を入れてもんでいないと、この後うまくのびない。 +9. 全体の太さを均等にすることと、両端をとがらせるのがポイント。 +10. さらに20分間寝かせる。 +11. 指先を使って、こよりをひねるようにのばしていく。 +12. ひっぱりながら、回しながら、ひたすらのばす。 +13. だいたい2mくらいまでのばす。 +14. 膝と両腕にかけながらのばすので、割烹着は必須。 +15. のばした麺は、2回折り、もろぶたにかける。 +16. ここからまた少し重さでのびる。 +17. 煮立ったお湯に入れてゆでる。(のばした麺はすぐゆでないと、コシがなくなる。) +18. 2回差し水をしてゆでる。 +19. ゆで上がったら、三つじょうけで取り上げる。 +20. 冷水で洗う。 +21. ざるに一人分ずつまとめていく。 +22. 乾しいたけ、昆布、いりこを水にしばらくつけておく。 +23. 弱火で炊き沸騰前に昆布を取り出し、10分煮てカツオ節を入れて火を止める。カツオ節が沈んだらフキンでこし、調味料で味をととのえる。 +24. 薬味は、すりごま・おろししょうが・皮付きのまま小さく切ったかぼす・小口切りの小ねぎ +25. お椀に薬味を盛り付ける。かぼすは盛り付ける時に少し押しつぶす。 +26. 食べる直前に丼の「鮑腸」にお湯をさし、お椀ににだし汁を注いで完成。 +27. 「鮑腸」は長いので、お箸で切りながらいただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「次代に残したい大分の郷土料理」レシピ画像提供元 : 大分県 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_2_2.jpg)" +"# 煮しめ 宮崎県 + +**郷土料理名**: 煮しめ + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +宮崎県内全域 + +## 主な使用食材 +しいたけ、里芋、たけのこ、こんにゃく、厚揚げ、切干大根、昆布 + +## 歴史・由来・関連行事 +煮汁が残らないように、じっくり時間をかけて煮ることを「煮しめる」といい、その調理方法から「煮しめ」と呼ばれるようになった。現在ではお総菜になっているが、もともとは祝い事や冠婚葬祭にはかかせない料理であった。お正月のおせちの三の重に敷き詰められたり、高千穂町では夜通しおこなわれる神楽奉納での振る舞い料理として提供されている。また、昔から普段の食卓にもあがり、田植えの時期などには、農作業の合間のお昼のおかずとして食べられたといわれ、馴染み深く懐かしい味である。さらに、各地域の具材も個性豊かである。例えば、出汁をとる素材だけでも、地鶏、いりこ、干しアジ、塩イワシ、昆布、しいたけ、猪、野鳥、海の幸、山の幸などさまざまなものが伝わっている。素材についても、県北部では干したけのこやしいたけ、県央部では鶏肉、西米良村ではイワシの丸干しと、地域によっても特色がある。 + +## 食習の機会や時季 +日常の食事においてもよく食べられているが、祝いの席など特別な日にはかかせない料理。お正月のおせち料理ではそれぞれの食材に意味が込められ、それらを一緒に煮ることから、""家族が仲良く結ばれ、末永く繁栄しますように""という願いが込められている。 + +## 飲食方法 +しいたけ、里芋・たけのこ・こんにゃく・ごぼう・ぜんまいなどを、調味料(醤油・みりん・砂糖)と一緒に煮汁が残らないように時間をかけてじっくり煮つめる。余熱をしっかりとることで、さらに味がしみ込む。地域ごとや、各家庭での個性がさまざまにあり、季節の野菜なども加え美味しく食べられ、故郷の味として親しまれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 乾しいたけ: 4枚 +- 昆布: 1枚 +- 切干大根: 50g +- こんにゃく: 1枚 +- たけのこ: 1/4本 +- 厚揚げ: 1枚 +- 里芋: 4個 +- だし: 3カップ +- 【調味料A】砂糖: 大さじ2 +- 【調味料A】薄口醤油: 大さじ2 +- 【調味料A】みりん: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 乾しいたけと昆布は水でもどしておく。 +2. 切干大根はゆがき、水にもどしておく。 +3. 昆布は結び、他の材料としいたけは適当な大きさに切っておく。 +4. 鍋にだし3カップを入れ、しいたけ、昆布、こんにゃく、たけのこを入れ、20分位煮て、他の材料を入れ、10分位煮る。 +5. 4に調味料Aで味を付け、じっくり味を含ませる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「郷土料理集」 (JA宮崎県女性組織協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_1_1.jpg)" +"# チキン南蛮 宮崎県 + +**郷土料理名**: チキン南蛮 + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +鶏肉(むね肉) + +## 歴史・由来・関連行事 +延岡市発祥で知られる「チキン南蛮」。昭和30年代に延岡市内の洋食店で、賄い料理としてつくられたのが始まりとされる。当時は「鶏から揚げ甘酢漬け」とも呼ばれる料理だったようだが、その後、タルタルソースをかけサラダなどを添える、現在のスタイルになり人気を博すようになった。昭和40年代には、時折家族で出かける外食のごちそうメニューとして浸透し、やがて学校給食や家庭料理、県内全域で飲食店のメニューとして普通に見られるようになった。チキン南蛮の「南蛮」とは、もともと戦国時代に来日したポルトガル人や、その文化を表す言葉である。彼らのもたらした食文化の中に「南蛮漬け」があり、これは唐辛子入りの甘酢に食材を漬けてつくられるもので、これに鶏肉を用いて料理されたため、「チキン南蛮」と呼ばれるようになったといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +家庭の食���や飲食店、学校給食などで日常の食事として食べられている。 + +## 飲食方法 +鶏肉に小麦粉(薄力粉)を振り卵液を絡めたものを揚げ、甘酢に浸す。小麦粉を振った後で卵液を絡めることで甘酢を吸い込みやすくし、口当たりも良くなる。もともとは、むね肉を使用するのが一般的だったが、現在は脂肪分が多く食べ応えのあるもも肉を使うこともある。タルタルソースをかけた一般的な「チキン南蛮」と、甘酢ダレだけで味わうシンプルな「チキン南蛮」の2系統がある。各飲食店では、オリジナルタルタルソースの提供や、「チキン南蛮カレー」など趣向が凝らされている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 鶏むね肉: 240g +- 薄力粉: 20g +- 卵: 34g +- 塩: 0.4g +- こしょう: 0.4g +- 揚げ油: 適量 +- 【調味料A(タルタルソース)】マヨネーズ: 36g +- 【調味料A(タルタルソース)】ケチャップ: 2g +- 【調味料A(タルタルソース)】砂糖: 3g +- 【調味料A(タルタルソース)】ゆで卵: 10g(みじん切り) +- 【調味料A(タルタルソース)】きゅうり: 20g(みじん切り) +- 【調味料A(タルタルソース)】玉ねぎ: 20g(みじん切り) +- 【調味料B(南蛮酢)】醤油: 18g +- 【調味料B(南蛮酢)】薄口醤油: 18g +- 【調味料B(南蛮酢)】みりん: 9g +- 【調味料B(南蛮酢)】酢: 30g +- 【調味料B(南蛮酢)】砂糖: 30g +- 【調味料B(南蛮酢)】七味唐辛子: 少々 + +## 作り方 +1. きゅうり、たまねぎ、砂糖、ゆで卵、マヨネーズ、ケチャップをまぜ調味料Aをつくる。 +2. 調味料Bの材料を入れて混ぜ火にかけ、一度沸かす。 +3. 鶏むね肉に塩・こしょうをし、薄力粉をまぶし、とき卵をつけ170度の油で揚げる。揚がったら南蛮酢に浸ける。 +4. 皿に野菜・汁気を切った鶏むね肉を盛り付け調味料Aのタルタルソースをかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「みやざきの郷土料理 へらしおレシピ」 (宮崎県食生活改善推進協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_2_1.jpg)" +"# 魚ずし 宮崎県 + +**郷土料理名**: 魚ずし + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +宮崎県北(沿岸部) + +## 主な使用食材 +アジ、酢 + +## 歴史・由来・関連行事 +「魚ずし」とは、サバやアジなどを使ってつくる姿ずしのことで、いわゆる一般にいうサバずし、アジずしのことである。宮崎県沿岸部、特に江戸時代に天領地であった門川町の名物で、その昔はいも焼酎と並ぶ、天領地にやってくる役人の待望の一品であったといわれている。サバ、アジのほかイワシ、カマスなども使われる。もとをたどれば、四国の郷土ずし・姿ずしに行き着くといい、四国から対岸の宮崎県に渡ってきた人々が伝えたものともいわれている。かつては冬祭りには必ずつくるごちそうであった。また、普段から、日向灘でとれる新しい魚を行商人が持ってくるので、手軽につくっていた。サバ、アジは背開きに、イワシは腹開きにし、塩でしっかりしめる。その後、酢に漬け込む。赤いところがないように中まで酢でしめ一晩酢につけておいてもよい。 + +## 食習の機会や時季 +各家庭によって味付けが違う。おめでたい時のごちそうや、お盆、正月、祭りの際につくる。また祭りの時はすぐ売れ切れるほどの人気商品になっている。脂がのり身の旨味がある最高の寒サバのみを使ったサバの「魚ずし」は、絶品だと地元では評価されている。 + +## 飲食方法 +川南町の通浜では旬の小魚ですしをつくっており、レンコダイ、小アジを使い、とれたての小魚を三枚におろしてから、塩をふり、酢に漬ける。この酢の漬け具合が熟練の技の見せどころで美味しさのポイントである。魚を酢に漬けている間にすし飯をつくり、まず酢と砂糖で合わせ酢をつくり、それを炊き立ての、ほかほかごはんにむらなく混ぜ合わせ、ゆっくりと冷ましていく。その後、ごはんを一つかみして手の平でコロコロと食べやすいかたちに丸め、程良く酢に漬けた魚を上にのせて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 魚(アジ): 適量 +- 米: 3合 +- 塩: 適量 +- 酢: 適量 +- 【調味料A(合わせ酢)】酢: 300g +- 【調味料A(合わせ酢)】砂糖: 250g +- 【調味料A(合わせ酢)】塩: 7g + +## 作り方 +1. 魚をひらいて、塩少々でしめる。それ���酢に浸け、一晩おく。 +2. ごはんに調味料Aを混ぜて酢めしをつくり、冷ます。 +3. おにぎり程度の酢めしを細長くにぎり、魚まるごとのせてにぎる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「郷土料理集」 (JA宮崎県女性組織協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_3_1.jpg)" +"# ふたたびだんご 宮崎県 + +**郷土料理名**: ふたたびだんご + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +県北部(沿岸部) + +## 主な使用食材 +やわみ、小麦粉、あんこ、よもぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +宮崎県の東北部にあり、東は日向灘に面し五つの川が流れる自然豊かな延岡市には「ふたたびだんご」という地元の人から人気のあるおやつがある。つくり方はもち粉と小麦粉を6対4の割合で合わせ、水を加えて耳たぶほどの柔らかさになるまでよくこねる作業からはじめ、そこに川原から摘んできたみずみずしいよもぎの新芽を入れて蒸し、再び生地をつく。「ふたたびだんご」づくりのポイントは、名前の由来にもなっているこの作業にある。通常のだんごづくりはこねる作業は一回であるが「ふたたびだんご」ははじめにこねて、再びつく。このようにしてできた生地はとても柔らかく、ふわっとした食感になる。最後にできあがった生地に特製の甘みを抑えたあんこを包んできな粉をふりかけたらできあがりである。新鮮なよもぎが香る「ふたたびだんご」は若草色が目にもあざやか。また、だんごに使われているやわみとは、手軽にだんごづくりができるようにと、あらかじめもち粉と上新粉をブレンドしただんご粉のことで、普通のだんご粉より、柔らかい食感のだんごができあがる。 + +## 食習の機会や時季 +よもぎは昔から薬草として煎じたりして食されたり、その殺菌効果から匂い消しなどにも利用されてきた。春先に柔らかいよもぎの葉が出てくるので、この時期「ふたたびだんご」がよくつくられる。 + +## 飲食方法 +やわみと小麦粉を混ぜ水を入れながらこね耳たぶくらいの柔らかさになったらよもぎを包み込み、沸騰した鍋に入れゆでる。ゆであがったらすり鉢に入れつきつぶし、少々の塩を入れ、よもぎの色が全体にまわるようにこねる。ピンポン玉くらいに取り、あんを入れ、包み込み、丸めてきな粉をまぶす。よもぎの香りがする若草色の柔らかなだんごが出来上がる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (20個分) +- やわみ: 350g +- 小麦粉: 150g +- あんこ: 500g +- よもぎ: 100g(ゆでたもの) +- きな粉: 適宜 +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. やわみと小麦粉を混ぜ、水を入れながらこねる。耳たぶくらいの柔らかさになったら、5等分して、よもぎを包み込み、沸騰した鍋に入れ、ゆでる。(浮きあがってくればよい) +2. ゆであがったらすり鉢に入れつきつぶし、塩少々を入れ、よもぎの色が全体にまわるようにこねる。 +3. ピンポン玉位に取り、あんを入れ、包み込み、丸めてきな粉をまぶす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「郷土料理集」(JA宮崎県女性組織協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_4_1.jpg)" +"# めひかりの唐揚げ 宮崎県 + +**郷土料理名**: めひかりの唐揚げ + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +県北地方(沿岸部)、延岡市 + +## 主な使用食材 +メヒカリ + +## 歴史・由来・関連行事 +メヒカリは、延岡市の沖合、日向灘の水深300m前後のところで漁獲される5~15cm程の小魚で、目が大きく青くキラキラ輝いて見えることから「メヒカリ」と呼ばれるようになった。和名で「アオメエソ」という。かつては、底引き網漁の深海エビ引き網で取れる雑魚として扱われ、漁師たちの食事であったり養殖用のエサとして使われていた。見た目に反した、淡白な白身とふんわりとした食感を知ってもらうべく、延岡市の日本料理店が試行錯誤を繰り返し、料理を開発し提供してから、マスコミで紹介され脚光を浴びるようになった。メヒカリは宮崎固有の魚ではなく、福島県いわき沖でもよく捕れ、小名浜港の名物となっている。江戸時代の延享4年(1747年)、内藤家九代が磐城平藩から延岡藩に転封された縁で平成9年(1997年)、延岡市といわき市は兄弟都市となったが、こうした縁が、両地域のメヒカリを食べる習慣にも影響しているといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +産卵期の5~6月は禁漁となるが、禁漁期を除けばほぼ通年水揚げされる。最盛期は7~8月頃で、解禁時期とも重なることから、地元延岡市では市民が解禁を心待ちにしている。 + +## 飲食方法 +頭部を切り落とし、内臓、うろこを取り水ですすぎ水気をきる。塩こしょうをふりかけ、小麦粉または片栗粉をまぶし、180℃に熱した油で揚げる。もともと骨の柔らかい魚のため、から揚げにすると骨を気にせず、まるごと美味しく食べられ、お酒の肴としても喜ばれる。唐揚げ以外にも、南蛮漬け、天ぷらや塩焼など、特に新鮮なものはお刺身で食べられている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- メヒカリ: 100g +- こしょう: 少々 +- 塩: 小さじ1/2(3g) +- 小麦粉: 大さじ2/3(6g) +- 油: 適量 + +## 作り方 +1. 下処理をしたメヒカリに、こしょう・小麦粉・塩をまぶす。 +2. 油を180℃に熱し、1を入れる。 揚げ色がついたら、裏返す。 + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_5_1.jpg)" +"# 歳とり膳/年取り膳/年越し料理 宮崎県 + +**郷土料理名**: 歳とり膳/年取り膳/年越し料理 + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +北部地域、中部地域など + +## 主な使用食材 +タイ・塩イワシなどの魚、昆布、大根、人参、豆腐、しいたけ + +## 歴史・由来・関連行事 +大晦日の夜に高膳に盛られた豪華な料理を家族揃って食べ、お正月を迎える。その時に食べられるのが「歳とり膳」だ。歳神様に一年間の無病息災を感謝し、新たな歳神様をお迎えするため、お供えした膳と同じものをいただく。大晦日は夜半から翌未明まで起きて祝い、神社や寺院に参詣する。元旦の朝食には、雑煮がつくが、家事も炊事もなるべくおこなわず、前夜の残りを食べ、静かに年の初めを祝う風習である。現在でもこの風習を残す地域はある。この風習は古いお正月の迎え方であり、旧暦を使用していた頃まで遡る。旧暦では日没後に一日がはじまるとされていたので、大晦日の夕方から元旦として新しい年をお祝いした。当時は生まれ年を1歳とする数え年で年齢を表したので、お正月を迎えることで、歳を一つ増やしていた。家族揃って一つ歳をとることを喜び、歳神様、新年を迎える正月料理として特別なものであったのは違いない。 + +## 食習の機会や時季 +大晦日からお正月にかけて、一年間の無事を歳神様に感謝し食べられる。お膳には「歳とり魚」が用意されることが多く、沿岸部では縁起物であるタイや、山間部では主に塩イワシが供されていた。現在のような輸送手段のない頃では、魚は貴重な食材とされ、ごちそうとされていた。 + +## 飲食方法 +地域によって使う具材や内容は様々であるが、歳とり魚、煮しめ、白和え、煮豆、なます、ご飯(おこわ)、吸い物などが並びお正月のごちそうとして食べていた。三が日中はその残りを食べることが多く、各地域・各家庭で個性のある煮しめがつくられている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (各10人前) +- 【煮しめ】乾燥ぜんまい: 50g +- 【煮しめ】干したけのこ: 30g +- 【煮しめ】干ししいたけ: 小10個 +- 【煮しめ】早煮昆布: 50g +- 【煮しめ】厚揚げ: 5枚 +- 【煮しめ】こんにゃく: 1と1/2枚 +- 【煮しめ】里芋: 小10個 +- 【煮しめ】煮干しだし: 5カップ +- 【煮しめ】砂糖: 大さじ5 +- 【煮しめ】酒: 大さじ3 +- 【煮しめ】醤油: 大さじ3と1/2 +- 【うずら豆の煮豆】うずら豆: 500g +- 【うずら豆の煮豆】水: 適量 +- 【うずら豆の煮豆】砂糖: 300g +- 【うずら豆の煮豆】塩: 少々 +- 【白和え】こんにゃく: 2と1/2枚 +- 【白和え】白菜: 1/4個 +- 【白和え】人参: 1本 +- 【白和え】豆腐: 2丁 +- 【白和え】白ごま: 大さじ5 +- 【白和え(調味料A)】砂糖: 小さじ2と1/2 +- 【白和え(調味料A)】醤油: 大さじ1と1/2 +- 【白和え(調味料B)】砂糖: 大さじ1と1/2 +- 【白和え(調味料B)】塩: 小さじ1と1/2 +- 【なます】大根: 500g +- 【なます】人参: 75g +- 【なます】塩: 小さじ1 +- 【なます】酢じめのアジ: 2尾 +- 【なます】ごま: 少々 +- 【なます】松葉柚子: 少々 +- 【なます(甘酢)】砂糖: 大さじ7 +- 【なます(甘酢)】酢: 180ml +- 【なます(甘酢)】水: 75ml +- 【なます(甘酢)】塩: 小さじ1 +- 【栗おこわ】もち米: 6カップ +- 【栗おこわ】栗: 250g(正味) +- 【栗おこわ】小豆: 1カップ +- 【栗おこわ】塩: 小さじ1 +- 【栗おこわ】白ごま: 少々 +- 【吸い物】やまのいも(粘りのあるもの): 250g +- 【吸い物】木綿豆腐: 2/3丁 +- 【吸い物】小麦粉: 適量 +- 【吸い物】揚げ油: 適量 +- 【吸い物】干ししいたけ(小): 10個 +- 【吸い物】みつば: 10本 +- 【吸い物】松葉柚子: 10個 +- 【吸い物】だし汁(煮干しだし): 5カップ +- 【吸い物】薄口醤油: 大さじ3と1/2 +- 【吸い物】塩: 小さじ2と1/2 +- 【吸い物】酒: 大さじ2と1/2 +- 【年取り塩イワシの焼き物】塩イワシ: 10匹 +- 【年取り塩イワシの焼き物】柑橘類の輪切り: 10枚(1/2のもの) + +## 作り方 +1. 【煮しめ(下準備)】(1)乾燥ぜんまいはや干したけのこは、下ゆでして、アクを抜いておく。(2)干ししいたけはもどしておく。固い軸は切り落とす。(3)昆布は2~3分水にもどして、長いまま10cm間隔位で結び目をつくってから切る。(4)里芋は、面取りをしながら皮を剥いて、塩を振りかけてよく揉み、ぬめりを取り、水洗いをしておく。(5)こんにゃくは薄切りにして、真ん中に切り目を入れ、手綱にする。 +2. 【煮しめ】(1)大鍋にだし汁を入れ、しいたけ、結んだ昆布を入れて、昆布が軟らかくなるまで煮る。(2)昆布を取り出して、ぜんまい、たけのこ、里芋、こんにゃくを入れ、軟らかくなるまで煮る。(3)厚揚げを入れ、昆布をもどし、砂糖、酒、醤油、塩を入れて、落し蓋をして煮込む。すべてが軟らかくなったら、火を止め、そのまま3時間ぐらいおいて味を含ませる。(4)1人前ずつ器に盛り付ける。 +3. 【うずら豆の煮豆】(1)うずらは一晩水につける。(2)うずら豆を一度沸騰させ、アクが出てきたら、湯を捨てる。(3)新しい水を入れ、豆が柔らかくなるまで、アクを取りながら弱火で煮る。(4)柔らかくなったら砂糖を数回に分けて入れ、最後に塩少々加える。 +4. 【白和え】(1)こんにゃくは3cm長さの細切りにしてゆでて、調味料Aで下味をつけておく。(2)白菜は1cm幅の短冊切り、人参は3cmの拍子切りにして、それぞれゆでておく。(3)水切りした豆腐をすり鉢ですり、調味料Bで味をととのえる。(4)3に1と2を混ぜ合わせ、器にもり、ごまをふる。 +5. 【なます】(1)大根と人参は千切りにして塩を振り、しんなりしたら水分をよくしぼる。(2)酢じめのアジも千切りにする。(3)1と2を混ぜ、甘酢で和える。(4)器に盛り、ごまをふり、松葉柚子をのせる。 +6. 【栗おこわ】(1)栗は熱湯で1分ゆで、鬼皮と渋皮を剥いて、1/2の大きさにする。(2)小豆はたっぷりの水で2~3分ゆで、一度湯を捨ててアクをぬく。鍋に小豆と小豆がかぶる位の水を入れ、沸騰したら弱火にして少し固めにゆであげる。小豆の煮汁をおたまですくって、できるだけ高いところから落とすを繰り返すと、鮮やかな煮汁になる。(3)小豆とゆで汁に分けておく。(ゆで汁はもち米の6割程度の分量)ゆで汁のうち、1.5カップを取り分け、塩小さじ1/3を入れておく。ゆでた小豆と塩を入れたゆで汁はラップをして、冷蔵庫で保存しておく。(4)冷ましたゆで汁にもち米を一晩漬け、十分に吸水させる。(5)翌日、蒸し器を熱くしておく。(6)水気を切ったもち米を、蒸し布(フキン)を敷いた蒸し段の上に広げて蓋をして強火で約20分蒸す。(7)もち米を蒸し布(布巾)ごと取り出して、ボウルに移し、3の取り分けておいたゆで汁を回しかけて、再び蒸し段にもどす。上に栗、小豆を散らし、さらに強火で20分蒸す。(8)蒸し器から蒸し布(フキン)ごと取り出して飯器にあけ冷ます。器に盛り、ゴマ塩(白ごま)をふる。 +7. 【吸い物】(1)やまのいもは皮を剥いてすりおろして、水きりして潰した豆腐と混ぜ合わせる。緩い時は小麦粉を加えて調整する。(ぼたっとするぐらいの固さ)(2)スプーンですくって油に入れ、表面が色づくまで揚げる。(3)もどした干ししいたけをだし汁に入れて火にかけ、薄口醤油、塩、酒で味を調える。(4)椀に2のやまいもの団子、しいたけを入れて汁を張り、ゆでた三つ葉と松葉柚子を添える。 +8. 【年取り塩イワシの焼き物】(1)塩イワシはグリルなどで焼く。尾は焦げやすいので注意する。(2)さわらの葉を敷いた上に盛り付け、柑橘類の輪切りを添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 藤本 輝子氏 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_6_1.jpg)" +"# 菜豆腐 宮崎県 + +**郷土料理名**: 菜豆腐 + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +県北地方(山間部) + +## 主な使用食材 +大豆、にがり、香りの強い野菜 + +## 歴史・由来・関連行事 +椎葉村は熊本県と境を接する山間部にあり、平家の落人伝説が残る静かな村である。この村では、日常生活の会話に上方言葉が使い継がれており、食生活の中でも京料理を思わせる料理がある。それが豆腐料理の「菜豆腐」である。ここでは白豆腐もつくるが、四季折々の季節の香りと風味を愛で、豆腐の中に、春は菜の花、山藤の花など季節の花や、三つ葉を入れたり、秋から春にかけて自生する野沢菜によく似た「平家かぶ」と呼ばれる青菜をゆでて混ぜた「菜豆腐」をつくる。豆腐の中に花や青菜を混ぜるのは、豆腐の色合い、味、滋養補強もさることながら、豆腐の増量を目的にしており、やせた土地でも育つ「平家かぶ」を利用し、貴重な大豆を節約してきた。なかでも藤の花豆腐は、県内でも他に類をみない珍しい豆腐であり、これは、毎年5月10日前後の米の種まきの祝いの一品としてつくられる。 + +## 食習の機会や時季 +半世紀ほど前まで、椎葉村の人たちにとって日常食は雑穀中心で豆腐はごちそうだった。今でもその伝統は脈々と根付いており「菜豆腐」は祭り、結婚式などのめでたい祝い事や、葬式、法事にも使われたといわれ、椎葉村では村人の生活に馴染んだ味であった。 + +## 飲食方法 +ぴりっとした味のするからし菜を入れたり、桜、山椒の葉、大根の葉を干したものなどを用いたりするが、近年は大根、人参、里芋、青じそ、ほうれん草など季節の野菜を用いるようになった。「菜豆腐」の食べ方は、水につけずに適当な大きさに切り、醤油、練り味噌、柚子味噌をつけてそのまま食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10丁分) +- 大豆(乾): 5kg +- にがり(粉): 100~150g +- 香の強い野菜をゆがいたもの(平家かぶ、人参等): 900g~1kg(季節によって変わる) + +## 作り方 +1. 大豆は水にもどし、すりつぶし、火にかけ沸騰させ、豆乳をつくる。 +2. 野菜はぬるま湯でていねいに洗い、冷ました湯(70~80℃)にさっととおし、細かく切る。季節の花等も入れても良い。(藤の花、菜の花等) +3. 豆乳に、にがり合わせ、野菜を入れ豆腐型に流し込む(60℃程度) + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「郷土料理集」(JA宮崎県女性組織協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_7_1.jpg)" +"# かっぽ鶏 宮崎県 + +**郷土料理名**: かっぽ鶏 + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +県北地方(山間部) + +## 主な使用食材 +地鶏、しいたけ、人参、ごぼう、くれ竹 + +## 歴史・由来・関連行事 +神話と伝説の町として知られる宮崎県高千穂町。この地方では竹のことを「かっぽ」と呼ぶ。かつて、農作業の合間に竹を器代わりにして湯を沸かしお茶を入れたり、竹を水筒として使うなどしていたが、水を注ぐ時に「かっぽかっぽ」という音がすることが由来といわれている。かっぽ(竹)を器として使う料理が「かっぽ鶏」で、竹が豊富にある高千穂町では、昔から食べられている。竹の節と節の間の一部をくり抜き、そこに下味をつけた鶏肉や野菜類などを詰める。くり抜いた部分をふたのようにしてかぶせ、竹ごと火にかける。具材は竹の中で蒸されるようにして、ゆっくりと熱が通っていく。そこに、竹から出る香りとエキス(油分)が加わり、まろやかで独特な味わいとなっていく。竹の風味を楽しむ料理でもあるため、器に使う竹は、エキスが出やすい1年ものの若い青竹が良いのだそうだ。竹の器を使うことと、鶏肉を入れること以外は、特に決まりはなく、具材も味付けも自由である。 + +## 食習の機会や時季 +地元の祭りやイベントなどで振る舞われることも多い。元々は山林の仕事や刈干し切り(山や荒れ地でカヤなどを刈り取る作業)などの昼食時に、谷川の清水をくんできて、山茶の生葉を入れ、たき火で温めてお茶��飲んだことが最初であった。その後、青竹のよい香りや健康によいとされる瀝青油(せきれいゆ)がでるということもあり、地鶏、なば、人参等の地元農産物を混ぜ合わせ、竹筒の中で蒸し焼きにする「かっぽ鶏」にも利用されるようになり、お茶とともに山林の仕事の食事で食べられるようになった。 + +## 飲食方法 +秘伝のたれは、家庭によって調味料が異なる。青竹をくり抜いて竹筒をつくるが、青竹がなければ、土鍋でも代用が可能で、囲炉裏の代わりにBBQコンロで焼くことも可能である。竹筒の中に地元の焼酎を入れ、囲炉裏などで燗をした酒を「かっぽ酒」といい、「かっぽ鶏」と一緒に頂く。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 地鶏: 1枚(200~250g) +- ごぼう: 150g(ささがき) +- しいたけ(中): 2枚 +- 人参: 少々 +- にら: 1/2束 +- にんにく: 2~3かけ +- 塩こしょう: 少々 +- 醤油: 大さじ1 +- くれ竹: 1節 + +## 作り方 +1. 地鶏を食べやすい大きさに切る。ごぼうはささがき、にらは2~3cmの長さに切る。しいたけは薄切り、人参は細切りにする。にんにくは薄切りにしておく。 +2. 1を全部混ぜ合わせて、塩こしょう、醤油で下味を付ける。 +3. くれ竹を準備して節の中央をノコギリを使ってあける。竹を洗って中に2を詰める。 +4. 炭火で蒸し焼きにする。途中、蓋をとり、味をととのえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「郷土料理集」(JA宮崎県女性組織協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_8_1.jpg)" +"# そまげ 宮崎県 + +**郷土料理名**: そまげ + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +県北地方(山間部) + +## 主な使用食材 +そば粉、大根、人参、ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +「そまげ」の「そま」はそばの事で、「げ」はおかゆのこと。椎葉村の郷土料理の「そまげ」は煮干しの出汁を効かせた野菜の入った汁でつくったそばがきのことである。一方、鹿児島県の郷土料理の「そまげ」は、さつまいもを煮て、熱々のうちにつぶしたところにそば粉を加えて丸めたもので、中にあんこを入れる場合もあるようである。都城市ではさつまいもを熱いうちに煮てそば粉を混ぜてつくるものもある。同様のものを椎葉村間柏原あたりでは「ソバガイ」といい、戦中頃まで食べていたといわれており、さつまいものねったくり(ねりくり)をつくって火からおろす際にそば粉を入れて混ぜ、鍋から出して切って食べていた。そばは、タデ科の一年草でやせ地や涼しい山地に適し、8世紀頃から栽培されていた。そばを播いてそばの実が出来たら刈り、その刈ったそばを束ねてよく乾燥させ、むしろの上でぱたぱたと叩いて実を落とす。これを石臼でひいて粉にしてそば粉をつくっていた。そばの栽培は米を節約するためでもあったが、「そまげ」は淡白な山菜や野菜の味を、油、薬味を用いて、濃厚にして清鮮な味をつくり出した見事なそば料理である。 + +## 食習の機会や時季 +その昔はお米の代用として食べられ、寒い日に食べられ「そまげ」が固くなったら囲炉裏で焼いて食べていた。 + +## 飲食方法 +いりこでだしをとり、野菜は千切りにして、塩、醤油で味付けして煮る。煮立ったところへそば粉を混ぜ込みだんご状にする。「そまげ」は固くなったら、小さく切って焼いても食べられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- そば粉: 100g +- 大根: 30g +- 人参: 20g +- ねぎ: 40g +- 青菜: 適宜 + +## 作り方 +1. いりこでだしをとり、野菜は千切りにして、塩、醤油で味付けをして煮る。 +2. 煮立ったところへそば粉を混ぜ込み、団子状にする。「そまげ」は固くなったら、小さく切って焼いて食べても美味しい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「椎葉の郷土料理」(椎葉村役場総務課) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_9_1.jpg)" +"# 稗ずーしー/稗がゆ 宮崎県 + +**郷土料理名**: 稗ずーしー/稗がゆ + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +宮崎県北部(山間部) + +## 主な使用食材 +稗(ひえ)、猪肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +雑炊のことを「ずし」という。お米は貴重であり正月や祭事に食しており、昔の普段は、「稗めし(ヒエメシ)」が主食であった。「稗(ひえ)」は、雑穀の一種で縄文以前から食べられてきており、日本生まれの雑穀と推定されている。外皮が非常に固く長期の貯蔵に耐えることで重宝されてきた。焼畑では、粟と共に、2年目に栽培されている。稗の効果・効能の一つとして体を温める働きがあり、私たち日本人の体質や風土に合った食べものである。「稗めし」は熱いうちは香ばしいが、冷めると味が落ちる。しかし、他の穀物と比べて腹持ちが良かった。山間部に位置する椎葉村では、今も狩猟が盛んにおこなわれており、猪の骨付き肉を湯がいたスープに米、稗、内臓肉、野菜などを入れて炊くあげる雑炊のことを「稗ずーしー」と呼ばれている。 + +## 食習の機会や時季 +ごはんの少ないときや、寒い日の夕食によくつくる長い冬の栄養補給源だった。昔はたくさんの量をつくって家族分を少量の鍋にとりわけて、それをだし汁で増やしてあたためて食べていた。椎葉村では猪をとってさばくと身や骨を大鍋で水炊きし、アクをとってそこに稗を入れ雑炊にして村中に振る舞った。その時の味付けは塩のみとしていた。 + +## 飲食方法 +稗の米(精白した稗)の糠を流す程度に軽く洗い、あらかじめ取っておいた猪のだし汁に稗を入れ、トロ火にかけて約2時間アクをすくい取りながら煮る。味付けは塩のみがよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- ヒエ: 20g +- 猪肉: 30g +- アサツキ(平家蕪の葉等): 10g +- 米: 60g +- 塩: 適量 +- だし汁(シシ): 適量 + +## 作り方 +1. ヒエの米(精白したヒエ)の糠を流す程度に軽く洗う。 +2. 一口大に切った猪肉を油でよく炒める。あらかじめ取っておいた猪のだし汁にヒエを入れ、トロ火にかけて約2時間アクをすくい取りながら煮る。味付けは塩のみがよい。 +3. 猪肉に火が通ったら、米と水を加えて煮込む。おろし際に小口切りにしたアサツキ等の青味をふり入れる。中火以上にすると早く煮えるが、独特のとろ味が出ないので注意。 +4. 沸騰したら、綺麗にした稗を入れて、かき混ぜながら、稗が軟らかくなるまで、中火でじっくりと煮込む。(2時間ぐらいかかる)ここでも中火以上にすると早く煮えるが、独特のとろ味が出ないので注意。途中で水も追加する。 +5. 煮えたら、最後に塩で味を調える。おろし際に、刻んだ平家蕪の葉を散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「椎葉の郷土料理」(椎葉村役場総務課) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_10_1.jpg)" +"# とうきびめし 宮崎県 + +**郷土料理名**: とうきびめし + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +県北地方(山間部) + +## 主な使用食材 +とうきび、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +「とうきびめし」は、その昔この地方では、麦飯とともに中心になる主食であった。とうきび(とうもろこし)は、夏、畑や焼畑に種を播き、秋の中頃に収穫し、ゆでてそのままおやつとして食べたり、焼いてたべたりした。とうきびは、収穫したら束にして馬小屋の軒下の竹さおに掛け、じっくりと乾燥させる。そして山々から吹き降ろす寒風を受け、旨味を蓄える。乾燥させたとうきびを踏臼(ふみうす)で踏み、乾燥させたとうきびの実のひき割りを混ぜて炊いたのが「とうきびめし」であり、高千穂町、五ケ瀬町、日之影町など高千穂地方のふるさとの味だ。米が貴重だった時代、「割りとうきび」で米のかさを増し、人々の腹を満たした。とうきびは高千穂町史によると、大正時代は雑穀の作付面積の6割を占め、食糧や家畜飼料に利用されていたという。また、「とうきびごはん」とも呼ばれる。 + +## 食習の機会や時季 +かつてのこの地方の農村では、一年中麦飯だけでは飽きてしまうこともあり、もの足りないと感じる面もあった。そんなとき、「とうきびめし」の香りと彩りが食欲を満たしてくれた。炊きたてはそのまま食べるが、冷えると美味しくないので、昼と夜の分は熱いうちににぎり飯にしておき、日常的には囲炉裏で焼いて食べていた。 + +## 飲食方法 +北海道の「とうきびめし」はバターが入るが、宮崎県の「とうきびめし」は米に1割か2割のとうきびを混ぜて、水加減は少し多めにし、塩を入れて炊く。最初から米と炊く場合と、とうきびをゆがいておいてあとから米に加える場合がある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (1人分) +- とうきび: 20g +- 米: 160g + +## 作り方 +1. とうきびは、あら挽きしたものを用いてつくる。(小さく挽いたものは、なまのまま米と一緒に洗い、普通の水加減で炊く。) +2. あら挽きのとうきびをあらかじめ少し柔らかくなるまでゆでておく。 +3. 柔らかくしたとうきびを米と一緒に炊く。その際、少し塩味を付けた方が美味しい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「椎葉の郷土料理」(椎葉村役場総務課) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_11_1.jpg)" +"# 冷や汁 宮崎県 + +**郷土料理名**: 冷や汁 + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +県央地方 + +## 主な使用食材 +いりこ、豆腐、きゅうり、なす、麦飯、青じそ、みょうが + +## 歴史・由来・関連行事 +「冷や汁」は、即席のかけ汁で宮崎県の平野部を中心とする郷土料理である。近年は、食文化の情報が広がるにつれて県内に広がり、暑く湿気の多い宮崎県の気候風土の中で根づいていった。自然豊かで山の幸、海の幸に恵まれ黒潮に面した日向灘で採れる新鮮で豊富な魚介類、太陽の恵みを受けた野菜や作物など、美味しい食材の持ち味を生かした食べ方が「冷や汁」である。農民たちが暑い夏に、麦飯に生味噌をのせ、それに水をかけて食べていたことが元になっているといわれている。麦飯のほうも、かつては、丸のままの大麦をいったん炊いてから、水を加えてふやけさせ、それをもう一度炊き上げたものであったらしい。山地の多い宮崎県の農民たちにとって、藩政時代には、米はきわめて貴重なものだったことがうかがえる。 + +## 食習の機会や時季 +かつて農民が夏の重労働をおこなう際、時間や食欲のない時でも充分な栄養補給や体力回復のために、簡単に食べられる生活の知恵として伝承されてきた料理である。近年は少なくなったが、農家や旧家などでお盆に親戚一同が会した時、宴席の締めに食されることが多かった。 + +## 飲食方法 +タイかアジなどの魚を素焼きにして、身をほぐし、骨を丁寧にとっておく。すり鉢で白ゴマをすり、ほぐした魚の身と味噌を入れてすり合わせ、これをすり鉢の内側にまんべんなくぬりつけて、炭火の上にさかさまに伏せ、味噌の表面にいくらか焦げめがつくくらい炙る。焼いた味噌をだし汁でといて、味噌汁より濃いめの汁にしあげ、これを冷たくしておき、小口切りにしたきゅうりをのせ熱い麦飯に冷汁をかけて食べる。タイやアジなどを使うのはぜいたく版で煮干しを炒ったものを材料にする場合もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (6人分) +- いりこ: 50g +- 味噌: 110g +- ごま: 40g +- ピーナッツ: 50g +- 豆腐: 1/2丁 +- きゅうり: 1本 +- しそ: 2~3枚 +- みょうが: 少々 +- しょうが: 少々 +- 麦飯: 6杯 + +## 作り方 +1. いりこの頭と腹わたをとり、フライパンで炒っておく。 +2. ごまも軽く炒っておく。 +3. すり鉢でいりこ、ごま、ピーナッツをよくする。味噌を加え、さらによくする。 +4. 豆腐を入れてすり混ぜる。(豆腐は手でつぶすようにほぐし混ぜる。) +5. 3に人肌くらいに冷ましたお湯600mlを入れ、味噌汁より濃いめに溶かす。 +6. きゅうりは輪切り、青じそ、みょうが、しょうがはみじん切りにしたものを加える。※味噌玉に豆腐をすり混ぜず、最後に豆腐、きゅうり、青じそなどの薬味をいれるつくり方もある。 +7. ごはんにかけて食べる。 +8. ※3をすり鉢の内側にまんべんなく塗りつけ、逆さにふせてコンロの弱火であぶるか、アルミに薄くのばし、トースターなどで焦げ目をつけてもおいしい。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「郷土料理集」(JA宮崎県女性組織協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_12_1.jpg)" +"# 千切り大根(切り干し大根)のまだか漬け 宮崎県 + +**郷土料理名**: 千切り大根(切り干し大根)のまだか漬け + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +県中地方 + +## 主な使用食材 +千切り大根、人参、スルメイカ + +## 歴史・由来・関連行事 +「まだか漬け」とは、宮崎県の郷土料理の漬物である。あまりの美味しさに出来上がるのが待ち切れず「まだかぁ~」という声があがることが名前の由来といわれている。千切り大根、煎り大豆���人参、スルメ、昆布など体に良いものばかりが具材に入る健康的な料理である。宮崎県は、全国の千切り大根の大部分を生産している一大産地である。なお、千切り大根は関西以西の呼び名で、関東では「切り干し大根」で知られている。江戸時代からの代表的な干し物で、当時は尾張ものの愛知県産が主流だった。明治になると、関東地方には千葉産、関西地方に名古屋ものが出回り、宮崎県ものが市場に多く出るようになったのは、昭和10年(1935年)頃からである。原料は青首大根ともいわれる宮重大根で、明治30年(1897年)ごろ、愛知県から宮崎県に移植され、同時に千切りの技術も伝えられた。宮崎県の主産地は国富町で、田野町、清武町がこれに続く。生産量は豊作・不作で異なるが、年間で2,500トンから3,000トンになる。毎年11月下旬から2月にかけて、国富町の畑には千切りを干す棚がずらりと並び、その景色は冬の風物詩ともなっている。農家では収穫した大根を洗って千切りにし、すぐ棚に広げ、霧島おろしの冷たい西風にさらす。真っ白い大根は霧島おろしと南国特有の強い日差しのもと、半日から1日あまりで、薄茶色に縮れた千切り大根に生まれ変わる。 + +## 食習の機会や時季 +一年中つくられているが、特に新しい千切り大根の出来る冬の季節につくる家庭が多い。 + +## 飲食方法 +千切り大根は、流水で手早く洗い、水気を絞る。 人参としょうがは千切りにし、干し昆布は、フキンで拭き千切りに切る。スルメイカは火で炙り小さく切る。大豆はフライパンで炒る。醤油、砂糖の中に漬け込む。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (漬け物容器(大)1個分) +- 千切り大根: 100g +- 人参: 50g +- しょうが: 1/2かけ +- 干し昆布: 25g +- スルメイカ: 1/2枚 +- 大豆: 75g +- 唐辛子: 少々 +- 【調味料A】薄口醤油: 100ml +- 【調味料A】濃口醤油: 100ml +- 【調味料A】砂糖: 90g +- 【調味料A】酢: 200ml + +## 作り方 +1. 千切り大根は、流水で手早く洗い、水気をしぼる。 +2. 人参としょうがは千切りにし、干し昆布はフキンで拭き、千切りに切る。 +3. スルメイカは火で炙り小さく切る。 +4. 大豆はフライパンで炒る。 +5. 唐辛子は好みで小口切りにする。 +6. 調味料Aを鍋に入れ、沸騰寸前に火を止める。 +7. 全ての材料を、手順6の調味料に漬ける。※30分程度でも美味しく食べられる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 宮崎県経済農業協同組合連合会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_13_1.jpg)" +"# ぬた芋 宮崎県 + +**郷土料理名**: ぬた芋 + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +県央地方 + +## 主な使用食材 +里芋、砂糖、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +宮崎県は里芋の生産量が多く、収穫量は埼玉県、千葉県と並んで常に全国上位に位置している。昔からよく食べられている里芋を使った郷土料理が「ぬた芋」である。飲食店でメニューに載っていることは少ないようだが、お通しなどで提供されることもあるようである。名前の由来は定かではないが、和えるときに、ぬたぬたするので「ぬた芋」、また、酢味噌和えとしてよく知られる「ぬた和え」は「ぬるぬるしたところが“沼田”に似ている」ということに由来するといわれており、「ぬた芋」も同様の理由が考えられる。「ぬた芋」は和える時に里芋の角がとれて、とろみが増す。また、ゆでた里芋の一部をすりつぶして合わせることでより豊かなとろみと粘りをでる料理である。秋に収穫できる小さいサイズの『おちこ』と呼ばれる里芋が使われることが多かったようで、小さな里芋を有効に利用する先人の知恵が活かされた郷土食である。里芋は、秋から春先までの汁の実、煮しめなどに使う。里芋は、寒をさけ、日当たりの良いところに埋めて貯蔵していた。 + +## 食習の機会や時季 +昔から日常的に食べられている料理で、秋の収穫祭でよくつくられる。雨の日などに手をかけてつくるおかずである。お酒のおつまみとしてもよい。 + +## 飲食方法 +里芋を皮ごと柔らかくなるまでゆで、皮をむいて適当な大きさに切る。そこにすりごま、味噌、砂糖、みりんなどを合わせた調味料で和えれば出来上がり。ホクホクとした里芋にからむごまと味噌の風味とほどよい甘みは、焼酎のおつまみにぴった���だが、子どもたちのおやつにもなり、全世代に愛されている。はじめて食べてもなつかしさを感じるやさしい味わいである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 里芋: 400g +- 味噌: 大さじ2 +- 白ごま: 大さじ2 +- みりん: 大さじ1 +- 砂糖: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 里芋は皮つきのままきれいに水洗いにして鍋に入れる。 +2. 1の鍋に里芋がかぶる位の水を加えて、火にかけ竹串がスッと通るまでゆでる。 +3. 2の里芋がゆで上がったら、熱いうちに乾いたフキンにとって皮をむく。 +4. 白ごまは仕上げ用に少し残しておき、炒って、よくすり、砂糖・味噌を加えてよくすり合わせる。 +5. 4に3の里芋の01月03日量を熱いうちに入れ、つぶしてよくすり混ぜる。 +6. 5の里芋の固さを見て、みりんでのばす。 +7. 残りの3の里芋は約1.5cmの厚さに切って6に加えて和える。 +8. 7を器に盛って4の仕上げ用の白ごまを振って供する。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「郷土料理集」(JA宮崎県女性組織協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_14_1.jpg)" +"# お茶の葉天ぷら 宮崎県 + +**郷土料理名**: お茶の葉天ぷら + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +日向市、都城市、串間市、川南町、高千穂町、五ヶ瀬町など + +## 主な使用食材 +生茶 + +## 歴史・由来・関連行事 +「お茶の葉天ぷら」は新茶が出来た時に食べられる郷土料理である。宮崎県は、温暖な気候と適度の降雨、そして肥沃な大地に恵まれ、お茶の栽培には最適な環境にあり、荒茶(あらちゃ)生産量は全国上位に位置している。古くは山間に自生する山茶(やまちゃ)を摘んで飲用したといわれている。お茶への取り組みは、宝暦元年 (1751年)に都城島津藩家士の池田貞記が、山城宇治に赴き蒸し製製茶法を取得して藩内に広めたのがはじまりとされ、当時の天皇にお茶を献上したという記録も残っている。戦前までは行政策などがあり成長するものの、大戦の影響を受け失速した。しかし、近年では積極的な機械導入による規模の拡大化、ペットボトル飲料の原料用の茶園ができるなど、生産量が増えている。現在の主な生産地は、日向市、都城市、串間市、川南町などがあり、「やぶきた」をはじめとする多くの品種が栽培されている。その一方では、西北山間地、高千穂町、五ヶ瀬町では伝統的な釜炒り茶の産地として知られている。 + +## 食習の機会や時季 +一年で一番最初に摘みとるお茶のことを一番茶、もしくは新茶と呼び、4月上旬から5月にかけてのおおよそ一ヶ月間に摘まれた新芽をいただく。八十八夜に摘まれた新茶を飲むと寿命が延びる、一年間無病息災で過ごせるなどといわれており、縁起物としても喜ばれている。 + +## 飲食方法 +摘みたての新芽を軽く水で洗い、薄く衣を付けて、サッと揚げる。揚げたてに軽くお塩を振って食べ、新芽は新しい物から3枚までで、下に行けば行くほど苦味が強い。新芽は柔らかくて、お茶の香りとほのかな苦味が、新茶の時期、しかも地元でしか食べられない味わいだ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- 生茶: 100g +- 天ぷら粉: 100g +- 揚げ油: 適量 +- 天つゆ等: 適量 +- 【調味料A】卵: 1個 +- 【調味料A】砂糖: 大さじ1 +- 【調味料A】塩: 小さじ1 +- 【調味料A】顆粒出汁: 大さじ1 +- 【調味料A】水: 100ml + +## 作り方 +1. 葉は新芽の3枚を摘む。(下葉は苦味がある)摘んだ生茶を洗い、熱湯にくぐらせ、水に浸してしぼる。 +2. ボウルに天ぷら粉を入れ、調味料Aを加え混ぜ合わせる。5分位そのままおく。 +3. 食油を160℃位にあたため、材料をしゃもじ等にのせて平たくして揚げる。 +4. ※衣が残っていれば、人参、なす、さつまいも等を揚げて添えれば色合いも良く見た目が良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「郷土料理集」(JA宮崎県女性組織協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_15_1.jpg)" +"# ざぶ汁 宮崎県 + +**郷土料理名**: ざぶ汁 + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +県央地方東部 + +## 主な使用食材 +人参、ごぼう、じゃがいも、大根、かぼちゃ + +## 歴史・由来・関連行事 +「ざぶ汁」は主に根菜類の野菜などの色々な食材を”ざぶざぶ”と煮ることからこの名前がついたといわれている。県央東部に位置する都農町(つのちょう)に主に伝わる郷土料理である。都農町は、西側は尾鈴山、東側は日向灘に面した自然の恵み豊かな町であり、日照時間が長く年間を通して温暖な気候と豊富で良質な水資源に恵まれた県内有数の農業の町でもある。気候を生かしブドウに代表される果樹、トマトやきゅうりなどの野菜、スイートピーなどの花きなどの栽培がさかんであり、「ざぶ汁」に使用される野菜は日向灘に面した温暖な宮崎平野が主な産地となっている。 + +## 食習の機会や時季 +手に入りやすい野菜でつくられていることから年中食べることができる。行事食というよりは日常の家庭料理として食されている。 + +## 飲食方法 +いりこと昆布で濃いめの出汁を取る。野菜は皮をむいて小口切り、練り物は薄切りにする。野菜を炒め、だし汁で煮る。砂糖、醤油で味をととのえ、ねぎを散らす。入れる具材が多いため、家にある身近な食材で代用してつくることができる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- いりこ昆布出汁: 230ml +- 乾しいたけ: 4g +- 人参: 30g +- ごぼう: 30g +- かぼちゃ: 40g +- じゃがいも: 40g +- 大根: 40g +- てんぷら: 10g +- かまぼこ: 10g +- 厚揚げ: 40g +- サラダ油: 大さじ1 +- 砂糖: 3g +- 醤油: 大さじ1強 +- 白ねぎ: 適量 + +## 作り方 +1. いりこと昆布で濃いめの出汁を取る。乾しいたけを水でもどして薄切りにする。 +2. 人参、ごぼう、かぼちゃ、じゃがいも、大根は皮をむいて小口切りにする。てんぷら、かまぼこ、厚揚げは薄切りにする。 +3. サラダ油で人参、ごぼう、じゃがいも、大根、乾しいたけを炒めたら、だし汁を加えて煮る。後から、てんぷら、かまぼこ、厚揚げ、かぼちゃを加えてさらに煮る。 +4. 材料に火が通ったら、砂糖、醤油で味をととのえる。器に盛って小口切りにした白ねぎを散らす。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「みやざきの郷土料理 へらしおレシピ」(宮崎県食生活改善推進協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_16_1.jpg)" +"# とりめし 宮崎県 + +**郷土料理名**: とりめし + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +県内全域、新富町 + +## 主な使用食材 +鶏肉、米、人参、ごぼう、しいたけ + +## 歴史・由来・関連行事 +「とりめし」は、季節の野菜や鶏肉を使った炊き込みご飯の農家飯として、稲刈りや畑仕事の合間に田んぼの畔や、畑仕事の鋤(すき)や鍬(くわ)をかたわらに、家族が握ってくれた「とりめし」のおむすびを、食べる姿が見られる。宮崎県をはじめとする九州地方の、鶏肉を多く食べる地域では日常的に食べられている料理の一つで大勢の人が集まる時には大釜で炊かれ、振る舞われることもある。宮崎県は生産量の指標となる、ブロイラーの飼養羽数(しようはすう)が平成30年(2018年)度全国1位であった。また、宮崎県中部の児湯郡新富町でも、昔から「とりめし」が食べられていた。地元の味を伝えるべく、農家からなる会がその味を受け継いで、平成23年(2011年)より開催された「ご当地グルメコントテスト」で優勝し脚光を浴びることになる。別名「春日ずし」とも呼ばれるが、これは新富町の春日地区に由来する。 + +## 食習の機会や時季 +お祝いの時につくられることが多い。日常的に食べられることも多く、飲食店でも提供されている。お祭りや、イベントなど大勢の人が集まる時には大釜で炊きだされる。地域や各家庭によって個性があるのも魅力ある部分である。 + +## 飲食方法 +細く切った鶏肉を鍋に入れて炒める。だし汁とささがきにした人参、ごぼう、細切りのしいたけなどの具材を入れ、調味料で味をととのえて、全体に味をしみこませる。洗い上がった米に具材を入れ軽く混ぜ合わせ炊きあげる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 2カップ +- 地鶏: 300g +- 人参: 100g +- ごぼう: 100g +- 乾しいたけ(大): 3枚 +- 濃口醤油: 大さじ1 +- 淡口醤油: 大さじ2 +- 砂糖: 大さじ3 + +## 作り方 +1. 米は洗ってざるにあげておく。 +2. 地鶏は油の部分をとりのぞき、細切れにしておく。 +3. 乾しいたけは1時間程、水に浸けてもどした後、千切りにする。 +4. ごぼうはささがきにして水に浸けておく。人参もささがきにしておく。 +5. 鍋に地鶏を入れ���火にかけて炒める。(肉の油があるのでサラダ油は使用しない) +6. しいたけ、ごぼうの順に入れ、しばらく炒めたらしいためのもどし汁少量と砂糖を入れる。しばらくしてから醤油を加え、味がしみ込むまで炒め。冷ましておく。 +7. 釜に米、冷ました具、人参を入れ、軽く混ぜ合わせ炊きあげる。 +8. 炊きあがったら15分程蒸らし、全体を軽く混ぜ、しばらく蓋をして味を馴染ませる。 + +## レシピ提供元 +レシピ参照元名 : 「郷土料理集」(JA宮崎県女性組織協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_17_1.jpg)" +"# 日向黒皮かぼちゃの煮物 宮崎県 + +**郷土料理名**: 日向黒皮かぼちゃの煮物 + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +宮崎市 + +## 主な使用食材 +かぼちゃ + +## 歴史・由来・関連行事 +温暖な気候に恵まれ、日照時間が全国トップクラスの宮崎県で、日光をたっぷり浴びて育つ特産物、黒皮かぼちゃ。黒皮かぼちゃは「日向かぼちゃ」とも呼ばれ、黒く艶やかな皮が印象的な、古くから県民に親しまれている伝統野菜である。民謡にも「日向かぼちゃ」が謡われているなど、県を代表する野菜のひとつとなっている。明治40年(1907年)に宮崎市で初めてかぼちゃが栽培され、大正13年(1924年)には千葉県から黒皮種を導入して、黒皮かぼちゃの一大産地となった。栽培法が特徴的で、支柱につるを這わせ縦にのばす、立体栽培といわれる方法でつくられている。西洋かぼちゃとは違ったさっぱりとした味わいで、まろやかな甘みときめ細かな舌ざわりがあり、甘みは弱い分、カロリーも低いという特徴がある。京都を中心に日本料理の最高級素材として高い人気を得ている。上品な甘みがあり、煮崩れしにくいので、「日向黒皮かぼちゃの煮物」のような料理にぴったりの品種。見た目はごつごつしているが、皮の部分まで美味しく食べることができる。また、βカロテンが豊富で、ビタミンB1、B2、C、カルシウムや鉄も含まれる。 + +## 食習の機会や時季 +今は洋種のかぼちゃが主流になったため、生産者が減り、量販店で販売されることは少ないが、冬至や煮物など、かぼちゃを使う料理には黒皮かぼちゃを使う家庭が多いという。 + +## 飲食方法 +かぼちゃを大きめにカットし、砂糖や薄口醤油などの調味料と一緒にコトコト煮る。カレー、味噌汁、おでんに入れても美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (2人分) +- かぼちゃ: 1/2個 +- 水: 350ml +- 【調味料A】砂糖: 大さじ2 +- 【調味料A】みりん: 大さじ3 +- 【調味料A】薄口醤油: 小さじ1 +- 【調味料A】塩: 小さじ1/2 + +## 作り方 +1. かぼちゃは大きめにカット、面取りし塩水につけておく。 +2. 鍋にかぼちゃと調味料Aを入れ、沸騰するまで煮る。 +3. 沸騰したら火を弱め、落し蓋をして水分がなくなるまで煮る。 +4. 薄口醤油で味をととのえてできあがり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : みやざきブランド推進本部 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_18_1.jpg)" +"# れんこんのすり流し汁/れんこんのごりごり汁 宮崎県 + +**郷土料理名**: れんこんのすり流し汁/れんこんのごりごり汁 + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +県央地方 + +## 主な使用食材 +れんこん、油揚げ、ねぎ、味噌、柚子の皮 + +## 歴史・由来・関連行事 +水沼神社のほとりにある湖水が池のれんこんは、第七代高鍋藩主秋月種成が、貧しい財政立て直しのために、当時良質の品種であった大和産のれんこんを取り寄せ、地元民にれんこんの植栽を推奨したのが始まりといわれている。今でも、独特の歯ごたえと、糸をひくねばりと美味しさで、地元住民から「水神さんの糸引きれんこん」と親しまれている。そのれんこんをすりおろし、だし汁と味噌で味付けしたすり流し汁は、冬の寒さにも負けない、滋養の食事として大切に受け継がれている。れんこん田は、泥が深いため、胴付長靴が必須で、夏は暑く、冬は泥水が冷たい重労働である。そのれんこんを真冬の冷たい泥にもぐって掘り出すのは、もっぱら男性の仕事で、冬の風物詩となっている。れんこんを収穫することができるのは、水沼神社の限られた地区の氏子に限られている。毎年、春祭りで池の区画の割り振りが決められる��� + +## 食習の機会や時季 +れんこんは、空気が少ない泥中にあるため、空洞は取り込んだ空気を行き渡らせて呼吸を助ける役割がある。空気を送る葉柄も、切ると断面に複数の穴があり""見通しが明るい""""子宝に恵まれる""縁起物としてれんこん料理は慶事には欠かせないものになっている。 + +## 飲食方法 +れんこんは金たわしできれいに洗い、油揚げは油抜きをして細めの短冊に切る。細ねぎは小口切りにしておく。鍋にアジ煮干しのだし汁を入れて火にかけ、あまり沸騰しない状態で油揚げを加え、続いて、鬼おろしでれんこんをすりおろしながら入れる。ひと煮したら、溶いた味噌を加え、煮立つ直前に火を止める。器に盛り、青ネギと柚子の皮を添える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 水神様のれんこん: 160g +- 油揚げ: 1枚 +- ねぎ: 10g(8cm) +- 煮干し(アジ)だし汁: 3カップ +- 味噌: 大さじ3 +- 柚子: 適量 + +## 作り方 +1. 煮干し(アジ)は一晩水につけて出汁を取る。(カップ3杯分) +2. だし汁を火にかけ、短冊切りにした油揚げを入れる。 +3. れんこんは金たわしで表面を綺麗にする。(皮を剥いたり、酢水につけることはしない)あまり沸騰しない状態で、れんこんを鬼おろしですり入れる。 +4. 味噌を入れて味をととのえる。あまり濃い味にしない。 +5. ねぎと柚子の皮を添える。 + +## レシピ提供元 +情報提供元 : 新富町通史、新富町観光情報サイト + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_19_1.jpg)" +"# がね 宮崎県 + +**郷土料理名**: がね + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +県央地方 + +## 主な使用食材 +さつまいも、ごぼう、人参、小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「がね」は、南九州(都城市・鹿児島県)地方などの代表的な郷土料理である。「がね」という言葉は、この地方の方言でカニを意味する。からいも(さつまいも)を細く切り、溶いた小麦粉に混ぜて揚げてできあがった姿がカニに似ているように見えることから、その名が付いたと言われており、人参やごぼう、たまねぎなどを入れるなど、それぞれの家庭で少しずつ異なり、おかずや子どものおやつとして昔からつくられてきた。昔、からいも(さつまいも)は牛や馬の餌としてもつくられていたが、土地や気候が合うのかよくとれ、甘みがあっておいしいので、米の補いとしてたくさん栽培されていた。5月頃、畑にからいもの苗を植え、霜の降りるちょっと前に掘る。そのからいもと、ごぼう、にらを細長く切って合わせ、そば粉を入れ、醤油と砂糖を少しずつと水を入れてよく混ぜ合わせ、油で揚げてつくられていた。 + +## 食習の機会や時季 +子どもにはおやつとして、大人には焼酎のつまみとしても食べられている「がね」。霧島連山周辺では人が集まる時には欠かせない料理として、幅広い世代に愛されている。 + +## 飲食方法 +さつまいも(からいも)を使って、衣や具材に味を付けて、小麦粉を入れたりそば粉を入れてまとめて揚げるということ以外、具材や味付けは家庭によってさまざまで、甘めの味付けにすれば、おやつにもなり、塩辛くすればおかずにもなるので、アレンジは家庭によって多種多様である。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10~15個分) +- さつまいも: 中1個 +- ごぼう: 1本 +- 人参: 小1本 +- 卵: 1個 +- 水: 少々 +- 小麦粉: 100g +- 塩: 少々 +- 砂糖: 少々 +- 揚げ油: 適量 + +## 作り方 +1. さつまいもは皮を厚めにむいて大きめの千切りにし、水にさらす。 +2. ごぼうはささがきにし、水にさらす。 +3. 人参もささがきにする。 +4. 卵を割りほぐし水を加え小麦粉と1、2、3をさっくり混ぜ、塩、砂糖少々で味付けする。 +5. 中温でゆっくり揚げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「郷土料理集」 (JA宮崎県女性組織協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_20_1.jpg)" +"# いりこもち 宮崎県 + +**郷土料理名**: いりこもち + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +宮崎県全域 + +## 主な使用食材 +餅米、うるち米 + +## 歴史・由来・関連行事 +名前の由来は、炒ったもち米からつくることから、「いりこもち」と呼ばれる。江戸時代から薩摩藩に伝わった節句菓子で子どもの成長を祝い願って近所に配る風習があり、江戸時代中期頃からは庶民的な菓子として親しまれるようになった。お盆のお供えやおやつとして、現在でも食べられている。「いりこ」とはその製法からきている。餅米を炒って粉にするから「いり粉」という。これを水飴などで練り上げ、寝かせたものを棒状に切り完成する。手軽に手に入る材料を使用し、手順としても難しいものではないが、その時の気温や湿度にも左右される繊細な菓子である。香ばしい香りと優しい甘み、柔らかさが美味しく地域の人々に親しまれている郷土のお菓子である。 + +## 食習の機会や時季 +お盆の供え物やご当地の菓子として食べられている。宮崎県の気候・風土に根ざしたおやつとして通年に渡り、日常的に広く食されている。 + +## 飲食方法 +もち米とうるち米を8:2または7:3に合わせたものを炒って臼でひき、粉にし、砂糖や水・塩などを加えてこねてつくる。いり粉に砂糖・熱湯を入れると、徐々に丸くまとまっていき、あっという間にもちもちした「いりこもち」が出来上がる。白砂糖と黒砂糖を使用する場合もある。硬くなったらレンジで温めて食べることもできる。地元ではこの餅をつくるための煎粉餅粉というのが売られている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- いり粉: 300g +- 片栗粉: 少量 +- 【調味料A】砂糖: 300g +- 【調味料A】水あめ: 50g +- 【調味料A】水: 1と1/3~1と1/2 + +## 作り方 +1. 調味料Aを鍋に入れて火にかけ、泡が立ってきたらすぐ火からおろす。 +2. ボウルにいり粉(もち米:うるち米=8:2または7:3。これを炒って、うすでひいて粉にする)を入れ、調味料Aを少しずつ加え、すりこぎで手早く混ぜる。 +3. 流し箱などに片栗粉を振り2をとりあげ、かたちをととのえる。 +4. よく冷めてから包丁に片栗粉を付けながら切る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「郷土料理集」(JA宮崎県女性組織協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_21_1.jpg)" +"# 地鶏の味噌ころばかし 宮崎県 + +**郷土料理名**: 地鶏の味噌ころばかし + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +県西地方(小林市) + +## 主な使用食材 +地鶏、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +宮崎県で地鶏といえば「地頭鶏(じとっこ)」である。地頭鶏とは、宮崎県および鹿児島県の霧島山麓において古くから飼育されていた在来種である。名前の由来は、江戸時代にこの鶏を飼育していた農家の人達が極めて美味しい肉であることから藩城主の地頭職に献上している内、いつからともなく地頭鶏と呼ぶようになったといわれている。生産羽数が非常に少ないため昭和18年(1943年)に文部省から天然記念物に指定された。昭和60年(1985年)に宮崎県畜産試験場川南支場において、宮崎県の地域性を持つ地頭鶏を原種鶏とした「みやざき地鶏」の開発がスタートし、その後も開発は進み平成10年(1998年)に熊本県・大分県・宮崎県の3県で共同開発した新たな地鶏「九州ロード」が誕生。これを交配に用いたところ、産卵率と有色羽装率が大きく向上し、新たな交配様式が確立され、ついに「みやざき地鶏」が誕生する。平成16年(2004年)に商品の違いを明確にするため「みやざき地鶏」より「みやざき地頭鶏」と命名される。平成22年(2010年)には、2月10日を「みやざき地頭鶏の日」に制定。このように地鶏は宮崎ブランドの一つである。県内では昔から人々に好まれて鶏料理が食べられていた。「地鶏の味噌ころばかし」は、昔から伝わる家庭料理の一つで、「ころばかし」とは県西地方の方言で鍋の中で煮転がす事をいい、この地方特有の地鶏の食べ方として受け継がれている。家庭によってつくり方や一緒に入れる具材が異なる。 + +## 食習の機会や時季 +時期を問わず、各家庭で通年、日常的に食される。また、お祝い事やお客さまへのもてなしに、昔からこの地域では欠かせない料理である。 + +## 飲食方法 +地鶏は一口大に切る。水を使わないので焦げないように注意して調理する。圧力鍋を使うと早いが地鶏の味がなくなるので注意する。こんにゃく、人参、大根、ごぼうの乱切りをゆでて加えても美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 地鶏: 500g +- しょうが: 1片 +- 砂糖: 65g +- 味噌: 80g + +## 作り方 +1. 鍋に油を入れ、しょうが、鶏肉を炒める。中火にして鶏肉が柔らかくなるまで煮る。水は使わないので焦げないように注意する。 +2. 砂糖、味噌を入れて煮つめる。圧力鍋を使うと早いが、地鶏の味がなくなるので注意する。 +3. お好みで、こんにゃく、大根、ごぼう、人参の乱切りをゆでて加えても美味しい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「郷土料理集」(JA宮崎県女性組織協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_22_1.jpg)" +"# 酢のしゅい 宮崎県 + +**郷土料理名**: 酢のしゅい + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +県西地方 + +## 主な使用食材 +イワシ、酢 + +## 歴史・由来・関連行事 +「酢のしゅい」は、おろした大根とイワシを酢と醤油で煮た温かい酢の汁物で、「しゅい」は「汁」のことである。旬の野菜と疲れをとる「酢」を使った郷土料理で「すんしゅい」「酢の汁」とも呼ばれ、餅つきの時などにお餅とともに食べられてきた。寒い日に体を温める食べものとして工夫されてきたものの一つである。酢には強い殺菌力があり、疲労回復にも効果があることは古くから知られているが、江戸時代から米酢が大量に生産されて広く使われるようになった。なますは冷たいのが普通だが、これは汁物で体が温まるのが特徴である。野菜は大根が主に使われるが、これは都城市で昔から蓑原大根(みのはらだいこん)が自生していたので、その利用法の一つともいえる。また、宮崎県の伝統野菜である「佐土原なす」など旬の野菜を入れることもある。魚はイワシをそのまま切り身にしたものや、イワシボールにして使用する。イワシは、主に県北地方において旋網(まきあみ)という漁法で、魚群を巻きながら漁獲され、近年は漁獲量が急激に減少してきているマイワシの他に、ウルメイワシ、カタクチイワシがとれる。イワシには、EPAやDHAなどの不飽和脂肪酸が多く、ビタミンDは成人の一日の必要量の約5倍(100g中)も含まれており、昔から健康、長寿の食べ物として考えられていた。 + +## 食習の機会や時季 +身体が温まるので主に冬に食べられ、日常的に家庭で食べられていた。イワシは秋から冬にかけての時期が特に脂ののりが良く美味しい。新鮮な状態で、食べられるのは、イワシがとれる地元ならではの楽しみである。 + +## 飲食方法 +魚の旨味が大根おろしに絡み、体が温まる郷土料理として親しまれている。出汁はいりこや昆布を使う。イワシはぶつ切りにしたり、ミンチにして塩、しょうが、片栗粉を入れたイワシボールにする場合がある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (12人分) +- イワシ(一夜干し): 2匹 +- 大根: 中1本 +- 薄口醤油: 80ml +- 酢: 120ml +- 水: 2400ml + +## 作り方 +1. 大根をたかおろし器(竹製の粗い大根おろし器)でおろす。 +2. イワシは4~5等分のぶつ切りにする。 +3. おろした大根とイワシを煮る。薄口醤油を加え、煮上がる寸前に、酢を加える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「郷土料理集」(JA宮崎県女性組織協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_23_1.jpg)" +"# せりのよごし 宮崎県 + +**郷土料理名**: せりのよごし + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +宮崎県内各地 + +## 主な使用食材 +せり、塩、豆腐、ごま、砂糖、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +せりはセリ科の多年草で、日本全国の山野に自生している。古く奈良時代にはすでに食用とされていた記録が古事記、万葉集に残されている日本原産の野菜である。水分の多い土壌を好み、沢や河川の水際などに繁殖している。栽培も昔からおこなわれ、稲を刈った後の田んぼやあぜなどにもたくさん生えている。せりの名前の由来は、その生態から一箇所から競(せ)り合って生えているということから名がついた。「よごし」とは白和えのことで、すり鉢やすりこ木を汚しながらつくることからこの名がついたといわれている。豆腐と白ごまを使った白和えは、その季節の野菜を加えて、栄養価が高く風味もよく、昔の人の知恵が感じられる料理である。淡白な味なので、副菜としてよく食べられる。また、白和えは、精進料理にはなくてはならない一品として法事・仏事に手づくりされる。 + +## 食習の機会や時季 +せりは夏に花をつける植物で、春先に柔らかい芽をグングン伸ばす。せりが美味しいのは、その若く柔らかい茎葉の部分なので、旬の時期は2月から4月の春となるが、現在は養液栽培された物が通年出回っており、年中食べられる。 + +## 飲食方法 +せりはさわやかな香りと歯ざわり、そして綺麗な緑が持ち味。加熱する場合は火を通し過ぎないように気を付ける。ゆで時間は量や茎の太さにもよるが、10秒程度で良い。天然のセリは特にアクが強いので、下ゆでした後しばらく水にさらしておく方が良いが、栽培物はそれほどアクは強くない。水気をきった豆腐と胡麻、味噌、砂糖をすり鉢ですり、和え衣をつくり、ゆでて刻んだせりを入れて和える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- せり: 200g +- 塩: 一つまみ +- 豆腐: 半丁 +- ごま: 少々 +- 【調味料A】砂糖: 大さじ2 +- 【調味料A】味噌: 大さじ2 + +## 作り方 +1. せりは塩を一つまみ入れゆがき、3cm位に切る。 +2. ごまを炒り、すり鉢でする。調味料Aも合わせてすり、しぼった豆腐を混ぜる。 +3. 2に1のせりを入れあえる。 +4. 器に盛りごまをふる。お好みでピーナッツを砕いて入れても美味しい。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「郷土料理集」(JA宮崎県女性組織協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_24_1.jpg)" +"# 七とこずし 宮崎県 + +**郷土料理名**: 七とこずし + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +都城市・宮崎市・日南町・高千穂町・延岡市・日向市 + +## 主な使用食材 +米、餅、人参、ごぼう、里芋、白菜、乾しいたけ、油揚げ、大豆もやし、せり + +## 歴史・由来・関連行事 +「七とこずし」は旧島津藩(きゅうしまづはん)の都城(みやこのじょう)地方に伝わる行事食。都城市では、雑炊を「ずし」という。正月の七日のことをこの地方では「ななとこさんの日」という。昔、「ななとこさん」は子どもの成長を願い、数え7歳の子どもが晴れ着を着て近所の家を7軒回り、七草を炊きこんだ雑炊(ずし)をもらうという行事で、この日につくる雑炊は「七とこずし」と呼ばれていた。一般的な七草がゆとは意味合いが異なり、大根、人参、ごぼう、白菜、もやし、せり、しいたけなどの野菜と丸もち、米などを入れてつくる。昔は、結婚式と同じくらい、盛大にお祝いをおこなっていた。近年では7軒の家を回ることは減り、神社などでお祓いを受けてすますことが多くなっているが、現在でも神社や寺院の一箇所でおこなわれており、数軒の家から「七とこずし」をもらい、神社にお参りする。この時期は子どもたちが晴れ着を着てお参りする姿もみられる。 + +## 食習の機会や時季 +数え年7歳になった子どもたちの成長と健康を願い1月7日の朝に炊き、食する。 + +## 飲食方法 +鍋に、大根、人参、ごぼう、里芋、戻したしいたけとだし汁を入れて煮る。炊いたごはんを入れ、調味料で味をつける。餅を入れ、柔らかくなったら、もやし、せりを入れ混ぜ合わせ火を止める。この野菜たっぷりの雑炊を近所の7軒からもらい食していた。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 2合 +- 餅: 2個 +- 大根: 100g +- 人参: 50g +- ごぼう: 50g +- 里芋: 50g +- 白菜: 3枚 +- 乾しいたけ: 3枚 +- 油揚げ: 2枚 +- せり: 10本 +- もやし: 50g +- だし汁: 4カップ +- 【調味料A】淡口醤油: 大さじ4 +- 【調味料A】みりん: 大さじ1 +- 【調味料A】酒: 大さじ2 +- 【調味料A】サラダ油: 少々 + +## 作り方 +1. 米は30分前に洗い、ざるにあげ、普通に炊く。 +2. 大根、人参、里芋は薄めのいちょう切りにし、ごぼうはささ切りにし、酢水に浸けてアクを抜く。 +3. 乾しいたけは縦切りにし、白菜は一口大に切っておく。 +4. せり、もやしは湯通しして、せりは一口大に切っておく。 +5. 油揚げは熱湯をかけ、油分を抜く。 +6. 2と3の野菜と油揚げを鍋に入れ、軽く油で調味料Aを加え炒める。 +7. 炊きあがったごはんにだし汁を加え、炒めた野菜、1cm角位切った餅を入れて、煮る。 +8. 餅がとける位になったらゆでたせり、もやしを加えて混ぜ合わせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「郷土料理集」(JA宮崎県女性組織協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_25_1.jpg)" +"# めの餅あられ 宮崎県 + +**郷土料理名**: めの餅あられ + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +西諸県郡(高原町、小林市)、椎葉村 + +## 主な使用食材 +もち米 + +## 歴史・由来・関連行事 +「めの餅飾り」とは南九州地方に伝わる小正月の伝統行事で、五穀豊穣、家内安全を祈願して、紅白のお餅の他に黄色、緑のお餅をついて、1月15日の朝、小鳥が起きないうちに切りとった榎木(えのき)の枝に刺して床の間や台所、軒先、仏壇や墓などに飾られる。「めの餅あられ」はこの飾り物で、「めの餅」を1月30日まで飾り、片付けるときに油で揚げてあられにした。語源は「繭(め)のもち」とされ、繭(まゆ)の豊産を祈ってかたどったものがはじまりといわれ、厄払いや農作物の豊穣、春の訪れを祝う飾りなどといわれている。「あられ」という菓子は奈良時代に唐などからの使者に対して宮廷で出されたもてなしの食べ物だった。すでに平安時代にかきもちの一種として「アラレ餅」「玉アラレ」と称して生産されたことが「山城風土記」に見られ、江戸時代には商品として大量に生産されるようになった。あられという名前は、餅を煎るときの跳ねるような音や、小さく膨らんだかたちが、空から降ってくる氷粒の「霰(あられ)」に似ていることから付けられた。 + +## 食習の機会や時季 +目の餅飾りは1月15日の小正月につくり、1月30日頃まで飾り、その後あられにする。 + +## 飲食方法 +行事飾りとしての役目を終えて、片付ける際に、榎木につけていた餅を外して油で揚げてあられにする。醤油やきな粉など好みで味付けをして食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (約10人分) +- もち米: 1升 + +## 作り方 +1. もち米は一晩水に浸しておき、蒸し器で蒸してつく。 +2. ついた餅をもちとり粉の上に1cmの厚さに広げてのばす。 +3. 2の餅が切れる位になったら1cm角に切り分ける。 +4. 3を枝にさす。固くなっための餅を160℃の油でゆっくりと揚げる。揚げた餅に醤油、きな粉、塩などを好みでふる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「郷土料理集」(JA宮崎県女性組織協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_26_1.jpg)" +"# おび天 宮崎県 + +**郷土料理名**: おび天 + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +飫肥地区 + +## 主な使用食材 +イワシ、アジ、シイラ、サバ、トビウオ、サワラなど、木綿豆腐、しょうが + +## 歴史・由来・関連行事 +「おび天(飫肥天)」とは、宮崎県日南市飫肥(おび)地区の郷土料理で、魚肉練り製品。揚げかまぼこに分類される。飫肥藩領であった江戸時代に領民たちによって考え出され伝わってきた料理である。もともと飫肥周辺では味噌を使う料理が多く、南西諸島からの移住者を中心に、19世紀半ばにサトウキビの栽培がはじまったことなどを背景に、味噌と黒砂糖を使う「おび天」が誕生したと考えられている。イワシ、アジ、シイラ、サバ、トビウオ、サワラなど日向灘の近海でとれる大衆魚を、丸ごとすり身にしたものに豆腐を混ぜ、味付けに味噌や醤油、黒砂糖を加え揚げてつくる。見た目は薩摩揚げに似ているが、豆腐が入っているため薩摩揚げに比べて柔らかく、ふわりとした食感で、少し甘めで独特の味わいがある。通常、煮るなどの二次的加工を施されずに揚げたそのままで食べる。飫肥地区では「おび天」の定食を提供する飲食店もあり、揚げたてを食べることができる。 + +## 食習の機会や時季 +通年にわたり日常的におかずとして食べられている。また、田植えや稲刈り、運動会などの行事などでも登場する。さらに、飫肥城下(日南市)の飲食店でも食べられる。 + +## 飲食方法 +魚をおろし、骨をとり、こそぎ軽くたたいき、水気を切った豆腐とすり鉢でする。しょうが、とき卵、調味料を加えて、さらによくすり、好みのかたちにし、油で揚げる。江戸時代から伝わる庶民の味で常温の天ぷらも美味しいが、揚げたては黒砂糖の甘みが感じられ、おやつ代わりにも食べられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5~6個分) +- トビウオ(正味): 150g +- 木綿豆腐: 100g +- しょうが: 8g +- 卵: 1/2個 +- サラダ油: 適宜 +- 【調味料A】塩: 2.5g +- 【調味料A】醤油: 18g +- 【調味料A】味噌: 9g +- ��調味料A】みりん: 18g +- 【調味料A】砂糖: 30g + +## 作り方 +1. 魚は3枚におろし、骨をとって、まな板の上でこそぎ軽く叩く。 +2. 豆腐はフキンに包んで水気をしぼる。 +3. しょうがはみじん切りにする。 +4. すり鉢に豆腐を入れてよくすり、魚を加え更によくすり、とき卵、調味料Aを加え、味を付ける。 +5. 中温よりやや低めの油でお好みのかたちにしてゆっくり揚げる。 +6. ※ごぼうやにらなどお好みの野菜を加えても美味しくいただける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「郷土料理集」(JA宮崎県女性組織協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_27_1.jpg)" +"# かに巻き汁 宮崎県 + +**郷土料理名**: かに巻き汁 + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +北郷町、日南市北郷・酒谷地域 + +## 主な使用食材 +山太郎ガニ、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +「かに巻き汁」は宮崎県南部の北郷町(きたごうちょう)に伝わる郷土料理で、北郷町を流れる酒谷川(さかたにがわ)や広渡川(ひろとがわ)で秋から冬にかけてとれる「山太郎ガニ」(北郷町での呼称で正式名はモクズガニ。上海ガニの仲間)を使う。「山太郎ガニ」は海で生まれ、川を上って成長した後、海で産卵するために川を下るため、そこを狙って漁をおこなう。この地域では山太郎ガニは貴重なたんぱく源であり、「かに巻き汁」は味噌がカニの旨味を包み込むことから、その名前がついたといわれる。その独特の味わいは、秋になるとこの地域で待ちわびる一品である。 + +## 食習の機会や時季 +旬である9月から10月頃にかけて食べられている。(近年は商品化もされ、この時期に一年分を仕入れ、仕込む) + +## 飲食方法 +北郷町に秋を告げる味噌仕立ての汁物である。生きた「山太郎ガニ」をよく洗った後、甲羅を外し、臼と杵、あるいはミキサーにかけて、細かく砕きつぶす。そこに、水と味噌を加えてさらに混ぜ、ざるで、きれいに濾して鍋に入れる。弱火でゆっくり熱を加えていくと、カニに含まれるタンパク質や味噌の成分などが反応し、おぼろ豆腐のように固まっていく。それを器に入れ、おろししょうがやねぎを加える。澄んだ味噌仕立ての汁に浮かぶ、ふわふわとした食感のなかに、カニの旨味が凝縮されている。ゆでて食べても美味しいカニを、少しも無駄にせず丸ごとすりつぶすことで、濃厚な旨味が生まれる。 家庭で簡単につくることができ、そうめんやうどんを入れて食べても美味しい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 山太郎ガニ(甲羅をとったもの): 200g +- 味噌: 100g +- 水: 800ml + +## 作り方 +1. つき臼に、カニの洗ったものを入れ、杵である程度砕き、途中味噌を入れ、さらに砕く。(ミキサーを使用しても良い) +2. 細かくなったら水を徐々に入れ、400ml位入れたらざるでこす。 +3. ざるに残ったカニを臼にもどし、杵でつき、残りの水を入れさらにざるでこす。 +4. ざるでこしたカニ汁をもう一度こすとなめらかになる。 +5. この汁を鍋にうつし、はじめは強火で炊き、沸騰し始めたら弱火にし、炊きあげる。 +6. 好みによってしょうが汁、ねぎなどを入れていただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「郷土料理集」(JA宮崎県女性組織協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_28_1.jpg)" +"# ねりくり/ねったぼ/芋もち 宮崎県 + +**郷土料理名**: ねりくり/ねったぼ/芋もち + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +都城市 + +## 主な使用食材 +甘藷(かんしょ)、もち、砂糖、きな粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +宮崎県ではさつまいものことを甘藷(かんしょ)と呼ぶ、甘藷(かんしょ)でつくる「ねりくり」は主に都城市付近で食される。地域によっては「ねったぼ」、「ねったくり」、「からいも餅」などとも呼ばれる。江戸時代からつくられていた料理とされ、餅と蒸した甘藷(かんしょ)を合わせてつくる芋餅の一種である。昔はお正月の餅をつくときに、最後の一くぼ(もち米一臼分)に、煮た甘藷(かんしょ)を入れて搗(つ)きあげていた。 正月に余って硬くなった餅や水餅などを使ってつくられ、ゆでた餅と蒸した甘藷(かんしょ)をついて丸め、食べるときにきな粉をまぶして食する。「ねりくり」とは、宮崎弁で『つきまぜる』という意味で、練ったぼたもちとも、また、「ぼったぼった」と練ってつくところからその名がついたともいわれている。「ねったぼ」は、主食の代わりや農家の間食として食されてきた。日本では薩摩藩が発祥とされるさつまいもは、大陸のカラ(唐)から伝来したので、旧薩摩藩ではからいも(唐藷)といわれ、都城市でも同様の呼び方をする。 + +## 食習の機会や時季 +年末年始に餅つきをする際に、つくって食べる風習がある。正月以外にも、おやつとして食されることもある。 + +## 飲食方法 +蒸し上がった甘藷(かんしょ)ともちをすり鉢で丁寧につき混ぜる。かたちよく丸め(または適当な大きさにちぎり)きな粉をまぶす。別に小豆あんをつくっておき、中に入れる場合もある。甘藷(かんしょ)を蒸す途中で市販の切り餅を甘藷(かんしょ)の上にのせて一緒に蒸し、柔らかくなったらつき混ぜると良い。全体に馴染んだら、食べやすい大きさにちぎり分け、きな粉と砂糖、少々の塩を混ぜた中に入れてまぶして食べる。甘藷(かんしょ)と餅の割合は、3:1くらいが良いという。家庭でも手軽に食べられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (約40人分) +- 甘藷(かんしょ): 3kg(正味) +- もち米: 1升(1.5kg) +- きな粉: 大1袋 +- 【調味料A】白砂糖: 1kg +- 【調味料A】塩: 大さじ1 + +## 作り方 +1. もち米は洗って水に浸しておく。(10時間位) +2. 甘藷(かんしょ)は皮をむき、乱切りにし水に浸けてアクを抜く。 +3. 水切りしたもち米と甘藷(かんしょ)をそれぞれ蒸す。 +4. 蒸しあがったもち米を餅つき機でつく。 +5. もち米がつきあがったら、蒸した甘藷(かんしょ)を中に入れる。 +6. 5の中に調味料Aを入れ、再びつく。 +7. きな粉を引いた型に流し入れ固め、お好みの大きさに切り、上からきな粉をふる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「郷土料理集」(JA宮崎県女性組織協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_29_1.jpg)" +"# つわぶきの油炒め 宮崎県 + +**郷土料理名**: つわぶきの油炒め + +**都道府県**: 宮崎県 + +## 主な伝承地域 +宮崎市・都城市・日南市 + +## 主な使用食材 +つわぶき、人参、油揚げ + +## 歴史・由来・関連行事 +つわぶきは、日本原産で本州の福島県・石川県以南に自生しているが、主に、九州地方など一部地域で古くから食用とされてきた。現在、山菜として出荷されているものは、宮崎県、大分県佐伯市や鹿児島県などで栽培されているものであるが、県南部の沿岸地帯は、温暖な気候で海岸線に沿って自生している。日南地方では、つわぶきは毒消しの作用が伝えられ、大正時代、北九州の炭鉱夫が食べるということで盛んに出荷された。つわぶきは、キク科ツワブキ属の多年草であり、その外観などから石蕗(イシブキ)、または、艶葉蕗(つやばぶき)、単にツワとも呼ばれることがある。ふき(蕗)とよく似ているが、ふきが夏に葉を広げるのに対し、つわぶきは常緑性で一年中青々としており、ふきより葉が厚くて表面につやがあり、緑色が濃く、茎や葉には綿毛がたくさん付いている。また、ふきのようにふきのとうは出来ず、秋から晩秋にかけて花茎をのばし黄色い花を咲かせる。佃煮、和えものなど様々な料理に使われており、「つわぶきの油炒め」は、つわぶき料理の一つとして日南地方でよくつくられている庶民的な料理である。 + +## 食習の機会や時季 +つわぶきは春の食材である。九州での収穫は1月頃からはじまり、若葉がぐんぐん出てくる3~4月に最盛期を迎え、食べ頃の旬もその頃となる。家庭で日常的におかずとして食べられている。 + +## 飲食方法 +つわぶきは、皮をむき水にさらしてあく抜きをし、たっぷりのお湯に塩を入れゆでる。ゆでたつわぶきをよく炒め、油あげなどを加え、醤油、砂糖などで味付けする。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (5人分) +- つわぶき: 500g +- 油揚げ(厚揚げ): 1枚 +- いりごま: 適量 +- 【調味料A】砂糖: 大さじ2 +- 【調味料A】醤油: 大さじ2 +- 【調味料A】サラダ油: 大さじ3 +- 【調味料A】塩: 少々 + +## 作り方 +1. つわぶきは皮をむき水にさらしてアク抜きをする。 +2. たっぷりのお湯に塩をふり入れつわ���きをゆでる。 +3. ゆでたつわぶきをサラダ油でよく炒める。 +4. 短冊切りにした油揚げ、調味料Aを加えさらに炒める。 +5. 火を止めた後、いりごまをふる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「郷土料理集」(JA宮崎県女性組織協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_30_1.jpg)" +"# さつまえび雑煮 鹿児島県 + +**郷土料理名**: さつまえび雑煮 + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +薩摩半島 + +## 主な使用食材 +焼きエビまたは干しエビ、人参、干ししいたけ、餅、豆もやし、かまぼこ 里芋・春菊 + +## 歴史・由来・関連行事 +日本各地で、その内容に特色があらわれる「雑煮」。出汁の素材や味、中に入れる具材、餅の形状など、地域によってさまざまである。正月の三が日に雑煮を食べる風習は、室町時代に武家の間で祝い膳として雑煮が出され、そこから庶民に広まったといわれている。鹿児島県は地域によって違いがあるが、薩摩地域では椀からはみ出るほど大きなエビがのった「さつまえび雑煮」が知られる。「さつまえび雑煮」がつくられるのは、薩摩藩主の島津家が「えび雑煮」を食べており、それが庶民にも広まったとされている。鹿児島県の出水沖は、古くからエビ漁が盛んで、桁打瀬船(けたうたせぶね)という伝統漁法でエビをとり、それを炭火で乾燥させて焼きエビにしたものを島津家に献上していたという。現在でも年末に干物屋の軒先に焼きエビがつるされている光景が見られ、鹿児島県の冬の風物詩となっている。 + +## 食習の機会や時季 +正月の三が日に食べられる。エビは長寿、里芋は子孫繁栄、そして“まめまめ”しく元気で働けるようにと豆もやしが主に使用されるのが特徴である。 + +## 飲食方法 +焼きエビまたは干しエビと干ししいたけは水で戻したら火にかける。干ししいたけに火が通ったらカツオ節を入れ、出汁をとる。人参は飾り切りにしてゆでておく。焼いた餅と具材を器に入れ、だし汁を注ぎ入れていただく。エビの香ばしい香りが口の中に広がり、高級感を感じさせる仕上がりになる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 焼きエビ(または干しエビ): 大4尾 +- 干しいたけ: 4 枚 +- 水: 1L +- カツオ節: 10g +- 【A】 淡口醤油: 大さじ2 +- 【A】 地酒: 大さじ1 +- 人参(花型): 4 枚 +- 豆もやし: 100g +- かまぼこ: 4 枚 +- 餅: 4 切 +- 三つ葉: 4 枚 +- 柚子の皮: 少々 + +## 作り方 +1. 焼きエビ(または干しエビ)と干しいたけを1Lの水で戻し、火にかけ、干しいたけが煮えたら汁と具に分ける。人参は花型に切り、ゆでる。 +2. 1の汁に水を足して1 Lにして火にかけ、沸騰したらカツオ節を入れ、再び沸騰したら火を止め、2~3 分したらこす。 +3. 2に淡口醤油と地酒で調味し、エビ、しいたけを入れ、しばらく煮た後に豆もやしを加えて、火を通す。かまぼこも飾り切りして軽く煮る。 +4. 椀に豆もやし、焼いた餅、しいたけ、人参、エビ、かまぼこを盛り、汁を注ぎ、三つ葉と柚子の皮をそえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : NPO法人 霧島食育研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_29_1.jpg)" +"# がね 鹿児島県 + +**郷土料理名**: がね + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +さつまいも、人参、ニラ、小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「がね」は鹿児島県の特産品として全国に知られるさつまいもを食材とした郷土料理。全国1位のさつまいもの生産量を誇る鹿児島県。鹿児島県は、温暖な気候に恵まれているが、霧島山を除く大部分がシラス台地で非常に水捌けが良く、また台風が頻繁に襲来するころから、せっかく育てた農作物に被害が及びやすい。そうした背景から、土壌がやせていても育ちやすく、かつ地中で成長するため台風の被害も受けにくいさつまいもの栽培が鹿児島県で強く根づいてきた。さつまいもの伝来については諸説あるが、1698年に種子島島主の種子島久基が琉球に使いを出してさつまいもを持ち帰り、その後、1705年に山川の船乗りであった前田利右衛門がさつまいもを自分の畑で栽培して近隣の人々に配ったところ評判を呼び、鹿児島県全域に広まったといわれる。収穫量が多く、貧しい者の食糧に最適であったことから“孝行芋”とも呼ばれた時代があった。同じ鹿児島県の特産品である黒豚は、餌の中にさつまいもを混ぜて育てられることで知られ、またさつまいもを原料にした芋焼酎も鹿児島県を代表する特産品であり、さつまいもは鹿児島県の食文化を支える重要な食材であるといえる。そのため、鹿児島県においては、さつまいもを使った郷土料理が多数存在する。その中の一つが「がね」である。「がね」は、さつまいもや野菜を太めの千切りにし、衣をつけて揚げる料理。その見た目が“かに(鹿児島弁でがねという)”に似ていることからこの名がついた。砂糖を多く入れ甘めな味付けが特徴で地域により具材や衣の材料は違う。 + +## 食習の機会や時季 +年間を通して食べられる。おかずや、お茶うけや子どものおやつ、酒の肴として食べられている。そのほかにも、正月料理や葬式などの冠婚葬祭の際にも振る舞われる。 + +## 飲食方法 +さつまいも、人参を太めの千切りにし、ニラはさつまいも、人参と同じくらいの長さに切る。小麦粉、もち米粉、砂糖、卵、薄口醤油、塩、水を加えながら衣が具にまとわりつく感じになるまで混ぜる。木杓子の上で、横長のカニのかたちになるようにかたちをととのえ、170度の油でじっくり揚げる。菜箸で具を放射状に広げながら油で揚げるのがポイントである。地域や家庭によって、さつまいも以外に使う野菜や、衣の味付けは異なる。地域によって衣にそば粉を使ったり、甘みを出すのに黒砂糖を使うこともある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (8~10個分) +- さつまいも: 200g +- 人参: 50g +- ニラ: 30g +- [衣]小麦粉: 100g +- [衣]もち米粉: 50g +- [衣]砂糖: 40g +- [衣]卵: 1個 +- [衣]淡口醤油: 大さじ1.5 +- [衣]塩: ふたつまみ +- [衣]水: 80cc程度 +- 油: 適量 + +## 作り方 +1. さつまいもは薄く皮を剥き(ところどころ皮を残す)、5mm角×7~8cmの細切りにする。ボウルに水を張り、さつまいもが完全に浸るようにさらしてざるに開ける。人参は薄く皮を剥き、さつまいもより短めの2~3cmに切る。ニラは7~8cmの長さに切る。 +2. ボウルに1と水以外の材料を加えながら衣が具にまとわりつく感じになるまで混ぜる。 +3. 鍋に油を3cm以上の深さになるように入れて、170度になるように熱する。 +4. 木杓子で具をすくい、横長にカニの姿のようにかたちをととのえる。菜箸で向こう側に押すように鍋に落とし、2、3分でひっくり返し、さつまいもの甘い匂いがしてきて全体がきつね色になったら揚げ上がり。バットにキッチンペーパーを敷き、立てて並べると油の切れが良い。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : NPO法人霧島食育研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_11_1.jpg)" +"# つけあげ 鹿児島県 + +**郷土料理名**: つけあげ + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +魚のすり身、木綿豆腐、地酒、砂糖、薩摩芋でんぷん + +## 歴史・由来・関連行事 +「つけあげ」は、他県で“さつまあげ”、“てんぷら”、“揚げかまぼこ”などと呼ばれる。その歴史は古く、江戸時代に薩摩藩28代当主・島津斉彬が、諸藩に伝わる紀州はんぺんやかまぼこにヒントを得て、高温多湿の鹿児島県の気候に合わせて保存性が高まるよう揚げ物にしたのがはじまりだという説や、琉球料理の揚げかまぼこである“チキアーギ”がなまって「つけあげ」になったという説がある。「つけあげ」は、魚のすり身に豆腐や鹿児島県独特の酒である地酒を混ぜ、油で揚げてつくる。原材料の魚は、主にアジ、サバ、トビウオが一般的。上物としては、エソやハモ、グチなども使われる。鹿児島県の「つけあげ」は、砂糖を入れて甘口に仕上げるのも特徴。「つけあげ」に使う地酒は、同じく鹿児島県の郷土料理である「酒ずし」にも使われる酒で、清酒をつくる過程のもろみに、灰汁を加えて絞ってつくる。黒酒または灰持酒(あくもちざけ)とも呼ばれ、みりんの代わりに使ったり、おとそとしても飲まれている。鹿児島県は温暖な気候のため、昔は一般的な清酒づくりは適さず、代わりにこの黒酒(灰持酒)の製造が盛んになった。火いれをしないため、アミノ酸が豊富に残り、「つけあげ」の魚の旨味を引き出してくれ��。 + +## 食習の機会や時季 +特に時期は問わず、年間を通してよく食べられている。おかずの一品としてのほか、酒の肴としても好まれている。また、野菜炒めや卵とじの具材など、幅広く使われる食材である。 + +## 飲食方法 +フードプロセッサーで魚の身をすりつぶし、そこへ水切りした豆腐、卵、薩摩芋でんぷん、砂糖、地酒の灰持酒などを入れてさらにすり、最後に塩を加える。全体が馴染んだら、棒状や角型、小判型などに成形し、160℃くらいの油で表面が黄金色になるまで揚げる。人参やごぼう、れんこんなど、好みの野菜を入れると、また違った食感や味わいが楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 魚すり身: 240g +- 塩: 小さじ1弱 +- 木綿豆腐: 80g +- 卵(全卵): 1個 +- 片栗粉: 大さじ1 +- 【A】 地酒: 大さじ2 +- 【A】 淡口醤油: 大さじ1 1/2 +- 【A】 砂糖(上白糖): 大さじ2 +- 【A】 油: 大さじ1 1/2 + +## 作り方 +1. すり身をすり鉢でよくすり、塩を加え、粘りが出るまでさらによくする。豆腐は湯通ししてからかたく絞って水気を切り、すり鉢でよくする。※フードプロセッサーを使用しても良い。 +2. 1に卵、片栗粉、Aを加えてよくすり、棒状や角型、小判型などにかたちをととのえ、中温(160℃くらい)で色よく十分揚げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 鹿児島県学校栄養士協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_7_1.jpg)" +"# 鶏飯 鹿児島県 + +**郷土料理名**: 鶏飯 + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +奄美地域 + +## 主な使用食材 +米、鶏肉、干ししいたけ、卵、パパイヤの味噌漬け、ねぎ、みかんの皮、のり + +## 歴史・由来・関連行事 +「鶏飯」は、ほぐした鶏肉、干ししいたけ、錦糸卵、パパイヤの味噌漬け、みかんの皮などを、白いごはんの上にのせ、鶏ガラのスープをかけて食べる、奄美地域を代表する郷土料理である。かつて、奄美群島が薩摩藩の支配下に置かれていた時代、鹿児島本土からやってくる役人たちの威圧的な態度を少しでも和らげるためにつくられたのがはじまりだといわれる。当時、非常に貴重なものであった鶏を余すことなく使ってつくった「鶏飯」で役人たちをもてなしたという。また、このころはまだスープをかける風習はなく、鶏の炊き込みごはん風にして食べていた。昭和に入ってから鶏ガラのスープをかけて食べるアレンジが浸透し、いまではそれが一般的となっている。 + +## 食習の機会や時季 +年間を通してよく食べられている。祝い事やもてなしの席などでよくつくられ食されている。 + +## 飲食方法 +水が入った鍋に、鶏ガラ、しょうがを入れ、火にかけたら、ここへ鶏肉(ささみ)を入れてゆでる。鶏肉に火が通ったら、冷まして細く裂き、残った汁はこしてスープにする。しいたけ、さやいんげんは千切り、卵は錦糸卵にしたら、「パパイヤの味噌漬け」などとともに、皿にきれいに並べる。ごはんを用意したら、そこへ具材を彩りよく盛り付け、スープをかけて食べる。この時、ごはんは少なめ、スープ多めにして、さらさらとかきこむようにして食べるのが良しとされる。鶏ガラからしっかりとったスープは、コラーゲンの旨味なども相まって、非常にコクのある仕上がりになる。家庭で簡略してつくる場合は鶏ガラスープの素を使うこともある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 320g +- 水: 480cc +- 鶏ガラ: 240g +- 水: 800cc +- しょうが(薄切り): 少々 +- 鶏ささみ: 60g +- 【A】 塩: 少々 +- 【A】 清酒: 小さじ2 +- 【A】 淡口醤油: 大さじ1 +- 【A】 本みりん: 小さじ2 +- 干ししいたけ: 8g +- 干ししいたけ戻し汁: 80cc +- 【B】 淡口醤油: 小さじ2 +- 【B】 本みりん: 小さじ1 +- 卵: 2個 +- 【C】 砂糖(上白糖): 少々 +- 【C】 塩: 少々 +- さやいんげん: 80g +- 塩: 少々 +- 葉ねぎ: 20g +- パパイヤの味噌漬け: 40g +- みかんの皮: 少々 +- 焼きのり: 少々 + +## 作り方 +1. (下ごしらえ)干ししいたけは洗って水で戻し、戻した汁はだし汁として使う。米は炊く30分前にといで、分量の水に浸しておく。鶏ガラはよく洗って余分なものを取り除く。葉ねぎ、パパイヤの味噌漬け、みかんの皮はみじん切りに、焼きのりは千切りにする。 +2. 米は普通に炊く。 +3. 水(800cc)をはっ��鍋に、鶏ガラ、皮付きのしょうがを入れて火にかける。 +4. アクを取り除きながら弱火で1時間くらい煮たら、鶏ささみを入れてゆでる。 +5. 鶏ささみは取り出して細かく裂き、だし汁はこし、Aを入れてスープとして使う。 +6. Bと干ししいたけの戻し汁を火にかけ、千切りにしたしいたけを煮含める。 +7. さやいんげんは塩ゆでし、細めの千切りにする。 +8. 鶏ささみ、しいたけ、錦糸卵、さやいんげん、葉ねぎ、パパイヤ漬け、みかんの皮、のりを皿にきれいに盛り付ける。 +9. ごはんを茶碗に盛り、8をかたち良くのせて5のスープをたっぷりかけていただく。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「郷土食の料理集」(公益社団法人 全国学校栄養士協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_6_1.jpg)" +"# さつま汁 鹿児島県 + +**郷土料理名**: さつま汁 + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +鶏肉、干ししいたけ、こんにゃく、ごぼう、人参、大根、里芋、味噌、ねぎ + +## 歴史・由来・関連行事 +「さつま汁」とは、鶏肉を使った具だくさんな味噌汁のこと。『薩摩旧伝集』によると、鶏をしめて煮て食べる風習は古くからあったとされる。鹿児島県では、江戸時代から薩摩武士たちが士風高揚のため、盛んに闘鶏をおこなっていた記録があり、その際に負けた鶏をその場でしめ、男たちが野菜と一緒に煮込んで食べたのがはじまりだといわれている。また、闘鶏が禁止された後も、各家庭で鶏が放し飼いにされ、来客がある時や祝いの席のために鶏をしめて調理して食べていたという。現在にいたるまで鶏の飼育が盛んな鹿児島県。県を代表する地鶏のさつま若しゃも、さつま地鶏、黒さつま鶏は「かごしま地鶏」としてブランド化されている。かごしま地鶏は薩摩鶏を原種とし、肉の弾力、甘み、色合いが非常に良く、ブランド鶏として人気がある。薩摩鶏は、江戸時代に闘鶏用に飼育され、現在は観賞用としてのみ飼育されている。このように、古くから鶏は鹿児島県において自給の食料として根づいていたことから、「さつま汁」のほかにも、「鶏刺し」や「鶏飯」、「煮こみ料理」、「やきとり」など、さまざまな鶏料理が親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +古くは、祝いの席など特別な日に鶏をしめてつくられることが多かった。現在は、特に決まった時期はないが、具だくさんで体が温まるため、寒い冬によく食べられている。 + +## 飲食方法 +鶏肉、しいたけ、こんにゃく、ごぼう、大根などの具材を炒めたら、だし汁を入れ、煮えたら味噌や調味料を加えて味をととのえていただく。好みでねぎやしょうがなどの薬味を加えても良い。鶏肉の出汁が味噌汁に染み出し、滋味に富む味わいを楽しめる。味付けや鶏肉以外に入れる具材は、家庭や季節によって異なる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 油: 小さじ1 +- 鶏もも肉(小間切れ): 60g +- 干ししいたけ(水で戻し千切り): 4g +- こんにゃく(短冊切り): 60g +- ごぼう(小さめささがき): 60g +- 人参(0.5cm幅いちょう切り): 60g +- 大根(0.5cm幅いちょう切り): 80g +- だし汁(しいたけ戻し汁+水): 800cc +- 里芋(1cm幅いちょう切り): 120g +- 生揚げ(さいの目切り): 60g +- 麦味噌: 60g +- 黒砂糖: 少々 +- 酒: 少々 +- 葉ねぎ(小口切り): 適宜 + +## 作り方 +1. 干ししいたけは洗って水で戻す。戻した水はだし汁として使う。 +2. 鍋に油を熱し、鶏肉、しいたけを炒め、こんにゃく、ごぼう、人参、大根とかたい野菜の順に炒める。 +3. 2にだし汁を加え、さらに里芋と生揚げを加え、煮る。 +4. 野菜が煮えたら味噌とその他の調味料を入れ、味をととのえる。 +5. 椀へ盛り付け最後にねぎを天盛にする。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 鹿児島県学校栄養士協議会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_2_1.jpg)" +"# ぶり大根 鹿児島県 + +**郷土料理名**: ぶり大根 + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +大根、ブリ + +## 歴史・由来・関連行事 +鹿児島県の特産品であるブリと大根を使った「ぶり大根」は冬の定番料理として親しまれている。ブリの旨味と大根の甘みが一体となった、冬の定番��理である。内湾が多く、ブリの稚魚のモジャコがとれる鹿児島県はブリの養殖生産量で全国1位を誇る。なかでも養殖ブリの生産量日本一を誇る長島町では、厳しい管理基準を設け育った養殖ブリを「鰤王」と名付け、国内のみならず、海外への輸出もおこなっている。また、垂水(たるみず)市や鹿屋(かのや)市、南大隅町などでもブリの養殖は盛んにおこなわれている。1950年代、垂水市では県内でもいちはやく養殖業がはじまり、地元の牛根漁業協同組合が育てたブリは「ぶり大将」としてブランディングされている。家庭では一般的な大根でつくられること多い「ぶり大根」だが、県の特産品の桜島大根を使ってつくると、さらに美味しさが増す。桜島大根は、甘みがあって、身は非常に緻密で柔らかく、煮崩れしにくいため煮物料理に向く。「ぶり大根」はもちろんのこと、「おでん」や「ふろふき大根」、「田楽」といった楽しみ方のほかに、サラダや漬物など、幅広い料理に使われる. + +## 食習の機会や時季 +養殖ブリは1年を通して手に入るが、天然のブリは冬が旬。昔は、寒ブリとして親しまれ、出世魚ということもあり、縁起物として正月料理の食材としても使われていた。桜島大根は、12月末から2月にかけて収穫されて市場に流通するため、この時期の桜島大根を使った「ぶり大根」は格別である。 + +## 飲食方法 +大根は輪切りで面取りをして味が染みるように隠し包丁を入れる。ブリは熱湯にくぐらせ、血合いなどをとる。鍋に酒、しょうが、ブリ、大根を入れて煮たあと調味料を加え煮詰める。千切りしょうがをいれていただく。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 () +- ブリの切り身: 50g×4切れ +- ブリのあら: 200g +- 大根: 500g +- しょうが: 50g +- 酒: 50cc +- 【A】 濃口醤油: 大さじ2~3 +- 【A】 淡口醤油: 大さじ2 +- 【A】 本みりん: 大さじ4~5 +- 【A】 砂糖: お好みで + +## 作り方 +1. 大根は3cm厚さの輪切りで面取りをし、片面に十字に浅く切り目を入れ下ゆでする。しょうがは半分を薄切りにし、残りは千切りにする。 +2. ブリは水洗いし、熱湯にくぐらせ、血合いやぬめりを取る。 +3. 鍋に大根・ブリ・酒・薄切りのしょうがを入れ、ひたひたになる程度に水を加え、強火で煮立て、沸騰したら中火にしてアクをとりながら15分ほど煮る。 +4. Aの調味料を加え、味が染みるまで弱火で煮る。甘みが強い方が良い場合は好みで砂糖を加える。一晩おくと大根に煮汁が染みこんでさらに美味しくなる。 +5. 器に盛り付け、千切りのしょうがを飾る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : NPO法人霧島食育研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_30_1.jpg)" +"# 黒糖 鹿児島県 + +**郷土料理名**: 黒糖 + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +奄美地域 + +## 主な使用食材 +とうきび + +## 歴史・由来・関連行事 +「黒糖」は、とうきびを細かくカットし、圧搾機にかけて絞り出した汁を煮詰めてつくる砂糖のこと。奄美地域および沖縄県の特産品として知られる。奄美群島は、16世紀までは琉球王国統治下に置かれていたとされ、江戸時代には薩摩藩下に入り、さらに戦後はアメリカ統治下に置かれるなど、時代に翻弄されてきた地域である。「黒糖」は非常に高級な食材であったことから、その歴史の流れの中で大きな影響を受けてきた。薩摩藩に属していた時期は、年貢を米から当時非常に高価だった「黒糖」で代納させ、薩摩藩が「黒糖」を独占した。そのため、島民は「黒糖」の生産を優先せざるを得なくなり、日々の食糧の生産に手が回らなくなる“黒糖地獄”という過酷な状況をつくり出した。また戦後は、国内産糖に力を入れるため大型の製糖工場が建設され、奄美地域の伝統的な「黒糖」づくりの文化が途絶える危機に瀕した。このように奄美地域の「黒糖」づくりも時代とともに翻弄され続けてきたが、奄美群島および鹿児島本土の食文化を底から支える甘味料として強く根づいた。「黒糖」は蜜を多く含むため、かたまりやすく、一般的に売られているものは砕いたブロック状のものが多い。カラメルのような深いコクと風味があるため、上白糖に比べると汎用性は高くないが、その「黒糖」の風味を生かした料理が広く親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +「黒糖」は、さまざまな料理の味付けに使われるほか、小腹が空いた時やお茶うけに、そのまま食べることも多い。ビタミンやミネラルを豊富に含んでいるため、栄養補給に食されることもある。 + +## 飲食方法 +とうきびの茎から汁を絞り、煮詰めて水分を蒸発させたら冷やし、かためる。「豚骨」などのおかずから「げたんは 」「ふくれ菓子」といった菓子類、そして「黒糖焼酎」などの酒類まで、鹿児島県を代表する郷土料理の多くに「黒糖」は使用されている。特に、九州地方、沖縄県では、「黒糖」風味のお菓子が非常に多く、大人から子どもまで幅広い年代から愛されている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_28_1.jpg)" +"# みき 鹿児島県 + +**郷土料理名**: みき + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +奄美地域 + +## 主な使用食材 +米粉、白砂糖、さつまいも、水 + +## 歴史・由来・関連行事 +「みき」は、米とさつまいも、砂糖を使った乳酸菌発酵飲料で、奄美地域の他に沖縄県でも飲まれている。沖縄県では、さつまいもではなく麦を使う。「みき」は「神酒」と書き、祭り事の際に神に捧げられた口噛み酒がルーツであるという。口噛み酒は、若い女性が口に含み、2噛みから3噛みほどした米を混ぜてつくった酒のことである。幕末の薩摩藩士・名越左源太(なごや さげんた)が記した『南島雑話(なんとうざつわ)』という本にも「みき」についての記述があり、このころにはすでに「みき」がつくって飲まれていたことがうかがえる。また、この本の中には、米を煮てさつまいもをすり下ろしてつくる、現在の「みき」のつくり方に通ずる内容にも触れられている。 + +## 食習の機会や時季 +古くは農作物の豊作を願う、豊年祭などにつくられ神に捧げられてきた。近年は、「みき」を専門につくる店舗が増え、年間を通して飲まれるようになった。特に、食欲が低下する夏や風邪の時の栄養補給として飲まれることが多いという。 + +## 飲食方法 +お湯が入った大きな鍋に米粉を入れ、さらに砂糖を入れて加熱しながらかき混ぜる。すり下ろしたさつまいもから絞り汁をとり、鍋の中身が30℃くらいに下がったら入れ、蓋をして冷暗所に置いておく。数日経って発酵したら冷蔵庫で冷やし、グラスに注いで飲む。甘いおかゆ、もしくは甘酒のような味わいがある。できたてはとても甘いが、日が経つにつれて酸味が増していく。奄美地域では、酸味がある「みき」の方が好まれる傾向があるという。そのまま飲んでも美味だが、フルーツジュースやお酒で割って飲んだり、果物を入れてデザート風にして食べるなど、飲み方、食べ方のアレンジも豊富である。植物性の乳酸菌がたくさん含まれている飲み物として、近年の健康志向の高まりから注目を集めている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (パック1本分) +- 米粉: 500g +- 水: 1.4L +- さつまいも: 100g(なるべく色が薄いもの) +- 白砂糖: 100g + +## 作り方 +1. 大きな鍋に湯を沸かし、その中に米粉を少しずつ入れてよくかき混ぜていく。米粉が溶けたら砂糖を入れて15~20分間、加熱しながらかき混ぜる。 +2. さつまいもをすり下ろし、絞り汁をとっておく。 +3. 1の鍋を30℃くらいに冷まし、さつまいもの絞り汁を入れて混ぜる。 +4. 壺やパックなどに入れ、ふたをして冷暗所におく。夏は一晩、冬は二~三晩おく。途中、木べらなどでかき混ぜる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「奄美の食と文化」(久留ひろみ著) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_27_1.jpg)" +"# ミズイカのマダ汁 鹿児島県 + +**郷土料理名**: ミズイカのマダ汁 + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +奄美地域 + +## 主な使用食材 +ミズイカ、イカの墨袋(マダ)、味噌、カツオ節 + +## 歴史・由来・関連行事 +ミズイカはアオリイカの別称で、胴長40cmにもなる比較的大きなイカである。透き通るような姿をしているため、鹿児島県ではミズイカと呼ばれることが多い。鹿児島本土の南部、奄美群島が属する南西諸島が日本における主な漁場になっている。代表的なイカ釣りの手法として、エギン���があるが、これは餌木(えぎ)に英語の進行形のingをかけあわせた造語であり、奄美大島が発祥だといわれている。江戸時代中期に、種子島を経由して薩摩藩にもその方法が伝わったとされており、古くから奄美地域ではイカ漁が盛んであったことがわかる。現在も年間を通してイカ釣りができ、県外からもイカを目当てに釣り人がやってくる。ミズイカを使った代表的な奄美地域の料理が「ミズイカのマダ汁」である。“マダ”とは、墨袋のことで、古くから奄美地域ではのぼせや血圧を下げると考えられており、薬として買う人も多かったという。味噌汁にイカの身と墨を入れて飲むのは、奄美地域ならではで、そのまろやかな甘みとコクを味わえる「ミズイカのマダ汁」は多くの人から親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +ミズイカは1年を通して釣ることができるので、時期を問わず食べられている。 + +## 飲食方法 +カツオ節で出汁をとったら、豚の三枚肉を入れ味噌を溶き入れる。下処理をしたイカを食べやすい大きさに切ってだし汁の中に入れる。最後にイカ墨を墨袋から絞り出して入れ、全体を混ぜる。器に盛ったら、ハンダマなどの葉野菜などを散らしていただく。イカのマダは塩分が少し含まれているため、味噌は薄めにすると良い。またイカの身は火を通し過ぎるとかたくなって味も悪くなるので、手早くつくって食べるのがポイントである。家庭によって汁の味わいや入れる具材が異なる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 豚三枚肉(ブロック): 100g +- ミズイカ: 200g +- イカの墨袋(マダ): 少々 +- 味噌: 40g +- カツオ節: 1カップ +- ハンダマ(水前寺菜、金時菜): 少々 +- 水: 800cc + +## 作り方 +1. カツオ節で出汁をとる。 +2. 1に三枚肉を入れ、アクをすくう。 +3. 味噌を溶き入れる。 +4. ミズイカを適当な大きさに切って入れる。身がかたくならないよう火は弱火にする。 +5. 弱火のままマダを入れる。 +6. ハンダマの半分量を手でちぎって入れ、火を止める。 +7. 器に盛ってから残りのハンダマを飾る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「奄美の食と文化」(著・久留 ひろみ 氏)、「奄美の伝統料理」(著・泉 和子 氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_26_1.jpg)" +"# 豚骨野菜 鹿児島県 + +**郷土料理名**: 豚骨野菜 + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +奄美地域 + +## 主な使用食材 +豚肉、ツワブキ、昆布、大根、人参、コシャマン + +## 歴史・由来・関連行事 +「豚骨野菜」は、大きく切った骨付きの豚肉とツワブキ、昆布、大根、人参、コシャマン(里芋の在来種)を大鍋で煮こんだもので、奄美地域において、大晦日から正月にかけて欠かせない料理である。別名「ウァンフィネヤッセ」ともいう。“ウァン”は豚、“フィネ”は骨、“ヤッセ”は野菜のことを指す。奄美地域では、古くから毛が黒い島豚が飼育されていた。かつては島豚は、各家庭で1頭ずつ飼っていて、貴重なタンパク源として食べられたという。全ての部位を無駄にしないために、年越し料理の「豚骨野菜」のほか、保存がきく「豚味噌」や塩漬け、炒め物や焼き物などにして、全てを余すことなく料理にした。島豚は非常に美味だが、成長に時間がかかるため徐々に飼育数が減り、ほとんど見られなくなった。現在は、「豚骨野菜」用に、年末になると塩漬けした骨付き豚肉がスーパーマーケットや精肉店に並ぶ。 + +## 食習の機会や時季 +大晦日に「豚骨野菜」を食べ、翌日の1月1日は独自の風習である「三献(さんごん)」で新年を迎えるのが、奄美地域の習わしとなっている。 + +## 飲食方法 +ツワブキはしっかりアク抜きをする。豚骨は塩漬けにしておき、「豚骨野菜」をつくる当日に塩抜きをしたら鍋に入れ、軽く焼いて焼き色をつける。肉が隠れるくらいの水を入れ柔らかくなるまで煮こんだら、食べやすい大きさに切った野菜を入れ、醤油などの調味料を入れてさらに煮こむ。全体に味が染み込んだら大きな器に盛って、取り分けて食べる。醤油をしっかりきかせたものやシンプルな塩味のもの、黒砂糖を入れて甘みを強めたものなど、家庭によって味付けはさまざまである。また使う島野菜も家ごとに異なる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 黒豚豚骨: 8個 +- ツワブキ(ツバシャ): 300g +- 切り干し大根: 200g +- 煮干し: 30g +- 醤油: 大さじ3 +- 島ザラメ: 30g +- 塩: 適宜 +- みりん: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 豚骨はぬるま湯で2~3回で洗う +2. 鍋に豚骨を入れて浸かるぐらいの水でゆでる。沸騰したらアクが出るので一度ゆでこぼし、きれいに洗う。鍋もアクがついているので、よく洗う。 +3. きれいに洗った豚骨に薄塩をする。再び1時間ぐらい煮る。 +4. 別の鍋に豚のゆで汁を少し取って、島ザラメ、醤油、塩、みりんを入れて豚骨を入れて煮る。 +5. 多めの煮干しで出汁をとっておく。 +6. ゆがいておいたツワブキと戻した切り干し大根は、別の鍋に煮干しのだし汁を入れて煮る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : NPO奄美食育食文化プロジェクト + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_25_1.jpg)" +"# パパイヤ漬け 鹿児島県 + +**郷土料理名**: パパイヤ漬け + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +奄美地域 + +## 主な使用食材 +パパイヤ + +## 歴史・由来・関連行事 +「パパイヤ漬け」は、パパイヤの若い実を塩漬けした後、味噌や醤油などで漬けたもので、家庭で簡単につくれる漬物として親しまれている。奄美地域のほか、沖縄県でも食されている。全国的に知られる「鶏飯(けいはん)」の薬味としても必ずそえられるほか、お茶うけにしたりと汎用性も高い。奄美地域におけるパパイヤの歴史は比較的新しく、第二次世界大戦後、奄美群島がアメリカの統治下に置かれていた際に沖縄から持ち込まれたのがはじまりだといわれている。年間を通して温暖な奄美地域の気候はパパイヤ栽培に適し、その強い繁殖力で簡単に栽培ができたことから一気に広まり、戦後の食糧難の時代を支えた。そうした背景から奄美地域では、パパイヤを美味しく食べるための工夫がされ、その中で「パパイヤ漬け」も誕生したと考えられる。奄美地域や沖縄県では、皮が黄色くなって熟したパパイヤを果物として食べることもあるが、どちらかというとまだ青い未熟果を野菜として使うことの方が多い。 + +## 食習の機会や時季 +パパイヤは、夏から秋にかけて市場に出回るため、パパイヤ料理はこの時期につくられることが多いが、「パパイヤ漬け」は保存食のため、もう少し長い間楽しめる。 + +## 飲食方法 +熟す前の青パパイヤを縦半分に切り、皮と種を取ったら塩をまぶし、重石をして2日から3日ほど下漬けをする。下漬けから取り出したら水気をとり、味噌と砂糖を混ぜたものとパパイヤを交互に重ねて重石をし、10日間ほど寝かしたら食べられる。味噌漬けのほか、醤油漬け、粕漬けなども親しまれている。食べる時は薄切りにし、ごはんのおともとしてはもちろん、お茶漬けにしたり、おにぎりの具にして食べられている。また、酒の肴にもよく合う。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (漬物容器1個分) +- (パパイヤの下漬け): 適量 +- 青パパイヤ: 3kg +- 塩: 150g +- (パパイヤの味噌漬け): 適量 +- パパイヤの下漬け: 3kg +- 味噌: 1kg +- 砂糖: 50g + +## 作り方 +1. [パパイヤの下漬け1] 青パパイヤは縦半分に切り、皮と種をとる。 +2. [パパイヤの下漬け2] 漬物容器に1を入れ、塩を振りながら重石をして漬け込む。 +3. [パパイヤの下漬け3] 2~3日後、「パパイヤの下漬け2」を取り出して、天日に1日干して水気をとる。 +4. [パパイヤの味噌漬け1] 味噌と砂糖はよく混ぜておく。 +5. [パパイヤの味噌漬け2] 漬物容器に下漬けしたパパイヤと「パパイヤの味噌漬け1」を交互に重ねて重石をする。 +6. [パパイヤの味噌漬け3] 10日目くらいから食べられる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「奄美の食と文化」(著・久留 ひろみ氏)、「奄美の伝統料理」(著・泉 和子氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_24_1.jpg)" +"# 三献 鹿児島県 + +**郷土料理名**: 三献 + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +奄美地域 + +## 主な使用食材 +(一の膳)餅、しいたけ、かまぼこ、卵(二の膳)白身魚の刺身(三の膳)鶏肉(または豚肉)、大根、人参 + +## 歴史・由来・関連行事 +正月料理といえばおせち料理や雑煮であるが、奄美地域では「三献」が食される。餅入りの��い物の赤椀、鶏肉もしくは豚肉の吸い物の黒椀、刺身の三つの料理を献上することからその名がついた。赤椀、刺身、黒椀の順番で食し、各膳の合間に家族全員に焼酎の杯を回して飲むのが一連の儀式の流れである。安政の大獄を機に幕府から目を付けられた西郷隆盛が奄美大島に身を潜めた際、大島随一の名家の娘である愛加那(あいかな)と結婚し、その際、「三献」で祝言をあげたといわれている。もともと「三献」は日本料理の一つの本膳料理であり、室町時代に確立され、江戸時代に発展していくが、現在は冠婚葬祭などの特別な場でおこなわれるのみになっており、若い世代を中心に馴染みがない。しかし、奄美地域では、正月におこなわれる行事として、いまも根づいている。 + +## 食習の機会や時季 +正月に「三献」をおこなう家庭が多い。ほかにも結婚式や、入学式・卒業式といった祝いの席でおこなわれることもある。 + +## 飲食方法 +元旦の朝、家長の「オショウロ(さしあげましょう)」の掛け声で三献の儀式ははじまる。まず赤椀に入った一の膳。餅が入っており、そのほかにかまぼこや魚、エビなどを入れた吸い物を食べる。次は二の膳で、白身魚の刺身を食べるのが一般的だが、タコの刺身が出る家庭も多い。最後に三の膳。黒椀に鶏肉もしくは豚肉が入ったお吸い物を食す。一膳食べるごとに焼酎を飲む。また「三献」の儀式の間で、塩、さきイカ、昆布からなる 「シュームリ(塩盛)」や干物を食べる家庭もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- [一の膳]: 適量 +- 餅: 4個 +- 魚: 4切れ +- かまぼこ: 4枚 +- 卵: 2個 +- 干ししいたけ: 4枚 +- 車エビ: 4尾 +- ねぎ: 適宜 +- 出汁昆布: 1枚 +- カツオ節: 30g +- だし汁(しいたけの戻し汁と合わせる): 800cc +- 塩: 小さじ1 +- 薄口醤油: 小さじ1/2 +- 地酒(またはみりん): 小さじ1 +- [二の膳]: 適量 +- 白身の魚(刺身用): 4切れ +- 塩: 適宜 +- 薄切りしょうが: 8枚 +- 酢: 適宜 +- 醤油: 適宜 +- [三の膳]: 適量 +- 鶏肉(なるべく親鶏): 1羽 +- 大根: 400g +- 人参: 150g +- ねぎ: 1本 +- 塩: 小さじ1/2 +- 濃口醤油: 小さじ1 + +## 作り方 +1. [一の膳 作り方1]干ししいたけは、ひたひたの水に入れて戻す。戻したら石づきを取り除き、十字に切り目を入れる。 +2. [一の膳 作り方2]鍋に800ccの水に切り目を入れた昆布をつけておく。戻ったら火を入れて沸騰直前に昆布は取り出す。4等分にしておく。鍋にカツオ節を入れて沸騰したら火を止める。静かにこしてからしいたけの戻し汁と合わせて800ccにする。しいたけを加えて沸騰させてから塩小さじ1、薄口醤油、みりんで味を付ける。 +3. [一の膳 作り方3]魚は薄塩をして焼いておく +4. [一の膳 作り方4]車エビは竹串で取り、少し塩を入れた熱湯でさっとゆでておく。 +5. [一の膳 作り方5]卵はゆでてから半分に切るか、花形にする。4個にする。 +6. [一の膳 作り方6]餅は焼いておく。 +7. [一の膳 作り方7]かまぼこは切っておく。 +8. [一の膳 作り方8]ねぎは小口切りにするか、ゆでて結びねぎにする。 +9. [一の膳 作り方9]カツオ出汁を入れて「一の膳 作り方2」の鍋に車エビを入れて少し煮る。かまぼこも直前に入れて温める。 +10. [一の膳 作り方10]椀に昆布を敷く。しいたけ、魚、かまぼこ、車エビ、卵、餅をを入れてから熱いだし汁を静かに注ぎ、最後に青身を飾る。 +11. [二の膳 作り方1] 刺身用の新鮮な魚は薄塩をしておく。 +12. [二の膳 作り方2] 刺身用に切る。 +13. [二の膳 作り方3] 皿に2切れの刺身を並べ、薄切りのしょうがを1枚のせる。そこに酢醤油をかけていただく。 +14. [三の膳 作り方1]鶏は4等分にして水から火にかけ1時間煮て鶏のだし汁(スープ)をアクを取りながらていねいにつくる +15. [三の膳 作り方2]大根と人参はさいの目に切る。 +16. [三の膳 作り方3] ねぎは小口切り。 +17. [三の膳 作り方4]鍋に鶏スープを1000cc入れ、一口大に切った鶏肉、大根、人参を入れて煮る。 +18. [三の膳 作り方5]大根、人参が柔らかくなったら味を付ける。 +19. [三の膳 作り方6]塩、濃口醤油、地酒かみりんで味をととのえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : NPO奄美食育食文化プロジェクト + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_23_1.jpg)" +"# 油ゾーメン 鹿児島県 + +**郷土料理名**: 油ゾーメン + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +奄美地域 + +## 主な使用食材 +豚肉、そうめん、ニラ、いりこ、だし汁 + +## 歴史・由来・関連行事 +「油ゾーメン」は、豚肉と野菜、そうめんを炒めた郷土料理である。沖縄の「そうめんチャンプルー」に似ているが、奄美地域の「油ゾーメン」は、炒める時にだし汁を入れるのが特徴である。炒め油とだし汁が乳化し、そうめんに絡むので喉越しが良い。小麦の栽培をしておらず、そうめんの生産をおこなっているわけではない奄美地域でなぜそうめんが根づいたのかについては諸説あるが、薩摩藩統治時代に薩摩から持ち込まれ、乾麺で保存がきくことから奄美地域でよく食べられるようになったのではないかという説があるが、定かではない。明治以降、「油ゾーメン」は一般家庭にも広がり、いまでは県外の旅行者からも人気のある郷土料理となっている。 + +## 食習の機会や時季 +祝いの席や田植え、稲刈りなど、たくさんの人が集まる時によくつくられた。特に鹿児島県の一部の地域でおこなわれている「八月踊り」の際に欠かせない料理である。八月踊りは集落によって数十以上の歌があり、これらを歌って踊ることで神に豊作を感謝、祈願する。この時に人が大勢集まるため、「油ゾーメン」を大皿に盛り、皆で取り分けて食べるという。 + +## 飲食方法 +細切りにした豚肉を油で炒めたら、いりことゆでたそうめんを入れ、だし汁をまわしかける。油とだし汁が乳化したら最後にニラを入れ、醤油などの調味料で味をととのえて食べる。だし汁が少し余るくらいがちょうど良い。地域や家庭、店舗によって使うだし汁や量が異なり、「鶏飯」のスープと同様の鶏スープのだし汁を使うこともあれば、キビナゴの出汁を使うこともある。また、汁を少なめに仕上げるところもあれば、にゅうめんのように多めにするところもある。具材についても、ニラのほかに、身近な野菜を入れることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 塩豚肉(豚もも肉でも良い): 120g +- そうめん: 180g +- ニラ: 180g +- いりこ: 12g +- サラダ油: 大さじ2 +- だし汁: 2カップ +- 醤油: 大さじ1・1/2 +- 塩、こしょう: 各少々 +- ごま油: 小さじ1/2 + +## 作り方 +1. [塩豚肉のつくり方]三枚肉のかたまり(300g)の表面全体に塩をすりこむようにしてまぶす。ビニール袋に入れて冷蔵庫で保存する(1週間程度保存できる)。 +2. 豚肉は熱湯で三度塩抜きをする。 +3. 豚肉は細切りにしておく。 +4. そうめんは少しかためにゆでて、ざるに上げておく。 +5. ニラは2cmの長さに切っておく。 +6. 中華鍋に油を引き、豚肉を炒める。 +7. 6にいりことそうめんを入れ、混ぜながら炒める。 +8. 7にだし汁をまわし入れる。 +9. 8に醤油を回し入れる。 +10. 9に塩、こしょうをふり、ニラを入れ混ぜ、最後にごま油を入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「郷土の味」(鹿児島県食生活改善推進員連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_22_1.jpg)" +"# ふくれ菓子 鹿児島県 + +**郷土料理名**: ふくれ菓子 + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉、重曹、粉黒糖、卵、酢、はちみつ + +## 歴史・由来・関連行事 +小麦粉,重曹,黒糖などを混ぜて蒸した郷土菓子の「ふくれ菓子」。重曹を使ってふっくらと仕上げるため「ソーダ菓子」とも呼ばれるほか、「ふくらかん」「ふくれかん」ともいう。鹿児島県において黒糖が甘味料として強く根づいたのは江戸時代といわれている。琉球王国を支配していた薩摩藩が、琉球や奄美地域でおこなわれているさとうきびの栽培や黒砂糖の製造を独占し、薩摩藩の有力な財源としていたことがきっかけだと考えられている。年貢を米から、当時非常に高価だった黒糖で代納させ、黒糖を独占することで財政は一気に回復した。一方、島民は黒糖の生産を優先せざるを得なくなったため、日々の食糧の生産に手が回らなくなり、“黒糖地獄”と呼ばれる過酷な状況をつくり出した。このような歴史を経て、鹿児島県では黒糖が浸透し、それにともない、黒糖を使ったさまざまな郷土料理が誕生した。菓子類では「げたんは」なども��糖を使った鹿児島県の郷土料理として知られている。 + +## 食習の機会や時季 +かつては、豊作を願う祭りの席や農作業時のお茶うけとして食べられていた。現在は、特に時期を問わず食べられ、老若男女から人気がある。 + +## 飲食方法 +小麦粉と重曹を合わせた粉の中に、溶き卵、粉黒糖、はちみつ、酢、水を入れて混ぜ合わせる。小さめのざるに生地を流し入れ、40分ほど蒸して中までしっかり火が通ったらいただく。生地によもぎやかぼちゃを練ったものを混ぜたり、サネン(月桃)の葉を敷いて蒸して、葉の香りを楽しむ地域もある。家庭や地域、店舗によって、さまざまなアレンジが楽しまれている。温かいとふんわりした食感で、冷めるともっちりとした食感になる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (小さめのざる1個分) +- 小麦粉: 120g +- 重曹: 小さじ1 +- 粉黒糖: 140g +- 卵: 1個 +- 酢: 小さじ1 +- はちみつ: 大さじ0.5 +- 水: 80cc + +## 作り方 +1. 小麦粉と重曹は合わせて振るっておく。 +2. ボウルで卵を溶き、粉黒糖、酢、はちみつ、水を入れて混ぜ合わせる。 +3. 2に1を数回に分けて入れ、ダマが無くなるように混ぜ合わせる。 +4. ざるにさらし布を敷き、3を流し込み、蒸気の上がった蒸し器で40分蒸す。蒸し器の蓋は必ずさらし布で包み、生地に水滴が落ちないようにする。 +5. 竹串で4の中心部を刺し、生地が付いてこなければ蒸し上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : NPO法人 霧島食育研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_21_1.jpg)" +"# 白熊 鹿児島県 + +**郷土料理名**: 白熊 + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +氷、練乳、小豆、果物 + +## 歴史・由来・関連行事 +「白熊」は、削った氷に練乳をかけ、その上にチェリーやレーズン、みかん、パイン、小豆、寒天と、色とりどりのトッピングをのせた氷菓子のことで、その名は全国に知られる。「白熊」は、昭和20年代に創業した老舗飲食店が発祥であるといわれている。発売当初は、白蜜、赤蜜をかけたシンプルなかき氷だったが、いちごに牛乳をかけてみると美味しかったことにヒントを得て、練乳をかけたものの、今度は甘すぎてしまたったため、改良を重ねてさっぱりとした練乳ミルク風味のシロップにたどり着いたという。また、彩りを加えるために、アンゼリカ、チェリー、レーズンを外側にトッピングしたが、それが上から見た時に白熊に似ていたことから、「白熊」というメニュー名がついた。当時、一般的なかき氷が20円ほどだったのに対し、「白熊」は50円と高価で、庶民の憧れの氷菓となった。戦後の食糧難の時代が落ち着き、食に贅を求めることができるようになったことを象徴する料理であるともいえる。 + +## 食習の機会や時季 +鹿児島県の夏の風物詩として、よく食べられている。子どもから大人まで幅広い年代から親しまれている。 + +## 飲食方法 +氷を削って、その上に加糖練乳をかけたら、食べやすくカットした好みのフルーツなどを盛り付け、さらに小豆をのせる。色あざやかにトッピングするのがポイントである。練乳の甘みが氷によってほどよく薄まり、さらに盛り付けたフルーツが良いアクセントになって、さまざまな食感、味わいを楽しめる。 チョコレートをかけたものやプリンをのせたものや、抹茶シロップをかけたものなど、さまざまなアレンジも楽しまれている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_20_1.jpg)" +"# へちま汁 鹿児島県 + +**郷土料理名**: へちま汁 + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +へちま、そうめん、麦味噌、だし汁 + +## 歴史・由来・関連行事 +「へちま汁」は、へちま入りの味噌汁を、そうめんが入った器の中に入れて食べる鹿児島県の郷土料理である。ほかの地域ではたわしや化粧水として使われることが多いへちまだが、鹿児島県では古くからへちまを食べており、1802年の『成形図説』(島津重豪がつくらせた百科事典)にも、へちま料理についての記述がある。へちまは熱帯アジア原産のウリ科の植物で、高温多湿な環境を好むことから、日本では沖縄県や南九州を中心に栽培されている。へちまは、その繊維の多さから“糸瓜(いとうり)”ともいわれ、これが後に“とううり”と略され、“と”がイロハ順で“へ”と“ち”の間にあるため、へちまと呼ばれるようになったともいわれている。食用には、あまり繊維が発達しない品種を栽培する。成長しすぎると繊維がかたくなってしまうので、体長20cm未満の若い実を収穫する。鹿児島県では夏になるとへちま料理が登場する。「へちま汁」はその代表格であるが、ほかにも炒め物などの料理にもへちまはよく用いられる。 + +## 食習の機会や時季 +へちまの旬が7月から9月のため、主に夏に多く流通する。鹿児島県では夏野菜として親しまれ、夏の食卓によく上がる。また「へちま汁」は、お盆の精進料理にも欠かせないメニューである。 + +## 飲食方法 +だし汁に味噌を溶き入れたら、食べやすい大きさに切ったへちまを入れて、柔らかくなるまで煮る。ゆでたそうめんが入った器に、へちまの味噌汁を注ぎ入れ、好みで薬味(みょうがの千切りなど)をそえていただく。へちまのとろりとした食感と自然な甘味が麦味噌の甘さと相まって、夏バテで食欲がない時期でもするすると食べられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- へちま: 中1本 +- そうめん: 1~2束 +- 煮干し: 30g +- 麦味噌: 60g +- 水: 800cc +- みょうが: 適宜 + +## 作り方 +1. 水に煮干しを加え、30分くらいしたら火にかけ、沸騰して3分くらい煮て味噌を溶き入れる(煮干しは取り出してもそのままでも良い)。 +2. へちまは皮を剥き、大きめの一口大に切って味噌汁に加え、トロッとなるまで煮る。 +3. そうめんをゆで、汁椀に盛り、上からへちまの入った味噌汁をかけ、好みでみょうがの千切りをそえる(そうめんは乾麺のまま味噌汁の中に直接入れて煮ても良い)。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : NPO法人霧島食育研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_19_1.jpg)" +"# 豚汁 鹿児島県 + +**郷土料理名**: 豚汁 + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +豚肉、大根、人参、里芋、こんにゃく、厚揚げ、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +鹿児島県の特産品の一つである豚肉。飼育頭数は全国1位で、かごしま黒豚がブランド豚として全国に知られている。江戸時代は殺生を忌む仏教の影響で、獣肉食は禁忌とされていたが、薩摩藩では豚やイノシシ、鹿などがよく食べられていたという。奄美地域においても島豚と呼ばれる在来種が飼育されていた。江戸と遠距離であったことと、薩摩藩領であった琉球は貿易をおこなっていたため、薩摩藩に海外の文化が入ってきてその影響を受けたからではないかと考えられている。黒豚も、江戸時代に薩摩の名武将であった島津家久によって、琉球から入ってきたといわれている。その後、明治時代に入ってイギリスのバークシャー種と交配させ、改良を進めた。一時、成長が早い白豚の飼育が増え、黒豚の飼育が減った時期もあったが、柔らかく、旨味の強い黒豚の振興を進めることで、いまのかごしま黒豚のブランドが確立された。また、鹿児島県はその温暖な気候から麦味噌の生産も盛んである。鹿児島県の麦味噌は麹の量が多く、塩分が少なめで、甘みが強い。このような背景から、鹿児島県では「豚骨」や「豚味噌」など、豚肉や味噌を使った料理が多く、「豚汁」もその代表格である。 + +## 食習の機会や時季 +年間を通して食べられているが、特に冬場は体を温めるためにつくる機会が増える。 + +## 飲食方法 +豚肉のほか、大根、人参、里芋などの具材は食べやすい大きさにカットし、だし汁で煮こむ。火が通って柔らかくなったら味噌を入れ、器に取り分けたら、小口切りにしたねぎや千切りにしたしょうがなどをそえて食べる。豚肉以外の具材は、残りの野菜などでも良い。家庭によってさまざまである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 豚肉薄切り: 80g +- 大根: 100g +- 人参: 50g +- 里芋: 100g +- こんにゃく: 50g +- 厚揚げ: 50g +- 【薬味】 小ねぎ、しょうが: 適量 +- 【汁】 いりこ: 20g +- 【汁】 水: 3カップ +- 【汁】 麦味噌: 50g +- 油: 適宜 + +## 作り方 +1. 水にいりこを入れ、30分したら火にかけ��沸騰後3分でいりこを取り出す(いりこ出汁)。 +2. 材料は食べやすい大きさに切り、鍋に油をひき、豚肉を炒め、その後小ねぎ・しょうが以外の食材も加え、全体に油が回ったら、1のいりこ出汁を加え、アクを取りながら煮る。柔らかくなったら麦味噌を溶かし入れる。 +3. 器に盛り、小口ぎりの小ねぎと千切りのしょうがをのせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : NPO法人霧島食育研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_18_1.jpg)" +"# さつますもじ 鹿児島県 + +**郷土料理名**: さつますもじ + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +米、干ししいたけ、干しきくらげ、切り干し大根、ごぼう、人参、たけのこ、さつま揚げ、蒸しかまぼこ、さやえんどう、地酒 + +## 歴史・由来・関連行事 +鹿児島県では「ちらしずし」のことを、かつての宮中の女房言葉から「すもじ」という。鹿児島県のすしには「酒ずし」と「さつますもじ」があるが、「酒ずし」が海や山の幸をふんだんに使った豪華な料理として主に殿様や上流武士が食べていたのに対し、「さつますもじ」は高級な材料は使わず、身近でとれる季節の食材を使ってつくる庶民のすしとして親しまれてきた。しかし、祝いの席で食べる料理のため、10種類前後の食材を使って色あざやかに仕上げる。いわゆる「ちらしずし」、「ばらずし」であるが、地酒を使うのが鹿児島県の特徴である。地酒は黒酒、灰持酒(あくもちざけ)と呼ばれるもので、清酒をつくる過程のもろみに、灰汁を加えて絞ってつくる。鹿児島県では、みりんの代わりに使ったり、おとそとしても飲まれている。鹿児島県は温暖な気候のため、昔は一般的な清酒づくりは適さず、代わりにこの地酒の製造が盛んになった。一度も火いれをせずにつくるため、アミノ酸や有機酸、ミネラルが壊れることなく豊富に含まれ、料理の旨味を引き出すといわれている。「酒ずし」はこの地酒をつかって発酵させてつくるが、「さつますもじ」では手を地酒にひたし、その手で具材と米を豪快にかき混ぜてつくる。 + +## 食習の機会や時季 +古くから春の行事の際に食べられており、現在も雛祭りや卒業式、入学式など、春先の祝いの席に欠かせない料理である。この「さつますもじ」に加え、紅白の餅、型菓子などで祝ったという。 + +## 飲食方法 +季節の素材に加え、干ししいたけやきくらげ、さつま揚げ、かまぼこを細かく切り、合わせ酢を合わせたごはんに混ぜて、さらにそこへ地酒を振りかけて混ぜる。器に盛ったら、錦糸卵やさやえんどう、紅しょうが、木の芽などを彩りよく並べ、取り分けて食べる。使用する食材や味付けは家庭によって異なるが、季節の食材を使うこと、地酒を振りかけるのは共通している。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 280g +- 水: 380cc +- 穀物酢: 45cc +- 砂糖(上白糖): 大さじ2 +- 塩: 少々 +- 干ししいたけ(千切り): 8g +- 干しきくらげ(千切り): 2g +- 【A】 砂糖(上白糖): 小さじ1 +- 【A】 淡口醤油: 大さじ1 +- 【A】 本みりん: 大さじ1/2 +- 切り干し大根(1cm角切り): 40g +- ごぼう(ささがき): 50g +- 人参(1cm角切り): 100g +- たけのこ(水煮)(1cm角切り): 50g +- だし汁: 適量 +- 【B】 砂糖(上白糖): 大さじ1 +- 【B】 淡口醤油: 大さじ1 +- さつま揚げ(1cm角切り): 30g +- 蒸しかまぼこ(1cm角切り): 50g +- 卵: 2個 +- 塩: 少々 +- 砂糖(上白糖): 少々 +- さやえんどう(千切り): 16g +- しょうが甘酢漬け(紅しょうが千切り): 適量 +- 地酒: 60cc +- 木の芽: 適量 + +## 作り方 +1. (下ごしらえ)干ししいたけと干しきくらげは洗って戻し、戻し汁をとっておく。切り干し大根は洗って、ぬるま湯で戻す。だし汁を用意しておく(何の出汁でも良い)米は洗って水気を切っておく。さやえんどうはゆでて千切りにする。 +2. 米はかために炊き、桶に取り上げて合わせ酢を振りかけ、切るように混ぜて冷ます。 +3. 戻ししいたけ、きくらげは、戻し汁をひたひたに加えて水煮してからAを加えて煮詰め、千切りにする。 +4. ひたひたのだし汁でごぼうを煮て、たけのこ、人参、切り干し大根を加えてBで薄めの味付けをする。 +5. さつま揚げ、蒸しかまぼこは地酒を加えてさ��と火を通す。 +6. 卵は割りほぐして塩、砂糖を加えて薄焼きにし、4cmの長さの錦糸卵にする。 +7. すし飯に具を混ぜて地酒をふり、よく混ぜる。 +8. 6を器に盛り、錦糸卵、さやえんどう、紅しょうが、木の芽を彩りよく飾る。 +9. 湯気の立った蒸し器に入れ、約20分蒸す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「伝えたい行事食」(公益社団法人全国学校栄養士協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_17_1.jpg)" +"# かしゃもち 鹿児島県 + +**郷土料理名**: かしゃもち + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +奄美地域 + +## 主な使用食材 +よもぎ、重曹、もち米粉、さつまいも、黒砂糖、クマタケランの葉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「かしゃもち」は、奄美地域でつくられる、よもぎを使った餅菓子のことである。“かしゃ”とは、クマタケランの葉のことで、これで餅を包むことから「かしゃもち」と呼ばれるようになったといわれている。「ふっつもち」「ふちもち」「フツィムチ」「フチダク」ということもある。奄美地域ではよもぎがよくとれ、昔から薬草として煎じたりして食されたり、その殺菌効果から匂い消しなどにも利用されてきた。また、クマタケランもショウガ科の植物であることから、殺菌効果、防虫効果の作用があるといわれている。奄美地域のいたるところで自生しており、「かしゃもち」のほかにも、おにぎりを包んだりもされている。よもぎ、黒砂糖、クマタケランの葉と、身近でとれる高い効能を持つ素材でつくる先人の知恵がつまった菓子であるといえる。奄美地域では、クマタケランの葉に餅がべったりつくこと、またそれぞれの素材の相乗効果でより風味が増すことから、仲の良いパートナー同士のことを“餅とカシャのようだ”とたとえることもあるという。 + +## 食習の機会や時季 +かつては旧暦の3月3日に食べられていたが、現在は時期を問わず食べられる。春によもぎをとって冷凍しておき、クマタケランや月桃の葉で包んでつくる。 + +## 飲食方法 +よもぎを水で洗い、汚れをとったら重曹を入れたお湯で軽くゆでる。ゆでたよもぎは一晩水に浸し、アクを抜く。水を切ったよもぎとゆでたさつまいもをミキサーなどに入れてペースト状にし、黒砂糖、もち米粉、水を入れて、さらに練り込む。洗って20cmくらいの長さにしたクマタケランの葉に餅生地を包んで、蒸し器で20分ほど蒸したらいただく。クマタケランのほのかな芳香が餅に移り、よもぎと黒砂糖の風味がさらに増す。食べる時は、クマタケランの葉を外し、中のよもぎ餅だけを食べる。かたくなってしまった時は、少し蒸すとまた柔らかい状態で食べられる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- よもぎ: 120g(かたくゆでて絞ったもの) +- 重曹: 小さじ1 +- もち米粉: 150g +- 黒砂糖(粉): 160g +- さつまいも: 100g +- 水: 80~100cc +- クマタケランの葉: 5~6枚 + +## 作り方 +1. よもぎはきれいに洗い、葉をちぎる。たっぷり湯を沸かし、重曹を入れてさっとゆでる。 +2. ゆで上がったら一晩水につけてさらし、アクを抜く(春のよもぎはアクが少ない)。 +3. 2をかたく絞る。 +4. さつまいもはゆでて皮を剥き、つぶす。 +5. スピードカッター(ミキサーなど)に3を入れてペースト状にする。 +6. 5に4を入れてさらにペースト状にする。黒糖粉、もち米粉、水も入れて全ての材料をペースト状にする。 +7. クマタケランの葉は、洗って20cmほどの長さに切っておく。 +8. 6を食べやすい大きさに手で丸めて、クマタケランの葉で包む。 +9. 湯気の立った蒸し器に入れ、約20分蒸す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「奄美の食と文化」(著・久留 ひろみ 氏)、「奄美の伝統料理」(著・泉 和子 氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_16_1.jpg)" +"# げたんは 鹿児島県 + +**郷土料理名**: げたんは + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +薄力粉、重曹、黒糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +「げたんは」は、かつて米の集荷地であった横川町(現・霧島市)に集まる人をもてなすためのお茶うけとしてつくられた鹿児島の郷土菓子の一つ。この独特な名前は、泥に汚れた下駄の歯に似た見た目であっ��ことからこのように呼ばれるようになったと説がある。また、当時は「三角菓子」とも呼ばれていいた。濃厚な黒糖の風味が口の中に広がる「げたんは」は、生地にも、周りのコーティングにも贅沢に黒糖を使用する。鹿児島県において黒糖が甘味料として強く根づいたのは、江戸時代、琉球王国を支配していた薩摩藩が、琉球や奄美地域でおこなわれているさとうきびの栽培や黒砂糖の製造を独占し、薩摩藩の有力な財源としていたことがきっかけだと考えられている。年貢を米から、当時非常に高価だった黒糖で代納させ、黒糖を独占することで財政は一気に回復したという。一方、島民は黒糖の生産を優先せざるを得なくなったため、日々の食糧の生産に手が回らなくなり、“黒糖地獄”と呼ばれる過酷な状況をつくり出した。このような歴史を経て、鹿児島本土で黒糖が浸透し、それに伴い、黒糖を使ったさまざまな郷土料理が誕生した。「げたんは」もこうした背景から、黒糖を使った菓子として誕生し、庶民に親しまれてきたと考えられる。 + +## 食習の機会や時季 +特に時期を問わず、年間を通して主におやつとして食べられている。 + +## 飲食方法 +小麦粉と重曹を合わせた粉の中に、水で溶かした黒糖を入れてよく混ぜる。オーブンの天板に生地を広げ、20分程度焼く。取り出して粗熱をとったら二等辺三角形になるよう切り、黒糖の蜜にくぐらせて食べる。表面は黒糖の蜜のシャリッとした食感、中はしっかりとしたかたさの生地に時間とともに黒糖の蜜が染みこんでいく。表面の黒糖は、乾燥させずにしっとりとさせたままにするのがポイントである。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (オーブンの天板1枚分) +- 薄力粉: 500g +- 重曹: 小さじ2.5 +- 黒糖: 200g +- 水: 200cc +- 【蜜】 黒糖: 300g +- 【蜜】 水: 150cc + +## 作り方 +1. 小麦粉と重曹は合わせて振るう。 +2. 黒糖に水を入れて溶かし(溶けにくい時は煮溶かし冷ましておく)。 +3. 1に2を入れ、粉っぽさがなくなるまで、よく混ぜる。 +4. 天板の大きさにクッキングペーパーを敷き、3を手水を付けた手で広げながら均一になるように伸ばす。 +5. 4を190度のオーブンで20分程度焼く。 +6. 蜜の材料を合わせ煮溶かす。 +7. 5の粗熱がとれたら三角形に切り、6をくぐらせる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : NPO法人 霧島食育研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_15_1.jpg)" +"# かるかん 鹿児島県 + +**郷土料理名**: かるかん + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +かるかん粉、大和芋、あん + +## 歴史・由来・関連行事 +「かるかん」は、かるかん粉、山芋、水を使ってつくる鹿児島県の銘菓として全国に知られる。そのはじまりは諸説あるが、薩摩藩の第11代藩主であった島津斉彬が、保存食の研究のために江戸から招聘した明石出身の菓子職人・八島六兵衛によって考案されたという説が有力とされている。霧島山を除く大部分がシラス台地で非常に水はけが良く、また台風が頻繁に襲来するため、せっかく育てた農作物に被害が及びやすいという地理的条件がありながらも「かるかん」の原料である自然薯はシラス台地で多く自生していたこと、さらに奄美地域や琉球から砂糖も手に入れやすかったことから「かるかん」が根づいたと考えられている。しかし当時、砂糖は非常に貴重なものだったことから、庶民の間で食べられることはなく、主に大名家で食べられる“殿様菓子”であった。庶民にまで広まったのは明治時代に入ってからだといわれる。「かるかん」は漢字で「軽羹」と書き、「軽い羹(羊羹)」という意味からきているといわれる。生地を蒸し上げると、蒸す前よりも軽くなるためである。近年は、あんを「かるかん」の生地で包んだ、「かるかんまんじゅう」が一般的になってきており、県外の旅行者のお土産としても人気である。 + +## 食習の機会や時季 +年間を通して食べられているが、かつては、大名家の冠婚葬祭の席で食べられていたことから、現在も冠婚葬祭によく使われる贈答菓子の代表格として知られる。また、秋から冬にかけて訪れる自然薯の旬は“軽羹の旬”とも呼ばれ、収穫したばかりの自然薯を使った「かるかん」を味わえる。 + +## 飲食方法 +すり下ろした大和芋に水を加え、さらに砂糖、かるかん粉を加える。かるかん生地を等分し、あんを包んだら、蒸し器で30分弱ほど蒸してから食べる。かるかん粉がない場合は、上新粉でも代用できる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10個分) +- かるかん粉: 125g +- 大和芋: 100g +- 砂糖: 150g +- 水: 75cc +- あん: 110g + +## 作り方 +1. あんは10等分し、丸め、中心部を少しへこませたかたちにしておく。 +2. 大和芋をすりおろし、水を少しづつ加え混ぜる。 +3. 2に砂糖、かるかん粉を加え混ぜ合わせる。 +4. かるかん型に3を10等分し、あんを中心部におき、楊枝であんの上に生地をかぶせるようにする。 +5. 蒸気の上がった蒸し器に4を入れ、強火のままで25分蒸し、型から外す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : NPO法人 霧島食育研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_14_1.jpg)" +"# からいもねったぼ 鹿児島県 + +**郷土料理名**: からいもねったぼ + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +さつまいも、餅、きなこ + +## 歴史・由来・関連行事 +「からいもねったぼ」は鹿児島県の特産品として全国に知られるさつまいもを使った郷土料理。“からいも”はさつまいものことをいう。さつまいもの生産量は、鹿児島県が全国で1位である。鹿児島県は、温暖な気候に恵まれているが、霧島山を除く大部分がシラス台地で非常に水捌けが良く、また台風が頻繁に襲来するため、せっかく育てた農作物に被害が及びやすいといった地理的条件があった。そこで、土壌がやせていても育ちやすく、かつ地中で成長するため台風の被害も受けにくい、さつまいもの栽培が鹿児島県で強く根づいていった。さつまいもの伝来については諸説あるが、1698年に種子島島主の種子島久基が琉球に使いを出してさつまいもを持ち帰り、その後、1705年に、山川の船乗りであった前田利右衛門がさつまいもを自分の畑で栽培して近隣の人々に配ったところ評判を呼び、鹿児島全域に広まったといわれる。たくさん収穫ができ、貧しい者の食糧に最適であったことから“孝行芋”とも呼ばれた時代があった。同じ特産品である黒豚もさつまいもを食べさせて育てることで知られ、またさつまいもを原料にした芋焼酎も鹿児島県を代表する酒であり、さつまいもは鹿児島県の食文化を支える重要な食材であるといえる。そのため、鹿児島県においては、さつまいもを使った郷土料理が多数存在する。その中の一つが「からいもねったぼ」で、つきたての餅に蒸したさつまいもを入れて混ぜて食べる餅料理である。「からいもんねーぼ」と呼ぶこともある。“ねったぼ”の名の由来については諸説あるが、“練ったぼたもち”からきたという説や、餅を“ぼったぼったと練ってつく”ところから来たという説がある。 + +## 食習の機会や時季 +年末年始に餅つきをする際に、「からいもねったぼ」をつくって食べる風習がある。正月以外にも、おやつとして食されることもある。 + +## 飲食方法 +家庭で手軽に食べる場合は、さつまいもを蒸す途中で市販の切り餅をさつまいもの上にのせて一緒に蒸し、柔らかくなったらつき混ぜると良い。全体に馴染んだら、食べやすい大きさにちぎり分け、きなこと砂糖、少々の塩を混ぜた中に入れてまぶして食べる。さつまいもと餅の割合は、3:1くらいが良いという。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (約8個分) +- さつまいも: 600g +- 餅: 200g +- きなこ: 50g +- 砂糖: 50g +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. つきたての餅に、蒸したさつまいもを加え、潰すようにつき混ぜる。 +2. きなこと砂糖、少量の塩を混ぜた中に、1を大ぶりにちぎり分け、全体にまぶす。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : NPO法人 霧島食育研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_13_1.jpg)" +"# からいもごはん 鹿児島県 + +**郷土料理名**: からいもごはん + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +さつまいも、米 + +## 歴史・由来・関連行事 +「からいもごはん」は、鹿児島県の特産品として全国に知られるさつまいもを使った郷土料理。鹿児島県は、温暖な気候に恵まれているが、霧島山を除く大部分がシラス台地で非常に水捌けが良く、また台風が頻繁に襲来するころから、せっかく育てた農作物に被害が及びやすいといった地理的条件があった。そこで、土壌がやせていても育ちやすく、かつ地中で成長するため台風の被害も受けにくい、さつまいもの栽培が強く根づいていった。いまでは、さつまいもの生産量は日本一を誇る。さつまいもの伝来については諸説あるが、1698年に種子島島主の種子島久基が琉球に使いを出してさつまいもを持ち帰り、その後、1705年に山川の船乗りであった前田利右衛門がさつまいもを自分の畑で栽培して近隣の人々に配ったところ評判を呼び、鹿児島全域に広まったといわれる。収穫量が多く、貧しい者の食糧に最適であったことから“孝行芋”とも呼ばれた時代があった。同じ特産品である黒豚は餌の中にさつまいもを混ぜて育てられることで知られ、またさつまいもを原料にした芋焼酎も鹿児島県を代表する特産品であり、さつまいもは鹿児島県の食文化を支える重要な食材であるといえる。そのため、鹿児島県においては、さつまいもを使った郷土料理が多数存在する。その一つが「からいもごはん」である。“からいも”はさつまいものことで、手軽につくれることから、現在もよく食卓に上がる。さつまいもの甘みとほっくりとした食感がごはんと好相性で、老若男女から親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +収穫時期である9月から11月ごろにさつまいもが多く流通するため、この時期につくられることが多い。 + +## 飲食方法 +角切りにしたさつまいもと米を一緒に炊いて食べる。炊く際に塩を少し入れると、食べた時にさつまいもの甘みがより引き立つ。もち米を少し入れると、おこわ風に仕上がり、また違った食感を楽しめる。仕上げに黒ごまを振っても良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 2カップ +- さつまいも: 100g +- 水: 2・2/5カップ +- 塩: 小さじ2/3 + +## 作り方 +1. 米は30分前に洗って、水気を切る。 +2. さつまいもはところどころ、皮を剥き、角切りにし、水に浸してアクを抜く。 +3. 1に2、塩、水を加えて炊く。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「郷土の味」(鹿児島県食生活改善推進員連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_12_1.jpg)" +"# じゃんぼ餅 鹿児島県 + +**郷土料理名**: じゃんぼ餅 + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +鹿児島市 + +## 主な使用食材 +もち米粉、つきたての餅 + +## 歴史・由来・関連行事 +「じゃんぼ餅」とは、つきたての餅やもち米粉を使っただんご串を2本さして、とろみのある砂糖醤油ダレをかけて食べる、鹿児島県で古くから親しまれている料理である。「じゃんぼ餅」は、「両棒餅」と書く。「じゃんぼ餅」の歴史は非常に古く、南北朝時代、後醍醐天皇の子である懐良(かねなが/かねよし)親王が、鹿児島市の谷山城に滞在していた際、谷山城主の谷山隆信が親王を慰めようと、餅をつくってそこへ2本の串をさし、味噌と黒砂糖を煮つめたものをかけて出ししたところ、料理の名を聞かれ、とっさに「両棒(じゃんぼ)」といったのがはじまりだという逸話がある。江戸時代に入ると谷山から薩摩藩主の島津氏に献上されるようになり、そこから磯地域で「じゃんぼ餅」が広まったといわれる。ほかにも「じゃんぼ餅」の名の由来は諸説存在する。昔、上級武士は刀を腰に2本さしており、その姿に似ていることから、この名がついたといわれている。また“両棒”を“じゃんぼ”と読むのは、中国語からきているといわれており、中国語で“両”は“リャン”と発音し、これが鹿児島県で“じゃん”と訛って「じゃんぼ餅」と呼ばれたのではないかともいわれている。 + +## 食習の機会や時季 +特に時期を問わず、年間を通して食べられている。また、県外客の簡単なおもてなしにも最適である。 + +## 飲食方法 +もち米粉に水を加え、耳たぶと同じくらいのかたさにする。直径3cmほどの平たい円形にととのえ、お湯に入れて浮いてきたら水で冷やす。水気を切って、竹串を2本さす。砂糖醤油ダレか味噌ダレが好まれ、餅を少し素焼きにした後、タレをかけて食べる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (12本分) +- もち米粉: 130g +- 水: 110~120cc +- 竹串: 24本 +- 【醤油ダレ】 淡口醤油: 大さじ1 +- 【醤油ダレ】 砂糖: 大さじ5 +- 【醤油ダレ】 本みりん: 大さじ1 +- 【醤油ダレ】 片栗粉: 大さじ1 +- 【醤油ダレ】 水: 50cc + +## 作り方 +1. もち米粉に水を加え耳たぶくらいのかたさにこねあげ、直径3cmほどの平たい円形にし、沸騰した湯でゆで、浮いてきたら水にとって冷まし、水気を切る。 +2. 醤油ダレは、片栗粉をあらかじめ水で溶いておき、他の材料と共に火にかけとろみをつける。 +3. 1を素焼きにし、1個につき2本の串を刺し2のタレを付けて皿に盛る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : NPO法人 霧島食育研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_10_1.jpg)" +"# あくまき 鹿児島県 + +**郷土料理名**: あくまき + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +もち米、灰汁(アク汁) + +## 歴史・由来・関連行事 +「あくまき」は、主に端午の節句で食べられる鹿児島県独特の餅菓子で、“ちまき”と呼ぶこともある。関ヶ原の戦いの際、薩摩の島津義弘が日持ちのする食糧として持参したのがはじまりだという説がある。保存性が高いことと、その腹持ちの良さから、薩摩にとって長く戦陣食として活用され、かの西郷隆盛も西南戦争で食べていたといわれる。こうした背景から、男子が強くたくましく育つようにという願いを込めて、端午の節句に食べられるようになったといわれている。「あくまき」は、もち米を木や竹を燃やした灰からとった灰汁(あく)に浸した後、そのもち米を孟宗竹(もうそうちく)の皮で包んで、灰汁水で数時間煮込んでつくられる。灰汁に含まれるアルカリ性物質がもち米の繊維を柔らかくするとともに、雑菌の繁殖を抑え、長期保存ができるようになる。高温多湿で食糧が腐敗しやすい鹿児島県において、まさに先人の知恵がつまった料理である。 + +## 食習の機会や時季 +4月中旬ごろになると、鹿児島県内のスーパーマーケットや土産店で多く見かけるようになる。端午の節句には「あくまき」をつくったり、購入するなどして食べられている。 + +## 飲食方法 +もち米を一晩灰汁につけ、ざるにあげ竹の皮につめ、袋状に包む。それを水で薄めた灰汁で3時間以上煮こみ、米粒が艶のあるべっこう色へと変色したら鍋から取り出す。竹の皮を剥がし、食べやすい大きさに切ったら、きなこや黒糖、白砂糖など、好みのものをまぶしていただく。珍しいところでは、砂糖醤油をかけて食べることもあるという。しっかりした食感のため、食べ応えがある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (約15本分) +- もち米: 1升(1.5kg) +- 灰汁水: 1升(1800cc) +- 竹皮: 15枚 +- きなこ等: (適宜) + +## 作り方 +1. もち米を洗い、灰汁に一昼夜ひたし、ざるにあげて水気を切る。竹皮は水に2~3日つけて柔らかくし、うぶ毛を亀の子たわしで取る。結ぶ紐用に、竹皮の根元の方から1cm程に3本裂く。 +2. 1のもち米(140g程度)を竹皮の真ん中におき、上下の竹皮の端を中央で合せて巻き込み、きっちり折りたたむ。 +3. 左右もきっちり折りたたみ、竹皮のひもで、両端と真ん中をきつめにしばる。余分なひもは切る。 +4. たっぷりの水に、包んだあくまきを入れ、落し蓋をし、水をつぎ足しながら煮る。(普通の鍋で3時間)。 +5. 米粒の形がなくなればできあがり。きなこや粉黒糖、黒みつなどをかけて食す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : NPO法人霧島食育研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_9_1.jpg)" +"# 豚味噌 鹿児島県 + +**郷土料理名**: 豚味噌 + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域、奄美地域 + +## 主な使用食材 +豚肉、味噌 + +## 歴史・由来・関連行事 +「豚味噌」は、鹿児島県を代表する食材である豚肉と味噌を合わせてつくる料理である。奄美地域では、これらに加え、落花生、カツオ節を入れる。奄美地域では、古くから毛が黒い島豚が飼育されていた。かつては各家庭で1頭ずつ飼っていて、年末に屠殺され、貴重なタンパク源として食べられたという。そのため、どのような部位も無駄にしないために、年越し料理の「豚骨野菜」のほか、保存がきく「豚味噌」や塩漬け、炒め物や焼き物などにして、全てを余すことなく料理にした。また、奄美地域ではその温暖な気候から、独特の発酵文化をつくり出しており、特に味噌は奄美地域における代表的な調味料といっても良い。現在では県内全域で親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +年間を通して常備菜としてつくられている。日常の食卓に上がることはもちろん、弁当のおかずとしてもよく使われる料理。奄美地域ではお茶うけとしても出される。 + +## 飲食方法 +豚ばらのブロック肉をゆがいた後、一口大にカットしたら、粒味噌、砂糖(あれば島ざらめ)、カツオ節、落花生の粉とともに混ぜ合わせる。全体的に馴染んだら、ごはんなどと一緒に食べる。おにぎりの具にしたり、冷奴やうどんにのせたりと、食べ方のアレンジは豊富である。しばらく寝かすと、さらに味が馴染んで美味である。豚肉の部位や味噌の種類を変えると、また違った味わいの「豚味噌」も楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 豚の三枚肉(ブロック): 300g +- 粒味噌: 300g +- 砂糖(あれば島ざらめ): 50~100g(お好みで) +- 塩: 大さじ1 +- カツオ節: 30g +- 落花生の粉: 50g(ない場合はピーナッツを砕くか、白ごまをすっても良い) +- サラダ油: 適量 + +## 作り方 +1. 豚の三枚肉を沸騰したお湯でゆがく(蒸しても良い)。 +2. ゆですぎないうちに湯を切り、一口大にカットする(カットしたものを油で炒めても美味しい)。 +3. ボウルに粒味噌、島ざらめ、カツオ節、落花生の粉を入れて合わせる。 +4. 3に2を入れて軽く混ぜ合わせてできあがり。容器に入れて保存すると、味が染みこんでさらに美味しくなる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「奄美の食と文化」(著・久留 ひろみ氏) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_8_1.jpg)" +"# 豚骨 鹿児島県 + +**郷土料理名**: 豚骨 + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +豚骨(スペアリブ)、こんにゃく、大根、ごぼう、焼酎、味噌、砂糖 + +## 歴史・由来・関連行事 +「豚骨」とは、豚の骨付きあばら肉を焼いて芋焼酎で炒りつけてこんにゃくや大根などの野菜とともに、味噌と黒砂糖で煮こんでつくる郷土料理である。薩摩武士たちが狩場や戦場などでつくった野外料理がはじまりで、かの西郷隆盛も好物であったといわれている。鹿児島県といえば、黒豚が有名であるが、これは薩摩藩18代当主、島津家久によって琉球から鹿児島県に移入された豚がルーツである。その後、明治時代にイギリスのバークシャー種と交配させ、改良を進めた。一時、成長の早い白豚の飼育が増え、黒豚の飼育が減った時期もあったが、柔らかく、旨味が強い黒豚の振興を進めることで、現在の“かごしま黒豚”のブランドが確立された。また、鹿児島県はその温暖な気候から麦味噌の生産も盛んである。鹿児島県の麦味噌は麹の量が多く、塩分が少なめのため、甘みが強い。「豚骨」には、豚肉と麦味噌、黒砂糖、そして芋焼酎という、鹿児島県ならではの食材がふんだんに盛り込まれているため、今日にいたるまで鹿児島県を代表する郷土料理として親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +現在は特に時期は問わず、家庭でよくつくられている。 + +## 飲食方法 +豚骨の表面に焦げ目をつけた後、焼酎を振りかけ強火にし、アルコール分を飛ばしたら、水を入れてしばらく煮る。焼酎をかけることで、豚の臭みを消し、身を柔らかくする。その後、大根やごぼう、こんにゃくなどの具材を投入し、黒砂糖、味噌を入れたら、ていねいにアクとりをしながらじっくり煮こんでいく。柔らかくなって味が染み込んだら皿に盛る。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## レシピ提供元 +Not found + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_5_1.jpg)" +"# 鶏刺し 鹿児島県 + +**郷土料理名**: 鶏刺し + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +鶏肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +鹿児島県では、江戸時代から薩摩武士たちが士風高揚のため、盛んに闘鶏をおこなっていた記録があり、その際に負けた鶏をその場でしめて食べていたという。闘鶏が禁止された後も、各家庭で鶏���飼われ、来客がある時や祝いの席のために鶏をしめて調理し食べていたという。このように鹿児島県においては、古くから鶏肉を使った料理が身近であった。この流れの中で、鶏肉を刺身で食べる「鶏刺し」が根づいたと考えられる。鹿児島県は、現在も鶏の飼育は盛んで、秋田県の比内地鶏、愛知県の名古屋コーチンとともに、日本三大地鶏の一つとして薩摩地鶏が名を連ねている。薩摩地鶏は、江戸時代に闘鶏用に飼育され、現在は観賞用としてのみ飼育されている薩摩鶏が原種であり、肉の弾力、甘み、色合いが非常に良く、ブランド鶏として人気がある。また、薩摩地鶏のほかにも、さつま若しゃも、黒さつま鶏という薩摩鶏を原種にしたブランド鶏が存在する。鹿児島県では、「鶏刺し」のほかに、「さつま汁」や「鶏飯」、「煮こみ料理」、「やきとり」など、さまざまな鶏料理が親しまれている。 + +## 食習の機会や時季 +特に時期はなく、年間を通して食べられている。 + +## 飲食方法 +刺身用の鶏肉を少しあぶり、食べやすいように薄く削ぎ切りにして、醤油を付けていただく。この時、青じそやにんにく、おろししょうがといった薬味もそえる。部位としては、もも肉、むね肉、ささみ、砂肝などがよく食される。鹿児島県・宮崎県では、伝統的な食文化を守るため、県が独自に「食鳥肉の生食加工基準」を定め、同基準をクリアした鶏肉のみが生食用として流通している。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 () +- 鶏刺し用鶏肉(もも・ささみ・むね肉): 150g +- 玉ねぎ: 30g +- ねぎ: 5g +- しょうが: (お好みで) +- にんにく: (お好みで) +- 青じそ: (お好みで) + +## 作り方 +1. 鶏刺し用の新鮮な鶏肉を用意する +2. バーナーなどで皮目をあぶり、表面の色が変わったら火を止める(中は生のまま) +3. 3mm幅に皮目から切る。肉の繊維の方向を見て繊維を断ち切るようにくらいの刺身に切る。 +4. 青じそを敷き部位ごとに盛り付け玉ねぎはスライス、ネギは小口切り。しょうがニンニクはすりおろして一緒に盛り付け、好みで醤油やポン酢で味わう。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 株式会社Table of Smile + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_4_1.jpg)" +"# きびなごの刺身 鹿児島県 + +**郷土料理名**: きびなごの刺身 + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +キビナゴ + +## 歴史・由来・関連行事 +鹿児島県は、鹿児島湾、東シナ海、太平洋など広い漁場に恵まれ、海の幸も豊富である。なかでも鹿児島県の郷土料理に欠かせない魚として名が挙がるのがキビナゴである。キビナゴはニシン科の魚で、体長は10cmほどである。独特な帯状の縞模様があるが、鹿児島県南部の方言で、帯のことを“きび”、小魚のことを“なご”と呼ぶことから、その見た目の特徴に合わせキビナゴと呼ばれるようになったといわれている。キビナゴの産地として特に知られるのが、鹿児島本土の西に位置する甑島(こしきしま)である。日本有数のキビナゴの産地として知られ、全国の水揚げ量の20%以上を占めている。鮮度が落ちるのが非常に早いため、漁獲地以外で広く流通することは少ないが、漁獲量が多い鹿児島県だからこそ、さまざまなキビナゴ料理が親しまれている。天ぷらや南蛮漬けといった料理も人気があるが、キビナゴを手開きした「きびなごの刺身」は、新鮮なキビナゴが手に入る地域だけの特権である。「きびなごの刺身」は、菊の花をかたどった“菊花造り”にし、酢味噌に付けて食べるのが特徴である。 + +## 食習の機会や時季 +キビナゴは年間を通じて水揚げされるため、いつでも食べられる。春先は産卵の時期のため、子持ちのキビナゴが水揚げされ、秋は産卵期ではないため身に脂がのって身がしまるという。そのため、時期によって違った味わいを楽しめる。 + +## 飲食方法 +キビナゴの頭を折って、腹側から指を入れて身を開き、背骨を尾に近いところで折り、剥がしとる。背ビレも取り塩水でさっと洗い水気を取る。このように、包丁ではなく、手で開くのが特徴である。開いたキビナゴの身を半分にたたんで並べ、菊の花のように盛り付けていく。酢味噌に付けて食べるのが一般的だが、好みでしょ��が醤油などにつけて食べることもあるほか、みょうがやねぎ、大葉などの薬味をそえることもある。刺身を大根の千切り、酢味噌で和えて、「味噌なます」にすることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- キビナゴ: 40尾 +- 【酢味噌】 麦味噌: 大さじ3 +- 【酢味噌】 酢: 大さじ1.5 +- 【酢味噌】 砂糖: 大さじ2 +- 酒: 少々 +- 葉ねぎ(小口切り): 適宜 + +## 作り方 +1. キビナゴの頭を上から下へ指で引きちぎるように折る。 +2. エラの下に人差し指を入れ、尾に向かって指を動かして頭と一緒に内臓を取り除く。 +3. 腹に指を入れ、上側の背骨を外すように指を滑らせて身を開く。 +4. 背骨を尾に近いところで折り、頭の方向にていねいに剥がし取る。 +5. 人差し指に巻き付けるように身をのせる。 +6. 身が二つに割れないように気を付けて、背びれをそっと剥がし取る。 +7. 開いたキビナゴは、塩水(3%濃度)でさっと洗い、清潔なキッチンペーパーなどで水気を拭き取り、身の頭側4分の1ほどくるりと内側に巻き、背を見せるように盛り付ける。 +8. 味噌をすり鉢ですり、酢、砂糖も加えすり混ぜ酢味噌をつくる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : NPO法人 霧島食育研究会 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_3_1.jpg)" +"# 酒ずし 鹿児島県 + +**郷土料理名**: 酒ずし + +**都道府県**: 鹿児島県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +米、干し大根、干ししいたけ、ゆでたけのこ、つけあげ(さつま揚げ)、タイ、地酒(灰持酒) + +## 歴史・由来・関連行事 +江戸時代からの歴史を持つといわれる「酒ずし」。薩摩藩主であった島津の殿様が、花見の宴会の後に残ったごちそうと酒を一緒にして桶に入れておいたところ、翌日発酵して良い香りを放つ料理になっていたのがはじまりだといわれている。酒をまぶしたごはんに、海や山の幸、季節の食材を散らし、半日ほどおいてつくる具だくさんの「押しずし」のような料理である。「酒ずし」に欠かせないのが、地酒の“灰持酒(あくもちざけ)”である。清酒をつくる過程のもろみに、灰汁を加えて絞ってつくるもので、この製法によって保存性が高まるため“灰汁で日持ちをよくした酒”から灰持酒と呼ばれるようになった。鹿児島県では、みりんの代わりに使ったり、おとそとしても飲まれている。鹿児島県は温暖な気候のため、昔は一般的な清酒づくりは適さず、代わりにこの灰持酒の製造が盛んになった。一度も火入れをせずにつくるため、アミノ酸や有機酸、ミネラルが壊れることなく豊富に含まれ、「酒ずし」の深い味わいを引き出すといわれている。 + +## 食習の機会や時季 +かつては「酒ずし」は花見の席で食べられる春のごちそうであった。タイやたけのこ、木の芽など、春の食材をそれぞれしっかり下ごしらえし、贅沢に使用してつくる。現在はつくる手間がかかるため、頻繁には食べられないが、祝いの席など、人がたくさん集まる時に、さまざまな季節の食材を組み合わせてつくって食されている。 + +## 飲食方法 +干し大根やたけのこ 、つけあげ、タイ、エビといった10種類ほどの具材をしっかり下ごしらえし、地酒の灰持酒をまぶしたごはんの上に散らす。これを2層から3層繰り返し、最後に残った具材を上に敷きつめ、軽く重石をのせて、半日ほど寝かして発酵させる。その後、層をできるだけ崩さないようにお皿に取り分けていただく。このままでも食べられるが、好みでさらに灰持酒をかけて食べても良い。地酒の分量や材料は、家庭や店舗、地域によって異なり、さまざまな味わいを楽しめる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (8~10人分) +- 米: 5カップ +- 水: 5カップ +- 出汁昆布: 5~6cm +- 干し大根: 30g +- 干ししいたけ: 5枚 +- ふき: 5本 +- たけのこ: 150g +- 人参: 75g +- 卵: 4個 +- タイ: 1/2尾 +- エビ: 10尾 +- つけあげ(さつま揚げ): 100g +- かまぼこ: 150g +- こがやき: 150g +- 木の芽: 適量 +- 【薬味】 三つ葉、高菜漬物、ごま: 適量 +- 【A】 地酒: 3カップ +- 【A】 塩: 小さじ1 +- 【B】 砂糖: 大さじ1/2 +- 【B】 淡口醤油: 大さじ1 +- 【B】 地酒: 大さじ1 +- 【C】 砂糖: 大さじ1 +- 【C】 濃口醤油: 大さじ2 +- 【C】 地酒: 大さじ1 +- 【D】 淡口醤油: 小さじ1 +- 【D】 地酒: 大さ���1/2 +- 【D】 塩: 少々 +- 【E】 塩: 小さじ1/4 +- 【E】 砂糖: 小さじ1 +- 【E】 地酒: 大さじ1 +- 【F】 塩: 少々 +- 【F】 地酒: 大さじ1/2 +- 【G】 塩: 大さじ1/4 +- 【G】 砂糖: 大さじ1/2 +- 【G】 地酒: 大さじ1 +- 【G】 片栗粉: 小さじ1/2 +- 【H】 酢: 大さじ1 +- 【H】 砂糖: 大さじ1/2 +- 【H】 塩: 小さじ1/4 +- 【I】 酢: 大さじ1 +- 【I】 砂糖: 大さじ1/2 +- 【I】 塩: 小さじ1/4 + +## 作り方 +1. 米は同量の水に出汁昆布を入れ、ふっくら炊き上げる。 +2. 【具を準備する】干し大根は水で戻し、Bで調味し、1cmの長さに切る。干ししいたけは水で戻し、水煮してCで調味し、汁がなくなるまで煮て、千切りにする。ふきはゆでて皮を剥き、ひたひたのだし汁とDで色よく煮て、1.5cmの長さに切る。たけのこは1cmの長さに切り、だし汁(分量外)で煮て、軽くEで調味して煮上げる。人参は細めの短冊切りにしてFで煮る。卵は割りほぐしてGを加え、薄焼き卵をつくり、ひし形に切る。タイは3枚におろして塩をし、1時間ほどおいて皮を剥ぎ、酢洗いしてHの甘酢に漬ける。エビは殻を剥き、背わたをとり、串をさしてさっとゆで、開いてIの甘酢に漬ける。つけあげ、かまぼこ、こがやきは1.5cmの長さの短冊切りにする。 +3. 1のごはんがよく冷めてからAを合わせる。 +4. すし桶に地酒を振り、3のごはんを2~3cmの厚さに入れ、干し大根、人参、ふきを散らし、その上に米をのせ、しいたけ、たけのこを散らし、タイ、エビ、木の芽などで上をきれいに飾る。 +5. 地酒を振って蓋(重石を置く)をし、数時間(6~8時間程度)寝かせて味を馴染ませる。 +6. 桶ごと持ち出し、切るように盛る。薬味をそえる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 「郷土の味」(鹿児島県食生活改善推進員連絡協議会) + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_1_1.jpg)" +"# 中身汁 沖縄県 + +**郷土料理名**: 中身汁 + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +豚の内臓 + +## 歴史・由来・関連行事 +豚肉がよく食べられる沖縄県では、余すところなく料理に使うことから「鳴き声以外は全て食べ尽くす」と言われている。中でも沖縄県で“中身”と呼ばれる内臓を使った「中身汁」は、「中身の吸い物(なかみのすいもの)」とも呼ばれ、豚の大腸や小腸、胃といった中身を具にし、すまし汁仕立てでシンプルに仕上げた郷土料理である。内臓を使っているにも関わらずさっぱりとした味わいが特徴。そのためには丁寧な下処理が重要であり、おからや小麦粉などを使ってもみ洗いした上で何度もゆでこぼし、脂と臭みを取り除く。だしにはかつおと豚を合わせて使い、高級客膳料理として振る舞う場合は、具材を中身のみにしたりシイタケだけを添えたりする。また、独特の爽やかな香りを持つコショウに似た香辛料のヒハツを加えることもあるが、現在では代わりにショウガのすりおろしを入れて食べるのが一般的となっている。 + +## 食習の機会や時季 +正月料理や祝いや法事の料理として食されるが、現在では日常食としても親しまれている。 + +## 飲食方法 +おから、または小麦粉でもみ洗いしたあと、たっぷりの水と中身を入れた鍋を火にかけ、沸騰しにごりが出たら煮こぼす。6~7回ほど繰り返し臭みがとれたら、再び水から中身を火にかけ、やわらかくなるまで煮る。中身を細切りにし、再びゆでこぼす。豚だしとかつおだしを合わせて煮立て、中身と水で戻して細切りにした干しシイタケを加え、塩や醤油で吸い物の味に調え、中火で煮て味を染み込ませる。椀に盛り、ショウガのすりおろしを加える。また、こんにゃくやかまぼこを具材に入れることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 中身(豚の胃、大腸、小腸): 250g +- 干しシイタケ: 2枚 +- 豚だし: 2と1/2カップ +- かつおだし: 2と1/2カップ +- 塩: 小さじ1 +- 醤油: 少々 +- ヒハツまたはおろしショウガ: 少々 + +## 作り方 +1. 鍋に中身を入れ、たっぷりの水を入れ火にかけて沸騰したらこぼし、また水を加え沸騰したらゆでこぼす作業を6~7回繰り返す。臭みが取れたら、約2時間、中身が十分やわらかくなるまで煮る。 +2. 中身の切れていない長いままのものは、長さ5cm、幅7mmに切る。 +3. 干しシイタケは水で戻してせん切りにする。 +4. 鍋に分量のだしを煮立て、中身とシイタケを入れ、塩で調味してから、醤油を少々入れて吸い物の味に調え、中火でしばらく煮て味を染み込ませる。 +5. わんに4を注ぎ、ヒハツをふりかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_1_1.jpg)" +"# クーブイリチー 沖縄県 + +**郷土料理名**: クーブイリチー + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +昆布 + +## 歴史・由来・関連行事 +沖縄県の郷土料理でよく耳にする“イリチー”とは炒め煮のことを指し、乾物や根菜類などを炒めてから味を含ませるように煮込んだ料理のこと。さまざまなイリチーの中でも、主にハレの日に作られたのが「クーブイリチー」だ。クーブとは昆布のことで、「クーブイリチー」は昆布の炒め煮で、「クーブイリチャー」「昆布の炒り煮(こんぶのいりに)」と呼ばれることもある。昆布と「よろこぶ」とかけて、結婚式などの祝い事に欠かせない料理となっている。千切りにした昆布をよく炒めて、具材とともに豚だしや醤油、砂糖などで煮込んで作られ、こってりとした甘辛い味わいだ。ゆでた豚の三枚肉を加えるが、昆布との相性が良く、味が溶け合い独特の旨味を作り出している。また、煮込む時、手間ではあるが、豚だしを数回に分けて加えることで、よりおいしくなると言われている。乾物の昆布を千切りにする時は、水で戻して折り畳み、別の昆布で巻いて滑らないように固定すると切りやすい。また、手間ではあるが、豚だしを数回に分けて加えることで、よりおいしくなると言われている。 + +## 食習の機会や時季 +昆布は「よろこぶ」の語呂から祝い料理として振る舞われる料理だが、最近では家庭料理として日常的に作られている。 + +## 飲食方法 +昆布は洗ってから水で戻し、千切りにしておく。ゆでた豚の三枚肉、こんにゃく、かまぼこ、揚げ豆腐は短冊切りにする。鍋に砂糖や醤油、みりんなどの調味料を入れて火にかけ、まずは三枚肉とこんにゃくに味を入れる。別の鍋で昆布を油で炒めてから豚だしを加え、落とし蓋をして煮込む。そこに三枚肉とこんにゃくを汁ごと入れて煮詰める。煮汁がほとんどなくなったらかまぼこや揚げ豆腐を合わせる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 昆布(刻み昆布でもよい): 40g +- 豚三枚肉: 60g +- こんにゃく: 40g +- かまぼこ: 30g +- 揚げ豆腐: 30g +- 豚だし: 2カップ +- サラダ油: 大さじ1 +- 砂糖: 大さじ1 +- みりん: 大さじ1/2 +- 酒: 大さじ1 +- 醤油: 大さじ1強 +- 塩: 少々 + +## 作り方 +1. 昆布は洗って戻し、水気を切って、3~4mmの千切りにする。 +2. 豚三枚肉は丸ごとゆでて、短冊切りにする。 +3. こんにゃく、かまぼこ、揚げ豆腐も短冊切りにする。 +4. 小鍋に砂糖、みりん、酒、醤油を入れて火にかけ、豚三枚肉、こんにゃくを入れて下味をつける。 +5. 鍋に油を熱し、昆布を入れてよく炒め、昆布に油が十分に回ったら豚だしを加えて落し蓋をして、ゆっくり昆布がやわらかくなるまで煮込む。 +6. 途中で4の豚三枚肉、こんにゃくを汁ごと入れる。 +7. 煮汁がほとんどなくなった頃、かまぼこ、揚げ豆腐を入れて混ぜ、味を見て、塩で味を調える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_2_1.jpg)" +"# イナムドゥチ 沖縄県 + +**郷土料理名**: イナムドゥチ + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +豚の三枚肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +沖縄県では、「イナ」はイノシシ、「ムドゥチ」はもどきの意味を持ち、郷土料理の「イナムドゥチ」は「イノシシもどき」という意味。「イナムルチ(いなむるち)」とも呼ばれる。かつてはイノシシの肉を使っていた汁物だったが、イノシシ肉が手に入りづらくなったため、豚肉を使って作られるようになったことからこの名がついた。こんにゃくやかまぼこなどの具材も加えて、甘味噌で味をつけており、とろりとした具だくさんの仕上がり。材料の旨味がしみでた滋味深い味わいが魅力だ。ポイントは沖縄県独特のカステラかまぼこを使っていること。魚のすり身を大量に加えて蒸し揚げしたもので、高級な食材として行事食には欠かせない一品だ。この食材が使われていることからもわかるように、「イナムドゥチ」はお祝いに食べられる料理。琉球王朝時代の流れをくむ五段のお取持ちという供応料理の一の膳に出される祝い料理のひとつでもある。似た料理で「鹿ムドゥチ」があり、こちらはすまし汁に仕立てる。 + +## 食習の機会や時季 +寒い時季に主に食べられており、旧正月のお祝い、卒業式、入学式、成人式など「おめでたい日に食べる料理」として振る舞われる。 + +## 飲食方法 +豚の三枚肉は丸ごとゆでてから短冊切りにする。干しシイタケは水で戻し、アク抜きしたこんにゃくや油揚げ、カステラかまぼことともに短冊に切る。豚だしとかつおだしを合わせた汁に、かまぼこ以外の具材を入れ鍋で煮立て、最後にかまぼこと甘味噌を加えて味を調える。使う甘味噌によって塩分の量が異なるので、味見をしながら調整するとよい。また、寒い時季はとろみを強くすると熱が逃げにくくなるため、食べるとより体が温まり、おいしくいただける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 豚三枚肉: 200g +- カステラかまぼこ: 40g +- 干しシイタケ: 2枚 +- こんにゃく: 40g +- 豚だし: 2カップ +- かつおだし: 2カップ +- 甘味噌: 約100g + +## 作り方 +1. 豚三枚肉は丸ごとゆで、幅1cm、長さ4cmくらいの短冊切りにし、塩を振ってしばらく置く。 +2. 1の三枚肉を沸騰した湯に入れてさっとゆで、さらによく水洗いをする。 +3. 材料はすべて短冊切りにし、こんにゃくはさっとゆでておく。 +4. なべに分量の豚だし、かつおだしを合わせて火にかけ、煮立ったらカステラかまぼこ以外の材料を入れ甘味噌を溶き入れる。 +5. 中火で15分くらい煮て、材料に味がしみこみ、少しとろりとしたら、カステラかまぼこを入れて仕上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_3_1.jpg)" +"# クファジューシー 沖縄県 + +**郷土料理名**: クファジューシー + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +米、豚の三枚肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「ジューシー」には炊き込み形式の「クファ(堅い)ジューシー」と雑炊形式の「ヤファラ(軟らかい)ジューシー(ボロボロジューシーともいう)」がある。「クファジューシー」は、豚肉を加えて炊くため程よい脂気によってつや良く仕上がるのが特徴で、食後の口に残るわずかな油っ気をさっぱりさせるため酢の物「ウサチ」を添える。もともとは行事や祝いごとに欠かせないハレの日の料理であったが、近年は家庭料理としても親しまれている。「クファジューシー」には、お盆の精霊迎え「ウンケー」に作る、葉ショウガを使った「ウンケージューシー」、冬至に作る田芋を使った「トゥンジージューシー」などがある。一方、水気を多くして炊く雑炊スタイルのものが「ヤファラジューシー」で、普段に食べられていた「ヤファラジューシー」には、「フーチバー(よもぎ)ジューシー」、「カンダバ-(芋の葉)ジューシー」「クリ(イカ墨)ジューシー」などがある。 + +## 食習の機会や時季 +行事料理、祝い料理として振る舞われる。旧暦の7月13日の精霊迎え「ウンケー」からはじまり、3日後の精霊送り「ウークイ」までの間に行われる旧盆。ウンケーの夕方にはジューシーの中でも、葉ショウガを使った「ウンケージューシー」が食べられている。田芋か里芋を使った「トゥンジージューシー」は、冬至に食べられている料理。現在は日常食としても食べられている。 + +## 飲食方法 +米を洗い、ざるにあげて水を切っておく。豚の三枚肉を丸ごとゆでてからあられ切りにする。ニンジン、水で戻した干しシイタケ、かまぼこも同様に切る。釜に冷めた豚だし、醤油、塩を入れ、米、豚の三枚肉、野菜とかまぼこの順に入れて炊く。炊き上がったらラードを入れて混ぜ合わせる。おにぎりにしてお弁当にすることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 2カップ +- 豚だし: 2と1/4カップ +- 塩: 小さじ1~1と1/2 +- 醤油: 大さじ1~2 +- 豚三枚肉: 150g +- ニンジン: 30g +- 干しシイタケ: 2枚 +- かまぼこ: 30g +- ラード: 小さじ2 + +## 作り方 +1. 米は炊く30分前に洗い、ザルに上げて水気を切っておく。 +2. 豚三枚肉は丸ごとゆでて、あられ切り(5ミリ角)にする。 +3. ニンジン、戻したシイタケ、かまぼこもあられ切りにする。 +4. 炊く直前に鍋に豚だし、塩、醤油を入れて混ぜ、1、2、3を入れて炊く。 +5. 炊き上がったら、ラードを加えて混ぜ、蒸らす。 +6. お好みで、簡単なウサチ(酢の物)を添える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_4_1.jpg)" +"# ソーミンタシヤー 沖縄県 + +**郷土料理名**: ソーミンタシヤー + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +そうめん + +## 歴史・由来・関連行事 +「ソーミンタシヤー」はそうめんを炒めた沖縄県の家庭料理。沖縄の調理法の炒め物に「タシヤー」と「チャンプルー」があるが、「チャンプルー」には炒めた豆腐が入るものを指すため、“そうめんの炒め物”として使われている「そうめんチャンプルー」は、間違った表現ということになる。「ソーミンタシヤー」は野菜やツナなどの具材とそうめんを塩や醤油でシンプルに仕上げる手軽な料理のため家庭料理の代表的な存在で、酒の肴としても重宝されている。そうめんのゆで加減で仕上がりが異なるため、調理工程は簡単なものの、コツがいる。そうめんを炒める時にだしを入れて仕上げたり、ゆでる時に粘り気を出したりしたやわらかいものは「ソーミンプットゥルー」と呼ばれ、食べやすくのどごしが良いためお年寄りに喜ばれている。ちなみに「プットゥルー」とはでんぷん質が溶け出てとろとろになった状態を意味する。 + +## 食習の機会や時季 +家庭料理として昼食や夕食として食べられるほか、お酒のお供としても食されている。昔はどの家にもそうめんの買い置きがあり、台風などで出歩けない時の食事に重宝したそう。 + +## 飲食方法 +たっぷりの湯にそうめんをほぐし入れてゆで、ざるにあげてもみ洗いしたら水気を切る。しばらく置いておく時は、油をまぶしておくと固まらない。ビラガラと呼ばれるネギは小口切りにする。フライパンに油を熱してそうめんを入れ、箸でさばくように強火で炒める。ビラガラを加えて塩で味を調え、香り付けに醤油をふる。炒める時に焦げ付くようならだし汁を少々加える。おかずにする際は、ニンジンの千切りやツナ缶、肉、かまぼこなどを加えることもある。また、ゆでたそうめんをだしにつけて味を染み込ませて作ることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- そうめん: 2束 +- 青ねぎ: 少々 +- 油: 大さじ1 +- 塩: 適量 +- 醤油: 適量 + +## 作り方 +1. そうめんはたっぷりの湯でゆでる。沸騰したら一度差し水をして、再び沸騰したらゆで上がるので、すぐにザルに上げ、もみ洗いして水気を切る。 +2. 青ねぎは小口切りにする。 +3. フライパンに油を熱しそうめんを入れて、箸でさばくようにして、強火で炒める。焦げ付くようであればだし汁を少々加えて炒め、塩で調味して香り付けに醤油少々を垂らす。 +4. 青ねぎを散らして仕上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_5_1.jpg)" +"# ラフテー 沖縄県 + +**郷土料理名**: ラフテー + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +豚の三枚肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +沖縄県の琉球料理は「豚に始まり豚に終わる」と言われ、肉はもちろんのこと、内臓や顔、耳、血までも使いこなすことで知られており、特に皮つき三枚肉(バラ肉)がよく使われる。また、貧しい時代は豚脂も貴重な栄養源であった。豚肉がよく使われるのは、琉球王朝時代の中国との交流の影響で、豚肉文化が発達した。日本の食肉禁忌は伝わっていたが根付かなかったので、法事の時でも豚肉が使われている。そんな沖縄県の豚肉料理で特に有名なのが「ラフテー」だ。皮付きの豚の三枚肉の角煮で、砂糖、醤油、泡盛で気長に煮込んだもの。軟らかく、皮のとろけるような口当たりが特徴で、かすかに残る泡盛の香りが楽し���る。元々は暑い沖縄の保存食で濃い味付けだったが、時代と主に味が薄くなり、客膳料理や法事料理として振る舞われる琉球料理の代表格となっている。別称でラフティーとも呼ばれている。 + +## 食習の機会や時季 +冷蔵庫や冷凍庫のない時代は保存食であった。現在は客膳料理として振る舞われ、お祝い事や法事などの席で食べられている。 + +## 飲食方法 +豚の三枚肉は直火で皮をあぶり、さっと熱湯に通す。厚手鍋に湯を沸かし、肉を入れ、アクをすくいながら1時間半ほどゆでて汁ごと冷ます。肉を4~5cm角に切り分け、かつおだしと泡盛と一緒に弱火に1時間ほどかける。砂糖を加えてさらに1時間、醤油の半量を入れて1時間、残りの醤油を入れて2時間煮る。皮が箸で切れるくらいのやわらかさになったら完成。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 豚三枚肉: 700g +- かつおだし: 4と1/2カップ +- 泡盛: 1カップ +- 砂糖: 1/2カップ +- 醤油(濃口+薄口): 1/3カップ~1/2カップ + +## 作り方 +1. 豚三枚肉は直火で皮を焼き、さっと熱湯に通す。 +2. 厚手鍋に湯を入れ、沸騰したら1を塊のまま入れ、浮いてくるアクをすくいながら、弱火で1時間半くらいゆで、汁ごと冷ます。 +3. 厚手鍋に分量のだし、泡盛、砂糖を入れて火にかけ、30分くらい弱火で煮る(浮いてくるアクと脂をすくい取る)。 +4. 次に、醤油を2回に分けて入れ、さらに1時間位煮る。 +5. 皮が箸で切れるくらいになったら火を止める。(全体で6~7時間くらい煮るのが理想)。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_6_1.jpg)" +"# ターンムディンガク 沖縄県 + +**郷土料理名**: ターンムディンガク + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +田芋 + +## 歴史・由来・関連行事 +「ターンムディンガク」は田芋をきんとんのように甘く練り上げた料理で、「サーターダーンム」と呼ばれることもある。脂っこい豚肉料理の後によく合いデザート的に用いられることもある。田芋は沖縄の特産品で、水のきれいな水田で栽培される里芋の一種で、水芋とも呼ばれ、沖縄県では「ターンム」と呼ばれ親しまれている。親芋の周りに子芋や孫芋が育つことから子孫繁栄の縁起の良い食材とされ、お祝いの料理には欠かせない食材。沖縄県産の田芋は独特の香りと粘りが持ち味で、特にお正月やお盆などに使われるが、収穫までに一年近くかかるため、農家では逆算して植え付けているという。店頭では生ではなく、蒸した状態で販売されている。全国でも沖縄県が有数の産地で、金武町や宜野湾市の大山が有名。田芋を使った料理には、田芋、ムジ(田芋の茎)、豚肉、椎茸、かまぼこをあらら切りにし、豚だしでじっくり煮込み練り上げた「ドゥルワカシー」、出産祝いに作られた「ムジの汁(ムジ、豚肉、豆腐のみみそ汁)」などがる。近年はパイやスイーツ作りにも用途が広がっている。 18世紀初頭の首里王府では正月元日には田芋を供え物とするなど、儀礼食に用いていた。また、本島北部地区でも「芋折り目」が盛んに行われており、芋は重要な儀礼食材であったことがうかがえる。 + +## 食習の機会や時季 +お正月やお盆などのハレの日に並ぶ料理のひとつ。子孫繁栄の縁起ものである田芋を使っているため、特にお祝いの席では欠かせない。 + +## 飲食方法 +田芋は皮をむき、熱湯で静かに5分ほどゆでてアク抜きをする。水気を切った田芋と水を鍋に入れて火にかけ、やわらかくなったら砂糖を加える。木べらでかき混ぜながら煮込み、きんとん状にする。器に盛り、レモンの皮やショウガのみじん切りをふりかける。田芋の練り具合は地域や家庭によってさまざまで、田芋の形を残したり、すべてつぶしたりと違いがある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 田芋: 300g +- 湯: 1と1/2カップ +- 砂糖: 1/3カップ +- みりん: 大さじ1 +- レモンの皮(またはみかんの皮): 適量 + +## 作り方 +1. 田芋は皮をむき2cm角に切って、静かに沸騰するくらいの火加減で5分くらいゆで、水気を切っておく。 +2. 鍋に1の田芋と分量の湯を入れて火にかけ、田芋が軟らかくなったら砂糖を加え木じゃくしでかき��ぜながら煮込む。次第に角が取れ、液体がねっとりしてきんとん状になったらみりんを加え仕上げる。 +3. 器に盛り、上にレモンの皮のみじん切りを振りかける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_7_1.jpg)" +"# サーターアンダーギー 沖縄県 + +**郷土料理名**: サーターアンダーギー + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +中国からの影響を受け発展してきた琉球王国は、琉球菓子にも中国風と和風が入り混じっている。そこに菓子職人たちの洗練された技法が加わり、暑い沖縄県の風土に合ったものが生まれてきた。特に日持ちのよい揚げ菓子や焼き菓子などが多くあり、祝い事などの行事や儀礼などの催しには欠かせない。全国的に沖縄県のお菓子、おやつとして知名度が高いのが「サーターアンダーギー」で、小麦粉を卵、砂糖と合わせてこねて油で揚げた沖縄風のドーナツのこと。揚げることで生地の片側が割れ、チューリップの花が咲いたような形になるのが特徴。中国から伝わってきたお菓子と考えられており、中国菓子の「開口笑(かいこうしょう)」や「開口球(かいこうきゅう)」と似ている。「アンダーギー」はてんぷら衣のような生地を揚げたものを指しており、サツマイモや紅イモを使った「ンムクジアンダーギー」や、砂糖を使わない「白アンダーギー」という料理もある。 + +## 食習の機会や時季 +家庭で作られるおやつとして食べられているほか、大切な行事や儀礼などでは伝統ある琉球菓子として振る舞われており、沖縄県内で最もポピュラーなお菓子である。 + +## 飲食方法 +蒸してつぶした紅イモやカボチャ、ニンジンなどを混ぜ合わせたカラフルなアンダーギーも県内では人気だ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (約15個分) +- 卵(Mサイズ): 2個 +- 黒砂糖(もしくはグラニュー糖): 130g +- 薄力粉: 230~250g +- ベーキングパウダー: 小さじ2 +- サラダ油: 小さじ2 +- 揚げ油: 適量 + +## 作り方 +1. 薄力粉とベーキングパウダーを一緒にふるっておく。 +2. ボウルに卵を割りほぐし、砂糖を加えて泡立てないようにしながら、とろりとなるまでよく混ぜ合わせる。 +3. 2.に1.の薄力粉を加え、十分によく混ぜ、サラダ油を加える。さらに生地にツヤが出るまでよく混ぜる(2~3分程度、ツヤが出るまでしっかりと混ぜることがポイント)。 +4. 手にうっすらと水をつけ、直径2cmくらいに丸めて、150~160℃の油の中に静かに落とす。 +5. 始めは底に沈んでいる種が、ゆっくりと(20~30秒)浮き上がり、自転をしながらふくらみ、1ヵ所が割れてチューリップ形に開く。時間にして、4~5分程度。 +6. 焼き色が付き、竹串をさして生の生地がついてこなければ出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_8_1.jpg)" +"# カーサームーチー 沖縄県 + +**郷土料理名**: カーサームーチー + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +もち粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「カーサームーチー」(ムーチー、カーサムーチー、鬼餅とも呼ばれる)は、月桃の葉で包んで蒸した餅のこと。旧暦の12月8日には厄払いの為に神仏に供え、家族の健康を祈願する年中行事。「鬼餅」と呼ばれる由来は、民話に基づいており、首里金城町に残る民話からと言われている。両親を早く失った兄妹の妹が年頃になり嫁ぐと、ひとり投げやりに暮らす兄が鬼と化し、家畜だけでなく子どもも食べるようになった。そこでそれをなんとかしようと、妹が兄の大好きな餅に鉄を入れて作り、食べている隙に崖から突き落とし、退治したと伝えられている。 ムーチー蒸すときの月桃のカーサーの良い香りが家中に漂い浄める役目をする。また鬼退治のエピソードから、ムーチーを蒸したとき蒸し汁は、家の回りにまき、ムーチーを包んだサンニンのカーサーはサン(十字形)に結んで、人の出入りする入口や軒先に吊るし、厄除けをする風習が残っている。最近では、もち粉でシンプルに作る「白ムーチー」だけでなく、黒砂糖、��芋、トーナチン(たかきび・コウリャン)を入れたものなど、地域や家庭によって変化をつけることも多い。「カーサームーチー」は、沖縄県の冬に欠かせない、風物詩的な料理だ。男子誕生の初めてのムーチーは、クバ(蒲葵)の葉で「力ムーチー」という特に大きなものを作って祝う。さらに、男女問わず生まれて初めてのムーチーを初ムーチーと呼び、「カーサームーチー」を親戚や隣近所に配る風習がある。 + +## 食習の機会や時季 +旧暦の12月8日に厄払いのために供えられ、家族で食される。この時期の沖縄は冷え込みが厳しく、ムーチービーサという。子どもの年の数のムーチーをすだれ状に編んで、壁や柱につるす風習もある。以前は保育園や幼稚園でもムーチー作りに取り組みことも多かった。 + +## 飲食方法 +もち粉にざらめを混ぜ、水を加減しながら加え、手でよくこねて、耳たぶくらいの硬さにする。ぬれた布巾で包み、しばらく寝かしておく。生地をおにぎり大に分け、サンニン(月桃)の葉の裏側にのせて包み、紐で結び30分間蒸す。ウコンの粉末や黒糖、紅芋をそれぞれ入れ、彩りよく仕上げることもある。サンニンの葉の代わりにクバ(蒲葵)を使っても作られる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (10個分) +- もち粉: 500g +- 黒砂糖: 200g +- 水: 200cc +- サンニンの葉: 大10枚 + +## 作り方 +1. もち粉に黒砂糖を混ぜ合わせ、水を加減しながら加えてよくこね(黒砂糖が溶けて柔らかくなる)、耳たぶくらいの堅さにする。 +2. 1を好みの大きさに等分し、サンニンの葉の裏に長方形にしてのせ包み、ひもでしばる。 +3. 湯気の上がった蒸器で20~30分位蒸す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_9_1.jpg)" +"# ソーキ汁 沖縄県 + +**郷土料理名**: ソーキ汁 + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +豚の骨付きあばら肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +豚を余すところなく料理するが、骨付き肉をよく使う。豚の骨付きあばら肉である軟らかく煮込んですまし仕立てにしたお汁が「ソーキ汁」で、「ソーキ骨のお汁」とも呼ばれている。ソーキ骨を煮付けにし、沖縄そばにのせた「ソーキそば」が県内外では人気だが、県内では「ソーキ汁」のほうがポピュラーである。ソーキ骨は、脂肪と肉が程よいバランスで、香りも良いため、シンプルな吸い物にするとその味わいがダイレクトに楽しめる。おいしく作るコツは、骨から肉が外れるほどやわらかくなるまでじっくりと煮ること。冬場には大根、夏場には冬瓜(とうがん)を入れて作られ、家庭の味として親しまれている。かつては年末に家畜の豚をさばき、お正月を「ソーキ汁」を始めとする豚肉料理で祝った。現在も沖縄県のお正月には欠かせない料理のひとつとなっている。 + +## 食習の機会や時季 +豚肉正月と言われるほど、沖縄県ではお正月にさまざまな豚肉料理を食す。日頃つつましい生活を送っていた庶民が新年などのハレの日を迎えるために豚を調理し、仏前に供えてから食べられていた。 + +## 飲食方法 +豚の骨付きあばら肉は、水で洗ってからさらに湯洗いする。昆布を洗って水で戻し、むすび昆布にしておく。干しシイタケは水で戻し、半分に切っておく。鍋に豚の骨付きあばら肉と水を入れて煮立て、アクを丁寧に取り除いたら火を弱め、昆布、シイタケを加える。肉がやわらかくなるまで弱火で 1時間半ほど煮る。途中、塩、醤油で味をつけ、昆布がやわらかくなったらシイタケとともに取り出す。昆布の戻し汁、干しシイタケの戻し汁、かつおだしを足し、吸い物の味に調える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ソーキ肉(骨つき2本ほど): 8本 +- 昆布: 1本半 +- 乾しいたけ: 2枚 +- 水: 6カップ +- かつおだし: 適量 +- 塩: 小さじ1 +- 醤油: 少々 + +## 作り方 +1. ソーキ骨は洗ってから湯洗いする。 +2. 昆布は水で戻し、結び昆布を作る。 +3. しいたけは水で戻し、半分に切る。 +4. 鍋にソーキ骨と分量の水を入れ強火で煮立て、沸騰したらアクを丁寧にとる。 +5. 4に昆布、しいたけを入れ弱火でソーキ骨がやわらかくなるまで約1時間半煮る(骨がスーと抜けるくらい) +6. 途中で塩と醤油で軽く味をつけ、昆布がやわらかくなったら取り出す。 +7. 6に昆布としいたけを戻し、汁が4カップくらいになるようにかつおだしを足して吸い物味に調える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 :琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_10_1.jpg)" +"# ゴーヤーチャンプルー 沖縄県 + +**郷土料理名**: ゴーヤーチャンプルー + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +ゴーヤー、島豆腐 + +## 歴史・由来・関連行事 +沖縄を代表する庶民料理に「チャンプルー」がある。「チャンプルー」は焼いた島豆腐と季節野菜の炒め物のこと。その中でも代表的なものが「ゴーヤーチャンプルー」で、県内の家庭ではもちろん、近年は全国的にも家庭料理として広まっている。苦味のあるゴーヤーを島豆腐や卵と炒めることで食べやすくし、毎日食べても飽きないおいしさに仕上がるのが魅力。「チャンプルー」には豆腐が必須で、沖縄の豆腐は堅くしっかりしているため、しっかり炒めることが出来る。沖縄の豆腐は、出来立てをそのまま熱い状態で売られており、水さらしをしていないので旨味が残って美味しい。ところが近年、Haccpの関係で、温度管理が必要になり、熱い豆腐の販売時間が制限され、入手が少し難しくなっている。 ゴーヤーの主な生産地はもちろん沖縄県で、平成30年産地域特産野菜生産状況によると、出荷量は6247トン(農林水産省ホームページ「地域特産野菜生産状況」)。2番目に多い宮崎県の2242トンの倍以上を出荷している。 沖縄県では他にもゴーヤー料理が食べられており、「ゴーヤージュース」や味噌で炒め煮にする「ゴーヤーンブシー」などがある。 + +## 食習の機会や時季 +苦味が食欲を刺激し、熱に強いビタミンCを豊富に含むことから夏バテ予防に重宝されてきた「ゴーヤーチャンプルー」。ゴーヤーは夏野菜だが、品種改良が進み通年出回るようになり、近年は季節問わず家庭で振る舞われるほか、飲食店でも提供されている。 + +## 飲食方法 +豚の三枚肉はゆでて短冊切りにする。ゴーヤーは縦二つ割りにし、中の種とわたをスプーンで取り除いて半月の薄切りにする。豆腐は水気をふく。フライパンで油を熱し、豆腐を手で大きめにちぎり入れ、焼き目がつくまで炒め、皿に取り出しておく。フライパンに油を足して熱し、ゴーヤーを炒める。豚の三枚肉を加え塩で調味し、溶き卵を流し入れて全体に絡める。豆腐を戻して混ぜ合わせ、醤油を鍋肌から流し入れて仕上げる。ゴーヤーの苦味が気になるなら、うす塩をして軽く絞り、苦味を抜いてから使う。また、豚の三枚肉の代わりにスパムなどの豚の缶詰肉を使うこともある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ゴーヤー(にがうり): 300g +- 沖縄豆腐(もしくは木綿豆腐): 300g +- 豚三枚肉(もしくは豚バラブロック肉): 100g +- 卵: 2個 +- サラダ油: 大さじ2 +- 塩: 適量 + +## 作り方 +1. ゴーヤーは縦二つ割りにし、中の種とわたをスプーンで取り除き、半月の薄切りにする。 +2. 豆腐のまわりの水気をふく。(※木綿豆腐の場合はキッチンペーパーで包み、10分ほど重しをして水気を切る) +3. 豚三枚肉をサッと湯通しをしてから、別の鍋に湯を沸かし豚三枚肉を入れ、アクを取りながら、中火で20~30分ほど煮る。お箸がスーッと刺さるくらいの軟らかさに煮る(※串等で肉を刺し、透明な汁が出たら良い加減)。煮えた肉を、短冊切りにする。 +4. フライパンに油大さじ1を熱し、豆腐を手で大きめにちぎって入れ、中火で2~3分程度、まわりに焼き色がつくまで炒め、皿にとる。 +5. フライパンに油大さじ1を入れて熱し、1のゴーヤーを焦げ付かないくらいの火加減(弱火~中火)で1分程度炒め、火を通す。塩で調味し、溶き卵を流し入れ全体に絡め、3.の豚肉と4.の豆腐を入れて、混ぜ合わせて仕上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_11_1.jpg)" +"# イカスミ汁 沖縄県 + +**郷土料理名**: イカスミ汁 + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +白イカ(アオリイカ) + +## 歴史・由来・���連行事 +「イカスミ汁」は、イカ墨を加えた真っ黒な汁物で、白イカとも呼ばれるアオリイカと脂身の少ない豚肉、ンジャナと呼ばれるニガナを煮込み、仕上げにイカ墨加える。食べるとお歯黒のように口が黒くなるユニークな郷土料理だ。イカ特有の甘みとコク、苦菜のほろ苦い苦みが唯一無二の味わいを作っており、特徴で、「アジクーター(旨味のきいた深みのある味)」といわれる味わいがある。また「サギグスイ(下げ薬)といわれ、悪い物を体から出す解毒作用があると言われ、のぼせや頭痛、産後の回復に効くとして、健康食としても重宝されてきた。イカスミの効能を生かすには煮すぎないように作るのがポイントだ。 イカスミは沖縄県の言葉でクリといい、「クリのお汁」ともとも呼ばれている。イカスミは、沖縄ではポピュラーな食材のひとつで、雑炊に入れた「クリジューシー」やソースの代わりにイカスミで沖縄そばを炒めた「イカスミ焼きそば」もある。 + +## 食習の機会や時季 +新鮮な白イカ(アオリイカ)が手に入ると作られる家庭料理。市販のイカスミを使って作ることもあり、滋養強壮効果があるとして元気になりたいときに食される。 + +## 飲食方法 +白イカは、墨袋をつぶさないように取り出す。身を開いて皮をむき、きれいに洗ったら食べやすい大きさに切る。この時、繊維に沿うのではなく、繊維をカットするように縦に切ると、イカがやわらかくなる。豚の赤身肉はひと口大の薄切り、ンジャナ(ニガナ)は適当な大きさに切る。鍋にンジャナを敷き、イカ、豚の赤身肉の順に入れ、水を加えて火にかける。アクをすくい、弱火で約1時間、イカがやわらかくなるまで煮る。煮汁にかつおだしを足し、塩で味を調え、墨袋からイカスミを取り出し加える。イカスミは長く煮ないのがポイント。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 白イカ(アオリイカ): 500g +- 豚肉: 150g +- ニガナ: 150g +- イカスミ: 大さじ1~2 +- 水: 7カップ +- 塩: 適量 +- かつおだし: 適量 + +## 作り方 +1. 白イカは墨袋をつぶさないように取り出して身を開き、皮をむいてきれいに洗う。身も足も幅1.5cm、長さ5cmに切る。 +2. 豚肉は生のままひと口大の薄切りにする。 +3. ニガナは洗って、適当な大きさに切る。 +4. 鍋にニガナを敷き、その上に白イカ、豚肉を入れ、分量の水を加えて火にかける。煮立ってアクが出たらていねいに取り除き、弱火で1時間、イカがやわらかくなるまで煮る。 +5. 煮汁が不足するようなら、かつおだしで補い、塩で味を調え、最後にイカスミを混ぜる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_12_1.jpg)" +"# 人参シリシリー 沖縄県 + +**郷土料理名**: 人参シリシリー + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +ニンジン + +## 歴史・由来・関連行事 +「人参シリシリー」は、“シリシリ器”(大きな付き穴のおろし金)でおろした人参を炒めて卵でとじた料理で、沖縄県全域の家庭料理として知られ、他県でも家庭料理として浸透しつつある。「シリシリー」とは、「すりおろす動作」、すりおろす時の音の「すりすり」を表す沖縄県の方言。県内では、専用の“シリシリ器”という大きなおろし金のような道具を使い、ニンジンをおろして使うがシリシリー器がない場合は千切りにする。シリシリ器は、ほとんどの家庭の台所にあると言われている。ちなみにシリシリ器は、ニンジンだけでなくダイコンや青いパパイヤなどにも使用する。「人参シリシリー」は、ニンジンと卵というシンプルな常備食材で手軽に作れ、彩りが美しく、さらに栄養面でも優れている。炒めることでニンジンの甘みを生かし、卵でとじることから独特の臭みを感じにくい仕上がりになるため、大人はもちろん子どもでも食べやすいのが魅力だ。 ちなみに、人参の消費量は日本1を誇っている。 + +## 食習の機会や時季 +日常的な家庭料理として沖縄県全域で食されている。 + +## 飲食方法 +ニンジンは皮をむき、シリシリ器やスライサーなどですりおろす。シリシリーするとき力が入るため、人参の繊維が柔らかくなり炒めやすくなる。ない場合は千切りにす��。油を熱したフライパンでニンジンを炒め、全体に油が回ったらだし汁を入れて蓋をし、弱めの中火で蒸す。水分が飛び、ニンジンがしんなりしたら塩こしょうで味を調え、溶き卵を回し入れ卵でとじる。ツナの代わりにポークランチョンミートなどを加えても良い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ニンジン: 250g +- 卵: 2個 +- 塩: 小さじ1弱 +- 油: 大さじ1 + +## 作り方 +1. ニンジンは皮をむき、シリシリ器(またはスライサー)の道具ですり下ろす。(または千切りにする。) +2. フライパンに油を熱し、1のニンジンを入れ、塩を加えてニンジンがやわらかくなるまで炒める。 +3. 卵を溶きほぐし、全体に回し入れ、混ぜて火を通す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_13_1.jpg)" +"# ミヌダル 沖縄県 + +**郷土料理名**: ミヌダル + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +豚ロース肉、黒ゴマ + +## 歴史・由来・関連行事 +ミヌダルは、豚のロース肉の薄切りに黒ゴマだれをまぶして蒸しあげたもので、真っ黒な仕上がりから「黒肉(クルジン)」とも呼ばれる。蒸すことで脂身が落ちるため、見た目に反して味はあっさりしている。イカ墨を加えてより黒く、またコクを出して仕上げることもある。昔から祝い料理として使われているが、冷めても味が変わらず、蒸し返しがきく利点がある。王朝時代から使われている豪華な前菜入れの東道盆(トゥンダーブン)には、手の込んだ前菜を7~9品盛り合わせるが、ミヌダルもその一品として用いられる。 + +## 食習の機会や時季 +ゴマをたっぷり使った高級な料理で、重詰料理、東道盆、祝料理として食べられる。 + +## 飲食方法 +豚の背ロース肉は周りの脂を切り落としておく。黒ゴマは炒ってから油が出るまですり鉢などですり、砂糖、醤油、みりんを加えてさらにすり、ゴマだれを作る。豚背ロースの汁気を十分に拭き取り、ゴマだれに漬け込む。蒸気が上がった蒸し器にキッチンペーパーを敷き、上に入れ、蒸し上げる。ゴマだれに下味にクリ(イカ墨)を加えることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 豚背ロース肉(7ミリ厚): 8枚 +- 黒ごま: 100g +- 砂糖: 小さじ2 +- みりん: 大さじ4 +- 醤油: 大さじ4 + +## 作り方 +1. 黒ゴマは炒ってすり鉢で油が出るまでよくすり、分量の砂糖、みりん、醤油を入れてさらにすり混ぜ、どろっとしたゴマだれを作る。 +2. 豚ロースの汁気を十分拭き取って、1のゴマだれに30分~1時間漬け込み味をしみこませる。 +3. 湯気の上がった蒸し器にクッキングペーパーを敷き、2の豚肉を並べ、始めの2~3分は強火、あとは中火にして約10~15分蒸す。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_14_1.jpg)" +"# ミミガーさしみ 沖縄県 + +**郷土料理名**: ミミガーさしみ + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +豚の耳皮(ミミガー) + +## 歴史・由来・関連行事 +ミミガーは豚の耳、刺身は和え物のこと。豚肉文化が古く根付く沖縄県では、肉はもちろん内臓や顔、足、血まで料理し「鳴き声以外すべて食べられる」という言葉が実践されている。「ミミガー」は耳皮とは言っているが、耳そのもののことを指し、県外ではほとんど流通しない耳を使った料理は、ユニークな沖縄県の郷土料理として知られている。あぶって毛を落とし、ゆでて千切りにして使うのが一般的で、軟骨も含まれたコリコリとした歯ざわりは、中華食材のくらげに似ている。そんなミミガーの食感が楽しめるのが、献立の一品として日々食されている「ミミガーさしみ」。刺身と聞くと生ものを連想するが、和え物のことで、ピーナツ酢で野菜とともに和える。酢の酸味とピーナツバターのコクとまろやかさのバランスが絶妙な、箸休めの逸品だ。 + +## 食習の機会や時季 +沖縄県では下処理したミミガーがスーパーや市場などに売っており、日々の献立のひとつとして家庭で食べられている。 + +## 飲食方法 +ミミガーは皮を直火であぶって毛を落とし、きれいに洗って30分くらいゆでる。下処理したものが市販されているので、それを使ってもよい。ゆでたミミガーは千切りにし、塩を振りしばらく置いておく。熱湯で湯洗いし、さらに水でよくもみ洗いをして、塩気と脂気を抜く。キュウリは千切り、モヤシはさっとゆでておく。ピーナツバターや酢、砂糖でピーナツ酢を作り、具材とよく和える。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 耳皮(市販のスライスされたもの): 80g +- キュウリ: 100g +- モヤシ: 50g +- [ピーナツ酢]ピーナツバター: 25g +- [ピーナツ酢]白みそ: 25g +- [ピーナツ酢]砂糖: 小さじ1/3 +- [ピーナツ酢]塩: 小さじ1/3 +- [ピーナツ酢]酢: 大さじ2 + +## 作り方 +1. 耳皮に小さじ2の塩をふってよくもみこみ、しばらく置き、軽くゆでて、水にとり、もみ洗いして、塩気と脂気を抜く。 +2. キュウリは斜めの千切り、モヤシは洗ってさっとゆで、水気を切り冷ます。 +3. 材料[ピーナツ酢]をすべて合わせてピーナツ酢を作る。 +4. 食べる直前にボウルに耳皮、キュウリ、モヤシを混ぜ合わせ、3のピーナツ酢で和える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_15_1.jpg)" +"# ナーベーラーンブシー 沖縄県 + +**郷土料理名**: ナーベーラーンブシー + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +ヘチマ + +## 歴史・由来・関連行事 +「ナーベーラー」はへちまのことで、「ンブシー」は豆腐や野菜と豚肉を味噌で煮込む煮物と汁物の中間位の料理。「へちま」ゴーヤーに次ぐ夏野菜の代表格で、本島の中央、南風原町(はえばるちょう)が日本屈指の産地。県外ではへちまをというとたわしやあかすりのイメージがあるが、沖縄では、若くやわらかいヘチマを使うので、ほんのりとした甘みと軟らかい口当たりの野菜として使われる。「ナーベーラーンブシー」は中火でじっくりと煮るとどろっとした甘い汁“ドゥー汁”、が出て絶妙なおいしさに仕上がるためを“ドゥー汁”を適度に出すことがコツとなる。へちまは親しみある食材で、味噌汁やカレーの具材として使われている。 + +## 食習の機会や時季 +ヘチマは4月上旬から9月下旬に収穫されるため、そのころに「ナーベーラーンブシー」も作られ、食される。 + +## 飲食方法 +ヘチマは皮をこそげ取り、斜め薄切りにしておく。豚の三枚肉は薄くひと口大に切り、味噌を絡めておく。鍋にラードを熱してヘチマを炒め、豚の三枚肉を味噌ごと加えてさらに炒める。豚だしと大きめにちぎった島豆腐を入れる。ヘチマがやわらかくなり、どろっとした甘い汁が出てきたら完成。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ヘチマ: 600g +- 豚三枚肉: 100g +- 油: 大さじ1と1/2 +- 赤味噌: 大さじ3 +- 砂糖: 大さじ1と1/2 +- みりん: 大さじ1/2 + +## 作り方 +1. ヘチマは皮をこそげ取り、7~8mmの輪切りにする。 +2. 豚三枚肉は丸ごとゆでてひと口大の薄切りにする。 +3. 味噌、砂糖、みりんを合わせておく。 +4. 鍋に油を熱し豚三枚肉を炒め、ヘチマを入れて、油が回るように炒める。火を弱くして、ドゥー汁が出るようにゆっくり炒める。 +5. 4に3を入れて全体に味が回るようにして仕上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_16_1.jpg)" +"# チムシンジ 沖縄県 + +**郷土料理名**: チムシンジ + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +豚レバー + +## 歴史・由来・関連行事 +「チムシンジ」は、「チム(豚レバー)」の「シンジ(煎じ汁)」で、貧血気味や風邪を引いた時など体力が弱まっている時に作られ、食されている。 沖縄県の庶民料理は、亜熱帯の気候風土が育んだ食材を中心に作り出された、独自に発展したものが多い。庶民料理には、「医食同源」を意味する「クスイムン(薬になるもの・滋養食)」「ヌチグスイ(命の薬)」の考え方が根付いている。中国から伝わった、医学的な治療も日常的な食事も源は同じだという考え方で、日々の食事も薬としての料理であった。貧しい中から生まれた食生活の知恵ではあるが、現在でもその理念は残っている。そんなクスイムン(滋養���)は、「シンジムン(煎じ物)」として、肉、魚、野草、薬草、を煮込んで作られている。 + +## 食習の機会や時季 +病人用の滋養食として作られるクスイムン料理であるため、体に不調がある時に食される。 + +## 飲食方法 +豚レバーは下処理をして血や臭みを取っておく。豚レバー、豚肉、チデークニ(黄ニンジン)をひと口大に切る。鍋に切った具材と水、またはかつおだしを入れ、強火にかける。沸騰したらあくを取り除きながら弱火でじっくりと煮込む。材料が十分にやわらかくなったら醤油や塩、おろしショウガで味を調える。おわんに盛ったらみじん切りにした青ネギを散らす。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 豚レバー: 160g +- 豚肉: 72g +- 島にんじん: 60g +- じゃがいも: 180g +- にんにく葉: 24g +- にんにく: 3g +- 赤みそ: 18g +- 白みそ: 18g +- かつおだし: 720g +- 豚ゆで汁: 200g + +## 作り方 +1. かつおだしをとる。 +2. 豚肉、豚レバーはそれぞれゆでて短冊切りにする(豚肉のゆで汁はとっておく)。 +3. じゃがいもはいちょう切り、島にんじんは斜め輪切り、にんにく葉は2cm幅、にんにくは千切りにする。 +4. 1のだし汁に豚肉のゆで汁を加え、豚肉、島にんじん、じゃがいもを入れて煮る。 +5. 4に豚レバー、にんにくを加え更に煮る。 +6. 調味料で味を整え、にんにく葉を加える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 沖縄県学校栄養士会 宜保 律子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_17_1.jpg)" +"# ジーマーミ豆腐 沖縄県 + +**郷土料理名**: ジーマーミ豆腐 + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +生落花生 + +## 歴史・由来・関連行事 +ジーマーミは落花生のことで、落花生の絞り汁にンムクジ(いもくず)を水で溶いて火にかけ、練り上げた「ゴマ豆腐」のような料理で、独特の風味がある。コシが非常に強いものの、とろりとした口当たりの良さがおいしい。高たんぱく質で高カロリーと、栄養価が高い一品でもある。ジーマーミとは土の中に豆ができる落花生、地豆”を意味している。 琉球王朝時代から貴重な食材として扱われており。ジーマーミ豆腐は主にハレの日に用いられていた。近年は、既製品が売り出され、日常の食べ物となっている。 + +## 食習の機会や時季 +「ジーマーミ豆腐」は「ゴマ豆腐」に似た精進料理の一種で、法事や祝い事によく用いられる。かつては落花生が貴重品だったため、特別な日のみに食されていた。 + +## 飲食方法 +生落花生は殻から取り出しぬるま湯につけ、薄皮をむく。生落花生と水をミキサーにかけてなめらかにしたら、布巾で強く搾る。この搾り汁を鍋に入れて火にかけ、煮立って落花生の香りが消えたらンムクジ液(いもくずを水で溶いたもの)を加え、よく練り混ぜる。30分くらい練り上げ、粘りが出てぼったりと持ち上がるようになったら火を止め、水で湿らせた流し箱に流し入れて冷やし固める。固まったら切り分け、だし、醤油、みりんなどで作ったかけ汁やおろしショウガをのせて盛り付ける。練り上がり具合は氷水に少量落として確かめるとよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (流し缶小1箱分) +- 生落花生: 1カップ +- いもくず: 1/2カップ +- 水: 3カップ +- 【かけ汁】だし: 大さじ2 +- 【かけ汁】醤油: 大さじ1 +- 【かけ汁】みりん: 小さじ2強 +- 【かけ汁】おろしショウガ: 適量 + +## 作り方 +1. 生の落花生はぬるま湯につけてから皮をむく。 +2. 1.の落花生と半量の水(1 と1/2カップ)をミキサーにかけ滑らかな液になったら、布巾で強く搾る(搾り汁を使う)。いもくずは残りの水(1と1/2カップ)で溶き、裏ごしておく。 +3. 厚手の鍋に2の搾り汁を入れて火にかける。煮立って生の落花生の匂いが消えたら、いもくず液を加えてすりこぎでよく練り混ぜる。固まってきたら中火にし、練り続けているうちに、いったん硬くなったものが再びやわらかくなる。 +4. 絶えず、すりこぎで混ぜながら30分くらい練り上げる。練り加減は乳白色の液に粘りが出てぼったりとすりこぎで持ち上がるようになったら火を止める。 +5. 流し箱を水でぬらし手早く4を流し入れ、表面を平らになるようにし、水につけて冷し固める。 +6. かけ汁の材料を合わせておく。 +7. 5が固まったら流し箱から出し、好みの大きさに切って盛りつけ、おろしショウガをのせ、かけ汁をジーマーミ豆腐にかからないようにまわりから注ぎ入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_18_1.jpg)" +"# 足ティビチ 沖縄県 + +**郷土料理名**: 足ティビチ + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +豚足 + +## 歴史・由来・関連行事 +足ティビチとは「ティビチ」とは、沖縄の言葉で「チマグー」と呼ばれる豚の足を、クーブ(昆布)やデークニ(ダイコン)などと長時間煮込んだ料理で、軟骨やゼラチン質が多く含まれることから、特に老化防止や美容効果を期待するお年寄りや女性から好まれている。チマグーの独特の風味が味わい深く、またとろける食感と舌触りが絶妙な一品だ。 長寿県を誇っていた沖縄には、「医食同源」や「以類補類」といった思想が定着している。「以類補類」とは、ある部位を食べることで、体の同じ箇所が良くなるという思想。内臓の調子が悪ければ中身(内臓のこと)を食べ、脚の調子が悪ければ豚足を食べ、喘息などには肺を食べるといったもの。 + +## 食習の機会や時季 +かつては宮廷料理として用いられていたが、最近では庶民料理として親しまれている。 + +## 飲食方法 +豚足は皮を軽く焼いてから水洗いし、さらに湯洗いしてから、泡盛を入れた湯で下ゆでする。乾燥昆布は水で戻し、縦半分に切り、結び昆布を作る。ダイコンは半月切りか輪切りにし、下ゆでしておく。鍋に水、豚足、昆布、ダイコンを入れ、強火にかける。沸騰したら弱火にし、アクを取りながら骨がすっと抜けるくらいのやわらかさになるまで、約3時間半煮る。途中でやわらかくなった昆布とダイコンは取り出す。豚足がとろとろになったら、昆布とダイコンを戻し、塩、醤油で味を調える。お好みでヒハツ(コショウ科の香辛料)をふりかける。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 豚足(チマグー): 4本 +- 昆布(乾燥): 1本 +- ダイコン: 6cm長さ +- 泡盛: 大さじ3 +- 水: 10カップ +- 塩: 適量 +- 醤油: 適量 +- ※下茹でする水は分量外(ひたる位): 適量 + +## 作り方 +1. 豚足は皮を焼き、湯洗いし、泡盛を入れた湯(適量、豚足が浸る程度)で20分くらい下ゆでする。 +2. 昆布は水で戻し、幅を半分に切り、結び昆布を作る。ダイコンは2cm厚さの半月に切り、軽く下ゆでする。 +3. 鍋に水、1の豚足、昆布、ダイコンを入れて火にかけ、沸騰までは強火、沸騰したら弱火にし、アクを取りながら、骨がすうっと抜け、とろけるようにやわらかくなるまで約3時間半煮る。 +4. 途中で昆布、ダイコンがやわらかくなったら取り出し、ひと結びごとに切る。 +5. 豚足がやわらかくなったら昆布とダイコンを戻し、塩、醤油で味を調える。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_19_1.jpg)" +"# 沖縄そば 沖縄県 + +**郷土料理名**: 沖縄そば + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +沖縄そば(麺) + +## 歴史・由来・関連行事 +「沖縄そば」は、そば粉を使わず小麦粉だけを使い、かん水で練って作る太めの麺と、豚骨やかつお節からとった濃厚なだしで仕上げたこってりとした汁が特徴。麺の上に乗せる具は、豚の三枚肉の煮つけ、棒かまぼこ、ネギ、紅生姜が定番だったが、近年はソーキそば、軟骨ソーキそば、野菜そばなど多種におよぶ。また、地域により麺、具ともに特徴があり、宮古そば、八重山そばなどがある。 沖縄県民食の代表である「沖縄そば」の麺は、そば粉を使わないため、1976年に、公正取引委員会から、「そば」と称することが出来ないと指導が入った。慣れ親しんだ「沖縄そば」という名称や沖縄の食文化を守ろうと沖縄生麺協同組合が立ち上がり、交渉を重ねて「沖縄そば」の商標登録を勝ち取った経緯がある。この日を記念して、10月17日は「沖縄そばの日」として制定された。沖縄そばのルーツは、 明治中期に唐人が那覇にそば屋を開いたことが始まりとされている。 + +## 食習の機会や時季 +日常的な食事として��々家庭や飲食店などで食されている。 + +## 飲食方法 +豚の三枚肉は丸ごとゆで、5~6cm幅で5mmの厚さに切る。小鍋に砂糖、醤油、泡盛、だしを煮立て、豚の三枚肉を入れて煮しめる。棒かまぼこは斜め切り、ビラガラ(ネギ)は小口切りにする。鍋に豚とかつおの合わせだしと塩と醤油を煮立てて、スープを作る。たっぷりの湯でゆでた麺は水気をよく切り丼に盛り、スープをそそいで、煮しめた豚の三枚肉、棒かまぼこ、ビラガラ、紅ショウガをのせる。お好みで島唐辛子を泡盛に漬けた調味料「コーレーグース」をかけると、味が締まる。豚だしだけで作ることも多い。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 薄力粉: 360g +- 強力粉: 180g +- 【かん水】かん粉: 小さじ3/4 +- 【かん水】塩: 小さじ 1と1/2 +- 【かん水】水: 300cc +- 打ち粉(タピオカ): 60~70g + +## 作り方 +1. [こねる]ボウルに薄力粉と強力粉をふるって入れ、よく混ぜる。 +2. 【かん水】材料をすべて混ぜ合わせる +3. 1を混ぜながら2を徐々に加えていき、そぼろ状になるよう混ぜる。 +4. 水分が粉に十分浸透するようこねる(10~15分)。足で踏みこねるとよい。指で軽く押して、押した部分が戻ってくる反応があればよい。 +5. [ねかす]こねた生地をビニール袋に入れ、2~3時間寝かせる。 +6. [延ばす]生地の両面に打ち粉をして、その上に寝かした生地を手で押しながら長方形に延ばす。 +7. 麺棒で厚さ1.5~2mmの長方形に。中央から外側へ均一になるように延ばす。 +8. [切る]生地の両面に十分に打ち粉をし、屏風たたみにして好みの厚さ(2~8ミリくらい)で切る。 +9. 切った麺にさらに打ち粉をする(手もみすると縮れる)。 +10. [ゆでる]鍋にたっぷりの湯を沸騰させ、麺をほぐしながら入れ、箸でさっとかき混ぜ、麺が浮き上がってきたら10~20秒でざるに上げる。 +11. お好みの出汁と具で食べる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_20_1.jpg)" +"# もずく丼 沖縄県 + +**郷土料理名**: もずく丼 + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +もずく + +## 歴史・由来・関連行事 +「もずく丼」は、肉や野菜の具材とともにもずくを炒め、ご飯の上に乗せたもの。ショウガの搾り汁を加えて海藻独特の臭みを抑え、甘辛風味に仕上げてあるので老若男女問わず好まれている。学校給食で人気となったことから県民に広く知られ、現在では家庭でも作られるようになった。 「スーパーなどで手軽に手に入るもずくは、ミネラルやビタミンが豊富で肌の保湿を高め、抗酸化作用を持つフコイダンを含むため、美容や健康に良い食材とされている。沖縄県は収穫量が最も多く、その量は1万5000トン以上(平成25年 農林水産省「海面漁業生産統計調査」)と全国の生産量の99%を占めている。昭和50年ごろからもずくの養殖に着手しており、そのほとんどがオキナワモズクという種類で、食感がよくコシがあるため、さまざまな料理に使われる。三杯酢を合わせた「もずく酢」として食べられるのがポピュラーだが、沖縄県の学校給食では、もずく丼」が大人気。 + +## 食習の機会や時季 +手軽でヘルシーな家庭料理として、夕食などに食べられている。また、沖縄県内の学校給食では人気の定番のメニュー。 + +## 飲食方法 +もずくは洗って食べやすい長さに切り、ほぐしておく。タマネギ、ニンジン、ピーマンをみじん切りにする。鍋に油を熱し、豚ひき肉を炒める。野菜を加えてさらに炒め、醤油やみりん、砂糖、酒、ショウガの搾り汁などで調味する。ホールコーン、もずくを入れひと煮立ちさせる。いり卵を加えたり、温泉卵を乗せたり、ツナ缶を使うなど各家庭によって使う食材が異なる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ごはん: 適量 +- もずく: 100g +- 豚ひき肉: 50g +- 牛ひき肉: 50g +- タマネギ: 90g +- ホールコーン: 50g +- ニンジン: 50g +- 小松菜: 50g +- ショウガ(すりおろし): 小さじ1 +- おろしにんにく: 小さじ1/2 +- 【調味料】しょうゆ: 小さじ2 +- 【調味料】みりん: 小さじ1・1/2 +- 【調味料】砂糖: 小さじ1 +- 【調味料】豆板醤: 少々 +- 【調味料】塩: 小さじ1/3 +- かつおだし: 100cc +- 大豆油: ���さじ1/2 +- ごま油: 小さじ1/2 +- 片栗粉: 大さじ1/2 + +## 作り方 +1. ごはんを炊く。 +2. ニンジンとタマネギは千切り、小松菜は1cm幅に切り、ショウガはすりおろす。 +3. もずくは長いようであれば、切る。 +4. 大豆油で肉を炒める。色が変わったら、タマネギ、ホールコーン、ニンジン、ショウガ、おろしにんにくを加え、さらに炒める。 +5. 4にもずくを加えて、さらに炒める。 +6. 5にかつおだしを加えて、もずくから少しとろみが出るまで煮る。 +7. 【調味料】で味付けする。 +8. 仕上げにごま油、小松菜を加えてさっと煮て、火を止めて、水溶き片栗粉でとろみをつける。 +9. 8をごはんにのせて完成。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 沖縄県学校栄養士会宜保律子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_21_1.jpg)" +"# クーリジシ 沖縄県 + +**郷土料理名**: クーリジシ + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +那覇、首里など + +## 主な使用食材 +豚の三枚肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「クーリジシ」は、豚の三枚肉やシブイ(トウガン)、グンボウ(ゴボウ)などを具材にした卵とじの汁物。だしは、豚だしのほかにかつおやシイタケを使い、深みがありながらも優しい味に仕上げる。また、口の中でとろけるシブイやふわふわの卵も優しい。名前の由来は、“クーリ”は氷、“ジシ”はシシ(肉)を意味する。おわんの中で広がった卵が雪のように見えることから名付けられとされている。伝統的な郷土料理がいまだ多く残る沖縄県にも、近年作られる機会が減っているものもある。そのひとつが、昔はお盆に作られる定番料理だった。ちなみにクーリと名前に付く料理は珍しく、このほかには青汁入りのかまぼこと白いかまぼことを交互に重ねた「クーリハンビン」というかまぼこも、かつては作られていた。 + +## 食習の機会や時季 +現在はほとんど作られることがなくなったが、卵が貴重だった戦前は、祖先の霊をお迎えする気持ちを表す盆料理として作られていた。 + +## 飲食方法 +豚の三枚肉は丸ごとゆでて、細めの短冊切りにする。トウガンとゴボウは皮をむき、水にさらしてアク抜きをする。各材料を豚の三枚肉に合わせて短冊切りにする。鍋に豚だし、かつおだしを煮立て、すべての材料を入れて、火が通ったら塩と醤油でお吸い物の味に調える。溶き卵に塩を少々加え、汁の上面にかぶせるようにそそぎ卵とじにする。シブイは、ワタに近い部分はやわらかく崩れやすいので、皮に近い硬い部分を使うとよい。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 豚肉: 100g +- 干ししいたけ: 4.8g +- こんにゃく: 60g +- トウガン: 120g +- 卵: 80g +- 花かつお: 16g +- 醤油: 4.8g +- 塩: 2.8g +- 水: 640g + +## 作り方 +1. かつおだしをとる。 +2. 豚肉をゆで、短冊に切る。 +3. こんにゃくは短冊切りにする。 +4. トウガンは短冊切り、しいたけは千切りにする。 +5. だし汁にしいたけ、トウガンを入れ、煮る。 +6. 5にこんにゃく、豚肉を入れてさらに煮て、調味料で味を調える。 +7. 6を沸騰させ、溶き卵をいれ、ふんわり仕上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 沖縄県学校栄養士会 会長 宜保 律子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_22_1.jpg)" +"# ヒラヤーチー 沖縄県 + +**郷土料理名**: ヒラヤーチー + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +小麦粉 + +## 歴史・由来・関連行事 +「ヒラヤーチー」は、小麦粉を卵とだし(または水)で溶き、ネギやニラなどを散らして焼くもの。塩味のお好み焼きのような料理で、冷蔵庫に残っている野菜や常備している食材などで作る事が多く、最近はソースをつけて食す人も多いため、「沖縄風お好み焼き」と呼ばれることがある。平たく焼くという意味で「ヒラヤーチー」といわれる。食感は韓国料理のチヂミに近い。 + +## 食習の機会や時季 +沖縄県で多発する台風やそれにともなう停電などの時、外出が困難になった際に、家にある食材でよく作られていた。また、簡単に作れる家庭料理として間食やお茶請けとして、非常時以外でもよく作られている。 + +## 飲食方法 +小麦粉と水、卵、だしを混ぜ合わせ、食べやすい大きさに切ったニラを合わせる。熱したフライパンに油をしき、生地を流し入れて両面をこんがり焼く。火が通ったらお皿に移す。そのままでもおいしいが、ソースをかけてもよい。お好みでかつおぶしやマヨネーズをかけることもあり、ソースではなく醤油をつける人もいる。卵なしで作る料理方法もあり、こちらはさっぱりとした味に仕上がる。具材にもずくやアーサ、ツナ、ネギなどを使うこともある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (18cm、フライパン4枚分) +- 小麦粉: 1カップ +- 卵: 1個 +- 水またはだし: 1カップ弱 +- 塩: 少々 +- にら: 適量 +- 油: 少々 + +## 作り方 +1. ボウルに卵を溶きほぐし、振るった小麦粉を入れまぜる。 +2. 1に塩を加え、水またはだしを少しずつ加えて、だまがないようにまぜ、刻んだにらを加える。 +3. フライパンを熱し、油を薄く敷き、2の生地を薄く広がるように流し込む。 +4. 表面が乾いたら裏返して焼く。※かまぼこ、もずくなどいろいろなものを加えることが出来る。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 :琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_23_1.jpg)" +"# ンムクジプットゥルー 沖縄県 + +**郷土料理名**: ンムクジプットゥルー + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +芋くず + +## 歴史・由来・関連行事 +「ンムクジプットゥルー」は、ンムクジ(芋くず)を水で溶き、練るように炒めたもの。「プットゥルー」とは、でんぷん質がべっとりとしたのり状に仕上げた状態を意味する。 「ンム」は“芋”のことで、1605年。野國總管が中国から苗を持ち帰ったことからが芋が栽培されるようになり、救荒食物として飢えの苦しみを救った。 イモから取れる芋くず、「ンムクジ」が家庭で常備されるようになり、そのンムクジを使った料理のひとつとして「ンムクジプットゥルー」が生まれた。砂糖を入れておやつとして、ニラを入れておかずとして食べられていた。ンムクジを使った料理はほかにもあり、炊いてつぶした「ンム」と合わせて油で揚げた「ンムクジアンダギー」や「クジムチ(くずもち)」のなどが知られている。「ンムクジ」は王朝時代から使われており、今は庶民の菓子である「クジムチ」はれっきとした王朝菓子である。 + +## 食習の機会や時季 +日常的な手軽なおやつとして食べられてきた。また、沖縄県では台風が多いことから、台風時の非常食としても作られていたと言われている。 + +## 飲食方法 +ンムクジをだしで溶いて、味噌を加えてよく混ぜ合わせる。そこに小さい千切りにしたかまぼこ、細かく刻んだチリビラ(ニラ)を加え、混ぜ合わせる。フライパンにラードを多めに入れて火にかけ、ンムクジの生地を入れて混ぜながら炒める。全体にツヤが出たら火を止めて、熱いうちにいただく。ニラを入れずに黒砂糖を入れ、甘く仕上げることもある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 芋くず: 1カップ +- かつおだし: 1と1/2カップ +- 赤味噌: 大さじ1と1/2 +- 油: 大さじ2 +- ニラ: 適量 + +## 作り方 +1. かつおだしで赤味噌を溶いておく +2. ニラは細かく切る。 +3. ボウルに芋くずを入れ、1を加えてよく混ぜ、ニラを加える。 +4. フライパンに油を熱し、3を強火でかき混ぜながら炒める。火が通り始めると塊ができ、さらに混ぜながら炒め続けると一つにまとまり、ツヤが出てきたら出来上がり。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_24_1.jpg)" +"# ヤファラジューシー 沖縄県 + +**郷土料理名**: ヤファラジューシー + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +米 + +## 歴史・由来・関連行事 +「ジューシー」とは沖縄県の言葉で炊き込みご飯を指す。硬さによって「クファジューシー」(炊き込みご飯タイプ)と「ヤファラジューシー」(雑炊タイプ)がある。「ヤファラジューシー」は「ボロボロジューシー」とも呼ばれる。「クファジューシー」は行事料理や祝い料理、法事料理として食べられ、旧盆の葉ショウガを入れた「ウンケー(お迎え)ジューシー」田芋を入れた「トゥンジー(冬至)ジューシー」などがある。一方「ヤファラジューシー」は日常的な家���料理のひとつで、よもぎの葉を入れた「フーチバージューシー」やサツマイモの葉であるカンダバーを入れた「カンダバージューシー」などバリエーションも豊富。豚肉やニンジン、シイタケといった身近な野菜を入れ、豚だしやかつおだしで煮込んで、栄養満点に仕上げる家庭もある。 + +## 食習の機会や時季 +家庭料理として日常的に食される。体が温まるので、比較的冬に食されることが多い。また、体調が悪い時に作り、食す人も多くいる。 + +## 飲食方法 +米は炊く30分前に洗い、ざるにあげて水気を切っておく。残り物のご飯を使う時は、水でさっと洗っておく。鍋にだしを入れ、洗ったご飯とお好みの具材を入れてじっくりと火にかける。最近では、食べる直前に生卵とバターを加えて溶かし、まろやかな味わいに変化させる食べ方もある。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 米: 1カップ +- 豚だし(またはかつおだしと半々): 7カップ +- 豚三枚肉: 100g +- よもぎ(フーチバー): 正味40g +- 塩: 大さじ1/2 +- 醤油: 大さじ1 + +## 作り方 +1. 米は炊く30分前に洗って、ざるにあけておく。 +2. よもぎは葉をつみ取り、たっぷりの水の中に入れ、両手でもみ洗いして繊維をやわらげ苦味とアクをとる。 +3. 豚三枚肉は丸ごとゆでて短冊切りにする。 +4. 釜に米、豚だし、豚三枚肉、よもぎ、塩、醤油を入れて火にかけ、沸騰したら弱火にし、ふきこぼれないように蓋をずらして、雑炊のように静かに炊き上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_25_1.jpg)" +"# 牛汁 沖縄県 + +**郷土料理名**: 牛汁 + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +牛肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +牛汁は、牛肉と人参などと煮込んだ汁で滋養食として古くから使われている。特に、冬場には風邪の予防に効くとされている。 冬には「チデークニ」と呼ばれる季節限定の島ニンジンが使われる。「チデークニ」とは「チ」は黄色、「デークニ」はダイコンを意味するが、ゴボウのように細長く鮮やかな黄色が特徴のニンジンである。一般的なニンジンと同じようにカロテンが豊富なため、沖縄県では古くから滋養食として使われており、肉質がやわらかいのが特徴。汁物や炒め物、煮物などで利用される。また、牛肉に内臓などを一緒に込んだボリュウムのある牛汁も作られる。そのほか、名護市安和の伝統行事「牛御願」でお供えもののごちそうとして振る舞われる。塩や醤油で味をつけるが、宮古島では味噌味にするのが特徴的。 豚肉文化の中、牛肉を使った料理がほとんどないのは、王朝時代に、牛は労役に有用なので、屠殺を禁じた経緯がある。 + +## 食習の機会や時季 +チデークニが欠かせない料理で、チデークニが出回る季節、11月ごろからの冬に食される。風邪予防や滋養強壮を目的として食すことも多い。また、一部地域では伝統行事「牛御願」で供えられる。 + +## 飲食方法 +牛肉は大きめの薄切りにする。ニンジンは皮をむき、牛肉の大きさに合わせて斜め薄切りにする。昆布を洗って水で戻し、3cm角に切る。鍋に油を熱して牛肉を炒め、ニンジンを加えてさらに炒める。かつおだしと昆布を入れ、20分ほど煮る。アクを丁寧に取り除いたら塩と醤油で味を調える。仕上げにおろしショウガを加える。ニンジンは普通のニンジンでよいが、チデークニを使うとより本格的になる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 牛モモブロック肉: 200g +- 人参: 120g +- 昆布: 15g +- ラード: 大さじ1 +- かつおだし: 5カップ +- 塩: 小さじ1 +- 醤油: 小さじ2 +- おろししょうが: 少々 + +## 作り方 +1. 牛肉は、大きめのうす切りまたは一口大に切る。 +2. 人参は皮をむき、牛肉の大きさに合わせて切る。 +3. 昆布は洗ってもどし、3cm角に切る。 +4. 鍋にラードを熱し、牛肉を入れて炒め、次に人参を入れて炒め合わせ、分量のかつおだしと昆布を入れ、20分程弱火で煮る。途中アクをていねいに取り、塩、醤油で吸物味に調える。仕上げにおろししょうがを落とす。※牛肉の内臓を入れることもある + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 :琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_26_1.jpg)" +"# イーヤチ 沖縄県 + +**郷土料理名**: イーヤチ + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +竹富島 + +## 主な使用食材 +もち米 + +## 歴史・由来・関連行事 +「イーヤチ」は、八重山列島にある竹富島に伝わる、もち米にもち粟や小豆を混ぜ込んで炊いた伝統的な保存食。竹富島は、石垣島から船でわずか10分と近く、南国ののどかな風景が美しく、観光客も多い島。そんな竹富島の最大の祭事は、約600年の歴史があると言われる「種子取祭」。1977年には国の重要無形民俗文化財に指定された、粟の種をまき、豊作を祈願する祭りだ。旧暦9月、10月の甲申の日から9日間行われ、その間は祭事で多忙を極めるため、すぐに食べられる「イーヤチ」を保存食として用意していたという。祭りの中でも特に奉納芸能を行う前後の日は沖縄県に伝わる伝統的な調理器具の「シンメーナビ」(大鍋)を使って炊く。芭蕉の葉で蒸すことでつく香りが特徴的。かつてはサツマイモが常食だったため、祭りの時に食べられる「イーヤチ」は島民にとってごちそうだった。 + +## 食習の機会や時季 +竹富島の「種子取祭」で振る舞われる。 + +## 飲食方法 +もち米と粟、小豆をシンメーナビ(円すい状の四枚鍋)で炊き、湯を除いたら、イビラという大きな木べらを使いもむように練り上げる。油を塗った芭蕉の葉を使い丸形に成形する。芭蕉の葉にのせたまま竹カゴにのせて蒸し上げる。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (※行事食にて参考レシピを紹介) +- もち米: 適量 +- 粟: 適量 +- 小豆: 適量 +- 芭蕉の葉: 適量 +- 油: 適量 + +## 作り方 +1. もち米と粟、小豆をシンメーナビ(円すい状の四枚鍋)で炊く。 +2. 湯を除き、イビラという大きな木べらを使いもむように練り上げる。 +3. 油を塗った芭蕉の葉を使い丸形に成形する。 +4. 芭蕉の葉にのせたまま竹カゴにのせて蒸し上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 内盛家のイーヤチ + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_27_1.jpg)" +"# イラギムン 沖縄県 + +**郷土料理名**: イラギムン + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +離島地域(八重山) + +## 主な使用食材 +パパイヤ + +## 歴史・由来・関連行事 +「イラギムン」は、実が熟す前の青い状態の「野菜パパイヤ」を主として、肉、豆腐、昆布などと煮て、味噌味でさらっと和え物風に仕上げた料理。昔の家庭ではどこでも味噌を手作りしており、その味噌を使って調味するのが特徴。パパイヤは煮るとダイコンのような食感になり、その食感が楽しめる料理。フルーツとして知られるパパイヤだが、沖縄県で実が熟す前の青いものを「野菜パパイヤ」として、炒めものやサラダ、肉と炊いた「ンブシー」、魚と合わせた煮付け、豆腐と炒めたチャンプルーとして食べる。八重山では家の裏庭や屋敷の隅などにパパイヤが植えられており、それを利用し作られていた。また、母乳の出が良くなるほか、心臓病に効果があると言われている。パパイヤにはパパインという、たんぱく質や脂肪を分解する酵素が含まれており、近年ダイエット食品として野菜パパイヤが注目されている。また、ビタミンCやミネラル分も多く含まれている。 + +## 食習の機会や時季 +庶民の日頃のおかずとして作られてきた家庭料理。八重山では、お彼岸の時に、赤飯の俵むすびやてんぷらなどとともに供えられる。パパイヤを食べると母乳の出が良くなると言われており、多くの産婦が出産後に食していた。また、心臓病にも良いとされていたため、その効能を求め食す人もいた。 + +## 飲食方法 +パパイヤはあらかじめ湯がいておき、他の食材と同じくらいのやわらかさになるように調節しておく。豚肉を湯がき、その汁にゆでておいたパパイヤと揚げ豆腐、肉、昆布、シイタケを入れて煮る。煮えたら火を弱めて味噌を入れ、砂糖を加えて調味する。汁気が少なくなったら材料を返しながら混ぜる。また、汁を多くしすぎず、煮すぎないのがうまく作るコツ。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (作りやすい分量) +- パパイヤ: 500g +- 豚ロースまたは三枚肉: 150g +- (乾)昆布: 1本 +- 厚揚げ: 1枚 +- 鰹だしと豚だし: 各1~2カップ +- 味噌: 大さじ2~3 +- 砂糖: 小さじ1/2 + +## 作り方 +1. パパイヤはサッと茹でておく。豚肉は短冊切りにし、下茹でをしておく。 +2. 鍋にだし汁と材料を入れて加熱する。材料に火が通ったら、味噌と砂糖を入れて煮込んで仕上げる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 一般社団法人 トータルウエルネスプロジェクトオキナワ 伊是名 カエ + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_28_1.jpg)" +"# ヒージャー汁 沖縄県 + +**郷土料理名**: ヒージャー汁 + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +ヤギ肉 + +## 歴史・由来・関連行事 +ヒージャーは山羊のことでフィージャーとも呼ばれる。ヒージャーの肉、骨付き肉、内臓などを大鍋でじっくりと煮込み、匂いの強いフーチバー(よもぎ)やンジャナ(苦菜)入れ、塩味で仕上げる料理。独特の味と強い臭いが特徴で、好き嫌いが分かれる料理である。ヤギ肉はさばいたらなるべく早く食べるのがおいしいと言われていることから、人々が大勢集まって食すことが多い。そのため、親類縁者の祝い事、棟上げ・新築完成祝いなどで振る舞われる。ヒージャーは、県外ではあまり見かけない食材であるが、沖縄県では、“ヒージャーグスイ(ヤギ薬)”として珍重されてきた栄養価の高い食べ物である。 体を温める効果や病気やけがをした際の回復薬として親しまれてきた。現在は医学の発達にともないその側面は衰退し、伝統的な食文化として愛されている。 + +## 食習の機会や時季 +ヤギを解体したらすぐに料理し、大勢で食べるのが風習。親類縁者の祝い事、激励会、棟上げのお祝い、新築完成のお祝いなどで食されるほか、栄養を補給したいときに作られる。 + +## 飲食方法 +骨付きのヤギ肉をぶつ切りにする。フーチバー(よもぎ)は葉先のみを摘み取り、水の中でもみ洗いをして水気をきる。深鍋にヤギ肉と水を入れて火にかけ、煮立ったら弱火にしてアクを取りながら3時間ほど煮る。汁が足りなくなったらかつおだしを加える。途中でよもぎを加え、肉がやわらかくなるまでさらに煮込む。出来上がったら丼に盛り、おろしショウガをのせて、塩を添える。添えられた塩で味を調整しながら、各自好みの味にしていただく。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- ヒージャー肉: 800g +- 水: 10カップ +- フーチバー(よもぎ): 1束 +- おろし生姜: 適量 +- 塩: 適量 + +## 作り方 +1. ヒージャー肉はさっと湯洗いする。 +2. フーチバーは葉を摘み取り、水の中でもみ洗いして、水気を切る。 +3. 鍋に1のヒージャー肉と分量の水を入れて火にかけ、沸騰したらアクを取り、火を弱めて約3時間肉が柔らかくなるまで煮る。 +4. 途中でフーチバーを入れ、さっと火を通す。 +5. 器に肉と汁をたっぷり入れ、おろししょうが、塩を添え、各自好みで味をつける。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 :琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_29_1.jpg)" +"# 血イリチー 沖縄県 + +**郷土料理名**: 血イリチー + +**都道府県**: 沖縄県 + +## 主な伝承地域 +県内全域 + +## 主な使用食材 +豚の三枚肉、豚の血 + +## 歴史・由来・関連行事 +「血イリチー」は血を使ったイリチー(炒め煮)で「血イリチャー」ともいわれる。豚の血のなかに、豚肉、にんじん、かまぼこ、きくらげなどのいろいろな具材を入れて炒め煮にした珍しい一品だ。独特の旨味が出て味わい深い。体の悪い部分と同じ豚の部位を食べて治す食事療法「以類補類」の思想に基づき、血を補う貧血予防の薬としても用いられる。ハレの日に用いられる料理で、旧正月の前に神仏に供えるほか、法事の料理としても振る舞われる。豚の血のほか、山羊の血を使った山羊の血イリチーもある。近年Haccpの管理上、豚の血が入手しにくくなり、豚の血を使った食文化の継承が危ぶまれている。 + +## 食習の機会や時季 +旧正月には、豚肉を使ったさまざまなお正月料理が並ぶため、その前になると豚をさばく慣習があり、保存が効かない豚の血は「血イリチー」にして神仏に供えられた。法事には欠かせない料理として振る舞われた。宮古島では、豚の血を冷凍保存し、必要に応じた量を解凍して血イリチーを作ることもあるようだ。 + +## 飲食方法 +豚の三枚肉は丸ごとゆでて短冊切りにし、砂糖と醤油、酒で煮て下味をつける。豚の血は味噌と一緒にミキサーにかけるか、泡立て器で細かくなるようにほぐし、液体状にしておく。切り干しダイコンはやわらかくゆでて洗い、搾って短く切っておく。水で戻したミミグイ(キクラゲ)は千切りにし、かまぼこは短冊切りにする。ボウルに豚の血と切った野菜を入れて混ぜ合わせ、ラードを熱した鍋で強火で炒める。細かくほぐすように炒め、色が変わったら最初に下味を付けた豚の三枚肉と煮汁を加え、炒め合わせる。様子を見ながら豚の血を加え、かまぼこも入れる。塩で味を調え、ヒハツ(コショウ科の香辛料)をふりかける。飲食店によっては「血イリチー」を沖縄そばの麺に絡めた「チースパ」というメニューが提供されている。 + +## 保存・継承の取組 +Not found + +## 材料 (4人分) +- 豚の血: 200g +- 豚三枚肉: 100g +- 砂糖: 小さじ1 +- 醤油: 大さじ1 +- 酒: 大さじ1/2 +- 切り干しダイコン(乾): 50g +- かまぼこ: 20g +- 赤味噌: 大さじ1 +- 塩: 少々 +- ラード: 大さじ2 +- 豚だし: 1カップ +- ヒハツ: 適量 + +## 作り方 +1. 豚三枚肉は丸ごとゆでて短冊切りにし、分量の砂糖、醤油、酒で下煮をしておく。 +2. 豚の血と味噌をミキサーにかけて液体状にする(または泡立器で細かくほぐす)。 +3. 切り干しダイコンは、やわらかくゆでてきれいに洗い、水気をよく搾って3cm長さに切る。 +4. かまぼこは短冊切りにする。 +5. ボウルに2の豚の血、切り干しダイコンをよく混ぜ合わせる。 +6. 鍋にラードを多めに入れて熱し、5を入れて強火で炒め、豚の血を箸で細かくほぐしながら、色が変わったら豚三枚肉と豚だしを加え、煮汁ごと入れて炒め合わせる。仕上げにかまぼこを入れ、塩で味を調え、ヒハツを振り入れる。 + +## レシピ提供元 +レシピ提供元名 : 琉球料理研究家 安次富順子 + +![料理画像](https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_30_1.jpg)"